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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ガスアトマイザ
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/08 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B22F9/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566552
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 IB2022053843
(87)【国際公開番号】W WO2022229829
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2021/053518
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボワシエール,バンジャマン
【テーマコード(参考)】
4K017
【Fターム(参考)】
4K017BA06
4K017EB17
4K017EB21
4K017EB27
4K017FA09
4K017FA15
4K017FA21
(57)【要約】
本発明は、金属粉末を製造するためのプロセスに関し、本プロセスは、(i)ガスアトマイザのチャンバに溶融金属を供給することと、(ii)金属粒子を形成するようにガスの注入によって溶融金属をアトマイズすることと、(iii)金属粒子の発泡流動床を形成するようにチャンバの底部からガスを注入することによってチャンバの下部セクション内の金属粒子を冷却することと、を備える。本発明はまた、そのガスアトマイザに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末製造プロセスであって、
(i)ガスアトマイザ(1)のチャンバ(2)に溶融金属を供給することと、
(ii)金属粒子を形成するように、ガスの注入によって溶融金属をアトマイズすることと、
(iii)金属粒子の発泡流動床(15)を形成するように、チャンバの底部からガスを注入することによってチャンバの下部セクション内の金属粒子を冷却することと、
を備えるプロセス。
【請求項2】
溶融金属は、溶鉱炉経路を通って得られた鋼である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
溶融金属は、電気アーク炉経路を通って得られた鋼である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(ii)および(iii)は同時に行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(iii)において、金属粒子は300°C未満に冷却される、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(iii)において、注入されたガスは抽出され、冷却され、再注入される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
ガスは50°C未満に冷却される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
チャンバから金属粒子を連続的に排出するステップ(iv)をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
連続的な排出はオーバーフロー部(19)によって行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
排出された金属粒子を分級ステーションへ搬送するステップ(v)をさらに備える、請求項8または9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
排出された金属粒子は流動床(24)の形態で搬送される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
ガスアトマイザ(1)であって、チャンバ(2)と、チャンバの底部(7)に配置されたガスインジェクタ(6)と、流量調整器(9)であって、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床(15)を形成するための、ガスインジェクタに結合された流量調整器(9)と、を備えるガスアトマイザ(1)。
【請求項13】
ガスインジェクタ(6)は、チャンバの底壁に開口部を備える、請求項12に記載のガスアトマイザ。
【請求項14】
チャンバの底部(7)とガスインジェクタ(6)との間の距離は、好ましくは10cm未満である、請求項12に記載のガスアトマイザ。
【請求項15】
ガスインジェクタはスパージャである、請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項16】
チャンバの下部セクションに配置された熱交換器(14)をさらに備える、請求項12~15のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項17】
チャンバの下部セクションにオーバーフロー部(19)をさらに備える、請求項12~16のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項18】
オーバーフロー部は、チャンバの下部セクション内に少なくとも部分的に延在し、チャンバの底壁を通過するパイプである、請求項17に記載のガスアトマイザ。
【請求項19】
チャンバの外側のオーバーフロー部の一部はガス入口(21)を備える、請求項17または18に記載のガスアトマイザ。
【請求項20】
チャンバの底部に粗粒子収集器(16)をさらに備える、請求項12~19のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項21】
チャンバの上部セクションにガス抽出器(11)をさらに備える、請求項12~20のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項22】
ガス抽出器(11)は、チャンバから抽出されたガスを除塵するためのサイクロン分離器を備える、請求項21に記載のガスアトマイザ。
【請求項23】
ガス抽出器(11)は、アトマイザ内のガス再循環のためにガスインジェクタ(6)に接続されている、請求項21または22に記載のガスアトマイザ。
【請求項24】
