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特表2024-515276電磁放射を無線で受信及び送信するための方法、並びに、そのための電子デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】電磁放射を無線で受信及び送信するための方法、並びに、そのための電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240401BHJP
   H02J 50/20 20160101ALI20240401BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240401BHJP
   G06K 19/07 20060101ALI20240401BHJP
   H04B 5/79 20240101ALI20240401BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/20
H02J7/10 B
G06K19/07 090
G06K19/07 230
G06K19/07 040
G06K19/07 150
H04B5/79
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562675
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2022058966
(87)【国際公開番号】W WO2022218755
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21382314.9
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520391789
【氏名又は名称】ヨクト テクノロジーズ,エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】モレノ レヴィー,ダニー
【テーマコード(参考)】
5G503
5K012
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB03
5G503DA04
5G503GB09
5K012AB05
5K012AC09
5K012AC11
5K012AE13
(57)【要約】
本発明は、電磁放射を無線で受信及び送信するための方法、並びにその電子デバイスに関する。方法は、第1の電磁放射を無線で受信すること(401)と、受信した第1の電磁放射のエネルギをエネルギストレージに貯蔵すること(403)と、貯蔵されたエネルギ量から、エネルギストレージに貯蔵したエネルギを復調器及び比較器に及び/又は変調器及び送信器に提供してそれらを切り換えるべきであるかを判定すること(404)と、第2の電磁放射を無線で受信することと、第2の電磁放射を復調して第1の信号を生成することと、第1の信号を信号セットと比較すること(407)と、第3の電磁放射を無線で受信することと、2つの異なる変調を用いて第3の電磁放射を第4の電磁放射に変調し、これによって第3の電磁放射に含まれるデータを変更することと、第4の電磁放射を無線で送信することと、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射を無線で受信及び送信するための方法であって、
第1の電磁放射を無線で受信すること(401)と、
前記受信した第1の電磁放射のエネルギをエネルギストレージに貯蔵すること(403)と、
前記エネルギストレージに貯蔵した前記エネルギを示すパラメータによって、前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギが第1の事前定義された値よりも大きいか又は第2の事前定義された値よりも小さいと示されるか否かを判定すること(404)であって、前記第2の事前定義された値は前記第1の事前定義された値以下であることと、
前記パラメータによって、前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギが前記第1の事前定義された値よりも大きいと示された場合、前記エネルギストレージから、
復調器及び比較器にエネルギを供給して、前記復調器及び前記比較器がスイッチオン状態であるようにすること(405)、及び/又は、
変調器及び送信器にエネルギを供給して、前記変調器及び前記送信器がスイッチオン状態であるようにすること(405)と、
前記パラメータによって、前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギが前記第2の事前定義された値よりも小さいと示された場合、前記エネルギストレージから前記復調器及び前記変調器への前記エネルギ供給を制限して、前記復調器及び前記変調器がスイッチオフ状態であるようにすることと、
第2の電磁放射を無線で受信することと、
前記復調器がスイッチオン状態である場合、前記第2の電磁放射を復調して第1の信号を生成することであって、前記復調ステップは前記復調器によって実行されることと、
前記比較器がスイッチオン状態である場合、前記第1の信号を信号セットと比較すること(407)であって、前記比較ステップは前記比較器によって実行されることと、
第3の電磁放射を無線で受信することと、
前記変調器がスイッチオン状態である場合、前記第1の信号が前記信号セットの信号と一致した場合に前記受信した第3の電磁放射を第4の電磁放射に変調することであって、前記変調ステップは、前記変調器によって実行されると共に、第1の変調を用いて前記第3の電磁放射の第1の部分を前記第4の電磁放射に変調することと、前記第1の変調とは異なる第2の変調を用いて前記第3の電磁放射の第2の部分を前記第4の電磁放射に変調し、これによって前記第3の電磁放射の前記第2の部分に含まれるデータを変更することとを含むことと、
前記送信器がスイッチオン状態である場合、前記第4の電磁放射を無線で送信することであって、前記無線送信ステップは前記送信器によって実行されることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第3の電磁放射の前記第2の部分は、前記一致した信号を用いて決定される、及び/又は、
