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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】風速計
(51)【国際特許分類】
   G01P 5/06 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G01P5/06 Z
G01P5/06 H
G01P5/06 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562646
(86)(22)【出願日】2022-03-08
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 DE2022100185
(87)【国際公開番号】W WO2022218461
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202021101938.7
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520012415
【氏名又は名称】フェアンシュトイアゲレーテ クアト エルシュ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Fernsteuergeraete Kurt Oelsch GmbH
【住所又は居所原語表記】Jahnstr. 68 + 70, 12347 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フォルカー ヤーン
(72)【発明者】
【氏名】パーヴェル ニッター
(57)【要約】
風速測定用の風速計(10)が、ハウジング(16)および/またはフレームを含んでいる。この場合、ハウジング(16)および/またはフレームの軸受に、軸(20)が回転可能に支持されている。軸(20)に風受け手段(14)が配置されており、風受け手段(14)は、風が吹くと軸(20)を回転させる。軸(20)の回転速度(ω)は、検出手段(43)が検出する。さらに、このようにして検出された回転速度(ω)を出力する出力手段(49)が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ハウジング(16)および/またはフレームと、
b)前記ハウジング(16)および/またはフレームの軸受に回転可能に支持された軸(20)と、
c)該軸(20)に配置されていて、風が吹くと前記軸(20)を回転させる風受け手段(14)と、
d)前記軸(20)の回転速度(ω)を検出する検出手段(43)と、
e)このようにして検出された前記回転速度(ω)を出力する出力手段(49)と
を含む、風速測定用の風速計(10)であって、
f)前記ハウジング(16)および/またはフレームは、電気的な発光手段(44)を信号灯として有しており、前記発光手段(44)には運転用に、電圧源(46)の電圧が供給される
ことを特徴とする、風速測定用の風速計(10)。
【請求項2】
当該風速計(10)は、風杯型風速計として形成されており、前記風受け手段(14)は、半球状のカップ(24)として形成されている、請求項1記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項3】
当該風速計(10)は、風車型風速計として形成されており、前記風受け手段(14)は、翼状またはタービン状の羽根として形成されている、請求項1または2記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項4】
前記発光手段(44)は、LEDとして形成されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項5】
前記発光手段(44)は、多色発光式に構成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項6】
前記発光手段の発光持続時間および色を制御する電子制御手段(40)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項7】
同時にまたは交互に制御される少なくとも2つの発光手段が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項8】
前記電圧源(46)は、蓄電池(42)を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項9】
前記電圧源(46)は、電圧形成用のソーラーモジュール(48)を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項10】
