(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】削岩におけるフラッシングを制御するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
E21B 21/14 20060101AFI20240401BHJP
E21B 21/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
E21B21/14
E21B21/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566564
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 EP2022060503
(87)【国際公開番号】W WO2022228981
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アントネン, ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】セタラ, ティモ
(72)【発明者】
【氏名】キヴェラ, トゥオモ
(72)【発明者】
【氏名】ラウニス, シルパ
(57)【要約】
削岩および削岩リグにおけるフラッシングを制御するための装置、方法およびコンピュータプログラム製品。装置は、実行された掘削の検出された浸透速度(15)に応答して、空気ミストフラッシングシステムにおける液体成分(LC)の供給を制御するための制御ユニット(CU)およびコンピュータプログラム(22)を含む。オペレータ(22)は、ドリル孔(12)から除去された掘削屑(19)の所望の水分目標値(16)を設定することができ、制御システムは、液体成分の供給を制御するためにフラッシングシステムを自動的に調整する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削岩ユニット(4)の空気ミストフラッシングを制御するための装置であって、前記空気ミストは、加圧空気(PA)および少なくとも1つの液体成分(LC)を含み、
前記装置は、前記空気ミストの供給を制御するための少なくとも1つの制御ユニット(CU)を含み、
前記制御ユニット(CU)には、掘削の浸透速度(15)に関するデータが提供され、
前記制御ユニット(CU)は、前記制御ユニット(CU)に入力される浸透速度(15)およびパラメータに関する入力データに応答して、前記空気ミストの前記少なくとも1つの液体成分(LC)の供給を制御するための制御信号(CS)を生成するように構成され、
前記制御ユニットは、掘削されているドリル孔(12)から除去された掘削屑(19)の水分含有量の入力目標値(16)を受け取るように構成され、
前記制御ユニットが、
前記掘削屑(19)の水分含有量の実値を決定し、
前記入力目標値(16)と前記実値との比較に応答して前記液体成分(LC)の供給を調整するようにさらに構成され、
前記制御ユニット(CU)には、前記ドリル孔(12)から除去された前記掘削屑の前記実際の水分(17)に関する検出データが提供され、それによってフィードバック制御が提供され、前記制御ユニット(CU)が、前記入力されたフィードバックデータに応答して前記液体成分(LC)の前記供給を制御するように構成される、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御ユニットが、
ドリルビット(11)の直径(D)に関する入力データ、前記掘削された岩石材料の密度に関するデータ、および前記浸透速度(15)に応答して、前記掘削中の期間当たりの前記除去された掘削屑(19)の除去速度を計算し、
水分含有量の前記入力目標値(16)および掘削屑の除去速度に関する前記計算されたデータに応答して、必要な液体成分供給速度を計算するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(CU)に入力される前記フラッシングパラメータが、前記掘削屑の水分含有量の許容水分値に関するデータセットを含む、
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(CU)が、液体成分の供給を最小限に抑える許容水分値に関する前記データセットからそのような制御パラメータを自動的に選択するように構成される、
ことを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(CU)が、少なくとも1つの液体成分制御要素(23)を制御するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御ユニット(CU)が、前記検出された浸透速度(15)に応答して空気流の供給をさらに制御するように構成される、
