(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ニードルとハウジング
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A61M5/32 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023564590
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2022060650
(87)【国際公開番号】W WO2022223755
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506324208
【氏名又は名称】ウノメディカル アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】オテル-ヤコブセン,エーリク
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF04
4C066KK19
(57)【要約】
挿入器アセンブリ(100)は、ベース(104)と、ニードル(204)と、ニードルを、実質的にベース内部にある後退位置から、ニードルの少なくとも一部がベースの外側に延びる延長位置まで選択的に移行させる内側部品(206)と、挿入角コンポーネントとを有する。挿入器アセンブリの内側部品が後退位置から延長位置に移行する際、ニードルは、挿入角コンポーネントによって少なくとも部分的に偏向される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
ニードルと、
ニードルを、実質的にベース内部にある後退位置から、ニードルの少なくとも一部がベースの外側に延びる延長位置まで選択的に移行させるように構成された内側部品と、
挿入角コンポーネントと、を備え、
内側部品が後退位置から延長位置に移行する際、ニードルは、挿入角コンポーネントによって少なくとも部分的に偏向される、挿入器アセンブリ。
【請求項2】
内側部品は、回転軸の周りに回転して、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項3】
内側部品は、ベースに回転軸の周りに回転可能に結合される、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項4】
内側部品は、ニードルに結合されており、回転軸の周りの内側部品の回転により、ニードルを回転軸の周りに移動させる、請求項3に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項5】
ニードルは、ベース内に適合するように弾性変形可能であり、ニードルが後退位置から延長位置に移行する際に、挿入角コンポーネントとの接触を通じて偏向する、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項6】
ニードルは、ベースの外側に延びる際に、ほぼ直線状の形状を維持する、請求項5に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項7】
ベース内に部分的に画定されたベース流体チャネルをさらに備える、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項8】
内側部品内に画定された内側流体チャネルをさらに備え、ベース流体チャネルは、内側流体チャネルに流体的に結合される、請求項7に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項9】
内側流体チャネルは、ニードル流体チャネルに流体的に結合され、回転軸の周りのベースに対する内側部品の回転角に関係なく、ベース流体チャネルからの流体が、内側部品の内側流体チャネルを通ってニードルのニードル流体チャネルの中に部分的に導かれる、請求項8に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項10】
ベース流体チャネルは、回転軸に少なくとも部分的に沿って内側流体チャネルに流体的に結合される、請求項8に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項11】
内側部品とベースとの間に位置決めされた円形シールをさらに備え、回転軸の周りのベースに対する内側部品の角度配向に関係なく、ベース流体チャネルと内側流体チャネルとの間の移行部を流体的に封止する、請求項10に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項12】
ニードルを後退位置から延長位置に移行させるのが選択可能な上部アセンブリをさらに備える、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項13】
上部アセンブリは、ドライバ、蓋、リリース機構、およびこれらの間に位置決めされたスプリングを備える、請求項12に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項14】
上部アセンブリが挿入器アセンブリに結合された場合、ドライバは、内側部品に回転可能に固定される、請求項13に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項15】
上部アセンブリは、ベースおよび内側部品から取り外し可能である、請求項14に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項16】
上部アセンブリは、負荷充填の構成を有し、
スプリングは、蓋に対してドライバに回転バイアスを印加し、リリース機構が解放された場合、ドライバは、回転軸の周りに蓋に対して回転し、それにより内側部品を回転させ、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる、請求項13に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項17】
ニードルは、延長位置にある場合、ベース流体チャネルからニードルの遠位先端に流体を配送するように構成される、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項18】
