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特表2024-515257複数部品キャリッジを有する滑り軸受
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】複数部品キャリッジを有する滑り軸受
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/02 20060101AFI20240401BHJP
   F16C 17/02 20060101ALI20240401BHJP
   F16C 33/20 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F16C29/02
F16C17/02 Z
F16C33/20 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561811
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 EP2022059518
(87)【国際公開番号】W WO2022218878
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202021101948.4
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】ケッヒング ファビアン
【テーマコード(参考)】
3J011
3J104
【Fターム(参考)】
3J011AA01
3J011BA02
3J011CA01
3J011KA02
3J011SC01
3J104AA43
3J104AA63
3J104AA69
3J104AA74
3J104AA76
3J104BA52
3J104CA13
3J104DA18
3J104DA20
(57)【要約】
本発明は、長手軸Xに沿って延在するブッシングを有するキャリッジ本体を有するキャリッジを備える滑り軸受1に関し、摺動要素4が、キャリッジ本体に当接するようにブッシング内に配置され、ブッシング内部に位置して長手軸Xに沿って長細く延在するレールの筒状ガイド部分を受容するように設計された摺動開放部を少なくとも部分的に包囲する。キャリッジ本体は、長手軸Xに沿って相互に対して並んで配置されて相互に取外し可能に固定された2つのキャリッジ要素2、3を備え、そのキャリッジ要素の各々はブッシングの長手部分を形成し、キャリッジ要素2、3の各々は摺動要素4に対して長手軸に沿って作用する制止部を形成し、摺動要素4の少なくとも一部分がその制止部の間に長手軸Xに沿ってその位置に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(X)に沿って延びる通路を有するキャリッジ本体を有するキャリッジ(100)を備える滑り軸受(1)であって、
前記キャリッジ本体に接する摺動要素(4)が前記通路内に配置され、
前記摺動要素は、少なくとも一部分で前記通路内に位置する摺動開放部(10)を包囲し、
該摺動開放部は、前記長手軸(X)に沿って延在するレールの筒状ガイド部分を受容するように構成され、
前記キャリッジ本体は、前記長手軸(X)に沿って相互に対して並んで配置されて相互に取外し可能に固定された2つのキャリッジ要素(2、3)を有し、
該キャリッジ要素の各々は、前記通路の長手部分を形成し、
前記キャリッジ要素(2、3)の各々は、前記摺動要素(4)に対して前記長手軸に沿って作用するリミットストップを形成し、
前記摺動要素(4)の少なくとも一部分が前記リミットストップの間で前記長手軸(X)に沿って適所に固定された、
滑り軸受(1)。
【請求項2】
径方向の圧縮なしに前記摺動要素(4)を前記通路から除去する唯一の方法が、前記キャリッジ要素(2、3)が相互から取り外されて該キャリッジ要素(2、3)が前記長手軸に沿って相互から離れるように移動された後に、除去を実行することである、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項3】
前記キャリッジ要素(2、3)及び前記摺動要素(4)が、相互に対して、前記レールの前記筒状ガイド部分が前記摺動開放部(10)内に配置される場合に、該ガイド部分は、該ガイド部分が径方向に対向する2つの端部の各々において前記摺動要素(4)に接するような直径を有し、
前記キャリッジ要素(2、3)が相互から取り外されると、該キャリッジ要素がそれぞれ形成する前記通路のそれぞれの前記長手部分によって前記レールの前記ガイド部分上にガイドされつつ、かつ前記キャリッジ要素(2、3)の他方が前記長手軸(X)に沿って前記摺動要素(4)から離隔されるまで前記摺動要素(4)が前記2つのキャリッジ要素(2、3)の一方に配置される状態に維持されつつ、前記キャリッジ要素(2、3)が前記長手軸(X)に沿って相互から離れるように移動可能となり、
前記摺動要素(4)は、その後に前記長手軸(X)に沿って前記一方のキャリッジ要素(2、3)から除去可能となるような態様で構成された、
請求項2に記載の滑り軸受(1)。
【請求項4】
前記キャリッジ要素(2、3)の各々は、該キャリッジ要素がそれぞれ形成する前記通路の前記長手部分において、少なくとも200°、特に少なくとも240°の角度範囲にわたって前記長手軸(X)を包囲し、
特に、前記摺動要素(4)は、前記通路の、前記2つのキャリッジ要素(2、3)によって形成される前記長手部分の各々において、少なくとも200°、特に少なくとも240の角度範囲にわたって前記長手軸(X)を包囲する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項5】
前記摺動要素(4)は、シェル部品(40)を有し、
該シェル部品は、
特に前記長手軸(X)に沿って延びるスロットによって途切れた中空筒体の態様で構成され、その径方向内面によって前記摺動開放部(10)を形成し、
特に前記長手軸(X)の周囲に延びる突出部アセンブリ(41)が前記シェル部品(40)の径方向外面に形成され、
前記2つのキャリッジ要素(2、3)によって形成された前記リミットストップ(21、31)の間に少なくともある程度前記長手軸(X)に沿って配置された、
請求項1から4のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項6】
前記突出部アセンブリ(41)は、前記長手軸(X)周りに分散配置された複数の突出部分を有し、
