(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61N5/06 B
A61N5/06 A
A61N5/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555288
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 IB2022053653
(87)【国際公開番号】W WO2022224140
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512069599
【氏名又は名称】ジェイケイ-ホールディング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルステンマイヤー, ユルゲン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC10
4C082PE10
4C082PG12
4C082PJ01
(57)【要約】
本発明は、ビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイス(1)に関する。デバイスは、280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するための少なくとも1つの第1の光源を備える。装置は、照射領域を検出するためのセンサユニットと、少なくとも1つの光源を照射領域と位置合わせするための指向ユニットとをさらに備える。デバイスはまた、照射領域を識別し、少なくとも1つの光源によって280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射の放出をトリガするように設計された制御ユニットを備える。本発明は、そのようなデバイスを制御するためのコンピュータプログラム製品をさらに含む。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.280~315nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するための少なくとも1つの第1の光源と、
b.照射領域を検出するためのセンサユニットと、
c.前記少なくとも1つの光源を前記照射領域と位置合わせするための指向ユニットと、
d.前記照射領域を識別するように、かつ前記少なくとも1つの光源による280~315nmの範囲内の波長を含む光放射の放出をトリガするように設計された制御ユニットと、
を備える、ビタミンD
3の生合成を刺激するためのデバイス。
【請求項2】
前記センサユニットが、光学センサ、特にカメラを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記制御ユニットが、識別された照射領域に基づいて、前記指向ユニットによる前記第1の光源の位置合わせを制御するように設計される、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の光源による光放射の前記放出から光線の指向ビームを生成するための収束ユニットを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記収束ユニットが、レンズおよび/またはコリメータを備え、特に、前記第1の光源による光放射の前記放出から光線の指向束を生成するための収束レンズを有するコリメータを備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
可視範囲内の波長、特に380nm~720nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するための第2の光源を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
近赤外範囲内、特に720nm~1800nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するための第3の光源を備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御ユニットが、照射領域内の人間の顔を識別するように設計される、請求項1~7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記制御ユニットが、予め定められた照射領域を識別するように設計される、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
データを交換するための通信ユニットを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の光源および/または前記第2の光源および/または前記第3の光源および前記センサユニットが、前記指向ユニットによって前記照射領域に共同で向けられ得るように物理的に結合される、請求項1~10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記指向ユニットが、少なくとも2つの軸線、特に、光源を少なくとも2つの軸線上で旋回させるために少なくとも1つの回転可能に装着されたスタンドベースおよび回転可能に装着されたツールアームにおいて旋回可能であるように設計される、請求項1~11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記照射領域が、40cm
2~900cm
2、特に50cm
2~600cm
2、特に約400cm
2の面積を有する皮膚領域である、請求項1~12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記照射領域の前記皮膚領域が、調整可能な収束ユニットによって画定可能である、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
a.センサユニットによって検出された照射領域を予め定められた照射領域と比較するように設計され、かつ
b.前記検出された照射領域が照射から除外される照射領域に該当しない場合、少なくとも1つの第1の光源によって280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射の放出をトリガするように設計される、
ビタミンD
3の生合成を刺激するためのデバイス、特に請求項1~13のいずれか一項に記載のデバイスの制御を行うためのコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
照射から除外される照射領域が、人間の顔、1つ以上の色素性母斑がある皮膚領域、痂皮、創傷および/または瘢痕組織がある皮膚領域、ならびに280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射で予め定められた時間間隔内に既に照射されている皮膚領域からなる群から選択される照射領域である、請求項15に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
