IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジェイアイオー・プラットフォームズ・リミテッドの特許一覧

特表2024-515397ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図3A
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図3B
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図3C
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図3D
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図4A
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図4B
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図4C
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図4D
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図5
  • 特表-ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/182 20190101AFI20240403BHJP
   G06F 16/22 20190101ALI20240403BHJP
【FI】
G06F16/182
G06F16/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520010
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-05-26
(86)【国際出願番号】 IB2022052834
(87)【国際公開番号】W WO2022208312
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】202121014973
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
(71)【出願人】
【識別番号】523112747
【氏名又は名称】ジェイアイオー・プラットフォームズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ディリップ・クリシュナスワミ
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175AA01
5B175KA06
(57)【要約】
本開示は、ブロックチェーンネットワーク(BC-NW)における時空間データ分割のためのシステム及び方法に関する。システムは、BC-NWに記録するために、タスクに関連付けられる情報を備えるブロックチェーンデータを受信し、予め定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定する。システムは、BC-NWにおいて、決定された時間次元と空間次元に基づいて、時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当てる。システムは、単一の時空間分割に対して、割り当てられた時空間分割にわたって達成するためのタスクの到達データ処理レートを集約し、集約された到達データの処理が1つまたは複数の時空間分割にわたって実行されるべき場合、時空間分割にわたってBC-NWの階層構造内のデータを処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロックチェーンネットワーク(112)における時空間データ分割のためのシステム(110)であって、
プロセッサ(202)と、
前記プロセッサ(202)に結合されたメモリ(204)と
を備え、前記メモリ(204)が、プロセッサ実行可能命令を備え、前記プロセッサ実行可能命令が、実行時に、前記プロセッサ(202)に、
ブロックチェーンネットワーク(112)に記録するために、1つまたは複数のタスクに関連付けられる様々な種類の情報を備えるブロックチェーンデータを受信することと、
あらかじめ定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、前記受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定することと、
前記ブロックチェーンネットワーク(112)において、前記決定された時間次元と空間次元に基づいて、1つまたは複数の時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当てることと、
単一の時空間分割に対して、前記割り当てられた1つまたは複数の時空間分割にわたって達成するための前記1つまたは複数のタスクの到達データ処理レートを集約することと、
前記集約された到達データの前記処理が前記1つまたは複数の時空間分割にわたって実行されるべき場合、1つまたは複数の時空間分割にわたって前記ブロックチェーンネットワーク(112)の前記階層構造内のデータを処理することと
を行わせる、システム。
【請求項2】
前記プロセッサ(202)が、モビリティデータを備えるエッジブロックチェーンデータを処理するために、1つまたは複数のエッジ時空間分割を割り当てるようにさらに構成され、前記モビリティデータがハンドオーバを備える場合、前記1つまたは複数のエッジ時空間分割の各エッジ時空間分割が、前記エッジブロックチェーンデータの処理を第2のエッジ時空間分割にハンドオフする、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項3】
前記エッジブロックチェーンデータの処理のために、前記プロセッサ(202)が、
前記エッジブロックチェーンデータの前記処理中にセッションを管理するために、第1のエッジ時空間分割から前記時空間分割へのハンドオーバトリガの要求を送信することであって、前記時空間分割が、共通の時空間分割である、送信することと、
前記要求を受信すると、前記エッジブロックチェーンデータを処理し続けることによって、前記共通の時空間分割を介して1つまたは複数のエッジ時空間分割と対話し、前記モビリティデータに基づいて、第2のエッジ時空間分割を決定することと、
前記エッジブロックチェーンデータを前記共通の時空間分割から前記決定された第2のエッジ時空間分割に送信することと、
前記第2のエッジ時空間分割への前記モビリティデータのハンドオーバの成功に関して、前記共通の時空間分割を介して前記第1のエッジ時空間分割に通知することと
を行うようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム(110)。
【請求項4】
前記時空間分割が、前記ブロックチェーンネットワーク(112)内の前記時空間分割の各々における計算リソース、ストレージリソース、ネットワーク、要件、および制約のうちの少なくとも1つに基づいて割り当てられる、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項5】
前記階層構造におけるレベル内の前記時空間分割が、第1の接続を通じて接続され、前記レベル間の前記時空間分割が、第2の接続を通じて接続される、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項6】
動的分割メモリ(DPM)(313)からアーカイブ分割メモリ(APM)(311)に前記ブロックチェーンデータを定期的にアーカイブして、前記DPM(313)内のスペースを解放するために、前記到達データ処理レートが集約される、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項7】
前記ブロックチェーンデータの定期的なアーカイブが、前記1つまたは複数の時空間分割内のデータの前記到達データ処理レートに基づき、DPM(313)に記憶されている前記ブロックチェーンデータがしきい値に達すると、DPM(313)からの前記ブロックチェーンデータの一部が、前記APM(311)にアーカイブされる、請求項6に記載のシステム(110)。
【請求項8】
前記1つまたは複数の時空間分割が、集約セットに集約され、前記集約セットの前記1つまたは複数の時空間分割の集約された到達データ処理レートが、動的分割メモリ(DPM)(313)およびアーカイブ分割メモリ(APM)(311)によってサポートされる最大到達データ処理レート以下になる、請求項1に記載のシステム(110)。
【請求項9】
ブロックチェーンネットワーク(112)における時空間データ分割のための方法であって、
システム(110)に関連付けられるプロセッサ(202)によって、ブロックチェーンネットワーク(112)に記録するために、1つまたは複数のタスクに関連付けられる様々な種類の情報を備えるブロックチェーンデータを受信するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、あらかじめ定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、前記受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定するステップと、
前記プロセッサ(202)によって、前記ブロックチェーンネットワーク(112)において、前記決定された時間次元と空間次元に基づいて、1つまたは複数の時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当てるステップと、
前記プロセッサ(202)によって、単一の時空間分割に対して、前記割り当てられた1つまたは複数の時空間分割にわたって達成するための前記1つまたは複数のタスクの到達データ処理レートを集約するステップと、
前記集約された到達データの前記処理が前記1つまたは複数の時空間分割にわたって実行される場合、前記プロセッサ(202)によって、1つまたは複数の時空間分割にわたって前記ブロックチェーンネットワーク(112)の前記階層構造内のデータを処理するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記プロセッサ(202)によって、モビリティデータを備えるエッジブロックチェーンデータを処理するために、1つまたは複数のエッジ時空間分割を割り当てるステップをさらに含み、前記モビリティデータがハンドオーバを備える場合、前記1つまたは複数のエッジ時空間分割の各エッジ時空間分割が、前記エッジブロックチェーンデータの処理を第2のエッジ時空間分割にハンドオフする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記エッジブロックチェーンデータの前記処理が、
前記プロセッサ(202)によって、前記エッジブロックチェーンデータの前記処理中にセッションを管理するために、第1のエッジ時空間分割から前記時空間分割へのハンドオーバトリガの要求を送信することであって、前記時空間分割が、共通の時空間分割である、送信することと、
前記要求を受信すると、前記プロセッサ(202)によって、前記エッジブロックチェーンデータを処理し続けることによって、前記共通の時空間分割を介して1つまたは複数のエッジ時空間分割と対話し、前記モビリティデータに基づいて、第2のエッジ時空間分割を決定することと、
