(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-05
(54)【発明の名称】キノリン誘導体化合物の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07D 215/38 20060101AFI20240329BHJP
A61K 31/47 20060101ALI20240329BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240329BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240329BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20240329BHJP
【FI】
C07D215/38
A61K31/47
A61K9/14
A61K9/48
A61P31/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502246
(86)(22)【出願日】2022-03-23
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022057628
(87)【国際公開番号】W WO2022200426
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523368023
【氏名又は名称】アビバックス
(71)【出願人】
【識別番号】500531141
【氏名又は名称】セントレ・ナショナル・デ・ラ・レシェルシェ・サイエンティフィーク
(71)【出願人】
【識別番号】515085211
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ ド モンペリエ
(71)【出願人】
【識別番号】506413937
【氏名又は名称】アンスティテュート キュリー
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】ドニ,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ド ブラジオ,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】ボワイエ,ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ゲラン,シャルル
(72)【発明者】
【氏名】ミショー,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ナジマン,ロマン
(72)【発明者】
【氏名】マウトー-ベッツァー,フローレンス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA29
4C076AA53
4C076CC35
4C086AA01
4C086BC28
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA37
4C086MA43
4C086NA20
4C086ZB33
4C086ZC55
(57)【要約】
本発明は式(I)の化合物を調製する方法に関し、該方法は、(i)式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること、ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、及び、(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収することの工程を含む。本発明はまた、前記方法によって得られた粉末、並びに、特定のD50値、D90値及び/又はD10値を有する粒度分布を有する粉末、並びに、前記粉末と少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化1】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、(C
1~C
3)アルコキシ基、特にメトキシ基、(C
1~C
3)フルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、及び-NR
1R
2基、特にアミノ基、から選択され、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化2】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基であり、並びに、
R
1及びR
2は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキル基である、
前記方法は、
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること、
【化3】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化4】
(III)
ここで、Rは上記で定義された通りである、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含む、前記方法。
【請求項2】
式(II)の化合物が、下記の式(IV)の化合物をクロル化することによって調製される、
【化5】
(IV)
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化6】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記式(IV)の化合物が、下記の式(V)の化合物を環化することによって調製される
【化7】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化8】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基であり、
R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びに、
nは1又は2である、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記式(V)の化合物が、下記の式(VI)の化合物を下記の式(VI’)の化合物とアミド化することによって調製される
【化9】
ここで、
R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びに、
nは1又は2である、
【化10】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化11】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、である、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記式(VI)の化合物が、下記の式(VII)の化合物のカルボン酸官能基を塩化アシル官能基へと転化することによって調製される
【化12】
ここで、
R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びに、
nは1又は2である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
-工程(A):下記の式(VII)の化合物のカルボン酸官能基を塩化アシル官能基へと転化して、下記の式(VI)の化合物を調製すること、
【化13】
ここで、R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びにnは1又は2である、
【化14】
ここで、R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びにnは1又は2である;
-工程(B):下記の式(VI)の化合物を下記の式(VI’)の化合物でアミド化して、下記の式(V)の化合物を調製すること、
【化15】
ここで、R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びにnは1又は2である、
【化16】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化17】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、である、
【化18】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化19】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基である、並びに、
R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びに、
nは1又は2である;
-工程(C):下記の式(V)の化合物を環化して、下記の式(IV)の化合物を調製すること、
【化20】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化21】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基である、
R’’は、ハロゲン原子、特に塩素原子、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、を表し、並びに、
nは1又は2である、
【化22】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化23】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、である、
-工程(D):下記の式(IV)の化合物をクロル化して、下記の式(II)の化合物を調製すること、
【化24】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化25】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、である、
【化26】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化27】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、であり;
-工程(E):
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること、
【化28】
ここで、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化29】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、である、
【化30】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、(C
1~C
3)アルコキシ基、特にメトキシ基、(C
1~C
3)フルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、及び-NR
1R
2基、特にアミノ基、から選択され、
R
1及びR
2は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキル基である、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を少なくとも含む、請求項1に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項7】
塩酸が、請求項1において定義された工程(i)の間に、又は請求項6において定義された工程(E)の間に加えられる、請求項1~6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項8】
式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶は、請求項1において定義される工程(i)の間に、又は請求項6において定義される工程(E)のパート(i)の間に添加される、請求項1~7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項9】
酸が、請求項1において定義される工程(i)の開始付近で、又は請求項6において定義される工程(E)のパート(i)の開始付近で加えられ、該酸が例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、及びそれらの組み合わせから、特に、リン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、及びそれらの組み合わせから、選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項10】
式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.10であり、例えば、1.00:0.80、1.00:0.85、1.00:0.90、1.00:0.95、1.00:1.00、1.00:1.05、又は1.00:1.10である、請求項1~9のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項11】
式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.00である、請求項1~10のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項12】
式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.90~1.00:1.00である、請求項1~11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項13】
請求項1において定義された工程(i)又は請求項6において定義される工程(E)のパート(i)が、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C
1~C
4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びブタノール等、並びにそれらの組み合わせから選択される有機溶媒中、より特には、エタノール、ブタノール、及びイソプロパノールから選択される有機溶媒中、より好ましくはイソプロパノール中、で実行され、及び/又は
請求項1において定義された工程(i)又は請求項6において定義される工程(E)のパート(i)が、60℃~120℃、好ましくは70℃~100℃、より好ましくは80℃~85℃、の反応温度で行われる、
請求項1~12のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項14】
請求項1において定義された工程(ii)又は請求項6において定義される工程(E)の工程(ii)において使用される塩基が、有機塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等、及び無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、炭酸水素カリウム(KHCO
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等、から、特には無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等、から、なる群から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項15】
前記方法が、請求項1において定義された工程(i)と工程(ii)の間、又は請求項6において定義された工程(E)の工程(i)と工程(ii)との間に、精製工程、例えば、式(I)の化合物の前記塩酸塩を単離する工程及び/又は濾過する工程を更に含み、
及び/又は、
前記方法が、式(I)の化合物を、少なくとも1つの溶媒、特に、環状アルカン、例えばシクロヘキサン、非環状アルカン、例えばヘプタン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、及びこれらの組み合わせから選択される非極性アプロティック溶媒、好ましくはヘプタン、を用いて結晶化させることを更に含む、
請求項1~14のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項16】
請求項5において定義された又は請求項6において定義された工程(A)の、カルボン酸官能基を塩化アシル官能基へと転化することが、SOCl
2、PCl
3、POCl
3、PCl
5等からなる群から選択されるクロル化剤、好ましくはSOCl
2、を用いることによって、及び任意的に、溶媒、例えばジクロロメタン、中で行われる、請求項5~15のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項17】
請求項4において定義されたアミド化又は請求項6において定義された工程(B)が、有機塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等、及び無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、炭酸水素カリウム(KHCO
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等、から、特には無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)、炭酸カリウム(K
2CO
3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等、から、なる群から選択される塩基、好ましくは炭酸カリウム、を用いることによって行われる、請求項4~16のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項18】
