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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】薬物で調節可能な転写因子
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20240329BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240329BHJP
   C07K 14/05 20060101ALI20240329BHJP
   C07K 14/035 20060101ALI20240329BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240329BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20240329BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 31/455 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 31/436 20060101ALI20240329BHJP
   A61K 31/575 20060101ALI20240329BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20240329BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240329BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240329BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240329BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240329BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALN20240329BHJP
   C12N 5/0781 20100101ALN20240329BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALN20240329BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALN20240329BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALN20240329BHJP
   C12N 5/077 20100101ALN20240329BHJP
   C12N 5/0787 20100101ALN20240329BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12N5/10 ZNA
C07K14/05
C07K14/035
C12N15/63 Z
C07K14/705
A61K31/522
A61P43/00 105
A61K31/352
A61K31/455
A61K31/05
A61K31/436
A61K31/575
C07K16/00
C07K19/00
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/09 100
C12N5/0783
C12N5/0781
C12N5/0735
C12N5/0786
C12N5/0784
C12N5/077
C12N5/0787
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563951
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2022025366
(87)【国際公開番号】W WO2022225943
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/176,801
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/176,848
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519028678
【氏名又は名称】センティ バイオサイエンシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ハン ミシェル エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】ゴードリー ラッセル モリソン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086BC19
4C086CB07
4C086CB22
4C086DA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB21
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA19
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA20
4C206ZB21
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045CA03
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
同族リガンド(例えば、カフェイン、カンナビノイド、ニコチン、ラパマイシン、又はミフェプリストン)によって活性化され得る合成誘導性転写因子、及び、誘導性転写因子を発現する単離された細胞が、本明細書に提供される。また、誘導性転写因子を使用して目的の遺伝子の転写を調節する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、前記ITFを形成し、
前記同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含み、
前記単一ドメイン抗体が、VHを含み、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、
操作された細胞。
【請求項2】
a.前記VHが、抗カフェインVH(ac VH)であり、
任意選択で、前記抗カフェインVH(ac VH)が、配列番号52のアミノ酸配列を含み、かつ/若しくは
任意選択で、前記第1のリガンド結合ドメイン及び前記第2のリガンド結合ドメインの各々が、前記ac VHを含む、又は
b.前記同族リガンドが、カンナビジオール若しくはフィトカンナビノイドであり、前記VHが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、CA-14、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む、又は
c.各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)若しくは抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含み、
任意選択で、前記抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含み、前記抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、前記抗Nic VHを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、前記抗Nic VLを含む、
請求項1に記載の操作された細胞。
【請求項3】
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、前記ITFを形成し、
前記DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
前記同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、
操作された細胞。
【請求項4】
a.前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FKBPドメインを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FRBドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
b.前記第1のリガンド結合ドメインが、前記FKBPドメインを含み、前記第2のリガンド結合ドメインが、前記FRBドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
c.前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、前記FRBドメインを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、前記FKBPドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
d.前記第1のリガンド結合ドメインが、前記FRBドメインを含み、前記第2のリガンド結合ドメインが、前記FKBPドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、
請求項3に記載の操作された細胞。
【請求項5】
a.前記第1の単量体及び/又は前記第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、前記NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/又は
b.前記第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、前記NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項6】
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
前記ITFが、前記リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
前記同族リガンドが、ミフェプリストン若しくはその誘導体であり、
任意選択で、前記リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含み、前記プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ITFが、前記DNA結合ドメインと前記転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、前記ITF応答性プロモーターに結合し、
任意選択で、前記細胞が、前記目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記ITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含み、
任意選択で、前記ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含み、
任意選択で、前記コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含み、前記最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、又は前記コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来し、前記コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、
操作された細胞。
【請求項7】
a.前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
b.前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、かつ/又は
c.前記ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項8】
a.前記転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、
任意選択で、前記転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、又は
b.前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、
任意選択で、前記転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(前記モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項9】
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、前記第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、前記第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
前記第1及び前記第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
前記同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつ1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、
任意選択で、前記発現系が、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、前記ITF応答性プロモーターが、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドの前記DNA結合ドメインに結合する配列とを含む、
発現系。
【請求項10】
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、前記第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、前記第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
前記第1及び前記第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
前記DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、
前記同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、各リガンド結合ドメインが、FKBPドメイン又はFRBドメインを含み、
任意選択で、前記第1の単量体及び/又は前記第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、前記第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
任意選択で、前記発現系が、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、前記第3のプロモーターが、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドの前記DNA結合ドメインに結合する配列とを含む、
発現系。
【請求項11】
第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセット
を含む発現系であって、
前記ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
前記ITFが、前記リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
前記同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体であり、
任意選択で、前記リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択で、前記ITFが、前記DNA結合ドメインと前記転写エフェクタードメインとの間に局在化されたリンカーを更に含み、
任意選択で、前記発現系が、前記目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記ITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む、
発現系。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の発現系を含む、操作された細胞。
【請求項13】
a.ヒト細胞を含む、かつ/又は
b.幹細胞を含む、かつ/又は
c.免疫細胞を含む、かつ/又は
d.T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、
請求項1~8、又は12のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項14】
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、以下:
a.請求項1、2、5、8、9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞、並びに誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンド、又は
b.請求項3~5、8、9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞、並びにラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンド、又は
c.請求項6~9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞、及びミフェプリストン、若しくはその誘導体
を含む、遺伝子スイッチ。
【請求項15】
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、以下:
a.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、請求項1、2、5、8、9、12、又は13のいずれか一項に記載の操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記接触させる工程が、ヒト若しくは動物において行われ、
任意選択で、形質転換された細胞を前記同族リガンドと接触させる工程が、前記同族リガンドの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含む、工程、又は
b.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、請求項3~5、8、9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞を、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、前記操作された細胞を前記同族リガンドと接触させる工程が、前記ラパマイシンの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、前記第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは前記第2の単量体の前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程、又は
c.前記誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、請求項6~9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞を、ミフェプリストン、若しくはその誘導体と接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、前記操作された細胞を前記ミフェプリストンと接触させる工程が、前記ミフェプリストンの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、前記転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月19日に出願された米国仮出願第63/176,801号及び2021年4月19日に出願された米国仮出願第63/176,848号の利益及び優先権を主張し、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願には、EFS-Webを介して提出され、その全体が参照により本明細書に援用される配列表が含まれる。20XX年、XX月に作成された当該ASCIIコピーは、XXXXXUS_sequencelisting.txtと称され、サイズがX,XXX,XXXバイトである。
【0003】
分野
本出願は、同族リガンド(例えば、カフェイン、カンナビノイド、ニコチン、ラパマイシン、又はミフェプリストン)によって活性化され得る合成誘導性転写因子、及び誘導性転写因子を発現する単離された細胞に関する。また、誘導性転写因子を使用して目的の遺伝子の転写を調節する方法も提供される。
【背景技術】
【0004】
背景
現在利用可能な細胞及び遺伝子療法製品は、発現制御を欠く可能性があり、かかる療法を受ける対象において毒性などの安全性の懸念を引き起こし得る。したがって、これらの療法を発現制御及び調節する追加の方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
概要
一態様では、誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞が本明細書に提供され、
ITFは、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体は、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化は、ITFを形成し、
同族リガンドは、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、各リガンド結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含み、
単一ドメイン抗体は、VHを含み、
任意選択で、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0006】
いくつかの実施形態では、
a.VHは、抗カフェインVH(ac VH)であり、
任意選択で、抗カフェインVH(ac VH)は、配列番号52のアミノ酸配列を含み、かつ/若しくは
任意選択で、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々は、ac VHを含む、又は
b.同族リガンドは、カンナビジオール若しくはフィトカンナビノイドであり、VHは、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、CA-14、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
任意選択で、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1若しくは第2の結合ドメインのうちの他方は、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含み、
任意選択で、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1若しくは第2の結合ドメインのうちの他方は、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含み、
任意選択で、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1若しくは第2の結合ドメインのうちの他方は、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHHを含む、又は
c.各リガンド結合ドメインは、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)若しくは抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含み、
任意選択で、抗Nic VHは、配列番号58のアミノ酸配列を含み、抗Nic VLは、配列番号59のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、抗Nic VHを含み、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、抗Nic VLを含む。
【0007】
別の態様では、誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞が本明細書に提供され、
ITFは、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体は、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化は、ITFを形成し、
DNA結合ドメインは、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
同族リガンドは、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0008】
いくつかの実施形態では、
a.第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、FKBPドメインを含み、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、FRBドメインを含み、
任意選択で、FKBPは、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、FRBドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
b.第1のリガンド結合ドメインは、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインは、FRBドメインを含み、
任意選択で、FKBPは、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、FRBドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
c.第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、FRBドメインを含み、第1若しくは第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、FKBPドメインを含み、
任意選択で、FKBPは、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、FRBドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
d.第1のリガンド結合ドメインは、FRBドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインは、FKBPドメインを含み、
任意選択で、FKBPは、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、FRBドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、
a.第1の単量体及び/又は第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、NLSは、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/又は
b.第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、NESは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0010】
別の態様では、誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞が本明細書に提供され、
ITFは、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
ITFは、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
同族リガンドは、ミフェプリストン若しくはその誘導体であり、
任意選択で、リガンド結合ドメインは、プロゲステロン受容体ドメインを含み、プロゲステロン受容体ドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、ITFは、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含み、
任意選択で、DNA結合ドメインは、ITF応答性プロモーターに結合し、
任意選択で、細胞は、目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含み、
任意選択で、ITF応答性プロモーターは、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含み、
任意選択で、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含み、最小プロモーターは、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、又はコアプロモーター配列は、構成的プロモーターに由来し、コアプロモーター配列は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する。
【0011】
いくつかの実施形態では、
a.ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
b.ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、かつ/又は
c.ZFタンパク質ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、
a.転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含み、
任意選択で、転写活性化ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、又は
b.転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み、
任意選択で、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される。
【0013】
別の態様では、発現系が本明細書に提供され、発現系は、以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと;
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
同族リガンドは、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、かつ1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、
任意選択で、発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む。
【0014】
別の態様では、発現系が本明細書に提供され、発現系は、以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと;
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
DNA結合ドメインは、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、
同族リガンドは、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、各リガンド結合ドメインは、FKBPドメイン又はFRBドメインを含み、
任意選択で、第1の単量体及び/又は第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
任意選択で、発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、第3のプロモーターは、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む。
【0015】
別の態様では、第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットを含む発現系が本明細書に提供され、
ITFは、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
ITFは、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
同族リガンドは、ミフェプリストン又はその誘導体であり、
任意選択で、リガンド結合ドメインは、プロゲステロン受容体ドメインを含み、
任意選択で、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択で、ITFは、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間に局在化されたリンカーを更に含み、
任意選択で、発現系は、目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む。
【0016】
別の態様では、上記の態様又は実施形態のうちのいずれかの発現系を含む操作された細胞が本明細書に提供される。
【0017】
ある特定の実施形態では、
a.細胞は、ヒト細胞を含む、かつ/又は
b.細胞は、幹細胞を含む、かつ/又は
c.細胞は、免疫細胞を含む、かつ/又は
d.細胞は、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される。
【0018】
別の態様では、目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチが本明細書に提供され、遺伝子スイッチは、
a.上記の態様若しくは実施形態のうちのいずれか1つの操作された細胞、並びに誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンド、又は
b.上記の態様若しくは実施形態のうちのいずれか1つの操作された細胞、並びにラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンド、又は
c.上記の態様又は実施形態のうちのいずれか1つの操作された細胞、及びミフェプリストン、若しくはその誘導体を含む。
【0019】
別の態様では、目的の遺伝子の転写を調節する方法が本明細書に提供され、方法は、
a.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、上記の態様若しくは実施形態のうちのいずれか1つの操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、接触させる工程が、ヒト若しくは動物において行われ、
任意選択で、形質転換された細胞を同族リガンドと接触させる工程が、同族リガンドの薬理学的用量をヒト若しくは動物に投与することを含む、工程、又は
b.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、上記の態様若しくは実施形態のうちのいずれか1つの操作された細胞を、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、操作された細胞を同族リガンドと接触させる工程が、ラパマイシンの薬理学的用量をヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程、又は
c.誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、上記の態様若しくは実施形態のうちのいずれか1つの操作された細胞を、ミフェプリストン、若しくはその誘導体と接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程が、ミフェプリストンの薬理学的用量をヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程、を含む。
【0020】
カフェイン、カンナビノイド、ニコチン、及びラパマイシンから選択される同族リガンドによって活性化され得る誘導性転写因子もまた本明細書に提供される。
【0021】
本明細書に記載される誘導性転写因子は、治療用細胞における遺伝子発現を制御するためなど、インビボで使用され得るリガンドによって活性化可能である。
【0022】
いくつかの態様では、本開示は、誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞を提供し、
ITFは、
(i)DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
(II)転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体は、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、リガンド誘導オリゴマー化は、ITFを形成し、同族リガンドは、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される。
【0023】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される。いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のZFモチーフのアレイを含む。いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、6つのZFモチーフを含む。
【0024】
いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインは、同族リガンドの別個のエピトープと結合する。
【0025】
いくつかの態様では、各リガンド結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含む。
【0026】
いくつかの態様では、単一ドメイン抗体は、VHを含む。いくつかの態様では、VHは、抗カフェインVH(ac VH)である。いくつかの態様では、抗カフェインVH(acVH)は、配列番号52のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々は、ac VHを含む。
【0027】
いくつかの態様では、同族リガンドは、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドであり、VHは、配列番号53~57(CA14、DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0028】
いくつかの態様では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1又は第2の結合ドメインのうちの他方は、54~57(DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む。
【0029】
いくつかの態様では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1又は第2の結合ドメインのうちの他方は、配列番号54(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む。
