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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】金属粉末の冷却および搬送プロセス
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B22F9/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566510
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 IB2022053845
(87)【国際公開番号】W WO2022229831
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/053521
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボワシエール,バンジャマン
【テーマコード(参考)】
4K017
【Fターム(参考)】
4K017BA06
4K017EB17
4K017EB21
4K017EB27
4K017FA09
4K017FA15
4K017FA21
4K017FA29
(57)【要約】
本発明は、金属粉末製造プロセスに関し、本プロセスは、(i)コンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから金属粒子を排出するステップと、(ii)コンベア内に形成された流動床の形態で金属粒子を同時に冷却および搬送するステップと、を備える。本発明はまた、その設備に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末製造プロセスであって、
(i)コンベヤ(22)内のガスアトマイザ(1)のチャンバ(2)から金属粒子を排出することと、
(ii)コンベヤ内に形成された流動床(24)の形態の金属粒子を、同時に冷却および搬送することと、
を備えるプロセス。
【請求項2】
金属粒子は、ガスアトマイザのチャンバから連続的に排出される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
金属粒子は、コンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから直接排出される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
金属粒子は、ガスアトマイザの複数のチャンバから排出される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ガスアトマイザのチャンバから排出される金属粒子は、300°C未満の温度である、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
コンベヤ内の流動床は、コンベヤ内に空気を注入することによって形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
コンベヤ内の流動床は、コンベヤの少なくとも1つのセクション(37)内に空気を注入することによって、およびコンベヤの少なくとも1つの他のセクション(36)内に不活性ガスを注入することによって形成される、請求項1または5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
コンベヤ内の流動床は発泡流動床である、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
コンベヤ内の金属粒子は150°C未満に冷却される、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
排出ステップの前に、金属粒子は、金属粒子の発泡流動床(15)を形成するために、チャンバの底部からガスを注入することによりチャンバの下部セクションで第1の冷却ステップを受ける、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
設備であって
チャンバ(2)を備えるガスアトマイザ(1)と、
アトマイザのチャンバに接続されたコンベヤ(22)であって、ガスを循環させるための下部ダクト(25)と、粉末材料を循環させるための上部ダクト(26)と、下部ダクトと上部ダクトとを実質的に全長にわたって分離する多孔質壁(27)と、下部ダクト上に配置された流動化ガス入口(29)と、チャンバから排出される金属粒子を流動化し、冷却し、搬送するために流動化ガス入口に結合された流量調整器(28)と、を備えるコンベヤ(22)と、
を備える設備。
【請求項12】
下部ダクトは2つの別個のセクションを備え、各セクションは、それ自体の流動化ガス入口(29)および流量調整器(28)を有する、請求項11に記載の設備。
【請求項13】
上部ダクト(26)は2つのセクションを有し、2つのセクションは、下部ダクトのセクションに対して実質的に垂直に配置され、上部ダクトの上部部分に横方向に配置されたガスダム(33)によって分離される、請求項12に記載の設備。
【請求項14】
コンベヤは、オーバーフロー部(19)の下部部分によってアトマイザのチャンバ(2)に接続され、上部ダクト(26)の1つのセクションは、オーバーフロー部の下部部分を含む、請求項13に記載の設備。
【請求項15】
複数のガスアトマイザ(1)と、複数のガスアトマイザのチャンバ(2)に接続された1つの単一のコンベヤ(22)と、を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の設備。
【請求項16】
コンベヤは、複数の分岐部を備え、各分岐部は、ガスアトマイザの少なくとも1つのチャンバに接続されている、請求項15に記載の設備。
【請求項17】
ガスアトマイザ(1)は、チャンバの底部(7)に配置されたガスインジェクタ(6)と、流量調整器(9)であって、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床(15)を形成するための、ガスインジェクタに結合された流量調整器(9)と、をさらに備える、請求項11~16のいずれか一項に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスアトマイゼーションによって金属粉末、特に積層造形法用の鋼粉末の製造方法に関する。本方法は、特に、アトマイザ内で形成された金属粉末の冷却および搬送に関し、より詳細には、金属粉末の連続冷却および搬送に関する。本発明はまた、金属粉末製造設備に関し、特に、金属粉末を冷却しかつ搬送するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形法のための金属粉末に対する需要が高まっており、製造プロセスを結果的に適合させなければならない。
【0003】
