(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】薬剤送達デバイスのための構成要素および部分組立体
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20240329BHJP
A61M 5/24 20060101ALI20240329BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
A61M5/20 510
A61M5/24 502
A61M5/315 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565401
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022060235
(87)【国際公開番号】W WO2022228934
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・カールソン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD12
4C066DD13
4C066EE14
4C066HH13
4C066HH17
4C066HH22
(57)【要約】
薬剤送達デバイスのためのプランジャロッド(2)であり、プランジャロッド(2)は、第2の長手方向軸(L2)に沿って、近位端と遠位端との間で延びるプランジャロッド本体(21)と、プランジャロッド本体(21)の近位端に取り付けられる鍵(22)とを備え、鍵(22)は、カセット筐体(1)における鍵スロット(13a)へと嵌まり入るように構成され、鍵(22)と鍵スロット(13a)とが合致させられるとき、鍵(22)に続いてプランジャロッド本体(21)が鍵スロット(13a)を通じてカセット筐体(1)へと入ることができるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスカセットユニットのためのカセット筐体(1)であって、
第1の長手方向軸(L1)に沿って近位端と遠位端との間で延びる主本体(10)であって、薬剤容器を受け入れるための内部室(11)を定める主本体(10)と、
前記主本体(10)の前記遠位端に取り付けられる遠位カバー(13)と
を備え、
前記遠位カバー(13)は、前記第1の長手方向軸(L1)に対して横断する方向において、前記主本体(10)の前記内部室(11)の前記遠位端を横切って延びる覆い壁を備え、
前記覆い壁は、前記薬剤送達デバイスのプランジャロッド(2)の鍵(22)を受け入れるように構成される鍵スロット(13a)を備え、前記鍵(22)と前記鍵スロット(13a)とが合致するとき、前記プランジャロッド(2)の前記鍵(22)に続いて前記プランジャロッド(2)のプランジャロッド本体(21)が前記鍵スロット(13a)を通じて前記カセット筐体(1)へと入ることができるようになっている、カセット筐体(1)。
【請求項2】
薬剤送達デバイスのためのプランジャロッド(2)であって、
第2の長手方向軸(L2)に沿って、近位端と遠位端との間で延びるプランジャロッド本体(21)と、
前記プランジャロッド本体(21)の前記近位端に取り付けられる鍵(22)と
を備え、
前記鍵(22)は、カセット筐体(1)における鍵スロット(13a)へと嵌まり入るように構成され、前記鍵(22)と前記鍵スロット(13a)とが合致するとき、前記鍵(22)に続いて前記プランジャロッド本体(21)が前記鍵スロット(13a)を通じて前記カセット筐体(1)へと入ることができるようになっている、プランジャロッド(2)。
【請求項3】
薬剤送達デバイスのための部分組立体であって、請求項1に記載のカセット筐体(1)と、請求項2に記載のプランジャロッド(2)とを備える部分組立体。
【請求項4】
第3の長手方向軸(L3)に沿って、近位端と遠位端との間で延びる遠位本体(3)を備え、前記遠位本体(3)は前記カセット筐体(1)に取り付けられるように構成され、前記プランジャロッド(2)は、前記遠位本体(3)に配置され、前記遠位本体(3)の前記近位端に対して伸縮自在である、請求項3に記載の部分組立体。
【請求項5】
前記カセット筐体は、前記カセット筐体の主本体の前記遠位端に取り付けられる近位係合部材を備え、前記遠位本体は、前記遠位本体の前記近位端に取り付けられる遠位係合部材を備え、前記カセット筐体は、前記近位係合部材が前記遠位係合部材に留め付けられるときに前記遠位本体に取り付けられる、請求項4に記載の部分組立体。
【請求項6】
前記近位係合部材は、バヨネット連結を通じて、前記第3の長手方向軸(L3)の前記方向において前記遠位係合部材に留め付けられるように構成される、請求項5に記載の部分組立体。
【請求項7】
前記近位係合部材はバヨネット突起であり、前記遠位係合部材はバヨネットスロットである、請求項6に記載の部分組立体。
【請求項8】
前記近位係合部材は、前記遠位カバーの遠位端より前記カセット筐体の前記近位端の近くに位置決めされ、前記プランジャロッドの前記鍵は、前記遠位本体の前記近位方向において前記遠位係合部材の少なくとも一部分を越えて突出する、請求項5から7のいずれか一項に記載の部分組立体。
【請求項9】
前記プランジャロッドの前記鍵は前記プランジャロッド本体に回転可能に固定され、前記プランジャロッド本体は前記第2の長手方向軸(L2)の周りで第1の位置から第2の位置へと回転可能である、請求項3から8のいずれか一項に記載の部分組立体。
【請求項10】
前記プランジャロッドの前記鍵は、前記プランジャロッドが前記第1の位置にあり、前記近位係合部材の少なくとも一部分が前記第1の長手方向軸(L1)の前記方向において前記遠位係合部材と位置合わせされるとき、前記第1の長手方向軸(L1)に関する周方向において、前記カセット筐体の前記遠位カバーの前記鍵スロットと位置がずらされる、請求項8に従属する請求項9に記載の部分組立体。
【請求項11】
前記遠位本体は、前記薬剤送達デバイスのエネルギー源を受け入れるように構成され、前記エネルギー源は、前記プランジャロッドを前記遠位本体に対して駆動するために、前記プランジャロッドに連結するように構成される、請求項3から10のいずれか一項に記載の部分組立体。
【請求項12】
前記プランジャロッドは、前記遠位本体に受け入れられた前記薬剤送達デバイスのエネルギー源が、薬剤送達動作を実行するのに十分な動力を有するとき、前記第3の長手方向軸(L3)に沿って、前記遠位本体に対して遠位方向に、第1の位置から第2の位置へと移動するように構成される、請求項4から10のいずれか一項の組み合わせに記載の部分組立体。
【請求項13】
請求項1に記載のカセット筐体と、第2の長手方向軸(L2)に沿って、近位端と遠位端との間で延びる細長いプランジャロッドとを備える薬剤送達デバイスを組み立てる方法であって、
薬剤容器を前記カセット筐体の前記内部室へと挿入するステップと、
前記内部室を前記カセット筐体の前記遠位端から遠位カバーで覆うステップであって、前記遠位カバーは、前記第1の長手方向軸(L1)に対して垂直な鍵スロットを備える、ステップと、
