(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】電解槽
(51)【国際特許分類】
C25B 13/02 20060101AFI20240401BHJP
C25B 9/73 20210101ALI20240401BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20240401BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240401BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240401BHJP
【FI】
C25B13/02 302
C25B9/73
C25B15/08 302
C25B9/00 A
C25B1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561804
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022059313
(87)【国際公開番号】W WO2022214613
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516042103
【氏名又は名称】ヒタチ ゾウセン イノバ アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘゲレ, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ヘリング, アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, アドリアン
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021CA01
4K021CA06
4K021CA08
4K021DB04
4K021DB15
4K021DB47
4K021DB53
(57)【要約】
本発明は、セルスタックタイプの電解槽であって、セルスタック間に軸方向にステープル留めされた複数のセルを有する第1の及び第2のエンドプレート、前記エンドプレートのうちの一つの電解質入口からの電解質の流れのためのマニホールドであって、主として軸方向の電解質の流れを主として半径方向の面における電解質の流れに方向転換する複数の方向転換部を備えるマニホールド、及びさらに前記方向転換部の一つに、軸方向において前記方向転換部の前記一つよりも電解質入口に近い前記方向転換部のうちの別の方向転換部をバイパスして、電解質の流れを導くバイパスを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルスタックタイプの電解槽(100、101)であって、
間に軸方向にステープル留めされた複数のセル(18、13、12、11、19)を有するセルスタックを有する第1の(30)及び第2の(40)エンドプレート、及び
前記エンドプレートのうちの一つの電解質入口(41)からの電解質の流れのためのマニホールドであって、主として軸方向の電解質の流れを主として半径方向の面における電解質の流れに方向転換する複数の方向転換部(25)を備えるマニホールド、
を備え、
前記方向転換部の一つ(25k)に、軸方向(X)において前記方向転換部の前記一つよりも電解質入口に近い前記方向転換部のうちの別の方向転換部(25j)をバイパスして、電解質の流れを導くバイパス(21)を特徴とする、電解槽。
【請求項2】
前記電解質入口から前記別の方向転換部までの流路の長さが、前記電解質入口から前記方向転換部の前記一つまでの流路の長さよりも長い、請求項1に記載の電解槽。
【請求項3】
第1の複数の方向転換部よりも多く、好ましくはその20%よりも多く、特にその33%よりも多くがバイパスされる、請求項1又は2に記載の電解装置。
【請求項4】
第2の複数の方向転換部への上流の流れが、好ましくはその20%より多く、特に33%より多くが前記バイパスを経由する、請求項1から3のいずれかに記載の電解槽。
【請求項5】
