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特表2024-515295カスケード接続された集積フォトニック波長デマルチプレクサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】カスケード接続された集積フォトニック波長デマルチプレクサ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/12 20060101AFI20240401BHJP
   G02B 6/26 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G02B6/12 331
G02B6/12 341
G02B6/26 311
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563314
(86)(22)【出願日】2022-03-30
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 US2022022561
(87)【国際公開番号】W WO2022225664
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】17/236,822
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】アブリル,ジョーキン マトレス
(72)【発明者】
【氏名】エイナーソン,カール ジョナス ラブ
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
【Fターム(参考)】
2H137AB08
2H137BA01
2H137BA33
2H137BA34
2H137BA44
2H137BA53
2H137BC25
2H137BC32
2H137BC33
2H137BC61
2H137DB16
2H137EA04
2H147AB16
2H147AB17
2H147AC04
2H147BG04
2H147CA01
2H147CA09
2H147CA11
2H147CA17
2H147CB01
2H147EA13A
2H147EA13C
2H147EA14B
2H147FA06
2H147FA09
2H147FC01
2H147FD20
(57)【要約】
フォトニック集積回路は、フォトニックデバイスを含む。フォトニックデバイスは、複数の多重化されたチャネルを含む入力信号を受信するように構成された入力領域を含む。フォトニックデバイスは、入力信号を部分的に出力信号及びスループット信号に逆多重化するように構成されたメタ構造分散領域を含む。出力信号は、多重化されたチャネルのうちのチャネルを含む。スループット信号は、多重化されたチャネルの残りのチャネルを含む。フォトニックデバイスは、出力信号及びスループット信号をそれぞれ受信するためにメタ構造分散領域と光学的に結合された出力領域及びスループット領域を含む。メタ構造分散領域は、入力信号を出力信号及びスループット信号に部分的に逆多重化するために、メタ構造分散領域を構成する第1の材料及び第2の材料の異種分布を含む。
【選択図】 図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を部分的に逆多重化するための第1のフォトニックデバイスを備え、前記第1のフォトニックデバイスが、
前記入力信号を受信するための入力領域であって、前記入力信号が、第1のチャネルを含む複数の多重化されたチャネルを含む、入力領域と、
前記入力信号を受信するために前記入力領域と光学的に結合されたメタ構造分散領域であって、前記メタ構造分散領域が、前記入力信号を出力信号及びスループット信号に部分的に逆多重化するために前記メタ構造分散領域を構成する第1の材料及び第2の材料の異種分布を含み、前記出力信号が前記第1のチャネルを含み、前記スループット信号が前記複数の多重化されたチャネルに含まれる各残りのチャネルを含む、メタ構造分散領域と、
前記メタ構造分散領域と光学的に結合され、前記出力信号を受信する出力領域と、
前記スループット信号を受信するために前記メタ構造分散領域と光学的に結合されたスループット領域であって、前記スループット領域が、前記出力領域から物理的に分離されている、スループット領域と、
を備える、フォトニック集積回路。
【請求項2】
前記スループット信号を逆多重化するための第2のフォトニックデバイスを更に備え、前記第2のフォトニックデバイスが、
前記スループット信号を受信するために前記第1のフォトニックデバイスの前記スループット領域と光学的に結合された第2のメタ構造分散領域であって、前記第2のメタ構造分散領域が、前記スループット信号を第2の出力信号及び第2のスループット信号に部分的に逆多重化するために前記第2のメタ構造分散領域を構成する前記第1の材料及び前記第2の材料の第2の異種分布を含み、前記第2の出力信号が前記スループット信号に含まれる第2のチャネルを含み、前記第2のスループット信号が前記スループット信号に含まれる各残りのチャネルを含む、第2のメタ構造分散領域を含む、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項3】
前記入力信号がn個の多重化されたチャネルを含み、「n」は2より大きい非ゼロの整数であり、
前記フォトニック集積回路が、n-2個の追加のフォトニックデバイスを更に備え、合計n-1個のフォトニックデバイスを提供し、各々が、それぞれのスループット信号を受信するために、カスケード配置を介して前記第1のフォトニックデバイスと光学的に結合され、
前記追加のフォトニックデバイスの各々が、前記それぞれのスループット信号を、それぞれの出力チャネルを含むそれぞれの出力信号に部分的に逆多重化するように構成されたそれぞれのメタ構造分散領域を備え、
前記カスケード配置が、前記入力信号に応答して前記フォトニック集積回路によって提供される逆多重化シーケンスを規定し、前記逆多重化シーケンスが、
【数1】

を含み、
ここで、「i」は、1からn-1までの整数であり、「j」は、j=ceiling(i/2)として定義される整数であり、「出力(i)」は、前記n-1個のフォトニックデバイスのうちの対応する1つの前記それぞれの出力チャネルを表し、「チャネル(j)」又は「チャネル(n-j)」は、前記n-1個のフォトニックデバイスのうちの前記対応する1つの前記それぞれの出力信号に含まれる前記複数の多重化されたチャネルのうちのそれぞれのチャネルを表す、
請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項4】
前記複数の多重化されたチャネルが、4つのそれぞれの中心波長λ<λ<λ<λによって特徴付けられる4つの別個の波長チャネル(n=4)を含み、
前記フォトニック集積回路が、3つのフォトニックデバイス(n-1)を備え、及び
前記3つのフォトニックデバイスの前記それぞれの出力チャネルに対する前記逆多重化シーケンスが、output=λ、出力=λ、出力=λである、
請求項2に記載のフォトニック集積回路。
【請求項5】
λは約1271nmであり、
λは約1291nmであり、
λは約1311nmである、
請求項3に記載のフォトニック集積回路。
【請求項6】
前記複数の多重化されたチャネルは、第2のチャネルを更に含み、前記出力信号は前記第2のチャネルを更に含み、前記出力信号に含まれる前記第2のチャネルは、前記出力信号に含まれる前記第1のチャネルに対してより低い光パワーを有する、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項7】
前記出力信号を受信するために前記出力領域と光学的に結合されたチャネル精製器であって、前記チャネル精製器が、前記第1のチャネルを選択し、前記第1のチャネル以外の前記複数の多重化されたチャネルに含まれるチャネルを減衰させるように構成されたエネルギー選択フィルタを備える、チャネル精製器を更に備える、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項8】
前記チャネル精製器が、前記第1のチャネルのそれぞれのエネルギーを中心とする通過帯域によって特徴付けられるバンドパスフィルタを備える、請求項7に記載のフォトニック集積回路。
【請求項9】
前記チャネル精製器が、前記通過帯域の外側のエネルギーを約20dB以上減衰させるように構成される、請求項8に記載のフォトニック集積回路。
【請求項10】
前記フォトニックデバイスに熱的に結合されて、前記メタ構造分散領域の温度を維持する温度制御回路を更に備える、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項11】
前記メタ構造分散領域が第1の側及び第2の側を画定し、前記入力領域及び前記出力領域が前記第1の側と光学的に結合され、前記スループット領域が前記第2の側と光学的に結合される、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項12】
前記メタ構造分散領域が第1の側及び第2の側を画定し、前記入力領域が前記第1の側と光学的に結合され、前記出力領域及び前記スループット領域が前記第2の側と光学的に結合される、請求項1に記載のフォトニック集積回路。
【請求項13】
多重化された入力信号を部分的に逆多重化する方法であって、前記方法が、
第1のフォトニックデバイスの入力領域において入力信号を受信することであって、前記入力信号が、第1のチャネルを含む複数の多重化されたチャネルを含む、前記入力信号を受信することと、
前記第1のフォトニックデバイスの前記入力領域と光学的に結合された前記第1のフォトニックデバイスのメタ構造分散領域を用いて、前記入力信号を出力信号とスループット信号とに部分的に逆多重化することであって、前記メタ構造分散領域が、前記入力信号を前記出力信号及び前記スループット信号に部分的に逆多重化するために前記メタ構造分散領域を構成する第1の材料及び第2の材料の異種分布を含み、前記出力信号が前記第1のチャネルを含み、前記スループット信号が前記複数の多重化されたチャネルに含まれる各残りのチャネルを含む、前記入力信号を逆多重化することと、
前記第1のフォトニックデバイスの出力領域に前記出力信号を出力することであって、前記出力領域が、前記出力信号を受信するために前記メタ構造分散領域と光学的に結合されている、前記出力信号を出力することと、
前記メタ構造分散領域と光学的に結合された前記第1のフォトニックデバイスのスループット領域から前記スループット信号を出力することであって、前記スループット領域が前記出力領域から物理的に分離されている、前記スループット信号を出力することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記スループット信号を受信するために、前記第1のフォトニックデバイスの前記スループット領域と光学的に結合された第2のフォトニックデバイスの第2の入力領域において、前記スループット信号を受信することであって、前記第2のフォトニックデバイスが、
前記スループット信号を第2の出力信号及び第2のスループット信号に部分的に逆多重化するために、第2のメタ構造分散領域を構成する前記第1の材料及び前記第2の材料の第2の異種分布を含む前記第2のメタ構造分散領域であって、前記第2の出力信号が前記スループット信号に含まれる第2のチャネルを含み、前記第2のスループット信号が前記スループット信号に含まれる各残りのチャネルを含む、第2のメタ構造分散領域を含む、前記スループット信号を受信することと、
前記スループット信号を前記第2の出力信号と前記第2のスループット信号とに部分的に逆多重化することと、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記入力信号が、n個の多重化されたチャネルを含み、「n」は、2より大きい非ゼロ整数であり、前記フォトニック集積回路が、n-2個の追加のフォトニックデバイスを更に含み、それぞれのスループット信号を受信するためにカスケード配置を介して前記第1のフォトニックデバイスと光学的に結合された合計n-1個のフォトニックデバイスを提供し、前記追加のフォトニックデバイスの各々が、前記それぞれのスループット信号を、それぞれの出力チャネルを含むそれぞれの出力信号に部分的に逆多重化するように構造化されたそれぞれのメタ構造分散領域を含み、前記方法が、
前記n-1個のフォトニックデバイスによって前記入力信号の前記n個のチャネルを逆多重化することであって、前記カスケード配置が、前記入力信号に応答して前記フォトニック集積回路によって提供される逆多重化シーケンスを規定する、前記n個のチャネルを逆多重化することことを更に含み、前記逆多重化シーケンスが、
【数2】