前記鍵スロットと合致する鍵を、前記プランジャロッドの近位端に取り付けるステップと
を含む方法。
【請求項14】
前記挿入された薬剤容器の中に含まれる前記薬剤に応じた特定の形状での鍵スロットを伴う遠位カバーを選択した後、前記遠位カバーで前記内部室を前記カセット筐体の前記遠位端から覆うステップをさらに含む、請求項13に記載の薬剤送達デバイスを組み立てる方法。
【請求項15】
前記挿入された薬剤容器の中に含まれる前記薬剤に応じた特定の形状を伴う鍵を選択した後、前記プランジャロッドの前記近位端に取り付けるステップをさらに含む、請求項13または14に記載の薬剤送達デバイスを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、2つの取り外し可能な部品を伴う再使用可能な自動注入装置または注入装置などの薬剤送達デバイスのための構成要素および部分組立体に関し、詳細には、鍵特徴部または鍵スロット特徴部を備える構成要素および/または部分組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ペン型の手動注入装置または自動注入装置などの薬剤送達デバイスが、概して、正規の医療訓練のない患者による薬剤の自己投与のために知られている。例えば、糖尿病を患う患者は、インスリンの繰り返しの注入を必要とし得る、または、患者は、成長ホルモンなどの他の種類の薬剤の規則的な注入を必要とし得る。
【0003】
いくつかの薬剤送達デバイスは、使用の間に相互連結される2つの部品を有する。一方の部品は、カートリッジまたは注射器などの薬剤を含む薬剤容器をしばしば受け入れ、この部品は、通常はカセットユニットと呼ばれ得る。他方の部品は、作動して薬剤を吐き出すための駆動部をしばしば備える。
【0004】
このように設計された薬剤送達デバイスは、一般的に再使用可能である。カセットユニットは使い捨て部品であり、駆動部を伴う他方の部品は通常、再使用可能である。駆動部は、ばねまたはモータなどの動力ユニットを備えることができ、したがって、多くの薬剤送達のために再使用できる。駆動部は、例えば体積、粘度、薬剤送達時間といった、特定の薬剤の特徴に従って設計されてもよい。そのため、使用者がカセットユニットを「間違った」駆動部の部品に誤って取り付ける場合、治療がより非効率的になる可能性がある。さらに、電源の電池が低いときに使用者がカセットユニットを駆動部の部品に取り付ける場合、再使用可能な駆動部の部品は、例えば、完全な薬剤送達動作を実施するには十分でない電源を備える可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
使用者がカセットユニットおよび駆動部品を混同するのを防止するための解決策が有利であり得ることは、理解されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ここで参照されるべきである添付の特許請求の範囲によって定められる。
【0007】
本開示では、「遠位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用の間の服用量送達部位から離れる方を指す方向に言及している。「遠位部/遠位端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用の下で、服用量送達部位から最も遠くに離れて位置付けられる送達デバイスの一部/端、または送達デバイスの部材の一部/端に言及している。対応するように、「近位方向」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用の間の服用量送達部位の方を指す方向に言及している。「近位部/近位端」という用語が使用されるとき、これは、薬剤送達デバイスの使用の下で、服用量送達部位の最も近くに位置付けられる送達デバイスの一部/端、または送達デバイスの部材の一部/端に言及している。
【0008】
さらに、「長手方向の」、「長手方向に」、「軸方向に」、または「軸方向の」という用語は、デバイスおよび/または構成要素の最も長い延在の方向において、典型的には、デバイス、またはデバイスの構成要素に沿って、近位端から遠位端へと延びる方向に言及している。
【0009】
同様に、「横断の」、「横断する」、および「横断して」という用語は、長手方向に対して概して垂直な方向に言及している。
【0010】
さらに、「周方向」、「周方向の」、または「周方向に」という用語は、典型的にはデバイスおよび/または構成要素の最も長い延在の方向に延びる中心軸である軸に対する周方向または周囲の方向に言及している。同様に、「径方向の」または「径方向に」は、軸に対して径方向に延びる方向に言及しており、「回転方向」、「回転方向の」、および「回転方向に」は、軸に対する回転に言及している。
【0011】
したがって、本発明の第1の態様が、薬剤送達デバイスカセットユニットのためのカセット筐体であって、第1の長手方向軸に沿って、近位端と遠位端との間で延びる主本体を備えるカセット筐体で提供される。主本体は、薬剤容器を受け入れるための内部室を定め、遠位カバーが主本体の遠位端に取り付けられる。遠位カバーは、第1の長手方向軸に対して横断する方向において、主本体の内部室の遠位端を横切って延びる覆い壁を備える。覆い壁は、薬剤送達デバイスのプランジャロッドの鍵を受け入れるように構成される鍵スロットを備え、鍵と鍵スロットとが合致するとき、プランジャロッドの鍵に続いてプランジャロッドのプランジャロッド本体が鍵スロットを通じてカセット筐体へと入ることができるようになっている。
【0012】
本発明の第2の態様が、薬剤送達デバイスのためのプランジャロッドであって、第2の長手方向軸に沿って、近位端と遠位端との間で延びるプランジャロッド本体と、プランジャロッド本体の近位端に取り付けられる鍵とを備えるプランジャロッドで提供される。鍵は、カセット筐体における鍵スロットへと嵌まり入るように構成され、鍵と鍵スロットとが合致するとき、鍵に続いてプランジャロッド本体が鍵スロットを通じてカセット筐体へと入ることができるようになっている。
【0013】
本発明の第3の態様が、先に定められたようなカセット筐体と、先に定められたようなプランジャロッドとを備える部分組立体で提供される。
【0014】
そのため、カセット筐体およびプランジャロッドは、使用者がカセット筐体を薬剤送達デバイス薬剤送達デバイスの「間違った」遠位本体に取り付ける薬剤送達動作を防止することができる。
【0015】
好ましくは、他の実施形態によれば、部分組立体は、第3の長手方向軸に沿って、近位端と遠位端との間で延びる遠位本体を備える。遠位本体はカセット筐体に取り付けられるように構成される。プランジャロッドは、遠位本体(3)に配置され、遠位本体の近位端に対して伸縮自在である。
【0016】
好ましくは、他の実施形態によれば、カセット筐体は、カセット筐体の主本体の遠位端に取り付けられる近位係合部材を備える。
【0017】
好ましくは、他の実施形態によれば、遠位本体は、遠位本体の近位端に取り付けられる遠位係合部材を備える。
