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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】フリーカット性経編地及びその用途
(51)【国際特許分類】
   D04B 21/00 20060101AFI20240402BHJP
   D04B 21/16 20060101ALI20240402BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20240402BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20240402BHJP
【FI】
D04B21/00 A
D04B21/16
D01F8/14 B
A41D31/00 502C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562542
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 CN2022084335
(87)【国際公開番号】W WO2022218162
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110391605.8
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512081018
【氏名又は名称】東レ繊維研究所(中国)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TORAY FIBERS & TEXTILE RESEARCH LABORATORIES(CHINA)CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】No.58,Xinkainanlu,Jingjijishukaifaqu Nantong,Jiangsu,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】512217617
【氏名又は名称】東レ(香港)有限公司
【氏名又は名称原語表記】TORAY INDUSTRIES(H.K.)LTD.
【住所又は居所原語表記】19th Floor,Sun Life Tower,The Gateway,Harbour City,Kowloon,Hong Kong,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】弁理士法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン,ジアメン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ホンジュアン
(72)【発明者】
【氏名】ザン,キン
(72)【発明者】
【氏名】ゲン,リアンルー
(72)【発明者】
【氏名】キュー,ウェンリン
【テーマコード(参考)】
4L002
4L041
【Fターム(参考)】
4L002AA06
4L002AA07
4L002AB02
4L002AB05
4L002AC01
4L002CA00
4L002CA01
4L002EA00
4L002EA06
4L002FA01
4L041AA07
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA09
4L041BB08
4L041BD13
4L041CA05
4L041CA08
4L041EE12
(57)【要約】
本発明はフリーカット性経編地及びその用途に関するものである。該経編地は少なくともフロント筬の糸条とバック筬の糸条から編成され、前記フロント筬の糸条及び/又は前記バック筬の糸条は伸縮伸長率が30%~120%で伸縮復元率が15%以上の捲縮性を有する合成繊維であり、かつ、同じコースに前記フロント筬とバック筬のシンカーループが異方向となる。本発明の経編地は適度な伸長性と伸縮性を有し、洗濯耐久性に優れ、裁断後の編地は生地端がほつれにくく、横方向にカーリングしにくく、着用快適性が良く、さまざまな衣服の製造に広く利用できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフロント筬の糸条とバック筬の糸条から編成された経編地であって、フロント筬の糸条及び/又はバック筬の糸条は伸縮伸長率が30~120%で伸縮復元率が15%以上の捲縮性を有する合成繊維であり、かつ、同じコースにフロント筬とバック筬のシンカーループが異方向となることを特徴とするフリーカット性経編地。
【請求項2】
前記捲縮性を有する合成繊維が2成分で構成された複合繊維であることを特徴とする請求項1に記載のフリーカット性経編地。
【請求項3】
前記2成分で構成された複合繊維はポリエステル系繊維又はポリアミド系繊維であることを特徴とする請求項2に記載のフリーカット性経編地。
【請求項4】
前記フロント筬の糸条の伸縮伸長率と前記バック筬の糸条の伸縮伸長率との比が0.1以上1.1以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフリーカット性経編地。
【請求項5】
