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特表2024-515286睡眠時無呼吸事象をモニタリングする着用可能リングデバイスおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸事象をモニタリングする着用可能リングデバイスおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/08 20060101AFI20240401BHJP
   A61B 5/1455 20060101ALI20240401BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240401BHJP
   A61B 5/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A61B5/08
A61B5/1455
A61B5/00 102A
A61B5/02 310A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562790
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-12
(86)【国際出願番号】 US2022024747
(87)【国際公開番号】W WO2022221487
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/175,070
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520282649
【氏名又は名称】アプニメッド,インコーポレイテッド(デラウェア)
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100187850
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】ボニフィシオ,ウィリアム,ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ローレンス,ジー.
(72)【発明者】
【氏名】モルナー,デニス
(72)【発明者】
【氏名】ウェルマン,ディー.,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
4C017
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA09
4C017AA12
4C017AA20
4C017AB03
4C017AC26
4C017BB12
4C017BC11
4C017BD06
4C017FF05
4C017FF17
4C038KK04
4C038KL05
4C038KL07
4C038KY01
4C038SS09
4C038SU18
4C038SV00
4C038SX01
4C117XA01
4C117XB02
4C117XB06
4C117XC11
4C117XD17
4C117XE13
4C117XE14
4C117XE37
4C117XE54
4C117XG05
4C117XG17
4C117XG18
4C117XG19
4C117XG38
4C117XP03
4C117XP05
(57)【要約】
ユーザーの先端、例えば指上で着用可能であるバンドを含む健康モニタリングシステム。パルスオキシメトリーセンサーはバンドの内表面に配置され、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集するように構成される。エレクトロニックコントロールユニット(ECU)はパルスオキシメトリーセンサーに連結される。バンドがユーザーに着用される場合、パルスオキシメトリーセンサーは、心拍数および血液酸素レベルデータを収集し、収集されたデータをECUに送信する。ECUは、収集されたデータをパルスオキシメトリーセンサーから受信し、収集されたデータを処理し、3秒以下毎などの時間間隔で処理されたデータを記憶する。バンドがユーザーから取り外される場合、ECUは、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを遠隔デバイスに送信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの指を少なくとも部分的に囲むように構成される内表面を含むフィンガーバンド;
フィンガーバンドの内表面に配置され、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集するように構成されるパルスオキシメトリーセンサー;
フィンガーバンドに配置され、パルスオキシメトリーセンサーに連結されるエレクトロニックコントロールユニット(ECU)、ここで該ECUは、電子回路および関連のあるソフトウェアを含み、電子回路は、データプロセッサ、記憶ユニットおよび送信機を含む;
を含む、健康モニタリングシステムであって、
パルスオキシメトリーセンサーは、フィンガーバンドが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集し、収集されたデータを睡眠事象の間にECUに送信し;
ECUは、フィンガーバンドが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、収集されたデータをパルスオキシメトリーセンサーから受信し、収集されたデータをデータプロセッサにより処理し、3秒以下毎の時間間隔で処理されたデータを記憶ユニットに記憶し;
ECUは、フィンガーバンドが睡眠事象の後にユーザーから取り外される場合、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、睡眠時無呼吸をモニタリングするために、送信機を介して遠隔デバイスに送信する、健康モニタリングシステム。
【請求項2】
パルスオキシメトリーセンサーが、赤外および赤色の波長の光をユーザーに方向づけるための光放射器ならびに赤外および赤色の波長の光をユーザーから受信するための光検出器を含む、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項3】
光放射器が、フィンガーバンドの内表面の第1の位置に配置され、電気的に動力供給される場合に、光のビームを半径方向の経路に沿って方向づけ、光検出器が、第1の位置から離れて半径方向の経路内にあるフィンガーバンドの内表面の第2の位置に配置される、請求項2記載の健康モニタリングシステム。
【請求項4】
パルスオキシメトリーセンサーが、1秒以下毎の時間間隔でユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項5】
パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの心拍を示すデータを収集することに応答して、ユーザーの血液酸素レベルを示すデータを収集する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項6】
パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの心拍数に関連する時間間隔で、ユーザーの血液酸素レベルを示すデータを収集する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項7】
ユーザーの心拍数が、ユーザーの平均心拍数を含む、請求項6記載の健康モニタリングシステム。
【請求項8】
フィンガーバンドに配置されるセンサーが、フィンガーバンドがユーザーに着用されている場合に検知し、バンドがユーザーに着用されていることを検知するセンサーに応答して、パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集することならびに収集されたデータを睡眠事象の間にECUに送信することを開始する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項9】
センサーがパルスオキシメトリーセンサーを含む、請求項8記載の健康モニタリングシステム。
【請求項10】
睡眠事象の後、フィンガーバンドに配置されるセンサーが、フィンガーバンドがユーザーに着用されていないことを検知し、睡眠事象の後にバンドがユーザーに着用されていないことを検知するセンサーに応答して、ECUが、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、送信機を介して遠隔デバイスに送信する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項11】
センサーがパルスオキシメトリーセンサーを含む、請求項10記載の健康モニタリングシステム。
【請求項12】
フィンガーバンドに配置され、ユーザーの動きを示すデータを収集するように構成されるアクチメトリーセンサーをさらに含む、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項13】
アクチメトリーセンサーが、フィンガーバンドが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、ユーザーの動きを示すデータを収集し、収集されたデータを睡眠事象の間にECUに送信し、ECUが、フィンガーバンドが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、収集されたデータをアクチメトリーセンサーおよびパルスオキシメトリーセンサーから受信し、収集されたデータをデータプロセッサにより処理し、処理されたデータを記憶ユニットに記憶する、請求項12記載の健康モニタリングシステム。