前記第2の変調のパラメータは、前記一致した信号に依存する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の電磁放射は、2.45GHz以上の周波数を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の電磁放射は、プロトコルIEEE802のパケットである、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記復調ステップは、第1のクロック速度で実行され、
前記変調ステップ、は第2のクロック速度で実行され、
前記第1のクロック速度は、前記第2のクロック速度よりも低い、請求項1から4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記変調は、前記放射の前記周波数を変化させる、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第3の電磁放射は、ヘッダとペイロードとを有するプロトコルIEEE802のパケットであり、
前記ヘッダは、前記第3の電磁放射の前記第1の部分の一部を形成し、
前記ペイロードは、前記第3の電磁放射の前記第2の部分の一部を形成する、請求項1から6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の電磁放射を復調する前記ステップは、前記第2の電磁放射の前記電力が第3の事前定義された値よりも高い場合にのみ実行される、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の事前定義された値は、少なくとも-40dBmであると共に高くても-10dBmである範囲内で調整可能である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第3の電磁放射は、前記第3の電磁放射の反射を調整することによって前記第4の電磁放射に変調される、請求項1から9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第3の電磁放射の前記反射は、前記第3の電磁放射を無線で受信する前記ステップを実行する無線受信器のインピーダンスを調整することによって調整される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギを示す前記パラメータによって、前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギが前記第1の事前定義された値よりも大きいことが示され、かつ、前記第1の信号が前記信号セットの信号と一致する場合、前記エネルギストレージから前記変調器及び前記送信器にエネルギを供給して、前記変調器及び前記送信器がスイッチオン状態であるようにすること(105)と、前記エネルギストレージから前記比較器へのエネルギの供給を制限して、前記比較器がスイッチオフ状態であるようにすることと、
前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギを示す前記パラメータによって、前記エネルギストレージに貯蔵された前記エネルギが前記第1の事前定義された値よりも大きいことが示され、かつ、前記第1の信号が前記信号セットのどの信号とも一致しない場合、前記エネルギストレージから前記復調器及び前記比較器にエネルギを供給して、前記復調器及び前記比較器がスイッチオン状態であるようにすること(105)と、前記エネルギストレージから前記変調器及び/又は前記送信器へのエネルギの供給を制限して、前記変調器及び/又は前記送信器がスイッチオフ状態であるようにすることと、
を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の方法。
【請求項13】
電磁放射を無線で受信及び送信するための電子デバイスであって、
第1の電磁放射を受信するための受信器(601)と、
前記受信した第1の電磁放射のエネルギを貯蔵するために構成されたエネルギストレージ(603)と、
前記電子デバイスが無線で受信した第2の電磁放射を復調して第1の信号を生成するために構成された復調器(604)と、
前記第1の信号を信号セットと比較するために構成された比較器(7032)と、
無線で受信された第3の電磁放射の第2の部分を規定するために構成された測定機構(7092)と、
変調器と、
第4の電磁放射を送信するための送信器(70943)と、
データストレージ(708)と、
前記エネルギストレージ(603)から、
前記復調器(604)及び前記比較器にエネルギを供給して、前記復調器及び前記比較器がスイッチオン状態であるようにするため、及び/又は、
前記変調器(7093)及び前記送信器にエネルギを供給して、前記変調器及び前記送信器がスイッチオン状態であるようにするため、
に構成されたエネルギ供給手段(605)と、を備え、
前記エネルギストレージ(603)に貯蔵された前記エネルギを示すパラメータによって、前記エネルギストレージ(603)に貯蔵された前記エネルギが第1の事前定義された値よりも大きいと示された場合、
前記エネルギ供給手段(605)は更に、前記パラメータによって、前記エネルギストレージ(603)に貯蔵された前記エネルギが前記第1の事前定義された値以下である第2の事前定義された値よりも小さいと示された場合、前記エネルギストレージから前記復調器及び前記変調器への前記エネルギ供給を制限して、前記復調器及び前記変調器がスイッチオフ状態であるようにするために構成され、
前記復調器(604)は、前記復調器(604)がスイッチオン状態である場合に前記第2の電磁放射を復調するために構成され、
前記比較器(7032)は、前記比較器(7032)がスイッチオン状態である場合に前記第1の信号を信号セットと比較するために構成され、
前記変調器(7093)は、前記第1の信号が前記信号セットの信号と一致すると共に前記変調器(7093)がスイッチオン状態である場合に前記受信した第3の電磁放射を前記第4の電磁放射に変調するために構成され、
前記変調器(7093)は、第1の変調を用いて前記第3の電磁放射の第1の部分を前記第4の電磁放射に変調し、前記第1の変調とは異なる第2の変調を用いて前記第3の電磁放射の前記第2の部分を前記第4の電磁放射に変調し、これによって前記第3の電磁放射の前記第2の部分に含まれるデータを変更する、ことによって前記変調を実行するために構成されている、電子デバイス。
【請求項14】
電磁放射を受信及び送信するための無線送受信器と、
受信した電磁放射のエネルギを貯蔵するためのエネルギストレージと、
