(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-08
(54)【発明の名称】抗ウイルス剤及び抗腫瘍剤として使用するためのイソキノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 217/26 20060101AFI20240401BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240401BHJP
A61P 31/16 20060101ALI20240401BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20240401BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20240401BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240401BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20240401BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20240401BHJP
C07D 401/06 20060101ALI20240401BHJP
C07D 401/04 20060101ALI20240401BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C07D217/26
A61P31/20
A61P31/16
A61P31/14
A61P31/12
A61P35/00
A61K31/4545
A61K31/496
C07D401/06 CSP
C07D401/04
A61K31/5377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024507062
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022060121
(87)【国際公開番号】W WO2022219157
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049335
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523391951
【氏名又は名称】アールディーピー ファーマ アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】523391962
【氏名又は名称】パグス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェーベル、ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】キューネ、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063BB03
4C063BB09
4C063CC15
4C063DD10
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC30
4C086BC50
4C086BC73
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA12
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物、特にヒトパピローマウイルスE7タンパク質の分解誘発薬としてのその使用に関する。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗ウイルス剤として、より好ましくはポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルス、又はコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、又はB型肝炎ウイルス(HBV)に対する抗ウイルス剤として使用するための、さらにより好ましくはヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の治療に使用するための、又はSARS-CoV-2感染症の治療若しくは予防に使用するための、特にHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患の治療に使用するための、特にタンパク質E7の分解誘導薬としての、又はCOVID-19の治療若しくは予防に使用するための、
式(I)の化合物:
【化1】
(式中、
R
1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり;これらの基の全ては任意に(optionally)置換されていてもよく;
R
1aは水素又はC
1~4アルキル基である;又は
R
1及びR
1aは一緒になって、C、N及びOから選択される5個又は6個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基の一部であり、このヘテロシクロアルキル基は、非置換であっても、基R
11によって置換されていてもよく;
R
11は、C
1~4アルキル基又はC
1~6ヘテロアルキル基であり;
R
2は、フェニル基、ナフチル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、又はC、N、O及びSから選択される合計9個若しくは10個の環原子を含有する2つの環を含むヘテロアリール基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
21によって置換されていてもよく;
R
21は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択され;
R
3は、フェニル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、C
3~7シクロアルキル基、又はC、N、O及びSから選択される3~7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
31によって置換されていてもよく;
R
31は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択され;
R
4は、ハロゲン、OH、NH
2、SH、CN、N
3、NO
2、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択される;又は
2つの基R
4が一緒になって、式-O-CH
2-O-又は-O-CH
2-CH
2-O-の基であり;
nは0、1又は2である)
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
R
4がCl、OMe及びNHAcから選択される;特にR
4がOMeである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
nが0又は1である;特にnが0である、又はnが1であり、R
4がOMeである、請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1aが水素である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
1が、フェニル基、ナフチル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、又はC、N、O及びSから選択される合計9個若しくは10個の環原子を含有する2つの環を含むヘテロアリール基であり、これらの基の全てが任意に(optionally)置換されていてもよい、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
1が式-Ar-Cy-R
5の基(式中、Arは、フェニレン基又はC、N及びOから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリーレン基であり;Cyは、C
3~7シクロアルキレン基又はC、N、O及びSから選択される3個、4個、5個、6個若しくは7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキレン基であり、R
5は、水素又はC
1~4アルキル基又はC
1~6ヘテロアルキル基であり、特にArはフェニレン基であり、Cyは、C、N及びOから選択される6個の環原子を含有するヘテロシクロアルキレン基であり、R
5は水素又はC
1~4アルキル基である)である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1が以下の基:
【化2】
及び-NH-CH
2-CH
2-N(CH
3)
2から選択される、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
2が1つの基R
21を有する1,4-フェニレン基である、及び/又はR
3が1つの基R
31を有する1,4-フェニレン基であり、R
21が好ましくはF、Cl、Br、CF
3、CH
3及びOMeから選択され、特にR
21がCF
3基である、及び/又はR
31が好ましくはCl、CF
3、CH
3、NMe
2及びOMeから選択される、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
2が4-クロロフェニル基であり、R
3が4-メチルフェニル基である、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式(II):
【化3】
(式中、R
21、R
3、R
4及びnは請求項1から請求項9のいずれか一項に定義される通りであり、特にnは0又は1であり;R
4はOMeであり;R
21は、ハロゲン、C
1~4アルキル基又はC
1~4ヘテロアルキル基(特にCF
3基)であり;R
3は、フェニル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、C
3~7シクロアルキル基又はC、N、O及びSから選択される3~7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
31によって置換されていてもよく;R
31は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択される)
である、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩を、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項12】
HPV感染症の治療に使用するための、又はSARS-CoV-2による感染症の予防若しくは治療に使用するための、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の化合物又は医薬組成物。
【請求項13】
HPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患の治療に使用するための、特にタンパク質E7の分解誘導薬としての、又はCOVID-19を予防若しくは治療するための、請求項1から請求項12のいずれか一項に記載の化合物又は医薬組成物。
【請求項14】
シグナル伝達分子アンタゴニスト又はシグナル伝達分子アゴニストと請求項1から請求項13のいずれか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩との組み合わせを、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物であって、好ましくは前記シグナル伝達分子は、受容体分子又はその下流標的の1又は複数、例えばEGFR、Ras、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼアルファ85 kDa調節サブユニット若しくは110 kDa触媒サブユニット(PI3K)、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、プロテインキナーゼB(PKB、Akt)、p70-S6キナーゼ1、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR1)、FK506結合タンパク質(FKBP12)、mTOR複合体1(mTORC1)、TGFベータ経路シグナル伝達、及び/又はNOTCHシグナル伝達であり、特に前記シグナル伝達分子は、mTOR阻害剤-8(CAS番号:2489196-70-3)、mTOR阻害剤-3(CAS番号:1207358-59-5)、mTOR 阻害剤-1(CAS番号:468747-17-3)、mTOR阻害剤-2(CAS番号:2219323-96-1)、HDACs/mTOR阻害剤1(CAS番号:2271413-06-8)、PI3K/mTOR阻害剤-3(CAS番号:1363338-53-7)、PI3K/mTOR阻害剤-2(CAS番号:1848242-58-9)、PI3K/mTOR阻害剤-1(CAS番号:1949802-49-6)、MTI-31(CAS番号:1567915-38-1)、サパニセルチブ(CAS番号:1224844-38-5)、WAY-600(CAS番号:1062159-35-6)、オナタセルチブ(CAS番号:1228013-30-6)、MHY1485(CAS番号:326914-06-1)、PI3Kα/mTOR-IN-1(CAS番号:1013098-90-2)、PF-04979064(CAS番号:1220699-06-8)、3BDO(CAS番号:890405-51-3)、ジヒドロミリセチン(CAS番号:27200-12-0)、RapaLink-1(CAS番号:1887095-82-0)、AD80(CAS番号:1384071-99-1)、DS-7423(CAS番号:1222104-37-1)、ETP-46464(CAS番号:1345675-02-6)、トリン2(CAS番号:1223001-51-1)、PF-04691502(CAS番号:1013101-36-4)、TFEB活性化因子1(CAS番号:39777-61-2)、ビスツセルチブ(CAS番号:1009298-59-2)、MHY-1685(CAS番号:27406-31-1)、MCX 28(CAS番号:1414453-58-9)、CZ415(CAS番号:1429639-50-8)、XL388(CAS番号:1251156-08-7)、GNE-317(CAS番号:1394076-92-6)、NSC781406(CAS番号:1676893-24-5)、GDC-0349(CAS番号:1207360-89-1)、ゲダトリシブ(CAS番号:1197160-78-3)、化合物401(CAS番号:168425-64-7)、テムシロリムス(CAS番号:162635-04-3)、28-エピラパマイシン(CAS番号:253431-35-5)、GNE-477(CAS番号:1032754-81-6)、リダフォロリムス(CAS番号:572924-54-0)、GNE-493(CAS番号:1033735-94-2)、ビミラリシブ(CAS番号:1225037-39-7)、(+)-ウスニン酸(CAS番号:7562-61-0)、PP121(CAS番号:1092788-83-4)、42-(2-テトラゾリル)ラパマイシン(CAS番号:221877-56-1)、AZD-8055(CAS番号:1009298-09-2)、トリン1(CAS番号:1222998-36-8)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、クリソファノール(CAS番号:481-74-3)、VS-5584(CAS番号:1246560-33-7)、ダクトリシブ(CAS番号:915019-65-7)、PI3K-IN-22(CAS番号:1202884-94-3)、トルキニブ(CAS番号:1092351-67-1)、ゼイレノン(CAS番号:193410-84-3)、CC-115(CAS番号:1300118-55-1)、ラパマイシン(CAS番号:53123-88-9)、サリドロシド(CAS番号:10338-51-9)、PQR626(CAS番号:1927857-98-4)、ダクトリシブトシル酸塩(CAS番号:1028385-32-1)、LAT1-IN-1(CAS番号:20448-79-7)、GSK1059615(CAS番号:958852-01-2)、ルビオンコリン(C CAS番号:132242-52-5)、KU-57788(CAS番号:503468-95-9)、アピトリシブ(CAS番号:1032754-93-0)、エベロリムス(CAS番号:159351-69-6)、WYE-687(CAS番号:1062161-90-3)、SF2523(CAS番号:1174428-47-7)、WYE-132(CAS番号:1144068-46-1)、ルピウィテオン(CAS番号:104691-86-3)、OSI-027(CAS番号:936890-98-1)、JR-AB2-011(CAS番号:2411853-34-2)、SAR405(CAS番号:1523406-39-4)、WYE-687二塩酸塩(CAS番号:1702364-87-1)、PI3Ka-IN-5(CAS番号:2237953-19-2)、PQR530(CAS番号:1927857-61-1)、PKI-179(CAS番号:1197160-28-3)、WYE-354(CAS番号:1062169-56-5)、BGT226マレイン酸塩(CAS番号:1245537-68-1)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、BGT226(CAS番号:915020-55-2)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、PI-103(CAS番号:371935-74-9)、ボクスタリシブ(CAS番号:934493-76-2)、ETP-45658(CAS番号:1198357-79-7)、PF-06843195(CAS番号:2067281-51-8)、(32-カルボニル)-RMC-5552(CAS番号:2382768-55-8)、BC-LI-0186(CAS番号:695207-56-8)、P7(CAS番号:1001409-50-2)、BX-320(CAS番号:702676-93-5)、BX-517(CAS番号:850717-64-5)、BX517(CAS番号:850717-64-5)、BX795(CAS番号:702675-74-9)、BX-912(CAS番号:702674-56-4)、JX06(CAS番号:729-46-4)、ポリフィリンI(CAS番号:50773-41-6)、PS10(CAS番号:1564265-82-2)、PS210(CAS番号:1221962-86-2)、PS423(CAS番号:1221964-37-9)、PDK1-IN-RS2(CAS番号:1643958-89-7)、GSK2334470(CAS番号:1227911-45-6)、PF-AKT400(CAS番号:1004990-28-6)、カピバセルチブ(CAS番号:1143532-39-1)、アフレセルチブ(CAS番号:1047644-62-1)、ボルセルチブ(Borussertib)(CAS番号:1800070-77-2)、GSK-690693(CAS番号:937174-76-0)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、AKT-IN-3(CAS番号:2374740-21-1)、ベボリセルチブ(CAS番号:1416775-46-6)、FPA-124(CAS番号:902779-59-3)、CCT128930(CAS番号:885499-61-6)、AT13148(CAS番号:1056901-62-2)からなる群から選択される、エストロゲンのステロイド受容体分子又はシグナル伝達分子アンタゴニスト若しくはシグナル伝達分子アゴニストである、医薬組成物。
【請求項15】
好ましくは抗ウイルス剤として、より好ましくはポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルス、又はコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カルポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)に対する抗ウイルス剤として使用するための、さらにより好ましくはヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の治療に使用するための、又はSARS-CoV-2感染症の治療若しくは予防に使用するための、特にHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患の治療に使用するための、特にタンパク質E7の分解誘導薬としての、又はCOVID-19の治療若しくは予防に使用するための、
(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、
(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、
(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)及び
(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)からなる群から選択される化合物。
mTOR阻害剤-8(CAS番号:2489196-70-3)、mTOR阻害剤-3(CAS番号:1207358-59-5)、mTOR 阻害剤-1(CAS番号:468747-17-3)、mTOR阻害剤-2(CAS番号:2219323-96-1)、HDACs/mTOR阻害剤1(CAS番号:2271413-06-8)、PI3K/mTOR阻害剤-3(CAS番号:1363338-53-7)、PI3K/mTOR阻害剤-2(CAS番号:1848242-58-9)、PI3K/mTOR阻害剤-1(CAS番号:1949802-49-6)、MTI-31(CAS番号:1567915-38-1)、サパニセルチブ(CAS番号:1224844-38-5)、WAY-600(CAS番号:1062159-35-6)、オナタセルチブ(CAS番号:1228013-30-6)、MHY1485(CAS番号:326914-06-1)、PI3Kα/mTOR-IN-1(CAS番号:1013098-90-2)、PF-04979064(CAS番号:1220699-06-8)、3BDO(CAS番号:890405-51-3)、ジヒドロミリセチン(CAS番号:27200-12-0)、RapaLink-1(CAS番号:1887095-82-0)、AD80(CAS番号:1384071-99-1)、DS-7423(CAS番号:1222104-37-1)、ETP-46464(CAS番号:1345675-02-6)、トリン2(CAS番号:1223001-51-1)、PF-04691502(CAS番号:1013101-36-4)、TFEB活性化因子1(CAS番号:39777-61-2)、ビスツセルチブ(CAS番号:1009298-59-2)、MHY-1685(CAS番号:27406-31-1)、MCX 28(CAS番号:1414453-58-9)、CZ415(CAS番号:1429639-50-8)、XL388(CAS番号:1251156-08-7)、GNE-317(CAS番号:1394076-92-6)、NSC781406(CAS番号:1676893-24-5)、GDC-0349(CAS番号:1207360-89-1)、ゲダトリシブ(CAS番号:1197160-78-3)、化合物401(CAS番号:168425-64-7)、テムシロリムス(CAS番号:162635-04-3)、28-エピラパマイシン(CAS番号:253431-35-5)、GNE-477(CAS番号:1032754-81-6)、リダフォロリムス(CAS番号:572924-54-0)、GNE-493(CAS番号:1033735-94-2)、ビミラリシブ(CAS番号:1225037-39-7)、(+)-ウスニン酸(CAS番号:7562-61-0)、PP121(CAS番号:1092788-83-4)、42-(2-テトラゾリル)ラパマイシン(CAS番号:221877-56-1)、AZD-8055(CAS番号:1009298-09-2)、トリン1(CAS番号:1222998-36-8)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、クリソファノール(CAS番号:481-74-3)、VS-5584(CAS番号:1246560-33-7)、ダクトリシブ(CAS番号:915019-65-7)、PI3K-IN-22(CAS番号:1202884-94-3)、トルキニブ(CAS番号:1092351-67-1)、ゼイレノン(CAS番号:193410-84-3)、CC-115(CAS番号:1300118-55-1)、ラパマイシン(CAS番号:53123-88-9)、サリドロシド(CAS番号:10338-51-9)、PQR626(CAS番号:1927857-98-4)、ダクトリシブトシル酸塩(CAS番号:1028385-32-1)、LAT1-IN-1(CAS番号:20448-79-7)、GSK1059615(CAS番号:958852-01-2)、ルビオンコリン(C CAS番号:132242-52-5)、KU-57788(CAS番号:503468-95-9)、アピトリシブ(CAS番号:1032754-93-0)、エベロリムス(CAS番号:159351-69-6)、WYE-687(CAS番号:1062161-90-3)、SF2523(CAS番号:1174428-47-7)、WYE-132(CAS番号:1144068-46-1)、ルピウィテオン(CAS番号:104691-86-3)、OSI-027(CAS番号:936890-98-1)、JR-AB2-011(CAS番号:2411853-34-2)、SAR405(CAS番号:1523406-39-4)、WYE-687二塩酸塩(CAS番号:1702364-87-1)、PI3Ka-IN-5(CAS番号:2237953-19-2)、PQR530(CAS番号:1927857-61-1)、PKI-179(CAS番号:1197160-28-3)、WYE-354(CAS番号:1062169-56-5)、BGT226マレイン酸塩(CAS番号:1245537-68-1)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、BGT226(CAS番号:915020-55-2)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、PI-103(CAS番号:371935-74-9)、ボクスタリシブ(CAS番号:934493-76-2)、ETP-45658(CAS番号:1198357-79-7)、PF-06843195(CAS番号:2067281-51-8)、(32-カルボニル)-RMC-5552(CAS番号:2382768-55-8)、BC-LI-0186(CAS番号:695207-56-8)、P7(CAS番号:1001409-50-2)、BX-320(CAS番号:702676-93-5)、BX-517(CAS番号:850717-64-5)、BX517(CAS番号:850717-64-5)、BX795(CAS番号:702675-74-9)、BX-912(CAS番号:702674-56-4)、JX06(CAS番号:729-46-4)、ポリフィリンI(CAS番号:50773-41-6)、PS10(CAS番号:1564265-82-2)、PS210(CAS番号:1221962-86-2)、PS423(CAS番号:1221964-37-9)、PDK1-IN-RS2(CAS番号:1643958-89-7)、GSK2334470(CAS番号:1227911-45-6)、PF-AKT400(CAS番号:1004990-28-6)、カピバセルチブ(CAS番号:1143532-39-1)、アフレセルチブ(CAS番号:1047644-62-1)、ボルセルチブ(Borussertib)(CAS番号:1800070-77-2)、GSK-690693(CAS番号:937174-76-0)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、AKT-IN-3(CAS番号:2374740-21-1)、ベボリセルチブ(CAS番号:1416775-46-6)、FPA-124(CAS番号:902779-59-3)、CCT128930(CAS番号:885499-61-6)、AT13148(CAS番号:1056901-62-2)、
