(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】先端部分が径方向延在切れ刃を有し、凹形及び凸形切削副部分を有する切削外形部を形成する、回転可能切削ヘッド
(51)【国際特許分類】
B23B 51/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B23B51/00 T
B23B51/00 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555142
(86)(22)【出願日】2022-03-21
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 IL2022050312
(87)【国際公開番号】W WO2022224236
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】シットリット,シモン
(72)【発明者】
【氏名】ヤノブスキー,アナトリー
【テーマコード(参考)】
3C037
【Fターム(参考)】
3C037AA07
3C037BB01
3C037BB08
3C037BB11
3C037DD01
(57)【要約】
中心軸回りに回転可能な切削ヘッドは、先端部分と中間部分とを含む。先端部分は、中心軸内に含まれる軸方向最前先端点と、少なくとも2つの軸方向前向き前面と、を有し、各前面は、径方向延在切れ刃を有する。中間部分は、少なくとも2つのチップ排出通路と円周方向に交互である少なくとも2つのヘッド・ランドを有し、各ヘッド・ランドは、先端部分から軸方向後方に延在するリーディング・エッジを有する。切れ刃は、仮想環状リング面内に含まれ、中心軸を含む第1の仮想径方向平面は、仮想環状リング面に交差し、2つの仮想径方向切削外形部を形成する。各仮想径方向切削外形部は、連続的に径方向外側に延在する第1の切削外形部分と第2の切削外形部分と第3の切削外形部分とを有し、第2の切削外形部分は、第1の凸形副部分によって離間する第1の凹形副部分と第2の凹形副部分とを含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転方向(RD)で中心軸(A1)回りに回転可能な切削ヘッド(20)であって、前記中心軸(A1)は、前-後軸方向(DF、DR)を画定し、
前記切削ヘッド(20)は、先端部分(22)と、中間部分(24)と、を備え、
前記先端部分(22)は、前記中心軸(A1)内に含まれる軸方向最前先端点(NT)、少なくとも1つのチゼル・エッジ(28)を形成する少なくとも2つの軸方向前向き前面(26)を有し、
前記少なくとも1つのチゼル・エッジ(28)は、前記先端点(NT)から延在するか又は前記先端点(NT)を含み、
前記少なくとも1つのチゼル・エッジ(28)は、少なくとも2つの径方向最外チゼル終了点(NRC)を有し、
各前記前面(26)は、前記径方向最外チゼル最終点(NRC)の1つから径方向外側に延在する切れ刃(30)を有し、
前記中間部分(24)は、少なくとも2つのチップ排出通路(44)と円周方向に交互である少なくとも2つのヘッド・ランド(42)を有し、
各前記ヘッド・ランド(42)は、前記先端部分(22)から軸方向後方に延在するリーディング・エッジ(46)を有し、
各前記チップ排出通路(44)は、ヘッド溝(48)を有し、
前記ヘッド溝(48)は、前記先端部分(22)から軸方向後方に延在し、前記リーディング・エッジ(46)の1つに交差し、
各前記リーディング・エッジ(46)は、軸方向最前終了点(NFA)を有し、
前記少なくとも2つの軸方向最前終了点(NFA)は、仮想切削円(CC)を画定し、
前記仮想切削円(CC)は、切削直径(DC)及び前記中心軸(A1)と一致する中心を有し、
少なくとも2つの前記切れ刃(30)は、前記中心軸(A1)回りに円対称を呈する仮想3次元環状リング面(SA)内に含まれ、
前記中心軸(A1)を含み前記仮想環状リング面(SA)に交差する第1の仮想径方向平面(PR1)で取られた断面において、前記仮想環状リング面(SA)は、2つの仮想径方向切削外形部(PRC)を形成し、各前記仮想径方向切削外形部(PRC)は、連続的に径方向外側に延在する第1の切削外形部分(PCP1)と第2の切削外形部分(PCP2)と第3の切削外形部分(PCP3)とを含み、
各前記第1の切削外形部分(PCP1)は、第1の径方向最内終了点(NRI1)及び第1の径方向最外終了点(NROl)を有し、前記中心軸(A1)から離れて径方向外側及び軸方向後方に延在し、
各前記第2の切削外形部分(PCP2)は、第2の径方向最内終了点(NRI2)及び第2の径方向最外終了点(NRO2)を有し、第1の湾曲凸形副部分(CVX1)によって離間される第1の湾曲凹形副部分(CCV1)と第2の湾曲凹形副部分(CCV2)とを含み、
前記第2の凹形副部分(CCV2)全体は、前記第1の凹形副部分(CCV1)全体の径方向外側及び軸方向後方に位置し、
前記第2の切削外形部分(PCP2)の1つに沿った任意の点に正接する第1の仮想直線(L1)は、前記中心軸(A1)に直交するか、又は、前記中心軸(A1)から離れて径方向外側及び軸方向後方に傾斜する、切削ヘッド(20)。
【請求項2】
第3の仮想直線(L3)は、同時に、前記仮想径方向切削外形部(PRC)の1つの前記第1の凹形副部分(CCV1)及び前記第2の凹形副部分(CCV2)のそれぞれに沿って第1の正接点(NT1)及び第2の正接点(NT2)に正接し、
前記第3の仮想直線(L3)は、前記中心軸(A1)と第2の傾斜鋭角(α2)を形成し、
前記第2の傾斜角(α2)は、55度の最小値及び80度の最大値を有する、請求項1に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項3】
関連する前記仮想径方向切削外形部(PRC)全体は、前記第1の正接点(NT1)及び前記第2の正接点(NT2)とは別に、前記第3の仮想直線(L3)の一方の側に位置する、請求項2に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項4】
前記第1の凹形副部分(CCV1)及び前記第2の凹形副部分(CCV2)は、第1の凹形半径(RCV1)及び第2の凹形半径(RCV2)をそれぞれ有し、
前記第1の凹形半径(RCV1)及び前記第2の凹形半径(RCV2)のそれぞれは、前記切削直径(DC)の15パーセント未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項5】
前記第1の凸形副部分(CVX1)は、第1の凸形半径(RCX1)を有し、