特定の照射領域に時間間隔を割り当てるように設計され、前記照射領域には280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射が照射される、請求項15または16に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記センサユニットを制御する前記コンピュータプログラム製品による予め定められた照射領域の探索を制御するように設計される、請求項15~17のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
光学センサによって検出された各画像を、照射から除外される照射領域と比較するように設計される、請求項15~18のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記センサユニットからの信号によって動作モードに入るように、特に照射から除外されない適切な照射領域を探索するように設計される、請求項15~19のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項21】
センサユニットが、前記光源の有効範囲内の照射から除外される照射領域を検出するとすぐに、280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射に照射領域を曝露させる、請求項15~20のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項22】
通信ユニットを介してサードパーティ装置上のビタミンD
3の生合成を刺激するためのデバイスの制御の実行を監視または構成するようにさらに設計される、請求項15~21のいずれか一項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項23】
サードパーティ装置上で実行可能であり、請求項1~14のいずれか一項に記載のデバイスのユーザデータを管理するように設計されたコンピュータプログラム製品であって、
a.前記ユーザデータが、スキンタイプ、年齢、職業、および生活習慣からなる群から選択されるデータを含み、かつ
b.前記コンピュータプログラム製品が、前記デバイスの通信ユニットと暗号化された形態で前記ユーザデータを交換するように設計される、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイスおよびデバイスを制御するためのコンピュータプログラム製品に関し、これらはすべて独立請求項の前文に従う。
【技術的背景】
【0002】
ビタミンは、生物にとって必須の物質であり、多くの代謝反応に関与し、免疫系に影響を及ぼす。ビタミンの中で、ビタミンDは特別な役割を果たす。ビタミンDは、ほとんどの脊椎動物が皮膚を紫外線に曝露することによって合成することができる親油性化合物である。これの主な理由は、太陽光中のUV-B成分、すなわち波長280nm~315nmの光放射である。
【0003】
ビタミンD3の補充は、様々な地域で、または主に屋内もしくは夜間の活動に従事する場合に必要である可能性がある。ビタミンDを含む食品に加えて、ビタミンDを栄養補助食品として摂取することもできる。ビタミンD錠剤を摂取する場合、吸収を促進するために対応する脂肪または油も摂取することが重要である。基本的に、ビタミンD濃度を、一定量の日光への毎日の曝露または適切な栄養補助剤によって十分なレベルに保つことができない環境では、日光への曝露で行われるように、光照射による皮膚を介した生合成を利用することが可能である。例えば、短い曝露時間でのサンルームへの訪問が、身体自体によるビタミンD3の生合成を十分なレベルに保つのに十分であり得る。ビタミンD3の生合成をさらに補助すると想定される日常使用のための光源と宣伝している製品が市場にますます出現している。しかしながら、280nm~315nmの波長範囲内の関連するUV放射は眼を損傷し得ることに留意することが重要である。A型およびB型のUV放射は、通常、眼の水晶体によって吸収されるため、経時的に混濁効果が生じ、外科的治療を必要とする白内障をもたらし得る。さらに、前記UV放射からの癌の一定のリスクがあるため、曝露を制御し、長期間にわたる曝露を行わないことが好ましい。
【0004】
とりわけ、夜間に規則的に仕事をしなければならない専門家集団、または、特に冬期において、毎日の日射が非常に低いかまたは存在しない場所に住む人々は、身体自体による自然なビタミンD3の生合成を可能にする光源から大いに恩恵を受ける。2020年のパンデミックにおいて、科学的研究はまた、重度のCOVID-19に対する防御効果を有し得るという、UV-B放射がビタミンD3合成によって裏付けられた強い証拠を見出した(Evidence of protective role of Ultraviolet-B(UVB)radiation in reducing COVID-19 deaths [Moozhipurath,R.K.,Kraft,L.and Skiera,B.,Sci Rep 10,17705[2020])。
【0005】
本発明の目的のために、この理論に拘束されることを望まないが、ビタミンD3およびその対応する誘導体の生合成は、290~315nmの波長、すなわち最小紅斑線量(MED)の少なくとも半分のエネルギーを有するUV B範囲内の波長の紫外線で行われる照射に関して想定されている。この目的のために、7-デヒドロコレステロールは、B環の光化学的に誘導される反応によって分解され、プレビタミンD3が形成される。このプレビタミンD3は不安定であり、反応してビタミンD3を形成する。血中では、ビタミンD結合タンパク質に結合し、肝臓に輸送され、そこでヒドロキシル化されてカルシトリオールを形成する。必要な前駆体、すなわち7-デヒドロコレステロールは、身体自体によって産生される。
【0006】
要約すると、身体自体によるビタミンD3の生合成を刺激または少なくとも補助することができるデバイスが必要とされている。これらのデバイスは、使用時に有害な副作用をできるだけ少なくする必要がある。
【発明の提示】
【0007】
したがって、本発明の目的は、公知の技術の少なくとも1つの欠点を克服する、最初に述べたタイプのデバイスを提供することである。
【0008】
特に、使用が安全であり、血液中のビタミンD3濃度に対して測定可能な効果を有することができるようなデバイスが提供されるべきである。本発明のさらなる目的は、そのようなデバイスを制御するのに適しており、そのようなデバイスの安全な動作を可能にするコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる特定の目的は、その使用の結果として眼の水晶体への損傷を抑制または実質的に防止するようなデバイスおよび対応するコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0010】
これらの目的の少なくとも1つは、独立請求項の特徴部分によるデバイスおよびコンピュータプログラム製品によって解決されている。
【0011】
本発明の一態様は、ビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイスに関する。デバイスは、280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するための少なくとも1つの第1の光源を備える。デバイスは、照射領域を検出するためのセンサユニットをさらに備える。装置は、少なくとも1つの光源を照射領域と位置合わせするための指向ユニットをさらに備える。さらに、本発明によるデバイスは、照射領域を識別し、少なくとも1つの光源によって280~315nmの範囲内の波長を含む光放射の放出をトリガするように設計された制御ユニットを備える。
