(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】誘導電力伝送送信機およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/12 20160101AFI20240401BHJP
【FI】
H02J50/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565197
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 IB2022053503
(87)【国際公開番号】W WO2022224092
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NZ
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523398961
【氏名又は名称】イントディバイス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ユ,リ ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ハォ,ハォ
(57)【要約】
誘導電力伝送送信機であって:少なくとも1つのインバータを含むインバータサブ回路と、複数の構成要素を備える被調整回路と、を有し、前記構成要素は少なくとも、送信コイルと、インダクタとコンデンサとを備える第1の調整ネットワークと、第1の追加の構成要素を備える第2の調整ネットワークと、を有し、ここで、前記複数の構成要素は、前記被調整回路が:K係数の変動を補償するために前記送信コイルを通る電流を変化させることができるように、また、送信コイル電流とは無関係に前記インバータサブ回路からの出力電流を供給することができるように、配置されることを特徴とする、誘導電力伝送送信機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力伝送送信機であって:
少なくとも1つのインバータを含むインバータサブ回路と、
複数の構成要素を備える被調整回路と、を有し、前記構成要素は少なくとも、
送信コイルと、
インダクタとコンデンサとを備える第1の調整ネットワークと、
第1の追加の構成要素を備える第2の調整ネットワークと、を有し、
ここで、前記複数の構成要素は、前記被調整回路が:
K係数の変動を補償するために前記送信コイルを通る電流を変化させることができるように、また、
送信コイル電流とは無関係に前記インバータサブ回路からの出力電流を供給することができるように、
配置されることを特徴とする、誘導電力伝送送信機。
【請求項2】
前記インバータサブ回路からの前記出力電流は、前記送信コイル電流とは異なることを特徴とする、請求項1に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項3】
前記インバータサブ回路からの前記出力電流は、前記送信コイル電流よりも小さいことを特徴とする、請求項1または2に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項4】
前記送信コイルから前記インバータを切り離す2つの前記調整ネットワークの結果として、前記インバータサブ回路から出力される電流が低減されることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項5】
前記インバータサブ回路における電力損失が低減されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項6】
前記被調整回路はさらに、前記インバータサブ回路から前記送信コイルに供給される電力の力率を改善するための少なくとも1つのさらなる追加の構成要素を備えることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項7】
前記少なくとも1つのさらなる追加の構成要素は、前記力率を変化させるための可変構成要素であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項8】
前記可変構成要素は、可変コンデンサおよび/または可変インダクタであることを特徴とする、請求項7に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項9】
前記インダクタおよび/またはコンデンサおよび/または前記第1の追加の構成要素が、フィルタリングを供給するために前記被調整回路内に配置されることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項10】
前記被調整回路は、EMI性能を改善するために、前記インバータサブ回路からの前記出力電流における高調波をフィルタ除去することができることを特徴とする、請求項9に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項11】
前記被調整回路は、送信コイルを通る電流の部分を変化させるための可変である可変構成要素を備えることを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項12】
前記可変構成要素は、可変コンデンサおよび/または可変インダクタであることを特徴とする、請求項11に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項13】
前記送信コイル、前記インダクタ、前記コンデンサ、および前記第1の追加の構成要素は、それぞれ、前記被調整回路の別個の分岐上に配置されることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項14】
前記インダクタは、前記インバータサブ回路の出力に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項15】
前記コンデンサは、前記インバータサブ回路の出力に配置されることを特徴とする、請求項13に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項16】
前記コンデンサが配置されている分岐が、前記インダクタが配置されている分岐と交差することを特徴とする、請求項13ないし15のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項17】
前記コンデンサ、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルは、並列に接続されることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項18】
前記インダクタ、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルは、並列に接続されることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項19】
前記複数の構成要素は、前記被調整回路が前記送信コイルを通る電流を変化させてK係数の変動を補償することができるように、前記送信コイルが直列調整されるかのように前記被調整回路が改造されることができるように、前記被調整回路上に配置されることを特徴とする、請求項1ないし18のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項20】
前記第1の調整ネットワークおよび前記第2の調整ネットワークは共に、K係数の変動を補償するために送信コイルを通る電流を変化させるための直列被調整回路のノートンおよびテベニン同等物であり、一方で、前記送信コイルから前記インバータを切り離すために、任意選択で前記送信コイルに並列な、1つまたは複数の構成要素を備えることを特徴とする、請求項1ないし19のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項21】
前記被調整回路は、
ノートンの定理を適用して、前記インバータサブ回路の電圧によって供給される電圧源、前記インダクタおよび前記コンデンサの直列接続を電流源、前記インダクタおよび前記コンデンサの並列接続に変換し、電流源を前記送信コイルに供給する第1の調整ネットワークの外観を生成することと、
テブニンの定理を適用して、前記電流源、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルの並列接続を電圧源、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルの直列接続に変換し、その結果、前記送信コイルが直列調整されるように見えることと、
によって、改造されることができることを特徴とする、請求項1ないし20のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項22】
前記インダクタおよび前記コンデンサは、前記第1の調整ネットワークが前記送信コイルに前記電流源を供給するように見えるように、前記インダクタおよび前記コンデンサの合成インピーダンスが開回路構成要素の外観を生成するように、前記インダクタの絶対リアクタンスが前記コンデンサの絶対リアクタンスと実質的に同じであるような絶対リアクタンスをそれぞれ有することを特徴とする、請求項21に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項23】
前記第1の調整ネットワークはさらに、第2のインダクタを備えることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項24】
前記第2のインダクタは前記インバータサブ回路の出力に配置され、前記第2のインダクタは前記第1のインダクタの分岐とは別個の分岐に配置されることを特徴とする、請求項23に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項25】
前記コンデンサの分岐は、一端において前記第1のインダクタの分岐と交差し、他端において前記第2のインダクタの分岐と交差することを特徴とする、請求項24に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項26】
前記被調整回路は、
ノートンの定理を適用して、前記インバータサブ回路の電圧によって供給される電圧源、前記第1のインダクタ、前記第2のインダクタおよび前記コンデンサの直列接続を電流源、前記第1のインダクタ、前記第2のインダクタおよび前記コンデンサの並列接続に変換し、前記インダクタおよび前記コンデンサは、前記第1の調整ネットワークが前記送信コイルに前記電流源を供給するように見えるように、前記インダクタおよび前記コンデンサの合成インピーダンスが開回路構成要素の外観を生成するように、前記インダクタの合成絶対リアクタンスが前記コンデンサの絶対リアクタンスと実質的に同じであるような絶対リアクタンスをそれぞれ有することと、
テブニンの定理を適用して、前記電流源、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルの並列接続を電圧源、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルの直列接続に変換し、その結果、前記送信コイルが直列調整されるように見えることと、
によって、改造されることができることを特徴とする、請求項23ないし25のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項27】
前記第1の調整ネットワークはさらに、第2のコンデンサを備えることを特徴とする、請求項1ないし21のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項28】
前記第2のコンデンサは前記インバータサブ回路の出力に配置され、前記第2のコンデンサは前記第1のコンデンサの分岐とは別個の分岐に配置されることを特徴とする、請求項27に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項29】
前記インダクタの分岐は、一端において前記第1のコンデンサの分岐と交差し、他端において前記第2のコンデンサの分岐と交差することを特徴とする、請求項28に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項30】
前記被調整回路は、
ノートンの定理を適用して、前記インバータサブ回路の電圧によって供給される電圧源、前記第1のコンデンサ、前記第2のコンデンサおよび前記インダクタの直列接続を電流源、前記第1のコンデンサ、前記第2のコンデンサおよび前記インダクタの並列接続に変換し、前記インダクタおよび前記コンデンサは、前記第1の調整ネットワークが前記送信コイルに前記電流源を供給するように見えるように、前記インダクタおよび前記コンデンサの合成インピーダンスが開回路構成要素の外観を生成するように、前記コンデンサの合成絶対リアクタンスが前記インダクタの絶対リアクタンスと実質的に同じであるような絶対リアクタンスをそれぞれ有することと、
テブニンの定理を適用して、前記電流源、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルの並列接続を電圧源、前記第1の追加の構成要素、および前記送信コイルの直列接続に変換し、その結果、前記送信コイルが直列調整されるように見えることと、
によって、改造されることができることを特徴とする、請求項27ないし29のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項31】
前記被調整回路はさらに、第2の追加の構成要素を備えることを特徴とする、請求項13ないし16のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項32】
