(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】タンパク質及び不溶性繊維成分としての繊維状菌糸体を含む食用非動物性乳製品代用製品並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23C 11/10 20210101AFI20240401BHJP
A23C 20/02 20210101ALI20240401BHJP
A23L 29/256 20160101ALI20240401BHJP
A23L 29/262 20160101ALI20240401BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20240401BHJP
A23J 3/20 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A23C11/10
A23C20/02
A23L29/256
A23L29/262
A23L29/238
A23J3/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562687
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-19
(86)【国際出願番号】 EP2022060150
(87)【国際公開番号】W WO2022219170
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523232713
【氏名又は名称】ムシュラブス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ティボー ゴダール
(72)【発明者】
【氏名】マゼン リズク
(72)【発明者】
【氏名】アンネ-カトリーネ プライサー
(72)【発明者】
【氏名】バシム ベー.アイアス
(72)【発明者】
【氏名】ギード アルバネーゼ
【テーマコード(参考)】
4B001
4B041
【Fターム(参考)】
4B001AC03
4B001AC05
4B001AC15
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4B041LP16
(57)【要約】
本発明は、タンパク質成分として繊維状菌糸体を含む食用非動物性乳製品代用製品を提供する。代用製品は、腸の健康に重要なその高いプレバイオティクス不溶性繊維含量という点から、乳製品と比較して更に高い栄養価を提供する。かかる高繊維成分が、乳製品中にかかる特性を有して含有されることは知られていない。本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される。本発明はまた、食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用非動物性乳製品代用製品であって、
a)1重量%~99重量%の範囲の食用繊維状菌糸体塊と、
b)最大99重量%の範囲の水と、を含み、
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも39%w/wの不溶性繊維含量を有する、食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項2】
前記食用繊維状菌糸体塊が、液中発酵に由来する、請求項1に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項3】
前記繊維状菌糸体塊が、10重量%~60重量%のタンパク質含量を有する、請求項1又は2に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項4】
前記繊維状菌糸体塊が、前記繊維状菌糸体塊の乾燥質量の20重量%~50重量%のタンパク質含量を有する、請求項3に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項5】
前記繊維状菌糸体塊が、前記繊維状菌糸体塊の乾燥質量の25重量%~35重量%のタンパク質含量を有する、請求項3に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項6】
20重量%~95重量%の範囲の前記繊維状菌糸体塊を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項7】
65重量%~90重量%の範囲の前記繊維状菌糸体塊を含む、請求項6に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項8】
1重量%~35重量%の範囲の前記繊維状菌糸体塊を含む、請求項6のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項9】
前記食用非動物性乳製品代用製品のリン含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり40~500mgである、請求項1~8のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項10】
前記食用非動物性乳製品代用製品の前記リン含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり60~250mgである、請求項9に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項11】
前記食用非動物性乳製品代用製品のカルシウム含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり20~400mgである、請求項1~10のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項12】
前記食用非動物性乳製品代用製品の前記カルシウム含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり25~400mgである、請求項11に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項13】
前記食用非動物性乳製品代用製品の前記カルシウム含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり40~250mgである、請求項12に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項14】
前記食用非動物性乳製品代用製品の亜鉛含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり0.5~5mgである、請求項1~13のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項15】
前記食用非動物性乳製品代用製品の前記亜鉛含量が、前記食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり0.3~4mgである、請求項14に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項16】
寒天、食用デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、小麦グルテン、セルロース若しくはその誘導体などのテクスチャー化剤、着色剤、並びに/又は、塩、抽出物及び/若しくはスパイスなどの風味剤を更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項17】
食用植物又は藻類に基づく脂肪成分、真菌又は酵母に由来する脂肪成分を、最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲で更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項18】
食用植物又は藻類に基づく脂肪成分、真菌又は酵母に由来する脂肪成分を、最大25重量%の範囲で更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項19】
食用植物又は藻類に基づく脂肪成分、真菌又は酵母に由来する脂肪成分を、1重量%~5重量%の範囲で更に含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項20】
前記食用植物に基づく脂肪成分が、ヤシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、藻類油、又は油性酵母由来油から選択される、請求項17~19のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項21】
ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項22】
前記食用繊維状菌糸体が、39%w/w~60%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項23】
前記食用繊維状菌糸体が、40%w/w~55%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項24】
前記食用繊維状菌糸体が、40%w/w~50%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項25】
前記食用繊維状菌糸体が、約45%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項26】
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも40%の不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項27】
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも50%の不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項28】
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも60%の不溶性繊維含量を有する、請求項1~21のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項29】
前記食用繊維状菌糸体が、前記菌糸体100g当たり1~5gの脂肪含量を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項30】
前記食用繊維状菌糸体が、前記菌糸体100g当たり2~4gの脂肪含量を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項31】
前記食用繊維状菌糸体が、前記菌糸体100g当たり2~3.5gの脂肪含量を有する、請求項1~28のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
【請求項32】
少なくとも39%w/wの不溶性繊維含量を有する、液中発酵に由来する食用繊維状菌糸体。
【請求項33】
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも40%の不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項34】
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも50%の不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項35】
