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特表2024-515367マイクロ光学凹部の精密インキングシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】マイクロ光学凹部の精密インキングシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B42D 25/378 20140101AFI20240402BHJP
   B42D 25/324 20140101ALI20240402BHJP
【FI】
B42D25/378
B42D25/324
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565260
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022071874
(87)【国際公開番号】W WO2022226538
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/178,825
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516166085
【氏名又は名称】クレイン アンド カンパニー、 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コート、ポール エフ.
【テーマコード(参考)】
2C005
【Fターム(参考)】
2C005HA02
2C005HA04
2C005HB02
2C005HB10
2C005JB11
(57)【要約】
3次元マイクロ光学構造にインキングする方法は、第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インク(207)の第1の容積を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層(201)の第1の部分に噴射することと、前記第1の放射線硬化性インク(209)の第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分に噴射することと、余剰の放射線硬化性インクを前記3次元アイコン層からブレードで処理することと、残りの放射線硬化性インクを放射線によって硬化させることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元マイクロ光学構造にインキングする方法であって、
第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インク(207)の第1の容積を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層(201)の第1の部分に噴射することと、
前記第1の放射線硬化性インク(209)の第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分に噴射すること、
余剰の放射線硬化性インクを前記3次元アイコン層からブレードで処理すること、及び
残りの放射線硬化性インクを放射線によって硬化させること、
を含む、3次元マイクロ光学構造のインキング方法。
【請求項2】
前記第1の顔料濃度は20~70重量%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記余剰の放射線硬化性インクを前記3次元アイコン層からブレードで処理した後、前記第1の部分に塗布した前記放射線硬化性インクの画像データを取得することと、
前記画像データに基づいて、前記放射線硬化性インクの前記第1の容積を動的に調節することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の放射線硬化性インクの特定のパターン形成、指定された画像濃度における第1の閾値面積を下回る前記第1の部分の外側にある放射線硬化性インクの量、又は特定の色に関連するインク濃度を下回る前記第1の放射線硬化性インクの量のうちの1つ以上を示す前記画像データに応答して、前記第1の容積を増加させることをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記画像データに基づいて、噴射されていない第1の放射線硬化性インクの温度を調節することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の放射線硬化性インクの前記第1の容積を噴射した後に、第2の放射線硬化性インクの第3の容積を前記第1の部分の少なくとも一部に噴射することをさらに含み、
前記第2の放射線硬化性インクは、電磁スペクトルの少なくとも一部分にわたって前記第1の放射線硬化性インクと対照をなす、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積は、前記第1の部分の前記少なくとも一部内で漸進的に変化してビネット効果を生じる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ジェットディスペンサ(305)と、
前記ジェットディスペンサに通信可能に接続されたコントローラ(401)と、
を含み、前記コントローラは、
第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インクの第1の容積(207)を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層(201)の第1の部分に吐出するように前記ジェットディスペンサを制御し、
前記第1の放射線硬化性インクの第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分(209)に吐出するように前記ジェットディスペンサを制御する、
ように構成された装置。
【請求項9】
前記3次元アイコン層の画像データを取得するように構成された検査カメラ(475)をさらに含み、
前記コントローラはさらに、前記第1の放射線硬化性インクの前記第1の容積を、取得した前記画像データに基づいて動的に調節するように構成されている、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラはさらに、前記第1の放射線硬化性インクの特定のパターン形成、指定された画像濃度における第1の閾値面積を下回る前記第1の部分の外側にある放射線硬化性インクの量、又は特定の色に関連するインク濃度を下回る前記第1の放射線硬化性インクの量のうちの1つ以上を示す前記画像データに応答して、前記第1の容積を増加させるように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記コントローラはさらに、前記画像データに基づいて、吐出されていない第1の放射線硬化性インクの温度を調節するように構成されている、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラはさらに、
前記第1の放射線硬化性インクの前記第1の容積を吐出した後に、第2の放射線硬化性インクの第3の容積を前記第1の部分の少なくとも一部に吐出するように構成されており、
前記第2の放射線硬化性インクは、電磁スペクトルの少なくとも一部分にわたって前記第1の放射線硬化性インクと対照をなす、請求項8に記載の装置。
【請求項13】
前記第2の放射線硬化性インク(610)の前記第3の容積は、前記第1の部分の前記少なくとも一部内で漸進的に変化してビネット効果を生じる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積をパターン又は機械可読コードのうちの1つ以上として塗布する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
基板(110)と、
前記基板上に形成され、第1の部分に第1の複数の凹部を、第2の部分に第2の複数の凹部を含む3次元アイコン層(201)と、
を備え、
前記第1の複数の凹部の凹部は、第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インク(207)によって第1の容積充填要件まで充填されており、
