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特表2024-515314速溶性ゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】速溶性ゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材
(51)【国際特許分類】
   A61L 31/04 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61L31/04 120
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565574
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 KR2021013153
(87)【国際公開番号】W WO2022244921
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】10-2021-0063534
(32)【優先日】2021-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523402095
【氏名又は名称】エンゲイン カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ENGAIN CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】C-201,700 Daewangpangyo-ro,Bundang-gu,Seongnam-si Gyeonggi-do 13488,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】コ、ヨン グク
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジェ ウォン
(72)【発明者】
【氏名】クォン、グ ホン
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AB13
4C081AC10
4C081BA16
4C081BB01
4C081CC05
4C081CD151
4C081DA11
4C081DA13
4C081DB02
(57)【要約】
【課題】ゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材を提供すること。
【解決手段】ゼラチン粒子を含む塞栓材は、血管に注射して血管内塞栓した後、速やかに溶解することにより、筋骨格系の疼痛を緩和または治療することができる。ゼラチン粒子を含む塞栓物質は、筋骨格系疾患に起因する慢性疼痛に罹患している患者の筋骨格系部位の疼痛を緩和または治療するための医療分野および製薬産業における塞栓材として有用に使用できる。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチン粒子を含む
ことを特徴とする筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項2】
前記ゼラチン粒子は、平均直径が10μm~1000μmである
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項3】
前記ゼラチン粒子は、化学的架橋または熱架橋されている
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項4】
前記ゼラチン粒子は、ホルムアルデヒド(formaldehyde)、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)、ジアルデヒド澱粉(dialdehyde starch)、エポキシ化合物(epoxy compound)、グルタルアルデヒドグリオキサール、グリオキサール、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、ジアセトアルデヒドPEG、スクラルアルデヒド(scleraldehyde)、ジエチルスクアラート、エピクロロヒドリン、ゲニピン(genipin)、タンニン(tannin)、フェニルプロパノイド、カテキン、レスベラトロール、フラボノイド、およびイソフラボノイドからなる群から選択される1種以上の架橋剤で架橋されたものである
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項5】
前記ゼラチン粒子は、水性媒体への溶解度が、溶解開始後48時間で50%以上である