前記マニホールドが、電解質の流れを軸方向の両方向に向ける一つまたは複数の分岐部(23)を備える、請求項1から4のいずれかに記載の電解槽。
【請求項6】
分岐部が、分岐前に本質的に半径方向及び/又は方位方向の電解質の流れを有する、請求項5に記載の電解槽。
【請求項7】
前記電解質入口から軸方向に最も離れた前記方向転換部への流路の長さが、前記電解質入口から軸方向に最も近い前記方向転換部への流路の長さより短い、請求項1から6のいずれかに記載の電解槽。
【請求項8】
前記セルフレームの全てのセルの20%を超えて、特に33%を超えて、より好ましくは50%を超えて、特に全てのセルを通って延びる軸方向チャネルを有する、請求項1から7のいずれかに記載の電解槽。
【請求項9】
少なくとも一つの分岐部の軸方向位置が、前記電解質入口を有する前記エンドプレートよりも、もう一つのエンドプレートに、特に少なくとも4%、好ましくは少なくとも8%、特に少なくとも12%近い、請求項5から8のいずれかに記載の電解槽。
【請求項10】
一方では前記電解質入口から最も軸方向に離れたセルを通る流路の、他方では前記入口から最も軸方向に近いセルを通る流路の、出口までの流路全長の軸方向流路部分の差を、それらの和で割った値が、20%未満、好ましくは12%未満、特に8%未満である、請求項1から9のいずれかに記載の電解槽。
【請求項11】
一方では前記電解質入口から最も軸方向に離れたセルを通る流路の、他方では前記入口から最も軸方向に近いセルを通る流路の、出口までの流路全長の軸方向流路部分の差を、それらの和で割った値が、4%より大きく、好ましくは8%より大きく、特に12%より大きい、請求項1から9のいずれかに記載の電解槽。
【請求項12】
少なくとも30個、好ましくは少なくとも50個、特に少なくとも80個のセルを含む、請求項1から11のいずれかに記載の電解槽。
【請求項13】
電解槽のエンドプレートに接続された極を有する少なくとも一つの整流器を備え、
二つの電解槽が前記少なくとも一つの整流器のうちの一つに直列に接続されており、前記二つの電解槽のうちの一つ又は両方が請求項1から12のいずれかに従って構成されている、装置。
【請求項14】
電気分解、特にセルスタック型の電解槽を用いた水の電気分解を実行する方法であって、主として軸方向の電解質の流れが、主として半径方向の平面の電解質の流れに方向転換され、前記主として軸方向の電解質の流れの少なくとも一部が、前記電解槽の少なくとも別のセルへ向けて前記流れの方向転換の方向転換エリアをバイパスし、電解質の流れが前記パイパスされた方向転換エリアの下流の方向転換エリアの一つに向かうことを特徴とする、方法。
【請求項15】
前記請求項1から13のいずれかに記載の一つ以上の電解槽を用いて、前記請求項14に記載の電気分解を実行する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解槽の分野に関し、特に、間に軸方向にステープル留めされた複数のセルを有するセルスタックを有する第1及び第2のエンドプレートと、前記エンドプレートのうちの一つの電解質入口からの電解質の流れのためのマニホールドとを備え、前記マニホールドは、主として軸方向の電解質の流れを主として半径方向の面における電解質の流れに方向転換する複数の方向転換部を備える、セルスタックタイプの電解槽に関する。
【背景技術】
【0002】
セルスタックタイプのこのような電解層は、当技術分野で周知であり、例えば、EP0212240B1又はDE102014010813A1に開示されている。
【0003】
このような電解槽の動作中、セルスタックを形成するためにセルフレームがステープル留めされるときに、電解質、例えばKOH溶液は、マニホールド又はセルフレーム内の孔及び開口部によって形成されたマニホールドを通って流れ、これによりセルの内部の活性領域を通過する。
【0004】
しかし、このような従来の電解槽は、望まない電流が発生するため性能が低下する場合があることが判明した。
【0005】
したがって、本発明の根本となる目的は、適度に安定した動作条件と、依然として十分に単純な構造及び使用の柔軟性との、良好な組み合わせを有する電解槽を提供することである。
【発明の概要】