【請求項14】
ECUが、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを遠隔デバイスに無線で送信する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項15】
パルスオキシメトリーセンサーが、0.50Hzより高い周波数で血液酸素飽和を示すデータを収集する、請求項1記載の健康モニタリングシステム。
【請求項16】
睡眠事象の間にユーザーに着用され、フィンガーバンドの内表面に配置されるパルスオキシメトリーセンサーおよびパルスオキシメトリーセンサーに連結されるエレクトロニックコントロールユニット(ECU)を含むフィンガーバンドを提供する工程;
睡眠事象の間にフィンガーバンドがユーザーに着用される間、3秒以下毎の時間間隔でパルスオキシメトリーセンサーを介してユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数を示すデータを収集し、収集されたデータをECUに送信する工程;
睡眠事象の間にフィンガーバンドがユーザーに着用される間、ECUで収集されたデータを受信することに応答して、収集されたデータを、ECUのデータプロセッサを介して処理し、処理されたデータをECUの記憶ユニットで記憶する工程;および
睡眠事象の後にフィンガーバンドをユーザーから取り外した後に、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、ECUの送信機を介して遠隔デバイスに送信する工程
を含む、健康データを測定するための方法。
【請求項17】
ECUがフィンガーバンドに配置される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
ECUがフィンガーバンドから離れる、請求項16記載の方法。
【請求項19】
ECUが遠隔デバイスに配置される、請求項18記載の方法。
【請求項20】
パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの血液酸素レベルを示すデータを、ユーザーの心拍数を示す時間間隔で収集する、請求項16記載の方法。
【請求項21】
収集されたデータを処理する工程が、低酸素負荷値を計算することを含む、請求項16記載の方法。
【請求項22】
ユーザーの先端を少なくとも部分的に囲むように構成される内表面を含む着用可能バンドデバイス;
着用可能バンドデバイスの内表面に配置され、赤外および赤色の波長の光を、ユーザーの先端を通して送信するための光放射器および赤外および赤色の波長の光をユーザーから受信するための光検出器を含むパルスオキシメトリーセンサー;
パルスオキシメトリーセンサーに電気的に連結されるエレクトロニックコントロールユニット(ECU)、ここでECUは電子回路および関連のあるソフトウェアを含み、電子回路はデータプロセッサ、記憶ユニットを含む;
を含む、健康モニタリングシステムであって、
パルスオキシメトリーセンサーは、着用可能バンドデバイスが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集し、収集されたデータを睡眠事象の間にECUに送信し;
ECUは、収集されたデータをパルスオキシメトリーセンサーから受信し、収集されたデータをデータプロセッサにより処理し、処理されたデータを2秒以下毎の時間間隔で記憶ユニットに記憶し;
睡眠事象の後に着用可能バンドデバイスがユーザーから取り外される場合、記憶ユニットに記憶されるデータは、ECUまたは睡眠時無呼吸を検出、診断もしくはモニタリングするための第2のデバイスの少なくとも1つにより処理される、
健康モニタリングシステム。
【請求項23】
光放射器が、着用可能バンドデバイスの内表面の第1の位置に配置され、電気的に動力供給される場合、光のビームを半径方向の経路に沿って方向づけ、光検出器が、第1の位置から離れて半径方向の経路内にある着用可能バンドデバイスの内表面の第2の位置に配置される、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項24】
パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを1秒以下毎の時間間隔で収集する、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項25】
パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの血液酸素レベルを示すデータをユーザーの心拍数を示す時間間隔で収集する、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項26】
パルスオキシメトリーセンサーが、約1Hzの周波数で血液酸素飽和を示すデータを収集する、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項27】
着用可能バンドデバイスに配置されるセンサーが、着用可能バンドデバイスがユーザーに着用されている場合に検知し、着用可能バンドデバイスがユーザーに着用されていることを検知するセンサーに応答して、パルスオキシメトリーセンサーが、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータの収集ならびに収集されたデータの睡眠事象の間のECUへの送信を開始する、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項28】
センサーがパルスオキシメトリーセンサーを含む、請求項27記載の健康モニタリングシステム。
【請求項29】
睡眠事象の後、着用可能バンドデバイスに配置されるセンサーが、着用可能バンドデバイスがユーザーに着用されていないことを検知し、睡眠事象の後にバンドがユーザーに着用されていないことを検知するセンサーに応答して、ECUが、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、送信機を介して遠隔デバイスに送信する、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項30】
センサーがパルスオキシメトリーセンサーを含む、請求項29記載の健康モニタリングシステム。
【請求項31】
着用可能バンドデバイスに配置され、ユーザーの動きを示すデータを収集するように構成されるアクチメトリーセンサーをさらに含む、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項32】
アクチメトリーセンサーが、着用可能バンドデバイスが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、ユーザーの動きを示すデータを収集し、収集されたデータを睡眠事象の間にECUに送信し、ECUが、着用可能バンドデバイスが睡眠事象の間にユーザーに着用される場合、収集されたデータをアクチメトリーセンサーおよびパルスオキシメトリーセンサーから受信し、収集されたデータをデータプロセッサにより処理し、処理されたデータを記憶ユニットに記憶する、請求項31記載の健康モニタリングシステム。
【請求項33】
ECUが、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを遠隔デバイスに無線で送信する、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【請求項34】
着用可能バンドデバイスがユーザーの先端を囲むように構成され、該先端が、指、手首、前腕、上腕、足関節、脚、足または足指を含む、請求項22記載の健康モニタリングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願についての他所参照
