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特表2024-515338ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの阻害剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20240402BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 19/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 7/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 9/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 17/10 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 5/14 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 11/16 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 31/08 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 13/00 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240402BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 31/502 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P19/00
A61P29/00
A61P37/02
A61P25/00
A61P3/00
A61P11/00
A61P7/02
A61P9/04
A61P9/06
A61P1/16
A61P13/12
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P19/02
A61P1/04
A61P9/00
A61P17/00
A61P21/00
A61P11/02
A61P37/08
A61P15/02
A61P13/10
A61P19/10
A61P17/04
A61P37/06
A61P17/10
A61P5/14
A61P21/04
A61P7/06
A61P43/00 105
A61P11/06
A61P7/04
A61P1/00
A61P3/10
A61P19/08
A61P17/06
A61P11/16
A61P1/02
A61P31/06
A61P31/08
A61P13/00
A61P31/18
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/14
A61P21/02
A61P3/06
A61P9/10
A61P35/02
A61K31/502
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561630
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 IB2022053282
(87)【国際公開番号】W WO2022215034
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202141016598
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522161937
【氏名又は名称】ライゼン ファーマシューティカルズ アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】515205381
【氏名又は名称】インコゼン・セラピューティクス・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァカランカ、スワロープ クマール ヴェンカタ サティア
(72)【発明者】
【氏名】ブニヤ、デブナス
(72)【発明者】
【氏名】ヴィスワナダ、スリカント
【テーマコード(参考)】
4C063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063BB03
4C063CC28
4C063DD12
4C063EE01
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA02
4C084ZA16
4C084ZA23
4C084ZA33
4C084ZA36
4C084ZA37
4C084ZA38
4C084ZA45
4C084ZA53
4C084ZA54
4C084ZA55
4C084ZA59
4C084ZA60
4C084ZA66
4C084ZA67
4C084ZA68
4C084ZA75
4C084ZA81
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZA96
4C084ZA97
4C084ZB07
4C084ZB08
4C084ZB11
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZB21
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZB35
4C084ZC06
4C084ZC20
4C084ZC21
4C084ZC33
4C084ZC35
4C084ZC55
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC41
4C086GA13
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZA23
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA38
4C086ZA45
4C086ZA53
4C086ZA54
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA60
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA68
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZA97
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB11
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZB35
4C086ZC06
4C086ZC20
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC55
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、新規ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、それらを調製する方法、それらを含有する医薬組成物、並びにPARP媒介性疾患又は障害を治療及び/又は予防する方法におけるそれらの使用に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン塩酸塩;
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンベンゼンスルホン酸塩;
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン4-メチルベンゼンスルホン酸塩; 及び
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンメタンスルホン酸塩から選択される化合物。
【請求項2】
前記化合物が、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン塩酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記化合物が、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンベンゼンスルホン酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン4-メチルベンゼンスルホン酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンメタンスルホン酸塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン塩酸塩;
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンベンゼンスルホン酸塩;
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン4-メチルベンゼンスルホン酸塩; 及び
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンメタンスルホン酸塩から選択される化合物。
【請求項7】
前記化合物が、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン塩酸塩である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンベンゼンスルホン酸塩である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン4-メチルベンゼンスルホン酸塩である、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンメタンスルホン酸塩である、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が結晶性である、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性塩酸塩。
【請求項13】
前記塩が、5.32、10.65、14.91、15.22、16.68、19.90、21.75、21.99、23.84、25.08、及び27.14±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項12に記載の結晶性塩。
【請求項14】
前記塩が、実質的に図5に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項12又は13に記載の結晶性塩。
【請求項15】
前記塩が、約228℃の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項12~14のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項16】
前記塩が、実質的に図1に示される示差走査熱量計パターンを示す、請求項12~15のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項17】
前記塩が、5.32、10.65、14.91、15.22、16.68、19.90、21.75、21.99、23.84、25.08、27.14±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すX線粉末回折(XRPD)パターンと、約228℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項12~16のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項18】
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性ベンゼンスルホン酸塩。
【請求項19】
前記塩が、4.91、5.42、13.76、14.61、18.47、21.14、22.19、23.07、23.84、及び25.28±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項18に記載の結晶性塩。
【請求項20】
前記塩が、実質的に図6に示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項18又は19に記載の結晶性塩。
【請求項21】
前記塩が、約231℃の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項18~20のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項22】
前記塩が、実質的に図2に示される示差走査熱量計パターンを示す、請求項18~21のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項23】
前記塩が、4.91、5.42、13.76、14.61、18.47、21.14、22.19、23.07、23.84、25.28±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約231℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項18~21のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項24】
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性モノメチルベンゼンスルホン酸塩。
【請求項25】
前記塩が、6.81、13.22、13.96、20.52、21.87、22.67、及び24.48±0.2°2θに1つ以上のピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項24に記載の結晶性塩。
【請求項26】
前記塩が、実質的に図7Aに示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項24又は25に記載の結晶性塩。
【請求項27】
前記塩が、6.98、13.82、15.98、18.50、及び19.50±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを有するX線粉末回折(XRPD)パターンを示す、請求項24に記載の結晶性塩。
【請求項28】
前記塩が、実質的に図7Bに示されるXRPDパターンを示す、請求項27に記載の結晶性塩。
【請求項29】
前記塩が、約170℃の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンを示す、請求項24~28のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項30】
前記塩が、実質的に図3に示される示差走査熱量計(DSC)パターンを示す、請求項24~29のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項31】
前記塩が、6.98、13.82、15.98、18.50、19.50±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約170℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項24~30のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項32】
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性メタンスルホン酸塩。
【請求項33】
前記塩が、5.84、11.17、13.78、14.60、19.17、20.03、21.32、22.24、22.77、26.40±0.2°θ2に1つ以上の特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項32に記載の結晶性塩。
【請求項34】
前記塩が、実質的に図8Aに示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項32又は33に記載の結晶性塩。
【請求項35】
前記塩が、5.74、11.20、13.69、14.67、19.20、20.05、21.29、22.57、26.38±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項32に記載の結晶性塩。
【請求項36】
前記塩が、実質的に図8Bに示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項32又は請求項35に記載の結晶性塩。
【請求項37】
前記塩が、5.67、10.81、14.34、19.03、20.40、21.96、23.44、24.52、及び25.94±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項32に記載の結晶性塩。
【請求項38】
前記塩が、実質的に図8Cに示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項32又は37に記載の結晶性塩。
【請求項39】
前記塩が、5.73、11.02、11.19、13.68、14.55、15.11、19.11、20.04、21.28、22.19、及び22.65、26.15±0.2°2θに1つ以上のピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項32に記載の結晶性塩。
【請求項40】
前記塩が、実質的に図8Dに示されるX線粉末回折パターンを示す、請求項32又は39に記載の結晶性塩。
【請求項41】
前記塩が、約165°C~175°Cの範囲に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項32~40のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項42】
前記塩が、約190°C~220°Cの範囲に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項32~40のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項43】
