(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ペプチドの化学合成のための組成物
(51)【国際特許分類】
C07F 9/32 20060101AFI20240402BHJP
C07K 1/02 20060101ALI20240402BHJP
C07K 1/06 20060101ALI20240402BHJP
C07F 9/28 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
C07F9/32
C07K1/02
C07K1/06
C07F9/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565254
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022071870
(87)【国際公開番号】W WO2022226536
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507238207
【氏名又は名称】セデルマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】コール サイフェルト
【テーマコード(参考)】
4H045
4H050
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045FA31
4H045FA33
4H045FA57
4H045FA61
4H050AA01
4H050AA02
4H050AC50
(57)【要約】
本開示は、ペプチドの化学合成用のアンカーとして機能し得る組成物に関する。アンカー分子は、GAP構成要素、リンカー構成要素、アミノ酸構成要素、及び/又はストッパー構成要素を含むことができる。また、アンカー分子は、アンカーペプチドを含むことができ、ここで、アンカーペプチドは、所定の配列のアミノ酸と除去可能にカップリングされ得、1つ以上の他のアミノ酸の付加を介して合成される場合、標的ペプチドに対する溶解度制御を達成することによって、GAPアンカーとして作用し得;次に、アンカーペプチドは、標的ペプチドから除去され得る。新規なアンカー分子及び/又はアンカーペプチドを利用する新規なペプチド合成方法もまた提示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GAP構成要素を含む化学組成物であって、GAP構成要素が、以下:
【化1】
からなる群から選択され、式中、
R
4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p1-からなる群から選択され、ここで、「p1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p2-からなる群から選択され、ここで、「p2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p3-からなる群から選択され、ここで、「p3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p4-からなる群から選択され、ここで、「p4」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
10は、-C(O)-、-(CH
2)
m-、及びNHからなる群から選択され、ここで、「m」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
「j」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
「k」は、0~30までの範囲から選択される整数である、化学組成物。
【請求項2】
リンカー構成要素をさらに含み、ここで、リンカー構成要素が、以下:
【化2】
【化3】
からなる群から選択され、式中、
Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;
Vは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a1-からなる群から選択され、ここで、「a1」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
Wは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a2-からなる群から選択され、ここで、「a2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
1は、-(CH
2)
b-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
2は、-(CH
2)
c-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
nは、0~30までの範囲から選択される整数である、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項3】
ストッパー構成要素をさらに含み、ストッパー構成要素が、以下:
【化4】
からなる群から選択され、式中、
R
4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q1-からなる群から選択され、ここで、「q1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q2-からなる群から選択され、ここで、「q2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q3-からなる群から選択され、ここで、「q3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q4-からなる群から選択され、ここで、「q4」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPhからなる群から選択され;
R
12は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q5-Hからなる群から選択され、ここで、「q5」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
13は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q6-Hからなる群から選択され、ここで、「q6」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
R
14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q7-Hからなる群から選択され、ここで、「q7」は0~30までの範囲から選択される整数である、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項4】
リンカー構成要素、ストッパー構成要素、及び第1のアミノ酸構成要素をさらに含み、GAP構成要素が、
【化5】
であり、式中、
R
4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p1-からなる群から選択され、ここで、「p1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p2-からなる群から選択され、ここで、「p2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p3-からなる群から選択され、ここで、「p3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p4-からなる群から選択され、ここで、「p4」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
10は、-C(O)-、-(CH
2)
m-、及びNHからなる群から選択され、ここで、「m」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
「j」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
「k」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
リンカー構成要素は、
【化6】
であり、式中、
Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;
Wは、-C(O)-であり;
Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
1は、-(CH
2)
b-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
2は、-(CH
2)
c-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
nは、0~30までの範囲から選択される整数であり;
第1のアミノ酸構成要素が、
【化7】
であり、式中、
Z
1は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、-C(O)-、及び-(CH
2)
d-からなる群から選択され、ここで、「d」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
Z
2は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、-C(O)-、及び-(CH
2)
e-からなる群から選択され、ここで、「e」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
「f」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
「g」は、0~30までの範囲から選択された整数であり;
R
3は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-(メチルメルカプト)エチル、