前記第2の追加の構成要素は、前記コンデンサが配置される分岐と交差する分岐上に配置されることを特徴とする、請求項31に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項33】
前記第2の追加の構成要素は、前記インダクタが配置される分岐と交差する分岐上に配置されることを特徴とする、請求項31に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項34】
前記第1の追加の構成要素が配置されている分岐が、前記第2の追加の構成要素が配置されている分岐と交差することを特徴とする、請求項31ないし33のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項35】
送信コイルが配置されている分岐が、前記第1の追加の構成要素が配置されている分岐と交差することを特徴とする、請求項31ないし34のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項36】
前記被調整回路はさらに、第3の追加の構成要素を備えることを特徴とする、請求項1ないし35のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項37】
前記第3の追加の構成要素は、前記第2の追加の構成要素の分岐とは別個の分岐上に配置され、前記第3の追加の構成要素の分岐は、一端において前記コンデンサの分岐と交差し、他端において前記第1の追加の構成要素の分岐と交差することを特徴とする、請求項36に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項38】
前記第3の追加の構成要素は、前記第2の追加の構成要素の分岐とは別個の分岐上に配置され、前記第3の追加の構成要素の分岐は、一端において前記インダクタの分岐と交差し、他端において前記第1の追加の構成要素の分岐と交差することを特徴とする、請求項36に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項39】
前記第1のインダクタと、
前記第2のインダクタと、
前記コンデンサと、
前記第1の追加の構成要素と、
前記第2の追加の構成要素と、
前記第3の追加の構成要素と、
のうちの一つ以上は、任意の組み合わせで、調整可能であるかまたは固定されることを特徴とする、請求項1ないし38のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項40】
前記第1の追加の構成要素は、コンデンサ、および/またはインダクタ、および/または1つまたは複数のコンデンサと1つまたは複数のインダクタとの組み合わせであることを特徴とする、請求項1ないし39のいずれか一項に記載の誘導電力伝送送信機。
【請求項41】
前記第2の追加の構成要素は、インダクタ、および/またはコンデンサ、および/または1つまたは複数のコンデンサと1つまたは複数のインダクタとの組み合わせであることを特徴とする、請求項1ないし40のいずれか一項にコンデンサの誘導電力伝送送信機。
【請求項42】
前記第3の追加の構成要素は、インダクタ、および/またはコンデンサ、および/または1つまたは複数のコンデンサと1つまたは複数のインダクタとの組み合わせであることを特徴とする、請求項1ないし41のいずれか一項にコンデンサの誘導電力伝送送信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝送送信機、誘導電力伝送システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
誘導電力伝送は、物理的接続または有線接続を伴わない電気エネルギーの伝送である。典型的な誘導電力伝送システムは電磁場を発生する誘導電力伝送送信機またはプライマリ装置を含み、これは、空間を横切る電力を誘導電力伝送受信機またはセカンダリ装置に伝送するために使用され、この装置は電磁場から電力を抽出し、これを負荷に供給する。典型的な誘導電力伝送送信機は、電源によって駆動され、インバータと、プライマリ調整ネットワークと、プライマリコイルとを備える。典型的な誘導電力伝送受信機は、セカンダリコイルと、セカンダリ調整ネットワークと、整流器と、負荷とを備える。
【0003】
このシステムは、磁場を使用して、プライマリコイルからセカンダリコイルに電力を無線で伝達する。磁場は、プライマリコイルにAC電流を入力することによって生成される。セカンダリコイルは、プライマリコイルによって生成される磁場内に配置されると、接続された負荷を駆動または給電するために、その端子間にAC電圧を生成する。誘導電力伝送は有線およびバッテリの使用を排除することができ、したがって、電子デバイスのモビリティ、利便性、および安全性を高める。
【0004】
本明細書において、特許明細書、他の外部文書、または他の情報源について言及した場合、これは、一般に、本発明の特徴を議論するための文脈を提供することを目的とする。特に明記しない限り、そのような外部文書への言及は、そのような文書またはそのような情報源がいかなる法域においても、先行技術であるか、または当技術分野における共通の一般的知識の一部を形成することの承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明の少なくともいくつかの好ましい実施形態の目的は、ワイヤレス電力送信機およびシステムを提供すること、および/または公衆に有用な代替手段を少なくとも提供することである。
【0006】
一態様では、本発明は、誘導電力伝送送信機であって:少なくとも1つのインバータを含むインバータサブ回路と、複数の構成要素を備える被調整(同調された)回路と、を有し、前記構成要素は少なくとも、送信コイルと、インダクタとコンデンサとを備える第1の調整ネットワークと、第1の追加の構成要素を備える第2の調整ネットワークと、を有し、ここで、前記複数の構成要素は、前記被調整回路が:K係数の変化を補償するために前記送信コイルを通る電流を変化させることができるように、また、送信コイル電流とは無関係に前記インバータサブ回路からの出力電流を供給することができるように、配置されることを特徴とする、誘導電力伝送送信機である。
【0007】
任意選択的に、インバータサブ回路からの出力電流は、送信コイル電流とは異なる。
【0008】
任意選択的に、インバータサブ回路からの出力電流は、送信コイル電流よりも小さい。
【0009】
任意選択的に、インバータサブ回路における電力損失が低減される。
【0010】
また、記載されるように、
・ 第1の追加の構成要素
・ インダクタ
・ コンデンサ
のうちの一つ以上は、インバータサブ回路出力電流に加えて送信コイル電流のための電流の流れを供給し、送信コイルに十分な電流を供給するように、被調整回路内に配置される。
【0011】
また、記載されるように、第1の追加の構成要素は、送信コイルに十分な電流を供給するために、インバータサブ回路出力電流に加えて、送信コイルに電流源を供給するために、送信コイルに並列である。
【0012】
また、記載されるように、インダクタおよび/またはコンデンサは、送信コイルに十分な電流を供給するために、インバータサブ回路出力電流に加えて、送信コイルに電流源を供給するために、送信コイルに並列である。
【0013】
また、記載されるように、インバータサブ回路からの出力電流は送信コイル電流よりも小さく、第1の追加の構成要素および/またはインダクタおよび/またはコンデンサによって供給される電流の流れは、送信コイル電流とインバータサブ回路からの出力電流との間の差に等しい電流を供給することによって、電流補償を供給する。
【0014】
任意選択的に、被調整回路はさらに、インバータサブ回路から送信コイルに供給される電力の力率を改善するための少なくとも1つのさらなる追加の構成要素を備える。
【0015】
任意選択的に、前記少なくとも1つのさらなる追加の構成要素は、力率を変化させるための可変構成要素である。
【0016】
任意選択的に、可変構成要素は、可変コンデンサおよび/または可変インダクタである。
【0017】
任意選択的に、インダクタおよび/またはコンデンサおよび/または第1の追加の構成要素は、被調整回路内に配置されてフィルタリングを供給する。
【0018】
任意選択的に、被調整回路は、EMI性能を改善するために、インバータサブ回路からの出力電流における高調波をフィルタ除去することができる。
【0019】
任意選択的に、可変構成要素は、可変コンデンサおよび/または可変インダクタである。
【0020】
任意選択的に、被調整回路は、送信コイルを通る電流の部分を変化させるための可変である可変構成要素を備える。
【0021】
任意選択的に、可変構成要素は、可変コンデンサおよび/または可変インダクタである。
【0022】
任意選択的に、送信コイル、インダクタ、コンデンサ、および第1の追加の構成要素は、それぞれ、被調整回路の別個の分岐上に配置される。
【0023】
任意選択的に、インダクタは、インバータサブ回路の出力に配置される。
【0024】
任意選択的に、コンデンサは、インバータサブ回路の出力に配置される。
【0025】
任意選択的に、コンデンサが配置された分岐は、インダクタが配置された分岐と交差する。
【0026】
任意選択的に、コンデンサ、第1の追加の構成要素、および送信コイルは、並列に接続される。
【0027】
任意選択的に、インダクタ、第1の追加の構成要素、および送信コイルは、並列に接続される。
【0028】
任意選択的に、複数の構成要素は、被調整回路がK係数の変化を補償するために、被調整回路が送信コイルを通る電流を変化させることができるように、送信コイルが直列調整されるかのように、被調整回路を改造することができるように、被調整回路上に配置される。
【0029】
任意選択的に、第1の調整ネットワークおよび第2の調整ネットワークは共に、直列被調整回路のノートンおよびテベニン同等物であり、K係数変化を補償するために送信コイルを通る電流を変化させ、一方で、任意選択的に送信コイルに並列である1つまたは複数の構成要素を備え、送信コイルからインバータを切り離す。
【0030】
任意選択的に、被調整回路は、ノートンの定理を適用して、電圧源(インバータサブ回路の電圧によって供給される)、インダクタおよびコンデンサの直列接続電流源、インダクタおよびコンデンサの並列接続に変換し、電流源を送信コイルに供給する第1の調整ネットワークの外観を生成することと、テブニンの定理を適用して、電流源、第1の追加の構成要素、および送信コイルの並列接続を電圧源、第1の追加の構成要素、および送信コイルの直列接続に変換し、その結果、送信コイルが直列調整されるように見えることと、によって、改造されることができる。
【0031】
任意選択的に、インダクタおよびコンデンサはそれぞれ、インダクタの絶対リアクタンスがコンデンサの絶対リアクタンスと実質的に同じであるような絶対リアクタンスを有し、その結果、インダクタおよびコンデンサの合成インピーダンスは、第1の調整ネットワークが電流源を送信コイルに供給するように見えるように、開回路構成要素の外観を生成する。
【0032】
任意選択的に、第1の調整ネットワークはさらに、第2のインダクタを備える。
【0033】
任意選択的に、第2のインダクタはインバータサブ回路の出力に配置され、第2のインダクタは第1のインダクタの分岐とは別個の分岐に配置される。
【0034】
任意選択的に、コンデンサの分岐は、一端において第1のインダクタの分岐と交差し、他端において第2のインダクタの分岐と交差する。
【0035】
任意選択的に、被調整回路は、ノートンの定理を適用して、電圧源(インバータサブ回路の電圧によって供給される)、第1のおよび第2のインダクタおよびコンデンサの直列接続を電流源、第1のおよび第2のインダクタおよびコンデンサの並列接続に変換し、インダクタおよびコンデンサは、インダクタとコンデンサの合成絶対リアクタンスがコンデンサの絶対リアクタンスと実質的に同じであるような絶対リアクタンスをそれぞれ有し、その結果、インダクタおよびコンデンサの合成インピーダンスは、第1の調整ネットワークが送信コイルに前記電流源を供給するように見えるように、開回路構成要素の外観を生成することと、テブニンの定理を適用して、電流源、第1の追加の構成要素、および送信コイルの並列接続を電圧源、第1の追加の構成要素、および送信コイルの直列接続に変換し、その結果、送信コイルが直列調整されるように見えることと、によって、改造されることができる。
【0036】
任意選択的に、第1の調整ネットワークはさらに、第2のコンデンサを備える。
【0037】
任意選択的に、第2のコンデンサはインバータサブ回路の出力に配置され、第2のコンデンサは第1のコンデンサの分岐とは別個の分岐に配置される。
【0038】
任意選択的に、インダクタの分岐は一端において第1のコンデンサの分岐と交差し、他端において第2のコンデンサの分岐と交差する。
【0039】
任意選択的に、被調整回路は、ノートンの定理を適用して、電圧源(インバータサブ回路の電圧によって供給される)、第1のおよび第2のコンデンサおよびインダクタの直列接続を電流源、第1のおよび第2のコンデンサおよびインダクタの並列接続に変換し、インダクタおよびコンデンサは、コンデンサの合成絶対リアクタンスがインダクタの絶対リアクタンスと実質的に同じであるような絶対リアクタンスをそれぞれ有し、その結果、インダクタおよび前記コンデンサの合成インピーダンスは、第1の調整ネットワークが送信コイルに電流源を供給するように見えるように、開回路構成要素の外観を生成することと、テブニンの定理を適用して、電流源、第1の追加の構成要素、および送信コイルの並列接続を電圧源、第1の追加の構成要素、および送信コイルの直列接続に変換し、その結果、送信コイルが直列調整されるように見えることと、によって、改造されることができる。
【0040】
任意選択的に、被調整回路はさらに、第2の追加の構成要素を備える。
【0041】