ベースは、流体を供給するためにニードルに流体的に結合されたベース流体チャネルを画定し、ベース流体チャネルは、流体配送デバイスに流体的に結合されるように構成される、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項19】
挿入角コンポーネントは、ベースから取り外し可能である、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項20】
複数の異なる挿入角コンポーネントがベースに結合可能であり、ベースに結合された特定の挿入角コンポーネントに基づいて、延長位置におけるニードルの選択可能な挿入角を提供する、請求項19に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項21】
挿入角コンポーネントは、延長位置におけるニードルの挿入角を変更するために移動可能である、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項22】
内側部品は、回転軸の周りに回転して、ニードルを延長位置から後退位置に後退させる、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項23】
ベースに対する内側部品の回転の程度は可変であり、延長位置におけるニードルの挿入深さを変更する、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項24】
挿入角コンポーネントは、ニードルをベースの表面に対して約30度の角度で傾斜させる、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項25】
ベース流体チャネル、内側流体チャネル、およびニードル流体チャネルのうちの1つ以上にフィルタをさらに備える、請求項9に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項26】
延長位置において、ニードルは、ベースから約3~4ミリメートル延びている、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項27】
回転アクチュエータが、ベースに対して内側部品を回転させて、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項28】
回転アクチュエータは、歯車に結合されて、内側部品を回転させる、請求項27に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項29】
内側部品に結合された第2ニードルをさらに備え、挿入器アセンブリを後退位置から延長位置に移行させることにより、第2ニードルの少なくとも一部をベースの外側に延ばす、請求項1に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項30】
ニードルおよび挿入器を収容するベースを備え、ニードルは、挿入器によって後退位置と延長位置との間で再配置可能であり、
ニードルの少なくとも一部が、後退位置では円弧状の配向を有し、延長位置ではほぼ直線状の配向を有する、挿入器アセンブリ。
【請求項31】
挿入器は、回転軸の周りに回転する内側部品を備え、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項32】
内側部品は、ベースに回転軸の周りに回転可能に結合される、請求項31に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項33】
内側部品は、ニードルに結合されており、回転軸の周りの内側部品の回転により、ニードルを回転軸の周りに移動させる、請求項32に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項34】
ニードルは、ベース内に適合して、ニードルが後退位置から延長位置に移行する際に偏向するように弾性変形可能である、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項35】
ニードルは、ベースの外側に延びる際に、ほぼ直線状の形状を維持する、請求項34に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項36】
ベース内に部分的に画定されたベース流体チャネルをさらに備える、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項37】
内側部品内に画定された内側流体チャネルをさらに備え、ベース流体チャネルは、内側流体チャネルに流体的に結合される、請求項36に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項38】
内側流体チャネルは、ニードル流体チャネルに流体的に結合され、回転軸の周りのベースに対する内側部品の回転角に関係なく、ベース流体チャネルからの流体が、内側部品の内側流体チャネルを通ってニードルのニードル流体チャネルの中に部分的に導かれる、請求項37に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項39】
ベース流体チャネルは、回転軸に少なくとも部分的に沿って内側流体チャネルに流体的に結合される、請求項37に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項40】
内側部品とベースとの間に位置決めされた円形シールをさらに備え、回転軸の周りのベースに対する内側部品の角度配向に関係なく、ベース流体チャネルと内側流体チャネルとの間の移行部を流体的に封止する、請求項39に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項41】
ニードルを後退位置から延長位置に移行させるのが選択可能な上部アセンブリをさらに備える、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項42】
上部アセンブリは、ドライバ、蓋、リリース機構、およびこれらの間に配置されたスプリングを備える、請求項41に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項43】