本願は、2021年4月15日に出願された米国仮出願63/175,070に対する優先権を主張する。この先願の開示は本願の開示の一部とみなされ、その全体において参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本開示は、パルスオキシメトリーセンサー、より具体的には睡眠時無呼吸をスクリーニング、モニタリング、診断および検出する着用可能リングデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ユーザー着用可能デバイスを着用するユーザーについての健康データを収集および追跡するためのユーザー着用可能デバイスにおいて種々のセンサーを提供することが知られる。デバイスは一般的に、ユーザーの心拍数、血液酸素レベルおよび身体の動きを示すデータを収集する。さらに、診断および患者モニタリングの目的で、睡眠ポリグラフ計の間などに、医療設定において着用可能健康追跡器が一般的に使用される。一般的に睡眠試験と称される睡眠ポリグラフ計は、睡眠時無呼吸を診断するために頻繁に使用される。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示は、ユーザーの先端の周囲に着用されるバンド、例えばユーザーの指または手首の周囲のフィンガーバンドの内表面に配置されるパルスオキシメトリーセンサーを有する着用可能バンドまたはリングデバイスを含む、健康モニタリングシステムを提供する。バンドがユーザーに着用される場合、パルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーの先端を通る光透過率を使用して、時間間隔、例えば3秒以下毎または2秒以下毎または1秒以下毎でユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集する。センサーは収集されたデータをエレクトロニックコントロールユニット(ECU)に送信し、これは、別の連結された着用可能デバイスまたはそうでなければ遠隔デバイス上の検知バンド上に配置され得る。ECUは、データプロセッサを介して収集されたデータを処理し、処理されたデータを記憶ユニットに記憶する。モニタリングされる事象または睡眠事象の後など、ECUが処理されたデータを記憶している時間の持続時間の後、ECUは、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、送信機を介して別の着用可能または遠隔デバイスに送信し得る。遠隔デバイスは、受信されたデータをさらに処理し、さらに処理されたデータを表示するように、例えばモニタリングされた事象を過去または関連のある情報と相関または比較するように作動し得る。そのため、収集されたデータは、睡眠時無呼吸をスクリーニング、検出、診断またはモニタリングする目的で処理および分析され得る。
【0005】
着用可能バンドデバイスのパルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーの先端を通る透過率を介してユーザーの血液酸素および心拍数データを収集するように、バンドの反対側に光源および光センサーを含み得る。また、着用可能バンドデバイスは、パルスオキシメトリーセンサーおよび対応するECUを作動させる内(self-contained)バッテリーを含み得るので、ユーザーは、アクセサリーデバイスまたは電源への有線の連結なく、デバイスを着用および操作し得る。着用可能バンドデバイスは、迅速な時間間隔、例えば1または2または3秒以下毎にモニタリングされる事象の間にデータを収集し、収集されたデータを処理し、処理されたデータを実質的に同じ迅速な時間間隔で記憶する。着用可能バンドデバイスは、高度に正確な示度(reading)を提供し、ユーザーの身体でセンサーの信頼性のある保持を提供する。そのため、着用可能バンドデバイスは、延長された時間、例えば睡眠事象または一般的に一晩の間にわたりユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数をスクリーニング、検出、モニタリングおよび分析する向上された方法を提供する。
【0006】
本開示の一局面によると、健康モニタリングシステムは、ユーザーの指を少なくとも部分的に囲むように構成される内表面を有するフィンガーバンドを含む。フィンガーバンドの内表面に配置されるパルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集するように構成される。エレクトロニックコントロールユニット(ECU)は、フィンガーバンドに配置され、パルスオキシメトリーセンサーに連結される。ECUは、電子回路および関連のあるソフトウェアを含む。電子回路は、データプロセッサ、記憶ユニットおよび送信機を含む。睡眠事象または一晩の間にフィンガーバンドがユーザーに着用される場合、パルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集し、収集されたデータを、睡眠事象または一晩の間にECUに送信する。睡眠事象または一晩の間にフィンガーバンドがユーザーに着用される場合、ECUは、パルスオキシメトリーセンサーから収集されたデータを受信し、収集されたデータをデータプロセッサにより処理し、2秒以下毎の時間間隔で処理されたデータを記憶ユニットに記憶する。睡眠事象または一晩の後にユーザーからフィンガーバンドが取り外されると、ECUは、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、Bluetooth、wifi、ワイヤまたはデータを迅速に送信する別の手段を使用して、送信機を介して遠隔デバイスに送信する。
【0007】
本開示の実行は、以下の任意の特徴の1つ以上を含み得る。いくつかの実行において、パルスオキシメトリーセンサーは、フィンガーバンドの内表面で第1の位置に配置される光放射器および第1の位置から離れたフィンガーバンドの内表面で第2の位置に光検出器を含む。電気的に動力を供給される場合に光放射器は、光のビームを半径方向の経路に沿って方向づけ、光検出器は、半径方向の経路内の第2の位置に配置される。いくつかの実行において、パルスオキシメトリーセンサーは、1秒以下毎の時間間隔でユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集する。いくつかの例において、パルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーを示すデータを収集することに応答してまたはユーザーの心拍数、例えばユーザーの平均心拍数を示す時間間隔で、ユーザーの血液酸素レベルを示すデータを収集する。いくつかの実行(implimentation)において、パルスオキシメトリーセンサーは、約1Hzより高いかまたは約1Hz、0.75Hzより高い、0.50Hzより高いまたは0.25Hzより高い周波数で、血液酸素飽和を示すデータを収集する。
【0008】
いくつかの実行において、着用可能バンドデバイスに配置されるセンサー、例えばパルスオキシメトリーセンサーは、バンドがユーザーに着用されている場合に検知し、バンドがユーザーに着用されていることを検知するセンサーに応答して、パルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータの収集ならびに収集されたデータの睡眠事象の間のECUへの送信を開始する。いくつかの実行において、睡眠事象の後、バンドに配置されるセンサー、例えばパルスオキシメトリーセンサーは、バンドがユーザーに着用されていないことを検知し、睡眠事象後にバンドがユーザーに着用されていないことの検知に応答して、ECUは、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、送信機を介して遠隔デバイスに送信する。さらに、リングデバイスのいくつかの実行は、ユーザーの動きを示すデータを収集する、例えば収集された動きデータを睡眠事象の間にECUに送信するためにバンドに配置されるアクチメトリーセンサーを含み、該データはユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数を示す収集されたデータで処理されるべきである。いくつかの実行において、アクチメトリーセンサーからの信号はまた、または代替的に、睡眠事象が停止または開始したことを示し得る。
【0009】
本開示の別の局面によると、健康データを測定するための方法は、睡眠事象または一晩の間にユーザーに着用される着用可能バンドデバイスを提供することを含む。バンドは、バンドの内表面に配置されるパルスオキシメトリーセンサーおよびパルスオキシメトリーセンサーに連結されるECUを含む。バンドが睡眠事象の間にユーザーに着用されながら、該方法は、2秒以下毎の時間間隔でパルスオキシメトリーセンサーを介してユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数を示すデータを収集すること、ならびに収集されたデータをECUに送信することを含む。バンドは、睡眠事象の間および収集されたデータをECUで受信することに応答してユーザーに着用される間、該方法はさらに、収集されたデータを、ECUのデータプロセッサを介して処理することおよび処理されたデータをECUの記憶ユニットで記憶することを含む。該方法はさらに、睡眠事象後にフィンガーバンドがユーザーから取り外された後に、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、Bluetooth、wifi、ワイヤまたはデータを迅速に送信する別の手段を使用してECUの送信機を介して遠隔デバイスに送信することを含む。
【0010】
この局面は、以下の任意の特徴の1つ以上を含み得る。いくつかの実行において、ECUは、着用可能バンドデバイスにまたはバンドから離れて、例えば遠隔デバイスに配置される。いくつかの実行において、パルスオキシメトリーセンサーは、ユーザーの心拍数を示す時間間隔でユーザーの血液酸素レベルを示すデータを収集する。さらに、収集されたデータを処理することは、低酸素負荷値(hypoxic burden value)を計算することを含み得る。
【0011】
本開示の1つ以上の実行の詳細は添付の図面および以下の説明に記載される。他の局面、利点、目的および特徴は、図面に関して以下の明細書を検討する際に、明確である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の簡単な説明
図1A図1Aは、可動デバイスに無線で連結された着用可能リングデバイスの斜視図である。
図1B図1Bは、図1Aの着用可能リングデバイスの概略図である。
図2図2は、図1Aの着用可能リングデバイスの側平面図(side plan view)である。