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソキノリン化合物及び抗ウイルス剤、特にポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス又はコロナウイルス科ウイルスに対する、特にヒトパピローマウイルス(HPV)に対する抗ウイルス剤としてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍ウイルス、人畜共通感染症高リスクエンデミックウイルス及び人畜共通感染症高リスクパンデミックウイルスなどの病原性ウイルス並びに宿主細胞因子とのそれらの相互作用の作用機序(MOA)研究は、ウイルス感染症の基本的な分子病理学原理への洞察を提供しただけでなく、体細胞変異又は生殖細胞変異によって引き起こされる非感染性疾患状態の表現型模写も提供する。ウイルス病理学では、ウイルスタンパク質が、非感染性疾患の中心でもある重要な宿主タンパク質をハイジャックし、不可欠な治療介入のための薬理学的薬物標的を示唆する。宿主細胞におけるウイルスタンパク質発現は、しばしば、細胞タンパク質及び核酸における機能獲得又は機能喪失をもたらし、結果として、細胞恒常性の歪みをもたらす。これらの線に沿って、ウイルス宿主相互作用の研究は、単にいくつか例を挙げると、腫瘍形成、炎症、自然免疫応答及び適応免疫応答並びに免疫抑制、潜伏及び老化、病原性、細胞シグナル伝達、RNA転写及びタンパク質翻訳制御、ユビキチン経路、細胞輸送、細胞-細胞相互作用、アポトーシス及び食作用における本発明者らの現在の知識に強く寄与する。共通のテーマとして、ウイルス宿主細胞相互作用標的化原理は、非常に遠い病原性ウイルス属の間で頻繁に保存されている。様々なウイルスが、当技術分野で周知の例である腫瘍抑制因子p53、網膜芽細胞腫タンパク質(pRB)、PTPN14、PDZ結合タンパク質を標的とする。
【0003】
その上、ウイルスがコードする、優先的には非構造タンパク質標的について最初に発見された薬物様分子は、それぞれの疾患経路が関与する非感染性疾患状況においても有利に適用することができる。抗感染症スクリーニングから最初に選択される薬物様分子は、例えば腫瘍学及び/又は免疫学においても同時に有効な治療薬となり得る。まとめると、この相互作用は、堅牢な標的化原理及び薬物耐性を受けにくい広範囲の薬物を可能にするので、治療的介入にとって魅力的である。本発明は、創薬のためのこれらの合理的な原理に基づき、汎用性のある分解誘導薬候補としてイソキノリン分子のクラスを開発する。
【0004】
国際公開第2006/097323号パンフレット、国際公開第2010/055164号パンフレット、国際公開第2013/027196号パンフレット、欧州特許第2149561号明細書、米国特許出願公開第2009/0068144号明細書、Rothweilerら(ChemMedChem 3(2008)、1118~1128)、米国特許出願公開第2011/224208号明細書、米国特許出願公開第2014/235593号明細書、米国特許出願公開第2013/315954号明細書及び米国特許第8,163,744号明細書は、がん治療を含む様々な用途のための(イソ)キノリン(オン)ベースの分子を開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、E7タンパク質の分解誘導薬である化合物及び他の病原性ウイルスのタンパク質を提供することであった。これらの化合物は、好ましくは、分子疾患標的の定常状態レベルの恒常性を変化させることができる薬物様特性を有する薬理学的に適切な分子であるはずである。分解誘導薬標的はまた、ウイルスタンパク質標的をはるかに超えた任意の病理についての任意の原因タンパク質から選択され得る。本発明の分子による分解誘導薬標的化は、前記分解誘導薬と所与の標的との直接相互作用によって誘因され得る、又は選択された薬物標的の定常状態レベルに影響を及ぼす異所性細胞経路との干渉によって相互媒介され得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明は、式(I)の化合物:
【化1】
(式中、
R
1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり;これらの基の全ては任意に(optionally)置換されていてもよく;
R
1aは水素又はC
1~4アルキル基である;又は
R
1及びR
1aは一緒になって、C、N及びOから選択される5個又は6個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基の一部であり、このヘテロシクロアルキル基は、非置換であっても、基R
11によって置換されていてもよく;
R
11は、C
1~4アルキル基又はC
1~6ヘテロアルキル基であり;
R
2は、フェニル基、ナフチル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、又はC、N、O及びSから選択される合計9個若しくは10個の環原子を含有する2つの環を含むヘテロアリール基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
21によって置換されていてもよく;
R
21は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択され;
R
3は、フェニル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、C
3~7シクロアルキル基、又はC、N、O及びSから選択される3~7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
31によって置換されていてもよく;
R
31は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択され;
R
4は、ハロゲン、OH、NH
2、SH、CN、N
3、NO
2、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択される;又は
2つの基R
4が一緒になって、式-O-CH
2-O-又は-O-CH
2-CH
2-O-の基であり;
nは0、1又は2である)
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0007】
好ましくは、R4は、Cl、OMe及びNHAcから選択される。特に好ましくは、R4はOMeである。
さらに好ましくは、nは0又は1である。
特に好ましくは、nは0である。
さらに特に好ましくは、nは1であり、R4はOMeである。
【0008】
その上好ましくは、R11は、Ac、-C(=O)-NH-CH2CH3、-Me、-CHO、CH2CH2-OH及びCH2CH2-OMeから選択される。
さらに好ましくは、R1aは水素である。
【0009】
その上好ましくは、R1は、フェニル基、ナフチル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、又はC、N、O及びSから選択される合計9個若しくは10個の環原子を含有する2つの環を含むヘテロアリール基であり、これらの基の全ては任意に(optionally)置換されていてもよい。
【0010】
さらに好ましくは、R1は式-Ar-Cy-R5の基(式中、Arは、フェニレン基又はC、N及びOから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリーレン基であり;Cyは、C3~7シクロアルキレン基又はC、N、O及びSから選択される3個、4個、5個、6個若しくは7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキレン基であり、R5は、水素又はC1~4アルキル基又はC1~6ヘテロアルキル基である)である。
【0011】
特に好ましくは、Arはフェニレン基であり、Cyは、C、N及びOから選択される6個の環原子を含有するヘテロシクロアルキレン基であり、R5は水素又はC1~4アルキル基である。
【0012】
さらに特に好ましくは、R
1は以下の基:
【化2】
及び
【化3】
から選択される。
その上好ましくは、R
1は式-NH-CH
2-CH
2-N(CH
3)
2の基である。
さらに好ましくは、R
2は、1つの基R
21を有する1,4-フェニレン基、すなわち式:
【化4】
の基である。
【0013】
その上好ましくは、R21は、F、Cl、Br、CF3、CH3及びOMeから選択され;特に好ましくは、R21はCF3基である。
さらに好ましくは、R21は、CF3、CF2CF3、CCl3及びCCl2CCl3から選択される。
【0014】
さらに好ましくは、R
2は4-クロロフェニル基である。
その上好ましくは、R
3は、1つの基R
31を有する1,4-フェニレン基、すなわち式:
【化5】
の基である。
さらに好ましくは、R
31は、Cl、CF
3、CH
3、NMe
2及びOMeから選択される。
さらに好ましくは、R
31は、CF
3、CF
2CF
3、CCl
3及びCCl
2CCl
3から選択される。
その上好ましくは、R
3は4-メチルフェニル基である。
【0015】
好ましい実施形態によると、本発明は、式(II)の化合物:
【化6】
(式中、R
21、R
3、R
4及びnは上に定義される通りである)、又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0016】
nが0又は1であり;R4がOMeであり;R21が、ハロゲン、C1~4アルキル基又はC1~4ヘテロアルキル基(特にCF3基)であり;R3が、フェニル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、C3~7シクロアルキル基又はC、N、O及びSから選択される3~7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基であり、これらの基の全てが非置換であっても、1つ若しくは2つの基R31によって置換されていてもよく;R31が、ハロゲン、C1~4アルキル基及びC1~4ヘテロアルキル基から独立して選択される、式(II)の化合物が好ましい。
【0017】
本発明の最も好ましい化合物は、実施例に開示される化合物又はその塩である。
【0018】
1つの好ましい実施形態によると、国際公開第2006/097323号パンフレット、米国特許出願公開第2009/0068144号明細書、米国特許出願公開第2011/224208号明細書、米国特許出願公開第2014/235593号明細書、米国特許出願公開第2013/315954号明細書及び米国特許第8,163,744号明細書に開示される化合物は本発明の範囲から除外される。
【0019】
さらに好ましい実施形態によると、以下の化合物は本発明の範囲から除外される:
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシエチル)-アミド;
2,3-ビス-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシエチル)-アミド;
3-(4-クロロ-ベンジル)-2-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシエチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシエチル)-アミド;
(4-クロロ-フェニル)-[3-(4-クロロ-フェニル)-4-(2-メトキシ-エチルカルバモイル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-酢酸;
(4-クロロ-フェニル)-[3-(4-クロロ-フェニル)-4-(2-メトキシ-エチルカルバモイル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-酢酸メチルエステル;
2-(4-クロロ-ベンジル)-1-オキソ-3-キノリン-3-イル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシエチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-ナフタレン-2-イル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシエチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2,3-ビス-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
3-(4-クロロ-ベンジル)-2-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-[カルボキシ-(4-クロロ-フェニル)-メチル]-3-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-1-オキソ-3-キノリン-3-イル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-4-(モルホリン-4-カルボニル)-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン;
4-(4-アセチル-ピペラジン-1-カルボニル)-2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン;
4-(4-アセチル-ピペラジン-1-カルボニル)-2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-ヒドロキシ-エチル)-アミド;及び
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-4-[4-(2-ヒドロキシ-エチル)-ピペラジン-1-カルボニル]-3,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-1-オン。
【0020】
その上好ましい実施形態によると、以下の化合物は本発明の範囲から除外される:
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシメチル)-アミド;
2,3-ビス-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸メトキシメチル-アミド;
3-(4-クロロ-ベンジル)-2-(4-クロロ-フェニル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシメチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシメチル)-アミド;
(4-クロロ-フェニル)-[3-(4-クロロ-フェニル)-4-(メトキシメチル-カルバモイル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-酢酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-1-オキソ-3-キノリン-3-イル-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシメチル)-アミド;及び
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-ナフタレン-2-イル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシメチル)-アミド。
【0021】
さらに好ましい実施形態によると、国際公開第2008/034039号パンフレット、米国特許出願公開第2009/0306130号明細書及び米国特許第8,367,699号明細書に開示される化合物は本発明の範囲から除外される。
【0022】
さらに好ましい実施形態によると、以下の化合物は本発明の範囲から除外される:
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-チオフェン-2-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-ピリジン-2-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
3-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-2-[(4-クロロ-フェニル)-メトキシカルボニル-メチル]-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-チオフェン-2-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシ-エチル)-アミド;
(2-{[2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-チオフェン-2-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボニル]-アミノ}-エチル)-ジメチル-アンモニウム塩;
(2-{[2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-チオフェン-2-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボニル]-アミノ}-エチル)-ジメチル-アンモニウムホルメート;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-ピリジン-2-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシ-エチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(5-クロロ-1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシ-エチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシ-エチル)-アミド;
2-(4-クロロ-ベンジル)-3-(6-フルオロ-1H-インドール-3-イル)-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-4-カルボン酸(2-メトキシ-エチル)-アミド;
[3-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-4-(2-メトキシ-エチルカルバモイル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-(4-クロロ-フェニル)-酢酸メチルエステル;
[3-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-4-(2-メトキシ-エチルカルバモイル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-(4-クロロ-フェニル)-酢酸エステル;及び
[3-(6-クロロ-1H-インドール-3-イル)-4-(2-メトキシ-エチルカルバモイル)-1-オキソ-3,4-ジヒドロ-1H-イソキノリン-2-イル]-(4-クロロ-フェニル)-酢酸。
【0023】
その上好ましい実施形態によると、Rothweilerら ChemMedChem 2008、3、1118~1128に開示される化合物は本発明の範囲から除外される。
【0024】
特に好ましくは、Rothweilerら ChemMedChem 2008、3、1118~1128の1120頁に開示される化合物NXN-7、NXN-574、NXN-553、NXN-552及びNXN-561は本発明の範囲から除外される:
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【0025】
アルキルという表現は、1~20個の炭素原子、好ましくは1~12個の炭素原子、特に1~6個(例えば、1個、2個、3個又は4個)の炭素原子を含有する飽和直鎖炭化水素基又は飽和分岐炭化水素基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソ-プロピル基、nブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、nペンチル基、イソ-ペンチル基、nヘキシル基、2,2ジメチルブチル基又はnオクチル基を指す。
【0026】
さらに、アルキルという用語は、例えば、2,2,2-トリクロロエチル基又はトリフルオロメチル基などの、1又は複数の水素原子がハロゲン原子(好ましくはF又はCl)によって置き換えられている基を指す。
【0027】
アルケニル及びアルキニルという表現は、2~20個の炭素原子、好ましくは2~12個の炭素原子、特に2~6個(例えば、2個、3個又は4個)の炭素原子を含有する少なくとも部分的に不飽和の直鎖炭化水素基又は少なくとも部分的に不飽和の分岐炭化水素基、例えばエテニル(ビニル)基、プロペニル(アリル)基、イソ-プロペニル基、ブテニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、アセチレニル基、プロパルギル基、イソプレニル基又はヘキサ-2エニル基を指す。好ましくは、アルケニル基は1つ又は2つ(特に好ましくは1つ)の二重結合を有し、アルキニル基は1つ又は2つ(特に好ましくは1つ)の三重結合を有する。
【0028】
さらに、アルケニル及びアルキニルという用語は、1又は複数の水素原子がハロゲン原子(好ましくはF又はCl)によって置き換えられている基を指す。
【0029】
ヘテロアルキルという表現は、1又は複数の(好ましくは1個、2個又は3個の)炭素原子が酸素原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、セレン原子、ケイ素原子若しくは硫黄原子(好ましくは酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子によって)又は式SO若しくはSO2の基によって置き換えられているアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基を指す。ヘテロアルキルという表現はさらに、例えば、アシル、アシルアルキル、アルコキシカルボニル、アシルオキシ、アシルオキシアルキル、カルボキシアルキルアミド又はアルコキシカルボニルオキシなどのカルボン酸又はカルボン酸から誘導される基を指す。
【0030】
好ましくは、ヘテロアルキル基は、1~12個の炭素原子と、1~4個の酸素、窒素及び硫黄(特に酸素及び窒素)から選択されるヘテロ原子とを含有する。特に好ましくは、ヘテロアルキル基は、1~6個(例えば、1個、2個、3個又は4個)の炭素原子と、1個、2個又は3個(特に1個又は2個)の酸素、窒素及び硫黄(特に酸素及び窒素)から選択されるヘテロ原子とを含有する。C1~C6ヘテロアルキルという用語は、1~6個の炭素原子と、1個、2個、3個又は4個のO、S及び/又はN(特にO及び/又はN)から選択されるヘテロ原子とを含有するヘテロアルキル基を指す。C1~C4ヘテロアルキルという用語は、1~4個の炭素原子と、1個、2個又は3個のO、S及び/又はN(特にO及び/又はN)から選択されるヘテロ原子とを含有するヘテロアルキル基を指す。
【0031】
さらに、ヘテロアルキルという用語は、1又は複数の水素原子がハロゲン原子(好ましくはF又はCl)によって置き換えられている基を指す。
【0032】