前記プロセッサ(202)によって、前記エッジブロックチェーンデータを前記共通の時空間分割から前記決定された第2のエッジ時空間分割に送信することと、
前記プロセッサ(202)によって、前記第2のエッジ時空間分割への前記モビリティデータのハンドオーバの成功に関して、前記共通の時空間分割を介して前記第1のエッジ時空間分割に通知することと
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記時空間分割が、前記ブロックチェーンネットワーク(112)内の前記時空間分割の各々における計算リソース、ストレージリソース、ネットワーク、要件、および制約のうちの少なくとも1つに基づいて割り当てられる、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記階層構造におけるレベル内の前記時空間分割が、第1の接続を通じて接続され、前記レベル間の前記時空間分割が、第2の接続を通じて接続される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
動的分割メモリ(DPM)(313)からアーカイブ分割メモリ(APM)(311)に前記ブロックチェーンデータを定期的にアーカイブして、前記DPM(313)内のスペースを解放するために、前記到達データ処理レートが集約される、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ブロックチェーンデータの定期的なアーカイブが、前記1つまたは複数の時空間分割内のデータの前記到達データ処理レートに基づき、DPM(313)に記憶されている前記ブロックチェーンデータがしきい値に達すると、DPM(313)からの前記ブロックチェーンデータの一部が、前記APM(311)にアーカイブされる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数の時空間分割が、集約セットに集約され、前記集約セットの前記1つまたは複数の時空間分割の集約された到達データ処理レートが、動的分割メモリ(DPM)(313)およびアーカイブ分割メモリ(APM)(311)によってサポートされる最大到達データ処理レート以下になる、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
権利の留保
この特許文書の開示の一部は、Jio Platforms Limited(JPL)またはその関連会社(以下、本所有者と呼ばれる)に属する、著作権、デザイン、商標、ICレイアウトデザイン、および/またはトレードドレス保護などの、ただし、これらに限定されない、知的財産権の対象となる資料を含む。本所有者は、特許商標庁の特許ファイルまたは記録に記載されているように、特許文書または特許開示のいかなる者による複写にも異議を唱えないが、それ以外の場合は、すべての権利を留保する。そのような知的財産に対するすべての権利は、本所有者によって完全に留保される。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、ブロックチェーンネットワークにおいてデータを分割することに関する。より具体的には、本開示は、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
以下の関連技術の説明は、本開示の分野に関する背景情報を提供することを意図している。このセクションは、本開示の様々な特徴に関連し得る当技術分野の特定の態様を含み得る。しかしながら、このセクションは、本開示に関する読者の理解を深めるためにのみ使用され、先行技術の自認として使用されないことを理解されたい。
【0004】
一般に、ブロックチェーンネットワークは、トランザクションを認証するための中央機関なしで、1人または複数の参加者間のトランザクションを記録する分散台帳ネットワークであり得る。企業は複数のプライベートブロックチェーンネットワークを有している場合があり、各ネットワークは特定のユースケース、部門、またはビジネス分野(business vertical)に特化している場合がある。ブロックチェーンネットワークの従来の構成では、台帳は複数のノードに分散され得、各ノードは完全なコピーを維持する。台帳のサイズは、ネットワークにおけるトランザクション数の増加に伴い増加し、その結果、ブロックチェーンネットワークの各ノードにおいてより多くのデータを処理および保存することになる。そのような場合、検証プロセスに時間がかかる可能性があるため、ノードを追加すると問題が悪化する。多数のデバイスとブロックチェーントランザクションをサポートするために、ブロックチェーンネットワークは、高度にスケーラブルで、高性能で、安全で、頻繁すぎるマイクロペイメントをサポートする必要がある場合がある。さらに、ブロックチェーンネットワークを拡張するために、シャーディング(sharding)などの技法が過去に開発された可能性がある。シャーディング技法は、ブロックチェーンネットワークの各ノードにおけるトランザクション負荷を軽減するために、ブロックチェーンネットワーク内のワークロード処理とデータストレージを分散させるためのメカニズムである可能性がある。特に、シャーディングでは、データは複数のサーバ間でシャード(shard)とも呼ばれる小さいチャンクに分割される場合があり、分割後、各ノードは個々のシャードに割り当てられる。したがって、各ノードはブロックチェーンネットワーク上のデータ全体の一部のみを処理する必要があり、それによりデータの並列処理が可能になる場合がある。その結果、特定の期間におけるトランザクション数を増やすことができる。したがって、シャーディングは、ブロックチェーンネットワーク内の各ノードにおいて処理されるデータ量を削減しながら、ブロックチェーンネットワークのパフォーマンスを向上させるために効果的であり、それによってブロックチェーンネットワークをスケーリングする。
【0005】
しかしながら、シャーディング技法では、各シャードは、より大きなシステムのセグメントではなく、個別のブロックチェーンネットワークとして機能し得、通信メカニズムを実装するために特別な開発作業が必要になるため、シャード間の通信が困難になる可能性がある。そのようなメカニズムを使用しても、シャード間通信によりオーバーヘッドが大きくなる可能性がある。したがって、あるドメインのユーザおよびアプリケーションは、別のドメインのユーザおよびアプリケーションと通信できない可能性がある。さらに、個々のセグメントを制御するために必要なハッシュパワーが低下するため、単一のシャードが簡単にハッキングされる可能性があるため、シャーディング技法にはセキュリティ上の問題もある可能性がある。シャーディング技法の実装形態により、ユーザはトランザクション履歴全体をダウンロードして検証できなくなり、それによって信頼性と不変性が損なわれる可能性がある。ブロックチェーンシャーディング技法のもう1つの課題は、コンセンサスおよび検証に関連付けられ得る。様々なブロックチェーン手法は、ノード間でコンセンサスに至るための様々なアルゴリズムに依存している。そのようなアルゴリズムの影響は、シャーディング技法の実装形態にも依存する場合がある。シャーディング技法を実装するためのそのような標準化された技法はない場合がある。ブロックサイズを大きくすることによって、上記の問題が軽減され得る。ブロックサイズの増加に伴い、より多くのトランザクションをブロックに対して実行することができる。しかしながら、ブロックサイズが大きくなると、ブロックを検証するためにより多くの計算能力が必要になる。H. Dangらによる「Towards Scaling Blockchain Systems via Sharding」、ACM Sigmod 2019年というタイトルの非特許文献文書は、シャーディング技法を介してブロックチェーンシステムをスケーリングする技法について説明している。本文書は、従来の分散データベースとブロックチェーンシステムとの間の障害モデルの根本的な違いによる問題を識別する。そのような問題を克服するために、引用文献は、コンセンサスプロトコルのパフォーマンスを向上させ、効率的なシャード形成プロトコルと一般的な分散トランザクションプロトコルを設計するための方法を提案する。さらに、引用文献は、複数のプラットフォームの両方で設計の広範な評価を提案している。しかしながら、引用文献は、上記の課題を克服するための効果的な解決策を提供していない。さらに、Y Taoらによる「On Sharding Open Blockchains with Smart Contracts」、2020年、IEEE 36th International Conference on Data Engineering (ICDE)というタイトルの非特許文献文書は、スマートコントラクトに基づいてブロックチェーンシステムのスループットを大幅に改善するための新しい分散型動的シャーディングシステムについて説明している。特に、引用文献は、小さいシャードをマージしてより大きいシャードを形成することを奨励するインセンティブを備えたシャード間マージアルゴリズムを提案している。しかしながら、引用文献は、上記の課題を克服するための効果的な解決策を提供していない。
【0006】
したがって、当技術分野では、ブロックチェーンネットワークにおいて時空間データを分割するための堅牢で信頼性が高く効率的なシステムおよび方法を提供する必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H. Dangらによる「Towards Scaling Blockchain Systems via Sharding」、ACM Sigmod 2019年
【非特許文献2】Y Taoらによる「On Sharding Open Blockchains with Smart Contracts」、2020年、IEEE 36th International Conference on Data Engineering (ICDE)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書における少なくとも1つの実施形態が満足する、本開示の目的のうちのいくつかは、本明細書の以下に列挙される通りである。
【0009】
一般的な態様では、本開示は、ブロックチェーンネットワークにおいて時空間データを分割するためのシステムおよび方法を提供する。
【0010】
一態様では、本開示の目的は、時空間分割全体でより高速な処理および同時処理を可能にすることである。
【0011】
別の態様では、本開示の目的は、ブロックチェーンネットワークの動的スケーリングを可能にする可変データ処理レートの下で動作するシステムおよび方法を提供することである。
【0012】
別の態様では、本開示の目的は、ブロックチェーンネットワークにおいて可変タスクの複雑さをサポートすることである。
【0013】
別の態様では、本開示の目的は、時空間分割の階層構造に基づいて時空間分割間の通信を可能にすることである。
【0014】
別の態様では、本開示の目的は、時空間分割の数と、単一の時空間分割の処理の到達レートと比較した時空間分割全体の同時タスク処理の総到達レートに基づいて、パフォーマンスの向上を提供することである。
【0015】
別の態様では、本開示の目的は、仮想化されたステートレスマイクロサービスベースのブロックチェーンネットワークにおいて形成される時空間分割を提供することであり、これにより、ブロックチェーンノードは、システムにおいて構成されたアクセス制御許可に基づいて、時空間分割全体でデータにアクセスし続けることができる。
【0016】