前記塩が、約205°Cの特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項32~40のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項44】
前記塩が、実質的に図4Aに示される示差走査熱量計パターンを示す、請求項43に記載の結晶性塩。
【請求項45】
前記塩が、約208℃の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項32~40のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項46】
前記塩が、実質的に図4Bに示される示差走査熱量計パターンを示す、請求項45に記載の結晶性塩。
【請求項47】
前記塩が、約172℃の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項32~40のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項48】
前記塩が、実質的に図4Cに示される示差走査熱量計パターンを示す、請求項47に記載の結晶性塩。
【請求項49】
前記塩が、約210℃の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計パターンを示す、請求項32~40のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項50】
前記塩が、実質的に図4Dに示される示差走査熱量計パターンを示す、請求項49に記載の結晶性塩。
【請求項51】
前記塩が、5.84、11.17、13.78、14.60、19.17、20.03、21.32、22.24、22.77、26.40±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約205℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項32~50のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項52】
前記塩が、5.74、11.20、13.69、14.67、19.20、20.05、21.29、22.57、26.38±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約208℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項32~50のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項53】
前記塩が、5.73、11.02、11.19、13.68、14.55、15.11、19.11、20.04、21.28、22.19、22.65、26.15±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約171℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項32~50のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項54】
前記塩が、5.67、10.81、14.34、19.03、20.40、21.96、23.44、24.52、25.94±0.2°2θに1つ以上の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約210℃に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す、請求項32~50のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項55】
請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12~54のいずれか一項に記載の結晶性塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項56】
1つ以上の追加の活性剤を更に含む、請求項55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記1つ以上の追加の活性剤が、抗癌剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、又は前述のいずれかの組み合わせである、請求項56に記載の医薬組成物。
【請求項58】
医薬品として使用するための、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12~54のいずれか一項に記載の結晶性塩。
【請求項59】
細胞に存在するPARP酵素の触媒活性を阻害する方法であって、前記細胞を、有効量の請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12~54のいずれか一項に記載の結晶性塩と接触させることを含む、方法。
【請求項60】
前記阻害が、癌、骨障害、炎症性疾患、免疫疾患、神経系疾患、代謝性疾患、呼吸器疾患、血栓症、又は心疾患である疾患又は障害に罹患している対象において行われる、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
酵素の触媒活性の阻害から利益を得る疾患、障害、又は状態を治療するための医薬品の製造における、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12~54のいずれか一項に記載の結晶性塩の使用。
【請求項62】
前記酵素がPARPである、請求項61に記載の化合物の使用。
【請求項63】
PARP関連疾患又は障害を治療するための方法であって、それを必要とする対象に、有効量の請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物又は請求項12~54のいずれか一項に記載の結晶性塩を投与することを含む、方法。
【請求項64】
前記対象に、少なくとも1つの他の抗癌剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、又は前述のいずれかの任意の組み合わせを、同時に又は順次に投与する工程を更に含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記PARP関連疾患、障害又は状態が、免疫系関連疾患、炎症を伴う疾患又は障害、癌若しくは他の増殖性疾患、肝疾患若しくは障害、又は腎疾患若しくは障害である、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
前記PARP関連疾患、障害又は状態が、炎症、糸球体腎炎、ぶどう膜炎、肝疾患又は障害、腎疾患又は障害、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、血管炎、皮膚炎、変形性関節症、炎症性筋肉疾患、アレルギー性鼻炎、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、骨粗鬆症、湿疹、同種又は異種移植、移植片拒絶反応、移植片対宿主病、紅斑性狼蒼、肺線維症、皮膚筋炎、甲状腺炎、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎、肝炎、アトピー性皮膚炎、喘息、シェーグレン症候群、臓器移植拒絶反応、多発性硬化症、ギランバレー、自己免疫性ぶどう膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質症候群、血管炎、ウェゲナー肉芽腫症、ベーチェット病、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、白斑、クローン病、大腸炎、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、1型又は免疫介在性糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び睾丸炎、副腎の自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎、移植拒絶反応、皮膚移植片拒絶反応、関節炎、骨吸収の増加に関連する骨疾患、回腸炎、バレット症候群、成人呼吸窮迫症候群、慢性閉塞性気道疾患;角膜ジストロフィー、トラコーマ、オンコセルカ症、交感性眼炎、眼内炎、歯肉炎、歯周炎、結核、ハンセン病、尿毒症合併症、ネフローゼ、硬化性皮膚炎、乾癬、神経系の慢性脱髄疾患、AIDS関連神経変性、アルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ウイルス性又は自己免疫性脳炎、自己免疫疾患、免疫複合体血管炎、全身性狼瘡及びエリテマトーデス、全身性エリテマトーデス(SLE)、心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、子癇前症、慢性肝不全、脳と脊髄の損傷、並びに癌から選択される、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記PARP関連疾患、障害又は状態が、リンパ系の造血器腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫、骨髄系造血器腫瘍、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、前骨髄球性白血病、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、前立腺癌、皮膚癌、扁平上皮癌、間葉系起源の腫瘍、線維肉腫、横紋筋肉腫、中枢及び末梢神経系の腫瘍、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、神経鞘腫、黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌、並びにカポジ肉腫から選択される、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記PARP関連疾患、障害又は状態が、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、膵臓癌、又は胃癌から選択される、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記PARP関連疾患、障害又は状態が、乳癌又は卵巣癌である、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月8日に出願されたインド仮特許出願第202141016598号の利益を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤、それらを含有する医薬組成物、それらを調製する方法、並びにそれらによるPARP媒介性疾患又は障害を治療及び/又は予防する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)は、DNA又は異なるアクセプタータンパク質へのADP-リボース単位の付加を触媒する18メンバーのファミリーに属し、複製、転写、分化、遺伝子調節、タンパク質分解及び紡錘体維持などの多様な細胞プロセスに影響を及ぼす。PARP-1及びPARP-2は、広く研究されてきたPARPのうちの2つの酵素であり、これらの2つの酵素がDNA損傷によって活性化され、DNA修復に関与することが研究により示唆されている。これら2つのタンパク質の損失は、相同組換えによる二本鎖切断の修復において腫瘍特異的機能不全をもたらす。PARP阻害剤(PARPi)は、PARP酵素がDNA損傷を修復しない場合、これが癌細胞にあまりにも多くの変異を発生させ、細胞死を引き起こす可能性があるという概念に基づいて抗癌剤として考えられた。現在、4つのPARPiであるオラパリブ、ルカパリブ、ニラパリブ、及びタラゾパリブが臨床用途に承認されている。PARPi療法の出現は、癌患者の治療に重要な意味を有する可能性があり、したがって、より望ましい有効性及び安全性プロファイルを有する新しいPARP阻害剤を開発する緊急の必要性がある。
【0004】
国際公開第2021/220120号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、PARP阻害剤及びその塩(例えば、薬学的に許容される塩)に関する。これらの化合物は、PARP関連疾患、障害又は状態、例えば、癌などの増殖性疾患の治療における使用に適している。
【0006】
一態様では、本発明は、4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン、又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0007】
別の態様では、本発明は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(化合物1)又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0008】
別の態様では、本発明は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン)(化合物2)又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0009】
一実施形態では、化合物1の薬学的に許容される塩は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。更なる実施形態では、化合物1は、化合物2を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満又は約1重量%未満を含有する)か、又は化合物2を含まない。
【0010】
一実施形態では、化合物2の薬学的に許容される塩は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%、又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。更なる実施形態では、化合物2は、化合物1を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満又は約1重量%未満を含有する)か、又は化合物1を含まない。
【0011】
更に別の実施形態では、本発明は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの塩酸塩(例えば、一塩酸塩)(化合物1A)に関する。別の実施形態は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性塩酸塩(例えば、一塩酸塩)である。
【0012】
更に別の実施形態では、本発明は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの塩酸塩(例えば、一塩酸塩)(化合物2A)に関する。別の実施形態は、((S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性塩酸塩(例えば、一塩酸塩)である。
【0013】
更なる実施形態では、本発明は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンのベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)(化合物1B)に関する。別の実施形態は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性ベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)である。
【0014】
更なる実施形態では、本発明は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンのベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)(化合物2B)に関する。別の実施形態は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性ベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)である。
【0015】
更に別の実施形態では、本発明は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)(例えば、モノ-4-メチルベンゼンスルホン酸塩)(化合物1C)に関する。別の実施形態は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)(例えば、モノ-4-メチルベンゼンスルホン酸塩)である。
【0016】
更に別の実施形態では、本発明は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)(例えば、モノ-4-メチルベンゼンスルホン酸塩)(化合物2C)に関する。別の実施形態は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)(例えば、モノ-4-メチルベンゼンスルホン酸塩)である。
【0017】
なお更なる実施形態では、本発明は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンのメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(化合物1D)に関する。別の実施形態は、(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性メタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)である。
【0018】
更なる実施形態では、本発明は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンのメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(化合物2D)に関する。別の実施形態は、(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの結晶性メタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)である。