【0030】
いくつかの態様では、各リガンド結合ドメインは、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む。
【0031】
いくつかの態様では、抗Nic VHは、配列番号58のアミノ酸配列を含む。
【0032】
いくつかの態様では、抗Nic VLは、配列番号59のアミノ酸配列を含む。
【0033】
いくつかの態様では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、抗Nic VHを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、抗Nic VLを含む。
【0034】
いくつかの態様では、本開示は、誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞を提供し、
ITFは、
(i)DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
(ii)転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体は、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、リガンド誘導オリゴマー化は、ITFを形成し、DNA結合ドメインは、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、同族リガンドは、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、又はそれらの類似体からなる群から選択される。
【0035】
いくつかの態様では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、FKBPドメインを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、FRBドメインを含む。
【0036】
いくつかの態様では、FKBPは、配列番号60のアミノ酸配列を含む。
【0037】
いくつかの態様では、FRBドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0038】
いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインは、FRBドメインを含む。
【0039】
いくつかの態様では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、FRBドメインを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、FKBPドメインを含む。
【0040】
いくつかの態様では、第1の単量体及び/又は第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を更に含む。
【0041】
いくつかの態様では、NLSは、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0042】
いくつかの態様では、第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を更に含む。
【0043】
いくつかの態様では、NESは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0044】
いくつかの態様では、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0045】
いくつかの態様では、本開示は、
(i)第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
(ii)第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系を提供し、
各単量体は、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、誘導性転写因子(ITF)を形成し、同族リガンドは、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される。
【0046】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。
【0047】
いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される。
【0048】
いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含む。
【0049】
いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む。
【0050】
いくつかの態様では、各リガンド結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含む。
【0051】
いくつかの態様では、単一ドメイン抗体は、VHを含む。
【0052】
いくつかの態様では、VHは、抗カフェインVH(acVH)である。
【0053】
いくつかの態様では、抗カフェインVH(acVH)は、配列番号52のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々は、acVHを含む。
【0054】
いくつかの態様では、第1の単量体及び第2の単量体は、カフェインに結合するとホモ二量体を形成することができる。
【0055】
いくつかの態様では、同族リガンドは、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドであり、VHは、配列番号53~57(CA14、DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0056】
いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第2の結合ドメインは、54~57(DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む。
【0057】
いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第2の結合ドメインは、配列番号54~57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む。
【0058】
いくつかの態様では、第1の単量体及び第2の単量体は、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドに結合するとヘテロ二量体を形成することができる。
【0059】
いくつかの態様では、各リガンド結合ドメインは、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む。
【0060】
いくつかの態様では、抗Nic VHは、配列番号58のアミノ酸配列を含む。
【0061】
いくつかの態様では、抗Nic VLは、配列番号59のアミノ酸配列を含む。
【0062】
いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、抗Nic VHを含み、第2の結合ドメインは、抗Nic VLを含む。
【0063】
いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、抗Nic VLを含み、第2のリガンド結合ドメインは、抗Nic VHを含む。
【0064】
いくつかの態様では、第1の単量体及び第2の単量体は、ニコチンに結合するとヘテロ二量体を形成することができる。
【0065】
いくつかの態様では、発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む。
【0066】
いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。いくつかの態様では、最小プロモーターは、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される。
【0067】
いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、構成的プロモーターに由来する。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する。
【0068】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、DNA結合ドメインに結合する配列は、1つ以上のZF結合部位を含む。
【0069】
いくつかの態様では、本開示は、
(i)第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
(ii)第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系を提供し、
各単量体は、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、誘導性転写因子(ITF)を形成し、DNA結合ドメインは、モジュラー式でありかつ6つのジンクフィンガーモチーフを含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、同族リガンドは、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される。
【0070】
いくつかの態様では、各リガンド結合ドメインは、FKBPドメイン又はFRBドメインを含む。いくつかの態様では、FKBPは、配列番号60のアミノ酸配列を含む。
【0071】
いくつかの態様では、FRBドメインは、配列番号61のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインは、FRBドメインを含む。いくつかの態様では、第1のリガンド結合ドメインは、FRBドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインは、FKBPドメインを含む。
【0072】
いくつかの態様では、第1の単量体及び第2の単量体は、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、又はそれらの類似体からなる群から選択されるリガンドに結合するとヘテロ二量体を形成することができる。
【0073】
いくつかの態様では、第1の単量体及び/又は第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を更に含む。いくつかの態様では、NLSは、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0074】
いくつかの態様では、第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を更に含む。いくつかの態様では、NESは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0075】
いくつかの態様では、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0076】
いくつかの態様では、第1及び/又は第2のプロモーターは、構成的プロモーター又は調節可能プロモーターである。
【0077】
いくつかの態様では、第1及び/又は第2のプロモーターは、合成プロモーターである。
【0078】
いくつかの態様では、第1のプロモーター、第2のプロモーター、又は第1及び第2のプロモーターの両方は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである。
【0079】
いくつかの態様では、発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、第3のプロモーターは、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。
【0080】
いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含む。いくつかの態様では、転写活性化ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される。
【0081】
いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含む。いくつかの態様では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される。
【0082】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ITF応答性プロモーターに結合する。
【0083】
いくつかの態様では、第1のプロモーターは、構成的プロモーター、調節可能プロモーター、又は合成プロモーターである。
【0084】
いくつかの態様では、第1のプロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである。
【0085】
いくつかの態様では、発現系は、目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む。
【0086】
いくつかの態様では、ITF応答性プロモーターは、ITF結合ドメイン配列及びプロモーター配列を含む。
【0087】
いくつかの態様では、プロモーター配列は、minP、NFkB応答エレメント、CREB応答エレメント、NFAT応答エレメント、SRF応答エレメント1、SRF応答エレメント2、AP1応答エレメント、TCF-LEF応答エレメントプロモーター融合体、低酸素応答性エレメント、SMAD結合エレメント、STAT3結合部位、minCMV、YB_TATA、minTATA、minTK、誘導因子分子応答性プロモーター、及びそれらのタンデムリピートからなる群から選択されるプロモーターに由来する。
【0088】
いくつかの態様では、ITF応答性プロモーターは、最小プロモーターを含む。
【0089】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される発現系を含む操作された細胞を提供する。
【0090】
いくつかの態様では、操作された細胞は、ヒト細胞である。
【0091】
いくつかの態様では、操作された細胞は、幹細胞である。
【0092】
いくつかの態様では、操作された細胞は、免疫細胞である。
【0093】
いくつかの態様では、操作された細胞は、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される。
【0094】
いくつかの態様では、本開示は、カフェイン-ITFを含む操作された細胞と、有効量のカフェインとを含む、目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチを提供する。
【0095】
いくつかの態様では、本開示は、フィトカンナビノイド-ITFを含む操作された細胞と、有効量のカンナビジオール(CBD)又はフィトカンナビノイドとを含む、目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチを提供する。
【0096】
いくつかの態様では、本開示は、ニコチン-ITFを含む操作された細胞と、有効量のニコチンとを含む、目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチを提供する。
【0097】
いくつかの態様では、本開示は、ラパマイシン-ITFを含む操作された細胞と、有効量のラパマイシンとを含む、目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチを提供する。
【0098】
いくつかの態様では、本開示は、目的の遺伝子の転写を調節する方法を提供し、方法は、誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、カフェイン、フィトカンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFを含む操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程を含む。
【0099】
いくつかの態様では、方法は、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含む。
【0100】
いくつかの態様では、接触させる工程は、ヒト又は動物において行われる。
【0101】
いくつかの態様では、形質転換された細胞を同族リガンドと接触させる工程は、同族リガンドの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む。
【0102】
いくつかの態様では、同族リガンドは、カフェインを含む。
【0103】
いくつかの態様では、同族リガンドは、カンナビジオール(CBD)である。
【0104】
いくつかの態様では、同族リガンドは、ニコチンである。
【0105】
いくつかの態様では、本開示は、誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、ラパマイシン-ITFを含む操作された細胞を、ラパマイシンと接触させる工程を含む、目的の遺伝子の転写を調節する方法を提供する。
【0106】
いくつかの態様では、方法は、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含む。
【0107】
いくつかの態様では、操作された細胞は、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞を同族リガンドと接触させる工程は、ラパマイシンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む。
【0108】
いくつかの態様では、第2の単量体の転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することは、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む。
【0109】
いくつかの態様では、第2の単量体の転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することは、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む。
【0110】
ミフェプリストンによって活性化され得る誘導性転写因子もまた本明細書に提供される。
【0111】
本明細書に記載される誘導性転写因子は、治療用細胞における遺伝子発現を制御するためなど、インビボで使用され得る。
【0112】
いくつかの態様では、本開示は、誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞を提供し、ITFは、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、ITFは、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、細胞核に局在化された場合に、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、同族リガンドは、ミフェプリストン又はその誘導体である。いくつかの態様では、リガンド結合ドメインは、プロゲステロン受容体ドメインを含む。いくつかの態様では、プロゲステロン受容体ドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含む。
【0113】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される。いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む。いくつかの態様では、ZFタンパク質ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフを含む。
【0114】
いくつかの態様では、ITFは、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含む。
【0115】
いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ITF応答性プロモーターに結合する。いくつかの態様では、ITF応答性プロモーターは、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。いくつかの態様では、最小プロモーターは、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、構成的プロモーターに由来する。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する。
【0116】
いくつかの態様では、細胞は、目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む。
【0117】
いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含む。いくつかの態様では、転写活性化ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される。
【0118】
いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含む。いくつかの態様では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される。
【0119】
いくつかの態様では、本開示は、第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットを含む発現系を提供し、ITFは、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、ITFは、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、細胞核に局在化された場合に、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、同族リガンドは、ミフェプリストン又はその誘導体である。いくつかの態様では、DNA結合ドメインは、ITF応答性プロモーターに結合する。いくつかの態様では、第1のプロモーターは、構成的プロモーター、調節可能プロモーター、又は合成プロモーターである。いくつかの態様では、第1のプロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである。
【0120】
いくつかの態様では、発現系は、目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む。いくつかの態様では、ITF応答性プロモーターは、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。いくつかの態様では、最小プロモーターは、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、構成的プロモーターに由来する。いくつかの態様では、コアプロモーター配列は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する。
【0121】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される発現系のうちのいずれかを含む操作された細胞を提供する。
【0122】
いくつかの態様では、操作された細胞は、ヒト細胞を含む。いくつかの態様では、操作された細胞は、幹細胞を含む。いくつかの態様では、操作された細胞は、免疫細胞を含む。いくつかの態様では、細胞は、T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される。
【0123】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書に記載される任意の操作された細胞と、有効量のミフェプリストンとを含む、目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチを提供する。
【0124】
いくつかの態様では、本開示は、誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、本明細書に記載される任意の操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程を含む、目的のポリペプチドの転写を調節する方法を提供する。いくつかの態様では、方法は、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含む。いくつかの態様では、操作された細胞は、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程は、ミフェプリストンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む。いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することは、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む。いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することは、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0125】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明及び添付の図面に関してより良好に理解されるであろう。
【0126】
図1】誘導性転写因子を発現する細胞に対する、様々な濃度の同族リガンドを用いた処理後のレポーター発現の倍率変化を示す。
図2】各々が核局在化シグナルを含む第1及び第2の単量体で、カフェイン、ニコチン、又はカンナビノイド誘導性転写因子を発現する細胞について、様々な濃度の同族リガンドを用いた処理後のレポーター発現について陽性の細胞の割合を示す。
図3】各々が核局在化シグナルを含む第1及び第2の単量体で、カフェイン、ニコチン、又はカンナビノイド誘導性転写因子を発現する細胞について、様々な濃度の同族リガンドを用いた処理後のレポーター発現の平均蛍光強度を示す。
図4】ミフェプリストン誘導性転写因子を発現する細胞に対する、様々な濃度のミフェプリストンを用いた処理後のレポーター発現の倍率変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0127】
詳細な説明
特許請求の範囲及び明細書で使用される用語は、別段の指定がない限り、以下に記載されるように定義される。
【0128】
「インビボ」という用語は、生体内で生じるプロセスを指す。
【0129】
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」という用語は、ヒト及び非ヒトの両方を含み、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、及びブタを含むがこれらに限定されない。
【0130】
2つ以上の核酸又はポリペプチドの配列の文脈における「同一性」パーセントという用語は、最大の一致について比較及び整列するときに、下記の配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTP及びBLASTN、又は当業者が利用可能な他のアルゴリズム)のうちの1つを使用して、又は目視検査により測定される、同じヌクレオチド又はアミノ酸残基の特定の割合を有する2つ以上の配列又は部分配列を指す。用途に応じて、「同一性」パーセントは、比較されている配列の領域にわたって、例えば、機能的ドメインにわたって存在し得る、又は代替的に、比較される2つの配列の全長にわたって存在し得る。
【0131】
配列比較については、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用するときに、試験及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列の座標を指定し、配列アルゴリズムのプログラムパラメータを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0132】
比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似法の検索によって、これらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software PackageのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA、Genetics Computer Group、575 Science Dr.,Madison,Wis.)のコンピュータ化された実行によって、又は目視検査(一般的にAusubel et al.,以下を参照されたい)によって、実施することができる。
【0133】
配列同一性及び配列類似性パーセントを決定するのに好適であるアルゴリズムの一例は、Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)に記載されているBLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実行するためのソフトウェアは、アメリカ国立生物工学情報センター(www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公開されている。
【0134】
「十分な量」という用語は、所望の効果を生み出すのに十分な量、例えば、細胞内の転写抑制を阻害するのに十分な量を意味する。
【0135】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとおり、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0136】
誘導性転写因子
同族リガンドによって誘導され得る活性を有する誘導性転写因子(ITF)が本明細書に提供される。ミフェプリストンによって誘導され得る活性を有する誘導性転写因子もまた本明細書に提供される。
【0137】
いくつかの実施形態では、誘導性転写因子は、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と;転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と、を含む。同族リガンドが第1の単量体及び第2の単量体に結合すると、第1及び第2の単量体は、オリゴマー化し(例えば、二量体化し)、第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、ITFを形成する。いくつかの実施形態では、第1の単量体は、第1の抗体ドメインであり、第2の単量体は、第2の抗体ドメインであり、第1の抗体ドメイン及び第2の抗体ドメインは、オリゴマー化可能である。いくつかの実施形態では、誘導性転写因子は、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含むポリペプチドである。同族リガンドがリガンド結合ドメインに結合すると、ITFは、核局在化を受け、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0138】
「リガンド結合ドメイン」は、同族リガンドに特異的に結合するポリペプチドドメインを指す。本明細書で使用される場合、「特異的に結合する」及び「特異的に認識する」という用語は類似しており、ポリペプチド分子(例えば、リガンド結合ドメイン)のリガンド(例えば、カフェイン、カンナビノイド、ニコチン、ラパマイシン、又はミフェプリストン)への結合を指し、そのような結合は当業者によって理解される。例えば、同族リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメインは、例えば、イムノアッセイ、BIAcore(登録商標)、KinExA 3000機器(Sapidyne Instruments、Boise,Id.)、又は当該技術分野で既知の他のアッセイによって決定された場合、より低い親和性で他のリガンドに結合し得る。特定の実施形態では、同族リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメインは、リガンド結合ドメインが別のリガンドに非特異的に結合するとき、KAよりも少なくとも2倍、5倍、10倍、20倍、25倍、30倍、又はそれ以上であるKAで同族リガンドに結合することができる。
【0139】
本明細書で使用される場合、「DNA結合ドメイン」は、二本鎖又は一本鎖DNAを認識する少なくとも1つの構造モチーフを含むタンパク質ドメインを指す。DNA結合ドメインは、特定のDNA配列(認識配列)を認識する、又はDNAに対する一般的な親和性を有することができる。特異的配列認識が可能であるDNA結合ドメインの例は、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインである。
【0140】
本明細書で使用される場合、「ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメイン」は、DNAとのタンデム接触を作製する複数のフィンガー様突起を含む少なくとも1つのモチーフのタンパク質を指す。本明細書で使用される場合、「ジンクフィンガーアレイ(ZFA)」は、一緒に連結される複数のジンクフィンガータンパク質モチーフを指す。各ジンクフィンガーモチーフは、異なる核酸モチーフに結合する。これにより、任意の所望の核酸配列に特異的なZFAが得られる。ZFモチーフは、互いに直接的に隣接し得る、又は可動性リンカー配列により隔てられ得る。いくつかの実施形態では、ZFAは、タンデムに配置されたZFモチーフのアレイ、ストリング、又は鎖である。ZFAは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15個のジンクフィンガーモチーフを有し得る。ZFAは、1~10、1~15、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、又は5~15個のジンクフィンガーモチーフを有し得る。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフを含む。6つのジンクフィンガーモチーフを含む例示的なジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインは、配列番号1として提供される。ZFタンパク質ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15個、又はそれ以上のZFAを有し得る。ZFドメインは、1~10、1~15、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、5~15、10~15、10~20、又は10~25個のZFAを有し得る。
【0141】
本明細書で使用される場合、「転写エフェクタードメイン」は、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、遺伝子の転写を調節することができるポリペプチドドメインを指す。いくつかの実施形態では、転写エフェクタードメインと同じポリペプチド分子内に存在するDNA結合ドメイン、又は転写エフェクタードメインと同じ四級構造(例えば、オリゴマー化単量体)内に存在するDNA結合ドメインは、遺伝子のプロモーター領域への標的化を可能にし得る。
【0142】
転写エフェクタードメインは、転写活性化因子ドメインを含み得る。本明細書で使用される場合、「転写活性化因子ドメイン」は、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、遺伝子の転写のレベルを活性化又は増加させることができるポリペプチドドメインを指す。転写活性化因子の例としては、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン(「p65」);エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;VP64、p65、及びHSF1活性化ドメイン(VPH活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;並びにヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)が挙げられる。いくつかの実施形態では、転写活性化因子ドメインは、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、転写調節因子ドメインの不在下での遺伝子の転写レベルと比較した場合、遺伝子の転写レベルを少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、又は少なくとも500%増加させることができる。いくつかの実施形態では、転写活性化因子ドメインは、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、転写調節因子ドメインの不在下での遺伝子の転写レベルと比較した場合、遺伝子の転写レベルを10%~50%、10%~100%、10%~100%、10%~200%、10%~300%、10%~400%、10%~500%、50%~500%、100%~500%、200%~500%増加させることができる。
【0143】
転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み得る。本明細書で使用される場合、「転写リプレッサードメイン」は、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、遺伝子の転写のレベルを阻害又は減少させることができるポリペプチドドメインを指す。転写リプレッサーの例としては、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインが挙げられる。
【0144】
いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、転写リプレッサードメインの不在下での遺伝子の転写レベルと比較した場合、遺伝子の転写レベルを少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも250%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%、又は少なくとも500%減少させることができる。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、転写リプレッサードメインの不在下での遺伝子の転写レベルと比較した場合、遺伝子の転写レベルを10%~50%、10%~100%、10%~100%、10%~200%、10%~300%、10%~400%、10%~500%、50%~500%、100%~500%、200%~500%減少させることができる。
【0145】
本明細書で使用される場合、「核局在化シグナル」又は「NLS」は、タンパク質配列中に存在するアミノ酸配列モチーフを指し、それはタンパク質を核輸送によって核に輸入するように細胞にシグナル伝達する。NLSは、典型的には、正に荷電した残基(例えば、リジン又はアルギニン)が豊富な表面曝露された短いアミノ酸配列を含む。NLSの例としては、配列番号2~4のアミノ酸配列が挙げられる。
【0146】
本明細書で使用される場合、「核輸送シグナル」又は「NES」は、典型的には約15残基長であり、かつ核輸送を使用して核細孔複合体を通して細胞核から細胞質への輸送のためのタンパク質を標的とする4個の疎水性残基を含むアミノ酸配列モチーフを指す。NESの例としては、配列番号5~14のアミノ酸配列が挙げられる。
【0147】
