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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】圧縮型燃料タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/00 20060101AFI20240402BHJP
   F17C 3/04 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
F17C1/00 A
F17C3/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566503
(86)(22)【出願日】2022-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 KR2022014009
(87)【国際公開番号】W WO2023048447
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10-2021-0125555
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523406037
【氏名又は名称】ティーエムシー株式会社
【氏名又は名称原語表記】T.M.C CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】チュン サングエオン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA10
3E172BB10
3E172BB13
3E172BB17
3E172BC05
3E172BD03
3E172CA21
3E172DA03
3E172DA13
3E172EA02
3E172EB02
(57)【要約】
本発明は、液化ガスが貯蔵される内部タンク、内部タンクの中心軸を貫通し、両端部に内部タンクの両側が固定される支持ロッド、内部タンクを覆うように備えられ外部との熱伝達を遮断する断熱部材、前記内部タンク、支持ロッド、及び断熱部材を内部に収容する外部タンク、及び内部タンクの荷重を外部タンクの両側面に伝達するように、外部タンクの内部両側に固定されて支持ロッドの両端部を支持するロッド支持部を含む圧縮型燃料タンクを提供する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスが貯蔵される内部タンクと、
前記内部タンクの中心軸を貫通し、両端部に前記内部タンクの両側が固定される支持ロッドと、
前記内部タンクを覆うように備えられ外部との熱伝達を遮断する断熱部材と、
前記内部タンク、支持ロッド、及び断熱部材を内部に収容する外部タンクと、
前記内部タンクの荷重を前記外部タンクの両側面に伝達するように、前記外部タンクの内部両側に固定されて前記支持ロッドの両端部を支持するロッド支持部と
を含む圧縮型燃料タンク。
【請求項2】
前記ロッド支持部は、
板体形態であって、前記外部タンクの内部両側面にそれぞれ一体に固定され、前記内部タンクを挟んで配置され、板面に前記支持ロッドの両端部が結合する結合ホールが形成される、請求項1に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項3】
前記内部タンクは、
液化ガスが貯蔵される複数のモジュール型タンクが相互連通するように連結されて形成される、請求項1に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項4】
前記モジュール型タンクは、
内部に作用する応力を均一に分散させることができるように、球形又はドーナツ形態に形成される、請求項3に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項5】
前記複数のモジュール型タンクは、
相互一部だけ接合されて相互連結されることにより、温度変化によって相互伸張したり収縮したりするように形成されるものの、
前記複数のモジュール型タンクが一定範囲以上伸張又は収縮することを抑制するように、前記複数のモジュール型タンクのうち両側の縁に配置されたモジュール型タンクは前記支持ロッドに固定される、請求項3に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項6】
前記複数のモジュール型タンクは、
