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▶ ビーダブリューエックスティー アイソトープ テクノロジー グループ、インコーポレイテッドの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】定置洗浄および生成物回収方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 9/027 20060101AFI20240401BHJP
   B08B 9/08 20060101ALI20240401BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B08B9/027
B08B9/08
G21F9/28 521D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562773
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022024551
(87)【国際公開番号】W WO2022221369
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/175,885
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/718,659
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519307539
【氏名又は名称】ビーダブリューエックスティー アイソトープ テクノロジー グループ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンデルソン、ジョン、エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ハミルトン、カーティス、ジー.
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA11
3B116AA12
3B116AA21
3B116AB51
3B116BC01
3B116CD11
(57)【要約】
化学物質または核物質を有するシステム内のパイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、もしくは関連する取付具に熱を加え、熱を加えることが、システムを分解することなく定位置で洗浄し、および/または生成物を回収するという結果をもたらす、洗浄の方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学物質または核物質を備えるシステム内のパイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、もしくは関連する取付具に熱を加えることであって、前記熱を加えることが、前記システムを分解することなく定位置で洗浄するという結果をもたらす、熱を加えることを含む方法。
【請求項2】
熱を加えることが、前記パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、または関連する取付具に熱風を吹き込むことによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
熱を加えることが、外部からの直接加熱によって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
熱を加えることが、外部のヒートガンによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
熱を加えることが、生成物の破壊温度よりも高い温度で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、または関連する取付具を空気で吹き飛ばすことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
化学物質または核物質を備えるシステム内のパイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、もしくは関連する取付具に熱を加えることであって、前記熱を加えることが、生成物を回収するという結果をもたらす、熱を加えることを含む方法。
【請求項8】
熱を加えることが、前記パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、または関連する取付具に熱風を吹き込むことによって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
熱を加えることが、外部からの直接加熱によって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
熱を加えることが、外部のヒートガンによって行われる、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定置洗浄(clean-in-place:CIP洗浄)の方法に関し、より詳細には、定置洗浄(CIP洗浄)および生成物回収のために熱を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
業界では、定置洗浄(CIP)は、分解することなく、パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、および関連する取付具の内部表面を洗浄する方法である。水、化学物質、ドライアイス、または機器と容器と配管とを洗浄する物理的手段を使用する定置洗浄のための既存の方法がある。
【0003】
液体CIPシステムでは、側面を洗い流すため化学容器に噴射ノズルを介して付加される液体は、水であることが多い。水および残留物質は化学容器内で撹拌され、水は、化学容器から配管を通って他の機器およびシステムにポンプ供給され、または廃棄される。
【0004】
液体CIPシステムには、関連する数多くの欠点があり、とりわけ、高いエネルギーコスト、廃棄物処理の問題、およびより大きな設備コストが含まれる。システムには、余分な液体が付加される。液体は、機器を通して運ばれるか、廃水として処分されるかのいずれかである。このような方法は、例えば、乾燥時間を増加させ、または発生する廃水の量を増加させる。
【0005】
本発明の方法は、これらの欠点を克服する新しいCIP方法を対象とする。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、定置洗浄(CIP洗浄)方法としておよび生成物回収目的のために主に使用される方法に関する。
【0007】
本発明の一実施形態では、洗浄方法が提供される。この方法は、化学物質または核物質を備えるシステム内のパイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、および関連する取付具に熱を加えることであって、熱を加えることが、システムを分解することなく定位置で洗浄するという結果をもたらす、熱を加えることを含む。
【0008】
本発明の一実施形態では、生成物回収の方法が提供される。この方法は、化学物質または核物質を備えるシステム内のパイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、もしくは関連する取付具に熱を加えることであって、熱を加えることが、生成物を回収するという結果をもたらす、熱を加えることを含む。
【0009】
本発明の一態様では、熱を加えることは、熱風を吹き付けることによって行われる。
【0010】
本発明の一態様では、熱を加えることは、外部からの直接加熱によって行われる。
【0011】
