(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】軌道を突き固める方法および機械
(51)【国際特許分類】
E01B 27/04 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
E01B27/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562596
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2022056127
(87)【国際公開番号】W WO2022218614
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3, A-1010 Wien, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ダクスベルガー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン コチュヴァラ
(72)【発明者】
【氏名】ザミール オメロヴィチ
【テーマコード(参考)】
2D057
【Fターム(参考)】
2D057AB24
2D057CB04
(57)【要約】
本発明は、持ち上げられた位置に軌きょう(7)が保持される間に、対向する2つの突き固めツール(17)を備えている突き固めユニット(9)によって、バラスト道床(5)内に敷設された軌きょう(7)のマクラギ(6)の下を突き固める方法に関する。突き固めツール(17)は、各マクラギ(6)の下を突き固める際に、振動(22)が加えられた状態でバラスト道床(5)内に降下するとともに、スクイーズ運動(30)によって相互に接近する。ここで、評価装置(27)によって、少なくとも1つの突き固めツール(17)のスクイーズ速度(v)を監視し、予め設定されたスクイーズ時間(t1)または予め設定されたスクイーズ距離(s)に達した際に、スクイーズ速度(v)の目下の値(28)を境界値(29)と比較し、通知信号(31)が、目下の値(28)が境界値(29)を上回っているか否かを示す。これによって、場合によっては、マクラギ(6)の下に位置している空洞(24)の十分な充填がまだ行われていないことが示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち上げられた位置に軌きょう(7)が保持される間に、対向する2つの突き固めツール(17)を備えている突き固めユニット(9)によって、バラスト道床(5)内に敷設された軌きょう(7)のマクラギ(6)の下を突き固める方法であって、前記突き固めツール(17)は、前記各マクラギ(6)の下を突き固める際に、振動(22)が加えられた状態で前記バラスト道床(5)内に降下するとともに、スクイーズ運動(30)によって相互に接近する、方法において、
評価装置(27)によって、少なくとも1つの突き固めツール(17)のスクイーズ速度(v)を監視し、予め設定されたスクイーズ時間(t
1)または予め設定されたスクイーズ距離(s)に達した際に、前記スクイーズ速度(v)の目下の値(28)を境界値(29)と比較し、通知信号(31)が、前記目下の値(28)が前記境界値(29)を上回っているか否かを示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記通知信号(31)を表示装置(32)に供給し、これによって操作員に、目下、下を突き固めようとする前記マクラギ(6)の下の空洞(24)の不十分な充填が表示される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記通知信号(31)を、前記突き固めユニット(9)の制御装置(33)に供給し、特に前記制御装置(33)によって、比較的長いスクイーズ持続時間および/または変更されたスクイーズ力(34)が自動的に設定される、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記制御装置(33)によって自動的に、目下、下を突き固めようとする前記マクラギ(6)のためのさらなる突き固め工程が開始される、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記目下の値(28)が前記境界値(29)を下回っている場合に、前記突き固めツール(17)の前記振動(22)の周波数を高める、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
予め設定された前記スクイーズ時間(t
1)または予め設定された前記スクイーズ距離(s)に到達した時点での前記スクイーズ速度(v)を目下の値(28)として評価する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