データストレージと、
請求項1から12の何れか一項に記載の方法を実行するための処理手段と、
を備える、電子デバイス。
【請求項15】
前記デバイスは、電子タグである、請求項13又は14に記載の電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電磁放射を無線で受信及び送信するための方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
本特許出願の所有者は、本特許出願で説明され特定されるように改良された通信システムを開示した、2018年4月13日に出願されたスペイン特許出願201800092号(PCT/IB2019/050516)の所有者である。
【0003】
受動及び能動の電子タグは、当技術分野では既知である。能動電子タグは、タグが動作するために必要なエネルギをタグに提供するバッテリを含む。バッテリの使用は、とりわけ以下のような欠点を有する。能動電子タグが必要とする比較的大量のエネルギを貯蔵できるバッテリは、高価で、電子タグのサイズと重量を増大させ、過酷な環境で使用することができず、送信時に望ましくないノイズを発生させ、環境への影響が大きい。更に、バッテリは時間が経つにつれて有効性を失い、タグからの情報送信に悪影響を及ぼし、従って情報送信の信頼性を低下させる。
【0004】
受動電子タグは、能動電子タグとは異なり、バッテリを必要としないか、又は、能動タグよりもエネルギ貯蔵容量が小さいバッテリで動作することができる。受動電子タグは、電子タグの外部のソースからのエネルギ供給に頼っている。既知の受動電子タグは、ほとんどの場所で容易に利用可能でない非常に特殊な外部エネルギ源を必要とする。更に、受動電子タグに対するエネルギ供給は限られているので、タグによって実行できる処理タスクが大きく限定されると共に、タグの通信範囲が限定される。また、既知の受動電子タグは、動作に必要なエネルギを取得するため、2.45GHz以上の周波数を有する電磁放射からのエネルギをうまく頼ることができない。2.45GHzで動作する既知の電子タグは能動である。
【0005】
従って、既知の能動及び受動の電子タグの上述した制約を克服する電子タグが必要である。
【0006】
更に、2.45GHzの周波数を有する電磁放射によって動作する電子タグは当技術分野では既知である。しかしながら、これらのデバイスは、データ交換を行う前に接続を確立する必要がある。更に、これらのデバイスはIPを必要とし、それら自身のデータを送信する前にデータの受信が予想されるか否かを調べる必要がある。
【0007】
US2016/155040A1は、サブスレッショルド技術を用いる集積回路を備えた受動RFIDタグを開示している。
【発明の概要】
【0008】
最新技術の欠点を克服するため、本発明は、電磁放射を受信及び送信するための方法と、そのための対応するデバイスと、を提案する。このデバイスは、タグ(受動スマートタグ等)として実施することができ、その動作に専用の読み取り機を必要としない。
【0009】
本発明の第1の態様は、電磁放射を無線で受信及び送信するための方法に関する。この方法は、
第1の電磁放射を無線で受信することと、
受信した第1の電磁放射のエネルギをエネルギストレージに貯蔵することと、
エネルギストレージに貯蔵したエネルギを示すパラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値よりも大きいか又は第2の事前定義された値よりも小さいと示されるか否かを判定することであって、第2の事前定義された値は第1の事前定義された値以下であることと、
パラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値よりも大きいと示された場合、エネルギストレージから、
復調器及び比較器にエネルギを供給して、復調器及び比較器がスイッチオン状態であるようにすること、及び/又は、
変調器及び送信器にエネルギを供給して、変調器及び送信器がスイッチオン状態であるようにすることと、
パラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第2の事前定義された値よりも小さいと示された場合、エネルギストレージから復調器及び変調器へのエネルギ供給を制限して、復調器及び変調器がスイッチオフ状態であるようにすることと、
第2の電磁放射を無線で受信することと、
復調器がスイッチオン状態である場合、第2の電磁放射を復調して第1の信号を生成することであって、復調ステップは復調器によって実行されることと、
比較器がスイッチオン状態である場合、第1の信号を信号セットと比較することであって、比較ステップは比較器によって実行されることと、
第3の電磁放射を無線で受信することと、
変調器がスイッチオン状態である場合、第1の信号が信号セットの信号と一致した場合に受信した第3の電磁放射を第4の電磁放射に変調することであって、変調ステップは、変調器によって実行されると共に、第1の変調を用いて第3の電磁放射の第1の部分を第4の電磁放射に変調することと、第1の変調とは異なる第2の変調を用いて第3の電磁放射の第2の部分を第4の電磁放射に変調し、これによって第3の電磁放射の第2の部分に含まれるデータを変更することと、を含むことと、
送信器がスイッチオン状態である場合、第4の電磁放射を無線で送信することであって、無線送信ステップは送信器によって実行されることと、
を含む。
【0010】
この方法は、電磁放射からのエネルギの受信及び貯蔵によって、例えば受動電子タグのコンポーネントを活性化すること、すなわちそれらのコンポーネントの動作に必要なエネルギを供給することを可能とする。方法は、単に第1の電磁放射から取得したエネルギを用いることにより、データを記憶する動作、データを読み取る動作、データを処理する動作、データを書き込む動作、及び、長距離でデータを送信する動作、の実行を可能とする。従って、方法は、同じ動作を実行するために既知の能動タグが必要とする比較的大きいエネルギ貯蔵容量を有するバッテリの必要性をなくすことができる。更に、方法は広範囲の周波数及び電力の電磁放射によって実施できるので、第1の電磁放射は固有のものである必要はない。
【0011】
エネルギストレージに貯蔵されるエネルギを示すパラメータは、エネルギストレージの電圧又は電流等、当業者に既知である任意のパラメータとすればよい。
【0012】
エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値よりも大きいか否かを判定するステップは、貯蔵されたエネルギが、例えば極超短波(UHF:ultra high frequency)、より具体的には2.45GHzより高い周波数等、比較的高い周波数を有する第1の無線電磁放射のみから取得された場合であっても、方法ステップを実行するため復調器及び比較器並びに変調器及び送信器に必要な比較的大きいエネルギを信頼性高く供給することを可能とする。エネルギストレージが方法ステップを実行するために充分なエネルギを有するまで、エネルギストレージからエネルギは供給されない。エネルギストレージが方法を実行するために必要なエネルギを持たない場合、そのエネルギでは方法を実行させることができずにエネルギストレージを不当に放電させることになるので、このようにエネルギストレージからのエネルギ供給を防止する。これにより、電磁放射を復調し信号を比較するため復調器及び比較器がそれぞれ必要とするエネルギ、並びに、電磁放射を変調し送信するため変調器及び送信器がそれぞれ必要とするエネルギは、比較的高い周波数を有する第1の無線電磁放射から無線で取得することができる。いくつかの実施形態では、第1の事前定義された値と第2の事前定義された値は双方とも、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギがゼロよりも大きいことを示す。
【0013】
いくつかの実施形態において、エネルギストレージはキャパシタである。
【0014】
いくつかの実施形態において、第1の事前定義された値は第2の事前定義された値と同一である。他の実施形態において、第2の事前定義された値は第1の事前定義された値よりも小さい。
【0015】
第1の信号を信号セットと比較するステップは、電磁放射にデータストレージからのデータを挿入すること、又は、IDもしくは他の固有のデータを送信すること等、どの命令を実行するべきであるかの決定を可能とする。
第3の電磁放射の第2の部分は、当業者に既知である任意の方法を用いて識別することができる。例えば、第3の電磁放射が受信されたらカウンタをトリガすればよい。カウンタのカウント終了に到達することは、第3の電磁放射の第2の部分の受信が開始していることを意味する。他の例としては、第3の電磁放射の受信からの時間を測定するための既知の方法があり、例えば、キャパシタ等の電子コンポーネントの電圧を追跡する。キャパシタの電圧は、例えばキャパシタが受信するクロックパルスの量に依存する。
【0016】
本開示において、「第3の電磁放射の第1の部分」という表現の文脈における「第1の」という用語は、必ずしも「第3の電磁放射の第1の部分」が「第3の電磁放射の第2の部分」よりも前にあることを意味するわけではないが、いくつかの実施形態ではそれを意味する。
【0017】
いくつかの実施形態において、復調器及び変調器がスイッチオフ状態であるようにエネルギストレージから復調器及び変調器へのエネルギ供給を制限することは、エネルギストレージから復調器及び変調器へエネルギを供給しないことを意味する。
【0018】
いくつかの実施形態において、送信器は変調器の一部を形成する。
【0019】
いくつかの実施形態において、第3の電磁放射の第1の部分の第1の変調は、第1の信号によって実行され、第3の電磁放射の第2の部分の第2の変調は、第1の信号とは異なる第2の信号によって実行される。
【0020】
いくつかの実施形態において、第3の電磁放射の第2の部分は一致した信号を用いて決定される、及び/又は、第2の変調のパラメータは一致した信号に依存する。このように、第2の変調を用いた変調によってデータが変更される、及び/又は、第2の変調を用いた変調によってデータが挿入される、第3の電磁放射の特定の部分は、信号セットの特定の信号と一致する第2の電磁放射を受信することによって制御され得る。
【0021】
いくつかの実施形態において、第1の電磁放射は2.45GHz以上の周波数を有する。このように、モニタモジュールに供給されるエネルギは、2.45以上の周波数を有する電磁放射から取得される。
いくつかの実施形態において、第1の電磁放射は2.45GHz以下の周波数を有する。低い周波数を有する電磁放射では減衰が小さくなるので、これにより、第1の電磁放射から取得されるエネルギを増大することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、第1の電磁放射はプロトコルIEEE802のパケットである。これにより、エネルギストレージを充電するためにプロトコルIEEE802のパケットが捕捉される。
【0023】
いくつかの実施形態において、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギを示すパラメータの第1及び第2の事前定義された値は、少なくとも0.92ボルトの「ユニットY」と、大きくても1.15ボルトの「ユニットV」である。
【0024】
いくつかの実施形態において、エネルギストレージからのエネルギは、1つ以上のクロックを介して、復調器、比較器、変調器、及び/又は送信器に供給される。これらの実施形態のいくつかにおいて、エネルギストレージから復調器、比較器、変調器、及び/又は、送信器へのエネルギ供給は、エネルギストレージから1つ以上のクロックへのエネルギ供給を制限することによって制限される。
【0025】
いくつかの実施形態において、復調ステップは第1のクロック速度で実行され、変調ステップは第2のクロック速度で実行され、第1のクロック速度は第2のクロック速度よりも低い。このように、第2の電磁放射の復調及び変調ステップが第2のクロック速度で実行される実施形態に比べ、エネルギは節約される。更に、第2の電磁放射の復調及び変調ステップが第1のクロック速度で実行される実施形態に比べ、第3の電磁放射の変調は向上する。
【0026】
いくつかの実施形態では、変調によって放射の周波数を変化させ、これにより第3及び第4の電磁放射間の周波数の重複が最小限に抑えられるので、第3の電磁放射の受信と第4の電磁放射の送信を同時に行うことが可能となる。
【0027】
いくつかの実施形態において、第3の電磁放射はプロトコルIEEE802のパケットである。このため、第2の変調を用いた変調によってパケットの第2の部分のデータが変更される。これらの実施形態のいくつかにおいて、第3の電磁放射は、ヘッダとペイロードとを有するプロトコルIEEE802のパケットであり、ヘッダは第3の電磁放射の第1の部分の一部を形成し、ペイロードは第3の電磁放射の第2の部分の一部を形成する。