ガス抽出器(11)とガスインジェクタ(6)との間の接続部は、熱交換器(13)を備える、請求項23に記載のガスアトマイザ。
【請求項25】
請求項12~24のいずれか一項に記載のガスアトマイザ(1)と、コンベヤ(22)であって、ガスを循環させるための下部ダクト(25)と、粉末材料を循環させるための上部ダクト(26)と、下部ダクトと上部ダクトとを実質的に全長にわたって分離する多孔質壁(27)と、を具備するコンベヤ(22)と、を備える設備。
【請求項26】
コンベヤ(22)の下部ダクト(25)は、流動化ガス入口(29)と、流量調整器(28)であって、ガスアトマイザから排出される金属粒子を流動化し、上部ダクト(26)内に金属粒子の流動床(24)を形成するためにガス入口に結合された流量調整器(28)と、を備える、請求項25に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属粉末製造用、特に積層造形法のための鋼粉末製造用ガスアトマイザに関する。また、本発明は、ガスアトマイゼーションによる金属粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
積層造形法のための金属粉末に対する需要が高まっており、製造プロセスを結果的に適合させなければならない。
【0003】
特に、金属材料を溶融し、アトマイザに接続されたタンディッシュに溶融金属を注ぐことが知られている。溶融金属は、制御された雰囲気下でチャンバ内のノズルを通って押し出され、ガスのジェットによって衝突され、ガスのジェットは溶融金属を微細な金属液滴にアトマイズする。後者は、チャンバの底部に落下し、溶融金属が完全にアトマイズされるまでそこに蓄積する微粒子に固化する。次いで、粉末は、あまり急速に酸化することなく空気と接触され得る温度に達するまでアトマイザ内で冷却される。次いで、アトマイザを開いて粉末を収集する。このような冷却は、大量の金属粉末を製造する必要性に適合しない長いプロセスである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、得られた粉末がアトマイザチャンバ内で急速に冷却されることができるガスアトマイザを提供することによって、従来技術の設備およびプロセスの欠点を改善することである。
【0005】
また、上述の従来技術によるプロセスは、連続モードで大量の金属粉末を製造する必要性に適合しないバッチプロセスである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、得られた粉末が、アトマイゼーションを中断することなくアトマイザチャンバから排出されることができるガスアトマイザを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明の第1の主題は、金属粉末を製造するためのプロセスから成り、本プロセスは、
(i)ガスアトマイザのチャンバに溶融金属を供給することと、
(ii)金属粒子を形成するために、ガスの注入によって溶融金属をアトマイズすることと、
(iii)金属粒子の発泡流動床を形成するためにチャンバの底部からガスを注入することによって、チャンバの下部セクション内の金属粒子を冷却することと、
を備える。
【0008】
本発明によるプロセスはまた、以下に列挙される任意選択の特徴を有してもよく、それらは個別にまたは組み合わせて考慮される。
溶融金属は溶鉱炉経路を通して得られる鋼であり、
溶融金属は電気アーク炉経路を通して得られる鋼であり、
ステップ(ii)および(iii)は同時に行われ、
ステップ(iii)において、金属粒子は300°C未満に冷却され、
ステップ(iii)において、注入されたガスは抽気され、冷却され、また再注入され、 ガスは50°C未満に冷却され、
本プロセスは、チャンバから金属粒子を連続的に排出するステップ(iv)をさらに備え、
連続的な排出はオーバーフロー部によって行われ、
本プロセスは、排出された金属粒子を分級ステーションへ搬送するステップ(v)をさらに備え、
排出された金属粒子は流動床の形態で搬送される。
【0009】
本発明の第2の主題は、チャンバと、チャンバの底部に配置されたガスインジェクタと、流量調整器であって、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床を形成するための、ガスインジェクタに結合された流量調整器と、を備えるガスアトマイザから成る。
【0010】
本発明によるガスアトマイザはまた、以下に列挙される任意選択の特徴を有してもよく、それらは個別にまたは組み合わせて考慮される。
ガスインジェクタはチャンバの底壁に開口部を備え、
チャンバの底部とガスインジェクタとの間の距離は、好ましくは10cmより短く、
ガスインジェクタはスパージャであり、
ガスアトマイザはチャンバの下部セクションに配置された熱交換器をさらに備え、
ガスアトマイザはチャンバの下部セクションにオーバーフロー部をさらに備え、
オーバーフロー部は、チャンバの下部セクション内に少なくとも部分的に延在し、チャンバの底壁を通過するパイプであり、
チャンバの外側のオーバーフロー部の一部はガス入口を備え、
ガスアトマイザはチャンバの底部に粗粒子収集器をさらに備え、
ガスアトマイザはチャンバの上部セクションにガス抽出器をさらに備え、
ガス抽出器は、チャンバから抽出されたガスを除塵するためのサイクロン分離器を備え、
ガス抽出器は、アトマイザ内のガス再循環のためにガスインジェクタに接続され、
ガス抽出器とガス注入器との間の接続部は熱交換器を備える。
【0011】
本発明の第3の主題は、本発明によるガスアトマイザと、コンベヤとを具備する設備から成り、コンベヤは、ガスを循環させるための下部ダクトと、粉末材料を循環させるための上部ダクトと、下部ダクトと上部ダクトとを実質的に全長にわたって分離する多孔質壁と、を備える。
【0012】
本発明による設備は、任意選択的にコンベヤを備えてもよく、コンベヤは、流動化ガス入口と、ガスアトマイザから排出される金属粒子を流動化し、上部ダクト内に金属粒子の流動床を形成するためにガス入口に結合された流量調整器と、を備える。
【0013】
明らかなように、本発明は、アトマイザチャンバの底部に蓄積する粉末を効率的に冷却するための流動床の技術に基づく。アトマイザの下部セクションにオーバーフロー部が追加された場合、アトマイゼーションプロセスを中断することなく、アトマイザから流動化した粉末が連続的に排出されることができる。
【0014】
本発明の他の特徴および利点は、以下の説明においてより詳細に説明される。
【0015】
本発明は、以下の説明を読むことによって、よりよく理解されるであろう。以下の説明は、単に説明の目的で提供されており、決して限定的であることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の変形例によるガスアトマイザを示す図である。