【0006】
この目的のために、本発明は、最初に紹介した電解槽を提供し、この電解槽は、本質的に、前記方向転換部の一つに、軸方向(X)において前記方向転換部の前記一つよりも電解質入口に近い前記方向転換部のうちの別の方向転換部をバイパスして、電解質の流れを導くバイパス(21)によって特徴付けられる。
【0007】
このような構成により、セル全体にわたる電解質供給における圧力損失の不均一性が、特に電解質入口及び出口が設けられた側とは反対側の近くのプロセスの非効率的な冷却のリスクの原因であり、それゆえ従来の電解槽の性能効率に悪影響を及ぼす少なくとも部分的な原因となると確認された。前記バイパスにより、セル全体の圧力降下特性がより平衡状態又は均質になり、一定数のセルでより良好な性能を得ることができ、又は少ないセルを有する従来の電解槽に対して、劣化することなくセル数を増加させることが可能になる。さらに、電気的結合に関しては、二つを超える電解槽を有する装置/プラントでは、二つの電解槽を一つの整流器と直列に接続する可能性が依然として存在する。バイパスにより、流れは、バイパスされた方向転換部への(半径方向の)連通を有さないが、それぞれの軸方向位置で前記方向転換部をスキップするように強いられる。
【0008】
図面の詳細な説明で後述するように、簡略化のために、セルをハーフセルに分割することは省略される。したがって、後述の説明は、一方の側のアノード側ハーフセル及び他方の側のカソード側ハーフセルを通る電解質の流れにそれぞれ個別に適用される。
【0009】
すなわち、本発明は、セル構造自体が、バイポーラプレート及び膜又はダイヤフラムを備え、入口側にハーフセルの二つのグループごとに一つずつ分離されたチャネルがある場合、本発明は、間に軸方向にステープル留めされた複数のセルを有するセルスタックを有する第1及び第2のエンドプレートと、前記エンドプレートのうちの一つの電解質入口からの電解質の流れのためのマニホールドと、を備えるセルスタックタイプの電解槽を提供し、セルは、バイポーラプレート、膜/ダイヤフラムを備え、内側に活性領域を有し、セルは、アノード側ハーフセル及びカソード側ハーフセルを有するようにさらにハーフセルに細分されており、マニホールドは主として軸方向の電解質の流れを主として半径方向の面における電解質の流れに方向転換し電解質の流れをアノード側ハーフセル及びカソード側ハーフセルのうちの一つの活性領域に案内する複数の方向転換部を備え、一方ではセルのアノード側ハーフセルの方向転換部の一つに、軸方向において前記方向転換部の前記一つよりも電解質入口に近いセルのアノード側ハーフセルの方向転換部のうちの別の方向転換部をバイパスして電解質の流れを導き、他方ではセルのカソード側ハーフセルの方向転換部の一つに、軸方向において前記方向転換部の前記一つよりも電解質入口に近いセルのカソード側ハーフセルの方向転換部のうちの別の方向転換部をバイパスして電解質の流れを導く、パイパスにより特徴付けられる。
【0010】
これらの構成の場合、複数の方向転換部は、複数の第1の又はアノード側方向転換部と、複数の第2の又はカソード側方向転換部とを含む。そして、アノード側の挿入流では、前記流れは、それぞれのバイパスされたアノード側方向転換部への(半径方向の)連通を有さないが、それぞれの軸方向位置で前記方向転換部を強制的にスキップするようにされ、カソード側ではその逆となる。
【0011】
全ての種類のハーフセルに対して共通チャネルを使用する場合、後の
図1に示されるように、方向転換部はそれぞれ一つのセルに帰属されるものとして理解され、前記セルに帰属される方向転換部は、当然ながらそれぞれアノード側ブランチ及びカソード側ブランチを備え、バイパスは、一つのセルに帰属される方向転換部のアノード側ブランチ及びカソード側ブランチの両方が、共通チャネル内の流れによってスキップされるようなものである。これは特に、例えばUS4,950,370Aにより知られている構成とは異なり、ここでは、前記文献から分かるように、一つの軸方向チャネル内の流れから、半径方向への方向転換が次々と起こり、別のチャネルからの流れが提供されるセルのみがスキップされる。
【0012】
