(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-09
(54)【発明の名称】シクロデキストリンを含む医薬製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240402BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240402BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240402BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240402BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240402BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240402BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240402BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240402BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240402BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240402BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240402BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240402BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240402BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K9/08
A61K47/40
A61K38/16
A61P43/00 121
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/18
A61P3/04
A61P3/10
A61P9/00
A61P3/06
A61P1/16
A61P25/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566893
(86)(22)【出願日】2022-12-13
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2022085558
(87)【国際公開番号】W WO2023110833
(87)【国際公開日】2023-06-22
(32)【優先日】2021-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509091848
【氏名又は名称】ノヴォ ノルディスク アー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・トロスト・ケルドセン
(72)【発明者】
【氏名】スティグ・クリストファーセン
(72)【発明者】
【氏名】ロサ・レベッカ・エリットゾエー・ハンセン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4C076AA11
4C076BB11
4C076CC01
4C076CC11
4C076CC21
4C076DD09F
4C076DD38D
4C076DD43Z
4C076DD51Z
4C076DD67D
4C076EE23F
4C076EE39
4C084AA02
4C084AA07
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4C084ZA36
4C084ZA70
4C084ZA75
4C084ZC33
4C084ZC35
4C084ZC75
(57)【要約】
アミリン受容体作動薬と、GLP-1受容体作動薬と、ヒドロキシプロピル置換を含むシクロデキストリンとを含む液体医薬製剤が本明細書に開示される。当該共製剤は、関連する併存疾患を伴うまたは伴わない過体重または肥満、関連する併存疾患を伴うまたは伴わない糖尿病、心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、およびアルツハイマー病などによって引き起こされる認知障害を有する対象者の医学的治療に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミリン受容体作動薬、GLP-1受容体作動薬、ならびにヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリンを含み、5.5~6.5、好ましくは5.6~6.0のpHを有する、液体医薬製剤。
【請求項2】
前記GLP-1受容体作動薬が、セマグルチドである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記アミリン受容体作動薬が、カグリリンチドである、請求項1または2に記載の医薬製剤。
【請求項4】
前記シクロデキストリンが、ヒドロキシプロピル置換ベータ型である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項5】
前記シクロデキストリンが、最小でグルコース単位当たり約0.4のヒドロキシプロピルを、最大でグルコース単位当たり約1.0のヒドロキシプロピルを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項6】
10%w/v超および22%w/v未満のシクロデキストリン、例えば、10~20%w/v、例えば、約15%w/vのシクロデキストリンを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項7】
有効量のカグリリンチドおよびセマグルチドを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項8】
等張化剤をさらに含むが、ただし、前記等張化剤が塩化ナトリウムではない、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項9】
前記等張化剤が、ソルビトール、マンニトール、および/またはトレハロース、好ましくはソルビトールである、請求項8に記載の医薬製剤。
【請求項10】
クエン酸塩および/またはヒスチジン、好ましくはヒスチジンなどの、約5.0~7.0の少なくとも1つのpKaを有する緩衝剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項11】
ポリソルベート20および/またはポリソルベート80などの界面活性剤をさらに含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項12】
医薬製剤であって、
-有効量のカグリリンチドおよびセマグルチドと、
-10%w/v超および22%w/v未満、例えば、10~20%w/vのヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリンであって、最小でグルコース単位当たり約0.4のヒドロキシプロピルを、最大でグルコース単位当たり約1.0のヒドロキシプロピルを、例えば、グルコース単位当たり0.58~1.0のヒドロキシプロピルを含む、シクロデキストリンと、
-約3~30mMのヒスチジンと、
-約10~40mg/mlのソルビトールと、
-最大2.0mg/ml、例えば、最大1.5mg/mlのポリソルベート20および/または80と、
-約75~90%w/wの水と、を含み、かつ
-5.6~6.0のpHを有する、医薬製剤。
【請求項13】
医薬製剤であって、
-有効量のカグリリンチドおよびセマグルチドと、
-10%w/v超および22%w/v未満、例えば、10~20%w/vのヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリンであって、グルコース単位当たり平均0.62~0.84のヒドロキシプロピルを含む、シクロデキストリンと、
-約3~30mMのヒスチジンおよび/またはクエン酸塩と、
-約10~40mg/mlのソルビトールと、
-最大2.0mg/ml、例えば、最大1.5mg/mlのポリソルベート20および/または80と、
-約75~90%w/wの水と、を含み、かつ
-5.6~6.0のpHを有する、医薬製剤。
【請求項14】
医薬として使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【請求項15】
1つ以上の関連する併存疾患を伴うもしくは伴わない過体重もしくは肥満、1つ以上の関連する併存疾患を伴うもしくは伴わない糖尿病、1つ以上の心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/または認知障害の治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GLP-1受容体作動薬およびアミリン受容体作動薬の共製剤である医薬製剤に関する。当該医薬製剤は、1つ以上の関連する併存疾患を伴うもしくは伴わない過体重もしくは肥満、1つ以上の関連する併存疾患を伴うもしくは伴わない糖尿病、1つ以上の心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはアルツハイマー病などによって引き起こされる認知障害を有する対象者の医学的治療に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
セマグルチドは、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬であり、Ozempic(登録商標)の医薬活性成分である。Ozempic(登録商標)は、(i)2型糖尿病を有する成人における血糖管理を改善するための食事および運動の補助として、ならびに(ii)2型糖尿病および確立した心血管疾患を有する成人における主要な有害な心血管事象のリスクを低減するために提示される。
【0003】
セマグルチドはまた、Wegovy(登録商標)の医薬活性成分である。Wegovy(登録商標)は、少なくとも1つの体重関連の併存疾患の存在下で、30kg/m2以上または27kg/m2超の初期ボディマス指数(BMI)を有する成人患者において、慢性的な体重管理のための低カロリー食および身体活動の増加の補助として提示される。
【0004】
Ozempic(登録商標)およびWegovy(登録商標)は、8mMのリン酸塩を含み、かつ約7.4のpHを有する液体医薬製剤である。
【0005】
アミリン受容体作動薬であるカグリリンチドおよびGLP-1受容体作動薬であるセマグルチドの固定用量の組み合わせは、過体重および肥満の治療のために研究されてきた(非特許文献1)。研究された医薬品は、カグリリンチドまたはセマグルチドのいずれかを含む、皮下使用のための別個の液体医薬製剤の形態であった。
【0006】
これまでのところ、これらの医薬活性成分の異なる物理化学的特性に起因して、セマグルチドおよびカグリリンチドを共製剤化することは可能とは考えられていなかった。GLP-1受容体作動薬であるセマグルチドは、アミリン受容体作動薬であるカグリリンチドの最適なpHと不適合である等電点を有する。セマグルチドは、pH7.4で最適に安定しており、水溶液への溶解性を確実にするために、pH7~8の中性からわずかに塩基性の溶液中で製剤化されることが以前は必要とされていた。カグリリンチドは、pH4.0で最適に安定しており、その化学分解速度を加速させるpHを上昇させる、酸性溶液中で製剤化する必要があった。カグリリンチドおよびセマグルチドの異なる物理化学的特性は、これらの2つのペプチドの単純な混合物を排除する。他のGLP-1受容体作動薬およびアミリン受容体作動薬の組み合わせにも、その2つが不適合である最適なpH範囲を有する場合に同じことが当てはまる。
【0007】
当該技術分野では、セマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬、およびカグリリンチドなどのアミリン受容体作動薬を同時投与する単純な手段に対するニーズが残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Lancet 2021;397:1736-48
【発明の概要】
【0009】
アミリン受容体作動薬およびGLP-1受容体作動薬を共製剤化する手段が本明細書に開示される。アミリン受容体作動薬と、GLP-1受容体作動薬と、ヒドロキシプロピル置換などの親水性化学置換を含むシクロデキストリンとを含む液体医薬製剤が本明細書に開示される。シクロデキストリンは、6つの環配置グルコース単位を含む、ヒドロキシプロピル置換アルファ型のものであり得る。シクロデキストリンは、7つの環配置グルコース単位を含む、ヒドロキシプロピル置換ベータ型のものであり得る。医薬製剤は、ヒスチジンなどの緩衝剤、ソルビトールなどの等張化剤、ならびに/またはポリソルベート20および/もしくは80などの界面活性剤をさらに含み得、5.6~6.0のpHなど、約5.5~6.5のpHを有し得る。本明細書に開示される医薬製剤は、非経口注射、好ましくは皮下注射によって投与され得る。
【0010】
本明細書に開示される医薬製剤は、1つ以上の関連する併存疾患を伴うもしくは伴わない過体重もしくは肥満、1つ以上の関連する併存疾患を伴うもしくは伴わない糖尿病、1つ以上の心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、および/またはアルツハイマー病などによって引き起こされる認知障害を有する対象者の医学的治療に使用することができる。本明細書に開示される医薬製剤は、利便性、治療コンプライアンス、最終的には、そのような患者における改善された臨床転帰を改善し得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、アミリン受容体作動薬と、GLP-1受容体作動薬と、ヒドロキシプロピル置換を含むシクロデキストリンとを含む液体医薬製剤である。
【0012】
本明細書に開示される医薬製剤は、2つの医薬活性成分、すなわち、GLP-1受容体作動薬およびアミリン受容体作動薬を含み得る。
【0013】
アミリン受容体作動薬およびGLP-1受容体作動薬を共製剤化する手段が本明細書に開示されており、GLP-1受容体作動薬は、アミリン受容体作動薬の化学的安定性を可能にするpH範囲内でその共製剤化を妨げる等電点を有する。6.5未満、好ましくは6.0未満、例えば、3.5~6.0、例えば、3.0~5.0、例えば、4.0~6.0の等電点(pI)を有するGLP-1受容体作動薬と、アミリン受容体作動薬とを共製剤化する手段が本明細書に開示される。
【0014】
アミリン受容体作動薬の最適なpHは、それが化学的および物理的に最も安定しているpHである。当業者は、pH範囲にわたって、アミリン受容体作動薬、緩衝剤、および注射用水から本質的に成る水溶液中で、その化学的および物理的安定性を試験することによって、アミリン受容体作動薬の最適なpHを簡単に見つけることができる。
【0015】
GLP-1受容体作動薬の最適なpHは、それが化学的および物理的に最も安定しているpHである。当業者は、pH範囲にわたって、GLP-1受容体作動薬、緩衝剤、および注射用水から本質的に成る水溶液中で、その化学的および物理的安定性を試験することによって、GLP-1受容体作動薬の最適なpHを簡単に見つけることができる。GLP-1受容体作動薬の物理的安定性は、最も乏しい物理的安定性が予想され得るpHと一致し得る、その等電点の反映であり得る。
【0016】
当業者に明らかであるように、任意の液体製剤中の任意のGLP-1受容体作動薬および/または任意のアミリン受容体作動薬の化学的安定性および純度は、例えば、逆相(超)高速液体クロマトグラフィー(RP-UHPLCまたはRP-HPLC)によって、および/または例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって高分子量タンパク質(HMWP%)の割合を測定することによって定量化することができる。
【0017】
当業者に明らかであるように、任意の液体製剤中のGLP-1受容体作動薬および/または任意のアミリン受容体作動薬の物理的安定性は、それぞれ、マイクロフローイメージング(MFI)またはチオフラビンT(ThT)蛍光ストレスアッセイによって、粒子形成および/またはフィブリル化を測定することによって定量化することができる。
【0018】
最適なpHが、少なくとも約2pH単位、例えば、2~5pH単位、例えば、2~4pH単位、例えば、3~5pH単位だけ異なる、アミリン受容体作動薬およびGLP-1受容体作動薬を製剤化する手段が本明細書に開示される。
【0019】
GLP-1受容体作動薬は、セマグルチドであってもよい。アミリン受容体作動薬は、カグリリンチド、またはカグリリンチドの生物学的に活性な代謝産物もしくは分解産物であり得る。本明細書に開示される製剤の組成物は、pH5.5~6.5、例えば、pH5.6~6.0で共製剤化された場合でも、医薬活性成分の化学的および物理的安定性を維持/改善し、それらのバイオアベイラビリティおよび曝露に関して医薬活性成分の薬物動態プロファイルを維持し、皮下注射時に許容可能な局所耐性を呈する。
【0020】
本明細書では、「医薬製剤」、「共製剤」、および「医薬品」という用語は、GLP-1受容体作動薬およびアミリン受容体作動薬を含む液体医薬製剤を指すために互換的に使用され得る。
【0021】
本明細書に開示される医薬製剤は、非経口注射、好ましくは皮下注射に好適である。
【0022】
アミリン
本明細書において「アミリン」という用語は、ヒトアミリンなどの内因性アミリンと同じアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。
【0023】
アミリン受容体
アミリン受容体作動薬は、カルシトニン受容体(CTR)および/またはアミリン受容体(AMYR)と結合して活性化し得る。後者は、カルシトニン受容体(CTR)および3つの受容体活性修飾タンパク質(RAMP1~3)のうちの1つの2つの成分のヘテロ二量体から成り、3つの可能性のある複合体、AMYR1~3をもたらす。