を含み、
ここで、「i」は、1からn-1までの整数であり、「j」は、j=ceiling(i/2)として定義される整数であり、「出力(i)」は、前記n-1個のフォトニックデバイスのうちの対応する1つの前記それぞれの出力チャネルを表し、「チャネル(j)」又は「チャネル(n-j)」は、前記n-1個のフォトニックデバイスのうちの前記対応する1つの前記それぞれの出力信号に含まれる前記複数の多重化されたチャネルのうちのそれぞれのチャネルを表す、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の多重化されたチャネルは、第2のチャネルを更に含み、前記出力信号は前記第2のチャネルを更に含み、前記出力信号に含まれる前記第2のチャネルは、前記出力信号に含まれる前記第1のチャネルに対してより低い光パワーを有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記出力信号を受信するために、前記第1のフォトニックデバイスの前記出力領域と光学的に結合されたチャネル精製器に前記出力チャネルを提供することであって、前記チャネル精製器が、前記出力チャネルを通過させ、前記残りの多重化されたチャネルを減衰させるように構成されたエネルギー選択フィルタを備える、前記出力チャネルを提供すること、
を更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記チャネル精製器が、前記それぞれの出力チャネルのそれぞれのエネルギーを中心とする通過帯域によって特徴付けられるバンドパスフィルタを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記チャネル精製器が、前記通過帯域の外側の前記多重化されたチャネルのチャネルを約20dB以上減衰させるように構成される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記メタ構造分散領域と熱的に連通する温度制御回路を使用して、前記メタ構造分散領域の温度を維持することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
この出願は、2021年4月21日に出願された米国特許出願第17/236,822号の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、メタ構造(metastructured)フォトニックデバイスに関し、特に、排他的ではないが、光マルチプレクサ及びデマルチプレクサに関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバ通信は、変調された光を介して1つの場所から別の場所へ情報を送信するために典型的に使用される。例えば、多くの電気通信会社は、電話信号、インターネット通信、及びケーブルテレビ信号を送信するために光ファイバを使用する。しかし、光ファイバ通信のために光ファイバを展開するコストは法外なものになることがある。したがって、単一の光ファイバ内で利用可能な帯域幅をより効率的に使用するための技術が開発されている。波長分割多重化は、異なる波長を使用して複数の光搬送波信号を単一の光ファイバ上にバンドルする1つのそのような技術である。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本発明の非限定的かつ非網羅的な実施形態は、以下の図を参照して説明され、同様の参照番号は、別段の指定がない限り、様々な図全体を通して同様の部分を指す。適切な場合に図面を簡略化するために、要素の全てのインスタンスが必ずしもラベル付けされているわけではない。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、説明される原理を例示することに重点が置かれている。
図1】本開示の実施形態による、光信号を介した2つの光通信デバイス間の光通信のためのシステムを例示する機能ブロック図である。
図2A】本開示の実施形態による、カスケード接続されたデマルチプレクサを含む例示的なフォトニック集積回路を示す図である。
図2B】本開示の実施形態による、カスケード接続された逆方向カスケードデマルチプレクサを含む例示的なフォトニック集積回路を示す図である。
図2C】本開示の実施形態による、カスケード接続されたマルチプレクサを含む例示的なフォトニック集積回路を示す図である。
図2D】本開示の実施形態による、マルチチャネル光信号の例示的な別個の波長チャネルを示す図である。
図2E】本開示の実施形態による、並列カスケードデマルチプレクサを含む例示的なフォトニック集積回路を示す図である。
図3A】本開示の一実施形態による例示的なフォトニックデマルチプレクサを示す図である。
図3B】本開示の実施形態による、多層構造内の例示的なフォトニックデマルチプレクサの断面図を示す図である。
図3C】本開示の実施形態による、多層構造内の例示的なフォトニックデマルチプレクサの第2の断面図を示す図である。
図3D】本開示の実施形態による、多層構造内の例示的なフォトニックデマルチプレクサの第3の断面図を示す図である。
図4A】本開示の実施形態による、入力信号を逆多重化するように構成された例示的なメタ構造分散領域を示す図である。
図4B】本開示の実施形態による、メタ構造分散領域によって形成される界面パターンを示す図である。
図5】本開示の実施形態による、フォトニック集積回路の設計を生成するためのシステムを例示する機能ブロック図である。
図6A】本開示の実施形態による、フォトニック集積回路を説明する例示的なシミュレーション環境を例示する。
図6B】本開示の実施形態による、フォトニック集積回路の例示的な動作シミュレーションを例示する。
図6C】本開示の実施形態による、損失値を逆伝播させることによる、シミュレーション環境内の例示的なアドジョイントシミュレーションを例示する。
図7A】本開示の実施形態による、動作シミュレーション及びアドジョイントシミュレーションの例示的な時間ステップを示すフローチャートである。
図7B】本開示の実施形態による、動作シミュレーション及びアドジョイントシミュレーションから決定された勾配の間の関係を示すチャートである。
図8】本開示の実施形態による、フォトニック集積回路の設計を生成するための例示的な方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
カスケード接続されたマルチチャネルフォトニックデマルチプレクサを含むフォトニック集積回路の実施形態、並びにフォトニック集積回路の設計を生成するための方法が本明細書で説明される。以下の説明では、実施形態の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。当業者は、本明細書で説明される技術が、特定の詳細のうちの1つ以上なしで、又は他の方法、構成要素、材料などを用いて実施され得ることを認識するであろう。特定の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料、又は動作の説明は省略することができる。
【0006】
本明細書全体を通して「1つの実施形態」又は「一実施形態」というのは、実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。このように、本明細書全体を通して、様々な場所での「いくつかの実施形態では」又は「一実施形態では」という句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。更に、特定の特徴、構造、又は特性は、1つ以上の実施形態では任意の好適な方法で組み合わされ得る。
【0007】
波長分割多重化(例えば、高密度波長分割多重化、低密度波長分割多重化等)は、導波路内の利用可能な帯域幅の利用を増加させるために、光ファイバケーブル又はシリコン導波路等の導波路内に2つ以上の波長チャネルを結合するための技法を説明する。逆多重化は、波長チャネルが分離され、光通信デバイスによって読み出される逆の技術を説明する。マルチチャネル多重化/逆多重化デバイスの設計及び製造において、重大な課題が残っている。1つの手法は、波長チャネルを分離するために、immersion grating、ダイクロイックミラー、フィルタなどの個別の光学要素の光回路を構成することを含む。別の手法は、メタ構造分散光学要素を設計して、例えば、2チャネル・デマルチプレクサ、3チャネル・デマルチプレクサ、4チャネル・デマルチプレクサ、6チャネル・デマルチプレクサ、8チャネル・デマルチプレクサ、16チャネル・デマルチプレクサなどとして実現される波長チャネルを多重化又は逆多重化することを含む。しかしながら、各チャネルが追加されると、設計プロセスの複雑さ、並びにクロストーク、干渉、及び信号減衰を含むがこれらに限定されない技術的制限がより困難になる。
【0008】
光通信に使用されるようなフォトニックデバイスは、所定の設計又はビルディングブロックからの少数の設計パラメータが特定の用途への好適性のために調整される単純な推測及びチェック方法又は手動でガイドされたグリッドサーチを通して判定されることがある従来の技術を介して伝統的に設計されている。メタ構造デバイスは、デバイスサイズ及び機能に応じて、数百から数十億以上の範囲のいくつかの設計パラメータによって特徴付けることができる。このようにして、フォトニックデバイスの機能が増大し、製造公差が改善されてより小さいデバイス特徴サイズが可能になるにつれて、最適化されたデバイス設計技法が導入されて、従来の技法によって設計されたものとは異なる光回路アーキテクチャが開発される。
【0009】
波長分割逆多重化によって提起される技術的課題の例示的な例では、4チャネル多重化入力信号が、デマルチプレクサに提供され得る。単一の光学要素において4つのチャネルを逆多重化するために、各構成チャネルを単一のデマルチプレクサの異なる出力に提供するために、空間における隣接チャネルの分離が必要である。そうすることで、信号減衰、チャネルクロストーク、及び位相干渉効果(例えば、弱め合う干渉)を含む問題が生じ得る。このようにして、メタ構造デマルチプレクサのサイズ及び複雑さは、チャネルの数とともに非線形にスケーリングすることができる。
【0010】
有利なことに、フォトニック集積回路は、複数のメタ構造光学要素がカスケード配置で実装されるとき、改善されたパフォーマンス、並びに設計及び製造スケーラビリティを提供することができる。カスケードデマルチプレクサ/マルチプレクサは、カスケード配置を構成するいくつかの段の各々について、多重化された信号から単一の出力チャネルを分離することによって、入力信号を部分的に逆多重化することができる。このようにして、構成メタ構造フォトニックデバイスの設計及び製造の計算及びリソース要求は、チャネルの数とともに実質的に線形に拡大縮小することができる。更に、カスケード配置の構成メタ構造フォトニックデバイスは、例えば、熱制御回路が個々のフォトニックデバイスを局所的に加熱することによって個々に調整されてもよく、これは、単一のマルチプレクサ/デマルチプレクサには利用可能ではなく、材料特性が効率的な部分的な逆多重化/多重化のために異なる動作温度を規定する場合、フォトニック集積回路の設計及び最適化の効率性を更に向上させてもよい。
【0011】
例示的な例では、カスケードデマルチプレクサは、4チャネル入力信号を逆多重化するために3つのメタ構造フォトニックデバイスを含む。第1のフォトニックデバイスでは、入力信号は、4つのチャネルのうちの第1のチャネルと、入力信号の残りの3つの多重化されたチャネルを搬送する第1のスループット信号とに逆多重化される。同様に、第2のフォトニックデバイスは、第1のスループット信号を逆多重化して、4つのチャネルのうちの第2のチャネルを第2のスループット信号から分離する。そして、第3の要素は、入力信号の第3のチャネルと第4のチャネルとを分離する。このようにして、各フォトニックデバイスは、端末フォトニックデバイスが残りの2つのチャネルを異なる出力に分離するまで、出力チャネルがスループット信号から分離される双方向デマルチプレクサとして実現される。
【0012】
逆設計プロセスによって得られる設計を有するフォトニック集積回路(例えば、カスケード接続されたマルチチャネルフォトニックデマルチプレクサ及び/又はマルチプレクサ)の実施形態が本明細書に説明される。より具体的には、逆設計プロセスは、第1原理シミュレーションと組み合わせて勾配ベースの最適化を使用して、設計を生成することができる。勾配ベースの技術を用いないフォトニック集積回路の設計最適化も使用され得る。有利に、本明細書で説明される実施形態及び技術は、フォトニックデバイスの設計に使用される従来の技術に限定されず、所定のビルディングブロックの少数の設計パラメータが、特定の用途への好適性に基づいて調整される。むしろ、第1原理ベースの設計は、必ずしも人間の直感に依存せず、概して、性能、サイズ、及び/又はロバスト性において現在の最先端の設計を凌駕する設計をもたらし得る。本明細書で説明される実施形態及び技法は、ほぼ無制限の数の設計パラメータのスケーラブルな最適化を提供することができる。
【0013】
図1は、本開示の実施形態による、光信号110を介した光通信デバイス101-Aと101-Bとの間の通信(例えば、波長分割多重化又は他の技術を介した)光通信のためのシステム100を例示する機能ブロック図である。より一般的には、光通信デバイス101-Aは、1つ以上の光源からの光をマルチチャネル光信号110(例えば、複数の別個の波長チャネルを含む単一の光信号)に変調することによって情報を送信するように構成されており、このマルチチャネル光信号は、その後、光ファイバ、光ガイド、導波管、又は他のフォトニックデバイスを介して、光通信デバイス101-Aから光通信デバイス101-Bに送信される。光通信デバイス101-Bは、マルチチャネル光信号110を受信し、マルチチャネル光信号110から複数の別個の波長チャネルの各々を逆多重化して、送信された情報を抽出する。いくつかの実施形態では、光通信デバイス101-A及び101-Bは、別個の個別のデバイスであり得る(例えば、光トランシーバ又は送信機は、1つ以上の光ファイバを介して個別の光トランシーバ又は受信機に通信可能に結合される)ことが理解される。しかしながら、他の実施形態では、光通信デバイス101-A及び101-Bは、単一の構成要素又はデバイスの一部であり得る(例えば、スマートフォン、タブレット、コンピュータ、光学デバイスなど)ことが理解される。例えば、光通信デバイス101-A及び101-Bは両方とも、モノリシック集積回路内に埋め込まれ、光通信デバイス101-Aと101-Bとの間で光信号110を搬送するか、又は他の方法で光信号をある場所と別の場所との間で送信するように適合されている導波路を介して互いに結合されたモノリシック集積回路上の構成要素であり得る。
【0014】
例示される実施形態では、光通信デバイス101-Aは、互いに結合された、コントローラ105、1つ以上のインターフェースデバイス107(例えば、光ファイバカプラ、光ガイド、導波路など)、マルチプレクサ(mux)、デマルチプレクサ(demux)、又はそれらの組合せ109、1つ以上の光源111(例えば、発光ダイオード、レーザなど)、及び1つ以上の光センサ113(例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタなど)を含む。コントローラは、1つ以上のプロセッサ115(例えば、1つ以上の中央処理装置、特定用途向け回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、又は別のもの)と、メモリ117(例えば、DRAM及びSAMなどの揮発性メモリ、ROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなど)と、を含む。光通信デバイス101-Bは、明確にするために省略されている、光通信デバイス101-Aと同じ又は同様の要素を含み得ることが理解される。
【0015】
コントローラ105は、光信号110(例えば、複数の別個の波長チャネル又は別のものを有するマルチチャネル光信号)を送信及び/又は受信するために、光通信デバイス101-Aの動作を調整する。コントローラ105は、コントローラ105によって実行されると、コントローラ105及び/又は光通信デバイス101-Aに動作を実行させるソフトウェア(例えば、プロセッサ115に結合されたメモリ117に含まれる命令)及び/又はハードウェアロジック(例えば、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)を含む。
【0016】
一実施形態では、コントローラ105は、光通信デバイス101-Aの動作を振り分けて、光源103に複数の別個の波長チャネルを生成させ得、複数の別個の波長チャネルは、mux/demux109を介してマルチチャネル光信号110に多重化され、マルチチャネル光信号は、その後、インターフェースデバイス107を介して光通信デバイス101-Bに送信される。言い換えれば、光源111は、情報を表す複数の別個の波長チャネルを生成するためにコントローラ105を介して変調又はパルス化され得る異なる波長(例えば、1271nm、1291nm、1311nm、1331nm、1511nm、1531nm、1551nm、1571nm又は別のもの)を有する光を出力し得る。複数の別個の波長チャネルは、その後、mux/demux109を介して、インターフェースデバイス107を介して光通信デバイス101-Bに送信されるマルチチャネル光信号110に組み合わされるか、又は他の方法で多重化される。いくつかの実施形態では、コントローラ105は、光通信デバイス101-Aの動作を振り分けて、複数の別個の波長チャネルが、光通信デバイス101-Bからインターフェースデバイス107を介して受信されるマルチチャネル光信号110からmux/demux109を介して逆多重化されるようにし得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、光通信デバイス101-A及び/又は光通信デバイス101-Bのmux/demux109は、多重化及び/又は逆多重化フォトニックデバイスのカスケード配置として実現される。単一の分散領域においてマルチチャネル入力信号を多重化/逆多重化するように構成された単一のmux/demux109ではなく、カスケード接続されたデマルチプレクサ/マルチプレクサは、カスケード配置を構成するいくつかのフォトニックデバイスの各々について、多重化信号からチャネルを選択及び分離することができる。
【0018】
図2A図2Eを参照してより詳細に説明されるように、カスケードデマルチプレクサ109において、第1のフォトニックデバイスは、光信号110を取り込むことができ、2つの成分、すなわち、(i)光信号110を構成するチャネルのうちの第1のチャネルを含む出力信号と、(ii)第1のチャネル以外の光信号のチャネルの各々であるか又はそれを含むことができる、光信号110の残りのチャネルを含む第1のスループット信号とを出力することができる。第1のフォトニックデバイスに続いて、第2のフォトニックデバイスは、第1のスループット信号を取り込むことができ、2つの成分、すなわち、(i)光信号110を構成するチャネルのうちの第2のチャネルを含む第2の出力信号と、(ii)第1のチャネル又は第2のチャネル以外の光信号110の各チャネルであるか、又はそれを含むことができる、光信号の残りのチャネルを含む第2のスループット信号とを出力することができる。このようにして、mux/demux109は、光信号が逆多重化シーケンスに従って多重化/逆多重化され、フォトニックデバイスごとに1つのチャネルを追加又はアイソレートし、出力チャネル及びスループット信号ではなく2つのチャネルを出力する端末要素に達するように、カスケード配置のいくつかのフォトニックデバイスを含むことができる。各フォトニックデバイスは、光信号110又はスループット信号のいずれかであるそのそれぞれの光入力を部分的に逆多重化して、それぞれのチャネルを残りのチャネルから光学的に分離することができる。
【0019】
各フォトニックデバイスは、入力信号に対して光変換(例えば、多重化、逆多重化、部分的逆多重化、又は他の任意の変換)を行うように構成されたメタ構造分散領域を含むことができる。したがって、カスケードデマルチプレクサ109は、送信モード又は逆方向(「反射」とも呼ばれる)モードで動作することができ、チャネル精製器(channel purifier)などのフィルタ要素を組み込むこともできる。図2Aを参照してより詳細に説明されるように、チャネル精製器は、各フォトニックデバイスのための出力チャネル以外のチャネルが減衰され、改善された信号品質を提供するように、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、又はローパスフィルタであってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、本開示のいくつかの態様を不明瞭にすることを回避するために、光通信デバイス101-A及び/又は光通信デバイス101-Bの特定の要素が省略され得ることが理解される。例えば、光通信デバイス101-A及び101-Bは、光信号110の送信及び受信を容易にする増幅回路、レンズ、又は他の構成要素を含み得る。更に、いくつかの実施形態では、光通信デバイス101-A及び/又は光通信デバイス101-Bは、図1に例示される全ての要素を必ずしも含まない場合があることが理解される。例えば、いくつかの実施形態では、光通信デバイス101-A及び/又は光通信デバイス101-Bは、複数の別個の波長チャネルをマルチチャネル光信号110に受動的に多重化し、及び/又はマルチチャネル光信号110から複数の別個の波長チャネルを逆多重化し得る中間デバイスとして動作する受動デバイスである。
【0021】
図2A図2B図2C、及び図2Eはそれぞれ、カスケード接続されたデマルチプレクサ220、カスケード接続されたデマルチプレクサ232、又はカスケード接続されたマルチプレクサ251などのカスケード配置の複数のフォトニックデバイスを含む例示的なフォトニック集積回路200、230、250、及び260を示す。フォトニック集積回路200、230、250、及び260は、図1に示されるmux/demux109の可能な実施形態であり、光信号(例えば、図1の光信号110)を多重化又は逆多重化するためのシリコンフォトニックデバイス、シリコンオンインシュレータデバイス、又は他のシステムの一部であってもよい。いくつかの実施形態では、フォトニックデバイスは、異なる屈折率を有する2つ以上の材料を不均一に分布させることによって形成されるメタ構造分散領域を含む。メタ構造は、限定はしないが、送信逆多重化、反射逆多重化、多重化、又はフィルタリングモード選択などの他の任意の変換を含む変換を入力信号に適用するように構造化された材料界面パターンを画定することができる。単一のメタ構造分散領域は、限定はしないが、部分的な逆多重化及び出力チャネルに対する出力信号における残りのチャネルの減衰を含む、入力信号への複数の変換を行うように構成されてもよい。
【0022】
図2Aは、本開示の実施形態による、カスケード接続されたデマルチプレクサ220を含む例示的なフォトニック集積回路200を示す。フォトニック集積回路200は、マルチプレクサ220(例えば、デマルチプレクサ220-1及びデマルチプレクサ220-2)がカスケード配置で光学的に結合されるように、入力領域及び複数の出力領域を含んでもよい。このようにして、各デマルチプレクサ220は、入力領域202と、分離距離206によって分離された複数の出力領域204とを含む。出力領域204は、出力領域204-A及びスループット領域204-Bを含む。フォトニック光回路200のカスケード配置は、光信号110(例えば、図1の光信号110)を受信するために、第1のデマルチプレクサ220-1の入力領域202がフォトニック光回路200の入力領域として機能することを提供する。いくつかの実施形態において、フォトニック集積回路200は、出力領域204と光学的に結合された複数のチャネル精製器210を含む。いくつかの実施形態において、フォトニック集積回路は、第3のデマルチプレクサ220-3を含むがこれに限定されない追加のデマルチプレクサ220を含む。光信号が4つの別個のチャネルを含む場合、第3のデマルチプレクサ220-3は、2つの出力領域204を含むように、端末デマルチプレクサとして機能することができ、各出力領域204上にチャネル精製器210を含むことができる。チャネル精製器の出力は、光通信デバイス(例えば、図1の光通信デバイス101-A)の一部として、センサ211に提供され得る。
【0023】
図示された実施形態では、第1のデマルチプレクサ220-1は、入力領域202を介して複数の別個の波長チャネル(例えば、Ch.1に対応する第1の別個の波長チャネル、Ch.2に対応する第2の別個の波長チャネル、Ch.3に対応する第3の別個の波長チャネル、nが正の整数である「n」チャネルまで)を含むマルチチャネル光信号110を受信するように構成された部分デマルチプレクサである。デマルチプレクサ220の各々が入力領域202を含む場合、第1のデマルチプレクサ220-1の入力領域202は、信号キャリア(例えば、光ファイバ)などの光信号110のソース、又は他の入力光カプラ(例えば、入力格子、プリズムなど)と光学的に結合される。対照的に、第2のデマルチプレクサ220-1の入力領域202は、第1のスループット信号208-1を受信するために第1のデマルチプレクサ220-1のスループット領域204-Bを介して第1のデマルチプレクサ220-1の入力領域202と光学的に結合され、それによって、フォトニック集積回路200に含まれるフォトニックデバイスのカスケード配置を画定する。同様に、3つ以上のデマルチプレクサ220(例えば、「n」が3より大きい場合、)を含むカスケード配置では、後続の各デマルチプレクサ220は、先行するデマルチプレクサ220のスループット領域204-Bを介して入力領域202と光学的に結合されてもよい。いくつかの実施形態では、図2Aのカスケード配置におけるデマルチプレクサ220の数は、n-1であるか、又はカスケード配置は、追加の及び/又は代替のフォトニックデバイスを含んでもよいが、光信号110における波長チャネルの数よりも1つ少ない。
【0024】
デマルチプレクサのカスケード配置の一部として、各フォトニックデバイスは、多重化されたチャネル(例えば、マルチチャネル光信号110)から別個の波長チャネルを部分的に逆多重化するように(例えば、逆設計によって)設計されてもよい。フォトニックデバイスは、別個の波長チャネルを出力領域204-Aに案内し、残りの波長チャネルをスループット領域204-Bに案内するように構成することができる。いくつかの実施形態では、複数の出力領域204は、それぞれの光導波路(例えば、図1に示されるインターフェースデバイス107)を含むか、対応するか、又は別様に結合される。このようにして、デマルチプレクサ204Aの出力領域220は、フォトニック集積回路200の出力領域として機能することができ、各出力領域は、カスケード配置のそれぞれのフォトニックデバイスと光学的に結合される。
【0025】
いくつかの実施形態では、光信号110の構成波長チャネルは、異なる中心波長(例えば、1271nm、1291nm、1311nm、1331nm、1511nm、1531nm、1551nm、又は1571nmの任意の組合せ)を有する。いくつかの実施形態では、第1のデマルチプレクサ220-1によって逆多重化される第1のチャネル「Ch.1」が、第2のデマルチプレクサ220-2によって逆多重化される第2のチャネル「Ch.2」の第2の中心波長「λ」よりも短い第1の中心波長「λ」によって特徴付けられるように、各後続のデマルチプレクサ220がより長い波長チャネルを出力するように、カスケード配置が提供される。いくつかの実施形態では、複数の出力領域204-Aは各々、それぞれの光センサ211(例えば、図1に例示される光センサ113)に光学的に結合され得、光センサは、マルチチャネル光信号110から逆多重化された光信号を更なる処理のために電気信号に変換するために利用され得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、カスケード配置は、光信号110の部分逆多重化の順序を記述する逆多重化シーケンスを定義する。例えば、デマルチプレクサ220の性能は、n個のチャネルを含む光信号110及びn-1個のデマルチプレクサ220を含むフォトニック集積回路200に対して定義された逆多重化シーケンスを適用することによって改善することができ:
【0027】
【数1】

