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特表2024-5153412,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/25 20060101AFI20240402BHJP
   C07C 17/278 20060101ALI20240402BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20240402BHJP
   C07C 19/10 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 27/135 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 27/125 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 23/42 20060101ALI20240402BHJP
   B01J 23/26 20060101ALI20240402BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240402BHJP
【FI】
C07C17/25
C07C17/278
C07C21/18
C07C19/10
B01J37/18
B01J37/08
B01J27/135 Z
B01J27/125 Z
B01J23/44 Z
B01J23/42 Z
B01J23/26 Z
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563266
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2022085539
(87)【国際公開番号】W WO2022218204
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110404614.6
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110404622.0
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202110404625.4
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523388917
【氏名又は名称】ジョージアン リサーチ インスティテュート オブ ケミカル インダストリー カンパニー,リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】523388928
【氏名又は名称】シノケム ランティエン カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ミンヤン
(72)【発明者】
【氏名】ユー,ワンジン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ションダー
(72)【発明者】
【氏名】シアオ,シンバオ
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シア
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ウーカン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジエンジュン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA44A
4G169BB04A
4G169BB08A
4G169BC10A
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC26A
4G169BC32A
4G169BC33A
4G169BC50A
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC52A
4G169BC52B
4G169BC58A
4G169BC69A
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BD15A
4G169BD15B
4G169CB25
4G169CB35
4G169DA06
4G169FB07
4G169FB44
4G169FB57
4G169FB62
4G169FB64
4G169FC07
4G169FC08
4H006AA02
4H006AB93
4H006AC12
4H006AC13
4H006AC21
4H006AC92
4H006BA09
4H006BA10
4H006BA14
4H006BA30
4H006BA37
4H006BA67
4H006BA92
4H006BC10
4H006BC11
4H006BC31
4H006BC34
4H006EA02
4H006EA03
4H039CA19
4H039CA29
4H039CF10
4H039CG90
4H039CL20
(57)【要約】
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法を開示し、2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法、及び2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を含む。前記2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法は、A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、A2.脱塩化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを活性炭の触媒作用下で脱塩化水素して2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップと、を含む。本発明は、プロセスがシンプルで、生成物の選択率が高く、反応条件が温和であるなどの利点を有する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱塩化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを活性炭の触媒作用下で脱塩化水素して2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップと、を含む、ことを特徴とする2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項2】
前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項3】
前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlCl、AlF、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項2に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項4】
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10である、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項5】
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01wt%~50wt%である、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項6】
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10である、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項7】
前記加圧テロメル化反応は、-30℃~100℃温度及び0.5MPa~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1h~50hである、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項8】
前記活性炭は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれる、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項9】
前記脱塩化水素ステップは、反応温度が200℃~500℃である、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項10】
テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱塩化水素ステップに用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項11】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱離ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを貴金属担持活性炭触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップであって、前記貴金属担持活性炭触媒は、Pd/AC、Pt/ACのうちの少なくとも1種であるステップと、を含む、ことを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項12】
前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項13】
前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlF、AlCl、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項12に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項14】
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項15】
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01wt%~50wt%である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項16】
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項17】
前記加圧テロメル化反応は、-30~100℃温度及び0.5~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1~50hである、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項18】
前記貴金属担持活性炭触媒は、含浸法で製造され、
B1.担体前処理:活性炭を90~120℃で12h以上乾燥処理するステップと、
B2.金属塩含浸:Pd又はPtの可溶性塩溶液を採用して真空又は常圧条件下で前処理した活性炭を含浸するステップと、
B3.含浸後の活性炭を乾燥処理し、乾燥温度が90~120℃であり、乾燥時間が12h以上であるステップと、
B4.乾燥処理した活性炭を水素窒素混合ガスで還元処理して前記貴金属担持活性炭触媒を得るステップであって、前記水素窒素混合ガス中の水素ガスの体積比が5~50%であり、還元温度が150~300℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項19】
貴金属担持活性炭触媒において、Pd、Ptの担持量が0.1~5.0wt%であり、A2脱離ステップにより30~90%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~50%の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項20】
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱離反応を行い、脱離反応の原料体積空間速度が50~300h-1であり、N/3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積比が(0.5~3.0):1である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項21】
前記脱離ステップは、反応温度が300~600℃である、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項22】
テロメル化ステップで得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱離ステップに用いる、ことを特徴とする請求項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項23】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱ハロゲン化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを複合型脱ハロゲン化触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱フッ化水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得るステップと、を含む、ことを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項24】
前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項25】
前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlF、AlCl、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項24に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項26】
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10である、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項27】
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01~50wt%である、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項28】
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10である、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項29】