図2】流動化の可能な方式を示す図である。
図3】本発明の第1の変形例による2つのアトマイザおよびコンベヤを備える設備を示す図である。
図4】本発明の第2の変形例による2つのアトマイザおよびコンベヤを備える設備を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本出願で使用される「下(lower)」、「真下(beneath)」、「内向き(inward)」、「内向き(inwards)」、「外向き(outward)」、「外向き(outwards)」、「上流(upstream)」、「下流(downstream)」、...という用語は、装置がプラントに設置されるときの装置の異なる構成要素の位置および向きを指すことに留意されたい。
【0018】
図1を参照すると、ガスアトマイザ1は、液体金属の流れを高速ガス流と衝突させることによって微細な金属液滴にアトマイズするように設計された装置である。ガスアトマイザ1は、保護雰囲気下に維持された閉鎖チャンバ2から主に構成されている。チャンバは、上部セクション、下部セクション、頂部および底部を有する。
【0019】
チャンバの上部セクションはオリフィスを備え、ノズル3は通常、チャンバ頂部の中心に配置され、そこを通って溶融金属流が押し出される。ノズルは、液体金属の流れに高速でガスを噴射するためのガス噴霧器4によって囲まれている。ガス噴霧器は、加圧ガスが流れる環状スロットであることが好ましい。ガス噴霧器は、好ましくは、ガスを噴射する前にガスの流れおよび/または圧力を制御するためにガス調整器5に結合される。ガス調整器は、圧縮機、ファン、ポンプ、パイプセクション縮小装置、または任意の適切な機器とすることができる。
【0020】
チャンバの下部セクションは、主に、チャンバの上部セクションから落下する金属粒子を収集するためのレセプタクルである。これは通常、チャンバの底部に配置された排出開口部を通る粉末の収集および排出を容易にするように設計されている。したがって、それは通常、逆円錐または逆円錐台形の形態である。
【0021】
ガスアトマイザは、チャンバの底部に配置されたガスインジェクタ6を備え、ガスインジェクタ6は、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化することができ、かつ金属粒子の発泡流動床を形成することができる。この流動床のおかげで、金属粒子は、激しいガス粒子間熱伝達によってそれらの酸化窓より下に効率的に冷却される。チャンバの下部セクションに蓄積された金属粒子は冷却されたままであり、チャンバ頂部から落下する高温粒子は、流動床内で非常に急速に混合され、冷却される。さらに、冷却は、保護雰囲気下に維持されるチャンバ内で直接行われるため、金属粒子は、それらの冷却中に酸化しない。
【0022】
図2に示すように、流動化には複数の方式がある。流動化とは、固体粒子を気体や液体に懸濁させて流体状にする操作である。流体速度に応じて、粒子の挙動は異なる。本発明の1つとしての気体-固体系では、流速が増加するにつれて、粒子の床は固定床から最小流動化、発泡流動化、およびスラッギングへ進み、そこで撹拌がより激しくなり、固体の移動がより活発になる。特に、最小流動化を超える流速の増加に伴い、ガスの発泡およびチャネリングによる不安定性が観察される。この段階では、流動床は発泡方式であり、これは、流動床内の固体粒子の良好な循環、急速冷却、および均一な温度を有するために本発明に必要な方式である。所与の方式および流動床の所望の温度を得るために適用されるガス速度は、使用されるガスの種類、粒子のサイズおよび密度、ガスインジェクタによって提供されるガス圧力降下またはチャンバのサイズなどのいくつかのパラメータに依存する。これは、当業者によって容易に管理されることができる。さらに、発泡方式では、床は、設備を妥当なサイズに保つのに役立つ固体体積を超えて大きく膨張しない。発泡流動床の概念は、Daizo KuniiおよびOctave Levenspielによる「Fluidization Engineering」、第2版、1991年、特にIntroductionの1および2ページに定義されている。
【0023】
発泡流動床のおかげで、また流動床の他の形態とは対照的に、金属粒子は、流動床内の粒径の均一な分布を維持しながら、流動床の作業温度まで非常に迅速かつ非常に効率的に冷却される。その結果、金属粒子の冷却を助けるために粉末状の冷却剤を使用する必要がない。
【0024】
本発明の文脈において、「チャンバの底部に配置される」とは、ガスインジェクタ6がチャンバの下部セクションにおいてチャンバの底部7に十分に近接して配置され、その結果、アトマイザ内に形成された実質的にすべての粒子が流動化されることを意味する。初期の非アトマイズ金属流および/または粗粒子から生じる凝固した飛沫は、流動化されず、ガスインジェクタの下、すなわち流動床の下方に落下し得る。チャンバの底部とガスインジェクタとの間の距離は、好ましくは10cm未満、より好ましくは4com未満、さらにより好ましくは1~3cmである。
【0025】
ガスインジェクタ6は、チャンバの底部の粒子が持ち上げられて流動床が形成されるように、チャンバの底部からチャンバの頂部に向かってガスを注入する。
【0026】
ガスインジェクタは、チャンバの底壁に開口部を備えることができる。ガスはこれらの開口部を通して注入されることができ、粉末床を流動化することができる。
【0027】
ガスインジェクタは、チャンバの側壁を貫通するパイプ8を備えることができる。チャンバの内側に配置されたガスインジェクタの部分は、図1に示す例に示すように、底壁の形状に近い距離で追従することができる。
【0028】
ガスインジェクタは、多孔質金属板、焼結金属板またはキャンバスを備えることができる。ガスインジェクタは、好ましくはスパージャを備え、スパージャは、噴射されたガスの分散を提供するために多数の小さな穴が穿孔されたパイプなどの部品である。スパージャは、十分な圧力損失を提供するので、10cm/sを超えるガス速度に好ましい。スパージャは、より好ましくは多孔質スパージャである。この種のスパージャは、数千の小さな孔によって金属粒子の床内のガスの分配を確実にする。
【0029】
各スパージャは、グロメットシール(圧縮取付具)を備えることができ、グロメットシールは、アトマイザが動作している間にスパージャをアトマイザに挿入してアトマイザから取り外すことを可能にする。
【0030】