特に、金属材料を溶融し、アトマイザに接続されたタンディッシュに溶融金属を注ぐことが知られている。溶融金属は、制御された雰囲気下でチャンバ内のノズルを通って押し出され、ガスのジェットによって衝突され、ガスのジェットは溶融金属を微細な金属液滴にアトマイズする。後者は、チャンバの底部に落下し、溶融金属が完全にアトマイズされるまでそこに蓄積する微粒子に固化する。次いで、粉末は、あまり急速に酸化することなく空気と接触され得る温度に達するまでアトマイザ内で冷却される。次いで、アトマイザを開けて粉末を収集し、これをプロセスの次のステップに搬送する。このような冷却は、大量の金属粉末を製造する必要性に適合しない長いプロセスである。搬送も改善されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、金属粉末を効率的に冷却しかつ搬送するためのプロセスを提供することによって、従来技術の設備およびプロセスの欠点を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明の第1の主題は、金属粉末製造プロセスから成り、本プロセスは、
(i)コンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから金属粒子を排出することと、
(ii)コンベヤ内に形成された、流動床の形態の金属粒子を同時に冷却および搬送すことと、
を備える。
【0006】
本発明によるプロセスはまた、以下に列挙される任意選択の特徴を有してもよく、それらは個別にまたは組み合わせて考慮される。
金属粒子はガスアトマイザのチャンバから連続的に排出され、
金属粒子はコンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから直接排出され、
金属粒子はガスアトマイザの複数のチャンバから排出され、
ガスアトマイザのチャンバから排出される金属粒子は300°C未満の温度であり、
コンベヤ内の流動床は、コンベヤ内に空気を注入することによって形成され、
コンベヤ内の流動床は、コンベヤの少なくとも1つのセクション内に空気を注入することによって、およびコンベヤの少なくとも1つの他のセクション内に不活性ガスを注入することによって形成され、
コンベヤ内の流動床は発泡流動床であり、
コンベヤ内の金属粒子は150°C未満に冷却され、
排出ステップの前に、金属粒子は、金属粒子の発泡流動床を形成するようにチャンバの底部からガスを注入することによってチャンバの下部セクションにおいて第1の冷却ステップを受ける。
【0007】
本発明の第2の主題は、設備から成り、設備は、
チャンバを備えるガスアトマイザと、
アトマイザのチャンバに接続されるコンベヤであって、ガスを循環させるための下部ダクトと、粉末材料を循環させるための上部ダクトと、下部ダクトと上部ダクトとを実質的にそれらの全長にわたって分離する多孔質壁と、下部ダクト上に配置された流動化ガス入口と、チャンバから排出される金属粒子を流動化し、冷却し、搬送するために流動化ガス入口に結合された流量調整器と、を備えるコンベヤと、
を備える。
【0008】
本発明による設備はまた、以下に列挙される任意選択の特徴を有してもよく、それらは個別にまたは組み合わせて考慮され、
下部ダクトは2つの別個のセクションを備え、各セクションは、それ自体の流動化ガス入口および流量調整器を有し、
上部ダクトは、下部ダクトのセクションに対して実質的に垂直に配置され、上部ダクトの上部部分に横方向に配置されたガスダムによって分離された2つのセクションを有し、
コンベヤは、オーバーフロー部の下部部分によってアトマイザのチャンバに接続され、上部ダクトの1つのセクションはオーバーフロー部の下部を収容し、
設備は、複数のガスアトマイザと、複数のガスアトマイザのチャンバに接続された1つの単一のコンベヤと、を備え、
コンベヤは複数の分岐部を備え、各分岐部はガスアトマイザの少なくとも1つのチャンバに接続され、
ガスアトマイザは、チャンバの底部に配置されたガスインジェクタと、流量調節器であって、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床を形成するためにガスインジェクタに結合された流量調整器と、をさらに備える。
【0009】
明らかなように、本発明は、アトマイザチャンバから排出された粉末を同時に冷却しかつ搬送するための流動床の技術に基づく。流動床がアトマイザの下部セクションにも追加される場合、流動化粉末は、アトマイゼーションプロセスを中断することなくアトマイザから連続的に排出され、次いでその流動状態を中断することなく同時に冷却および搬送されることができる。
【0010】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明においてより詳細に説明される。
【0011】
本発明は、以下の説明を読むことによってよりよく理解されるであろう。以下の説明は、単に説明の目的で提供されており、決して限定的であることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の変形例による2つのアトマイザおよびコンベヤを備える設備を示す図である。
図2】本発明の第2の変形例による2つのアトマイザおよびコンベヤを備える設備を示す図である。
図3】流動化の可能な方式を示す図である。
図4】本発明の変形例によるガスアトマイザを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本出願で使用される「下(lower)」、「真下(beneath)」、「内向き(inward)」、「内向き(inwards)」、「外向き(outward)」、「外向き(outwards)」、「上流(upstream)」、「下流(downstream)」、...という用語は、装置がプラントに設置されるときの装置の異なる構成要素の位置および向きを指すことに留意されたい。
【0014】
図1および図2を参照すると、本発明による設備は、まず第一にガスアトマイザ1およびコンベヤ22を備える。
【0015】
ガスアトマイザ1は、液体金属の流れを高速ガス流と衝突させることによって微細な金属液滴にアトマイズするように設計された装置である。ガスアトマイザ1は、保護雰囲気下に維持された閉鎖チャンバ2から主に構成されている。チャンバは、上部セクション、下部セクション、頂部および底部を有する。
【0016】
チャンバの上部セクションはオリフィスを備え、ノズル3は通常、チャンバ頂部の中心に配置され、そこを通って溶融金属流が押し出される。ノズルは、液体金属の流れに高速でガスを噴射するためのガス噴霧器4によって囲まれている。ガス噴霧器は、加圧ガスが流れる環状スロットであることが好ましい。ガス噴霧器は、好ましくは、ガスを噴射する前にガスの流れおよび/または圧力を制御するためにガス調整器5に結合される。ガス調整器は、圧縮機、ファン、ポンプ、パイプセクション縮小装置、または任意の適切な機器とすることができる。
【0017】