を含み、
ここで、「i」は、1からn-1までの整数であり、「j」は、iと2の比を次の最大の整数に丸めることによって定義される整数であり、「出力(i)」は、n-1個のフォトニックデバイスのうちの対応する1つのそれぞれの出力信号を表し、「チャネル(j)」又は「チャネル(n-j)」は、n-1個のフォトニックデバイスのうちの対応する1つのそれぞれの出力信号に含まれる複数の多重化されたチャネルのうちのそれぞれのチャネルを表す。例えば、i=1、2、3、4、5、6、7、8の値のシーケンスに対して、j=1、1、2、2、3、3、4、4の値の対応するシーケンスである。数学的演算に関して、「j」はj=ceiling(i/2)として定義される。他の例示的なシーケンスも企図される。例えば、出力(i)を次のように定義することによって、逆多重化シーケンスを逆にすることができる:
【0028】
【数2】

を含み、
例示的な例では、光信号110は、エネルギーが減少する順にλ<λ<λ<λである4つのチャネル(n=4)を含むことができる。この例では、フォトニック集積回路200は、出力=λ、出力=λ、出力=λの逆多重化シーケンスに従って光信号110を部分的に逆多重化するように構成された3つのデマルチプレクサ220(例えば、フォトニックデバイス)を含む。いくつかの実施形態では、λは約1271nmであり、λは約1291nmであり、λは約1311nmである。「約」という用語は、±20%の範囲内の記載された値に従うことを示すために本明細書で使用される。
【0029】
各出力チャネルのアイソレーションを更に改善するために、チャネル精製器210がフォトニック集積回路200の一部として設けられてもよい。チャネル精製器210は、バンドパスフィルタ、ハイパスフィルタ、ローパスフィルタなどであってもよく、又はそれらを含んでもよく、対応するスループット信号208のチャネルを減衰及び/又は拒絶するように選択されてもよい。例えば、第1のチャネル精製器210-1は、第1の出力チャネル「λ」の中心波長を中心とする通過帯域によって特徴付けられるバンドパスフィルタであってもよく、それにより、第1のチャネル精製器は、第1のチャネルを伝送し、残りのチャネル(例えば、Ch.2~Ch.「n」)を拒絶する。別の例では、第1の出力チャネルの中心波長が残りのチャネルよりも高い場合、第1のチャネル精製器240-1は、第1のチャネルと第2のチャネルとの間のカットオフ波長によって特徴付けられるハイパスフィルタであり得る。このようにして、デマルチプレクサ220及びチャネル精製器210は、スループット信号208に影響を及ぼすことなく、出力中の他の構成チャネル上で全体として30dBより大きい減衰を有する別個の波長チャネルを部分的に逆多重化することができる。例えば、メタ構造分散領域は、出力チャネル及び第2のチャネルを含む出力信号を生成するように構成されてもよく、第2のチャネルは、出力チャネルよりも低い光パワーを有する。場合によっては、デマルチプレクサ220は、光信号110の残りのチャネルを、出力チャネルに対して約10dB以上減衰させてもよく、チャネル精製器210は、光信号110の残りのチャネルを、出力チャネルに対して約20dB以上減衰させてもよい。「約」という用語は、±20%の範囲内の記載された値に従うことを示すために本明細書で使用される。
【0030】
いくつかの実施形態では、フォトニック集積回路200は、構成フォトニックデバイスと熱的に連通する温度制御要素を含む1つ以上の熱回路を含んでもよい。熱回路は、各フォトニックデバイスを個々の温度に制御及び/又は維持するための能動要素及び/又は受動要素であってもよく、又はこれらを含んでもよい。有利なことに、各フォトニックデバイスの温度を個々に調整、制御、又は維持することは、活性材料の温度依存性を考慮して、デマルチプレクサ220の動作を改善することができる。例えば、温度依存性は、デマルチプレクサ220を構成する屈折材料の熱感度(例えば、屈折率の温度及び/又は熱膨張への依存性)に少なくとも部分的に起因し得る。温度制御回路は、動作のための安定した温度設定点を提供するためのアプローチとして、抵抗加熱要素及び/又は熱質量を含み得る。
【0031】
図2Bは、本開示の実施形態による、カスケード接続された逆方向カスケードデマルチプレクサ232を含む例示的なフォトニック集積回路230を示す図である。フォトニック集積回路200と同様に、フォトニック集積回路230は、カスケード配置で光学的に結合された複数のフォトニックデバイスを含む。フォトニック集積回路230は、多重化された入力光信号110(例えば、図1の光信号110)を受信し、各フォトニックデバイスにおいて光信号110の別個の波長チャネルを部分的に逆多重化するように構成されてもよい。例えば、光信号110は、図2Aを参照して説明したように、複数の構成波長チャネル(例えば、Ch.1、Ch.2、Ch.3、...、Ch.「n」)を含んでもよい。図示されるように、フォトニック集積回路230のフォトニックデバイスは、逆方向デマルチプレクサ232である。デマルチプレクサ232は各々、入力領域234、出力領域236-A、及びスループット領域236-Bを含むことができる。出力領域236-Aは、チャネル精製器240-1と光学的に結合されて、フォトニック集積回路230の出力チャネルを提供することができ、スループット領域236-Bは、後続のデマルチプレクサ232と光学的に結合されて、カスケード配置の一部としてスループット信号238を提供することができる。フォトニック集積回路230は、図2Aを参照して説明したような逆多重化シーケンスを実施することができる。
【0032】
図2Aのフォトニック集積回路200とは対照的に、フォトニック集積回路230は、出力チャネル(例えば、Ch.1、Ch.2など)を入力領域234に向かって戻るように、又はスループット領域236-Bから離れるように反射するか、又は他の方法で向きを変えるように構造化された逆方向デマルチプレクサ232を含む。出力チャネルをスループット信号238と平行に送信する代わりに、デマルチプレクサ232は、スループット領域236-Bの側とは異なるデマルチプレクサ232の側に出力領域236-Aを含む。図示された例では、第1のデマルチプレクサ232-1は、スループット領域236-Bとは反対の、入力領域234と同じ側に配置された出力領域236-Aを含む。第1のデマルチプレクサ232-1は、逆方向構成とも呼ばれる、光信号110の第1のチャネル(例えば、λ)を入力信号の方向とは反対に出力するように構成される。例示的に、第1のデマルチプレクサ232-1は、第1の側及び第2の側を含み得、第1の側に入力領域234及び出力領域236-Aが提供され得、第2の側にスループット領域236-Bが提供され得る。第1の側と第2の側は、デマルチプレクサ232-1の対向する側であってもよいし、隣接する側であってもよい。有利なことに、第1のチャネルを反射することは、少なくとも部分的に第1のチャネルと第1のスループット信号238-1との間の分離(例えば、図2Aの分離距離206に類似する)を増加させることによって、クロストークを低減し得るか、又はそうでなければフォトニック集積回路230の全体的な性能を改善し得る。逆方向及びスループットデマルチプレクサ232の組合せを、フォトニック集積回路200及び230の実施形態に組み込むことができる。有利なことに、逆方向構成は、フォトニック集積回路が改善された全体的な性能を示すことを可能にし得る。例えば、デマルチプレクサは、フォトニック集積回路全体に含まれる導波路ベンドの数を最小限に抑えるように選択されてもよく、これにより損失を低減することができる。同様に、フォトニック集積回路の総面積は、逆方向フォトニックデバイスとスループットフォトニックデバイスの組合せを選択することによって低減することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、フォトニック集積回路230のカスケード配置は、端末デマルチプレクサ232が単一チャネル「λ」及びスループット信号238ではなく2つのチャネルを出力するように、「n-1」個のデマルチプレクサ232、又は光信号110に含まれるチャネルの数よりも1つ少ない数を含む。したがって、端末デマルチプレクサ232は、送信デマルチプレクサ(例えば、図2Aのデマルチプレクサ220)として、又は逆方向デマルチプレクサ232として構成することができる。例示的な例では、光信号110は、4つの多重化された波長チャネルを含み、フォトニック集積回路は、光信号110の第3及び第4の波長チャネルを、例えば、光通信デバイス(例えば、図1の光通信デバイス101-A)の光センサに出力するように構成された、2つの出力領域232-Aを有する第3のデマルチプレクサ236を含む。いくつかの実施形態では、第1のデマルチプレクサ232-1によって逆多重化される第1のチャネル「Ch.1」が、第2のデマルチプレクサ232-2によって逆多重化される第2のチャネル「Ch.2」の第2の中心波長「λ」よりも短い第1の中心波長「λ」によって特徴付けられるように、各後続のデマルチプレクサ232がより長い波長チャネルを出力するように、カスケード配置が提供される。
【0034】
図2Cは、本開示の実施形態による、カスケード接続されたマルチプレクサを含む例示的なフォトニック集積回路250を示す。フォトニック集積回路250は、各々が複数の入力領域254及びスループット領域252を含む複数のマルチプレクサ251を含む。カスケード配置における後続の各マルチプレクサ251は、スループットチャネル258内のチャネルの数を1つ以上増加させ、その結果、フォトニック集積回路は、光信号110の一例であり得る多重化光信号を生成する。マルチプレクサ251は、距離256によって分離された異なる数の入力領域254を有することができる。いくつかの実施形態では、各マルチプレクサ251は、逆設計プロセスの一部として個々に調整される。
【0035】
例示的な実施例では、第1のマルチプレクサ251-1は、2つの別個の信号例えば、λ及びλのそれぞれの中心波長を有する第1の別個の波長チャネルCh.1及び第2の別個の波長チャネルCh.2を含む2つの別個の波長チャネルを、それぞれの入力領域254(例えば図1に示すインターフェースデバイス107に対応し得る複数の導波路)で各々受信するように構成された2チャネルマルチプレクサである。マルチプレクサ251-1は、波長チャネルを第1のスループット信号258-1に多重化するように構成され、この第1のスループット信号は、カスケード配置の後続のマルチプレクサに提供される。端末マルチプレクサ251-mは、「n」に等しい数のチャネルを含む光信号110を出力することができ、ここで、「m」は、「m」より1つ少ない非ゼロ整数である。例えば、光信号110が4つの別個の波長チャネル(n=4)を含む場合、フォトニック集積回路250のカスケード配置は、3つのマルチプレクサ251(m=3)を含むことができる。いくつかの実施形態では、図2Aのデマルチプレクサ220、図2Bのデマルチプレクサ232、及び図2Cのマルチプレクサ251は、単一のフォトニック集積回路がデマルチプレクサ又はマルチプレクサとして機能し得るように、双方向であり得ることが理解される。
【0036】
図2Dは、本開示の実施形態による、マルチチャネル光信号の例示的な別個の波長チャネル(例えば、Ch.1、Ch.2又は、図1図2A、及び図2Bに例示されるマルチチャネル光信号110に含まれる)を例示する。例示的なチャネル「n」は、図2Aのデマルチプレクサ220及び/又は図2Cのマルチプレクサ251によって逆多重化及び/又は多重化され得るマルチチャネル光信号の、2つの別個の波長チャネルを含む、複数の別個の波長チャネルに含まれる個々のチャネルを表し得る。別個の波長チャネルの各々は、1271nm、1291nm、1311nm、1331nm、1511nm、1531nm、1551nm、1571nm、又は他のもののうちの少なくとも1つを含む異なる中心波長(λ)を有し得る。図2Dの例示される実施形態では、別個の波長チャネルは、約13nm幅のチャネル帯域幅212を有する。しかしながら、他の実施形態では、チャネル帯域幅は、13nm幅とは異なり得る。むしろ、チャネル帯域幅は、図1のmux/demux107、図2Aのデマルチプレクサ220、及び/又は図2Cのマルチプレクサ251の構造に応じた構成可能なパラメータとみなされ得る。例えば、いくつかの実施形態では、複数の別個の波長チャネルの各々は、13nm又は他のものに対応し得る共通の帯域幅を共有し得る。
【0037】
チャネル帯域幅212は、通過帯域領域213(すなわち、PBとPBとの間にあるものとして定義される)の幅として定義され得る。通過帯域領域213は、デマルチプレクサ又はマルチプレクサの近似的な電力送信を表し得る。いくつかの実施形態では、通過帯域領域213は、通過帯域領域212内の変動に対応する、図2Dに例示されるようなリプルを含み得ることが理解される。1つ以上の実施形態では、通過帯域領域内のリプルは、+/-2dB以下、+/-1dB以下、+/-0.5dB以下、又は他のものであり得る。いくつかの実施形態では、チャネル帯域幅212は、通過帯域領域212によって定義され得る。他の実施形態では、チャネル帯域幅212は、閾値(例えば、dBth)を上回る測定された電力として定義され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、別個の波長チャネルのうちの他の1つからの、複数の別個の波長チャネルのうちの所与の1つ(すなわち、チャネル帯域幅212によって定義される)のアイソレーションも、設計を最適化するときに考慮され得る。アイソレーションは、通過帯域領域212と阻止帯域領域(例えば、SBより小さくSBより大きい領域)との間の比として定義され得る。遷移帯域領域(例えば、SBとPBとの間の第1の遷移領域、及びPBとSBとの間の第2の遷移領域)は例であり、例示の目的で誇張され得ると更に理解されたい。いくつかの実施形態では、上述したフォトニック集積回路の設計の最適化はまた、遷移帯域領域の勾配、幅などの目標メトリックを含み得る。
【0039】
図2Eは、本開示の実施形態による、並列カスケードデマルチプレクサを含む例示的なフォトニック集積回路260を示す。双方向マルチプレクサ又はデマルチプレクサのみを含むのではなく、フォトニック集積回路260は、カスケード配置(例えば、図2Aのフォトニック集積回路200)が、並列カスケード接続フォトニックデバイスを備え得ることを示す。第1のデマルチプレクサ262-1は、出力チャネル及び単一のスループット信号268ではなく、2つのスループット信号268を生成するように構成される。入力光信号が4つのチャネル(n=4)を含む場合、第1のスループット信号268-1は最初の2つのチャネルを含むことができ、第2のスループット信号268-2は第3及び第4のチャネルを含む。
【0040】
フォトニック集積回路200と同様に、第2のデマルチプレクサ262-2は、第1のスループット信号268-1を受信するために第1のデマルチプレクサと光学的に結合されてもよい。しかしながら、対照的に、第3のデマルチプレクサ262-3は、第2のスループット信号268-2を受信するために第1のデマルチプレクサ262-1と光学的に結合されてもよい。このようにして、フォトニック集積回路260のカスケード配置は、直列カスケード構造ではなく分岐カスケード構造を画定することができ、構成フォトニックデバイスのうちの少なくとも1つは、スループット信号268とすることができる入力信号を2つのスループット信号268に分離するように構造化することができる。説明される並列カスケード配置は、図2Cのカスケードマルチプレクサに適用されてもよく、デマルチプレクサ262として説明されるフォトニックデバイスは、双方向に動作するように設計されることが理解される。
【0041】