前記フロント筬がデンビー組織で、前記バック筬がデンビー組織又はコード組織であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフリーカット性経編地。
【請求項6】
前記経編地の密度がタテ60~120個/インチ、ヨコ50~80個/インチであることを特徴とする請求項1又は2に記載のフリーカット性経編地。
【請求項7】
前記経編地の目付が80~150g/m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のフリーカット性経編地。
【請求項8】
経編地の端が裁断されたままの状態で縁始末することがないことを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載のフリーカット性経編地を使用した衣料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フリーカット性経編地及びそれを使用して作られた衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
生活レベルの向上に伴い、人々は衣服の品質に対する要求も高まっている。衣服を製作する際に、常に裁断された布地の端をほつれ防止処理する必要があり、例えばオーバーロックなど。しかし、これらの処理方法は多少肌触りに影響し、着用快適性を損ねることがある。
着用快適性を向上させるため、特別な縁始末不要な編地が開発された。例えば、特許文献1には、フリーカット性経編地が開示され、具体的には、伸縮伸長率が20~150%且つ伸縮復元率が15%~100%である捲縮性合成繊維糸条を使って2枚以上の筬で編成し、フロント筬とバック筬の糸条が、全てのコースでループを形成し、かつシンカーループが同方向で、フロント筬糸条の伸縮伸長率とバック筬糸条の伸縮伸長率との比が0.1~1.1であることが開示された。スパンデックスを使用しなくても、得られた編地は適度な伸長性と伸縮性を持ち、且つ、裁断した際には生地端がほつれにくいが、横方向にカールしやすく、縫製が困難になる問題がある。
【0003】
また、特許文献2には、カールしにくく、ほつれにくい編地が開示され、具体的には、編地本体は経編の編成工程により交織してなる2本の糸条を含み、前記2本の糸条は、原料が20Dスパンデックス糸条の第1糸条、及び原料が全消光20D/17Fナイロン糸条の第2糸条を含み、前記第1糸条と前記第2糸条はいずれもデンビー組織構造であり、裁断時にカールやほつれなどを効果的に防止することができるが、スパンデックスは強い伸縮力があるため、編地の密度と目付が増加し、着心地が悪くなる。また、スパンデックスは光や汗によって脆化するため、編地の耐久性が良くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-51008号
【特許文献2】CN202744760U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の従来技術の現状に鑑みなされたものであり、その目的は、裁断した際に、ほつれや横方向のカールが発生せず、優れた洗濯耐久性を持つフリーカット性経編地及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するための手段は、以下の通りである:
本発明の経編地は、少なくともフロント筬の糸条とバック筬の糸条から編成され、前記フロント筬の糸条及び/又は前記バック筬の糸条は伸縮伸長率が30%~120%で伸縮復元率が15%以上の捲縮性を有する合成繊維であり、かつ、同じコースに前記フロント筬とバック筬のシンカーループが異方向となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフリーカット性経編地は、スパンデックスを使用しなくても適度な伸長性と伸縮性を有し、かつ、生地端に縫い糸を使う必要がなく、洗濯耐久性に優れ、裁断後の編地は生地端がほつれにくく、横方向にカーリングしにくく、着用快適性が良く、さまざまな衣服の製造に広く利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の編地は、少なくともフロント筬の糸条とバック筬の糸条から編成され、フロント筬の糸条及び/又は前記バック筬の糸条は伸縮伸長率が30%~120%で伸縮復元率が15%以上の捲縮性を有する合成繊維であり、かつ、同じコースに前記フロント筬とバック筬のシンカーループが異方向となる。
【0009】
フロント筬又はバック筬のいずれか一方だけを使用して編成する場合、編地の伸縮性が比較的よいが、薄すぎるため、また、糸条間の拘束力が比較的弱いため、ほつれやすく、よって、本発明の編地として少なくともフロント筬糸条とバック筬糸条で編成されることが要求される。
本発明において、前記捲縮性合成繊維は、染色加工中の湿熱で捲縮が発現するため、編地の伸縮性と伸縮復元性が向上されるとともに、フロント筬とバック筬のループの重なり部分以外の部分はループに拘束されず、自由に収縮することができることで、ループの配列がより密になり、裁断後生地端でも糸条がほつれにくくなる。
【0010】