該複数の突出部分の少なくとも1つは、捻れ防止部分(410)として構成され、前記長手軸(X)周りの回転に関して前記キャリッジ(100)に対する前記摺動要素(4)の回転位置を固定するために、前記長手方向に垂直に動作するとともに前記長手軸(X)周りの回転方向に相互から離隔された前記キャリッジ(100)の2つの更なるリミットストップの間に配置され、
特に、前記更なるリミットストップの各々は前記キャリッジ要素(2、3)のそれぞれ一方によって形成される、
請求項1から5のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項7】
前記摺動要素(4)は、そのシェル部品(40)の内面に前記長手軸(X)に沿って延びる縦溝を有する、
請求項5又は6に記載の滑り軸受(1)。
【請求項8】
前記キャリッジ要素(2、3)は、ともに、前記長手軸(X)に沿って相互に向き合うそれらの端部において、前記長手軸(X)の周囲に延びて前記2つのキャリッジ要素(2、3)の前記リミットストップ(21、31)を形成する溝を形成し、
前記突出部アセンブリ(41)は、少なくともある程度前記溝内に配置される、
請求項5から7のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項9】
前記キャリッジ(100)は、前記通路に開口する凹部を有し、
前記摺動要素(4)の前記捻れ防止部分(410)は、前記凹部内に配置され、
特に、該凹部は、前記溝内に開口し、かつ/又は前記凹部は、前記キャリッジ(100)の外面から前記通路に連続する接続部を形成する、
請求項6から8のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項10】
前記キャリッジ要素(2、3)が、一体に形成され、特にダイカストを用いて、特に金属又は金属合金から一体に作製された、
請求項1から9のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項11】
前記摺動要素(4)が、トライボポリマーから作製され、特に一体に作製された、
請求項1から10のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項12】
前記長手軸(X)に沿って延在する少なくとも1本のペグ(22)が、前記キャリッジ要素(2、3)の他方に向く前記キャリッジ要素(2、3)の一方の面に固定され、
前記ペグ(22)は、前記一方のキャリッジ要素(2、3)に向く前記他方のキャリッジ要素(2、3)の面に設けられた穴型の、特に止まり穴型の窪み(32)に係合して、前記長手軸(X)周りの回転に関して相互に対する前記キャリッジ要素(2、3)の回転位置を固定する、
請求項1から11のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項13】
前記滑り軸受(1)は、前記長手軸(X)に沿って延在するネジ(5)を有し、
該ネジは、前記長手軸(X)に沿うそのネジ頭によって前記キャリッジ要素(2、3)の一方の外面を押圧し、そのネジピン部とともに当該一方のキャリッジ要素(2、3)を通じて延在し、前記キャリッジ要素(2、3)の他方に設けられたネジ孔に螺合される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項14】
前記キャリッジ(100)は、該キャリッジ(100)に作動デバイスを締結するための締結デバイスを備え、
該締結デバイスは、一平面にありかつ2つの小領域を有する前記作動デバイスのための支持面を有し、前記キャリッジ要素(2、3)の各々は前記小領域のそれぞれ一方を形成し、かつ/又は前記キャリッジ(100)は、前記作動デバイスを前記キャリッジ(100)に締結するための締結手段を受容するための、前記長手軸(X)に対して垂直に延びる少なくとも1つのチャネル(24、34)、特に前記長手軸に対して垂直に延びる少なくとも2つのチャネル(24、34)を有し、
特に、該チャネル(24、34)は、相互に対して平行に延び、
該チャネル(24、34)の各1つは、前記キャリッジ要素(2、3)のそれぞれ一方により形成され、
特に前記チャネル(24、34)の少なくとも一方は、前記小領域の各々に通じる、
請求項1から13のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)と、レールと、を備える滑り軸受アセンブリであって、
前記レールは、そのガイド部分を前記摺動開放部(10)内に有して配置され、前記摺動要素(4)に接し、
特に前記ガイド部分は、前記長手軸(X)に沿って前記キャリッジ(100)よりも数倍長い、
滑り軸受アセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の滑り軸受アセンブリの使用であって、
前記摺動要素(4)を交換するために、前記キャリッジ要素(2、3)が相互から取り外されて前記長手軸(X)に沿って相互から離れるように移動され、
一方で、前記キャリッジ要素は、ともに前記レールの前記ガイド部分上に途切れない態様でガイドされ、前記通路の、それぞれの前記キャリッジ要素(2、3)によって形成された前記長手部分が当該ガイド部分の周囲に係合し、
前記摺動要素(4)は、相互から離れるように移動されて前記レールの前記ガイド部分上に依然としてガイドされている前記キャリッジ要素(2、3)の間で前記長手軸(X)に沿って前記キャリッジ(100)の前記通路から完全に除去され、
前記長手軸(X)に沿う前記キャリッジ要素(2、3)の間の前記摺動要素(4)の除去後に新たな摺動要素(4)を前記キャリッジ(100)の前記通路に導入することによって、前記新たな摺動要素(4)に交換され、
その後、前記キャリッジ要素(2、3)が相互に接続されるとともに相互に対して固定され、それにより前記新たな摺動要素(4)の位置を前記キャリッジ(100)に対して固定する、
滑り軸受アセンブリの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滑り軸受、その滑り軸受を有する滑り軸受アセンブリ、及びその滑り軸受の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な滑り軸受は、従来技術から十分に良く知られ、作動デバイスの摺動案内動作のために、特にリニアガイドとして使用される。アプリケーションの分野に応じて、そのような作動デバイスは、最も多様な特性を有し得る。例えば、そのような作動デバイスは、要素適応装置、例えば鋸などの工作機械、又は例えば表示装置のための保持手段であり得る。各場合とも、滑り軸受がレールに沿って滑り軸受に取り付けられた作動デバイスの最大限無摩擦かつ無摩耗の案内動作を可能とすることに帰着する。該当する種類の滑り軸受は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
