(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的な容器を検査するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20240329BHJP
【FI】
G01N21/90 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565488
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2022053858
(87)【国際公開番号】W WO2022229841
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021000010790
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517363403
【氏名又は名称】ステバナト・グループ・エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】STEVANATO GROUP S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Molinella,17,I-35017 Piombino Dese,PADOVA,ITALY
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァラティ、ルカ
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA28
2G051AB15
2G051CA04
2G051CB02
2G051CD07
2G051DA08
2G051EC01
2G051ED11
(57)【要約】
本発明は、所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的であり、所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的な液体が入れられた容器8を検査するための装置4に関し、容器8は、対称軸Xを中心とした半径方向対称性を有する少なくとも1つの部分を備え、装置4は、
- 対称軸Xを中心に容器8を回転させるように適合された回転デバイス5と、
- 容器8が、配置されるときに、その視野内に位置するように配置されたカメラ12であって、所定の電磁放射線に感応するカメラ12と、
- 回転デバイス5及びカメラ12を制御するように適合された処理ユニット32であって、
・容器8を第1の角速度vmax1で移動させ、第1の期間t1にわたって第1の角速度を一定に保つように回転デバイス5を制御し、
・第1の一定の角速度vmax1で回転中に、少なくとも第1及び第2の一連の画像を取得するようにカメラ12を制御し、第1又は第2の一連の各画像40は、容器8の一部分16の画像であり、各一連の画像は、容器の部分を360°回転させたものを表し、
・第1及び第2の一連S1、S2の画像40において欠陥領域60を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、欠陥領域の第1及び第2のマップS1、S2を生成し、各マップS1、S2は、欠陥領域の位置及び特性を備え、第1のマップ及び第2のマップ内の同一の位置は、容器8内の同じ位置を識別し、
・第1及び第2のマップS1、S2の欠陥領域の位置を比較し、
・ある欠陥領域60が第1のマップS1内の位置に存在し、ある欠陥領域が第2のマップS2内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第1の不純物70が容器8内に、又は容器に入れられた液体に存在することを立証する
ようにプログラムされている、処理ユニット32と
を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的であり、前記所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的な液体が入っている容器(8)を検査するための装置(4)であって、前記容器(8)は、対称軸(X)を中心とした半径方向対称性を有する少なくとも1つの部分を備え、前記装置(4)は、
- 前記対称軸(X)を中心に前記容器(8)を回転させるように適合された回転デバイス(5)と、
- 前記容器(8)が、配置されるときに、その視野内に位置するように配置されたカメラ(12)であって、前記所定の電磁放射線に感応するカメラ(12)と、
- 前記回転デバイス(5)及び前記カメラ(12)を制御するように適合された処理ユニット(32)であって、
・前記容器(8)を第1の角速度(vmax1)で移動させ、第1の期間(t1)にわたって前記第1の角速度を一定に保つように前記回転デバイス(5)を制御し、
・前記第1の一定の角速度(vmax1)で回転中に、少なくとも第1及び第2の一連の画像を取得するように前記カメラ(12)を制御し、前記第1又は前記第2の一連の各画像(40)は、前記容器(8)の一部分(16)の画像であり、各一連の画像は、前記容器の前記部分を360°回転させたものを表し、
・前記第1及び前記第2の一連(S1、S2)の画像(40)において欠陥領域(60)を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、前記欠陥領域の第1及び第2のマップ(S1、S2)を生成し、各マップ(S1、S2)は、前記欠陥領域の位置及び特性を備え、前記第1のマップ及び前記第2のマップ内の同一の位置は、前記容器(8)内の同じ位置を識別し、
・前記第1及び前記第2のマップ(S1、S2)の前記欠陥領域の前記位置を比較し、
・ある欠陥領域(60)が前記第1のマップ(S1)内の位置に存在し、ある欠陥領域が前記第2のマップ(S2)内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第1の不純物(70)が前記容器(8)内に、又は前記容器に入れられた前記液体に存在することを立証する
ようにプログラムされている、処理ユニット(32)と
を備える、装置(4)。
【請求項2】
前記カメラ(2)が、可視光又は赤外線の範囲の前記電磁放射線に感応する、請求項1に記載の装置(4)。
【請求項3】
前記所定の電磁放射線の光源(24)を備え、前記光源(24)が、前記カメラ(12)に対して前記容器(8)の反対側に配置されている、請求項1又は2に記載の装置(4)。
【請求項4】
前記カメラ(12)はリニア式カメラであり、前記第1又は前記第2の一連の画像(M)の各々は、一定の角度間隔(Δθ)で取得された複数のリニア画像を含む、請求項1から3までの1つ又は複数の項に記載の装置(4)。
【請求項5】
前記処理ユニット(32)は、
・前記容器(8)を停止するように前記回転デバイス(5)を制御し、
・第2の角速度(vmax2)で前記容器(8)を再び回転させ、第2の期間(t2)にわたって前記第2の角速度を一定に保つように前記回転デバイス(5)を制御し、
・前記第2の一定の角速度で前記回転中に、前記カメラ(12)が少なくとも第3及び第4の一連の画像を取得するまで前記カメラ(12)を制御し、前記第3及び前記第4の一連の各画像(M)は、前記容器(8)の一部分(16)の画像(M)であり、第3及び第4の各一連の画像は、前記容器(8)の前記部分を360°回転させたものを表し、
・前記第3及び前記第4の一連の画像において欠陥領域(60)を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、前記欠陥領域の第3及び第4のマップを生成し、各マップは、前記欠陥領域の位置及び特性を備え、前記第3のマップ及び前記第4のマップ内の同一の位置が、前記容器(8)内の同じ位置を識別し、
・前記第3及び前記第4のマップの前記欠陥領域(60)の前記位置を比較し、
・ある欠陥領域が前記第3のマップ内の位置に存在し、ある欠陥領域が前記第4のマップ内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第2の不純物(90)が前記容器内に、又は前記容器内の前記液体に存在することを立証し、
・前記第1の不純物(70)及び前記第2の不純物(90)の前記位置を比較し、前記第1又は前記第2のマップ内の前記第1の不純物(70)のうちの1つの位置において、前記第3又は前記第4のマップ内の同じ位置を囲む区域内の第2の不純物(90)が一致しないとき、前記容器(8)内に入れられた前記液体に不純物(14)が存在することを立証する
ように、さらにプログラムされている、請求項1から4までの1つ又は複数の項に記載の装置(4)。
【請求項6】
・所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的であり、前記所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的な液体が入っている容器(8)を提供するステップであって、前記容器(8)が、対称軸(X)を中心とした半径方向対称性を有する少なくとも1つの部分を備える、ステップと、