前記捲縮性合成繊維の伸縮伸長率は30%~120%であり、好ましくは40%~110%である。捲縮性合成繊維の伸縮伸長率が30%未満であると、ループ編成された後、糸条は嵩高性が不足するため、編地に隙間が発生しやすく、また、ループの重なり部分と重ならない自由部分との間の外観面積差が小さくなるため、裁断後生地端からループがほつれやすくなる。また、糸条の伸縮伸長率が高いほど、嵩高性がよく、編地構造がより密になり、裁断後生地端がほつれにくくなるが、伸縮伸長率が120%を超えると、編地は厚くなり、着用性が低下する。
適切な肌触り感を付与するための編地の回復性と、裁断後の単糸の集束性を保証するために、本発明において、前記捲縮性合成繊維の伸縮復元率が15%以上であることを要求し、好ましくは25%以上である。
【0011】
本発明では、丸編み組織を採用する場合、編地の伸縮性が向上するが、全てのループが開いた状態であるため、組織が比較的ルーズで、裁断面から糸条がほつれやすく、カーリングが発生しやすい。一方、織物組織を採用する場合、カーリング問題が起こらないが、糸条同士が互いに絡み合っていないため、裁断面から糸条がほつれやすく、また、編地に伸縮性が欠ける。したがって、本発明において経編組織を採用する。本発明では、経編組織は特に制限されなく、同じコースに組織が異方向でさえあればいい。ループは閉じ目、開き目いずれの組み合わせでよいが、フロント筬の糸条が閉じ目を形成し、バック筬の糸条が開き目を形成することが好ましく、それで編地の横向のカール問題をよりよく解決できる。
【0012】
本発明において、フロント筬とバック筬の糸条が全てのコースに共同でループを形成し、ループの締りが比較的よいことで、ほつれにくくなる。ループを構成する糸条が1枚の筬のみあれば、ループの拘束力が弱くなり、かつ、ニードルループが長くなるので、糸条が拘束されず、裁断する際に、ほつれやすくなる。本発明において、フロント筬の糸条により形成されるシンカーループとバック筬の糸条により形成されるシンカーループが同じコースに異方向となり、ここで、「同じコース」とは、組織構造上の同一コースを指す。「異方向」とは、フロント筬の糸条により形成されるシンカーループとバック筬の糸条により形成されるシンカーループが同じコースに交差状態となることを指す。フロント筬の糸条により形成されるシンカーループとバック筬の糸条により形成されるシンカーループが同じコースに同一方向となると、フロント筬の糸条とバック筬の糸条により形成されるシンカーループが平行又はほぼ平行状態となり、編地内部の応力のバランスが崩れ、生地端がカールしやすくなり、横方向にカールの問題が起こる。
【0013】
本発明における捲縮性合成繊維の原料は特に限定されず、単一成分で構成された繊維でよく、2成分で構成された複合繊維でもよく、好ましくは2成分で構成された複合繊維である。具体的には、ポリトリメチレンテレフタレートの単一成分繊維(PTT)、ポリブチレンテレフタレートの単一成分繊維(PBT)、高粘度ポリエチレンテレフタラート/低粘度ポリエチレンテレフタラートの2成分複合繊維(PET/PET)、ポリトリメチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタラートの2成分複合繊維(PTT/PET)、ポリブチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタラートの2成分複合繊維(PBT/PET)、ポリアミド6(NY6)、ポリアミド66(NY66)、ポリアミド610(NY610)、ポリアミド6/ポリアミド66(NY6/NY66)、ポリアミド66/ポリアミド610(NY66/NY610)などが挙げられる。そのうち、2成分で構成された複合繊維はバイメタル型又は芯鞘型でよい。バイメタル型複合繊維は、比較的良い捲縮性を有するため、裁断後の生地端の安定性を保証し、ほつれ防止効果を高めることができることで、より好ましいものとする。
【0014】
本発明において、フロント筬の糸条の伸縮伸長率とバック筬の糸条の伸縮伸長率との比が1.1を超えると、編地の伸長性が低下する傾向にあり、かつ、カールの発生率が増加する傾向にもある。両者の伸縮伸長率の比が0.1未満であると、フロント筬の糸条とバック筬の糸条との間には、弾性に大きな差があるため、布面には応力の不均一によるシワ問題が発生することがある。したがって、本発明において、フロント筬の糸条の伸縮伸長率/バック筬の糸条の伸縮伸長率の比が0.1以上1.1以下であることが好ましく、0.2以上1.0以下であることがより好ましい。
本発明において、好ましくは、フロント筬がデンビー組織で、バック筬がデンビー又はコード組織である。より好ましくは、フロント筬がデンビー組織で、バック筬がコード組織である。フロント筬はデンビー組織を採用する場合、編地が伸びやすくなり、かつ、フロント筬が横方向2針振りとなることで、各針上の糸条同士が重なり、編地の引裂強力がさらに安定し、手触りもさらに柔らかくなる。また、バック筬がコード組織を採用すると、比較的少ない糸条により安定な地組織を形成できる。バック筬が横方向2針振りのデンビー組織を採用すれば、編地は厚くなる傾向にある。
【0015】