前記加圧テロメル化反応は、-30~100℃温度及び0.5~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1~50hである、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項30】
前記複合型脱ハロゲン化触媒は、Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物と活性炭粉末とから製造される、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項31】
前記Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物は、Al、AlF、MgF及びCrのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項30に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項32】
前記活性炭粉末は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれる、ことを特徴とする請求項30に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項33】
Alの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、AlFの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、MgFの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、Crの含有量が触媒全量の1.0~20wt%である、ことを特徴とする請求項31に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項34】
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱ハロゲン化水素反応を行い、前記脱ハロゲン化水素反応の原料体積空間速度が50~300h-1であり、N/3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積配合比が(0.5~3.0):1である、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項35】
脱ハロゲン化水素ステップにより10~50%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~70%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得る、ことを特徴とする請求項23~34のいずれか一項に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項36】
前記複合型脱ハロゲン化触媒は、共混合法で製造され、
B1.混合:Al及び/又はAlF及び/又はMgF及び/又はCrと活性炭粉末とを(0.01~0.25):1の質量比で配合して機械的撹拌又はボールミルの方式で十分に混合するステップと、
B2.篩い分け:混合物質を篩い分け処理し、混合の不均一部分を取り除くステップと、
B3.成型:篩い分け後の物質を打錠機に送って打錠成型するステップと、
B4.成型後の触媒を乾燥処理し、前記複合型脱ハロゲン化触媒を製造して得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項37】
前記脱ハロゲン化水素ステップは、反応温度が300~500℃である、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項38】
テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱ハロゲン化水素ステップに用いる、ことを特徴とする請求項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造に関し、特にトリフルオロエチレンを原料として採用し、テロメル化、脱離(脱塩化水素、脱フッ化水素、脱水素など)の2重ステップ反応を経て2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造して得る方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンはODPがゼロで、GWP値<1であり、ライフサイクル気候パフォーマンス(LCCP)が従来の冷媒HFC-134aよりも低く、システムの冷凍性能がHFC-134aよりも優れ、大気分解物がHFC-134aと同じであり、現在最も潜在力のある自動車冷媒の代替品と考えられ、複数の主流自動車メーカーに受け入れられている。現在、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造経路は、以下のいくつかを含む。
【0003】
一、ヘキサフルオロプロピレン経路:
ヘキサフルオロプロピレンを原料として2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造し、(1)ヘキサフルオロプロピレンと水素ガスとを水素添加反応させて1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(HFC-236ea)を製造するステップ、(2)HFC-236eaを触媒の作用下で脱フッ化水素反応させて1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)を製造するステップ、(3)HFO-1225yeを水素ガスと水素添加反応させて1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)を製造するステップ、(4)HFC-245ebを触媒の作用下で脱フッ化水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造するステップ、という4重ステップ反応に分けられる。
【0004】
米国特許US20070179324A、中国特許CN101544536A、CN102267869A及びCN102026947Aなどには、いずれもヘキサフルオロプロピレンを原料として水素化、脱フッ化水素、再水素化及び再脱フッ化水素の4重ステップ反応を経て2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されており、プロセスがシンプルで、技術が成熟するなどの特徴を有するが、反応ステップが多く、複数種類の中間生成物を分離・精製する必要があり、プロセスステップが複雑で、設備投資が大きく、反応収率が低く、分離コストが高く、エネルギー消費量が大きいなどの問題がある。
【0005】
上記特許技術に存在する不足を解決するために、中国特許CN103449963Bには、ヘキサフルオロプロピレンを原料として多重ステップ連続反応により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを合成する方法が開示されており、HFC-236ea、HFO-1225ye及びHFC-245ebなどの中間生成物を分離せずに直接反応させる連続化生産が可能である。しかし中間生成物を分離・精製しないことは、不純物が反応物質中に絶えず蓄積され、及び新たに追加されることを意味し、最終的に目的生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの収率に影響を与え、同時に2,3,3,3-テトラフルオロプロペン製品の精留分離の困難性をも増加させる。
【0006】
二、テトラクロロプロペン(TCP)経路:
特許CN101395108Bには、1,1,2,3-テトラクロロプロペンを原料として採用して3重ステップ反応により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されており、反応ステップは、(1)1,1,2,3-テトラクロロプロペンとHFとを気相フッ素化反応させて2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)を製造し、選択率が80~96%であり、Cr及びFeCl/AC触媒を用いる場合、選択率が96%に達し、転化率がわずか20%であることと、(2)HCFO-1233xfとHFとを付加反応させて2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を生成し、触媒がSbClであることと、(3)HCFC-244bbを活性炭触媒の作用下で気相脱塩化水素反応させて目的生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造して得ることと、を含む。当該プロセスは、反応ステップが複雑であり、工業的生産に不利であり、且つ転化率が低く、反応温度が高いなどの問題がある。
【0007】
米国特許US20090099396には、1,1,2,3-テトラクロロプロペンを原料として採用して2重ステップ反応により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されており、反応ステップは、(1)1,1,2,3-テトラクロロプロペンとHFとを液相フッ素化反応させて1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245eb)を製造し、触媒がSbClであり、TCPの転化率が100%に達することができるが、HFC-245ebの選択率がわずか53~59%であり、副生成物が多く生成されることと、(2)HFC-245ebをアルカリ金属水酸化物の作用下で液相脱フッ化水素反応させて目的生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを生成することと、を含む。当該プロセスは、反応ステップが少なく、設備投資が少ないという利点を有するが、中間生成物であるHFC-245ebの選択率が低く、副生成物の分離の困難性が高い。
【0008】
三、トリフルオロプロペン経路:
特許CN101979364Aには、3,3,3-トリフルオロプロペンを原料として採用して2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されており、反応は、(1)3,3,3-トリフルオロプロペンと塩素ガスとを光触媒下で付加反応させて1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロパンを生成し、原料転化率が95%に達し、選択率が90%に達するステップ、(2)1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロプロパンをアルカリ金属水酸化物の作用下で液相脱塩化水素反応させて2-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233xf)を生成し、転化率及び選択率がいずれも90%に達するステップ、(3)HCFO-1233xfとHFとを付加反応させて2-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパン(HCFC-244bb)を生成し、触媒がSnCl、TiCl、フルオロスルホン酸であり、原料転化率が95%に達し、選択率が90~96%であるステップ、(4)HCFC-244bbをアルカリ金属触媒の作用下で液相脱塩化水素反応させて目的生成物であるCFCF=CHを製造して獲得し、原料転化率が95%であり、選択率が90~95%であるステップ、という4重ステップに分けられて行われる。当該プロセスは、合成経路が長く、一番目のステップの塩素化反応の設備に対する要求が高く、2重ステップの脱ハロゲン化反応は廃液が多く生成され、反応の総収率が低く、合成コストが高い。
【0009】
四、他の経路:
旭硝子特許WO2011162341Aには、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(CFO-1214ya)を原料とし、パラジウム触媒の作用下で水素化還元により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法が開示されている。しかし当該方法は水素化還元反応程度の制御が難しく、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HCFO-1224yd)、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロパン(HCFC-244eb)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロパン(HFC-254eb)などの中間体や過度に還元された生成物を生成しやすく、生成物の選択率が低く、後処理操作が煩雑であり、且つ副生成物であるHFC-254ebがアルカリ洗浄処理過程においてさらに脱フッ化水素反応を起こしてHFO-1234yfと沸点の近い3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)を生成しやすく、さらに不純物分離の困難性を増加させる。触媒床層の反応温度及びアルカリ洗浄吸収温度を制御することにより上記問題を改善することができるが、改善の程度が明らかではなく、またプロセス条件の制御困難性が高く、産業化拡大に適しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、プロセスがシンプルで、反応条件が温和で、生成物の選択率が高く、産業化生産に適した2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、以下の技術案によって実現される。
【0012】
第1態様によれば、本発明は、2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法を提供し、前記方法は、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱塩化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを活性炭の触媒作用下で脱塩化水素して2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップと、を含む。
【0013】
本発明の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する反応式は、以下のとおりである。
【0014】
【化1】
【0015】
本発明の前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である。好ましくは、前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlCl、AlF、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、前記Lewis酸触媒は、ZrCl又はHfClである。