前記第2の複数の凹部の凹部は、前記第1の放射線硬化性インク(209)によって第2の容積充填要件まで充填されている、
マイクロ光学セキュリティデバイス(100)。
【請求項16】
前記第1の顔料濃度は20~70重量パーセントである、請求項15に記載のマイクロ光学セキュリティデバイス。
【請求項17】
前記第1の部分の少なくとも一部に第2の放射線硬化性インクの第3の容積をさらに含み、
前記第2の放射線硬化性インクは、電磁スペクトルの少なくとも一部分にわたって前記第1の放射線硬化性インクと対照をなす、請求項15に記載のマイクロ光学セキュリティデバイス。
【請求項18】
前記第2の放射線硬化性インク(610)の前記第3の容積は、前記第1の部分の前記少なくとも一部内で漸進的に変化してビネット効果を生じる、請求項17に記載のマイクロ光学セキュリティデバイス。
【請求項19】
前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積をパターン又は機械可読コード(701)のうちの1つ以上として塗布する、請求項17に記載のマイクロ光学セキュリティデバイス。
【請求項20】
前記基板上に配置された集光素子の層をさらに含み、これにより、前記集光素子の層を通して見た際に前記3次元アイコン層は動的画像を投影し、前記機械可読コードの外観は視野角に従った動的変化(703)を示し、
前記動的変化は、コードリーダによる前記機械可読コードの読取を妨げない、
請求項19に記載のマイクロ光学セキュリティデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロ光学セキュリティデバイス、特に、アイコン層のレリーフ構造(例えば、ボイド、ウェル又は凹部)内に着色材料を堆積させてマイクロスケール(例えば1~50μmの間)のアイコン特徴を形成する1つ以上の層を含むマイクロ光学セキュリティデバイスの製造に関する。
【背景技術】
【0002】
パスポート、紙幣及び他の文書(本明細書では「セキュリティ文書」と呼ぶ)など、偽造に対してその文書の真正性を示す複製困難な指標(indicia)を構造上の特徴として含むものを強化することは、セキュリティ文書のデザインの分野において、依然として技術的課題と改良の機会の継続的な源となっている。ホログラム、カラーシフトや他の光学効果をもたらすグレーティング(回折格子)、及び合成拡大鏡などのマイクロ光学デバイスは、これらの数千又は数百万の小規模マイクロレンズ(例えば、直径約50マイクロメートルのレンズ)のアレイを通してアイコン材料の層を見ることで、動的(すなわち、視野角によってその外観が変化しうる)で3次元的な外観を持つ画像を生成するもので、複製が困難な真正性指標の一般的で有効な形態を構成している。
【0003】
このようなマイクロ光学デバイスは一般に、数ある中でも、一連のレリーフ構造を含むアイコン層を注型硬化し、次いでレリーフ構造を1つ以上の着色材料で充填し、余剰の着色材料をブレードで除去し、マイクロレンズ又は他の小規模集光素子の層のピッチと正確に位置が合った高コントラストで高解像度の画像パターンをアイコン層の充填されたボイド内に生成することによって製造される。アイコン層上のレリーフ構造の規模が小さいため製造に大きな課題があり、アイコン層の複製は、偽造者や他の悪意のある人物にとって、不可能ではないにしても極めて困難になる。
【0004】
しかしながら、本質的に、レリーフ構造を有する表面に着色流体をフラッドコーティングし、コーティングされた表面をドクターブレードにかけて余剰の着色流体を同時にレリーフ構造に送り込むと同時に、(スキージのように)レリーフ構造の上の表面から余剰の着色流体を除去するというグラビア印刷技術を拡張することによって、アイコン層にインキング(インク付け)するプロセスはよく理解されており、マイクロ光学セキュリティデバイスの大規模製造を可能にする程度まで習得されているが、その制限と技術的課題がないわけではない。層をフラッドコーティングし、続いて表面をブレードにかけることによってアイコン層にインキングすることに関連する技術的課題はストリーキング(筋むら)(streaking)を含む。紙への従来のグラビア印刷に用いるインクとは対照的に、マイクロ光学セキュリティデバイスのアイコン層のインキングに用いる着色流体は、(グラビア印刷用インクと比較して)高濃度の顔料粒子を有する放射線硬化性流体ポリマーを含むことが多い。顔料濃度が高いと、アイコン層の表面に塗布されたインクのフラッドコート中に過大な顔料粒子や顔料粒子の塊が存在するリスクが高くなる。このことが生じると、過大粒子や顔料粒子の塊は、ドクターブレードにかける段階の際に、アイコン層のレリーフ構造に送り込まれる代わりにアイコン層の表面にわたって引きずられ、アイコン層上に顔料の筋を残す。このようなストリーキングは、製造工程の一部又は全てを損なう可能性がある。
【0005】
フラッドコーティングを介してアイコン層にインキングし、余剰の着色流体をドクターブレードにかけることに関連する技術的課題は、ブレードにかけられた流体が一般に再利用できないため使用した着色流体の大部分が無駄になる、という事実をさらに含む。塗布された着色流体の大部分を無駄にすることに関連する非効率性やコストのほか、余剰の着色流体の塗布に関連する技術的問題には、着色流体が印刷機械の作業面上に残るリスクが含まれ、そこで、着色流体は滴り落ちるか又は他の態様で製造工程に支障をきたす可能性がある。アイコン層の全面を着色流体で溢れさせることによってアイコン層にインキングし、それから余剰分をブレードにかけることに関連する制限は、全てのレリーフ構造が、第1の色でアイコン層にインキングするプロセスによって完全に充填され、その後に第2の色の着色流体でインキングする余地を残さないため、多色アイコンの作製は完全に不可能ではないにしても非常に困難であることが多い、という事実を含む。
【0006】
したがって、アイコン層上の未硬化顔料材料の配置及び容積をより大きく制御するマイクロ光学アイコン層のインキングシステム及び方法の開発は、当技術分野における技術的課題及び改良の機会の源であり続けている。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、マイクロ光学構造の充填凹部に精密インキングするための改良されたプロセスの実施形態を示すものである。
【0008】
第1の実施形態において、3次元マイクロ光学構造にインキングする方法は、第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インクの第1の容積を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層の第1の部分に噴射することと、前記第1の放射線硬化性インクの第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分に噴射することと、余剰の放射線硬化性インクを前記3次元アイコン層からブレードで処理することと、残りの放射線硬化性インクを放射線によって硬化させることと、を含む。
【0009】
第2の実施形態において、3次元マイクロ光学構造にインキングする装置は、ジェットディスペンサと、記ジェットディスペンサに通信可能に接続されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インクの第1の容積を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層の第1の部分に吐出するように前記ジェットディスペンサを制御し、前記第1の放射線硬化性インクの第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分に吐出するように前記ジェットディスペンサを制御するように構成されている。
【0010】
第3の実施形態において、マイクロ光学セキュリティデバイスは、基板と、前記基板上に形成され、第1の部分に第1の複数の凹部を、第2の部分に第2の複数の凹部を含む3次元アイコン層と、を備え、前記第1の複数の凹部の凹部は、第1の顔料濃度を有する放射線硬化性インクによって第1の容積充填要件まで充填されており、前記第2の複数の凹部の凹部は、前記放射線硬化性インクによって第2の容積充填要件まで充填されている。
【0011】
他の技術的特徴は、以下の図面、説明及び特許請求の範囲から当業者には容易に明らかであろう。
