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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】口腔用ロゼンジ製品
(51)【国際特許分類】
   A24B 13/00 20060101AFI20240402BHJP
   A24B 15/28 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A24B13/00
A24B15/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564609
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 IB2022053751
(87)【国際公開番号】W WO2022224198
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/178,276
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/250,858
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シーベルト,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ボン・コスモス,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ランプ,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】アルダーマン,スティーブン・リー
(72)【発明者】
【氏名】プール,トーマス・エイチ
(72)【発明者】
【氏名】ザワトツキ,マイケル・アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】スミス,シャーロット
【テーマコード(参考)】
4B043
【Fターム(参考)】
4B043BB10
4B043BB22
4B043BB28
4B043BC03
4B043BC04
4B043BC12
4B043BC18
4B043BC20
4B043BC22
(57)【要約】
口腔用使用に対して構築された製品、及びこのような製品を調製する方法が提供される。特に、このような製品は、ロゼンジの形態で供給されてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されている口腔用製品は、少なくとも約80重量パーセントの量の第1の糖代替物、塩基性アミン、及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含むことができる。1つ以上の実施形態において、塩基性アミンの少なくとも一部分は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合は、塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又は両方の形態での結合である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約80重量パーセントの量の第1の糖代替物
塩基性アミン、及び
約1.0~約12.0のlogP値を有する有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せ
を含む、口腔用製品であって、
塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が、塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又は両方の形態での結合であり、
口腔用製品が、ロゼンジ剤の形態にある、口腔用製品。
【請求項2】
有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項3】
有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項4】
有機酸が、約4.5~約8.0のlogP値を有しており、組成物が、溶解増強剤をさらに含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項5】
溶解増強剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、請求項4に記載の口腔用製品。
【請求項6】
アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項7】
アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項1に記載の口腔用製品。
【請求項8】
有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル、又はこれらのいずれかの組合せである、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項9】
有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル又はこれらの組合せである、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項10】
有機酸が安息香酸である、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項11】
アルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項12】
有機酸、及び有機酸のナトリウム塩を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項13】
有機酸が安息香酸であり、有機酸のナトリウム塩が、安息香酸ナトリウムである、請求項12に記載の口腔用製品。
【請求項14】
有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が、約0.1~約10である、請求項12に記載の口腔用製品。
【請求項15】
口腔用製品のpHが、約4.0~約9.0である、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項16】
塩基性アミンがニコチンである、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項17】
ニコチンが、遊離塩基として計算され、口腔用製品の総重量に対して、口腔用製品の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項16に記載の口腔用製品。
【請求項18】
第1の糖代替物が、ガラス質マトリックスを形成することが可能な非吸湿性糖アルコールである、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項19】
第1の糖代替物が、イソマルトである、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項20】
第1の糖代替物が、少なくとも約85重量パーセントの量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項21】
第1の糖代替物が、少なくとも約90重量パーセントの量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項22】
第1の糖代替物が、少なくとも約95重量パーセントの量で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項23】
第2の糖代替物をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項24】
第2の糖代替物が、マルチトールである、請求項23に記載の口腔用製品。
【請求項25】
第2の糖代替物が、約0.1~約2.0重量パーセントの量で存在する、請求項23に記載の口腔用製品。
【請求項26】
ボタニカル、栄養補給食品、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の活性成分をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項27】
タバコ材料を実質的に含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項28】
着香剤、甘味剤、追加のフィラー構成成分、乳化剤、崩壊助剤、保湿剤、塩及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項29】
少なくとも約0.5重量パーセントの量で存在する塩をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項30】
塩が塩化ナトリウムである、請求項29に記載の口腔用製品。
【請求項31】
少なくとも約0.01重量パーセントの量で存在する甘味剤をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項32】
甘味剤が、スクラロースである、請求項31に記載の口腔用製品。
【請求項33】
口腔用製品の水分含量が、口腔用製品の総重量に対して、約0.1重量パーセント~約10重量パーセントの範囲にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の口腔用製品。
【請求項34】
多成分系口腔用製品であって、口腔用製品が、第1の別個の部分及び第2の別個の部分を含み、
第1の別個の部分が、第1の組成物を含み、第2の別個の部分が、第2の組成物を含み、
第1の組成物が、第2の組成物とは異なり、
口腔用製品が、ロゼンジ剤の形態にある、多成分系口腔用製品。
【請求項35】
第1の組成物が、
少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物
塩基性アミン、及び
約1.0~約12のlogP値を有する有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せ
を含み、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が、塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又は両方の形態での結合である、請求項34に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項36】
外部外側表面を有し、外部外側表面の少なくとも一部分が、第1の別個の部分を含む、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項37】
アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項38】
有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項39】
有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項40】
アルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項41】
有機酸、及び有機酸のナトリウム塩を含む、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項42】
有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が、約0.1~約10である、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項43】
塩基性アミンがニコチンである、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項44】
ニコチンが、遊離塩基として計算され、口腔用製品の総重量に対して、口腔用製品の約0.001~約10重量%の量で存在する、請求項43に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項45】
少なくとも1種の糖代替物が、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ダルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項35に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項46】
第2の組成物が、
少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物
少なくとも0.1重量パーセントの量の塩、及び
香味剤
を含む、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項47】
第2の組成物が、ニコチンを実質的に含まない、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項48】
外部外側表面を有し、外部外側表面の少なくとも一部分が、第1の別個の部分を含む、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項49】
第1の別個の部分の第2の別個の部分に対する重量比が、多成分系口腔用製品の総重量に対して、約1:1~約1:10の範囲にある、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項50】
多成分系口腔用製品が、その表面にコーティングされた外側コーティングを有する、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項51】
第1の別個の部分及び第2の別個の部分が、それぞれ、コア/シース配置に構築されている、又は層状配置で配置されている、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項52】
第1の組成物及び第2の組成物の少なくとも1つが、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン及びこれらの組合せからなる群から選択される、1種以上の活性成分を含む、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項53】
タバコ材料を実質的に含まない、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項54】
有機酸が、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステルである、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項55】
ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸又はこれらの組合せである、請求項54に記載の多成分系口腔用製品。
【請求項56】
有機酸が、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル又はこれらの組合せである、請求項34~45のいずれか一項に記載の多成分系口腔用製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヒトによる使用を目的とする香味付けした製品に関する。本製品は、口腔用使用のために構成され、及び使用中にフレーバー及び/又は活性成分などの物質を送達する。このような製品はタバコ又はタバコ由来の製品を含んでもよいし、又はタバコを含まない代替物であってもよい。
【背景技術】
【0002】
タバコは、いわゆる「無煙」の形態で楽しむことができる。特に人気のある無煙タバコ製品は、いくつかの形態の加工タバコ又はタバコ含有配合物を使用者の口に挿入することにより利用される。このような無煙タバコ製品に対する従来のフォーマットとして、湿潤型嗅ぎタバコ、スヌース及び噛みタバコが挙げられ、これらは通常、粒状、顆粒状、又は刻みタバコでほぼ全体が形成され、使用者により分割される、又は個々の部分、例えば、使い捨てパウチ若しくは小袋に入れて使用者に提供される。無煙製品の他の従来の形態として、圧縮形態又は凝集形態、例えば、プラグ、錠剤、又はペレットが挙げられる。代替の製品フォーマット、例えば、タバコ含有ガム及びタバコと他の植物材料との混合物などもまた公知である。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Schwartzの米国特許第1,376,586号;Pittmanらの米国特許第4,513,756号;Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,528,993号;Storyらの米国特許第4,624,269号;Tibbettsの米国特許第4,991,599号;Townsendの米国特許第4,987,907号;Sprinkle、IIIらの米国特許第5,092,352号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;Williamsの米国特許第6,668,839号;Williamsの米国特許第6,834,654号;Atchleyらの米国特許第6,953,040号;Atchleyらの米国特許第7,032,601号;及びAtchleyらの米国特許第7,694,686号;Williamsの米国特許公開第2004/0020503号;Quinterらの米国特許公開第2005/0115580号;Stricklandらの米国特許公開第2006/0191548号;Holton,Jr.らの米国特許公開第2007/0062549号;Holton,Jr.らの米国特許公開第2007/0186941号;Stricklandらの米国特許公開第2007/0186942号;Dubeらの米国特許公開第2008/0029110号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0029116号;Robinsonらの米国特許公開第2008/0173317号;Neilsenらの米国特許公開第2008/0209586号;Essenらの米国特許公開第2009/0065013号;及びAtchleyの米国特許公開第2010/0282267号、並びにArnarpらのWO2004/095959に記載の無煙タバコ配合物、成分及び加工方法の種類を参照されたい。
【0003】
タバコ材料、ニコチン成分及び/又は他の活性成分を様々な結合剤及びフィラーと組み合わせる無煙タバコ製品の構成が最近提案されており、ロゼンジ剤、パステル剤、ゲル剤、咀嚼剤、溶融剤、押出し形態などを含む例示的製品フォーマットなどが挙げられる。例えば、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Engstromらの米国特許出願公開第2008/0196730号;Crawfordらの米国特許出願公開第2008/0305216号;Kumarらの米国特許出願公開第2009/0293889号;Gaoらの米国特許出願公開第2010/0291245号;Muaらの米国特許出願公開第2011/0139164号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0037175号;Huntらの米国特許出願公開第2012/0055494号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138073号;Cantrellらの米国特許出願公開第2012/0138074号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074855号;Holton,Jr.の米国特許出願公開第2013/0074856号;Muaらの米国特許出願公開第2013/0152953号;Jacksonらの米国特許出願公開第2013/0274296号;Moldoveanuらの米国特許出願公開第2015/0068545号;Marshallらの米国特許出願公開第2015/0101627号;及びLampeらの米国特許出願公開第2015/0230515号に記載されている製品の種類を参照されたい。類似のフォーマットであり、タバコ及び/又はニコチン成分を含まない口腔用製品もまた提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第1376586号明細書
【特許文献2】米国特許第4513756号明細書
【特許文献3】米国特許第4528993号明細書
【特許文献4】米国特許第4624269号明細書
【特許文献5】米国特許第4991599号明細書
【特許文献6】米国特許第4987907号明細書
【特許文献7】米国特許第5092352号明細書
【特許文献8】米国特許第5387416号明細書
【特許文献9】米国特許第6668839号明細書
【特許文献10】米国特許第6834654号明細書
【特許文献11】米国特許第6953040号明細書
【特許文献12】米国特許第7032601号明細書
【特許文献13】米国特許第7694686号明細書
【特許文献14】米国特許出願公開第2004/0020503号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2005/0115580号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2006/0191548号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2007/0062549号明細書
【特許文献18】米国特許出願公開第2007/0186941号明細書
【特許文献19】米国特許出願公開第2007/0186942号明細書
【特許文献20】米国特許出願公開第2008/0029110号明細書
【特許文献21】米国特許出願公開第2008/0029116号明細書
【特許文献22】米国特許出願公開第2008/0173317号明細書
【特許文献23】米国特許出願公開第2008/0209586号明細書
【特許文献24】米国特許出願公開第2009/0065013号明細書
【特許文献25】米国特許出願公開第2010/0282267号明細書
【特許文献26】国際公開第2004/095959号
【特許文献27】米国特許出願公開第2008/0196730号明細書
【特許文献28】米国特許出願公開第2008/0305216号明細書
【特許文献29】米国特許出願公開第2009/0293889号明細書
【特許文献30】米国特許出願公開第2010/0291245号明細書
【特許文献31】米国特許出願公開第2011/0139164号明細書
【特許文献32】米国特許出願公開第2012/0037175号明細書
【特許文献33】米国特許出願公開第2012/0055494号明細書
【特許文献34】米国特許出願公開第2012/0138073号明細書
【特許文献35】米国特許出願公開第2012/0138074号明細書
【特許文献36】米国特許出願公開第2013/0074855号明細書
【特許文献37】米国特許出願公開第2013/0074856号明細書
【特許文献38】米国特許出願公開第2013/0152953号明細書
【特許文献39】米国特許出願公開第2013/0274296号明細書
【特許文献40】米国特許出願公開第2015/0068545号明細書
【特許文献41】米国特許出願公開第2015/0101627号明細書
【特許文献42】米国特許出願公開第2015/0230515号明細書
【発明の概要】
【0005】
(簡単な要旨)
本開示は全般的に、口腔用製品及びこのような口腔用製品を調製するための方法を提供する。製品は口腔で使用された場合、味覚を付与することが意図されており、また、消費者に活性成分、例えば、ニコチンを通常送達する。このような製品はまた、これら製品のユーザーの口腔内に挿入されると望ましい官能特性を付与することができる。通常、本明細書において開示されている製品は、ロゼンジ剤の形態にあることができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、一態様において、本開示は、少なくとも約80重量パーセントの量の第1の糖代替物、塩基性アミン及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む、口腔用製品であって、ロゼンジ剤の形態にある口腔用製品を提供する。通常、塩基性アミンの少なくとも一部分は、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合することができ、結合は、塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又は両方の形態にある。一部の実施形態において、有機酸は、ある特定のlogP値を有すると特徴付けることができる。例えば、一部の実施形態において、有機酸は、約1.0~約12.0又は約1.4~4.5、約2.5~約3.5又は約4.5~約8.0のlogP値を有する。ある特定の実施形態において、有機酸は、約4.5~約8.0のlogP値を有し、本組成物は、溶解増強剤(例えば、グリセロール又はプロピレングリコールなど)をさらに含む。
【0007】
本開示による口腔用ロゼンジ製品中の有機酸の量は、異なってもよい。一部の実施形態において、例えば、口腔用製品は、アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含んでもよい。ある特定の実施形態において、口腔用製品は、アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含んでもよい。一部の実施形態において、有機酸は、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである。1つ以上の実施形態において、有機酸は、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである。特定の実施形態において、有機酸は、安息香酸である。本明細書において明記されている通り、一部の実施形態において、本開示は、アルカリ金属塩を含む口腔用製品を提供する。一部の実施形態において、アルカリ金属は、ナトリウム又はカリウムである。