【0016】
本発明の原料のモノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのテロメル化反応は、加圧条件下で行われ、原料のモノフルオロモノクロロメタンは、反応条件下で、一部又は全部が液体を形成する。加えて、テロメル化反応により生成された3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが液体であるため、本発明のA1ステップは、好ましくは無溶媒反応を採用し、中間体及び/又は製品の分離ステップを減らす。
【0017】
本発明の前記テロメル化触媒は、単一のLewis酸触媒を採用してもよいし、Lewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒を採用してもよい。混合触媒を採用する場合、Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンを解離活性化し、F、CHCl、Cl、CHなどのイオンを形成し、ジクロロメタンは、解離して形成されたF、CHCl、Cl、CHなどのイオンの再結合を抑制し、それによりF、CHClイオンとトリフルオロエチレンとの指向性テロメル化反応を確保し、テロメル化生成物CFCHFCHClを高選択率で得る。
【0018】
化学反応において、原料間の配合比、原料と触媒との配合比、反応温度、反応時間などは反応結果に影響を与え、特に多変量の結合は、反応結果に大きな影響を与える。
【0019】
本発明の前記テロメル化ステップにおいて、モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル比は、1:0.1~1:10であり、より好ましくは、モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル比は、1:1~1:5である。前記Lewis酸触媒の使用量は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01~50wt%であり、より好ましくは、Lewis酸触媒の使用量は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.1~10wt%である。Lewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒を採用する場合、ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10であり、より好ましくは、ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.1~1:5である。
【0020】
本発明の前記テロメル化ステップは、加圧条件下で行われ、反応温度が-30~100℃であり、反応圧力が0.5~5.0MPaであり、反応時間が1~50hである。より好ましくは、反応温度が0~50℃であり、反応圧力が0.8~3.0MPaであり、反応時間が5~10hである。
【0021】
本発明の前記脱塩化水素ステップは、活性炭の触媒作用下で行われ、前記活性炭は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれ、好ましくは果殻系活性炭である。
【0022】
脱塩化水素ステップは、反応温度が200~500℃であり、好ましくは反応温度が300~350℃である。
【0023】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製品純度をさらに向上させ、後処理の困難性を低減させるために、テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱塩化水素ステップに用いる。
【0024】
第2態様によれば、本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、前記併産製造方法は、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱離ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを貴金属担持活性炭触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップであって、前記貴金属担持活性炭触媒は、Pd/AC、Pt/ACのうちの少なくとも1種であるステップと、を含む。
【0025】
本発明の併産製造プロセスの反応式は、以下のとおりである。
【0026】
【化2】
【0027】
本発明の前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である。好ましくは、前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlF、AlCl、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、前記Lewis酸触媒は、ZrCl又はHfClである。
【0028】
本発明の原料のモノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのテロメル化反応は、加圧条件下で行われ、原料のモノフルオロモノクロロメタンは、反応条件下で、一部又は全部が液体を形成する。加えて、テロメル化反応により生成された3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが液体であるため、本発明のA1ステップは、好ましくは無溶媒反応を採用し、中間体及び/又は製品の分離ステップを減らす。
【0029】
本発明の前記テロメル化触媒は、単一のLewis酸触媒を採用してもよいし、Lewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒を採用してもよい。混合触媒を採用する場合、Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンを解離活性化し、F、CHCl、Cl、CHなどのイオンを形成し、ジクロロメタンは、解離して形成されたF、CHCl、Cl、CHなどのイオンの再結合を抑制し、それによりF、CHClイオンとトリフルオロエチレンとの指向性テロメル化反応を確保し、テロメル化生成物CFCHFCHClを高選択率で得る。
【0030】
化学反応において、原料間の配合比、原料と触媒との配合比、反応温度、反応時間などは反応結果に影響を与え、特に多変量の結合は、反応結果に大きな影響を与える。
【0031】
本発明の前記テロメル化ステップにおいて、モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル比は、1:0.1~1:10であり、より好ましくは、モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル比は、1:1~1:5である。前記Lewis酸触媒の使用量は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01~50wt%であり、より好ましくは、Lewis酸触媒の使用量は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.1~10wt%である。Lewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒を採用する場合、ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10であり、より好ましくは、ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.1~1:5である。
【0032】
本発明の前記テロメル化ステップは、加圧条件下で行われ、反応温度が-30~100℃であり、反応圧力が0.5~5.0MPaであり、反応時間が1~50hである。より好ましくは、反応温度が0~50℃であり、反応圧力が0.8~3.0MPaであり、反応時間が5~10hである。
【0033】
本発明の前記脱離ステップは、貴金属担持活性炭触媒の作用下で、原料の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが活性炭上に吸着すると、脱塩化水素反応が起こり、原料の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが活性炭上の貴金属サイトに吸着すると、脱水素反応が起こり、それにより2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンが同時に得られる。
【0034】
前記貴金属担持活性炭触媒は、本発明の前記貴金属担持活性炭触媒を得ることができる限り、常法により製造することができる。好ましくは、本発明は、含浸法を採用して製造し、
B1.担体前処理:活性炭を90~120℃で12h以上乾燥処理するステップと、
B2.金属塩含浸:Pd又はPtの可溶性塩溶液を採用して真空又は常圧条件下で前処理した活性炭を含浸するステップと、
B3.含浸後の活性炭を乾燥処理するステップであって、乾燥温度が90~120℃で、乾燥時間が12h以上であるステップと、
B4.乾燥処理後の活性炭を水素窒素混合ガスで還元処理して前記貴金属担持活性炭触媒を得るステップであって、前記水素窒素混合ガス中の水素ガスの体積比が5~50%であり、還元温度が150~300℃であるステップと、を含む。
【0035】
前記貴金属担持活性炭触媒において、Pd、Ptの担持量が0.1~5.0wt%であり、好ましくは担持量が0.5~1.5wt%である。
【0036】
本発明の前記脱離ステップは、気固相反応であり、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱離反応を行い、前記脱離反応の原料体積空間速度が50~300h-1であり、N/3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積比が(0.5~3.0):1であり、好ましくは体積比が(1.5~2.0):1である。
【0037】
本発明の前記脱離ステップは、反応温度が300~600℃であり、好ましくは反応温度が400~450℃である。
【0038】
貴金属担持活性炭触媒製造プロセス、触媒中の貴金属担持量及び反応条件の調整により、A2脱離ステップの生成物分布を一定の範囲内で調節することができる。一般に、A2脱離ステップにより30~90%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~50%の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを獲得し、好ましくは、脱離ステップの生成物には、50~60%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び30~50%の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを含有し、残りが1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンのような副生成物である。
【0039】
後処理の困難性をさらに低減させるために、テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱離ステップに用いる。
【0040】
第3態様によれば、本発明は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法をさらに提供し、前記併産製造方法は、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱ハロゲン化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを複合型脱ハロゲン化触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱フッ化水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得るステップであって、前記複合型脱ハロゲン化触媒は、Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物と活性炭粉末とから製造されるステップと、を含む。
【0041】
前記Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物は、Al、AlF、MgF及びCrのうちより選ばれる少なくとも1種であり、前記活性炭粉末は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれる。
【0042】
本発明の併産製造プロセスの反応式は、以下のとおりである。
【0043】
【化3】
【0044】
本発明の前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である。好ましくは、前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlF、AlCl、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である。より好ましくは、前記Lewis酸触媒は、ZrCl又はHfClである。
【0045】
本発明の原料のモノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのテロメル化反応は、加圧条件下で行われ、原料のモノフルオロモノクロロメタンは、反応条件下で、一部又は全部が液体を形成する。加えて、テロメル化反応により生成された3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが液体であるため、本発明のA1ステップは、好ましくは無溶媒反応を採用し、中間体及び/又は製品の分離ステップを減らす。
【0046】
本発明の前記テロメル化触媒は、単一のLewis酸触媒を採用してもよいし、Lewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒を採用してもよい。混合触媒を採用する場合、Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンを解離活性化し、F、CHCl、Cl、CHなどのイオンを形成し、ジクロロメタンは、解離して形成されたF、CHCl、Cl、CHなどのイオンの再結合を抑制し、それによりF、CHClイオンとトリフルオロエチレンとの指向性テロメル化反応を確保し、テロメル化生成物CFCHFCHClを高選択率で得る。
【0047】
化学反応において、原料間の配合比、原料と触媒との配合比、反応温度、反応時間などは反応結果に影響を与え、特に多変量の結合は、反応結果に大きな影響を与える。
【0048】