図3図3A~3Cは、フィンガーリングパルスオキシメーターデバイスに無線で連結されたスマートフォンでの使用におけるスマートフォンアプリケーションの図である。
図4図4は、着用可能な適切なデバイスを用いて健康データを測定するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図5図5は、指先オキシメーターデバイスおよびフィンガーリングオキシメーターデバイスを使用した複数の重度の無呼吸事象の間に収集された経時的なユーザーの血液酸素レベルの示度を比較するグラフである。
図6図6は、指先オキシメーターデバイスおよびフィンガーリングオキシメーターデバイスを使用した複数の重度の無呼吸事象の間に収集された経時的なユーザーの血液酸素レベルの示度を比較するグラフである。
図7図7は、指先オキシメーターデバイスおよびフィンガーリングオキシメーターデバイスを使用した複数の軽度の無呼吸事象の間に収集された経時的なユーザーの血液酸素レベルの示度を比較するグラフである。
図8図8は、指先デバイスに不正確な示度を収集させた事象の間の指先オキシメーターデバイスおよびフィンガーリングオキシメーターデバイスを使用して収集された経時的なユーザーの血液酸素レベルの示度を比較するグラフである。
図9図9は、指先デバイスに不正確な示度を収集させた事象の間の指先オキシメーターデバイスおよびフィンガーリングオキシメーターデバイスを使用して収集された経時的なユーザーの血液酸素レベルの示度を比較するグラフである。
図10図10は、指先オキシメーターデバイス、0.25Hzの周波数で酸素飽和を記録するフィンガーリングオキシメーターデバイスおよび1Hzの周波数で酸素飽和を記録するフィンガーリングオキシメーターデバイスを使用して収集された経時的なユーザーの血液酸素レベルの示度を比較するグラフである。
【0013】
種々の図面における同様の参照記号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
ここで図面およびそこに示される例示的な例を参照すると、ユーザーにより着用可能であり、別の遠隔デバイス8に無線で連結可能なバンドまたはリングデバイス10、例えば着用可能デバイス(例えば腕時計)、スマートフォン、パーソナルコンピューターまたはワイヤレスネットワークを含む健康モニタリングシステムが示される。着用可能バンドまたはリングデバイス10は、ユーザーの先端の周囲に着用されるバンド12、例えばフィンガーバンド、リストバンド、アンクルバンド等に配置されるパルスオキシメトリーセンサー14を有する。リングデバイス10のバンド12は、ユーザーの指を少なくとも部分的に囲むように構成され、フィンガーバンド12の内表面16に配置されるパルスオキシメトリーセンサー14を含む。パルスオキシメトリーセンサー14は、ユーザーの皮膚および軟部組織などのユーザーの先端を通る光透過率を使用する。光透過率を使用して、パルスオキシメトリーセンサー14は、3秒以下毎または2秒以下毎または1秒以下毎などの時間間隔でユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集する。
【0015】
センサーは、着用可能バンドデバイス10上、別の連結される着用可能なデバイス上またはそうでなければ遠隔デバイス8上に配置され得るエレクトロニックコントロールユニット(ECU)に収集されたデータを送信する。ECUは、フィンガーバンドに配置され、パルスオキシメーター14に連結されるデータプロセッサ、記憶ユニットおよび送信機のための回路、例えばフィンガーバンドもしくは別の着用可能なデバイスに配置される場合は有線連結または別の着用可能なデバイスもしくは遠隔デバイスに配置される場合は無線連結を含み得る。バンドがモニタリングされる事象(例えば睡眠事象、一晩または身体の活動)と称され得る持続時間の間にユーザーに着用される場合、パルスオキシメトリーセンサー14は、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集し、収集されたデータを事象の間にECUに送信する。モニタリングされる事象の間に、ECUは、パルスオキシメトリーセンサーから収集されたデータを受信し得、収集されたデータをデータプロセッサにより処理し得、選択された時間間隔で処理されたデータを記憶ユニットに記憶し得る。収集および処理されたデータを記憶するための選択される時間間隔は、モニタリングされる事象の一過的な期間に高い精度で分析され得るデータを捕捉するために3秒以下毎、2秒以下または1秒以下であり得る。モニタリングされる事象の後(例えばユーザーが起床するかまたは身体活動を停止する際)、ECUは、記憶ユニットに記憶される処理されたデータを遠隔デバイスに送信する。そのため、健康モニタリングシステムは、バンドデバイスを介して事象にわたり選択時間間隔(例えば2秒以下毎)でユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集、処理および記憶し、事象の後に記憶されたデータを遠隔デバイスに送信するように構成される。以下の開示を通じて明らかになるように、この健康モニタリングシステムは、いくつかの異なる文脈においておよびユーザーまたは種々の呼吸、肺および心臓血管疾患ならびに障害を有する患者の酸素化レベルをモニタリングするあるいは身体の活動の間に心拍数および酸素化をモニタリンするなどの種々の使用のために適用可能である。本明細書において具体的に議論されるように、本開示による健康モニタリングシステムおよび対応する着用可能リングデバイスは、睡眠時無呼吸ならびに関連のある症状および状態の医学的治療、投与、診断、表現型決定(phenotyping)、スクリーニングおよび進行中のモニタリングに利益を与え得る。
【0016】
睡眠時無呼吸は、睡眠の間にヒトの呼吸が反復的に停止して開始する(無呼吸事象として知られる)医学的状態であり、落ち着かない睡眠、いびき、睡眠の間の呼吸の息切れおよび時々無呼吸事象により引き起こされる他の深刻な問題を生じ得る。多くの形態の睡眠時無呼吸があるが、最も一般的な形態の睡眠時無呼吸は、閉塞性睡眠時無呼吸および中枢性睡眠時無呼吸である。閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、咽頭筋肉が弛緩して、気道を虚脱する際に起こり、中枢性睡眠時無呼吸は、脳が、呼吸を制御する筋肉に適切な信号を送らない際に起こる。無呼吸事象は軽度から重度の範囲であり、約10秒から30秒またはそれ以上の長さで持続し、ヒトの呼吸が一晩の睡眠の間に約30秒以上の間、複数回停止し得ることを意味する。無呼吸事象は睡眠時無呼吸に苦しむヒトを常に起こすわけではないので、睡眠時無呼吸はしばしば、長期間検出され得ず、診断され得ない。
【0017】
伝統的に、睡眠時無呼吸は、睡眠ポリグラフ計(一般的に睡眠試験またはPSGと称される)により診断され、その間に実験室技術者は、オキシメータセンサーなどの一組のセンサーを介して終夜の睡眠の間に患者をモニタリングする。オキシメータセンサーは、ユーザーに着用される場合、ユーザーの血液酸素レベルを測定する。睡眠の間に、低い血液酸素レベルは、無呼吸事象を示し得る。睡眠ポリグラフ計は、一般的にヒトの心拍数、脳波、呼吸ならびに目および身体の動きも測定して、落ち着かないまたは中断される睡眠の他の指標を検出する。一旦ヒトが睡眠時無呼吸を有すると診断されると、通常は着用可能呼吸デバイス(例えばマスク付きCPAPマシン)、口に配置される口腔デバイスまたは潜在的に薬理学的な治療などの処置が処方される。
【0018】
睡眠時無呼吸のための治療として治療薬を処方することに関連する1つの問題は、個々の患者に対して正確な用量を達成することにおける困難さである。患者が医薬の服用を始める後、無呼吸事象がないことは、薬物が意図したとおりに作用していることを示し得る。しかしながら、しばしば医薬の投与を、無呼吸事象を予防するのに必要な最小レベルまで低減すること、例えば副作用を低減することまたは処方費用を低減することが望ましい。睡眠中に患者の血液酸素レベルおよび心拍数をモニタリングすることは、無呼吸事象の発症(または非存在)、長さおよび重症度を示し得るので、処方される薬物の効力を測定するための比較的簡単な方法であり得る。しかしながら、特定の患者に対して治療を調整することは、しばしば適切なものを見出す前に長時間、いくつかの異なる用量または他の調整のそれぞれを試験することを必要とする。さらに、患者の用量を経時的に調整して、患者が耐性を築くかまたは医薬副作用に感受性になるかまたは体重を減少してより少ない医薬/治療を必要とする場合に医薬の最適な有効性を維持することが一般的である。また、多くの患者は経時的により治療に厳守(adherent)しなくなる。そのため、長時間にわたり睡眠中に患者の血液酸素レベルおよび心拍数をモニタリングすることが非常に望ましく、患者に異なる用量レベルまたは強度で治療を処方して、治療養生法を最適化するように目指しながら、無呼吸事象が適切に治療されることを確実にする。
【0019】
さらに、睡眠の間に血液酸素レベルおよび心拍数の可能な限り正確な示度を達成することは、最適な治療を適切に調整することにおいて重要である。無呼吸事象がより重度でなくなる、より低い頻度になるおよび/またはより短い長さになるにつれて、血液酸素レベル(または無呼吸事象の他の指標)の下降(dip)は、より優勢でなくなり、検出のためにより正確な測定を必要とする。睡眠ポリグラフ計(PSG)および家庭睡眠試験(HST)は急性無呼吸事象を検出するための高度に有効な方法であるが、患者の身体に取り付けられる全てのじゃまな装置のために、これらの睡眠試験は、患者の自然な毎晩の睡眠を常に描写するわけではなく、非常に高価であり、治療を調整することは、長時間にわたり正確な測定を必要とし、それらは睡眠時無呼吸が診断された後に患者をモニタリングするため実際的ではない方法である。その代わり、処方する医師はしばしば、どのくらい良好に患者が治療に応答しているかを評価するために、患者により提供される不確かな証拠(例えば調査または症状に関する質問による)またはより精度の低い家庭内測定デバイス(パルスオキシメトリーセンサーを用いる)のみに頼らなければならない。