【0008】
本開示の一部の態様は、有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む口腔用ロゼンジ製品を提供する。ある特定の実施形態において、有機酸は安息香酸であり、有機酸のナトリウム塩は、安息香酸ナトリウムである。1つ以上の実施形態において、有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比は、約0.1~約10である。本明細書に記載されている口腔用ロゼンジ製品はまた、様々なpHレベルで供給されてもよい。例えば、一部の実施形態において、口腔用製品のpHは、約4.0~約9.0である。
【0009】
上記の通り、開示されている口腔用製品及び組成物は、塩基性アミンを含む。一部の実施形態において、塩基性アミンは、ニコチンである。このような実施形態において、ニコチンは、遊離塩基として計算され、口腔用製品の総重量に対して、口腔用製品の約0.001~約10重量%の量で存在する。本開示による口腔用製品は、1つ以上の実施形態において、糖代替物をさらに含む。ある特定の実施形態において、糖代替物は、ガラス質マトリックスを形成することが可能な非吸湿性糖アルコールである。例えば、特定の実施形態において、第1の糖代替物は、イソマルトである。通常、糖代替物は、口腔用製品の全組成のかなりのパーセンテージとして提供される。例えば、第1の糖代替物は、少なくとも約80重量パーセント、少なくとも約85重量パーセント、少なくとも約90重量パーセント又は少なくとも約95重量パーセントの量で存在してもよい。本明細書に記載されている1つ以上の実施形態において、本開示による口腔用製品は、第1の糖代替物に加え、第2の糖代替物も含んでもよい。一部の実施形態において、第2の糖代替物は、マルチトール又はマルチトールシロップを含んでもよい。通常、第2の糖代替物は、約0.1~約2.0重量パーセントの量で存在する。
【0010】
本開示の他の態様は、塩基性アミン構成成分の代わりに、又はこれに加えて、少なくとも1種の活性成分をさらに含む、口腔用ロゼンジ製品を提供する。一部の実施形態において、本明細書に記載されている口腔用製品は、ニコチン成分、ボタニカル、栄養補給食品、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の活性成分を含んでもよい。さらに他の実施形態において、本開示の口腔用製品は、タバコ材料、例えば粒状タバコ材料又はタバコ抽出物を含んでもよい。ある特定の実施形態において、本開示の口腔用製品は、タバコを任意の程度にまで意図的に配合していないタバコ不含代替物を提供することができる。この目的のため、本開示による一部の口腔用製品は、タバコ材料不含と称されることがある。
【0011】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載されている口腔用ロゼンジ製品は、着香剤、甘味剤、追加のフィラー構成成分、乳化剤、崩壊助剤、保湿剤、塩及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤を含んでもよい。例えば、ある特定の実施形態において、本開示の口腔用製品は、少なくとも約0.5重量パーセントの量で存在する塩(例えば、塩化ナトリウム「NaCl」など)を含んでもよい。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される口腔用製品は、少なくとも約0.01重量パーセントの量で存在する甘味剤(例えば、スクラロースなど)を含んでもよい。最後に、本明細書に記載されている通り、本開示による口腔用ロゼンジ製品の全水分含量は、異なることができ、通常、口腔用製品の水分含量は、口腔用製品の総重量に対して、約0.1重量パーセント~約10重量パーセントの範囲にある。一部の実施形態において、口腔用製品の水分含量は、約10重量パーセント以下、約7重量パーセント以下、約5重量パーセント以下、約4重量パーセント以下、約3重量パーセント以下又は約2重量パーセント以下であってもよい。
【0012】
本開示は、以下の実施形態を非限定的に含む。
【0013】
実施形態1:少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物;塩基性アミン;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、口腔用製品であって、有機酸が、約1.0~約12.0のlogP値を有しており、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が、塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又は両方の形態での結合であり、ロゼンジ剤の形態にある、口腔用製品。
【0014】
実施形態2:有機酸が、約1.4~約4.5のlogP値を有する、実施形態1の口腔用製品。
【0015】
実施形態3:有機酸が、約2.5~約3.5のlogP値を有する、実施形態1~2のいずれかによる口腔用製品。
【0016】
実施形態4:有機酸が約4.5~約8.0のlogP値を有する、実施形態1の口腔用製品であって、溶解増強剤をさらに含む、口腔用製品。
【0017】
実施形態5:溶解増強剤が、グリセロール又はプロピレングリコールである、実施形態4の口腔用製品。
【0018】
実施形態6:アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、実施形態1~5のいずれかによる口腔用製品。
【0019】
実施形態7:アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約2~約10モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、実施形態1~6のいずれかによる、口腔用製品。
【0020】
実施形態8:有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル(例となるジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸又はこれらの組合せを含む。)、又はこれらのいずれかの組合せである、実施形態1~7のいずれかによる、口腔用製品。
【0021】
実施形態9:有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸、コハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル又はこれらの組合せである、実施形態1~8のいずれかによる、口腔用製品。
【0022】
実施形態10:有機酸が安息香酸である、実施形態1~9のいずれかによる、口腔用製品。
【0023】
実施形態11:アルカリ金属がナトリウム又はカリウムである、実施形態1~10のいずれかによる口腔用製品。
【0024】
実施形態12:有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む、実施形態1~11のいずれかによる口腔用製品。
【0025】
実施形態13:有機酸が安息香酸であり、有機酸のナトリウム塩が安息香酸ナトリウムである、実施形態12の口腔用製品。
【0026】
実施形態14:有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が、約0.1~約10である、実施形態12及び13のいずれか一方による、口腔用製品。
【0027】
実施形態15:口腔用製品のpHが、約4.0~約9.0である、実施形態1~14のいずれかによる口腔用製品。
【0028】
実施形態16:塩基性アミンがニコチンである、実施形態1~15のいずれかによる、口腔用製品。
【0029】
実施形態17:ニコチンが、遊離塩基として計算され、口腔用製品の総重量に対して、口腔用製品の約0.001~約10重量%の量で存在する、実施形態16の口腔用製品。
【0030】
実施形態18:糖代替物が、ガラス質マトリックスを形成することが可能な非吸湿性糖アルコールである、実施形態1~17のいずれかによる、口腔用製品。
【0031】
実施形態19:糖代替物がイソマルトである、実施形態1~18のいずれかによる、口腔用製品。
【0032】
実施形態20:糖代替物が、少なくとも約85重量パーセントの量で存在する、実施形態1~19のいずれかによる、口腔用製品。
【0033】
実施形態21:糖代替物が、少なくとも約90重量パーセントの量で存在する、実施形態1~20のいずれかによる、口腔用製品。
【0034】
実施形態22:糖代替物が、少なくとも約95重量パーセントの量で存在する、実施形態1~21のいずれかによる、口腔用製品。
【0035】
実施形態23:第2の糖代替物をさらに含む、実施形態1~22のいずれかによる、口腔用製品。
【0036】
実施形態24:第2の糖代替物がマルチトールである、実施形態23による口腔用製品。
【0037】
実施形態25:第2の糖代替物が、約0.1~約2.0重量パーセントの量で存在する、実施形態23又は24のいずれか一方による、口腔用製品。
【0038】
実施形態26:ニコチン成分、ボタニカル、栄養補給食品、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の活性成分をさらに含む、実施形態1~25のいずれかによる、口腔用製品。
【0039】
実施形態27:タバコ材料を含まない、実施形態1~26のいずれかによる、口腔用製品。
【0040】
実施形態28:着香剤、甘味剤、追加のフィラー構成成分、乳化剤、崩壊助剤、保湿剤、塩及びこれらの混合物からなる群から選択される添加剤をさらに含む、実施形態1~27のいずれかによる、口腔用製品。
【0041】
実施形態29:少なくとも約0.5重量パーセントの量で存在する塩をさらに含む、実施形態1~28のいずれかによる、口腔用製品。
【0042】
実施形態30:塩が塩化ナトリウムである、実施形態29の口腔用製品。
【0043】
実施形態31:少なくとも約0.01重量パーセントの量で存在する甘味剤をさらに含む、実施形態1~30のいずれかによる、口腔用製品。
【0044】
実施形態32:甘味剤が、スクラロースである、実施形態31の口腔用製品。
【0045】
実施形態33:口腔用製品の水分含量が、口腔用製品の総重量に対して、約0.1重量パーセント~約10重量パーセントの範囲にある、実施形態1~32のいずれかによる、口腔用製品。
【0046】
実施形態34:多成分系口腔用製品であって、口腔用製品が、第1の別個の部分及び第2の別個の部分を含み、第1の別個の部分が、第1の組成物を含み、第2の別個の部分が、第2の組成物を含み、第1の組成物が、第2の組成物とは異なり、口腔用製品が、ロゼンジ剤の形態にある、多成分系口腔用製品。
【0047】
実施形態35:第1の組成物が、少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物;塩基性アミン;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含み、有機酸が、約1.0~約12のlogP値を有しており、塩基性アミンの少なくとも一部分が有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合しており、結合が、塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対、又は両方の形態での結合である、実施形態34の多成分系口腔用製品。
【0048】
実施形態36:外部外側表面を有し、外部外側表面の少なくとも一部分が、第1の別個の部分を含む、実施形態34~35のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0049】
実施形態37:アミン遊離塩基として計算される塩基性アミンに対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2又は約5から、約10、約15又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む、実施形態34~36のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0050】
実施形態38:有機酸が、アルキルカルボン酸、アリールカルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸又はこれらのいずれかの組合せである、実施形態34~37のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0051】
実施形態39:有機酸が、オクタン酸、デカン酸、安息香酸、ヘプタンスルホン酸又はこれらの組合せである、実施形態34~38のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0052】
実施形態40:アルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである、実施形態34~39のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0053】
実施形態41:有機酸、及び有機酸のナトリウム塩を含む、実施形態34~40のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0054】
実施形態42:有機酸の有機酸のナトリウム塩に対する比が、約0.1~約10である、実施形態34~41のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0055】
実施形態43:塩基性アミンがニコチンである、実施形態34~42のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0056】
実施形態44:ニコチンが、遊離塩基として計算され、口腔用製品の総重量に対して、口腔用製品の約0.001~約10重量%の量で存在する、実施形態34~43のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0057】
実施形態45:少なくとも1種の糖代替物が、エリスリトール、アラビトール、リビトール、イソマルト、マルチトール、ダルシトール、イジトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、ソルビトール及びこれらの組合せからなる群から選択される、実施形態34~44のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0058】
実施形態46:第2の組成物が、少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物、少なくとも0.1重量パーセントの量の塩、及び香味剤を含む、実施形態34~45のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0059】
実施形態47:第2の組成物が、ニコチンを実質的に含まない、実施形態34~46のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0060】
実施形態48:外部外側表面を有し、外部外側表面の少なくとも一部分が、第1の別個の部分を含む、実施形態34~47のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0061】
実施形態49:第1の別個の部分の第2の別個の部分に対する重量比が、多成分系口腔用製品の総重量に対して、約1:1~約1:10の範囲にある、実施形態34~48のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0062】
実施形態50:その表面にコーティングされている外側コーティングを有する、実施形態34~49のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0063】
実施形態51:第1の別個の部分及び第2の別個の部分が、それぞれ、コア/シース配置に構築されている、又は層状配置で配置されている、実施形態34~50のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0064】
実施形態52:第1の組成物及び第2の組成物の少なくとも1つが、栄養補給食品、ボタニカル、刺激剤、アミノ酸、ビタミン、カンナビノイド、大麻類似物、テルペン及びこれらの組合せからなる群から選択される、1種以上の活性成分を含む、実施形態34~51のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0065】
実施形態53:タバコ材料を実質的に含まない、実施形態34~52のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0066】
実施形態54:有機酸が、ジカルボン酸のメンチルモノエステル又はトコフェロールモノエステルである、実施形態34~53のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0067】
実施形態55:ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸又はこれらの組合せである、実施形態34~54のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0068】
実施形態56:有機酸が、コハク酸コフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル又はこれらの組合せである、実施形態34~55のいずれか1つの多成分系口腔用製品。
【0069】
実施形態57:口腔用製品であって、少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物、塩基性アミン(例えば、ニコチン)及び有機酸を含み、有機酸が、安息香酸、ジカルボン酸のメンチルモノエステル若しくはトコフェロールモノエステル又はこれらの組合せ、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸から選択されるジカルボン酸又はこれらの組合せを含み、特に、有機酸がコハク酸トコフェロール、コハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル又はこれらの組合せを含む、口腔用製品。
【0070】
本開示のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、添付の図と一緒に以下の詳細な説明を読むことで明らかとなり、図は以下に簡単に説明されている。本発明には、上述の実施形態のうちの2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの任意の組合せ、並びに本開示に記載の任意の2つ、3つ、4つ、又はこれよりも多くの特徴又は要素の組合せが、このような特徴又は要素が本明細書の特定の実施形態の説明において明示的に組み合わせられているかどうかに関わらず、含まれている。本開示は、全体的に読み取るように意図されているので、特に文脈が明確に他を指示しない限り、開示された発明の任意の分離可能な特徴又は要素は、その様々な態様及び実施形態のいずれかにおいて結合可能なことが意図されていると見なされるべきである。
【0071】
前述の一般的用語で本発明をこのように記載してきたが、ここで添付の図について言及する。これらの図は必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】本開示のある実施形態による製品を図解している正面斜視図である;
図2】本開示のある実施形態による多層状製品を図解している断面図である;及び
図3】本開示のある実施形態による多層状製品を図解している断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
本開示はこれより以下、その例示的実施形態を参照してより完全に記載される。これらの例示的実施形態は、本開示が十分で、完全であり、本開示の範囲を当業者に完全に伝えるように記載されている。実際に、本開示は多くの異なる形態で実施形態化されてもよく、本明細書で記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な合法的必要条件を満たすように提供されている。本明細書及び特許請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に他を指示していない限り、複数の指示対象を含む。「乾燥重量パーセント」又は「乾燥重量ベース」についての言及は、乾燥成分(すなわち、水を除くすべての成分)に基づく重量を指す。「湿重量」についての言及は、水を含む混合物の重量を指す。他に指摘されていない限り、混合物の「重量パーセント」についての言及は、混合物の総湿重量(すなわち、水を含む)を反映する。
【0074】
本開示は、口腔用使用に対して構築された製品及びこのような口腔用製品を調製するための方法を提供する。本明細書に記載されている口腔用製品は一般的に、成分の混合物を組成物の形態で含むことができる。例えば、一部の実施形態では、本明細書に提供されている組成物は、組み合わせて、口腔用使用に対して構築された製品を形成する、1種以上の活性成分(例えば、タバコ材料及び/又はニコチン)及び1種以上の添加剤(例えば、フィラー、結合剤構成成分、着香剤など)を含むことができる。
【0075】
本明細書に記載されている口腔用製品は、様々な異なる形態で、及び成分の様々な組合せで提供することができる。特に、好ましい実施形態において、本開示の製品は、ロゼンジ型製品の形態で供給され得る。本開示の実施形態によるロゼンジ型製品は、口腔用使用に対して構築されてもよく、有利なことには、その製品のユーザーの口腔内に挿入されると異なる特徴及び特性を提供することができる。ある特定の製品は、例えば、以下の特徴のうちの1種以上を示すことができる:クリスピー、ザラザラした、噛みごたえがある、シロップ状、ペースト状、フワフワした、平滑な、及び/又はクリーム状。ある特定の実施形態では、所望のテキスチャー特性は、接着性、粘着性、密度、乾燥、脆性、粒状性、ゴム状化、硬度、重感、水分吸収性、水分放出性、マウスコーティング、粗さ、滑り、滑らかさ、粘度、湿り度及びこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0076】
「口腔用使用に対して構築された」という用語は、本明細書で使用される場合、使用中使用者の口内唾液により製品の1種以上の構成成分(例えば、香味剤及び/又はニコチン)が使用者の口の中に運ばれるような形態で、製品が提供されることを意味する。一実施形態では、製品はユーザーの口内の粘膜を介してユーザーに構成成分を送達するように適合されており、加えて、前記構成成分は、製品が使用された場合、口内の粘膜を介して吸収され得る活性成分(これらに限定されないが、ニコチンを含む)である。一部の実施形態では、製品はユーザーに、活性成分に加えて香味成分を送達するように適合されていてもよい。
【0077】
本開示の組成物を含む製品は溶解可能であることができる。本明細書で使用される場合、「溶解する(dissolve)」、「溶解すること(dissolving)」、及び「溶解可能である(dissolvable)」という用語は、口腔内の水分と相互作用し、溶液中に入り、これにより製品のゆっくりとした消費を引き起こす水溶性成分を有する組成物を指す。一態様によると、溶解可能な製品は、それが完全に溶解するまで、所与の期間の間ユーザーの口内で存続することが可能である。溶解速度は、約1分間以下から約60分間までの幅広い範囲にわたり変動し得る。例えば、速く放出する混合物は通常活性物質を約2分間以下、多くの場合、約1分間以下(例えば、約50秒以下、約40秒以下、約30秒以下又は約20秒以下)で溶解及び/又は放出する。溶解は、任意の手段、例えば、溶融、機械的破壊(例えば、咀嚼)、酵素的若しくは他の化学分解又は混合物の構成成分の間の相互作用の破壊により生じ得る。
【0078】
一部の実施形態において、本明細書において開示されている製品は、口腔用使用に対して構築された可溶性ロゼンジ製品の形態にあることができる。本発明の例となるロゼンジ型製品は、ロゼンジ剤、錠剤、マイクロタブ又は他の錠剤型製品の形態を有する。例えば、Shawの米国特許第4,967,773号;Acharyaの同第5,110,605号;Damの同第5,733,574号;Santusの同第6,280,761号;Anderssonらの同第6,676,959号;Wilhelmsenの同第6,248,760号;及び同第7,374,779号;Wilhelmsenの米国特許公開第2001/0016593号;Liuらの同第2004/0101543号;Mcneightの同第2006/0120974号;Chauらの同第2008/0020050号;Ginらの同第2009/0081291号及びAxelssonらの同第2010/0004294号に記載されているニコチン含有ロゼンジ剤、ロゼンジ製剤、ロゼンジ剤フォーマット及び構成のタイプ、ロゼンジ剤の特徴、並びにロゼンジ剤を製剤化又は製造するための技法を参照されたい。それらは、参照により本明細書において組み込まれている。
【0079】
ロゼンジ製品は、一般に、「硬い」と記載され、軟質ロゼンジ剤(すなわち、パステル剤)とはこのように区別される。硬質ロゼンジ剤は、アモルファス状態の糖及び/又は炭水化物の混合物である。それらは、水性シロップ、水から作製されるが、水は、最初に存在し、シロップが加工中に沸騰すると蒸発し、その結果、最終製品中の水含有量は非常に低く、例えば、0.5~1.5重量%となる。硬質の非粘着性のロゼンジ剤を得るため、溶融物の温度は、ハードクラック段階に一般に到達しなければならず、例となる温度範囲は、149~154℃となる。
【0080】