本発明の前記テロメル化ステップにおいて、モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル比は、1:0.1~1:10であり、より好ましくは、モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル比は、1:1~1:5である。前記Lewis酸触媒の使用量は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01~50wt%であり、より好ましくは、Lewis酸触媒の使用量は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.1~10wt%である。Lewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒を採用する場合、ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10であり、より好ましくは、ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.1~1:5である。
【0049】
本発明の前記テロメル化ステップは、加圧条件下で行われ、反応温度が-30~100℃であり、反応圧力が0.5~5.0MPaであり、反応時間が1~50hである。より好ましくは、反応温度が0~50℃であり、反応圧力が0.8~3.0MPaであり、反応時間が5~10hである。
【0050】
本発明の前記脱ハロゲン化水素ステップは、複合型脱ハロゲン化触媒の作用下で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが活性炭上に吸着すると、脱塩化水素反応が起こり、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンがAl及び/又はAlF及び/又はMgF及び/又はCr上に吸着すると、脱フッ化水素反応が起こり、それにより2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが同時に得られる。
【0051】
本発明の前記複合型脱ハロゲン化触媒は、本発明の前記複合型脱ハロゲン化触媒を得ることができる限り、常法により製造することができる。好ましくは、共混合法を採用して製造し、
B1.混合:Al及び/又はAlF及び/又はMgF及び/又はCrと活性炭粉末とを(0.01~0.25):1の質量比で配合して機械的撹拌又はボールミルの方式で十分に混合するステップと、
B2.篩い分け:混合物質を篩い分け処理し、混合の不均一部分を取り除くステップと、
B3.成型:篩い分け後の物質を打錠機に送って打錠成型するステップと、
B4.成型後の触媒を乾燥処理し、前記複合型脱ハロゲン化触媒、例えばAl3-AC、AlF-AC、MgF-AC及びCr-ACなどの触媒を製造して得るステップと、を含む。
【0052】
前記B3成型ステップは、柱状、シート状などの形状にすることができ、具体的な形状に制限はない。
【0053】
前記B4ステップにおける乾燥処理は、一般的に90℃~120℃で12h以上処理する。
【0054】
本発明の前記複合型脱ハロゲン化触媒は、Alを活性炭粉末と共混合する場合、Alの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、AlFを活性炭粉末と共混合する場合、AlFの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、MgFを活性炭と共混合する場合、MgFの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、Crを活性炭と共混合する場合、Crの含有量が触媒全量の1.0~20wt%である。
【0055】
本発明の前記脱ハロゲン化水素ステップは、気固相反応であり、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱ハロゲン化水素反応を行い、脱ハロゲン化水素反応の原料体積空間速度が50~300h-1であり、N/3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積比が(0.5~3.0):1であり、好ましくは体積比が(1.5~2.0):1である。
【0056】
本発明の前記脱ハロゲン化水素ステップの反応温度が300~500℃であり、好ましくは反応温度が350~450℃である。
【0057】
複合型脱ハロゲン化触媒の製造プロセス、触媒中の活性成分含有量及び反応条件の調整により、脱ハロゲン化水素ステップの生成物分布を一定の範囲内で調節することができる。一般に、脱ハロゲン化水素ステップにより10~50%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~70%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを獲得し、好ましくは、脱離ステップの生成物には、20~40%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び30~60%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを含有し、残りが未知の副生成物である。
【0058】
後処理の困難性をさらに低減させるために、テロメル化ステップで得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱ハロゲン化水素ステップに用いる。
【発明の効果】
【0059】
従来技術に比べて、本発明が有する有益な効果は、以下のとおりである。
【0060】
本発明は、モノフルオロモノクロロメタン及びトリフルオロエチレンを原料として採用し、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒の作用下で、加圧テロメル化により3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを得る。3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンから、活性炭触媒作用下で2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造して得るか、又は、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを、貴金属担持活性炭触媒の触媒作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱水素反応させ、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを併産して得るか、又は、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを、複合型脱ハロゲン化触媒の触媒作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱フッ化水素反応させ、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを併産して得る。本発明の提供する2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造して得る3種類の方法は、プロセスがシンプルで、反応条件が温和で、テロメル化生成物及び目的生成物の選択率が高いなどの利点を有し、産業化拡大に適する。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、具体的な実施例に基づいて本発明をさらに説明するが、本発明は、これらの具体的な実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、本発明が特許請求の範囲に含まれ得る全ての代替方案、改良方案、及び均等方案を包含することを認識すべきである。
【0062】
本発明の実施例の第1態様によれば、2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法を提供する。
【0063】
(実施例1.1)
本実施例は、2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法を提供し、テロメル化ステップと、脱塩化水素ステップと、を含み、具体的には以下のとおりである。
【0064】
一、テロメル化ステップ
A1.容積250mLのInconel合金材質のオートクレーブを反応器として採用し、3.0gのHfCl及び20.0gのジクロロメタンをそれぞれ反応釜に入れ、反応釜を密封した後に1.0MPaの窒素ガスを流して反応釜内の空気を置換し、3回繰り返し、
A2.反応釜内の空気置換が完了した後にモノフルオロモノクロロメタン19.9g(0.29mol)及びトリフルオロエチレン24.6g(0.30mol)を相次いで流し、
A3.反応温度を10℃、撹拌速度を300rpm、反応初期圧力を0.9MPaに設定し、反応の進行に伴って圧力を徐々に低下させ、反応時間を10hに設定し、
A4.反応が終了し、未反応の気相原料のトリフルオロエチレン及び/又はモノフルオロモノクロロメタン、及び少量のテロメル化生成物及びジクロロメタンを収集し、反応釜内の物質に濾過又は蒸留などの固液分離処理を行い、固形分がLewis酸触媒(HfCl)であり、液相物質がジクロロメタン及びテロメル化生成物であり、精留分離により純度99.9%の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを獲得し、脱塩化水素反応に用いた。
【0065】
未反応の気相原料、分離したLewis酸触媒は、テロメル化ステップに戻して再利用することができる。
【0066】
気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が76.5%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が81.2%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が15.3%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0067】
二、脱塩化水素ステップ
B1.内径19mm、長さ800mmのInconel合金材質の反応管を固定床反応器として採用し、体積20mL、粒度10~20メッシュのヤシ殻型活性炭を固定床反応器中部に充填し、反応ラインに接続し、窒素ガスを流してパージし、窒素ガス流量を100mL/minとし、
B2.反応温度を350℃、昇温速度を5℃/minに設定し、反応炉の昇温を開始し、
B3.触媒床層が反応温度に達した後に窒素ガス流量を20mL/minに調整し、同時に純度99.9%の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを5.0g/hの速度で固定床反応器に連続的に流し、反応を開始し、
B4.反応器から流出したガス混合物をオンラインでGC及びGC/MS分析したところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が99.6%であり、生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの選択率が99.3%であった。
【0068】
(実施例1.2)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、HfClの代わりにZrClを採用し、使用量が4.0gであり、モノフルオロモノクロロメタンの使用量を39.7g(0.58mol)に増加し、トリフルオロエチレンの使用量を71.3g(0.87mol)に増加するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0069】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.0%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が89.9%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が5.3%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0070】
(実施例1.3)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.2と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、ジクロロメタンを採用せず、且つトリフルオロエチレンの使用量を95.1g(1.16mol)に増加し、同時に反応温度を30℃に増加し、初期反応圧力を1.5MPaに増加するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0071】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.5%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が88.1%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が4.1%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0072】
(実施例1.4)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.2と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、ZrClの代わりにAlClを採用し、使用量が変わらず、同様に4.0gであり、同時にジクロロメタンを採用せず、且つトリフルオロエチレンの使用量を52.5g(0.64mol)に減少するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0073】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.6%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が75.5%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が15.9%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0074】
(実施例1.5)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、テロメル化ステップのA2ステップにおいて、オートクレーブにモノフルオロモノクロロメタン及びトリフルオロエチレンを相次いで流した後、高純度の高圧窒素ガスを採用してオートクレーブを加圧処理し、オートクレーブ内の圧力を0.9MPaから3.0MPaに上昇させるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0075】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.8%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が88.6%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が7.6%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0076】