該当する種類の滑り軸受は、キャリッジ本体を有するキャリッジを備え、キャリッジには、キャリッジ要素を通じて長手軸に沿って延びる通路が設けられる。その通路において、摺動要素がキャリッジ要素に接して配置され、その摺動要素は通路内に位置する摺動開放部を包囲する。滑り軸受は、以下の態様でレールの筒状ガイド部分を受容するように構成される。その態様は、摺動開放部内で、その筒体軸が長手軸に沿って延在し、特にそれと一致し、摺動開放部に受容されるガイド部分が摺動要素によって少なくとも部分的に包囲され、それにより、レール上でのキャリッジの摺動案内動作を確保するような態様である。したがって、キャリッジ及び結果として滑り軸受はガイド部分の筒体軸に沿ってレールに対して変位されることになり、一方で、キャリッジは専ら摺動要素又は複数の摺動要素を介してレールのガイド部分を支持する。開放部及び摺動要素は、好ましくは、少なくとも200°、特に少なくとも220°、特に少なくとも240°、特に少なくとも260°の角度範囲にわたって、長手軸及び結果として摺動開放部内に受容された筒状ガイド部分も包囲する。このように、キャリッジも、レールとキャリッジの間において長手軸に対して垂直に作用する外力を受けても、レールのガイド部分に確実に保持されることが保証される。摺動要素の対応する構成によって、さらに好ましくは、どのような外力がレールとキャリッジの間において長手方向に対して垂直に作用していたとしても、キャリッジが常に専ら摺動要素を介してレールのガイド部分を支持することが保証される。
【0004】
キャリッジ及びレールを備える該当する種類の滑り軸受アセンブリの場合、レールのガイド部分は、キャリッジの摺動開放部内に受容される。ガイド部分は、好ましくは、長手軸に沿ってその筒体軸とともに延在する筒体として構成される。ガイド部分は、好ましくは、長手軸に沿うキャリッジの長さ範囲よりも実質的に大きく、特に、このキャリッジの長さ範囲の少なくとも10倍、特に少なくとも20倍となる長手軸に沿う長さ範囲を有する。したがって、レールは構成要素に対して固定位置に取り付けられる一方で、該当する種類の滑り軸受アセンブリは、一般に好ましくはリニアガイドとして構成され、キャリッジに取り付けられた作動デバイスのリニア摺動案内動作として作用する。
【0005】
該当する種類の滑り軸受の場合、プラスチック材料からなる摺動要素、特にトライボポリマーからなる摺動要素が、従来的には使用される。これにより、レール上での滑り軸受の潤滑剤なしの摺動案内動作が可能となる。しかし、そのような摺動要素は、摩耗を受ける。キャリッジに取り付けられた作動デバイスの載荷に応じて、かつレールに沿ってキャリッジが走行する距離に応じて、摺動要素は、摺動要素の交換が必要となるような摩耗を経験し得る。そのような摺動要素を交換するために、通常は、作動デバイスがキャリッジから取り外されてからキャリッジが長手軸に沿ってレールから引き抜かれ、その後、摺動要素がアクセス可能となり、キャリッジ要素から除去されて新たな摺動要素と交換可能となる。しかし、これは、大きな労力を要する。作動デバイスによってキャリッジにかかる負荷及びキャリッジの通路における摺動要素の包囲配置のために、該当する種類の滑り軸受では、摺動要素の単純な交換及び結果として滑り軸受の単純な保守ができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国実用新案第202004016094号明細書
【発明の概要】
【0007】
本発明の課題は、該当する種類の滑り軸受の少なくとも1つの不利益を少なくともある程度解消できる滑り軸受、滑り軸受アセンブリ、及び滑り軸受の使用を提供することである。
【0008】
本発明に内在する上記課題を達成する1つの態様として、本発明は、請求項1に記載の特徴を有する滑り軸受を提案する。本発明に係る滑り軸受は、該当する種類の上述した滑り軸受の場合にあるように、長手軸に沿って延びる通路を有するキャリッジ本体を有するキャリッジを備える。キャリッジ本体に接する摺動要素が通路内に配置され、その摺動要素は通路内に位置する摺動開放部を少なくとも部分的に包囲し、その開放部は長手軸に沿って延在するレールの筒状ガイド部分を受容するのに適している。本発明に係る滑り軸受は、該当する種類の滑り軸受との関連において説明される特徴をさらに有し得る。本発明によると、キャリッジ本体は、長手軸に沿って相互に並んで配置されて相互に取外し可能に固定された2つのキャリッジ要素を有し、その各々は通路の長手部分を形成する。通路の長手部分は長手軸に沿う通路の一部分であり、長手軸は長手方向に延び、したがって長手軸に沿う各配向は長手方向の配向となる。キャリッジ要素の各々は、通路のそれぞれ異なる長手部分を形成する。キャリッジ要素の各々は、摺動要素のために長手軸に沿って作用するリミットストップを形成する。摺動要素の少なくとも一部分は、2つのキャリッジ要素によって形成されたこれらのリミットストップの間に長手軸に沿って適所に固定される。摺動要素は、例えば、全体的に2つのリミットストップの間に配置され得る。例えば、摺動要素は、摺動要素の上記部分を形成する突出部を有していてもよく、したがって、リミットストップの間に長手軸に沿って配置され、したがって、リミットストップの間で長手方向に延在する領域に移動の遊びに関して固定される。摺動要素は、好ましくは、2つのキャリッジ要素によって形成された通路の2つの長手部分の各々に配置される。摺動要素は、例えば、2つの別個の摺動小要素を有していてもよく、その小要素の各々は2つのキャリッジ要素によって形成された通路の2つの長手部分のそれぞれ異なる一方に配置され、摺動小要素の各々はいずれも摺動要素の一部分の小部分を形成し、その小部分は2つのキャリッジ要素によって形成されたリミットストップの間で長手軸に沿って適所に固定される。摺動要素は、特に好ましくは、一体構造のものであり、それは特に滑り軸受の生産及び保守、特に摺動要素の交換を簡素化する。摺動要素の上記部分の位置をリミットストップの間に固定することによって、摺動要素の位置は、全体として、長手軸との関係において、常にキャリッジに対して固定される。
【0009】