【0018】
好ましくは、他の実施形態によれば、カセット筐体は、近位係合部材が遠位係合部材に留め付けられるときに遠位本体に取り付けられる。
【0019】
好ましくは、他の実施形態によれば、近位係合部材は、バヨネット連結を通じて、第3の長手方向軸の方向において遠位係合部材に留め付けられるように構成される。
【0020】
好ましくは、他の実施形態によれば、近位係合部材はバヨネットスロットであり、遠位係合部材はバヨネット突起である。
【0021】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材はバヨネット突起であり、遠位係合部材はバヨネットスロットである。
【0022】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材は、ねじ連結を通じて、第3の長手方向軸の方向において遠位係合部材に留め付けられるように構成される。
【0023】
好ましくは、他の実施形態によれば、近位係合部材はねじであり、遠位係合部材は相手ねじである。
【0024】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材はねじであり、遠位係合部材は突起である。
【0025】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材は突起であり、遠位係合部材はねじである。
【0026】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材は、スナップフィット連結を通じて、第3の長手方向軸の方向において遠位係合部材に留め付けられるように構成される。
【0027】
好ましくは、他の実施形態によれば、近位係合部材は、カセット筐体の遠位端からの軸方向に延びる柔軟アームであり、柔軟アームは、長手方向軸に対して横断する横断ヘッドを備え、遠位係合部材は、長手方向軸に対して横断する方向に向けて開放する開口であり、開口は遠位本体の近位端に配置される。
【0028】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材は、長手方向軸に対して横断する方向に向けて開口する開口であり、開口はカセット筐体の遠位端に配置され、遠位係合部材は、遠位本体の近位端からの近位へ延びる柔軟アームであり、柔軟アームは、長手方向軸に対して横断する横断ヘッドを備える。
【0029】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材は、圧入連結を通じて遠位係合部材に留め付けられる。
【0030】
代替で、他の実施形態によれば、遠位係合部材は、遠位本体に対してプランジャロッドの近位端より遠位で、遠位本体に対して長手方向に位置決めされる。
【0031】
好ましくは、他の実施形態によれば、近位係合部材は、遠位カバーの遠位端よりカセット筐体の近位端の近くに位置決めされ、プランジャロッドの鍵は、遠位本体の近位方向において遠位係合部材の少なくとも一部分を越えて突出する。
【0032】
代替で、他の実施形態によれば、近位係合部材は、カセット筐体に対して遠位カバーと同じ長手方向の位置において、カセット筐体に対して位置決めされる。
【0033】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドの鍵は、遠位方向においてバヨネットスロットの長手方向部分を越えて突出する。
【0034】
代替で、他の実施形態によれば、プランジャロッドの鍵は、遠位方向においてねじの長手方向部分を越えて突出する。
【0035】
代替で、他の実施形態によれば、プランジャロッドの鍵は、遠位方向において開口の長手方向部分を越えて突出する。
【0036】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドは、プランジャロッドの鍵が鍵スロットと位置ずれされる第1の位置から、プランジャロッドの鍵が鍵スロットと位置合わせされる第2の位置へと移動可能である。
【0037】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドは、プランジャロッドの鍵が鍵スロットと位置ずれされる第1の位置から、プランジャロッドの鍵が鍵スロットと位置合わせされる第2の位置へと、回転可能である、および/または、長手方向軸に沿って直線的に移動可能である。
【0038】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドは、プランジャロッドが第1の位置にあるときに使用者への駆動ユニットの状況の指示となり得るように、第1の位置で一時的に係止されるように構成される。
【0039】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドの鍵はプランジャロッド本体に回転可能に固定され、プランジャロッド本体は第2の長手方向軸の周りで第1の位置から第2の位置へと回転可能である。
【0040】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドの鍵は、プランジャロッドが第1の位置にあり、近位係合部材の少なくとも一部分が第1の長手方向軸の方向において遠位係合部材と位置合わせされるとき、第1の長手方向軸に関する周方向において、カセット筐体の遠位カバーの鍵スロットと位置がずらされる。
【0041】
好ましくは、他の実施形態によれば、遠位本体のプランジャロッドの鍵は、プランジャロッドが第1の位置にあり、バヨネット突起がバヨネットスロットの長手方向部分と位置合わせされるとき、カセット筐体の遠位カバーの鍵スロットと位置がずらされる。
【0042】
代替で、他の実施形態によれば、遠位本体のプランジャロッドの鍵は、プランジャロッドが第1の位置にあり、ねじが突起と位置合わせされるとき、カセット筐体の遠位カバーの鍵スロットと位置がずらされる。
【0043】
代替で、他の実施形態によれば、遠位本体のプランジャロッドの鍵は、プランジャロッドが第1の位置にあり、柔軟アームが開口と位置合わせされるとき、カセット筐体の遠位カバーの鍵スロットと位置がずらされる。
【0044】
好ましくは、他の実施形態によれば、遠位本体は、薬剤送達デバイスのエネルギー源を受け入れるように構成され、エネルギー源は、プランジャロッドを遠位本体に対して駆動するために、プランジャロッドに連結するように構成される。
【0045】
好ましくは、他の実施形態によれば、エネルギー源は、モータ、捩じりばね、圧縮ばね、線形移動可能なバンドばね、およびガスボンベのうちの1つであり得る。
【0046】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドは、遠位本体に受け入れられた薬剤送達デバイスのエネルギー源が、薬剤送達動作を実行するのに十分な動力を有するとき、第3の長手方向軸に沿って、遠位本体に対して遠位方向に、第1の位置から第2の位置へと移動するように構成される。
【0047】