前記食用繊維状菌糸体が、少なくとも60%の不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項36】
前記食用繊維状菌糸体が、39%w/w~60%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項37】
前記食用繊維状菌糸体が、40%w/w~55%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項38】
前記食用繊維状菌糸体が、40%w/w~50%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項39】
前記食用繊維状菌糸体が、約45%w/wの不溶性繊維含量を有する、請求項32に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項40】
前記食用繊維状菌糸体が、100g重量当たり少なくとも120mg、好ましくは100g重量当たり少なくとも1000mg、より好ましくは100g重量当たり少なくとも2000mg、例えば100g重量当たり2131mgのリン含量を有する、請求項32~39のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項41】
前記食用繊維状菌糸体が、100g重量当たり少なくとも80mg、好ましくは100g重量当たり1000mg、例えば100g重量当たり1331mgのカルシウム含量を有する、請求項32~40のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項42】
前記食用繊維状菌糸体が、前記菌糸体100g当たり1~5gの脂肪含量を有する、請求項32~41のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項43】
前記食用繊維状菌糸体が、前記菌糸体100g当たり2~4gの脂肪含量を有する、請求項32~41のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項44】
前記食用繊維状菌糸体が、前記菌糸体100g当たり2~3.5gの脂肪含量を有する、請求項32~41のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体。
【請求項45】
食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法であって、
a)食用繊維状菌糸体塊であって、任意選択的に、液中発酵に由来する、食用繊維状菌糸体塊を水で均質化することと、を含み、
それにより、食用非動物性ミルク代用製品を得る、方法。
【請求項46】
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)任意選択的に、寒天、食用デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、小麦グルテン、セルロース又はその誘導体などのテクスチャー化剤を、ステップb)の加熱した前記均質化した混合物に添加し、得られた混合物を撹拌することと、
d)前記混合物を20℃~45℃に冷却させることと、
e)酸形成細菌、例えば乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
f)ステップe)の後に得られた混合物を混合することと、を更に含み、
それにより、食用非動物性ヨーグルト代用製品を得る、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)食用植物、藻類又は真菌に基づく脂肪成分を、最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲で添加することと、
d)ステップc)の後に得られた混合物を均質化することと、
e)任意選択的に、レシチン、モノ及びジグリセリド、グリセリド、モノグリセリド誘導体、又は脂肪酸誘導体などの植物に基づく乳化剤を添加することと、
f)前記混合物を20℃~45℃、好ましくは25℃~45℃、最も好ましくは32℃~37℃に冷却させることと、
g)酸形成細菌、特に乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
h)ステップg)の後に得られた混合物を混合することと、を更に含み、
それにより、好ましくは1~37℃で1~48時間保存した後に、食用非動物性チーズ代用製品、例えばフレッシュチーズ代用製品を得る、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
i)請求項11に記載のステップh)の後に得られた混合物を、凝固剤を添加することによって凝固させて、凝固した固体と液体との混合物を得ることと、
j)ステップi)の後に得られた混合物を沈降させることと、
k)前記凝固した固体を前記液体から分離することと、
l)前記凝固した固体を保存することと、を更に含み、
それにより、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズのための食用非動物性代用製品を含む群から選択される食用非動物性チーズ代用製品を得る、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記凝固剤が、レモンジュースなどの無機若しくは有機の酸を含む組成物、又は植物、細菌若しくは酵母に由来する酵素の混合物を含む動物に基づかないレンネットである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
食用植物に基づく脂肪成分が、ヤシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、藻類油、又は油性酵母由来油から選択される、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
食用非動物性乳製品代用製品を製造するための、請求項32~44のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体塊の使用であって、前記食用非動物性乳製品代用製品が、ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される、使用。
【請求項52】
前記食用繊維状菌糸体塊が、Basidiomycota、Ascomycota、Pezizomycotina、Agaromycotina、Pezizomycetes、Agaricomycetes、Sordariomycetes、Pezizales、Boletales、Cantharellales、Agaricales、Polyporales、Russulales、Auriculariales、Hypocreales、Morchellaceae、Tuberaceae、Pleurotaceae、Agaricaceae、Marasmiaceae、Cantharellaceae、Hydnaceae、Boletaceae、Meripilaceae、Polyporaceae、Strophariaceae、Lyophyllaceae、Tricholomataceae、Omphalotaceae、Physalacriaceae、Schizophyllaceae、Sclerodermataceae、Ganodermataceae、Sparassidaceae、Hericiaceae、Bondarzewiaceae、Cordycipitaceae、Auriculariaceae、及びFistulinaceaから選択される少なくとも1つの真菌株から得られる、請求項1~31のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品、又は請求項32~44のいずれか一項に記載の食用繊維状菌糸体塊、又は請求項45~50のいずれか一項に記載の方法、又は請求項51に記載の使用。
【請求項53】
前記食用繊維菌糸体塊が、Basidiomycota、Ascomycota、Pezizomycotina、Agaromycotina、Agaricomycetes、Pezizales、Boletales、Cantharellales、Agaricales、Polyporales、Russulales、Auriculariales、Hypocreales、Morchellaceae、Tuberaceae、Pleurotaceae、Agaricaceae、Marasmiaceae、Cantharellaceae、Hydnaceae、Boletaceae、Meripilaceae、Polyporaceae、Strophariaceae、Lyophyllaceae、Tricholomataceae、Omphalotaceae、Physalacriaceae、Schizophyllaceae、Sclerodermataceae、Ganodermataceae、Sparassidaceae、Hericiaceae、Bondarzewiaceae、Cordycipitaceae、Auriculariaceae、及びFistulinaceaから選択される少なくとも1つの真菌株から得られる、請求項52に記載の食用非動物性乳製品代用製品、食用繊維菌糸体塊、方法使用。
【請求項54】
好ましくは、前記菌糸体塊が、Pleurotus pulmonarius、Pleurotus ostreatus、Pleurotus florida、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus salmoneostramineus、Morchella esculenta、Morchella angusticeps若しくはMorchella deliciosa、又はMorchella rufobrunneaの菌糸体塊から得られる、請求項52に記載の食用非動物性乳製品代用製品、食用繊維状菌糸体塊、方法使用。
【請求項55】
前記食用繊維状菌糸体塊が、Pleurotus pulmonarius又はMorchella rufobrunneaから得られる、請求項52に記載の食用非動物性乳製品代用製品、食用繊維状菌糸体塊、方法使用。
【請求項56】
前記食用繊維状菌糸体塊が、Pleurotus pulmonariusから得られる、請求項52に記載の食用非動物性乳製品代用製品、食用繊維状菌糸体塊、方法使用。
【請求項57】
前記食用繊維状菌糸体塊が、Morchella rufobrunneaから得られる、請求項52に記載の食用非動物性乳製品代用製品、食用繊維状菌糸体塊、方法使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用非動物性乳製品代用製品の分野に属する。本発明の食用非動物性乳製品代用製品のタンパク質成分は、食用真菌類の繊維状菌糸体塊に由来する。
【背景技術】
【0002】
ドイツでは、約800万人がベジタリアンであるか、又は大部分の人が肉の消費を控えており、130万人がビーガンである。ビーガンの傾向はまた、世界的に認識され得るため、ビーガンの数は、米国において、2014年の1%から2019年の6%に増加している。世界中のビーガン-ベジタリアンの数は、10億人と推定されている。彼らのニーズを満たすために、食品産業は、周知の製品のためのより純粋な野菜系代替物の開発を更に行っている。ここ数年にわたって、食肉代替物に焦点が当てられてきたが、ヨーグルト又はチーズなどの古典的な酪農製品もまた、特にアジアにおける、気候に関する議論、家畜の福祉的側面及び乳糖不耐症のため、より重要性が高くなってきている。
【0003】