・前記容器(8)を第1の角速度(vmax1)で回転させ、第1の期間にわたって前記第1の角速度を一定に保つステップと、
・前記第1の一定の角速度での回転中に、少なくとも第1及び第2の一連の画像を取得するステップであって、前記第1及び前記第2の一連の各画像(M)は、前記容器の一部分(16)の画像であり、各一連の画像は、前記容器(8)の前記部分を360°回転させたものを表す、ステップと、
・前記第1及び前記第2の一連の画像において欠陥領域(60)を識別し、各欠陥領域(60)は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、前記欠陥領域(60)の第1及び第2のマップ(S1、S2)を生成するステップであって、各マップは、前記欠陥領域の位置及び特性を備え、前記第1のマップ及び前記第2のマップ内の同一の位置が、前記容器(8)内の同じ位置を識別する、ステップと、
・前記第1及び前記第2のマップ(S1、S2)の前記欠陥領域(60)の前記位置を比較するステップと、
・ある欠陥領域(60)が前記第1のマップ(S1)内の位置に存在し、ある欠陥領域が前記第2のマップ(S2)内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第1の不純物(70)が前記容器(8)内に、又は前記容器内の前記液体に存在することを立証するステップと
を含む、容器(8)を検査するための方法。
【請求項7】
・前記容器(8)の前記回転を停止させるステップと、
・第2の角速度(vmax2)で前記容器(8)を再び回転させ、第2の期間(t2)にわたって前記第2の角速度を一定に保つステップと、
・前記第2の一定の角速度(vmax2)で前記回転中に、少なくとも第3及び第4の一連の画像を取得するステップであって、前記第3及び前記第4の一連の各画像(M)が、前記容器(8)の一部分(16)の画像であり、前記第3及び前記第4の一連の画像の各々が、前記容器(8)の前記部分を360°回転させたものを表す、ステップと、
・前記第3及び前記第4の一連の画像において欠陥領域(60)を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、前記欠陥領域の第3及び第4のマップを生成するステップであって、各マップは、前記欠陥領域の位置及び特性を備え、前記第3のマップ及び前記第4のマップ内の同一の位置は、前記容器内の同じ位置を識別する、ステップと、
・前記第3及び前記第4のマップの前記欠陥領域(60)の前記位置を比較するステップと、
・ある欠陥領域が前記第3のマップ内の位置に存在し、ある欠陥領域が前記第4のマップ内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第2の不純物(90)が前記容器(8)内に、又は前記容器内の前記液体に存在することを立証するステップと、
・前記第1の不純物(70)と前記第2の不純物(90)との前記位置を比較し、前記第1又は前記第2のマップ内の前記第1の不純物(70)のうちの1つの位置において、前記第3又は前記第4のマップ内の同じ位置を囲む区域の第2の不純物(90)が一致しないとき、前記容器(8)内に入れられた前記液体に不純物(14)が存在することを立証するステップと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記容器(8)内に入れられた前記液体の密度は、2000センチポアズ未満である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
・前記容器(8)の前記回転を停止させるステップと、
・第2の角速度(vmax2)で前記容器(8)を再び回転させるステップと
の間に、
・第3の期間にわたって前記容器(8)を停止させ続けるステップ
を含む、請求項6から8までの1つ又は複数の項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1又は前記第2の角速度(vmax1、vmax2)は、200rpm~10000rpmである、請求項6から9までの1つ又は複数の項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の一定の角速度は、前記第2の一定の角速度に等しい、請求項6から10までの1つ又は複数の項に記載の方法。
【請求項12】
前記所定の電磁放射線を用いて前記容器(8)をバックライトで照らすステップを含む、請求項6から11までの1つ又は複数の項に記載の方法。
【請求項13】
・前記第1又は前記第2の角速度(vmax1、vmax2)で前記回転中に、N個の一連の画像(2≦N≦10)を取得するステップであって、各一連の画像が、前記容器(8)の前記部分を360°回転させたものを表す、ステップを含む、請求項6から12までの1つ又は複数の項に記載の方法。
【請求項14】
前記第1及び前記第2の一連の画像内の欠陥領域(60)を識別するステップは、前記第1及び前記第2の一連の画像(M)を形成するピクセルを分析するステップと、クラスタに隣接する前記ピクセルとは異なる特性を有するピクセルのクラスタを、欠陥領域として識別するステップとを含む、請求項6から13までの1つ又は複数の項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラを使用して、少なくとも部分的に透過的な容器を検査する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野においてだけではないが、容器自体の内部にある不純物を検出するために、医療物質容器を分析することは必須である。実際、医療物質はいかなる種類の汚染物質も含み得ることが容認されないため、不純物が存在する場合、容器は廃棄されなければならない。
【0003】
当技術分野で採用されるシステムは光学式であり、汚染物質を検出するために各容器を走査するカメラを使用する。
【0004】
既知の光学システムは、一般に、カメラによって生成された画像を検査することによって、汚染物質/不純物の存在を検出する。出願人自身が使用するアプローチは、例えば、「スピン・アンド・ストップ」タイプであり、すなわち、容器が粒子分析カメラの前方に到達する前に、容器はそれ自体の軸を中心に回転する。次いで、容器は停止され、容器の内部の液体は慣性によって動き続け、容器の残りの部分は静止しているが、カメラは液体が動き続けているときに液体内の汚染物質を検出する。
【0005】
しかしながら、このシステムは、液体内に気泡が存在する場合は効果的ではなく、容器が停止しているときでも、気泡は汚染物質と同様に動き、したがって、上記の「スピン・アンド・ストップ」アプローチにより、容器内の「液体に何かが存在している」かどうかを識別することはできるが、何かが内部の汚染物質なのか気泡なのかを識別することはできない。
【0006】
したがって、気泡を形成する可能性のある液体が存在するとき、汚染物質を探すためにそのような液体が入れられた容器を分析すると、多数の偽陽性が発生し、いくつかにおいては、汚染物質が実際には存在しないため、容器の過剰な不当廃棄、又は、廃棄された容器の二重検査のどちらかになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
容器内に存在する液体に汚染物質が存在するかどうかを少なくとも部分的に識別し、それらを、液体内に形成され得るいかなる気泡とも区別するように適合された、少なくとも部分的に透過的な円筒状容器を検査するための方法及び装置を利用可能にすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本発明は、所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的であり、所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的な液体が入っている容器を検査するための装置に関し、容器は、対称軸を中心とした半径方向対称性を有する少なくとも1つの部分を備え、前記装置は、
- 対称軸を中心に容器を回転させるように適合された回転デバイスと、
- 容器がその視野内に位置するように配置されたカメラであって、前記所定の電磁放射線に感応するカメラと、
- 回転デバイス及びカメラを制御するように適合された処理ユニットであって、
・容器を第1の角速度で移動させ、第1の期間にわたって第1の角速度を一定に保つように回転デバイスを制御し、
・第1の一定の角速度で回転中に、少なくとも第1及び第2の一連の画像を取得するようにカメラを制御し、第1又は第2の一連の各画像は、容器の一部分の画像であり、各一連の画像は、容器の部分を360°回転させたものを表し、