物体への取付け用の取付け手段(60)が設けられている、請求項1から9までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項11】
水平方向の旋回軸線を備えた旋回装置(50)が設けられており、前記旋回軸線を中心として、当該風速計(10)が旋回可能に支持されており、振り子式おもり(62)が、釣合いおもりとして設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【請求項12】
前記発光手段を作動させるためのトワイライトセンサおよび/または近接センサが設けられている、請求項1から11までのいずれか1項記載の、風速測定用の風速計(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風速測定用の風速計であって、
a)ハウジングおよび/またはフレーム、
b)ハウジングおよび/またはフレームの軸受に回転可能に支持された軸、
c)軸に配置されていて、風が吹くと軸を回転させる風受け手段、
d)軸の回転速度を検出する検出手段、
e)このようにして検出された回転速度を出力する出力手段
を含む風速計に関する。
【0002】
風速計は、風速測定用の装置である。最もよく知られている風速計のうちの1つが、いわゆる風杯型風速計である。風杯型風速計の場合、風速は、水平方向の回転円平面と鉛直方向に位置する回転軸線とを備えて軸に取り付けられた、少なくとも2つ、ただし大抵は3つまたは4つの半球状のカップから成る風車を、風により駆動する。このために半球状のカップは、軸を中心として放射状に配置されている。
【0003】
この場合、軸は、ハウジングまたはフレーム内に回転可能に支持されている。風は、半球状のカップに作用し、これにより軸を、その回転軸線を中心として駆動する。軸の回転速度を介して、風速を求めることができる。風杯型風速計は、その簡単な構成形式により、相対的なメンテナンス自由度およびその丈夫な機械構造により、好適な測定システムである。さらに、このシステムは風向ガイド無しで働く。さらに、手間のかかる測定技術は必要ない。それというのも、光学式または電磁式のパルス形成により直接、信号が生ぜしめられるからである。
【0004】
機械的に機能する表示部を有しており、その回転数が時計機構を介して表示される風杯型風速計が周知である。風力のみが、風杯の回転速度を生ぜしめ、風杯の回転速度により、風力を求めることができる。
【0005】
電磁式のパルス形成のために、例えば電圧発生器が軸に連結されている。電圧発生器は、回転速度に比例する電圧を生ぜしめ、この電圧は、アナログ式またはデジタル式の評価・表示手段により風速に換算されて表示され得る。
【0006】
同様の原理に基づき働くのが、いわゆる風車型風速計である。風は、水平方向の軸線を中心として回転する羽根車を動かす。羽根車の回転速度が、風速を表す。極めて低い風速の場合、測定は、羽根車のピボット軸受内の摩擦抵抗が比較的低い場合でもなお存在する始動抵抗の克服が必要なことに基づき、やや不正確である。最新の風車型風速計は、大抵、移動運転用の小型の携帯装置であり、風向に追従する風見を備えたより大型の定置の羽根車は、いくつかの気象観測所において使用される。その他に、より大型の定置の羽根車は、研究目的で比較的弱い流れを測定するために、風洞内で定置で使用される。
【0007】
さらに、超音波式風速計も使用されることが多い。超音波式風速計は、伝播時間測定または音響共鳴の原理に基づき働く。伝播時間測定の場合、超音波は、この超音波が伝播する媒体と共に連行される、ということが利用されるため、固定された長さの測定区間にわたる信号の伝搬時間は、測定区間の流量に依存する。音響共鳴の場合、音響超音波を生ぜしめかつ受信する複数の振動膜が中空室内に位置している。リフレクタ間で繰り返される反射により、風向に対して垂直な、ほぼ直立した波と、風向に対して平行な横波とが形成される。空気が軸線に沿ってリフレクタ間を流れると、波の伝播速度に影響を及ぼし、位相ずれを生ぜしめ、これに基づき風速を算出することができる。
【0008】
移動物体または不動物体の位置を知らせるビーコンが周知である。ビーコンは、大抵は脈動式または連続発光式の発光信号を発信する電気的に動作する発光体である。これらの発光信号は、様々な色であることが多く、規則的に異なる意味を有してもいる。発光信号は、特に物体の位置の特定にも用いられるか、もしくは所定の位置における物体に対する注意を促す。このようなビーコンは、高い建物、煙突、アンテナ、建設機械、クレーンまたは風力発電所等の発電所において使用されることが多い。ビーコンは、例えば飛行機またはヘリコプターに、そこに高い物体が存在していることを知らせる。しかしまた船舶航行においても、特に位置を特定するためのビーコンが周知である。道路交通では、ビーコンは重量物輸送に使用される。