乳性ミルクの消費は、数十年にわたって減少しており、世代を経るごとに、そのミルクの消費は前世代よりも少なくなる。数年前には、通常、容易に入手可能な非乳性ミルク代替物は1つのみで、これは通常、大豆に基づくものであった。アーモンドミルクなどの他の代替物が存在したが、それほど広く利用可能ではなかった。これが近年、著しく変化した。
【0004】
この原因の一部は、料理の嗜好変化に起因する提案である。更に、特に若い世代では、乳製品を含まない食事がより良好かつ健康的であるという認識への移行も存在した。乳製品から代用製品に切り替える更なる動機は、非乳製品の環境フットプリントの減少に関連する持続可能性の増加及び動物福祉への関心である。
【0005】
しかしながら、これらの非動物性代替物は、第一に、より多くの消費者を魅了するために、魅力的な味、心地よいテクスチャー、及び魅力的な色を有することを必要とする。第二の優先事項は、それらの栄養プロファイルであり、それは、それらが置き換えようとする製品と比較して、より良好ではないにしても、少なくとも同程度に良好であるべきである。地球上の地域に応じて、持続可能性又は食品安全基準は、優先順位に関しては三番目にランク付けされる。
【0006】
非乳性のミルク及びヨーグルトは、現在、米国においては、植物に基づく代用製品カテゴリーとして最大である。製品の大部分は、エンバク、大豆、カシューナッツ及びアーモンドに基づいており、エンドウマメ及びルピナスはあまり用いられていない。ミルクなどの乳製品から代替物への切り替えは、現在、ミルクのみならず、チーズのような他の製品に対しても広がりを見せている。
【0007】
チーズ類似物としても知られているチーズ代替物は、チーズの料理代替物として使用される製品である。チーズ類似物は、チーズ代用製品とも称することができる。様々なタイプのチーズ類似物が存在する。現在、多くの市販のチーズ類似物は、増粘剤、ゲル化剤、安定剤及び乳化剤などの様々な添加剤を利用している。これらの添加剤、特に化学修飾された添加剤を含む自然食品類似物は、消費者には「チーズ製品」であると認識されていない。ナッツに基づくチーズ類似物は、ゲル化剤と組み合わせた場合であっても、チーズのテクスチャー/レオロジー応答に匹敵するテクスチャー/レオロジー応答性、具体的にはベーキング時の弾力性又は「伸縮性」を示さない。それらは融解特性が乏しいため、チーズ類似物は、加熱された食品上に存在する場合、通常の融解チーズのような伸びを示さない。
【0008】
ハードチーズイミテーションが、ブロック、スライス又は粉チーズとして販売されている。それらは、主に水、デンプン、ヤシ脂、風味料及び着色料からなり、場合によっては、エンドウマメ、大豆、ジャガイモ若しくはルピナス、又はアーモンド及びカシューのようなナッツからの追加の植物に基づくタンパク質を含有する。ブレンド後、これらの成分を安定剤のゲル化温度まで加熱し、次いで熱間充填し、冷却する。
【0009】
市販のソフトチーズ代替物及びフレッシュチーズ代替物並びにいくつかのハードチーズ代替物は、国際公開第2018154095(A1)号に記載されているような従来のチーズ製造技術を介して、果実又は野菜の水溶液を製造し、それを酸性化し、植物に基づくレンネットによって凝固させ、その後、得られたカードを成形し熟成させることによって製造することができる。
【0010】
現在市販されているいくつかの市販のチーズ類似物は、大豆に基づき、典型的にはカゼイン、乳タンパク質を含有し、したがって、ビーガンには適していない。更に、大豆は、レクチンなどのいくつかのアレルゲンを含有し、したがって、かかる分子に感受性の消費者にとって適切ではない可能性がある。
【0011】
したがって、動物製品に基づかない現在の乳製品代替物は、複数の栄養上の課題を有する。
第一に、それらは、多くの場合、エンバク(グルテン)、ナッツ(アーモンド及びカシュー)又は大豆などの、アレルゲンを引き起こす成分を含む。
第二に、それらの炭水化物、特に糖、及び脂肪含量は、動物に基づくミルク類似製品よりも著しく高いことが多い。
第三に、それらはタンパク質含量が少ないか、又はタンパク質が大豆に基づく製品を除いて完全ではない。栄養的効果の他にも、これは、主にタンパク質のタンパク質分解並びに特定の乳酸菌及び酵母による得られたペプチド及びアミノ酸の代謝によって風味成分が形成されるため、動物に基づく製品から更に離れた風味プロファイルを引き起こす可能性がある(J.M.Kongo & F.X.Malcata,「Cheese:Chemistry and Microbiology」,Encyclopedia of Food and Health,Academic Press,2016,Pages 735-740)。
【0012】
最も重要なことに、それらは、カルシウム、鉄、亜鉛、及びリンなどの有益な微量栄養素を天然に欠いており、消費者は、これらを乳製品において求め、及び/又は他の食品において求める必要がある。これらの微量栄養素の不足を補うために、いくつかの製品は、食品添加物としてリン酸カルシウムを含有する。
【0013】
消費者は、タンパク質及びカルシウムのための容易に消費可能かつ利用可能な供給源として乳製品に依存するため、上記の2つの要因は非常に重要である。
【0014】
更に、既知のチーズ類似物は、一般に、それ自体魅力的ではないオフテイストを有し、臭気及び風味によるそのマスキングは、かかる化合物のラベリングを必要とする場合があり、模造チーズ製品のための一般的に健康志向の消費者市場を考慮するとやはり魅力的ではない。大豆及びナッツ(アーモンド、カシューナッツなど)の環境フットプリントは、乳製品の1つのフットプリントよりも小さいが、依然として重要である。したがって、味がより良く、より健康的で、より持続可能なチーズ代用製品が必要とされている。
【0015】
本発明は、上記のニーズを満たすものである。
【0016】
米国特許出願公開第2020/270559号は、食用糸状菌バイオマット製剤の特定の製造方法を開示している。
【0017】
米国特許出願公開第2020/060310号は、特定の菌糸体培養(myceliated)植物性タンパク質及びそれを含む特定の食品組成物を開示している。
【0018】
欧州特許第3366144号は、ベジタリアン用チーズの調製のための特定の方法を開示している。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、乳製品代用製品の生産にとり新しい原料、すなわち食用キノコの菌糸体を導入することによって、上記の課題を解決するものである。菌糸体は、それらの繊維状構造(英国特許第2137226(A)号)のために、肉代用製品における、及び乳飲料又はヨーグルトにおける、脂肪模倣物質として広く適用されている(国際公開第2002090527(A1)号)。
【0020】
中国特許第212786880号は、Pleurotus pulmonarius子実体が、繊維含量が低いことを報告しており、2.97重量%~最大31重量%の範囲であるPleurotus spp.の子実体の繊維含量、特にPleurotus pulmonariusの子実体が乾燥基準で4~9重量%の繊維を含有することを要約する、2021年に発表された総説(Fungal Biotec 1(2):65-87(2021))を支持している。中国特許第105054261号はまた、Pleurotus pulmonariusが他の株と混合されると、特にカキキノコ(Pleurotus spp.)上で粗繊維の分解が起こり、したがって繊維含量が2.3~20.25重量%減少するという知見を開示している。2020年の別の研究(Int J Med Mushrooms.2020;22(7):651-657.doi:10.1615/IntJMedMushrooms.2020035449)はまた、カキキノコ(Pleurotus spp.)の菌糸が22重量%の不溶繊維を含有することを明らかにしている。米国特許出願公開第2020/270559号は、食用糸状菌バイオマット製剤の特定の製造方法を開示し、最大25重量%の総繊維含量及び7重量%~12重量%の脂肪含量を有する2種のフザリウム(Fusarium)糸状菌からの栄養データを示す。
【0021】
本発明者らは、少なくとも39重量%の不溶性繊維を有する繊維状菌糸体成分を含む食用非動物性乳製品代用製品を開発し、これはまた、腸の健康に重要なその高いプレバイオティクス不溶性繊維含量に関して乳製品と比較して更に高い栄養価を提供する本発明のタンパク質成分としても作用する。かかる高繊維成分は、乳製品中にかかる特性を有して含有されることが知られていない。
【0022】
本発明の一実施形態では、菌糸体は、水と均質化されて、非乳製品ミルク代替物とも呼ばれる食用非動物性ミルク代用製品を生成する。
【0023】
本発明の第2の実施形態では、この非乳製品ミルク代替物は、発酵を介して、非乳製品ヨーグルト代替物とも呼ばれる食用非動物ヨーグルト代用製品に変換される。
【0024】
第3の実施形態では、菌糸体を他の成分とブレンドして、食用の非動物性フレッシュチーズ代用製品を得る。
【0025】
第4の実施形態では、菌糸を他の成分とブレンドし、凝固させた後、スライス可能な又はすりおろし可能なハードチーズ乳製品類似物に形成する。完全タンパク質及びプレバイオティック繊維が添加されて得られるチーズが栄養的により良好となるだけでなく、本発明の菌糸体はまた、ビタミンB2、B3、B5及びB9などの重要な微量栄養素、並びに生物学的に活性な形態のカルシウム及びリンなどの重要な微量栄養素を最終製品に添加する。
【0026】
特に、菌糸体が、子実体を形成する真菌、例えば、Pleurotaceae、例えば、Pleurotus pulmonarius、Pleurotus ostreatus、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus florida、及びPleurotus salmoneostramineusから選択される真菌に由来する場合、特にPleurotus pulmonarius、又はMorchella esculenta、Morchella angusticeps、Morchella deliciosa及びMorchella rufobrunneaから選択される真菌、好ましくはMorchella rufobrunneaに由来する場合、菌糸体は、追加の風味を使用することなく、チーズに典型的な天然の旨味風味をもたらすことができるため、風味も顕著に改善され得る。これは、他のアミノ酸(例えば、アスパラギン酸)及び/又は5’-ヌクレオチドと共にかかる種に存在する顕著な量のグルタミン酸によるものであり、これは大部分が旨味感覚の伝達に関与する。
【0027】
本発明はまた、本発明の食用繊維状菌糸体塊を含む上記の食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法に関する。以下、これらの方法について詳細に説明する。
【0028】
本発明はまた、食用非動物性乳製品代用製品を製造するための食用繊維状菌糸体塊の使用であって、食用非動物性乳製品代用製品が、ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される、使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0030】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、1重量%~99重量%の範囲の食用繊維状菌糸体塊と、最大99重量%の範囲の水とを含む。好ましい実施形態では、本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、20重量%~95重量%の範囲、より好ましくは65重量%~90重量%の範囲の繊維状菌糸体塊を含む。別の好ましい実施形態では、本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、1重量%~35重量%の範囲の繊維状菌糸体塊を含む。菌糸体質量対水の比は、置換されるべき生成物に依存して当業者により選択され得る。菌糸体は、発酵後に湿潤菌糸体として直接使用することができ、圧搾していくらかの水を除去することができ、乾燥させて水を除去して所望の含水量にすることができる。菌糸体を乾燥させることもでき、所望の含水量に達するように後で水を加えることができる。例えば、代用製品の含水量は、代用される製品の含水量と同様であるべきである。