上部アセンブリが挿入器アセンブリに結合された場合、ドライバは、内側部品に回転可能に固定される、請求項42に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項44】
上部アセンブリは、ベースおよび内側部品から取り外し可能である、請求項43に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項45】
上部アセンブリは、負荷充填の構成を有し、
スプリングは、蓋に対してドライバに回転バイアスを印加し、リリース機構が解放された場合、ドライバは、回転軸の周りに蓋に対して回転し、それにより内側部品を回転させ、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる、請求項42に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項46】
ニードルは、延長位置にある場合、ベース流体チャネルからニードルの遠位先端に流体を配送するように構成される、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項47】
ベースは、流体を供給するためにニードルに流体的に結合されたベース流体チャネルを画定し、ベース流体チャネルは、流体配送デバイスに流体的に結合されるように構成される、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項48】
挿入角コンポーネントは、ベースから取り外し可能である、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項49】
複数の異なる挿入角コンポーネントがベースに結合可能であり、ベースに結合された特定の挿入角コンポーネントに基づいて、延長位置におけるニードルの選択可能な挿入角を提供する、請求項48に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項50】
延長位置におけるニードルの挿入角を変更するために移動可能である挿入角コンポーネントを備える、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項51】
回転軸の周りを回転して、ニードルを延長位置から後退位置に後退させる内側部品を備える、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項52】
ベースに対する内側部品の回転の程度は可変であり、延長位置におけるニードルの挿入深さを変更する、請求項51に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項53】
ニードルをベースの表面に対して約30度の角度で傾斜させる挿入角コンポーネントを備える、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項54】
ニードルに入る流体をフィルタ処理するように位置決めされたフィルタを備える、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項55】
延長位置において、ニードルは、ベースから約3~4ミリメートル延びている、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項56】
回転アクチュエータが、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項57】
回転アクチュエータは、歯車に結合されている、請求項56に記載の挿入器アセンブリ。
【請求項58】
第2ニードルを備え、
後退位置から延長位置への移行により、第2ニードルの少なくとも一部をベースの外側に延ばす、請求項30に記載の挿入器アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ニードルを挿入するための機構に関し、より詳細には、挿入プロセスの一部としてニードルを変形させる機構に関する。
【背景技術】
【0002】
挿入器機構は、ユーザへのニードルおよび/またはカニューレの挿入を容易にし、さらにユーザの体内に流体を分配したり、ユーザの身体から流体を除去するためにしばしば使用される。典型的には、ニードルは、挿入器機構の内部で後退位置に位置決めされ、ほぼ直線状の寸法を有する。挿入器は作動されると、ニードルがニードルの長手方向軸に沿ってユーザの軟組織内に軸方向に延びる。挿入されたニードルまたはカニューレは、典型的には、一定期間ユーザの体内に留まる。従って、ニードルおよび/またはカニューレが挿入された後、嵩張る挿入機構は、使用時の装置のサイズおよび重量を減らすためにしばしば取り外される。ニードルおよび/またはカニューレはユーザの中に挿入された後、それは、流体配送または保持装置に流体的にしばしば結合される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一実施形態は、ベースと、ニードルと、ニードルを、実質的にベース内部にある後退位置から、ニードルの少なくとも一部がベースの外側に延びる延長位置まで選択的に移行させるように構成された内側部品と、挿入角コンポーネントとを有する挿入器アセンブリである。この実施形態では、内側部品が後退位置から延長位置に移行する際、ニードルは、挿入角コンポーネントによって少なくとも部分的に偏向される。
【0004】
この実施形態の一例では、内側部品は、回転軸の周りを回転して、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる。他の例では、内側部品は、ベースに回転軸の周りに回転可能に結合される。この例の一部として、内側部品は、ニードルに結合されており、回転軸の周りの内側部品の回転により、ニードルを回転軸の周りに移動させる。
【0005】
この実施形態の他の例では、ニードルは、ベース内に適合するように弾性変形可能であり、ニードルが後退位置から延長位置に移行する際に、挿入角コンポーネントとの接触を通じて偏向する。この例の一部では、ニードルは、ベースの外側に延びる際に、ほぼ直線状の形状を維持する。
【0006】