ヘテロアルキル基の例は、式:RaOYa、RaSYa、RaSOYa、RaSO2Ya、RaN(Rb)Ya、RaCOYa、RaOCOYa、RaCOOYa、RaCON(Rb)Ya、RaN(Rb)COYa、RaOCON(Rb)Ya、RaN(Rb)COOYa、RaN(Rb)CON(Rc)Ya、RaOCOOYa、RaN(Rb)C(=NRd)N(Rc)Ya、RaCSYa、RaOCSYa、RaCSOYa、RaCSN(Rb)Ya、RaN(Rb)CSYa、RaOCSN(Rb)Ya、RaN(Rb)CSOYa、RaN(Rb)CSN(Rc)Ya、RaOCSOYa、RaSCOYa、RaCOSYa、RaSCON(Rb)Ya、RaN(Rb)COSYa、RaSCOOYa、RaOCOSYa、RaSCOSYa、RaSCSYa、RaCSSYa、RaSCSN(Rb)Ya、RaN(Rb)CSSYa、RaSCSOYa、RaOCSSYa(式中、Raは水素原子、C1C6アルキル基、C2C6アルケニル基又はC2C6アルキニル基であり;Rbは水素原子、C1C6アルキル基、C2C6アルケニル基又はC2C6アルキニル基であり;Rcは水素原子、C1C6アルキル基、C2C6アルケニル基又はC2C6アルキニル基であり;Rdは水素原子、C1C6アルキル基、C2C6アルケニル基又はC2C6アルキニル基であり、Yaは直接結合、C1C6アルキレン基、C2C6アルケニレン基又はC2C6アルキニレン基である)の基であり、各ヘテロアルキル基は、少なくとも1個の炭素原子を含有し、1又は複数の水素原子がフッ素原子又は塩素原子によって置き換えられていてもよい。
【0033】
ヘテロアルキル基の具体例は、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブトキシ、tert-ブチルオキシ、メトキシメチル、エトキシメチル、CH2CH2OH、CH2OH、メトキシエチル、1-メトキシエチル、1-エトキシエチル、2-メトキシエチル又は2-エトキシエチル、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、イソプロピルエチルアミノ、メチルアミノメチル、エチルアミノメチル、ジイソプロピルアミノエチル、メチルチオ、エチルチオ、イソプロピルチオ、エノールエーテル、ジメチルアミノメチル、ジメチルアミノエチル、アセチル(Ac、-C(=O)-CH3)、プロピオニル、ブチリルオキシ、アセチルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロピオニルオキシ、アセチルアミノ又はプロピオニルアミノ、カルボキシメチル、カルボキシエチル又はカルボキシプロピル、N-エチル-N-メチルカルバモイル又はN-メチルカルバモイルである。ヘテロアルキル基のさらなる例は、ニトリル基、イソニトリル基、シアネート基、チオシアネート基、イソシアネート基、イソチオシアネート基及びアルキルニトリル基である。
【0034】
シクロアルキルという表現は、1又は複数の環(好ましくは1つ又は2つ)を含有し、3~14個の環炭素原子、好ましくは3~10個(特に3個、4個、5個、6個又は7個)の環炭素原子を含有する飽和又は部分不飽和(例えば、シクロアルケニル基)の環式基を指す。シクロアルキルという表現はさらに、1又は複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子によって、又は1又は複数のOH基、=O基、SH基、=S基、NH2基、=NH基、N3基又はNO2基によって置換されていてもよい基、したがって、例えば、シクロヘキサノン、2-シクロヘキセノン又はシクロペンタノンなどの環状ケトンを指す。シクロアルキル基のさらなる具体例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、スピロ[4,5]デカニル基、ノルボルニル基、シクロヘキシル基、シクロペンテニル基、シクロヘキサジエニル基、デカリニル基、ビシクロ[4.3.0]ノニル基、テトラリン基、シクロペンチルシクロヘキシル基、フルオロシクロヘキシル基又はシクロヘキサ-2-エニル基である。
【0035】
ヘテロシクロアルキルという表現は、1又は複数の(好ましくは1個、2個、3個又は4個の)環炭素原子が酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子若しくは硫黄原子(好ましくは酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子によって)又はSO基若しくはSO2基によって置き換えられている、上に定義されるシクロアルキル基を指す。ヘテロシクロアルキル基は、好ましくは、3~10個(特に3個、4個、5個、6個又は7個)の環原子(好ましくは、C、O、N及びSから選択される)を含有する1つ又は2つの環を有する。ヘテロシクロアルキルという表現はさらに、1又は複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子によって、又は1又は複数のOH基、=O基、SH基、=S基、NH2基、=NH基、N3基又はNO2基によって置換されていてもよい基を指す。例は、ピペリジル基、プロリニル基、イミダゾリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ウロトロピニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロチオフェニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフリル基又は2ピラゾリニル基、並びにまたラクタム、ラクトン、環状イミド及び環状無水物である。
【0036】
アルキルシクロアルキルという表現は、上記の定義によるシクロアルキル基とアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基の両方を含有する基、例えばアルキルシクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基、アルキルシクロアルケニル基、アルケニルシクロアルキル基及びアルキニルシクロアルキル基を指す。アルキルシクロアルキル基は、好ましくは、3~10個(特に3個、4個、5個、6個又は7個)の環炭素原子を有する1つ又は2つの環を含有するシクロアルキル基と、1個又は2個~6個の炭素原子を有する1つ又は2つのアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基(特にアルキル基)とを含有する。
【0037】
ヘテロアルキルシクロアルキルという表現は、1又は複数の(好ましくは1個、2個、3個、4個又は5個の)環炭素原子が酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子若しくは硫黄原子(好ましくは酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子によって)又はSO基若しくはSO2基によって置き換えられている、上に定義されるアルキルシクロアルキル基を指す。ヘテロアルキルシクロアルキル基は、好ましくは、3~10個(特に3個、4個、5個、6個又は7個)の環原子を有する1つ又は2つの環と、1個又は2個~6個の炭素原子を有する1つ又は2つのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基又はヘテロアルキル基(特にアルキル基又はヘテロアルキル基)(ヘテロアルキル基は、好ましくは1個、2個又は3個のO、S及びNから選択されるヘテロ原子を有する)とを含有する。このような基の例は、アルキルヘテロシクロアルキル、アルキルヘテロシクロアルケニル、アルケニルヘテロシクロアルキル、アルキニルヘテロシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロアルキルヘテロシクロアルキル及びヘテロアルキルヘテロシクロアルケニルであり、環式基は飽和又はモノ不飽和、ジ不飽和若しくはトリ不飽和である。
【0038】
アリールという表現は、5個又は6個~14個の環炭素原子、好ましくは5個又は6個~10個(特に6個)の環炭素原子を含有する1又は複数の環を含有する芳香族基を指す。アリールという表現はさらに、1又は複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子によって、又は1又は複数のOH基、SH基、NH2基、N3基又はNO2基によって置換されていてもよい基を指す。例は、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、2フルオロフェニル基、アニリニル基、3ニトロフェニル基又は4ヒドロキシフェニル基である。
【0039】
ヘテロアリールという表現は、5~14個の環原子、好ましくは5~10個(特に5個又は6個又は9個又は10個)の環原子を含有する1又は複数の環を含有し、1又は複数の(好ましくは1個、2個、3個、4個又は5個の)酸素環原子、窒素環原子、リン環原子又は硫黄環原子(好ましくはO、S又はN)を含有する芳香族基を指す。ヘテロアリールという表現はさらに、1又は複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子によって、又は1又は複数のOH基、SH基、NH2基、N3基又はNO2基によって置換されていてもよい基を指す。例は、ピリジル基(例えば4-ピリジル基)、イミダゾリル基(例えば、2-イミダゾリル基)、フェニルピロリル基(例えば3-フェニルピロリル基)、チアゾリル基、イソチアゾリル基、1,2,3-トリアゾリル基、1,2,4-トリアゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、インドリル基、インダゾリル基、テトラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、イソオキサゾリル基、インダゾリル基、インドリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリダジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピロリル基、プリニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、ピリミジル基、2,3’-ビフリル基、ピラゾリル基(例えば3-ピラゾリル基)及びイソキノリニル基である。
【0040】
アラルキルという表現は、例えば、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールシクロアルキル基、アリールシクロアルケニル基、アルキルアリールシクロアルキル基及びアルキルアリールシクロアルケニル基などの、上記の定義によるアリール基とアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及び/又はシクロアルキル基の両方を含有する基を指す。アラルキルの具体例は、トルエン、キシレン、メシチレン、スチレン、塩化ベンジル、o-フルオロトルエン、1Hインデン、テトラリン、ジヒドロナフタレン、インダノン、フェニルシクロペンチル、クメン、シクロヘキシルフェニル、フルオレン及びインダンである。アラルキル基は、好ましくは、6~10個の炭素原子を含有する1つ又は2つの芳香環系(1つ又は2つの環)と、1個若しくは2個~6個の炭素原子を含有する1つ若しくは2つのアルキル基、アルケニル基及び/若しくはアルキニル基並びに/又は5個若しくは6個の環炭素原子を含有する1つ若しくは2つのシクロアルキル基とを含有する。
【0041】
ヘテロアラルキルという表現は、1又は複数の(好ましくは1個、2個、3個又は4個の)炭素原子が酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、セレン原子、リン原子、ホウ素原子又は硫黄原子(好ましくは酸素、硫黄又は窒素)によって置き換えられている、上に定義されるアラルキル基、すなわち、上記定義によるそれぞれアリール又はヘテロアリールとアルキル基、アルケニル基、アルキニル基及び/又はヘテロアルキル基及び/又はシクロアルキル基及び/又はヘテロシクロアルキル基の両方を含有する基を指す。ヘテロアラルキル基は、好ましくは、5個又は6個~10個の炭素原子を含有する1つ又は2つの芳香環系(1つ又は2つの環)と、1個若しくは2個~6個の炭素原子を含有する1つ若しくは2つのアルキル基、アルケニル基及び/若しくはアルキニル基並びに/又は5個若しくは6個の環炭素原子を含有する1つ若しくは2つのシクロアルキル基とを含有し、これらの炭素原子のうちの1個、2個、3個、4個、5個又は6個は、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子によって置き換えられている。
【0042】
例は、アリールヘテロアルキル、アリールヘテロシクロアルキル、アリールヘテロシクロアルケニル、アリールアルキルヘテロシクロアルキル、アリールアルケニルヘテロシクロアルキル、アリールアルキニルヘテロシクロアルキル、アリールアルキルヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールアルケニル、ヘテロアリールアルキニル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ヘテロアリールシクロアルキル、ヘテロアリールシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールアルキルシクロアルキル、ヘテロアリールアルキルヘテロシクロアルケニル、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキルシクロアルケニル及びヘテロアリールヘテロアルキルヘテロシクロアルキル基であり、環式基は飽和又はモノ不飽和、ジ不飽和若しくはトリ不飽和である。具体例は、テトラヒドロイソキノリニル基、ベンゾイル基、2-エチルインドリル基若しくは3-エチルインドリル基、4メチルピリジノ基、2メトキシフェニル基、3メトキシフェニル基若しくは4メトキシフェニル基、4エトキシフェニル基、2カルボキシフェニルアルキル基、3カルボキシフェニルアルキル基若しくは4カルボキシフェニルアルキル基である。
【0043】
ハロゲン又はハロゲン原子という用語は、F、Cl、Br又はIを指す。
【0044】
「任意に(optionally)置換された」という表現は、好ましくは、1個、2個、3個又はそれ以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、臭素原子若しくはヨウ素原子によって、又はOH基、=O基、SH基、=S基、NH2基、=NH基、N3基若しくはNO2基によって置き換えられていてもよい基を指す。この表現はさらに、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の(好ましくは非置換)C1C10アルキル基、C2C10アルケニル基、C2C10アルキニル基、C1C10ヘテロアルキル基、C3C18シクロアルキル基、C2C17ヘテロシクロアルキル基、C4C20アルキルシクロアルキル基、C2C19ヘテロアルキルシクロアルキル基、C6C18アリール基、C1C17ヘテロアリール基、C7C20アラルキル基又はC2C19ヘテロアラルキル基によって置換されていてもよい基を指す。この表現はさらに特に、1つ、2つ、3つ又はそれ以上の(好ましくは非置換)C1C6アルキル基、C2C6アルケニル基、C2C6アルキニル基、C1C6ヘテロアルキル基、C3C10シクロアルキル基、C2C9ヘテロシクロアルキル基、C7C12アルキルシクロアルキル基、C2C11ヘテロアルキルシクロアルキル基、C6C10アリール基、C1C9ヘテロアリール基、C7C12アラルキル基又はC2C11ヘテロアラルキル基によって置換されていてもよい基を指す。
【0045】
置換基が環を含有する場合、この環が単結合若しくは二重結合(特に単結合)を介してそれぞれの置換される基に結合していてもよい、又は置換される基も環を含有する場合、置換基の環が置換される基の環に縮環していてもよい。
【0046】
好ましい置換基は、F、Cl、Br、I、OH、=O、NH2、NO2、C1~4アルキル(例えば、メチル、CF3、エチル、t-ブチル)、NMe2、NHMe、CONH2、CH2NMe2、NHSO2Me、C(CH3)2CN、COMe、OMe、SMe、COOMe、COOEt、CH2COOH、OCH2COOH、COOH、SOMe、SO2Me、シクロプロピル、SO2NH2、SO2NHMe、SO2CH2CH2OH、SF5、SO2NMe2、CHO、OCF3、SO2CF3、COMe、CH2OH、CN又はCF3である。
特に好ましい置換基は、F、Cl、Br、OH、NH2、CH2NH2、NO2、Me、エチル、NMe2、CONH2、OMe、CN又はCF3である。
【0047】
好ましい実施形態によると、本明細書に記載される全てのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アラルキル基及びヘテロアラルキル基は、任意に(optionally)置換されていてもよい。
【0048】
アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基が2つ以上の環を含有する場合、これらの環は単結合若しくは二重結合を介して互いに結合していてもよい、又はこれらの環は縮環していてもよい。
【0049】
本発明はさらに、1又は複数の本明細書に定義される式(I)若しくは式(II)の化合物又はその薬学的に許容されるエステル、プロドラッグ、水和物、溶媒和物若しくは塩を、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。
【0050】
本発明のさらなる態様は、1又は複数の本明細書に言及される疾患を治療するための医薬品を調製するための、本明細書に定義される式(I)若しくは式(II)の化合物又は本明細書に定義される医薬組成物を提供することである。
【0051】
本発明の化合物は、抗ウイルス剤、好ましくはポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルス、又はコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、特にヒトパピローマウイルス(HPV)に対する抗ウイルス剤として使用するのに特に適している。本発明の化合物は、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の治療に使用するための、又はSARS-CoV-2感染症の治療若しくは予防に使用するための、特にHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患の治療に使用するための、特にタンパク質E7の分解誘導薬としての、又はCOVID-19の治療若しくは予防に使用するための抗ウイルス剤として優れて作用することが証明されている。したがって、本発明の化合物は、好ましくは、ウイルス感染症を有する又はウイルスに感染してウイルス病原体によって引き起こされる疾患を発症するリスクがあるヒト患者を治療する方法であって、有効量の本発明による化合物の1又は複数を、この抗ウイルス化合物を必要とするこの患者に投与することを含む、方法に使用される。
【0052】
DNAウイルス
【0053】
HPV
DNA腫瘍ウイルスであるヒトパピローマウイルス(HPV)は、子宮頸部、外陰、膣、肛門、陰茎、頭頸部のがん及び前がん病変のかなりの割合、並びに性器疣贅の原因因子であり(Diseases associated with human papillomavirus infection Heather A.Cubie、Virology 445(2013)21~34;Hartwigら、Estimation of the overall burden of cancers,precancerous lesions,and genital warts attributable to 9-valent HPV vaccine types in women and men in Europe,Infectious Agents and Cancer(2017)12:19)、全がんの5%に関与している。これらには、扁平上皮癌(SCC)及び腺癌(ADC)が含まれる。その上、HPVは、前立腺がん(Pascale Mら Is human papillomavirus associated with prostate cancer survival? Dis Markers.2013;35(6):607-13)、肺がん(Talita Helena Araujo de OliveiraCarolina Medeiros do AmaralBianca de Franca Saoら、Presence and activity of HPV in primary lung cancer、Journal of Cancer Research and Clinical Oncology、2018年12月、第144巻、第12号、2367~2376頁)、乳がん(Lawson JSらHuman Papilloma Virus Identification in Breast Cancer Patients with Previous Cervical Neoplasia.Front Oncol.2016年1月8日;5:298)及びボーエン病(Kobayashi K.ら、Identification of a human papillomavirus type 58 lineage in multiple Bowen’s disease on the fingers:Case report and published work review、J Dermatol.2018年10月;45(10):1195~1198.doi:10.1111/1346-8138.14574.Epub 2018年7月231)の一部においても役割を果たすことが報告されている。ベータHPV型などのHPVの他のサブタイプが光線性角化症及び非黒色腫皮膚がんを誘発しているという証拠が増加している(Inhibition of TGF-β and NOTCH Signaling by Cutaneous Papillomaviruses、Meyers JM、Grace M、Uberoi A、Lambert PF、Munger K.Front Microbiol.2018年3月8日;9:389.doi:10.3389/fmicb.2018.00389.eCollection 2018.Review.PMID:29568286)。
【0054】
世界中で、HPVがんの最も顕著なものである、子宮頸がんは、女性におけるがん関連死の4番目に一般的な原因であり、2012年には推定527,624例の新規症例及び265,672例の死亡がある。これは、1.547.161の世界的な5年有病者数を示す(59,6/100.000の割合)。低~中程度の医療環境を有する国では、世界的な負担の85%超及び死亡の88%超が発生しており、子宮頸がんが全女性がんの12%を占める(GLOBOCAN 2012)。HPV誘発性がんは性感染症であり、HPVは一般に腫瘍誘発の原因因子として認められているだけでなく、腫瘍の進行及び維持の原因因子としても認められており(zur Hausen H.Papillomaviruses in the causation of human cancers-a brief historical account.Virology 2009;384(2):260~265)、それにより、HPV化合物E6又はE7を維持している腫瘍が、疾患を治癒するための治療的介入の主要な標的となる。生器がんにおけるその顕著な役割にもかかわらず、頭頸部がん、特に中咽頭がんなどの他のHPVがんが急速に増加しており、今後15年間でHPV陽性中咽頭がんが子宮頸がんを上回ると予想されている。
【0055】
高リスクHPV感染はウイルス癌遺伝子E6及びE7をもたらし、それぞれのタンパク質の連続発現が腫瘍の誘発、進行及びがん性状態の維持を駆動する。機能喪失、特にE7の機能喪失は、様々な実験系においてがん性表現型の逆転をもたらす。HPV誘発性がん維持におけるE7の支配的な独特の役割は、近年、E6を含む全ての他のHPVウイルス因子とは対照的に、E7が前がん症例及びがん症例において遺伝子変異体を厳密に欠いていることを示す、数千のHPV含有腫瘍ゲノムの次世代シーケンシング(NGS)によって確認された(White EA、Munger K.、Crowd Control:E7 Conservation Is the Key to Cancer.Cell.170:1057~1059(2017)、Mirabello Lら、HPV16 E7 Genetic Conservation Is Critical to Carcinogenesis、Cell 170:1164~1174(2017))。E7は、細胞タンパク質ネットワークとの会合数が最も多い(Farooq QUA、Shaukat Z、Zhou T、Aiman S、Gong W、Li C.Inferring Virus-Host relationship between HPV and its host Homo sapiens using protein interaction network.Sci Rep.2020年5月26日;10(1):8719.doi:10.1038/s41598-020-65837-w.PMID:32457456;PMCID:PMC7251128)。したがって、E7は、治療的介入のための唯一の非代理標的として適格である。特に、これには、様々な高リスクHPV型及び低リスクとして定義されるE7分子を誘導する疾患由来の列挙されたE7タンパク質が含まれる。Expasy ViralZoneデータベースによるアミノ酸配列は、配列番号及び識別子(括弧内)から抽出することができる。アルファパピローマウイルスから:P03129(VE7_HPV16);P04020(VE7_HPV11);P06788(VE7_HPV18);P17387(VE7_HPV31);P06429(VE7_HPV33);P27230(VE7_HPV35);P24837(VE7_HPV39);P36829(VE7_HPV40);P27231(VE7_HPV42);Q705H9(Q705H9_HPV43);Q80914(VE7_HPV44);P21736(VE7_HPV45);P26558(VE7_HPV51);P36831(VE7_HPV52);P36832(VE7_HPV53);Q81019(VE7_HPV54);P36833(VE7_HPV56);P26557(VE7_HPV58);Q81965(Q81965_HPV59);Q80956(VE7_HPV66);P54668(VE7_HPV68);P50785(VE7_HPV70);Q9IR58(Q9IR58_HPV82);Q84292(VE7_HPV6A);ベータパピローマウイルスについてのE7分子は、P06932(VE7_HPV05);P06430(VE7_HPV08);Q80908(VE7_HPV38)を含有する。