【0031】
好ましくは、本発明の食用非動物性乳製品代用製品において、食用繊維状菌糸体は、少なくとも39%w/wの不溶性繊維含量を有する。より好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、39%w/w~60%w/wの不溶性繊維含量を有する。更により好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、40%w/w~55%w/wの不溶性繊維含量を有する。更により好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、40%w/w~50%w/wの不溶性繊維含量を有する。更により好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、約45%w/wの不溶性繊維含量を有する。本明細書で言及される重量は、上記菌糸体の乾燥質量に対するものであることが理解されるべきである。一実施形態では、食用繊維状菌糸体は、少なくとも40%w/w、好ましくは少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/wの不溶性繊維含量を有する。
【0032】
本明細書で理解されるように、「不溶性繊維」という用語は、好ましくは、水に溶解しない食物繊維の一部を指す。上記不溶性繊維は、好ましくはキチン及びβ-グルカンを含み、好ましくは植物セルロース及び/又はヘミセルロースを含むがキチンを含まない植物由来の不溶性繊維と区別可能である。
【0033】
好ましい実施形態では、食用繊維状菌糸体塊は、液中発酵に由来する。液中発酵は、固体発酵と同様に菌糸体を構造的に支持する基質を必要とせずに、菌糸体を増殖させる。更に、栄養素を菌糸体の全ての点に輸送することができ、無菌条件を維持することがより容易であるため、増殖速度はより高い。発酵条件に依存して、菌糸体は、液中発酵においてペレット又は糸のいずれかに成長する可能性を有する。この構造は収穫時に維持され、穏やかに加工された場合、チーズ製品などの得られる製品に異なるテクスチャー特性を与える。
【0034】
更に、液中発酵は、特に液中発酵において増殖した菌糸体の洗浄が容易に達成され得るため、後に不快な味又はアレルギーをもたらし得る固体基質の残留物で汚染されていない清浄な生成物が得られるという更なる利点を提供する。同様に、味を変化させ得る酸又はアルコールなどの発酵副産物も容易に除去することができる。
【0035】
液中発酵では、pH及び酸素含量などの発酵条件をより良好に制御することもより容易である。したがって、固体発酵における基質の制限と比較して、菌糸体の最大の増殖を可能にすることがより容易である。したがって、より均質な生成物組成物を得ることができ、バッチ間の変動の低減も可能となる。
【0036】
更に、液中発酵によって得られる材料は、より可鍛性であり、任意の種類の形状に形成することができる。例えば、菌糸体は、発酵させることができる液体に均質化することができ、これは菌糸体が乳製品代用製品を製造するために使用される場合に特に有利である。固体発酵から得られた菌糸体は、通常乾燥され、したがって、ミルク様の物質を得るために水に再懸濁される必要がある。
【0037】
更に、液中発酵では、発酵培地を撹拌することができるため、毒素産生につながり得る胞子形成又は子実体形成を容易かつ効率的に防止することができる。増殖が液中発酵で行われる場合、好ましいことに、胞子及び/又は子実体への菌糸体の分化が起こらないことは、当業者に更に明らかである。したがって、液中発酵に由来する菌糸体塊は、非分化菌糸体バイオマスとも称され得ることが当業者に明らかである。当業者は、液中発酵を使用することの更なる利点、例えば、固体発酵と比較してバイオマスのテクスチャー及び組成に対するより良好な制御を認識するであろう。
【0038】
更に、液中発酵法は、両方の培養物が液体状態であるため、第2の培養物に第1の培養物を接種することができ、スケールアップがより容易である。これは、固体発酵では、第1の培養物が流れることができないため、容易に可能ではない。この欠点は、反応器を回転させて固体と菌糸体とを混合する回転ドラム反応器を使用することによって部分的に改善することができる。しかしながら、ドラム反応器は、発酵中の熱伝導の点で反応器内に異なる温度をもたらす、という大きな問題が知られている。熱を適切に除去することができないために、ある時点で過熱された発酵体積の部分が存在し得るか、又は特に発酵開始時に、加熱不足である発酵体積の部分が存在し得る。液中発酵においては、液体が熱を伝達するのに良好であるため、熱伝導はより効率的であり、より均一な熱分布をもたらし、したがって、より制御可能で、より効率的な発酵プロセスをもたらす。
【0039】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される。
【0040】
本発明の文脈における「食用」とは、食用製品がヒトが食べるのに安全であることを意味する。本発明の「非動物性乳製品代用製品」は、乳製品を代用するのに適しており、動物に由来しない製品である。本発明の「非動物性乳製品代用製品」は、特に、肉を代用する製品ではない。「非動物性乳製品代用製品」は、ベジタリアン製品、又は更にはビーガン製品と呼ぶこともできる。乳製品を代用するための適合性は、テクスチャー、口当たり、味、栄養含量、含水量、外観、及び他の因子によって決定され、これは、置換される製品に可能な限り類似しているべきである。
【0041】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、好ましくは、繊維状菌糸体塊の乾燥質量の10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%、最も好ましくは25重量%~35重量%のタンパク質含量を有する食用繊維状菌糸体塊を含む。菌糸体塊のタンパク質含量は、得られる菌糸体塊のタンパク質含量を制御する発酵条件を選択することによって調節することができる。かかる条件は当業者に公知であり、発酵培地の内容物を調節して取り込みを制御し、したがって得られる菌糸体塊の組成を制御することを含む。例えば、培地中の炭素源と窒素源との間の比は、窒素を様々な程度の過剰で提供するなど、変更することができる。
【0042】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、好ましくは、食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり40~500mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり60~250mgのリン含量を有する。
【0043】
一実施形態では、本発明の食用非動物性乳製品代用製品において、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも1000mg、好ましくは100g重量当たり少なくとも2000mg、例えば100g重量当たり2131mgのリン含量を有し得る。本明細書で言及される重量は、上記菌糸体の乾燥質量に対するものであることが理解されるべきである。一実施形態では、本発明の食用非動物性乳製品代用製品において、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも120mgのリン含量を有し得る。
【0044】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、好ましくは、食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり20~400mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり25~400mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり40~250mgのカルシウム含量を有する。
【0045】
一実施形態では、本発明の食用非動物性乳製品代用製品において、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも1000mg、例えば100g重量当たり1331mgのカルシウム含量を有し得る。本明細書で言及される重量は、上記菌糸体の乾燥質量に対するものであることが理解されるべきである。一実施形態では、本発明の食用非動物性乳製品代用製品において、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも80mgのリン含量を有し得る。
【0046】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品は、好ましくは、食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり0.5~5mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり0.3~4mgの亜鉛含量を有する。
【0047】
好ましくは、本発明の食用非動物性乳製品代用製品において、食用繊維状菌糸体は、上記菌糸体100g当たり1~5g、好ましくは上記菌糸体100g当たり2~4g、より好ましくは上記菌糸体100g当たり2~3.5gの脂肪含量を有する。
【0048】
菌糸体塊のリン含量、カルシウム含量、鉄含量、マンガン含量、及び/又は亜鉛含量は、得られる菌糸体塊のそれぞれの含量を制御する対応する発酵条件を選択することによって調節することができる。かかる条件は当業者に公知であり、発酵培地の内容物を調節して取り込みを制御し、したがって得られる菌糸体塊の組成を制御することを含む。
【0049】
本発明の菌糸体塊の組成の上記の調節可能性は、菌糸体塊の組成が、得られる代用製品の要件に合わせて容易に調節され得るという多用途性の利点を提供する。菌糸体塊のタンパク質含量が増加する場合、例えば、代用製品のタンパク質含量を変化させることなく、代用製品中の菌糸体塊の量を減少させることができる。代用製品が、特定の量のカルシウム、リン、及び/又は亜鉛によって特徴付けられる特定の種類のチーズである場合、これらの栄養素は、菌糸体塊自体によって提供することができ、代用製品に外部から追加の栄養素を補充する必要がなくなる。これは、クリーンラベルを有する食用非動物性乳製品代用製品を製造する目的のために、より容易な取り扱い、より少ない製造工程、及び原料のコストの減少により、製造方法及び得られる製品のコストを減少させる。最も重要なことに、菌糸体からの栄養素は生物学的に利用可能であり、特に外部から補充された栄養素を含む製品と比較して、代謝消化を予測可能かつ容易にする。
【0050】
いくつかの実施形態では、具体的には、食用非動物性乳製品代用製品がヨーグルト又はチーズの代用製品である場合、食用非動物性乳製品代用製品は、寒天、食用デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、小麦グルテン、セルロース又はその誘導体などのテクスチャー化剤を更に含むことができる。テクスチャー化剤は、製品に構造を与え、それによってヨーグルト又はチーズの代用製品として適したものにする。しかしながら、テクスチャー化剤は、本発明の食用非動物性乳製品代用製品のための任意成分である。所望の含水量を有する圧搾又は部分乾燥された菌糸体を使用することによって、水で均質化された菌糸体の含水量が低く保たれる場合、得られる塊は、外部テクスチャー化剤を添加する必要なく、ヨーグルト又はチーズの構造に類似した所望の構造を有する。当業者は、菌糸体塊の含水量を製造されるべき代用生成物に合わせて適切に調整する方法を理解するであろう。
