(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】平坦化された頂点を有した拡張可能な人工心臓弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564578
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 US2022025687
(87)【国際公開番号】W WO2022226147
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】タミール・エス・リーヴァイ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・グロヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】カリン・ラボン
(72)【発明者】
【氏名】エレナ・シャーマン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC01
4C097CC16
4C097SB02
(57)【要約】
径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含む人工心臓弁が開示されている。フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。フレームは、流入端部および流出端部のところに形成された複数の頂点領域をさらに含み、各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分によって、流出側支柱の一つまたは流入側支柱の一つを形成している。各頂点領域は、狭められた幅と、流出側支柱または流入側支柱の全長の少なくとも25%に沿って延びた長さと、を有しており、狭められた幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工心臓弁であって、
径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、
前記フレームは、前記フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、前記複数の相互接続された支柱は、前記流出端部を規定する複数の流出側支柱と、前記流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、
各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、狭められた幅と、前記流出側支柱または前記流入側支柱の全長の少なくとも25%に沿って延びた長さと、を有しており、前記狭められた幅は、前記二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さい、人工心臓弁。
【請求項2】
各頂点領域は、対応した流出側支柱または流入側支柱における前記二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、請求項1に記載の人工心臓弁。
【請求項3】
各頂点領域は、1mmよりも大きな曲率半径を有して湾曲した外面を含み、前記湾曲した外面は、対応した流出側支柱または流入側支柱の前記二つの角度付き支柱部分における外面どうしの間に延びている、請求項1または請求項2に記載の人工心臓弁。
【請求項4】
各頂点領域の前記長さは、0.9mm~2.2mmの範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項5】
各頂点領域の前記長さは、1.9mm~2.2mmの範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項6】
前記流出端部のところでの各頂点領域の前記長さは、1.8mm~2.4mmの範囲内であり、前記流入端部のところでの各頂点領域の前記長さは、0.8mm~1.2mmの範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項7】
各頂点領域の前記狭められた幅は、前記二つの角度付き支柱部分の前記幅と比較して、0.06mm~0.15mmの分だけ小さい、請求項1~6のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項8】
前記フレームに対して固定された複数の弁尖と、前記複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する前記複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウと、をさらに含み、前記第一セル列は、前記フレームの前記流出端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、前記複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項9】
各交連ウィンドウは、前記交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに前記交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、前記上側端部部分および前記下側端部部分の、前記フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、前記二つの角度付き支柱部分の前記幅よりも大きい、請求項8に記載の人工心臓弁。
【請求項10】
前記上側端部部分は、前記上側端部部分が接続している前記二つの角度付き支柱部分における第一角度付き支柱部分の基部のところで凸状湾曲に隣接して、内部に配置された凹状領域を含み、前記凸状湾曲は、前記第一角度付き支柱部分内の凹状湾曲から延びている、請求項9に記載の人工心臓弁。
【請求項11】
人工心臓弁であって、
径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、
前記フレームは、前記フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、前記複数の相互接続された支柱は、前記第一端部を規定する複数の第一支柱と、前記第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、各第一支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、
前記頂点領域は、前記二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、前記二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、前記頂点領域は、前記二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きな角度を形成している、人工心臓弁。
【請求項12】
前記角度は、120度よりも大きくかつ最大で140度までである、請求項11に記載の人工心臓弁。
【請求項13】
前記頂点領域は、前記二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面に対して連続した湾曲した軸線方向を向いた外面と、軸線方向を向いた内側凹所と、を含み、前記内側凹所は、前記二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた内面から、前記湾曲した外面に向けて、凹んでいる、請求項11または請求項12に記載の人工心臓弁。
【請求項14】
各第二支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、前記頂点領域は、前記二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、前記二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、前記頂点領域は、前記二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きな角度を形成しており、前記第一端部は、前記フレームの流出端部であり、前記第二端部は、前記フレームの流入端部である、請求項11~13のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項15】
各第一支柱は、前記フレームの前記流出端部のところに配置された第一セル列をなすセルの流出エッジを形成しており、各第二支柱は、前記フレームの前記流入端部のところに配置された第二セル列をなすセルの流入エッジを形成しており、前記第一セル列をなす前記セルは、前記第二セル列をなす前記セルと比較して、前記フレームの中央長手方向軸線に関して、より長い軸線方向長さを有している、請求項14に記載の人工心臓弁。
【請求項16】
前記複数の相互接続された支柱は、前記中央長手方向軸線の方向に延びているとともに前記フレームの周縁まわりにおいて互いに離間して配置された複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、前記第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成しており、各軸線方向支柱は、前記複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している、請求項15に記載の人工心臓弁。
【請求項17】
前記フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含み、前記複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する前記複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウをさらに含み、前記第一セル列は、前記フレームの前記第一端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、前記複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、請求項11~16のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項18】
各交連ウィンドウは、前記交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに前記交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、前記上側端部部分は、内部に配置された二つの開口を含む、請求項17に記載の人工心臓弁。
【請求項19】
人工心臓弁であって、
径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームであって、
前記フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱であって、前記複数の相互接続された支柱は、前記第一端部を規定する複数の第一支柱と、前記第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、各第一支柱は、
二つの角度付き支柱部分と、
前記二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域であって、前記二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、前記二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有している頂点領域と、を含む、複数の相互接続された支柱を含む、フレームと、
前記フレームの前記頂点領域を巻回して被覆する被覆部材と、を含む、人工心臓弁。
【請求項20】
前記被覆部材は、材料ストリップまたは材料バンドからなる複数の連続ループを含む、請求項19に記載の人工心臓弁。
【請求項21】
前記フレームの前記頂点領域は、頂点と、前記頂点から互いに逆向きにかつ外向きに延びた二つの薄肉支柱部分と、を含み、前記二つの薄肉支柱部分の幅は、前記二つの角度付き支柱部分の幅よりも狭く、前記頂点領域は、前記頂点領域の前記幅の狭い二つの薄肉支柱部分から前記幅の広い二つの角度付き支柱部分へと移行する肩部を前記頂点領域の両サイド上に含み、前記材料ストリップまたは前記材料バンドからなる前記複数の連続ループは、前記頂点領域の前記肩部どうしの間において、前記二つの薄肉支柱部分を巻回している、請求項20に記載の人工心臓弁。
【請求項22】
前記第一端部は、前記フレームの流入端部であり、各頂点領域は、対応した第一支柱における前記二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、請求項19~21のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【請求項23】
前記フレームの外面まわりに配置された外側スカートをさらに含み、前記被覆部材は、前記外側スカートが前記フレームに対して固定されるよう、前記外側スカートを通して延びている、請求項19~22のいずれか一項に記載の人工心臓弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2021年4月22日付けで出願された米国仮特許出願第63/178,416号明細書、2021年5月28日付けで出願された米国仮特許出願第63/194,830号明細書、および2021年11月13日付けで出願された米国仮特許出願第63/279,096号明細書、の優先権を主張するものであり、これら文献のすべては、それらの全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、幅が狭められかつ高さが低減された頂点領域を有したフレームを含むような、拡張可能な人工心臓弁に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの心臓は、様々な弁膜症に罹患する可能性がある。これらの弁膜症は、心臓の深刻な機能不全を引き起こし得るものであって、最終的には、天然弁を修復することが必要となったり、天然弁を人工弁へと置換することが必要となったり、することがある。修復デバイス(例えば、ステント)および人工弁として、多数のものが知られているとともに、それらデバイスおよび弁をヒト内へと移植するための方法としても、多数のものが知られている。経皮的なおよび低侵襲的な外科的アプローチを、様々な手順で使用することで、患者の身体内部における、手術では容易にアクセスし得ない位置へと、また、手術なしでアクセスすることが望ましい位置へと、人工医療デバイスを送達することができる。一具体例では、人工心臓弁を、送達装置の遠位端部上に圧着状態で装着し得るとともに、患者の血管系を通して(例えば、大腿動脈および大動脈を通して)前進させることができ、人工弁を心臓内の移植部位へと到達させることができる。その後、人工弁を、例えば、人工弁が装着されているバルーンを膨張させることにより、または人工弁に対して拡張力を印加する機械的アクチュエータを駆動することにより、または人工弁を送達装置のシースから展開することで人工弁をその機能的サイズへと自己拡張させ得ることにより、その機能的サイズへと拡張させる。
【0004】
大部分の拡張可能な経カテーテル心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な円筒形の金属フレームと、フレームの内部に装着された人工弁尖と、を含む。フレームは、フレームに複数列の開放セルを形成する、周方向に延びた複数列の角度付き支柱を含むことができる。フレームは、流入端部および流出端部のそれぞれのところに、フレームの周まわりにおいて互いに離間して配置された複数の頂点を含むことができ、各頂点は、フレームの流入端部または流出端部のいずれかのところに、二つの角度付き支柱(または、支柱部分)の間における接合部を形成する。場合によっては、人工心臓弁は、頂点のところで鋭角を形成する角度付き支柱を有したフレームを備えており、その結果、頂点のところに比較的大きな応力が集中することがある。他の人工心臓弁は、各頂点のところで隣接した角度付き支柱どうしを接続する実質的に垂直なU字形状部分を有した頂点を備えたフレームを有することができ、これにより、角度付き支柱を横断して頂点から離間するように応力が分散する。しかしながら、このような頂点設計は、フレームの全高(軸線方向における全高)を増加させ得る。
【0005】
上述したフレーム頂点構成に関する別の問題点は、露出した先行側の頂点または遠位側(例えば、流入側)頂点が、膨張可能バルーンに対して、および/または、送達装置が移植部位への経路で内部を通して移動する送達シースに対して、相互作用することを含む。例えば、実例によっては、人工心臓弁は、バルーンに向けてさらにバルーンを超えて展開位置へと押し出されることができ、移植部位へと到達した時には、頂点がバルーンと擦れることとなる、および/または、バルーンを摩耗させてしまうこととなる。場合によっては、これにより、バルーンの劣化を引き起こす可能性があり、その結果、移植部位における膨張が不充分となることがあり得る。他の例では、血管系を通しての、また、血管系の一部に沿って延びた送達シースを通しての、移植部位への操縦時に、弁フレームの遠位端部(例えば、流入端部)における複数の尖鋭なまたは鋭角の頂点が、送達シースに当たって偏向したり送達シースを穿孔したりする可能性があり、それにより、シースに対して、また潜在的には血管系に対して、損傷を与える可能性がある。
【0006】
したがって、人工心臓弁のためのフレーム設計を改良することが要望されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で説明するものは、複数の相互接続された支柱を備えた径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含む人工心臓弁の例である。人工心臓弁は、フレームに対して固定された弁尖アセンブリをさらに含むことができる。いくつかの例では、フレームの支柱は、フレームの流入端部と流出端部の間に配置された複数のセル列を規定することができる。流出端部は、複数の流出側支柱によって規定することができ、流入端部は、複数の流入側支柱によって規定することができる。フレームは、二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに二つの角度付き支柱部分によって流入側支柱の一つまたは流出側支柱の一つを形成している複数の頂点領域を、さらに含むことができる。頂点領域は、より非外傷性であるように構成され得るとともに、軸線方向においてより低い高さを有するように構成することができる。例えば、いくつかの実例では、頂点領域は、周方向における長さ部分にわたって延びる(角度付き支柱部分と比較して)狭められた幅を有することができる。他の実例では、頂点領域(代替可能に、頂点と称することができる)は、狭められた幅を有し得るとともに、頂点の薄肉領域から外向きに突出した中央突起を有することができる。
【0008】
一つの代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含む。各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、狭められた幅と、流出側支柱または流入側支柱の全長の少なくとも25%に沿って延びた長さと、を有しており、狭められた幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さい。
【0009】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。複数の流出側支柱および複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含む。頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に単一の湾曲を形成する湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の幅が二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さくなるよう、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点領域の湾曲した外面に向けて、内向きに凹んでいる軸線方向を向いた内側凹所と、を含む。
【0010】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。複数の流出側支柱および複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、頂点と、頂点領域の中央長手方向軸線に対して頂点から互いに逆向きにかつ外向きに延びた二つの薄肉支柱部分と、を含む。二つの薄肉支柱部分の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さく、二つの薄肉支柱部分の組合せ長さは、頂点領域を含む対応した流出側支柱または流入側支柱の長さの少なくとも25%である。
【0011】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含む。各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有している。各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きな角度を形成している。
【0012】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含む。各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有している。各頂点領域は、フレームの初期的な径方向圧縮時には塑性変形するように構成されており、これにより、フレームは、歪み硬化するようになるとともに、フレームの曲げ点は、その後の径方向拡張時には、頂点領域から離間して、角度付き支柱部分の端部へと移動する。
【0013】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、第一セル列をなすセルは、複数のセル列における残りのセル列をなすセルと比較して、より大きな軸線方向長さを有している。フレームは、複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定しているとともに、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有した中間部分と、中間部分の両端部上に配置されておりかつそれぞれが中間部分の幅よりも広い幅とされた上側端部部分および下側端部部分と、を含む。
【0014】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。複数の流出側支柱および複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点と、を含み、頂点は、軸線方向を向いた内面を有しており、内面は、内面内へと凹んだ二つの内側凹所と、二つの内側凹所から離間して突出しているとともに二つの内側凹所の間に配置された中央突起と、を含む。二つの内側凹所は、頂点の薄肉領域を形成しており、薄肉領域は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さな幅とされている。
【0015】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、各第一支柱は、頂点によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含む。第一端部のところでの一つまたは複数の頂点をなす各頂点は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、さらに、頂点の軸線方向を向いた内面から離間して突出した中央突起を含む。
【0016】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、フレームは、複数の軸線方向支柱をさらに含む。各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定しているとともに、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している。各軸線方向支柱は、軸線方向支柱の長さに沿って配置された一つまたは複数のスリットを含み、一つまたは複数のスリットは、軸線方向支柱の幅の一部を通して延びている。
【0017】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、フレームは、複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定しているとともに、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している。各軸線方向支柱は、軸線方向支柱の長さに沿って互いに離間して配置された複数のスリットを含み、複数のスリットをなす各スリットは、軸線方向支柱の幅の一部を通して延びている。
【0018】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含む。各第一支柱は、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有している。人工心臓弁は、フレームの頂点領域を巻回して被覆する被覆部材をさらに含む。
【0019】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含む。複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に単一の湾曲を形成する湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の幅が二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さくなるよう、さらに、頂点領域の各端部に、頂点領域の小さい幅から二つの角度付き支柱部分の幅へと移行する肩部が形成されるよう、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点領域の湾曲した外面に向けて、内向きに凹んでいる軸線方向を向いた内側凹所と、を含む。人工心臓弁は、頂点領域の肩部どうしの間においてフレームの頂点領域の少なくとも一部を巻回して被覆する複数のループを含む被覆部材をさらに含む。
【0020】
別の代表的な例では、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、複数の第一支柱のそれぞれは、頂点領域を含み、人工心臓弁は、フレームの内面または外面のいずれかの周囲に配置されているとともにフレームに対して結合されたスカートを、さらに含む。スカートは、スカートの周縁まわりに延びているとともにフレームの第一端部に対して接続された第一エッジと、第一エッジから延びているとともに互いに離間して配置された複数の軸線方向延出フラップと、を含み、複数の軸線方向延出フラップの各フラップは、頂点領域が被覆されるように、対応した頂点領域を巻回している。
【0021】
本開示における様々な革新は、組み合わせてまたは個別的に、使用することができる。本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明する様々な概念の選択を簡略的な形態で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題に関する主要な特徴または必須の特徴を特定することを意図したものではなく、また、特許請求される主題の範囲を限定するために使用することを意図したものでもない。本開示に関する上記のおよび他の、目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明から、特許請求の範囲から、および添付図面から、より明瞭となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、一例による人工心臓弁に関する斜視図である。
【
図2】
図2は、移植部位へと径方向に拡張可能な人工心臓弁を送達して移植するように構成された送達装置の一例に関する側面図である。
【
図3】
図3は、別の例による人工心臓弁に関する斜視図である。
【
図4】
図4は、送達装置の遠位端部部分の一部上へとかつその一部の周囲へと径方向に圧縮された
図3の人工心臓弁に関する側面図である。
【
図5】
図5は、別の例による人工心臓弁のためのフレームに関する側面図であって、フレームは、フレームの流入端部または流出端部のところでのフレームの角度付き支柱どうしの間に比較的大きな角度を形成するとともに比較的大きな曲率半径を有した頂点あるいは頂点領域を有している。
【
図6】
図6は、
図6のフレームの一部に関する拡大図であって、頂点領域における角度付き支柱どうしの間の角度を示している。
【
図7】
図7は、人工心臓弁のフレームの、フレームの流出端部から離間してオフセットされているとともにフレームの流出端部のところでのセル列における二つの隣接したセルの下側部分に向けて配置された複数の交連ウィンドウを含む一部に関する拡大図である。
【
図8A】
図8Aは、人工心臓弁の例示的なフレームの、フレームの交連ウィンドウを形成するウィンドウ支柱部分と交連ウィンドウの上方における単一の開口とを含む一部に関する拡大図である。
【
図8B】
図8Bは、人工心臓弁の例示的なフレームの、フレームの交連ウィンドウを形成するウィンドウ支柱部分と交連ウィンドウの上方における二つの開口とを含む一部に関する拡大図である。
【
図9A】
図9Aは、フレームの、フレームの流出端部のところでの流出側頂点領域とフレームの流入端部のところでの流入側頂点領域とを含む一部に関する側面図であって、流出側頂点領域および流入側頂点領域は、異なる長さにわたって延びた狭められた幅を有している。
【
図10A】
図10Aは、フレームの、フレームの流出端部および流入端部の両方における頂点領域を含むフレームの一部に関する側面図であって、頂点領域は、フレームの流出側支柱または流入側支柱に沿ったある距離にわたって延びた狭められた幅を有している。
【
図11】
図11は、一例による人工心臓弁のためのフレームに関する部分図であって、フレームは、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分でありかつフレームの交連ウィンドウを規定するウィンドウ支柱部分を含む。
【
図12】
図12は、径方向圧縮構成と径方向拡張構成とによる、人工心臓弁のためのフレームに関するオーバーラップした部分図である。
【
図13】
図13は、フレームとフレームに対して固定された外側スカートとを含む人工心臓弁の一例に関する斜視図である。
【
図14A】
図14Aおよび
図14Bは、
図10Aにおけるフレームの頂点領域を示しており、頂点領域は、捩られた外面を形成するよう、軸線まわりに回転駆動されているまたは捩られている。
【
図15】
図15は、
図10Aにおけるフレームに関する部分図であって、フレームの頂点領域の少なくとも一部に対して結合しておりかつその一部を被覆している例示的なクッション部材を示している。
【
図16A】
図16Aは、人工心臓弁のためのフレームに関する部分図であって、フレームの、中央の突起によって互いに分離された二つの湾曲した内側凹所を含む一つの頂点を示している。
【
図17】
図17は、人工心臓弁のためのフレームに関する部分図であって、フレームの一つの拡幅された軸線方向支柱を示しており、軸線方向支柱は、複数のスリットを含む。
【
図18】
図18は、先に移植された第一人工心臓弁の内部で拡張された第二人工心臓弁と、第一人工心臓弁および第二人工心臓弁の隣接した軸線方向支柱を互いに離間するように湾曲させることで冠動脈アクセス用の空間を形成しているバルーンと、に関する部分図である。
【
図19】
図19は、