ガスインジェクタは流量調整器9に結合されている。後者は、ガスインジェクタを通って注入されるガスの流れを制御し、したがってチャンバの断面が既知であるからチャンバ内のガスの速度を制御する。したがって、ガス流は、金属粒子が流動化され、得られた流動床が発泡方式で維持されるように調整することができる。ガス調整器は、ファンの形態であってもよい。ファン速度は、ガスインジェクタを通って注入されるガスの流れを制御するように調整される。流量調整器は、ガス源に接続される。ガス源は、以下に説明するように、新鮮ガスを流入させるように設計されたガス入口10および/または再循環ガスを提供するガス抽出器とすることができる。
【0031】
ガスアトマイザ1は、好ましくは、ガスインジェクタ6およびガス噴霧器4を通るガス注入を補償するためのガス抽出器11を備える。ガス抽出器は、好ましくは、流動床と干渉しないように、および/または気泡の飛散のために流動床の上方の粒子が重力によって床に落下して戻ってガス抽出器に同伴する高速ガス速度領域に到達するように、チャンバの上部セクションに配置される。ガス抽出器は、一方の側でチャンバに接続され、他方の側で除塵手段12に接続された1本のパイプまたは複数本のパイプの形態であってもよい。除塵手段は、抽出されたガスから最も細かい粒子を除去する。それらは、電気フィルタ、バッグフィルタまたはサイクロン分離器を備えることができる。サイクロン分離器は、比較的低い圧力降下を有し、可動部分を有しないので好ましい。
【0032】
好ましくは、ガス抽出器11は、チャンバ内に注入され、ガス抽出器を介して抽出されたガスが再循環されることができるように設計される。その結果、ガス消費が最小限に抑えられる。したがって、ガス抽出器は、好ましくは、ガスインジェクタ6、ガス噴霧器4、またはその両方に接続される。特に、一方の側でチャンバに接続された除塵手段12は、他方の側で、ガス噴霧器4に結合されたガス調整器5に、またはガスインジェクタ6に結合された流量調整器9に、またはその両方に接続される。
【0033】
図1に示す例では、金属をアトマイズするためにチャンバ内に注入されたガスが再循環されるように金属流にガスを噴射するために、サイクロン分離器の形態の1つの除塵手段12がガス調整器5に接続されている。サイクロン分離器の形態の別の除塵手段12は、粉末床を流動化するために使用されるガスが再循環されるように、チャンバの底部にガスを注入するためにガス調整器5に接続される。どちらの場合も、再循環されるガスを洗浄するためにフィルタが追加されることができる。ガス再循環の他の設計も当然可能である。
【0034】
ガス抽出器11とガスインジェクタ6との間の接続は、好ましくは熱交換器13を備える。その結果、接続部の熱損失がガスを所望の温度に戻すのに十分でない場合、および/または熱回収が所望される場合には、ガスがチャンバ内に注入しなければならない温度まで冷却されることができる。
【0035】
ガス抽出器11とガスインジェクタ6との間の接続はまた、特にガス損失を補償するために、何らかの新鮮なガスをシステムに導入しなければならない場合に備えて、ガス入口10を備えてもよい。
【0036】
ガス抽出器11とガス噴霧器4との間の接続部は、好ましくは熱交換器13を備える。その結果、接続部の熱損失がガスを所望の温度に戻すのに十分でない場合および/または熱回収が所望される場合には、ガスが溶融金属流上に噴射しなければならない温度まで冷却されることができる。
【0037】
ガス抽出器11とガス噴霧器4との間の接続はまた、特にガス損失を補償するために、何らかの新鮮なガスをシステムに導入しなければならない場合に備えて、ガス入口10を備えてもよい。
【0038】
本発明の一変形例によれば、ガスアトマイザは、チャンバの下部セクションに配置された熱交換器14をさらに備える。これは、チャンバと共に形成された発泡流動床15が熱交換器と接触するように配置される。熱交換器は、チャンバ内に少なくとも部分的に配置されることができる、またはチャンバの下部セクションの周りの冷却ジャケットとすることができる。ガスインジェクタ6を通るガスの注入によって運動し続けた固体粒子は、熱交換器と接触し、そこで捕捉された熱を、内部を循環する伝達媒体に放出する。熱交換器内の媒体の流量を調整して、冷却速度を制御することができる。このような熱交換器は、流動床内の粒子の冷却および所望の温度での粒子の保持を容易にする。熱交換器はまた、粒子を所望の温度に冷却または維持するために必要なガスの流れを減少させることができる。
【0039】
本発明の一変形例によれば、ガスアトマイザ1は、チャンバの底部の下方に粗粒子収集器16をさらに備える。上記のように、初期の非アトマイズ金属流および/または粗粒子から生じる凝固した飛沫は流動化されず、チャンバの底部でガスインジェクタの下方、すなわち流動床の下方に落下し得る。粗粒子収集器は、アトマイゼーションを中断することなく、アトマイザからのこれらの望ましくない粒子の排出を可能にする。粗粒子収集器は、好ましくはバルブ17および収集チャンバ18を備える。収集チャンバは、第2のバルブを介して可動チャンバに接続されることができる。このようにして、チャンバ内の圧力を損なうことなく可動チャンバが交換されることができる。
【0040】
本発明の一変形例によれば、金属粒子が生成され、流動床によって冷却されると、金属粒子は、チャンバの底部に配置された排出開口部を通して排出される。これは、排出開口部の技術に応じて、溶融金属のバッチがアトマイズされると、またはアトマイゼーションを中断することなく行うことができる。
【0041】
本発明の別の変形例によれば、ガスアトマイザは、チャンバの下部セクションにオーバーフロー部19を備える。その目的は、チャンバ2から粉末を排出することである。特に、チャンバの下部セクションの流動化粉末は、流動床のレベルがオーバーフロー部19の頂部に到達すると直ちに、連続モードでガスアトマイザから排出されることができる。したがって、アトマイザは連続的に動作されることができる。
【0042】
オーバーフロー部19は、好ましくは、チャンバの下部セクションに少なくとも部分的に延在し、チャンバの底壁7を通過する。それは下降管の形態であってもよい。より好ましくはパイプである。そのセクションは、好ましくは、チャンバから排出される粉末流に適合している。特に、そのセクションは、時間の経過と共にチャンバの下部セクションに粉末の蓄積がないように、ノズルを出る溶融金属流に適合している。アトマイザ内に形成されたより粗い粒子がチャンバの底部に収集される場合、オーバーフロー部のセクションは、好ましくはノズルを出る溶融金属流に適合され、より粗い粒子は取り除かれる。パイプの断面は、金属粉末の均一な排出を促進し、目詰まりを回避するために、好ましくは一定であり、すなわちパイプに沿ってまたはその上端で縮小することがない。本発明の1つの変形例では、オーバーフロー部、または適用可能であれば、パイプは、チャンバから排出される粉末流を調整するためのバルブを備える。本発明の1つの変形例では、オーバーフロー部の下端は、アトマイザの外側から内側へのガスの流れをさらに制限するために縮小された断面を有する。
