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特表2024-515398可動エフェクターアセンブリ、システム、及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】可動エフェクターアセンブリ、システム、及び方法
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
C12M1/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526997
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 IB2021060099
(87)【国際公開番号】W WO2022091059
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,587
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522464159
【氏名又は名称】ネオゲン フード セイフティ ユーエス ホルドコ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シットン,グレゴリー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】クリクトン,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ウッドワード,エイドリアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】シェイクスピア,サイモン エー.
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA03
4B029AA09
4B029BB01
4B029CC02
4B029CC07
4B029EA16
4B029EA18
4B029GA08
4B029GB05
4B029HA02
4B029HA09
(57)【要約】
特に、培養デバイスを移動させ、培養デバイスからカバーを外し、再配置するように設計される可動エフェクターアセンブリ。そのような可動エフェクターアセンブリを備える培養デバイス処理システム。そのような可動エフェクターアセンブリ及び培養デバイス処理システムを使用する方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの培養デバイスを保持する第1のインプット地点と、
少なくとも、培養デバイスを受け取り、受け取った培養デバイスを保持する第1の位置を備える第1のチャネルと、
前記チャネルと連絡し、1つ以上のエフェクターアームを備える可動エフェクターアセンブリと、
を備え、
1つ以上の前記エフェクターアームは、第1の取付け部材を有する第1のエフェクターアームを含み、前記第1の取付け部材は、前記第1のエフェクターアームを少なくとも1つの前記培養デバイスに取外し可能に結合し、
前記第1のエフェクターアームは、
少なくとも1つの前記培養デバイスを前記第1のインプット地点から前記第1のチャネルの前記第1の位置に移動させることと、
少なくとも1つの前記培養デバイスの増殖領域の覆いを外すことと、
を行う、培養デバイス処理システム。
【請求項2】
前記第1のエフェクターアームは、
前記増殖領域をカバーによって覆うことと、
少なくとも1つの前記培養デバイスをアウトプット地点に移動させることと、
も行う、請求項1に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項3】
前記第1のエフェクターアームは、前記培養デバイス上にラベルを配置する取付け部材を備える、請求項1又は2に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項4】
1つ以上の前記エフェクターアームは、第2のエフェクターアームを更に備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項5】
前記第2のエフェクターアームは、前記培養デバイス上にラベルを配置する取付け部材を備える、請求項4に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項6】
第2のチャネルと、
前記第2のチャネルに関連する第2のインプット地点と、
前記第2のチャネルと連絡し、1つ以上のエフェクターアームを備える、第2の可動エフェクターアセンブリと、
を更に備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項7】
1つ以上の前記エフェクターアームのうちの少なくとも1つは、第1の回転軸の周りに少なくとも180度、任意選択で360度回転可能である第1のセグメントを備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項8】
第2のエフェクターアームは、第1の回転軸の周りに、任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能である第1のセグメントを備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項9】
前記第1のエフェクターアームは、第1の回転軸と平行であるが、前記第1の回転軸と同一線上にない第2の回転軸の周りに、任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能である、第2のセグメントを備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項10】
前記第1のエフェクターアームは、第1の回転軸と平行であるが、前記第1の回転軸とも第2の回転軸とも同一線上にない第3の回転軸の周りに、任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能である、第3のセグメントを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項11】
第2のエフェクターアームは、第1の回転軸と平行であるが、前記第1の回転軸、第2の回転軸、第3の回転軸のいずれとも同一線上にない第4の回転軸の周りに、任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能である、第2のセグメントを備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項12】
前記第1のエフェクターアームは、前記第1の取付け部材が前記培養デバイスに結合しない第1の位置と、前記第1の取付け部材が前記培養デバイスに取外し可能に結合される第2の位置との間で構成変更可能である、請求項1~11のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項13】
