(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】電磁波制御装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1337 20060101AFI20240329BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240329BHJP
G02F 1/29 20060101ALN20240329BHJP
【FI】
G02F1/1337 515
G02F1/1337
G02F1/1337 525
G02F1/13 505
G02F1/29
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564400
(86)(22)【出願日】2022-03-10
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 CN2022080166
(87)【国際公開番号】W WO2022222638
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202110435765.8
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(71)【出願人】
【識別番号】519323403
【氏名又は名称】サザン・ユニバーシティ・オブ・サイエンス・アンド・テクノロジー
【氏名又は名称原語表記】Southern University of Science and Technology
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リィウ,イェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,ルォイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,トンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ツェン,モンジィア
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジィアウエイ
【テーマコード(参考)】
2H088
2H290
2K102
【Fターム(参考)】
2H088EA12
2H088EA37
2H088EA47
2H088EA49
2H088HA02
2H088HA03
2H088JA05
2H088JA11
2H088MA18
2H290AA03
2H290AA15
2H290BB23
2H290BB38
2H290BD01
2H290BF14
2H290CB22
2H290CB32
2H290CB33
2K102AA21
2K102BA07
2K102BC04
2K102DC08
2K102DD02
(57)【要約】
電磁波制御装置は、上部電極層、下部電極層、上部電極層と下部電極層との間に配置された液晶層、および、第1メタマテリアル層を備える。第1メタマテリアル層は、整列単位構造体を含んでいる第1アレイを含む。整列単位構造体の第1表面は、整列単位構造体のものであり、かつ、液晶層から離れる方を向く表面である。整列単位構造体の第1表面の縦横比は、1より大きい。第1表面の長さ、第1表面の幅、および、2つの隣接する整列単位構造体間の間隔は、1nmから5000nmの範囲にある。液晶整列機能および位相調整制御機能の両方を有する電磁波制御装置を構成するように、メタマテリアルが液晶材料と組み合わせられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波制御装置であって、
上部電極層と、
下部電極層と、
前記上部電極層と前記下部電極層との間に配置された、液晶層および第1メタマテリアル層であり、
前記第1メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第1アレイを含み、
前記整列単位構造体の第1表面の縦横比は、1より大きく、
前記第1表面は、前記単位構造体のものであり、かつ、前記液晶層から離れる方を向く、表面であり、かつ、
前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、2つの隣接する整列単位構造体間の間隔は、1nmから5000nmの範囲にある、
第1メタマテリアル層と、
を含む、装置。
【請求項2】
前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、前記間隔は、λ/1000からλまでの範囲にあり、ここで、λは、前記第1メタマテリアル層に入射する電磁波の波長であり、かつ、
前記電磁波の波長は、100nmから2000nmの範囲にある、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1表面の前記縦横比は、1.5以上である、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1メタマテリアル層は、前記液晶層の下面に配置されている、
請求項1乃至3いずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、さらに、
第2メタマテリアル層であり、
前記第2メタマテリアル層は、前記液晶層の上面に配置されており、かつ、
前記第2メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第2アレイを含む、
第2メタマテリアル層と、
を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に平行である、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、さらに、
ポリイミドPI摩擦層であり、
前記PI摩擦層は、前記液晶層の上面に配置されており、かつ、
前記PI摩擦層の整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である、
ポリイミドPI摩擦層と、
を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記第1メタマテリアル層は、さらに、
整列単位構造体を含む第3アレイであり、
前記第3アレイの整列が、前記第1アレイの整列に対して垂直である、
第3アレイと、
を含む、請求項1乃至8いずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、さらに、
スペーサ層であり、
前記第1メタマテリアル層は、前記スペーサ層の表面に配置されている、
スペーサ層と、
を含む、請求項1乃至9いずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記整列単位構造体は、矩形柱である、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記整列単位構造体は、くさび形柱である、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記整列単位構造体は、三角柱であり、
前記第1表面は、前記三角柱の側面であり、かつ、
底部三角形の辺長に対する前記三角柱の高さの比は、1より大きい、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記整列単位構造体は、楕円柱であり、
前記第1表面は、前記楕円柱の底面であり、かつ、
前記楕円柱の前記底面の短軸に対する前記楕円柱の前記底面の長軸の比は、1より大きい、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記整列単位構造体は楕円体であり、
前記第1表面は、前記楕円体の投影面であり、かつ、
前記楕円体の前記投影面の短軸に対する前記楕円体の前記投影面の長軸の比は、1より大きい、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記整列単位構造体の材料は、金属である、
請求項1乃至15いずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記整列単位構造体の材料は、誘電体材料である、
請求項1乃至15いずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記メタマテリアル層によって反射される前記電磁波を制御する、ように構成されている、
請求項1乃至17いずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、前記メタマテリアル層によって透過される前記電磁波を制御する、ように構成されている、
請求項1乃至17いずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、電磁波制御装置に関する。そして、特には、液晶層を使用することによる電磁波制御装置に関する。