好ましくは、他の実施形態によれば、プランジャロッドが第2の遠位位置にあるとき、プランジャロッドの鍵は、バヨネットスロットの長手方向部分より遠位本体の遠位端の近くに位置決めされる。
【0048】
代替で、他の実施形態によれば、プランジャロッドが第2の遠位位置にあるとき、プランジャロッドの鍵は、ねじの長手方向部分より遠位本体の遠位端の近くに位置決めされる。
【0049】
代替で、他の実施形態によれば、プランジャロッドが第2の遠位位置にあるとき、プランジャロッドの鍵は、開口の長手方向部分より遠位本体の遠位端の近くに位置決めされる。
【0050】
代替で、他の実施形態によれば、プランジャロッドが第2の遠位位置にあるとき、プランジャロッドの鍵は、突起の長手方向部分より遠位本体の遠位端の近くに位置決めされる。
【0051】
好ましくは、他の実施形態によれば、この発明の部分組立体は、薬剤を含む薬剤容器を備える薬剤送達デバイスと使用できる。
【0052】
好ましくは、他の実施形態によれば、薬剤送達デバイスは、注入デバイス、吸入デバイス、または医療用噴霧器であり得る。
【0053】
好ましくは、他の実施形態によれば、薬剤送達デバイスは注入装置であり、薬剤送達デバイスは自動注入装置であり得る。
【0054】
好ましくは、他の実施形態によれば、薬剤送達デバイスカセットユニットは薬剤容器を収容するためのものである。
【0055】
好ましくは、他の実施形態によれば、この発明のような部分組立体を伴う薬剤送達デバイスは、カセットユニットを駆動ユニットに連結するステップを含む方法によって動作させることができる。
【0056】
好ましくは、他の実施形態によれば、方法は、カセットユニットを長手方向軸の周りで駆動ユニットに対して回転させることで、カセットユニットを駆動ユニットに連結するステップを含む。
【0057】
本発明の第4の態様が、第1の長手方向軸に沿って、近位端と遠位端との間で延びるカセット筐体であって、内部室を定めるカセット筐体と、第2の長手方向軸に沿って、近位端と遠位端との間で延びる細長いプランジャロッドとを備える薬剤送達デバイスを組み立てる方法であって、薬剤容器をカセット筐体の内部室へと挿入するステップと、内部室をカセット筐体の遠位端から遠位カバーで覆うステップであって、遠位カバーは、第1の長手方向軸に対して垂直な鍵スロットを備える、ステップと、鍵スロットと合致する鍵を、プランジャロッドの近位端に取り付けるステップとを含む方法で提供される。
【0058】
好ましくは、他の実施形態によれば、方法は、挿入された薬剤容器の中に含まれる薬剤に応じた特定の形状での鍵スロットを伴う遠位カバーを選択した後、遠位カバーで内部室をカセット筐体の遠位端から覆うステップをさらに含む。
【0059】
好ましくは、他の実施形態によれば、方法は、挿入された薬剤容器の中に含まれる薬剤に応じた特定の形状を伴う鍵を選択した後、プランジャロッドの近位端に取り付けるステップをさらに含む。
【0060】
概して、特許請求の範囲において使用されるすべての用語は、本明細書において他に明示的に定められていない場合、本技術分野における通常の意味に従って解釈されるものである。「要素、装置、構成要素、手段など」へのすべての言及は、他に明示的に述べられていない場合、要素、装置、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を参照しているとしてオープンに解釈されるものである。
【0061】
ここで、本発明の概念の実施形態が、例だけを用いて、添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1】カセット筐体および遠位本体を伴う薬剤送達デバイスの部分組立体の概略的な斜視図である。
【
図2A】
図1の部分組立体のカセット筐体の概略的な斜視図である。
【
図2B】
図2Aのカセット筐体の遠位カバーの概略的な背面図である。
【
図3A】
図2の部分組立体の遠位本体の概略的な斜視図である。
【
図3B】
図2の部分組立体の遠位本体の概略的な斜視図である。
【
図4】
図3A~
図3Bの遠位本体の鍵を伴うプランジャロッドの概略的な斜視図である。
【
図5】異なる形状での
図4および/または
図2Bの鍵および/または鍵スロットの概略的な正面図である。
【
図6】
図2Aのカセット筐体の概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
薬剤送達デバイスの薬剤送達デバイスカセットユニットは、薬剤を含む薬剤容器と、例えば針または噴霧ノズルといった薬剤送達部材とを含むように構成される。そのため、カセットユニットは、通常はカセット筐体と薬剤容器とを備える。
【0064】
カセットユニットのうちのいくつかは、薬剤送達部材を覆うための取り外し可能なキャップ(取り外しキャップは、カセット筐体に通常は取り外し可能に取り付けられる)を備えてもよく、いくつかのカセットユニットはキャップの代わりに穿孔可能シースを備え得る。カセットユニットは、薬剤送達部材を包囲するための送達部材保護部を備え得る。カセットユニットは再使用可能または使い捨てであり得る。いくつかのカセットユニットは、工場での最終的な組み立てのステップの後に薬剤容器を含んでもよく、いくつかのカセットユニットは薬剤容器を含むことなく出荷されてもよく、代わりに、介護人または薬剤師が、使用者に提供する前に薬剤容器をカセットユニットに装填してもよい。
【0065】
本発明の第1の態様が、主本体10と、近位係合部材12と、遠位カバー13とを備えるカセット筐体1を提供する。さらに、
図1~
図7は、薬剤送達デバイスカセットユニットのためのカセット筐体1を示しており、カセット筐体は、第1の長手方向軸L1に沿って近位端と遠位端との間で延びる主本体10を備える。主本体10は、薬剤容器を受け入れるための内部室11を定める。カセット筐体は、
図2Aに示されているように、主本体10の遠位端に取り付けられる遠位カバー13を備える。遠位カバー13は、長手方向軸Lに対して横断する方向において、主本体10の内部室11の遠位端を横切って延びる覆い壁を備え、覆い壁13は、薬剤送達デバイスのプランジャロッド2の鍵22を受け入れるように構成される鍵スロット13aを備え、鍵22と鍵スロット13aとが合致するとき、プランジャロッド2の鍵に続いてプランジャロッドのプランジャロッド本体21が鍵スロット13aを通じてカセット筐体1へと入ることができるようになっている。鍵スロット13aは、鍵22の形状に対応する形状で形成される開口である。
【0066】
カセット筐体1は、カセット筐体1および薬剤容器だけを備える(つまり、カセット筐体1および薬剤容器から成る)、または、カセットユニットの設計に依存して1つまたは複数の構成要素をさらに備える薬剤送達デバイスカセットユニットで使用できる。薬剤容器は注射器またはカートリッジであり得、また、薬剤容器は、例えばガラスまたはプラスチックから作られ得る。カセット筐体1は、さらに取り外し可能キャップ15と共に使用され得る。取り外し可能キャップは、カセット筐体の主本体の近位端に取り付けることができ、
図6および
