(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】電子デバイス用のドッキングアセンブリ
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562689
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021059511
(87)【国際公開番号】W WO2022218506
(87)【国際公開日】2022-10-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523371045
【氏名又は名称】エニボティクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】和▲辻▼ 愛來
(72)【発明者】
【氏名】ギュンター, ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】フリードリ, ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ヒュッター, ウルシン
(72)【発明者】
【氏名】ガメス, フランシスコ ヒーラルデス
(72)【発明者】
【氏名】ヴルフ, マクシミリアン
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
(57)【要約】
第1のドッキング要素1と第2のドッキング要素2とを備える、電子デバイス具体的にはロボットのバッテリを充電するためのドッキングアセンブリ1000である。第1のドッキング要素1が第2のドッキング要素2にドッキングする場合、第1のドッキング要素1の凹状窪み部は、当該凹状窪み部の中心軸100の方向で第2のドッキング要素2の凸状突起部に確実に嵌合する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のドッキング要素(1)と第2のドッキング要素(2)とを備える、電子デバイス具体的にはロボットのバッテリを充電するためのドッキングアセンブリ(1000)であって、
前記第1のドッキング要素(1)が前記第2のドッキング要素(2)にドッキングする場合、
前記第1のドッキング要素(1)の凹状窪み部が、前記凹状窪み部の中心軸(100)の方向で前記第2のドッキング要素(2)の凸状突起部に確実に嵌合し、
前記凹状窪み部の凹面(11)に一体化された少なくとも1つの電気接点部(101)が、前記凸状突起部の凸面(21)に一体化された少なくとも1つの電気接点部(201)に電気的に接続し、
前記第1のドッキング要素(1)の第2の表面(12)が、前記凹状窪み部を取り囲むリム(110)によって前記凹面(11)と隔てられ、かつ前記中心軸(100)の方向で前記第2のドッキング要素(2)の第2の表面(22)に確実に嵌合し、
前記第1のドッキング要素(1)の前記第2の表面(12)に一体化された少なくとも1つの電気接点部(102)が、前記第2のドッキング要素(2)の前記第2の表面(22)に一体化された少なくとも1つの電気接点部(202)に電気的に接続する、ドッキングアセンブリ(1000)。
【請求項2】
前記第1のドッキング要素(1)が、電源(111)を備えるドッキングポートであり、かつ、ドッキングソケットが前記ドッキングポートにドッキングされると前記電子デバイスの前記バッテリを充電するように構成され、
前記第2のドッキング要素(1)が、前記ドッキングソケットが前記ドッキングポートにドッキングされると前記バッテリを充電するために、前記電子デバイスに一体化されるように適合されたドッキングソケットである、
請求項1に記載のドッキングアセンブリ(1000)。
【請求項3】
前記第1のドッキング要素(1)が、前記第2のドッキング要素(2)が前記中心軸(100)に対して角度αで第1の要素(1)にドッキングする場合、前記第2のドッキング要素(2)の位置ずれを補うために、枢動点を中心に前記凹状窪み部を回転させるように適合された幾何学的形状を呈する弾性要素(3)を備え、
具体的には前記角度αが20°≧α≧-20°である、請求項1または2に記載のドッキングアセンブリ(1000)。
【請求項4】
前記凹面(11)の前記少なくとも1つの電気接点部(101)、および前記凸面(21)の前記電気接点部(201)が、電源電気接点であり、ならびに/または、
前記第1のドッキング要素(1)の前記第2の表面(12)の前記少なくとも1つの電気接点部(102)、および前記第2のドッキング要素(2)の前記第2の表面(22)の前記少なくとも1つの電気接点部(202)が、接地接点であり、ならびに/または