さらに他の例は、ベース内に部分的に画定されたベース流体チャネルを含む。この例は、内側部品内に画定された内側流体チャネルをさらに備え、ベース流体チャネルは、内側流体チャネルに流体的に結合される。さらに、内側流体チャネルは、ニードル流体チャネルに流体的に結合され、回転軸の周りのベースに対する内側部品の回転角に関係なく、ベース流体チャネルからの流体が、内側部品の内側流体チャネルを通ってニードルのニードル流体チャネルの中に部分的に導かれる。この例の別の部分では、ベース流体チャネルは、回転軸に少なくとも部分的に沿って内側流体チャネルに流体的に結合される。この部分の一態様は、内側部品とベースとの間に位置決めされた円形シールをさらに備え、回転軸の周りのベースに対する内側部品の角度配向に関係なく、ベース流体チャネルと内側流体チャネルとの間の移行部を流体的に封止する。
【0007】
この実施形態のさらに他の例は、ニードルを後退位置から延長位置に移行させるのが選択可能な上部アセンブリを有する。この例の一部として、上部アセンブリは、ドライバ、蓋、リリース機構、およびこれらの間に位置決めされたスプリングを有する。上部アセンブリが挿入器アセンブリに結合された場合、ドライバは、内側部品に回転可能に固定される。さらに、上部アセンブリは、ベースおよび内側部品から取り外し可能である。この例の他の態様では、上部アセンブリは、負荷充填の構成を有し、スプリングは、蓋に対してドライバに回転バイアスを印加し、リリース機構が解放された場合、ドライバは、回転軸の周りに蓋に対して回転し、それにより内側部品を回転させ、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる。
【0008】
この実施形態の他の例では、ニードルは、延長位置にある場合、ベース流体チャネルからニードルの遠位先端に流体を配送するように構成される。さらに他の例では、ベースは、流体を供給するためにニードルに流体的に結合されたベース流体チャネルを画定し、ベース流体チャネルは、流体配送デバイスに流体的に結合されるように構成される。
【0009】
この実施形態のさらに他の例では、挿入角コンポーネントは、ベースから取り外し可能である。この例の一部分では、複数の異なる挿入角コンポーネントがベースに結合可能であり、ベースに結合された特定の挿入角コンポーネントに基づいて、延長位置におけるニードルの選択可能な挿入角を提供する。
【0010】
この実施形態の他の例では、挿入角コンポーネントは、延長位置におけるニードルの挿入角を変更するために移動可能である。他の例では、内側部品は、回転軸の周りに回転して、ニードルを延長位置から後退位置に後退させる。さらに他の例では、ベースに対する内側部品の回転の程度は可変であり、延長位置におけるニードルの挿入深さを変更する。
【0011】
この実施形態の一例では、挿入角コンポーネントは、ニードルをベースの表面に対して約30度の角度で傾斜させる。この例の一部は、ベース流体チャネル、内側流体チャネル、およびニードル流体チャネルのうちの1つ以上にフィルタを含む。
【0012】
他の例では、延長位置において、ニードルは、ベースから約3~4ミリメートル延びている。さらに他の例では、回転アクチュエータが、ベースに対して内側部品を回転させて、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる。この例の一部として、回転アクチュエータは、歯車に結合されて、内側部品を回転させる。
【0013】
この実施形態の他の例は、内側部品に結合された第2ニードルを含み、挿入器アセンブリを後退位置から延長位置に移行させることにより、第2ニードルの少なくとも一部をベースの外側に延ばす。
【0014】
本開示の他の実施形態は、ニードルおよび挿入器を収容するベースを有する挿入器アセンブリであり、ニードルは、挿入器によって後退位置と延長位置との間で再配置可能である。この実施形態では、ニードルの少なくとも一部が、後退位置では円弧状の配向を有し、延長位置ではほぼ直線状の配向を有する。
【0015】
この実施形態の一例では、挿入器は、回転軸の周りに回転する内側部品を備え、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる。この例の一部として、内側部品は、ベースに回転軸の周りに回転可能に結合される。さらに、内側部品は、ニードルに結合されており、回転軸の周りの内側部品の回転により、ニードルを回転軸の周りに移動させる。
【0016】
この実施形態の他の例では、ニードルは、ベース内に適合して、ニードルが後退位置から延長位置に移行する際に偏向するように弾性変形可能である。この例の一部として、ニードルは、ベースの外側に延びる際に、ほぼ直線状の形状を維持する。
【0017】
この実施形態の他の例は、ベース内に部分的に画定されたベース流体チャネルを有する。この例の一部は、内側部品内に画定された内側流体チャネルを含み、ベース流体チャネルは、内側流体チャネルに流体的に結合される。この例の他の部分では、内側流体チャネルは、ニードル流体チャネルに流体的に結合され、回転軸の周りのベースに対する内側部品の回転角に関係なく、ベース流体チャネルからの流体が、内側部品の内側流体チャネルを通ってニードルのニードル流体チャネルの中に部分的に導かれる。さらに、ベース流体チャネルは、回転軸に少なくとも部分的に沿って内側流体チャネルに流体的に結合される。この例は、内側部品とベースとの間に位置決めされた円形シールを含んでもよく、回転軸の周りのベースに対する内側部品の角度配向に関係なく、ベース流体チャネルと内側流体チャネルとの間の移行部を流体的に封止する。
【0018】
この実施形態のさらに他の例は、ニードルを後退位置から延長位置に移行させるのが選択可能な上部アセンブリを含む。この例の一部では、上部アセンブリは、ドライバ、蓋、リリース機構、およびこれらの間に配置されたスプリングを備える。この例の他の部分では、上部アセンブリが挿入器アセンブリに結合された場合、ドライバは、内側部品に回転可能に固定される。この構成では、上部アセンブリは、ベースおよび内側部品から取り外し可能である、この例の一部では、上部アセンブリは、負荷充填の構成を有し、スプリングは、蓋に対してドライバに回転バイアスを印加し、リリース機構が解放された場合、ドライバは、回転軸の周りに蓋に対して回転し、それにより内側部品を回転させ、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる。