【0012】
以下の詳細な説明を始める前に、本特許文書全体を通して使用される特定の単語及びフレーズ(句・言い回し)の定義を記載することが好都合となりうる。「結合する」という用語及びその派生語は、2つ以上の要素が互いに物理的に接触しているか否かにかかわらず、これらの要素間の任意の直接的又は間接的な連絡を指す。「含む」及び「備える」という用語、ならびにこれらの派生語は、制限のない包含を意味する。「又は」という用語は包括的であり、及び/又はを意味する。「~に関連する」というフレーズ、及びその派生語は、~を含む、~内に含まれる、~と相互接続する、~を収容する、~内に収容される、~に接続する、~に結合する、~と連絡可能である、~と協働する、~を挟む、~を並置する、~に近接する、~に結合される、~を有する、~の特性を有する、~と関係を有する、などを意味する。「~のうちの少なくとも1つ」というフレーズは、項目のリストと共に使用される場合、列挙される項目のうちの1つ以上の異なる組み合わせを使用してもよく、リスト内の1つの項目のみが必要となる場合があることを意味する。例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つ」は、A、B、C、A及びB、A及びC、B及びC、ならびにA及びB及びCの組み合わせのいずれかを含む。
【0013】
他の特定のフレーズの定義は本特許文書全体を通して提供される。殆どではないにしても多くの場合において、このような定義が、このように定義された単語及びフレーズの従来の使用及び将来の使用に適用されることを当業者は理解するはずである。
【0014】
本開示及びその利点をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の説明を参照する。添付の図面において、同様の参照番号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示の種々の実施形態によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例を示す。
図2A】本開示の種々の実施形態による3次元アイコン層の精密インキングの例を示す。
図2B】本開示の種々の実施形態による3次元アイコン層の精密インキングの例を示す。
図2C】本開示の種々の実施形態による3次元アイコン層の精密インキングの例を示す。
図3】本開示の特定の実施形態による、3次元アイコン層の凹部に精密インキングする装置の例を示す。
図4】本開示の種々の実施形態によるアイコン層の精密インキングのシステムの例示的な構造をブロック図で示したものである。
図5A】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層の凹部のゾーン別インキングの例を示す。
図5B】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層の凹部のゾーン別インキングの例を示す。
図6A】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層の凹部に精密インキングしてビネット効果を生じさせる例を示す。
図6B】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層の凹部に精密インキングしてビネット効果を生じさせる例を示す。
図7A】本開示のいくつかの実施形態による、3次元アイコン層の凹部に精密インキングして機械可読コードに動的特徴をもたらす例を示す。
図7B】本開示のいくつかの実施形態による、3次元アイコン層の凹部に精密インキングして機械可読コードに動的特徴をもたらす例を示す。
図7C】本開示のいくつかの実施形態による、3次元アイコン層の凹部に精密インキングして機械可読コードに動的特徴をもたらす例を示す。
図8A】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層のフィードバック補正された精密インキングの例を示す。
図8B】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層のフィードバック補正された精密インキングの例を示す。
図8C】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層のフィードバック補正された精密インキングの例を示す。
図8D】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層のフィードバック補正された精密インキングの例を示す。
図8E】本開示の種々の実施形態による、3次元アイコン層のフィードバック補正された精密インキングの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に説明する図1図8E、及び本開示の原理を説明するために使用される種々の実施形態は例示のためにすぎず、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者は、適切に構成された多様なマイクロ光学セキュリティデバイスにおいて本開示の原理を実施できることを理解するであろう。
【0017】
種々の実施形態を用いて本開示を説明するが、種々の変更及び修正を当業者に示唆することができる。本開示は、特許請求の範囲内にある変更及び修正を包含するように意図される。
【0018】
図1は、本開示の特定の実施形態による装置及び方法を用いて構築されたアイコン構造を組み込んだ光学セキュリティデバイス100のセクション(一部)の例を示している。
【0019】
図1の非限定的な例を参照すると、光学セキュリティデバイス100は、(例えば集光素子107を含む)複数の注型集光素子105と、(例えば画像アイコン121を含む)注型画像アイコン120の配列とを含む。種々の実施形態によると、複数の集光素子105の各集光素子はフットプリント(実装面積)を有し、そのフットプリントには画像アイコン120の配列のうち1つ以上の画像アイコンが配置される。種々の実施形態によると、複数の集光素子105の各集光素子は約50μmの直径を有し、いくつかの実施形態では25μm以下の直径を有する。全体として、複数の集光素子105の集光素子は画像アイコン120の部分を拡大してモアレ拡大効果(「合成拡大画像」、又はより簡潔に「合成画像」とも呼ばれる)を生じる。このモアレ拡大効果において、個々の微小な画像アイコンは複数の集光素子105によって集合的に拡大され、(例えば動いたり色が変わるように見えたりすることによって)視野角の変化に動的に反応する画像が生成される。モアレ拡大効果をもたらす光学セキュリティデバイスの構成構造が小規模で厳しい製造公差である状況から、悪意のある人物の多くは光学セキュリティデバイス100の偽造品を製造することができない。特定の実施形態において、集光素子105又は画像アイコン120のうちの1つ以上は、注型マスターと基板との間に樹脂注型媒体を流し込むことによって形成される。
【0020】
特定の実施形態によると、複数の集光素子105はマイクロ光学集光素子の平面アレイを含む。いくつかの実施形態において、複数の集光素子105の集光素子は、マイクロ光学屈折集光素子(例えば平凸レンズ又はGRINレンズ)を含む。複数の集光素子105の屈折集光素子は、いくつかの実施形態では1.35~1.7の範囲の屈折率を有する光硬化樹脂から製造され、5μm~200μmの範囲の直径を有する。種々の実施形態において、複数の集光素子105の集光素子は、直径が5μm~50μmに及ぶ反射集光素子(例えば、非常に小さな凹面ミラー)を含む。この説明のための例では、複数の集光素子105の集光素子は円形の平凸レンズを含むものとして示されているが、他の屈折レンズ形状、例えばレンチキュラーレンズが可能であり、本開示の想定範囲内にある。
【0021】
図1の説明のための例に示すように、画像アイコン120の配列は、複数の集光素子105の集光素子のフットプリント内の所定の位置に配置された(画像アイコン121を含む)画像アイコンのセットを含む。種々の実施形態によると、画像アイコン120の配列の個々の画像アイコンは、1つ以上の所定の視野角範囲に関連する投影点から複数の集光素子105を通過する構造化光(例えばコリメートUV光)の焦点経路に関連する光硬化性材料の領域を含む。種々の実施形態によると、画像アイコン120の配列の個々の画像アイコンは構造化画像層内に設けられており、構造化画像層は、着色材料のマイクロスケール及びナノスケールの容積を保持するための保持構造として作用するボイド、メサ又はポストのうちの1つ以上を含む。