すなわち、本発明のバイパスは同じ軸方向チャネルを流れる流れに起因するものであり、すなわちバイパスされた方向転換部と、バイパス方向転換部をスキップする流れが導かれる方向転換部は、同一の軸方向流路から出発する。これは、本発明が、セルの一部が一つの軸方向チャネルを介して供給され、他のセルが別の軸方向チャネルを介して供給されるソルーションを除外することを意味するものではない。しかしながら、本発明によるバイパス及びスキップは、一つの同じチャネルを参照して理解されるべきである。
【0013】
従って方発明は、間に軸方向にステープル留めされた複数のセルを有するセルスタックを有する第1及び第2のエンドプレート、及び前記エンドプレートのうちの一つの電解質入口からの電解質の流れのためのマニホールドであって、前記マニホールドの主として軸方向のチャネル内を流れる電解質の流れを主として半径方向の面における電解質の流れに方向転換する複数の方向転換部を備えるマニホールド、を備え、前記主として軸方向のチャネルに直接接続された前記方向転換部の一つに、前記主として軸方向のチャネルに直接接続され軸方向において前記方向転換部の前記一つよりも電解質入口に近い前記方向転換部のうちの別の方向転換部をバイパスすることにより、電解質の流れを導くバイパスを特徴とする、電解槽を提供する。「主として軸方向」との用語は、軸方向におけるチャネルの延在方向の方向成分が主な方向成分である、すなわち、軸方向成分が半径方向の面における方向成分よりも大きいという通常の方法で理解されるべきである。
【0014】
前記同じチャネルへの前記一つの方向転換部及び別の(バイパスされた/スキップされた)方向転換部のこの参照/属性は、アノード側ハーフセル及びカソード側ハーフセルの各グループに対して一つずつ個別のチャネルがある場合にも当てはまる。
【0015】
好ましい実施形態では、全ての方向転換部が一つのチャネル、好ましくは同じ半径方向及び方位方向位置を有する軸方向のチャネル(これが全ての種類のハーフセルのためのチャネルである場合)に直接接続され、それぞれアノード側に属する全ての方向転換部がアノード側電解質流供給のための一つの同じこのようなチャネルに直接接続され、一方アカソード側に属する全ての方向転換部がカソード側のハーフセルの電解質流供給のための一つの同じこのようなチャネルに直接接続される。
【0016】
好ましい実施形態では、電解質入口から前記別の方向転換部までの流路の長さは、電解質入口から前記方向転換部の前記一つのまでの流路の長さよりも長い。一方向の流れがなくても、簡単なチャネル/通路の構造を用いることができる。
【0017】
さらに好ましい実施形態では、第1の複数の方向転換部より多く、好ましくはその20%より多く、特にその33%より多くがバイパスされる。これにより、カソード側エンドプレートから軸方向に遠く離れたところで圧力損失がさらに増加する。一方、第3の複数の方向転換部は、その20%より多く、特にその25%より多くがバイパスされていないことが好ましい。これにより、圧力損失問題は、限られた量だけ他の端にシフトされるが、動作中に電解質流に確立される温度勾配により、冷却問題はそれほど深刻ではない。本発明は、(したがって)特に部分バイパスに関するものであり、すなわち、全てのセルへの直接フローアクセスが、一つの同じフローのフロー方向における、セルの配列の順位の順序であるフローが存在しない。
【0018】
第2の複数の方向転換部への上流の流れが、好ましくはその20%より多く、特に33%より多くが前記バイパスを経由する。第2の複数は、第3の複数と一致してもよい。かなり単純な構成では、第2の複数物は、好ましくは、全体のセルの67%未満、特にその60%未満である。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、マニホールドは、電解質の流れを軸方向の両方向に向ける一つ又は複数の分岐部を備える。これは、異なる軸方向の電解質流のための通路の使用を可能にする。
【0020】