図11におけるフレームに関する部分図であって、フレームは、軸線方向支柱の柔軟性を増大させるように構成された複数のスリットを有した軸線方向支柱を含む。
【
図20】
図20は、人工心臓弁のフレームの、頂点領域と頂点領域の少なくとも一部を巻回しているとともにその少なくとも一部を被覆している例示的な被覆部材とを含む一部に関する側面図である。
【
図21】
図21は、人工心臓弁のフレームの、例示的な被覆部材によって巻回されて被覆されているフレームの第一端部における頂点領域を含む一部に関する側面図である。
【
図23】
図23は、人工心臓弁のフレームの、別の例示的な被覆部材によって巻回されて被覆されているフレームの第一端部における頂点領域を含む一部に関する斜視側面図である。
【
図25】
図25は、人工心臓弁の、フレームとフレームがなす面の周囲に配置されたスカートとを含む一部に関する側面図であって、スカートは、フレームの第一端部における頂点領域を巻回して被覆するように構成された遠位フラップを含む。
【
図27】
図27は、人工心臓弁のフレームの一部に関する、フレームの内部から見た斜視図であって、フレームの頂点領域の周囲においてフレームの外面の周囲に配置された外側スカートを通して延びている例示的な被覆部材を示しており、これにより、例示的な被覆部材は、頂点領域の少なくとも一部を被覆しているとともに、外側スカートをフレームに対して固定している。
【
図28A】
図28Aは、フレームの頂点領域を被覆するとともに外側スカートをフレームに対して固定するために同じ被覆部材を使用するための例示的な方法の第一部分を示しており、この場合、被覆部材は、第一頂点領域の周囲において外側スカートを通過している複数のループを形成するために、使用されている。
【
図28B】
図28Bは、フレームの頂点領域を被覆するとともに外側スカートをフレームに対して固定するために同じ被覆部材を使用するための例示的な方法の第二部分を示しており、この場合、被覆部材は、第一頂点領域の周囲に複数のループを形成した後に、第一頂点領域のところに二つの結び目を形成するために、使用されている。
【
図28C】
図28Cは、フレームの頂点領域を被覆するとともに外側スカートをフレームに対して固定するために同じ被覆部材を使用するための例示的な方法の第三部分を示しており、この場合、被覆部材は、外側スカートのエッジ部分に沿って、隣接した頂点領域どうしの間にホイップステッチを形成するために、その後、第二頂点領域の周囲にループを形成するために、使用されている。
【
図29】
図29は、人工心臓弁に関する、人工心臓弁の外側から見た斜視図であって、人工心臓弁の、フレームの流入端部に対して取り付けられた外側スカートでありかつフレームの頂点領域の周囲において外側スカートを通して延びている被覆部材を有した外側スカートを示している。
【
図30】
図30は、人工心臓弁のフレームの、内部に交連ウィンドウを規定する軸線方向延出支柱を含む一部に関する斜視側面図であって、交連ウィンドウの一側部上に配置された軸線方向延出支柱の端部部分は、軸線方向延出支柱が接続されるフレームの角度付き支柱における基部のところで、内部に凹状領域を含む。
【
図31】
図31は、人工心臓弁のフレームの一部に関する拡大図であって、フレームの軸線方向延出支柱の流出端部部分と、フレームの角度付き支柱と、の間の移行部に配置された凹状領域に関する別の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一般的な考慮事項
本明細書の目的のために、本開示の例における特定の態様、利点、および新規な特徴について、本明細書で説明する。説明する方法、システム、および装置は、いかようにも限定的なものとして解釈されるべきではない。代わりに、本開示は、単独で、互いの様々な組合せで、および互いの様々な下位組合せで、様々な開示する例に関する、すべての新規かつ非自明な、特徴および態様を対象とする。開示する方法、システム、および装置は、特定の態様、特徴、またはこれらの組合せに限定されるものではなく、また、開示する方法、システム、および装置は、任意の一つまたは複数の特定の利点が存在することを必要とするものでも、解決すべき問題点を必要とするものでも、ない。
【0024】
いくつかの開示する例における操作は、提示の便宜上、特定の連続した順序で説明されているけれども、この説明の態様が、以下に記載した具体的な文言によって特定の順序が要求されない限り、並べ替えを包含するものであることは、理解されよう。例えば、順次的に説明する操作は、場合によっては、並べ替えられてもよく、また、同時に実行されてもよい。その上、簡略化のために、添付図面は、開示する方法を他の方法と組み合わせて使用し得る様々な態様を示していないことがあり得る。追加的に、説明では、開示する方法を記述するために、時に、「提供する」または「達成する」などの用語を使用する。これらの用語は、実行される実際の操作に関する高レベルの抽象概念である。これらの用語に対応した実際の操作は、特定の実装によって相違し得るものであって、当業者であれば容易に認識可能である。
【0025】
本出願および特許請求の範囲で使用した際には、「一つの(a)」、「一つの(an)」、「その(the)」という単数形は、文脈が別段のことを明確に記述しない限り、複数形を含む。追加的に、「含む(includes)」という用語は、「含む(comprises)」ことを意味する。さらに、「結合する(coupled)」という用語は、一般に、物理的に、機械的に、化学的に、磁気的に、および/または電気的に、結合または連結することを意味するものであり、特定の反対の文言がない限り、結合されたまたは関連付けられた部材どうしの間における中間介在要素の存在を排除するものではない。
【0026】
本明細書で使用した際には、「近位」という用語は、ユーザに対してより近くであり、かつ、移植部位から離間している、デバイスの位置、方向、または部分を指す。本明細書で使用した際には、「遠位」という用語は、ユーザから離間しており、かつ、移植部位に対してより近くである、デバイスの位置、方向、または部分を指す。よって、例えば、デバイスの近位移動とは、デバイスが移植部位から離間して、ユーザへと向かう(例えば、患者の体外へと)移動であり、他方、デバイスの遠位移動とは、デバイスがユーザから離間して、移植部位へと向かう(例えば、患者の体内へと)移動である。「長手方向」および「軸線方向」という用語は、別段に明示的に定義されない限り、近位向きにおよび遠位向きに延びた軸線を指す。
【0027】
開示する技術の例
本明細書で説明するものは、環状フレームを含む径方向に拡張可能かつ圧縮可能な人工心臓弁の例である。人工心臓弁は、フレームに対して取り付けられた複数の弁尖をさらに含んでもよい。いくつかの例では、弁尖は、弁尖の隣接した端部の対(例えば、交連タブ)を接合することによって形成される交連を介して、フレームに対して取り付けることができる。
【0028】
いくつかの例では、人工心臓弁のフレームは、フレームの相互接続された支柱によって形成された複数のセル列を含むことができる。複数のセル列は、フレームの流出端部に配置された第一セル列を含むことができる。いくつかの例では、第一セル列のセルは、フレームの残りのセル列をなすセルに対して、軸線方向に長尺である。
【0029】
フレームは、流入端部および流出端部のそれぞれにおいて、フレームの周まわりにおいて互いに離間して配置された複数の頂点領域を含むことができ、各頂点領域は、フレームの流入端部または流出端部のいずれかにおいて、二つの角度付き支柱部分の間に接合部を形成している。例えば、二つの角度付き支柱部分と、対応した頂点領域とは、一緒になって、フレームの流出端部に位置した流出側支柱を、またはフレームの流入端部に位置した流入側支柱を、形成することができる。各頂点領域は、対応した二つの角度付き支柱部分の間で湾曲し得るとともに、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さな幅(頂点領域の湾曲に対して直交した向きにおいて)を有している。
【0030】
いくつかの例では、頂点領域は、対応した流出側支柱または流入側支柱の長さと比較して、少なくとも25%をなす長さを有することができる。さらに、いくつかの例では、頂点領域は、より尖鋭な形状またはU字形状を有した従来的な頂点と比較して、より大きな曲率半径を有し得るとともに、二つの角度付き支柱部分の間におけるより大きな角度(例えば、120度~140度)を規定することができる。この結果、頂点領域は、軸線方向において規定された比較的小さな全高を有することができる(例えば、角度付き支柱部分の幅よりも小さな頂点領域の幅に等しい)。
【0031】
いくつかの例では、頂点領域は、マイクロサイズの突起によって互いに分離された二つの湾曲した内側凹所を含むことができる。
【0032】
このようにして、頂点領域の比較的小さな高さは、フレームの流出端部のセルが、より長い軸線方向長さを有することを可能とし、これにより、血流および冠動脈アクセスに関して、セルの流出端部のところで、より大きな開放空間をもたらす。さらに、上述した頂点領域の構成は、フレームの流出端部および流入端部のところに、より非外傷性の頂点領域を提供することができ、これにより、頂点領域と、送達装置および/または送達シースのバルーンと、の間における相互作用を低減することができる。
【0033】
さらに、いくつかの例では、クッション部材または被覆部材は、フレームの端部で、頂点もしくは頂点領域の少なくとも一部を被覆および/または巻回することができ、これにより、さらに非外傷性の頂点領域または頂点を提供し得るとともに、径方向に圧縮された人工心臓弁を、送達装置を介して移植部位へと操縦する際には、送達シースを通しての押し込み力を潜在的に減少させることができる。
【0034】
本明細書で開示する人工弁は、径方向圧縮状態と径方向拡張状態との間にわたって、径方向に圧縮可能とされ得るとともに、径方向に拡張可能とすることができる。よって、人工弁は、送達時には、径方向圧縮状態でインプラント送達装置によって圧着または保持され得るとともに、その後、人工弁が移植部位へと到達した後には、径方向拡張状態へと拡張することができる。本明細書で開示する人工弁が、様々なインプラント送達装置と共に使用され得ること、また、様々な送達手順を介して移植され得ることは、理解されるとともに、それら人工弁の例について、以下においてより詳細に説明することとなる。
【0035】
図1は、一例による人工心臓弁10を示している。本明細書で開示する人工弁はいずれも、天然の大動脈弁輪内へと移植されるように適合されているけれども、他の例では、人工弁は、心臓における他の天然の弁輪(例えば、肺動脈弁、僧帽弁、および三尖弁)内へと移植されるように適合することができる。開示する人工弁は、また、肺動脈(罹患した肺動脈弁の機能を置換するため)、上大静脈または下大静脈(罹患した三尖弁の機能を置換するため)、あるいは、患者の様々な他の静脈、動脈、および血管、を含めて、心臓に対して連通した血管の内部に移植することもできる。開示する人工弁は、また、バルブインバルブ手順において以前に移植された人工弁(人工外科弁または人工経カテーテル心臓弁とすることができる)の内部に移植することができる。
【0036】
いくつかの例では、開示する人工弁は、天然の心臓弁もしくは血管の内部に移植されるドッキングデバイスまたはアンカーデバイスの内部に移植することができる。例えば、一例では、開示する人工弁は、米国特許出願公開第2017/0231756号明細書に開示されているように、罹患した肺動脈弁の機能を置換するために肺動脈の内部に移植されたドッキングデバイスの内部に、移植することができ、この文献は、参照により本明細書に援用される。別の例では、開示する人工弁は、国際公開第WO2020/247907号に開示されているように、天然の僧帽弁の内部にまたは僧帽弁のところに移植されたドッキングデバイスの内部に、移植することができ、この文献は、参照により本明細書に援用される。別の例では、開示する人工弁は、米国特許出願公開第2019/0000615号明細書に開示されているように、罹患した三尖弁の機能を置換するために上大静脈の内部にまたは下大静脈の内部に移植されたドッキングデバイスの内部に、移植することができ、この文献は、参照により本明細書に援用される。
【0037】
人工弁10は、四つの主要な構成要素を有することができる、すなわち、ステントまたはフレーム12と、弁膜構造14と、内側スカート16と、弁周囲外側シール部材または外側スカート18と、を有することができる。人工弁10は、流入端部部分15と、中間部分17と、流出端部部分19と、を有することができる。内側スカート16は、フレーム12の内面上に配置することができ、および/またはフレーム12の内面に対して結合することができ、他方、外側スカート18は、フレーム12の外面上に配置することができる、および/またはフレーム12の外面に対して結合することができる。
【0038】
弁膜構造14は、集合的に弁尖構造を形成する三つの弁尖40を含むことができ、これら三つの弁尖は、三尖弁配置で圧潰するように構成され得るけれども、他の例では、より多数の弁尖が、またはより少数の弁尖が、存在することができる(例えば、一つまたは複数の弁尖40)。弁尖40は、隣接した側面のところで互いに固定することができ、これにより、弁尖構造14の交連22を形成することができる。弁膜構造14の下側エッジは、起伏のある湾曲したスカラップ形状を有することができ、縫合糸(図示せず)によって内側スカート16に対して固定することができる。いくつかの例では、弁尖40は、心膜組織(例えば、ウシ心膜組織)、生体適合性合成材料、あるいは、参照により本明細書に援用される米国特許第6,730,118号明細書に記載されているような当該技術分野において公知の様々な他の適切な天然材料または合成材料、から形成することができる。
【0039】
フレーム12は、径方向に圧縮可能(圧潰可能)かつ拡張可能(例えば、
図1に示す拡張構成)とされ得るとともに、複数の相互接続された支柱24を含む。周方向に離間した複数の頂点26が、フレーム12の流入端部部分15に、および流出端部部分19に、形成されている(
図1では、流出端部部分19における頂点26のみを、見ることができる)。各頂点26は、流入端部部分15または流出端部部分19のいずれかにおいて、二つの角度付き支柱24の間における接合部のところに形成されている。
図1は、二つの角度付き支柱24の間にU字形状の湾曲を形成している頂点26を有した既知のフレーム設計を図示している。いくつかの例では、頂点26のところで接続している二つの角度付き支柱24の間における角度30は、90度~120度の範囲とすることができる。
【0040】
フレーム12は、弁膜構造14の交連22をフレームに対して取り付けるように適合された複数の周方向に離間したスロットすなわち交連ウィンドウ20を有して形成することができる。フレーム12は、様々な適切な塑性的拡張可能材料(例えば、ステンレス鋼、等)または自己拡張材料(例えば、ニチノール)のいずれかから形成することができる。塑性的拡張可能材料から構成された時には、フレーム12(よって、人工弁10)は、送達カテーテルまたは送達装置上において径方向圧潰構成へと圧着され得るとともに、その後、膨張可能バルーンによって、または同等の拡張機構によって、患者の内部で拡張されることができる。自己拡張可能な材料から構成された時には、フレーム12(よって、人工弁10)は、径方向圧潰構成へと圧着され得るとともに、送達カテーテルのシース内へとまたは同等の機構内へと挿入することによって、圧潰構成を保持することができる。体内へと入った後には、人工弁を、シースから前進させることができ、これにより、人工弁を、機能的なサイズへと拡張させることができる。
【0041】
フレーム12を形成するために使用され得る適切な塑性的拡張可能材料は、限定するものではないが、ステンレス鋼、生体適合性の高強度合金(例えば、コバルト-クロム合金、またはニッケル-コバルト-クロム合金)、ポリマー、またはこれらの組合せ、を含む。特定の例では、フレーム12は、ニッケル-コバルト-クロム-モリブデン合金から形成され、例えば、MP35N(登録商標)合金(SPS Technologies、ペンシルベニア州Jenkintown)から形成され、これは、UNS R30035合金(ASTM F562-02によって被覆されている)と同等である。MP35N(登録商標)合金/UNS R30035合金は、35重量%のニッケルと、35重量%のコバルトと、20重量%のクロムと、10重量%のモリブデンと、を含む。人工弁10に関する、および人工弁の様々な構成要素に関する、追加的な詳細は、国際特許出願公開第WO2018/222799号に記載されており、この文献は、参照により本明細書に援用される。
【0042】
図2は、拡張可能な人工心臓弁(例えば、
図1の人工心臓弁10、または、本明細書で説明する任意の他の人工心臓弁)を移植するために使用し得るような、一例による送達装置100を示している。いくつかの例では、送達装置100は、人工弁を心臓内へと導入する際に使用するように、具体的に適合されている。
【0043】
図2の図示した例における送達装置100は、バルーンカテーテルであって、ハンドル102と、ハンドル102から遠位向きに延びた操縦可能な外側シャフト104と、を含む。送達装置100は、ハンドル102から近位向きにおよびハンドル102から遠位向きに延びた中間シャフト106(バルーンシャフトとも称され得る)をさらに含むことができ、ハンドル102から遠位向きに延びた部分は、また、外側シャフト104を通して同軸的に延びている。追加的に、送達装置100は、中間シャフト106および外側シャフト104を通して同軸的にハンドル102から遠位向きに延びるとともに中間シャフト106を通して同軸的にハンドル102から近位向きに延びる内側シャフト108をさらに含むことができる。
【0044】
外側シャフト104および中間シャフト106は、患者の体内の移植部位へと人工弁を送達して位置決めすることを容易とするために、送達装置100の中央長手方向軸線120に沿って、互いに対して長手方向に並進(例えば、移動)するように構成することができる。
【0045】
中間シャフト106は、ハンドル102の近位端部からアダプタ112までにわたって近位向きに延びた近位端部部分110を含むことができる。回転可能なノブ114を、近位端部部分110に対して取り付け得るとともに、中間シャフト106を中央長手方向軸線120まわりにおいて外側シャフト104に対して回転させるように構成することができる。
【0046】
アダプタ112は、内部を通してガイドワイヤを受領するように構成された第一ポート138と、流体源から流体(例えば、膨張流体)を受領するように構成された第二ポート140と、を含むことができる。第二ポート140は、中間シャフト106の内腔に対して、流体的に結合することができる。
【0047】
中間シャフト106は、外側シャフト104の遠位端部が送達装置100の膨張可能バルーン118から離間して位置決めされた時に、外側シャフト104の遠位端部を超えて遠位向きに延びる遠位端部部分をさらに含むことができる。内側シャフト108の遠位端部部分は、中間シャフト106の遠位端部部分を超えて遠位向きに延びることができる。
【0048】
バルーン118は、中間シャフト106の遠位端部部分に対して、結合することができる。
【0049】
いくつかの例では、バルーン118の遠位端部は、(
図2に示すような)ノーズコーン122などの送達装置100の遠位端部に対して、または送達装置100の遠位端部のところでの代替部品(例えば、遠位肩部)に対して、結合することができる。バルーン118の中間部分は、送達装置100の遠位端部部分の弁取付部分124を被覆することができ、バルーン118の遠位端部部分は、送達装置100の遠位肩部126を被覆することができる。弁取付部分124およびバルーン118の中間部分は、径方向圧縮状態とされた人工心臓弁を受領するように構成することができる。例えば、
図2に概略的に示すように、人工心臓弁150(本明細書で説明する人工弁の一つとすることができる)を、送達装置100の弁取付部分124のところで、バルーン118の周囲に取り付けることができる。
【0050】
遠位肩部126を含めたバルーン肩部アセンブリは、患者の血管系を通しての送達時に、バルーン118上の固定位置に人工心臓弁150(または、他の医療デバイス)を維持するように構成されている。
【0051】
外側シャフト104は、遠位端部上に取り付けられた遠位先端部分128を含むことができる。外側シャフト104および中間シャフト106は、人工弁150が弁取付部分124上に径方向圧縮状態で取り付けられている時には(
図2に示すように)、かつ、人工弁を標的移植部位へと送達する際には、遠位先端部分128を弁取付部分124の近位端部に隣接して位置決めするよう、互いに対して軸線方向に並進させることができる。よって、遠位先端部分128は、遠位先端部分128が弁取付部分124の近位側に隣接して配置された時には、人工弁150が、バルーン118に対して軸線方向において近位向きに、バルーン118に対して移動することに抵抗するように構成することができる。
【0052】
環状空間を、内側シャフト108の外面と中間シャフト106の内面との間に規定することができ、この環状空間は、アダプタ112の第二ポート140を介して流体源から流体を受領するように構成することができる。環状空間は、内側シャフト108の遠位端部部分の外面とバルーン118の内面との間に形成された流体通路に対して、流体的に結合することができる。よって、流体源からの流体を、環状空間から流体通路へと流すことができ、これにより、バルーン118を膨張させて、人工弁150を径方向に拡張させて展開することができる。
【0053】
内側シャフトの内腔は、送達装置100の遠位端部部分を標的移植部位へと操縦するために、内部を通してガイドワイヤを受領するように構成することができる。
【0054】
ハンドル102は、送達装置100の遠位端部部分の曲率を調整するように構成されたステアリング機構を含むことができる。図示した例では、例えば、ハンドル102は、図示した回転可能なノブ160などの調整部材を含み、この調整部材は、引っ張りワイヤの近位端部部分に対して動作可能に結合されている。引っ張りワイヤは、ハンドル102から外側シャフト104を通して遠位向きに延び得るとともに、外側シャフト104の遠位端部のところでまたはその近傍で外側シャフト104に対して固定された遠位端部部分を有している。ノブ160を回転駆動することにより、引っ張りワイヤの張力を増減することができ、これにより、送達装置100の遠位端部部分の曲率を調整することができる。送達装置におけるステアリング機構または曲げ機構に関する更なる詳細は、米国特許第9,339,384号明細書に見出すことができ、この文献は、参照により本明細書に援用される。
【0055】
ハンドル102は、図示した回転可能ノブ162などの調整部材を含めた調整機構161と、回転可能ノブ178として構成された別の調整部材を含めた関連したロック機構と、をさらに含むことができる。調整機構161は、外側シャフト104に対する中間シャフト106の軸線方向位置を調整するように構成されている(例えば、移植部位における微細な位置決めのために)。送達装置100に関する更なる詳細は、米国仮出願第63/069,567号明細書および米国仮特許出願第63/138,890号明細書に見出すことができ、これらの文献は、参照により本明細書に援用される。
【0056】
図3は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレーム202とフレームに対して固定された複数の弁尖204とを含む人工心臓弁200に関する一例を示している。各弁尖204は、弁尖204の反対側に位置したサイドに配置された両サイドの交連タブと、両サイドの交連タブどうしの間に延びた尖端エッジ部分と、を含むことができる。
【0057】
フレーム202は、当該技術分野で知られているように、様々な適切な塑性拡張可能材料(例えば、ステンレス鋼、等)または自己拡張材料(例えば、ニチノールなどの、ニッケルチタン合金(NiTi))のいずれかから形成することができる。いくつかの例では、フレーム202は、
図1の人工心臓弁10を参照して上述したものなどの、塑性拡張可能材料を含む。
【0058】
フレーム202は、フレーム202の流出端部210と流入端部212との間に複数列の開放セル208を形成するような、複数の相互接続された支柱206を含むことができる。いくつかの例では、
図3に示すように、フレーム202は、三つのセル列をなすセル208を含むことができ、セル208は、流出端部210のところに配置された第一セル列のセル214であり、残りのセル列内のセル208と比較して、軸線方向に(フレーム202の中央長手方向軸線216に対して)長尺とされたセル208を有した、第一セル列のセル214(例えば、
図3における上側)を有している。例えば、第一セル列のセル214をなすセル208は、残りのセル列内のセル208(例えば、流入端部212のところでのセル列内におけるセル)と比較して、フレーム202の中央長手方向軸線216の方向において規定されるような、より長い軸線方向長さを有することができる。
【0059】
いくつかの例では、
図3に示すように、セル208の各列は、九個のセルを含む。よって、このような例では、フレーム202は、九個セルフレームとして参照することができる。
【0060】
他の例では、フレーム202は、四列以上のセル(例えば、四列もしくは五列)を含むことができる、および/または、一列あたりにつき十個以上のセルまたは八個以下のセルを含むことができる。いくつかの例では、第一列のセル214内におけるセル208は、フレーム202の残りの列内におけるセル208と比較して、長尺でなくてもよい。
【0061】
相互接続された支柱206は、周方向に延びた角度付き支柱の複数列をなして配置された複数の角度付き支柱218、234、236、および238を含むことができ、この場合、複数列は、フレーム202の流出端部210と流入端部212との間においてフレームの長さに沿って配列されている。例えば、フレーム202は、フレームの流入端部212のところで、端から端までにわたって配置されていて周方向に延びた第一列をなす複数の角度付き支柱238と、周方向に延びた第二列をなす複数の角度付き支柱236と、周方向に延びた第三列をなす複数の角度付き支柱234と、フレーム12の流出端部210のところで、周方向に延びた第四列をなす複数の角度付き支柱218と、を含むことができる。第四列をなす複数の角度付き支柱218は、複数の軸線方向延出ウィンドウ支柱部分240と複数の軸線方向(例えば、軸線方向に延びた)支柱232とによって、第三列をなす複数の角度付き支柱234に対して、接続することができる。軸線方向延出ウィンドウ支柱部分240は、周方向においてフレーム202まわりに互いに離間して配置された交連ウィンドウ(例えば、開放ウィンドウ)242を規定し、交連ウィンドウ242は、交連230内に配置された一対の隣接した弁尖204からなる一対の交連タブを受領するように適合されている。
【0062】
一つまたは複数の(例えば、
図3に示すように、二つの)軸線方向支柱232を、周方向において、ウィンドウ支柱部分240によって形成された二つの交連ウィンドウ242の間に位置決めすることができる。フレーム202は、
図1の人工心臓弁10などの、他の人工心臓弁と比較して、一列あたりにつきより少数のセル(例えば、九個)と、各交連ウィンドウ242間においてより少数の軸線方向支柱232と、を含み得ることのために、各セル208は、(周方向において)幅を増大させることができ、これにより、本明細書で説明するように、血流および/または冠動脈アクセスのために、より大きな開口部を提供することができる。
【0063】
各軸線方向支柱232および各ウィンドウ支柱部分240は、二つの角度付き支柱218の下側端部(例えば、流出端部210よりも内側に配置された端部であり、かつ、流出端部210から最も離間した端部)どうしの収束箇所(これは、上側支柱接合部または上側長尺支柱接合部とも称され得る)によって規定された位置から、二つの角度付き支柱234の上側端部(例えば、流出端部210に対してより近くに配置された端部)どうしの収束箇所(これは、下側支柱接合部または下側長尺支柱接合部とも称され得る)によって規定された別の位置までにわたって、延びている。各軸線方向支柱232および各ウィンドウ支柱部分240は、第一列のセル214における二つの隣接したセルの、軸線方向を向いた側部を形成している。
【0064】
いくつかの例では、
図3に示すように、各軸線方向支柱232は、角度付き支柱218、234、236、および/または238の幅と比較して、より大きな幅244を有することができる。本明細書で使用した際には、支柱の「幅」は、支柱の、(フレーム200の中央長手方向軸線216に対して)支柱の径方向に対向した内面と外面との間にわたって延びた対向面上の対向位置どうしの間で測定される。支柱の「厚さ」は、支柱の径方向に対向した内面および外面上における、対向する位置どうしの間で測定されるものであって、支柱の幅に対して垂直である。いくつかの例では、軸線方向支柱232の幅244は、フレーム202の角度付き支柱の幅と比較して、50%~200%、75%~150%、または少なくとも100%、の分だけ大きい(例えば、二倍)。例えば、角度付き支柱218、234、236、238が、約0.3mmである場合には、軸線方向支柱232の幅244は、0.45mm~0.9mmまたは0.5mm~0.75mmの範囲とすることができ、あるいは少なくとも0.6mmとすることができる。いくつかの例では、軸線方向支柱232の幅244は、0.5mm~1.0mmの範囲とすることができる。
【0065】
例えば、公知の人工心臓弁(
図1に示す弁10など)では、軸線方向支柱は、フレームの他の支柱(例えば、角度付き支柱)と同じ幅を有している。しかしながら、移植時および使用中に、人工心臓弁の弁尖が収縮期にフレームに対して押圧された時には、軸線方向支柱の幅が比較的狭いことに起因して、弁尖が、セル開口部を通して径方向外向きに支柱まわりに曲がってしまう可能性がある。この現象は、弁尖の長期的耐久性を低下させてしまい得るものであり、特に、上記のように弁尖の上側(例えば、流出側)のエッジが軸線方向支柱に対して押圧されて曲げられた時には顕著である。
【0066】
よって、フレーム202における他の角度付き支柱の幅よりも大きな幅244を有した軸線方向支柱232を提供することによって、収縮期に弁尖204がより広い軸線方向支柱232に対して接触した時に、より大きな接触領域が提供され、これにより、応力が分散されて、弁尖204がセル208を通して径方向外向きに軸線方向支柱232上へと折り重なり得る程度が、低減される。その結果、弁尖204の長期耐久性を、増大させることができる。
【0067】
場合によっては、弁尖204の流出端部228における自由端は、流出側の(例えば、上側の)端部部分246のところで、軸線方向支柱232に対して押圧される可能性がある。しかしながら、流出端部部分246は、(
図3に示すように)幅244よりもさらに広いものとすることができ、これにより、弁尖204に関して、さらに広い接触支持面積が提供される。
【0068】
上記で紹介したように、フレーム202は、
図1の人工弁と比較して、周方向において、より少数のセル(例えば、
図3では、九個)を有し得ることのために、各セル208は、幅(周方向で測定される)を増大させることができる。第一列のセル214におけるセル208の幅を、このように増大させることにより、血流および/または冠動脈アクセスのための開放空間を犠牲にすることなく、より幅の広い軸線方向支柱232を、フレーム202内に組み込むことができる。
【0069】
隣接した弁尖204の交連タブを、一緒に固定することにより、交連230を形成することができる。人工心臓弁200の各交連230は、二つの隣接した弁尖204のそれぞれから一つずつ、フレーム202の交連ウィンドウ242を通して延びた、対をなす二つの交連タブを含む。各交連230は、交連ウィンドウ242を形成するウィンドウ支柱部分240に対して、固定することができる。
【0070】
各弁尖204の尖端エッジ部分(例えば、スカラップエッジ)は、一つまたは複数の締結部材(例えば、縫合糸)を介して、フレームに対して固定することができる。いくつかの例では、
図3に示すように、各弁尖204の尖端エッジ部分は、フレーム202の支柱(例えば、角度付き支柱234、236、および238)に対して直接的に固定することができる。例えば、弁尖204の尖端エッジ部分は、弁尖の尖端エッジ部分の輪郭に対して全体的に追従した角度付き支柱234、236、238に対して縫合することができる。
【0071】