【0022】
図1の説明のための例に示すように、特定の実施形態において、光学セキュリティデバイス100は光学スペーサ110を含む。種々の実施態様によると、光学スペーサ110は、複数の集光素子105の集光素子の焦点面内又はその周囲に、画像アイコン120の配列の画像アイコンを配置するよう機能するほぼ透明な材料のフィルムを含む。本開示による特定の実施形態において、光学スペーサ110は製造基板を含み、これに光硬化性材料の1つ以上の層を塗布し、画像アイコン120の配列又は複数の集光素子105のうちの1つ以上を形成することができる。
【0023】
種々の実施形態によると、光学セキュリティデバイス100は、画像アイコン120の配列の画像アイコン間のスペースを占める光硬化性保護材料の1つ以上の領域を含む。いくつかの実施形態では、画像アイコン120の配列をまず形成し、次に透明な光硬化性材料の層を塗布して画像アイコン120の配列の画像アイコン間のスペースを充填し、そしてこれをフラッド硬化して保護層を作製する。保護層は、画像アイコンが、複数の集光素子105の集光素子のフットプリント内のそれらの位置から移動されるのを保護する。特定の実施形態において、画像アイコン120の配列を形成するために使用される光硬化性材料は着色された紫外線(UV)硬化性の着色ポリマーである。着色が可能であり、アイコン層をインクキングするための着色流体として使用することができるポリマーの例としては、イソデシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステルテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びヘキサンジオールジアクリレートが挙げられるが、これらに限定されない。屈折集光素子107の形成に適した材料のさらなる例としては、アクリル、アクリル化ポリエステル、アクリル化ウレタン、エポキシ、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエステル及びウレタンなど、ほぼ透明又は透明な着色又は無色のポリマーが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態において、画像アイコン120の配列は第2の基板130に取り付けられる。第2の基板130は、画像アイコン120の配列を保護して固定し、セキュリティ文書の一部として、光学セキュリティデバイス100を基板150に取り付けるためのインターフェースを提供するように機能する。
【0025】
本開示による特定の実施形態において、光学セキュリティデバイス100はシール層140を備えている。特定の実施形態によると、シール層140は、下面において複数の集光素子105の集光素子とつながるほぼ透明な材料の薄い(例えば2μm~50μmの厚さの)層を含み、(例えば、滑らかであるか、局所的な起伏の曲率半径が集光素子よりも大きな表面を有することによって)複数の集光素子105よりも曲率のばらつきが少ない上面を含む。種々の実施形態によると、シール層140の上面は、セルロース系材料を含む表面に超音波溶接することのできる熱可塑性材料から形成される。
【0026】
図1の非限定的な例に示すように、特定の実施形態において、光学セキュリティデバイス100を基板150に取り付けてセキュリティ文書160を形成することができる。種々の実施形態によると、基板150は、木材パルプ、綿繊維、リネン繊維、亜麻繊維、サイザル繊維、麻繊維、アバカ繊維、コゾ繊維、ミツマタ繊維、竹繊維又はケナフ繊維などのセルロース系材料を含む少なくとも1つの表面を有するシート状の材料を含む。
【0027】
図1は種々の実施形態による光セキュリティデバイス100の例を提供しているが、本開示はこれに限定されない。精密インクキングされたマイクロ構造凹部を含むことのできる少なくとも1つの表面を含む他の光学セキュリティデバイス(例えば、ホログラム、薄膜効果をもたらすデバイス、回折ベースの光学効果をもたらすデバイス)は、本開示の想定範囲内にある。
【0028】
図2A図2Cは、本開示の種々の実施形態によるマイクロ構造凹部の精密インキングの態様を示している。相互参照の便宜上、図2A図2Cのうち1つよりも多くに共通する要素には同様の番号を付している。
【0029】
図2Aの説明のための例を参照すると、アイコン層201のインキングされていない部分が図に示されている。種々の実施形態によると、アイコン層201は注型硬化材料(例えばポリアクリレート)の部分を含み、この注型硬化材料は、基板又は他の支持体上に塗布され、注型マスターで型押しされ、放射線(最も一般的には紫外線)に晒されて、注型マスターの隆起部分の精密なネガである複数のレリーフ構造(例えばレリーフ205)を有するほぼ平面の構造を形成している。注型硬化によって製造することで、厳密に位置合わせされた小規模(例えば、幅1~50μmと10~50μmの間)の凹部をアイコン層に一貫して製造することができ、これらの凹部を着色材料で充填し、リソグラフィなど従来の印刷技術では通常実現不可能な規模とレベルの精密さで画像を形成することができる。
【0030】
図2Bの説明のための例を参照すると、本開示による特定の実施形態では、本開示の他の箇所で述べたように、流体を浪費し、過大な顔料粒子又は顔料粒子の塊がアイコン層にわたって筋を残すリスクを示す、第1の色の着色材料の単一層でアイコン層201を満たすことの代わりに、着色材料をアイコン層の所定の位置で適応的に噴射する(例えば、インクジェットを使用するか、又はMTAオートメーションジェットディスペンサのようなピエゾプランジャを有するマイクロスケールジェットディスペンサを使用して、0.002mm程度の液滴サイズを有する様々な粘度の材料の液滴容積を吐出する(dispense)ことができる)。例えば、第1の色の着色流体207の第1の容積をアイコン層201の第1の領域に塗布し、第2の色の着色流体209の第2の容積をアイコン層201の第2の領域に塗布する。本開示の他の箇所で述べたように、(例えばジェットディスペンサを使用することによって)顔料流体をアイコン層に選択的に塗布することで、コーティング及びブレード処理によるアイコン層のインキングに勝る複数の技術的改良がもたらされる。ジェットディスペンサの使用により、色素の濃い流体の塗布直前の濾過を改良することが容易になる。これは、特定のジェットディスペンサがアプリケータ内のフィルタを通して吐出対象の流体を循環させ、大きな粒子やより小さな粒子の塊がアプリケータを詰まらせる傾向があるためである。したがって、特定のジェットディスペンサの内蔵式濾過と、過大な粒子が分配ジェットを通過できないことがよくあるという事実により、過大な顔料粒子や顔料粒子の大きな凝集塊に関連する筋の問題が著しく軽減される。また、着色流体を小規模の液滴としてアイコン層上に吐出することにより、異なる色の着色流体のゾーン別塗布が容易に実現可能になり、同じアイコン構造のコピー(複製品)上に異なるアイコンを形成することが可能になる。実用レベルにおいて、このことは、注型硬化アイコン層(例えばアイコン層201)用の注型マスターのデザイン及び製造に関連する高コストの課題及び技術的課題を考慮すると非常に望ましいことであろう。精密なインキングを通して、単一のアイコン構造を有する複数の異なるセキュリティデバイスを、例えば、新しい色の配合、カラーリング効果(例えば、本明細書で述べるようなビネット効果)を導入することにより、又はシリアル番号もしくはさらなる真正性指標を通して作製することができる。このようにして、所与の注型マスターの有用な寿命を延ばすことができ、所与のアイコン構造を用いたマイクロ光学セキュリティデバイスのセキュリティを高めることができる。さらに、本明細書で述べるように、着色流体の個別の容積を未充填のアイコン層201上に噴射することにより、レリーフ構造の密度(すなわち、アイコン層のある部分はより多くの凹部又はより深い凹部を有し、よって他の部分よりも「より多くの量を必要とする(thirstier)」場合がある)と、アイコン層201上のインクのカバー範囲(coverage)に関するリアルタイムフィードバックとを含むがこれらに限定されない種々の実施に固有の要因に応答して、アイコン層に塗布する着色流体の量を制御及び調整することができる。