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項6】
前記筋骨格系部位は、膝、肩、首、肘、手首、足首、手指、および足指からなる群から選択される1つ以上の部位である
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項7】
前記ゼラチン粒子を血管に投与して血管内で塞栓を起こし、筋骨格系の疼痛を緩和または治療する
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項8】
血管に投与するゼラチン粒子の平均投与量は、10mg~500mgである
請求項7に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項9】
前記血管は、大腿動脈、橈骨動脈、鎖骨下動脈、および上腕動脈からなる群から選択される1つである
請求項7に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。
【請求項10】
前記筋骨格系の疼痛は、6ヶ月以上の期間にわたって持続しているものである
請求項1に記載の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋骨格系疼痛の緩和または治療用の塞栓材に関し、さらに詳しくは、速溶性ゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材に関する。
【背景技術】
【0002】
患者は、様々な筋骨格系疾患による慢性疼痛の治療を求めることが多い。慢性疼痛の病態生理学はまだ明確に確立されていないが、様々な仮説が研究され、種々の治療オプションが推奨されている。治療の主な目的は、痛みのある関節、腱、膝周辺の皮膜炎、肩、尻、肘、手首、足首、手指、足指などの疼痛部位の疼痛を和らげ、炎症を軽減することである。保存的治療の例としては、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、コルチコステロイド注射、体外衝撃波療法(Extracorporeal Shock Wave Therapy、ESWT)などがある。しかし、場合によっては、回復に長い時間がかかったり、保存的治療にもかかわらず回復しなかったりすることもある。保存的治療が奏功しない場合は、施術や手術が唯一の治療選択肢となる。
【0003】
経カテーテル動脈塞栓術(Transcatheter arterial embolization、TAE)および経カテーテル動脈微小塞栓術(transcatheter arterial micro embolization、TAME)は、自然治療や保存的治療に反応しない慢性疼痛患者のための新しい治療オプションであり、外科的治療の前に選択肢として考慮できる。筋骨格痛のメカニズムに関するいくつかの以前の研究では、異常に発達した新生血管とそれに付随する神経が痛みや炎症の原因である可能性があることが示唆されている。このような異常な新生血管の塞栓術は、炎症に関連する細胞やサイトカインの流入を減少させることで炎症を軽減することができる。また、このような塞栓術は、新生血管に沿って成長すると共に随伴する感覚神経の成長も抑えることができる。したがって、一部の医療センターではTAEの結果を報告している。
【0004】
これまでの研究では、塞栓物質としてイミペネム・シラスタチンナトリウム(IPM/CS:imipenem/cilastatin)が用いられており、IPM/CSを用いたTAEは高い成功率を示している。IPM/CSは好気性、嫌気性、グラム陽性菌およびグラム陰性菌に対して幅広いスペクトル活性を示すことから、抗生物質としてアメリカ食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)に承認されている。IPM/CSは溶解時間が速い(約1時間)ため、TAE中に一時的な塞栓物質として使用することができる。慢性疼痛に対するTAEでは、IPM/CSを異常な新生血管に注入し、標的血管の一時的な閉塞を誘導する。しかし、IPM/CSはもともと抗生物質として作られたため、塞栓剤としては承認されていない。
【0005】
ゼラチンスポンジ粒子やミクロスフェアなどの従来の塞栓物質は長い間使用されており、その安全性と有効性は十分に研究されてきた。これまで使用したゼラチンスポンジは、精製された皮膚ゼラチンで作られた生物学的物質であった。それは主に血管インターベンション施術中に一時的な塞栓物質として使用され、溶解するのに約4週間かかる。韓国特許登録第10-1613403号は、ゼラチン薬物送達ビヒクルの製造方法を開示しており、前記ゼラチン薬物送達ビヒクルは、リン酸緩衝生理食塩水(Phosphate-Buffered Saline、 PBS)またはリン酸緩衝液(Phosphate Buffer、PB)を含み、ゼラチンと肝癌治療剤とがイオン結合されている。