第2のエフェクターアームは、第2の取付け部材がラベラーからラベルを取得するために前記ラベラーに係合可能である第1の位置と、前記第2の取付け部材が前記培養デバイス上に前記ラベルを配置するために前記培養デバイスに係合する第2の位置との間で構成変更可能である、請求項6~11のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項14】
前記可動エフェクターアセンブリは、前記培養デバイスをスタンピングするスタンピングツールに結合される、請求項1~13のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項15】
前記培養デバイスの画像を捕捉する画像捕捉デバイスを更に備える、請求項1~14のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項16】
前記画像捕捉デバイスと通信するプロセッサを更に備え、
前記プロセッサは、前記捕捉画像の少なくとも一部を予期される培養デバイスの画像の少なくとも一部と比較するように構成される、請求項15に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項17】
前記培養デバイスの増殖領域に接種を行う接種器を更に備え、任意選択で、前記接種器は、1つ以上のピペット、マイクロピペット、スワブ、又はディスペンサー、任意選択で1つ以上のピペット又はマイクロピペット、更に任意選択で自動ピペッティング装置を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項18】
接種器は、前記可動エフェクターアセンブリと連絡する、請求項16又は17に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項19】
長手方向に延在するトラックを更に備え、前記可動エフェクターアセンブリは、前記トラックと連絡し、前記トラックに沿って可動であるように位置決めされる、請求項1~18のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システム。
【請求項20】
モジュール式支持体に可動に結合される本体と、
前記本体に結合される1つ以上のエフェクターアームと、
を備え、1つ以上の前記エフェクターアームは、
第1の端部及び前記第1の端部とは反対側の第2の端部と、
1つ以上の前記エフェクターアームの前記第1の端部において前記本体に回転可能に結合される第1のセグメントと、
前記第1のセグメントに回転可能に結合される第2のセグメントと、
1つ以上の前記エフェクターアームの前記第2の端部における第1の取付け部材と、
を備え、
前記第1のセグメントは、第1の回転軸の周りに任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能であり、
前記第2のセグメントは、第2の軸の周りに任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能であり、
前記第2の回転軸は、前記第1の回転軸と同一線上にはない、可動エフェクターアセンブリ。
【請求項21】
前記第2の回転軸は、前記第1の回転軸に対して平行である、請求項20に記載の可動エフェクターアセンブリ。
【請求項22】
前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントを備える第1のエフェクターアームと、
第2の取付け部材を備える第2のエフェクターアームと、
を更に備える、請求項20又は21に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項23】
スタンピングツールに取外し可能に結合されるカップリング機構を更に備える、請求項20~22のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項24】
第1のエフェクターアームの前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントは、
前記第1の取付け部材が培養デバイスから係合解除される第1の位置と、
前記第1の取付け部材が前記培養デバイスに接触して前記培養デバイスを保持する第2の位置と、
の間で回転可能である、請求項20~23のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項25】
第2のエフェクターアームは、ハウジングに結合される前記第2のエフェクターアームの第1のセグメントを備え、前記第1のセグメントは、
第2の取付け部材が培養デバイスから離れて位置決めされる第1の位置と、
前記第2の取付け部材が前記培養デバイスにラベルを提供するために前記培養デバイスの少なくとも一部に係合する第2の位置と、
の間で回転可能である、請求項20~24のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項26】
第2の取付け部材は、第2のエフェクターアームの前記第1のセグメントが第1の位置にあるときにラベラーと連絡する、請求項20~25のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項27】
培養デバイスの画像を捕捉する画像捕捉デバイスを更に備える、請求項20~26のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項28】
第1のエフェクターアームは、前記第2のセグメントに回転可能に取り付けられ、第3の軸の周りに任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能である第3のセグメントを更に備える、請求項20~27のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項29】
第2のエフェクターアームは、前記第1のセグメントに回転可能に取り付けられ、第4の軸の周りに任意選択で少なくとも180度、更に任意選択で360度回転可能である第2のセグメントを更に備える、請求項25~27のいずれか1項に記載のエフェクターアセンブリ。
【請求項30】
可動エフェクターアセンブリの少なくとも1つのエフェクターアームに、培養デバイスをチャネルの第1の領域上に配置させることと、
少なくとも1つの前記エフェクターアームの第1のセグメントに、前記培養デバイスのカバーを外させ、前記培養デバイスの増殖領域を露出させることと、
前記培養デバイスの前記増殖領域に接種物を添加することと、
少なくとも1つの前記エフェクターアームに、前記カバーを前記増殖領域の上に再配置させることと、
少なくとも1つの前記エフェクターアームに、前記培養デバイスをアウトプット地点に移動させることと、
を含む、エフェクターアセンブリを動作させる方法。
【請求項31】