一部の実施形態において、ロゼンジ型製品は、半透明性又は透明性を示すことができる。製品の所望の透明性又は透光性は、公知方法のいずれかによって定量され得る。例えば、光学的方法、例えば、タービディメトリー(又はネフェロメトリー)及び比色分析が、それぞれ、製品の曇り(光散乱法)及び色調(光吸収)を定量するために使用され得る。透過性はまた、光源まで製品を単に保持することによる目視検査によって、及び光が物質又は製品を散乱により通過するかどうかを判定することによって確認され得る。
【0081】
一部の実施形態において、このようなロゼンジ型製品は、半透明性又は透明性を示すことができる。製品の所望の透明性又は透光性は、公知方法のいずれかによって定量され得る。例えば、光学的方法、例えば、タービディメトリー(又はネフェロメトリー)及び比色分析が、それぞれ、製品の曇り(光散乱法)及び色調(光吸収)を定量するために使用され得る。透過性はまた、光源まで製品を単に保持することによる目視検査によって、及び光が物質又は製品を散乱により通過するかどうかを判定することによって確認され得る。
【0082】
本開示の口腔用製品は、例えば、口腔用製品中の水分含量を代えることによって、ロゼンジ型製品の形態で供給されてもよい。ある特定の実施形態において、例えば、製品の水分含量は、製品の最終形態を決定づけるよう、特定の範囲内に規定されてもよい。消費者が製品を使用する前の本明細書に記載されている製品の含水量は、製品の最終形態を決定することに加えて、所望の特性及び特徴によりこのような範囲内で変動し得る。例えば、ロゼンジ型製品は、組成物の総重量に対して、約0.1~約10重量パーセントの範囲の水分含量を、通常、有する。好ましくは、使用者の口内に入る前の製品の単一単位中に存在するロゼンジ製品の水分含量は、製品単位の総重量に対して、約10重量パーセント未満、約7重量パーセント未満、約5重量パーセント未満、約3重量パーセント未満、約2重量パーセント未満又は約1重量パーセント未満である。一部の実施形態において、本明細書に記載されているロゼンジ製品の水分含量は、製品の総重量に対して、約0.1~約10重量パーセント、約0.5~約7重量パーセント又は約1~約5重量パーセントの範囲内にあってもよい。
【0083】
本開示の口腔用製品は、少なくとも約80重量パーセントの量の糖代替物、第2の糖代替物(任意選択的に、糖アルコールシロップの形態)、塩基性アミン、例えばニコチン又はニコチン成分;水;及び有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む組成物を通常、含む。通常、塩基性アミンの少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合している。結合は塩基性アミン-有機酸の塩、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対又は両方の形態である。保管の間、初期塩基性アミン含有量を保持し、組成物中に最初に存在する塩基性アミンの全量を実質的に送達する、口腔用使用に対して構築された塩基性アミン含有組成物を提供することが望ましい。組成物内の様々な構成成分の相対量は変動してもよく、通常組成物に対して所望の感覚性及び性能特徴をもたらすように選択される。組成物の例示的な個々の構成成分は本明細書の以下にさらに記載されている。
【0084】
ある特定の実施形態において、本開示は、酸性マトリックス中に塩基性アミンと非極性有機酸塩又は親油性有機酸塩とを一緒にした組成物であって、保管中の初期塩基性アミン含有量の保持の増強を示し、該組成物の使用時に、酸性マトリックス(例えば、クエン酸又はクエン酸ナトリウム)中に極性有機酸塩を含有する組成物に比べ、より多くの塩基性アミンを送達することが予測される、組成物を提供する。驚くべきことに、本開示によれば、ある特定の実施形態において、酸性pHにおける経口吸収のモデル系において、非極性有機酸塩又は親油性有機酸塩が存在することにより、極性有機酸塩を含む、口腔用使用に対して構築された組成物に比べて、組成物の安定性が増強されたこと、及びニコチンの膜透過性が増強されたことが見出された。ニコチン浸透度の増強は、酸性条件下において、ニコチンのプロトン化に伴い透過性が低下するという予測を考慮すると、特に驚くべきことである。
【0085】
イオン対の形成
本明細書で開示されている通り、塩基性アミンの少なくとも一部分は有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分に結合している。複数の変数(有機酸の濃度、pH、性質など)に応じて、組成物中に存在する塩基性アミンは、対を形成したイオン、溶液で(すなわち、完全に溶媒和して)、遊離塩基として、カチオンとして、塩として、又は任意のこれらの組合せを含めた複数の形態で存在することができる。一部の実施形態では、塩基性アミンと、有機酸又はそのアルカリ金属塩の少なくとも一部分との間の結合は、塩基性アミンと有機酸の共役塩基との間のイオン対の形態である。
【0086】
イオン対形成とは、イオン対と呼ばれるはっきりと異なる化学種を形成するための比較的濃縮された溶液中の反対に荷電したイオンの部分的な結合について記載している。結合の強度(すなわち、イオン対形成)は、正イオンと負イオンとの間(すなわち、プロトン化された塩基性アミン、例えば、ニコチンと、有機酸の共役塩基)の引力の静電力に依存する。「共役塩基」とは、対応する酸の脱プロトン化から生成される塩基を意味する(例えば、安息香酸イオンは安息香酸の共役塩基)。平均して、これらイオン対のある特定の集団は、いかなる時点にも存在するが、イオン対の形成及び解離は連続的である。本明細書で開示されている口腔用製品及び組成物において、及び/又は前記製品及び組成物の口腔での使用の際に(例えば、唾液との接触の際に)、塩基性アミン、例えばニコチン、及び有機酸の共役塩基は、イオン対の形態で少なくとも部分的に存在する。理論に制約されることを望むことなく、このようなイオン対形成は、塩基性アミンの化学分解を最小化する、及び/又は塩基性アミン(例えば、ニコチン)の口腔での利用の可能性を増強することができると考えられている。アルカリ性のpH値では(例えば、例えば、約7.5~約9)、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンは、遊離塩基形態で主として存在し、この形態は水溶性が比較的低く、蒸発及び酸化的分解に関して安定性が低いが、粘膜での利用の可能性は高い。逆に、酸性のpH値では(例えば、約6.5~約4)、ある特定の塩基性アミン、例えばニコチンはプロトン化された形態で主として存在し、この形態は水溶性が比較的に高く、蒸発及び酸化的な分解に関して安定性がより高いが、粘膜での利用の可能性は低い。驚くことに、本開示によると、口腔用使用に対して構築された組成物中でのニコチン安定性、溶解度、及び利用の可能性の特性は、ニコチンの、適当な有機酸及び/又はこれらの共役塩基とのイオン対形成又は塩形成を介して相互に増強され得ることが判明した。具体的には、中程度の親油性のニコチン-有機酸イオン対は好ましい安定性及び吸収特性をもたらす。親油性は、logP、親油性相と水相、普通それぞれオクタノールと水との間の分子の分配係数の点から好都合に測定される。塩基性アミン-有機酸イオン対のオクタノールへの分布を好むオクタノール-水の分配は、組成物中に存在する塩基性アミンの口腔粘膜を介した良好な吸収を予測する。
【0087】
上述のように、アルカリ性のpH値において(例えば、例えば、約7.5~約9)、ニコチンは主として遊離塩基形態で存在し(したがって、オクタノールへの高い分配)、その一方で酸性のpH値において(例えば、約6.5~約4)、ニコチンはプロトン化された形態で主として存在する(したがって、オクタノールへの低い分配)。驚くことに、本開示に従い、ある特定の有機酸の間のイオン対、例えば、約1.4~約8.0、例えば、約1.4~約4.5のlogP値を有するイオン対は、ニコチンがオクタノールへと分配するのを可能にすることが判明し、これは、pH8.4において、ニコチンがオクタノールへと分配すると予測されたものと一致する。
【0088】
消費者による使用前と使用中との両方で、開示された口腔用製品のイオン対形成の範囲は、例えば、pH、有機酸の性質、塩基性アミンの濃度、組成物中に存在する有機酸又は有機酸の共役塩基の濃度、組成物の含水量、組成物のイオン強度などに基づき異なり得ることを当業者は認識している。当業者はまた、イオン対形成が前述の変数により影響される平衡過程であることを認識する。したがって、イオン対形成の範囲の定量化は困難であるか、又は計算又は直接的観察では不可能である。しかし、本明細書で開示されているように、イオン対形成の存在は、代用の測定、例えば、オクタノールと水との間での塩基性アミンの分配又は塩基性アミンプラス有機酸及び/若しくはこれらの共役塩基の水溶液の膜透過を介して実証することができる。
【0089】
有機酸
本明細書に記載されている口腔用製品及び組成物は、少なくとも1種の有機酸、有機酸のアルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む。本明細書で使用される場合、「有機酸」という用語は、酸の特性により特徴付けられる有機(すなわち、炭素ベースの)化合物を指す。通常、有機酸は比較的弱酸(すなわち、これらは水の存在下で完全に分離しない)、例えば、カルボン酸(-COH)又はスルホン酸(-SOOH)である。本明細書で使用される場合、有機酸についての言及は、意図的に添加された有機酸を意味する。これに関連して、有機酸は、別の組成物の成分の構成成分として単に本来存在する有機酸(例えば、組成物成分、例えば、タバコ材料中に本来存在し得る少量の有機酸)とは対照的に、特定の組成物成分として意図的に添加することができる。
【0090】
適切な有機酸は通常ある範囲の親油性を有する(すなわち、水と有機の溶解度との適当な平衡を付与する両極性を有する)。通常、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1~約12(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある。)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は約1~約12、例えば、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、又は約8.0から、約8.5、約9.0、約9.5、約10.0、約10.5、約11.0、約11.5、又は約12.0までのlogP値を有する。ある特定の実施形態では、logPで示される適切な有機酸の親油性は、約1.4~約4.5(水中よりもオクタノール中でより溶解性がある。)の間で変動する。一部の実施形態では、有機酸は、約1.5~約4.0、例えば、約1.5、約2.0、約2.5、又は約3.0から、約3.5、約4.0、約4.5、又は約5.0までのlogP値を有する。特に適切な有機酸は、約1.7~約4、例えば、約2.0、約2.5、又は約3.0から、約3.5、又は約4.0までのlogP値を有する。特定の実施形態では、有機酸は約2.5~約3.5のlogP値を有する。一部の実施形態では、本明細書で以下にさらに記載されているように、この範囲の外側の有機酸もまた、様々な目的に対して及び様々な量で利用することができる。例えば、一部の実施形態では、有機酸は、約4.5より大きい、例えば、約4.5~約12.0のlogP値を有することができる。特に、ある特定の溶媒又は可溶化剤の存在(例えば、組成物中のグリセリン又はプロピレングリコールの包含)は親油性の範囲(すなわち、4.5より高いlogPの値、例えば、約4.5~約12.0)を延ばすことができる。
【0091】
理論に制約されることを望むことなく、適度に親油性の有機酸(例えば、約1.4~約4.5のlogP)は、両極性であるニコチンとイオン対を生成し、イオン対の良好なオクタノール-水の分配をもたらし、したがってニコチンを、オクタノール対水に分配すると考えられている。上記で検討された通り、このようなオクタノールへの分配は、好ましい口腔での利用の可能性を予測する。
【0092】
一部の実施形態では、有機酸はカルボン酸又はスルホン酸である。カルボン酸又はスルホン酸官能基は、例えば、1~20個の炭素原子(C~C20)を有する任意のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール基に結合していてもよい。一部の実施形態では、有機酸はアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリールカルボキシル又はスルホン酸である。
【0093】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、任意の直鎖又は分枝鎖炭化水素を指す。アルキル基は飽和していてもよく(すなわち、すべてのsp炭素原子を有する)、又は不飽和であってもよい(すなわち、少なくとも1つの不飽和部位を有する)。本明細書で使用される場合、「不飽和の」という用語は、アルキル基内の1つ以上の位置における炭素-炭素、sp二重結合の存在を指す。不飽和のアルキル基は、単価不飽和又は多価不飽和であってもよい。代表的な直鎖アルキル基として、これらに限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、及びn-ヘキシルが挙げられる。分枝鎖アルキル基として、これらに限定されないが、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、イソペンチル、及び2-メチルブチルが挙げられる。代表的な不飽和アルキル基として、これらに限定されないが、エチレン又はビニル、アリル、1-ブテニル、2-ブテニル、イソブチレニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、2-メチル-2-ブテニル、2,3-ジメチル-2-ブテニルなどが挙げられる。アルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0094】
「シクロアルキル」は本明細書で使用される場合、炭素環式基を指し、この炭素環式基は単環式であっても、又は二環式であってよい。シクロアルキル基として、単環式として3~7個の炭素原子を有する環又は二環式として7~12個の炭素原子を有する環が挙げられる。単環式シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよく、1つ以上の不飽和部位を含むことができる(例えば、シクロペンテニル又はシクロヘキセニル)。
【0095】
「アリール」という用語は、本明細書で使用される場合、炭素環式芳香族基を指す。アリール基の例として、これらに限定されないが、フェニル及びナフチルが挙げられる。アリール基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0096】
「ヘテロアリール」及び「ヘテロシクロアルキル」は、本明細書で使用される場合、芳香族又は非芳香族環系をそれぞれ指し、この中で1個以上の環原子はヘテロ原子、例えば窒素、酸素、及び硫黄である。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル基は、20個までの炭素原子並びにN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子を含む。ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルは、3~7環員を有する単環式(例えば、2~6個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)又は7~10環員を有する二環式(例えば、4~9個の炭素原子及びN、O、及びSから選択される1~3個のヘテロ原子)、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]系であってもよい。ヘテロアリール基の例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ピリジル、チアゾリル、テトラヒドロチオフェニル、ピリミジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、テトラゾリル、ベンゾフラニル、チアナフタレニル、インドリル、インドレニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾイミダゾリル、イソオキサゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、1H-インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、プテリジニル、4aH-カルバゾリル、カルバゾリル、フェナントリジニル、アクリジニル、ピリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フラザニル、フェノキサジニル、イソクロマニル、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ベンゾトリアゾリル、ベンズイソオキサゾリル、及びイサチノイルが挙げられる。ヘテロシクロアルキルの例は、例として、ただしこれらに限定されないが、ジヒドロピリジル(dihydroypyridyl)、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが挙げられる。ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は非置換であっても、又は置換されていてもよい。
【0097】
「置換されている」は、本明細書で使用される場合及び上記アルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルのいずれかに適用される場合、1個以上の水素原子がそれぞれ独立して置換基で置き換えられていることを意味する。典型的置換基として、これらに限定されないが、-Cl、Br、F、アルキル、-OH、-OCH、NH、-NHCH、-N(CH、-CN、-NC(=O)CH、-C(=O)-、-C(=O)NH、及び-C(=O)N(CHが挙げられる。基が「任意選択的に置換されている」と記載されている場合は常に、その基は、それぞれの場合に対して独立して選択される上記置換基のうちの1個以上で置換されていることができる。一部の実施形態では、置換基は1個以上のメチル基又は1個以上のヒドロキシル基であってもよい。
【0098】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルカルボン酸である。アルキルカルボン酸の非限定的例として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などが挙げられる。
【0099】
一部の実施形態では、有機酸はアルキルスルホン酸である。アルキルスルホン酸の非限定的例として、プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、及びオクタンスルホン酸が挙げられる。
【0100】
一部の実施形態では、アルキルカルボキシル又はスルホン酸は1つ以上のヒドロキシル基で置換されている。非限定的例として、グリコール酸、4-ヒドロキシ酪酸、及び乳酸が挙げられる。
【0101】
一部の実施形態では、有機酸として、1つより多くのカルボン酸基又は1つより多くのスルホン酸基(例えば、2、3以上のカルボン酸基)を含むことができる。非限定的例として、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、及びグルタル酸が挙げられる。複数のカルボン酸を含有する(例えば、2~4つのカルボン酸基)有機酸において、カルボン酸基の1つ以上がエステル化していてもよい。非限定的例として、コハク酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチル、クエン酸モノメチル又はクエン酸ジメチルシトレートなどが挙げられる。
【0102】
一部の実施形態では、有機酸は1つより多くのカルボン酸基及び1つ以上のヒドロキシル基を含むことができる。このような酸の非限定的例として、酒石酸、クエン酸などが挙げられる。
【0103】
一部の実施形態では、有機酸はアリールカルボン酸又はアリールスルホン酸である。アリールカルボン酸及びスルホン酸の非限定的例として、安息香酸、トルイル酸、サリチル酸、ベンゼンスルホン酸、及びp-トルエンスルホン酸が挙げられる。
【0104】
ある特定の実施形態で有用となり得る有機酸のさらなる非限定的例として、2-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸、2,2-ジクロロ酢酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、2-オキソグルタル酸、4-アセトアミド安息香酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、アスコルビン酸(L)、アスパラギン酸(L)、アルファ-メチル酪酸、樟脳酸(+)、カンファー-10-スルホン酸(+)、ケイヒ酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-二スルホン酸、エタンスルホン酸、フロ酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、レブリン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-二スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、オレイン酸、パルミチン酸、パモ酸、フェニル酢酸、ピログルタミン酸、ピルビン酸、セバシン酸酸性、ステアリン酸及びウンデシレン酸が挙げられる。
【0105】
適切な酸の例として、これらに限定されないが、表1の有機酸のリストが挙げられる。
【0106】
【表1】
【0107】
一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、又はオクタン酸である。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、又はデカン酸である。一部の実施形態では、有機酸はオクタン酸である。
【0108】
一部の実施形態では、有機酸は二酸又はポリ酸のモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸又はポリカルボン酸のモノエステルである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、フマル酸、マレイン酸、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、ジカルボン酸はコハク酸、グルタル酸、又はこれらの組合せである。
【0109】
一部の実施形態では、ジカルボン酸のアルコール形成モノエステルは親油性アルコールである。適切な親油性アルコールの例として、これらに限定されないが、オクタノール、メントール、及びトコフェロールが挙げられる。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のオクチルモノエステル、例えば、コハク酸モノオクチル、フマル酸モノオクチルなどである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノメンチルエステルである。ある特定のメンチルエステルは、組成物を含む製品の使用時にこれらが冷却感覚をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中あるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸モノメンチル、フマル酸モノメンチル、グルタル酸モノメンチル、又はこれらの組合せである。一部の実施形態では、有機酸はジカルボン酸のモノトコフェリルエステルである。ある特定のトコフェリルエステルは、これらが抗酸化剤作用をもたらすことができるため、本明細書に記載されている口腔用組成物中にあるのが望ましいこともある。一部の実施形態では、有機酸はコハク酸トコフェリル、フマル酸トコフェリル、グルタル酸トコフェリル、又はこれらの組合せである。
【0110】
一部の実施形態では、有機酸は1つ以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。カロチノイドはテトラテルペンであり、これらは8個のイソプレン分子から生成され、40個の炭素原子を含有することを意味する。したがって、これらは普通長い不飽和の脂肪族鎖の存在により親油性であり、色は一般的に黄色、オレンジ色、又は赤色である。ある特定のカロチノイド誘導体は、イオン対形成と、組成物中の着色剤としての役目の両方をもたらすことにより、口腔用組成物において有利となり得る。一部の実施形態では、有機酸は、2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16Z,18E)-20-メトキシ-4,8,13,17-テトラメチル-20-オキソイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン酸(ビキシン)又はその異性体である。ビキシンは、アチョーテ木(ビクサ・オレラナ(Bixa orellana))からのアナトーシードに見出されるアポカロテノイドであり、赤みを帯びたオレンジ色をアナトーに提供する天然由来の顔料である。ビキシンは脂肪及びアルコールに溶解性があるが、水には不溶性であり、単離した場合、化学的に不安定であり、異性化を介して二重結合異性体、trans-ビキシン(β-ビキシン)へと変換され、以下の構造を有する:
【0111】
【化1】
【0112】
一部の実施形態では、有機酸は、(2E,4E,6E,8E,10E,12E,14E,16E,18E)-4,8,13,17-テトラメチルイコサ-2,4,6,8,10,12,14,16,18-ノナエン二酸(ノルビキシン)であり、ビキシンの水溶性加水分解生成物であり、以下の構造を有する:
【0113】
【化2】
【0114】
有機酸の選択は、logP値に対する考慮に加えて又はこれを考慮せずに、追加の特性にさらに依存し得る。例えば、有機酸は、ヒトによる消費に対して安全と認識され、許容される香味、臭気、揮発性、安定性などを有する有機酸であるべきである。適当な有機酸の判定は当業者の認識範囲内である。