【0031】
図2Cの説明のための例を参照すると、図2Bに示すような着色流体のゾーン別塗布に続き、アイコン層201の上面211をドクターブレードにかけて余剰の着色流体を除去し、顔料流体で充填した凹部を残す(例えば、充填凹部213)。使用する着色流体に応じて、アイコン層201を(例えば紫外線又は赤外線で)照射して着色流体の架橋を誘導し、着色流体を流体から安定な固体に変換することができる。
【0032】
図3は、本開示の種々の実施形態によるアイコン層のレリーフ構造(例えば、図2のアイコン層201のレリーフ構造205)のフィードバック制御精密インキング装置300の例を示している。図3の例は本開示の特定の実施形態を示すものであり、図3に示すよりも多いかもしくは少ない構成要素、又は構成要素の異なる構成を有する実施形態は本開示の想定範囲内にある。
【0033】
図3の説明のための例を参照すると、装置300は、制御ファイル(例えば、アイコン層301の画像ファイル又はラスタ表現)によって指定された座標で小さい容積の着色流体を吐出するように構成されたマイクロスケールジェットディスペンサ305(例えば、小型インクジェット印字ヘッド又はピエゾプランジャ型デバイス)を含む。種々の実施形態によると、マイクロスケールジェットディスペンサ305は、1種類よりも多くの流体媒体を作業面上に吐出するように構成されている。図3の説明のための例に示すように、マイクロスケールジェットディスペンサ305は、2種類の着色流体(図には「流体A」及び「流体B」と表示)を吐出するように構成されている。いくつかの実施形態によると、着色流体は加圧ループを通って循環され、第1の入口ポート307A及び第2の入口ポート307Bを通ってマイクロスケールジェットディスペンサ305に入り、第1の出口ポート309A及び第2の出口ポート309Bを通ってマイクロスケールジェットディスペンサ305を出る。いくつかの実施形態において、着色流体は、アイコン層301への噴射の待機時に、着色流体混合物中にある過大な粒子又は顔料粒子の過大な塊を除去するための1つ以上の濾過段階を含みうる加圧ループに沿って循環される。いくつかの実施形態において、加圧ループは、着色流体の粘度を低下させるために着色流体を加熱する加熱段階をさらに含む。
【0034】
種々の実施形態によると、装置300は、画像データのフレームを取得するように構成された1つ以上の検査カメラ310も含み、この画像データのフレームから、1つ以上の着色流体の層315によるアイコン層301のカバー範囲の1つ以上のパラメータを取得することができる。いくつかの実施形態において、検査カメラ310は、装置300のコントローラとして動作する1つ以上の処理プラットフォームに画像データのフレームを受け渡すCMOSデジタルカメラ(又はロールツーロール(登録商標)センサのような製造に特化したセンサ)であってもよい。着色流体の層315によるアイコン層301のカバー範囲のパラメータは、塗布する層315の幅wの大きさ、層315の色濃度、及び層315におけるハイライト(乾いたスポット又はオーバーコートされたスポットを示す)の有無を含むが、これらに限定されない。
【0035】
いくつかの実施形態において、マイクロスケールジェットディスペンサ305はアレイ状に配置された複数のノズルを含み、これにより、マイクロスケールジェットディスペンサ305をアイコン層301に対して移動させずに、アイコン層301上の複数の座標位置で着色流体を噴射することができる。これに加えて、又はこれに代えて、マイクロスケールジェットディスペンサ305は、アイコン層301に対して相対的に移動するように構成されている。いくつかの実施形態では、アイコン層301をコンベヤベルト上に配置するか、又はアイコン層301を別の態様でマイクロスケールジェットディスペンサ305に対して第1の方向320に移動させることができる。いくつかの実施形態において、マイクロスケールジェットディスペンサをステッパモータに接続された1つ以上のねじロッド上に配置することができ、これによってマイクロスケールジェットディスペンサ305を、第1の方向320と第1の方向320に垂直な第2の方向325の1つ以上に沿って所定の増分で移動させることができる。
【0036】
図3の説明例には示されていないが、装置300を参照して説明した構造は拡張可能であり、(例えば、複数のアイコン層に同時にインキングするための、着色流体の追加の色を設けるための、又はより幅広なアイコン層にインキングするための)複数のマイクロスケールジェットディスペンサを含むように拡大することができる。これに加えて、又はこれに代えて、装置300の構造は、いくつかの実施形態において、装置300は、着色流体をアイコン層301に塗布する態様又は箇所に関する1つ以上のパラメータ(例えば、塗布する流体の容積、塗布する流体の位置、又は流体の温度)を調整するためのデータを取得するために、追加の検査カメラ(例えば、硬化後のアイコン層の画像データのフレームを取得する下流カメラ)を含むことができる。
【0037】
図4は、本開示の種々の実施形態によるアイコン層の精密インキングのシステムの例示的な構造400をブロック図で示したものである。図4の説明のための例を参照すると、構造400は、コントローラ401と、着色流体の1つ以上のディスペンサ450(例えば、図3のマイクロスケールジェットディスペンサ305)と、1つ以上の検査カメラ475(例えば図3の検査カメラ310)とを含み、コントローラ401は1つ以上のディスペンサ450及び検査カメラ475の双方に通信可能に接続されている。種々の実施形態によると、コントローラ401は、非一過性メモリに記憶されたプログラムコードを実行するように構成されたプロセッサ405を含む。いくつかの実施形態では、非一過性メモリをプロセッサ405と統合することができる。これに代えて、又はこれに加えて、非一過性メモリを別個のチップ上に設けることができる。コントローラ401のメモリ、又は別の態様でプロセッサ405にアクセス可能なメモリはデザインファイル407を含む。種々の実施形態によると、デザインファイル407は、着色流体を保持する複数の凹部を含むアイコン層上の着色流体のパターンのベースデザインを指定するファイルを含む。本開示で用いるような「ベースデザイン」という表現は、アイコン層に塗布する着色流体の初期容積(すなわち、温度の影響や粘度の変動、又はアイコン層のカバー範囲に影響を及ぼす他の要因を考慮するような修正がまだされていない容積)への、アイコン層上の位置のマッピングを含む。
【0038】
図4に示すように、コントローラ401は1つ以上の検査カメラ475から画像データを受信する。種々の実施形態によると、プロセッサ405は受信した画像データを処理し、着色流体がアイコン層にどのくらい良好に塗布されているかを示す1つ以上の視覚的指標を取得する。アイコン層上の着色流体の塗布品質の視覚的指標としては、アイコン層上の着色流体の層の測定幅(例えば図3の層315の幅w)、混合もしくは位置ずれの形跡、又はアイコン層上の乾いたスポットもしくは過充填領域を示すハイライトの有無が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態によると、プロセッサ405は、受信した画像データに基づき、ベースデザインファイル407で指定されたアイコン層上の領域への容積のマッピングを調節して、アイコン層の領域への着色流体の容積の更新マッピングを指定する画像ファイル409を生成する。ディスペンサ450が1色よりも多くの着色流体を吐出できる実施形態では、画像ファイル409は、アイコン層の所与の領域に塗布される各着色流体の容積のマッピングを指定することができる。
【0039】
生成した画像ファイル409は次にラスタ画像処理モジュール411に受け渡され、ラスタ画像処理モジュール411は画像ファイルをピクセルのラスタとしてレンダリングする。ここで、各ピクセルは、ディスペンサ450のノズルを配置できる固有の位置に対応し、ラスタの各ピクセルは、そのピクセルに関連付けられた位置で吐出される指定された着色流体の容積を指定する。いくつかの実施形態によると、ディスペンサ450は、ラスタ内の指定されたピクセルへ移動する。種々の実施形態によると、ラスタ内の指定されたピクセルを含む行に対応する位置までアイコン層が進められると、ディスペンサ450の特定のノズルが発射する。
【0040】
