(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】核酸の濃縮及び検出
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6827 20180101AFI20240401BHJP
C12Q 1/6874 20180101ALI20240401BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240401BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20240401BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20240401BHJP
C12N 15/11 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
C12Q1/6827 Z ZNA
C12Q1/6874 Z
C12Q1/6869 Z
C12Q1/6844 Z
C12N15/10 110Z
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564030
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 IB2022000217
(87)【国際公開番号】W WO2022219408
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523391618
【氏名又は名称】バイオフィデリティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】オズボーン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ストラレク-ヤヌツキーヴィッチ,マグダレーナ
(72)【発明者】
【氏名】バルムフォース,バーナビー
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA17
4B063QA18
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ42
4B063QR10
4B063QR32
4B063QR40
4B063QR55
4B063QR82
4B063QS12
4B063QS25
4B063QS32
(57)【要約】
加ピロリン酸分解反応に基づくハイブリダイゼーション捕捉方法が開示される。本発明によれば、試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列の比を上昇させる方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料をプローブ及び加ピロリン酸分解反応試薬と接触させること;及び前記第1及び第2の核酸分子に対する前記プローブの差次的相補性に基づいて、第2の核酸分子に対して第1の核酸分子を濃縮または枯渇させることを含む、方法。
【請求項2】
試料中の第2の核酸分子と比較して第1の核酸分子の標的領域に対して相補性が異なるプローブと前記試料を接触させることによって、核酸分子の混合物を含む試料中の第1の核酸分子を濃縮または枯渇させること;加ピロリン酸分解反応を実施すること;及び前記第1の核酸分子を濃縮または枯渇させることを含む、方法。
【請求項3】
試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列との比を上昇させる方法であって:a)前記第1及び第2の核酸配列を含む試料を、前記第1及び第2の核酸配列に対して相補性が異なるプローブに曝露すること;b)加ピロリン酸分解反応を行うこと;及びc)前記第2の核酸配列に対して前記第1の核酸配列を濃縮または枯渇させることを含む、前記方法。
【請求項4】
試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列との比を上昇させる方法であって、前記試料が少なくとも第1及び第2の配列を含み、以下の工程:
a.1つ以上の核酸分析物を含む前記試料を、以下:
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0であって、前記プローブが、前記第1または第2の配列の一方に対してより大きい相補性を有し、他方に対してより小さい相補性を有する、前記一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0を含む第1の反応混合物に導入する工程;
b.工程(a)によって産生された前記反応混合物を、以下:
i.加ピロリン酸分解酵素;及び
ii.ピロリン酸イオン源
を含む第2の反応混合物に導入する工程であって、A
0が、前記核酸配列の一方により良好にアニーリングして、A
0が前記配列と二本鎖複合体を形成し、A
0がその3’末端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される少なくとも部分的に二本鎖の中間生成物を生成し、他方の配列に対してより低い程度でアニーリングする任意のA
0が、より低い程度で3’-5’方向に加ピロリン酸分解される工程;
c.以下によってアニーリングされたA
0配列複合体を分離する工程であって:
i.前記複合体の鎖を、加ピロリン酸分解反応の結果として分離すること、または
ii.反応混合物を、前記複合体のスタンドが分離するのに十分な温度であるが、分離するためにより低い程度にアニーリングされた任意のA
0のスタンドに必要な温度より低い温度まで加熱する前記工程;及び
d.A
0、ひいてはそれにアニーリングされたままでのあらゆる核酸配列を、A
0にアニーリングされていない任意の核酸配列から分離する工程を含む、前記方法。
【請求項5】
前記第1及び第2の反応混合物が、工程(a)の前記第1の反応混合物が加ピロリン酸分解酵素及びピロリン酸イオン源をさらに含むように組み合わされる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(d)における前記分離が、工程(a)の前または後に固体支持体上へのA
0の捕捉によって行われる、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
A
0が、前記配列のいずれにも相補的ではない5’テール領域をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記固体支持体上への前記捕捉が、A
0とのハイブリダイゼーションの前または後のいずれかにそれを介して前記固体支持体に結合する捕捉部分を含む別のオリゴC
0へのA
0の5’テール領域のハイブリダイゼーションによって行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
A
0が、それを介して前記固体支持体に結合する捕捉部分をさらに含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記捕捉部分がビオチンであり、前記固体支持体がストレプトアビジンを含む、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記固体支持体がビーズである、請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記ビーズが磁性ビーズまたは常磁性ビーズである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1つ以上の洗浄工程が、前記工程のうちの1つ以上の間で行われる、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記試料が、核酸分析物のアダプタータグ付きライブラリーである、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
工程(d)の後、A
0にアニーリングされたままの核酸またはA
0にアニーリングされていない核酸のいずれかが同定される、請求項4~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記配列が増幅によって同定される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記配列がマイクロアレイ分析によって同定される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記配列がシーケンシングによって同定される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記配列が次世代シーケンシング(NGS)によって同定される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
異なる標的配列にアニーリングするように設計された異なる配列をそれぞれ有する複数の異なるプローブオリゴヌクレオチドが使用され、複数の標的配列の濃度が、非標的配列と比較して同時に上昇する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記異なるプローブオリゴヌクレオチドが、ヒト健康の診断、治療またはモニタリングに関連する遺伝的バリアントを含むヒトゲノムの配列にアニーリングする配列を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
工程(d)の後、前記試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在が、A
0にアニーリングし、その後放出されるか、または保持される核酸配列の同定によって推測され、それによって疾患または状態の存在または非存在が推測される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程(d)の後、前記試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在が、A
0にアニーリングし、その後放出されるか、または保持される核酸配列の同定によって推測され、それによって疾患または状態の適切な治療が推測される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
工程(d)の後、前記試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在が、A
0にアニーリングし、その後放出されるか、または保持される核酸配列の同定によって推測され、それによって特定の疾患または状態の治療に対する患者の応答が推測される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
工程(d)の後、前記試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在が、A
0にアニーリングし、その後放出されるかまたは保持される核酸配列の同定によって推測され、1つ以上の患者治療決定が、前記遺伝的バリアントの存在または非存在に基づいて行われる、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記試料がヒトの血液または組織試料である、請求項21~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記疾患ががんである、請求項22~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記がんが、肺がん、結腸がん、胃がん、子宮内膜がん、卵巣がん、肝胆道がん、尿路がん、脳がん、及び皮膚がんからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
a)A
0が、公知の第1の配列に対して、公知の第2の配列よりも大きな相補性を有する配列を含む、1つ以上のオリゴヌクレオチドA
0;
b)1つ以上の加ピロリン酸分解酵素;及び
c)1つ以上のピロリン酸イオンの供給源を含む、キット。
【請求項30】
加ピロリン酸分解反応後に、前記プローブに対してより大きい相補性を有する標的核酸分子を、前記プローブに対してより小さい相補性を有する核酸分子から分離する標的核酸単離成分をさらに含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
1つ以上の固体支持体をさらに含む、請求項29に記載のキット。
【請求項32】
1つ以上の緩衝液をさらに含む、請求項29~31のいずれか1項に記載のキット。
【請求項33】
A
0が、公知の第1の配列または公知の第2の配列のいずれにも相補的ではない5’テール領域をさらに含む、請求項29~32のいずれか1項に記載のキット。
【請求項34】
A
0が捕捉部分をさらに含む、請求項29~33のいずれか1項に記載のキット。
【請求項35】
捕捉部分を含む1つ以上の捕捉オリゴヌクレオチドC
0をさらに含み、A
0の5’テール領域がC
0の領域と相補的である、請求項29~33のいずれか1項に記載のキット。
【請求項36】
前記捕捉部分がビオチンであり、前記固体支持体がストレプトアビジンを含む、請求項34または35に記載のキット。
【請求項37】
前記固体支持体が、捕捉オリゴヌクレオチドC
0を含み、A
0の5’テール領域がC
0の領域と相補的である、請求項31~36のいずれか1項に記載のキット。
【請求項38】
前記固体支持体がビーズである、請求項31~37のいずれか1項に記載のキット。
【請求項39】
前記ビーズが磁性ビーズまたは常磁性ビーズである、請求項38に記載のキット。
【請求項40】
1つ以上のエピジェネティック改変感受性または依存性制限酵素をさらに含む、請求項29~39のいずれか1項に記載のキット。
【請求項41】
1つ以上の制限エンドヌクレアーゼをさらに含む、請求項29~40のいずれか1項に記載のキット。
【請求項42】
1つ以上のトランスポソームをさらに含む、請求項29~41のいずれか1項に記載のキット。
【請求項43】
Cas9をさらに含む、請求項29~42のいずれか1項に記載のキット。
【請求項44】
1つ以上のトランスポザーゼをさらに含む、請求項29~43のいずれか1項に記載のキット。
【請求項45】
1つ以上のリガーゼをさらに含む、請求項29~44のいずれか1項に記載のキット。
【請求項46】
1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含む、請求項29~45のいずれか1項に記載のキット。
【請求項47】
前記1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドが、加ピロリン酸分解に耐性である、請求項46に記載のキット。
【請求項48】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬をさらに含む、請求項29~47のいずれか1項に記載のキット。
【請求項49】
次世代シーケンシング(NGS)試薬をさらに含む、請求項29~48のいずれか1項に記載のキット。
【請求項50】
DNAライブラリー調製キットをさらに含む、請求項29~49のいずれか1項に記載のキット。
【請求項51】
1つ以上の分子プローブをさらに含む、請求項29~50のいずれか1項に記載のキット。
【請求項52】
前記1つ以上の分子プローブが蛍光標識されている、請求項51に記載のキット。
【請求項53】
クラウディング剤をさらに含む、請求項29~52のいずれか1項に記載のキット。
【請求項54】
界面活性剤をさらに含む、請求項29~53のいずれか1項に記載のキット。
【請求項55】
溶媒をさらに含む、請求項29~54のいずれか1項に記載のキット。
【請求項56】
ホスホヒドロラーゼをさらに含む、請求項29~55のいずれか1項に記載のキット。
【請求項57】
ピロホスファターゼをさらに含む、請求項29~56のいずれか1項に記載のキット。
【請求項58】
A
0が、ヒトゲノムの野生型配列に相補的であり、前記野生型配列の変異対立遺伝子に相補的でない配列を有する、請求項29~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項59】
A
0が、ヒトゲノムの野生型配列に相補的でなく、前記野生型配列の変異対立遺伝子に相補的である配列を有する、請求項29~57のいずれか1項に記載のキット。
【請求項60】
RNAのcDNAへの転写のための構成要素をさらに含む、請求項29~59のいずれか1項に記載のキット。
【請求項61】
請求項29~60までのいずれか1項に記載のキットの使用。
【請求項62】
試料中の標的核酸を濃縮または枯渇させるための、請求項29~60のいずれか1項に記載のキットの使用。
【請求項63】
反応混合物であって、
a)試料;
b)加ピロリン酸分解濃度の加ピロリン酸分解試薬;
c)プローブにハイブリダイズした前記試料からの第1の核酸分子であって、前記プローブが第2の核酸よりも前記第1の核酸分子に対して大きい相補性を有する、前記第1の核酸分子;及び
d)前記プローブにハイブリダイズした前記試料からの第2の核酸分子を含む、前記反応混合物。
【請求項64】
反応混合物であって、
a)試料;
b)加ピロリン酸分解濃度の加ピロリン酸分解試薬;及び
c)前記反応混合物の第1の領域中の第1の核酸分子であって、前記第1の核酸が前記試料中の前記第1の核酸の濃度よりも高い濃度を前記第1の領域で有する、前記第1の核酸分子を含む、前記反応混合物。
【請求項65】
反応混合物であって、
a)試料;
b)加ピロリン酸分解濃度の加ピロリン酸分解試薬;及び
c)前記反応混合物の第1の領域中の第1の核酸分子であって、前記第1の核酸が前記試料中の前記第1の核酸の濃度よりも低い濃度を前記第1の領域で有する、前記第1の核酸分子を含む、前記反応混合物。
【請求項66】
試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列との比を変化させる方法であって、前記試料が少なくとも第1及び第2の配列を含み、以下の工程:
a.1つ以上の核酸分析物を含む試料を
i.一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0であって、前記プローブが、前記第1または第2の配列の一方に対して、他方と比較してより大きい相補性を有する、前記一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA
0;
ii.加ピロリン酸分解酵素;及び
iii.ピロリン酸イオン源を含む第1の反応混合物に導入する工程であって、
A
0が、前記第1の核酸配列の一方により良好にアニーリングして、A
0の3’末端が前記配列と二本鎖複合体を形成し、A
0がその3’末端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される少なくとも部分的に二本鎖の中間生成物を生成し、前記第2の配列に対してあまり良好にアニーリングされない任意のA
0が、より低い程度で3’-5’方向に加ピロリン酸分解される前記工程;
b.前記第1の配列に対してアニーリングする任意の短縮A
0配列複合体を選択的に変性させる工程;及び
c.A
0、ひいてはA
0にアニーリングされたままである前記第2の核酸配列を、A
0にアニーリングされていない前記第1の核酸配列から分離し、それによって、前記第2の核酸配列に対する前記第1の核酸配列の比を変化させる工程を含む、前記方法。
【請求項67】
前記第1の核酸配列にアニーリングして二本鎖複合体を形成するA
0が、A
0と前記第1の核酸配列との間に安定な二重鎖が存在するには不十分な相補性が残る程度まで加ピロリン酸分解され、A
0及び前記核酸配列が変性する、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記選択的変性が、前記反応混合物を加熱することを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記変性が前記反応物のpHを上昇させることを含む、請求項67~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記変性が、前記反応混合物の塩濃度を低下させることを含む、請求項67~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記固体支持体上へのA
0の捕捉が工程(a)の前に行われる、請求項66~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記固体支持体上へのA
0の捕捉が工程(a)の後に行われる、請求項66~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
A
0が、前記配列のいずれにも相補的ではない5’テール領域をさらに含む、請求項66に記載の方法。
【請求項74】
前記固体支持体上への前記捕捉が、A
0とのハイブリダイゼーションの前または後のいずれかにそれを介して前記固体支持体に結合する捕捉部分を含む別のオリゴC
0へのA
0の5’テール領域のハイブリダイゼーションによって行われる、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
A
0が、それを介して前記固体支持体に結合する捕捉部分をさらに含む、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記捕捉部分がビオチンであり、前記固体支持体がストレプトアビジンを含む、請求項74または75に記載の方法。
【請求項77】
前記固体支持体がビーズである、請求項74~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ビーズが磁性ビーズまたは常磁性ビーズである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記試料が核酸分析物のライブラリーである、請求項66~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
工程(c)の後、A
0にアニーリングされたままの核酸が同定される、請求項66~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
工程(c)の後、A
0にアニーリングされていない核酸が同定される、請求項66~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
異なる標的配列にアニーリングするように設計された異なる配列をそれぞれ有する複数の異なるプローブオリゴヌクレオチドA
0が使用され、複数の標的配列の濃度が、非標的配列と比較して同時に上昇または低下する、請求項66~81のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月15日に出願された英国特許出願第2105405.1号、2021年4月15日に出願された第2105388.9号及び、2021年8月6日出願された第2111381.6号の優先権を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
ファイルサイズが15,464バイトである、2022年4月15日に作成された「40018-601_SEQUENCE_LISTING_ST25」と題する、本明細書と共に提出されたコンピュータ可読配列表の本文は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
野生型分子のプールにおける低頻度バリアントの標的化検出は、がんの早期検出、がんの進行のモニタリング、がん治療の標的化、非侵襲的出生前検査、特定の(新)抗原を標的とするT細胞集団のモニタリング、及び臓器移植拒絶の早期警告のために臨床的に重要である。ハイブリダイゼーション捕捉と次世代シーケンシング(NGS)との組み合わせは、低頻度バリアントの標的化及び多重検出に最も一般的に適用されている方法であるが、いくつかの最適以下の特徴を有する。一般に、ハイブリダイゼーション捕捉は、目的の標的領域を濃縮するが、バリアント分子は濃縮しない。これにより、シーケンシングリードの大部分がバリアント分子ではなく野生型分子に由来することになる。これは無駄であり、コストがかかり、保存、ライブラリー調製及びシーケンシングからのエラーのバックグラウンドに対してまれなバリアントを検出することを困難にする。これは、約0.1%未満のバリアントの慣用的な検出には不十分な特異性を有するNGSをもたらす。改変されたライブラリー作製方法(例えばデュプレックスシーケンシング)は、特異性を高めることができ、単一分子から正確なシーケンシングデータを得ることができる。残念なことに、二重シーケンシングのような方法(例えば、末端修復を回避するようにライブラリー調製方法を改変することによって、及び分子的ボトルネックを意図的に課すことによって)も、感受性を低下させる。本明細書に記載の方法は、例えば、加ピロリン酸分解(PPL)に基づく改変されたハイブリダイゼーション捕捉法を使用して、目的の標的領域内に位置するバリアント分子の濃縮を可能にする。これは両方とも、必要とされるシーケンシングリードの数を減少させるが、NGSの現在の検出限界を下回る低頻度バリアント分子の多重検出への扉を開くものである。