【0009】
背景技術
独国特許出願公開第3605462号明細書には、自走式のブームクレーンの危険のない作業を保障する方法が記載されており、この方法では、支持体および車軸のセンサにより安定信号が形成され、クレーン構成群のセンサにより強度信号が形成される。この場合、強度センサは支持体、車軸にも取り付けられてもよい。センサは、クレーンの傾斜を制限するための傾斜計として、クレーン等への風の影響を制限するための風速計として形成されてもよい。
【0010】
独国特許出願公開第102014000652号明細書から、風力発電設備とクレーンとが同一のプラットフォーム上に配置されていることが公知である。そこには、風速計と組み合わせられた風見が開示されている。この場合、風速計は、風力の特定に用いられる。
【0011】
独国実用新案第202006017695号明細書には、風速を測定する装置が開示されている。この場合、測定は、好適には風力発電設備の生産中断中に行われる。風力発電設備は、風測定装置を備えたアームに結合されており、アームは、風向に応じて回転可能である。一般的な構成形式の測定機器が使用され、特に風杯原理に基づく機械的な風速計ならびに風向センサまたは音響検出を伴う風速計が取り付けられる。
【0012】
独国実用新案第202013012247号明細書には、風向測定装置が記載されている。使用可能な風向測定装置は、例えば組み合わせられた風向・風速測定装置(風速計)でもある。
【0013】
クレーンや、ブームを備えたその他の機械は、風の影響を受けやすい。極度に強い風の場合には、ブームを引っ込めかつ/または固定する必要がある。よって、これらの機械の最高点に、風速測定用の風速計が取り付けられる。風速計は、例えば風が機械にとって過度に激しい場合に、相応の措置を講じることができるようにクレーン運転者に警告する。ビーコン用および風速計用のスペースは、不十分であることが多い。
【0014】
発明の開示
したがって本発明の課題は、従来技術の欠点を回避し、まさに高い物体において機能性が最適化されて向上させられる風速計を提供することにある。
【0015】
本発明に基づきこの課題は、冒頭で述べた形式の風速測定用の風速計において、
f)ハウジングおよび/またはフレームが、電気的な発光手段を有しており、発光手段には運転用に、電圧源の電圧が供給される
ことにより解決される。
【0016】
風速計は通常、例えば高い建物またはクレーン等の物体の最高位に位置している。そこには風速計と、飛行機等の第三者に物体に対する注意を促すビーコンとが配置されている。本発明は、2つの機器を組み合わせるという原理に基づいている。これにより、一方では物体の最高位におけるスペースが節約され、他方では2つの機能が互いに有意に統合される。さらに一方では、風が支障無く風速計に流入することができ、他方では、ビーコンの光が風速計の影になることはない。このようにして、放射される光を、所望のあらゆる方向に支障無く放射することができる。
【0017】
本発明による風速計の1つの有利な構成では、風速計は、風杯型風速計として形成されており、この場合、風受け手段は、半球状のカップとして形成されている。風杯型風速計は、機械的に特に簡単に構成されており、丈夫で故障しにくい。これにより、本発明はこのような風速計において良好に実現され得る。
【0018】
風杯型風速計に対する有利な代替手段として、風速計は、風車型風速計として形成されており、この場合、風受け手段は、翼状またはタービン状の羽根として形成されている。いくつかの用途では、風杯型風速計を使用しないことが有意であり得る。このような場合に風車型風速計が、より良い選択である場合がある。風杯型風速計の場合、風車に例えばひょうまたは雪等の望ましくない環境影響も自由に到達することができるのに対して、風車型風速計は、このような環境影響に対してより良好に保護され得る。このことは場合により、羽根車が損傷されることを防ぐことができる。
【0019】
本発明による風速計の1つの別の有利な構成は、発光手段がLEDとして形成されていることにより達成される。LEDは、比較的小さなエネルギを消費する。それにもかかわらず、この発光手段により、高効率で長寿命の高い発光力が達成される。
【0020】
本発明による風速計の1つの別の好適な構成では、発光手段は多色発光式に構成されている。このような手段により、ビーコンを用いて複数の異なる信号を出力することができる、ということが達成される。つまり例えば、これらの風速計が船舶の相応する側に取り付けられていると、船舶において左舷と右舷とを区別することができる。
【0021】