【0020】
例えば、当該技術分野で公知のパルスオキシメーターデバイスは、反射率または透過の技術によりユーザーの心拍数および血液酸素レベルを示すデータを収集し得る。反射率を使用して測定するパルスオキシメーターデバイスは、ユーザーの皮膚表面(例えば手首)に光放射器および光放射器から短い距離で離れた同じ皮膚表面に光検出器を設置する。光放射器から放射される光は、ユーザーの皮膚により反射され、光検出器により検出されて所望の示度を生じる。対照的に、透過を使用して測定するパルスオキシメーターデバイスは、ユーザーの狭い体の部分の皮膚表面に光放射器および狭い体の部分の反対側の皮膚表面(例えば指先の頂部および底部表面)に光検出器を配置する。光放射器から放射される光は、ユーザーの先端の皮膚および軟部組織を通って輝き、光検出器により検出されて所望の示度を生じる。透過デバイスは、反射率デバイスよりも正確な示度を生じるが、透過デバイスは一般的に、ユーザーを締め付けられなければならない(またはそうでなければ保持力を提供する)ので、一般的には反射率デバイスがユーザーに対してより快適である。そのため、反射率デバイスは、スマートウォッチまたは活動量計などのより正確な示度が必要でない場合にしばしば好ましく、透過デバイスは、指先パルスオキシメーターなどの医療デバイスにおいてより一般的に見られる。しかしながら、透過パルスオキシメーターの力強い保持デバイスにより生じる不快さおよびそれらが一般的に身体部分の最も外側の縁(例えば指先、耳たぶまたは鼻孔)に配置されるという事実のために、それらはしばしば、不適切に着用され、再調整され、外されまたは使用中に落ち、その全ては不正確および/または不完全なデータ示度を生じる。デバイスが一晩中とどまるようにそれらを締め付けることにより生じる不快さは、一度に数時間着用することが苦痛になり得るので、ユーザーが眠り込み、眠ったままになることを困難にさえし得る。また、一般的な透過デバイスの締め付け圧力は、変化するかまたは容易に操作される心拍数測定値(例えば指の動きまたは曲げによる)を生じ得る。さらに、公知のデバイスはまた、一般的に比較的長い時間間隔でデータを記録し、無呼吸事象の見落としおよび/または記録の間の無呼吸事象の重症度もしくは持続時間を正確に決定できないことを生じる。例えば、0.25Hzの周波数で酸素飽和を記録することは、1Hzの周波数での酸素飽和の記録ほど正確ではなく、例えば図10に示されるものなど、睡眠時無呼吸を有する患者の場合に無呼吸事象の見落としを生じる。不正確さは、4sの持続時間よりも長いものおよびより短いものの両方である無呼吸事象について真実である。全体的に、現在知られるヒトの心拍数および血液酸素レベルを長時間にわたりモニタリングする方法は、ユーザーのための快適さ、センサーデバイスとユーザーの間の連結の無事、記録されるデータの精度ならびにデータを収集した後のその分析のために使用される方法および計算が十分ではない。これらの不足は、具体的に家庭および実験室睡眠モニタリング設定において多くの問題を提示する。
【0021】
本開示による着用可能バンドデバイス10は、ユーザーの指の中間部分で標準的なフィンガーリングと同様に着用され、有意または顕著な締め付けの力なしでそこに保持される透過パルスオキシメーターを提供する。リングデバイス10はユーザーの指の周囲にぴったりと適合して、適切なセンサー読み取りを確実にし得るが、リングデバイスは、指先パルスオキシメーターよりも快適であり、使用中に不注意で引き抜かれるかまたは移動されることがより少ない。リングデバイスの特有の品質は、リングデバイス10がユーザーの一晩の睡眠の持続時間(睡眠事象と称する)の間に着用されることおよびパルスオキシメトリーセンサー14がデータ収集期間の持続時間にわたり正確なデータを収集し続けることを確実にすることを補助する。追加的におよび以下にさらに記載されるように、デバイス10は、無呼吸事象発症の正確な検出および無呼吸事象の重症度についての精密な測定を確実にするために、高い割合または頻度(例えば2秒以下毎)でデータを収集、処理および記憶する。そのため、バンドデバイス10は、睡眠-無呼吸に焦点を当てたデータセット、例えば低酸素負荷計算を出力するために捕捉されたデータを処理する。バンドデバイス10は、これらの正確な測定値および家庭での睡眠試験を行うことが比較的簡単なものなどの睡眠ポリグラフ計と一体化され得る睡眠分析のための機会を提供する。
【0022】
図1Aおよび1Bに関して、スマートフォン8などの可動デバイスに無線で連結される着用可能バンドデバイス10を含む健康モニタリングシステムが示される。着用可能デバイス10は、フィンガーバンド12、パルスオキシメトリーセンサー14およびディスプレイデバイス18を含む。フィンガーバンド12は、外表面20および内表面16を有するシリコーンなどの可撓性材料を含む。バンドの内表面16は、ユーザーの指を受けるように構成される開口22または指受け部分を画定する。図示されるように、バンド12は、開口22の第1の面を画定する第1のバンド部分23aおよびバンド12の反対側に形成され、開口22の第2の面を画定する第2のバンド部分23bを含む。
【0023】
任意に、バンド12は、バンド12が異なるサイズの指に合うことを可能にする伸長特性24を含み得る。図示される例において、伸長特性24は、開口22の下部で第1のバンド部分23aおよび第2のバンド部分23bの反対にある遠位端を連結するU形ノッチ24を含む。ユーザーがリングデバイス10をそれらの指上に配置し、それらの指がバンドの内表面の静止サイズよりも大きい場合、U形ノッチ24を形成するバンド12の部分は、より大きな指に合うために指受け部分22のサイズを増加するように伸びる。異なるサイズの指に合うためにU形伸長ノッチ24を有する連続のリングとして示されるが、バンド12は、伸長特性を含むリング12の2つの部分23a、23bの間にギャップを有する可撓性材料の非連続リングであってもよい。これらの態様において、フィンガーバンド12の静止サイズよりも大きな指がリングデバイス10に挿入される場合、バンド12の2つの側面部分23a、23bは、より大きな指に合うように外側に曲がる。さらなる例において、バンドは、金属またはプラスチックなどの堅い材料であり得、ここでバンドは、ユーザーのリングフィンガーに適合するようなサイズであり得るかまたはリングに、同様にユーザーの指にぴったりとはまるように適合するための可撓性の形状もしくは偏り機構が備えられ得る。
【0024】
バンド12の外側の前面に向かう側表面26からバンドの外側の後方に向う側表面28まで測定されるバンド12の幅W12は、バンドの下部30からディスプレイデバイス18に近接するバンド12の上部32へと先細りする様式で増加する。伸長特性24でのより薄い性質は異なる指サイズに合うようにバンド12のより容易な伸びまたは曲げを可能にし、伸長特性24から上に向かうより厚い性質は、ユーザーの指と接触するバンドの表面積を増加する。ユーザーの指にぴったりはまることは、一貫して完全なデータ捕捉を可能にするように、リングデバイスが使用の間に実質的に静止したままであることを確実にするのに役立つ。さらに、ユーザーの皮膚と接触するシリコン材料に関連する比較的高い摩擦係数は、リングの位置および方向をそこで保持することを補助する。
【0025】
ユーザーの指でデバイスをより良く保持することを可能にすることに加えて、バンド12の上部32に向かってより厚い性質はまた、ディスプレイデバイス18に適応する。フィンガーバンド12の外表面20の上部32にはディスプレイデバイス18があり、データ(血液酸素レベルおよび心拍数)、時間、デバイスのバッテリーレベルまたは任意の他の所望の情報のユーザーへの表示を提供する。ディスプレイデバイス18は、ディスプレイハウジングで受けられるディスプレイスクリーン34ならびにユーザーの入力により、睡眠事象の開始および/または終了を示すあるいはバンドデバイスの設定を制御するなどのデバイス10を制御するヒト機械インターフェース(HMI)ボタン36を含む。任意に、ディスプレイスクリーン34はタッチスクリーンであり得、HMIはタッチスクリーンディスプレイに一体化され得る。ディスプレイデバイス18は、バンド12のコネクタ部分38などを介してバンドの上部32に連結されるか、またはディスプレイデバイス18は、バンド12自体の可撓性材料と一体となって成形され得る。
【0026】
ディスプレイデバイス18はまた、電子回路(例えばプリント回路基板(PCB))および関連のあるソフトウェアおよびリングデバイス10に電力を供給するバッテリーを含むECU24を収容し得る。ECUは、パルスオキシメトリーセンサー14と通信連結しており、パルスオキシメトリーセンサー14により捕捉されたセンサーデータを受信し、センサーにより捕捉され、ECUにより受信されるデータを処理するためのデータ処理ハードウェア24a、センサーから受信され、データプロセッサにより処理されるデータを記憶するための記憶ユニット24b(すなわちメモリハードウェア)、および記憶ユニットに記憶されるデータを遠隔デバイスに連絡するための送信機24cを含む。図示される態様において、送信機は、記憶されたデータを(例えばwifi、BLUETOOTHTMまたはワイヤレスネットワークにわたる他のワイヤレスプロトコルを介して)遠隔デバイスに無線で送信するが、送信機は、さらにまたは代替的に、有線連結を通して記憶されたデータを伝達し得る。
