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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ケーブル加工センター
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/28 20060101AFI20240401BHJP
   H01R 43/052 20060101ALI20240401BHJP
   B23P 19/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H01R43/28
H01R43/052
B23P19/00 302F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522893
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(85)【翻訳文提出日】2023-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2021078549
(87)【国際公開番号】W WO2022079215
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】102020127082.8
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021101497.2
(32)【優先日】2021-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/078364
(32)【優先日】2021-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520054666
【氏名又は名称】ツォラー ウント フレーリッヒ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ZOLLER & FROEHLICH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フレーリッヒ、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】メニッヒ、ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ロイポルツ、ハンス
(72)【発明者】
【氏名】ハーティンガー、シュテフェン
【テーマコード(参考)】
3C030
5E063
【Fターム(参考)】
3C030DA01
3C030DA15
3C030DA35
5E063CB03
5E063CC04
5E063XA05
5E063XA14
(57)【要約】
本発明は、回転テーブル(2)上または回転テーブル(2)に配置された複数の加工モジュール(A,B,C,D)を備えたワイヤ加工センターに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加工モジュール(A、B、C、D)を備えたケーブル加工センターであって、前記複数の加工モジュール(A、B、C、D)は、共通コントロールユニットによって駆動され、異なる断面のケーブルを組み立てるように、および/または、ケーブル端部にコンタクトなどを設けるように構成され、加工されるケーブル断面および/または組み立てられたケーブルのための収納(6)を有し、
前記加工モジュール(A、B、C、D)が回転テーブル(2)に配置され、前記回転テーブル(2)の円周領域に配置された少なくとも1つの加工ステーション(8)に対して各加工モジュール(A、B、C、D)を一度に位置決めするための駆動部が前記回転テーブル(2)に設けられていることを特徴とする、ケーブル加工センター。
【請求項2】
複数の加工モジュール(A、B、C、D)を備えたケーブル加工センターであって、前記複数の加工モジュール(A、B、C、D)は、共通コントロールユニットによって駆動可能であり、異なる断面のケーブルを組み立てるように、かつ、ケーブル端部にコンタクトなどを設けるように構成され、加工されるケーブル断面および/または組み立てられたケーブルのための収納(6)を有し、
前記加工モジュール(A、B、C、D)が回転テーブル(2)に配置され、少なくとも1つの加工ステーション(8)は、加工されるケーブルを前記加工モジュール(A、B、C、D)に対する加工位置に動かすように移動可能であることを特徴とする、ケーブル加工センター。
【請求項3】
複数の加工モジュール(A、B、C、D)を備えたケーブル加工センターであって、前記複数の加工モジュール(A、B、C、D)は、共通コントロールユニットによって駆動可能であり、異なる断面のケーブルを組み立てるように、かつ、ケーブル端部にコンタクトなどを設けるように構成され、加工されるケーブル断面および/または組み立てられたケーブルのための収納(6)を有し、
回転テーブル(2)に加工ステーション(8)が配置され、前記回転テーブル(2)は駆動部を有し、前記駆動部を介して、前記加工ステーション(8)は、前記回転テーブル(2)の円周領域に配置された前記加工モジュール(A、B、C、D)に対して方向付け可能であることを特徴とする、ケーブル加工センター。
【請求項4】