請求項3において定義された環化すること又は請求項6において定義された工程(C)が、クロロベンゼン、トリフルオロトルエン、フルオロベンゼン、トルエン、ジクロロエタン等、及びそれらの組み合わせ、並びに塩化アルミニウム(AlCl
3)、BF
3、トリフルオロメタンスルホン酸、塩化チタン、メタンスルホン酸等から選択されるルイス酸、好ましくはAlCl
3、を用いることによって行われる、請求項3~17のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項19】
請求項2において定義されたクロル化すること又は請求項6において定義された工程(D)が、SOCl
2、PCl
3、POCl
3、PCl
5等からなる群から選択されるクロル化剤、好ましくはPOCl
3、を用いることによって、及び任意的に、溶媒、例えば、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、ジクロロメタン、を用いることによって行われる、請求項2~18のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項20】
式(I)の化合物が8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンであり、請求項1に定義された式(III)の化合物が4-トリフルオロメトキシアニリンであり、及び請求項1に記載の式(II)の化合物が下記の化合物(3)である、
【化31】
請求項1~19のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項21】
式(I)の化合物が8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンであり、
請求項1又は請求項6に定義された式(III)の化合物が4-トリフルオロメトキシアニリンであり、
請求項1又は請求項6に定義された式(II)の化合物が下記の化合物(3)であり、
【化32】
請求項2又は請求項6に定義された前記式(IV)の化合物が下記の化合物(2)であり、
【化33】
請求項3又は請求項6に定義された前記式(V)の化合物が下記の化合物(1)であり、
【化34】
請求項4又は請求項6に定義された前記式(VI)の化合物が下記の化合物であり、
【化35】
請求項4又は請求項6に定義された前記式(VI’)の化合物が2-クロロ-アニリンであり、及び、
請求項5又は請求項6に定義された前記式(VII)の化合物が下記の化合物である、
【化36】
請求項1~20のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項22】
式(I)の化合物が、結晶形態Iにおける8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンであり、(1)120.5℃(±2℃)の融点、及び/又は(2)XRPD分析、ここで、該XRPD分析は、(a)角度における2シータ度として表される下記の主なピーク:7.3,14.6,23.5,及び28.4(各時刻±0.2)を示し;任意的に、下記の追加のピーク:12.1,17.3,18.4,23.0;24.2,24.9,27.4,及び29.1(各時刻±0.2)を示し;更に任意的に、下記の追加のピーク:13.7,16.3,16.9,18.1,22.4,及び29.6(各時刻±0.2)を更に示し、(b)表1において示されているシグナル;又は、(c)
図1と実質的に同じスペクトル、によって特徴付けられている、請求項1~21のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項23】
工程(ii)から得られた式(I)の化合物を粉砕して、粉砕された式(I)の化合物を得る工程を更に含む、又は、
工程(ii)から得られた式(I)の化合物を結晶化して、前記式(I)の結晶化された化合物を得る工程、そして次に、前記式(I)の結晶化された化合物を粉砕して、前記式(I)の粉砕された結晶化された化合物を得る工程を更に含む、
請求項1~22のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項24】
式(I)の化合物を医薬的に許容される添加剤と共に含む医薬組成物を調整する工程を更に含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の式(I)の化合物を調製する方法。
【請求項25】
請求項23において定義された粉砕工程の後に、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法によって得られた粉末。
【請求項26】
請求項25に記載の粉末であって、80.0μm以下、特に70.0μm以下、例えば30.0μm~70.0μm、のD50値を有する粒度分布を有する前記粉末。
【請求項27】
請求項25又は26に記載の粉末であって、20.0μm以下、特に15.0μm以下、例えば1.0~15.0μm、のD10値を有する粒度分布を有する前記粉末。
【請求項28】
請求項25、26又は27に記載の粉末であって、190.0μm以下、特に180.0μm以下、例えば80.0μm~180.0μm、のD90値を有する粒度分布を有する前記粉末。
【請求項29】
請求項1又は請求項20において定義された式(I)の化合物を含む粉末であって、80.0μm以下、特に70.0μm以下、例えば30.0μm~70.0μm、のD50値を有する粒度分布を有する前記粉末。
【請求項30】
請求項1若しくは請求項20において定義された式(I)の化合物を含む粉末、又は請求項29に記載の粉末であって、20.0μm以下、特に15.0μm以下、例えば1.0~15.0μm、のD10値を有する粒度分布を有する前記粉末。
【請求項31】
請求項1若しくは請求項20において定義された式(I)の化合物を含む粉末、請求項29若しくは30に記載の粉末であって、190.0μm以下、特に180.0μm以下、例えば80.0μm~180.0μm、のD90値を有する粒度分布を有する前記粉末。
【請求項32】
請求項25~31のいずれか1項に記載の粉末と、少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項33】
カプセルである請求項32に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キノリン誘導体の調製の方法に関する。本発明は更に、固体形態のキノリン誘導体、特には、追加の粉砕工程が適用される上記方法によって得られた該キノリン誘導体、並びに該キノリン誘導体を含有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第WO2010/143169号の出願は、HIV感染の処置において有用な化合物、特にキノリン誘導体、の調製及びその使用を記載する。同出願は特に、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン、別名((8-クロロ-キノリン-2-イル)-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-アミン、を開示する。該化合物はまたABX464として知られており、該ABX464は現在、臨床開発中である。
【0003】
上記の特許出願において、酢酸パラジウム及びXantphosの存在下でBuchwald-Hartwigアミノ化を用いるカップリング工程を実施する合成経路が開示されている。国際公開第WO2010/143169号の出願の実施例5は即ち、同文献における化合物(90)に対応する8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンを与える為の合成経路を例示する。
【0004】
国際公開第WO2017/158201号の出願は、過剰のアニリン誘導体を使用し、しかし金属触媒を使用しないカップリング工程を実施することによって、キノリン-2-イル-フェニルアミン誘導体及びそれらの塩を調製する為のプロセスを扱う。この出願の好ましい実施態様において、キノリン誘導体の1モル当たり2~3モルのアニリン誘導体が使用される。国際公開第WO2017/158201号の第5頁に記載され且つ実施例3に示されているように、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの遊離塩基の直接単離を可能にする為には、2当量のアニリン誘導体が塩基として役立つことを必要とする。しかしながら、大過剰のアニリン誘導体の使用は高価であり、且つまた、放出された塩酸を中和するために使用され、及びキノリン-2-イル-フェニルアミン誘導体を調製するプロセスの工程において2当量超が使用される場合には、該プロセス中に完全には消費されない故に、環境に対して有害である。工業的規模の制約に関連して、この先行技術に関する他の利点が、本明細書において以下に詳述されている。
【0005】
それ故に、工業的規模の生産に適合した製造プロセスを提供する必要性が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書において以下に記載されている薬局方試験(USP<711>)に従って、改善された溶解度に到達することを可能にする物理化学的パラメータを有する固体形態でのキノリン誘導体を提供する更なる必要性がある。許容される、イン・ビトロ(in vitro)溶解プロフィールを示す上記固体形態を調製する為の、再現性(reproducible)、拡張性(scalable)及びロバスト性(robust)を提供する必要性がまたある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、キノリン誘導体化合物を調製する方法であって、安価な試薬の使用により経済的であり、より環境に優しく、且つ優れた生成物収率を示し、それ故に工業的規模の大量生産の為に適した上記方法を提供することを目的とする。
【0008】
8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの調製の為に、特に、2~3当量のアニリン誘導体についての国際公開第WO2017/158201号の要件が、本発明において、最初に8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩を調製し、次に、安価な塩基を用いて遊離塩基を調製することによって回避される。本発明の好ましい実施態様において、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩が、遊離塩基を調製する前に単離される。この単離により、アニリン誘導体を過剰に実施する製造工程と比較して、該離塩基を調製する前に、式(I)の化合物の塩酸塩が高純度で与えられ、それは、再結晶による精製工程を必要としながら、式(I)の粗化合物を与える。上記の先行技術のこの製造工程は、なかんずく副生成物である塩酸アニリンを含むカップリング工程の間にハードブロックが形成される為に、大量の溶媒を必要とするという欠点を有する。すなわち、該副生成物を除去する為には、難溶化の故に大量の溶媒を伴う精製処理を必要とする。過剰のアニリンがまた、大量の溶媒を伴う精製処理を必要とする。明らかな理由により、工業的規模では、製造工程において一度にそのような大量の溶媒を使用することは望ましくない。
【0009】
パラジウム触媒の不存在下で本調製法が実施される限り、パラジウム除去工程の必要性はとりわけ回避される。加えて、得られた化合物の純度は、本明細書の以下に詳述されているように、最終的なカップリング工程の前に、制御された工程を実施することによって、既知の工程と比較してより良好に制御されうる。
【0010】
本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化1】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、(C
1~C
3)アルコキシ基、特にメトキシ基、(C
1~C
3)フルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、及び-NR
1R
2基、特にアミノ基、から選択され、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化2】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、であり、並びに、
R
1及びR
2は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキル基である、
該方法は、
-(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化3】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化4】
ここで、Rは上記で定義された通りである、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
-(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含む、上記方法を提供する。
【0011】
当業者は、本発明の方法によって調製された式(I)の化合物が、慣用的な有機合成方法に従って、適当な酸で更に処理されてその塩を形成しうることを理解するであろう。
【0012】
本発明は、そのような式(I)の化合物を医薬的に許容される添加剤と共に含む医薬組成物を調製する工程を更に含む、式(I)の化合物の製造方法に更に関する。
【0013】
本発明において定義された粉砕工程の後に、本発明に従う方法によって得られた粉末、
本発明において定義された式(I)の化合物を含む粉末、ここで、該粉末は、本発明において定義された、D10、D50及び/又はD90の特定の値を有する粒度分布を有する、
本発明において定義された粉末と、少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物
が本明細書において更に提供される。
【0014】
本明細書において使用される場合に、語「周囲温度」又は「室温」は、15℃~30℃、より特には18℃~25℃、の温度を言及する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン、すなわちABX464、の安定な多形形態(形態I)のX線粉末図である。
【
図2】
図2は、2つの薬局方溶解プロフィールを表す:1つは、8000rpm(回転/分)の粉砕速度で得られた、粉砕された8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物(黒四角を付した上側の曲線によって表されている)であり、及びもう1つはそのままの8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物(黒丸を付した下側の曲線で表されている)である(下記の実施例6を参照)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
式(I)の化合物の調製の方法
【0017】
本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化5】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、(C
1~C
3)アルコキシ基、特にメトキシ基、(C
1~C
3)フルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、及び-NR
1R
2基、特にアミノ基、から選択され、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化6】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、であり、並びに、
R
1及びR
2は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキル基である、
該方法は、
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化7】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化8】
ここで、Rは上記で定義された通りである、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含む、上記方法を提供する。
【0018】
特定の実施態様に従うと、本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化9】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、(C
1~C
3)アルコキシ基、特にメトキシ基、(C
1~C
3)フルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、及び-NR
1R
2基、特にアミノ基、から選択され、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化10】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、であり、並びに、
R
1及びR
2は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキル基である、
該方法は、
-(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化11】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化12】
ここで、Rは上記で定義された通りである、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.00であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること.