【0006】
このような従来のゼラチン粒子はIPM/CSに比べて溶解に時間がかかるため、TAE及びTAMEに適用して慢性疼痛を治療するためには、溶解速度の速い新しいゼラチンベースの塞栓材の開発が必要である。すなわち、TAE及びTAMEゼラチン粒子の溶出速度に関連する新しい物理化学的性質を導入し、様々な筋骨格系疾患に伴う慢性疼痛の緩和や治療に効果的であり、人体に安全な速溶性塞栓材の開発が必要なのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1613403号 (2016.04.11)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Miyayama S,Yamakado K,Anai H,Abo D,Minami T,Takaki H,et al. Guidelines on the use of gelatin sponge particles in embolotherapy(塞栓療法におけるゼラチンスポンジ粒子使用のガイドライン).Japanese Journal of Radiology 2014;32:242-250 (2014.02.08)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、速溶性ゼラチン粒子をTAE及びTAMEに適用して、様々な筋骨格系疾患に伴う慢性疼痛に長期間罹患している患者に対して、筋骨格系部位の微小血管に塞栓術を行うことにより、疼痛を速やかに緩和・治療するために、溶解時間が速く、塞栓術に有効であり、人体に安全な筋骨格系の慢性疼痛の緩和または治療用の塞栓材を提供することである。
【0010】
本発明が解決しようとする技術課題は、上記の技術的課題に限定されるものではなく、言及されていない他の技術的課題は、以下の記載から、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を達成するために、本発明の一側面によれば、ゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材が提供される。
【0012】
一態様において、前記ゼラチン粒子は、平均直径が10~1000μmであってもよい。
【0013】
一態様において、前記ゼラチン粒子は、化学的架橋または熱架橋されていてもよい。
【0014】
一態様において、前記ゼラチン粒子は、ホルムアルデヒド(formaldehyde)、グルタルアルデヒド(glutaraldehyde)、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、NHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)、ジアルデヒド澱粉(dialdehyde starch)、エポキシ化合物(epoxy compound)、グルタルアルデヒドグリオキサール、グリオキサール、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、ジアセトアルデヒドPEG、スクラルアルデヒド(scleraldehyde)、ジエチルスクアラート、エピクロロヒドリン、ゲニピン(genipin)、タンニン(tannin)、フェニルプロパノイド、カテキン、レスベラトロール、フラボノイド、およびイソフラボノイドからなる群から選択される1種以上の架橋剤で架橋されたものであってもよい。
【0015】
一態様において、前記ゼラチン粒子は、水性媒体への溶解度が、溶解開始後48時間で50%以上であってもよい。
【0016】
一態様において、前記筋骨格系部位は、膝、肩、首、肘、手首、足首、手指、および足指からなる群から選択される1つ以上の部位であってもよい。
【0017】
一態様において、前記ゼラチン粒子を血管に投与して血管内で塞栓を起こし、筋骨格系の疼痛を緩和または治療することができる。
【0018】
一態様において、血管に投与するゼラチン粒子の平均投与量は、10mg~500mgであってもよい。
【0019】
一態様において、前記血管は、大腿動脈、橈骨動脈、鎖骨下動脈、および上腕動脈からなる群から選択されてもよい。
【0020】
一態様において、前記筋骨格系部位の疼痛は、6ヶ月以上の期間にわたって持続しているものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、経カテーテル動脈塞栓術(TAE)や経カテーテル動脈微小塞栓術(TAME)により、筋骨格系疾患に起因する慢性疼痛を有する患者の血管に速溶性ゼラチン粒子を注入すると、大きな副作用を伴わずに疼痛の有意な軽減が確認され、高い技術的成功率でTAEによる慢性疼痛の緩和や治療が安全かつ効果的に行えることが見出された。