前記凹面(11)の最下部領域に一体化された第1の中央電気接点部(103)が、前記凸面(21)の最上部領域に一体化された第2の中央電気接点部(203)に接続可能であり、前記第1の中央電気接点部(103)および前記第2の中央電気接点部(203)が、シグナル電気接点であり、かつ/または前記第1のドッキング要素と前記第2のドッキング要素との接触を検出するように適合される、
請求項1から3のいずれか一項に記載のドッキングアセンブリ(1000)。
【請求項5】
請求項1または2に記載のドッキングアセンブリ(1000)のための第1のドッキング要素(1)。
【請求項6】
凹面(11)に一体化された1つの電気接点部(101)が、前記第1のドッキング要素(1)が第2のドッキング要素(2)にドッキングされる場合に、凸面(21)に一体化された電気接点部(201)のうちの少なくとも2つに電気的に接続するように適合され、
具体的に、前記凹面(11)に一体化された前記少なくとも1つの電気接点部(101)が、リング電極を形成するように前記凹面の領域にわたって延在する、請求項5に記載の第1のドッキング要素。
【請求項7】
前記第1のドッキング要素(1)の第2の表面(12)に一体化された少なくとも1つの電気接点部(102)が、リム(110)を包含しており、かつ、前記第1のドッキング要素(1)が前記第2のドッキング要素(2)にドッキングする場合、前記第2のドッキング要素(2)の第2の表面(21)に一体化された少なくとも1つの電気接点部(202)のそれぞれに電気的に接続するように適合される、請求項5または6に記載の第1のドッキング要素(1)。
【請求項8】
枢動点を中心に凹状窪み部を回転させるように適合された幾何学的形状を呈する弾性要素(3)を備えており、
具体的に、前記枢動点が、前記第2のドッキング要素2が前記第1のドッキング要素1の外側で前記第1のドッキング要素1にドッキングする場合、前記第2のドッキング要素2に向かう方向の、前記第1のドッキング要素(1)の外側にある中心軸(100)に位置する、請求項5から7のいずれか一項に記載の第1のドッキング要素(1)。
【請求項9】
前記凹面(11)の最下点において一体化された第1の中央電気接点部(103)を備えており、
具体的に、前記第1の中央電気接点部(103)が、前記第1のドッキング要素(1)が前記第2のドッキング要素(2)にドッキングする場合に、前記第2のドッキング要素(2)の第2の電気接点部(203)に接続するように適合される、請求項5から8のいずれか一項に記載の第1のドッキング要素(1)。
【請求項10】
請求項1または4のいずれか一項に記載のドッキングアセンブリ(1000)のための第2のドッキング要素(2)。
【請求項11】
凸面(21)に一体化された少なくとも4つの電気接点部(201)、および/または
第2の表面(22)に一体化された少なくとも4つの電気接点部(202)
を備える、請求項10に記載の第2のドッキング要素(2)。
【請求項12】
前記凸面(21)の最上点において一体化された第2の中央電気接点部(203)を備えており、
具体的に、前記第2の中央電気接点部(203)が、前記第2のドッキング要素(2)が第1のドッキング要素(1)にドッキングする場合に、前記第1のドッキング要素(1)の第1の中央電気接点部(103)に接続するように適合される、請求項10または11に記載の第2のドッキング要素(2)。
【請求項13】
少なくとも3つの管状セグメント(31)を備える弾性要素であって、
前記管状セグメント(31)が、それぞれリング状構造を形成するためにブリッジ(32)によって他の2つの管状セグメント(31)に連結し、
前記少なくとも3つの管状セグメント(31)のそれぞれの中心軸(301)が、前記リング状構造の外側の点で前記リング状構造の軸(300)と交差する、弾性要素(3)。
【請求項14】
4つの管状セグメント(31)を備える、請求項13に記載の弾性要素(3)。
【請求項15】
電子デバイス具体的にはロボットのバッテリを充電するために、請求項5から9のいずれか一項に記載の第1のドッキング要素(1)を、請求項10から12のいずれか一項に記載の第2のドッキング要素(2)にドッキングさせるための方法であって、
前記第1のドッキング要素(1)がドッキングポートであり、前記第2のドッキング要素(2)が、前記電子デバイスに一体化されたドッキングソケットであり、
またはその逆の場合もあり、
前記方法が、
前記電子デバイスのカメラによって前記ドッキングポートを検出する工程と、
前記電子デバイスが前記ドッキングソケットによって前記ドッキングポートにドッキングするように前記電子デバイスを位置決めするための姿勢を推定する工程と、