目下の値(28)として、前記スクイーズ時間(t)または前記スクイーズ距離(s)の範囲にわたって平均された、前記スクイーズ速度(v)の値を評価する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記目下の値(28)を、重み付けされた時間積分または距離積分の結果として求める、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記目下の値(28)を、前記スクイーズ速度(v)の複数の測定値の重み付けされた和として求める、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記突き固め工程の計算された、または測定されたプロセス変数に関連して、重み付けを設定する、請求項8または9記載の方法。
【請求項11】
プロセス変数として、前記突き固めツール(17)の前記降下中の突き入れ仕事量または突き入れ力(21)を検出する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
入力データとして、前記スクイーズ速度(v)または前記スクイーズ距離(s)の時間推移を機械学習モデルへ供給する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
請求項1から12までのいずれか1項記載の方法を実施する突き固め機械(1)であって、軌きょう(7)を持ち上げる扛上ユニット(8)と、持ち上げられたマクラギ(6)の下を突き固める突き固めユニット(9)と、を備えている突き固め機械(1)において、
センサ装置(26)はスクイーズ速度(v)を検出するように配置されており、前記センサ装置(26)は評価装置(27)に接続されており、前記評価装置(27)は、前記スクイーズ速度(v)の目下の値(28)を境界値(29)と比較し、通知信号(31)を出力するように構成されており、前記通知信号(31)によって、前記目下の値(28)が前記境界値(29)を上回っているか否かが示されることを特徴とする突き固め機械(1)。
【請求項14】
前記評価装置(27)は、通知を表示する表示装置(32)に接続されている、請求項13記載の突き固め機械(1)。
【請求項15】
前記評価装置(27)は、前記突き固めユニット(9)の制御装置(33)に接続されている、請求項13または14記載の突き固め機械(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち上げられた位置に軌きょうが保持される間に、対向する2つの突き固めツールを備えている突き固めユニットによって、バラスト道床内に敷設された軌きょうのマクラギの下を突き固める方法に関しており、これらの突き固めツールは、各マクラギの下を突き固める際に、振動が加えられた状態でバラスト道床内に降下するとともに、スクイーズ運動によって相互に接近する。さらに本発明は、この方法を実施する突き固め機械に関する。
【背景技術】
【0002】
バラスト上部構造を有する鉄道区間は、軌道位置の定期的な修正を必要とし、この場合には一般に、軌道突き固め機械またはスイッチマルチプルタイタンパまたはユニバーサルマルチプルタイタンパが使用される。軌道を巡回して走行可能または連続して走行可能なこのような機械は通常、測定システム、扛上ユニット/整正ユニットおよび突き固めユニットを有している。扛上ユニット/整正ユニットによって、予め設定された位置へ軌道が持ち上げられる。この新たな位置の固定のために、突き固めユニットに設けられた突き固めツールによって、軌道バラストが両側から、軌道の各マクラギの下で突き固められ、締め固められる。
【0003】
バラスト道床に敷設された軌きょうのマクラギの下を突き固める突き固めユニットに関しては、様々な構造形式が知られている。たとえば、オーストリア国特許発明第350097号明細書に開示された、液圧式スクイーズ駆動装置を備えた突き固めユニットは、一方では振動発生のために、回転する偏心体軸に接続されていて、他方では旋回可能な突き固めツールに接続されている。オーストリア国特許発明第339358号明細書から公知の突き固めユニットは、組み合わされた機能においてスクイーズ駆動装置および励振機として働く液圧式駆動装置を備えている。
【0004】
オーストリア国特許発明第515801号明細書は、突き固めユニットによって、軌道バラスト道床を締め固める方法を説明しており、ここでは、バラスト道床硬度に関する品質数値が示されるべきである。この目的のために、スクイーズ距離に関連して、スクイーズシリンダのスクイーズ力が検出され、そこから導出されるエネルギ消費量に関して指数が定められる。しかし、この指数にはあまり有効性がない。なぜなら、システム内で失われる、無視し得ないエネルギ割合が考慮されていないからである。さらに、突き固め工程中に実際にバラスト内に導入される総エネルギも、バラスト道床状態の確実な判定を可能にするものではない。
【0005】