【0019】
この実施形態のさらに他の例では、ニードルは、延長位置にある場合、ベース流体チャネルからニードルの遠位先端に流体を配送するように構成される。一例では、ベースは、流体を供給するためにニードルに流体的に結合されたベース流体チャネルを画定し、ベース流体チャネルは、流体配送デバイスに流体的に結合されるように構成される。
【0020】
他の例では、挿入角コンポーネントは、ベースから取り外し可能である。この例の一部では、複数の異なる挿入角コンポーネントがベースに結合可能であり、ベースに結合された特定の挿入角コンポーネントに基づいて、延長位置におけるニードルの選択可能な挿入角を提供する。
【0021】
この実施形態のさらに他の例は、延長位置におけるニードルの挿入角を変更するために移動可能である挿入角コンポーネントを含む。
【0022】
他の例は、回転軸の周りを回転して、ニードルを延長位置から後退位置に後退させる内側部品を含む。この例の一部では、ベースに対する内側部品の回転の程度は可変であり、延長位置におけるニードルの挿入深さを変更する。
【0023】
この実施形態のさらに他の例は、ニードルをベースの表面に対して約30度の角度で傾斜させる挿入角コンポーネントを含む。他の例は、ニードルに入る流体をフィルタ処理するように位置決めされたフィルタを有する。他の例では、延長位置において、ニードルは、ベースから約3~4ミリメートル延びている。
【0024】
他の例は、ニードルを後退位置から延長位置に移行させる回転アクチュエータを含む。この例の一部では、回転アクチュエータは、歯車に結合されている。
【0025】
この実施形態の他の例は、第2ニードルを含み、後退位置から延長位置への移行により、第2ニードルの少なくとも一部をベースの外側に延ばす。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本開示の上述の態様およびそれらを取得する方法は、添付図面と併せて、本開示の実施形態の下記説明を参照することによってより明らかになり、本開示自体がより良く理解されるであろう。
【0027】
【
図1】挿入器アセンブリの一実施形態の上面斜視図である。
【
図3b】
図1の挿入器アセンブリの他の断面図である。
【
図4】延長位置における
図1の挿入器アセンブリの側面図である。
【
図5】可動挿入角コンポーネントを有する挿入デバイスの他の実施形態の上面斜視図である。
【
図6】上部アセンブリが部分的に取り外された
図1の挿入器アセンブリの上面斜視図である。
【
図7】
図1の挿入器アセンブリの他の断面図である。
【
図8a】挿入器アセンブリの他の実施形態の上面拡大図である。
【
図8b】
図8aの挿入器アセンブリの一部の上面図である。
【
図9】ニードルを延長位置から後退位置に移行させるためのアクティベータを有する挿入器アセンブリの一実施形態である。
【
図10a】2つのニードルを有する挿入器アセンブリの他の実施形態を示す。
【
図10b】2つのニードルを有する挿入器アセンブリの他の実施形態を示す。
【0028】
いくつかの図を通して、対応する部分を示すために対応する参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に説明する本開示の実施形態は、網羅的で、または本開示を下記の詳細な説明の正確な形態に限定することを意図していない。むしろ、実施形態は、他の当業者が本開示の原理および実践を認識し理解できるように選択され説明されている。
【0030】
図1を参照すると、挿入器アセンブリ100の一実施形態が示されている。挿入器アセンブリ100は、ベース104に選択的に結合可能な上部アセンブリ102を有することができる。上部アセンブリ102は、ここでより詳細に説明する他のコンポーネントの中でもとりわけ蓋106およびリリース機構108を有することができる。ベース104は、接着剤などを介してユーザに結合されるように構成でき、そのためニードル204(
図2参照)がユーザの軟組織内に選択的に位置決めできる。
【0031】
ここで
図2を参照すると、挿入器アセンブリ100のコンポーネントの分解図を示す。より詳細には、上部アセンブリ102の蓋106は、ベース104に結合された場合にベース104によって形成される空洞202を少なくとも部分的に覆うことができる。空洞202の内部には、とりわけニードル204および内側部品206が少なくとも部分的に存在し得る。内側部品206は、ベース104の空洞202内でベース104に対して回転軸208の周りを選択的に回転するように構成できる。さらに、ニードル204は、内側部品206に結合することができ、内側部品206の回転によりニードル204も同様に移動する。
【0032】
上部アセンブリ102は、蓋106の内部に位置決めされたドライバ210およびスプリング212を備えることができる。ドライバ210は、ベース104に結合された場合、回転軸208の周りで蓋106に対して選択的に回転可能にできる。本開示の一態様では、スプリング212は、蓋106に対してドライバ210に回転力を与えるように荷重印加できる。リリース機構108は、ドライバ210に選択的に結合でき、ドライバ210が蓋106に対して回転するのを実質的に防止できる。しかしながら、リリース機構108が取り外されると、負荷が充填されたスプリング212は、ドライバ210を蓋106に対して回転させることができる。
【0033】
本開示の一態様では、ドライバ210および内側部品206は、対応する機構214を有してもよく、上部アセンブリ102がベース104に結合された場合、ドライバ210は、内側部品206と回転的にロックされる。対応する機構214は、上部アセンブリ102がベース104に結合された場合、ドライバ210を内側部品106に回転可能にロックする任意の機構でもよい。
図2の例では、対応する機構は、内側部品206の表面上にある円形くぼみと、ドライバ210上の対応する円形突出部である。この構成では、上部アセンブリ102がベース104に結合された場合、ドライバ210の円形突出部は、内側部品206の円形くぼみの内部に少なくとも部分的に位置決めされ、それによりドライバ210と内側部品206との間の実質的な相対回転を防止する。さらに、この構成では、上部アセンブリ102は、ベース104から容易に取り外すことができ、ドライバ210の円形突出部は、回転軸208に沿って円形くぼみから軸方向に遠くへ移動でき、上部アセンブリ102が取り外されると、ドライバを内側部品から分離する。ドライバ210が、対応する機構214とともに内側部品206に結合された場合、ドライバ210の回転により内側部品206の回転を生じさせる。