いくつかの例では、弁尖204の尖端エッジ部分を、内側スカートに対して固定することができ、内側スカートを、フレーム202に対して直接的に固定することができる。
【0072】
さらに、いくつかの例では、外側スカートを、フレーム202の外面に対して接続することができる(例えば、
図1の弁10における外側スカート18と同様のもの)。
【0073】
図3に示すように、いくつかの例では、一つまたは複数の、またはそれぞれの軸線方向支柱232は、流出端部部分246と同様に(上述したように)、軸線方向支柱232の中間部分247(幅244によって規定することができる)と比較して、より大きな幅とされた流入端部部分(例えば、流出端部部分246と比較して、流入端部に対してより近い流入端部部分)248を含むことができる。いくつかの例では、軸線方向支柱232の流入端部部分248は、開口249を含むことができる。開口249は、人工心臓弁200の軟質構成要素をフレーム202に対して取り付けるための締結部材(例えば、縫合糸)を受領するように構成することができる。例えば、いくつかの実例では、外側スカートを、フレーム202の外面まわりに位置決めし得るとともに、開口249に対して固定することができる(例えば、
図13に図示して、以下でさらに説明するように)。
【0074】
フレーム202は、流入端部212および流出端部210のところに形成された複数の頂点220をさらに含むことができ、各頂点220は、流入端部212または流出端部210のところで、二つの角度付き支柱218の間における接合部を形成している。よって、頂点220は、流入端部212および流出端部210のところで、周方向において互いに離間して配置されている。
図3に示すように、各頂点220は、その頂点が接続されている角度付き支柱218から軸線方向外向きに湾曲または屈曲している側方部分222と、頂点220の二つの側方部分222の間に延びた端部部分224と、を有することができる。側方部分222は、中央長手方向軸線216に対して平行な方向に延びることができる。端部部分224は、比較的平坦なものとし得るとともに、中央長手方向軸線216に対して直交して配置された面を含むことができる。各頂点220は、端部部分224のところに二つの湾曲部分を有し得るとともに、側方部分222のところに二つの湾曲部分を有することができる(例えば、一つは、各側方部分222と角度付き支柱218との間の接合部のところに)。このようにして、頂点220は、
図1の弁における頂点26と同様に、U字形状とすることができる。
【0075】
このような形状の頂点220は、頂点220のところでの応力を、頂点220が接続されている角度付き支柱218の全体にわたって分散させ得るけれども、このような形状は、流入端部212および流出端部210のところでの頂点220の高さ(軸線方向における高さ)221を、人工心臓弁200の全高に対して、追加することとなる。その結果、弁尖204の流入端部226は、フレーム202の流入端部212から離間している。これにより、弁尖204の流出端部228が、フレームの流出端部210に対してより近くに配置されることができ、これにより、弁尖の流出エッジと支柱218の上側列との間における上側列のセル214をなすセル208内に、より小さな開放空間しか残されない。いくつかの例では、この構成により、弁尖204の隣接した交連タブの交連230を含めて弁尖204が、冠動脈骨膜内への血流を少なくとも部分的に遮断してしまうことをもたらし得る。さらに、冠動脈再アクセスデバイスは、このような狭い空間を通過することのために、阻害され得る。
【0076】
図4は、送達装置250(この送達装置は、
図2の送達装置100と同一または同様のものとされ得る)の遠位端部部分の一部上においてその一部まわりで径方向に圧縮された人工心臓弁200を示している。
図4に示すように、人工心臓弁200は、送達装置250の膨張可能バルーン252(膨張可能バルーン252は、
図2のバルーン118と同様のものとされ得る)の一部まわりで、径方向に圧縮されている。いくつかの例では、
図4に示すように、人工心臓弁200は、流入端部212が送達装置250のノーズコーン254に対して対向した状態で、送達装置250の遠位端部部分上へと圧着することができる。他の例では、人工心臓弁200は、流出端部210がノーズコーン254に対して対向した状態で、送達装置250の遠位端部部分上へと圧着することができる。
【0077】
このような構成では、流入端部212における少なくとも頂点220が露出し、その結果、送達装置250が移植部位への経路で(例えば、人工心臓弁200を標的移植部位へと送達される際に)内部を通して移動する送達シースの内壁に対して当接して頂点220が摩耗したり、送達シースの内壁を頂点220が貫通したり、する可能性がある。例えば、移植手順時に、人工心臓弁200が送達装置250の周囲で径方向に圧縮された(例えば、圧着された)時には、人工心臓弁200は、送達シースの内腔を通して押し込まれることができ、頂点220は、送達シースの壁に対して接触したり、壁を穿刺したり、壁を引き裂いたり、する可能性がある。
【0078】
いくつかの例では、露出された先端部220は、バルーン252に対して相互作用することができる。例えば、人工心臓弁200がバルーン252の膨張可能部分から圧着されている場合には、移植部位へと到達した時点で、人工心臓弁200がバルーン252の膨張可能部分上へと押圧された時には、流入側の頂点220は、バルーン252に対して相互作用することができる(例えば、バルーン上での弁の移動に対して、擦れたり抵抗したりする)。
【0079】
そのようなU字形状の場合における、あるいは、人工心臓弁の流入端部および流出端部に対して高さを追加するより尖鋭な頂点の場合における、上述した問題点に対処するために、人工心臓弁のフレームは、代わりに、フレームの流入端部もしくは流出端部のところでの角度付き支柱(または、角度付き支柱部分)どうしの間でより大きな角度を形成するとともにより大きな曲率半径を有した頂点または頂点領域を有することができ、これにより、より湾曲したまたはより平坦な形状(例えば、
図1および
図3に示すU字形状デザインなどの、尖鋭度がより小さな角度)を形成することができ、送達装置のバルーンに対しておよび送達シースに対して、より非外傷性とすることができる。追加的に、以下でさらに説明するように、このような頂点領域は、人工心臓弁の流入端部および流出端部のところで、より小さな軸線方向高さを形成することができ、これにより、弁尖の流入端部(例えば、尖端エッジ部分の流入端部)を、フレームの流入端部に対してより近くに位置決めすることを可能とし、よって、人工心臓弁の流出端部のところにより大きな開放空間を形成して、血流および冠動脈アクセスを増大させる。
【0080】
図5は、フレーム300の流入端部306および流出端部308のところに頂点(または、頂点領域)304を形成する相互接続された支柱302を含むような、人工心臓弁のための例示的なフレーム300を示している。
図5に示すように、および
図6におけるフレーム300の一部に関する拡大図に示すように、各頂点304は、フレーム300の流入端部306または流出端部308のところで、二つの角度付き支柱310(
図3におけるフレーム202の角度付き支柱218および238と同様のもの)の間に配置されているとともに、二つの角度付き支柱310の間における移行部を形成している。
【0081】
各頂点304は、
図3の頂点220と比較して、より平坦化された(例えば、尖鋭度がより小さい)形状を有することができる。例えば、各頂点304は、湾曲したまたは比較的平坦な外面312と、外面312とは反対側に配置された円弧状のまたは湾曲した内側凹所314と、を含むことができる(
図6)。内側凹所314は、頂点304のところで薄肉領域を形成しているとともに、角度付き支柱310の幅318よりも小さい幅316を有している(
図6)。頂点304のこの薄肉領域は、フレーム300が経験する応力を、頂点から離間して広げ得るとともに、頂点304の両側から延びた角度付き支柱310の両方へと広げることができる。
【0082】
フレーム300の各頂点304(
図5および
図6)は、フレーム202の各頂点220(
図3)と比較して、低減した高さを有することができる。例えば、
図3は、フレーム202の流入端部212(頂点220の位置)と、フレーム300のより平坦化された頂点304に起因して、フレーム300の流入端部306が比較のために位置決めされた場合の位置と、の間における高さの差322を示している。その結果、弁尖204の流入端部226は、フレーム202の場合と比較して、フレーム300の流入端部306に対してより近くに位置決めすることができる。いくつかの例では、フレーム300およびフレーム202の全体的な弁の高さが同じである場合、これにより、フレーム300のセルを、特に流出端部308のところに配置されたまたは流出端部308に隣接した第一列をなすセル324を、軸線方向に長くすることができる。例えば、いくつかの実例では、第一列をなすセル324の軸線方向高さ326(
図5)は、フレーム202における第一列をなすセル214の軸線方向高さと比較して、フレーム202のよりU字形状とされてより軸線方向を向いた頂点220の高さ221(
図3)の、約二倍の分だけ増大させることができる。フレーム300におけるこれら「より高い」またはより長い第一列をなすセル324は、弁尖の流出端部の上方で露出されたままのより大きな部分を有することができ、これにより、フレーム300の流出端部のところに血流のためのより大きな開放空間を形成して、洞封鎖のリスクを低減する。
【0083】
いくつかの例では、
図6に示すように、頂点304のところで接続された二つの角度付き支柱310の間における角度(例えば、頂点角度)320は、120度よりも大きなものとすることができる。いくつかの例では、角度320は、120度(この値を包含しない)~140度の範囲とすることができる(例えば、角度320は、120度よりも大きいものであるように)。いくつかの例では、角度320は、135度~140度、138度~140度、または139度~140度、の範囲とすることができる。いくつかの例では、角度320は、約140度(例えば、±1度)とすることができる。
【0084】
いくつかの例では、フレーム300を含むバルーン拡張可能弁は、人工心臓弁が周囲に取り付けられた送達装置(例えば、
図2の送達装置など)のバルーンを膨張させることによって、標的移植部位のところで、径方向に拡張させて展開することができる。このような展開の後には、フレーム300を形成している金属のわずかな程度の固有弾性に起因して、フレームは、バルーンが収縮してフレーム300に対してもはや径方向外向きの力をもはや及ぼさなくなった後に、(送達装置の)膨張したバルーンによって規定される直径よりもわずかに小さな拡張直径へと、(フレームの中央長手方向軸線に向けて)径方向内向きに反動する傾向がある。このような径方向の反動は、膨張したバルーン上で径方向に拡張する時には、人工心臓弁の直径の5%未満という範囲であることが望ましいことであり得る。バルーンを膨張させた際の弁の直径から、バルーンを収縮させた後における弁の直径への、径方向の反動を低減することにより、弁の最終的な拡張直径を、より正確に予測することができる。
【0085】
頂点304における角度320は、バルーンの膨張および収縮を介して人工心臓弁のフレームを径方向に拡張した後におけるフレーム300の反動度合いに影響を与えることができる。例えば、より大きな頂点角度(例えば、120度よりも大きく、最大で140度まで)は、より小さな頂点角度(例えば、90度~120度)と比較して、径方向の反動範囲をより小さなものとすることができる。
【0086】
上述した範囲(例えば、120度よりも大きく、最大で140度まで)で角度付き支柱310どうしの間における角度320を形成する頂点304は、20mmという拡張動作直径を有した人工弁に関して0.3mm~0.4mmの範囲で、流入端部306および流出端部308のところでの径方向の反動をもたらすことができ、これは、弁の中間部分のところで経験され得る径方向の反動(例えば、0.95mm~0.97mmの範囲)の半分未満である。フレーム202の流入端部306および流出端部308のところでの径方向の反動も、また、120度以下という従来的な頂点および頂点角度である場合における弁(例えば、
図1の弁10など)の径方向の反動と比較して、著しく低下させることができ、0.7mm~0.8mmの範囲とすることができる。
【0087】
有利なことに、上述したような頂点304の構成は、より従来的なU字形状の頂点角度を超えて、頂点角度320を拡大することを可能とし、これにより、フレーム300の径方向の反動度合いを低減する。さらに、頂点304の増大した角度および形状(例えば、上述したように、低減させた高さ、および、湾曲したもしくは円弧状の形状)は、(
図1および
図3に示す頂点などの、より尖鋭なおよび/またはU字形状の頂点と比較して)より非外傷性の頂点304を提供する。その結果、先端部304が、送達装置の送達シースおよび/または膨張式バルーンに対して、ならびに天然の解剖学的構造に対して、相互作用したり劣化させたりするリスクを低減することができる。
【0088】
頂点304の構成以外は、フレーム300は、
図3のフレーム202と同様のものとすることができる。例えば、フレーム300は、流出端部308のところでの角度付き支柱310と角度付き支柱234とウィンドウ支柱部分240と軸線方向支柱232とによって規定された、第一列をなすセル324を含むことができる。
【0089】
いくつかの例では、
図5および
図6に示すように、軸線方向支柱232の、一つもしくは複数は、またはそれぞれは、
図3を参照して上述したような、増大した幅244を有することができる。さらに、軸線方向支柱232の、一つもしくは複数は、またはそれぞれは、流入端部部分248内に開口249を含むことができる。
【0090】
いくつかの例では、ウィンドウ支柱部分240に沿って、かつ、上側列をなすセル324の二つの隣接したセルの間において中心合わせする代わりに(例えば、
図5に示すように)、
図7に示すように、交連ウィンドウ342は、第一列をなすセル324における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成している軸線方向支柱の下側部分に沿って、位置決めすることができる。別の言い方をすれば、交連ウィンドウ342は、フレーム300の流出端部308から離間して、かつ、第一列をなすセル324の二つの隣接したセルの下側部分に向けて、配置することができる。
【0091】
例えば、
図7は、(
図5に示す交連ウィンドウ242と比較して)第一列をなすセル324内で低い位置とされた交連ウィンドウ342を含むフレーム300の一例に関する一部を示している。交連ウィンドウ342は、第一軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aと第二軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340bとの間に形成されているとともに、それらの間に規定されている。
図7に示すように、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bの長さ344は、軸線方向支柱232の長さ346よりも短い。軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bは、フレーム300と一体的に形成されており、それぞれは、上側の(例えば、近位側の)軸線方向支柱348から延びている。一緒になって、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bと、上側の軸線方向支柱348とは、上側列をなすセル324の二つの隣接した長尺セル350に関するそれぞれの軸線方向側部を規定するような、軸線方向に延びたフレーム部分を形成することができる。
【0092】
いくつかの例では、周方向に規定されているとともにフレームの中央長手方向軸線に対して垂直な上側の軸線方向支柱348の幅は、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340a、340bおよび/またはフレームの追加的な支柱(例えば、角度付き支柱310)の幅と同じとすることができる。
【0093】
いくつかの例では、上側の軸線方向支柱348の幅は、軸線方向延出ウィンドウ支柱340a、340bおよび/またはフレームの追加的な支柱(例えば、角度付き支柱310)の幅よりも大きな(例えば、厚い)ものとすることができる。
【0094】
いくつかの例では、上側の軸線方向支柱348は、その長さに沿って、一つもしくは複数の穴または切欠などの、追加的な幾何学的特徴を含むことができる。
【0095】
上側の軸線方向支柱348は、上側の(例えば、近位側の)長尺支柱接合部352(例えば、二つの角度付き支柱310と上側の軸線方向支柱348との間における接合部)と、交連ウィンドウ342の上側エッジ354と、の間に配置されている。上側エッジ354は、上側の軸線方向支柱348に対して実質的に垂直に配置されているとともに、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bを、互いに横方向に(例えば、周方向に)オフセットしている。別の言い方をすれば、上エッジ354は、周方向(または、横方向)において、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bの、各上側端部どうしの間に延びることができる。本明細書で使用した際には、「上側」の、端部、支柱、またはエッジとは、構成要素の、フレーム300の近位端部または流出端部308に対してより近くに配置された、端部、支柱、またはエッジを指すことができ、「下側」の、端部、支柱、またはエッジとは、構成要素の、流出端部308からさらに離間して流入端部306に向けて配置された、端部、支柱、またはエッジを指すことができる。
【0096】
図7に示すように、いくつかの例では、支柱部分340a、340bの下側端部を接続している下側の長尺支柱接合部であったものが、交連ウィンドウ342の開放した下側端部によって置き換えられている。例えば、いくつかの実例では、各軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bは、それぞれ対応する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分340aおよび340bの、下側の曲げられた(例えば、角度付き)部分によって形成された、それぞれ対応する下側クランプ部分356aおよび356bを含む。
図7に示すように、下側クランプ部分356aおよび356bの湾曲は、互いに向けて角度が付けられている。よって、
図7に示すように、下側クランプ部分356aおよび356bは、一緒になって、開放した交連ウィンドウ342の下側端部のところでネック領域を形成することができる。
【0097】
いくつかの例では、交連の交連タブは、開放した交連ウィンドウ342を通して延びることができ、交連アセンブリ(例えば、フレーム300に組み付けられた交連)を形成することができる。例えば、いくつかの実例では、二つの隣接した弁尖の交連タブは、下側クランプ部分356aと356bの間に規定された開口部を通して、交連ウィンドウ342内へと挿入することができる。
【0098】
いくつかの例では、軸線方向延出ウィンドウ支柱340a、340bおよびそれらのそれぞれ対応する下側クランプ部分356a、356bは、弁尖の挿入時には、側方へと(例えば、横方向外向きにかつ互いから離間するように)撓むまたは弾性的に湾曲することができる。
【0099】
いくつかの例では、交連タブが交連ウィンドウ342の内部に位置決めされた後に、縫合糸を、下側クランプ部分356aおよび356bの周囲に巻回するまたはループさせることができ(例えば、各下側クランプ部分の外側湾曲部分の周囲に巻回するまたはループさせることができ)、これにより、軸線方向延出ウィンドウ支柱340aおよび340bの下側端部を互いにクランプし得るとともに、交連タブが、交連ウィンドウ34から軸線方向にスライドするのを防止することができる。代替例では、代替可能な締結部材またはクランプ手段(例えば、バンド、ストリング、タイ、または同種のもの)を使用することにより、下側クランプ部分356aおよび356bを一緒にクランプすることができる。
【0100】
他の例では、各交連ウィンドウ342の下側端部を、閉塞することができ、下側の長尺支柱接合部(例えば、接合部352と同様のもの)によって形成することができる。
【0101】
さらに、いくつかの例では、上側エッジ354の(フレーム300の中央長手方向軸線に沿った)軸線方向位置は、あるいは、上側エッジ354とフレームの流出端部308との間の軸線方向距離は、弁尖の全体が、または弁尖の少なくとも大部分が、第一列のセル324をなすセルの下側部分358の内部に維持されるように、かつ、上側列のセル324をなすセルの上側部分360が、弁尖によって実質的にブロックされないままであるように、選択することができる。このようにして、交連ウィンドウ342は、よって弁尖は、第一列をなすセル324の流入端部(上流端部と称することもできる)に向けて、軸線方向にオフセットされる。その結果、弁の動作時には、第一列をなすセル324の上側(または、流出側)部分358を通しての、血流のための、および/または再アクセスデバイスを介したアクセスのための、空間が実質的に増大する。
【0102】
例えば、いくつかの実例では、上側の軸線方向支柱348の長さ362は、交連のところでの、フレーム300の流出端部308と、弁尖の流出エッジ(または、
図7において破線で示すような、上側エッジ354の軸線方向位置)と、の間における軸線方向距離364が、選択された範囲内にあるように、選択することができる。いくつかの例では、軸線方向距離364の選択された範囲は、2mm~6mm、2mm~4mm、または2mm~3mm、の範囲である。いくつかの例では、軸線方向距離364の選択された範囲は、長尺セル350の全軸線方向距離(または、高さ)326(
図5)の20%~50%、25%~45%、または30%~40%、の範囲である。いくつかの例では、上側の軸線方向支柱348の長さ362は、0.75mm~2.5mmもしくは1mm~2mmの範囲、または約1.5mm、とすることができる。その結果、第一列のセル324をなすセルの上側部分358は、充分な血流を提供するような、および/または再アクセスデバイスを介した充分なアクセスを提供するような、サイズとすることができる。
【0103】
いくつかの例では、弁尖の、交連(および、弁の中心に向けた(フレームの中央長手方向軸線に向けた)交連タブ)から離間した流出エッジは、交連タブのところでの弁尖の流出エッジと比較して、より高い位置(流出端部308に対してより近い位置)、またはより低い位置、とすることができる。
【0104】
いくつかの例では、弁尖の、交連(および、弁の中心に向けた(フレームの中央長手方向軸線に向けた)交連タブ)から離間した流出エッジは、また、フレーム300の流出端部308から、軸線方向距離364の分だけ、オフセットすることができる。
【0105】
図8Aは、フレーム300の交連ウィンドウ242を形成しているウィンドウ支柱部分に関する別の例を示している。
図8Aに示すように、いくつかの例では、交連ウィンドウ242は、流出端部308における角度付き支柱310と角度付き支柱234との間に延びた(例えば、軸線方向延出支柱の)軸線方向延出ウィンドウ支柱部分370aおよび370bによって、形成することができる。いくつかの例では、ウィンドウ支柱部分370aおよび370bは、一体部材として形成されるとともに、交連ウィンドウ242を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱としてまたは軸線方向延出ウィンドウ支柱部分として総称することができる。ウィンドウ支柱部分370aおよび370bは、
図5に示すウィンドウ支柱部分240と同様のものとし得るけれども、ウィンドウ支柱部分370aおよび370bは、これらが規定する交連ウィンドウ242が、角度付き支柱234(および、弁の流入端部)に向けて、より低い位置に移動するように、構成されている。例えば、
図8Aに示すように、ウィンドウ支柱部分370aおよび370bは、交連ウィンドウ242の上方に、第一のまたは上側の端部部分372(例えば、流出端部308に対してより近い端部部分)と、交連ウィンドウ242の下方に、第二のまたは下側の端部部分374(例えば、流出端部308からより離間した端部部分)と、を形成することができ、ここで、上側の端部部分372は、下側の端部部分374と比較して、軸線方向において、より大きい(または、より厚い)。その結果、いくつかの例では、上側端部部分372は、開口376を含むことができる。いくつかの例では、開口376は、弁尖の交連タブをフレームに対して固定する時に、交連ウィンドウ242の内部に、一つまたは複数の締結部材(例えば、縫合糸)を受領するように構成することができる。
【0106】
いくつかの例では、上側端部部分372は、二つまたはそれ以上の開口などの、二つ以上の開口376を含むことができる。例えば、
図8Bは、人工心臓弁のフレーム1500の交連ウィンドウ1504を形成するウィンドウ支柱部分1502a、1502b(軸線方向延出支柱を構成する)に関する別の例示的な構成を示している。ウィンドウ支柱部分1502a、1502b(
図8Bでは、交連ウィンドウ1504の上方に配置されている)の上側端部部分1506(これは、本明細書では、「流出端部部分」とも称することができる)は、内部に配置された二つの開口1508を含む。フレーム1500は、フレーム400または500(以下でさらに説明する)などの、本明細書で開示するフレームの一つと同様のものとすることができる。しかしながら、ウィンドウ支柱部分1502a、1502bと、二つの開口1508を含む上側端部部分1506と、に関する構成は、本明細書で開示する任意のフレームなどの多くの異なるフレーム内に含むことができる。二つの開口1508は、隣接した弁尖の交連タブを交連ウィンドウ1504の内部に固定するために使用される一つまたは複数の縫合糸をまたは代替可能な締結部材を受領するように、構成することができる。いくつかの実例では、二つの(単一ではなく)開口1508を使用することにより、(交連を形成する)交連タブを、交連ウィンドウ1504に対して、より容易にかつより信頼性高く固定することができる。
【0107】
図5および
図6に戻ると、いくつかの例では、頂点304を横断する薄肉領域を形成することにより、薄肉領域の中心(例えば、頂点の中点)のところに高い応力が発生して、頂点の強度が低下する可能性がある。例えば、頂点304を有したフレーム300(
図5および
図6)の場合、フレーム300が径方向に拡張する際の最大応力点は、
図6において破線の円330で示すように、頂点304で経験することができる。いくつかの例では、点330のところでの最大応力は、最大で2,140MPaとなり得る。拡張時に経験する最大応力が2,000MPaを超えないような、人工心臓弁のためのフレームを提供することが望ましいことであり得る。いくつかの例では、膨張時にフレームが経験する最大応力が、1,700MPa未満であることが望ましい。
【0108】
よって、
図5および
図6に示す頂点304と同様であるような、高さが低減された頂点または頂点領域を提供する必要があるけれども、頂点領域における歪み集中を低減させることを、および/または、フレームを径方向に拡張させる際に経験する最大応力を頂点から遠ざけることを、提供する必要がある。
【0109】
一例では、薄肉領域を有して高さが低減された頂点もしくは頂点領域(
図5および
図6に示すものなど)を備えたフレームの頂点で経験する歪み集中および/または最大応力は、頂点領域を含む流入側支柱または流出側支柱のより大きな長さ部分(例えば、流入側支柱または流出側支柱の長さ部分の少なくとも25%)にわたって延びた低減された幅(フレームの角度付き支柱に対して)を有するように、フレームの頂点領域を変更することによって、低減することができる。このようなフレーム構成に関する例示的な例が、以下で説明するように、
図9A~
図9Cにおいて、および
図10A~
図10Cにおいて、示されている。
【0110】
図9A~
図9Cは、フレーム400の流出端部406のところに流出側頂点領域402(
図9Aおよび
図9Bに示すもの)を有しているとともに、フレーム400の流入端部408のところに流入側頂点領域404(
図9Aおよび
図9Cに示すもの)を有しているような、フレーム400の一部に関する一例を示している。いくつかの例では、流出端部406は、複数の流出側支柱460を含むことができ、各流出側支柱460は、フレーム400の流出端部406のところに、一つの流出側頂点領域402と、二つの角度付き支柱部分410(角度付き支柱と称し得るとともに、
図5および
図6を参照して上述したように、フレーム300の角度付き支柱310と同様のものとすることができる)と、を含む。例えば、各流出側頂点領域402は、二つの角度付き支柱部分410の間で湾曲することができ、各支柱部分は、流出側頂点領域402と、異なる軸線方向支柱232(
図9Aに示すように)またはウィンドウ支柱部分と、の間で延びている。同様に、流入端部408は、複数の流入側支柱462を含むことができ、各流入側支柱462は、フレーム400の流入端部408のところに、一つの流入側頂点領域404と、二つの角度付き支柱部分410と、を含む。
【0111】
流出側頂点領域402および流入側頂点領域404のそれぞれは、頂点412(軸線方向において、最も高い位置の点、または最も外向きに延びた点)と、頂点412の両側から延びているとともに対応した角度付き支柱部分410(
図9Bおよび
図9C)に対して接続された薄肉の(または、狭められた)支柱部分414と、を含むことができる。このようにして、流出側頂点領域402および流入側頂点領域404のそれぞれは、対応した頂点領域から延びた二つの角度付き支柱部分410の間に、それら二つの角度付き支柱部分410に対して狭められた移行領域を形成することができる。
【0112】
いくつかの例では、流出側頂点領域402および流入側頂点領域404のそれぞれは、対応した角度付き支柱部分410から対応した薄肉支柱部分414までにわたって幅が狭められたまたは幅がテーパー形状とされた移行部分420(
図9B)を、含むことができる。
【0113】
他の例では、流出側頂点領域402および流入側頂点領域404は、移行部分420を含まなくてもよく、その代わりに、移行部分420は、対応した角度付き支柱部分410内に含まれることができる。
【0114】
流出側頂点領域402および流入側頂点領域404の薄肉支柱部分414は、角度付き支柱部分410の幅418よりも小さな幅416を有することができる(
図9Bおよび
図9C)。いくつかの例では、幅416は、一様な幅(例えば、支柱部分414の全長に沿って)とすることができる。上記で紹介したように、支柱部分の幅(本明細書で使用した際には、薄肉支柱部分414の幅416および角度付き支柱部分410の幅418を参照する)は、支柱部分の径方向反対側に位置した内面と外面との間に延びた支柱部分の反対側に位置した面上における反対側に位置した位置どうしの間で測定される。
【0115】
いくつかの例では、薄肉支柱部分414の幅416は、角度付き支柱部分410の幅418と比較して、およそ0.06mm~0.15mmの分だけ小さなものとすることができる。例えば、いくつかの実例では、角度付き支柱部分410の幅418は、約0.3mmとすることができ、薄肉支柱部分414の幅416は、およそ0.15mm~0.24mmの範囲とすることができる。いくつかの例では、薄肉支柱部分414の幅416は、およそ0.18mm~0.22mmの範囲とすることができる。いくつかの例では、薄肉支柱部分414の幅416は、約0.2mm(例えば、±0.03mm)とすることができる。幅416は、また、流出側頂点領域402の幅、および流入側頂点領域404の幅、とも称することができる。
【0116】
フレーム300の頂点(
図5および
図5)とは対照的に、フレーム400の流出側頂点領域402および流入側頂点領域404(
図9A~
図9C)は、角度付き支柱部分410どうしの間におけるより大きな距離にわたって延びた薄肉支柱部分414を有している。例えば、流出側頂点領域402の薄肉支柱部分414は、第一長さ422(