チャンバの下部セクションは、主に、チャンバの上部セクションから落下する金属粒子を収集するためのレセプタクルである。これは通常、チャンバの底部に配置された排出開口部を通る粉末の収集および排出を容易にするように設計されている。したがって、それは通常、逆円錐または逆円錐台形の形態である。
【0018】
コンベヤは、チャンバから排出される金属粒子を流動化し、同時に粒子を冷却して流動床24、好ましくは発泡流動床の形態で搬送するように構成される。この種の搬送および冷却は、必要な換気電力が最小限であり、ダスト排出を防止することができ、連続運転が確保され得るので有利である。
【0019】
図3に示すように、流動化には複数の方式がある。流動化とは、固体粒子を気体や液体に懸濁させて流体状にする操作である。流体速度に応じて、粒子の挙動は異なる。本発明の1つとしての気体-固体系では、流速が増加するにつれて、粒子の床は固定床から最小流動化、発泡流動化、およびスラッギングへ進み、そこで撹拌がより激しくなり、固体の移動がより活発になる。特に、最小流動化を超える流速の増加に伴い、ガスの発泡およびチャネリングによる不安定性が観察される。この段階で、流動床は発泡方式であり、これは、流動床内の固体粒子の改善された循環、急速な冷却、および流動床の均一な温度を有するために本発明にとって好ましい方式である。所与の方式および流動床の所望の温度を得るために適用されるガス速度は、使用されるガスの種類、粒子のサイズおよび密度、多孔質壁によって提供されるガス圧力降下またはコンベヤのサイズなどのいくつかのパラメータに依存する。これは、当業者によって容易に管理されることができる。さらに、発泡方式では、床は、設備を妥当なサイズに保つのに役立つ固体体積を超えて大きく膨張しない。発泡流動床の概念は、Daizo KuniiおよびOctave Levenspielによる「Fluidization Engineering」、第2版、1991年、特にIntroductionの1および2ページに定義されている。
【0020】
発泡流動床のおかげで、金属粒子は、流動床内の粒径の均一な分布を維持しながら、流動床の作業温度まで非常に迅速かつ非常に効率的に冷却される。
【0021】
流動床を形成するために、コンベヤ22は、流動化ガスを循環させるための下部ダクト25と、粉末を循環させるための上部ダクト26と、下部ダクトと上部ダクトとを実質的にそれらの全長にわたって分離する多孔質壁27と、を備える。
【0022】
多孔質壁は、流動化ガスを通過させる。そのような多孔質壁は、ガスが多孔質壁を通過するときに十分な圧力降下があり、上部ダクトの断面全体にわたってガスの均一な分布を確実にするように設計される。多孔質壁は、多重キャンバス布または多孔質耐火物であってもよい。
【0023】
下部ダクトには、流量調整器28に結合された流動化ガス入口29によって流動化ガスが供給される。流動化ガス入口は、流動化ガス入口導管の形態とすることができ、流量調整器はファンの形態とすることができる。流量調整器は、多孔質壁の表面が既知であるため、下部ダクト内に注入されるガスの流れ、したがって上部ダクト内のガスの速度を制御する。したがって、ガス流は、上部ダクト内の金属粒子が流動化されるように調整されることができる。流量調整器がファンである場合、その速度は、下部ダクト内に注入される流動化ガスの流れを制御するように調整される。流量調整器は、ガス源に接続される。ガス源は、新鮮なガスを入れるように設計されたガス入口および/または再循環ガスを供給する導管とすることができる。
【0024】
上部ダクトの断面全体にわたる、ガスのこの均一な分布のおかげで、コンベヤ全体に対してただ1つのファン28が使用されることができる。これにより、設置およびメンテナンスが簡単になる。
【0025】
コンベヤ22は、好ましくは、上部ダクト内の流動化ガス内の圧力が効率的に調整されることができるように、上部ダクト26の頂部に少なくとも1つの圧力バルブ30を備える。圧力バルブは、好ましくは、サイクロンボックス32内に配置されたサイクロン31を介して上部ダクトに接続される。そのようにして、圧力バルブを通って上部ダクトから出る流動化ガスは濾過される、すなわち、流動化ガスの流れによって引き込まれた床の粒子は、ガスから分離され、流動床に落下する。サイクロンボックスは、サイクロン内の粒子の引き込みを最小限に抑えるために、上部ダクト頂部の高さより上方に配置されることが好ましい。
【0026】
好ましくは、コンベヤ22は、上部ダクトの長さに沿って分布された複数の圧力バルブ30を備える。これにより、流動床の上方での流動化ガスの水平循環が制限され、流動床がさらに安定する。より好ましくは、複数の圧力バルブは、ガスダム33と組み合わされる。各ダムは、上部ダクトの上部部分において、かつ2つの連続する圧力バルブ30の間に横方向に配置される。これらのガスダムは、流動床の上方での流動化ガスの水平循環をさらに制限する。
【0027】
コンベヤ22は、その端部の一方に、分級ステーション23および/または袋詰めステーション内の粉末を排出するためのコンベヤオーバーフロー部34を備える。コンベヤオーバーフロー部は、図1に示すように、上部ダクトの端部セクションに設けられ得る。その場合、流動床のレベルがコンベヤのオーバーフロー部のレベルに達するとすぐに、粉末は分級ステーションおよび/または袋詰ステーションに流れる。コンベヤオーバーフロー部は、図2に示すように、コンベヤの端部の上方に配置することもできる。その場合、上向きパイプ35を介して上部ダクトに接続される。この場合のコンベヤからの粉体の排出方法については後述する。この構成は、コンベヤの下方に完全に配置されていない可能性がある分級ステーションおよび/または袋詰めステーションに供給するのに非常に便利である。
【0028】
コンベヤ22を動作させるために、流動化ガスは、コンベヤの下部ダクト25と上部ダクト26とを分離する多孔質壁27の下方に所与の流量で導入される。
【0029】
流動化ガスは、多孔質壁を通って流れ、次いで、アトマイザから排出され、上部ダクト内に置かれ、流動化される層を形成する粒子の間を通過する。粒子間に存在する間隙空間内の流動化ガスの速度が十分に高くなると、直ちに粒子は移動し、次いで持ち上げられ、各粒子は隣接する粒子との恒久的な接触点を失う。このようにして、上部ダクト内に流動床24が形成される。
【0030】
金属粒子の流動床は流体のように挙動するので、それは上部ダクト内で水平のままであり、コンベヤのオーバーフロー部34で流動床をコンベヤから分級ステーションおよび/または袋詰ステーションに排出することによって、コンベヤに沿って粉末の連続的な流れが生成される。コンベヤオーバーフロー部が上部ダクトの端部セクションに設けられている場合、流動床の高さがコンベヤオーバーフロー部の高さに達すると、直ちに連続的な流れが得られる。コンベヤオーバーフロー部が上向きパイプ35によって上部ダクトに接続されている場合、上部ダクト内の流動化ガスの圧力は大気圧よりわずかに高く設定され、それにより、流動床は、コンベヤオーバーフロー部まで、上向きパイプの中を上昇する。例えば、鋼粒子の場合、大気圧に対する過圧は、上向きパイプ1メートル当たり200~600mbarの間に設定されることができる。