前記電子デバイスを制御して、前記ドッキングソケットによって前記ドッキングポートにドッキングするための位置に採用する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の態様では、電子デバイス具体的にはロボットのバッテリを充電するためのドッキングアセンブリに関する。本ドッキングアセンブリは、第1のドッキング要素と第2のドッキング要素とを備える。第2の態様は、有利には弾性要素を備える第1のドッキング要素に関する。第3の態様は、第2のドッキング要素に関する。本発明の第4の態様は、弾性要素を指す。第5の態様は、電子デバイス具体的にはロボットのバッテリを充電するために、第1のドッキング要素を第2のドッキング要素にドッキングさせるための方法を指す。
【背景技術】
【0002】
電子デバイス、具体的にロボットは、有利には電源としてバッテリが備わっている。そのため、電子デバイスまたはロボットは、バッテリを再充電するために定置型ドッキングポートにドッキングするためのドッキングソケットが備わっている。
【0003】
バッテリを備えた脚式ロボットは、自身のバッテリを再充電するためにドッキングポートまで自力で歩行可能な場合がある。
【0004】
かかる脚式ロボットは、不整地で使用されることが非常に多い。そのため、ロボットのバッテリを再充電する必要があるときに、ドッキングソケットは泥や水で汚れる場合がある。この汚れは、ドッキングソケットとドッキングポートとの電気接続に干渉するおそれがあるため、再充電に問題を生じさせる場合がある。
【0005】
ドッキングソケットとドッキングポートとを備えるこのようなドッキングアセンブリに関して対処される、多くの難題が存在する。
【発明の概要】
【0006】
それゆえ、本発明が解決しようとする課題は、ドッキングソケットとドッキングポートとを備える堅牢なドッキングアセンブリを提供することである。
【0007】
この課題は、本発明の第1、第2、第3、第4、および第5の態様に関する、独立請求項の主題によって解決される。
【0008】
別途指定のない限り、以下の定義が本明細書中で適用されるものとする。
【0009】
「a」、「an」、「the」という用語、および本発明の文脈で使用される同様の用語は、本明細書で別途指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。さらに、「含む(including)」、「含有する(containing)」、および「備える(comprising)」という用語は、本明細書では、それらの開放的で非限定的な意味で使用される。「含有する」という用語は、「備える」および「からなる(consisting of)」の両方を含むものとする。
【0010】
本発明の第1の態様は、電子デバイスのバッテリを充電するためのドッキングアセンブリを指す。
【0011】
電子デバイスは、具体的にはロボット、脚式ロボット、または自律型の脚式ロボットである。
【0012】
本ドッキングアセンブリは、第1のドッキング要素と第2のドッキング要素とを備える。
【0013】
第1の要素が第2のドッキング要素にドッキングする場合、
第1のドッキング要素の凹状窪み部は、当該凹状窪み部の中心軸の方向で第2のドッキング要素の凸状突起部に確実に嵌合し、
凹状窪み部の凹面に一体化された少なくとも1つの電気接点部は、凸状突起部の凸面に一体化された少なくとも1つの電気接点部に電気的に接続し、
第1のドッキング要素の第2の表面は、凹状窪み部を取り囲むリムによって凹面と隔てられ、かつ中心軸の方向で第2のドッキング要素の第2の表面に確実に嵌合し、
少なくとも1つの電気接点部は第1のドッキング要素の第2の表面に一体化し、第2のドッキング要素の第2の表面に一体化された少なくとも1つの電気接点部に電気的に接続する。
【0014】
本発明の有利な実施形態では、第1のドッキング要素は、電源を備えるドッキングポートであり、第2のドッキング要素は、ドッキングソケットがドッキングポートにドッキングされるとバッテリを充電するために、電子デバイスに一体化されたドッキングソケットであり、またはその逆の場合もある。逆の場合とは、さらなる実施形態において、第2のドッキング要素が、ドッキングポートであるように適合されてもよく、かつ、第1の要素が、電子デバイスに一体化されたドッキングソケットであってもよいことを意味する。
【0015】
有利な実施形態では、ドッキングポートは電源を備え、ドッキングソケットがドッキングポートにドッキングされると電子デバイスのバッテリを充電するように構成される。
【0016】
具体的に、ドッキングポートは、地面に配置される独立したモジュールとして構成される。
【0017】
具体的に、ドッキングソケットは、脚式ロボットの胴体の下側に一体化されてもよい。
【0018】