前記第1の凸形半径(RCX1)は、前記第1の凹形半径(RCX1)及び前記第2の凹形半径(RCV2)のそれぞれを超える、請求項4に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項6】
前記第1の凸形半径(RCX1)は、第3の角度範囲(EA3)を有し、
前記第3の角度範囲(EA3)は、30度を超える、請求項5に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項7】
2つの前記第2の径方向最内終了点(NRI2)は、第2の仮想円(C2)上にあり、
前記第2の仮想円(C2)は、第2の直径(D2)、及び前記中心軸(A1)と一致する中心を有し、
前記第2の直径(D2)は、前記切削直径(DC)の10~30パーセントの間である、請求項1~6のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項8】
2つの前記第2の径方向最外終了点(NRO2)は、第3の仮想円(C3)上にあり、
前記第3の仮想円(C3)は、第3の直径(D3)、及び前記中心軸(A1)と一致する中心を有し、
前記第3の直径(D3)と前記第2の直径(D2)との間の差は、前記切削直径(DC)の25パーセントを超える、請求項7に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項9】
各前記第1の切削外形部分(PCP1)は、前記中心軸(A1)から離れて径方向外側及び軸方向後方に直線的に延在し、前記中心軸(A1)と第1の傾斜鋭角(α1)を形成し、
前記第1の傾斜角(α1)は、45度の最小値及び70度の最大値を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項10】
前記第1の径方向最外終了点(NRO1)は、前記第2の切削外形部分の前記第2の径方向最内終了点(NRI2)と一致する、請求項1~9のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項11】
少なくとも2つの前記径方向最外チゼル終了点(NRC)は、第1の仮想円(C1)を画定し、
前記第1の仮想円(C1)は、第1の切削直径(D1)、及び前記中心軸(A1)と一致する中心を有し、
2つの前記第1の径方向最内終了点(NRI1)は、前記第1の仮想円(C1)上にある、請求項1~10のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項12】
各前記第3の切削外形部分(PCP3)は、凸形である、請求項1~11のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項13】
各前記第3の切削外形部分(PCP3)は、第3の径方向最内終了点(NRI3)及び第3の径方向最外終了点(NRO3)を有し、前記中心軸(A1)から離れて径方向外側及び軸方向後方に連続的に延在する、請求項1~12のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項14】
前記第3の径方向最内終了点(NRI3)は、前記第2の切削外形部分の前記第2の径方向最外終了点(NRO2)と一致する、請求項13に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項15】
第6の仮想直線(L6)は、前記第3の径方向最外終了点(NRO3)に隣接する前記第3の切削外形部分(PCP3)の1つに沿って第3の正接点(NT3)に正接し、
前記第6の仮想直線(L6)は、前記中心軸(A1)と第3の傾斜鋭角(α3)を形成し、
前記第3の傾斜角(α3)は、60度の最小値及び80度の最大値を有する、請求項13又は14に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項16】
前記第3の径方向最外終了点(NRO3)は、前記仮想切削円(CC)上にある、請求項13~15のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項17】
各切れ刃(30)は、径方向内側2次切れ刃部分(32)と、1次切れ刃部分(34)と、を有し、
前記1次切れ刃部分(34)は、前記2次切れ刃部分(32)から直接、又は移行切れ刃部分(36)を介して、径方向外側に延在し、
各前記前面(26)は、関連する前記1次切れ刃部分(34)及び前記2次切れ刃部分(32)のそれぞれに隣接する1次逃げ面(38)と2次逃げ面(40)とを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項18】
各前記仮想径方向切削外形部(PRC)の前記第2の凹形副部分(CCV2)は、前記1次切れ刃部分(34)によって少なくとも部分的に画定され、
各前記1次切れ刃部分(34)は、各前記1次切れ刃部分(34)が径方向外側に延在するように回転し、後方に延在する、請求項17に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項19】
各前記仮想径方向切削外形部(PRC)の前記第1の凹形副部分(CCV1)は、前記2次切れ刃部分(32)によって完全に画定され、
各前記仮想径方向切削外形部(PRC)の前記第1の凸形副部分(CVX1)は、前記2次切れ刃部分(32)によって少なくとも部分的に画定され、
前記切削ヘッド(20)の前端図において、各前記2次切れ刃部分(32)は、直線である、請求項17又は18に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項20】
前記切削ヘッド(20)の前端図において、各前記移行切れ刃部分(36)は、凸形である、請求項17~19のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項21】
各前記1次切れ刃部分(34)は、前記ヘッド溝(48)の1つと前記1次逃げ面(38)の1つとの交線に形成され、
1次すくい面(52)は、関連する前記1次切れ刃部分(34)に隣接する各前記ヘッド溝(48)上に配設され、
前記中心軸(A1)に平行であり、前記1次切れ刃部分(34)の1つに交差する第1の横断平面(PT1)において、前記第1の横断平面(PT1)の長さに沿った任意の点で取られた断面において、前記1次すくい面(52)は、前記中心軸(A1)に平行な第1の仮想垂直基準線(VL1)に対して第1の軸方向すくい角(β1)で傾斜し、
前記第1の軸方向すくい角(β1)は、正である、請求項17~20のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項22】
各前記チップ排出通路(44)は、刃溝(50)を有し、
前記刃溝(50)は、前記先端部分(22)から軸方向後方に延在し、前記ヘッド溝(48)の1つに交差し、