図3Aは、本開示の一実施形態による例示的なフォトニックデマルチプレクサ320の異なる図を例示する。フォトニックデマルチプレクサ320は、図1のカスケードmux/demux109、図2Aのデマルチプレクサ220、図2Bのデマルチプレクサ232、図2Cのマルチプレクサ251の構成要素の1つの可能な実装である。以下の考察は、マルチチャネル光信号から複数の別個の波長チャネルを逆多重化するフォトニック集積回路を対象とし得るが、他の実施形態では、本開示の実施形態に従って、デマルチプレクサ(例えば、デマルチプレクサ320)はまた、又は代替的に、複数の別個の波長チャネルをマルチチャネル光信号に多重化することが可能であり得ることが更に理解される。
【0042】
図3Aは、デマルチプレクサ320の幅321及び長さ323によって画定されるデマルチプレクサ320の活性層の平面図を示す。例示されるように、デマルチプレクサ320は、入力領域310(例えば、図2Aに例示される入力領域202に相当する)と、複数の出力領域312(例えば、図2Aに例示される複数の出力領域204に相当する)と、入力領域310と複数の出力領域312との間に光学的に配設された分散領域と、を含む。入力領域310及び複数の出力領域312(例えば、312-A及び312-B)は各々、分散領域330に光学的に結合され、導波路(例えば、スラブ導波路、ストリップ導波路、スロット導波路など)に対応してもよい。分散領域330は、各々が分散領域330の屈折率の変化に対応する複数の界面を形成するように不均一に分散された第1の材料及び第2の材料を含む(例えば図3Dを参照)。次に、複数の界面は、構成チャネル(例えば、Ch.1、Ch.2、Ch.「n」又は図2Aに示される)をマルチチャネル光信号(例えば、図1に示す光信号110)から光学的に分離し、カスケード配置(例えば、図2Aのフォトニック集積回路200)で後続のデマルチプレクサ320にスループット信号を提供するように、分散領域330を集合的に構造化する。後続のデマルチプレクサ320に提供されるスループット信号は、分離されたチャネル以外の残りのチャネルを含む。
【0043】
図3D及び図4A図4Bを参照してより詳細に説明されるように、第1及び第2の材料の形状及び配置は、第2の材料を含む周辺境界領域322によって少なくとも部分的に囲まれる材料界面パターンを集合的に形成する複数の界面を生成する。いくつかの実施形態では、周辺領域322は、第2の材料を含む実質的に均質な組成を有する。例示される実施形態では、分散領域330は、各々が内側境界(すなわち、分散領域330と周辺領域322の外側境界に対応する一点鎖線との間に配設された周辺領域322のラベル付けされていない破線)と界面を有する第1の側331及び第2の側333を含む。第1の側331及び第2の側333は、分散領域330の対向する側に対応する。入力領域310は、第1の側331に近接して配設される(例えば、入力領域310の1つの側が分散領域330の第1の側331に当接する)が、複数の出力領域312の各々は、第2の側333に近接して配設される(例えば、複数の出力領域312の各々の1つの側が分散領域330の第2の側333に当接する)。
【0044】
図2Bを参照してより詳細に説明されるように、デマルチプレクサ320は、入力信号(例えば、光信号110)のチャネルを反射するように構成されてもよい。したがって、デマルチプレクサ320は、第2の側333に近接して配置されるのではなく、第1の側331に近接して(例えば、入力領域310と同じ側に)配置された出力領域312(例えば、出力領域312-A)を含むことができる。このようにして、分散領域330は、出力チャネル及びスループット信号の両方を第2の側333を通して伝送するのではなく、出力チャネルを反射し、スループット信号を伝送するように構造化され得る。
【0045】
例示される実施形態において、複数の出力領域312の各々は、複数の出力領域312のうちの1つの互いに平行である。しかしながら、他の実施形態では、複数の出力領域312は、互いに平行でなくてもよく、又は同じ側に配置されなくてもよい(例えば、複数の出力領域312及び/又は入力領域310のうちの1つ以上が、第1の側331及び/又は第2の側333に隣接する分散領域330の側に近接して配設され得る)。いくつかの実施形態では、隣接する出力領域312は、共通分離距離314によって分離される。いくつかの実施形態では、第1の出力領域312-Aは、50μm未満、30μm未満、10μm未満、5μm未満、2μm未満、約1.1μmなどに対応する分離距離314だけ第2の出力領域312-Bから分離される。
【0046】
図3Aの実施形態に示されるように、デマルチプレクサ320の分散領域330は、複数の別個の波長チャネル(例えば、第1の別個の波長チャネルを第1の出力領域312-Aにマッピングすることができ、第1のスループット信号を第2の出力領域312-Bにマッピングすることができる)に含まれるチャネルのそれぞれに(すなわち、分散領域330の構造によって)各々マッピングされる正確に2つの出力領域312(例えば、312-A及び312-B)に光学的に結合される。
【0047】
分散領域330の第1の材料及び第2の材料は、材料界面パターンが逆設計プロセスで得られる設計に実質的に比例するように、分散領域内に配置及び成形されることに留意する。より具体的には、いくつかの実施形態では、逆設計プロセスは、性能損失(例えば、機能を実施するために)と、同じく製造可能な目標仕様内の設計が得られるまで集合的に低減又は反復的に調整される製造損失(例えば、第1の材料及び第2の材料の製造可能性及び二値化を実施するために)とを組み込む損失関数に少なくとも部分的に基づいて、設計の反復最適化(例えば、勾配ベース又はその他)を含むことができる。いくつかの実施形態では、勾配ベースの最適化の代わりに、又は勾配ベースの最適化とともに、他の最適化技術が使用され得る。有利に、これは、ほぼ無制限の数の設計パラメータの最適化を可能にして、従来の設計技術では可能でなかった可能性がある所定のエリア内での機能及び性能を達成する。
【0048】
例えば、いくつかの実施形態では、分散領域330は、100μm×100μm未満、35μm×35μm未満、又はそうでなければ入力領域310がマルチチャネル光信号を受信するときの所定のエリア内でマルチチャネル光信号からチャネルを光学的に分離するように構造化される。一実施形態では、所定のエリアは、3μm×3μmより大きい。いくつかの実施形態では、分散領域330の幅325は、100μm未満、50μm未満、35μm未満、20μm未満、10μm未満、5μm未満、約3.2μmなどであってもよい。いくつかの実施形態では、分散領域330の長さ327は、100μm未満、50μm未満、35μm未満、10μm未満、約6.4μm、又はその他であってもよい。図示のように、分散領域330は、長さ327に実質的に等しい幅325の正方形エリアを有する。しかしながら、他の実施形態では、分散領域330は、異なる長さ及び幅(例えば、矩形、八角形、円形、卵形等)を有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、分散領域330は、3.2μmの幅325及び6.4μmの長さ327であってもよい。いくつかの実施形態では、入力領域310及び出力領域312は、1μm未満、0.5μm未満、約0.4μmなどに対応し得る(例えば、幅325の方向に平行な)共通の幅を有し得る。
【0049】
いくつかの実施形態において、分散領域330は、各々が異なる中心波長を有する2つの別個の波長チャネルの各々に対して共通の帯域幅を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、共通の帯域幅は約13nm幅であり、異なる中心波長は、1271nm、1291nm、1311nm、1331nm、1511nm、1531nm、1551nm、及び1571nmからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、デマルチプレクサ320の構造全体(例えば、入力領域321、周辺領域322、分散領域330、及び複数の出力領域312を含む)は、(例えば、幅321及び長さ323によって定義されるような)所定のエリア内に収まる。いくつかの実施形態では、所定のエリアは、100μm×100μm以下、35μm×35μm以下、又はその他である。分散領域330及び/又はデマルチプレクサ320は、100μm×100μm、35μm×35μm、又は他のものより大きい又は小さい他のエリア内に適合してもよく、これは、分散領域330の構造(例えば、第1の材料及び第2の材料の分布及び形状)及び/又はデマルチプレクサ320の他の構成要素に対する変化をもたらし得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、分散領域330は、複数の出力領域312の対応するものにマッピングされた別個の波長チャネル内の所与の波長について、入力領域310から分散領域330を通り、複数の出力領域312の対応するものへの-2dB以上の電力送信を有するように構造化される。例えば、マルチチャネル光信号のチャネル1が出力領域312-Aにマッピングされる場合、デマルチプレクサ320が入力領域310でマルチチャネル光信号を受信するときに、分散領域330は、マルチチャネル光信号からチャネル1を光学的に分離し、チャネル1に対応するマルチチャネル光信号の一部分を-2dB以上の電力送信で第1の出力領域312-Aにガイドする。
【0051】
いくつかの実施形態では、分散領域330は、入力領域310から複数の出力領域のうちの対応する1つ以外の複数の出力領域312のいずれかへの所与の波長に対する不利な電力送信(すなわち、アイソレーション)が-30dB以下、-22dB以下、又は他のものであるように構造化される。例えば、マルチチャネル光信号のチャネル1が出力領域312-Aにマッピングされる場合、入力領域310から、複数の出力領域のうちの対応する1つ(例えば、出力領域312-A)以外の複数の出力領域のうちの任意の他の1つ(例えば、第2の出力領域312-B)への不利な電力送信は、-30dB以下、-22dB以下、又は他のものである。いくつかの実施形態では、入力領域(例えば、入力領域310)で受信される入力信号(例えば、マルチチャネル光信号)のデマルチプレクサ320からの最大電力反射は、分散領域330によって入力領域に反射し戻されるか、又は他デマルチプレクサ320の他の構成要素は-40dB以下、-20dB以下、-8dB以下、又は他のものである。他の実施形態では、電力送信、不利な電力送信、最大電力、又は他の性能特性は、本明細書で考察されるそれぞれの値とは異なり得、分散領域330の構造は、デマルチプレクサ320の構造、機能、及び性能間の固有の関係に起因して変化し得ることが理解される。
【0052】
図3B図3Dは、本開示の実施形態による、多層構造における例示的なフォトニックデマルチプレクサ320の断面図を示す。例示される実施形態は網羅的ではなく、本発明の特定の態様を不明瞭にすることを回避するために、特定の特徴又は要素が省略され得ることが理解される。例示される実施形態では、デマルチプレクサ320は、基板302、誘電体層304、(例えば、図3Aの横断面図に示されるような)活性層306、及びクラッド層308を含む。いくつかの実施形態では、デマルチプレクサ320は、部分的に又は他の方法で、従来の製造技術(例えば、フォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィなどのリソグラフィ技術、スパッタリング、熱蒸着、物理及び化学蒸着など)と互換性がある、フォトニック集積回路又はシリコンフォトニックデバイスであり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、支持基板(例えば、シリコン基板)、二酸化ケイ素層、シリコン層(例えば、ドープされたシリコン、ドープされていないシリコンなど)を含む順次積層された層を含むシリコンオンインシュレータ(SOI)ウェハが提供されてもよい。SOIウェハの支持基板は、基板302に対応し得る。SOIウェハの二酸化ケイ素層は、誘電体層304に対応し得る。SOIウェハのシリコン層は、シリコン層の部分を除去するためにドライエッチングプロセスを介して(例えばフォトレジストマスク又は任意の他のマスクを介して)SOIウェハに転写されるパターンをSOIウェハ上に(例えば、シリコン層の上に直接)リソグラフィで作成することによって選択的にエッチングされてもよい。SOIウェハに含まれるシリコン層のエッチングされた部分は、その後、二酸化ケイ素で埋め戻され、平坦化されて、活性層306に集合的に対応し得るシリコン及び二酸化ケイ素のパターン化された層を形成し得る。酸化物層(例えば、二酸化ケイ素など)は、クラッド層308に対応し得るSOIウェハのエッチング/埋め戻されたシリコン層の上に成長、堆積、又は他の方法で提供され得る。エッチングプロセス中に、活性層306内のシリコンを誘電体層304まで選択的にエッチングしてボイドを形成することができ、ボイドはその後二酸化ケイ素で埋め戻され、平坦化され、次いで二酸化ケイ素で更にカプセル化されてクラッド層308を形成することができることが理解される。いくつかの実施形態では、活性層306の形成は、目標構造を得るためのシリコンの完全なエッチング深さを含むいくつかのエッチング深さを含むことができる。いくつかの実施形態では、シリコンは、220nmの厚さであり得、したがって完全なエッチング深さは、220nmであり得る。いくつかの実施形態では、デマルチプレクサ320の形成は、活性層306の平坦な表面をもたらすために使用される中間化学機械平坦化を用いて、二酸化ケイ素堆積が実行される二段階カプセル化プロセスを含むことができる。
【0054】
図3Cは、図3Aの入力領域310を含む周辺領域322の一部分に沿った(図3Bに対する)活性層306のより詳細な図を例示する。例示される実施形態では、活性領域306は、εの屈折率を有する第1の材料332と、εとは異なるεの屈折率を有する第2の材料334と、を含む。第1の材料332及び第2の材料334の均質な領域は、図3A及び図3Cに例示されるように、入力領域310及び複数の出力領域312に対応する導波路又は導波路の一部を形成し得る。
【0055】
図3Dは、分散領域330に沿った(図3Bに対する)活性層306のより詳細な図を例示する。前述したように、分散領域306は、材料界面パターンを集合的に形成する複数の界面336を形成するように不均一に分布する第1の材料332(例えば、シリコン)及び第2の材料334(例えば、二酸化ケイ素)を含む。界面パターンを形成する複数の界面336の各々は、分散領域330の屈折率の変化に対応して分散領域(すなわち、第1の材料332及び第2の材料334の形状及び配置)を構造化して、デマルチプレクサ320の機能(すなわち、入力領域310がマルチチャネル光信号を受信するときのマルチチャネル光信号からの複数の別個の波長チャネルの光分離及び複数の別個の波長チャネルの各々の複数の出力領域312の対応する1つへのそれぞれのガイド)を少なくとも部分的に提供する。
【0056】
図3A図3Dに示されるように、デマルチプレクサ320の例示される実施形態では、屈折率の変化は、垂直方向に一貫しているものとして示されている(すなわち、第1の材料332及び第2の材料334は、デマルチプレクサ320の横平面又は横断面に対して実質的に垂直又は直角である界面を形成することが理解される。しかしながら、いくつかの実施形態では、複数の界面(例えば、図3Dに例示される界面336)は、デマルチプレクサ320の横平面又は横断面と実質的に直角でない場合がある。
【0057】