の工程を含む、上記方法を提供する。
【0019】
他の特定の実施態様に従うと、本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化13】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、(C
1~C
3)アルコキシ基、特にメトキシ基、(C
1~C
3)フルオロアルキル基、特にトリフルオロメチル基、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、及び-NR
1R
2基、特にアミノ基、から選択され、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子若しくは塩素原子、又はメチル基を表し、並びに、
R’’’は、水素原子、又は下記の基を表し、
【化14】
ここで、AはO又はNHであり、mは2又は3であり、及びX
1は-O-、-CH
2-又は-N(Ra)-であり、ここで、Raは、(C
1~C
3)アルキル基、特にメチル基、であり、並びに、
R
1及びR
2は独立して、水素原子又は(C
1~C
3)アルキル基である、
該方法は、
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化15】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化16】
ここで、Rは上記で定義された通りである、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.90~1.00:1.00であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含む、上記方法を提供する。
【0020】
本明細書において使用される場合、式(II)の化合物と式(III)の化合物との反応、すなわち工程(i)、はまた、カップリング工程と呼ばれる。より特には、該カップリング工程(i)は求核芳香族置換である。
【0021】
好ましい実施態様において、該方法は、工程(i)と工程(ii)との間に、式(I)の化合物の塩酸塩を単離する工程を更に含む。これにより、最終的な式(I)の化合物をより良好に精製することができる。換言すれば、特に過剰のアニリン誘導体を実施する製造プロセスと比較して、カップリング工程(i)の後に潜在的な不純物がより容易に除去されうる。
【0022】
このような理由から、並びに既に述べられた理由から、式(I)の化合物を調製する本発明の方法は、工業的規模の製造の為に特に適している。
【0023】
好ましい実施態様に従うと、本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化17】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、であり、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、を表し、並びに、
R’’’は、水素原子を表す、
該方法は、
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化18】
ここで、R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、を表し、及びR’’’は水素原子を表す、
【化19】
ここで、Rは、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、である、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含み、
ここで、式(I)の化合物の塩酸塩が、工程(i)と工程(ii)との間で単離される、
上記方法に関する。
【0024】
特定の好ましい実施態様に従うと、本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化20】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、であり、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、を表し、並びに、
R’’’は、水素原子である、
該方法は、
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化21】
ここで、R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子を表し、及びR’’’は水素原子を表す、
【化22】
ここで、Rは、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、である、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.00であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含み、
ここで、式(I)の化合物の塩酸塩が、工程(i)と工程(ii)との間で単離される、
上記方法に関する。
【0025】
他の特定の好ましい実施態様に従うと、本発明は、下記の式(I)の化合物を調製する方法であって、
【化23】
ここで、
Rは、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、であり、
R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、を表し、及び、
R’’’は、水素原子を表し、
該方法は、
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること
【化24】
ここで、R’は、ハロゲン原子、より特にはフッ素原子又は塩素原子、を表し、及びR’’’は水素原子を表し、
【化25】
ここで、Rは、(C
1~C
3)フルオロアルコキシ基、特にトリフルオロメトキシ基、であり、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.90~1.00:1.00であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を含み、
ここで、式(I)の化合物の塩酸塩が、工程(i)と工程(ii)との間で単離される、
上記方法に関する。
【0026】
特定の実施態様に従うと、Rは、本発明において定義されている式(III)の化合物におけるNH2基に対してフェニル環のパラ位にある。
【0027】
本発明の文脈において、
語「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、又は妥当な利益/リスク比に見合った他の問題合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織との接触の為に適している、化合物、物質、添加剤、組成物、又は剤形を言及する;
語「工程(i)」及び「工程(ii)」はまた、本明細書の以下において定義された工程(E)に含まれている工程(i)及び工程(ii)を夫々言及する;
語「ハロゲン原子」は、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味し、特に、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、を言及する;
本明細書において使用される場合に、語「(C1~C3)アルキル」は夫々、直鎖状又は分枝状のC1~C3アルキルを言及する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルである;
本明細書において使用される場合に、語「(C1~C3)アルコキシ」は夫々、O-(C1~C3)アルキル部分を言及し、ここで、アルキルは上記で定義された通りである。例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、及びイソプロポキシである;並びに、
語「フルオロアルキル基」及び「フルオロアルコキシ基」は夫々、上記で定義されたアルキル基及びアルコキシ基を言及し、ここで、該基は少なくとも1個のフッ素原子によって置換されている。例は、パーフルオロアルキル基、例えばトリフルオロメチル基等、又はパーフルオロアルコキシ基、例えばトリフルオロメトキシ基等、である。
【0028】
式(I)の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含むことができる。従って、これらはエナンチオマー又はジアステレオ異性体の形態で存在することができる。これらのエナンチオマー、ジアステレオ異性体及びそれらの混合物(ラセミ混合物を含む)は、本発明に従う製造方法に従って調製されうる。
【0029】
式(I)の化合物は、遊離塩基形態下で、又は医薬的に許容される多形形態(すなわち、結晶形態)下で得られることができる。
【0030】
上述されているように、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、1.00:0.80(=1.25)~1.00:1.20(=0.83)であり得、及び例えば、1.00:0.80、1.00:0.85(=1.18)、1.00:0.90(=1.11)、1.00:0.95(=1.05)、1.00:1.00(=1)、1.00:1.05(=0.95)、1.00:1.10(=0.91)、1.00:1.15(=0.87)、又は1.00:1.20(=0.83)であることができる。
【0031】
特定の実施態様に従うと、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、1.00:0.80~1.00:1.10でありうる。従って、好ましくは、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は例えば、1.00:0.80、1.00:0.85、1.00:0.90、1.00: 0.95、1.00:1.00、1.00:1.05、又は1.00:1.10である。
【0032】
他の特定の実施態様に従うと、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、1.00:0.80~1.00:1.00でありうる。
【0033】
他の特定の実施態様に従うと、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、1.00:0.90~1.00:1.00でありうる。
【0034】
特定の実施態様において、本発明に従う調製の方法は、式(II)及び式(III)の化合物に関して等モル条件下で実施される。
【0035】
上述されているように、本発明に従うプロセスはまた、カップリング工程(i)において金属触媒を使用しないことを特徴としている。
【0036】
カップリング工程(i)は、溶媒中で実施されることができる。カップリング工程において使用される該溶媒は、求核置換を実行する為に古典的に使用される有機溶媒でありうる。例えば、該有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はイソプロピルアルコール(IUPAC名:プロパン-2-オール;IPAとも称される)及びブタノール等、並びにそれらの混合物からなる群から選択され得、より特には、エタノール、ブタノール及びイソプロパノールからなる群から選択され、なおより好ましくはイソプロパノールである。
【0037】
該カップリング工程は、副反応を起こさない広い温度で行われうるが、60℃~120℃、好ましくは70℃~100℃、最も好ましくは80℃~85℃、の反応温度で行われる。
【0038】
該カップリング工程は、8時間~30時間、特には10時間~20時間、更に特には10時間~16時間、例えば10時間~14時間、の間に実施されうる。様々な加熱ランプ及び冷却ランプが適用され得、それらは、カップリング工程(i)の開始時又は終了時夫々に、常識に従って適用されうる。各加熱ランプ及び冷却ランプは、1時間~6時間、継続されうる。
【0039】
1つの観点に従うと、該カップリング工程は、不活性雰囲気下、例えば窒素雰囲気下、で実施されうる。
【0040】
本明細書において、工程(i)の間に塩酸(HCl)が添加されるところの特定の実施態様が更に提供される。
【0041】
本発明者等は、上記で定義された式(I)の化合物を調製する方法のこの段階で塩酸を添加することにより、収率が向上することを、実に驚くべきことに見出した。
【0042】
塩酸は、工程(i)の間、例えば工程(i)の持続時間の後半の間、特に工程(i)の持続時間の最後の4分の1の間、より特には工程(i)の持続時間の最後の8分の1の間、例えば上記で定義された工程(ii)の前の工程(i)の終了時に、いつでも添加されうる。塩酸は典型的には、冷却ランプが実施された後に添加されうる。
【0043】
この特定の実施態様になお従うと、上記で定義された工程の開始時での式(II)の化合物に対する塩酸のモル比は、0.05:1.00~0.60:1.00、特には0.05:1.00~0.50:1.00、であり得、例えば、0.05:1.00、0.10:1.00、0.20:1.00、0.30:1.00、0.40:1.00、又は0.50:1.00であることができる。
【0044】
特定の実施態様に更に関連して、工程(i)を実施するときに、結晶化の促進が有利に実施されうる。
【0045】
この目的の為に、式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶が工程(i)の間に添加されるところの特定の実施態様が更に提供される。
【0046】
式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶は、例えば、式(I)の化合物の塩酸塩の最大理論収率の少なくとも60%、特には少なくとも70%、より特には少なくとも80%、が形成されるとすぐに、工程(i)の間に添加されうる。反応生成物、すなわち式(I)の化合物の塩酸塩、の結晶化が、種結晶が添加されるとすぐに、例えば針状の形態で、観察されされうる。
【0047】
この特定の実施態様になお従うと、式(I)の化合物の塩酸塩の該種結晶の量は、上記において定義された工程の開始時の式(II)の化合物の重量に対して、0.05重量%~1重量%、特には0.05重量%~0.2重量%、更に特には0.1重量%~0.2重量%、でありうる。
【0048】
上記で定義された工程(i)の開始付近で酸が添加されるところの特定の実施態様が本明細書において更に提供される。
【0049】
本発明者等は、該カップリング反応の初期での酸の存在が、該工程(i)の速度論に有利な影響を与えることを、実に驚くべきことに見出した。該反応の初期の近くで酸を添加することにより、反応の初期の近くで酸を添加することのない反応と比較して、速い反応速度をもたらすが、どちらの条件においても最終的な反応転化率は同程度である。工程(i)の開始付近で酸を添加することによるこの有益な効果は、例えば国際公開第WO2017/158201号において、カップリング反応において塩基として機能するアニリンを過剰に含むことの重要性を報告していることを考慮すると、特に驚くべきことである。
【0050】