オーストリア国特許発明第520056号明細書から公知の方法では、少なくとも1つの突き固めツールに関して、振動駆動装置によって惹起される各振動サイクルが分析される。具体的には、1回の振動サイクル中に、突き固めツールに作用する力の推移を、突き固めツールが進んだ距離にわたって検出する。この力・距離推移を継続的に評価することによって、バラスト道床がどのように形成されているか、また十分な締め固めが達成されているか否かがリアルタイムに識別される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式の方法を改良して、マクラギの下の空洞の最適なバラスト充填を容易に実行可能にすることにある。さらに、本発明の課題は、相応の突き固め機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上述の課題は、請求項1記載の方法および請求項13記載の機械によって解決される。従属請求項は、本発明の有利な構成を示す。
【0008】
ここでは、評価装置によって、少なくとも1つの突き固めツールのスクイーズ速度を監視し、予め設定されたスクイーズ時間または予め設定されたスクイーズ距離に達した際に、スクイーズ速度の目下の値を境界値と比較し、通知信号が、目下の値が境界値を上回っているか否かを示す。マクラギの下の空洞の充填の間、突き固めツールにはバラストの摩擦によって生じる反力が作用する。この反力は、空洞が満たされていて、マクラギの下に形成されたバラスト支持部の剛性が増大する場合に増大する。したがって、スクイーズ圧力が変わらない場合、スクイーズ速度が低下する。
【0009】
本発明によれば、この効果は、目下の充填状態を検出するために利用される。予め設定されたスクイーズフェーズの後に、スクイーズ速度の目下の値が依然として境界値を上回っている場合には、相応の情報が通知信号によって出力される。たとえば、光学的な通知信号または音響的な通知信号が出力される。目下の充填状態を、通知信号の維持によって、または状態変化時の変更された通知信号によっても示すことができる。いずれにせよ、通知信号は、値比較に基づいて、マクラギの下に位置している空洞の十分な充填が既に行われているか否か、または充填がなお不十分であるか否かを示す。後者の場合、後続の措置によって最適な充填が達成される。
【0010】
簡単な変形形態では、通知信号を表示装置に供給し、これによって操作員に、目下、下を突き固めようとするマクラギの下の空洞の不十分な充填が表示される。このようにして操作員に、目下のスクイーズ工程が継続されるべきであり、場合によっては、最適な充填を達成するために、さらなる突き固め工程が必要であることが示される。
【0011】
本発明の改良された形態では、通知信号を、突き固めユニットの制御装置に供給し、特にこの制御装置によって、比較的長いスクイーズ持続時間および/または変更されたスクイーズ力が自動的に設定される。これによって、バラストの充填を最適化するための、操作員による介入が不要になる。
【0012】
場合によっては、制御装置によって自動的に、目下、下を突き固めようとするマクラギのためのさらなる突き固め工程が開始されることは有意である。この措置は、所望の充填状態を達成するために、突き固めツールの使用可能なスクイーズ距離では不十分な場合に特に有利である。
【0013】
本発明の有利な発展形態は、目下の値が境界値を下回っている場合に、突き固めツールの振動の周波数を高めることを特徴とする。このために、最適な充填状態の到達を検出するために、目下の値が継続的に境界値と比較される。この最適な充填状態に到達して初めて、突き固めツールからバラストに伝達される振動が、高められた振動周波数によって、バラストの一時的な動的な流動化の増大をもたらす。このいわゆるバラストの流れは、バラスト粒同士の摩擦の少ない滑動を生じさせる。バラストは、流体のように振る舞い、自立して振動し、より高い貯蔵密度が得られる。充填フェーズ中は、振動周波数が比較的低いので、この効果は制限されてしか発揮されない。突き固めツールが、より大きな、噛み合ったバラストのまとまりを移動させるので、バラスト粒間の直立摩擦によって、充填工程が容易になる。突き固めツールの周囲での流れが回避される。
【0014】
境界値との比較にとって、予め設定されたスクイーズ時間または予め設定されたスクイーズ距離に到達した時点でのスクイーズ速度を目下の値として評価するのは有意である。このような変形形態では、検出された速度値を修正する必要がないため、評価装置の高い計算能力は必要ない。
【0015】
別の変形形態では、目下の値として、スクイーズ時間またはスクイーズ距離の範囲にわたって平均された、スクイーズ速度の値を評価するのは有利であり得る。これによって、速度検出時の不正確性またはスクイーズ工程中の不規則性が補償される。
【0016】
別の変形形態では、目下の値を、重み付けされた時間積分または距離積分の結果として求める。目下の値を、スクイーズ速度の複数の測定値の重み付けされた和として求める場合には、必要な計算能力がより少なくなる。このような措置によっても、スクイーズ工程の不規則性が補償され、この場合、スクイーズ工程の特定のフェーズは、相応の重み付けによって強調される。