【0034】
ニードル204は、空洞202の内部でニードル204が曲がるのを可能にするのに十分に曲げ可能または変形可能にできる。より詳細には、ベースは、空洞202の周囲を画定する円筒壁216を有してもよい。後退位置では、ニードル204は、空洞202の内部に実質的に位置決めでき、ニードル204は、円筒壁216の内面の輪郭に部分的に追従する。ニードル204のこの向きは、ニードル204が空洞202の内部に位置決めされたかのように
図2に示している。本開示の一態様では、ニードル204は、ニードル204が荷重下で曲がることを可能にし、それ以外の場合は実質的に直線的な向きを維持することを可能にする材料特性を有する。即ち、ニードル204が空洞202の内部に位置決めされておらず、円筒壁216に沿って曲がっていない場合、ニードル204は実質的に直線的であろう。
【0035】
ベース104はまた、ベース104に結合され、またはその中に形成される挿入角コンポーネント218を有することもできる。挿入角コンポーネント218は、その中に、曲げ可能なニードル204を空洞202から表面402を通ってベース104の外へ導くガイドチャネルを有してもよい(
図4を参照)。本開示の一態様では、挿入角コンポーネント218は、延長位置にあるニードルに好ましい進入角を提供する向きにニードル204を偏向または曲げることができる。
【0036】
挿入角コンポーネント218は、ベース104の内部で選択的に交換可能でもよく、異なる挿入角コンポーネント218は、異なる挿入角を提供する。この構成では、製造者、医療提供者またはユーザは、所定の状況においてニードル204に理想的な挿入角を提供する挿入角コンポーネント218を選択できる。代替の実施形態では、挿入角コンポーネント218は、製造時にベース104内にモールド成形され、挿入角は事前設定され、調整可能ではない。
【0037】
ここで
図3aと
図3bを参照すると、挿入器アセンブリ100の断面図が示され、挿入器アセンブリ100の流体チャネルを示している。
図3aは、回転軸208およびベース流体チャネル302を通る断面図を示す。ベース流体チャネル302は、回転軸208からカプラ304まで半径方向に延びる、ベース104によって画定される流体チャネルでもよい。カプラ304は、流体源をベース流体チャネル302に流体的に結合するために、流体源に結合されるようにサイズ設定できる。ベース流体チャネル302は、回転軸208に向かって半径方向内向きに延びることができ、そして回転軸208に沿って部分的に画定される。さらに、ベース流体チャネル302は、中央オリフィスの周りで内側部品206に向かって軸方向に延びることができる。
【0038】
内側部品206は、中央オリフィスにおいてベース流体チャネル302に流体的に結合される、対応する内側流体チャネル306を有してもよい。より詳細には、円形シール308が中央オリフィスの周囲に位置決めでき、ベース流体チャネル302を内側流体チャネル306に対して流体的に封止できる。この構成では、内側流体チャネル306は、ベース104に対する内側部品206の回転角に関係なく、ベース流体チャネル302に流体的に結合されたままにできる。
【0039】
図3bを参照すると、内側流体チャネル306の上側部分の断面図が示される。
図3bに示すように、内側流体チャネル306は、ある長さに渡ってベース104から軸方向に離れて延びており、そして、ニードル結合コンポーネント310に向かって回転軸208から半径方向に離れて延びている。ニードル結合コンポーネント310は、内部流体チャネル306をニードル流体チャネル312に流体的に結合するためのインタフェースを提供する材料でもよい。本開示の一態様では、ニードル204は、ニードル結合コンポーネント310内にモールド成形してもよく、ニードル流体チャネル312とニードル結合コンポーネント310との間の流体結合を確実にできる。さらに、内側流体チャネル306とニードル結合コンポーネント310との間にシール等を位置決めしてもよく、ニードル結合コンポーネント310から内側流体チャネル306への通路を流体的に封止できる。
【0040】
ここで考えられる一実施形態では、1つ以上のフィルタ314が、カプラ304とニードル204の遠位先端406との間にある流体チャネルの内部に位置決めしてもよい。フィルタは、流体チャネル302,306,312を通過する流体をフィルタ処理して、流体中の不純物を除去したり、またはユーザの軟組織に導入される流体を調製するように位置決めできる。一例では、フィルタ314は、そこを通過する流体からフェノールおよびメタクレゾール残留物のうちの1つ以上を少なくとも部分的にフィルタ処理する。しかしながら、ここではフィルタ314として、他のタイプのフィルタも考えられる。
【0041】
図3a~
図3bに示す構成において、カプラ304からベース流体チャネル302に提供される流体は、内側流体チャネル306に導かれ、ニードル結合コンポーネント310を通ってニードル流体チャネル312に入る。いったんニードル流体チャネル312に入ると、流体は、投与するためにニードル204の遠位先端404に向かって移動することになる。換言すると、挿入器アセンブリ100は、ニードル204を通して流体を配送するために流体源に流体的に結合できる。本開示の一態様では、流体源は、とりわけ電動ポンプ(即ち、重力または過圧容器のいずれかによる電気駆動ポンプまたは圧力駆動ポンプ)、または手動ポンプ(即ち、注射器など)を介して、流体チャネル302に流体を供給するポンプを有するリザーバでもよい。
【0042】
ここで
図4を参照すると、挿入器アセンブリ100は、延長位置400で示しており、ニードル204は、ベース104の表面402を過ぎて少なくとも部分的に延びている。ニードル204が挿入角コンポーネント218から延びると、ニードル204はほぼ直線的な形状に戻る。さらに、挿入角コンポーネント218は、ニードル204の挿入角404を決定できる。所望の挿入角は、挿入器アセンブリ100の様々な用途やユーザごとに異なることがある。こうして同じニードル204の挿入角404は、挿入角コンポーネント218によって実質的に制御できる。ここで説明するように、挿入角コンポーネント218は、様々な挿入角404を生成するために交換可能でもよい。さらに、挿入角コンポーネント218は、ベース104とともに形成され、製造時に予め設定してもよい。