該酸は、塩酸(HCl)、臭化水素酸(HBr)、硫酸(H2SO4)、過塩素酸(HClO4)、リン酸(H3PO4)、トリフルオロ酢酸(TFA)、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、コハク酸、マロン酸、及びこれらの混合物から、特には、リン酸(H3PO4)、塩酸(HCl)、トリフルオロ酢酸(TFA)及びそれらの混合物から、選択されうる。塩酸を使用されるときに、該塩酸はイソプロパノール中に溶解されたガス状の塩酸の形態下でありうる。
【0051】
この特定の実施態様になお従うと、該工程の始めにおける式(II)の化合物に対する酸のモル比は、0.01:1.00~0.60:1.00、特には0.05:1.00~0.50:1.00、より特には0.10:1.00~0.50:1.00であり得、例えば、0.10:1.00、0.20:1.00、0.30:1.00、0.40:1.00、又は0.50:1.00であることができる。
【0052】
工程(i)の開始付近で添加される酸は例えば、上記で定義された工程(i)の持続時間の最初の4分の1の間、より特には工程(i)の持続時間の最初の8分の1の間、に添加されうる。
【0053】
工程(i)の実施に関連して上記された該3つの特定の実施態様は、別々に、又は組み合わせて実施されうる。
【0054】
工程(ii)において式(I)の化合物を回収する為に使用される塩基は、工業的規模で一般的に使用される塩基でありうる。1つの実施態様において、該塩基は、安価であり、且つ工業的規模の製造に適合する製造プロセスにおいて古典的に使用される。すなわち、該塩基は、有機塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等、無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等、から、特には、無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等、からなる群から選択されうる。工程(ii)において、該塩基は式(II)の化合物又は式(III)の化合物でない。工程(ii)における塩基に関する前述の記載はまた、本明細書に記載された方法の工程(E)の部分(ii)に、及び工程(2)に適用される。
【0055】
本発明の特定の実施態様に従うと、該塩基は、炭酸カリウム及び炭酸ナトリウムから選択される無機塩基であり、好ましくは炭酸ナトリウムである。
【0056】
式(II)の化合物に対する該塩基のモル比は特には、0.5~3.0、特には1.0~2.0、より特には1.1~1.5、でありうる。
【0057】
更なる精製工程が、当業者に周知の通常の方法に従って、工程(ii)の後に実施されうる。例えば、濾過が、例えばセライト上で、例えば上述された同じ懸濁溶媒、より特には酢酸エチル、を用いて実施されうる。溶媒-溶媒抽出がまた同様に使用されうる。
【0058】
特定の観点に従うと、本発明に従う調製の方法は、工程(i)と工程(ii)との間に、精製工程、例えば濾過工程、を更に含むことになる。幾つかの実施態様において、本方法は、工程(i)と工程(ii)との間に、式(I)の化合物の塩酸塩を単離する工程を更に含む。好ましい実施態様において、本方法は、工程(i)と工程(ii)との間に、濾過により式(I)の化合物の塩酸塩を単離する工程を更に含む。
【0059】
特定の観点に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.80~1.00:1.10、70℃~100℃の温度で、10~20時間、例えば10~16時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、並びにそれらの組み合わせから選択される有機溶媒中、より特にはエタノール、ブタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される有機溶媒中、更により好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0060】
第1の変形例に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.80、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、から選択される有機溶媒中、より特にはエタノール、ブタノール及びイソプロパノールから選択される有機溶媒中、更により好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0061】
この第1の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.80、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等、の有機溶媒中、より特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0062】
第2の変形例に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.90、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、から選択される有機溶媒中、より特には、エタノール、ブタノール及びイソプロパノールから選択される有機溶媒中、更により好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0063】
この第2の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.90、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等である有機溶媒中、より特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0064】
第3の変形例に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.95、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、から選択される有機溶媒中、より特には、エタノール、ブタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒中、更により好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0065】
この第3の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:0.95、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等、である有機溶媒中、より特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0066】
第4の変形例に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:1.00、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、から選択される有機溶媒中、より特には、エタノール、ブタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される溶媒中、更により好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0067】
この第4の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:1.00、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等、である有機溶媒中、より特は、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0068】
第5の変形例に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:1.10、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、から選択される有機溶媒中、より特には、エタノール、ブタノール及びイソプロパノールからなる群から選択される有機溶媒中、更により好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0069】
この第5の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、上記で定義された式(I)の化合物の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比1.00:1.10、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等である有機溶媒、より特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より好ましくはイソプロパノール中、で実行される。
【0070】
上記されたように、工程(i)の間の塩酸の添加、工程(i)の間の式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶の添加、及び/又は工程(i)の開始付近の酸の添加、より特には、上記3つの添加の組み合わせは、上記された特定の実施態様の各々において実施されうる。
【0071】
本発明において、下記の式(II)の化合物は、下記の式(IV)の化合物をクロル化することによって調製されうる。
【化26】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである。
【0072】
クロル化のこの工程(以下に定義される工程(D)にまた相当する)は、塩化チオニル(SOCl2)、PCl3、POCl3、PCl5等からなる群から選択されるクロル化剤、好ましくはPOCl3、を用いることによって、及び任意的に、溶媒、例えば、酢酸エチル、アセトニトリル、トルエン、ジクロロメタン等、を用いることによって実行されうる。
【0073】
本発明において、下記の式(IV)の化合物は、下記の式(V)の化合物を環化することによって調製されうる。
【化27】
ここで、R’、R’’、R’’’及びnは、上記で定義された通りである。
【0074】
環化するこの工程(以下に定義される工程(C)にまた相当する)は、クロロベンゼン、トリフルオロトルエン、フルオロベンゼン、トルエン、ジクロロエタン等、及びそれらの組み合わせを用いることによって、並びに塩化アルミニウム(AlCl3)、BF3、トリフルオロメタンスルホン酸、塩化チタン、メタンスルホン酸等から選択されるルイス酸、好ましくはAlCl3、を用いることによって実行されうる。
【0075】
本発明において、下記の式(V)の化合物は、下記の式(VI)の化合物を下記の式(VI’)の化合物とアミド化することによって調製されうる。
【化28】
ここで、R’’及びnは、上記で定義された通りである、
【化29】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである。
【0076】
アミド化のこの工程(以下に定義される工程(B)にまた相当する)は、有機塩基、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等、及び無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、炭酸水素カリウム(KHCO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化リチウム(LiOH)等、からなる群から選択される塩基、特には、無機塩基、例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、炭酸カリウム(K2CO3)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)等、からなる群から選択される塩基、好ましくは炭酸カリウム、を用いることによって実行されうる。
【0077】
本発明において、下記の式(VI)の化合物が、下記の式(VII)の化合物のカルボン酸官能基を塩化アシル官能基へと転化することによって調製されうる。
【化30】
ここで、R’’及びnは、上記で定義された通りである。
【0078】
転化のこの工程(以下に定義される工程(A)にまた相当する)は、塩化チオニル(SOCl2)、PCl3、POCl3、PCl5等からなる群から選択されるクロル化剤、好ましくはSOCl2、を用いることによって、及び任意的に、溶媒、例えば、ジクロロメタン等、中で実施されることができる。
【0079】
従って、本発明において定義されている式(I)の化合物を調製する方法が本明細書において更に提供され、ここで、該方法は、
-工程(A):下記の式(VII)の化合物のカルボン酸官能基を塩化アシル官能基へと転化して、下記の式(VI)の化合物を調製すること、
【化31】
ここで、R’’及びnは、上記で定義された通りである、
【化32】
ここで、R’’及びnは、上記で定義された通りである、
-工程(B):下記の式(VI)の化合物を下記の式(VI’)の化合物でアミド化して、下記の式(V)の化合物を調製すること、
【化33】
ここで、R’’及びnは、上記で定義された通りである、
【化34】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化35】
ここで、R’、R’’’、R’’及びnは、上記で定義された通りである、
-工程(C):下記の式(V)の化合物を環化して、下記の式(IV)の化合物を調製すること、
【化36】
ここで、R’、R’’’、R’’及びnは、上記で定義された通りである、
【化37】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
-工程(D):下記の式(IV)の化合物をクロル化して、下記の式(II)の化合物を調製すること、
【化38】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化39】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
-工程(E):
(i)下記の式(II)の化合物を下記の式(III)の化合物と反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩を生成すること、
【化40】
ここで、R’及びR’’’は、上記で定義された通りである、
【化41】
ここで、Rは上記で定義された通りである、
ここで、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20であり、金属触媒が存在しない、
そして次に、
(ii)塩基の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること
の工程を少なくとも含む。
【0080】
上述されているように、特定の実施態様に従うと、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、1.00:0.80~1.00:1.00でありうる。