任意選択的に、第2の追加の構成要素は、コンデンサが配置される分岐と交差する分岐上に配置される。
【0042】
任意選択的に、第2の追加の構成要素は、インダクタが配置される分岐と交差する分岐上に配置される。
【0043】
任意選択的に、第1の追加の構成要素が配置されている分岐は、第2の追加の構成要素が配置されている分岐と交差する。
【0044】
任意選択的に、送信コイルが配置されている分岐は、第1の追加の構成要素が配置されている分岐と交差する。
【0045】
任意選択的に、被調整回路はさらに、第3の追加の構成要素を備える。
【0046】
任意選択的に、第3の追加の構成要素は、第2の追加の構成要素の分岐とは別個の分岐に配置され、第3の追加の構成要素の分岐は、一端においてコンデンサの分岐と交差し、他端において第1の追加の構成要素の分岐と交差する。
【0047】
任意選択的に、第3の追加の構成要素は、第2の追加の構成要素の分岐とは別個の分岐に配置され、第3の追加の構成要素の分岐は、一端においてインダクタの分岐と交差し、他端において第1の追加の構成要素の分岐と交差する。
【0048】
任意選択的に、
・ 第1のインダクタと、
・ 第2のインダクタと、
・ コンデンサと、
・ 第1の追加の構成要素と、
・ 第2の追加の構成要素と、
・ 第3の追加の構成要素と、
のうちの一つ以上は、任意の組み合わせで、調整可能であるかまたは固定される。
【0049】
任意選択的に、第1の追加の構成要素は、コンデンサ、および/またはインダクタ、および/または1つまたは複数のコンデンサと1つまたは複数のインダクタとの組み合わせである。
【0050】
任意選択的に、第2の追加の構成要素は、インダクタ、および/またはコンデンサ、および/または1つまたは複数のコンデンサと1つまたは複数のインダクタとの組み合わせである。
【0051】
任意選択的に、第3の追加の構成要素は、インダクタ、および/またはコンデンサ、および/または1つまたは複数のコンデンサと1つまたは複数のインダクタとの組み合わせである。
【0052】
本明細書において、「高電力用途」とは、高電力定格の用途(誘導電力伝送方式の用途)を意味するものである。この高電力定格は例えば、約10kW以上であり得る。
【0053】
本明細書において、「低電力用途」とは、低電力定格の用途(誘導電力伝送方式の用途)を意味する。この低電力定格は例えば、約10kW以下であり得る。
【0054】
本明細書において、「電気自動車の無線充電」とは、産業上/商業上の使用に適した十分な大きさの電気自動車の無線充電に関する。これは、本明細書で説明する誘導電力伝送システムとは異なる設計考慮事項を有しても有しなくてもよい電気自動車の家庭内ワイヤレス充電とは異なる。
【0055】
「コンデンサ」という用語は、当技術分野でよく理解されている用語である。しかしながら、本明細書では、「コンデンサ」は、容量性リアクタンスを有する任意の構成要素を指し得る。「コンデンサ」はまた、構成要素の組み合わせの正味リアクタンスが容量性であるように配置された構成要素の任意の組み合わせ(任意のコンデンサを含んでも含まなくてもよい)を指し得、したがって、コンデンサに改造され得る。非限定的な例は、1つまたは複数のコンデンサと、コンデンサと電気的に等価である1つまたは複数のインダクタとの組み合わせであり得る。
【0056】
用語「インダクタ」は、当技術分野でよく理解されている用語である。しかしながら、本明細書では、「インダクタ」は、誘導性リアクタンスを有する任意の構成要素も指し得る。「インダクタ」はまた、構成要素の組み合わせの正味リアクタンスが誘導性であり、したがって、インダクタに改造され得るように配置された構成要素の任意の組み合わせ(任意のインダクタを含んでも含まなくてもよい)を指し得る。非限定的な例は、1つまたは複数のコンデンサと、インダクタと電気的に等価である1つまたは複数のインダクタとの組み合わせであり得る。
【0057】
本明細書では、「LCL同調」という用語は、誘導電力伝送システムのプライマリ/送信コイルならびにセカンダリ/受信コイルに適用することができる同調のタイプを指す。プライマリ/送信コイルのLCL調整の実施例が
図2Cに示されており、「LCL」における第1の「L」はブロック1が正味の誘導性リアクタンスを有し、「LCL」における「C」は正味の容量性リアクタンスを有するブロック2を指し、「LCL」における第2の「L」は、(プライマリ/送信コイルのインダクタンスによって供給される)正味の誘導性リアクタンスを有するブロック3を指す。ブロック1~3のそれぞれのリアクタンスは、絶対値が同じであることが望ましい。例えば、ブロック1および3はそれぞれ、+Xの誘導性リアクタンスを有し、ブロック2は-Xの容量性リアクタンスを有する。ブロック1および3は、必要に応じて、直列コンデンサを有することができるが、ブロック1および3は、両方ともコンデンサを有するにもかかわらず、正味の誘導性リアクタンスを有するべきである。
【0058】
本明細書では、「直列調整」/「LC直列調整」という用語は、誘導電力伝送システムのプライマリ/送信コイルならびにセカンダリ/受信コイルに適用することができる調整のタイプを指す。
【0059】
以下に説明される誘導電力伝送システムは様々な用途で使用することができるが、誘導電力伝送システム(説明される実施形態および誘導電力伝送システムを構成するサブ回路を含む)は例えば、(家庭環境に対して)産業/商業環境における電気自動車のワイヤレス充電を含む、高電力用途を有するように設計されていることに留意されたい。そのような設計はたとえ電子回路が回路図上で同様に見える場合でも、より低い電力用途(例えば、携帯電話などの電子デバイスのワイヤレス充電など)のみを有する誘導電力伝送システムとは区別されるべきである。高電力用途を有する誘導電力伝送システムは、低電力用途を有する誘導電力伝送システムを設計するときには適用可能でない特定の設計上の考慮事項を有する。例えば、高電力用途を有する誘導電力伝送システムは熱放散および電力効率に関して著しく大きな問題を有し、少なくとも場合によっては、当業者に知られている技術を使用して十分に対処することができない。これらの特定の設計上の考慮事項(およびそれらのそれぞれの解決策)のいくつかは、詳細な説明において後に論じられる。
【0060】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語、および「の少なくとも一部からなる(consisting at least part of)」について。本明細書中の各記述を解釈し、用語「含む(comprising)」を含む独立請求項を示す場合、その用語またはその用語の前に置かれた特徴以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などの関連する用語は、同じように解釈されるべきである。
【0061】
本明細書に開示される数字の範囲(例えば、1~10)への言及はまた、その範囲内のすべての合理的な数字(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)への言及、ならびにその範囲内の任意の合理的な数字の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5および3.1~4.7)への言及も包含し、したがって、本明細書に明示的に開示されるすべての範囲のすべての部分範囲が本明細書に明示的に開示される。これらは具体的に意図されたもの実施例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値の全ての可能な組み合わせは同様の方法で本出願において明示的に記載されていると考えられる。
【0062】
本発明はまた、本出願の明細書において個々にまたは集合的に言及または示される部分、要素および特徴、ならびに任意の2つ以上の前記部分、要素または特徴の任意のまたはすべての組み合わせからなると広く言及され得、本発明が関連する技術分野において既知の均等物を有する特定の整数が本明細書において言及される場合、そのような既知の均等物は、あたかも個々に記載されるように本明細書に組み込まれるとみなされる。
【0063】
実施形態は、以下の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【
図3A】誘導電力伝送送信機側の異なる種類の被調整回路を示す。
【
図3B】誘導電力伝送送信機側の異なる種類の被調整回路を示す。
【
図4A】誘導電力伝送受信機側の異なる種類の被調整回路を示す。
【
図4B】誘導電力伝送受信機側の異なる種類の被調整回路を示す。
【
図6C】誘導電力伝送送信機の第1の一般的な実施形態を示す。
【
図6D】誘導電力伝送送信機の第2の一般的な実施形態を示す。
【
図7】被調整回路の第1の一般的な実施形態の第1の例示的な実施形態を示す。
【
図8】
図7の実施形態をどのように改造して直列調整されたように見えるようにすることができるかを示す。
【
図9】誘導電力伝送システムの一部として、
図7の実施形態を示す。
【
図10】被調整回路の第1の一般的な実施形態の第2の例示的な実施形態を示す。
【
図11】被調整回路の第1の一般的な実施形態の第3の例示的な実施形態を示す。
【
図12A】被調整回路の第1の一般的な実施形態の第1の調整ネットワークの例示的な実施形態を示す。
【
図12B】被調整回路の第2の一般的な実施形態の第1の調整ネットワークの例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0065】
〔1. 誘導電力伝送システムの概要〕
誘導電力伝送システムの概要は最初に、本明細書に記載される本発明に背景情報を提供するために提供される。以下に説明される誘導電力伝送システムは様々な用途で使用することができるが、誘導電力伝送システム(説明される実施形態および誘導電力伝送システムを構成するサブ回路を含む)は例えば、(家庭環境に対して)産業/商業環境における電気自動車のワイヤレス充電を含む、高電力用途を有するように設計されていることに留意されたい。そのような設計はたとえ電子回路が回路図上で同様に見える場合でも、より低電力の用途(例えば、携帯電話などの電子デバイスのワイヤレス充電など)のみを有する誘導電力伝送システムとは区別されるべきである。高電力用途を有する誘導電力伝送システムは、低電力用途を有する誘導電力伝送システムを設計するときには適用可能でない特定の設計上の考慮事項を有する。例えば、高電力用途を有する誘導電力伝送システムは熱放散および電力効率に関して著しく大きな問題を有し、少なくとも場合によっては、当業者に知られている技術を使用して十分に対処することができない。これらの特定の設計上の考慮事項(およびそれらのそれぞれの解決策)のいくつかは、詳細な説明において後に論じられる。
【0066】
図1は、電力入力10から電力を無線で伝送して負荷12に電力を供給する誘導電力伝送システム1の概要を示す。誘導電力伝送システムは、誘導電力伝送送信機35(「プライマリ装置」、「送信機回路」、「送信機側」、「送信機モジュール」とも呼ばれる)と、誘導電力伝送受信機36(「セカンダリ装置」、「受信機回路」、「受信機側」、「受信機モジュール」とも呼ばれる)とを備える。誘導電力伝送送信機35は、電力を無線で伝送する誘導電力伝送システム1の部分である。誘導電力伝送受信機36は、電力を無線で受信する誘導電力伝送システム1の部分である。
【0067】
まず、誘導電力伝送送信機35を参照する。誘導電力伝送送信機35内の誘導電力伝送システム1は、電力入力10を備える。電力入力10は、電圧および/または電流入力とすることができる。例えば、電力入力10は、力率補正(PFC)ユニット、DC-DC変換器、バッテリ、または他の種類のDC源から生成され得るDC電圧を供給することができる。誘導電力伝送送信機35内の誘導電力伝送システム1はまた、電力入力の直流を交流出力に変換するために使用されるインバータサブ回路14を備える。インバータサブ回路14は少なくとも1つのインバータを含むが、2つ以上であってもよい。インバータサブ回路14を構成するインバータは、ハーフブリッジ(
図2A)、フルブリッジ(
図2B)、別のスイッチング機構、または上記の組み合わせとすることができる。インバータサブ回路14は、モジュール式スタンドアロン構成要素と考えることができる。電力入力がすでに交流電流を有する場合、インバータサブ回路14は不要であることを当業者は理解するであろう。誘導電力伝送送信機35内の誘導電力伝送システム1はまた、電力を無線で伝送するために使用されるプライマリコイル18(「送信コイル」と交換可能)を備える。プライマリコイル18は直列または並列に組み合わされた複数のコイルを有する可能性があるが、「プライマリコイル18」と総称されてもよい。プライマリコイル18は、プライマリコイル18および調整サブ回路20が被調整回路22を形成するように、調整サブ回路20によって調整される。被調整回路22は、モジュール式であると考えることができる。被調整回路22は、調整サブ回路20がプライマリコイル18を調整するコンデンサを有する直列被調整回路(例えば、
図3A)であってもよい。あるいは、被調整回路22は、調整サブ回路20が調整を供給するコンデンサを有する(並列)LC被調整回路であってもよい。ただし、被調整回路22はLCL被調整回路であることが好ましい(例えば、
図3B)。LCL被調整回路22において、調整サブ回路20は、LCL被調整回路となるプライマリコイル18のためのコンデンサおよびインダクタを供給する。LCL被調整回路22に使用されるコンデンサは、調整サブ回路20によって供給される。プライマリコイル18に加えて、LCL調整22に使用されるインダクタは、調整サブ回路20によって供給され得る。
【0068】