【0028】
いくつかの実施形態において、第2の電磁放射を復調するステップは、第2の電磁放射の電力が第3の事前定義された値よりも高い場合にのみ実行される。
【0029】
いくつかの実施形態において、第3の事前定義された値は、少なくとも-40dBmであると共に高くても-10dBmである範囲内で調整可能である。
【0030】
いくつかの実施形態において、第3の電磁放射は、第3の電磁放射の反射、例えば後方散乱を調整することによって、第4の電磁放射に変調される。特に、これは、反射係数を調整することによって達成され得る。このように、第3の電磁放射の反射を調整することによって、第4の電磁放射の位相、振幅、及び/又は周波数、従って第4の電磁放射に含まれるデータを調整することができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、第3の電磁放射の反射は、第3の電磁放射を無線で受信するステップを実行する無線受信器のインピーダンスを調整することによって調整される。このため、無線受信器のインピーダンスを調整することによって、無線受信器で第3の電磁放射を反射する程度が調整される。従って、無線受信器のインピーダンスを異なるように調整することにより、方法は、第3の電磁放射の第2の部分に対して第1の変調とは異なる第2の変調を実施することができる。このようにして、方法は、第3の電磁放射に含まれるオリジナルデータをデータストレージに含まれるデータで正確に置き換えると共に、第3の電磁放射の他のオリジナルデータを変更しないことによって、第4の電磁放射を生成できる。
【0032】
いくつかの実施形態において、第3の電磁放射を無線で受信するステップを実行する無線受信器は、第4の電磁放射を無線で送信するステップを実行する送信器である。このため、無線受信器から無線受信器とは別個の無線送信器へ第3の電磁放射を送信する必要はない。これにより、無線受信器と別個の無線送信器との間の伝送にエネルギを提供する必要性がなくなり、従ってエネルギ消費は最小限に抑えられる。
【0033】
いくつかの実施形態では、
エネルギストレージに貯蔵されたエネルギを示すパラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値よりも大きいことが示され、かつ、第1の信号が信号セットの信号と一致する場合、エネルギストレージから変調器及び送信器にエネルギを供給して、変調器及び送信器がスイッチオン状態であるようにすると共に、エネルギストレージから比較器へのエネルギの供給を制限して、比較器がスイッチオフ状態であるようにし、
エネルギストレージに貯蔵されたエネルギを示すパラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値よりも大きいことが示され、かつ、第1の信号が信号セットのどの信号とも一致しない場合、エネルギストレージから復調器及び比較器にエネルギを供給して、復調器及び比較器がスイッチオン状態であるようにすると共に、エネルギストレージから変調器及び/又は送信器へのエネルギの供給を制限して、変調器及び/又は送信器がスイッチオフ状態であるようにする。
これらの実施形態では、第2の電磁放射が受信されない場合、又は第1の信号が信号セットのどの信号とも一致しない場合、エネルギストレージから変調器及び送信器にエネルギが供給されないので、エネルギ消費が更に低減する。エネルギが変調器及び送信器に供給されるのは、第1の信号が信号セットの信号と一致した後、すなわち命令を受信した時である。これらの実施形態のいくつかでは、第1の信号に含まれる1又は複数の命令を実行した後、エネルギストレージから変調器及び送信器へのエネルギ供給は停止される。更に、これらの実施形態では、第1の信号が信号セットの信号と一致した後、エネルギストレージから比較器へのエネルギ供給は停止されるので、エネルギ消費は更に低減する。これらの実施形態のいくつかでは、第1の信号に含まれる命令が実行された後、復調器及び比較器にエネルギが供給される。
【0034】
本発明の第2の態様は、電磁放射を無線で受信及び送信するための電子デバイスに関する。この電子デバイスは、
第1の電磁放射を受信するための受信器と、
受信した第1の電磁放射のエネルギを貯蔵するために構成されたエネルギストレージと、
電子デバイスが無線で受信した第2の電磁放射を復調して第1の信号を生成するために構成された復調器と、
第1の信号を信号セットと比較するために構成された比較器と、
無線で受信された第3の電磁放射の第2の部分を規定するために構成された測定機構と、
変調器と、
第4の電磁放射を送信するための送信器と、
データストレージと、
エネルギストレージから、
復調器及び比較器にエネルギを供給して、復調器及び比較器がスイッチオン状態であるようにするため、及び/又は、
変調器及び送信器にエネルギを供給して、変調器及び送信器がスイッチオン状態であるようにするため、
に構成されたエネルギ供給手段と、を備え、
エネルギストレージに貯蔵されたエネルギを示すパラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値よりも大きいと示された場合、
エネルギ供給手段は更に、パラメータによって、エネルギストレージに貯蔵されたエネルギが第1の事前定義された値以下である第2の事前定義された値よりも小さいと示された場合、エネルギストレージから復調器及び変調器へのエネルギ供給を制限して、復調器及び変調器がスイッチオフ状態であるようにするために構成され、
復調器は、復調器がスイッチオン状態である場合に第2の電磁放射を復調するために構成され、
比較器は、比較器がスイッチオン状態である場合に第1の信号を信号セットと比較するために構成され、
変調器は、第1の信号が信号セットの信号と一致すると共に変調器がスイッチオン状態である場合に受信した第3の電磁放射を第4の電磁放射に変調するために構成され、
変調器は、
第1の変調を用いて第3の電磁放射の第1の部分を第4の電磁放射に変調し、
第1の変調とは異なる第2の変調を用いて第3の電磁放射の第2の部分を第4の電磁放射に変調し、これによって第3の電磁放射の第2の部分に含まれるデータを変更する、
ことによって変調を実行するために構成されている。
【0035】
いくつかの実施形態において、第1の電磁放射を受信するための受信器は、第4の電磁放射を送信するための送信器、及び/又は、第2及び/又は第3の電磁放射を受信するための受信器でもあり、例えば同一のアンテナである。
【0036】