【0024】
アミリン受容体作動薬
本明細書に開示される医薬製剤は、アミリン受容体作動薬を含む。「アミリン受容体作動薬」は、アミリン受容体と結合することができ、かつそれを活性化または「作動」することができる化学物質として定義され得る。本発明の文脈において、アミリン受容体作動薬は、少なくともアミリン受容体3(AMYR3)と結合して活性化することができる。アミリン受容体作動薬はまた、カルシトニン受容体、アミリン受容体1(AMYR1)、および/またはアミリン受容体2(AMYR2)を作動することが可能であり得る。
【0025】
内因性アミリン受容体作動薬の例は、ヒトアミリンおよびヒトカルシトニンである。外因性アミリン受容体作動薬の例は、カグリリンチドおよびプラムリンチド(Symlin(登録商標)の医薬活性成分)である。
【0026】
アミリン受容体作動薬は、アミリン受容体を活性化することができ、言い換えれば、アミリン受容体上の「効力」がある。アミリン受容体3に対するアミリン受容体作動薬のインビトロ効力は、WO/2022129526のアッセイ2に記載されるように測定され得る。化合物の効力は、そのEC50値によって記載され得、EC50は、その最大効果の50%が観察される化合物の濃度を表す。EC50値が低いほど、化合物はより効力がある。
【0027】
WO/2022129526のアッセイ2に記載されるように試験された場合、本明細書に開示されるアミリン受容体作動薬は、300pM未満、例えば、200pM未満、例えば、150pM未満、好ましくは、100pM未満、例えば、75pM未満、好ましくは、50pM未満、例えば、40pM未満、例えば、30pM未満、例えば、20pM未満、例えば、10pM未満のEC50値を有し得る。
【0028】
カグリリンチド
本明細書に開示される医薬製剤中のアミリン受容体作動薬は、カグリリンチド、またはカグリリンチドの生物学的に活性な代謝産物もしくは分解産物であり得る。
【0029】
AM833としても公知のカグリリンチドは、WO2012/168432の実施例53の化合物:N-アルファ-[(S)-4-カルボキシ-4-(19-カルボキシノナデカノイルアミノ)ブチリル]-[Glu14,Arg17,Pro37]-プラムリンチドである。カグリリンチドは、WO2012/168432のページ153~155に記載されるように調製することができる。
【0030】
カグリリンチドは、塩、好ましくは薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。
【0031】
カグリリンチドの生物学的に活性な代謝産物または分解産物は、21位または22位にアスパラギン酸塩(Asp)を有し得る。カグリリンチドの生物学的に活性な代謝産物または分解産物は、21位または22位にイソ-アスパラギン酸塩(iso-Asp)を有し得る。
【0032】
カグリリンチドの効力を、WO/2022129526のアッセイ2に記載される手順を使用して試験した場合、カグリリンチドは、約11pMのEC50値を有していた(WO/2022/129526、表4bおよび4c)。
【0033】
本明細書に開示される医薬製剤中のカグリリンチドの濃度は、約0.25mg/ml~約22mg/mlであり得る。
【0034】
本明細書に開示される医薬製剤は、約0.33~18mg/ml、例えば、0.25~0.5mg/ml、例えば、約0.33mg/ml、例えば、0.5~1.0mg/ml、例えば、約0.67mg/ml、例えば、1.0~1.5mg/ml、例えば、約1.33mg/ml、例えば、1.5~2.0mg/ml、例えば、約1.5mg/ml、例えば、2.0~2.5mg/ml、例えば、2.5~3.0mg/ml、例えば、3.0~3.5mg/ml、例えば、約3.2mg/ml、例えば、3.5~4.0mg/ml、例えば、4.0~5.0mg/ml、例えば、5.0~6.0mg/ml、例えば、6.0~7.0mg/ml、例えば、7.0~8.0mg/ml、例えば、8.0~9.0mg/ml、例えば、9.0~10.0mg/ml、例えば、約9.6mg/ml、例えば、10~11mg/ml、例えば、11.0~12.0mg/ml、例えば、11~13mg/ml、例えば、13~22mg/ml、例えば、約18mg/ml、例えば、約20~22mg/mlの濃度のカグリリンチドを含み得る。
【0035】
本明細書に開示される医薬製剤は、22mg/mlを超えないカグリリンチドを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、12mg/mlを超えないカグリリンチドを含み得る。
【0036】
GLP-1
本明細書における「GLP-1」または「天然GLP-1」という用語は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1(7-37))を指す。
【0037】
GLP-1受容体作動薬
本明細書に開示される医薬製剤は、GLP-1受容体作動薬を含む。「GLP-1受容体作動薬」は、GLP-1受容体と結合し、かつ内因性リガンドであるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1(7-37))と同様の生物学的応答を生じさせることができるリガンドとして定義され得る。「完全な」GLP-1受容体作動薬は、GLP-1(7-37)と同じ程度の生物学的応答を誘発することができるGLP-1受容体作動薬として定義され得る。
【0038】
外因性GLP-1受容体作動薬の例としては、セマグルチド(Ozempic(登録商標)、Rybelsus(登録商標)、およびWegovy(登録商標)の医薬活性成分)、リラグルチド(Victoza(登録商標)およびSaxenda(登録商標)の医薬活性成分)、チルゼパチド(Mounjaro(登録商標)の医薬活性成分)、およびデュラグルチド(Trulicity(登録商標)の医薬活性成分)が挙げられる。
【0039】
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1受容体と結合して活性化するか、またはそれを「作動」することができ、言い換えれば、GLP-1受容体上で「効力」がある。GLP-1受容体に対するGLP-1受容体作動薬のインビトロ効力は、WO/2022/129526のアッセイ1に記載されるように測定され得る。化合物の効力は、そのEC50値によって記載され得、EC50は、その最大効果の50%が観察される化合物の濃度を表す。EC50値が低いほど、化合物はより効力がある。
【0040】
WO/2022/129526のアッセイ1に記載されるように試験された場合、本明細書に開示されるGLP-1受容体作動薬は、300pM未満、例えば、200pM未満、例えば、150pM未満、好ましくは、100pM未満、例えば、75pM未満、さらにより好ましくは、50pM未満、例えば、40pM未満、例えば、30pM未満、例えば、20pM未満、例えば、10pM未満のEC50値を有し得る。
【0041】
セマグルチド
セマグルチドは、N6.26-{18-[N-(17-カルボキシヘプタデカノイル)-L-γ-グルタミル]-10-オキソ-3,6,12,15-テトラオキサ-9,18-ジアザオクタデカノイル}-[8-(2-アミノ-2-プロパン酸),34-L-アルギニン]ヒトグルカゴン様ペプチド1(7-37)としても公知のGLP-1受容体作動薬である。セマグルチドは、WO2006/097537およびJ.Med.Chem.2015,58,18,7370-7380に記載され、WO2006/097537の実施例4に簡潔に記載されるものなどの、当業者に周知の方法を使用して製造され得る。
【0042】
セマグルチドは、その完全または部分的にイオン化された形態で本医薬製剤中に存在してもよく、例えば、1つ以上のカルボン酸基(-COOH)は、カルボキシレート基(-COO-)に脱プロトン化されてもよく、および/または1つ以上のアミノ基(-NH2)は、-NH3
+基にプロトン化されてもよい。
【0043】
セマグルチドは、塩、好ましくは薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。
【0044】
セマグルチドの効力を、WO/2022/129526のアッセイ1に記載される手順を使用して試験した場合、セマグルチドは、約5.5pMのEC50値を有していた(WO/2022/129526、表4bおよび4cを参照されたい)。
【0045】
本明細書に開示される医薬製剤中のセマグルチドの濃度は、約0.25mg/ml~約22mg/mlであり得る。
【0046】
医薬製剤は、約0.33~18mg/ml、例えば、0.25~0.5mg/ml、例えば、約0.33mg/ml、例えば、0.5~1.0mg/ml、例えば、約0.67mg/ml、例えば、1.0~1.5mg/ml、例えば、約1.33mg/ml、例えば、1.5~2.0mg/ml、例えば、約1.5mg/ml、例えば、2.0~2.5mg/ml、例えば、約2.2mg/ml、例えば、2.5~3.0mg/ml、例えば、3.0~3.5mg/ml、例えば、約3.2mg/ml、例えば、3.5~4.0mg/ml、例えば、4.0~5.0mg/ml、例えば、約4.8mg/ml、例えば、5.0~6.0mg/ml、例えば、6.0~7.0mg/ml、例えば、約6.4mg/ml、例えば、7.0~8.0mg/ml、例えば、約8.0mg/ml、例えば、8.0~9.0mg/ml、例えば、9.0~10.0mg/ml、例えば、約9.6mg/ml、例えば、10~11mg/ml、例えば、約10.7mg/ml、例えば、11.0~12.0mg/ml、例えば、11~13mg/ml、例えば、約12.8mg/ml、例えば、13~22mg/ml、例えば、約16mg/ml、例えば、約18mg/ml、例えば、約20~22mg/mlの濃度のセマグルチドを含み得る。
【0047】
本明細書に開示される医薬製剤は、22mg/mlを超えないセマグルチドを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、12mg/mlを超えないセマグルチドを含み得る。
【0048】
製造方法
本明細書に開示される医薬製剤中のGLP-1受容体作動薬および/またはアミリン受容体作動薬は、例えば、古典的なペプチド合成、例えば、t-BocもしくはFmoc化学を使用する固相ペプチド合成、または他の十分に確立された技法によって産生され得、例えば、Greene and Wuts,“Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley&Sons,1999、Florencio Zaragoza Dorwald,“Organic Synthesis on Solid Phase”,Wiley-VCH Verlag GmbH,2000、および“Fmoc Solid Phase Peptide Synthesis”,Edited by W.C.Chan and P.D.White,Oxford University Press,2000を参照されたい。
【0049】
あるいは、化合物は、組み換え法により、例えば、ペプチド配列をコードするDNA配列を含み、ペプチドを発現することができる宿主細胞を、ペプチドの発現を可能にする条件下で、好適な栄養培地中で培養することにより産生され得る。これらのペプチドの発現に好適な宿主細胞の非限定的な例は、Escherichia coli、Saccharomyces cerevisiae、および哺乳動物BHKまたはCHO細胞株である。
【0050】
等電点
分子の等電点(pI)は、分子が正味電荷を担持しないpHである。ペプチドのpIは、そのアミノ酸ならびに末端アミン基およびカルボキシル基のpK値から理論的に計算されてもよく、所与のpHでのペプチドの溶解度を予測するために使用することができる。
【0051】
GLP-1受容体作動薬の理論的に計算された等電点は、3.5~6.5、例えば、3.5~6.0、例えば、4.0~6.0、例えば、3.8~4.9、例えば、4.0~4.5の範囲であり得る。セマグルチドは、約4.37の理論的に計算された等電点を有する。
【0052】
アミリン受容体作動薬の理論的に計算された等電点は、8~12、例えば、8~9の範囲の等電点(pI)を有し得る。カグリリンチドは、約8.56の理論的に計算された等電点を有する。
【0053】
シクロデキストリン
本明細書に開示される医薬製剤は、ヒドロキシプロピル置換を含むシクロデキストリンを含む。
【0054】
医薬製剤は、ヒドロキシプロピル置換を含む約10~25%w/vのシクロデキストリンを含み得る。医薬製剤は、ヒドロキシプロピル置換を含む10%w/v超のシクロデキストリンを含み得る。医薬製剤は、ヒドロキシプロピル置換を含む22%w/v未満のシクロデキストリンを含み得る。医薬製剤は、ヒドロキシプロピル置換を含む約10~20%w/v、約15~25%w/v、約12~18%w/v、約10~17.5%w/v、約11.25~15%、例えば、約15%w/vのシクロデキストリンを含み得る。
【0055】
シクロデキストリンは、6、7、または8個のα-(1,4)結合グルコピラノース(グルコース)単位から成るオリゴ糖デンプン誘導体であり、それぞれ周期的に配置され、アルファ、ベータ、またはガンマ型を示す。シクロデキストリンは、特に医薬賦形剤として、広範な用途を有する[P.Breen&S.S.Jambhekar,Cyclodextrins in pharmaceutical formulations II:solubilization,binding constant,and complexation efficiency,Drug Discovery Today,Volume 21,Number 2 February 2016]。医薬賦形剤としてのそれらの使用に関するガイドラインは、欧州医薬品庁[Background review for cyclodextrins used as excipients,2014,EMA/CHMP/333892/2013,Committee for Human Medicinal Products(CHMP)]、[Cyclodextrins used as excipients,2017,EMA/CHMP/333892/2013,Committee for Human Medicinal Products(CHMP)]によって記載されている。親水性置換を担持しないシクロデキストリン型は、乏しい溶解性を有し、非経口医薬品にはほとんど使用されない。
【0056】
シクロデキストリンの溶解性を改善するために、シクロデキストリンのグルコース単位のヒドロキシル基は、異なる数の親水性化学置換によって、例えば、ヒドロキシプロピル基によって置換されてもよく、シクロデキストリン分子当たりのヒドロキシプロピルの平均数(略称DS)、または問題のシクロデキストリン中に存在するグルコース単位当たりのヒドロキシプロピルの平均数に対応するモル置換度(略称MS)のいずれかとして記載され得る置換の程度の差異につながる。シクロデキストリン当たりのヒドロキシプロピルの値は、モル置換度に、問題のシクロデキストリンに含まれるグルコース単位の数を乗じることによって達成され得る。置換の程度の差異は、表面活性および複合体形成能力などの物理化学的特性の変化をもたらし得る。ヒドロキシル基はまた、スルホブチルエーテルの基によって化学的に置換され得る。これらの主に親水性の修飾は、非経口投与に非常に好適なシクロデキストリン誘導体を生じさせた[Cyclodextrins used as excipients,2017,EMA/CHMP/333892/2013,Committee for Human Medicinal Products(CHMP)]。ヒドロキシプロピル置換を含むシクロデキストリンは、一般的にHP-CDと略されるが、スルホブチルエーテル置換を含むシクロデキストリンは、SBE-CDと略される。
【0057】
親水性置換を含むシクロデキストリンは、疎水性の内側のくぼみと、隣接する水分子との水素結合を形成することができる多くの親水性置換によって形成された親水性の外側の表面とを有する円錐様の形状として記載され得るものを採用し、それによって水溶解性を改善する[T.Loftsson,Cyclodextrins in Parenteral Formulations,Journal of Pharmaceutical Sciences,2020,1-11]。
【0058】
これらの円錐様構造のくぼみの内部の疎水性微小環境は、主に疎水性相互作用により薬物とシクロデキストリンとの複合体を形成することを可能にする[T.Loftsson,Cyclodextrins in Parenteral Formulations,Journal of Pharmaceutical Sciences,2020,1-11]。複合体がシクロデキストリンと1つ以上の疎水性領域を担持する薬剤分子との間に形成されるため、これらならびにシクロデキストリンの疎水性のくぼみは水から遮蔽され、それによって、個々の構成要素の溶解性と比較して複合体の溶解性が増加する。また、シクロデキストリン分子とペプチド分子との間の複合体が形成されると、典型的には凝集につながる分子間相互作用が損なわれる[T.Loftsson,Cyclodextrins in Parenteral Formulations,Journal of Pharmaceutical Sciences,2020,1-11]。
【0059】
本明細書に開示される医薬製剤は、好ましくは、ヒドロキシプロピル置換アルファ型のシクロデキストリンおよび/またはヒドロキシプロピル置換ベータ型のシクロデキストリンを含む。
【0060】
予想外に、ヒドロキシプロピル置換を担持するこのようなシクロデキストリンは、スルホブチルエーテル置換を担持する同じシクロデキストリン型よりも、カグリリンチドおよびセマグルチドの共製剤を安定化するその能力において優れていることが見出された。
【0061】
本明細書に開示される医薬製剤は、6つの環配置グルコース単位を含む、ヒドロキシプロピル置換アルファ型のシクロデキストリンを含み得る。アルファ型のヒドロキシプロピル置換シクロデキストリンは、HP-A-CDと略される。ヒドロキシプロピル-アルファ-シクロデキストリン(CAS:128446-33-3/99241-24-4)は、0.8の平均モル置換(MS)および0.5~0.9のモル置換範囲で市販されている。