出願は、2021年4月22日に中国国家知識産権局に出願され、かつ、タイトルが“ELECTROMAGNETIC WAVE CONTROL APPARATUS”である、中国特許出願第202110435765.8号について優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は、電磁波の調整制御(adjustment and control)装置において広く使用されている。外部電界の作用下で、液晶分子(liquid crystal molecules)は、異方性(anisotropic)電気的特性のせいで特定の整列状態にある。同時に、液晶分子は、液晶分子の異方性光学的特性のせいで、異なる光学効果を示す。液晶分子のこれらの特徴は、電磁波に対するフレキシブルな調整制御を実装するために使用され得る。
【0003】
液晶材料に基づく調整と制御装置において、液晶分子は、予め整列される(aligned)必要があり、そして、次いで、液晶分子は、電磁波を制御するために、外部駆動電圧を加えることによって調整され、かつ、制御される。従来の調整制御装置においては、完全な2π位相調整制御を獲得するために、厚い液晶層材料が、たしてい、選択される。これは、デバイスの小型化および集積化に対して不都合であり、そして、装置によって必要とされる大きな駆動電圧を生じさせる。加えて、従来の装置では、従来の摩擦整列法(friction alignment method)を使用することにより、液晶分子が整列させるが、それは、損失が大きいこと、および、製品の均一性を制御することの困難性といった、欠点を有している。優れた光電特性を有する液晶デバイスを製造することに対しては、液晶整列の結果および液晶層の厚さといった、要因が重要である。従って、本出願は、液晶分子に対して整列を実施しながら、電磁波に対して良好な調整制御を実施するために、新しい電磁波制御装置を提供する。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、電磁波制御装置を提供する。本装置が、液晶整列能力および位相調整制御能力の両方を有することを可能にするために、メタマテリアル(metamaterial)構造が液晶材料と組み合わされる。
【0005】
第1態様に従って、電磁波制御装置が提供される。電磁波制御装置は、上部電極層、下部電極層、および、上部電極層と下部電極層との間に配置された液晶層および第1メタマテリアル層を備える。前記第1メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第1アレイを含み、前記整列単位構造体の第1表面の縦横比は、1より大きく、前記第1表面は、前記単位構造体のものであり、かつ、前記液晶層から離れる方を向く、表面であり、かつ、前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、2つの隣接する整列単位構造体間の間隔は、1nmから5000nmの範囲にある。
【0006】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置において、アレイは、液晶分子が整列されるときに、電磁波が特定の位相遅延を蓄積することを可能にするために、それぞれが1よりも大きい縦横比およびサブ波長サイズを有する整列単位構造体を含んでいる。このことは、反射または透過電磁波の位相調整制御を向上させる。それに応じて、装置内の液晶層の厚さを薄くすることができ、そして、液晶デバイスの性能を向上させることができる。
【0007】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、前記間隔は、λ/1000からλまでの範囲にあり、ここで、λは、前記第1メタマテリアル層に入射する電磁波の波長であり、かつ、前記電磁波の波長は、100nmから2000nmの範囲にある。
【0008】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、入射電磁波が特定の位相遅延を蓄積し、そして、異なる波長を有する電磁波の位相調整制御を実施することを可能にするように、整列単位構造体のサイズは、入射電磁波の波長のλに対してλ/1000である。
【0009】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記第1表面の前記縦横比は、1.5以上である。
【0010】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、アレイは、それぞれが1.5以上の縦横比を有する整列単位構造体を含み、液晶分子が整列単位構造体の長軸方向に整列されることを可能にする。このようにして、液晶分子に対する整列効果がより良好になる。同時に、整列単位構造体の縦横比が大きいほど、装置の液晶分子に対する整列効果がより良好であることを示す。
【0011】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記第1メタマテリアル層は、前記液晶層の下面に配置されている。
【0012】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記装置は、さらに、第2メタマテリアル層を含む。前記第2メタマテリアル層は、前記液晶層の上面に配置されている。前記第2メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第2アレイを含む。
【0013】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記第2アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である。
【0014】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、直線偏光電磁波が装置によって送信された後で、直線偏光電磁波の偏光方向が約90°ねじられることを可能にするために、整列方向が垂直である2つのメタマテリアル層が、液晶層の上面および液晶層の下面に、それぞれに、配置される。本装置における液晶分子の特別な光導波路の特徴を使用することによって、より良好な消滅比を有する液晶デバイスを製造することができる。
【0015】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記第2アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に平行である。
【0016】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記装置は、さらに、ポリイミドPI摩擦層を含む。前記PI摩擦層は、前記液晶層の上面に配置されている。前記PI摩擦層の整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である。
【0017】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、メタマテリアル層およびPI摩擦層は、それぞれに、液晶層の上面および液晶層の下面に配置されており、そして、液晶分子に対するメタマテリアル層の整列方向と液晶分子に対するPI摩擦層の整列方向とは、互いに垂直であって、直線偏光電磁波が本装置によって送信された後で、直線偏光電磁波の偏光方向が約90°ねじられることを可能にする。本装置における液晶分子の特殊な光導波特性は、より良好な消滅比を有する液晶デバイスを製造するために使用され得る。
【0018】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記装置は、さらに、整列単位構造体を含んでいる第3アレイを含む。前記第3アレイの整列は、前記第1アレイの整列に対して垂直である。
【0019】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、整列方向が垂直である2つのアレイを再使用して、同じメタマテリアル層において2つの異なる方向で液晶分子の整列を実施することができる。従来の摩擦整列および光整列技術と比較して、液晶分子の整列方向をフレキシブルに制御することができ、液晶デバイスの集積化を実現することができる。
【0020】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体は、矩形柱である。
【0021】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、アレイは、それぞれが1以上の縦横比を有する矩形の列単位構造体を含み、その結果、前記装置は、準備するのが容易である。加えて、前記矩形柱単位構造体の形状は規則的であり、その結果、前記液晶分子は、前記メタマテリアル層の表面において整然と整列される。このことは、液晶分子に対する整列を促進し、そして、前記装置の作業効率を向上させ得る。
【0022】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体は、くさび形柱である。
【0023】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体は、三角柱である。前記第1表面は、前記三角柱の側面である。底部三角形の辺長に対する前記三角柱の高さの比は、1より大きい。
【0024】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体は、楕円柱である。前記第1表面は、前記楕円柱の底面である。前記楕円柱の前記底面の短軸に対する前記楕円柱の前記底面の長軸の比は、1より大きい。