本発明に係る滑り軸受は、一般的な滑り軸受に対する大きな有利な効果に関連付けられる。2つのキャリッジ要素であってそれらが長手軸に沿って相互から遠ざかるように移動可能となるように長手軸に沿って相互に隣接して配置されるとともに相互に対して取外し可能に固定された2つのキャリッジ要素のキャリッジ本体を形成することによって、キャリッジ要素が相互から離れるように移動される際に通路内に配置された摺動要素へのアクセスが確保される。さらに、2つのキャリッジ要素を設けることによって、キャリッジのリミットストップが設けられるだけでよく、これらは、滑り軸受が意図する状態にある場合にキャリッジに対する長手軸に沿う摺動要素の変位を防止し、その意図する状態では、キャリッジ要素が離れるように移動されると、キャリッジ要素が相互に固定されるが摺動要素の移動の制限を伴わなくなり、それにより、その後に摺動要素が交換可能となる。さらに、キャリッジの本発明に係る構成によって、キャリッジに締結された作動デバイスがキャリッジ要素の一方に締結され、一方では、キャリッジ要素の他方が作動デバイスから取り外されて一方のキャリッジ要素及び作動デバイスに対して長手軸に沿って変位され、特に一方ではそれはレールのガイド部分上でガイドされる。他方のキャリッジ要素の進行中の案内動作によって、キャリッジの組立て、すなわち、キャリッジ要素の相互への再接合が、特に簡素となる。一般に、摺動要素は、好ましくは、摺動要素がキャリッジ要素間で長手軸に沿って位置する場合に上記筒状ガイド部分から径方向に除去可能となるように、長手軸全体に沿って延在するスロットを有する。一実施形態では、キャリッジ要素は、同一長の通路の長手部分を形成する。他の実施形態では、キャリッジ要素の一方は、その長手部分によって、長手軸に沿う通路の長さ範囲の80%超を形成する。摺動要素は、好ましくは、このキャリッジ要素によって形成される長手部分にのみ配置され、キャリッジ要素の他方は単に、摺動要素のためのリミットストップを形成するカバーの態様で一方のキャリッジ要素に締結される。
【0010】
一実施形態では、摺動要素及びキャリッジは、相互に対して、以下のような態様で構成される。その態様は、径方向の圧縮なしに摺動要素を通路から除去する唯一の方法が、キャリッジ要素が相互から取り外されてキャリッジ要素が長手軸に沿って及び結果として長手方向に相互から離れるように移動された後に、除去を実行することであるような態様である。したがって、滑り軸受の意図する動作状態において、摺動要素は、せいぜい-あるとすれば-事前の径方向の圧縮を受けた後に通路から除去され得る。それにより、摺動要素の上記部分は、キャリッジによって形成されたリミットストップの外側に径方向に移動される。一実施形態では、上記筒状ガイド部分が摺動開放部内に配置される場合、そのガイド部分、いずれも長手軸周りに60°ずつ回転角に関してずれた4個の周回部分において摺動要素からいずれも0.3mm未満だけ離隔され、一旦キャリッジ要素が相互から取り外されて長手軸に沿って相互から離れるように移動されると、摺動要素は通路から除去可能となる。上述した好適な実施形態は、一方ではキャリッジに対する摺動要素の確実な固定を可能とし、他方では、キャリッジ要素が相互から取り外されて離れるように移動されると摺動要素の簡素な除去可能性を与える。一実施形態では、キャリッジ要素及び摺動要素は、相互に対して以下のような態様で構成される。その態様は、そのようなレールの筒状ガイド部分が摺動開放部に配置される場合に、そのガイド部分はそれが2つの径方向に対向する端部の各々において摺動要素に接するような直径を有し、キャリッジ要素が相互から取り外されると、キャリッジ要素が、通路の、それぞれレールのガイド部分上に形成するそれぞれの長手部分によってガイドされつつ、かつキャリッジ要素の他方が長手軸に沿って摺動要素から離隔されるまで摺動要素が2つのキャリッジ要素の一方に配置された状態に維持されつつ、キャリッジ要素の各々が長手軸に沿って相互から離れるように移動されることになり、その後、摺動要素は長手軸に沿って一方のキャリッジ要素から除去され得るような態様である。したがって、キャリッジ要素は、好ましくは、キャリッジ要素が長手軸に沿って筒状ガイド部分にそれぞれ形成する通路の長手部分によってガイドされつつ相互から遠ざかるように移動されることになり、一方で、摺動要素はキャリッジ要素の一方に配置された状態を維持する。現時点でキャリッジ要素の一方に配置されているだけの摺動要素が径方向にアクセス可能となるようにキャリッジ要素が相互から大きく離隔されるとすぐに、摺動要素は、それをこのキャリッジ要素によって形成される通路の長手部分から長手軸に沿って引き抜くことによって、このキャリッジ要素から除去され得る。キャリッジ要素が、通路の、いずれもキャリッジ要素によって形成された長手部分において、少なくとも200°、特に少なくとも220°、特に少なくとも240°、特に少なくとも260°の角度範囲にわたって長手軸を包囲することが一般に好ましい。摺動要素が、特に、通路の、2つのキャリッジ要素によって形成された長手部分の各々において、少なくとも200°、特に少なくとも220°、特に少なくとも240°、特に少なくとも260°の角度範囲にわたって長手軸を包囲することが一般に好ましい。この包囲は、好ましくは、上記角度範囲にわたって途切れない包囲である。好ましくは、上記包囲は、長手軸に沿う通路の全長及び/又は長手軸に沿う摺動要素の長さの少なくとも50%、特に少なくとも80%、特に少なくとも90%にわたる。この包囲は、筒状ガイド部分に対する滑り軸受の特に確実な摺動固定及び取付けを保証する。
【0011】
一実施形態では、摺動要素は、中空筒体の態様で、特に長手軸に沿って延びるスロットによって途切れた中空筒体の態様で構成されたシェル部品を有する。このスロットは、摺動開放部の径方向のアクセス可能性を与える。スロットを設けることによって、摺動要素が、好ましくは筒状ガイド部分上に径方向に留められてもよい。シェル部品は、その径方向内面によって摺動開放部を形成する。したがって、中空筒体の内部断面は、摺動開放部の断面に対応する。特に好ましくは、長手軸周囲に延びる突出部アセンブリが、シェル部品の径方向外面に形成され、2つのキャリッジ要素によって形成されたリミットストップの間に長手軸に沿って配置される。突出部アセンブリは、例えば、上述したように、固定角度範囲、特に、好ましくは大きな角度範囲にわたって長手軸周りに連続して延びるように、又は周方向に相互から離隔した突出部分を有するように構成され、突出部分は、好ましくは対応して大きな角度範囲(上述したように、好ましくは少なくとも200°、好ましくは少なくとも240°、好ましくは少なくとも260°)にわたって分散される。