図9B)を有することができる。いくつかの例では、第一長さは、0.8mm~1.4mm、0.9mm~1.2mm、または0.95mm~1.05mm、の範囲である。いくつかの例では、第一長さは、約1.0mm(例えば、±0.03mm)である。よって、流出側頂点領域402の頂点412の両側に位置していて頂点412の両側から延びた薄肉支柱部分414は、第一長さ422(
図9Bに示す単一の第一長さ422)を有することができる。別の言い方をすれば、各流出側頂点領域402は、第一長さ422を有した二つの薄肉支柱部分414でありかつそれぞれがセルの中央長手方向軸線426に対して外向きに頂点412から延びた二つの薄肉支柱部分414を、含むことができる。よって、頂点領域402の全長は、第一長さ422の二倍(例えば、1.6mm~2.8mm、1.8mm~2.4mm、もしくは1.9mm~2.2mm、の範囲、または約2.0mm)とすることができる。
【0117】
さらに、いくつかの例では、流入側頂点領域404の薄肉支柱部分414は、第二長さ424を有することができ、第二長さ424は、第一長さ422よりも短い(
図9C)。いくつかの例では、第二長さ424は、0.3mm~0.7mm、0.4mm~0.6mm、または0.45mm~0.55mm、の範囲である。いくつかの例では、第二長さ424は、約0.5mm(例えば、±0.03mm)である。同じ流入側頂点領域404における二つの薄肉支柱部分414のそれぞれは、第二長さ424を有することができる(
図9Cでは、一つだけが示されている)。よって、頂点領域404の全長は、第二長さ424の二倍(例えば、0.6mm~1.4mm、0.8mm~1.2mm、もしくは0.9mm~1.1mm、の範囲、または約1.0mm)とすることができる。
【0118】
各流出側支柱460および各流入側支柱462は、頂点領域(402または404)と、移行部分または移行領域420と、頂点領域の両側上における二つの角度付き支柱部分410と、を含む長さを有することができる。各流出側支柱460および各流入側支柱462の全長の半分は、
図9Bおよび
図9Cにおいて長さ425として示されており、これは、一つの角度付き支柱部分410の端部から中央長手方向軸線426までにわたって延びている。よって、各流出側支柱460および各流入側支柱462の長さは、長さ425の二倍である。いくつかの例では、各流入側支柱462の半分に関する長さ425は、各流出側支柱460の半分に関する長さ425とは相違することができる。
【0119】
各薄肉支柱部分414の長さは、対応した半分の流出側支柱460または対応した半分の流入側支柱462に関する長さ425の、少なくとも25%とすることができる。別の言い方をすれば、各流出側頂点領域402(全長は、第一長さ422の二倍である)および各流入側頂点領域404(全長は、第二長さ424の二倍である)の長さは、流出側支柱460または流入側支柱462に関する全長(長さ425の二倍)の少なくとも25%とすることができる。いくつかの例では、各頂点領域(流出側頂点領域402など)の長さは、対応した流出側支柱460または対応した流入側支柱に関する全長(長さ425の二倍)の25%超とすることができ、例えば25%~35%とすることができる。
【0120】
いくつかの例では、各流出側頂点領域402および各流入側頂点領域404は、湾曲していて軸線方向を向いた外面428と、円弧状とされていてまたは湾曲していて軸線方向を向いた内側凹所430でありかつ薄肉支柱部分414を形成する内側凹所430と、を含むことができる。例えば、湾曲した内側凹所430は、角度付き支柱部分410の内面から、湾曲した外面428に向けて、凹むことができ、これにより、より小さい幅の薄肉支柱部分414を形成することができる。よって、湾曲した内側凹所430は、頂点領域のセル側上に形成することができる(例えば、頂点領域の外側とは対照的に)。
【0121】
いくつかの例では、各頂点領域(402または404)の湾曲した外面428は、頂点領域の第一サイド上における一つの角度付き支柱部分410から、頂点領域の反対側の第二サイド上における別の角度付き支柱部分410までにわたって、単一の連続した湾曲を形成することができる。対照的に、
図1および
図3に示すそれぞれ対応した人工心臓弁10および200におけるフレームの頂点は、三つまたは四つの湾曲を含むことができる(例えば、頂点220は、頂点の一方サイド上における一つの角度付き支柱から、頂点の反対側に位置したサイド上における別の角度付き支柱までにわたって、四つの湾曲または曲線を有している)。
【0122】
各流出側頂点領域402および各流入側頂点領域404は、湾曲した外面428に沿って(例えば、いくつかの実例では、湾曲した外面428の全体または全長に沿って)、曲率半径432を有することができる。頂点412における曲率半径432、および/または頂点領域の湾曲した外面428の全体に沿った曲率半径432は、より尖鋭であるようなまたはU字形状を有した従来の頂点設計と比較して、より大きなものとすることができる。いくつかの例では、曲率半径432は、1mmよりも大きなものとすることができる。いくつかの例では、曲率半径432は、1mm~20mm、3mm~16mm、または8mm~14mm、の範囲とすることができる。いくつかの例では、曲率半径432は、10mmより大きなものとすることができる。いくつかの例では、曲率半径432は、約13.5mm(±0.03mm)とすることができる。曲率半径432は、薄肉支柱部分414の、幅416(例えば、角度付き支柱部分410からの幅の減少量)および長さ(422または424)に依存することができる(よって、それら幅および長さの変化に起因して、変化することができる)。
【0123】
いくつかの例では、曲率半径432は、頂点領域(流入側頂点領域404または流出側頂点領域402)が平坦であるように、規定することができる(例えば、曲率半径432は、無限大とすることができる)。例えば、そのような実例では、外面428は、平面とすることができ、平面状の外面428は、中央長手方向軸線426に対して垂直に規定される。
【0124】
さらに、流出側頂点領域402および流入側頂点領域404の高さ(軸線方向高さ)464は、軸線方向において、二つの角度付き支柱部分410の外面から、頂点412のところでの頂点領域の湾曲した外面428までとして、規定され得るものであって、薄肉支柱部分414の幅416とすることができる(
図9Bに示すように)。このようにして、流出側頂点領域402および流入側頂点領域404の高さ464は、比較的小さなものとし得るとともに、径方向に拡張したフレーム400の全体的な軸線方向高さに対してあまり高さを追加しないものとすることができる。よって、上述したように、フレーム400に対して固定された弁尖は、流入端部408に対して閉塞して配置することができ、これにより、フレーム400の流出端部406のところに、弁尖によって塞がれていないより大きな開放空間を残すことができる。
【0125】
フレーム400の残部は、
図5および
図6のフレーム300と同様のものとすることができる。いくつかの例では、流出側頂点領域402および流入側頂点領域404のそれぞれは、対応した頂点領域の両側から延びた二つの角度付き支柱部分410の間に角度440を形成することができる(
図9A)。いくつかの例では、角度440は、フレーム300の角度320と同様のものとすることができる。例えば、いくつかの実例では、角度440は、120度(この値を包含しない)~140度の範囲とすることができる(例えば、角度440は、120度よりも大きいものであるように、かつ、140度以下であるように)。いくつかの例では、角度440は、135度~140度、138度~140度、または139度~140度、の範囲とすることができる。いくつかの例では、角度440は、約140度(例えば、±1度)とすることができる。
【0126】
上述した流出側頂点領域402および流入側頂点領域404を有したフレーム400の最大応力点(フレーム400の拡張時における最大応力点)は、
図9Aにおいて破線の円434によって示すように、流出側頂点領域402で経験することができる。いくつかの例では、点434における最大応力は、1,795MPaとなり得る。これは、フレーム300(
図6)の最大応力よりも小さいけれども、それでもなお、フレームが、より小さな最大応力を有すること、および、最大応力の位置が、フレームの頂点領域から離れた位置にあることが、望ましいことであり得る。
【0127】
図10A~
図10Cは、フレーム500の流入端部508と流出端部506との両方に頂点領域502を有したフレーム500の一部に関する別の例を示している。頂点領域502は、フレーム400の流出側頂点領域402に対して、同一または同様のものとすることができる。例えば、各頂点領域502(流入端部および流出端部のところでの各頂点領域)は、頂点412と、二つの薄肉支柱部分414と、を含むことができ、一つの薄肉支柱部分414は、頂点412の一方サイドから、対応したより広い角度付き支柱部分410までにわたって、延びている。さらに、フレーム400の頂点領域402と同様に、フレーム500の流入端部508および流出端部506における各頂点領域502は、幅416と、第一長さ422を有した薄肉支柱部分と、を有することができる。
【0128】
さらに、流出端部506における各頂点領域502および二つの対応した角度付き支柱部分410は、流出側支柱560を形成し得るとともに、流入端部508における各頂点領域502および二つの対応した角度付き支柱部分410は、流入側支柱562を形成することができる。
【0129】
フレーム400と同様に、薄肉支柱部分414の第一長さ422により、頂点領域502の全長は、対応した流出側支柱560または対応した流入側支柱562の全長(
図10Bおよび
図10Cに示す長さ425の二倍)の少なくとも25%とすることができる。いくつかの例では、各頂点領域502の長さは、流出側支柱560または流入側支柱562の全長(長さ425の二倍)の25%超とすることができ、例えば25%~35%とすることができる(
図10Bおよび
図10C)。
【0130】
よって、フレーム500の場合、流入端部508および流出端部506のところでの頂点領域502の両方は、第一長さ422を有したより長い薄肉支柱部分414を有することができる。頂点領域502のこの構成により、頂点領域502から離間した位置における最大応力を低減することができる。例えば、フレーム500の最大応力点(フレーム500の拡張時における最大応力点)は、
図10Aにおいて破線の円512によって示すように、角度付き支柱部分410の、支柱接合部510の近くでありかつ頂点領域502から離間した領域において、経験することができる。いくつかの例では、点512における最大応力は、1,619MPaとなり得る。
【0131】
いくつかの例では、フレーム500の頂点領域502は、
図9A~
図9Cを参照して上述したように、角度440および曲率半径432によって(
図10A)、さらに規定することができる。
【0132】
いくつかの例では、フレーム500は、フレーム500の交連ウィンドウ520を規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分514を含むことができる(
図10A)。ウィンドウ支柱部分514は、交連ウィンドウ520の上方に、上側の(または、流出側の)端部部分516を形成し得るとともに、交連ウィンドウ520の下方に、下側の(または、流入側の)端部部分518を形成することができ、上側の端部部分516は、下側の端部部分518よりも大きい(または、軸線方向において、より長い)。この構成により、交連ウィンドウ520を、フレーム500の流入端部508に向けてわずかにオフセットすることができる(
図8においてウィンドウ支柱部分370aおよび370bを参照して上述したのと同様に)。
【0133】
他の例では、
図11における部分的なフレーム図に示すように、フレーム500は、フレーム500の交連ウィンドウ520を規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分522を含むことができる。ウィンドウ支柱部分522は、交連ウィンドウ520の上方に、上側の(流出側の)端部部分524を形成し得るとともに、交連ウィンドウ520の下方に、下側の(流入側の)端部部分526を形成することができ、上側の端部部分524の長さ528(軸線方向における長さ)は、下側の端部部分526に対して、同一であるまたは実質的に同一である(
図11)。いくつかの例では、上側端部部分524および下側端部部分526の長さ528は、フレームの支柱(例えば、角度付き支柱部分410)の幅418よりも大きなものとすることができる。例えば、いくつかの実例では、長さ528は、0.35mm~0.5mmもしくは0.38mm~0.45mmの範囲、または約0.4mm(例えば、±0.03mm)、とすることができる。
【0134】
フレーム500の径方向拡張時における、頂点領域502から離間した位置での、最大応力の減少(フレーム300および400を含めた上記で開示したフレームと比較して)は、フレーム500を径方向に圧縮または圧着することで径方向圧縮構成へと移行させる際に生じる頂点領域502の応力硬化に起因することができる。例えば、
図12に示すように、フレーム500は、径方向に圧縮または圧着することで径方向圧縮構成530へと移行させることができ(例えば、標的移植部位に向けて送達装置の遠位端部部分上で送達される際)、その後、(例えば、移植のための標的移植部位へと到達した時点で)径方向に拡張することで径方向拡張構成532へと移行させることができる。
図12は、比較のために、径方向圧縮構成530および径方向拡張構成532におけるフレーム500を、オーバーラップさせて部分図で示している。
【0135】
一例として、フレーム500を径方向圧縮構成530へと圧着した時には、頂点領域502は、特に頂点412を含めたより中央領域まわりにおいて、湾曲して塑性変形する。その結果、頂点領域502は、歪み硬化(または、応力硬化)する。
図12に示すように、圧着時の最大応力点は、破線の円534で示すように、頂点領域502で発生する。
【0136】
その後、径方向拡張構成532へと移行した時点で、頂点領域502は、歪み硬化済みであることのために、拡張時には塑性変形することがない。その代わりに、フレーム500の拡張時における最大応力点は、
図12において破線の円536で示すように、角度付き支柱部分410に沿って、頂点領域502から離間した位置で、発生することができる。このようにして、フレーム500の圧着と拡張との間におけるフレームの曲げ点は、頂点領域502から、頂点領域502から離間した点(円536で示す点)へと、移動する。その結果、頂点領域502を、より強固とし得るとともに、劣化を起こしにくいものとすることができ、フレーム500を、より頑強なものとすることができる。
【0137】
図11および
図12に示すように、フレーム500は、また、フレーム500のセル列における隣接したセル535どうしの間に延びた水平方向支柱538を含むことができる。水平方向支柱538は、周方向に延びることができ、周方向延出支柱538とも称することができる。水平方向支柱538は、フレーム500の二つの隣接した角度付き支柱列をなす角度付き支柱どうしを互いに接続することができる。例えば、各水平方向支柱538は、ある支柱列をなす二つの角度付き支柱(例えば、
図11に示す支柱537)に対して、および別の隣接した支柱列をなす二つの角度付き支柱(例えば、
図11に示す支柱539)に対して、接続することができる。その結果、交連ウィンドウ520と水平方向支柱538との間に延びた角度付き支柱539と、水平方向支柱538とフレームの流入端部508に対して隣接して配置された別の水平方向支柱538との間に延びた角度付き支柱537とを、(弁尖がフレーム500に対して取り付けられた時に)弁尖のスカラップラインに追従し得る角度付きラインに沿って、位置合わせすることができる。よって、水平方向支柱538により、フレーム500が径方向拡張構成532とされた時には、角度付き支柱は、弁尖のスカラップラインの形状に対してより密接に一致する形状へと、追従することができる。追加的に、水平方向支柱538は、フレーム500が径方向圧縮構成530とされた時には(
図12に示すように)、角度付き支柱どうし間の隙間533を維持し得るスペーサとして機能することができ、これにより、径方向圧縮構成530において支柱どうしの間に弁尖が挟まれてしまうというリスクを低減することができる。
【0138】
図13は、フレーム620とフレーム620に対して固定された外側(生地製)スカート602とを含む人工心臓弁600の一例に関する斜視図である。フレーム620は、フレーム620の流入端部622および流出端部624のところに、相互接続された複数の角度付き支柱630と、複数の頂点領域632と、を含むことができる。フレーム620は、フレーム300(
図5~
図8)、フレーム400(
図9A~
図9C)、またはフレーム500(
図10A~
図10C)の一つなどの、本明細書で説明する任意のフレームと同様のものとすることができる(または、本明細書で説明する任意のフレームによって置き換えることができる)。
図13に示すように、外側スカート602は、流入端部622から流出端部624(
図13では、外側スカート602によって被覆されている)に向けて、フレーム620の外面まわりに延びることができる。いくつかの例では、
図13に示すように、外側スカート602は、一つまたは複数の縫合糸604によって、流入端部622のところでフレームの支柱に対して固定することができる。
【0139】
さらに、いくつかの例では、外側スカート602の流出端部は、一つまたは複数の縫合糸606によって、軸線方向支柱232の流入端部部分248に対して、および/または角度付き支柱234(
図5を参照されたい)の内側端部もしくは流出端部に対して、固定することができる。いくつかの例では、縫合糸606の一部は、軸線方向支柱232の流入端部部分248内の開口249(外側スカート602の直下における位置を示すために、
図13では破線で示す開口249)を通して延び得るとともに、その開口249に対して固定することができる。いくつかの例では、縫合糸606および/または縫合糸604は、インアンドアウトステッチとすることができる。
【0140】
いくつかの例では、
図13に示すように、ホイップステッチとして構成され得る追加的な縫合糸608が、外側スカート602を、流入端部622と、フレーム620の交連ウィンドウを形成するウィンドウ支柱部分の流入端部と、の間に配置されて延びたフレーム620の角度付き支柱に対して、固定することができる。
【0141】
上記で紹介したように、人工心臓弁のフレームの露出した頂点は、人工心臓弁が上面上に取り付けられた(周囲で径方向に圧縮された)送達装置の膨張可能バルーンに対して、および/または、標的移植部位への経路上で送達装置が内部を通して前進する送達シースに対して、相互作用することができる。よって、人工心臓弁フレームの露出した頂点は、送達装置に対して、送達シースに対して、および/または患者の血管系に対して、潜在的に外傷性を有している。フレーム400(
図9A~
図9C)の頂点領域(402、404)は、およびフレーム500の頂点領域502は、より円形形状の圧着プロファイル(これは、上述したように、頂点領域の増大した角度および形状によって提供され得る)であることに起因して、より尖鋭なポイントまたはU字形状を有した従来的に開示された頂点と比較して、より非外傷性とすることができる。
【0142】
例えば、
図12に示すように、フレーム500が径方向圧縮構成530とされた時には、頂点領域502は、頂点領域の外面428に沿って湾曲した形状を形成する。このような形状により、人工心臓弁が最初の取付位置(例えば、バルーンから外された位置またはバルーンから部分的に外された位置)からバルーン上の展開位置(例えば、人工心臓弁がもともとバルーンの大部分に対して圧着されていない時)へと押し込まれた時には、送達装置の膨張可能バルーン上をより容易にスライドさせ得る。フレームの頂点領域の連続的に湾曲した形状は、また、頂点領域が(例えば、頂点412のところで)、(
図2の例示的な送達装置に示すように、バルーン上へと最初に取り付けられた時に)バルーン内へと貫入してしまう可能性を、および/または標的移植部位への送達時に送達シース内へと貫入してしまう可能性を、低減させ得る。
【0143】
いくつかの例では、頂点領域のところで(例えば、フレームの、流入端部とされ得る少なくとも遠位端部のところで)、さらに非外傷性の面を提供することが、望ましいことであり得る。一例では、高さが低減されていて、湾曲していて、より薄肉とされた、頂点領域(例えば、頂点領域402、404、および/または502)は、それらのエッジ(例えば、
図9B、
図9C、
図10B、
図10C、および
図12に示すような、湾曲した外面428を形成する外側エッジ)のところで、さらに丸められることができる、および/またはさらに切り取られることができる。
【0144】
別の例では、
図14Aおよび
図14Bに示すように、
図14Aに示す例示的な頂点領域502(もしくは代替的には、頂点領域402または404)は、矢印704の向きに、軸線702(これは、横方向軸線と称され得る)まわりに回転駆動することができまたは捩ることができ、これにより、捩られた外面706(
図14B)を形成することができる。このような捩られた外面706は、頂点領域502に対して露出されることとなるもしくは接触することとなる送達装置構成要素および/または天然の解剖学的構造に対して、鈍さがより少なく、より非外傷性であり得る。
【0145】
別の例では、フレーム(例えば、フレーム400もしくは500の一つ)における、一つまたは複数の頂点領域(例えば、頂点領域402、404、および/または502)の少なくとも一部を、クッション部材によって被覆することができる。例えば、いくつかの実例では、
図15に示すように、クッション部材802は、フレーム500の流入端部508のところで、頂点領域502の少なくとも一部を被覆することができる。他の例では、フレーム500は、フレーム400(
図9A~
図9C)によって置き換えることができ、クッション部材802は、流入側頂点領域404および/または流出側頂点領域402を、被覆することができる。
【0146】
図15に示すように、クッション部材802は、フレーム500の流入端部508のところで、頂点領域502の少なくとも一部(例えば、頂点412などの遠位端部)に対して結合し得るとともに、その少なくとも一部を被覆することができる。いくつかの例では、流入端部58のところでの各頂点領域502は、少なくとも部分的に、異なるクッション部材802によって被覆されることができる。
【0147】
クッション部材802は、頂点領域502(例えば、頂点412を含めて頂点領域502の中央部分)上へと折り畳まれた可撓性材料を含むことができる。いくつかの例では、可撓性材料は、布であってもよい。他の例では、可撓性材料は、生地、比較的ソフトで可撓性のあるポリマー(例えば、シリコーン)、または同種の材料、などの別のタイプの比較的ソフトな可撓性材料であってもよい。生地から形成される時には、生地の繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの、任意の様々な生体適合性材料から形成することができる。生地は、織布、不織布、または、織布ベース層から延びた繊維のタフトもしくはループを有したパイル生地(ベルベット、ベロア、等)、とすることができる。参照により本明細書に援用される米国特許出願公開第2019/0192296号明細書に開示されている任意の様々な生地を使用することにより、クッション部材802を形成することができる。
【0148】
いくつかの例では、クッション部材802は、複数のひだ804を含み、複数のひだ804は、頂点領域502の湾曲した外面428上に配置されているとともに、外面428を横断して延びており、さらに、クッション部材802の遠位面(または、層)806を形成している。このようにして、複数のひだ804は、頂点領域502の頂点412上において、その頂点412を横断して形成することができる。複数のひだ804は、クッション部材802の内側層808と外側層810との間に延びることができ、内側層808は、対応した頂点領域502の径方向内側を向いた内面(例えば、フレームの中央長手方向軸線に向けて)を被覆しており、外側層810は、対応した頂点領域502の径方向外側を向いた面(例えば、フレームの中央長手方向軸線から離間した面)を被覆している。このようにして、内側層808は、外側層810と比較して、中央長手方向軸線に対してより近い位置に配置されている。
【0149】
いくつかの例では、クッション部材802の内側層808および外側層810は、頂点領域502の全幅416に沿って/全幅416を横断して、延びることができる。
【0150】
頂点412のところで、頂点領域502の湾曲した外面428を少なくとも被覆することによって、クッション部材802は、標的移植部位へと人工心臓弁を送達する際に、露出した頂点領域502と送達装置の膨張可能バルーンとの間における、および/または、露出した頂点領域502とシースの内面との間における、摩耗をさらに低減してもよく、これにより、シースおよび/またはバルーンに対する劣化を低減してもよい。
【0151】
人工弁および/またはフレーム500の、遠位端部および近位端部への言及が、送達装置上での送達時における弁の端部の位置を指し得ることは、理解されよう。例えば、フレーム500(または、フレーム400)を含む人工心臓弁が送達装置(
図2および
図4に図示したものなど)の遠位端部部分上に取り付けられている時には、人工弁の流入端部は、人工弁の最遠位端部であり、人工弁の流出端部は、人工弁の最近位端部である。この配置は、大動脈を通して天然の大動脈弁に対して人工心臓弁を逆行的に送達するに際して好適なものとすることができる。しかしながら、他の例では、人工心臓弁の流出端部は、特定の送達アプローチに応じて、また、心臓内における特定の移植位置に応じて、送達時における人工心臓弁の遠位端部とすることができる。例えば、経中隔送達経路を介して人工心臓弁を天然の僧帽弁へと送達する時には、人工心臓弁の流出端部は、人工弁の最遠位端部とすることができる。よって、クッション部材802(および/または、異なる構成のクッション部材)は、特定の送達アプローチに応じて、また、手順に関する心臓内における特定の移植位置に応じて、人工弁の流入端部上にまたは流出端部上に取り付けることができる。
【0152】
さらに、他の例では、クッション部材802は、人工心臓弁の流入端部と流出端部との両方上に取り付けることができる。さらに他の例では、クッション部材802は、人工心臓弁の流入端部のところでの頂点領域502上にだけ、取り付けることができる。
【0153】
いくつかの例では、
図15に示すように、複数の頂点領域502の各頂点領域502(例えば、送達時におけるフレームの少なくとも流入端部または遠位端部における各頂点領域)は、頂点領域502の少なくとも頂点412を被覆している離散的クッション部材802を含む。代替例では、単一のクッション部材が、フレーム500の流入端部508のところで、複数の頂点領域502のあらゆる頂点領域502を被覆してもよい。例えば、これらの実例では、単一のクッション部材は、単一の周方向スリーブを含んでもよく、単一の周方向スリーブは、流入端部508の全周まわりに配置されて、流入端部508のところですべての頂点領域502を被覆している。他の例では、フレーム500は、各クッション部材が少なくとも二つの頂点領域502を被覆するような、二つまたはそれ以上のクッション部材を含んでもよい。さらに他の例では、クッション部材は、弁の外部スカートまたは内部スカートの一部であってもよい。これらの例では、スカートは、一体化された個々のクッション部材を有することができる、あるいは、単一のクッション部材を有することができる。
【0154】
図20~
図29は、人工心臓弁のフレームにおける頂点領域のための被覆部材および/またはクッション部材に関する追加的な例を提示している。これらの被覆部材および/またはクッション部材は、例えば、人工心臓弁が送達装置の遠位端部部分の一部まわりで径方向に圧縮される時には、および/または、人工心臓弁が送達シースに対して前進駆動される時には(これにより、例えば、移植部位のところで人工心臓弁を露出させる)、頂点領域と、導入器もしくは導入器シース、および/または送達シース、および/または送達装置のバルーンなどの、送達装置あるいはシステムの一つもしくは複数の構成要素と、の間における摩擦を低減することができる。さらに、いくつかの例では、送達装置上で径方向に圧縮された人工心臓弁が内部を通して前進駆動される送達シースは、拡張可能な送達シースとすることができる。よって、拡張可能な送達シースを通しての前進駆動時には、人工心臓弁は、シースを拡張するための径方向力を(例えば、脈管壁に対して)印加し得るとともに、前進時にシースの内壁に対してフレームが(例えば、フレームの流入側の頂点または頂点領域が)接触することに起因する軸線方向力成分(例えば、剪断応力)を印加することができる。この軸線方向力成分は、頂点(または、頂点領域)と送達シースとの間における摩擦係数に比例するものであり、応力は、面積に対して反比例する(力を接触面積によって割算する)。よって、人工心臓弁の遠位端部(例えば、人工大動脈弁を使用した経大腿動脈送達アプローチを使用している時には、流入端部)のところで、摩擦係数を低減させるとともに接触面積を増大させることは、送達シースを通しての弁の前進駆動時に軸線方向力成分を低減させるに際して、望ましいことであり得る。
【0155】
図20~
図24は、人工心臓弁のフレームにおける一つまたは複数の頂点領域を、材料によって巻回する例を示している。これらの巻回は、例えば、摩擦を低減させ得るとともに、頂点領域に対して、クッション性のおよび/または非研磨性の被覆を提供することができる。巻回は、ポリマー材料または生地材料などの、様々な材料から形成することができる。例えば、フレーム(例えば、フレーム400または500の一つ)の一つまたは複数の頂点領域(例えば、頂点領域402、404、および/または502)は、頂点領域を形成する支柱部分の周縁まわりにループまたは巻回された被覆部材によって、被覆することができる。いくつかの例では、
図20に示すように、被覆部材1100(例えば、縫合糸、あるいは、別のポリマー性もしくは生地製の、材料ストリップまたは材料バンド)は、フレーム500の流入端部508のところでの頂点領域502の少なくとも一部まわりを、被覆および/または巻回することができる。
【0156】
フレーム500が、例示として
図20~
図24で使用されていること、また、他の例では、被覆部材1100が、
図20~
図24を参照して以下で説明するのと同様の態様で、本明細書で説明する任意の他のフレームにおける頂点領域または頂点を被覆し得ることに、留意されたい。
【0157】
上記で紹介したように、各頂点領域502は、頂点412と、二つの薄肉支柱部分414と、を含むことができ、一つの薄肉支柱部分414は、頂点412のそれぞれのサイドから、流入側支柱562(または、流出側支柱560)の、対応したより広い角度付き支柱部分410までにわたって、延びている。さらに、各頂点領域502は、湾曲した軸線方向を向いた外面428と、薄肉支柱部分414を形成する内側凹所430と、を含むことができる。いくつかの例では、各頂点領域502の湾曲した外面428は、頂点領域502の第一サイド上における一つの角度付き支柱部分410から、頂点領域502の反対側の第二サイド上における別の角度付き支柱部分410までにわたって、単一の連続した湾曲を形成することができる。
【0158】
よって、各頂点領域502は、頂点領域502の両サイド上にまたは両端部上に、頂点領域502の幅の狭い薄肉支柱部分414から、対応した流入側支柱562または流出側支柱560の、幅の広い角度付き支柱部分410へと、移行する肩部540(または、肩部分)を含むことができる。肩部540は、流入側支柱562または流出側支柱560の、軸線方向を向いた内面542上に、またはその内面542の一部に、配置することができる。
【0159】
図20に示すように、被覆部材1100は、頂点領域502の少なくとも一部を巻回して被覆することができる。いくつかの例では、被覆部材1100は、頂点領域502の肩部540どうしの間における薄肉支柱部分414の一部または全体を巻回して被覆することができる。他の例では、被覆部材1100は、頂点領域502と、頂点領域502に対して接続した一つまたは複数の角度付き支柱部分410の一部とを、巻回して被覆することができる(例えば、
図21~
図24に示すように、また、以下でさらに説明するように)。