相互連結される部位に連通ホールが形成され、前記連通ホールの周りにはリング形態の補強材が備えられる、請求項5に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項7】
前記支持ロッドは、
前記複数のモジュール型タンクに形成された前記連通ホールを貫通するように備えられるものの、前記支持ロッドの外周面が前記連通ホール周りの補強材と一定間隔離隔配置され、前記支持ロッドの外周面と前記連通ホールとの間に液化ガスが流動する空間が形成される、請求項6に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項8】
前記連通ホールには、前記支持ロッドの垂れ下がりを防止するように、前記支持ロッドの外周面を支える支持部が備えられる、請求項7に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項9】
前記内部タンクは、
ステンレス鋼、インバー鋼、ニッケル綱、高マンガン鋼、及びアルミニウムのうちの一つの材質からなる、請求項1に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項10】
前記断熱部材は、
スプレー方式の高分子フォームであって、前記内部タンクの屈曲した外側面に噴射されて円筒形に成形される第1断熱材と、
前記第1断熱材を囲む第2断熱材と、
パイプ形態に形成され、前記第2断熱材の外側面に結合される第3断熱材を含む、請求項1に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項11】
前記第1断熱材は、スプレー方式のポリウレタンフォーム(polyurethane foam)で形成され、前記第2断熱材は、アルミニウム薄膜とスペーサが複数に積層された複合断熱材、エアロゲル(aerogel)又はグラスウール(glass wool)のうち少なくとも一つで形成され、前記第3断熱材は、パイプ形態に加工されたポリウレタンフォーム(polyurethane foam)で形成される、請求項10に記載の圧縮型燃料タンク。
【請求項12】
前記断熱部材は、
アルミニウム薄膜とスペーサが複数に積層された複合断熱材からなり、前記内部タンクを囲む、請求項1に記載の圧縮型燃料タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮型燃料タンクに関するものであって、さらに詳しくは、液化水素又は液化天然ガスなどの極低温の液化ガスを効率的に貯蔵することができる圧縮型燃料タンクに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、化石燃料の使用による環境汚染の深刻性が増大しており、特に、自動車の排気ガスによる大気汚染の問題がますます深刻化している。
【0003】
このような点を挙げて、天然ガスを利用した自動車、電気自動車、水素燃料を利用した自動車の開発及び普及が次第に増えている。
【0004】
その中で、水素燃料は、地球上で炭素と窒素の次に最も豊富な元素だけでなく、燃焼時にごく微量の窒素酸化物のみを生成させ、他の公害物質は全く排出しないきれいなエネルギー源であり、地球上に存在するほぼ無限な量の水を原料にして作り出すことができ、使用後には再び水に再循環されるため、枯渇のおそれもまた殆どない最適なエネルギー源である。
【0005】
一般的に、水素自動車は、高圧の水素タンクから供給される水素と空気中の酸素を燃料電池スタック内で電気化学反応させて生成された電気エネルギーを利用して自動車を駆動することになる。
【0006】
ここで、水素自動車に適用される通常の水素燃料タンクは、多量の水素を貯蔵できるように350bar~900barの高圧で圧縮された水素を貯蔵しており、このために高価な複合素材を用いて作製されている。
【0007】
車両に適用される水素燃料タンクは、乗車空間の確保と十分な走行距離のため、小さいサイズで高容量の水素を安全に貯蔵することが非常に重要である。
【0008】
ところで、従来の水素燃料タンクの場合、高圧の圧縮水素を貯蔵しているため、内部圧力の増加又は外部から加えられる衝撃によってクラックが発生することがあり、これによる水素漏れの際に爆発につながることがあり、車両内の安定性を脅かす問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明では、圧縮型燃料タンク、具体的には、水素貯蔵量を増大させると共に燃料タンクの大きさを減らすことができるように、極低温の液化水素を安全かつ容易に貯蔵することができる圧縮型燃料タンクを提供しようとする。