【化8】
からなる群から選択され、
式中、「h」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
ストッパー構成要素が、
【化9】
であり、式中、
R
11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPhからなる群から選択され;
R
12は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q5-Hからなる群から選択され、ここで、「q5」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
13は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q6-Hからなる群から選択され、ここで、「q6」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
R
14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q7-Hからなる群から選択され、ここで、「q7」は0~30までの範囲から選択される整数である、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項5】
【化10】
を含む、請求項4に記載の化学組成物。
【請求項6】
リンカー構成要素及びストッパー構成要素をさらに含み、GAP構成要素が、
【化11】
であり、式中、
R
6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p1-からなる群から選択され、ここで、「p1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p2-からなる群から選択され、ここで、「p2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p3-からなる群から選択され、ここで、「p3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
10は、-C(O)-、-(CH
2)
m-、及びNHからなる群から選択され、ここで、「m」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
「j」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
「k」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
リンカー構成要素が
【化12】
であり、式中、
Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;
Wは-C(O)-であり;
Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
1は、-(CH
2)
b-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
2は、-(CH
2)
c-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
「n」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
ストッパー構成要素が、
【化13】
であり、式中、
R
11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPhからなる群から選択され;
R
12は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q5-Hからなる群から選択され、ここで、「q5」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
13は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q6-Hからなる群から選択され、ここで、「q6」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
R
14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH
2)
q7-Hからなる群から選択され、ここで、「q7」は0~30までの範囲から選択される整数である、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項7】
【化14】
を含む、請求項6に記載の化学組成物。
【請求項8】
リンカー構成要素及びストッパー構成要素をさらに含み、GAP構成要素が、
【化15】
であり、リンカー構成要素が、
【化16】
であり、式中、
Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;
Vは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a1-からなる群から選択され、ここで、「a1」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
Wは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a2-からなる群から選択され、ここで、「a2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH
2)
a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
1は、-(CH
2)
b-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
2は、-(CH
2)
c-H、-CCl
3、-CF
3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
「n」は、0~30までの範囲から選択される整数であり、ストッパー構成要素が、
【化17】
であり、式中、
R
4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;
R
6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q1-からなる群から選択され、ここで、「q1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q2-からなる群から選択され、ここで、「q2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;
R
8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
q3-からなる群から選択され、ここで、「q3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;及び
R
9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH
2)
p4-からなる群から選択され、ここで、「p4」は0~30までの範囲から選択される整数である、請求項1に記載の化学組成物。
【請求項9】
以下:
【化18】
を含む、請求項8に記載の化学組成物。
【請求項10】
液相ペプチド合成の方法であって、該方法は、
第1のペプチドを第1のアミノ酸に付着させるステップであって、第1のペプチドがアンカーペプチドであるステップと、
1つ以上の追加アミノ酸を第1のアミノ酸にカップリングさせて第2のペプチドを形成するステップと、
第2のペプチドから第1のペプチドを除去するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
第1のペプチドがGAP構成要素を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1のペプチドが、第1の保護されたアミノ酸を第2の保護されたアミノ酸にカップリングさせ、第1又は第2の保護されたアミノ酸のいずれかにリンカーを結合させることによって形成され、第1の保護されたアミノ酸が、第1の保護基を第1のアミノ酸構成構成要素の第1の側鎖に付着させることによって形成され、第2の保護されたアミノ酸が、第2の保護基を第2のアミノ酸構成構成要素の第2の側鎖にカップリングさせることによって形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
第1のアミノ酸構成要素を第2のアミノ酸構成要素とカップリングさせるステップと、
リンカーを第1又は第2のアミノ酸構成要素の末端に付着させるステップと、
リンカーを第3のアミノ酸に付着させるステップと、
第4のアミノ酸と第3のアミノ酸のカップリングさせるステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ペプチド合成の方法であって、
アンカーを第1のアミノ酸にカップリングさせるステップと、
第2のアミノ酸を第1のアミノ酸のカップリングさせるステップと
を含み、ここで、
アンカーは、
【化19】
【化20】
【化21】
からなる群から選択される化合物を含む、方法。
【請求項15】
アンカーが、第1のアミノ酸のC末端にカップリングされる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アンカーが、第1のアミノ酸の側鎖にカップリングされる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
化合物が、
【化22】
であり、ここで、
アンカーが、リンカー構成要素を介して、第1のアミノ酸のC末端にカップリングされる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
アンカーが、ストッパー構成要素をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