【0051】
食用非動物性乳製品代用製品はまた、着色剤及び/又は風味剤、例えば、塩、抽出物及び/又はスパイスを含むことができる。特定の好ましい実施形態では、菌糸体塊自体が、製品に旨味風味を提供する。これは特に、菌糸体塊が、子実体を形成する真菌種、例えばPleurotaceae、例えばPleurotus pulmonarius、Pleurotus ostreatus、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus florida及びPleurotus salmoneostramineusから選択される真菌に由来する場合、特にPleurotus pulmonarius、又はMorchella esculenta、Morchella angusticeps、Morchella deliciosa及びMorchella rufobrunneaから選択される真菌、好ましくはMorchella rufobrunneaに由来する場合、当てはまる。
【0052】
更に好ましい実施形態では、具体的には、食用非動物性乳製品代用製品がヨーグルト又はチーズの代用製品である場合、食用非動物性乳製品代用製品は、食用植物又は藻類に基づく脂肪成分、真菌又は酵母に由来する脂肪成分を更に含む。脂肪成分は、好ましくは最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲である。脂肪成分の量は、代用される製品に応じて調節することができる。
【0053】
食用植物に基づく脂肪成分は、好ましくは、ヤシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、藻類油、又は油性酵母由来油から選択される。
【0054】
更なる実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるような食用繊維状菌糸体塊に関する。好ましくは、食用繊維状菌糸体塊は、液中発酵に由来する。
【0055】
好ましくは、食用繊維状菌糸体は、少なくとも39%w/wの不溶性繊維含量を有する。より好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、39%w/w~60%w/wの不溶性繊維含量を有する。更により好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、40%w/w~55%w/wの不溶性繊維含量を有する。更により好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、40%w/w~50%w/wの不溶性繊維含量を有する。最も好ましくは、上記食用繊維状菌糸体は、約45%w/wの不溶性繊維含量を有する。本明細書で言及される重量は、上記菌糸体の乾燥質量に対するものであることが理解されるべきである。一実施形態では、食用繊維状菌糸体は、少なくとも40%w/w、好ましくは少なくとも50%w/w、より好ましくは少なくとも60%w/wの不溶性繊維含量を有する。
【0056】
好ましくは、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも1000mg、好ましくは100g重量当たり少なくとも2000mg、例えば100g重量当たり2131mgのリン含量を有する。本明細書で言及される重量は、上記菌糸体の乾燥質量に対するものであることが理解されるべきである。一実施形態では、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも120mgのリン含量を有する。
【0057】
好ましくは、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも1000mg、例えば100g重量当たり1331mgのカルシウム含量を有する。本明細書で言及される重量は、上記菌糸体の乾燥質量に対するものであることが理解されるべきである。一実施形態では、食用繊維状菌糸体は、100g重量当たり少なくとも80mgのカルシウム含量を有する。
【0058】
好ましくは、食用繊維状菌糸体は、上記菌糸体100g当たり1~5g、好ましくは上記菌糸体100g当たり2~4g、より好ましくは上記菌糸体100g当たり2~3.5gの脂肪含量を有する。
【0059】
当業者によって認識されているように、食用非動物性乳製品代用製品は、好ましくは、80mg/100g製品~1350mg/100g製品のカルシウム含量、及び/又は120mg/100g製品~2200mg/100g製品のリン含量によって特徴付けられる。例えば、典型的なチーズは、製品100g当たり600~800mgのカルシウム含量、及び製品100g当たり約700mgのリン含量を有し、食用非動物性チーズ代用製品は、同等のカルシウム含量及び/又はリン含量によって特徴付けられると予想される。
【0060】
本明細書で理解されるように、食用繊維状菌糸体は、好ましくは少なくとも1つの真菌株を含む。本明細書に記載される繊維状菌糸体はまた、2つ以上の真菌株を含み得ることに留意されたい。したがって、菌糸体塊が特定の真菌株に由来するという表現は、上記菌糸体塊が上記真菌株を含むが、他の真菌株も存在し得ると解釈されるべきである。好ましくは、上記表現は、上記バイオマスが、上記バイオマス中に存在する唯一の真菌株として上記真菌株を含むと解釈され得る。同様に、菌糸体塊が特定の真菌株から得られるという表現は、上記菌糸体塊が上記真菌株を含むが、他の真菌株も存在し得ると解釈されるべきである。好ましくは、菌糸体塊が特定の真菌株から得られるという表現は、上記菌糸体塊が上記バイオマス中に存在する唯一の真菌株として含まれると解釈されるべきである。
【0061】
本発明の菌糸体塊は、担子菌類(Basidiomycota)又は子嚢菌類(Ascomycota)から選択される真菌株に由来する。
【0062】
本発明によれば、少なくとも1種の真菌株は、Basidiomycota門から選択され得る。好ましくは、Basidiomycotaから選択される少なくとも1種の真菌株は、Agaromycotina亜門から選択される真菌株であり得る。本明細書で定義されるように、Agaromycotina亜門から選択される真菌株は、Agaricomycetes綱から選択される真菌株であり得る。好ましくは、Agaricomycetesから選択される真菌株は、Agaricales目、Auriculariales目、Boletales目、Cantharellales目、Polyporales目、及びRussulales目から選択される真菌株であり得る。
【0063】
真菌株がAgaricales目から選択される場合、真菌株は、好ましくは、Agaricaceae科、Fistulinaceae科、Lyophyllaceae科、Marasmiaceae科、Omphalotaceae科、Physalacriaceae科、Pleurotaceae科、Schizophyllaceae科、Strophariaceae科、及びTricholomataceae科から選択される。
【0064】
Agaricaceaeから選択される真菌株は、Agaricus bisporus又はAgaricus blazei、より好ましくはAgaricus bisporusであり得る。
【0065】
Fistulinaceaeから選択される真菌株は、好ましくはFistulina hepaticaである。
【0066】
Lyophyllaceaeから選択される真菌株は、好ましくはCalocybe indicaである。
【0067】
Marasmiaceaeから選択される真菌株は、好ましくはLentinula edodesである。
【0068】
Omphalotaceaeから選択される真菌株は、好ましくはCalvatia giganteaである。
【0069】
Physalacriaceaeから選択される真菌株は、好ましくはFlammulina velutipesである。
【0070】
より好ましくは、Agaricalesから選択される少なくとも1種の真菌株は、Pleurotaceaeから選択される真菌株であり得る。更により好ましくは、本発明の少なくとも1種の真菌株はPleurotus pulmonarius、Pleurotus ostreatus、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus florida、及びPleurotus salmoneostramineusから選択される真菌株であり、更により好ましくは、Pleurotus pulmonarius又はPleurotus ostreatusから選択され、最も好ましくはPleurotus pulmonariusである。
【0071】
Schizophyllaceaeから選択される真菌株は、好ましくはSchizophyllum communeである。
【0072】
Strophariaceaeから選択される真菌株は、好ましくはAgrocybe aegerita及びHypholoma capnoidesから選択される真菌株である。
【0073】
本明細書において更に定義されるように、Tricholomataceaeから選択される真菌株は、好ましくはHypsizygus tesselatus及びClitocybe nudaから選択される真菌株である。
【0074】
あるいは、Agaricomycetesから選択される真菌株は、Auriculariales目から選択される真菌株、より好ましくはAuriculariaceae科から選択される真菌株であり得る。好ましくは、Auriculariaceaeから選択される真菌株は、Auricularia auricula-judaeである。
【0075】
真菌株がBoletales目から選択される場合、真菌株は、好ましくはBoletaceae科及びSclerodermataceae科から選択される。Boletaceaeから選択される真菌株は、好ましくはBoletus edulisである。
【0076】
真菌株がCantharellales目から選択される場合、真菌株は、好ましくはCantharellaceae科及びHydnaceae科から選択される。Cantharellaceaeから選択される真菌株は、Cantharellus cibariusであり得る。Hydnaceaeから選択される真菌株は、Hydnum repandumであり得る。
【0077】
真菌株がPolyporales目から選択される場合、真菌株は、好ましくは、Ganodermataceae科、Meripilaceae科、Polyporaceae科、及びSparassidaceae科から選択される。
【0078】
Meripilaceaeから選択される真菌株は、好ましくはGrifola frondosaである。Polyporaceaeから選択される真菌株は、Polyporus umbellatus及びLaetiporus sulphureus由来であり得る。Sparassidaceaeから選択される真菌株は、Sparassis crispaであり得る。
【0079】
真菌株がRussulales目から選択される場合、真菌株は、Bondarzewiaceae及びHericiaceae科から選択され得る。好ましくは、Russulalesから選択される真菌株は、Hericiaceaeから選択される真菌株、好ましくはHericium erinaceus及びHericium coralloidesから選択される真菌株である。Bondarzewiaceaeから選択される真菌株は、Bondarzewia berkeleyiであり得る。