【0010】
本発明で成し遂げようとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題は、下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述したような課題を解決するために、本発明は、液化ガスが貯蔵される内部タンク、内部タンクの中心軸を貫通し、両端部に内部タンクの両側が固定される支持ロッド、内部タンクを覆うように備えられ外部との熱伝達を遮断する断熱部材、前記内部タンク、支持ロッド、及び断熱部材を内部に収容する外部タンク、及び内部タンクの荷重を外部タンクの両側面に伝達するように、外部タンクの内部両側に固定されて支持ロッドの両端部を支持するロッド支持部を含む圧縮型燃料タンクを提供する。
【0012】
また、ロッド支持部は、板体形態であって、外部タンクの内部両側面にそれぞれ一体に固定され、内部タンクを挟んで配置され、板面に支持ロッドの両端部が結合する結合ホールが形成される圧縮型燃料タンクを提供する。
【0013】
また、内部タンクは、液化ガスが貯蔵される複数のモジュール型タンクが相互連通するように連結されて形成される圧縮型燃料タンクを提供する。
【0014】
また、モジュール型タンクは、内部に作用する応力を均一に分散させることができるように、球形又はドーナツ形態に形成される圧縮型燃料タンクを提供する。
【0015】
また、複数のモジュール型タンクは、相互一部のみ接合されて相互連結されることにより、温度変化によって相互伸張したり収縮したりするように形成されるものの、複数のモジュール型タンクが一定範囲以上伸張又は収縮することを抑制するように、複数のモジュール型タンクのうち両側の縁に配置されたモジュール型タンクは支持ロッドに固定される圧縮型燃料タンクを提供する。
【0016】
また、複数のモジュール型タンクは、相互連結される部位に連通ホールが形成され、連通ホールの周りにはリング形態の補強材が備えられる圧縮型燃料タンクを提供する。
【0017】
また、支持ロッドは、複数のモジュール型タンクに形成された連通ホールを貫通するように備えられるものの、支持ロッドの外周面が連通ホール周りの補強材と一定間隔離隔配置され、支持ロッドの外周面と連通ホールとの間に液化ガスが流動する空間が形成される圧縮型燃料タンクを提供する。
【0018】
また、連通ホールには、支持ロッドの垂れ下がりを防止するように、支持ロッドの外周面を支える支持部が備えられる圧縮型燃料タンクを提供する。
【0019】
また、内部タンクは、ステンレス鋼、インバー鋼、ニッケル綱、高マンガン鋼、及びアルミニウムのうちの一つの材質からなる圧縮型燃料タンクを提供する。
【0020】
また、断熱部材は、スプレー方式の高分子フォームであって、内部タンクの屈曲した外側面に噴射されて円筒形に成形される第1断熱材、第1断熱材を囲む第2断熱材及びパイプ形態で形成され、第2断熱材の外側面に結合する第3断熱材を含む圧縮型燃料タンクを提供する。
【0021】
また、第1断熱材は、スプレー方式のポリウレタンフォーム(polyurethane foam)で形成され、第2断熱材は、アルミニウム薄膜とスペーサが複数に積層された複合断熱材、エアロゲル(aerogel)又はグラスウール(glass wool)のうち少なくとも一つで形成され、第3断熱材は、パイプ形態に加工されたポリウレタンフォーム(polyurethane foam)で形成される圧縮型燃料タンクを提供する。
【0022】
また、断熱部材は、アルミニウム薄膜とスペーサが複数に積層された複合断熱材からなり、内部タンクを囲む圧縮型燃料タンクを提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態による圧縮型燃料タンクは、液化水素を貯蔵する内部タンクに多重の断熱部材を覆うように備え、真空ジャケット(vacuum jacket)機能をする外部タンクに収容し、向上した断熱性能を提供できることはもちろん、極低温の液化水素を安全かつ容易に貯蔵することができ、高密度で水素を貯蔵することができて水素貯蔵量を増大させることができる。
【0024】
また、液化水素を貯蔵する内部タンクの両側に支持ロッドを突出させて備え、内部タンクを収容する外部タンクの内部両側には支持ロッドを支持するロッド支持部を一体に備え、内部タンクの荷重を支持ロッドとロッド支持部を介して外部タンクの両側側面に伝達するように構成することにより、内部タンクの荷重が断熱部材に加えられて変形が発生することを防止し、断熱性能を確保して構造的安全性を増大させることができる。