【0043】
オーバーフロー部の高さは、オーバーフロー部の頂部とチャンバの底部との間の垂直距離、すなわち、チャンバ内に延在するオーバーフロー部の部分の垂直長さとして画定される。オーバーフロー部の高さは、流動床の体積が金属粉末を所望の温度で冷却するのに十分な大きさになるように設定されることが好ましい。流動床の容積は、実際には、実質的に、チャンバの下部セクションの断面およびオーバーフロー部の高さによって画定される。オーバーフロー部の高さが短い場合、流動床の体積は小さく、流動床における粒子の滞留時間は短い。その結果、排出された粒子は依然として熱い。オーバーフロー部の高さが非常に長い場合、流動床の体積は大きく、流動床中の粒子の滞留時間は長い。その結果、排出された粒子は冷たい。これらの原理に基づいて、当業者は、チャンバの寸法および排出された粒子の所望の温度に応じてオーバーフロー部の高さを選択することができる。本発明の1つの変形例では、オーバーフロー部、または適用可能であればパイプは、特に粉末の冷却、したがってチャンバから排出される粉末の温度を調整するために、オーバーフロー部の高さがその場で調整されることができるように高さ調整手段を備える。
【0044】
オーバーフロー部のおかげで、流動床内の粒子の滞留時間は、粒子のサイズに関係なく均一であり、チャンバの底部にあるバルブまたはパイプなどの他の解決策とは対照的であり、より粗い粒子が最初に排出され、流動床の作業温度まで冷却される前に排出される。さらに、オーバーフロー部を通ってチャンバから出るガスの量が少ないので、注入されたガスの大部分は、床を流動化するために使用され、非常に安定した流動床に寄与する。さらに、オーバーフロー部は、粒子によるその摩耗を制限する機械的部品ではない。
【0045】
本発明の一変形例によれば、オーバーフロー部19は、ハット20によって覆われている。これにより、チャンバの上部セクションから落下する高温金属粉末が、直接オーバーフロー部に入ることが防止される。ハットは、オーバーフロー部を通って排出される粉末の流れを妨げないように、オーバーフロー部の頂部の上方に十分に高く配置される。ハットおよびオーバーフロー部の頂部は、ノズル3に対して実質的に垂直に配置されることができ、ハットは衝撃パッドを備えることができる。この構成では、アトマイゼーションプロセスの開始時にアトマイズされない溶融金属の流れは、衝撃パッドに衝突し、プロセスに悪影響を及ぼさない小さな粒子に分散される。
【0046】
本発明の一変形例によれば、オーバーフロー部19、好ましくはチャンバの外側のオーバーフロー部の一部は、ガス入口21をさらに備える。その結果、ガス、好ましくはチャンバ内の粉末を流動化するために使用されるガスがオーバーフロー部に注入されることができる。これは、排出粉末を流動形態に保つのに役立ち、オーバーフロー部の下流の雰囲気がチャンバに入るのを防ぐ。
【0047】
オーバーフロー部を通ってチャンバから排出された粉末は、チャンバ、容器、またはコンベヤ22によって収集されることができる。コンベヤは、ガスアトマイザ1を備える設備の一部である。好ましくは、粉末を分級ステーション23および/または袋詰めステーションに搬送する。コンベヤは、特に真空空気圧コンベヤ、圧力コンベヤまたは吸引圧力コンベヤとすることができる。
【0048】
図3および図4に示す本発明の一変形例によれば、チャンバ2から排出された粉末は、流動床24、好ましくは発泡流動床の形態で搬送される。この種の搬送は、最小限の換気電力を必要とし、ダスト排出が防止されることができ、連続運転が確保されることができるので有利である。
【0049】
コンベヤ22は、好ましくは、流動化ガスを循環させるための下部ダクト25と、粉末を循環させるための上部ダクト26と、下部ダクトと上部ダクトとを実質的にそれらの全長にわたって分離する多孔質壁27と、を備える。
【0050】
多孔質壁は、流動化ガスを通過させる。そのような多孔質壁は、ガスが多孔質壁を通過するときに十分な圧力降下があり、上部ダクトの断面全体にわたってガスの均一な分布を確実にするように設計される。多孔質壁は、多重キャンバス布または多孔質耐火物とすることができる。
【0051】
下部ダクトには、流量調整器28に結合された流動化ガス入口29によって流動化ガスが供給される。流動化ガス入口は、流動化ガス入口導管の形態とすることができ、流量調整器はファンの形態とすることができる。流量調整器は、多孔質壁の表面が既知であるため、下部ダクト内に注入されるガスの流れ、したがって上部ダクト内のガスの速度を制御する。したがって、ガス流は、上部ダクト内の金属粒子が流動化されるように調整することができる。流量調整器がファンである場合、その速度は、下部ダクト内に注入される流動化ガスの流れを制御するように調整される。流量調整器は、ガス源に接続される。ガス源は、新鮮なガスを入れるように設計されたガス入口および/または再循環ガスを供給する導管とすることができる。
【0052】
上部ダクトの断面全体にわたる、ガスのこの均一な分布のおかげで、コンベヤ全体に対してただ1つの流量調整器28が使用されることができる。これにより、設置およびメンテナンスが簡単になる。
【0053】
コンベヤ22は、上部ダクト26の頂部に、上部ダクト内の流動化ガスの圧力が調整されることができるように、少なくとも1つの圧力バルブ30を備える。圧力バルブは、好ましくは、サイクロンボックス32内に配置されたサイクロン31を介して上部ダクトに接続される。そのようにして、圧力バルブを通って上部ダクトから出る流動化ガスは濾過される、すなわち、流動化ガスの流れによって引きずられた床の粒子は、ガスから分離され、流動床に落下する。サイクロンボックスは、サイクロン内の粒子の引きずりを最小限に抑えるために、上部ダクト頂部の高さより上方に配置されることが好ましい。
【0054】
好ましくは、コンベヤ22は、上部ダクトの長さに沿って分布された複数の圧力バルブ30を備える。これにより、流動床の上方での流動化ガスの水平循環が制限され、流動床がさらに安定する。より好ましくは、複数の圧力バルブは、ガスダム33と組み合わされる。各ダムは、上部ダクトの上部部分において、かつ2つの連続する圧力バルブ30の間に横方向に配置される。これらのガスダムは、流動床の上方での流動化ガスの水平循環をさらに制限する。
【0055】
