(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ベント装置および関連する方法
(51)【国際特許分類】
A61M 5/165 20060101AFI20240401BHJP
A61M 5/38 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A61M5/165 500B
A61M5/38 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562621
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2022059640
(87)【国際公開番号】W WO2022218924
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591002131
【氏名又は名称】ベー・ブラウン・メルズンゲン・アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】B.BRAUN MELSUNGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】シム,カイ ティック
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066LL20
4C066MM02
(57)【要約】
除去するべきガスを有する医療機器のラインからガスを排気するためのベント装置には、様々なものがある。ベント装置は、使用中にラインの内部と連通する入口、およびラインの外側の空気と連通する、または外気にさらされる出口を含んでもよい。入口と出口は、ライン内部からラインの外側へガスを排気するように、そしてライン内部からベント装置の出口から出る流体の流れを抑止するように構成される流路の対向する端部を規定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器からガスを排気するためのベント装置であって、
ベント装置は、
使用時に、医療機器の内部と連通する入口と、
医療機器の外部の空気に露出した出口と、を含み、
入口および出口は、医療機器の内部から出口へガスを排気し、医療機器の内部から出口への液体の流れを抑制するように構成された流路の、対向する端部を画定する、
ベント装置。
【請求項2】
流路は、ガス透過性の疎水性材料を含む、
請求項1に記載のベント装置。
【請求項3】
ハウジングをさらに含み、
入口はハウジングの遠位領域にあり、出口はハウジングの近位領域にあり、流路はハウジング内に導管を形成する、
請求項1または2に記載のベント装置。
【請求項4】
疎水性材料が出口に配置される、
請求項3に記載のベント装置。
【請求項5】
ハウジングは、1つ以上の近位出口開口を含み、
疎水性材料が出口に位置する、または疎水性材料のストリップが1つ以上の出口開口を横切って配置される、
請求項4に記載のベント装置。
【請求項6】
疎水性材料のストリップは、1つ以上の出口開口を覆ってもよく、1つ以上の開口から流出するガスは疎水性材料のストリップを通って流れなければならないようにされる、
請求項5に記載のベント装置。
【請求項7】
疎水性材料は、インサートとして形成され、
インサートは、ハウジング内の空洞に位置し、入口と出口との間に配置される、
請求項3に記載のベント装置。
【請求項8】
入口は、ハウジングの遠位領域に形成された1つ以上の入口開口を含む、
請求項3~7のいずれか1つに記載のベント装置。
【請求項9】
流路は、疎水性材料の本体によって形成される、
請求項2に記載のベント装置。
【請求項10】
長さ及び厚さを備えた概ね平坦なプロファイルを有し、長さは厚さの少なくとも20倍である、
請求項8に記載のベント装置。
【請求項11】
少なくとも部分的に入口を含む遠位領域と、出口を含む近位領域と、遠位領域と近位領域との中間の中間領域とを含む、
請求項1~10のいずれか1つに記載のベント装置。
【請求項12】
遠位領域は、第1の厚さを有し、中間領域は、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、
請求項11に記載のベント装置。
【請求項13】
近位領域は、第2の厚さよりも大きい第3の厚さを有する、
請求項11または12に記載のベント装置。
【請求項14】
近位領域はグリップとして構成される、
請求項11~13のいずれか1つに記載のベント装置。
【請求項15】
近位領域の外面が、テクスチャ加工される、
請求項14に記載のベント装置。
【請求項16】
遠位領域は第1の幅を有し、近位領域は第1の幅よりも大きい第2の幅を有する、
請求項11~15のいずれか1つに記載のベント装置。
【請求項17】
ラインは、静脈内カテーテル(IVC)または末梢静脈内カテーテル(PIVC)の一部である、
請求項1~16のいずれか1つに記載のベント装置。
【請求項18】
入口は、ポートまたはコネクタの受容端内に配置される、
請求項17に記載のベント装置。
【請求項19】
ガスは、ベント装置の第1の部分をベント装置の第2の部分に対して作動させることなく、ベント装置を通って排気される、
請求項1に記載のベント装置。
【請求項20】
除去すべきガスを有するラインからガスを排気するためのベント装置を形成する方法であって、
方法は、
疎水性材料から、遠位領域、近位領域、および遠位領域と近位領域との間の中間領域を有する本体を形成するステップと、
薄いプロファイルを形成するために、本体の厚さよりも少なくとも20倍大きい長さを本体に備えさせるステップと、
遠位領域に第1の幅W
1を、近位領域に第2の幅W
2を形成するステップと、を含み、第2の幅W
2は第1の幅W
1より大きく、
方法はさらに、
遠位領域に第1の厚さH
1を、中間領域に第2の厚さH
2を、近位領域に第3の厚さH
3を形成するステップと、