【0025】
また、複数のモジュール型タンクを相互連通するように連結して内部タンクを形成することにより、液化水素の貯蔵容量に合わせてモジュール型タンクの個数を増やしたり減らしたりして内部タンクを作製することができる。
【0026】
また、モジュール型タンクを球形又はドーナツ形態に形成することにより、内部の膨張圧力がラウンドしたタンク内面に均一に作用することになり、タンクのいずれかの部位に応力が集中することを抑制して応力を均一に分散させることができ、タンクの構造的安全性を向上させることができる。
【0027】
また、極低温の液化水素を貯蔵できるように構成されることにより、高密度で水素を貯蔵することができるため、同じ容量を有する既存の水素燃料タンクと比べて、体積と重さを大きく減らすことができ、車両に設置しやすい長所がある。
【0028】
本発明で得られる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態による圧縮型燃料タンクの構造を断面図で示したものである。
図2】本発明の一実施形態による内部タンクを示したものである。
図3】本発明の一実施形態による内部タンクの内側構造を示したものである。
図4】本発明の一実施形態によるロッド支持部と支持ロッドの結合構造を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明による好ましい実施形態を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
添付された図面とともに、以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明しようとするものであり、本発明が実施され得る唯一の実施形態を示そうとするものではない。
【0032】
図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略することができ、明細書全体を通じて同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を使用することができる。
【0033】
本発明の実施形態において、「又は」、「少なくとも一つ」などの表現は、共に羅列された単語のうちの一つを示したり、又は2以上の組み合わせを示すことができる。
【0034】
図1は、本発明の一実施形態による圧縮型燃料タンク100の構造を断面図で示したものであり、図2は、本発明の一実施形態による内部タンク110を示したものであり、図3は、本発明の一実施形態による内部タンク110の内側構造を示したものである。
【0035】
本発明による圧縮型燃料タンク100は、液化水素又は液化天然ガスなどの極低温の液化ガスを貯蔵することができ、以下の実施形態では、代表して水素車両に適用される水素燃料貯蔵用燃料タンクについて説明する。
【0036】
図1ないし図3を参照すると、本発明の一実施形態による圧縮型燃料タンク100は、内部タンク110、支持ロッド120、断熱部材130、外部タンク140、及びロッド支持部150を含んでよい。
【0037】
内部タンク110は、液化水素が貯蔵される複数のモジュール型タンク111が相互連通するように連結された形態に形成されてよい。
【0038】
ここで、それぞれのモジュール型タンク111は、極低温の液化水素を貯蔵することができる金属材質で形成されてよいが、例えば、ステンレス鋼、インバー鋼、ニッケル綱、高マンガン鋼、又はアルミニウムなどの金属材質で形成されてよく、強度が高い素材であるほど薄い板に金型技術を用いてモジュール型タンク111を作製することができる。
【0039】
このようなモジュール型タンク111は、球形又はドーナツ形態に形成されてよく、内部に液化水素が貯蔵される貯蔵空間が形成され、他のモジュール型タンク111と連結される側面部には中央に連通ホール112が形成されてよい。
【0040】
この時、本実施形態のモジュール型タンク111は、球形又はドーナツ形態に形成されることにより、内部の膨張圧力がラウンドしたタンク内面に均一に作用することになり、タンクのいずれかの部位に応力が集中することを抑制して応力を均一に分散させることができ、タンクの構造的安全性を向上させることができる。
【0041】