【0022】
したがって、本発明のゼラチン粒子を含む塞栓材は、保存的治療に不応な慢性筋骨格系疾患に伴う疼痛の緩和または治療のための、医療分野および製薬産業における筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材として有用に使用することができる。
【0023】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載された発明の構成から推論可能なすべての効果を含むものと理解される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】右膝の疼痛と膝関節の外側面および内側面の疼痛を呈した65歳女性の膝血管の造影写真であり、当該患者は膝のレントゲン撮影に基づき、Kellgren-Lawrenceグレード2の変形性膝関節症と診断された。右総大腿動脈は前方に穿刺し、表在性大腿動脈造影を行った。
図2】右膝関節の血管造影写真であり、右膝関節の側面(矢印)の外側下行動脈に由来する異常増生が観察された。
図3】マイクロカテーテルを用いて選択し、1.2mLの速溶性ゼラチン粒子を用いて塞栓した血管の血管造影写真である。
図4】内側の膝関節においてさらなる異常増生が確認された血管造影写真であり、(a)下行膝動脈を選択し、(b)2.2mLの速溶性ゼラチン粒子を用いて塞栓術を行った。
図5】塞栓術を受けた患者の膝関節血管造影写真であり、最終血管造影中に右膝関節(矢印)に異常増生は観察されなかった。患者のベースラインVASスコアは8点であったが、処置直後には2点に減少し、VAS(visual analog scale)スコア4点の痛みが約24時間続いたと報告された。その後、6ヶ月の追跡評価までVASスコアは2点を維持した。
図6】平均VASスコアの経時的変化を示した図である。この研究では、33人の患者全員に6ヶ月の追跡期間があった。ベースライン時、経カテーテル動脈塞栓術(TAE:Transcatheter arterial embolization)直後、TAE1日後、1週間後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後の平均VASスコアは、それぞれ6.67、3.09、4.64、2.67、2.30、2.24、2.27であった(ベースライン対TAE直後、TAE直後対TAE1日後のP<0.05)。
図7】熱架橋条件選択時のゼラチン粒子の分散液を目視で確認した結果である。
図8】熱架橋条件選択時のゼラチン粒子の分散液を顕微鏡で観察した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、ゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材を提供する。筋骨格系の疼痛の場合、異常に発達した新生血管と筋骨格系に付随する神経が痛みや炎症の原因となっている可能性がある。したがって、このような異常な新生血管の塞栓術は、炎症に関連する細胞やサイトカインの流入を減少させることで炎症を軽減することができる。本発明の筋骨格系部位の疼痛の緩和または治療用の塞栓材は、痛みを伴う血管部位にゼラチン粒子を投入して塞栓を形成することにより、痛みを調節する治療過程に使用される塞栓用材料である。
【0026】
この場合、前記ゼラチン粒子の素材であるゼラチンは、水分と接触した際に、一定時間、固体状態やゲル状態を維持して血流等の液体の移動を防止することができるゼラチン素材であれば制限なく使用することができ、好ましくは、哺乳類由来のゼラチンまたは魚類由来のゼラチンであり得る。前記ゼラチンの重量平均分子量は、15,000~約400,000、好ましくは30,000~300,000、より好ましくは50,000~200,000、最も好ましくは65,000~100,000であり得る。本発明で使用される前記ゼラチンは、哺乳類のコラーゲンまたは魚類のコラーゲンから得ることもでき、必要に応じて商業的に入手することもできる。
【0027】
本発明においては、従来の塞栓術に使用されるゼラチン粒子の中でも、特に特定の粒子サイズのゼラチン粒子を、特定の筋骨格系部位の末梢血管に使用した場合、迅速な時間内に塞栓を引き起こし、その後溶解し、長期間にわたる治療不能な筋骨格系部位の疼痛を効果的に緩和することを確認した。このため、本発明で使用するゼラチン粒子は、関節部位などの微小血管に投入され、迅速な時間内に固化またはゲル化された後、溶解できる大きさを有する。好ましくは、本発明においてゼラチン粒子の平均粒子径は10~1000μm、より好ましくは20~800μm、30~500μm、40~300μm、50~150μmなどであり、最も好ましくは80~100μmであってもよい。