・第1及び第2の一連の画像において欠陥領域を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、欠陥領域の第1及び第2のマップを生成し、各マップは、欠陥領域の位置及び特性を備え、第1のマップ及び第2のマップ内の同一の位置は、容器内の同じ位置を識別し、
・第1及び第2のマップの欠陥領域の位置を比較し、
・ある欠陥領域が第1のマップ内の位置に存在し、ある欠陥領域が第2のマップ内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第1の不純物が容器内に、又は容器に入れられた液体に存在することを立証する
ようにプログラムされている処理ユニットと
を備える。
【0009】
さらなる態様によれば、本発明は、
・所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的であり、所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的な液体が入っている容器を提供するステップであって、容器は、対称軸を中心とした半径方向対称性を有する少なくとも1つの部分を備える、ステップと、
・容器を第1の角速度で回転させ、第1の期間にわたって前記第1の角速度を一定に保つステップと、
・第1の一定の角速度での回転中に、少なくとも第1及び第2の一連の画像を取得するステップであって、第1及び第2の一連の各画像は、容器の一部分の画像であり、各一連の画像は、容器の部分を360°回転させたものを表す、ステップと、
・第1及び第2の一連の画像において欠陥領域を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、欠陥領域の第1及び第2のマップを生成するステップであって、各マップは、欠陥領域の位置及び特性を備え、第1のマップ及び第2のマップ内の同一の位置が容器内の同じ位置を識別する、ステップと、
・第1及び第2のマップの欠陥領域の位置を比較するステップと、
・ある欠陥領域が第1のマップ内の位置に存在し、ある欠陥領域が第2のマップ内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第1の不純物が容器内に、又は容器に入れられた液体に存在することを立証するステップと
を含む、容器を検査するための方法に関する。
【0010】
本発明では、容器は、好ましくは医療用途のために検査されるが、これに限定されない。容器は、例えば、バイアル、ボトル、又はアンプルであってもよい。容器は、側壁を画定する中空体を備える。これらはまた、中空体を閉じるためのキャップ、内部液体へのアクセスが必要なときに取り外すことができるキャップを備えていてもよい。或いは、又はさらに、キャップは、シリンジで穿孔することができる。側壁は、少なくともその一部について、所定の電磁放射線に対して部分的に透過的である。側壁は、所定の電磁放射線に対して透過的であることが好ましい。したがって、「部分的に透過的であるか、又は透過的である容器」とは、少なくとも部分的に透過的であるか、又は透過的である側壁の少なくとも一部分を有する容器を意味する。
【0011】
液体は、中空体の内部に入れられている。液体はまた、所定の電磁放射線に対して少なくとも部分的に透過的である。好ましくは、液体は、所定の電磁放射線に対して透過的である。
【0012】
液体は、例えば、薬剤、又は薬剤と組み合わされる蒸留水であってもよい。液体は、さまざまな密度であってもよく、多少の粘性があってもよい。限界密度は、液体を入れている容器が回転したときに、液体が容器自体に対して動かない密度である。液体の特性は、気泡を形成しやすいことである。気泡は、液体内に閉じ込められ、液体に囲まれた「少量」の空気である。
【0013】
容器は透過的であり、その結果、容器に入れられた透過的又は半透過的の液体は、外部から見ることができることに留意されたい。したがって、容器は、好ましくは、ガラス又はプラスチック、例えば、プレキシガラス、又は環状オレフィン共重合体(COC:cyclic olefin copolymer)タイプの共重合体などから作られる。
【0014】
さらに、容器は、半径方向対称性を有する一部分を有する。好ましくは、以下で軸Xと呼ぶ対称軸に対して、中空体は、この軸の周りに回転固体を備える。例えば、回転固体は、円筒であってもよい。しかしながら、半径方向対称性を有する他の固体が使用されてもよい。容器全体が半径方向対称性を有する必要はなく、容器に入れられるすべての液体を収容するのに十分な大きさの部分が、このような半径方向対称性を有すれば十分である。
【0015】
検査は、本発明による装置及び/又は方法によって実行される。本発明の目的は、少なくとも一部の場合において、容器の欠陥を識別し、気泡を他の既存の欠陥と区別することである。
【0016】
容器を検査するには、容器を(半径方向)対称軸を中心に回転させる。容器は、例えば、そのサイズ及び/又は重量に応じた方法など、さまざまな方法で回転させることができる。例えば、容器は、本発明の装置の一部である回転デバイスによって回転され、回転デバイスは、容器が載置される支持体を備えることができる。次に、支持体が、回転される。例えば、回転は、モータによって制御され、作動される。回転デバイスは、対称軸を中心に回転させるためのモータ手段が取り付けられたグリップを備えることができる。好ましくは、回転デバイスは、(以下に詳述するように)カメラによる視覚、したがって容器内で起こり得る欠陥のチェックを妨げないように配置される。この目的のために、回転している容器をそれらの支持台から把持するか、さもなければ引き出す回転デバイスが好ましい。この目的に適した把持デバイス/方法は数多くある。例えば、容器の底部ヘッド、又は容器自体のネックにあるグリッパなどを把持することができる。重要なことは、これらのデバイスが、対称軸を中心に容器を回転させることである。
【0017】
容器の欠陥を探すことは、カメラを用いて実行される。カメラは、好ましくはリニア式カメラであるが、(言い換えれば、2次元画像を生成することができる)2Dカメラであってもよい。「カメラ」という用語は、フォト・カメラも含む。カメラは、検査される容器がその視野内に位置するように配置される。容器全体がカメラの視野内にある必要はなく、容器の半径方向対称性を有する部品の「一部分」のみがカメラの視野内に位置していれば十分である。カメラは、例えば、容器に、特に容器の側壁に面していてもよく、又は、カメラは向きが異なっていてもよく、1つ若しくは複数の鏡によって、確実に容器が依然としてカメラの視野内にあるようにすることができる。
【0018】
カメラは、電磁放射線に感応し、電磁放射線用に、容器の側壁及び液体は透過的である。好ましくは、電磁放射線は、可視範囲の電磁放射線、すなわち、390nm~700nmの波長の放射線である。電磁放射線はまた、近赤外線(IR:infrared)スペクトラム、すなわち、波長が700nm~1mmの放射線に含まれ得る。カメラが電磁放射線に感応するということは、カメラがそのような放射線に感応する少なくとも1つのセンサを備えることを意味する。センサは、例えば、CCD又はCMOSセンサであってもよい。
【0019】
容器が回転デバイス上に配置されると、容器は、対称軸を中心に回転する。容器を回転させるための制御は、例えば、回転デバイス及びカメラの両方を制御する処理ユニットによって、提供することができる。
【0020】
次いで、容器は、停止状態から第1の所定の角速度まで動くように第1の加速を受ける。第1の所定の角速度は、例えば、処理ユニットを介して設定することができる。所定の角速度は可変であり、容器の種類、その内部に入れられる液体の種類、及び、容器内に予想される不純物の種類によって決まる。好ましくは、ガラス、金属、ゴム、プラスチック、繊維、例えばプラスチック繊維(特にポリエステル、又は衣服を作る際に使用する繊維)、毛髪などの不純物に対する所定の角速度は、200rpm~10000rpm、より好ましくは、500rpm~5000rpmである。例えば、所定の角速度は、2500rpmであってもよい。
【0021】
したがって、容器は、停止状態から回転状態まで第1の所定の角速度で第1の加速ステップを経る。加速ステップは、例えば50ミリ秒~2秒、より好ましくは、200~700ミリ秒持続し得る。加速の持続時間は、容器のサイズ(特に、容器が円筒対称性を有する場合はその半径)、容器に入れられた液体の重量、容器に入れられた液体の体積、及び、容器に入れられた液体の特性によって決まる。
【0022】
所定の角速度は、第1の期間にわたって実質的に一定に保たれる。この第1の期間中、カメラは、例えば処理ユニットを介して起動され、その結果、角度間隔で、好ましくは一定の角度間隔で、その視野内に位置するか、又は容器の選択された部分がどこであれ、容器の部分の画像を取得する。さらに、カメラは、アクティブな状態を維持する、すなわち、容器自体の対称軸を中心にした、容器の少なくとも第1及び第2の完全な回転に対して、画像を取得し続ける。第1の期間は、カメラが、容器の360°にわたる第1の回転及び第2の完全な回転に対して半径方向対称性を有する容器の部分の画像を取得することを可能にするのに十分な長さでなければならない。