【0115】
一部の実施形態では、1種より多くの有機酸が存在してもよい。例えば、組成物は、2種、又は3種、又は4種以上の有機酸を含むことができる。したがって、本明細書での「有機酸」という言及は、2種以上の有機酸の混合物を想定している。複数の有機酸の相対量は変動し得る。例えば、組成物は、等量の2種、又は3種以上の有機酸を含むことができ、又は異なる相対量を含むこともできる。このように、他の有機酸と組み合わせた場合、組合せに対して所望の平均logP範囲をもたらすように、所望の範囲の外側のlogP値を有するある特定の有機酸(例えば、クエン酸又はミリスチン酸)を含めることも可能である。一部の実施形態では、目的に対して所望の範囲の外側のlogP値を有する組成物中に、例えば、これらに限定されないが、望ましい官能特性、安定性を香味成分として提供する有機酸を含むことが望ましいこともある。さらに、ある特定の親油性有機酸は、唯一の有機酸(例えば、ニコチンと比べて等モル又はより大きな量の)としてのこれらの存在を妨げる有害な香味及び又は芳香特徴を有する。理論に制約されることを望むことなく、異なる有機酸の組合せは、組成物中の任意の単一有機酸の濃度を、感覚性の観点から好ましくないと判明した閾値よりも低いまま保ちながら、所望のイオン対形成を提供することができると考えられる。
【0116】
例えば、一部の実施形態では、有機酸は、例えば、約0.2モル当量のオクタン酸又はその塩、及び0.2モル当量のデカン酸又はその塩と組み合わせて、ニコチンに対して、約1~約5以上のモル当量の安息香酸を含むことができる。
【0117】
一部の実施形態では、有機酸は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸からなる群から選択されるいずれか2種の有機酸の組合せである。一部の実施形態では、有機酸は安息香酸、オクタン酸、及びデカン酸、又は安息香酸及びオクタン酸の組合せである。一部の実施形態では、組成物は、安息香酸、トルイル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、デカン酸、及びオクタン酸のうちの1種以上に加えてクエン酸を含む。
【0118】
一部の実施形態では、組成物は有機酸のアルカリ金属塩を含む。例えば、有機酸の少なくとも一部分はアルカリ金属塩の形態で組成物中に存在し得る。適切なアルカリ金属塩として、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが挙げられる。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウム又はカリウムである。一部の実施形態では、アルカリ金属はナトリウムである。一部の実施形態では、組成物は有機酸及び有機酸のナトリウム塩を含む。
【0119】
一部の実施形態では、組成物は、安息香酸及び安息香酸ナトリウム、オクタン酸及びオクタン酸ナトリウム、デカン酸及びデカン酸ナトリウム、又はこれらの組合せを含む。
【0120】
一部の実施形態では、有機酸の有機酸のナトリウム塩(又は他のアルカリ金属)に対する比は、約0.1~約10、例えば、約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約0.75又は約1から、約2、約5又は約10までである。例えば、一部の実施形態では、有機酸とそのナトリウム塩の両方が組成物の他の構成成分に添加され、有機酸は、ナトリウム塩を超える量で、ナトリウム塩と等モルの量で、又はナトリウム塩の一部分として添加される。当業者は、相対量は、組成物の所望のpH、並びに所望のイオン強度により決定されることを認識している。例えば、有機酸は組成物の所望のpHレベルをもたらす量で添加されてもよく、その一方でアルカリ金属(例えば、ナトリウム)塩は所望の範囲のイオン対形成をもたらす量で添加される。組成物中に存在するアルカリ金属塩又は共役塩基形態に対する、組成物中に存在する有機酸(すなわち、プロトン化形態)の量は、組成物のpH及び有機酸のpKaにより、並びに組成物に最初に添加された実際の相対的な量により変動することを当業者は理解している。
【0121】
ニコチンに対する、組成物中に存在する有機酸及び/又はそのアルカリ金属塩の量は、変動し得る。一般的に、有機酸(又はその共役塩基)の濃度が増加するにつれて、有機酸とイオン対を形成するニコチンのパーセントは増加する。これは通常、logP(分配係数のlog10)で測定した場合、イオン対の形態の、オクタノール対水のニコチンの分配を増加させる。一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンとして計算されるニコチン成分に対して、約0.05、約0.1、約1、約1.5、約2、又は約5から、約10、約15、又は約20モル当量までの有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。
【0122】
一部の実施形態では、組成物は、遊離塩基ニコチンベースで、ニコチンに対して、約2~約10、又は約2~約5モル当量の有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せを含む。一部の実施形態では、有機酸、そのアルカリ金属塩、又はこれらの組合せは、約2、約3、約4、又は約5から、約6、約7、約8、約9、又は約10までのニコチンとのモル比で存在する。1種より多くの有機酸、そのアルカリ金属塩、又は両方が存在する実施形態では、このようなモル比は、存在する有機酸の全体を反映すると理解される。
【0123】
ある特定の実施形態では有機酸の包含は、約4.0~約9.0、例えば、約4.5~約7.0、又は約5.5~約7.0、約4.0~約5.5、又は約7.0~約9.0の組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸の包含は、約4.5~約6.5、例えば、約4.5、約5.0、又は約5.5から、約6.0、又は約6.5までの組成物pHをもたらすのに十分である。一部の実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば,約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9、又は約6.0から、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4、又は約6.5までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。他の実施形態では、鉱酸(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、など)を添加して、組成物のpHを所望の値に調節する。
【0124】
一部の実施形態では、有機酸は、遊離酸として、純粋な形態(すなわち、天然の固体又は液体形態)又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸のアルカリ金属塩は、純粋な形態又は溶液、例えば、水中溶液として、他の組成物構成成分に添加される。一部の実施形態では、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)を合わせて塩を形成するが、塩は組成物への添加前に形成されるか、又は塩がその中に形成されて、そのまま組成物中に存在するかのいずれかである。他の実施形態では、有機酸及び塩基性アミン(例えば、ニコチン)は組成物中に個々の構成成分として存在し、水分(例えば、消費者の口内唾液)との接触によりイオン対を形成する。
【0125】
一部の実施形態では、組成物は、ニコチン安息香酸塩及び安息香酸ナトリウム(又は他のアルカリ金属安息香酸塩)を含む。他の実施形態では、組成物はニコチン及び有機酸を含み、有機酸はジカルボン酸のモノエステルであるか、又は1種以上のカルボン酸を有するカロチノイド誘導体である。
【0126】
塩基性アミン
1つ以上の実施形態において、本明細書において開示されている口腔用製品は、塩基性アミンを含む。「塩基性アミン」とは、少なくとも1種の塩基性アミン官能基を含む分子を意味する。塩基性アミンの例として、これらに限定されないが、アルカロイドが挙げられる。「塩基性アミン官能基」とは、電子の孤立した対を有する窒素原子を含有する基を意味する。塩基性アミン官能基は、前記窒素原子への1つ以上の共有結合を介して分子に結合している又は分子内に組み込まれている。塩基性アミンは、第1級、第2級又は第3級アミンであってよく、これは、窒素が炭素原子への1つ、2つ又は3つの共有結合を保持することを意味する。窒素原子上の電子の孤立した対によって、このようなアミンは「塩基性」と呼ばれ、孤立した電子対が水素結合に対して利用可能であることを意味する。塩基性アミンの塩基性(すなわち、窒素原子上の電子密度であり、結果的には窒素原子への水素結合の利用可能度及び強度)は、隣接する原子の性質、分子の立体的かさ高さなどにより影響され得る。
【0127】
一般的に、塩基性アミンは組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これにより血流に入り、そこで全身に循環される。一般的に、塩基性アミンは、本明細書の以下に記載されているように、組成物中に存在するか、又は組成物中の活性成分として存在する。一部の実施形態では、塩基性アミンはニコチン又はニコチン成分である。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部分の経口吸収をもたらすための、本明細書において議論されている、任意の適切な形態のニコチン(例えば、遊離塩基、塩又はイオン対)を意味する。一部の実施形態において、ニコチンの適切な形態は、天然及び/又は合成ニコチンを含んでもよい。ニコチンは組成物から放出され、口腔粘膜を介して吸収され、これにより血流に入り、そこで全身に循環される。
【0128】
通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、イオン対としてのニコチン及びニコチン塩からなる群から選択される。一部の実施形態では、ニコチンの少なくとも一部分はその遊離塩基形態である。一部の実施形態では、本明細書の上記に開示されているように、ニコチンの少なくとも一部分はニコチン塩として存在し、又はニコチンの少なくとも一部分は有機酸若しくはその共役塩基の少なくとも一部分とのイオン対として存在する。
【0129】
通常、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、組成物の少なくとも約0.001重量%の濃度で、例えば、約0.001重量%~約10重量%の範囲で存在する。一部の実施形態において、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約10重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%、約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、又は約0.9w/w%から、約1w/w%、約2w/w%、約3w/w%、約4w/w%、約5w/w%、約6w/w%、約7w/w%、約8w/w%、約9w/w%又は約10重量%までの濃度で存在する。一部の実施形態において、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約3重量%、例えば、約0.1%w/w~約2.5重量%、約0.1重量%~約2.0重量%、約0.1重量%~約1.5重量%又は約0.1重量%~約1重量%の濃度で存在する。
【0130】
糖代替物
上において明記されている通り、本開示により提供される口腔用ロゼンジ製品及び組成物は、少なくとも1種の糖代替物を含む。例えば、一部の実施形態において、本明細書に記載されているロゼンジ製品及び組成物は、単一糖代替物を含むことができる。ある特定の他の実施形態において、本明細書に記載されているロゼンジ製品及び組成物は、複数の糖代替物及びこの組合せを含むことができ、例えば、ロゼンジ剤の一部の実施形態は、第1の糖代替物及び第2の糖代替物を含むことができる。糖代替物は通常純粋な、固体形態(例えば、顆粒状又は粉末形態)で提供される。しかし、一部の実施形態では、1種以上の糖代替品は、シロップ、例えば、例えば、糖アルコールシロップの形態で提供されてもよい。他の実施形態では、糖代替物は乾燥しており、非常に低い含水量を含む。例えば、糖代替物は、約5重量%未満の水、約3重量%未満の水、約2重量%未満の水又は約1重量%未満の水を含むことができる。
【0131】
糖代替物は、任意のシュガーレス材料(すなわち、スクロースを含まない材料)であることができ、天然又は合成的に生成されたものであることができる。本明細書に記載されている製品に使用される糖代替物は栄養のあるもの又は栄養のないものであることができる。例えば、糖代替物は、一般に、糖アルコールである。本発明により有用になり得る糖アルコールは、以下に限定されないが、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リボトール(ribotol)、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、マルチトール、ラクチトール、ポリグリシトール及びこれらの混合物を含む。例えば、ある特定の実施形態において、糖アルコールは、エリスリトール、ソルビトール及びイソマルトからなる群から選択される。ロゼンジ剤組成物中の糖代替物の量は、異なることができるが、通常、組成物の少なくとも約75重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%又は少なくとも約90重量%又は少なくとも約95重量%である。
【0132】
ある特定の実施形態では、糖代替物はガラス質マトリックスを形成することが可能である。ガラス質マトリックスの形成は一般的に半透明/透明な外観を特徴とする。通常、糖代替物は実質的に非吸湿性である。非吸湿性材料は通常、空気から有意な量の水分を吸収、吸着及び/又は保持しない。例えば、一部の実施形態では、糖代替物は、25℃、相対湿度80%の条件への2週間の曝露により、約50%未満の水の重量増加を示す。通常、糖代替物は、25℃、相対湿度80%の条件への2週間の曝露により、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満又は約1%未満の重量増加を示す。非吸湿性材料は、湿気への曝露によるロゼンジ剤製品の粘着付与の傾向を減少させるという利益をもたらすことができる。
【0133】
ある特定の実施形態において、糖代替物は、1種以上の糖アルコールを含む。例えば、一実施形態において、糖代替物は、イソマルトである。イソマルトは、スクロースのイソマルツロースへの酵素的転位、これに続く水素付加により、6-O-α-D-グルコピラノシド-D-ソルビトール(1,6-GPS)及び1-O-α-D-グルコピラノシド-D-マンニトール-二水和物(1,1-GPM-二水和物)の等モル組成物を得ることにより通常作製される二糖である。
【0134】
上において明記されている通り、口腔用ロゼンジ製品の一部の実施形態は、第1の糖代替物(例えば、イソマルトなど)及び第2の糖代替物(例えば、マルチトールなど)を含む。このような実施形態では、第2の糖代替物は、糖代替物に加えて、シロップ、例えば、糖シロップ又は糖アルコールシロップの形態で任意選択的に提供されてもよい。「糖アルコールシロップ」とは、本明細書で使用される場合、糖アルコールの高粘度の水溶液、例えば、約40%より高い固形分、好ましくは、約50%より高い固形分、約60%より高い固形分、より大きい約70%より高い固形分又は約80%より高い固形分を有する糖アルコールの高粘度の水溶液を指すことを意図する。通常、糖アルコールシロップの固形分は、指名された糖アルコールを主に含む(すなわち、マルチトールシロップは無水ベースで、約80重量%より多い、約85重量%より多い又は約90重量%より多いマルチトールを通常含む。)。糖アルコールシロップは一般的に、糖アルコールの水溶液を加熱し、混合物を冷却して、粘性の組成物を得ることにより調製される。生成したシロップは通常、比較的高濃度の糖アルコール及び比較的高い安定性(すなわち、糖アルコールは通常、例えば室温で溶液から結晶化しない。)を特徴とする。
【0135】
第2の糖代替物は、シロップ、例えば、糖アルコールシロップの形態で提供される場合、望ましくは、溶融した糖代替物の再結晶化に影響を与えることが可能である。特に本開示に従い有用な1種の例示的糖アルコールシロップはマルチトールシロップである。これらに限定されないが、トウモロコシシロップ、ゴールデンシロップ、糖蜜、キシリトール、マンニトール、グリセロール、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、イジトール、イソマルト、ラクチトール及びポリグリシトールシロップを含む他の糖アルコールシロップを使用することもできる。このような糖アルコールシロップは、調製することも、又は商業源から入手することもできる。例えば、マルチトールシロップは、Corn Products Specialty Ingredientsなどの製造元から市販されている。糖アルコールシロップが好ましいこともあるが、ある特定の実施形態では、糖シロップを、糖アルコールシロップの代わりに又は糖アルコールシロップと組み合わせて使用することができる。例えば、一部の実施形態では、トウモロコシシロップ、ゴールデンシロップ及び/又は糖蜜を使用することができる。
【0136】
ロゼンジ剤組成物の混合物に添加される糖アルコールシロップの量は、通常、溶融形態の糖代替物の再結晶化をゆっくりとさせるために必要な量である。再結晶化が、所望の特徴(例えば、所望のレベルの透光性/透明性)を有する物質をもたらすほど確実に十分にゆっくりとなるよう、残りの成分の組成に応じて、糖アルコールシロップの量を変えることが可能となり得ることが留意されるべきである。したがって、第2の糖代替物(例えば、糖アルコールシロップとして任意選択的に提供される)の量は変動し得るが、通常無煙タバコ生成混合物の約0.1%~約2%の範囲であり、多くの場合約0.5%~約1.5%であり、より多くの場合約1重量%である。ある特定の実施形態では、糖アルコールシロップの量はより多く、例えば、混合物の約2重量%まで、混合物の約5重量%まで、混合物の約10重量%まで又は混合物の約20重量%までである。
【0137】
活性成分
本明細書において開示されている組成物及び製品は、ある特定の実施形態において、塩基性アミン構成成分の代わりに、又はこれに加えて、1種以上の活性成分を含んでもよい。例えば、上において明記されている通り、塩基性アミン構成成分は、塩基性アミン(例えば、ニコチン)が、組成物中の唯一の活性成分として機能するよう、組成物中に存在してもよい、又は活性成分として存在してもよい。しかし、他の実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、やはり活性成分として機能する塩基性アミンに加え、1種以上の活性成分(例えば、ニコチン、ボタニカル、刺激剤、カンナビノイド、ビタミンなど)を含むことができる。本明細書で使用される場合、「活性成分」とは、以下のカテゴリーのいずれかに属する1種以上の物質を指す:API(医薬品有効成分)、食品添加物、天然薬剤及びヒトに対して作用を有し得る天然由来物質。例示的活性成分として、1種以上の体内の生物学的機能に影響を及ぼすことが公知の任意の成分、例えば、疾患の診断、治癒、軽減、治療、若しくは予防において、薬理学的活性又は他の直接的作用をもたらす、又はヒトの身体の構造又は任意の機能に影響を与える成分(例えば、中枢神経系に刺激作用をもたらす、活発化作用、解熱作用若しくは鎮痛作用、又は身体に有用な他の作用を有する)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は、一般的に栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる種類であってもよい。これらの種類の添加剤は、1種以上の有利な生物学的作用(例えば、健康促進、疾患予防、又は他の薬理作用)を提供するが、薬物として分類されても、規制されてもいない天然由来の供給源(例えば、ボタニカル材料)から通常入手可能な物質を包含するように当技術分野で定義される場合もある。
【0138】
活性成分の非限定的例として、ボタニカル成分、刺激剤、アミノ酸、ニコチン成分並びに/又は医薬品、栄養補給食品及び薬用成分(例えば、ビタミン、例えば、A、B3、B6、B12、及びC、並びに/又はカンナビノイド、例えば、テトラヒドロカンナビノール(THC)及びカンナビジオール(CBD))のカテゴリーに入るものが挙げられる。これらのカテゴリーのそれぞれがさらに以下の本明細書に記載されている。活性成分の特定の選択は、特定製品の所望のフレーバー、テキスチャー及び所望の特徴に応じて異なる。
【0139】
ある特定の実施形態において、活性成分は、カフェイン、タウリン、GABA、テアニン、トリプトファン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、レモンバーム抽出物、ニンジン、シチコリン、ヒマワリレシチン及びこれらの組合せからなる群から選択される。例えば、活性成分は、カフェイン、テアニン及び任意選択的にニンジンの組合せを含むことができる。別の実施形態では、活性成分は、テアニン、γ-アミノ酪酸(GABA)及び任意選択的にレモンバーム抽出物の組合せを含む。さらなる実施形態において、活性成分は、テアニン、テアニンとトリプトファン、テアニンと1種以上のBビタミンB6及びビタミンB12、又はトリプトファンとテアニンと1種以上のBビタミンB6及びビタミンB12を含む。さらなる実施形態において、活性成分は、任意選択的に1種以上のBビタミン(例えば、ビタミンB6又はB12)をさらに含む、カフェイン、タウリン及びビタミンCの組合せを含む。マグネシウム塩(例えば、グルコン酸マグネシウム)を上記の組合せのいずれかに、特にテアニンも含む組合せに添加され得る。
【0140】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている活性成分は、加工中又は口腔用製品の貯蔵の際に、分解(例えば、酸化的、光分解、熱的、蒸発)しやすいこともある。このような実施形態では、活性成分(例えば、カフェイン、ビタミンA及び鉄(Fe))は、封入されて、又はさもなければマトリックスがフィラー、結合剤などで改質されて、増強した安定性を活性成分にもたらすこともできる。例えば、結合剤、例えば、機能的セルロース(例えば、セルロースエーテル、これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルセルロースを含むもの)を利用して、このような活性物質の分解に対する安定性を増強させることができる。さらに、封入された活性物質は、組成物中で賦形剤と対を形成して、これらの溶解度及び/又はバイオアベイラビリティーを増加させる必要があり得る。適切な賦形剤の非限定的例として、ベータ-カロテン、リコピン、ビタミンD、ビタミンE、コエンザイムQ10、ビタミンK及びクルクミンが挙げられる。
【0141】
存在する活性成分の特定のパーセンテージは、特定の製品の所望の特徴に応じて異なる。通常、活性成分又はこれらの組合せは、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001重量%~約20重量%の範囲の総濃度で存在する。一部の実施形態では、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.1w/w%~約10%w/w%、例えば、約0.5w/w%~約10w/w%,約1w/w%~約10w/w%、約1w/w%~約5w/w%の濃度で存在する。一部の実施形態では、活性成分又は活性成分の組合せは、組成物の総重量に対して、約0.001重量%、約0.01重量%、約0.1重量%、又は約1重量%から、約20重量%まで、例えば、約0.001重量%、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.006重量%、約0.007重量%、約0.008重量%、約0.009重量%、約0.01重量%、約0.02重量%、約0.03重量%、約0.04重量%、約0.05重量%、約0.06重量%、約0.07重量%、約0.08重量%、約0.09重量%、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、又は約20重量%までの濃度で存在する。特定の活性成分に対するさらに適切な範囲が本明細書において以下に提供されている。
【0142】
ボタニカル
一部の実施形態では、活性成分はボタニカル成分を含む。本明細書で使用される場合、「ボタニカル成分」又は「ボタニカル」という用語は、任意の植物材料又は菌類由来の材料(その天然形態での植物材料を含む)及び天然植物材料由来の植物材料、例えば、植物材料又は処理した植物材料からの抽出物又は分離物(例えば、材料の物理的及び/又は化学的性質を改変することが可能な加熱処理、発酵、漂白、又は他の処理プロセスに供された植物材料)を指す。本開示の目的のため、「ボタニカル」には、これらに限定されないが、「薬草材料」が含まれ、この薬草材料とは、持続性の木質組織を生み出さず、多くの場合、これらの薬用特性又は感覚特性(例えば、茶又はハーブ茶)に対して評価されている種子生成植物を指す。「非タバコ」としてのボタニカル材料についての言及は、タバコ材料を除外することを意図する(すなわち、いかなるニコチアナ属種も含まない)。一部の実施形態では、本明細書で開示されている組成物は、いかなるタバコ材料も含まないことを特徴とすることができる(例えば、本明細書で開示されている任意の実施形態はいかなるタバコ材料も完全に又は実質的に含まなくてもよい)。「実質的に含まない」とは、いかなるタバコ材料も意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、0.001重量%未満のタバコ、又は0.0001%未満、又はさらに0重量%のタバコを有することを特徴とすることができる。
【0143】