【0028】
一態様において、前記ゼラチン粒子は、架橋剤を使用して架橋結合されてもよく、前記架橋は、化学的架橋または熱架橋であってもよい。化学的架橋の場合、架橋剤は、ホルムアルデヒド(formaldehyde)、グルタルアルデヒド (glutaraldehyde)、EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)、(単独またはNHS(N-ヒドロキシスクシンイミド)と一緒に使用される)、ジアルデヒド澱粉(dialdehyde starch)、エポキシ化合物(epoxy compound)、グルタルアルデヒドグリオキサール、グリオキサール、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、トリポリリン酸ナトリウム(STPP)、ジアセトアルデヒド、スクラルアルデヒド(scleraldehyde)、ジエチルスクアラート、エピクロロヒドリン、ゲニピン(genipin)、タンニン類(tannins)、フェニルプロパノイド類、カテキン類、レスベラトロール、フラボノイド類(ケルセチンなど)、およびイソフラボノイド類(イソフラボンなど)から選択される1種以上であってもよいが、これらに限定されるものではない。熱架橋時の架橋結合は、120℃以上、好ましくは130℃以上の温度で行われてもよい。
【0029】
本発明において、前記ゼラチン粒子の迅速な溶解と速溶性は、虚血性疼痛の発生と持続時間を減少させることができる。このため、前記ゼラチン粒子の水性媒体への溶解度は、溶解開始後48時間で50%以上、好ましくは48時間で80%以上、より好ましくは48時間で98%以上、さらに好ましくは24時間で92%以上、48時間で98%以上、最も好ましくは30分で87%以上、3時間で89%以上、24時間で92%以上、48時間で98%以上を満足する溶解度であってもよい。前記ゼラチン粒子の水性媒体への溶解度は、水性媒体である水、生理食塩水、血液、血清、およびその他の人体に使用可能な水性媒体への溶解度を意味し得る。
【0030】
本発明の前記塞栓材は、筋骨格系部位に発生した痛みを緩和または治療するものであり、前記筋骨格系部位は、膝、肩、首、肘、手首、足首、手指、および足指からなる群から選択される1つ以上の部位であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0031】
一態様において、前記ゼラチン粒子は血管内に投与され、血管に塞栓を引き起こして筋骨格系部位の疼痛を緩和または治療することができる。このため、血管に投与するゼラチン粒子の平均投与量は、好ましくは10~500mg、より好ましくは50~400mg、最も好ましくは100~300mgであってもよい。前記血管は、静脈、動脈、毛細血管などの血液循環系の構成要素であってもよい。前記血管は、大腿動脈、橈骨動脈、鎖骨下動脈および上腕動脈からなる群から選択されてもよいが、これらに限定されるものではない。
【0032】
IPM/CSは塞栓物質として使用されてきた。筋骨格系疾患の痛みに関連するTAEでは、微小球が塞栓物質として使用されてきた。IPM/CSは造影剤と混合され、一時的な塞栓効果を引き起こす可能性がある結晶粒子を形成する。IPM/CSは血管内に一時的な塞栓効果を生じさせても24時間以内にほぼ完全に溶解するが、もともと抗生剤として作られたものであるため、まだ塞栓物質として承認されていない物質である。IPM/CSとは異なり、ゼラチン粒子は血管塞栓術のための塞栓物質として長い間使用されてきたので、その利便性、有用性及び安定性が確認された物質である。これにより、本発明では、経カテーテル動脈塞栓術(Transcatheter arterial embolization、TAE)および経カテーテル動脈微小塞栓術(transcatheter arterial micro embolization、TAME)にゼラチン粒子を使用するが、従来の主に使用されているゼラチン粒子はIPM/CSと比較して溶解時間が長い(通常7~28日)ため、IPM/CSと同様の効果を得るために、より迅速に溶解するゼラチン粒子を使用する。すなわち、本発明の一実施形態に使用される新規な速溶性ゼラチン粒子は、筋骨格疾患の疼痛緩和のための塞栓術と呼ばれることもある経カテーテル動脈微小塞栓術(Transcatheter arterial Micro-embolization、TAME)に使用される粒子である。本発明の一実施形態で使用される速溶性ゼラチン粒子は、粒子径が50~150μm(平均90μm)であり、溶解度が30分で87%、3時間で89%、24時間で92%、48時間で98%であった。この研究では、術後6ヶ月での技術的成功率は100%、臨床的成功率は75.76%であった。この臨床的成功率は、塞栓物質としてIPM/CSを使用した過去の研究で報告された平均率と類似している。