【0023】
第1の期間は、途切れなく続く(単一の期間である)。第1の角速度は、加速、減速、又は停止などのいかなる中断もなく、第1の期間にわたって一定に保たれる。
【0024】
カメラは、容器が第1の一定の角速度で回転していない場合でも、容器の画像を取得することができるが、これらの画像は、後続の処理の一部ではない。
【0025】
第1及び第2の各回転において、カメラは、M個の画像を取得する。好ましくは、画像は、角度間隔Δθごとに取得される。好ましくは、角度分解能は、少なくとも0.02ラジアン、より好ましくは、少なくとも0.01ラジアンである。解像度は、100μm/pixel~1μm/pixelの範囲であってもよく、好ましくは、10μm/pixelであってもよい。画像では、容器の側面の展開(development)は、360°の回転で実現されるため、容器の半径をrとすると、2*π*rとなる。10μmの解像度を有するために、各角度間隔Δθ(以下のΔθの定義を参照)は、以下に等しいことが好ましい。
2π/(2*π*r)/10μmラジアン
【0026】
言い換えれば、展開2πrは、10μm間隔で数Nに分割される。この数Nはまた、円周角360°(又は2π)が好ましくは分割される間隔の数となる。
【0027】
M個の画像の各画像は、例えば、リニア式カメラの場合にはピクセルの列(単一ベースピクセル(single base pixel))であるか、2次元カメラの場合にはピクセルのフレームである。したがって、各画像は、1ピクセルのみの底辺とPピクセルの高さとを有するグリッドとして、又は寸法がP×Qの配列として見ることができる。画像は、実質的にラスタ画像であり、ピクセルと呼ばれるラスタの各要素は、特定の色又はグレースケールに関連付けられている。
【0028】
グレースケール画像は、各ピクセルが範囲内の値を取る画像である。典型的な値は、それぞれ、1ピクセル当たり[0,63]、[0,255]、[0,1023]、6、8、10ビットである。
【0029】
色は、2つの技法を使用して定義することができる。すなわち、画像が数色(最大256)しか含まない場合、使用される色のリストが生成され、特定のピクセルの色を指し示すインデックスがラスタに挿入され、画像が多くの色を含む場合、単一のピクセルは、カラーバレットを指し示すインデックスを定義するのではなく、直接、色を定義する。色は、例えば、3つの成分、青、赤、緑(RGB系)の組み合わせとして定義される。
【0030】
第1の回転で取得されたM個の画像、及び、第2の回転で取得されたM個の画像は、第1及び第2の一連の画像を形成する。これらの画像は、好ましくは、互いに関連付けられている。この関連付けは、好ましくは、処理ユニットによって行われる。関連付けでは、集約画像は、一連のM個の画像ごとに生成される。したがって、第1の一連のM個の画像の関連付けにより、第1の集約画像が生成され、第2の一連の画像の関連付けにより、第2の集約画像が生成される。この関連付けは、容器の展開の集約画像を取得するためにシームレスに行われ、言い換えれば、集約画像は、360°の展開全体にわたって容器の外部側壁を表す。カメラは、処理ユニットとともに、互いにΔθに等しい角度距離で取得された同じ容器の「スライス」のM個の画像を集合させることによって形成された、容器の側壁の連続的な展開を生成する。
【0031】
リニア式カメラの場合には、画像は、他のいかなる操作も行わずに連続して互いに簡単に組み合わされる。2Dカメラの場合には、当該分野で知られている適切なソフトウェアを使用して、容器の外部側壁の重複部分が集約画像内に現れないように、画像オーバーレイを作成する必要がある。
【0032】
例として、リニア式カメラ及び直径24mmの円筒対称性を有する容器について、画像の数Mは5000に等しい。
【0033】
リニア式カメラは、検査対象の容器がそれ自体の軸を中心に回転する間、一定の角度間隔dθでラインを取得する。例えば、容器の回転を担うモータに接続されたロータリ・エンコーダを使用することにより、カメラは、容器の側壁の連続的な展開を生成する。エンコーダは、処理ユニットによって制御することができる。
【0034】
集約画像の各ピクセルは、容器の側壁上の1つの点(既知のように、画像終点のラインを除く)に一意的に対応する。したがって、集約画像の各1ピクセル座標は、容器の側壁内の正確な点に対応する。その結果、集約画像の位置が容器の側壁上の位置(又はカメラのM個の画像によって検出された容器の側壁の少なくとも一部)に対応する。
【0035】
本発明では、第1の一連の画像及び第2の一連の画像が取得されれば十分であり、各一連の画像は、対称軸を中心に360°の完全な回転で容器の外面の展開を表す。しかしながら、一連の画像の数Nは、第1の期間中に取得することができ、すなわち、いかなる加速も減速(又は、本議論とは無関係で、機械内の既存の公差と精度レベルとによって生じる加速及び減速)も存在せず、同じ第1の一定の角速度で容器が回転している間にすべてが取得される。
【0036】
一連の画像の数N、ひいては集約画像の数Nは、2~10であることが好ましい。少なくとも2つの一連の画像が、本発明には必要である。N>10の場合、一般に、精度の高さにおいて利点は得られず、時間と資源の無駄になるだけである。
【0037】
容器が第1の一定の角速度ωで対称軸を中心に回転するとき、動的バランスに達すると、内部に入れられた液体は、容器とともにしっかりと回転し(すなわち、容器と液体との間の相対運動が失われ)、自由表面は回転放物面の凹形状をとる。
【0038】
回転する液体の形状変化の現象は、回転の開始から動的バランス状態の達成までの期間に、流体要素間に作用する内部摩擦力の影響と、液体と容器壁との間の摩擦とに起因する。内部摩擦力は、流体の粘度と、接触面積と、流体要素間の相対速度とを含むいくつかの要因によって決まる。
【0039】
回転の開始時に、容器の外部側壁の表面に接触している液体要素は、相対運動で動きだす。動的バランス状態がまだ実現されていないため、それらを円軌道に保つのに十分な求心力が存在せず、最も外側の要素の動きは、内部摩擦によって、最も内側の要素を壁に向かって引っ張る。角速度が一定であるため、端部では相対速度が相殺され、動的バランスは、放物線状の形状で実現される。
【0040】
動的バランス状態では、質量dm=pdV(pとdVは、それぞれ、要素の密度と体積)を有する液体の各微小要素は、円軌道を描き、以下の力、すなわち、要素の質量dmと係数pdVg(gは重力加速度を示す)とに比例する垂直下向きの体積力である重量力
【数1】
と、加圧力、すなわち、圧力pが加えられる微小表面dSの面積に正比例する表面力dF=pdSとを受ける。加圧力は、考慮されている微小要素のすべての表面に対して直交するように作用する。
【0041】
慣性基準装置では、体積力
【数2】
と、容器の軸の周りで円軌道を描く液体の微小要素に作用する表面力
【数3】
との間に生じる力は、求心力
【数4】
に対応する。
【0042】
垂直方向に沿って、すなわち、容器が台の上に置かれているときに容器の対称軸に平行な基準軸に沿って、体積力及び表面力は平衡状態であり、したがって、流体の微小要素上の流体によって加えられる表面力の合力は、変位する流体dVの体積の重量力に等しく、反対向きであり、アルキメデス推力と呼ばれる。
【0043】
半径方向では、体積力は作用せず、この方向に沿った加圧力の変化は、回転軸でもある対称軸の周りの円軌道に要素dmを維持する求心力
【数5】
を担う。
【0044】
液体の微小要素の回転に必要な求心力の原点は、そのわずかな体積が半径方向に沿って変動する圧力を受けることから正確に得られる。
【0045】
密度p’≠p及び質量p’Vの微粒子が液体内に懸濁している場合、周囲の液体によって加えられる圧力の作用は常に同じであるが、求心力は、半径rの円軌道上に微粒子を維持するには十分ではない場合がある。特に、
【0046】
粒子又は不純物の密度が液体の密度よりも低い場合、すなわち、微粒子の密度が液体の密度よりも低い場合、微粒子は、回転軸に向かって移動する傾向がある。容器に入れられた流体よりも低密度の微粒子のカテゴリには、液体内で形成し得る気泡が含まれる。
【0047】
一方、微粒子の密度が空気の密度よりも大きい場合、微粒子は、回転軸から遠ざかり、容器の外部側壁に向かって移動する傾向がある。結果として微粒子が受ける力が粘性摩擦力に対抗するのに十分でない場合、受けるアルキメデス推力が微粒子の重量力と釣り合うのに十分ではないため、微粒子は底部に向かって落下し始める。他の点では、結果として生じる力が、流体によって加えられる粘性摩擦よりも大きい場合、微粒子は、容器の外部側壁に到達するまで回転軸から遠ざかり続ける。この時点では、回転速度が、微粒子の重量力と、微粒子と壁との間の静止摩擦力とが釣り合うような速度である場合、微粒子は、壁に付着したままで、容器と一体となって回転し続ける。
【0048】