このセクションは、本発明の特定の目的および態様を簡単な形式で紹介するために提供され、これらは以下の詳細な説明でさらに説明される。この要約は、主張された主題の主要な特徴または範囲を識別することを意図したものではない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
一態様では、本開示は、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムを提供する。システムは、ブロックチェーンネットワークに記録するために、1つまたは複数のタスクに関連付けられる様々な種類の情報を備えるブロックチェーンデータを受信する。さらに、システムは、あらかじめ定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定する。さらに、システムは、ブロックチェーンネットワークにおいて、決定された時間次元と空間次元に基づいて、1つまたは複数の時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当てる。その後、システムは、単一の時空間分割に対して、割り当てられた1つまたは複数の時空間分割にわたって達成するための1つまたは複数のタスクの到達データ処理レートを集約する。さらに、システムは、集約された到達データの処理が1つまたは複数の時空間分割にわたって実行されるべき場合、1つまたは複数の時空間分割にわたってブロックチェーンネットワークの階層構造内のデータを処理する。
【0018】
別の態様では、本開示は、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のための方法をさらに提供する。本方法は、ブロックチェーンネットワークに記録するために、1つまたは複数のタスクに関連付けられる様々な種類の情報を備えるブロックチェーンデータを受信するステップを含む。さらに、本方法は、あらかじめ定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定するステップを含む。さらに、本方法は、ブロックチェーンネットワークにおいて、決定された時間次元と空間次元に基づいて、1つまたは複数の時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当てるステップを含む。その後、本方法は、単一の時空間分割に対して、割り当てられた1つまたは複数の時空間分割にわたって達成するための1つまたは複数のタスクの到達データ処理レートを集約するステップを含む。さらに、本方法は、集約された到達データの処理が1つまたは複数の時空間分割にわたって実行される場合、1つまたは複数の時空間分割にわたってブロックチェーンネットワークの階層構造内のデータを処理するステップを含む。
【0019】
本明細書に組み込まれ、本発明の一部を構成する添付の図面は、開示された方法およびシステムの例示的な実施形態を示しており、異なる図面を通して同様の参照番号は同じ部分を指す。図面中の構成要素は必ずしも縮尺通りではなく、代わりに本発明の原理を明確に示すことに重点が置かれている。いくつかの図面は、ブロック図を使用して構成要素を示している場合があり、各構成要素の内部回路を表していない場合がある。そのような図面の発明が、電気部品、電子部品、またはそのような部品を実装するために一般的に使用される回路の発明を含むことは、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本開示の一実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のために本開示のシステムを実装することができる、または本開示のシステムを用いて実装することができる、例示的なネットワークアーキテクチャを示す図である。
図2】本開示の一実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステムの例示的な表現を示す図である。
図3A】本開示の一実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける時空間分割にわたるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示す図である。
図3B】本開示の実施形態による、時空間分割にわたる可変データ処理レートにおけるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示す図である。
図3C】本開示の一実施形態による、計算要件に基づく、時空間分割の集約を伴う時空間分割にわたるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示す図である。
図3D】本開示の実施形態による、ストレージ考慮事項に基づく時空間分割の集約を伴う時空間分割にわたるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示す図である。
図4A】本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワーク内の2つのレベルの階層を有する時空間分割にわたる階層構造の例示的なフロー図表現を示す図である。
図4B】本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワーク内のネットワーク制約(NC)時空間(TS)分割間の通信の例示的なシーケンス図表現を示す図である。
図4C】本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける3つのレベルの階層を有する時空間分割にわたる階層構造の例示的なフロー図表現を示す図である。
図4D】本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおいて集約された処理が提供される時空間分割にわたる階層構造の例示的なフロー図表現を示す図である。
図5】本開示の一実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のための方法を示す例示的な方法フローチャートである。
図6】本開示の実施形態による、本発明の実施形態を利用することができる、または本発明の実施形態を用いて利用することができる、例示的なコンピュータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記は、本発明の以下のより詳細な説明から、より明らかになるであろう。
【0022】
以下の説明では、説明の目的で、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、様々な具体的な詳細が示される。しかしながら、本開示の実施形態が、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることは明らかであろう。以下に説明するいくつかの機能はそれぞれ、互いに独立して、または他の機能の任意の組合せとともに使用することができる。個々の機能は、上記の問題のすべてに対処していない場合や、上記の問題の一部のみに対処する場合がある。上記の問題のうちのいくつかは、本明細書に記載されている機能のいずれによっても完全に対処されない場合がある。
【0023】
以下の説明は、例示的な実施形態のみを提供するものであり、本開示の範囲、適用可能性、または構成を限定することを意図するものではない。むしろ、例示的な実施形態の以下の説明は、例示的な実施形態を実装するための有効な説明を当業者に提供する。説明した本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更が加えられてよいことを理解されたい。
【0024】
実施形態の完全な理解を提供するために、具体的な詳細が以下の説明において与えられる。しかしながら、これらの具体的な詳細なしに実施形態を実施され得ることは、当業者には理解されるであろう。たとえば、回路、システム、ネットワーク、プロセス、および他の構成要素は、不必要な詳細において実施形態を不明瞭にしないように、ブロック図形式の構成要素として示され得る。他の例では、よく知られている回路、プロセス、アルゴリズム、構造、および技法は、実施形態を不明瞭にすることを避けるために、不必要な詳細なしで示され得る。
【0025】
また、個々の実施形態は、フローチャート、フロー図、データフロー図、構造図、またはブロック図として示されるプロセスとして説明され得ることに留意されたい。フローチャートは動作を順次処理として説明している場合があるが、多くの動作は並行して、または同時に実行することができる。さらに、操作の順序を並べ替えることもできる。プロセスは、その動作が完了すると終了するが、図面には含まれていない追加のステップがある場合がある。プロセスは、方法、関数、プロシージャ、サブルーチン、サブプログラムなどに対応し得る。プロセスが関数に対応する場合、その終了は、呼出し関数またはメイン関数への関数の戻りに対応できる。
【0026】
「例示的(exemplary)」および/または「実証的(demonstrative)」という言葉は、本明細書では、例、実例、または例証として役立つことを意味するために使用される。誤解を避けるために、本明細書で開示される主題は、そのような例によって限定されない。さらに、「例示的」および/または「実証的」として本明細書に記載される任意の態様または設計は、必ずしも他の態様または設計よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではなく、当業者に知られている同等の例示的構造および技法を排除することを意味するものでもない。さらに、「含む(includes)」、「有する(has)」、「含有する(contains)」という用語、および他の同様の用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかにおいて使用される限りにおいて、そのような用語は、オープンな転換語(open transition word)としての「備えている(comprising)」という用語と同様の方法で、追加または他の要素を排除することなく、包括的であることを意図している。
【0027】
本明細書全体での「一実施形態(one embodiment)」または「ある実施形態(an embodiment)」または「ある例(an instance)」または「一例(one instance)」への言及は、実施形態に関連して説明された特定の特徴、構造、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な場所における「1つの実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」という語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0028】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」および/または「備えている」という用語は、記載された機能、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を排除しないことがさらに理解されるだろう。本明細書で使用される場合、「および/または(and/or)」という用語は、関連付けられるリスト項目の1つまたは複数の任意およびすべての組合せを含む。
【0029】