第1のアミノ酸からアンカーを除去するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
第2のアミノ酸を第1のアミノ酸にカップリングさせるステップが、2-メチルテトラヒドロフラン中で起こる、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月23日に出願された「Compositions for Chemical Synthesis of Peptides」と題する米国仮特許出願第63/201,313号の優先権を主張する。本出願の相互参照:i)PCT出願第PCT/US16/68112号、「System and method for solution phase GAP peptide synthesis」(2016年12月21日出願)、ii)PCT出願第PCT/US19/29569号、「Method for Solution-Phase Peptide Synthesis」(2019年4月29日出願)、iii)PCT出願第PCT/US19/33296号、「Method for Solution-Phase Peptide Synthesis and Protecting Strategies Thereof」(2019年5月21日出願)、iv)PCT出願第PCT/US20/15132(2020年1月26日出願)、v)「Compositions and Methods for Chemical Synthesis」題する米国特許出願第17/104,166号(2020年11月25日出願)、及び米国特許出願公開第021/0079036A1として公開;ならびにvi)2021年4月23日に出願された「Compositions for Chemical Synthesis of Peptides」と題する米国仮特許出願第63/201,313。
【0002】
連邦政府が実施した研究開発に関する声明
なし。
【0003】
配列覧、又はコンパクトディスク付録を記載するコンピュータ一覧への言及
なし。
【背景技術】
【0004】
最近の研究努力は、特にカラムクロマトグラフィーと再結晶を避けることに焦点を当てた精製化学の分野で大きな進歩を遂げた。本研究は、出発物質中又は新しく生成された生成物中に良好な官能基を意図的に導入することにより、クロマトグラフィー及び/又は再結晶化のような従来の精製方法を回避する有機合成のための化学として、グループ支援精製(GAP)化学/技術と定義されている。これらのGAP基はまた、標的分子の合成中に望ましくない副反応を防止するための保護基としてしばしば使用され得る。このような研究は、合成有機化学の全分野を網羅する可能性がある。
【0005】
保護基は、多くの官能基が存在するほとんどすべての複雑な合成に見られる。効果的な保護基は、多様な条件に対して頑強である必要があり、高収率で添加及び除去しなければならない。保護基は、固相又は溶液相アプローチのいずれにおいても、ペプチド合成において広く使用される。ペプチド合成のために最も一般的に使用される保護基戦略の1つは、Fmoc/tBuである。Fmoc/tBu化学は、出発物質の利用可能性、製造コスト、及び脱保護に必要な比較的穏やかな条件などのいくつかの理由から、ペプチド合成にとって非常に魅力的である。米国特許第8,383,770号B2は、固相ペプチド合成(SPPS)におけるフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)及びtert-ブチルオキシカルボニル(Boc)N末端保護基の使用を教示しており、この技術は周知であり、工業において広く適用されている。
【0006】
1960年代にMerrifieldによって開発されたSPPSは、研究と製造のために複数の科学分野で使用される標準プロトコールとなった。SPPSの主要な欠点は、スケールアップの困難性にある:多くのポリマー支持体は高価であり、処理される材料の質量の大部分を占める。SPPSにおけるカップリング反応もまた、反応が固液界面上で起こるので非効率的である。さらに、脱保護及びカップリング反応のたびに、レジンを溶媒で洗浄して、以前の反応から発生した不純物を除去しなければならず、これは、大きなスケールで非常に問題となり得る重大な溶媒廃棄物を発生する。
【0007】
しかしながら、SPPSのこれらの欠点及びFmoc/tBu化学の魅力にもかかわらず、溶液相ペプチド合成(SolPPS)のための経済的に実行可能なFmoc保護スキームの例は稀である。米国特許第5,516,891号Aは、FmocベースのSolPPSの数少ない例の1つを提供する。ここでも、Fmocペプチド合成は、脱保護中の副生成物としてのN‐フルオレニルメチルピペリジン(NFMP)の生成により、ほとんど完全にSPPSに制限され、これはポリマー支持体なしでは除去が困難である。Fmoc脱保護の標準的プロトコールは、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジクロロメタン(DCM)の溶液中でFmoc-ペプチドを過剰なピペリジンで攪拌し、Fmoc基を脱保護し、プロセス中でNFMPを生成することである。’891特許は、ピペリジンの代わりに4-アミノメチルピペリジン(4AMP)で脱保護することによってこの不純物を除去することを教示している。これはNFMPの代わりにNFMP-CH2NH2を形成し、余分なアミノ基の存在により水中に抽出できる。4AMPはさらに活性アミノ酸エステルを除去し、洗浄により反応混合物から4AMP-アミノ酸生成物を除去することを可能にする。この方法の大きな問題は、4AMPを使用するコストが高いことであり、この方法のコストが法外であり、業界に広く受け入れられないことである。
【0008】
FmocベースのSolPPSの別の例は、公開された特許出願WO2017/112809A1に見られる。本刊行物は、各連続カップリング反応後に選択的沈殿を可能にするために、標的ペプチドの溶解度を制御するためのC末端GAP保護基、ベンジルジフェニルホスフィンオキシド(HOBnDpp)の使用を教示する。溶解度は、成長するペプチドが酢酸エチル又はDCMのような有機溶媒中に残留するように制御され、水性洗浄を行って不純物を除去し、次に有機溶媒の濃度に続いてアルカン溶媒中の混合物がペプチド生成物を選択的に沈殿させる。この技術は、’891特許よりもはるかに経済的に実行可能な方法でFmoc/tBu化学を溶液相に適応させたが、この方法には、ペプチドからGAP保護基を除去する際の課題;より長い配列に対する溶解度制御の維持;カップリング/脱保護反応中のGAP保護基の偶発的な切断;C末端修飾を容易に行うことができないこと;及びGAP保護基とペプチドとのカップリング点におけるようなラセミ化のような潜在的な制限がある。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、当該技術分野においていくつかの利点を提供する。一実施形態では、所定のペプチド配列に対する溶解度制御を増加させることができるアンカー合成のモジュラーアプローチを利用する、溶液相ペプチド合成の新規な方法を提示する。別の実施形態では、本開示は、標的ペプチドを合成するためのアンカーとしてペプチドを使用することを含む。好ましくは、一実施形態では、ペプチドは、溶解性を助けることができる官能化保護基を含むことができる。
【0010】
1つの実施形態では、本開示は、GAP構成要素、ストッパー構成要素、及びリンカー構成要素を含む化学組成物を含むことができる。別の実施形態では、本開示は、溶液相ペプチド合成方法を含むことができ、この方法は、第1のペプチドを第1のアミノ酸に結合させるステップ;1つ又は複数の追加のアミノ酸を第1のアミノ酸に結合させて第2のペプチドを形成させるステップ;及び第2のペプチドから第1のペプチドを除去するステップを含むことができる。
【0011】
別の実施形態では、本開示は、溶液相ペプチド合成のためのアンカーペプチドを形成する方法を含むことができ、この方法は、第1の保護されたアミノ酸を第2の保護されたアミノ酸にカップリングするステップと、第1の保護されたアミノ酸又は第2の保護されたアミノ酸のいずれかにリンカーを結合するステップとを含むことができる。
【0012】
別の実施形態では、本開示は、以下からなる群から選択され得る化学組成物を含むことができる:
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
別の実施形態では、本開示は、ペプチド合成方法を含むことができ、本方法は、第1のアミノ酸の第1の側鎖に第1の保護基を結合させるステップ;第2の保護基を第2のアミノ酸の第2の側鎖に結合させるステップ;第1のアミノ酸を第2のアミノ酸と結合させるステップ;第1のアミノ酸を第1又は第2のアミノ酸の末端に結合させるステップ;リンカーを第3のアミノ酸に結合させるステップ;及び第4のアミノ酸を第3のアミノ酸と結合させるステップを含むことができる。
【0017】
別の実施形態では、本開示は、以下からなる群から選択されるGAP構成要素を含む化学組成物を含むことができる。
【0018】
【0019】
【0020】
式中、R4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p1-からなる群から選択され、ここで、「p1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;R7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p2-からなる群から選択され、ここで、「p2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p3-からなる群から選択され、ここで、「p3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p4-からなる群から選択され、ここで、「p4」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R10は、-C(O)-、-(CH2)m-、及びNHからなる群から選択され、ここで、「m」は0~30までの範囲から選択される整数であり;「j」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;及び「k」は、0~30までの範囲から選択される整数である。リンカー構成要素をさらに含み、ここで、リンカー構成要素は、以下からなる群から選択される:
【0021】
【0022】
【0023】
式中、Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;Vは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a1-からなる群から選択され、ここで、「a1」は0~30までの範囲から選択される整数であり;Wは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a2-からなる群から選択され、ここで、「a2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R1は、-(CH2)b-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R2は、-(CH2)c-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;nは、0~30までの範囲から選択される整数である。ストッパー構成要素をさらに含み、ここで、ストッパー構成要素は、以下からなる群から選択される:
【0024】
【0025】
式中、R4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q1-からなる群から選択され、ここで、「q1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;R7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q2-からなる群から選択され、ここで、「q2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q3-からなる群から選択され、ここで、「q3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q4-からなる群から選択され、ここで、「q4」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPhからなる群から選択され;R12は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q5-Hからなる群から選択され、ここで、「q5」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R13は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q6-Hからなる群から選択され、ここで、「q6」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q7-Hからなる群から選択され、ここで、「q7」は0~30までの範囲から選択される整数である。リンカー構成要素、ストッパー構成要素、及び第1のアミノ酸構成要素をさらに含み、ここで、GAP構成要素は以下である:
【0026】
【0027】
式中、R4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p1-からなる群から選択され、ここで、「p1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;R7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p2-からなる群から選択され、ここで、「p2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p3-からなる群から選択され、ここで、「p3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p4-からなる群から選択され、ここで、「p4」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R10は、-C(O)-、-(CH2)m-、及びNHからなる群から選択され、ここで、「m」は0~30までの範囲から選択される整数であり;「j」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;及び「k」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;リンカー構成要素は、以下である:
【0028】
【0029】
式中、Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;Wは、-C(O)-であり;Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R1は、-(CH2)b-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R2は、-(CH2)c-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;nは、0~30までの範囲から選択される整数であり;第1のアミノ酸構成要素は、以下である:
【0030】
【0031】
式中、Z1は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、-C(O)-、及び-(CH2)d-からなる群から選択され、ここで、「d」は0~30までの範囲から選択される整数であり;Z2は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、-C(O)-、及び-(CH2)e-からなる群から選択され、ここで、「e」は0~30までの範囲から選択される整数であり;「f」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;「g」は、0~30までの範囲から選択された整数であり;R3は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-(メチルメルカプト)エチル、
【0032】
【0033】
からなる群から選択され、式中、「h」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;ストッパー構成要素は、
【0034】
【0035】
であり、式中、R11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPhからなる群から選択され;R12は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q5-Hからなる群から選択され、ここで、「q5」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R13は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q6-Hからなる群から選択され、ここで、「q6」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q7-Hからなる群から選択され、ここで、「q7」は0~30までの範囲から選択される整数である。以下を含む。
【0036】
【0037】
別の実施形態では、本開示は、GAP構成要素、ストッパー構成要素、及びリンカー構成要素を含む化学組成物を含むことができ、ここで、GAP構成要素は、
【0038】
【0039】
であり、式中、R6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p1-からなる群から選択され、ここで、「p1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;R7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p2-からなる群から選択され、ここで、「p2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p3-からなる群から選択され、ここで、「p3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R10は、-C(O)-、-(CH2)m-、及びNHからなる群から選択され、ここで、「m」は0~30までの範囲から選択される整数であり;「j」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;及び「k」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;リンカー構成要素は、
【0040】
【0041】
であり、式中、Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;Wは-C(O)-であり;Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R1は、-(CH2)b-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R2は、-(CH2)c-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;「n」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;ストッパー構成要素は、
【0042】
【0043】
であり、式中、R11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPhからなる群から選択され;R12は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q5-Hからなる群から選択され、ここで、「q5」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R13は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q6-Hからなる群から選択され、ここで、「q6」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q7-Hからなる群から選択され、ここで、「q7」は0~30までの範囲から選択される整数である。以下を含む:
【0044】
【0045】
別の実施形態では、本開示は、GAP構成要素、ストッパー構成要素、及びリンカー構成要素を含む化学組成物を含むことができ、ここで、GAP構成要素は、
【0046】
【0047】
を含み、リンカー構成要素は、
【0048】
【0049】
であり、式中、Yは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、及びOからなる群から選択され;Vは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a1-からなる群から選択され、ここで、「a1」は0~30までの範囲から選択される整数であり;Wは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a2-からなる群から選択され、ここで、「a2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;Xは、S、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a3-からなる群から選択され、ここで、「a3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R1は、-(CH2)b-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「b」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R2は、-(CH2)c-H、-CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、及びジメトキシフェニルからなる群から選択され、ここで、「c」は0~30までの範囲から選択される整数であり;「n」は、0~30までの範囲から選択される整数であり、ストッパー構成要素は、
【0050】
【0051】
であり、式中、R4は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、及びtert-ブチルからなる群から選択され;R6は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q1-からなる群から選択され、ここで、「q1」は、0~30までの範囲から選択される整数であり;R7は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q2-からなる群から選択され、ここで、「q2」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R8は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)q3-からなる群から選択され、ここで、「q3」は0~30までの範囲から選択される整数であり;R9は、-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、及び-(CH2)p4-からなる群から選択され、ここで、「p4」は0~30までの範囲から選択される整数である。以下を含む。
【0052】
【0053】
別の実施形態では、本開示は、第1のペプチドを第1のアミノ酸に付着させるステップであって、第1のペプチドがアンカーペプチドであるステップと、1つ以上の追加アミノ酸を第1のアミノ酸にカップリングさせて第2のペプチドを形成するステップと、第2のペプチドから第1のペプチドを除去するステップとを含む、溶液相ペプチド合成方法を含むことができる。ここで、第1のペプチドはGAP構成要素を含む。ここで、第1のペプチドは、第1の保護されたアミノ酸を第2の保護されたアミノ酸にカップリングさせ、第1又は第2の保護されたアミノ酸のいずれかにリンカーを付着させることによって形成され、第1の保護されたアミノ酸は、第1の保護基を第1のアミノ酸構成要素の第1の側鎖に付着させることによって形成され、第2の保護されたアミノ酸は、第2の保護基を第2のアミノ酸構成要素の第2の側鎖にカップリングさせることによって形成される。さらに、第1のアミノ酸構成要素を第2のアミノ酸構成要素とカップリングさせるステップ;リンカーを第1又は第2のアミノ酸構成要素の末端に結合させるステップ;リンカーを第3のアミノ酸に結合させるステップ;及び第4のアミノ酸を第3のアミノ酸とカップリングさせるステップを含む。
【0054】
別の実施形態では、本開示は、アンカーを第1のアミノ酸にカップリングさせるステップ、及び第2のアミノ酸を第1のアミノ酸とカップリングさせるステップを含むペプチド合成方法を含むことができ、ここで、アンカーは、
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
からなる群から選択される化合物を含む。ここで、アンカーは最初のアミノ酸のC末端にカップリングされる。ここで、アンカーは最初のアミノ酸の側鎖とカップリングされる。
化合物は、
【0059】
【0060】
であり、アンカーは、リンカー構成要素を介して、第1のアミノ酸のC末端にカップリングされる。ここで、アンカーは、ストッパー構成要素をさらに含む。さらに、第1のアミノ酸からアンカーを除去するステップを含む。一方、第2のアミノ酸と第1のアミノ酸とのカップリングは、2-メチルテトラヒドロフラン中で起こる。
【0061】
本開示の前述及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の図面に例示されている実施形態の以下の説明から明らかであり、参照符号は種々の図面を通して同じ部分を参照する。図面は必ずしも縮尺通りではなく、開示の原理を説明することに重点が置かれている。図面は、本開示の範囲を限定することなく、好ましい実施形態を描写することのみを意図した、非限定的な例として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図1A】
図1Aは、本開示の原理による例示的なGAP構成要素を示す。
【
図1B】
図1Bは、本開示の原理に従った例示的なAA(Gap)構成要素を示す。
【
図2】
図2は、本開示の原理による例示的なアミノ酸構成要素を示す。
【
図3】
図3は、本開示の原理による例示的なリンカー構成要素を示す。
【
図4】
図4は、本開示の原理による例示的なストッパー構成要素を示す。
【
図5】
図5は、例示的なアンカー分子及び/又はアンカーペプチドであって、本開示の原理に従った例示的な基底構造模式図を有するものを示す。
【
図6】
図6は、本開示の原理に従った例示的な基礎構造概略図を有する例示的なアンカー分子を示す。
【
図7】
図7は、例示的なアンカー分子及び/又はアンカーペプチドを、本開示の原理に従った例示的な基礎となる構造概略図と共に示す。
【
図8】
図8は、本開示の原理による例示的なモジュラーアンカー合成方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0063】
上記開示の概要、本開示の詳細な説明、及び以下の特許請求の範囲、及び添付の図面において、本発明の特定の特徴を参照する。本明細書における本発明の開示は、そのような特定の特徴の全ての可能な組み合わせを含むことが理解されるべきである。例えば、特定の特徴が、本発明の特定の態様若しくは実施形態、又は特定のクレームの文脈で開示されている場合、その特徴は、可能な限り、本発明の他の特定の態様及び実施形態と組み合わせて、及び/又は文脈で、本発明全体で使用することもできる。
【0064】
本明細書に開示及び請求された組成物及び/又は方法のすべては、本開示に照らして、過度の実験を行うことなく、製造及び実行することができる。本発明の組成物及び方法を好ましい実施形態に関して説明したが、本発明の概念、精神、及び範囲から逸脱することなく、組成物及び/又は方法、ならびに本明細書に記載される方法のステップ又はステップの順序にバリエーションを適用することができることは、当業者には明らかであろう。当業者に明らかな全てのこのような類似の置換及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、本発明の精神、範囲、及び概念の範囲内にあるとみなされる。
【0065】
用語「含む」及びその文法的等価物は、本明細書では、他の構成要素(component)、構成要素(ingredient)、ステップなどが場合により存在することを意味するために使用される。
例えば、構成要素A、B,およびCを「含んでいる」(又は「含む」)物品は、構成要素A、B、及びCからなるか(すなわち、構成要素のみを含有する)、又は構成要素A、B、及びCだけでなく、1つ以上の他の構成要素を含有し得る。
【0066】
本明細書において、2つ以上の定義されたステップを含む方法を参照する場合、定義されたステップは、任意の順序で、又は同時に実行することができ(文脈によりその可能性が除外される場合を除く)、方法は、定義されたステップのいずれかの前、定義されたステップの2つの間、又は定義されたステップのすべての後に実行される1つ以上の他のステップを含むことができる(文脈によりその可能性が除外される場合を除く)。
【0067】
用語「少なくとも」の後に数字が続くものは、本明細書において、その数字で始まる範囲(定義される変数に依存して、上限を有するか又は上限を有さない範囲であり得る)の開始を示すために使用される。例えば、「少なくとも1つ」は、1つ以上を意味する。用語「せいぜい」の後に数字が続くものは、本明細書において、その数字で終わる範囲の末尾を示すために使用される(この範囲は、その下限として1又は0を有する範囲であってもよく、又は定義される変数に依存して、下限を有さない範囲であってもよい)。例えば、「せいぜい4つ」とは4又は4未満、「せいぜい40%」とは40%または40%未満を意味する。本明細書では、範囲を「(初期数)から(後続数)」又は「(初期数)~(後続数)」とする場合、下限が初期数で、上限が後続数となる範囲を意味する。例えば、25~100mmとは、下限が25mmで上限が100mmの範囲を意味する。