上記に提示されたことから、容器内に存在し得る欠陥は、容器内の液体が対称軸を中心に回転するとき、異なる挙動をする可能性がある。動的バランス状態に達すると、空気を含んでいる「軽い」気泡が回転軸に向かって移動する一方で、より高い密度を有すると思われる不純物は、容器の側壁の方に向かい、そこで止まって壁に付着したまま動かない。
【0049】
言い換えれば、不純物と気泡との違いは、回転ステップ中の挙動にある。回転中のある時点で、容器と不純物との間に相対運動はもはや存在しない(不純物が既に側壁に付着しているため)。定常状態では、液体は、依然として容器に対して移動している(実際には、外壁に移動しない気泡は、液体内に浮遊したままである)。後者は、それ自体の慣性により容器に対して相対運動をし、液体と側壁との間のこの「分離」によって、不純物とは異なり、気泡は側壁に対して相対移動をする。液体の慣性によるこの「分離」は、液体の粘度に応じた期間続く。したがって、このステップ、すなわち、「重い」不純物が壁に付着し、「軽い」気泡が依然として動くステップに有用な時間間隔は、不純物が壁に付着したとき(側壁に対する不純物の相対速度がほぼゼロに等しい)から、液体が壁と一体となって移動する前までである。不純物が側壁に付着している時間間隔(但し、液体が側壁と一体となる前)では、画像取得は、液体自体が容器と同じ速度になる前に開始及び終了する。その期間は、容器のサイズ及び液体の粘度によって決まる。
【0050】
したがって、これらの条件下では、不純物は、容器と一体の軌道を維持し、その結果、第1の期間の回転中に、容器の側壁上のそれらの位置を変えずに維持する。気泡は、一定の角速度であっても、すべての回転ステップ中に液体内で移動する傾向がある。実際、気泡は、浸漬される液体よりも低い密度を有するため、容器の回転中にそれらが受ける半径方向の力は、容器の壁に向かって円軌道でそれらを維持するには十分ではない。
【0051】
この異なる挙動は、第1及び第2の一連の画像を相互に比較することによって強調され得る。例えば、第1及び第2の集約画像が相互に比較される。
【0052】
2つの一連の画像は、容器が第1の一定の角速度で回転するときに撮影される。したがって、一定の角速度の値は、不純物が容器の側壁に押し付けられるような値であると仮定される。また、加速時間は、確実に、流体が「静止」状態にある、すなわち、容器と不純物との間の相対回転が存在しない状態に達している、すなわち、不純物が容器の側面に付着するのに十分であることが仮定される。
【0053】
第1及び第2の集約画像、又は、より一般的には容器の側壁のN個の展開にすぎないN個の集約画像が取得される、第1の一定角速度vmaxでの第1の期間において、容器自体の軸を中心とする容器の回転速度は、遠心力の作用によって不純物が容器の内壁の近くに押し付けられ、第1の期間にわたってその位置を維持するような速度でなければならない。
【0054】
各一連の画像又は集約画像上で、不純物であろうと気泡であろうと欠陥を表す可能性のある領域が識別される。欠陥は、画像内で欠陥を識別するピクセルが、それらを囲むピクセルの特性とは異なる少なくとも1つの特性を有するという点で、単純な液体とは区別可能である。一般に、集約画像又は一連の画像では、画像ピクセルは、ほとんどの部分で非常によく似た特性を有する。これは、理想的な場合には、液体がいかなる欠陥も含まず、したがって、容器自体の側壁を通して見ることができるように、集約画像のピクセルの大多数が、容器に入れられた「液体の画像」の特性を呈するためである。したがって、第1若しくは第2の集約画像において(又は、第1若しくは第2の一連の画像において)、一般に、ピクセル又はクラスタを囲むピクセルの特性とは異なる少なくとも1つの特性を有するいくつかのピクセルが識別され、通常はクラスタ化され得る。次いで、「欠陥領域」は、第1若しくは第2の集約画像において(又は、第1若しくは第2の一連の画像において)識別され、その周囲のピクセルの特性とは異なる特性を備えるピクセルを有する領域として定義される。代わりに、欠陥領域は、実質的に均一な特性を有するピクセルを含む。
【0055】
比較できる特性として、強度、色のうち1つ又は複数が考慮され得る。したがって、例えば、欠陥領域は、集約画像の他の領域(大部分)の強度と比較して、異なるグレースケール強度を有する領域である。
【0056】
第1及び第2の集約画像、又は第1及び第2の一連の画像内の欠陥領域は、それらの位置を有する。判定対象となる欠陥領域の位置について、例えば、欠陥領域の重心の位置は、領域の位置とみなすことができる。或いは、欠陥領域の位置は、欠陥領域の重心の位置によって与えられる。或いは、欠陥領域の位置は、それを構成するすべてのピクセルの位置によって与えられる。
【0057】
その位置は、画像(M個の画像又は集約画像のうちのいずれか)内の座標によって与えられる。前述したように、画像はピクセルの配列によって形成され、ピクセルのうちのそれぞれが固有の座標を有する。したがって、第1及び第2の集約画像、又は第1及び第2の一連の画像上で、欠陥領域が、それらの特性及び位置によって識別され、欠陥領域の第1及び第2のマップが生成される。
【0058】
したがって、第1の集約画像(又は第1の一連の画像)内で識別された欠陥領域のマップと、第2の集約画像(又は第2の一連の画像)内で識別された欠陥領域のマップとを比較することが可能である。第1の集約画像内で識別された各欠陥領域には、2つの可能性がある。第1の可能性は、第1の集約画像において、第1の位置に第1の欠陥領域があり、また、第2の画像において、第1の画像における第1の欠陥領域の第1の位置に対応する位置である第1の位置に第1の欠陥領域があることである。対応する位置とは、欠陥領域が第1の集約画像内に位置する座標が、欠陥領域が第2の集約画像内に位置する座標と同じであることを意味する。
【0059】
関連する画像は、実際に、第1及び第2の集約画像内の同じ座標が容器の側壁内の同じ点に対応するように生成される。
【0060】
さらに、同じ欠陥領域が第1及び第2の集約画像の両方に存在するということを言うために、2つの欠陥領域が2つの集約画像内で全く同じ位置にあること、すなわち、欠陥領域が第1及び第2の画像の両方の全く同じ対応する位置にある必要はなく、その位置の周りの区域も考慮される。すなわち、第1の画像内の欠陥領域の位置が識別されると、対応する位置及びその周りの区域に第2の画像内の欠陥領域があるかどうかがチェックされる。
【0061】
区域は、例えば、対応する位置を中心として10ピクセルの各方向の範囲内であり得る。好ましくは、その範囲は、10ピクセル以下である。より好ましくは、その範囲は、5ピクセル以下である。その範囲は、画像の解像度に基づいて、且つ、所与の液体内の不純物の典型的なサイズに基づいて変更及び設定することもできる。専用の画像処理ソフトウェアは、欠陥領域の周りの区域を画定し、第1の関連画像と第2の関連画像を迅速に比較して、同じ欠陥が両方の画像で同じ位置に位置しているか、又は、いずれの場合も同じ位置の周囲の区域内に位置していることをチェックすることができる。
【0062】
好ましくは、本発明の任意選択的なステップにおいて、実質的に同じ欠陥が第1及び第2の関連画像の両方に存在することがさらにチェックされる。これは、例えば、ピクセルがグレースケールである場合、閾値演算子を用いて行うことができる。例えば、閾値は、ピクセルのグレー(又はカラー)レベルに対して課される。専用ソフトウェアは、関連付けられた第1及び第2の画像のピクセルを1つずつ分析し、特定のピクセルのグレー・レベルが閾値を超える場合、このピクセルは欠陥があるとみなされる。同じ欠陥であることを確認するためには、第2の画像においても同じ閾値を超えていなければならない。
【0063】
3つ以上の集約画像が生成される場合、例えば、N個の関連画像が生成される場合、この比較は、すべての集約画像間で行われる。欠陥領域は、N個の集約画像すべてにおいて識別される。次いで、第1の集約画像に存在する欠陥領域が、第2の集約画像、ひいては第3の集約画像からn番目の集約画像まで、においても同じ位置に存在するかどうかが評価される。1つの集約画像と次の集約画像との間の位置の各比較は、常に欠陥領域の位置の周りの区域を考慮して行われる。すなわち、画像j+1において、欠陥が、画像jにおける欠陥領域の位置と同じ位置の周りの区域に位置する場合、同じ欠陥領域は、画像j及び画像j+1に位置している。
【0064】
N個の集約画像の場合、欠陥領域は、N個の集約画像すべてにある必要はない。例えば、それは持続性インデックスと考えることができ、いかなる場合でも、ある閾値を超えた場合に欠陥領域がN個の集約画像すべてに存在するとみなされる。言い換えれば、欠陥領域は、「ほとんどの場合に」存在すれば十分である。
【0065】
したがって、集約画像を比較することによって、どれが「持続的な欠陥領域」又は第1の不純物、すなわち、すべての集約画像の同じ位置に見られる欠陥領域であるかが立証される。
【0066】
これらの持続的な欠陥領域は、気泡ではなく不純物を識別する。
【0067】