コンベヤ22は、その端部の一方に、分級ステーション23および/または袋詰ステーション内の粉末を排出するためのコンベヤオーバーフロー部34を備える。コンベヤオーバーフロー部は、図3に示すように、上部ダクトの端部セクションに設けられ得る。その場合、流動床のレベルがコンベヤのオーバーフロー部のレベルに達するとすぐに、粉末は分級ステーションおよび/または袋詰めステーションに流れる。コンベヤオーバーフロー部は、図4に示すように、コンベヤの端部の上方に配置することもできる。その場合、上向きパイプ35を介して上部ダクトに接続される。この場合のコンベヤからの粉体の排出方法については後述する。この構成は、コンベヤの下方に完全に配置されていない可能性がある分級ステーションおよび/または袋詰ステーションに供給するのに非常に便利である。
【0056】
コンベヤ22は、好ましくはその他方の端部でアトマイザのオーバーフロー部19に接続される。特に、オーバーフロー部の下端部は、上部ダクト26に接続されている。コンベヤは、複数のオーバーフロー部、したがって複数のアトマイザに接続することができる。その場合、オーバーフロー部はコンベヤの全長に沿って分布する。複数の圧力バルブがある場合、それらは好ましくはオーバーフロー部の間に配置され、潜在的なガスダムは好ましくはオーバーフロー部に隣接してその上流に配置される。
【0057】
コンベヤ22は、粉末に関する限り、アトマイザのオーバーフロー部およびコンベヤのオーバーフロー部によってのみ、および流動化ガスに関する限り、入口導管、好ましくは単一のおよび圧力バルブによってのみ、外部と連通する閉鎖装置であることが好ましい。
【0058】
コンベヤ22は、好ましくは水平である。これはまた、異なる部分で作ることもできる。これらの部分は、異なるレベルとすることができる。したがって、搬送は、現場の地形に容易に適合させることができる。
【0059】
コンベヤ22を動作させるために、流動化ガスは、コンベヤの下部ダクト25と上部ダクト26とを分離する多孔質壁27の下方に所与の流量で導入される。
【0060】
流動化ガスは、多孔質壁を通って流れ、次いで、上部ダクト内に横たわって流動化される層を形成する粒子の間を通過する。粒子間に存在する間隙空間内の流動化ガスの速度が十分に高くなると、直ちに粒子は移動し、次いで持ち上げられ、各粒子は隣接する粒子との恒久的な接触点を失う。このようにして、上部ダクト内に流動床24が形成される。
【0061】
上部ダクト26内のオーバーフロー部19を通ってチャンバ2から排出された粉末は、コンベヤ内で流動形態に保たれる。これは流体のように挙動するので、上部ダクト内で水平のままであり、コンベヤのオーバーフロー部34で流動床をコンベヤから分級ステーションおよび/または袋詰ステーションに排出することによって、コンベヤに沿って粉末の連続的な流れが生成される。コンベヤオーバーフロー部が上部ダクトの端部セクションに設けられている場合、流動床の高さがコンベヤオーバーフロー部の高さに達すると、直ちに連続的な流れが得られる。コンベヤオーバーフロー部が上向きパイプ35によって上部ダクトに接続されている場合、上部ダクト内の流動化ガスの圧力は大気圧よりわずかに高く設定され、それにより、流動床は、コンベヤオーバーフロー部まで、上向きパイプの中を上昇する。例えば、鋼粒子の場合、大気圧に対する過圧は、上向きパイプ1メートル当たり200~600mbarの間に設定されることができる。
【0062】
アトマイザオーバーフロー部による粉末の供給が中断された場合、流動床のレベルは、コンベヤオーバーフロー部のレベルに達するまでコンベヤ内で減少する。この時点で、コンベヤオーバーフロー部を通る流れは停止する。逆に、何らかの理由でコンベヤオーバーフロー部を一時的に閉じなければならない場合、流動床のレベルはコンベヤ内で上昇する。その場合、アトマイザオーバーフロー部による粉末の供給は、流動床の高さが上部ダクトの頂部に到達した場合にのみ中断されなければならなくなり得る。
【0063】
さらに、このコンベヤによる粉末搬送は、非常に容易にオンおよびオフされることができる。流動化ガスの入口をオン/オフすればよい。
【0064】
粉末が十分に冷却されており、空気と接触して酸化しない場合、流動化ガスは空気とすることができる。粉末を大気から保護する必要がある場合、流動化はアルゴンまたは窒素のような不活性ガスとすることができる。その場合、不活性ガスを再循環させることが好ましい。
【0065】
プロセスの観点から、アトマイザチャンバ2内の粉末の冷却は、金属粉末を製造するためのプロセスによって可能になり、このプロセスは、
(i)ガスアトマイザ1のチャンバ2に溶融金属を供給することと、
(ii)金属粒子を形成するようにガスの注入によって溶融金属をアトマイズすることと、
(iii)金属粒子の発泡流動床15を形成するように、チャンバの底部からガスを注入することによってチャンバの下部セクション内の金属粒子を冷却することと、
を備える。
【0066】
好ましくは、このプロセスは、以下により詳細に記載されるように、金属粉末を連続的に製造するためのものである。
【0067】
アトマイズされる金属は、特に鋼、アルミニウム、銅、ニッケル、亜鉛、鉄、合金とすることができる。鋼には、特に炭素鋼、合金鋼およびステンレス鋼が含まれる。
【0068】
金属は、固体状態でアトマイザに供給され、ノズルを介してアトマイザに接続されたタンディッシュ内で溶融されることができる。また、前のステップで溶融し、タンディッシュに注ぐこともできる。
【0069】
本発明の一変形例によれば、アトマイズされる溶融金属は、溶鉱炉経路を通して得られる鋼である。その場合、銑鉄は、高炉から注がれ、任意選択的に熱間金属脱硫ステーションに送られた後に、転炉(または塩基性酸素炉の場合はBOF)に搬送される。溶鉄は、転炉内で精錬されて溶鋼を形成する。次いで、転炉からの溶鋼は、転炉から回収取鍋に注がれ、好ましくは取鍋冶金炉(LMF)に移送される。したがって、溶鋼は、特に脱酸によってLMF中で精製することができ、溶鋼の一次合金化は、強合金またはケイ化物合金または窒化物合金または純金属またはそれらの混合物を添加することによって行うことができる。要求の厳しい粉末組成物を製造しなければならない特定の場合には、溶融鋼は真空タンク脱気装置(VTD)、真空酸素脱炭(VOD)容器または真空アーク脱気装置(VAD)でも処理されることができる。これらの装置は、特に水素、窒素、硫黄および/または炭素含有量をさらに制限することを可能にする。
【0070】
次いで、精製された溶鋼は、複数の誘導炉に注がれる。各誘導炉は、他の誘導炉とは独立して運転されることができる。特に、他の誘導炉がまだ運転している間に、保守または修理のために停止することができる。また、鉄合金、スクラップ、直接還元鉄(DRI)、ケイ化物合金、窒化物合金または他の誘導炉とは異なる量の純粋な元素を供給することもできる。
【0071】
誘導炉の数は、転炉から来る溶鋼または取鍋冶金炉から来る精製溶鋼の流れおよび/またはアトマイザの底部における鋼粉末の所望の流れに適合される。
【0072】