有利には、脚式ロボットは、充電が必要な場合、ドッキングポートに向かい歩行し得る。脚式ロボットは、ドッキングポートより上方で、ドッキングソケットをドッキングポートにドッキングさせるための方法によってドッキングソケットを検出して、凸状突起部の中心軸が凹状窪み部の中心軸と合同的に位置合わせされるようにドッキングソケットがドッキングポートの真上に位置決めされるよう、ドッキングポートに対してロボット自体を位置決めするための姿勢を推定し得る。次の工程では、脚式ロボットは、ドッキングソケットがドッキングポートにドッキングするように、胴体を凸状突起部の中心軸の方向でドッキングポートに向けて下降させ得る。
【0019】
具体的に、「凸状」という用語は、本明細書中ではドッキングソケット本体から突出する、可能なすべての形状を指す。具体的に、このような第1の凸面は、ドッキングソケットから突出する、半球状または円錐状の表面であってもよい。
【0020】
具体的に、「凹状」という用語は、本明細書中ではドッキングポートに凹部またはへこみを形成する、可能なすべての形状を指す。ドッキングポートのこのような第1の凹面は、半球状の表面を呈する場合がある。有利には、第1の凹面は円錐状の表面である。
【0021】
具体的に、「リム」という用語は、本明細書中では壁部であって、第1のドッキング要素から突出するとともに、壁部の内側に凹面の少なくとも1つの電気接点部を、かつ壁部の外側に第1のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部を形成する、壁部を指す。
【0022】
具体的に、リムの表面は、外側では円錐台の形態を、かつ/または内側では半球状の形態を呈する。
【0023】
具体的に、リムの内壁に凹面の少なくとも1つの電気接点部を配置し、かつリムの外壁に第1のドッキング要素の第1の表面の少なくとも1つの電気接点部を配置することで、電極は非常にコンパクトに配置されるので、第2のドッキング要素に対する2つの異なる接続をもたらすと同時に、空間を確保することが可能になる。
【0024】
本発明のさらに有利な実施形態では、凸面の少なくとも1つの電気接点部、および第2のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部は、第1のドッキング要素にドッキングしていない場合には互いに対向し合うように、ならびに第1のドッキング要素にドッキングされる場合には、リムの内側では凹面に、かつリムの外側では第1のドッキング要素の第2の表面に面するように、第2のドッキング要素に配置される。この配置は空間を確保することから、第2のドッキング要素がロボットまたは電子デバイスに一体化される場合には非常に有利である。
【0025】
加えて、凹面が凸面に確実に嵌合する有利な配置によって、第1のドッキング要素および/または第2のドッキング要素の上に汚れまたは残留物が存在する場合であっても、安定した接続を可能にすることができる。有利には、相互に接続し合うよう凹面または凸面に一体化された、1つより多くの電気接点部が存在する。電気接点部の1つが汚れていても、残る電気接点部は依然として相互に接続し合うので、安定した接続をもたらし得る。本発明のさらなる実施形態では、第1のドッキング要素は、第2のドッキング要素が中心軸に対して角度αにある間に第1の要素にドッキングする場合、位置ずれを補うべく枢動点を中心に凹状窪み部を回転させるように適合された幾何学的形状を呈する弾性要素を備える。具体的に、有利な角度αは、20°≧α≧-20°である。
【0026】
それゆえ、具体的に弾性要素は、第1のドッキング要素と第2のドッキング要素が相互にドッキングする過程で、両要素の自動調心を可能にする。
【0027】
したがって、ドッキングアセンブリは、例えば自律型ロボットがドッキングソケットによってドッキングポートにドッキングしようとする過程で生じ得る位置合わせの課題の観点からみると、非常に堅牢である。具体的に、自律型ロボットは、胴体の下側にカメラがない場合、ドッキングポートを正確に認識できない場合がある。ドッキングポートが第1のドッキング要素に対応し、弾性要素を備える場合、ドッキングの角度が中心軸の方向であまり正確でなくとも、ドッキングポートはより堅牢にドッキングソケットを受容する。
【0028】
さらに、第1のドッキング要素、例えばドッキングソケットの凸面と、第2のドッキング要素、例えばポートソケットとの間に横ずれがあったとしても、弾性要素の回転または枢動によって、ドッキング方向に位置ずれがあっても第1の要素は常に第2のドッキング要素にドッキングすることが可能となる。
【0029】
本発明のさらに有利な実施形態では、
凹面の少なくとも1つの電気接点部、および凸面の電気接点部は、電源電気接点であり、ならびに/または、