好適には、本発明による風速計では、発光手段の発光持続時間および色を制御する電子制御手段が設けられている。この手段により、一方では発光手段の色を選択することができ、かつ他方では発光持続時間を規定することができる。これにより、例えば赤色または緑色等の特定の色で知らせるように点滅させることができる。しかしまたこれにより、基本的に明るい白色閃光を生ぜしめることもできる。
【0022】
本発明の1つの別の有利な構成は、同時にまたは交互に制御される少なくとも2つの発光手段が設けられている点にある。この手段により、特に放射される光の強度を簡単に変化させることができる。両方の発光手段が同時に発光すると、強度が高まる。2つの発光手段のうちの1つのみが制御される場合には、相応して強度とエネルギ消費量も低下させられる。1つの有利な態様において、2つの発光手段が同時に低下させられた出力で制御される場合には、発光手段の耐久性を向上させることができる。また、2つの発光手段のうちの1つが故障しても、依然としてビーコンとしての機能を十分に保証することが可能である。それぞれそれ自体がビーコンの360°放射を可能にする2つ以上の発光手段群が設けられていてもよい。
【0023】
本発明による風速計の1つの特別な構成は、電圧源が蓄電池を含む点にある。この手段は、発光手段を自給式に、すなわち少なくとも一時的に固定電圧供給網または電圧発生器から独立して運転するために用いられる。
【0024】
本発明による風速計の1つの好適な構成では、電圧源は、電圧形成用のソーラーモジュールを含んでいる。ソーラーモジュールは、電気エネルギを発生させることができる。このエネルギは、消費器としての発光手段に直接に転送されるか、または別の時点で使用され得るように蓄電池に蓄えられてもよい。このようにして、例えば日中はソーラーモジュールにより電気エネルギを発生させ、この電気エネルギを蓄電池に蓄え、夜間はこの蓄えられたエネルギを、発光手段により消費することができる。
【0025】
本発明による風速計の1つの別の有利な構成は、物体への取付け用の取付け手段が設けられていることにより達成される。
【0026】
本発明による風速計の1つの好適な構成は、水平方向の旋回軸線を備えた旋回装置が設けられており、旋回軸線を中心として、風速計が旋回可能に支持されており、この場合、振り子式おもりが補償おもりもしくは釣合いおもりとして設けられている、という点にある。この手段は、風速計の風受け手段を常に水平方向に向けさせる、ということを可能にする。風速計が取り付けられた物体が動いても、回転軸線は鉛直方向に保たれる。さらに、ビーコンもしくは障害燈の鉛直方向の放射特性が、傾斜角度に関係無く保たれ続ける。この場合、振り子は-特に流れ抵抗および重量に関して-風が吹いても風速計が傾倒しないように構成されていることが望ましい。
【0027】
本発明による風速計の1つの別の有利な構成では、発光手段を作動させるためのトワイライトセンサおよび/または近接センサが設けられている。これにより、暗くなった場合および/または別の物体が接近した場合に初めてスイッチが入るようになっている。これにより、特にそのエネルギを例えば蓄電池もしくはソーラーモジュールから受け取る自給式の風速計において必要とされるエネルギを節約することができる。
【0028】
別の構成および利点は、従属請求項の対象ならびに対応する説明を伴う図面から明らかである。以下に、添付の図面を参照して実施例をより詳細に説明する。本発明は、記載されたこれらの実施例のみに限定されるべきではない。実施例は、単に本発明を詳しく説明するためだけに用いられる。本発明は、現在かつ将来的に、当業者が本発明を実現するために容易に利用するであろう全ての対象に関連するものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】ビーコンを備えた本発明による風速計の1つの実施例を示す概略背面図である。
図2図1に示した、ビーコンを備えた風速計を示す概略側面図である。
図3図1および図2に示した、ビーコンを備えた風速計を上から見たところを示す原理図である。
図4a】発光手段を備えた2つのスペース的に交互に設けられた発光群を有する本発明による風速計のビーコンを通常運転で示す概略原理図である。
図4b図4aに示した2つのスペース的に交互に設けられた発光群において、第1の発光群のみが発光しているところを示す図である。
図4c図4aもしくは図4bに示した2つのスペース的に交互に設けられた発光群において、第2の発光群のみが発光しているところを示す図である。
【0030】
好適な実施例