ベント装置の挿入を容易にするために、遠位領域にテーパエッジを提供するステップと、を含む、方法。
【請求項21】
第1の厚さH
1は、第2の厚さH
2よりも大きい、
請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、チューブラインなどの医療機器からガスを抜くためのベント装置に関する。場合によっては、本発明は、末梢静脈内カテーテル(peripheral intravenous catheter)や他の医療器具からのガス抜きに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
静脈空気塞栓症(venous air embolism)は、1つまたは複数の気泡が静脈に入り、心臓、肺、脳などの特定の人体臓器への血液供給を制限することによって起こる。動脈空気塞栓症は、同じ事象であり、動脈で起こる。
【0003】
空気塞栓症は、心臓発作、脳卒中、呼吸不全を引き起こし、特に新生児患者では、0.02mLの空気が新生児患者に虚血(ischemia)または組織への血液供給の制限を引き起こす可能性があり、致死的となる。
【0004】
空気塞栓症は、圧迫傷害、肺外傷、およびスキューバダイビングによるような圧迫の結果として起こり得るだけでなく、注射および外科的処置によっても起こり得て、これは、脳手術中および輸液ライン内に閉じ込められた空気が薬剤注入前に適切に排気されない輸液療法中に起こり得る。
【0005】
現在、医療従事者は、空気塞栓症を特定し、それを除去するように訓練されている。これは、先手を打つというよりむしろ対応的な処置であり、したがってあまり望ましくない。また、注射器を用いて輸液ラインから空気を排気する場合もある。施術者は、注射器をニードルレスコネクタに接続することで、閉じ込められた空気を吸引することができる。この場合、施術者は閉じ込められている空気を特定し、それをすべて取り除く必要がある。
【0006】
上述の救済策は、問題の発生する可能性を取り除いたり減らしたりするのではなく、問題を特定し、それを解決することを施術者に要求するものである。
【0007】
現在の空気吸引技術では、追加のステップを実行する必要があるため、さらに時間がかかる。これは、施術者がすでに他の症状や治療に気を取られている可能性がある緊急時には望ましくない。さらに、注射器の使用と施術者の時間から生じる無駄とコストが追加される。
【0008】
上述の問題の少なくとも1つを克服または改善するか、あるいは少なくとも有用な代替手段を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【0009】
開示されるのは、ラインからガスを排気するためのベント装置であって、この装置は、使用時に、ラインの内部と連通する入口と、ラインの外部の空気と連通する出口と、を含み、入口および出口は、ラインの内部から出口へガスを排気し、ラインの内部から出口への液体の流れを抑制するように構成された流路の対向する端部を画定する、ベント装置である。
【0010】
流路は、ガス透過性の疎水性材料を含んでもよい。
【0011】
装置は、ハウジングをさらに含んでもよく、入口はハウジングの遠位領域にあり、出口はハウジングの近位領域にあり、流路はハウジング内に導管(conduit)を形成する。出口は疎水性材料を含んでもよい。ハウジングは、1つ以上の近位出口開口を含んでいてもよく、出口は、1つ以上の出口開口を横切る疎水性材料のストリップとして形成されていてもよい。ストリップは、1つ以上の出口開口を覆ってもよい。
【0012】
疎水性材料は、インサートとして具現化され、ハウジング内に配置され、入口と出口との間に配置されてもよい。
【0013】
入口は、ハウジングの遠位領域に形成された1つ以上の入口開口を含んでもよい。
【0014】
流路は、疎水性材料の本体によって形成することができる。出口は本体の近位領域によって画定され、入口は本体の遠位領域によって画定される。
【0015】
装置は、少なくとも部分的に入口を含む遠位領域と、出口を含む近位領域と、遠位領域と近位領域との中間の中間領域とを含んでもよい。遠位領域は第1の厚さを有してよく、中間領域は第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有してもよい。近位領域は、第2の厚さよりも大きい第3の厚さを有してもよい。
【0016】
近位領域はグリップとして構成されてもよい。近位領域の外面は、テクスチャ加工されていてもよい。テクスチャ加工は、装置と使用者の指との間の摩擦を増加させる。
【0017】
遠位領域は第1の幅を有してもよく、近位領域は第1の幅よりも大きい第2の幅を有してもよい。
【0018】
ラインは静脈内カテーテル(IVC)または末梢静脈内カテーテル(PIVC)の一部であってもよい。ベント装置は、IVCまたはPIVCのニードルレスコネクタを通して受容されるようなサイズにすることができる。この点で、ニードルレスコネクタを通して受容されるような大きさであることは、ニードルレスコネクタに挿入される、またはニードルレスコネクタを通して挿入される部分のみがそのような大きさであることを含む場合がある。挿入する必要のない装置のいずれの部分も、使用者によって把持されるように構成され得る適切な大きさであってよい。
【0019】
有利なことに、装置は、ニードルレスコネクタを介するなどして、除去すべきガスを有するラインに接続されるとき、流路に沿って、装置から周囲への空気の通過を受動的に許容することができる。さらに、疎水性材料を含むことができる流路は、出口からの液体の通過を抑制するように構成されているため、装置から、または装置がラインに接続するコネクタを介して、血液が漏れる危険性はほとんどない。
【0020】
医療装置からガスを排気するためのベント装置が開示される。ベント装置は、使用時に、
医療デバイスの内部と連通する入口と、
医療デバイスの外部の空気に開放された出口と、を含んでもよく、