【0019】
化合物1及び2の化学構造を以下に示す。
【0020】
【化1】
【0021】
本発明は更に、本発明のいずれかの実施形態の1つ以上の化合物(例えば、化合物1及び/又は化合物2、並びにそれらの薬学的に許容される塩、又はそれらの混合物)及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1つ以上の追加の活性成分を更に含んでもよい。一実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本発明のいずれかの実施形態の1つ以上の化合物を含む。
【0022】
本発明は更に、化合物1の薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
本発明は更に、化合物2の薬学的に許容される塩及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0024】
一実施形態では、本発明は、化合物1又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、化合物1(又はその薬学的に許容される塩)が化合物2(又はその薬学的に許容される塩)の鏡像体過剰率で存在し、例えば、化合物1が少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する、医薬組成物を提供する。一実施形態では、化合物1(又はその薬学的に許容される塩)は、医薬組成物中に化合物2(又はその薬学的に許容される塩)を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満若しくは約1重量%未満を含有する)か、又は化合物2(又はその薬学的に許容される塩)を含まない。
【0025】
一実施形態では、本発明は、化合物2又はその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、化合物2(又はその薬学的に許容される塩)が化合物1(又はその薬学的に許容される塩)の鏡像体過剰率で存在し、例えば、化合物2(又はその薬学的に許容される塩)が少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する、医薬組成物を提供する。一実施形態では、化合物2(又はその薬学的に許容される塩)は、医薬組成物中に化合物1(又はその薬学的に許容される塩)を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満若しくは約1重量%未満を含有する)か、又は化合物1(又はその薬学的に許容される塩)を含まない。
【0026】
一実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0027】
一実施形態では、化合物1のPTSA塩(例えば、モノPTSA塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0028】
一実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0029】
一実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0030】
一実施形態では、化合物2のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0031】
一実施形態では、化合物2のPTSA塩(例えば、モノPTSA塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0032】
一実施形態では、化合物2のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0033】
一実施形態では、化合物2の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、少なくとも約70%、約80%、約90%、約95%、約98%又は約99%の鏡像体過剰率(e.e.)を有する。
【0034】
更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、約223℃~約232℃の範囲(例えば、約228℃又は約228.3℃)に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンを示す。
【0035】
更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、約228℃(例えば、約228.3℃又は約228.33℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、Δエンタルピーが約67.36J/gであり、約228℃(例えば、約228.3℃又は約228.33℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0036】
更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、実質的に図1に示されるDSCサーモグラムを示す。
【0037】
更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、約226℃~236℃の範囲(例えば、約231℃又は約231.5℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0038】
更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、約231℃に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、Δエンタルピーが約83.04J/gであり、約231℃(例えば、約231.5℃又は約231.48℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0039】
更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、実質的に図2に示されるDSCサーモグラムを示す。
【0040】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Cの方法2を用いて調製される)は、約165℃~約175℃の範囲(例えば、約170℃又は約170.2℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0041】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)は、約170℃(例えば、約170.2℃又は約170.24℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)は、Δエンタルピーが55J/g(例えば、約55.16J/g)であり、約170℃(例えば、約170.2℃又は約170.24℃)に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0042】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)は、実質的に図3に示されるDSCサーモグラムを示す。
【0043】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法1、2、又は4によって調製される)は、約190℃~約220℃の範囲に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0044】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、方法3によって調製される)は、約165℃~約175℃の範囲内に特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0045】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4A図4B図4C又は図4Dに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0046】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Aに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0047】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Bに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0048】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Cに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0049】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Dに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0050】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法1に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、約205℃(例えば、約204.9℃又は約204.94℃)の特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0051】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法1に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Aに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0052】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法2に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、約208℃(例えば、約208.2℃又は約208.24℃)の特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0053】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法2に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Bに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0054】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法3に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、約171℃(例えば、約171.8℃)の特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0055】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法3に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Cに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0056】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法4に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、約210℃(例えば、約210.28℃)の特徴的な吸熱ピークを有するDSCパターンを示す。
【0057】
更に別の実施形態では、実施例1Dの方法4に従って調製される化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図4Dに示されるDSCサーモグラムを示す。
【0058】
更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、5.32、10.65、14.91、15.22、16.68、19.90、21.75、21.99、23.84、25.08、27.14±0.05、0.1、又は0.2°(deg)2θ(Theta)に1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8つ)の特徴的なピークを示すX線粉末回折(XRPD)パターンを示す。
【0059】
更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、実質的に図5に示されるXRPDパターンを示す。
【0060】
更に別の実施形態では、化合物1の塩酸塩(例えば、一塩酸塩)は、5.32、10.65、14.91、15.22、16.68、19.90、21.75、21.99、23.84、25.08、27.14±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8つ)の特徴的なピークを示すX線粉末回折(XRPD)パターンと、約226℃~236℃の範囲(例えば、約231℃、約231.5℃、又は約231.48℃)に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0061】
更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、4.91、5.42、13.76、14.61、18.47、21.14、22.19、23.07、23.84、25.28±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ)の特徴的なピークを示すXRPDパターンを示す。
【0062】
更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、実質的に図6に示されるXRPDパターンを示す。
【0063】
更に別の実施形態では、化合物1のベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノベンゼンスルホン酸塩)は、4.91、5.42、13.76、14.61、18.47、21.14、22.19、23.07、23.84、25.28±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ)の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約226℃~236℃の範囲(例えば、約231℃、約231.5℃、又は約231.48℃)に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0064】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Cの方法1によって調製される)は、6.81、13.22、13.96、20.52、21.87、22.67、24.48±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ)の特徴的なピークを示すXRPDパターンを示す。
【0065】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Cの方法1を用いて調製される)は、実質的に図7Aに示されるXRPDパターンを示す。
【0066】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Cの方法2を用いて調製される)は、6.98、13.82、15.98、18.50、19.50±0.05、0.1、又は0.2°2θから選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8つ)のピークを示すXRPDパターンを示す。
【0067】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Cの方法2を用いて調製される)は、実質的に図7Bに示されるXRPDパターンを示す。
【0068】
更に別の実施形態では、化合物1のメチルベンゼンスルホン酸塩(例えば、モノメチルベンゼンスルホン酸塩)(例えば、方法2を用いて調製される)は、6.98、13.82、15.98、18.50、19.50±0.05、0.1、又は0.2°2θから選択される1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ)のピークを示すXRPDパターンと、約165℃~175℃の範囲(例えば、約170℃、約170.2℃、又は約170.24℃)に特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0069】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法1を用いて調製される)は、5.84、11.17、13.78、14.60、19.17、20.03、21.32、22.24、22.77、26.40±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つのピーク)の特徴的なピークを示すXRPDパターンを示す。特定の実施形態では、化合物1の結晶性メタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)の他の結晶形態を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満又は約1重量%未満を含有する)か、又は化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)の他の結晶形態を含まない。
【0070】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図8Aに示されるXRPDパターンを示す。