本明細書に記載されるITFは、2つのドメインを隔てるペプチドリンカーを含み得る。一般に、任意の2つのドメインは、ペプチドリンカーと一緒に連結することができ、3つ以上のドメインを特徴とするITFは、2つ以上のリンカーを含み得る。2つのドメインを連結する適切なリンカー配列の選択は、当業者の技術範囲内である。ペプチドリンカーは、ポリペプチドドメインの機能を妨げることなく、2つのポリペプチドドメイン(例えば、誘導性転写因子及びデグロン)を隔てる任意のポリペプチド配列であり得る。ペプチドリンカーの例としては、GSGSGSGS(配列番号15)、KEGS(配列番号16)、EGK、EAAAK(配列番号17)、AAPAKQE(配列番号18)、GSGSGSGSGGAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号19、本明細書では「連結されたMax Jenリンカー」又は「ConMJ」と称される)、AAPAKQEAAAPAKQEAAAPAKQEAAAPAPAAKAEAPAAAPAAKA(配列番号20、本明細書では「ecpd」と称される)、及びAEAAAKEAAAKEAAAKA(配列番号21)が挙げられる。
【0148】
「発現カセット」という用語は、標的細胞における特定のポリヌクレオチドの転写を可能にする一連の核酸エレメントを有する、組換え的に又は合成的に産生されたポリヌクレオチドを指す。本明細書に記載される発現カセットは、プラスミド、染色体、ミトコンドリアDNA、プラスチドDNA、ウイルス、又は核酸断片に組み込まれ得る。典型的には、発現ベクターの発現カセット部分は、他の配列の中でも特に、転写される核酸配列及びプロモーターを含む。
【0149】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」は、核酸配列の残りの転写の開始及び速度が制御される核酸配列の制御領域を指す。プロモーターはまた、調節タンパク質及び分子、例えば、RNAポリメラーゼ及び他の転写因子などが結合し得る小領域を含み得る。プロモーターは、構成的、誘導的、抑制的、組織特異的、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。プロモーターは、それが調節する核酸配列の発現を駆動する又は転写を駆動する。本明細書中では、プロモーターは、それが調節する核酸配列に関係して、正しい機能的位置及び配向にある場合、その配列の転写開始及び/又は発現を制御する(駆動する)ために、「作動可能に連結されている」と考えられる。
【0150】
プロモーターは、所与の遺伝子又は配列のコードセグメントの上流に位置する5’非コード配列を単離することにより得られ得るように、遺伝子又は配列と天然に関連付けられるプロモーターであり得る。そのようなプロモーターは「内因性」として言及され得る。いくつかの実施形態では、コード核酸配列は、組換え又は異種プロモーターの制御下に配置され得るが、それは、その天然の環境においてコード化された配列と通常は関連付けられないプロモーターを指す。かかるプロモーターは、他の遺伝子のプロモーター;任意の他の細胞から単離されたプロモーター;並びに「天然」ではない合成プロモーター又はエンハンサー、例えば、当該技術分野で既知である遺伝子操作の方法を通じて発現を改変する異なる転写調節領域の異なるエレメント及び/又は変異を含むものなどを含み得る。プロモーター及びエンハンサーの核酸配列を合成的に産生することに加えて、配列は、組換えクローニング及び/又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む核酸増幅技術を使用して産生され得る(例えば、米国特許第4,683,202号及び米国特許第5,928,906号を参照されたい)。
【0151】
本明細書で使用される場合、「調節可能プロモーター」は、転写活性を開始/活性化又は阻害/抑制する能力がシグナルによって調節されるプロモーターを指す。シグナルは、内因性若しくは通常は外因性の状態(例えば、光)、化合物(例えば、化学化合物又は非化学化合物)、又はプロモーター活性を調節する(例えば、誘導又は抑制する)ような方法で調節可能プロモーターと接触するタンパク質(例えば、本明細書に記載されるITF)であり得る。例えば、ITF応答性プロモーターは、ITFによって調節され得る調節可能プロモーターである。
【0152】
本明細書で使用される場合、「誘導性プロモーター」は、転写活性を開始又は活性化する能力がシグナルによって調節されるプロモーターを指す。シグナルは、内因性若しくは通常は外因性の状態(例えば、光)、化合物(例えば、化学化合物又は非化学化合物)、又は誘導性プロモーターから転写活性を活性化するような方法で誘導性プロモーターと接触するタンパク質(例えば、本明細書に記載される転写活性化ドメインを含むITF)であり得る。例えば、ITF応答性プロモーターは、ITFによって活性化可能な誘導性プロモーターであり得る。
【0153】
本明細書で使用される場合、「抑制可能プロモーター」は、転写活性を阻害又は抑制する能力がシグナルによって調節されるプロモーターを指す。シグナルは、内因性若しくは通常は外因性の状態(例えば、光)、化合物(例えば、化学化合物又は非化学化合物)、又は抑制可能プロモーターから転写活性を抑制することにおいて活性となるような方法で抑制可能プロモーターと接触するタンパク質(例えば、本明細書に記載される転写リプレッサードメインを含むITF)であり得る。例えば、ITF応答性プロモーターは、ITFによって抑制可能である抑制可能プロモーターであり得る。
【0154】
本明細書で使用される場合、プロモーターは、そのシグナルの存在においてプロモーターからの転写が活性化、不活化、増加、又は減少する場合に、シグナル「に応答性」である、又はシグナル「により調節される(modulated)」、又はシグナル「により調節される(regulated)」。いくつかの実施形態では、プロモーターは、応答エレメントを含む。「応答エレメント」は、プロモーター領域内のDNAの短い配列であり、それは、プロモーターから遺伝子発現を調節する(modulate)(調節する(regulate))特定の分子(例えば、転写因子)に結合する。本開示に従って使用され得る応答エレメントは、限定されるものではないが、フロレチン調整可能制御要素(PEACE)、ジンクフィンガーDNA結合ドメイン(DBD)、インターフェロンガンマ活性化配列(GAS)(Decker,T.et al.J Interferon Cytokine Res.1997 Mar;17(3):121-34、参照により本明細書に組み込まれる)、インターフェロン刺激応答エレメント(ISRE)(Han,K.J.et al.J Biol Chem.2004 Apr 9;279(15):15652-61、参照により本明細書に組み込まれる)、NF-カッパB応答エレメント(Wang,V.et al.Cell Reports.2012;2(4):824-839、参照により本明細書に組み込まれる)、及びSTAT3応答エレメント(Zhang,D.et al.J of Biol Chem.1996;271:9503-9509、参照により本明細書に組み込まれる)を含む。他の応答エレメントが本明細書によって包含される。応答エレメントはまた、その同族結合分子に対する応答エレメントの感受性を一般的に増加させるために、タンデムリピート(例えば、応答エレメントをコードする同じヌクレオチド配列の連続リピート)を含むことができる。タンデムリピートは、2×、3×、4×、5×などとラベル付けして、存在するリピートの数を表示することができる。
【0155】
調節可能プロモーター(例えば、誘導性プロモーター及び抑制可能プロモーター)の非限定的な例は、表1に列挙され、それは、プロモーター及び転写因子の設計を示し、並びに転写因子(TF)及び導入遺伝子転写(T)に向かう誘導因子分子の効果が示されている(B、結合;D、解離;n.d.、未決定)(A、活性化;DA、非活性化;DR、脱抑制)(Horner,M.&Weber,W.FEBS Letters 586(2012)20784-2096m、及びその中で引用される参考文献を参照されたい)。調節可能プロモーターの構成要素の非限定的な例には、表2に示されるものが挙げられる。
【0156】
(表1)
【0157】
(表2)
【0158】
本明細書で使用される場合、「構成的プロモーター」は、連続的又は制御されていない転写活性を一般的に可能にするプロモーターを指す。
【0159】
構成的プロモーターの他の非限定的な例としては、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、伸長因子1-アルファ(EF1a)プロモーターとEF1aバリアントhEF1aV1及びhEF1aV2、伸長因子(EFS)プロモーター、MNDプロモーター(骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサーを伴う修飾MoMuLV LTRのU3領域を含む合成プロモーター)、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、脾フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーター、シミアンウイルス40(SV40)プロモーター、並びにユビキチンC(UbC)プロモーターが挙げられる。構成的プロモーター核酸配列の例を表3に示す。
【0160】
(表3)
【0161】
オリゴマー化可能な抗体ドメインを含み、かつ/又はカフェイン、カンナビノイド、若しくはニコチンによって誘導可能な転写因子
いくつかの実施形態では、本開示は、オリゴマー化可能な抗体ドメインを含み、かつ/又はカフェイン、カンナビノイド(例えば、カンナビジオールなどのフィトカンナビノイド)、ニコチン、若しくはそれらの誘導体によって誘導可能である、誘導性転写因子(ITF)を提供する。
【0162】
いくつかの実施形態では、ITFは、DNA結合ドメインと、第1の抗体又はその断片を含む第1のリガンド結合ドメインと、を含む第1の単量体と;転写エフェクタードメインと、第2の抗体又はその断片を含む第2のリガンド結合ドメインと、を含む第2の単量体と、を含む。カフェイン、カンナビノイド(例えば、カンナビジオールなどのフィトカンナビノイド)、及びニコチンから選択される同族リガンドに結合すると、第1の抗体又はその断片、及び第2の抗体又はその断片は、オリゴマー化(例えば、二量体化)し、第1及び第2の抗体又はその断片のリガンド誘導オリゴマー化は、誘導性転写因子を形成する。いくつかの実施形態では、第1及び第2の抗体又はその断片は、VH抗体ドメイン、VL抗体ドメイン、及び単一ドメイン抗体から選択される。
【0163】
いくつかの実施形態では、ITFは、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能であり、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と;転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と、を含む。カフェイン、カンナビノイド(例えば、カンナビジオールなどのフィトカンナビノイド)、及びニコチンから選択される同族リガンドに結合すると、第1の単量体及び第2の単量体は、オリゴマー化(例えば、二量体化)し、第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、誘導性転写因子を形成する。
【0164】
いくつかの実施形態では、同族リガンドは、カフェイン又はその誘導体である。カフェインは、メチルキサンチンクラスの中枢神経系(CNS)刺激剤である。カフェインは、米国食品医薬品局によって、一般に安全と認められている(GRAS)ものとして分類されている。成人に対する1日当たり10グラムを超える毒性用量は、1日当たり500ミリグラム未満の典型的な用量よりもはるかに高い。いくつかの実施形態では、同族リガンドは、カフェインであり、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインは各々、カフェインに特異的に結合する。
【0165】
いくつかの実施形態では、同族リガンドは、カンナビノイドである。いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインはそれぞれ、カンナビノイド(例えば、カンナビジオールなどのフィトカンナビノイド)に特異的に結合する。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」は、身体の様々な部分で発現され、かつ気分、食欲、記憶、及び免疫応答の調節に関与する、カンナビノイド受容体に作用する任意の化合物を指す。カンナビノイドには、エンドカンナビノイド、合成カンナビノイド、及びフィトカンナビノイドが含まれる。エンドカンナビノイドは、哺乳類の身体によって天然に産生され、アナンダミド(N-アラキドノイルエタノールアミド)及び2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)を含む。「合成カンナビノイド」は、カンナビノイド受容体と相互作用するが、自然界で産生されることは知られていない化合物を指す。合成カンナビノイドの例としては、JWH-018、JWH-073、JWH-398、JWH-250、CP 47,497、及びHU-210が挙げられる。「フィトカンナビノイド」は、植物によって天然に産生されるカンナビノイドを指す。フィトカンナビノイドには、カンナビス植物(例えば、テトラヒドロカンナビノール、カンナビジオール、カンナビクロメン、及びカンナビゲロール)によって生成されるカンナビノイド、並びにベータ-カリオフィレン(カンナビス、黒コショウ、及びクローブを含む植物によって産生される)などの追加のタイプの植物によって生成されるカンナビノイド、及びジインドリルメタン(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、及び芽キャベツを含むアブラナ科野菜によって生成される)が含まれる。いくつかの実施形態では、カンナビノイドは、フィトカンナビノイドである。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドは、カンナビジオールである。カンナビジオール(「CBD」とも称される)は、疼痛、不眠症、及び不安を含む様々な病気を治療するために使用される、非精神活性性カンナビス由来カンナビノイドである。CBDの典型的な用量は、2mg~50mgの範囲である。カンナビスの花は、カンナビジオール酸(CBDA)として知られる分子を産生し、熱活性化に伴い脱カルボン酸化されてカンナビジオールを形成する。いくつかの実施形態では、フィトカンナビノイドは、カンナビジオール及びカンナビジオール酸から選択される。いくつかの実施形態では、同族リガンドは、カンナビノイド(例えば、CBDなどのフィトカンナビノイド)であり、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインはそれぞれ、カンナビノイド(例えば、CBDなどのフィトカンナビノイド)に特異的に結合する。
【0166】
いくつかの実施形態では、同族リガンドは、ニコチン又はその誘導体である。ニコチンはキラルアルカロイドであり、ナス科の植物(最も主にたばこ及びDuboisia hopwoodii中にある)で天然に産生され、刺激剤として娯楽的に広く使用されている。紙巻きたばこ中に存在するニコチンの典型的な用量は、約10mg~約12mgであり、紙巻きたばこの喫煙中に約1mg~1.5mgのニコチンが吸入される。いくつかの実施形態では、同族リガンドはニコチンであり、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインはそれぞれ、ニコチンに特異的に結合する。
【0167】
実施形態では、第1のリガンド結合ドメインは、第1の抗体又はその断片を含み、第2のリガンド結合ドメインは、第2の抗体又はその断片を含み、第1の抗体又はその断片及び第2の抗体又はその断片は、同族リガンドの存在下でオリゴマー化(例えば、二量体化)することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインはそれぞれ、単一ドメイン抗体を含む。本明細書で使用される場合、「単一ドメイン抗体」(ナノボディとしても知られる)は、ラクダ科動物(ラクダ及びラマ由来のVH)及び軟骨魚(サメ由来のVNAR)に存在するものなど、重鎖のみの抗体に由来する抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、VHである。いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメインは、第1の単一ドメイン抗体を含み、第2のリガンド結合ドメインは、第2のドメイン抗体を含み、第1の単一ドメイン抗体及び第2の単一ドメイン抗体は、リガンドの存在下で二量体化することができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、ITFは、カフェイン誘導性転写因子である。いくつかの実施形態では、VHは、抗カフェインVH(本明細書では「acVH」とも称される)である。「抗カフェインVH」は、カフェインに特異的に結合する抗原結合ドメインを有するラクダ科単一ドメイン抗体を指す。
【0170】
いくつかの態様では、抗カフェインVHは、配列番号52のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメインは、第1の抗カフェインVH(acVH)を含み、第2のリガンド結合ドメインは、第2の抗カフェインVH(acVH)を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗カフェインVHは含む。いくつかの実施形態では、第1の単量体及び第2の単量体はそれぞれ、配列番号52のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗カフェインVH及び第2の抗カフェインVHは、同一のアミノ酸配列を有し(又は少なくとも95%、96%、96%、98%、若しくは99%の配列同一性を共有する)、カフェインの存在下で二量体化することができ、それによって、第1の単量体及び第2の単量体を二量体化させる。
【0171】
いくつかの実施形態では、ITFは、カンナビノイド誘導性転写因子である。いくつかの実施形態では、同族リガンドは、カンナビノイド(例えば、CBDなどのフィトカンナビノイド)であり、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインは、単一ドメイン抗体を含む。いくつかの実施形態では、単一ドメイン抗体は、VHである。いくつかの実施形態では、VHは、抗CBD VHである。抗CBD VHの例としては、CA14(配列番号53)、DB6(配列番号54)、DB11(配列番号55)、DB18(配列番号56)、及びDB21(配列番号57)が挙げられる。いくつかの実施形態では、VHは、配列番号53~57から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の又はリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、配列番号54~57(それぞれ、DB6、DB11、DB18、及びDB21)から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの1つは、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインの他方は、配列番号57(DB21)のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1の抗CBD VH及び第2の抗CBD VHは、非同一であり、CBDの存在下で二量体化することができる。
【0172】
いくつかの実施形態では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、抗体重鎖(VH)を含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、抗体軽鎖(VL)を含み、VH及びVLは、同族リガンドの存在下で二量体化することができる。
【0173】
いくつかの実施形態では、ITFは、ニコチン誘導性転写因子である。いくつかの実施形態では、同族リガンドは、ニコチンであり、第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインはそれぞれ、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗Nic VHは、配列番号58のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、抗Nic VLは、配列番号59のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、抗Nic VHを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、抗Nic VLを含む。いくつかの実施形態では、抗Nic VH及び抗Nic VLは、ニコチンの存在下で二量体化し、それによって、第1の単量体及び第2の単量体を二量体化させる。
【0174】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFのDNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。
【0175】
いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、少なくとも1個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成される。
【0176】
いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0177】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの転写エフェクタードメインは、転写活性化因子ドメインである。いくつかの実施形態では、転写活性化因子ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)から選択される。
【0178】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインである。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインから選択される。
【0179】
いくつかの実施形態では、誘導性カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンであるITFの第1の単量体及び/又は第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含む。いくつかの実施形態では、NLSは、配列番号2~4から選択される配列のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、NLSは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0180】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含み、ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体によって誘導可能なITFの第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含む。
【0182】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を含む。いくつかの実施形態では、NESは、配列番号5~14から選択される配列のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、NESは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含み、ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体によって誘導可能なITFの第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体は、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを隔てるペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインは、第1のリガンド結合ドメインに対しN末端側である。いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメインは、DNA結合ドメインに対しN末端側である。
【0185】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第2の単量体は、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを隔てるペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、転写エフェクタードメインは、第2のリガンド結合ドメインに対しN末端側である。いくつかの実施形態では、第2のリガンド結合ドメインは、転写エフェクタードメインに対しN末端側である。
【0186】
カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFが、第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化によって形成される場合、ITFは、目的の遺伝子の転写を調節することができる。第1及び第2の単量体のオリゴマー化産物は、オリゴマーの四級タンパク質構造がDNA結合ドメイン及び転写エフェクタードメインの両方を含むため、機能的ITFをもたらす。
【0187】
ミフェプリストンによって誘発される転写因子
いくつかの実施形態では、本開示は、ミフェプリストン又はその誘導体(すなわち、ミフェプリストン誘導性ITF又は「ミフェプリストン-ITF」)によって誘導可能な誘導性転写因子(ITF)を提供する。ミフェプリストン-ITFは、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含む。同族リガンド(例えば、ミフェプリストン又はその誘導体)に結合すると、ITFは核局在化を受ける。細胞核に局在化された場合に、ITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0188】
ミフェプリストン(RU486としても知られる)は、中絶を誘発するために、またクッシング病を有する患者における高血糖症を治療するために臨床的に使用される抗プロゲステロン及び抗グルココルチコステロイド薬剤である。ミフェプリストン経口錠剤は、200mg及び300mgの用量で入手可能である。
【0189】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFのリガンド結合ドメインは、プロゲステロン受容体ドメインを含む。プロゲステロン受容体(NR3C3又は核受容体サブファミリー3、グループC、メンバー3としても知られる)は、ホルモンプロゲステロンによって活性化される核受容体である。プロゲステロン受容体配列の例は、配列番号68として提供される。いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFのリガンド結合ドメインは、配列番号68のアミノ酸配列を含む。
【0190】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFのDNA結合ドメインは、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、モジュラー設計であり、ジンクフィンガーアレイ(ZFA)で構成される。
【0192】
いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、1~10個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも1個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも2個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも3個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも4個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも5個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、少なくとも10個のZFAを含む。いくつかの実施形態では、ZFタンパク質ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFの転写エフェクタードメインは、転写活性化因子ドメインである。いくつかの実施形態では、転写活性化因子ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)から選択される。
【0194】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFの転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインである。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインから選択される。
【0195】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFは、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間に局在化されたペプチドリンカーを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインは、転写エフェクタードメインに対しN末端側である。いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFは、N末端からC末端の方向に、DNA結合ドメイン、リガンド結合ドメイン(例えば、プロゲステロン受容体ドメイン)、及び転写エフェクタードメインを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、転写エフェクタードメインは、DNA結合ドメインに対しN末端側である。いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFは、N末端からC末端の方向に、転写エフェクタードメイン、リガンド結合ドメイン(例えば、プロゲステロン受容体ドメイン、及びDNA結合ドメインを含む。
【0198】
ミフェプリストン-ITFが、同族リガンド(すなわち、ミフェプリストン又はその誘導体)と接触すると、ITFは、目的の遺伝子の転写を調節することができる核に転座する。
【0199】
いくつかの実施形態では、目的の遺伝子は、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、ITF応答性プロモーターは、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む。
【0200】
オリゴマー化可能な抗体ドメインを含み、かつ/又はカフェイン、カンナビノイド(例えば、カンナビジオールなどのフィトカンナビノイド)、オリゴマー化可能な抗体又はその断片によって形成されるニコチンITFによって誘導可能なITFを産生するための発現系
DNA結合ドメイン、同族リガンドに結合する第1の抗体又はその断片を含む、第1の単量体と;転写エフェクタードメインと、同族リガンドに結合する第2の抗体又はその断片と、を含む第2の単量体と、を含む誘導性転写因子(ITF)を産生するための発現系もまた提供され、第1の抗体又はその断片及び第2の抗体又はその断片は、同族リガンドの存在下でオリゴマー化(例えば、二量体化)することができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、ITFを産生するための発現系は、第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットと;第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットと、を含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、構成的プロモーターである。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbから選択される構成的プロモーターである。
【0203】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、調節可能プロモーターである。
【0204】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、合成プロモーターである。
【0205】
カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFを産生するための発現系
本明細書に記載されるカフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能な誘導性転写因子(ITF)を産生するための発現系もまた提供される。
【0206】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能な誘導性転写因子(ITF)を産生するための発現系は、第1のプロモーターと、本明細書に記載される第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセット;及び第2のプロモーターと、本明細書に記載される第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットを含む。
【0207】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、構成的プロモーターである。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbから選択される構成的プロモーターである。
【0208】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、調節可能プロモーターである。
【0209】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、合成プロモーターである。
【0210】
6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを有するZFドメインを含む転写因子
いくつかの実施形態では、本開示は、(i)6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含むZFドメイン、及び(ii)第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と;(i)転写エフェクタードメイン、及び(ii)第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と、を含むITFを提供し、第1及び第2のリガンド結合ドメインは、同族リガンドの存在下でオリゴマー化(例えば、二量体化)することができる。
【0211】
いくつかの実施形態では、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含むZFドメインを含むITFは、ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体(本明細書では、「ラパマイシン誘導性転写因子」又は「ラパマイシン-ITF」と称される)によって誘導可能である。ラパマイシン-ITFは、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む第1の単量体、並びに転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む第2の単量体を含む。ラパマイシン-ITFのDNA結合ドメインは、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガー(ZFA)タンパク質ドメインを含む。ラパマイシン、AP1903、AP20187、及びFK1012から選択される同族リガンド、並びにその誘導体及び類似体に結合すると、第1の単量体及び第2の単量体は、オリゴマー化可能である。第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化は、ラパマイシン-ITFを形成し、これは、目的の遺伝子に作動可能に連結されたプロモーター中のZFタンパク質結合部位に結合し、目的の遺伝子の転写を調節することができる。
【0212】
「ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体」は、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)を遮断する免疫抑制性マクロライドを指す。ラパマイシン並びにその誘導体及び類似体は、抗増殖活性を有し、抗真菌活性及び/又は抗がん活性を有する。ラパマイシン誘導体又は類似体の例としては、AP1903、AP20187、及びFK1012が挙げられる。
【0213】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFは、それぞれラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体に結合する第1のリガンド結合ドメイン及び第2の結合ドメインを含む。いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1の単量体及び第2の単量体は、ラパマイシン、AP1903、AP20187、及びFK1012、又はそれらの導体若しくは類似体から選択されるリガンドに結合すると二量体を形成することができる。
【0214】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1のリガンド結合ドメイン又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、FK506結合タンパク質(FKBP)を含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、ラパマイシン(mTOR)キナーゼの哺乳類標的のFKBP-ラパマイシン結合(FRB)ドメインを含む。FKBP(FKB12としても知られる)は、高親和性(Kd=0.2nM)でラパマイシンに結合し、FKBP-ラパマイシン複合体は、FRPと会合することができ、したがって、FKBP-ラパマイシン-FRB複合体を形成することができる。例示的なFKBPは、配列番号60として提供される。例示的なFRBは、配列番号61として提供される。いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメイン又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方は、配列番号60のアミノ酸配列を含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方は、配列番号61のアミノ酸配列を含む。
【0215】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFのZFタンパク質ドメインは、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの転写エフェクタードメインは、転写活性化因子ドメインである。いくつかの実施形態では、転写活性化因子ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)から選択される。
【0217】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインである。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインから選択される。