【0025】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体は楕円体である。前記第1表面は、前記楕円体の投影面である。前記楕円体の前記投影面の短軸に対する前記楕円体の前記投影面の長軸の比は、1より大きい。
【0026】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、整列単位構造体の形状は限定されない。液晶分子の整列は、投影面上の整列単位構造体の縦横比が1よりも大きい限り、実施されてよく、その結果、整列単位構造体を含んでいるアレイは、準備するのがより容易である。
【0027】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体の材料は、金属である。
【0028】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記整列単位構造体の材料は、誘電体材料である。
【0029】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記装置は、さらに、スペーサ層を含む。メタマテリアル層は、スペーサ層の表面に配置されている。
【0030】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、メタマテリアル層は、整列装置の効率を改善するために、スペーサ層の表面上に配置されており、その結果、前記整列装置は、準備するのがより容易であり、そして、液晶分子上の配置および整列が、より良好に実施され得る。
【0031】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、空間光変調器は、透過型空間光変調器である。
【0032】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、空間光変調器は、反射型空間光変調器である。
【0033】
従って、この出願において提供される装置について、液晶整列能力および位相調整制御能力の両方を有する電磁波制御装置を構築するために、メタマテリアルが液晶材料と組み合わされる。上記の装置に基づいて、液晶分子上の整列が、単純なメタマテリアル構造を使用することによって実施され得る。このことは、従来の摩擦整列の大きな損失および困難な制御といった欠点を克服し、そして、液晶分子におけるフレキシブルな配置および整列を実現する。加えて、アレイは、電磁波が、電磁波の透過過程において特定の位相遅延を蓄積するのを可能にするように、それぞれがサブ波長サイズを有する、整列単位構造体を含んでいる。このことは、反射または透過電磁波の位相調整制御を強化する。これに応じて、装置における液晶層の厚さを減少させることができ、液晶デバイスの性能を向上させることができ、そして、液晶デバイスの集積度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、電磁波制御装置の概略図である。
【
図2】
図2は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、いくつかの整列単位(alignment unit)構造の概略図である。
【
図3】
図3は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、整列単位構造体の概略図である。
【
図4】
図4は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、整列単位構造体の概略図である。
【
図5】
図5は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、整列単位構造体の概略図である。
【
図6】
図6は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、電磁波制御装置の構造の概略図である。
【
図7】
図7は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、電磁波制御装置の構造の概略図である。
【
図8】
図8は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、整列単位構造体の電子顕微鏡写真である。
【
図9】
図9は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、偏光顕微鏡下での電磁波制御装置の液晶整列効果に係る図である。
【
図10】
図10は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、透過型空間光変調器(transmissive spatial light modulator)の構造に係る概略図である。
【
図11】
図11は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、透過型空間光変調器の電磁波透過率に係る概略図である。
【
図12】
図12は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、電磁波に対して透過型空間光変調器によって実行される位相の調整制御に係る概略図である。
【
図13】
図13は、本発明の実施例に適用される反射型空間光変調器(reflective spatial light modulator)の構造に係る概略図である。
【
図14】
図14は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、再使用可能かつ調節可能なメタサーフェス(metasurface)構造に係る概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本出願の実施形態においては、メタマテリアル構造が、電磁波に対して調整制御を実施するために、液晶材料と組み合わされる。サブ波長サイズを有する人工的な微細構造(microstructure)として、メタマテリアル構造は、液晶0が電磁波に対してフレキシブルな調整制御を実施するのを支援することができる。同時に、メタマテリアルを使用することによって構成された液晶デバイスは、製品の小型化および集積化を促進するのに役立つ。加えて、フォトリソグラフィ技術を使用することによって、メタマテリアル層が、フォトニックチップ上に集積され得る。このことは、デバイスの大規模な製造および処理を促進する。
【0036】
具体的には、本出願の実施形態において、特定の縦横比(length-width ratio)を有するナノ単位構造体(nanounit structure)が、1つのメタマテリアル層として整然と配置されて、液晶分子に対して整列機能(alignment function)を実施するように、「溝(“groove”)」形状の整列層を形成する。加えて、順次に整列されたナノ単位構造体は、アンテナアレイ(antenna array)と類似した構造を示し、そして、メタマテリアル構造体は、ナノアンテナアレイの共振特性(resonance feature)に基づいて、電磁波の偏光、位相、振幅、および、分散といった特性を制御することができる。従って、この出願において提供される装置について、メタマテリアルは、液晶整列能力および位相調整制御能力の両方を有する電磁波制御装置を構築するために、液晶材料と組み合わされる。
【0037】
以下は、添付の図面を参照して、本出願の技術的ソリューションを説明している。説明される実施形態は、本出願の実施形態の単なる一部に過ぎず、全てではないことが、明らかである。創造的な努力なしに本出願の実施形態に基づいて当業者によって獲得される全ての他の実施形態は、本出願の保護範囲内に入るものである。
【0038】
図1は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、電磁波制御装置100の概略図である。
図1の(a)は、駆動電圧を有さない装置100の断面図である。
図1の(a)に示されるように、装置100は、下部電極層(lower electrode layer)(基板101、および、基板101の表面上の電極アレイ102を含む)、および、上部(upper)電極層107を含んでいる。液晶層105が、上部電極層と下部電極層との間に存在しており、そして、液晶分子106、および、複数の単位構造体(unit structure)を含むメタマテリアル層104を含んでいる。任意的に、装置100は、さらに、構造的な効率を最適化するように構成された、スペーサ層103を含み得る。メタマテリアル層104は、スペーサ層103の表面上に配置され得る。代替的に、装置100は、スペーサ層103を含まなくてもよい。このことは、本出願において限定されない。
【0039】
図1の(c)は、
図1の(a)におけるメタマテリアル層104の上面図を示している。メタマテリアル層104は、整列単位構造体が整然と整列されたアレイを含んでいる。装置100は、一つの例として、矩形柱(rectangular column)単位構造体を使用することによって、
図1に記載されている。矩形柱単位構造体は、特定の縦横比を有し、その結果、メタマテリアル層104は、マイクロ「溝」構造を呈する。液晶分子は、矩形柱単位構造体によって形成された微小な「溝」の中に横たわる(lie down)ことができる。従って、液晶層105において、電極の表面上の液晶分子は、矩形柱単位構造体の長軸方向(major axis)に整列されている。上部および下部電極の間の液晶分子は、ファンデルワールス力(van der Waals force)の作用のせいで、平行に整列されようとする。