各前記2次切れ刃部分(32)は、前記刃溝(50)の1つと前記2次逃げ面(40)の1つとの交線に形成され、
2次すくい面(54)は、関連する前記2次切れ刃部分(32)に隣接する各前記ヘッド溝(50)上に配設され、
前記中心軸(A1)に平行であり、前記2次切れ刃部分(32)の1つに交差する第2の横断平面(PT2)において、前記第2の横断平面(PT2)の長さに沿った任意の点で取られた断面において、前記2次すくい面(54)は、前記中心軸(A1)に平行な第2の仮想垂直基準線(VL2)に対して第2の軸方向すくい角(β2)で傾斜し、
前記第2の軸方向すくい角(β2)は、負である、請求項17~21のいずれか1項に記載の切削ヘッド(20)。
【請求項23】
回転方向(RD)で中心軸(A1)回りに回転可能な切削ヘッド(20)であって、前記中心軸(A1)は、前-後軸方向(DF、DR)を画定し、
前記切削ヘッド(20)は、先端部分(22)と、中間部分(24)と、を備え、
前記先端部分(22)は、前記中心軸(A1)内に含まれる軸方向最前先端点(NT)、少なくとも1つのチゼル・エッジ(28)を形成する少なくとも2つの軸方向前向き前面(26)を有し、
前記少なくとも1つのチゼル・エッジ(28)は、前記先端点(NT)から延在するか又は前記先端点(NT)を含み、
前記少なくとも1つのチゼル・エッジ(28)は、第1の仮想円(C1)を画定する少なくとも2つの径方向最外チゼル終了点(NRC)を有し、
各前記前面(26)は、前記径方向最外チゼル最終点(NRC)の1つから径方向外側に延在する切れ刃(30)を有し、
前記中間部分(24)は、少なくとも2つのチップ排出通路(44)と円周方向に交互である少なくとも2つのヘッド・ランド(42)を有し、
各前記ヘッド・ランド(42)は、前記先端部分(22)から軸方向後方に延在するリーディング・エッジ(46)を有し、
各前記チップ排出通路(44)は、ヘッド溝(48)を有し、
前記ヘッド溝(48)は、前記先端部分(22)から軸方向後方に延在し、前記リーディング・エッジ(46)の1つに交差し、
各前記リーディング・エッジ(46)は、軸方向最前終了点(NFA)を有し、
前記少なくとも2つの軸方向最前終了点(NFA)は、仮想切削円(CC)を画定し、
前記仮想切削円(CC)は、切削直径(DC)及び前記中心軸(A1)と一致する中心を有し、
前記少なくとも2つの切れ刃(30)は、前記中心軸(A1)回りに円対称を呈する仮想3次元環状リング面(SA)内に含まれ、
前記中心軸(A1)を含む第1の仮想径方向平面(PR1)上の各前記切れ刃(30)の円周突起は、仮想径方向切削外形部(PRC)を形成し、
前記仮想径方向切削外形部(PRC)は、前記第1の仮想円(C1)上の径方向最内終了点(NRI1)及び前記切削円(CC)上の径方向最外終了点(NRO3)を有し、
前記径方向最内終了点(NRI1)と前記径方向最外終了点(NRO3)との間で、各前記仮想径方向切削外形部(PRC)は、円滑に湾曲し、軸方向後方向に単調に延在し、第1の凸形副部分(CVX1)によって離間する2つの凹形副部分(CCV1、CCV2)を含む、切削ヘッド(20)。
【請求項24】
各前記仮想径方向切削外形部(PRC)は、連続的に径方向外側に延在する第1の切削外形部分(PCP1)と第2の切削外形部分(PCP2)と第3の切削外形部分(PCP3)とを含み、
各前記第1の切削外形部分(PCP1)は、前記第1の径方向最内終了点(NRI1)及び前記第1の径方向最外終了点(NROl)を有し、前記中心軸(A1)から離れて径方向外側及び軸方向後方に延在し、
各前記第2の切削外形部分(PCP2)は、第2の径方向最内終了点(NRI2)及び第2の径方向最外終了点(NRO2)を有し、前記第1の凸形副部分(CVX1)によって離間される前記第1の凹形副部分(CCV1)と前記第2の凹形副部分(CCV2)とを含み、
前記第2の凹形副部分(CCV2)全体は、前記第1の凹形副部分(CCV1)全体の径方向外側及び軸方向後方に位置し、
第1の仮想直線(L1)は、前記第2の切削外形部分(PCP2)の1つに沿った任意の点に正接し、
前記第1の仮想直線(L1)は、前記中心軸(A1)に直交するか、又は、前記中心軸(A1)から離れて径方向外側及び軸方向後方に傾斜する、請求項23に記載の切削ヘッド(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に金属切削加工で使用するため、及び詳細には穴あけ作業のための、先端部分が径方向延在切れ刃を有する回転可能切削ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
穴あけ作業で使用される切削工具の分野において、先端部分が径方向延在切れ刃を有し、段付き副部分を有する切削外形部を形成する回転可能切削ヘッドのいくつかの例がある。
【0003】
US2011/0116884A1は、複数のらせん部品を有するビット・ヘッドを含むらせんビット工具を開示している。各らせん部品は、切削動作方向に面する横切れ刃を有する。切削動作方向に面する横切れ刃の表面は、切削面を形成する。切削面の裏面は、後切削面を形成する。段領域は、ビッド・ヘッドの上面上に形成され、段領域において、高さが上面中心から外側面に次第に低くなる1つの段又は複数の段が形成される。全ての段の外周部は、ビット・ヘッドの外周部に対して傾斜する。いくつかの実施形態では、各段に関連する弓形溝も存在し得る。そのような段及び溝のために、各横切れ刃の外形部は、不連続であり、したがって、円滑に湾曲していない。面取り表面は、後切削面がビット・ヘッドの段領域及び上面と接続する場所上に形成される。直立切削面は、上面の中心付近の面取り表面の側部上に形成される。面取り表面の交差、ビット・ヘッドの段領域及び上面は、後切れ刃を形成する。直立切削面と段領域との交線は、その裏側でチゼルを形成する。
【0004】
WO2013/143348A1は、高強度及び高硬度合金材料上に微細な穴をあけるツイスト・ドリルを開示しており、ツイスト・ドリルは、ブレード背面と、ツイスト・ドリル本体と、主切れ刃と、横切れ刃と、を備える。主切れ刃は、主に、複数段の付いた傾斜エッジ、複数段の付いた平坦エッジ、複数段の付いた案内エッジ、孔ぐりエッジ、孔ぐり及び仕上げエッジ、チゼル・エッジ薄肉化の後に形成される内側エッジ、及びチゼル・エッジから構成され、互いに連結される。やはり、これらの段のために、各横切れ刃の外形部は、不連続であり、したがって、円滑に湾曲していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
工作物に円滑に貫入するように構成された先端部分を有する、改善された回転可能切削ヘッドを提供することは、本発明の一目的である。
【0006】