図4A図4Bは、フォトニックデマルチプレクサ420に含まれる活性層(例えば、図3Bの活性層306)内の分散領域430、並びに第1の材料421(例えば、シリコンに対応し得る分散領域430内の黒色領域)及び第2の材料423(例えば、二酸化ケイ素に対応し得る分散領域430内の白色領域)の配置によって形成される分散領域430内の対応する材料界面パターンのより詳細な断面図を示す。デマルチプレクサ420は、2つの別個の波長チャネルの外側の光信号を逆多重化するように構成されていない分散領域430を含む2チャネル・デマルチプレクサである。デマルチプレクサ420は、入力領域402、複数の出力領域404(例えば、第1の出力領域404-A及び第2の出力領域404-Bを含む2つの出力領域)、分散領域430(例えば、分散領域430-1、430-2、430-3、430-4、430-5、430-6に含まれる設計のいずれか1つに対応する設計、又は本開示で説明される逆設計方法によって生成される任意の設計を有する)を含む。分散領域430は、入力領域402と複数の出力領域404との間に光学的に配置される。分散領域430は、周辺領域422(例えば、二酸化ケイ素など)によって少なくとも部分的に囲まれている。デマルチプレクサ420の同様の名称又はラベル付けされた要素は、同様に、本開示の実施形態において説明される他のデマルチプレクサの同様の名称又はラベル付けされた要素に対応し得ることが理解される。図4A図4Bに示される様々な実施形態の分散領域430内の構造は、図示されるように、突起、島、樹枝状形状、又は他の形状及び構造を含んでもよい。他の実施形態では、突出部がない場合があるか、アイランドがない場合があるか、樹枝状構造がない場合があるか、又はゼロを含む任意の数の突出部、分散領域430に含まれる任意の材料のアイランド、樹枝状構造、若しくはこれらの組合せがあり得ることが理解される。したがって、図4A図4Bによって示される分散領域430の構造は、本開示の様々な実施形態において説明されるデマルチプレクサのいずれか1つに組み込まれてもよい(例えば、図1のmux/demux109、図2Aのデマルチプレクサ220-1、図3Aのデマルチプレクサ320など)。
【0058】
分散領域430内の構造は、フォトニックデバイスを支配する基礎物理の第1原理シミュレーションと組み合わされた反復最適化(例えば、勾配ベースの最適化、マルコフ連鎖モンテカルロ最適化、又は他の最適化技法)を利用して、フォトニックデマルチプレクサ420が目標機能を提供する(例えば、マルチチャネル光信号から異なる波長チャネルを光学的に分離し、異なる波長チャネルを複数の出力領域のうちの対応する1つに案内してマルチチャネル光信号を逆多重化する)ように比例又はスケーリングされた形で分散領域430によって実質的に複製される設計を生成する逆設計プロセスから得られる設計である。逆設計プロセスは、例えば、設計の製造可能性を保証するために、最小特徴サイズを実施する製造損失を含み得る。図4A図4Bに示す分散領域430の実施形態では、第1の材料421及び第2の材料423によって形成される材料界面パターン(例えば、432、434、436、438、440、及び442)は、指定された形状を有する最小特徴サイズを実現するように成形される。いくつかの実施形態では、第1の材料421及び第2の材料423によって形成される界面は、分散領域430内の材料界面の任意の所与の半径を画定する曲率半径が、閾値サイズ未満の大きさを有するように成形されてもよい。例えば、最小特徴サイズが150nmである場合、複数の界面のいずれかのための曲率半径は、最小特徴サイズの半分の逆数(すなわち、1/75nm-1)に対応する閾値サイズ未満の大きさを有する。他の実施形態では、最小特徴サイズは、最小特徴サイズ(例えば、100nm、140nm、150nm、180nmなど)に対応する幅を有する最小特徴形状(例えば、正方形、円形、六角形、八角形、又は任意の他の形状)を含むことができる。したがって、最小特徴サイズの幅を有する最小特徴形状(例えば、八角形)を使用して分散領域430を形成(例えば、構造を表す設計を描く、塗装する、又は他の方法で構築する)することができるように、第1の材料421及び第2の材料423の任意の部分を分散領域430内に構造化することができる。そのような最小特徴サイズ及び/又は形状の実施は、逆設計プロセスが、製造制約、限界、及び/又は歩留まりを考慮することによって製造可能でない設計を生成することを防止する。いくつかの実施形態では、製造可能性に関連するメトリックに対する異なる又は追加のチェックを利用して、最小特徴サイズとして最小幅又は間隔を実施し得る。
【0059】
図4Aは、本開示の実施形態による、フォトニックデマルチプレクサ420の分散領域430-1の横断面図を例示する。図4Bは、第1の材料(例えば、分散領域430-1内の黒色領域)及び第2の材料(例えば、分散領域430-1内の白色領域)の形状及び配置に基づいて分散領域430-1内に形成された材料界面パターン432を示す。分散領域430-1は、2つの出力領域(例えば、404-A及び404-B)がそれぞれ波長チャネル及びスループット信号にマッピングされるように構成される。具体的には、2つの出力領域404-Aの一方は、1271nmの中心波長を有する別個の波長チャネルにマッピングされ、他方の出力領域404-Bは、追加の波長チャネル(例えば、1291nmの中心波長を有するチャネル)を含むスループット信号にマッピングされる。
【0060】
図4Bに例示されるように、分散領域430-1内の黒い線によって画定され、分散領域430-1内の屈折率の変化に対応する材料界面パターン432は、複数の突出部441を含む。第1の突出部441-Aは、第1の材料421から形成され、周辺領域422から分散領域430-1内に延在する。同様に、第2の突出部441-Bは、第2の材料423から形成され、周辺領域422から分散領域430-1内に延在する。図4Bに更に例示されるように、分散領域430-1は、第1の材料432又は第2の材料434のいずれかから形成された複数のアイランド444を含む。複数のアイランド443は、第1の材料421から形成され、かつ第2の材料423によって囲まれた第1のアイランド443-Aを含む。複数のアイランド443はまた、第2の材料423から形成され、かつ第1の材料421によって囲まれた第2のアイランド443-Bを含む。いくつかの実施形態において、島は、最小特徴サイズの形状に対応する形状(例えば、八角形)を有してもよい。
【0061】
図5は、本開示の一実施形態による、フォトニックデバイスの設計を生成するためのシステム500を例示する機能ブロック図である。システム500は、逆設計プロセスを実行するために利用することができる。より具体的には、システム500は、第1原理シミュレーション(例えば、励起源に対するフォトニックデバイスのフィールド応答を判定するための電磁シミュレーション)及び反復最適化に基づいて、フォトニック集積回路の構造パラメータ(例えば、本開示における実施形態の分散領域内の第1の材料及び第2の材料の形状及び配置)を最適化するために利用され得る設計ツールである。言い換えれば、システム500は、図3A及び図4A図4Bにそれぞれ例示されるデマルチプレクサ320及び420の分散領域330及び430によって実質的に複製される(すなわち、比例してスケーリングされる)逆設計プロセスによって得られる設計を提供し得る。
【0062】
例示されるように、システム500は、コントローラ505、ディスプレイ507、入力デバイス509、通信デバイス511、ネットワーク513、リモートリソース515、バス521、及びバス523を含む。コントローラ505は、プロセッサ531、メモリ533、ローカルストレージ535、及びフォトニックデバイスシミュレータ539を含む。フォトニックデバイスシミュレータ539は、動作シミュレーションエンジン541、製造損失計算ロジック543、計算ロジック545、アドジョイントシミュレーションエンジン547、及び最適化エンジン549を含む。いくつかの実施形態では、コントローラ505が分散システムであってもよいことは諒解されたい。
【0063】
コントローラ505は、フォトニックデバイス(すなわち、デマルチプレクサ)の構造パラメータを最適化するためにシステム500を利用するユーザに情報を表示するために、バス523を通してバス521に結合されたディスプレイ507(例えば、発光ダイオードディスプレイ、液晶ディスプレイなど)に結合されている。入力デバイス509は、情報及びコマンド選択をプロセッサ531に通信するために、バス523を通じてバス521に結合されている。入力デバイス509は、ユーザとコントローラ505との間のインタラクションを容易にするために、マウス、トラックボール、キーボード、スタイラス、又は他のコンピュータ周辺機器を含んでもよい。それに応答して、コントローラ505は、ディスプレイ507を通じてインタラクションの検証を提供することができる。
【0064】
任意選択的にコントローラ505に結合され得る別のデバイスは、ネットワーク513を介して分散システムのリモートリソース515にアクセスするための通信デバイス511である。通信デバイス511は、イーサネット、インターネット、又は広域ネットワークなどに結合するために使用されるものなど、任意の数のネットワーキング周辺デバイスを含み得る。通信デバイス511は、コントローラ505と外部世界との間の接続性を提供するメカニズムを更に含み得る。図5に例示されるシステム500の構成要素及び関連するハードウェアのいずれか又は全てが、本開示の様々な実施形態において使用され得ることに留意されたい。リモートリソース515は、分散システムの一部であり得、任意の数のプロセッサ、メモリ、及びフォトニックデバイスの構造パラメータを最適化するための他のリソースを含み得る。
【0065】
コントローラ505は、フォトニックデバイスの構造パラメータを最適化するためのシステム500の動作を編成する。プロセッサ531(例えば、1つ以上の中央処理ユニット、グラフィックス処理ユニット、及び/又はテンソル処理ユニットなど)、メモリ533(例えば、DRAM及びSRAMなどの揮発性メモリ、ROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリなど)、ローカルストレージ535(例えば、コンピュータディスクドライブなどの磁気メモリ)、並びにフォトニックデバイスシミュレータ539は、バス523を通して互いに結合されている。コントローラ505は、コントローラ505によって実行されるときに、コントローラ505又はシステム500に動作を実行させるソフトウェア(例えば、プロセッサ531に結合されたメモリ533に含まれる命令)及び/又はハードウェアロジック(例えば、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイなど)を含む。動作は、メモリ533、ローカルストレージ535、物理デバイスシミュレータ539、及びネットワーク513を通してアクセスされるリモートリソース515のうちのいずれか1つ又はそれらの組合せ内に記憶された命令に基づき得る。
【0066】
例示される実施形態では、フォトニックデバイスシミュレータ539のモジュール541~549は、フォトニックデバイス(例えば、図1のmux/demux107、図2Aのデマルチプレクサ220、図2Bのマルチプレクサ250、図3A図3Dのデマルチプレクサ320、及び図4A図4Bのデマルチプレクサ420)の構造パラメータを最適化するために利用される。いくつかの実施形態では、システム500は、有限差分時間領域(finite-difference time-domain、FDTD)法を利用してフィールド応答(例えばフォトニックデバイス内の電場及び磁場)をモデル化するシミュレーション(例えば、動作シミュレーション及びアドジョイントシミュレーション)をとりわけ介して、カスケード配置の一部としてフォトニックデバイスの構造パラメータを最適化し得る。動作シミュレーションエンジン541は、シミュレーション環境内の励起源に応答して動作するフォトニックデバイスの電磁シミュレーションを実行するための命令を提供する。特に、動作シミュレーションは、(例えば、複数のボクセルを有するシミュレーション環境内のフォトニックデバイスの構造パラメータを記述するフォトニックデバイスの初期記述又は入力設計に基づいて)物理デバイスの性能メトリックを判定するための励起源に応答して、シミュレーション環境(したがって、シミュレーション環境によって記述されるフォトニックデバイス)のフィールド応答を判定する。
【0067】
構造パラメータは、例えば、物理デバイスの特定の設計、材料組成、寸法などに対応し得る。製造損失計算ロジック543は、製造可能性を保証するために最小特徴サイズ及び/又は形状を実施するために利用される製造損失を判定するための命令を提供する。いくつかの実施形態では、製造損失は、設計の二値化を実施するためにも使用される(すなわち、フォトニックデバイスが、複数の界面を形成するように散在する第1の材料及び第2の材料を含むようにする)。計算ロジック545は、性能メトリック及び製造損失に基づいて、性能損失を組み込む損失関数を介して判定される損失メトリックをコンピューティングする。アドジョイントシミュレーションエンジン547は、フォトニックデバイスのアドジョイントシミュレーションを実行して、損失関数を介してシミュレーション環境を通して損失メトリックを逆伝播させて、フォトニックデバイスの構造パラメータの変化が損失メトリックにどのように影響するかを判定するために、動作シミュレーションエンジン541と併せて利用される。最適化エンジン549は、フォトニックデバイスの構造パラメータを更新して損失メトリックを低減し、フォトニックデバイスの改訂された記述を生成する(すなわち、設計を改訂する)ために利用される。
【0068】
図6A図6Cは、それぞれ、フォトニックデバイスを記述し、シミュレーション環境601-B内の励起源に応答してフォトニックデバイスの動作シミュレーションを実行し、かつシミュレーション環境601-C内のフォトニックデバイスのアドジョイントシミュレーションを実行するシミュレーション環境601-Aの初期セットアップを例示する。シミュレーション環境601-Aは、フォトニック集積回路内の複数のフォトニックデバイスのカスケード配置の一部として含まれるフォトニックデバイスを説明するものと理解される。このようにして、図6A~6Cは、カスケードmux/demux(例えば、図1のカスケードmux/demux109、図2Aのフォトニック集積回路200など)を構成するフォトニックデバイスのうちの1つ以上の個々の調整を説明する。
【0069】
シミュレーション環境601の初期セットアップ、シミュレーション環境601の1次元表現、物理デバイスの動作シミュレーション、及び物理デバイスのアドジョイントシミュレーションは、図1に例示されるシステム100を用いて実装され得る。図6A図6Cに例示されるように、シミュレーション環境601は2次元で表される。しかしながら、シミュレーション環境601及びフォトニックデバイスを説明するために、他の次元数(例えば、3次元空間)も使用され得ることが理解される。いくつかの実施形態では、図6A図6Cに例示されるフォトニックデバイスの構造パラメータの最適化は、有限差分時間領域(FDTD)法を利用して、励起源に対するフィールド応答(例えば電場及び磁場)をモデル化するシミュレーション(例えば、動作シミュレーション及びアドジョイントシミュレーション)をとりわけ含む逆設計プロセスを介して達成され得る。
【0070】