ここで、誘導電力伝送受信機36を参照する。誘導電力伝送受信機36内の誘導電力伝送システム1もまた、プライマリコイル18から無線で伝送された電力を受信するためのセカンダリコイル24(「受信コイル」と交換可能)を備える。セカンダリコイル24は直列または並列に組み合わされた複数のコイルを有する可能性があるが、「セカンダリコイル24」と総称されてもよい。プライマリコイル18と同様に、セカンダリコイル24は、調整サブ回路26によって調整されて、被調整回路28を形成する。被調整回路28は、モジュール式であると考えることができる。被調整回路28は、調整サブ回路26が調整を供給するためのインダクタおよびコンデンサを有するLCL被調整回路(例えば、
図4A)であってもよい。あるいは、被調整回路28は、調整サブ回路26が調整を供給するコンデンサを有する(並列)LC被調整回路であってもよい。ただし、被調整回路28は直列被調整回路であることが好ましい(例えば、
図4B)。直列被調整回路28では、直列調整されるべきセカンダリコイル24のためのコンデンサを供給するのは調整サブ回路26である。誘導電力伝送システム1はまた、誘導電力伝送受信機36内に、交流入力を直流出力に変換するための整流器サブ回路32を備える。整流器サブ回路32は、モジュール式であると考えることができる。誘導電力伝送システム1はまた、誘導電力伝送受信機36内に負荷12を備える。当業者は、負荷12に直流電流を供給することが望ましい状況において、整流器サブ回路32を有することが望ましいことを理解するであろう。
【0069】
〔1.1 電力伝送および位置合わせ〕
本発明がその一部を形成し得るような誘導電力伝送システム1は、電気エネルギーが物理的接触なしで伝達されることを可能にする。誘導電力伝送システム1は、負荷12での受信のために一定の出力を生成するように動作することができるべきである。例えば、これは、電気自動車のワイヤレス充電などの適用のための良好なユーザエクスペリエンスを達成するためであり得る。
【0070】
本実施形態ではより詳細に説明されるように、これはセカンダリ装置36の変化に応答して、プライマリ装置がプライマリコイル18から供給する電力を制御することを含む。例えば、そのような変化は、プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の特定の量の不整合、および/またはセカンダリ装置36に接続された負荷12の変化に関連し得る。
【0071】
誘導電力伝送システム1は、プライマリコイル18およびセカンダリコイル24が適切に位置合わせされたときに最適に電力を伝送する。位置合わせは、セカンダリコイル24がプライマリコイル18によって生成される電磁場の最も強い部分内にあるようなものである。プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間のいかなる不整合も、プライマリ装置35からセカンダリ装置36への最適よりも低い電力伝達につながる可能性がある。
【0072】
不整合は、送信機35と受信機36との間の距離が十分に近くないこと、および/または送信機35と受信機36との間の方位が正しくないことを指し得る。例えば、プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の不整合は例えば、電気自動車がその負荷に応じて異なる地上クリアランスを有することがあり、または電気自動車内に位置するセカンダリコイル24が、電気自動車が充電される度にプライマリコイル18と良好に位置合わせされるように駐車することが困難であることがあるため、生じ得る。別の例として、不整合が生じるように、送信機35と受信機36との間に傾斜があることもある。
【0073】
プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の不整合は、プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の磁気結合係数(k係数)を変化させ得る。結合係数kの変化は、その後、セカンダリ装置36における電力を変化させ得る。kの変化は、ワイヤレス電力伝送システムの電力レベルおよび効率の両方に影響を及ぼす。
【0074】
例えば、セカンダリコイル24および出力における電力は例えば、プライマリコイル18およびセカンダリコイル24がより良好に位置合わせされるにつれて、磁気結合の値が増加するにつれて増加する。他の例では、異なるタイプの調整を使用して、セカンダリコイル24における電力は、結合係数k(「磁気結合係数」とも呼ばれる)が増加するにつれて減少し得る。
【0075】
誘導電力伝送システムは、広範囲の結合係数kおよび負荷条件にわたって動作する。結合係数kの変化はプライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の物理的な不整合に起因するが、これは各電荷に対して送信コイル18と受信機コイル24との両方を完全に位置合わせさせることが困難であり、車両の地上クリアランスは荷重およびタイヤ圧力に応じて変化するからである。典型的には、磁気結合係数(k係数)は、2倍以上変化し得る。例えば、k係数は、無線電気自動車充電用途の文脈において、プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の最も遠い距離における0.15の値から、プライマリコイル18とセカンダリコイル24との間の最も近い位置における0.3の値に変化し得る。
【0076】
代替的に、セカンダリ装置36は、コイル18、24の不整合に関係しないが、セカンダリ装置36によって必要とされる、またはセカンダリ装置によって引き出される電力をより多くまたはより少なくする方法で変更されてもよい。1つのそのような例状況では、セカンダリ装置に接続された負荷12を変更することができ、これにより、負荷12によって引き出される電力量も変化する。したがって、セカンダリ装置36は、この変更に応答して負荷12に十分な電力を供給するために、プライマリ装置35から引き出されるべき多少の電力を必要とし得る。
【0077】
〔2. K係数補償〕
誘導電力伝送システム1では、セカンダリ装置36によって供給される出力電力は、負荷12への電力を維持するために、好ましくは一定に保たれる。したがって、セカンダリ装置36の出力において一定の電力を維持するために、電力制御が望まれる。典型的には、この電力制御は、例えば、結合係数kの変化を補償するために、プライマリ装置35およびセカンダリ装置36の両方に実装することができる。
【0078】
係数kの変化を補償する能力に関して、誘導電力伝送システム1は、電力制御がセカンダリ装置36上で実施されるか否かに応じて2つのグループに分けることができる。両方について議論する。
【0079】
〔2.1 セカンダリ装置の電力制御なしのK係数補償〕
セカンダリ装置36上の電力制御を伴わないシステム1の場合、kの変化による電力レベルの変化は典型的にはkの変化の反対方向にプライマリコイル電流(Ipt)を調整することによって補償され、その結果、それらの積はほとんど変化しないままである。すなわち、プライマリ装置35における電力制御は、典型的には、プライマリコイル18によって供給される電力がシステムの変化と相関して変化するように、プライマリコイル18に電流を供給することを必要とする。例えば、プライマリ装置35における電力制御はセカンダリコイル24との結合係数kの変化に関連してプライマリコイル18に供給される電流を制御する形態をとることができ、その結果、これらの2つの変数の積、すなわち、プライマリ装置35からセカンダリ装置36によって受信される電力は、ほとんど変化しないままである。
【0080】
例えば、セカンダリコイル22がプライマリコイル18からさらに離れると、結合係数kが減少し、したがって、プライマリ装置35はより多くの電力を生成するために、プライマリコイル18により多くの電流を供給する。この電力の増加は、結合係数kの変化と一致する。したがって、セカンダリ装置36は、プライマリコイル18からの増加した電力が結合係数kの変化を相殺するので、結合係数kの変化の効果を見ない。
【0081】
磁場を介してワイヤレスで電力を伝送するために、送信機35は、磁場を設定するために送信コイルLptにAC電流(Ipt)を注入する必要がある。セカンダリコイルは、ワイヤレスでエネルギーを受信するために、この磁場内に配置される必要がある。より具体的には、磁場がセカンダリコイルと直列に電圧を誘導し、開回路状態で測定される。したがって、それは、典型的にはセカンダリコイル開回路電圧Vocとして知られている。
【0082】
【0083】
ここで、LptおよびLstはプライマリセカンダリコイルインダクタンスであり、ω=2πfであり、fは、ワイヤレス電力伝送システムの動作周波数である。
【0084】
この定義によれば、Vocは、動作周波数、プライマリコイル電流、結合係数k、およびコイルインダクタンスに関連する。
【0085】
所与のセカンダリ回路について、Vocは、プライマリからセカンダリへ転送される電力の量を決定する。プライマリ回路およびパッドは、Vocとして形成することもできる。
【0086】
コイルインダクタンスは典型的には不整合に対して著しく変化せず、周波数は典型的には、EV充電用途のために(良好な同調状態を維持するために)、固定されるかまたは小さい変化範囲を有するので、VocはIptとkとの積によって直接制御される。したがって、Iptとkの積を一定に保つことができれば、Vocと電力レベルを一定に保つことができる。
【0087】
不整合により、kは典型的には2倍以上変化することがあり、これは、一定の電力を維持するために、プライマリコイル電流が、同じ係数だけ逆方向に変化する必要があることを意味する。
【0088】
〔2.1.1 LCL被調整プライマリコイル〕
LCL被調整プライマリコイルの場合、そのプライマリコイル電流は以下のものとして定義される:
【0089】
【0090】
ここで、XはLCLネットワークの特性インピーダンスであり、Cptの絶対リアクタンス(
図3)またはインバータとCptとの間のすべての構成要素の合成リアクタンスに等しい。また、Vinvはインバータ出力電圧を表す。
【0091】
Vinvは、通常、プライマリコイル電流を制御するために使用される。Vinvは、インバータの入力直流電圧(VDC)または位相シフト百分率(θ)を以下の式で変更することで変更できる。
【0092】
【0093】
ここで、θは、Vinvを減少させるために0から100%まで変化し得る。
【0094】
VDCは、非常に限られた変化範囲(典型的には1.3倍未満)を有する単相または三相力率補正ユニットのいずれかによって生成される。したがって、LCL被調整プライマリの大きなkの変化を補償するために、Vinvを2倍以上変更するために単独で使用することはできない。
【0095】
インバータ位相シフトはVinvを変化させるために使用することができるが、大きな位相シフト百分率(すなわち、より低いインバータ出力電圧)で動作することはインバータ電流を増加させ、それはより高いインバータ導通およびスイッチング損失をもたらし、その結果、動作効率を低下させる。
【0096】
したがって、LCL被調整プライマリのkの変化を補償するために、大きな範囲にわたってプライマリコイル電流を変化させることは困難である。
【0097】
〔2.1.2 直列被調整プライマリコイル〕
直列被調整プライマリの場合、Vinvは、Iptを何倍にも変化させるために、LCL被調整プライマリほど変更する必要はない。したがって、大きなkの変化による電力レベル変化を補償するためにVdcの制限された変化に依存することが可能であり、スイッチング損失および導通損失を低減するために0%の最小位相シフトでインバータを動作させることが可能であり得る。この概念は、Vocによって駆動される直列被調整プライマリおよび一般化セカンダリを示す
図5の助けを借りて以下に説明される。セカンダリ側では、インピーダンスVocは、セカンダリ回路の残りの部分と直列のセカンダリコイルインダクタを含む。それは本書ではZ_Vocと表記している。効率性の理由から、Z_Vocは、典型的には主として実数であるように設計される。簡単にするために、それが抵抗器であると仮定する。
【0098】
セカンダリ回路は、
図5に示されるように、反射インピーダンスZrを使用して表して形成することができ、そこでは、以下の通りである。
【0099】
【0100】
プライマリコイルインダクタンスおよびセカンダリコイルインダクタンス(Lpt、Lst)は典型的にはkと共に著しく変化せず、周波数は例えばEV充電用途のために固定されてもよい。したがって、この式によれば、Zrは、kが大きいほど大きく、kが小さいほど小さくなる。Vinvが固定されると仮定すると、より高いZr(より高いkの結果として)がプライマリコイル電流を減少させ、逆もまた同様であることが明らかである。Iptとkとの間のこの望ましい関係は以下の式に示され、変動するkに対してVocを安定化するのに役立つ(VocはIptとkとの積であるため)。
【0101】
【0102】
したがって、直列被調整プライマリは、そのプライマリコイル電流を自動的に変更させることによってkの変化を補償することができる。直列被調整プライマリを有するIPTシステムを設計して、固定されたインバータ出力電圧を用いてさえもVocおよびシステム電力がほとんど変更しないままであるように、ある範囲のkの変化を完全に補償することが可能である。実際的な制限はそのような補償の有効性を低下させることがあり、その結果、Vinvは、補償を助けるために、依然として少しだけ変化させる必要があり得る。
【0103】
しかしながら、直列被調整プライマリは、高出力用途にとってそれほど魅力的ではない2つの主要な欠点を有する。第一に、高電力用途は、典型的には大きなプライマリコイル電流を必要とする。また、直列構成は、この大電流がインバータを流れる必要があって大きなロスを発生する可能性があることを意味する。第二に、直列被調整ネットワークは、LCLネットワークと比較して不十分なフィルタであり、これは、インバータの通常の動作により発生するより多くの高次高調波が、プライマリコイルに到達し、近くの空間に放射し、潜在的なEMIの課題を生み出し得ることを意味する。
【0104】