存在する場合、ボタニカルは通常、組成物の総重量に対して、約0.01%w/w~約10重量%、例えば、約0.01%w/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0144】
本開示に有用なボタニカル材料として、制限なしで、これらの混合物を含めた、本明細書に記載の化合物及び供給源のいずれかを挙げることができる。この種類のある特定のボタニカル材料は、時には栄養補助食品、栄養補給食品、「植物化学作用物質」又は「機能性食品」と呼ばれる。ある特定のボタニカルは、ボタニカル材料又はボタニカル抽出物として、従来の薬草薬における使用が見出され、本明細書でさらに記載されている。植物又は植物由来の材料の非限定的例として、アシュワガンダ、バコパ・モニエラ(Bacopa monniera)、バオバブ、バジル、センテラ・アジアチカ(Centella asiatica)、チャイフー、カモミール、サクラの花、クロロフィル、シナモン、カンキツ、クローブ、ココア、ノムシタケ属(cordyceps)、クルクミン、ダミアナ、ドルステニア・アリフォリア(Dorstenia arifolia)、ドルステニア・オドラータ(Dorstenia odorata)、エッセンシャルオイル、ユーカリ、フェンネル、ガルフィミア・グラウカ(Galphimia glauca)、ショウガ、ギンコ・ビロバ(Ginkgo biloba)、ニンジン(例えば、パナックス・ジンセン(Panax ginseng))、緑茶、グリフォニア・シンプリシフォリア(Griffonia simplicifolia)、ガラナ、アサ、大麻、ホップ、ジャスミン、カエンフェリア・パルビフローラ(Kaempferia parviflora)(ウコン)、カバ、ラベンダー、レモンバーム、レモングラス、甘草、ルテイン、マカ、マッチャ、ナルドスタキス・チネンシス(Nardostachys chinensis)、ビオラ・オドラータ(Viola odorata)の油ベースの抽出物、ペパーミント、ケルセチン、リスベラトロール、リゾマ・ガストロジアエ(Rhizoma gastrodiae)、ロディオラ(Rhodiola)、ルイボス(rooibos)、ローズエッセンシャルオイル、ローズマリー、スケレチウム・トルトゥオスム(Sceletium tortuosum)、チョウセンゴミシ、スカルキャップ、スペアミント抽出物、スパイクナード、テルペン、ハーブ茶、ターメリック、トゥルネラ・アフロディシアカ(Turnera aphrodisiaca)、バレリアン、クワ及びイェルバマテが挙げられる。
【0145】
一部の実施形態では、活性成分はレモンバームを含む。レモンバーム(メリッサ・オフィキナリス(Melissa officinalis))はミント(シソ科(Lamiaceae))と同じ科の穏やかなレモンのよい香りがする薬草である。薬草は欧州、北アフリカ及び西アジアを原産とする。レモンバームの茶、並びにエッセンシャルオイル及び抽出物は伝統的な薬及び代替薬として使用されている。一部の実施形態では、活性成分はレモンバーム抽出物を含む。一部の実施形態では、レモンバーム抽出物は、組成物の総重量に対して、約1~約4重量%の量で存在する。
【0146】
一部の実施形態では、活性成分はニンジンを含む。ニンジンはパナックス属(Panax)植物の根であり、独特なステロイドサポニン植物化学作用物質(ジンセノシド)及びジントニンの存在を特徴とする。ニンジンは、エネルギードリンク又は薬草茶及び伝統的な薬において栄養補助食品としての使用を見出している。栽培種として、チョウセンニンジン(P.ジンセン(P.Ginseng))、サンシチニンジン(P.ノトジンセン(P.notoginseng))及びアメリカニンジン(P.キンケフォリウス(P.quinquefolius))が挙げられる。アメリカニンジン及びチョウセンニンジンは存在する様々なジンセノシドの種類及び量が異なる。一部の実施形態では、ニンジンはアメリカニンジン又はチョウセンニンジンである。特定の実施形態では、活性成分はチョウセンニンジンを含む。一部の実施形態では、ニンジンは、組成物の総重量に対して、約0.4~約0.6重量%の量で存在する。
【0147】
刺激剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の刺激剤を含む。本明細書で使用される場合、「刺激剤」という用語は、中枢神経系及び/又は身体の活性を増加させる、例えば、集中、認知、活力、気分、警戒などを増強する材料を指す。刺激剤の非限定的例として、カフェイン、テアクリン、テオブロミン及びテオフィリンが挙げられる。テアクリン(1,3,7,9-テトラメチル尿酸)はカフェインと構造的に関係しているプリンアルカロイドであり、刺激作用、鎮痛作用及び抗炎症作用を有する。存在する刺激剤は天然のものでも、自然に由来するものでも、又は完全に合成のものであってもよい。例えば、ある特定のボタニカル材料(ガラナ、茶、コーヒー、ココアなど)は、例えば、カフェイン又は関連アルカロイドの存在により刺激作用を有することができ、したがって「天然の」刺激剤である。「自然に由来する」とは、刺激剤(例えば、カフェイン、テアクリン)は、その天然(例えば、ボタニカル)マトリックスの外側が精製された形態であることを意味する。例えば、カフェインは、ボタニカル供給源(例えば、茶)からの抽出及び精製により得ることができる。「完全に合成による」とは、刺激剤が化学合成により得られることを意味する。一部の実施形態では、活性成分はカフェインを含む。一部の実施形態では、カフェインは封入された形態で存在する。封入されたカフェインの1つの例は、Balchem Corp.、52 Sunrise Park Road、New Hampton、NY、10958から入手可能なVitashure(登録商標)である。
【0148】
存在する場合、刺激剤又は刺激剤の組合せ(例えば、カフェイン、テアクリン、及びこれらの組合せ)は通常、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。一部の実施形態では、組成物は、組成物の総重量に対して、約1.5~約6重量%の量でカフェインを含む。
【0149】
アミノ酸
一部の実施形態では、活性成分はアミノ酸を含む。本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、アミン(-NH)及びカルボキシル(-COOH)又はスルホン酸(SOH)官能基を、各アミノ酸に特異的である側鎖(R基)と共に含有する有機化合物を指す。アミノ酸はタンパク質原性であっても、非タンパク質原性であってもよい。「タンパク質原性」とは、アミノ酸がタンパク質中に見出される20種の天然由来アミノ酸のうちの1種であることを意味する。タンパク質原性アミノ酸として、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。「非タンパク質原性」とは、そのアミノ酸がタンパク質中に自然に見出されない、又は細胞機構により直接生成されない(例えば、翻訳後修飾の生成物である)のいずれかであることを意味する。非タンパク質原性アミノ酸の非限定的例として、γ-アミノ酪酸(GABA)、タウリン(2-アミノエタンスルホン酸)、テアニン(L-γ-グルタミルエチルアミド)、ヒドロキシプロリン及びβ-アラニンが挙げられる。一部の実施形態では、活性成分はテアニンを含む。一部の実施形態では、活性成分はGABAを含む。一部の実施形態では、活性成分はテアニンとGABAの組合せを含む。一部の実施形態では、活性成分はテアニン、GABA及びレモンバームの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はカフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はタウリンを含む。一部の実施形態では、活性成分はカフェインとタウリンの組合せである。
【0150】
作用のいずれの理論によっても拘泥されないが、ある特定のアミノ酸、例えばテアニン、トリプトファン、GABA又はタウリンは、特に、他の活性成分、例えば、カフェイン又はある特定のボタニカルと組み合わされると、気分、不安レベル、集中力又は認識能力に有益な影響を及ぼすことができると考えられる。
【0151】
存在する場合、アミノ酸又はアミノ酸の組合せ(例えば、テアニン、タウリン、GABA、トリプトファン、及びこれらの組合せ)は通常、組成物の総重量に対して、約0.01%w/w~約15重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2%w/w、約0.3%w/w、約0.4%w/w、約0.5%w/w約0.6%w/w、約0.7%w/w、約0.8%w/w、又は約0.9%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、又は約15重量%までの濃度である。
【0152】
一実施形態において、少なくとも1種の活性成分は、重量基準において、約0.03%~約1%又は約0.05%~約0.5%の量のトリプトファンを含む。
【0153】
ビタミン
一部の実施形態では、活性成分はビタミン又はビタミンの組合せを含む。本明細書で使用される場合、「ビタミン」という用語は、哺乳動物における代謝の適正な機能に必要とされる主要な微量栄養素である有機分子(又は関連する分子のセット)を指す。ヒトの代謝には13種のビタミンが必要とされ、これらは以下の通りである:ビタミンA(all-trans-レチノール、all-trans-レチニル-エステル、並びにall-trans-β-カロテン及び他のプロビタミンAカロチノイド)、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB7(ビオチン)、ビタミンB9(葉酸又はフォレート)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール及びトコトリエノール)及びビタミンK(キノン)。一部の実施形態では、活性成分はビタミンCを含む。一部の実施形態では、活性成分はビタミンC、カフェイン及びタウリンの組合せである。
【0154】
存在する場合、ビタミン又はビタミンの組合せ(例えば、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンE、ビタミンC、又はこれらの組合せ)は通常、組成物の総重量に対して、約0.0001%w/w~約6重量%、例えば、約0.0001%w/w、約0.001%w/w、約0.01%w/w、約0.02%w/w、約0.03%w/w、約0.04%w/w、約0.05%w/w、約0.06%w/w、約0.07%w/w、約0.08%w/w、約0.09%w/w、又は約0.1%w/ww/wから、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、又は約6重量%までの濃度である。一部の実施形態において、ビタミンは、封入形態で存在してもよい。
【0155】
一部の実施形態において、活性成分は、約0.008重量%~約0.06重量%又は約0.01重量%~約0.04重量%の量のビタミンB6を含む。
【0156】
一部の実施形態において、活性成分は、約0.0001重量%~約0.007重量%又は約0.0005重量%~約0.001重量%の量のビタミンB12を含む。
【0157】
一部の実施形態において、活性成分は、重量基準で、約0.008%~約0.07%の総量のビタミンB6とビタミンB12との組合せを含む。
【0158】
抗酸化剤
一部の実施形態では、活性成分は1種以上の抗酸化剤を含む。本明細書で使用される場合、「抗酸化剤」という用語は、フリーラジカル反応を終結させることによって、酸化を防止又は抑制する物質を指し、一部の種類の細胞損傷を遅延又は防止することができる。抗酸化剤は天然由来でも、合成でもよい。天然由来の抗酸化剤として、食物及びボタニカル材料に見出されるものが挙げられる。抗酸化剤の非限定的例として、ある特定のボタニカル材料、ビタミン、ポリフェノール及びフェノール誘導体が挙げられる。
【0159】
抗酸化性特徴を伴うボタニカル材料の例として、制限なしで、アサイーベリー、アルファルファ、オールスパイス、アナトーシード、アンズ油、バジル、ビーバーム、野生型ベルガモット、黒コショウ、ブルーベリー、ルリジサ種子油、キランソウ、カカオ、カラマスルート、イヌハッカ、カツアバ、カイエンペッパー、チャガマッシュルーム、チャービル、シナモン、ダークチョコレート、ジャガイモの皮、ブドウ種、ニンジン、イチョウ、セイヨウオトギリ、ノコギリヤシ、緑茶、紅茶、ブラックコホシュ、カイエン、カモミール、クローブ、ココア粉末、クランベリー、タンポポ、グレープフルーツ、ハニーブッシュ、エキナセア、ニンニク、イブニングプリムローズ、ナツシロギク、ショウガ、ゴールデンシール、サンザシ、ハイビスカスの花、アマチャヅル、カバ、ラベンダー、甘草、ハナハッカ、オオアザミ、ミント(マント)、ウーロン茶、ビート根、オレンジ、オレガノ、パパイヤ、ペニーロイヤル、ペパーミント、赤色クローバ、ルイボス(レッド又はグリーン)、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、クラリーセージ、セイボリー、スペアミント、スピルリナ、スリッペリーエルムバーク、ソルガムふすま高タンニン、ソルガム種子高タンニン、スマックふすま、ヒレハリソウの葉及び根、ゴジベリー、ゴツコーラ、タイム、ターメリック、ウバウルシ、バレリアン、野生型ヤムの根、ウィンターグリーン、ヤーコンの根、イエロードック、イェルバマテ、イェルバサンタ、バコパ・モニエラ、アシュワガンダ、ヤマブシタケ及びシリバム・マリアナム(silybum marianum)が挙げられる。このようなボタニカル材料は新鮮なまま又は乾燥させた形態、エッセンシャルオイルで提供されてもよいし、又は抽出物の形態であってもよい。ボタニカル材料(並びにこれらの抽出物)は、多くの場合、抗酸化作用をもたらすことが公知の様々なクラスの化合物、例えば、ミネラル、ビタミン、イソフラボン、フィトステロール(phytoesterols)、硫化アリル、ジチオールチオン、イソチオシアネート、インドール、リグナン、フラボノイド、ポリフェノール及びカロチノイドを含む。ボタニカル抽出物又は油に見出される化合物の例として、アスコルビン酸、ピーナッツ内果皮、リスベラトロール、スルフォラファン、β-カロテン、リコピン、ルテイン、コエンザイムQ、カルニチン、ケルセチン、ケンフェロールなどが挙げられる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Santhoshら、Phytomedicine、12巻(2005年)216~220頁を参照されたい。
【0160】
他の適切な抗酸化剤の非限定的例として、クエン酸、ビタミンE又はその誘導体、トコフェロール、エピカテコール、エピガロカテコール、没食子酸エピガロカテコール、エリソルビン酸、エリトルビン酸ナトリウム、4-ヘキシルレソルシノール、テアフラビン、テアフラビンモノガレートA又はB、テアフラビンジガレート、フェノール酸、グリコシド、クエルシトリン、イソクエルシトリン、ヒペロシド、ポリフェノール、カテコール、リスベラトロール、オレウロペイン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第三級ブチルヒドロキノン(TBHQ)及びこれらの組合せが挙げられる。
【0161】
存在する場合、抗酸化剤は通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10重量%、例えば、約0.001%w/w、約0.005%w/w、約0.01%w/ww/w、約0.05%w/w、約0.1%w/w、又は約0.5%w/wから、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、又は約10重量%までの濃度である。
【0162】
ニコチン成分
ある特定の実施形態において、活性成分は、ニコチン成分を含む。「ニコチン成分」とは、存在するニコチンの少なくとも一部分の経口吸収をもたらすのに適した任意の形態のニコチン(例えば、遊離塩基又は塩)を意味する。通常、ニコチン成分はニコチン遊離塩基及びニコチン塩からなる群から選択される。
【0163】
一部の実施形態では、ニコチン成分の少なくとも一部分は塩の形態で利用することができる。ニコチン塩は、参照により本明細書に組み込まれる、Coxらの米国特許第2,033,909号及びPerfetti、Beitrage Tabakforschung Int.、12巻:43~54頁(1983年)に記載の種類の成分及び技術を使用して提供することができる。さらに、ニコチンの塩は、例えば、Pfaltz and Bauer、Inc.及びK&K Laboratories、Division of ICN Biochemicals、Inc.などの供給源から入手可能である。通常、ニコチン成分は、ニコチン遊離塩基、ニコチン塩、例えば、塩酸塩、ジヒドロクロリド、モノ酒石酸塩、酒石酸水素塩、硫酸塩、サリチル酸塩及び塩化亜鉛ニコチンからなる群から選択される。
【0164】
一部の実施形態では、ニコチンの少なくとも一部分はニコチンの樹脂複合体の形態であることができ、ニコチンは、イオン交換樹脂に結合している、例えば、ニコチンポラクリレックスであり、これは、例えば、ポリメタクリル酸に結合しているニコチン、例えば、Amberlite IRP64、Purolite C115HMR、又はDoshion P551である。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Lichtneckertらの米国特許第3,901,248号を参照されたい。別の例は、ニコチン-ポリアクリルカルボマー複合体、例えば、Carbopol 974Pのものである。一部の実施形態では、ニコチンはニコチンポリアクリル複合体の形態で存在することができる。
【0165】
通常、ニコチン成分(遊離塩基として計算)は、存在する場合、組成物の少なくとも約0.001重量%、例えば、約0.001%~約10%の範囲の濃度である。一部の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約10重量%、例えば、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、又は約0.9w/w%から、約1w/w%、約2w/w%、約3w/w%、約4w/w%、約5w/w%、約6w/w%、約7w/w%、約8w/w%、約9w/w%、又は約10重量%までの濃度で存在する。一部の実施形態では、ニコチン成分は、遊離塩基として計算され、組成物の総重量に対して、約0.1%w/w~約3重量%、例えば、約0.1%w/w~約2.5%、約0.1w/w%~約2.0w/w%,約0.1w/w%~約1.5w/w%、又は約0.1w/w%~約1重量%の濃度で存在する。
【0166】
一部の実施形態では、本開示の製品又は組成物は、任意のニコチン成分を含まないことを特徴とすることができる(例えば、本明細書で開示されている任意の実施形態はいかなるニコチン成分も完全に又は実質的に含まなくてもよい)。「実質的に含まない」とは、例えば、ボタニカル材料中に自然に存在し得る微量を超えて、いかなるニコチンも意図的に添加されていないことを意味する。例えば、ある特定の実施形態は、遊離塩基として計算された0.001重量%未満のニコチン、又は0.0001重量%未満のニコチン、又はさらに0重量%未満のニコチンを有することを特徴とすることができる。
【0167】
一部の実施形態では、活性成分はニコチン成分を含む(例えば、本明細書で開示されている任意の活性成分又は活性成分の組合せを含むことに加えて、本開示の任意の生成物又は組成物はニコチン成分をさらに含むことができる)。
【0168】
カンナビノイド
一部の実施形態では、親油性活性成分は1種以上のカンナビノイドを含む。本明細書で使用される場合、「カンナビノイド」という用語は、脳内の神経伝達物質放出を変化させる、細胞内のカンナビノイド受容体(すなわち、CB1及びCB2)に作用するクラスの多様な天然又は合成化学化合物を指す。カンナビノイドは、特定の特性、例えば、血液脳関門を簡単に横断する能力などを示す環式の分子である。カンナビノイドは、植物、例えばアサなどからの天然由来(植物性カンナビノイド)であっても、動物由来(内在性カンナビノイド)であっても、又は人為的に製造されたもの(合成カンナビノイド)であってもよい。アサ種は、少なくとも85種の異なる植物性カンナビノイドを発現し、これらはカンナビゲロール、カンナビクロメン、カンナビジオール、テトラヒドロカンナビノール、カンナビノール及びカンナビノジオール、及び他のカンナビノイド、例えば、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、及びテトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)を含むサブクラスに分割することができる。
【0169】
一部の実施形態では、カンナビノイドは、カンナビゲロール(CBG)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビジオール(CBD)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビノール(CBN)及びカンナビノジオール(CBDL)、カンナビシクロール(CBL)、カンナビバリン(CBV)、トラヒドロカンナビバリン(THCV)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビクロメバリン(CBCV)、カンナビゲロバリン(CBGV)、カンナビゲロールモノメチルエーテル(CBGM)、カンナビネロール酸、カンナビジオール酸(CBDA)、カンナビノールプロピル変化形(CBNV)、カンナビノトリオール(CBO)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン酸(THCV A)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一部の実施形態では、カンナビノイドは少なくともテトラヒドロカンナビノール(THC)を含む。一部の実施形態では、カンナビノイドはテトラヒドロカンナビノール(THC)である。一部の実施形態では、カンナビノイドは少なくともカンナビジオール(CBD)を含む。一部の実施形態では、カンナビノイドはカンナビジオール(CBD)である。一部の実施形態では、CBDは合成CBDである。とりわけ、CBDはlogP値約6.5を有し、これによって水性環境内(例えば、唾液)で不溶性となる。
【0170】
一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、分離物の形態で口腔用製品に添加される。分離物とは、植物、例えば、アサからの抽出物であり、目的の活性物質(この場合カンナビノイド、例えば、CBD)は、高度の純度で、例えば、95%より大きい、96%より大きい、97%より大きい、98%より大きい、又は99%の周辺の純度で存在する。
【0171】
一部の実施形態では、カンナビノイドは、高度の純度でのCBDの分離物であり、口腔用製品中のいずれか他のカンナビノイドの量は、口腔用製品の約1重量%以下、例えば、口腔用製品の約0.5重量%以下、例えば、口腔用製品の約0.1重量%以下、例えば、口腔用製品の約0.01重量%以下である。
【0172】
開示された口腔用製品内に存在し得るカンナビノイドの選択及びその特定のパーセンテージは、口腔用製品の所望のフレーバー、テキスチャー、及び他の特徴に応じて変動することになる。
【0173】
代わりに、又はカンナビノイドに加えて、親油性活性剤は大麻類似物を含んでもよく、この大麻類似物は、カンナビノイドと類似の内在性カンナビノイド系に対する生物学的作用を有する、アサ以外の植物由来のクラスの化合物である。例として、ヤンゴニン、アルファ-アミリン又はベータ-アミリン(テルペンとしても分類される)、シアニジン、クルクミン(ターメリック)、カテキン、ケルセチン、サルビノリンA、N-アシルエタノールアミン、及びN-アルキルアミド脂質が挙げられる。このような化合物は、カンナビノイドに対して本明細書で記述されたものと同じ量及び比で使用することができる。
【0174】
存在する場合、カンナビノイド(例えば、CBD)又は大麻類似物は通常、組成物の総重量に対して、組成物の少なくとも約0.1重量%の濃度、例えば、約0.1重量%~約30重量%の範囲、例えば、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、又は約0.9重量%から、約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約15重量%、約20重量%、又は約30重量%までの濃度である。一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、口腔用製品中に、口腔用製品の少なくとも約0.001重量%の濃度、例えば、口腔用製品の約0.001%~約2重量%の範囲の濃度で存在する。一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、口腔用製品中に、口腔用製品の総重量に対して、約0.1%~約1.5重量%の濃度で存在する。一部の実施形態では、カンナビノイド(例えば、CBD)は、口腔用製品の総重量に対して、約0.4%~約1.5重量%の濃度で存在する。
【0175】
テルペン
本開示における使用に適した親油性活性成分はまたテルペンとして分類することができ、このうちの多くは生物学的作用、例えば、沈静作用を伴う。テルペンは、一般式(Cを有すると考えられ、モノテルペン、セスキテルペン及びジテルペンを含む。テルペンは非環式、単環式又は二環式の構造であることができる。一部のテルペンは、カンナビノイド又は大麻類似物と組み合わせて使用された場合、アントラージュ効果を提供する。例として、ベータ-カリオフィレン、リナロール、リモネン、ベータ-シトロネロール、酢酸リナリル、ピネン(アルファ又はベータ)、ゲラニオール、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン及びゲルマクレンが挙げられ、これらは個々に又は組み合わせて使用することができる。
【0176】