【0071】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法1を用いて調製される)は、5.84、11.17、13.78、14.60、19.17、20.03、21.32、22.24、22.77、26.40±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つのピーク)の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約205℃(例えば、約204.9℃又は約204.94℃)の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0072】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法2を用いて調製される)は、5.74、11.20、13.69、14.67、19.20、20.05、21.29、22.57、26.38±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つのピーク)の特徴的なピークを示すXRPDパターンを示す。特定の実施形態では、化合物1のこの結晶性メタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)の他の結晶形態を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満又は約1重量%未満を含有する)か、又は化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)の他の結晶形態を含まない。
【0073】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図8Bに示されるXRPDパターンを示す。
【0074】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法2を用いて調製される)は、5.74、11.20、13.69、14.67、19.20、20.05、21.29、22.57、26.38±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つのピーク)の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約208℃(例えば、約208.2℃又は約208.24℃)の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0075】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法3を用いて調製される)は、5.73、11.02、11.19、13.68、14.55、15.11、19.11、20.04、21.28、22.19、22.65、26.15±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つのピーク)の特徴的なピークを示すXRPDパターンを示す。特定の実施形態では、化合物1の結晶性メタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)の他の結晶形態を実質的に含まない(例えば、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満又は約1重量%未満を含有する)か、又は化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)の他の結晶形態を含まない。
【0076】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)は、実質的に図8Cに示されるXRPDパターンを示す。
【0077】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法3を用いて調製される)は、5.73、11.02、11.19、13.68、14.55、15.11、19.11、20.04、21.28、22.19、22.65、26.15±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つのピーク)の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約171℃(例えば、約171.8℃)の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0078】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法4を用いて調製される)は、5.67、10.81、14.34、19.03、20.40、21.96、23.44、24.52、25.94±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ)の特徴的なピークを示すXRPDパターンを示す。
【0079】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法4を用いて調製される)は、実質的に図8Dに示されるXRPDパターンを示す。
【0080】
更に別の実施形態では、化合物1のメタンスルホン酸塩(例えば、モノメタンスルホン酸塩)(例えば、実施例1Dの方法4を用いて調製される)は、5.67、10.81、14.34、19.03、20.40、21.96、23.44、24.52、25.94±0.05、0.1、又は0.2°2θに1つ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7又は8つ)の特徴的なピークを示すXRPDパターンと、約210℃(例えば、約210.28℃)の特徴的な吸熱ピークを有する示差走査熱量計(DSC)パターンとを示す。
【0081】
本発明の別の態様は、化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩又は塩酸塩を調製する方法に関する。一実施形態では、本方法は、化合物1若しくは化合物2、又はその塩(所望の塩以外)を、化合物1若しくは化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩に変換することを含む。
【0082】
本発明の別の態様は、化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩又は塩酸塩を調製する方法に関する。一実施形態では、本方法は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、ジイソブチルケトン、及びジアセトンアルコールから選択される好適な溶媒の存在下で、化合物1若しくは化合物2、又はその塩(所望の塩以外)を、化合物1若しくは化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩に変換することを含む。
【0083】
本明細書に開示される塩を調製するための方法のいずれかによって得られる、化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩又は塩酸塩も提供される。
【0084】
更に別の実施形態では、化合物1及び化合物2の塩を調製するための例示的な方法は、表1に記載されている通りである。
【0085】
【表1】
上の表に開示される融点は、キャピラリー法を使用して物理的に決定された。塩をキャピラリーチューブに入れ、完全に溶融するまで加熱した。
【0086】
本発明の別の実施形態は、医薬品として使用するための、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩に関する。
【0087】
本発明の別の実施形態は、PARP関連疾患、障害又は状態、例えば、癌などの増殖性疾患の治療に使用するための、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩に関する。
【0088】
本発明の別の実施形態は、PARP関連疾患、障害又は状態、例えば、癌などの増殖性疾患を治療するための医薬組成物に使用するための、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩に関する。
【0089】
本発明の別の実施形態は、PARP関連疾患、障害又は状態、例えば癌などの増殖性疾患を治療するための医薬品を製造するための、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1又は化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩の使用に関する。
【0090】
本発明は更に、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1つ以上の追加の活性成分を更に含んでもよい。
【0091】
本発明は更に、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物2のメタンスルホン酸塩、4-メチルベンゼンスルホン酸塩(PTSA)、ベンゼンスルホン酸塩、又は塩酸塩と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1つ以上の追加の活性成分を更に含んでもよい。
【0092】
本発明は更に、対象(例えば、それを必要とする対象)においてPARPを阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0093】
更に別の実施形態は、対象(例えば、それを必要とする対象)のPARP媒介性疾患、障害又は状態(癌又は他の増殖性疾患若しくは障害など)を治療、予防及び/又は阻害する方法であって、有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態による本発明の化合物を対象に投与することを含む、方法である。
【0094】
一実施形態では、投与される化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)の量は、PARPの阻害によってPARP関連疾患、障害又は状態を治療するのに十分である。
【0095】
本発明の更に別の実施形態は、増殖性疾患を治療する方法であって、対象(例えば、それを必要とする対象)に、有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態による少なくとも1つの本発明の化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)を投与することを含む、方法である。一実施形態では、投与される化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)の量は、PARPの阻害によって増殖性疾患を治療するのに十分である。
【0096】
本発明の更に別の実施形態は、増殖性疾患を治療する方法であって、対象(例えば、それを必要とする対象)に、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)を、少なくとも1つの他の抗癌剤と組み合わせて(同時に又は逐次的に)投与することによって、増殖性疾患を治療する方法である。一実施形態では、投与される化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)の量は、PARPの阻害によって増殖性疾患を治療する(又はその治療を促進する)のに十分である。
【0097】
更に別の実施形態は、対象(例えば、それを必要とする対象)のPARP関連疾患、障害又は状態を治療する方法であって、場合より少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と混合された、本明細書に記載の実施形態のいずれかの化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法である。特定の実施形態では、組成物は、PARP関連疾患、障害又は状態を治療するための、治療有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態の化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)を含む。
【0098】
更なる実施形態は、対象(例えば、それを必要とする対象)の癌を治療する方法であって、場合より少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と混合された、本明細書に記載の実施形態のいずれかの化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、組成物は、癌を治療するための、治療有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態の化合物(例えば、本明細書に記載のいずれかの実施形態による化合物1の薬学的に許容される塩又は化合物2の薬学的に許容される塩)を含む。
【0099】
本明細書に記載の化合物は、以下が含まれるがこれらに限定されない様々な癌の治療に有用である。
・膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺癌を含む)、食道癌、胆嚢癌、子宮癌、卵巣癌、精巣癌、喉頭癌、口腔癌、口腔癌、胃腸管癌(例えば、食道癌、胃癌、膵臓癌)、脳腫瘍、子宮頸癌、甲状腺癌、前立腺癌、血液癌、及び皮膚癌(扁平上皮癌を含む);
・白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、及びバーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍;
・急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、及び前骨髄球性白血病を含む骨髄系造血器腫瘍;
・線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉系起源の腫瘍;
・星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、及び神経鞘腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;並びに
・黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌、及びカポジ肉腫を含む他の腫瘍。
【0100】
アポトーシスの調節因子としての本明細書に記載の化合物は、癌(本明細書で上述した種類が含まれるがこれらに限定されない)、ウイルス感染(ヘルペウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、シンドビスウイルス及びアデノウイルスが含まれるがこれらに限定されない)、HIV感染者におけるAIDS発症の予防、自己免疫疾患(全身性狼瘡、エリテマトーデス、自己免疫介在性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、及び自己免疫性真性糖尿病が含まれるがこれらに限定されない)、神経変性障害(アルツハイマー病、AIDS関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、網膜色素変性症、脊髄性筋萎縮症及び小脳変性症が含まれるがこれらに限定されない)、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血、心筋梗塞に関連する虚血性傷害、脳卒中及び再灌流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発性又はアルコール関連肝疾患、血液疾患(慢性貧血、再生不良性貧血が含まれるがこれらに限定されない)、筋骨格系の変性疾患(骨粗鬆症及び関節炎が含まれるがこれらに限定されない)、アスピリン感受性鼻副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患、並びに癌性疼痛の治療において有用である。
【0101】
本明細書に記載の化合物は、細胞のRNA及びDNA合成のレベルを調節する。したがって、本明細書に記載の化合物は、ウイルス感染(HIV、ヒトパピローマウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、エプスタイン-バーウイルス、シンドビスウイルス及びアデノウイルスが含まれるがこれらに限定されない)の治療において有用である。
【0102】
本明細書に記載の化合物は、癌の化学予防において有用である。化学的予防とは、変異原性事象の開始を阻止すること、あるいは既に損傷を受けている前悪性細胞の進行を阻止すること、あるいは腫瘍の再発を阻害することにより、浸潤癌の発生を阻害することと定義されている。本明細書に記載の化合物は、腫瘍の血管新生及び転移を阻害するためにも有用である。本発明の一実施形態は、本発明の1つ以上の化合物の有効量を投与することにより、それを必要とする患者における腫瘍血管新生又は転移を阻害する方法である。
【0103】
本発明の別の実施形態は、免疫系関連疾患(例えば、自己免疫疾患)、炎症を伴う疾患又は障害(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患、関節リウマチ、炎症性腸疾患、糸球体腎炎、神経炎症性疾患、多発性硬化症、ぶどう膜炎及び免疫系の障害)、癌若しくは他の増殖性疾患、肝疾患若しくは障害、又は腎疾患若しくは障害を治療する方法である。本方法は、有効量の本明細書に記載の1つ以上の化合物を投与することを含む。
【0104】
免疫障害の例としては、乾癬、関節リウマチ、血管炎、炎症性腸疾患、皮膚炎、変形性関節症、喘息、炎症性筋肉疾患、アレルギー性疾患(例えば、アレルギー性鼻炎)、膣炎、間質性膀胱炎、強皮症、骨粗鬆症、湿疹、同種又は異種移植(臓器、骨髄、幹細胞、並びにその他の細胞及び組織)移植片拒絶反応、移植片対宿主病、紅斑性狼蒼、炎症性疾患、I型糖尿病、肺線維症、皮膚筋炎、シェーグレン症候群、甲状腺炎(例えば、橋本甲状腺炎及び自己免疫性甲状腺炎)、重症筋無力症、自己免疫性溶血性貧血、多発性硬化症、嚢胞性線維症、慢性再発性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、アレルギー性結膜炎、並びにアトピー性皮膚炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