また、モジュール型タンク111は、溶接を通じて他のモジュール型タンク111と相互接合されて連結されてよいが、モジュール型タンク111の連通ホール112に他のモジュール型タンク111の連通ホール112を向かい合うように密着させ、向かい合うように密着された連通ホール112の周辺部を溶接することにより、モジュール型タンク111の間の向かい合う側面部中央を相互接合させて連結することができ、このような方式で複数のモジュール型タンク111を連結して内部タンク110を形成することができる。
【0042】
この時には、連通ホール112と対応するリング形態の補強材113を設けて、相互向かい合うように密着されたモジュール型タンク111の連通ホール112の周りに補強材113を当接して溶接することにより、補強材113を介してモジュール型タンク111の間を強固に接合させることができ、連通ホール112に変形が発生するのを防止することができる。
【0043】
このように形成された内部タンク110は、複数のモジュール型タンク111内に貯蔵された液化水素が連通ホール112を介してモジュール型タンク111の間を流動することができる。
【0044】
一例として、本実施形態では、9個のモジュール型タンク111を相互連通するように一方向に連結して内部タンク110を形成した例を示しているが、貯蔵される液化水素の貯蔵容量に合わせてモジュール型タンク111の個数を増やしたり減らしたりして内部タンク110を形成することができる。
【0045】
支持ロッド120は、内部タンク110の中心軸を貫通し、両端部に内部タンク110の両側が固定されてよい。
【0046】
具体的に、支持ロッド120は、バー(bar)形態で形成され、内部タンク110を構成する複数のモジュール型タンク111を貫通した状態で、ロッドの両端部に内部タンク110の両側に配置されたモジュール型タンク111がそれぞれ固定されてよい。
【0047】
すなわち、支持ロッド120は、モジュール型タンク111の連通ホール112に比べて小さい直径で形成され、複数のモジュール型タンク111にそれぞれ形成された連通ホール112を通過して配置されてよく、ロッドの一端部は、内部タンク110の一側に配置されたモジュール型タンク111の外側の側面と接合され、ロッドの他端部は、内部タンク110の他方に配置されたモジュール型タンク111の外側の側面と接合されて固定されてよい。
【0048】
この時、内部タンク110の両側にそれぞれ配置されたモジュール型タンク111は、支持ロッド120と接合される部分がタンクの内側にラウンドするように形成され、支持ロッド120との接合部位に応力が集中するのを抑制することができる。
【0049】
このように、支持ロッド120は、内部タンク110を貫通するように配置されるものの、ロッドの両端部だけが内部タンク110の両側面に接合されて固定されることにより、内部タンク110が長手方向に一定範囲以上伸張又は収縮するのを抑制することができる。
【0050】
すなわち、本実施形態による内部タンク110の場合、複数のモジュール型タンク111が連通ホール112周辺部だけが部分的に溶接されて相互連結されているため、温度変化によって相互伸張したり収縮したりすることができ、タンクに加えられる熱的変形による破損を防止することができるが、伸張又は収縮する範囲が増えれば内部タンク110を覆う断熱部材130又は外部タンク140に影響を与え得るので、支持ロッド120を介して複数のモジュール型タンク111のうち両側の縁に配置されたモジュール型タンク111を固定して、複数のモジュール型タンク111が一定範囲以上伸張又は収縮するのを抑制することができる。
【0051】
また、支持ロッド120の両側の端は、内部タンク110の両側の側面から突出して、後述されるロッド支持部150に結合されてよい。
【0052】
また、本実施形態では、内部タンク110の連通ホール112を貫通する支持ロッド120が連通ホール112周りの補強材113と一定間隔を維持し、支持ロッドと補強材との間に連通ホール空間を形成しているが、タンクを大型化する場合、補強材と支持ロッドとの間の連通ホール空間の一部に支持ロッドの外周面を支える支持部を備えて支持ロッドの垂れ下がりを防止することができる。
【0053】
断熱部材130は多重の断熱材で形成され、内部タンク110を覆うように備えられ、外部との熱伝達を遮断することができる。
【0054】
具体的に、断熱部材130は、スプレー方式で内部タンク110に噴射されて成形される第1断熱材131と、第1断熱材131を囲む第2断熱材132と、硬質の断熱材で形成され第2断熱材132の外側面に結合される第3断熱材133とを含んでよい。
【0055】
ここで、第1断熱材131は、スプレー方式でポリウレタンフォーム(polyurethane foam)等の高分子フォームを内部タンク110に噴射して発泡成形することにより、内部タンク110を緊密に覆う形態で形成されてよい。