【0040】
上部電極層と下部電極層との間には異なる電圧が印加され、装置100内の液晶分子がyz平面上で回転することを可能にする。電極層の材料は、インジウムスズ酸化物(indium tin oxide、ITO)であってよく、または、別の導電性材料であってもよい。これは、本出願において限定されない。
【0041】
図1の(b)は、駆動電圧が印加されたときの装置100の断面図である。
図1の(d)は、
図1の(b)のメタマテリアル層104の上面図である。
図1の(b)および
図1の(d)から、駆動電圧を印加することによって、液晶分子が、メタマテリアル層に垂直なyz平面上で回転することが分かる。電圧が十分に印加されると、液晶分子は、静電場の引力の下で電界の方向に平行に整列される傾向があり、別の言葉で言えば、液晶分子の長軸方向は、xy平面に垂直である。この場合、液晶分子は、入射光線の偏光方向を調整して制御することができない。
【0042】
図2の(a)は、メタマテリアル層104での、いくつかの整列単位構造体の概略図である。
【0043】
具体的には、
図2の(a)において、各整列単位構造体201の第1表面の縦横比は1より大きい。第1表面は、単位構造体201の表面であり、そして、液晶層から離れる方を向く(faces away)表面である。
図2の(a)に示されるように、整列単位構造体201の第1面は、矩形柱の下面であってよい。
図2の(a)に示されるように、複数の矩形柱単位構造体201が整然と整列されている。Wは、前記矩形柱単位構造体の幅を示し、そして、Lは、矩形柱単位構造体の長さを示している。メタマテリアル層104が、xy平面上でy軸方向に平行な「溝」を呈することを可能にするために、各矩形柱単位構造体201の縦横比L/Wは、1より大きい必要があり、その結果、液晶分子202は、「溝」方向に整列される。このようにして、液晶分子202の整列が実施される。矩形柱単位構造体201は、幾何学的サイズが構造体の表面の入射波長よりも小さい、サブ波長サイズであることを必要とする。単位構造体の縦横比L/Wが十分に大きい場合、
図2の(b)に示されるように、短冊状(strip-shaped)の矩形柱203が存在し得る。
【0044】
それぞれx軸方向に縦横比が1である整列単位構造体を含むアレイは、それぞれy軸方向に縦横比が1である整列単位構造体を含むアレイと同じ周期(period)を有している。従って、等方性の光学特性が示される。しかしながら、本出願のこの実施形態において、メタマテリアル層104における整列単位構造体201の縦横比は1より大きく、そして、整列単位構造体は対称ではない。従って、整列単位構造体を含むアレイは異方性であり、そして、液晶分子に対して整列の機能を実施する。より良好な整列結果を実現するために、整列単位構造体201の縦横比は、1.5以上であってよい。整列単位構造体201の縦横比が大きいほど、液晶分子に対してより良好な整列効果を示す。
【0045】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、アレイは、それぞれが1より大きい縦横比を有する整列単位構造体を含み、液晶分子が整列単位構造体の長軸方向に整列されることを可能にする。このようにして、液晶分子の整列の目的が達成される。本装置は、簡単な構造を有し、かつ、準備が容易であり、液晶分子の整列をより良く制御することができ、そして、整列層の摩耗を低減することができ、液晶分子に対して整列をより良好に実施する。
【0046】
さらに、
図2の(a)の整列単位構造体の概略図において、整列単位構造体201の第1面の長さL、整列単位構造体201の第1面の幅W、および、2つの隣接する整列単位構造体201間の間隔は、全てが1nmから5000nmの範囲にある。この場合、メタマテリアル層104によって反射または透過される電磁波は、特定の位相遅延を獲得する。
【0047】
より具体的には、第1表面の長さL、第1表面の幅W、および、2つの隣接する整列単位構造体201間の間隔は、全てが、λ/100からλまでの範囲にある。ここで、λは、装置に入射する電磁波の波長である。電磁波の波長範囲は、100nmから5000nmの範囲であり得る。さらに、電磁波の波長範囲は、100nmから2000nmまでの範囲であり得る。異なる波長範囲の電磁波について、異なるサイズの整列単位構造体が、本出願のこの実施形態における装置のために選択され得ることが理解されるべきである。整列単位構造体のサイズは、調整制御される必要がある電磁波の波長に関連することを要する。100nmから2000nmまでの範囲の電磁波に加えて、本出願のこの実施形態において提供される装置は、さらに、別の波長、例えば、テラヘルツ帯(terahertz band)または無線帯(radio band)、を有する電磁波を調整制御するように構成され得る。これは、本出願において限定されない。
【0048】
メタマテリアル層104によって反射または透過される電磁波により獲得される位相遅延は、以下の場合に存在し得ることが理解されるべきである。整列単位構造体201を含んでいるアレイは、アンテナアレイと類似した構造を呈するので、アレイの表面に入射する電磁波において共振が発生する。装置に入射した電磁波は、整列単位構造体を含むアレイによって反射または透過されて、特定の共振位相を獲得する。代替的に、整列単位構造体201がサブ波長サイズの構造体であるため、メタマテリアル層104によって反射または透過される電磁波と、入射電磁波との間には特定の光路差が存在しており、その結果、反射または透過される電磁波は、透過位相を獲得する。代替的に、整列単位構造体201のx軸方向のサイズが整列単位構造体201のy軸方向のサイズとは異なり、かつ、左回り(left-handed)または右回り(right-handed)に偏光された電磁波の調節および制御に異方性が存在するため、入射電磁波は、幾何学的位相(geometric phase)を獲得する。
【0049】
反射または透過された電磁波によって獲得されたる位相遅延は、整列単位構造体201のサイズおよび液晶層の等価屈折率といった要因に関連することが理解されるべきである。メタマテリアル層104で生成された位相遅延に起因して、電磁波送信装置100によって電磁波を送信する際に累積される位相が、増加され得る。一方で、同じ厚さの液晶材料を用いて、メタマテリアル層104によって生成される位相遅延は、装置100が、深い位相変調を生成することを可能にする。他方では、メタマテリアル層に蓄積される位相遅延に起因して、電磁波について2π位相変調を実施するために、より薄い液晶材料が使用され得る。液晶層の材料の厚さが減少するにつれて、電磁波を調整制御するために必要な駆動電圧が低減され得る。その結果、上部電極と下部電極との間の発熱が低減され、そして、隣接する整列単位構造体間のクロストークが低減され得る。このことは、液晶デバイスの画素サイズを小さくし、かつ、デバイスの解像度を向上させる。
【0050】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置において、アレイは、それぞれが1より大きい縦横比およびサブ波長サイズを有する整列単位構造体を含み、電磁波が、液晶分子における整列に基づいて、特定の位相遅延を蓄積することを可能にする。このことは、反射または透過される電磁波の位相の調整制御を強化することができる。従って、装置内の液晶層の厚さを薄くすることができ、かつ、液晶デバイスの性能を向上させることができる。
【0051】
図2に示される矩形柱単位構造体に加えて、整列単位構造体は、代替的に、特定の縦横比を有する別の幾何学的構造であり得ることが理解されるべきである。任意的な実施態様において、整列単位構造体は、
図3の(a)に示されるくさび形柱(wedge-shaped)301であってもよい。各くさび形柱301の第1表面の縦横比L/Wも、また、1より大きい必要がある。くさび形柱301の第1表面は、液晶層から離れる方を向く表面である。
図3の(a)に示されるように、第1面は、くさび形柱301の側面であってよい。
【0052】
整列単位構造体は、代替的に、
図3の(b)に示される三角柱(triangular prism)302であってよい。
図3の(b)に示されるように、三角柱302の第1面は、液晶層から離れる方を向く面である。例えば、第1面は、三角柱302の任意の側面であってよい。三角柱302の底部三角形の辺長に対する三角柱302の高さの比は、1より大きい。
【0053】
図4に示されるように、整列単位構造体は、代替的に、楕円柱401であってよい。
図4に示されるように、楕円柱401の第1表面は、液晶層から離れる方を向く表面である。例えば、第1表面は、楕円柱401の底面であってよい。
図4の(b)に示されるように、楕円柱401の底面の短径に対する楕円柱401の底面の長径の比L/Wは、1より大きい。
【0054】
図2から
図4までに示したいくつかの場合に加えて、整列単位構造体は、代替的に、不規則な形状の別の構造であってよい。整列単位構造体の投影面上で整列単位構造体の縦横比が1より大きい場合、整列は、また、液晶層での液晶分子にたいしても実施され得る。例えば、メタマテリアル層104での単位構造体は、