【0218】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1の単量体及び/又は第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含む。いくつかの実施形態では、NLSは、配列番号5~7から選択される配列のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、NLSは、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含む。いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含み、ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体によって誘導されるITFの第2の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含む。
【0220】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を含む。いくつかの実施形態では、NESは、配列番号8~17から選択される配列のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、NESは、配列番号8のアミノ酸配列を含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1の単量体は、核局在化シグナル(NLS)を含み、ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体によって誘導されるITFの第2の単量体は、核外輸送シグナル(NES)を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第1の単量体は、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを隔てるペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、DNA結合ドメインは、第1のリガンド結合ドメインに対しN末端側である。いくつかの実施形態では、第1のリガンド結合ドメインは、DNA結合ドメインに対しN末端側である。
【0223】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの第2の単量体は、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを隔てるペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、転写エフェクタードメインは、第2のリガンド結合ドメインに対しN末端側である。いくつかの実施形態では、第2のリガンド結合ドメインは、転写エフェクタードメインに対しN末端側である。
【0224】
ラパマイシン-ITFが、第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化によって形成される場合、ITFは、目的の遺伝子の転写を調節することができる。第1及び第2の単量体のオリゴマー化産物は、オリゴマーの四級タンパク質構造がDNA結合ドメイン及び転写エフェクタードメインの両方を含むため、機能的ITFをもたらす。
【0225】
6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを有するZFドメインを含むオリゴマー化可能なITFを産生するための発現系
(i)6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含むZFドメイン、及び(ii)第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と;(i)転写エフェクタードメイン、及び(ii)第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と、を含むITFを産生するための発現系もまた提供され、第1及び第2のリガンド結合ドメインは、同族リガンドの存在下でオリゴマー化(例えば、二量体化)することができる。いくつかの実施形態では、同族リガンドは、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、又はそれらの類似体から選択され、発現系は、本明細書に記載されるラパマイシン誘導性転写因子(ラパマイシン-ITF)を産生するためのものである。
【0226】
いくつかの実施形態では、発現系は、第1のプロモーターと、本明細書に記載されるラパマイシン-ITFの第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットと;第2のプロモーターと、本明細書に記載されるラパマイシン-ITFの第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットと、を含む。
【0227】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、構成的プロモーターである。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbから選択される構成的プロモーターである。
【0228】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び又は第2のプロモーターは、誘導性プロモーターである。
【0229】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、合成プロモーターである。
【0230】
ミフェプリストン-ITFを産生するための発現系
本明細書に記載されるミフェプリストン誘導性転写因子(ミフェプリストン-ITF)を産生するための発現系もまた提供される。
【0231】
いくつかの実施形態では、発現系は、第1のプロモーターと、本明細書に記載されるミフェプリストン-ITFをコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む、第1の発現カセットを含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、構成的プロモーターである。いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbから選択される構成的プロモーターである。
【0233】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び又は第2のプロモーターは、誘導性プロモーターである。
【0234】
いくつかの実施形態では、第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターは、合成プロモーターである。
【0235】
いくつかの実施形態では、発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第2の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、ミフェプリストン-ITFのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む。いくつかの実施形態では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。
【0236】
ITF応答性プロモーターを含む発現系
いくつかの実施形態では、本明細書に提供される発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、ITFのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるITFは、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を調節することができる。本明細書で使用される場合、「ITF応答性プロモーター」は、本明細書に記載されるITFによって特異的に認識され、かつITFの同族リガンドの存在によって制御され得る、合成調節可能プロモーターを指す。
【0238】
いくつかの実施形態では、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、本明細書に記載される誘導性転写因子(ITF)によって特異的に認識されるITF結合ドメインと、を含む。本明細書で使用される場合、「コアプロモーター配列」は、RNAポリメラーゼIIと相互作用し、かつ転写を開始するのに十分であるプロモーター配列を含むプロモーターの一部を指す。
【0239】
ITF結合ドメインは、ITFのDNA結合ドメインに結合し、1つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み得る。
【0240】
結合ドメインは、1つ以上のジンクフィンガー結合部位を含み得る。ジンクフィンガー結合部位は、ジンクフィンガータンパク質ドメイン(例えば、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン)に結合することができるポリヌクレオチド配列である。いくつかの実施形態では、ITFのZFタンパク質ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、ITF応答性プロモーターのITF結合ドメインは、6つのジンクフィンガーモチーフに対して少なくとも1つの結合部位を含む。結合ドメインは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、又はそれ以上のジンクフィンガー結合部位を含み得る。例示的なジンクフィンガー結合部位は、GGCGTAGCCGATGTCGCG(配列番号62)を含む。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、1つのジンクフィンガー結合部位を含む。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、2つ以上のジンクフィンガー結合部位を含む。ジンクフィンガー結合部位は、DNAリンカーによって隔てられ得る。DNAリンカーは、いくつかの実施形態では、5~40、5~30、10~40、10~30塩基対の長さであり得る。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、2つのジンクフィンガー結合部位を含む。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、3つのジンクフィンガー結合部位を含む。いくつかの実施形態では、結合ドメインは、4つのジンクフィンガー結合部位を含む。ジンクフィンガー結合部位を含む例示的な結合ドメインを、配列:
cgggtttcgtaacaatcgcatgaggattcgcaacgccttcGGCGTAGCCGATGTCGCGctcccgtctcagtaaaggtcGGCGTAGCCGATGTCGCGcaatcggactgccttcgtacGGCGTAGCCGATGTCGCGcgtatcagtcgcctcggaacGGCGTAGCCGATGTCGCG(配列番号63)
に示す。配列番号63の結合ドメインは、それぞれが配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメインに結合する4つの結合部位を含み、結合部位の各々はDNAリンカーによって隔てられている。
【0241】
いくつかの実施形態では、コアプロモーター配列は、最小プロモーターを含む。いくつかの実施形態では、コアプロモーター配列は、minP、minCMV、YB_TATA、及びminTKから選択されるプロモーターを含む。
【0242】
いくつかの実施形態では、コアプロモーター配列は、構成的プロモーター配列に由来するコアプロモーター配列を含む。いくつかの実施形態では、コアプロモーター配列は、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbから選択される構成的プロモーターに由来する。
【0243】
いくつかの実施形態では、コアプロモーター配列は、
TCTAGAGGGTATATAATGGGGGCCA(配列番号64)
を含む。
【0244】
例示的なITF応答性プロモーターは、配列:
cgggtttcgtaacaatcgcatgaggattcgcaacgccttcGGCGTAGCCGATGTCGCGctcccgtctcagtaaaggtcGGCGTAGCCGATGTCGCGcaatcggactgccttcgtacGGCGTAGCCGATGTCGCGcgtatcagtcgcctcggaacGGCGTAGCCGATGTCGCGcattcgtaagaggctcactctcccttacacggagtggataACTAGTTCTAGAGGGTATATAATGGGGGCCA(配列番号65)
を含む。
【0245】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFを産生するための発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、ITFのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む。
【0246】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン誘導性転写因子を産生するための発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、ITFのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む。
【0247】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン誘導性転写因子を産生するための発現系は、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第2の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターは、コアプロモーター配列と、ITFのDNA結合ドメインに結合する配列と、を含む。
【0248】
単離されたポリヌクレオチド分子及び異種構築物
本明細書に記載される発現系の1つ以上の構成要素を含む単離されたポリヌクレオチド分子及び異種構築物もまた本明細書に提供される。
【0249】
「単離された」核酸分子又はポリヌクレオチドは、その天然環境から取り出されたDNA又はRNAなどの核酸分子を指す。例えば、異種構築物中に含有される、本明細書に記載されるITFをコードするポリヌクレオチドは、単離されたとみなされる。単離されたポリヌクレオチドの更なる例としては、異種宿主細胞中で維持される組換えポリヌクレオチド、又は溶液中の精製された(部分的又は実質的に)ポリヌクレオチドが挙げられる。単離されたポリヌクレオチドはまた、通常、ポリヌクレオチド分子を含む細胞中に含まれるポリヌクレオチド分子を含むが、ポリヌクレオチド分子は、染色体外又はその天然の染色体位置とは異なる染色体位置に存在する。
【0250】
単離されたポリヌクレオチド分子には、cDNAポリヌクレオチド、RNAポリヌクレオチド、RNAiオリゴヌクレオチド(例えば、siRNA、miRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、shRNAなど)、mRNAポリヌクレオチド、環状プラスミド、直線状DNA断片、ベクター、ミニサークル、ssDNA、細菌人工染色体(BAC)、及び酵母人工染色体(YAC)、及びオリゴヌクレオチドが含まれるが、これらに限定されない。
【0251】
いくつかの実施形態では、単離されたポリヌクレオチド分子は、DNA、cDNA、RNA、mRNA、及びネイキッドプラスミド(直鎖状又は環状)から選択される。
【0252】
本発明の参照ヌクレオチド配列と少なくとも、例えば、95%「同一」であるヌクレオチド配列を有する核酸又はポリヌクレオチドによって、ポリヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチド当たり最大5個の点変異を含み得ることを除いて、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列と少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るために、参照配列中のヌクレオチドの最大5%が、欠失若しくは別のヌクレオチドで置換されてもよい、又は参照配列中の総ヌクレオチドの最大5%のヌクレオチド数が参照配列に挿入されてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位置、又はそれらの末端位置の間のどこかで発生してもよく、参照配列中の残基の間で個々に、又は参照配列内の1つ以上の連続基中のいずれかに散在する。実用的な問題として、任意の特定のポリヌクレオチド配列が、本発明のヌクレオチド配列と少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータプログラムを使用して従来的に決定することができる。
【0253】
「操作されたポリヌクレオチド」は、自然界では発生しないポリヌクレオチドである。しかしながら、操作されたポリヌクレオチドは、全体として非天然発生型である一方で、それは、自然界で発生するヌクレオチド配列を含み得ることが理解されるべきある。いくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、異なる生物からの(例えば、異なる種からの)ヌクレオチド配列を含む。例えば、いくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、マウスヌクレオチド配列、細菌ヌクレオチド配列、ヒトヌクレオチド配列、及び/又はウイルスヌクレオチド配列を含む。「操作されたポリヌクレオチド」という用語は、組換え核酸及び合成核酸を含む。「組換えポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド分子を連結することにより構築され、かついくつかの実施形態では、生細胞中で複製することができる分子を指す。「合成ポリヌクレオチド」は、増幅される、又は化学的に若しくは他の手段により合成される分子を指す。合成ポリヌクレオチドは、化学的に修飾された、又は他の方法で修飾されたものを含むが、天然発生型ヌクレオチド分子と塩基対合することができる。修飾は、1つ以上の修飾されたヌクレオチド間連結及び非天然核酸を含むが、これらに限定されない。修飾は、米国特許第6,673,611号及び米国出願公開第2004/0019001号において更に詳細に記載されており、それらの各々が、それらの全体が参照により組み込まれる。修飾されたヌクレオチド間連結は、ホスホロジチオエート又はホスホロチオエート連結であり得る。非天然核酸は、ロックド核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、グリコール核酸(GNA)、ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO又は「モルホリノ」)、及びトレオース核酸(TNA)であり得る。非天然核酸は、国際出願第1998/039352号、米国出願公開 第2013/0156849号、及び米国特許第6,670,461号;第5,539,082号;第5,185,444号において更に詳細に記載されており、各々が、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。組換えポリヌクレオチド及び合成ポリヌクレオチドはまた、前述のうちのいずれかの複製からもたらされる分子を含む。本開示の操作されたポリヌクレオチドは、単一の分子(例えば、同じプラスミド又は他のベクター中に含まれる)により、又は複数の異なる分子(例えば、複数の異なる独立して複製する分子)によりコードされ得る。
【0254】
本開示の操作されたポリヌクレオチドは、標準的な分子生物学方法(例えば、Green and Sambrook,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,2012,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)を使用して産生され得る。いくつかの実施形態では、操作された核酸構築物は、GIBSON ASSEMBLY(登録商標)クローニング(例えば、Gibson,D.G.et al.Nature Methods,343-345,2009、及びGibson,D.G.et al.Nature Methods,901-903,2010を参照されたく、それらの各々が、参照により本明細書に組み込まれる)を使用して産生される。GIBSON ASSEMBLY(登録商標)は、典型的には、単一チューブ反応において3つの酵素活性を使用する:5’エキソヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼのY伸長活性、及びDNAリガーゼ活性。5’エキソヌクレアーゼ活性は、5’末端配列を噛み返し、アニーリングのために相補配列を露出させる。ポリメラーゼ活性は次に、アニーリングされた領域上のギャップを埋める。DNAリガーゼは次に、ニックを密閉し、DNA断片を一緒に共有結合的に連結させる。隣接する断片の重複する配列は、Golden Gate Assemblyにおいて使用されるものよりもはるかに長く、したがって、正しい組み立ての高いパーセンテージがもたらされる。いくつかの実施形態では、操作された核酸構築物は、IN-FUSION(登録商標)クローニング(Clontech)を使用して産生される。
【0255】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリヌクレオチド分子は、異種構築物に含まれる。「ベクター」又は「発現ベクター」という用語は、「異種構築物」と同義であり、標的細胞中の構築物と作動可能に関連する1つ以上の遺伝子の発現を導入及び方向付けするために使用されるポリヌクレオチド分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としての構築物、並びにそれが導入された宿主細胞のゲノムに組み込まれたベクターを含む。いくつかの実施形態では、異種構築物は、レンチウイルスベクターを含む。
【0256】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体をコードするポリヌクレオチド分子を含む、第1の発現カセットと;カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第2の単量体をコードするポリヌクレオチド分子を含む、第1の発現カセットを含む第2の異種構築物と、を含む、第1の異種構築物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、ラパマイシン誘導性転写因子(ラパマイシン-ITF)の第1の単量体をコードするポリヌクレオチド分子を含む、第1の発現カセットと;ラパマイシン誘導性転写因子(ラパマイシン-ITF)の第2の単量体をコードするポリヌクレオチド分子を含む、第1の発現カセットを含む第2の異種構築物と、を含む、第1の異種構築物が本明細書に提供される。
【0257】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン誘導性転写因子(ミフェプリストン-ITF)をコードするポリヌクレオチド分子を含む発現カセットを含む異種構築物が本明細書に提供される。
【0258】
いくつかの実施形態では、本開示の操作されたポリヌクレオチド又は異種構築物は、複数のポリペプチドを産生するように構成される。例えば、ポリヌクレオチドは、2つの異なるポリペプチド(例えば、ITF及び第2のポリペプチド)を産生するように構成され得る。
【0259】
いくつかの実施形態では、本開示の操作されたポリヌクレオチド又は異種構築物は、複数のポリペプチドを産生するように構成される。例えば、ポリヌクレオチドは、2つの異なるポリペプチド(例えば、ラパマイシン-ITF又はカフェイン、カンナビノイド、若しくはニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体及び第2の単量体)を産生するように構成され得る。ポリヌクレオチド分子は、ITFの第1の単量体及び第2の単量体を産生するように構成されてもよく、両方の単量体は同じプロモーターの制御下にある。
【0260】
いくつかの実施形態では、操作された核酸は、マルチシストロニックであってもよく、すなわち、2つ以上の別個のポリペプチド(例えば、ラパマイシン-ITF又はカフェイン、カンナビノイド、ニコチン、若しくはミフェプリストンによって誘導可能なITFの第1の単量体及び第2の単量体)は、単一の転写物から産生され得る。操作された核酸は、様々なリンカーの使用によりマルチシストロニックであってもよく、例えば、第1の外因性ポリヌクレオチドをコードするポリヌクレオチド配列は、5’から3’方向に、第1の遺伝子:リンカー:第2の遺伝子など、第2の外因性ポリヌクレオチドをコードするヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーポリヌクレオチド配列は、T2Aなどの1つ以上の2Aリボソームスキッピングエレメントをコードし得る。他の2Aリボソームスキッピングエレメントには、E2A、P2A、及びF2Aが含まれるが、これらに限定されない。2Aリボソームスキッピングエレメントによって、第1及び第2の遺伝子によりコードされる別々のポリペプチドの産生が翻訳中に可能になる。リンカーは、切断可能なリンカーポリペプチド配列、例えばフューリン切断部位又はTEV切断部位などをコードすることができ、それにおいて、発現に続いて、切断可能なリンカーポリペプチドは、第一及び第二の遺伝子によりコードされる別々のポリペプチドが産生されるように切断される。切断可能リンカーは、切断を更に促進する、ポリペプチド配列、例えば、可動性リンカー(例えば、Gly-Ser-Gly配列)などを含むことができる。
【0261】
リンカーは、配列内リボソーム進入部位(IRES)をコードすることができ、第一及び第二の遺伝子によりコードされる別々のポリペプチドが、翻訳中に産生されるようにする。リンカーは、スプライスアクセプター、例えばウイルススプライスアクセプターなどをコードすることができる。
【0262】
リンカーは、2Aリボソームスキッピング、それに続く、2A残基の完全な除去を可能にするフューリン部位の更なる切断を通じて別々のポリペプチドを産生することができるリンカー、例えばフューリン-2Aリンカーなどの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、リンカーの組み合わせは、フューリン配列、可動性リンカー、及び2Aリンカーを含み得る。したがって、いくつかの実施形態では、リンカーは、フューリン-Gly-Ser-Gly-2A融合ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、リンカーは、フューリン-Gly-Ser-Gly-T2A融合ポリペプチドである。
【0263】
一般に、マルチシストロニック系は、任意の数又は組み合わせのリンカーを使用して、任意の数の遺伝子又はその部分を発現することができる(例えば、操作された核酸は、第1、第2、及び第3のエフェクター分子によってコードされる別個のポリペプチドが産生されるように、各々がリンカーによって隔てられた第1、第2、及び第3のエフェクター分子をコードすることができる)。
【0264】
本明細書で使用される場合、「リンカー」は、第1のポリペプチド配列及び第2のポリペプチド配列を連結するペプチドリンカーを指し得る、又は上に記載されるマルチシストロニックリンカーを指し得る。
【0265】
いくつかの実施形態では、プロモーター;カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第1の単量体をコードする第1のポリヌクレオチド配列;カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの第2の単量体をコードする第2のポリヌクレオチド配列;及び第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間の切断可能なリンカーを含むマルチシストロニック発現カセットを含む異種構築物が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、プロモーター;ラパマイシン誘導性転写因子の第1の単量体をコードする第1のポリヌクレオチド配列;ラパマイシン誘導性転写因子の第2の単量体をコードする第2のポリヌクレオチド配列;及び第1のポリヌクレオチドと第2のポリヌクレオチドとの間の切断可能なリンカーを含むマルチシストロニック発現カセットを含む異種構築物が本明細書に提供される。
【0266】
いくつかの実施形態では、本開示の操作された核酸は、転写後調節エレメント(PRE)を含む。PREは、三次RNA構造の安定性と3’末端形成を可能にすることで遺伝子発現を強化することができる。PREの非限定的な例としては、B型肝炎ウイルスPRE(HPRE)及びウッドチャック肝炎ウイルスPRE(WPRE)が挙げられる。いくつかの実施形態では、転写後調節エレメントは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント(WPRE)である。いくつかの実施形態では、WPREは、WPREエレメントのアルファ、ベータ、及びガンマ構成要素を含む。いくつかの実施形態では、WPREは、WPREエレメントのアルファ構成要素を含む。WPRE配列の例としては、配列番号66及び配列番号67が挙げられる。
【0267】
操作された細胞
本明細書に記載される誘導性転写因子(ITF)を発現する、又は本開示の1つ以上の発現系若しくは異種構築物を含む、細胞、及び細胞を産生する方法もまた提供される。これらの細胞は、本明細書で「操作された細胞」と称される。典型的には、1つ以上の操作された核酸を含むこれらの細胞は、自然界では発生しない。いくつかの実施形態では、細胞は、1つ以上の操作されたポリヌクレオチドを組換え的に発現する単離された細胞である。いくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、1つ以上のベクター又は細胞のゲノム由来の選択された遺伝子座から発現される。いくつかの実施形態では、細胞は、ヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを含むポリヌクレオチドを含むように操作される。
【0268】
本開示の操作された細胞は、細胞のゲノムに組み込まれた操作されたポリヌクレオチドを含み得る。操作された細胞は、例えば、プラスミド又はmRNAなどの一過性発現系で操作された、細胞のゲノムに組み込まれることなく発現が可能である、操作されたポリヌクレオチドを含み得る。
【0269】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるITFを含む操作された細胞が提供される。いくつかの実施形態では、細胞は、目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された、本明細書に記載されるITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む。
【0270】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカフェイン又はその誘導体(すなわち、カフェイン誘導性転写因子又は「カフェイン-ITF」)によって誘導可能なITFを含む操作された細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカフェイン-ITFの第1及び第2の単量体をコードする発現系を含む操作された細胞が提供される。
【0271】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカンナビノイド(すなわち、カンナビノイド誘導性転写因子又は「カンナビノイド-ITF」)によって誘導可能なITFを含む操作された細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるカンナビノイド-ITFの第1及び第2の単量体をコードする発現系を含む操作された細胞が提供される。
【0272】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるニコチン又はその誘導体(すなわち、ニコチン誘導性転写因子又は「ニコチン-ITF」)によって誘導可能なITFを含む操作された細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるニコチン-ITFの第1及び第2の単量体をコードする発現系を含む操作された細胞が提供される。
【0273】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるラパマイシン又はその誘導体若しくはアナログ(すなわち、ラパマイシン誘導性転写因子又は「ラパマイシン-ITF」)によって誘導可能なITFを含む操作された細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるラパマイシン-ITFの第1及び第2の単量体をコードする発現系を含む操作された細胞が提供される。
【0274】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるミフェプリストン又はその誘導体(すなわち、ミフェプリストン誘導性転写因子又は「ミフェプリストン-ITF」)によって誘導可能なITFを含む操作された細胞が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるミフェプリストン-ITFをコードする発現系を含む操作された細胞が提供される。
【0275】
本開示の操作された細胞は、ヒト細胞であり得る。操作された細胞は、ヒト初代細胞であり得る。操作された初代細胞は、任意の体細胞であり得る。操作された初代細胞は、任意の幹細胞であり得る。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、対象由来である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、対象に関して同種異系である。
【0276】
本開示の操作された細胞は、対象、例えば、がんを有することが知られている、又は疑われる対象から単離することができる。細胞単離方法は当業者に既知であり、細胞表面マーカー発現に基づくソーティング技術、例えば、FACSソーティング、ポジティブ単離技術、及びネガティブ単離、磁気単離、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。操作された細胞は、治療が施されている対象に関して同種であり得る。同種改変細胞は、治療が施されている対象にHLA適合させることができる。操作された細胞は、培養細胞、例えばエクスビボ培養細胞などであり得る。操作された細胞は、エクスビボ培養細胞、例えば対象から単離された初代細胞などであり得る。培養細胞は、1つ以上のサイトカインと培養することができる。
【0277】
いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、以下から選択される:T細胞(例えば、CD8+T細胞、CD4+T細胞、又はガンマデルタT細胞)、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ(例えば、M1マクロファージ又はM2マクロファージ)、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ニューロン、乏突起膠細胞、星状膠細胞、プラコード由来細胞、シュワン細胞、心筋細胞、内皮細胞、結節細胞、ミクログリア細胞、肝細胞、胆管細胞、ベータ細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、人工多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞。
【0278】
いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、T細胞(例えば、CD8+T細胞、CD4+T細胞、又はガンマ-デルタT細胞)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、調節性T細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、ナチュラルキラーT(NKT)細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、B細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、自然リンパ球細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、マスト細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、好酸球である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、好塩基球である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、好中球である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、骨髄細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、マクロファージ、例えば、M1マクロファージ又はM2マクロファージである)。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、単球である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、樹状細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、赤血球である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、血小板細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、ニューロンである。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、ミクログリア細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、乏突起膠細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、星状膠細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、プラコード由来細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、シュワン細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、心筋細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、内皮細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、結節細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、ミクログリア細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、肝細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、胆管細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、ベータ細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、ヒト胚性幹細胞(ESC)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、ESC由来細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、多能性幹細胞である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、間葉系間質細胞(MSC)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、iPSC由来細胞である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、自家である。いくつかの実施形態では、操作された細胞は、同種異系である。いくつかの実施形態では、本開示の操作された細胞は、CD34+細胞、CD3+細胞、CD8+細胞、CD16+細胞、及び/又はCD4+細胞である。