図1には、風速計10の原理図が概略背面図で示されている。風速計10は、風杯型風速計として形成されており、風車12として構成された風受け手段14ならびにハウジング16を有している。回転円平面17と、鉛直方向に位置する回転軸線18とにおいて、風車12は、取付け手段22により、軸20に固く取り付けられている。風車12は、本実施例では3つの半球状のカップ24から成り、カップ24は、スポーク26でもってハブ28を介して軸20に結合されている。軸20は、ハウジング16内に回転可能に支持されている。3つの半球状のカップ24の開放側30は、回転円上で同じ方向に向いている。
【0031】
ハウジング16は、3つのハウジング区分32,34,36に分割することができる。最上位の区分32は、風受け手段14を含んでいる。最下位の区分34は、中央の本体38を形成しており、中央の本体38内には、電子機器40、蓄電池42および機械的な部材、特に軸20の回転速度ωを検出するための検出手段43が設けられている。中間の区分36には、電気的な発光手段44が設けられており、電気的な発光手段44はその電圧を、ハウジング16内の蓄電池42等の電圧源46から受け取る。ビーコンまたは信号発生器とも称されるこの発光手段44は、電子機器40により必要に応じて信号灯として接続される。暗くなると、トワイライトセンサ47が発光手段44のスイッチを入れ、これにより、その時々の対象物に対するその信号・警告作用が発揮される。このために、電子機器はプロセッサ制御されており、やはり電圧源46から電圧を受け取る。信号持続時間に依存する点滅またはその他の信号を発生させるために、制御電子機器40は、発光手段44を相応して切り替えることができる。
【0032】
蓄電池42は、ソーラーモジュール48により充電され得る。このためにソーラーモジュール48は、物体の適切な箇所に取り付けられていてもよい。発光手段44は、好適には異なる色を有する複数のLEDから成る。発光手段44の色は、電子機器40により必要に応じて制御される。インタフェース49は、風速計10による風測定時に得られる信号またはデータの伝送に用いられるか、または電子機器を外部から制御もしくはプログラミングするために用いられる。
【0033】
中央の本体38には、旋回装置50が設けられている。旋回装置50は、円筒形のボデー52を有しており、円筒形のボデー52の第1の端部54には、中央の本体38が旋回可能に支持されている(図2および図3参照)。円筒形のボデー52の他方の端部56には、取付けフランジ58およびインタフェース49が設けられている。取付けフランジ58は、旋回装置50を介して風速計10を物体に取り付けるための取付け手段60として用いられる。取付け手段60は、例えば溶接、接着、ねじ締結、リベット留めされ得るか、または物体に緊締され得る。
【0034】
風が生じた際に、風速計10が旋回装置50の旋回軸線61を中心として側方に揺動しないようにするために、風速計10に対する釣合いおもりとして振り子式おもり62が設けられている。振り子式おもり62は、ロッド64を介してハウジング16の底部66に固く固定されて結合されている。振り子式おもり62により、風速計10の回転軸線18は十分に鉛直方向に保たれる。これにより、風車12はその水平位置に留まる。
【0035】
図2には、図1に示した、ビーコン44を備えた風速計10が概略側面図で示されている。よって、図面が互いに対応する場合には、同じ参照符号も使用される。
【0036】
これに相応して、風速計10は、同様に風杯型風速計として形成されている。回転円平面17と、これに対して鉛直方向に位置する回転軸線18とにおいて、風車12は軸20に取り付けられている。風車12は、3つの半球状のカップ24を有しており、カップ24は、スポーク26でもってハブ28を介して軸20に結合されている。
【0037】
ハウジング16は、3つのハウジング区分32,34,36を示している。最上位のハウジング区分32は、風受け手段14を含んでいる。最下位のハウジング区分34は、中央の本体38を形成しており、本体38内には、電子機器40、蓄電池42および機械的な部材が収納されている。この場合、電子機器40と、電圧源46と、機械的な部材とは、とりわけ軸20の回転速度ωを検出するための検出手段43を形成している。中間のハウジング区分36にはさらに、電気的な発光手段44が配置されており、電気的な発光手段44はその電圧を、電圧源46から受け取る。発光手段44は、制御電子機器40により適宜に切り替えられる。この場合、トワイライトセンサ47が切替え過程をサポートするため、発光手段44は、暗くなり始めた場合にのみスイッチが入れられる。
【0038】
発光手段44は、複数のLEDを含む。発光手段44のそれぞれ異なる色を用いて、それぞれ異なる信号を発信することができる。このために発光手段44は、制御電子機器40により用途に応じて適宜に制御される。インタフェース49を介して、風測定時に風速計10により検出される信号およびデータが伝送される。さらにインタフェース49を介して、制御電子機器40を外部から制御またはプログラミングすることができる。