本発明の一態様では、熱を加えることは、外部のヒートガンによって行われる。
【0012】
本発明の一態様では、熱を加えることは、生成物の破壊温度よりも高い温度で行われる。
【0013】
本発明の一態様では、方法は、パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、または関連する取付具を空気で吹き飛ばすことをさらに含む。
【0014】
本発明のさらなる適用可能な領域は、本明細書において以降提供される詳細な説明から明らかになるであろう。詳細な説明および特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示的なものであり、本発明、その用途、または使用を限定するものでは全くない。以下の説明は、本発明の権能付与的な開示を提供するために単に例として本明細書に提供されるが、本発明の範囲または内容を限定するものではない。
【0016】
さらに、本開示および添付の特許請求の範囲で使用される「または」という用語は、排他的な「または」ではなく、包括的な「または」を意味するものである。すなわち、別段の指定がなく、または文脈から明らかでない限り、「XはAまたはBを利用する」という句は、自然な包括的置換のいずれかを意味するものである。すなわち、「XはAまたはBを利用する」という句は、以下の例「XはAを利用する」、「XはBを利用する」、または「XはAおよびBの両方を利用する」のいずれかによって満たされる。さらに、本出願および添付の特許請求の範囲で使用される冠詞「一」および「ある」は、別段の指定がなく、または単数形を対象とすることが文脈から明らかでない限り、概して「1つまたは複数」を意味すると解釈されるべきである。本明細書および特許請求の範囲を通して、以下の用語は、文脈に別段の定めがない限り、少なくとも本明細書に明示的に関連する意味をとる。以下で特定される意味は、必ずしも用語を限定するものではなく、用語の単なる例示的な例を提供するものである。「一」、「ある」、「その」の意味は、複数の参照を含んでもよく、「の中に」の意味は、明らかに文脈に別段の定めがない限り、「の中に」、「において」、および/または「の上に」を含んでもよい。本明細書で使用される「1つの実施形態では」という語句は、必ずしも同じ実施形態を指さないが、同じ実施形態を指してもよい。
【0017】
本発明は、定置洗浄(CIP洗浄)方法としておよび/または生成物回収のために主に使用される方法である。
【0018】
本方法は、分解することなく、パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、および関連する取付具に熱を加えることを含む。本発明による多様な技法によって熱を加えることができる。パイプ、容器、プロセス用機器、フィルター、および関連する取付具への、ジャケットなどを介した外部からの直接加熱によって、熱を加えることができる。外部のヒートガンによって、熱を加えることができる。配管および/または他のシステム機器を通して、加熱された空気および/または他のガスを吹き付けることによって、熱を加えることができる。
【0019】
生成物を剥がすために、生成物の破壊温度よりも高い温度で熱が加えられることが好ましい。加熱によって生成物の特性が変化する。熱を加えて、生成物残留物を加熱し、生成物残留物を剥がしまたは剥離させ、次いで空気で吹き飛ばして洗浄剤の必要性を低減する。
【0020】
化学施設または核施設などの物質移送ラインを洗浄するために、液体定置洗浄プロセスの代わりにまたはそれと共に、熱を使用することができる。例えば、本発明の方法は、化学容器システム(CVS:chemistry vessel system)および/または生成物洗い流しシステム(PWS:product wash system)を洗浄するために使用されることができる。この方法は、温度依存性の化学生成物または医薬品と接触している濡れた表面を洗浄するために使用されることもできる。
【0021】
本発明の洗浄方法は、多様な用途で使用されることができる。そのような用途の1つは、パイプ洗浄および/または生成物洗い流しシステム(PWS)洗浄である。例えば、洗い流して濃縮したスラリーをヌッチェ(フィルター)に移送した後、PWSに加熱空気を吹き込む。物質は次第に剥がれ、下流に吹き飛ばされる。配管からの乾燥物質は、ヌッチェ(フィルター)に移送されることができ、残りの一群と組み合わされることができる。プロセスに実装されていない場合に、本方法は、少なくともPWS内のクロスフローフィルターの洗浄に適用されることができる。内部の物質は乾燥し、単純に叩いて落とすことができる。これは、目詰まりした物質を除去することにおいて、単純な水洗よりも効果的であることが証明されている。
【0022】
別のそのような用途は、タンク洗浄である。上記と同様に、物質が化学容器から出てヌッチェ(フィルター)に移送された後、化学容器を加熱することができる。物質は側面から剥がれ、タンクの底部に集まる。その物質は、同様にヌッチェ(フィルター)に真空移送されることができ、または洗浄されるまで容器内に留まることができる。
【0023】
いくつかのプロセスでは、プリンのような粘度を有するスラリーが、パイプおよび/またはフィルターを通してポンプ供給され、化学容器および配管内に残留物を残す。本発明の方法は、残される生成物の量を低減するために使用されることができる。
【0024】
本発明の方法の利点の中には、生成物の収率および収入を増加させることができる潜在的に高い生成物回収率、廃水発生の低減、ならびに配管およびシステム内の残留物質がより少ないことと、洗剤の最終生成物と、洗浄手順の緩和とによる配管およびPWS構成要素のより容易な洗浄がある。
【0025】
実施例1
本発明に従って、パイプ洗浄試験を行った。1インチ内径(ID:Inner Diameter)のプラスチックパイプ内の残留濃縮物質を除去するために、ヒートガンを使用した。濃縮されたスラリーをパイプに注いだ。パイプを垂直に向けて、物質を底部から流出させた。次いで、ヒートガンを使用して、チューブに熱風を吹き付けて、残留物質を乾燥させた。スラリーは目に見えて乾燥し、ヒートガンの近傍で剥がれた。パイプは空から濡れた物質へと進行し、次いで部分的に洗浄された。試験はおおよそ5分間継続した。パイプが空であることを示す写真を撮影した。パイプが物質で濡れていることを示す写真を撮影した。パイプが部分的に洗浄されたことを示す写真を撮影した。
【0026】
実施例2
再循環タンクについてタンク洗浄試験を行った。ステンレス鋼のタンク表面から濃縮されたスラリーを除去するために、外部電気ヒーターを使用した。濃縮スラリーをステンレス鋼タンクの内側表面に広げた。外部ヒーターをオンにした。実験はおよそ5分間継続した。ヒーターをオンにする前に写真を撮影した。ヒーターを約5分間オンにした後に写真を撮影した。加熱された表面と加熱されていない表面との間には、目に見える差があった。熱がタンクと接触しているところで、明らかに物質が側面から剥がれたことがわかった。
【0027】
したがって、本発明には広範な有用性および用途が可能であることが、当業者に容易に理解されよう。本発明の内容または範囲から逸脱することなく、本明細書に記載されたもの以外の本発明の多くの実施形態および適合、ならびに多くの変形、修正および均等な構成は、本発明およびその前述の説明から明らかになり、またはそれらによって合理的に示唆される。したがって、本発明は、その好ましい実施形態に関連して本明細書で詳細に説明されたが、本開示は単に例示であり、本発明の例示的なものであり、本発明の完全かつ権能付与的な開示を提供する目的のためだけに作成されていることを理解されたい。前述の開示は、本発明を限定し、または他の方法で他のそのようないずれかの実施形態、適合、変形、修正、および均等な構成を排除するものではなく、またはそのように解釈されるべきではない。
【国際調査報告】