一部の実施形態では、テルペンは、植物性カンナビノイド生成植物、例えば、カンナビス・サティヴァ種、例えば、大麻の株の植物から誘導可能なテルペンである。この関連で適切なテルペンとして、いわゆる「C10テルペン」(10個の炭素原子を含むようなテルペン)、及びいわゆる「C15テルペン」(15個の炭素原子を含むようなテルペン)が挙げられる。一部の実施形態では、活性成分は1種より多くのテルペンを含む。例えば、活性成分は、本明細書で定義された、1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種以上のテルペンを含むことができる。一部の実施形態では、テルペンは、ピネン(アルファ及びベータ)、ゲラニオール、リナロール、リモネン、カルボン、ユーカリプトール、メントン、イソ-メントン、ピペリトン、ミルセン、ベータ-ブルボネン、ゲルマクレン及びこれらの混合物から選択される。
【0177】
医薬品成分
一部の実施形態では、活性成分は医薬品活性成分(API)を含む。APIは、治療用、予防用、又は診断用の使用に適応した任意の公知の薬剤であることができる。これらは、例えば、合成有機化合物、タンパク質及びペプチド、多糖及び他の糖、脂質、リン脂質、無機化合物(例えば、マグネシウム、セレン、亜鉛、硝酸塩)、神経伝達物質又はその前駆体(例えば、セロトニン、5-ヒドロキシトリプトファン、オキシトリプタン、アセチルコリン、ドーパミン、メラトニン)及び核酸配列を含むことができ、これらは治療的、予防的、又は診断用活性を有する。APIの非限定的例として、鎮痛剤及び解熱剤(例えば、アセチルサリチル酸、アセトアミノフェン、3-(4-イソブチルフェニル)プロパン酸)、ホスファチジルセリン、ミオイノシトール、ドコサヘキサエン酸(DHA、オメガ-3)、アラキドン酸(AA、オメガ-6)、S-アデノシルメチオニン(SAM)、ベータ-ヒドロキシ-ベータ-メチルブチレート(HMB)、シチコリン(シチジン-5’-ジホスフェート-コリン)及びコチニンが挙げられる。一部の実施形態では、活性成分はシチコリンを含む。一部の実施形態では、活性成分はシチコリン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。一部の実施形態では、活性成分はヒマワリレシチンを含む。一部の実施形態では、活性成分はヒマワリレシチン、カフェイン、テアニン及びニンジンの組合せである。
【0178】
APIの量は異なってもよい。例えば、存在する場合、APIは通常、組成物の総重量に対して、約0.001%w/w~約10w/w%、例えば、約0.01w/w%、約0.02w/w%、約0.03w/w%、約0.04w/w%、約0.05w/w%、約0.06w/w%、約0.07w/w%、約0.08w/w%、約0.09w/w%、約0.1%w/w、約0.2w/w%、約0.3w/w%、約0.4w/w%、約0.5w/w%約0.6w/w%、約0.7w/w%、約0.8w/w%、約0.9w/w%、又は約1w/w%から、約2w/w%、約3w/w%、約4w/w%、約5w/w%、約6w/w%、約7w/w%、約8w/w%、約9w/w%、又は約10重量%までの濃度である。
【0179】
一部の実施形態では、組成物はいかなるAPIも実質的に含まない。「いかなるAPIも実質的に含まない」とは、組成物は、本明細書で定義されたいずれかのAPI、例えば、いずれかの医学的状態を治療することを意図した、いずれかの食品医薬品局(FDA)承認治療剤の存在を含有せず、選択的に排除することを意味する。
【0180】
有利には、一部の実施形態において、本開示の組成物及び製品は、当分野において一般に公知の従来の無煙タバコ製品と比べた場合、比較的少量の活性成分(例えば、ニコチンなど)をこれらの中に含んで提供することができる。特にニコチンを比較的少量で含む実施形態は、有利なことに、それらの製品がそれらの製品の使用者の口腔内に入れられると、活性なニコチンの一層望ましい送達プロファイル及び改善された感覚刺激特性を有する、組成物及び製品を提供することが留意されるべきである。例えば、本開示の口腔用製品は、その中に配合されたニコチン又はタバコ材料を一層多い量有する従来の無煙タバコ製品と比べて、風味特徴の改善、外観の改善(例えば、透光性又は透明性)、及び改善された口当たりを示すことができる。このような改善は、この中に一層少ない量の活性成分を有する口腔用製品を提供することによって実現される。例えば、本明細書に記載されている組成物及び製品は、組成物の総重量に対して、約2重量パーセント未満の量の、ニコチン成分の形態の活性成分を含んでもよい。一部の実施形態において、口腔用製品は、組成物の総重量に対して、約2重量パーセント未満、約1.75重量パーセント未満、約1.5重量パーセント未満、約1.25重量パーセント未満、約1.0重量パーセント未満、約0.75重量パーセント未満、約0.50重量パーセント未満又は約0.25重量パーセント未満の量のニコチン成分を含んでもよい。
【0181】
タバコ材料
一部の実施形態では、本開示による口腔用製品はタバコ材料をさらに含むことができる。タバコ材料は種、種類及び形態が異なってもよい。一般的に、タバコ材料はニコチアナ種の収穫された植物から得られる。例示的ニコチアナ属種として、N.タバカム(N.tabacum)、N.ルスチカ(N.rustica)、N.アラタ(N.alata)、N.アレントシ(N.arentsii)、N.エクセルシオール(N.excelsior)、N.フォルゲティアナ(N.forgetiana)、N.グラウカ(N.glauca)、N.グルチノーザ(N.glutinosa)、N.ゴッセイ(N.gossei)、N.カワカミ(N.kawakamii)、N.ナイチアナ(N.knightiana)、N.ラングスドルフィ(N.langsdorffi)、N.オトホラ(N.otophora)、N.セトケリ(N.setchelli)、N.シルベストリス(N.sylvestris)、N.トメントサ(N.tomentosa)、N.トメントシホルミス(N.tomentosiformis)、N.アンドゥラタ(N.undulata)、N.xサンデラエ(N.x sanderae)、N.アフリカーナ(N.africana)、N.アムプレキシカウリス(N.amplexicaulis)、N.ベナビデシ(N.benavidesii)、N.ボナリエンシス(N.bonariensis)、N.デブネイ(N.debneyi)、N.ロンギフロラ(N.longiflora)、N.マリチナ(N.maritina)、N.メガロシホン(N.megalosiphon)、N.オシデンタリス(N.occidentalis)、N.パニクラタ(N.paniculata)、N.プルムバギニフォリア(N.plumbaginifolia)、N.ライモンジ(N.raimondii)、N.ロスラタ(N.rosulata)、N.シムランス(N.simulans)、N.ストクトニ(N.stocktonii)、N.スアベオレンス(N.suaveolens)、N.アンブラチカ(N.umbratica)、N.ベルチナ(N.velutina)、N.ウィガンジオイデス(N.wigandioides)、N.アカウリス(N.acaulis)、N.アクミナタ(N.acuminata)、N.アテヌアタ(N.attenuata)、N.ベンサミアナ(N.benthamiana)、N.カビコラ(N.cavicola)、N.クレベランジ(N.clevelandii)、N.コルジフォリア(N.cordifolia)、N.コリンボサ(N.corymbosa)、N.フラグランス(N.fragrans)、N.グッドスピーディ(N.goodspeedii)、N.リネアリス(N.linearis)、N.ミエルシ(N.miersii)、N.ヌジカウリス(N.nudicaulis)、N.オブツシフォリア(N.obtusifolia)、N.オシデンタリス亜種ヘスペリス(N.occidentalis subsp.Hersperis)、N.パウシフロラ(N.pauciflora)、N.ペツニオイデス(N.petunioides)、N.クアドリバルビス(N.quadrivalvis)、N.レパンダ(N.repanda)、N.ロツンジフォリア(N.rotundifolia)、N.ソラニフォリア(N.solanifolia)及びN.スペガジニ(N.spegazzinii)が挙げられる。ニコチアナ属種の様々な代表的な他の種類の植物が、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Goodspeed、The Genus Nicotiana、(Chonica Botanica)(1954年);Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号、Lawsonらの米国特許第7,025,066号;Lawrence,Jr.の米国特許第7,798,153号及びMarshallらの米国特許第8,186,360号に記載されている。様々な種類のタバコ、栽培の実施及び収穫の実施の説明が、参照により本明細書に組み込まれる、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。
【0182】
適切なタバコ材料を得ることができるニコチアナ属種は、遺伝的改変又は交配育種技術を使用して誘導することができる(例えば、タバコ植物は、遺伝子操作又は異種交配して、構成成分、特徴又は特質の生成を増加又は低減することができる)。例えば、Fitzmauriceらの米国特許第5,539,093号;Wahabらの米国特許第5,668,295号;Fitzmauriceらの米国特許第5,705,624号;Weiglの米国特許第5,844,119号;Dominguezらの米国特許第6,730,832号;Liuらの米国特許第7,173,170号;Colliverらの米国特許第7,208,659号及びBenningらの米国特許第7,230,160号;Conklingらの米国特許出願公開第2006/0236434号;並びにNielsenらのPCT WO2008/103935に記載の植物の遺伝子改変の種類を参照されたい。また、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Sensabaugh,Jr.らの米国特許第4,660,577号;Whiteらの米国特許第5,387,416号;及びDominguezらの米国特許第6,730,832号に記載の種類のタバコも参照されたい。
【0183】
一部の実施形態では、ニコチアナ属種は、その中に存在する様々な化合物の含有量に対して選択することができる。例えば、植物は、単離を希望する1種以上の化合物を比較的多量に生成するような植物であることに基づき選択することができる。ある特定の実施形態では、ニコチアナ属種の植物(例えば、ガルパオコムンタバコ)は、これらの葉面化合物が豊富なことから特別に栽培されている。タバコ植物は、温室、生育チャンバー、又は屋外のフィールドで栽培することができ、又は水耕栽培することができる。
【0184】
ニコチアナ属種の植物の様々な部分又は一部分が、本明細書で開示されている組成物内に含まれていてもよい。例えば、実質的には植物のすべて(例えば、植物全体)を収穫し、そのまま利用することができる。代わりに、植物の様々な部分又は小片は、収穫する、又は収穫後のさらなる使用のために分離することもできる。例えば、花、葉、茎、幹、根、種子及び様々なこれらの組合せは、さらなる使用又は処理のために単離することができる。一部の実施形態では、タバコ材料はタバコ葉(葉身)を含む。本明細書で開示されている組成物は、加工したタバコ部分若しくは小片、本質的に天然葉身及び/又は茎の形態で乾燥加工し、熟成させたタバコ、タバコ抽出物、抽出タバコパルプ(例えば、水を溶媒として使用)、又は前述の混合物(例えば、抽出タバコパルプを顆粒化し、乾燥加工して、熟成させた天然のタバコ葉身と合わせた混合物)を挙げることができる。
【0185】
ある特定の実施形態では、タバコ材料は、葉身及び茎からなる群から選択される固形タバコ材料を含む。混合物に使用されるタバコは、最も好ましくは、タバコ葉身、又はタバコ葉身と茎の混合物(このうち少なくとも一部分は煤煙処理している)が挙げられる。混合物内のタバコの一部分は加工した形態、例えば、加工タバコ茎(例えば、切断圧延茎、切断圧延拡張茎又は切断パフ茎)、又は体積膨張タバコ(例えば、パフタバコ、例えば、ドライアイス膨張タバコ(DIET))を有してもよい。例えば、すべてが参照により組み込まれているde la Burdeらの米国特許第4,340,073号;Guyらの米国特許第5,259,403号;並びにPoindexterらの米国特許第5,908,032号;及びPoindexterらの米国特許第7,556,047号に記載のタバコ膨張加工を参照されたい。加えて、混合物は任意選択的に発酵性であるタバコを組み込んでもよい。参照により本明細書に組み込まれる、AtchleyらのPCT WO2005/063060に記載のタバコ加工技術の種類を参照されたい。
【0186】
タバコ材料は通常、粒状と記載することができる形態(すなわち、細断、製粉、顆粒化、又は粉末形態)で使用されている。タバコ材料が微細に分割された又は粉末形態のタイプで提供される方式は異なり得る。好ましくは、植物部分又は小片は、製粉、ミリングなどに対する装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化されて粒状形態となる。最も好ましくは、植物材料は、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満又は約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。最も好ましくは、タバコ材料は、1.4ミリメートル~250ミクロンの間の平均粒径を有する部分又は小片の形態で利用される。ある場合には、タバコ粒子は、必要とされる粒径範囲を得るため、スクリーンメッシュの通過サイズにすることができる。所望する場合、空気分級装置を使用して、所望のサイズ、又はサイズ範囲の、小さなサイズのタバコ粒子を確実に収集することができる。所望する場合、顆粒化タバコの異なるサイズの小片を一緒に混合することができる。
【0187】
タバコが微細に分割された又は粉末タイプの形態で提供される方式は異なってもよい。好ましくは、タバコ部分又は小片は、製粉、ミリングなどのための装置及び技術を使用して、粉末化、製粉、又は微粉化され、粉末タイプの形態にする。最も好ましくは、タバコは、ハンマーミル、カッターヘッド、空気制御ミルなどの装置を使用して製粉又はミリングしている間、比較的乾燥した形態である。例えば、タバコ部分又は小片は、その含水量が約15重量パーセント未満~約5重量パーセント未満である場合、製粉又はミリングすることができる。例えば、タバコ植物又はその一部分は、個々の部分又は小片へと分離することができる(例えば、葉は茎から除去することができ、並びに/又は茎及び葉は幹から除去することができる)。収穫された植物又は個々の部分又は小片は、部分又は小片へとさらに細分することができる(例えば、葉は、細断、切断、粉末化、微粉化、ミリング、又は製粉して、小片又は部分にすることができ、これら小片又は部分はフィラータイプ小片、顆粒、粒状又は微細な粉末であることを特徴とし得る)。植物、又はその部分は、外部の力又は圧力に供することができる(例えば、圧縮又はロール処理により)。このような加工条件を実行する場合、植物若しくはその一部分はその天然含水量に近似する含水量(例えば、収穫直後のその含水量)、水分を植物若しくはその一部分に添加することにより達成される含水量、又は植物若しくはその一部分の乾燥から得られる含水量を有することができる。例えば、粉末化、微粉化、製粉又はミリングした植物の小片又はその一部分は、約25重量パーセント未満、多くの場合約20重量パーセント未満、及び頻繁には約15重量パーセント未満の含水量を有することができる。
【0188】
口腔用製品の調製のため、ニコチアナ属種の収穫された植物を乾燥加工化プロセスに供することが通常である。本明細書で開示されている製品内への包含用の組成物内に組み込まれるタバコ材料は、適切に乾燥加工した、及び/又は熟成したものである。様々な種類のタバコに対する様々な種類の乾燥加工プロセスの説明が、Tobacco Production、Chemistry and Technology、Davisら(編)(1999年)に記載されている。熱風乾燥したタバコを乾燥加工するための技術及び条件の例が、参照により本明細書に組み込まれる、Nestorら、Beitrage Tabakforsch.Int.、20巻、467~475頁(2003年)及びPeeleの米国特許第6,895,974号に記載されている。タバコを空気乾燥加工するための代表的な技術及び条件が、参照により本明細書に組み込まれる、Grovesらの米国特許第7,650,892号;Rotonら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、305~320頁(2005年)及びStaafら、Beitrage Tabakforsch.Int.、21巻、321~330頁(2005年)に記載されている。ある特定の種類のタバコは、代替の種類の乾燥加工プロセス、例えば、直火煙乾燥又は日光乾燥に供することもできる。
【0189】
ある特定の実施形態では、利用することができるタバコ材料として、熱風乾燥した又はバージニア(例えば、K326)、バーレー種、日光乾燥したもの(例えば、インディアンクルヌール及びオリエンタルタバコ、これにはカテリニ、プレリップ、コモティニ、クサンティ及びヤンボルタバコが含まれる)、メリーランド、ダーク、ダークファイアード、ダーク空気乾燥(例えば、マドール、パサンダ、クバーノ、ジャティン及びベズキタバコ)、ライト空気乾燥(例えば、ノースウィスコンシン及びガルパオタバコ)、インディアン空気乾燥、レッドロシアン及びルスチカタバコ、並びに様々な他の稀な又は専門タバコ及び前述のタバコのいずれかの様々なブレンドが挙げられる。
【0190】
タバコ材料はまた、いわゆる「ブレンド」形態を有することができる。例えば、タバコ材料は、熱風乾燥、バーレー種(例えば、マラウイバーレー種タバコ)及びオリエンタルタバコの部分又は小片の混合物を含むことができる(例えば、タバコ葉身、又はタバコ葉身とタバコ茎の混合物で構成される、又はこれら由来のタバコ)。例えば、代表的なブレンドは、重量ベースで、約30~約70部のバーレー種タバコ(例えば、葉身、又は葉身及び茎)、及び約30~約70部の熱風乾燥タバコ(例えば、茎、葉身、又は葉身及び茎)を組み込むことができる。他の例示的タバコブレンドは、重量ベースで、約75部の熱風乾燥タバコ、約15部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約25部のバーレー種タバコ、及び約10部のオリエンタルタバコ;又は約65部の熱風乾燥タバコ、約10部のバーレー種タバコ、及び約25部のオリエンタルタバコを組み込んでいる。他の例示的タバコブレンドは、重量ベースで、約20~約30部のオリエンタルタバコ及び約70~約80部の熱風乾燥タバコを組み込んでいる。
【0191】
本開示において使用されているタバコ材料は、例えば、発酵、漂白などに供することができる。所望する場合、タバコ材料は、例えば、照射、低温殺菌、又はさもなければ制御された加熱処理に供することもできる。このような処理プロセスは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Muaらの米国特許第8,061,362号に詳述されている。ある特定の実施形態では、タバコ材料は、水で、及びタバコ材料の加熱時にアクリルアミドを形成するアスパラギンの反応を阻害することが可能な添加剤(例えば、リシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、システイン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価のカチオンを組み込んでいる組成物、アスパラギナーゼ、ある特定の非還元性糖類、ある特定の還元剤、フェノール系化合物、少なくとも1つの遊離チオール基又は官能基を有するある特定の化合物、酸化剤、酸化触媒、天然の植物抽出物(例えば、ローズマリー抽出物)、並びにこれらの組合せからなる群から選択される添加剤)で処理することができる。例えば、すべて参照により本明細書に組み込まれる、Chenらの米国特許公開第8,434,496号、米国特許公開第8,944,072号及び米国特許公開第8,991,403号に記載されているタイプの処理プロセスを参照されたい。ある特定の実施形態では、このタイプの処理は、以前に記述されたプロセスにおいて元のタバコ材料を加熱に供する場合有用である。
【0192】
タバコ組成物又は製品に利用されているタバコ材料の少なくとも一部分は抽出物の形態を有することができる。一部の実施形態では、タバコ組成物又は製品に利用されているすべてのタバコ材料が抽出物、例えば、タバコ由来のニコチン抽出物の形態であってもよい。タバコ抽出物は、水性の性質を有する溶媒、例えば、蒸留水又は水道水を使用してタバコを抽出することによって得ることができる。よって、水性タバコ抽出物は、水不溶性パルプ材料が、水性溶媒及びその中に溶解及び分散した水溶性及び分散性タバコ構成成分から分離するように、タバコを水で抽出することによって提供され得る。タバコ抽出物は様々な形態で利用することができる。例えば、水性タバコ抽出物は、例えば、噴霧乾燥又は凍結乾燥プロセス又は他の類似の種類の加工ステップを使用した結果として得ることができるなど、本質的に無溶媒の形態で単離することができる。代わりに、水性タバコ抽出物は、液体形態で利用することができ、よって、液体溶媒内のタバコ溶解性物質の含有量は、抽出に対して利用される溶媒の量の選択、溶媒の除去による液体タバコ抽出物の濃度、液体タバコ抽出物を希釈する溶媒の添加などによって制御することができる。タバコの構成成分を抽出するための例示的技術は、すべてを本明細書に参照により組み込む、Fioreの米国特許第4,144,895号;Osborne、Jr.らの米国特許第4,150,677号;Reidの米国特許第4,267,847号;Wildmanらの米国特許第4,289,147号;Brummerらの米国特許第4,351,346号;Brummerらの米国特許第4,359,059号;Mullerの米国特許第4,506,682号;Keritsisの米国特許第4,589,428号;Sogaらの米国特許第4,605,016号;Pouloseらの米国特許第4,716,911号;Niven、Jr.らの米国特許第4,727,889号;Bernasekらの米国特許第4,887,618号;Clappらの米国特許第4,941,484号;Faggらの米国特許第4,967,771号;Robertsらの米国特許第4,986,286号;Faggらの米国特許第5,005,593号;Grubbsらの米国特許第5,018,540号;Whiteらの米国特許第5,060,669号;Faggの米国特許第5,065,775号;Whiteらの米国特許第5,074,319号;Whiteらの米国特許第5,099,862号;Whiteらの米国特許第5,121,757号;Faggの米国特許第5,131,414号;Munozらの米国特許第5,131,415号;Faggの米国特許第5,148,819号;Kramerの米国特許第5,197,494号;Smithらの米国特許第5,230,354号;Faggの米国特許第5,234,008号;Smithの米国特許第5,243,999号;Raymondらの米国特許第5,301,694号;Gonzalez-Parraらの米国特許第5,318,050号;Teagueの米国特許第5,343,879号;Newtonの米国特許第5,360,022号;Clappらの米国特許第5,435,325号;Brinkleyらの米国特許第5,445,169号;Lauterbachの米国特許第6,131,584号;Turpenらの米国特許第6,284,875号;Kierulffらの米国特許第6,298,859号;Muaらの米国特許第6,772,767号;Beritらの米国特許第6,817,970号;Bratcherらの米国特許第6,906,172号;Turpenらの米国特許第7,034,128号;Bratcherらの米国特許第7,048,211号;及びThompsonの米国特許第7,337,782号に記載されている。
【0193】
本開示によると、ニコチアナ植物又はそのポーション(本明細書の上記に記載されている)には通常、タバコ材料の透明度の改善を得ることを意図した加工を施す。ある特定の実施形態では、本発明の製品に使用されているタバコ材料は抽出物、例えば、タバコ材料の水性抽出物の形態である。タバコ抽出物の透明度の改善は、例えば、高分子量の構成成分をタバコ抽出物から除去することにより得ることができる。ある特定の実施形態では、本発明に従い有利に除去される高分子量の構成成分として、これらに限定されないが、高分子量のメイラードブラウニングポリマー、タンパク質、多糖、ある特定の顔料及び細菌が挙げられる。この目的のために、サイズ排除クロマトグラフィー、精密濾過、限外濾過法、ナノ濾過、逆浸透及びこれらの組合せを含む様々な方法を使用することができる。理想的には、タバコ抽出物には、限外濾過したタバコ抽出物を得るための限外濾過法のプロセスを行うことができる。タバコ材料の限外濾過法の例示的フィルター、方法及びプロセスは、全体を参照により本明細書に組み込む、Holton Jr.の米国特許第9,084,439号及びHolton Jr.の米国特許第9,901,113号に記載されている。
【0194】
本開示に従い、限外濾過法プロセスは、懸濁固形分のレベルが低下し、よって透明度レベルが増加したタバコ抽出物を達成するように設計されている。例えば、フィルターの分子量カットオフに応じて、限外濾過抽出物は、約50,000Da未満、約25,000Da未満、約10,000Da未満、約7,500Da未満、約5,000Da未満、約2,500Da未満又は約1,000Da未満の分子量を有する化合物のみを含むことができる。限外濾過抽出物は通常、主に糖、ニコチン及びアミノ酸を含む。
【0195】
限外濾過抽出物は、非限外濾過抽出物よりも透明度レベルの改善を示す。本開示による抽出物及びこのような抽出物を組み込んだ口腔用製品の透明度は通常半透明性の点から定義される。本明細書で使用される場合、「透光性のある」又は「透光性」とは、一部のレベルの光がそれを通過して拡散して進むことを許容する材料を指す。ある特定の実施形態では、本発明のある特定の材料(例えば、ある特定のタバコ抽出物又はそれから作製した最終的無煙タバコ製品)は、材料が「透明である」又は「透明性」を示すと分類できるような高度の透明度を有することができる。「透明である」又は「透明性」とは、光が有意に拡散することなく自由に通過することを許容する材料と定義される。限外濾過抽出物の透明度は、不透明(光を通さない材料を指す)とは対照的に、いくらかのレベルの透光性が存在するような程度である。