【0012】
本発明によるデバイスの利点は、センサユニットを使用して、照射に安全な照射領域が検出された場合にのみ光放射の放出が利用されることを確実にし得ることであり得る。この照射領域は、例えば、予め定められた基準を用いて決定することができる。
【0013】
驚くべきことに、本発明によるデバイスを使用して、照射領域、例えば人の皮膚の領域に、特にUV-B範囲内の波長を含む十分な光放射を照射して、身体自体によるビタミンDの形成を刺激または少なくとも補助し、それにより、色白の人の最小紅斑線量未満に維持し得ることが見出された。
【0014】
本発明の目的のために、最小紅斑線量は、それを超えると紅斑、すなわち日焼け効果が皮膚上で観察され得る閾値として理解されるべきである。最小紅斑線量は、スキンタイプによって異なり、また、個人のばらつきの影響を受ける。本発明においては、例えば、スキンタイプ2の人がビタミンD3の生合成を刺激するには、照射量が約12.5mJ/cm2で期間が10~15分あれば十分であると想定することができる。本発明の目的のために、スキンタイプは、Fitzpatrickに従って以下のタイプ:I(非常に明るい)、II(明るい)、III(中程度の明るい)、IV(茶色がかった、オリーブ色)、V(淡褐色、暗)およびVI(暗褐色から黒色)に分割されると理解することができる[T.B.Fitzpatrick:Ultraviolet-induced pigmentary changes:Benefits and hazards.In:Therapeutic Photomedicine.(=Current Problems in Dermatology.Volume 15).Karger,1986,pp.25-38]。
【0015】
特定の実施形態では、光源は少なくとも1つのLEDを備える。本発明の目的のために、280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するための光源は、このスペクトルの少なくとも一部をカバーする光源として理解されるべきである。また、例えば、280~315nmのスペクトルを有するUV-LED、および前記スペクトル範囲にピークを有するLEDも適している。適切な光源は、当業者によって決定することができる。
【0016】
LEDは別の利点を提供する:驚くべきことに、特に、LEDを使用して、天然の太陽光よりもさらに効率的にビタミンD3の生合成を刺激し得ることが見出された。(Kalajian,T.A.,Aldoukhi,A.,Veronikis,A.J.et al.Ultraviolet B Light Emitting Diodes(LEDs)Are More Efficient and Effective in Producing Vitamin D3 in Human Skin Compared to Natural Sunlight.Sci Rep 7,11489(2017))。
【0017】
光源は、290nm~300nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するように設計されることが特に好ましい。
【0018】
本発明の目的のために、指向ユニットは、例えば、少なくとも1つの第1の光源および/または少なくとも1つの第1の光源の少なくとも光放射を照射領域上に向けるのに適した機械的配置を意味すると理解することができる。これは、例えば、指向ユニットを少なくとも1つの軸線上で移動および/または旋回させ得るという点で達成することができる。指向ユニットは、好ましくは少なくとも2つの軸線上で移動可能および/または旋回可能であり、それにより、好ましくは、指向ユニットが少なくとも1つの第1の光源から始まる円錐領域を横断することができ、それにより、この円錐領域内で複数の照射領域を検知することができる。
【0019】
特定の実施形態では、指向ユニットは、少なくとも1つの光源を180°の角度範囲で位置合わせするように設計される。
【0020】
特定の実施形態では、制御ユニットは、センサユニットから受信したデータを評価するのに適したコンピュータプログラムを実行するように設計された少なくとも1つのプロセッサを備える。この評価は、例えば、特定の照射領域を識別するために設計される。制御ユニットは、照射領域が識別されると、対応するプロセスを行うように設計することができる。これらのプロセスは、例えば、前記波長の光放射の放出、または前記波長の光放射の放出のスイッチオフを含むことができる。さらに、これらのプロセスは、指向ユニットによる位置合わせを引き起こすように設計することができる。照射領域が連続的に検出される場合、制御ユニットは、例えば、特定のコースを辿るように指向ユニットに指示を与え、例えば、指向ユニットが検出し得る円錐内の適切な照射領域を見つけるように設計することができる。そのような領域が識別されると、制御ユニットは、前記波長の光放射の放出をトリガすることができる。
【0021】
特定の実施形態では、センサユニットは光学センサを備える。特に、光学センサはカメラである。原則として、特定の距離にわたって照射領域を検出することができるすべてのセンサ素子は、本発明によるセンサユニットに適している。光学センサが特に適していることが示されている。センサユニットは、具体的には、センサ、例えばカメラを備えることができる。また、レンジファインダなどの他のセンサを備えることもできる。例えば、レーザビームを放出することにより、物体までの距離を正確に測定することができるレーザレンジファインダに基づく、適切なレンジファインダを提供することができる。これは、特に、装置が光源からの照射領域の距離を考慮に入れて、光源の強度を精密に決定するためにコントローラを使用し得るという利点を有する。このようにして、ビタミンD3の生合成の最適な刺激を可能にすることができ、臨界紅斑線量未満に維持するように、光放射を加えることを確実にすることができる。
【0022】
光学センサは、赤外線画像を検出するように設計することもできる。このように装備されたセンサは、例えば、照射領域に対する光放射の影響を追跡することができる。これにより、最小紅斑線量のコンプライアンスをさらに支援することができる。さらに、熱勾配を使用して、照射領域に加えられた比エネルギー値を決定することができる。この値から、例えば、言及された光放射の十分な線量の投与を計算することができる。
【0023】
特定の実施形態では、デバイスは、各々が1つ以上のセンサ、特に光学センサを有する複数のセンサユニットを備える。
【0024】
特定の実施形態では、制御ユニットは、識別された照射領域に基づいて指向ユニットによる第1の光源の位置合わせを制御するように設計される。この実施形態では、例えば、センサユニットは、特定の領域をカバーする光学センサを装備することができる。広角レンズを使用して範囲を広くすることができる。適切な照射領域がセンサユニットによってこの領域内にあると認識され、制御ユニットによって識別される場合、制御ユニットは、例えば、指向ユニットに、光源をこの領域に位置合わせさせることができる。この目的のために、制御ユニットは、ベクトルに基づいて光学センサの画像領域内に照射領域を画定し、このベクトルに基づいて指向ユニットに光源を位置合わせさせるように設計することができる。
【0025】