【発明の概要】
【0004】
いくつかの実施形態では、加ピロリン酸分解反応に基づくハイブリダイゼーション方法が本明細書で提供される。これらの方法は、ヌクレオチド不整合の遮断基を含む一本鎖オリゴヌクレオチド基質または二本鎖基質では効率的に進行しない反応である、加ピロリン酸分解の二本鎖特異性を利用している。
【0005】
例えば、いくつかの実施形態では、試料(例えば、2つ以上の異なる核酸分子を含む)をプローブ及び加ピロリン酸分解反応試薬と接触させることと、第1及び第2の核酸分子に対するプローブの異なる相補性に基づいて、第2の核酸分子に対して第1の核酸分子を濃縮または枯渇させ、第1及び第2の核酸分子にハイブリダイズしたときにプローブの異なるレベルの加ピロリン酸分解をもたらすことを含む方法が本明細書で提供される。
【0006】
例えば、いくつかの実施形態では、本方法は、第1の核酸分子を、試料中の他の核酸分子と比較して第1の核酸分子上の標的領域に対して相補性が異なるプローブと接触させることによって、核酸分子の混合物を含む試料中の第1の核酸分子を濃縮または枯渇させること;加ピロリン酸分解反応を実施すること;及び第1の核酸分子を濃縮または枯渇させることを含む。いくつかの実施形態では、プローブは、試料中の第2の核酸の対応する標的領域に対して相補的であるよりも、第1の核酸分子の標的領域に対して相補的である。いくつかの実施形態では、プローブは、試料中の第2の核酸の対応する標的領域に対して相補的であるよりも、第1の核酸分子の標的領域に対して相補的でない。いくつかの実施形態では、第1の核酸及び第2の核酸は、配列変異(例えば、点変異、欠失、挿入、多ヌクレオチド変化、融合など)によって異なる。いくつかの実施形態では、プローブは、より大きい相補性の配列の標的領域に完全に相補的であり、より小さい相補性の配列の対応する標的領域に見出される配列変異に対して1つ以上のミスマッチを有する配列を含む。いくつかの実施形態では、プローブは、第1及び第2の核酸分子の両方の標的領域に対する1つ以上のミスマッチを含むが、より低い相補性の核酸の標的領域に対してより多くのミスマッチを含む。特に、プローブは、プローブが、第1の核酸にハイブリダイズするときに、第2の核酸と比較して加ピロリン酸分解の程度が異なるように設計され、加ピロリン酸分解によって生成された異なる反応生成物に基づいて、第2の核酸と比較して第1の核酸の選択的濃縮または枯渇を可能にする。
【0007】
例えば、いくつかの実施形態では、試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列との比を増加または減少させる方法であって:a)第1及び第2の核酸配列を含む試料を、第1及び第2の核酸配列に対して相補性が異なるプローブに曝露すること;b)加ピロリン酸分解反応を行うこと;及びc)第2の核酸配列に対して第1の核酸配列を濃縮または枯渇させることを含む方法が本明細書で提供される。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態では、試料中の第1の核酸配列対第2の核酸配列の比を増加させる方法であって、試料が少なくとも第1及び第2の配列を含み、以下の工程:
a.1種以上の核酸分析物を含む試料を
i.第1及び第2の核酸配列に対して差次的相補性を有する一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0(例えば、前記プローブの3’末端は、第1または第2の配列の一方に完全に相補的であるが、他方に不完全に相補的である)を含む第1の反応混合物に導入する工程;
b.工程(a)によって製造された反応混合物を、以下
ii.加ピロリン酸分解酵素;及び
iii.ピロリン酸イオン源を含む第2の反応混合物に導入する工程であって、
A0は、核酸配列の1つにアニーリングして(例えば、完全に)、A0(例えば、A0の3’末端)が前記配列と二本鎖複合体を形成し、A0がその3’末端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される少なくとも部分的に二本鎖の中間生成物を生成し、他方の配列にあまり完全ではなく(例えば、不完全に)アニーリングしたA0は、あまり完全ではない(例えば、不完全な)アニーリングにより、3’-5’方向にあまり完全ではない程度に加ピロリン酸分解される、工程;
c.以下によってより完全に(例えば、完全に)アニーリングされたA0配列複合体を分離する工程であって:
iv.前記複合体の鎖を、加ピロリン酸分解反応の結果として分離する(例えば溶融分離する)こと、または
v.反応混合物を、前記複合体の鎖が分離(例えば、溶融分離)するのに十分な温度であるが、分離する(例えば、溶融して分離する)ためにあまり完全にはアニーリングされていない(例えば、不完全に)任意のA0の鎖に必要な温度より低い温度まで加熱することにより分離する、工程;及び
d.A0、ひいてはそれにアニーリングされたままでのあらゆる核酸配列を、A0にアニーリングされていない任意の核酸配列から分離する工程を含む、方法が提供される。
【0009】
プローブには、加ピロリン酸分解反応の前または間に除去される1つ以上の成分が提供され得る。例えば、ブロッキング基が除去されるまで、加ピロリン酸分解またはポリメラーゼ反応の開始を防止する非相補的フラップまたは他のブロッキング基をプローブの3’末端に設けてもよい。ブロッキング基は、任意の適切な機構(例えば、酵素的切断、化学反応、温度シフトなど)によって除去することができる。異なる核酸分子にハイブリダイズした場合に、示差的な加ピロリン酸分解産物を提供するプローブの配列は、初期プローブの任意の適切な位置に配置され得る。例えば、ミスマッチ配列は、プローブの3’末端の3’末端塩基に配置され得る。ミスマッチ配列は、3’末端でプローブの内部に配置され得る。ミスマッチ配列は、プローブの中央に配置され得る。ミスマッチ配列は、プローブの5’半分内に配置され得る。
【0010】
プローブの5’末端は、識別子(例えば、試料識別子)として作用する領域(例えば、5’テール)を含み得る。このような配列は、例えば、混合試料から特定の試料または特定の領域から捕捉された分子を1つずつ選択的にプルダウンするために使用される。このような識別子は、複数の異なる標的が同じ試料または同じ反応容器内で反応を受けている多重領域において特定の用途を見出し得る。
【0011】
本発明の方法を適用することができる分析物/配列は、探索されている標的ポリヌクレオチド配列(複数可)を含む、天然または合成のDNAまたはRNA分子などの核酸である。いくつかの実施形態では、分析物/配列は、典型的には、それ及び他の生物学的材料を含有する水溶液中に存在し、いくつかの実施形態では、分析物/配列は、試験の目的のために対象ではない他のバックグラウンド核酸分子と共に存在する。いくつかの実施形態では、分析物/配列は、これらの他の核酸成分と比較して少量で存在する。好ましくは、例えば、分析物が細胞材料を含有する生物学的検体に由来する場合、方法の工程(i)を実施する前に、これらの他の核酸及び無関係な生物学的材料の一部または全部が、試料調製技術(例えば、濾過、遠心分離、クロマトグラフィーまたは電気泳動)を使用して除去されているであろう。
【0012】
本発明の組成物及び方法は、環境(例えば、水、土壌、空気など)試料及び生物学的試料を含むがこれらに限定されない任意の種類の試料に対して使用され得る。生物学的試料は、植物、動物、感染性病原体などを含む任意の供給源からのものであり得る。適切には、いくつかの実施形態では、分析物/配列は、血液、血漿、痰、尿、皮膚、生検または外科的切除などの哺乳動物対象(特にヒト患者)から採取された生物学的試料に由来する。いくつかの実施形態では、存在する任意の細胞を破壊することによって分析物/配列が放出されるように、生物学的試料を溶解に供する。他の実施形態では、分析物/配列は、例えば、血液または血漿中を循環する無細胞DNAのように、試料自体の中に遊離形態で既に存在していてもよい。
【0013】
本発明の組成物及び方法は、目的の分析物の対立遺伝子画分が低い可能性がある、歴史的に困難な試料タイプについて特定の用途を見出す。そのような試料としては、血液、尿、サイトスポンジ収集試料(例えば、食道試料)、気管支肺胞洗浄(BAL)由来試料、胸水、及び脳脊髄液(CSF)が含まれる。
【0014】
いくつかの実施形態において、試料はプールされた試料である。プールされた試料は、プールされた収集物が試験されるバッチにおいて複数の試料を混合することを含む。この手法は、より限られた量のリソースを使用して試験することができる個々の試料の数を増加させる。目的のプールされた試料には、提供された血液試料、農業試料、食品試料、精子試料、及び感染性病原体(例えば、SARS-CoV-2、HIV、HCVなど)の存在について試験された生物学的試料が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、プールされた試料は、その生成の性質上、複数の異なる供給源からのプールされた試料を有する環境的に収集された試料(例えば、廃水試料)である。試料のプール化は、試料が互いに希釈するにつれてバリアントの対立遺伝子画分を減少させ得るが、スクリーニングの効率の劇的な増加をもたらし得る。本明細書で提供される技術は、非常に低い対立遺伝子画分での検出を可能にするので、プールされた試料の分析に特によく適している。いくつかの実施形態では、バーコードまたは他の複雑な調製工程を使用せずに各初期試料の画分をプールし、プールされた試料を試験する。陽性結果が得られた場合、プールされていない試料の残りの画分を個別に試験することができる。
【0015】
本明細書に記載の方法と共に用途を見出す組成物(例えば、試薬、キット、反応混合物、機器、ソフトウェア)も本明細書で提供される。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法を実施するために必要、十分、または有用な1つ以上の試薬を含む組成物がここに提供される。例えば、いくつかの実施形態において、組成物は:1つ以上のオリゴヌクレオチドA0を含み、A0は、既知の第1の配列及び既知の第2の配列に差次的に相補的な(例えば、既知の第1の配列に完全に相補的であるが、既知の第2の配列に不完全に相補的である)配列(例えば、3’末端);1つ以上の加ピロリン酸分解酵素;及びピロリン酸イオンの1つ以上の供給源を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、加ピロリン酸分解反応後に、前記プローブ(例えば、前記プローブの3’末端)により完全に(例えば、完全に)相補的な標的核酸分子を、前記プローブ(例えば、前記プローブの3’末端)にあまり完全ではなく(例えば、不完全に)相補的な核酸分子から分離する標的核酸単離成分をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の固体支持体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、A0は、既知の第1の配列または既知の第2の配列のいずれにも相補的ではない5’テール領域を含む。いくつかの実施形態では、A0は、捕捉部分をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、捕捉部分を含み、A0の5’テール領域がC0の領域に相補的である1つ以上の捕捉オリゴヌクレオチドC0をさらに含む。いくつかの実施形態では、捕捉部分はビオチンであり、固体支持体はストレプトアビジンを含む。いくつかの実施形態では、固体支持体は、捕捉オリゴヌクレオチドC0を含み、A0の5’テール領域はC0の領域に対して相補的である。いくつかの実施形態において、固体支持体はビーズ(例えば、磁性ビーズまたは常磁性ビーズ)である。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上のエピジェネティック改変感受性または依存性制限酵素をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の制限エンドヌクレアーゼをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上のトランスポソームをさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は、Casタンパク質(例えばCas9)を含む。いくつかの実施形態において、組成物は1つ以上のトランスポザーゼをさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は1つ以上のリガーゼをさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含む。いくつかの実施形態において、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドは、加ピロリン酸分解に耐性である。いくつかの実施形態では、組成物は、増幅(例えば、PCR)、シーケンシング(例えば、次世代シーケンシング)または検出反応を行うための試薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の分子プローブをさらに含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の分子プローブは蛍光標識されている。いくつかの実施形態では、A0(例えば、A0の3’末端)は、ヒトゲノムの野生型配列に対してより相補的(例えば、完全に相補的)であり、前記野生型配列の変異対立遺伝子に対してあまり相補的ではない(例えば、不完全に相補的である)。いくつかの実施形態では、A0(例えば、A0の3’末端)は、ヒトゲノムの野生型配列に対してあまり相補的ではなく(例えば、不完全に相補的である)、前記野生型配列の変異対立遺伝子に対してより相補的である(例えば、完全に相補的である)。いくつかの実施形態では、組成物は、RNAのcDNAへの転写のための成分をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、組成物は、本明細書中に記載される方法のいずれかの特定の時点における反応を含む反応混合物である。いくつかの実施形態では、反応混合物は、加ピロリン酸分解の前に存在する。いくつかの実施形態では、反応混合物は、加ピロリン酸分解中に存在する。いくつかの実施形態では、反応混合物は、加ピロリン酸分解後に存在する。いくつかの実施形態では、反応混合物は、本明細書に記載の方法のプローブ/核酸ハイブリダイゼーション複合体を含む。いくつかの実施形態では、反応混合物は、本明細書に記載の方法の捕捉された核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、反応混合物は、加ピロリン酸分解反応を受けた試料中に存在した所望の標的核酸の濃度よりも高いまたは低い濃度の所望の標的核酸を含む領域を含む。例えば、いくつかの実施形態では、以下:試料;加ピロリン酸分解濃度(すなわち、加ピロリン酸分解に有利な試薬濃度)の加ピロリン酸分解試薬;配列を有するプローブにハイブリダイズした試料からの第1の核酸分子であって、プローブの識別領域が第1の核酸分子に相補的である、第1の核酸分子;及び前記配列を有するプローブとハイブリダイズした試料由来の第2の核酸分子であって、プローブの識別領域が第2の核酸分子と完全に相補的ではない、第2の核酸分子を含む反応混合物が本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、試料;加ピロリン酸分解濃度での加ピロリン酸分解試薬;及び反応混合物の第1の領域中の第1の核酸分子であって、試料中の第1の核酸の濃度よりも高いまたは低い濃度を第1の領域中で有する、核酸分子を含む反応混合物が本明細書で提供される。
【0017】
組成物(例えば、キットの使用、反応混合物の使用、試薬の使用、器具の使用、ソフトウェアの使用)の使用も本明細書で提供される。例えば、試料中の標的核酸を濃縮または枯渇させるための組成物の使用が本明細書で提供される。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法に用途を見出す装置及び機器が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、装置及び機器は、試料を収集して反応容器に分配する用途を見出す。いくつかの実施形態では、装置及び機器は、方法を実施するための反応チャンバを提供する。いくつかの実施形態では、装置及び機器は、反応物を収容するため、及び/または濃縮された所望の標的核酸を単離するため、または所望の標的核酸を枯渇させるための複数のゾーンまたは領域(例えば、ウェル、チャネルなど)を提供する。いくつかの実施形態では、装置及び機器は、核酸分子を増幅またはシーケンシングする用途を見出す。いくつかの実施形態では、装置及び機器は、核酸分子を検出する用途を見出す。いくつかの実施形態では、装置及び機器は、ユーザから情報を受信または送信する用途を見出す。例えば、装置及び機器は、ユーザ命令を受信するためのユーザインターフェースと、結果をユーザに視覚的に提示するためのディスプレイとを備えることができる。
【0019】
いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスが本明細書で提供される。コンピューティングデバイスは、本明細書に記載の方法を容易にするために機器または装置を制御する用途を見出す。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、データを収集、分析、及び報告する。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサを備える。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイスは、1つ以上のコンピューティング工程を実行するようにプロセッサに指示する命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、ソフトウェア)を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】ビオチン化プローブがストレプトアビジン被覆常磁性ビーズに予め結合している本発明の一実施形態の概略図である。次いで、ビーズに結合プローブを標的DNAとハイブリダイズさせ、加ピロリン酸分解を行う。この例では、ビーズ結合プローブは、野生型配列と完全に相補的であり、バリアント配列に対して不完全に相補的/ミスマッチである。野生型配列にハイブリダイズしたプローブは加ピロリン酸分解され、野生型DNAはビーズから溶液中に放出されるが、バリアント配列にハイブリダイズしたプローブはミスマッチしているため、野生型配列と同程度に加ピロリン酸分解されず、バリアント配列はビーズに結合したままである。次いで、バリアント配列を、一例ではシーケンシングによって同定することができる。
【
図2】ビオチン化プローブが標的DNAにハイブリダイズされ、加ピロリン酸分解を受け、次いでストレプトアビジン常磁性ビーズ上に捕捉される、本発明の一実施形態の概略図である。この例では、プローブは野生型配列と完全に相補的であり、バリアント配列と不完全に相補的/ミスマッチである。野生型配列にハイブリダイズしたプローブは加ピロリン酸分解され、野生型DNAはプローブから放出されるが、ミスマッチバリアントブリダイズしたプローブは野生型配列と同程度に加ピロリン酸分解されず、したがってバリアント配列はプローブ結合のままである。次に、プローブはストレプトアビジン常磁性ビーズ上に捕捉され、その際、バリアント配列のみがビーズ結合する。次いで、バリアント配列を、一例ではシーケンシングによって同定することができる。
【
図3】プローブと標的DNAとのハイブリダイゼーションの前に、標的DNAがアダプタータグ付け及びPCRによる増幅を受ける、
図1に記載されたものによる本発明の一実施形態の概略図である。ハイブリダイゼーション後、プローブは加ピロリン酸分解を受け、アダプタータグ付きバリアント配列はビーズに結合したままである。次いで、ビーズ結合バリアントをPCRによって増幅する。
【
図4】標的分子の加ピロリン酸分解依存的放出を示す。Cq値が低いほど、ビーズから上清に放出された標的配列が多くなる。Cq値は、加ピロリン酸分解反応が行われるときに濃縮プローブと完全に相補的である標的配列に対してより低い。これは、目的の標的がビーズから放出されたことを示す。加ピロリン酸分解反応を実施するかどうかにかかわらず、ミスマッチ標的配列のCq値に差はなかった。これは、ミスマッチ標的がビーズ上に留まり、上清に放出されなかったことを示す。
【
図5】EGFRエクソン20 T790Mバリアント。グラフは、T790MのPPi依存性検出を示す。ハイブリダイゼーション工程の温度を60℃に上昇させることにより、より多くのT790Mバリアント分子を回収する。ハイブリダイゼーション工程の温度を60℃に上昇させると、WT(野生型)分子の回収が減少する。所与の条件において、0.2fMのT790Mバリアント分子を検出することができる。
【
図6】異なる変異対立遺伝子画分(VAF)でのEGFRエクソン20 T790Mバリアント。0.1%VAFという低いPPi依存性検出を示す。
図6Aでは、グラフは0~50%のVAFからのT790Mバリアントを示す。
図6Bでは、0.1%VAFの検出を拡大する。
【
図7】0.1%VAFでのEGFRエクソン20 T790Mバリアントの検出に対するハイブリダイゼーション緩衝液及びハイブリダイゼーション時間の効果。この特定の実験では、1時間のハイブリダイゼーションでは、目的のバリアントを検出するのに十分ではない。3時間のハイブリダイゼーション工程を使用する場合の最良の性能は、緩衝液2を用いて達成される(実施例3参照)。
【
図8】EGFRエクソン20 T790Mバリアントの濃縮係数を示す図である。グラフは、0.1及び1%VAFの濃縮係数、及びハイブリダイゼーション工程中にどの緩衝液が使用されるかに対するその依存性を示す。濃縮係数の増加は、PPiの存在に依存する。最も高い濃縮係数は、緩衝液2及び緩衝液5で達成される(実施例3参照)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
いくつかの実施形態では、本方法は、所望の核酸配列を濃縮または枯渇させる方法として加ピロリン酸分解を使用する。加ピロリン酸分解反応は、ハイブリッド形成された鎖間の相補性に依存し、したがって、ミスマッチの有無にかかわらず鎖のみを消化する。この反応は、相補的である特定の配列を選択的に短縮し、一方で、消化されにくいミスマッチ配列を残す。反応は、短縮された配列にハイブリダイズした分子が回収され、分析されるように行うことができる。あるいは、反応は、より短い配列が分析されるように行うことができる。あるいは、いかなる加ピロリン酸分解も受けていない配列が分析されるように反応を行うことができる。
【0022】
濃縮または枯渇を1回以上繰り返して、目的の配列の試料をさらに濃縮することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1ラウンドと同じ試薬を使用して第1ラウンドが完了した後に、濃縮または枯渇の第2ラウンドが行われる。他の実施形態では、濃縮または除去される標的核酸の異なる配列に対して選択的な異なるプローブが使用される。このアプローチは、濃縮または枯渇される配列が、除去される配列と少なくとも2つの塩基位置が異なる場合に特によく適している。例えば、野生型と比較して2つの多型を含む標的核酸は、第1の多型に基づく1回目の濃縮または枯渇、及び第2の多型に基づく2回目の濃縮または枯渇を受け得る。指数レベルの濃縮または枯渇は、複数回使用することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、合成配列が合成配列を含まない配列と比較して濃縮または枯渇の標的となるように、濃縮または枯渇の前に、標的核酸を改変して合成配列(例えば、多型の添加)を生成する。いくつかの実施形態において、2つ以上の核酸を、複数のプローブを使用することによって、任意の所与の反応ラウンドにおいて濃縮または枯渇し得る。いくつかの実施形態において、第2の核酸が1回以上の反応において枯渇し得る間、特定の核酸が濃縮され得る。
【0023】
本発明の一態様では、試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列との比を変化させるための方法であって、試料が少なくとも第1及び第2の配列を含み、以下の工程:
a.1種以上の核酸分析物を含む試料を
i.プローブが第1及び第2の配列に差次的に相補的な(例えば、前記プローブの3’末端または他の領域が、第1または第2の配列の一方に対して完全に相補的であるが、他方に対して不完全に相補的である)一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0;
ii.加ピロリン酸分解酵素;及び
iii.ピロリン酸イオン源を含む第1の反応混合物に導入する工程であって;