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
削岩リグ(1)であって、
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)に対して移動可能に取り付けられた少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、
前記少なくとも1つの掘削ブーム(3)に取り付けられ、供給ビーム(5)を含む少なくとも1つの掘削ユニット(4)と、前記供給ビーム(5)に取り付けられた削岩機(6)と、前記削岩機(6)に取り付け可能な掘削ツール(7)と、
加圧空気(PA)および少なくとも1つの液体成分(LC)をドリル孔(12)内に供給するための空気ミストフラッシングシステムと、
前記空気ミストフラッシングシステムを制御するための装置と、を含み、
前記装置が、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置である、
ことを特徴とする削岩リグ(1)。
【請求項8】
削岩におけるフラッシングを制御する方法であって、
空気ミストフラッシングを使用することであって、フラッシング流体が加圧空気(PA)および少なくとも1つの液体成分(LC)を含む、空気ミストフラッシングを使用することと、
掘削中にドリル孔(12)からフラッシングされた掘削屑(19)の水分含有量の目標水分値(16)を受け取ることと、
前記掘削中に、少なくとも1つの制御ユニット(CU)によってフラッシングシステムへの前記空気ミストの供給を制御することと、
前記掘削の浸透速度(15)を検出することと、
前記検出された浸透速度(15)および前記制御ユニット(CU)に入力されるパラメータに応答して、前記空気ミストの前記少なくとも1つの液体成分(LC)の供給を制御することと、を含み、
前記掘削屑(19)の水分含有量の実値を決定することと、
前記入力目標値(16)と前記実値との比較に応答して前記液体成分(LC)の供給を調整することと、
前記ドリル孔(12)から除去された前記掘削屑の前記実際の水分(17)に関する検出データを受け取ることであって、それによって、前記制御ユニット(CU)にフィードバック制御が提供される、検出データを受け取ることと、
前記入力されたフィードバックデータに応答して、前記液体成分(LC)の前記供給を制御することと、
によって特徴付けられる方法。
【請求項9】
前記ドリル孔(12)の前記掘削中に浸透速度(15)が変化するにもかかわらず、検査される各ドリル孔(12)について、前記ドリル孔(12)からフラッシングされた掘削屑(19)の水分含有量を一定に保つこと、
によって特徴付けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
掘削ツール(7,11)の直径(D)および前記検出された浸透速度(15)に関するデータに応答して、除去されフラッシングされた前記掘削屑(19)の固形分の体積を期間ごとに前記制御ユニット(CU)において計算することと、
前記空気ミストの前記液体成分(LC)と前記掘削屑(19)の固形分の計算された体積との間の相対量を定義する目標値(16)を前記制御ユニット(CU)に提供することと、
前記目標値(16)に応答して前記液体成分(LC)の前記供給を制御することと、
によって特徴付けられる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記掘削屑(19)の許容水分含有量を定義する所定のデータセットを前記制御ユニット(CU)に提供することと、
ユーザインターフェース(UI)上で、前記掘削に使用される前記空気ミストフラッシングのための許容可能なパラメータを選択するための支援をオペレータ(20)に提供することと、
によって特徴付けられる、請求項8から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
削岩における空気ミストフラッシングの供給を制御するためのコンピュータプログラム製品(22)であって、前記コンピュータプログラム製品(22)は、コンピュータまたはデータ処理装置上で実行されると、請求項8から11に開示したステップおよび手順を実行するように構成されたプログラムコード手段を含む、コンピュータプログラム製品(22)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩における削岩ユニットの空気ミストフラッシングを制御するための装置に関する。空気ミストは、加圧空気および1つまたは複数の液体成分を含む。空気ミストは、掘削された孔をフラッシングするために使用される。
【0002】