【0081】
他の特定の実施態様に従うと、式(III)の化合物に対する式(II)の化合物のモル比は、1.00:0.90~1.00:1.00でありうる。
【0082】
パート(i)の間の塩酸の添加、パート(i)の間の式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶の添加、及び/又は上記されたパート(i)の開始付近の酸の添加、より特には、上記3つの添加の組み合わせは、上記された工程(E)のパート(i)において実施されうる。
【0083】
適切な条件を有する、本発明の調製方法の例示が、下記の実施例1の工程1~工程4において提供されている。
【0084】
上記された工程(i)の間に塩酸を添加すること、工程(i)の間に式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶を添加すること、及び/又は工程(i)の開始付近で酸を添加することを実施するカップリング工程(i)の例示が、下記の実施例2及び実施例3において提供されている。
【0085】
本発明において、式(III)の化合物は、市販されているか、又は当業者に知られている方法に従って調製されうる。
【0086】
本発明に従う調製方法は、式(I)の化合物を、少なくとも1つの溶媒、特に、環状アルカン、例えばシクロヘキサン、非環状アルカン、例えばヘプタン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、等又はそれらの組み合わせから選択される非極性アプロティック溶媒、好ましくはヘプタン、を用いて、結晶化させることを更に含みうる。
【0087】
式(I)の化合物の結晶化は、当業者によって慣用的に使用されている方法に従って実行されうる。特定の実施態様に従うと、式(I)の化合物の種結晶が、工程(ii)から得られた生成物に添加され、任意的に、濾過工程が続く。
【0088】
該結晶化工程の後には、更なる精製工程が続いてもよく、該更なる精製工程は特に、結晶化された生成物を適切な溶媒、特に上記された結晶化溶媒の1つ、例えばヘプタン、によって洗うことからなることができる。
【0089】
式(I)の最終生成物は、95%~100%、特に98%~100%、より特には99%~100%、の純度を示しうる。該生成物の純度は、当業者に知られている適切な分析技術によって、個別に又は組み合わせて決定されうる。適切な分析技術は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC、例えば、紫外線(UV)吸収、質量分析、光散乱、及び/又はそれらの組み合わせによる検出を伴う)、ガスクロマトグラフィー(GC、例えば、炎イオン化検出、質量分析、及び/又はそれらの組み合わせによる検出を伴う)、核磁気共鳴(NMR、式(I)の化合物の為に適切な任意の核種、例えば、1H、13C、19F、及び/又はそれらの組み合わせを使用)、及び微量元素分析技術(例えば、誘導結合プラズマ質量分析法(inductively coupled plasma-mass spectrometry)、フレーム誘起原子吸光分析法(flame-induced atomic absorption spectrometry)等)を包含する。
【0090】
より特定の態様に従うと、本発明は、(8-クロロ-キノリン-2-イル)-(4-トリフルオロメトキシ-フェニル)-アミンとも称される、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンを調製する方法に関する。該化合物はまた、ABX464として知られている。
【化42】
【0091】
本発明に従うABX464の調製の方法は、「形態I」と名付けられた結晶形態である生成物を提供する。
【0092】
該結晶形態「形態I」は、120.5℃(±2℃)の融点を示し、及びXRPD分析によって角度における2シータ度(degree 2-Theta angles)として表される下記の主なピーク:7.3,14.6,23.5,及び28.4(各時刻±0.2)を示し;並びに、下記の追加のピーク:12.1,17.3,18.4,23.0;24.2,24.9,27.4,及び29.1(各時刻±0.2)を更に示し;並びになお任意的に、下記の追加のピーク:13.7,16.3,16.9,18.1,22.4,及び29.6(各時刻±0.2)を更に示しうる。
【0093】
穏やかに粉砕された8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの形態Iの特徴的なX線粉末回折図が
図1に示されることができ、そして、その特徴的なシグナルが下記の表に要約されている。
【0094】
【0095】
特定の実施態様に従うと、上記で定義された結晶化工程が、「形態I」下でABX464の純度を高める為に工程(ii)の後に更に実施されうる。
【0096】
この特定の場合(すなわち、式(I)の化合物が8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンである場合)に、本発明に従う対応する調製方法において実施される式(III)の化合物は、4-トリフルオロメトキシアニリンである。この場合においてまた、本発明に従う対応する調製方法において実施される式(II)の化合物は、下記の化合物(3)である。
【化43】
【0097】
従って、特定の観点に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの調製方法であって、
(1)4-トリフルオロメトキシアニリンを式(3)の化合物と、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、並びにそれらの組み合わせからなる群から選択される有機溶媒中で反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩(すなわち、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩)を生成すること、
ここで、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する該式(3)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20、好ましくは1.00:0.80~1.00:1.10、であり、例えば、1.00:0.80、1.00:0.85、1.00:0.90、1.00:0.95、1.00:1.00、1.00:1.05、又は1.00:1.10であり、金属触媒が存在しない、
次に、
(2)塩基、好ましくは無機塩基、の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること、
そして次に、
(3)式(I)の化合物を、環状アルカン、例えばシクロヘキサン、非環状アルカン、例えばヘプタン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの溶媒、より特にはヘプタン、を用いて、任意的に結晶化させること
の工程を含む上記の方法に関する。
【0098】
式(I)の化合物を調製する方法について上記されたように、工程(i)の間の塩酸の添加、工程(i)の間の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩の種結晶の添加、及び/又は工程(i)の開始付近の酸の添加、より特には、上記3つの添加の組み合わせは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの調製の為に、より特には、上記された特定の観点の工程(1)の間に、同様に実施されうる。
【0099】
従って、より特定の観点に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの調製方法であって、
(1)4-トリフルオロメトキシアニリンを下記の式(3)の化合物と、好ましくは、(C1~C4)アルコールから選択される溶媒中で、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、から選択される溶媒中で、特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中で、より特にはイソプロパノール中で、反応させて、式(I)の化合物の塩酸塩(すなわち、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩)を生成すること、
ここで、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が、1.00:0.80~1.00:1.20、好ましくは1.00:1.00~1.00:1.10、であり、例えば、1.00:0.80、1.00:0.85、1.00:0.90、1.00:0.95、1.00:1.00、1.00:1.05、又は1.00:1.10であり、金属触媒が存在しない、
(2)塩基、好ましくは無機塩基、の添加により、遊離塩基の形態で式(I)の化合物を回収すること、
そして、
(3)式(I)の化合物を、環状アルカン、例えばシクロヘキサン、非環状アルカン、例えばヘプタン、芳香族炭化水素、例えばトルエン、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの溶媒、より特にはヘプタン、を用いて、任意的に結晶化させること、
ここで、式(I)の化合物の塩酸塩(すなわち、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩)が工程(1)と工程(2)との間で単離される、
の工程を含む上記方法に関する。
【0100】
式(I)の化合物を調製する方法について上記されたように、工程(i)の間の塩酸の添加、工程(i)の間の8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩の種結晶の添加、及び/又は工程(i)の開始付近の酸の添加、より特には、上記3つの添加の組み合わせは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの調製の為に、より特には、上記されたより特定の態様の工程(1)の間に、同様に実施されうる。
【0101】
第1の変形例に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する該式(3)の化合物のモル比が1.00:0.80、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、並びにそれらの組み合わせから選択される有機溶媒中、特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0102】
この第1の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:0.80、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等、の有機溶媒中、より特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0103】
第2の変形例に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:0.90、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、並びにそれらの混合物から選択される有機溶媒中、特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0104】
この第2の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:0.90、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等、である有機溶媒中、特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0105】
第3の変形例に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:0.95、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、及びそれらの組み合わせから選択される有機溶媒中、特には、エタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0106】
この第3の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:0.95、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等である有機溶媒中、特にエタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0107】
第4の変形例に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:1.00、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、並びにそれらの組み合わせから選択される有機溶媒中、特にエタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0108】
この第4の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比が1.00:1.00、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等である有機溶媒中、特にはエタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0109】
第5の変形例に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:1.10、70℃~100℃の温度で、10~20時間、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン (NMP)、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等、並びにそれらの組み合わせから選択される有機溶媒中、特にはエタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0110】
この第5の変形例の特定の実施態様に従うと、本発明は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(すなわち、ABX464)の調製の方法に関し、ここで、該カップリング工程は、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:1.10、80℃~85℃の温度で、10~16時間、(C1~C4)アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール又はブタノール等、である有機溶媒中、特にはエタノール、イソプロパノール又はブタノール中、より特にはイソプロパノール中、で実行される。
【0111】