A0が、第1の核酸配列に(例えば、完全に)アニーリングして、A0(例えば、A0の3’末端)が、前記配列と二本鎖複合体を形成し、A0が、その3’末端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される少なくとも部分的に二本鎖の中間生成物を生成し、一方、第2の配列にあまり良好にアニーリングしなかった(例えば、不完全に)A0は、前記少ない(例えば、不完全)アニーリングのために、より少ない程度に3’-5’方向に加ピロリン酸分解される、工程;
b.第1の配列に対してより良好に(例えば、完全に)アニーリングされた任意の短縮A0配列複合体を選択的に変性させる工程;及び
c.A0、ひいてはA0にアニーリングされたままで第2の核酸配列を、A0にアニーリングされていない第1の核酸配列から分離し、それによって、第2の核酸配列に対する第1の核酸配列の比を変化させる工程を含む、方法が提供される。
【0024】
本発明の一態様では、試料中の第1の核酸配列と第2の核酸配列との比を上昇させるための方法であって、試料が少なくとも第1及び第2の配列を含み、以下の工程:
a.1種以上の核酸分析物を含む試料を、以下:
i.プローブ(例えば、前記プローブの3’末端または他の領域)が、第1または第2の配列の一方に対してより相補的(例えば、完全に相補的である)であるが、他方に対してあまり相補的でない(例えば、不完全に相補的である)一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0を含む第1の反応混合物に導入する工程;
b.工程(a)によって製造された反応混合物を、以下:
ii.加ピロリン酸分解酵素;及び
iii.ピロリン酸イオン源を含む第2の反応混合物に導入する工程であって、
A0は、核酸配列の1つにアニーリングして(例えば、完全に)、A0(例えば、A0の3’末端)が前記配列と二本鎖複合体を形成し、A0がその3’末端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される少なくとも部分的に二本鎖の中間生成物を生成し、他方の配列にあまり完全ではなく(例えば、不完全に)アニーリングしたA0は、上記の低い(例えば、不完全な)アニーリングにより、3’-5’方向にあまり良好ではない程度に加ピロリン酸分解される、工程;
c.以下によってより良好に(例えば、完全に)アニーリングされたA0配列複合体を分離する工程であって:
i.前記複合体の鎖を、加ピロリン酸分解反応の結果として分離する(例えば溶融分離する)こと、または
ii.反応混合物を、前記複合体の鎖が分離(例えば、溶融分離)するのに十分な温度であるが、分離する(例えば、溶融して分離する)ためにあまり良好にはアニーリングされていない(例えば、不完全に)任意のA0の鎖に必要な温度より低い温度まで加熱することにより分離する工程;及び
d.A0、ひいてはそれにアニーリングされたままでのあらゆる核酸配列を、A0にアニーリングされていない任意の核酸配列から分離する工程を含む、方法が提供される。
【0025】
いくつかの実施形態では、より良好に(例えば、完全に)アニーリングされた任意のA0配列複合体の分離は、より少ない(例えば、不完全)なアニーリングされたA0配列複合体よりも良好に(例えば、完全に)アニーリングされたA0配列複合体に有利な反応条件を使用することによって起こる。これは、反応混合物の温度の変化及び/または反応混合物のpHの変化及び/または反応混合物の塩度の変化の形態をとることができる。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1及び第2の反応混合物は、工程(a)の第1の反応混合物が加ピロリン酸分解酵素及びピロリン酸イオン源をさらに含むように組み合わされる。
【0027】
いくつかの実施形態では、核酸配列の1つにより良好に(例えば、完全に)アニーリングして二本鎖複合体を形成するA0は、二本鎖複合体が分離する(例えば、溶融する)程度まで加ピロリン酸分解され、短縮されたA0を核酸配列から分離する。他方の配列にあまり良好にアニーリングされなかった(例えば、不完全にアニーリングされた)A0は、前記配列との二本鎖複合体中に残る。
【0028】
いくつかの実施形態では、反応混合物を加熱して変性させることができる。したがって、より良好に(例えば、完全に)アニーリングされ、したがってより完全に加ピロリン酸分解されたA0配列を含む二本鎖複合体は分離し(例えば、溶融して分離し)、一方、あまり良好にアニーリングされず(例えば、不完全にアニーリングされ)、加ピロリン酸分解されなかったA0を含む二本鎖複合体は、より多くの相補的な塩基対が残存した結果としてより高い融解温度を有するそのような複合体のため、二本鎖のままである。
【0029】
いくつかの実施形態では、反応混合物のpHを上昇させて変性させることができる。したがって、より良好に(例えば、完全に)アニーリングされ、したがってより完全に加ピロリン酸分解されたA0配列を含む二本鎖複合体は変性するが、あまり良好にアニーリングされず(例えば、不完全にアニーリングされ)、加ピロリン酸分解されなかったA0を含む二本鎖複合体は、このような複合体がより相補的な塩基対を有し、変性するためにさらに高いpHを必要とするため、二本鎖のままである。
【0030】
いくつかの実施形態において、反応混合物の塩濃度は低下する。したがって、より良好に(例えば、完全に)アニーリングされ、したがってより完全に加ピロリン酸分解されたA0配列を含む二本鎖複合体は変性するが、あまり良好にアニーリングされず(例えば、不完全にアニーリングされ)、加ピロリン酸分解されなかったA0を含む二本鎖複合体は、このような複合体がより相補的な塩基対を有し、変性するためにさらにさらに低い塩濃度を必要とするため、二本鎖のままである。
【0031】
いくつかの実施形態では、化学薬剤(例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ホルムアミドなど)を使用して核酸を変性させ、濃縮または枯渇を促進する。
【0032】
いくつかの実施形態では、核酸分子(置換オリゴヌクレオチド)及び酵素またはタンパク質は、別個のハイブリダイズした核酸分子を使用する。
【0033】
いくつかの実施形態において、より良好に(例えば、完全に)アニーリングされたA0配列を含む二本鎖複合体の分離が起こる一方で、あまり良好にアニーリングされなかった(例えば、不完全にアニーリングされた)A0を含む二本鎖複合体がハイブリッド化されたままであるように、反応混合物の以下の特徴のうちの2つ以上が変更される:
-反応混合物のpH;
-反応混合物の温度;
-反応混合物の塩濃度;
-化学変性剤の添加。
【0034】
いくつかの実施形態において、固体支持体上へのA0の捕捉は、工程(a)の前または後に行われる。いくつかの実施形態において、工程(d)における分離は、工程(a)の前または後に固体支持体上にA0を捕捉することによって行われる。
【0035】
いくつかの実施形態では、A0は、配列のいずれにも相補的ではない5’テール領域をさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、2つのプローブが使用され、1つは標的の順方向鎖用であり、1つは逆方向スタンド用である。いくつかの実施形態では、プローブを、それらが互いにハイブリダイズして、加ピロリン酸分解を受けることができる構築物(例えば、それらは互いにハイブリダイズするときに3’突出部を有する)を形成しないように設計することが有益である。
【0037】
いくつかの実施形態において、固体支持体上への捕捉は、A0とのハイブリダイゼーションの前または後のいずれかにそれを介して固体支持体に結合する捕捉部分を含む別のオリゴC0へのA0の5’テール領域のハイブリダイゼーションによって行われる。
【0038】
いくつかの実施形態において、A0は、それを介して固体支持体に結合する捕捉部分をさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、捕捉部分はビオチンであり、固体支持体はストレプトアビジンを含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、A0は、その後の捕捉のためにビオチン化ヌクレオチドとの反応において伸長される。
【0041】
いくつかの実施形態において、ジホスホヒドロラーゼ酵素(例えば、アピラーゼ)が、本発明の方法または組成物において提供される。ジホスホヒドロラーゼ酵素は、加ピロリン酸分解反応から放出されたヌクレオチドを加水分解し、最適な加ピロリン酸分解反応条件を維持する。
【0042】
いくつかの実施形態において、無機ピロホスファターゼ酵素が、本発明の方法または組成物において提供される。無機ピロホスファターゼは、加ピロリン酸分解後、及びピロリン酸イオンの存在が望ましくないかまたは準最適であり得る後続の工程の前にピロリン酸イオンを除去する。
【0043】
この技術は、目的の核酸分子を分配または濃縮するための捕捉の使用に限定されない。分子は、例えば、サイズ、電荷、もしくは形状、または他の物理的もしくは化学的特性の違いに基づいて分配または濃縮され得る。いくつかの実施形態では、ある部分が目的の核酸(例えば、クリックケミストリー改変を介して)に付加され、それにより、付加された部分は、目的の核酸に選択可能な識別特性を付与する。
【0044】
いくつかの実施形態において、固体支持体はビーズである。
【0045】
いくつかの実施形態においては、ビーズは、磁性または常磁性ビーズである。
【0046】
いくつかの実施形態において、1つ以上の洗浄工程が、1つ以上の工程の間に行われる。
【0047】
いくつかの実施形態において、洗浄及びハイブリダイゼーション工程は、25~95℃の高温で行われる。
【0048】
いくつかの実施形態において、試料は、核酸分析物のアダプタータグ付きライブラリーである。
【0049】
いくつかの実施形態では、工程(d)に続いて、A0にアニーリングされたままの核酸またはA0にアニーリングされていない核酸のいずれかが同定される。
【0050】
いくつかの実施形態では、配列は、増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、多置換増幅(MDA)、転写媒介増幅(TMA)、鎖置換増幅(SDA)、ローリングサークル増幅(RCA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、ニッキング及び伸長増幅反応(NEAR)など)によって同定される。
【0051】
いくつかの実施形態では、配列は等温同定によって同定される。
【0052】
いくつかの実施形態では、配列はPCRによって同定される。
【0053】
いくつかの実施形態において、配列は、マイクロアレイ分析によって同定される。
【0054】
いくつかの実施形態では、配列はシーケンシングによって同定される。
【0055】
いくつかの実施形態において、配列は、次世代シーケンシング(NGS)(例えば、ブリッジ増幅シーケンシング(Illumina)、SMRTシーケンシング(PacBio)、Ion Torrentシーケンシング、ナノポアシーケンシング、パイロシーケンシングなど)によって同定される。
【0056】
いくつかの実施形態では、それぞれが異なる標的配列にアニーリング(例えば、完全にアニーリング)するように設計された異なる配列(例えば、3’末端配列)を有する複数の異なるプローブオリゴヌクレオチドA0が使用され、複数の標的配列の濃度は、非標的配列と比較して同時に増加する。
【0057】
いくつかの実施形態において、異なるプローブオリゴヌクレオチドA0は、疾患の存在、治療またはモニタリングに関連する遺伝的バリアントを含むヒトゲノムの配列にアニーリングする(例えば、完全にアニーリング)配列(例えば、3’末端配列)を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、工程(d)の後、試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在は、A0にアニーリングし、その後放出された核酸配列の同定によって推測され、それによって疾患の存在または非存在が推測される。
【0059】
いくつかの実施形態では、工程(d)の後、試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在は、A0にアニーリングし、その後放出された核酸配列の同定によって推測され、それによって疾患の適切な治療が推測される。
【0060】
いくつかの実施形態では、工程(d)の後、試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在は、A0にアニーリングし、その後放出された核酸配列の同定によって推測され、それによって、特定の疾患治療に対する患者の応答が推測される。
【0061】
いくつかの実施形態では、工程(d)の後、試料分析物中の前記遺伝的バリアントの存在または非存在は、A0にアニーリングし、その後放出された核酸配列の同定によって推測され、1つ以上の患者治療決定が、前記遺伝的バリアントの存在または非存在に基づいて行われる。
【0062】
いくつかの実施形態において、試料はヒトの血液または組織試料である。
【0063】
いくつかの実施形態では、疾患は、がんである。
【0064】
いくつかの実施形態において、がんは肺がんである。
【0065】
いくつかの実施形態において、1つ以上のハイブリダイゼーション工程が、1つ以上の工程の間で行われる。
【0066】
いくつかの実施形態では、分析される核酸は、メチル化配列であるか、またはメチル化配列に由来する。この技術は、標的核酸内の任意の特定の位置または複数の位置におけるメチル化状態を区別するために使用される。メチル化配列は、最初に、化学的処理(例えば、酸化、還元、亜硫酸水素塩処理)を使用して、またはメチル化依存性制限酵素もしくは任意の他の適切なアプローチへの曝露、続いて改変配列の濃縮及び/または同定によって改変され得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する核酸配列は、本方法の工程(a)の前に亜硫酸水素塩処理される。
【0068】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する核酸配列は、本方法の工程(a)の後に亜硫酸水素塩処理される。
【0069】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する核酸配列は、本方法の工程(a)の前にシトシンをウラシルに変換するために酵素的に処理される。
【0070】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する核酸配列は、本方法の工程(a)の後にシトシンをウラシルに変換するために酵素的に処理される。
【0071】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する核酸配列を、本方法の工程(a)の前にエピジェネティック依存性/感受性制限酵素に曝露する。
【0072】
いくつかの実施形態では、試料中に存在する核酸配列を、本方法の工程(a)の後にエピジェネティック依存性/感受性制限酵素に曝露する。
【0073】
いくつかの実施形態では、試料中に存在するRNAの標的領域は、本方法の工程(a)の前にDNAに転写される。
【0074】
いくつかの実施形態では、試料中に存在するRNAの標的領域は、本方法の工程(a)の後にDNAに転写される。
【0075】
いくつかの実施形態では、少なくとも第1及び第2の配列を含む試料から目的の標的核酸配列を捕捉する方法であって、以下の工程:
a.1種以上の核酸分析物を含む試料を
i.プローブが、第1または第2の配列の一方に相補的(例えば、完全に相補的である)であるが他方にはあまり相補的でない(例えば、不完全に相補的である)配列(例えば、3’末端または他の場所で)を含む一本鎖プローブオリゴヌクレオチドA0を含む第1の反応混合物に導入する工程;
b.工程(a)によって製造された反応混合物を、以下:
i.加ピロリン酸分解酵素;及び
ii.ピロリン酸イオン源を含む第2の反応混合物に導入する工程であって、
A0が、核酸配列の1つにアニーリングして(例えば、完全にアニーリングして)、A0(例えば、A0の3’末端)が前記配列と二本鎖複合体を形成し、A0がその3’末端から3’-5’方向に加ピロリン酸分解される少なくとも部分的に二本鎖の中間生成物を生成し、他方の配列にあまり良好ではない(例えば、不完全に)アニーリングしたA0が、あまり良好ではない(例えば、不完全な)アニーリングにより、3’-5’方向にあまり良好ではない程度に加ピロリン酸分解される、工程;
c.以下によってアニーリング(例えば、完全にアニーリング)されたA0配列複合体を分離する工程であって:
i.前記複合体の鎖を、加ピロリン酸分解反応の結果として分離する(例えば溶融分離する)こと、または
ii.反応混合物を、前記複合体の鎖が分離(例えば、溶融分離)するのに十分な温度であるが、分離する(例えば、溶融して分離する)ためにあまり良好ではなく(例えば、不完全に)アニーリングされた任意のA0の鎖に必要な温度より低い温度まで加熱することにより分離する工程;及び
d.A0、ひいてはそれにアニーリングされたままでのあらゆる核酸配列を、A0にアニーリングされていない任意の核酸配列から分離する工程を含む、方法が提供される。
【0076】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、ポリマー及び/または樹脂被覆固体表面である。
【0077】
いくつかの実施形態では、固体支持体はポリスチレン固体支持体である。
【0078】
いくつかの実施形態では、nが10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、11,000、12,000、12,500、15,000、16,000、17,000、17,500、18,000、19,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000またはそれ以上であるか、またはnがこれらの点のいずれかの間の任意の整数であるか、またはnがこれらの点のいずれか2つの間で導出可能な任意の範囲内である、ポリマーである、ポリスチレン(C8H8)n が利用される。
【0079】
いくつかの実施形態では、ポリスチレン固体支持体は、粒子、微粒子、磁性ビーズ、磁性微粒子、常磁性ビーズ、常磁性微粒子、樹脂、またはポリスチレンポリマーを含む任意の微粒子である。
【0080】
いくつかの実施形態では、ポリスチレン支持体は、以下の官能基:アミン、カルボキシレート、スルホネート、トリメチルアミン及び/またはエポキシドの1つ以上を含むように改変される。
【0081】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、磁性ビーズまたは常磁性ビーズである。
【0082】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ビーズは、前記ビーズの表面積を最大化する形状である。
【0083】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ビーズは規則的な形状である。
【0084】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ビーズは不規則な形状である。
【0085】
いくつかの実施形態においては、磁性ビーズまたは常磁性ビーズは、1000ミクロン、900ミクロン、800ミクロン、700ミクロン、600ミクロン、500ミクロン、400ミクロン、300ミクロン、200ミクロン、100ミクロン、90ミクロン、80ミクロン、70ミクロン、60ミクロン、50ミクロン、40ミクロン、30ミクロン、20ミクロン、10ミクロン、5ミクロン、2.5ミクロン、1ミクロン、0.5ミクロン、0.25ミクロンまたは0.1ミクロン以下の直径を有する。
【0086】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、磁性または常磁性ポリスチレンビーズである。
【0087】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ポリスチレンビーズは酸化鉄を含む。
【0088】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ポリスチレンビーズはストレプトアビジン結合している。
【0089】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、ストレプトアビジン結合Dynabead(RTM)である。
【0090】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、デキストラン改変表面である。
【0091】
いくつかの実施形態では、デキストラン改変表面は、粒子、微粒子、磁性または常磁性ビーズ、樹脂またはデキストランポリマーを含む任意の粒子である。
【0092】
いくつかの実施形態では、デキストランポリマーは、1000~410000のおおよその分子量を有する。
【0093】
いくつかの実施形態では、デキストランポリマーは、25000~約100000のおおよその分子量を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、改変デキストラン表面は、1つ以上の官能基を含むようにさらに改変される。
【0095】
いくつかの実施形態では、デキストラン改変表面は、以下の官能基:アミン、カルボキシレート、スルホネート、トリメチルアミン及び/またはエポキシドの1つ以上を含むように改変される。
【0096】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、磁性ビーズまたは常磁性ビーズである。
【0097】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ビーズは、前記ビーズの表面積を最大化する形状である。
【0098】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ビーズは規則的な形状である。
【0099】
いくつかの実施形態では、磁性または常磁性ビーズは不規則な形状である。
【0100】
いくつかの実施形態においては、磁性ビーズまたは常磁性ビーズは、1000ミクロン、900ミクロン、800ミクロン、700ミクロン、600ミクロン、500ミクロン、400ミクロン、300ミクロン、200ミクロン、100ミクロン、90ミクロン、80ミクロン、70ミクロン、60ミクロン、50ミクロン、40ミクロン、30ミクロン、20ミクロン、10ミクロン、5ミクロン、2.5ミクロン、1ミクロン、0.5ミクロン、0.25ミクロンまたは0.1ミクロン以下の直径を有する。
【0101】
いくつかの実施形態において、磁性ビーズまたは常磁性ビーズは、Nanomag(登録商標)デキストラン(ND);Nanomag(登録商標)デキストラン-SO3H(ND-SO3H);BioMag(登録商標)デキストラン被覆チャコール;またはBioMag(登録商標)Plusデキストランから選択されるデキストラン磁性ビーズである。
【0102】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG改変表面である。
【0103】
いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG改変表面は、粒子、微粒子、磁性もしくは常磁性ビーズ、樹脂またはPEGを含む任意の粒子である。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態では、nが10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、11,000、12,000、12,500、15,000、16,000、17,000、17,500、18,000、19,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000またはそれ以上であるか、またはnが、これらの点のいずれかの間の任意の整数であるか、またはnが、これらの点のいずれか2つの間から導出可能な任意の範囲内にあるポリマーである、PEG、(CH2O)nが利用される。
【0105】
いくつかの実施形態において、利用されるPEGは、PEG-200、PEG-300、PEG-400、PEG-600、PEG-1000、PEG-1300-1600、PEG-1450、PEG-3000-3700、PEG-3500、PEG-6000、PEG-8000またはPEG-17500である。
【0106】
ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG改変表面が磁性または常磁性微粒子またはビーズであるいくつかの実施形態では、微粒子またはビーズは、Nanomag(登録商標)PEG-300(Plain)またはNanomag(登録商標)-Dから選択される。
【0107】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、ポリビニルピロリドン(PVP)またはPVP改変表面である。