【0080】
本発明によれば、少なくとも1種の真菌株は、Ascomycota門から選択され得る。好ましくは、Ascomycotaから選択される少なくとも1種の真菌株は、Pezizomycotina亜門から選択される真菌株であり得る。
【0081】
Pezizomycotinaから選択される真菌株は、Pezizomycetes綱から選択され得る。好ましくは、Pezizomycetesから選択される真菌株は、Pezizales目から選択される真菌株であり得る。好ましくは、Pezizalesから選択される真菌株は、Morchellaceae科及びTuberaceae科から選択され得る。
【0082】
好ましくは、Morchellaceaeから選択される真菌株は、Morchella esculenta、Morchella angusticeps、又はMorchella deliciosaである。
【0083】
好ましくは、Tuberaceaeから選択される真菌株は、Tuber magnatum、T.estivum、T.uncinatum、T.indicum、T.rufum又はT.melanosporum、より好ましくはT.melanosporum及びT.magnatumである。
【0084】
あるいは、Ascomycotaから選択される少なくとも1種の真菌株は、Sordariomycetes綱から選択される真菌株であり得る。
【0085】
好ましくは、Sordariomycetesから選択される真菌株は、Hypocreales目から選択される真菌株であり得る。
【0086】
Hypocrealesから選択される真菌株は、Cordycipitaceae科から選択される真菌株であり得る。Cordycipitaceaeから選択される真菌株は、Cordyceps militaris及びCordyceps sinensisから選択される真菌株であり得る。
【0087】
あるいは、Hypocrealesから選択される真菌株は、好ましくはNectriaceae科から選択される真菌株であり得る。Nectriaceaeから選択される真菌株は、Fusarium株であり得る。
【0088】
別の実施形態では、Sordariomycetesから選択される真菌株は、Sordariaceae科から選択される真菌株であり得る。Sordariaceaeから選択される真菌株は、Neurospora株であり得る。
【0089】
好ましい実施形態では、菌糸体はSordoriomycetesに由来せず、特にNeurospora属、例えばNeurospora crassa に由来せず、又はFusarium属、例えばFusarium venenatumに由来しない。
【0090】
好ましくは、上記食用繊維状菌糸体塊は、Basidiomycota、Ascomycota、Pezizomycotina、Agaromycotina、Pezizomycetes、Agaricomycetes、Sordariomycetes、Pezizales、Boletales、Cantharellales、Agaricales、Polyporales、Russulales、Auriculariales、Hypocreales、Morchellaceae、Tuberaceae、Pleurotaceae、Agaricaceae、Marasmiaceae、Cantharellaceae、Hydnaceae、Boletaceae、Meripilaceae、Polyporaceae、Strophariaceae、Lyophyllaceae、Tricholomataceae、Omphalotaceae、Physalacriaceae、Schizophyllaceae、Sclerodermataceae、Ganodermataceae、Sparassidaceae、Hericiaceae、Bondarzewiaceae、Cordycipitaceae、Auriculariaceae、及びFistulinaceaから選択される少なくとも1つの真菌株から得られる。
【0091】
より好ましくは、上記食用繊維状菌糸体塊は、Basidiomycota、Ascomycota、Pezizomycotina、Agaromycotina、Agaricomycetes、Pezizales、Boletales、Cantharellales、Agaricales、Polyporales、Russulales、Auriculariales、Hypocreales、Morchellaceae、Tuberaceae、Pleurotaceae、Agaricaceae、Marasmiaceae、Cantharellaceae、Hydnaceae、Boletaceae、Meripilaceae、Polyporaceae、Strophariaceae、Lyophyllaceae、Tricholomataceae、Omphalotaceae、Physalacriaceae、Schizophyllaceae、Sclerodermataceae、Ganodermataceae、Sparassidaceae、Hericiaceae、Bondarzewiaceae、Cordycipitaceae、Auriculariaceae、及びFistulinaceaから選択される少なくとも1つの真菌株から得られる。
【0092】
更により好ましくは、菌糸体塊は、Pleurotus pulmonarius、Pleurotus ostreatus、Pleurotus florida、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus salmoneostramineus、Morchella esculenta、Morchella angusticeps又はMorchella deliciosaから得られる。
【0093】
更により好ましくは、菌糸体塊は、Pleurotus pulmonarius、Pleurotus florida、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus salmoneostramineus、Morchella esculenta、Morchella angusticeps又はMorchella deliciosaから得られる。
【0094】
最も好ましくは、菌糸体塊は、Pleurotus pulmonarius又はMorchella rufobrunneaから得られる。
【0095】
好ましい一実施形態では、菌糸体塊は、Pleurotus pulmonariusから得られる。別の好ましい実施形態では、菌糸体塊は、Morchella rufobrunneaから得られる。1つの好ましい実施形態では、菌糸体バイオマスは、Pleurotus pulmonarius及びMorchella rufobrunneaを含む。
【0096】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品の製造方法
本発明はまた、本発明の食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法に関する。
【0097】
一実施形態では、食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法は、
a)食用繊維状菌糸体塊を水と均質化することを含み、それにより、食用非動物性ミルク代用製品を得る。好ましくは、食用繊維状菌糸体塊は、液中発酵に由来する。
【0098】
菌糸体塊は、発酵後に直接、又は圧搾若しくは(部分的)乾燥によって含水量を調整した後に使用することができる。「菌糸体塊を水で均質化する」とは、菌糸体塊の水成分と固体成分とを混合して、均質な塊を得ることを意味する。水成分は、例えばそれが湿潤菌糸体である場合、菌糸体自体によって提供することができ、及び/又はそれは、置換されるべき乳製品の含水量又はそれぞれの乳製品を作製するプロセスにおいて使用される原料の含水量と同様の含水量を得るために必要に応じて外部から添加される水を(更に)含むことができる。
【0099】
別の実施形態では、食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法は、
a)食用繊維状菌糸体塊を水で均質化することと、
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)任意選択的に、寒天、食用デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、小麦グルテン、セルロース又はその誘導体などのテクスチャー化剤を、ステップb)の加熱した均質化した混合物に添加し、得られた混合物を撹拌することと、
d)混合物を20℃~45℃に冷却させることと、
e)酸形成細菌、例えば乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
f)ステップe)の後に得られた混合物を混合することと、を含み、それにより、食用非動物性ヨーグルト代用製品を得る。
【0100】
好ましくは、食用繊維状菌糸体塊は、液中発酵に由来する。
【0101】
テクスチャー化剤の添加は、ステップa)で得られた均質化された菌糸体塊の含水量に依存する任意選択的なステップである。含水量が、製造される代用製品の含水量と同様である場合、テクスチャーを得るためにテクスチャー化剤を添加する必要はない。
【0102】
別の実施形態では、食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法は、
a)食用繊維状菌糸体塊を水で均質化することと、
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)食用植物、藻類又は真菌に基づく脂肪成分を、最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲で添加することと、
d)ステップc)の後に得られた混合物を均質化することと、
g)上記混合物を20℃~45℃、好ましくは25℃~45℃、最も好ましくは32℃~37℃に冷却させることと、
h)酸形成細菌、特に乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
i)得られた混合物を混合することと、を含み、それにより、好ましくは1~37℃で1~48時間保存した後に、食用非動物性チーズ代用製品を得る。
【0103】
好ましい実施形態では、この方法で得られる製品は、食用の非動物性フレッシュチーズ代用製品である。それはまた、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズのための食用非動物性代用製品を含む群から選択される食用非動物性チーズ代用製品であってもよく、これは、均質化された菌糸体塊の含水量が十分に低くなるように適切に調節される場合、従来の凝固ステップなしで得ることができる。従来のチーズ製造の凝固ステップは、ミルクである出発材料によって提供される過剰な水を取り除くために行われる。ミルクと比較して著しく低い含水量を有する出発材料、すなわち均質化された菌糸体塊を有することによって、従来のチーズ製造のこれらの凝固ステップは必要でなくなる。
【0104】
好ましくは、食用繊維状菌糸体塊は、液中発酵に由来する。
【0105】
別の実施形態では、食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法は、
a)食用繊維状菌糸体塊を水で均質化することと、
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)食用植物、藻類又は真菌に基づく脂肪成分を、最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲で添加することと、