一実施形態では、本明細書に記載の化合物は、移植片拒絶反応、同種又は異種移植拒絶反応(臓器、骨髄、幹細胞、他の細胞及び組織)、並びに移植片対宿主病を予防するための免疫抑制剤として使用される。他の実施形態では、移植片拒絶反応は、組織又は臓器の移植に起因する。更なる実施形態では、移植片対宿主病は、骨髄移植又は幹細胞移植に起因する。一実施形態は、有効量の本発明の1つ以上の化合物を投与することにより、移植片拒絶反応、同種又は異種移植拒絶反応(臓器、骨髄、幹細胞、他の細胞及び組織)、又は移植片対宿主病のリスクを予防又は減少させる方法である。
【0106】
また、本明細書に記載の化合物は、既知の抗癌治療、例えば、限定されないが、放射線療法、又は、細胞増殖抑制剤、細胞傷害剤又は抗癌剤、例えば、限定されないが、シスプラチン又はドキソルビシンなどのDNA相互作用剤;エトポシドなどのトポイソメラーゼII阻害剤;CPT-11又はトポテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤;天然起源若しくは合成のいずれかの、パクリタキセル、ドセタキセル、又はエポチロン(例えば、イキサベピロン(ixabepilone))などのチューブリン相互作用剤;タモキシフェンなどのホルモン剤;5-フルオロウラシルなどのチミジル酸シンターゼ阻害剤;及びメトトレキサートなどの代謝拮抗剤、イレッサやOSI-774などの他のチロシンキナーゼ阻害剤;血管新生阻害剤;EGF阻害剤;VEGF阻害剤;CDK阻害剤;HDAC阻害剤、SRC阻害剤;c-Kit阻害剤;成長因子受容体に対するHer1/2阻害剤及びモノクローナル抗体、例えば、アービタックス(EGF)及びハーセプチン(Her2)、並びに他のタンパク質キナーゼモジュレーターとの併用(併用又は逐次投与)にも有用である。
【0107】
本明細書に記載の化合物はまた、1つ以上のステロイド抗炎症薬、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)又は免疫選択的抗炎症誘導体(ImSAID)と組み合わせて(一緒に又は逐次的に投与される)有用である。
【0108】
更に別の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載の化合物を投与することにより、それを必要とする患者において癌を治療する方法である。例えば、本明細書に記載の化合物は、リンパ系の造血器腫瘍、白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、骨髄系造血器腫瘍、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病の治療に有効である。
【0109】
また、本発明の化合物は、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、子宮頸癌、甲状腺癌、前立腺癌、皮膚癌、扁平上皮癌、間葉系起源の腫瘍、線維肉腫、横紋筋肉腫、中枢及び末梢神経系の腫瘍、星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫、神経鞘腫、黒色腫、精上皮腫、奇形腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、甲状腺濾胞癌、及びカポジ肉腫の治療に有効である。例えば、本発明の化合物は、乳癌、卵巣癌、肝臓癌、肺癌、小細胞肺癌、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌及び胃癌の治療に有効である。
【0110】
更に別の実施形態は、治療有効量の本発明の化合物を投与することにより、それを必要とする患者において白血病を治療する方法である。例えば、本発明の化合物は、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、有毛細胞白血病、T細胞前リンパ球性白血病、大顆粒リンパ球性白血病、成人T細胞白血病及びクローン好酸球増加症の治療に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1】実施例1Aで調製した化合物1AのDSCディフラクトグラムを示す。
図2】実施例1Bで調製した化合物1BのDSCディフラクトグラムを示す。
図3】方法2によって調製した、実施例1Cで調製した化合物1CのDSCディフラクトグラムを示す。
図4A】それぞれ、実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのDSCディフラクトグラムを示す。
図4B】それぞれ、実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのDSCディフラクトグラムを示す。
図4C】それぞれ、実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのDSCディフラクトグラムを示す。
図4D】それぞれ、実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのDSCディフラクトグラムを示す。
図5】実施例1Aで調製した化合物1AのXRPDディフラクトグラムを示す。
図6】実施例1Bで調製した化合物1BのXRPDディフラクトグラムを示す。
図7A】それぞれ、実施例1Cの方法1及び2によって調製した化合物1CのXRPDディフラクトグラムを示す。
図7B】それぞれ、実施例1Cの方法1及び2によって調製した化合物1CのXRPDディフラクトグラムを示す。
図8A】それぞれ実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのXRPDディフラクトグラムを示す。
図8B】それぞれ実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのXRPDディフラクトグラムを示す。
図8C】それぞれ実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのXRPDディフラクトグラムを示す。
図8D】それぞれ実施例1Dの方法1~4によって調製した化合物1DのXRPDディフラクトグラムを示す。
図9】化合物1及び化合物1Dを使用した癌細胞株における阻害(実施例4及び5)を示す棒グラフである。
図10A】実施例6(a)に記載のNCI-H69異種移植アッセイにおける化合物1D(10、30、及び100mg/kg)、オラパリブ(30mg/kg)、シスプラチン(5mg/kgを第0日に1回)、化合物1D(30mg/kg)とシスプラチン、及びオラパリブ(30mg/kg)とシスプラチンの抗腫瘍活性を示すグラフである。
図10B】実施例6(a)に記載のNCI-H69異種移植アッセイにおける化合物1D(10、30、及び100mg/kg)、オラパリブ(30mg/kg)、シスプラチン(5mg/kgを第0日に1回)、化合物1D(30mg/kg)とシスプラチン、及びオラパリブ(30mg/kg)とシスプラチンの抗腫瘍活性を示すグラフである。
図11A】実施例6(b)に記載のOVCAR-3異種移植アッセイにおける、ビヒクル、オラパリブ(75mg/kg)、化合物1D(75mg/kg)、ゲムシタビン(21mg/kg)、オラパリブ(75mg/kg)とゲムシタビン(21mg/kg)、及び化合物1D(75mg/kg)とゲムシタビン(21mg/kg)の抗腫瘍活性を示すグラフである。
図11B】実施例6(b)に記載のOVCAR-3異種移植アッセイにおける、ビヒクル、オラパリブ(75mg/kg)、化合物1D(75mg/kg)、ゲムシタビン(21mg/kg)、オラパリブ(75mg/kg)とゲムシタビン(21mg/kg)、及び化合物1D(75mg/kg)とゲムシタビン(21mg/kg)の抗腫瘍活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、以下の定義が適用されるものとする。
【0113】
本明細書に記載の特定の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、したがって、絶対的な立体化学の観点から、(R)-又は(S)-として定義することができる鏡像体、ジアステレオマー及び他の立体異性体形態を生じさせることが可能である。本発明の化学物質、医薬組成物及び方法は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態及び中間混合物を含む、そのような全ての可能な異性体を含むことを意図している。例えば、中間混合物は、約10:90、13:87、17:83、20:80、又は22:78の比の異性体の混合物を挙げることができる。光学活性な(R)-及び(S)-異性体は、キラルシンソン又はキラル試薬を用いて調製したり、公知の技術を用いて分割したりすることができる。
【0114】
更に、本発明は、例えば、水素を重水素又はトリチウムで置換する、あるいは炭素を13C-又は14C-富化炭素で置換するなど、1つ以上の同位体富化原子の存在のみが異なる化合物をも含む。
【0115】
また、本発明の化合物は、そのような化合物を構成する原子の1つ以上において、不自然な割合で原子同位体を含み得る。例えば、化合物は、例えばトリチウム(H)、ヨウ素125(125I)又は炭素14(14C)などの放射性同位体で放射性標識され得る。本発明の化合物の同位体バリエーションは、放射性であるか否かにかかわらず、全て本発明の範囲に包含される。
【0116】
本発明の一部を形成する薬学的に許容される塩には、例えば、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、ホウ酸塩、ハイドロハロゲン化物、酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、パルモエート、メタンスルホン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、アスコルビン酸塩、グリセロリン酸塩、及びケトグルタル酸塩である酸付加塩に由来する塩が含まれる。
【0117】
一実施形態では、塩は、メタンスルホン酸塩である。一実施形態では、塩は、4-メチルベンゼンスルホン酸塩である。更に別の実施形態では、塩は、塩酸塩である。更に別の実施形態では、塩はベンゼンスルホン酸塩である。
【0118】
分子量などの物理的特性や化学式などの化学的特性について本明細書で範囲が使用される場合、範囲及びその中の特定の実施形態の全ての組み合わせ及び部分的組み合わせが含まれることが意図される。
【0119】
数又は数値範囲を指す場合、「約」という用語は、言及されている数又は数値範囲が、実験的変動(又は統計的実験誤差内)内の近似値であるということを意味し、したがって、該数又は数値範囲が、例えば、記載された数又は数値範囲から1%~15%変化し得ることを意味する。
【0120】
「含む(comprising)」という用語(及び「含む(comprise)」若しくは「含む(comprises)」又は「有する(having)」若しくは「含む(including)」などの関連用語)は、記載された特徴「からなる」又は「から本質的になる」これらの実施形態、例えば、物質、組成物、方法、又はプロセスなどの任意の組成の実施形態を含むが、これらに限定されない。
【0121】
本明細書で使用される略語は、特に指示がない限り、化学的及び生物学的分野内の従来の意味を有する。
【0122】
「細胞増殖」という用語は、分裂の結果として細胞数が変化する現象を指す。また、この用語は、増殖シグナルと一致して細胞形態が変化した(例えば、サイズが増大した)細胞成長も包含する。
【0123】
本明細書で使用される「同時投与」、「組み合わせて投与される」という用語、及びそれらの文法的同等物は、薬剤及び/又はそれらの代謝産物の両方が動物に同時に存在するように、2つ以上の薬剤の動物への投与を包含する。同時投与には、別々の組成物での同時投与、別々の組成物における異なる時間での投与、又は両方の薬剤が存在する組成物での投与が含まれる。
【0124】
「有効量」又は「治療有効量」という用語は、疾患治療を含むがこれらに限定されない意図された用途をもたらすのに十分な本明細書に記載の化合物の量を指す。治療有効量は、意図された用途(インビトロ又はインビボ)、又は治療される対象及び疾患状態、例えば、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与方法などに応じて変化し得、これは、当業者によって容易に決定され得る。この用語はまた、標的細胞において特定の応答、例えば、血小板接着及び/又は細胞移動の低減を誘発する用量にも適用される。特定の用量は、選択された特定の化合物、追跡されるべき投与レジメン、他の化合物と組み合わせて投与されるかどうか、投与のタイミング、投与される組織、及びそれが運ばれる物理的送達システムに応じて変化する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「治療」及び「治療すること」という用語は、治療的利益及び/又は予防的利益を含むがこれらに限定されない、有益な又は所望の結果を得るためのアプローチを指す。治療的利益は、治療される根本的な障害の根絶又は改善を意味する。また、患者が依然として基礎疾患に悩まされている可能性があるにもかかわらず、患者において改善が観察されるように、基礎疾患に関連する生理学的症状のうちの1つ以上の根絶又は改善によって治療的利益が達成される。予防的利益のために、本組成物は、特定の疾患を発症するリスクがある患者に、又はこの疾患の診断が行われていない場合であっても、疾患の生理学的症状のうちの1つ以上を報告する患者に投与され得る。
【0126】
本明細書で使用される用語としての「治療効果」は、上記のような治療的利益及び/又は予防的利益を包含する。予防効果には、疾患若しくは状態の出現を遅延若しくは排除すること、疾患若しくは状態の症状の発症を遅延若しくは排除すること、疾患若しくは状態の進行を遅延、停止、若しくは逆転させること、又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0127】
「対象」又は「患者」という用語は、哺乳動物、例えばヒトなどの動物を指す。本明細書に記載の方法は、ヒト治療薬及び獣医学的用途の両方において有用であり得る。いくつかの実施形態では、患者は哺乳動物であり、いくつかの実施形態では、患者はヒトである。獣医学的目的のために、「対象」及び「患者」という用語としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びヤギを含む家畜;イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマル;外来種の動物及び/又は動物園の動物;マウス、ラット、ウサギ、モルモット、及びハムスターを含む実験動物;ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、及びガチョウなどの家禽が含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
本発明の治療方法は、炎症細胞活性化に関連する状態を治療するための方法を含む。「炎症細胞活性化」は、増殖性細胞応答の刺激(サイトカイン、抗原、又は自己抗体を含むが、これらに限定されない)による誘導、可溶性メディエーター(サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド、又は血管作動性アミンを含むが、これらに限定されない)の産生、又は炎症細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(好中球、好塩基球、及び好酸球を含む多形核白血球)、肥満細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞、及び内皮細胞を含むが、これらに限定されない)における新しい若しくは増加した数のメディエーター(主要組織適合抗原又は細胞接着分子を含むが、これらに限定されない)の細胞表面発現を指す。これらの細胞におけるこれらの表現型の1つ又は組み合わせの活性化は、炎症状態の開始、持続、又は悪化に寄与し得ることは、当業者によって理解されるであろう。
【0129】
本明細書で使用される「自己免疫疾患」は、組織損傷が身体自体の構成要素に対する体液性又は細胞媒介性応答に関連する障害の任意の群を指す。
【0130】
本明細書で使用される「アレルギー性疾患」は、アレルギーに起因する任意の症状、組織損傷、又は組織機能の喪失を指す。
【0131】
本明細書で使用される「皮膚炎」は、様々な病因に起因する皮膚の炎症を特徴とする皮膚の疾患の大きなファミリーのいずれかを指す。
【0132】
化合物を使用して疾患又は状態を「治療するための方法」への本明細書における言及は、疾患若しくは状態の治療に使用するための化合物、及び/又は疾患若しくは状態を治療するための医薬品を製造するための化合物の使用も包含することが意図される。
【0133】
記載の化合物の遊離塩基形態は、例えば、国際公開第2021/220120号に記載の方法によって調製することができる。
【0134】
医薬組成物
本発明は、本明細書に記載のいずれかの実施形態による1つ以上の化合物と、1つ以上の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。一実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態による1つ以上の化合物を含む。医薬組成物は、本明細書に記載されるように、1つ以上の追加の活性成分を含み得る。
【0135】
好適な薬学的担体及び/又は賦形剤は、希釈剤、充填剤、塩、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、滑剤、湿潤剤、制御放出マトリックス、着色剤、香味料、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、及びこれらの組み合わせから選択され得るが、これらに限定されない。
【0136】
本明細書に記載の医薬組成物は、単独で、又は1つ以上の追加の活性剤と組み合わせて投与することができる。所望される場合、本明細書に記載の化合物と1つ以上の追加の薬剤とを調製物に混合してもよく、又は両方の成分を別々の調製物に配合して、別々に又は同時に組み合わせてそれらを使用してもよい。
【0137】
本発明の化合物及び医薬組成物は、経口、鼻腔内、局所(例えば、経皮)、十二指腸内、非経口(静脈内、動脈内、筋肉内、血管内、腹腔内、又は注射若しくは注入によるものを含む)、皮内、乳房内による、くも膜下腔内、眼球内、眼球後方、肺内(例えば、エアロゾル化薬剤)若しくは皮下(例えば、脾嚢下、脳、又は角膜内に埋め込まれた、長期放出のためのデポ投与を含む)、舌下、肛門内、直腸内、膣内、又は外科的移植(例えば、脾嚢下、脳、又は角膜内に埋め込まれた)などの作用部位への化合物の送達を可能にする任意の経路によって投与することができる。