入口および出口は、医療デバイスの内部からのガスを出口から排気し、医療デバイスの内部からの液体の出口への流れを抑制するように構成された流路の反対側の端部を画定する。
【0021】
流路がガス透過性の疎水性材料を含む、請求項1に記載のベント装置。
【0022】
ベント装置は、ハウジングをさらに含むことができ、入口はハウジングの遠位領域にあり、出口はハウジングの近位領域にあり、流路はハウジング内に導管を形成する。例えば、ハウジングは、継ぎ目(seam)を有する2部品ハウジングとすることができ、インサートがハウジングの空洞内に配置されてベント装置を画定する。
【0023】
疎水性材料は出口に配置することができる。
【0024】
ハウジングは、1つ以上の近位の出口開口を含むことができ、疎水性材料は、出口に位置することができ、又は疎水性材料のストリップは、1つ以上の出口開口を横切って位置することができる。
【0025】
疎水性材料のストリップは、1つ以上の開口から流出するガスが疎水性材料のストリップを通って流れなければならないように、1つ以上の出口開口を覆うことができる。
【0026】
疎水性材料は、インサートとして形成することができ、インサートは、ハウジングの空洞内に位置し、入口と出口との間に配置することができる。
【0027】
入口は、ハウジングの遠位領域に形成された1つ以上の入口開口を含んでもよい。
【0028】
流路は、疎水性材料の本体によって形成することができる。
【0029】
ベント装置は、長さ及び厚さを有する概ね平坦なプロファイルを有することができ、長さは厚さの少なくとも20倍である。例えば、長さは厚さの25倍、30倍、35倍、40倍、又は60倍とすることができる。
【0030】
ベント装置は、少なくとも部分的に入口を含む遠位領域と、出口を含む近位領域と、遠位領域と近位領域との中間の中間領域とを含んでもよい。
【0031】
遠位領域は、第1の厚さを有することができ、中間領域は、第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有することができる。
【0032】
近位領域は、第2の厚さよりも大きい第3の厚さを有することができる。
【0033】
ベント装置の近位領域はグリップとして構成することができる。
【0034】
近位領域の外面は、把持を改善するためにテクスチャ加工することができる。
【0035】
遠位領域は第1の幅を有し得て、近位領域は第1の幅よりも大きい第2の幅を有し得る。
【0036】
ラインは、静脈内カテーテル(IVC)または末梢静脈内カテーテル(PIVC)の一部とすることができる。
【0037】
入口は、ポートまたはコネクタの受容端内に配置することができる。
【0038】
使用時、ガスは、ベント装置の第1の部分をベント装置の第2の部分に対して作動させる(actuate)ことなく、ベント装置を通って排気し、このベント装置は、作動のために互いに相対的に移動可能な第1及び第2の部分を内蔵しない。
【0039】
除去すべきガスを有するラインからガスを排気するためのベント装置を形成する方法が開示される。本方法は、
疎水性材料から、遠位領域、近位領域、および遠位領域と近位領域との間の中間領域を有する本体を形成するステップと、
薄いプロファイルを形成するために、本体の厚さよりも少なくとも20倍大きい長さを本体に備えさせるステップと、
遠位領域に第1の幅W1を、近位領域に第2の幅W2を形成するステップと、を含み、第2の幅W2は第1の幅W1より大きく、
方法はさらに、
遠位領域に第1の厚さH1を、中間領域に第2の厚さH2を、近位領域に第3の厚さH3を形成するステップと、
ベント装置の挿入を容易にするために、遠位領域にテーパエッジを提供するステップと、を含む。
【0040】
第1の厚さH1は、第2の厚さH2よりも大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
以下、本発明の実施形態を、非限定的な例として、図面を参照して説明する。
【0042】
【
図1】
図1は、本教示の一実施形態に係る装置の後方斜視図である。
【
図7】
図7は、装置の分解図であり、2部品のハウジングとインサートが示される。
【
図8】
図8は、
図7の装置の組み立てられた状態の端面断面図である。
【
図9】
図9は、本教示の一実施形態に係る装置であり、装置の近位領域に、様々なテクスチャ変化例のグリップを備える。
【
図10】
図10は、本教示の一実施形態に係る代替の装置の前面斜視図である。
【
図11】
図11は、本教示の一実施形態に係る代替の装置の後方斜視図である。
【
図12】
図12は、本教示の一実施形態に係る代替の装置の前面斜視図である。
【
図13】
図13は、患者の血管系に接続される前のPIVCを示す。
【
図15】
図15は、本教示の一実施形態に係る装置を示し、ポートまたはコネクタを通して挿入されPIVCに取り付けられ、PIVCと流体連通している。
【
図16】
図16は、本教示の一実施形態に係る装置を示し、ラインからガスを排気するためにラインにアクセスするようコネクタのハウジングと接続している。
【
図17】
図17は、本教示の一実施形態に係る装置のコネクタまたはバルブ接触領域を示し、装置はコネクタまたはバルブに受容されている。
【発明を実施するための形態】
【0043】
添付図面に関連して以下に記載する詳細な説明は、本装置、システム、および方法の態様に従って提供されるベント装置の現在好ましい実施形態の説明として意図されるものであり、本装置、システム、および方法が構築または利用され得る唯一の形態を表すことを意図するものではない。本明細書は、図示された実施形態に関連して、本装置、システム、および方法の実施形態を構築および使用するための特徴およびステップを規定する。しかしながら、本開示の精神および範囲内に包含されることが意図される異なる実施形態によっても、同一または同等の機能および構造が達成され得ることを理解されたい。本明細書の他の箇所で示されるように、同様の要素番号は、同様または類似の要素または特徴を示すことを意図している。