【0279】
いくつかの実施形態では、本開示の細胞は、腺癌細胞、膀胱腫瘍細胞、脳腫瘍細胞(例えば、グリオーマ細胞又はグリオブラストーマ細胞)、乳房腫瘍細胞、頸部腫瘍細胞、大腸腫瘍細胞、食道腫瘍細胞、神経膠腫細胞、腎臓腫瘍細胞、肝臓腫瘍細胞、肺腫瘍細胞、メラノーマ細胞、中皮腫細胞、卵巣腫瘍細胞、膵臓腫瘍細胞、前立腺腫瘍細胞、皮膚腫瘍細胞、甲状腺腫瘍細胞、及び子宮腫瘍細胞から選択される腫瘍細胞である。
【0280】
本開示の操作された細胞を培養することを含む方法もまた提供される。本明細書中に記載される、操作された細胞を培養する方法は、公知である。当業者は、培養条件が、目的の特定の操作された細胞に依存することを認識するであろう。当業者は、培養条件が、操作された細胞の特定の下流の使用、例えば、対象への、操作された細胞のその後の投与のための特定の培養条件に依存することを認識するであろう。
【0281】
細胞を操作する方法
本明細書に記載される任意のポリヌクレオチド分子又は構築物を有する細胞を操作するための組成物及び方法もまた本明細書に提供される。
【0282】
一般に、細胞は、本開示の1つ以上のポリヌクレオチドの導入(すなわち、送達)により操作される。送達方法は、ウイルス媒介性送達、脂質媒介性トランスフェクション、ナノ粒子送達、エレクトロポレーション、超音波処理、及び物理的手段による細胞膜変形を含むが、これらに限定されない。当業者は、送達方法の選択が、操作しようとする特定の細胞型に依存し得ることを理解するであろう。
【0283】
ウイルス媒介性送達
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームを使用して、細胞を操作することができる。一般的に、ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、宿主細胞へ導入する(すなわち、送達する)ことにより細胞を操作する。例えば、ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、本明細書に記載される操作された核酸のうちのいずれかを導入することにより細胞を操作することができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは核酸であり得るが、そのようなものとして、操作された核酸はまた、操作されたウイルス由来の核酸を包含し得る。そのような操作されたウイルス由来の核酸はまた、組換えウイルス又は操作されたウイルスと称され得る。
【0284】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、同じ核酸内に2つ以上の操作された核酸、遺伝子、又は導入遺伝子をコードし得る。例えば、操作されたウイルス由来の核酸、例えば、組換えウイルス又は操作されたウイルスは、1つ以上のエフェクター分子をコードする本明細書に記載される操作された核酸のいずれかを含むがこれらに限定されない1つ以上の導入遺伝子をコードし得る。1つ以上のエフェクター分子をコードする1つ以上の導入遺伝子を、1つ以上のエフェクター分子を発現するように構成することができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、1つ以上の導入遺伝子(例えば、1つ以上のエフェクター分子をコードする導入遺伝子)に加えて、シス作用エレメント又はシス作用遺伝子と呼ばれる1つ以上の遺伝子、例えば、ウイルス感染性及び/又はウイルス産生に必要なウイルス遺伝子(例えば、キャプシドタンパク質、エンベロープタンパク質、ウイルスポリメラーゼ、ウイルス転写酵素など)をコードし得る。
【0285】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、2つ以上のウイルスベクター、例えば、本明細書に記載され、トランス作用性エレメント又は遺伝子と称される、操作された核酸、遺伝子、又は導入遺伝子をコードする別々のウイルスベクターなどを含むことができる。例えば、ヘルパー依存性ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、1つ以上のエフェクター分子をコードするベクターに加えて、1つ以上の追加の別個のベクター上にウイルス感染性及び/又はウイルス産生に必要な追加の遺伝子を提供することができる。2つ以上のエフェクター分子を産生するように構成された操作された核酸を送達する1つのベクターなど、1つのウイルスベクターが複数の操作された核酸を送達することができる。1つ以上のエフェクター分子を産生するように構成された1つ以上の操作された核酸を送達する2つ以上のベクターなどの2つ以上のウイルスベクターが2つ以上の操作された核酸を送達することができる。使用されるウイルスベクターの数は、上で言及されるウイルスベクターベースのワクチンプラットフォームのパッケージング容量に依存し得るが、当業者は、適した数のウイルスベクターを選択することができる。
【0286】
一般に、ウイルスベクターベースの系のいずれも、エフェクター分子などの分子のインビトロ産生のために使用することができ、又は、例えば、1つ以上のエフェクター分子をコードする操作された核酸を送達するために、インビボ及びエクスビボ遺伝子療法手順に使用することができる。適したウイルスベクターベースの系の選択は、様々な要因、例えばカーゴ/ペイロードのサイズ、ウイルス系の免疫原性、目的の標的細胞、遺伝子発現の強度及びタイミング、及び当業者により認識される他の要因などに依存する。
【0287】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、RNAベースのウイルス又はDNAベースのウイルスであり得る。例示的なウイルスベクターベースの送達プラットフォームには、単純ヘルペスウイルス、アデノウイルス、麻疹ウイルス、インフルエンザウイルス、インディアナベシクロウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、粘液腫ウイルス、レオウイルス、ムンプスウイルス、マラバウイルス、狂犬病ウイルス、ロタウイルス、肝炎ウイルス、風疹ウイルス、デングウイルス、チクングニアウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、モルビリウイルス、レンチウイルス、複製レトロウイルス、ラブドウイルス、セネカバレーウイルス、シンドビスウイルス、及びそれらの任意のバリアント又は誘導体が含まれるが、これらに限定されない。他の例示的なウイルスベクターベースの送達プラットフォームが、当該技術分野において記載されており、例えばワクシニア、鶏痘、自己複製アルファウイルス、マラバウイルス、アデノウイルス(例えば、Tatsis et al.,Adenoviruses,Molecular Therapy(2004)10,616-629を参照されたい)、又はレンチウイルスなどであり、これらに限定されないが、特定の細胞型又は受容体を標的化するように設計された第二、第三又はハイブリッド第二/第三世代レンチウイルス及び任意の世代の組換えレンチウイルスを含む(例えば、Hu et al.,Immunization Delivered by Lentiviral Vectors for Cancer and Infectious Diseases, Immunol Rev.(2011)239(1):45-61、Sakuma et al.,Lentiviral vectors:basic to translational,Biochem J.(2012)443(3):603-18、Cooper et al.,Rescue of splicing-mediated intron loss maximizes expression in lentiviral vectors containing the human ubiquitin C promoter,Nucl.Acids Res.(2015)43(1):682-690、Zufferey et al.,Self-Inactivating Lentivirus Vector for Safe and Efficient In vivo Gene Delivery,J.Virol.(1998)72(12):9873-9880を参照されたい)。
【0288】
この配列は、細胞内コンパートメントを標的化する1つ以上の配列で先行されてもよい。宿主細胞への導入(すなわち、送達)時に、感染細胞(すなわち、操作された細胞)は、本明細書に記載されるようにITFを発現することができる。免疫化プロトコルにおいて有用なワクシニアベクター及び方法が、例えば、米国特許第4,722,848号において記載されている。別のベクターはBCG(Bacille Calmette Guerin)である。BCGベクターは、Stover et al.(Nature 351:456-460 (1991))において記載されている。操作された核酸の導入(すなわち、送達)のために有用な多種多様な他のベクター、例えば、Salmonella typhiベクター、及び同様のものが、本明細書の記載から当業者に明らかであろう。
【0289】
ウイルスベクター系送達プラットフォームは、腫瘍細胞を標的とするウイルスであってもよく、本明細書では腫瘍溶解性ウイルスと呼ばれる。腫瘍溶解性ウイルスの例としては、腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス、腫瘍溶解性アデノウイルス、腫瘍溶解性麻疹ウイルス、腫瘍溶解性インフルエンザウイルス、腫瘍溶解性インディアナベシクロウイルス、腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルス、腫瘍溶解性ワクシニアウイルス、腫瘍溶解性ポリオウイルス、腫瘍溶解性粘液腫ウイルス、腫瘍溶解性レオウイルス、腫瘍溶解性ムンプスウイルス、腫瘍溶解性マラバウイルス、腫瘍溶解性狂犬病ウイルス、腫瘍溶解性ロタウイルス、腫瘍溶解性肝炎ウイルス、腫瘍溶解性風疹ウイルス、腫瘍溶解性デングウイルス、腫瘍溶解性チクングニアウイルス、腫瘍溶解性呼吸器合胞体ウイルス、腫瘍溶解性リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、腫瘍溶解性モルビリウイルス、腫瘍溶解性レンチウイルス、腫瘍溶解性複製レトロウイルス、腫瘍溶解性ラブドウイルス、腫瘍溶解性セネカバレーウイルス、腫瘍溶解性シンドビスウイルス、及びそれらの任意のバリアント又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載される腫瘍溶解性ウイルスのいずれも、1つ以上のITF又はITF単量体をコードするもう1つの導入遺伝子(例えば、操作された核酸)を含む組換え腫瘍溶解性ウイルスであり得る。1つ以上のITF又はITF単量体をコードする導入遺伝子は、1つ以上のITF又はITF単量体を発現するように構成され得る。
【0290】
いくつかの実施形態では、ウイルスは、レンチウイルス、レトロウイルス、腫瘍溶解性ウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス(AAV)、及びウイルス様粒子(VLP)から選択される。
【0291】
ウイルスベクター系送達プラットフォームは、レトロウイルスベースであり得る。一般的に、レトロウイルスベクターは、6~10kbまでの外来配列についてのパッケージング能力を伴う、シス作用性の長い末端反復で構成されている。最小のシス作用性LTRは、ベクターの複製とパッケージングに十分であり、その後、1つ以上の操作された核酸(例えば、1つ以上のITF又はITF単量体をコードする導入遺伝子)を標的細胞に組み込んで、永続的な導入遺伝子の発現を提供するために使用される。レトロウイルスベースの送達系には、マウス白血病、ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びそれらの組み合わせに基づく送達系を含むが、これらに限定されない(例えば、Buchscher et al.,J.Virol.66:2731-2739(1992)、Johann et al,J.Virol.66:1635-1640(1992)、Sommnerfelt et al.,Virol.176:58-59(1990)、Wilson et al,J.Virol.63:2374-2378(1989)、Miller et al,J,Virol.65:2220-2224(1991)、PCT/US94/05700を参照されたい)。他のレトロウイルス系は、Phoenixレトロウイルス系を含む。
【0292】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、レンチウイルスベースであり得る。一般的に、レンチウイルスベクターは、非分裂細胞に形質導入させる又は感染させることができ、典型的には、高いウイルス力価を産生するレトロウイルスベクターである。レンチウイルスベースの送達プラットフォームは、HIVベース、例えばViraPower系(ThermoFisher)又はpLenti系(Cell Biolabs)などであり得る。レンチウイルスベースの送達プラットフォームは、SIV又はFIVベースであり得る。他の例示的なレンチウイルスベースの送達プラットフォームが、米国特許第7,311,907号、第7,262,049号、第7,250,299号、第7,226,780号、第7,220,578号、第7,211,247号、第7,160,721号、第7,078,031号、第7,070,993号、第7,056,699号、第6,955,919号において更に詳細に記載されており、各々が、参照により全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0293】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、アデノウイルスベースであり得る。一般的に、アデノウイルスベースのベクターは、多くの細胞型において非常に高い形質導入効率が可能であり、細胞分裂を要求せず、高い力価及び発現のレベルを達成し、比較的単純な系において大量に産生することができる。一般的に、アデノウイルスは、感染細胞内での導入遺伝子の一過性発現のために使用することができる。なぜなら、アデノウイルスは、典型的には、宿主のゲノム中に組み込まれないためである。アデノウイルスベースの送達プラットフォームが、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994、Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999、Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995、Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999、WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984、及びWO95/00655においてより詳細に記載されており、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。他の例示的なアデノウイルスベースの送達プラットフォームが、米国特許第5585362号、第6,083,716号、第7,371,570号、第7,348,178号、第7,323,177号、第7,319,033号、第7,318,919号、及び第7,306,793号並びに国際特許出願第96/13597号においてより詳細に記載されており、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0294】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベースであり得る。アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用して、操作された核酸(例えば、本明細書に記載される操作された核酸のいずれか)で細胞を形質導入してもよい。AAV系は、ITF若しくはITF単量体のインビトロ産生に使用され得る、又はインビボ及びエクスビボ遺伝子療法手順、例えば、1つ以上のITF若しくはITF単量体をコードする操作された核酸のインビボ送達に使用され得る(例えば、West et al.,Virology 160:38-47(1987)、米国特許第4,797,368号、第5,436,146号、第6,632,670号、第6,642,051号、第7,078,387号、第7,314,912号、第6,498,244号、第7,906,111号、米国特許公開第2003/0138772号、第2007/0036760号、及び第2009/0197338号、Gao,et al.,J.Virol,78(12):6381-6388(2004年6月)、Gao,et al,Proc Natl Acad Sci USA,100(10):6081-6086(2003年5月13日)、並びに国際特許出願第2010/138263号及び第 93/24641号、Kotin, Human Gene Therapy 5:793-801(1994)、Muzyczka,J.Clin.Invest.94:1351(1994)を参照されたく、各々が、全ての目的のために、参照により本明細書に組み込まれる)。組換えAAVベクターを構築するための例示的な方法が、米国特許第5,173,414号、Tratschin et al,Mol.Cell.Biol.5:3251-3260(1985)、Tratschin,et al,Mol.Cell,Biol.4:2072-2081(1984)、Hermonat&Muzyczka,PNAS 81:64666470(1984)、及びSamuiski et al,J.Virol.63:03822-3828(1989)において更に詳細に記載されており、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。一般的に、AAVベースのベクターは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV.Rh10、AAV11、及びそれらのバリアントのいずれか1つに対応するアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0295】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、ウイルス様粒子(VLP)プラットフォームであり得る。一般的に、VLPは、ウイルス構造タンパク質を産生し、結果として得られたウイルス粒子を精製することにより構築される。次に、精製後、カーゴ/ペイロード(例えば、本明細書に記載される、操作された核酸のいずれか)を、精製した粒子内にエクスビボでカプセル化する。したがって、VLPの産生によって、ウイルス構造タンパク質をコードする核酸及びカーゴ/ペイロードをコードする核酸の分離が維持される。VLP産生において使用されるウイルス構造タンパク質は、哺乳動物、酵母、昆虫、細菌、又はインビボ翻訳発現の系を含む、様々な発現系において産生することができる。精製されたウイルス粒子を、当業者に既知の方法を使用して、所望のカーゴの存在下で変性及び再形成して、VLPを産生することができる。VLPの産生は、Seow et al.(Mol Ther.2009 May;17(5):767-777)においてより詳細に記載されており、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0296】
ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、ある範囲の細胞を標的化する(すなわち、感染させる)、狭いサブセットの細胞を標的化する、又は特定の細胞を標的化するように操作することができる。一般的に、ウイルスベクターベースの送達プラットフォーム用に選ばれたエンベロープタンパク質によって、ウイルスの向性が決定される。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームにおいて使用されるウイルスは、目的の特定の細胞を標的化するようにシュードタイプ化することができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、汎親和性であり、ある範囲の細胞に感染することができる。例えば、汎親和性ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、VSV-Gエンベロープを含むことができる。ウイルスベクターベースの送達プラットフォームは、両種指向性であり、哺乳動物細胞に感染することができる。したがって、当業者は、所望の細胞型を標的化するための適した向性、シュードタイプ、及び/又はエンベロープタンパク質を選択することができる。
【0297】
脂質構造体送達系
本開示の操作された核酸(例えば、ラパマイシン-ITF、又はカフェイン、カンナビノイド、若しくはニコチンによって誘導可能なITFの第1及び第2の単量体をコードするポリヌクレオチド分子、あるいはミフェプリストン-ITFをコードするポリヌクレオチド分子)は、脂質媒介性送達系を使用して細胞に導入され得る。一般的に、脂質媒介性送達系は、内部コンパートメントを包む外部脂質膜で構成される構造を使用する。脂質ベースの構造体の例は、限定されないが、脂質ベースのナノ粒子、リポソーム、ミセル、エキソソーム、小胞、細胞外小胞、細胞、又は組織を含む。脂質構造体送達系は、インビトロ、インビボ、又はエクスビボで、カーゴ/ペイロード(例えば、本明細書中に記載される、操作された核酸のいずれか)を送達することができる。
【0298】
脂質ベースのナノ粒子は、限定されないが、単層リポソーム、多層リポソーム、及び脂質調製物を含むことができる。本明細書で使用される場合、「リポソーム」は、所望のカーゴ、例えば、操作された核酸、例えば、本明細書中に記載される、操作された核酸のいずれかなどを、脂質シェル又は脂質凝集体内に封入することにより形成される脂質媒体のインビトロ調製物を包含する一般名である。リポソームは、一般的にリン脂質を含む二分子膜を伴う小胞構造、及び一般的に水性組成物を含む内部媒質を有するとして特徴付けられ得る。リポソームは、限定されないが、エマルジョン、発泡体、ミセル、不溶性単層、液晶、リン脂質分散液、層状層及び同様のものを含む。リポソームは単層リポソームであり得る。リポソームは多層リポソームであり得る。リポソームは多胞性リポソームであり得る。リポソームは、正に荷電し得る、負に荷電し得る、又は中性に荷電し得る。特定の実施形態では、リポソームは中性に荷電している。リポソームは、標準的な小胞形成脂質から形成することができ、それは、一般的に、中性及び負に荷電したリン脂質並びにステロール、例えばコレステロールなどを含む。脂質の選択は、一般的に、所望の目的、例えば、インビボ送達についての基準、例えばリポソームのサイズ、酸の不安定性、及び血流中でのリポソームの安定性などの考慮により導かれる。多様な方法が、リポソームを調製するために利用可能であり、例えば、Szoka et al.,Ann.Rev.Biophys.Bioeng.9;467(1980)、米国特許第4,235,871号、第4,501,728号、第4,501,728号、第4,837,028号、及び第5,019,369号において記載されているとおりであり、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0299】
多層リポソームが、一般的に、リン脂質を含む脂質を過剰の水溶液中に懸濁した場合に自発的に産生されて、複数の脂質層が水性媒質により分離されるようになる。水及び溶解された溶質は、脂質成分の自己再構成後に、脂質二重層の間の閉じた構造中に封入される。所望のカーゴ(例えば、ポリペプチド、核酸、小分子薬、操作された核酸、例えば、本明細書中に記載される操作された核酸のいずれかなど、ウイルスベクター、ウイルスベースの送達系など)を、リポソームの水性内部中にカプセル化するか、リポソーム及びポリペプチド/核酸の両方に会合する連結分子を介してリポソームに付着させるか、リポソームの脂質二重層内に散在させるか、リポソーム中に封入するか、リポソームと複合体を形成させる、又は、そうでなければ、リポソームと会合させることができ、それを標的実体に送達できるようにする。親油性分子又は親油性領域を伴う分子がまた、脂質二重層中に溶解し得る又はそれと会合し得る。
【0300】
本実施形態に従って使用されるリポソームは、当業者に公知であり得るように、異なる方法により作製することができる。リポソームの調製は、WO2016/201323、国際出願PCT/US85/01161及びPCT/US89/05040、並びに米国特許第4,728,578号、第4,728,575号、第4,737,323号、第4,533,254号、第4,162,282号、第4,310,505号、及び第4,921,706号において更に詳細に記載されており、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0301】
リポソームはカチオン性リポソームであり得る。カチオン性リポソームの例は、米国特許第5,962,016号;第5,030,453号;第6,680,068号、米国出願第2004/0208921号、並びに国際特許出願第03/015757A1号、第04/029213A2号、及び第02/100435A1号において更に詳細に記載されており、各々が、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0302】
脂質媒介性遺伝子送達方法は、例えば、WO96/18372;WO93/24640;Mannino&Gould-Fogerite,BioTechniques 6(7):682-691(1988);米国特許第5,279,833号Rose 米国特許第5,279,833号;WO91/06309;及びFelgner et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413-7414 (1987)において記載されており、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0303】
エキソソームは、エンドサイトーシス起源の小さな膜小胞であり、それは、多小胞体と原形質膜との融合後に細胞外環境中に放出される。エキソソームのサイズは、直径30~100nmの間の範囲である。それらの表面は、ドナー細胞の細胞膜からの脂質二重層からなり、それらは、エキソソームを産生した細胞からのサイトゾルを含み、表面上に親細胞からの膜タンパク質を示す。核酸の送達のために有用なエキソソームは、当業者に公知であり、例えば、米国特許第9,889,210号においてより詳細に記載されているエキソソームであり、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0304】
本明細書で使用される場合、「細胞外小胞」又は「EV」という用語は、内部空間を封入する膜を含む細胞由来の小胞を指す。一般的に、細胞外小胞は、それらが由来する細胞よりも小さな直径を有する全ての膜結合小胞を含む。一般的に、細胞外小胞は、直径20nm~1000nmの範囲であり、細胞外小胞の外面上に呈される内部空間内で、及び/又は膜にわたるかのいずれかの、様々な高分子カーゴを含み得る。カーゴは、核酸(例えば、本明細書に記載される、操作された核酸のいずれか)、タンパク質、炭水化物、脂質、小分子、及び/又はそれらの組み合わせを含み得る。例として、限定されないが、細胞外小胞は、アポトーシス小体、細胞の断片、直接又は間接操作(例えば、連続的な押し出し又はアルカリ溶液での処理による)による細胞から由来する小胞、小胞化オルガネラ、及び生細胞により産生される小胞(例えば、直接的な原形質膜の出芽又は後期エンドソームと原形質膜との融合による)を含む。細胞外小胞は、生存若しくは死滅生物、外植された組織若しくは器官、及び/又は培養細胞に由来し得る。
【0305】
本明細書で使用される場合、「エキソソーム」という用語は、内部空間を取り囲む膜を含み、直接的な原形質膜の出芽又は後期エンドソームと原形質膜との融合により細胞から産生される細胞由来の小さな(直径20~300nm、より好ましくは直径40~200nmの)小胞を指す。エキソソームは、脂質又は脂肪酸及びポリペプチドを含み、任意選択で、ペイロード(例えば、治療薬剤)、レシーバ(例えば、標的化部分)、ポリヌクレオチド(例えば、核酸、RNA、又はDNA、例えば、本明細書中に記載される、操作された核酸のいずれかなど)、糖(例えば、単糖、多糖、又はグリカン)、又は他の分子を含む。エキソソームは、産生細胞から由来し、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、又はそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離することができる。エキソソームは、細胞外小胞の一種である。一般的に、エキソソーム産生/生合成は、産生細胞の破壊をもたらさない。エキソソーム及びエキソソームの調製は、WO2016/201323において更に詳細に記載されており、それは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0306】
本明細書で使用される場合、「ナノ小胞」という用語(また、「マイクロ小胞」と称される)は、内部空間を取り囲む膜を含み、直接又は間接操作により細胞から産生される、細胞由来の小さな(直径20~250nm、より好ましくは直径30~150nmの間の)小胞を指し、当該ナノ小胞は、当該操作を伴うことなく、当該産生細胞により産生されないようにする。一般的に、ナノ小胞は、細胞外小胞の亜種である。産生細胞の適した操作は、連続押出し、アルカリ溶液での処理、超音波処理、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。ナノ小胞の産生は、いくつかの例では、当該産生細胞の破壊をもたらし得る。好ましくは、ナノ小胞の集団は、原形質膜からの直接出芽又は後期エンドソームと原形質膜との融合により産生細胞に由来する小胞を実質的に含まない。ナノ小胞は、脂質又は脂肪酸及びポリペプチドを含み、任意選択で、ペイロード(例えば、治療薬剤)、レシーバ(例えば、標的化部分)、ポリヌクレオチド(例えば、核酸、RNA、又はDNA、例えば、本明細書中に記載される、操作された核酸のいずれかなど)、糖(例えば、単糖、多糖、又はグリカン)、又は他の分子を含む。ナノ小胞は、一度、それが当該操作に従って産生細胞から誘導されると、そのサイズ、密度、生化学的パラメータ、又はそれらの組み合わせに基づいて産生細胞から単離され得る。
【0307】
脂質ナノ粒子(LNP)は、一般的に、脂質の両親媒性の性質に依存して膜及び小胞様の構造を形成する合成脂質構造である(Riley 2017)。一般的に、これらの小胞は、標的細胞の膜中に吸収され、カーゴをサイトゾル中に放出することにより、カーゴ/ペイロード、例えば、本明細書中に記載される、操作された核酸又はウイルス系のいずれかなどを送達する。LNP形成において使用される脂質は、カチオン性、アニオン性、又は中性であり得る。脂質は、合成又は天然由来、いくつかの例では生分解性であり得る。脂質は、脂肪、コレステロール、リン脂質、限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)コンジュゲート(PEG化脂質)を含む脂質コンジュゲート、ワックス、油、グリセリド、及び脂溶性ビタミンを含み得る。脂質組成物は、一般的に、材料の定義された混合物、例えばカチオン性、中性、アニオン性、及び両親媒性脂質などを含む。いくつかの例では、特定の脂質を含めて、LNP凝集を防止する、脂質酸化を防止する、又は追加部分の付着を促進する機能的な化学基を提供する。脂質組成は、全体的なLNPサイズ及び安定性に影響し得る。一例では、脂質組成物は、ジリノレイルメチル-4-ジメチルアミノブチレート(MC3)又はMC3様分子を含む。MC3及びMC3様脂質組成物は、1つ以上の他の脂質、例えばPEG又はPEGコンジュゲート脂質、ステロール、又は中性脂質などを含むように製剤化することができる。加えて、LNPを更に操作又は機能化して、特定の細胞型の標的化を促進することができる。LNP設計における別の考慮事項は、標的化効率と細胞傷害性のバランスである。
【0308】
ミセルは、一般的に、単鎖脂質を使用して形成される球状の合成脂質構造であり、ここで、単鎖脂質の親水性の頭部が外層又は膜を形成し、単鎖脂質の疎水性の尾部がミセル中心を形成する。ミセルは、典型的には、脂質単層のみを含む脂質構造を指す。ミセルは、Quader et al.(Mol Ther.2017 Jul 5;25(7):1501-1513)に更に詳細に記載されており、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0309】
核酸ベクター、例えば、血清に直接曝露された発現ベクターなどは、血清ヌクレアーゼによる核酸の分解又は遊離核酸による免疫系のオフターゲット刺激を含む、いくつかの望ましくない結果を有し得る。同様に、血清に直接曝露されたウイルス送達系は、望ましくない免疫応答及び/又はウイルス送達系の中和を誘発し得る。したがって、操作された核酸及び/又はウイルス送達系のカプセル化を使用して、分解を回避する一方で、また、潜在的なオフターゲットの影響を回避することができる。特定の例では、操作された核酸及び/又はウイルス送達系は、送達媒体内、例えばLNPの水性内部内に完全にカプセル化される。LNP内での操作された核酸及び/又はウイルス送達系のカプセル化は、当業者に周知の技術、例えば、マイクロ流体混合及びマイクロ流体液滴生成デバイス上で行われる液滴生成などにより行うことができる。そのようなデバイスは、限定されないが、標準的なTジャンクションデバイス又はフローフォーカシングデバイスを含む。一例では、所望の脂質製剤、例えばMC3又はMC3様含有組成物が、操作された核酸又はウイルス送達系及び任意の他の所望の薬剤と並行して液滴生成デバイスに提供され、送達ベクター及び所望の薬剤を、MC3又はMC3様ベースのLNPの内部内に完全にカプセル化するようにする。一例では、液滴生成デバイスは、産生されるLNPのサイズ範囲及びサイズ分布を制御することができる。例えば、LNPは、直径1~1000ナノメートルの範囲のサイズ、例えば、1、10、50、100、500、又は1000ナノメートルを有し得る。液滴生成に続いて、カーゴ/ペイロードをカプセル化する送達ビヒクル(例えば、操作された核酸及び/又はウイルス送達系)を更に処理又は操作して、投与用にそれらを調製することができる。
【0310】
ナノ粒子送達
ナノ材料は、操作された核酸(例えば、キメラポリペプチドをコードするポリヌクレオチド分子)を送達するために使用され得る。ナノ材料媒体は、重要なことに、非免疫原性材料で作ることができ、一般的に、その送達ベクター自体に対する免疫を誘発することを回避することができる。これらの材料は、限定されないが、脂質(以前に記載されたとおり)、無機ナノ材料、及び他の高分子材料を含む。ナノ材料粒子は、Riley et al.(Recent Advances in Nanomaterials for Gene Delivery-A Review.Nanomaterials 2017,7(5),94)において更に詳細に記載されており、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0311】
ゲノム編集系
ゲノム編集系を使用して、操作された核酸、例えば、本開示のITF又はITFの単量体コードするポリヌクレオチドをコードするように宿主ゲノムを操作することができる。一般的に、「ゲノム編集系」は、外来性遺伝子を宿主細胞のゲノム中に組み込むための任意の系を指す。ゲノム編集系には、トランスポゾン系、ヌクレアーゼゲノム編集系、及びウイルスベクターベースの送達プラットフォームが含まれるが、これらに限定されない。
【0312】
トランスポゾンシステムを使用して、操作された核酸、例えば、本開示の操作された核酸を宿主ゲノムに組み込むことができる。トランスポゾンは、一般的に、カーゴ/ペイロード核酸及びトランスポザーゼに隣接する末端逆位反復(TIR)を含む。トランスポゾン系は、TIR隣接カーゴを伴って、シスにおいて又はトランスにおいてトランスポゾンを提供することができる。トランスポゾン系は、レトロトランスポゾン系又はDNAトランスポゾン系であり得る。一般的に、トランスポゾン系は、カーゴ/ペイロード(例えば、操作された核酸)をランダムに宿主ゲノム中に組み込む。トランスポゾン系の例は、Tc1/marinerトランスポゾンスーパーファミリーのトランスポゾン、例えば、Sleeping Beautyトランスポゾン系などを使用した系を含み、Hudecek et al.(Crit Rev Biochem Mol Biol.2017 Aug;52(4):355-380)、並びに米国特許第6,489,458号、第6,613,752号、及び第7,985,739号において更に詳細に記載されており、それらの各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。トランスポゾン系の別の例は、PiggyBacトランスポゾン系を含み、米国特許第6,218,185号及び第6,962,810号において更に詳細に記載されており、それらの各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0313】
ヌクレアーゼゲノム編集系を使用して、操作された核酸、例えば、本開示の単離されたポリヌクレオチド又は異種構築物をコードするように宿主ゲノムを操作することができる。理論によって拘束されることを望むものではないが、一般的に、外来性遺伝子を導入するために使用されるヌクレアーゼ媒介性遺伝子編集系は、細胞の天然DNA修復機構、特に相同組換え(HR)修復経路を利用する。簡単には、ゲノムDNAへの損傷(典型的には二本鎖切断)に続いて、細胞は、損傷を修復するためのDNA合成時に、その5’と3’の両方の末端に同一又は実質的に同一の配列を有する別のDNA供給源をテンプレートとして使用することにより、損傷を解消することができる。天然の状況では、HDRは、細胞中に存在する他の染色体をテンプレートとして使用することができる。遺伝子編集系では、外因性ポリヌクレオチドを細胞に導入し、相同組換えテンプレート(HRT又はHRテンプレート)として使用する。一般的に、HRT(例えば、遺伝子又は遺伝子の一部)内の5’及び3’相補的末端の間に含まれる損傷を伴う、染色体に本来は見出されない任意の追加の外来性配列を、テンプレート化されたHDR中に所与のゲノム遺伝子座中に組み入れる(すなわち、「組み込む」)ことができる。したがって、所与のゲノム遺伝子座の典型的なHRテンプレートは、内因性ゲノム標的遺伝子座の第1の領域と同一のヌクレオチド配列、内因性ゲノム標的遺伝子座の第2の領域と同一のヌクレオチド配列、及びカーゴ/ペイロード核酸(例えば、本明細書に記載される操作された核酸のいずれか、例えば、1つ以上のITF又はITF単量体をコードする操作された核酸のいずれか)をコードするヌクレオチド配列を有する。
【0314】
いくつかの例では、HRテンプレートは直線状であり得る。直線状HRテンプレートの例は、限定されないが、直線化したプラスミドベクター、ssDNA、合成DNA、及びPCR増幅DNAを含む。特定の例では、HRテンプレートは環状であり得る、例えばプラスミドなど。環状テンプレートは、スーパーコイル状のテンプレートを含み得る。
【0315】
HRテンプレートの5’及び3’末端で見出される同一又は実質的に同一の配列は、導入される外来性配列に関して、一般的にアーム(HRアーム)として言及される。HRアームは、内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一(すなわち、100%同一)であり得る。HRアームは、一部の例では、内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と実質的に同一であり得る。実質的に同一のHRアームを使用することができる一方で、HRアームが同一であることが有利であり得るが、なぜなら、HDR経路の効率は、100%未満の同一性を有するHRアームにより影響され得るためである。