【0056】
したがって、E7腫瘍性タンパク質定常状態レベルの急速な低下を引き起こし、結果として、タンパク質レベルで機能喪失を導入するE7選択的低分子薬物は大いに興味深い。この種の有効成分は「分解誘導薬」と呼ばれる。分子レベルで、E7の分解は、E7腫瘍性タンパク質の発現からもたらされる全ての疾患を引き起こす歪みを標的化し、解決することを可能にする。本質的に:pRB経路の腫瘍形成性調節不全、PI3K及びTGF-β細胞シグナル伝達の妨害、並びに腫瘍微小環境の免疫抑制状態の直接的な実施-全てが腫瘍の退縮につながる。
【0057】
満たされていない医療ニーズのための分解誘導薬-薬物標的としてのポリオーマウイルス科:
ポリオーマウイルスPyVは、大/中T抗原とHPV腫瘍性タンパク質との間で高い配列保存を示す。他のウイルス腫瘍性タンパク質と同様に、大T抗原及び中T抗原は、細胞調節因子を標的として、細胞増殖、免疫回避及びアポトーシスの下方制御を支持する。E7分解誘導薬は、病的大型T分子に対して分解誘導薬活性を示すことができる。これまでに14種の異なるPyVが発見された。様々なこれらのヒトPyVサブタイプは薬理学的に興味深い。MCPyVは、治癒の見込みのない侵襲性で致命的なメルケル細胞癌の原因因子である。PyVの大部分は、広範な集団において日和見感染症である。しかしながら、これらの感染症は、通常は感染の病理学的症状が溶解感染であるPyVが、免疫抑制宿主における再活性化に従う場合に臨床的に関連するようになる。これらの溶解性再活性化は、ポリオーマウイルス関連腎症(PVAN)及び進行性多巣性白質脳症(PML)によって示唆されるように、重篤又はさらには致死的となり得る。これらの疾患のために、抗ウイルス療法が切実に必要とされている。免疫抑制療法の使用の増加は、ポリオーマウイルス誘発性疾患のより多くの症例をもたらし、ポリオーマウイルス誘発性病原性のための現代の部位特異的治療選択肢として有効な治療薬の市場を作り出し得る。現在、利用可能な明確な治療選択肢はない。当技術分野で示唆されている治療戦略は、ウイルス-グリカン結合若しくはT抗原機能の低分子阻害剤、抗体レベルを上昇させるための免疫抑制レジメンを見越して依然として実行可能な場合はブースター免疫化、又は高齢患者における細胞性免疫の増強であり、全ての選択肢は主にウイルス感染阻害の標的化のためのものである。T抗原などの非構造的病原性因子は、本発明の分子で標的化することができる。
【0058】
例として、疾患に関連するポリオーマウイルスについて、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)が、再発率、転移拡散率及び死亡率が高い侵襲性神経内分泌皮膚がんであるメルケル細胞癌(MCC)の原因因子として発見された。MCC発症の主な危険因子には、免疫抑制、紫外線(UV)露光及び加齢が含まれる。今日知られている14種のヒトPyVの中で、MCPyVがヒトのがんに関連して原因となっている唯一のものである。他のポリオーマウイルス亜種が腫瘍の誘発及び維持に直接関連している可能性が高いが、これまでに利用可能なデータは、これらの結論を現時点において最終的には可能にしていない。対照的に、MCPyV DNAは、a)LTAg及びsTAgの持続的発現を有するMCCの腫瘍ゲノムにクローン的に組み込まれて見出され、b)腫瘍から単離されたLTAgは、典型的には、ウイルス複製を支持することが機能的に不可能な切断型のLTAgを含有する-高リスクHPVから分かるように、DNA腫瘍ウイルスの発癌性形質転換能力の全てのシグネチャ。最近の研究では、確認されればかなり興味深い視点となる、他の種類の腫瘍及び慢性リンパ性白血病を含む血液悪性腫瘍のサブセットにおけるMCPyV DNAの存在が実証されている。MCCへの備えは増加しており、同様のウイルスが現在予想されているよりもはるかに多くの悪性腫瘍の病因因子であると推測したくなる。別の例として、BKPyVは日和見病原体である。一般的に。BKPyV感染は世界的に極めて一般的である。血清疫学的研究は、全体的に、一般成人集団の90%超が抗BKPyV IgG抗体を有することを示している。BKPyVは、腎移植レシピエントにおけるBKPyV関連腎症(PVAN)及び骨髄移植患者における出血性膀胱炎の原因因子である。BKPyV複製の主要部位は腎臓及び尿路上皮であり、これらの細胞の溶解破壊をもたらす。BKPyVの複製は、免疫抑制の全ての組み合わせの下で観察されている。BKPyV感染は、移植片機能障害及び早期移植喪失の主な原因として認識されているため、免疫抑制の深刻な合併症である。免疫抑制の正味の状態を減少させることが治療の主軸である。抗ウイルス薬によって治療されるCMV感染症とは対照的に、いずれかの移植、HIV及び高齢者を含む免疫抑制患者集団の緊急の医学的必要性である、BKVに利用可能な直接的な抗ウイルス療法はない。
【0059】
別の例として、JCポリオーマウイルス(JCPyV)は、一次アミノ酸配列においてBKPyVと非常に類似しており、重大な治療選択肢が存在しない。JCPyVは、急速に進行する致死的な脱髄疾患である進行性多巣性白質脳症(PML)を引き起こす。JCPyVは乏突起膠細胞において複製し、神経障害の進行性蓄積及び最終的には死に至る。JCPyVは、HIV/AIDS、血液悪性腫瘍の患者などの免疫不全患者、並びに多発性硬化症、クローン病、リンパ腫、重症型のプラーク型乾癬及びリウマチ性疾患を治療するためにナタリズマブ、エファリズマブ、リツキシマブなどの免疫調節薬を受けている患者においてPMLを引き起こす。PMLに加えて、JCPyVは、JCPyV顆粒細胞神経細胞障害、JCPyV脳症及び髄膜炎などの他の神経障害を引き起こし得る。
【0060】
別の例として、TSポリオーマウイルス(TSPyV)一次アミノ酸配列の同様の保存が、免疫抑制療法を受けている固形臓器移植患者に発症する希少皮膚疾患である棘状毛髪異形成症(TS)を引き起こすTSPyVにおいて観察される。この疾患は、主に顔面の毛包性丘疹及びケラチン棘(棘)の発生を特徴とし、ここでも重大な治療選択肢はない。
【0061】
別の例として、HPyV7ポリオーマウイルス 新たに発見されたポリオーマウイルスサブタイプHPyV7は、免疫抑制療法を受けている肺移植レシピエントにおける掻痒性皮疹及びウイルス血症と関連していた。HPyV7の関与は、胸腺上皮性腫瘍について報告されている。明確には確認されていないが、HPyV7及び最近発見された他のPyVが免疫不全個体における新規な病原性と関連し得る可能性は低い。
【0062】
病原性及び宿主免疫抑制のための重複MOAを示す、本発明の分子による標的化に適した同様の特徴を有する他のウイルスは、例えば、ヒト免疫不全ウイルスHIV、C型肝炎ウイルスHCV、B型肝炎ウイルスHBVの非構造タンパク質、特に高リスク人畜共通感染症インフルエンザ株又は他のオルトミクソウイルス科ウイルスのインフルエンザAウイルスNS1タンパク質である。
【0063】
コロナ:
21世紀の最初の20年以内に、重症急性呼吸器症候群(SARS)-CoV、中東呼吸器症候群(MERS)-CoV、及びSARS-CoV-2を含む3種の高病原性ヒトコロナウイルス(HCoV)が出現した。2002年~2003年のSARS-CoVの世界的流行は、HCoVが重大な世界的公衆衛生上の脅威を呈し得ることを初めて明らかにした。SARS-CoVの死亡率は約10%であり、流行は2003年内に抑制された。MERS-CoVは、SARS-CoVよりも死亡率が高く(約35%)、依然として公衆衛生上の問題である。2019年末に中国の武漢で最初に特定されたSARS-CoV-2の世界的パンデミックは、現在進行中である。世界的に、SARS-CoV-2パンデミックの制御、及びこれが引き起こす疾患であるCOVID-19の患者の治療に注力する相当の努力がなされてきた。ワクチン接種は進行中であるが、ブレイクスルー変異は世界的な流れを表し、治療的介入の選択肢が望まれている。
【0064】
CoVは、コロナウイルス科及びニドウイルス目のコロナウイルス亜科のメンバーである。これらは、アルファコロナウイルス(α-CoV)、ベータコロナウイルス(β-CoV)、ガンマコロナウイルス(γ-CoV)、及びデルタコロナウイルス(δ-CoV)を含む4つの属に分類される。α-CoV及びβ-CoVは哺乳動物のみに感染し、γ-CoV及びδ-CoVは主に鳥類に感染するが、一部のγ-CoV及びδ-CoVは哺乳動物にも感染し得る。CoVは家畜にとって主要な病原体であり、かなりの経済的損失を引き起こすことがよく認識されている。これらはまた、哺乳動物ペット、実験動物及び多くの他の野生動物にも感染する。SARS-CoV、MERS-CoV及びSARS-CoV-2を含む全ての高病原性HCoVは、β-CoV属に属し、最初は野生哺乳動物、おそらくコウモリに由来すると考えられている。これらは重度の下気道感染症に関連するが、β-CoV属に属するHCoV-OC43及びHCoV-HKU1、並びにα-CoV属に属するHCoV-229E及びHCoV-NL63を含む他のHCoVは、比較的軽度の上気道感染症を引き起こす。
【0065】
CoVは、大型の(約30kb)キャップ化され、ポリアデニル化されたポジティブセンス及び一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープRNAウイルスである。CoV粒子は、Nタンパク質、Sタンパク質、Mタンパク質及びEタンパク質を含む少なくとも4種のカノニカル構造タンパク質を含む。ゲノムの5’末端の2/3は遺伝子1タンパク質をコードし、3’末端の1/3は構造タンパク質及びアクセサリータンパク質をコードする。後者のタンパク質は、細胞培養物中のウイルス複製に必要ではない。宿主細胞に進入すると、細胞質に放出されるCoVゲノムRNAは、遺伝子1から2種の大きな部分的に重複する前駆体ポリタンパク質を翻訳する。2種のウイルスによってコードされるプロテイナーゼが、これらの前駆体ポリタンパク質をタンパク質分解的にプロセシングして、α-CoV及びβ-CoVについて非構造タンパク質1(nsp1)~nsp16と標識される16種の成熟タンパク質を生成する。nsp1及びnsp2を除く、これらの遺伝子1タンパク質の全てがウイルスRNA合成に必須であると考えられる。遺伝子1によってコードされるタンパク質の1つであるNsp1は、α-CoV及びβ-CoVにおいてのみコードされる。
【0066】
一例として、病原性CoVのnsp1が本発明にとって特に興味深いことが特に強調され得る。Nsp1は、いくつかのCoVにおける主要な病原性因子である。β-CoVであるマウス肝炎ウイルス(MHV)のnsp1の発現は、細胞遺伝子発現を低下させる。MHV nsp1は、インターフェロン(IFN)アンタゴニストとして作用し、マウスにとって主要な病原性因子である。ヒト病原性CoVにおいて高度に保存されているMHV nsp1の特異的アミノ酸領域、LLRKxGxKGは、マウスにおける病原性にとって重要である。MHV nsp1と同様に、SARS-CoV nsp1は抗ウイルス応答を抑制するのに重要な役割を果たし、したがって薬物候補のインビボ研究に理想的に適した動物モデル系となる。MHV nsp1のLLRKxGxKG領域に対応するSARS-CoV nsp1のアミノ酸領域は、マウスにおける病原性及び宿主抗ウイルスシグナル伝達経路の阻害を担い、β-CoVの病原性にとってのMHV nsp1のLLRKxGxKG領域に対応する領域の重要性を示唆している。異なる宿主因子と相互作用する、nsp1の別個であるが重複する領域は、宿主遺伝子発現及び抗ウイルスシグナル伝達経路の阻害を及ぼし得る。SARS-CoV nsp1の発現及びSARS-CoV複製は、免疫細胞活性化に重要なカルシニューリン/NFAT(活性化T細胞の核因子)経路を通したシグナル伝達を増強し、SARS-CoV nsp1発現はヒト肺上皮細胞においていくつかのケモカインの分泌を誘導し、免疫調節不全におけるnsp1の可能性のある役割を暗示している。
【0067】
SARS-CoV nsp1はまた、生体分子の核-細胞質輸送を破壊する。SARS-CoV nsp1は、核膜孔複合体のメンバーであるNup93と会合し、これを核膜孔複合体から移動させる。SARS-CoV nsp1発現は、主に核に見られるRNA結合タンパク質であるヌクレオリンの核-細胞質分布を変化させる。これらの研究は、SARS-CoV nsp1が、抗ウイルス遺伝子を含む宿主遺伝子の発現における複数の段階に影響を及ぼすことを示唆している。
【0068】
β-CoVのnsp1と同様に、α-CoVのnsp1は抗ウイルス遺伝子発現の阻害剤として働く。HCoV-229E nsp1は、IFN-β刺激応答エレメント及びIFN刺激応答エレメントの制御下にある。豚流行性下痢ウイルス(PEDV)のnsp1は、宿主の自然免疫応答を抑制するために複数の機序を使用する:これは、IRF3結合タンパク質及びCREB結合タンパク質のエンハンセオソームアセンブリを後者のタンパク質を分解することによって中断し、I型IFN産生の抑制をもたらし、これは、IκBαのリン酸化及びその後の分解を阻害することによって強力なNF-κBアンタゴニストであり、IFN産生の抑制及び炎症誘発性サイトカインの早期産生をもたらし、これはIRF1の核移行を遮断し、ペルオキシソーム数を減少させて、IRF1媒介性のIII型IFNの誘導を抑制する。
【0069】
α-CoVについては、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)、TGEV、PEDV、HCoV-229E及びHCoV-NL63も含むnsp 1の保存領域(アミノ酸91~95)が宿主遺伝子発現の抑制を担うことが示された。さらに、TGEV、豚呼吸器型コロナウイルス(PRCV)、豚急性下痢症候群コロナウイルス(SADS-CoV)、PEDV、HCoV-229E又はHCoV-NL63のnsp1の発現はIFN関連遺伝子発現を低下させ、α-CoVのnsp1の発現は、STAT1発現レベル及びS701でのSTAT1リン酸化に影響を及ぼすことなく、S727残基でのSTAT1リン酸化を著しく下方制御し、STAT1、ISG15及びIRF9 mRNAは、ウイルス複製能に深刻な影響を及ぼすことなく、nsp1にアミノ酸91~95の欠失を有するFIPV変異体に感染した細胞において有意に上方制御されることが実証された。これに関連して、p70 S6キナーゼ経路は不可欠であり、(Petritsch C、Beug H、Balmain A、Oft M.TGF-beta inhibits p70 S6 kinase via protein phosphatase 2A to induce G(1)arrest.Genes Dev.2000;14(24):3093~3101.doi:10.1101/gad.854200)本発明の分子で十分に到達可能である。これらのデータは、α-CoVのnsp1タンパク質もβ-CoVのものと同様に主要な病原性決定因子として作用することを示している。
【0070】
SARS-CoV Nsp1及びSARS-CoV-2 Nsp1は細胞タンパク質翻訳開始を抑制する。SARS-CoV-2 nsp1は、SARS-CoV nsp1と84%のアミノ酸配列同一性を有し、両タンパク質が同様の生物学的機能を有することを示唆している。SARS-CoV-2 nsp1は、40Sリボソームサブユニット及び80Sリボソームサブユニットに結合し、キャップ依存性翻訳を破壊する。SARS-CoV nsp1と同様に、SARS-CoV-2 nsp1のC末端に近いK 164残基及びH 165残基は、リボソーム結合及び翻訳阻害に重要である。40Sリボソームへの結合による翻訳の阻害に加えて、SARS-CoV nsp1は、SARS-CoV感染細胞において内因性宿主mRNAの分解も誘導する。SARS-CoV nsp1-40Sリボソームの複合体は、キャップ化非ウイルスmRNAの5’領域で推定宿主RNaseによるエンドヌクレアーゼ的切断を誘導し、mRNAを翻訳不能にする。これに関連して、SARS-CoV nsp1の選択されたRNAの示差的な鋳型依存的切断が観察され、例えば、これはI型ピコルナウイルス及びII型ピコルナウイルスの内部リボソーム進入部位(IRES)エレメントのリボソームローディング領域内でRNA切断を誘導するが、C型肝炎ウイルス又はコオロギ麻痺ウイルスのIRESエレメント内ではRNA切断を誘導しない。キャップ化mRNA転写産物中の多くのSARS-CoV nsp1誘導性切断部位は、5’非翻訳領域の30 nt以内に検出される。これらの線に沿って、最近の研究は、SARS-CoV nsp1及びSARS-CoV-2 nsp1がIFN-βの産生を抑制し、これに関連して、SARS-CoV nsp1が、I型IFN発現を含む宿主自然免疫応答を、SARS-CoV感染細胞において抑制することを実証した。(Mechanism of Coronavirus Nsp1-Mediated Control of Host and Viral Gene Expression.Keishuke Nakagawa及びShinji Makino、Cells、2021年2月;10(2):300;及びその中の引用)。
【0071】
好ましくは、本発明の化合物は、HPVによる感染症の治療に使用され得る。
【0072】
さらに好ましくは、本発明の化合物は、新生物疾患及び悪性疾患、特に子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及びボーエン病の治療及び/又は予防に使用され得る。
【0073】
本発明による化合物はまた、単細胞真核寄生生物、特に熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、及びドノバンリーシュマニアによる感染症の予防又は治療に使用するのに適している。
【0074】
本発明による化合物の治療有効量は、疾患の症状を予防、緩和若しくは改善するため、又は治療されている対象の生存を延長するために有効な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、当業者が備えている技能の範囲内である。
【0075】
本発明による化合物の治療有効量又は投与量は、広い範囲内で変化し得、当技術分野で公知の方法で決定され得る。このような投与量は、投与される具体的な化合物、投与経路、治療される状態、及び治療される患者を含む各特定の場合の個々の要件に調整され得る。
【0076】
式(I)又は式(II)の十分に塩基性の化合物の薬理学的に許容される塩の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸などの生理学的に許容される鉱酸の塩;又はメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、乳酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸及びサリチル酸などの有機酸の塩である。さらに、式(I)又は式(II)の十分に酸性の化合物は、アルカリ金属塩若しくはアルカリ土類金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩若しくはマグネシウム塩;アンモニウム塩;又は有機塩基塩、例えばメチルアミン塩、ジメチルアミン塩、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、エチレンジアミン塩、エタノールアミン塩、水酸化コリン塩、メグルミン塩、ピペリジン塩、モルホリン塩、トリス-(2-ヒドロキシエチル)アミン塩、リジン塩若しくはアルギニン塩を形成することができ;これらの全てが、式(I)又は式(II)の塩のさらなる例でもある。式(I)又は式(II)の化合物は、溶媒和されていてもよく、特に水和されていてもよい。水化(hydratization)/水和は、製造プロセス中に、又は式(I)若しくは式(II)の最初は水を含まない化合物の吸湿性の結果として起こり得る。溶媒和物及び/又は水和物は、例えば、固体形態又は液体形態で存在し得る。
【0077】
式(I)又は式(II)のある特定の化合物は、1つのみが以下の説明で具体的に言及又は描写され得る互変異性形態、異なる幾何異性体(通常はシス/トランス異性体として、又はより一般的には(E)異性体及び(Z)異性体として示される)又は1又は複数のキラル炭素原子の結果としての異なる光学異性体(通常はカーン・インゴルド・プレローグ順位則又はR/S系で命名される)を有し得ることを理解すべきである。これらの互変異性形態、幾何異性体又は光学異性体(並びにラセミ体及びジアステレオマー)及び多形形態全てが本発明に含まれる。式(I)又は式(II)の化合物は不斉C原子を含有し得るので、これらはアキラル化合物、ジアステレオマーの混合物、エナンチオマーの混合物として、又は光学的に純粋な化合物として存在し得る。本発明は、全ての純粋なエナンチオマーと全ての純粋なジアステレオマーの両方、及び任意の混合比のこれらの混合物を含む。
【0078】
式(I)又は式(II)による化合物、それらの薬理学的に許容される塩、溶媒和物及び水和物それぞれ、並びに製剤及び医薬組成物の治療的使用も本発明の範囲内にある。
【0079】
本発明による医薬組成物は、有効成分として少なくとも1つの式(I)又は式(II)の化合物と、任意に(optionally)担体物質及び/又はアジュバントとを含む。
【0080】
本発明はまた、式(I)又は式(II)の化合物と、少なくとも1つの生理学的条件下で切断される薬理学的に許容される保護基、例えばアルコキシ、アリールアルキルオキシ-、アシル-、アシルオキシメチル基(例えば、ピバロイルオキシメチル基)、2-アルキル-、2-アリール-若しくは2-アリールアルキル-オキシカルボニル-2-アルキリデンエチル基、又は本明細書に定義されるアシルオキシ基、例えばエトキシ、ベンジルオキシ、アセチル若しくはアセチルオキシ、又は特にヒドロキシ基(-OH)を有する式(I)若しくは(II)の化合物については:硫酸、リン酸(-OPO3若しくは-OCH2OPO3)若しくはアミノ酸のエステルとで構成されるプロドラッグに関する。
【0081】
好ましくは、本発明はまた、式(I)又は式(II)の化合物のプロドラッグ、生加水分解性(biohydrolyzable)エステル、生加水分解性アミド、多形、互変異性体、立体異性体、代謝産物、N-オキシド、生加水分解性カルバメート、生加水分解性エーテル、生理学的に機能的な誘導体、アトロプ異性体、又はインビボ加水分解性前駆体、ジアステレオマー若しくはジアステレオマーの混合物、化学的に保護された形態、親和性試薬、錯体、キレート及び立体異性体に関する。
【0082】
本明細書で使用される場合、薬学的に許容されるエステルという用語は、特にインビボで加水分解するエステルを指し、人体で容易に分解して親化合物又はその塩を残すものを含む。適切なエステル基には、例えば、各アルキル部分又はアルケニル部分が有利には6個以下の炭素原子を有する、薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸及びアルカン二酸から誘導されるものが含まれる。特定のエステルの例としては、それだけに限らないが、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル及びエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0083】
上記のように、式(I)若しくは式(II)の化合物、それらの溶媒和物、塩又は製剤を含有する治療上有用な薬剤も本発明の範囲に含まれる。一般に、式(I)又は式(II)の化合物は、単独で又は任意の他の治療剤と組み合わせて、当技術分野で公知である公知の許容される様式を使用することによって投与される。
【0084】
経口投与については、このような治療上有用な薬剤は、以下の経路のうちの1つによって投与することができる:経口、例えば錠剤として、糖衣錠として、コーティング錠として、丸剤として、半固体として、軟カプセルとして又は硬カプセルとして、例えば軟ゼラチンカプセルとして又は硬ゼラチンカプセルとして、水溶液として又は油性溶液として、エマルジョンとして、懸濁液として又はシロップとして、静脈内注射、筋肉内注射及び皮下注射を含む非経口、例えば注射用液として又は注射用懸濁液として、直腸、坐剤として、吸入によって又は吹送によって、例えば粉末製剤として、微結晶として、又はスプレー(例えば、液体エアロゾル)として、経皮、例えば有効成分を含有するプラスターなどの経皮送達システム(TDS)を介して、又は鼻腔内。このような錠剤、丸剤、半固体、コーティング錠、糖衣錠及び硬カプセル、例えばゼラチンカプセルを製造するために、治療上有用な生成物は、例えばラクトース、スクロース、グルコース、ゼラチン、麦芽、シリカゲル、デンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩、脱脂粉乳などのような薬学的に不活性な無機賦形剤又は有機賦形剤と混合され得る。軟カプセルを製造するために、例えば植物油、石油、動物油又は合成油、ワックス、脂肪、ポリオールのような賦形剤を使用することができる。液体溶液、エマルジョン又は懸濁液又はシロップを製造するために、賦形剤として、例えば、水、アルコール、生理食塩水、水性デキストロース、ポリオール、グリセリン、脂質、リン脂質、シクロデキストリン、植物油、石油、動物油又は合成油を使用することができる。脂質が特に好ましく、リン酸緩衝生理食塩水(pH=7~8、好ましくは7.4)中で好ましいリン脂質(天然起源のものが好ましい;300~350nmの粒径を有することが特に好ましい)がより好ましい。坐剤の場合、例えば植物油、石油、動物油又は合成油、ワックス、脂肪及びポリオールのような賦形剤を使用することができる。エアロゾル製剤の場合、例えば酸素、窒素及び二酸化炭素のような、この目的に適した圧縮ガスを使用することができる。薬学的に有用な薬剤はまた、保存、安定化のための添加剤、例えばUV安定剤、乳化剤、甘味剤、芳香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、コーティング添加剤及び抗酸化剤を含有し得る。