突出部アセンブリは、2つのキャリッジ要素によって形成されたリミットストップの間に少なくともある程度長手軸に沿って配置される。突出部アセンブリは、例えば、リミットストップの間に配置された一部の突出部分、及びリミットストップの外部に配置された少なくとも1つの更なる突出部分を有し得る。この更なる突出部分は、例えば、他の突出部分とは異なる機能を果たし、例えば、回転ロックをかけてもよく、それにより、捻れ防止部分として構成される。一般に、突出部アセンブリは、好ましくは、長手軸周りに分散配置された複数の突出部分を有し、その少なくとも1つは捻れ防止部分として構成され、長手方向に対して垂直に作用するとともに長手軸周りの回転方向において相互に離隔したキャリッジの2つの更なるリミットストップの間に配置される。キャリッジの更なるリミットストップの間に捻れ防止部分を配置することによって、キャリッジに対する摺動要素の回転位置は、結果として長手軸周りの回転との関係において固定される。キャリッジ要素は、特に好ましくは、キャリッジ要素の各々がいずれも更なるリミットストップの各々の部分を形成するように、更なるリミットストップの各々をともに形成する。特に好ましくは、突出部アセンブリの全ての突出部分は、キャリッジの上記リミットストップの間に長手軸に沿って配置される。
【0012】
特に好ましくは、キャリッジ要素は、長手軸に沿って相互に向き合うそれらの端部において、長手軸周囲に延びて2つのキャリッジ要素のリミットストップを形成する溝をともに形成する。溝は、好ましくは、長手軸に関して途切れずに、好ましくは上記のような有利に大きな角度範囲にわたって延びる。したがって、摺動要素の上記部分は、溝内部に配置される。その部分は、好ましくは、突出部アセンブリによって形成される。したがって、突出部アセンブリは、好ましくは、少なくともある程度溝内に、すなわち、少なくともそれが摺動要素の上記部分を形成する程度で配置される。特に好ましくは、長手軸に沿う方向に関して、捻れ防止部分は、溝内に配置される。キャリッジは、好ましくは、通路内に開口する凹部を有し、摺動要素の捻れ防止部分はその凹部に配置される。凹部は、捻れ防止部分が通路から径方向に凹部内に延在するように、径方向において通路内に開口する。凹部は、好ましくは、凹部が溝内に開口するように、長手軸に沿う方向において上記溝内部に配置される。代替的に又は追加して、凹部は、好ましくは、キャリッジの外面から通路への連続接続部を形成する。
【0013】
キャリッジ要素が一体に構成されること、特に好ましくは金属又は金属合金から一体に作製されることが一般に好適である。キャリッジ要素は、好ましくは、ダイカストを用いて作製される。摺動要素が摩擦学的ポリマーから作製されること、特に射出成形を用いて摩擦学的ポリマーから一体に作製されることが一般に好適である。そのような摩擦学的ポリマーは、摩耗低減及び摩擦低減に関して最適化されたポリマーである。そのような摩擦学的ポリマーは、従来的に、ベースポリマー、例えば、熱可塑性ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエテン、及び熱硬化性樹脂の場合には、フェノール樹脂を有する。このベースポリマーに微細固体潤滑剤、例えば、二硫化モリブデン若しくはグラファイト、及び/又は充填剤、例えば、プラスチック材料若しくは織物の繊維又は粒子が添加される。摺動要素が、そのシェル部品の内面に長手軸に沿って延びる縦溝を有することが一般に好適である。これらの縦溝は、一方では、摺動要素とレールのガイド部分との間の汚れに起因して摩擦が高まることを防止することになり、他方では、摺動要素の縦溝に起因して、好適な径方向の弾性特性を有することになり、好ましくはガイド部分に対する摺動要素の接触面が減少し得る。
【0014】
一実施形態では、滑り軸受は、長手軸に沿って延在する少なくとも1本のペグを有する。ペグはキャリッジ要素の一方の面に固定され、その面は他方のキャリッジ要素に向き、したがって長手軸に沿って向く。ペグは、穴型の、特に止まり穴型の窪みに配置され、その窪みは一方のキャリッジ要素に向く他方の要素の面に設けられる。したがって、ペグは、この窪みに係合して、長手軸に対して垂直な相互に対するキャリッジ要素の位置を固定する。長手軸周りの回転に関して、相互に対するキャリッジ要素の回転位置は、例えば、筒状ガイド部分がキャリッジの通路に位置する場合に確定的に固定され得る。滑り軸受は、好ましくは、長手軸に対して垂直に相互から離隔した2本のペグを有する。2本のペグを設けることによって、回転位置を確定的に固定することが可能となり、これらのペグは、1本のペグに関して説明したように、キャリッジ要素の一方の面に配置され、いずれも、キャリッジ要素の他方に配置された窪みに係合する。ペグは、好ましくは、一方のキャリッジ要素に対して、ペグが挿入される当該一方のキャリッジ要素の上記面に穴型の、特に止まり穴型の窪みを設けることによって、固定される。ペグの固定は、長手軸に垂直な固定に関する。ペグは、好ましくは、ペグが可能な限り少ない遊びで窪みに保持されるように、穴型の窪みと実質的に同じ断面を有する。1本のペグ又は複数のペグを設けることによって、キャリッジを形成するためのキャリッジ要素同士の意図する接合が特に簡素化され、キャリッジの強健性が特に高められる。
【0015】
一実施形態では、滑り軸受は長手軸に沿って延在するネジを有し、それは、そのネジ頭によって長手軸に沿ってキャリッジ要素のうちの一方のキャリッジ要素の外面に押圧し、そのネジピン部とともに当該一方のキャリッジ要素を通じて延在し、キャリッジ要素の他方に設けられたネジ孔に螺合される。このように、キャリッジ要素の相互に対する確実な取外し可能な固定が保証可能となる。
【0016】
一実施形態では、キャリッジは、作動デバイスをキャリッジに締結するための締結デバイスを備える。締結デバイスは、一平面にありかつ2つの小領域を有する作動デバイスのための支持面を有し、キャリッジ要素の各々は小領域の一方をそれぞれ形成する。代替的に又は追加して、キャリッジは、作動デバイスをキャリッジに締結するための締結手段を受容するための、長手軸に対して垂直に延びる少なくとも1つのチャネル、特に長手軸に対して垂直に延びる少なくとも2つのチャネルを有し得る。締結手段は、例えば、作動デバイスが締結手段を介してキャリッジに固定されるように、チャネルを通じて作動デバイスの対応するネジ部内に螺合され、そのネジ頭によってキャリッジを押圧するネジであり得る。キャリッジ要素の各々が支持面の小領域を有すること及び/又はキャリッジ要素の各々が2つのチャネルの一方を有することによって、作動デバイスが両キャリッジ要素に締結され得る。したがって、摺動要素を交換するために、キャリッジ要素の一方が、作動デバイスから取り外され、作動デバイス及び依然としてそこに締結されているキャリッジ要素から長手軸に沿って遠ざかるように移動される。チャネルは、特に好ましくは、相互に対して平行に延びる。チャネルの少なくとも一方はいずれも、特に好ましくは、キャリッジ要素の各々から形成される。いずれも、チャネルの少なくとも一方は、特に好ましくは、チャネルの少なくとも一方がいずれも小領域の各々に通じるように、いずれも小領域の1つに通じる。チャネルは、小領域に通じる場合、小領域に開口する。したがって、作動デバイスは、上記チャネルによって小領域内で締結され得る。