〔2.2 セカンダリ装置の電力制御によるK係数補償〕
セカンダリ装置36上に実装された電力制御を有するシステムの場合、kの変化は、プライマリコイル電流によって完全に補償される必要はない。セカンダリ装置36上で実施される電力制御は、出力電力レベルを部分的に調整することができる。しかしながら、セカンダリ装置36に電力制御を実装することは、コストおよび複雑さをセカンダリ装置に追加し、これは望ましくない場合がある。
【0105】
大きなkの変化はまた、システムを離調(detune)させる可能性があり、インバータ、インダクタ、およびコンデンサなどの様々な成分に、より高い無効電流を流す。これは、より大きな電流および電圧定格、ならびにより高価な熱管理を伴う構成要素を必要とすることによって、システム効率を低下させ、コストを増大させる。
【0106】
〔2.3 k係数の変化を補償するための送信機トポロジー設計〕
詳細な説明の残りでは、必要なインバータ電圧範囲が低減されるように、(直列被調整プライマリと同様の)kの変化を補償するために大きな範囲にわたってプライマリコイル電流が自動的に変化することを可能にし、一方、(トポロジーが実際の直列被調整プライマリよりも有利になるように、)送信コイル電流とは無関係にインバータサブ回路からの出力電流を供給し、任意選択的に、例えば、以下のうちの1つまたは複数を含む他の結果を達成する、誘導電力伝送送信機35のトポロジーについて説明する:
・ (インバータ出力電圧の力率を1に近い値に保つ能力に関して)高効率を達成する
・ 高いEMI性能を達成する
・ 送信コイルを通る電流の制御を達成する。
【0107】
上記の結果は、誘導電力伝送送信機35(本明細書で説明する)を、上記で説明したk係数補償の様々なトポロジーよりも有利にする。
【0108】
〔3. 誘導電力伝送送信機の一般的な実施形態〕
〔3.1 概要〕
次に、誘導電力伝送送信機35の一般的な実施形態について説明する。誘導電力伝送送信機35の一般的な実施形態は、誘導電力伝送システム1の一部を形成することができる。
【0109】
図6Aは、誘導電力伝送送信機35の概要を示す。誘導電力伝送送信機35は、(DC)電力入力10を有する。電力入力10は、((DC)電力入力10から受け取った)DC電源をAC電力に変換するためのインバータサブ回路14に接続する。インバータサブ回路14は、1つ以上のインバータ38を有する。誘導電力伝送送信機35はまた、複数の構成要素を備える被調整回路22を有する。
【0110】
次に、
図6Aに示す被調整回路22について説明する。
図6Aに示される被調整回路22は、送信コイル18と、第1の調整ネットワーク37と、第2の調整ネットワーク39とを備える。被調整回路22の一端には、インバータサブ回路14の出力に(直接)配置された第1の調整ネットワーク37がある。被調整回路22の他端には、送信コイル18がある。第2の調整ネットワーク39は、第1の調整ネットワーク37と送信コイル18との間に配置される。
【0111】
第1の調整ネットワークおよび第2の調整ネットワークの目的は、被調整回路22が、直列調整される送信コイル18の回路等価物に改造されることを可能にすることであり、セクション2.1.2で論じたように、直列被調整送信コイル18を有することは、被調整回路22が、k係数の変化を補償するために、送信コイル18を通る電流の自動的な変化を可能にすることを意味し:
・ 第1の調整ネットワークの機能は、電圧源Vinv(インバータ出力)を、第2の調整ネットワークに流れる電流源(I_X)に変換することである。後述するように、第1の調整ネットワークは、少なくとも1つのインダクタと、少なくとも1つのコンデンサとを備える。
・ 第2の調整ネットワークの機能は、電流源(I_X)を第2の電圧源に変換して戻すことであり、第2の調整ネットワークは、第2の電圧源によって駆動される送信コイル(Lpt)と直列に調整される。第2の調整ネットワークは
図6Aでは送信コイル(Lpt)と並列であるように示されているが、実際には、第2の電圧源によって駆動される送信コイル(Lpt)と直列である。後述するように、第2の調整ネットワークは、少なくとも1つの電子構成要素を備える。例えば、電子部品は抵抗器、インダクタ、またはコンデンサとすることができるが、これらに限定されない。
【0112】
このように、
図6Aの構造はセクション2.1.2に記載された直列被調整プライマリコイルのk補償特性を有するが、被調整回路22の第1の調整ネットワークおよび第2の調整ネットワークが送信コイルのための電流源を供給する(これらの調整ネットワークはそれぞれ、送信コイルに電流の流れを供給する分岐を供給するので。)ので、インバータ内の電流は送信コイル内の電流(Lpt)よりもはるかに小さくすることができる。すなわち、インバータサブ回路14と送信コイル18との間に第1の調整ネットワーク37、および第2の調整ネットワーク39の両方を有することは、インバータサブ回路出力電流を送信コイル電流から「切り離し」、したがって、被調整回路22を、独立したインバータサブ回路出力および送信コイル電流を有するように設計することを可能にする。すなわち、電流は同じであってもよく、異なるものであってもよい。これにより、インバータサブ回路出力の電流と送信コイルの電流とを独立に設計することができる。したがって、被調整回路22は、典型的には電力伝達のために大きな磁場を設定するために大きな送信コイル電流を必要とし、インバータサブ回路損失を低減するために最適な(たとえば、最小の)インバータ電流を必要とする、高電力ワイヤレスシステムに特に適している。インバータサブ回路の出力電流は、送信コイル電流よりもはるかに低く設計することが容易である(すなわち、インバータサブ回路が高い入力電圧を有する場合)。これにより、インバータサブ回路における電力損失が低減される。直列被調整プライマリでは、インバータ出力電流が送信コイルに直接接続され、インバータ電流が送信コイル電流と同じになるように強制するので、被調整回路22において実現されるこのような利点は不可能である。これにより、被調整回路22は、実際の直列被調整送信コイルよりも有利になる。
【0113】
図6Bは、一例として
図6Aの一実施形態を示す。
図6Bの被調整回路22の実施形態は
図6Bの被調整回路22と同様であるが、被調整回路の実施形態22は、インバータの力率を改善するのを助けるために、第1の調整ネットワークと第2の調整ネットワークとの間に挿入された1つまたは複数のインバータ力率補正ネットワーク45、47も含む。そのようなネットワークは、第1の電流源(第1の調整ネットワークによって変換される電圧源)と直列に配置されると考えられる。第1の定電流源はインバータ力率補正ネットワークの変化の影響を受けないので、このインバータ力率補正ネットワークはインバータ力率制御を電力制御から切り離す。第1の力率補正ネットワーク45および第2の力率補正ネットワーク47はそれぞれ、インバータサブ回路14から供給される電力の力率を改善するための1つまたは複数の構成要素を備える。第1の力率補正ネットワーク45および第2の力率補正ネットワーク47の両方は任意選択的にあり、被調整回路22内に有することが必須ではない。
【0114】
次に、被調整回路22の様々な実施形態について説明する。後に明らかになるように、本明細書に記載される被調整回路22の実施形態は、第1の調整ネットワークにおいて、少なくとも1つのインダクタおよび少なくとも1つのコンデンサを備える。本明細書で説明される被調整回路の実施形態はまた、第2の調整ネットワークにおいて、少なくとも1つの追加の構成要素44を備える。本明細書で説明される被調整回路22の実施形態はまた、送信コイル18を備える。
【0115】
本明細書に記載される様々な実施形態は、2つの一般的な実施形態のうちの1つに分類される。第1の一般的な実施形態を
図6Cに示し、第2の一般的な実施形態を
図6Dに示す。第1の一般的な実施形態と第2の一般的な実施形態との間の差異はそれぞれの第1の調整ネットワーク37内にあり、第1の調整ネットワーク内のインダクタおよびコンデンサの位置は、効果的に「スワップアラウンド」(swapped around)される:
・
図6Cを参照すると、第1の一般的な実施形態の第1の調整ネットワークは、インバータサブ回路14の出力に配置された少なくとも1つのインダクタを有する。また、インダクタ(複数可)とは別個の分岐上に配置された少なくとも1つのコンデンサも存在する。インダクタとコンデンサの相対位置に基づいて、この一般的な実施形態は「LC実施形態」と呼ぶことができる。
・ 対照的に、
図6Dを参照すると、第2の一般的な実施形態の第1の調整ネットワークは、インバータサブ回路14の出力に配置された少なくとも1つのコンデンサを有する。また、コンデンサ(複数可)とは別個の分岐上に配置された少なくとも1つのインダクタも存在する。インダクタとコンデンサの相対位置に基づいて、この一般的な実施形態は「CL実施形態」と呼ぶことができる。
【0116】
〔4. 被調整回路の第1(LC)一般的な実施形態〕
〔4.1 概要〕
次に、
図6Cを参照して、被調整回路の第1の一般的な実施形態を説明する。
【0117】
まず、第1の一般的な実施形態に係る被調整回路22について、「ブロックレベル」で説明する。
【0118】
図6Cに示される被調整回路22は、送信コイル18と、第1の調整ネットワーク37と、第2の調整ネットワーク39と、第1のインバータ力率補正ネットワーク45と、第2の力率補正ネットワーク47とを有する。被調整回路22の一端には、インバータサブ回路14の出力に(直接)配置された第1の調整ネットワーク37がある。被調整回路22の他端には、送信コイル18がある。第2の調整ネットワーク39は、第1の調整ネットワーク37と送信コイル18との間に配置される。第1のインバータ力率補正ネットワーク45および第2のインバータ力率補正ネットワーク47は、第1の調整ネットワーク37と第2の調整ネットワーク39との間に配置される。
【0119】
図6Cに示す被調整回路は:
・ インダクタ40aおよびインダクタ40bと、コンデンサ42bとを備える第1の調整ネットワーク37
・ 追加の構成要素44を含む第2の調整ネットワーク
・ 少なくとも追加の構成要素46を含む第1のインバータ力率補正ネットワーク
・ 少なくとも追加の構成要素48を備える第2のインバータ力率補正ネットワーク
・ 送信コイル18
を含む。
【0120】
次に、
図6Cの被調整回路を形成する構成要素についてより詳細に説明する。
【0121】
被調整回路22は、インバータサブ回路14の出力に配置されたインダクタ40aおよび40bを有する。インダクタ40aおよび40bは、別個の分岐上に配置される。インダクタ40a、40bのいずれかは、そのインダクタンスを変化させることができるように調整可能であることができる。被調整回路22はまた、インダクタ40aと40bとの間を接続するコンデンサ42を有する。コンデンサ42は、そのキャパシタンスを変化させることができるように、調整可能であることができる。被調整回路22は、コンデンサ42、追加の構成要素44、および送信コイル18が互いに並列に接続された3つの並列分岐を有する。被調整回路22はまた、コンデンサ42と追加の構成要素44との並列分岐の間に接続された追加の構成要素46および48を有する。追加の構成要素46および48は、互いに別個の分岐上に配置される。
【0122】
追加の構成要素44、46、48は、それぞれ抵抗性および/またはリアクタンスであるインピーダンスを有する構成要素である。例えば、追加の構成要素44、46、48のいずれも、抵抗器、コンデンサ、またはインダクタとすることができる。追加の構成要素44、46、48のいずれも、固定インピーダンスを有することができる。代替として、追加の構成要素44、46、48のいずれも、そのインピーダンスが変更され得るように調整可能であり得る。追加の構成要素44、46、48のいずれかが抵抗性インピーダンスを有する場合、追加の構成要素は、その抵抗を変化させるように調整することができる。追加の構成要素44、46、48のいずれかがリアクタンスインピーダンスを有する場合、追加の構成要素は、そのリアクタンスを変化させるように調整することができる。リアクタンスは、誘導性と容量性との間で変化させることができる。
【0123】
追加の構成要素44、46、48は抵抗性インピーダンスを有することができるが、これらの構成要素は、リアクタンスインピーダンスのみを有するか、または少なくとも、最小の抵抗を有することが好ましい。したがって、追加の構成要素44、46、48は、抵抗器であるのではなく、コンデンサまたはインダクタであることが好ましい。より好ましくは、追加の構成要素44はコンデンサであり、追加の構成要素46、48はインダクタであり、その結果、追加の構成要素44、46、48は、インバータサブ回路出力から生成される高次高調波をフィルタ除去するフィルタリングを供給し、および/または、インバータサブ回路から出力される電力の力率を改善するフィルタリングを供給する。さらに、追加の構成要素44は、調整可能なキャパシタンスを有するコンデンサであることがさらにより好ましい。可変コンデンサとして追加の構成要素44を有することは、インバータサブ回路出力から生成される高次高調波をフィルタ除去することを支援し、および/または、インバータサブ回路から出力される電力の力率を改善する。可変コンデンサとして追加の構成要素44を有することはまた、送信コイル18に供給される電流を制御する能力を支援する。
【0124】
被調整回路22の第1の一般的な実施形態では、