本開示の様々な実施形態は、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のシステムおよび方法を提供する。本開示は、時間次元と空間次元の両方にわたってブロックチェーンデータ処理の最適化を促進し、それによって、ブロックチェーンネットワーク内の時空間分割全体でより高速な処理および同時処理を促進する。特に、時空間分割に基づくブロックチェーンネットワークにおけるデータの処理により、ブロックチェーンノードは時空間分割全体の情報にアクセスできるようになる。提案されたシステムと方法を通じたパフォーマンスの向上は、時空間分割の数と、単一の時空間分割の処理の到達レートと比較した時空間分割全体の同時タスク処理の総到達レートに基づいて予期することができる。
【0030】
本開示の実施形態は、ネットワークの異なるノード間でトランザクションが実行され得るブロックチェーンネットワークなどの分散台帳ネットワークにおいて実装することができ、ノードはエンティティを参照することもできる。ピアツーピアネットワークとして実装されたブロックチェーンネットワークは、エンティティが安全で不変のトランザクションを実行できるようにする可能性がある。時空間分割により、ブロックチェーンノードは時空間分割全体の情報にアクセスすることができる。一実施形態では、時空間分割は、仮想化されたステートレスマイクロサービスベースのブロックチェーンネットワークにおいて形成され、これにより、ブロックチェーンノードは、システムにおいて構成されたアクセス制御許可に基づいて、時空間分割全体でデータにアクセスし続けることができる。
【0031】
時空間分割に基づく提案されたシステムと方法は、そのような時空間次元がユースケースで識別でき、異なるブロックチェーンのユースケースでも活用できる場合、可能な限り特定のユースケースごとにブロックチェーン処理を改善する。時空間分割の時空間次元は、ブロックチェーンネットワークにおけるデータ処理で考慮されるユースケースによって異なる場合がある。
【0032】
図1を参照すると、本開示の実施形態による、本開示のシステム(110)を実装することができる、またはそれを用いて実装することができる、時空間データ分割システム(100)(ネットワークアーキテクチャ(100)とも呼ばれる)の例示的なネットワークアーキテクチャが示されている。図示されるように、例示的なネットワークアーキテクチャ(100)は、1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104-1、104-2…104-N)(個別に第1のコンピューティングデバイス(104)と呼ばれ、まとめて第1のコンピューティングデバイス(104)と呼ばれる)に関連付けられるユーザ(102-1、102-2、…102-N)(個別にユーザ(102)と呼ばれ、まとめてユーザ(102)と呼ばれる)から受信されたブロックチェーンデータに基づいて、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のためのシステム(110)を備えることができる。システム(110)は、エンティティ(114)に関連付けられる第2のコンピューティングデバイス(108)にさらに動作可能に結合され得る。エンティティ(114)は、ベンダ、ネットワークオペレータ、会社、組織、大学、研究所施設、企業、防衛施設、または任意の他の安全な施設を含み得る。いくつかの実装形態では、システム(110)はまた、第2のコンピューティングデバイス(108)に関連付けられ得る。さらに、システム(110)はまた、通信ネットワーク(106)を介して1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)に通信可能に結合され得る。通信ネットワーク(106)は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどの様々な種類のネットワークのうちの1つとして実装することができるワイヤレスネットワーク、ワイヤードネットワーク、またはそれらの組合せを含み得る。さらに、通信ネットワーク(106)は、専用ネットワークまたは共有ネットワークのいずれであってもよい。共有ネットワークは、たとえば、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)など、様々なプロトコルを使用できる様々な種類のネットワークの関連付けを表すことができる。
【0033】
いくつかの実装形態では、1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)および第2のコンピューティングデバイス(108)は、これらに限定されないが、ハンドヘルドワイヤレス通信デバイス(たとえば、モバイル電話、スマートフォン、ファブレットデバイスなど)、ウェアラブルコンピュータデバイス(たとえば、ヘッドマウントディスプレイコンピュータデバイス、ヘッドマウントカメラデバイス、リストウォッチコンピュータデバイスなど)、全地球測位システム(GPS)デバイス、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、あるいは別の種類のポータブルコンピュータ、メディア再生デバイス、ポータブルゲームシステム、および/またはワイヤレス通信機能を備えた任意の他の種類のコンピューティングデバイスなどを含み得る。
【0034】
いくつかの実装形態では、システム(110)は、ブロックチェーンネットワーク(112)に結合され得る。単一のブロックチェーンネットワークが図1に示されているが、複数のブロックチェーンネットワークが、本明細書で説明される時空間データ分割機能のために利用され得ることが理解される。ブロックチェーンネットワーク(112)はまた、通信ネットワーク(106)を通じて、1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)および第2のコンピューティングデバイス(108)に動作可能に結合され得る。図1に示されるように、ブロックチェーンネットワーク(112)は、本開示の少なくとも1つの実施形態による例示的な例である。ブロックチェーンネットワーク(112)は、ブロックを有する単純化されたブロックチェーンを示している。ブロックは、ジェネシスブロックを含み得る。各ブロックは、ブロックを一意に識別するIDまたはハッシュ、前のブロックを時系列で識別するタイムライン(たとえば、前のブロックのハッシュ番号)、送信者と受信者の間のすべての転送を記録するトランザクションなどの特定の情報、および少なくとも1人の送信者と少なくとも1人の受信者を識別する公開鍵を含み得る。したがって、リンクされたブロックはチェーンを形成し、チェーン内の各リンクまたはブロックは、ハッシュまたは前のリンク、あるいはブロックを含めることによって、前のリンクまたはブロックを一意に識別する。ブロックチェーンネットワーク(112)、おそらく分散型台帳、またはブロックチェーンは、ネットワーク上で分散または複製され得る。分散型台帳は、基盤となるブロックチェーンネットワーク(112)内のデータベース上で複製および維持され得る。ブロックチェーンネットワーク(112)(または、分散型セキュアトランザクション台帳)は、分散ネットワーク内のノードによって維持され得る。ブロックチェーンネットワーク(112)/台帳の各ブロックは、差別化された情報を含み得、異なる目的があり得るが、各ブロックは、これらに限定されないが、通信、メッセージ、情報、データなどを含み得る。
【0035】
図1は、ネットワークアーキテクチャ(100)の例示的な構成要素を示しているが、他の実装形態では、ネットワークアーキテクチャ(100)は、図1に示されているよりも少ない構成要素、異なる構成要素、異なる配置の構成要素、または追加の機能構成要素を含み得る。さらに、あるいはネットワークアーキテクチャ(100)の1つまたは複数の構成要素は、ネットワークアーキテクチャ(100)の1つまたは複数の他の構成要素によって実行されるとして説明された機能を実行し得る。
【0036】
いくつかの実装形態では、システム(110)はスタンドアロンデバイスであってもよく、コンピューティングデバイス(図1には図示せず)および/または中央サーバ(図1には図示せず)に通信可能に結合されてもよい。別の実装形態では、システム(110)は、コンピューティングデバイスまたは集中型サーバに関連付けられてもよい。システム(110)は、電子デバイス、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤードデバイス、サーバなどに実装され得るが、これらに限定されない。そのようなサーバは、スタンドアロンサーバ、リモートサーバ、クラウドサーバ、専用サーバなどを含み得るが、これらに限定されない。一実施形態では、システム(110)は、Bluetooth(登録商標)などの低ポイントツーポイント通信プロトコルを使用して、他のデバイスあるいは1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)または第2のコンピューティングデバイス(108)、あるいはブロックチェーンネットワーク(112)と通信し得る。他の実施形態では、システムはまた、WiFi(登録商標)、WiMax(登録商標)、iBeacon(登録商標)、および近距離無線通信(NFC)などの、他の様々なプロトコルおよび技術を介して通信し得る。他の実施形態では、システム(110)はワイヤード方式でデバイスに接続し得る。エンティティデバイスの例は、コンピュータモニタ、テレビセット、発光ダイオード(LED)、および液晶ディスプレイ(LCD)を含み得るが、これらに限定されない。
【0037】
一実施形態では、システム(110)は、メモリに結合された1つまたは複数のプロセッサを含み得、メモリは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、システム(110)に通信展開エリアにおける輻輳の決定を実行させることができる命令を記憶し得る。本開示の一実施形態による、電気通信展開エリア内の輻輳を決定するためのシステム(110)の例示的な表現が、図2に示されている。一態様では、システム(110)は、1つまたは複数のプロセッサ(202)を含むことができる。1つまたは複数のプロセッサ(202)は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、マイクロコントローラ、エッジまたはフォグマイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、中央処理装置、論理回路、および/あるいは動作指示に基づいてデータを処理する任意のデバイスとして実装され得る。他の機能の中でも、1つまたは複数のプロセッサ(202)は、システム(110)のメモリ(204)に記憶されたコンピュータ可読命令をフェッチして実行するように構成され得る。メモリ(204)は、ネットワークサービスを介してデータパケットを作成または共有するためにフェッチおよび実行され得る、非一時なコンピュータ可読ストレージ媒体に1つまたは複数のコンピュータ可読命令あるいはルーチンを記憶するように構成され得る。メモリ(204)は、たとえば、RAMなどの揮発性メモリ、またはEPROM、フラッシュなどの不揮発性メモリを含む、任意の非一時的ストレージデバイスを備え得る。
【0038】
一実施形態では、システム(110)はインターフェース(206)を含み得る。インターフェース(206)は、様々なインターフェース、たとえば、I/Oデバイス、ストレージデバイスなどと呼ばれる、データ入力および出力デバイス用のインターフェースを備え得る。インターフェース(206)は、システム(110)の通信を容易にし得る。インターフェース(206)はまた、システム(110)の1つまたは複数の構成要素のための通信経路を提供し得る。そのような構成要素の例は、処理ユニット/エンジン(208)およびデータベース(210)を含むが、これらに限定されない。