前記可動エフェクターアセンブリに結合されたスタンピングツールによって、培養デバイスをスタンピングするステップを更に含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも1つの前記エフェクターアームに、前記培養デバイスを前記チャネルの第1の領域上に配置させる前記ステップは、前記エフェクターアームの少なくとも1つの前記セグメントのうちの第2のセグメントを、第1の回転軸の周りに回転させることを更に含む、請求項30又は31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つのエフェクターアームに、前記培養デバイスを前記チャネルの第1の領域上に配置させる前記ステップは、第1の回転軸と同一線上になく、任意選択で前記第1の回転軸に対して平行である第2の回転軸の周りに、少なくとも1つの前記エフェクターアームを回転させることを更に含む、請求項30~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
第1の回転軸の周りに少なくとも1つの前記エフェクターアームの前記第1のセグメントを回転させるとともに、第2の回転軸の周りに少なくとも1つの前記エフェクターアームの第2のセグメントを同時に回転させるステップを更に含む、請求項30~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
第1の回転軸又は第2の回転軸と同一線上になく、任意選択で前記第1の回転軸及び前記第2の回転軸と平行である第3の回転軸の周りに、少なくとも1つの前記エフェクターアームの第3のセグメントを回転させるステップを更に含む、請求項30~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
第1の回転軸、第2の回転軸、及び第3の回転軸のうちの少なくとも2つの回転軸周りに、少なくとも1つのエフェクターアームの前記第1のセグメント、第2のセグメント、及び第3のセグメントのうちの少なくとも2つを同時に回転させるステップを更に含む、請求項30~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
任意選択で、第1の回転軸、第2の回転軸、及び第3の回転軸のうちの少なくとも2つの回転軸周りに、少なくとも1つのエフェクターアームの前記第1のセグメント、第2のセグメント、及び第3のセグメントのうちの少なくとも1つを回転させると同時に、更に任意選択で、前記第1の回転軸、第2の回転軸、及び第3の回転軸のうちの少なくとも2つの回転軸周りに、少なくとも1つのエフェクターアームの前記第1のセグメント、第2のセグメント、及び第3のセグメントのうちの少なくとも2つを回転させると同時に、前記可動エフェクターアセンブリをトラックに沿って長手方向に移動させることを更に含む、請求項30~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つのエフェクターアームが前記培養デバイスにラベルを適用するように、第1の回転軸、第2の回転軸、及び第3の回転軸のうちの1つ以上の回転軸周りに前記少なくとも1つのエフェクターアームを回転させるステップを更に含む、請求項30~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記ラベルを適用する前記ステップは、第2のエフェクターアームによって実行される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
画像捕捉デバイスによって前記培養デバイスの画像を捕捉するステップを更に含む、請求項30~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記培養デバイスの画像を捕捉し、プロセッサによって、前記培養デバイスが前記チャネル上の特定の地点にあるか否かを判断するステップを更に含む、請求項30~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
画像捕捉デバイスによって、前記培養デバイスの1つ以上の捕捉標示を捕捉することと、
プロセッサが、非一時的コンピューター可読記憶媒体から、培養デバイスのタイプに関連する1つ以上の取得標示を取得することと、
プロセッサによって、前記捕捉標示の捕捉元の培養デバイスのタイプを確定することと、
を更に含む、請求項30~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
比較するステップは、前記取得標示と前記捕捉標示とを比較して、前記培養デバイスが、予期される培養デバイスのタイプと同じタイプであるか否かを判断する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記プロセッサが、非一時的コンピューター可読記憶媒体から、前記捕捉標示に対応する命令セットを取得することと、
前記可動エフェクターアセンブリに前記命令セットを実行させることと、
を更に含む、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
エフェクターアセンブリの培養処理システムと通信するプロセッサに、コンピューター動作可能命令の命令セットを含む非一時的コンピューター可読記憶媒体を実行させる方法であって、前記コンピューター動作可能命令の命令セットは、前記可動エフェクターアセンブリと通信するコンピューターによって実行されると、前記可動エフェクターアセンブリに、請求項30~44のいずれか1項に記載の方法を実行させる、前記方法。
【請求項46】
前記可動エフェクターアセンブリは、請求項20~29のいずれか1項に記載の可動エフェクターアセンブリである、請求項30~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記可動エフェクターアセンブリは、請求項1~19のいずれか1項に記載の培養デバイス処理システムの構成要素である、請求項30~46のいずれか1項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養デバイスを処理するシステムに関し、具体的には、可動エフェクターアセンブリを備える培養デバイスを処理するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物サンプルの培養は既知であり、多様な培養デバイス、例えば、米国ミネソタ州セントポール所在の3M Company社からPETRIFILM(商標)という名称で入手可能な薄膜培養デバイスを使用して、達成することができる。その後、培養されたサンプルに、微生物計数等の測定又は試験手順を実行することができる。
【0003】
Tecnic社(オランダ、ドンヘン所在)から入手可能なINOBOTは、薄膜培養デバイスに接種を行うことが可能なロボットである。
【0004】
特許文献1は、複数の試験プレートを処理する試験プレート処理システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0164333号
【発明の概要】
【0006】
本開示は、培養デバイスを処理するのに必要なステップのうちの少なくともいくつかを実行するために、薄膜培養デバイスを含む培養デバイスを操作するのに十分な器用さを有する可動エフェクターアセンブリについて記載する。可動エフェクターアセンブリは、培養処理デバイスの構成要素とすることができる。本開示において、可動エフェクターアセンブリは、その文脈において主に論じられる。しかしながら、可動エフェクターアセンブリは、組立ライン、ロボット式又は機械式ワークステーション等の、物体を操作及び移動させる他のデバイスの構成要素とすることができる。本明細書に記載されるエフェクターアセンブリは、少なくともいくつかの可動構成要素を含むため、また、特定の用途において、トラックに沿って位置決めされ、トラックに沿って移動することができるため、「可動」であると称される。