本発明の第2の態様の電子デバイスは、電子受動タグ等の電子タグとして実施することができる。
【0037】
本発明の第3の態様は、
電磁放射を受信及び送信するための無線送受信器と、
受信した電磁放射のエネルギを貯蔵するためのエネルギストレージと、
データストレージと、
本発明の第1の態様の方法を実行するための処理手段と、
を備える電子デバイスに関する。
【0038】
本発明の第3の態様の電子デバイスは、電子受動タグ等の電子タグとして実施することができる。
【0039】
本開示の少なくとも一部は、異なる機構として復調器、比較器、変調器、及び送信器に言及するが、これらの機構が独立していることは要求されない。電子デバイスの適切な構成により、例えば処理手段のような同一の電子デバイスを、復調器、比較器、変調器、及び送信器の一部として使用できることは、当業者には周知である。従って、特定の時点での電子デバイスの構成は、電子デバイスが復調器、比較器、変調器、及び/又は送信器の一部を形成することの情報を提供するものである。
【0040】
前述の記載に規定された本発明の様々な態様及び実施形態は、相互に両立し得る限り、相互に組み合わせることができる。
【0041】
本発明の追加の利点及び特徴は、以下の詳細な説明から明らかとなり、特に、添付の特許請求の範囲において指摘される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
記載を完成させ、本発明のより良い理解を得るため、一連の図面を提供する。これらの図面は記載の不可欠な部分を形成し、本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲の限定として解釈するべきではなく、どのように本発明を実行できるかを示す一例としてのみ解釈するべきである。図面は以下の図を含む。
【0043】
図1A】本発明に従った方法の実施形態の第1の部分の図である。
図1B】本発明に従った方法の第2の部分の図である。
図1C】本発明に従った方法の第2の部分の図である。
図2】本発明に従った電子デバイスとの通信を概略的に示す。
図3】本発明に従った電子デバイスのコンポーネントを概略的に示す。
図4】本発明に従った電子デバイスのコンポーネントを概略的に示す。
図5】本発明に従った電子デバイスの信号を示すデジタルタイミング図である。
図6】本発明に従った電子デバイスの信号を示すデジタルタイミング図である。
図7】本発明に従った電子デバイスの信号を示すデジタルタイミング図である。
図8】本発明に従った電子デバイスの信号を示すデジタルタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下の記載は限定の意味で解釈されるべきではなく、本発明の広範な原理を記載することだけを目的として与えられる。本発明の実施形態は、上記の図面を参照して、一例として記載される。
【0045】
図3及び図4は、図1A図1B、及び図1Cに示されている方法を実行するための電子タグ600の実施形態のコンポーネントを示す。特に、電子タグは、規格IEEE802のパケット、より具体的には規格IEEE802.11bのパケットを受信し、パケットの内容の一部を変更し、変更したパケットを送信することができる。電子デバイスは、図3及び図4のコンポーネントが搭載される支持部を有する。
【0046】
図3で示されているように、電子タグ600は、第1の電磁放射、第2の電磁放射、及び第3の電磁放射を受信するための受信アンテナ601を備える。電子タグ600は、受信アンテナ601とエネルギストレージ603とに電気的に接続された収集ユニット602を備える。エネルギストレージ603はキャパシタである。収集ユニット602は、受信アンテナ601で受信された(401)第1の電磁放射を整流する(402)ための整流器を備え、整流されたエネルギは貯蔵のためエネルギストレージ603に供給することができる。
【0047】
電子タグ600は、電力管理ユニット605を介してエネルギストレージ603に接続されたデジタルプロセッサ607を備える。デジタルプロセッサ607は、制御ユニット6071、モニタユニット6072、送信ユニット6074、及びメモリ6073を備える。電子タグ600は更に、高速クロック609のクロック速度よりも遅いクロック速度を有する低速クロック608を備える。低速クロック608は1MHzの周波数を有する。高速クロックは30MHzの周波数を有する。双方のクロックの周波数は調整可能とすることができる。
【0048】
エネルギストレージ603から低速クロック608及び高速クロック609にエネルギを供給できる。低速クロック608は、モニタユニット6072及び制御ユニット6071に接続されている。高速クロック609は、送信ユニット6074及び制御ユニット6071に接続されている。モニタユニット6072は比較器7032を備える。送信ユニット6074は変調器7094を備える。メモリ6073は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又は揮発性メモリと不揮発性メモリとの組み合わせとすればよい。
【0049】
変調器7094は、スイッチ70942及び送信アンテナ70943を備える。スイッチ70942は送信アンテナ70943のインピーダンスを調整し、このようにして、送信された第4の電磁放射の振幅を調整することができる。
電力管理ユニット605は、エネルギストレージ603が到達し得る最大電圧を制限するための電圧リミッタを備え得る。電力管理ユニット605は、デジタルプロセッサ607、復調器/検出器604、低速クロック608、及び/又は、高速クロック609に供給される電気エネルギの電圧を制御するための電圧レギュレータを備え得る。電圧は、メモリ6073に記憶されたパラメータを用いて制御することができる。
【0050】
エネルギストレージ603の電圧がゼロである初期状態は、エネルギストレージ603にエネルギが全く貯蔵されていないことを意味するが、この初期状態では、受信アンテナ601で受信された(401)第1の電磁放射からのエネルギは、次いで収集ユニット602で整流され(402)、エネルギストレージ603に貯蔵される(403)。ステップ404で、エネルギストレージ603の電圧が第1の事前定義された値よりも大きくないと判定された場合、例えば、第1の事前定義された値よりも小さいか、又は第1の事前定義された値よりも小さい第2の事前定義された値よりも小さい場合、ステップ401、402、及び403を実行することによって、エネルギストレージ603は、第1の電磁放射からのエネルギを用いた充電を続ける。