本発明はさらに、削岩リグ、ならびに空気ミストフラッシングシステムを制御するための方法およびコンピュータプログラム製品に関する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の前文においてより具体的に定義される。
【0004】
鉱山および他の作業現場では、異なる種類の削岩リグがドリル孔を削岩表面に掘削するために使用される。削岩リグには1つまたは複数のブームが設けられ、削岩機はブームの遠位端部に配置される。掘削中、ダストおよびより大きなサイズの掘削屑が形成され、それらをドリル孔から除去する必要がある。したがって、削岩機には、掘削ツールを介してドリル孔の内部にフラッシング流体を供給するためのフラッシング装置が設けられている。フラッシング媒体は、空気、水、またはミストであってもよい。フラッシングプロセスおよびフラッシング流体の供給を制御するための異なる解決策がある。しかしながら、既知の解決策はいくつかの欠点を示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、空気ミストフラッシングを制御するための新規かつ改良された装置、方法、およびコンピュータプログラム製品を提供することであり、さらに開示した解決策を利用して新規かつ改良された削岩リグを提供することである。
【0006】
本発明による装置は、第1の独立した装置クレームの特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による削岩リグは、第2の独立した装置クレームの特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、独立した方法請求項の特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0009】
本発明によるコンピュータプログラム製品は、第3の独立した装置クレームの特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0010】
開示された解決策の概念は、装置が、加圧空気および1つまたは複数の液体成分を含む空気ミストの供給を制御するための1つまたは複数の制御ユニットを含むことである。制御ユニットには、掘削の浸透速度に関するデータが提供される。これにより、制御ユニットは、浸透速度に関する入力データに応答して、空気ミストの1つまたは複数の液体成分の供給を制御するための制御信号を生成する。制御ユニットはまた、実行されるフラッシング制御に影響を及ぼす入力パラメータを提供されてもよい。
【0011】
言い換えれば、供給された空気ミストの水分含有量は、浸透速度に関するデータに関連して調整される。浸透速度とは、ある期間におけるドリルビットの岩石への進行を意味する。典型的には、浸透速度はm/分で表される。
【0012】
開示された解決策の目的は、主に空気ミスト中の液体含有量を調整することによって、ドリル孔からフラッシングによって除去された掘削屑の特性に影響を及ぼすことである。さらに、目的は、1つのドリル孔の掘削中の浸透速度の変動の可能性にもかかわらず、除去された掘削屑の水分レベルを相対的に一定に保つことである。次いで、システムは、例えば、変動する岩石特性および他の外部変動に反応することができる。
【0013】
開示された解決策の利点は、空気ミスト中の液体含有量および他のフラッシングパラメータの量が適切に調整されると、掘削屑の詰まりおよび他の問題を回避することができることである。水分濃度が高すぎると、目詰まりが発生する可能性がある。一方、水分レベルが低すぎると、塵埃が重大な問題を引き起こす可能性がある。この解決策では、水分に基づくフラッシングは、目詰まりおよび発塵の問題を防止するだけでなく、エネルギーおよびフラッシング媒体を節約することもでき、さらに、完全な掘削効率を確保することができ、作業現場および削岩リグのクリーナを維持することを可能にする。
【0014】
さらに、開示されたオペレータフリーのフラッシング制御は、無人掘削プロセスおよび遠隔制御掘削によく適している。
【0015】
一実施形態によれば、浸透速度は、汎用的な方法で、異なる検出手段によって決定することができる。1つまたは複数のセンサまたは検出装置によって、削岩ユニットの供給ビーム上の削岩機の動きを検出することが可能である。あるいは、供給装置の動作を検出し、例えば掘削ユニットの供給シリンダに供給される作動流体の流量を決定し、検出された流れに基づいて浸透速度を決定することが可能である。
【0016】
一実施形態によれば、液体成分の供給は、岩石の品質の変化などの外部要因によって浸透速度が変化するときに自動的に調整される。浸透速度は間接的に岩質を示すことができ、それによって水分含有量は岩石特性に応じて間接的に制御される。
【0017】