【0138】
組成物は、固体、半固体、液体、又はガス状の形態で投与することができるか、又は凍結乾燥形態などの乾燥粉末で投与してもよい。医薬組成物は、例えば、カプセル剤、サシェ、カシェ、ゼラチン、紙、錠剤、坐剤、ペレット、丸剤、トローチ、及びロゼンジなどの固形剤形を含む、送達に便利な形態で包装することができる。包装の種類は、一般に、所望の投与経路に依存する。経皮製剤であるように、移植可能な徐放性製剤も考えられる。
【0139】
投与される本発明の化合物の量は、治療される対象(例えば、ヒトなどの哺乳動物)、障害又は状態の重症度、投与速度、化合物の体内動態及び処方医師の裁量に依存する。有効投与量は、単回又は分割用量で、1日当たり体重1kg当たり約0.001~約100mg、例えば、約1~約35mg/kg/日の範囲であり得る。70kgのヒトの場合、これは、約0.05~7g/日、好ましくは約0.05~約2.5g/日の量になる。有効量の本発明の化合物は、単回用量又は複数回用量(例えば、1日2回又は3回)のいずれかで投与され得る。本明細書に記載の化合物は、プロピレングリコール及びメチルセルロースを使用して製剤化し、動物に投与することができる。
【0140】
本発明の化合物は、1つ以上の抗癌剤(例えば、化学療法剤)、治療用抗体、及び放射線治療と組み合わせて使用することができる。
【0141】
本発明の化合物は、脳脊髄炎、喘息、及び本明細書に記載の他の疾患などの炎症状態の症状を軽減するように作用する追加の活性剤と組み合わせて製剤化又は投与することができる。これらの追加の活性剤としては、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)が挙げられる。
【0142】
様々な医薬組成物の調製は、当技術分野で知られている。例えば、Anderson,Philip O.Knoben,James E.;Troutman,William G,eds.,Handbook of Clinical Drug Data,Tenth Edition,McGraw-Hill,2002;Pratt and Taylor,eds.,Principles of Drug Action,Third Edition,Churchill Livingston,New York,1990;Katzung,ed.,Basic and Clinical Pharmacology,Ninth Edition,McGraw Hill,2003;Goodman and Gilman,eds.,the Pharmacological Basis of Therapeutics,Tenth Edition,McGraw Hill,2001;Remingtons Pharmaceutical Sciences,20th Ed.Lippincott Williams & Wilkins.,2000;Martindale,the Extra Pharmacopoeia,Thirty-Second Edition (The Pharmaceutical Press,London,1999)を参照されたい。これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0143】
本発明の化合物の有効量は、例えば、直腸、頬側、鼻腔内及び経皮経路、動脈内注射、静脈内、腹腔内、非経口、筋肉内、皮下、経口、局所、又は吸入剤を含む、同様の有用性を有する薬剤の許容される投与様式のいずれかによって、単回用量又は複数回用量のいずれかで投与され得る。
【0144】
治療方法
本発明はまた、1つ以上のタイプのPARPの機能不全に関連する疾患を含むがこれらに限定されない疾患状態を治療するために、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる化合物又は医薬組成物を使用する方法を提供する。PARP活性によって媒介される症状及び障害は、例えば、国際公開第00/42040号、同01/016136号、同02/036576号、同02/090334号、同03/093261号、同03/106430号、同04/080976号、同04/087713号、同05/012305号、同05/012524号、同05/012305号、同05/012524号、同05/053662号、同06/033003号、同06/033007号、同06/033006号、同06/021801号、同06/067472号、同07/144637号、同07/144639号、同07/144652号、同08/047082号、同08/114114号、同09/050469号、同11/098971号、同15/108986号、同16/028689号、同16/165650号、同17/153958号、同17/191562号、同17/123156号、同17/140283号、同18/197463号、同18/038680号、及び同18/108152号に記載され、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0145】
本明細書で提供される治療方法は、治療有効量の本発明の化合物を対象に投与することを含む。一実施形態では、本発明は、哺乳動物における自己免疫疾患を含む炎症障害を治療する方法を提供する。本方法は、治療有効量の本発明の化合物を哺乳動物に投与することを含む。
【0146】
特定の実施形態では、本明細書に提供される方法で治療可能な癌としては、限定されないが、以下が挙げられる。
急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、例えば骨髄芽球、前骨髄球、骨髄単球、単球、赤白血病及び骨髄異形性症候群又はその症状(貧血、血小板減少、好中球減少、血球減少又は汎血球減少など)、不応性貧血(RA)、環状鉄芽球を伴うRA(RARS)、過剰な芽球を伴うRA(RAEB)、形質転換中のRAEB(RAEB-T)、前白血病及び慢性骨髄単球性白血病(CMML)を含むがこれらに限定されない白血病、
慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ性白血病、及び有毛細胞白血病を含むがこれらに限定されない慢性白血病、
真性赤血球増加症、
ホジキン病及び非ホジキン病を含むがこれらに限定されないリンパ腫、
くすぶり型多発性骨髄腫、非分泌性骨髄腫、骨硬化性骨髄腫、形質細胞性白血病、単発性形質細胞腫、及び髄外性形質細胞腫を含むがこれらに限定されない多発性骨髄腫、
ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、
意味未確定の単クローン性高ガンマグロブリン血症、
良性単クローン性高ガンマグロブリン血症、
H鎖病、
骨肉腫(bone sarcoma)、骨肉腫(osteosarcoma)、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性巨細胞腫、骨線維肉腫、脊索腫、骨膜性骨肉腫、軟部肉腫、血管肉腫(angiosarcoma)(血管肉腫(hemangiosarcoma))、線維肉腫、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、リンパ管肉腫、転移性癌、神経鞘腫、神経線維鞘腫、横紋筋肉腫、及び滑膜肉腫を含むがこれらに限定されない骨及び結合組織肉腫、
神経膠腫、星細胞腫、脳幹神経膠腫、上衣腫、乏突起神経膠腫、非グリア系腫瘍、聴神経鞘腫、頭蓋咽頭腫、髄芽腫、髄膜腫、松果体細胞腫、松果体芽細胞腫、及び原発性リンパ腫を含むがこれらに限定されない脳腫瘍、
腺癌、小葉(小細胞)癌、腺管内癌、髄様乳癌、粘液性乳癌、管状乳癌、乳頭状乳癌、原発性癌、パジェット病、及び炎症性乳癌を含むがこれらに限定されない乳癌、
褐色細胞腫及び副腎皮質癌を含むがこれらに限定されない副腎癌、
乳頭状又は濾胞性甲状腺癌、髄様甲状腺癌、及び未分化甲状腺癌を含むがこれらに限定されない甲状腺癌、
インスリノーマ、ガストリノーマ、グルカゴノーマ、ビポーマ、ソマトスタチン分泌腫瘍、及びカルチノイド又は膵島細胞腫瘍を含むがこれらに限定されない膵臓癌、
クッシング病、プロラチン分泌腫瘍、先端巨大症、及び尿崩症を含むがこれらに限定されない下垂体癌、
虹彩黒色腫、脈絡膜黒色腫、及び毛様体黒色腫などの眼黒色腫、並びに網膜芽細胞腫を含むがこれらに限定されない眼癌、
扁平上皮癌、腺癌、及び黒色腫を含むがこれらに限定されない膣癌、
扁平上皮癌、黒色腫、腺癌、基底細胞癌、肉腫、及びパジェット病を含むがこれらに限定されない外陰癌、
扁平上皮癌、及び腺癌を含むがこれらに限定されない子宮頸癌、
子宮内膜癌及び子宮肉腫を含むがこれらに限定されない子宮癌
卵巣上皮癌、境界腫瘍、胚細胞性腫瘍、及び間質腫瘍を含むがこれらに限定されない卵巣癌、
扁平上皮癌、腺癌、腺様嚢胞癌、粘膜表皮癌、腺扁平上皮癌、肉腫、黒色腫、形質細胞腫、疣状癌、及び燕麦細胞(小細胞)癌を含むがこれらに限定されない食道癌、
腺癌、菌状(ポリープ状)、潰瘍性、表在性拡散、びまん性拡散、悪性リンパ腫、脂肪肉腫、線維肉腫、及び癌肉腫を含むがこれらに限定されない胃癌、
結腸癌、
直腸癌、
肝細胞癌及び肝芽腫を含むがこれらに限定されない肝臓癌、
腺癌を含むがこれに限定されない胆嚢癌、
乳頭状、結節性及びびまん性を含むがこれらに限定されない胆管癌、
非小細胞肺癌、扁平上皮癌(類表皮癌)、腺癌、大細胞癌、及び小細胞肺癌を含むがこれらに限定されない肺癌、
胚腫瘍、セミノーマ、未分化、古典的(典型的)、精子細胞性、非セミノーマ、胎児性癌、奇形腫癌腫、及び絨毛癌(卵黄嚢腫瘍)を含むがこれらに限定されない精巣癌、
腺癌、平滑筋肉腫、及び横紋筋肉腫を含むがこれらに限定されない前立腺癌、
陰茎癌、
扁平上皮癌を含むがこれに限定されない口腔癌、
基底癌、
腺癌、粘膜表皮癌、及び腺嚢胞癌を含むがこれらに限定されない唾液腺癌、
扁平上皮癌及び疣贅を含むがこれらに限定されない咽頭癌、
基底細胞癌、扁平上皮癌及び黒色腫、表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、悪性黒子黒色腫、及び末端部黒子黒色腫を含むがこれらに限定されない皮膚癌、
腎細胞癌、腺癌を含むがこれらに限定されない腎臓癌、
過腎腫、線維肉腫、及び移行上皮癌(腎盂及び/又は尿管、
ウィルムス腫瘍、
移行上皮癌、扁平上皮癌、腺癌、及び癌肉腫を含むがこれらに限定されない膀胱癌、並びに粘液肉腫、骨原性肉腫、内皮肉腫、リンパ管内皮肉腫、中皮腫、滑膜腫、血管芽腫、上皮癌、嚢胞腺癌、気管支原性癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、及び乳頭状腺癌を含むがこれらに限定されない他の癌。
【0147】
例えば、Fishman et al.,1985,Medicine,2d Ed.,J.B.Lippincott Co.、Philadelphia and Murphy et al.,1997,Informed Decisions:The Complete Book of Cancer Diagnosis,Treatment,and Recovery,Viking Penguin,Penguin Books U.S.A.,Inc.,United States of Americaを参照されたい。
【0148】
本明細書に記載された治療方法は、ヒト医学及び獣医学の分野で有用であることが理解されよう。したがって、治療される対象は、哺乳動物、好ましくはヒト、又は他の動物であり得る。獣医学的目的のために、対象としては、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、及びヤギを含む家畜;イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマル;外来種の動物及び/又は動物園の動物;マウス、ラット、ウサギ、モルモット、及びハムスターを含む実験動物;ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、及びガチョウなどの家禽が含まれるが、これらに限定されない。
【0149】
本発明はまた、治療有効量の本明細書に記載のいずれかの実施形態による本発明の化合物を対象に投与することを含む、対象の過剰増殖性障害を治療する方法に関する。いくつかの実施形態では、本方法は、急性骨髄性白血病、胸腺、脳、肺、扁平上皮細胞、皮膚、眼、網膜芽細胞腫、眼内黒色腫、口腔及び中咽頭、膀胱、胃部(gastric)、胃、膵臓、膀胱、乳房、頚部、頭、首、腎(renal)、腎臓、肝、卵巣、前立腺、結腸直腸、食道、精巣、婦人科、甲状腺、CNS、PNS、AIDS関連(例えば、リンパ腫、カポジ肉腫)、又はウイルス誘発性癌などの癌の治療に関する。いくつかの実施形態では、当該方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大症(BPH))などの非癌性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0150】
解析方法
示差走査熱量測定(DSC)は、DSC Q20 V24.2 Build 107又はPerkin Elmer DSC 4000で行った。原薬を10℃/分の加熱速度及び50mL/分のN流又は10℃/分の加熱速度及び20mL/分のN流に供した際の熱挙動を観察した。特に明記しない限り、本明細書に開示されるDSCパターンは、この方法を使用して得られた。
【0151】
粉末X線回折は、X線粉末回折計P analytical Xpert 3、CuKα線(λ=1.54060Å)、有効長5.009°2θのLynxEye検出器、実験室温度25±0.3℃、バックグラウンド試料ホルダ0個で行った。分析の前に、乳鉢及び乳棒を使用して試料を穏やかに粉砕して微粉末を得た。粉砕した試料を試料ホルダの空洞内に調整し、カバーガラスを用いて試料の表面を平滑化した。以下の測定パラメータを分析に使用した。
走査範囲-2.5~50°2θ
走査モード-連続
ステップサイズ-0.0130°2θ
走査ステップ時間-18.87秒
【0152】
特に明記しない限り、本明細書に開示されるDSCパターンは、この方法を使用して得られた。
【0153】
実施例
以下に提供される実施例及び調製物は、本発明の化合物を調製する方法を更に説明及び例示する。本発明の範囲は、以下の実施例及び調製物の範囲によって何ら限定されないことを理解されたい。以下の実施例では、単一のキラル中心を有する分子は、特に明記しない限り、ラセミ混合物として存在する。単一の鏡像体は、当業者に公知の方法によって得ることができる。
【0154】
ラセミ中間体及び実施例のキラル分離のための基本手順:
ラセミ形態で合成により得られたキラル化合物、実施例及び中間体は、適切な分取クロマトグラフィー分離法を使用することによって、それらの純粋な又は濃縮された鏡像体形態に分離することができる。このような方法を使用することによって、実施例1、2並びに中間体(R)-(+)-3-ヒドロキシ-3-メチルインドリン-2-オン及び(S)-(-)-3-ヒドロキシ-3-メチルインドリン-2-オンを、それぞれのホモキラル形態で得ることができる。
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【0158】
実施例1
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(化合物1)
工程1:4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの調製:
3-ヒドロキシ-3-メチル-1-(5-((3-オキソイソベンゾフラン-1(3H)-イリデン)メチル)ピリジン-3-イル)インドリン-2-オン(1g、2.6mmol)及びヒドラジン水和物(156mg、3.12mmol)をTHF(15体積)に溶解した。この混合物を室温で1時間撹拌した。1時間後、酢酸(78mg、1.3mmol)を添加し、反応混合物を80℃で還流した。反応の進行はTLCでモニタリングした。反応終了後、反応混合物を水で希釈し、MeOHとDCM(1:9)の混合物で抽出した。有機層を無水NaSO上で乾燥させ、蒸留して、粗製物を得た。MeOHとDCMの適切な混合物を用いて、コンビフラッシュ又はカラムクロマトグラフィーによって粗製物を精製した。精製:コンビフラッシュ。溶離液:MeOH及びDCM:5.3:94.7。外観:オフホワイト色固体。収量:236mg。収率:23%。M.P.:110~113℃。1H-NMR(δppm,DMSO-d6,400MHz):12.59(s,1H),8.65(s,1H),8.52(s,1H),8.26(d,J7.8,1H),8.06(d,J8.1,1H),7.93(t,J8,1H),7.85(t,J8,1H),7.79(s,1H),7.43(d,J7.2,1H),7.21(t,J7.6,1H),7.11(t,J7.2,1H),6.69(d,J7.7,1H),6.12(s,1H),4.46(s,2H),1.48(s,3H)。MS(m/z):399.29([M+H]+)。
【0159】
工程2:(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンの調製
方法1:
基本手順、方法1で報告されている調製方法を用いて、4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(1g)のラセミ混合物から標題化合物を純粋な鏡像体として分割した。収量:381mg。M.P.:97~100℃。HPLC化学純度:99.53%。キラル純度:99.16(RT:11.48分)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.58(s,1H),8.65(d,J1.7,1H),8.52(d,J2.2,1H),8.26(d,J7.4,1H),8.06(d,J8.0,1H),7.93(t,J7.8,1H),7.85(t,J7.8,1H),7.79(t,J2.0,1H),7.43(d,J6.9,1H),7.22(t,J7.8,1H),7.11(t,J7.6,1H),6.69(d,J7.6,1H),6.12(s,1H),4.47(s,2H),1.48(s,3H)。MS(m/z):M(C2318)についての計算値。実測値399.39([M+H])。
【0160】
方法2:
基本手順、方法2で報告されている調製方法を用いて、4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(48g)のラセミ混合物から標題化合物を純粋な鏡像体として分割した。収量:15.1g。M.P.:227~229℃。DSC:246.24℃(Δ79.57J/g)。HPLC化学純度:99.56%。キラル純度:99.18(RT:12.46分)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.65(d,J2.0,1H),8.52(d,J2.0,1H),8.26(d,J7.2,1H),8.06(d,J7.6,1H),7.94(t,J7.6,1H),7.85(t,J7.6,1H),7.79(t,J2.0,1H),7.42(d,J7.6,1H),7.22(t,J7.6,1H),7.11(t,J7.6,1H),6.69(d,J7.6,1H),6.12(s,1H),4.47(s,2H),1.48(s,3H)。MS(m/z):M(C2318)についての計算値。実測値399.37([M+H])。[α] 25:+30.36°[MeOH:クロロホルム(1:9);c1.0]。
【0161】
方法3:
工程1:(R)-1-(5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-ヒドロキシ-3-メチルインドリン-2-オン
【0162】
【化2】
【0163】
3-ブロモ-5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ピリジン(88g、382mmol)、(R)-3-ヒドロキシ-3-メチルインドリン-2-オン(キラル分取カラム一般的調製方法-3を使用してラセミ化合物からキラル分割によって得た)(49.9g、306mmol)、トランス-4-ヒドロキシ-L-プロリン(20.0g、153mmol)及び炭酸カリウム(52.8g、382)をDMSO(528ml)に溶解し、窒素で30分間脱気した。ヨウ化銅(I)(14.5g、76.5mmol)を上記の混合物に添加し、再び30分間脱気した。脱気後、反応混合物を130℃に加熱し、同じ温度で4時間撹拌した。反応終了後、反応混合物を水(2.9リットル)で希釈し、ジクロロメタン中10%メタノール(3×880ml)で抽出した。合わせた有機層を5%アンモニア水溶液(2×1.3リットル)、水(2×1.3リットル)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。ロータリーエバポレータで有機層を蒸発させると、標題化合物が褐色ゲル(78.9g)として得られた。収率:66%。いかなる特性評価無しに、化合物は次の工程へ進められた。
【0164】
工程2:(R)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ニコチンアルデヒド
【0165】
【化3】
【0166】
(R)-1-(5-(1,3-ジオキソラン-2-イル)ピリジン-3-イル)-3-ヒドロキシ-3-メチルインドリン-2-オン(75g、240mmol)を水(75ml)及びアセトン(75ml)の混合物に溶解した。この混合物にシュウ酸水和物(150g、1.2mol)を添加し、55℃で6時間撹拌した。アセトンを反応混合物から蒸留し、10%炭酸水素ナトリウム水溶液(300ml)で塩基性化し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。有機層を水(2×100ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を真空下で蒸留して、粗製物を得た。粗生成物に、イソプロパノール(10ml)を添加し、60℃に加熱した。30分後、室温に冷却し、n-ヘキサン(50ml)を添加し、16時間撹拌した。沈殿した固体を濾過し、n-ヘキサン中のイソプロパノール(10ml)で洗浄し、真空下で乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。(30g)。収率:47%。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):10.18(s,1H),9.13(d,J1.6,1H),8.96(d,J2.4,1H),8.34(t,J2.0,1H),7.49(d,J7.2,1H),7.30(t,J7.6,1H),7.18(t,J7.2,1H),6.89(d,J8.0,1H),6.19(s,1H),1.53(s,3H)。MS(m/z):268.9([M+H])。
【0167】
工程3:(R)-3-ヒドロキシ-3-メチル-1-(5-((3-オキソイソベンゾフラン-1(3H)-イリデン)メチル)ピリジン-3-イル)インドリン-2-オン
【0168】
【化4】
【0169】
ジクロロメタン(350ml)中の(R)-5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ニコチンアルデヒド(35g、130mmol)及び(3-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-1-イル)トリフェニルホスホニウムブロミド(68.2g、143mmol)に、トリエチルアミン(36.4ml、260mmol)を室温で添加した。1時間後、反応混合物をジクロロメタン(350ml)で希釈し、水(2×350ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させて、標題化合物を褐色ゲル(50g)として得た。収率:>100%。いかなる特性評価無しに、化合物は次の工程へ進められた。
【0170】
工程4:(R)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン
【0171】
【化5】
【0172】
(R)-3-ヒドロキシ-3-メチル-1-(5-((3-オキソイソベンゾフラン-1(3H)-イリデン)メチル)ピリジン-3-イル)インドリン-2-オン(45g、117mmol)、ヒドラジン水和物(7.56g、151mmol)及び2-プロパノール(900ml)を混合し、100℃で3時間還流した。3時間後、反応混合物を室温に冷却し、1時間撹拌し、10~15℃に冷却し、1時間撹拌した。水(270ml)を反応混合物に添加し、沈殿した固体を濾過し、水(2×135ml)で洗浄した。固体をジクロロメタン中の20%メタノール(5リットル)に溶解し、セライト床で濾過し、ロータリーエバポレータを用いて真空下で蒸留して残渣を得た。残渣を酢酸エチル(2×300ml)と共蒸留し、90℃で12時間乾燥させて、標題化合物をオフホワイト色固体(32g)として得た。収率:68%。HPLC化学純度:99.43%。キラル純度:99.90%(RT:9.10分)。
【0173】
実施例1A
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン塩酸塩(化合物1A)
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(6g、15.06mmol)をMeOH(30ml)に懸濁した。この混合物に濃HCl(1.73ml)を添加し、25分間撹拌して固体を得た。反応混合物を室温で更に25分間撹拌し、メチルtert-ブチルエーテル(60ml)を反応混合物に添加した。反応混合物を2時間撹拌し、固体を濾過した。固体を90℃で10時間乾燥させて、標題化合物をオフホワイト固体として得た。収量:5.7g。収率:87%。滴定によるHCl含量:10.31%(理論値:8.39%)。M.P.:226~228℃。DSC:228.33℃(Δ67.36J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.75(d,J1.6,1H),8.70-8.65(m,1H),8.27(d,J7.6,1H),8.08(d,J8.4,1H),8.07-8.02(m,1H),7.95(td,J8.4,1.2,1H),7.86(t,J8,1H),7.45(d,J7.2,1H),7.24(td,J8,1.2,1H),7.13(t,J7.2,1H),6.79(dd,J7.6,2.4,1H),5.93(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.53(s,2H),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).HClについての計算値。実測値399.32([M+H])。DSC及びXRPDディフラクトグラムを図1及び5に示す。
【0174】
実施例1B
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンベンゼンスルホン酸塩(化合物1B)
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(1g、2.5mmol)をアセトン(13ml)に懸濁した。ベンゼンスルホン酸(436mg、2.76mmol)をアセトン(2ml)に溶解し、上記懸濁液に添加した。この混合物を50℃で1時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル(10ml)で希釈して、更なる固体を得た。この混合物を室温で2時間撹拌した。固体を濾過し、固体をジイソプロピルエーテル(10ml)で洗浄した。固体を真空下で乾燥させ、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:1.27g。収率:91%。滴定によるベンゼンスルホン酸含量:28.39%(理論値:28.41%)。M.P.:130~134℃。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.75(bs,1H),8.68(bs,1H),8.27(d,J8,1H),8.07(d,J8,1H),8.04(bs,1H),7.95(td,J7.6,1.2,1H),7.86(t,J8,1H),7.59(dd,J8,2.4,2H),7.45(d,J7.6,1H),7.34-7.28(m,3H),7.24(td,J8,1.2,1H)7.13(t,J7.6,1H),6.77(d,J8,1H),5.6(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.52(s,2H),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CSOHについての計算値。実測値399.10([M+H])。DSC及びXRPDディフラクトグラムを図2及び6に示す。
【0175】
実施例1C
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン4-メチルベンゼンスルホン酸塩(化合物1C)
方法1:
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(2g、5mmol)をアセトン(23ml)に懸濁した。p-トルエンスルホン酸一水和物(900mg、5mmol)をアセトン(4ml)に溶解し、上記懸濁液に添加した。この不均一混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を70℃(反応容器内で53℃)に3時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、室温で17時間撹拌した。反応混合物をジイソプロピルエーテル(30ml)で希釈して更なる固体を得て、室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、ジイソプロピルエーテル(30ml)で洗浄した。固体を90℃で1時間乾燥させた。固体を40メッシュで篩にかけ、90℃で21時間乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:1.20g。収率:63%。滴定によるp-トルエンスルホン酸含量:30.96%(理論値:30.17%)。M.P.:148~152℃。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.74(s,1H),8.66(d,J2,1H),8.27(d,J7.6,1H),8.07(d,J8,1H),8.01(d,J1.6,1H),,7.95(td,J7.2,1.2,1H),7.86(t,J7.6,1H),7.48-7.43(m,3H),7.24(td,J7.6,1.2,1H),7.14(d,J7.6,1H),7.10(d,J8,2H),6.76(d,J7.6,1H),5.01(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.52(s,2H),2.27(s,3H),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CSOHについての計算値。実測値399.35([M+H])。XRPDディフラクトグラムを図7Aに示す。
【0176】
方法2:
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(2g、5mmol)をメタノール(22ml)に懸濁し、10分間60℃に加熱した。この温度で、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.05g、5mmol)をメタノール(2ml)に溶解し、上記懸濁液に添加した。この不均一混合物を60℃で撹拌して、7分間で透明な溶液を得た。反応混合物を60℃で8分間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、38℃の内部温度で固体が沈殿した。反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物をメチルtert-ブチルエーテル(24ml)で希釈して、更なる固体を得て、室温で2時間撹拌した。固体を濾過し、メチルtert-ブチルエーテル(30ml)で洗浄した。固体を90℃で17時間乾燥させた。固体を40メッシュで篩にかけ、90℃で8時間乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。収率:2.2g。収率:77%。滴定によるp-トルエンスルホン酸含量:30.79%(理論値:30.17%)。M.P.:174~176℃。DSC:170.24℃(Δ55.16J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.60(s,1H),8.74(s,1H),8.67(d,J2,1H),8.26(d,J8,1H),8.07(d,J8,1H),8.02(t,J2.4,1H),7.95(t,J7.2,1H),7.86(t,J7.6,1H),7.46(d,J8.4,3H),7.24(t,J7.6,1H),7.14(d,J7.6,1H),7.10(d,J8,2H),6.78(d,J8,1H),5.33(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.52(s,2H),2.27(s,3H),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CSOHについての計算値。実測値399.35([M+H])。DSC及びXRPDディフラクトグラムを図3及び図7Bに示す。
【0177】
実施例1D
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンメタンスルホン酸塩(化合物1D)
方法1:
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(1g、2.55mmol)をアセトン(10ml)に懸濁した。メタンスルホン酸(300mg、3.12mmol)を上記懸濁液に添加した。この混合物を室温で10分間撹拌した。10分後、反応混合物を50℃(内部温度47℃)に加温し、1時間撹拌した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル(10ml)で希釈して、更なる固体を得た。この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、固体をジエチルエーテル(20mL)で洗浄した。固体を90℃で17時間乾燥させた。17時間後、固体を40メッシュで篩にかけ、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:1.2g。収率:97%。滴定によるメタンスルホン酸含量:19.81%(理論値:19.43%)。M.P.:191~194℃。DSC:204.94℃(Δ53.11J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.72(bs,1H),8.68-8.63(m,1H),8.27(d,J7.6,1H),8.07(d,J8,1H),8.04-7.98(m,1H),7.95(td,J7.2,1.2,1H),7.86(t,J8,1H),7.45(d,J7.2,1H),7.24(t,J7.6,1H),7.13(t,J7.6,1H),6.75(d,J6.8,1H),5.54(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.51(s,2H),2.35-2.32(m,3H,CHSOアニオン),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CHSOHについての計算値。実測値399.37([M+H])。DSC及びXRPDディフラクトグラムをそれぞれ図4A及び8Aに示す。
【0178】
方法2:
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(2g、5mmol)をアセトン(20ml)に懸濁した。メタンスルホン酸(528mg、5.5mmol)を上記懸濁液に添加した。この混合物を室温で10分間撹拌した。10分後、反応混合物を50℃で1時間撹拌した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル(20ml)で希釈して、更なる固体を得た。この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、固体をジエチルエーテル(20mL)で洗浄した。固体を90℃で18時間乾燥させた。18時間後、固体を40メッシュで篩にかけた。固体を90℃で2時間乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:2.3g。収率:93%。滴定によるメタンスルホン酸含量:19.88%(理論値:19.43%)。M.P.:190~193℃。DSC:208.24℃(Δ68.11J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.78-8.70(m,1H),8.70-8.62(m,1H),8.26(d,J7.6,1H),8.07(d,J8,1H),8.04-7.98(m,1H),7.95(t,J7.6,1H),7.86(t,J7.6,1H),7.45(d,J7.2,1H),7.24(t,J7.2,1H),7.13(t,J7.6,1H),6.80-6.74(m,1H),5.59(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.53-4.50(m,2H),2.35-2.31(m,3H,CHSOアニオン),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CHSOHについての計算値。実測値399.31([M+H])。DSC及びXRPDディフラクトグラムをそれぞれ図4B及び8Bに示す。