【0027】
フィンガーバンド12の外側の前面に向かう側表面26には、リングデバイスに電力を供給するバッテリーを充電するための遠隔電源に取り付けられる充電コード(例えばマイクロUSB)を受けるための、充電ポートカバー40で覆われる充電ポート39が配置される。充電ポート39は、ECUの送信機と連絡され得るので、充電ポートで取り付けられる充電コードは、送信機から遠隔デバイスへと送信されるデータを保有する連絡コードとしても機能し得る。充電ポートカバー40は、フィンガーバンド12と同じ可撓性のシリコーン材料で作製され得る(およびバンドと一体となって成形され得る)。充電ポートカバー40は、水または埃が使用中に充電ポートに進入することを防ぐように充電ポートを挿入および/または被覆する。充電ポートカバー40はまた、充電ポートとリングデバイス10を着用するユーザーとの間で刺激的または有害な接触を防ぐように、充電ポートで滑らかな接触表面を提供する。
【0028】
ここで図2を参照すると、リングデバイス10の正面図(elevation view)が示される。フィンガーバンドの内表面16にユーザーの血液酸素レベル(SpO2)および心拍数を示すデータを収集するためのパルスオキシメトリーセンサー14が配置され、および/またはそれと一体となるように成形される。パルスオキシメトリーセンサー14は、送信パルスオキシメーターであるので、バンドの内表面16の1つの面で光放射器14a(例えば赤外線LEDおよび/または赤色LED)およびバンド12の開口22の反対の面で(例えば全く反対)光検出器14b(例えばそれぞれの赤外線および赤色LEDから送信される光を受信するように配置されるフォトダイオード)を含む。光放射器14aおよび光検出器14bは、バンド12の内表面16で互いから開口22と直接交差するように配置され、そのため光は、光放射器14aからユーザーの指を通り、ユーザーの指の他の面上の光検出器14bへと通過する。破線は、光放射器14aから光検出器14bへの近似の光送信経路14cを示す。図示される態様において、光放射器14aおよび光検出器14bは、光送信経路14cが開口22の中心に対して半径方向に沿って伸長するように、バンドの内表面16の周囲に沿って互いから離れて180°で配置される。内表面で最も左および最も右の位置に示されるが、光放射器および光検出器は、最も上および最も南の位置などの任意の適切な位置に配置され得る。パルスオキシメトリーセンサー14は、ECUと連絡し、ユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数を示すセンサー示度をECUに送信する。パルスオキシメトリーセンサー14は、無線またはバンドの材料で覆われる有線連結などによる任意の適切な様式でECUと連絡する。
【0029】
ユーザーの指に配置される場合、着用可能バンドデバイス10は、(例えばバンドの内表面で接触センサー35を介して)それがユーザーに着用されていることを自動的に検知し得る。例えば図1Aに示されるように、バンドデバイス10のセンサー14、35、37は、ユーザーの1つ以上の生体測定パラメーターを測定し、対応する生体測定パラメーターデータ102、102a~102cを処理のためにECU24に送信するセンサーシステム100を含み得る。ここで、生体測定パラメーターデータ102は、パルスオキシメトリーセンサー14により測定されるパルスオキシメトリーセンサーデータ102a、接触センサー35の1つ以上により測定される接触センサーデータ102bおよび/またはアクチメトリーセンサー37により測定されるアクチメトリーセンサーデータ37を含み得る。バンドデバイス10が電源オンにされる場合、バンドデバイス10は、低電力スタンバイモードで作動し得、その間に、センサーシステム100は、ユーザーに関連する生体測定パラメーターを活発に測定している。図1Bに示されるように、ECU24は、センサーデータ102を連続的にモニタリングして、バンドデバイス10がユーザーに着用されているかどうかを決定し得る。例えばセンサーデータ102が所定のセンサーデータ閾値T102を超える場合、ECU24は、バンドデバイス10がユーザーに着用されていることを決定し、かかる自動検知に応答して、データの記録を開始する。
【0030】
バンドデバイスは、10のパルスオキシメトリーセンサーデータ102aを、以下の方法を介して少なくとも2秒毎の時間間隔で記録する。パルスオキシメトリーセンサー14は、光放射器14aから光を送信し、光検出器14bを介してユーザーの先端を通って輝く光を検出する。パルスオキシメトリーセンサー14により得られるパルスオキシメトリー測定値に対応するパルスオキシメトリーセンサー14により生じる信号は、パルスオキシメトリーセンサーデータ102aとしてECU24のデータプロセッサ24aに送信される。ECU24は、パルスオキシメトリーセンサーデータ102aを処理してユーザーの心拍数および血液酸素レベルを決定する。ECU24はまた、さらに以下に記載されるようにパルスセンサーオキシメトリーデータ102aを処理して、低酸素負荷、酸素脱飽和指数(ODI)または睡眠事象の間に検出される任意の無呼吸事象の無呼吸寡呼吸指数(AHI)を決定し得る。処理されたデータ104はECU24の記憶ユニット24bに記憶される。このデータ収集プロセスは、連続基準で、または選択された時間間隔、例えば少なくとも3秒毎、少なくとも2秒毎、少なくとも1秒毎もしくはユーザーの心拍に直接関連する間隔で反復される(例えばパルスオキシメトリーセンサーデータ102aはそれぞれの心拍で収集される)。いくつかの例において、データを収集および記録するための時間間隔は、1~2秒、0.8~1.8秒、0.5~1.5秒、0.8~2.2秒、0.5~2.5秒または0.7~1.2秒である。
【0031】
さらなる実行において、データ収集のための時間間隔は、ユーザーの心拍数と直接関連して決定され得る。ヒトの血液酸素レベルは、心拍の発生の際に変化する可能性が最も高い。すなわち、心臓が拍動する場合、心臓は新たに酸素化された血液を身体全体にわたり拍動で送るので、ユーザーの血液酸素レベルは、次の心拍の発生まで有意に変化する見込みがない。そのため、その後の心拍の間の時間における2つの点でのヒトの血液酸素レベルの測定は、実質的に同様の結果を与える可能性がある。心拍の認識の際のみにユーザーの血液酸素レベルのパルスオキシメトリーセンサー14による測定を誘発することは、それぞれの可能で有用なデータ点が収集され、不要または二重のデータ点が回避されることを確実にし得る。
【0032】
着用可能バンドデバイス10は、ユーザーの睡眠事象の持続時間全体にわたりユーザーの心拍数および血液酸素レベル(まとめて「収集データ102」)を読み取り、処理し、記憶することを継続する。ユーザーがその先端からデバイス10を取り外す場合、デバイスは、(例えば接触センサーを介するかまたはもはやデータを読み取って収集することができないことに応答して)それがもはやユーザーに着用されていないことを認識し得、記憶されるデータを遠隔デバイス8に伝達する。デバイス10は、睡眠事象の終了の認識と記憶されるデータの遠隔デバイス8への送信の間に内蔵時間間隔遅れ(例えば10または30秒)を有し得る。これは、睡眠事象の終了およびその後のデータの遠隔デバイスへの送信を誘発することなく、ユーザーが先端上のバンドを簡単に取り外して置き換え得る状況に配慮する。バンドデバイス10は、収集されたデータ102をwifi、BLUETOOTHTMを介してまたはワイヤレスネットワークにわたりまたは通信ポート39を介する有線連結を通って通信する。
【0033】
ユーザーの睡眠事象または一晩の間のデータの収集は、データ収集のセッション(session)と称され得る。着用可能バンドデバイス10は、セッションが終了した後(例えばユーザーがリングを取り外す際)に直ちにセッションの間に収集および処理されたデータ102の全体を送信し得るかまたはデバイス10は、セッションにわたりデータを連続的もしくは断続的に送信し得る。デバイス10の記憶ユニット24での記憶容量は、デバイス10がいくつかのセッション分のデータ102を捕捉し、処理し、同時に記憶することを可能にし得る。例えば、ユーザーが遠隔デバイス8から離れている場合、ユーザーは該デバイスと共にそれらのバンドデバイス10を対にするが、依然として数夜分のデータ102を収集することを望む。これらの場合、デバイス10は、それが、連結されたデバイス8の範囲の外側にあることを認識し得るので、最近収集されたセッション分のデータ102を送信することができない。次いでデバイス10は、記憶されたデータ102、104を、遠隔デバイス8に送信されなかったものとしてタグ付けする。次いでデバイス10は、数回の事象またはセッション分のデータ102、104をアップロードし得、それは次回に遠隔デバイス8に連結され得る。さらにまたは代替的に、システムは、以前に収集されたセッション分のデータを、最近収集されたセッションからのデータで上書きして、例えばデバイス上の記憶空間を再利用し得るかまたは1セッションのデータのみが任意の所定の時間で記憶されることを確実にし得る。デバイス10のバッテリーおよび記憶容量は、40時間以上のデータ収集などの数セッションにわたるデータの記録を可能にし得る。
【0034】