式(I)の化合物を調製する方法について上記されたように、工程(i)の間の塩酸の添加、工程(i)の間の式(I)の化合物の塩酸塩の種結晶の添加、及び/又は工程(i)の開始付近の酸の添加、より特には、上記3つの添加の組み合わせは、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンを調製する為の上記された特定の変形例及び実施態様の各々において実施されうる。
【0112】
特定の実施態様に従うと、式(I)の化合物は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンであり、及び、
上記で定義された式(III)の化合物は4-トリフルオロメトキシアニリンであり、
上記で定義された式(II)の化合物は、下記の化合物(3)であり、
【化44】
上記で定義された式(IV)の化合物は、下記の化合物(2)であり、
【化45】
上記で定義された式(V)の化合物は、下記の化合物(1)であり、
【化46】
上記で定義された式(VI)の化合物は、下記の化合物であり、
【化47】
上記で定義された式(VI’)の化合物は、2-クロロ-アニリンであり、及び、
上記で定義された式(VII)の化合物は、下記の化合物である。
【化48】
【0113】
特定の観点に従うと、本発明は、そのような式(I)の化合物を、医薬的に許容される添加剤と共に含む医薬組成物を調製する工程を更に含む、式(I)の化合物を製造する方法に関する。
【0114】
本発明に従う調製方法は、下記の実施例4に示されているように、式(I)の化合物を粉砕することを更に含みうる。
【0115】
該粉砕する工程は、本明細書の以下に記載されている薬局方試験(USP<711>)に従って、そのままの(すなわち、粉砕されていない)対応する式(I)の化合物と比較して、改善された溶解性を示しうる粉砕された式(I)の化合物を提供することを可能にする故に有利でありうる。
【0116】
より特には、実施例6において、及び8000rpm(回転/分)の粉砕速度で得られる粉砕された8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物(実施例4の工程5から得られる)対そのままの8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物(実施例4の工程4から得られる)の薬局方溶解プロフィールを示す
図2において示されているように、粉砕された式(I)の化合物の溶解度(「溶解されたパーセンテージ」として決定される)が改善さることができ、より特には、45分で約20%~約50%増加させることができる。
【0117】
該粉砕工程は、当業者によって慣用的に使用されている任意の方法に従って行われうる。
【0118】
幅広い粉砕装置及び粉砕条件が、本発明の方法における使用の為に適している。該粉砕条件、例えば粉砕の強度及び持続時間は、力の要求される程度を提供するように選択されるべきである。ボールミリング(ball milling)、例えば、遠心及び遊星ボールミリング(Centrifugal and planetary ball milling)のような方法が使用されうる。代替的には、粒子を含む流体が高圧でバルブを通じて押し出され、高いせん断力及び乱流を生じるところの高圧ホモジナイザーが使用されうる。該粒子へのせん断力、粒子と機械表面又は他の粒子との衝突、流体の加速によるキャビテーションは全て、粒子の破砕に寄与し、そしてまた、圧縮力を提供しうる。そのようなホモジナイザーは、複合活性粒子の大規模調製において使用する為に、ボールミルよりもより適している場合がある。適切なホモジナイザーは、最大4000バールの圧力が可能なEmulsiFlex高圧ホモジナイザー、Niro Soavi高圧ホモジナイザー(最大2000バールの圧力が可能)、及びMicrofluidics Microfluidisers(最大圧力2750バール)を包含する。代替的には、該粉砕する工程は、高エネルギー媒体ミル(high energy media mill)又はアジテータービーズミル(agitator bead mill)、例えばNetzch高エネルギー媒体ミル又はDYNO-mill(Willy A.Bachofen AG,スイス)を包含しうる。代替的には、該粉砕は、乾式コーティング高エネルギープロセス(dry coating high energy process)、例えばメカノフュージョンシステム(Mechano-Fusion system)(Hosokawa Micron Ltd)又はハイブリダイザー(Hybridizer)(Nara)、でありうる。他の在りうる粉砕装置は、エアージェットミル(air jet mills)、ピンミル(pin mills)、ハンマーミル(hammer mills)、ナイフミル(knife mills)、超遠心ミル(ultracentrifugal mills)、並びに、乳棒及び乳鉢ミル(pestle and mortar mills)を包含する。
【0119】
該粉砕は乾式粉砕(すなわち、液体の不存在下)又は湿式粉砕(すなわち、粉砕工程が液体の存在下で実施されうる)でありうる。その液体媒体は、活性粒子を有意な程度まで溶解せず、その粘度が効果的な粉砕を妨げるほど高くない限り、高揮発性でも低揮発性でもよく、且つ固形分含量も問わない。該液体媒体は好ましくは水性でない。該液体は好ましくは、添加物質が実質的に不溶性であるものであるが、添加物質の未溶解粒子が残存するのに十分な添加物質が存在する限り、ある程度の溶解性は許容されうる。
【0120】
ここで、幾つかの好ましい粉砕方法が、より詳細に説明されるであろう。
【0121】
好ましい実施態様に従うと、該粉砕は乾式粉砕であり、ここで、該乾式粉砕において、粉砕装置はハンマーミル又はナイフミルである。
【0122】
より好ましい実施態様に従うと、該粉砕は乾式粉砕であり、ここで、該乾式粉砕において、粉砕装置はハンマーミルである。
【0123】
1つの実施態様において、該粉砕工程は室温(18℃~25℃)で行われる。
【0124】
別の実施態様において、該粉砕工程は、5000rpm~14000rpm(回転(又はラウンド)/分)、より特には7000rpm~10000rpm、例えば8000rpm、の回転数で行われる。
【0125】
別の実施態様において、該粉砕工程は、400μm~1000μm、特に500μm~900μm、例えば563μm、のグリッドメッシュ(grid mesh)で行われる。
【0126】
別の実施態様において、該粉砕工程は大気圧下で行われる。
【0127】
別の実施態様において、該粉砕工程は、ハンマーミル又はナイフミルを用いて、ドーザーホッパー(doser hopper)の投入速度を20kg/時間~60kg/時間、例えば40kg/時間、で行われる乾式粉砕工程である。
【0128】
別の実施態様において、該粉砕工程は、ハンマー又はナイフミルを用いて、角型又は円筒型又はシェブロン型(chevron)のメッシュ、例えば角型メッシュ0.5mm、0.8mm又は1.0mm、円筒型メッシュ0.5mm、0.8mm又は1.0mm、又はシェブロン型メッシュ0.315mm、で行われる乾式粉砕工程である。
【0129】
特定の実施態様に従うと、該粉砕は、下記のパラメータを有するハンマーミルを用いて行われうる:
ハンマーモード;
粉砕速度:8000rpm;
ドーザーホッパーの投入速度,40kg/時間;
グリッドメッシュ:563μm;
円筒形の0.5mmメッシュ;
室温。
【0130】
従って、特定の観点に従うと、本発明は式(I)の化合物を製造する方法であって、該方法が、工程(ii)から得られた式(I)の化合物を粉砕して、粉砕された式(I)の化合物を得る工程を更に含む上記の方法に更に関する。
【0131】
別の特定の態様に従うと、本発明に従う式(I)の化合物を調製する方法は、
工程(ii)から得られた式(I)の化合物を粉砕して、粉砕された式(I)の化合物を得る工程を更に含む、又は、
更に、工程(ii)から得られた式(I)の化合物を結晶化して、式(I)の結晶化された化合物を得る工程、そして次に、式(I)の結晶化された化合物を粉砕して、式(I)の粉砕された結晶化された化合物を得る工程を含む。
【0132】
このようにして、工程(ii)から得られた式(I)の化合物は、次に、
結晶化されてもよく、又は、
粉砕されてもよく、又は、
結晶化され、そして次に、粉砕されてもよい。
【0133】
粉砕工程の後に、篩い分け工程が行われうる。該篩い分け工程は、当業者によって知られている任意の慣用的な方法によって実行されうる。
【0134】
このようにして得られた粉砕された式(I)の化合物は粉末形態である。
【0135】
本発明において定義されている粉砕工程の後に、本発明に従う方法によって得られる粉末が本明細書において更に提供される。
【0136】
特定の実施態様に従うと、該粉末は、下記の粒度分布(PSD:particle size distribution)を有する:
D50値が80.0μm以下(すなわち、ここで、該粒子の50%が80.0μm以下のサイズを有する)、特に70.0μm以下、例えば30.0μm~70.0μm、及び/又は、
D10値が20.0μm以下(すなわち、ここで、該粒子の10%が20.0μm以下のサイズを有する)、特に15.0μm以下、例えば1.0~15.0μm、及び/又は、
D90値が190.0μm以下(すなわち、ここで、該粒子の90%が190.0μm以下のサイズを有する)、特に180.0μm以下、例えば80.0μm~180.0μm。
【0137】
本明細書において使用される場合に、D10、D50及びD90は、所謂、パーセンタイル値である。これらは、累積粒度分布から直接的に読み取られることができる統計的パラメータである。これらは、全粒子の10%、50%又は90%が見出されるサイズを示す。
【0138】
1つの実施態様において、該PSDはレーザー光の回折によって決定される。
【0139】
別の実施態様において、該PSDは、以下に詳述されている湿式法によって決定される。
【0140】
本明細書における下記の実施例5は、そのような粒度分布測定を例示する。
【0141】
本発明において定義されている式(I)の化合物を含む粉末が本明細書において更に提供され、ここで、該粉末は、下記の粒度分布を有する:
D50値が80.0μm以下(すなわち、ここで、該粒子の50%が80.0μm以下のサイズを有する)、特に70.0μm以下、例えば30.0μm~70.0μm、及び/又は、
D10値が20.0μm以下(すなわち、ここで、該粒子の10%が20.0μm以下のサイズを有する)、特に15.0μm以下、例えば1.0~15.0μm、及び/又は、
D90値が190.0μm以下(すなわち、ここで、該粒子の90%が190.0μm以下のサイズを有する)、特に180.0μm以下、例えば80.0μm~180.0μm。
【0142】
本発明において定義されている粉末と少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物が本明細書において更に提供される。
【0143】
本明細書において使用される場合に、語「医薬的に許容される」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題の合併症無しに、ヒト及び動物の組織と接触する為に適した、化合物、材料、添加剤、担体、アジュバント、ビヒクル、組成物、又は剤形を言及する。
【0144】
本発明の医薬組成物は、ヒト及び他の動物に、経口的に投与されうる。
【0145】
或る実施態様において、本発明の医薬組成物は、所望の治療効果を得る為に、該組成物中に含まれている活性成分化合物(I)の投与量を、1日当たり対象体重の約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg~約25mg/kg、とし、1日1回又は複数回、経口的に投与されうる。
【0146】
本発明において定義されている粉末と少なくとも1つの医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物は、特に、錠剤、カプセル剤、丸薬、トローチ剤、チューインガム、粉末、顆粒、乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、例えば水性溶液、懸濁物、例えば水性懸濁物、又はシロップ剤の形態である。
【0147】
幾つかの実施態様において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食物無しで投与される。他の実施態様において、本発明の医薬的に許容される組成物は、食物と共に投与される。
【0148】
本発明の製剤についての治療上有効な経口投与量は、医者の判断に従って標準的な臨床技術によって決定される。
【0149】
有利には、本発明に従う粉末は、相対湿度から保護されうる。
【0150】
従って、1つの実施態様に従うと、本発明の粉末が、慣用的な方法を用いてカプセル剤、錠剤、懸濁剤、溶液剤、又はシロップ剤へと製剤化される場合に、それはブリスターで保護される。該ブリスターの使用によってもたらされる別の利点は、カプセル又は錠剤がまた酸素及び他の汚染物質から保護されることである。
【0151】
該カプセルは、ソフトゲルカプセルであってもよく、又はハードゲルカプセルであってもよい。該カプセルがソフトゲルカプセル又はハードゲルカプセルであるときには、それらは有利には慣用的な液体添加剤を含むことができる。
【0152】
特定の実施態様に従うと、本発明に従う医薬組成物はカプセルである。本発明に従うカプセルは、下記の実施例7によって例示されている。
【0153】
該医薬的に許容される添加剤は、当業者によって周知である、医薬分野において慣用的に使用されている添加剤である。
【0154】
特定の観点に従うと、本発明は式(I)の化合物を製造する方法であって、式(I)の化合物の粉末と医薬的に許容される添加剤とを含む医薬組成物を調製する工程を更に含む上記の方法に更に関する。
【0155】
特許請求の範囲を含む本明細書全体を通じて、語「~を含む」は、特に断りのない限り、「少なくとも1つからなる」と同義であると理解されるべきである。
【0156】
表現「...~...」及び「...~...の範囲」は、特に指定のない限り、含まれる限度を意味するとして理解されるべきである。
【0157】
本明細書の以下において、本発明が以下の実施例を参照してより詳細に記載されるであろう。これらの実施例は、本発明を説明する為に提供されるものであり、本発明の範囲及び精神を限定するものとして解釈されるべきでない。
【0158】
実施例
【0159】
材料及び方法
【0160】
I.高速液体クロマトグラフィー(HPLC)
【0161】
HPLC装置は、Agilent 1100である。
【0162】
HPLC条件:
HPLCカラム:Waters X-Bridge C18 3.5 μ,100x2.1mm
カラム温度:40℃
移動相: A:H2O/TF(トリフルオロ酢酸) 0.1%
B:ACN(アセトニトリル)/TFA 0.1%
溶出勾配(下記の表2において詳述されている通り):
【0163】
【0164】
分析時間:27分間
注入量:5μL
DAD又はUV検出:220nm
サンプル調製:水/CAN 50/50を0.3mg/mLで溶出
【0165】
純度の測定には、グラジエント溶出での逆相HPLCを用い、ここで、中間体がサンプル中の他の化合物から分離され、そして、UV検出器を使用して検出される。
【0166】
II.