【0085】
一般に、体重およそ80kgの成人への経口投与又は非経口投与の場合、約10mg~約10,000mg、好ましくは約20mg~約1,000mgの1日投与量が適切であるが、示される場合、上限を超えてもよい。1日投与量は、単回投与若しくは分割投与として投与することができる、又は非経口投与の場合、連続注入若しくは皮下注射として与えることができる。
【0086】
本発明は、その上、E7を分解する方法を提供する。
【0087】
さらに、本発明は、治療有効量の式(I)若しくは式(II)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、HPV感染症の治療を必要とする対象に投与することを含む、HPV感染症の治療を必要とする対象のHPV感染症を治療する方法を提供する。
【0088】
一実施形態では、治療有効量の式(I)若しくは式(II)の化合物又はその塩を、がんの治療を必要とする患者に投与することを含む、がんを治療する方法が提供される。
本発明の方法を使用して治療することができる疾患(例えば、がん)の例としては、子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)及びボーエン病などの新生物疾患及び悪性疾患が挙げられる。
【0089】
本発明の化合物は、例えば、Rothweilerら ChemMedChem 2008、3、1118~1128;国際公開第2006/097323号パンフレット及び国際公開第2008/034039号パンフレットに記載される手順に従って合成することができる。
【0090】
別の態様によると、本発明は、ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルスによる感染症、若しくはコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カルポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、若しくはB型肝炎ウイルス(HBV)による感染症、特にHPV感染症若しくはSARS-CoV-2感染症を治療若しくは予防するための;又はHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物性疾患、特に子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及びボーエン病を治療するための(特にタンパク質E7の分解誘導薬としての);又は単細胞真核寄生生物、特に熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、及びドノバンリーシュマニアによる感染症の予防若しくは治療に使用するための医薬品を製造するための、本発明による化合物、特に(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)及び(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)からなる群から選択される化合物の使用に関する。
【0091】
別の態様によると、本発明は、有効量の本発明による化合物、特に(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)及び(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)からなる群から選択される化合物がそれを必要とする患者に投与される、ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルスによる感染症、若しくはコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カルポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、若しくはB型肝炎ウイルス(HBV)による感染症、特にHPV感染症若しくはSARS-CoV-2感染症を治療若しくは予防する;又はHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物性疾患、特に子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及びボーエン病を治療及び予防する(特にタンパク質E7の分解誘導薬として);又は単細胞真核寄生生物、特に熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、及びドノバンリーシュマニアによる感染症の予防若しくは治療に使用する方法に関する。
【0092】
別の態様によると、本発明は、シグナル伝達分子アンタゴニスト又はシグナル伝達分子アゴニストと本発明による化合物、特に(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)及び(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)からなる群から選択される化合物、又はその薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩との組み合わせを、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物に関する。シグナル伝達分子は、好ましくは受容体分子又はその下流標的の1又は複数、例えばEGFR、Ras、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼアルファ85 kDa調節サブユニット若しくは110 kDa触媒サブユニット(PI3K)、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、プロテインキナーゼB(PKB、Akt)、p70-S6キナーゼ1、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR1)、FK506結合タンパク質(FKBP12)、mTOR複合体1(mTORC1)、TGFベータ経路シグナル伝達、及び/又はNOTCHシグナル伝達である。具体的に好ましいシグナル伝達分子は、(mTORアゴニスト/アンタゴニスト、Pi3アゴニスト/アンタゴニスト及びAktアゴニスト/アンタゴニストとしての)mTOR阻害剤-8(CAS番号:2489196-70-3)、mTOR阻害剤-3(CAS番号:1207358-59-5)、mTOR 阻害剤-1(CAS番号:468747-17-3)、mTOR阻害剤-2(CAS番号:2219323-96-1)、HDACs/mTOR阻害剤1(CAS番号:2271413-06-8)、PI3K/mTOR阻害剤-3(CAS番号:1363338-53-7)、PI3K/mTOR阻害剤-2(CAS番号:1848242-58-9)、PI3K/mTOR阻害剤-1(CAS番号:1949802-49-6)、MTI-31(CAS番号:1567915-38-1)、サパニセルチブ(CAS番号:1224844-38-5)、WAY-600(CAS番号:1062159-35-6)、オナタセルチブ(CAS番号:1228013-30-6)、MHY1485(CAS番号:326914-06-1)、PI3Kα/mTOR-IN-1(CAS番号:1013098-90-2)、PF-04979064(CAS番号:1220699-06-8)、3BDO(CAS番号:890405-51-3)、ジヒドロミリセチン(CAS番号:27200-12-0)、RapaLink-1(CAS番号:1887095-82-0)、AD80(CAS番号:1384071-99-1)、DS-7423(CAS番号:1222104-37-1)、ETP-46464(CAS番号:1345675-02-6)、トリン2(CAS番号:1223001-51-1)、PF-04691502(CAS番号:1013101-36-4)、TFEB活性化因子1(CAS番号:39777-61-2)、ビスツセルチブ(CAS番号:1009298-59-2)、MHY-1685(CAS番号:27406-31-1)、MCX 28(CAS番号:1414453-58-9)、CZ415(CAS番号:1429639-50-8)、XL388(CAS番号:1251156-08-7)、GNE-317(CAS番号:1394076-92-6)、NSC781406(CAS番号:1676893-24-5)、GDC-0349(CAS番号:1207360-89-1)、ゲダトリシブ(CAS番号:1197160-78-3)、化合物401(CAS番号:168425-64-7)、テムシロリムス(CAS番号:162635-04-3)、28-エピラパマイシン(CAS番号:253431-35-5)、GNE-477(CAS番号:1032754-81-6)、リダフォロリムス(CAS番号:572924-54-0)、GNE-493(CAS番号:1033735-94-2)、ビミラリシブ(CAS番号:1225037-39-7)、(+)-ウスニン酸(CAS番号:7562-61-0)、PP121(CAS番号:1092788-83-4)、42-(2-テトラゾリル)ラパマイシン(CAS番号:221877-56-1)、AZD-8055(CAS番号:1009298-09-2)、トリン1(CAS番号:1222998-36-8)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、クリソファノール(CAS番号:481-74-3)、VS-5584(CAS番号:1246560-33-7)、ダクトリシブ(CAS番号:915019-65-7)、PI3K-IN-22(CAS番号:1202884-94-3)、トルキニブ(CAS番号:1092351-67-1)、ゼイレノン(CAS番号:193410-84-3)、CC-115(CAS番号:1300118-55-1)、ラパマイシン(CAS番号:53123-88-9)、サリドロシド(CAS番号:10338-51-9)、PQR626(CAS番号:1927857-98-4)、ダクトリシブトシル酸塩(CAS番号:1028385-32-1)、LAT1-IN-1(CAS番号:20448-79-7)、GSK1059615(CAS番号:958852-01-2)、ルビオンコリン(C CAS番号:132242-52-5)、KU-57788(CAS番号:503468-95-9)、アピトリシブ(CAS番号:1032754-93-0)、エベロリムス(CAS番号:159351-69-6)、WYE-687(CAS番号:1062161-90-3)、SF2523(CAS番号:1174428-47-7)、WYE-132(CAS番号:1144068-46-1)、ルピウィテオン(CAS番号:104691-86-3)、OSI-027(CAS番号:936890-98-1)、JR-AB2-011(CAS番号:2411853-34-2)、SAR405(CAS番号:1523406-39-4)、WYE-687二塩酸塩(CAS番号:1702364-87-1)、PI3Ka-IN-5(CAS番号:2237953-19-2)、PQR530(CAS番号:1927857-61-1)、PKI-179(CAS番号:1197160-28-3)、WYE-354(CAS番号:1062169-56-5)、BGT226マレイン酸塩(CAS番号:1245537-68-1)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、BGT226(CAS番号:915020-55-2)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、PI-103(CAS番号:371935-74-9)、ボクスタリシブ(CAS番号:934493-76-2)、ETP-45658(CAS番号:1198357-79-7)、PF-06843195(CAS番号:2067281-51-8)、(32-カルボニル)-RMC-5552(CAS番号:2382768-55-8)、BC-LI-0186(CAS番号:695207-56-8);及び(PDK阻害剤、PDK1阻害剤、AKT阻害剤としての)P7(CAS番号:1001409-50-2)、BX-320(CAS番号:702676-93-5)、BX-517(CAS番号:850717-64-5)、BX517(CAS番号:850717-64-5)、BX795(CAS番号:702675-74-9)、BX-912(CAS番号:702674-56-4)、JX06(CAS番号:729-46-4)、ポリフィリンI(CAS番号:50773-41-6)、PS10(CAS番号:1564265-82-2)、PS210(CAS番号:1221962-86-2)、PS423(CAS番号:1221964-37-9)、PDK1-IN-RS2(CAS番号:1643958-89-7)、GSK2334470(CAS番号:1227911-45-6)、PF-AKT400(CAS番号:1004990-28-6)、カピバセルチブ(CAS番号:1143532-39-1)、アフレセルチブ(CAS番号:1047644-62-1)、ボルセルチブ(Borussertib)(CAS番号:1800070-77-2)、GSK-690693(CAS番号:937174-76-0)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、AKT-IN-3(CAS番号:2374740-21-1)、ベボリセルチブ(CAS番号:1416775-46-6)、FPA-124(CAS番号:902779-59-3)、CCT128930(CAS番号:885499-61-6)、AT13148(CAS番号:1056901-62-2)からなる群から選択されるエストロゲンのステロイド受容体分子又はシグナル伝達分子アンタゴニスト若しくはシグナル伝達分子アゴニストである。
【0093】
本発明を実施例及び図面によってさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【
図1】E7分解誘導薬をスクリーニングするために使用される、本発明の化合物の存在下でE7タンパク質発現のレベルを検出するために使用される細胞蛍光分析(CF)分析を示す図である。2.5時間のa)100%分解についての非特異的陽性対照としてのシクロヘキシミド(CHX)又はb)OC246化合物の存在下でのCaSki細胞におけるE7タンパク質の定常状態レベルの低下を、HPV E7に対するモノクローナル抗体の細胞内抗体標識手順を使用したフローサイトメトリーによって分析した。FL1ヒストグラムから得られたE7シグナル強度を使用して、処理なし(右のヒストグラム)又は処理(左のヒストグラム)のE7の強度を対数スケールで分析した。FL1単一ヒストグラムグラフは、方法1~方法4に記載される平均蛍光強度(MFI)チャネルの変動を表す。この読み出しを使用して、中~高スループットフォーマットの化学ライブラリーをスクリーニングすることができる。
【
図2】本発明の化合物が、フローサイトメトリー及びDNAのヨウ化プロピジウム染色によってHPV含有CaSki腫瘍細胞で分析されるように、細胞周期停止及び最終的にアポトーシスを誘導することを示す図である。対数スケールヒストグラムを示す。A)処理されていない細胞は、G1期(左ピーク)及びG2/M期(右ピーク)への規則的な細胞周期分布を示す。B)OC246で処理した細胞は、24時間後にサブG1含有量を示し、C)48時間後に、アポトーシス誘導の尺度としてのDNA分解を示す。
【
図3】示される時点についてVSP035(VS035)と共にインキュベートしたCaSki細胞におけるA)HPV 16 E7のE7特異的抗体を使用してウエスタンブロットによって評価された定常状態レベルを示す図である。β-アクチン染色がローディング対照として作用した。B)E7染色とシグナル伝達についての異なるマーカーとの比較は、E7分解活性の既知の直接下流標的である腫瘍抑制因子PTPN14及びE6/p53調節を介したE7の既知の間接標的である腫瘍抑制因子TP53の急激な増加を示し、示される期間にわたるVSP035の存在下におけるAkt又はAktリン酸化(T473)、IRF3又はIRF3(S 386)リン酸化、NLRX1及びSTING定常状態タンパク質レベルの変化はなく、PDL-1非グリコシル化が減少し、マルチバンドパターンは、非グリコシル化新生形態として知られる最低バンドを有する異なるグリコシル化状態を示し、VSP035の存在下での存在量の時間依存的減少を示す。これは、E7の既知の標的がVSP035によるE7の分解に反応し、腫瘍抑制因子が再活性化され、治療有効性にとって重要であり、
図2B及び
図2Cで検出されたアポトーシスパターンと相関することを示す。
図3Cは、VSP035で示される時点について細胞を処理し、化合物を洗い流し、6時間及び24時間の回復期間後のE7染色の異なる曝露を示し、細胞に進入した後の化合物の堅牢な安定性を示す;
図3D:種々のシグナル伝達マーカーに対するOC974並びにそのエナンチオマーであるVSP034及びVSP035並びにmTOR1阻害剤であるラパマイシン及びmTOR1/2阻害剤であるトリン1によって誘導される効果の比較。本発明の化合物は、E7のより強力な分解を有するmTOR1阻害剤ラパマイシンよりも、翻訳開始に対する弱い影響を有するにもかかわらず同様の下流制御を示すが、それでもp70 S6キナーゼ(T389)のリン酸化の強力な制御を示し、mTOR2選択的パターンが反映されないことを考慮すると、mTOR1/2阻害剤によって得られるパターンは重複しているが同一ではない;
図3E:様々な阻害剤をVSP025のE7定常状態レベルに対する影響について、MAPキナーゼ及びPI3K/mTORキナーゼシグナル伝達経路阻害剤と比較して評価したが、MAPK経路はPI3K/mTORキナーゼシグナル伝達に対してわずかな影響しか示さなかったことから、
図3C、
図3Dから観察された相互作用が確認された。阻害剤は、MEKキナーゼについてはPD184352(CI-1040)、MNKキナーゼについてはCGP57380、Akt1キナーゼ及びp70S6キナーゼについてはAT13148、mTOR1キナーゼ及びmTOR2キナーゼについてはトリン1及びトリン2であった。ここでも、VSP035は最も強力なE7分解誘導薬であるが、一般に翻訳開始調節が弱く、p70S6キナーゼリン酸化阻害が強く、HPV E7の阻害のための有効な組み合わせが示唆される。
【
図4】E7定常状態レベルに対するPI3キナーゼ経路阻害剤の効果を評価する図である。CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物を、増殖細胞をビヒクル(1)、100nMラパマイシン(2)、10μM Akt1 VIII阻害剤(3)、2μM GSK3 IX阻害剤+10μM Akt1 VIII阻害剤(4)、2μM GSK3 IX阻害剤(5)、0.5μM PI103+0.1μMウォルトマンニンPI3KCA阻害剤(6)と共に4時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析した;染色は、HPV16E、汎S6リボソームタンパク質、抗リン特異的S6リボソームタンパク質セリン235/236、抗リン特異的Akt1セリン473及び汎Akt1特異的モノクローナル抗体で行った。このウエスタンブロット実験は、ラパマイシン、PI3KCA及びAkt1阻害剤の存在がCaSki細胞においてE7タンパク質の定常状態レベルの堅牢な低下をもたらすことを示す。
【
図5】HPV含有がん細胞とHPV陰性がん細胞との比較を示す図である。CaSki、(HPV+)及び骨肉腫細胞(U2O、HPV-)からの細胞抽出物を、ビヒクル(1)、10μM OC246(2)又は100nMラパマイシン(3)並びに10μM OC246及び100nMラパマイシン(4)と共に4時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析し、染色はP70-S6K(T389);汎Akt、Akt(p473);pS6 S235/236及びHPV16E7で行った。この試験は、この部位がHPV E7及びドミナント活性PIK3CA-E545K(p110α)含有CaSki細胞において安定にリン酸化されるので、OC246がリン-Akt S473のシグナル伝達を阻害せず、PIK3CA WT U2OS 細胞においても阻害しないことを示す。p70 S6キナーゼの上に、リン-p70-S6K T389は、E7分解に応答して脱リン酸化され、HPV E7タンパク質を含有しない細胞でははるかに低い程度である。
【
図6】本発明の化合物が腫瘍免疫抑制因子PDL-1を調節することを示す図である。CaSki(HPV+)細胞からの細胞抽出物をウエスタンブロットで分析し、PDL-1に対するモノクローナル抗体で染色した(GLY-PDL-1はPDL-1のグリコシル化集団を表す)。1.5×10
5個の高レベルのPDL-1発現を示す細胞株であるCaSki細胞を、6ウェルプレート中2mlのrpmi 1640+10% fcsに播種し、37℃でインキュベートして細胞増殖を可能にした。播種の24時間後、細胞を、示されるように、vsp035、シクロヘキシミド(CHX)及び/又はMG132プロテアソーム阻害剤で処理した。WBによる分析のために細胞を収穫した。結果は、より速く移動する翻訳後修飾バンドに対する強い調節を用量依存的に示し、これは4時間の時点と比較して8時間後により多く発現された。より速い移動バンド存在量はプロテアソーム阻害剤MG132によって調節され、タンパク質はCHXの存在下で不安定化された。これは、E7がPDL-1を安定化し、E7分解誘導薬VSP035がこれらの効果を逆転させて有効なPDL-1不安定化剤となることを実証している。
【
図7】本発明の化合物が、HPV+SiHa腫瘍細胞からのHPV E7の分解を誘導して、E7がその定常状態を変化させることが当技術分野で周知の、転写抑制因子である十分に確立されたE7標的腫瘍抑制因子網膜芽細胞腫タンパク質のタンパク質レベルの安定化を引き起こすことを示す図である。SiHa(HPV+)細胞からの細胞抽出物を、ビヒクル(0)と共に24時間、又は10μM OC246と共に12時間及び24時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析した;ブロットを、HPV16E7、アクチン及び網膜芽細胞腫タンパク質pRb 1に対するモノクローナル抗体で染色した;Rbタンパク質シグナルの増加を、E7シグナルの減少と共に検出することができる。
【
図8】CHX(シクロヘキシミド)、OC974及び様々な化学療法剤とそれぞれ4時間、8時間及び12時間インキュベートした後のHPV16E7存在量を示す図である。CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物をウエスタンブロットで分析し、HPV16E7及びp53(DO1)特異的モノクローナル抗体で染色した:ビヒクル(レーン1、14)、CHX_シクロヘキシミド(レーン2、3、4)、OC974(5、6、7)、CDDP_シスプラチン(8、9、10)、DOX_ドキソルビシン(11、12、13)。これは、本発明の化合物で見られるE7の分解が、標準治療の化学療法剤でも見られるa-特異的効果ではなく、むしろこれらの化合物の固有の特性であることを示している。E7がHPV誘発性悪性腫瘍の原因である依存性癌遺伝子であると強く考えられていることを考慮に入れると、HPV+腫瘍の腫瘍治療薬としての強い利点がある。
【
図9】
図8でも評価される、OC246及び様々な化学療法剤とそれぞれ4時間、8時間及び12時間インキュベートした後のHPV16E7存在量を示す図である。CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物をウエスタンブロットで分析し、HPV16E7及びp53(DO1)特異的モノクローナル抗体で染色した:ビヒクル(レーン1、14)、ビンクリスチン(レーン2、3、4)、AKT1 VIII(5、6、7)、エトポシド(8、9、10)、OC246(11、12、13)。このウエスタンブロットはまた、本発明の化合物の阻害剤効果がE7に対して選択的であり、化学療法剤がE7の状況で異なる作用機序を示し、DNA損傷、細胞周期停止などの恒常性の攪乱がE7定常状態に先験的に影響しないことを明確に示している。
【
図10】本発明の化合物及びPI 3キナーゼ経路の様々な化合物によるE 7分解は、ユビキチンプロテアソーム経路によって行われる。CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物を、増殖細胞をビヒクル(1)、10μM OC246(2)、30μM LLnL(MG101)(3)、10μM OC246+30μM LLnL(MG101)(プロテアソーム阻害剤)(4)、10μM G5(DUB、脱ユビキチナーゼ阻害剤)(5)、10μM OC 246+10μM G5(DUB、脱ユビキチン化酵素阻害剤)(6)、ビヒクル(7)10μM OC246+0.5μM PI103+0.1μMウォルトマンニンPI3KCA 阻害剤と共に4時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析した;染色はHPV16E7(VS13004)特異的モノクローナル抗体で行った。
【
図11】単独処理からの、又は左から右までバーによって示される様々な濃度の様々な薬理学的原体と組み合わせた、VSP035のSARV-CoV-2抗ウイルス活性を示す図である。Y軸%阻害。Vero E6細胞の致死濃度のために、用量依存性は非致死用量でのみ認められる(複数の実験n4の中央値が示される);濃度(左から右)化合物及びそれぞれのアッセイ濃度(μM)は、「一定」は系列(X軸、系列の番号)について同じ濃度を意味する。
【