【0031】
アトマイザからの粉末の供給が中断された場合、流動床の高さは、コンベヤオーバーフロー部の高さに達するまでコンベヤ内で減少する。この時点で、コンベヤオーバーフロー部を通る流れは停止する。逆に、何らかの理由でコンベヤオーバーフロー部を一時的に閉じなければならない場合、流動床のレベルはコンベヤ内で上昇する。その場合、アトマイザからの粉末の供給は、流動床の高さが上部ダクトの頂部に達した場合にのみ中断されなければならなくなり得る。
【0032】
さらに、このコンベヤによる粉末搬送は、非常に容易にオンおよびオフされることができる。流動化ガスの入口をオン/オフすればよい。
【0033】
コンベヤ22は、好ましくはコンベヤオーバーフロー部から離れてアトマイザ1のチャンバ2に接続される。
【0034】
チャンバは、アトマイゼーションチャンバ、すなわち、溶融金属の流れが高速ガス流と衝突するチャンバとすることができる。これはまた、アトマイゼーションチャンバ内に形成された金属粒子を収集するのに適したガスアトマイザの任意の他のチャンバであってもよい。
【0035】
コンベヤは、アトマイザのチャンバに直接接続することができる。その場合、金属粒子は、チャンバからコンベヤに直接流入する。あるいは、コンベヤはアトマイザのチャンバに間接的に接続されることができる。その場合、金属粒子は、アトマイザからコンベヤに搬送されるときに他の機器および/または容器を通過する。
【0036】
図1および図2に示す本発明の変形例によれば、アトマイザは、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床を形成し、そして金属粒子をコンベヤ内に連続的に排出するように設計されている。
【0037】
図4に詳述されているように、ガスアトマイザはガスインジェクタ6を備え、ガスインジェクタ6は、チャンバの底部に配置され、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化することができ、金属粒子の発泡流動床を生成することができる。この流動床のおかげで、金属粒子は、第1の冷却ステップを効率的に受けて、激しいガス粒子間熱伝達によって、それらの温度を、それらの酸化窓よりも低くすることができる。チャンバの下部セクションに蓄積された金属粒子は、流動床の作業温度に保たれ、チャンバ頂部から落下する高温粒子は、流動床で非常に急速に混合され、作業温度まで冷却される。さらに、この第1の冷却ステップは、保護雰囲気下に維持されるチャンバ内で直接行われるため、金属粒子は、この第1の冷却中に酸化しない。
【0038】
発泡流動床のおかげで、金属粒子は、流動床内の粒径の均一な分布を維持しながら、流動床の作業温度まで非常に迅速かつ非常に効率的に冷却される。
【0039】
本発明の文脈において、「チャンバの底部に配置される」とは、ガスインジェクタ6がチャンバの下部セクションにおいてチャンバの底部7に十分に近接して配置され、その結果、アトマイザ内に形成された実質的にすべての粒子が流動化されることを意味する。初期の非アトマイズ金属流および/または粗粒子から生じる凝固した飛沫は、流動化されず、ガスインジェクタの下、すなわち流動床の下方に落下し得る。チャンバの底部とガスインジェクタとの間の距離は、好ましくは10cm未満、より好ましくは4com未満、さらにより好ましくは1~3cmである。
【0040】
ガスインジェクタ6は、チャンバの底部の粒子が持ち上げられて流動床が形成されるように、チャンバの底部からチャンバの頂部に向かってガスを注入する。
【0041】
ガスインジェクタは、チャンバの底壁に開口部を備えることができる。ガスがこれらの開口部を通して注入されることができ、粉末床を流動化することができる。
【0042】
ガスインジェクタは、チャンバの側壁を貫通するパイプ8を備えることができる。チャンバの内側に配置されたガスインジェクタの部分は、図1に示す例に示すように、底壁の形状に近い距離で追従することができる。
【0043】
ガスインジェクタは、多孔質金属板、焼結金属板またはキャンバスを備えることができる。ガスインジェクタは、好ましくはスパージャを備え、スパージャは、噴射されたガスの分散を提供するために多数の小さな穴が穿孔されたパイプなどの部品である。スパージャは、十分な圧力損失を提供するので、10cm/sを超えるガス速度に好ましい。スパージャは、より好ましくは多孔質スパージャである。この種のスパージャは、数千の小さな孔によって金属粒子の床内のガスの分配を確実にする。
【0044】
各スパージャは、グロメットシール(圧縮取付具)を備えることができ、グロメットシールは、アトマイザが動作している間にスパージャをアトマイザに挿入してアトマイザから取り外すことを可能にする。
【0045】
ガスインジェクタは流量調整器9に結合されている。後者は、ガスインジェクタを通って注入されるガスの流れを制御し、したがってチャンバの断面が既知であるからチャンバ内のガスの速度を制御する。したがって、ガス流は、金属粒子が流動化され、得られた流動床が発泡方式で維持されるように調整することができる。ガス調整器は、ファンの形態であってもよい。ファン速度は、ガスインジェクタを通って注入されるガスの流れを制御するように調整される。流量調整器は、ガス源に接続される。ガス源は、以下に説明するように、新鮮ガスを流入させるように設計されたガス入口10および/または再循環ガスを提供するガス抽出器とすることができる。
【0046】
ガスアトマイザ1は、好ましくは、ガスインジェクタ6およびガス噴霧器4を通るガス注入を補償するためのガス抽出器11を備える。ガス抽出器は、好ましくは、流動床と干渉しないように、および/または気泡の飛散のために流動床の上方の粒子が重力によって床に落下して戻ってガス抽出器に同伴する高速ガス速度領域に到達するように、チャンバの上部セクションに配置される。ガス抽出器は、一方の側でチャンバに接続され、他方の側で除塵手段12に接続された1本のパイプまたは複数本のパイプの形態であってもよい。除塵手段は、抽出されたガスから最も細かい粒子を除去する。それらは、電気フィルタ、バッグフィルタまたはサイクロン分離器を備えることができる。サイクロン分離器は、比較的低い圧力降下を有し、可動部分を有しないので好ましい。
【0047】
好ましくは、ガス抽出器11は、チャンバ内に注入され、ガス抽出器を介して抽出されたガスが再循環されることができるように設計される。その結果、ガス消費が最小限に抑えられる。したがって、ガス抽出器は、好ましくは、ガスインジェクタ6、ガス噴霧器4、またはその両方に接続される。特に、一方の側でチャンバに接続された除塵手段12は、他方の側で、ガス噴霧器4に結合されたガス調整器5に、またはガスインジェクタ6に結合された流量調整器9に、またはその両方に接続される。
【0048】