【0068】
「アミノ酸」とは、当該技術分野において一般に理解されている用語であり、最も広い意味で、アミノ酸は、アミノ基及びカルボン酸基の両方を含有する任意の有機分子であり得る。実用化のためには、これらの分子は、一般に、1,000ダルトン未満のサイズであり得、アミノ基(N-末端)は、1個又は2個のメチレン単位によってカルボン酸基(C-末端)から分離される。アミノ酸のさらなる特徴は、N末端とC末端を分離するメチレンユニットからの分枝としての側鎖の存在であり得る。側鎖は、実質的に任意の構造的特徴を含むことができ、側鎖の変動は、アミノ酸の変動を説明する。このバリエーションには、オルニチン又はセレノシステインのような他のものとともに、標準的な20種類のタンパク質産生アミノ酸が含まれるが、これらに限定されない。多くの非タンパク性構造も、フェニルグリシンのようなアミノ酸とみなすことができるので、この用語は20のサブセットに限定されるものではない。「保護された」アミノ酸は、特定の官能基、例えばN末端及び/又は側鎖の一部が保護基に結合して保護された官能基の反応性を一時的に阻害する場合、アミノ酸のサブカテゴリーとみなすことができる。本開示の文脈において、「GAPアミノ酸」は、側鎖及び/又はC末端及び/又はN末端が1以上のGAP基を含み、及び/又はそれに結合しているアミノ酸であり得る。本明細書中で使用される「GAP基」は、以下でさらに議論されるように、GAP構成要素(GAPアンカー)(GAP保護基)を含むことができる。GAP基は、限定されるものではないが、ホスフィンオキシド部分を含むことができる。
【0069】
上述したように、アミノ酸「側鎖」は、N末端とC末端を分離するメチレンユニットからの分岐であってもよく、一般に「R」基と称されることもある。側鎖は、実質的に任意の構造的特徴を含むことができ、側鎖のバリエーションは、アミノ酸のバリエーションを説明する。
【0070】
「ペプチド」とは、アミノ酸モノマーから作られる生体高分子として当該技術分野で一般的に理解されている用語である。ペプチドを構成するためには、少なくとも2つのアミノ酸が互いに結合していなければならない。本明細書で使用される「アンカーペプチド」は、アンカー分子としても機能するペプチド-アンカーペプチドについては、ペプチドが作製され、次に、アンカーとして機能して第2の標的ペプチドを合成することができるペプチドを含むことができる。本開示の目的のために、アンカーペプチドは、20個以下のアミノ酸を有するペプチドを含むことができる。本明細書中で使用される「アンカー」は、実用的な様式でペプチドの合成を促進するために、その合成中のそのペプチドの溶解特性を制御する目的で、標的分子(例えば、ペプチド)に結合するか又は結合するように設計された分子基であり得る。アンカーは、一般に、ペプチド合成の末端で除去することができ、最終的な標的分子の構成要素であってはならない。しかしながら、アンカーの除去に際して、いくつかの実施形態では、アンカーの分子構成要素は、例えば、C末端修飾を達成するように(例えば、既知のリンクアミドリンカーを介して達成され得るように)残ることができる。本明細書で使用される「GAPアンカー」は、GAP基を含むアンカー分子を含むことができる。アンカーは、GAP構成要素(後述)を含むことができる。1つの実施形態では、GAP構成要素は、それ自体、アンカーとして働くことができる。
【0071】
1つの実施形態では、本開示は、グループ支援精製ペプチド合成(GAP-PS)のためのアンカー分子の構造を含むことができる。1つの実施形態では、アンカー分子は、有意なラセミ化を引き起こすことなく、ペプチド配列中の第1のアミノ酸にカップリングされ得る。別の実施形態では、アンカー分子は、アミノ酸カップリング及びFmoc脱保護ステップの条件に対して安定であり得る。別の実施形態では、アンカー分子は、側鎖保護基と同時に、又は直交法のいずれかを介して、ラセミ化を引き起こすことなく、ペプチドから切断され得る。別の実施形態では、アンカーは、溶解度を実質的に制御することができる。例えば、1つの実施形態では、アンカー分子は、水含有量が50%を超える水又は水/有機溶媒混合物に溶解することから保護されたペプチドを完全に排除することができる。一実施形態では、アンカー分子がこれを行うことができないと、水性後処理中に生成物が繰り返し失われるため、収率が低下する可能性がある。別の実施形態では、アンカーはまた、選択された有機溶媒中の保護されたペプチドの溶解性を促進することができ、その結果、ペプチドが完全に溶解して、大規模製造に適した濃度で、典型的には溶質1グラム当たり10~20mLの溶媒のオーダーで均質な溶液を形成することができる。別の実施形態では、アンカーは、特定の溶媒中で標的分子を「アンカー」することができる保護基であり得る。
【0072】
別の実施形態では、本開示は、追加の利点を提供するだけでなく、これらの上述の特性に有意な改良を提供するアンカーを含むことができる。例えば、本明細書で考察するアンカーは、GAP保護アミノ酸を含むことができ、別の実施例では、そのようなGAP保護アミノ酸をモジュラー様式で、合成されるペプチドにカスタマイズすることができるアンカーを構築するために利用することができる。別の実施形態では、本開示は、アンカー(GAPアンカー)を構築するために、ペプチドカップリング及び脱保護反応の迅速かつ信頼できる化学を使用することができるシステムを含むことができる。いくつかの実施形態では、GAPアンカーは、アンカーペプチド(GAPアンカーペプチド)を含むことができる。一実施形態では、アンカーペプチドはペプチド結合を有するアンカーであってもよく、別の実施形態では、アンカーペプチドは任意のペプチドであってもよく、別の実施形態では、アンカーペプチドは、極性有機溶媒に可溶であり、水に不溶であるペプチド結合を有する任意の分子であってもよい。別の実施形態では、アンカーペプチドは、溶解度制御を容易にするために標的分子に取り外し可能に結合され、続いて標的分子から除去され得るペプチド結合を有する任意の分子であり得る。別の実施形態では、例えば、コストとバランスさせることができる可溶性に対する種々の程度の制御のために、1個、2個、3個、又はそれ以上のGAPアミノ酸を組み込むアンカーを迅速に合成することができる。例えば、30-merペプチドの合成は、このサイズのペプチドの溶解度を適切に制御するために、アンカーに3つのGAPアミノ酸を使用することによって達成することができるが、別の例では、1つのGAPアミノ酸を有するアンカーを使用して5-merペプチドを達成することができる。別の例では、同一のGAPアミノ酸を、これらのアンカーの両方のための共通の原料として合成することができ、標的分子の必要性に合致する方法で、また、必要な制御とアンカー合成のコスト及び原子経済とのバランスをとる方法で、アンカーとして迅速に組み立てることができる。
【0073】
一実施形態では、及び増大した安定性の結果として、さらなるプロセスの利点を達成することができる。別の実施形態では、GAPアミノ酸アンカーの安定性の増加により、カップリング反応及び脱保護反応の両方を湿式有機溶媒中で行うことができる(水分含有率<10%)。これは、例えば、固体乾燥剤及び/又は共沸蒸留による濾過を含むことができる、時間がかかり、したがってコストがかかる乾燥ステップの必要性を排除することができる。別の実施形態では、本開示は、これらの処理ステップの必要性を排除することによって、顕著な利点を提供し、合成全体を著しく高速化することができ、より短い期間でより多くの結合サイクルを達成することができる。このような利点は、ペプチド合成コストのオーバーヘッド割当に、特に、より多くのカップリングサイクルが必要とされるより長いペプチドに対して、有意で正の効果を有することができる。
【0074】
1つの実施形態では、本開示は、溶液相ペプチド合成のためのアンカー分子を形成するための保護基と組み合わせたアミノ酸及び/又はペプチドの利用を含むことができる。例えば、アミノ酸は、それらの側鎖及び/又は末端で保護基(例えば、GAP保護基)で保護され得、さらに互いに(及び/又は他の分子に)カップリングして、アンカー分子を形成する。
【0075】
1つの実施形態では、本開示は、1つ以上の基支援精製(GAP)構成要素(1つの実施形態では、各GAP構成要素は好ましくは300ダルトン未満であり得る);1つ以上のアミノ酸(AA)構成要素;1つ以上のリンカー構成要素;及び/又は1つ以上のストッパー(cap)構成要素を含むことができる化学組成物を含むことができる。別の実施形態では、GAP構成要素は、アミノ酸-GAP構成要素(AA(Gap)構成要素)であり得る。1つの実施形態では、GAP構成要素及びリンカー構成要素は、米国特許出願第17/104,166号に記載されているように、GAP構成要素及びリンカー構成要素(それぞれ)であり得る。別の実施形態では、ストッパー構成要素は、米国特許出願第17/104,166号で議論されているスペーサ構成要素と類似していてもよいし、又は同一であってもよい。1つの実施形態では、本開示は、H-AA(Gap)-OH、H-[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパー、H-リンカー-[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-Sストッパー、および/またはH-リンカー-{[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパー}δタイプの構造を含み得て、これらは、まとめてH-アンカー(アンカー)(GAPアンカー)と呼ばれ、ここで、Hは元素の水素を指すことができ;Oは元素の酸素を指すことができ;α、β、及びγは0から10までの任意の整数であり得;δは0から2までの任意の整数であり得;AA(Gap)はアミノ酸-GAP構成要素(例えば、GAP構成要素に付着したアミノ酸)であり得る);リンカーは、本明細書に記載され、当該技術分野で公知のものと同様のリンカー構成要素であり得;AA1及び/又はAA2は、任意の種類のアミノ酸又はアミノ酸部分であり得;ストッパーは、例えば、化学的に不活性であり、水への溶解度が非常に低く、有機溶媒中でのアンカー分子の溶解度を妨げず、アンカー分子の他の化学部分及び/又は構成要素が、標準ペプチドカップリング試薬を用いて付着され得るように、一端に求核部分を含む任意の化学部分であり得る。