【0039】
中央の本体38には、旋回装置50が取り付けられている。中央の本体38は、旋回装置50の円筒形のボデー52を介して旋回可能に支持されている。円筒形のボデー52は、取付けフランジ58により物体(図示せず)に取り付けられている。この場合、取付け手段60に取付けフランジ58が含まれており、取付け手段60により、風速計10が物体に取り付けられている。
【0040】
風が生じた際に、風速計10が旋回軸線61を中心として側方に揺動することを、振り子式おもり62が釣合いおもりとして阻止する。このために振り子式おもり62は、ロッド64を介してハウジング16の底部66に固く固定されてねじ締結されている。振り子式おもり62により、風速計10の回転軸線18は十分に鉛直方向に保たれる。これにより、風車12はその水平位置に留まる。
【0041】
図3には、図1および図2に示した、ビーコン44を備えた風速計10を上から見た原理図が示されている。よって、図面が互いに対応する場合には、同じ参照符号も使用される。
【0042】
風杯型風速計10の回転円平面17と、これに対して鉛直方向に位置する回転軸線18とにおいて、風車12は軸20に被せ嵌められている。風車12が回転すると、軸20は連行されて回転運動させられる。風車12は、3つの半球状のカップ24を有しており、カップ24は、スポーク26でもってハブ28を介して軸20に相対回動不能に結合されている。
【0043】
旋回装置50は、取付け手段60により物体に取り付けられている。旋回装置50には、風速計10の中央の本体38が旋回可能に支持されている。取付けフランジ58も属す取付け手段60は、物体に対して固定されて不動に結合されている。よって、風速計10のハウジング16は、相応して旋回することができる。
【0044】
風が生じた際に、風速計10が旋回軸線61を中心として側方に傾倒することを、振り子式おもり62が阻止する。このために振り子式おもり62は、ロッド64を介してハウジング16の底部66に固く固定されてねじ締結されている。振り子式おもり62により、風速計10の回転軸線18は十分に鉛直方向に安定して保たれる。これにより、風車12自体はその水平位置に留まる。
【0045】
図4aには、本発明による風速計10用のビーコン44の1つの実施例が概略原理図で示されている。ビーコン44は例示的に、LEDから成る2つの発光群68,70を含んでいる。LED発光群68,70は、断面が六角形のLEDホルダ72を取り囲むように、スペース的に交互に配置されている。この図では両LED発光群68,70が発光しており、このことは、図のハッチングにより明らかである。発光群68,70のこの同時制御では、必要に応じて、ビーコン44の最大照度が達成され得る。ただし通常運転では、半分の出力で十分であり、このことは、LEDおよび蓄電池42を保護する。
【0046】
図4bには、図4aに示した、六角形のLEDホルダ72を包囲するように交互に配置された2つの発光群68,70において、第1の発光群68のLEDのみが発光しているところが示されている。第1のLED発光群68の発光も、やはりハッチングにより明らかである。第2の発光群70のLEDは遮断されており、したがってハッチング無しで図示されている。
【0047】
図4cには、図4aもしくは図4bに示した2つのスペース的に交互に配置された発光群68,70において、第2の発光群70のみが発光しているところが示されている。ここでも、発光している発光群70は、相応してハッチングされて明らかになっている。図4bおよび図4cには、一方では省エネ型の態様が示されている。それというのも、発光群68または70のうちの1つだけがその都度制御されるからである。他方ではこのようにして、発光群68または70のうちの1つが故障した場合に、バックアップ運転を実現することもできる。
【符号の説明】
【0048】
10 風速計
12 風車
14 風受け手段
16 ハウジング
17 回転円平面
18 回転軸線
20 軸
22 取付け手段
24 半球状のカップ
26 スポーク
28 ハブ
30 開放側
32 最上位のハウジング区分
34 最下位のハウジング区分
36 中間のハウジング区分
38 中央の本体
40 電子機器
42 蓄電池
43 検出手段
44 発光手段
46 電圧源
47 トワイライトセンサ
48 ソーラーモジュール
49 インタフェース
50 旋回装置
52 円筒形のボデー
54 第1の端部
56 第2の端部
58 取付けフランジ
60 取付け手段
61 旋回軸線
62 振り子式おもり
64 ロッド
66 底部
68 第1のLED発光群
70 第2のLED発光群
72 六角形のLEDホルダ
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
【国際調査報告】