【0039】
処理ユニット/エンジン(208)は、処理エンジン(208)の1つまたは複数の機能を実装するために、ハードウェアとプログラミング(たとえば、プログラム可能な命令)の組合せとして実装され得る。本明細書で説明する例では、ハードウェアとプログラミングのそのような組合せは、いくつかの異なる方法で実装され得る。たとえば、処理エンジン(208)のプログラミングは、非一時的機械可読ストレージ媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令であってもよく、処理エンジン(208)のハードウェアは、そのような命令を実行するために、処理リソース(たとえば、1つまたは複数のプロセッサ)を備えていてもよい。本例では、機械可読ストレージ媒体は、処理リソースによって実行されると、処理エンジン(208)を実装する命令を記憶し得る。そのような例では、システム(110)は、命令を記憶する機械可読ストレージ媒体と、命令を実行するための処理リソースとを含んでもよく、機械可読ストレージ媒体は別個であるが、システム(110)および処理リソースにアクセス可能であってもよい。他の例では、処理エンジン(208)は、電子回路によって実装され得る。
【0040】
処理エンジン(208)は、受信モジュール(212)、決定モジュール(214)、割当てモジュール(216)、集約モジュール(218)、処理モジュール(220)、および他のモジュール(222)のいずれかから選択された1つまたは複数のモジュール/エンジンを含み得る。処理エンジン(208)はさらに、エッジベースのマイクロサービスイベント処理であってもよいが、それに限定されない。
【0041】
一実施形態では、受信モジュール(212)は、ブロックチェーンネットワーク(112)に記録するために、1つまたは複数のタスクに関連付けられる様々な種類の情報を備えるブロックチェーンデータを受信し得る。一実施形態では、様々な種類の情報は、これらに限定されないが、センサデータ/情報、石油データ/情報、電気通信情報、異なるグループのユーザに関する情報を含み、これらは都市、地区などの地理的領域に基づいて分割され、異なる時空間分割において処理することができる。別の例では、パンデミックの管理などのヘルスケアアプリケーションの分野では、追跡情報をローカルの時空間分割に記録することができる。ローカルの時空間分割は、領域全体でのパンデミックの影響を分析し、検査結果、または回復/失敗の入院プロセス、あるいは治療技法などの情報を記録するために処理するために、出稼ぎ労働者、下層/中層/上層階級のセグメント、または最前線の医療従事者などの人口統計に基づいて、および都市、村、州、連邦直轄領などの様々な地理的領域にわたって、または年齢に基づいてデータを記録し得る。地理的領域に基づく時空間分割データは、エッジ時空間分割において動的に記録され、共通分割において集約される。一実施形態では、pub-sub通知は、共通の時空間次元、たとえば、異なる地理的領域における高齢者人口統計または子供人口統計にわたって通信し、時空間分割にわたって情報を転送するように構成され得る。別の実施形態では、機械学習(ML)モデルは、記録されるデータの任意のサブセットに対して構成され得る。例示的な実施形態では、医療機器またはキットの入手可能性の低下の傾向を決定するためにサプライチェーン情報を分析することができ、これにより、異なる時空間分割にわたる医療機器またはキットの再配布が可能になる。たとえば、必要に応じて、医療機器やキットを移送するためにドローンなどの航空機が使用され得る。一実施形態では、特定の時空間分割において医療機器またはキットに対する高い需要がある場合、需要は別の近くの時空間分割から補充され得る。
【0042】
一実施形態では、階層構造における情報の集約処理は、地理的領域における都市や村などの様々なサブ地域のTS分割においてブロックチェーンデータを処理することによって、州や国などの地理的領域に基づいて、TS分割全体で実行することができる。時空間分割全体の集約処理は、比較のために必要な場合、またはTS分割全体のローカルメトリックと集約メトリックの重み付けされた組合せを実行する機械学習予測モデルを生成するために、TS分割に伝達することができる。
【0043】
一実施形態では、様々な種類の情報は、他のブロックチェーンのユースケース/分野も同様に参照し得る。例示的な実施形態では、異なるサプライチェーンのブロックチェーンデータを異なる時空間分割に記録することができる。さらに、同じサプライチェーンの様々なセグメントのブロックチェーンデータは、様々な時空間分割に記録され得、時空間分割全体でデータを処理するために、接続を通じて情報が転送される。
【0044】
一実施形態では、1つまたは複数のタスクは、ブロックチェーンネットワーク(112)に適用可能な任意のタスクを指す場合があり、これは、これらに限定されないが、集約、融合、階層的機械学習、連合学習マイクロサービスなどを含む。たとえば、1つまたは複数のタスクは、t=a通信エリアにおける第1のコンピューティングデバイス(104)のユーザ(102)のハンドオーバに関連するデータを記憶し得る。さらに、タスクは、パンデミックを管理すること、情報を追跡することなどを含み得る。別の例では、タスクは、ブロックチェーンネットワーク(112)に任意の種類のデータを記録することを含み得る。
【0045】
一実施形態では、決定モジュール(214)は、あらかじめ定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定し得る。一実施形態では、割当てモジュール(216)は、ブロックチェーンネットワーク(112)において、決定された時間次元と空間次元に基づいて、1つまたは複数の時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当て得る。時空間分割は、ブロックチェーンネットワーク内の時空間分割の各々における計算リソース、ストレージリソース、およびネットワーク、要件、ならびに制約のうちの少なくとも1つに基づいて割り当てられ得る。階層構造におけるレベル内の時空間分割は第1の接続を通じて接続され得、レベル間の時空間分割は第2の接続を通じて接続される。
【0046】
さらに、集約モジュール(218)は、単一の時空間分割に対して、割り当てられた1つまたは複数の時空間分割にわたって達成するための1つまたは複数のタスクの到達データ処理レートを集約し得る。さらに、処理モジュール(220)は、集約された到達データの処理が1つまたは複数の時空間分割にわたって実行される場合、1つまたは複数の時空間分割にわたってブロックチェーンネットワーク(112)の階層構造内のデータを処理し得る。一実施形態では、動的分割メモリ(DPM)からアーカイブ分割メモリ(APM)にブロックチェーンデータを定期的にアーカイブして、DPM内のスペースを解放するために、到達データ処理レートが集約され得る。さらに、ブロックチェーンデータの定期的なアーカイブは、1つまたは複数の時空間分割内のデータの到達データ処理レートに基づくことができ、DPMに記憶されているブロックチェーンデータがしきい値に達すると、DPMからのブロックチェーンデータの一部がAPMにアーカイブされる。一実施形態では、1つまたは複数の時空間分割は、集約セットに集約され、集約セットの1つまたは複数の時空間分割の集約された到達データ処理レートが、動的分割メモリ(DPM)およびアーカイブ分割メモリ(APM)によってサポートされる最大到達データ処理レート以下になる。
【0047】
一実施形態では、割当てモジュール(216)は、モビリティデータを備えるエッジブロックチェーンデータを処理するために、1つまたは複数のエッジ時空間分割を割り当てることができる。モビリティデータがハンドオーバを備える場合、1つまたは複数のエッジ時空間分割の各エッジ時空間分割は、エッジブロックチェーンデータの処理を第2のエッジ時空間分割にハンドオフする。エッジブロックチェーンデータの処理のために、プロセッサ(202)は、エッジブロックチェーンデータの処理中にセッションを管理するために、第1のエッジ時空間分割から時空間分割へのハンドオーバトリガの要求を送信し得る。時空間分割は、共通の時空間分割である。さらに、プロセッサ(202)は、要求を受信すると、エッジブロックチェーンデータを処理し続けることによって、共通の時空間分割を介して1つまたは複数のエッジ時空間分割と対話し、モビリティデータに基づいて、第2のエッジ時空間分割を決定し得る。さらに、プロセッサ(202)は、エッジブロックチェーンデータを共通の時空間分割から決定された第2のエッジ時空間分割に送信し得る。さらに、プロセッサは、第2のエッジ時空間分割へのモビリティデータのハンドオーバの成功に関して、共通の時空間分割を介して第1のエッジ時空間分割に通知し得る。
【0048】
一実施形態では、システム(110)は、システムオンチップ(SoC)システムであってもよいが、これに限定されない。別の実施形態では、オンサイトのデータキャプチャ、ストレージ、マッチング、処理、意思決定、および作動ロジックは、マイクロサービスアーキテクチャ(MSA)を使用してコード化され得るが、それに限定されない。複数のマイクロサービスがコンテナ化されてもよく、可搬性をサポートするためにイベントベースにされてもよい。
【0049】
一実施形態では、ネットワークアーキテクチャ(100)はモジュール式であり、システム(110)におけるあらゆる種類の変更に対応できるように柔軟であり得、在庫の再見積もりに向けて近接処理が獲得され得る。システム(110)構成の詳細は、その場で修正できる。
【0050】
一実施形態では、システム(110)は遠隔監視されてよく、システム(110)のデータ、アプリケーション、および物理的セキュリティが完全に保証され得る。一実施形態では、データは、実用的な洞察を抽出するために処理されるように、細心の注意を払って収集され、クラウドベースのデータレイクに保管され得る。したがって、予知保全の態様を達成することができる。
【0051】
例示的な実施形態では、通信ネットワーク(106)は、限定ではなく一例として、1つまたは複数のメッセージ、パケット、信号、波、電圧または電流レベル、それらの何らかの組合せなどの、送信、受信、転送、生成、バッファ、記憶、ルーティング、スイッチ、プロセス、またはそれらの組合せなどを行う1つまたは複数のノードを有する1つまたは複数のネットワークの少なくとも一部を含み得る。ネットワークは、限定ではなく一例として、ワイヤレスネットワーク、ワイヤードネットワーク、インターネット、イントラネット、公衆ネットワーク、私設ネットワーク、パケット交換ネットワーク、回線交換ネットワーク、アドホックネットワーク、インフラストラクチャネットワーク、公衆交換電話網(PSTN)、ケーブルネットワーク、セルラーネットワーク、衛星ネットワーク、光ファイバネットワーク、およびそれらの何らかの組合せのうちの1つまたは複数を含み得る。
【0052】