一実施形態によれば、開示された解決策はまた、オペレータによって選択された掘削パラメータを検出することができ、それに基づいて液体成分の供給を制御することができる。オペレータは、例えば、衝撃装置の衝撃圧力を減少させることによって掘削の浸透速度を減少させることができ、それによって、要求の厳しい岩石を掘削するときにドリル孔の真直度を改善しようと試みることができる。システムは、入力された掘削パラメータを監視することができ、フラッシングに必要な制御を実行することができる。
【0018】
一実施形態によれば、液体成分は、水、水溶液または任意の適切な液体混合物であってもよい。
【0019】
一実施形態によれば、制御ユニットは、各ドリル孔を別々に検査し、各ドリル孔について場合によって開示された調整措置を実行するように構成される。言い換えれば、制御ユニットは、掘削が進むにつれて各ドリル孔を徐々に検査し、それに応じて開示された調整措置を実行するように構成される。
【0020】
一実施形態によれば、制御ユニットは、掘削されているドリル孔から除去された掘削屑の水分含有量の入力目標値を提供され得る。制御ユニットはまた、掘削屑の水分含有量の実値を決定し、次いで、入力目標値と実値とを比較し、比較に基づいて液体成分の供給を調整することができる。
【0021】
一実施形態によれば、制御ユニットは、少なくとも1つのユーザインターフェースと通信するように構成される。オペレータは、ユーザインターフェースを用いて所望の目標値を制御ユニットに入力することができる。
【0022】
一実施形態によれば、上述のユーザインターフェースは、目標値を入力するための視覚的表示要素またはグラフィック要素を含むことができる。視覚的またはグラフィック表示要素は、直感的であり得、ユーザの利便性を向上させ得る。
【0023】
一実施形態によれば、入力目標値および実値は相対値である。
【0024】
一実施形態によれば、入力目標値および実値はパーセンテージ値である。したがって、調査中の値は水分の割合である。
【0025】
一実施形態によれば、制御ユニットは、ドリルビットの直径に関する入力データ、掘削された岩石材料の密度に関するデータ、および浸透速度に応答して、掘削中の期間当たりの除去された掘削屑の除去速度を計算し、水分含有量の入力目標値および掘削屑の除去速度に関する計算されたデータに応答して、必要な液体成分供給速度を計算するように構成される。言い換えれば、制御ユニットは、計算プロセスによって水分含有量の実値を決定するように構成される。そして、制御ユニットに実水分量の検出データを与える必要がない。したがって、この実施形態では、間接制御原理が実装される。
【0026】
一実施形態によれば、掘削中の期間当たりのフラッシングされた掘削屑の計算された除去速度は、期間当たりの除去された固体岩石の体積量を示すので、体積浸透速度と呼ぶことができる。加圧空気および液体成分の供給は、好ましい水分含有量値に達することができるように、検出された体積浸透速度に応じて調整される必要がある。
【0027】
一実施形態によれば、制御ユニットには、掘削される岩材の密度に関する入力データが提供され、あるいは、制御ユニットには、掘削プロセス中に検出データが提供され、検出データに応答して岩材の密度を決定するように構成される。制御ユニットには、密度の計算または決定を実行するための適切なアルゴリズムを設けることができる。
【0028】
一実施形態によれば、制御ユニットには、ドリル孔から除去された掘削屑の実際の水分に関する検出データが提供され、それによってフィードバック制御が提供され、制御ユニットが、入力されたフィードバックデータに応答して液体成分の供給を制御するように構成される。この実施形態では、屑の水分を検出するように構成された1つまたは複数のセンサまたは検出装置がある。センサは、例えば、集塵システムに関連して配置されてもよい。
【0029】
一実施形態によれば、開示された解決策は、制御ユニットに入力されるフラッシングパラメータを含み、入力制御パラメータは、掘削屑の水分含有量の許容水分値に関するデータセットを含む。許容水分値は、実際の試験および測定で決定することができる。さらに、データセットは、例えば、異なる掘削状況、岩石の種類、掘削ツールに合わせてカスタマイズされてもよい。
【0030】
一実施形態によれば、制御ユニットは、液体成分の供給が、入力データセットによって定義された許容水分値外の空気ミストのフラッシング状況をもたらす制御状況を防止するように構成される。
【0031】
一実施形態によれば、許容可能なフラッシングパラメータまたはデータセットは、所定のフラッシングマップによって示される。例えば、異なる岩石特性および掘削ツールについて行われた実際の研究に基づく異なるフラッシングパラメータおよびフラッシングマップが存在し得る。
【0032】