【0044】
一般的に言って、施術者は、輸液セット、カテーテルシステムなどに閉じ込められた空気を特定し、あるいは患者に空気を送り込んだ後、塞栓症の存在を特定し、それを改善しなければならない。しかしながら、緊急の状況では、他の事柄に気を取られ、患者への送気の前に閉じ込められた空気を特定しない可能性のある施術者に重圧を与える。本発明の実施形態は、特に閉じ込められた空気を検査したり、施術者が介入したりすることなく、末梢静脈内カテーテル(PIVC)や静脈内カテーテル(IVC)などの医療装置のラインからの空気の受動的な排気を可能にする。本発明の実施形態はまた、血液および液体が空気の流路をたどってベント装置から漏れるのを防止することができる。
【0045】
ここで
図1を参照すると、入口102と、出口104と、入口と出口との間の流路106とを含むベントまたはベント装置100が図示されている。換言すれば、流路106は、流路の対向する端部に入口と出口を有する。
【0046】
図1に示す実施形態では、排気口またはベント装置100、略して単に装置は、ハウジング108を含む。入口102はハウジング108の遠位領域110にあり、出口104はハウジング108の近位領域112にある。従って、流路106(装置100の内部であるため破線で図示)は、ハウジング108内に導管を形成する。
【0047】
ハウジング108の遠位領域110は、ベント装置100の使用中に医療装置のライン、システム、またはチャンバ内のガス(例えば、空気)と連通するハウジング108の部分とすることができる。装置100の形状は図示の形状に限定されず、必要に応じて調整することができる。例えば、遠位領域110は、ライン内のガスと連通することができれば、ハウジング108のいずれの部分であってもよい。示されるように、ハウジング108は、ハウジングの幅がハウジングの厚さよりも実質的に大きいか又は大きい寸法であるという点で平坦なプロファイルを有する。平坦なプロファイルにより、ハウジング108は、相補的な狭い開口プロファイルを有するコネクタの本体に挿入することができる。他の実施例では、ハウジング108は、相補的なボア状の入口開口に挿入するための円筒状の形状を有する遠位領域を有することができる。例えば、ベント装置100のハウジング108は、コネクタの雌ルアーに挿入してコネクタ側からベント装置外へ空気を排気するための雄ルアー先端を有することができる。
【0048】
IVCまたはPIVCの一部であるラインからなど、ベント装置100が医療機器からガスを除去するために使用される場合、
図16および
図17に示すように、入口102はラインの内部と連通している。ベント装置100は、医療装置のライン、システム、またはアセンブリとは別個に供給される場合もあれば、別個の接続ステップなしにベント装置100の迅速な受動的使用を可能にするように、医療装置の包装時などに、医療装置とともにその場で供給される場合もある。
【0049】
図2を参照すると、入口102は、ここでは複数の開口114として構成されており、
図2を明瞭にするために、そのうちのいくつかだけが参照数字で提供されている。開口114は、ハウジング108の遠位領域110に形成される。単一の開口、または2つ、3つ、4つ、またはそれ以上などの任意の所望の数の開口が、装置100が使用されることが意図される目的に合わせて、所定の実施形態において提供され得ることが理解されるであろう。ベント装置の遠位領域110は、遠位端縁155、すなわち先端最端部を有する。先端最端部155は、中実であり得るか、または少なくとも入口ガス流のための開口を有さなくてもよい。示されるように、入口の複数の開口114は、遠位端縁155の近位に位置する。特定の実施例において、少なくとも1つの開口部114は、遠位領域の側縁に設けられ、任意選択で、少なくとも1つの開口部は、中間領域の側縁に設けられる。遠位領域および中間領域の側縁は、遠位端縁155に対して角度を付けられ得る。さらなる実施例において、少なくとも1つの開口部114は、遠位領域の2つの側縁の各々に設けられ、2つの側縁の各々は、遠位端縁に対して角度を付けられる。別の実施例において、少なくとも1つの開口部114は、中間領域の2つの側縁の各々に設けられ、2つの側縁の各々は、遠位端縁に対して角度を付けられる。2つ以上の開口114が存在する場合、2つ以上の開口は、同じ開口タイプまたは異なる開口タイプを含む、同じ開口サイズまたは異なるサイズを有することができる。
【0050】
ハウジング108の近位領域112(
図1)は、使用中に周囲の、すなわち周囲環境と連通するハウジング108の部分を形成する。例えば、近位領域112は、装置を通って除去されたガスを周囲雰囲気に直接排気するために、周囲雰囲気に露出または開放され得る。したがって、近位領域112の排気口104から排気されるガスは、大気に排気することができる。
【0051】
図1は、さらに、複数の開口116として構成された出口104を示し、
図1を明瞭にするために、そのうちのいくつかだけが参照数字で提供されている。単一の開口、または2つ、3つ、4つ、6つ、またはそれ以上などの任意の所望の数の開口が、装置が意図される目的に適するように、所定の実施形態において提供され得ることが理解されるであろう。ベント装置の近位領域112は、近位端縁153、すなわち最後端を有する。近位端縁153は、排気ガス流のためにそこに配置された排気口104を有する。一実施例では、ガス流出用の出口として、少なくとも2つ以上の離間した開口116が設けられる。2つ以上の開口116が近位領域に存在する場合、2つ以上の開口は、同じ開口タイプまたは異なる開口タイプを含む、同じ開口サイズまたは異なるサイズを有することができる。近位領域における少なくとも2つ以上の間隔をあけた開口116の各々は、平面を規定する開口を有し得て、ここで、平面は、遠位領域における開口の平面に対して角度をなす。その結果、本発明のベント装置のハウジング108の内部の流路は、ハウジングを通って流路に入るガスの流れが、入口から入って出口から出る間に1回以上方向変換しなければならないという点で非線形である。