さらなる好ましい実施形態では、分岐部は、分岐前に本質的に半径方向及び/又は方位方向の電解質の流れを有し、すなわち、セルスタックの軸方向に直交する投影面について、特にセルを通って軸方向に延在し方向転換部が配置されるチャネルに対して、バイパスは半径方向及び/又は円周(方位角)方向にシフトされる。好ましい実施形態では、軸方向バイパスチャネルと、方向転換部に隣接するチャネルとは、互いに対して方位方向に変位される。これは、よりコンパクトなフレーム構造を可能にする。
【0021】
さらなる好ましい実施形態では、電解質入口から軸方向に最も離れた方向転換部への流路の長さは、電解質入口から軸方向に最も近い方向転換部への流路の長さより短い。これは、流路長さの非対称分布を作り出すが、圧力降下の状況をある程度さらに改善する。
【0022】
さらなる好ましい実施形態では、電解層が、セルフレームの全てのセルの20%を超えて、特に33%を超えて、より好ましくは50%を超えて、特に全てのセルを通って延びる軸方向チャネルを有することが提供される。前記チャネルは、複数の方向転換部を接続する。また、複数の方向転換部の一部をそれぞれ接続する、より多くのこのようなチャネルを有することも想定される。
【0023】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも一つの分岐部の軸方向位置は、電解質入口を有するエンドプレートよりももう一つのエンドプレートに、特に少なくとも4%、好ましくは少なくとも8%、特に少なくとも12%近い。これは、流路長さの合理的な分布を提供する。
【0024】
さらなる好ましい実施形態では、一方では電解質入口から軸方向に最も離れたセルを通る流路の、他方では前記入口から軸方向に最も近いセルを通る流路の、出口までの流路全長の軸方向流路部分の差を、それらの和で割った値が、20%未満、好ましくは12%未満、特に8%未満である。これは、特に、入口からセルを通り出口に達する最長流路長に関して、より均一な流路長を可能にする。
【0025】
さらなる好ましい実施形態では、一方では電解質入口から軸方向に最も離れたセルを通る流路の、他方では前記入口から軸方向に最も近いセルを通る流路の、出口までの流路全長の軸方向流路部分の差を、それらの和で割った値が、4%より大きく、好ましくは8%より大きく、特に12%より大きいことを提供することができる。特に、分岐部及び集合部(出口側の逆分岐部に対応する)を、一つのセルフレーム内のみに設けることができる。
【0026】
さらに好ましい実施形態では、電解槽は、少なくとも30個、好ましくは少なくとも50個、特に少なくとも80個のセルを含む。それは、少なくとも100個のセル、さらには少なくとも120個のセル、さらには少なくとも140個のセルを有することも想定される。
【0027】
セル構造自体は、好ましくはセルごとに単一フレーム内に、バイポーラプレート及び電極並びに膜又はダイヤフラムを有するものであってもよい。この点に関して、DE102014010813A1の
図1Aで説明された構造は、追加の補強リングの存在とは関係なく、参照により組み込まれる。
【0028】
さらに、本発明は、電解槽のエンドプレートに接続された極を有する少なくとも一つの整流器を備え、二つの電解槽は前記少なくとも一つの整流器のうちの一つに直列に接続され、前記二つの電解槽のうちの一つ又は両方が前述の態様のいずれかに従って構成される、装置又はプラントを提供する。
【0029】
さらに、本発明は、前述の態様のいずれかに従って構成された一つ又は複数の電解槽を使用することによって、電気分解、特に水の電気分解を行う方法も提供する。
【0030】
本発明のさらなる特徴、詳細および利点は、添付図面を参照した以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、電解質マニホールドを備えた電解槽を模式的に示している。
【
図2】
図2は、他の電解質マニホールドを備えた電解槽を模式的に示している。
【
図3】
図3は、さらに他の電解質マニホールドを備えた電解槽を模式的に示している。
【
図4】
図4は、さらに他の電解質マニホールドを備えた電解槽を模式的に示している。
【
図5a】
図5aは、バイパス領域におけるセルフレームの一実施形態に係る断面を示している。
【
図5b】
図5bは、バイパス領域におけるセルフレームの一実施形態に係る断面を示している。
【
図6a】