【0316】
各HRアーム、すなわち、5’及び3’HRアームは、同じサイズ又は異なるサイズであり得る。各HRアームはそれぞれ、50、100、200、300、400、若しくは500塩基以上の長さであり得る。HRアームは、一般的に、任意の長さとすることができるが、実際的な考慮事項、例えば全体的な編集効率に対するHRアームの長さ及び全体的なテンプレートサイズの影響なども考慮に入れることができる。HRアームは、切断部位に直に隣接する内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一、又は実質的に同一であり得る。各HRアームは、切断部位に直に隣接する内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一、又は実質的に同一であり得る。各HRアームは、切断部位からある特定の距離内、例えば、互いに1塩基対、10塩基対以下、50塩基対以下、又は100塩基対以下などにある内因性ゲノム標的遺伝子座の領域と同一、又は実質的に同一であり得る。
【0317】
ヌクレアーゼゲノム編集系は、様々なヌクレアーゼを使用して、これらに限定されないが、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)ファミリーヌクレアーゼ又はその誘導体、転写アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)又はその誘導体、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)又はその誘導体、及びホーミングエンドヌクレアーゼ(HE)又はその誘導体を含む、標的ゲノム遺伝子座を切断することができる。
【0318】
CRISPR媒介性遺伝子編集系を使用して、本明細書に記載されるITF又はITF単量体の1つ以上をコードする操作された核酸など、操作された核酸をコードするように宿主ゲノムを操作することができる。CRISPR系は、M.Adli(“The CRISPR tool kit for genome editing and beyond”Nature Communications;volume 9(2018),Article number:1911)において更に詳細に記載されており、それが教示する全てについて、参照により本明細書に組み込まれる。一般的に、CRISPR媒介性の遺伝子編集系は、CRISPR関連(Cas)ヌクレアーゼ及び特定の標的配列に切断を方向付けるRNAを含む。例示的なCRISPR媒介性の遺伝子編集系は、Cas9ヌクレアーゼ並びにCRISPR RNA(crRNA)ドメイン及びトランス活性化CRISPR(tracrRNA)ドメインを有するRNAで構成されるCRISPR/Cas9系である。crRNAは、典型的には、2つのRNAドメイン:塩基対ハイブリダイゼーションを通じて標的配列(「定義されたヌクレオチド配列」)、例えば、ゲノム配列に特異性を方向付けるガイドRNA配列(gRNA);及びtracrRNAにハイブリダイズするRNAドメインを有する。tracrRNAは、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)と相互作用し、それにより、ゲノム遺伝子座への動員を促進することができる。crRNA及びtracrRNAポリヌクレオチドは、別々のポリヌクレオチドであり得る。crRNA及びtracrRNAポリヌクレオチドは、単一のポリヌクレオチドであり得るが、単一のガイドRNA(sgRNA)としても言及される。Cas9系を本明細書中に例証する一方で、他のCRISPR系を使用することができ、例えばCpf1系などである。ヌクレアーゼは、その誘導体、例えば、Cas9機能性変異体など、例えば、Cas9酵素により典型的に産生される完全な二本鎖切断とは対照的に、一般的に、定義されたヌクレオチド配列の一本鎖のみの切断を媒介するCas9「ニッカーゼ」変異体を含み得る。
【0319】
一般的に、CRISPR系の成分は、互いに相互作用してリボ核タンパク質(RNP)複合体を形成し、配列特異的な切断を媒介する。一部のCRISPR系では、各成分を別々に産生し、使用して、RNP複合体を形成することができる。一部のCRISPR系では、各成分をインビトロで別々に産生し、インビトロで互いに接触させて(すなわち、「複合体化させて」)RNP複合体を形成することができる。インビトロで産生されたRNPを次に、細胞のサイトゾル及び/又は核、例えば、T細胞のサイトゾル及び/又は核中に導入(すなわち、「送達」)することができる。インビトロで産生されたRNP複合体は、様々な手段、限定されないが、エレクトロポレーション、脂質媒介性トランスフェクション、物理的手段による細胞膜変形、脂質ナノ粒子(LNP)、ウイルス様粒子(VLP)、及び超音波処理を含む、により細胞に送達することができる。特定の例では、インビトロで産生されたRNP複合体を、Nucleofactor/Nucleofection(登録商標)エレクトロポレーションベースの送達系(Lonza(登録商標))を使用して細胞に送達することができる。他のエレクトロポレーション系は、限定されないが、MaxCyteエレクトロポレーション系、Miltenyi CliniMACSエレクトロポレーション系、Neonエレクトロポレーション系、及びBTXエレクトロポレーション系を含む。CRISPRヌクレアーゼ、例えば、Cas9は、当該技術分野において既知の様々なタンパク質産生技術を使用して、インビトロで産生(すなわち、合成及び精製)することができる。CRISPR系RNA、例えば、sgRNAは、当業者に公知の様々なRNA生成技術、例えば、インビトロ転写又は化学合成などを使用して、インビトロで産生(すなわち、合成及び精製)することができる。
【0320】
インビトロで産生されたRNP複合体は、ヌクレアーゼとgRNAの異なる比率で複合体化することができる。インビトロで産生されたRNP複合体はまた、CRISPR媒介性の編集系において異なる量で使用することができる。例えば、編集されることが望まれる細胞の数に依存して、加えられるRNPの総量を調整することができ、例えば、反応において多数の細胞を編集する場合に加えられるRNP複合体の量における低下などである。
【0321】
一部のCRISPR系では、各成分(例えば、Cas9及びsgRNA)は、ポリヌクレオチドにより別々にコードされ、各ポリヌクレオチドは一緒に又は別々に細胞に導入することができる。一部のCRISPR系では、各成分は、単一のポリヌクレオチド(すなわち、マルチプロモーター又はマルチシストロンベクター、以下の例示的なマルチシストロン系の説明を参照されたい)によりコードされ、細胞に導入することができる。細胞内での各ポリヌクレオチドにコードされたCRISPR成分の発現(例えば、ヌクレアーゼの翻訳及びCRISPR RNAの転写)後、RNP複合体を細胞内で形成させることができ、次に、部位特異的切断に方向付けることができる。
【0322】
一部のRNPは、核中へのRNPの送達を促進する部分を有するように操作することができる。例えば、Cas9ヌクレアーゼは、核局在化シグナル(NLS)ドメインを有し得るが、Cas9 RNP複合体が、細胞のサイトゾル中に送達される場合、又はCas9の翻訳及びその後のRNP形成後に、NLSは、核中へのCas9 RNPの更なる輸送を促進することができる。
【0323】
本明細書に記載される細胞は、非ウイルス方法を使用して操作することができ、例えば、本明細書に記載されるヌクレアーゼ及び/又はCRISPR媒介性の遺伝子編集系は、非ウイルス方法を使用して細胞に送達することができる。本明細書に記載される細胞は、ウイルス方法を使用して操作することができ、例えば、本明細書に記載されるヌクレアーゼ及び/又はCRISPR媒介性の遺伝子編集系は、ウイルス方法、例えば、アデノウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、又は本明細書に記載される他のウイルスベースの送達方法のいずれかを使用して細胞に送達することができる。
【0324】
一部のCRISPR系では、2つ以上のCRISPR組成物を提供することができ、各々が、同じ遺伝子又は一般的なゲノム遺伝子座を、2つ以上の標的ヌクレオチド配列で別々に標的化するようにする。例えば、2つの別々のCRISPR組成物を提供して、互いの特定の距離内の2つの異なる標的ヌクレオチド配列での切断に方向付けることができる。一部のCRISPR系では、2つ以上のCRISPR組成物を提供することができ、各々が、同じ遺伝子又は一般的なゲノム遺伝子座の逆ストランドを別々に標的化するようにする。例えば、2つの別々のCRISPR「ニッカーゼ」組成物を提供して、逆ストランド上の同じ遺伝子又は一般的なゲノム遺伝子座で切断に方向付けることができる。
【0325】
一般的に、本明細書中に記載されるCRISPR媒介性の編集系の特色を、他のヌクレアーゼベースのゲノム編集系に適用することができる。TALENは、操作された部位特異的ヌクレアーゼであって、それは、TALE(転写アクチベーター様エフェクター)のDNA結合ドメイン及び制限エンドヌクレアーゼFoklの触媒ドメインで構成される。DNA結合ドメインの単量体の高度に可変的な残基領域中に存在するアミノ酸を変化させることにより、異なる人工TALENを作製して様々なヌクレオチド配列を標的化することができる。DNA結合ドメインによって、その後、ヌクレアーゼが標的配列に方向付けられ、二本鎖切断が作製される。TALENベースの系は、米国通し番号第12/965,590号;米国特許第8,450,471号;米国特許第8,440,431号;米国特許第8,440,432号;米国特許第10,172,880号;及び米国通し番号第13/738,381号において更に詳細に記載されており、それらの全てが、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。ZFNベースの編集系は、米国特許第6,453,242号、第6,534,261号、第6,599,692号、第6,503,717号、第6,689,558号、第7,030,215号、第6,794,136号、第7,067,317号、第7,262,054号、第7,070,934号、第7,361,635号、第7,253,273号、及び米国特許公開第2005/0064474号、第2007/0218528号、第2005/0267061号において更に詳細に記載されており、全てが、それらの全体において、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0326】
他の操作送達系
操作された核酸(例えば、本明細書に記載される、ITF又はITFの単量体をコードするポリヌクレオチド分子)を細胞又は他の標的レシピエント実体、例えば、本明細書に記載される脂質構造のいずれかなどに導入するための様々な追加の手段。
【0327】
エレクトロポレーションを使用して、ポリヌクレオチドをレシピエント実体に送達することができる。エレクトロポレーションは、電界を適用して、標的細胞又は実体の外膜又はシェルを一時的に透過させることを通じて、カーゴ/ペイロードを標的細胞又は実体の内部コンパートメント中に内在化させる方法である。一般的に、この方法は、目的のカーゴ(例えば、本明細書に記載される、操作された核酸のいずれか)を含む溶液中の2つの電極の間に細胞又は標的実体を配置することを含む。細胞の脂質膜を次に、一過性の設定電圧を適用することにより破壊、すなわち、透過させ、それによって、カーゴが、実体の内部、例えば、細胞の細胞質に進入することが可能になる。細胞の例では、細胞の大部分ではないが、少なくとも一部は生存可能なままである。細胞及び他の実体を、インビトロ、インビボ、又はエクスビボでエレクトロポレーションすることができる。エレクトロポレーション条件(例えば、細胞の数、カーゴの濃度、回復条件、電圧、時間、容量、パルスタイプ、パルス長、容積、キュベット長、エレクトロポレーション溶液の組成など)は、これらに限定されないが、細胞又は他のレシピエント実体の種類、送達されるカーゴ、所望の内在化の効率、及び所望の生存率を含むいくつかの要因に依存して変動する。そのような基準の最適化は、当業者の技術の範囲内である。様々なデバイス及びプロトコルをエレクトロポレーションのために使用することができる。例としては、Neon(登録商標)トランスフェクション系、MaxCyte(登録商標)Flow Electroporation(商標)、Lonza(登録商標)Nucleofector(商標)系、及びBio-Rad(登録商標)エレクトロポレーション系が挙げられるが、これらに限定されない。
【0328】
操作された核酸(例えば、本明細書に記載されるITF又はITFの単量体をコードするポリヌクレオチド分子)を細胞又は他の標的レシピエント実体に導入するための他の手段は、超音波処理、遺伝子銃、流体力学的注射、及び物理的手段による細胞膜変形を含むが、これらに限定されない。
【0329】
操作されたmRNA、例えば、ネイキッドプラスミド又はmRNAなどをインビボで送達するための組成物及び方法が、Kowalski et al.(Mol Ther.2019 Apr 10;27(4):710-728)及びKaczmarek et al.(Genome Med.2017;9:60)において詳細に記載されており、各々が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0330】
遺伝子スイッチ
(i)本明細書に記載されるITFを含む単離された細胞、及び(ii)同族リガンドを含む、遺伝子スイッチもまた提供される。いくつかの態様では、単離された細胞は、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子を更に含む。
【0331】
いくつかの実施形態では、遺伝子スイッチは、(i)カフェイン誘導性転写因子を含む単離された細胞、及び(ii)カフェインを含む。
【0332】
いくつかの実施形態では、遺伝子スイッチは、(i)カンナビノイド誘導性転写因子を含む単離された細胞、及び(ii)カンナビノイドを含む。いくつかの実施形態では、カンナビノイドは、フィトカンナビノイドである。いくつかの実施形態では、カンナビノイドは、カンナビジオールである。
【0333】
いくつかの実施形態では、遺伝子スイッチは、(i)ニコチン誘導性転写因子を含む単離された細胞、及び(ii)ニコチンを含む。
【0334】
いくつかの実施形態では、遺伝子スイッチは、(i)ラパマイシン誘導性転写因子を含む単離された細胞、及び(ii)ラパマイシン又はその類似体若しくは誘導体を含む。
【0335】
いくつかの実施形態では、遺伝子スイッチは、(i)ミフェプリストン誘導性転写因子を含む単離された細胞、及び(ii)ミフェプリストン又はその誘導体を含む。
【0336】
使用方法
本明細書に記載されるITFを使用する方法も、本開示によって包含される。いくつかの態様では、方法は、目的の遺伝子の転写を調節することを含む。
【0337】
いくつかの態様では、転写を調節する方法が本明細書に提供され、方法は、誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、本明細書に記載されるカフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能な誘導性転写因子の第1の単量体及び第2の単量体を発現する単離された細胞を、カフェイン、カンナビノイド、及びニコチンから選択される同族リガンドと接触させることと、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を活性化されたITFが調節することを可能にするのに十分な期間、単離された細胞を培養することとを含む。
【0338】
いくつかの態様では、転写を調節する方法が本明細書に提供され、方法は、誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、本明細書に記載されるラパマイシン誘導性転写因子の第1の単量体及び第2の単量体を発現する単離された細胞を、ラパマイシン又はその誘導体若しくは類似体を含む同族リガンドと接触させることと、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を活性化されたITFが調節することを可能にするのに十分な期間、単離された細胞を培養することとを含む。
【0339】
いくつかの態様では、転写を調節する方法が本明細書に提供され、方法は、誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、ミフェプリストン誘導性転写因子を発現する単離された細胞をミフェプリストンと接触させることと、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、単離された細胞を培養することとを含む。
【0340】
いくつかの実施形態では、転写を調節する方法は、転写を活性化する方法である。そのような実施形態では、誘導性転写因子の転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインであってもよい。
【0341】
いくつかの実施形態では、転写を調節する方法は、転写を抑制する方法である。そのような実施形態では、誘導性転写因子の転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインであってもよい。
【0342】
いくつかの態様では、疾患の治療方法もまた、本開示によって包含される。当該方法は、上に記載される有効量の、誘導性転写因子をコードする操作されたポリヌクレオチド、又は誘導性転写因子をコードするポリヌクレオチド分子を含む単離された細胞を対象に投与することを含む。いくつかの態様では、治療を必要とする対象においてそれを行う方法が本明細書に提供され、方法は、本明細書に開示される治療有効用量の操作された細胞、単離された細胞、又は組成物のうちのいずれかを投与することを含む。
【0343】
インビボ方法
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法はまた、例えば、対象に、(i)本明細書に記載されるITFを産生するように操作された細胞、及び(ii)同族リガンド(例えば、カフェイン、カンナビノイド、ニコチン、ラパマイシン、又はミフェプリストン)を送達することによって、インビボで目的の遺伝子の転写を調節することを含む。
【0344】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒト又は動物であり、形質転換された細胞を同族リガンドと接触させることは、同族リガンドの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む。
【0345】
いくつかの態様では、本明細書で提供される方法はまた、本明細書に記載される操作された細胞を産生することができる、例えば、本明細書に記載される発現系又はポリヌクレオチド分子のうちのいずれかをインビボで細胞に送達することができる、組成物をインビボで送達することを含む。そのような組成物は、ウイルス媒介性送達プラットフォームのうちのいずれか、脂質構造体送達系のうちのいずれか、ナノ粒子送達系のうちのいずれか、ゲノム編集系のうちのいずれか、又は細胞をインビボで操作することができる、本明細書に記載される他の操作送達系のうちのいずれかを含む。
【0346】
本明細書に提供される方法はまた、本明細書に記載される誘導性転写因子(及びいくつかの実施形態では、誘導性転写因子によって調節される遺伝子)のうちのいずれかを産生することができる組成物をインビボで送達することを含む。誘導性転写因子(及びいくつかの実施形態では、誘導性転写因子によって調節される遺伝子)のインビボ産生が可能な組成物には、本明細書に記載される操作された核酸のうちのいずれかが含まれるが、これらに限定されない。誘導性転写因子(及びいくつかの実施形態では、誘導性転写因子によって調節される遺伝子)のインビボ産生が可能な組成物は、ネイキッドmRNA又はネイキッドプラスミドであり得る。
【0347】
医薬組成物
本開示の誘導性転写因子、発現系、及び細胞は、医薬組成物中で製剤化され得る。これらの組成物は、1つ以上の操作された核酸又は操作された細胞に加えて、薬学的に許容される賦形剤、担体、緩衝剤、安定剤、又は当業者に周知の他の材料を含み得る。そのような材料は無毒性でなければならず、活性成分の有効性を妨げてはならない。担体又は他の材料の正確な性質は、投与経路、例えば、経口、静脈内、皮膚又は皮下、鼻、筋肉内、腹腔内の経路に依存し得る。
【0348】
個体に投与されるものが、細胞、ポリペプチド、核酸、小分子、又は本開示による他の薬学的に有用な化合物であるかどうかに関わらず、投与は、好ましくは「治療有効量」又は「予防有効量」(場合によっては、予防は治療とみなされることもあるが)であり、これは個体に利益を示すのに十分である。投与される実際の量、並びに投与の速度及び時間経過は、治療されている疾患の性質及び重症度に依存するであろう。治療の処方、例えば、投与量の決定などは、一般開業医及び他の医師の責任の範囲内であり、通常、治療されるべき障害、個々の患者の状態、送達部位、投与方法、及び開業医に既知である他の要因を考慮する。上記の技術及びプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Osol,A.(ed),1980に見出される。
【0349】
組成物は、治療すべき状態に応じて、単独で、又は他の治療と組み合わせて、同時投与又は逐次投与することができる。
【0350】
列挙される実施形態
1.
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、ITFを形成し、
同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される、
操作された細胞。
2.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態1に記載の操作された細胞。
3.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態2に記載の操作された細胞。
4.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態3に記載の操作された細胞。
5.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の操作された細胞。
6.
各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の操作された細胞。
7.
単一ドメイン抗体が、VHを含む、実施形態6に記載の操作された細胞。
8.
Hが、抗カフェインVH(ac VH)である、実施形態7に記載の操作された細胞。
9.
抗カフェインVH(ac VH)が、配列番号52のアミノ酸配列を含む、実施形態8に記載の操作された細胞。
10.
第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々が、ac VHを含む、実施形態8又は実施形態9に記載の操作された細胞。
11.
同族リガンドが、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドであり、VHが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、CA-14、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態7に記載の操作された細胞。
12.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1若しくは第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態12に記載の操作された細胞。
13.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1又は第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態12に記載の操作された細胞。
14.
各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の操作された細胞。
15.
抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含む、実施形態14に記載の操作された細胞。
16.
抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含む、実施形態14又は実施形態15に記載の操作された細胞。
17.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、抗Nic VHを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、抗Nic VLを含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載の操作された細胞。
18.
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、ITFを形成し、
DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される、
操作された細胞。
19.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FKBPドメインを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FRBドメインを含む、実施形態18に記載の操作された細胞。
20.
FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載の操作された細胞。
21.
FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、実施形態19又は実施形態20に記載の操作された細胞。
22.
第1のリガンド結合ドメインが、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインが、FRBドメインを含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の操作された細胞。
23.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FRBドメインを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FKBPドメインを含む、実施形態19~22のいずれか1つに記載の操作された細胞。
24.
第1の単量体及び/又は第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の操作された細胞。
25.
NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態24に記載の操作された細胞。
26.
第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の操作された細胞。
27.
NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態26に記載の操作された細胞。
28.
ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、実施形態1~27のいずれか1つに記載の操作された細胞。
29.
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される、
発現系。
30.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態29に記載の発現系。
31.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつ1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態30に記載の発現系。
32.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態31に記載の発現系。
33.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態29~32のいずれか1つに記載の発現系。
34.
各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含む、実施形態29~33のいずれか1つに記載の発現系。
35.
単一ドメイン抗体が、VHを含む、実施形態34に記載の発現系。
36.
Hが、抗カフェインVH(ac VH)である、実施形態35に記載の発現系。
37.
抗カフェインVH(acVH)が、配列番号52のアミノ酸配列を含む、実施形態36に記載の発現系。
38.
第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々が、ac VHを含む、実施形態36又は実施形態37に記載の発現系。
39.
第1の単量体及び第2の単量体が、カフェインに結合するとホモ二量体を形成することができる、実施形態38に記載の発現系。
40.
同族リガンドが、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドであり、VHが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び57(それぞれ、CA14、DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態35に記載の発現系。
41.
第1のリガンド結合ドメインが、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第2の結合ドメインが、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び57(それぞれ、DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態40に記載の発現系。
42.
第1のリガンド結合ドメインが、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第2の結合ドメインが、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態40に記載の発現系。
43.
第1の単量体及び第2の単量体が、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドに結合するとヘテロ二量体を形成することができる、実施形態40~42のいずれか1つに記載の発現系。
44.
各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む、実施形態29~33のいずれか1つに記載の操作された発現系。
45.
抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含む、実施形態44に記載の発現系。
46.
抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含む、実施形態44又は45に記載の発現系。
47.
第1のリガンド結合ドメインが、抗Nic VHを含み、第2の結合ドメインが、抗Nic VLを含む、実施形態44~46のいずれか1つに記載の発現系。
48.
第1のリガンド結合ドメインが、抗Nic VLを含み、第2のリガンド結合ドメインが、抗Nic VHを含む、実施形態44~46のいずれか1つに記載の発現系。
49.
第1の単量体及び第2の単量体が、ニコチンに結合するとヘテロ二量体を形成することができる、実施形態44~48のいずれか1つに記載の発現系。
50.
目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターが、コアプロモーター配列と第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む、実施形態29~49のいずれか1つに記載の発現系。
51.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態50に記載の発現系。
52.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、DNA結合ドメインに結合する配列が、1つ以上のZF結合部位を含む、実施形態50又は実施形態51に記載の発現系。
53.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、DNA結合ドメインに結合する配列が、6つのジンクフィンガーモチーフに対して少なくとも1つの結合部位を含む、実施形態52に記載の発現系。
54.
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、
同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される、
発現系。
55.
各リガンド結合ドメインが、FKBPドメイン又はFRBドメインを含む、実施形態54に記載の発現系。
56.
FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含む、実施形態55に記載の発現系。
57.
FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、実施形態55又は実施形態56に記載の発現系。
58.
第1のリガンド結合ドメインが、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインが、FRBドメインを含む、実施形態55~57のいずれか1つに記載の発現系。
59.
第1のリガンド結合ドメインが、FRBドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインが、FKBPドメインを含む、実施形態55~57のいずれか1つに記載の発現系。
60.
第1の単量体及び第2の単量体が、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、又はそれらの類似体からなる群から選択されるリガンドに結合するとヘテロ二量体を形成することができる、実施形態55~59のいずれか1つに記載の発現系。
61.
第1の単量体及び/又は第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含む、実施形態29~60のいずれか1つに記載の発現系。
62.
NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態61に記載の発現系。
63.
第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含む、実施形態29~62のいずれか1つに記載の発現系。
64.
NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態63に記載の発現系。
65.
ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、実施形態29~64のいずれか1つに記載の発現系。
66.
第1及び/又は第2のプロモーターが、構成的プロモーター又は調節可能プロモーターである、実施形態29~65のいずれか1つに記載の発現系。
67.
第1及び/又は第2のプロモーターが、合成プロモーターである、実施形態29~66のいずれか1つに記載の発現系。
68.
第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである、実施形態29~65のいずれか1つに記載の発現系。
69.
目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、第3のプロモーターが、コアプロモーター配列と第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む、実施形態29~68のいずれか1つに記載の発現系。
70.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態69に記載の発現系。
71.
最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、実施形態70に記載の発現系。
72.
コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来する、実施形態69に記載の発現系。
73.
コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、実施形態72に記載の発現系。
74.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含む、実施形態29~73のいずれか1つに記載の発現系。
75.
転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、実施形態74に記載の発現系。
76.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含む、実施形態29~73のいずれか1つに記載の発現系。
77.
転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、実施形態76に記載の発現系。
78.
DNA結合ドメインが、ITF応答性プロモーターに結合する、実施形態29~77のいずれか1つに記載の発現系。
79.
実施形態29~53のいずれか1つに記載の発現系を含む、操作された細胞。
80.
実施形態54~70のいずれか1つに記載の発現系を含む、操作された細胞。
81.
ヒト細胞を含む、実施形態1~28、79、又は80のいずれか1つに記載の操作された細胞。
82.
幹細胞を含む、実施形態1~28又は79~81のいずれか1つに記載の操作された細胞。
83.
免疫細胞を含む、実施形態1~28又は79~81のいずれか1つに記載の操作された細胞。
84.
T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、実施形態1~28又は79~81のいずれか1つに記載の操作された細胞。
85.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態8~10のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のカフェインと
を含む、遺伝子スイッチ。
86.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態11~13のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のカンナビジオール(CBD)又はフィトカンナビノイドと
を含む、遺伝子スイッチ。
87.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態14~17のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のニコチンと
を含む、遺伝子スイッチ。
88.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態18~23のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のラパマイシンと
を含む、遺伝子スイッチ。
89.
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、
誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、実施形態81に記載の操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程
を含む、方法。
90.
ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程
を更に含む、実施形態89に記載の方法。
91.