【0052】
図1および
図2の図から、ハウジング108は、遠位領域110に入口102を有し、近位領域に出口104を有することが示され、これらは、ハウジング108の内部に形成される流路106の入口および出口をそれぞれ形成する。入口および出口の両方は、1つまたは複数の開口を有することができ、1つまたは複数の開口は、ハウジングを通って延びる継ぎ目105を跨ぐことができる。
【0053】
このように、本発明の一態様は、ルアーアダプタ、IVC、PIVCなどの医療装置と共に使用され、医療装置からガスを除去するように構成されたベント装置を含むと理解される。ベント装置は、ベント装置を作動させたり、ベント装置の内部部品を動かしてベントを可能にしたりすることなく、ガスを除去するように構成することができる。最も単純な形態では、ベント装置は、ベント装置の一部分をベント装置の別の部分に対して相対的に移動させるなど、ベント装置の内部部品を作動させたり、作動させたりすることなく、除去すべきガスを有する医療装置と流体連通するように配置されるだけでよい。
【0054】
ハウジング108が遠位領域110および近位領域112を有する一方で、本発明の態様に従ったベント装置のいくつかの実施形態はハウジング108を含まない。例えば、さらに後述するように、
図12は、遠位領域および近位領域を有し、別個のハウジングなしで、ガスが装置を通ってまたは装置を横切って流れることを可能にする代替ベント装置100を示す。このように、
図3を参照すると、ハウジング108なしで、ベント装置100は、遠位領域118、近位領域120、および遠位領域118と近位領域120との中間に位置するバルブ接触領域123を有する中間領域122を有することができる。したがって、ベント装置100は、ハウジング108内に配置されるインサートを具現化することができ、またはベント装置は、ハウジング内に配置されることなくそれ自体の有用性を有することができる。したがって、ベント装置は、別個のハウジングがなくても、ガスを除去したりガスを排気したりするコネクタと共に使用可能である。ベント装置は、代替的に、ハウジング108内に配置されるインサートとして形成することができ、インサートとハウジングの組み合わせは、医療装置のラインからガスを除去するために使用される。
【0055】
遠位領域118は、ここでは複数の開口114として形成された入口102を含む。いくつかの実施形態では、入口102の全体が、装置100の遠位領域118に形成され得、示されるような他の実施形態では、入口102は、中間領域122上または中間領域122に部分的に設けられ得る。換言すれば、入口として機能する複数の開口が、装置の遠位領域および中間領域に存在し得る。
【0056】
図4に示すように、装置の近位領域120は、ここでは複数の開口116として構成された出口104を含む。開口部は、近位領域の近位端に広がるか、または間隔を隔てた関係で配置され得る。1つ以上の開口部は、任意選択で、近位縁部の角部および近位領域の側縁部に設けることができる。さらに他の例では、1つ以上の開口部を近位領域の側縁に設けることができる。
【0057】
図解の目的で、
図3および
図4には、装置100を通るガスの流入および流出の方向を示す矢印が付されている。特に、
図3は、入口102の開口部114内を指す矢印Xによって示されるように、医療装置のラインなどからのガスの流入を示す。同様に、
図4は、出口104の開口116から伸びる矢印Yで示されるように、装置100からの、ひいてはラインからのガスの流出または排気を示している。このように、例えばラインからのガスは、入口102に流入し、装置本体内の1つ以上の流路を通り、出口104から流出することにより、ベント装置100を通して排気することができる。
【0058】
図5および
図6に示すように、本実施形態の遠位領域118は、第1の厚さH
1を有する。中間領域122は、第2の厚さH
2を有する。H
2はH
1よりも小さい。同様に、本実施形態において、近位領域120は、H
2よりも大きい第3の厚さH
3を有する。場合によっては、H
1およびH
3は、同じ厚さを有していてもよいし、異なる厚さを有していてもよい。他の態様では、H
3はH
2と同じ厚さを有してもよい。いくつかの例では、H
1はH
2と等しいか、またはH
1はH
2より小さい。これらの代替的な厚さが組み込まれる場合、遠位領域は、ポートまたはコネクタからの装置の取り外しに抵抗するための代替的な構造を備える。例えば、遠位領域は、遠位領域の特定の位置において遠位領域の厚さを増加させるためのストリップまたはバンプを含むことができる。
【0059】
遷移部117が、遠位領域と中間領域との間、および中間領域と近位領域との間など、2つの隣接する領域の間に設けられる。遷移部117は、ベント装置のテーパ状の厚さ部分を具現化することができ、
図5の側方立面図に示すように、装置の片側だけに設けることも、装置の両側に設けることもできる。
【0060】
一実施例では、ベント装置100をコネクタのハウジングに組み込むことができ、ハウジングとベント装置との組合せは、
図14~
図17に示すような、除去すべきガスを有するラインを有するポートに接続することができる。代替実施形態では、除去されるべきガスを有するラインを有するポートは、ベント装置100を直接受け入れることができる開口を有する受け入れフラップを有することができる。したがって、本発明の態様によるベント装置は、医療装置のアダプタのポートに直接接続して、医療装置のアダプタのポートに先端を挿入するために先端を有するコネクタに最初に組み立てられることなく、医療装置からガスを除去することができる。
【0061】