【0007】
培養処理デバイスは、チャネル上に培養デバイスを支持又は固定するように構成することができる。大抵の場合、チャネルは、培養デバイスを載せることができる表面を提供するが、チャネルは、1つ以上の固定デバイス、例えば、クリップ、ストラップ、クランプ等、又はさらには、例えば、チャネルに小さな穴があり、そこから真空を印加することができる真空固定システムを含むことも可能である。例えば、培養処理デバイスの様々な構成要素によって動作する。可動エフェクターアセンブリは、トラックに沿って移動することができ、トラックは、チャネルと連係することができる。トラックに沿った移動により、可動エフェクターアセンブリは、培養デバイスを操作する、例えば、培養デバイス上のカバーを持ち上げ、外し、再配置する、培養デバイスの増殖領域の上の接種物をスタンピングする、及び培養デバイスにラベルを適用することができるだけでなく、チャネルに沿った様々な位置の間で培養デバイスを移動させることもできる。
【0008】
可動エフェクターアセンブリは、1つ以上のエフェクターアームを有することができる。1つ以上のエフェクターアームは、培養デバイスに係合して培養デバイスを保持し、培養デバイスをチャネル上の地点、例えば、インプット地点、アウトプット地点、又は他の地点に配置し、地点間で、例えば、インプット地点からアウトプット地点に培養デバイスを移動させるように構成される取付け部材を備えることができる。エフェクターアームは、培養デバイスからカバーを取り外し、接種のために増殖領域を露出させ、培養デバイス、特に培養デバイスの増殖領域をスタンピングし、増殖領域内に接種物を広げることも可能である。エフェクターアームは、増殖領域の上に(典型的には接種後に)カバーを再配置し、培養デバイスをアウトプット地点に移送することが更に可能である。取付け部材は、ラベラーからラベルを取得し、培養デバイス上にラベルを配置するように更に構成することができる。
【0009】
1つ以上のエフェクターアームは、2つ以上の平行な非同一線上の軸の周りにそれぞれ回転可能である複数のセグメントを備えることができる。エフェクターアームの複数の独立して回転可能なセグメントは、可動エフェクターアセンブリの可動性及び器用さの増大をもたらす。これにより、可動エフェクターアセンブリは、細かい運動技能を必要とする動作又はタスク、例えば、培養デバイスの蓋を外して再配置する、培養デバイスを移動及び処理する、並びに細かい運動技能を必要とし得る他の動作又はタスクに要求される精度をもって、多様な動作又はタスクを実行することを可能にする。培養デバイスの処理に使用される場合、エフェクターアームの有益な可動性及び器用さにより、可動エフェクターアセンブリは、増殖領域等の上のカバーを取り外して再配置するために、いずれの場合も、接種物が零れたり、培養デバイス上の微生物のインキュベーションを妨げたり、培養デバイスを損傷したりする可能性があるような培養デバイスの衝突又は振盪がなく、培養デバイスを地点間で移動させることが可能になる。
【0010】
培養デバイス処理システムの可動エフェクターアセンブリは、培養デバイス上に押下し、増殖領域の上に接種物を広げるように構成される1つ以上のスタンピングツールを備えることもできる。1つ以上のスタンピングツールは、1つ以上の異なるタイプの培養デバイスのためにカスタマイズするか又はカスタマイズ可能とすることができる。可動エフェクターアセンブリの器用さ及び可動性により、増殖領域の上に接種物を広げることが可能になり、細かい運動技能を必要とし、従来は手動でしか達成することができず、機械的又は自動的には達成することができなかったタスクが可能になる。
【0011】
培養デバイス処理システムは、画像捕捉デバイスを備えることもできる。画像捕捉デバイスは、現在処理されている培養デバイス、まもなく処理される培養デバイス、又は既に処理された培養デバイスの画像を捕捉することができる。
【0012】
培養デバイス処理システムの内部又は外部にあり得るコンピューター又はプロセッサは、培養デバイス処理システムと通信することができる。コンピューターは、非一時的コンピューター可読記憶媒体上に記録された命令セットを実行することができる。命令は、実行されると、培養処理デバイスに1つ以上の培養デバイスを処理させることができる。非一時的コンピューター可読記憶媒体は、複数の命令セットを含むことができ、各セットは、培養デバイスのタイプに関連する。コンピューター又はプロセッサは、画像捕捉デバイスから、処理されている培養デバイスのタイプに関連する1つ以上の捕捉標示を受信し、次いで、非一時的コンピューター可読記憶媒体から、1つ以上の受信標示を取得し、1つ以上の受信標示を1つ以上の捕捉標示と比較することができる。これにより、各培養デバイスに対して正しい命令セット又は処理プロトコルが実行されることが保証されることによって、ユーザーエラーが減少し得る。
【0013】
接種システムは、複数の培養処理デバイスを含むことができる。複数の培養処理デバイスは、複数の培養デバイスを効率的に処理するために独立して又は一緒に動作するように配置することができ、それにより、スループットが増大し、ユーザーエラーが減少する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、培養デバイス処理システムの一実施形態の透視図である。
図2図2は、第1のエフェクターアーム及び第2のエフェクターアームが第1の位置にある、エフェクターアセンブリを備える培養デバイス処理システムの実施形態の等角図である。
図3図3は、第1のエフェクターアームが第2の位置にある、エフェクターアセンブリを備える培養デバイス処理システムの実施形態の等角図である。
図4図4は、可動エフェクターアセンブリの透視図である。
図5図5は、複数のチャネルにそれぞれ結合された複数の培養デバイス処理システムを含む接種システムの等角図である。
図6図6は、スタンピングツールに結合された可動エフェクターアセンブリを示す図である。
図7図7は、培養デバイスへの可動エフェクターアセンブリの第1のエフェクターアームの結合を示す図である。
図8図8は、第1のエフェクターアームが培養デバイスをチャネルの第1の領域に配置するところを示す図である。
図9図9は、処理装置の画像捕捉デバイスが培養デバイスの画像を捕捉するところを示す図である。
図10図10は、第1のエフェクターアームが培養デバイスの増殖領域を露出させるように、培養デバイスのカバーを取り外すところを示す図である。
図11図11は、第1のエフェクターアームが培養デバイスのカバーによって培養デバイスの増殖領域を覆うところを示す図である。
図12図12は、スタンピングツールが培養デバイスをスタンピングするところを示す図である。
図13A図13Aは、第1のエフェクターアームがラベラーからラベルを受け取って保持するところを示す図である。
図13B図13Bは、第2のエフェクターアームがラベラーからラベルを受け取って保持するところを示す図である。
図14A図14Aは、第1のエフェクターアームが培養デバイス上にラベルを配置するところを示す図である。