d)ステップc)の後に得られた混合物を均質化することと、
f)上記混合物を20℃~45℃、好ましくは25℃~45℃、最も好ましくは32℃~37℃に冷却させることと、
g)酸形成細菌、特に乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
h)ステップg)の後に得られた混合物を混合することと、
i)ステップh)の後に得られた混合物を、凝固剤を添加することによって凝固させて、凝固した固体及び液体の混合物を得ることと、
j)ステップi)の後に得られた混合物を沈降させることと、
k)凝固した固体を液体から分離することと、
l)凝固した固体を保存することと、を含み、
それにより、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズのための食用非動物性代用製品を含む群から選択される食用非動物性チーズ代用製品を得る。
【0106】
好ましくは、食用繊維状菌糸体塊は、液中発酵に由来する。
【0107】
食用非動物性フレッシュチーズ又はチーズ代用製品を製造する方法は、混合物を冷却させる前に、レシチン、モノ及びジグリセリド、グリセリド、モノグリセリド誘導体、又は脂肪酸誘導体などの植物に基づく乳化剤を添加するステップe)を更に含むことができる。本発明の菌糸体塊及び本発明の製造方法によって提供される利点は、菌糸体塊自体が既に必要量のカルシウムを提供しているため、乳製品代用製品に望まれるカルシウム含量に達するために、塩化カルシウム又は酢酸カルシウムなどの他の無機塩を混合物に添加する必要がないことである。
【0108】
ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズのための食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法において、凝固剤は、好ましくは、レモンジュースなどの無機若しくは有機の酸を含む組成物、又は植物、細菌若しくは酵母に由来する酵素の混合物を含む動物に基づかないレンネットである。
【0109】
フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズのための食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法において、食用植物に基づく脂肪成分は、好ましくは、ヤシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、藻類油、又は油性酵母由来油から選択される。
【0110】
本発明はまた、食用非動物性乳製品代用製品を製造するための食用繊維状菌糸体塊の使用であって、食用非動物性乳製品代用製品が、ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される、使用に関する。
【0111】
本発明の食用非動物性乳製品代用製品及び本発明の食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法を、以下の実施例によって更に説明する。
【実施例】
【0112】
実施例1-分析方法
本発明の生成物を、それらの組成に関して分析した。標準的な分析方法を使用して、組成物の含量を決定した。
【0113】
タンパク質含量は、DIN EN ISO 16634-1、2009-07、(N*6.25)DUMASに従って決定した。
【0114】
脂肪含量は、Weibull-Stoldtに従って決定した。
【0115】
繊維含量は、酵素重量法ASU L 00.00-18に従って測定した。
【0116】
炭水化物含量は、SOP M 2569に従ってHPLCによって決定した。
【0117】
発熱量は、当技術分野で知られているように計算した。
【0118】
カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、マンガン、及びリンの含量は、標準的な操作手順に従って誘導結合プラズマ質量分析(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometry、ICP-MS)によって決定した。
【0119】
ビタミンB1、B2及びB6の含量は、DIN EN 14122に従ってHPLCE/FLによって決定した。
【0120】
ビタミンB3(ナイアシン)の含量は、AOAC 944.13に従って微生物学的に決定した。
【0121】
ビタミンB5(パントテン酸)の含量は、AOAC 945.74に従って微生物学的に測定した。
【0122】
ビタミンB7(ビオチン)の含量は、SOP m 655に従って微生物学的に決定した(L.plantarium)。
【0123】
ビタミンB9(葉酸)の含量は、DIN EN 14131:2003に従って決定した。
【0124】
アミノ酸アラニン、アスパラギン、アスパルテート、システイン+シスチン、グルタメート、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、バリン、トリプトファン、チロシン、及びオルニチンの含量は、SOP M 3123に従ってLC-MS/MSによって決定した。
【0125】
実施例2-食用菌糸体塊
菌糸体塊及び水の2つのバッチを、食用非動物性乳製品代用製品の製造のためのベースとして以下のように調製した。
【0126】
液中発酵で増殖させた菌糸体を、チーズクロス(MilkyWay)上での濾過によって回収し、642g(バッチ1)及び550g(バッチ2)を得る。圧力によって機械的に上清を排出した後、菌糸体を含有するフィルターケーキを、除去した上清の体積の2~3倍の体積の水道水で洗浄し、再度圧搾する。この手順を2回繰り返す。
【0127】
適用例のために、菌糸体は圧搾後に直接使用する。
【0128】
各バッチ1及びバッチ2の分析のために、200gの菌糸体を-80℃で凍結し、化学的分析のためにZirbus technology GmbH社(バート・グルント)の凍結乾燥機を使用して乾燥させる。
【0129】
バッチ1
圧搾後、バッチ1は6.09%の乾物含量を有していた。
【0130】
凍結乾燥後、バッチ1は92.85%の乾燥質量の菌糸体及び7.15%の水を含んでいた。
【0131】
バッチ1は、100%乾燥質量に基づいて以下の組成を有していた。
【0132】
【0133】
バッチ2
圧搾後、バッチ2は9.89%の乾物含量を有していた。
【0134】
凍結乾燥後、バッチ2は95.60%の乾燥質量の菌糸体及び4.4%の水を含んでいた。
【0135】
バッチ2は、100%乾燥質量に対して計算された以下の組成を有していた。
【0136】
【0137】
バッチ2のアミノ酸含量は以下の組成を有していた。
【0138】
【0139】
菌糸体中の比較的高い量のグルタミン酸は、食用非動物性乳製品代用製品に旨味風味を提供することができる。
【0140】
実施例3-食用非動物性ミルク代用製品
食用非動物性ミルク代用製品を、圧搾後のバッチ2の食用菌糸体塊を使用して製造した(上記参照)。
【0141】
95gの食用繊維菌糸体塊を、20mlの水と共にキッチンブレンダー中で均質化した。食用非動物性ミルク代用製品が得られた。液体は、白色の乳光色、中性の味及び心地よいフルーティな匂いを有する。
【0142】
食用非動物性ミルク代用製品の含量を以下の表4に列挙する。
【0143】
【0144】
実施例4-食用非動物性ヨーグルト代用製品
バッチ2からの95gの菌糸体塊を、200mlの水と共にキッチンブレンダー中で均質化した。95℃に加熱した後、5gの寒天-寒天(Agartine、Ruf GmbH社)及び10gの糖と混合し、2分間連続的に撹拌する。45℃に冷却した後、0.2gの乳酸菌培養物(MilkySky GmbH社)を撹拌下で混合する。室温で、液体をジャーに入れ、4℃で48時間放置する。
【0145】
生成物は滑らかな表面を有する白色-クリーム色を有する。それは、異臭のない中性のわずかに酸性の味及び心地よい酸性の匂いを有する。
【0146】
菌糸体によって寄与される食用非乳製ヨーグルト代用製品の含量を、以下の表5に列挙する。
【0147】
【0148】
実施例5-食用非動物チェダー型チーズ代用製品
タンパク質成分として菌糸体塊のみを含み、ヤシ又はヒマワリのような食用脂肪をテクスチャー化剤と共に含むチェダー型チーズを製造した。
【0149】
バッチ2からの95gの菌糸体塊を、25gの水と共にキッチンブレンダー中で均質化した。これに、20gの天然ヤシ油(Rapunzel GmbH)、大さじ2杯のトウガラシ粉末(Metro AG)、2gの塩及び0.3gの黒胡椒を添加し、再び混合する。
【0150】
10gのAgar-Agar(Agartine、Ruf GmbH)を100mlの水に混合し、沸騰するまで加熱し、2分間連続的に撹拌する。次いで、液体をキッチンブレンダーに添加し、45秒間混合し、形成容器に注ぐ。室温に冷却するために2時間放置する。硬化プロセスを7℃で更に12時間継続する。
【0151】
わずかにスパイシーな旨味の風味及び良好な口当たりを有するスライス可能なチェダー型チーズが得られる。
【0152】
菌糸体に由来する食用非乳性チェダーチーズ代用物の含量を以下の表6に列挙する。
【0153】
【0154】
実施例6-食用非動物性フレッシュタイプチーズ代用製品
5つの異なる試料を、参照試料としてカシューナッツから、又はPleurotus pulmonariusの菌糸体から調製した。
【0155】
1.カシューナッツ
40gのカシューナッツに10時間水をかけ、水を除去し、0.3gの塩を加えた。10mlの水を加え戻し、標準的なミキサーで2分間ミンチすることによって滑らかな物質を生成した。
【0156】
2.Pleurotus pulmonariusの菌糸体
80gのバッチ2の菌糸体を、特許GB2137226Aに記載されているように、20gの水を添加して均質化した。
A:参照試料:1.からのカシューナッツミックス25gに、小さじ1/2のビーガン乳酸菌培養物(穀類に基づくRejuvelac酵素)を添加し、1分間撹拌した。
B:1.からの25gの上記カシューナッツミックスに、小さじ1/2のビーガン乳酸菌培養物(Rejuvelac相当物、MilkySky GmbH)及び2.からの25gの均質化した菌糸体を添加し、混合物全体を1分間撹拌した。
C:25gの2.からの均質化した菌糸体に、小さじ1/2のビーガンの乳酸菌培養物(Rejuvelac相当物、MilkySky GmbH)を添加し、混合物全体を1分間撹拌した。
D:2.からの25gの均質化した菌糸体に、0.3gのMEビーガン乳酸菌培養物(MilkySky GmbH)を添加し、全混合物を32℃で45分間撹拌した。
E:2からの均質化された菌糸体25gへ。0.3gのMEビーガン乳酸菌培養物(MilkySky GmbH)及び5gのヤシ油を添加し、混合物全体を32℃で45分間撹拌した。
【0157】
試料を7℃で12時間放置した後、味見した。
A:ナッツ様、酵母様の味-フレッシュチーズの印象なし。
B:Aよりも酵母味が少なく、やや酸味があり、強い香りがない。
C:酸味が強く、酵母の特徴がBよりも少ない-良好な口当たりであるが、こくがない。
D:非常に酸味が強く、乳製品の香りがあり、酵母の香りがなく、A~Cよりも牛乳からのフレッシュチーズに似ている。
E:D-最良と評価された試料よりも酸味が少なく、よりまろやかな乳製品の味であり、フレッシュチーズの味に似ている。
【0158】
菌糸体からのサンプルC~Eによる食用非乳フレッシュタイプチーズ代用製品の含量を、以下の表7に列挙する。
【0159】
【0160】
実施例7-チーズ製造のための菌糸体の均質な水溶液の製造、続いてホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアム-ハードチーズ、ハードチーズ、及びチェダーのための食用代用製品を得るための伝統的なチーズ加工