【0051】
エネルギストレージ603の電圧が第1の事前定義された値よりも高い値まで増大した場合、これは、図1Aから図1Bの方法及び/又は図1Aから図1Cの方法を実行するためエネルギストレージ603が充分に充電されたことを意味し、電力管理ユニット605は、エネルギストレージ603の電圧が第1の事前定義された値よりも高いと判定し(404)、エネルギストレージ603からデジタルプロセッサ607に、また復調器/検出器604にエネルギを供給して、モニタユニット6072及び復調器/検出器604をスイッチオン状態に保持すると共に送信ユニット6074をスイッチオフ状態に保持する(405)。モニタユニット6072及び復調器/検出器604をスイッチオン状態に保持することは、低速クロック608にエネルギを供給して、低速クロック608からのクロックサイクルCLK_MONが復調器/検出器604に、モニタユニット6072に、より具体的には比較器7032に供給されるようにすることを含む。特に、低速クロック608は、制御ユニット6071によって送信された信号mon_enにより活性化される。送信ユニット6074をスイッチオフ状態に保持することは、エネルギストレージ603から送信ユニット6074に、より具体的には変調器7094にエネルギを供給しないことを含む。
【0052】
復調器/検出器604は、復調器及び包絡線検出器を備える。包絡線検出器は、固定の感度又は構成可能な感度を有し得る。
【0053】
その後、エネルギストレージ603の電圧が第2の事前定義された値未満に低下した場合、電力管理ユニット605は、エネルギストレージ603からモニタユニット6072、制御ユニット6071、及び低速クロック608へのエネルギの供給を停止して、エネルギストレージ603を充電するためのステップ401に戻る。これは簡略化の目的のため図示されていないが、ステップ404以降の図1A図1B、及び図1Cに示されている方法の全てのステップの間、ステップ401、402、及び403を実行することにより、エネルギストレージ603は充電され続ける。
【0054】
モニタユニット6072及び復調器/検出器604がスイッチオン状態に保持され、充分な電力を有する第2の電磁放射が受信アンテナ601で受信されている間、第2の電磁放射は、第2の電磁放射の包絡線を検出する復調器/検出器604によって復調される。復調及び包絡線検出の結果は、低速パルス分析器7031に送信される。低速パルス分析器7031は、復調器/検出器604から受信したパルスの持続時間を測定し、この持続時間を用いて第1の信号を生成する。第1の信号は比較器7032に送信され、比較器7032は第1の信号をメモリ6073に記憶された命令の識別子と比較する。比較器7032が、第1の信号がいずれの命令の識別子とも一致しないと判定した場合(408)、一致を見出すまでステップ406及び407が繰り返される。
【0055】
比較器7032によって、第1の信号があらかじめ決定された命令の識別子に一致すると判定された場合(408)、モニタユニット6072はSTART_TX信号を制御ユニット6071に送信する。信号START_TXの受信は、制御ユニット6071がデジタルプロセッサ607の構成をモニタモードから送信モードに変更すること(409)をトリガする。
【0056】
信号START_TXを受信すると、制御ユニット6071はデジタルプロセッサ607においてモニタモードを非活性化する(501A、501B)。具体的には、制御ユニット6071は、エネルギストレージ603からモニタユニット6072へのエネルギの供給を停止させる。信号START_TXを受信すると、制御ユニット6071はデジタルプロセッサ607において送信モードを活性化する(502A、502B)。具体的には、制御ユニット6071は、エネルギストレージ603から送信ユニット6074へエネルギを供給させ、送信ユニット6074をスイッチオン状態に保持するためエネルギストレージ603から送信ユニット6074へエネルギを供給することによってデジタルプロセッサ607で送信モードを活性化する(502A、502B)。より具体的には、変調器7094をスイッチオン状態に保持するため、エネルギストレージ603から変調器7094にエネルギが供給される。送信ユニット6074をスイッチオン状態に保持することは、高速クロック609にエネルギを供給して、高速クロック609からのクロックサイクルCLK_TXが変調器7094に供給されるようにすることを含む。特に、高速クロック609は、制御ユニット6071によって送信されたTX_EN信号により活性化される。
【0057】
受信アンテナ601で第3の電磁放射が受信されたら、より具体的には、受信された第3の電磁放射の包絡線の立ち上がりエッジが検出されたら、タイマ7092をトリガすることによって時間測定を開始する(503B)。タイマ7092は第1の時間遅延を引き起こす。第1の時間遅延は、第3の電磁放射の第1の部分及び第2の部分を決定するためのものである。第1の時間遅延は、第1の信号と一致する識別子を有する命令によって設定することができる。
【0058】
変調器7094は、マルチプレクサ70941、スイッチ70942、及び送信器70943を備える。受信アンテナ601で第3の電磁放射が受信されるのと同時に、第3の電磁放射は送信器70943で受信される。送信器70943は、スイッチ70942によって調整されるインピーダンスを有する。マルチプレクサ70941は、信号TXによってスイッチ70942を制御する。第3の電磁放射の第1の部分の間、信号MODはゼロに設定され、従ってTXはCLK_TXである。これにより、第3の電磁放射が送信器70943において後方散乱する(504A、504B)のと同時に、第3の電磁放射の第1の部分はCLK_TXと共に変調される。
【0059】
受信アンテナ601で受信された第3の電磁放射は、第3の電磁放射の包絡線を検出する復調器/検出器604によって復調される。復調及び包絡線検出の結果は、高速パルス分析器7091に送信される。高速パルス分析器7091はパルスの持続時間を抽出し、第2のタイマ7091は第2の時間遅延を引き起こす。高速パルス分析器7091は、復調器/検出器604から受信したパルスの持続時間を測定し、この持続時間を用いて信号を生成する。信号は比較器7095に送信され、比較器7095は信号をメモリ6073に記憶された停止命令の識別子と比較する。比較器7095が、信号が停止命令の識別子と一致すると判定した場合(505A、505B)、STOP_TX命令が制御ユニット6071に送信される。これに応答して、制御ユニット6071は、デジタルブロックで送信モードを非活性化すると共にデジタルブロックでモニタモードを活性化し、次いでステップ405に戻る。