前記加工ステーション(8)はハンドリング装置を備え、前記ハンドリング装置は、収納(6)からケーブルを取り出し、前記加工ステーション(8)に対して方向付けられたそれぞれの加工モジュール(A、B、C、D)に移送する、または加工モジュール(A、B、C、D)からケーブルを取り出し、別の加工モジュール(A、B、C、D)または取出用収納部に移送するように構成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のケーブル加工センター。
【請求項5】
前記ハンドリング装置は、前記ケーブルを中間ステーションに保持するように構成されている、請求項4に記載のケーブル加工センター。
【請求項6】
前記加工モジュール(A、B、C、D)が、自動切断機、自動圧着機、グロメットステーション、印刷ステーション、自動ストリップマシーンのグループから選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載のケーブル加工センター。
【請求項7】
前記ハンドリング装置は、前記コントロールユニットによるロボット駆動である、請求項1から6のいずれか1項に記載のケーブル加工センター。
【請求項8】
前記加工モジュール(A、B、C、D)の少なくとも一部は、個別に操作可能な加工ユニットである、請求項1から7のいずれか1項に記載のケーブル加工センター。
【請求項9】
前記取出用収納部は、矢筒型の収納部又はリニア型収納部として構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のケーブル加工センター。
【請求項10】
ケーブルを一時的に収納するための中間収納部(10)を有する、請求項1から9のいずれか1項に記載のケーブル加工センター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分電盤キャビネット内などに敷設されるケーブルを組み立てるためのケーブル加工センターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなセンターを使用することにより、ケーブルや配線を供給したり、適切な長さに切断してマーキングを施し、ワイヤエンドフェルールなどのコンタクトエレメントで圧着することができる。その後、組み立てられたケーブルは通常束ねられ、収納部アセンブリに収納される。このようなセンターは特許文献1などで開示されている。実際のケーブルの組み立ては、専用機として構成され、上記の作業手順を実現するユニットによって行われる。このようなユニットは非常に複雑な構造をしており、異なる生産作業に使用できるよう調整するためには、大変な手間がかかる。それだけでなく、このような専用機は比較的高価であり、生産ライン内に大きな設置スペースが必要である。
【0003】
これに似た解決手段は特許文献2に記載されている。ここではワイヤーハーネスを製造するための装置が開示されており、ケーブル/配線がケーブル送り装置によって供給され、コンタクトエレメントが別の送り装置によって供給されている。ケーブルは、切断装置によって適切な長さに切断され、自動圧着機によってコンタクトエレメントと圧着される。さらに加工を施すため、組み立てられたケーブルは測定・送り装置を介してさらに搬送される。圧着時にコンタクトエレメントを保持する成形工具と圧着ヘッドは別個のユニットとして構成されており、切断装置は圧着ヘッドを保持するユニットに統合されている。このユニットでも前述の専用機と同じ欠点が確認される。
【0004】
特許文献3で開示されている手法と装置では、一方のケーブル端部がコンタクトエレメントに圧着され、もう一方の端末はプラグコネクタに圧着されるようになっている。ここで使用されている装置にはワイヤ送給装置が備わっており、この装置を介してワイヤが適切な長さに切断され、対応する端末が圧着端子またはコネクタと接触するようにストリップされる。切断はカッターで行われ、切断されたケーブル/ワイヤはU字型に曲げられて中間収納部に配置され、そこからケーブルが別のプレス/圧着用装置に送られるようになっている。
【0005】
この解決手段でも、事前に定められた目的のために特別構成された専用機を使用している。
【0006】
特許文献4はワイヤーハーネス加工用の装置に関するもので、切断装置、ストリッパー、一種の圧着ユニット、コネクタに接続するための装置が搭載されている。こちらも専用機として構成されており、他の製造作業に合わせて調整できないか、できたとしてもかなりの手間を要する。
【0007】
より柔軟性の高い解決手段として挙げられるのは、専用機の代わりにモジュラーユニットを使用し、その上で作業者が個々の加工工程(適切な長さへの切断、マーキング、ストリップ、圧着、結束)を実施するというものである。圧着作業は、本出願人の特許文献5で明示されているように圧着機で行われ、ここではワイヤエンドフェルールとストリップ後のケーブル端部などが圧着される。既出の解決手段では、これらのワイヤエンドフェルールはドラムマガジンに巻き取られ、ここから搬送ユニットを介して圧着ヘッドに搬送される。そのほか、ワイヤエンドフェルールあるいはコンタクトエレメントを個別に収納部に収納したのち、適切な送り装置を介して定位置で圧着ヘッドに搬送することも可能である。この手の送り装置は、特許文献6などに記載されている。
【0008】
既出の解決手段では、圧着するワイヤエンドフェルールは、保持ユニットによってストリップ後のケーブル端部に置かれ、圧着ヘッドによって圧着される。ケーブル端部のストリップは外部で行うことも、圧着機に内蔵されたストリップヘッドを使用して行うこともできる。