【0043】
図5に示す挿入器アセンブリ500のさらに他の実施形態では、可動挿入角コンポーネント502が、ベース104の円筒壁216からベース104の空洞202内に延びており、ニードル204の挿入角404を選択的に操作できる。この実施形態500は、挿入角コンポーネント218の代わりに可動挿入角コンポーネント502を有する点を除いて、
図1~
図4を参照して説明した実施形態と実質的に同じでもよい。可動挿入角コンポーネント502は、ユーザによって回転可能にでき、ニードル204がベース104を出る前に通過すべき対応するチャネルを操作できる。この構成では、可動挿入角コンポーネント502は、ニードル204の挿入角404を変更するためにユーザによって係合できる。
【0044】
可動挿入角コンポーネント502を備えた実施形態では、挿入角404は、約90度から20度未満までの間の任意の角度に調整可能にできる。代替として、挿入角コンポーネント218は、約90度から20度未満までの任意の挿入角404を提供するように製造してもよい。本開示の一態様では、挿入角404は、約30度に事前設定できる。
【0045】
本開示の他の態様では、挿入深さ408も同様にユーザによって選択可能にできる。より詳細には、後退位置(即ち、
図3a)から延長位置(即ち、
図4)までの内側部品206の回転角は、ニードル204の挿入深さ408を制御できる。換言すると、内側部品206の比較的大きな回転角は、比較的小さな回転角よりも大きな挿入深さ408を有することになる。従って、ここで考えられる一実施形態では、内側部品206の回転角を選択的に変更して、挿入深さ408を修正してもよい。本開示の一例では、挿入深さ408は、約3~4ミリメートルに事前設定できる。しかしながら、ここで考えられる他の実施形態は、4ミリメートルより大きい、または3ミリメートル未満の挿入深さを含む。
【0046】
ここで
図8aと
図8bを参照すると、上部アセンブリ102は、ベース104から選択的に取り外し可能でもよい。より詳細には、上部アセンブリ102は、ベース104に摩擦嵌め、クリップ留め、またはその他の方法で取り外し可能に結合でき、内側部品206およびドライバ210の対応する機構214は、ドライバ210を内側部品206に回転可能に結合するように位置合わせされる。より詳細には、上部アセンブリ102は、ベース104上のカップリングペグ804に対応するカップリング溝802を有してもよい。溝802は、上部アセンブリ102の半径方向内側の表面に形成でき、ペグ804は、円筒壁216の半径方向外側の部分に形成できる。代替として、ペグは上部アセンブリ102から画定でき、溝は、円筒壁216に形成できる。それでも上部アセンブリ102は、ペグ804を溝802内に位置決めし、上部アセンブリ102を回転させてペグ804を溝802の一部に沿って位置決めすることによって、ベース104に選択的に結合でき、ベース104からの上部アセンブリ102の実質的な軸方向移動を許容しない。この構成では、ドライバ210は、対応する機構214を介して内側部品206に回転可能に結合できる。さらに、上部アセンブリ102は、上部アセンブリを回転させて、ペグ804が溝802に沿って軸方向にスライドでき、上部アセンブリ102をベース104から分離できるようにすることによって、ベース104から取り外すことができる。
【0047】
上部アセンブリ102がベース104に結合され、内側部品206がドライバ210に結合されると、リリース機構108が解放された後、内側部品206はニードルを延長位置にまで回転させる。そして、
図6に示すように、上部アセンブリ102は、ベース104から取り外すことができる。この構成では、上部アセンブリ102は、必要でない場合(即ち、ニードル204が延長位置に移行した後)に取り外されて、より軽量でより小型の挿入器アセンブリを提供する。
【0048】
本開示の他の態様では、挿入器アセンブリ100により、ニードル204は延長位置から後退位置に移行できる。より詳細には、戻りスプリング220を内側部品206とベース104との間に位置決めして、内側部品206に後退位置に向かう付勢力を与えることができる。ユーザがニードル204を後退させたい場合、アクティベータ802を係合してロックピン804を解放し、それにより内側部品206を解放して後退位置に向かって回転させることができる。いったんロックピン802が内側部品206を解放すると、戻りスプリング220は、ニードルを後退位置に戻す補助的な力を提供することができる。
【0049】
ベース104におけるニードル204の曲がり、偏向および/または変形は、内側部品206が除去された
図7の断面図に示している。より詳細には、ニードル204は、3つの異なる配向セクション702,704,706を有するように示されている。より詳細には、第1セクション702では、ニードル204は、ベース104の円筒壁216の内側部分に画定される棚部708と、内側部品206(内側部品206は
図7に不図示)との間に位置決めできる。第1セクション702では、ニードル204は、円筒壁216の内部輪郭に沿って曲がるときに、実質的に円弧状の輪郭を維持できる。しかしながら、ニードル204が第2セクション704に進入すると、ニードル204は挿入角コンポーネント218に向かって曲がり、第1セクション702に対してニードル204の向きを変更できる。第2セクション704では、棚部708は終端して、ニードル204が挿入角コンポーネント218に向かって偏向できるようにする。
【0050】
第3セクション706は、挿入角コンポーネント218の内部にある。第3セクション706は、挿入角コンポーネント218を通って画定されるほぼ直線状の貫通孔を有することができ、それによってニードル204に直線状の出口を提供する。ここで説明するように、挿入角コンポーネント218は、ニードル204の挿入角404を変更できる。この実施形態では、挿入角404は、挿入角コンポーネント218を通る直線状の貫通孔の角度によって決定できる。それでもいったんニードル204が挿入角コンポーネント218を出ると、それは、ほぼ直線的な配向を維持することになる。換言すると、ニードル204は、挿入角コンポーネント218を出る前に、3つの別個の配向を移行できる。