図4の非限定的な例を参照すると、ピクセルのラスタはディスペンサ450のドライバエレクトロニクス455に受け渡され、ドライバエレクトロニクス455は、受け取った容積及びマッピングのピクセルレベルのラスタをアイコン層上の位置に変換し、ディスペンサ450の1つ以上の印字ヘッド457へのインパルスを制御する。
【0041】
図5A及び図5Bは、本開示による装置及び方法を用いた着色流体の調整された塗布の例を示している。相互参照の便宜上、他の箇所に記載された図5A及び図5Bの要素には、それらの先の説明に従って番号を付している。
【0042】
図5Aの非限定的な例を参照すると、アイコン層201のセクションが図に示されており、アイコン層は、幅広の凹部505及び幅狭な凹部507を含む様々な幅の複数のレリーフ構造を有する。深さが等しいと仮定すると、幅広の凹部505と幅狭な凹部507との間の幅の差は、幅狭の凹部507と比較して幅広の凹部505を充填するのにより大きな容積の着色流体が必要であることを示している。したがって、凹部がより少数か又はより狭い第1の領域(幅狭な凹部507など)と、(より多数の凹部、及び/又はより幅広の凹部もしくはより深い凹部のいずれかによって)凹部の面積がより多い第2の領域とを有するアイコン層にわたって、面積あたり一定の容積で着色流体を塗布する場合、単一のインク濃度では、凹部の体積がより大きい、アイコン層の「乾きがより多い」部分の凹部を充填するには不十分である(色落ちや彩度の低い色を生じる場合がある)か、又は、アイコン層の凹部の少ない部分では着色流体がかなり余剰になり、結果として材料が無駄になり、適切に除去する必要のある余剰のインクが増える。
【0043】
所望のレベルの充填を実現するために必要なインク濃度がアイコン層201の表面にわたって変わりうることを認識した上で、本願による特定の実施形態は、本開示による実施形態での使用に適したマイクロスケールジェットディスペンサ(例えばマイクロスケールジェットディスペンサ305)が様々なサイズの着色材料の液滴を吐出して、アイコン層の既知の特徴のうち1つ以上に応答したアイコン層の表面にわたる着色流体のインク濃度(例えば、アイコン構造のどの部分が、充填すべき凹部の容積がより大きいかを知ること)、所定のデザインパラメータ(例えば、独特のデザインを作成したり、アイコンの所望の色を達成するのに十分なレベルまで凹部を充填したりすること)、又は、所与の領域においてより多くの着色流体もしくはより少ない着色流体が必要であることを示す、1つ以上の検査カメラ(例えば図3の検査カメラ310)からのフィードバックを調節することができる、という事実を活用している。
【0044】
図5Aの説明のための例に示すように、アイコン層201の第1の領域511において着色流体509を第1のインク濃度で塗布する。この領域において、アイコン層201のレリーフ構造は「乾き(thirsty)」が少なく、第1の領域511の凹部を十分に充填するために必要な流体が少なくて済む。同様に、第2の領域513において着色流体509を第2のインク濃度(より高い充填レベルによって表される)で塗布する。この領域において、アイコン層201のレリーフ構造は「乾きがより多く(thirstier)」、同等の充填レベルを達成するために比較的より多くの着色流体を必要とする。
【0045】
図5Bに示すように、着色流体を領域別のインク濃度で塗布した後、アイコン層201をブレードにかけ、使用する着色流体に応じて放射線(例えば紫外線)にさらして着色流体を硬化及び架橋させ、すぐに使える完全なアイコン層を形成することができる。
【0046】
図6A及び図6Bは、ブレードにかける前に2つ以上の着色流体のインク濃度を空間的に調節し、必要に応じて着色流体を硬化させることにより、凹部のあるアイコン層のアイコンにわたってビネット効果をもたらす例を示している。相互参照の便宜上、他の箇所に記載された図5A及び図5Bの要素には、それらの先の説明に従って番号を付している。
【0047】
本開示で用いるような「ビネット効果」という表現は、アイコン層のフィールドにわたる1つ以上の色の彩度の漸進的な(すなわち、明確な境界のない)変化を包含する。ビネット効果の例としては、アイコン層の第1の側のアイコンが深い赤色であるが、アイコン層の第2の側に向かって徐々に薄くなって見えなくなるようにアイコンの繰り返しパターンが形成される場合が挙げられるが、これに限定されない。ビネット効果のさらなる例としては、2つのビネット効果の重ね合わせが挙げられる。例えば、深い赤色から第2の側に向かって薄くなって見えなくなるアイコンの繰り返しパターンでアイコン層にインキングすることに加えて、アイコン層の第2の側のアイコンが深い青色であり、青色の深さが第1の側に向かって薄くなる第2のビネット効果をもたらすようにアイコン層にインキングすることもできる。前述のビネット効果の重ね合わせにより、アイコン層の第1の側と第2の側との間でアイコンの色が連続的かつ漸進的に変化しているように見えるアイコン層が作製される。性能の観点から、このことは、偽造品を作製しようとする悪意のある人物にとって技術的課題及び製造上の課題がさらに増えるという点と、アイコン層の注型マスターを作製するか又は別の態様でアイコン層材料を得るかのいずれかに関連する重大な技術的課題及び実用的課題に加えて、偽造者は小領域にわたる着色材料の微小な容積を調節するのに必要なプロセス制御を実現しなければならないという点で望ましい。性能の観点から、ビネット効果をマイクロ光学セキュリティデバイスにもたらすことができるということは、共通のアイコン層を用いたマイクロ光学デバイスのカスタマイズが可能になり、視覚的にさらに注意を引くマイクロ光学デバイスを作製することもできるという点で、最低でも二重に望ましい。当業者が理解するように、ユーザレベルの真正性指標が有効であるためには、その指標はユーザによって認識されなければならない。色の変化によってデザインにさらなる視覚的な「ポップさ」を加えることで、視覚的な注意をさらに引き、光学セキュリティデバイスが第1段階の偽造防止対策としてより効果的なものになる。
【0048】
図6Aの説明例を参照すると、図5A及び図5Bを参照して説明した着色流体のインク濃度を空間的に調節する技術を、アイコン層201にビネット効果をもたらすように適合させることができる。図6Aに示すように、まず第1の着色流体601でアイコン層201にインキングする。本開示による特定の実施形態は、マイクロスケールジェットディスペンサが非常に小さな容積の流体を吐出することができ、これと同時に、吐出する流体の液滴のサイズを調節することができる、という事実を活用している。図6Aに示すように、第1の着色流体601のインク濃度は、第1の方向605においてアイコン層201をわたる第1の方向に漸進的に増加する。第1の着色流体601でインキングした後、第2の着色流体610でアイコン層201にインキングする。第2の着色流体610は、いくつかの実施形態において第1の着色流体601と対照をなす色である。図6Aに示すように、第2の着色流体610のインク濃度は、第1の方向605において表面をわたって減少する。よって、この例では、第1の着色流体601のビネッティング及び第2の着色流体610のビネッティングの重ね合わせがある。これにより、集光層によって投影された際に、アイコン層201のアイコンが第2の着色流体610の色から第1の方向605の第1の着色流体601の色へ漸進的かつ滑らかに変化するように見える。
【0049】
図6Bに示すように、インキング後にアイコン層201をドクターブレードにかけ、硬化させてマイクロ光学デバイスのための完成したアイコン層を作製することができる。
【0050】
本開示による特定の実施形態によってもたらされるスペース及び容積の制御の強化により、アイコン層の全表面のフラッディング及びブレード処理では不可能な固有データのカスタマイズ、シリアル化及び埋込が可能になる。
【0051】