【0017】
本発明は、さらに、本発明に係る滑り軸受及びレールを備える滑り軸受アセンブリに関し、レールはそのガイド部分を摺動開放部内に有して配置され、摺動要素に接する。ガイド部分は、好ましくは、径方向に、すなわち、長手軸に垂直に構成された2個のその端部において、特に、いずれも長手軸周りに60°の回転角ずつ相互からずれた4個の径方向端部において、摺動要素に接する。ガイド部分は、好ましくは、長手軸に沿ってキャリッジよりも数倍長い。
【0018】
本発明は、さらに、本発明に係る滑り軸受アセンブリの使用に関する。本発明に係る使用の場合、摺動要素を交換するために、キャリッジ要素が相互から取り外されて長手軸に沿って相互から離れるように移動され、一方で、それらはともにレールのガイド部分上に途切れない態様でガイドされ、通路の、それぞれのキャリッジ要素によって形成された長手部分が、このガイド部分の周囲に、特に上記の有利な角度範囲にわたって係合する。本発明に係る使用の場合、摺動要素は、相互から離れるように移動されてレールのガイド部分上にガイドされた状態に維持されたキャリッジ要素の間で長手軸に沿ってキャリッジの通路から完全に除去され、新たな摺動要素に交換される。通路からの除去は、例えば、キャリッジ要素の一方によって形成された通路の長手部分に摺動要素が維持される一方で、キャリッジ要素の他方が一方のキャリッジ要素から離れるように移動され、その後、キャリッジ要素の一方によって形成された当該通路の長手部分から摺動要素も除去されることで進行し得る。長手軸に沿う方向に関して、キャリッジ要素間の摺動要素の除去後に新たな摺動要素をキャリッジの通路に導入することによって摺動要素は新たな摺動要素に交換され、その後に、キャリッジ要素が相互に接続されるとともに相互に対して固定され、それにより、新たな摺動要素の位置をキャリッジに対して固定する。したがって、新たな摺動要素は、キャリッジ要素によって形成された通路の長手部分と整列配置されるまで、長手軸に沿う方向に関してキャリッジ要素間でガイドされ、その後、キャリッジ要素が長手軸に沿って相互に向けて移動され、摺動要素が通路の上記長手部分内に受容され、それにより、摺動要素は長手軸に沿ってキャリッジの通路内に導入される。
【0019】
本発明に係る滑り軸受又は本発明に係る使用を参照して説明した特徴は、本発明に係る使用又は本発明に係る滑り軸受についても準用して規定され得る。さらに、「一方のキャリッジ要素」及び「他方のキャリッジ要素」という表記は常に、2つのキャリッジ要素を相互から区別する直接的な文脈においてのみ使用されることが指摘されるべきである。「一方」又は「他方」のキャリッジ要素に言及するそれぞれの文脈において記載される特徴は、「一方」及び「他方」という表記が互換可能となるように、2つのキャリッジ要素のいずれか一方の場合に二者択一的に規定され得る。
【0020】
以下に、本発明を、2つの図面を参照しつつ例示的実施形態に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る滑り軸受の一分解図の模式図である。
図2a図1に示すような本発明に係る滑り軸受の実施形態の構成要素の図の模式図である。
図2b図1に示すような本発明に係る滑り軸受の実施形態の構成要素の図の模式図である。
図2c図1に示すような本発明に係る滑り軸受の実施形態の構成要素の図の模式図である。
図2d図1に示すような本発明に係る滑り軸受の実施形態の構成要素の図の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明に係る滑り軸受1の実施形態の分解図を模式図で示す。
滑り軸受1は、第1のキャリッジ要素2及び第2のキャリッジ要素3によって形成されるキャリッジを備える。
滑り軸受1は、摺動要素4をさらに有する。
摺動要素4は、長手軸Xに沿って延びるスロットによって途切れた中空筒体の態様で形成されたシェル部品40を有する。
突出部アセンブリ41は、シェル部品40の径方向外面に設けられる。
突出部アセンブリ41は、シェル部品40の長手中心に設けられ、これは本発明によると、全般的に有利である。
図1は、分解図を示すため、その意図する状態の滑り軸受1を示すものではない。ただし、図1からは、キャリッジ要素2、3はいずれもキャリッジの通路の長手部分を形成し、その部分にはいずれも、摺動要素4の1つの長手部分が長手軸Xに沿って挿入されることになり、摺動要素4が、その径方向内面に、レールの筒状ガイド部分を受容するための摺動開放部を形成していることが分かる。
両キャリッジ要素2、3及び摺動要素4は、長手軸X周りの回転角に関して、240°を超える角度範囲にわたって長手軸Xを包囲する。さらに、キャリッジ要素2、3はいずれも、キャリッジの意図する組立て状態において、突出部アセンブリ41が受容される溝の一部分を形成し、それにより、シェル部品40の長手位置がキャリッジ要素2、3に対して確定的に固定されることも分かる。
キャリッジ要素2、3は、さらにいずれもチャネル24、34を有し、それは長手軸Xに対して垂直に延在し、それぞれのキャリッジ要素2、3によって形成される小領域に通じる。
キャリッジ要素2、3によって形成される小領域はいずれも、平坦であり、キャリッジの組立て状態において、図2aから分かるように、ともに作動デバイスのための平坦支持面を形成する。さらに、長手軸Xに垂直なキャリッジ要素2、3の相対位置を固定するために、2つのキャリッジ要素2、3の相互に向き合う長手端部に設けられた止まり穴型の窪み内に挿入されるペグ22が設けられることも分かる。
図1は、単に、第1のキャリッジ要素2の止まり穴型の窪みの1つを示す。
滑り軸受1はネジ5をさらに備え、それは第1のキャリッジ要素2に設けられた孔23を通じて延在し、第2のキャリッジ要素3内に意図するように螺合され、それにより、そのネジ頭が第1のキャリッジ要素2を押圧し、2つのキャリッジ要素2、3を長手軸X上のそれらの相対位置に関して相互に固定する。