【0160】
いくつかの例では、被覆部材1100は、流入側支柱562(例えば、いくつかの実例では、各流入側支柱562)の一つまたは複数に関する頂点領域502を巻回して被覆することができる。いくつかの例では、被覆部材1100は、流出側支柱560の一つまたは複数に関する頂点領域50を巻回して被覆することができる。
【0161】
被覆部材1100は、頂点領域502まわりにループされた(もしくは、巻回された)材料ストリップまたは材料バンドとして構成することができる。被覆部材1100は、複数のループ1102が頂点領域502を横断して互いに隣接して形成されるようにして(例えば、ループ1102が薄肉支柱部分414から垂れ下がらずに薄肉支柱部分414に対して接触しているよう、比較的緊密なループ)、頂点領域502の薄肉支柱部分414の周縁を巻回することができる。いくつかの実例では、隣接したループどうしは、少なくともわずかに、互いにオーバーラップすることができる。他の実例では、隣接したループどうしは、互いに当接することができる(すなわち、オーバーラップしない)。さらに他の実例では、隣接したループどうしは、ループどうしの間に隙間を含むことができ、頂点領域がわずかに露出されることとなる。
【0162】
被覆部材1100は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの、比較的滑らかな材料を含むことができる。いくつかの例では、被覆部材1100は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)もしくはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの、比較的小さな摩擦係数を有した高強度材料を含むストリップまたはモノフィラメントとすることができる。このような材料は、より大きな曲率半径を提供することができ、より大きな曲率半径であることにより、径方向に圧縮された人工心臓弁が送達装置によって送達シースを通して移植部位へと操縦される時には、送達シースに対する摩耗を低減させることができる。
【0163】
図20に示すように、いくつかの例では、被覆部材1100は、一端部を頂点領域502の一方の肩部540に対して結合し得る(例えば、被覆部材1100の端部を、「グラニー」結びもしくは二重結びなどの結び目へと、結ぶことまたは繋ぐことによって)とともに、その後、頂点領域502における反対側の肩部540のところまで、頂点領域502の薄肉支柱部分414の周縁を繰り返し的にループすることができる。その結果、被覆部材1100からなる複数のループ1102を、頂点領域502の二つの肩部540の間にわたって、頂点領域502を横断して形成することができる。
【0164】
いくつかの例では、被覆部材1100のストランドに関する残部または自由端部分は、被覆部材1100の最後の(または、端部の)ループ1104の底部へと差し込むことができ、これにより、頂点領域502の周囲の所定位置へとループをロックすることができる。最後のループ1104から、被覆部材1100のストランドの自由端部分は、隣接した頂点領域502(
図20)の最も近い肩部540に向けて延びることができ、これにより、ブリッジ部分1106を形成することができる。その後、被覆部材1100の自由端部分は、隣接した頂点領域502をループまたは巻回することができる。
【0165】
いくつかの例では、このプロセスを繰り返すことにより、被覆部材1100を構成する単一ストリップまたはバンド(あるいは、一緒に接続された一つもしくは複数のストリップまたはバンド)を、フレーム500の流入端部508(または、流出端部506)のところでのすべての頂点領域502の周縁におよびすべての頂点領域502どうしの間に、延ばすことができる。その結果、フレーム500の流入端部508(および/または、流出端部506)のところでのすべての流入側頂点領域502を、被覆部材1100によって被覆することができる。このようにして、被覆部材1100は、フレーム500の流入端部508(および/または、流出端部)のところでの各頂点領域502を巻回して被覆する複数のループ1102と、隣接した頂点領域502のループ1102どうしの間を架け渡す複数のブリッジ部分1106(または、延長部分)と、を含むことができる。複数のブリッジ部分1106は、フレームの流入端部508を横断して、ある頂点領域502のある複数のループ1102から、隣接した頂点領域の別の複数のループ1102へと、延びることができる。この結果、被覆部材1100は、流入端部508のところで、フレーム500の周縁まわりに、被覆材料からなるリングを形成することができる。
【0166】
いくつかの例では、
図27に示すように、被覆部材1100は、また、フレーム500の外面まわりに配置された外側スカートを通して延びることもでき、これにより、外側スカートをフレーム500に対して固定することができる。例えば、フレーム500の外面まわりに配置された例示的な外側スカート1150を、被覆部材1100(
図27)を使用して、フレームの流入端部に対して固定または縫合することができる。
図27は、フレーム500の一部を内側から見た図を示しており、外側スカート1150は、フレームの周囲に配置されているとともに、フレームに対して固定されている(内側から見た図であるため、
図27では、外側スカート1150は、フレーム500の背面側に見えている)。
図27に示す外側スカート1150は、人工心臓弁の外側スカートを参照して本明細書で説明するような、材料どうしの任意の組合せを含むことができる。さらに、代替例では、
図27および
図28A~
図29を参照して以下で説明するのと同様の態様で、異なる外側スカートを、人工心臓弁のフレーム500に対してまたは別のフレームに対して、固定することができる(例えば、外側スカート1150を、
図13の外側スカート602によってもしくは
図1の外側スカートによって置き換えることができる、および/または、フレーム500もしくは600を、
図9Aのフレーム400によってもしくは
図5のフレーム300によって置き換えることができる)。
【0167】
図27に示すように、被覆部材1100は、フレーム500の頂点領域502まわりに延び得る(上述したように)とともに、外側スカート1150をなす材料(例えば、生地)を通して、外側スカート1150の流入エッジ部分1152に沿って延びることができる。いくつかの実例では、被覆部材がなすループ1102の、一つもしくは複数は、またはそれぞれは、頂点領域502を巻回し得る(上述したように)とともに、外側スカート1150を通して延びることができる。その後、最後のループ1104から、被覆部材1100は、隣接した頂点領域502の間において、外側スカート1150の流入エッジ部分1152を通して縫い付けることができ、流入エッジ部分1152を通してかつ流入エッジ部分1152まわりに、複数のホイップステッチ1154を形成することができる。
【0168】
図28A~
図28Cは、被覆部材1100を使用して、ループ1102およびホイップステッチ1154を形成するための、さらに、外側スカート1150を別の例示的なフレーム620に対して固定するための、例示的な方法を示している。本明細書で説明する他のフレームと同様に、フレーム620は、角度付き支柱630どうしの間に延びた頂点領域632(
図28A~
図28Cに示す632aおよび632b)を含むことができる。最初に
図28Aに目を向けると、フレーム620の第一頂点領域632aから開始して、被覆部材1100は、外側スカート1150の流入エッジ部分1152を通して延び得る(例えば、針を使用して)とともに、第一頂点領域632aまわりに(例えば、第一頂点領域632aの第一肩部に隣接して)ループすることができ、第一ループ1103を形成することができる。いくつかの実例では、被覆部材1100は、第一ループ1103を通過することで、結び目(例えば、第一結び目ループ1103)を形成することができる。その後、被覆部材1100は、第一ループ1103に隣接した第一頂点領域632aを巻回することで、複数のループ1102(これは、いくつかの実例では、ホイップステッチとすることができる)を形成することができる。いくつかの例では、三つのループ1102を形成することができる。しかしながら、代替例では、ループ1102の数は、二つ、四つ、または同種のものなど、三つよりも多いものとも少ないものともすることができる。
【0169】
ループ1102を形成した後に、最後のループ1104は、いくつかの例では、被覆部材1100を使用して一つのロックステッチを縫うことにより、形成することができる(
図28B)。いくつかの例では、ロックステッチは、被覆部材1100を使用して最初のループ1103の周囲に形成することができ、これにより、第一結び目1156を形成することができ、その後、別のロックステッチは、最後のループ1104の周囲に形成することができ、これにより、第二結び目1158を形成することができる(
図28B)。しかしながら、他の例では、ループ1102に隣接して、結び目を一つしか形成しないこともでき、また、結び目を形成しないこともできる。
【0170】
その後、第一頂点領域632aから続くホイップステッチ1154を、第一頂点領域632aと隣接した第二頂点領域632bとの間において、外側スカート1150の流入エッジ部分1152の周囲にかつ流入エッジ部分1152を通して、形成することができる(
図28C)。その後、このプロセスを繰り返すことで、各頂点領域632上にループ1102を形成し得るとともに、隣接した頂点領域632どうしの間において、外側スカート1150の流入エッジ部分1152に沿ってホイップステッチ1154を形成することができる。
【0171】
フレーム620に対して固定された外側スカート1150と被覆部材1100によって被覆された頂点領域632とを含めた人工弁の最終的な構成が、
図29に示されている。
図29では、被覆部材1100の三つのループ1102が外側スカート1150を通して延びるものとして示されているけれども、代替的な実例では、三つ未満のループ1102が外側スカート1150を通して延びてもよい(例えば、二つの、または一つだけの、ループ)ことに、留意されたい。例えば、そのような実例では、頂点領域632を巻回しているループ1102の一部だけが、また、外側スカート1150を通して延びてもよい。さらに、フレームの頂点領域(または、頂点)を巻回する被覆部材を使用して外側スカートをフレームの流入端部に対して固定するための上述した技術は、本明細書で説明する外側スカートとフレームとの任意の組合せなどの、様々な異なる外側スカートと様々な異なるフレームとに対して適用することができる。
【0172】
フレームの頂点領域を被覆することと、外側スカート1150をフレームに対して取り付けることと、の両方を行うために、同じ構成要素(被覆部材1100)を利用することにより、人工心臓弁を、より迅速にかつより容易に、組み立てることができる。追加的に、流入側頂点領域を被覆するためにおよび外側スカート1150をフレームに対して固定するために同じ被覆部材1100(例えば、縫合糸)を利用することにより、人工心臓弁の圧着プロファイルを嵩低くすることができる(頂点領域を被覆するために第一被覆部材または縫合糸を使用するとともに、外側スカート1150をフレームに対して取り付けるために第二部材または縫合糸を使用する場合と比較して)。さらになお、外側スカート1150を通して被覆部材1100を延ばすことにより、被覆部材1100のループ1102を、頂点領域まわりの所定位置により確実に固定することができ、これにより、人工心臓弁の径方向圧縮時に、頂点領域から移動したりずれたりすることがない。その結果、被覆部材1100は、人工心臓弁が径方向圧縮構成とされている時には、頂点領域を被覆したままとすることができる。
【0173】
図21~
図24は、フレーム500の一つまたは複数の頂点領域502(あるいは、本明細書で説明するフレームに関する任意の他の頂点領域または頂点)のための被覆部材に関する追加的な例を示している。
図21および
図22に示すように、被覆部材1200は、フレーム500の一端部(例えば、流入端部508)のところで一つまたは複数の頂点領域502を巻回する複数のループ1202を含むことができる。
図21および
図22は、被覆部材1200のループ1202が流入側支柱562の全体を被覆することを示しているけれども、他の例では、ループ1202は、
図20に示すように、頂点領域502(肩部540どうしの間)だけを被覆することができる。さらに、いくつかの例では、被覆部材1200は、
図20に示すブリッジ部分1106と同一または同様のブリッジ部分を、含むことができる。
【0174】
いくつかの例では、
図21および
図22に示すように、被覆部材1200は、隣接した流入側支柱562(および/または、流出側支柱560)を被覆するループ1202どうしの間に形成された結び目1204を含むことができ、これらの結び目は、隣接した流入側支柱562どうしの間における支柱接合部510の周囲に形成されている。
【0175】
代替例では、結び目1204は、
図21および
図22の結び目1204の位置で、被覆部材1200のストリップまたはストランドに長手方向のスリットを形成することにより、さらに、被覆部材1200をそれ自体に通すことによって、置き換えることができる。例えば、
図23および
図24は、被覆部材1300が、フレーム500の一端部(例えば、流入端部508)のところで頂点領域502を巻回する複数のループ1302と、隣接した流入側支柱562どうしの間における支柱接合部510を横断して、隣接した流入側支柱562どうしの間に延びた複数の接続部分1304と、を含む、そのような例を示している。
【0176】
図20の被覆部材1100を参照して上記で紹介したように、
図21および
図22の被覆部材1200は、ならびに/あるいは、
図23および
図24の被覆部材1300は、PTFE、UHMWPE、またはPEEK、などの摩擦係数が比較的小さな材料を含むストリップ、ストランド、または縫合糸、を含むことができ、これにより、人工心臓弁の流入端部508が、送達シースの内壁上を、かつ送達シースの内壁を通して、円滑にスライドすることを容易とする。例えば、被覆部材1100と送達シースとの間における係数は、人工心臓弁のフレームの裸金属と送達シースとの間における摩擦係数と比較して、より小さいものであるべきである。
【0177】
いくつかの例では、本明細書で説明する被覆部材は、送達シースの内壁に対して、0.04~0.4、0.04~0.2、または0.2未満、の範囲の静的摩擦係数を有することができる。いくつかの例では、本明細書で説明する被覆部材は、送達シースの内壁に対して、0.04~0.2、または0.04~0.1、または0.1未満、の範囲の動的摩擦係数を有することができる。
【0178】
被覆部材1100、1200、および/または1300を含むストリップあるいはバンドあるいは縫合糸の幅は、頂点領域502(例えば、流入端部508のところ)と送達シースの内壁との接触面積を拡大するように、選択することができ、これにより、力(例えば、軸線方向力成分)を全接触面積で割算することに起因したシース降伏強度を下回る値にまで、剪断応力を低減することができる。これにより、例えば、弁が送達装置(例えば、シース)上に引っかかってしまう可能性を低減することができる。
【0179】
例えば、
図21および
図22は、第一幅1206を有したストリップ、バンド、または縫合糸を含む被覆部材1200を示しており、
図23および
図24は、第一幅1206よりも大きな第二幅1306を有したストリップ、バンド、または縫合糸を含む被覆部材1300を示している。
【0180】
送達シースを通して移植部位へと人工心臓弁を操縦する際に送達シースに対する頂点領域502の剪断応力を低減することに加えて、提案する被覆部材は、例えば、送達装置上における人工心臓弁とバルーンとの間の位置合わせを改良することができる。
【0181】
例えば、オフバルーン圧着(例えば、膨張可能バルーンから取り外した状態で、送達装置の周縁へと人工心臓弁を径方向に圧縮する)の際には、人工心臓弁は、収縮したバルーンの近くに、径方向圧縮構成で配置することができ、収縮したバルーンは、周縁上に配置された一連のひだを含むことができる。
【0182】
実際には、バルーンのひだは、必ずしも整然とまたは組織的な態様で折り畳まれているとは限らない。よって、径方向に圧縮された人工心臓弁がバルーンに向けてさらにバルーン上を前進駆動され、移植部位へと到達した時には、バルーンのいくつかのひだは、フレームの流入端部のところでの支柱接合部(例えば、支柱接合部510)上へと引っかかってしまい、バルーン上における人工心臓弁の更なる前進駆動を妨害する可能性がある。いくつかの実例では、バルーンの劣化を引き起こすことさえあり得る。
【0183】
被覆部材1100のブリッジ部分1106(
図20)は、バルーン上における人工心臓弁の前進駆動に関するそのような妨害が発生してしまうことを、防止することができる。例えば、ブリッジ部分1106は、バルーンのひだに対する障壁として機能することができ、これにより、バルーンのひだが流入端部のところで支柱接合部510上に引っかかることを阻止することができる。より具体的には、人工心臓弁がバルーンの頂面上をスライドする際には、ブリッジ部分1106は、バルーンのひだに対して接触することができ、それらのひだを、支柱接合部510に対して径方向内向きに偏向させることができ、これにより、弁は、バルーン上を比較的滑らかな態様でスライドすることができる。
【0184】
追加的に、人工心臓弁の先行エッジ(例えば、流入端部)のところでの被覆部材1100のより滑らかな材料は、バルーン上における人工心臓弁の適切な位置合わせをさらに促進することができる、および/または抵抗をさらに低減することができる。
【0185】
被覆部材に代えて、または被覆部材に加えて、フレームの頂点領域または頂点(フレームの流入端部のところでの頂点領域など)は、ポリマーによって、ディップコーティングまたはオーバーモールドすることができ、これにより、頂点領域もしくは頂点の頂面上に、および/または、頂点領域もしくは頂点の周囲に、円形形状の被覆を形成することができる。ポリマー材料が、大部分の金属と比較して、よりソフトでありかつより可撓性であることのために、そのようなディップコーティングまたはオーバーモールドによる被覆は、フレームの径方向の圧縮または膨張には、影響を与え得ない。
【0186】
図25および
図26は、人工心臓弁のフレーム1400における頂点または頂点領域のための被覆部材に関する別の例を示している。より具体的には、
図25および
図26は、被覆部材が、人工心臓弁のスカート1410(または、弁周囲シール部材)のフラップとして構成されており、フラップが、フレーム1400の対応した頂点または頂点領域1402を巻回して被覆するように適合されている例を示している。フレーム1400は、相互接続された複数の角度付き支柱1406と、フレーム1400の流入側(または、第一)端部1404のところでの複数の頂点領域1402と、を含むことができる。フレーム1400は、
図5のフレーム300、
図9A~
図9Cのフレーム400、または
図10A~
図10Cのフレーム500、の一つなど、本明細書で説明する任意のフレームとすることができる。
【0187】
いくつかの例では、スカート1410(例えば、生地製のスカート)が、フレーム1400の面まわりに配置され得るとともに、スカート1410の第一エッジ1414から遠位向きに延びたフラップ1412を含むことができる。
図25および
図26に示すように、スカート1410の第一エッジ1414は、フレーム1400の流入端部1404に対して取り付けられた流入エッジとすることができる。スカート1410のフラップ1412は、スカート1410の周縁まわりにおいて、互いに離間して配置することができる。
【0188】
いくつかの例では、スカート1410は、環状スカートとすることができる。いくつかの例では、スカート1410は、フレーム1400に対して一緒におよび/または個別的に接続される一つあるいは複数のスカート部分を含むことができる。スカート1410は、生地材料を含むことができる、あるいは、ePTFE、PTFE、PET、TPU、UHMWPE、PEEK、PE、等などのポリマー材料を含むことができる。
【0189】
いくつかの例では、スカート1410は、フレーム1400の流入端部1404の各頂点領域1402に関して一つのフラップ1412を含み得る複数のフラップ1412を含むことができる。
【0190】
各フラップ1412は、対応した頂点領域1402を被覆するように構成することができる。例えば、各フラップ1412は、頂点領域1402の少なくとも一部を被覆するように選択された、いくつかの実例では頂点領域1402の全体を被覆するように選択された、幅1416を有することができる。しかしながら、いくつかの例では、幅1416は、頂点領域1402がその一部をなす流入側支柱562の全体を被覆しないように、選択することができる。
【0191】
さらに、複数のフラップ1412は、スカート1410の第一エッジ1414から延び得るとともに、スカート1410がフレーム1400の支柱に対して固定された時に(
図25に示すように)各フラップ1412が対応した頂点領域1402に対して位置合わせされるようにして、第一エッジ1414に沿って配置することができる。その結果、各フラップ1412は、対応した頂点領域1402とフレーム1400の流入端部1404との上方へと折り畳まれ得るとともに、一つまたは複数のステッチ1408(あるいは、他の締結部材、超音波溶接、および/または他の固定手段)によって、頂点領域1402および流入端部1404に対して固定することができ、これにより、送達シースを通して移植部位へと人工心臓弁を操縦する際には、頂点領域1402を覆い隠す態様で、さらに送達シースの内壁を頂点領域1402による接触から保護する態様で、頂点領域1402を被覆することができる。
【0192】
いくつかの例では、
図25および
図26に示すように、スカート1410は、フレーム1400の内面1420(フレーム1400の中央長手方向軸線に対して径方向内側を向いた内面)まわりに配置された内側スカートとすることができる。よって、フラップ1412は、内面1420の側から、対応した頂点領域1402(流入端部1404のところでの頂点領域)の下方を、および、フレーム1400の外面1422の周囲を、巻回することができる(
図26)。ステッチ1418(
図26に示すもの)は、頂点領域1402の周囲において、頂点領域1402の内面1420上に配置されたフラップ1412の第一部分1424を通して、また、頂点領域1402の外面1422上に配置されたフラップ1412の第二部分1426の周囲へとおよび/または第二部分1426を通して、延びることができる(
図26)。例えば、
図26では、ステッチ1418は、フラップ1412の第二部分1426の周囲をループしているようにして、示されている。しかしながら、代替例では、ステッチ1418は、追加的にまたは代替的に、フラップ1412の第二部分1426を通して延びることができる。
【0193】
他の例では、スカート1410は、フレーム1400の外面1422まわりに配置された外側スカートとすることができる。よって、フラップ1412は、外面1422の側から、対応した頂点領域1402(流入端部1404のところでの頂点領域)の下方を、および、フレーム1400の内面1420の周囲を、巻回することができる。
【0194】
スカート1410は、
図25および
図26では、フレーム1400の狭い方の頂点領域1402を被覆するものとして示されているけれども、他の例では、スカート1410のフラップ1412は、人工心臓弁のフレームにおける任意のタイプの流入頂点または頂点領域(例えば、
図3のフレーム200における頂点220などの、四角形のまたは尖鋭な頂点)を巻回して被覆するように構成することができる。
【0195】
例示の目的で、
図26が概略的であること、よって、異なる構成要素をより容易に区別するために、構成要素どうし(例えば、フレーム1400とスカート1410、および/または、スカート1410と頂点領域1402)の間に、小さな隙間が示されていることに、留意されたい。しかしながら、いくつかの例では、そのような隙間は、図示しているものよりも小さくてもよい、あるいは、特定の構成要素どうし(例えば、ステッチ1418とフラップ1412)の間には、隙間がほとんどなくてもよいまたは全くなくてもよい。さらに、
図26は、フラップ1412を、(巻回することに起因して)より四角いコーナーを有するものとして図示しているけれども、いくつかの例では、フラップ1412は、より円形で可撓性の巻回形状を有することができる(例えば、生地またはポリマー材料を含むことに起因して)。
【0196】
人工心臓弁のフレームの端部(例えば、送達シースを通して移植部位へと、径方向に圧縮された人工心臓弁を前進駆動する際の、弁の先行端部であり、これは、いくつかの例では、流入端部とすることができる)のところで、頂点または頂点領域を被覆するように構成されたフラップを含むスカートは、頂点もしくは頂点領域が送達シースの内壁を貫通することおよび/または損傷することを防止し得るとともに、送達装置を使用して送達シースを通して人工心臓弁を前進駆動するのに必要な押し込み力を、低減することができる。
【0197】
人工心臓弁のフレームにおける一つもしくは複数の頂点の少なくとも一部を被覆するように構成されたクッション部材または被覆部材に関する更なる詳細ならびに更なる例は、2019年8月14日付けで出願された米国仮出願シリアル番号第62/886,677号明細書の優先権を主張している、2020年8月5日付けで出願された国際特許出願第PCT/US2020/044994号に、見出すことができる。
【0198】
上述したように、低減された幅を有した頂点領域を含むとともに、このような頂点領域を含む流入側支柱または流出側支柱の長さの少なくとも25%である長さにわたって延びている、人工心臓弁のためのフレームは、フレームの拡張時にフレームが経験する最大応力を減少させ得るとともに、最大応力を頂点領域から遠ざけることができ、これにより、フレームの頑強さおよび寿命を増大させることができる。さらに、流入側支柱または流出側支柱の対応した角度付き支柱部分どうしの間で湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の間で120度~140度の角度を形成している、単一の連続的な湾曲を有した頂点領域により、最小の軸線方向高さ(例えば、頂点領域の幅と同等である)を有した頂点領域をもたらすことができ、これにより、人工心臓弁の弁尖の尖端エッジ部分を、フレームの流入端部のより近くに配置し得るとともに、フレームの流出端部のところに配置された第一列をなすセルの軸線方向高さを、増大させることができ、これにより、フレームの流出端部のところに、より大きな開放空間(弁尖の交連および流出エッジによって遮断されない)を提供することができ、血流および冠動脈アクセスを増加させることができる。追加的に、この大きな角度(例えば、120度よりも大きく、かつ、最大で140度まで)を規定する頂点領域を含むフレームは、人工心臓弁を径方向に拡張させてから、送達装置のバルーンを収縮させた後に、径方向の反動を低減させることができる。さらになお、このような頂点領域は、人工心臓弁が送達装置上に取り付けられて標的移植部位へと操縦される際に、より非外傷性であって、送達装置のバルーンおよび/または送達シースに対しての相互作用が小さい。
【0199】
別の例では、薄肉領域(
図5および
図6に示すものなど)を有するとともに高さが低減された先端もしくは頂点領域を有したフレームの頂点のところで経験する歪み集中および/または最大応力は、頂点の中央部分(または、中心)のところに突起または突出部を形成することによって、低減することができる。以下でより詳細に説明するように、この突起は、例えば、頂点の先端中央部を補強し得るとともに、突起の両サイド上で頂点の薄肉領域どうしの間における歪みを分散させることができ、これにより、フレームの拡張時に頂点での曲げの際に経験する大きな歪みに起因した材料劣化の可能性を低減することができる。
【0200】
図16Aおよび
図16Bは、人工心臓弁のためのフレーム900の一部に関する例示的な例を示しており、フレーム900は、頂点の構成を除いては、
図5および
図6のフレーム300と同様のものとすることができる。例えば、フレーム900は、フレーム900の流入端部および流出端部904(
図16Aおよび
図16Bに示す)のところに頂点(または、頂点領域)902を形成する相互接続された支柱302を含むことができる。
図5および
図6のフレーム300と同様に、各頂点902は、フレーム900の流入端部または流出端部904(
図16Aおよび
図16B)のところでの二つの角度付き支柱310の間に配置されているとともに、二つの角度付き支柱310の間に移行部を形成している。単一の頂点902に関する詳細図が、
図16Bに示されている。
【0201】
各頂点902は、湾曲したまたは比較的平坦な外面906(軸線方向において流出端部904を向いている)と、外面906とは反対側に配置された円弧状のまたは湾曲した内面914(軸線方向において流入端部を向いている)と、を含むことができる。
図5および
図6の頂点304における単一の内側凹所とは対照的に、各頂点902の内面914(
図16A)は、突起912(
図16B)によって互いに分離された第一内側凹所908および第二内側凹所910を含めて二つの湾曲した内側凹所を含む。このようにして、頂点902のところでの支柱の内面914は、全体的に、「M」字形状を含む。
【0202】
図16Bに示すように、突起912は、第一内側凹所908および第二内側凹所910から、軸線方向に突出することができる。さらに、突起912は、
図16Bにおいて中央長手方向軸線916によって示すように、頂点902の中央領域または中心のところに、配置することができる。例えば、頂点902のピークおよび突起912のピーク(これらは、軸線方向において反対向きに延びている)は、中央長手方向軸線916に沿って位置合わせすることができる。
【0203】
第一内側凹所908および第二内側凹所910は、角度付き支柱310の幅318(
図16B)よりも小さな幅(または、高さ)920を有した頂点902の薄肉領域を形成することができる(突起912の両側で)。いくつかの例では、幅920は、フレーム300(
図6)の頂点304における内側凹所314の幅316に対して、同一または同様とすることができる。しかしながら、突起912のところでの頂点902の領域は、第一内側凹所908および第二内側凹所910の幅920よりも大きな幅922を有することができる(
図16B)。いくつかの例では、幅922は、角度付き支柱310の幅318と比較して、なおもより小さい。
【0204】
いくつかの例では、突起912の高さと称され得る幅922と幅920との間における差は、ミクロン(マイクロメートル)のオーダーとすることができ、よって、肉眼では見えない。
図16Bに示す突起912は、例示の目的のために若干誇張されている(実際には、
図16Bに示すものよりも、小さなものであってもよい)。
【0205】
いくつかの例では、第一内側凹所908と、第二内側凹所910と、突起912とは、レーザーを使用して形成することができる。いくつかの例では、突起912は、支柱の寸法公差(±0.025mm)内とされ得るとともに、突起912が形成されている先端領域(例えば、頂点902)のところにレーザビームの分解能を増大させることによって、形成することができる。通常の±0.025mmの公差に加えて、幅922および幅920の間の幅差を参照する局所的な公差が提供され、よって、局所的に切断曲線に追従する。この公差は、いくつかの実例では、通常の公差(例えば、0.0025mm、他の実例では1μm~10μm)と比較して、1桁ほど厳しいものとすることができる。よって、いくつかの例では、幅922と幅920との間の幅差は、よって突起912の高さは、25μm±2.5μmとすることができる。いくつかの例では、突起912の高さは、10μm~50μm、または20μm~30μm、の範囲とすることができる。
【0206】
いくつかの例では、フレーム900の支柱は、慣性モーメントがI=(1/12)bh3である実質的に矩形断面形状を有し得ることのために(ここで、「h」は、軸線方向における高さを指し、これは、上記で言及した幅と同一とすることができ、「b」は、径方向の厚さを指す)、頂点902の曲げ時に発生する応力は、慣性モーメントによって割算した曲げモーメントに比例する。よって、支柱の高さ(または、幅)におけるわずかな増加は、頂点902(または、支柱の他の領域)で発生する応力/歪みに対して、実質的に影響を与える(3乗で影響を与える)。