一実施形態では、1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)または第2のコンピューティングデバイスは、Android(商標)、IOS(商標)、Kai OS(商標)などを含むが、これらに限定されない、任意のオペレーティングシステムに常駐する一連の実行可能な命令を介してシステム(110)と通信し得る。一実施形態では、1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)は、これらに限定されないが、モバイル電話、スマートフォン、仮想現実(VR)デバイス、拡張現実(AR)デバイス、ラップトップ、汎用コンピュータ、デスクトップ、携帯情報端末、タブレットコンピュータ、メインフレームコンピュータ、または他の任意のコンピューティングデバイスなどの、電気機器、電子機器、電気機械機器、あるいは上記のデバイスの1つまたは複数の組合せを含み得、コンピューティングデバイスは、カメラなどの視覚補助デバイス、オーディオエイド、マイクロホン、キーボード、ユーザからの入力を受け取るための入力デバイス、たとえば、タッチパッド、タッチ対応スクリーン、電子ペンなどを含むが、これらに限定されない、1つまたは複数の内蔵または外部結合アクセサリを含み得る。1つまたは複数の第1のコンピューティングデバイス(104)は、言及されたデバイスに限定されず、様々な他のデバイスが使用され得ることが理解され得る。スマートコンピューティングデバイスは、データおよび他の個人情報/機密情報を記憶するための適切なシステムの1つであり得る。
【0053】
図3Aは、本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける時空間分割にわたるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示している。図3Aに示されるように、ブロック(301)は、処理を高速化するための動的分割メモリ(DPM)(313)などの高速アクセスメモリのアクティブメモリ内の時空間ブロックを表し得る。さらに、ブロック(303)は、アーカイブ分割メモリ(APM)311内の時空間ブロックを表し得る。ブロック(301)は最近の情報を含み得るが、ブロック(303)は古い情報を含み得る。一例では、ブロックチェーンネットワーク(112)が、たとえばモノのインターネット(IoT)センサデータを記録する場合、空間次元は、IoTセンサに関連付けられる地理的領域に関連付けられ得る。このようにして、異なる地理的地域に関連付けられるIoTデータストリームが処理され、ブロックチェーンネットワーク(112)内の異なる時空間分割に記録され得る。
【0054】
別の例では、ブロックチェーンネットワーク(112)がモバイルユーザデータに関連する情報を記録する場合、空間次元は、これらに限定されないが、アルファベット順の名前範囲、年齢範囲または収入範囲などの人口統計値、静的に決定された地理空間の自宅/職場の場所、あるいは性別などの任意の1つまたは組合せに関連付ける。さらに、動的処理のための現在のジオロケーションなど、ユースケースに固有の現在のコンテキストも利用することができる。一例では、「K」空間次元が使用される場合、これは、システム(110)において処理されるブロックチェーンデータの「K+1」時空間分割になり、データは「K+1」タプによって表すことができ、「1」タプル値は時間間隔を示し、残りの「K」タプル値は空間間隔を示す。
【0055】
本明細書の実施形態は、ブロックチェーンネットワーク(112)において古いデータをアーカイブするために使用され得る様々な方法を使用し得る。一例では、DPM(313)内のスペースを解放するために、DPM(313)からのデータが定期的にAPM(311)に移動され得る。データがアーカイブされる頻度は、異なる時空間分割におけるデータの到達レート(以下、到達データ処理レートと呼ばれる)に依存し得る。DPM(313)に記憶されたデータがしきい値に達すると、DPM(313)からのデータの一部が定期的にAPM(311)にアーカイブされる。
【0056】
図3Bは、本開示の実施形態による、時空間分割にわたる可変データ処理レートにおけるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示している。毎回発生するデータ処理のレート、空間分割は分割間で異なる場合がある。したがって、ブロックチェーンネットワーク(112)におけるデータ処理のために割り当てられたマイクロサービスは、動的にスケールアップすることができる。図3Bに示されるように、データ処理レート「λ」における2つのデータストリーム、データ処理レート「λ/2」における2つのデータストリーム、およびデータ処理レート「λ/3」における2つのデータストリームが存在する場合がある。
【0057】
一実施形態では、ブロックチェーンのユースケースのパフォーマンスの改善の程度は、作成できる同時時空間分割の数に依存し、期待される利益は、特定のブロックチェーンのユースケースで利用可能な時空間次元に基づく単一の時空間分割に関連する分割全体で達成できるタスク処理の総到達レートに基づいている。さらに、システム(110)などの仮想中央処理装置(vCPU)は、1つまたは複数の時空間分割を処理する中央処理装置を指す場合がある。時空間分割全体の可変データレートにおけるデータ処理は、次の例で説明することができる。
【0058】
例示的なシナリオ
「λi」が時空間分割「TSi」の1秒あたりのタスクの到達レートを指し得、分割「TSi」内の各タスクが「αi」単位のvCPU計算リソースを利用し得る場合、分割「TSi」は、1秒あたり「αi λi」リソースを消費する可能性がある。各vCPUが1秒あたり「β」単位のリソースをサポートできる場合、「αi λi」と「β」との比較に基づいて、1つまたは複数のvCPUの割当てを実行することができる。
ケース1を考えてみる:αi λi>β:
【0059】
この場合、単一の時空間分割の実行のために複数のvCPUが必要になる場合がある。分割「TSi」のタスクを処理するために必要ないくつかのvCPUは、「αi λi/β」である可能性がある。必要なvCPUの数は、「λi」の動的な値に基づいて各分割「TSi」で動的に異なる場合があり、「λi」は時間とともに変化する。このようにして、計算処理要件は、他の時空間分割とは無関係に、分割「TSi」ごとに動的にスケーリングすることができる。
ケース 2 を考えてみる:αi λi <β:
【0060】
この場合、複数の時空間分割を集約セット「B」(i∈B)に集約して、図3Cおよび図3Dに示されるように、集約された到達レートがvCPUの容量「β」以下になるようにすることができる。言い換えれば、集約の場合、式1が以下に提供される。
Σi∈Bλi≦β…式1
【0061】
図3Cは、本開示の実施形態による、計算要件に基づく、時空間分割の集約による時空間分割にわたるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示している。
【0062】
図3Cにおいて、ブロック(306-1、306-2、306-3、および306-4)(まとめてブロック306と呼ばれる)は、ブロックチェーンネットワーク(112)内の時空間分割を処理するvCPUを表している。ブロック(306-1)および(306-3)の各々は、到達レート「λ」に関連付けられる時空間分割を処理し得、ブロック(306-2)および(306-4)の各々は、到達レート「λ/3」および「λ/2」に関連付けられる集約された時空間分割を処理し得る。図3Cに示されるように、DPM(313)またはAPM(311)は、(306-1)、(306-2)、(306-3)、および(306-4)などの1つのvCPU制約付きストリームに関連付けられる1つまたは複数の時空間分割をサポートし得、図3Dは、(306-1)、(306-2)、(306-3)、および(306-4)などの複数のvCPU制約付きストリームに関連付けられる1つまたは複数のTS分割をサポートすることができるDPM(313)またはAPM(311)を示している。
【0063】
一実施形態では、時空間分割は、ブロックチェーンネットワーク内の時空間分割の各々における計算要件に基づいて実行され得る。しかしながら、計算上の制約は、ストレージ処理の考慮事項と一致しない場合がある。たとえば、「λDPM」と「λAPM」が、それぞれDPM(313)およびAPM(311)によってサポートすることができる最大到達レートである場合を考えてみると、セット「A」の時空間分割の集約された到達レートがDPM(313)およびAPM(311)によってサポートされる最大到達レート以下になるように、時空間分割を集約セット「A」(i∈A)に集約することができ、これは、以下の式2および3において表される。
Σi∈Bλi≦DPM集約用のλDPM...式2
Σi∈Bλi≦DPM集約用のλAPM...式3
【0064】
場合によっては、時空間次元のサブセット全体で集約を実行することはできない。ユースケースに応じて、時空間分割は、ブロックチェーンネットワークにおける計算またはストレージの制約に基づいて集約され得る。
【0065】
図3Dは、本開示の実施形態による、ストレージ考慮事項に基づく時空間分割の集約を伴う時空間分割にわたるデータ処理の例示的なグラフィック表現を示している。図3Dに示されるように、単一のDPMまたはAPMは、集約されたvCPU制約付きストリーム全体で組み合わせることができる複数の時空間分割をサポートし得る。図3Dは、「λ」、「λ/3」、「λ/2」などの異なる到達レートに関連付けられる時空間分割のグループを示している。DPMまたはAPMは、時空間分割の集約された到達レートよりも大きいタスクの結合された到達レートを処理する能力を有し得、集約された到達レートは「λ+λ/3+λ/2」であり、たとえば、「11λ/6」に等しくなり得る。
【0066】
一例では、第5世代(5G)または第6世代(6G)のエッジデータ処理のために時空間分割を実行することができる。時空間分割は、ネットワークに制限されてもよく、ネットワークの制約に基づいて実行されてもよい。たとえば、モバイルユーザは、空間次元におけるユーザの現在の地理的位置に基づいて動的に分割することができ、これは、ネットワーク制約付き時空間(Network-Constrained Time-Spatial)(NC TS)分割と呼ぶことができる。そのような分割は、高速エッジ処理に関連するレイテンシ/帯域幅の制約により実行される可能性があるため、時空間分割は分散データセンタ全体で同様に実行され得る。たとえば、ユースケースに基づく超高信頼性低レイテンシ通信(URLLC)のエッジブロックチェーンデータ処理は、数ミリ秒程度で処理を完了する必要があるなど、レイテンシによって大きく制約される場合がある。ネットワークの制約に基づいて分割を行った後、計算およびストレージリソースの要件と制約に適応させるために、他の時空間要因に基づいてデータセンタにおいてさらに分割を実行することができる。
【0067】
図4Aは、本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワーク内の2つのレベルの階層を有する時空間分割にわたる階層構造の例示的なフロー図表現を示している。一例では、時空間分割間の処理は、ブロックチェーンネットワーク(112)内の時空間分割間の階層構造に基づいて実行され得る。ユーザに関連付けられるブロックチェーンデータは、ユーザ(102)にサービスを提供している下位レベルの時空間分割に記録され得る。図4Aに示されるように、移動するユーザ(410-1)のモビリティを、5Gネットワークにおけるサービス提供領域全体でモビリティの高いユーザのために管理する必要がある場合、そのようなユーザのデータ処理は、階層構造における複数の下位レベルのネットワーク制約(NC)時空間(TS)分割(403-1)、(403-2)、および(403-3)(まとめてNC TS分割(403)と呼ばれ、個別にNC TS分割(403)と呼ばれる)をサポートする上位レベルの共通ネットワーク制約(NC)時空間(TS)分割(401-1)において実行することができる。