したがって、本発明の方法及び装置によって、容器に入れられた液体に実際に不純物又は気泡が存在するかどうかを判定することができる。実際、「持続的な」欠陥領域、すなわち、第1及び第2の集約画像(又は第1及び第2の一連の画像)の両方に見られる欠陥領域は、見て分かるように、容器の回転によって、容器の側壁に寄りかかって容器に付着したままになるように誘導されるため、実際には不純物である。一方、2つの画像のうちの1つのみに欠陥領域として現れる可能性のある気泡は、それらが「軽い」ため持続的ではなく、回転中にそれらは側壁に付着せず、側壁と同じ速度では移動せず、それ自体の慣性を有する。言い換えれば、それらは容器内の液体の動きの「なすがまま」である。
【0068】
したがって、画像の簡単な比較により、不純物があるかどうかを判定し、気泡と不純物とを区別することができ、その結果、気泡が不純物と誤認されたために過剰な数の容器が廃棄されることはない。
【0069】
好ましくは、カメラは、可視光又は赤外線の範囲の電磁放射線に感応する。これらの2つの放射線は、特に危険又は安全プロトコルを伴わないため、検査に最も適している。
【0070】
好ましくは、装置は、所定の電磁放射線の光源を備え、その光源は、カメラに対して容器の反対側に配置される。誤差の原因を最小限に抑えるように、同じ照明条件下で画像を取得するために、光源は、容器をバックライトで照らすように配置される。
【0071】
好ましくは、カメラはリニア式カメラであり、第1又は第2の一連の画像の各々は、一定の角度間隔で取得された複数のリニア画像を含む。好ましくは、処理ユニットは、各角度間隔がリニア画像に対応するような同期が存在するように、回転デバイス及びカメラを制御する。集約画像は、一定の角度間隔で撮影されたリニア画像の結合にすぎない。
【0072】
好ましくは、処理ユニットは、
・容器の回転を停止させるように回転デバイスを制御し、
・第2の角速度で容器を再び回転させ、第2の期間にわたって第2の角速度を一定に保つように回転デバイスを制御し、
・第2の一定の角速度で回転中に、カメラが少なくとも第3及び第4の一連の画像を取得するまでカメラを制御し、第3及び第4の一連の画像の各画像が、容器の一部分の画像であり、第3及び第4の各一連の画像が、容器の部分を360°回転させたものを表し、
・第3及び第4の一連の画像において欠陥領域を画定し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、欠陥領域の第3及び第4のマップを生成し、各マップは、欠陥領域の位置及び特性を備え、第3のマップ及び第4のマップ内の同一の位置が容器内の同じ位置を識別し、
・第3及び第4のマップの欠陥領域の位置を比較し、
・ある欠陥領域が第3のマップ内の位置に存在し、ある欠陥領域が第4のマップ内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第2の不純物が容器内に、又は容器内の液体に存在することを立証し、
・第1の不純物及び第2の不純物の位置を比較し、第1又は第2のマップ内の第1の不純物のうちの1つの位置において、第3又は第4のマップ内の同じ位置を囲む区域内に、対応する第2の不純物がないとき、容器内に入れられた液体に不純物が存在することを立証する
ように、さらにプログラムされる。
【0073】
好ましくは、この方法は、
・容器の回転を停止させるステップと、
・第2の角速度で容器を再び回転させ、第2の期間にわたって第2の角速度を一定に保つステップと、
・第2の一定の角速度で回転中に、少なくとも第3及び第4の一連の画像を取得するステップであって、第3及び第4の一連の各画像は、容器の一部分の画像であり、第3及び第4の一連の画像の各々は、容器の部分を360°回転させたものを表す、ステップと、
・第3及び第4の一連の画像において欠陥領域を識別し、各欠陥領域は、隣接する領域の特性とは異なる少なくとも1つの特性を有し、欠陥領域の第3及び第4のマップを生成するステップであって、各マップは、欠陥領域の位置及び特性を備え、第3のマップ及び第4のマップ内の同一の位置は、容器内の同じ位置を識別する、ステップと、
・第3及び第4のマップの欠陥領域の位置を比較するステップと、
・ある欠陥領域が第3のマップ内の位置に存在し、ある欠陥領域が第4のマップ内の同じ位置を囲む区域に存在する場合、第2の不純物が容器内に、又は容器に入れられた液体に存在することを立証するステップと、
・第1の不純物及び第2の不純物の位置を比較し、第1又は第2のマップ内の第1の不純物のうちの1つの位置において、第3又は第4のマップ内の同じ位置を囲む区域内に、対応する第2の不純物がないとき、容器内に入れられた液体に不純物が存在することを立証するステップと
を含む。
【0074】
第1の不純物が、液体の内外に存在する不純物であるかどうかを区別するために、本発明は、任意選択のステップを提供する。実際に、不純物が液体の内部に存在する場合、容器は、廃棄されなければならない可能性が高い。しかしながら、不純物が外部に存在する場合、容器は維持され得る。外部不純物はまた、容器の側壁を形成する材料の亀裂又は気泡などの、容器自体の欠陥を含んでいてもよい。2種類の不純物を区別するために、第1の期間に第1の一定の角速度で回転している容器が停止される。特定の期間停止した後、容器は再び回転される。容器は、第2の期間にわたって一定に保たれる第2の角速度で移動される。容器自体の対称軸を中心とする第2の回転速度は、遠心力の作用で内部不純物が容器の内壁の近くに押し付けられ、第2の期間にわたって側壁に対する位置を維持するような速度でなければならない。好ましくは、第1の角速度は、第2の角速度に等しい。好ましくは、第1の期間は、第2の期間と等しい持続時間を有する。この第2の期間中、カメラは、例えば処理ユニットを介して起動され、その結果、角度間隔で、好ましくは一定の角度間隔で、その視野内に位置するか、又は容器の選択された部分がどこであれ、容器の部分の画像を取得する。さらに、カメラは、アクティブな状態を維持する、すなわち、容器自体の対称軸を中心にした、容器の少なくとも第1及び第2の完全な回転に対して、画像を取得し続ける。第2の期間は、カメラが、容器の360°にわたる第1の回転及び第2の完全な回転に対して半径方向対称性を有する容器の部分の画像を取得することを可能にするのに十分な長さでなければならない。
【0075】
各第1又は第2の回転において、カメラは、M個の画像を取得する。これらの画像は、第1の期間と同じ方法で取得される。
【0076】
第1の回転で取得されたM個の画像、及び第2の回転で取得されたM個の画像は、第3及び第4の一連の画像を形成する。これらの画像は、好ましくは、互いに関連付けられている。この関連付けは、好ましくは、処理ユニットによって行われる。関連付けでは、集約画像は、一連のM個の画像ごとに生成される。したがって、第3の一連のM個の画像の関連付けにより、第3の集約画像が生成され、第4の一連の画像の関連付けにより、第4の集約画像が生成される。この関連付けは、第1及び第2の集約画像の場合と同様に行われる。
【0077】
好ましくは、N個の集約画像が第1の期間で取得される場合、N個の集約画像は、第2の期間でも取得される。
【0078】
第3及び第4の集約画像の各ピクセルは、容器の側壁上の1つの点(既知のように、画像終点のラインを除く)に一意的に対応する。したがって、第3及び第4の集約画像の各1ピクセル座標は、容器の側壁内の正確な点に対応する。第1、第2、第3又は第4の集約画像内の同一の座標は、容器の側壁上の同じ点に対応する。
【0079】
第3及び第4の集約画像上では、不純物であろうと気泡であろうと、欠陥を表す可能性のある領域が識別される。領域の識別は、第1及び第2の集約画像における領域の識別について説明したのと同じ方法で行われる。次いで、「欠陥領域」は、第3及び第4の集約画像において識別される。
【0080】
第3及び第4の集約画像において欠陥領域は、それらの位置を有する。したがって、第3及び第4の集約画像上では、欠陥領域は、それらの特性及び位置によって識別され、欠陥領域の第3及び第4のマップが形成される。
【0081】
したがって、欠陥領域の第1及び第2のマップについて行われた通りに、第3の集約画像内で識別された欠陥領域のマップと、第4の集約画像内で識別された欠陥領域のマップとを比較することが可能である。
【0082】
したがって、第3及び第4の集約画像を比較することによって、どちらが「持続的な欠陥領域」又は第2の不純物か、すなわち、すべての集約画像内の同じ位置で見られる欠陥領域であるかが立証される。この比較は、第1及び第2の集約画像の場合と全く同じ方法で行われる。
【0083】