【0056】
この時、複数のモジュール型タンク111が接合された内部タンク110は、外側面が屈曲するように形成されることにより、屈曲した外側面に高分子フォームを噴射して全体的に円筒形の外観を有するように成形することができる。
【0057】
また、第2断熱材132は、アルミニウム薄膜とスペーサが複数に積層された複合断熱材、複数層のエアロゲル(aerogel)又は複数層のグラスウール(glass wool)のうちの一つで形成されるか、これらの組み合わせで形成されてよく、このような第2断熱材は円筒形に形成された第1断熱材131を囲むように備えられてよい。
【0058】
ここで、複合断熱材は、アルミニウム薄膜と空気層を有するスペーサが約6層~20層に積層されて作製されたものとして、内部タンク110と外部タンク140との間の真空環境で優れた断熱性能を提供することができる。
【0059】
また、第3断熱材133は、パイプ形態に加工された硬質の高分子フォームとして、断熱及び緩衝性能を有するポリウレタンフォーム(polyurethane foam)を用いてよく、円筒形に形成された第2断熱材132の外側面に結合されてよい。
【0060】
この時、パイプ形態に形成された第3断熱材133は、円筒形に形成された第2断熱材132の外周面を覆うカバーの役割をすることができる。
【0061】
一方、上述した実施形態では、第1断熱材131、第2断熱材132、及び第3断熱材133を含んで断熱部材130を構成しているが、第2断熱材132のみ用いて断熱部材130を構成することもできる。
【0062】
一例として、向上した断熱性能のために内部タンク110と外部タンク140との間の空間を高真空状態に形成するにあたって、第1断熱材131及び第3断熱材133のようにフォームで形成される断熱材を用いる場合、高真空状態を形成するのに多くの時間を要し得るので、必要に応じて第2断熱材132のみを用いて容易に高真空状態を形成することができる。
【0063】
外部タンク140は、上述した内部タンク110、支持ロッド120、及び断熱部材130を内部に収容するように形成されてよい。
【0064】
このような外部タンク140は、ステンレス又はアルミニウムなどの金属材質で形成されてよく、内部タンク110、支持ロッド120、及び断熱部材130を覆って保護することができる。
【0065】
また、外部タンク140は、内部タンク110、支持ロッド120、及び断熱部材130が受容された内部を高真空状態に形成して密閉することができ、断熱性能の向上を図ることができる。
【0066】
一方、ロッド支持部150は、外部タンク140の内部両側に固定されて支持ロッド120の両端部を支持することができる。
【0067】
図4は、本発明の一実施形態によるロッド支持部150と支持ロッド120の結合構造を示したものである。
【0068】
図1及び図4を参照すると、ロッド支持部150は、プライウッド(plywood)等で形成されて、外部タンク140の内部両側面にそれぞれ固定されてよい。
【0069】
具体的に、ロッド支持部150は、外部タンク140の側面と対応する円形形態に形成され、外部タンク140の内部側面に一体に結合されてよい。
【0070】
一例として、外部タンク140の内部側面にはスタッドボルトが形成されてよく、スタッドボルトを介してロッド支持部150が外部タンク140の内部側面に一体に結合されてよい。
【0071】
また、ロッド支持部150の中央には、内部タンク110から突出した支持ロッド120の端が結合する結合ホール151が形成されてよい。
【0072】
このように、ロッド支持部150は、外部タンク140の内部両側面にそれぞれ一体に結合されることにより、一対のロッド支持部150の間に内部タンク110が配置されてよく、内部タンク110の両側からそれぞれ突出した支持ロッド120の両端が対向するロッド支持部150の結合ホール151に結合されてよい。
【0073】
これにより、内部タンク110の荷重を支持ロッド120とロッド支持部150を介して外部タンク140の両側面に伝達することができ、内部タンク110の荷重が断熱部材130に加えられて変形が発生するのを防止することができ、これを通じて断熱部材130に熱伝達通路(heat path)が形成されることを抑制して断熱性能を確保し、構造的安全性を増大させることができる。
【0074】