図8において示されているように、カセット筐体の主本体を部分的に包囲する、または、カセット筐体の主本体を完全に包み込む。
【0067】
カセット筐体は、概して管状の形とされた主本体で形成でき、そのため、薬剤送達デバイスの薬剤容器を受け入れるための内部室11が、
図2Aに示されているように定められ得る。カセット筐体1の正確な形は、薬剤容器を含み得る任意の他の適切な形で、または、例えば、コンパクトである、もしくは保持するのが容易であるといった、他の機能を伴って、形成され得る。さらに、カセット筐体1は、カセット筐体1の主本体10の遠位部分に取り付けられる近位係合部材12を備え得る。
【0068】
薬剤容器がカセット筐体1の内部室11に受け入れられるとき、遠位カバーの鍵スロット13aは薬剤容器の遠位端と位置合わせされ、そのため、含まれる薬剤を吐き出すためのプランジャロッド2が鍵スロット13aを通過でき、含まれる薬剤を使用者へと吐き出すことができる。好ましい例では、遠位カバー13は、カセット筐体1の主本体10の遠位部分に取り付けられる。この例では、遠位カバー13は、カセット筐体1の主本体10の遠位端におけるカセット筐体1の主本体10の相手連結器10aに遠位カバー13を留め付けるための連結器13bを備える。遠位カバー13の連結器13bとカセット筐体1の相手連結器10aとの間の係合は、例えば、スナップフィット連結、バヨネット連結、またはねじ連結であり得る。遠位カバー13は1つまたは複数の開口部13cを任意選択で備え、これらの開口部は、カセット筐体1の遠位端を通じて突出するように設計されるカセットユニットの要素がある場合に設けられ得る。例えば、カセットユニットは、カセットユニットの近位端から突出し、薬剤送達デバイスの他の部品と相互作用する送達部材保護部を備え得る。そのため、1つまたは複数の開口部13cは、カセット筐体1の主本体10の遠位部分を通じて突出するように設計されるカセットユニットの要素の形に依存する形で形成される。さらに、カセット筐体1は主本体10に窓14を任意選択で備え、それによって、使用者が含まれる薬剤を窓14から観察することができる。代替で、カセット筐体1の主本体10は透明であり得る。カセット筐体1が窓14を備え、カセット筐体が取り外し可能キャップ15と共に使用される例において、特に、取り外し可能キャップ15がカセット筐体1の主本体10を部分的または完全に包み込む場合、取り外し可能キャップ15は、取り外し可能キャップ15が
図6に示されているようにカセット筐体1の主本体10に取り付けられるとき、カセット筐体1の窓14と位置合わせされるキャップ窓15aを備え得る。
【0069】
本発明の第2の態様は、プランジャロッド本体21と鍵22とを備えるプランジャロッド2を提供する。明確には、
図3A~
図7は、薬剤送達デバイスのためのプランジャロッド2を示しており、プランジャロッド2は、第2の長手方向軸L2に沿って近位端と遠位端との間で延びるプランジャロッド本体21と、鍵22とを備える。鍵22はプランジャロッド本体21の近位端に取り付けられる。鍵22は、カセット筐体における鍵スロット13aへと嵌まり入るように構成され、鍵22と鍵スロット13aとが合致するとき、プランジャロッド2の鍵に続いてプランジャロッド本体21が鍵スロット13aを通じてカセット筐体1へと入ることができるようになっている。
【0070】
鍵22の断面(第2の長手方向軸L2に沿ってみられるとき)の寸法は、プランジャロッド本体21の断面(第2の長手方向軸L2に沿ってみられるとき)の寸法より大きい。そのため、プランジャロッド本体21は、鍵が長手方向軸Lに沿ってカセット筐体1の遠位カバー13の開口13aを初めに通過するとき、長手方向軸Lに沿ってカセット筐体1の遠位カバー13の鍵スロット13aを通過することだけできる。
【0071】
鍵22は、プランジャロッド本体21と一体であり得る、または、プランジャロッド本体21に解放可能に取り付けられ得る。鍵22は、カセット筐体1の遠位カバー13における鍵スロット13aと合致するように構成され、これは、鍵22が鍵スロット13aを通過するとき、鍵22は鍵スロット13aによってぴったりと包囲されることを意味する。鍵22と鍵スロット13aとは様々な形状によって形成でき、例えば、鍵および鍵スロットの前面図が、
図5に示されているような形状として形成され得る。異なる形状が、偶発的な相互互換性を回避するために、異なる薬剤のために使用され得る。
【0072】
本発明の第3の態様が、先に記載されているようなカセット筐体1およびプランジャロッド2を備える薬剤送達デバイスの部分組立体を提供する。部分組立体は、薬剤送達動作を実行する前に取り付けられ得る2つの部品、すなわちカセットユニットおよび駆動ユニットを備える薬剤送達デバイスと共に使用されるように構成される。
【0073】
薬剤送達デバイスの駆動ユニットは、エネルギー源とプランジャロッドとを通常は備える。エネルギー源は、プランジャロッドに連結し、含まれる薬剤を吐き出すためにプランジャロッドがカセットユニットへと移動することができるようにプランジャロッドに加わる力を提供するように構成される。エネルギー源は、モータ、ばね、ガスボンベ、または、使用者の手によって手動で操作させられるための力伝達構成要素であり得る。
【0074】
本発明の第3の態様の部分組立体は、カセット筐体1と、プランジャロッド2と、カセット筐体1に取り付けられるように構成され、
図1に示されているように、第3の長手方向軸L3に沿って近位端と遠位端との間で延びる遠位本体3とを備える。好ましい例において、部分組立体の遠位本体3はカセット筐体1に解放可能に取り付けることができる。
【0075】
カセット筐体1が遠位本体3に取り付けられるとき、または、カセット筐体1が遠位本体3と軸方向で位置合わせされ、それによって遠位本体3に取り付ける準備ができるとき、カセット筐体1の第1の長手方向軸L1と、プランジャロッド2の第2の長手方向軸L2と、遠位本体3の第3の長手方向軸L3とは一列なり、別の言い方をすれば、第1の長手方向軸L1、第2の長手方向軸L2、および第3の長手方向軸L3は同じ長手方向軸になるはずである。
【0076】
部分組立体の遠位本体3は、薬剤送達デバイスの駆動ユニットの筐体になるように構成される。そのため、プランジャロッド2および薬剤送達デバイスのエネルギー源は、部分組立体の遠位本体3の中に受け入れるように構成される。
図3A~
図3Bおよび
図4は、遠位本体3が主本体30を備えることを示している。先に記載されているようなプランジャロッド2は、薬剤送達デバイスの薬剤容器の中に含まれる薬剤を吐き出すために、遠位本体3の主本体30の中に配置される。プランジャロッド2は薬剤送達デバイスのエネルギー源に接続され得る。そのため、エネルギー源からの力を受けるとき、プランジャロッド2は、遠位本体3の近位端から遠位本体3の近位方向において、遠位本体3に対して軸方向に移動可能である。
【0077】