【0062】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり最小約0.4のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-アルファ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり最大約1.0のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-アルファ-シクロデキストリンを含み得る。
【0063】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり0.5~0.9のヒドロキシプロピルのモル置換範囲を有するヒドロキシプロピル-アルファ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.8のヒドロキシプロピルの平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-アルファ-シクロデキストリンを含み得る。
【0064】
本明細書に開示される医薬製剤は、7つの環配置グルコース単位を含む、ヒドロキシプロピル置換ベータ型のシクロデキストリンを含み得る。
【0065】
ベータ型のヒドロキシプロピル置換シクロデキストリンは、HP-B-CDと略される。
【0066】
ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンは周知の医薬賦形剤であり、典型的には、小分子医薬製剤で使用され、主に溶解性およびバイオアベイラビリティを増加させる[T.Loftsson,Cyclodextrins in Parenteral Formulations,Journal of Pharmaceutical Sciences,2020,1-11]。これまでのところ、タンパク質およびペプチドベースの医薬製剤におけるシクロデキストリンおよびシクロデキストリン置換誘導体の使用は制限されている。
【0067】
医薬賦形剤としてのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンの市販のヒドロキシプロピル置換度(DS)は、欧州および米国薬局方[USP 38 NF 33、Pharm Eur 8、USP〈761〉/Pharm.Eur.2.2.33に記載される方法によって推定される]に従って2.8~10.5の範囲であり、グルコース単位(MS)当たり0.4~1.5のヒドロキシプロピルに対応する。ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンなどの市販のシクロデキストリンは、通常、それらのモル置換範囲の平均モル置換(MS)によって記載される。
【0068】
ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(CAS:128446-35-5/94035-02-6)は、賦形剤として使用するために市販されており、平均モル置換(MS)は、0.58~0.68のモル置換範囲を有するMS0.62、(0.6~0.9)のモル置換範囲を有するMS0.67、(0.58~0.72)のモル置換範囲を有するMS0.68、(0.8~1.0)のモル置換範囲を有するMS0.84、(0.81~0.99)のモル置換範囲を有するMS0.92、(0.86~1.14)のモル置換範囲を有するMS1.08を含み、各値は、グルコース単位当たりのヒドロキシプロピルの数を記載する。
【0069】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり最小約0.4のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり最大約1.0のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0070】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり0.58~1.0のヒドロキシプロピルのモル置換範囲を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.62~0.92のヒドロキシプロピルの平均モル置換(MS)範囲を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0071】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.62~0.84のヒドロキシプロピルの平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0072】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.4~0.75のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0073】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.75のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0074】
本明細書に開示される医薬製剤は、約0.62の平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.58~0.68のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0075】
本明細書に開示される医薬製剤は、約0.68の平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.58~0.72のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0076】
本明細書に開示される医薬製剤は、約0.67の平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.6~0.9のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0077】
本明細書に開示される医薬製剤は、約0.84の平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.8~1.0のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0078】
本明細書に開示される医薬製剤は、約0.92の平均モル置換(MS)を有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり約0.81~0.99のヒドロキシプロピルを有するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0079】
本明細書に開示される医薬製剤は、グルコース単位当たり最小約0.4のヒドロキシプロピルおよびグルコース単位当たり最大約1.0のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり平均0.62~0.92のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり約0.75のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり平均0.62~0.84のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり約0.4~0.75のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり平均0.62のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり約0.58~0.68のヒドロキシプロピルを有する、10~25%w/v、例えば、10%w/v超および22%w/v未満、例えば、約10~20%w/v、例えば、約12~18%w/v、例えば、約10~17.5%w/v、例えば、約11.25~15%、例えば、約15%w/vのヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンを含み得る。
【0080】
さらなる賦形剤
医薬製剤は、緩衝剤を含み得る。医薬製剤に緩衝剤を使用することは、当業者には周知である。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,2000への参照がなされる。
【0081】
pHは、典型的には15~25℃または15~20℃として定義される、「室温」で測定され得る。pHは、好ましくは、約20℃で測定される。
【0082】
本明細書に開示される医薬製剤は、溶液の所望のpHに近いpKaを有する緩衝剤を含み得る。医薬製剤は、約5.0~7.0の少なくとも1つのpKa値を有する緩衝剤を含み得る。医薬製剤は、約5.0~7.0のpKaを有する緩衝剤を含み得る。医薬製剤は、ヒスチジン、クエン酸塩、および/またはリン酸塩から成る群から選択される緩衝剤を含み得る。緩衝剤は、3~30mMの濃度のクエン酸塩であり得る。緩衝剤は、3~30mMの濃度のヒスチジンであり得る。緩衝剤は、3~30mMの濃度のリン酸塩であり得る。
【0083】
医薬製剤は、NaOHおよび/またはHClなどのpHを調節するための1つ以上の薬剤をさらに含み得る。
【0084】
医薬製剤の所望のpHは、約5.5~6.5であり得る。pHは、好ましくは、5.6~6.0である。pHは、約5.6、例えば、約5.7、例えば、約pH5.8、例えば、約5.9、例えば、約6.0であり得る。
【0085】
医薬製剤は、等張化剤を含み得る。医薬製剤に等張化剤を使用することは、当業者には周知である。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,2000への参照がなされる。
【0086】
等張化剤の目的は、製剤が体内に注射されるときに生体組織を保護することである。等張化剤は、マンニトール、ソルビトール、もしくはトレハロース、またはそれらの組み合わせから成る群から選択され得る。いくつかの実施形態では、等張化剤は、マンニトールである。いくつかの実施形態では、等張化剤は、ソルビトールである。いくつかの実施形態では、等張化剤は、トレハロースである。
【0087】
等張化剤の濃度は、製剤を等張性にするためのようなものである。等張化剤がマンニトールである場合、それは16.5~37.5mg/ml、例えば、約20mg/mlの濃度で存在し得る。等張化剤がソルビトールである場合、それは約10~40mg/ml、例えば、約16.5~37.5mg/ml、例えば、約10~30mg/ml、例えば、約16~28mg/ml、例えば、約16.5~25mg/ml、例えば、約16~26mg/ml、例えば、約16~24mg/ml、例えば、約26mg/ml、例えば、約24mg/ml、例えば、約22mg/ml、例えば、約20mg/ml、例えば、約18mg/ml、例えば、約16mg/ml、例えば、約12mg/mlの濃度で存在し得る。等張化剤がトレハロースである場合、それは33~75mg/ml、例えば、約38mg/mlの濃度で存在し得る。
【0088】
医薬製剤は、界面活性剤を含み得る。界面活性剤は、その製造、貯蔵、および医薬として使用中の製剤の物理的安定性および堅牢性をさらに増加させることができ、例えば、容器内の空気に曝露されたときの製剤の安定性を維持することができる。医薬製剤に界面活性剤を使用することは、当業者には周知である。便宜上、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th edition,2000への参照がなされる。
【0089】
界面活性剤は、ポリソルベート20および/またはポリソルベート80から成る群から選択され得る。界面活性剤は、ポリソルベート20であり得る。界面活性剤は、ポリソルベート80であり得る。
【0090】
医薬製剤は、0.01mg/ml以上のポリソルベート20および最大2.0、例えば、最大1.5mg/mlのポリソルベート20、例えば、約0.01~1.0mg/mlのポリソルベート20、例えば、約0.05mg/mlのポリソルベート20を含み得る。
【0091】
医薬製剤は、0.01mg/ml以上のポリソルベート80および最大2.0、例えば、最大1.5mg/mlのポリソルベート80、例えば、約0.01~1.0mg/mlのポリソルベート80、例えば、約0.05mg/mlのポリソルベート80を含み得る。
【0092】
医薬製剤は、注射用水(WFI)を含む。医薬製剤は、75%w/w超の水、例えば、80%w/wの水、例えば、約85%w/wの水、例えば、最大90%w/wの水を含み得る。
【0093】
本明細書に開示される医薬製剤は、防腐剤を含まない場合がある。
【0094】
医療ユーティリティ
本明細書に開示される医薬製剤は、医学的使用のためのものであり得る。
【0095】
本明細書に開示される医薬製剤は、非経口注射によって投与され得る。本明細書に開示される医薬製剤は、皮下注射によって投与され得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、「治療」という用語は、それを必要とする任意のヒトまたは他の脊椎動物対象者の医学的療法を指す。当該対象者は、当該特定の治療の使用が当該ヒトまたは他の脊椎動物の健康に有益であることを示す、暫定的または決定的な診断を与えた医師または獣医師による身体検査を受けていることが期待される。当該治療のタイミングおよび目的は、対象者の健康の現状に従って、個体によって異なり得る。したがって、該治療は、予防的(prophylactic)(予防的(preventative))、緩和的、症候性、および/または治癒的であり得る。
【0097】
本明細書に開示される医薬製剤は、ヒト対象者に投与され得る。
【0098】
本明細書に開示される医薬製剤は、以下において使用され得る:
(i)高血糖症、2型糖尿病、耐糖能障害、1型糖尿病、非インスリン依存性糖尿病、若年発症成人型糖尿病(MODY)、妊娠糖尿病、および/またはHbA1cの低減などの任意の形態の糖尿病および関連する症状の予防および/または治療、
(ii)2型糖尿病の進行などの糖尿病疾患の進行の遅延または予防、耐糖能障害(IGT)からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、および/またはインスリンを必要としない2型糖尿病からインスリンを必要とする2型糖尿病への進行の遅延、
(iii)例えば、食物摂取量の減少、食欲の抑制、満腹感の誘発、体重の低減;抗精神病薬もしくはステロイドの投与によって誘発された過食性障害、食物渇望、神経性大食症、および/または肥満の治療もしくは予防;ならびに/または胃内容排出の遅延による、肥満などの摂食障害の予防および/または治療、
(iv)心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、血行再建、不安定狭心症のための入院、および心不全のための入院から成る群から選択される主要有害心血管事象(MACE)の発症の遅延または低減などの、心血管疾患の予防および/または治療、
(v)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)および/または非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防および/または治療、
(vi)アルツハイマー病などの認知障害の予防および/または治療。
【0099】
いくつかの実施形態では、適応症は、(i)である。いくつかの実施形態では、適応症は、(ii)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は(iii)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(iv)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(v)である。なおさらなる特定の態様では、適応症は、(vi)である。いくつかの実施形態では、適応症は、2型糖尿病および/または肥満である。
【0100】
一般に、肥満を患っている全ての対象者は、過体重も患っていると考えられる。肥満の治療または予防のための方法が本明細書に開示される。肥満の治療または予防のための、本明細書に開示される製剤の使用が本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、肥満を患っている対象者は、成人のヒトまたは小児のヒト(乳児、子供、および青年期の若者を含む)などのヒトである。
【0101】
ボディマス指数(BMI)は、身長および体重に基づく体脂肪の指標である。計算式は、BMI=体重(キログラム)/身長(メートル)2である。肥満を患っているヒト対象者は、30kg/m2以上のBMIを有し得、この対象者は、肥満であるとも称され得る。いくつかの実施形態では、肥満を患っているヒト対象者は、≧35のBMIまたは≧30~<40の範囲のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、肥満は、重度の肥満または病的肥満であり、ヒト対象者は、≧40のBMIを有し得る。
【0102】
任意選択で、少なくとも1つの体重関連併存疾患の存在下での、過体重の治療または予防のための方法が本明細書に開示される。任意選択で、少なくとも1つの体重関連併存疾患の存在下での、過体重の治療または予防のための、本明細書に開示される製剤の使用が本明細書に開示される。
【0103】
いくつかの実施形態では、過体重を患っている対象者は、成人のヒトまたは小児のヒト(乳児、子供、および青年期の若者を含む)などのヒトである。いくつかの実施形態では、過体重を患っているヒト対象者は、27kg/m2以上のBMIなどの、25kg/m2以上のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、過体重を患っているヒト対象者は、25~<30の範囲または27~<30の範囲のBMIを有する。
【0104】
BMIの上昇は、広範囲の疾患または併存疾患のうちのいずれか1つを発症する個体のリスクを増加させる。体重関連併存疾患は、上述の疾患のうちの1つまたは組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、体重関連併存疾患は、高血圧、糖尿病(2型糖尿病など)、脂質異常症、高コレステロール、および閉塞性睡眠時無呼吸から成る群から選択される。