(実施例1.6)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、脱塩化水素ステップにおいて、ヤシ殻系活性炭の代わりに10~20メッシュの石炭質系活性炭を採用するという点のみで相異する。
【0077】
脱塩化水素生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が99.2%であり、生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの選択率が95.1%に達した。
【0078】
(実施例1.7)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、脱塩化水素ステップにおいて、反応温度を300℃に低下させるという点のみで相異する。
【0079】
脱塩化水素のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が75.8%であり、生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの選択率が99.2%であった。
【0080】
(実施例1.8)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、脱塩化水素ステップにおいて、反応温度を320℃に低下させるという点のみで相異する。
【0081】
脱塩化水素生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が86.9%であり、生成物である2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの選択率が99.1%であった。
【0082】
(比較例1.1)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、ジクロロメタンの代わりにトリクロロメタンを採用し、使用量が20.0gであるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0083】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が86.9%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が46.2%であり、大量のモノフルオロモノクロロメタンの不均化生成物であるジクロロメタンが生成され、選択率が40.3%に達し、その他のテロメル化副生成物も少量あった。
【0084】
(比較例1.2)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、HfClの代わりにZnClを採用し、使用量が3.0gであるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0085】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が20.8%であり、目的生成物である3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが生成されなかった。
【0086】
(比較例1.3)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造方法を提供し、操作が実施例1.1と同じであるが、HfCl及びジクロロメタンを加えないという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0087】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が7.7%であり、目的生成物である3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが生成されず、少量のモノフルオロモノクロロメタンの不均化生成物であるジクロロメタンのみが生成された。
【0088】
本発明の実施例の第2態様によれば、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供する。
【0089】
(製造例2.1)
6.0mLのクロロパラジウム酸溶液(濃度0.033gPd/mL)に、80.0mLの蒸留水を加えて均一に希釈し、前処理(120℃で12h乾燥する。)した活性炭20.0gに、上記の含浸液を加え、12h以上含浸し、そして120℃で12h乾燥し、cat2.1と記された1%wt. Pd/AC触媒を得た。
【0090】
(製造例2.2)
9.2mLのクロロパラジウム酸溶液(濃度0.033g Pd/mL)に、80.0mLの蒸留水を加えて均一に希釈し、前処理(120℃で12h乾燥する。)した活性炭20.0gに、上記の含浸液を加え、12h以上含浸し、そして120℃で12h乾燥し、cat2.2と記された1.5wt.%Pd/AC触媒を得た。
【0091】
(製造例2.3)
0.35gのPtClを、80.0mLの蒸留水に溶解し、前処理(120℃で12h乾燥する。)した活性炭20.0gに、上記の含浸液を加え、12h以上含浸し、そして120℃で12h乾燥し、cat2.3と記された1wt.%Pt/AC触媒を得た。
【0092】
(製造例2.4)
0.52gのPtClを、80.0mL蒸留水に溶解し、前処理(120℃で12h乾燥する。)した活性炭20.0gに、上記の含浸液を加え、12h以上含浸し、そして120℃で12h乾燥し、cat2.4と記された1.5wt.%Pt/AC触媒を得た。
【0093】
(実施例2.1)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、テロメル化ステップと、脱離ステップと、を含み、具体的には以下のとおりである。
【0094】
一、テロメル化ステップ
A1.容積250mLのInconel合金材質のオートクレーブを反応器として採用し、3.0gのHfCl及び20.0gのジクロロメタンをそれぞれ反応釜に入れ、反応釜を密封した後に1.0MPa以上の窒素ガスを流して反応釜内の空気を置換し、3回繰り返し、
A2.反応釜内の空気置換が完了した後にモノフルオロモノクロロメタン19.9g(0.29mol)及びトリフルオロエチレン24.6g(0.30mol)を相次いで流し、
A3.反応温度を10℃、撹拌速度を300rpm、反応初期圧力を0.9MPaに設定し、反応の進行に伴って圧力を徐々に低下させ、反応時間を10hに設定し、
A4.反応が終了し、未反応の気相原料のトリフルオロエチレン及び/又はモノフルオロモノクロロメタン、及び少量のテロメル化生成物及びジクロロメタンを収集し、反応釜内の物質に濾過又は蒸留などの固液分離処理を行い、固形分がLewis酸触媒(HfCl)であり、液相物質がジクロロメタン及びテロメル化生成物であり、精留分離により純度99.9%の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを獲得し、脱離ステップに用いた。
【0095】
未反応の気相原料、分離したLewis酸触媒は、テロメル化ステップに戻して再利用することができる。
【0096】
気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が76.5%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が81.2%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が15.3%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0097】
二、脱離ステップ
B1.内径19mm、長さ800mmのInconel合金材質の反応管を固定床反応器として採用し、体積20mLのcat2.1を固定床反応器中部に充填し、反応ラインに接続し、窒素ガスを流してパージし、窒素ガス流量を100mL/minとし、
B2.反応温度を450℃、昇温速度を5℃/minに設定し、反応炉の昇温を開始し、
B3.触媒床層が反応温度に達した後に窒素ガス流量を20mL/minに調整し、同時に蠕動ポンプを採用して純度99.9%の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを5.0g/hの速度で固定床反応器に連続的に流し、反応を開始し、
B4.反応器から流出したガス混合物を保温処理し、オンラインでGC及びGC/MS分析したところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が96.8%であり、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が56.3%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が31.4%であった。
【0098】
(実施例2.2)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、HfClの代わりにZrClを採用し、使用量が4.0gであり、モノフルオロモノクロロメタンの使用量を39.7g(0.58mol)に増加し、トリフルオロエチレンの使用量を71.3g(0.87mol)に増加するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0099】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.0%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が89.9%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が5.3%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0100】
(実施例2.3)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.2と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、ジクロロメタンを採用せず、且つトリフルオロエチレンの使用量を95.1g(1.16mol)に増加し、同時に反応温度を30℃に増加し、初期反応圧力を1.5MPaに増加するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0101】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.5%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が88.1%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が4.1%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0102】
(実施例2.4)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.2と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、ZrClの代わりにAlClを採用し、使用量が変わらず、同様に4gであり、同時にジクロロメタンを採用せず、且つトリフルオロエチレンの使用量を52.5g(0.64mol)に減少するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0103】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.6%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が75.5%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が15.9%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0104】
(実施例2.5)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、テロメル化ステップのA2ステップにおいて、オートクレーブに事前にモノフルオロモノクロロメタン及びトリフルオロエチレンを流し、高純度の高圧窒素ガスを採用してオートクレーブを加圧処理し、オートクレーブ内の圧力を0.9MPaから3.0MPaに上昇させるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0105】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.8%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が88.6%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が7.6%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0106】
(実施例2.6)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、脱離ステップにおいて、cat2.1の代わりにcat2.3を採用するという点のみで相異する。
【0107】
脱離反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が89.3%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が90.3%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が7.7%であった。
【0108】
(実施例2.7)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、脱離ステップにおいて、cat2.1の使用量を40mLに増加するという点のみで相異する。
【0109】
脱離反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が95.8%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が65.7%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が26.8%であった。
【0110】
(実施例2.8)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、脱離ステップにおいて、cat2.1の代わりにcat2.2を採用するという点のみで相異する。
【0111】
脱離反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が70.1%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が39.2%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が28.5%であった。