本発明において、編地のタテ密度(縦方向におけるコース数)が60~120個/インチ、ヨコ密度(横方向におけるウェール数)が50~80個/インチである。タテ密度とヨコ密度が上記範囲でなければ、糸が長くなり、生地裁断面で糸が拘束されない部分が多くなるため、ほつれやすくなる。これに対して、編地の密度が高いほど、裁断面からほつれにくくなり、その結果、編地が厚くなる。好ましくは、タテ密度が80~100個/インチであり、ヨコ密度が60~70個/インチである。
【0016】
好ましくは、本発明における編地の目付は80~150g/mである。編地の目付が150g/mを超えると、編地は厚くなる傾向にあり、着用性に影響を与える可能性がある。
生地縁始末によりほつれ性を向上できるが、生地端が厚くなり、着用性などに影響を与える可能性があるので、本発明の編地を使用して衣服を製造する際に、この編地の端が裁断されたままの状態で、縁始末することなく直接に衣服の一部又は全部に使用されていることが好ましい。
以下、実施例と比較例を用いて本発明をさらに詳しく説明する。
【0017】
本発明に係る各パラメータの測定方法は以下の通りである:
(1)フロント筬/バック筬の糸条の伸縮伸長率、伸縮復元率
JIS L 1013:2010 A法により測定する。
(2)編地の伸長率、伸長復元率
JIS L 1096:2010 D法(定荷重)により測定し、荷重が490.4cNである。
(3)目付
JIS L 1096:2010法により測定する。
(4)タテ密度、ヨコ密度
密度測定ミラー(常州徳普紡織科技有限公司、Y511C)を用いて布面を観察し、編地における1インチ内の縦方向のループ数(タテ密度)と横方向のループ数(ヨコ密度)を読み取る。
【0018】
(5)裁断後編地のほつれ性
編地から縦方向幅5.5cm×横方向長さ42cmの試験片を採取し、横方向の編終り側に斜め45°で3cmの切り込みを2箇所、編始め側に斜め45°で3cmの切り込みを3箇所入れ、試験片の左右縦方向の端を縫い合せ、JIS L 0217 103:1995法により洗濯試験を実施した後、脱水、乾燥させた後、編地の切り込み部に対して傷み評価を行う。切り込み部の傷みとは、切断部の繊維の抜き出し、ほつれた箇所の数と長さで評価する。以下の10段階で外観傷み評価を行った。7以下が合格、8以上が不合格とした。編始めと編終りそれぞれの横方向(90°)、斜め方向(45°)を判定。横方向(90°)と斜め方向(45°)の判定値に対して平均値を取って評価した。1枚の試験片の切り込み5箇所に対して評価を行って平均値を取った。
【0019】
<評価標準>
10:長さ2mm超過のほつれ1箇所
9:長さ1~2mmのほつれ1箇所
8:長さ0.8mm以上1mm未満のほつれ10箇所以上
7:長さ0.8mm以上1mm未満のほつれ7~9箇所
6:長さ0.8mm以上1mm未満のほつれ4~6箇所
5:長さ0.8mm以上1mm未満のほつれ3箇所以下
4:ほつれ1箇所のみ、かつ長さ0.6mm以上0.8mm未満
3:ほつれ1箇所のみ、かつ長さ0.3mm以上0.6mm未満
2:ほつれ1箇所のみ、かつ長さ0.3mm未満
1:全くほつれていない
【0020】
(6)裁断後編地のカール性
編地から幅25mm×長さ160mmの試験片3枚を採取した。そのうちの1枚を取り、JIS L1096:2010 H-2法を参考し、水蒸気を使用し、平らかに置いた試験片に対して15秒の処理を行い、処理期間にいずれかの吸気操作も行わず、次いで、処理後の試験片を平らかな場所に並行して置き、真上から光を当てたときに、カールした部位の影が一番狭いの投影幅L1(mm)を測定し、以下の式で横向カール性(%)を算出する。
カール性(%)=(25-L1)/25×100%
同じ方法で残りの2枚の試験片を測定し、横方向カール性を算出し、平均値を取って、本発明の裁断後編地のカール性とする。
【0021】
実施例1
E28カールマイヤー・トリコット編機を用いて、フロント筬とバック筬とも33dtex/24fのバイメタル型 PBT/PET仮撚加工糸(伸縮伸長率が87%、伸縮復元率が25%)を使用し、フロント筬とバック筬ともデンビー組織であり、同じコースに方向が異方向になり、タテ密度が56個/インチで、ヨコ密度が43個/インチの生機を編成し、布生地に対して予備セット処理(160℃×1min)→精練(精練剤2g/L)→染色(分散染料使用量3%o.w.f、130℃×30min)→柔軟樹脂加工(シリコンオイル)→セット(160℃×1min)を行い、本発明の経編地を得た。具体的なパラメータは表1を参照する。
【0022】
実施例2
33dtex/24f のバイメタル型PBT/PET仮撚加工糸を60dtex/24fのPBT仮撚加工糸(伸縮伸長率が72%、伸縮復元率が22%)に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0023】
実施例3
バック筬の糸条を44dtex/24fのPBT仮撚加工糸(伸縮伸長率が72%、伸縮復元率が22%)に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0024】
実施例4
バック筬の組織をコード組織に変更する以外に実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0025】
実施例5
生機のタテ密度が33個/インチで、ヨコ密度が29個/インチである以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0026】
実施例6