特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、第1の光源による光放射の放出から光線の指向束を生成するための収束ユニットを備える。収束ユニットは、限定された照射領域に光放射を加えるように設計されることが好ましい。この目的のために、収束ユニットは、例えば、照射領域からの距離にわたって一定の空間内に光放射を保持することを可能にする要素を有し、それによって、照射領域が可能な限り精密に画定される。
【0026】
特定の実施形態では、収束ユニットは、少なくとも1つのリフレクタを備える。例えば、LEDを光源として使用することができ、LEDの周りに配置された対応するリフレクタを設けることができ、リフレクタがLEDによって放出された光放射を特定の照射領域に向ける。調整可能なリフレクタユニットを設けることが特に好ましい。調整可能なリフレクタユニットは、作動可能な複数のリフレクタ平面を用いて可能にすることができ、これらにより、例えば、光源に対する照射領域の特定の距離または特定の角度を考慮に入れることができる。
【0027】
特定の実施形態では、収束ユニットは、レンズおよび/またはコリメータを備える。収束ユニットは、第1の光源による光放射の放出から光線の指向束を生成するための収束レンズを有するコリメータを備えることが特に好ましい。装置の構成、最終的なサイズ、および照射領域に対する位置付けに応じて、収束ユニットは、必要に応じて当業者によって異なるように設計することができる。
【0028】
特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、可視範囲内の波長を含む光放射を放出するための第2の光源を備える。第2の光源は、380nm~780nmの範囲内の波長を含む光放射を放出するように設計されることが特に好ましい。可視光を放出することによって、本発明によるデバイスの動作に、理想的には人間が従うことができる。したがって、この第2の光源は、好ましくは、第1の光源と同じ照射領域を照射するように設計することができる。生成された「光円錐」は、特定の照射領域が対応する光放射に現在曝露中であることをユーザに示す。例えば、ユーザは、照射の期間中、その領域を静止状態に保つように促されることができ、したがって、ビタミンD3の生合成の意図された刺激を最適に行うために、装置が画定された最適な量の放射を放出し得ることを確実にする。
【0029】
特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、近赤外範囲内の波長を含む光放射を放出するための第3の光源を備える。これらの波長は、640nm~1,800nmの範囲内であることが特に好ましい。この理論に束縛されることを望むものではないが、近赤外範囲内の放射への照射領域の曝露は、この領域の血流を改善することができる。近赤外放射は、組織のより深い層への血流を増加させるために採用される。結果として、ビタミンD3の生合成をさらに刺激することができ、これにより、UV-B放射の線量をさらに低減することが可能になる。
【0030】
特定の実施形態では、制御ユニットは、照射領域内の人間の顔を識別するように設計される。これは、例えば、センサユニットによって認識された照射領域をデータベースと比較することによって行うことができる。顔認識のための方法は現在公知であり、広く使用されている。例えば、現在の携帯電話に組み込まれているような最新のカメラは、画像の対応する鮮明さをサポートするために顔認識を有する。顔の存在を認識するが、必ずしも顔を特定の人に割り当てることはできない顔認識が、本発明の目的には十分である。それにもかかわらず、顔認識を使用して特定の人を識別することが考えられる。これにより、例えば、本発明によるデバイスを使用して、特定の期間にわたって特定の線量を、ある人に送達することが可能になる。したがって、装置は、ビタミンD3の対応する生合成を刺激するために、議論中のその人が一定期間内に光放射に十分に曝露されたことを決定することができる。本発明での使用に適した二次元および三次元顔認識方法は当業者に公知であり、必要に応じて要件に、例えば、単なる認識かどうか、顔がそこにあるかどうか、または特定の人への顔の割り当てが望まれるかどうかに応じて適合させることができる。
【0031】
特定の実施形態では、制御ユニットは、未成年者の顔を認識し、この人を放射から除外するように設計される。特定の実施形態では、制御ユニットは、認識された顔を放射について承認されたレジスタと一致させるように設計される。したがって、承認されたおよび/または認可されたユーザのみが本発明によるデバイスを使用することを確実にすることができる。
【0032】
特定の実施形態では、制御ユニットは、予め定められた照射領域を識別するように設計される。例えば、既に照射された照射領域は、予め定められた照射領域と考えることができ、その結果、制御ユニットは、既に照射された照射領域を識別することができ、特定の時間間隔内の第2の照射では異なる照射領域を使用することを判断する。したがって、特定の照射領域でUV-B放射の1日線量を超えないことを確実にすることができる。制御ユニットが、照射から除外される予め定められた照射領域を認識するように設計されることも考えられる。例えば、瘢痕組織、創傷組織、痂皮、刺青、母斑などの皮膚変化を含む皮膚の照射領域は、照射から除外される場合もある。そのような予め定められた照射領域は、メモリに記憶することができ、または顔認識で起こることと同様に、個々の対象を二次元または三次元で検出し、次いでアルゴリズム方法を使用して識別することによって、識別された照射領域から計算することができる。
【0033】
特定の実施形態では、本発明によるデバイスは、データを交換するための通信ユニットを備える。通信ユニットは、特に好ましくは、最新の携帯電話も含み得る、コンピュータ装置とのデータ送信のための少なくとも1つのインタフェースを備える。このインタフェースは、例えばWi-FiプロトコルまたはBluetooth(登録商標)プロトコルを使用して無線データ送信を可能にするのに適することができる。しかしながら、インタフェースは、USBプロトコルに基づくプラグおよびケーブル接続によるデータ送信を確実にするのにも適することができる。通信ユニットは、例えば、本発明によるデバイスによるサードパーティ装置に対する動作の評価を監視または構成することを可能にする。例えば、使用は、例えば、スキンタイプ、年齢、職業、および生活習慣などの特定のユーザデータを、プロファイルと共に記憶することを提供することができる。装置は、このデータに基づいてビタミンD3の生合成のための最適な補助を確実にするように設計することができる。通信ユニットは、例えば、デバイスのファームウェアの形態のプログラミングを最新の状態に保つように設計することもできる。また、通信ユニットが、機械学習にサポートされたプログラムとの接続を可能とし、その結果、例えば、顔認識を継続的に向上させることも考えられる。その場合、さらなる機能は、例えば、既に上述したように、母斑または創傷などの、放射から除外される他のユーザ領域を認識することである。
【0034】
特定の実施形態では、第1の光源および/または第2の光源および/または第3の光源は、センサユニットの周りで物理的に結合される。したがって、これらの光源を共同で、指向ユニットによって照射領域に向けることができる。この配置は、本発明によるデバイスが適切な照射領域をアクティブに識別する「探索および発見」機能を有する場合に特に有利である。例えば、人が本発明によるデバイスの有効範囲内にあることを認識する動きセンサをセンサユニットに設けることができる。次いで、センサユニットは、制御ユニットを使用して特定の照射領域の検出および識別を開始することができる。制御ユニットは、指向ユニットに、デバイスの有効領域内の適切な照射領域を、そのような領域が見つかるまで探索させることができる。