一実施例では、組合せをポートと共に使用できるように装置100を把持するコネクタは、例示のみを目的として、ゴム製セプタム(rubber septum)として説明する弾力性のある部材とすることができる。コネクタのゴム製セプタムは、通気装置100の中間領域122を把持するようなサイズおよび形状にすることができる。したがって、遠位領域の厚さH1を中間領域の厚さH2より大きくするなど、遠位領域118を大きくすることによって、装置100は、不注意にゴムセプタムから滑り落ちてラインから分離する可能性が低くなる。遠位領域の厚さH1が厚いと、装置100が不注意にコネクタから近位側にスライドした場合に、ゴム製セプタムとの干渉点または制限点が生じる。このようにして、ゴム製セプタムの開口部は、隙間を有するクランプのような機能を提供し、装置100の比較的厚い遠位領域は、近位方向のゴム製セプタムのより小さい隙間から外れることが制限される。
【0062】
装置100をラインから取り外すには、ゴム製セプタムを受入端部の横方向に沿って圧縮して受入端部の間隙の大きさを大きくし、遠位領域118がゴム製セプタムから離れて通過するのを可能にする必要がある。一実施例では、排気されるべきガスを有するコネクタまたはポートの受入端は、概して細長い開口部またはスロット状の開口部を有する。従って、コネクタまたはポートの受け入れ端を開くには、開口部またはスロットの2つの短辺を一緒に圧迫して、細長い開口部またはスロット付き開口部の隙間を開く。他の実施例では、ゴム製セプタムは第1の硬度値を有し、ベント装置は第1の硬度値より硬い第2の硬度値を有し、ベント装置を矩形の開口部から取り外すために把持して引っ込めると、ゴム製セプタムはベント装置によって変形し、ベント装置がゴム製セプタムから外れるようになる。
【0063】
近位領域120は、任意の適切な厚さを有することができる。本実施形態では、中間領域122の厚さと比較して大きくなっており、施術者が容易に把持できるようにして、所望の場合に、コネクタから、ひいてはラインからの装置100の取り外しを容易にする。しかしながら、近位領域の厚さは、中間領域の厚さより小さくても、施術者による把持および引張りを可能にすることができる。さらに他の実施例において、近位領域は、把持を容易にするために拡大された把持ブロックまたは把持面を備えることができる。例えば、親水性材料のような材料のストリップを近位端に取り付けて、把持のための拡大表面を提供することができる。
【0064】
図6を参照すると、遠位領域118は第1の幅W
1を有し、近位領域120は第2の幅W
2を有する。W
2はW
1より大きい。装置100はまた、近位領域と遠位領域との間に可変幅領域133を有する。いくつかの実施例において、可変幅領域133は、代わりに、より小さい幅とより大きい幅との間の移行において、突然または単一の角度の立ち上がり(riser)である。装置100のいくつかの部分またはセクションは一定の幅を有し得るが、遠位領域118の最も遠位側の端部は、除去されるべきガスを有するラインにアクセスするためにポートまたはコネクタ内への先端部の挿入を確実にし、容易にするために、幅の変化のような狭まるプロファイルまたは先細りプロファイルを有する幅を有し得る。近位領域120は、所望のときに装置100を簡単に把持してラインから取り外すことを容易にするために十分に大きくすることができる。
【0065】
入口102と出口104は、先に説明したように、流路106の反対側の端部を規定した。さらに、流路106は、除去すべきガスを有するラインの内部からのガスを出口104から排気するが、ラインの内部からの液体の流れを出口104から排気しないように構成される。いくつかの実施形態では、ベント装置を通る液体の流れを制限することは、膨潤(swell)時にバルブダイアフラムまたは同様の流路を閉鎖する親水性材料をハウジング108内に配置することによって達成することができる。従って、液体がハウジング108に浸透すると、親水性材料は膨潤し、液体がハウジングから流出するのを防止する。あるいは、図示の実施形態では、流路はガス透過性の疎水性材料で構成することもできる。
【0066】
本明細書における「ガス透過性」という用語は、一般に「空気透過性」を指す。この用語は、医療用ラインに捕捉されるような性質のガスを通過させることができる材料を指すことを意図している。さらに、「疎水性」という用語は、一般に、装置100の使用時に出口104からの血液の通過を抑制または防止するが、ガスの通過は許容するように、撥血液性を意味することを意図している。
【0067】
図7を参照すると、ベント装置100は、2つの部分124、126に形成され得るハウジング108と、2つの部分124、126を一緒に組み立てる際にハウジングの空洞内に位置する疎水性材料で作られたインサート128とを備える。2つのハウジング部品124、126は、2つのハウジング部品を組み立てる際に、それぞれ1つ以上の開口を有する注目される入口102および出口104を形成するカットアウト(cut-out)または表面特徴を有する。例えば、上側ハウジング部品124は半円または半長方形のカットアウトを有し、下側ハウジング部品126は相補的な半円または半長方形のカットアウトを有し、上側および下側ハウジング部品124、126が組み立てられると、2つの半分カットアウトが結合して円周を有する開口を形成する。各ハウジング部品は、入口と出口に2つ以上の開口を形成するために、入口と出口に2つ以上のカットアウトを構成することができる。
【0068】
疎水性材料インサート128は、2部品ハウジング108の空洞内に配置することができ、2つのハウジング部品は、溶接、接着剤、デテント、又はそれらの組み合わせなどによって一緒に固定される。インサート128は、ハウジングの入口102と出口104との間に配置することができ、例えば、入口と出口との間の物理的存在として機能する。インサート128は、入口102の開口部114と出口104の開口部116を占めるように、その縁部に沿って複数の突起130を備えることができる。他の実施例では、突起130を省略することができ、インサート128の外周は、組み立てられた状態で、ハウジング108の側縁に対して、若干の干渉または圧縮を伴うなどして、しっかりと保持される。さらに他の実施例では、インサートは、複数の突起130を有することができ、また、ハウジング内に組み立てられたときにハウジングの側縁に対して堅く保持されることができる。図面の明瞭さを維持するために、突起130の一部のみがラベル付けされている。