切れ刃応力が低減した状態で穴あけ作業を実施するように構成された先端部分を有する、改善された回転可能切削ヘッドを提供することも、本発明の一目的である。
【0007】
効率的に正確に製造し得る先端部分を有する、改善された回転可能切削ヘッドを提供することは、本発明の更なる目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、回転方向で中心軸回りに回転可能な切削ヘッドが提供され、中心軸は、前-後軸方向を画定し、
切削ヘッドは、先端部分と、中間部分と、を備え、
先端部分は、中心軸内に含まれる軸方向最前先端点、少なくとも1つのチゼル・エッジを形成する少なくとも2つの軸方向前向き前面を有し、
少なくとも1つのチゼル・エッジは、先端点から延在するか又は先端点を含み、
少なくとも1つのチゼル・エッジは、少なくとも2つの径方向最外チゼル終了点を有し、
各前面は、径方向最外チゼル最終点の1つから径方向外側に延在する切れ刃を有し、
中間部分は、少なくとも2つのチップ排出通路と円周方向に交互である少なくとも2つのヘッド・ランドを有し、
各ヘッド・ランドは、先端部分から軸方向後方に延在するリーディング・エッジを有し、
各チップ排出通路は、ヘッド溝を有し、
ヘッド溝は、先端部分から軸方向後方に延在し、リーディング・エッジの1つに交差し、
各リーディング・エッジは、軸方向最前終了点を有し、
少なくとも2つの軸方向最前終了点は、仮想切削円を画定し、
仮想切削円は、切削直径、及び中心軸と一致する中心を有し、
少なくとも2つの切れ刃は、中心軸回りに円対称を呈する仮想環状リング面内に含まれ、
中心軸を含み、仮想環状リング面に交差する第1の仮想径方向平面で取られた断面において、仮想環状リング面は、2つの仮想径方向切削外形部を形成し、各仮想径方向切削外形部は、連続的に径方向外側に延在する第1の切削外形部分と第2の切削外形部分と第3の切削外形部分とを含み、
各第1の切削外形部分は、第1の径方向最内終了点及び第1の径方向最外終了点を有し、中心軸から離れて径方向外側及び軸方向後方に延在し、
各第2の切削外形部分は、第2の径方向最内終了点及び第2の径方向最外終了点を有し、第1の凸形副部分によって離間される第1の凹形副部分と第2の凹形副部分とを含み、
第2の凹形副部分全体は、第1の凹形副部分全体の径方向外側及び軸方向後方に位置し、
第1の仮想直線は、第2の切削外形部分の1つに沿った任意の点に正接し、
第1の仮想直線は、中心軸に直交するか、又は中心軸から離れて径方向外側及び軸方向後方に傾斜する。
【0009】
より良好に理解するため、次に、添付の図面を参照しながら本発明を単に例として説明する。図面において、鎖線は、部材の部分図の切断境界線を表す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】線IV-IVに沿って取られた、
図2に示される切削ヘッドの断面図である。
【
図5】
図4に示される切削ヘッドの詳細な断面図である。
【
図6】線VI-VIに沿って取られた、
図2に示される切削ヘッドの断面図である。
【
図7】線VII-VIIに沿って取られた、
図2に示される切削ヘッドの断面図である。
【
図9】
図8に示される回転切削工具の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、
図1~
図3に注意を向けられたい。
図1~
図3は、先端部分22と中間部分24とを備える、回転方向RDで中心軸A1回りに回転可能な切削ヘッド20を示す。
【0012】
中心軸A1は、前-後軸方向DF、DRを画定する。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、切削ヘッド20は、炭化タングステン等の超硬合金を成形プレス加工し、焼結することによって製造し得、被覆しても、被覆しなくてもよい。
【0014】
図1~
図3に示すように、先端部分22は、中心軸A1内に含まれる軸方向最前先端点NT、及び少なくとも1つのチゼル・エッジ28を形成する少なくとも2つの軸方向前向き前面26を有し、少なくとも1つのチゼル・エッジ28は、先端点NTから延在するか又は先端点NTを含む。
【0015】
また、
図1~
図3示すように、少なくとも1つのチゼル・エッジ28は、少なくとも2つの径方向最外チゼル終了点NRCを有する。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態では、少なくとも2つの径方向最外チゼル終了点NRCは、第1の仮想円C1を画定し得、第1の仮想円C1は、第1の切削直径D1、及び中心軸A1と一致する中心を有する。
【0017】
また、本発明のいくつかの実施形態では、
図1~
図3に示されるように、先端部分22は、中心軸A1に直交し先端点NTを含む単一チゼル・エッジ28を有し得、単一チゼル・エッジ28は、2つの径方向最外チゼル終了点NRCを有し得る。
【0018】
本発明の他の実施形態では(図示せず)では、先端部分22は、先端点NTから離れて軸方向後方に延在する少なくとも2つのチゼル・エッジを有し得、各チゼル・エッジは、単一の径方向最外チゼル終了点を有する。
【0019】
図1~
図3に示されるように、各前面26は、径方向最外チゼル最終点NRCの1つから径方向外側に延在する切れ刃30を有する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態では、先端部分22は、厳密に2つの前面26と、厳密に2つの切れ刃30と、を有し得る。
【0021】
また、本発明のいくつかの実施形態では、各切れ刃30は、径方向内側2次切れ刃部分32と、前記2次切れ刃部分32から直接、又は移行切れ刃部分36を介して、径方向外側に延在する1次切れ刃部分34と、を有し得る。
【0022】
図2に示されるように、各切れ刃30の1次切れ刃部分32及び1次切れ刃部分34が、移行切れ刃部分36によって離間する本発明の実施形態の場合、切削ヘッド20の前端図において、各移行切れ刃部分36は、凸形とし得る、即ち、各移行切れ刃部分36は、凸形状とし得る。
【0023】
図1~
図3に示されるように、各前面26は、関連する1次切れ刃部分34及び2次切れ刃部分32のそれぞれに隣接する1次逃げ面38と2次逃げ面40とを含み得る。
【0024】
また、
図1~
図3に示されるように、中間部分24は、少なくとも2つのチップ排出通路44と円周方向に交互である少なくとも2つのヘッド・ランド42を有し、各ヘッド・ランド42は、先端部分22から軸方向後方に延在するリーディング・エッジ46を有し、各チップ排出通路44は、ヘッド溝48を有し、ヘッド溝48は、先端部分22から軸方向後方に延在し、リーディング・エッジ46の1つに交差する。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態では、各1次切れ刃部分34は、ヘッド溝48の1つと1次逃げ面38の1つとの交線に形成し得る。