1
H-NMR
RMN装置はBruker Avance 300である。
1H-NMRスペクトルは、European Pharmacopoeia method 2.2.33に従って、CDCl3又はDMSO-d6中の溶液を用いて取得される。化合物の同一性は、化学シフト及び/又は共鳴シグナル強度に基づいて、対応する参照スペクトルとの比較によって確認される。
【0167】
III.示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)
Netzsch DSC214 Polyma
Alで密閉されたサンプルパン(穴あき蓋)
雰囲気:窒素
加熱速度:5K/分(下記を参照)
データ処理:Netzsch-TA Proteus登録商標ソフトウェアv 7.1.0.
室温~135℃のサンプルが、DSCによって分析された。
【0168】
IV.粉末X線回折(XRPD:X-Ray Powder Diffractio)
回折計 Bruker D8 discover;
カッパー対陰極,張力40KV,強度40 mA
q/q構成,固定サンプル
分析範囲:3°~30°
工程増分:0.04°
工程による測定時間:0.5秒
内部参照無し
EVAソフトウェア(v12.0)によるデータの実験的処理
X線ピーク位置及び強度が分析サンプルから抽出される。
【0169】
V.粉砕工程
粉砕実験はハンマーミルを使用して、下記のパラメータで行われた:
ハンマーモード;
粉砕速度:8000rpm;
ドーザーホッパーの投入速度,40kg/時間;
グリッドメッシュ:563μ;
円筒形の0.5mmメッシュ;
室温。
各粉砕実験の後、装置全体の洗浄が行われて(エタノールを使用)、潜在的に残っている粉末が次の実験に影響を与える偏りがないことを確認した。窒素フラッシュがまた乾燥の為に使用されて、残留水分が存在しないように且つ流動特性を悪化させないようにした。
【0170】
VI.粒度分布測定
D10値、D50値、D90値によって要約される粒度分布(PSD:Particle size distribution)が湿式法によって得られ、その詳細は、下記の通りである:
使用されたもの:
装置:Mastersizer 300(hydro MV)
分散剤:脱塩水
界面活性剤:Triton X100
飽和しない
動作パラメータ:
光学モデル:Particles type (MS3000のみ)非球面
三重(Mie):
粒子の屈折率:1.443
粒子の吸収指数:0.1
分散媒の屈折率:1.33
測定:
測定時間:10秒
バックグラウンドの測定時間:10秒
攪拌回転数:1200rpm+/-400
オブスキュレーション範囲(Obscuration range):5~19%
遅延時間の測定:1~5分
モデル:スタンダード
分析精度:普通
サンプル調製:
約100mgの生成物をガラスビーカー内に入れる。
界面活性剤を2~4滴加える。
50mLのメスビーカーの20mLのマークまで分散剤を入れる。
3秒~60秒間振盪する。
外部超音波セル内に入れる。
超音波持続時間:2~3分間
【0171】
VII.USP溶出試験-薬局方(USP<711>)溶出プロファイル(見かけの溶出試験)
原薬の薬局方試験(USP<711>,Ph.Eur.2.9.3)溶出プロファイルが確立された。
溶解実験は、注意深く制御された条件下で、USP<711>,Ph.Eur.2.9.3の要件を満たすパドル溶解装置を用いて、化合物が溶液を形成するところの速度及び程度を評価する。
50mgのそのままのABX464の溶解媒体中での溶解プロファイルと50mgの粉砕されたABX464(8000rpm)原体(DS:drug substance)の溶解媒体中での溶解プロファイルとが比較された。
溶解条件及び材料は下記の通りである:
装置
クラスAのガラス製品
分析用秤
自動ピペット
バイナリーポンプ又はクォータナリーポンプ、自動インジェクタ、恒温カラムオーブン、Waters Empower登録商標ソフトウェアによって制御されるUV又はDAD検出器で構成されるUPLCシステム
AT 7 smart(Sotax)、又はUSP タイプIIパドルを備えた同等な溶出装置
化学物質
水(溶解液) Milli_Q Millipore(タイプII)によって精製された脱塩水
シリンジフィルタ Spartan 30mm HPLC認証シリンジフィルター,0.2μ,RC(再生セルロース)
アセトニトリル Biosolve (UPLC等級)(ACN)
セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)
塩酸(HCl) 1M(AVS tritinorm)
ギ酸(LCMS等級)
クロマトグラフィー条件
カラム:Acquity UPLC BEH C18,2.1mm ID*50mm,1.7μのポアサイズ又は同等品
移動相A:水中の0.1%(v/v)のギ酸
移動相B:ACN
アイソクラティックモード 35%のA/65%のB
流量0.3mL/分
分析ランタイム:5分
注入量:5μL
検出:UV,220nm
オートサンプラー:室温
カラム温度:40℃
針洗浄:水/ACN(50/50v/v)
希釈剤
溶解液:0.1MのHCl中、0.25% CTAB。25gのCTABを10,000mLのメスフラスコに移し、1Mの塩酸を1,000mL加え、そして水で希釈する(最終濃度が同じである限り、異なる量及び容量が使用されうる)
溶液
原体22.2mgを正確に秤量して、100mLのメスフラスコに入れ、約5mLのCAN中に溶かして、希釈液で容量調整をする。
溶解条件
溶解媒体:0.1M HCl中の0.25%のCTAB
温度:37℃+/-0.5℃
攪拌:100rpm+/-1rpm
攪拌のタイプ:パドル(USPタイプII)
溶解媒体の量:900mL
サンプリング時間:5,10,15,30,45,60,75及び90分
サンプリング量5ml(最初の3mlは捨てる)
6つの容器で試験
サンプル(50mg)を各溶解容器へと入れる。
【0172】
計算
補正されてない溶解パーセンテージは、下記の式で計算された。
【数1】
【数2】
ここで、
Pr:基準生成物(reference product)の純度;
r
s:サンプル溶液中のDSのピーク面積;
r
r:標準溶液中のDSの平均ピーク面積(n=5);
q
r:標準溶液中の基準生成物の量(mg);
d:希釈倍率(mL);
V
i:サンプリング時刻iでの溶解媒体の体積(mL);
Q
th:1単位(mg)当たりのDSの理論的な投与量
補正された溶解パーセンテージは、下記の式で計算された。
【数3】
ここで、
V
s:サンプル量(mL);
V
i:サンプリング時刻iでの溶解媒体の体積(mL)
【0173】
実施例1:4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:0.90、1.00:1.00、又は1.00:1.10を有する8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(形態I)の調製
【化49】
【0174】
工程1
4-クロロ桂皮酸(7.0kg)及びジクロロメタン(28L)が、不活性雰囲気下、周囲温度で反応容器内へと導入された。混合物が30~40℃に加熱され、そして、塩化チオニル(5.0kg)が加えられた。温度が40~50℃に上げられ、そして、完全に溶解するまで攪拌が続けられた。反応完了後(HPLC)、反応混合物が濃縮され、そして、15~25℃に冷やされて、4-クロロシンナモイルクロリドを得た。この4-クロロシンナモイルクロリドが、アセトン(14L)及び水(14L)中の炭酸カリウム(8.0kg)及び2-クロロアニリン(5.1kg)の冷やされた混合物に添加された。反応混合物が少なくとも6時間以上攪拌され、次に、再び0~5℃に冷やされ、そして濾過された。固体が水で洗われ、そして、窒素流下、真空乾燥下で、純粋な化合物1(11.2kg,収率100%,HPLC 98.0%)を与えた。
【0175】
工程2
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物1(11.1kg)がクロロベンゼン(55L)中に懸濁された。塩化アルミニウム(15.0kg)が攪拌しながら少しずつ加えられ、そして次に、懸濁物が115~125℃に加熱された。反応混合物が少なくとも2時間更に攪拌された。反応完了後(HPLC)、溶液が30~40℃に冷やされ、そして水(89L)及びイソプロパノール(28L)の冷やされた混合液中に注がれ、そして、2時間攪拌された。固体が濾過され、そして、水(22L)及びイソプロパノール(22L)で洗われ、そして、窒素流下、真空で乾燥されて、純粋な化合物2(4.9kg,収率73%,HPLC 99.9%)を与えた。
【0176】
工程3
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物2(4.6kg)が塩化ホスホリル(9.9kg)中に懸濁された。懸濁液が115~125℃に加熱され、そして、少なくとも2時間攪拌された。反応完了後(HPLC)、溶液が40~50℃に冷やされ、酢酸エチルで希釈され、そして、予め冷やされた(0~10℃)水(46L)上に注がれた。その温度で少なくとも1時間更に攪拌された後に、化合物3の懸濁物がろ過された。固体が、水、そしてイソプロパノールで洗われ、そして、窒素流で、真空下、少なくとも24時間乾燥されて、純粋な化合物3(4.6kg,収率89%,HPLC 99.9%)を与えた。
【0177】
工程4
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物3(4.6kg、1.0当量)がイソプロパノール(46L)中に懸濁された。4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(4.1kg,1.0当量)が添加された。次に、反応混合物が82℃で少なくとも12時間還流された。反応完了後(1H-NMR)、溶液が0~10℃まで冷やされた。攪拌が濾過前に少なくとも更に30分間続けられた。結果として得られた塩酸塩(固体)がイソプロピルアルコールで洗われ、そして、窒素流下、真空下、周囲温度で少なくとも12時間乾燥された。乾燥した生成物が酢酸エチル(23L)中に懸濁され、そして、水(23L)中の炭酸ナトリウム(2.9kg)の溶液にゆっくり加えられる前に、周囲温度で少なくとも10分間攪拌された。少なくとも30分間攪拌された後、水性層が除去され、そして、有機層が水で2回洗われた。酢酸エチルがヘプタン(35L)に置き換えられ、そして、結果として得られた固体がヘプタン中で結晶化されて、ABX464の純粋な結晶形態I(6.4kg,収率82%,HPLC 100.0%)を与えた。
【0178】
この結晶形態Iは、2シータの7.3、14.6、23.5及び28.4(各時間±0.2)で、角度における2シータ度として表されるピークを示す粉末X線回折図によって特徴付けられ、より特には、
図1に示されている粉末X線回折図によって特徴付けられ、及び/又は、120.5℃(±2℃)の開始温度(onset temperature)を有する単一の吸熱によって特徴付けられる(加熱速度:5K/分,DSC法における)。
【0179】
同様の方法で、約30グラムのスケールで、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの純粋な結晶形態Iが、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:0.90を用いて、70%の収率で調製された(工程4)。