各誘導炉において、溶鋼の合金化は、鉄合金またはケイ化物合金または窒化物合金または純金属あるいはそれらの混合物を添加して、鋼組成を所望の鋼粉末の組成に調整することによって行われる。
【0073】
次いで、各誘導炉について、所望の組成の溶鋼を、少なくとも1つのガスアトマイザに接続された専用のリザーバに注ぐ。「専用」とは、リザーバが所与の誘導炉と対になっていることを意味する。とは言え、複数のリザーバが1つの所与の誘導炉に専用とされることができる。明確にするために、各誘導炉は、少なくとも1つのガスアトマイザに接続された少なくとも1つのリザーバを有するそれ自体の製造流を有する。このような並行かつ独立した製造流により、鋼粉末を製造するためのプロセスは汎用性があり、容易に連続的にされることができる。
【0074】
リザーバは、主に貯蔵タンクであり、貯蔵タンクは、大気制御が可能であり、溶鋼を加熱することが可能であり、加圧されることが可能である。
【0075】
各専用リザーバ内の雰囲気は、溶鋼の酸化を回避するために、アルゴン、窒素またはそれらの混合物であることが好ましい。
【0076】
各リザーバに注入された鋼組成物は、その液相線温度を超えて加熱され、この温度に維持される。この過熱により、アトマイザノズル3の目詰まりが防止される。また、溶融した組成物の粘度の低下は、適切な粒径分布を有する、サテライトのない高い真球度を有する粉末を得るのに役立つ。
【0077】
最後に、専用のリザーバが加圧されると、溶鋼はリザーバからリザーバに接続されたガスアトマイザの少なくとも1つに流れることができる。
【0078】
本発明の別の変形例によれば、アトマイズされる金属は、電気アーク炉経路を介して得られる鋼である。その場合、スクラップ、金属鉱物および/または金属粉末などの原料が電気アーク炉(EAF)に供給され、制御された温度で加熱された液体金属に溶融され、不純物および介在物が別個の液体スラグ層として除去される。加熱された液体金属は、EAFから取鍋、好ましくは受動的に加熱可能な取鍋に除去され、精製ステーションに移動され、そこで誘導加熱精製保持容器に配置されることが好ましい。そこで、液体金属から炭素、水素、酸素、窒素および他の望ましくない不純物を除去するために、真空酸素脱炭などの精製ステップが行われる。次いで、精製された液体金属を含む取鍋を、制御された真空および不活性雰囲気下で、アトマイザの加熱されたタンディッシュを含む閉鎖チャンバの上方に移送することができる。取鍋が供給導管に接続され、次いで、加熱されたタンディッシュに供給導管を通して精製された液体金属が供給される。
【0079】
あるいは、精製された液体金属を含む取鍋は、精製ステーションから、別の誘導加熱されたアトマイジングホルダ容器に移送され、このアトマイジングホルダ容器は、制御された真空および不活性雰囲気下で、ガスアトマイザの加熱されたタンディッシュと共に注入領域を含むアトマイザステーションのドアに位置する。次いで、誘導加熱されたアトマイジングホルダ容器は、真空および雰囲気が注入領域の1つに調整される受容領域に導入される。次いで、容器が注入領域に導入され、液体金属が制御された速度で加熱されたタンディッシュに注入され、アトマイザでアトマイズされる。
【0080】
両方の変形例において、溶融金属は、制御された雰囲気下でチャンバ2内のノズル3を通って押し出され(ステップ(i))、微細な金属液滴にアトマイズするガスのジェットによって衝突される(ステップ(ii))まで、タンディッシュ内でアトマイゼーション温度に維持される。
【0081】
ステップ(ii)では、金属流をアトマイズするためにガス噴霧器4を通して注入されるガスは、好ましくはアルゴンまたは窒素である。これらは両方とも、溶融粘度を他のガス、例えばヘリウムよりも遅く上昇させ、これにより、より小さい粒径の形成が促進される。それらはまた、化学的性質の純度を制御し、望ましくない不純物を回避し、粉末の良好な形態において役割を果たす。窒素のモル重量がアルゴンの39.95g/モルと比較して14.01g/モルであるので、窒素を用いるよりもアルゴンを用いる方がより微細な粒子が得られることができる。一方、窒素の比熱容量は、アルゴンの0.52と比較して、1.04J/(gK)である。したがって、窒素は粒子の冷却速度を増加させる。
【0082】
ガス流は、金属粉末の粒径分布および微細構造に影響を与える。特に、流速が高いほど、冷却速度は高くなる。したがって、ガス流量(m/h)と金属流量(Kg/h)との比として定義されるガス対金属比は、好ましくは1~5の間、より好ましくは1.5~3の間に保たれる。
【0083】
チャンバ内の溶融金属のアトマイゼーションから金属粒子が得られると、得られた粉末は、金属粒子の発泡流動床15を形成するようにチャンバの底部からガスを注入することによってチャンバの下部セクションで冷却される(ステップ(iii))。このステップは、好ましくはアトマイゼーションステップと同時に行われる。より好ましくは、アトマイゼーションステップと連続的かつ同時に行われる。このようにして、アトマイザは連続的に作動することができる。
【0084】
このステップの間、金属粒子は、好ましくは、それらの酸化窓より下に冷却される。鋼粉末の場合、金属粒子は、好ましくは300°C未満、より好ましくは260°C未満、さらにより好ましくは150~260°Cの間で冷却される。このような冷却により、粉末は、次いで、プロセスの次のステップで空気中で操作することができる。酸化に対する鋼組成の感度および/またはガスの純度に応じて、冷却が調整されることができる。粉末を冷却するのに必要なガス流を制限するために、粉末は過度に冷却されないことが好ましく、例えば150°C未満である。連続モードでは、粒子の一部がチャンバから連続的に排出され、新しい高温粒子が連続的に床に添加される間、流動床が一定の温度に維持されるようにガス流が調整される。その場合、流動床は300°C未満、より好ましくは260°C未満、さらにより好ましくは150~260°Cの間に維持される。
【0085】
粉末床を流動化するためにガスインジェクタ6を通して注入されるガスは、好ましくはアルゴンまたは窒素であり、より好ましくは溶融金属流をアトマイズするために使用されるガスと同じガスである。これは、好ましくは1~80cm/sの間の速度で注入され、これは低い換気電力を必要とし、したがってエネルギー消費を低減する。ガス流は、好ましくは、ファンなどの流量調整器9によって調整される。
【0086】
ガスは、好ましくは、10~50°Cの間に含まれる温度で注入される。これにより、金属粒子の冷却性がさらに向上する。
【0087】
注入されたガスは、好ましくは、チャンバ内の一定の圧力を維持するためにチャンバから抽出される。ガス抽出器11内のガス流は、それに応じて調整される。チャンバ2内の圧力は、好ましくは5~100mbarの間に設定される。