【0017】
これらの変形形態の改良では、突き固め工程の計算された、または測定されたプロセス変数に関連して、重み付けを設定する。この特別な重み付けによって、変化した突き固め状態への評価アルゴリズムの自動的な適合化を行うことができる。
【0018】
有利には、このようなプロセス変数として、突き固めツールの降下工程中の突き入れ仕事量または突き入れ力を求める。このプロセス変数に関連して、その後、スクイーズ速度の目下の値の形成のために適合された重み付けが導出される。
【0019】
入力データとして、スクイーズ速度またはスクイーズ距離の時間推移を機械学習モデルへ供給する場合に、評価がさらに改良される。たとえば、評価装置には、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、決定木、回帰分析またはベイズネットワークが構成されている。この場合、軌きょうの扛上値または所望のスクイーズ力等の別のプロセス変数も、モデルの入力データとして用いられてよい。モデルの出力側は、充填状態の評価に利用可能な目下の値を提供する。
【0020】
上述した方法のうちの1つを実施する、本発明による突き固め機械は、軌きょうを持ち上げる扛上ユニットと、持ち上げられたマクラギの下を突き固める突き固めユニットとを備えている。この場合、センサ装置はスクイーズ速度を検出するように配置されており、センサ装置は評価装置に接続されている。評価装置には、スクイーズ速度の目下の値を境界値と比較するアルゴリズムが構成されている。さらに、評価装置は、通知信号を出力するように構成されており、この通知信号によって、予め設定された比較時点における目下の値が境界値を上回っているか否かが示される。このように形成された突き固め機械は、持ち上げられたマクラギの下に形成された空洞の最適な充填を容易に可能にする。
【0021】
簡単な発展形態では、評価装置は、通知を表示する表示装置に接続されている。この表示装置は、操作員に不十分な充填状態を示し、これに続いて必要な後続の措置が導入される。
【0022】
機械のさらなる改良では、評価装置は、突き固めユニットの制御装置に接続されている。制御装置が通知信号によって不十分な充填の情報を受け取ると直ちに、空洞をさらに充填するための措置が自動的に講じられる。たとえば、スクイーズ時間が延長される、または目下、下を突き固めようとするマクラギのために、さらなる突き固め工程が実行される。
【0023】
本発明を以降で、例示の形式で、添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】降下工程中の突き固めユニットを示す図である。
【
図3】空洞を充填する際の突き固めツールを示す図である。
【
図4】バラスト支持部を締め固める際の突き固めツールを示す図である。
【
図5】時間に関するスクイーズ速度の線図を示す図である。
【
図7】境界値の決定および測定されたスクイーズ速度の評価を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1に示された突き固め機械1は、レール走行装置2によって、軌道4のレール3上を走行可能である。バラスト道床5内に敷設されたマクラギ6は、その上に取り付けられたレール3とともに軌きょう7を形成する。この方法を実施するために、突き固め機械1は、扛上ユニット8と突き固めユニット9とを含む。さらに、軌道の位置修正のために測定システム10が配置されている。ユニット8,9は、調整駆動装置11を介して機械フレーム12に対して変位可能である。扛上ユニット8は、有利には軌きょう7を側方に整正するためにも設けられている。
【0026】
突き固めユニット9と、軌道4の作業が行われる部分とが、
図2に示されている。ユニットフレーム13において、ツール支持体14が垂直方向に案内されている。ツール支持体14には、振動駆動装置15として、駆動される偏心体軸が配置されている。偏心体軸には、2つのスクイーズ駆動装置16が枢着されている。偏心体軸の回転は、スクイーズ駆動装置16を振動させ、その際に各偏心率によって振動振幅が決定される。
【0027】
ツール支持体14には、下を突き固めようとするマクラギ6に関して対向して位置する突き固めツール17が支持されている。各突き固めツール17は突き固めレバー18を有しており、突き固めレバー18の上側のレバーアームは、対応して配置されたスクイーズ駆動装置16に結合されている。下側のレバーアームには突き固めピッケル19が配置されており、突き固めピッケル19は、突き固め工程の進行中にバラスト道床5内に侵入する。
【0028】