【0108】
いくつかの実施形態では、PVPまたはPVP改変表面は、PVPを含む粒子、微粒子、磁性または常磁性ビーズ、樹脂または任意の粒子である。
【0109】
本発明のいくつかの実施形態ではnが10、20、30、40、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1,000、1,250、1,500、1,750、2,000、2,500、3,000、3,500、4,000、4,500、5,000、5,500、6,000、6,500、7,000、7,500、8,000、8,500、9,000、9,500、10,000、11,000、12,000、12,500、15,000、16,000、17,000、17,500、18,000、19,000、20,000、25,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000またはそれ以上であるか、またはnが、これらの点のいずれかの間の任意の整数であるか、またはnが、これらの点のいずれか2つの間から導出可能な任意の範囲内にあるポリマーであるPVP、n-ビニルピロリドンが利用される。
【0110】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、多糖または多糖改変表面である。
【0111】
いくつかの実施形態では、多糖または多糖改変表面は、多糖を含む粒子、微粒子、磁性または常磁性ビーズ、樹脂または任意の粒子である。
【0112】
いくつかの実施形態では、多糖は、デキストラン、フィコール、グリコーゲン、アラビアガム、キサンタンガム、カラギーナン、アミロース、寒天、アミロペクチン、キシラン及び/またはベータグルカンの1つ以上から選択される。
【0113】
いくつかの実施形態において、固体支持体は、化学樹脂または化学樹脂改変表面である。
【0114】
いくつかの実施形態では、化学樹脂または化学樹脂改質表面は、以下の樹脂:イソシアネート、グリセロール、ピペリジノ-メチル、ポリDMAP(ポリマー結合ジメチル4-アミノピリジン)、DIPAM(ジイソプロピルアミノメチル)、アミノメチル、ポリスチレンアルデヒド、トリス(2-アミノメチル)アミン、モルホリノ-メチル、BOBA(3-ベンジルオキシベンズアルデヒド)、トリフェニル-ホスフィンまたはベンジルチオメチルの1つ以上から選択される。
【0115】
いくつかの実施形態において、捕捉部分は、化学的に切断可能なリンカー、例えば、ジスルフィド、アリルまたはアジドマスクされたヘミアミナルエーテルリンカーを介して固体支持体に共有結合している。
【0116】
いくつかの実施形態において、捕捉部分は、アミド結合またはホスホロチオエート結合を介して固体支持体に共有結合している。
【0117】
オリゴヌクレオチドを固体支持体に共有結合的及び非共有結合的に固定化するための多数の技術が存在することが当業者には理解されることであり、例えば、Integrated DNA Technologies(IDT(登録商標))により作成された「Strategies for Attaching Oligonucleotides to Solid Supports」(2014)を参照されたい。
【0118】
いくつかの実施形態において、捕捉部分は、オリゴヌクレオチド配列を含み、固体支持体は、相補的配列を有するオリゴヌクレオチドを含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、融解温度を変化させるために、1つ以上の改変塩基及び/または当業者に公知の他のかかる改変を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、1つ以上の改変塩基及び/または当業者に公知の他のかかる改変の存在は、融解温度の低下をもたらす。
【0121】
いくつかの実施形態では、1つ以上の改変塩基及び/または当業者に公知の他のかかる改変の存在は、融解温度の上昇をもたらす。
【0122】
いくつかの実施形態では、相補的配列の長さは、10、20、30、40、50、100、150及び200塩基の間である。
【0123】
いくつかの実施形態では、相補的配列の長さは、10、20、30、40、50及び100塩基の間である。
【0124】
いくつかの実施形態では、相補的配列の長さは、10~20、10~30、10~40及び10~50塩基である。
【0125】
いくつかの実施形態では、相補的配列の長さは、10~20、10~30及び10~40塩基である。
【0126】
いくつかの実施形態では、相補的配列の長さは10~20及び10~30塩基である。
【0127】
いくつかの実施形態において、相補的配列の長さは、10~20塩基である。
【0128】
いくつかの実施形態において、捕捉部分は、化学改変を含み、化学改変と固体支持体との間の相互作用を介して固体支持体に結合している。
【0129】
いくつかの実施形態において、化学改変はビオチンであり、固体支持体はストレプトアビジンをさらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態において、捕捉されたオリゴヌクレオチド配列は、固体支持体から放出される。
【0131】
いくつかの実施形態において、捕捉されたオリゴヌクレオチド配列は、化学的変性によって固体支持体から放出される。
【0132】
いくつかの実施形態において、化学的変性は、適切な濃度の塩基の使用によって達成される。
【0133】
いくつかの実施形態では、0.1MのNaOHを使用することができる。
【0134】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、ジスルフィドリンカーについてはトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)またはジチオスレイトール(DTT);パラジウム錯体もしくはアリルリンカー;またはアジドマスクされたヘミアミナルエーテルリンカーについてはTCEPの添加による化学的リンカーの切断によって固体支持体から放出される。
【0135】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチド配列から非標準的な塩基を除去し、得られた脱塩基部位で切断することによって、固体支持体から放出される。いくつかの実施形態では、非カノニカル塩基はウラシルであり、ウラシルDNAグリコシラーゼによって除去される。代替の実施形態では、非カノニカル塩基は8-オキソグアニンであり、これはホルムアミドピリミジンDNAグリコシラーゼ(Fpg)によって除去される。
【0136】
いくつかの実施形態では、捕捉部分はオリゴヌクレオチド領域であり、放出は反応混合物の加熱によって行われる。
【0137】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、1~20分間にわたって37℃~100℃に加熱される。
【0138】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、1~15分間にわたって加熱される。
【0139】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、1~10分間にわたって加熱される。
【0140】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、1~5分間にわたって加熱される。
【0141】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、5分間にわたって加熱される。
【0142】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、37℃~85℃に加熱される。
【0143】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、37℃~75℃に加熱される。
【0144】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、37℃~65℃に加熱される。
【0145】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、37℃~55℃に加熱される。
【0146】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、37℃~45℃に加熱される。
【0147】
当技術分野の当業者は、反応混合物が加熱される温度が、相補的オリゴヌクレオチド領域の放出を生じさせるために、前記領域の長さに依存することを理解するであろう。
【0148】
いくつかの実施形態において、放出は、1つ以上のオリゴヌクレオチド配列の切断によって達成される。この切断は、先に、または後に記載される手段のいずれかによって、または当業者に公知の手段のいずれかによって達成することができる。
【0149】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、化学的に切断される。
【0150】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、酵素的に切断される。
【0151】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、制限酵素によって切断される。
【0152】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、エピジェネティック改変感受性または依存性制限酵素によって切断される。
【0153】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、メチル化感受性またはメチル化依存性の制限酵素によって切断される。
【0154】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、メチル化感受性またはヒドロキシメチル化依存性の制限酵素によって切断される。
【0155】
いくつかの実施形態では、バリアントまたは野生型配列の濃縮の前または後に、それらのメチル化状態の検出を可能にするために配列を酵素的または化学的に変換する。当技術分野の当業者は、「濃縮」という用語が、前述または後述のように、標的配列と非標的配列の混合物からの標的配列の選択的単離を指すことを理解するであろう。
【0156】
いくつかの実施形態では、制限酵素はエンドヌクレアーゼである。
【0157】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、フラップエンドヌクレアーゼによって切断される。
【0158】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、光切断可能なリンカーを含み、オリゴヌクレオチド配列は、このリンカーの切断によって固体支持体から放出される。
【0159】
いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチド配列は、このリンカーの切断によって固体支持体から放出される。
【0160】
いくつかの実施形態では、消化は、A0が、加ピロリン酸分解酵素が結合するための配列または加ピロリン酸分解反応が継続するための配列との十分な相補性を欠くまで継続する。これは、典型的には、配列とプローブとの間に6から20の相補的ヌクレオチドが残っている場合に起こる。いくつかの実施形態において、これは、6個~40個の相補的ヌクレオチドが残存しているときに起こる。
【0161】
理論に拘束されるものではないが、前述または他の箇所に記載されているものに加えて、加ピロリン酸分解反応を停止することができるいくつかの異なる方法がある。
【0162】
加ピロリン酸分解酵素が「先読み」する能力を有する場合、消化はミスマッチまたは塩基改変の3’を停止し得る。このような活性は、古細菌DNAポリメラーゼにおいて観察されている。
【0163】
いくつかの実施形態では、A0の骨格に改変が存在するために、加ピロリン酸分解反応が停止し得る。
【0164】
この改変は、改変塩基であり得る。塩基は、加ピロリン酸分解に耐性であり得る。
【0165】
この改変は、化学骨格改変であり得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、加ピロリン酸分解反応は、A0におけるミスマッチの存在のために停止し得る。このミスマッチの位置は、消化がこの規定された点で停止するように意図的に設計され得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、反応混合物の温度を上昇させて、加ピロリン酸分解酵素を熱不活性化することができる。いくつかの実施形態では、温度を上昇させて、プローブ-標的二重鎖を溶融分離させる。
【0168】
いくつかの実施形態では、加ピロリン酸分解酵素の不活性化を引き起こし得る任意の試薬を反応混合物に添加することができる。
【0169】
いくつかの実施形態において、pH濃度は、加ピロリン酸分解酵素を不活性化するように改変され得る。
【0170】
いくつかの実施形態において、塩濃度は、加ピロリン酸分解酵素を不活性化するように改変され得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、界面活性剤濃度は、加ピロリン酸分解酵素を不活性化するように改変され得る。
【0172】
いくつかの実施形態において、イオン濃度は、加ピロリン酸分解酵素を不活性化するように改変され得る。
【0173】
当技術分野の当業者は、酵素触媒反応を停止させることができる多くのさらなる方法があり、上記の開示は本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解するであろう。
【0174】
適切には、加ピロリン酸分解は、少なくとも加ピロリン酸分解活性を示すポリメラーゼ及びピロリン酸イオン源の存在下、20~90℃の範囲の温度で反応媒体中で行われる。ポリヌクレオチドの消化に適用されるような加ピロリン酸分解反応に関するさらなる情報は、例えばJ.Biol.Chem.244(1969)pp.3019-3028に見ることができる。
【0175】
いくつかの実施形態では、加ピロリン酸分解工程は、過剰なポリピロリン酸塩源、3個以上のリン原子を含有する化合物を含む適切な供給源の存在によって駆動される。
【0176】
いくつかの実施形態では、加ピロリン酸分解工程は、過剰な改変ピロリン酸塩の供給源の存在によって駆動される。適切な改変ピロリン酸塩としては、架橋酸素の代わりに他の原子もしくは基が置換されたもの、または他の酸素上の置換もしくは改変基を有するピロリン酸塩(またはポリピロリン酸塩)が挙げられる。当技術分野の当業者は、本発明での使用に適した改変ピロリン酸塩の多くのそのような例があり、その非限定的な選択は以下の通りであることを理解するであろう:
【化1】
【0177】
好ましい一実施形態では、ピロリン酸イオン源は、PNP、PCPまたはトリポリリン酸(PPPi)である。
【0178】
さらに、限定するものではないが、加ピロリン酸分解工程で使用するためのピロリン酸イオン源の例は、国際公開第2014/165210号パンフレット及び国際公開第00/49180号パンフレットに見出すことができる。
【0179】
いくつかの実施形態において、過剰な改変ピロリン酸塩の供給源は、Y-Hとして表すことができ、式中、Yは、一般式(X-O)2P(=B)-(Z-P(=B)(O-X))n-に対応し、式中、nは、1~4の整数であり;各Z-は、-O-、-NH-または-CH2-から独立して選択され;各Bは独立してOまたはSのいずれかであり;X基は、独立して、-H、-Na、-K、アルキル、アルケニルまたは複素環基から選択され、但し、Z及びBの両方が-O-に対応し、nが1である場合、少なくとも1つのX基はHではない。
【0180】
いくつかの実施形態では、Yは、一般式(X-O)2P(=B)-(Z-P(=B)(O-X))n-(式中、nは1、2、3または4である)に対応する。別の実施形態では、Y基は、一般式(X-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-H)-(式中、X基の1つは-Hである)に対応する。さらに別の好ましい実施形態では、Yは、一般式(X-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-X)--(式中、X基の少なくとも1つは、メチル、エチル、アリルまたはジメチルアリルから選択される)に対応する。
【0181】
代替の実施形態では、Yは、一般式(H-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-H)-(式中、Zは-NH-または-CH2のいずれかである)または(X-O)2P(=O)-Z-P(=O)(O-X)--(式中、X基はすべて-Naまたは-Kのいずれかであり、Zは-NH-または-CH2-のいずれかである)のいずれかに対応する。
【0182】
別の実施形態では、Yは、一般式(H-O)2P(=B)-O-P(=B)(O-H)-(式中、各B基は独立してOまたはSのいずれかであり、少なくとも1つはSである)に対応する。
【0183】
Yの好ましい実施形態の具体例としては、式(X1-O)(HO)P(=O)-Z-P(=O)(O-X2)(式中、ZはO、NHまたはCH2であり、(a)X1はγ,γ-ジメチルアリルであり、X2は-Hである、または(b)X1及びX2は両方ともメチルである;または(c)X1及びX2は両方ともエチルである;または(d)X1はメチルであり、X2はエチルであり、またはその逆である)のものが挙げられる。
【0184】
当技術分野の当業者は、DNAを断片化するために使用され得る複数の技術があることを理解するであろう。そのような方法には、超音波処理、ニードル剪断、噴霧、ポイントシンク剪断、圧力セルの通過(フレンチプレス)及び酵素的方法が含まれる。
【0185】
いくつかの実施形態では、断片化は超音波処理によって達成される。
【0186】
いくつかの実施形態では、Bioruptor(登録商標)(Denville,NJ)装置を使用することができる。
【0187】
いくつかの実施形態では、断片化は音響剪断によって達成される。
【0188】
いくつかの実施形態では、Covaris(登録商標)機器(Woburn,MA)を使用することができる。
【0189】
いくつかの実施形態では、断片化は噴霧化によって達成される。噴霧は、ネブライザーユニット内の小さな穴を通してDNAを強制的に流し、その結果、収集される微細なミストが形成される。断片サイズは、DNAを噴霧器に押し込むために使用されるガスの圧力、DNA溶液が穴を通過する速度、溶液の粘度、及び温度によって決定される。
【0190】
いくつかの実施形態では、断片化は流体力学的剪断によって達成される。
【0191】
いくつかの実施形態では、Digilab(Marlborough,MA)のHydroshearを使用することができる。
【0192】
いくつかの実施形態では、断片化は点シンク剪断によって達成される。
【0193】
いくつかの実施形態では、断片化は、ニードル剪断によって達成される。
【0194】
いくつかの実施形態では、断片化はフレンチプレスの使用によって達成される。
【0195】
いくつかの実施形態において、断片化は酵素的断片化によって達成される。
【0196】
いくつかの実施形態において、断片化は、制限エンドヌクレアーゼ消化によって達成される。
【0197】
いくつかの実施形態において、断片化はトランスポソーム媒介断片化である。
【0198】
いくつかの実施形態において、断片化はCas9によって達成される。
【0199】
いくつかの実施形態では、断片化は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第10577644号に記載されているように、Cas9によって達成される。
【0200】
いくつかの実施形態では、1つ以上の異なる断片化技術を使用することができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、同じまたは異なる断片化技術のうちの1つ以上を、方法の1つ以上の異なる点で使用することができる。
【0202】
いくつかの実施形態において、配列の断片化及びアダプタータグ付けは、本方法の同じ時間または同じ工程で起こる。そのような一例は、IlluminaによるNextera DNA Library Prep Kitである。
【0203】
当技術分野の当業者は、アダプタータグ付き配列/ライブラリーを調製するために使用され得る複数の技術が存在することを理解するであろう。
【0204】
いくつかの実施形態では、断片化後、核酸の末端を研磨し、1つ以上のアダプターへのライゲーションの前にAテール化することができる。
【0205】
いくつかの実施形態では、断片化後、平滑末端ライゲーション反応において、核酸の末端を研磨し、アダプターにライゲーションすることができる。
【0206】
いくつかの実施形態では、断片化後、アダプターを一本鎖DNAにライゲーションする。
【0207】
いくつかの実施形態では、断片化後、末端トランスフェラーゼ酵素を使用して非鋳型塩基を断片の3’末端に付加し、断片を二本鎖にするためのプライミングのための部位を提供する。
【0208】
いくつかの実施形態では、トポイソメラーゼをDNAリガーゼの代わりに使用することができる。
【0209】
いくつかの実施形態において、TOPOクローニングは、アダプターを断片化されたDNAに付加するために使用され得る。
【0210】
いくつかの実施形態では、断片化後、トランスポザーゼを使用して、アダプター配列を核酸に付加することができる。
【0211】
いくつかの実施形態では、断片化後、標準的なトランスポゾンを使用することができるが、オリゴヌクレオチド置換を使用してY字型アダプターを作製するように改変することができる。
【0212】
試料がアダプタータグ付きライブラリーであるいくつかの実施形態では、ブロッキングオリゴヌクレオチドを使用して、ライブラリー分子のクロスハイブリダイゼーション(いわゆる「デイジーチェーン化」)を防止する。
【0213】
いくつかの実施形態において、ブロッキングオリゴヌクレオチドは、加ピロリン酸分解に耐性である。この耐性は、前述または後述の通りであり得る。
【0214】
ライブラリーがアダプタータグ付きであり、PCR増幅されている場合、二本鎖分子は鎖5’-アダプター1-挿入-アダプター2’-3’及び5’-アダプター2-挿入-アダプター1’-3’を有する。
【0215】
ハイブリダイゼーション中、一方の鎖上の5’-アダプター1-3’配列は、第2の鎖上の5’-アダプター1’-3’配列にハイブリダイズすることができた。同様に、一方の鎖上の5’-アダプター2’-3’配列は、第2の鎖上の5’-アダプター2-3’配列にハイブリダイズすることができる。これらのハイブリダイゼーションイベントは、互いに連鎖することができ、標的分子及び非標的分子の両方を含む、分子のいわゆる「デイジーチェーン」を生成する。
【0216】
加ピロリン酸分解反応との関連において、5’-アダプター1-3’と5’-アダプター1’-3’とのハイブリダイゼーションまたは5’-アダプター2-3’と5’-アダプター2’-3’とのハイブリダイゼーションは両方とも、加ピロリン酸分解を受け得る3’末端を生成する。
【0217】
これに関連して、加ピロリン酸分解は標的分子の3’から塩基を除去し、PCR中のその増幅を妨げる可能性がある。ブロッキングオリゴヌクレオチドは、典型的には、デイジーチェーン接続を緩和するためにハイブリダイゼーション捕捉に使用される。
【0218】
上記の分子に関連して、これらは、アダプター1’に相補的な配列及びアダプター2’に相補的な配列であり得る。ブロッキングオリゴヌクレオチドは、3’ホスホロチオエート結合の付加によって、またはアダプタータグ付き分子の3’がブロッキングオリゴヌクレオチドと非相補的であることを確実にすることによって、加ピロリン酸分解から保護することができる。別の例では、加ピロリン酸分解を阻害するホスホロチオエート結合を導入するα-チオ-dNTPは、加ピロリン酸分解の前にPCRまたはプライマー伸長反応に含めることができる。
【0219】
したがって、前述または後述のブロッキングオリゴヌクレオチドが方法に使用される実施形態が提供される。
【0220】
いくつかの実施形態において、試料は、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。
【0221】
いくつかの実施形態において、第1の反応混合物は、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。
【0222】
いくつかの実施形態において、第2の反応混合物は、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドを含む。
【0223】
いくつかの実施形態において、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドが、工程(b)の前に第1の反応混合物に導入される。
【0224】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングは、Maxam-Gilbertシーケンシングである。