【0023】
図2a、図2b、図2c及び図2dからなる図2は、滑り軸受1の種々の図を示す。
キャリッジ100を形成するキャリッジ要素2、3が相互に対して適所に固定されたその意図する状態の滑り軸受1が示される。
図2aは、作動デバイスを支持するように設けられた支持面の上方からの図を示し、当該支持面はキャリッジ要素2、3にそこを通じて設けられたチャネル24、34を有するキャリッジ要素2、3によって接合形成されている。図2aは、さらに、いずれも1つの凹部210、310を有する2つのキャリッジ要素2、3によって形成された凹部を示し、その凹部はキャリッジ100によって形成される通路に開口し、図2cに関連してより詳細に説明される。
図2bは、図2aに係る滑り軸受1の第1のキャリッジ要素2の長手軸Xに沿って見た図である。図2bからは、ネジ5がそのネジ頭で第1のキャリッジ要素2を押圧してその長手位置を第2のキャリッジ要素3に対して固定すること、及びキャリッジ100によって形成される通路内に摺動要素4が配置され、その摺動要素は通路内にある摺動開放部10を径方向内面で、ここでは長手軸X周りの260°を超える角度範囲にわたって包囲することが明確となる。図2bからは、摺動要素4は、いずれも、レールの筒状ガイド部分に接するように設けられた摺動要素4の2つの部分の間に設けられた縦溝42を有することが、さらに明確となる。
【0024】
図2c及び図2dは、図2aに示したB-B及びA-Aで見た図を示す。
図2cからは、長手方向に垂直に、シェル部品40の突出部アセンブリ41が第2のキャリッジ要素3と重なり、それにより、第2のキャリッジ要素3がリミットストップ31を形成し、それは図1に示す第1のキャリッジ要素2のリミットストップ21とともに、突出部アセンブリ41の長手位置、及び結果としてキャリッジ100に対して全体としての摺動要素4の長手位置も固定することが分かる。さらに、図2cからは、突出部アセンブリ41が、捻れ防止部分410として形成された突出部分を備え、それは第2のキャリッジ要素3によって形成された部分的な凹部310内に開口し、図2cには不図示であるが、第1のキャリッジ要素2によって形成された部分的な凹部210内にも開口する。したがって、部分的な凹部210、310によって形成された凹部はキャリッジ100の更なるリミットストップを形成し、その間に捻れ防止部分410が配置される。これらの更なるリミットストップは、長手方向に垂直な方向に関して作用する。捻れ防止部分410を上記凹部に配置することによって、長手軸周りの回転に関する摺動要素の回転位置が、キャリッジ100に対して固定される。図2cは、第1のキャリッジ要素2に向く第2のキャリッジ要素3の面における止まり穴型の窪み32をさらに示し、窪み32内に、図1に示すペグ22が係合して、長手軸X周りの回転に関して相互に対するキャリッジ要素2、3の相対回転位置を固定する。
図2dは、第1のキャリッジ要素2のチャネル24を通じる部分を示す。図2dは、第1のキャリッジ要素2を通じて延在するネジ5のネジピン部を示す。さらに、図2b~図2dは、摺動要素4及びその摺動要素4の径方向内面に設けられた縦溝42によって形成された摺動開放部10を示す。
【符号の説明】
【0025】
1 滑り軸受
2 第1のキャリッジ要素
3 第2のキャリッジ要素
4 摺動要素
5 ネジ
10 摺動開放部
21 リミットストップ
22 ペグ
23 孔
24 チャネル
31 リミットストップ
32 止まり穴型の窪み
34 チャネル
40 シェル部品
41 突出部アセンブリ
42 縦溝
100 キャリッジ
210 部分的な凹部
310 部分的な凹部
410 捻れ防止部分
X 長手軸
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸(X)に沿って延びる通路を有するキャリッジ本体を有するキャリッジ(100)を備える滑り軸受(1)であって、
前記キャリッジ本体に接する摺動要素(4)が前記通路内に配置され、
前記摺動要素は、少なくとも一部分で前記通路内に位置する摺動開放部(10)を包囲し、
該摺動開放部は、前記長手軸(X)に沿って延在するレールの筒状ガイド部分を受容するように構成され、
前記キャリッジ本体は、前記長手軸(X)に沿って相互に対して並んで配置されて相互に取外し可能に固定された2つのキャリッジ要素(2、3)を有し、
該キャリッジ要素の各々は、前記通路の長手部分を形成し、
前記キャリッジ要素(2、3)の各々は、前記摺動要素(4)に対して前記長手軸に沿って作用するリミットストップを形成し、
前記摺動要素(4)の少なくとも一部分が前記リミットストップの間で前記長手軸(X)に沿って適所に固定された、
滑り軸受(1)。
【請求項2】
径方向の圧縮なしに前記摺動要素(4)を前記通路から除去する唯一の方法が、前記キャリッジ要素(2、3)が相互から取り外されて該キャリッジ要素(2、3)が前記長手軸に沿って相互から離れるように移動された後に、除去を実行することである、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項3】
前記キャリッジ要素(2、3)及び前記摺動要素(4)が、相互に対して、前記レールの前記筒状ガイド部分が前記摺動開放部(10)内に配置される場合に、該筒状ガイド部分は、該筒状ガイド部分が径方向に対向する2つの端部の各々において前記摺動要素(4)に接するような直径を有し、
前記キャリッジ要素(2、3)が相互から取り外されると、該キャリッジ要素がそれぞれ形成する前記通路のそれぞれの前記長手部分によって前記レールの前記筒状ガイド部分上にガイドされつつ、かつ前記キャリッジ要素(2、3)の他方が前記長手軸(X)に沿って前記摺動要素(4)から離隔されるまで前記摺動要素(4)が前記2つのキャリッジ要素(2、3)の一方に配置される状態に維持されつつ、前記キャリッジ要素(2、3)が前記長手軸(X)に沿って相互から離れるように移動可能となり、
前記摺動要素(4)は、その後に前記長手軸(X)に沿って前記一方のキャリッジ要素(2、3)から除去可能となるような態様で構成された、
請求項2に記載の滑り軸受(1)。
【請求項4】
前記キャリッジ要素(2、3)の各々は、該キャリッジ要素がそれぞれ形成する前記通路の前記長手部分において、少なくとも200°、特に少なくとも240°の角度範囲にわたって前記長手軸(X)を包囲し、