接触させる工程が、ヒト又は動物において行われる、実施形態89に記載の方法。
92.
形質転換された細胞を同族リガンドと接触させる工程が、同族リガンドの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む、実施形態91に記載の方法。
93.
同族リガンドが、カフェインを含む、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
94.
同族リガンドが、カンナビジオール(CBD)である、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
95.
同族リガンドが、ニコチンである、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
96.
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、
誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、実施形態80に記載の操作された細胞をラパマイシンと接触させる工程
を含む、方法。
97.
ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程
を更に含む、実施形態96に記載の方法。
98.
操作された細胞が、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞を同族リガンドと接触させる工程が、ラパマイシンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む、実施形態96に記載の方法。
99.
第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む、実施形態96~98のいずれか1つに記載の方法。
100.
第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、実施形態96~99のいずれか1つに記載の方法。
101.
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
ITFが、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体である、
操作された細胞。
102.
リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含む、実施形態101に記載の操作された細胞。
103.
プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含む、実施形態102に記載の操作された細胞。
104.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態101~103のいずれか1つに記載の操作された細胞。
105.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態104に記載の操作された細胞。
106.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態105に記載の操作された細胞。
107.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態104~106のいずれか1つに記載の操作された細胞。
108.
ITFが、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含む、実施形態101~107のいずれか1つに記載の操作された細胞。
109.
DNA結合ドメインが、ITF応答性プロモーターに結合する、実施形態101~108のいずれか1つに記載の操作された細胞。
110.
ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む、実施形態101~109のいずれか1つに記載の操作された細胞。
111.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態110に記載の操作された細胞。
112.
最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、実施形態111に記載の操作された細胞。
113.
コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来する、実施形態110に記載の操作された細胞。
114.
コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、実施形態113に記載の操作された細胞。
115.
目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセット
を更に含む、実施形態101~114のいずれか1つに記載の操作された細胞。
116.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含む、実施形態101~115のいずれか1つに記載の操作された細胞。
117.
転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、実施形態116に記載の操作された細胞。
118.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含む、実施形態101~115のいずれか1つに記載の操作された細胞。
119.
転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、実施形態118に記載の操作された細胞。
120.
第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセット
を含む発現系であって、
ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
ITFが、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体である、
発現系。
121.
リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含む、実施形態120に記載の発現系。
122.
プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含む、実施形態121に記載の発現系。
123.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態120~122のいずれか1つに記載の発現系。
124.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態123に記載の発現系。
125.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態124に記載の発現系。
126.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態120~125のいずれか1つに記載の発現系。
127.
ITFが、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間に局在化されたリンカーを更に含む、実施形態120~126のいずれか1つに記載の発現系。
128.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含む、実施形態120~127のいずれか1つに記載の発現系。
129.
転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、実施形態128に記載の発現系。
130.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含む、実施形態120~127のいずれか1つに記載の発現系。
131.
転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、実施形態130に記載の発現系。
132.
DNA結合ドメインが、ITF応答性プロモーターに結合する、実施形態120~131のいずれか1つに記載の発現系。
133.
第1のプロモーターが、構成的プロモーター、調節可能プロモーター、又は合成プロモーターである、実施形態120~132のいずれか1つに記載の発現系。
134.
第1のプロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである、実施形態133に記載の発現系。
135.
目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセット
を更に含む、実施形態120~134のいずれか1つに記載の発現系。
136.
ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む、実施形態135に記載の発現系。
137.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態136に記載の発現系。
138.
最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、実施形態137に記載の発現系。
139.
コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来する、実施形態138に記載の発現系。
140.
コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、実施形態139に記載の発現系。
141.
実施形態120~140のいずれか1つの発現系を含む操作された細胞。
142.
ヒト細胞を含む、実施形態101~119又は141のいずれか1つに記載の操作された細胞。
143.
幹細胞を含む、実施形態101~119、141、又は142のいずれか1つに記載の操作された細胞。
144.
免疫細胞を含む、実施形態1~119、141、又は142のいずれか1つに記載の操作された細胞。
145.
T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、実施形態101~119、141、又は142のいずれか1つに記載の操作された細胞。
146.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態101~119又は141~145のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のミフェプリストンと
を含む、遺伝子スイッチ。
147.
目的のポリペプチドの転写を調節する方法であって、
誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、実施形態101~119又は142~146のいずれか1つに記載の操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程
を含む、方法。
148.
ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程
を更に含む、実施形態147に記載の方法。
149.
操作された細胞が、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程が、ミフェプリストンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む、実施形態147に記載の方法。
150.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む、実施形態147~149のいずれか1つに記載の方法。
151.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、実施形態147~149のいずれか1つに記載の方法。
【実施例
【0351】
以下は、本開示を実行するための特定の実施形態の実施例である。実施例は、あくまで例示の目的で示されるものにすぎず、本開示の範囲をいかなる意味においても限定することを意図しない。努力が、使用される数(例えば、量、温度など)に関する正確さを確実にするためになされてきたが、しかし、一部の実験誤差及び偏差が、無論、許容されるべきである。
【0352】
本開示の実施では、別途指示のない限り、当業者の技術の範囲内で、タンパク質化学、生化学、組換えDNA手法、及び薬理学の従来の方法が用いられるであろう。そのような手法は、文献で完全に説明される。例えば、T.E.Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties(W.H.Freeman and Company,1993)、A.L.Lehninger,Biochemistry(Worth Publishers,Inc.、最新の追加版)、Sambrook,et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2nd Edition,1989)、Methods In Enzymology(S.Colowick and N.Kaplan eds.,Academic Press,Inc.)、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition(Easton,Pennsylvania:Mack Publishing Company,1990)、Carey and Sundberg Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.(Plenum Press)Vols A and B(1992)を参照されたい。
【0353】
実施例1:薬剤誘導転写因子による転写調節
形質導入アッセイを実施して、カフェイン、ラパマイシン、CBD、又はニコチンによって活性化された誘導性転写因子に応答するmCherry発現を評価した。
【0354】
材料及び方法
U87-MG細胞を、最小プロモーターであるYBTATAに連結されたZF10に結合する4×ZF結合部位から構成される合成ITF応答性プロモーター(配列番号65)をコードするレンチウイルスで形質導入した。プロモーターは、mCherryの発現を駆動する。この細胞株は、「レポーター細胞」と称された。カフェイン誘導性転写因子構築物は、抗カフェインVH (「aCaff」)、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン(ZF10)、配列番号2の核局在化シグナル、切断可能なリンカー、及び青色蛍光タンパク質タグから構成される第1の単量体構築物(構築物1)、並びに配列番号5の核外輸送シグナル(NES)、VPR転写活性化ドメイン、抗カフェインVH(「aCaff」)、切断可能なリンカー、及び緑色蛍光タンパク質タグから構成される第2の単量体構築物(構築物2)を含んでいた。ラパマイシン誘導性転写因子構築物は、FKBPドメイン、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン、配列番号2の核局在化シグナル、切断可能なリンカー、及び青色蛍光タンパク質タグ(構築物1)から構成される第1の単量体構築物(構築物3)、並びに配列番号5の核外輸送シグナル(NES)、VPR転写活性化ドメイン、FRBドメイン、切断可能なリンカー、及び緑色蛍光タンパク質タグから構成される第2の単量体構築物(構築物4)を含んでいた。カンナビノイド誘導性転写因子構築物は、第1の抗CBD VH(CA-14)、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン、配列番号2の核局在化シグナル、切断可能なリンカー、及び青色蛍光タンパク質タグから構成される第1の単量体構築物(構築物5)、並びに配列番号5の核外輸送シグナル(NES)、VPR転写活性化ドメイン、第1の抗CBD VHとオリゴマー化可能な第2の抗CBD VH(DB-21)、切断可能なリンカー、及び緑色蛍光タンパク質タグから構成される第2の単量体構築物(構築物6)を含んでいた。ニコチン誘導性転写因子構築物は、抗ニコチンVH、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン、配列番号2の核局在化シグナル、切断可能なリンカー、及び青色蛍光タンパク質タグから構成される第1の単量体構築物(構築物7)、並びに配列番号5の核外輸送シグナル(NES)、VPR転写活性化ドメイン、第1の構築物の抗ニコチンVHとオリゴマー化可能な抗ニコチンVL、切断可能なリンカー、及び緑色蛍光タンパク質タグから構成される第2の単量体構築物(構築物8)を含んでいた。
【0355】
1日目に、レポーター細胞を、表4に示されるDNA構築物をコードするレンチウイルスで形質導入した。
【0356】
(表4)レポーター細胞の形質導入に使用される構築物
【0357】
2日目に、カフェイン、ラパマイシン、カンナビジオール(CBD)、及びニコチンによって調節される転写調節についてアッセイするために、細胞群A~D、及び対照細胞群(非形質導入)を、表5に示されるように、カフェイン、ラパマイシン、CBD、又はニコチン薬物処理を伴う48ウェルプレートに分割した。細胞集団Eを後日薬物処理のために凍結した。
【0358】
(表5)アッセイ条件
【0359】
4日目に、培地を48ウェルプレートから除去し、細胞をトリプシン処理し、次いで、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)緩衝液及びSytox Red(APCチャネル中の蛍光)生存性色素中に再懸濁した。細胞をフローサイトメーター上で実行し、細胞についてはFSC/SSC、生細胞についてはFSC/Sytox Red、形質導入された細胞については緑色蛍光タンパク質(GFP)/青色蛍光タンパク質(BFP)+によってゲーティングした。mCherry幾何平均蛍光強度(gMFI)を各濃度で測定し、図1に示されるように、細胞群A~D及び対照細胞群については薬物なしに正規化した。
【0360】
結果
図1に示されるように、ラパマイシン調節転写調節系は両方とも、濃度依存的様式で薬物の存在下でmCherry発現を誘導した。
【0361】
実施例2:2つの核局在化シグナルを含む転写調節系
形質導入アッセイを行って、各々が核局在化シグナル(NLS)を含む第1の単量体及び第2の単量体を用いた、カフェイン、CBD、及びニコチン誘導性転写因子の転写調節活性を評価した。
【0362】
材料及び方法
4xZF10-1 BS_minYBTATA:mCherryベクターで形質導入されたU87MG細胞(「レポーター細胞」と称される)を、0日目に、6ウェルプレート中6e5/細胞で播種した。
【0363】
カフェイン誘導性転写因子構築物を設計し、抗カフェインVH (「aCaff」)、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン(「ZF10」)、配列番号2の3X FLAGタグ付き核局在化シグナル(NLS)、切断可能なリンカー、及び青色蛍光タンパク質タグ(BFP)から構成される第1の単量体構築物(構築物10)、並びに配列番号2の3X FLAGタグ付きNLS、VPR転写活性化ドメイン、抗カフェインVH(「aCaff」)、切断可能なリンカー、及び緑色蛍光タンパク質タグ(GFP)から構成される第2の単量体構築物(構築物11)を含んでいた。ニコチン誘導性転写因子構築物を設計し、抗ニコチンVH、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン、配列番号2のNLS、切断可能なリンカー、及びBFPタグから構成される第1の単量体構築物(構築物12)、並びに配列番号2の3X FLAGタグ付き核局在化シグナル(NLS)、VPR転写活性化ドメイン、第1の構築物の抗ニコチンVHとオリゴマー化可能な抗ニコチンVL、切断可能なリンカー、及びGFPタグから構成される第2の単量体構築物(構築物13)を含んでいた。カンナビノイド誘導性転写因子構築物は、第1の抗CBD VH(CA-14)、配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン、配列番号2の核局在化シグナル、切断可能なリンカー、及びBFPタグから構成される第1の単量体構築物(構築物14)、並びに配列番号2の3X FLAGタグ付き核局在化シグナル(NLS)、VPR転写活性化ドメイン、第1の抗CBD VHとオリゴマー化可能な第2の抗CBD VH(DB-21)、切断可能なリンカー、及びGFPタグから構成される第2の単量体構築物(構築物15)を含んでいた。
【0364】
1日目に、レポーター細胞を、表6に示されるDNA構築物をコードするレンチウイルスで共形質導入した。
【0365】
(表6)レポーター細胞の形質導入に使用される構築物
【0366】
2日目に、各細胞群F~Hの細胞を分割し、10uM、1uM、0.1uM、又は0uMの薬物(群Fについてはカフェイン、群Gについてはニコチン、又は群HについてはCBD)で処理した。
【0367】
5日目に、フローサイトメトリーを行い、細胞をGFP/BFP陽性細胞上でゲーティングし、mCherry発現について評価した。mCherry発現を分析し、mCherry陽性細胞のパーセントとして(図2)、及びmCherryの平均蛍光強度によってプロットした(図3)。
【0368】
結果
図2及び図3に示されるように、10uM及び1uMの濃度でのニコチン処理は、第1の単量体及び第2の単量体中のNLSを含むニコチン誘導性転写因子を発現する細胞において、濃度依存性レポーター発現を誘導した。
【0369】
実施例3:薬剤誘導転写因子による転写調節
形質導入アッセイを実施して、ミフェプリストンによって活性化された誘導性転写因子に応答するmCherry発現を評価した。
【0370】
材料及び方法
U87-MG細胞を、最小プロモーターであるYBTATAに連結されたZF10に結合する4×ZF結合部位を含む合成ITF応答性プロモーター(配列番号65)をコードするレンチウイルスで形質導入した。プロモーターは、mCherryの発現を駆動する。この細胞株は、「レポーター細胞」と称された。ミフェプリストン誘導性転写因子構築物は、(N末端からC末端に)配列番号1のジンクフィンガータンパク質ドメイン(「ZF10」)、配列番号68のプロゲステロン受容体ドメイン、配列番号70のp65転写活性化因子ドメイン、配列番号72の切断可能なリンカー(E2A-T2A)、及び配列番号74の青色蛍光タンパク質タグ(BFP)を含む。1日目に、レポーター細胞を、ミフェプリストン誘導性転写因子構築物をコードするレンチウイルスで形質導入した。
【0371】
ミフェプリストン調節転写調節についてアッセイするために、細胞群Eを解凍し、4日後、細胞を48ウェルプレートに分割し、0nM、1nM、100nM、1000nM、又は10000nMのミフェプリストンで処理した。細胞を解凍した6日後、細胞をトリプシン処理し、次いで、FACS緩衝液及びSytox Red(APCチャネル中の蛍光)生存性色素中に再懸濁した。細胞mCherry幾何平均蛍光強度(gMFI)を各濃度で測定し、図4に示されるように薬物なしに正規化した。
【0372】
結果
図4に示されるように、ミフェプリストン調節転写調節系は、濃度依存的様式で、薬物の存在下でmCherry発現を誘導した。
(表14)配列
【0373】
本開示は、好ましい実施形態及び様々な代替的な実施形態を参照して特異的に示され、説明されているが、本開示及び添付の請求項の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更が、その中に行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。
【0374】
参照による組み込み
本出願に引用された公開文献、特許、特許出願、及び他の文献は全て、あたかも各個別の公開文献、特許、特許出願、又は他の文献があらゆる目的のために参照により組み込まれるように個別に示されるのと同じ範囲まで、あらゆる目的のために、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる。
【0375】
均等物
様々な特定の実施形態が図示及び記載されてきたが、上記明細書は制限的ではない。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されるであろう。多くの変型は、本明細書の範囲を考慮すれば当業者に明らかとなるであろう。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、前記ITFを形成し、
前記同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含み、
前記単一ドメイン抗体が、VHを含み、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、
操作された細胞。
【請求項2】
a.前記VHが、抗カフェインVH(ac VH)であり、
任意選択で、前記抗カフェインVH(ac VH)が、配列番号52のアミノ酸配列を含み、かつ/若しくは
任意選択で、前記第1のリガンド結合ドメイン及び前記第2のリガンド結合ドメインの各々が、前記ac VHを含む、又は
b.前記同族リガンドが、カンナビジオール若しくはフィトカンナビノイドであり、前記VHが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、CA-14、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む、又は
c.各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)若しくは抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含み、
任意選択で、前記抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含み、前記抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、前記抗Nic VHを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、前記抗Nic VLを含む、
請求項1に記載の操作された細胞。
【請求項3】
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、前記ITFを形成し、
前記DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
前記同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、
操作された細胞。
【請求項4】
a.前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FKBPドメインを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FRBドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
b.前記第1のリガンド結合ドメインが、前記FKBPドメインを含み、前記第2のリガンド結合ドメインが、前記FRBドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
c.前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、前記FRBドメインを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、前記FKBPドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
d.前記第1のリガンド結合ドメインが、前記FRBドメインを含み、前記第2のリガンド結合ドメインが、前記FKBPドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、
請求項3に記載の操作された細胞。
【請求項5】
a.前記第1の単量体及び/又は前記第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、前記NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/又は
b.前記第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、前記NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項6】
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
前記ITFが、前記リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
前記同族リガンドが、ミフェプリストン若しくはその誘導体であり、
任意選択で、前記リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含み、前記プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ITFが、前記DNA結合ドメインと前記転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、前記ITF応答性プロモーターに結合し、
任意選択で、前記細胞が、前記目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記ITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含み、
任意選択で、前記ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含み、
任意選択で、前記コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含み、前記最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、又は前記コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来し、前記コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、
操作された細胞。
【請求項7】
a.前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
b.前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、かつ/又は
c.前記ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、
請求項1~6のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項8】
a.前記転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、
任意選択で、前記転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、又は
b.前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、
任意選択で、前記転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(前記モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、
請求項1~7のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項9】
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、前記第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、前記第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
前記第1及び前記第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
前記同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつ1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、
任意選択で、前記発現系が、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、前記ITF応答性プロモーターが、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドの前記DNA結合ドメインに結合する配列とを含む、
発現系。
【請求項10】
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、前記第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、前記第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
前記第1及び前記第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
前記DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、
前記同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、各リガンド結合ドメインが、FKBPドメイン又はFRBドメインを含み、
任意選択で、前記第1の単量体及び/又は前記第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、前記第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
任意選択で、前記発現系が、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、前記第3のプロモーターが、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドの前記DNA結合ドメインに結合する配列とを含む、
発現系。
【請求項11】
第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセット
を含む発現系であって、
前記ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
前記ITFが、前記リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
前記同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体であり、
任意選択で、前記リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択で、前記ITFが、前記DNA結合ドメインと前記転写エフェクタードメインとの間に局在化されたリンカーを更に含み、
任意選択で、前記発現系が、前記目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記ITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む、
発現系。
【請求項12】
請求項9~11のいずれか一項に記載の発現系を含む、操作された細胞。
【請求項13】
a.ヒト細胞を含む、かつ/又は
b.幹細胞を含む、かつ/又は
c.免疫細胞を含む、かつ/又は
d.T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、
請求項1~8、又は12のいずれか一項に記載の操作された細胞。
【請求項14】
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、以下:
a.請求項1、2、5、8、9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞、並びに誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンド、又は
b.請求項3~5、8、9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞、並びにラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンド、又は
c.請求項6~9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞、及びミフェプリストン、若しくはその誘導体
を含む、遺伝子スイッチ。
【請求項15】
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、以下:
a.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、請求項1、2、5、8、9、12、又は13のいずれか一項に記載の操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記接触させる工程が、ヒト若しくは動物において行われ、
任意選択で、形質転換された細胞を前記同族リガンドと接触させる工程が、前記同族リガンドの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含む、工程、又は
b.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、請求項3~5、8、9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞を、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、前記操作された細胞を前記同族リガンドと接触させる工程が、前記ラパマイシンの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、前記第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは前記第2の単量体の前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程、又は
c.前記誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、請求項6~9、12、若しくは13のいずれか一項に記載の操作された細胞を、ミフェプリストン、若しくはその誘導体と接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、前記操作された細胞を前記ミフェプリストンと接触させる工程が、前記ミフェプリストンの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、前記転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程
を含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
いくつかの実施形態では、
a.転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含み、
任意選択で、転写活性化ドメインは、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、又は
b.転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み、
任意選択で、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含む。いくつかの態様では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0118
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0118】
いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含む。いくつかの態様では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
いくつかの態様では、本開示は、誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、本明細書に記載される任意の操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程を含む、目的のポリペプチドの転写を調節する方法を提供する。いくつかの態様では、方法は、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程を更に含む。いくつかの態様では、操作された細胞は、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程は、ミフェプリストンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む。いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することは、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む。いくつかの態様では、転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することは、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む。
[本発明1001]
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、前記ITFを形成し、
前記同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含み、
前記単一ドメイン抗体が、V Hを含み、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、
操作された細胞。
[本発明1002]
a.前記V Hが、抗カフェインV H(ac V H)であり、
任意選択で、前記抗カフェインV H(ac V H)が、配列番号52のアミノ酸配列を含み、かつ/若しくは
任意選択で、前記第1のリガンド結合ドメイン及び前記第2のリガンド結合ドメインの各々が、前記ac V Hを含む、又は
b.前記同族リガンドが、カンナビジオール若しくはフィトカンナビノイドであり、前記V Hが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、CA-14、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むV Hを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むV Hを含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むV Hを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むV Hを含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むV Hを含み、前記第1若しくは前記第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むV Hを含む、又は
c.各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)若しくは抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含み、
任意選択で、前記抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含み、前記抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、前記抗Nic VHを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、前記抗Nic VLを含む、
本発明1001の操作された細胞。
[本発明1003]
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、前記ITFを形成し、
前記DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
前記同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、
操作された細胞。
[本発明1004]
a.前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FKBPドメインを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FRBドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
b.前記第1のリガンド結合ドメインが、前記FKBPドメインを含み、前記第2のリガンド結合ドメインが、前記FRBドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
c.前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、前記FRBドメインを含み、前記第1若しくは前記第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、前記FKBPドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、又は
d.前記第1のリガンド結合ドメインが、前記FRBドメインを含み、前記第2のリガンド結合ドメインが、前記FKBPドメインを含み、
任意選択で、前記FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、
本発明1003の操作された細胞。
[本発明1005]
a.前記第1の単量体及び/又は前記第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、前記NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含み、かつ/又は
b.前記第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、前記NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、
本発明1001~1004のいずれかの操作された細胞。
[本発明1006]
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
前記ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
前記ITFが、前記リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
前記同族リガンドが、ミフェプリストン若しくはその誘導体であり、
任意選択で、前記リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含み、前記プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ITFが、前記DNA結合ドメインと前記転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、前記ITF応答性プロモーターに結合し、
任意選択で、前記細胞が、前記目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記ITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含み、
任意選択で、前記ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含み、
任意選択で、前記コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含み、前記最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、又は前記コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来し、前記コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、
操作された細胞。
[本発明1007]
a.前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
b.前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、かつ/又は
c.前記ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、
本発明1001~1006のいずれかの操作された細胞。
[本発明1008]
a.前記転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、
任意選択で、前記転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、又は
b.前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、
任意選択で、前記転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(前記モチーフがWRPW抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、
本発明1001~1007のいずれかの操作された細胞。
[本発明1009]
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、前記第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、前記第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
前記第1及び前記第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
前記同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択され、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつ1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、
任意選択で、前記発現系が、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、前記ITF応答性プロモーターが、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドの前記DNA結合ドメインに結合する配列とを含む、
発現系。
[本発明1010]
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、前記第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、前記第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
前記第1及び前記第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
前記DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、
前記同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択され、
任意選択で、各リガンド結合ドメインが、FKBPドメイン又はFRBドメインを含み、
任意選択で、前記第1の単量体及び/又は前記第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含み、
任意選択で、前記第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含み、
任意選択で、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
任意選択で、前記発現系が、目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、前記第3のプロモーターが、コアプロモーター配列と、第1の操作されたポリペプチドの前記DNA結合ドメインに結合する配列とを含む、
発現系。
[本発明1011]
第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセット
を含む発現系であって、
前記ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
前記ITFが、前記リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、前記ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
前記同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体であり、
任意選択で、前記リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含み、
任意選択で、前記DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成され、
任意選択で、前記ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含み、
任意選択で、前記ITFが、前記DNA結合ドメインと前記転写エフェクタードメインとの間に局在化されたリンカーを更に含み、
任意選択で、前記発現系が、前記目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結された前記ITF応答性プロモーターを含む発現カセットを更に含む、
発現系。
[本発明1012]
本発明1009~1011のいずれかの発現系を含む、操作された細胞。
[本発明1013]
a.ヒト細胞を含む、かつ/又は
b.幹細胞を含む、かつ/又は
c.免疫細胞を含む、かつ/又は
d.T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、
本発明1001~1008、又は1012のいずれかの操作された細胞。
[本発明1014]
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、以下:
a.本発明1001、1002、1005、1008、1009、1012、若しくは1013のいずれかの操作された細胞、並びに誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンド、又は
b.本発明1003~1005、1008、1009、1012、若しくは1013のいずれかの操作された細胞、並びにラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンド、又は
c.本発明1006~1009、1012、若しくは1013のいずれかの操作された細胞、及びミフェプリストン、若しくはその誘導体
を含む、遺伝子スイッチ。
[本発明1015]
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、以下:
a.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、本発明1001、1002、1005、1008、1009、1012、又は1013のいずれかの操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記接触させる工程が、ヒト若しくは動物において行われ、
任意選択で、形質転換された細胞を前記同族リガンドと接触させる工程が、前記同族リガンドの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含む、工程、又は
b.誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、本発明1003~1005、1008、1009、1012、若しくは1013のいずれかの操作された細胞を、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、前記操作された細胞を前記同族リガンドと接触させる工程が、前記ラパマイシンの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、前記第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは前記第2の単量体の前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程、又は
c.前記誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、本発明1006~1009、1012、若しくは1013のいずれかの操作された細胞を、ミフェプリストン、若しくはその誘導体と接触させる工程であって、
任意選択で、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写を前記ITFが調節することを可能にするのに十分な期間、前記操作された細胞を培養する工程を更に含み、
任意選択で、前記操作された細胞が、ヒト若しくは動物中にあり、前記操作された細胞を前記ミフェプリストンと接触させる工程が、前記ミフェプリストンの薬理学的用量を前記ヒト若しくは動物に投与することを含み、
任意選択で、前記転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を活性化することを含むか、若しくは前記転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、前記目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、工程
を含む、方法。

【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0143
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0143】
転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインを含み得る。本明細書で使用される場合、「転写リプレッサードメイン」は、遺伝子のプロモーター領域を標的とするとき、遺伝子の転写のレベルを阻害又は減少させることができるポリペプチドドメインを指す。転写リプレッサーの例としては、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインが挙げられる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0178
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0178】
いくつかの実施形態では、カフェイン、カンナビノイド、又はニコチンによって誘導可能なITFの転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインである。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインから選択される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0194
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0194】
いくつかの実施形態では、ミフェプリストン-ITFの転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインである。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインから選択される。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0217
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0217】
いくつかの実施形態では、ラパマイシン-ITFの転写エフェクタードメインは、転写リプレッサードメインである。いくつかの実施形態では、転写リプレッサードメインは、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインから選択される。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0350
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0350】
列挙される実施形態
1.