【0207】
よって、頂点902の中央のところで増大した幅922(または、高さ)をもたらす突起912の形状は、頂点902の中央領域で発生する歪みを減少させ、他方、最大歪みは、突起912の両側上で(第一内側凹所908および第二内側凹所910のところで)、頂点902の両隣りの薄肉領域へと広がる。これにより、低減した高さの頂点902では、歪みを著しく減少させることができ、これにより、頂点902は、材料劣化を経験することなく、曲げ力(例えば、フレーム900の径方向拡張時)に耐えることができる。
【0208】
上記で説明したように、いくつかの例では、人工心臓弁のフレームは、フレームの角度付き支柱(軸線方向支柱が接続される角度付き支柱、および軸線方向支柱がそれらの間に延びる角度付き支柱を含む)の幅に対して、増加した幅を有した軸線方向支柱(例えば、軸線方向支柱232)を含むことができる。その結果、収縮期に幅の広い軸線方向支柱に対して人工心臓弁の弁尖が接触する際に、より大きな接触面積が提供され、これにより、応力が分散されて、弁尖が軸線方向支柱上でフレームのセルを通して径方向外向きに折り畳まれ得る程度が、低減される。よって、一例として、人工心臓弁の弁尖の長期耐久性を、増大させることができる。
【0209】
軸線方向支柱の幅が広くすることで、いくつかの実例では、バルブインバルブ手順後に冠動脈アクセスに問題が生じ得る。例えば、いくつかの状況では、以前に移植された第一人工心臓弁の内部に、第二人工心臓弁を移植することができる。このようなバルブインバルブ手順後には、第一人工心臓弁および第二人工心臓弁の軸線方向支柱どうしは、互いに近接して(例えば、隣接して)位置決めされ得る。冠動脈アクセスカテーテルによる冠動脈アクセスが必要とされている際に、アクセスが、第一人工心臓弁および第二人工心臓弁の隣接した軸線方向支柱によって妨げられている場合には、通常は、バルーンカテーテルを、第一人工心臓弁および第二人工心臓弁の隣接した軸線方向支柱どうしの間に前進させ得るとともに、膨張させることで、軸線方向支柱を側方へと拡径させてまたは曲げて、邪魔にならないようにすることができ、これにより、冠動脈アクセスのためのより大きな開口部を形成することができる。しかしながら、本明細書で開示する広い幅とされた軸線方向支柱であると、膨張したバルーンに対する抵抗性が増大する可能性があり、場合によっては、隣接した軸線方向支柱を、冠動脈アクセスのために、分離させ得ない可能性がある。
【0210】
冠動脈アクセスを改良するために、広い幅とされた軸線方向支柱を有した人工心臓弁は、また、軸線方向支柱の軸線方向長さに沿って、軸線方向支柱内に複数の側方スリット(または、切欠)を含むことができる。横方向の幅1022を有しているとともに、一つまたは複数のスリット1002を含む、例示的な広い幅とされた軸線方向支柱1000が、
図17に示されている。いくつかの例では、
図17に示すように、一つまたは複数のスリット1002は、複数のスリット1002を含む。上述したように、いくつかの例では、軸線方向支柱1000の幅1022は、0.45mm~1.0mm、0.5mm~0.75mm、の範囲とすることができる、または少なくとも0.6mmとすることができる。
【0211】
軸線方向支柱1000は、人工心臓弁の角度付き支柱1004に対して結合され得るとともに、角度付き支柱1004どうしの間に延びることができる。軸線方向支柱1000の軸線方向長さ1006は、二つの角度付き支柱1004の下側端部が収束する点と、別の二つの角度付き支柱1004における上側端部が収束する点と、の間で規定することができる。スリット1002は、軸線方向支柱1000の軸線方向長さ1006に沿って、互いに離間して配置することができる。
【0212】
いくつかの例では、スリット1002は、軸線方向長さ1006に沿って互いに離間して配置されるスリット1002のグループ(例えば、対)1016へとグループ化することができ、同じグループ内に含まれるスリット1002どうしの間の空間量(軸線方向における空間量)を小さくし、これにより、軸線方向支柱1000内に、一つもしくは複数の中実部分またはスリットのない部分1008(例えば、スリット1002を含まない部分)を形成する。別の言い方をすれば、各グループ1016は、軸線方向支柱1000の長さ1006に沿って、隣接したグループ1016から、同じグループ1016内におけるスリット1002どうしの間の間隔よりも大きな量または間隔の分だけ、離間して配置することができる。
【0213】
他の例では、軸線方向支柱1000の複数のスリット1002は、軸線方向長さ1006に沿って、互いに等間隔で離間して配置することができる。
【0214】
いくつかの例では、同じグループ1016内におけるスリット1002どうしの間の軸線方向間隔または軸線方向距離は、変化することができる(例えば、
図17に示すものよりも、小さいものとも大きいものともすることができる)。
【0215】
いくつかの例では、軸線方向支柱1000は、第一側方エッジ1010と、第二側方エッジ1012と、第一側方エッジ1010と第二側方エッジ1012との間に延びた径方向内向き面1014と、を含むことができる。各スリット1002は、横方向において、第一側方エッジ1010および第二側方エッジ1012の一方から、軸線方向支柱1000内へと横方向(または、周方向)に、第一側方エッジ1010および第二側方エッジ1012の他方に向けて、延びることができる。このようにして、各スリット1002は、軸線方向支柱1000の幅1022の一部を通して延びることができる(例えば、その部分だけを通して延びることができ、幅1022全体を通して延びるものではない)。
【0216】
例えば、スリット1002の第一部分(例えば、各対または各グループ1016に関して一つ)は、第一側方エッジ1010から第二側方エッジ1012に向けて軸線方向支柱1000内へと延びることができ、この場合、スリット1002の閉塞端部1018は、第二側方エッジ1012から、距離(側方距離)1020の分だけ、離間して配置されている。同様に、スリット1002の第二部分(例えば、各対または各グループ1016に関して一つ)は、第二側方エッジ1012から第一側方エッジ1010に向けて軸線方向支柱1000内へと延びることができ、この場合、スリット1002の閉塞端部1018は、第二側方エッジ1012から、距離(側方距離)1020の分だけ、離間して配置されている。いくつかの例では、距離1020は、0.1mm~0.3mmの範囲とすることができ、幅1022は、0.5mm~1.0mmの範囲とすることができる。
【0217】
いくつかの例では、距離1020は、よって各スリット1002の幅(横方向における幅)は、同じ軸線方向支柱1000内におけるスリットに関して、および/または異なる軸線方向支柱に関して、変化することができる。スリット1002の幅は、軸線方向支柱1000の幅1022と距離1020との差とすることができる。一例として、ある実例では、第一スリット1002は、第一幅を有することができ、同じ軸線方向支柱1000の第二スリット1002は、第二幅を有することができ、この場合、第二幅は、第一幅よりも小さい(よって、距離1020は、第一スリットよりも第二スリットの方がより大きいこととなる)。他の例では、軸線方向支柱1000内の各スリット1002の幅は、同じとすることができる(よって、距離1020は、各スリット1002に関して同じとなることとなる)。
【0218】
各スリット1002は、0.075mm~0.3mmの範囲の軸線方向高さ1024を有することができる。いくつかの例では、軸線方向支柱1000内のすべてのスリット1002は、同じ高さ1024を有することができる。他の例では、軸線方向支柱1000内の複数のスリットに関して、一つまたは複数のスリット1002は、軸線方向支柱1000内の複数のスリットにおける他のスリット1002とは異なる高さ(より小さいまたはより大きい)を有することができる。
【0219】
いくつかの例では、スリット1002は、レーザーを使用して(例えば、レーザー切断によって)、軸線方向支柱1000内に形成される。
【0220】
スリット1002は、解放スリットと称され得るものであって、二つの(同心的に移植された)人工心臓弁の隣接した軸線方向支柱どうしの間に挿入されたバルーンカテーテルのバルーンが、隣接した軸線方向支柱どうしの間で膨張された時には、隣接した軸線方向支柱が横方向外向きにかつ互いに離間するように曲がるよう、軸線方向支柱1000の柔軟性(例えば、可撓性)を増大させるように構成することができ、これにより、冠動脈アクセスのための空間を、隣接した軸線方向支柱どうしの間に形成することができる。例えば、
図18に示すように、バルブインバルブ手順時に、第二(ゲスト)人工心臓弁1030を、挿入し得るとともに、径方向に拡張させることができ、元々移植されていた第一(ホスト)人工心臓弁1032の内部へと、移植することができる。第一人工心臓弁1032の第一軸線方向支柱1034は、第二人工心臓弁1030の第二軸線方向支柱1036に近接してかつ隣接して配置することができる(第一軸線方向支柱1034および第二軸線方向支柱1036は、両方とも、軸線方向支柱1000と同一である)。
【0221】
第一軸線方向支柱1034および第二軸線方向支柱1036が、冠動脈アクセスを妨害している場合には(例えば、冠動脈に対する開口の前方に配置されていることに起因して、および、互いに近接していることに起因して)、バルーンカテーテルを、第一軸線方向支柱1034と第二軸線方向支柱1036との間に位置決めし得るとともに、その後、バルーンカテーテルのバルーン1038を膨張させることができる。バルーン1038が膨張して、第一軸線方向支柱1034および第二軸線方向支柱1036の側方エッジに対して圧力を印加するにつれて、第一軸線方向支柱1034および第二軸線方向支柱1036は、それらのスリット1002に起因して、互いに逆向きに、外向きに曲げられる。よって、第一軸線方向支柱1034および第二軸線方向支柱1036は、互いに離間するように曲げられ(または、座屈され)、第一軸線方向支柱1034と第二軸線方向支柱1036との間に、冠動脈アクセスのための空間が形成される。
【0222】
軸線方向支柱1000の両側方エッジ(両側面)から延びたスリット1002を有することにより、軸線方向支柱1000は、バルーンが軸線方向支柱1000のどちらの側に位置決めされているかに応じて、二つの方向(横方向または周方向)のいずれにも曲がることができる。例えば、
図18に示すように、第一軸線方向支柱1034は、第一の向き1040に曲がり、第二軸線方向支柱1036は、逆の第二の向き1042に曲がる。
【0223】
本明細書で説明する任意の人工心臓弁における軸線方向支柱は、
図17および
図18の軸線方向支柱1000に対して、同一または同様に構成することができる。例えば、
図19に示すように、フレーム500(
図10A~
図12)の軸線方向支柱232は、複数のスリット1002を含むことができる。いくつかの例では、
図19に示すように、スリットの第一グループ1044は、軸線方向支柱232の幅の広い流出端部部分246に配置することができ、スリットの第二グループ1048は、軸線方向支柱232の幅の狭い中間部分247に配置することができ、スリットの第三グループ1050は、軸線方向支柱232の幅の広い流入端部部分248に配置することができる。
【0224】
いくつかの例では、
図19に示すように、スリットの第一グループ1044および第三グループ1050におけるスリット1002の幅(横方向における幅)は、スリットの第二グループ1048におけるスリット1002の幅よりも、大きなものとすることができる。その結果、スリット1002の閉塞端部と軸線方向支柱の側方エッジとの間の距離(例えば、
図17に示す距離1020)は、すべてのスリット1002に関して、同一または同様とすることができる。他の例では、スリット1002の幅は、すべてのグループ1044、1048、1050に関して、同一とすることができる。
【0225】
他の例では、軸線方向支柱232内のすべてのスリット1002は、中間部分247に配置することができ、より広い流出端部部分246および流入端部部分248には、スリットを配置しないものとすることができる。
【0226】
図17~
図19の例では、各軸線方向支柱内に、六つのスリット1002が示されているけれども、他の例では、各軸線方向支柱は、六つよりも多数のまたは少数のスリット1002(例えば、四つ、五つ、八つ、または同種のもの)を含むことができる。いくつかの例では、各軸線方向支柱は、一つのスリット1002だけを含むことができる。
【0227】
しかしながら、いくつかの例では、二つのスリット1002からなる三つのグループ(
図17~
図19の例に示すように、合計で六つのスリット1002)であって、同じグループの二つのスリットが横方向において逆向きに延びていることを、有利なものとすることができる。例えば、そのような構成は、各方向(横方向)において三つの曲げ点を提供するものであり、これにより、軸線方向支柱1000が、二つの横方向のいずれにも曲がることを可能とする(例えば、膨張バルーンからの横方向の力が軸線方向支柱のどちらの側に対して印加されるかに応じて)。
【0228】
追加的に、いくつかの例では、スリット1002は、三角形、正方形、テーパー形状、または同種のもの(湾曲した閉塞端部を有した長円形または長方形とは対照的)などの、
図17~
図19に示すものとは異なる形状を有することができる。さらに、上述したように、スリット1002の幅および高さは、様々とすることができる。
【0229】
上記で紹介したように、フレームは、フレームに対して接続されている角度付き支柱よりも幅の広い軸線方向支柱を有することができる。軸線方向支柱は、非交連ウィンドウの軸線方向支柱(例えば、軸線方向支柱232)と、内部に交連ウィンドウを規定している軸線方向延出支柱(軸線方向延出ウィンドウ支柱部分240などの軸線方向延出ウィンドウ支柱部分を含む)と、を含むことができる。より大きな応力の領域は、より狭い角度付き支柱とより広い軸線方向支柱(または、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分)との間の移行部のところに、形成されることができる。特に、より大きな応力の領域は、フレームの流出端部のところでの角度付き支柱の根元または基部で発生し得るものであり、この場合、角度付き支柱の根元は、軸線方向支柱のより大きな幅に向けて、外向きに(凸状で)湾曲する。これらのより大きな応力の領域は、人工心臓弁の動作時にこれらの支柱がより大きな荷重を経験することに起因して(例えば、弁尖交連タブが、軸線方向支柱の軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定される交連ウィンドウに対して直接的に取り付けられていることのために)、交連ウィンドウ軸線方向支柱のところで悪化する可能性がある。よって、これらの領域でフレームを強化することで、フレームの耐久性を向上させることが望ましい。
【0230】
一例として、軸線方向延出ウィンドウ支柱部分および/または軸線方向支柱の端部のところに、フレームの角度付き支柱の根元または基部に対して直接的に接続する凹状領域(または、狭まった領域となり得る凹所)を追加することによって、これらの移行領域で経験される応力を低減することができ、これにより、フレームを強化することができる。人工心臓弁のための例示的なフレーム1600に対して適用されるこのような凹状領域の例が、
図30および
図31に示されている。
図30および
図31は、上述したフレーム400またはフレーム500と同様のものとされ得るフレーム1600を図示しているけれども、
図30および
図31を参照して以下で説明する凹状領域は、本明細書で説明する任意のフレームを含めた様々な人工心臓弁フレームに対して適用することができる。
【0231】
最初に
図30に目を向けると、フレーム1600は、フレーム1600の流出端部1604を形成するような、第一列をなす角度付き支柱1602aを含めた、複数列をなす角度付き支柱1602を含むことができる。フレーム1600は、フレーム1600の流出端部1604および流入端部1608のところに形成された頂点領域1606(または、他の例では、
図1、
図3、および
図5に示すものなどの、頂点)を含むことができる。フレーム1600は、また、内部に交連ウィンドウ1612を規定する複数の軸線方向支柱1610(
図30には一つが示されている)を含むことができる。例えば、各軸線方向支柱1610は、第一ウィンドウ支柱部分1614aおよび第二ウィンドウ支柱部分1614bを含むことができ、第一ウィンドウ支柱部分1614aおよび第二ウィンドウ支柱部分1614bは、交連ウィンドウ1612を規定するとともに、交連ウィンドウ1612の上方に(または、さらに流出端部1604に向けて)上側の(流出側の)端部部分1616を形成しており、さらに、交連ウィンドウ1612の下方に(または、さらに流入端部1608に向けて)下側の(または、流入側の)端部部分1618を形成している。下側端部部分1618は、第二列をなす角度付き支柱1602bに対して接続することができ、上側端部部分1616は、角度付き支柱1602aに対して接続することができる。
【0232】
いくつかの例では、
図30に示すように、凹状領域1620(これは、薄肉領域もしくは狭められた領域として、軸線方向支柱に沿って形成することができるまたは継続することができる)を、接続されている角度付き支柱1602aの根元または基部のところで、上側端部部分1616内に形成することができる。特に、角度付き支柱1602aと軸線方向支柱1610との間の移行領域1632は、角度付き支柱1602aが軸線方向支柱1610の上側部分1616に対して接続している角度付き支柱1602aの基部のところでより小さな応力をもたらす凹形状の三つの変化を含むことができる。凹形状の三つの変化は、第一凹状湾曲1634(または、凹状領域)を含み、これは、第一凸状湾曲1636(または、凸領域)へと移行し、その後、凹状領域1620を形成する第二凹状湾曲1635へと移行する。軸線方向支柱1610のより広い部分へと戻る第二凸状湾曲1638によって示すように、上側部分1616の基部のところで、凹形状の第四の変化が起こり得る。よって、より狭い角度付き支柱1602aと、軸線方向支柱1610のより広い部分1624(より広い幅1628を有している)と、の間に、より緩やかな移行部を形成することができる。その結果、移行領域1632で経験する、または、角度付き支柱1602aの基部もしくは根元で経験する、最大応力を低減することができ、これにより、フレーム1600の耐久性を向上させることができる。
【0233】
いくつかの実例では、各軸線方向支柱1610の各上側端部部分1616は、角度付き支柱1602aの基部のところで、上側端部部分1616の各側に一つずつ、二つの凹状領域1620(または、凹形状)を含むことができる。その結果、角度付き支柱1602aに隣接した上側端部部分1616には、狭い幅1626を有した狭められた領域1622が形成される。例えば、狭められた領域1622の幅1626は、角度付き支柱1602aの幅1630よりも大きなものとし得るけれども、軸線方向支柱1610のより広い部分1624の幅1628よりは小さなものとすることができる。
【0234】
いくつかの例では、下側端部部分1618は、また、内部に凹状領域1620を含むことができ、これにより、軸線方向支柱1601のより広い部分1624と角度付き支柱1602bとの間に、より緩やかな移行部を形成することができる。
【0235】
図31は、角度付き支柱1602aの基部または根元のところで上側端部部分1616内に形成され得る凹状領域1640に関する別の例を示している。凹状領域1640は、角度付き支柱1602aの基部のところで、上側端部部分1616内へと周方向に延びたバイトまたは凹所として形成することができる。いくつかの実例では、
図31に示すように、凹状領域1640は、角度付き支柱1602a内の別の凹状湾曲1646に対して緊密に隣接した角度付き支柱1602aの基部内における凸状湾曲1644に対して緊密に隣接して、形成することができる。加えて、いくつかの実例では、凹状領域1640は、軸線方向支柱1610内の別の凸状湾曲1648へと移行することができる。
【0236】
凹状湾曲1646と、凸状湾曲1644と、凹状領域1640と、の間での凹形状における少なくとも三つの変化(および任意選択的に、凹状湾曲1646のところでの、凹形状における第4の変化)は、軸線方向支柱1610に対して接続されている角度付き支柱1602aの基部のところで、応力を低減することができる。
図31には、軸線方向支柱の片側だけしか示されていないけれども、いくつかの例では、上側端部部分1616の両側は、凹状領域1640を含むことができる。さらに、いくつかの実例では、軸線方向支柱1610の下側端部部分1618は、また、(
図30に示すのと同様に)角度付き支柱1602bの基部のところに、凹状領域1640を含むことができる。
【0237】
いくつかの例では、
図31の凹状領域1640または
図30の凹状領域1620は、交連ウィンドウを規定する軸線方向支柱(例えば、本明細書で説明する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分)上だけに、含まれることができる(接続されている角度付き支柱の基部のところで)。
【0238】
代替例では、
図31の凹状領域1640または
図30の凹状領域1620は、交連ウィンドウを形成する軸線方向支柱と、非交連ウィンドウの軸線方向支柱(例えば、軸線方向支柱232)と、を含めて、接続されている角度付き支柱の基部のところで、フレームのすべての軸線方向支柱上に含まれることができる。
【0239】
送達技術
経大腿送達アプローチを介して人工弁を天然の大動脈弁内へと移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部部分に沿って径方向圧縮状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部部分とは、大腿動脈内へと挿入され、下行大動脈内へとおよび下行大動脈を通して、大動脈弓のまわりを、ならびに上行大動脈を通して、前進駆動される。人工弁は、天然の大動脈弁の内部に位置決めされて、径方向に拡張される(例えば、バルーンを膨張させることにより、送達装置の一つまたは複数のアクチュエータを駆動することにより、あるいは、シースから人工弁を展開して人工弁を自己拡張可能とすることにより)。代替的には、人工弁は、経心尖手順で天然の大動脈弁の内部に移植することができ、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部部分上)は、胸部および心臓の心尖部の外科的開口を通して左心室内へと導入され、人工弁は、天然の大動脈弁の内部に位置決めされる。代替的には、経大動脈手順では、人工弁(送達装置の遠位端部部分上)は、例えば部分的なJ胸骨切開または右胸骨傍の小開胸術などによって、上行大動脈の外科的切開を通して大動脈内へと導入され、上行大動脈を通して天然の大動脈弁に向けて前進駆動される。
【0240】
経中隔送達アプローチを介して人工弁を天然の僧帽弁の内部に移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部部分に沿って径方向圧縮状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部部分とは、大腿静脈内へと挿入され、下大静脈内へとおよび下大動脈を通して、右心房内へと、心房中隔を横断して(心房中隔内で行われた穿刺を通して)、左心房内へと、ならびに天然の僧帽弁に向けて、前進駆動される。代替的には、人工弁は、経心尖手順で天然の僧帽弁の内部へと移植することができ、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部部分上)は、胸部および心臓の心尖部の外科的開口を通して左心室内へと導入され、人工弁は、天然の僧帽弁の内部に位置決めされる。
【0241】
人工弁を天然の三尖弁の内部に移植するために、人工弁は、送達装置の遠位端部部分に沿って径方向圧縮状態で取り付けられる。人工弁と、送達装置の遠位端部部分とは、大腿静脈内へと挿入され、下大静脈内へとおよび下大静脈を通して、右心房内へと前進駆動され、人工弁は、天然の三尖弁の内部に位置決めされる。同様のアプローチを、人工弁が天然の三尖弁を通して右心室内へとおよび肺動脈弁/肺動脈に向けて前進駆動されることを除いて、人工弁を天然の肺動脈弁または肺動脈の内部に移植するために使用することができる。
【0242】
別の送達アプローチは、経心房アプローチであり、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部部分上)は、胸部の切開口を通して挿入され、切開口が、天然の心臓弁のいずれかに対してアクセスするために、心房壁(右心房または左心房の心房壁)を通して形成される。心房送達は、また、例えば肺静脈からなど、血管内から行うことができる。さらに別の送達アプローチは、経心室アプローチであり、この場合、人工弁(送達装置の遠位端部部分上)は、胸部の切開口を通して挿入され、切開口が、人工弁を天然の三尖弁の内部にまたは天然の肺動脈弁の内部にまたは肺動脈の内部に移植するために、右心室の壁(典型的には、心臓の基部またはその近傍)を通して形成される。
【0243】
すべての送達アプローチでは、送達装置は、以前に患者の血管系内へと挿入されたガイドワイヤ上を通して前進駆動することができる。その上、開示した送達アプローチは、限定されることを意図したものではない。本明細書で開示する任意の人工弁は、当該技術分野で知られている任意の様々な送達手順および任意の様々な送達デバイスを使用して、移植することができる。
【0244】
開示する技術に関する追加的な例
開示する主題に関して上述した実装を考慮して、本出願は、以下に列挙する追加的な例を開示する。一例における個別の一つの特徴が、またはその例における組合せでの二つ以上の特徴が、および任意選択的に、一つもしくは複数の更なる例における一つ以上の特徴との組合せも、また、本出願の開示内に属する更なる例であることに、留意すべきである。
【0245】
例1.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、狭められた幅と、流出側支柱または流入側支柱の全長の少なくとも25%に沿って延びた長さと、を有しており、狭められた幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さい、人工心臓弁。
【0246】
例2.
各流出側支柱は、流出端部のところで、第一セル列をなすセルの流出エッジを形成しており、各流入側支柱は、流入端部のところで、第二セル列をなすセルの流入エッジを形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例1に記載の、人工心臓弁。
【0247】
例3.
第一セル列をなすセルは、第二セル列をなすセルと比較して、フレームの中央長手方向軸線に関して、より長い軸線方向長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例2に記載の、人工心臓弁。
【0248】
例4.
複数の相互接続された支柱は、中央長手方向軸線の方向に延びているとともにフレームの周縁まわりにおいて互いに離間して配置された複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成しており、各軸線方向支柱は、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例3に記載の、人工心臓弁。
【0249】
例5.
各軸線方向支柱に関して、軸線方向支柱の幅は、軸線方向支柱の中間部分の幅であり、各軸線方向支柱は、中間部分の両サイド上に配置された下側端部部分と上側端部部分とを含み、下側端部部分は、開口を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例4に記載の、人工心臓弁。
【0250】
例6.
フレームの周縁まわりにおいてフレームの外面上に配置されているとともに複数の相互接続された支柱の一部に対して固定された外側スカートをさらに含み、外側スカートの流出端部は、各軸線方向支柱の開口に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例5に記載の、人工心臓弁。
【0251】
例7.
外側スカートは、フレームの流入端部から流出端部に向けて延びているとともに、各軸線方向支柱の下側端部部分に対して近接している、本明細書の任意の例に記載の、特に例6に記載の、人工心臓弁。
【0252】
例8.
各頂点領域は、対応した流出側支柱または流入側支柱における二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~7のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0253】
例9.
各頂点領域は、1mmよりも大きな曲率半径を有して湾曲した外面を含み、湾曲した外面は、対応した流出側支柱または流入側支柱の二つの角度付き支柱部分における外面どうしの間に延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~8のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0254】
例10.
各頂点領域の長さは、0.9mm~2.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~9のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0255】
例11.
各頂点領域の長さは、1.9mm~2.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~9のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0256】
例12.
流出端部のところでの各頂点領域の長さは、1.8mm~2.4mmの範囲内であり、流入端部のところでの各頂点領域の長さは、0.8mm~1.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~9のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0257】
例13.
各頂点領域の狭められた幅は、二つの角度付き支柱部分の幅と比較して、0.06mm~0.15mmの分だけ小さい、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~12のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0258】
例14.
角度付き支柱部分の幅は、0.3mmであり、各頂点領域の狭められた幅は、0.15mm~0.24mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~13のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0259】
例15.
各頂点領域は、対応した流出側支柱または流入側支柱の二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面に対して連続した湾曲した軸線方向を向いた外面と、円弧状の軸線方向を向いた内側凹所と、を含み、内側凹所は、二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた内面から、頂点領域の外面に向けて、凹んでいる、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~14のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0260】
例16.
頂点領域の一つまたは複数は、非外傷性であるように構成された捩られた外面を頂点領域が含むよう、頂点領域の横方向軸線まわりに捩られている、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~15のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0261】