【0035】
特定の実施形態では、指向ユニットは、少なくとも2つの軸線を中心に旋回可能であるように設計される。前記指向ユニットは、特に好ましくは、光源を少なくとも2つの軸線上で旋回させるために、少なくとも1つの回転可能に装着されたスタンドベースと、回転可能に装着されたツールアームとを有する。このような構成は、本発明によるデバイスの有効範囲を、デバイスが位置付けられる平面上の半球に拡張することを可能にする。2つの軸線上の移動により、この主球の内部の空間全体をセンサユニットによって検出することができる。
【0036】
特定の実施形態では、照射領域は、40cm2~900cm2、特に50cm2~600cm2、特に好ましくは約400cm2の面積を有する皮膚領域である。当業者は、上記のKalajian,T.A.、Aldoukhi,A.、Veronikis,A.J.らおよびMoozhipurathらによる研究において、さらなる適切な照射プロトコルを見出すことができる。
【0037】
特定の実施形態では、この照射領域の皮膚領域は、調節された収束ユニットによって画定することができる。この目的のために、収束ユニットは、例えば、それに応じて光ビームの円錐を広げたり狭めたりすることができる調整可能な開口部を有することができ、その結果、照射領域を特定のパラメータ内で画定することができる。
【0038】
本発明によるデバイスを用いて、標的化された様式で、起こり得る副作用を良好に制御しながらビタミンD3の生合成を刺激することを可能にするデバイスが提供される。当業者であれば、本発明によるこの種のデバイスの一実施形態では、言及された特徴の任意の組み合わせを、相互に排他的でない限り、実施され得ることを理解する。
【0039】
本発明の別の態様は、ビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイスを制御するためのコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータプログラム製品は、上述のデバイスの制御ユニットによって実行されることが特に好ましい。コンピュータプログラムは、センサユニットによって認識された照射領域を予め定められた照射領域と比較するように設計される。前記コンピュータプログラムは、少なくとも1つの第1の光源による280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射の放出をトリガするようにさらに設計される。これは、認識された照射領域が、曝露から除外される照射領域に該当しない場合に発生する。
【0040】
したがって、本発明によるコンピュータプログラム製品は、照射が常に健康要件を満たし得ることを確実にすることができる。適切な照射領域は、特に好ましくは事前定義可能である。
【0041】
特定の実施形態では、照射から除外される照射領域は、人間の顔、1つ以上の色素性母斑のある皮膚領域、痂皮、創傷および/または瘢痕組織のある皮膚領域、ならびに予め定められた時間間隔内に280nm~315nmの範囲内の波長を含む光放射で既に照射された皮膚領域からなる群から選択される照射領域である。
【0042】
特定の実施形態では、照射から除外される照射領域は、デバイスの使用を許可されていない人の一部である照射領域である。これは、例えば、顔画像を生体識別手段として登録して記憶することによって、確実にすることができる。さらに、このようにしてデバイスの使用から未成年者を除外することができる。
【0043】
特定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、特定の照射領域に時間間隔を割り当てるように設計される。この時間間隔内で、照射領域は、280~315nmの範囲内の波長を含む光放射で照射される。これは、例えば、言及されたデバイスと協働して、制御ユニットが特定の照射領域を識別し、その照射領域を適切であると認識するという点で行うことができる。照射が開始され、照射が行われる一定の時間間隔が確立される。この時間間隔は、例えば、30秒~10分、特に1~8分、より具体的には3~5分の時間間隔で固定されるように設計することができ、または例えば、スキンタイプ、ビタミンDの必要量、生活習慣などを含むユーザプロファイルに以前に記憶されているパラメータを使用して可変および画定することができる。例えば、スキンタイプが暗いほど、その人が十分な量のビタミンD3を合成することができるまでに、太陽光に当たらなければならない時間が長くなることが知られている。さらに、例えば、主に夜間に活動する、または毎日の日射が一定レベルを下回る緯度を超えて活動する生活習慣も、対応する時間間隔を調整する理由となり得る。病歴も、例えば、ビタミンD代謝の障害または年齢および/もしくは医学的状態によるビタミンDの特別な必要性など、適切な調整を行う理由となり得る。
【0044】
特定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、センサユニットを制御するコンピュータプログラム製品による予め定められた照射領域の探索を制御するように設計される。適切な照射領域が見つからない場合、有効領域全体をスキャンし、可能な照射領域を識別することによって探索を行うようにセンサユニットを設計することができる。
【0045】
特定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、光学センサによって記録された各画像を、照射から除外される照射領域と比較するように設計される。
【0046】
これにより、意図しない照射領域が誤って照射されないことを確実にすることができる。
【0047】
特定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、特に照射から除外されない適切な照射領域を探索するために、センサユニットからの信号によって動作モードに入るように設計される。この信号は、例えば、動き検出とすることができる。
【0048】
さらなる特定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、センサユニットが光源の有効範囲内に、照射から除外される照射領域を検出するとすぐに、280~315nmの範囲内の波長を含む光放射による照射領域への照射を停止させるように設計される。これは、例えば、照射された人が移動したり、別の人がこの照射室に入ったりして、顔などの照射から除外される領域が放射の影響を受けないことを確実にすることができなくなる場合に起こり得る。
【0049】
本発明によるデバイスおよび対応するコンピュータプログラム製品を用いて、多くの領域で使用され得るビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイスを提供するための手段が提供される。示されているデバイスは、使用が安全であり、UV-B放射、すなわち280~315nmの波長範囲内の放射への曝露の多くの負の副作用を防止する。
【0050】
本発明によるデバイスは、特定の例示的な実施形態および図面を使用して以下でより詳細に説明されるが、これらに限定されない。しかしながら、本発明によるデバイスのさらなる有利な実施形態は、当業者にとってこれらの特定の例示的な実施形態から生じる。