第1のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部、および第2のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部は、接地接点であり、ならびに/または
凹面の最下部領域で一体化された第1の中央電気接点部は、凸面の最上部領域で一体化された第2の中央電気接点部に接続可能であり、第1の中央電気接点部および第2の中央電気接点部は、第1のドッキング要素と第2のドッキング要素との接触を検出するように適合されたシグナル接点である。
【0030】
本発明の有利な実施形態では、凹面の少なくとも1つの電気接点部、および凸面の電気接点部は、+60V>電源接続部>+40V、具体的には+48Vの電源接続部を有する。
【0031】
本発明のさらに有利な実施形態では、第1の中央電気接点部および第2の中央電気接点部は、+20V>中央電気接点の電源接続部>+10V、具体的には+12Vの電源接続部を有する。
【0032】
本発明の有利な実施形態では、第1の中央電気接点部と第2の中央電気接点部は、第1のドッキング要素が第2のドッキング要素にドッキングする場合に接触し、ドッキングが検出されると、凹面および凸面の少なくとも1つの電気接点部に対する電源が起動する。具体的に、この起動は、第1のドッキング要素および第2のドッキング要素が位置ずれしていても電源が依然として起動されている場合に起こり得る電力不足を防止するために、時間遅延を伴って行われる。
【0033】
有利な実施形態では、第1の中心電極および第2の中心電極は、凹面の少なくとも1つの電気接点部、および凸面の少なくとも1つの電気接点部が接触している場合、かつ、第1のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部、および第2のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部が接触している場合にのみ、接触する。
【0034】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様によるドッキングアセンブリのための第1のドッキング要素を指す。
【0035】
有利には、第1のドッキング要素は、電子デバイスまたはロボット用のドッキングポートである。そのため、第1のドッキング要素は、電子デバイスまたはロボットのバッテリを充電するための電力を供給する電源を備える。
【0036】
本発明のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素は、凹面に一体化されるとともに、第1のドッキング要素が第2のドッキング要素にドッキングされる場合に凸面の電気接点部のうちの少なくとも2つ、より具体的には少なくとも4つに電気的に接続するように適合された、1つの電気接点部を備える。具体的に、凹面の電気接点部は、凸面の電気接点部のすべてに電気的に接続するように適合される。
【0037】
具体的に、凹面の少なくとも1つの電気接点部は、接触リングを形成するように凹面の領域にわたって延在する。
【0038】
具体的に、凹面の少なくとも1つの電気接点部は、具体的には円錐台形状を呈するリング状電極を形成するように、凹面の領域にわたって延在する。
【0039】
さらに具体的には、第1のドッキング要素の第2の表面の電気接点部は、リング形態またはリング状形態を呈し、具体的には円錐台の表面幾何学的形状を呈する。
【0040】
第2の態様のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部は、リムを包含する。具体的に、第1のドッキング要素の第2の表面の電気接点部は、第1のドッキング要素が第2のドッキング要素にドッキングされる場合に、第2のドッキング要素の第2の表面の少なくとも1つの電気接点部のうちの少なくとも2つ、具体的には少なくとも4つ、さらに具体的にはそれぞれに電気的に接続するように適合される。
【0041】
さらに有利な実施形態では、凹面の少なくとも1つの電気接点部は、凹面を取り囲む円形リムの内面に配置され、第2の表面の少なくとも1つの電気接点部は、円形リムの外面に配置される。このリムによって、凹面の少なくとも1つの電気接点部が第2の表面の少なくとも1つの電気接点部から絶縁される。
【0042】
第2の態様のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素は、枢動点を中心に凹状窪み部を回転させるように適合された幾何学的形状を呈する弾性要素を備える。
【0043】
具体的に、弾性要素の枢動点は、第2のドッキング要素が第1のドッキング要素にドッキングする場合、第1のドッキング要素の外側で第2のドッキング要素に向かう方向の中心軸に配置される。