例17.
フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~16のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0262】
例18.
複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウをさらに含み、第一セル列は、フレームの流出端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例17に記載の、人工心臓弁。
【0263】
例19.
各交連ウィンドウは、二つの隣接した流出側支柱の間における接合部と、交連ウィンドウを規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分と、の間に延びた上側軸線方向支柱によって、フレームの流出端部から離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例18に記載の、人工心臓弁。
【0264】
例20.
各交連ウィンドウは、交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、上側端部部分および下側端部部分の、フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、二つの角度付き支柱部分の幅よりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例17に記載の、人工心臓弁。
【0265】
例21.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、複数の流出側支柱および複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に単一の湾曲を形成する湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の幅が二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さくなるよう、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点領域の湾曲した外面に向けて、内向きに凹んでいる軸線方向を向いた内側凹所と、を含む、人工心臓弁。
【0266】
例22.
頂点領域の湾曲した外面の曲率半径は、1mmよりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例21に記載の、人工心臓弁。
【0267】
例23.
頂点領域の湾曲した外面の曲率半径は、8mm~14mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例21に記載の、人工心臓弁。
【0268】
例24.
湾曲した外面は、頂点領域の第一サイド上に位置した、二つの角度付き支柱部分のうちの第一角度付き支柱部分の、外面から、頂点領域の第二サイド上に位置した、二つの角度付き支柱部分のうちの第二角度付き支柱部分までにわたって、曲率半径を有して連続的に湾曲している、本明細書の任意の例に記載の、特に例22または23に記載の、人工心臓弁。
【0269】
例25.
頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ140度以下である角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~24のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0270】
例26.
頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間に、135度~140度の範囲内である角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~24のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0271】
例27.
頂点領域は、頂点と、頂点の各側に一つずつ配置された二つの薄肉支柱部分と、を含み、各薄肉支柱部分は、頂点から、二つの角度付き支柱部分の対応した角度付き支柱部分までにわたって、延びており、頂点領域の各薄肉支柱部分は、0.8mm~1.4mmの範囲の長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~26のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0272】
例28.
頂点領域は、頂点と、頂点の各側に一つずつ配置された二つの薄肉支柱部分と、を含み、各薄肉支柱部分は、頂点から、二つの角度付き支柱部分の対応した角度付き支柱部分までにわたって、延びており、頂点領域の各薄肉支柱部分は、0.95mm~1.05mmの範囲の長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~27のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0273】
例29.
複数のセル列は、フレームの流出端部のところに配置された第一セル列と、フレームの流入端部のところに配置された第二セル列と、を含み、第一セル列をなすセルは、第二セル列をなすセルと比較して、フレームの中央長手方向軸線に関して、より長い軸線方向長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~28のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0274】
例30.
複数の相互接続された支柱は、中央長手方向軸線の方向に延びているとともにフレームの周縁まわりにおいて互いに離間して配置された複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成しており、各軸線方向支柱は、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有しており、角度付き支柱は、第一セル列をなすセルを軸線方向支柱によって形成する角度付き支柱を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例29に記載の、人工心臓弁。
【0275】
例31.
軸線方向支柱の幅は、軸線方向支柱の中間部分の幅であり、各軸線方向支柱は、中間部分の両サイド上に配置された下側端部部分と上側端部部分とを含み、下側端部部分は、開口を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例30に記載の、人工心臓弁。
【0276】
例32.
フレームの周縁まわりにおいてフレームの外面上に配置されているとともに複数の相互接続された支柱の一部に対して固定された外側スカートをさらに含み、外側スカートの流出端部は、各軸線方向支柱の開口に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例31に記載の、人工心臓弁。
【0277】
例33.
各頂点領域の長さは、0.9mm~2.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~32のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0278】
例34.
各頂点領域の長さは、1.9mm~2.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~32のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0279】
例35.
フレームの流出端部のところでの各頂点領域の長さは、1.8mm~2.4mmの範囲内であり、フレームの流入端部のところでの各頂点領域の長さは、0.8mm~1.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~32のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0280】
例36.
頂点領域の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅と比較して、0.06mm~0.15mmの分だけ小さい、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~35のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0281】
例37.
角度付き支柱部分の幅は、0.3mmであり、頂点領域の幅は、0.15mm~0.24mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~36のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0282】
例38.
頂点領域の一つまたは複数は、非外傷性であるように構成された捩られた外面を頂点領域が含むよう、頂点領域の横方向軸線まわりに捩られている、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~37のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0283】
例39.
フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含み、各弁尖は、弁尖の両サイド上に配置された反対側に位置した交連タブと、反対側に位置した交連タブどうしの間に延びた尖端エッジ部分と、を含み、各弁尖の尖端エッジ部分は、フレームの流入端部に対して隣接して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~38のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0284】
例40.
複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウをさらに含み、第一セル列は、フレームの流出端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖のそれぞれから一つの交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例39に記載の、人工心臓弁。
【0285】
例41.
各交連ウィンドウは、二つの隣接した流出側支柱の間における接合部と、交連ウィンドウを規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分と、の間に延びた上側軸線方向支柱によって、フレームの流出端部から離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例40に記載の、人工心臓弁。
【0286】
例42.
各交連ウィンドウは、交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、上側端部部分および下側端部部分の、フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、二つの角度付き支柱部分の幅よりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例40に記載の、人工心臓弁。
【0287】
例43.
頂点領域の少なくとも頂点の湾曲した外面を被覆するクッション部材をさらに含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例21~42のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0288】
例44.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、複数の流出側支柱および複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、頂点と、頂点領域の中央長手方向軸線に対して頂点から互いに逆向きにかつ外向きに延びた二つの薄肉支柱部分と、を含み、二つの薄肉支柱部分の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さく、二つの薄肉支柱部分の組合せ長さは、頂点領域を含む対応した流出側支柱または流入側支柱の長さの少なくとも25%である、人工心臓弁。
【0289】
例45.
各流出側支柱は、複数のセル列における第一セル列をなすセルの流出エッジを形成しており、各流出側支柱は、フレームの複数の軸線方向支柱における少なくとも一つの軸線方向支柱に対して接続されており、少なくとも一つの軸線方向支柱は、中央長手方向軸線に関して軸線方向に延びているとともに、セルの軸線方向側部を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例44に記載の、人工心臓弁。
【0290】
例46.
軸線方向支柱は、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有しており、角度付き支柱は、第一セル列をなすセルを軸線方向支柱によって形成する角度付き支柱を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例45に記載の、人工心臓弁。
【0291】
例47.
軸線方向支柱の幅は、軸線方向支柱の中間部分の幅であり、軸線方向支柱は、中間部分の両サイド上に配置された下側端部部分と上側端部部分とを含み、下側端部部分は、開口を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例46に記載の、人工心臓弁。
【0292】
例48.
フレームの周縁まわりにおいてフレームの外面上に配置されているとともに複数の相互接続された支柱の一部に対して固定された外側スカートをさらに含み、外側スカートの流出端部は、各軸線方向支柱の開口に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例47に記載の、人工心臓弁。
【0293】
例49.
軸線方向において、二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた外面から、頂点における頂点領域の軸線方向を向いた外面まで、として規定される頂点領域の高さは、二つの薄肉支柱部分の幅である、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~48のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0294】
例50.
頂点領域における二つの薄肉支柱部分の各薄肉支柱部分は、0.8mm~1.4mmの範囲の長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~49のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0295】
例51.
各流出側支柱の頂点領域における二つの薄肉支柱部分の各薄肉支柱部分は、0.95~1.05mmの範囲の第一長さを有しており、各流入側支柱の頂点領域における二つの薄肉支柱部分の各薄肉支柱部分は、0.45~0.55mmの範囲の第二長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~49のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0296】
例52.
各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~51のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0297】
例53.
各頂点領域は、1mmよりも大きな曲率半径を有して湾曲した軸線方向を向いた外面を含み、湾曲した外面は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~52のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0298】
例54.
各頂点領域における二つの薄肉支柱部分の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅と比較して、0.06mm~0.15mmの分だけ小さい、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~53のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0299】
例55.
二つの角度付き支柱部分の幅は、0.3mmであり、各頂点領域における二つの薄肉支柱部分の幅は、0.15mm~0.24mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~53のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0300】
例56.
各頂点領域は、湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の二つの薄肉支柱部分を形成する円弧状の軸線方向を向いた内側凹所と、を含み、湾曲した外面は、二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた外面に対して連続しており、内側凹所は、二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた内面から、湾曲した外面に向けて、凹んでいる、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~55のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0301】
例57.
頂点領域の一つまたは複数は、非外傷性であるように構成された捩られた外面を頂点領域が含むよう、頂点領域の横方向軸線まわりに捩られている、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~55のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0302】
例58.
フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~56のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0303】
例59.
複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウをさらに含み、第一セル列は、フレームの流出端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例58に記載の、人工心臓弁。
【0304】
例60.
各交連ウィンドウは、二つの隣接した流出側支柱の間における接合部と、交連ウィンドウを規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分と、の間に延びた上側軸線方向支柱によって、フレームの流出端部から離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例59に記載の、人工心臓弁。
【0305】
例61.
各交連ウィンドウは、交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、上側端部部分および下側端部部分の、フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、二つの角度付き支柱部分の幅よりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例59に記載の、人工心臓弁。
【0306】
例62.
頂点領域の少なくとも頂点の外面を被覆するクッション部材をさらに含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例44~61のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0307】
例63.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きな角度を形成している、人工心臓弁。
【0308】
例64.
角度は、120度よりも大きくかつ最大で140度までである、本明細書の任意の例に記載の、特に例63に記載の、人工心臓弁。
【0309】
例65.
角度は、135度~140度の範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例63または64に記載の、人工心臓弁。
【0310】
例66.
各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面に対して連続した湾曲した軸線方向を向いた外面と、軸線方向を向いた内側凹所と、を含み、内側凹所は、二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた内面から、湾曲した外面に向けて、凹んでいる、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~65のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0311】
例67.
頂点領域の湾曲した外面は、1mmよりも大きな曲率半径を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例66に記載の、人工心臓弁。
【0312】
例68.
頂点領域の湾曲した外面は、二つの角度付き支柱部分における外面どうしの間に、曲率半径によって規定される単一の連続した湾曲を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例67に記載の、人工心臓弁。
【0313】
例69.
各流出側支柱は、フレームの流出端部のところに配置された第一セル列をなすセルの流出エッジを形成しており、各流入側支柱は、フレームの流入端部のところに配置された第二セル列をなすセルの流入エッジを形成しており、第一セル列をなすセルは、第二セル列をなすセルと比較して、フレームの中央長手方向軸線に関して、より長い軸線方向長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~68のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0314】
例70.
複数の相互接続された支柱は、中央長手方向軸線の方向に延びているとともにフレームの周縁まわりにおいて互いに離間して配置された複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成しており、各軸線方向支柱は、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例69に記載の、人工心臓弁。
【0315】
例71.
軸線方向支柱の幅は、軸線方向支柱の中間部分の幅であり、各軸線方向支柱は、中間部分の両サイド上に配置された下側端部部分と上側端部部分とを含み、下側端部部分は、開口を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例70に記載の、人工心臓弁。
【0316】
例72.
フレームの周縁まわりにおいてフレームの外面上に配置されているとともに複数の相互接続された支柱の一部に対して固定された外側スカートをさらに含み、外側スカートの流出端部は、各軸線方向支柱の開口に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例71に記載の、人工心臓弁。
【0317】
例73.
外側スカートは、フレームの流入端部から流出端部に向けて延びているとともに、各軸線方向支柱の下側端部部分に対して近接している、本明細書の任意の例に記載の、特に例72に記載の、人工心臓弁。
【0318】
例74.
各頂点領域の長さは、二つの角度付き支柱部分によって頂点領域が形成している流出側支柱または流入側支柱の全長の少なくとも25%である、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~73のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0319】
例75.
各頂点領域の長さは、0.9mm~2.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例74に記載の、人工心臓弁。
【0320】
例76.
各頂点領域の長さは、1.9mm~2.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例74に記載の、人工心臓弁。
【0321】
例77.
流出端部のところでの各頂点領域の長さは、1.8mm~2.4mmの範囲内であり、流入端部のところでの各頂点領域の長さは、0.8mm~1.2mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例74に記載の、人工心臓弁。
【0322】
例78.
各頂点領域の狭められた幅は、二つの角度付き支柱部分の幅と比較して、0.06mm~0.15mmの分だけ小さい、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~77のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0323】
例79.
角度付き支柱部分の幅は、0.3mmであり、各頂点領域の狭められた幅は、0.15mm~0.24mmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~78のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0324】
例80.
頂点領域の一つまたは複数は、非外傷性であるように構成された捩られた外面を頂点領域が含むよう、頂点領域の横方向軸線まわりに捩られている、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~79のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0325】
例81.
フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含み、複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウをさらに含み、第一セル列は、フレームの流出端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例63~80のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0326】
例82.
各交連ウィンドウは、二つの隣接した流出側支柱の間における接合部と、交連ウィンドウを規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分と、の間に延びた上側軸線方向支柱によって、フレームの流出端部から離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例81に記載の、人工心臓弁。
【0327】
例83.
各交連ウィンドウは、交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、上側端部部分および下側端部部分の、フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、二つの角度付き支柱部分の幅よりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例81に記載の、人工心臓弁。
【0328】
例84.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、各流出側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各流入側支柱は、頂点領域によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、各頂点領域は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間で湾曲しており、各頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、各頂点領域は、フレームの初期的な径方向圧縮時には塑性変形するように構成されており、これにより、フレームは、歪み硬化するようになるとともに、フレームの曲げ点は、その後の径方向拡張時には、頂点領域から離間して、角度付き支柱部分の端部へと移動する、人工心臓弁。
【0329】
例85.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、第一セル列をなすセルは、複数のセル列における残りのセル列をなすセルと比較して、より大きな軸線方向長さを有しており、フレームは、複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定しているとともに、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有した中間部分と、中間部分の両端部上に配置されておりかつそれぞれが中間部分の幅よりも広い幅とされた上側端部部分および下側端部部分と、を含む、人工心臓弁。
【0330】
例86.
下側端部部分は、開口を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例85に記載の、人工心臓弁。
【0331】
例87.
フレームの周縁まわりにおいてフレームの外面上に配置されているとともに複数の相互接続された支柱の一部に対して固定された外側スカートをさらに含み、外側スカートの流出端部は、各軸線方向支柱の開口に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例86に記載の、人工心臓弁。
【0332】
例88.
複数のセル列における各セル列は、九個のセルを含み、複数のセル列は、三つのセル列を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例85~87のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0333】
例89.
フレームの軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定される複数の交連ウィンドウをさらに含み、各交連ウィンドウは、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成している一組をなすウィンドウ支柱部分によって規定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例85~88のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0334】
例90.
フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含み、各弁尖は、弁尖の両サイド上に配置された反対側に位置した交連タブと、反対側に位置した交連タブどうしの間に延びた尖端エッジ部分と、を含み、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からの交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例89に記載の、人工心臓弁。
【0335】
例91.