【0180】
同様の方法で、約30グラムのスケールで、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの純粋な結晶形態Iが、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:1.10を用いて、84%の収率で調製された(工程4)。
【0181】
同様の方法で、約30グラムのスケールで、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの純粋な結晶形態Iが、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:0.80を用いて、51%の収率で調製された(工程4)。
【0182】
実施例2:4-トリフルオロメトキシアニリン及びトリフルオロ酢酸に対する式(3)の化合物のモル比1.00:0.90を有する8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩を工程(i)において調製すること
【0183】
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物3(1g,1.0当量)がイソプロパノール(10mL)及びトリフルオロ酢酸(0.19mL,0.5当量)中に懸濁された。4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(0.805g,0.9当量)が添加された。次に、反応混合物が82℃で少なくとも5時間還流され、実施例1に記載されたように固体形態で単離されることができる8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩を転化率85%よりも優れたレベルで形成することを生じた。
【0184】
実施例3:8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩を種結晶として加え、そして塩酸を加えることで、4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比1.00:1.00を有する8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩を工程(i)において調製すること
【0185】
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物3(130kg、1.0当量)がイソプロパノール(1300L)中に懸濁された。4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(117kg,1.0当量)が添加された。次に、反応混合物が82℃で少なくとも32時間還流された。8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミンの塩酸塩を種結晶として加えた後、且つ反応終了に応じて、溶液が0~10℃に冷却され、そして塩酸(32.5kg,0.5当量)が加えられた。攪拌が濾過前に少なくとも1時間続けられた。結果として生じた塩酸塩(固体)がイソプロピルアルコールで洗われ、そして、窒素流を用いて、真空下、周囲温度で少なくとも12時間乾燥されて、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(230kg,収率93%,HPLC 99.9%)の純粋な塩酸塩を与えた。
【0186】
実施例4:4-トリフルオロメトキシアニリンに対する式(3)の化合物のモル比.00:0.90で得られた粉砕された8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物を調製すること
【0187】
工程1
4-クロロ桂皮酸(8.6kg)及びジクロロメタン(35L)が、不活性雰囲気下、周囲温度で反応容器内へと導入された。混合物が30~40℃に加熱され、そして、塩化チオニル(6.2kg)が加えられた。温度が40~50℃に上げられ、そして、完全に溶解するまで攪拌が続けた。反応完了後(HPLC)、反応混合物が濃縮され、そして、15~25℃に冷やされて、4-クロロシンナモイルクロリドを得た。この4-クロロシンナモイルクロリドが、アセトン(17L)及び水(17 L)中の炭酸カリウム(9.8 kg)及び2-クロロアニリン(6.1kg)の冷やされた混合物に添加された。反応混合物が少なくとも6時間以上攪拌され、次に、再び0~5℃に冷やされ、そして濾過された。固体が水で洗われて、化合物1を得、そして、化合物1が乾燥すること無しに第2工程において用いられた(14.2kg,HPLC 99.0%)。
【0188】
工程2
不活性雰囲気下、周囲温度で、湿った化合物1(14.2kg)がクロロベンゼン(78L)中に懸濁された。クロロベンゼンの一部(13L)が蒸留されて水を除去された。室温まで冷やされた後、塩化アルミニウム(18.9kg)が攪拌しながら少しずつ加えられ、そして次に、懸濁物が115~125℃に加熱された。反応混合物が少なくとも2時間更に攪拌された。反応完了後(HPLC)、溶液が50~55℃に冷やされ、そして水(69L)及びイソプロパノール(21L)の冷やされた混合液中に注がれ、そして、2時間攪拌された。固体が濾過され、水(17L)及びイソプロパノール(17L)で洗われ、そして、窒素流下、真空で乾燥されて、純粋な化合物2(6.3kg,収率74%,HPLC 100%)を与えた。
【0189】
工程3
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物2(5.9kg)が塩化ホスホリル(12kg)中に懸濁された。懸濁液が115~125℃に加熱され、そして、少なくとも2時間攪拌された。反応完了後(HPLC)、溶液が室温まで冷やされ、酢酸エチルで希釈され、そして、室温に維持された水(59L)上に注がれた。その温度で少なくとも1時間更に攪拌された後に、化合物3の懸濁物がろ過された。固体が、水、そしてイソプロパノールで洗われ、そして、大気圧下、40℃で少なくとも24時間乾燥されて、純粋な化合物3(6.0kg,収率93%,HPLC 100%)を与えた。
【0190】
工程4
不活性雰囲気下、周囲温度で、化合物3(5.9kg,1.0当量)がイソプロパノール(59L)中に懸濁された。4-(トリフルオロメトキシ)アニリン(4.76kg,0.90当量)が添加された。次に、反応混合物が82℃で少なくとも12時間還流された。反応完了後(1H-NMR)、溶液が0~10℃まで冷やされた。攪拌が濾過前に少なくとも更に30分間続けられた。結果として得られた塩酸塩(固体)がイソプロピルアルコールで洗われ、そして、窒素気流下、真空下、周囲温度で少なくとも12時間乾燥された。乾燥した生成物が酢酸エチル(46L)中に懸濁され、そして、水(40L)中の炭酸ナトリウム(3.3kg)の溶液にゆっくり加えられる前に、周囲温度で少なくとも15分間攪拌された。少なくとも1時間攪拌された後、水性層が除去され、そして、有機層が水で洗われた。酢酸エチルがヘプタン(38.5L)に置き換えられ、そして、結果として得られた固体がヘプタン中で結晶化されて、ABX464の純粋な結晶形態I(7.3kg,収率72%,HPLC 100.0%)を与えた。
【0191】
この結晶形態Iは、2シータの7.3、14.6、23.5及び28.4(各時間±0.2)で、角度における2シータ度として表されるピークを示す粉末X線回折図によって特徴付けられ、より特には、
図1に示されている粉末X線回折図によって特徴付けられ、及び/又は、120.5℃(±2℃)の開始温度を有する単一の吸熱によって特徴付けられる(加熱速度:5K/分,DSC法における)。
【0192】
工程5
ABX464(3kg)が、ハンマーモード、粉砕速度8000rpm、ドーザーホッパーの投入速度40kg/時間、及び円筒形0.5mmメッシュで粉砕され、分析PSD湿式法で測定された場合に、D10が6.8μm、D50が50.0μm、D90が122.0μmによって特徴付けられる粒度分布を持つ粉砕されたABX464(2.5kg)を提供した。
【0193】
実施例5:粒度分布の測定による特徴付
【0194】
粉砕工程5の後、このようにして実施例4から得られた粉砕サンプルが、上記で定義された方法に従って、粒度分布の測定(下記表3を参照)によって特徴付けられた。
【0195】
比較の為に、上記の実施例4の工程4から得られたそのままの8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(形態I)(すなわち、粉砕前の実施例4から得られた生成物)についても粒度分布の測定が行われた。
【0196】
【0197】
これらの結果から、粉砕された化合物は、そのままの化合物と比較して、D10、D50及びD90の値が低く、これらの値は、本発明の開示範囲及び特許請求の範囲内に含まれていることがわかった。
【0198】
実施例6:薬局方溶出プロファイル
【0199】
【0200】
粉砕工程(粉砕速度:8000rpm)の後、実施例4の工程5から得られた粉砕されたサンプルが、上記で定義された方法に従って、薬局方溶出プロファイル(黒四角を付した上側の曲線によって表されている)を確立することによって特徴付けられた。
【0201】
比較の目的の為に、そのままの 8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン(形態I)(すなわち、実施例4の工程4から得られた生成物(粉砕前))の薬局方溶解プロファイルがまた、上記で定義された方法に従って確立された(黒丸を付した下側の曲線によって表されている)。
【0202】
図2よって示されているように、粉砕された8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物は、そのままの8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物に比べて改善された溶解性を示す。
【0203】
より特には、該粉砕工程を含む本発明に従う方法によって得られた粉砕された化合物の溶解度は、本発明に従う方法(粉砕工程無し)によって得られたそのままの化合物と比較して、45分で約38.1%(粉砕された化合物について95.4%、及びそのままの化合物について57.3%)増加した。
【0204】
従って、該粉砕工程は、8-クロロ-N-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)キノリン-2-アミン化合物の溶解性にプラスの影響を与える。
【0205】
実施例7:本発明に従う粉末を含む、本発明に従うカプセルの形態下の医薬組成物
【0206】
下記の表4、表5及び表6において指定された夫々の量における成分を用いて、下記のカプセルが調製された。
【0207】
【0208】
【0209】
【0210】
本発明に係る医薬組成物は、炎症性疾患、例えば、炎症性腸疾患、関節リウマチ、肺動脈性肺高血圧症、NASH(非アルコール性脂肪肝炎)及び多発性硬化症等、ウイルス及び/又は癌若しくは異形成によって引き起こされる疾病の予防及び/又は処置において有用であることができる。
【国際調査報告】