図5に示される楕円体(ellipsoid)501であってよい。
図5の(b)に示されるように、楕円体501の第1表面は、楕円体の、かつ、液晶層から離れる方を向く表面における投影面であり得る。楕円体501の投影面の短軸に対する楕円体501の投影面の長軸の比L/Wは、1より大きい。
図5に示される楕円体に加えて、整列単位構造体は、代替的に、不規則な形状の別の構造、例えば、スピンドル形状の構造、ダンベル形状の構造、または、フットボール形状の構造、であってよい。これは、本出願において限定されない。
【0055】
整列単位構造体の材料は、低損失誘電体材料、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、窒化ケイ素(SiNx)、酸化アルミニウム(Al2O3)、ケイ素(Si)など、であり得ることが理解されるべきである。整列単位構造体の材料は、代替的に、金属材料、例えば、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、または白金(Pt)であり得る。これは、本出願において限定されない。
【0056】
本出願のこの実施形態における電磁波制御装置は、代替的に、
図6に示される3つの配置方式を使用し得る。
【0057】
可能な装置の構造は、
図6の(a)に示されており、そして、上部電極層601、下部電極層602、および、上部電極層601と下部電極層602との間に配置された液晶層603、並びに、第1メタマテリアル層604を含んでいる。メタマテリアル層604は、液晶層603の下部面に配置されてよく、例えば、下部電極層602の表面に配置され得る。第1メタマテリアル層604は、整列単位構造体を含んでいる第1アレイを含む、ことが理解されるべきである。整列単位構造体は、
図2から
図5までに示される任意の構造であってよい。
【0058】
別の可能な装置構造が、
図6の(b)に示されており、上部電極層601、下部電極層602、液晶層603、第1メタマテリアル層604、および、第2材料層605を含んでいる。第1メタマテリアル層604は、液晶層の下面に配置されている。第2メタマテリアル層605は、液晶層の上面に配置されており、例えば、第2メタマテリアル層605は、上部電極層601の表面に配置される。
【0059】
別の可能な装置構造が
図6の(c)に示されており、上部電極層601、下部電極層602、液晶層603、第1メタマテリアル層604、および、ポリイミド(polyimide、PI)摩擦層606を含んでいる。第1メタマテリアル層604は、液晶層の下面に配置されている。PI摩擦層606は、液晶層603の上面に配置されており、例えば、上部電極層601の表面に配置される。任意的に、
図6の(c)に示される装置において、PI摩擦層606は、代替的に、液晶層603の下面に配置され得る。第1メタマテリアル層604は、液晶層の上面に配置され得る。
【0060】
図6の(b)に示される電磁波制御装置においては、第1メタマテリアル層604の整列方向と第2メタマテリアル層605の整列方向とは互いに平行であり得ることが、さらに、留意されるべきである。任意的に、メタマテリアル層605の整列方向とメタマテリアル層604の整列方向との間に、例えば45°の、特定の挟角が、代替的に存在し得る。任意的に、メタマテリアル層605の整列方向とメタマテリアル層604の整列方向とは、互いに垂直であってよい。
図7の(a)に示されるように、下部電極層の表面に配置された第1メタマテリアル層604は、整列単位構造体を含んでいる第1アレイを含む。上部電極層上に配置された第2メタマテリアル層605は、整列単位構造体を含んでいる第2アレイを含む。第1アレイの整列方向は、第2アレイの整列方向に対して垂直である。上部電極層と下部電極層との間の液晶分子は、ファンデルワールス力の作用に起因して、平行に整列されようとする。しかしながら、液晶分子に対するメタマテリアル層605の整列方向が、液晶分子に対するメタマテリアル層604の整列方向と直交しているため、上部電極近傍の液晶分子の整列方向は、下部電極近傍の液晶分子の整列方向と直交している。この場合、液晶分子は、上部電極層から0°(上部電極層とx軸方向との間の挟角)の方向に整列され、そして、-90°の方向で下部電極に対して徐々に、かつ、均一に、ねじれている。例えば、液晶分子は、時計回りに、1つずつ90°だけねじれている。
図7の(a)に示される整列方法でねじられた液晶分子の層は、光導波路(optical waveguide)の性質を有している。x軸方向に平行な偏光方向における直線偏光(linearly polarized light)が、液晶層を介して下部電極層の表面に伝播すると、偏光方向が90°だけ回転する。
図7の(b)は、駆動電圧が印加されたときの、液晶分子の整列に係る模式図である。この場合、液晶分子は、電界の方向に平行に整列される傾向があり、すなわち、液晶分子の長軸方向は、xy平面に対して垂直である。この場合、液晶分子は、入射光線の偏光方向を調整し、制御することができない。
【0061】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、その整列方向が垂直である2つのメタマテリアル層が、上部電極層および下部電極層においてそれぞれに配置され、その結果、直線偏光電磁波(linearly polarized electromagnetic wave)が装置によって送信された後で、直線偏光電磁波の偏光方向が約90°だけねじられる。より良好な消滅比(extinction rate)を有する液晶デバイスを製造するために、本装置における液晶分子の特別な光導波路の特徴が使用され得る。
【0062】
図6の(b)の構造と同様に、第1メタマテリアル層604の整列方向は、また、
図6の(c)のPI摩擦層606の整列方向と平行または垂直であってよく、または、特定の挟角を形成してもよい。加えて、より良好な消滅比を有する液晶デバイスをさらに構成するために、液晶分子は、
図7の(a)に示される光導波路構造と同様の光導波路構造を実装し得る。
【0063】
図6に示されるいくつかの構造に加えて、整列装置は、代替的に、別の同様な配置方式を使用し得る。これは、本出願において限定されない。例えば、
図6の(b)において、第1メタマテリアル層604と第2メタマテリアル層605とは、異なる整列単位構造体を使用してよい。
【0064】
任意の実装において、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置において、第1メタマテリアル層は、代替的に、整列単位構造体を含む第1アレイおよび整列単位構造体を含む第3アレイの両方を含んでよく、第3アレイの整列は、第1アレイの整列に対して垂直である。同じメタマテリアル層において2つの方向で液晶分子の整列を実施するために、整列方向が互いに垂直である2つのアレイが再利用される。
【0065】
同様に、第1メタマテリアル層は、さらに、別の整列方向に第4アレイを含んでよい。第1メタマテリアル層は、さらに、同時にいくつかの整列方向のアレイを含んでよく、そして、各アレイは、異なる整列単位構造体を使用することができる。これは、本出願のこの実施形態において限定されない。
【0066】
従って、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置について、同じメタマテリアル層において2つの異なる方向で液晶分子の整列を実施するために、整列方向が垂直である2つのアレイが再使用され得る。従来の摩擦整列および光整列技術と比較して、液晶分子の整列方向をフレキシブルに制御することができ、そして、液晶デバイスの集積化を実現することができる。
【0067】
以下では、
図1の装置100を例として使用して、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置の実験結果を説明する。実験に使用された単位構造体は、矩形柱単位構造体であり、そして、材質は金である。
図8は、縦横比L/Wが1:1、2:1、3:1、4:1、5:1の単位構造体の構造に係る電子顕微鏡写真である。
図9は、液晶分子に5つの縦横比を有する単位構造体に係る整列効果の実験結果を示している。2つの偏光子(polarizer)P1およびP2は、装置100の上部カバープレート106の上面、および、装置100の基板層101の下面において、それぞれに配置されている。上部カバープレート106上の偏光子P1は、偏光方向Pに存在している。光源からの自然光が偏光子を通過した後では、偏光方向Pに平行な直線偏光のみが残される。基板層101の下面の偏光子P2における偏光方向はAである。偏光方向がAに平行な直線偏光のみが、P2によって完全に透過され得る。別の偏光方向の直線偏光は、P2によって部分的に透過され得る。偏光方向がAに垂直な直線偏光は、P2によって透過されることができない。光源からの自然光がP1およびP2を通過した後で、AがPに対して垂直である場合に、光線は、P2によって透過されることができず、かつ、P2は、光を透過することができない。AがPに平行である場合に、光線は、P2によって透過され、かつ、P2は、光を完全に透過し得る。
図9は、AがPに垂直である場合、および、AがPに平行である場合に、液晶分子に対する装置100の整列効果を示す図である。偏光顕微鏡の下で、電源オフ(power-off)状態(OFF)での整列効果が、電源オン(power-on)状態(ON)での整列効果と比較されている。