【0026】
図1~
図3に示されるように、各チップ排出通路44は、刃溝50を有し得、刃溝50は、先端部分22から軸方向後方に延在し、ヘッド溝48の1つに交差する。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、各2次切れ刃部分32は、刃溝50の1つと2次逃げ面40の1つとの交線に形成し得る。
【0028】
図1~
図3に示されるように、各リーディング・エッジ46は、軸方向最前終了点NFAを有し、少なくとも2つの軸方向最前終了点NFAは、仮想切削円CCを画定し、仮想切削円CCは、切削直径DC、及び中心軸A1と一致する中心を有する。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、切削ヘッド20は、中心軸A1回りに2回回転対称を呈し得る。
【0030】
図1~
図3に示されるように、少なくとも2つの切れ刃30は、中心軸A1回りに円対称を呈する仮想環状リング面SA内に含まれる。
【0031】
仮想環状リング面SAは、概して円錐台の3次元形状を画定することを理解されたい。
【0032】
したがって、各切れ刃30は、中心軸A1回りに360°回転させると、同じ仮想3次元環状リング面SAを描く。
【0033】
図4に示すように、中心軸A1を含み、仮想環状リング面SAに交差する第1の仮想径方向平面PR1で取られた断面において、仮想環状リング面SAは、2つの仮想径方向切削外形部PRCを形成し、各仮想径方向切削外形部PRCは、連続的に径方向外側に延在する第1の切削外形部分PCP1と第2の切削外形部分PCP2と第3の切削外形部分PCP3とを含む。
【0034】
この場合、各仮想径方向切削外形部PRCは、第1の仮想径方向平面PR1上における、切れ刃30の1つの周方向突起であることを理解されたい。また、所与の径方向切削外形部PRCを構成する切削外形部分PCP1、PCP2、PCP3は、必ずしも、関連する切れ刃30のそれぞれの1次切れ刃部分34、2次切れ刃部分32及び移行切れ刃部分36に対応しないことに留意されたい。
【0035】
第1の仮想径方向平面PR1は、任意の回転位置で仮想環状リング面SAに交差し得るが、
図4及び
図5を好都合に理解するために、
図2は、先端部分の前面26に交差する第1の仮想径方向平面PR1を示す。
【0036】
図4に示すように、第1の仮想径方向平面PR1で取られた断面において、2つの仮想径方向切削外形部PRCは、中心軸A1回りに鏡面対称を呈する。
【0037】
図4及び
図5に示すように、各第1の切削外形部分PCP1は、第1の径方向最内終了点NRI1及び第1の径方向最外終了点NROlを有し、各第1の切削外形部分PCP1は、中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向後方に延在する。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態では、各第1の切削外形部分PCP1は、中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向後方に直線的に延在し得る。
【0039】
図5に示すように、各第1の切削外形部分PCP1は、中心軸A1と第1の傾斜鋭角α1を形成し得る。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の傾斜角α1は、45度の最小値及び70度の最大値を有する、即ち、45°≦α1≦70°とし得る。
【0041】
また、本発明のいくつかの実施形態では、2つの第1の径方向最内終了点NRI1は、第1の仮想円C1上にあり得る。
【0042】
図4及び
図5に示すように、各第2の切削外形部分PCP2は、第2の径方向最内終了点NRI2及び第2の径方向最外終了点NRO2を有し、第1の凸形副部分CVX1によって離間される第1の凹形副部分CCV1と第2の凹形副部分CCV2とを含む。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の凹形副部分CCV1及び第2の凹形副部分CCV2のそれぞれは、湾曲し得る。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の凸形副部分CVX1も湾曲し得る。
【0045】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、各第1の凸形副部分CVX1は、隣接する第1の凹形副部分CCV1及び第2の凹形副部分CCV2に正接して隣接し得る。
【0046】
中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向後方に延在するように各第1の切削外形部分PCP1を構成し、前記第1の凸形副部分CVX1によって離間する前記第1の凹形副部分CCV1及び前記第2の凹形副部分CCV2を含むように各第2の切削外形部分PCP2を構成すると、有利には、工作物への先端部分22の円滑な貫入を促進することを理解されたい。
【0047】
図1~
図5に示されるように、各仮想径方向切削外形部PRCの第1の凹形副部分CCV1は、2次切れ刃部分32によって完全に画定し得、各仮想径方向切削外形部PRCの第1の凸形副部分CVX1は、2次切れ刃部分32によって少なくとも部分的に画定し得る。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態では、
図2に示すように、切削ヘッド20の前端図において、各2次切れ刃部分32は、直線とし得る。
【0049】
図1~
図5に示されるように、各仮想径方向切削外形部PRCの第2の凹形副部分CCV2は、1次切れ刃部分34によって少なくとも部分的に画定し得る。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態では、各1次切れ刃部分34は、各1次切れ刃部分34が径方向外側に延在するように回転し、後方に延在し得る。
【0051】
第2の切削外形部分PCP2の所望の構成を達成するため、1次逃げ面38及び2次逃げ面40は、かなり正確な製造方法により生成し得ることを理解されたい。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態では、1次逃げ面38及び2次逃げ面40は、複雑な研削加工によって生成し得る。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態では、各第1の径方向最外終了点NRO1は、隣接する第2の切削外形部分の第2の径方向最内終了点NRI2と一致し得る。