【0051】
ここで説明するように、内側部品206が回転軸208の周りを回転すると、ニードル204は、セクション702,704,706を通って前進する。
図7の視点から、内側部品206が回転軸208の周りに反時計回り方向に回転すると、ニードル204は、内側部品206によって押されて、挿入角コンポーネント218を通って延長位置に付勢される。あるいは、内側部品206は、
図7の視点から、回転軸208の周りに時計回り方向に回転して、ニードル204を挿入角コンポーネント218を通して後退位置に引き込むことができる。
【0052】
使用の際、挿入器アセンブリ100は、予め負荷が充填されたスプリング212および、表面402の周囲のベース104上に接着パッチなどを備えた上部アセンブリ102を有することができる。挿入器アセンブリ100は、後退位置にして、接着パッチを介してユーザの皮膚に結合できる。ユーザの皮膚に結合されると、表面402はユーザの皮膚に実質的に隣接する。いったんユーザの皮膚上に位置決めされると、リリース機構108は、ユーザ、医療提供者または他の職員によって選択的に取り外すことができる。リリース機構108は、蓋106およびドライバ210の貫通孔から引っ張られ、それによりドライバ210は蓋106に対して自由に回転できる。
【0053】
いったんリリース機構108が取り外されると、スプリング212は、ドライバ210を回転させ、続いて対応する機構214を介してドライバ210に結合された内側部品206を回転させ、ニードル204を後退位置(
図3aを参照)から延長位置に移行させる(
図4を参照)。内側部品206が回転すると、ニードル204も一緒に回転し、遠位先端406を挿入角コンポーネント218を通してユーザの軟組織内に送り込む。挿入角コンポーネント218は、所望の挿入角404を有するようにニードル204を偏向させ、内側部品206の回転角は、挿入深さ408を制御できる。ニードル204がユーザの軟組織内に延びると、軟組織に進入するニードル204の一部は、ほぼ直線的な配向を維持する。いったん延長位置になると、ユーザ、医療提供者または他の職員は、上部アセンブリ102を取り外して、装置のサイズおよび重量を削減できる。
【0054】
ユーザ、医療提供者または他の職員は、内側部品206を、延長位置に移行したときとは反対方向に回転させることによって、ニードル204を延長位置から後退位置まで選択的に後退させることができる。一例では、スプリングが、内側部品に後退位置に向かうスプリング力を提供してもよく、ユーザは、内側部品を選択的に解放して、スプリングがニードル204を後退位置に後退させることができる。
【0055】
本開示の他の例では、上部アセンブリ102は、ニードル204を延長または後退させるためのキーとして機能できる。より詳細には、ベース104、内側部品206およびニードル204は、接着パッチなどを介してユーザに結合できる。そして上部アセンブリ102は、負荷充填の構成を保持するために係合されたリリース機構を備えた負荷充填位置に操作できる。一例では、上部アセンブリ102は、リリース機構がドライバ210のキャッチ(つかみ)と係合して負荷充填位置を維持できるまで、蓋106に対してドライバ210を回転させることによって負荷充填できる。いったん負荷充填されると、上部アセンブリはベース上に位置決めされ、内側部品206の対応する機構214がドライバ210と位置合わせされ、内側部品206およびドライバ210が互いに対して回転可能に固定される。上部アセンブリ102は、リリース機構108を取り外すことによって解放でき、ニードル204を後退位置から延長位置に移行できる。
【0056】
本開示の他の態様では、ニードル204を後退させるために、上述したものと実質的に類似したプロセスを実装できる。より詳細には、上部アセンブリ102は、後退構成で負荷充填され、ベース104の上に位置決めできる。そして、リリース機構108を解放して、ドライブ210が内側部品206を後退位置に向かけて回転できるようにする。
【0057】
ここで考えられる他の実施形態では、回転アクチュエータがベース104に対して内側部品206を回転させて、ニードル204を後退位置から延長位置に移行させてもよい。より詳細には、回転アクチュエータが、ベース104に結合でき、回転アクチュエータの動きがベース104に対する内側部品206の回転を引き起こすようにしてもよい。一例では、回転アクチュエータは、内側部品206と係合する歯車に結合された電気モータでもよく、モータが通電されると、内側部品206を選択的に回転させ、ニードル204を後退位置と延長位置との間で移行できる。
【0058】
本開示のさらに他の実施形態では、
図10aと
図10bに示すように、内側部品206は、2つの別個のニードル1002,1004に向けて導かれる流体チャネルを有してもよい。各ニードル1002,1004は、回転軸208の周りに互いに約180度オフセットして内側部品206に結合できる。この構成では、ニードル1002,1004は、
図1~
図7を参照してここで説明したものと実質的に同じ方法で、表面402に向かって下に延びることができる。即ち、第2ニードル1004は、ここで説明するニードル204および対応するコンポーネントとは実質的に鏡像構成であってもよい。この構成では、内側部品206の回転により、ニードル1002,1004の両方を後退位置と延長位置の間に移行できる。さらに、2つの別個のベース流体チャネルがベース104内に画定され、各ニードル1002,1004が別個の流体源に流体結合できるようにしてもよい。第2ニードル1004を有すること以外に、
図10aと
図10bの実施形態は、ここで図示し説明した他の実施形態と実質的に同様に機能できる。
【0059】
本開示の原理を組み込んだ実施形態について上述したが、本開示は、上記の実施形態に限定されない。その代わりに、本願は、その一般原則を用いて本開示の任意の変形、使用または適応を網羅することを意図している。さらに、本願は、本開示が関係する技術分野における既知または慣例の範囲内にあり、添付の請求項の範囲内に入るような本開示からの逸脱を網羅することを意図している。
【国際調査報告】