【0068】
図9に示されるように、PがAに対して垂直である場合に、電源はオフにされ、そして、弱い光がP2によって透過される。このことは、液晶分子が光線の偏光方向を変化させることを示している。電源がオンにされると、液晶分子は、電界の方向に整列され、光線の偏光方向を調整制御することができず、そして、光透過現象が消失する。より大きな矩形柱の縦横比は、より顕著な光透過現象のコントラストを示す。実験結果は、単位構造体を含むアレイが液晶分子に対して整列を実施し得ることを示している。同様に、PがAに平行である場合に、電源はオフにされ、光線がP2によって完全に透過されることができず、そして、消滅現象が存在する。このことは、液晶分子が光線の偏光方向を変化させることを示している。電源がオンにされると、液晶分子は電界の方向に整列され、光線の偏光方向を調整制御することができず、そして、消滅現象が消失する。より大きな矩形柱の縦横比は、より顕著な消滅現象のコントラストを示す。単位構造体を含むアレイは、液晶分子において整列を実施し得ることも、また、示されている。加えて、より大きな単位構造体の縦横比L/Wは、液晶分子におけるより良好な整列効果を示す。より良好な整列結果を実現するために、単位構造体の縦横比L/Wは5以上であってよい。
【0069】
入射光線に対する装置100の調整制御機能をさらに最適化するために、
図1に示される装置100においては、スペーサ層103が、デバイス効率を最適化するために追加され得る。スペーサ層103の材料は、低損失で、かつ、低屈折率の材料、例えば、SiO2であってよい。代替的に、装置100は、スペーサ層103を含まなくてよい。これは、本出願において限定されない。
【0070】
本願のこの実施形態における電磁波制御装置は、投射ディスプレイ液晶オンシリコン(liquid crystal on silicon、LCOS)モジュールおよび通信(wavelength-selective switch、WSS)モジュールといった構造体において使用され得ることが理解されるべきである。さらに、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置は、空間光変調器(spatial light modulator、SLM)であってよく、そして、制御信号の制御下で、光波の位相、振幅、および強度といった特徴に対して時間的または空間的な変換または変調を実行し得る。制御信号は、光信号または電気信号であり得る。空間光変調器は、代替的に、複数の独立したユニット(unit)を含んでよく、そして、独立したユニットは、一次元または二次元アレイにおいて空間的に配置される。各ユニットは、制御信号の制御を独立して受信し、そして、入射光線を変調するために、信号に基づいて各ユニットの光学特性を変化させることができる。
【0071】
図10は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、透過型空間光変調器の構成を示す図である。
図10の(a)に示されるように、空間光変調器構造体1000は、メタサーフェスに基づく偏光依存位相透過型空間光変調器であり、そして、上部ガラス層1001および下部ガラス層1001を含む。上部ガラス層1001および下部ガラス層1001は、それぞれITO電極でメッキされており、外部回路1002を形成する。マトリクス制御層が、上部ガラス層1001と下部ガラス層1001との間に配置されており、そして、メタマテリアル層および液晶層を含んでいる。メタマテリアル層は、
図1の(a)におけるメタマテリアル層104と同様な整列単位構造体1004を含み得る。液晶層の液晶分子1003は、整列単位構造体1004の長軸方向(すなわち、y軸方向)に整列される。構造の効率を改善するために、スペーサ層が、代わりに、下部電極と整列単位構造体1004との間に追加され得る。
【0072】
図10は、単に透過型空間光変調器構造の可能な例を示すに過ぎないことが理解されるべきである。メタマテリアル層は、
図2から
図5までにおける整列単位構造体を含む任意のアレイを含み得る。これは、本出願において限定されない。加えて、透過型空間光変調器構造1000は、
図6に示される任意の配置方法を使用し得る。これは、本出願において限定されない。
【0073】
外部印加電圧を変化させることによって、空間光変調器構造内の液晶分子1003は、yz平面において異なる角度で回転して、液晶層の等価屈折率(equivalent refractive index)を様々な方向に変化させることができる。従って、空間光変調器は、入射光線に対して異なる電磁応答を生成し、入射光線に対する調整制御を実施する。
【0074】
図10の(a)に示されるように、下部電極間には間隔が存在している。従って、マトリクス制御層は、複数の調整制御マトリクス単位(adjustment and control matrix unit)へと分割され得る。独立した電圧制御が、調整制御マトリクス単位間で実施され得る。
図10の(b)は、1つの調整制御行列ユニットの概略図である。各調整制御マトリクス単位は、少なくとも1つの矩形ナノピラー(rectangular nanopillar)を含み得る。
図10の(c)は、
図10の(a)に示される3つの調整制御マトリクス単位の上面図である。各調整制御マトリクス単位に対して異なる電圧が印加され、異なる回転角を呈するように液晶分子1003を制御する。従って、異なる調整制御マトリクス単位は、同じ波長を有する入射光に対して異なる位相調整制御効果を有する。メタマテリアル層で位相遅延が生成されることで、空間光変調器1000は、入射光に対して位相調整制御を実施し、そして、入射光の出射角の調整制御を実施することができる。
【0075】
光変調器構造体1000において、上部電極1002と下部電極1002との間のマトリクス制御層の厚さは1.5μmである。各調整制御マトリクス単位においてx軸方向の電極の長さは690nmであり、そして、y軸方向の幅は345nmである。各TiO2矩形ナノピラーは、z軸方向に高さ250nm、y軸方向に長さ225nm、そして、x軸方向に幅150nmである。整列単位構造体904は、TiO2の矩形ナノピラーである。各調整制御マトリクス単位は、2つのTiO2矩形ナノピラーを含んでいる。
【0076】
図10の(a)には、3つの調整制御マトリクス単位の組み合わせがそれぞれ示されている。3つの調整制御マトリクス単位において、液晶分子とy軸との夾角θ
LCは、左から右へ、90°、45°、0°である。空間光変調器を通過した出射光は、右へ偏向される。θ
LCが90°、45°、0°である3つの調整制御マトリクス単位は、周期構造(periodic structure)として見なすことができる。1つの周期構造において、隣接する調整制御マトリクス単位における液晶分子の回転角は激しく変化し、そして、出射光の最大偏向角φは11.7°であり得る。同様に、液晶分子の回転角θ
LCを、左から右へ、0°、45°、90°となるように調整制御する場合に、出射光は左方向に偏向され、そして、最大偏向角は-11.7°である。従って、出射光の偏向角を±11.7°の範囲で調整制御することができる。
【0077】
空間光変調器構造体1000に関連する材料は誘電体材料であり、かつ、600nmから700nmまでの範囲では、大部分の入射光は吸収されないことが理解されるべきである。整列単位構造体1004に用いられるTiO2材料は、代替的に、抵抗損失がなく、高屈折率を有する、別の材料に置き換えられ得る。そして、矩形ナノピラーの幾何学的構造が調整され、調整制御マトリクスの周期構造が調整制御されるとすれば、同じ機能が実装され得る。
【0078】
図11の(a)は、θ
LCが左から右に0°、45°、90°の液晶制御単位を含む周期構造におけるxz平面における電界の成分Eyの分布図である。
図11の(a)の破線は電界分布の等電位線であり、そして、矢印で示される方向は、液晶層を通過した後の出射光の偏光方向である。
図11の(b)は、空間光変調器900の異なる回折次数(diffraction orders)に対応する透過率に係る図である。入射光は、横電波(transverse electric wave、TE波)である。入射光が、θ
LCが0°、45°、90°である液晶制御ユニットを通過するとき、入射光の+1次回折光(+1-order diffractive light)の透過率は0.43に達し、そして、従来技術における他の構造の位相透過型空間光変調器の透過率よりも良好である。
【0079】
矩形ナノピラー単位構造体1004は、液晶分子がより良好な整列効果を有することを可能にする。電圧が存在しない場合、液晶分子は、矩形ナノピラーの長軸方向、すなわち、y軸方向に整列される。
【0080】
図12の(a)は、θ
LCが左から右に90°、45°、0°の液晶制御単位を含む周期構造におけるxz平面における電解の成分Eyの分布図である。
図12の(b)は、波長の異なる入射光(TE波)が、周期構造を通過する際の位相変化を示している。
図12の(b)に示されるように、図における破線は、入射波長が634nmの場合の出射光の位相変化を示している。θ
LC=0°の場合、液晶分子は、矩形ナノピラーの長軸方向に整列され、そして、出射光の位相変化は最も大きい。従って、入射光の偏光方向が矩形ナノピラーの長軸方向である場合、空間光変調器は、出射光に対して良好な位相調整制御効果を有している。θ