【0068】
たとえば、ブロックチェーンネットワーク(112)における処理に関連する情報は、5Gネットワークのユーザプレーン機能(UPF)および制御プレーン機能(CPF)に関連する情報を含み得る。ユーザに関連付けられるアクティブなUPFに関連するユーザ情報は、ユーザに関連付けられるブロックチェーンまたは分散型台帳テクノロジ(DLT)トランザクションのブロックチェーンネットワーク(112)/DLTプラットフォームに記録され得る。追加的または代替的に、これらに限定されないが、アクセスおよびモビリティ機能(Access And Mobility Function)(AMF)、セッション管理機能(Session Management Function)(SMF)、認証サーバ機能(Authentication Server Function)(ASF)、または一元データ管理機能(Unified Data Management Function(UDMF)、またはユーザデータリポジトリに記憶されているユーザ情報などの、異なるCPFを使用した処理に関連する情報あるいはネットワークスライス割当て情報は、エッジTS分割におけるブロックチェーン/DLTプラットフォームなどにも記録することができる。
【0069】
例示的な実施形態では、各エッジNC TS分割(403)は、異なる近くの地理的領域をサポートすることができる。TS分割の各々は、接続を通じて接続され得る。一例では、階層構造のレベル内のTS分割は、第1の接続(図4Aにおいて接続1として示される)を通じて接続され得るが、レベル間のTS分割は、第2の接続(図4Aにおいて接続2として示される)を通じて接続され得る。
【0070】
一例では、移動するユーザ(410-1)のモビリティに関連付けられるブロックチェーンデータは、ユーザのモビリティの程度に基づいて記録され得る。一例として、ユーザのモビリティが高い場合、ブロックチェーンデータは、エッジNC TS分割(403-1)、(403-2)、および(403-3)にわたって記録され得る。あるいは、ユーザが静的または準静的である場合、対応するブロックチェーンデータは、図4Aに示されるように、移動するユーザ(410-1)に最も近い可能性がある、エッジNC TS分割(403-2)に記録することができる。
【0071】
別の例では、共通のNC TS分割(401-1)は、ユーザが複数の可能なサービス提供領域の近くにいる場合のみ、ユーザデータのブロックチェーンデータ処理を実行し、ネットワーク機能に関連付けられるデータとユーザのモビリティ情報を記録することもでき、この時点でハンドオーバが発生する可能性がある。続いて、ハンドオーバ後、ユーザに関連付けられるデータは、最も近いエッジのNC TS分割によって管理することができる(403)。さらに、エッジNC TS分割は、共通のNC TS分割を定期的に更新することができるため、共通のNC TS分割は、ユーザモビリティとハンドオーバが将来再び発生したときに、それを処理する準備ができている可能性がある。別の例では、5Gネットワークにおける異なるAMFサービス提供領域にまたがるモビリティの高いユーザのユーザモビリティを管理する必要がある場合、そのようなユーザのデータ処理は、共通のNC TS分割の必要なしに、必要ネットワークエッジにおける特定のネットワーク制約(NC)TS分割において実行され得る。たとえば、第1のエッジNC TS分割は、ユーザが第1のAMFサービス提供領域から第2のAMFサービス提供領域へのハンドオーバを経験するとき、ユーザデータの処理を第2のエッジNC TS分割にハンドオフすることができる。そのような場合、第1のエッジNC TS分割は、ユーザ情報を第2のエッジNC TS分割に記憶し、ハンドオーバ後のUEのさらなる処理を可能にするために、第2のエッジNC TS分割を最新の状態に保つことができる。
【0072】
図4Bは、本開示の実施形態による、本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワーク内のネットワーク制約(NC)時空間(TS)分割間の通信の例示的なシーケンス図表現を示す図である。
【0073】
ステップ(401)において、エッジ時間分割(403-2)は、ユーザ情報を共通の時空間分割(401-1)と共有し得る。ステップ(403)において、エッジ時空間分割(403-2)は、ユーザセッションを管理するために、ハンドオーバトリガの要求を共通の時空間分割(401-1)に送信し得る。ステップ(405)において、要求を受信すると、共通の時空間分割(401-1)は、別のエッジTS分割(403-1)および(403-3)と対話し得る。ステップ(407)において、共通の時空間分割(401-1)は、ユーザのブロックチェーンデータを継続し、ユーザのモビリティ情報に基づいて、ユーザの新しいエッジ時空間分割を決定し得る。ステップ(409)において、新しいエッジ時空間分割(403-3)の決定または選択に基づいて、共通の時空間分割(401-1)は、選択されたエッジ時空間分割(403-3)にユーザについて通知し得る。ステップ(411)において、共通の時空間分割(401-1)は、ユーザに関する選択されたエッジ時空間分割(403-3)にユーザ情報を送信し得る。ステップ(413)において、共通の時空間分割(401-1)は、新しいエッジTS分割(403-3)へのユーザのハンドオーバの成功について古いエッジ時空間分割(403-2)に通知し得る。
【0074】
図4Cは、本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおける3つのレベルの階層を有する時空間分割にわたる階層構造の例示的なフロー図表現を示している。図4Cに示されるように、階層的処理は、複数の共通のNC TS分割(401-1)および(401-2)に拡張することができるため、クラウド/ネットワーク内データセンタNC TS分割(405-1)は、複数の共通のNC TS分割(401-1)および(401-2)にわたって情報の処理を実行し得、共通のTS分割(403-1)は、エッジNC TS分割(403-1)、(403-2)、および(403-3)にまたがるデータを処理し得、共通のTS分割(403-2)は、TS分割(403-4)および(403-5)にわたってデータを処理し得る。図4Dは、本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおいて集約された処理が提供される時空間分割にわたる階層構造の例示的なフロー図表現を示している。ブロックチェーンネットワーク(112)の階層構造における処理は、一部の集約処理が分割全体で実行する必要がある場合、複数の時空間次元にわたって実行することができる。一例では、これらに限定されないが、集約、融合、階層的機械学習、連合学習マイクロサービスなどのうちの少なくとも1つを、異なる時空間分割にわたって信頼できるブロックチェーンデータを処理するように構成することができる。一例では、所与の地理的領域におけるIoTカメラあるいは車両の動き/交通、あるいは感覚または汚染に関連付けられるデータが1つの時空間分割(412-1)において処理されている場合、また、同じデータを、別のユーザデータエッジNC TS分割(412-2)において構成された別の地理的領域におけるユーザのモビリティデータとマージする必要がある場合、これらのデータストリーム全体のデータは、これら2つのTS分割(412-1)および(412-2)から受信されたデータを結合する共通のTS分割(414-1)において階層的に処理することができる。追加のTS分割データストリーム(412-3)も、階層内の同じレベルにおいて融合することができる。
【0075】
一例では、処理の結果は、データストリーム全体の共通のTS分割(414-1)に、およびユーザに関連付けられる下位レベルのTS分割にも記録することができる。代替実施形態では、データ処理は、共通のTS分割(414-1)において実行され得、処理の結果の記録は、ユーザが、処理されたデータに基づいてユーザに代わって行われた結果を記録するために、ブロックチェーン台帳TS分割において行うことができる。たとえば、情報は、現在ユーザをサポートしている可能性があるユーザデータエッジのNC TS分割に直接転送されてもよく、データ融合は、ユーザデータエッジNC TS分割において直接実行することができ、結果は後者の分割のブロックチェーン台帳に記録される。図4Dに示される接続1は、連合学習およびエッジ処理を可能にし得、図4Dに示される接続2は、エッジネットワーク全体で学習モデルの構築を可能にし得る。したがって、すべての予測とユーザの推奨事項は、エッジTS分割または共通のTS分割のいずれかにおいて処理することができる。したがって、階層構造における処理も、ユーザの異なる時空間次元に対応するTS分割全体で実行される。さらに、時間次元にわたる集約処理は、1日の異なる時間ウィンドウにおけるメトリックまたは使用パターンを決定するなど、他の空間次元とともに異なる時間次元に対して実行することができる。
【0076】
本明細書の実施形態は、他のブロックチェーンのユースケース/分野にも同様に適用可能であり得る。たとえば、異なるサプライチェーンのブロックチェーンデータを異なるTS分割に記録することができる。代替的または追加的に、同じサプライチェーンの異なるセグメントのブロックチェーンデータを異なるTS分割に記録し、TS分割全体でデータを処理するために接続を通じて情報を転送し得る。一例として、石油または電気通信の分野では、都市、地区などの地理的領域に基づいて分割された異なるユーザグループの情報を、異なるTS分割において処理することができる。別の例では、パンデミックの管理などのヘルスケアアプリケーションの分野では、追跡情報をローカルのTS分割に記録することができる。ローカルのTS分割は、領域全体でのパンデミックの影響を分析し、検査結果、または回復/失敗の入院プロセス、あるいは治療技法などの情報を記録するために処理するために、出稼ぎ労働者、下層/中層/上層階級のセグメント、または最前線の医療従事者などの人口統計に基づいて、および都市、村、州、連邦直轄領などの様々な地理的領域にわたって、または年齢に基づいてデータを記録し得る。地理的領域に基づくTS分割データは、エッジTS分割において動的に記録され、共通クラウドまたはネットワーク内データセンタにおいて集約される。
【0077】
一実施形態では、pub-sub通知は、共通の時空間次元、たとえば、異なる地理的領域における高齢者人口統計または子供人口統計にわたって通信し、TS分割にわたって情報を転送するように構成され得る。別の実施形態では、機械学習(ML)モデルは、記録されるデータの任意のサブセットに対して構成され得る。例示的な実施形態では、医療機器またはキットの入手可能性の低下の傾向を決定するためにサプライチェーン情報を分析することができ、これにより、異なるTS分割にわたる医療機器またはキットの再配布が可能になる。たとえば、必要に応じて、医療機器やキットを移送するためにドローンなどの航空機が使用され得る。一実施形態では、特定のTS分割において医療機器またはキットに対する高い需要がある場合、需要は別の近くのTS分割から補充され得る。一実施形態では、階層構造における情報の集約処理は、地理的領域における都市や村などの様々なサブ地域のTS分割においてブロックチェーンデータを処理することによって、州や国などの地理的領域に基づいて、TS分割全体で実行することができる。TS分割全体の集約処理は、比較のために必要な場合、またはTS分割全体のローカルメトリックと集約メトリックの重み付けされた組合せを実行する機械学習予測モデルを生成するために、TS分割に伝達することができる。