【0105】
体重の低減のための方法が本明細書に開示される。体重の低減に供されるヒトは、27kg/m2以上のBMI(過体重)または30kg/m2以上のBMI(肥満)などの、25kg/m2以上のBMIを有し得る。いくつかの実施形態では、体重の低減に供されるヒトは、35kg/m2以上のBMIまたは40kg/m2以上のBMIを有し得る。「体重の低減」という用語は、肥満および/または過体重の治療または予防を含み得る。
【0106】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセマグルチドおよびカグリリンチド医薬製剤の投与は、少なくとも1つの体重関連併存疾患(例えば、高血圧、2型糖尿病、または脂質異常症)の存在下で、30kg/m2以上(肥満)または27kg/m2以上(過体重)の初期ボディマス指数(BMI)を有する成人患者における慢性的な体重管理のための、低カロリー食および身体活動の増加の補助として使用され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセマグルチドおよびカグリリンチド医薬製剤の投与は、治療開始から26週間以内に、>15%の体重減少、例えば、>20%の体重減少、例えば、>25%の体重減少、例えば、>30%の体重減少、例えば、約15~40%の体重減少、例えば、約20~35%の体重減少、例えば、約25~30%の体重減少をもたらし得る。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される本明細書に開示されるセマグルチドおよびカグリリンチド医薬製剤の投与は、治療開始から26週間以内に、>15%の体重減少、例えば、>20%の体重減少、例えば、>25%の体重減少、例えば、>30%の体重減少、例えば、約15~40%の体重減少、例えば、約20~35%の体重減少、例えば、約25~30%の体重減少をもたらし得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるセマグルチドおよびカグリリンチド医薬製剤の投与は、唯一の活性成分としてのセマグルチドまたは唯一の活性成分としてのカグリリンチドのいずれかによる治療から生じるものと比較して、%点においてより高いHbA1c低減をもたらす。
【0110】
用量
本発明の医薬製剤は、特定の濃度のアミリン受容体作動薬および特定の濃度のGLP-1受容体作動薬を含む。例えば、上述のように、医薬製剤は、0.25~22mg/mlのカグリリンチド、および0.25~22mg/mlのセマグルチドを含み得る。単回注射で投与されるGLP受容体作動薬およびアミリン受容体作動薬の用量は、医薬製剤内のこれらの活性成分の濃度および投与される医薬製剤の体積に依存する。
【0111】
本発明の医薬製剤は、所定の間隔で単回用量として投与され得る。
【0112】
本明細書に開示される医薬製剤の単回用量は、カグリリンチドなどのアミリン受容体作動薬、およびセマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬の以下の用量のうちのいずれか1つを含み得る。
【0113】
有効量のカグリリンチドなどのアミリン受容体作動薬、およびセマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬は、それを必要とする対象者に投与され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、用量は、およそ週1回投与される。いくつかの実施形態では、2つの固定用量の間隔は、約4日、約5日、約6日、約7日、約8日、約9日、または約10日であり得る。好ましい実施形態では、固定維持用量は、およそ7日毎に1回(週1回)投与される。
【0115】
いくつかの実施形態では、用量は、上に列挙される疾患または併存疾患の任意の1つまたは組み合わせを有する個体に投与される。いくつかの好ましい実施形態では、用量は、肥満(ボディマス指数[BMI]≧30kg/m2)を有する対象者に投与される。いくつかの好ましい実施形態では、用量は、過体重(BMI≧27kg/m2~<30kg/m2)であり、かつ少なくとも1つの体重関連併存疾患(例えば、高血圧、2型糖尿病、または脂質異常症)を有する個体に投与される。
【0116】
いくつかの実施形態では、週1回の治療は、統計的に有意な、用量依存性の体重低減をもたらす。
【0117】
いくつかの好ましい実施形態では、用量は、2型糖尿病を有する成人における血糖管理を改善するための食事および運動の補助として投与される。
【0118】
治療開始時、カグリリンチドなどのアミリン受容体作動薬、およびセマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬の漸増用量を、それを必要とする個体に投与することが有益であり得る。個体が治療に順応すると、カグリリンチドなどのアミリン受容体作動薬、およびセマグルチドなどのGLP-1受容体作動薬の維持用量を、それを必要とする個体に投与することが有益であり得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、治療は、週1回であり、用量漸増期間は、16週間である。
【0120】
いくつかの実施形態では、治療は、週1回であり、用量漸増は、およそ週1回行う。
【0121】
いくつかの実施形態では、治療は、週1回であり、用量漸増は、およそ隔週で1回行う。
【0122】
いくつかの実施形態では、治療は、週1回であり、用量漸増は、およそ3週間毎に1回行う。
【0123】
いくつかの実施形態では、治療は、週1回であり、用量漸増は、およそ4週間毎に1回行う。
【0124】
投与されるアミリン受容体作動薬の用量は、約0.25~16mg、例えば、約0.25~9.0mg、例えば、約0.25~4.5mg、例えば、約0.25~2.4mgであり得る。
【0125】
投与されるカグリリンチドの用量は、約0.25~16mg、例えば、約0.25~9.0mg、例えば、約0.25~4.5mg、例えば、約0.25~2.4mgであり得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約0.25mgである。
【0127】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約0.5mgである。
【0128】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約1.0mgである。
【0129】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約1.5mgである。
【0130】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約1.7mgである。
【0131】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約2.4mgである。
【0132】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約3.4mgである。
【0133】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約3.6mgである。
【0134】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約4.5mgである。
【0135】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約7.2mgである。
【0136】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約8.0mgである。
【0137】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約9.0mgである。
【0138】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約16.0mgである。
【0139】
投与されるGLP-1受容体作動薬の用量は、約0.25~16mg、例えば、約0.25~9.0mg、例えば、約0.25~4.5mg、例えば、約0.25~2.4mgであり得る。
【0140】
投与されるセマグルチドの用量は、約0.25~16mg、例えば、約0.25~9.0mg、例えば、約0.25~4.5mg、例えば、約0.25~2.4mgであり得る。
【0141】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約0.25mgである。
【0142】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約0.5mgである。
【0143】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約1.0mgである。
【0144】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約1.5mgである。
【0145】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約1.7mgである。
【0146】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約2.4mgである。
【0147】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約3.6mgである。
【0148】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約4.5mgである。
【0149】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約4.8mgである。
【0150】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約6.0mgである。
【0151】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約6.9mgである。
【0152】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約7.2mgである。
【0153】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約8.0mgである。
【0154】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約9.0mgである。
【0155】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約12mgである。
【0156】
いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約16.0mgである。いくつかの実施形態では、投与されるセマグルチドの用量は、約16.0mgである。
【0157】
いくつかの実施形態では、アミリン受容体作動薬対GLP-1受容体作動薬の比は、約1:2である。いくつかの実施形態では、カグリリンチド対セマグルチドの比は、約1:2である。
【0158】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.125mgであり、セマグルチドの用量は、約0.25mgである。
【0159】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.25mgであり、セマグルチドの用量は、約0.5mgである。
【0160】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.5mgであり、セマグルチドの用量は、約1.0mgである。
【0161】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.75mgであり、セマグルチドの用量は、約1.5mgである。
【0162】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.85mgであり、セマグルチドの用量は、約1.7mgである。
【0163】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約1.2mgであり、セマグルチドの用量は、約2.4mgである。
【0164】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.25mgであり、セマグルチドの用量は、約4.5mgである。
【0165】
いくつかの実施形態では、投与されるカグリリンチドの用量は、約3.6mgであり、セマグルチドの用量は、約7.2mgである。
【0166】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約4.0mgであり、セマグルチドの用量は、約8.0mgである。
【0167】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約7.2mgであり、セマグルチドの用量は、約14.4mgである。
【0168】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約8.0mgであり、セマグルチドの用量は、約16.0mgである。
【0169】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの維持用量は、約1.2mgであり、セマグルチドの維持用量は、約2.4mgである。
【0170】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの維持用量は、約2.25mgであり、セマグルチドの用量は、約4.5mgである。
【0171】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの維持用量は、約4.0mgであり、セマグルチドの維持用量は、約8.0mgである。
【0172】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの維持用量は、約8.0mgであり、セマグルチドの維持用量は、約16.0mgである。
【0173】
いくつかの実施形態では、アミリン受容体作動薬対GLP-1受容体作動薬の比は、約1:1である。いくつかの実施形態では、カグリリンチド対セマグルチドの比は、約1:1である。
【0174】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.25mgであり、セマグルチドの用量は、約0.25mgである。
【0175】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約0.5mgであり、セマグルチドの用量は、約0.5mgである。
【0176】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約1.0mgであり、セマグルチドの用量は、約1.0mgである。
【0177】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約1.7mgであり、セマグルチドの用量は、約1.7mgである。
【0178】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約2.4mgである。
【0179】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの維持用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの維持用量は、約2.4mgである。
【0180】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約4.5mgであり、セマグルチドの用量は、約4.5mgである。
【0181】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約8.0mgであり、セマグルチドの用量は、約8.0mgである。
【0182】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約16.0mgであり、セマグルチドの用量は、約16.0mgである。
【0183】
いくつかの実施形態では、アミリン受容体作動薬対GLP-1受容体作動薬の比は、1:1~1:7である。
【0184】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約2.4~16.0mgである。
【0185】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約3.6~16.0mgである。
【0186】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約2.4~13.5mgである。
【0187】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約3.6~13.5mgである。
【0188】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約3.6mgである。
【0189】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約4.8mgである。
【0190】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約6.0mgである。
【0191】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約6.9mgである。
【0192】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約7.2mgである。
【0193】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約8.0mgである。