【0009】
上記のモジュラーユニットは、それぞれが独自の駆動装置を備えたスタンドアロン型ユニットなどとして構成されており、通常はその他の加工ユニットとは個別に操作可能である。
【0010】
コンベヤベルト上に配置されたワイヤエンドフェルールや他の電気部品を搬送するための搬送ユニットの構造については、出願人の特許文献7などで説明されている。類似する搬送ユニットは特許文献8でも開示されている。
【0011】
特許文献9には、専用機として構成された固定式ケーブル組立装置の領域内に、加工するコンタクトエレメントを配置できる可動式ユニットが示されている。
【0012】
連続生産においては、異なるケーブル断面や電気部品/コンタクトエレメントを圧着し、その後の組立工程(分電盤キャビネットの組み立てなど)で取り付ける必要がある。この場合、残されたオプションは原則的に2つであり、うちひとつは異なるケーブル断面/コンタクトエレメント(ワイヤエンドフェルール)を圧着するために圧着機の装備を変更するというもので、もうひとつは異なるケーブル断面/コンタクトエレメントの加工用に複数の圧着機を用意するというものである。前者ではセットアップ時間が長引くだけでなく、かなりの人手が必要となる。後者では複数の圧着機を使用することでこの欠点を克服することができるものの、相当な投資コストがかかる。
【0013】
特許文献10では、異なるケーブル断面とワイヤエンドフェルールの加工が可能な機械(ストリッパー、クリンパーとして構成)が開示されている。各タイプのワイヤエンドフェルールに対して、ドラムマガジンと関連する圧着装置が備わっているほか、共通の駆動装置が割り当てられており、任意で圧着装置のひとつとアクティブに係合可能となっている。この種の解決手段では、多数の圧着装置を用意し、制御する必要があるため、多くの技術設備が必要となる。
【0014】
本出願人に由来する特許文献11では、上述の欠点を解消した圧着機が示されている。この圧着機には、複数のドラムマガジンを備えた収納部アセンブリが設けられ、共通の搬送ユニットと共通の圧着ヘッドが割り当てられているため、上記の解決手段と比較して装置関連の手間が大幅に削減される。
【0015】
本出願人の特許文献12には、送り装置などを介在させることなく、圧着するコンタクトエレメントがストリップヘッドや圧着ヘッドの有効範囲に直接送られる圧着機が開示されている。この既出の解決手段では、コンタクトエレメントがむしろドラムマガジンに収納されるため、圧着機はそれに合わせて分離装置付きで構成されている。
【0016】
同じく本出願人に由来する特許文献13には、複数のドラムマガジンを有する収納部アセンブリに異なるワイヤエンドフェルールを収納する圧着機が示されている。これらのドラムマガジンのすべてにそれぞれ搬送ユニットが割り当てられ、この搬送ユニットを介して、あらかじめ選択された各フェルールが受渡位置まで搬送される。そこで切断されたワイヤエンドフェルールは、次にシャトルによって共通の圧着ヘッドへと送られる。
【0017】
この圧着機はその生産性の高さが特徴である。ただ、必要なシャトルが比較的複雑な構造になっており、それ相応の設置スペースが必要であること、ストリップが不可能であることなどの欠点も見られる。
【0018】
また、手作業の割合が高いため、組み立ての際や、特に分電盤キャビネット内のケーブル敷設時には作業者への負担が比較的大きく、ミスが発生する可能性を排除できない。
【0019】
本出願人の特許文献14では、加工モジュールが移動式プラットフォーム上に配置される上述のコンセプトの欠点を克服するため、モジュール式ケーブル加工センターが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第8442664号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0132092号明細書
【特許文献3】米国特許第6662444号明細書
【特許文献4】米国特許第5878469号明細書
【特許文献5】独国特許発明第4440835号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第19831588号明細書
【特許文献7】独国実用新案第9308266号明細書
【特許文献8】独国特許発明第19714964号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2010/0293780号明細書
【特許文献10】独国特許発明第102004057818号明細書
【特許文献11】独国特許出願公開第102015119217号明細書
【特許文献12】独国特許出願公開第102017118968号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第102015102060号明細書
【特許文献14】国際公開第2019/061562号
【発明の概要】
【0021】
上述のようなコンセプトでは、さまざまな生産作業に非常に柔軟に対応できるものの、作業者が関与しない大規模な自動化を実現することは困難である。
【0022】
これに対して、本発明はケーブルの組み立てをほぼ自動化できるケーブル加工センターの作製を課題としている。
【0023】
この課題を解消するのが、請求項1、または請求項2、または請求項3の特徴を有するケーブル加工センターである。