図7A図7Cは、本開示による装置及び方法を用いたアイコン層レベルのシリアル化及びカスタマイズの例を示している。相互参照の便宜上、図7A図7Cのうち1つよりも多くに共通する要素には同様の番号を付している。図7Aの説明のための例を参照すると、クイックレスポンス又は(「QR」)コード701としても知られる2次元バーコードが図に示されている。マイクロ光学セキュリティデバイスが小さい(例えば幅が1cm未満である)場合、フィールドで(例えば、紙幣に組み込まれたマイクロ光学デバイスの一部として)摩耗を受けやすかったり汚れや損傷を受ける可能性がある場合、又は広範囲の装置によってシリアル化データを読み取る必要がある場合などの特定の用途では、QRコード(登録商標)は、符号化されたデータに高レベルの冗長性を組み込む(損傷したコードを読み取れることを意味する)点で特に適しており、デジタルカメラ及びスキャニングレーザバーコードリーダを含む様々な装置によって読取が可能である。図7Aの説明のための例を参照すると、QRコード(登録商標)701の完全なパターンが図に示されている。種々の実施形態によると、標準のQRコード(登録商標)パターンでは、最大3キロバイトのデータ、又はそれよりも少ない量のデータを、より粗い解像度又はより高いレベルの冗長性とエラー訂正のうちの1つ以上で符号化することができる。
【0052】
図7Bの説明のための例を参照すると、集光素子(例えば図1の集光素子105)の層を通して投影されたQRコード(登録商標)701の第1のビュー705が図に示されている。集光層のアレイのスケール及び繰り返し構造に対するアイコン層のスケール及び繰り返し構造に応じて、アイコン層の内容を、2つの方法のうち少なくとも1つで集光素子のアレイを通して見ることができる。第1に、アイコン層のスケール及び繰り返し間隔が集光素子のアレイの集光素子のスケール及び繰り返し間隔と同位相にある(又はそれと密接に位相合わせされている)場合、合成拡大が生じる。ここで、視点及び複数の集光素子は、個々のアイコンが互いに同位相で投影されるように合わせられ、集光素子のアレイを通した集約した同位相の投影によって、(人間の目には)不可視の多数のアイコン構造が可視になる。特定の実施形態によると、所与のアイコン構造の合成拡大は、可能な視野角のサブセットにわたってのみ可能となりうる。
【0053】
しかしながら、アイコン層のスケール及び/又は繰り返し間隔が集光素子のスケール及び繰り返し間隔と密接に位相合わせされていない場合、合成拡大は生じず、その代わりにアイコン層の内容は最小の拡大で静止画像として投影される。図7Bを参照して示すように、本開示による特定の実施形態では、アイコン層の第1の部分内の内容が集光素子(例えばマイクロレンズのアレイ)と密接に位相合わせされないように、固有のQRコード(登録商標)701でアイコン層にインキングすることができる。したがって、この第1の領域内の内容は静的であり、カメラ、スキャナ又は他のQRコード(登録商標)リーダによって広範囲の角度にわたって読み取ることができる。さらに、高レベルの冗長性及びエラー訂正を用いてQRコード(登録商標)を生成することができる、つまり、マシンリーダによって首尾よく読み取られるために全てのコードが可視である必要はない、という事実を活用して、アイコン構造が集光素子のアレイの集光素子と密接に位相合わせされて合成画像を投影するようにアイコン層の第2の部分(円形のサブ領域703を含む)にインキングする。特定の実施形態によると、集光素子と位相が合っている領域と、集光素子と位相が合っていない追加の領域を有するアイコン層上でQRコード(登録商標)にインキングすることの正味の効果である。いくつかの実施形態において、説明したようなQRコード(登録商標)でアイコン層にインキングすることの正味の効果は、QRコード(登録商標)701が異なる視野角を介して動くと観察者にはQRコード(登録商標)の合成拡大部分が見え隠れして見えるという意味で動的であると同時に、集光素子の層と位相が合っていないアイコン層の部分が広範囲の視野角にわたって見えることで確実に機械可読でもあるQRコード(登録商標)を生成することである。
【0054】
図7Cは、QRコード(登録商標)701を含むようにインキングされたアイコン層を有する光学セキュリティデバイス710の例を示している。本開示による装置及び技術を使用して、QRコード(登録商標)701のほかにさらなる固有の指標をマイクロ光学デバイスのアイコン層内に形成することができる。例えば、マイクロスケールジェットディスペンサをガイドするために使用する画像ファイルを、管轄別印711又はシリアル番号713のうち1つ以上のパターンを画定するように構成することができる。
【0055】
本開示の他の箇所で述べたように、異なる顔料の材料を有するアイコン層を組み込んだマイクロ光学セキュリティデバイスの製造に関連する技術的課題としては、アイコン層のサイズが小さいため登録に大きな課題があることが挙げられるが、これに限定されない。複数の着色流体の領域間の正確な位置合わせを実現するには、これらに限定されないが、画像層の表面に対するマイクロスケールジェットディスペンサの噴射位置、塗布済の着色流体に対するマイクロスケールジェットディスペンサの位置、並びに、インク濃度及びインク温度(これらに限定されない)など、着色流体のカバー範囲及び流れに影響を及ぼす要因を含む複数のパラメータを制御することが必要である。これらの相互に関連する複数の変数を管理することは、変数間の相互作用(例えば、カバー範囲及び容積)が実施に固有のものであり、事前に定められたルールに従うことができない場合があるという点で、動作上の大きな課題となる可能性がある。(例えば、本開示の図4を参照して説明したような)閉じたフィードバックループを作成することにより、このループにおいて、現在の塗布パラメータが、指定されたデザインに適合する態様で着色流体を配置している程度を示す画像データ。
【0056】
図8A図8Eは、正確な位置合わせを達成する方法でアイコン層にインキングすることに関連する複数の変数を管理するために画像データのフィードバックを使用する態様を示している。相互参照の便宜上、図8A図8Eのうち1つよりも多くに共通する要素には同様の番号を付している。
【0057】
図8Aの説明のための例を参照すると、適用される第1の色の着色流体のデザイン801の表現が図に示されている。この例において、デザイン801は、アイコン層(例えば図2のアイコン層201)の円形領域の中央で左右対称に適用されている。図8Bは、着色流体を塗布するアイコン層201のセクション803の表現を提供している。図に示すように、アイコン層201のセクション803は、第2の色の着色材料で既にインキングした環状部を含む。この例では、図8Cに示すように、ビネット効果又は色混合効果を生じるためにデザイン801がセクション803上にインキングされており、ここでデザイン801の中心はセクション803の中心と心合わせされている。いくつかの実施形態において、第1の色と第2の色との間のコントラストは、ブレードをかけていないアイコン層の画像データが、デザイン801とセクション803との間の位置合わせの質を明確に示さないようなものである可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、余剰の着色流体をアイコン層201の表面からブレードで除去した後にアイコン層の画像データを取得する下流の検査カメラから、画像データを取得することができる。図8Dは、セクション803に対するデザイン801の位置合わせが成功し、正しく位置合わせされていることを示す、ブレード処理後の画像データ810の例を提供している。図8Eは、セクション803に対するデザイン801の誤った位置合わせを示す、ブレード処理後の画像データ815の例を示している。図8Eの例では、画像データ815のデザイン801のサイズは正しいが、その中心がセクション803の中心よりも下にあることを画像データ815は示している。したがって、インキング装置のコントローラ(例えば図4のコントローラ401)は、画像データ815に提供されたデータに応答して、画像ファイル又はラスタファイルのうちの1つ以上を精緻化して、デザイン801のための塗布ポイントを補正し、セクション803と位置合わせをする。
【0058】
本開示による3次元マイクロ光学構造にインキングする方法の例として、第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インクの第1の容積を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層の第1の部分に噴射することと、前記第1の放射線硬化性インクの第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分に噴射することと、余剰の放射線硬化性インクを前記3次元アイコン層からブレードで処理することと、残りの放射線硬化性インクを放射線によって硬化させることと、を含む方法が挙げられる。