図14B図14Bは、第2のエフェクターアームが培養デバイス上にラベルを配置するところを示す図である。
図15図15は、第1のエフェクターアームが培養デバイスをチャネルのアウトプット地点に移動させるところを示す図である。
図16図16は、可動エフェクターアセンブリがチャネルのインプット地点付近の地点に戻り、スタンピングツールを解放するところを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示の特定の実施形態は、例及び図において詳細に示されている。しかしながら、本開示は、これらの例及び図を超えて拡大され、求められる保護の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0016】
以下の記載において、或る特定の用語は、参照の目的でのみ使用され、したがって、限定することを意図しない。例えば、「上」及び「下」等の用語は、参照される図面における方向を参照し、又は2つの要素が第3の要素と同じ側若しくは反対側にあることを示し得る。しかしながら、別段明記されない限り、これらは特定の向きを必要とするように理解すべきではない。「前」、「後」、「左」、「右」、「後方」、及び「側方」等の用語は、文章及び図の理解を容易にするために、一貫した、ただし恣意的な基準フレーム内における構成要素又は要素の相対的な向き、位置、又は場所を説明し得るが、絶対的な向き、位置、又は場所であることを必ずしも必要としない。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語が、別個の構成要素を説明するのに使用され得るが、時間的又は空間的な順序を必ずしも含意しない。
【0017】
「培養デバイス」という用語は、1つ以上の微生物を培養するデバイスを意味するとともに含み、例えば、寒天培地ベースの培養デバイス、及び、例えば米国ミネソタ州セントポール所在の3M Company社からPETRIFILM(商標)という名称で販売されているもの等の薄膜培養デバイスを含む。
【0018】
「長手方向」という用語は、培養デバイス処理システムの第1の端部と培養デバイス処理システムの第2の端部との間に延在する方向を指す。
【0019】
「典型的な」、「典型的に」、「一般的な」、「一般的に」、「多くの場合」等の用語は、本開示においてしばしば出現する要素又はステップを参照するのに使用される。別段明記されない限り、これらの用語を使用しても、要素又はステップが従来技術において既知であることを含意するわけではなく、ましてや、その要素又はステップが従来技術においてしばしば出現することを含意するわけではない。
【0020】
「スタンピング」という用語は、培養デバイスに関連して使用される場合、培養デバイスの増殖領域にわたって接種物を広げるプロセスを指す。「スタンピングツール」は、スタンピングを行うツールである。これは、関連技術における「スタンピング」という用語の既知の使用であり、多くのスタンピングツールが当該技術分野において既知である。「スタンピング」という用語は、培養デバイスに関しては、インク又は他の何らかの顔料によってマークを付けるためにスタンプ等の器具を使用するという意味で使用されるのではなく、また、培養デバイスに関して使用される「スタンピングツール」も、培養デバイス上にマークを付けるツールを指すわけではない。
【0021】
便宜上、単数形("a"及び"an")の用語が使用されることが多いが、そのような用語は、1つの事物のみを参照するような含意を意図せず、その代わり、1つ(one)及び1つのみ(only one)と明記されるか又は文脈から明らかでない限り、1つよりも多いことを可能にする。
【0022】
従来、培養デバイスを使用する最も一般的な方法は、培養デバイスから、例えば、蓋又はフラップを持ち上げる又は取り外すことによって、手動で覆いを外し、増殖領域を露出させることと、増殖領域において試験対象のサンプルを含む接種物をピペッティングすることとを伴う。これらの動作は、器用さ及び細かい運動技能を必要とするため、手作業でしか効果的に実行することができない。同様に、機械では、培養デバイスに損傷を与え得ることなく又は培養結果に影響を与え得ることなく、培養デバイスを器用に移動させるのに十分ではないため、培養デバイスを1つの地点から別の地点に移動させることも手作業で実行する必要がある。これらの動作のうちのいくつかを実行することが可能であり得るINOBOT等の機器でも、エフェクターアセンブリ(すなわち、培養デバイス、カバー等に係合して移動させる部分)は十分に器用ではないため、人間ほど精密に複数の動作を実行することはできない。
【0023】
したがって、本開示以前に利用可能な技術を使用して培養物を増殖させるためには、人間の作業者が、培養デバイスのスタック又は他の初期地点から接種を行う地点に培養デバイスを移動させていた。培養デバイスから、例えばカバー又はフラップを持ち上げる又は取り外す等によって、手動で覆いを外し、培養デバイスの増殖領域を露出させる。次いで、ピペット又は同様の手持ちツールを使用して、サンプル(典型的には液体サンプルであり、多くの場合、接種物と称される)を増殖領域に手動で配置する。次いで、このカバーを、増殖領域の上に再配置する。いくつかの場合、手持ちスタンピングツールを使用して、増殖領域の上に接種物を手動で広げる。次いで、培養デバイスをインキュベーターに手動で移動させ、そこで、コロニー検出又はコロニー計数等の試験に先だって好適な時間にわたってインキュベートする。このプロセスは、労働集約的であり、高度な専門性と人間の作業者による慎重な操作とが必要である。
【0024】
したがって、解決すべき課題は、従来、ロボットには過大な器用さを要求し、手動で実行する必要があった少なくとも1つ、好ましくは複数の動作を実行することができる、十分な機動性及び器用さを有するロボットシステムを作製することである。より詳細には、上記動作は、培養プレートの処理に関連する動作である。解決すべき課題は、例えばフラップを持ち上げる又はカバーを取り外すことによって培養プレートの覆いを外す、培養デバイスを移動させる、例えばフラップ又はカバーを再配置することによって培養プレートを覆う等の、細かい運動技能を必要とするタスクを実行することが可能であるように、十分に機敏なエフェクターアセンブリを作製することを伴うことができる。関連する課題は、培養デバイス処理を自動化することができ、好ましくは2つ以上の培養デバイスを同時に処理することができる機械を見出すことを含む。別の課題は、培養デバイスを処理するのに必要なステップ、例えば、培養デバイスの覆いを外すステップ、培養デバイスに接種を行うステップ、培養デバイスを覆うステップ、培養デバイスを1つの地点から別の地点に移動させるステップ、及び培養デバイスをスタンピングするステップ等のうちの1つ以上を自動化する方法を見出すことを含む。関連する課題は、2つ以上の培養デバイスの同時の自動処理を含む。
【0025】
簡潔には、解決策は、培養デバイス処理システムに関連し得る、開示される可動エフェクターアセンブリにある。可動エフェクターアセンブリと、使用される場合、培養デバイス処理システムとは、培養デバイスの自動処理を可能にする。開示される培養デバイスの処理方法も解決策となる。
【0026】