図4に示す例では、金属をアトマイズするためにチャンバ内に注入されたガスが再循環されるように、金属流にガスを噴射するために、サイクロン分離器の形態の1つの除塵手段12がガス調整器5に接続されている。サイクロン分離器の形態の別の除塵手段12は、粉末床を流動化するために使用されるガスが再循環されるように、チャンバの底部にガスを注入するためにガス調整器5に接続される。どちらの場合も、再循環されるガスを洗浄するためにフィルタが追加されることができる。ガス再循環の他の設計も当然可能である。
【0049】
ガス抽出器11とガスインジェクタ6との間の接続は、好ましくは熱交換器13を備える。その結果、接続部の熱損失がガスを所望の温度に戻すのに十分でない場合、および/または熱回収が所望される場合には、ガスがチャンバ内に注入しなければならない温度まで冷却されることができる。
【0050】
ガス抽出器11とガスインジェクタ6との間の接続はまた、特にガス損失を補償するために、何らかの新鮮なガスをシステムに導入しなければならない場合に備えて、ガス入口10を備えてもよい。
【0051】
ガス抽出器11とガス噴霧器4との間の接続部は、好ましくは熱交換器13を備える。その結果、接続部の熱損失がガスを所望の温度に戻すのに十分でない場合および/または熱回収が所望される場合には、ガスが溶融金属流上に噴射しなければならない温度まで冷却されることができる。
【0052】
ガス抽出器11とガス噴霧器4との間の接続はまた、特にガス損失を補償するために、何らかの新鮮なガスをシステムに導入しなければならない場合に備えて、ガス入口10を備えてもよい。
【0053】
本発明の一変形例によれば、ガスアトマイザは、チャンバの下部セクションに配置された熱交換器14をさらに備える。これは、チャンバと共に形成された発泡流動床15が熱交換器と接触するように配置される。熱交換器は、チャンバ内に少なくとも部分的に配置されることができる、またはチャンバの下部セクションの周りの冷却ジャケットとすることができる。ガスインジェクタ6を通るガスの注入によって運動し続けた固体粒子は、熱交換器と接触し、そこで捕捉された熱を、内部を循環する伝達媒体に放出する。熱交換器内の媒体の流量を調整して、冷却速度を制御することができる。このような熱交換器は、流動床内の粒子の第1の冷却ステップおよび所望の温度での粒子の保持を容易にする。熱交換器はまた、粒子を所望の温度に冷却または維持するために必要なガスの流れを減少させることができる。
【0054】
本発明の一変形例によれば、ガスアトマイザ1は、チャンバの底部の下方に粗粒子収集器16をさらに備える。上記のように、初期の非アトマイズ金属流および/または粗粒子から生じる凝固した飛沫は流動化されず、チャンバの底部でガスインジェクタの下方、すなわち流動床の下方に落下し得る。粗粒子収集器は、アトマイゼーションを中断することなく、アトマイザからのこれらの望ましくない粒子の排出を可能にする。粗粒子収集器は、好ましくはバルブ17および収集チャンバ18を備える。収集チャンバは、第2のバルブを介して可動チャンバに接続されることができる。このようにして、チャンバ内の圧力を損なうことなく可動チャンバが交換されることができる。
【0055】
本発明の1つの変形例によれば、金属粒子が製造され、流動床内で第1の冷却ステップを任意選択的に受けると、金属粒子は、チャンバの底部に配置された排出開口部を通して排出される。これは、排出開口部の技術に応じて、溶融金属のバッチがアトマイズされると、またはアトマイゼーションを中断することなく行うことができる。
【0056】
本発明の別の変形例によれば、ガスアトマイザは、チャンバの下部セクションにオーバーフロー部19を備える。その目的は、チャンバ2から粉末を排出することである。特に、チャンバの下部セクションの流動化粉末は、流動床のレベルがオーバーフロー部19の頂部に到達すると直ちに、連続モードでガスアトマイザから排出されることができる。したがって、アトマイザは連続的に動作されることができる。
【0057】
オーバーフロー部19は、好ましくは、チャンバの下部セクションに少なくとも部分的に延在し、チャンバの底壁7を通過する。それは下降管の形態であってもよい。より好ましくはパイプである。そのセクションは、好ましくは、チャンバから排出される粉末流に適合している。特に、そのセクションは、時間の経過と共にチャンバの下部セクションに粉末の蓄積がないように、ノズルを出る溶融金属流に適合している。アトマイザ内に形成されたより粗い粒子がチャンバの底部に収集される場合、オーバーフロー部のセクションは、好ましくはノズルを出る溶融金属流に適合され、より粗い粒子は取り除かれる。パイプの断面は、金属粉末の均一な排出を促進し、目詰まりを回避するために、好ましくは一定であり、すなわちパイプに沿ってまたはその上端で縮小することがない。本発明の1つの変形例では、オーバーフロー部、または適用可能であればパイプは、チャンバから排出される粉末流を調整するためのバルブを備える。本発明の1つの変形例では、オーバーフロー部の下端は、コンベヤからアトマイザへのガスの逆流をさらに制限するために縮小された断面を有する。
【0058】
オーバーフロー部の高さは、オーバーフロー部の頂部とチャンバの底部との間の垂直距離、すなわち、チャンバ内に延在するオーバーフロー部の部分の垂直長さとして定義される。オーバーフロー部の高さは、流動床の体積が金属粉末を所望の温度で冷却するのに十分な大きさになるように設定されることが好ましい。流動床の容積は、実際には、実質的に、チャンバの下部セクションの断面およびオーバーフロー部の高さによって規定される。オーバーフロー部の高さが短い場合、流動床の体積は小さく、流動床における粒子の滞留時間は短い。その結果、排出された粒子は依然として熱い。オーバーフロー部の高さが非常に長い場合、流動床の体積は大きく、流動床中の粒子の滞留時間は長い。その結果、排出された粒子は冷たい。これらの原理に基づいて、当業者は、チャンバの寸法および排出された粒子の所望の温度に応じてオーバーフロー部の高さを選択することができる。本発明の1つの変形例では、オーバーフロー部、または適用可能であればパイプは、特に粉末の冷却、したがってチャンバから排出される粉末の温度を調整するために、オーバーフロー部の高さがその場で調整されることができるように高さ調整手段を備える。
【0059】
オーバーフロー部のおかげで、流動床内の粒子の滞留時間は、粒子のサイズに関係なく均一であり、チャンバの底部にあるバルブまたはパイプなどの他の解決策とは対照的であり、より粗い粒子が最初に排出され、流動床の作業温度まで冷却される前に排出される。さらに、オーバーフロー部を通ってチャンバから出るガスの量が少ないので、注入されたガスの大部分は、床を流動化するために使用され、非常に安定した流動床に寄与する。さらに、オーバーフロー部は、粒子によるその摩耗を制限する機械的部品ではない。
【0060】
本発明の一変形例によれば、オーバーフロー部19は、ハット20によって覆われている。これにより、チャンバの上部セクションから落下する高温金属粉末が、直接オーバーフロー部に入ることが防止される。ハットは、オーバーフロー部を通って排出される粉末の流れを妨げないように、オーバーフロー部の頂部の上方に十分に高く配置される。
【0061】