【0225】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングはSangerシーケンシングである。
【0226】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングはショットガンシーケンシングである。
【0227】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングは一分子リアルタイムシーケンシングである。
【0228】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングはイオン半導体シーケンシングである。
【0229】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングはパイロシーケンシングである。
【0230】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングは合成によるシーケンシングである。
【0231】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングはコンビナトリアルプローブアンカー合成(cPAS)である。
【0232】
いくつかの実施形態において、本方法シーケンシングはライゲーションによるシーケンシングである。
【0233】
いくつかの実施形態において、本方法のシーケンシングはナノポアシーケンシングである。
【0234】
いくつかの実施形態において、方法のシーケンシングはGenapSysシーケンシングである。
【0235】
いくつかの実施形態において、シーケンシングは次世代シーケンシング(NGS)である。
【0236】
いくつかの実施形態では、患者に由来する試料中の1つ以上の特異的核酸配列の存在または非存在を検出するための、本方法の任意の前述または後述の実施形態の使用を含む、患者をスクリーニングする方法が提供される。
【0237】
当技術分野の当業者は、そのようなスクリーニングが移植レシピエント患者をモニタリングするのに有用であることを理解するであろう。
【0238】
当業者は、そのようなスクリーニングが、患者試料中の1つ以上の核酸配列のレベルによってその治療状態を確認することができる1つ以上の状態について治療を受けている患者をモニタリングするのに有用であることを理解するであろう。
【0239】
例えば、1つ以上のがんの治療を受けている患者の治療状態は、その血液中の1つ以上の核酸配列のレベル及び/または1つ以上の特定のバリアントの存在及び/または非存在によって確認することができる。高レベルの循環腫瘍核酸配列及び/または1つ以上の特定のバリアントの存在及び/または非存在を使用して、特定の治療が所望の効果を有するかどうかを推定することができる。したがって、患者に由来する試料中の特異的核酸配列及び/またはそれらのそれぞれのレベルの存在または非存在によってそのような成功を推測することができる、特定の治療の成功または非成功をモニタリングするための方法が提供される。
【0240】
いくつかの実施形態では、疾患の再発を検出するために寛解状態の患者をモニタリングする方法が提供される。
【0241】
いくつかの実施形態では、がんを含むがこれに限定されない1つ以上の疾患状態の存在を検出するために、名目上健康な人々をスクリーニングする方法が提供される。
【0242】
いくつかの実施形態では、1つ以上の疾患状態と診断された患者における1つ以上の遺伝子マーカーの存在及び/または非存在を検出し、1つ以上のマーカーの存在及び/または非存在を使用して、どの治療を受けるべきかを決定する方法が提供される。
【0243】
いくつかの実施形態では、患者に由来する試料中の1つ以上の特異的核酸配列の存在または非存在を検出するための方法の任意の前述または後述の実施形態の使用を含む、患者の1つ以上のがんを診断及び/またはモニタリングする方法が提供される。
【0244】
当技術分野の当業者は、1つ以上の特異的核酸配列が個体(例えば、シーケンシングなどの識別方法によって、組織生検または外科的切除から識別される)に特異的であり得、そのような場合、個々の患者に特異的なパネルが使用され得ることを理解するであろう。
【0245】
当技術分野の当業者は、いくつかの実施形態では、パネルが、ヒトゲノムの既知のホットスポット領域、所与のがんタイプにおいて再帰的に変異しているホットスポット領域をカバーすることをさらに理解するであろう。
【0246】
いくつかの実施形態では、患者に由来する試料中の1つ以上の特異的核酸配列の存在または非存在を検出するための方法の任意の以前またはその後に記載された実施形態の使用を含む非侵襲的出生前検査(NIPT)のための方法であって、患者が妊娠患者である方法が提供される。いくつかの実施形態では、試料は、妊娠中の患者の血液の血漿及び/または血清である。いくつかの実施形態において、本明細書中に提供される方法は、そのような試料に関連する共通のSNPのパネルを使用して、試料の胎児分率を濃縮及び/または定量するために用いられる。
【0247】
いくつかの実施形態では、患者を治療する方法であって、以下の工程:
-患者に由来する試料中の1つ以上の特異的核酸配列の非存在または存在を検出するために、本発明の前述または後述の実施形態のいずれかを実施する工程;
-前記配列の存在または非存在に基づいて1つ以上の治療決定を行う工程を含む、方法が提供される。
【0248】
いくつかの実施形態では、治療決定は、特定の治療の開始である。
【0249】
いくつかの実施形態では、治療決定は、特定の治療の中止である。
【0250】
いくつかの実施形態では、治療決定は、特定の治療の用量の増加である。
【0251】
いくつかの実施形態では、治療決定は、特定の治療の用量の減少である。
【0252】
いくつかの実施形態では、治療決定は、特定の治療の投与頻度の増加である。
【0253】
いくつかの実施形態では、治療決定は、特定の治療の投与頻度の減少である。
【0254】
いくつかの実施形態では、治療決定は、既存の治療レジメンに追加の薬物を追加することである。
【0255】
いくつかの実施形態では、治療決定は、既存の治療レジメンからの薬物の除去である。
【0256】
本発明の一態様では、本発明の方法を実行するための装置が提供される。
【0257】
いくつかの実施形態では、本方法の工程(a)~(c)を実行するための装置が提供される。
【0258】
いくつかの実施形態では、本方法の工程(a)~(b)を実行するための装置が提供される。
【0259】
本発明の一態様では、1つ以上の実施形態において先にまたは後に記載されるような1つ以上のオリゴヌクレオチド、酵素、試薬または成分を含むキットが提供される。
【0260】
いくつかの実施形態では、
-1つ以上のオリゴヌクレオチドA0(A0は、
・既知の第1の配列と相補的(例えば、完全に相補的である)であるが既知の第2の配列とは相補的でない(例えば、不完全に相補的である)配列(例えば、A0の3’末端または他の場所)を含む;)
-1つ以上の加ピロリン酸分解酵素;及び
-1つ以上のピロリン酸イオンの供給源を含むキットが提供される。
【0261】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の固体支持体をさらに含む。これらの固体支持体は、前述または後述の通りであり得る。
【0262】
いくつかの実施形態において、キットは1つ以上の緩衝液をさらに含む。これらの緩衝液は、前述または後述の通りであり得る。
【0263】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上のクロウイング剤(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、硫酸デキストランなど)をさらに含む。
【0264】
いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上の界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、TWEEN20など)をさらに含む。
【0265】
いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上の溶媒(例えば、ホルムアミド、エチレンカーボネートなど)をさらに含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、キットはホスホヒドロラーゼ(例えば、アピラーゼ)をさらに含む。
【0267】
いくつかの実施形態において、キットはピロホスファターゼ(例えば、熱安定性無機ピロホスファターゼ(TIPP)(New England Biolabs))をさらに含む。
【0268】
いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、反復配列とハイブリッド形成する添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、C0t-1 DNA、サケ精子DNA、リボソームRNAを遮断するオリゴヌクレオチドなどを含み得る。
【0269】
いくつかの実施形態では、A0は、既知の第1の配列または既知の第2の配列のいずれにも相補的ではない5’テール領域をさらに含む。A0は、前述または後述の通りであり得る。
【0270】
いくつかの実施形態において、A0は捕捉部分をさらに含む。
【0271】
いくつかの実施形態において、キットは、先にまたは続いて記載されるように、1つ以上の捕捉オリゴヌクレオチド(C0)をさらに含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、キットは、捕捉部分を含み、A0の5’テール領域がC0の領域に相補的である1つ以上の捕捉オリゴヌクレオチドC0をさらに含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、捕捉部分はビオチンであり、固体支持体はストレプトアビジンを含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、固体支持体は、捕捉オリゴヌクレオチドC0を含み、A0の5’テール領域はC0の領域に対して相補的である。
【0275】
いくつかの実施形態において、固体支持体はビーズである。
【0276】
いくつかの実施形態においては、ビーズは、磁性または常磁性ビーズである。
【0277】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上のエピジェネティック改変感受性または依存性制限酵素をさらに含む。
【0278】
いくつかの実施形態において、キットは1つ以上のトランスポソームをさらに含む。
【0279】
いくつかの実施形態において、キットはCas9をさらに含む。
【0280】
いくつかの実施形態において、キットは1つ以上のトランスポザーゼをさらに含む。
【0281】
いくつかの実施形態において、キットは1つ以上のリガーゼをさらに含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の金属イオンをさらに含む。
【0283】
いくつかの実施形態において、キットは、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0284】
いくつかの実施形態において、1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドは、加ピロリン酸分解に耐性である。
【0285】
いくつかの実施形態では、キットは等温増幅試薬をさらに含む。
【0286】
いくつかの実施形態では、キットはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試薬(例えば、熱安定性DNAポリメラーゼ、プライマー、dNTP、緩衝液)をさらに含む。
【0287】
いくつかの実施形態では、キットはシーケンシング試薬をさらに含む。
【0288】
いくつかの実施形態において、キットは、次世代シーケンシング(NGS)試薬(例えば、ポリメラーゼ、dNTP、緩衝液)をさらに含む。
【0289】
いくつかの実施形態では、キットは、DNAライブラリー調製キット(例えば、所望により、ポリメラーゼ、リガーゼ、アダプター、dNTP、緩衝液を含有する)をさらに含む。
【0290】
いくつかの実施形態では、キットは、1つ以上の分子プローブをさらに含む。
【0291】
いくつかの実施形態において、キットは、蛍光標識された1つ以上の分子プローブをさらに含む。
【0292】
いくつかの実施形態では、A0の領域(例えば、3’末端)は、ヒトゲノムの野生型配列に対してより相補的であり(例えば、完全に相補的である)、前記野生型配列の変異対立遺伝子に対してあまり相補的ではない(例えば、不完全に相補的である)。
【0293】
いくつかの実施形態では、A0の領域(例えば、3’末端)は、ヒトゲノムの野生型配列に対してあまり相補的でなく(例えば、不完全に相補的である)、前記野生型配列の変異対立遺伝子に対してより相補的である(例えば、完全に相補的である)。
【0294】
いくつかの実施形態では、キットは、RNAのcDNAへの転写のための1つ以上の成分をさらに含む。
【0295】
いくつかの実施形態において、キットは、先に記載され、あるいは後に記載され、あるいは当技術分野の当業者に公知の他の方法で、シーケンシングのためのアダプタータグ付きライブラリーを調製するための1つ以上のキットをさらに含む。
【0296】
いくつかの実施形態では、キットは、前または後に記載されるか、または当技術分野の当業者に公知の他の方法で、核酸の断片化のための1つ以上の成分をさらに含む。
【0297】
いくつかの実施形態では、キットは、当業者に以前または後に記載されるか、または当技術分野の当業者に公知の他の方法で、核酸の物理的断片化のための1つ以上の装置をさらに含む。
【0298】
いくつかの実施形態では、キットは、あるいは前または後に記載されるか、または当技術分野の当業者に公知の他の方法で、核酸の酵素的断片化のための1つ以上の成分をさらに含む。
【0299】
いくつかの実施形態では、キットは、核酸の物理的断片化のための1つ以上の成分及び核酸の酵素的断片化のための1つ以上の成分をさらに含む。
【0300】
いくつかの実施形態では、前述または後述するように、複数のA0を含むキットが提供される。
【0301】
いくつかの実施形態では、それぞれが個々の変異に完全に相補的な配列(例えば、3’末端)を有する1~1,000,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供され、同じ配列(例えば、3’末端または他の場所)は前記変異の野生型配列に不完全に相補的である。いくつかの実施形態において、1個~100,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供される。いくつかの実施形態において、1個~10,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供される。いくつかの実施形態において、1個~1,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供される。
【0302】
いくつかの実施形態では、それぞれが個々の変異に不完全に相補的な配列(例えば、3’末端または他の箇所)を有する1~1,000,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供され、同じ配列(例えば、3’末端または他の場所)は前記変異の野生型配列に完全に相補的である。いくつかの実施形態において、1個~100,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供される。いくつかの実施形態において、1個~10,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供される。いくつかの実施形態において、1個~1,000個の個々のA0プローブを含むキットが提供される。
【0303】
いくつかの実施形態において、上記または下記に記載されるように複数の捕捉オリゴヌクレオチド(C0)を含むキットが提供される。
【0304】
いくつかの実施形態では、前述または後述するように、複数の固体支持体を含むキットが提供される。
【0305】
いくつかの実施形態では、既知の配列と完全に相補的な配列を(例えば、それらの3’末端において)有する複数のA0を含むパネルが提供される。
【0306】
いくつかの実施形態では、既知の配列と不完全に相補的な配列を(例えば、それらの3’末端において)有する複数のA0を含むパネルが提供される。
【0307】
いくつかの実施形態では、所与のがん型またはがん型の範囲内の既知のバリアントに完全に相補的な配列を(例えば、それらの3’末端において)有する複数のA0を含むパネルが提供される。
【0308】
いくつかの実施形態では、所与のがん型またはがん型の範囲内の公知のバリアントに不完全に相補的な配列を(例えば、それらの3’末端において)有する複数のA0を含むパネルであって、(例えば、それらの3’末端における)配列が野生型配列に完全に相補的であるパネルが提供される。
【0309】
いくつかの実施形態では、複数のA0を含むパネルが提供され、その一部は、所与のがん型またはがん型の範囲の既知のバリアントに完全に相補的であるが、他は不完全に相補的である配列を(例えば、それらの3’末端において)有する。
【0310】
いくつかの実施形態において、パネルは、前述または後述のように、1つ以上の捕捉オリゴヌクレオチド(C0)をさらに含む。
【0311】
いくつかの実施形態では、パネルは、前述または後述のように1つ以上のブロッキングオリゴヌクレオチドをさらに含む。
【0312】
多型(例えば、変異)は、以前またはその後に記載または公知の任意の多型(例えば、変異)から選択され得る。
【0313】
したがって、当技術分野の当業者は、本発明の範囲内に、以前またはその後に記載または公知の1つ以上の疾患状態についてのがん原遺伝子、がん遺伝子または遺伝子マーカーのいずれかに対する1つ以上の多型(例えば、変異)の検出に有用であり得るパネルが含まれることを理解するであろう。
当技術分野の当業者は、本発明の範囲内に、1つ以上の疾患状態についての遺伝子マーカーの存在もしくは非存在を決定する際に使用され得るか、または例えば腫瘍インフォームドモニタリングのための所与の患者、組織もしくは細胞に特異的なより多くのバリアントの検出に有用であり得るパネルが含まれることをさらに理解するであろう。
【0314】
当技術分野の当業者は、本発明の範囲内には、まだ知られていないが、それにもかかわらず、存在、非存在、または1つ以上の疾患状態の判定に使用することができる1つ以上のバリアントの検出に有用であり得るパネルが含まれることをさらに理解するであろう。例えば、多くの異なるがん型に対する既知の変異シグネチャーが存在し、これらは、CpGジヌクレオチドでの過剰なC>Tなどの変異誘発の優先モードである。パネルは、発生するこれらのタイプの事象を検出するように設計されたプローブを含み得る。
【0315】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する1~1,000,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0316】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する10,000~1,000,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0317】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する100,000~1,000,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0318】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する200,000~1,000,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0319】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する10,000~100,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0320】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する1,000~100,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0321】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する1,000~10,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0322】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する500~10,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0323】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが標的変異を含む特定の標的領域に相補的であり得る配列を(例えば、それらの3’末端において)有する500~1,000個の個々のプローブ分子を含む。
【0324】
いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが特定の標的変異に相補的な5~500個の個々のプローブ分子を含む。いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが特定の標的変異に相補的な5~400個の個々のプローブ分子を含む。いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが特定の標的変異に相補的な5~300個の個々のプローブ分子を含む。いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが特定の標的変異に相補的な5~200個の個々のプローブ分子を含む。いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが特定の標的変異に相補的な5~100個の個々のプローブ分子を含む。いくつかの実施形態では、パネルは、それぞれが特定の標的変異に相補的な5~50個の個々のプローブ分子を含む。
【0325】
いくつかの実施形態では、同じ変異に特異的な複数のプローブ分子が存在し得る。いくつかの実施形態では、パネルの各変異に特異的なプローブ分子は1つのみであり得る。
【0326】
いくつかの実施形態では、1つ以上のプローブがEGFR変異に相補的であり、1つ以上のプローブがKRAS変異に相補的であり、1つ以上のプローブがERBB2/HER2変異に相補的であり、1つ以上のプローブがEML4-ALK変異に相補的であり、1つ以上のプローブがROS1変異に相補的であり、1つ以上のプローブがRET変異に相補的であり、1つ以上のプローブがMET変異に相補的である、複数のプローブ分子を含むパネルが提供される。
【0327】
いくつかの実施形態では、1つ以上のプローブがEGFR変異に相補的であってもよく、1つ以上のプローブがKRAS変異に相補的であってもよく、1つ以上のプローブがERBB2/HER2変異に相補的であってもよく、1つ以上のプローブがEML4-ALK変異に相補的であってもよく、1つ以上のプローブがROS1変異に相補的であってもよく、1つ以上のプローブがRET変異に相補的であってもよく、1つ以上のプローブがMET変異に相補的であってもよい、複数のプローブ分子を含むパネルが提供される。
【0328】
いくつかの実施形態では、1つ以上のEGFR、KRAS、BRAF、ERBB2/HER2、EML4-ALK、ROS1、RET、MET変異に選択的なプローブパネルが提供される。
【0329】
いくつかの実施形態では、EGFR変異に対して選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0330】
いくつかの実施形態では、KRAS変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0331】
いくつかの実施形態では、BRAF変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0332】
いくつかの実施形態では、ERBB2/HER2変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0333】
いくつかの実施形態では、EML4-ALK変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0334】