上に示されるように、デバイスは、ユーザーが睡眠事象後にバンドデバイス10を取り外す後に、記憶されたデータを遠隔デバイス8に伝達し得る。代替的に、着用可能バンドデバイスは、処理および記憶されたデータを、ライブストリーム様式で連続して遠隔デバイスに伝達し得る。これは、ユーザーが寝ていながら(またはユーザーが起きていながら遠隔に)ユーザーの心拍数および血液酸素レベルを連続してモニタリングすることが望ましい睡眠試験または他の医療設定において有益であり得る。例えば、着用可能バンドデバイス10は、より快適でより正確な選択肢を、病院で頻繁に使用される不快で信頼性の高くない指先パルスオキシメーターに提供する。これらの指先パルスオキシメーターは通常、ナースステーションなどで遠隔にモニタリングされ、患者の血液酸素レベルまたは心拍数が所望の範囲から外れる場合に警告を発し得る。指先パルスオキシメーターは、かなりの数の誤った警告の原因であり、患者ケアにおいて非能率を生じる。そのため、指先パルスオキシメーターを本明細書に開示される着用可能バンドデバイスに交換することにより、睡眠実験室設定の外側にある場合でも、増加した患者の快適さならびにより信頼性の高い患者血液酸素レベルおよび心拍数のモニタリングが提供される。さらに、ユーザーは、デバイスを活動量計として使用する場合などに彼ら自身のデータレベルを連続的に追跡することまたは他の起床している際の健康の病気(health ailment)をモニタリングすることを望み得る。
【0035】
データ収集セッションの後またはその間、デバイス10は、ユーザーの心拍数および血液酸素レベルの決定を超えて、収集されたパルスオキシメトリーセンサー示度に対するさらなる処理または進んだ処理を行い得る。さらなる処理は、他の血液脱飽和または睡眠時無呼吸に焦点を当てた測定規準に加えてまたはその代わりに、ユーザーの低酸素負荷を決定することを含み得る。例えば他の血液脱飽和測定規準は、酸素脱飽和指数(ODI)、睡眠事象の間の平均酸素飽和、夜間の底点、90%飽和未満の総睡眠時間(TST90)、特に標準または非標準酸素飽和測定規準を含み得る。生の血液酸素レベル示度は本質的に雑音が多いので、収集された生データを平滑化することが必要であり得る。これは、数秒間にわたり記録される血液酸素(SpO2)レベルを時間平均することによりなされ得る。そのため、数秒間隔の間に単一の値が記録され得る。このデータ平滑化方法は、遅い血液酸素レベル変化をモニタリングするのに十分であるが、起こり得る一過的な変化を測定するには不十分であり、無呼吸事象の間にモニタリングする必要がある。そのかわり、低酸素負荷は、時間にわたり測定される酸素化レベルの集合平均を使用して信号を平滑化し、これは一過的な無呼吸事象の変曲点(inflection point)を正確に同定することに役立つ。
【0036】
集合平均された酸素化レベルは、酸素化ベースラインに対する曲線下面積として画定される低酸素負荷を伴ってグラフ上で追跡される(例えば図5~9に見られる)。例えば図6を参照すると、現在開示されるデバイス(「リングデバイス」と標識)および指先パルスオキシメーターデバイス(「スパイク」と標識)を使用して得られる血液酸素示度を比較するグラフ60bが示される。酸素化ベースラインは、95%の血液酸素飽和レベルであると決定され得る。かかる場合に、下降62bにより示されるものなどの睡眠時無呼吸事象の低酸素負荷は、本明細書に開示されるデバイスを使用して収集された酸素化示度の追跡されるチャートと、95%の値での水平の線の間の面積として計算され得る。そのため、低酸素負荷の計算は、無呼吸事象の持続時間、重症度および頻度に大きく影響を受ける。低酸素負荷計算の精度が、血液酸素レベル示度の精度および感度に大きく頼ることが、それぞれの「スパイク」および「リングデバイス」の下降62bによりカバーされる面積の差により見られ得る。スパイクはまた、しばしば無呼吸事象の後に激しく変動し得る心拍数測定値をモニタリングまたはかぶせることにより確認され得る。遠隔デバイス(例えば携帯電話またはパーソナルコンピューターまたはワイヤレスネットワーク)が収集および処理されたデータを受信する場合、データは、着用可能バンドデバイス10のECUで前進した処理を経験し得たか、または遠隔デバイス8のECUは前進した処理を実行し得る。
【0037】
長時間にわたり、デバイス10がいくつかの睡眠事象からのデータを収集および処理した後、収集されたデータ(低酸素負荷またはODIを含む)は、ユーザーの医薬用量の調整を補助するために、特定のユーザーについての経歴データと比較され得る。例えば、医薬を摂取するユーザーは、医薬を摂取する前と同様の数の睡眠時無呼吸事象に苦しみ得るが、経歴データおよび低酸素負荷は、ユーザーの無呼吸事象がより重傷でなくなったことを示し得る。これは、医薬またはデバイスが作用しているが、より高い用量が必要であることを示し得た。他の検出方法は、睡眠事象当たり同じ数の無呼吸事象を認識し得たのみであり、医薬またはデバイスが作用していないことを不正確に示す。ユーザーのデータはまた、平均の結果に対する医薬の反応および有効性を比較するために、他の患者のデータのデータベースと比較され得る。
【0038】
図3に関して、遠隔デバイス8は、着用可能バンドデバイス10に関連するソフトウェアアプリケーション41の使用を可能にする。ソフトウェアアプリケーション41は、ダッシュボード42(図3A)を介した心拍数および血液酸素レベルのライブストリームモニタリング、セッションページ44(図3B)を介した睡眠事象の間に収集されたデータの概観およびアプリケーションの設定ページ46(図3C)におけるユーザー入力を介した着用可能バンドデバイスの設定の変更などの特徴を支持する。例えばダッシュボード42は、デバイスを着用しながらまたは収集されたデータのセットからの特定の時点から、ユーザーがそれらの血液酸素レベル48および心拍数50をモニタリングすることを可能にし得る。セッションページ44は、所定の日にちでの所定の睡眠事象の間に収集される血液酸素レベルおよび心拍数データの概要を示す。概要は、同じ時間にわたる血液酸素レベルチャート52、心拍数チャート54および動きチャート56ならびに以下のデータ点を含むデータ表58を含む:睡眠事象の間にデータを記録するのに費やした時間、血液酸素レベルが4%以上低下した時間の回数、血液酸素レベルが3%以上低下した時間の回数、睡眠事象の経過にわたるユーザーの平均血液酸素レベル、計算されたO2スコア、睡眠事象の経過にわたる平均心拍数、ユーザーの血液酸素飽和が90%未満に低下した総時間、睡眠事象の経過にわたる1時間当たりの血液酸素レベルの低下の平均数および睡眠事象の間の最低の記録された血液酸素レベル。さらなる例において、遠隔デバイス8上で実行するソフトウェアアプリケーション41は、より正確な無呼吸事象を正確に同定するように、かかる時間にわたり測定された酸素化レベルの集合平均を使用するモニタリングされた事象またはセッションの間の低酸素負荷を計算および表示し得る。
【0039】
可動appを介して(または任意にディスプレイデバイスでのユーザー入力を介して)調整可能な設定は、無呼吸事象が検出される場合、ユーザーの酸素化レベルが特定の閾値未満に低下する場合またはそれらの心拍数が所望の範囲から外れる場合に着用可能バンドデバイスで触覚フィードバックを引き起こす血液酸素レベルおよび心拍数の合図またはアラートを含む。アラートは、ユーザーを起こすための可動デバイスの触覚フィードバックまたは音または振動の形態であり得る。閾値は、ユーザーにより手動でまたは経歴データに応答して設定され得る。これらのアラートは、オフになり得るか、またはその代わりに無呼吸事象にわたりユーザーを眠らせて(または無呼吸事象のために自然に起きる)、ユーザーの睡眠サイクルのより代表的なデータセットを集めることが望ましい場合に選択的になり得る。閾値は、ユーザー、医師によりまたは経歴データに応答して設定され得る。例えば、ユーザーが軽度の睡眠時無呼吸事象に頻繁に苦しむ場合、システムは自動で触覚アラームを設定して、血液酸素レベルのより低い下降を伴うより重度の無呼吸事象が生じる場合にのみ誘発し得る。ユーザーはまた、リングデバイスの触覚フィードバックの強度、スクリーンモードおよびリングデバイスディスプレイスクリーンについての輝度に関連する設定を管理し得る。ユーザーはまた、ソフトウェア更新にアクセスし得、それらのデバイスをリセットし得、着用可能バンドデバイス10を他の可動デバイス8に連結し得、可動appにおける設定ページを通してバンドデバイスに関連のある任意の他の適切な設定に影響を及ぼし得る。
【0040】
ユーザーの動きの追跡を可能にするために、着用可能バンドデバイスはアクチメトリーセンサー37を含み得る。睡眠中の動きは、落ち着かないまたは中断される睡眠パターンの別の指標であり得、これは睡眠時無呼吸処置の効力の決定における別のデータ点として有用であり得る。アクチメトリーセンサー37は、ユーザーの動きまたはアクチグラフィーを測定し、またリングデバイス10に、ユーザーが眠っているか起きているかを決定させ、これは総睡眠時間または睡眠事象の持続時間を計算することを補助し得る。さらに、アクチメトリーセンサー37は、活動量計としての機能を提供し得る。血液酸素レベルおよび心拍数は、活発な出力の測定における重要な測定規準であるので、本開示によるより正確かつ快適な活動量計は、運動選手が睡眠事象の範囲を超えて種々の練習および活動の間に彼らのパフォーマンスをより良く捕捉することを可能にし得る。
【0041】