可動エフェクターアセンブリは、培養デバイスと機械的に相互作用することが可能な1つ以上のエフェクターアームを備える。1つ以上のエフェクターアームは、培養デバイスの処理に必要な多様なタスクを完遂するのに必要とされる位置に、1つ以上のエフェクターアームのうちの少なくとも1つを回転させることが可能な、1つ以上の回転セグメントを備える。例えば、1つ以上のエフェクターアームのうちの複数の回転セグメントは、1つ以上のエフェクターアームが、培養デバイスを移動させ、培養デバイスからカバーを外して増殖領域を露出させ、増殖領域の上にカバーを再配置することを可能にする。回転可能セグメントの構成により、エフェクターアーム及び可動アセンブリが、培養デバイスの機械的及び自動処理に必要なこれらのタスク及び他のタスクを実行することが容易になる。
【0027】
1つ以上のエフェクターアームは、1つ以上の取付け部材をそれぞれ備えることができる。取付け部材は、培養デバイス又はその一部、例えば、カバー、蓋、若しくはフラップ、スタンピングデバイスツール、又はいくつかの場合ラベル等を、固定、保持、又は把持する役目を果たす。必要なタスクを実行することが可能な任意の好適な部材が、取付け部材としての役目を果たすことができる。例示的な取付け部材として、吸引源と任意選択で連通し得る1つ以上の真空カップ、例えばクランプ、万力、グリップ、機械フィンガー、1つ以上の磁石等の1つ以上の留め具機構が挙げられる。
【0028】
いくつかの場合、培養デバイスにラベル付けすることが有利であり得る。取付け部材は、培養デバイス上にラベルを配置又は貼付することが可能であり得る。取付け部材は、ラベルディスペンサー又はラベルプリンター等のラベラーからラベルを受け取って、培養デバイス上にラベルを配置又は貼付することも可能であり得る。取付け部材は、ラベラーから培養デバイスにラベルを移送して、培養デバイス上にラベルを配置又は貼付するのに十分な時間にわたってラベルを保持することができる。
【0029】
培養デバイス処理システムは、モジュール式支持体に可動に結合し、モジュール式支持体に沿った可動エフェクターアセンブリの長手方向の移動を可能にする、本明細書に記載されるような少なくとも1つの可動エフェクターアセンブリを備える。エフェクターアームの様々なセグメントは、1つ以上の軸の周りに又は軸を中心に動くこともできる。培養デバイス処理システムは、可動エフェクターアセンブリが、本明細書に記載される様々な軸の周りにセグメントを回転させることによって、及びモジュール式支持体に沿って移動することによって、培養デバイスをインプット地点からチャネルに移動させることができるように構成することができる。
【0030】
チャネルに入ると、培養デバイスには、例えば、可動エフェクターアセンブリによって更に操作を施すことができる。例えば、可動エフェクターアセンブリは、培養デバイスの増殖領域の覆いを外すことができる。
【0031】
チャネルは、接種ステーションを含むこともでき、この場合、可動エフェクターアセンブリが、培養デバイスをインプット地点から接種ステーションに移動させることができる。培養処理デバイス、より詳細には可動エフェクターアセンブリは、1つ以上の接種器と連絡することができる。1つ以上の接種器は、培養デバイス、特に培養デバイスの増殖領域に接種を行うための、任意の好適なデバイスとすることができる。例として、例えば、所定量の固体又は液体接種物、特に液体接種物等の或る量を分注するための、1つ以上のピペット、マイクロピペット、スワブ、ディスペンサーが挙げられる。培養デバイスが接種ステーションに入ると、接種器は、培養デバイス、典型的には培養デバイスの増殖領域に接種を行うことができる。
【0032】
チャネルは、アウトプット地点を有することもでき、接種後に、可動エフェクターアセンブリは、この地点に培養デバイスを移動させることができる。可動エフェクターアセンブリは、チャネルの任意の好適な地点において、典型的には接種ステーション又はアウトプット地点において、培養デバイスのカバーを再配置することができるが、他の地点も可能である。最も一般的には、カバーを接種前に一度外し、接種後に再配置するが、実行されるプロトコルに応じて、カバーを複数回外し、再配置することも可能である。
【0033】
培養処理デバイス処理システムは、複数のチャネルを有することが可能であり、この場合、典型的には、各チャネルに対して、可動エフェクターアセンブリ等、培養デバイス処理システムの構成要素のそれぞれが1つずつ存在することになる。したがって、第1のチャネル及び第2のチャネルを有する培養処理デバイスは、典型的には、第1のチャネルに関連する第1の可動エフェクターアセンブリと、第2のチャネルに関連する第2の可動エフェクターアセンブリとを有する。第3のチャネルが存在する場合、培養処理デバイスは、典型的には、第3のチャネルに関連する第3の可動エフェクターアセンブリを有する。したがって、複数のチャネル及び可動エフェクターアセンブリがある場合、培養デバイスを第1のインプット地点から第1のチャネルに移動させる、又は第2のインプット地点から第2のチャネルに移動させる、及び以降同様にすることができる。さらに、各チャネルは、典型的には、本明細書において論じられる構成要素の全てを有し、そのため、各チャネル及びその関連する可動エフェクターアセンブリは、典型的には、別のチャネルの構成要素のうちのいずれかを必要とすることなく、培養デバイスを処理するのに必要なステップの全てを実行することが可能である。したがって、典型的には、各チャネルは、チャネルに一意に関連するインプット地点、アウトプット地点等を有する。
【0034】
マルチチャネル培養デバイス処理システムの典型的な構成において、互いに隣接して位置決めされる複数のモジュール式支持体は、1つの可動エフェクターアセンブリにそれぞれ結合される。この構成により、各チャネルからの可動エフェクターアセンブリが別個に作用する、より詳細には、複数の培養プレートを同時に処理するために別個に同時に作用するか、又は単一の培養プレートを処理するために一緒に作用することが可能になるため、大幅な柔軟性が与えられる。この結果は、培養デバイス処理における効率、速度、正確性、及びスループットのうちの1つ以上の有意な増大となる。
【0035】
接種システムは、複数の培養処理システムを備えることができる。そのような接種システムは、典型的には、複数の培養処理システムのチャネルが平行な長手方向を有するように構成される。チャネルのうちの1つ以上は、スタック若しくはカートリッジ若しくは培養デバイスを保持するように構成することができる単一のインプット地点を共有してもよく、又は別個のインプット地点を有してもよい。チャネルのうちの1つ以上は、スタック若しくはカートリッジ若しくは培養デバイスを保持するように構成することができる単一のアウトプット地点を共有してもよく、又は別個のアウトプット地点を有してもよい。
【0036】
図を参照すると、図は必ずしも縮尺どおりに描かれておらず、いくつかの場合、様々な事物をより明確に示すために意図的に縮尺どおりにされていない可能性がある。図1図4は、可動エフェクターアセンブリ200を備える培養デバイス処理システム100を示している。培養デバイス処理システム100は、第1の端部110と、第1の端部110とは反対側の第2の端部120とを備える。培養デバイス処理システム100はモジュール式支持体130を備え、モジュール式支持体130は、モジュール式支持体130の第1の端部110からモジュール式支持体130の第2の端部120まで培養デバイス処理システム100に沿って長手方向Lに延在する。