【0179】
方法3:
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(15g、38mmol)をアセトン(10ml)に懸濁した。メタンスルホン酸(4g、41mmol)を上記懸濁液に添加した。この混合物を室温で10分間撹拌した。10分後、反応混合物を50℃(内部温度45℃)に加温し、1時間撹拌した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル(150ml)で希釈して、更なる固体を得た。この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、固体をジエチルエーテル(150mL)で洗浄した。固体を90℃で5時間乾燥させた。5時間後、固体を40メッシュで篩にかけた。固体を90℃で20時間乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:18g。収率:97%。滴定によるメタンスルホン酸含量:19.77%(理論値:19.43%)。M.P.:190~192℃。DSC:171.80C(Δ62.88J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.76(d,J7.2,1H),8.71(d,J11.6,1H),8.26(d,J7.6,1H),8.12-8.10(m,1H),8.08(d,J8,1H),7.95(t,J8,1H),7.86(t,J8,1H),7.45(d,J7.6,1H),7.25(t,J8,1H),7.14(t,J7.6,1H),6.79(t,J7.6,1H),6.41(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.54(d,J4.8,2H),2.35-2.32(m,3H,CHSOアニオン),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CHSOHについての計算値。実測値397.2([M-H])。[α] 25:+15.48°[MeOH:クロロホルム(1:9);c1.0]。DSC及びXRPDディフラクトグラムをそれぞれ図4C及び8Cに示す。
【0180】
方法4:
(R)-(+)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(鏡像体純度92.4:7.6)(433g、1.09mol)をアセトン(4.3リットル)に懸濁した。アセトン(216ml、0℃で溶解)中のメタンスルホン酸(115g、1.20mol)を上記懸濁液に添加した。この混合物を室温で10分間撹拌した。10分後、反応混合物を50℃(内部温度45℃)に加温し、1時間撹拌した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル(4.3リットル)で希釈して、更なる固体を得た。この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、固体をジイソプロピルエーテル(2×2.15リットル)で洗浄した。固体を90℃で17時間乾燥させた。固体を粉砕して微粉末(532g)を得た。微粉末にシクロヘキサン(5.3リットル)を添加し、2時間加熱還流した。2時間後、室温に冷却し、濾過し、シクロヘキサン(2.65リットル)で洗浄した。固体を90℃で17時間乾燥させた。固体を粉砕して微粉末を得て、再び90℃で7時間乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:515g。収率%:95%。HPLC化学純度:96.42%。キラル純度:90.58%(RT:9.10分)。滴定によるメタンスルホン酸含量:19.66%(理論値:19.43%)。M.P.:194~198℃。DSC:210.28℃(Δ38.85J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.74(s,1H),8.67(s,1H),8.28(d,J8.0,1H),8.08-8.03(m,2H),7.97(t,J7.6,1H),7.88(t,J7.6,1H),7.46(d,J7.2,1H),7.26(t,J7.6,1H),7.15(t,J7.2,1H),6.78(d,J7.6,1H),5.29(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.52(s,2H),2.34(s,3H),1.49(s,3H)。MS(m/z):M(C2318).CHSOHについての計算値。実測値399.37([M+H])。DSC及びXRPDディフラクトグラムをそれぞれ図4D及び8Dに示す。
【0181】
実施例2
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(化合物2)
方法1:
基本手順、調製方法1で報告されている調製方法を用いて、4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(1g)のラセミ混合物から標題化合物を純粋な鏡像体として分割した。収量:396mg。M.P.:94~97℃。HPLC化学純度:99.34%。キラル純度:99.82(RT:13.61分)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.65(d,J1.7,1H),8.52(d,J2.2,1H),8.26(d,J7.8,1H),8.06(d,J7.9,1H),7.93(t,J7.6,1H),7.85(t,J8.0,1H),7.79(t,J2,1H),7.43(d,J7.2,1H),7.21(t,J7.8,1H),7.11(t,J7.8,1H),6.69(d,J7.8,1H),6.12(s,1H),4.46(s,2H),1.48(s,3H)。MS(m/z):M(C2318)についての計算値。実測値399.41([M+H])。[α] 25:-27.14°[MeOH:クロロホルム(1:9);c1.0]。
【0182】
方法2:
基本手順、調製方法2で報告されている調製方法を用いて、4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(85g)のラセミ混合物から標題化合物を純粋な鏡像体として分割した。収量:37.80g。M.P.:229~232℃。HPLC化学純度:99.37%。キラル純度:99.07(RT:13.85分)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.66(s,1H),8.52(d,J2,1H),8.26(d,J7.6,1H),8.06(d,J8,1H),7.94(t,J7.6,1H),7.85(t,J7.6,1H),7.80(s,1H),7.44(d,J7.2,1H),7.22(t,J7.6,1H),7.11(t,J7.6,1H),6.69(d,J8,1H),6.12(s,1H),4.47(s,2H),1.48(s,3H)。MS(m/z):M(C2318)についての計算値。実測値399.26([M+H])。
【0183】
実施例2D
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オンメタンスルホン酸塩(化合物2D)
(S)-(-)-4-((5-(3-ヒドロキシ-3-メチル-2-オキソインドリン-1-イル)ピリジン-3-イル)メチル)フタラジン-1(2H)-オン(10g、25mmol)をアセトン(100ml)に懸濁した。メタンスルホン酸(2.65g、27.6mmol)を上記懸濁液に添加した。この混合物を室温で10分間撹拌した。10分後、反応混合物を50℃(内部温度45℃)に1時間加温した。1時間後、反応混合物を室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル(100ml)で希釈して、更なる固体を得た。この混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過し、90℃で5時間乾燥させた。5時間後、固体を40メッシュで篩にかけた。篩にかけた後、固体を90℃で20時間乾燥させて、標題化合物を淡褐色固体として得た。収量:12g。収率:97%。滴定によるメタンスルホン酸含量:20.25%(理論値:19.43%)。M.P.:192~194℃。DSC:205.47℃(Δ73.22J/g)。H-NMR(δppm,DMSO-d,400MHz):12.59(s,1H),8.75(d,J4.4,1H),8.68(d,J8.4,1H),8.26(d,J7.6,1H),8.07(d,J8,1H),8.04-8.00(m,1H),7.95(t,J7.6,1H),7.86(t,J7.6,1H),7.45(d,J7.2,1H),7.24(t,J7.6,1H),7.13(t,J7.6,1H),6.77(t,J8,1H),5.82(bs,-OH及びピリジニウム-H),4.53(d,J3.2,2H),2.35-2.32(m,3H,CHSOアニオン),1.49(s,3H)。MS(m/z;-veモード):M(C2318).CHSOHについての計算値。実測値493.1[M+CHSO]基準ピーク、397.3([M-H])。
【0184】
薬物動態
実施例3
化合物1及びその塩の経口バイオアベイラビリティをラットで評価した。ラットにおける薬物動態(PK)試験のプロトコルを以下に示す。
【0185】
一般的方法:
製剤1:ポリソルベート80(10%v/v)+メチルセルロース(MC)(0.5%w/v)
1.200mgの試験化合物を秤量し、乳鉢に移した。
2.1.0mLのポリソルベート80(最終懸濁液の10%v/v)を乳鉢に添加し、試験品を研和して滑らかなペーストを得た。
3.9.0mLの0.5%メチルセルロース(4000cps)を添加し、研和して微細懸濁液を得た。
4.製剤の最終強度は20.0mg/mLであった。
【0186】
#遊離塩基としてモル基準で等価な用量レベルを達成するための試験化合物の塩については、塩及び純度に基づいて補正係数を使用した。
【0187】
製剤2:プロピレングリコール(40%v/v)+60%メチルセルロース(MC)(0.5%w/v)
1.1400mgの試験化合物を秤量し、ガラスビーカーに移した。
2.28.0mLのプロピレングリコール(1,2-ポパンジオール)(最終容量の40%v/v)をガラスビーカーに添加し、20分間超音波処理して溶解させた。(強度は50mg/mLである)
3.投与時に、20mLのプロピレングリコール(50.0mg/mL)及び30.0mLの0.5%メチルセルロース(4000cps)を連続的に撹拌しながら混合して、透明な溶液を得た。
4.製剤の最終強度は20.0mg/mLであった。
【0188】
#遊離塩基としてモル基準で等価な用量レベルを達成するための試験化合物の塩については、塩及び純度に基づいて補正係数を使用した。
【0189】
プロトコル:全ての動物(マウス(BALB/cマウス)、ラット(ウィスターラット系統)、及びイヌ(ビーグル、非ナイーブ))を投与前に一晩(12時間)絶食させ、試験品の投与後4.0時間まで継続した。血液試料(各動物からの各150μLの全ての収集物)を、サンプリングスケジュールに従って、眼窩洞又は頸静脈から、抗凝固剤としてEDTA二カリウムを含有するマイクロ遠心分離管に収集した。血液試料を直ちに4000RPMの速度で10分間、4℃で遠心分離し、分離した血漿試料を-80℃未満で凍結し、分析まで保存した。全ての試料における試験品の血漿中濃度を、LC-MS/MS法によって分析した。薬物動態パラメータ、すなわち、Cmax、AUC0-t、AUC0-∞、Tmax、及びt1/2を、WinNonlinソフトウェアを使用して推定した。
【0190】
【表5】
【0191】
【表6】
【0192】
【表7】
【0193】
【表8】
【0194】
【表9】
【0195】
生物学的アッセイ
本明細書に記載の化合物の薬理学的特性を本明細書において以下に要約する。
【0196】
実施例4
HCT-116、UWB1.289及びOVCAR-3細胞株においてGI50を決定するための細胞増殖アッセイ(MTTアッセイ):
アッセイプロトコル
第「0」日に、試験細胞を三連で96ウェルプレート中の完全培地に100μL/ウェルで播種し、プレートを37℃及び5%COでインキュベートした。第1日に、10μLのMTT(5mg/ml)を、第「0」日に指定されたカラムに添加した。これをよく混合し、37℃及び5%COで3.5時間インキュベートした。細胞を4000rpmで10分間ペレット化した。培地を吸引し、細胞に150μLのDMSOを細胞に添加し、ピペッティングで混合し、結晶を溶解させた。プレートをA560nm及びA640nmで読み取った。阻害剤(化合物1又は化合物1D)のDMSO希釈液を増殖培地で必要な濃度の3倍に希釈した。各ウェルの細胞を、阻害剤を含む50μLの完全培地で処理した。ウェル内のDMSO濃度は0.1%であった。プレートを、必要に応じて37℃及び5%COで144時間インキュベートした。15μLのMTT(5mg/mL)をウェルに添加した。プレートを37℃及び5%COで3.5時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を4000rpmで10分間ペレットダウンする。培地を吸引し、1ウェルあたり150μLのDMSOを添加し、ホルマザン結晶を溶解させた。プレートをA560nm及びA640nmで読み取った。本発明の化合物についてGI50値を決定し、図9に示す。
【0197】
実施例5
BRCA変異癌及び非BRCA変異癌においてGI50を決定するための細胞増殖アッセイ細胞株:
癌細胞株を所望の密度でそれぞれの完全培地に播種し、37℃及び5%CO2で一晩インキュベートした。細胞を異なる濃度の阻害剤で72時間、120時間又は144時間のいずれかで処理した。処理期間の終わりに、細胞生存率を測定し、GI50値を計算した。
【0198】
化合物1及び化合物1Dは、用量依存的に、0.043~19.83μMのGI50範囲で、BRCA変異癌及び非BRCA変異癌細胞株の両方において細胞増殖を阻害した。結果を図9に示す。
【0199】
実施例6
NCI-H69及びOVCAR-3異種移植片における抗腫瘍活性
a)NCI-H69異種移植片:
各動物雌BALB/cマウスヌードマウスの右側腹部に、4×10個のNCI-H69腫瘍細胞(0.1mL中、マトリゲルと1:1)を滅菌条件下で皮下投与によって接種した。腫瘍が適切なサイズ(120mm)に達したら、マウスを無作為化し、処置を開始した。腫瘍サイズ及び動物の体重を週に2回測定した。臨床徴候を毎日記録した。試験化合物をプロピレングリコール及び0.5%メチルセルロース(4000cps)中で調製した。直近の体重に基づいてマウスに個別に投薬した。腫瘍を、2つの寸法、長さ(a)及び幅(b)で、カリパスを使用して測定した。腫瘍体積は、以下のように個々の腫瘍の2つの直径の測定値から推定した:腫瘍体積(mm3)=(axb)/2。腫瘍増殖阻害(TGI)は、各腫瘍容積測定後に式に従って計算した:%TGI=(TVcn-TVtn)/TVcn×100、式中、TVtn及びTVcnは、それぞれ処置群及び対照群の平均腫瘍容積である。
【0200】
研究設計:
【0201】
【表10】
結果:本発明の化合物は、100mg/kgの単剤として36.2%の腫瘍増殖阻害を有する抗腫瘍能を示した。結果を図10A及び10Bに示す。
【0202】
b)OVACR-3異種移植片:
各動物の右側腹部に、1×10個のOVCAR-3腫瘍細胞(0.1mL中、マトリゲルと1:1)を滅菌条件下で皮下投与によって接種した。腫瘍が適切なサイズ(100~200mm3)に達したら、マウスを無作為化し、処置を開始した。腫瘍サイズ及び動物の体重を週に2回測定した。臨床徴候を毎日記録した。直近の体重に基づいてマウスに個別に投薬した。腫瘍を、2つの寸法、長さ(a)及び幅(b)で、カリパスを使用して測定した。腫瘍体積は、以下のように個々の腫瘍の2つの直径の測定値から推定した:腫瘍体積(mm3)=(axb)/2。腫瘍増殖阻害(TGI)は、各腫瘍容積測定後に式に従って計算した:%TGI=(TVcn-TVtn)/TVcn×100、式中、TVtn及びTVcnは、それぞれ処置群及び対照群の平均腫瘍容積である。
【0203】
研究設計:
【0204】
【表11】
結果:本発明の化合物は、OVCAR-3異種移植片モデルにおいて単剤として28%の腫瘍増殖阻害(TGI)を有する抗腫瘍能を示した。本発明の化合物とゲムシタビンとの組み合わせは、ゲムシタビンと比較して腫瘍増殖を有意に阻害した(P<0.01)。結果を図11A及び11Bに示す。
【0205】
本明細書の本発明は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態は、本発明の原理及び用途の単なる例示であることを理解されたい。したがって、例示的な実施形態に対して多数の修正を行うことができ、上記のように本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の配置を考案することができることを理解されたい。添付の特許請求の範囲は、本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲の範囲内の方法及び構造及びそれらの均等物をそれによって網羅することが意図される。
【0206】
本出願で引用された全ての刊行物、特許、及び特許出願は、個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により本明細書に組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
【国際調査報告】