【0088】
注入されたガスは、好ましくは再循環される。その場合、チャンバから取り出した後に冷却することがより好ましい。これは、好ましくは50°C未満、より好ましくは10~50°Cの間で冷却される。
【0089】
ステップ(iii)の間、流動床を熱交換器14と接触させることによって、金属粒子の冷却がさらに促進されることができる。
【0090】
本発明によるプロセスは、冷却された金属粒子をチャンバから連続的に排出するステップ(iv)をさらに備えることができる。このステップは、好ましくは、アトマイゼーションステップおよび冷却ステップと同時に行われる。連続的な排出は、前述のように、オーバーフロー部19を介して行われることができる。
【0091】
本発明によるプロセスは、排出された金属粒子を分級ステーション23および/または袋詰めステーションに搬送するステップ(v)をさらに備えることができる。このステップは、好ましくは、アトマイゼーションステップ、冷却ステップおよび排出ステップと同時に行われる。
【0092】
排出された金属粒子は、流動床24の形態で搬送されることができる。これは、好ましくは発泡流動床である。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末製造プロセスであって、
(i)ガスアトマイザ(1)のチャンバ(2)に溶融金属を供給することと、
(ii)金属粒子を形成するように、ガスの注入によって溶融金属をアトマイズすることと、
(iii)金属粒子の発泡流動床(15)を形成するように、チャンバの底部からガスを注入することによってチャンバの下部セクション内の金属粒子を冷却することと、
を備えるプロセス。
【請求項2】
溶融金属は、溶鉱炉経路を通って得られた鋼である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
溶融金属は、電気アーク炉経路を通って得られた鋼である、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
ステップ(ii)および(iii)は同時に行われる、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
ステップ(iii)において、金属粒子は300°C未満に冷却される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップ(iii)において、注入されたガスは抽出され、冷却され、再注入される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
ガスは50°C未満に冷却される、請求項6に記載のプロセス。
【請求項8】
チャンバから金属粒子を連続的に排出するステップ(iv)をさらに備える、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
連続的な排出はオーバーフロー部(19)によって行われる、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
排出された金属粒子を分級ステーションへ搬送するステップ(v)をさらに備える、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
排出された金属粒子は流動床(24)の形態で搬送される、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
ガスアトマイザ(1)であって、チャンバ(2)と、チャンバの底部(7)に配置されたガスインジェクタ(6)と、流量調整器(9)であって、チャンバの下部セクションに蓄積される金属粒子を流動化し、金属粒子の発泡流動床(15)を形成するための、ガスインジェクタに結合された流量調整器(9)と、を備えるガスアトマイザ(1)。
【請求項13】
ガスインジェクタ(6)は、チャンバの底壁に開口部を備える、請求項12に記載のガスアトマイザ。
【請求項14】
チャンバの底部(7)とガスインジェクタ(6)との間の距離は、好ましくは10cm未満である、請求項12に記載のガスアトマイザ。
【請求項15】
ガスインジェクタはスパージャである、請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項16】
チャンバの下部セクションに配置された熱交換器(14)をさらに備える、請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項17】
チャンバの下部セクションにオーバーフロー部(19)をさらに備える、請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項18】
オーバーフロー部は、チャンバの下部セクション内に少なくとも部分的に延在し、チャンバの底壁を通過するパイプである、請求項17に記載のガスアトマイザ。
【請求項19】
チャンバの外側のオーバーフロー部の一部はガス入口(21)を備える、請求項17に記載のガスアトマイザ。
【請求項20】
チャンバの底部に粗粒子収集器(16)をさらに備える、請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項21】
チャンバの上部セクションにガス抽出器(11)をさらに備える、請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ。
【請求項22】
ガス抽出器(11)は、チャンバから抽出されたガスを除塵するためのサイクロン分離器を備える、請求項21に記載のガスアトマイザ。
【請求項23】
ガス抽出器(11)は、アトマイザ内のガス再循環のためにガスインジェクタ(6)に接続されている、請求項21に記載のガスアトマイザ。
【請求項24】
ガス抽出器(11)とガスインジェクタ(6)との間の接続部は、熱交換器(13)を備える、請求項23に記載のガスアトマイザ。
【請求項25】
請求項12~14のいずれか一項に記載のガスアトマイザ(1)と、コンベヤ(22)であって、ガスを循環させるための下部ダクト(25)と、粉末材料を循環させるための上部ダクト(26)と、下部ダクトと上部ダクトとを実質的に全長にわたって分離する多孔質壁(27)と、を具備するコンベヤ(22)と、を備える設備。
【請求項26】
コンベヤ(22)の下部ダクト(25)は、流動化ガス入口(29)と、流量調整器(28)であって、ガスアトマイザから排出される金属粒子を流動化し、上部ダクト(26)内に金属粒子の流動床(24)を形成するためにガス入口に結合された流量調整器(28)と、を備える、請求項25に記載の設備。
【国際調査報告】