【0076】
本明細書で使用される、類似の値を有することができる任意の変数は、同一の値であることを必要としない。例えば、及び一実施形態では、R4及びR5はともに、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、又はtert-ブチルのいずれでもよい。さらに、
【0077】
【0078】
は、与えられた分子の他の分子への結合点を描くことができる。
【0079】
例えば、及び
図1Aに例示される別の実施形態では、GAP構成要素は、以下:
【0080】
【0081】
を含むことができ、式中、
【0082】
【0083】
は、このGAP構成要素の他の分子又は原子、例えばアミノ酸(例えば、AA(Gap)構成要素に関して)への付着を示すことができる。例えば、及び一実施形態では、HNtBuODpp(又は別のGAP構成要素)をアミノ酸側鎖又はC末端にカップリングさせて、AA(Gap)構成要素を形成することができる。一実施形態では、GAP構成要素をアミノ酸側鎖又はC末端に付着させると、アミノ酸のC末端又は側鎖(それぞれ)を残して、さらなるGAP保護アミノ酸とのようなカップリング反応に自由に参加することができる。好ましくは、1つ以上のAA(Gap)構成要素をアンカー分子に含めることができ、又はアンカー分子であってもよい。別の実施形態では、2つ以上のAA(Gap)構成要素を一緒にカップリングして、アンカー分子又はアンカー分子の一部を形成することができる。一実施形態では、2つ以上のAA(Gap)構成要素を利用することによって、ペプチドベースのアンカー分子を形成して、溶液相ペプチド合成を可能にすることができる。
【0084】
別の実施形態では、GAP構成要素は、AA(Gap)構成要素であり得、好ましくは、基支援精製分子にカップリングされたアミノ酸を含むことができる。例えば、AA(Gap)構成要素は、GAP構成要素及びアミノ酸構成要素を含むことができる。別の実施形態では、AA(Gap)構成要素(例えば、
【0085】
【0086】
)は、
図1Bに例示されるような以下の構造(例えば、H-AA(Gap)-OH、H-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー、H-リンカー-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー)、および/又はH-リンカー-{[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー}
δ:
【0087】
【0088】
を含むことができ、式中、R10は-C(O)-、-(CH2)m-、又はNHであり得;R6、R7、R8、及びR9は-C(O)-、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、又は-(CH2)p-のいずれかであり得;R4及びR5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、又はtert-ブチルであり得;j、k、m、及びpは、0~30までの範囲から選択される整数であり得る。R6、R7、R8、R9はすべて異なることができ、「p」は、R6、R7、R8、およびR9の各々について異なった値であり得る。
【0089】
別の実施形態では、アンカーは、H-AA(Gap)-OH、H-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー、及び/又はH-リンカー-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパーを含むアンカーに関してなど、GAP構成要素又はAA(Gap)構成要素に加えて、アミノ酸構成要素(AA構成要素)を含むことができる。一実施形態では、アミノ酸構成要素は、第一級又は第二級アミン、及びカルボン酸を有する任意の分子であり得る。別の実施形態では、及び
図2に示されるように、アミノ酸構成要素(例えば、
【0090】
【0091】
)は、
【0092】
【0093】
を含むことができ、式中、Z1は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、-C(O)-又は-(CH2)d-であり得;Z2は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、-C(O)-又は-(CH2)e-あり得;d、e、g、hは、それぞれ、0~30までの範囲から選択される任意の整数であり得;R3は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、2-(メチルメルカプト)エチル、又は
【0094】
【0095】
別の実施形態では、アンカーは、H-AA(Gap)-OH、H-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー、H-リンカー-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー、及び/又はH-リンカー-{[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー}
δを含むアンカーに加えて、GAP構成要素及び/又はAA(Gap)構成要素に加えて、リンカー構成要素(リンカー)を含むことができる。1つの実施形態では、リンカー構成要素は、ペプチド合成に関して当該技術分野で公知のリンカーを含むことができる。別の実施形態では、及び
図3に示されるように、リンカー構成要素(例えば、
【0096】
【0097】
)は、
【0098】
【0099】
をむことができ、式中、YはS、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C、(O)-(CH2)であり得;WはS、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、(CH2)a2-であり得;XはS、NH、NMe、NEt、NBn、NPh、O、-C(O)-、-(CH2)a3-であり得;R1は-(CH2)b-H、-CCl3、-CF3、フェニル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル又はジメトキシフェニルであり得る;R2は-(CH2)c-H、CCl3、-CF3、フェニル、イソプロピル、tert-ブチル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、メトキシフェニル、又はジメトキシフェニルであり得;及びa、b、c、及びnは、0~30までの範囲から選択される整数であり得る。一実施形態では、「H-リンカー」(例えば、H-リンカー-[AA1]α-[AA(Gap)]β-[A2]γ-ストッパー及び/又はH-リンカー-{[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパー}δで使用される場合)中の「H」(水素)は、リンカーの「Y」変数に付着される(そのような付着は、細かい線で上に記される)。
【0100】
別の実施形態では、アンカーは、H-AA(Gap)-OH、H-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-ストッパー、H-リンカー-[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]2γ-ストッパー、及び/又はH-リンカー-{[AA
1]
α-[AA(Gap)]
β-[AA
2]
γ-Stopper}
δを含むアンカーに加えて、GAP構成要素及び/又はAA(Gap)構成要素及び/又はリンカー構成要素に加えて、ストッパー構成要素(Stopper)を含むことができる。一実施形態では、及び
図4に示されるように、ストッパー構成要素(例えば、
【0101】
【0102】
)は、
【0103】
【0104】
を含むことができ、式中、R11は、S、O、NH、NMe、Net、NBn、又はNPhであり得;R12、R13、及びR14は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及び-(CH2)q-Hのいずれであってもよく;R6、R7、R8、及びR9は、-C(O)-、S、O、O、NH、NMe、Net、NBn、NPh、又は-(CH2)q-のいずれであってもよく;R4及びR5は、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ベンジル、イソプロピル、ベンジル、sec-ブチル、又はtert-ブチルのいずれであってもよく;qは、0~30までの範囲から選択される整数であってもよい。R4、R5、R6、R7、R8、及びR9はすべて互いに異なり、qの値はR基ごとに異なることができる。
【0105】
別の実施形態では、本開示は、本開示の原理に従ってアンカー分子として有用であり得る組成物などの組成物を含むことができる。例えば、
図5に示されるように、アンカー分子は、以下を含むことができる。
【0106】
【0107】
この例では、アンカーは、H-リンカー-[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパーフォーマットに従うことができ、ここで、αは0であり得、βは2であり得、γは1であり得る。1つの実施形態では、各構成要素は、以下のように定義することができる。
【0108】
【0109】
リンカーについて:Y=O;R1=H;R2=H;X=O及びMe基とパラ位であり、他のX含有気とオルト位である;n=1
AA(Gap)について:R4及びR5=メチル;R7=O;R6及びR8=-(CH2)p(p=0);R9=NH;R10=-C(O)-;j=0;k=1
AA2について:Z1=NH;f=0;R3=H;g=0;Z2=-C(O)-
ストッパーについて:R11=NH;R12=-(CH2)q-H(q=15);R13及びR14=H
【0110】
別の実施形態では、及び
図6に示されるように、アンカー分子は、以下を含むことができる。
【0111】
【0112】