【0051】
特に、図面は、概略的な方法で実施態様を示しており、参照番号は、追跡を容易にするために、いずれの場合も同じ参照番号で同じ要素を示す。
【0052】
本発明の例示的な実施形態は、以下の図を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1a】ビタミンD3の生合成を刺激するための本発明によるデバイスを示す図である。
【
図1c】
図1bのデバイスのC-C平面における断面図である。
【
図1e】
図1bのデバイスのA-A平面における側面断面図である。
【
図1f】
図1bのデバイスのB-B平面における側面断面図である。
【
図1i】
図1aによるデバイスのための光源の代替的な配置を示す図である。
【
図2】本発明によるデバイスの代替実施形態を示す図である。
【
図3a】本発明によるデバイスの別の代替実施形態を示す正面図である。
【
図3b】
図3aによる本発明によるデバイスを示す等角図である。
【発明の実施】
【0054】
図1aは、ビタミンD3の生合成を刺激するための本発明によるデバイス1を示す。デバイス1は、例えば、民間部門で使用され、健康で意識的な生活習慣の補完に適している。デバイス1は、ハウジング10を備える。本例では、ハウジング10は、深絞り加工を用いたアルミニウム製である。もちろん、プラスチックまたはステンレス鋼またはセラミック製のハウジングも適している。アルミニウムの特定の利点は、その良好な熱伝導率であり、これは、生成され得る廃熱を環境に放散するのを助けることができる。ハウジング10は、シェルの形態で構築され、フロントパネル11によって前側が区切られている。フロントパネル11は、光放射がハウジング10の内部から外部に貫通することができる2つのガラス窓12を有する。ここではガラス窓12について説明するが、図示の観察窓はプラスチック、例えばプレキシガラスで作製することもできる。理想的には、ガラスは、280nm~315nmの波長のUV-B放射に対して実質的に透明であるように選択される。適切なUV透過性ガラスは、例えば、米国特許第5,474,589号明細書(Sumitomo Electric Industries Ltd.)に示されている。
【0055】
光源は、ガラス窓12を通して見ることができる。本例では、光源は、複数のUV LED21を有するアレイ17から構成される。アレイ17は、光源キャリッジ18を介して光源フレームに装着されることによって水平方向に変位し得るように装着される。ハウジング10は、ベアリングジョイントによってハウジング10に接続されたスタンド52を介してベース41に接続されている。縁部に取り付けるために、ベース41は、第1のグリッパ50.1と第2のグリッパ50.2とを備えるグリッパを有し、第1のグリッパ50.1と第2のグリッパ50.2との間の中央に延びる保持溝を閉じる。第1のグリッパ50.1および第2のグリッパ50.2は、追加の摩擦があり、グリッパの把持が改善されるようにゴム引きされることが好ましい。図示のデバイス1は、USB/電源プラグ39で終端するケーブル接続38を介した電源接続を有する。フロントパネル11の中央にはカメラレンズ13があり、その後方には光学センサとしてカメラが設置されている。
【0056】
図1aに示すデバイス1は、例えば、コンピュータ画面、テレビまたは三脚デバイスの上縁部に位置付けることができ、デバイス1の位置合わせの基本的な調整は、スタンド52を介して行うことができる。カメラレンズ13は、前方領域を監視し、その中の任意の照射領域を検出することができる。制御ユニット(
図1aには図示せず)によって照射領域が識別され、照射領域が条件に従わない場合、すなわち、照射領域が照射から除外される照射領域ではない場合、光放射は光源を介して、この例ではUV LED21によって放出される。この目的のために、LED21は、光放射を束ね、それに対応して光放射を照射領域に制限する適切なリフレクタを有することができる(
図1aには図示せず)。
【0057】
動作中、デバイス1は、対応するコンピュータと多数のデータを交換することができる。USB/電源プラグ39を使用して、例えば、動作時間、温度、個々の照射領域に対する照射時間、および特定の照射領域(例えば、顔)を除外しなければならない頻度などの動作パラメータを監視することができる。
【0058】
カメラレンズ13の後方のカメラは、制御ユニットが顔を認識することを可能に十分な解像度を有する。本発明の最も単純な実施態様では、デバイス1は、顔を照射から除外するために、または顔が照射領域内にある場合には放射を停止するために、顔であることを認識するようにのみ設計される。
【0059】
本例では、放出する波長スペクトルのピークが280nm~315nmの範囲内にあることがLEDにとって重要である。本例では、ピークが298nmのLEDを使用した。このようなLEDは、とりわけ、Dowa Electronic Materials Co.,Ltd.(日本)から入手可能である。
【0060】
この構成では、13~14分の一日当たりの総照射時間、12.5mJ/cm2の線量、0.015mW/cm2の紅斑放射照度が、スキンタイプ2のユーザにおける身体自体によるビタミンD3の生合成を刺激および補助するのに適し得ることが分かった。
【0061】
図1bでは、
図1aのデバイス1が再び正面図で示されており、対応するガラス窓12およびカメラレンズ13を有するフロントパネル11のみが前方から見える。ベース41上に形成されたスタンド52および第1のグリッパ50.1もはっきりと見える。
図1bは、1つの長手方向断面C-C、ならびに2つのプロファイル断面A-AおよびB-Bを詳述する、以下に詳細に説明する図面で使用される断面平面を画定するのに役立つ。
【0062】
図1cは、言及された
図1bの長手方向断面C-Cを平面図で、すなわちデバイス1の上方から見た図を示す。断面C-Cは、デバイス1の高さ延長部の中心を通り、したがってカメラの中心およびレンズ13を通り、この場合、ハウジング10のカメラコンパートメントに収容される。カメラコンパートメント25は、フロントパネル11の面と同一平面に設計されたカメラレンズ26によって閉じられる。周囲の光学画像を撮影するのに適した標準的なカメラをカメラコンパートメント25内に位置付けることができる。この場合、カメラの解像度は、制御ユニットによって評価され、顔認識が可能であるように選択されるべきである。カメラレンズ26は、例えば対応する湾曲部またはレンズ内のカットによって、広角で撮影するように選択して、撮影領域を増加させることができる。そのようなカメラは、監視の分野で特に広く普及しており、設置サイズを考慮して、必要に応じて当業者が選択することができる。カメラは、本発明によるデバイスのセンサユニットを形成する。カメラコンパートメント25の両側には、2つの光源が収容される光源コンパートメント23がある。光源は、複数のUV LEDを備え、移動可能に設計される。全体として、光源コンパートメント全体は、LEDの運動空間として設計される。LEDは、アレイに取り付けられ、ピボットアーム22を介して旋回することができ、ピボットアーム22は、アレイ17を±45°の角度で紙の平面に対して垂直に旋回させる。ピボットアーム22は、光源フレームの対応する溝に装着された光源キャリッジ18に接続され、その結果、水平方向に変位することができる。例えば、移動のためにベルト駆動装置を備えた単純な歯付き機構を設けることができる。
【0063】