図12】単剤としてのVS035については堅牢な抗ウイルス活性が実証され、VSP035との広範囲の非常に活性な相乗的薬物組み合わせにわたる用量依存性が実証されていることを示す図である。 (1)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625); (2)ラパマイシン(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (3)VSP035(一定10)、ラパマイシン(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (4)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625)、ラパマイシン(一定0.0625); (5)CI-1040(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (6)VSP035(一定10)、CI-1040(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (7)CGP57380(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (8)VSP035(一定10)、CGP57380(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (9)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625)、CGP57380(一定0.250); (10)トリン-1(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (11)VSP035(一定10)、トリン-1(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625); (12)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625)、トリン-1(一定0.0625); これらのデータは、VSP035単独療法で観察された中程度のSARS-COV2抗ウイルス活性が、様々な阻害剤、特にSARS-COV2ウイルスの堅牢な用量依存的阻害をもたらすmTOR1阻害剤との併用試験において劇的に増加することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
実施例
実施例1(OC974の合成):
トランス-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロイソキノリン-4-カルボン酸(酸1):
【化12】
1-(1-メチルピペリジン-4-イル)-メタンアミン(622mg、3.57mmol)を、4-トリフルオロメチル-ベンズアルデヒド(527mg、3.75mmol)のCH
2Cl
2(ペプチドグレード)10mL中溶液に添加した。混合物を丸底フラスコ内で、室温で1時間撹拌した。次いで、ホモフタル酸(578.8mg、3.57mmol)を添加すると、反応物が橙色に変化し、混合物を還流下で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却した後、形成された沈殿を濾過によって単離し、CH
2Cl
2で数回洗浄した。得られた白色固体(0.557g、1.249mmol)は、1:2の比の所望の生成物のシス/トランス混合物である。その後、異性体混合物を、還流下で20時間、酢酸40mLで処理した。溶媒を蒸発させた後、黄色残渣をEt
2O 20mLで洗浄して白色固体(0.45g、収率28%)を得た。MW 446,47。[M+]=446。
【0096】
式:C
24H
25F
3N
2O
3組成:C(64,57%)、H(5,64%)、F(12,77%)、N(6,27%)、O(10,75%)(3R,4R)-及び(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-3,4-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド(OC974):VSP034(3R,4R)-;VSP035(3S,4S)
【化13】
カップリング剤1-エチル-3-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-カルボジイミド・HCl(EDCI、881.8mg、4.6mmol)を、酸1(1g、2.3mmol)の脱水N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)10mL中溶液に添加した。混合物を丸底フラスコ内で、室温で10分間撹拌した。
【0097】
次いで、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)アニリン(880mg、4.6mmol)を添加し、混合物を50℃で一晩撹拌した。その後、EtOAc(60mL)を添加し、有機層をブライン40mLで2回洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。最後に、粗生成物を、溶離液としてEtOAc/ヘキサン4:1を用いるシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物を白色固体(450mg、収率32%)として得た;MW 619,733;[M+]=619.0
C35H40F3N5O2組成:C(67,83%)、H(6,51%)、F(9,2%)、N(11,3%)、O(5,16%)
【0098】
実施例2A(さらなる化合物の合成):
以下の化合物を、上記の手順に従って、又は例えばRothweilerらChemMedChem 2008、3、1118~1128;国際公開第2006/097323号パンフレット及び国際公開第2008/034039号パンフレットに記載される手順に従って、適切な出発物質を使用して調製した:
【化14】
OC969
【化15】
OC975
【化16】
OC246
【化17】
OC976
【化18】
OC245
【化19】
OC247
【化20】
OC968
【化21】
OC972
【化22】
OC973
【化23】
OC970
【化24】
OC971
【化25】
OC379
【化26】
OC258
【化27】
OC255
【化28】
OC252
【化29】
OC257
【化30】
OC254
【化31】
OC251
【化32】
OC256
【化33】
OC253
【化34】
OC250
【化35】
OC377
【化36】
OC378
【化37】
OC382
【化38】
OC380
【化39】
OC381
【0099】
実施例2B:本発明の化合物の立体異性体の合成:
【化40】
OC246の可能な立体異性体
【0100】
本発明によるOC246の好ましい立体異性体は、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)及び(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)である。
【化41】
OC974の可能な立体異性体
【0101】
本発明によるOC974の好ましい立体異性体は、VSP0034 UB-17964、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド);及びVSP0035 UB-17971、(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)である。
【0102】
実施例3:生物学的試験
細胞蛍光(CF)分析を使用して、様々なHPVがん分離株におけるE7タンパク質発現のレベルを検出し、所与の細胞の細胞周期状態を分析することができる。
【0103】
方法1:細胞蛍光分析のための試料調製-細胞内抗体標識
細胞内抗体標識のために、0.5×106個の細胞を1mlの氷冷PBSで1回洗浄する。細胞を4℃で、350×gで5分間遠心分離し、次いで、1%パラホルムアルデヒド(1ml/106細胞)中4℃で20分間固定する。細胞を1mlの氷冷PBSで洗浄し、4℃で、350×gで5分間遠心分離する。細胞を透過処理するために、100%氷冷メタノール(1ml/106細胞)を細胞に添加し、4℃で20分間インキュベートし、引き続いて4℃で、350×gで5分間遠心分離する。細胞を1mlの氷冷PBSで洗浄し、4℃で、350×gで5分間遠心分離し、PBS中0.1%サポニン+2% FBS(氷冷)に再懸濁する。細胞を室温で20~30分間放置してバックグラウンドシグナルを低下させ、次いで、4℃で、350×gで5分間で遠心分離する。一次抗体(mAb_HPV16E7-1(VS13004);濃度1μg/μl;)を0.1%サポニン+2% FBSに希釈する(希釈0.25μg/50μlのインキュベーション緩衝液/1×106細胞(5 ng/μl))。細胞を一次抗体と室温で30分間インキュベートし、0.1%サポニン+2% FBSで洗浄し、4℃で、350×gで5分間で遠心分離する。二次抗体(FITCコンジュゲートヤギ抗マウスIgG1-IgM、BD、カタログ番号555988)を0.1%サポニン+2% FBSに希釈する(希釈率1:50)。細胞を二次抗体と室温で30分間インキュベートし、0.1%サポニン+2% FBSで1回、PBSで1回洗浄し、4℃で、350×gで5分間で遠心分離する。
【0104】
方法2:ヨウ化プロピジウム染色を使用した細胞蛍光(CF)細胞周期分析
ヨウ化プロピジウム(PI)DNA染色を実施して、細胞周期分析を容易にする。PI-DNA染色のために、固定した細胞及び最終的に抗体染色した細胞を450μlのPBS(106個細胞当たり)に再懸濁し、100μg/mlのRNase(PBS中ストック1mg/ml)と共に37℃で10分間インキュベートする。次いで、細胞を5μg/106個細胞のPI(PBS中1mg/mlストック)と共に室温で10分間インキュベートする。試料をCF分析まで4℃で保存する。
【0105】
方法3:細胞蛍光分析(CF)
細胞を700μlのPBSに再懸濁した後、Beckman Coulter FC 500 MPL(励起レーザー488nm)でCF分析する。取得用のBeckman CoulterソフトウェアパッケージMXP及びMFI計算を含むデータ分析用のCXPを使用してデータ分析を行う。HPV-E7タンパク質発現の検出は、ドットプロットFS(前方散乱)log/SS(側方散乱)logのゲーティング及びヒストグラムSS logのゲーティングを用いたFL1ヒストグラム(対数スケール)の形態バックゲーティングに基づく。
【0106】
方法4:E7分解誘導薬アッセイ
E7タンパク質発現のレベルを定義し、様々な化合物の存在下でのE7発現細胞におけるE7タンパク質定常状態レベルの低下の程度を研究するために、HPV E7に対するモノクローナル抗体の細胞内抗体標識手順を使用してFC分析を実施する。E7シグナル強度を、得られたFL1ヒストグラムから対数スケールで分析する。FL1単一ヒストグラムグラフは、一次抗体とインキュベートしていないが二次抗体とインキュベートした細胞と比較した、選択した化合物で処理した細胞の平均蛍光強度(MFI)チャネルの変動を表し、これにより自己蛍光、及び対照としての非化合物処理細胞について試験することが可能になる。非一次抗体染色細胞を使用して、取得パラメータを0に設定する。平均蛍光強度チャネルの減少は、HPV16 E7タンパク質の発現の低下に対応する。細胞中のE7の分解は、以下の式を使用して、MFI(x-Me)の減少パーセント(%)として計算される:
【0107】
i)相対分解:
%Drel=(T-C)/T*100;
ii)調整された分解:
%Dad=(T-C)/(T-CHX)*100;
Drel=相対分解、
Dad=CHX%Drel=100と仮定した、調整された分解;
T=非処理細胞のMFI;
C=化合物処理細胞のMFI;
CH=シクロヘキシミド(CHX)処理細胞のMFI;
一実験内の比較については、i)%相対分解(Drel)が十分であるが、2つ以上の実験間の比較のために、ii)調整された分解(Dad)が使用され、CHX定常状態が100%分解パラメータに設定される。
【0108】
方法5:E7タンパク質検出のための細胞抽出物及びウエスタンブロット
抽出物調製及びウエスタンブロット法のための試薬:
抽出緩衝液:2.5×(Tris 0.25M pH6.8、グリセロール50%、SDS 10%)、ゲル:4~12%勾配ゲル(Bolt(登録商標)4~12%Bis-Tris Plus Gel)。MES緩衝液:50mM MES、50mM Tris Base、0.1% SDS、1mM EDTA、pH7.3、ブロッティング用膜:ニトロセルロース0.2μm(Whatman Protran番号10401394)、3MM濾紙(例えば、Whatman 3MM Chr、番号3030917)。ウエスタン検出試薬:WB洗浄緩衝液1 X(TBET):20mM Tris、150mM NaCl、0.125% Tween 20、pH7.8;脱脂粉乳(0.15%未満の脂肪含有量)。リン酸緩衝生理食塩水(PBS)1×:1Lとして調製し、8gの塩化ナトリウム(NaCl)、0.2gの塩化カリウム(KCl)、1.44gのリン酸ナトリウム、二塩基性(Na2HPO4)及び0.24gのリン酸カリウム、一塩基性(KH2PO4)を1LのdH2Oに添加し、pHを7.2に調整する。
【0109】
細胞抽出物の調製:
A)未変性細胞ペレット又はメタノール若しくはエタノール中で固定した細胞ペレットの場合、細胞培養中の細胞と同様に抽出緩衝液を添加し、以下に指定されるように進める。ホルムアルデヒド中で固定されたパラフィン包埋細胞は、適宜進行する前に、当技術分野においてIHC手順について記載されるように再水和しなければならない。
【0110】
B)細胞培養中の細胞については、全細胞抽出物を調製するための以下の手順を使用する。新たに播種した細胞を24時間増殖させて、65~75%密集度を得る(CaSki細胞については、約2×106細胞/10cmφ細胞培養皿のプレーティングに対応する)。培地を含む細胞培養皿を氷上に5分間置く。
【0111】
培地を培養物から吸引し、皿を氷上に保つ。細胞を氷冷PBS 1×で2回洗浄する。残りの全ての液体を吸引する。
【0112】
プレートを室温に置き、96℃に予熱した500μlの温抽出緩衝液(2.5×)の添加によって細胞を直ちに溶解し、推奨体積を以下に指定する。溶解した細胞を皿から掻き取り、微小遠心管に移し、引き続いて2×10秒の超音波処理を行い、室温で細胞溶解を完了させる。試料を96℃で10分間加熱し、室温で、12000gで5分間遠心分離する。
【0113】
上清を新たなチューブに移し、DTTを最終濃度100mMまで添加する。ゲル充填の前に、試料を96℃で10分間加熱する。SDS-PAGEゲル充填10~20μl。抽出物を-20℃で保存することができる。
【0114】
タンパク質ブロッティング:
内因性E7タンパク質は、剛性、強固に折り畳まれた分子であり、特に半乾式法を使用した、タンパク質ブロッティング手順中に親水性膜に一時的にのみ結合する。したがって、タンパク質ブロッティングには、40%(v/v)のメタノールを含有する緩衝系が使用される。これらの緩衝液は不安定である傾向があり、したがって、新たに調製した溶液を使用する必要がある。E7抗体をTBET中pH7.8で使用する。これらの条件下では、ほとんどの他のタンパク質についてはウエスタンブロット転写が完了していない。同じゲルの異なるタンパク質の染色を行う場合、ブロッティングの前にゲルを分割し、40%メタノールをE7のための転写緩衝液に使用し、20%メタノールを含有する転写緩衝液を他のマーカーのほとんどのために使用する。転写されたE7タンパク質を膜上に最適に保持するために、これを転写後に完全に風乾させなければならない(最低2時間、好ましくは一晩)。0.2μmニトロセルロースをブロッティング膜として使用する。50mlの転写緩衝液を調製するために、2.5mlのMES緩衝液20×、27.5mlの超純水及び20mlのメタノールを転写前に混合する(最終メタノール濃度40%(v/v))。濾紙を転写緩衝液に浸すことによって底部スタックを作製し、膜を超純水で湿らせ、ゲルを膜に転写し、上部スタックを配置する。転写は0.8mA/cm2で1時間である。転写後、膜を2層の乾燥3MM濾紙の間にブロットし、2枚の新たな3MM紙に転写し、アルミニウム箔に包み、室温で一晩乾燥させる。
【0115】
ウエスタンブロット検出:
全てのインキュベーションを室温で行う。ブロッキング緩衝液:脱脂粉乳のWB洗浄緩衝液1 X中2%溶液(w/v)。脱脂粉乳(0.15%未満の脂肪含有量)。
【0116】
ブロッキング:
RTで一晩乾燥させた後、ブロットした膜をWB洗浄緩衝液中で1回5分間湿潤させた。膜が完全に再水和していることを確認する-粉乳又は同様のブロッキングタンパク質を含有する溶液中で再水和しない。穏やかに撹拌しながら30分間、大量のWBブロッキング緩衝液で膜をブロッキングする。膜を完全に覆うのに十分な量の緩衝液を使用することを確実にする。ブロッキング緩衝液を捨てる。
【0117】
一次抗体:
一次抗体mAb_HPV16E7-1(VS13004)をWBブロッキング緩衝液に1:1000希釈する。穏やかに振盪しながら2時間インキュベートする。抗体溶液を捨てる。大量のWBブロッキング緩衝液で膜を2回洗浄する。WBブロッキング緩衝液中で穏やかに振盪しながら10分間3回インキュベートする。
【0118】
二次抗体:
製造者の指示に従って二次抗マウスHRP抗体をWBブロッキング緩衝液に希釈する(例えば、CST抗マウスIgG HRP結合Ab、番号7076、1:3000)。穏やかに振盪しながら1時間インキュベートする。大量のWBブロッキング緩衝液で膜を2回洗浄する。WBブロッキング緩衝液中で穏やかに振盪しながら10分間3回インキュベートする。大量のPBS 1xで膜を2回洗浄する。穏やかに振盪しながらPBS 1×中で10分間インキュベートする。Licor装置又はViber装置による画像化後に標準的な化学発光(ECL)検出システムを使用して膜を展開する。
【0119】
方法6:RNA qPCR分析によって測定される、本発明の分子によるSars-CoV2複製の阻害の分析。
Vero E6細胞を7.5μMの濃度の化合物と共にプレインキュベートした。細胞を患者由来のSARS-2コロナウイルス(COVID-19)に感染させた。細胞上清を感染の3日後に回収し、2000 rpmで5分間遠心分離して、剥離細胞を除去した。MagNA Pure 24システム(Roche、ドイツ)を使用してウイルスRNAを抽出した。RNA Process Control PCR Kitを備えたTIB MOLBIOL LightMix Assay SARS-CoV-2 RdRP RTqPCRアッセイキット(Roche)を用いてSARS-CoV-2 RNAゲノムを定量した。品質を確保するために、BRAND LHS実験室ロボットを使用してPCR反応設定を実施した。LightCycler 480 II(Roche)を用いて増幅を実施した。
図10で使用される方法。
【0120】
方法7:SARS-CoV-2/VeroE6-EGFP HTS抗ウイルスアッセイ(384ウェル)及びSARS-CoV-2/Huh7-EGFP HTS抗ウイルスアッセイ(96ウェル)によって測定される本発明の分子によるSars-CoV2複製の阻害の分析;
https://doi.org/10.1016/j.jviromet.2005.05.010(重症急性呼吸器症候群関連コロナウイルスに対して活性な抗ウイルス剤の自動検出のための均一スクリーニングアッセイの開発、TaniaIvens cら、Journal of Virological Methods、第129巻、第1号、2005年10月、56~63頁)に基づく。
【0121】
A)抗ウイルスアッセイの設定及びワークフロー
-30μLのアッセイ培地を、最初に、パートナーによって提供されるアッセイ準備プレートのカラム23~24(すなわち、細胞対照)に添加する。
-次いで、30μlの細胞懸濁液を全てのカラム1~24に添加する。
-次いで、プレートをロボット/アイソレータシステムに移す。
-30μlの2×ウイルス希釈物(MOIはまだ決定されていない)を、非接触液体分注を使用してカラム1~22に添加する。
-最終アッセイ体積は60μl+予めプレーティングした化合物の体積である。
-DMSOパーセンテージを1%未満に保つ。
-プレートを37℃で5日間インキュベートする。
-標準的な全ウェル蛍光プレート読み出しを実施する(自己最適化プロトコル、384ウェルプレート当たり約6分、4読み取り/ウェル)。
-ハイコンテントイメージング読出しを実施する(各ウェルにオートフォーカス、ビニングなし、1チャネル、5×対物レンズ、384ウェルプレート当たり約25分)。
【0122】
B)スクリーニングアッセイの詳細:
○ 蛍光EGFPレポーターVeroE6細胞。
○ SARS-CoV-2分離株BetaCov/Belgium/GHB-03021/2020。
-プレート読み出し:5日後。
○ プレートリーダーの全ウェル蛍光測定:4リード/ウェル、平均リードを生データとして提供する。
○ 全ウェルハイコンテントイメージング(5×対物レンズ):提供される生データは以下のとおりである
・ 明物体の計算された数(細胞数に比例する)
・ 蛍光細胞によって覆われた計算された表面。
・ 蛍光細胞によって覆われた表面の計算された強度。
【0123】
表1:単独又は組み合わせ試験で評価した市販物質
【表1】
【0124】
試験1:FCを使用したE7分解誘導薬アッセイ
1×10
6個の新たに播種したCaSki細胞(ATCC CRL-7915)を、RPMI 1640、10% FCS培地中、直径10cmの細胞培養皿中、37℃、5% CO
2で一晩増殖させ、次いで、10μMシクロヘキシミド(CHX)10μM OC246の存在下で、又はビヒクル単独と共に、37℃、5% CO
2で4時間インキュベートする。この後、細胞内HPV16 E7抗体標識を使用した細胞蛍光分析によってE7タンパク質を評価する。ビヒクル及びOC246処理から得られた単一FL1ヒストグラムのオーバーレイを
図1に示す、オーバーレイA)左のヒストグラム CHX処理、右のヒストグラム ビヒクル(CH 1.71;T 8.06;%D
rel 78.78、%D
ab 100%;)-オーバーレイB)左のヒストグラム OC246処理、右のヒストグラム ビヒクル(C
OC246 4.53;T 8.06;%D
rel 43.79、%D
ab 55.59;)。測定されたMFI値及びD値を括弧内に示す。
図1は、E7分解誘導薬アッセイからの代表的なヒストグラムを示す。
【0125】
試験2:E7分解誘導薬アッセイを使用した薬物スクリーニング。
分解誘導薬アッセイを使用して、E7分解活性について一連の化合物をスクリーニングした。対応する%Dad値の要約表2を以下に列挙する。
【0126】
【0127】
試験3:本発明の様々な化合物の細胞周期分析
CaSki細胞を様々な化合物とインキュベートし、ヨウ化プロピジウム染色を使用して、細胞の細胞周期分布を評価した。
【0128】
OC化合物の細胞増殖抑制効果対細胞傷害効果を分析するために、Flow Cytometryを読み出しとして使用して48時間のインキュベーション後に細胞周期プロファイルをインビトロで分析した。このために、選択されたOC E7分解誘導薬化合物からの細胞周期分析をCaSki細胞において行った。6ウェルプレートを使用して、1.5×105個の細胞を各ウェルに播種し、37℃ 5% CO2で一晩増殖させた。その後、細胞を、表2に示される濃度で10μlのDMSO中OC化合物で処理した。細胞周期挙動を分析するために、ヨウ化プロピジウム(PI-)の存在下でフローサイトメトリー(FC)によって細胞を分析した。簡潔には、細胞をトリプシン消化によって剥離し、全ての上清を分析に含め、70%氷冷エタノールで固定し、PI-染色(1mg/ml)を使用してFC分析まで4℃で保存した。各試料について少なくとも7000の事象を取得した。
【0129】
アポトーシスをさらに分析するために、E7発現細胞を本発明の化合物と共に短期間インキュベートすることによってウォッシュアウト実験を行い、次いで、細胞を新鮮な培地で3回洗浄し、さらなる期間インキュベートし、FC-PIプロファイルを評価した。
図2は、50μM OC246化合物発明の存在下で4時間増殖させ、洗い流し、ビヒクル対照と比較してさらに増殖させ(a)、24時間さらに増殖させ(b)、48時間さらに増殖させた(c)後のCaSki細胞の細胞周期分布についてのFC PI-染色を示す。X軸 対数スケールのPI-FL3シグナル強度、Y軸 イベント数。中央ピーク 細胞のG1含有量、右のピーク G2/M含有量及び左のピーク アポトーシスの尺度としてのサブG1集団。
【0130】
結論:OC246及びOC974は、48時間後に既に観察されたサブG1含有量から測定されるように、子宮頸がん細胞における強力なアポトーシス誘導因子である。他の化合物は、使用した実験条件下で実質的なアポトーシスを誘導しなかった。これらのタイプの実験に通常使用される72時間又は94時間の代わりに、インキュベーション時間として48時間を選択することにより、OC246/OC974(89.4/82.9%)について観察されるほぼ完全なアポトーシス誘導効果を最初のサイクルイベントとして主張することが可能になる。
【0131】
表3:OC化合物によって誘導された細胞周期分布の変化(%)
【表3】
【0132】
試験4:E7分解誘導薬VSP035は、一次速度論的E7タンパク質不安定化、並びに結果としてのmTORシグナル伝達経路及びpi3Kシグナル伝達経路のHPVE7の喪失に対する調節を示す。
【0133】
VSP035によるHPV 16 E7タンパク質分解の時間経過。1ウェル当たり2×10
5個のCaski細胞を、6ウェルプレート中2mlのRPMI 1640+10% fcsに播種し、37℃で1日間静置した。引き続いて、示される時点について10μMのVSP035で処理した。Β-アクチンを内部ローディング対照として使用した。Vsp035は、24時間の観察期間にわたって持続した短期間の処理でさえ、安定したe7減少を誘導した。(
図3a))
【0134】
図3bに示される例)VSP035の時間経過。
1×10