図6Aは、本開示の実施形態による、フォトニック集積回路のフォトニックデバイス(例えば、導波路、デマルチプレクサなどのフォトニックデバイス)を説明する例示的なシミュレーション環境601-Aを例示する。より具体的には、1つ以上の構造パラメータ(例えば、入力設計)によって定義されるフォトニックデバイスの初期記述を受信することに応答して、システム(例えば、図5のシステム500)は、フォトニックデバイスを表すようにシミュレーション環境601を構成する。例示されるように、シミュレーション環境601(及びその後のフォトニックデバイス)は、2次元(又は他の次元)空間の個々の(すなわち、離散化された)要素を表す複数のボクセル610によって記述される。ボクセルの各々は、二次元正方形として例示されている。しかしながら、ボクセルは、三次元空間において立方体又は他の形状として表され得ることが理解される。複数のボクセル610の特定の形状及び寸法は、シミュレーション環境601及びシミュレートされるフォトニックデバイスに応じて調整され得ることが理解される。更に、シミュレーション環境601の他の態様を曖昧にすることを回避するために、複数のボクセル610の一部のみが示されていることに留意されたい。
【0071】
複数のボクセル610の各々は、構造値、フィールド値、及びソース値に関連付けられ得る。集合的に、シミュレーション環境601の構造値は、フォトニックデバイスの構造パラメータを記述する。いくつかの実施形態では、構造値は、フォトニックデバイスの構造(すなわち、材料)境界又は界面(例えば、図4Bの界面パターン431)を集合的に記述する比誘電率、透磁率、及び/又は屈折率に対応し得る。例えば、界面636は、シミュレーション環境601内で比誘電率が変化する場所を表し、第1の材料が第2の材料と接触するか、又は他の方法で界面を生じるフォトニックデバイスの境界を定義し得る。フィールド値は、ソース値によって記述される励起源に応答して(例えば、マクスウェルの方程式を介して)計算されるフィールド(又は損失)応答を記述する。フィールド応答は、例えば、複数のボクセル610の各々に対する特定の時間ステップでの電場及び/又は磁場(例えば、1つ以上の直交方向における)を記述するベクトルに対応し得る。したがって、フィールド応答は、フォトニックデバイス及び励起源の構造パラメータに少なくとも部分的に基づき得る。
【0072】
例示される実施形態では、フォトニックデバイスは、設計領域630(例えば、図3Aの分散領域330及び/又は図4A図4Bの分散領域430に対応する)を有する光デマルチプレクサに対応し、物理デバイスの構造パラメータが更新されるか、又は他の方法で修正され得る。フォトニックデバイスの設計を最適化する複雑さは、少なくとも部分的に、目標サイズに基づくことが理解される。具体的には、逆設計プロセスを通して、損失関数から判定される損失メトリックの反復最適化(例えば、勾配ベースの最適化、マルコフ連鎖モンテカルロ最適化、又は他の最適化技術)が実行されて、マルチチャネル光信号が逆多重化され、入力ポート602から出力ポート604のうちの対応する1つにガイドされることを機能的に引き起こすフォトニックデバイスの設計を生成する。したがって、フォトニックデバイスの入力ポート602(例えば、図3Aの入力領域310、図4Aの入力領域402などに対応する)は、出力(例えば、ガウスパルス、波、導波路モード応答など)を提供するための励起源の位置に対応する。励起源の出力は、構造パラメータに基づいてフォトニックデバイスと相互作用する(例えば、励起源に対応する電磁波は、波がシミュレーション環境601内のフォトニックデバイスを通って伝播する際に、摂動、再送信、減衰、屈折、反射、回折、散乱、吸収、分散、増幅、又は他のことが行われ得る)。言い換えれば、励起源は、フォトニックデバイスのフィールド応答を変化させ得、これは、フォトニックデバイスの物理領域及び構造パラメータを支配する基礎物理に依存する。励起源は、入力ポート602から始まるか、又は他の方法でそれに近接しており、設計領域630を通ってフォトニックデバイスの出力ポート604に向かって伝播する(又は他の方法で複数のボクセルのフィールド値に影響を及ぼす)ように位置決めされる。例示される実施形態では、入力ポート602及び出力ポート604は、設計領域630の外側に位置決めされている。言い換えれば、例示される実施形態では、フォトニックデバイスの構造パラメータの一部分のみが最適化可能である。
【0073】
しかしながら、他の実施形態では、構造パラメータがフォトニックデバイスの設計の任意の部分又は全体を表し得るように、フォトニックデバイスの全体が設計領域630内に置かれ得る。シミュレーション環境601(及びその後フォトニックデバイス)内の電場及び磁場は、励起源に応答して変化し得る(例えば、シミュレーション環境のフィールド応答に集合的に対応する個々のボクセルのフィールド値によって表される)。デマルチプレクサの出力ポート604は、励起源(例えば、入力ポート602から出力ポート604のうちの特定の1つへの電力送信)に応答して、フォトニックデバイスの性能メトリックを判定するために使用され得る。初期構造パラメータ、励起源、性能パラメータ又はメトリック、及びフォトニックデバイスを記述する他のパラメータを含むフォトニックデバイスの初期記述は、システム(例えば、図5のシステム500)によって受信され、フォトニックデバイスの第1原理ベースのシミュレーションを実行するためのシミュレーション環境601を構成するために使用される。これらの特定の値及びパラメータは、ユーザ(例えば、図5のシステム500のユーザ)によって直接的に、間接的に(例えば、コントローラ505を介して、メモリ533、ローカルストレージ535、若しくはリモートリソース515に記憶された所定の値をカリングすることによって)、又はそれらの組合せによって定義され得る。
【0074】
図6Bは、本開示の態様による、シミュレーション環境601-B内の励起源に応答したフォトニックデバイスの動作シミュレーションを例示する。例示される実施形態では、フォトニックデバイスは、入力ポート602で受信されたマルチチャネル光信号に含まれる複数の別個の波長チャネルの各々を光学的に分離し、複数の別個の波長チャネルの各々を複数の出力領域604のうちの対応する1つにそれぞれガイドするように構造化された光デマルチプレクサである。励起源は、複数の別個の波長チャネルから(ランダムに又は他の方法で)選択され得、指定された空間、位相、及び/又は時間プロファイルを有する入力領域602から始まる。動作シミュレーションは、例示される時間ステップを含む複数の時間ステップにわたって行われる。動作シミュレーションを実行するときに、複数のボクセル610の各々のフィールド応答(例えば、フィールド値)に対する変化は、複数の時間ステップにわたって励起源に応答して増分的に更新される。特定の時間ステップでのフィールド応答の変化は、複数の時間ステップに含まれる直前の時間ステップにおけるシミュレーション環境601の構造パラメータ、励起源、及びフィールド応答に少なくとも部分的に基づく。同様に、いくつかの実施形態では、複数のボクセル610のソース値が更新される(例えば、励起源を記述する空間プロファイル及び/又は時間プロファイルに基づいて)。動作シミュレーションは増分的であり、シミュレーション環境601のフィールド値(及びソース値)は、動作シミュレーション中に複数の時間ステップの各々に対して時間が進むにつれて、各時間ステップで増分的に更新されることが理解される。いくつかの実施形態では、更新は反復プロセスであり、各フィールド及びソース値の更新は、各フィールド及びソース値の以前の更新に少なくとも部分的に基づくことに更に留意する。
【0075】
動作シミュレーションが定常状態に達するか例えば、励起源に応答したフィールド値の変化が実質的に安定するか、若しくは無視できる値に減少する)、又は他の方法で終了すると、1つ以上の性能メトリックが判定され得る。いくつかの実施形態では、性能メトリックは、励起源によってシミュレートされている別個の波長チャネルにマッピングされた出力ポート604のうちの対応する1つでの電力送信に対応する。言い換えれば、いくつかの実施形態では、性能メトリックは、出力ポート604の特定の位置における目標モード形状における(1つ以上の関心対象の周波数での)電力を表す。いくつかの実施形態では、性能メトリックは、複数の出力ポート604の各々における電力が決定されるアイソレーションに対応し得る。性能メトリックに少なくとも部分的に基づく入力設計(例えば、初期設計及び/又は構造パラメータが更新された任意の洗練された設計)の損失値又はメトリックは、損失関数を介して判定され得る。損失メトリックは、アドジョイントシミュレーションと併せて、損失メトリックを低減する(すなわち、性能メトリックを増加させる)ように構造パラメータを更新するか、又は他の方法で修正するための構造勾配(例えば、損失メトリックに対する構造パラメータの影響)を判定するために利用され得る。損失メトリックは、デバイスの製造可能性を促進するために、フォトニックデバイスの最小特徴サイズを実施するために使用される製造損失値に更に基づくことに留意する。
【0076】
図6Cは、本開示の態様による、損失メトリックを逆伝播させることによるシミュレーション環境601-C内の例示的なアドジョイントシミュレーションを例示する。より具体的には、アドジョイントシミュレーションは、損失メトリックが、フォトニックデバイスと相互作用して損失応答を引き起こす励起源として扱われる時間後方シミュレーションである。言い換えれば、損失メトリックに基づくアドジョイント(又は仮想源)は、出力領域(例えば、出力ポート604)又は性能メトリックを判定するときに使用される位置に対応する他の位置に置かれる。アドジョイント源は、アドジョイントシミュレーション中に物理的刺激又は励起源として扱われる。シミュレーション環境601の損失応答は、アドジョイントソースに応答して複数の時間ステップの各々に対して(例えば、時間的に後方に)コンピューティングされる。損失応答は、複数の時間ステップにわたってアドジョイントソースに応答して増分的に更新される複数のボクセルの損失値を集合的に指す。損失メトリックに基づく損失応答の変化は、損失勾配に対応し得、損失勾配は、物理デバイスのフィールド応答の変化が損失メトリックにどのように影響するかを示す。損失勾配及びフィールド勾配は、フォトニックデバイス/シミュレーション環境の構造勾配(例えば、シミュレーション環境内のフォトニックデバイスの構造パラメータの変化が損失メトリックにどのように影響するか)を判定するために適切な方法で組み合わされ得る。特定のサイクル(例えば、動作シミュレーション及びアドジョイントシミュレーション)の構造勾配が分かると、構造パラメータを更新して損失メトリックを低減し、フォトニックデバイスの修正された記述又は設計を生成し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、動作シミュレーション及びアドジョイントシミュレーションを実行し、構造勾配を判定し、損失メトリックを低減するために構造パラメータを更新する反復サイクルは、反復勾配ベース最適化を利用する逆設計プロセスの一部として連続的に実行される。勾配降下などの最適化スキームを利用して、損失メトリックを増分的に低減するようにフォトニックデバイスの構造パラメータに対する変化の特定の量又は程度を判定し得る。より具体的には、各サイクルの後、構造パラメータは、損失メトリックを低減又は調整するように更新される(例えば、最適化される)。動作シミュレーション、アドジョイントシミュレーション、及び構造パラメータの更新は、フォトニックデバイスが製造可能性を維持しながら所望の性能を提供するように、損失メトリックが実質的に収束するか、そうでなければ閾値又は範囲を下回るか又はその範囲内になるまで、反復的に繰り返される。
【0078】
図7Aは、本開示の実施形態による、動作シミュレーション710及びアドジョイントシミュレーション750のための例示的な時間ステップを例示するフローチャート700である。フローチャート700は、システム(例えば、図5のシステム500)が、フォトニック集積回路(例えば、フォトニックデマルチプレクサなどの電磁領域で動作する光デバイス)を記述するシミュレーション環境(例えば、図6A図6Cのシミュレーション環境601)の動作シミュレーション710及びアドジョイントシミュレーション750を実行することを使用し得る1つの可能な実装形態である。例示される実施形態では、動作シミュレーションは、有限差分時間領域(FDTD)法を利用して、励起源及び/又はアドジョイント源に対応する物理刺激に応答して、複数の時間ステップに対して複数のボクセル(例えば、図6A図6Cに例示される複数のボクセル610)の各々でのフィールド応答(電気及び磁気の両方)又は損失応答をモデル化する。
【0079】
図7Aに示すように、フローチャート700は、動作シミュレーション710及びアドジョイントシミュレーション750の一部分に対する更新動作を含む。動作シミュレーション710は、複数の時間ステップにわたって(例えば、指定された時間ステップサイズを有する所定の又は条件付きの数の時間ステップにわたる初期時間ステップから最終時間ステップまで)行われ、フィールド応答に集合的に対応するシミュレーション環境及び/又はフォトニックデバイスを記述する複数のボクセルの電場及び磁場における(例えば、初期フィールド値711からの)変化をモデル化する。より具体的には、更新動作(例えば、712、714、及び716)は反復的であり、場応答、構造パラメータ704、及び1つ以上の励起源708に基づく。各更新動作は、別の更新動作によって後続され、複数の時間ステップ内で時間的に順方向に連続するステップを表す。例えば、更新動作714は、前の更新動作712、励起源708、及び構造パラメータ704から判定されたフィールド応答に基づいてフィールド値713(例えば、図7Bを参照)を更新する。同様に、更新動作716は、更新動作714から判定されたフィールド応答に基づいてフィールド値715(例えば、図7Bを参照)を更新する。言い換えれば、動作シミュレーションの各時間ステップで、フィールド値(したがって、フィールド応答)が、フォトニックデバイスの以前のフィールド応答及び構造パラメータに基づいて更新される。動作シミュレーション710の最後の時間ステップが実行されると、損失メトリック718が決定され得る(例えば、所定の損失関数720に基づいて)。ブロック752から決定された損失勾配は、構造勾配768を決定するために、逆方向に(最後の時間ステップから増分的に複数の時間ステップを通じて、初期時間ステップに達するまで)逆伝播される随伴又は仮想ソース(例えば、出力領域又はポートにおいて発生する物理的刺激又は励起源)として処理され得る。
【0080】
例示される実施形態では、FDTD解(例えば、動作シミュレーション710)及び後方解(例えば、アドジョイントシミュレーション750)問題は、「更新」及び「損失」演算並びにそれらの対応する勾配動作のみを使用して、高レベルから図式的に説明される。シミュレーションは、初期セットアップされ、シミュレーション環境(及びフォトニックデバイス)の構造パラメータ、物理刺激(すなわち、励起源)、及び初期フィールド状態が(例えば、初期記述及び/又は入力設計を介して)提供される。先で考察されるように、フィールド値は、構造パラメータに基づいて励起源に応答して更新される。より詳細には、更新動作はφによって与えられ、ここで、i=1,...,nについてxi+1=φ(x,b,z)である。ここで、nは、動作シミュレーションのための時間ステップ(例えば、複数の時間ステップ)の総数に対応し、xは、時間ステップiでのシミュレーション環境のフィールド応答(複数のボクセルの各々の電場及び磁場に関連付けられたフィールド値)に対応し、bは、時間ステップiでのシミュレーション環境の励起源(複数のボクセルの各々に対する電場及び磁場に関連付けられたソース値)に対応し、zは、物理デバイスのトポロジ及び/又は材料特性を記述する構造パラメータ(e.g.、比誘電率、屈折率など)に対応する。
【0081】
FDTD法を使用すると、更新動作は、具体的に以下のように記載され得ることに留意する。
φ(x,b,z)=A(z)x+B(z)b (3)
すなわち、FDTD更新は、フィールド項及びソース項に関して線形である。具体的には、
【0082】
【数3】