例えば図4に示されるように、健康データを測定するための方法100は、工程102でユーザーが最初に着用可能リングデバイス10のバンド12を指に配置することを含む。次いでユーザーは、工程104で、休息して静止姿勢になり眠りに落ちることなどにより、睡眠事象を開始することに進む。睡眠事象の間にフィンガーバンド12がユーザーに着用されながら、該方法は、工程106でユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数を示すデータを収集することを含む。上に記載されるように、このデータを収集することは、2秒以下毎などの時間間隔でリングデバイスのパルスオキシメトリーセンサーからの信号を受信するECUによりなされる。工程108で、フィンガーバンドが睡眠事象の間におよびECUで収集されたデータを受信することに応答してユーザーに着用されながら、ECUは、収集されたデータを、ECUのデータプロセッサを介して処理し、処理されたデータをECUの記憶ユニットに記憶する。ECUは、データが受信される同じ時間間隔(例えば2秒以下毎)などの時間間隔で処理されたデータを記憶する。工程110で睡眠事象は終了する。睡眠事象が終了すると、ユーザーは工程112で着用可能バンドデバイスを取り外し得る。バンドデバイスを取り外し、遠隔デバイスと連絡することに応答して、バンドデバイスは、工程114で記憶ユニットに記憶される処理されたデータを、ECUの送信機などを介して遠隔デバイスに送信する。
【0042】
そのため、本明細書に記載される着用可能バンドデバイス10は、より大きなユーザーの快適さおよびより正確なデータ収集を可能にする。図5に関して、現在開示されるデバイス(「リングデバイス」と標識)および指先パルスオキシメーターデバイス(「スパイク」と標識)を使用して得られる血液酸素示度を比較するグラフ60aが示される。2つのデバイスは、睡眠事象の間にユーザーからの血液酸素レベル示度を収集し、無呼吸事象により引き起こされる酸素レベルのいくつかの下降(例えば下降62a~62c)を登録した。より短い時間にわたり同じ2つのデバイスを比較する図6のグラフ60bに示されるように、現在開示されるデバイス10は、より頻繁に血液酸素示度を捕捉するので、よりなめらかでより正確な測定値を出力し得る。これは、ユーザーが経験する無呼吸事象の重症度および長さのより正確な計算を生じる。例えば、下降62cにより示される無呼吸事象の間の指先示度とフィンガーリング示度を比較すると、フィンガーリング示度はより速い時点で酸素化レベルの下降を認識し、同じ無呼吸事象の間の指先示度と比較して、さらに無呼吸事象の間に酸素化のより正確な最小レベルを登録した。示度におけるこれらの最小の差は、用量の効力または無呼吸事象の重症度および長さの決定において重要であり得る。
【0043】
図5および6がより重度の無呼吸事象を示した場合(ユーザーの血液酸素レベルが85%に近づき、ときどきそれ未満に低下した場合)、図7のグラフ64は、より軽度な無呼吸事象(ユーザーの血液酸素レベルが約90%まで低下しただけである場合)を経験するユーザーについての血液酸素レベル示度を比較する。下降66aおよび66bにより示される無呼吸事象の間に見られるように、指先デバイスのより頻度の低い測定値は、ユーザーの血液酸素レベルが下降後に標準のベースラインまで戻らなかったことを示す測定値を生じ得る。これは、検出された無呼吸事象における持ち越しまたは重複を生じ得、ここで別のより重症度の低い無呼吸事象は、単一のより長い無呼吸事象または生じなかった場合(例えば、ユーザーの酸素化レベルの下降が、急性の無呼吸事象ではなくむしろ遅い、深い呼吸または低下した心拍数などの一般的な睡眠習慣のためである場合)は無呼吸事象の検出として登録され得る。これらの差は、正常な睡眠習慣と経度または急性の無呼吸事象の発現との区別において重要である。
【0044】
図8および9のグラフ68a、68bを参照すると、本明細書に開示される着用可能バンドデバイス10は、指先デバイスが正確な示度を集められなかった事象70の間にユーザーの血液酸素レベルを追跡し続けた。これは、使用の間に指先デバイスが移動される、落ちるまたは(不快さのために)取り外される場合に起こり得る。上で議論されるように、リングデバイスは、より快適で、ユーザーの指でより安定であるので、睡眠事象の持続時間にわたり着用されたままである可能性がかなり高い。
【0045】
さらに、図10のグラフ72を参照すると、酸素飽和を記録する頻度は無呼吸事象の検出の精度に有意に影響を及ぼし得る。例えば、0.25Hzの周波数で酸素飽和を記録することは、1Hzの周波数で酸素飽和を記録することほどには正確でなく、図10の事象74で見られるような睡眠時無呼吸を有する患者の場合に無呼吸事象の見落としを生じ得る。具体的に、指先オキシメーターデバイス、0.25Hzの周波数で酸素飽和を記録するフィンガーリングオキシメーターデバイスおよび1Hzの周波数で酸素飽和を記録するフィンガーリングオキシメーターデバイスにより同時に事象74で得られるユーザーの血液酸素レベルの示度は、1Hzの周波数(および指先オキシメーターデバイス)が、いくつかの示度または0.25Hzの周波数で測定するリングデバイスにより記録されない例について約92% SpO2までの低下をどのように登録するかを明確に示す。したがって、リングデバイスは、1Hzより高いまたは約1Hz、少なくとも0.25Hzより高いまたは0.5Hzより高いまたは0.75Hzより高いかかる周波数で作動し得る。
【0046】
そのため、本開示は、透過パルスオキシメトリーセンサーを介して血液酸素および心拍数データを収集する着用可能バンドデバイスを提供する。該デバイスは、睡眠事象の間に迅速な時間間隔、例えば2秒以下毎にデータを収集し、収集されたデータを処理し、処理されたデータを記憶する。該デバイスは、公知のパルスオキシメーターデバイスよりも正確な示度を提供し、ユーザーの身体でより信頼性の高いセンサーの保持を提供するので、睡眠事象の間などの長時間にわたりユーザーの血液酸素レベルおよび心拍数をスクリーニング、検出、モニタリングおよび分析する向上された方法を提供する。
【0047】
本開示の目的で、用語「連結される(coupled)」(その全ての形態、連結する(couple)、連結すること(coupling)、連結される(coupled)等)は一般的に、2つの構成要素(電気的または機械的)を直接または間接的に互いに対して連結すること(joining)を意味する。かかる連結は、自然において静止し得るかまたは自然において可動であり得;2つの構成要素(電気的または機械的)および単一の一元本体として互いとまたは2つの構成要素と一体に形成される任意のさらなる中間部材により達成され得;自然において永久的であり得るかまたはそうではないと示されなければ自然において取り外し可能もしくは解放可能であり得る。
【0048】
冠詞「a」、「an」および「the」は、先行する記載において1つ以上の要素があることを意味するように意図される。用語「含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」は、包括的(inclusive)であるように意図され、列挙される要素の他にさらなる要素があってもよいことを意味する。さらに、本開示の「一態様(one embodiment)」または「ある態様(an embodiment)」に対する参照は、記載される特徴も組み込むさらなる実行の存在を排除すると解釈されるように意図されないことが理解されるべきである。数、パーセンテージ、比または本明細書で述べられる他の値は、かかる値、および本開示の実行により包含される当業者により理解されるような、「ほぼ(about)」または「およそ(approximately)」の記載される値である他の値を含むように意図される。そのため記載される値は、所望の機能を実行するかまたは所望の結果を達成するように記載される値に少なくとも十分に近い値を包含するのに十分に広範囲に解釈されるべきである。例えば、用語「約(approximately)」、「約(about)」および「実質的に(substantially)」は、記載される量の5%未満以内、1%未満以内、0.1%未満以内および0.01%未満以内である量をいい得る。
【0049】
さらに、先行の記載における任意の方向または参照枠は単に相対的な方向または移動であることが理解されるべきである。例えば、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「後ろ」、「前」、「垂直」、「水平」およびそれらの派生物は、図1に示される方向に関連するはずである。しかしながら、反対のことに明確に特定される場合を除いて、種々の代替的な方向が提供され得ることが理解される。添付の図面に図示され、本明細書に記載される特定のデバイスおよびプロセスは単に、添付の特許請求の範囲に定義される発明的概念の例示的な態様であることも理解される。そのため、本明細書に開示される態様に関連する特定の寸法および他の物理的特徴は、特許請求の範囲がそうではないことを明確に記載しない限りは限定としてみなされない。
【0050】
具体的に記載される態様における変化および改変は、本発明の原理を逸脱することなく実行され得、特許法の原則に従って解釈されるように添付の特許請求の範囲の範囲のみにより限定されることが意図される。本開示は例示的様式で記載されており、使用されている用語は、限定ではなくむしろ本質的に記載の単語の範疇にあるように意図されることが理解される。本開示の多くの改変および変形は、上述の教示に照らして可能であり、本開示は具体的に記載されるものとは異なるように実施されてもよい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】