6個のCaski細胞を、12mlのRPMI 1640+10% FCS中の各10 CM皿に播種し、37℃で2日間静置した。次いで、細胞を10μMのVSP035で示される時間処理し、WB分析のために溶解した。Β-アクチンを内部ローディング対照として使用した。
【0135】
E7の場合、VSP035処理は時間とともに着実な減少を示す;細胞を長く処理するほど、低下が大きくなり、p(S473)Akt、Sting及びIrf-3はVSP035によって影響を受けないようである。
【0136】
24時間の時点は最大のE7減少を示し、これはPtpn14及びp53の増加に従っている。Ptpn14は公知のE7基質である。PD-L 1はE7、したがってVSP035によって調節される。
【0137】
図3cに示される例。HPV16 E7定常状態タンパク質レベルに対するVSP035の長期持続性の堅牢な分解誘導薬効果。
【0138】
1.5×104個のCaski細胞を、2mlのRPMI 1640+10% FCS中の6ウェルプレートの各ウェルに播種し、37℃で2日間静置し;引き続いて、示される期間にわたって10μMのVSP035で処理し、0時間又は24時間の時点の6時間後又は24時間後のいずれかに収穫した。VSP035を含む培地を、rpmi 1640+10% fcsで2回洗浄することによって除去し、収穫までの残りの時間、VSP035化合物を含まないRPM 1640+10% fcsに変更した。
【0139】
図3dに示される例)MTOR阻害剤(ラパマイシン、トリン1)と比較した、E7定常状態レベル及び細胞シグナル伝達分子活性化に対するE7分解誘導薬(OC974、VSP034、VSP035)の効果。
【0140】
HPV16 E7分解誘導薬、MAPK及びmTOR阻害剤による処理後のCaSki細胞における細胞シグナル伝達。mRNAの翻訳は、その下流基質、S6キナーゼ及び4E-BP1/eIF4E [Choo、2008]を介してmTORC1によって刺激され得る。いくつかの細胞株で調査されている後者に加えて、重要なシグナル伝達分子のより詳細な分析を次の工程で行った。Valdospan社の化合物(OC974、VSP034及びVSP035)の機序をよりよく理解し、これらの低分子を一般的に使用されるmTOR阻害剤と区別するために、CaSki細胞を、以下を含む様々な阻害剤で処理した:CGP 57380、MNK 1阻害剤;mTOR阻害剤としてのラパマイシン及びトリン2;トリン1、mTORC1/2阻害剤;PD184352、MEKの阻害剤;並びに多重AGCキナーゼ阻害剤としてのMKK2及びAT13148。主要な細胞シグナル伝達経路における重要な分子の発現及びリン酸化を調査し、本発明の分子の異なるが重複する機能を示す。
【0141】
A.8×105個のCaski細胞を、12mlのRPMI 1640+10% FCS中の10cm皿に播種し、37℃で2日間静置した。引き続いて、10μMのVSP034、10μMのVSP035、10μMのOC974、250nmのトリン1及び100nmのラパマイシンで6時間処理し、細胞を400μLの溶解緩衝液に掻き取り、WBによって分析した。
【0142】
B.1×106個のCaski細胞を、12mlのRPMI 1640+10% FCS中の10cm皿に播種し、37℃で2日間静置した。10μM及び5μMのVSP035、10μMのCGP-57380、100nmのラパマイシン、250nmのトリン1、100nmのトリン2、100nmのPD184352、並びに100nmのAT13148で6時間処理した後、細胞を400μLの溶解緩衝液に掻き取り、WBによって分析した。Β-アクチン及びビンキュリンを内部ローディング対照として使用した。
【0143】
図3eに示される例。本発明の分子と比較した、caski細胞におけるシグナル伝達分子に対する様々な阻害剤の効果。
【0144】
1×106個のCaski細胞を、12mlのRPMI 1640+10% FCS中の10cm皿に播種し、37℃で2日間静置した。10μM及び5μMのVSP035、10ΜMのCGP-57380、100nmのラパマイシン、250nmのトリン1、100nmのトリン2、100nmのPD184352、並びに100nmのAT13148で6時間処理した後、細胞を400μLの溶解緩衝液に掻き取り、WBによって分析した。Β-アクチンを内部ローディング対照として使用した。VSP035はHPV16 E7タンパク質の最も強い減少を一貫して誘導し、これにトリン1、トリン2、GP-57380及びラパマイシンが続いた。VSP035ではない他の阻害剤と比較したトリン1によるE7のより大きな減少に加えて、トリン1及びトリン2は、他の全ての調査された細胞シグナル伝達分子に対して同様の効果を示す。
【0145】
VSP035は、4E-BP1の用量依存的低リン酸化をもたらした。ラパマイシンも総4E-BP 1の低リン酸化を示した;しかしながら、一般に、p-4E-BP1(Thr37/46)リン酸化の増加を示した。トリン1及びトリン2を除いて、他の全ての化合物はThr46リン酸化を可能にした。トリン1及びトリン2のインキュベーション後、Thr37/46リン酸化もSer65リン酸化も伴わずに、低リン酸化4E-BP1のみが存在した。4E-BP1上のSer65リン酸化は、全ての化合物によって低減又は完全に阻害された。したがって、一般的なTORキナーゼ阻害と比較して明確に区別可能な下流効果がある。
【0146】
Thr37リン酸化及びThr46リン酸化のプライミング後、Thr70リン酸化はSer65リン酸化に対して異所性であると記載される。mTORに加えて、他のキナーゼは4E-BP1をリン酸化することができる[例えば、Qin、2016、概説]。これは、eIF4Eからの4E-BP1の放出を調節及び防止し、それによってキャップ依存性翻訳を阻害するVSP035と一致する。
【0147】
Ser65上の4E-BP1及びThr389上のp70S6キナーゼのリン酸化は同じ傾向を示した、すなわち、これらは10μMのVSP035、トリン1、トリン2、ラパマイシン、5μMのVSP035及びCGP 57380によって増加する順序で阻害された、又は強く低下した。
【0148】
Ser473上のAKTの重要なリン酸化は、トリン1及びトリン2によってのみ阻害され、VSP035及びラパマイシンでは阻害されなかった。
【0149】
試験5:
CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物を、増殖細胞をビヒクル(1)、100nMラパマイシン(2)、10μM Akt1 VIII阻害剤(3)、2μM GSK3 IX阻害剤+10μM Akt1 VIII阻害剤(4)、2μM GSK3 IX阻害剤(5)、0.5μM PI103+0.1μMウォルトマンニンPI3KCA阻害剤(6)と共に4時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析した;染色は、HPV16E7(VS13004)汎S6リボソームタンパク質、抗リン特異的S6リボソームタンパク質セリン235/236、抗リン特異的Akt1セリン473及び汎Akt1特異的モノクローナル抗体で行った。この試験は、ラパマイシン、PI3KCA阻害剤及びAkt1阻害剤の存在がCaSki細胞においてE7タンパク質の分解をもたらすことを示す(
図4)。
【0150】
試験6:
CaSki、(HPV+)及び骨肉腫細胞(U2O、HPV-)からの抽出物を、ビヒクル(1)、10μM OC246(2)又は100nMラパマイシン(3)並びに10μM OC246及び100nMラパマイシン(4)と共に4時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析し、染色はP70-S6K(T389);汎Akt、Akt(p473);pS6 S235/236及びHPV16E7で行った。この試験は、この部位がHPV E7及びドミナント活性PIK3CA-E545K(p110α)含有CaSki細胞において安定にリン酸化されるので、OC246がリン-Akt S473のシグナル伝達を阻害せず、PIK3CA WT U2OS 細胞においても阻害しないことを示す。p70 S6キナーゼの上に、リン-p70-S6K T389は、E7分解に応答して脱リン酸化される(
図5)。
【0151】
試験7:
VSP035は腫瘍免疫抑制因子PDL-1を調節する
CaSki(HPV+)細胞からの細胞抽出物をウエスタンブロットで分析し、PDL-1に対するモノクローナル抗体で染色した(gly-PDL-1はPDL-1のグリコシル化集団を表す)。1.5×10
5個の高レベルのPDL-1発現を示す細胞株であるCaski細胞を、6ウェルプレート中2mlのRPMI 1640+10% FCSに播種し、37℃でインキュベートして細胞増殖を可能にした。播種の24時間後、細胞を、示されるように、VSP035、シクロヘキシミド(CHX)及び/又はMG132プロテアソーム阻害剤で処理した。WBによる分析のために細胞を収穫した。結果は、より速く移動する翻訳後修飾バンドに対する強い調節を用量依存的に示し、これは4時間の時点と比較して8時間後により多く発現された。特に、より速い移動バンド存在量はプロテアソーム阻害剤MG132によって調節され、タンパク質はCHXの存在下で不安定化された。これは、E7がPDL-1を安定化し、E7分解誘導薬VSP035がこれらの効果を逆転させて有効なpdl-1不安定化剤となることを実証している(
図6)。
【0152】
試験8:
(D)SiHa(HPV+)細胞からの抽出物を、ビヒクル(0)と共に24時間、又は10μM OC246と共に12時間及び24時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析した;ブロットを、HPV16E7、アクチン及び網膜芽細胞腫タンパク質pRb 1に対するモノクローナル抗体で染色した;Rbタンパク質シグナルの増加を、E7シグナルの減少と共に検出することができる(
図7)。
【0153】
試験9:
CHX(シクロヘキシミド)、OC974及び様々な化学療法剤とそれぞれ4時間、8時間及び12時間インキュベートした後のHPV16E7存在量
CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物をウエスタンブロットで分析し、HPV16E7及びp53(DO1)特異的モノクローナル抗体で染色した:ビヒクル(レーン1、14)、CHX_シクロヘキシミド(レーン2、3、4)、OC974(5、6、7)、CDDP_シスプラチン(8、9、10)、DOX_ドキソルビシン(11、12、13)(
図8)。
【0154】
試験10:
OC246及び様々な化学療法剤とそれぞれ4時間、8時間及び12時間インキュベートした後のHPV16E7存在量CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物をウエスタンブロットで分析し、HPV16E7及びp53(DO1)特異的モノクローナル抗体で染色した:ビヒクル(レーン1、14)、ビンクリスチン(レーン2、3、4)、AKT1 VIII(5、6、7)、エトポシド(8、9、10)、OC246(11、12、13)。
【0155】
試験11:
CaSki、(HPV+)細胞からの抽出物を、増殖細胞をビヒクル(1)、10μM OC246(2)、30μM LLnL(MG101)(3)、10μM OC246+30μM LLnL(MG101)(プロテアソーム阻害剤)(4)、10μM G5(DUB、脱ユビキチナーゼ阻害剤)(5)、10μM OC 246+10μM G5(DUB、脱ユビキチン化酵素阻害剤)(6)、ビヒクル(7)10μM OC246+0.5μM PI103+0.1μMウォルトマンニンPI3KCA 阻害剤と共に4時間インキュベートした後、ウエスタンブロットで分析した;染色はHPV16E7(VS13004)特異的モノクローナル抗体で行った。
【0156】
【0157】
試験12:CaSki高リスクHPV16ヒト子宮頸癌異種移植モデルに対するOC246及びOC974の抗腫瘍有効性
OC246分解誘導薬及びOC974分解誘導薬は、新規なクラスの抗がん剤の化合物を表す。OC246及びOC974は、細胞内のHPVE7タンパク質の分解をもたらし、結果として腫瘍細胞増殖の阻害をもたらす非常に安定な低分子である。
【0158】
この試験の目的は、ヌードマウスにおけるヒト子宮頸癌(CaSki)異種移植モデルに対するOC246及びOC974のインビボ有効性を評価することであった。OC246及びOC974を、2mg/kg/投与で、1日1回、3日間休薬を含めて4回、3サイクルで経口投与した。シスプラチン(CDDP)を、6mg/kgの3回の毎週の静脈内(q7dx3)投与で参照化合物として使用した。
【0159】
表3に要約されたこの試験は、CaSkiヒト子宮頚癌(最終処置の1週間後の44日目に評価)の増殖が、OC246及びOC974処置によって阻害され(それぞれ66.6%及び63.9%の腫瘍増殖阻害(%TGI))、最大耐量でのCDDPによる処置(79.2% TGI)と同様の抗腫瘍有効性を有することを示した。
【0160】
OC246及びOC974は、44日目で出発レベルと比較して体重(BW)の減少を引き起こさず(それぞれ+5.5%及び+1.1%)、対照的に、CDDP群では実質的なBW減少(-10.2%)が生じた。対照群では体重減少は生じなかった(BW+4.9%)。
【0161】
結論として、これらの結果は、OC246及びOC974が、CaSkiヒトHPV16E6及びHPV16E7腫瘍タンパク質を発現する子宮頸癌異種移植片に対して忍容性の高い用量で抗腫瘍活性を有し、CaSki細胞が、PIK3CA-E545K(ホスファチジルイノシトール-3キナーゼ110 kDa触媒サブユニット(p110α))について機能獲得型変異していることを実証している。その上、これらの知見は、反復経口処置後の実験腫瘍モデルに対するOC246及びOC974のインビボ有効性をさらに裏付けている。
【0162】
【0163】
試験13 OC246の薬物動態:
雌NMRIマウスへの単回経口(p.o.)投与後のOC246について薬物動態を評価した。化合物OC246を、Lipoid S100及びMyritol 318を用いて50mg/kgで懸濁した。経口用量は50mg/kg、最終濃度は10mg/ml、投与量は5.0ml/kgであった。投与から0.25時間後、0.5時間後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、16時間後、及び24時間後の個々の時点で3匹のマウスから血液試料を採取し、HPLC及び質量分析生物分析法を使用して分析した。主な薬物動態パラメータを表4に要約する。
【0164】
表5:
【表6】
obs:観測;tmax:Cmaxの時点;tlast:最後の定量可能な濃度での時間;Cmax:最大観察濃度;Clast:最後の定量可能な濃度;SE:標準誤差;AUClast:定量下限より上の濃度値を有する最後の測定時点までの投与時間の間の台形公式を用いて計算された濃度-時間曲線下面積(AUC);AUCinf(obs):0時間から無限までの台形公式を使用して計算されたAUC;AUC% extrapol:tlastから無限までの外挿によるAUCinf(obs)のパーセンテージ;Rsq:終末排出相での判定λzに対する適合度;λz(λ_z):(少なくとも最後に測定された3つの濃度の)終末排出速度定数;t1/2:見かけの終末排出半減期;CLobs:観察された総(全身)身体クリアランス;Vz_obs:AUClast及びλzに基づく見かけの分布容積。
【0165】
試験14 リポソーム製剤の経口投与後のOC974トランスエナンチオマーVSP034及びVSP035の薬物動態分析。
リポソーム製剤としてカプセル化されたVSP034及びVSP035の薬物動態パラメータを、6匹の体重250グラム(±25g)の雌Sprague-Dawleyラットに強制経口投与によって単回100mg/kg用量を投与した後に評価した。動物を、それぞれ3匹のラットで構成される2つの実験群(1群及び2群)に無作為化した。1群に属するラットにはVSP034を投与し、2群に属するラットにはVSP035を投与した。ベースライン並びに強制経口投与の15分後、30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後及び24時間後に血液を採取した。投与の24時間後にラットを屠殺した。イソフルラン麻酔下で屠殺時に心臓内穿刺によって実施した最後の採取(24時間)を除いて、各時点で血液を尾静脈から採取した。適切な用量を評価するために、投与の直前に動物の体重を測定し、実験中に慎重に監視した。ラットを、最大実験エンドポイントを超えない期間、げっ歯類の正しい収容に対する法的要件を満たす標準的な収容条件で維持した。水及び食物への自由なアクセスを可能にした。全てのラットは、リポソーム製剤の投与後に良好な状態にあり、罹患挙動の徴候も異常な挙動の徴候も何ら示さなかった。人道的エンドポイントには到達していない。Microsoft ExcelプラグインPK Solverを使用して薬物動態分析を実施した。2つの化合物の薬物動態パラメータを、対応のないデータに対するスチューデントのt検定によってソフトウェアGraphPad Prism ver.8.0で比較する。p値<0.05を統計学的に有意とみなす。
【0166】
分析方法:化合物分析を、試験13のような生物分析方法に従って実施した。この試験では、カルバマゼピンを内部標準として使用した。
【0167】
薬物動態分析:Excelプラグイン2.0 PK Solverを使用して、VSP034及びVSP035の薬物動態分析を実施した。結果を、血管外投与後に非コンパートメントモデリングに従って当てはめた。VSP034及びVSP035についての濃度-時間曲線。
【0168】
主な薬物動態パラメータ(半減期、t1/2;最大血漿濃度までの時間、Tmax;最大血漿濃度、Cmax;無限まで外挿したAUC、AUC0-inf;平均滞留時間、MRT;終末相中の見かけの分布容積、Vz/F;及び見かけの経口クリアランス、CL/F)を、標準的な式を使用することによってベストフィットの係数及び指数から計算した。各ラットの結果、並びに各試験群の平均、SD及び中央値を以下の表6及び表7に報告する。
【0169】
表6.VSP034の薬物動態パラメータ。
【表7】
【0170】
表7.VSP035の薬物動態パラメータ。
【表8】
【0171】
対応のないデータに対するスチューデントのt検定を使用して、2つの化合物の薬物動態パラメータを比較するための統計分析。t1/2、Tmax及びMRTについては有意差を実証することができなかった。VSP035 AUCは、VSP034のAUCよりも有意に高く(4倍)、Cmaxは相関した増加傾向を示すが、統計学的有意性に達することはできなかった。したがって、VSP035のVz/F及びCL/Fは、VSP034の場合よりも有意に低い。
【0172】
試験15 スルホローダミンB(SRB)染色を使用した単層アッセイ:
単層として増殖させた種々の細胞培養細胞を、種々の濃度の様々なOC化合物で処理した後、指数増殖培養物から収穫する。このために、細胞株に応じて、10.000~30.000個の細胞を96ウェル平底マイクロタイタープレートに播種した。細胞が指数増殖を再開することを可能にするための24時間の回復期間の後、上清を捨て、100μlの培養培地(8つの対照ウェル/プレート)又は試験化合物を含む培養培地を液体処理ロボットシステム(Microlab(登録商標)Starlet、Hamilton)によって添加し、処理を72時間続ける。化合物を9種の濃度及び8つのウェル/濃度で適用する。少なくとも3つの独立した実験を実施する。SRB染色のために、細胞を4℃で1時間、SRB01(表5)で固定し(TCAの最終濃度=10%)、プレート洗浄機(Hydroflex、Tecan(著作権))を用いてH2Oで5回洗浄し;SRB03で4回洗浄した後、室温で10分間100μlのSRB02で染色し、最後に振盪しながら5分間100μlの発色液SRB04で染色した。プレートリーダー(Sunrise、Tecan(著作権))を使用して540nmで光学濃度を評価する。
【0173】
細胞増殖阻害のための化合物の最大半量応答に必要な濃度(EC50)を、分析ソフトウェアGraphPad Prism(登録商標)、windows用Prism 5、バージョン5.01(GraphPad Software Inc.、CA)を使用して非線形回帰(log [阻害剤の濃度]対応答(%T/C))によって計算する。
【0174】
【0175】
表9:OC246の存在下での子宮頸がん細胞のEC50測定
OC246のEC50を、HPV E7発現子宮頸がん細胞株Hela(ATCC CCL-2)、SiHa(ATCC HTB-35)及びCaSki(ATCC CRM-CRL-1550)について評価し、SRBアッセイで末梢血単核細胞(PBMC)と比較した。結果は、PBMC細胞の10-4超と比較して、低いμM範囲のIC50活性を示す。
【0176】
【0177】
表10:
本発明の様々な化合物のEC50決定のためのCaski細胞からのSRBアッセイは、その強力な抗新生物活性を示す(「0」は試験した濃度で活性が検出されないことを意図する)、Graphpad当てはめによるEC50計算(Y=100/(1+10^((LogEC50-X)*ヒル勾配)))。
【0178】
【0179】
試験CoV2
試験16 そのSARV-CoV-2抗ウイルス活性によって例示される本発明の分子の抗ウイルス活性。
VSP034及びVSP035によるSARV-CoV-2抗ウイルス活性(n3;各条件でのアッセイの反復回数)。結果を、DMSO(1)、7.5μM VSP034(2)及び7.5μM VSP035(3)について、y軸対数スケールで示す。7.5μMのVSP034及びVSP035によるSARV-CoV-2抗ウイルス活性は、PCRアッセイによって決定されるようにウイルス負荷の1桁の減少を示す。(
図9)
【0180】
試験17
1.25μMの非毒性化合物濃度の、本発明の化合物によるSARV-CoV-2ウイルス活性の阻害(%)を評価した。結果は、様々な化合物(n4)の強力な抗ウイルス活性を示す。SARS-CoV-2/VeroE 6-EGFP HTS抗ウイルスアッセイ(384ウェル)を使用した(表11);
【0181】
【0182】
試験18
単独処理からの、又は左から右までバーによって示される様々な濃度の様々な薬理学的原体と組み合わせた、VSP035のSARV-CoV-2抗ウイルス活性。Y軸%阻害。Vero E6細胞の致死濃度のために、用量依存性は非致死用量でのみ認められる(複数の実験n4の中央値が示される);濃度(左から右)化合物及びそれぞれのアッセイ濃度(μM)は、「一定」は系列(X軸、系列の番号)について同じ濃度を意味する:(
図10)。
【0183】
単剤としてのVS035については堅牢な抗ウイルス活性が実証され、VSP035との広範囲の非常に活性な相乗的薬物組み合わせにわたる用量依存性が実証されている。
(1)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625);
(2)ラパマイシン(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(3)VSP035(一定10)、ラパマイシン(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(4)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625)、ラパマイシン(一定0.0625);
(5)CI-1040(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(6)VSP035(一定10)、CI-1040(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(7)CGP57380(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(8)VSP035(一定10)、CGP57380(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(9)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625)、CGP57380(一定0.250);
(10)トリン-1(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(11)VSP035(一定10)、トリン-1(0.250、0.125、0.0625、0.03125、0.15625);
(12)VSP035(10、5、2.5、1.25、0.625)、トリン-1(一定0.0625);
【0184】
試験19:Huh7細胞におけるVSP035のSARS-CoV-2抗ウイルス活性
SARS-CoV-2/Huh7-EGFP HTS抗ウイルスアッセイ(96ウェル)(n4)を使用したVSP035単一化合物処理のSARV-CoV-2殺ウイルス活性。このアッセイは、10μM(n4)の亜致死用量での代表的な化合物VSP035の抗ウイルス活性を試験し、72±7.7%の阻害を明らかにする。結果は、肝臓上皮腫瘍細胞株Huh7におけるVS035の強力なSARS-CoV-2抗ウイルス活性を示す。
【0185】
したがって、本発明は、以下の好ましい実施形態を開示する:
1.好ましくは抗ウイルス剤として、より好ましくはポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス又はコロナウイルス科ウイルスに対する抗ウイルス剤として使用するための、さらにより好ましくはヒトパピローマウイルス(HPV)感染症の治療に使用するための、又はSARS-CoV-2感染症の治療若しくは予防に使用するための、特にHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患の治療に使用するための、又はCOVID-19の治療若しくは予防に使用するための、
式(I)の化合物:
【化42】
(式中、
R
1は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、ヘテロアルキルシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基又はヘテロアラルキル基であり;これらの基の全ては任意に(optionally)置換されていてもよく;