【0069】
一実施例では、2つのハウジング部分124、126の各々は、インサート128の輪郭と補完的なハウジング輪郭を有する。他の実施例では、インサートは2つのハウジング部品の輪郭とは異なる輪郭を有することができる。例えば、疎水性材料から作られたインサートは、ハウジングの遠位領域の空洞を占め、遠位領域および中間領域で入口を覆う第1のインサート部分を具現化することができる。別の第2のインサートは、ハウジングの近位領域を占め、近位領域で出口を覆う。一実施例では、第1のインサートは、第2のインサートから間隔を置くことができる。
図6および
図7を参照すると、示されているように、ベント装置100は、本体の長さが本体の厚さの少なくとも20倍(20X)であるような概ね平坦なプロファイルを有する本体を有することができる。長さは、本体の厚さよりも約25倍、例えば30倍、35倍、50倍、またはそれ以上大きくすることができる。厚さに対する長さの比が大きいと、ポートやコネクタの丸い開口部とは対照的に、スロット状または細長い開口部に挿入するための薄いプロファイルが定義される。
【0070】
図8は、ハウジング108の2つの部分124、126によって形成された内部空洞132の実質的に全体を占める疎水性でガス透過性の材料のインサート128を示す、組み立てられたハウジング108の断面図である。
【0071】
ガスが除去されるラインから装置100を取り外すには、コネクタまたはバルブを通して装置100の遠位領域を引っ張るために少量の力が必要である。装置100を引っ張るためのこの力の適用を補助するために、装置の近位領域120は、
図9に示されるように、グリップとして構成される。この構成は、近位領域120を十分に大きくするか、または他の方法で容易に把持できる形状にすることによって達成され得る。一例において、近位領域120における装置の外面134は、テクスチャ加工されていてもよい。装置100の外部表面134に組み込むことができる、テクスチャ136、138の多くの可能な選択肢のうちの2つが図示されている。いくつかの例では、装置の両側の外部表面134はテクスチャ加工され得る。
【0072】
図10には、出口142が疎水性材料を含む代替のベント装置140が示されている。上述したように、出口142は、装置140の内部であるため、破線で図示された流路144の端部を画定する。したがって、出口142に疎水性材料を組み込むか、または使用することによって、出口によって部分的に画定される流路144は、液体の流れを抑制するように構成される。
【0073】
装置140のハウジング146は、本明細書の他の箇所で論じた装置100の出口104に使用されるような、1つ以上の近位出口開口(図示せず)を含む。しかしながら、本実施形態では、出口142は、1つ以上の出口開口を横切って配置された疎水性材料のストリップ143を備える。このように、ストリップ143は、1つ以上の出口開口を覆う。ハウジング146の内部流路144はまた、疎水性材料で作られたインサート128を含んでもよいし、ストリップのないハウジング内の中空の空洞または導管であってもよい。疎水性材料のストリップ143をハウジングに組み込み、ハウジング上の1つ以上の出口開口を覆う場合、遠位開口145を遠位領域に設けることができる。遠位開口145は、遠位領域の変化する幅に沿う細長いスロットであり得る。遠位開口部は、遠位領域の遠位端縁に形成され得る。
【0074】
図11は、ストリップ142が、接着、超音波溶接又は任意の他の適切なプロセスなどによって、ハウジングに取り付けられ、出口を覆っている、装置140を背面斜視図で示している。一実施例では、別の疎水性材料ストリップもハウジング146の遠位領域に取り付けられ、遠位領域で入口を覆うことができる。代替実施形態では、ハウジング146の内部に配置される、インサートを具現化することができるベント装置140の遠位領域は、入口での液体の流れを制限するために疎水性材料を含むことができるが、ハウジング146の遠位領域自体は、近位領域とは異なり、ストリップを備えていない。
【0075】
装置100の流路は、疎水性材料の本体によって形成され得るか、又は疎水性材料の本体と実質的に一致し得る。例えば、流路は、疎水性材料のインサートによって全体が占められたハウジングの空洞を含んでもよく、ガスは、インサートの材料を横切って流れる。
【0076】
図12は、装置148自体が疎水性材料の本体150によって形成されているさらなる実施形態を示す。
図12のベント装置148は、装置の本体を最初に補完的なハウジングに挿入することなく、医療装置のラインからガスを通気するのに使用可能である。本実施形態では、出口は本体150の近位領域152によって画定され、入口は本体150の遠位領域154によって画定される。したがって、除去されるべきガスを有するラインからのガスがインサートの本体150に入る、すなわち遠位領域154におけるガスが流入するところであればどこでも、入口とみなされ、そのガスが本体150から周囲の環境に逃げるところであればどこでも、出口とみなされる。一実施例では、ベント装置148の遠位領域154は、除去されるべきガスを有する医療装置のポートまたはアダプタの受容端に挿入され、ガスは、ポートまたはアダプタ内に位置するインサートのすべての露出した表面領域に予見可能に入ることができる。その特定の例では、ガスが入るインサートの遠位領域の全体が入口と考えられる。
【0077】
遠位領域154はずっと後ろの近位領域152まで延びることができるが、図示の目的のために、装置148は、繰り返して述べると少なくとも部分的に入口を構成する遠位領域154、出口を構成する近位領域152、および遠位領域154と近位領域152との中間の中間領域156を含むと考えられる。