【0037】
培養デバイス処理システム100は、ハウジング140(図1及び図2)を備える。ハウジング140は、可動エフェクターアセンブリ200を制御するために、機械的構成要素、電気的構成要素、又は機械的及び電気的の双方の構成要素等の構成要素を収容することができる。培養デバイス処理システム100は、コンピューター(図示せず)と通信することができる。コンピューター又はプロセッサは、コンピューター動作可能命令のセットを含む非一時的コンピューター可読記憶媒体を実行するように構成することができる。培養デバイス処理システム100と通信するコンピューターによって命令が実行されると、培養デバイス処理システム100は、培養デバイスを処理する、特に、本明細書に記載される動作、ステップ、又は方法のうちの1つ以上を実行する動作を実行する。コンピューターは、培養デバイス処理システム100を制御することができ、コンピューターは、可動エフェクターアセンブリ200のモーターに統合された1つ以上のコントローラーに対する、1つ以上のソフトウェアドライバーを有することができる。コンピューターは、可動エフェクターアセンブリ200の動きを制御する複数のコントローラーを備えることができる。コンピューターは、可動エフェクターアセンブリ200及び1つ以上のエフェクターアームを制御するために、必要な又は所望の自動コマンドを可動エフェクターアセンブリ200に送信するように構成することができる。
【0038】
可動エフェクターアセンブリ200は、モジュール式支持体130に可動に結合される本体210を備える。可動エフェクターアセンブリ200は、モジュール式支持体130に沿って長手方向Lに移動するように構成される。可動エフェクターアセンブリ200は、モジュール式支持体130のトラック131に結合されるように、図1図3に示されている。原則として、モジュール式支持体130に沿った可動エフェクターアセンブリ200の移動のために、支持体又はトラックに沿って装置を移動させることができる任意の構成要素を使用することができる。例として、自動トラック、回転アクセル、駆動ホイールシステム等が挙げられ、これらのいずれも、内部又は外部のモーター(図示せず)によって駆動することができる。
【0039】
可動エフェクターアセンブリ200は、培養デバイスに結合し、培養デバイス上にラベルを配置する、1つ以上のエフェクターアームを備える。第1のエフェクターアーム220は、図4の左側に対応する第1の方向において、可動エフェクターアセンブリ本体210から延出する。第2のエフェクターアーム230は、図4の右側に対応する第2の方向において、可動エフェクターアセンブリ200の本体210から延出することができる。図4において、第2の方向は、第1の方向とは実質的に反対である。この図は、2つのエフェクターアーム220、230を有する可動エフェクターアセンブリ200を示しているが、他の実施形態において、可動エフェクターアセンブリ200は、1つのみのエフェクターアームを有してもよく、又は、3つ、4つ、若しくはそれ以上のエフェクターアームを有してもよい。
【0040】
内部又は外部にあり得るコンピューター又はプロセッサ151を使用して、可動エフェクターアセンブリ200を備える培養デバイス処理システム100をプログラミングすることができる。
【0041】
図4は、第1の端部221と、第1の端部221とは反対側の第2の端部222とを備える第1のエフェクターアーム220の細部も示している。第1のエフェクターアーム220の第1のセグメント223Aは、第1のカップリング224Aにおいて本体210に回転可能に結合される。第1のカップリング224Aは、第1のエフェクターアーム220の第1の端部221の近位に位置する。第1のセグメント223Aは、第1の回転軸A1の周りに、任意選択で少なくとも180度、特に360度回転可能である。第2のセグメント223Bは、第2のカップリング224Bにおいて第1のセグメント223Aに回転可能に結合される。第2のセグメント223Bは、第2の回転軸A2の周りに、任意選択で少なくとも180度、特に360度回転可能である。この図に示されているように、第1のエフェクターアーム220は、第3のカップリング224Cにおいて第2のセグメント223Bに回転可能に結合される第3のセグメント223Cを備える。第3のセグメント223Cは、第3の回転軸A3の周りに、任意選択で少なくとも180度、特に360度回転可能とすることができる。代替的に、第3のセグメント223Cは、第2のセグメント223Bに静的に結合してもよい。いくつかの実施形態において、第3のセグメント223Cは省かれる場合があり、第1のセグメント223A及び第2のセグメント223Bのみが存在する。いくつかの実施形態において、隣接するセグメントに回転可能又は静的に結合することができる追加のセグメントが含まれる場合がある。
【0042】
第1の取付け部材225は、第1のエフェクターアーム220の第2の端部222に位置する。第1の取付け部材225は、第1のエフェクターアーム220を、培養デバイス処理システムのチャネル(図示せず)上に配置される少なくとも1つの培養デバイス(図示せず)に取外し可能に結合するものである。加えて、第1の取付け部材225は、ラベラーからラベル(いずれも図示せず)を受け取るもの、培養デバイス上にラベラーを配置するもの、又はその双方とすることができる。
【0043】
第1の回転軸A1、第2の回転軸A2、及び第3の回転軸A3のそれぞれは、図がある紙面に対して直交するため、これらの図においては、紙面を貫通する回転点として示され、そのため、3つの軸のそれぞれは、長手方向Lに対して垂直に延在するものとして示されている。したがって、回転軸A1、A2、A3のそれぞれは、垂直かつ非同一線上である。
【0044】
可動エフェクターアセンブリ200が方向Lに対して回転可能である場合、軸も移動し得るため、これらの軸は方向Lに対して垂直でなくなることに留意されたい。したがって、図における特定の表現は、明確にするためであり、軸A1、A2、A3が方向Lに対して垂直である必要はない。
【0045】
第1のエフェクターアーム220は、第1の回転軸A1の周りに360度回転することが可能であり得る。第1のセグメント223A、第2のセグメント223B、及び第3のセグメント223Cは、平行な非同一線上の軸である第1の回転可能軸A1、第2の回転可能軸A2、及び第3の回転可能軸A3に沿って個々に回転可能である。これにより、第1のエフェクターアーム220に、培養処理における手動操作を模した十分な器用さがもたらされ、それにより、例えば、本明細書に記載されるタスクを実行する一環として、接種プロセスを損ない得る又は処理後の培養プレート上のコロニーの検出若しくは計数を失敗させ得る気泡又は歪みを培養デバイス内に生成することなく、可動エフェクターアセンブリ200は、第1の取付け部材225を所望の位置に位置決めし、培養デバイス又は培養デバイス上のカバー(いずれもこの図には示していない)に結合して移動させることが可能である。
【0046】