R
1aは水素又はC
1~4アルキル基である;又は
R
1及びR
1aは一緒になって、C、N及びOから選択される5個又は6個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基の一部であり、このヘテロシクロアルキル基は、非置換であっても、基R
11によって置換されていてもよく;
R
11は、C
1~4アルキル基又はC
1~6ヘテロアルキル基であり;
R
2は、フェニル基、ナフチル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、又はC、N、O及びSから選択される合計9個若しくは10個の環原子を含有する2つの環を含むヘテロアリール基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
21によって置換されていてもよく;
R
21は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択され;
R
3は、フェニル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、C
3~7シクロアルキル基、又はC、N、O及びSから選択される3~7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基であり、これらの基の全ては非置換であっても、1つ若しくは2つの基R
31によって置換されていてもよく;
R
31は、ハロゲン、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択され;
R
4は、ハロゲン、OH、NH
2、SH、CN、N
3、NO
2、C
1~4アルキル基及びC
1~4ヘテロアルキル基から独立して選択される;又は
2つの基R
4が一緒になって、式-O-CH
2-O-又は-O-CH
2-CH
2-O-の基であり;
nは0、1又は2である)
又はその薬学的に許容される塩。
【0186】
2.R4がCl、OMe及びNHAcから選択される;特にR4がOMeである、実施形態1に記載の化合物。
【0187】
3.nが0又は1である;特にnが0である、又はnが1であり、R4がOMeである、実施形態1又は実施形態2に記載の化合物。
【0188】
4.R1aが水素である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0189】
5.R1が、フェニル基、ナフチル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、又はC、N、O及びSから選択される合計9個若しくは10個の環原子を含有する2つの環を含むヘテロアリール基であり、これらの基の全てが任意に(optionally)置換されていてもよい、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0190】
6.R1が式-Ar-Cy-R5の基(式中、Arは、フェニレン基又はC、N及びOから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリーレン基であり;Cyは、C3~7シクロアルキレン基又はC、N、O及びSから選択される3個、4個、5個、6個若しくは7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキレン基であり、R5は、水素又はC1~4アルキル基又はC1~6ヘテロアルキル基である)である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0191】
7.Arがフェニレン基であり、Cyが、C、N及びOから選択される6個の環原子を含有するヘテロシクロアルキレン基であり、R5が水素又はC1~4アルキル基である、実施形態6に記載の化合物。
【0192】
8.R
1が以下の基:
【化43】
及び
【化44】
から選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0193】
9.R1が式-NH-CH2-CH2-N(CH3)2の基である、実施形態1から実施形態4のいずれか1つに記載の化合物。
【0194】
10.R2が、1つの基R21を有する1,4-フェニレン基である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0195】
11.R21がF、Cl、Br、CF3、CH3及びOMeから選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0196】
12.R21がCF3基である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0197】
13.R3が、1つの基R31を有する1,4-フェニレン基である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0198】
14.R31がCl、CF3、CH3、NMe2及びOMeから選択される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0199】
15.R2が4-クロロフェニル基であり、R3が4-メチルフェニル基である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物。
【0200】
16.式(II):
【化45】
(式中、R
21、R
3、R
4及びnは、先行する実施形態のいずれか1つに定義される通りである)
の先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【0201】
17.nが0又は1であり;R4がOMeであり;R21が、ハロゲン、C1~4アルキル基又はC1~4ヘテロアルキル基(特にCF3基)であり;R3が、フェニル基、C、N、O及びSから選択される5個若しくは6個の環原子を含有するヘテロアリール基、C3~7シクロアルキル基又はC、N、O及びSから選択される3~7個の環原子を含有するヘテロシクロアルキル基であり、これらの基の全てが非置換であっても、1つ若しくは2つの基R31によって置換されていてもよく;R31が、ハロゲン、C1~4アルキル基及びC1~4ヘテロアルキル基から独立して選択される、実施形態16に記載の化合物。
【0202】
18.先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩を、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【0203】
19.ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルスによる感染症、又はコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)による感染症、特にHPV感染症又はSARS-CoV-2感染症の治療に使用するための、先行する実施形態のいずれか1つに記載の化合物又は医薬組成物。
【0204】
20.HPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患、特に子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及びボーエン病の治療に使用するための;又は単細胞真核寄生生物、特に熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、及びドノバンリーシュマニアによる感染症の予防若しくは治療に使用するための、実施形態1から実施形態19のいずれか1つに記載の化合物又は医薬組成物。
【0205】
21.シグナル伝達分子アンタゴニスト又はシグナル伝達分子アゴニストと実施形態1から20のいずれか1つに記載の化合物又はその薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩との組み合わせを、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【0206】
22.シグナル伝達分子が、受容体分子又はその下流標的の1又は複数、例えばEGFR、Ras、ホスファチジルイノシトール-4,5-ビスリン酸3-キナーゼアルファ85kDa調節サブユニット若しくは110kDa触媒サブユニット(PI3K)、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(PTEN)、プロテインキナーゼB(PKB、Akt)、p70-S6キナーゼ1、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR1)、FK506結合タンパク質(FKBP12)、mTOR複合体1(mTORC1)、TGFベータ経路シグナル伝達、及び/又はNOTCHシグナル伝達である、実施形態21に記載の医薬組成物。
【0207】
23.シグナル伝達分子が、mTOR阻害剤-8(CAS番号:2489196-70-3)、mTOR阻害剤-3(CAS番号:1207358-59-5)、mTOR阻害剤-1(CAS番号:468747-17-3)、mTOR阻害剤-2(CAS番号:2219323-96-1)、HDACs/mTOR阻害剤1(CAS番号:2271413-06-8)、PI3K/mTOR阻害剤-3(CAS番号:1363338-53-7)、PI3K/mTOR阻害剤-2(CAS番号:1848242-58-9)、PI3K/mTOR阻害剤-1(CAS番号:1949802-49-6)、MTI-31(CAS番号:1567915-38-1)、サパニセルチブ(CAS番号:1224844-38-5)、WAY-600(CAS番号:1062159-35-6)、オナタセルチブ(CAS番号:1228013-30-6)、MHY1485(CAS番号:326914-06-1)、PI3Kα/mTOR-IN-1(CAS番号:1013098-90-2)、PF-04979064(CAS番号:1220699-06-8)、3BDO(CAS番号:890405-51-3)、ジヒドロミリセチン(CAS番号:27200-12-0)、RapaLink-1(CAS番号:1887095-82-0)、AD80(CAS番号:1384071-99-1)、DS-7423(CAS番号:1222104-37-1)、ETP-46464(CAS番号:1345675-02-6)、トリン2(CAS番号:1223001-51-1)、PF-04691502(CAS番号:1013101-36-4)、TFEB活性化因子1(CAS番号:39777-61-2)、ビスツセルチブ(CAS番号:1009298-59-2)、MHY-1685(CAS番号:27406-31-1)、MCX 28(CAS番号:1414453-58-9)、CZ415(CAS番号:1429639-50-8)、XL388(CAS番号:1251156-08-7)、GNE-317(CAS番号:1394076-92-6)、NSC781406(CAS番号:1676893-24-5)、GDC-0349(CAS番号:1207360-89-1)、ゲダトリシブ(CAS番号:1197160-78-3)、化合物401(CAS番号:168425-64-7)、テムシロリムス(CAS番号:162635-04-3)、28-エピラパマイシン(CAS番号:253431-35-5)、GNE-477(CAS番号:1032754-81-6)、リダフォロリムス(CAS番号:572924-54-0)、GNE-493(CAS番号:1033735-94-2)、ビミラリシブ(CAS番号:1225037-39-7)、(+)-ウスニン酸(CAS番号:7562-61-0)、PP121(CAS番号:1092788-83-4)、42-(2-テトラゾリル)ラパマイシン(CAS番号:221877-56-1)、AZD-8055(CAS番号:1009298-09-2)、トリン1(CAS番号:1222998-36-8)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、PKI-402(CAS番号:1173204-81-3)、クリソファノール(CAS番号:481-74-3)、VS-5584(CAS番号:1246560-33-7)、ダクトリシブ(CAS番号:915019-65-7)、PI3K-IN-22(CAS番号:1202884-94-3)、トルキニブ(CAS番号:1092351-67-1)、ゼイレノン(CAS番号:193410-84-3)、CC-115(CAS番号:1300118-55-1)、ラパマイシン(CAS番号:53123-88-9)、サリドロシド(CAS番号:10338-51-9)、PQR626(CAS番号:1927857-98-4)、ダクトリシブトシル酸塩(CAS番号:1028385-32-1)、LAT1-IN-1(CAS番号:20448-79-7)、GSK1059615(CAS番号:958852-01-2)、ルビオンコリン(C CAS番号:132242-52-5)、KU-57788(CAS番号:503468-95-9)、アピトリシブ(CAS番号:1032754-93-0)、エベロリムス(CAS番号:159351-69-6)、WYE-687(CAS番号:1062161-90-3)、SF2523(CAS番号:1174428-47-7)、WYE-132(CAS番号:1144068-46-1)、ルピウィテオン(CAS番号:104691-86-3)、OSI-027(CAS番号:936890-98-1)、JR-AB2-011(CAS番号:2411853-34-2)、SAR405(CAS番号:1523406-39-4)、WYE-687二塩酸塩(CAS番号:1702364-87-1)、PI3Ka-IN-5(CAS番号:2237953-19-2)、PQR530(CAS番号:1927857-61-1)、PKI-179(CAS番号:1197160-28-3)、WYE-354(CAS番号:1062169-56-5)、BGT226マレイン酸塩(CAS番号:1245537-68-1)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、BGT226(CAS番号:915020-55-2)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、PI-103(CAS番号:371935-74-9)、ボクスタリシブ(CAS番号:934493-76-2)、ETP-45658(CAS番号:1198357-79-7)、PF-06843195(CAS番号:2067281-51-8)、(32-カルボニル)-RMC-5552(CAS番号:2382768-55-8)、BC-LI-0186(CAS番号:695207-56-8)、P7(CAS番号:1001409-50-2)、BX-320(CAS番号:702676-93-5)、BX-517(CAS番号:850717-64-5)、BX517(CAS番号:850717-64-5)、BX795(CAS番号:702675-74-9)、BX-912(CAS番号:702674-56-4)、JX06(CAS番号:729-46-4)、ポリフィリンI(CAS番号:50773-41-6)、PS10(CAS番号:1564265-82-2)、PS210(CAS番号:1221962-86-2)、PS423(CAS番号:1221964-37-9)、PDK1-IN-RS2(CAS番号:1643958-89-7)、GSK2334470(CAS番号:1227911-45-6)、PF-AKT400(CAS番号:1004990-28-6)、カピバセルチブ(CAS番号:1143532-39-1)、アフレセルチブ(CAS番号:1047644-62-1)、ボルセルチブ(Borussertib)(CAS番号:1800070-77-2)、GSK-690693(CAS番号:937174-76-0)、AKT-IN-10(CAS番号:2709045-56-5)、AKT-IN-9(CAS番号:2709045-53-2)、AKT-IN-3(CAS番号:2374740-21-1)、ベボリセルチブ(CAS番号:1416775-46-6)、FPA-124(CAS番号:902779-59-3)、CCT128930(CAS番号:885499-61-6)、AT13148(CAS番号:1056901-62-2)からなる群から選択されるエストロゲンのステロイド受容体分子又はシグナル伝達分子アンタゴニスト若しくはシグナル伝達分子アゴニストである、実施形態21に記載の医薬組成物。
【0208】
24.好ましくはHPV感染症の治療に使用するための、又はSARS-CoV-2による感染症の予防若しくは治療に使用するための、特にHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物疾患の治療に使用するための、特にタンパク質E7の分解誘導薬としての、又はCOVID-19の予防若しくは治療のための、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)及び(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)からなる群から選択される化合物。
【0209】
25.ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルスによる感染症、若しくはコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カルポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、若しくはB型肝炎ウイルス(HBV)による感染症、特にHPV感染症若しくはSARS-CoV-2感染症を治療若しくは予防するための;又はHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物性疾患、特に子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及びボーエン病を治療するための;又は単細胞真核寄生生物、特に熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、及びドノバンリーシュマニアによる感染症の予防若しくは治療に使用するための医薬品を製造するための、実施形態1から実施形態17のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【0210】
26.有効量の実施形態1から17のいずれか1つに記載の化合物がそれを必要とする患者に投与される、ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、特にインフルエンザAウイルスによる感染症、若しくはコロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カルポシ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、若しくはB型肝炎ウイルス(HBV)による感染症、特にHPV感染症若しくはSARS-CoV-2感染症を治療若しくは予防する;又はHPV誘発性悪性疾患及びHPV誘発性新生物性疾患、特に子宮頸がん、外陰がん、膣がん、肛門がん、陰茎がん、頭頸部がん、並びに性器疣贅、非黒色腫皮膚がんの亜集団、肺がん、前立腺がん及び乳がん、再発性呼吸器乳頭腫症(RRP)、バーキットリンパ腫、非ホジキンリンパ腫及びボーエン病を治療及び予防する;又は単細胞真核寄生生物、特に熱帯熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫、及びドノバンリーシュマニアによる感染症の予防若しくは治療に使用する方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、
(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(1-メチルピペリジン-4-イル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、
(3R,4R)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、
(3S,4S)-N-[3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-オキソ-3-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド)、
(3R,4R)-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-7-メトキシ-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-7-アセトアミド-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-6,7-ジメトキシ-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-2-(4-メチルベンジル)-N-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-モルホリノフェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-2-(ピリジン-4-イルメチル)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3R,4R)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-2-(ピリジン-3-イルメチル)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-7-メトキシ-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-7-アセトアミド-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-6,7-ジメトキシ-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-2-(4-メチルベンジル)-N-(4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-2-(4-メチルベンジル)-N-(3-モルホリノフェニル)-1-オキソ-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
(3S,4S)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-2-(ピリジン-4-イルメチル)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、及び
(3S,4S)-N-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル)-1-オキソ-2-(ピリジン-3-イルメチル)-3-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-カルボキサミド、
からなる群から選択される化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含む、
ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、インフルエンザAウイルス、コロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、SARS-CoV-2、又はCOVID-19)感染症(例えば、HPV誘発性悪性疾患、HPV誘発性新生物疾患)の治療若しくは予防、又はタンパク質E7の分解誘導のための医薬。
【請求項3】
有効成分として、請求項1に記載の化合物又は前記化合物の薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩を、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、医薬組成物。
【請求項4】
有効成分として、請求項1に記載の化合物又は前記化合物の薬学的に許容される水和物、溶媒和物若しくは塩を、任意に(optionally)薬学的に許容される担体と組み合わせて含む、
ウイルス(例えば、ポリオーマウイルス科ウイルス、オルトミクソウイルス科ウイルス、インフルエンザAウイルス、コロナウイルス科ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV、MCPyV)、JCポリオーマウイルス(JCV、JCPyV)、BKポリオーマウイルス(BKV、BKPyV)、TSポリオーマウイルス(TSV、TSPyV)、H7ポリオーマウイルス(HV7、HPyV7)、シミアンポリオーマウイルス40(SV40)、サイトメガロウイルス(CMV)、B型肝炎ウイルス(HEPB)、C型肝炎ウイルス(HEPC)、D型肝炎ウイルス(HEPD)、ヒト免疫不全ウイルス1(HIV-1)、ヒト免疫不全ウイルス2(HIV-2)、ヒトTリンパ向性ウイルスI(HTLV-I)、ヒトTリンパ向性ウイルスII(HTLV-II)、エプスタインバーウイルス(EBV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(ヘルペスウイルス科;KSHV)、ヒトパピローマウイルス(HPV)、SARS-CoV-2又はCOVID-19)感染症(例えば、HPV誘発性悪性疾患、HPV誘発性新生物疾患)の治療若しくは予防、又はタンパク質E7の分解誘導のための、医薬組成物。
【請求項5】
HPV感染症を治療するための、又はSARS-CoV-2による感染症を予防若しくは治療するための、請求項3又は請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
タンパク質E7の分解誘導薬として、HPV誘発性悪性疾患及び/又はHPV誘発性新生物疾患を治療するための、又はCOVID-19を予防若しくは治療するための、請求項3又は請求項4に記載の医薬組成物。
【国際調査報告】