図6Cに示されるすべての構成要素を有することは必須ではない。しかしながら、この一般的な実施形態では、被調整回路22は少なくとも、送信コイル18と、少なくとも1つのインダクタ(インダクタ40aまたは40bのいずれかで十分であるが、両方のインダクタ40a、40bが任意選択的に組み込まれてもよい)と1つのコンデンサ(例えば、コンデンサ42など)とを備える第1の調整ネットワーク37と、追加の構成要素44を備える第2の調整ネットワーク39と、追加の構成要素46または追加の構成要素48のいずれかであり得るさらなる追加の構成要素(ただし、追加の構成要素46、48の両方が任意選択的に組み込まれてもよい)と、を含むべきである。これにより、被調整回路22は、K係数の変化を補償するために、送信コイルを通る電流を変化させることができる。好ましくは、被調整回路22はまた、送信コイルに供給される電力の力率を改善するために、および/または、送信コイル18を通る電流を制御するために、追加の構成要素(例えば、構成要素46、48など)を有する。これについては、次のセクションでより詳細に説明する。
【0125】
〔4.2 設計上の考慮事項〕
次に、被調整回路22の第1の一般的な実施形態の様々な設計上の考慮事項について説明する。設計上の考慮事項は次のとおりである:
・ 要求されるインバータ出力電圧範囲が低減されるように、(直列被調整プライマリと同様の)kの変化を補償するために、大きな範囲にわたってプライマリコイル電流を自動的に変更する一方で、(直列被調整プライマリよりも有利である)送信コイル電流とは無関係に、インバータサブ回路からの出力電流を供給する
・ EMI性能の改善を達成する
・ (インバータ出力電圧の力率を1に近い値に保つ能力に関して)効率の改善を達成する
・ 送信コイル電流を制御する。
【0126】
これらの利点のそれぞれは、セクション2.1および2.2で説明される被調整回路トポロジーを超える利点を提供することができるものとして、文脈において説明される。各利点については、別々に詳細に説明する。
【0127】
〔4.2.1 k係数の変化を補償するためのプライマリコイル電流の自動変化〕
誘導電力伝送送信機35は、望ましくは、テベニンおよびノートン回路解析の組み合わせを介して被調整回路22が直列被調整プライマリコイル配置に改造され得るように配置される、複数の構成要素を備える、被調整回路22を有する。被調整回路22が直列被調整プライマリコイル配置に改造されることを可能にすることによって、被調整回路22は、セクション2.1.1で上述したのと同じ方法で、k係数の変化に応答してプライマリコイル18を通る電流を自動的に調整することができる。
【0128】
この所望の結果を達成するために、被調整回路22の第1の一般的な実施形態は、少なくとも、インダクタ(
図6Cの例では、インダクタ40aまたはインダクタ40bのいずれかを有すれば十分である)と、コンデンサ42と、を少なくとも備える第1の調整ネットワーク37と、第1の追加の構成要素44と、第2の追加の構成要素(追加の構成要素46または48のいずれかであり得る)とを備える第2の調整ネットワーク39とを有するべきである。2つのインダクタを有することは任意であるが、必須ではない。追加の構成要素46、48を有することは任意であるが、必須ではない。
【0129】
このセクションの残りの部分では、k係数の変化を補償するために被調整回路22の第1の一般的な実施形態が送信コイル電流の自動変化を供給することを、第1の調整ネットワーク37および第2の調整ネットワーク39内の構成要素がどのように可能にするかについての説明を行う。
【0130】
(第1の調整ネットワーク37内の)インダクタおよびコンデンサは、ノートンの定理を適用して、被調整回路22を、(インバータサブ回路の電圧によって供給される)電圧源、インダクタおよびコンデンサの直列接続から、電流源、インダクタおよびコンデンサの(回路等価)並列接続に変換することを可能にする。電流源、インダクタおよびコンデンサの(回路等価)並列接続を有することによって、インダクタおよびコンデンサの合成インピーダンスは、(例えば、インダクタおよびコンデンサの絶対リアクタンスが類似であるとき、)並列接続電流源に対して大きなインピーダンスの外観(好ましくは開回路外観)を生成する。好ましくは、コンデンサの絶対容量性リアクタンスは、インダクタの絶対誘導性リアクタンスに実質的に等しいか、または、両方のインダクタ40a、40bが被調整回路22において使用される場合にはインダクタの絶対合成誘導性リアクタンスに実質的に等しい。したがって、第1の調整ネットワーク37は定電流源となる。
【0131】
第1の調整ネットワーク37によって供給される定電流源への変換に続いて、被調整回路22は、テブニン(Thevenin)の定理を適用することによってさらに変換することができる。これは、(第2の調整ネットワーク39内に)第1の追加の構成要素44が存在するために可能になる。テベニンの定理を適用して、電流源、第1の追加の構成要素44、および送信コイル18の並列接続を、電圧源、第1の追加の構成要素44、および送信コイル18の(回路等価)直列接続に変換する。(回路等価)直列接続は、直列調整される送信コイル18の外観を供給し、セクション2.1.2で説明したように、直列被調整送信コイル18を有することは、被調整回路22が、k係数の変化を補償するために送信コイル18を通る電流の自動的な変化を可能にすることを意味する。
【0132】
さらに、被調整回路22の第1の一般的な実施形態では、第1の調整ネットワーク37は、送信コイル18に電流の流れを供給するように接続されたコンデンサ42を有し、第2の調整ネットワーク39は、送信コイル18に電流の流れを供給するように追加の構成要素44を有する。コンデンサ42および追加の構成要素44によってそれぞれ供給される電流の流れは、インバータサブ回路の出力から与えられる電流に加えられる。これは、インバータサブ回路の電流出力が、送信コイル電流とは無関係であることを意味する。すなわち、インバータサブ回路14は、送信コイル18を流れる電流を一致させる必要がなく、相違させることができる。対照的に、実際の直列被調整送信コイル回路では、インバータサブ回路は常に送信コイル電流と同じである。
【0133】
この差は、実際の直列被調整送信コイル回路よりも有利な被調整回路22を供給し、以下のように説明することができる。被調整回路22の設計は、送信コイル電流がインバータサブ回路出力から供給されることを可能にするが、コンデンサ42を通って流れる電流および/または追加の構成要素44を通って流れる電流から供給される電流を有することも可能にする。送信コイル電流の一部を他の構成要素から、かつインバータサブ回路出力からのみではなく、供給することによって、インバータサブ回路出力電流は、送信コイル電流よりも小さくなるように設計することができる。これにより、インバータサブ回路の出力電流を低減することができる。これにより、インバータサブ回路における電力損失が低減される。この説明された利点は特に高電力用途に適用可能であるが、当業者は、説明された利点が、高電力用途が考慮されていない場合でも実施され得ることを理解するであろう。
【0134】
説明したように、第1の調整ネットワーク37から流出する電流はI_X=Vinv/Xによってその大きさが決定される電流源と考えることができ、ここで、Xは、1つまたは複数のインダクタ(例えば、インダクタ40aおよび/または40b)またはコンデンサ42のインピーダンスである。この大きさは、回路の残りの部分がどのように変化するかにかかわらず、変化しないままである。したがって、第1の調整ネットワークは、定電流源とみなすことができる。追加の構成要素46および48を無視する場合(それらが電流源と直列であるため)、電流源は、追加の構成要素44および送信コイル18の両方に流れる。しかしながら、追加の構成要素44と送信コイル18との間の電流分布は、追加の構成要素44のインピーダンス、送信コイル18のインピーダンス、および、電力とともに変化する反射インピーダンスに完全に依存する。インバータでの電流I_invは単位力率にてI_inv=電力/Vinvであり、Vinvは、インバータサブ回路の入力電圧と位相シフトにより変化可能である。したがって、インバータサブ回路の電流は、プライマリコイルの電流とは無関係である。
【0135】
いくつかの実施形態では、第1の調整ネットワーク37内に、インダクタと直列に接続された1つまたは複数のコンデンサが存在し得る。代替的に、または追加的に、第1の調整ネットワーク37内に、コンデンサと直列に接続された1つまたは複数のインダクタが存在し得る。
図12Aはこの一般的な例を示し、第1の調整ネットワーク37は少なくともインダクタ40aおよびコンデンサ42を有し、(cの値に応じて、)インダクタ40aと直列に接続されたコンデンサ41a、ならびに、コンデンサ42と直列に接続されたインダクタ43を有することもできる。このような状況では、インバータサブ回路14の出力における構成要素の合成リアクタンスが、送信コイル18と並列に接続された構成要素の合成リアクタンスと実質的に同じであることが望ましく、その結果、被調整回路22の第1の一般的な実施形態は、電流の自動変化によってK補償が供給されるように、直列被調整送信コイルとして改造することができる。
【0136】
この一例は
図12Aに見ることができ、端子aとeとの間の合成リアクタンスはXであり、これは、合成インピーダンスが誘導性であることを示す。なお、定数cは0~1の範囲である。c=0の場合、端子aと端子eとの間にインダクタ(リアクタンスX)が接続され、端子eと端子fとの間にコンデンサ(リアクタンス-X)が接続される。C>0のとき、インダクタとコンデンサの両方がこれらの端子間に存在する。端子eとfとの間の組み合わされたリアクタンスは-Xであり、これは、合成インピーダンスが容量性であることを示す。また、端子aと端子eとの間のリアクタンスと、端子bと端子fとの間のリアクタンスとの和がXであれば、リアクタンスXの一部(aとeとの間)は、端子bと端子fとの間にシフトしてもよい。
【0137】
この一般的な実施形態の文脈において、LCL被調整送信コイルを生成するように被調整回路22内の構成要素またはLCL被調整送信コイルの回路等価物を配置することは、セクション2.1.1で論じられる理由のために回避されるべきである。それはまた、k係数の変化を補償するために送信コイル電流を自動的に変化させるという利点を実現するために、被調整回路22が直列被調整送信コイルに変換されることを防止する。
図6Cの実施例を参照すると、コンデンサ42、第1の追加の構成要素44、または第2の追加の構成要素(追加の構成要素46または追加の構成要素48のいずれかであり得る)のいずれかが被調整回路22から省略される場合、被調整回路22はLCL被調整送信コイル(またはその回路等価物)のように見え、そのような回路構成は、k係数の変化を補償するためにプライマリコイル電流の自動変化を供給することができないので望ましくない。
【0138】
さらなる具体的な情報は、セクション4.3.1、特に、
図8のA~Fの添付の説明に見ることができる。セクション4.3.1は第1の例示的な実施形態の文脈で説明されるが、当業者は、セクション4.3.1で説明される原理がこの一般的な実施形態ならびに他の例示的な実施形態にも適用されることを認識するであろう。
【0139】
〔4.2.2 EMI性能の改善〕
また、誘導電力伝送送信機35は、誘導電力伝送送信機35におけるEMI性能を被調整回路22が改善するように配置された複数の構成要素を備える被調整回路22を有することが望ましい。セクション2.1.2で論じたように、被調整回路が不十分なフィルタリングを供給し、EMI性能の問題につながるインバータサブ回路14から生成される高次高調波の問題に十分に対処しないので、直列被調整送信コイルを有する被調整回路を有することは問題がある。したがって、誘導電力伝送送信機35に改善されたEMI性能を供給するために、被調整回路22は、インバータサブ回路14から生成される高次高調波をフィルタ除去するフィルタとして機能するか、または、直列被調整回路を有する調整回路から達成され得るものよりも良好なフィルタリングを少なくとも供給することが望ましい。
【0140】
したがって、被調整回路22において、改善されたフィルタリングを供給する目的で、インダクタ(インダクタ40aまたはインダクタ40bのいずれかで十分である)およびコンデンサ42を有することが好ましい。コンデンサ42と共にインダクタをインバータサブ回路14の出力に配置することにより、送信コイル18から高次高調波を迂回させるフィルタが供給され、したがって、誘導電力伝送送信機35におけるEMI性能が改善される。
【0141】
高次高調波をフィルタ除去するためには、両方のインダクタ(すなわち、インダクタ40aおよびインダクタ40b)は、コンデンサ42と共に使用されることが好ましい。また、第1の追加の構成要素44は容量性であることが好ましい。被調整回路内の第2の追加の構成要素(追加の構成要素46または追加の構成要素48のいずれかであり得る)は、インダクタであることが好ましい。さらにより好ましくは、両方の追加の構成要素46および48が被調整回路22内に存在し、両方の追加の構成要素がインダクタである。
【0142】
〔4.2.3 力率改善〕
また、誘導電力伝送送信機35は、被調整回路22がインバータサブ回路14から供給される電力の力率を改善してインバータサブ回路14の電力効率を改善することができるように配置された複数の構成要素を備える被調整回路22を有することが望ましい。この文脈において、改善された力率は、インバータサブ回路出力力率が1に近づくことを指す。力率が1であることは、インバータサブ回路の出力電流がインバータサブ回路の出力電圧と同相であることを意味し、その結果、インバータサブ回路の出力電流の実効値は、インバータサブ回路が出力する所与の電力レベルに対して最小である。
【0143】
この所望の結果を達成するために、被調整回路22は追加の構成要素46または追加の構成要素48のいずれか一方を有し得るが、そのことは、インバータ力率を1に向かって改善するために、または被調整回路22の全体的なインピーダンスを(わずかに)誘導性にするためには、必須ではない。任意選択的に、被調整回路は、インバータ力率を1に向かって改善するために、または被調整回路22の全体インピーダンスを(わずかに)誘導性にするために、追加の構成要素46と追加の構成要素48との両方を有することができる。追加の構成要素46および/または追加の構成要素48のインピーダンスは、好ましくは調整可能である。