【0078】
図5は、本開示の実施形態による、ブロックチェーンネットワークにおいて時空間データを分割するための方法を示す例示的な方法フローチャートを示している。
【0079】
図5に示されるように、方法(500)は、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割の方法を示す1つまたは複数のブロックを含む。方法(500)は、コンピュータ実行可能命令の一般的な文脈において説明され得る。一般に、コンピュータ実行可能命令は、関数を実行する、または抽象データ型を実装する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造、プロシージャ、モジュール、および関数を含むことができる。
【0080】
方法(500)が記述される順序は、限定として解釈されることを意図するものではなく、方法(500)を実装するために、任意の数の記述された方法ブロックを任意の順序で組み合わせることができる。さらに、個々のブロックは、本明細書に記載された主題の範囲から逸脱することなく、方法から削除され得る。さらに、方法(500)は、任意の適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せにおいて実装され得る。
【0081】
ブロック(502)において、本方法(500)は、システム(110)に関連付けられるプロセッサ(202)によって、ブロックチェーンネットワーク(112)を記録するために、1つまたは複数のタスクに関連付けられる様々な種類の情報を備えるブロックチェーンデータを受信するステップを含み得る。
【0082】
ブロック(504)において、本方法(500)は、プロセッサ(202)によって、あらかじめ定義された時間の様々な時間ウィンドウにおいてメトリックまたは使用パターンを分析するために、受信されたブロックチェーンデータから時間次元と空間次元を決定するステップを含み得る。
【0083】
ブロック(506)において、本方法(500)は、プロセッサ(202)によって、ブロックチェーンネットワーク(112)において、決定された時間次元と空間次元に基づいて、1つまたは複数の時空間分割に様々なレベルの階層構造を割り当てるステップを含み得る。
【0084】
ブロック(508)において、本方法(500)は、プロセッサ(202)によって、単一の時空間分割に対して、割り当てられた1つまたは複数の時空間分割にわたって達成するための1つまたは複数のタスクの到達データ処理レートを集約するステップを含み得る。
【0085】
ブロック(510)において、本方法(500)は、プロセッサ(202)によって、集約された到達データの処理が1つまたは複数の時空間分割にわたって実行される場合、1つまたは複数の時空間分割にわたってブロックチェーンネットワーク(112)の階層構造内のデータを処理するステップを含み得る。
【0086】
図6は、本開示の実施形態による、本発明の実施形態を利用することができる、またはそれを用いて利用することができる、例示的なコンピュータシステム(600)を示す図である。
【0087】
図6に示されるように、コンピュータシステム(600)は、外部ストレージデバイス(610)、バス(620)、メインメモリ(630)、読取り専用メモリ(640)、大容量ストレージデバイス(650)、通信ポート(660)、およびプロセッサ(670)を含むことができる。当業者は、コンピュータシステムが複数のプロセッサおよび通信ポートを含み得ることを理解するであろう。プロセッサ(670)の例は、Intel(登録商標)Itanium(登録商標)またはItanium 2プロセッサ、あるいはAMD(登録商標)Opteron(登録商標)またはAthlon MP(登録商標)プロセッサ、Motorola(登録商標)系列のプロセッサ、FortiSOC(商標)システムオンチッププロセッサ、あるいは他の将来のプロセッサを含むが、これらに限定されない。プロセッサ(670)は、本発明の実施形態に関連付けられる様々なモジュールを含み得る。通信ポート(660)は、モデムベースのダイヤルアップ接続で使用するRS-232ポート、10/100イーサネットポート、銅線またはファイバを使用するギガビットまたは10ギガビットポート、シリアルポート、パラレルポート、あるいは他の既存または将来のポートのいずれかであり得る。通信ポート(660)は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、またはコンピュータシステムが接続する任意のネットワークなどのネットワークに応じて選択され得る。メモリ(630)は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、または当技術分野で一般に知られている任意の他の動的ストレージデバイスとすることができる。読取り専用メモリ(640)は、プロセッサ(670)の起動またはBIOS命令などの静的情報を記憶するためのプログラマブル読取り専用メモリ(PROM)チップなどの任意の静的ストレージデバイスであり得るが、これらに限定されない。大容量ストレージ(650)は、情報および/または命令を記憶するために使用できる、任意の現在または将来の大容量ストレージソリューションであり得る。例示的な大容量ストレージソリューションは、これらに限定されないが、Parallel Advanced Technology Attachment(PATA)あるいはSerial Advanced Technology Attachment(SATA)ハードディスクドライブまたはソリッドステートドライブ(内蔵または外付け、たとえば、ユニバーサルシリアルバス(USB)および/またはFirewireインターフェースを備えている)、たとえばSeagate(たとえば、Seagate Barracuda 782ファミリ)またはHitachi(たとえば、Hitachi Deskstar 13K800)から入手可能なもの、1つまたは複数の光ディスク、Redundant Array of Independent Disks(RAID)ストレージ、たとえば、Dot Hill Systems Corp.、LaCie、Nexsan Technologies, Inc.、およびEnhance Technology, Inc.などを含む様々なベンダから入手可能なディスクのアレイ(たとえば、SATAアレイ)を含む。
【0088】
バス(620)は、プロセッサ(670)を他のメモリ、ストレージ、および通信ブロックと通信可能に結合する。バス(620)は、たとえば、拡張カード、ドライブ、および他のサブシステム、ならびにプロセッサ(670)をソフトウェアシステムに接続するフロントサイドバス(FSB)などの他のバスを接続するための周辺機器相互接続(PCI)/PCI拡張(PCI-X)バス、小型コンピュータシステムインターフェース(SCSI)、USBなどであり得る。
【0089】
必要に応じて、オペレータとコンピュータシステムとの直接対話をサポートするために、オペレータおよび管理インターフェース、たとえば、ディスプレイ、キーボード、およびカーソル制御デバイスなどもバス(620)に結合され得る。通信ポート(660)を通じて接続されたネットワーク接続を通じて、他のオペレータおよび管理インターフェースを提供することができる。外部ストレージデバイス(610)は、任意の種類の外付けハードドライブ、フロッピードライブ、IOMEGA(登録商標)Zipドライブ、コンパクトディスク-読取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-再書込み可能(CD-RW)、デジタルビデオディスク読取り専用メモリ(DVD-ROM)であり得る。上記の構成要素は、様々な可能性を例示することだけを目的としている。前述の例示的なコンピュータシステムは、本開示の範囲を限定するものではない。
【0090】
本開示の様々な実施形態は、ブロックチェーンネットワークにおける時空間データ分割のシステムおよび方法を提供する。本開示は、時間次元と空間次元の両方にわたってブロックチェーンデータ処理の最適化を促進し、それによって、ブロックチェーンネットワーク内の時空間分割全体でより高速な処理および同時処理を促進する。特に、時空間分割に基づくブロックチェーンネットワークにおけるデータの処理により、ブロックチェーンノードは時空間分割全体の情報にアクセスできるようになる。提案されたシステムと方法を通じたパフォーマンスの向上は、時空間分割の数と、単一の時空間分割の処理の到達レートと比較した時空間分割全体の同時タスク処理の総到達レートに基づいて予期することができる。
【0091】
本開示の実施形態は、ネットワークの異なるノード間でトランザクションが実行され得るブロックチェーンネットワークなどの分散台帳ネットワークにおいて実装することができ、ノードはエンティティを参照することもできる。ピアツーピアネットワークとして実装されたブロックチェーンネットワークは、エンティティが安全で不変のトランザクションを実行できるようにする可能性がある。時空間分割により、ブロックチェーンノードは時空間分割全体の情報にアクセスすることができる。一実施形態では、時空間分割は、仮想化されたステートレスマイクロサービスベースのブロックチェーンネットワークにおいて形成され、これにより、ブロックチェーンノードは、システムにおいて構成されたアクセス制御許可に基づいて、時空間分割全体でデータにアクセスし続けることができる。
【0092】
時空間分割に基づく提案されたシステムと方法は、そのような時空間次元がユースケースで識別でき、異なるブロックチェーンのユースケースでも活用できる場合、可能な限り特定のユースケースごとにブロックチェーン処理を改善する。時空間分割の時空間次元は、ブロックチェーンネットワークにおけるデータ処理で考慮されるユースケースによって異なる場合がある。
【0093】
本明細書では好ましい実施形態にかなりの重点が置かれているが、本発明の原理から逸脱することなく、多くの実施形態を行うことができ、好ましい実施形態において多くの変更を行うことができることを理解されたい。本発明の好ましい実施形態におけるこれらおよび他の変更は、本明細書の開示から当業者には明らかであり、それにより、前述の説明事項は、本発明を限定するものではなく、単に例示として実装されるべきであることが明確に理解されるべきである。
【符号の説明】
【0094】
100 時空間データ分割システム
100 ネットワークアーキテクチャ
102 ユーザ
102-1、102-2、…102-N ユーザ
104 第1のコンピューティングデバイス
104-1、104-2…104-N 第1のコンピューティングデバイス
106 通信ネットワーク
108 第2のコンピューティングデバイス
110 システム
112 ブロックチェーンネットワーク
114 エンティティ
202 プロセッサ
204 メモリ
206 インターフェース
208 処理ユニット/エンジン
208 処理エンジン
210 データベース
212 受信モジュール
214 決定モジュール
216 割当てモジュール
218 集約モジュール
220 処理モジュール
222 他のモジュール
311 アーカイブ分割メモリ(APM)
313 動的分割メモリ(DPM)
500 方法
600 コンピュータシステム
610 外部ストレージデバイス
620 バス
630 メインメモリ
640 読取り専用メモリ
650 大容量ストレージデバイス
660 通信ポート
670 プロセッサ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
【国際調査報告】