特に、前記摺動要素(4)は、前記通路の、前記2つのキャリッジ要素(2、3)によって形成される前記長手部分の各々において、少なくとも200°、特に少なくとも240の角度範囲にわたって前記長手軸(X)を包囲する、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項5】
前記摺動要素(4)は、シェル部品(40)を有し、
該シェル部品は、
特に前記長手軸(X)に沿って延びるスロットによって途切れた中空筒体の態様で構成され、その径方向内面によって前記摺動開放部(10)を形成し、
特に前記長手軸(X)の周囲に延びる突出部アセンブリ(41)が前記シェル部品(40)の径方向外面に形成され、
前記2つのキャリッジ要素(2、3)によって形成された前記リミットストップ(21、31)の間に少なくともある程度前記長手軸(X)に沿って配置された、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項6】
前記突出部アセンブリ(41)は、前記長手軸(X)周りに分散配置された複数の突出部分を有し、
該複数の突出部分の少なくとも1つは、捻れ防止部分(410)として構成され、前記長手軸(X)周りの回転に関して前記キャリッジ(100)に対する前記摺動要素(4)の回転位置を固定するために、長手方向に垂直に動作するとともに前記長手軸(X)周りの回転方向に相互から離隔された前記キャリッジ(100)の2つの更なるリミットストップの間に配置され、
特に、前記更なるリミットストップの各々は前記キャリッジ要素(2、3)のそれぞれ一方によって形成される、
請求項5に記載の滑り軸受(1)。
【請求項7】
前記摺動要素(4)は、そのシェル部品(40)の内面に前記長手軸(X)に沿って延びる縦溝を有する、
請求項5に記載の滑り軸受(1)。
【請求項8】
前記キャリッジ要素(2、3)は、ともに、前記長手軸(X)に沿って相互に向き合うそれらの端部において、前記長手軸(X)の周囲に延びて前記2つのキャリッジ要素(2、3)の前記リミットストップ(21、31)を形成する溝を形成し、
前記突出部アセンブリ(41)は、少なくともある程度前記溝内に配置される、
請求項5に記載の滑り軸受(1)。
【請求項9】
前記キャリッジ(100)は、前記通路に開口する凹部を有し、
前記摺動要素(4)の前記捻れ防止部分(410)は、前記凹部内に配置され、
特に、該凹部は、前記溝内に開口し、かつ/又は前記凹部は、前記キャリッジ(100)の外面から前記通路に連続する接続部を形成する、
請求項6に記載の滑り軸受(1)。
【請求項10】
前記キャリッジ要素(2、3)が、一体に形成され、特にダイカストを用いて、特に金属又は金属合金から一体に作製された、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項11】
前記摺動要素(4)が、トライボポリマーから作製され、特に一体に作製された、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項12】
前記長手軸(X)に沿って延在する少なくとも1本のペグ(22)が、前記キャリッジ要素(2、3)の他方に向く前記キャリッジ要素(2、3)の一方の面に固定され、
前記ペグ(22)は、前記一方のキャリッジ要素(2、3)に向く前記他方のキャリッジ要素(2、3)の面に設けられた穴型の、特に止まり穴型の窪み(32)に係合して、前記長手軸(X)周りの回転に関して相互に対する前記キャリッジ要素(2、3)の回転位置を固定する、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項13】
前記滑り軸受(1)は、前記長手軸(X)に沿って延在するネジ(5)を有し、
該ネジは、前記長手軸(X)に沿うそのネジ頭によって前記キャリッジ要素(2、3)の一方の外面を押圧し、そのネジピン部とともに当該一方のキャリッジ要素(2、3)を通じて延在し、前記キャリッジ要素(2、3)の他方に設けられたネジ孔に螺合される、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項14】
前記キャリッジ(100)は、該キャリッジ(100)に作動デバイスを締結するための締結デバイスを備え、
該締結デバイスは、一平面にありかつ2つの小領域を有する前記作動デバイスのための支持面を有し、前記キャリッジ要素(2、3)の各々は前記小領域のそれぞれ一方を形成し、かつ/又は前記キャリッジ(100)は、前記作動デバイスを前記キャリッジ(100)に締結するための締結手段を受容するための、前記長手軸(X)に対して垂直に延びる少なくとも1つのチャネル(24、34)、特に前記長手軸に対して垂直に延びる少なくとも2つのチャネル(24、34)を有し、
特に、該チャネル(24、34)は、相互に対して平行に延び、
該チャネル(24、34)の各1つは、前記キャリッジ要素(2、3)のそれぞれ一方により形成され、
特に前記チャネル(24、34)の少なくとも一方は、前記小領域の各々に通じる、
請求項1に記載の滑り軸受(1)。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の滑り軸受(1)と、レールと、を備える滑り軸受アセンブリであって、
前記レールは、前記筒状ガイド部分を前記摺動開放部(10)内に有して配置され、前記摺動要素(4)に接し、
特に前記筒状ガイド部分は、前記長手軸(X)に沿って前記キャリッジ(100)よりも数倍長い、
滑り軸受アセンブリ。
【請求項16】
請求項15に記載の滑り軸受アセンブリの使用であって、
前記摺動要素(4)を交換するために、前記キャリッジ要素(2、3)が相互から取り外されて前記長手軸(X)に沿って相互から離れるように移動され、
一方で、前記キャリッジ要素は、ともに前記レールの前記筒状ガイド部分上に途切れない態様でガイドされ、前記通路の、それぞれの前記キャリッジ要素(2、3)によって形成された前記長手部分が当該筒状ガイド部分の周囲に係合し、
前記摺動要素(4)は、相互から離れるように移動されて前記レールの前記筒状ガイド部分上に依然としてガイドされている前記キャリッジ要素(2、3)の間で前記長手軸(X)に沿って前記キャリッジ(100)の前記通路から完全に除去され、
前記長手軸(X)に沿う前記キャリッジ要素(2、3)の間の前記摺動要素(4)の除去後に新たな摺動要素(4)を前記キャリッジ(100)の前記通路に導入することによって、前記新たな摺動要素(4)に交換され、
その後、前記キャリッジ要素(2、3)が相互に接続されるとともに相互に対して固定され、それにより前記新たな摺動要素(4)の位置を前記キャリッジ(100)に対して固定する、
滑り軸受アセンブリの使用。
【国際調査報告】