遠位本体3は、遠位本体3の近位端に取り付けられる遠位係合部材30a、30bを備え得る。遠位係合部材30a、30bは、近位係合部材12が遠位係合部材30a、30bに留め付けられるときにカセット筐体1が遠位本体3に取り付けられ得るように、カセット筐体1の近位係合部材12と相互作用するように構成される。近位係合部材12と遠位係合部材30a、30bとの間に形成される連結は、バヨネット連結、ねじ連結、またはスナップフィット連結であり得る。例えば、近位係合部材12は、前述の例示した連結のいずれかを通じて第1の長手方向軸L1の方向において遠位係合部材30a、30bに留め付けられ得る。さらに、近位係合部材は、スナップフィット連結を通じて、第1の長手方向軸L1の方向において遠位係合部材に留め付けることができる。一例において、近位係合部材12はバヨネット突起12とすることができ、遠位係合部材30a、30bはバヨネットスロット(1つの周方向部分30aと1つの長手方向部分30bとによって形成される)とすることができる。そのため、近位係合部材12は、バヨネット連結を通じて、第1の長手方向軸L1の方向において遠位係合部材30a、30bに留め付けることができる。他方で、カセット筐体1は、独立した連結要素を通じて遠位本体3に取り付けることができる。例えば、カセット筐体1の遠位部分は遠位本体3の近位端と位置合わせされ、次に、係止リングがカセット筐体1の遠位部分と遠位本体3の近位端との両方を包み込む。係止リングはカセット筐体と遠位本体との両方においてぴったりと締め付けるため、カセット筐体は遠位本体に取り付けられる。この例において、部分組立体は、カセット筐体の近位係合部材と遠位本体の遠位係合部材とを備える必要がない。
【0078】
遠位本体3におけるプランジャロッド2における鍵22が、カセット筐体1の遠位カバー13における対応する鍵スロット13aへと嵌まり入るだけであるため、薬剤送達デバイスの未承認のカセットユニットが薬剤送達デバイスの駆動ユニットに誤って取り付けられるとき、遠位本体3におけるプランジャロッド2における鍵22とカセット筐体1の遠位カバー13における鍵スロット13aとは薬剤送達動作が起動されるのを防止することができる。例えば、介護人は、カセット筐体の内部室へと装填された薬剤容器に応じた鍵スロットを定めるために、特定の形状を備える、カセット筐体の遠位カバーを選択することができる。そのため、カセット筐体が適切な遠位本体に取り付けられるときだけ、カセット筐体の中に受け入れられた薬剤は吐き出される。
【0079】
他の好ましい実施形態において、部分組立体は取り付け防止機構を提供し得る。部分組立体がカセット筐体の近位係合部材と遠位本体の遠位係合部材とを備えるとき、鍵および/または鍵スロットは、近位係合部材および/または遠位係合部材に対して特定の位置に位置付けられ得る。例えば、近位係合部材12は、
図6に示されているように、遠位カバー13の遠位端よりカセット筐体1の近位端の近くに位置決めされる。鍵22は、
図7に示されているように、近位方向において遠位係合部材30a、30bの少なくとも一部分を越えて突出する。この例では、近位係合部材は、鍵が鍵スロットを初めに通過しない場合、遠位係合部材に到達すること/遠位係合部材と完全に係合することができない。そのため、使用者が駆動ユニットの鍵と合致しない鍵スロットを備える薬剤送達デバイスのカセットユニットを取り付けようとする場合(そのカセットユニットの中に受け入れられた薬剤がこのような駆動ユニットによって送達されるべきではないことを意味する)、使用者はそのカセットユニットを駆動ユニットに取り付けることができない。
【0080】
例えば、近位係合部材12がバヨネット突起であり、遠位係合部材30a、30bがバヨネットスロットであるとき、プランジャロッド2の鍵22は、
図7Aに示されているように、近位方向におけるバヨネットスロット30a、30bの長手方向部分30bを越えて位置決めされる。代替で、プランジャロッド2の鍵22は、
図7Bに示されているように、バヨネットスロット30a、30bの周方向部分30aを通じて(または部分的に通じて)延びて位置決めされる。そのため、バヨネット突起12はバヨネットスロット30a、30bの周方向部分30aに到達することができず、したがって、プランジャロッド本体21の鍵22の形状がカセット筐体1の遠位カバー13の鍵スロット13aの形状と合致しない限り、カセット筐体を遠位本体に取り付けることができない。
【0081】
さらに好ましい例では、本発明の第3の態様の部分組立体は、カセットユニットが駆動ユニットに取り付けられるために正しくされていても、駆動ユニットが使用する準備ができていないとき、使用者が薬剤送達動作を実行するのをさらに防止することができる。例えば、捩じりばねがエネルギー源であるときに捩じりばねが捩じりを必要とするといった、例えば駆動ユニットがなおも適切に再装填されない可能性があったり、プランジャロッドがその初期位置へと戻るように押すことを必要としたり、または、駆動ユニットがモータをエネルギー源として備えるとき、電池レベルが薬剤送達動作を駆動するには少なかったりする。
【0082】
薬剤送達デバイスの駆動ユニットのうちのいくつかは再使用可能であり、つまり、駆動ユニットは、含まれる薬剤を、複数のカセットユニットにおいて複数回吐き出すことができる。薬剤送達デバイスの再使用可能な駆動ユニットのほとんどは、1回または特定の回数の薬剤送達動作を実施した後に再装填される必要がある。駆動ユニットを再装填する動きは、プランジャロッドをその初期位置へと移動するステップと、動力ばね(エネルギー源がばねである場合)を引っ張るステップ、および/または、モータ(エネルギー源がモータである場合)に連結される歯車をリセットするステップを含み得る。
【0083】
例えば、駆動ユニットがまだ適切に再装填されていない、駆動ユニットが耐用期間の終わりに到達した、または、駆動ユニットが壊れていると自己診断されたといった、駆動ユニットが使用する準備ができていないときに薬剤送達動作を防止する機能は、鍵および鍵スロットの構成によって達成することができる。この例では、プランジャロッドは、第1の位置から第2の位置へと移動可能である(例えば、回転可能および/または直線的に移動可能であり、後で詳細に説明される)。好ましい例では、プランジャロッドは、使用者によって手動で直接的に移動させられることから、第1の位置において一時的に係止され得る。例えば、駆動ユニットがモータを備える場合、プランジャロッドは、典型的には、モータにおける摩擦抵抗のため、手動で動かすことができない。そのため、例えば、モータを駆動するための電池が少ない、または、プランジャロッドがモータによって初期位置へと戻るようにまだ後退されていないといった、駆動ユニットが準備できていない場合に、使用者はプランジャロッドを第1の位置から第2の位置へと誤って移動させることはない。さらに、プランジャロッドの第1の位置は、例えば使用する準備ができていないといった、駆動ユニットの状況についての指示として、使用者が第1の位置においてプランジャロッドを容易に見ることができるように、遠位本体の近位端を越えてプランジャロッドを位置決めするように選択され得る。
【0084】