LC=90°の場合、液晶分子は、矩形ナノピラーの長軸方向に対して垂直な方向、例えばz軸方向に、整列され、そして、出射光の位相変化は小さい。従って、入射光の偏光方向が矩形ナノピラーの長軸方向に対して垂直である場合、空間光変調器は、出射光に対して弱い位相調整制御効果を有する。
【0081】
従って、本出願のこの実施形態における透過型空間光変調器について、液晶分子は、整列単位構造体を含むメタマテリアル層に基づいて整列される。加えて、空間光変調器において深い位相変調を生成し、または、液晶層の厚さを低減するように、メタマテリアル層で蓄積された位相遅延が利用され得る。液晶分子の回転角を制御するために外部印加電圧を変化させることによって、透過光の出射方向および位相が調整制御され得る。他のタイプの液晶空間光変調器と比較して、メタマテリアル層に基づく透過型空間光変調器は、単純な構造を有し、準備するのがより容易であり、そして、液晶空間光変調器の構造を最適化する。
【0082】
図13は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、別の反射型空間光変調器の構成に係る図である。
図13の(a)は、反射型空間光変調器構造の側面断面図である。
図13の(a)に示されるように、空間光変調器構造1300は、メタマテリアル層に基づく偏光依存位相反射型空間光変調器であり、そして、上部カバープレート1306、液晶層1304、液晶分子1305、メタマテリアル層1303、スペーサ層1302、および、液晶オンシリコン(liquid crystal on silicon、LCoS)駆動バックプレーン1301を含んでいる。上部カバープレート1306は、電極を含む。電極は、ITOまたは酸化亜鉛(ZnO)といった材料からなる導電層であり得る。
【0083】
図13は、単に反射型空間光変調器構造の可能な例を示すに過ぎないことが理解されるべきである。メタマテリアル層は、
図2から
図5までにおける整列単位構造体を含んでいるアレイを含み得る。これは、本出願において限定されない。加えて、透過型空間光変調器構造1300は、
図6に示される任意の配置方式を使用し得る。これは、本出願において限定されない。
【0084】
図10における空間光変調器1000の構造と同様に、LCoS駆動バックプレーンは、液晶層1304に対して異なるサイズの電圧を印加することができ、その結果、液晶分子が異なる回転角で配置される。従って、出射光の位相を調整制御する目的を達成するように、同じ波長を有する入射光に対する空間光変調器構造の応答が変化する。
【0085】
図13の(b)は、空間光変調器構造1300のメタマテリアル層1303の部分的な上面図を示している。メタマテリアル層1303において、単位構造体は、整然と配置された矩形柱である。加えて、矩形柱の縦横比は1より大きい。すなわち、矩形柱は、y軸方向で、より長く、そして、x軸方向で、より短い。矩形柱単位構造体は、液晶層の下面にマイクロ「溝(“groove”)」を形成する。ファンデルワールス力の共同作用の下で、液晶層1304の液晶分子は、矩形柱の長軸方向、すなわち、y軸方向に整列される。従って、メタマテリアル層1303は、空間光変調器1300において液晶整列機能を実施することができる。駆動電圧が印加される場合、液晶分子の長軸方向は、液晶分子の長軸方向がxy平面に対して垂直になるまで、x軸の周りを回転する。
図10における空間光変調器1000と同様に、入射光の偏光方向が矩形ナノピラーの長軸方向(すなわち、y軸方向)である場合、空間光変調器は、出射光に対して良好な位相調整制御効果を有している。
【0086】
従って、本出願のこの実施形態における反射型空間光変調器について、液晶分子は、整列単位構造体を含むメタマテリアル層に基づいて整列される。液晶分子の回転角を制御するために外部印加電圧を変化させることによって、光線の出射方向および位相が調整制御され得る。加えて、メタマテリアル層で蓄積された位相遅延を利用すること、または、液晶層の厚さを低減することによって、空間光変調器において深い位相変調が生成され得る。加えて、液晶分子の回転角を制御するように外部印加電圧を変化させることによって、透過光の出射方向および位相が調整制御され得る。別のタイプの液晶空間光変調器と比較して、メタマテリアル層に基づく透過型空間光変調器は、単純な構造を有し、準備するのがより容易であり、そして、液晶空間光変調器の構造を最適化する。
【0087】
図14は、本出願の一つの実施形態に適用可能な、再使用可能かつ調節可能なメタサーフェス構造1400を示している。
図14は、メタサーフェスの部分的な上面図である。整列方向が直交する2つの整列単位構造体1401を含むアレイが、それぞれに、左側および右側の基板層に配置されている。左側基板層において、矩形柱の長軸方向はx軸に平行であり、そして、液晶分子はx軸方向に平行に整列されている。右側基板層において、矩形柱の長軸方向はy軸に平行であり、そして、液晶分子はy軸方向に平行に整列されている。2つの整列方向における液晶分子の作用の下で、基板層の左側に入射する光線の偏光方向は、x軸方向に平行な方向に偏向され、そして、基板層の右側に入射する光線の偏光方向は、y軸方向に平行な方向に偏向される。同時に、メタサーフェスは、また、入射光線の位相変調を実施することもできる。
【0088】
従って、本出願のこの実施形態におけるメタサーフェス構造について、二重偏光(dual-polarization)方向変調が同じチップ上で実施され得る。そして、光線の位相変調が、さらに、実施され得る。メタサーフェス構造は、偏光線スプリッタ(polarization beam splitter)と協働して、偏光変換素子を低減し、そして、より良好な集積を実現する。
【0089】
前述の説明は、単に本出願の特定の実施態様に過ぎず、本出願の保護範囲を限定するように意図されたものではない。本出願において開示される技術的範囲内で、当業者によって、容易に考え出される任意の変形または置換は、本出願の保護範囲内に入るものである。従って、本出願の保護範囲は、請求項の保護範囲に従うものである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波制御装置であって、
上部電極層と、
下部電極層と、
前記上部電極層と前記下部電極層との間に配置された、液晶層および第1メタマテリアル層であり、
前記第1メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第1アレイを含み、
前記整列単位構造体の第1表面の縦横比は、1より大きく、
前記第1表面は、前記
整列単位構造体のものであり、かつ、前記液晶層から離れる方を向く、表面であり、かつ、
前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、2つの隣接する整列単位構造体間の間隔は、1nmから5000nmの範囲にある、
第1メタマテリアル層と、
を含む、装置。
【請求項2】
前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、前記間隔は、λ/1000からλまでの範囲にあり、ここで、λは、前記第1メタマテリアル層に入射する電磁波の波長であり、かつ、
前記電磁波の波長は、100nmから2000nmの範囲にある、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1表面の前記縦横比は、1.5以上である、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1メタマテリアル層は、前記液晶層の下面に配置されている、
請求項1乃至3いずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、さらに、
第2メタマテリアル層であり、
前記第2メタマテリアル層は、前記液晶層の上面に配置されており、かつ、
前記第2メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第2アレイを含む、
第2メタマテリアル層と、
を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第2アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に平行である、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、さらに、
ポリイミドPI摩擦層であり、
前記PI摩擦層は、前記液晶層の上面に配置されており、かつ、
前記PI摩擦層の整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である、
ポリイミドPI摩擦層と、
を含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記第1メタマテリアル層は、さらに、
整列単位構造体を含む第3アレイであり、
前記第3アレイの整列
方向が、前記第1アレイの整列
方向に対して垂直である、
第3アレイと、
を含む、請求項1乃至8いずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記装置は、さらに、
スペーサ層であり、
前記第1メタマテリアル層は、前記スペーサ層の表面に配置されている、
スペーサ層と、