【0194】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約2.4mgであり、セマグルチドの用量は、約12mgである。
【0195】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドの用量は、約3.4mgであり、セマグルチドの用量は、約13.5mgである。
【0196】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドおよびセマグルチドは、0.25mgの初期用量で週1回投与され、次いで、0.5mg、1.0mg、および1.7mgの後続投与レベルに、週1回の2.4mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0197】
いくつかの実施形態では、0.25mgのカグリリンチドおよびセマグルチドは、週1回投与され、4週間毎に、0.5mg、1.0mg、および1.7mgの後続投与レベルに、週1回の2.4mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0198】
いくつかの実施形態では、0.25mgのカグリリンチドおよびセマグルチドは、週1回投与され、4週間毎に、0.5mg、1.0mg、および1.7mgの後続投与レベルに、週1回の2.4mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0199】
いくつかの実施形態では、0.25mgのカグリリンチドおよび0.25mgのセマグルチドは、週1回、4週間(0~3週目)投与され、4週間毎に、0.5mgのカグリリンチドおよび0.5のセマグルチド(4~7週目)、1.0mgのカグリリンチドおよび1.0のセマグルチド(8~11週目)、ならびに1.7mgのカグリリンチドおよび1.7mgのセマグルチド(12~15週目)の後続投与レベルに、週1回の2.4mgのカグリリンチドおよび2.4mgのセマグルチドの目標/維持用量に達するまで(16週目およびその後)漸増される。
【0200】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドおよびセマグルチドは、0.25mgの初期用量で週1回投与され、次いで、0.5mg、1.0mg、1.7mg、および2.4mgの後続投与レベルに、週1回の4.5mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0201】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドおよびセマグルチドは、0.25mgの初期用量で週1回投与され、次いで、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mg、3.6mg、および4.5mgの後続投与レベルに、週1回の7.2mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0202】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドおよびセマグルチドは、0.25mgの初期用量で週1回投与され、次いで、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mg、3.6mg、4.5mg、および7.2mgの後続投与レベルに、週1回の8.0mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0203】
いくつかの実施形態では、カグリリンチドおよびセマグルチドは、0.25mgの初期用量で週1回投与され、次いで、0.5mg、1.0mg、1.7mg、2.4mg、3.6mg、4.5mg、7.2mg、および8.0の後続投与レベルに、週1回の16.0mgの目標/維持用量に達するまで漸増される。
【0204】
本明細書では、数値または間隔に関して示される特定の値は、特定の値であるか、または近似値(量が重量によって提供され得るとき、例えば、特定の値のプラスもしくはマイナス10、15、または20パーセント;pHが測定されるとき、例えば、プラスもしくはマイナス0.4)であると解釈され得る。
【0205】
以下は、本発明の実施形態の非限定的な一覧である。
【0206】
実施形態
1.アミリン受容体作動薬と、GLP-1受容体作動薬と、ヒドロキシプロピル置換を含むシクロデキストリンとを含む液体医薬製剤。
2.GLP-1受容体作動薬が、アミリン受容体作動薬の最適なpHと不適合である等電点を有する、実施形態1に記載の液体医薬製剤。
3.GLP-1受容体作動薬およびアミリン受容体作動薬の最適なpHが、少なくとも約2つのpH単位、例えば、2~5のpH単位、例えば、2~4のpH単位、例えば、3~5のpH単位だけ異なる、実施形態1または2に記載の液体医薬製剤。
4.アミリン受容体作動薬の最適なpHが、3.5~4.5、例えば、約4.0である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の液体医薬製剤。
5.当該アミリン受容体作動薬が、カグリリンチドである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の医薬製剤。
6.当該GLP-1受容体作動薬が、6.5未満、例えば、6.0未満、例えば、3.5~6.0、例えば、3.0~5.0、例えば、3.8~4.9の等電点を有する、実施形態1~5のいずれか1つに記載の液体医薬製剤。
7.当該GLP-1受容体作動薬が、セマグルチドである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の医薬製剤。
8.当該シクロデキストリンが、6個の環配置グルコース単位を含むヒドロキシプロピル置換アルファ型、および/または7個の環配置グルコース単位を含むヒドロキシプロピル置換ベータ型である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の医薬製剤。
9.当該シクロデキストリンが、6個の環配置グルコース単位を含むヒドロキシプロピル置換アルファ型のものである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の医薬製剤。
10.当該シクロデキストリンが、7個の環配置グルコース単位を含むヒドロキシプロピル置換ベータ型のものである、実施形態1~9のいずれか1つに記載の医薬製剤。
11.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり最大約1.0のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の医薬製剤。
12.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり最大約0.92のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~11のいずれか1つに記載の医薬製剤。
13.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり最大約0.75のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の医薬製剤。
14.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり最大約0.68のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の医薬製剤。
15.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり最小約0.4のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の医薬製剤。
16.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり最小約0.58のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の医薬製剤。
17.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり約0.58~1.0のヒドロキシプロピルを含む、実施形態1~16のいずれか1つに記載の医薬製剤。
18.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり平均(MS)0.62~0.92のヒドロキシプロピルを含む、実施形態17に記載の医薬製剤。
19.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり平均(MS)約0.62~0.84のヒドロキシプロピルを含む、実施形態17に記載の医薬製剤。
20.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり平均(MS)約0.62のヒドロキシプロピルを含む、実施形態17に記載の医薬製剤。
21.当該シクロデキストリンが、グルコース単位当たり約0.4~0.75のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり約0.58~0.68のヒドロキシプロピルを含む、実施形態17に記載の医薬製剤。
22.約10~25%w/vのシクロデキストリンを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の医薬製剤。
23.10%w/v超のシクロデキストリンを含む、実施形態1~22のいずれか1つに記載の医薬製剤。
24.22%w/v未満のシクロデキストリンを含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の医薬製剤。
25.20%w/v未満のシクロデキストリンを含む、実施形態1~24のいずれか1つに記載の医薬製剤。
26.約10~20%w/vの当該シクロデキストリンを含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の医薬製剤。
27.約10~17.5%w/vのシクロデキストリンを含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の医薬製剤。
28.約12~18%w/vのシクロデキストリンを含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の医薬製剤。
29.約11.25~15%w/vのシクロデキストリンを含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の医薬製剤。
30.約15%w/vのシクロデキストリンを含む、実施形態1~29のいずれか1つに記載の医薬製剤。
31.少なくとも約1mg/mlの当該GLP-1受容体作動薬を含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の医薬製剤。
32.最大約22mg/mlの当該GLP-1受容体作動薬を含む、実施形態1~31のいずれか1つに記載の医薬製剤。
33.約1~12mg/mlのGLP-1受容体作動薬を含む、実施形態1~32のいずれか1つに記載の医薬製剤。
34.少なくとも約1mg/mlの当該アミリン受容体作動薬を含む、実施形態1~33のいずれか1つに記載の医薬製剤。
35.最大約22mg/mlのアミリン受容体作動薬を含む、実施形態1~34のいずれか1つに記載の医薬製剤。
36.約1~12mg/mlのアミリン受容体作動薬を含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の医薬製剤。
37.0.25~22mg/mlのカグリリンチドを含む、実施形態1~36のいずれか1つに記載の医薬製剤。
38.0.25~22mg/mlのセマグルチドを含む、実施形態1~37のいずれか1つに記載の医薬製剤。
39.0.25~22mg/mlのカグリリンチドおよび0.25~22mg/mlのセマグルチドを含む、実施形態1~38のいずれか1つに記載の医薬製剤。
40.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチドを含む、実施形態1~39のいずれか1つに記載の医薬製剤。
41.等張化剤をさらに含むが、ただし、等張化剤が塩化ナトリウムではないことを条件とする、実施形態1~40のいずれか1つに記載の医薬製剤。
42.当該等張化剤が、マンニトール、ソルビトール、もしくはトレハロース、またはそれらの組み合わせである、実施形態41に記載の医薬製剤。
43.当該等張化剤が、マンニトールである、実施形態42に記載の医薬製剤。
44.約16.5~37.5mg/ml、例えば、約20mg/mlの濃度のマンニトールを含む、実施形態43に記載の医薬製剤。
45.当該等張化剤が、ソルビトールである、実施形態41に記載の医薬製剤。
46.約10~40mg/ml、例えば、約10~30mg/ml、例えば、約16~28mg/ml、例えば、約16.5~37.5mg/ml、例えば、約16.5~25mg/ml、例えば、約16~24mg/ml、例えば、約24mg/ml、例えば、約20mg/ml、例えば、約16mg/ml、例えば、約12mg/mlの濃度のソルビトールを含む、実施形態45に記載の医薬製剤。
47.当該等張化剤が、トレハロースである、実施形態41に記載の医薬製剤。
48.約33~75mg/ml、例えば、約33~45mg/ml、例えば、約38mg/mlの濃度のトレハロースを含む、実施形態47に記載の医薬製剤。
49.約5.0~7.0の少なくとも1つのpKaを有する緩衝剤をさらに含む、実施形態1~48のいずれか1つに記載の医薬製剤。
50.ヒスチジン、クエン酸塩、および/またはリン酸塩から成る群から選択される緩衝剤をさらに含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の医薬製剤。
51.最大30mMの緩衝剤を含む、実施形態1~50のいずれか1つに記載の医薬製剤。
52.約3~30mMのクエン酸塩を含む、実施形態1~51のいずれか1つに記載の医薬製剤。
53.約3~30mMのヒスチジン、例えば、3~15mMのヒスチジン、例えば、3~10mMのヒスチジン、例えば、約6mMのヒスチジンを含む、実施形態1~52のいずれか1つに記載の医薬製剤。
54.約3~30mMのリン酸塩を含む、実施形態1~53のいずれか1つに記載の医薬製剤。
55.界面活性剤をさらに含む、実施形態1~54のいずれか1つに記載の医薬製剤。
56.当該界面活性剤が、ポリソルベート20および/またはポリソルベート80である、実施形態55に記載の医薬製剤。
57.最大約2.0mg/mlのポリソルベート20および/またはポリソルベート80を含む、実施形態56に記載の医薬製剤。
58.最大約1.5mg/mlのポリソルベート20および/またはポリソルベート80を含む、実施形態57に記載の医薬製剤。
59.当該界面活性剤が、ポリソルベート80である、実施形態58に記載の医薬製剤。
60.pHが、約5.5~6.5、好ましくは5.6~6.0、例えば、約5.7、例えば、約pH5.8、例えば、約5.9、例えば、約6.0である、実施形態1~59のいずれか1つに記載の医薬製剤。
61.少なくとも75%w/wの水、例えば、約80%w/wの水、例えば、約85%w/wの水、例えば、最大約90%w/wの水を含む、実施形態1~60のいずれか1つに記載の医薬製剤。
62.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり最小約0.4のヒドロキシプロピルおよびグルコース単位当たり最大約1.0のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリン、ヒスチジン、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~61のいずれか1つに記載の医薬製剤。
63.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり0.58~1.0のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリン、ヒスチジン、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~62のいずれか1つに記載の医薬製剤。
64.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり平均0.62~0.92のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリン、ヒスチジン、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~63のいずれか1つに記載の医薬製剤。
65.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり平均0.62~0.84のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリン、ヒスチジンおよび/またはクエン酸塩、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~64のいずれか1つに記載の医薬製剤。
66.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり平均0.62~0.68のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリン、ヒスチジンおよび/またはクエン酸塩、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~65のいずれか1つに記載の医薬製剤。
67.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり平均0.62のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型のシクロデキストリン、ヒスチジンおよび/またはクエン酸塩、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~66のいずれか1つに記載の医薬製剤。