【0033】
本発明では、前記ゼラチン粒子を血管内に投与して塞栓を引き起こすことにより、疼痛部位に発達した新生血管に沿って成長する感覚神経の成長を抑制することにより、筋骨格系部位の疼痛を緩和または治療することができる。
【0034】
一態様において、前記筋骨格系部位の疼痛は、慢性疼痛、特に、6ヶ月以上持続している慢性疼痛である可能性があるが、これに限定されない。様々な保存的治療で疼痛が改善されず、6ヶ月以上持続している疼痛が報告され、施術前に行える他の治療を希望する患者に、本発明のゼラチン粒子を含む、筋骨格系部位の疼痛治療用塞栓材を投与し、疼痛の緩和または治療の効果の有無を確認した。
【0035】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0036】
<実施例>
1.ゼラチン粒子の製造
(1)化学的架橋
[ホルムアルデヒド溶液(FA)の製造]
1)50mLの蒸留水を、マイクロピペットを用いて50mLの遠心分離チューブに入れた。
2)88μLの蒸留水を減らし、36~38%ホルムアルデヒド溶液88μLを添加した。
3)溶液を11.75mLずつ小分けして使用した。
【0037】
[ゼラチン粒子(IPZA)製造]
1)ゼラチンを蒸留水に溶かした。(ゼラチン7g、蒸留水100mL)
-蒸留水の量はマスシリンダーで測定した。
-温度を確認した(50℃)。
2)ゼラチン溶液を1Lビーカーに移し、温度の低下を確認した。
-温度を確認した(40℃)。
3)ゼラチン溶液の温度が40℃に達した時点で、予め作っておいたFA溶液を添加した。
4)攪拌機を用いて攪拌した。(最も強く7分間)
5)ゼラチンフォームを皿に移し、すぐに冷凍庫に入れた。(-50℃、40時間)
6)凍結したゼラチンフォームを凍結乾燥させた。
7)凍結乾燥したゼラチンフォームを粉砕した。
8)粉砕したゼラチン粒子を、ふるいを用いて分画した。
【0038】
(2)熱架橋によるゼラチン粒子の製造
1)ゼラチン(160~175bloom)7g+蒸留水100mLを用意し、ホットプレート(hot plate)上で攪拌しながら溶かした。
2)ゼラチンが完全に溶けたら、ビーカー(1L)に移し、ゼラチン溶液が40℃になるまで待った。
3)40℃のゼラチン溶液を7分間ホイップ(whipping)した。
4)ゼラチンフォームを皿に移し、冷凍した。(1日)
5)凍結乾燥を行った。(3日間)
6)凍結乾燥したGSP(gelatin sponge particles、ゼラチンスポンジ粒子)を取り出し、ビーカーに入れ、埃が入らないようにキムテック(KIMTECH)で開口部を覆った。
7)オーブン温度(135℃)を調整し、温度が一定になったら(2時間30分所要)、ビーカーに入れたGSPを素早く投入した。
8)真空ポンプを作動させた(真空ポンプのスイッチを入れた時から24時間)
9)GSPを取り出し、室温で冷却した。
10)粉砕を行った。
11)ふるい分け機(sieving machine)を用いて分画(sieving)した。(ふるいにかけた後に残ったものを集め、再度ふるいにかけると収率が上がる)
12)ブリスター(blister)包装を行った。
13)ガンマ線滅菌を行った。
【0039】
(3)熱架橋条件の選択
熱架橋温度は135℃とし、分散安定性試験およびゼラチン粒子の顕微鏡観察を、以下のように行った。
【0040】
[分散安定性試験]
塞栓術施術のために「生理食塩水+造影剤」と混合しても溶けずに安定して分散できるゼラチン粒子を製造するために、ゼラチン粒子の熱架橋製造時の温度及び時間を比較分析した。その結果を下記表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
[ゼラチン粒子の顕微鏡観察]
生理食塩水:造影剤(1:1)液にゼラチン粒子(Lot:190523)を10mg/mLの濃度になるように溶解し、分散した結果を目視および顕微鏡で観察した。ゼラチン粒子の製造条件を下記表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
ゼラチン粒子分散液の目視観察の結果を図7に、顕微鏡観察の結果を図8に示した。
【0045】
図7に示すように、熱架橋法で作製した試料1、2、3、4と市販の「EGgel S PLUS(株式会社エンゲイン社、韓国)」塞栓材製品5の溶解性を比較分析したところ、試料1,2,3は生理食塩水と造影剤の混合液と混合しても分散せずに溶解する結果が目視で確認されたが、試料4、5は溶解せずにスポンジ構造を維持したまま分散している結果が確認された。