【0112】
(実施例2.9)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、脱離ステップにおいて、反応温度が400℃であるという点のみで相異する。
【0113】
脱離反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が96.7%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が85.2%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が10.3%であった。
【0114】
(比較例2.1)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、ジクロロメタンの代わりにトリクロロメタンを採用し、使用量が20.0gであるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0115】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が86.9%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が46.2%であり、大量のモノフルオロモノクロロメタンの不均化生成物であるジクロロメタンが生成され、選択率が40.3%に達し、その他のテロメル化副生成物も少量あった。
【0116】
(比較例2.2)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、HfClの代わりにZnClを採用し、使用量が3.0gであるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0117】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が20.8%であり、目的生成物である3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが生成されなかった。
【0118】
(比較例2.3)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、HfCl及びジクロロメタンを加えないという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0119】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が7.7%であり、目的生成物である3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが生成されず、少量のモノフルオロモノクロロメタンの不均化生成物であるジクロロメタンのみが生成された。
【0120】
(比較例2.4)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、脱離ステップにおいて、cat2.1の代わりに前処理後(120℃で12h乾燥する。)の活性炭を採用するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0121】
脱離反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が99.7%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が99.0%であり、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンが生成されなかった。
【0122】
(比較例2.5)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例2.1と同じであるが、cat2.1の代わりにAlを採用するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0123】
脱離反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が50.1%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が3.1%で、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの含有量が62.2%であり、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンが生成されなかった。
【0124】
本発明の実施例の第3態様によれば、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供する。
【0125】
(製造例3.1)
本製造例は、Crと活性炭粉末の共混合触媒Cr-ACを製造し、製造ステップは、
S1.Crとヤシ殻系活性炭粉末とを質量配合比1/9で配合し、且つ配合材料をボールミルに入れてボールミル混合し、各成分を均一に分散させるステップと、
S2.混合後の物質を篩い分け、混合の不均一部分を取り除くステップと、
S3.篩い分け後の物質を打錠機に送って打錠成型し、柱状型触媒を製造するステップと、
S4.成型後の触媒を120℃で12h乾燥処理し、cat3.1と記されたCr-AC触媒を製造して得るステップと、を含む。
【0126】
(製造例3.2)
本製造例の操作が製造例3.1と同じであるが、Crの代わりにAlFを採用し、cat3.2と記されたAlF3-AC触媒を製造して得るという点のみで相異する。
【0127】
(製造例3.3)
本製造例の操作が製造例3.1と同じであるが、Crと活性炭との質量配合比を1/4に変更し、cat3.3と記されたCr-AC触媒を製造して得るという点のみで相異する。
【0128】
(実施例3.1)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、テロメル化ステップと、脱ハロゲン化水素ステップと、を含み、具体的には以下のとおりである。
【0129】
一、テロメル化ステップ
A1.容積250mLのInconel合金材質のオートクレーブを反応器として採用し、3.0gのHfCl及び20.0gのジクロロメタンをそれぞれ反応釜に入れ、反応釜を密封した後に1.0MPa以上の窒素ガスを流して反応釜内の空気を置換し、3回繰り返し、
A2.反応釜内の空気置換が完了した後にモノフルオロモノクロロメタン19.9g(0.29mol)及びトリフルオロエチレン24.6g(0.30mol)を相次いで流し、
A3.反応温度を10℃、撹拌速度を300rpm、反応初期圧力を0.9MPaに設定し、反応の進行に伴って圧力を徐々に低下させ、反応時間を10hに設定し、
A4.反応が終了し、未反応の気相原料のトリフルオロエチレン及び/又はモノフルオロモノクロロメタン、及び少量のテロメル化生成物及びジクロロメタンを収集し、反応釜内の物質に濾過又は蒸留などの固液分離処理を行い、固形分がLewis酸触媒(HfCl)であり、液相物質がジクロロメタン及びテロメル化生成物であり、精留分離により純度99.9%の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを獲得し、脱ハロゲン化水素ステップに用いた。
【0130】
未反応の気相原料、分離したLewis酸触媒は、テロメル化ステップに戻して再利用することができる。
【0131】
気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が76.5%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が81.2%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が15.3%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0132】
二、脱ハロゲン化水素ステップ
B1.内径19mm、長さ800mmのInconel合金材質の反応管を固定床反応器として採用し、体積20mLのcat3.1を固定床反応器中部に充填し、反応ラインに接続し、窒素ガスを流してパージし、窒素ガス流量を100mL/minとし、
B2.反応温度を350℃、昇温速度を5℃/minに設定し、反応炉の昇温を開始し、
B3.触媒床層が反応温度に達した後に窒素ガス流量を20mL/minに調整し、同時に純度99.9%の3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを5.0g/hの速度で固定床反応器に連続的に流し、反応を開始し、
B4.反応器から流出したガス混合物を保温処理し、オンラインでGC及びGC/MS分析したところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が88.7%に達し、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が24.1%に達し、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの含有量が58.7%に達した。
【0133】
(実施例3.2)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、HfClの代わりにZrClを採用し、使用量が4.0gであり、モノフルオロモノクロロメタンの使用量を39.7g(0.58mol)に増加し、トリフルオロエチレンの使用量を71.3g(0.87mol)に増加するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0134】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.0%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が89.9%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が5.3%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0135】
(実施例3.3)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.2と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、ジクロロメタンを採用せず、且つトリフルオロエチレンの使用量を95.1g(1.16mol)に増加し、同時に反応温度を30℃に増加し、初期反応圧力を1.5MPaに増加するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0136】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.5%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が88.1%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が4.1%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0137】
(実施例3.4)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.2と同じであるが、テロメル化ステップにおいて、ZrClの代わりにAlClを採用し、使用量が変わらず、同様に4.0gであり、同時にジクロロメタンを採用せず、且つトリフルオロエチレンの使用量を52.5g(0.64mol)に減少するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0138】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.6%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が75.5%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が15.9%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0139】
(実施例3.5)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、テロメル化ステップのA2ステップにおいて、オートクレーブにモノフルオロモノクロロメタン及びトリフルオロエチレンを順次流した後、高純度の高圧窒素ガスを採用してオートクレーブを加圧処理し、オートクレーブ内の圧力を0.9MPaから3.0MPaに上昇させるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0140】
テロメル化ステップの気相及び液相物質をガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が99.8%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が88.6%で、主な副生成物が1-クロロ-1,1,2,3-テトラフルオロプロパンで、選択率が7.6%であり、その他の副生成物も少量あった。
【0141】
(実施例3.6)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、脱ハロゲン化水素ステップにおいて、cat3.1の代わりにcat3.2を採用するという点のみで相異する。
【0142】
脱ハロゲン化水素反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が92.9%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が20.3%で、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの含有量が58.7%であった。
【0143】
(実施例3.7)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、脱ハロゲン化水素ステップにおいて、cat3.1の使用量を40mLに増加するという点のみで相異する。
【0144】
脱ハロゲン化水素反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が95.9%を超え、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が16.1%で、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの含有量が44.6%であった。
【0145】
(実施例3.8)
本実施例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、脱ハロゲン化水素ステップにおいて、反応温度が450℃であるという点のみで相異する。