68.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり最大約0.75のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり約0.4~0.75のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン、ヒスチジン、ソルビトール、ポリソルベート80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.5~6.5のpHを有する、実施形態1~67のいずれか1つに記載の医薬製剤。
69.有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、グルコース単位当たり最大約0.75のヒドロキシプロピル、例えば、グルコース単位当たり約0.4~0.75のヒドロキシプロピルを含むヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン、ヒスチジンおよび/またはクエン酸塩、ソルビトール、ポリソルベート20および/または80、ならびに約75~90%w/wの水から本質的に成り、かつ5.6~6.0のpHを有する、実施形態1~68のいずれか1つに記載の医薬製剤。
70.-有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、
-ヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型の10~20%w/vシクロデキストリンなどの、10%w/v超および22%w/v未満のシクロデキストリン(グルコース単位当たり0.58~1.0ヒドロキシプロピル)、
-約3~30mMのヒスチジン、
-約10~40mg/mlのソルビトール、
-最大2.0mg/mlのポリソルベート20および/または80、
-5.6~6.0のpH、好ましくはpH5.8、
-注射用水から本質的に成る、実施形態1~69のいずれか1つに記載の医薬製剤。
71.-有効量のカグリリンチドおよびセマグルチド、
-グルコース単位当たり平均0.62~0.84のヒドロキシプロピルを含む、ヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型の10~20%w/vシクロデキストリンなどの、10%w/v超および22%w/v未満のシクロデキストリン、
-約3~30mMのヒスチジンおよび/またはクエン酸塩、
-約10~40mg/mlのソルビトール、
-最大2.0mg/mlのポリソルベート20および/または80、
-5.6~6.0のpH、好ましくはpH5.8、
-注射用水から本質的に成る、実施形態1~70のいずれか1つに記載の医薬製剤。
72.-0.25~22mg/mlのカグリリンチド、
-0.25~22mg/mlのセマグルチド、
-ヒドロキシプロピル置換アルファおよび/またはベータ型の10~20%w/vシクロデキストリンなどの、10%w/v超および22%w/v未満のシクロデキストリン(グルコース単位当たり0.58~1.0ヒドロキシプロピル)、
-約6mMのヒスチジン、
-約10~40mg/mlのソルビトール、
-最大2.0mg/mlのポリソルベート20および/または80、
-5.6~6.0のpH、好ましくはpH5.8、
-注射用水から本質的に成る、実施形態1~71のいずれか1つに記載の医薬製剤。
73.医薬として使用するための、実施形1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
74.27以上、例えば、30以上の初期ボディマス指数(BMI)を有する対象者の治療に使用するための、実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
75.27以上の初期ボディマス指数(BMI)および少なくとも1つの体重関連併存疾患を有する対象者の治療に使用するための、実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
76.少なくとも1つの体重関連併存疾患の存在下で、30kg/m2以上(肥満)または27kg/m2以上(過体重)の初期ボディマス指数(BMI)を有する成人対象者における慢性的な体重管理のために、低カロリー食および身体活動の増加の補助として使用するための、実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
77.当該併存疾患が、糖尿病および/または心血管疾患および/またはNASHである、実施形態73~76のいずれか1つに記載の使用。
78.II型糖尿病などの糖尿病を有する対象者の治療に使用するための、実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
79.2型糖尿病を有する成人における血糖管理を改善するための食事および運動の補助として使用するための、実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
80.心血管疾患の治療および/または予防に使用するための、実施形態1~72のうちのいずれか1つに記載の医薬製剤。
81.NASHの治療および/または予防に使用するための、実施形態1~72のうちのいずれか1つに記載の医薬製剤。
82.アルツハイマー病などによって引き起こされる認知障害の治療および/または予防に使用するための、実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
83.製剤が非経口注射によって投与されることを特徴とする、実施形態73~82のいずれか1つに記載の使用のための実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
84.製剤が皮下注射によって投与されることを特徴とする、実施形態73~82のいずれか1つに記載の使用のための実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
85.製剤がおよそ週1回投与されることを特徴とする、実施形態73~84のいずれか1つに記載の使用のための実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
86.投与されるカグリリンチドの用量対投与されるセマグルチドの用量の比が、約1:1である、実施形態73~85のいずれか1つに記載の使用のための実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
87.投与されるカグリリンチドの用量対投与されるセマグルチドの用量の比が、1:1~1:7である、実施形態73~85のいずれか1つに記載の使用のための実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
88.投与されるカグリリンチドの用量対投与されるセマグルチドの用量の比が、約1:2である、実施形態73~85のいずれか1つに記載の使用のための実施形態1~72のいずれか1つに記載の医薬製剤。
【実施例】
【0207】
実施例1:カグリリンチドの化学的安定性に対するヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(HP-B-CD)の効果
この実施例は、カグリリンチドを化学的に安定化させるHP-B-CDの能力を示し、化学的安定性は、カグリリンチド純度およびカグリリンチド関連高分子量タンパク質(HMWP)に関して測定される。
【0208】
カグリリンチドは、pH4.0で最適に安定しており、その化学分解速度は、典型的には、pHの増加とともに加速する。驚くべきことに、安定なカグリリンチド製剤は、HP-B-CDで製剤化されたとき、pH6で得られた。
【0209】
組成物
カグリリンチド製剤1、2、および3の組成物を表1に示す。
【表1】
【0210】
調製プロセス
各カグリリンチド製剤を、最初に賦形剤を水中に溶解し、次いで、賦形剤溶液中にカグリリンチド原薬を溶解することによって調製した。溶液をpH調整し、水を添加して、所望の最終体積に達した後、0.22μmの滅菌フィルターを通した濾過によって滅菌した。濾過後、製剤を1mlのプレフィルドシリンジに充填した。
【0211】
方法
試料を37℃で最大21日間貯蔵した。14日後および21日後、試料を分析して、HMWPおよびカグリリンチド純度レベルを決定した。
【0212】
共有結合したHMWPのレベルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して定量化した。試料を、500mMの塩化ナトリウム、10mMのリン酸二水素ナトリウム一水和物、5mMのオルトリン酸塩、および50%(v/v)のイソプロパノールから成るアイソクラティック溶出で、WATERS HMWPカラム(7.8×300mm)を使用して分析した。クロマトグラフィーを、10μlの注射体積および0.5ml/分の流量を使用して、50℃でUV検出(215nm)を用いて行った。HMWPを、主ピークの面積で割った主ピーク×100%の前に溶出する全ての構成成分の面積として定量化した。
【0213】
逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UHPLC)を使用して、カグリリンチド純度を決定した。試料を、90%v/vの0.09Mリン酸塩溶液、pH3.6および10%v/vのアセトニトリルから成る溶出液A、ならびに60%v/vのアセトニトリルおよび20%v/vのイソプロパノールから成る溶出液Bの勾配溶出を用いるKinetex C18、1.7μm、100Å、カラム(2.1×150mm)を使用して分析した。クロマトグラフィーを、2~7.5μlの注射体積および0.25ml/分の流量を使用して、60℃でUV検出(215nm)を用いて行った。純度を、全てのピークの面積で割った主ピークの面積×100%として評価した。
【表2】
【0214】
結論
表2は、カグリリンチドが37℃およびpH4.0で貯蔵されたとき、HMWPが形成されず、カグリリンチド純度のわずかな減少のみが見られたことを示す。対照的に、pHが6.0である場合、HMWP形成速度およびカグリリンチド純度の減少は加速した。驚くべきことに、この急速な化学分解は、製剤へのHP-B-CDの添加によって対抗され、pH6でカグリリンチドを製剤化することを可能にした。
【0215】
実施例2:セマグルチドの物理的安定性に対するHP-B-CDの効果
この実施例は、ペプチドフィブリルを形成する傾向を有するセマグルチドを物理的に安定化させるHP-B-CDの能力を示す。効果は、セマグルチドが最適以下のpHで製剤化されたときに明らかであった。
【0216】
組成物
セマグルチド製剤1、2、および3の組成物を表3に示す。
【表3】
【0217】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0218】
方法
物理的安定性を定量化するために使用されるパラメータであるペプチドフィブリルを凝集および形成するセマグルチドの傾向を、チオフラビンT(ThT)蛍光ストレスアッセイを使用して測定した。ペプチドフィブリルの存在に関する分析は、ThTプローブの蛍光特性に基づくものであり、これは、非結合状態/天然ペプチド結合状態では低い蛍光を示すが、ペプチドフィブリルに結合したときには高い蛍光を示し、ならびにフィブリル結合すると最大の蛍光の波長における赤色シフトを示す。
【0219】
2つの試料をプールし、1400μlの試料を28μlの1mM ThTストック溶液に添加し、次いで、そのうちの200μlを、ガラスビーズが入った96ウェルマイクロタイタープレート上の6つの異なるウェルに移した。アッセイを、それぞれ450nmおよび480nmを使用して、励起および発光の両方のためのモノクロメーターを装備したBMG CLARIOstar蛍光プレートリーダー上で、40℃で169時間、二重軌道振盪および300rpmの速度で実行した。ラグタイムは、ThT蛍光の増加として示される、フィブリル化が生じるまで実験の開始から測定された。
【表4】
【0220】
結論
セマグルチド製剤をせん断応力誘発条件に供し、ペプチドフィブリルを形成するセマグルチドの傾向を測定した。驚くべきことに、HP-B-CDの存在は、セマグルチドペプチドフィブリル形成を阻害することが見出された。セマグルチドをpH6で、HP-B-CD(セマグルチド製剤1)の非存在下で製剤化したとき、2.35時間後にフィブリル化が発生し、すなわち、セマグルチドは物理的に安定ではなかった。しかしながら、セマグルチドをpH6で、HP-B-CD(セマグルチド製剤2)の存在下で製剤化したとき、実験の期間全体を通してフィブリル化は観察されず、すなわち、セマグルチドは物理的に安定であった。さらに、セマグルチドの物理的安定性は、pH6で、HP-B-CD(セマグルチド製剤2)の存在下で製剤化したとき、HP-B-CDの非存在下であるが、pH7.4(セマグルチド製剤3)に関してその最適な製剤条件で製剤化されたときのセマグルチドの物理的安定性と同等であることが見出された。
【0221】
実施例3:セマグルチドの化学的安定性に対するHP-B-CDの効果
この実施例は、セマグルチドを化学的に安定化させるHP-B-CDの能力を示し、化学的安定性は、セマグルチド純度およびセマグルチド関連高分子量タンパク質(HMWP)に関して測定される。
【0222】
組成物
実施例2と同じ製剤を使用した。
【0223】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0224】
方法
HMWPおよびセマグルチド純度のレベルを、37℃で、0日、14日、および21日間の貯蔵後に決定した。
【0225】
試料を、90%v/vの0.09Mリン酸塩溶液、pH3.6および10%v/vのアセトニトリルから成る溶出液A、ならびに60%v/vのアセトニトリルおよび20%v/vのイソプロパノールから成る溶出液Bの勾配溶出を用いるKinetex C18、2.6μm、カラム(4.6×150mm)を使用して分析する、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して、セマグルチド純度を決定した。クロマトグラフィーを、10~100μlの注射体積および0.7ml/分の流量を使用して、30℃でUV検出(210nm)を用いて行った。純度を、全てのピークの面積で割った主ピークの面積×100%として定量化した。
【0226】
共有結合したHMWPのレベルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定した。試料を、300mMの塩化ナトリウム、10mMのリン酸二水素ナトリウム、5mMのオルトリン酸塩、および50%v/v 2-プロパノールから成るアイソクラティック溶出で、Waters SEC 1.7μmカラム(4.6×150mm)を使用して分析した。クロマトグラフィーを、1~10μlの注射体積および0.3ml/分の流量を使用して、50℃でUV検出(280nm)を用いて行った。HMWPを、主ピークの面積で割った主ピーク×100%の前に溶出する全ての構成成分の面積として定量化した。
【表5】
【0227】
結論
表5の結果は、セマグルチドの化学的純度が経時的に減少したことを示す。セマグルチドの化学的純度は、pH6.0(セマグルチド製剤1)で製剤化されたとき、その最適なpH7.4(セマグルチド製剤3)で製剤化されたときよりも急速に減少した。驚くべきことに、HP-B-CDは、pH6.0(セマグルチド製剤2)で製剤化されたとき、セマグルチドの化学的安定性(純度低下およびHMWP形成に関して)を改善した。
【0228】
実施例4:カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対するHP-B-CDのモル置換の効果
この実施例は、カグリリンチドおよびセマグルチドの物理的安定性に対するHP-B-CDモル置換の効果を示す。
【0229】
組成物
共製剤1および共製剤2の組成物を表6に示す。
【表6】
【0230】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0231】
方法
全ての試料を、以下のように定義されるストレス条件下で貯蔵した。
-期間:28日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0232】
存在するサブビジブル粒子の数は、組み合わせたカグリリンチドおよびセマグルチドの物理的安定性を定量化し、マイクロフローイメージング(MFI、例えば、MFI技法の原理についてはSharma,D.K.et al.AAPS J.(2010),12:455-464を参照されたい)によって取得した。以下の手順を各分析したシリンジ試料に採用した。実験を周囲温度で行った。最初にプランジャーを除去し、次いで、液体を試料容器にピペッティングすることによって、各シリンジからの液体を取り出した。試料を96深ウェルプレートに移し、これを、標準Protein Simple MFI(商標)100μmフローセルを装備したProtein Simple MFI(商標)5200装置の試料ハンドリングユニット(Bot1)に挿入した。試料を、標準MFIシステム設定によって分析し、液体がフローセルに接続された貯蔵部にピペッティングされ、液体が10 LED光源(470nm)によって照射され、(倍率光学系を介した)デジタルカメラが、実験全体を通してフローセルの内容物を明視野像として記録したことを意味する。データ収集を、Protein Simple MVSSソフトウェアを使用して達成した。実験全体からの記録された画像ストリームを、検証されたNovo Nordisk専有ソフトウェアMFI Data Validatorによって処理し、個々の粒子の数(分析した液体1ml当たりの計数に対して正規化)を得、サブビジブル粒子の標準サイズ範囲である>5μm、>10μm、および>25μmのサイズ毎に提示した。>5μmである粒子の数は、直径5μmを超える全ての粒子(>5μm、>10μm、および>25μm)を含み、>10μmである粒子の数は、直径10μmを超える全ての粒子(>10μmおよび>25μm)を含むことに留意されたい。粒径は、等価円直径(ECD)として定義される。
【0233】