【0046】
また、図8に示すように、試料1、2、3、4及び5を生理食塩水と造影剤の混合液に混合した後、混合液を光学顕微鏡で確認したところ、試料1、2、3は生理食塩水と造影剤の混合液に混合してもほとんど溶解してスポンジ構造の粒子を維持していない結果が確認されたが、試料4、5は溶解せずに分散してスポンジ構造が確認された。
【0047】
2.塞栓術の施術
(1)患者
この研究では、筋骨格系疾患患者に対してTAEを行った。この研究に組み入れられた患者は、様々な保存的治療で疼痛が改善されず、6ヶ月以上続く疼痛が報告され、施術前に行える他の治療を希望していた。
【0048】
この後方視的研究は、施設検討委員会の承認後、3次治療センターで実施された。すべての患者は、代替治療としてTAEを受けるためにインフォームドコンセントを提供した。
【0049】
施術を受けた患者はすべて18歳以上の成人で、6ヶ月以上の筋骨格系疾患による慢性疼痛(VASスコア5点以上)を有していた。筋骨格系疾患の診断には、症状およびX線撮影、超音波検査、MRI(磁気共鳴画像)などの画像検査の結果を用いた。
【0050】
診断名には、変形性膝関節症(OA)、外側および内側上顆炎(epicondylitis)、癒着性関節包炎(adhesive capsulitis)が含まれていた。患者は、薬物療法(NSAID)、コルチコステロイド注射、理学療法、ESWTなどの保存的治療(6ヶ月以上)に反応しない慢性疼痛を訴えたため、疼痛緩和のためにTAEを希望した。年齢が18歳未満であること、疼痛部位に感染症があることは除外した。患者の選択は、インターベンショナルラジオロジストと整形外科医との共同協力による集学的アプローチで行われた。
【0051】
この研究では、2019年8月から2020年1月にかけて29人の患者(33例)が登録された。慢性膝の痛み(OA23例)、肘の痛み(外側上顆炎4例、内側上顆炎5例)、肩の痛み(癒着性関節包炎1例)を改善するために行われた。患者は男性16例、女性17例で、平均年齢は60±10.9歳(範囲、37~80歳)であった。症状の平均持続期間は29.6±17.4ヶ月(範囲6~60ヶ月、中央値30ヶ月)であった。これまでに行われた保存的治療には、鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬)の投与、理学療法、コルチコステロイド注射、およびESWTが含まれていた。膝痛を有する患者はすべて、X線撮影またはMRI(磁気共鳴画像)によるKellgren-Lawrenceグレード2または3に相当する軽度から中等度のOAを有していた。
【0052】
(2)塞栓術の手順
動脈アクセスは、総大腿動脈(common femoral artery、CFA)または橈骨動脈(radial artery)を介して行われた。局所麻酔下でCFA経由の5-Frイントロデューサーシース(5-Fr introducer sheath、テルモ、東京、日本)(28例)または橈骨動脈経由の4-Frシース(4-Fr sheath、テルモ)(5例)を用いて、経皮的動脈アクセスを行った。
【0053】
ベースラインの動脈造影は、膝痛のある患者では表在性大腿動脈(図1)を介して、肩または肘痛のある患者では鎖骨下動脈および上腕動脈を介して、4-Frまたは5-Fr血管造影用カテーテル(Glidecath、non-taper angle;テルモ)を用いて行われた。動脈造影では、疼痛部位で新生血管の異常増生が検出された(図2、矢印)。同軸の1.9Frマイクロカテーテル(Tellus;朝日インテック、名古屋、日本)と0.016インチのマイクロガイドワイヤー(Meister;朝日インタック)を用いて、標的部位の対応する動脈を超選択した。このマイクロカテーテルを通して、選択された動脈の流れが著しく遅くなり、ほとんど停滞(stasis)に達するまで、速溶性ゼラチン粒子を還流させることなく注入した(図3および図4のa)。血管造影を再度行い、異常染色がもはやはっきりと見えないことを確認した(図4のbおよび図5)。手順の完了後、CFA用の閉鎖装置(Mynx;Cordis Corporation、ニュージャージー州、米国)または橈骨動脈用の橈骨圧迫装置(PreludeSYNC;Merit Medical Systems、サウスジョーダン、ユタ州、米国)を用いて、穿刺部位の止血を行った。CFAが閉鎖装置で止血された患者は、4時間の絶対安静をとり、穿刺部位に合併症がないことを確認した後、歩行が許可された。橈骨動脈の場合、患者は手首に橈骨圧迫装置を装着して2時間安静にした。患者は希望に応じて、施術当日または入院1日後に退院した。
【0054】