【0196】
非限外濾過抽出物を上回る限外濾過抽出物の透明度の改善は、任意の公知の方法により定量化することができる。例えば、光学的方法、例えば、比濁法(又はネフェロメトリー)及び比色を使用して、限外濾過抽出物又はそれから作製した製品の濁り(光散乱)及び色(光吸収)をそれぞれ定量化することができる。透光性はまた、材料(例えば、抽出物)又は製品を光源に対して単に掲げて、光が材料又は製品を介して拡散した方式で進むかどうかを判定することにより、目視検査で確認することができる。
【0197】
ある特定の実施形態では、限外濾過抽出物は、抽出物を光に接触させ、抽出物により、吸収及び/又は分散されなかった光のパーセントを測定することにより分析する。測定は、例えば、所与の波長において標準的な分光光度計を使用して行うことができる。分光光度計は通常、脱イオン水で較正し、これを透明度値100%と指定する。限外濾過抽出物中の所与の波長での許容されるレベルの透光性/透明性は変動し得る。通常、限外濾過抽出物は、約5%より高い、約10%より高い、約15%より高い、約20%より高い、約25%より高い、約30%より高い、約40%より高い、約50%より高い、約60%より高い、約60%より高い、約70%より高い、約80%又は約90%より高い透光性を有する。通常、限外濾過抽出物は無色ではなく、いくらか認識できる褐色/黒色の着色を有する。限外濾過法の後、抽出物は冷蔵庫又は冷凍庫内に貯蔵することができ、又は抽出物は、本発明の製品に使用する前に、冷凍乾燥又はスプレー乾燥することができる。ある特定の実施形態では、抽出物はシロップ形態で提供される。
【0198】
一部の実施形態では、タバコ抽出物はそのまま使用されるが、抽出物を加熱処理することが望ましいこともある。この熱処理は、限外濾過法の前、限外濾過法の後、又は限外濾過法の前と後の両方に行うことができる。例えば、タバコ材料は、タバコ材料、水並びにリシン、グリシン、ヒスチジン、アラニン、メチオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、プロリン、フェニルアラニン、バリン、アルギニン、二価及び三価カチオン、アスパラギナーゼ、糖類、フェノール系化合物、還元剤、遊離チオール基を有する化合物、酸化剤(例えば、過酸化水素)、酸化触媒、植物抽出物並びにこれらの組合せからなる群から選択される添加剤を混合して、湿ったタバコ混合物を形成するステップ及び少なくとも約60℃の温度で湿ったタバコ混合物を加熱して、加熱処理されたタバコ混合物を形成することによって、熱的に処理することできる。一実施形態では、処理されたタバコ抽出物は、水、NaOH及び添加剤(例えば、リシン)の存在下、約88℃で約60分間加熱処理される。このような加熱処理は、タバコ材料中のアスパラギンと還元糖との反応から生じるアクリルアミドの生成を防止するのを助けることができ、ある程度の低温殺菌を提供することができる。例えば、参照により本明細書に組み込む、Chenらの米国特許公開第2010/0300463号を参照されたい。加熱処理されたタバコ抽出物が本発明の無煙タバコ製品に使用されるある特定の実施形態では、製品は非常に低いアクリルアミド含有量を特徴とすることができる。例えば、一部の実施形態では、無煙タバコ製品は、約500ppb(ng/g)未満、約400ppb未満、約300ppb未満、約200ppb未満又は約100ppb未満のアクリルアミド含有量を特徴とする。
【0199】
したがって、「処理されたタバコ抽出物」とは、本明細書で使用される場合一部の方式で処理されて、高分子量構成成分が除去され、これによって透明度が改善されたタバコ抽出物(例えば、限外濾過抽出物)を指す。「処理されたタバコ抽出物」は、本明細書に記載されているように加熱処理されても、されなくてもよい。
【0200】
タバコ材料の本明細書に記載されている組成物及び製品への包含は任意選択であることが意図され、必須ではないことに注目されたい。一部の実施形態では、本明細書に記載されている口腔用製品は一般的に、タバコを含まない代替物であることを特徴とすることができる。例えば、一部の実施形態では、本開示の口腔用製品は、タバコ材料を完全に含まない又は実質的に含まない(活性成分として精製されたニコチン以外)といわれてもよい。本明細書のタバコ材料「完全に含まない」又は「実質的に含まない」と呼ばれる口腔用製品は、約1.0重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満のタバコ材料又は0重量%のタバコ材料を有することを特徴とすることができる口腔用製品を指すことを意図する。
【0201】
緩衝剤及び/又はpH調整剤
一部の実施形態では、本開示の製品は、1種以上の緩衝剤及び/又はpH調整剤(すなわち、酸又は塩基)をさらに含むことができる。このような実施形態では、最終口腔用製品が望ましい範囲内のpHを有することが確実になるように1種以上の緩衝剤及び/又はpH調整剤が混合物に添加される。本明細書に記載されている口腔用製品に対する例示的pH範囲は一般的に約5~約7である。このような実施形態では、生成混合物に添加される緩衝剤及び/又はpH調整剤の量は単に、配合物を所望のpHにする、又は配合物を所望のpHに保つために必要とされる量である。任意の所与の配合物に添加される緩衝剤及び/又はpH調整剤の量は、所望のpHに基づき当業者により容易に計算することができ、例えば、約0.5%~約1重量%の混合物を含むことができる。一部の実施形態では、存在するpH調整剤の量は、組成物中に存在し得る他の構成成分(例えば、ニコチン、塩、緩衝液など)の酸性度及び塩基性度に基づき変動し得る。したがって、緩衝剤及び/又はpH調整剤は、約5.0~約7.0、例えば、約5.0、約5.5又は約6.0から、約6.5又は約7.0までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。一部の実施形態では、有機酸は、約5.5~約6.5、例えば、約5.5、約5.6、約5.7、約5.8、約5.9又は約6.0から、約6.1、約6.2、約6.3、約6.4又は約6.5までの組成物のpHをもたらすのに十分な量で提供される。
【0202】
口腔用製品のpHレベルは、製品のある特定の特徴、例えば、製品内に含有された活性成分の放出プロファイルを改変させるために変動させることができることに注目されたい。例えば、一部の実施形態では、緩衝剤(例えば、クエン酸)のある量を製品に組み込んで、製品の全体的なpHが上述のように約5.0~7.0の間となるように改変することができる。好ましくは、一部の実施形態では、pHはpHおよそ5.5に調整することができる。有利には、本明細書に記載されている製品のpHを、5.5周辺のpHに調節するためにクエン酸を添加することによって、例えば、従来の無煙タバコ製品に一般的に利用されてきたpH値(例えば、約7~約11、又は好ましくは約8~約10の範囲)などのより高いpH値を有する製品と比較した場合、これらの製品におけるニコチン損失が全般的に減少したことが発見された。一部の実施形態では、クエン酸は、その生産中のニコチン損失を減少させるために組成物又は製品に添加される加工助剤として使用することができる。本明細書で開示されている製品におけるクエン酸の使用は限定であることを意図しておらず、いかなる緩衝剤及び/又はpH調整剤でも、製品全体のpHを改変するのに適切であり得ることに注目されたい。このような緩衝剤及び/又はpH調整剤は、単独で、又は1種以上の化合物の組合せという形態で添加することができる。
【0203】
さらに、様々な食品等級の緩衝剤が公知であり、本明細書に記載されている製品のpHを調節するために使用することができる。適切な緩衝剤として、酢酸塩、グリシン酸塩、リン酸塩、グリセロリン酸塩、クエン酸塩、例えば、アルカリ金属のクエン酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩及びホウ酸塩並びにこれらの混合物からなる群から選択される緩衝剤を挙げることができる。ある特定の実施形態では、緩衝剤は、例えば、両方とも参照により本明細書に組み込む、Anderssonらの米国特許第2008/0286341及びAnderssonらのPCT出願WO2008/040371号に教示されているアミノ酸である。その中に記述されているように、様々なアミノ酸及びその塩がこの目的に対して有用であり、これらは、これらに限定されないが、アルギニン、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、スレオニン、バリン、システイン酸、N-グリシルグリシン及びオルニチンを含む。ある特定の実施形態では、N-グリシルグリシン又はL-リシンが緩衝剤として添加される。一部の実施形態では、アミノ酸緩衝剤は、別のアミノ酸緩衝剤と組み合わせて及び/又は1種以上の非アミノ酸緩衝剤と組み合わせて使用される。ある特定の実施形態では、任意選択のpH調整剤は塩基(例えば、NaOH)である。ある特定の実施形態では、L-リシン及びNaOHが本発明の組成物に添加される。
【0204】
乳化剤
ある特定の実施形態では、乳化剤を添加することができる。ある特定の実施形態では、レシチンを組成物に添加することによって、組成物のより平滑なテキスチャー特性をもたらし、脂質と組成物の残りの構成成分との流動性及び混合を改善することができる。レシチンは、組成物の約0.01~約5乾燥重量%、例えば、約0.1~約2.5乾燥重量%又は約0.1~約1.0乾燥重量%の量で使用することができる。
【0205】
さらなる添加剤
上述のロゼンジ剤組成物中に提供された構成成分に加えて、このような組成物は、1種以上の添加剤をさらに含むことができる。例えば、本開示によるロゼンジ剤組成物は、1種以上の香味剤、1種以上の甘味剤、1種以上の追加の結合剤、崩壊助剤、保湿剤、塩及びこれらの混合物をさらに含むことができる。
【0206】
香味剤
本明細書で使用される場合、「着香剤」又は「香味剤」は、本開示の口腔用製品に結合する、感覚特性を改変することが可能な任意の風味豊かな又は芳香性の物質である。着香剤により修飾され得る例示的感覚特性として、味覚、口当たり、湿り気、冷たさ/熱及び/又は香り/芳香が挙げられる。本発明の組成物及び/又は製品に含まれてもよい香味剤の非限定的例として、バニラ、コーヒー、チョコレート/ココア、クリーム、ミント、スペアミント、メントール、ペパーミント、ウィンターグリーン、ユーカリ、ラベンダー、カルダモン、ナツメグ、シナモン、クローブ、カスカリラ、ビャクダン、蜂蜜、ジャスミン、ショウガ、アニス、セージ、甘草、レモン、オレンジ、リンゴ、桃、ライム、サクランボ、イチゴ、三叉神経感覚剤、テルペン及びこれらの任意の組合せを挙げることができる。参照により本明細書に組み込む、Leffingwellら、Tobacco Flavoring for Smoking Products、R.J.Reynolds Tobacco Company(1972年)もまた参照されたい。香味剤は、テルペン、テルペノイド、アルデヒド、ケトン、エステルなどの構成成分を含むことができる。一部の実施形態では、香味剤は三叉神経感覚剤である。本明細書で使用される場合、「三叉神経感覚剤」とは三叉神経に対する作用を有し、加熱、冷却、ピリピリ感などを含む感覚を生成する香味剤を指す。三叉神経感覚剤の香味剤の非限定的例として、カプサイシン、クエン酸、メントール、四川ボタン(Sichuan button)、エリスリトール及びクベボールが挙げられる。香味剤としてまた、湿潤剤、冷却剤又は平滑化剤であると考えられる構成成分、例えば、ユーカリを挙げることができる。これらのフレーバーは純粋(すなわち、単独で)又は複合体で提供されてもよいし、濃縮物又はフレーバーパッケージ(例えば、スペアミント及びメントール、オレンジ及びシナモン;ライム、パイナップル、など)として利用されてもよい。構成成分の代表的な種類はまた、それぞれが参照により本明細書に組み込まれる、Whiteらの米国特許第5,387,416号;Stricklandらの米国特許出願公開第2005/0244521号;及びQuinterらPCT出願WO05/041699号に記載されている。ある場合には、香味剤はスプレー乾燥形態又は液体形態で提供されてもよい。ある特定の実施形態では、着香剤は、マトリックス材料、例えば、糖アルコールマトリックス内に封入された着香剤を含む内部積載物を有する、封入された形態、例えば、破壊可能な外壁(例えば、アルギン酸塩又はゼラチンを含む壁)を有するカプセル剤の形態で利用することができる。
【0207】
香味剤は少なくとも1種の揮発性香味成分を一般的に含む。本明細書で使用される場合、「揮発性」とは、周辺温度で容易に蒸気を形成する化学物質を指す(すなわち、不揮発性物質と比べて所与の温度で高い蒸気圧を有する化学物質)。通常、揮発性香味成分は、約400Da未満の分子量を有し、多くの場合、少なくとも1種の炭素-炭素二重結合、炭素-酸素二重結合、又は両方を含む。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香味成分は1種以上のアルコール、アルデヒド、芳香族炭化水素、ケトン、エステル、テルペン、テルペノイド、又はこれらの組合せを含む。アルデヒドの非限定的例として、バニリン、エチルバニリン、p-アニスアルデヒド、ヘキサナール、フルフラール、イソバレルアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンズアルデヒド及びシトロネラールが挙げられる。ケトンの非限定的例として、1-ヒドロキシ-2-プロパノン及び2-ヒドロキシ-3-メチル-2-シクロペンテノン-1-オンが挙げられる。エステルの非限定的例として、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、ヘキサン酸エチル、酢酸イソアミル及び3-メチルブチルアセテートが挙げられる。テルペンの非限定的例として、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、ネロリドール、ツジョン、ミルセン、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、リナロール及びユーカリプトールが挙げられる。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香味成分は、エチルバニリン、ケイ皮アルデヒド、サビネン、リモネン、γ-テルピネン、β-ファルネセン、又はシトラルのうちの1種以上を含む。一実施形態では、少なくとも1種の揮発性香味成分はエチルバニリンを含む。着香剤は通常、組成物の総重量に対して、約0.01~約10重量パーセント、約0.1~約5重量パーセント、又は約0.5~約2重量パーセントの量で存在する。
【0208】
甘味剤
甘味剤は、天然若しくは人工の形態又は人工甘味剤と天然甘味剤との組合せとして使用することができる。天然甘味剤の例として、フルクトース、スクロース、グルコース、マルトース、マンノース、ガラクトース、ラクトース、イソマルツロース、ステビア、蜂蜜などが挙げられる。人工甘味剤の例として、スクラロース、マルトデキストリン、サッカリン、アスパルテーム、アセスルファムK、ネオテームなどが挙げられる。一実施形態では、スクロース及びスクラロースは主要な甘味剤成分である。存在する場合、甘味剤の代表的な量は、人工甘味剤及び/又は天然糖であるかに関わらず、組成物の総重量の少なくとも約0.01パーセント又は少なくとも約0.03パーセントを構成することができる。通常、組成物内の甘味剤の量は組成物の総重量の約20パーセントを超えず、多くの場合約15パーセントを超えず、多くの場合約10パーセントを超えない(例えば、約0.1~約1重量パーセント)。
【0209】
ある特定の実施形態では、スクロースは、最終生成物の咀嚼耐性又は「はね返り」に寄与すると考えられるので、一成分として特に有利となり得る。加えて、顆粒化スクロースのもたらす甘味作用は、スクラロースと比較してはるかに低いが、スクロースの存在は追加のフィラー成分として有利となり得る。これら2種の甘味剤が一緒に存在する場合、スクラロースは通常少なくとも約0.25重量パーセント、多くの場合少なくとも約0.5重量パーセント、最も多くの場合少なくとも約1.0重量パーセント(例えば、約0.25~約2.0重量パーセント)の量で存在し、スクロースは通常、少なくとも約2.0重量パーセント、多くの場合少なくとも約3.0重量パーセント及び最も多くの場合少なくとも約4.0重量パーセント(例えば、約1.0~約6.0重量パーセント)の量で存在する。さらなる実施形態では、スクラロースは約0.01~約0.5重量パーセント(例えば、約0.02~約0.1重量パーセント)の量で存在する。
【0210】

塩(例えば、塩化ナトリウム、粉末塩)は、本開示の製品の所望の官能属性をもたらすのに十分な量で利用することができる。適切な塩の非限定的例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、粉末塩などが挙げられる。存在する場合、塩の代表的な量は、少なくとも約0.5重量パーセント又は少なくとも約1.0重量パーセント又は少なくとも約1.5重量パーセントであるが、通常組成物の総重量の約5パーセント未満(例えば、約0.5~約4重量パーセント)を構成することができる。
【0211】
保湿剤
保湿剤(例えば、グリセリン)は、本明細書に記載されている口腔用製品に所望の水分特質をもたらすのに十分な量で利用することができる。さらに、ある場合には、保湿剤は、デンプン型に堆積させるために無煙タバコ組成物に望ましい流れ特性を付与することができる。存在する場合、保湿剤の代表的な量は少なくとも約0.5重量パーセント又は少なくとも約1.0重量パーセント又は少なくとも約1.5重量パーセントであるが、通常組成物の総重量の約5パーセント未満(例えば、約0.5~約4重量パーセント)を構成する。
【0212】
結合剤
ある特定の実施形態では、追加の結合剤(又は結合剤の組合せ)を、所望の物理的特質及び物理的完全性を混合物にもたらすのに十分な量で利用することができ、結合剤はまた多くの場合、増粘剤又はゲル化剤として機能する。典型的な結合剤は有機でも無機でも、又はこれらの組合せであってもよい。代表的な結合剤として、ポビドン、アルギン酸ナトリウム、デンプンベースの結合剤、ペクチン、カラギーナン、プルラン、ゼインなど、及びこれらの組合せが挙げられる。一部の実施形態では、結合剤はペクチン又はカラギーナン又はこれらの組合せを含む。組成物において利用される結合剤の量は異なってもよいが、通常約30重量パーセントまでであり、ある特定の実施形態は、組成物の総重量に対して、少なくとも約0.1重量%の結合剤含有量、例えば、約1~約30重量%、又は約5~約10重量%の結合剤含有量を特徴とする。
【0213】
着色剤
一部の実施形態では、本明細書に記載されているロゼンジ型製品は1種以上の着色剤を含むことができる。着色剤は、組成物又は製品に所望の物理的特質をもたらすのに十分な量で利用することができる。着色剤の例として、様々な染料及び顔料、例えば、カラメル着色剤及び二酸化チタンが挙げられる。組成物又は製品に利用される着色剤の量は変動し得るが、存在する場合、組成物の総重量に対して、通常約3重量パーセントまで、例えば、約0.1%、約0.5%又は約1%から、約3重量%までである。
【0214】
フィラー
様々な他の物質を本発明の組成物に添加することができる。ある特定の実施形態では、例えば、賦形剤、例えば、活性成分に対するフィラー又は担体(例えば、カルシウムポリカルボフィル、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コーンスターチ、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、ラクトース及びデンプン、例えばジャガイモデンプン、トウモロコシデンプンなどを含めたもの)、増粘剤、膜形成剤及び結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アカシア、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム及びゼラチン)、接着防止剤(例えば、タルク)、流動促進剤(例えば、コロイド状シリカ)、保湿剤(例えば、グリセリン)、保存剤及び抗酸化剤(例えば、安息香酸ナトリウム及びパルミチン酸アスコルビル)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート80)、染料又は顔料(例えば、二酸化チタン又はD&C Yellow No.10)及び滑沢剤又は加工助剤(例えば、ステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウム)が組成物に添加される。本発明の組成物及び製品に使用することができるまたさらなる種類の添加剤の例として、増粘剤又はゲル化剤(例えば、魚ゼラチン)、乳化剤、オラルケア添加剤(例えば、タイム油、ユーカリ油及び亜鉛)、保存剤(例えば、ソルビン酸カリウムなど)、崩壊助剤、亜鉛又はマグネシウム塩は、より高い水溶性を有する組成物に対して比較的水溶性となるよう選択され(例えば、グルコン酸マグネシウム又はグルコン酸亜鉛)又はより低い水溶性を有する組成物に対して比較的水不溶性となるように選択される(例えば、酸化マグネシウム又は酸化亜鉛)又はこれらの組合せが挙げられる。例えば、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Muaらの米国特許第9,237,769号、Holton、Jr.らの米国特許第7,861,728号、Gaoらの米国特許公開第2010/0291245号及びHolton、Jr.らの米国特許公開第2007/0062549号に記載されている代表的な構成成分、構成成分の組合せ、これら構成成分の相対量並びにこれらの構成成分を利用するための方式及び方法などを参照されたい。このような追加の添加剤に対する典型的な包含範囲は、添加剤の性質及び機能並びに最終混合物に対して意図される作用に応じて変動してもよく、例示的範囲は混合物の総重量に対して約10重量%までである(例えば、約0.1~約5重量%)。
【0215】
マグネシウム塩
一部の実施形態では、組成物はマグネシウム塩を含む。適切なマグネシウム塩の非限定的例はグルコン酸マグネシウムである。一部の実施形態では、組成物は、マグネシウム元素に対して、約0.1重量%~約2重量%又は約0.2~約1重量%の量のマグネシウムを含む。
【0216】
上述の種類の添加剤は、一緒に(例えば、添加剤配合物として)又は別々に利用することができる(例えば、個々の添加剤構成成分は最終口腔用製品の調製に関与している異なる段階において添加することができる。)。口腔用製品内の様々な構成成分の相対量は変動してもよく、口腔用製品の所望の感覚性及び性能特徴をもたらすように通常選択される。さらに、上述の種類の添加剤は、最終生成物又は組成物において提供される通り、封入されていてもよい。例示的な封入添加剤は、例えば、参照により本明細書に以前に組み込んだ、AtchleyのWO2010/132444 A2に記載されている。
【0217】
上記に言及されたロゼンジ剤組成物の様々な構成成分が組み合わせられる方式は変動し得る。これらの組成物の様々な構成成分は、コニカル型ブレンダー、混合ドラム、リボンブレンダーなど、例えば、Hobartミキサー内で一緒に接触させる、組み合わせる、又は混合することができる。よって、活性成分を有する様々な構成成分の全体的な混合物の性質は、比較的に均一であり得る。例えば、それぞれを参照により本明細書に組み込む、Solomonらの米国特許第4,148,325号;Korteらの米国特許第6,510,855号;及びWilliamsの米国特許第6,834,654号に記載されている方法論の種類もまた参照されたい。
【0218】
味覚改質剤
本明細書で開示されている組成物の官能特性を改善するため、組成物は、例えば、本明細書に記載されている組成物の香味を遮蔽する、改変する、遮断する、又は改善する役目を果たすことができる1種以上の味覚の改質剤(「味覚改質剤」)を含むことができる。このような味覚改質剤の非限定的例として、認知された冷却(例えば、メントール、ユーカリ、ミント)、加温(例えば、シナモン)又は有痛性(例えば、カプサイシン)感覚を生成する鎮痛性又は麻酔性の薬草、香辛料及び香味が挙げられる。ある特定の味覚改質剤は1つより多くの重複するカテゴリーに分類される。
【0219】
一部の実施形態では、味覚改質剤は、1種以上の苦い、甘い、塩からい、又は酸っぱい味覚を改質する。一部の実施形態では、味覚改質剤は痛覚受容体を標的とする。一部の実施形態では、組成物は、苦い味覚を有する活性成分及び苦い味覚の認知を遮蔽又は遮断する味覚改質剤を含む。一部の実施形態では、味覚改質剤は、例えば、別の構成成分(例えば、活性成分)の苦い味覚を遮蔽するために、ユーザーの口内の痛覚受容体(例えば、バニロイド受容体)を標的とする物質である。適切な味覚改質剤として、これらに限定されないが、カプサイシン、γ-アミノ酪酸(GABA)、アデニル酸(AMP)、ラクチソール又はこれらの組合せが挙げられる。
【0220】
存在する場合、味覚改質剤の代表的な量は、約0.01重量%以上、約0.1重量%以上又は約1.0重量%以上であるが、通常組成物の総重量の約10重量%未満(例えば、組成物の総重量の約0.01%、約0.05%、約0.1%又は約0.5%から、約1%、約5%又は約10重量%まで)を構成する。
【0221】
ロゼンジ製品を製造する方法
代表的なロゼンジ剤組成物及び製品は、製品の総重量に対し、塩基性アミン(例えば、ニコチンなど)、有機酸及び/又は有機酸のアルカリ金属塩、約0.01~約2パーセントの甘味剤、少なくとも約80パーセントの第1の糖代替物、約0.1~約10パーセントの第2の糖代替物、最大で約5パーセントの量の1種以上の着香剤、並びに最大で約5パーセントの量の塩を配合することができる。成分の特定のパーセンテージ及び選択は、所望の風味、テキスチャ及び他の特徴に応じて異なる。
【0222】