【0024】
本発明の有利なさらなる発展が従属請求項の主題とである。
【0025】
本発明によるケーブル加工センターには、共通コントロールユニットと適切に構成されたソフトウェアによって制御可能な複数の加工モジュールが備わっている。これらの加工モジュールは、例えば、断面の異なるケーブルの組み立て、ケーブル端部へのコンタクトなどの取り付け、さらに必要に応じて、組み立てられたケーブルに情報を設定することが可能なように構成されている。また、ケーブル加工センターには、加工するケーブルの断面/組み立てられた加工後のケーブル用収納部も用意されている。本発明の構成例では、加工モジュールが調整可能な回転テーブル上に配置されており、この回転テーブルは回転テーブルの円周領域に配置された加工ステーションに対して一度に1つの加工モジュールを配置するため、駆動部によって調整される。
【0026】
そのため、本発明によるコンセプトは、作業員が組み立てるケーブルを加工モジュールに供給する、いわゆる従来型解決手段からの脱却を図っており、代わりに加工モジュールを中央加工ステーションに移動させるか、加工ステーションを基準として加工モジュールの位置を調整するようになっている。この手のケーブル加工センターでは、回転テーブル上の加工モジュールに必要なスペースが最小限であるだけでなく、加工ステーション間におけるケーブル搬送に必要な技術設備が不要であるため、非常にコンパクトな構成が可能となる。
【0027】
あるいは、ロボットなどの加工ステーションを中央に配置し、加工モジュールを周辺に配置して、回転テーブルから加工モジュールに対してロボットの位置を調整することもできる。
【0028】
代わりとなる別の解決手段では、加工ステーションが回転テーブルの周囲を移動するよう配置されている。
【0029】
ケーブルを収納部から取り出して加工ステーション上の各加工モジュールに送ったり、加工モジュールから取り出して別の加工モジュールや取出用収納部に送るよう構成されたハンドリング装置が加工ステーションに備わっている場合は、加工がさらに最適化される。
【0030】
より好ましい解決手段では、回転テーブルの移動中、組み立てるケーブルが中間位置に保持されるようにハンドリング装置が構成されている。
【0031】
加工モジュールには、自動切断機、自動圧着機、グロメットステーション、印刷ステーション、自動ストリッピングマシーンなどを使用することができる。
【0032】
ハンドリング装置としてコントロールユニットにより制御されるロボットを使用すれば、特に柔軟な制御が可能となる。
【0033】
加工モジュールの少なくとも一部が、個別に操作可能な標準加工ユニットで、原則的にスタンドアロンモードでも機能するものであれば、システムのコストをさらに最小限に抑えることができる。
【0034】
本発明の一実施形態では、取出用収納部または未加工のケーブル部材用収納部は、矢筒型の収納部として構成されている。もちろん、リニア型収納部といった適切な他の収納部も使用可能である。
【0035】
その場合は、この矢筒型の収納部を可動式にすることで、対応するケーブルハーネスを外部に用意し、加工ステーションのアクセス位置に固定できるようにすることが好ましい。
【0036】
以下では、より好ましい本発明の実施形態について、概略図を参照しながらより詳細に説明していく。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は本発明による2つのケーブル加工センターの基本概念を示している。
図2図2は本発明によるケーブル加工センターの第3の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は本発明によるケーブル加工センター1の基本概念を示している。したがって、ここでは、一例として4つの加工モジュールA、B、C、Dが配置された回転テーブル2を使用している。回転テーブル2の駆動部と個々の加工モジュールA、B、C、Dの制御は、コントロールユニットの制御コンピュータ4(CPU)を介して行う。ケーブル加工センター1のすべての機能コンポーネントは、ここから制御することができる。加工を施す未加工のケーブル部材は、供給用収納部6から供給される。この収納部には、矢筒型の収納部として構成されたものなど、好ましくは、簡単な方法で受渡位置へと動かすことのできる移動式収納部6を用いる。
【0039】
この収納部6には、組み立て後のケーブルを収納する取出用収納部を設けることもできる。しかし、より柔軟な調整が可能となるよう、このような取出用収納部は供給用収納部とは別に構成することが好ましい。
【0040】
前述のように、加工ステーション8を基準にして各加工モジュールA、B、C、Dの位置を調整できるよう、回転テーブル2は図示されていない駆動装置によって回転可能および/または高さを調節可能となっている。本発明によれば、この加工ステーション8の領域には、組み立てるケーブルを取り扱うロボットが配置されるため、結果として、少なくとも加工ステーション8の一部となっている。ケーブル組立品の種類によっては、異なるテーブル加工モジュールA、B、C、D(卓上機)をこのような回転テーブル2上に柔軟に組み合わせ、それらでケーブル/ワイヤのリストを加工することができる。
【0041】