全ての場合に直径50~150μm(平均、90μm)の速溶性ゼラチン粒子(IPZA;エンゲイン社、京畿道、韓国)を使用し、施術時にはIPZA100mg:生理食塩水2mL:造影剤8mLの割合で混合して使用した。物理的特性試験の結果、生理食塩水に対する前記速溶性ゼラチン粒子の溶解度は、30分で87%、3時間で89%、24時間で92%、48時間で98%であった。速溶性ゼラチン粒子は、蛍光透視検査および送達中に視覚化できるように、複数のチューブを用いたポンピング法により、通常の生理食塩水およびヨード造影剤(Visipaque;GE Healthcare、Little Chalfont、英国)と混合された。
【0055】
(3)評価及びフォローアップ
患者の臨床情報、画像データ、電子記録、写真保存、および通信システムに報告された手順をレビューした。痛みのある部位の少なくとも1つの提供対象動脈が選択的に塞栓されたことを技術的成功と定義した。
【0056】
痛みの程度は10点の視覚アナログ尺度(VAS)を用いて記録され、0は痛みなしを示し、10は最大痛みを示す。VASスコアは、ベースライン時、施術直後、施術1日後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後に評価した。臨床的成功は、VASスコアがベースライン値から50%以上減少したことと定義された。副作用は、施術中または施術後に評価され、治療部位の皮膚色の変化、穿刺部位の血腫、筋力低下、感覚異常、および、ヨード造影剤に対するアレルギー反応を含み、これらを調査して記録した。
【0057】
(4)統計分析
カテゴリー変数は百分率で示し、連続変数は平均値および標準偏差で示した。ウィルコクソンの符号順位検定(Wilcoxon signed-rank test)は、ベースラインと逐次フォローアップVASスコアの比較に使用した。Studentのt検定(Student’s t-test)は、施術後の経時的なVASスコアの変化を分析するために使用した。P<0.05を統計的に有意であるとみなした。すべての統計分析は、SPSSソフトウェア(バージョン17.0;SPSS、シカゴ、イリノイ州、米国)を用いて行った。
【0058】
3.結果
技術的成功率は100%(33/33)であった。すべての手順に速溶性ゼラチン粒子を使用し、使用した塞栓材の平均量は4.3±1.9mL(ゼラチン粒子100mg:生理食塩水2mL:造影剤8mL基準)であった。1回の塞栓術における平均動脈数は1.8±0.8であった。
【0059】
追跡期間は33人の患者全員で6ヶ月であった。ベースライン時、TAE直後、TAE1日後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後の平均VASスコアは、それぞれ6.67、3.09、4.64、2.67、2.30、2.24、2.27であった(ベースライン対TAE直後、TAE直後対TAE1日後のP<0.05、図6)。VASスコアが半分以下に減少した臨床的成功率は、術後6ヵ月で75.76%(24/33)であった。全体の平均疼痛スコアは、追跡期間中に徐々に減少した。しかし、33例中18例では、痛みが術直後よりも術後数時間後に悪化していた。痛みは平均24~48時間続いた後、改善された。研究に参加した患者の術前のベースラインVASスコアの平均は6.67点であった。平均VASスコアは、術直後に3.09点に減少したが、術翌日には4.64点に有意に増加した(図6)。痛みをコントロールするために鎮痛剤が投与され、1週後の追跡検査前に痛みが改善された。施術後の痛みの位置はすべて、塞栓血管が分布している部位と相関していた。このことから、塞栓術による一時的な虚血性疼痛と考えられた。ゼラチン粒子の迅速な溶解は、虚血性疼痛の発生と持続時間を減らすことができると考えられる。また、ゼラチン粒子が小さいほど、より広範な末梢血管枝を塞栓し、虚血性疼痛を引き起こす可能性がある。
【0060】
塞栓術後の主な副作用は報告されていない。塞栓部位の一時的な紅斑性皮膚反応は22例(66.7%)に、穿刺部位(CFA上の鼠径部)の血腫は3例に発現した。ヨード造影剤に対する軽度のアレルギー反応(皮膚発疹およびかゆみ)が1例観察された。新たな筋力低下や感覚異常の報告はなかった。
【0061】
前述した本発明の説明は、例示のためのことであり、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形可能である。したがって、以上で記述した実施例等は、すべての面において例示的なものであり、限定的なものではない。例えば、単一型として説明されている各構成要素は分散して実施されてもよく、同様に、分散したものと説明されている構成要素も結合された形態で実施されてもよい。
【0062】
本発明の範囲は、後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】