カメラ(図示せず)および2つの光源は、電子リード線(詳細には図示せず)も備えることができるフレームプレート24に装着される。さらに、フレームパネル24は、コントローラを備えてもよい。フレームプレート24は、本質的にまたは個々の部品から熱交換器として機能し、光源によって生成された廃熱をハウジングならびにそれに対応してハウジングに形成された通気スロットおよび/またはフィンなどの熱交換素子に放散することができる。ベース41は、平面図でも見ることができる。動作中、光源は、例えば特定の領域に焦点を合わせるために、互いに同期してまたは互いに独立して動作する。原理的には、光源はリフレクタも備え、またはガラス窓12は、光源を通る光放射を本質的に収束するために適切なレンズで構成され、その結果、可能な限り画定された照射領域が作成される。デバイスは、カメラ画像を使用して、照射を判断するために人がデバイスから適切な距離にあるかどうかを決定するように形成することができる。
【0064】
例示的なデバイスは、好ましくは、例えば照射領域として露出した皮膚の領域があるバスルーム領域に位置付け可能である。適切な装着の配置は、例えば、バスルームミラーの上方である。確実な顔認識は、この位置にもかかわらず有害なUV-B放射が眼に向けられるのを防止する。
【0065】
図1dは、デバイスの側面図を示しており、ハウジング10は、フロントパネル11によって面で閉じられており、得られたハウジングの組み合わせは、スタンド52を介してベース41に接続されている。2つのグリッパ50.1、50.2は保持溝51を囲んでいる。
【0066】
特別な実施形態では、グリッパ50.1、50.2は、保持溝51内の物体に復元力を及ぼすように可撓性の弾性材料で作製される。
【0067】
図1eは、平面A-Aにおけるデバイスの中心を通る断面を示す。
図1dに示す可撓性グリッパ50.1、50.2を介した装着に加えて、またはその代替として、この実施形態は、保持溝51内の金属および/または磁気保持要素にデバイス1をさらに固定することを可能にする磁石53を含む。装着全体は、ボールジョイント55を介してハウジング10に接続されている。ハウジング10内にはフレームプレート24が設けられており、フレームプレート24は中央にカメラコンパートメント25のためのチャンバ領域を支持し、カメラコンパートメント25はカメラレンズ26によって面が閉じられている。端面もフロントパネル11によって閉じられている。
【0068】
図1fは、光源が収容されている軸線B-Bを通る対応する断面を示す。スタンド42は、ここでは側面図で示されている。光源は、光源コンパートメント23内に位置する。必要に応じて、光源コンパートメント23に空気流を供給するために小型のミニファンを設けることができる。これらのミニファンは、ハウジング10内の適切な通気スロットを介して光源コンパートメント23から外部に廃熱を運び、例えば、高出力動作中に光源を冷却することができる(図示せず)。フレームプレートには光源フレーム19が取り付けられており、光源フレーム19は、断面に対して垂直に変位し得る、光源である複数のUV LED21を有するアレイ17が取り付けられたレールを有する。光源フレーム19の後方で、光源フレーム19とフレームプレート24との間に、制御コンパートメント27がある。制御コンパートメントは、光源キャリッジ、ピボットアーム22、光源、および任意の追加の電子機器の電力供給のためのケーブルガイドを収容する。
【0069】
図1gは、個々の要素をもう一度明確に画定するために、
図1aのデバイスを分解図で示す。フロントパネル11は、デバイスの面を閉じ、いくつかの凹部12、13を有する。中央凹部13は、カメラレンズを収容する役割を果たすか、またはカメラ20がデバイス1の前の領域の画像を撮影することを可能にする。カメラレンズ13の両側には、UV-B放射透過性である2つのガラス窓12がある。キャリアプレート14は、2つのキャリアプレート凹部16によって光源コンパートメント23を画定し、正面から後方を見たときにガラス窓12の真後ろに位置する。LED21、アレイ17、およびランプキャリッジ18を備える2つの光源は、カメラ20の両側に配置され、光源フレーム19内に収容される。光源フレーム19は、フレームプレート24に取り付けられている。構成要素は、2つのグリッパ50.1、50.2を介して接続されたボールジョイントを介してベースに接続されたハウジング10内に収容される。ハウジング10からは、通信要素または電源が、USB/電源プラグ39とのケーブル接続38を介してデバイスの内部から外部に延びる。
【0070】
図1hは、照射コンパートメント23における光源の配置を詳細に示す。光源は、UV-B放射を放出するように設計された複数のLED21を備える。言及されたUVBは、好ましくは、290~298nmの範囲内のピークを有する。LEDは、ピボットアーム22を介して±45°の角度で旋回することができるアレイ17に取り付けられている。ピボットアーム22は、光源キャリッジに装着されており、光源キャリッジは、光源フレーム19内に移動可能に装着されている。本発明によるデバイスの電子機器は、ピボットアームおよび光源キャリッジを独立して移動させるように設計され、その結果、広範囲の照射領域をカバーすることができる。
【0071】
図1hは個々のリフレクタを示していないが、各LEDはリフレクタを有し、その結果、光源からの全放射は、特定の照射領域を具体的に撮影して画定/撮影して画定することができる。
【0072】
図1hに示す構造の代替形態を
図1iに見ることができる。
図1iにおいても、光源は、光源コンパートメント23内に延在する。
図1hとは対照的に、個々のLED21は、駆動ストリップ31および後部ストリップ32によって2つの軸線上で旋回可能な光源本体に接続されている。駆動ストリップモータ33は、駆動ストリップを矢印の方向に前後に移動させ、一方、後部ストリップもそれに応じて移動される。これにより、光源本体を位置合わせすることができる。対応する駆動ストリップおよび対応する駆動ストリップモータが水平方向にも設けられるような配置の場合、LEDは、したがって、その広い円錐が光ビームによって検出され得るように旋回させることができる。
【0073】
デバイスの代替実施形態を
図2に示す。
図2のデバイスは、本質的にデバイス1と同じ構造を有するが、追加の光源、すなわち追加の第2の光源および追加の第3の光源を有する。これらは、ガラス板、すなわち、第2の光源用の第1のガラス板(14)および第3の光源用の第2のガラス板(15)によって提供される。これらは、
図1と同様に、フロントパネルの凹部として設けられ、そして、カメラレンズ13、およびその後方に光源を有するガラス窓12も
図1に記載された方法と同様である。この光源は、移動可能に、すなわち光源フレーム19上の光源キャリッジ18によって横断され得るレールを介して配置されたアレイ17上のUV LEDダイオード21である。デバイスは、USB/電源プラグ39によって電源またはコンピュータに接続することができ、したがってデータ交換を可能にする。一般的なセクションで既に説明したように、本発明によるデバイスは、もちろん、例えばWi-FiまたはBluetoothモジュールなどの無線通信のためのモジュールを備えることもできる。構成に応じて、制御は、多かれ少なかれ本発明によるデバイス内で直接行うことができる。したがって、デバイスは、一般的なセクションで説明されているように、制御タスク、およびコンピュータプログラム製品の実行を引き継ぐプロセッサを備えることができる。サードパーティコンピュータ、例えば、USBポートを介して接続されたコンピュータがこの作業を行うことも考えられる。