さらに図1に示すように、加工ステーション8(ハンドリング装置/ロボット)には、組み立て中のケーブルを一時的に保管するための中間収納部10を配置することができる。こうすることにより、例えば、ケーブルの一端に最初のコンタクトを設け、これを中間収納部10に保管しておくことが可能となる。ケーブルのもう一方の端にもコンタクトを圧着するため、これが次に中間収納部10から取り出され、さらに加工を施すために自動圧着機などの加工モジュールに送られる。
【0042】
制御コンピュータ4と個々の構成要素間の制御・信号線12は、図において破線によって示されている。
【0043】
以下では、組み立てサイクルの一例を説明する。
【0044】
ここではロボットにより、未加工のケーブル部材が収納部6から取り出され、図1の加工位置にある加工モジュールAへと動かされる。これには切断/ストリップユニットなどを使用することができ、このユニットによって、ケーブルがサイズに合わせて切断され、ケーブル端部がストリップされる。
【0045】
その後、切断されたケーブル末端がロボットによって加工モジュールAから取り出され、次の加工モジュールを加工位置に動かすため、回転テーブル2が制御される。その後、このモジュールではケーブルが適切な方法で加工ステーション8、特にロボットに供給されたのち、さらに加工される。加工順序は、必ずしも回転テーブル上の加工モジュールの順序(A→B→C→D→取出用収納部)に対応する必要はない。原則として、加工モジュールA、B、C、Dは任意の順序で稼働させることができる。このようにすると、不要な加工モジュールを取り外す必要などはなく、単に加工位置に動かさなければよいだけなので、ケーブル組立センターの装備変更時間を最小限に抑えることができる。
【0046】
ケーブル加工センター1は、異なるワイヤ断面(0.5~6mm)が柔軟に巻き戻され、供給されるように構成されている。
【0047】
すでに説明したように、これらのワイヤは加工モジュールA、B、C、Dで適切な長さに合わせて切断されることになる。その後、事前に組み立てておいたケーブルにコンタクトなどを圧着することができる。
【0048】
その際には、ケーブル端部でワイヤエンドフェルール、プラスチックスリーブの有無、ツイストコンタクトなど異なるコンタクトの加工を行うため、複数のステーション/モジュールを使用可能である。
【0049】
原則として、ケーブル加工センター1では、ワイヤや同軸ケーブルなどのみを加工することもできる。グロメットステーションやその他のラベリングシステムを追加で、あるいは補足的に設けることも可能となっている。
【0050】
また、プリンタ(インクジェットプリンタ、特殊マーカー、熱転写プリンタ)やレーザーを用いたラベリング/マーキングも可能であるものの、その場合、ラベリングはケーブル導体に直接行うことが好ましい。
【0051】
構成としてより好ましいのは、加工ステーションの領域内に固定式ロボットを配置することである。ただし、原則として、ロボットと加工ステーションを移動式にすることも可能ではある。
【0052】
別の解決手段では、回転テーブル2を固定式にし、ロボット(加工ステーション8)が回転テーブル2の周囲に沿って移動するように構成して、個々の加工ステップ中にケーブルがロボットによって加工モジュールA、B、C、Dに供給されるようにすることができる。この解決手段は、図1において、ロボット/ハンドリング装置などによって実行される、回転テーブル2の周囲に沿った加工ステーション8の動作を示す2本の破線矢印で示されている。また、回転テーブル2自体が依然として回転可能であることも十分に考えられる(これはすでに上述したとおりである)。
【0053】
図2に示されているのは、加工ステーション8(ロボット/ハンドリング装置などを搭載)が回転テーブル2上に固定されている一方で、加工モジュールA、B、C、Dがなるべく回転テーブル2の周囲に沿って固定位置に配置されている実施形態である。収納部6、制御コンピュータ(CPU)4、中間収納部10の位置は機能上、図1の実施形態における個々の位置に対応している。そのため、この実施形態では、加工ステーション8の位置が回転テーブル駆動部の対応する制御により、あらかじめ設定した回転角度分だけ動かされ、各加工モジュールA、B、C、Dに対して調整されるので、回転テーブル2とテーブル上に配置されたロボット(加工ステーション8)の制御、さらにはそれに伴って、それぞれ稼働させることができる各加工モジュールA、B、C、Dに対して、関連する加工ステーション8の相対位置決め操作を制御することにより、上記の生産ステップが適宜実施される。この形態では、もちろんのこと、加工ステーション(ハンドリング装置、ロボット)8を介してアクセスできるよう中間収納部10と収納部6が配置されているため、ケーブルを各加工モジュールA、B、C、Dに供給したりすることができる。
【0054】
原則としては、加工モジュールと加工ステーション(ロボット、ハンドリング装置)の構成要素を回転テーブル2の上だけでなく、テーブル周辺の両方に配置する、ハイブリッド形態も可能である。本出願人は、このハイブリッド形態に関して、別の独立請求項を設ける権利を留保するものとする。
【0055】
開示されているのは、回転テーブル上または回転テーブルに配置された複数の加工モジュールを備えたワイヤ加工センターである。
【符号の説明】
【0056】
1 加工センター
2 回転テーブル
4 制御コンピュータ/CPU
6 収納部
8 加工ステーション
A、B、C、D 加工モジュール
10 中間収納部
12 制御/信号/電源供給線
図1
図2
【国際調査報告】