一実施形態によれば、制御ユニットは、液体成分の供給を最小限に抑える許容水分値に関するデータセットからそのような制御パラメータを自動的に選択することができる。言い換えれば、この実施形態は、可能な限り低い水分含有量を利用するが、掘削プロセス中にドリル孔の外側で大きなダストが発生しないように依然として注意を払う。この原理の利点は、典型的には、液体成分の供給速度が低い場合に浸透速度がより高くなり得ることである。浸透速度が高いほど、時間および費用のより効果的な掘削および節約を意味する。さらに、削岩機に搭載された液体成分タンクは、より小さくてもよい。
【0033】
一実施形態によれば、制御ユニットは、液体成分の供給を制御するための少なくとも1つの制御要素を制御するように構成される。
【0034】
一実施形態によれば、制御ユニットは、少なくとも1つの液体成分供給バルブを制御するように構成される。
【0035】
一実施形態によれば、制御ユニットは、液体成分の供給を制御するための少なくとも1つのポンプを制御するように構成される。次いで、ポンプは、上述の制御要素として機能することができる。
【0036】
一実施形態によれば、制御ユニットは、検出された浸透速度に応じて空気流の供給をさらに制御することができる。気流制御の利点は、塵埃のオーバーフローおよび拡散を防止できることである。さらに、実際のフラッシングの必要性に応じて空気の大きさを調整することができる場合、顕著なエネルギー節約を達成することができる。
【0037】
一実施形態によれば、制御ユニットは、フラッシングシステムの車載圧縮機を制御するように構成される。
【0038】
一実施形態によれば、制御ユニットは、鉱山または作業現場の圧縮空気ラインから供給される空気流を制御するように構成される。
【0039】
一実施形態によれば、開示された解決策は、削岩リグに関する。削岩リグは、可動キャリアと、キャリアに対して移動可能に取り付けられた少なくとも1つの掘削ブームと、少なくとも1つの掘削ブームに取り付けられ、供給ビームを含む少なくとも1つの掘削ユニットと、供給ビームに取り付けられた削岩機と、削岩機に取り付け可能な掘削ツールと、加圧空気および少なくとも1つの液体成分をドリル孔内に供給するための空気ミストフラッシングシステムと、空気ミストフラッシングシステムを制御するための装置と、を含む。装置は、本明細書に開示した特徴および実施形態のいずれか1つに従う。
【0040】
一実施形態によれば、削岩リグには、搭載された空気ミストフラッシングシステムが設けられる。次いで、削岩リグは、加圧空気を生成するための圧縮機を含み、さらに、液体成分を供給するためのタンクおよびポンプがある。システムは、供給された液体成分の流れを調整するための少なくとも1つの供給バルブが設けられた少なくとも1つの液体成分供給チャネルをさらに含む。
【0041】
一実施形態によれば、削岩リグには、鉱山もしくは作業現場の給水ライン、または鉱山もしくは作業現場の圧縮空気ライン、またはその両方への接続が設けられる。
【0042】
一実施形態によれば、外部リザーバおよびシステムなどの1つまたは複数の外部フラッシング媒体供給源も、開示された解決策で実施することができる。供給システムは移動式であってもよい。
【0043】
一実施形態によれば、掘削ユニットは、掘削中の浸透速度を検出するための少なくとも1つの検出装置を含む。
【0044】
一実施形態によれば、削岩リグには、掘削中に掘削された孔から除去された掘削屑の水分含有量を検出するための少なくとも1つの検出装置が設けられる。
【0045】
一実施形態によれば、開示された解決策は、削岩におけるフラッシングを制御する方法に関する。本方法は、空気ミストフラッシングを使用することであって、フラッシング流体が加圧空気および少なくとも1つの液体成分を含む、ことと、掘削中に、少なくとも1つの制御ユニットによってフラッシングシステムへの空気ミストの供給を制御することと、掘削の浸透速度を検出することと、検出された浸透速度および制御ユニットに入力されるパラメータに応答して、空気ミストの少なくとも1つの液体成分の供給を制御することと、を含む。
【0046】
一実施形態によれば、本方法は、ドリル孔の掘削中の浸透速度が変化するにもかかわらず、検査された各ドリル孔について、フラッシングされた掘削屑の水分含有量を一定または実質的に一定に保つことをさらに含む。
【0047】
一実施形態によれば、本方法は、掘削中にドリル孔からフラッシングされる掘削屑の水分含有量について選択可能な目標水分値を制御ユニットに提供することをさらに含む。
【0048】
一実施形態によれば、本方法は、掘削ツールの直径および検出された浸透速度に関するデータに応答して、除去されフラッシングされた掘削屑の固形分の体積を期間ごとに制御ユニットにおいて計算することと、空気ミストの液体成分と掘削屑の固形分の計算された体積との間の相対量を定義する目標値を制御ユニットに提供することと、目標値に応答して液体成分の供給を制御することと、をさらに含む。