【0074】
図2の例に戻ると、UV-B光源に加えて、可視光を有する第2の光源と、可視ではないが照射された組織内の血液循環を改善することができる近赤外範囲内の光を有する第3の光源とが設けられる。肯定的な精神身体作用を有することに加えて、例えば心地よい光の色で光を放出することによって、可視スペクトルの光はまた、デバイスの動作を示すことができる。好ましくは、前記第1および第2の光源はまた、第2の光源については380nm~720nm、第3の光源については720nmおよび1,800nmの波長範囲内にそれぞれピークまたはスペクトルを有するLED光源である。
【0075】
さらなる代替実施形態を
図3aに示す。本発明のこの実施形態では、光源は、指向ユニットが両方とも同期して移動させるように、センサユニットに物理的に結合される。言い換えれば、光源は常にカメラ領域と位置合わせされる。この目的のために、本発明によるデバイスは、二部式ハウジング10.1、10.2を有する。二部式ハウジングの第1の部分10.1は、センサユニット、この例ではカメラレンズ付きカメラ13を収容する。しかしながら、二部式ハウジングの第2の部分10.2は、ガラス窓12の後方で光源を収容する。二部式ハウジングの第1の部分10.1と二部式ハウジングの第2の部分10.2との間の接続部45は剛性であり、指向ユニットによって両方の要素を同時に移動させることを可能にする。この実施形態では、指向ユニットは、回転可能に装着されたツールアーム44と、回転可能に装着されたスタンドベース43とを備える。その間にスタンドが延在する。結果として、本発明によるデバイスは、ベース41の周りの半球領域に位置合わせすることができ、その結果、非常に広い有効領域を全体として照明要素29およびカメラ要素28によってカバーすることができる。
【0076】
この実施形態はまた、そのエネルギーをUSB/電源コネクタ39から引き出す。
【0077】
本発明によるデバイスは、制御ユニットを装備する。言及されたすべての例において、制御ユニットは、照射領域を識別することができるように設計される。対応するセンサユニット、すなわち図示の例のカメラ要素は、照射領域を認識し、画像を制御ユニットに配信する。前記制御ユニットは、照射領域を識別する、すなわち、検出された照射領域を評価し、この照射領域が照射から除外される照射領域であるかどうかを決定するように設計される。照射領域が照射から除外されるかどうかは、例えばメモリユニット(図面では示せず)に記憶された予め定められたデータベースを用いて決定することができる。制御を担うコンピュータプログラム製品が、予め定められたパラメータに基づくインテリジェントプログラミングによって、照射領域がそのような除外される照射領域であるかどうかを決定し得ることも考えられる。この目的のために、例えば、撮影された画像領域内の認識可能なパターンの形状および配置、ならびに放射から除外される照射領域内の特定の要素へのこれらの認識可能なパターンの割り当てなどの特定のパラメータを提供することができる。典型的には、これらは、例えば、人間の顔を認識するための目、鼻、および口の位置および距離など、顔認識に利用される要素である。図示されているデバイスが、機械学習にサポートされたプログラムに接続することも考えられる。コンピュータプログラム製品は、検出された照射領域をデータベースと比較するか、または機械学習を使用して、これらの照射領域が除外される可能性がある照射領域であるかどうかを決定する。さらに、コンピュータプログラム製品は、全体として照射を制御することができる。これは、例えば、照射の持続時間を特定の照射領域に割り当てるように設計されるコンピュータプログラム製品によって行うことができる。このようにして、照射領域が同じ放射強度に2回曝露しないことを確実にすることができる。
【0078】
本発明によるデバイスは、この目的のために、指定されたコンピュータプログラム製品を動作させるように設計され、対応する命令を実行することができる制御ユニットを必要とすることを理解されたい。この目的のために、制御ユニットは、対応するプロセッサ、ならびに例えば計算メモリ、メインメモリおよび/または出力ユニットなどの任意選択のさらなる要素を提供することができる。出力ユニットは、例えば、簡易的なディスプレイとすることができる。ディスプレイは、本発明によるデバイスの初期の位置付けを容易にすることができる。これらの要素は、サードパーティデバイスに完全にまたは部分的にアウトソースすることができ、すなわち、必ずしも上述のデバイスのハウジング内に位置する必要はない。コンピュータプログラム製品はまた、本発明による複数のデバイスを互いに同期させるように設計することもできる。したがって、コンピュータプログラム製品は、例えば、建物などの特定の領域に配置された複数のデバイスを互いに相互接続するように設計することができる。これは、顔を特定の人に割り当てることができる顔認識によって、建物内の人が適切な線量の光放射に曝露されることを確実にすることさえでき、そして、例えば、特定の皮膚領域を照射領域として2回使用することができないなどの適切な安全対策を確実にすることができる。
【0079】
理想的には、本発明に示すようなデバイスは、民間部門で使用することができる。しかしながら、デバイスは、例えば、通常はより多くの衣類が着用される公共の空間よりも皮膚の露出が大きい領域に特に適している。例えば、入浴施設、スイミングプール、ウェルネスエリア、プライベートバスルームまたはクロークルームは、本明細書で説明するように、本発明によるデバイスを位置付けることができる理想的な領域である。本発明の教示により、ビタミンD3生合成の刺激をカジュアルなプロセスにすることが可能であり、ユーザによる良好なコンプライアンスを可能にする。したがって、時折忘れられ得るビタミンD3調製物を摂取する必要性、または特定の厳密な外出先滞在を計画する必要性はもはやない。悪名高い緯度に加えて、適切な用途には、例えば、状況に起因して、日中に自然の日光がほとんど当たらない領域、例えば地下施設、大規模な貯蔵施設および工場複合施設、オープンプランのオフィス、オフショアシステム、ならびに狭く光が届きにくい建物内部および山間部が含まれる。
【参照符号の一覧】
【0080】
1 ビタミンD3の生合成を刺激するためのデバイス
10 ハウジング
10.1 二部式ハウジングの第1の部分
10.2 二部式ハウジングの第2の部分
11 フロントパネル
12 ガラス窓
13 カメラレンズ
14 第2の光源のガラス板
15 第3の光源のガラス板
16 キャリアプレート凹部
17 アレイ
18 光源キャリッジ
19 光源フレーム
20 カメラ
21 UV LEDダイオード
22 ピボットアーム
23 光源コンパートメント
24 フレームプレート(熱交換器)
25 カメラコンパートメント
26 カメラレンズ
27 制御コンパートメント
28 カメラ素子
29 光源素子
30 光源本体
31 駆動ストリップ
32 後部ストリップ
33 駆動ストリップモータ
34 ピボットジョイント
38 ケーブル接続部
39 USB/電源プラグ
41 ベース
42 スタンド
43 回転可能に装着されたスタンドベース
44 回転可能なツールアーム
45 接続部
50.1 第1のグリッパ
50.2 第2のグリッパ
51 保持溝
52 スタンド
53 磁石
55 ボールジョイント
【国際調査報告】