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、ITFを形成し、
同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される、
操作された細胞。
2.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態1に記載の操作された細胞。
3.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態2に記載の操作された細胞。
4.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態3に記載の操作された細胞。
5.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の操作された細胞。
6.
各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の操作された細胞。
7.
単一ドメイン抗体が、VHを含む、実施形態6に記載の操作された細胞。
8.
Hが、抗カフェインVH(ac VH)である、実施形態7に記載の操作された細胞。
9.
抗カフェインVH(ac VH)が、配列番号52のアミノ酸配列を含む、実施形態8に記載の操作された細胞。
10.
第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々が、ac VHを含む、実施形態8又は実施形態9に記載の操作された細胞。
11.
同族リガンドが、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドであり、VHが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、CA-14、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態7に記載の操作された細胞。
12.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1若しくは第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び配列番号57(それぞれ、DB-6、DB-11、DB-18、及びDB-21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態12に記載の操作された細胞。
13.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第1又は第2の結合ドメインのうちの他方が、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態12に記載の操作された細胞。
14.
各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の操作された細胞。
15.
抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含む、実施形態14に記載の操作された細胞。
16.
抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含む、実施形態14又は実施形態15に記載の操作された細胞。
17.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、抗Nic VHを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、抗Nic VLを含む、実施形態14~16のいずれか1つに記載の操作された細胞。
18.
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
ITFが、
DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の単量体と、
転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の単量体と
を含み、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
リガンド誘導オリゴマー化が、ITFを形成し、
DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ6つのZFモチーフのアレイを含むジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、
同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される、
操作された細胞。
19.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FKBPドメインを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FRBドメインを含む、実施形態18に記載の操作された細胞。
20.
FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含む、実施形態19に記載の操作された細胞。
21.
FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、実施形態19又は実施形態20に記載の操作された細胞。
22.
第1のリガンド結合ドメインが、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインが、FRBドメインを含む、実施形態19~21のいずれか1つに記載の操作された細胞。
23.
第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの一方が、FRBドメインを含み、第1又は第2のリガンド結合ドメインのうちの他方が、FKBPドメインを含む、実施形態19~22のいずれか1つに記載の操作された細胞。
24.
第1の単量体及び/又は第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の操作された細胞。
25.
NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態24に記載の操作された細胞。
26.
第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の操作された細胞。
27.
NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態26に記載の操作された細胞。
28.
ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、実施形態1~27のいずれか1つに記載の操作された細胞。
29.
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドを介してオリゴマー化可能であり、
第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
同族リガンドが、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される、
発現系。
30.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態29に記載の発現系。
31.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、かつ1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態30に記載の発現系。
32.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態31に記載の発現系。
33.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含む、実施形態29~32のいずれか1つに記載の発現系。
34.
各リガンド結合ドメインが、単一ドメイン抗体を含む、実施形態29~33のいずれか1つに記載の発現系。
35.
単一ドメイン抗体が、VHを含む、実施形態34に記載の発現系。
36.
Hが、抗カフェインVH(ac VH)である、実施形態35に記載の発現系。
37.
抗カフェインVH(acVH)が、配列番号52のアミノ酸配列を含む、実施形態36に記載の発現系。
38.
第1のリガンド結合ドメイン及び第2のリガンド結合ドメインの各々が、ac VHを含む、実施形態36又は実施形態37に記載の発現系。
39.
第1の単量体及び第2の単量体が、カフェインに結合するとホモ二量体を形成することができる、実施形態38に記載の発現系。
40.
同族リガンドが、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドであり、VHが、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び57(それぞれ、CA14、DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態35に記載の発現系。
41.
第1のリガンド結合ドメインが、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第2の結合ドメインが、配列番号54、配列番号55、配列番号56、及び57(それぞれ、DB6、DB11、DB18、及びDB21)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態40に記載の発現系。
42.
第1のリガンド結合ドメインが、配列番号53(CA-14)のアミノ酸配列を含むVHを含み、第2の結合ドメインが、配列番号57(DB-21)のアミノ酸配列を含むVHを含む、実施形態40に記載の発現系。
43.
第1の単量体及び第2の単量体が、カンナビジオール又はフィトカンナビノイドに結合するとヘテロ二量体を形成することができる、実施形態40~42のいずれか1つに記載の発現系。
44.
各リガンド結合ドメインが、抗ニコチン抗体重鎖可変ドメイン(抗Nic VH)又は抗ニコチン抗体軽鎖可変ドメイン(抗Nic VL)を含む、実施形態29~33のいずれか1つに記載の操作された発現系。
45.
抗Nic VHが、配列番号58のアミノ酸配列を含む、実施形態44に記載の発現系。
46.
抗Nic VLが、配列番号59のアミノ酸配列を含む、実施形態44又は45に記載の発現系。
47.
第1のリガンド結合ドメインが、抗Nic VHを含み、第2の結合ドメインが、抗Nic VLを含む、実施形態44~46のいずれか1つに記載の発現系。
48.
第1のリガンド結合ドメインが、抗Nic VLを含み、第2のリガンド結合ドメインが、抗Nic VHを含む、実施形態44~46のいずれか1つに記載の発現系。
49.
第1の単量体及び第2の単量体が、ニコチンに結合するとヘテロ二量体を形成することができる、実施形態44~48のいずれか1つに記載の発現系。
50.
目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、ITF応答性プロモーターが、コアプロモーター配列と第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む、実施形態29~49のいずれか1つに記載の発現系。
51.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態50に記載の発現系。
52.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含み、DNA結合ドメインに結合する配列が、1つ以上のZF結合部位を含む、実施形態50又は実施形態51に記載の発現系。
53.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフのアレイを含み、DNA結合ドメインに結合する配列が、6つのジンクフィンガーモチーフに対して少なくとも1つの結合部位を含む、実施形態52に記載の発現系。
54.
以下:
第1のプロモーターと、第1の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセットであって、第1の単量体が、DNA結合ドメイン及び第1のリガンド結合ドメインを含む、第1の発現カセットと、
第2のプロモーターと、第2の単量体をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第2の発現カセットであって、第2の単量体が、転写エフェクタードメイン及び第2のリガンド結合ドメインを含む、第2の発現カセットと
を含む発現系であって、
各単量体が、各リガンド結合ドメインに結合する同族リガンドの結合を介してオリゴマー化可能であり、
第1及び第2の単量体のリガンド誘導オリゴマー化が、誘導性転写因子(ITF)を形成し、
DNA結合ドメインが、モジュラー式でありかつ10個のジンクフィンガーアレイ(ZFA)を含むジンクフィンガータンパク質ドメインを含み、
同族リガンドが、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、及びそれらの類似体からなる群から選択される、
発現系。
55.
各リガンド結合ドメインが、FKBPドメイン又はFRBドメインを含む、実施形態54に記載の発現系。
56.
FKBPが、配列番号60のアミノ酸配列を含む、実施形態55に記載の発現系。
57.
FRBドメインが、配列番号61のアミノ酸配列を含む、実施形態55又は実施形態56に記載の発現系。
58.
第1のリガンド結合ドメインが、FKBPドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインが、FRBドメインを含む、実施形態55~57のいずれか1つに記載の発現系。
59.
第1のリガンド結合ドメインが、FRBドメインを含み、第2のリガンド結合ドメインが、FKBPドメインを含む、実施形態55~57のいずれか1つに記載の発現系。
60.
第1の単量体及び第2の単量体が、ラパマイシン、AP1903、AP20187、FK1012、それらの誘導体、又はそれらの類似体からなる群から選択されるリガンドに結合するとヘテロ二量体を形成することができる、実施形態55~59のいずれか1つに記載の発現系。
61.
第1の単量体及び/又は第2の単量体が、核局在化シグナル(NLS)を更に含む、実施形態29~60のいずれか1つに記載の発現系。
62.
NLSが、配列番号2、配列番号3、及び配列番号4からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態61に記載の発現系。
63.
第2の単量体が、核外輸送シグナル(NES)を更に含む、実施形態29~62のいずれか1つに記載の発現系。
64.
NESが、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、及び配列番号14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、実施形態63に記載の発現系。
65.
ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができる、実施形態29~64のいずれか1つに記載の発現系。
66.
第1及び/又は第2のプロモーターが、構成的プロモーター又は調節可能プロモーターである、実施形態29~65のいずれか1つに記載の発現系。
67.
第1及び/又は第2のプロモーターが、合成プロモーターである、実施形態29~66のいずれか1つに記載の発現系。
68.
第1のプロモーター及び/又は第2のプロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである、実施形態29~65のいずれか1つに記載の発現系。
69.
目的の遺伝子に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む第3の発現カセットを更に含み、第3のプロモーターが、コアプロモーター配列と第1の操作されたポリペプチドのDNA結合ドメインに結合する配列とを含む、実施形態29~68のいずれか1つに記載の発現系。
70.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態69に記載の発現系。
71.
最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、実施形態70に記載の発現系。
72.
コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来する、実施形態69に記載の発現系。
73.
コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、実施形態72に記載の発現系。
74.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含む、実施形態29~73のいずれか1つに記載の発現系。
75.
転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、実施形態74に記載の発現系。
76.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含む、実施形態29~73のいずれか1つに記載の発現系。
77.
転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、実施形態76に記載の発現系。
78.
DNA結合ドメインが、ITF応答性プロモーターに結合する、実施形態29~77のいずれか1つに記載の発現系。
79.
実施形態29~53のいずれか1つに記載の発現系を含む、操作された細胞。
80.
実施形態54~70のいずれか1つに記載の発現系を含む、操作された細胞。
81.
ヒト細胞を含む、実施形態1~28、79、又は80のいずれか1つに記載の操作された細胞。
82.
幹細胞を含む、実施形態1~28又は79~81のいずれか1つに記載の操作された細胞。
83.
免疫細胞を含む、実施形態1~28又は79~81のいずれか1つに記載の操作された細胞。
84.
T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、実施形態1~28又は79~81のいずれか1つに記載の操作された細胞。
85.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態8~10のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のカフェインと
を含む、遺伝子スイッチ。
86.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態11~13のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のカンナビジオール(CBD)又はフィトカンナビノイドと
を含む、遺伝子スイッチ。
87.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態14~17のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のニコチンと
を含む、遺伝子スイッチ。
88.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態18~23のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のラパマイシンと
を含む、遺伝子スイッチ。
89.
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、
誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、実施形態81に記載の操作された細胞を、カフェイン、カンナビジオール(CBD)、フィトカンナビノイド、及びニコチンからなる群から選択される同族リガンドと接触させる工程
を含む、方法。
90.
ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程
を更に含む、実施形態89に記載の方法。
91.
接触させる工程が、ヒト又は動物において行われる、実施形態89に記載の方法。
92.
形質転換された細胞を同族リガンドと接触させる工程が、同族リガンドの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む、実施形態91に記載の方法。
93.
同族リガンドが、カフェインを含む、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
94.
同族リガンドが、カンナビジオール(CBD)である、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
95.
同族リガンドが、ニコチンである、実施形態89~92のいずれか1つに記載の方法。
96.
目的の遺伝子の転写を調節する方法であって、
誘導性転写因子(ITF)の形成を誘導するために、実施形態80に記載の操作された細胞をラパマイシンと接触させる工程
を含む、方法。
97.
ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程
を更に含む、実施形態96に記載の方法。
98.
操作された細胞が、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞を同族リガンドと接触させる工程が、ラパマイシンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む、実施形態96に記載の方法。
99.
第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む、実施形態96~98のいずれか1つに記載の方法。
100.
第2の単量体の転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、実施形態96~99のいずれか1つに記載の方法。
101.
誘導性転写因子(ITF)を含む操作された細胞であって、
ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
ITFが、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体である、
操作された細胞。
102.
リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含む、実施形態101に記載の操作された細胞。
103.
プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含む、実施形態102に記載の操作された細胞。
104.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態101~103のいずれか1つに記載の操作された細胞。
105.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態104に記載の操作された細胞。
106.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態105に記載の操作された細胞。
107.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態104~106のいずれか1つに記載の操作された細胞。
108.
ITFが、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間にペプチドリンカーを更に含む、実施形態101~107のいずれか1つに記載の操作された細胞。
109.
DNA結合ドメインが、ITF応答性プロモーターに結合する、実施形態101~108のいずれか1つに記載の操作された細胞。
110.
ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む、実施形態101~109のいずれか1つに記載の操作された細胞。
111.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態110に記載の操作された細胞。
112.
最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、実施形態111に記載の操作された細胞。
113.
コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来する、実施形態110に記載の操作された細胞。
114.
コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、実施形態113に記載の操作された細胞。
115.
目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセット
を更に含む、実施形態101~114のいずれか1つに記載の操作された細胞。
116.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含む、実施形態101~115のいずれか1つに記載の操作された細胞。
117.
転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、実施形態116に記載の操作された細胞。
118.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含む、実施形態101~115のいずれか1つに記載の操作された細胞。
119.
転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;短縮型クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、並びにツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、並びにEEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、実施形態118に記載の操作された細胞。
120.
第1のプロモーターと、誘導性転写因子(ITF)をコードする外因性ポリヌクレオチド配列と、を含む第1の発現カセット
を含む発現系であって、
ITFが、DNA結合ドメイン、転写エフェクタードメイン、及びリガンド結合ドメインを含み、
ITFが、リガンド結合ドメインの同族リガンドとの結合時に核局在化を受け、
細胞核に局在化された場合に、ITFが、ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された目的の遺伝子の転写を調節することができ、
同族リガンドが、ミフェプリストン又はその誘導体である、
発現系。
121.
リガンド結合ドメインが、プロゲステロン受容体ドメインを含む、実施形態120に記載の発現系。
122.
プロゲステロン受容体ドメインが、配列番号68のアミノ酸配列を含む、実施形態121に記載の発現系。
123.
DNA結合ドメインが、ジンクフィンガー(ZF)タンパク質ドメインを含む、実施形態120~122のいずれか1つに記載の発現系。
124.
ZFタンパク質ドメインが、モジュラー設計であり、1つ以上のジンクフィンガーアレイ(ZFA)から構成される、実施形態123に記載の発現系。
125.
ZFタンパク質ドメインが、1~10個のジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態124に記載の発現系。
126.
ZFタンパク質ドメインが、6つのジンクフィンガーモチーフを含む、実施形態120~125のいずれか1つに記載の発現系。
127.
ITFが、DNA結合ドメインと転写エフェクタードメインとの間に局在化されたリンカーを更に含む、実施形態120~126のいずれか1つに記載の発現系。
128.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含む、実施形態120~127のいずれか1つに記載の発現系。
129.
転写活性化ドメインが、単純ヘルペスウイルスタンパク質16(VP16)活性化ドメイン;VP16の4つのタンデムコピーを含む活性化ドメイン;VP64活性化ドメイン;NFκBのp65活性化ドメイン;エプスタイン-バーウイルスRトランス活性化因子(Rta)活性化ドメイン;VP64、p65、及びRta活性化ドメイン(VPR活性化ドメイン)を含む三者活性化因子;及びヒトE1A関連タンパク質p300のヒストンアセチルトランスフェラーゼ(HAT)コアドメイン(p300 HATコア活性化ドメイン)からなる群から選択される、実施形態128に記載の発現系。
130.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含む、実施形態120~127のいずれか1つに記載の発現系。
131.
転写リプレッサードメインが、クルッペル関連ボックス(KRAB)抑制ドメイン;ヒストンデアセチラーゼ4(HDAC4)リプレッサードメイン;スクレラキシス(SCX)HLHドメイン、DNA結合1(ID1)HLHドメインの阻害剤、HECTドメイン及びRCC1様ドメイン含有タンパク質2(HERC2)Cyt-b5ドメイン、ツイスト関連タンパク質1(TWST1)HLHドメイン、ホメオボックスタンパク質Nkx-2.2(NKX22)ホメオドメイン、DNA結合1(ID3)HLHドメインの阻害剤、及びツイスト関連タンパク質2(TWST2)HLHドメイン、EEDリプレッサードメイン;リプレッサーエレメントサイレンシング転写因子(REST)抑制ドメイン;ヘアリー関連塩基性ヘリックスループヘリックスリプレッサータンパク質のWRPWモチーフ(配列番号76)(モチーフがWRPW(配列番号76)抑制ドメインとして知られる);DNA(シトシン-5)-メチルトランスフェラーゼ3B(DNMT3B)抑制ドメイン;並びにHP1アルファクロモシャドウ抑制ドメインからなる群から選択される、実施形態130に記載の発現系。
132.
DNA結合ドメインが、ITF応答性プロモーターに結合する、実施形態120~131のいずれか1つに記載の発現系。
133.
第1のプロモーターが、構成的プロモーター、調節可能プロモーター、又は合成プロモーターである、実施形態120~132のいずれか1つに記載の発現系。
134.
第1のプロモーターが、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、hEF1aV1、hCAGG、hEF1aV2、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターである、実施形態133に記載の発現系。
135.
目的の遺伝子をコードする外因性ポリヌクレオチド配列に作動可能に連結されたITF応答性プロモーターを含む発現カセット
を更に含む、実施形態120~134のいずれか1つに記載の発現系。
136.
ITF応答性プロモーターが、ITF結合ドメイン配列及びコアプロモーター配列を含む、実施形態135に記載の発現系。
137.
コアプロモーター配列が、最小プロモーターを含む、実施形態136に記載の発現系。
138.
最小プロモーターが、minP、minCMV、YB_TATA、minTATA、及びminTKからなる群から選択される、実施形態137に記載の発現系。
139.
コアプロモーター配列が、構成的プロモーターに由来する、実施形態138に記載の発現系。
140.
コアプロモーター配列が、CMV、EFS、SFFV、SV40、MND、PGK、UbC、EF1a、hCAGG、hACTb、heIF4A1、hGAPDH、hGRP78、hGRP94、hHSP70、hKINb、及びhUBIbからなる群から選択される構成的プロモーターに由来する、実施形態139に記載の発現系。
141.
実施形態120~140のいずれか1つの発現系を含む操作された細胞。
142.
ヒト細胞を含む、実施形態101~119又は141のいずれか1つに記載の操作された細胞。
143.
幹細胞を含む、実施形態101~119、141、又は142のいずれか1つに記載の操作された細胞。
144.
免疫細胞を含む、実施形態1~119、141、又は142のいずれか1つに記載の操作された細胞。
145.
T細胞、CD8+T細胞、CD4+T細胞、ガンマデルタT細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、調節性T細胞、ウイルス特異的T細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、自然リンパ球細胞、肥満細胞、好酸球、好塩基球、好中球、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、赤血球、血小板細胞、ヒト胚性幹細胞(ESC)、ESC由来細胞、多能性幹細胞、間葉系間質細胞(MSC)、誘導多能性幹細胞(iPSC)、及びiPSC由来細胞からなる群から選択される、実施形態101~119、141、又は142のいずれか1つに記載の操作された細胞。
146.
目的の遺伝子の転写を調節するための遺伝子スイッチであって、
実施形態101~119又は141~145のいずれか1つに記載の操作された細胞と、
有効量のミフェプリストンと
を含む、遺伝子スイッチ。
147.
目的のポリペプチドの転写を調節する方法であって、
誘導性転写因子(ITF)の核局在化を誘導するために、実施形態101~119又は142~146のいずれか1つに記載の操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程
を含む、方法。
148.
ITF応答性プロモーターに作動可能に連結された遺伝子の転写をITFが調節することを可能にするのに十分な期間、操作された細胞を培養する工程
を更に含む、実施形態147に記載の方法。
149.
操作された細胞が、ヒト又は動物中にあり、操作された細胞をミフェプリストンと接触させる工程が、ミフェプリストンの薬理学的用量をヒト又は動物に投与することを含む、実施形態147に記載の方法。
150.
転写エフェクタードメインが、転写活性化ドメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を活性化することを含む、実施形態147~149のいずれか1つに記載の方法。
151.
転写エフェクタードメインが、転写リプレッサードメインを含み、転写を調節することが、目的の遺伝子の転写を抑制することを含む、実施形態147~149のいずれか1つに記載の方法。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0372
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0372】
結果
図4に示されるように、ミフェプリストン調節転写調節系は、濃度依存的様式で、薬物の存在下でmCherry発現を誘導した。
(表14)配列
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】配列表
【補正方法】追加
【補正の内容】
【配列表】
2024515182000001.app
【国際調査報告】