【0059】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング方法の例として、前記第1の顔料の濃度は20~70重量%である方法が挙げられる。
【0060】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング方法の例として、前記余剰の放射線硬化性インクを前記3次元アイコン層からブレードで処理した後、前記第1の部分に塗布した前記放射線硬化性インクの画像データを取得することと、前記画像データに基づいて、前記放射線硬化性インクの前記第1の容積を動的に調節することと、を含む方法が挙げられる。
【0061】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング方法の例として、前記第1の放射線硬化性インクの特定のパターン形成、指定された画像濃度における第1の閾値面積を下回る前記第1の部分の外側にある放射線硬化性インクの量、又は特定の色に関連するインク濃度を下回る前記第1の放射線硬化性インクの量のうちの1つ以上を示す前記画像データに応答して、前記第1の容積を増加させることを含む方法が挙げられる。
【0062】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング方法の例として、前記画像データに基づいて、噴射されていない第1の放射線硬化性インクの温度を調節することを含む方法が挙げられる。
【0063】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング方法の例として、前記第1の放射線硬化性インクの前記第1の容積を噴射した後に、第2の放射線硬化性インクの第3の容積を前記第1の部分の少なくとも一部に噴射することを含み、前記第2の放射線硬化性インクは、電磁スペクトルの少なくとも一部分にわたって前記第1の放射線硬化性インクと対照をなす方法が挙げられる。
【0064】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング方法の例として、前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積は、前記第1の部分の前記少なくとも一部内で漸進的に変化してビネット効果を生じる方法が挙げられる。
【0065】
本開示による3次元マイクロ光学構造にインキングする装置の例として、ジェットディスペンサと、前記ジェットディスペンサに通信可能に接続されたコントローラと、を含み、前記コントローラは、第1の顔料濃度を有する第1の放射線硬化性インクの第1の容積を、第1の容積充填要件を有する3次元アイコン層の第1の部分に吐出するように前記ジェットディスペンサを制御し、前記第1の放射線硬化性インクの第2の容積を、第2の容積充填要件を有する前記3次元アイコン層の第2の部分に吐出するように前記ジェットディスペンサを制御する、ように構成された装置が挙げられる。
【0066】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング装置の例として、前記3次元アイコン層の画像データを取得するように構成された検査カメラを含み、前記コントローラはさらに、前記第1の放射線硬化性インクの前記第1の容積を、取得した前記画像データに基づいて動的に調節するように構成されている装置が挙げられる。
【0067】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング装置の例として、前記コントローラは、前記第1の放射線硬化性インクの特定のパターン形成、指定された画像濃度における第1の閾値面積を下回る前記第1の部分の外側にある放射線硬化性インクの量、又は特定の色に関連するインク濃度を下回る前記第1の放射線硬化性インクの量のうちの1つ以上を示す前記画像データに応答して、前記第1の容積を増加させるように構成されている装置が挙げられる。
【0068】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング装置の例として、前記コントローラはさらに、前記画像データに基づいて、吐出されていない第1の放射線硬化性インクの温度を調節するように構成されている装置が挙げられる。
【0069】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング装置の例として、前記コントローラはさらに、前記第1の放射線硬化性インクの前記第1の容積を吐出した後に、第2の放射線硬化性インクの第3の容積を前記第1の部分の少なくとも一部に吐出するように構成されており、前記第2の放射線硬化性インクは、電磁スペクトルの少なくとも一部分にわたって前記第1の放射線硬化性インクと対照をなす装置が挙げられる。
【0070】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング装置の例として、前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積は、前記第1の部分の前記少なくとも一部内で漸進的に変化してビネット効果を生じる装置が挙げられる。
【0071】
本開示による3次元マイクロ光学構造のインキング装置の例として、前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積をパターン又は機械可読コードのうちの1つ以上として塗布する装置が挙げられる。
【0072】
本開示によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例は、基板と、前記基板上に形成され、第1の部分に第1の複数の凹部を、第2の部分に第2の複数の凹部を含む3次元アイコン層と、を備え、前記第1の複数の凹部の凹部は、第1の顔料濃度を有する放射線硬化性インクによって第1の容積充填要件まで充填されており、前記第2の複数の凹部の凹部は、前記放射線硬化性インクによって第2の容積充填要件まで充填されている。
【0073】
本開示によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例として、前記第1の顔料の濃度は20~70重量パーセントであるマイクロ光学セキュリティデバイスが挙げられる。
【0074】
本開示によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例は、前記第1の部分の少なくとも一部に第2の放射線硬化性インクの第3の容積を含み、前記第2の放射線硬化性インクは、電磁スペクトルの少なくとも一部分にわたって前記第1の放射線硬化性インクと対照をなす。
【0075】
本開示によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例として、前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積は、前記第1の部分の前記少なくとも一部内で漸進的に変化してビネット効果を生じるマイクロ光学セキュリティデバイスが挙げられる。
【0076】
本開示によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例として、前記第2の放射線硬化性インクの前記第3の容積をパターン又は機械可読コードのうちの1つ以上として塗布するマイクロ光学セキュリティデバイスが挙げられる。
【0077】
本開示によるマイクロ光学セキュリティデバイスの例は、前記基板上に配置された集光素子の層を含み、これにより、前記集光素子の層を通して見た際に前記3次元アイコン層は動的画像を投影し、前記機械可読コードの外観は視野角に従った動的変化を示し、前記動的変化は、コードリーダによる前記機械可読コードの読取を妨げない。
【0078】
本願におけるいずれの説明も、特定の要素、ステップ又は機能が特許請求の範囲に含まれなければならない必須の要素、ステップ又は機能であることを暗示するものと解釈されるべきではない。さらに、請求項は、「~ための手段(means for)」というフレーズの後に分詞が続かない限り米国特許法第112条(f)の適用を意図するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
【国際調査報告】