【0044】
具体的に、弾性要素の枢動点は、凹面を越える方向の中心軸に配置される。
【0045】
枢動点の配置によって、凹状窪み部または凹面の中心点は、回転中に横方向に変位せず、本質的に固定位置に留まる。
【0046】
本発明のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素は、凹面の最下点において一体化された第1の中央電気接点部を備える。
【0047】
具体的に、第1の中央電気接点部は、第2のドッキング要素の第2の電気接点部に接続するように適合される。
【0048】
有利には、第1の中央電気接点部および第2の中央電気接点部は、第1のドッキング要素と第2のドッキング要素とのドッキング状態を識別するためのシグナル電極である。具体的に、これらシグナル電極は、第1のドッキング要素および第2のドッキング要素が接続された後にのみ接続する。
【0049】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様によるドッキングアセンブリのための第2のドッキング要素を指す。
【0050】
第2のドッキング要素は、有利には、電子デバイスまたはロボットに一体化されるとともに、デバイスまたはロボットのバッテリを再充電するためにドッキングポートにドッキングするように適合された、ドッキングソケットである。
【0051】
第3の態様の有利な実施形態では、第2のドッキング要素は、凸面に一体化された4つの電気接点部、および/または第2のドッキング要素の第2の表面に一体化された4つの電気接点部を備える。
【0052】
第3の態様のさらに有利な実施形態では、第2のドッキング要素は、凸面の最上点において一体化された第2の中央電気接点部を備える。具体的に、第2の中央電気接点部は、第1のドッキング要素の第1の中央電気接点部に接続するように適合される。
【0053】
第4の態様は、具体的には本発明の第1の態様によるドッキングアセンブリ、または本発明の第2の態様による第1のドッキング要素のための、弾性要素を指す。
【0054】
弾性要素は、少なくとも3つの管状セグメントを備える。管状セグメントは、それぞれリング状構造を形成するためにブリッジによって他の2つの管状セグメントに連結する。
【0055】
各管状セグメントには中心軸がある。管状セグメントの中心軸はすべて、リング状構造の外側の点でリング状構造の軸と交差する。
【0056】
第4の態様による本発明の有利な実施形態は、4つの管状セグメントを有する。
【0057】
具体的に、弾性要素はポリウレタン材料で作製される。
【0058】
本発明の第5の態様は、電子デバイス具体的にはロボットのバッテリを充電するために、第1のドッキング要素を第2のドッキング要素にドッキングさせるための方法に関する。
【0059】
第1のドッキング要素はドッキングポートであり、第2のドッキング要素は、電子デバイスに一体化されたドッキングソケットであり、またはその逆の場合もある。逆の場合とは、さらなる実施形態において、第2のドッキング要素が、ドッキングポートであるように適合されてもよく、かつ、第1の要素が、電子デバイスに一体化されたドッキングソケットであってもよいことを意味する。
【0060】
本方法は、
電子デバイスのカメラによってドッキングポートを検出する工程と、
電子デバイスがドッキングソケットによってドッキングポートとドッキングするように電子デバイスを位置決めするための姿勢を推定する工程と、
電子デバイスを制御して、ドッキングソケットによりドッキングポートにドッキングするための位置に採用する工程と
を含む。
【0061】
有利には、電子デバイスは自律型ロボットである。かかる自律型ロボットは、ドッキングポートがカメラのカメラ範囲内に配置されている場合にドッキングポートを検出するためのカメラを備える。
【0062】
カメラがドッキングポートを検出した場合、ロボットの論理ユニットによって、ロボットがドッキングソケットをドッキングポートにドッキングするために採用する必要のある姿勢が推定される。次いで、自律型ロボットはその姿勢を採用することで、ドッキングソケットをドッキングポートにドッキングすることができる。
【0063】
上記姿勢があまり正確に採用されていなくとも、ドッキングポートがドッキングソケットの位置ずれを補う弾性要素を備える場合、ロボットはドッキングソケットによってドッキングポートにドッキングし得る。
【0064】
他の有利な実施形態は、従属請求項のほか、以下の説明に列挙される。
【0065】