この例では、アンカーは、H-リンカー-[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパーフォーマットに従うことができ、ここで、αは0であり得、βは1であり得、γは0であり得る。1つの実施形態では、各構成要素は、以下のように定義することができる。
【0113】
【0114】
リンカーについて:Y=NH;R1=H;R2=ジメトキシフェニル(2及び4位にメトキシ基);X=Oとパラ位である;n=1
AA(Gap)について:R6及びR8=-(CH2)p(p=0);R7=NH;R10=-(CH2)m-(m=0);j=4;k=0
ストッパーについて:R11=NH;R12=-(CH2)q-H(q=15);R13及びR14=H
【0115】
別の実施形態では、及び
図7に示されるように、アンカー分子は、以下を含むことができる。
【0116】
【0117】
この例では、アンカーは、H-[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパーフォーマットに従うことができ、ここで、αは0であり得、βは3であり得、γは0であり得る。
1つの実施形態では、各構成要素は、以下のように定義することができる。
【0118】
【0119】
AA(Gap)について:R4及びR5=メチル;R7=O;R6及びR8=-(CH2)p(p=0);R9=NH;R10=-C(O)-;j=0;k=1
ストッパーについて:R11=NH;R12=-(CH2)q-H(q=15);R13及びR14=H
【0120】
別の実施形態では、及び
図9に示されるように、アンカー分子は、以下を含むことができる。
【0121】
【0122】
この例では、アンカーは、H-リンカー-{[AA1]α-[AA(Gap)]β-[AA2]γ-ストッパー}δフォーマットに従うことができ、ここで、αは0であり得、βは0であり得、γは0であり得、δは2であり得る。1つの実施形態では、各構成要素は、以下のように定義することができる。
【0123】
【0124】
リンカーについて:Y=NH;V=-(CH2)a-(a=0);X=O;W=-C(O)-;R1=-(CH2)b-(b=0);R2=-(CH2)c-H(c=0);n=10
ストッパーについて:R9=NH;R5及びR4=メチル;R6及びR8=-(CH2)q-(q=0);R7=0
【0125】
別の実施形態では、本開示は、アンカー(いくつかの実施形態では、アンカーペプチド)を合成する方法を含むことができる。1つの実施形態では、本方法は、初期出発物質(例えば、AA(Gap)構成要素)をバルクで作製し、次に、アンカーが出発物質の取り込みの程度に依存して異なる特性を有することができるように、様々な程度までアンカーに組み込むことができるように、モジュール式システムであり得る。例えば、
図7に示されるアンカーの合成に関して、AA(Gap)構成要素は、GAPアミノ酸(例えば、保護基を有するアミノ酸、好ましくは、GAP保護基を有するアミノ酸、それに結合したもの)であり得、さらに、モジュラー出発物質として作用し得る。例えば、
図8に示されているように、合成方法は、以下から始めることができる。
【0126】
【0127】
1つの実施形態では、このステップは、AA(Gap)構成要素のストッパー構成要素(例えば、H2NC16H33)への付着とみなすことができる。上記反応の生成物は、以下の通りである。
【0128】
【0129】
1つの実施形態では、次に、上記分子をペプチドの第1のアミノ酸にカップリングさせることができ、又は別法として、第1のアミノ酸に結合する前に、リンカー構成要素をさらに取り込むことができる。別の実施形態では、本開示は、1以上のさらなるAA(Gap)構成要素の上記分子への付加をさらに含むことができる。例えば、より長いペプチド配列(例えば、25アミノ酸と100アミノ酸の間)の合成のために、アンカーに少なくとも1つの他のAA(Gap)構成要素を含むことが有利であり得、その結果、標的ペプチドの溶解度は、配列が長くなるにつれてさらに制御され得る。一実施形態では、上記分子を、別のAA(Gap)構成要素(例えば、以前に使用されたのと同じ又は異なるAA(Gap)構成要素)と反応させて、以下を達成することができる。
【0130】
【0131】
1つの実施形態では、次に、上記分子をペプチドの第1のアミノ酸にカップリングさせることができ、又は別法として、第1のアミノ酸に結合する前に、リンカー構成要素をさらに取り込むことができる。別の実施形態では、本開示は、1以上のさらなるAA(Gap)構成要素の上記分子への付加をさらに含むことができる。例えば、上記の分子を別のAA(Gap)構成要素とカップリングさせて、以下を得ることができる。
【0132】
【0133】
1つの実施形態では、次に、上記分子をペプチドの第1のアミノ酸にカップリングさせることができ、又は別法として、第1のアミノ酸に結合する前に、リンカー構成要素をさらに取り込むことができる。別の実施形態では、本開示は、1以上のさらなるAA(Gap)構成要素の上記分子への付加をさらに含むことができる。
【0134】
図8に例示される方法は、必要に応じて、1つ以上のユニット(例えば、AA(Gap)構成要素)を複数回加えて、より大きな溶解度制御を達成することができるという点で、モジュラーシステムとみなすことができる。このようなモジュール性は、必要に応じてカスタマイズされたアンカーに変換することができる出発物質の大規模な合成及び貯蔵を可能にするので、当該技術分野において有利である。当業者には、アンカーに異なる特性を与えるために、この方法において複数の異なるアミノ酸を用いることができることが理解されるであろう。さらに、ストッパー構成要素は、増大した疎水性、増大した親水性、増大した芳香族性、及び/又は任意の他の所望の品質などの所望の特性を与えるように改質することができることが理解されるであろう。カップリング及び脱保護反応は、例えば、ジクロロメタン、DMF、酢酸エチル、テトラヒドロフラン及び/又は2-メチルテトラヒドロフランのような1種以上の溶媒中で起こり得る。
【0135】
1つの実施形態では、GAP、リンカー、アミノ酸、及びストッパー構成要素は、所与のGAPアンカーに異なる有用な特性を提供することができる別個の化学物質とみなすことができる。例えば、GAP構成要素は、極性結合(例えば、ホスフィンオキシド)及び芳香族構成要素を含むアミノ酸にカップリングされたGAP分子を含むことができ、これは、最終的に、pi-pi積層の可能性を有する極性-有機質をアンカーに付与し、これは、アンカー(及び結合された標的分子)が非極性溶媒から選択的に析出するのを助けることができる;他の実施形態では、これは、アンカー自体を水性溶媒及び非極性溶媒から排除する際に、アンカーを助けることができる。1つの実施形態では、同じアンカーにおいて、リンカー構成要素は、所望の基質から選択的に除去される能力をアンカーに提供する一方で、アンカーに所望の溶解性特性をさらに寄与することができる。例えば、リンカー構成要素は、1つの位置で非不安定結合を形成し、さらに別の位置で不安定結合を形成するように特別に設計することができる。この直交性は最終的にアンカーに翻訳することができ、GAP構成要素及びリンカー構成要素は、このようにして、極性-有機質を有するGAPアンカーを提供することができ、それは、基支援精製化学に役立ち、さらに、リンカー構成要素自体がそうでなければ受け入れることができる条件下で切断することができる。別の実施形態では、同じ(又は異なる)アンカーにおいて、ストッパー構成要素は、アンカーにさらなる所望の特性を提供することができる。例えば、ストッパーは、高度に有機的であっても非極性であってもよく、非極性溶媒中でのアンカーの全体的な溶解度を増加させる;他の例では、ストッパーは極性が高くてもよく、その結果、アンカーはより極性が高く、したがって、非極性有機溶媒中での溶解度が低い。
【0136】
本開示の原理に従って、アンカーは、それによって、特定の特徴を有する所与の分子の合成を支援するために、特別に処方され得る。例えば、本明細書でさらに説明するように、所望のペプチドは、アンカーからの支援を受けて合成することができる。アンカーのGAP構成要素(AA(Gap)構成要素を含む)は、本明細書中で説明した性質を有し、これは、アンカー(及び付着ペプチド)を有機溶媒に可溶化するのを助けることができる;GAP構成要素は、滴下沈殿などの選択的沈殿においてペプチドを補助するために、pi-piスタッキングを受けやすくすることもできる。これらの特徴は、1つのアンカー分子に2つ以上のAA(Gap)構成要素を含めることによって、アンカー内でさらに強調することができる。例えば、2つのAA(Gap)構成要素は、周知のカップリング反応などを介して、その中のアミノ酸の末端を介して互いにカップリングされて、保護されたペプチドを形成することができる。1つの実施形態では、このGAP保護ペプチドは、ペプチド合成のためのアンカー分子に取り込まれ得る。別の実施形態では、ストッパー構成要素をアンカーイン一実施形態に含めることもでき、ストッパー構成要素は、アミノ酸の末端にカップリングすることができる脂肪族アミン及び/又はアルコール及び/又はカルボン酸を含むことができる。別の実施形態では、リンカー構成要素も含めることができ、カップリング反応などの反応に関与することができる遊離部分を貸し出すことができる。好ましくは、リンカー構成要素の遊離部分によって形成された結合は、例えば、本明細書に記載されたものと同様に当該技術分野で公知のTFA脱保護に対して不安定であり得る。
【0137】
本明細書に記載される構成要素は、各構成要素が所定のアンカー分子に寄与し得る異なる特徴をより良く伝えるために別々に記載されており、本明細書に記載される構成要素の別々の説明は、限定的であるとみなされるべきではないことを理解されたい。さらに、本明細書に記載される任意の構成要素は、保護基とみなすことができることを理解されたい。例えば、GAP構成要素、AA(Gap)構成要素、リンカー構成要素、及びストッパー構成要素は、所定の分子に結合し、その分子の領域を望ましくない副反応から保護することができる。本明細書で議論されるアンカーは、さらに、それ自体の保護基とみなすことができる。別の例において、本明細書に記載されるアンカーは、カルボニル炭素を結合することができる求核性部分(例えば、NH、OHなど)を介して、アミノ酸のC末端に結合することができる。
【国際調査報告】