各交連ウィンドウの一組をなすウィンドウ支柱部分と、各軸線方向支柱とは、フレームの流出端部のところに配置された第一列をなす角度付き支柱における対応した二つの角度付き支柱の間に、および、第二列をなす角度付き支柱における二つの角度付き支柱の間に、延びており、二つの隣接した軸線方向支柱は、フレームの周縁まわりにおいて二組をなすウィンドウ支柱部分の間に配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例89または90に記載の、人工心臓弁。
【0336】
例92.
各交連ウィンドウの一組をなすウィンドウ支柱部分は、交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成しているとともに、交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成しており、一組をなすウィンドウ支柱部分の、上側端部部分および下側端部部分の、フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、第一列をなす角度付き支柱における二つの角度付き支柱の幅と比較して、および、第二列をなす角度付き支柱における二つの角度付き支柱の幅と比較して、より大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例91に記載の、人工心臓弁。
【0337】
例93.
複数の相互接続された支柱は、フレームの流出端部を規定する複数の流出側支柱と、フレームの流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、各流出側支柱および各流入側支柱は、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に単一の湾曲を形成する湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の幅が二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さくなるよう、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点領域の湾曲した外面に向けて、内向きに凹んでいる軸線方向を向いた内側凹所と、を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例85~92のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0338】
例94.
頂点領域の湾曲した外面は、1mm~20mmの範囲の曲率半径を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例93に記載の、人工心臓弁。
【0339】
例95.
内側凹所は、複数のセル列をなすセルに対して対向しており、湾曲した外面は、頂点領域の幅を横断して、内側凹所とは反対側に配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例93または94に記載の、人工心臓弁。
【0340】
例96.
頂点領域の長さは、頂点領域を含む流出側支柱または流入側支柱の長さの少なくとも25%である、本明細書の任意の例に記載の、特に例93~95のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0341】
例97.
頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例93~96のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0342】
例98.
軸線方向において、二つの角度付き支柱部分の軸線方向を向いた外面から、頂点領域の頂点における頂点領域の軸線方向を向いた外面まで、として規定される頂点領域の高さは、頂点領域の幅である、本明細書の任意の例に記載の、特に例93~97のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0343】
例99.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、複数の流出側支柱および複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点と、を含み、頂点は、軸線方向を向いた内面を有しており、内面は、内面内へと凹んだ二つの内側凹所と、二つの内側凹所から離間して突出しているとともに二つの内側凹所の間に配置された中央突起と、を含み、二つの内側凹所は、頂点の薄肉領域を形成しており、薄肉領域は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さな幅とされている、人工心臓弁。
【0344】
例100.
二つの内側凹所は、突起の両サイド上で、頂点の薄肉領域を形成しており、薄肉領域は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さな幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例99に記載の、人工心臓弁。
【0345】
例101.
中央突起のところにおいて、頂点は、頂点の薄肉領域の幅よりも大きな、かつ、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さな、幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例100に記載の、人工心臓弁。
【0346】
例102.
突起の高さは、10μm~50μmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例99~101のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0347】
例103.
頂点は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間で湾曲している湾曲した軸線方向を向いた外面を含み、凹形状をなす二つは、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点の外面に向けて、延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例99~102のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0348】
例104.
各頂点は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例99~103のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0349】
例105.
頂点の薄肉領域は、二つの角度付き支柱部分の幅と比較して、0.06mm~0.15mmの分だけ小さな幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例99~104のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0350】
例106.
フレームに対して固定された複数の弁尖をさらに含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例99~105のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0351】
例107.
複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウをさらに含み、第一セル列は、フレームの流出端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例106に記載の、人工心臓弁。
【0352】
例108.
各交連ウィンドウは、二つの隣接した流出側支柱の間における接合部と、交連ウィンドウを規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分と、の間に延びた上側軸線方向支柱によって、フレームの流出端部から離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例107に記載の、人工心臓弁。
【0353】
例109.
各交連ウィンドウは、交連ウィンドウの上方に上側端部部分を形成するとともに交連ウィンドウの下方に下側端部部分を形成する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分によって規定されており、上側端部部分および下側端部部分の、フレームの中央長手方向軸線に関する軸線方向における長さは、二つの角度付き支柱部分の幅よりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例107に記載の、人工心臓弁。
【0354】
例110.
各流出側支柱は、流出端部のところで、複数のセル列における第一セル列をなすセルの流出エッジを形成しており、各流入側支柱は、流入端部のところで、複数のセル列における第二セル列をなすセルの流入エッジを形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例99~109のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0355】
例111.
第一セル列をなすセルは、第二セル列をなすセルと比較して、フレームの中央長手方向軸線に関して、より長い軸線方向長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例110に記載の、人工心臓弁。
【0356】
例112.
複数の相互接続された支柱は、中央長手方向軸線の方向に延びているとともにフレームの周縁まわりにおいて互いに離間して配置された複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成しており、各軸線方向支柱は、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例111に記載の、人工心臓弁。
【0357】
例113.
各軸線方向支柱に関して、軸線方向支柱の幅は、軸線方向支柱の中間部分の幅であり、各軸線方向支柱は、中間部分の両端部上に配置された下側端部部分と上側端部部分とをさらに含み、上側端部部分および下側端部部分のそれぞれは、中間部分の幅よりも広い幅とされている、本明細書の任意の例に記載の、特に例112に記載の、人工心臓弁。
【0358】
例114.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、各第一支柱は、頂点によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、第一端部のところでの一つまたは複数の頂点をなす各頂点は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、さらに、頂点の軸線方向を向いた内面から離間して突出した中央突起を含む、人工心臓弁。
【0359】
例115.
一つまたは複数の頂点の各頂点における軸線方向を向いた内面は、二つの内側凹所を含み、突起は、二つの内側凹所を互いに分離しており、二つの内側凹所の各内側凹所は、突起から、および、二つの角度付き支柱部分の対応した一つにおける軸線方向を向いた内面から、内向きに凹んでいる、本明細書の任意の例に記載の、特に例114に記載の、人工心臓弁。
【0360】
例116.
一つまたは複数の頂点の各頂点に関して、二つの内側凹所のそれぞれのところでの頂点の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さく、突起のところにおける頂点の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さく、かつ、二つの内側凹所のそれぞれのところにおける頂点の幅よりも大きい、本明細書の任意の例に記載の、特に例115に記載の、人工心臓弁。
【0361】
例117.
一つまたは複数の頂点の各頂点に関して、軸線方向における突起の高さは、10μm~50μmの範囲内である、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~116のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0362】
例118.
一つまたは複数の頂点の各頂点に関して、頂点のピークと突起のピークとは、頂点の中央長手方向軸線に沿って位置合わせされている、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~117のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0363】
例119.
一つまたは複数の頂点の各頂点は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間で湾曲している湾曲した軸線方向を向いた外面を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~118のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0364】
例120.
一つまたは複数の頂点の各頂点は、二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~119のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0365】
例121.
フレームに対して固定された複数の弁尖と、複数のセル列における第一セル列をなすセルを形成する複数の相互接続された支柱をなす支柱によって形成された複数の交連ウィンドウと、をさらに含み、第一セル列は、フレームの流出端部であるフレームの第一端部のところに配置されており、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~120のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0366】
例122.
各交連ウィンドウは、二つの隣接した流出側支柱どうしの間の接合部と、交連ウィンドウを規定する軸線方向延出ウィンドウ支柱部分と、の間に延びた上側軸線方向支柱によって、フレームの流出端部から離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例121に記載の、人工心臓弁。
【0367】
例123.
第一端部は、流出端部であり、第二端部は、流入端部であり、各第一支柱は、流出端部のところで、複数のセル列における第一セル列をなすセルの流出エッジを形成しており、各第二支柱は、流入端部のところで、複数のセル列における第二セル列をなすセルの流入エッジを形成しており、第一セル列をなすセルは、第二セル列をなすセルと比較して、フレームの中央長手方向軸線に関して、より長い軸線方向長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~122のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0368】
例124.
複数の相互接続された支柱は、中央長手方向軸線の方向に延びているとともにフレームの周縁まわりにおいて互いに離間して配置された複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を形成しており、各軸線方向支柱は、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例123に記載の、人工心臓弁。
【0369】
例125.
各軸線方向支柱に関して、軸線方向支柱の幅は、軸線方向支柱の中間部分の幅であり、各軸線方向支柱は、中間部分の両端部上に配置された下側端部部分と上側端部部分とをさらに含み、上側端部部分および下側端部部分のそれぞれは、中間部分の幅よりも広い幅とされている、本明細書の任意の例に記載の、特に例124に記載の、人工心臓弁。
【0370】
例126.
各第二支柱は、頂点によって相互に接続された二つの角度付き支柱部分を含み、第二端部のところでの一つまたは複数の頂点の各頂点は、対応した一対をなす二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、さらに、頂点の軸線方向を向いた内面から離間して突出した中央突起を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~125のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0371】
例127.
第一端部のところでの一つまたは複数の頂点は、第一端部のところでのありとあらゆる頂点を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例114~126のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0372】
例128.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、フレームは、複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定しているとともに、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有しており、各軸線方向支柱は、軸線方向支柱の長さに沿って配置された一つまたは複数のスリットを含み、一つまたは複数のスリットは、軸線方向支柱の幅の一部を通して延びている、人工心臓弁。
【0373】
例129.
一つまたは複数のスリットの各スリットは、軸線方向支柱を規定する二つの側方エッジにおける一方の側方エッジから、二つの側方エッジにおける他方の側方エッジに向けて、延びており、二つの側方エッジは、軸線方向支柱を挟んで互いに反対側に配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例128に記載の、人工心臓弁。
【0374】
例130.
軸線方向支柱の幅は、0.5mm~1.0mmの範囲内であり、一つまたは複数のスリットの各スリットは、二つの側方エッジの一方から0.1mm~0.3mmという範囲の距離の分だけ離間して閉塞端部を有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例129に記載の、人工心臓弁。
【0375】
例131.
一つまたは複数のスリットは、軸線方向支柱の長さに沿って互いに離間して配置された複数のスリットを含み、複数のスリットをなすスリットの第一部分は、二つの側方エッジにおける第一側方エッジから、二つの側方エッジにおける第二側方エッジに向けて、延びており、複数のスリットをなすスリットの第二部分は、第二側方エッジから、第一側方エッジに向けて、延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例129または例130に記載の、人工心臓弁。
【0376】
例132.
各スリットは、0.075mm~0.3mmの範囲の軸線方向高さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例128~131のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0377】
例133.
一つまたは複数のスリットは、軸線方向支柱の柔軟性を増大させるように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例128~132のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0378】
例134.
一つまたは複数のスリットは、軸線方向支柱の長さに沿って互いに離間して配置された複数のスリットを含み、複数のスリットは、複数のスリットからなる複数のグループへと分類されており、各グループは、隣接したグループから、同じグループにおける複数のスリットどうしの間の間隔よりも大きい量の分だけ、離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例128~133のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0379】
例135.
複数のスリットからなる各グループは、二つのスリットを含み、二つのスリットの各スリットは、軸線方向支柱を規定する二つの側方エッジの異なる側方エッジから、軸線方向支柱の幅の一部を通して延びており、幅は、二つの側方エッジの間によって規定される、本明細書の任意の例に記載の、特に例134に記載の、人工心臓弁。
【0380】
例136.
複数のスリットからなる複数のグループは、二つのスリットからなる三つのグループを含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例134または例135に記載の、人工心臓弁。
【0381】
例137.
第一セル列をなすセルは、複数のセル列における残りのセル列をなすセルと比較して、より大きな軸線方向長さを有している、本明細書の任意の例に記載の、特に例128~136のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0382】
例138.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、フレームは、複数の軸線方向支柱をさらに含み、各軸線方向支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定しているとともに、複数の相互接続された支柱における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有しており、各軸線方向支柱は、軸線方向支柱の長さに沿って互いに離間して配置された複数のスリットを含み、複数のスリットをなす各スリットは、軸線方向支柱の幅の一部を通して延びている、人工心臓弁。
【0383】
例139.
人工心臓弁であって、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、各第一支柱は、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、人工心臓弁は、フレームの頂点領域を巻回して被覆する被覆部材をさらに含む、人工心臓弁。
【0384】
例140.
被覆部材は、材料ストリップまたは材料バンドからなる複数の連続ループを含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例139に記載の、人工心臓弁。
【0385】
例141.
フレームの頂点領域は、頂点と、頂点から互いに逆向きにかつ外向きに延びた二つの薄肉支柱部分と、を含み、二つの薄肉支柱部分の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも狭く、頂点領域は、頂点領域の幅の狭い二つの薄肉支柱部分から広い幅の二つの角度付き支柱部分へと移行する肩部を頂点領域の両サイド上に含み、材料ストリップまたは材料バンドからなる複数の連続ループは、頂点領域の肩部どうしの間において、二つの薄肉支柱部分を巻回している、本明細書の任意の例に記載の、特に例140に記載の、人工心臓弁。
【0386】
例142.
被覆部材をなす材料は、PTFE、UHMWPE、またはPEEK、を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例140または141に記載の、人工心臓弁。
【0387】
例143.
被覆部材は、複数のブリッジ部分を含み、各ブリッジ部分は、隣接した頂点領域における複数のループどうしの間にわたって延びており、複数のブリッジ部分は、フレームの第一端部に沿って延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例140~142のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0388】
例144.
被覆部材は、フレームの第一面の周囲に配置されたスカートのフラップを含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例139に記載の、人工心臓弁。
【0389】
例145.
第一面は、フレームの内面である、本明細書の任意の例に記載の、特に例144に記載の、人工心臓弁。
【0390】
例146.
第一面は、フレームの外面である、本明細書の任意の例に記載の、特に例144に記載の、人工心臓弁。
【0391】
例147.
フラップは、スカートの、フレームの第一端部に対して取り付けられた第一エッジから、延びており、フラップは、第一面から、フレームの反対側に位置した第二面までにわたって、頂点領域を巻回している、本明細書の任意の例に記載の、特に例144~146のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0392】
例148.
スカートは、スカートの第一エッジまわりにおいて互いに離間して配置された複数のフラップを含み、第一エッジと複数のフラップとは、スカートを通して複数の第一支柱の周囲へと延びた複数のステッチによって、フレームの第一端部に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例144~147のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0393】
例149.
第一端部は、フレームの流入端部である、本明細書の任意の例に記載の、特に例139~148のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0394】
例150.
各頂点領域は、対応した第一支柱における二つの角度付き支柱部分の間に、120度よりも大きくかつ最大で140度までである角度を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例139~149のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0395】
例151.
人工心臓弁であって、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する複数の流出側支柱と、流入端部を規定する複数の流入側支柱と、を含み、複数の流入側支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に単一の湾曲を形成する湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の幅が二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さくなるよう、さらに、頂点領域の各端部に、頂点領域の小さい幅から二つの角度付き支柱部分の幅へと移行する肩部が形成されるよう、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点領域の湾曲した外面に向けて、内向きに凹んでいる軸線方向を向いた内側凹所と、を含み、人工心臓弁は、頂点領域の肩部どうしの間においてフレームの頂点領域の少なくとも一部を巻回して被覆する複数のループを含む被覆部材をさらに含む、人工心臓弁。
【0396】
例152.
被覆部材は、複数のブリッジ部分をさらに含み、各ブリッジ部分は、隣接した頂点領域における複数のループどうしの間にわたって延びており、複数のブリッジ部分は、フレームの流入端部の周囲に延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例151に記載の、人工心臓弁。
【0397】
例153.
被覆部材は、人工心臓弁が移植部位に向けて操縦される時に人工心臓弁が内部を通して前進駆動される送達シースの内壁に対して、0.1未満の動的摩擦係数を有した材料バンドを含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例151または152に記載の、人工心臓弁。
【0398】
例154.
被覆部材は、各流入側支柱の二つの角度付き支柱部分を被覆することなく、各流入側支柱の頂点領域を被覆している、本明細書の任意の例に記載の、特に例151~153のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0399】
例155.
人工心臓弁であって、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、複数の第一支柱のそれぞれは、頂点領域を含み、人工心臓弁は、フレームの内面または外面のいずれかの周囲に配置されているとともにフレームに対して結合されたスカートを、さらに含み、スカートは、スカートの周縁まわりに延びているとともにフレームの第一端部に対して接続された第一エッジと、第一エッジから延びているとともに互いに離間して配置された複数の軸線方向延出フラップと、を含み、複数の軸線方向延出フラップの各フラップは、頂点領域が被覆されるように、対応した頂点領域を巻回している、人工心臓弁。
【0400】
例156.
スカートは、フレームの内面まわりに配置されており、各フラップは、フレームの内面から外面へと、対応した頂点領域を巻回しているとともに、頂点領域に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例155に記載の、人工心臓弁。
【0401】
例157.
スカートは、フレームの外面まわりに配置されており、各フラップは、フレームの外面から内面へと、対応した頂点領域を巻回しているとともに、頂点領域に対して固定されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例155に記載の、人工心臓弁。
【0402】
例158.
複数の第一支柱のそれぞれは、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、頂点と、頂点領域の中央長手方向軸線に対して頂点から互いに逆向きにかつ外向きに延びた二つの薄肉支柱部分と、を含み、二つの薄肉支柱部分の幅は、二つの角度付き支柱部分の幅よりも小さい、本明細書の任意の例に記載の、特に例155~157のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0403】
例159.
各フラップは、二つの角度付き支柱部分の全体を巻回することなく、対応した頂点領域を巻回している、本明細書の任意の例に記載の、特に例158に記載の、人工心臓弁。
【0404】
例160.
二つの薄肉支柱部分の組合せ長さは、頂点領域を含む対応した第一支柱の長さの少なくとも25%である、本明細書の任意の例に記載の、特に例158または159に記載の、人工心臓弁。
【0405】
例161.
フレームの第一端部は、流入端部である、本明細書の任意の例に記載の、特に例155~160のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0406】
例162.
人工心臓弁であって、人工心臓弁は、径方向に拡張可能かつ圧縮可能なフレームを含み、フレームは、フレームの第一端部と第二端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、第一端部を規定する複数の第一支柱と、第二端部を規定する複数の第二支柱と、を含み、各第一支柱は、二つの角度付き支柱部分と、二つの角度付き支柱部分の間に配置された頂点領域と、を含み、頂点領域は、二つの角度付き支柱部分の間において湾曲しているとともに、二つの角度付き支柱部分の幅に対して狭められた幅を有しており、人工心臓弁は、フレームの外面まわりに配置された外側スカートと、フレームの頂点領域の周囲に延びた複数のループを含む被覆部材と、をさらに含み、複数のループが外側スカートを通して延びていることにより、外側スカートがフレームに対して固定されている、人工心臓弁。
【0407】
例163.
複数のループは、頂点領域を巻回して被覆している、本明細書の任意の例に記載の、特に例162に記載の、人工心臓弁。
【0408】
例164.
頂点領域は、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた外面どうしの間に単一の湾曲を形成する湾曲した軸線方向を向いた外面と、頂点領域の各端部に、頂点領域の狭められた幅から二つの角度付き支柱部分の幅へと移行する肩部が形成されるよう、二つの角度付き支柱部分における軸線方向を向いた内面から、頂点領域の湾曲した外面に向けて、内向きに凹んでいる軸線方向を向いた内側凹所と、を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例162または例163に記載の、人工心臓弁。
【0409】
例165.
複数のループは、頂点領域の肩部どうしの間において、頂点領域を被覆している、本明細書の任意の例に記載の、特に例164に記載の、人工心臓弁。
【0410】
例166.
被覆部材は、フレームの第一端部のところで、隣接した頂点領域どうしの間において外側スカートのエッジ部分を通して延びた複数のステッチをさらに含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例162~165のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0411】
例167.
フレームの第一端部は、フレームの流入端部である、本明細書の任意の例に記載の、特に例162~166のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0412】
例168.
被覆部材は、縫合糸である、本明細書の任意の例に記載の、特に例162~167のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0413】
例169.
被覆部材の材料は、PTFE、UHMWPE、またはPEEK、を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例162~168のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0414】
例170.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、フレームは、複数の交連ウィンドウをさらに含み、各交連ウィンドウは、第一セル列を形成している相互接続された第一支柱列と、第一セル列を形成している相互接続された第二支柱列と、の間において軸線方向に延びた一組をなすウィンドウ支柱部分によって、形成されており、交連ウィンドウの上方に配置された一組をなすウィンドウ支柱部分における流出端部部分は、内部に配置された二つの開口を含む、人工心臓弁。
【0415】
例171.
一組をなすウィンドウ支柱部分は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定している、本明細書の任意の例に記載の、特に例170に記載の、人工心臓弁。
【0416】
例172.
相互接続された第一支柱列は、フレームの流出端部を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例170または例171に記載の、人工心臓弁。
【0417】
例173.
フレームの内部に配置された複数の弁尖をさらに含み、各交連ウィンドウは、複数の弁尖における二つの隣接した弁尖からなる交連タブを受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例170~172のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0418】
例174.
二つの開口は、交連タブを交連ウィンドウの内部に固定するための一つまたは複数の締結部材を受領するように構成されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例173に記載の、人工心臓弁。
【0419】
例175.
二つの開口は、軸線方向において互いに離間して配置されている、本明細書の任意の例に記載の、特に例170~174のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0420】
例176.
二つの開口は、軸線方向において互いに位置合わせされている、本明細書の任意の例に記載の、特に例170~175のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0421】
例177.
人工心臓弁であって、径方向に拡張可能かつ圧縮可能な環状フレームを含み、フレームは、フレームの流入端部と流出端部との間に配置された複数のセル列を規定する複数の相互接続された支柱を含み、複数の相互接続された支柱は、流出端部を規定する第一角度付き支柱列と第二角度付き支柱列とを有した複数の角度付き支柱列と、第一角度付き支柱列と第二角度付き支柱列との間に延びた複数の軸線方向延出支柱と、を含み、各軸線方向延出支柱は、内部に交連ウィンドウを規定するとともに、交連ウィンドウの第一サイド上に配置された第一端部部分でありかつ第一列をなす角度付き支柱に対して接続された第一端部部分を含み、第一端部部分は、第一端部部分が第一角度付き支柱列における角度付き支柱の基部内における凸状湾曲に対して直接的に接続する凹状領域を含む、人工心臓弁。
【0422】
例178.
第一端部部分は、第一端部部分の各側に一つずつ、第一角度付き支柱列における各角度付き支柱の基部内における各凸状湾曲に対して隣接して、二つの凹状領域を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例177に記載の、人工心臓弁。
【0423】
例179.
各軸線方向延出支柱は、第一角度付き支柱列における角度付き支柱の幅よりも大きな幅を有しており、凹状領域は、軸線方向支柱の第一端部部分内に狭められた領域を形成している、本明細書の任意の例に記載の、特に例177または例178に記載の、人工心臓弁。
【0424】
例180.
各軸線方向延出支柱は、交連ウィンドウの第二サイド上に配置されているとともに第二角度付き支柱列に対して接続された第二端部部分を含み、第二端部部分は、第二角度付き支柱列における角度付き支柱に対して第二端部部分が接続されている場所に隣接して、内部に凹状領域を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例177~179のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0425】
例181.
角度付き支柱の基部内における凸状湾曲は、角度付き支柱と軸線方向延出支柱の第一端部部分との間に、凹形状の三つの変化を有した移行領域が規定されるよう、角度付き支柱における凹状湾曲から延びている、本明細書の任意の例に記載の、特に例177~180のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0426】
例182.
複数のセル列は、流出端部のところに配置された第一セル列を含み、各軸線方向延出支柱は、第一セル列における二つの隣接したセルの軸線方向側部を規定している、本明細書の任意の例に記載の、特に例177~181のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0427】
例183.
複数の相互接続された支柱は、複数のセル列の同じ列における隣接したセルどうしの間に延びているとともにそれらセルどうしを離間させる複数の水平方向支柱を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例1~20のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0428】
例184.
各水平方向支柱は、第一角度付き支柱列における二つの角度付き支柱と、隣接した第二角度付き支柱列における二つの角度付き支柱とを、一緒に接続する、本明細書の任意の例に記載の、特に例183に記載の、人工心臓弁。
【0429】
例185.
複数の相互接続された支柱は、同じ列における隣接したセルどうしの間に延びているとともにそれらセルどうしを離間させる複数の水平方向支柱を含む、本明細書の任意の例に記載の、特に例128~137のいずれか一つに記載の、人工心臓弁。
【0430】
例186.
各水平方向支柱は、第一角度付き支柱列における二つの角度付き支柱と、隣接した第二角度付き支柱列における二つの角度付き支柱とを、一緒に接続する、本明細書の任意の例に記載の、特に例185に記載の、人工心臓弁。
【0431】
別段の記載がない限り、任意の例に関して本明細書で説明する特徴は、他の任意の一つまたは複数の例に関して説明する他の特徴に対して、組み合わせることができる。例えば、人工心臓弁のためのあるフレームに関する任意の一つまたは複数の特徴を、人工心臓弁のための別のフレームに関する任意の一つまたは複数の特徴に対して、組み合わせることができる。
【0432】
開示する技術の原理が適用され得る多くの可能な例を考慮すると、例示した例は、開示する技術の好ましい例に過ぎないこと、また、特許請求される主題の範囲を限定するものとして見なされるべきではないことは、認識されよう。むしろ、特許請求される主題の範囲は、以下の特許請求の範囲によって、およびその均等物によって、規定される。
【国際調査報告】