【0146】
脱ハロゲン化水素反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が98.3%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が15.9%で、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンの含有量が60.0%であった。
【0147】
(比較例3.1)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、ジクロロメタンの代わりにトリクロロメタンを採用し、使用量が20gであるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0148】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が86.9%で、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの選択率が46.1%であり、大量のモノフルオロモノクロロメタンの不均化生成物であるジクロロメタンが生成され、選択率が40.3%に達し、その他のテロメル化副生成物も少量あった。
【0149】
(比較例3.2)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、HfClの代わりにZnClを採用し、使用量が3.0gであるという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0150】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が20.8%であり、目的生成物である3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが生成されなかった。
【0151】
(比較例3.3)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、HfCl及びジクロロメタンを加えないという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0152】
テロメル化ステップ反応後の物質のクロマトグラフィー分析を行ったところ、モノフルオロモノクロロメタンの転化率が7.6%であり、目的生成物である3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンが生成されず、少量のモノフルオロモノクロロメタンの不均化生成物ジクロロメタンのみが生成された。
【0153】
(比較例3.4)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、脱ハロゲン化水素ステップにおいて、cat3.1の代わりに前処理後(120℃で12h乾燥する。)のヤシ殻系活性炭を採用するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0154】
脱ハロゲン化水素反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が99.7%を超え、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が99.0%であり、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが生成されなかった。
【0155】
(比較例3.5)
本比較例は、2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法を提供し、操作が実施例3.1と同じであるが、cat3.1の代わりにPd/AC触媒(Pd担持量が1wt%である。)を採用するという点のみで相異し、その他の条件は変更しない。
【0156】
脱ハロゲン化水素反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が83.5%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が96.4%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が1.3%で、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが生成されなかった。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であり、前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ステップと、
A2.脱塩化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを活性炭の触媒作用下で脱塩化水素して2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップであって、前記活性炭は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれるステップと、を含む、ことを特徴とする2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項2】
前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlCl、AlF、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項3】
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10であり、
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01wt%~50wt%であり、
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10であり、
前記加圧テロメル化反応は、-30℃~100℃温度及び0.5MPa~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1h~50hである、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項4】
前記脱塩化水素ステップは、反応温度が200℃~500℃であり、
テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱塩化水素ステップに用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
【請求項5】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であり、前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物であるステップと、
A2.脱離ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを貴金属担持活性炭触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップであって、前記貴金属担持活性炭触媒は、Pd/AC、Pt/ACのうちの少なくとも1種であるステップと、を含
貴金属担持活性炭触媒において、Pd、Ptの担持量が0.1~5.0wt%であり、A2脱離ステップにより30~90%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~50%の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る、ことを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項6】
前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlF、AlCl、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項7】
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10であり、
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01wt%~50wt%であり、
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10であり、
前記加圧テロメル化反応は、-30~100℃温度及び0.5~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1~50hである、ことを特徴とする請求項に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項8】
前記貴金属担持活性炭触媒は、含浸法で製造され、
B1.担体前処理:活性炭を90~120℃で12h以上乾燥処理するステップと、
B2.金属塩含浸:Pd又はPtの可溶性塩溶液を採用して真空又は常圧条件下で前処理した活性炭を含浸するステップと、
B3.含浸後の活性炭を乾燥処理し、乾燥温度が90~120℃であり、乾燥時間が12h以上であるステップと、
B4.乾燥処理した活性炭を水素窒素混合ガスで還元処理して前記貴金属担持活性炭触媒を得るステップであって、前記水素窒素混合ガス中の水素ガスの体積比が5~50%であり、還元温度が150~300℃である、ことを特徴とする請求項に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項9】
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱離反応を行い、脱離反応の原料体積空間速度が50~300h-1であり、N/3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積比が(0.5~3.0):1であり、
前記脱離ステップは、反応温度が300~600℃であり、
テロメル化ステップで得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱離ステップに用いる、ことを特徴とする請求項に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項10】
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であり、前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物であるステップと、
A2.脱ハロゲン化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを複合型脱ハロゲン化触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱フッ化水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得るステップであって、前記複合型脱ハロゲン化触媒は、Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物と活性炭粉末とから製造され、前記活性炭粉末は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれるステップと、を含む、ことを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項11】
前記Lewis酸触媒は、ZrCl、HfCl、TiCl、AlF、AlCl、SbFのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項10に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項12】
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10であり、
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01~50wt%であり、
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10であり、
前記加圧テロメル化反応は、-30~100℃温度及び0.5~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1~50hである、ことを特徴とする請求項10に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項13】
前記Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物は、Al、AlF、MgF及びCrのうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする請求項10に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項14】
Alの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、AlFの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、MgFの含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、Crの含有量が触媒全量の1.0~20wt%である、ことを特徴とする請求項13に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項15】
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱ハロゲン化水素反応を行い、前記脱ハロゲン化水素反応の原料体積空間速度が50~300h-1であり、N/3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積配合比が(0.5~3.0):1であテロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱ハロゲン化水素ステップに用い、
前記脱ハロゲン化水素ステップは、反応温度が300~500℃であり、
脱ハロゲン化水素ステップにより10~50%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~70%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得る、ことを特徴とする請求項10に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【請求項16】
前記複合型脱ハロゲン化触媒は、共混合法で製造され、
B1.混合:Al及び/又はAlF及び/又はMgF及び/又はCrと活性炭粉末とを(0.01~0.25):1の質量比で配合して機械的撹拌又はボールミルの方式で十分に混合するステップと、