したがって、第1の期間において回転中に検出された集約画像を分析することによって識別された複数の「第1の持続的な欠陥領域」又は第1の不純物、及び、第2の期間において回転中に検出された集約画像を分析することによって識別された複数の「第2の持続的な欠陥領域」又は第2の不純物が利用可能である。容器が第1及び第2の期間の間の減速、停止、及び新たな加速を受けたとき、第1の角速度で回転中に側壁にしっかりと「付着」した、容器内の液体に存在する不純物は、そこから分離された。容器が元の動きに戻るとき、不純物が側壁に再び押し付けられるが、不純物は、第1の角速度で回転中にあった位置とは異なる位置にある。したがって、ここで第1の不純物の位置と第2の不純物の位置とを比較することによって、各第1の不純物について、第2の不純物を画定する同じ位置に同等のものが無い場合、これは、不純物が移動したことを意味し、したがって、それが容器内の不純物であることを意味する。一方、第1の不純物が、同じ位置で第2の不純物に対応する場合、この不純物が液体の加速又は減速の場合に変位を受けず、したがって、容器の外面上に位置するか、それが側壁自体の欠陥であることを意味する。
【0084】
好ましくは、この方法は、以下のステップを含むか、又は処理ユニットが、
・第1の不純物の位置の差分マップを判定し、
・第2の不純物の位置の差分マップを判定し、
・第1及び第2の不純物の位置を比較し、第1の差分マップ内の第1の不純物のうちの1つの位置において、第2の差分マップ内の同じ位置を囲む区域に、対応する第2の不純物がないとき、容器内に入れられた液体に不純物が存在することを立証する
ように、さらにプログラムされる。
【0085】
差分マップは、持続的な欠陥領域及びそれらの位置を含むマップにすぎない。第1の差分マップは、第1の期間に取得された集約画像の分析から得られるような、特性及び位置を有する第1の不純物を含む。第2の差分マップは、第2の期間に取得された集約画像の分析から得られるような、特性及び位置を有する第2の不純物を含む。
【0086】
好ましくは、容器に入れられた液体の密度は、2000センチポアズ未満である。容器に入れられた液体は、容器の側壁に対して相対回転に入るのに十分な流体でなければならない。
【0087】
好ましくは、この方法は、
・容器の回転を停止させるステップと、
・第2の角速度で容器を再び回転させるステップと
の間に、
・第3の期間にわたって容器を停止し続けるステップ
を含む。
【0088】
第1の期間後に、不純物が確実に容器の内面から「分離する」ようにするために、回転は停止され、「停止」期間の後にのみ回転が再開される。
【0089】
好ましくは、第1又は第2の角速度は、200rpm~10000rpmである。この角速度は、一般的に使用される容器では、必要とされる動的バランスを実現し、毛髪、ガラス、金属、ゴムなどの一般的な不純物を容器壁に向かって移動させることができる。
【0090】
好ましくは、この方法は、前記所定の電磁放射線を用いて容器をバックライトで照らすステップを含む。これにより、カメラの照明の変化による誤差を最小限に抑える。
【0091】
好ましくは、この方法は、
・第1又は第2の角速度(vmax1、vmax2)で回転中に、N個の一連の画像(2≦N≦10)を取得するステップであって、各一連の画像が、容器の一部分を360°回転させたものを表すステップを含む。
【0092】
2≦N≦10であれば、検査を過度に遅くすることなく、不純物を検出する際に良好な精度を得ることができる。
【0093】
好ましくは、第1及び第2の一連の画像内の欠陥領域を識別するステップは、第1及び第2の一連の画像を形成するピクセルを分析するステップと、クラスタに隣接するピクセルとは異なる特性を有するピクセルのクラスタを、欠陥領域として識別するステップとを含む。不純物は、通常、画像内に少数のピクセルの領域を形成する。
【0094】
本発明のさらなる特徴及び利点は、実施例の好ましい及び非限定的な実例の以下の説明においてさらに詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】本発明の一実施例によって検査される、液体が入っている容器を検査するための装置の概略上面図を示す。
【
図2】本発明によって検査される液体が入っている容器の側面図を示す。
【
図3a】その後の検査ステップにおける、本発明による検査装置の概略上面図を示す。
【
図3b】その後の検査ステップにおける、本発明による検査装置の概略上面図を示す。
【
図3c】その後の検査ステップにおける、本発明による検査装置の概略上面図を示す。
【
図4】本発明の方法のステップによる容器の時間の関数としての回転速度のグラフを示す。
【
図5】本発明の方法のステップによる複数の画像及びそれらの分析を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
以上の図を参照して、本発明による容器8を検査するための装置は、全体的に4で示されている。
【0097】
容器8は、少なくともその一部が、例えば可視域において、所定の電磁放射線に対して透過的又は部分的に透過的であり、同じ電磁放射線に対して透過的又は少なくとも部分的に透過的な液体を含む。液体は、医療用途であることが好ましい。
【0098】
容器8は、内部に入れられた液体を外側から見ることができるように、電磁放射線に対して少なくともその一部が透過的又は部分的に透過的である。
【0099】
図の好ましい実例では、容器8は、
図2を見ればよく分かるように、電磁放射線に対して透過的又は部分的に透過的な側壁20と、底壁26と、キャップ25とを備える。キャップ25は、例えば、電磁放射線に対して透過的ではない。液体は、側壁20と底壁26とによって境界が定められた容器8の部分に入れられる。側壁及び底壁は、好ましくは、一体として一緒に形成される。側壁20及び底壁は、好ましくはガラスでできている。側壁20は、液体と接触する内面23と、外面22とを画定する(
図1を見ればよく分かる)。
【0100】
さらに、容器8は、少なくとも一部分に対して半径方向対称軸Xを有する。図示の実例の容器8は、円筒対称性を有し、言い換えれば、対称軸Xを中心とした回転の固体である。
【0101】
検査装置4は、容器8用の回転デバイス5を備え、回転デバイス5は、容器8を支持するように適合され、容器8の円筒対称軸Xと一致する垂直回転の軸の周りで容器8を回転させるためのモータ手段6(
図1では長方形で概略的に示されている)を備える。
【0102】
装置4は、その視野で容器8の側壁20の部分16の画像を、例えばピクセルの形態で形成して取得することができるように配置されたカメラ12をさらに備える。好ましくは、部分16は、軸Xに沿ったその延長部分が底壁26を含み、容器8内の液位によって画定される高さよりも上の高さで終端するような部分である。カメラ12は、液体及び容器が少なくとも部分的に透過的である電磁放射線に感応する専用センサを備える。
【0103】
容器8が、カメラが感応する電磁放射線に対して透過的又は部分的に透過的な側壁20を備えることにより、カメラ12は容器8の側壁20の画像を取得するだけでなく、その内容物(すなわち液体)の画像も取得することができる。
【0104】
本発明の目的は、容器内の欠陥の存在を検出し、そのような欠陥が(もしあれば)実際に液体内の内部不純物14であるか気泡15であるかを区別することである。
【0105】
さらに、
図2に示すように、液体内に存在する気泡15及び内部不純物14に加えて、容器8は、容器8の側壁20の外面22上に外部不純物/欠陥17を呈することもできる。外部欠陥17は、例えば、容器への損傷(例えば亀裂)又は外面22上に存在する外部不純物であり得る。不純物が内面23上にある場合、それは、容器8内に入れられた液体に直接接触することになるため、好ましくは廃棄しなければならないが、欠陥が外面22上にある場合は、容器はまだ使用することができる。
【0106】
装置4は、好ましくは、容器8に対してカメラ12の反対側に配置された照明デバイス24を備え、その結果、カメラが感応する電磁放射線を用いて、カメラ12に対して反対側で前記容器8をバックライトで照らす。照明デバイス24は、例えば、平面状の照明パネルである。
【0107】
装置4は、回転デバイス5及びカメラ12に動作可能に接続された処理ユニット32をさらに備える。
【0108】
本発明の方法によれば、処理ユニット32は、以下のようにプログラムされる。回転デバイス5は、一定で所定の角速度が実現されるまで、回転対称軸Xを中心として容器8を回転させるように回転制御される。
【0109】
図4は、時間の関数としての容器の角速度のグラフを示す。
図4を見て分かるように、処理ユニット32は、第1の期間t1の間一定に保たれる所定の角速度vmax1に達するまで、加速度acc1で容器1を加速するように回転デバイス5を制御する。この期間t1において、容器8は、回転軸Xを中心として360°にわたってN回の完全な回転を行う。これらのN回転の各々において、処理ユニット32は、
図3a~
図3cに示すように、所定の数Mの規則的な角度間隔18Δθについて、前記部分16のM個の画像を取得するようにカメラ12の起動を制御する。
【0110】
カメラ12は、例えば、リニア式カメラであり、一定の角度間隔dθ1=dθ2=…=dθM=Δθでリニア画像40を取得し、容器の軸Xを中心とした360°の回転ごとに、以下に詳述するように、容器の側面20の連続的な展開を生成する。カメラ12は、容器を回転させるモータ手段6に接続されたロータリ・エンコーダを使用して、順番にM個の画像、つまり、Δθ°ごとに1つの画像40を取得する。