例えば、プランジャロッドは、遠位本体3に対して長手方向軸Lの周りで回転可能である。鍵22は、プランジャロッド本体21と一緒に回転するように、プランジャロッド本体21に回転可能に固定される。プランジャロッド本体21は、エネルギー源からの力または再装填する動きによって、第3の長手方向軸L3の周りで遠位本体3に対して第1の位置と第2の位置との間で回転可能である。例えば、プランジャロッド2は、モータによって駆動され得る、または、再装填する動きを通じて駆動され得る。プランジャロッド2が第1の位置にあるとき、遠位本体3に取り付けられたプランジャロッド2の鍵22は、カセット筐体1の遠位カバー13の鍵スロット13aと位置がずらされる。そのため、プランジャロッド2が第1の位置にあるとき、鍵22は鍵スロット13aを通過することができず、そのため、プランジャロッド2はカセット筐体1の遠位カバー13の開口13aを通過することができない。そのため、プランジャロッド2が第1の位置にあるとき、薬剤動作が防止される。他方で、プランジャロッド2が第2の位置にあるとき、鍵22は鍵スロット13aと位置合わせされ、そのため、プランジャロッド2は、カセット筐体1の内部室11の中に受け入れられる含まれた薬剤を吐き出すために、カセット筐体1の遠位カバー13の開口13aを通過することができる。別の言い方をすれば、この例では、プランジャロッド2が第1の位置にあるとき、鍵22は鍵スロット13aと合致せず、プランジャロッド2が第2の位置にあるとき、鍵22は鍵スロット13aに合致する。
【0085】
さらに、部分組立体が先に言及された取り付け防止機構を備えるとき、回転可能なプランジャロッド2によって制御される鍵22と鍵スロット13aとの間の位置ずれは、薬剤送達デバイスのカセットユニットを、使用する準備ができていない駆動ユニットに使用者が取り付けるのを防止することができる。この例では、近位係合部材は、第3の長手方向軸L3の方向において遠位係合部材と位置合わせされ、プランジャロッドが第1の位置にあるとき、鍵22と鍵スロット13aとの間の位置ずれは、近位係合部材が、遠位係合部材に到達するのを、または遠位係合部材と完全に係合するのを防止する。プランジャロッドの第1の位置および/またはプランジャロッドの第2の位置の正確な位置は、部分組立体を備える薬剤送達デバイスの設計に依存して定められ得る。
【0086】
他の例では、部分組立体が前述の取り付け防止機構を備えるとき、回転の代わりに、プランジャロッド2は、長手方向軸に沿って、遠位本体の遠位方向において、第1の位置から第2の位置へと移動可能である。この例では、鍵22は、プランジャロッドが第1の位置または第2の位置のいずれかにあるとき、鍵スロット13aに対して位置決めされる。この例では、カセット筐体1は、回転によって遠位本体3に固定されるように構成され、近位係合部材と遠位係合部材との間の連結がバヨネット連結またはねじ連結であり得ることを意味する。プランジャロッド2が第1の位置にあるとき、プランジャロッド2の近位端は、遠位係合部材30a、30bより遠位本体3の近位端の近くに位置決めされる。プランジャロッド2が第2の位置にあるとき、プランジャロッド2は、遠位係合部材30a、30bより遠位本体3の遠位部分の近くに位置決めされる。プランジャロッド2が第1の位置にあり、近位係合部材12が長手方向軸の方向において遠位係合部材30a、30bと位置合わせされるとき、遠位本体3におけるプランジャロッド2の鍵22は、
図8に示されているように、カセット筐体1の遠位カバー13の鍵スロット13aと位置がずらされる。そのため、カセット筐体1を遠位本体3に取り付けることができない。近位係合部材12が、遠位係合部材30a、30bに到達することができるため、および/または遠位係合部材30a、30bと完全に係合することができるため、プランジャロッド2が第2の位置にあるとき、プランジャロッド2の鍵22は鍵スロット13aと位置がずらされ、使用者はカセット筐体1を遠位本体3になおも取り付けることができる。カセット筐体1を回転によって遠位本体3に取り付けることになり、カセット筐体1の回転はまた遠位カバー13およびカセット筐体1の鍵スロット13aを回転させる。そのため、鍵スロット13aは、カセット筐体1を遠位本体3に取り付けるための回転によって、鍵22と位置合わせされ得る。例では、カセット筐体1の近位係合部材12はバヨネット突起であり、遠位係合部材30a、30bはバヨネットスロットである。プランジャロッドが第2の遠位位置にあるとき、プランジャロッド2の近位端は、遠位本体3に対して位置決めされたバヨネットスロットの長手方向部分30bより遠位本体3の遠位端の近くに位置決めされる。そのため、バヨネット突起12は、バヨネットスロットの長手方向部分30bを通じてバヨネットスロットへと挿入でき、次にバヨネット突起12は、カセット筐体1を遠位本体3に固定するために、バヨネットスロットの周方向部分30aに沿って回転させられ得る。バヨネット突起12がバヨネットスロットの長手方向部分30bに位置合わせされるとき、および/または長手方向部分30bにあるとき、鍵スロット13aは鍵22と位置がずらされる。バヨネット突起12がバヨネットスロットの長手方向部分30bに沿って最終的な固定位置へと回転するとき、鍵スロット13aは鍵22と位置合わせするように回転させられる。同様に、プランジャロッドの第1の位置および/またはプランジャロッドの第2の位置の正確な位置は、部分組立体を備える薬剤送達デバイスの設計に依存して定められ得る。プランジャロッドは、部分組立体を備える薬剤送達デバイスのエネルギー源によって、第1の位置から第2の位置へと移動させられ得る。代替で、プランジャロッドは、再装填の動きと共に、第1の位置から第2の位置へと移動させられ得る。
【0087】
前述の取り付け防止機構を得るために、鍵および鍵スロットは、使用者(例えば、患者または介護人)にカセット筐体を遠位本体へ取り付けさせるために、カセット筐体を遠位本体へと挿入させ、次に、90度または180度回転させるなど、遠位本体に対して回転させるように設計されることは、留意されるべきである。したがって、鍵および鍵スロットの成形された形状は、カセット筐体が遠位本体に対して回転する角度の数値に基づいて選択されるべきである。例えば、180度が選択される場合、鍵の形状および鍵スロットの形状は対称的になるべきである。
【0088】
さらなる例において、プランジャロッド2の鍵22は、使用者がプランジャロッド2の鍵22を誤って回さないように、プランジャロッド2が第1または第2の位置にあるときに遠位本体3の近位端によって包囲され得る。代替で、鍵22は、プランジャロッド本体21が第1の位置と第2の位置との両方にあるときにプランジャロッドが回転することが防止される場合、鍵22も使用者によって誤って回されることが防止されるように、プランジャロッド本体21に回転可能に固定され得る。
【0089】
本発明の概念は、主にいくつかの例を参照して先に記載されてきた。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示されているもの以外の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定められているように、本発明の概念の範囲内で等しく可能である。