【0054】
図2に示すように、2つの第2の径方向最内終了点NRI2は、第2の仮想円C2上にあり、第2の仮想円C2は、第2の直径D2、及び中心軸A1と一致する中心を有する。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の直径D2は、切削直径DCの10~30パーセントの間である、即ち、DC×0.10<D2<DC×0.30とし得る。
【0056】
図2に示すように、2つの第2の径方向最外終了点NRO2は、第3の仮想円C3上にあり、第3の仮想円C3は、第3の直径D3、及び中心軸A1と一致する中心を有する。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態では、第3の直径D3は、切削直径DCの40~60パーセントの間である、即ち、DC×0.40<D3<DC×0.60とし得る。
【0058】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第3の直径D3と第2の直径D2との間の差は、切削直径DCの25パーセントを超える、即ち、D3-D2>DC×0.25とし得る。
【0059】
第3の直径D3と第2の直径D2との間の差が、切削直径DCの25パーセントを超える本発明の実施形態の場合、第2の切削外形部分PCP2は、工作物への先端部分22の円滑な貫入をもたらすのに著しく寄与することを理解されたい。
【0060】
図5に示すように、第2の凹形副部分CCV2全体は、第1の凹形副部分CCV1の径方向外側及び軸方向後方に位置する。
【0061】
また、
図4に示すように、第1の仮想直線L1は、第2の切削外形部分PCP2の1つに沿った任意の点に正接し、第1の仮想直線L1は、中心軸A1に直交するか、又は中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向後方に傾斜する。又は言い換えれば、第1の仮想直線L1は、中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向前方に傾斜しない。
【0062】
第1の仮想直線L1が中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向前方に傾斜しないように各第2の切削外形部分PCP2を構成すると、有利には、各第2の切削外形部分PCP2には、軸方向の「くぼみ」がなく、穴あけ作業の間、このくぼみと関連する高い切れ刃応力がないことを理解されたい。
【0063】
各第2の切削外形部分PCP2をその長さに沿って軸方向の「くぼみ」がないように構成すると、有利には、1次逃げ面38及び2次逃げ面40の製造性を改善することを理解されたい。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態では、
図4に示すように、中心軸A1に直交し、第2の切削外形部分PCP2の1つの任意の点に交差する第2の仮想直線L2は、前記第2の切削外形部分PCP2に一度だけ横断する。
【0065】
図5に示すように、第3の仮想直線L3は、同時に、仮想径方向切削外形部PRCの1つの第1の凹形副部分CCV1及び第2の凹形副部分CCV2のそれぞれに沿って第1の正接点NT1及び第2の正接点NT2に正接し、第3の仮想直線L3は、中心軸A1と第2の傾斜鋭角α2を形成し得る。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の傾斜角α2は、55度の最小値及び80度の最大値を有する、即ち、55°≦α2≦80°とし得る。
【0067】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の傾斜角α1は、第2の傾斜角α2未満である、即ち、α1<α2とし得る。
【0068】
第1の傾斜角α1が第2の傾斜角α2未満であるように構成すると、有利には、工作物への先端部分22の円滑な貫入と組み合わされた、正確な心出しを促進することを理解されたい。
【0069】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の正接点NT1及び第2の正接点NT2とは別に、関連する仮想径方向切削外形部PRC全体は、第3の仮想直線L3の一方の側に位置し得る。
【0070】
図5に示すように、第1の凹形副部分CCV1及び第2の凹形副部分CCV2は、第1の凹形半径RCV1及び第2の凹形半径RCV2をそれぞれ有する。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の凹形半径RCV1及び第2の凹形半径RCV2のそれぞれは、切削直径DCの50パーセント未満である、即ち、RCV1<DC×0.15、RCV2<DC×0.15とし得る。
【0072】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の凹形半径RCV1及び第2の凹形半径RCV2のそれぞれは、一定とし得る。
【0073】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の凹形半径RCV1及び第2の凹形半径RCV2のそれぞれは、3.0mm未満とし得る。
【0074】
図5に示すように、第1の凹形副部分CCV1及び第2の凹形副部分CCV2は、第1の角度範囲EA1及び第2の角度範囲EA2をそれぞれ有する。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の角度範囲EA2は、第1の角度範囲EA1を超え得る。
【0076】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第2の角度範囲EA2は、30度を超える、即ち、EA2>30°とし得る。
【0077】
図5に示すように、第1の凸形副部分CVX1は、第1の凸形半径RCX1を有する。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の凸形半径RCX1は、第1の凹形半径RCX1及び第2の凹形半径RCV2のそれぞれを超える、即ち、RCX1>RCV1、RCX1>RCV2とし得る。
【0079】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第1の凸形半径RCX1は、切削直径DCの30パーセント未満である、即ち、RCX1<DC×0.30とし得る。
【0080】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の凸形半径RCX1は、一定とし得る。
【0081】
また更に、本発明のいくつかの実施形態では、第1の凸形半径RCX1は、6.0mm未満とし得る。