本発明の一変形例によれば、オーバーフロー部19、好ましくはチャンバの外側のオーバーフロー部の一部は、ガス入口21をさらに備える。その結果、ガス、好ましくはチャンバ内の粉末を流動化するために使用されるガスがオーバーフロー部に注入されることができる。これは、排出粉末を流動形態に保つのに役立ち、オーバーフロー部の下流の雰囲気がチャンバに入るのを防ぐ。
【0062】
金属粒子は、コンベヤの上部ダクト26内に配置された投入開口部によってコンベヤ内のアトマイザから排出される。図1および図2に示す変形例では、投入開口部は、アトマイザのオーバーフロー部19をコンベヤに入れるように設計された、単なる開口部である。特に、オーバーフロー部下端部は、上部ダクト26に入る。コンベヤは、複数のオーバーフロー部、したがって複数のアトマイザに接続されることができる。その場合、オーバーフロー部はコンベヤの全長に沿って分布する。複数の圧力バルブがある場合、それらは好ましくはオーバーフロー部の間に配置され、潜在的なガスダムは、好ましくはオーバーフロー部に隣接してその上流に配置される。
【0063】
コンベヤ22は、粉体に関する限り、投入開口部およびコンベヤオーバーフロー部34のみによって、かつ、流動化ガスに関する限り、流動化ガス入口29および圧力バルブ30のみによって外部と連通する閉鎖装置であることが好ましい。
【0064】
コンベヤ22は、好ましくは水平である。これはまた、異なる部分で作ることもできる。コンベヤはまた、複数の分岐部を備えることができ、各分岐部はガスアトマイザの少なくとも1つのチャンバに接続されている。これらの部分および/または分岐部は、異なるレベルとすることができる。したがって、搬送は、現場の地形に容易に適合させることができる。
【0065】
図5を参照すると、コンベヤ22の別の変形例が示されている。この変形例は、コンベヤが2つの異なる流動化ガスで動作するように設計されているという点で、図1および図2に示されているものとは異なる。その結果、アトマイザから排出された金属粒子は、最初に不活性雰囲気中で冷却されてそれらの酸化を回避し、次いで空気と共に搬送されることができる。
【0066】
この変形例によれば、コンベヤは、不活性化セクションと空気セクションとの少なくとも2つの別個のセクションを備える。不活性化セクション36は、アトマイザのオーバーフロー部19などのコンベヤの投入開口部を含む。空気セクション37は、不活性化セクション36とコンベヤオーバーフロー部34との間に位置する。
【0067】
したがって、下部ダクト25は、不活性化セクションと空気セクションとの2つの別個のセクションを備える。それらは、一方のセクションに注入されたガスが他方のセクションを通過するのを防止する壁によって分離されている。下部ダクトの不活性化セクションおよび空気セクションの各々は、それ自体の流動化ガス入口29および流量調整器28を有する。その結果、各セクションで異なるガスが注入されることができ、流れは各セクションで独立して調整されることができる。本発明の1つの好ましい変形例によれば、不活性ガスはコンベヤの不活性化セクションに注入され、空気はコンベヤの空気セクションに注入される。その結果、アトマイザから排出された金属粒子は、酸化を防止する不活性雰囲気中で冷却を開始する。不活性化セクションを出ると、それらは十分に冷却され、空気で流動化されたベッド内の空気セクションでさらに搬送されることができる。
【0068】
同様に、上部ダクト26は、好ましくは、2つのセクションを備え、2つのセクションは、下部ダクトのセクションに対して略垂直に配置され、上部ダクトの上部部分に横方向に配置されたガスダム33によって分離される。ガスダムは、流動床の上方での流動化ガスの水平循環、したがって2つのセクションの雰囲気の混合を少なくとも部分的に制限する。上部ダクトの不活性化セクションは、アトマイザのオーバーフロー部19などの投入開口部を含み、これを通って金属粒子がアトマイザから排出される。空気セクションは、好ましくは、前述のように、圧力バルブ30と、サイクロンボックス32内に配置されたサイクロン31と、を備える。空気セクションにのみ圧力バルブが配置されることにより、空気セクションから不活性化セクションへの空気の吸引が防止される。
【0069】
図5に示すように、コンベヤは、複数の不活性化セクションおよび複数の空気セクションを備えることができる。不活性化セクションは、アトマイザの投入開口部またはオーバーフロー部19に隣接し、空気セクションは、不活性化セクションの間および一方の不活性化セクションとコンベヤオーバーフロー部34との間に配置される。図示する例では、各セクションは、それ自体の流動化ガス入口29および流量調整器28を有する。それにもかかわらず、例えば、一方ではすべての不活性化セクションを単一の流動化ガス入口29および/または単一の流量調整器28に接続し、他方ではすべての空気セクションを単一の流動化ガス入口29および/または単一の流量調整器28に接続することも可能である。
【0070】
プロセスの観点から、金属粉末の効率的な冷却および搬送は、金属粉末製造プロセスによって可能になり、このプロセスは、
(i)コンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから金属粒子を排出することと、
(ii)コンベヤ内に形成された流動床の形態の金属粒子を同時に冷却して搬送するkおとと、
を備える。
【0071】
好ましくは、このプロセスは、以下により詳細に記載されるように、金属粉末を連続的に製造するためのものである。
【0072】
アトマイズされる金属は、特に鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、合金とすることができる。鋼には、特に炭素鋼、合金鋼およびステンレス鋼が含まれる。
【0073】
金属は、固体状態でアトマイザに供給され、ノズルを介してアトマイザに接続されたタンディッシュ内で溶融されることができる。また、前のステップで溶融し、タンディッシュに注ぐこともできる。
【0074】
本発明の一変形例によれば、アトマイズされる溶融金属は、溶鉱炉経路を通して得られる鋼である。その場合、銑鉄は、高炉から注がれ、任意選択的に熱間金属脱硫ステーションに送られた後に、転炉(または塩基性酸素炉の場合はBOF)に搬送される。溶鉄は、転炉内で精錬されて溶鋼を形成する。次いで、転炉からの溶鋼は、転炉から回収取鍋に注がれ、好ましくは取鍋冶金炉(LMF)に移送される。したがって、溶鋼は、特に脱酸によってLMF中で精製することができ、溶鋼の一次合金化は、強合金またはケイ化物合金または窒化物合金または純金属またはそれらの混合物を添加することによって行うことができる。要求の厳しい粉末組成物を製造しなければならない特定の場合には、溶融鋼は真空タンク脱気装置(VTD)、真空酸素脱炭(VOD)容器または真空アーク脱気装置(VAD)でも処理されることができる。これらの装置は、特に水素、窒素、硫黄および/または炭素含有量をさらに制限することを可能にする。
【0075】