本実施形態による圧縮型燃料タンク100は、水素を高圧で圧縮して貯蔵することにより、高圧に耐えるように高価な複合素材を用いる既存の水素燃料タンクに比べて、相対的に低価格の素材を用いて簡単に作製することができ、極低温の液化水素を容易に貯蔵することができ、水素貯蔵容量を増大させて燃料タンクの製作費用を節減することができるという長所がある。
【0075】
特に、本実施形態の圧縮型燃料タンク100の場合、極低温の液化水素を貯蔵できるように構成されることにより、水素を高圧に圧縮して貯蔵する既存の水素燃料タンクに比べて、相対的に低い圧力を維持することができ、高い密度で水素を貯蔵することができ水素貯蔵量を増大させることができる。
【0076】
また、高い密度で水素を貯蔵することができるため、同一の容量を有する既存の水素燃料タンクと比較して体積と重さを大きく減らすことができ、車両に設置し易い長所がある。
【0077】
一例として、本実施形態の圧縮型燃料タンク100は、直径650mm~660mm、長さ2500mm~2700mmの円筒形タンクに形成される場合、約40kg~50kgの液化水素を貯蔵することができる。
【0078】
また、外部タンク140及び多重の断熱材を介して内部タンク110を容易に保護することができ、外部衝撃や内部圧力により内部タンク110が破裂する事故が発生しても多重の断熱材が緩衝作用を遂行することになり、内部タンク110から放出される衝撃波を最小化することで車両内の安全を図ることができる。
【0079】
さらに、外部衝撃に対しても多重の断熱材が衝撃を吸収するため、内部タンク110に伝達される衝撃が緩和されて、既存のタンクに比べて交通事故などの外部衝撃から追加的な安全を図ることができる。
【0080】
一方、上述した実施形態では、車両に適用される圧縮型燃料タンク100について説明したが、本発明が必ずしもこれに限定されるわけではなく、液化ガスを用いる船舶などの多様な移動手段に適用され得ることは自明である。
【0081】
以上で説明したように、本発明の実施形態による圧縮型燃料タンク100は、液化水素を貯蔵する内部タンク110に多重の断熱部材130を覆うように備え、真空ジャケット(vacuum jacket)機能をする外部タンク140に収容されて、向上した断熱性能を提供できることはもちろん、極低温の液化水素を安全で容易に貯蔵することができ、高い密度で水素を貯蔵することができて、水素貯蔵量を増大させることができる。
【0082】
特に、液化水素を貯蔵する内部タンク110の両側に支持ロッド120を突出させて備え、内部タンク110を収容する外部タンク140の内部両側には支持ロッド120を支持するロッド支持部150を一体に備え、内部タンク110の荷重を支持ロッド120とロッド支持部150を介して外部タンク140の両側面に伝達するように構成することにより、内部タンク110の荷重が断熱部材130に加えられて変形が発生するのを防止し、断熱性能を確保して構造的安全性を増大させることができる。
【0083】
また、複数のモジュール型タンク111を相互連通するように連結して内部タンク110を形成することにより、液化水素の貯蔵容量に合わせてモジュール型タンク111の個数を増やしたり減らしたりして内部タンク110を作製することができる。
【0084】
また、モジュール型タンク111を球形又はドーナツ形態に形成することにより、内部の膨張圧力がラウンドしたタンク内面に均一に作用することになり、タンクのいずれか一つの部位に応力が集中するのを抑制して応力を均一に分散させることができ、タンクの構造的安全性を向上させることができる。
【0085】
また、複数のモジュール型タンク111が相互中央の一部だけが溶接されて一方向に連結されるため、複数のモジュール型タンク111が温度変化によって相互伸張したり収縮したりすることができ、タンクに加えられる熱的変形による破損を防止することができ、さらに、内部タンク110の両側を支持ロッド120に固定して、複数のモジュール型タンク111が一定範囲以上伸張又は収縮するのを抑制することにより、内部タンク110を覆う断熱部材130又は外部タンク140に影響が及ばないようにして、構造的安全性を向上させることができる。
【0086】
本明細書と図面に開示された本発明の実施形態は、本発明の技術内容を容易に説明し本発明の理解を助けるために特定の例を提示したに過ぎず、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0087】
したがって、本発明の範囲は、ここに開示された実施形態の他にも本発明の技術的思想をもとに導出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】