図6aは、バイパス領域を越えた位置の断面を示している。
【
図6b】
図6bは、バイパス領域を越えた位置の断面を示している。
【
図7a】
図7aは、接続通路を含むセルフレームの断面を示している。
【
図7b】
図7bは、接続通路を含むセルフレームの断面を示している。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1から分かるように、電解槽100は、エンドプレート30(アノード側)と40(カソード側、接地されている)との間に、軸方向Xにステープル留めされたセルのスタック10を備える。図示された実施形態では、軸方向断面図からは認識できないが、セルフレームを有するセルは、軸方向Xに直交する投影で見ると円形状である(
図5-
図7)。説明を簡略化するために、セルをハーフセルに細分化することは省略される。バイポーラプレートで構成されたセルの具体的な実現のためには、以下の説明は、一方の側のアノード側ハーフセル及び他方の側のカソード側ハーフセルを通る電解質の流れに、それぞれ個別に適用されることを理解されたい。
【0033】
セルフレームは、軸方向に延在する貫通孔を有し、スタック配置では、入口側に軸方向に延在するチャネル又は通路20と、出口側に軸方向に延在する別のチャネル又は通路20とを形成する。電解質は、入口側のチャネル20を通って、本質的に軸流方向に流れる。方向転換部25において、電解質の流れは、セル内部の活性領域27に導かれ、ここでは、電解質の流れは、本質的に軸方向Xに直交する半径方向の面内にある。出口側では、(逆)方向転換部26が、半径方向面内の電解質の流れを、再び本質的に軸方向の電解質の流れに導く。
【0034】
図1の上記部分的な説明によるセルステープル10のこのような配置は周知であり、従来では、エンドプレート40の入口41及び出口42はチャネル20と同一平面上にあり、その結果、入口41及び出口42を備えたカソード側エンドプレート40からのそれらの軸方向距離におけるセルの順位は、入口41からのチャネル20内の電解質流路に対するそれらの動作についての、関連する方向転換部の順位に対応する。
【0035】
図1の実施形態では、半径方向平面における入口41の位置は、軸方向チャネル20と同一平面上の位置に対して変位している。さらに、カソード側エンドプレート40に近いセルのセルフレームには追加の貫通孔が設けられており、ステープル構成において、
図1の実施形態ではセルステープル10のセルのおよそ半分まで、複数のセルを通って軸方向にチャネル20に平行に延びる、第2のチャネル又は通路21を形成する。セルステープル10のほぼ軸方向中心にあるセル12には、第2の軸方向チャネル21を(第1の)軸方向チャネル20に連結する連結通路23が存在する。これにより、電解質の流れは、カソード側エンドプレート40内の流入口41を通って導かれるにもかかわらず、セルステープル10のむしろ軸方向中心で軸方向通路20に入る。
【0036】
ここから、電解質の流れは、一方ではアノード側エンドプレート30に対して軸方向の流れ方向に向けられ、他方では、前記「順方向」の流れに対して、カソード側エンドプレート40に向かって軸方向に「逆流」する。次いで、電解質のさらなる流れは、セルの活性領域27を通って再び方向転換部25を通り、その後、この例示的な実施形態では、出口側の軸方向チャネル20に収集される。電解質の最終的な流出は、図示の実施形態では、再び、(第一の)通路20に対して半径面内に変位して、カソード側エンドプレート40内の出口42と同一平面上にある第二の軸方向通路22に入る。
図1に示す実施形態では、出口側の通路20と22との間の流体接続は、セル12のセルフレーム内の連結通路23と実質的に直径方向に反対側の部分24を介して行われる。しかしながら、前記連結は、別の軸方向位置に配置することも可能である。
【0037】
図示の実施形態では、入口側及び出口側のそれぞれに、連結通路23、24は一つだけ存在する。しかしながら、図示されていない他の実施形態では、これらはより多く存在してもよい。このような場合、体積流量に関して、異なるセルを通るすべての流路に沿って相関する流れを調整するように、連結部分を互いに異なるように絞り込むことができる。