【0090】
本発明のいくつかの態様が以下の条項において記載されている。
【0091】
1. 薬剤送達デバイスカセットユニットのためのカセット筐体(1)であって、
第1の長手方向軸(L1)に沿って近位端と遠位端との間で延びる主本体(10)であって、薬剤容器を受け入れるための内部室(11)を定める主本体(10)と、
主本体(10)の遠位端に取り付けられる遠位カバー(13)と
を備え、
遠位カバー(13)は、第1の長手方向軸(L1)に対して横断する方向において、主本体(10)の内部室(11)の遠位端を横切って延びる覆い壁を備え、
覆い壁は、薬剤送達デバイスのプランジャロッド(2)の鍵(22)を受け入れるように構成される鍵スロット(13a)を備え、鍵(22)と鍵スロット(13a)とが合致するとき、プランジャロッド(2)の鍵(22)に続いてプランジャロッド(2)のプランジャロッド本体(21)が鍵スロット(13a)を通じてカセット筐体(1)へと入ることができるようになっている、カセット筐体(1)。
【0092】
2. 薬剤送達デバイスのためのプランジャロッド(2)であって、
第2の長手方向軸(L2)に沿って、近位端と遠位端との間で延びるプランジャロッド本体(21)と、
プランジャロッド本体(21)の近位端に取り付けられる鍵(22)と
を備え、
鍵(22)は、カセット筐体(1)における鍵スロット(13a)へと嵌まり入るように構成され、鍵(22)と鍵スロット(13a)とが合致するとき、鍵(22)に続いてプランジャロッド本体(21)が鍵スロット(13a)を通じてカセット筐体(1)へと入ることができるようになっている、プランジャロッド(2)。
【0093】
3. 薬剤送達デバイスのための部分組立体であって、条項1によるカセット筐体(1)と、条項2によるプランジャロッド(2)とを備える部分組立体。
【0094】
4. 第3の長手方向軸(L3)に沿って、近位端と遠位端との間で延びる遠位本体(3)を備え、遠位本体(3)はカセット筐体(1)に取り付けられるように構成され、プランジャロッド(2)は、遠位本体(3)に配置され、遠位本体(3)の近位端に対して伸縮自在である、条項3による部分組立体。
【0095】
5. カセット筐体は、カセット筐体の主本体の遠位端に取り付けられる近位係合部材を備え、遠位本体は、遠位本体の近位端に取り付けられる遠位係合部材を備え、カセット筐体は、近位係合部材が遠位係合部材に留め付けられるときに遠位本体に取り付けられる、条項4による部分組立体。
【0096】
6. 近位係合部材は、バヨネット連結を通じて、第3の長手方向軸(L3)の方向において遠位係合部材に留め付けられるように構成される、条項5による部分組立体。
【0097】
7. 近位係合部材はバヨネット突起であり、遠位係合部材はバヨネットスロットである、条項6による部分組立体。
【0098】
8. 近位係合部材は、遠位カバーの遠位端よりカセット筐体の近位端の近くに位置決めされ、プランジャロッドの鍵は、遠位本体の近位方向において遠位係合部材の少なくとも一部分を越えて突出する、条項5から7のいずれかによる部分組立体。
【0099】
9. プランジャロッドの鍵は、遠位方向においてバヨネットスロットの長手方向部分を越えて突出する、条項7に従属する条項8による部分組立体。
【0100】
10. プランジャロッドの鍵はプランジャロッド本体に回転可能に固定され、プランジャロッド本体は第2の長手方向軸(L2)の周りで第1の位置から第2の位置へと回転可能である、条項3から9のいずれか1つによる部分組立体。
【0101】
11. プランジャロッドの鍵は、プランジャロッドが第1の位置にあり、近位係合部材の少なくとも一部分が第1の長手方向軸(L1)の方向において遠位係合部材と位置合わせされるとき、第1の長手方向軸(L1)に関する周方向において、カセット筐体の遠位カバーの鍵スロットと位置がずらされる、条項8または9に従属する条項10による部分組立体。
【0102】
12. 遠位本体のプランジャロッドの鍵は、プランジャロッドが第1の位置にあり、バヨネット突起がバヨネットスロットの長手方向部分と位置合わせされるとき、カセット筐体の遠位カバーの鍵スロットと位置がずらされる、条項9に従属する条項10による部分組立体。
【0103】
13. 遠位本体は、薬剤送達デバイスのエネルギー源を受け入れるように構成され、エネルギー源は、プランジャロッドを遠位本体に対して駆動するために、プランジャロッドに連結するように構成される、条項3から12のいずれかによる部分組立体。
【0104】
14. エネルギー源はモータである、条項13による部分組立体。
【0105】
15. プランジャロッドは、遠位本体に受け入れられた薬剤送達デバイスのエネルギー源が、薬剤送達動作を実行するのに十分な動力を有するとき、第3の長手方向軸(L3)に沿って、遠位本体に対して遠位方向に、第1の位置から第2の位置へと移動するように構成される、条項4から12のいずれか1つと、条項13から14のうちの1つとの組み合わせによる部分組立体。
【0106】
16. プランジャロッドが第2の遠位位置にあるとき、プランジャロッドの鍵は、バヨネットスロットの長手方向部分より遠位本体の遠位端の近くに位置決めされる、条項9に従属する条項15による部分組立体。
【0107】
17. 第1の長手方向軸(L1)に沿って、近位端と遠位端との間で延びるカセット筐体であって、内部室を定めるカセット筐体と、第2の長手方向軸(L2)に沿って、近位端と遠位端との間で延びる細長いプランジャロッドとを備える薬剤送達デバイスを組み立てる方法であって、
薬剤容器をカセット筐体の内部室へと挿入するステップと、
内部室をカセット筐体の遠位端から遠位カバーで覆うステップであって、遠位カバーは、第1の長手方向軸(L1)に対して垂直な鍵スロットを備える、ステップと、
鍵スロットと合致する鍵を、プランジャロッドの近位端に取り付けるステップと
を含む方法。
【0108】
18. 挿入された薬剤容器の中に含まれる薬剤に応じた特定の形状での鍵スロットを伴う遠位カバーを選択した後、遠位カバーで内部室をカセット筐体の遠位端から覆うステップをさらに含む、条項17による薬剤送達デバイスを組み立てる方法。
【0109】
19. 挿入された薬剤容器の中に含まれる薬剤に応じた特定の形状を伴う鍵を選択した後、プランジャロッドの近位端に取り付けるステップをさらに含む、条項17または18による薬剤送達デバイスを組み立てる方法。
【符号の説明】
【0110】
1 カセット筐体
2 プランジャロッド
10 主本体
10a 相手連結器
11 内部室
12 近位係合部材、バヨネット突起
13 遠位カバー、覆い壁
13a 鍵スロット、開口
13b 連結器
13c 開口部
14 窓
15 取り外し可能キャップ
15a キャップ窓
21 プランジャロッド本体
22 鍵
30 主本体
30a 遠位係合部材、周方向部分、バヨネットスロット
30b 遠位係合部材、長手方向部分、バヨネットスロット
L 長手方向軸
L1 第1の長手方向軸
L2 第2の長手方向軸
L3 第3の長手方向軸
【国際調査報告】