アミロイドペプチドフィブリルの存在をチオフラビン-T(ThT)蛍光アッセイで分析した。実験を25℃で行った。最初にプランジャーを除去し、次いで、液体を試料容器にピペッティングすることによって、各シリンジからの液体を取り出した。続いて、500μlの試料を、別個の試料容器中のおよそ9μlのThTストック溶液と混合して、20μMの最終ThT濃度を得た。試料を暗所で、周囲温度で25分間インキュベートした。200μlの試料を96ウェルマイクロタイタープレート中のウェルに移した。試料を、それぞれ、440nmおよび470~550nmを使用して、励起および発光の両方のためのモノクロメーターを装備したBMG CLARIOstar蛍光プレートリーダー上で測定した。
【0234】
データ収集を、CLARIOstar Controlソフトウェアを使用して達成した。本アッセイにおける発光最大値は、
およそ485nmの波長で発生することが観察され、したがって、各分析の結果は、相対蛍光単位(RFU)で表される、485nmでのThT蛍光として報告された。
【表7】
【0235】
結論
表7の結果は、HP-B-CD(平均MS:0.62)を含む共製剤2において生成された粒子が最も少なかったことを示す。さらに、実験の28日間の期間の間、共製剤2の場合、サブビジブル粒子の数またはThT蛍光の増加は見られなかった。
【0236】
対照的に、HP-B-CD(平均MS:0.92)を含む共製剤1の場合、21日後にサブビジブル粒子数の増加が見られ、28日後にThT蛍光の増加が見られた。
【0237】
セマグルチドおよびカグリリンチドのこの別様に同一のクエン酸塩緩衝共製剤では、HP-B-CDを含む共製剤(2)(平均MS:0.62)は、HP-B-CDを含む共製剤(1)(平均MS:0.92)よりも物理的に安定であった。
【0238】
実施例5:セマグルチドの化学的安定性に対するヒドロキシプロピル-B-シクロデキストリン濃度の効果
この実施例は、セマグルチドの化学的安定性に対するHP-B-CDの濃度依存的効果を示す。
【0239】
組成物
共製剤3、共製剤4、および共製剤5の組成物を表8に示す。
【表8】
【0240】
調製
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0241】
方法
試料を37℃で28日間貯蔵し、そこで試料を分析して、14、21、および28日後のセマグルチドの化学的純度を決定した。
【0242】
試料を、MQ水中の0.09%TFAから成る溶出液Aと、MQ水中の0.09%TFA、MQ水中の80%アセトニトリル中の0.09%TFAから成る溶出液Bとの勾配溶出で、Waters Acquityフェニル-ヘキシル1.7μmカラム(2.1×150mm)を使用して分析した、逆相超高速液体クロマトグラフィー(RP-UHPLC)を使用してセマグルチドの純度を決定した。クロマトグラフィーを、2~14μlの注射体積および0.25ml/分の流量を使用して、62℃でUV検出(215nm)を用いて行った。純度を、全ての関連するピークの面積で割ったセマグルチドの主ピークの面積×100%として評価した。
【0243】
他の実験では、同じ方法を使用して、カグリリンチド純度を決定したことに留意されたい。
【表9】
【0244】
結論
表9の結果は、セマグルチドの化学的安定性、およびしたがって純度もHP-B-CD濃度に依存したことを示す。セマグルチドは、全ての共製剤(11.25~15%w/vのHP-B-CDを含む)において化学的に安定であった。しかしながら、セマグルチドの化学的安定性、およびしたがって純度は、共製剤が15%w/vのHP-B-CDを含む場合に最も高かった。
【0245】
実施例6:共製剤の物理的安定性に対する異なる等張化剤の効果
この実施例は、別様に同一のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対する異なる等張化剤の安定化効果を示す。
【0246】
組成物
共製剤6~共製剤12の組成物を表10に示す。
【表10】
【0247】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0248】
方法
全ての試料を、以下のように定義されるストレス条件下で貯蔵した。
・期間:18日
・温度:37℃±2℃
・ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転を週に5日で100回行った。
【0249】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表11】
【0250】
結論
表11の結果は、サブビジブル粒子数が、等張化剤としてNaClを含む共製剤(共製剤12)において最も急速に増加したことを示す。7日後、粒子数は、他の共製剤について決定された粒子数を大幅に超えた。したがって、7日後にNaCl含有共製剤について、サブビジブル粒子の数の分析のためのサンプリングを中止した。
【0251】
14日後、グリセロールおよびスクロースを含む共製剤において、サブビジブル粒子数の増加が見られ、2つの共製剤は、物理的安定性に関して同等であるとみなされた。粒子数は、マンニトール、ソルビトール、またはトレハロースを含んでいた共製剤において最も低いままであった。これらの共製剤では、共製剤がストレス条件下で貯蔵された18日間、サブビジブル粒子の数の増加は実質的に見られなかった。
【0252】
試験した共製剤のうち、等張化剤としてマンニトール、ソルビトール、またはトレハロースを含む製剤は、経時的に最も安定なままであった。
【0253】
実施例7:共製剤の物理的安定性に対する異なる界面活性剤の効果
この実施例は、別様に同一のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対する異なる界面活性剤の効果を示す。
【0254】
組成物
共製剤13、共製剤14、および共製剤15の組成物を表12に示す。
【表12】
【0255】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0256】
方法
全ての試料を、以下のように定義されるストレス条件下で貯蔵した。
・期間:17日
・温度:37℃±2℃
・ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転を週に5日で100回行った。
【0257】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表13】
【0258】
結論
共製剤14は、ストレス条件下で17日間貯蔵されたとき、最も少ない数のサブビジブル粒子を含んでいた。ポリソルベート20を含む共製剤13では、14日後にサブビジブル粒子の増加が観察され、一方でポロキサマー188を含む共製剤15では、ストレス条件で7日後にサブビジブル粒子が形成される。ポリソルベート80を含む共製剤が最も安定していること、およびポリソルベート20を含む共製剤もまた許容可能に安定していることは明らかである。
【0259】
実施例8:共製剤の物理的安定性に対する異なる緩衝物質の効果
この実施例は、緩衝物質が、別様に同一のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対する効果を有することを示す。
【0260】
組成物
共製剤1および共製剤16の組成物を表14に示す。
【表14】
【0261】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0262】
方法
全ての試料を、以下のように定義されるストレス条件下で貯蔵した。
○期間:21日
○温度:37℃±2℃
○ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転を週に5日で100回行った。
【0263】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表15】
【0264】
結論
ストレス条件下で貯蔵されてから14日目まで、2つの共製剤の物理的安定性は類似しており、許容可能であった。しかしながら、18日後、クエン酸塩緩衝共製剤(共製剤1)中のサブビジブル粒子の数は、ヒスチジン緩衝共製剤(共製剤16)中の数よりもはるかに多かった。ヒスチジン緩衝共製剤16は、最も安定であった。
【0265】
実施例9:共製剤化学的安定性に対する異なる緩衝剤濃度の効果
この実施例は、別様に同一の共製剤の化学的安定性に対する緩衝剤濃度の効果を示す。
【0266】
組成物
共製剤17および共製剤18の組成物を表16に示す。
【表16】
【0267】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0268】
方法
試料を、30℃で21日間貯蔵して分析し、7、14、および21日後に、カグリリンチドの化学的純度を決定した。カグリリンチドの純度を、実施例5(セマグルチドについて)に記載されるように決定した。
【表17】
【0269】
結論
表17の結果は、両方の共製剤が安定であったことを示す。しかしながら、カグリリンチドの化学的純度は、共製剤17において最も高かった。カグリリンチドの純度は、ヒスチジン濃度が20mMであったとき、経時的により急速に減少した。
【0270】
実施例10:共製剤の物理的安定性に対する異なる緩衝剤濃度の効果
この実施例は、共製剤の物理的安定性に対するヒスチジン緩衝剤濃度の効果を示す。
【0271】
組成物
試験した共製剤の組成物は、表16に示すとおりである。
【0272】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0273】
方法
全ての試料を、以下のように定義されるストレス条件下で貯蔵した。
・期間:18日
・温度:37℃±2℃
・ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転を週に5日で100回行った。
【0274】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表18】
【0275】
結論
共製剤17および18の物理的安定性の差は、14日後に最も明らかになった。表18のデータは、共製剤18(20mMのヒスチジンを含む)に見られるサブビジブル粒子の数が、共製剤17(6mMのヒスチジンを含む)に見られるサブビジブル粒子の数よりも多いことを示す。すなわち、6mMのヒスチジンを含む共製剤は、最も物理的に安定であった。
【0276】
実施例11:皮下注射時の皮下耐性に対するHP-B-CD濃度の効果
この実施例は、皮下注射時の皮下組織に対するHP-B-CDの濃度依存的効果を示す。
【0277】
組成物
様々なHP-B-CD濃度で調製された試験した共製剤ビヒクルの組成物を表19に示す。
【表19】
【0278】
調製プロセス
医薬活性成分の添加を控えたことを除いて、製剤を実施例1に記載されるように調製した。
【0279】
方法
HP-B-CDを含む製剤の皮下投与時の局所(皮下)耐性を、25Gサイズの針および5mmのストッパーを装備したシリンジを使用して、600μlの皮下投与の6日後(剖検)に得られた皮膚病変の評価により、5匹の生きたランドレース×ヨークシャー×デュロック(LYD)ブタで研究した。2×2cmのサイズの皮膚試料を剖検で収集し、中性緩衝ホルマリン中で固定し、マルチナイフを使用してトリミングし、パラフィン包埋し、4μmの薄い切片に切断し、ガラススライドに載せ、その後、ヘマトキシリン-エオシン(HE)染色した。皮下組織壊死のレベルを、光学顕微鏡を使用して評価し、数値スケールでスコア化し、コード1は「壊死なし」を反映し、コード4は「中等度の壊死」を反映している。各共製剤ビヒクルについて、合計5つの皮膚試料を実施した。しかしながら、壊死の評価に成功するために皮下組織をスライシングすることの変動により、全ての注射部位にスコアを割り当てることができたわけではない。
1、壊死なし
2、最小の壊死
3、軽度の壊死
4、中等度の壊死
【0280】
10%w/v~20%w/vのHP-B-CDを含む等張性共製剤ビヒクル調製物を、皮下注射時に誘発された皮下壊死のレベルについて評価した。結果を表20に提示する。
【表20】
【0281】
結論
共製剤ビヒクル中のHP-B-CD濃度の増加と注射部位での壊死との間に相関が観察された。一事例では、20%w/vのHP-B-CDを含む共製剤ビヒクルは、注射部位で中程度の皮下壊死を生じた。20%w/v未満のHP-B-CDを含む製剤は全て、注射部位で軽度または最小の皮下壊死のみを生じさせる。10~20%w/vのHP-B-CDを含む全ての共製剤ビヒクルは、許容可能な程度まで忍容性であり、10~17.5%w/vのHP-B-CDを含むものが好ましい。
【0282】
実施例12:皮下注射時の皮下耐性に対する異なる等張化剤の効果
この実施例は、別様に同一の等張性共製剤ビヒクルにおける3つの異なる等張化剤(ソルビトール、マンニトール、およびトレハロース)のうちのいずれか1つの局所耐性に対する効果を示す。
【0283】
組成物
試験した共製剤ビヒクルの組成物を表21に示す。
【表21】
【0284】
調製プロセス
医薬活性成分の添加を控えたことを除いて、製剤を実施例1に記載されるように調製した。
【0285】
方法
HP-B-CDおよび3つの異なる等張化剤を含む等張性ビヒクル調製物の皮下投与からの局所耐性を、600μlのビヒクル調製物の皮下投与から生じる皮膚反応の評価によって、2匹の生きたランドレース×ヨークシャー×デュロック(LYD)ブタで研究した。調製物を、25Gサイズの針および5mmのストッパーを装備したシリンジを使用して注射した。注射の約24時間後に剖検を行い、2×2cmのサイズの皮膚試料を中性緩衝ホルマリン中で固定し、マルチナイフを使用して4μmの切片にトリミングし、パラフィン包埋し、その後HE染色した。2つの試料について、皮下組織壊死、炎症性細胞浸潤、および出血分布の重症度を、光学顕微鏡を使用して訓練された毒物病理学者によって評価し、数値スケールでスコア化したが、コード1は「異常なし」を反映し、コード3は「軽度の重症度」を反映している。
1、異常なし
2、最小の重症度
3、軽度の重症度
【表22】
【0286】
結論
表22に提示されるデータは、全体的に、ソルビトールが、最も少ない重度の壊死、炎症性細胞浸潤、および出血をもたらした等張化剤であったことを示す。これらの観察により、ソルビトールが、医薬活性成分を含む共製剤の良好かつ許容可能な皮下忍容性を得るために好ましい等張化剤であることが確認される。
【0287】
実施例13:ヒスチジン緩衝製剤中の等張化剤タイプの効果、および皮下注射時の皮下耐性に対するクエン酸塩緩衝製剤の効果の確認
この実験では、以下を調べる。
(1)皮下注射時に、別様に同一のヒスチジン緩衝共製剤の局所耐性プロファイルに対して等張化剤のタイプが有する効果、および
(2)皮下注射時の、等張化剤を含まないクエン酸塩緩衝製剤との共製剤の局所耐性プロファイルに対する効果。
【0288】
組成物
評価された共製剤の組成物を表23aおよび23bに記載する。
【表23】
【表24】
【0289】
調製プロセス
共製剤19および21を、実施例1に記載されるように調製した。医薬活性成分の添加を控えたことを除いて、共製剤ビヒクル21を実施例1に記載されるように調製した。
【0290】
方法
表23aおよび23bに記載される共製剤の皮下投与時の局所耐性を、25Gサイズの針および5mmのストッパーを装備したシリンジを使用して、750μlの試料サイズの皮下投与の6日後(剖検)に得られた皮膚病変の評価により、8匹の生きたミニブタで研究した。2×2cmのサイズの皮膚試料を剖検で収集し、中性緩衝ホルマリン中で固定し、マルチナイフを使用してトリミングし、パラフィン包埋し、4μmの薄い切片に切断し、ガラススライドに載せ、その後、ヘマトキシリン-エオシン(HE)染色した。試料について、皮下組織壊死の重症度を、光学顕微鏡を使用して訓練された毒物病理学者によって評価し、数値スケールでスコア化したが、コード1は「異常なし」を反映し、コード5は「顕著な重症度」を反映している。
1、異常なし
2、最小の重症度
3、軽度の重症度
4、中等度の重症度
5、顕著な重症度
【0291】
壊死のスコアの結果を表24aおよび表24bに示す。
【表25】
【表26】
【0292】
結論
表24aに提示される結果は、製剤中に含まれる等張化剤のタイプが、そのインビボ局所忍容性に影響を及ぼすことを示す。等張化剤と注射部位で観察された皮下壊死との間に相関関係がある。トレハロースを含む共製剤19の皮下注射は、軽度の壊死(3のスコア)の2つの事象をもたらした。ソルビトールを含む共製剤20の皮下注射は、最小の壊死(2のスコア)のみをもたらし、これはより良好な結果である。これらの結果は、この別様に同一の共製剤ビヒクルの場合、15%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.62)およびソルビトールを含む共製剤が、15%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.62)およびトレハロースを含む共製剤よりも良好であることを確認する。
【0293】
表24bに提示される結果は、25%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.92)、クエン酸塩を含み、かつ等張化剤を含まない共製剤21ビヒクルで、顕著な壊死(5のスコア)の3つの事象が観察されたことを示し、皮下投与のためのこの特定の共製剤の不適切さを確認した。
【0294】
実施例14:カグリリンチドおよびセマグルチドの共製剤化の物理的および化学的安定性に対する、異なる型のヒドロキシプロピル置換シクロデキストリンの効果
この実施例は、別様に同一のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤における、サブビジブル粒子の形成およびカグリリンチドの化学分解に対するヒドロキシプロピル-アルファ-シクロデキストリン(HP-A-CD)、ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリン(HP-B-CD)、およびヒドロキシプロピル-ガンマ-シクロデキストリン(HP-G-CD)の効果を示す。
【0295】
組成物
共製剤22、23、および24の組成物を表25に示す。
【表27】
【0296】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0297】
方法
サブビジブル粒子数を決定するために使用された試料は、以下のとおりに定義されるストレス条件で貯蔵した。