を含む、請求項1乃至9いずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記整列単位構造体は、矩形柱である、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記整列単位構造体は、くさび形柱である、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記整列単位構造体は、三角柱であり、
前記第1表面は、前記三角柱の側面であり、かつ、
底部三角形の辺長に対する前記三角柱の高さの比は、1より大きい、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記整列単位構造体は、楕円柱であり、
前記第1表面は、前記楕円柱の底面であり、かつ、
前記楕円柱の前記底面の短軸に対する前記楕円柱の前記底面の長軸の比は、1より大きい、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記整列単位構造体は楕円体であり、
前記第1表面は、前記楕円体の投影面であり、かつ、
前記楕円体の前記投影面の短軸に対する前記楕円体の前記投影面の長軸の比は、1より大きい、
請求項1乃至10いずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記整列単位構造体の材料は、金属である、
請求項1乃至15いずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記整列単位構造体の材料は、誘電体材料である、
請求項1乃至15いずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記装置は、前記メタマテリアル層によって反射される前記電磁波を制御する、ように構成されている、
請求項1乃至17いずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記装置は、前記メタマテリアル層によって透過される前記電磁波を制御する、ように構成されている、
請求項1乃至17いずれか一項に記載の装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本出願は、電磁波制御装置に関する。そして、特には、液晶層を使用することによる電磁波制御装置に関する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
第1態様に従って、電磁波制御装置が提供される。電磁波制御装置は、上部電極層、下部電極層、および、上部電極層と下部電極層との間に配置された液晶層および第1メタマテリアル層を備える。前記第1メタマテリアル層は、整列単位構造体を含む第1アレイを含み、前記整列単位構造体の第1表面の縦横比は、1より大きく、前記第1表面は、前記整列単位構造体のものであり、かつ、前記液晶層から離れる方を向く、表面であり、かつ、前記第1表面の長さ、前記第1表面の幅、および、2つの隣接する整列単位構造体間の間隔は、1nmから5000nmの範囲にある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
第1態様に関連して、第1態様のいくつかの実施態様において、前記装置は、さらに、整列単位構造体を含んでいる第3アレイを含む。前記第3アレイの整列方向は、前記第1アレイの整列方向に対して垂直である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
図1の(c)は、
図1の(a)におけるメタマテリアル層104の上面図を示している。メタマテリアル層104は、整列単位構造体が整然と整列されたアレイを含んでいる。装置100は、一つの例として、矩形柱(rectangular column)単位構造体を使用することによって、
図1に記載されている。矩形柱単位構造体は、特定の縦横比を有し、その結果、メタマテリアル層104は、マイクロ「溝」構造を呈する。液晶分子は、矩形柱単位構造体によって形成された微小な「溝」の中に横たわる(lie down)ことができる。従って、液晶層105において、電極の表面上の液晶分子は、矩形柱単位構造体の長軸方向(major axis)に整列されている。上部および下部電極
層の間の液晶分子は、ファンデルワールス力(van der Waals force)の作用のせいで、平行に整列されようとする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
別の可能な装置構造が、
図6の(b)に示されており、上部電極層601、下部電極層602、液晶層603、第1メタマテリアル層604、および、第2
メタマテリアル層605を含んでいる。第1メタマテリアル層604は、液晶層の下面に配置されている。第2メタマテリアル層605は、液晶層の上面に配置されており、例えば、第2メタマテリアル層605は、上部電極層601の表面に配置される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0064
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0064】
任意の実装において、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置において、第1メタマテリアル層は、代替的に、整列単位構造体を含む第1アレイおよび整列単位構造体を含む第3アレイの両方を含んでよく、第3アレイの整列方向は、第1アレイの整列方向に対して垂直である。同じメタマテリアル層において2つの方向で液晶分子の整列を実施するために、整列方向が互いに垂直である2つのアレイが再利用される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0070】
本願のこの実施形態における電磁波制御装置は、投射ディスプレイ液晶オンシリコン(liquid crystal on silicon、LCOS)モジュールおよび波長選択スイッチ(wavelength-selective switch、WSS)といった構造体において使用され得ることが理解されるべきである。さらに、本出願のこの実施形態における電磁波制御装置は、空間光変調器(spatial light modulator、SLM)であってよく、そして、制御信号の制御下で、光波の位相、振幅、および強度といった特徴に対して時間的または空間的な変換または変調を実行し得る。制御信号は、光信号または電気信号であり得る。空間光変調器は、代替的に、複数の独立したユニット(unit)を含んでよく、そして、独立したユニットは、一次元または二次元アレイにおいて空間的に配置される。各ユニットは、制御信号の制御を独立して受信し、そして、入射光線を変調するために、信号に基づいて各ユニットの光学特性を変化させることができる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0074】
図10の(a)に示されるように、下部電極間には間隔が存在している。従って、マトリクス制御層は、複数の調整制御マトリクス単位(adjustment and control matrix unit)へと分割され得る。独立した電圧制御が、調整制御マトリクス単位間で実施され得る。
図10の(b)は、1つの調整制御行列ユニットの概略図である。各調整制御マトリクス単位は、少なくとも1つの矩形ナノピラー(rectangular nanopillar)を含み得る。
図10の(c)は、
図10の(a)に示される3つの調整制御マトリクス単位の上面図である。各調整制御マトリクス単位に対して異なる電圧が印加され、異なる回転角を呈するように液晶分子1003を制御する。従って、異なる調整制御マトリクス単位は、同じ波長を有する入射光に対して異なる位相調整制御効果を有する。メタマテリアル層で位相遅延が生成されることで、空間光変調器
構造体1000は、入射光に対して位相調整制御を実施し、そして、入射光の出射角の調整制御を実施することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
空間光変調器構造体1000において、上部電極1002と下部電極1002との間のマトリクス制御層の厚さは1.5μmである。各調整制御マトリクス単位においてx軸方向の電極の長さは690nmであり、そして、y軸方向の幅は345nmである。各TiO2矩形ナノピラーは、z軸方向に高さ250nm、y軸方向に長さ225nm、そして、x軸方向に幅150nmである。整列単位構造体904は、TiO2の矩形ナノピラーである。各調整制御マトリクス単位は、2つのTiO2矩形ナノピラーを含んでいる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0077
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0077】
空間光変調器構造体1000に関連する材料は誘電体材料であり、かつ、600nmから700nmまでの範囲では、大部分の入射光は吸収されないことが理解されるべきである。整列単位構造体1004に用いられるTiO2材料は、代替的に、抵抗損失がなく、高屈折率を有する、別の材料に置き換えられ得る。そして、矩形ナノピラーの幾何学的構造が調整され、調整制御マトリクス単位の周期構造が調整制御されるとすれば、同じ機能が実装され得る。
【国際調査報告】