本明細書の上に記載されているロゼンジ製品を配合及び製造するために使用される手順及び方法は、異なり得る。例えば、組成物は、ハード糖剤の調製に対して一般的に使用されている任意の方法を介して調製され得る。ハード糖剤の調製に対する例示的な方法は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、LFRA Ingredients Handbook、Sweeteners、Janet M.Dalzell編、Leatherhead Food RA(1996年12月)、21~44頁に見出すことができる。
【0223】
通常、成分の第1の混合物が調製される。成分の第1の混合物の組成は異なってもよい。しかし、第1の混合物は通常、糖代替物を含み、様々な追加の物質(例えば、糖アルコールシロップ、NaCl、保存剤、さらなる甘味剤、水、有機酸及び/又は有機酸のアルカリ金属塩)を含有することができる。ある特定の実施形態において、第1の混合物は、糖代替物、糖アルコールシロップ、NaCl、水及び安息香酸ナトリウムを含む。通常、成分の第1の混合物は、活性成分を含まない。しかし、一部の実施形態において(it some embodiments)、活性成分は、成分の第1の混合物に配合されてもよい。
【0224】
成分の第1の混合物は、溶融するまで加熱され、続いて、この混合物は、ハードクラック段階まで、又はこれを通り越すまで加熱される。糖剤類の作製において、ハードクラック段階とは、加熱した混合物のスレッド(親指と人差し指の間で冷却したシロップの試料を引き上げることにより得られる)が壊れやすい温度、又はシロップを型に入れるようとすると、結果としてクラッキングが生じる温度と定義される。本方法によれば、ハードクラック段階に到達する温度は、製品混合物の具体的な構成に応じて、異なり得るが、一般に、約145℃~約170℃の間である。通常、混合物は約171℃超に加熱されず、これは、カラメル化が起こり始める温度である。本開示のプロセスにおいて、混合物は、通常、ハードクラック段階の温度又はそれより高い温度まで加熱されて、次いで冷却させる。この加熱は、大気圧又は真空下において、行われ得る。通常、本発明の方法は、大気圧において行われる。
【0225】
一例示的実施形態において、成分の第1の混合物は高いパーセンテージのイソマルトを含み、混合物は約143℃まで加熱される。すべての構成成分が溶解すると、温度をハードクラック段階超(例えば、約166℃まで)に上昇させる。この混合物は、この温度まで加熱されて、次いで、熱から外し、混合物を冷却させる。
【0226】
ある特定の実施形態において、活性成分(例えば、様々な形態のニコチンなど)、及び任意選択的に上記の追加の構成成分(例えば、追加の甘味剤、フィラー、着香剤、有機酸、塩基性アミン-有機酸塩又はイオン対及び/又は水)が、第2の混合物において個別に一緒にされる。第2の混合物は、通常、成分の第1の混合物を熱から外した後、成分の第1の混合物に添加される。一部の実施形態において、第2の混合物の添加は、加熱された成分の第1の混合物が所定の温度(例えば、ある特定の実施形態において、約132℃)に冷却された後だけに行われ得る。ある特定の実施形態において、1種以上の着香剤は、混合物を成分の加熱した第1の混合物に添加する直前に、第2の混合物に添加される。ある特定の着香剤は揮発性であり、したがって、好ましくは混合物がいくらか冷却された後で添加される。
【0227】
次いで、合わせた混合物は、所望の形状へと形成される。ある特定の実施形態において、混合物は、直接型に注入され、所望の形状へと形成される(例えば、ロール又はプレス加工される)、又は押出成形される。所望の場合、混合物は、押出成形又は射出成形され得る。ある特定の実施形態において、混合物は、閉鎖された系内において形成される、又は所望形状の型へと押し出され、これは温度の低下を必要とすることがあり、ある特定の混合物の構成成分の蒸発を制限することがある。例えば、このような系は、これらに限定されないが、着香剤を含めた、揮発性成分の蒸発を制限し得る。
【0228】
ある特定のタイプのロゼンジ製剤を得るための例示的な手段は、本明細書において提示されているが、本発明から逸脱することなく、他の方法が使用され得ることが留意される。一部の実施形態において、混合物は、押出成形され得る、デンプン型成形される、又は射出成形され得る。ある特定のプロセスが、デンプン型の使用を参照して、本明細書においてさらに説明するが、他のタイプの型、例えば、デンプン不含型、ペクチン型、プラスチック製トレイ型、シリコーン製トレイ型、金属製トレイ型、ネオプレン製トレイ型などが、このプロセスに使用されてもよいことが留意される。
【0229】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている口腔用製品は、中心充填型ロゼンジ剤の形態、例えば、ロゼンジ剤の内側が、その外面とは異なる1種以上の官能特性(例えば、テキスチャー、口当たり、味覚など)を有するような形態であってもよい。このような中心充填型ロゼンジ剤配合物は、通常、本明細書に記載されているロゼンジ剤型製品に結合する、硬質な外側シェルに取り囲まれた液体及び/又はゲルの及び/又は溶融可能な及び/又はチュアブルな及び/又は粘着性の及び/又は発泡性の中心充填物を含むことができる。このような実施形態では、中心充填物は、外側シェルと比較して、剛性がより低い及び/又はより柔軟性があると言い表すことができる。一部の実施形態では、中心充填物は、その中に活性成分を含んでいても、いなくてもよい。例えば、一部の実施形態では、外側シェルと中心充填物配合物の両方とも活性成分を含むことによって、そこから活性成分の持続放出性を提供することができる。一部の実施形態では、少なくとも外側シェル配合物は本明細書の上記に記載されているロゼンジ剤配合物を含む。他の実施形態では、外側シェル配合物と中心充填物配合物の両方とも、類似又は異なる官能特性を有する本明細書に記載されているロゼンジ剤配合物を含むことができる。
【0230】
本明細書に記載されている中心充填型ロゼンジ剤は、様々な装置及び/又は方法を使用して調製することができる。一部の実施形態では、例えば、第1のバットが中心充填物配合物を含有し、第2のバットが外側シェル配合物を含む、2つの別個のバットを含む2バットシステムを使用することができる。通常、中心充填物配合物及び外側シェル配合物は、これらが、同じ又は異なる粘度をそれぞれ有することができる液体の形態となるように加熱することができる。このような実施形態では、堆積用の管は、各バットに連結されて、中心充填型ロゼンジ剤の調製のため、中心充填物配合物及び外側シェル配合物をこれらのそれぞれのバットから堆積用ノズルに移動するよう配置することができる。例えば、堆積用ノズルは各液体配合物(例えば、中心充填物配合物及び外側シェル配合物)を型へと別々に移動させるように構築された同心二重管を含むことができ、この型内でこれらの配合物は冷却させる。1つ以上の実施形態では、所望の中心充填型配合物は、中央シリンダーを介して堆積させることができ、外側シェル配合物は外側の、同心シリンダーを介して同じ型へと堆積させることができ、これらは冷却されて、中心充填型ロゼンジ剤を形成することができる。通常、型に移される各配合物の速度、タイミング及び/又は量は、最終生成物中の中心充填物配合物及び外側シェル配合物の配置及び/又は量により決定される。一部の実施形態では、外側シェル配合物は、最初に堆積用ノズルからポンプで送り込まれ/排出されてもよく、これに続いてある量の中心充填物配合物、これに続いて、最後に最終量の外側シェル配合物が、例えば、冷却前に、外側シェル配合物が型内で中心充填物配合物を実質的に取り囲むように、ポンプで送り込まれ/排出されてもよい。しかし、他の構成及び方法も想定される。
【0231】
ある特定の実施形態では、本明細書に提供されている口腔用製品は、2つ以上の別個の部分を含むことができる。例えば、図1に例示されているように、口腔用製品100(例えば、ロゼンジ剤)は第1の部分1及び第2の部分2を含むことができる。第1の部分1は第1の組成物を含むことができ、第2の部分2は第2の組成物を含むことができ、第1の組成物は第2の組成物とは異なる成分及び/又は異なる量の特定の成分を含む。ある特定の実施形態では、第1の部分1は口腔用製品100においてコア構成成分を形成することができる。コア(第1の組成物を含む第1の部分1で形成される)は同心であることができる。代わりに、コアは、図1に示されている通り中心をはずれていることもできる。中心をはずれたコア(第1の組成物で形成される)は外側シース(第2の組成物で形成される)内に中心をはずれて位置する。同心の構成は、コア構成成分が口腔用製品のおよそ中心に位置する、又は口腔用製品の中心を介して延びるように、実質的に均一な厚さを有するシース構成成分を特徴とする。これは、中心をはずれた構成、例えば、図1に例示された構成とは対照的であり、この中心をはずれた構成では、シース部分の厚さは変動し、したがってコア部分は口腔用製品の中心に位置しない。同心のシース/コア口腔用製品は、コア構成成分の中心が、シース構成成分の中心から、シース/コア多成分口腔用製品の直径に対して、約0~約20パーセント以下、好ましくは約0~約10パーセント以下だけ偏っている口腔用製品と定義することができる。当技術分野で公知の他の構成もまた使用することができる。例えば、本明細書に記載されている口腔用製品の実施形態は、「マトリックス」又は「海中の島」構成を有することができ、この構成では、多成分口腔用製品が、外側のマトリックスに取り囲まれた複数の内側の第1の組成物構成成分、又は「島」を有し、又は「海」である第2の組成物構成成分を有する。島の構成成分は、海の構成成分のマトリックス内に実質的に均一に配置することができる。代わりに、島の構成成分は、海のマトリックス内にランダムに分布することもできる。
【0232】
当技術分野で公知の他の構造化された多層状構成もまた使用することができる。図2に例示されているように、例えば、2つ以上の別個の部分もまた多層状した口腔用製品200において提供することができる。任意の数の層が多層状した製品に含められてもよい。例えば、第1の部分1及び第2の部分2は、2層状にした製品で提供することができる。一部の実施形態において、第1の部分の層1は、2つの第2の部分2の層の間に挟まれ得る、又はリボン形状にされ得る。様々な実施形態において、第2の部分層2は、2つの第1の部分1の層の間に、リボン形状にされ得る、又は挟まれ得る。ある特定の実施形態では、口腔用製品は、第1の組成物1及び第2の組成物2がそれぞれ交互にある、2つ以上の層を含むことができる。図3に例示されているように、例えば、2つの組成物のうちの一方が、2つの組成物の他方の2つの部分で取り囲まれている口腔用製品300の中心を介して水平なストリップを形成するように、2つ以上の別個の部分を並列型の方向で構築することができる。一部の実施形態では、別個の組成物部分をパイの一切れ状の配置として構築することができ、この配置において、第1の組成物構成成分1及び第2の組成物構成成分2は交互にパイの一切れ状として配置される。ある特定の実施形態では、2つ以上の別個の部分がひも状に、互いにらせん状になっていてもよい。一部の実施形態では、2つ以上の別個の部分のうちの1つは口腔用製品全体に広がっていなくてもよい。任意の数の構成を使用することができ、2つ以上の別個の部分の構成は本明細書に提供されている例示的実施形態に限定されない。
【0233】
多成分口腔用製品の様々な実施形態は、第1の組成物構成成分の第2の組成物構成成分に対する重量比、約1:10~約10:1の比;又は約1:5~約5:1の比を有する。一部の実施形態では、約1:3~約3:1の比の重量比。
【0234】
2つ以上の別個の部分は、口腔用製品の外側表面が2つ以上の別個の部分のそれぞれを含むように構築することができる。本明細書に記載されている多成分口腔用製品の様々な実施形態では、第1の組成物構成成分は、多成分口腔用製品の曝露された外面の少なくとも一部分を形成することができる。一部の実施形態では、曝露された多成分口腔用製品の表面の約5%以上、約15%以上、約25%以上、約50%以上又は約75%以上を、第1の組成物構成成分で輪郭づけることができる。本明細書に記載されている多成分口腔用製品の一部の実施形態では、第2の組成物構成成分は、多成分口腔用製品の曝露された外面の少なくとも一部分を形成することができる。一部の実施形態では、曝露された多成分口腔用製品表面の約5%以上、約15%以上、約25%以上、約50%以上又は約75%以上を、第2の組成物構成成分で輪郭づけることができる。ある特定の実施形態では、多成分口腔用製品の全曝露表面を、第2の組成物構成成分で輪郭づけることができる。
【0235】
様々な実施形態では、2つ以上の別個の部分のうちの1つのみが活性成分を含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、第1の組成物構成成分(ある特定の実施形態では、上に記載されているコア構成成分を形成することができる)のみが活性成分を含む。ある特定の実施形態では、第2の組成物構成成分(ある特定の実施形態では上に記載されているシース構成成分を形成することができる)のみが活性成分を含む。一部の実施形態では、2つ以上の別個の部分のそれぞれが活性成分を含むことができる。
【0236】
例えば、一実施形態では、口腔用製品の第1のセクションはイオン対の形態でニコチンを含む第1の組成物である。理論により限定されることを意図することなく、ニコチン含有セクションは早期に溶解して、ニコチンの最初の放出を付与すると考えられている。任意選択的に、ニコチンはまた、第2の組成物を含む、口腔用製品の第2のセクション内に堆積されて、ニコチンの時間放出に影響を与えることもできる。外側シース部分内のコアの位置及び相対量を調整することによって、口腔用製品の活性成分(例えば、ニコチン)の放出特徴にぴったりと合わせるようにすることができる。ある特定の実施形態では、2つ以上の別個の部分は異なる色及び/又は香味を備えることができる。
【0237】
様々な実施形態では、多成分口腔用製品は、それぞれ別個の部分を型(例えば、金属金型又はデンプン型)に別々に堆積させることにより形成することができる。ある特定の実施形態では、内側コア構成成分を最初に型に堆積させ、これに続いて外側シース構成成分を堆積させることができる。一部の実施形態では、外側シース構成成分を最初に型に堆積させ、これに続いて、当技術分野で公知の通り、デポジッターを用いて、内側コア構成成分をシース構成成分の中央に堆積させることができる。多層状口腔用製品の様々な実施形態では、別個の部分の各層は別々に堆積させることができる。
【0238】
様々な他のフォーマット及び構成が同様に可能であり、本発明によって包含されることが意図される。一部の実施形態において、本明細書に記載されている口腔用ロゼンジ製品はまた、その上に1つ以上のコーティング層を含んでもよい。例えば、第2の層及びその後の層は、コーティング(例えば、ディップコーティング、スプレーコーティングによって、又はサイドバイサイド型構成にあるようなコア製剤を包み込むように、若しくはコア製剤の1つ以上の表面に接着するように使用され得る製剤の個別のシートを調製することによる)によって施されてもよい。ロゼンジ製剤の性質に応じて、施用方法は、従来のスプレーコーティング技法を改変する必要があることがある。
【0239】
食品グレートのロゼンジ製品、例えば本明細書に記載されているものの製造に関わる典型的な条件は、熱及び温度の制御(すなわち、製造中に様々な成分が曝露される熱及び製造環境の温度の程度)、水分含量(例えば、個々の成分及び最終組成物中に存在する水分の程度)、製造環境中の湿度、大気の制御(例えば、窒素雰囲気)、製造プロセス中の様々な成分によって受ける気流、及び他の類似のタイプの要因が挙げられる。さらに、製品製造に関与する様々なプロセス工程は、ある特定の溶媒及び加工助剤の選択、熱及び放射線照射の使用、冷却及び低温条件、成分混合速度などを含むことができる。製造条件はまた、様々な成分の形態(例えば、固体、液体又は気体)の選択、固体形態の成分の粒径又は結晶性質、液体形態中の成分の濃度などにより制御され得る。成分は、技法、例えば押出成形、圧縮、噴霧などによって所望の組成に加工され得る。
【0240】
ある特定の実施形態において、ロゼンジ製品は、透明であってもよく、又は半透明であってもよい。本明細書において使用する場合、「半透明の」又は「透光性」とは、物質であって、あるレベルの光が散乱によりこの物質を通過することが可能となる物質を指す。ある特定の実施形態において、本開示のロゼンジ製品は、物質が、顕著な散乱なしに、光が自由に通過することが可能な物質として定義される、「透明な」又は「透明性」を示すと分類され得る、このような高い程度の透明度を有することができる。ロゼンジ製品の透明度は、濁り(これは、光によって透過不可能な物質を指す。)と反対のあるレベルの透光性があるようなものである。透明性/透光性は、当分野において一般に使用される任意の手段によって求められ得る。しかし、それは、ある範囲の波長(例えば、約400~700nm)にわたり、分光光学的な光透過によって一般に測定される。代わりに、光学的方法、例えば、タービディメトリー(又はネフェロメトリー)及び比色分析が、それぞれ、本明細書において提供されるロゼンジ製品の曇り(光散乱法)及び色調(光吸収)を定量するために使用され得る。透過性はまた、光源まで物質(例えば、抽出物)又は製品を単に保持することによる目視検査によって、及び光が製品を散乱により通過するかどうかを判定することによって、やはり確認され得る。
【実施例
【0241】
以下の実施例は、本開示に関連したさらなる態様を例示するために提供されるものであり、その範囲を限定すると解釈されるべきではない。別途明示されていない限り、すべての部分及びパーセンテージは乾燥重量によるものである。
【0242】
実施例1
ロゼンジ剤の形態であり、口腔用使用に対して構築された口腔用製品は以下の方式で提供される。
【0243】
水性混合物を調製する。水性混合物は、水、塩、糖代替物(例えば、イソマルト)、糖アルコールシロップ(例えば、マルチトールシロップ)、有機酸のナトリウム塩(例えば、安息香酸ナトリウム)を混合することによって形成される。次に、この水性混合物を、ほぼ溶融するまで加熱する(例えば、ほぼ143℃)。成分のすべてが、水性混合物に一旦、溶解すると、ハードクラック段階までさらに加熱し(例えば、ほぼ166℃)、次に、熱から外し、約132℃まで冷却させる。
【0244】
甘味剤、香味剤、及び有機酸(例えば、安息香酸)と少なくとも一部結合する塩基性アミン(例えば、ニコチン)を含有する溶液を含む第2の混合物を調製する。特に、この溶液は、ニコチン、安息香酸、安息香酸ニコチン及び水を含有する。この溶液中のニコチンの量は、溶液の総重量に対して、約12重量%である。第1の混合物を冷却した後、次に、第2の混合物を第1の混合物に加え、Hobartミキシングボウルにおいて撹拌し、ロゼンジ剤組成物を形成する。
【0245】
次に、このロゼンジ剤組成物を約60℃において、約24時間、デンプン型に堆積させる。次に、このロゼンジ剤組成物を冷却し、次に、デンプン型から取り出す。以下の表2は、本明細書に記載されている通りに調製した最終口腔用製品における、個々の構成成分のそれぞれの相対パーセンテージを例示する。
【0246】
【表2】
【0247】
実施例2
ロゼンジ剤の形態にある、口腔用使用に対して構築された多成分系口腔用製品を以下の方法において提示する。
【0248】
水性混合物を調製する。水性混合物は、水、塩、スクラロース、糖代替物(例えば、イソマルト)及び糖アルコールシロップ(例えば、マルチトールシロップ)を混合することによって形成される。次に、この水性混合物を、ほぼ溶融するまで加熱する(例えば、ほぼ143℃)。成分のすべてが、水性混合物に一旦、溶解すると、ハードクラック段階までさらに加熱し(例えば、ほぼ160℃)、次に、熱から外し、約140℃まで冷却させる。この水性混合物を2つの別々の部分(部分A及び部分B)に分ける、又は代わりに、2つの個別の水性混合物(部分A及び部分B)を調製する。水は、加熱の間に、実質的に沸騰して除去されることに留意されたい。
【0249】
香味剤、及び有機酸(例えば、安息香酸)と少なくとも一部結合する塩基性アミン(例えば、ニコチン)を含有する溶液を含む第2の混合物を調製する。特に、この溶液は、ニコチン、安息香酸、安息香酸ニコチン及び水を含有する。この溶液中のニコチンの量は、溶液の総重量に対して、約12重量%である。任意選択的に、着色剤を第2の混合物に添加することができる。
【0250】
次に、第2の混合物を水性混合物の部分Aに添加し、スパチュラを用いる手作業によって混合し、多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物Aを形成させる。次に、組成物Aを約140℃(上に明記)まで冷却する。以下の表3は、本多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物A中の、個々の構成成分のそれぞれの相対パーセンテージを例示する。
【0251】
【表3】
【0252】
さらに、香味剤及び任意選択的に着色剤を次に水性混合物の部分Bに添加し、スパチュラを用いる手作業によって混合し、多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物Bを形成させる。次に、組成物Bを約140℃(上に明記)まで冷却する。以下の表4は、本多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物B中の、個々の構成成分のそれぞれの相対パーセンテージを例示する。
【0253】
【表4】
【0254】
約0.3gのロゼンジ剤組成物Aを、次に、Field Research Experimental Depositor(FRED)を使用して、金属製型に堆積させる。組成物Aを堆積させた同じ金属製型に、約1.7gのロゼンジ剤組成物Bを堆積させる。多成分系ロゼンジ製品中の組成物Aの組成物Bに対する重量比は、約1:1~約1:10の範囲にある。最終製品の所望の構成に応じて、組成物A又はBが、最初に堆積され得ることがさらに留意される。例えば、ある特定の実施形態において、組成物Bを最初に金属製型に堆積させて、次に、組成物Aを堆積済みの組成物Bの中央部に堆積させる。両方の組成物を堆積させた後、多成分系ロゼンジ剤を固化点まで冷却し、次に、型から取り出す。デンプン型を、デンプン不含型又は金属製型の代わりに使用することができることがさらに留意される。一旦取り出し、多成分系ロゼンジ剤は、非付着性コーティング、例えばCAPOL(登録商標)コーティング材料により任意選択的にコーティングされ得る。
【0255】
実施例3
ロゼンジ剤の形態にある、口腔用使用に対して構築された多成分系口腔用製品を以下の方法において提示する。
【0256】
水性混合物を調製する。水性混合物は、水、塩、スクラロース、糖代替物(例えば、イソマルト)及び糖アルコールシロップ(例えば、マルチトールシロップ)を混合することによって形成される。次に、この水性混合物を、ほぼ溶融するまで加熱する(例えば、ほぼ143℃)。成分のすべてが、水性混合物に一旦、溶解すると、ハードクラック段階までさらに加熱し(例えば、ほぼ160℃)、次に、熱から外し、約140℃まで冷却させる。この水性混合物を2つの別々の部分(部分A及び部分B)に分ける、又は代わりに、2つの個別の水性混合物(部分A及び部分B)を調製する。水は、加熱の間に、実質的に沸騰して除去されることに留意されたい。
【0257】
香味剤及び有機酸(例えば、安息香酸)と少なくとも一部結合する塩基性アミン(例えば、ニコチン)を含有する溶液を含む第2の混合物を調製する。特に、この溶液は、ニコチン、安息香酸、安息香酸ニコチン及び水を含有する。この溶液中のニコチンの量は、溶液の総重量に対して、約12重量%である。任意選択的に、着色剤を第2の混合物に添加することができる。
【0258】
次に、第2の混合物を水性混合物の部分Aに添加し、スパチュラを用いる手作業によって混合し、多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物Aを形成させる。次に、組成物Aを約140℃(上に明記)まで冷却する。以下の表3は、本多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物A中の、個々の構成成分のそれぞれの相対パーセンテージを例示する。
【0259】
【表5】
【0260】
さらに、香味剤、及び任意選択的に着色剤を、次に、水性混合物の部分Bに添加し、スパチュラを用いる手作業によって混合し、多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物Bを形成させる。次に、組成物Bを約140℃(上に明記)まで冷却する。以下の表4は、本多成分系ロゼンジ製品において使用するための組成物B中の、個々の構成成分のそれぞれの相対パーセンテージを例示する。
【0261】
【表6】
【0262】
約0.3gのロゼンジ剤組成物Aを、次に、Field Research Experimental Depositor(FRED)を使用して、金属製型に堆積させる。組成物Aを堆積させた同じ金属製型に、約1.7gのロゼンジ剤組成物Bを堆積させる。多成分系ロゼンジ製品中の組成物Aの組成物Bに対する重量比は、約1:1~約1:10の範囲にある。最終製品の所望の構成に応じて、組成物A又はBが、最初に堆積され得ることがさらに留意される。例えば、ある特定の実施形態において、組成物Bを最初に金属製型に堆積させて、次に、組成物Aを堆積済みの組成物Bの中央部に堆積させる。両方の組成物を堆積させた後、多成分系ロゼンジ剤を固化点まで冷却し、次に、型から取り出す。デンプン型を、デンプン不含型又は金属製型の代わりに使用することができることがさらに留意される。一旦取り出し、多成分系ロゼンジ剤は、非付着性コーティング、例えばCAPOL(登録商標)コーティング材料により任意選択的にコーティングされ得る。
【0263】
前述の説明に提示された教示の利益を有する、本発明が付随する本発明の多くの変化形及び他の実施形態が、当業者により考案されるであろう。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるわけではなく、変化形及び他の実施形態が添付の特許請求の範囲内に含まれることを意図することを理解されたい。特定の用語が本明細書で利用されているが、これらは一般的及び説明的な観点のみで使用され、制限目的のためではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】