次いで、精製された溶鋼は、複数の誘導炉に注がれる。各誘導炉は、他の誘導炉とは独立して運転されることができる。特に、他の誘導炉がまだ運転している間に、保守または修理のために停止することができる。また、鉄合金、スクラップ、直接還元鉄(DRI)、ケイ化物合金、窒化物合金または他の誘導炉とは異なる量の純粋な元素を供給することもできる。
【0076】
誘導炉の数は、転炉から来る溶鋼または取鍋冶金炉から来る精製溶鋼の流れおよび/またはアトマイザの底部における鋼粉末の所望の流れに適合される。
【0077】
各誘導炉において、溶鋼の合金化は、鉄合金またはケイ化物合金または窒化物合金または純金属あるいはそれらの混合物を添加して、鋼組成を所望の鋼粉末の組成に調整することによって行われる。
【0078】
次いで、各誘導炉について、所望の組成の溶鋼を、少なくとも1つのガスアトマイザに接続された専用のリザーバに注ぐ。「専用」とは、リザーバが所与の誘導炉と対になっていることを意味する。とは言え、複数のリザーバが1つの所与の誘導炉に専用とされることができる。明確にするために、各誘導炉は、少なくとも1つのガスアトマイザに接続された少なくとも1つのリザーバを有するそれ自体の製造流を有する。このような並行かつ独立した製造流により、鋼粉末を製造するためのプロセスは汎用性があり、容易に連続的にされることができる。
【0079】
リザーバは、主に貯蔵タンクであり、貯蔵タンクは、大気制御が可能であり、溶鋼を加熱することが可能であり、加圧されることが可能である。
【0080】
各専用リザーバ内の雰囲気は、溶鋼の酸化を回避するために、アルゴン、窒素またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0081】
各リザーバに注入された鋼組成物は、その液相線温度を超えて加熱され、この温度に維持される。この過熱により、アトマイザノズル3の目詰まりが防止される。また、溶融した組成物の粘度の低下は、適切な粒径分布を有する、サテライトのない高い真球度を有する粉末を得るのに役立つ。
【0082】
最後に、専用のリザーバが加圧されると、溶鋼はリザーバからリザーバに接続されたガスアトマイザの少なくとも1つに流れることができる。
【0083】
本発明の別の変形例によれば、アトマイズされる金属は、電気アーク炉経路を介して得られる鋼である。その場合、スクラップ、金属鉱物および/または金属粉末などの原料が電気アーク炉(EAF)に供給され、制御された温度で加熱された液体金属に溶融され、不純物および介在物が別個の液体スラグ層として除去される。加熱された液体金属は、EAFから取鍋、好ましくは受動的に加熱可能な取鍋に除去され、精製ステーションに移動され、そこで誘導加熱精製保持容器に配置されることが好ましい。そこで、液体金属から炭素、水素、酸素、窒素および他の望ましくない不純物を除去するために、真空酸素脱炭などの精製ステップが行われる。次いで、精製された液体金属を含む取鍋を、制御された真空および不活性雰囲気下で、アトマイザの加熱されたタンディッシュを含む閉鎖チャンバの上方に移送することができる。取鍋が供給導管に接続され、次いで、加熱されたタンディッシュに供給導管を通して精製された液体金属が供給される。
【0084】
あるいは、精製された液体金属を含む取鍋は、精製ステーションから、別の誘導加熱されたアトマイジングホルダ容器に移送され、このアトマイジングホルダ容器は、制御された真空および不活性雰囲気下でガスアトマイザの加熱されたタンディッシュと共に注入領域を含むアトマイザステーションのドアに位置する。次いで、誘導加熱されたアトマイジングホルダ容器は、真空および雰囲気が注入領域の1つに調整される受容領域に導入される。次いで、容器が注入領域に導入され、液体金属が制御された速度で加熱されたタンディッシュに注入され、アトマイザでアトマイズされる。
【0085】
両方の変形例において、溶融金属は、制御された雰囲気下でチャンバ2内のノズル3を通って強制され、微細な金属液滴にアトマイズするガスのジェットによって衝突されるまで、タンディッシュ内のアトマイゼーション温度に維持される。
【0086】
金属流をアトマイズするためにガス噴霧器4を通して注入されるガスは、好ましくはアルゴンまたは窒素である。これらは両方とも、溶融粘度を他のガス、例えばヘリウムよりも遅く上昇させ、これにより、より小さい粒径の形成が促進される。それらはまた、化学的性質の純度を制御し、望ましくない不純物を回避し、粉末の良好な形態において役割を果たす。窒素のモル重量がアルゴンの39.95g/モルと比較して14.01g/モルであるので、窒素を用いるよりもアルゴンを用いる方がより微細な粒子が得られることができる。一方、窒素の比熱容量は、アルゴンの0.52と比較して、1.04J/(gK)である。したがって、窒素は粒子の冷却速度を増加させる。
【0087】
ガス流は、金属粉末の粒径分布および微細構造に影響を与える。特に、流速が高いほど、冷却速度は高くなる。したがって、ガス流量(m/h)と金属流量(Kg/h)との比として定義されるガス対金属比は、好ましくは1~5の間、より好ましくは1.5~3の間に保たれる。
【0088】
チャンバ内の溶融金属のアトマイゼーションから金属粒子が得られると、それらは、金属粒子の発泡流動床15を形成するようにチャンバの底部からガスを注入することによって、アトマイザ、特にチャンバの下部セクションにおいて第1の冷却ステップを受けることができる。このステップは、好ましくはアトマイゼーションステップと同時に行われる。より好ましくは、アトマイゼーションステップと連続的かつ同時に行われる。このようにして、アトマイザは連続的に作動することができる。
【0089】
この第1の冷却ステップの間、金属粒子は、好ましくは、それらの酸化窓より下に冷却される。鋼粉末の場合、金属粒子は、好ましくは300°C未満、より好ましくは260°C未満、さらにより好ましくは150~260°Cの間で冷却される。このような第1の冷却ステップでは、次いで、粉末は、プロセスの次のステップで空気中で操作することができる。酸化に対する鋼組成の感度および/またはガスの純度に応じて、冷却が調整されることができる。アトマイザ内の粉末を冷却するのに必要なガス流を制限するために、粉末は過度に冷却されないことが好ましく、例えば150°C未満である。連続モードでは、粒子の一部がチャンバから連続的に排出され、新しい高温粒子が連続的に床に添加される間、流動床が一定の温度に維持されるようにガス流が調整される。その場合、流動床は300°C未満、より好ましくは260°C未満、さらにより好ましくは150~260°Cの間に維持される。
【0090】
粉末床を流動化および冷却するためにガスインジェクタ6を通して注入されるガスは、好ましくはアルゴンまたは窒素であり、より好ましくは溶融金属流をアトマイズするために使用されるガスと同じガスである。これは、好ましくは1~80cm/sの間の速度で注入され、これは低い換気電力を必要とし、したがってエネルギー消費を低減する。ガス流は、好ましくは、ファンなどの流量調整器9によって調整される。