100gのバッチ2の菌糸体を200mlの水で均質化する。この混合物を50℃に温め、15gのヤシ油(Rapunzel)及び1滴のレシチン(Cosmothek GmbH,Germany)を添加し、均一に混合する。混合物が37℃に達したら、加熱を停止する。0.2gのMEビーガン乳酸菌培養物(MilkySky GmbH)を添加し、十分に混合する。
A:一変形形態では、30mlのレモンジュースを混合物に加え、穏やかに撹拌して「ミルク」を凝集させる。
B:別の変形形態では、ベジタリアン用市販レンネット(MilkySky GmbH)25滴を混合物に添加し、撹拌する。
【0161】
両方の変法において、混合物を熱から取り出し、3時間移動させない。続いて、得られた混合物をナイフで0.5×1cmの正方形に切断し、更に30分間静置する。更に30分間注意深く撹拌した後、凝固した固体を、穴の開いたビーカーに入れたチーズクロスに注意深く移す。20分後、液体がビーカーから流出しなくなったら、穏やかな圧力をかける。10分間放置した後、これをもう一度繰り返す。その後、外観がリコッタと同様のホエーチーズ代替物を7℃で3時間保存する。
【0162】
食用非動物性チーズ代用製品は、切断することができる顆粒構造、及び淡泊な乳製品様の味を有する。
【0163】
食用非乳凝固リコッタ様代用製品の含量を、以下の表8に列挙する。
【0164】
【0165】
実施例8-チーズ製造のための菌糸体の均質な水溶液の製造、続いてホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアム-ハードチーズ、ハードチーズ、及びチェダーのための食用代用製品を得るための伝統的なチーズ加工
68gのバッチ1からのPleurotus pulmonariusの菌糸体を、サーモミキサー中で、210mlの水、10.2gのヤシ油及び1gのレシチンと共に最大速度で25分間均質化する。
【0166】
この均質な混合物に、0.05gのTME培養ビーガン(MilkySky GmbH)及び0.05gのPenicillium candidumを添加し、4℃で12時間放置する。その後、混合物を35℃に加熱し、0.05gのビーガン乳酸菌を添加し、混合物を35℃で60分間維持する。5mlの水中に溶解した0.2mlのベジタリアンレンネット(MilkySky GmbH)を添加する。凝固させ、20℃に冷却し、更に90分間放置した後、カードをチーズクロスを介して乳清から分離し、プラスチック蓋で穏やかにプレスする。2時間及び数回カードブロックをひっくり返すと、ごく少量の乳清が脱落する。
【0167】
予め形成されたチーズを4℃で更に12時間放置し、次いで、全ての面に1gの塩で穏やかに塩を付ける。その後、それをプラスチックマット上に敷き、18℃で12日間、栽培ボックス(MilkySky GmbH)中で成熟させるために保存する。2日ごとにチーズをひっくり返す。
【0168】
熟成後、チーズは、淡白色のカビの含不及び良好な口当たりを有するミルク由来カマンベールに類似したクリーム状構造を有する。
【0169】
菌糸体由来の食用非乳性凝固カマンベールチーズ代用製品(ミドルハードチーズ)の含量を、以下の表9に列挙する。
【0170】
【0171】
本発明の更なる実施例及び/又は実施形態は、以下の付番された項目に開示される。
1.
a)重量%~99重量%の範囲の食用繊維状菌糸体塊と、
b)最大99重量%の範囲の水と、を含む、食用非動物性乳製品代用製品。
2.上記食用繊維状菌糸体塊が、液中発酵に由来する、項目1に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
3.上記繊維状菌糸体塊が、繊維状菌糸体塊の乾燥質量の10重量%~60重量%、好ましくは20重量%~50重量%、最も好ましくは25重量%~35重量%のタンパク質含量を有する、項目1又は2に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
4.20重量%~95重量%の範囲、好ましくは65重量%~90重量%の範囲の繊維状菌糸体塊を含み、及び/又は食用非動物性乳製品代用製品のリン含量が、食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり40~500mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり60~250mgであり、及び/又は食用非動物性乳製品代用製品のカルシウム含量が、食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり25~400mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり40~250mgであり、及び/又は食用非動物性乳製品代用製品の亜鉛含量が、食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり0.5~5mg、好ましくは食用非動物性乳製品代用製品の100g重量当たり0.3~4mgである、項目1~3のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
5.寒天、食用デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、小麦グルテン、セルロース若しくはその誘導体などのテクスチャー化剤、着色剤、並びに/又は、塩、抽出物及び/若しくはスパイスなどの風味剤を更に含む、項目1~4のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
6.食用植物又は藻類に基づく脂肪成分、真菌又は酵母に由来する脂肪成分を、最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲で更に含む、項目1~5のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
7.上記食用植物に基づく脂肪成分が、ヤシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、藻類油、又は油性酵母由来油から選択される、項目6に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
8.ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される、項目1~7のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品。
9.食用非動物性乳製品代用製品を製造する方法であって、
a)食用繊維状菌糸体塊であって、任意選択的に、液中発酵に由来する、食用繊維状菌糸体塊を水で均質化することを含み、
それにより、食用非動物性ミルク代用製品を得る、方法。
10.
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)任意選択的に、寒天、食用デンプン、グアーガム、ローカストビーンガム、小麦グルテン、セルロース又はその誘導体などのテクスチャー化剤を、ステップb)の加熱した均質化した混合物に添加し、得られた混合物を撹拌することと、
d)混合物を20℃~45℃に冷却させることと、
e)酸形成細菌、例えば乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
f)ステップe)の後に得られた混合物を混合することと、を更に含み、
それにより、食用非動物性ヨーグルト代用製品を得る、項目9に記載の方法。
11.
b)均質化した混合物を25~95℃、好ましくは50℃に加熱することと、
c)食用植物、藻類又は真菌に基づく脂肪成分を、最大60重量%、好ましくは最大25重量%、最も好ましくは1重量%~5重量%の範囲で添加することと、
d)ステップc)の後に得られた混合物を均質化することと、
e)任意選択的に、レシチン、モノ及びジグリセリド、グリセリド、モノグリセリド誘導体、又は脂肪酸誘導体などの植物に基づく乳化剤を添加することと、
f)上記混合物を20℃~45℃、好ましくは25℃~45℃、最も好ましくは32℃~37℃に冷却させることと、
g)酸形成細菌、特に乳酸菌培養物又はタンパク質消化特性を有する酵素を添加することと、
h)ステップg)の後に得られた混合物を混合することと、を更に含み、
それにより、好ましくは1~37℃で1~48時間保存した後に、食用非動物性チーズ代用製品、例えばフレッシュチーズ代用製品を得る、項目9に記載の方法。
12.
i)請求項11に記載のステップh)の後に得られた混合物を、凝固剤を添加することによって凝固させて、凝固した固体と液体との混合物を得ることと、
j)ステップi)の後に得られた混合物を沈降させることと、
k)凝固した固体を液体から分離することと、
l)凝固した固体を保存することと、を更に含み、
それにより、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズのための食用非動物性代用製品を含む群から選択される食用非動物性チーズ代用製品を得る、項目11に記載の方法。
13.上記凝固剤が、レモンジュースなどの無機若しくは有機の酸を含む組成物、又は植物、細菌若しくは酵母に由来する酵素の混合物を含む動物に基づかないレンネットである、項目12に記載の方法。
14.食用植物に基づく脂肪成分が、ヤシ油、ヒマワリ油、ナタネ油、パーム油、綿実油、オリーブ油、キャノーラ油、藻類油、又は油性酵母由来油から選択される、項目11~13のいずれか一項に記載の方法。
15.食用非動物性乳製品代用製品を製造するための食用繊維状菌糸体塊の使用であって、上記食用非動物性乳製品代用製品が、ミルク、ヨーグルト、フレッシュチーズ、ホエーチーズ、クリームチーズ、ミディアムハードチーズ、ハードチーズ、及びソフトモールドチーズを代用する製品から選択される、使用。
16.上記食用繊維質菌糸体が、Basidiomycota、Ascomycota、Pezizomycotina、Agaromycotina、Pezizomycetes、Agaricomycetes、Sordariomycetes、Pezizales、Boletales、Cantharellales、Agaricales、Polyporales、Russulales、Auriculariales、Hypocreales、Morchellaceae、Tuberaceae、Pleurotaceae、Agaricaceae、Marasmiaceae、Cantharellaceae、Hydnaceae、Boletaceae、Meripilaceae、Polyporaceae、Strophariaceae、Lyophyllaceae、Tricholomataceae、Omphalotaceae、Physalacriaceae、Schizophyllaceae、Sclerodermataceae、Ganodermataceae、Sparassidaceae、Hericiaceae、Bondarzewiaceae、Cordycipitaceae、Auriculariaceae、及びFistulinaceaから選択される少なくとも1種の真菌株から得られ、好ましくは、上記菌糸体が、Pleurotus pulmonarius、Pleurotus ostreatus、Pleurotus florida、Pleurotus citrinopileatus、Pleurotus salmoneostramineus、Morchella esculenta、Morchella angusticeps、又はMorchella deliciosaの菌糸体から得られる、項目1~8のいずれか一項に記載の食用非動物性乳製品代用製品、又は項目9~14のいずれか一項に記載の方法、又は項目15に記載の使用。
【国際調査報告】