図2には、突き固めツール17の降下運動20中の突き固めユニット9が示されており、ここで、突き固めピッケル19は、バラスト道床5に突き入れ力21を加える。この工程中、振動駆動装置15はアクティブであるので、各突き固めピッケル19には、対応して配置された突き固めレバー18と、ブロックされたスクイーズ駆動装置16とを介して、振動22が加えられている。軌きょう7の作業が行われる部分は、扛上ユニット8によって扛上力23でもって、予め設定された目標位置に持ち上げられる。この際、さらに下を突き固めようとするマクラギ6の下に、バラストによる突き固め工程中に充填されるべき空洞24が形成される。扛上ユニット8のローラ挟持体25は、作業が行われる軌きょう7を、各突き固め工程が終わるまで所定の位置に保持する。
【0029】
少なくとも、突き固めツール17には、スクイーズ速度vを検出するセンサ装置26が配置されている。このセンサ装置26は評価装置27に接続されており、これによって、スクイーズ速度vの目下の値28と、格納されている境界値(閾値)29とを比較することができる。この値比較は、継続的に、または少なくとも、スクイーズ運動30の開始後の特定の時点で行われる。いずれにせよ、その後、予め設定されたスクイーズ時間t1または予め設定されたスクイーズ距離sに到達した際に実行される各値比較の結果が関連する。このために評価装置27に、スクイーズ時間tおよび/またはスクイーズ距離sの相応の設定値が格納されている。この設定値に達する際に、スクイーズ運動は通常、まだ終了していない。想定されたスクイーズ時間全体または想定されたスクイーズ距離全体は、この値比較に関連する設定値よりも大きい。
【0030】
関連する値比較が、スクイーズ速度vの目下の値28が依然として境界値29を上回っていることを示している場合、評価装置27によって相応の通知信号31が出力される。これは、目下、下を突き固められているマクラギ6の空洞24の十分な充填がまだ行われていないことを表している。通知信号31を受信する表示装置32を介して、操作員は相応の情報を受け取る。このようにして操作員は、空洞24の充填を最適化するための措置を導入することができるようになる。
【0031】
相応の措置を自動的に実行するために、評価装置27は、突き固めユニット9の制御装置33に接続されている。通知信号31はまずは、制御装置33を用いて、スクイーズ駆動装置16の適合された駆動制御によってスクイーズ運動が継続されるようにする。この場合、スクイーズ速度vの目下の値28が依然として境界値29に達しているか否かが継続的に検査される。可能な最大のスクイーズ距離によって、この措置が制限される。さらに、予備分が必要であり、これによって、充填中にマクラギ6の下に押し動かされたバラストを最終的に締め固めることができる。場合によっては、さらなる措置として、空洞24の最適な充填を保証するために、同じマクラギ6の下の再度の突き固めが行われる。この工程は同様に、スクイーズ速度vの目下の値28と境界値29との比較によって検査される。
【0032】
突き固めピッケル19が、予め設定された侵入深さに達する直前に、スクイーズ運動30が、スクイーズ駆動装置16の相応のアクティブ化によって始められる。スクイーズ工程は、まず、
図3に示されているように、マクラギ6の下に位置する空洞24の充填を生ぜしめる。この場合、液圧シリンダとして形成されたスクイーズ駆動装置16に一定の圧力が加えられているので、突き固めピッケル19はバラスト粒に、一定のスクイーズ力34を加える。
【0033】
空洞24を充填する間、突き固めツール17には振動22が加えられ続けており、この振動周波数は有利には、バラスト道床5内に侵入する際の周波数よりも低い。したがって、バラスト粒は可動のままである。この相対的に低い周波数は、バラスト粒の過度に強い流動化を阻止するので、バラスト粒の側方への流出は生じない。
【0034】
スクイーズ運動30の開始は評価装置27において検出され、これによって、予め設定されたスクイーズ時間t1に達した際に、スクイーズ速度vの目下の値28と、格納されている境界値29とを比較することができる。境界値29は、事前に、理論分析、シミュレーションまたは実験によって決定され、評価装置27に格納される。
【0035】
元来の突き固めプロセスの開始前に軌きょう7を所望の扛上値に持ち上げることで、実験によって境界値29を決定することが可能になる。
図6に示されているように、第1のステップ35において、軌きょう7の扛上が行われる。スクイーズ工程中、第2のステップ36において、スクイーズ速度vの測定が行われ、場合によってはスクイーズ力34の測定も行われる。さらに第3のステップ37において、扛上力23の測定から時点t
0が求められ、この時点t
0以降、バラストは、空洞24の完全な充填に基づいて、マクラギ6を上方に押圧する。この時点t
0で、扛上力23は減少し、スクイーズ速度vは減少する。充填工程が終了しているか否かを識別するための境界値29は、この例では、充填到達時に測定された速度vに対応する。
【0036】