【0082】
図5に示すように、第1の凸形副部分CVX1は、第3の角度範囲EA3を有する。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態では、第3の角度範囲EA3は、30度を超える、即ち、EA3>30°とし得る。
【0084】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第3の角度範囲EA3は、第1の角度範囲EA1を超え得る。
【0085】
更に、本発明のいくつかの実施形態では、第3の角度範囲EA3は、第2の角度範囲EA2と等しくし得る。
【0086】
第1の凸形半径RCX1が第1の凹形半径RCV1及び第2の凹形半径RCV2のそれぞれを超え、第3の角度範囲EA3が30度を超える本発明の実施形態の場合、第1の凸形副部分CVX1は、工作物への先端部分22の円滑な貫入をもたらすのに著しく寄与することを理解されたい。
【0087】
図4に示すように、第4の仮想直線L4は、仮想径方向切削外形部PRCの1つに沿った任意の点に正接し、第4の仮想直線L4は、中心軸A1に直交するか、又は中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向後方に傾斜し得る。又は言い換えれば、第4の仮想直線L4は、中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向前方に傾斜しない。
【0088】
第4の仮想直線L4が中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向前方に傾斜しないように各仮想径方向切削外形部PRCを構成すると、有利には、各仮想径方向切削外形部PRCに、軸方向の「くぼみ」がなく、穴あけ作業の間、このくぼみと関連する高い切れ刃応力がなくなることを理解されたい。
【0089】
各仮想径方向切削外形部PRCをその長さに沿って軸方向の「くぼみ」がないように構成すると、有利には、1次逃げ面38及び2次逃げ面40の製造性を改善することにも理解されたい。
【0090】
第4の仮想直線L4は、関連する第2の切削外形部分PCP2の同じ点に対して正接する場合、第1の仮想直線L1に対応し得ることを更に理解されたい。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態では、第5の仮想直線L5は、中心軸A1に直交し、仮想径方向切削外形部PRCの1つに沿った任意の点に交差し、第5の仮想直線L5は、前記仮想径方向切削外形部PRCに一度だけ横断し得る。
【0092】
第5の仮想直線L5は、関連する第2の切削外形部分PCP2の同じ点に交差する場合、第2の仮想直線L2に対応し得ることを理解されたい。
【0093】
図4及び
図5に示すように、各第3の切削外形部分PCP3は、第3の径方向最内終了点NRI3及び第3の径方向最外終了点NRO3を有する。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、各第3の径方向最内終了点NRI3は、隣接する第2の切削外形部分の第2の径方向最外終了点NRO2と一致し得る。
【0095】
また、本発明のいくつかの実施形態では、2つの第3の径方向最外終了点NRO3は、仮想切削円CC上にあり得る。
【0096】
各第1の切削外形部分PCP1の第1の径方向最内終了点NRI1は、関連する径方向切削外形部PRCの径方向最内点NRI1と一致し得る。一方、各第3の切削外形部分PCP3の第3の径方向最外終了点NRO3は、関連する径方向切削外形部PRCの径方向最外点NRO3と一致し得る。
図1~
図5に示すように、中心軸A1を含む第1の仮想径方向平面PR1で取られた断面において、各仮想径方向切削外形部PRCは、軸方向後方向DRで、径方向最内終了点NRI1と径方向最外終了点NRO3との間で単調に延在する。言い換えれば、径方向外側方向において、各仮想径方向切削外形部PRCは、常に、中心軸A1に直交するか、又は軸方向後方向に延在する。
【0097】
各仮想径方向切削外形部PRCは、軸方向後方向DRで単調に延在することに加えて、径方向最内終了点NRI1と径方向最外終了点NRO3との間で円滑に湾曲し得る。言い換えれば、各仮想径方向切削外形部PRCは、上述のUS2011/0116884A1及びWO2013/143348A1で見られる種類の段によって生じるもの等の不連続さがなくてよい。したがって、所与の仮想径方向切削外形部PRCの長さに沿った接線の角度は、そのような段による飛び飛びの不連続さを経るのではなく、徐々に変化する。
【0098】
図4及び
図5に示すように、第1の仮想径方向平面PR1上の各切れ刃30の円周突起は、仮想径方向切削外形部PRCを形成し、仮想径方向切削外形部PRCは、第1の仮想円C1上の径方向最内終了点NRI1及び切削円CC上の径方向最外終了点NRO3を有し得る。更に、径方向最内終了点NRI1と径方向最外終了点NRO3との間に、各仮想径方向切削外形部PRCは、第1の凸形副部分CVX1によって離間する2つの凹形副部分CCV1、CCV2を含む。
【0099】
図4及び
図5に示すように、各第3の切削外形部分PCP3は、中心軸A1から離れて径方向外側及び軸方向後方に連続的に延在し得る。
【0100】
本発明のいくつかの実施形態では、各第3の切削外形部分PCP3は、凸形とし得る。
【0101】
図5に示すように、第6の仮想直線L6は、第3の径方向最外終了点NRO3に隣接する第3の切削外形部分PCP3の1つに沿った第3の正接点NT3に正接し、第6の仮想直線L6は、中心軸A1と第3の傾斜鋭角α3を形成し得る。
【0102】
本発明のいくつかの実施形態では、第3の傾斜角α3は、60度の最小値及び80度の最大値を有する、即ち、60°≦α3≦80°とし得る。
【0103】
第3の傾斜角α3が60度を超えるように各第3の切削外形部分PCP3を構成すると、120度を超える広い進入角度を有する、工作物内への止まり穴の穴あけを可能にし、同じ穴軸に沿ったより小さい直径の穴の後続の穴あけに有利であり得ることを理解されたい。
【0104】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第3の傾斜角α3は、第1の傾斜角α1を超える、即ち、α3>α1とし得る。
【0105】
図1~
図3に示すように、1次すくい面52は、1次切れ刃部分38に隣接する各ヘッド溝48上に配設し得る。
【0106】
図6に示すように、中心軸A1に平行であり、1次切れ刃部分34の1つに交差する第1の横断平面PT1において、第1の横断平面PT1の長さに沿った任意の点で取られた断面において、1次すくい面52は、中心軸A1に平行な第1の仮想垂直基準線VL1に対して第1の軸方向すくい角β1で傾斜し得る。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の軸方向すくい角β1は、正とし得る。