【0078】
装置100の様々な領域の相対的な厚さ及び幅に関連する、上記と同じ説明が、本実施形態の装置148にも同様に適用され、それは様々な厚さを有することができ、最初に補完的なハウジングに挿入されることなく使用可能である。
【0079】
図13は、カテーテルチューブが配置された針164を患者の血管系166に挿入する前の、ニードルレスコネクタ162を備えた先行技術の末梢静脈内カテーテル(PIVC)アクセスアセンブリ160を示す。カテーテルハブのサイドポートとアダプタ間のアセンブリ160のチューブライン168は、使用前は空であるか、血液がない状態である。
図14は
図13と同じアセンブリを示すが、血管系への針164の挿入後である。血液170が針164を上ってチューブ168内に進行しているのが示されている。特に、ニードルレスコネクタ162内を含むアダプタの接合部174には、進行する血液によってエアポケット172が形成されている。通常、施術者は、エアポケット172を除去し、エアポケット172が気泡として血管系166に注入されて空気塞栓症を引き起こすのを防ぐために、注射器のような医療器具のルアー先端をニードルレスコネクタ162に挿入し、空気を抜かなければならない。
【0080】
図15は、ライン178の内部と連通するようにニードルレスコネクタ176を通して挿入された本教示によるベント装置100を示す。注目すべきことに、針182を上り、ライン178に入り、接合部184に進行した血液180は、接合部184からベント装置100を通していかなる空気にも置き換わるまたは押し出すが、装置の流路が血液が装置100の出口を通して逃げるのを防ぐように構成されているため、血液は装置100を通して進行しない。例えば、先に説明したように、装置100自体を疎水性材料から作るか、または疎水性材料から作られた1つ以上のストリップをインサートの入口、ここに配置されたインサートを有するハウジングの入口、インサートを有するハウジングの出口、またはそれらの組み合わせに配置して、ガスは装置を通過するが血液は通過しないようにすることができる。
【0081】
図16は、ルアー先端部205と先端部205を取り囲むねじ付きカラー207とを有するコネクタ176のハウジング200に挿入された本発明のさらなる態様によるベント装置100の概略図である。いくつかの実施例では、カラーは省略することができ、装置はルアースリップ(Luer slip)と呼ばれる。コネクタ176のルアー先端205は、雌ルアーを有するコネクタ、例えば雌ルアー受け口を有するニードルレスバルブで使用可能である。
【0082】
図示のように、コネクタ176のハウジング200は、ベント装置100の遠位領域118を受容するためのサイズおよび形状を有するスリットまたは開口部を有するフラップまたはバルブ204を含む受容端202を有する。受容端202は、装置100の遠位領域118および中間領域の少なくとも一部を受容できるが、ハウジング200の外側に延びる装置100の近位領域120は受容できない。従って、近位領域120を、コネクタ176に適合するには広すぎ、かつ長すぎるようにすることによって、近位領域120は、装置100の全体がハウジング200を通ってアダプタの接合部184に不注意に押し込まれることを妨げる。さらに、中間領域と近位領域との間の可変幅または幅の急激な変化を有する移行領域は、ハウジング200の受容端202への挿入を妨げるようなサイズおよび形状にすることができる。
【0083】
図17は、
図16のものと同じ装置100とニードルレスコネクタ176を示すが、装置100の幅の代わりに厚さを示すために、
図16のものから90°回転させた視点から示している。図示のように、中間領域122は、コネクタ176のフラップ204の開口部の周囲によって保持される。より厚い遠位領域118はさらに、コネクタ176のハウジング200内に位置し、矢印Zで示す方向の線の内部と連通している。
【0084】
本明細書で示され記載されるような、ベント装置および血管アクセスアセンブリの構成要素を含む血管アクセスアセンブリの使用方法および製造方法は、本発明の範囲内であると理解される。
【0085】
記載された実施形態の様々な態様の多くのさらなる変更および順列替えが可能であることが理解されるであろう。従って、記載された態様は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内に入る全てのそのような変更、修正、および変形を包含することが意図される。
【0086】
本明細書およびその後に続く特許請求の範囲全体を通して、文脈上別段必要とされない限り、「含む」という語は、記載された整数またはステップまたは整数またはステップの群を含むことを意味するが、他の整数またはステップまたは整数またはステップの群を排除することを意味しないと理解される。
【0087】
本明細書における先行刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の事項への言及は、その先行刊行物(またはそれに由来する情報)または公知の事項が、本明細書が関係する努力分野における一般的な知識の一部を形成していることを認めるものでも、また示唆するものでもない。
【0088】
本明細書では、ベント装置、コネクタ、および血管アクセスアセンブリならびにそれらの構成要素の限定された実施形態を具体的に説明および図示したが、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。したがって、開示された装置、システム、および方法の原理に従って構築されたベント装置、コネクタ、および脈管アクセスアセンブリならびにそれらの構成要素は、本明細書で具体的に説明された以外の方法で具現化され得ることを理解されたい。本開示はまた、以下の特許請求の範囲において定義される。
【国際調査報告】