以下の詳細な説明より、本発明がより良く理解され、上記で明記された以外の目的も明白となる。かかる説明については、次の添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】本発明の第1の態様の有利な実施形態によるドッキングアセンブリの概略断面図である。
【
図2】本発明の第2の態様の有利な実施形態による第1のドッキング要素の概略斜視図である。
【
図3】本発明の第3の態様の有利な実施形態による第2のドッキング要素の概略斜視図である。
【
図4】本発明の第4の態様に係る有利な実施形態による弾性要素の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、ドッキングアセンブリ1000の有利な実施形態の断面図を示す。本ドッキングアセンブリ1000は、第1のドッキング要素1を備え、第2のドッキング要素2にドッキングする。
【0068】
第1のドッキング要素1の中心軸100の方向にある凹状窪み部は、中心軸100の方向で第2のドッキング要素2の凸状突起部に確実に嵌合する。
【0069】
少なくとも1つの電気接点部101は、凹状窪み部の凹面11に一体化されることで、凸状突起部の凸面21に一体化された少なくとも1つの電気接点部201に電気的に接続する。
【0070】
第1のドッキング要素1の第2の表面12は、凹状窪み部を取り囲むリム110によって凹面11と隔てられている。加えて、第2の表面12は、中心軸100の方向で第2のドッキング要素2の第2の表面22に確実に嵌合するように適合される。
【0071】
第1のドッキング要素1の第2の表面12に一体化された少なくとも1つの電気接点部102は、第2のドッキング要素2の第2の表面22に一体化された少なくとも1つの電気接点部202に電気的に接続する。
【0072】
図1のドッキングアセンブリ1000の有利な実施形態では、第1のドッキング要素1はドッキングポートであり、第2のドッキング要素2はドッキングソケットである。
【0073】
ドッキングポートは有利には電源を備え、かつ、ドッキングソケットがドッキングポートにドッキングされると、電子デバイスまたはロボットのバッテリを充電するように構成される。
【0074】
ドッキングソケットは、有利には、ドッキングソケットがドッキングポートにドッキングするとバッテリを充電するために、電子デバイスに一体化されるように適合される。
【0075】
さらに有利には、第1のドッキング要素1は、第2のドッキング要素2が中心軸100に対して角度αで第1の要素にドッキングする場合、第2のドッキング要素2の位置ずれを補うために、枢動点を中心に凹状窪み部を回転させるように適合された幾何学的形状を呈する弾性要素3を備える。有利には、角度αは、20°≧α≧-20°である。
【0076】
有利には、弾性要素3の枢動点は、第2のドッキング要素2が第1のドッキング要素1にドッキングする場合、第1のドッキング要素1の外側で第2のドッキング要素2に向かう方向の中心軸100に配置される。
【0077】
有利には、弾性要素3の枢動点は、凹面11を越える方向の中心軸100に配置される。
【0078】
図1のドッキングアセンブリ1000のさらに有利な実施形態では、凹面11の少なくとも1つの電気接点部101、および凸面21の少なくとも1つの電気接点部201は、電源電気接点である。具体的に、電源電気接点は、具体的には+40V超、具体的には+48Vの高電圧電力をもたらす。
【0079】
図1のドッキングアセンブリ1000のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素1の第2の表面12の少なくとも1つの電気接点部102、および第2のドッキング要素2の第2の表面22の少なくとも1つの電気接点部202は、接地接点である。
【0080】
図1のドッキングアセンブリ1000のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素1は、凹面11の最下部領域に一体化された第1の中央電気接点部103を備える。この第1の中央電気接点部103は、凸面21の最上部領域に一体化された第2の中央電気接点部203に接続可能である。
【0081】
第1の中央電気接点部103および第2の中央電気接点部203は、第2のドッキング要素2が第1のドッキング要素1にドッキングされているかどうかを検出するように適合される。第1の中央電気接点103が第2の電気接点203に接続する場合、第1のドッキング要素1は第2のドッキング要素2にドッキングし、充電が開始される。第1のドッキング要素が第2のドッキング要素にドッキングした場合、この場合にのみ、電子デバイスのバッテリを充電するために凹面11の少なくとも1つの電気接点部101、および凸面21の少なくとも1つの電気接点部201に、電力が印加される。