B2.篩い分け:混合物質を篩い分け処理し、混合の不均一部分を取り除くステップと、
B3.成型:篩い分け後の物質を打錠機に送って打錠成型するステップと、
B4.成型後の触媒を乾燥処理し、前記複合型脱ハロゲン化触媒を製造して得るステップと、を含む、ことを特徴とする請求項10に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0156
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0156】
脱ハロゲン化水素反応生成物のクロマトグラフィー分析を行ったところ、3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの転化率が83.5%で、生成物中の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が96.4%で、1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンの含有量が1.3%で、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンが生成されなかった。
本発明は、以下の態様を含む。
[項1]
2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱塩化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを活性炭の触媒作用下で脱塩化水素して2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップと、を含む、ことを特徴とする2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項2]
前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項3]
前記Lewis酸触媒は、ZrCl 、HfCl 、TiCl 、AlCl 、AlF 、SbF のうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする項2に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項4]
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10である、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項5]
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01wt%~50wt%である、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項6]
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10である、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項7]
前記加圧テロメル化反応は、-30℃~100℃温度及び0.5MPa~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1h~50hである、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項8]
前記活性炭は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれる、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項9]
前記脱塩化水素ステップは、反応温度が200℃~500℃である、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項10]
テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱塩化水素ステップに用いる、ことを特徴とする項1に記載の2重ステップ法により2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを製造する方法。
[項11]
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱離ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを貴金属担持活性炭触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得るステップであって、前記貴金属担持活性炭触媒は、Pd/AC、Pt/ACのうちの少なくとも1種であるステップと、を含む、ことを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項12]
前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項13]
前記Lewis酸触媒は、ZrCl 、HfCl 、TiCl 、AlF 、AlCl 、SbF のうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする項12に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項14]
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項15]
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01wt%~50wt%である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項16]
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項17]
前記加圧テロメル化反応は、-30~100℃温度及び0.5~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1~50hである、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項18]
前記貴金属担持活性炭触媒は、含浸法で製造され、
B1.担体前処理:活性炭を90~120℃で12h以上乾燥処理するステップと、
B2.金属塩含浸:Pd又はPtの可溶性塩溶液を採用して真空又は常圧条件下で前処理した活性炭を含浸するステップと、
B3.含浸後の活性炭を乾燥処理し、乾燥温度が90~120℃であり、乾燥時間が12h以上であるステップと、
B4.乾燥処理した活性炭を水素窒素混合ガスで還元処理して前記貴金属担持活性炭触媒を得るステップであって、前記水素窒素混合ガス中の水素ガスの体積比が5~50%であり、還元温度が150~300℃である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項19]
貴金属担持活性炭触媒において、Pd、Ptの担持量が0.1~5.0wt%であり、A2脱離ステップにより30~90%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~50%の1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンを得る、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項20]
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱離反応を行い、脱離反応の原料体積空間速度が50~300h -1 であり、N /3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積比が(0.5~3.0):1である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項21]
前記脱離ステップは、反応温度が300~600℃である、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項22]
テロメル化ステップで得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱離ステップに用いる、ことを特徴とする項11に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-2,3,3,3-テトラフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項23]
2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法であって、
A1.テロメル化ステップ:モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとをテロメル化触媒の作用下で加圧テロメル化反応させて3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを製造して得るステップであって、前記テロメル化触媒は、Lewis酸触媒又はLewis酸触媒とジクロロメタンとの混合触媒であるステップと、
A2.脱ハロゲン化水素ステップ:3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを複合型脱ハロゲン化触媒の作用下で、同時に脱塩化水素反応及び脱フッ化水素反応させて2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得るステップと、を含む、ことを特徴とする2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項24]
前記Lewis酸触媒は、Al、Sb、Ti、Zr、Hfのうちより選ばれる少なくとも1種のハロゲン化物である、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項25]
前記Lewis酸触媒は、ZrCl 、HfCl 、TiCl 、AlF 、AlCl 、SbF のうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする項24に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項26]
前記モノフルオロモノクロロメタンとトリフルオロエチレンとのモル配合比は、1:0.1~1:10である、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項27]
前記Lewis酸触媒は、モノフルオロモノクロロメタンの質量の0.01~50wt%である、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項28]
前記ジクロロメタンとモノフルオロモノクロロメタンとのモル配合比は、1:0.01~1:10である、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項29]
前記加圧テロメル化反応は、-30~100℃温度及び0.5~5.0MPa圧力下で行われ、反応時間が1~50hである、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項30]
前記複合型脱ハロゲン化触媒は、Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物と活性炭粉末とから製造される、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項31]
前記Al、Mg又はCrのうちの少なくとも1種の酸化物又はフッ化物は、Al 、AlF 、MgF 及びCr のうちより選ばれる少なくとも1種である、ことを特徴とする項30に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項32]
前記活性炭粉末は、果殻系活性炭、石炭質系活性炭又は木質系活性炭から選ばれる、ことを特徴とする項30に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項33]
Al の含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、AlF の含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、MgF の含有量が触媒全量の1.0~20wt%であり、Cr の含有量が触媒全量の1.0~20wt%である、ことを特徴とする項31に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項34]
3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを気化した後に窒素ガスにより触媒床層にロードして脱ハロゲン化水素反応を行い、前記脱ハロゲン化水素反応の原料体積空間速度が50~300h -1 であり、N /3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンの体積配合比が(0.5~3.0):1である、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項35]
脱ハロゲン化水素ステップにより10~50%の2,3,3,3-テトラフルオロプロペン及び10~70%の1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを得る、ことを特徴とする項23~34のいずれか一項に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項36]
前記複合型脱ハロゲン化触媒は、共混合法で製造され、
B1.混合:Al 及び/又はAlF 及び/又はMgF 及び/又はCr と活性炭粉末とを(0.01~0.25):1の質量比で配合して機械的撹拌又はボールミルの方式で十分に混合するステップと、
B2.篩い分け:混合物質を篩い分け処理し、混合の不均一部分を取り除くステップと、
B3.成型:篩い分け後の物質を打錠機に送って打錠成型するステップと、
B4.成型後の触媒を乾燥処理し、前記複合型脱ハロゲン化触媒を製造して得るステップと、を含む、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項37]
前記脱ハロゲン化水素ステップは、反応温度が300~500℃である、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
[項38]
テロメル化ステップにより得られた3-クロロ-1,1,1,2-テトラフルオロプロパンを精留分離した後に脱ハロゲン化水素ステップに用いる、ことを特徴とする項23に記載の2,3,3,3-テトラフルオロプロペンと1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンとの併産製造方法。
【国際調査報告】