スクイーズ速度vの目下の値28と境界値29との継続的な比較によって、各スクイーズ工程において、空洞24の最適な充填の到達が識別される。有利には、この時点以降、突き固めツール17の振動22の周波数が高められる。高くなったこの動的な励起は、バラスト粒の可動性を高め、これによって、バラスト粒はより密な組織に移行する。このようにして、スクイーズ工程の最後のフェーズにおいて、マクラギ6の下に押し動かされたバラストの最適な締め固めが実現される。充填周波数から締め固め周波数への切り替えを、単に距離に関連してまたは時間に関連して行うこともできる。相応の閾値は、上述したように、事前に扛上力23の測定によって経験的に求められる。
【0037】
本発明の発展形態では、スクイーズ速度vの目下の値28との比較を実行するために、境界値29および/または時点t1が、計算された、または測定された他のプロセス変数に関連して確定される。そのようなプロセス変数として、たとえばバラスト道床5への突き固めピッケル19の降下中の突き入れ力21または突き入れ仕事量が用いられる。扛上ユニット8による軌きょう7の持ち上げおよび所望のスクイーズ力34も、境界値29または比較時点t1に影響を与えるプロセス変数として用いられてよい。
【0038】
さらに、スクイーズ速度vの目下の値28として平均速度を求めることが有意であり得る。この場合、スクイーズ速度vはスクイーズ工程の開始から検出され、平均値が継続的に形成される。たとえば、平均速度は、重み付けされた時間積分もしくは距離積分によって、または複数の速度測定値の重み付けされた総和によって決定することができる。この重み付けを、時間に関連してまたは距離に関連して行うことができ、上述のプロセス変数に関連して確定することができる。このようにして決定された目下の値28が境界値29を上回っている場合には、不十分な充填が識別される。
【0039】
充填されたバラストの最終的な締め固め工程38が、
図4に示されている。この工程は、先行の充填工程39が終了して初めて行われる。充填の際のバラストの抵抗は、既に充填された状態での抵抗よりも低いので、スクイーズ力34が一定の場合には、充填中のスクイーズ運動30は、充填されたバラストの最終的な締め固めの際よりも高い速度vで行われる。
【0040】
相応の速度推移が、
図5に示されている。マクラギ6の下の空洞24が完全に充填されている時点t
0において、事前に境界値29が求められる。スクイーズ工程の第1の例では、予め設定されたスクイーズ時間t
1において、スクイーズ速度vの目下の値28と境界値29との比較が実行される。この第1の例では、目下の値28が依然として境界値29を上回っていることが明らかである。これによって、充填工程39がまだ終了していないという情報が得られる。第2の例では、より長いスクイーズ時間が設定されるので、比較はより後の時点t
1‘で行われる。ここでは、目下の値28‘は、既に境界値29を下回って低下している。この比較は、充填工程39が終了しているという情報を供給する。
【0041】
速度vは、たとえばスクイーズシリンダ16におけるスクイーズ距離の測定、突き固めアーム18の旋回角度の測定、または1つのスクイーズシリンダ16もしくは複数のスクイーズシリンダ16の体積流量の測定によって測定または推定される。本発明の発展形態では、測定されたまたは推定されたスクイーズ速度vの推移が、機械学習モデルのための入力量として使用される。たとえば、評価装置27には、ニューラルネットワーク、サポートベクトルマシン、決定木、回帰分析のためのアルゴリズムまたはベイズネットワークが構成されている。
【0042】
図7には、評価装置27を用いた簡単な評価が示されている。上述したように、事前に境界値29が求められ、格納される。各スクイーズ工程40の間、スクイーズ速度vの検出が行われる。比較工程41において、スクイーズ速度vの目下の値28が、格納されている境界値29と比較される。このことから、目下の充填工程39が終了しているか否かの自動的な判断が行われる。充填が不十分な場合には、相応の通知信号31が出力される。
【0043】
これによって、各マクラギ6の下が最適に突き固められることが保証される。各マクラギ6の下の空洞24が完全に充填され、充填されたバラストの締め固めが終了して初めて、作業方向42において次のマクラギ6の下の突き固めが行われる。この工程は、有利には、機械制御部の制御装置33が、突き固め工程が終了したことを通知することによって、自動的に開始される。したがって、機械1またはいわゆるサテライトを、1つのマクラギ区分だけ、または複数のマクラギ用の突き固めユニット9の場合には複数のマクラギ区分だけ、前進させる。
【0044】
場合によっては、境界値29を新たに決定するために、予め設定された数の突き固め工程の後に、または状態が明白に変化した場合に、突き固めプロセスが中断される。これはたとえば、新しいバラスト状況が古いバラスト状況へと移行する場合またはマクラギ6の種類が変化する場合に有意であり得る。そうでない場合には、軌道状態の通常の変化が、上述の重み付けによって、求められたプロセス変数に関連して補償される。
【国際調査報告】