は、構造パラメータzに依存し、フィールドx及びソースbにそれぞれ作用する線形演算子である。ここで、
【0083】
【数4】

であると仮定し、Nは、動作シミュレーションにおけるFDTDフィールド成分の数である。追加的に、損失動作(例えば、損失関数)は、L=f(x,...,x)によって与えられ得、これは、コンピューティングされたフィールドを入力として取り、低減及び/又は最小化され得る単一の実数値スカラー(例えば、損失メトリック)を生成する。
【0084】
物理デバイスの構造パラメータを修正するか、そうでなければ最適化する項では、生成する関連量は、
【0085】
【数5】

であり、これは、損失値に対する構造パラメータの変化の影響を記述するために使用され、図7Aに例示される構造勾配768として示される。
【0086】
図7Bは、本開示の実施形態による、動作シミュレーションのための更新動作とアドジョイントシミュレーション(例えば、逆伝播)との間の関係を例示するチャート780である。より具体的には、図7Bは、構造勾配
【0087】
【数6】

のコンピューティングに関与する動作及びアドジョイントシミュレーション関係を要約し、構造勾配は、
【0088】
【数7】

を含む。動作シミュレーションの更新動作714は、i回目の時間ステップでの複数のボクセルのフィールド値713、xを、次の時間ステップ(すなわち、i+1時間ステップ)に更新し、これは、フィールド値715、xi+1に対応する。勾配755は、逆伝播(例えば、時間的に後方の更新動作356)のために
【0089】
【数8】

を判定するために利用され、これは、勾配769と組み合わされて使用され、少なくとも部分的に、構造勾配
【0090】
【数9】

を計算する。
【0091】
【数10】

は、損失メトリック、Lに対する各フィールドの寄与である。これは偏導関数であり、したがって、x→xi+1のカーソル関係を考慮しない。したがって、x→xi+1の関係を包含する
【0092】
【数11】

が利用される。損失勾配
【0093】
【数12】

はまた、構造勾配、
【0094】
【数13】

をコンピューティングするために使用され得、損失値、Lに関するフィールドの全導関数に対応する。特定の時間ステップ、iでの損失勾配
【0095】
【数14】

は、
【0096】
【数15】

の和に等しい。最後に
【0097】
【数16】

は、フィールド勾配に対応し、これは、各時間/更新ステップからどれが、
【0098】
【数17】

に対する寄与であるかに使用される。
【0099】
特に、
【0100】
【数18】

を直接コンピューティングするためのメモリフットプリントは非常に大きいので、少数の状態テンソルよりも多くを記憶することは困難である。状態テンソルは、単一のシミュレーション時間ステップに対するFDTDセル(例えば、複数のボクセル)の全ての値を記憶することに対応する。「テンソル」という用語は、数学的な意味での、又はAlphabet,Inc.によって開発されたTensorFlowフレームワークによって説明されるようなテンソルを指し得ることが理解される。いくつかの実施形態では、「テンソル」という用語は、特定の変換法則に従う多次元配列に対応する数学的テンソルを指す。しかしながら、ほとんどの実施形態では、「テンソル」という用語は、TensorFlowテンソルを指し、テンソルは、ベクトル及び行列を潜在的により高い次元(例えば、ベースデータタイプのn次元配列)に一般化するものとして説明され、必ずしも特定の変換法則に限定されない。例えば、一般損失関数fの場合、全ての時間ステップ、iに対して、フィールドxを記憶する必要があり得る。これは、fのほとんどの選択に対して、勾配がfの引数の関数になるためである。この困難性は、iのより大きな値に対する
【0101】
【数19】

の値が、フィールド応答の増分更新に起因して、及び/又は損失メトリックの逆伝播を通してより小さいiに対する値より前に必要とされるという事実に度を増し、これは、即時の時間ステップで値
【0102】
【数20】

のみを記憶しようとするスキームの使用を妨げ得る。
【0103】
構造勾配、
【0104】
【数21】

をコンピューティングするときに追加の困難性が更に例示され、この構造勾配は、以下によって与えられる:
【0105】
【数22】

完全性のために、和、
【0106】
【数23】

の第1項は、以下として表される:
【0107】
【数24】

式(3)によって説明されるようなφの定義に基づいて、
【0108】
【数25】

を式(5)に代入して、逆伝播のためのアドジョイント更新(例えば、更新動作756などの更新動作)に到達することができ、これは、以下として表され得ることに留意する:
【0109】
【数26】
【0110】
アドジョイント更新は、より遅い時間ステップからより早い時間ステップへの損失勾配(例えば損失メトリックからの)逆伝播であり、
【0111】
【数27】

に対する後方解と称され得る。より具体的には、損失勾配は、最初に、損失関数を用いた動作シミュレーションから判定される損失メトリックの逆伝播に基づき得る。和の構造勾配、
【0112】
【数28】