いくつかの実施形態では、ROS1変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0335】
いくつかの実施形態では、RET変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0336】
いくつかの実施形態では、NTRK変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0337】
いくつかの実施形態では、ROS1変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0338】
いくつかの実施形態において、METエクソン14変異に選択的なプローブ分子のパネルが提供される。
【0339】
いくつかの実施形態では、1つ以上のコード配列(CDS)に対して選択的な複数のプローブ分子を含むパネルが提供される。
【0340】
いくつかの実施形態では、前述のパネルの1つ以上を使用して1つ以上の変異を検出する方法が提供される。
【0341】
いくつかの実施形態では、前述のパネルの1つ以上を使用して、1つまたは1つ以上の変異の有無を検出する方法が提供される。
【0342】
いくつかの実施形態では、前または後に記載され得るパネルを、前または後に記載され得る1つ以上の試薬と組み合わせて含むキットが提供される。
【0343】
当技術分野の当業者は、用語「DNA」及び「核酸」が、本出願において互換的に使用されることを理解するであろう。したがって、「DNA」に言及する実施形態の開示は、「DNA」が「核酸」で置き換えられている実施形態を包含及び開示すると理解することができる。当技術分野の当業者であれば、「DNA」に言及する実施形態は、「DNA」が「RNA」に置き換えられる実施形態を包含及び開示すると理解することができることを理解するであろう。
【0344】
本発明をいくつかの実施形態を参照して例として説明したが、本発明は開示された実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく代替の実施形態を構築することができることが当業者によってさらに理解されるであろう。
【0345】
本明細書で使用される場合、「磁性微粒子」は、磁場によって引き付けられる磁気応答性微粒子である。本発明の方法で使用され得る磁性微粒子は、磁性金属酸化物コアを含み、これは一般に、DNA、RNAまたはPNAに結合することができる表面を形成するポリマーコートによって囲まれている。磁性金属酸化物コアは、好ましくは酸化鉄であり、鉄はFe2+とFe3+の混合物である。好ましいFe2+/Fe3+比は、好ましくは2/1であるが、約0.5/1から約4/1まで変化し得る。
【0346】
バイオインフォマティクスアプローチは、シーケンシングデータを分析するために使用される。いくつかの実施形態では、特定のバリアントの存在または非存在がコールされる。他の実施形態では、複数のバリアントからのデータを組み合わせて、腫瘍DNAの有無の確率的推定値を導出する。
【0347】
例えば、Illuminaシーケンシングデータ解析は、bcl2fastqなどのツールを使用したBCLファイルのFASTQフォーマットへの変換及び逆多重化を含む。いくつかの実施形態においてシーケンシングリードは分子識別子を含む。この場合、分子識別子をシーケンシング決定リードから抽出し、FASTQヘッダに付加し、シーケンシングリードを切り出すことができる。いくつかの実施形態では、非カノニカル塩基(A、C、G、またはTではない)を有するバーコードをフィルタリングすることができる。次いで、得られたリードを、bwa memなどのツールを使用して、-Cオプションを使用してアライメントし、バーコード配列をアライメントに付加することができる。
【0348】
次いで、アライメントを座標によってソートし、重複リードをマークし、biobambam2 bamsormadup及びbammarkduplicatesoptを使用して、リード座標、mate座標及び光学重複補助タグでリードにアノテーション付加を行うことができる。リードは、適切な対としてマークされていない場合、または光学的複製、補足、QC不合格、マッピングされていないもしくは二次アラインメントとしてマークされている場合、フィルタリングすることができる。次いで、各リードは、参照名、ソートされたリード及びメイト断片化ブレークポイント、フォワード及びリバースリードバーコード、及びリード鎖からなる補助タグでマークされ得る。
【0349】
いくつかの実施形態では、シーケンシングデータは、補助タグデータを使用しないバリアントコーリングアルゴリズムを使用して分析される。この場合、シーケンシングデータの解析は、2つのモデルの下でデータを観測する確率を比較する。第1は、シーケンシングアーチファクトの分布を指定するヌルモデルである。第2は、真のバリアントを可能にするモデルである。この場合、代替モデルの下の確率がヌルモデルの確率を超える場合、バリアントがコールされる。いくつかの実施形態では、事前に特徴付けられた試料のパネルは、(第1のモデル)の誤差分布をモデル化するのに有用であり得る。
【0350】
いくつかの実施形態では、補助タグを使用して、同じ入力分子及び/または同じ入力分子の同じ鎖に由来する可能性が高いリードを識別することができる。いくつかの実施形態において、コンセンサスベースの品質スコアは、同じ補助タグを共有するリードから導き出すことができる。
【0351】
いくつかの実施形態では、変形は、畳み込みニューラルネットワークなどの人工知能アルゴリズムを使用して識別される。
【0352】
いくつかの実施形態では、シーケンシングデータをさらにフィルタリングしてアーチファクトを除去することができる。例示的なフィルターは、所与のシーケンシングリード上に存在するミスマッチの数;アライメントスコア及び次善のアライメントスコア;ベース品質スコアまたはコンセンサスベース品質スコア;所与のバリアント部位をカバーするリードの最小数;シーケンシングリード内のバリアントの位置;リードが5’クリップされているかどうか;リードが不適切なペアであるかどうか;リードがインデルを含むかどうか;ならびに所与のバリアントのバリアント対立遺伝子画分を含む。いくつかの実施形態では、共通のSNPを含むか、またはアライメントアーチファクトを起こしやすいゲノムの領域がフィルタリングされる。当業者に知られている他の多くのフィルターがある。
【0353】
いくつかの実施形態において、対照試料は、バリアントを除くためにシーケンシングされる。例えば、口腔上皮または他の組織源からのDNAをシーケンシングして、生殖系列バリアントを除去することができる。別の実施形態では、バフィーコートまたは白血球DNAをシーケンシングして、クローン造血に由来する体細胞変異を除去することができる。
【0354】
本発明の組成物、方法及びキットは、多様な範囲の用途及び設定において用途が見出される。いくつかの実施形態において、それらは、配列が試料において検出されることが望まれる任意の方法論において用途が見出される。いくつかの実施形態において、それらは、複雑な試料中の少数(例えば、稀)配列を検出したいという要望がある任意の方法論において用途が見出される。上記の例示的な使用に加えて、いくつかの追加の例示的な使用が以下に提供される。
いくつかの実施形態では、組成物、方法及びキットは、感染症の分析及び治療に用途を見出す。この技術は、試料中に存在し得る低頻度変異の検出に特に価値がある。例えば、本技術は、治療耐性(例えば、抗生物質耐性、抗ウイルス耐性など)感染症(例えば、HIV、結核など)に関連する低頻度変異の検出に使用される。この技術は、シーケンシングのための細菌またはウイルスのDNAまたはRNAの選択的プルダウンにおける使用がさらに見出される。
【0355】
上記のように、本技術は、複雑な試料中の分析物の分析及び/または濃縮に特によく適している。研究及び臨床的関心が高まっている1つの分野は、本技術がシーケンシングまたは他の分析のための所望の細菌DNAのはるかに高い特異性選択を提供するための用途を見出す微生物叢分析である。
【0356】
この技術はまた、多くの異なる試料のハイスループット分析ならびに多重分析にも使用される。これらの利点は、法医学分析、父親/母親検査、疾患分析(例えば、がん、感染性疾患)、薬物感受性検査、農業及び食品検査(例えば、選択的育種を支援するため、微量の汚染物質を特定するため)を含む、多種多様な遺伝子型判定用途に用途を見出す。
【0357】
本技術は、合成核酸(例えば、DNA)エラー訂正に使用される。合成核酸は、研究、診断及び臨床適応症に使用される。多くの場合、意図しないまたは望ましくない配列を有する核酸分子の使用を回避または最小化することが重要である。この技術は、望ましくない分子からの所望の分子の同定及び単離に使用される。
【0358】
核酸編集は、研究、合成生物学、及び臨床応用における重要なプロセスとして浮上している。例えば、核酸のCRISPR/CAS編集及び関連するプロセスが重要なプロセスとして浮上している。これらの編集技術の多くは、意図された編集生成物、未編集生成物、及び意図されていない編集生成物を含む分子の混合集団をもたらす。本明細書で提供される技術は、意図された編集製品の識別、選択、及び分離を容易にする。
【0359】
この技術は、環境モニタリングにも使用される。農業用途に加えて、この技術は、微量の目的の分析物を含み得る環境試料の分析に特によく適している。このような試料としては、限定するわけではないが、天然種及び侵襲種の生物の分析、侵襲種の早期検出、空気及び水汚染、ならびに太古DNA分析が挙げられる。試料の種類には、土壌、水、雪、糞便、粘液、配偶子、脱皮した皮膚、死体、毛髪及び空気が含まれるが、これらに限定されない。
【0360】
本技術は、特定の試料からの核酸の所望のサブセットを他のサブセットから単離するのに使用される。例えば、この技術は、葉緑体ゲノム及びミトコンドリアゲノムの単離及び分析に使用される。
【0361】
本技術は、操作された細胞及び天然の細胞の細胞株スクリーニングに使用される。そのような細胞株としては、細胞培養物(初代及び不死化)、幹細胞(胚性、人工多能性、脱分化など)、細胞療法を目的とした分化細胞、研究または臨床用途のためのエクスビボ改変細胞(例えば、CAR T細胞)、及び遺伝子操作された細胞が含まれるが、これらに限定されない。
【0362】
この技術は、損傷を受けていない核酸または所望の核酸から損傷を受けた核酸または他の望ましくない核酸を除去するための用途が見出される。例えば、本技術は、メチル化分析前に試料から損傷DNAを除去するために使用され得る。
【0363】
この技術は、対象への投与前の細胞(例えば、胚、卵、精子)、リポソーム、エキソソーム、核酸ベクター(例えば、遺伝子治療ベクター)などの着床前スクリーニングに使用される。
【0364】
この技術は、薬物毒性スクリーニングに使用される。この技術は、特定の薬物の使用に関連し得るDNA損傷、変異の生成、メチル化変化などの同定に特によく適している。
【0365】
この技術は、核酸のフラグメントミクス分析に使用される。例えば、特定の配列を関連する相関情報(例えば、起源組織、がんなどの疾患との関連など)と関連付けるブレークポイント上に存在するか、またはブレークポイントとアライメントされるプローブが使用され得る。
【0366】
本技術は、核酸の複雑性の低減が望まれる任意の用途に使用され得る。例えば、本技術は、全ゲノム複雑性低減のために使用され得る。いくつかのこのような実施形態では、制限酵素消化または他の核酸断片化プロセスが使用され、その後、既知の末端配列と一致するプローブを使用して切断された分子のみを取り出す工程が続く。
【0367】
この技術は、マイクロサテライト不安定性(MSI)の評価に有用である。反復ヌクレオチド(例えば、GT/CAリピート)の存在、数または性質が異なる標的核酸分子は、試料中で濃縮及び/または同定される。MSIは、結腸がん、胃がん、子宮内膜がん、卵巣がん、肝胆道がん、尿路がん、脳がん、及び皮膚がんを含むがこれらに限定されない多くの疾患及び状態に関連している。
【0368】
この技術は、腫瘍変異負荷(TMB)の評価にも使用される。TMBは、用途の中でもとりわけ、免疫チェックポイント療法のための予測バイオマーカーとして浮上している。現在、次世代の全エクソームシーケンシングが、TMBを評価するために使用されるか、または遺伝子のサブセットの配列を提供する遺伝子パネルが評価される。本明細書で提供される技術を使用することにより、より感度が高く、著しく低コストで負担のかかるTMB評価が可能になる。
【0369】
この技術は、ハプロタイピングに用途が見出される。遺伝子型ではなくハプロタイプとして報告されるゲノム情報は、個別化医療ならびに多種多様な研究用途にとってますます重要である。ハプロタイプは、単一ヌクレオチドバリアントなどのあまり複雑でないバリアントよりも特異的であり、予後診断、腫瘍の分析、及び移植のための組織の分類にも応用されている。現在、シーケンシングは、分子ハプロタイピングの最も一般的な形態である。シーケンシング技術のエラー率は、正確な情報を得るための障害となる。本明細書で提供される技術は、効率的で非常に正確なハプロ撮影を可能にする。
【0370】
本技術が任意の所望の配列または目的を濃縮する能力は、本技術が既存の核酸方法論を増強することを可能にする。例えば、多くの核酸シーケンシングアプローチは、標的核酸中に反復配列領域が存在する場合に困難を伴う。本明細書で提供される技術は、反復領域の除去を可能にし、そのようなシーケンシング反応をより正確かつ効率的なものにする。
【実施例】
【0371】
実施例1:目的の標的配列の加ピロリン酸分解依存性放出
1.ビーズ調製
試料あたり1ulのビーズ(ThermoFisher Dynabeads MyOne Streptavidin T1カタログ65601)を1.5mLエッペンドルフチューブに入れた。最大100uLのビーズを1mLのブロッキング溶液でブロッキングすることができる。
次いで、チューブを磁石上に置き、続いて保存緩衝液を除去した。次いで、チューブに1mLのブロッキング緩衝液(1ug/mL tRNAを含む1×PBS)を添加し、続いて室温(RT)で30分間回転させた(40rpm)。
【0372】
2.オリゴヌクレオチドアニーリング
1×AB緩衝液(トリスHCl pH=7.5 1mM、NaCl 50mL、EDTA 0.2mM)中のオリゴヌクレオチドの希釈液を調製した。
プローブA0 20nM
20nMの完全に相補的なオリゴヌクレオチド20nMまたはミスマッチのオリゴヌクレオチド
最大50uL
【0373】
次いで、得られた混合物を95℃で5分間インキュベートし、次いで、室温までゆっくり冷却させた。
【0374】
オリゴヌクレオチド混合物を冷却した後、混合物を1000倍に希釈した。
【0375】
プローブA0(配列番号1):
5’-/5Biosg/TTTTTTTTTTTTTTTTTTACCTTATACACCGTGCCGAACGCACCGGAGCCCAGCACTTTG-3’
(ここで、/5Biosg/は、5’末端のビオチンを表す)
【0376】
完全に相補的なオリゴヌクレオチド(配列番号2):
5’-CCCAACCAAGCTCTCTTGAGGATCTTGAAGGAAACTGAATTCAAAAAGATCAAAGTGCTGGGCTCCGGTGCGTTCGGCACGGTGTATAAGGTAAGGTCCC-3’
【0377】
ミスマッチオリゴヌクレオチド(配列番号3):
5’-CCCAACCAAGCTCTCTTGAGGATCTTGAAGGAAACTGAATTCAAAAAGATCAAAGTGCTGGCCTCCGGTGCGTTCGGCACGGTGTATAAGGTAAGGTCCC-3’
【0378】
3.ビーズへのオリゴヌクレオチドの付着
ブロッキングしたビーズを2000×gのミニ遠心機で5秒間スピンダウンし、磁石の上に置き、次いで吸引によってブロッキング溶液を除去した。次いで、チューブに、1μLのビーズごとに10μLの2×Binding緩衝液(TrisHCl pH=7.5 40mM、NaCl 1M、EDTA 2mM、TWEEN20 0.02%)を添加した。
【0379】
ビーズ/オリゴマー及び緩衝液の比は、以下の通りであった:
2xBinding緩衝液 40uL
ビーズ10μL
1000倍に希釈したアニーリングオリゴヌクレオチド 50μL。
【0380】
次に、チューブを室温で30分間回転(40rpm)させた。
【0381】
4.洗浄工程
次いで、ビーズを1×洗浄緩衝液(TrisHCl pH=7.5 20mM、NaCl 0.5M、EDTA 1mM、TWEEN20 0.1%)100uLで1回洗浄した。
【0382】
5.ビーズ洗浄緩衝液の0.01% Triton-Xを含む100uLの1×BFF6緩衝液への交換
0.01% Triton-Xを含む1×BFF6組成物
酢酸トリスpH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
TWEEN20 0.01%
【0383】
6.加ピロリン酸分解
次いで、1xBFF6 0.01% Triton-X緩衝液を除去し、PPL混合物(4℃で保存)をビーズに添加した。
PPL混合物は、以下から構成されていた:
0.1%のTWEEN20を含む1×BFF6
10U/mL Klenow(exo-)
2U/mLアピラーゼ
0.5mM PPi
総体積10uL
得られた混合物を45℃で30分間インキュベートした。
【0384】
7.PPiの不活性化
TIPP混合物2.5uLを不活化PPiに添加した。
TIPP混合物は、以下から構成されていた:
0.1%のTWEEN20を含む1×BFF6
TIPP 16U/mL
ポイント6からの混合物10uL。
総体積12.5uL
得られた混合物を37℃で5分間インキュベートした。
【0385】
8.目的の標的の放出及び検出
ポイント7からの混合物を60℃まで5分間加熱した。上清から磁性ビーズを分離するために、混合物を含むチューブを60℃に設定したホットプレートに置いた磁気ラックに移した。
【0386】
透明な上清2uLを、以下から構成される検出混合物に添加した:
1×Q5U緩衝液
0.4mM dNTP
0.2uMプライマー混合物
20U/mL Q5U DNAポリメラーゼ
10U/mL UDG
1x SybrGreenI
総体積:12.5uL
【0387】
Q5緩衝液
Q5緩衝液組成物は、公開されていない。
【0388】
プライマー混合物:
Fwd(配列番号4):5’-C*C*C*AACCAAGCTCTCTTGAGGATCTTG-3’
Rev(配列番号5):5’-/5Phos/GGGACCTTACCTTATACACCGTGCCG-3’
(式中、*はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端ホスフェートを表す)
【0389】
次いで、得られた混合物を、以下に示すようにインキュベートした:
37℃、1分間
55℃、10分間
98℃、1分間
(98℃、10秒間
63℃、15秒間
72℃、15秒間)×50
72℃、5分間
4℃休止
【0390】
蛍光読み取り値をfamチャネル内の各サイクルの後に取得した。結果を
図4に見ることができる。
【0391】
実施例2:目的の標的配列の加ピロリン酸分解依存的濃縮
1.ビーズ調製
試料あたり1ulのビーズ(ThermoFisher Dynabeads MyOne Streptavidin T1カタログ65601)を1.5mLエッペンドルフチューブに入れた。最大100uLのビーズを1mLのブロッキング緩衝液でブロッキングすることができる。チューブを磁石上に置き、続いて保存緩衝液を除去した。ブロッキング緩衝液1mL(1ug/mL tRNAを含む1×PBS、Triton-X 0.1%)をチューブに添加し、続いて室温(RT)で30分間回転させた(40rpm)。
【0392】
2.1% MAF及び10% MAF試料調製
1% MAF:100nMの野生型オリゴヌクレオチドを1nMの変異体オリゴヌクレオチドと100μLの最終体積で混合した。
10% MAF:100nMの野生型オリゴヌクレオチドを10nMの変異体オリゴヌクレオチドと100μLの最終体積で混合した。
【0393】
野生型オリゴヌクレオチド(配列番号6):
5’-CATCTGCCTCACCTCCACCGTGCAGCTCATCACGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTATGTCCGGGAACACAAAGACAATAT-3’
【0394】
変異体オリゴヌクレオチド(配列番号7):
5’-C*G*T*ACTGGTGAAAACACCGCAGGCTCATCATGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAAGG-3’
(式中、*はホスホロチオエート結合を表す。)
【0395】
3.オリゴヌクレオチドアニーリング
1×AB緩衝液(トリスHCl pH=7.5 1mM、NaCl 50mM、EDTA 0.2mM)中のオリゴヌクレオチドの希釈液を調製した。
プローブA0 20nM
1% MAFまたは10% MAF試料 10uL
ヌクレアーゼフリー水を用いて最大50uLを構成した。
次いで、得られた混合物を95℃で5分間インキュベートし、次いで、室温までゆっくり冷却させた。
オリゴヌクレオチド混合物を冷却した後、混合物を1000倍に希釈した。
【0396】
プローブA0(配列番号8):
5’-/5Biosg/TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCCAGGAGGCAGCCGAAGGGCATGAGCTGCATGATG-3’
(ここで、/5Biosg/は、5’末端のビオチンを表す)
【0397】
4.標的プレビーズ調製物のdPCR定量化
アニーリングした混合物及び希釈した混合物中の野生型オリゴヌクレオチド及び変異体オリゴヌクレオチドの濃度を、dPCRを用いて定量化した。1% MAF及び10% MAF試料(ポイント3から得た)の1000倍希釈をさらに20倍希釈し、続いて1:1の段階希釈を6回行い、基準曲線を作成した。
【0398】
dPCR混合物は、以下から構成されていた:
1×Q5U緩衝液
0.4mM dNTP
0.2μMプライマー混合物
20U/mL Q5Uポリメラーゼ
10U/mL UDG
2×EvaGreen
0.0003μg/mL Alexa 700
0.2%TWEEN20
4μL DNAテンプレート
総容量:12μL
【0399】
Q5緩衝液
Q5緩衝液組成物は、公開されていない。
【0400】
プライマー混合物:
FWD(配列番号9):5’-G*C*C*TCCCTCGCGCCATCAGCATCTGCCTCACCTCCACCG-3’
REV(配列番号10):5’-/5Phos/GCCTTGCCAGCCCGCTCAGATATTGTCTTTGTGTTCCCGGA-3’
または
FWD(配列番号11):5’-A*C*G*TACTGGTGAAAACACCGCAG-3’
REV(配列番号12):5’-/5Phos/GCCTCCTTCTGCATGGTATTCTTT-3’
(式中、*はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端ホスフェートを表し、異なるプライマー混合物を野生型及び変異体オリゴヌクレオチドの定量に使用した。)
【0401】
次いで、得られた混合物を、以下に示すようにインキュベートした:
37℃、1分間
55℃、10分間
98℃、1分間
(98℃、10秒間
63℃、15秒間
72℃ 15秒)×30
72℃、5分間
35℃、休止
【0402】
インキュベーション後に蛍光読取りを行い、dPCRメーカーソフトウェアを種々のオリゴマーの定量に使用した。
【0403】
5.ビーズへのオリゴヌクレオチドの付着
ブロッキングしたビーズを2000×gのミニ遠心機で5秒間スピンダウンし、磁石の上に置き、引き続いて吸引によってブロッキング溶液を除去した。ビーズ1μLごとに10uLの2×結合緩衝液(TrisHCl pH=7.5 40mM、NaCl 1M、EDTA 2mM、TWEEN20 0.02%)をチューブに添加した。
【0404】
ビーズ/オリゴマー及び緩衝液の比は、以下の通りであった:
2xBinding緩衝液 40μL
ビーズ10μL
(ポイント3から)1000倍希釈した50μLのアニーリングしたオリゴヌクレオチド。
次に、チューブを室温で30分間回転(40rpm)させた。
【0405】
6.洗浄工程
次いで、ビーズを1×洗浄緩衝液(TrisHCl pH=7.5 20mM、NaCl 0.5M、EDTA 1mM、TWEEN20 0.1%)100μLで1回洗浄した。
【0406】
7.ビーズ洗浄緩衝液を0.01% TWEEN20を含む1×BFF6緩衝液100μLに交換する
0.01% TWEEN20を含む1×BFF6組成物
酢酸トリスpH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
TWEEN20 0.01%
【0407】
8.加ピロリン酸分解
次いで、1×BFF6 0.01% TWEEN20緩衝液を除去し、PPL混合物(4℃で保存)をビーズに添加した。
PPL混合物は、以下から構成されていた:
0.1% TWEEN20を含む1×BFF6
20U/mL Klenow(exo-)
2U/mLアピラーゼ
0.5mM PPi
総体積20μL
得られた混合物を40℃で1分間インキュベートした。
【0408】
0.1% TWEEN20を含む1×BFF6組成物