3枚の筬を用いて編成を行い、ミドル筬は33dtex/24fのバイメタル型PBT/PET仮撚加工糸(伸縮伸長率が87%、伸縮復元率が25%)を用いて、デンビー組織で、その以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0027】
実施例7
33dtex/24fのバイメタル型PBT/PET仮撚加工糸を50dtex/36fの高ストレッチ性PET仮撚加工糸(伸縮伸長率が48%、伸縮復元率が29%)に変更し、生機密度をタテ密度が45個/インチで、ヨコ密度が40個/インチに変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0028】
実施例8
33dtex/24fのバイメタル型PBT/PET仮撚加工糸を50dtex/48fのバイメタル型PTT/PET仮撚加工糸(伸縮伸長率が102%、伸縮復元率が93%)に変更し、生機密度をタテ密度が78個/インチで、ヨコ密度が66個/インチに変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0029】
実施例9
バック筬の糸条を50dtex/36fのレギュラー高ストレッチ性PET仮撚加工糸(伸縮伸長率が48%、伸縮復元率が29%)に変更し、生機密度をタテ密度が56個/インチで、ヨコ密度が45個/インチに変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0030】
実施例10
フロント筬の糸条を40dtex/24fのレギュラー高ストレッチ性PET仮撚加工糸(伸縮伸長率が48%、伸縮復元率が29%)に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0031】
実施例11
33dtex/24fのバイメタル型PBT/PET仮撚加工糸を56dtex/24fのバイメタル型NY6/NY66仮撚加工糸(伸縮伸長率が78%、伸縮復元率が45%)に変更する以外は実施例1と同様にし、本発明の経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
実施例1~11の経編地を用いて、裁断後いかなる縁始末することないの衣服を製造した。
【0032】
比較例1
フロント筬とバック筬とも33dtex/36fのバイメタル型 PBT/PET仮撚加工糸を使用し、フロント筬とバック筬ともデンビー組織で、且つフロント筬とバック筬のシンカーループが同じ方向となり、その以外は実施例1と同様にし、経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0033】
比較例2
33dtex/24fのバイメタル型 PBT/PET仮撚加工糸を50dtex/24fのレギュラーPET仮撚加工糸(伸縮伸長率が25%、伸縮復元率が18%)に変更する以外は実施例1と同様にし、経編地を得、具体的なパラメータは表1を参照する。
【0034】
【表1】
【0035】
表1によれば、
(1)実施例1と実施例2から見ると、同じ条件で、フロント筬とバック筬がPBT/PET糸条を用いて得られた経編地は、フロント筬とバック筬がPBT糸条を用いて得られた経編地と比べて、前者の横方向カール性が後者より小さく、かつほつれ性判定値も後者より小さく、即ち、前者横方向カール性及びほつれ防止性とも後者より優れていることが分かった。
【0036】
(2)実施例1と実施例3から見ると、同じ条件で、フロント筬糸条の伸縮伸長率とバック筬糸条との比が1.2の経編地は、フロント筬糸条の伸縮伸長率とバック筬糸条との比1.0の経編地と比べて、前者の横方向カール性が後者より小さく、両者のほつれ性判定値が相当で、即ち、前者横方向カール性が後者より優れていることが分かった。
【0037】
(3)実施例1と実施例4から見ると、同じ条件で、バック筬がデンビー組織の経編地は、バック筬がコード組織の経編地と比べて、前者の横方向カール性が後者より小さく、かつほつれ性判定値も後者より小さく、即ち、前者横方向カール性及びほつれ防止性とも後者より優れていることが分かった。
【0038】
(4)実施例1と実施例5から見ると、同じ条件で、タテ密度が76個/インチ且つヨコ密度が55個/インチの経編地は、タテ密度が52個/インチ且つヨコ密度が41個/インチの経編地と比べて、前者の横方向カール性が後者より小さく、かつほつれ性判定値も後者より小さく、即ち、前者横方向カール性及びほつれ防止性とも後者より優れていることが分かった。
【0039】
(5)比較例1と実施例1から見ると、同じ条件で、同じコースに編成組織が同一方向の経編地は、同じコースに編成組織が異なる方向の経編地と比べて、前者の横方向カール性が比較的大きく、ほつれ性判定値も比較的高く、即ち、前者横方向カール性及びほつれ防止性とも比較的悪いことが分かった。
【0040】
(6)比較例2と実施例1から見ると、同じ条件で、レギュラーPET糸(伸縮伸長率が25%、伸縮復元率が18%)を用いて得られた経編地は、PBT/PET糸(伸縮伸長率が87%、伸縮復元率が25%)を用いて得られた経編地と比べて、前者の横方向カール性が比較的大きく、ほつれ性判定値も比較的高く、即ち、前者横方向カール性及びほつれ防止性とも比較的悪いことが分かった。
【国際調査報告】