【0049】
一実施形態によれば、本方法は、掘削屑の許容水分含有量を定義する所定のデータセットを制御ユニットに提供することと、ユーザインターフェース上で、掘削に使用される空気ミストフラッシングのための許容可能なパラメータを選択するための支援をオペレータに提供することと、をさらに含む。
【0050】
一実施形態によれば、開示された解決策は、削岩においてフラッシングする空気ミストの供給を制御するためのコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータプログラム製品は、コンピュータまたはデータ処理装置上で実行されると、請求項8から11に開示したステップおよび手順を実行するように構成されたプログラムコード手段を含む。
【0051】
上記で開示された実施形態は、必要とされる上記の特徴のものを有する適切な解決策を形成するために組み合わせることができる。
【0052】
いくつかの実施形態は、添付の図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】掘削ユニットおよび掘削屑をフラッシングするためのシステムが設けられた、表面掘削用の削岩リグの概略側面図である。
【
図2】開示されたフラッシング制御におけるパラメータに関連するいくつかの特徴を示す概略図である。
【
図3】空気ミストフラッシングを制御するための装置の概略図である。
【
図4】本開示の装置で利用されるいくつかの制御パラメータの概略図である。
【
図6】空気ミストの可能な液体成分を示す概略図である。
【
図7】フラッシングマップを示す概略グラフである。
【0054】
明確にするために、図は、開示された解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示す。図面において、同様の符号は同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1は、表面掘削を目的とした削岩リグ1を示す。削岩リグ1は、可動キャリア2と、キャリア2に接続された少なくとも1つの掘削ブーム3と、を含む。掘削ブーム3の遠位端部分には、供給ビーム5と、それに支持された削岩機6と、を備えた掘削ユニット4がある。掘削ツール7は、削岩機6に接続可能である。削岩機6は、削岩機6の前端部に、ツール7を接続するためのシャンクアダプタを含んでもよい。削岩機6は、衝撃装置8および回転装置9を含むことができる。削岩機6は、供給装置10によって供給ビーム5上を移動することができる。掘削ツール7の遠位端部にはドリルビット11がある。掘削屑は、削岩機6および掘削ツール7を通るフラッシング流をドリル孔12の底部に搬送することによって、削孔中にドリル孔12の底部からフラッシングされる。掘削ツール7は、その内部がフラッシング媒体のための流路である管状延長ロッドまたはチューブを含むことができる。フラッシング媒体がドリルビット11を通って流れるとき、掘削屑はドリル孔から移動することができる。
【0056】
開示された解決策では、空気ミストフラッシングが実施される。したがって、キャリア2は、加圧空気を供給するための圧縮機Cと、空気ミストのための所望の流れおよび組成を生成するために、1つまたは複数の液体成分を供給するための液体成分源Lと、を含むことができる。あるいは、またはそれに加えて、キャリア2を圧縮空気および液体成分の1つまたは複数の外部供給源に接続するための供給ユニット13があってもよい。明確にするために、フラッシング媒体を掘削ユニット4に搬送するためのチューブ、ホース、および他の流路は、
図1には示されていない。空気ミストフラッシングシステム、ならびにその装置および制御要素は、1つまたは複数の制御ユニットCUによって制御することができる。制御ユニットCUには、掘削屑の浸透速度および水分含有量に関するデータが提供され得る。したがって、浸透速度は、1つまたは複数のセンサS1によって検出されてもよく、さらに、掘削屑除去システム14に関連して1つまたは複数の水分センサS2があってもよい。
【0057】
図2は、液体成分の供給を制御するために、浸透速度15および水分目標値16が制御ユニットに入力されることを開示している。システムは、制御信号を生成するときに、掘削屑の水分含有量の検出された実値17と水分目標値16とを比較することができる。あるいは、システムは、掘削中の期間ごとに除去された掘削屑の除去速度18を計算し、計算されたデータを水分目標値16と比較することができる。除去速度は、ドリルビットの直径に関するデータ、掘削された岩石材料の密度に関するデータ、および検出された浸透速度に応じて計算することができる。ドリルビット11の直径Dを
図3に示す。
【0058】