【0091】
注入されたガスは、好ましくは、チャンバ内の一定の圧力を維持するために、チャンバから抽出される。ガス抽出器11内のガス流は、それに応じて調整される。チャンバ2内の圧力は、好ましくは5~100mbarの間に設定される。注入されたガスは、好ましくは再循環される。その場合、チャンバから取り出した後に冷却することがより好ましい。
【0092】
金属粒子が形成され、任意選択的に第1の冷却ステップを経ると、それらはアトマイザから排出される(ステップi)。このステップは、好ましくは、アトマイゼーションステップおよび任意選択の第1の冷却ステップと同時に行われる。連続的な排出は、前述のように、オーバーフロー部19を介して行われることができる。
【0093】
前述のように、コンベヤは、アトマイザのチャンバに直接的または間接的に接続されることができる。これにより、コンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから金属粒子を直接的または間接的に排出されることができる。
【0094】
また、コンベヤは複数のアトマイザに接続されることができるので、ガスアトマイザの複数のチャンバから金属粒子が排出されることができる。
【0095】
第2のステップ(ステップii)において、アトマイザから排出された金属粒子は、同時に冷却されて、流動床の形態でコンベヤによって搬送される。この第2のステップは、好ましくは、排出ステップ(ステップi)と同時に、および/またはアトマイゼーションステップおよび任意の第1の冷却ステップと同時に行われる。
【0096】
粉末がアトマイザ内で第1の冷却ステップを受けており、空気と接触して酸化しない場合、流動化ガスは空気とすることができる。粉末を大気から保護する必要がある場合、流動化はアルゴンまたは窒素のような不活性ガスとすることができる。その場合、不活性ガスを再循環させることが好ましい。図5に示す変形例では、不活性ガスを使用して、冷却および搬送ステップの第1の段階で金属粒子を冷却および搬送し、空気を使用して、冷却および搬送ステップの第2の段階で金属粒子を搬送し、任意選択的にさらに冷却する。
【0097】
コンベヤ内の床を流動化させるために使用される1つまたは複数のガスの温度および流れは、好ましくは、コンベヤの出口または分級ステーションの入口に到達する金属粉末が150°C未満に冷却されるように調整される。その結果、通常の分級装置が、高耐熱性装置に対抗して使用されることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末製造プロセスであって、
(i)コンベヤ(22)内のガスアトマイザ(1)のチャンバ(2)から金属粒子を排出することと、
(ii)コンベヤ内に形成された流動床(24)の形態の金属粒子を、同時に冷却および搬送することと、
を備えるプロセス。
【請求項2】
金属粒子は、ガスアトマイザのチャンバから連続的に排出される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
金属粒子は、コンベヤ内のガスアトマイザのチャンバから直接排出される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
金属粒子は、ガスアトマイザの複数のチャンバから排出される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項5】
ガスアトマイザのチャンバから排出される金属粒子は、300°C未満の温度である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項6】
コンベヤ内の流動床は、コンベヤ内に空気を注入することによって形成される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項7】
コンベヤ内の流動床は、コンベヤの少なくとも1つのセクション(37)内に空気を注入することによって、およびコンベヤの少なくとも1つの他のセクション(36)内に不活性ガスを注入することによって形成される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項8】
コンベヤ内の流動床は発泡流動床である、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項9】
コンベヤ内の金属粒子は150°C未満に冷却される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項10】
排出ステップの前に、金属粒子は、金属粒子の発泡流動床(15)を形成するために、チャンバの底部からガスを注入することによりチャンバの下部セクションで第1の冷却ステップを受ける、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項11】
設備であって
チャンバ(2)を備えるガスアトマイザ(1)と、
アトマイザのチャンバに接続されたコンベヤ(22)であって、ガスを循環させるための下部ダクト(25)と、粉末材料を循環させるための上部ダクト(26)と、下部ダクトと上部ダクトとを実質的に全長にわたって分離する多孔質壁(27)と、下部ダクト上に配置された流動化ガス入口(29)と、チャンバから排出される金属粒子を流動化し、冷却し、搬送するために流動化ガス入口に結合された流量調整器(28)と、を備えるコンベヤ(22)と、
を備える設備。
【請求項12】
下部ダクトは2つの別個のセクションを備え、各セクションは、それ自体の流動化ガス入口(29)および流量調整器(28)を有する、請求項11に記載の設備。
【請求項13】
上部ダクト(26)は2つのセクションを有し、2つのセクションは、下部ダクトのセクションに対して実質的に垂直に配置され、上部ダクトの上部部分に横方向に配置されたガスダム(33)によって分離される、請求項12に記載の設備。
【請求項14】
コンベヤは、オーバーフロー部(19)の下部部分によってアトマイザのチャンバ(2)に接続され、上部ダクト(26)の1つのセクションは、オーバーフロー部の下部部分を含む、請求項13に記載の設備。
【請求項15】
複数のガスアトマイザ(1)と、複数のガスアトマイザのチャンバ(2)に接続された1つの単一のコンベヤ(22)と、を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の設備。
【請求項16】
コンベヤは、複数の分岐部を備え、各分岐部は、ガスアトマイザの少なくとも1つのチャンバに接続されている、請求項15に記載の設備。
【請求項17】
ガスアトマイザ(1)は、チャンバの底部(7)に配置されたガスインジェクタ(6)と、流量調整器(9)であって、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床(15)を形成するための、ガスインジェクタに結合された流量調整器(9)と、をさらに備える、請求項11~14のいずれか一項に記載の設備。
【国際調査報告】