【0082】
本発明の有利な実施形態では、第1のドッキング要素1と第2のドッキング要素2とのドッキングは、本発明の第5の態様による、電子デバイスのバッテリを充電するための方法によって行われる。
【0083】
図2は、第1のドッキング要素1の一実施形態の斜視図を示す。第1のドッキング要素1は、凹面11に一体化されるとともに、第1のドッキング要素1が第2のドッキング要素2にドッキングされる場合に凸面21に一体化された電気接点部201のうちの少なくとも2つに電気的に接続するように適合された、少なくとも1つの電気接点部101を備える。具体的に、
図1に示されるドッキングアセンブリの一実施形態では、凹面11の少なくとも1つの電気接点部101は、凸面21の4つの電気接点部201に電気的に接続する。
【0084】
具体的に、凹面11の少なくとも1つの電気接点部101の有利な実施形態は、
図2に示されるように、リング状電極を形成するよう凹面11の領域にわたって延在する。具体的に、リング状電極は、円錐台の表面幾何学的形状を呈する場合がある。
【0085】
第1のドッキング要素1のさらに有利な実施形態では、第2の表面12の少なくとも1つの電気接点部102は、リム110を包含しており、かつ、第1のドッキング要素1が第2のドッキング要素2にドッキングする場合、第2のドッキング要素2の第2の表面21に一体化された少なくとも1つの電気接点部202のそれぞれに電気的に接続するように適合される。
【0086】
具体的には、第2の表面12の電気接点部102は、リング形態またはリング状形態を呈し、具体的には円錐台の表面幾何学的形状を呈する。
【0087】
第1のドッキング要素1のさらに有利な実施形態では、ドッキング要素1は弾性要素3(外側からは視認不能)を備える。弾性要素3の幾何学的形状は、枢動点を中心に凹状窪み部を回転または枢動させるように適合される。
【0088】
有利には、弾性要素3の枢動点は、第2のドッキング要素2が第1のドッキング要素1の外側で第1のドッキング要素1にドッキングする場合、第2のドッキング要素2に向かう方向の中心軸100に配置される。
【0089】
有利には、弾性要素3の枢動点は、凹面11を越える方向の中心軸100に配置される。
【0090】
さらに有利には、第1のドッキング要素1は、凹面11の最下部の点または領域に一体化された第1の中央電気接点部103を備える。中央電気接点部103は、
図2の第1のドッキング要素1の斜視図では視認できないが、
図1の第1のドッキング要素1の断面図では視認できる。
【0091】
具体的に、中央電気接点部103は、第1のドッキング要素1が第2のドッキング要素2にドッキングする場合、第2のドッキング要素2の第2の電気接点部203に接続するように適合される。
【0092】
具体的に、中央電気接点部103は、凹面11の最下部領域の開口部内に配置されてもよい。
【0093】
さらに有利には、第1のドッキング要素1は、ドッキングポートとして実装される場合、さらに電源111を備える。
【0094】
加えて、第1のドッキング要素1のさらに有利な実施形態では、第1のドッキング要素1は、ドッキングポートとして実装される場合、マーキング面112を備える。かかるマーキング面112は、自律型ロボットがバッテリを充電するためにドッキングソケットとドッキングするドッキングポートを探す場合に、自律型ロボットによって認識され得る。
【0095】
図3は、第2のドッキング要素2の一実施形態の斜視図を示す。
【0096】
図3に示される有利な実施形態では、第2のドッキング要素2は、凸面21に一体化された4つの電気接点部201、および/または第2の表面22に一体化された4つの電気接点部202を備える。
【0097】
図3に示される第2のドッキング要素2の有利な実施形態は、凸面21の最上点において一体化された第2の中央電気接点部203をさらに備える。
【0098】
具体的に、第2の中央電気接点部203は、第2のドッキング要素2が第1のドッキング要素1にドッキングする場合、第1のドッキング要素1の第1の中央電気接点部103に接続するように適合される。
【0099】
【0100】
図4に示される弾性要素3の有利な実施形態では、弾性要素3は、少なくとも3つの管状セグメント31、具体的に本明細書中では4つの管状セグメント31を備え、各管状セグメント31は、リング状構造を形成するためにブリッジ32によって他の2つの管状セグメント31に連結する。各管状セグメント31には中心軸301がある。管状セグメント31のそれぞれの中心軸301はすべて、1つの点で交差し、かつ、リング状構造の外側の点でリング状構造の軸300と交差する。中心軸301の交点は、弾性要素3の枢動点である。
【符号の説明】
【0101】
【国際調査報告】