【0108】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、1次すくい面52が、1次すくい面52が関連する1次切れ刃部分34から離れて延在するように回転し、後方に延在する構成において、第1の軸方向すくい角β1は、正であることを理解されたい。
【0109】
1次切れ刃部分34は、比較的より高速の切削速度のために、2次切れ刃部分32より多く摩耗を受けやすいこと、及び1次すくい面52が正である構成は、1次切れ刃部分34に対する摩耗を低減し、したがって、1次切れ刃部分34の動作寿命を延長することも理解されたい。
【0110】
図6に示すように、第1の横断平面PT1で取られた断面において、1次逃げ面38は、中心軸A1に直交する第1の仮想水平基準線HL1に対して第1の逃げ角λ1で傾斜し得る。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の逃げ角λ1は、5~12度の間の公称値を有する、即ち、5°<λ1<12°とし得る。
【0112】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、1次切れ刃部分34の1つに交差する横断平面で取られた任意の断面において、隣接する1次逃げ面38は、1次逃げ面38が1次切れ刃部分34から離れて延在するように軸方向後方に延在することを理解されたい。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態では、第1の逃げ角λ1は、1次切れ刃部分42の長さに沿って一定とし得る。
【0114】
図1~
図3に示すように、2次すくい面54は、関連する2次切れ刃部分32に隣接する各刃溝50上に配設される。
【0115】
図7に示すように、中心軸A1に平行であり、2次切れ刃部分32の1つに交差する第2の横断平面PT2において、第2の横断平面PT2の長さに沿った任意の点で取られた断面において、2次すくい面54は、中心軸A1に平行な第2の仮想垂直基準線VL2に対して第2の軸方向すくい角β2で傾斜し得る。
【0116】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の軸方向すくい角β2は、負とし得る。
【0117】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、2次すくい面54が、2次すくい面54が2次切れ刃部分32から離れて延在するように回転し、後方に延在する構成において、第2の軸方向すくい角β2は、負であることを理解されたい。
【0118】
2次切れ刃部分32は、特に高送り速度における比較的より遅い切削速度のために、1次切れ刃部分34より衝撃力を受けやすいこと、及び2次軸方向すくい角β2が負である構成は、2次切れ刃部分32に対する安定性及び頑強さを増大し、したがって、2次切れ刃部分32の動作寿命を延長することも理解されたい。
【0119】
図7に示すように、第2の横断平面PT2で取られた断面において、2次逃げ面40は、中心軸A1に直交する第2の仮想水平基準線HL2に対して第2の逃げ角λ2で傾斜し得る。
【0120】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の逃げ角λ2は、5~12度の間の公称値を有する、即ち、5°<λ2<12°とし得る。
【0121】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、2次切れ刃部分32の1つに交差する横断平面で取られた任意の断面において、隣接する2次逃げ面40は、2次逃げ面40が2次切れ刃部分32から離れて延在するように軸方向後方に延在することを理解されたい。
【0122】
本発明のいくつかの実施形態では、第2の逃げ角λ2は、2次切れ刃部分32の長さに沿って一定とし得る。
【0123】
また、本発明のいくつかの実施形態では、第2の逃げ角λ2は、第1の逃げ角λ1と等しい、即ち、λ2=λ1とし得る。
【0124】
第1の逃げ角λ1及び第2の逃げ角λ2は、公称値を1度超える又は公称値の1度未満の正確さを有し得ることを理解されたい。
【0125】
次に、本発明による回転切削工具56を示す
図8及び
図9に注意を向けられたい。回転切削工具56は、切削ヘッド20と、長手方向軸ALを有するシャンク58と、を備える。シャンク58は、2つのシャンク・ランド62と円周方向に交互である2つのシャンク溝60を有し、各シャンク溝60は、長手方向軸ALに沿ってらせん状に延在し得る。
【0126】
図8及び
図9に示すように、切削ヘッド20は、軸方向後向き底面64を有し得、シャンク58は、長手方向軸ALに横断する支持面66を有し得、切削ヘッド20は、底面64が支持面66と接触する状態でシャンク58に取り外し可能に組み付け得る。
【0127】
切削ヘッド20がシャンク58に取り外し可能に組み付けられる構成は、切削ヘッド20を炭化タングステン等の適切に硬い材料から製造し、シャンク58を、高速度鋼等のあまり硬くなく、あまり高額ではない材料から製造可能にする。シャンク58は、摩耗又は損傷した切削ヘッド20を処分した後、再利用可能とし得る。
【0128】
本発明のいくつかの実施形態では、各ヘッド溝48は、底面64に交差し、シャンク溝60の1つと協働し得る。
【0129】
また、本発明のいくつかの実施形態では、底面64は、中心軸A1に直交し得、支持面66は、長手方向軸ALに直交し得、中心軸A1は、長手方向軸ALと同軸とし得る。
【0130】
図8及び
図9に示すように、切削ヘッド20の中間部分24は、回転方向RDの反対側に面する少なくとも2つのトルク伝達面68を含み得、シャンク58は、少なくとも2つの駆動突起70を含み得、各駆動突起70は、回転方向RDに面する駆動面72を有し、各トルク伝達面68は、駆動面72の1つと接触し得る。
【0131】
本発明のいくつかの実施形態では、各トルク伝達面68は、前面26の1つに交差し得る。
【0132】
図8及び
図9に示すように、切削ヘッド20は、底面64から軸方向後方に延在する組付け突起74を含み得る。
【0133】
本発明の他の実施形態では(図示せず)、切削ヘッド20及びシャンク58は、単一の一体構造の一体部品、例えばむくドリルとし得、各ヘッド溝38は、シャンク溝60の1つと合併し得る。
【0134】
本発明をある程度詳細に説明してきたが、以下で請求する本発明の趣旨又は範囲から逸脱することなく様々な改変形態及び修正形態を行い得ることを理解されたい。
【国際調査報告】