【0144】
被調整回路22内の構成要素は、力率を改善する目的で任意選択的に調整可能であり得る。例えば、インダクタ40a、インダクタ40b、コンデンサ42、追加の構成要素44、追加の構成要素46、および追加の構成要素48のうちの1つまたは複数は、調整可能であり得る。すなわち、それぞれのインピーダンスは、送信コイル18に供給される力の力率を改善するように調整することができる。
【0145】
〔4.2.4 送信コイル電流の制御〕
誘導電力伝送送信機35が、可変なコンデンサまたはインダクタなどの可変である第1の追加の構成要素44を備える被調整回路22を有することも望ましい。追加の構成要素44および送信コイル18に流れる総電流は第1の調整ネットワーク37によって供給される定電流源によって固定されるので、追加の構成要素44のインピーダンスを変化させることは、送信コイル18を通って流れる電流の部分(第1の調整ネットワーク37から供給される)を変化させる。
【0146】
〔4.3 誘導電力伝送送信機の例示的な実施形態〕
次に、被調整回路22の第1の一般的な実施形態の範囲内にある例示的な実施形態について説明する。より一般的には、これらの例示的な実施形態は、誘導電力伝送送信機35の一般的な実施形態の範囲内にある。
【0147】
〔4.3.1 第1の例示的実施形態〕
ここで、誘導電力伝送送信機の第1の例示的な実施形態について、
図7および
図8のA~Fを参照して説明する。
図7および
図8のA~Fに示される第1の例示的な実施形態は、以下の特徴を備える:
・ 誘導電力伝送送信機35に対応する誘導電力伝送送信機135
・ 電力入力10に対応する電力入力110
・ インバータサブ回路14に対応するインバータサブ回路114
・ インバータ38に対応するインバータ138
・ 被調整回路22に対応する被調整回路122
・ 第1の調整ネットワーク37に対応する第1の調整ネットワーク137
・ 第2の調整ネットワーク39に対応する第2の調整ネットワーク139
・ 第1のインバータ力率補正ネットワーク45に対応する第1のインバータ力率補正ネットワーク145
・ 第2のインバータ力率補正ネットワーク47に対応する第2のインバータ力率補正ネットワーク147
・ インダクタ40aに対応するインダクタ140a(「L1A」)
・ インダクタ40bに対応するインダクタ140b(「L1B」)
・ コンデンサ41aに対応するコンデンサ141a(「C1A」)
・ コンデンサ41bに対応するコンデンサ141b(「C1B」)
・ コンデンサ42に対応するコンデンサ142(「C2」)
・ 第1の追加の構成要素44に対応するコンデンサ144(「C3」)
・ 第2の追加の構成要素46に対応する調整可能インピーダンス146(「X2A」)
・ 第3の追加の構成要素48に対応する調整可能インピーダンス148(「X2B」)。
【0148】
第1の例示的な実施形態の特徴は以下の通りである:
・ インバータは、固定周波数fで動作する。(ただし、固定周波数に限定されない)
・ L1A、L1B、C1AおよびC1Bの合成インピーダンスは、周波数fにおいて(実質的に)+Xである。
・ C2のインピーダンスは、周波数fにおいて(実質的に)-Xである。
・ 調整可能インピーダンスX2AおよびX2Bは、誘導性または容量性のいずれか、または容量性と誘導性との間の変化であり得る可変リアクタンス素子である。回路内のそれらの固有の位置は、システムの電力レベルに影響を与えることなく、インバータ出力電圧Vinvの力率を効果的に制御することを可能にする。力率は、VinvとIinvとの間の位相差、またはIinvとI_X2との間の位相差を測定することによって決定することができる。次いで、X2AおよびX2Bのインピーダンスを調整して、インバータ力率を1に向かって改善するか、または被調整回路の全体インピーダンスをわずかに誘導性にすることができる。
・ X2AおよびX2Bはそれぞれ、可変コンデンサ、可変インダクタ、可変コンデンサと直列の固定インダクタ、固定コンデンサと直列の可変インダクタ、または可変もしくは固定のインダクタおよびコンデンサの任意の他の組み合わせを用いて実現され得る。
・ 入力DC電圧は、プライマリコイル電流Iptおよび電力を制御するために変化させることができる。
・ インバータ位相シフトはまた、プライマリコイル電流Iptおよび電力を制御するために変化させることができる。
・ 調整トポロジーは、LCL被調整、直列被調整セカンダリ、または任意の他のセカンダリトポロジーのいずれかで動作することができる。
・ 被調整ネットワークはインバータで生成された高次高調波がプライマリコイルに到達し、放射することを防止する点で、LCLおよび直列調整トポロジーよりも良好な高調波フィルタである。したがって、LCLまたは直列被調整プライマリよりも良好なEMI性能を有する。
・ コンデンサC1A、C1B、C4A、およびC4Bはオプションである。
・ コンデンサC1AまたはC1Bは、それぞれL1AまたはL1Bと直列に配置することができる。これらのコンデンサの一方または両方を使用することは、全体の正味インダクタンスがCのキャパシタンスを実質的に打ち消すことができるように、L1AおよびL1Bから全体の正味インダクタンスを低減するのに役立ち得るが、これについてはこのセクションで後述する。
・ コンデンサC4AおよびC4Bのいずれも、送信コイルと直列に配置することができる。送信コイルにこれらのコンデンサを直列に追加することは、送信コイルが配置される分岐の全体的なリアクタンスを低減し、したがって、送信コイルに供給される電流を増加させる。
・ 調整ネットワークは、kの変化に起因するVocおよび電力レベルの変化を補償するために、プライマリコイル電流を自動的に調整する能力に関して、直列被調整プライマリと同様に動作する。結果として、Vinvの必要な範囲は、LCL被調整プライマリと比較して大幅に低減され得る。したがって、高いインバータ電流を回避する。この特別な特性は
図8のA~Fを用いて説明され、これは、提案された回路がどのように直列被調整プライマリに変換され得るかを実証する。
【0149】
図8のAは第1の例示的な実施形態のトポロジーを示し、
図8のBは、特定の構成要素をそれらのインピーダンスで表すことによって、その等価回路を示す。ノートンの定理によれば、VinvとL1A/BとC1A/Bの合成インピーダンス(X/2)の直列接続を、
図8のCに示すように、電流源が(実質的に)+Xのインピーダンスと並列である並列等価に変換することができる。電流の大きさはVinv/Xである。(実質的に)Xと(実質的に)-Xとの並列接続は、それらの合成インピーダンスが実質的に-X^2/(X-X)であるので、無限インピーダンスをもたらす(または収束する)。ゼロの分母は無限大である。したがって、
図8のDでは、+Xと-Xの両方が(実質的に)除去される。X2AおよびX2Bは電流源の大きさを変えることができないので、これらの2つの可変インピーダンスブロックも除去することができ、
図8のEの回路に導き、ここで電流源はコンデンサC3と並列に配置され、テベニンの定理に従って、
図8のFに示すようにインピーダンスと直列の電圧源に再び変換することができる。電圧の大きさはVeq=Vinv/X*XC3である。
【0150】
図8のFは明らかに直列被調整回路であり、プライマリコイル電流Iptは以下のように表され:
【0151】
【0152】
図から分かるように、提案された回路は、kの変化による電力およびVocの変化を補償するためにIptを自動的に変化させるその能力の点で、直列被調整プライマリ回路と同様に振る舞い、より大きいkはより小さいIptにつながり、逆もまた同様である。最後に、調整可能インピーダンスX2AおよびX2Bは電流源と直列なので、それらの値を変化させることは電流源の大きさを変化させず、したがって電力レベルを変化させないが、回路内のそれらの固有の位置が、それらがインバータ出力の力率を非常に効果的に制御することを可能にすることは、言及する価値がある。電力とインバータ力率との間のデカップリングは、制御アルゴリズムを単純化する。
【0153】
図9は、誘導電力伝送システム1の一部として、第1の例示的な実施形態を示す。
【0154】
〔4.3.2 第2の例示的実施形態〕
次に、
図10に示す誘導電力伝送送信機の第2の例示的な実施形態について説明する。
図10に示される第2の例示的な実施形態は、以下の特徴を備える:
・ 誘導電力伝送送信機35に対応する誘導電力伝送送信機235
・ 電力入力10に対応する電力入力210
・ インバータサブ回路14に対応するインバータサブ回路214
・ インバータ38に対応するインバータ238
・ 被調整回路22に対応する被調整回路222
・ 第1の調整ネットワーク37に対応する第1の調整ネットワーク237
・ 第2の調整ネットワーク39に対応する第2の調整ネットワーク239
・ 第1のインバータ力率補正ネットワーク45に対応する第1のインバータ力率補正ネットワーク245
・ 第2のインバータ力率補正ネットワーク47に対応する第2のインバータ力率補正ネットワーク247
・ インダクタ40aに対応するインダクタ240a(「L1A」)
・ インダクタ40bに対応するインダクタ240b(「L1B」)
・ コンデンサ41aに対応するコンデンサ241a(「C1A」)
・ コンデンサ41bに対応するコンデンサ241b(「C1B」)
・ コンデンサ42に対応するコンデンサ242(「C2」)
・ 第1の追加の構成要素44に対応する調整可能インピーダンス244(「X3」)
・ 第2の追加の構成要素46に対応する調整可能インピーダンス246(「X2A」)
・ 第3の追加の構成要素48に対応する調整可能インピーダンス248(「X2B」)。
【0155】
第2の例示的な実施形態は、第1の例示的な実施形態とは異なっており、
図7のコンデンサC3が調整可能インピーダンスX3に置き換えられている。
【0156】
この第2の例示的な実施形態の特徴は以下の通りである:
1. プライマリコイル電流および電力レベルは、インバータ出力電圧に加えてX3のインピーダンスを変化させることによっても制御することができる。その結果、インバータの位相シフトおよび入力直流電圧範囲をさらに低減することができる。
【0157】
2. インピーダンスX2AおよびX2Bは、インバータ力率を制御するために使用される。
【0158】
3. X3は、誘導性でも容量性でもよい。
【0159】
〔4.3.3 第3の例示的実施形態〕
次に、
図11に示される誘導電力伝送送信機の第3の例示的な実施形態について説明する。
図11に示される第3の例示的な実施形態は、以下の特徴を備える:
・ 誘導電力伝送送信機35に対応する誘導電力伝送送信機335
・ 電力入力10に対応する電力入力310
・ インバータサブ回路14に対応するインバータサブ回路314
・ インバータ38に対応するインバータ338
・ 被調整回路22に対応する被調整回路322
・ 第1の調整ネットワーク37に対応する第1の調整ネットワーク337
・ 第2の調整ネットワーク39に対応する第2の調整ネットワーク339
・ 第1のインバータ力率補正ネットワーク45に対応する第1のインバータ力率補正ネットワーク345
・ 第2のインバータ力率補正ネットワーク47に対応する第2のインバータ力率補正ネットワーク347
・ インダクタ40aに対応する(誘導性)調整可能インピーダンス340a(「X1A」)
・ インダクタ40bに対応する(誘導性)調整可能インピーダンス340b(「X1B」)
・ コンデンサ42に対応するコンデンサ342(「C2」)
・ 第1の追加の構成要素44に対応する調整可能インピーダンス344(「X3」)
・ 第2の追加の構成要素46に対応する調整可能インピーダンス346(「X2A」)
・ 第3の追加の構成要素48に対応する調整可能インピーダンス348(「X2B」)。
【0160】
第3の例示的な実施形態はX1AおよびX1Bが調整可能であることを示し、これは、(1)インバータ出力電圧の力率の制御を助け、(2)プライマリコイル電流および電力レベルの制御を助ける。
【0161】
〔5. 被調整回路の第2の(CL)一般的な実施形態〕
〔5.1 概要〕
次に、被調整回路の第2の一般的な実施形態について説明する。以下の説明の目的は、被調整回路22の第1の一般的な実施形態と第2の一般的な実施形態との間の差を強調することを意図している。被調整回路22の第1の一般的な実施形態に関する任意の説明は、このセクションで異なるように説明されない限り、第2の一般的な実施形態に適用されることが想定されるべきである。
【0162】
次に、
図6Dを参照して、被調整回路の第2の一般的な実施形態を説明する。
【0163】
第2の一般的な実施形態に係る被調整回路22について、まず「ブロックレベル」で説明する。
【0164】
図6Dに示される被調整回路22は、送信コイル18と、第1の調整ネットワーク37と、第2の調整ネットワーク39と、第1のインバータ力率補正ネットワーク45と、第2の力率補正ネットワーク47とを有する。被調整回路22の一端には、インバータサブ回路14の出力に(直接)配置された第1の調整ネットワーク37がある。被調整回路22の他端には、送信コイル18がある。第2の調整ネットワーク39は、第1の調整ネットワーク37と送信コイル18との間に配置される。第1のインバータ力率補正ネットワーク45および第2のインバータ力率補正ネットワーク47は、第1の調整ネットワーク37と第2の調整ネットワーク39との間に配置される。
【0165】
図6Dに示す被調整回路は:
・ コンデンサ51aおよびコンデンサ51b、ならびにインダクタ53bを備える第1の調整ネットワーク37
・ 追加の構成要素44を含む第2の調整ネットワーク
・ 少なくとも追加の構成要素46を含む第1のインバータ力率補正ネットワーク
・ 少なくとも追加の構成要素48を備える第2のインバータ力率補正ネットワーク
・ 送信コイル18
を含む。
【0166】
次に、
図6Dの被調整回路を形成する構成要素についてより詳細に説明する。
【0167】