【0060】
あるいは、比較器7095が、信号が停止命令の識別子と一致しないと判定した場合(505A、505B)、第1の時間遅延に到達したか否かを判定する(506A、506B)。第1の時間遅延に到達していない場合、ステップ504の実行を続ける。
【0061】
第1の変調はAM変調である。より具体的には、第1の変調は、受信した第3の電磁放射と送信した第4の電磁放射との間の干渉が最小限に抑えられるように、受信したIEEE802.1パケットの中心周波数で離隔された2つの横帯域を生成する。
【0062】
タイマ7092が時間遅延の最後に到達した場合、これは、閾値よりも長い時間に到達したこと(506A、506B)、従って、第3の電磁放射の第1の部分の最後に到達したことを意味する。次いで、タイマ7092はT_MOD信号を変調器調整器7093に送信し、従って、第3の電磁放射の第2の部分は第2の変調によって変調される。第2の変調アルゴリズムの実行は、第2の変調のパラメータを調整するためメモリ6073のデータを利用する。特に本実施形態では、変調器調整器7093は、マルチプレクサMXの出力信号TXをCLK_TX信号の逆数に制御するためMOD信号を調整する。これにより、TX信号を調整することによって送信器70943のインピーダンスが調整され、従って、送信器70943において後方散乱したデータを変化させる。このように、第3の電磁放射の第2の部分に含まれるデータを調整して、メモリ6073に記憶されたデータ識別を含めることができる。
【0063】
図1Cで示されているように、ステップ509Aの代わりにステップ509Bを実行することができる。これは、電子タグ600の識別のデータを第4の電磁放射に挿入する代わりに、メモリ6073に含まれる他のデータを挿入できることを意味する。これは例えば、どの識別子が第1の信号と一致するかが命令によって指示されたデータである。
【0064】
第1の変調とは異なり、第2の変調はBPSK変調を含む。BPSK変調によって、メモリ6073に含まれるデータが、変調した電磁放射に挿入される。
【0065】
図5及び図6は、デジタルプロセッサ607のモニタモードとデジタルプロセッサ607の送信モードとの間の変化を示す。時点51において、比較器7032が制御ユニット6071に送信する信号START_TXに、ローからハイへの変化が起こり、デジタルプロセッサ607の送信モードが開始する。時点51において、制御ユニット6071が高速クロック609に送信するTX_EN信号に、ローからハイへの変化が起こり、高速クロック609によってクロックサイクルCLK_TXが送信ユニット6074へ送信されるようになる。時点51において、低速クロック608に送信される信号mon_enはハイからローに変化して、モニタモードを非活性化する。時点52では、STOP_TXが送信されて、デジタルプロセッサ607の送信モードを非活性化すると共にデジタルプロセッサのモニタモードを活性化する。このため、STOP_TXを受信すると、制御ユニット6071は、低速クロック608に送信されている信号mon_enをローからハイに変化させると共に、高速クロック609に送信されているTX_EN信号をハイからローに変化させる。
【0066】
図7は、変調器調整器7093からマルチプレクサ70941に送信されるMOD信号を調整することによって、スイッチ70942に送信されるTX信号をどのように調整するかを示す。マルチプレクサ70941は、CLK_TX、CLK_TX_180、及びMOD信号を受信し、信号modの値に応じて、信号CLK_TX及びCLK_TX_180のうち1つを出力する。図7で示されているように、信号CLK_TX_180は、どの時点でも信号CLK_TXの反対である論理値を有する。MOD信号をローからハイに又はその逆に変化させると、信号TXは、CLK_TX_180に等しい値からCLK_TXに等しい値へ、又はその逆に変化する。
【0067】
図8は、第3の電磁放射の第2の部分を変調するためデータ変調器がどのように動作するかを示す。第3の電磁放射の第2の部分の開始時、T_MOD信号はローからハイに変化し、これは変調器調整器7093を活性化する。変調器調整器7093は、メモリ6073に含まれるデータを用いて第3の電磁放射の第2の部分の変調を開始する。このデータに応じて、変調器調整器7093は、変調された放射に含まれるデータをターゲット値に調整するため、特定の値のMOD信号を出力する。
【0068】
図2は、本発明に従った電子タグ200と、電子タグ200の外部にある2つの電子デバイス100、300と、の間の通信を、概略的に示す。第1の外部電子デバイス100は、無線wifi110に接続された送信アンテナ115を有し、無線wifi110はマイクロプロセッサ105に接続されている。第2の外部電子デバイス300は、無線wifi310に接続された送信アンテナ315を有し、無線wifi310はマイクロプロセッサ305に接続されている。電子タグ200は、本発明の第2又は第3の態様に従った電子デバイスであり、送受信アンテナ205を備える。図2は、第3の電磁放射f1がどのように第1の外部電子デバイス100から電子タグ200に送信されるかを示す。電子タグ200は、図1A図1B、及び図1Cに示されている方法によって第3の電磁放射を処理し、その結果、第4の電磁放射f2が電子タグ200から第2の外部デバイス300に送信される。
【0069】
この文書において、「備える(comprises)」及びその派生(「備えている(comprising)」等)は、排除の意味で理解されるべきではない。すなわち、これらの用語は、記載され規定されたものが別の要素やステップ等を含み得る可能性を排除するものとして解釈されるべきではない。
【0070】
一方で、本発明は明らかに、本明細書に記載されている1つ又は複数の特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に規定された本発明の一般的範囲内で、当業者によって考慮され得る(例えば、材料、寸法、コンポーネント、構成等の選択に関する)いかなる変形も包含する。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】