【0111】
リニア式カメラ12が容器8の展開を走査する角度間隔の幅は、得られる解像度によって決まる。前記角度間隔の値は、一例として、0.0012ラジアンに等しくてもよい。
【0112】
カメラ12によって取得された線形のM個の画像40すべてを一緒に結合することによって、
図3cに示すように、集約画像50が得られる。したがって、集約画像50は、円筒状容器8の側壁20全体を展開したものである。
【0113】
図3a~
図3cのプロセスは、第1の期間t1において生じるN回転すべてに対して繰り返される。したがって、
図4を見られるように、第1の一連の集約画像50のが生成される。第1の一連は、S
1、S
2…S
Nと呼ばれ、ここで、各S
i(i=1、…、N)は、集約画像50である。Nは、例えば5に等しい。
【0114】
再び
図4に示すように、加速ステップacc1の間、カメラは、依然として画像を取得できるが、その後の処理では考慮されない。容器8が静止状態から第1の所定の角速度vmax1に達するまでにかかる時間は、例えば、500ミリ秒であり、期間t1の開始時に、液体が容器8の外壁に対してもはや相対運動しないように選択される。したがって、第1の期間の開始時に、実験条件は、容器8の内部に存在して「高」密度を有する不純物14が側壁20の内面22に接触してそれに向かって押し付けられるというような条件であり、したがって、回転中は実質的に移動しないが、気泡15は、液体内で移動する。言い換えれば、展開S
1、S
2…S
Nが取得される一定の角速度vmax1の第1の期間において、それ自体の対称軸Xを中心とする容器8の回転速度は、不純物14が、遠心力の作用により容器8の内面22の近くに押し付けられ、その位置を保つような速度でなければならない。
【0115】
次いで、第1の一連S
1、S
2…S
Nの各集約画像50は、
図5に示すように分析される。各集約画像50のピクセルは検査され、それらを囲む領域のピクセルとは異なる1つ又は複数の特性を有する欠陥領域60が識別される。実際、画像50内のピクセルのほとんどは、容器8内に入れられた液体の均一な画像を表すことにより、均一な特性を有すると考えられる。したがって、ピクセルが集約画像50のピクセルの大部分の特性とは異なる特性を示す領域は、比較的少ない可能性がある。これらの「異なる」領域は、第1の一連の各集約画像50において強調される。領域60を識別するための「異なる」特性は、例えば、色の強度であってもよい。各集約画像のこれらの領域は、欠陥領域60と呼ばれる。
図5に見られるように、この操作は、第1の一連の各集約画像50に対して実行される。したがって、「欠陥領域のマップ」は、一連の各集約画像上に生成され、各欠陥領域60は、正確な位置を有する。
【0116】
欠陥領域は、側壁20の外面22上の外部欠陥17、液体内の気泡15、又は容器内の不純物14を表していてもよい。
【0117】
欠陥領域60を区別し、どれが実際に内部不純物であり気泡ではないかを判定するために、次いで、第1の一連S1、S2…SNのすべての集約画像50の比較が、処理ユニット32を使用して実行される。第1の集約画像S1に存在する各欠陥領域60について、第2の集約画像S2において、欠陥領域が、同じ位置、その周囲の少なくとも1つの区域にあるかどうかがチェックされる。言い換えれば、欠陥領域が、特定の位置の第1の集約画像内に見つかると、同じ対応位置で、又はその対応位置の周りの区域で、欠陥領域が一連の第2の集約画像内にも見つかるかどうかがチェックされる。
【0118】
N個の集約画像の場合、N個の集約画像すべてにおいて、欠陥領域が、同じ位置に、又は同じ位置の周りの区域にあるかどうかを確かめるために検索が行われる。
【0119】
例えば、各欠陥領域60について、その重心の位置が計算され、N個の画像のすべてにおいて、重心の対応する位置の周りの10ピクセルの区域に欠陥領域があるかどうかを確かめるために検索が行われる。
【0120】
N個の集約画像の場合、そのすべてに欠陥領域が存在することを判定するために、欠陥領域60が第1の一連S1、S2…SNの集約画像50すべてで正確に繰り返される必要はない。例えば、持続性インデックスが使用される。欠陥領域が第1の集約画像にある場合、欠陥領域が、第2の集約画像においても同じ位置(少なくともその周囲の区域)にあるかどうかを確かめるために検索される。これが真である場合、特定のスコアが付与される。これが真でない場合、付与されるスコアはかなり低い。次いで、同じ比較及びスコアリングが一連の第3の画像などによって実行される。次いで、すべてのスコアが合計され、この合計が閾値を超える場合、欠陥領域60は、第1の一連の集約画像50すべてに存在するとみなされる。
【0121】
「持続的な」欠陥領域、すなわち、第1の一連の集約画像すべてで見つかる欠陥領域は、不純物70とみなされる。実際、欠陥領域は、持続的である場合、容器の回転中であっても特定の位置において欠陥の「持続性」を示す。これらの不純物70は、内部不純物14及び外部欠陥/不純物17の両方であってもよいが、気泡は集約画像間で位置を変えるため、それらは気泡15でない場合がある。不純物70の第1の差分マップ80は、次いで、第1の一連の集約画像50すべての欠陥領域60を比較することによって生成される。
【0122】
内部不純物14と外部不純物17とを区別することが望ましい場合、上述のプロセスは、追加の期間にわたって繰り返される。
【0123】
再び
図4を参照すると、処理ユニット32は、回転デバイス5を制御して、容器8を減速度dec1で減速させる。好ましくは、dec1及びacc1の係数は同じである。容器8は、その後、例えば500ミリ秒で停止される。好ましくは、容器8は、第3の時間tstopの間停止し続ける。例えば、時間tstopは、50ミリ秒に等しい。
【0124】
次いで、容器8は、第2の所定の角速度vmax2に達するまで再び回転される。好ましくは、vmax1=vmax2である。
図4を見て分かるように、処理ユニット32は、回転デバイス5を制御して、第2の期間t2にわたって一定に保たれるvmax2に達するまで加速度acc2で容器8を加速する。好ましくは、acc1=acc2である。この期間t2において、容器8は、回転軸Xを中心にして360°にわたってN回の完全な回転を行う。第2の期間t2で行われる回転数Nは、好ましくは、第1の期間t1で行われる回転数Nに等しい。第2の期間t2のこれらのN回転の各々において、処理ユニット32は、
図3a~
図3cに示すように、所定の数Mの規則的な角度間隔18Δθについて、前記部分16のM個の画像を取得するようにカメラ12の起動を制御する。
【0125】
第1の期間について上述した通り、第2の一連の集約画像50は、その後取得され、
図5に示すように、欠陥領域60のマップは、第2の一連の集約画像50の各々に形成される。したがって、第1の一連と同様に、第2の一連S
1、S
2…S
Nの集約画像50すべてにおける「持続的な」欠陥領域100のみが維持される第2の差分マップ90が形成される。
【0126】
次に、第1の差分マップ80と第2の差分マップ90との間で比較が行われる。
【0127】
容器8の減速及びその後の加速により、容器8内に存在する不純物14は、容器の内面22から「分離」され、第2の一定の角速度に達するとき、内面22に向かって再び押し付けられるが、ほぼ確実に、第1の期間中に想定された位置とは異なる位置にある。
【0128】
一方、容器の外部不純物又は欠陥17は、常に同じ位置に留まり、したがって、どんな差分マップでも同じ位置を維持する。
【0129】
したがって、第1の差分マップ80の持続的な欠陥領域70及び第2の差分マップ90の持続的な欠陥領域100の位置を比較することによって、第1の差分マップの第1の持続的な欠陥領域が、同じ位置又はその周りの区域で、第2の差分マップの欠陥領域に対応し、欠陥の種類は、容器の側壁20の外面上の外部不純物又は欠陥である。これは、例えば、
図5の第1及び第2の差分マップ80、90の同じ位置に見られる、17で示される「亀裂」の場合である。一方、第1の差分マップにおける第2の持続的な欠陥領域が、もはや、第2の差分マップにおける同じ位置には見られないが、欠陥領域が異なる位置にまだ存在する場合、不純物14は容器内に存在し、したがって、容器は廃棄されなければならない。このケースは、
図5で常に見ることができ、第1及び第2の差分マップに、持続的な「移動する」欠陥領域が見られる(14で示される)。
【0130】
したがって、2つの差分マップを比較すると、強度値が変化したピクセルのみが強調される。これは、第2の差分画像90と比較して、第1の差分マップ80内の異なる点で生じる不純物の存在にのみ起因している。
【0131】
2つの差分マップ間のこの比較は、例えば、2つの差分マップにおけるピクセル強度間の差の単純な演算として行うことができる。
【国際調査報告】