被調整回路22は、インバータサブ回路14の出力に配置されたコンデンサ51aおよび51bを有する。コンデンサ51aおよび51bは、別々の分岐上に配置される。コンデンサ51a、bのいずれかは、そのキャパシタンスを変化させることができるように調整可能である。被調整回路22はまた、コンデンサ51aとコンデンサ51bとの間を接続するインダクタ53を有する。インダクタ53は、そのインダクタンスを変化させることができるように調整可能とすることができる。被調整回路22は、インダクタ53、追加の構成要素44、および送信コイル18が互いに並列に接続された3つの並列分岐を有する。被調整回路22はまた、コンデンサ42と追加の構成要素44との並列分岐の間に接続された追加の構成要素46および48を有する。追加の構成要素46および48は、互いに別個の分岐上に配置される。
【0168】
被調整回路22の第2の一般的な実施形態では、
図6Dに示されるすべての構成要素を有することは必須ではない。しかしながら、この一般的な実施形態では被調整回路22は少なくとも、送信コイル18と、少なくとも1つのコンデンサ(コンデンサ51aまたは51bのいずれかで十分であるが、両方のコンデンサ51a、51bが任意選択的に組み込まれてもよい)と1つのインダクタ(例えば、インダクタ53など)とを備える第1の調整ネットワーク37と、追加の構成要素44を備える第2の調整ネットワーク39と、を含むべきである。これにより、被調整回路22は、K係数の変動を補償するために、送信コイルを通る電流を変化させることができる。
【0169】
〔5.2 設計上の考慮事項〕
次に、被調整回路22の第2の一般的な実施形態の様々な設計上の考慮事項について説明する。設計上の考慮事項は次のとおりである:
・ 要求されるインバータ出力電圧範囲が低減されるように、(直列被調整プライマリと同様の)kの変化を補償するために、大きな範囲にわたってプライマリコイル電流を自動的に変更する一方で、(直列被調整プライマリよりも有利である)送信コイル電流とは無関係に、インバータサブ回路からの出力電流を供給する
・ EMI性能の改善を達成する
・ (インバータ出力電圧の力率を1に近い値に保つ能力に関して)効率の改善を達成する
・ 送信コイル電流を制御する
・ 電流安定性を改善する。
【0170】
これらの3つの利点のそれぞれは、セクション2.1および2.2で説明される被調整回路トポロジーを超える利点を提供することができるものとして、文脈において説明される。
【0171】
〔5.2.1 k係数の変化を補償するためのプライマリコイル電流の自動変化〕
誘導電力伝送送信機35は、望ましくは、テベニンおよびノートン回路解析の組み合わせを介して被調整回路22が直列被調整プライマリコイル配置に改造され得るように配置される、複数の構成要素を備える、被調整回路22を有する。被調整回路22が直列被調整プライマリコイル配置に改造されることを可能にすることによって、被調整回路22は、セクション2.1.1で上述したのと同じ方法で、k係数の変化に応答してプライマリコイル18を通る電流を自動的に調整することができる。
【0172】
この所望の結果を達成するために、被調整回路22の第2の一般的な実施形態は、少なくとも、コンデンサ(
図6Dの例では、コンデンサ51aまたはコンデンサ51bのいずれかを有すれば十分である)と、インダクタ53と、を少なくとも備える第1の調整ネットワーク37と、第1の追加の構成要素44を備える第2の調整ネットワーク39とを有するべきである。2つのコンデンサを有することは任意であるが、必須ではない。追加の構成要素46、48を有することは任意であるが、必須ではない。
【0173】
このセクションの残りの部分では、k係数の変化を補償するために被調整回路22の第2の一般的な実施形態が送信コイル電流の自動変化を供給することを、第1の調整ネットワーク37および第2の調整ネットワーク39内の構成要素がどのように可能にするかについての説明を行う。
【0174】
(第1の調整ネットワーク37内の)インダクタおよびコンデンサは、ノートンの定理を適用して、被調整回路22を、(インバータサブ回路の電圧によって供給される)電圧源、インダクタおよびコンデンサの直列接続から、電流源、インダクタおよびコンデンサの(回路等価)並列接続に変換することを可能にする。電流源、インダクタおよびコンデンサの(回路等価)並列接続を有することによって、インダクタおよびコンデンサの合成インピーダンスは、(例えば、インダクタおよびコンデンサの絶対リアクタンスが実質的に同じであるとき、)並列接続電流源に対して大きなインピーダンスの外観(好ましくは開回路外観)を生成する。好ましくは、インダクタの絶対誘導性リアクタンスは、コンデンサの絶対容量性リアクタンスに実質的に等しいか、または、両方のコンデンサ51a、bが被調整回路22において使用される場合にはコンデンサの絶対合成容量性リアクタンスに実質的に等しい。したがって、第1の調整ネットワーク37は定電流源となる。
【0175】
第1の調整ネットワーク37によって供給される定電流源への変換に続いて、被調整回路22は、テブニンの定理を適用することによってさらに変換することができる。これは、(第2の調整ネットワーク39内に)第1の追加の構成要素44が存在するために可能になる。テベニンの定理を適用して、電流源、第1の追加の構成要素44、および送信コイル18の並列接続を、電圧源、第1の追加の構成要素44、および送信コイル18の(回路等価)直列接続に変換する。(回路等価)直列接続は、直列被調整送信コイル18の外観を供給し、セクション2.1.2でしたするように、直列被調整送信コイル18を有することは、被調整回路22が、k係数の変化を補償するために送信コイル18を通る電流の自動的な変化を可能にすることを意味する。
【0176】
さらに、被調整回路22の第2の一般的な実施形態では、第1の調整ネットワーク37は、送信コイル18に電流の流れを供給するように接続されたインダクタ53を有し、第2の調整ネットワーク39は送信コイル18に電流の流れを供給するように追加の構成要素44を有する。インダクタ53および追加の構成要素44によってそれぞれ供給される電流の流れは、インバータサブ回路の出力から供給される電流に加えられる。これは、インバータサブ回路の電流出力が、送信コイル電流とは無関係であることを意味する。すなわち、インバータサブ回路14は、送信コイル18を流れる電流を一致させる必要がなく、相違させることができる。対照的に、実際の直列被調整送信コイル回路では、インバータサブ回路は常に送信コイル電流と同じである。
【0177】
この差は、実際の直列被調整送信コイル回路よりも有利な被調整回路22を供給し、以下のように説明することができる。被調整回路22の設計は、送信コイル電流がインバータサブ回路出力から供給されることを可能にするが、インダクタ53を通って流れる電流および/または追加の構成要素44を通って流れる電流から供給される電流を有することも可能にする。送信コイル電流の一部を他の構成要素から、かつインバータサブ回路出力からのみではなく、供給することによって、インバータサブ回路出力電流は、送信コイル電流よりも小さくなるように設計することができる。これにより、インバータサブ回路の出力電流を低減することができる。これにより、インバータサブ回路における電力損失が低減される。この説明された利点は特に高電力用途に適用可能であるが、当業者は説明された利点が、高電力用途が考慮されていない場合でも実施され得ることを理解するであろう。
【0178】
説明したように、第1の調整ネットワーク37から流出する電流はI_X=Vinv/Xによって大きさが決定される電流源と考えることができ、ここで、Xは、1つまたは複数のインダクタ(例えば、コンデンサ51aおよび/または51b)またはインダクタ53のインピーダンスである。この大きさは、回路の残りの部分がどのように変化するかにかかわらず、変化しないままである。したがって、第1の調整ネットワークは、定電流源とみなすことができる。追加の構成要素46および48を無視する場合(それらが電流源と直列であるため)、電流源は、追加の構成要素44および送信コイル18の両方に流れる。しかしながら、追加の構成要素44と送信コイル18との間の電流分布は、電力とともに変化する反射インピーダンスに完全に依存する。インバータでの電流I_invは単位力率にてI_inv=電力/Vinvであり、Vinvは、インバータサブ回路の入力電圧と位相シフトにより変化可能である。したがって、インバータサブ回路の電流は、プライマリコイルの電流とは無関係である。
【0179】
いくつかの実施形態では、第1の調整ネットワーク37内に、コンデンサと直列に接続された1つまたは複数のインダクタが存在し得る。代替的に、または追加的に、第1の調整ネットワーク37内に、インダクタと直列に接続された1つまたは複数のコンデンサが存在し得る。
図12Bはこの一般的な例を示し、第1の調整ネットワーク37は少なくともコンデンサ51aおよびインダクタ53を有し、(cの値に応じて、)コンデンサ51aと直列に接続されたインダクタ50a、ならびに、インダクタ53と直列に接続されたコンデンサ52を有することもできる。このような状況では、インバータサブ回路14の出力における構成要素の合成リアクタンスが、送信コイル18と並列に接続された構成要素の合成リアクタンスと実質的に同じであることが望ましく、その結果、被調整回路22の第2の一般的な実施形態は、電流の自動変化によってK補償が供給されるように、直列被調整送信コイルとして改造することができる。
【0180】
この一例は
図12Bに見ることができ、端子aとeとの間の合成リアクタンスは-Xであり、これは、合成インピーダンスが容量性であることを示す。なお、定数cは0~1の範囲である。c=0の場合、端子aと端子eとの間にコンデンサ(リアクタンス-X)が接続され、端子eと端子fとの間にインダクタ(リアクタンスX)が接続される。C>0のとき、コンデンサとインダクタの両方がこれらの端子間に存在する。端子eとfとの間の組み合わされたリアクタンスはXであり、これは、合成インピーダンスが誘導性であることを示す。また、端子aと端子eとの間のリアクタンスと、端子bと端子fとの間のリアクタンスとの和が-Xであれば、リアクタンスXの一部(aとeとの間)は、端子bと端子fとの間にシフトしてもよい。
【0181】
さらなる具体的な情報は、セクション4.3.1、特に、
図8のA~Fの添付の説明に見ることができる。セクション4.3.1は第1の例示的な実施形態の文脈で説明されるが、当業者は、セクション4.3.1で説明される原理がこの一般的な実施形態にも同様に適用されることを認識するであろう。
【0182】
〔5.2.2 EMI性能の改善〕
また、誘導電力伝送送信機35は、誘導電力伝送送信機35におけるEMI性能を被調整回路22が改善するように配置された複数の構成要素を備える被調整回路22を有することが望ましい。セクション2.1.2で論じたように、被調整回路が不十分なフィルタリングを供給し、EMI性能の問題につながるインバータサブ回路14から生成される高次高調波の問題に十分に対処しないので、直列被調整送信コイルを有する被調整回路を有することは問題がある。したがって、誘導電力伝送送信機35に改善されたEMI性能を供給するために、被調整回路22は、インバータサブ回路14から生成される高次高調波をフィルタ除去するフィルタとして機能するか、または、直列被調整回路を有する調整回路から達成され得るものよりも良好なフィルタリングを少なくとも供給することが望ましい。
【0183】
必須ではないが、被調整回路22において、コンデンサ51aおよび/またはコンデンサ51bと直列に配置されたインダクタを有する(この一般的な実施形態では、コンデンサ51aおよび/または51bを含む分岐に沿った正味容量性インピーダンスを保証しながら。)ことによって、および、インダクタ53と直列に配置されたコンデンサを有する(この一般的な実施形態では、インダクタ53を含む分岐に沿った正味誘導性インピーダンスを保証しながら。)ことによって、改善されたフィルタリングを供給することが好ましい。コンデンサ42と共にインダクタをインバータサブ回路14の出力に配置することにより、送信コイル18から高次高調波を迂回させるフィルタが供給され、したがって、誘導電力伝送送信機35におけるEMI性能が改善される。
【0184】
必須ではないが、高次高調波をフィルタ除去するためには、コンデンサ51aおよびコンデンサ51bの両方と直列に配置されたインダクタは、インダクタ53と直列に配置されたコンデンサと共に使用されることが好ましい。また、第1の追加の構成要素44は容量性であることが好ましい。被調整回路内の第2の追加の構成要素(追加の構成要素46または追加の構成要素48のいずれかであり得る)は、容量性であることが好ましい。さらにより好ましくは、両方の追加の構成要素46および48が被調整回路22内に存在し、両方の追加の構成要素が容量性である。
【0185】
〔5.2.3 力率改善〕
また、誘導電力伝送送信機35は、被調整回路22がインバータサブ回路14から供給される電力の力率を改善してインバータサブ回路14の電力効率を改善することができるように配置された複数の構成要素を備える被調整回路22を有することが望ましい。被調整回路22の第1の一般的な実施形態において力率を改善するために使用される技術は、第2の一般的な実施形態にも適用される。
【0186】
〔5.2.4 送信コイル電流の制御〕
被調整回路22の第1の一般的な実施形態に関して説明したのと同じ理由で、誘導電力伝送送信機35が、可変コンデンサである第1の追加の構成要素44を備える被調整回路22を有することも望ましい。
【0187】
〔5.2.5 電流安定性の改善〕
インダクタをコンデンサ51aおよび/またはコンデンサ51bと直列に配置する(この一般的な実施形態では、コンデンサ51aおよび/または51bを含む分岐に沿った正味容量性インピーダンスを確保しながら。)ことも好ましい。コンデンサ51aおよび/または51bを有する直列インダクタは、動作安定性を改善するために電流変化率を制限する。
【国際調査報告】