【0038】
図1の実施形態では、軸方向通路20に対する第2の軸方向通路21、22の変位は、半径方向変位として示されている。これは、説明のため及び図での表示のためにも選択された、一つの可能な解決策である。しかしこれは、円周方向の変位(方位変位)、又は半径方向成分及び方位成分を含む変位として構成することもでき、より好ましくもある。
【0039】
図1の実施形態では、チャネル21、22及び20の間の連結部は、ステープル10のほぼ軸方向中心にある。しかしながら、
図2に示されるような電解槽101を有する他の実施形態では、非対称配置とすることができ、前記連結部はそれぞれ、カソード側から離れてアノード側に対してシフトされる。
【0040】
電解槽102を備えた
図3に示される実施形態では、「二重非対称配置」があり、そこでは、カソード側の連結23がアノード側に対してシフトされ、一方、出口側の連結24がカソード側に対してシフトされる(ステープル10の軸方向中心が前記シフトの基準とする)。
図3の実施形態では、カソード側エンドプレート40に軸方向に最も近いセルとアノード側エンドプレート30に軸方向に最も近いセルの流路の長さは、本質的に等しい。
【0041】
電解槽103を備えた
図4の実施形態では、バイパスは、流れの分割がすでにエンドプレートの外側でなされている方法で実施される。入口側に近いセルの一部は、第1の供給チャネルを介して供給され、一方、他のセルは、前記部分の供給をバイパスして供給される。また、
図4の実施形態では、(半径方向に変位して示されている)チャネルが方位方向に変位する変更が、可能であり好ましい。
【0042】
図5aは、
図1のセルフレーム13に対応するセルフレーム13’の断面を示しているが、修正された実施形態では、チャンネル21はチャンネル20から半径方向に変位せず、逆流用のチャンネル22、20と同様、方位方向に変位している。
図5aの参照番号41、42は、
図1のそれぞれの流体入口41及び流体出口42への連通を示す。さらに、
図5aの実施形態から分かるように、入口側には、ハーフセルの二つのグループごとにチャネル20及びチャネル21があり、分離が必要とされる出口側に対して対称的な配置となっている。しかしながら、全ての種類のハーフセルに対して共通チャネルとして一つのチャネル20及び21のみを使用する可能性もある。これを
図5bに示す。
【0043】
図6a及び6bは、
図5a及び
図5bの前記異なる実施形態に対応するが、しかし
図1のセルフレーム11の場所に位置するセルフレーム11’に関するものである。チャネル21、22の黒色の十字は、チャネルを通過する流体がないことを示す。これは、流路21、22(
図1参照)は、もう一方のエンドプレートまで連続しておらず、連結通路23で流路20に合流しているためである。
図6a、6bから容易に認識されるように、チャネル21、22のための貫通孔は不要であり、存在しなくてもよいが、貫通孔は(それらが使用されない場合でも)存在することができ、その結果、セルフレーム11’及び13’は、同一の方法で製造することができる。
【0044】
そして、別に製造される(必要とされる)唯一のセルフレームは、入力側のチャネル20と21、出口側の22、20のそれぞれの間の連結通路23(23’)を含む(もの)のみである。これらのセルフレーム12’の断面は、
図7(a)(対称配置)及び
図7(b)(入口側のみ一つのチャネル20)示されており、ここでも参照番号12’は、チャネル22とバイパスチャネル21、22との間の方位方向の変位を有する実施形態が示されていることを示し、これに対して、
図1のセル12に対する図的表現では、半径方向の変位が存在する(主に説明の目的のためであるが、有効な実施形態としてでもある)。
【0045】
上記から理解できるように、連結の詳細は、上記の特徴に基づいて変更することができる。バイパス21の存在によって、電解質の流れに対してより好ましいより均一な圧力降下状況が達成され、電解槽の性能改善につながる。
【0046】
本発明は、図面の説明に示された詳細に限定されない。むしろ、上記の説明の特徴及び後続の特許請求の範囲の特徴は、単独で又は組み合わせて本発明に不可欠であり得る。
【国際調査報告】