-期間:42日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0298】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように決定した。
【0299】
カグリリンチドの純度を決定するために使用された試料を、37℃で最大42日間貯蔵した。試料を、90%v/vの0.09Mリン酸塩溶液、pH3.6および10%v/vのアセトニトリルから成る溶出液A、ならびに60%v/vのアセトニトリルおよび20%v/vのイソプロパノールから成る溶出液Bの勾配溶出を用いるKinetex C18、2.6μm、カラム(4.6×150mm)を使用して分析する、以下の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を使用して、カグリリンチドの純度を決定した。クロマトグラフィーを、10~100μlの注射体積および0.7ml/分の流量を使用して、30℃でUV検出(210nm)を用いて行った。カグリリンチドの純度を、全ての関連するピークの面積で割った主ピークの面積×100%として定量化した。
【0300】
同じ方法を使用して、他の実験におけるセマグルチドの純度を決定した。
【表28】
【表29】
【0301】
結論
表26に提示される結果は、共製剤24(HP-G-CD)において、多数のサブビジブル粒子が、既に時間ゼロで観察され、これにより、カグリリンチドおよびセマグルチドを共製剤化するためのHP-G-CDの使用が妨げられることを示す。サブビジブル粒子数の分析のためのサンプリングは、時間ゼロでの初回分析後に、HP-G-CDを含む共製剤24について中止した。共製剤22(HP-A-CD)および共製剤23(HP-B-CD)については、サブビジブル粒子の数の増加は実質的に観察されなかった。
【0302】
HP-A-CDまたはHP-B-CDのいずれかを用いたカグリリンチドの化学的純度について表27に提示される結果は、HP-B-CDを含む共製剤23におけるよりも、HP-A-CDを含む共製剤22におけるカグリリンチド純度のわずかにより急速な減少を示す。
【0303】
表26の結果に基づいて、HP-A-CDまたはHP-B-CDのいずれかは、カグリリンチドおよびセマグルチドの共製剤に許容可能である。しかしながら、表27の結果に基づいて、HP-B-CDは、HP-B-CDで製剤化されたときのカグリリンチドの優れた純度に起因して、カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤についてHP-A-CDと比較して好ましい。
【0304】
実施例15:カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的および化学的安定性に対するHP-B-CDのモル置換度の効果
この実施例は、別様に同一のクエン酸塩緩衝カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤における、サブビジブル粒子の形成、HMWPレベル、およびセマグルチドの化学的純度に対するHP-B-CDのモル置換の効果を示す。
【0305】
組成物
共製剤25~32の組成物を表28に示す。
【表30】
【0306】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0307】
方法
サブビジブル粒子数を決定するために使用された試料は、以下のとおりに定義されるストレス条件で貯蔵した。
-期間:28日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0308】
サブビジブルの数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【0309】
セマグルチドの純度およびHMWPレベルを決定するために使用された試料を、37℃で最大28日間貯蔵した。セマグルチドの純度を、実施例14のように決定した。
【0310】
共有結合したHMWPのレベルを、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を使用して決定した。試料を、185mMの塩化ナトリウム、5mMのリン酸二水素ナトリウム一水和物、3mMのオルトリン酸塩、および47%(v/v)イソプロパノールから成るアイソクラティック溶出で、Waters SEC 1.7μmカラム(4.6×150mm)を使用して分析した。クロマトグラフィーを、1~8μlの注射体積および0.3ml/分の流量を使用して、50℃でUV検出(215nm)を用いて行った。HMWPを、主ピークの面積で割った主ピーク×100%の前に溶出する全ての構成成分の面積として定量化した。
【表31】
【表32】
【表33】
【0311】
結論
表29、30、および31に提示される結果は、物理的安定性、HMWPの形成、およびセマグルチドの化学的純度が、クエン酸塩緩衝カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤で研究された場合、HP-B-CDのモル置換に依存することを示す。28日後、HMWPレベルは最も低く、25%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.62)を含む共製剤27において粒子数の増加は実質的になかった。対照的に、25%w/vのHP-B-CDを含む共製剤32(平均MS:1.08)では、わずか14日後にサブビジブル粒子数の大きな増加が観察され、28日後に最も高いレベルのHMWPが観察されたこともこの製剤において観察された。
【0312】
25%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.92以下)を含む全てのクエン酸塩緩衝カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤は、物理的および化学的に安定であり、25%w/vのHP-B-CDを含む共製剤は、0.68以下の平均MSを有し、最も安定である。
【0313】
わずか14日後、15%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.92)を含む共製剤26において、サブビジブル粒子数の増加が見られ、この特定の共製剤の物理的不安定性を示した。
【0314】
15%w/vのHP-B-CD(平均MS:0.62)を含む共製剤25は、許容可能な化学的および物理的安定性を示した。
【0315】
しかしながら、15%w/vのHP-B-CDを含むヒスチジン緩衝カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤33~37は、それらの優れた物理的安定性のために好ましい。緩衝剤としてのヒスチジンおよび等張化剤としてのソルビトールを用いて、好ましいHP-B-CDモル置換範囲を平均0.62~0.92(または合計0.58~1.0)に拡大した。
【0316】
実施例16:カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対するHP-B-CDのモル置換度の効果
この実施例は、別様に同一のヒスチジン緩衝カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤における、サブビジブル粒子のレベルに対するHP-B-CDのモル置換度の効果を示す。
【0317】
組成物
共製剤33~38の組成物を表32に示す。
【表34】
【0318】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0319】
方法
サブビジブル粒子の数を決定するために使用された試料は、以下のとおりに定義されるストレス条件で貯蔵した。
-期間:28日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0320】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表35】
【0321】
結論
表33に提示される結果は、広範囲のモル置換(平均MS:0.62~0.92)を有するHP-B-CDを含むヒスチジン緩衝共製剤33~37が、28日間物理的に安定したままであったことを示す。
【0322】
対照的に、HP-B-CD(平均MS 1.08)を含む共製剤38では、14日後に物理的に安定ではなかった。
【0323】
結果は、共製剤中のシクロデキストリンと他の賦形剤との間の相乗効果を示し、好ましい範囲のモル置換を拡大する(平均MS 0.62~0.92)。
【0324】
実施例17:共製剤の物理的安定性に対するベータ型のシクロデキストリン置換の効果
この実施例は、別様に同一のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対するスルホブチルエーテル-B-シクロデキストリン(SBE-B-CD)およびヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンの効果を示す。
【0325】
組成物
共製剤39および40の組成物を表36に示す。
【表36】
【0326】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0327】
方法
サブビジブル粒子の数を決定するために使用された試料は、以下のとおりに定義されるストレス条件で貯蔵した。
-期間:35日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0328】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表37】
【0329】
結論
表37の結果は、SBE-B-CDを使用してカグリリンチドおよびセマグルチドを共製剤化する場合、14日後にサブビジブル粒子の数の大きな増加が観察され、すなわち、共製剤は物理的に不安定であることを示す。代わりにHP-B-CDを使用する場合、研究の35日の期間の間、増加は実質的に観察されず、すなわち、共製剤は物理的に安定である。
【0330】
ヒドロキシプロピル-ベータ-シクロデキストリンについて示したものとは対照的に、これらの結果は、スルホブチルエーテル-B-シクロデキストリン(SBE-B-CD)が、カグリリンチドおよびセマグルチドの共製剤化に使用するのに好適なシクロデキストリンではないことを示す。
【0331】
実施例18:共製剤の物理的および化学的安定性に対するpHの効果
この実施例は、別様に同一のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的および化学的安定性に対するpHの効果を示す。
【0332】
組成物
共製剤41~45の組成物を表38に示す。
【表38】
【0333】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0334】
方法
サブビジブル粒子の数を決定するために使用された試料は、以下のとおりに定義されるストレス条件で貯蔵した。
-期間:28日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0335】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【0336】
カグリリンチドの純度を決定するために使用された試料を、37℃で最大28日間貯蔵した。カグリリンチドの純度を、実施例14に記載されるように決定した。
【表39】
【表40】
【0337】
結論
表39および40に提示される結果は、セマグルチドおよびカグリリンチドの物理的および化学的安定性が、製剤のpHに依存し、最も高いpHが、37℃で28日後に最も低いカグリリンチド純度をもたらし、最も低いpHが、14日後にサブビジブル粒子の数の増加をもたらすことを示す。これらの物理的および化学的安定性の結果に基づいて、この特定のカグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の好ましいpH範囲は、5.6~6.0であるが、5.5のpHは、許容可能な物理的安定性の共製剤をもたらさなかった。
【0338】
実施例19:共製剤の物理的安定性に対するカグリリンチドおよびセマグルチドの濃度比の効果
この実施例は、共製剤で観察されるサブビジブル粒子のレベルに対する、カグリリンチドおよびセマグルチドの異なる濃度比の効果を示す。
【0339】
組成物
ヒスチジン緩衝共製剤46~50の組成物を表41に示し、ヒスチジン緩衝共製剤51~61の組成物を表42に示す。
【表41】
【表42】
【0340】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0341】
方法
サブビジブル粒子の数を決定するために使用された試料は、以下のとおりに定義されるストレス条件で貯蔵した。
-期間:28日
-温度:30℃±2℃
-ストレス条件:貯蔵中、試料を360°反転させて、冷蔵貯蔵から出した患者の使用をシミュレートした。回転は、週に3日で20回、および週に2日で40回行った。
【0342】
サブビジブル粒子の数を、実施例4に記載されるように定量化した。
【表43-1】
【表43-2】
【0343】
結論
表43に提示される結果は、21日後に、3.2mg/mlのカグリリンチドおよび最大12mg/mlのセマグルチドを含む共製剤46~60では、サブビジブル粒子数の増加が実質的に見られなかったことを示す。
【0344】
14の後、3.2mg/mlのカグリリンチドおよび16mg/mlのセマグルチドを含む共製剤61について、サブビジブル粒子数の増加が見られた。
【0345】
3.2mg/mlのカグリリンチドおよび最大16mg/mlのセマグルチドを含む全てのヒスチジン緩衝共製剤46~61は、物理的に安定であった。
【0346】
実施例20:共製剤の物理的安定性に対するHP-B-CDの濃度の効果
この実施例は、共製剤が物理的ストレスに曝露されたときの、カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性に対するHP-B-CD濃度の効果を示す。
【0347】
組成物
ヒスチジン緩衝組成物との共製剤62~65の組成物を表44に示す。
【表44】
【0348】
調製プロセス
製剤を、実施例1に記載されるように調製した。
【0349】
方法
ペプチドフィブリルを凝集および形成するための共製剤中のカグリリンチドおよびセマグルチドの傾向を、実施例2に記載されるチオフラビンT(ThT)蛍光ストレスアッセイを使用して測定した。
【表45】
【0350】
結論
表45に提示される結果は、カグリリンチドおよびセマグルチド共製剤の物理的安定性が、HP-B-CDの濃度に依存し、濃度が低いほど、フィブリル化が起こるまでのより短いラグタイムをもたらすことを示す。7.5%w/vのHP-B-CDを含む共製剤は、最も安定ではなかった。15%w/vのHP-B-CDを含む共製剤は、最も安定であった。
【0351】
実施例21:HP-B-CD含有量およびモル置換度ならびに全体的な緩衝剤組成が異なる皮下注射されたビヒクル製剤のブタにおける局所耐性
この実験では、以下を調べた。
(1)皮下注射時に、HP-B-CD濃度および平均MS(0.62対0.92)が局所耐性プロファイルに及ぼした効果。
(2)皮下注射時に、製剤ビヒクルがHP-B-CDの存在下で局所耐性プロファイルに及ぼす効果。
【0352】
組成物
試験した共製剤ビヒクルの組成物を表46に示す。
【表46】
【0353】
調製プロセス
医薬活性成分を添加しなかったことを除いて、製剤を実施例1に記載されるように調製した。
【0354】
方法
HP-B-CDを含む製剤の皮下投与時の局所(皮下)耐性を、NovoFine Plus針(32G/4mm)を備えたNovoPen 4を使用して、200μlの皮下投与の5日後(剖検)に得られた皮膚病変の評価により、4匹の生きたランドレース×ヨークシャー×デュロック(LYD)ブタで研究した。2×2cmのサイズの皮膚試料を剖検で収集し、中性緩衝ホルマリン中で固定し、マルチナイフを使用してトリミングし、パラフィン包埋し、4μmの薄い切片に切断し、ガラススライドに載せ、その後、ヘマトキシリン-エオシン(HE)染色した。4つの試料について、皮下組織壊死および炎症性細胞浸潤の重症度を、光学顕微鏡を使用して訓練された毒物病理学者によって評価し、数値スケールでスコア化したが、コード1は「異常の検出なし」を反映し、コード5は「顕著な重症度」を反映している。
1、異常の検出なし
2、最小の重症度
3、軽度の重症度
4、中等度の重症度
5、顕著な重症度
【0355】
共製剤ビヒクルを、皮下注射時に誘発された皮下組織壊死および炎症性細胞浸潤のレベルについて評価した。結果を表47に提示する。
【表47】
【0356】
結論
表47の結果は、インビボ局所皮下忍容性が、HP-B-CDの濃度および全体的な緩衝剤組成に依存したことを示す。ヒスチジンおよびソルビトールを含む共製剤ビヒクルは、クエン酸塩を含むものよりも良好な忍容性を示した。
【0357】
20%w/v以下のHP-B-CDを含む共製剤ビヒクルは、主に壊死または炎症性細胞浸潤を全くもたらさなかったか、または最小でもたらし(1または2のスコア)、軽度の炎症性細胞浸潤(3のスコア)の単一の観察をもたらした。22%w/v以上のHP-B-CDを含む共製剤ビヒクルは全て、最小から中等度の壊死および炎症性細胞浸潤(最大4のスコア)をもたらした。これらの結果に基づいて、22%未満のHP-B-CDを含む共製剤は、皮下使用に好適であると思われる。
【0358】
20%w/vおよび22%w/vのHP-B-CDおよびクエン酸塩を含む共製剤ビヒクル(共製剤ビヒクル14および15)は、顕著な壊死および炎症性細胞浸潤(最大5のスコア)をもたらした。驚くべきことに、20%w/vおよび22%w/vのHP-B-CD、ヒスチジン、およびソルビトールを含む共製剤ビヒクル(共製剤ビヒクル10および11)は、より良好に忍容性であり、中等度の壊死および炎症性細胞浸潤(最大4のスコア)をもたらした。
【0359】
本発明のある特定の特徴が本明細書に例証および記載されているが、ここで、多くの修正、代用、変更、および均等物が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が本発明の真の趣旨の範囲内に含まれる全ての修正および変更を包含するよう意図されていることを理解されたい。
【国際調査報告】