図3は、開示された屑水分制御システムの特徴を開示しており、目的は、1つのドリル孔12の掘削中の浸透速度15の変動の可能性にもかかわらず、除去された掘削屑19の水分レベルを相対的に一定に保つことである。開示された自動フラッシングプロセスおよびシステムを自動掘削プロセスで実施することが有利である。オペレータ20は、ユーザインターフェースUIによって制御ユニットCUに制御パラメータを入力することができる。ユーザインターフェースUIは、パラメータの供給を支援するための1つまたは複数のグラフィック要素21を含むことができる。例えば、選択された水分含有量目標値を示すグラフィック要素があってもよい。目標値は、視覚的に、およびパーセンテージ値などの数値でオペレータに示すことができる。グラフィック要素21は、オペレータ20が直感的な方法で合理的な選択を行うように支援または強制されるように、所望の値を選択することができる許容範囲を示すことができる。フラッシングは、最初にオペレータが掘削屑の所望の水分率を選択し、次にシステムが掘削中に除去された岩材の量を計算し、最後にシステムが設定された水分率を達成するために必要な水または他の液体成分の量を計算するので、間接的に制御され得る。目標値のみを入力すればよいので、操作者にとって操作が容易である。システムは、制御の残りを注意し、可能性のある外部変動にフラッシングを調整する。
【0059】
制御ユニットCUには、制御ユニットCUのプロセッサ内で実行され得る1つまたは複数のコンピュータプログラム製品22または制御アルゴリズムが提供される。制御ユニットCUは、必要な入力制御パラメータおよび検出データを含み、少なくとも液体成分LCの供給を制御し、場合によっては加圧空気PAの供給も制御する、1つまたは複数の制御要素23のための制御信号CSを生成するように構成される。制御要素23は、例えば、ポンプまたはバルブであってもよい。
【0060】
図4は、掘削およびフラッシングプロセスのいくつかの制御パラメータを開示する。フラッシングパラメータは、この文書において既に上に開示されている。掘削パラメータは、供給パラメータ(速度、力)、衝撃パラメータ(エネルギー、周波数)、および回転パラメータ(速度、トルク)であってもよい。フラッシングを制御する際に、掘削パラメータも考慮される。さらに、使用される掘削ツールは、フラッシングプロセス制御に影響を及ぼし得る。
【0061】
図5は、水分目標レベル24[%]、浸透速度15[m/分]、液体成分の検出された流れ25[l/分]、および掘削屑の計算された水分含有量26[%]を組み合わせた1つの提示で示す。計算された水分含有量26は、液体成分の検出された流れ25および検出された浸透速度15に関するデータに基づいて計算される。矢印27は、掘削制御の外部の要因によって浸透速度15が減少することを示している。掘削された岩石は、例えば、より硬いものに変更されてもよい。浸透速度が減少すると、計算された水分含有量26が増加し、それによってフラッシング制御システムは、曲線25を調べるときに分かるように、液体成分の流れを減少させる。次に、新しい均衡が見出される。浸透速度が矢印28で増加すると、水分含有量曲線26の減少が起こり、曲線25を調べると分かるように、システムは液体成分の供給流を増加させる。再び、新たな均衡が見出される。したがって、フラッシングシステムは、浸透速度15の変化を考慮に入れ、曲線26を設定された目標レベル24に近づこうとする。
【0062】
図6は、液体成分にいくつかの代替形態があり得ることを開示している。
【0063】
図7は、フラッシングマップ29の一例を示す。フラッシングマップ29の目的は、許容されるフラッシングパラメータ値を示すことである。空気ミスト中の液体成分の量が少なすぎると、粉塵が発生する可能性があるため、粉塵発生領域D内のパラメータは避けるべきである。液体成分の使用量が多すぎると、目詰まりのおそれがある。したがって、禁止された目詰まり領域C1内の動作パラメータは回避されなければならない。第2の目詰まり領域C2もあり、その中で目詰まりが可能であり、その領域も可能であれば回避されるべきである。したがって、領域Dと領域C1との間の状況をもたらし、矢印30でマークされた動作パラメータは、改善された問題のない空気ミストのフラッシングを達成するためにフラッシング制御において好ましいはずである。異なる掘削ツールおよび岩石の種類に合わせてカスタマイズされたフラッシングマップが存在してもよい。
【0064】
開示された領域は、制御ユニットのデータセットとして定義することができる。さらに、フラッシングマップおよび使用されるフラッシングパラメータは、オペレータ用の削岩リグの表示装置に表示されてもよい。このようにして、貴重なフィードバックをオペレータに提供することができる。
【0065】
図面および関連する説明は、本発明の概念を例示することのみを意図している。その詳細において、本発明は特許請求の範囲内で変化し得る。
【国際調査報告】