の第2項は、フィールド勾配に対応し、式(3)によって記述される特定の形式のφに対して、
【0113】
【数29】

として示される。したがって、関連する和
【0114】
【数30】

の各項は、i>=iの場合の
【0115】
【数31】

及びi<iの場合の
【0116】
【数32】

に両方ともに依存する。これらの2つの項の依存チェーンは反対方向であるので、このように
【0117】
【数33】

をコンピューティングすることは、全てのiに対してxの値の記憶を必要とする。いくつかの実施形態では、全てのフィールド値を記憶する必要性は、フィールドの低減された表現によって軽減され得る。
【0118】
図8は、本開示の実施形態による、フォトニックデバイスの設計を生成するための例示的な方法800を示す。方法800は、性能損失及び製造損失を含む損失関数から決定される損失メトリックの反復最適化を実行するためにシステム(例えば、図5のシステム500)で動作を実行することによって達成され得る逆設計プロセスであることが理解される。いくつかの実施形態では、方法800は、マシンによって実行されるときに、マシンにフォトニックデバイスの設計を生成するための動作を実行させる、少なくとも1つのマシンアクセス可能な記憶媒体(例えば、非一時的なメモリ)によって提供される命令として含まれ得る。方法800においてプロセスブロックのいくつか又は全てが現れる順序は、限定的なものとみなされるべきではないことが更に理解される。むしろ、本開示の利益を有する当業者は、プロセスブロックのうちのいくつかが、例示されていない様々な順序で、又は並列でさえ実行され得ることを理解するであろう。
【0119】
ブロック810は、受信されたか又は他の方法で取得されたフォトニックデバイスの初期記述を表すシミュレーション環境の構成を示す。いくつかの実施形態では、フォトニックデバイスは、最適化後に特定の機能を有する(例えば、光デマルチプレクサとして機能する)ことが期待され得る。初期記述は、シミュレーション環境内のフォトニックデバイスの構造パラメータを記述し得る。シミュレーション環境は、フォトニックデバイスの構造パラメータを集合的に記述する複数のボクセルを含み得る。複数のボクセルの各々は、構造パラメータを記述するための構造値と、物理刺激(例えば、1つ以上の励起源)に対するフィールド応答(例えば、1つ以上の直交方向における電場及び磁場)を記述するためのフィールド値、及び物理刺激を記述するためのソース値に関連付けられる。初期記述が受信されるか又は他の方法で得られると、シミュレーション環境が構成される(例えば、ボクセルの数、ボクセルの形状/配置、並びにボクセルの構造値、フィールド値、及び/又はソース値の特定の値が、初期記述に基づいてセットされる)。いくつかの実施形態では、初期記述は、物理デバイスの第1の記述であり得、構造パラメータの値が、初期(例えば第1の)設計に対するバイアスがないように入力領域及び出力領域の外側のランダム値又はヌル値であり得る。初期記述又は入力設計は、相対的な用語であり得ることが理解される。したがって、いくつかの実施形態では、初期記述は、シミュレーション環境のコンテキスト内で記述される物理デバイスの第1の記述であり得る(例えば、第1の動作シミュレーションを実行するための第1の入力設計)。
【0120】
しかしながら、他の実施形態では、初期記述という用語は、特定のサイクル(例えば、動作シミュレーションを実行すること、アドジョイントシミュレーションを動作させること、及び構造パラメータを更新すること)の初期記述を指し得る。そのような実施形態では、初期記述又はその特定のサイクルの設計は、(例えば、以前のサイクルから生成された)改訂された記述又は洗練された設計に対応し得る。いくつかの実施形態では、シミュレーション環境は、フォトニックデバイスの構造パラメータを最適化するために更新、改訂、又は他の方法で変更され得る構造パラメータを有する複数のボクセルの一部分を含む設計領域を含む。いくつかの実施形態では、構造パラメータは、シミュレーション環境の材料特性(例えば、比誘電率、屈折率など)に基づいて物理デバイスの幾何学的境界及び/又は材料組成に関連付けられる。
【0121】
いくつかの実施形態では、シミュレーション環境は、第1の通信領域と複数の第2の通信領域との間に光学的に結合された設計領域を含む。いくつかの実施形態では、第1の通信領域は、入力領域又はポート(例えば、励起源が始まる)に対応し得、第2の通信は、(例えば、入力ポートで受信されたマルチチャネル光信号に含まれる複数の別個の波長チャネルを光学的に分離し、別個の波長チャネルの各々を複数の出力ポートのうちの対応する1つにそれぞれガイドする光デマルチプレクサを設計するときに)複数の出力領域又はポートに対応し得る。しかしながら、他の実施形態では、第1の通信領域は出力領域又はポートに対応し得、複数の第2の通信領域は、(例えば、複数の入力ポートのそれぞれで受信された複数の別個の波長信号を光学的に組み合わせて、出力ポートにガイドされるマルチチャネル光信号を形成する光マルチプレクサを設計するときに)複数の入力ポート又は領域に対応する。
【0122】
ブロック815は、波長チャネル及びスループット信号を2つのそれぞれの第2の通信領域にマッピングすることを示す。波長チャネル及びスループット信号は、フォトニックデバイスの初期記述によって第2の通信領域にマッピングすることができる。例えば、フォトニックデバイスの性能メトリックを、入力ポートから個々の出力ポートへの電力送信に関連付ける損失関数が選択され得る。いくつかの実施形態では、複数の別個の波長チャネルに含まれる第1のチャネルは、第1の出力ポートにマッピングされ、これは、第1のチャネルに対するフォトニックデバイスの性能メトリックが第1の出力ポートに結び付けられることを意味する。
【0123】
いくつかの実施形態では、複数の第2の通信領域は、2つの通信領域を含み、複数の別個の波長チャネルは、4つのチャネルを含む入力信号が、1つのチャネルを含む出力信号及び3つのチャネルを含むスループット信号に部分的に逆多重化されるように、4つの別個の波長チャネルを含む。同様に、入力信号は、異なる数のチャネル(例えば、3チャネル、4チャネル、5チャネル、6チャネル、7チャネル、8チャネルなど)を含むことができ、その結果、スループット信号は、チャネルの総数よりも1つ少ない数を含むことができ、デマルチプレクサは、多くのフォトニックデバイスを含むことができ、各々がカスケード配置のフォトニックデバイスとして機能する。このようにして、方法800の動作は、構成要素フォトニックデバイスを含むフォトニック集積回路が、逆多重化シーケンスに従ってマルチチャネル入力信号を逆多重化するように最適化されるように、各フォトニックデバイスに対して個別に実行され得る。
【0124】
ブロック820は、性能メトリックを判定するために、1つ以上の励起源に応答して動作するシミュレーション環境内のフォトニックデバイスの動作シミュレーションを実行することを例示する。より具体的には、物理デバイスのフィールド応答が励起源に起因してどのように変化するかを判定するために、フォトニックデバイスのフィールド応答が複数の時間ステップにわたって増分的に更新される電磁シミュレーションが実行される。複数のボクセルのフィールド値は、励起源に応答して、集積フォトニック回路の構造パラメータに少なくとも部分的に基づいて更新される。追加的に、特定の時間ステップでの各更新動作はまた、前の(例えば、直前の)時間ステップに少なくとも部分的に基づき得る。
【0125】
その結果、動作シミュレーションは、フォトニックデバイスと物理的刺激(例えば、1つ以上の励起源)との間の相互作用をシミュレートして、物理的刺激に応答したフォトニックデバイス(例えば、出力ポート又は出力領域のうちの1つ又は複数において)のシミュレートされた出力を決定する。相互作用は、フォトニックデバイスの構造パラメータ及びフォトニックデバイスの動作を支配する基礎物理に少なくとも部分的に起因する、電磁領域内の物理刺激の摂動、再送信、減衰、分散、屈折、反射、回折、吸収、散乱、増幅、又は他のもののうちのいずれか1つ又はそれらの組合せに対応し得る。したがって、動作シミュレーションは、シミュレーション環境のフィールド応答が複数の時間ステップにわたって(例えば、所定のステップサイズを有する初期時間ステップから最終時間ステップまで)励起源に起因してどのように変化するかをシミュレートする。
【0126】
いくつかの実施形態では、シミュレートされた出力は、フォトニックデバイスの1つ以上の性能メトリックを判定するために利用され得る。励起源は、動作シミュレーションを実行するときに、第1の通信領域(すなわち、入力ポート)で始まるか、又は第1の通信領域に近接して配設され得る。動作シミュレーション中に、それぞれの出力ポートにおける電界応答を使用して、選択された別個の波長チャネルに対するフォトニックデバイスのシミュレートされた電力送信を決定することができる。このようにして、動作シミュレーションは、第1の通信領域から、設計領域を通って、複数の別個の波長チャネルのうちの選択された1つにマッピングされた複数の第2の通信領域のうちのそれぞれの1つへの励起源のシミュレートされた電力送信を判定し得る。いくつかの実施形態では、複数の別個の波長チャネルのうちの所与の1つの通過帯域に及ぶ1つ以上の周波数は、設計を最適化するためにランダムに選択される(例えば、目標仕様を満たす通過帯域内のリプルを含む各通過帯域の全幅を有しながらのバッチ勾配降下)。いくつかの実施形態では、複数の別個の波長チャネルの各々は、異なる中心波長を有する共通の帯域幅を有する。
【0127】
ブロック825は、性能メトリックに関連付けられた性能損失と最小特徴サイズに関連付けられた製造損失とに基づいて損失メトリックを決定することを示す。いくつかの実施形態では、損失メトリックは、性能損失及び製造損失の両方を入力値として含む損失関数を介して判定される。性能損失は、性能メトリックとフォトニックデバイスの目標性能メトリックとの間の差に対応し得る。いくつかの実施形態では、シミュレーション環境の設計領域のための最小特徴サイズが、逆設計プロセスによって生成される設計の製作可能性を促進するために提供され得る。製造損失は、最小特徴サイズ及び設計領域の構造パラメータに少なくとも部分的に基づく。より具体的には、製造損失は、設計領域が最小特徴サイズ未満の直径を有する構造要素を有しないように、設計の最小特徴サイズを実施する。これは、このシステムが特定の製造可能性及び/又は歩留まり要件を満たす設計を提供するのに役立つ。いくつかの実施形態では、製造損失はまた、設計の二値化を実施するのに役立つ(すなわち、第1及び第2の材料を一緒に混合して第3の材料を形成するのではなく、設計は、不均一に分散する第1の材料及び第2の材料の領域を含む)。いくつかの実施形態では、最小特徴サイズは、最小特徴形状を含み得る。
【0128】
いくつかの実施形態では、逆設計プロセスによって生成された設計は、所定の幅を有する特徴形状によって概略的に再現可能であるように、設計領域(例えば、図4Aの分散領域430)内で構造化される第1の材料(例えば、図4Aの第1の材料421)又は第2の材料(例えば、図4Aの第2の材料423)の少なくとも一方を最適化する。例えば、設計領域内の第1の材料及び/又は第2の材料の形状及び配置は、特徴形状に対応するサイズ及び所定の幅に対応する幅を有するブラシを用いて再現されてもよい(例えば、描かれてもよい)。いくつかの実施形態では、特徴形状は、円、正方形、六角形、八角形、又は任意の他の形状のうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、特徴形状は、回転、反転、及び/又は別の特徴形状の一部と重複され得る、単一形状である。例えば、特徴形状が八角形である場合、特徴形状に各々対応する2つの重なり合う八角形は、異なる形状を生成するために互いに部分的に重なり合ってもよい。他の実施形態では、特徴形状は、重なり合わないタイリング可能な単位(すなわち、設計の分割不可能な単位)のみであってもよい。いくつかの実施形態では、特徴形状の所定の幅は、20nm~200nmであってもよい。例えば、特徴形状の所定の幅は、100nm、140nm、180nmなどであってもよい。いくつかの実施形態では、特徴形状及び特徴形状の所定の幅は、設計の最小特徴サイズに対応する。例えば、図4Aの分散領域430-1の第1の材料421は、100nmの幅を有する八角形によって概略的に再現され得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、製造損失は、最小特徴サイズに等しい幅を有する畳み込みカーネル(例えば、円形、正方形、八角形、又は他のもの)を生成することによって判定される。次いで、畳み込みカーネルは、シミュレーション環境の設計領域を通ってシフトされて、設計領域を超えて延在することなく、設計領域内の畳み込みカーネルに適合する設計領域内のボクセル位置(すなわち、個々のボクセル)を判定する。次いで、畳み込みカーネルは、ボクセル位置の各々において、ボクセル位置に関連付けられた構造パラメータと畳み込まれて、第1の製造値を判定する。次いで、構造パラメータが逆数にされ、畳み込みカーネルが、ボクセル位置の各々において、逆数にされた構造パラメータと再び畳み込まれて、第2の製造値が判定される。次いで、第1及び第2の製造値が続いて組み合わされて、設計領域の製造損失を判定する。製造損失を判定するこのプロセスは、より小さい曲率半径を有する設計領域の構造要素が閾値サイズ未満の大きさを有することを促進し得る(すなわち、最小特徴サイズの半分の逆数)。
【0130】
ブロック830は、損失メトリックに対する構造パラメータの変化の影響(すなわち、構造勾配)を判定するために、シミュレーション環境を通じた損失関数を介して損失メトリックを逆伝播させることを例示する。損失メトリックはアドジョイントソース又は仮想ソースとして扱われ、フォトニックデバイスの構造勾配を判定するために、後方シミュレーションにおいて最終時間ステップからより早い時間ステップへ増分的に逆伝播される。
【0131】
ブロック835は、損失メトリックを調整するために構造パラメータを更新することによってフォトニックデバイスの設計を修正する(例えば、修正された記述が生成される)ことを示す。いくつかの実施形態では、損失メトリックを調整することは、損失メトリックを低減し得る。しかしながら、他の実施形態では、損失メトリックは、必ずしも損失メトリックを低減しない方法で調整され得るか、又は他の方法で補償され得る。いくつかの実施形態では、損失メトリックを調整することは、パラメータ化空間内に一般的な方向を提供しながら製造可能性を維持して、デバイス製造可能性及び目標性能メトリックも維持しながら最終的に性能の増加をもたらす設計を得ることができる。いくつかの実施形態では、改訂された記述は、勾配降下アルゴリズム、マルコフ連鎖モンテカルロアルゴリズム、又は他の最適化技術を介した動作及びアドジョイントシミュレーションのサイクル後に、最適化方式を利用することによって生成される。このようにして、フォトニックデバイスをシミュレートし、損失メトリックを判定し、損失メトリックを逆伝播させ、構造パラメータを更新して損失メトリックを調整する反復サイクルは、性能メトリックと目標性能メトリックとの間の差が閾値範囲内にあるように損失メトリックが実質的に収束するまで、連続的に実行され得、同時に製造損失に起因する製造可能性及び二値化も考慮する。いくつかの実施形態では、「収束する」という用語は、単に、差が閾値範囲内にあること、及び/又は何らかの閾値を下回ることを示し得る。
【0132】
決定ブロック840は、性能メトリックと目標性能メトリックとの間の差が閾値範囲内にあるように、損失メトリックが実質的に収束するかどうかを判定することを示す。複数の別個の波長チャネルから選択された励起源を有するフォトニックデバイスをシミュレートし、損失メトリックを逆伝播させ、性能メトリックと目標性能メトリックとの間の差が閾値範囲内になるように損失メトリックが実質的に収束するまで、構造パラメータを更新して損失メトリックを低減することによって設計を修正する反復サイクル。いくつかの実施形態では、ブロック815のマッピングに基づいて、フォトニックデバイスの設計領域に、第1の通信領域を介して受信されたマルチチャネル光信号から別個の波長チャネル及びマルチチャネルスループット信号を光学的に分離させ、それぞれの出力を複数の第2の通信領域の対応する1つに誘導させるサイクルを実行するときに、集積フォトニック回路の設計領域の構造パラメータが改訂される。
【0133】
ブロック845は、フォトニックデバイスの最適化された設計を出力することを例示し、構造パラメータは、性能メトリックと目標性能メトリックとの間の差を閾値範囲内に有するように更新され、同時に、最小特徴サイズ及び二値化も実施する。
【0134】
上記で説明したプロセスは、コンピュータソフトウェア及びハードウェアに関して説明されている。説明される技術は、マシンによって実行されるときに、マシンに説明された動作を実行させる、有形又は非一時的なマシン(例えば、コンピュータ)可読記憶媒体内に具現化されるマシン実行可能命令を構成し得る。更に、プロセスは、特定用途向け集積回路(「ASIC」)など、又はその他のハードウェア内で具体化され得る。
【0135】
有形の機械可読記憶媒体は、機械(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、個人情報端末、製造ツール、1つ以上のプロセッサのセットを有する任意のデバイスなど)がアクセス可能な非一時的形態の情報を提供(すなわち、記憶)する任意のメカニズムを含む。例えば、機械可読記憶媒体は、記録可能/記録不可能な媒体(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリ装置など)を含む。
【0136】
要約書に説明されているものを含め、本発明の例示される実施形態の上記の説明は、網羅的であること、又は本発明を開示された厳密な形態に限定することを意図していない。本発明の特定の実施形態及び例が例示の目的で本明細書に説明されているが、当業者が認識するように、本発明の範囲内で様々な修正が可能である。
【0137】
これらの変更は、上記の詳細な説明に照らして本発明に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において使用される用語は、本明細書に開示される特定の実施形態に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって完全に判定されるべきであり、特許請求の範囲は、請求項の解釈の確立された原則に従って解釈されるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】