酢酸トリスpH=7.0 10mM
酢酸カリウム 30mM
酢酸マグネシウム 17.125mM
TWEEN20 0.1%
【0409】
9.PPiの不活性化
TIPP混合物5μLを添加してPPiを不活性化した。
TIPP混合物は、以下から構成されていた:
0.1% TWEEN20を含む1×BFF6
TIPP 16U/mL
ポイント8からの混合物20μL。
総体積25μL
得られた混合物を37℃で5分間インキュベートした。
【0410】
10.目的の標的の放出及び検出
ポイント9からの混合物を60℃まで10分間加熱した。上清から磁性ビーズを分離するために、混合物を含むチューブを60℃に設定したホットプレートに置いた磁気ラックに移した。
【0411】
11.ビーズから放出された標的のdPCR定量化
次いで、上清中の野生型オリゴヌクレオチド及び変異オリゴヌクレオチドの濃度をdPCRを用いて定量化した。
【0412】
透明な上清4μuLを、以下から構成される検出混合物に添加した:
1×Q5U緩衝液
0.4mM dNTP
0.2μMプライマー混合物
20U/mL Q5U DNAポリメラーゼ
10U/mL UDG
2×EvaGreen
0.0003μg/mL Alexa 700 0.0003μg/mL
0.2% TWEEN20
総容量:12μL
【0413】
Q5緩衝液
Q5緩衝液組成物は、公開されていない。
【0414】
プライマー混合物:
FWD(配列番号9):5’-G*C*C*TCCCTCGCGCCATCAGCATCTGCCTCACCTCCACCG-3’
REV(配列番号10):5’-/5Phos/GCCTTGCCAGCCCGCTCAGATATTGTCTTTGTGTTCCCGGA-3’
または
FWD(配列番号11):5’-A*C*G*TACTGGTGAAAACACCGCAG-3’
REV(配列番号12):5’-/5Phos/GCCTCCTTCTGCATGGTATTCTTT-3’
(式中、*はホスホロチオエート結合を表し、/5Phos/は5’末端ホスフェートを表し、異なるプライマー混合物を野生型及び変異体オリゴヌクレオチドの定量に使用した。)
【0415】
次いで、得られた混合物を、以下に示すようにインキュベートした:
37℃、1分間
55℃、10分間
98℃、1分間
(98℃、10秒間
63℃、15秒間
72℃ 15秒)×30
72℃、5分間
35℃、休止
【0416】
インキュベーション後に蛍光読取りを行い、dPCRメーカーソフトウェアを種々のオリゴマーの定量に使用した。
【0417】
オリゴヌクレオチドの定量化の結果を以下の表に示す。
【表1】
【0418】
実施例3:EGFRエクソン20 T790Mバリアントの分析
1.ビーズの調製
a.ビーズブロッキング工程
-試料1個あたり1μLのビーズを採取し、1.5mLのエッペンドルフチューブ(ThermoFisher Dynabeads MyOne Streptavidin C1カタログ65001)に入れる。最大100μLのビーズをブロッキング溶液1mLでブロッキングすることができる。
-ビーズを含むチューブを磁石に置き、ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-保存緩衝液を除去する。
-ビーズを含むチューブに1mLのブロッキング緩衝液(1×PBS、0.1% Tween-20、1μg/mL
t-RNA)を添加する。
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0419】
b.緩衝液交換
-ビーズをスピンダウンし、磁石に置く。ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-ブロッキング溶液を除去する。
-1μLのビーズごとに2×Binding緩衝液(TrisHCl pH=7.5 40mM、NaCl 1M、EDTA 2mM、TWEEN20 0.02%)を10μL添加する。
-ビーズを5秒間ボルテックス処理により混合する。
【0420】
2.オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション
-1×SSC緩衝液中のオリゴヌクレオチドの希釈を調製する(5×SSC、5×Denhardt溶液、5mMのEDTA、0.1%のSDS)
-プローブオリゴヌクレオチド2pM
-WTまたは変異体オリゴヌクレオチド0.2/2fM
-ビーズ1μLあたり50μLのオリゴヌクレオチドを調製した。
-95℃で5分間及び50/60℃で72時間インキュベートする。
【0421】
プローブオリゴヌクレオチド(配列番号13):
5’-/5Biosg/TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCCAGGAGGCAGCCGAAGGGCATGAGCTGCATGATG-3’
WTオリゴヌクレオチド(配列番号14):
5’-CTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCCCATCTGCCTCACCTCCACCGTGCAGCTCATCACGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTATGTCCGGGAACACAAAGACAATATGTGTCGAGAATATCCAAGAGACAGGTTTCT-3’
変異体オリゴヌクレオチド(配列番号15):
5’-CTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCCACGTACTGGTGAAAACACCGCAGGCTCATCATGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAAGGAGGCGTGTCGAGAATATCCAAGAGACAGGTTTCT-3’
(/5Biosgは、5’末端のビオチンを表す。)
【0422】
3.ビーズへのオリゴヌクレオチドの付着
-ビーズ及びオリゴヌクレオチドを以下の比で混合する:
2xBinding緩衝液 40uL
工程1からのビーズ10μL
工程2からのオリゴヌクレオチド50μL
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0423】
4.ビーズ洗浄
-付着工程が完了した後-試料をスピンダウンし、磁石に試料を置いて7分間待つ。
-100μLの上清の80μLを除去し、1×洗浄緩衝液(TrisHCl pH=7.5 20mM、NaCl 0.5M、EDTA 1mM、TWEEN20 0.1%)100μLを添加する。
-試料を10秒間にわたってボルテックスし、スピンダウンする。
-試料を磁石に置いて2分間待つ。
-120μLの上清の90μLを除去し、1x洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、1×洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、磁石から試料を取り出し、100μLの1×BFF6緩衝液(トリス酢酸pH=7.0 10mM、酢酸カリウム30mM、酢酸マグネシウム17.125mM、TWEEN20 0.01%)を添加する。
-試料をスピンダウンさせ、磁石に試料を載せ、2分間待つ。
-1×BFF6緩衝液を除去する。
【0424】
5.PPL反応
-4℃に保たれたビーズにPPL混合物を添加する。PPLは以下の組成を有する:
1×BFF6-0.1% Tween-20
20U/mL Klenow(exo-)
2U/mLアピラーゼ
+/-0.05mM PPi
総体積:20μL
-40°Cで10分間インキュベートし、4℃で休止する。
【0425】
6.TIPP反応
-PPL反応が4℃に達したら、以下を有するTIPP混合物5μLを添加する:
1×BFF6-0.1% Tween-20
16U/mL TIPP
工程5からの混合物20μL。
総体積:25μL
-37℃で5分間、60℃で10分間、60℃休止でインキュベートする
【0426】
7.予備増幅
-工程6からの試料を、ホットプレート上に保たれた磁石に載せ、60℃まで加熱する。
-ビーズが分離された後に、2μLの上清を取り、以下の混合物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物1 0.1μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
UDG 10U/mL
総体積:12.5μL
Q5U緩衝液:
プライマー混合物1は、以下を有する。
フォワードプライマー(配列番号16):5’-AGAAACCTGTCTCTTGGATATTCTCGACAC-3’
リバースプライマー(配列番号17):5’-CTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCC-3’
-試料をサーモサイクラーに入れ、105℃で蓋をしてインキュベートする。
1.UDG 37℃、1分間
2.変性開始温度98℃、1分間
3.変性98℃、10秒間
4.アニーリング63℃、15秒間
5.伸長72℃、15秒間
6.最終伸長、72℃、5分間
7.冷却、4℃維持
-工程3~5を12回繰り返す
【0427】
8.dPCR定量化
-工程7からの予備増幅が終了した後、工程7からの混合物2μLを、以下を含有する反応物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物2または3 0.2μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
EvaGreen色素2x
Alexa Fluor 700色素0.0003μg/μL
TWEEN20 0.2%
総体積:12μL
プライマー混合物2は、以下を有する。
フォワードプライマー(配列番号18):
5’-GCCTTGCCAGCCCGCTCAGATATTGTCTTTGTGTTCCCGGAC-3’
リバースプライマー(配列番号19):
5’-GCCTCCCTCGCGCCATCAGCATCTGCCTCACCTCCACCG-3’
プライマー混合物3は、以下を有する。
フォワードプライマー(配列番号20):5’-ACGTACTGGTGAAAACACCGCAG-3’
リバースプライマー(配列番号21):5’-GCCTCCTTCTGCATGGTATTCTTT-3’
-105℃で蓋をしたQIAcuity Digital PCR Systemに試料を置く
1.変性開始温度98℃、1分間
2.変性98℃、10秒間
3.アニーリング63℃、15秒間
4.伸長72℃、15秒間
5.最終伸長、72℃、5分間
6.35℃に冷却、1分間
-工程2~4を30回繰り返す
-露光時間がそれぞれ600ms及び700msであり、かつゲイン6及び8である緑色チャネル及び黄色チャネルのパーティションの画像を取得する。このような実験から得られたデータを
図5に示す。
【0428】
実施例4:異なる変異対立遺伝子画分(VAF)でのEGFRエクソン20 T790Mバリアントの検出
1.ビーズの調製
ビーズブロッキング工程
-試料1個あたり1μLのビーズを採取し、1.5mLのエッペンドルフチューブ(ThermoFisher Dynabeads MyOne Streptavidin C1カタログ65001)に入れる。最大100μLのビーズをブロッキング溶液1mLでブロッキングすることができる。
-ビーズを含むチューブを磁石に置き、ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-保存緩衝液を除去する。
-ビーズを含むチューブにブロッキング緩衝液(1×PBS、0.1% Tween-20、1μg/mL t-RNA)1mLを添加する。
-RTで15rpmで30分間回転させる。
緩衝液交換
-ビーズをスピンダウンし、磁石に置く。ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-ブロッキング溶液を除去する。
-1μLのビーズごとに2×Binding緩衝液(TrisHCl pH=7.5 40mM、NaCl 1M、EDTA 2mM、TWEEN20 0.02%)を10μL添加する。
-ビーズを5秒間ボルテックス処理により混合する。
【0429】
2.オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション
-1×SSC緩衝液中のオリゴヌクレオチドの希釈を調製する(5×SSC、5×Denhardt溶液、5mMのEDTA、0.1%のSDS)
-プローブオリゴヌクレオチド2pM
WT 0~200fM
変異体オリゴヌクレオチド0.2~100fM
-ビーズ1μLあたり50μLのオリゴヌクレオチドを調製した。
-95℃で5分間及び60℃で72時間インキュベートする。
プローブオリゴヌクレオチド(配列番号13):
5’-/5Biosg/TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCCAGGAGGCAGCCGAAGGGCATGAGCTGCATGATG-3’
WTオリゴヌクレオチド(配列番号14):
5’-CTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCCCATCTGCCTCACCTCCACCGTGCAGCTCATCACGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTATGTCCGGGAACACAAAGACAATATGTGTCGAGAATATCCAAGAGACAGGTTTCT-3’
変異体オリゴヌクレオチド(配列番号15):
5’-CTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCCACGTACTGGTGAAAACACCGCAGGCTCATCATGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAAGGAGGCGTGTCGAGAATATCCAAGAGACAGGTTTCT-3’
(/5Biosgは、5’末端のビオチンを表す。)
【0430】
3.ビーズへのオリゴヌクレオチドの付着
-ビーズ及びオリゴヌクレオチドを以下の比で混合する:
2xBinding緩衝液 40uL
工程1からのビーズ10μL
工程2からのオリゴヌクレオチド50μL
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0431】
4.ビーズ洗浄
-付着工程が完了した後-試料をスピンダウンし、磁石に試料を置いて7分間待つ。
-100μLの上清の80μLを除去し、1×洗浄緩衝液(TrisHCl pH=7.5 20mM、NaCl 0.5M、EDTA 1mM、TWEEN20 0.1%)100μLを添加する。
-試料を10秒間にわたってボルテックスし、スピンダウンする。
-試料を磁石に置いて2分間待つ。
-120μLの上清の90μLを除去し、1x洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、1×洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、磁石から試料を取り出し、100μLの1×BFF6緩衝液(トリス酢酸pH=7.0 10mM、酢酸カリウム30mM、酢酸マグネシウム17.125mM、TWEEN20 0.01%)を添加する。
-試料をスピンダウンさせ、磁石に試料を載せ、2分間待つ。
-1×BFF6緩衝液を除去する。
【0432】
5.PPL反応
-4℃に保たれたビーズにPPL混合物を添加する。PPLは以下の組成を有する:
1×BFF6-0.1% Tween-20
20U/mL Klenow(exo-)
2U/mLアピラーゼ
+/-0.05mM PPi
総体積:20μL
-40℃で10分間インキュベートし、4℃で休止する。
【0433】
6.TIPP反応
-PPL反応が4℃に達したら、以下を有するTIPP混合物5μLを添加する:
1×BFF6-0.1% Tween-20
16U/mL TIPP
工程5からの混合物20μL。
総体積:25μL
-37℃で5分間、60℃で10分間、60℃休止でインキュベートする
【0434】
7.予備増幅
-工程6からの試料を、ホットプレート上に保たれた磁石に載せ、60℃まで加熱する。
-ビーズが分離された後に、2μLの上清を取り、以下の混合物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物1 0.1μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
UDG 10U/mL
総体積:12.5μL
Q5U緩衝液:
プライマー混合物1は、以下を有する。
フォワードプライマー(配列番号16):5’-AGAAACCTGTCTCTTGGATATTCTCGACAC-3’
リバースプライマー(配列番号17):5’-CTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCC-3’
-試料をサーモサイクラーに入れ、105℃で蓋をしてインキュベートする。
1.UDG37℃、1分間
2.変性開始温度98℃、1分間
3.変性98℃、10秒間
4.アニーリング63℃、15秒間
5.伸長72℃、15秒間
6.最終伸長、72℃、5分間
7.冷却、4℃維持
-工程3~5を12回繰り返す
【0435】
8.dPCR定量化
-工程7からの予備増幅が終了した後、工程7からの混合物2μLを、以下を含有する反応物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物2または3 0.2μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
EvaGreen色素2x
Alexa Fluor 700色素0.0003μg/μL
TWEEN20 0.2%
総体積:12μL
プライマー混合物2は、以下を有する。
フォワードプライマー(配列番号18):
5’-GCCTTGCCAGCCCGCTCAGATATTGTCTTTGTGTTCCCGGAC-3’
リバースプライマー(配列番号19):
5’-GCCTCCCTCGCGCCATCAGCATCTGCCTCACCTCCACCG-3’
プライマー混合物3は、以下を有する。
フォワードプライマー(配列番号20):5’-ACGTACTGGTGAAAACACCGCAG-3’
リバースプライマー(配列番号21):5’-GCCTCCTTCTGCATGGTATTCTTT-3’
-105℃で蓋をしたQIAcuity Digital PCR Systemに試料を置く
1.変性開始温度98℃、1分間
2.変性98℃、10秒間
3.アニーリング63℃、15秒間
4.伸長72℃、15秒間
5.最終伸長、72℃、5分間
6.35℃に冷却、1分間
-工程2~4を30回繰り返す
-露光時間がそれぞれ600ms及び700msであり、かつゲイン6及び8である緑色チャネル及び黄色チャネルのパーティションの画像を取得する。このような実験から得られたデータを
図6に示す。
【0436】
実施例5:0.1%VAFでのEGFRエクソン20 T790Mバリアントの検出に対するハイブリダイゼーション緩衝液及びハイブリダイゼーション時間の効果。
1.ビーズの調製
a.ビーズブロッキング工程
-試料1個あたり1μLのビーズを採取し、1.5mLのエッペンドルフチューブ(ThermoFisher Dynabeads MyOne Streptavidin C1カタログ65001)に入れる。最大100μLのビーズをブロッキング溶液1mLでブロッキングすることができる。
-ビーズを含むチューブを磁石に置き、ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-保存緩衝液を除去する。
-ビーズを含むチューブにブロッキング緩衝液(1×PBS、0.1% Tween-20、1μg/mL t-RNA)1mLを添加する。
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0437】
b.緩衝液交換
-ビーズをスピンダウンし、磁石に置く。ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-ブロッキング溶液を除去する。
-1μLのビーズごとに2×Binding緩衝液(TrisHCl pH=7.5 40mM、NaCl 1M、EDTA 2mM、TWEEN20 0.02%)を10μL添加する。
-ビーズを5秒間ボルテックス処理により混合する。
【0438】
2.オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション
-オリゴヌクレオチドの希釈物を以下の中で調製する:
緩衝液1:1×SSC緩衝液(5×SSC、5×Denhardt溶液、5×mM EDTA、0.1%SDS)または
緩衝液2:ULTRAhyb(商標)Ultrasensitive Hybridization Buffer(カタログ番号AM8670)または
緩衝液3:1xSSC+DS緩衝液(5×SSC、5×Denhardt溶液、5mM EDTA、0.1% SDS、5%硫酸デキストラン)
-プローブオリゴヌクレオチド2pM
WTオリゴヌクレオチド混合物 198fM
変異体オリゴヌクレオチド混合物2fM
ゲノムDNA380ng
-ビーズ1μLあたり50μLのオリゴヌクレオチドを調製する。
-95℃で5分間及び60℃で1/3時間インキュベートする。
プローブオリゴヌクレオチド(配列番号12):
5’-/5Biosg/TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTCCAGGAGGCAGCCGAAGGGCATGAGCTGCATGATG-3’
(/5Biosgは、5’末端のビオチンを表す。)
WTオリゴヌクレオチド混合物は、以下を有する:
フォワード鎖1(配列番号22):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTGGTAATTACCGACGAAAACGGCCCGTGCAGCTCATCACGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTATGTCCGGGAACCGCAAGACTGTAACCACGCGTATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖2(配列番号23):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATACGCGTGGTTACAGTCTTGCGGTTCCCGGACATAGTCCAGGAGGCAGCCGAAGGGCATGAGCTGCGTGATGAGCTGCACGGGCCGTTTTCGTCGGTAATTACCAGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖2(配列番号24):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACATGAAAGCTGGCTACAGGAAGGCTCAAAAAGATCAAAGTGCTGGGCTCCGGTGCGTTCGGCACGGTGTATAAGGTAAGGTCCCAATATTGAAACCCACGGCATGGTGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖2(配列番号25):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATCACCATGCCGTGGGTTTCAATATTGGGACCTTACCTTATACACCGTGCCGAACGCACCGGAGCCCAGCACTTTGATCTTTTTGAGCCTTCCTGTAGCCAGCTTTCATGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖3(配列番号26):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACCAGCCGCCGCGGTAAGATCACAGATTTTGGGCTGGCCAAACTGCTGGGTGCGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAGAATTGGCGGGGGAGCACATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖3(配列番号27):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATGTGCTCCCCCGCCAATTCTCTGCATGGTATTCTTTCTCTTCCGCACCCAGCAGTTTGGCCAGCCCAAAATCTGTGATCTTACCGCGGCGGCTGGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖4(配列番号28):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGGAAGTGAAAAGTCGTAACAAGGCATGATTTTGGTCTAGCTACAGTGAAATCTCGATGGAGTGGGTCCCATCAGTTTGAACAGTTCTGCATCGATGAAGAACGCAGCATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖4(配列番号29):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATGCTGCGTTCTTCATCGATGCAGAACTGTTCAAACTGATGGGACCCACTCCATCGAGATTTCACTGTAGCTAGACCAAAATCATGCCTTGTTACGACTTTTCACTTCCGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖5(配列番号30):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACAGGCGCTGTTTGGTCTCTTAGCCAGGAAGCATACGTGATGGCTGGTGTGGGCTCCCCATATGTCTCCCGCCTTCTGGGCATCAGGAATCATTAGCGGTAGCGAATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖5(配列番号31):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCGCTACCGCTAATGATTCCTGATGCCCAGAAGGCGGGAGACATATGGGGAGCCCACACCAGCCATCACGTATGCTTCCTGGCTAAGAGACCAAACAGCGCCTGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖6(配列番号32):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGAGCCGGTAGTGTTGAAAGGAGGTCCATCATCTCTGCGGTGGTTGGCATTCTGCTGGTCGTGGTCTTGGGGGTGGTCTTTGGCTTTGCCTGCACTCATTGAAGGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖6(配列番号33):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATCCTTCAATGAGTGCAGGCAAAGCCAAAGACCACCCCCAAGACCACGACCAGCAGAATGCCAACCACCGCAGAGATGATGGACCTCCTTTCAACACTACCGGCTCGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖7(配列番号34):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTGGCTCAGGAAGAACGCAGTTGTGGTAGTTGGAGCTGGTGGCGTAGGCAAGAGTGCCTTGACGATACAGCTAATTCAGATGGAGCATGTGGTTTAATTGCGAATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖7(配列番号35):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCGCAATTAAACCACATGCTCCATCTGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACTCTTGCCTACGCCACCAGCTCCAACTACCACAACTGCGTTCTTCCTGAGCCAGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖8(配列番号36):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACCCTTGGTCATTTAGAGGAAGTGGCTACTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCCTCTTGACCTGCTGTGTCGAGAATATCCAAGAGACAGGTTTCTCCATGCATCGATGAAGAACGCAGCATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖8(配列番号37):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATGCTGCGTTCTTCATCGATGCATGGAGAAACCTGTCTCTTGGATATTCTCGACACAGCAGGTCAAGAGGAGTACAGTGCAATGAGGGACCAGTAGCCACTTCCTCTAAATGACCAAGGGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
変異体オリゴヌクレオチド混合物は以下を有する:
フォワード鎖1(配列番号38):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTGATTTCCGTGCGTCTGAATGCCCGTGCAGCTCATCATGCAGCTCATGCCCTTCGGCTGCCTCCTGGACTATGTCCGGGAACCGAAACACGCTACGGCAGCATATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖1(配列番号39):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATATGCTGCCGTAGCGTGTTTCGGTTCCCGGACATAGTCCAGGAGGCAGCCGAAGGGCATGAGCTGCATGATGAGCTGCACGGGCATTCAGACGCACGGAAATCAGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖2(配列番号40):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGTTGAAAATGGTCTGCTGCTGTTCAAAAAGATCAAAGTGCTGGCCTCCGGTGCGTTCGGCACGGTGTATAAGGTAAGGTCCCTCTGTGGTGGATGAAGCCAATAATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖2(配列番号41):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTATTGGCTTCATCCACCACAGAGGGACCTTACCTTATACACCGTGCCGAACGCACCGGAGGCCAGCACTTTGATCTTTTTGAACAGCAGCAGACCATTTTCAACGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖3(配列番号42):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGCGGTAATTCCAGCTCCAAGTGATCACAGATTTTGGGCGTGCCAAACTGCTGGGTGCGGAAGAGAAAGAATACCATGCAGAGAGAGGTGCAAATTCTGGGATCTATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖3(配列番号43):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATAGATCCCAGAATTTGCACCTCTCTCTGCATGGTATTCTTTCTCTTCCGCACCCAGCAGTTTGGCACGCCCAAAATCTGTGATCACTTGGAGCTGGAATTACCGCGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖4(配列番号44):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGCATCGATGAAGAACGCAGCTGATTTTGGTCTAGCTACAGAGAAATCTCGATGGAGTGGGTCCCATCAGTTTGAACAGTTGTCGCATATCAATAAGCGGAGGAATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖4(配列番号45):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTCCTCCGCTTATTGATATGCGACAACTGTTCAAACTGATGGGACCCACTCCATCGAGATTTCTCTGTAGCTAGACCAAAATCAGCTGCGTTCTTCATCGATGCGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖5(配列番号46):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTGGCTAGTGGCATTCTGATGCGGAAGCATACGTGATGGCTGTGTGTGTGGGCTCCCCATATGTCTCCCGCCTTCTGGGCATGCAAGGGCGGCTAAAGTATCAATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖5(配列番号47):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATTGATACTTTAGCCGCCCTTGCATGCCCAGAAGGCGGGAGACATATGGGGAGCCCACACACACAGCCATCACGTATGCTTCCGCATCAGAATGCCACTAGCCAGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖6(配列番号48):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACTGCAATGAGGACCGGTATATCTCTGTCCATCATCTCTGCGGTGGAAGGCATTCTGCTGGTCGTGGTCTTGGGGGTGGTCTTTGGTGGAATATTAACACGGGCGTGCATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖6(配列番号49):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATGCACGCCCGTGTTAATATTCCACCAAAGACCACCCCCAAGACCACGACCAGCAGAATGCCTTCCACCGCAGAGATGATGGACAGAGATATACCGGTCCTCATTGCAGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖7(配列番号50):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGAGGACAGGATTAGATACCCGGTTGTGGTAGTTGGAGCTTGTGGCGTAGGCAAGAGTGCCTTGACGATACAGCTAATTCAGAGGAAGGTGGGGATGACGTATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖7(配列番号51):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATACGTCATCCCCACCTTCCTCTGAATTAGCTGTATCGTCAAGGCACTCTTGCCTACGCCACAAGCTCCAACTACCACAACCGGGTATCTAATCCTGTCCTCGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
フォワード鎖8(配列番号52):
5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACACGCTCAGGAAGAACGCTGGTACTGGTCCCTCATTGCACTGTACTCCTCGTGACCTGCTGTGTCGAGAATATCCAAGAGACAGGTTTCTCCATCGAAGTACATGTGTAGCGGTGATCTCGTATGCCGTCTTCTGCTTG-3’
リバース鎖8(配列番号53):
5’-CAAGCAGAAGACGGCATACGAGATCACCGCTACACATGTACTTCGATGGAGAAACCTGTCTCTTGGATATTCTCGACACAGCAGGTCACGAGGAGTACAGTGCAATGAGGGACCAGTACCAGCGTTCTTCCTGAGCGTGTAGATCTCGGTGGTCGCCGTATCATT-3’
【0439】
3.ビーズへのオリゴヌクレオチドの付着
-ビーズ及びオリゴヌクレオチドを以下の比で混合する:
2xBinding緩衝液 40uL
工程1からのビーズ10μL
工程2からのオリゴヌクレオチド50μL
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0440】
4.ビーズ洗浄
-付着工程が完了した後-試料をスピンダウンし、磁石に試料を置いて7分間待つ。
-100μLの上清の80μLを除去し、1×洗浄緩衝液(TrisHCl pH=7.5 20mM、NaCl 0.5M、EDTA 1mM、TWEEN20 0.1%)100μLを添加する。
-試料を10秒間にわたってボルテックスし、スピンダウンする。
-試料を磁石に置いて2分間待つ。
-120μLの上清の90μLを除去し、1x洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、1×洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、磁石から試料を取り出し、100μLの1×BFF6緩衝液(トリス酢酸pH=7.0 10mM、酢酸カリウム30mM、酢酸マグネシウム17.125mM、TWEEN20 0.01%)を添加する。
-試料をスピンダウンさせ、磁石に試料を載せ、2分間待つ。
-1×BFF6緩衝液を除去する。
【0441】
5.PPL反応
-4℃に保たれたビーズにPPL混合物を添加する。PPLは、以下の組成からなる:
1×BFF6-0.1% Tween-20
20U/mL Klenow(exo-)
2U/mLアピラーゼ
0.05mM PPi
総体積:20μL
-40℃で10分間インキュベートし、4℃で休止する。
【0442】
6.TIPP反応
-PPL反応が4℃に達したら、以下を有するTIPP混合物5μLを添加する:
1×BFF6-0.1% Tween-20
16U/mL TIPP
工程5からの混合物20μL。
総体積:25μL
-37℃で5分間、60℃で10分間、60℃休止でインキュベートする
【0443】
7.予備増幅
-工程6からの試料を、ホットプレート上に保たれた磁石に載せ、60℃まで加熱する。
-ビーズが分離された後に、2μLの上清を取り、以下の混合物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物4 0.1μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
UDG 10U/mL
総体積:12.5μL
Q5U緩衝液:
プライマー混合物4は、以下を有する:
フォワードプライマー(配列番号54):5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC-3’
リバースプライマー(配列番号55):5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC-3’
-試料をサーモサイクラーに入れ、105℃で蓋をしてインキュベートする。
1.UDG37℃、1分間
2.変性開始温度98℃、1分間
3.変性98℃、10秒間
4.アニーリング63℃、15秒間
5.伸長72℃、15秒間
6.最終伸長、72℃、5分間
7.冷却、4℃維持
-工程3~5を12回繰り返す
【0444】
8.dPCR定量化
-工程7からの予備増幅が終了した後、工程7からの混合物2μLを、以下を含有する反応物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物5または6 0.2μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
EvaGreen色素2x
Alexa Fluor 700色素0.0003μg/μL
TWEEN20 0.2%
総体積:12μL
プライマー混合物5は、以下を有する:
フォワードプライマー(配列番号56):5’-TGGTAATTACCGACGAAAACGGC-3’
リバースプライマー(配列番号57):5’-ACGCGTGGTTACAGTCTTGCG-3’
プライマー混合物6は以下を有する:
フォワードプライマー(配列番号58):5’-TGATTTCCGTGCGTCTGAATGC-3’
リバースプライマー(配列番号59):5’-ATGCTGCCGTAGCGTGTTTCG-3’
-105℃で蓋をしたQIAcuity Digital PCR Systemに試料を置く
1.変性開始温度98℃、1分間
2.変性98℃、10秒間
3.アニーリング63℃、15秒間
4.伸長72℃、15秒間
5.最終伸長、72℃、5分間
6.35℃に冷却、1分間
-工程2~4を30回繰り返す
-露光時間がそれぞれ600ms及び700msであり、かつゲイン6及び8である緑色チャネル及び黄色チャネルのパーティションの画像を取得する。このような実験から得られたデータを
図7に示す。
【0445】
実施例6:EGFRエクソン20 T790Mバリアントの濃縮係数。
1.ビーズの調製
a.ビーズブロッキング工程
-試料1個あたり1μLのビーズを採取し、1.5mLのエッペンドルフチューブ(ThermoFisher Dynabeads MyOne Streptavidin C1カタログ65001)に入れる。最大100μLのビーズをブロッキング溶液1mLでブロッキングすることができる。
-ビーズを含むチューブを磁石に置き、ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-保存緩衝液を除去する。
-ビーズを含むチューブにブロッキング緩衝液(1×PBS、0.1% Tween-20、1μg/mL t-RNA)1mLを添加する。
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0446】
b.緩衝液交換
-ビーズをスピンダウンし、磁石に置く。ビーズが分離し、溶液が透明になるまで待つ。
-ブロッキング溶液を除去する。
-1μLのビーズごとに2×Binding緩衝液(TrisHCl pH=7.5 40mM、NaCl 1M、EDTA 2mM、TWEEN20 0.02%)を10μL添加する。
-ビーズを5秒間ボルテックス処理により混合する。
【0447】
2.オリゴヌクレオチドハイブリダイゼーション
-オリゴヌクレオチドの希釈物を以下の中で調製する:
緩衝液1:1×SSC緩衝液(5×SSC、5×Denhardt溶液、5×mM EDTA、0.1%SDS)または
緩衝液2:ULTRAhyb(商標)Ultrasensitive Hybridization Buffer(Thermo Fisherカタログ番号AM8670)または
緩衝液3:ULTRAhyb(商標)-Oligo(Thermo Fisherカタログ番号AM8663)または
緩衝液4:1×SSC+10%ホルミド緩衝液(5×SSC、5×Denhardt溶液、5mM EDTA、0.1%SDS、10%ホルミド)、または
緩衝液5:1×SSC+25%ホルミド緩衝液(5×SSC、5×Denhardt溶液、5mM EDTA、0.1%SDS、25%ホルミド)、または
緩衝液6:1×SSC+48%ホルミド緩衝液(5×SSC、5×Denhardt溶液、5mM EDTA、0.1%SDS、48%ホルミド)
-プローブオリゴヌクレオチド2pM
WTオリゴヌクレオチド混合物 198/199.8fM
変異体オリゴヌクレオチド混合物2/0.2fM
ゲノムDNA380ng
-ビーズ1μLあたり50μLのオリゴヌクレオチドを調製する。
-95℃で5分間及び60℃で1/3時間インキュベートする。
WTオリゴヌクレオチド混合物は、配列番号22~37を有する。
変異体オリゴヌクレオチド混合物は配列番号38~53を有する。
【0448】
3.ビーズへのオリゴヌクレオチドの付着
-ビーズ及びオリゴヌクレオチドを以下の比で混合する:
2xBinding緩衝液 40uL
工程1からのビーズ10μL
工程2からのオリゴヌクレオチド50μL
-RTで15rpmで30分間回転させる。
【0449】
4.ビーズ洗浄
-付着工程が完了した後-試料をスピンダウンし、磁石に試料を置いて7分間待つ。
-100μLの上清の80μLを除去し、1×洗浄緩衝液(TrisHCl pH=7.5 20mM、NaCl 0.5M、EDTA 1mM、TWEEN20 0.1%)100μLを添加する。
-試料を10秒間にわたってボルテックスし、スピンダウンする。
-試料を磁石に置いて2分間待つ。
-120μLの上清の90μLを除去し、1x洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、1×洗浄緩衝液100μLを添加する。
-試料位置を磁石上で変えることによって試料を混合する(10回)。2分間待つ。
-上清全体を除去し、磁石から試料を取り出し、100μLの1×BFF6緩衝液(トリス酢酸pH=7.0 10mM、酢酸カリウム30mM、酢酸マグネシウム17.125mM、TWEEN20 0.01%)を添加する。
-試料をスピンダウンさせ、磁石に試料を載せ、2分間待つ。
-1×BFF6緩衝液を除去する。
【0450】
5.PPL反応
-4℃に保たれたビーズにPPL混合物を添加する。PPLは、以下の組成からなる:
1×BFF6-0.1% Tween-20
20U/mL Klenow(exo-)
2U/mLアピラーゼ
0.05mM PPi
総体積:20μL
-40℃で10分間インキュベートし、4℃で休止する。
【0451】
6.TIPP反応
-PPL反応が4℃に達したら、以下を有するTIPP混合物5μLを添加する:
1×BFF6-0.1% Tween-20
16U/mL TIPP
工程5からの混合物20μL。
総体積:25μL
-37℃で5分間、60℃で10分間、60℃休止でインキュベートする
【0452】
7.予備増幅
-工程6からの試料を、ホットプレート上に保たれた磁石に載せ、60℃まで加熱する。
-ビーズが分離された後に、2μLの上清を取り、以下の混合物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物4 0.1μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
UDG 10U/mL
総体積:12.5μL
Q5U緩衝液:
プライマー混合物4は、以下から構成される:
フォワードプライマー(配列番号54):5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC-3’
リバースプライマー(配列番号55):5’-AATGATACGGCGACCACCGAGATCTACAC-3’
-試料をサーモサイクラーに入れ、105℃で蓋をしてインキュベートする。
1.UDG37℃、1分間
2.変性開始温度98℃、1分間
3.変性98℃、10秒間
4.アニーリング63℃、15秒間
5.伸長72℃、15秒間
6.最終伸長、72℃、5分間
7.冷却、4℃維持
-工程3~5を12回繰り返す
【0453】
8.dPCR定量化
-工程7からの予備増幅が終了した後、工程7からの混合物2μLを、以下を含有する反応物に添加する:
1×Q5U緩衝液
dNTP 0.4mM
プライマー混合物5または6 0.2μM
Q5Uポリメラーゼ20U/mL
EvaGreen色素2x
Alexa Fluor 700色素0.0003μg/μL
TWEEN20 0.2%
総体積:12μL
プライマー混合物5は、以下を有する:
フォワードプライマー(配列番号56):5’-TGGTAATTACCGACGAAAACGGC-3’
リバースプライマー(配列番号57)5’-ACGCGTGGTTACAGTCTTGCG-3’
プライマー混合物6は以下を有する:
フォワードプライマー(配列番号58):5’-TGATTTCCGTGCGTCTGAATGC-3’
リバースプライマー(配列番号59):5’-ATGCTGCCGTAGCGTGTTTCG-3’
-105℃で蓋をしたQIAcuity Digital PCR Systemに試料を置く
1.変性開始温度98℃、1分間
2.変性98℃、10秒間
3.アニーリング63℃、15秒間
4.伸長72℃、15秒間
5.最終伸長、72℃、5分間
6.35℃に冷却、1分間
-工程2~4を30回繰り返す
-露光時間がそれぞれ600ms及び700msであり、かつゲイン6及び8である緑色チャネル及び黄色チャネルのパーティションの画像を取得する。このような実験から得られたデータを
図8に示す。
【配列表】
【国際調査報告】