実行され得る特定のタスクは、培養デバイスを1つの地点から別の地点に、例えば、インプット地点から接種ステーション等のチャネルに、及び接種ステーション等のチャネルからアウトプット地点に移動させることを含む。加えて、第1の回転可能セグメント223A、第2の回転可能セグメント223B、及び第3の回転可能セグメント223Cの独立した回転により、接種物を増殖領域に添加することができるように、第1のエフェクターアーム220が培養デバイス(図示せず)の覆いを外し、カバー(図示せず)によって覆うことを可能にすることができる。
【0047】
より詳細には、培養デバイスは、薄い可撓性シートであるカバーを有することができる。そのような場合、カバーは、通常、カバーの第1の端部において培養デバイスに取り付けられ、ヒンジ様の構造を形成する。これらのより具体的な例では、エフェクターアームは、把持を行うことが可能であり、本方法は、カバーの第1の端部とは反対側の第2の端部においてカバーを把持するステップを含む。最も具体的には、エフェクターアームは、巻上げを行うことが可能であり、本方法は、カバーシートを培養デバイスから分離することなく又はチャネルから培養デバイスを持ち上げることなく、薄い可撓性カバーシートをカバーシートの第1の端部へと戻るように巻き上げるステップを含む。
【0048】
ただし、使用され得る培養デバイスのタイプは、薄い可撓性カバーシートを有するものに限定しない。剛性のガラス又はプラスチックのカバーシートを有する培養デバイス、例えばペトリ皿を使用することもでき、本明細書に記載される可動エフェクターアセンブリ及び培養デバイス処理システムは、そのような培養デバイスに対して動作するように構成することができる。
【0049】
第2のエフェクターアーム230は、形状及び機能が第1のエフェクターアーム222の構成要素に概ね対応する構成要素を備えるものとして示されている。しかしながら、第1のエフェクターアーム220及び第2のエフェクターアーム230は、別様に構成することも可能である。ここでは、第2のエフェクターアーム230は、第1の端部231と、第1の端部231とは反対側の第2の端部232とを備える。加えて、第2のエフェクターアーム230は、第1のセグメント233A及び第2のセグメント233Bを備える。第1のセグメント233Aは、本体210に回転可能に結合される。第1のセグメント233Aは、第1のカップリング224Aにおいて本体210に結合し、第1の回転軸A1の周りに回転可能とすることができる。代替的に、第2のエフェクターアーム230の第1のセグメント233Aは、第1の回転軸A1と同一線上にない位置において本体210に結合することができ、第1のエフェクターアーム220及び第2のエフェクターアーム230は、別個の位置において本体210に結合されるようになっている。第2のエフェクターアーム230の第2のセグメント233Bは、第4のカップリング234において第1のセグメント233Aに回転可能に結合される。第2のエフェクターアーム230の第2のセグメント233Bは、第4の回転軸A4の周りに回転可能とすることができる。図4において、第2のエフェクターアーム230の第2のセグメント233Bは、第3の位置に回転可能であり、第2のエフェクターアーム230は、第2の取付け部材がラベルホルダーからラベル(いずれもこの図には示していない)を取得する又は受け取るために、培養デバイス処理システム100の第2の端部に向かって長手方向Lに真っ直ぐ位置決めされるようになっている。
【0050】
第2の取付け部材235は、第2のエフェクターアーム230の第2の端部232に位置する。第2の取付け部材235は、ラベラー(図示せず)からラベルを受け取って保持し、培養デバイス上にラベルを配置するように構成することができる。
【0051】
任意の実施形態において、第1の取付け部材225及び第2の取付け部材235は、任意選択で、吸引源と連通することができる1つ以上の真空カップ又は2つ以上の真空カップのアレイと、1つ以上の留め具機構、例えば、クランプ、万力、グリップ、機械フィンガー、1つ以上の磁石等(明確にするために、このレベルの細部は図には示していない)とを含むことができる。
【0052】
可動エフェクターアセンブリ200は、スタンピングツール240を含むことができ、スタンピングツール240は、図4において、本体210に取外し可能に結合されている。スタンピングツール240は、可動エフェクターアセンブリ200の基部255付近のカップリング機構250を介して、可動エフェクターアセンブリ200に結合することができる。様々なカップリング機構として、磁気カップリング、真空吸引カップリング、例えばグリップ、万力、摩擦嵌合等による機械カップリング、又は他の任意のカップリング機構を挙げることができる。カップリング機構250は、例えば、スタンピングツール240が清掃又は交換のために取り外されるまで、スタンピングツール240を保持するように構成される。スタンピングツール240がカップリング機構250から取り外されると、使用される培養デバイスのタイプに対応する第2のスタンピングツールを、第1のスタンピングツール240と交換することができる。異なるスタンピングツールが異なる培養デバイスと適合性を有することができ、各スタンピングツール240は、一貫したスタンピングプロセスを提供するように構成される。スタンピングプロセスにより、培養デバイスの増殖領域(図4には図示せず)内に、特に培養デバイスの増殖領域内に均一に、増殖領域から接種物が零れる又は別様に漏れることなく、接種物が広げられる。
【0053】
可動エフェクターアセンブリ200は、本体210に結合される第1のアクチュエータ260及び第2のアクチュエータ270も備えることができる。第1のアクチュエータ260の作動により、スタンピングツール240が培養デバイス(図示せず)に接触しない第1の位置と、スタンピングツール240が培養デバイスに接触する第2の位置との間でスタンピングツール240が移動することが可能になる。第2のアクチュエータ270の作動により、第2の取付け部材235が培養デバイスに接触しない第1の位置と、第2の取付け部材235が培養デバイスに接触して培養デバイス上にラベルを配置する第2の位置との間で第2のエフェクターアーム230が移動することが可能になる。第2のアクチュエータ270は、第2のエフェクターアーム230が第1の位置にあるか第2の位置にあるかに応じて上又は下に位置決めされるシャフト271によって、第2のエフェクターアーム230に結合される。しかしながら、第2のエフェクターアーム230を、第1のカップリング224Aにおいて、第1の位置から第2の位置に回転させるように作動させることができることも想定される。
【0054】
図3を参照すると、画像捕捉デバイス150が可動エフェクターアセンブリ200の本体210に結合されている。画像捕捉デバイス150は、チャネル400上に配置される培養デバイスの画像を捕捉するものである。画像捕捉デバイス150又は内部若しくは外部のコンピューター若しくはプロセッサ151(図1を参照)は、典型的には、予期される培養デバイスのタイプ、例えば、特定のタイプの微生物に対応する培養デバイス、特定の特徴を有する培養デバイス、特定のタイプの標示(バーコード、QRコード(登録商標)、筆記等)を有する培養デバイス、特定の寸法を有する培養デバイス等に関連する、1つ以上の取得標示の画像を取得し、培養デバイスの捕捉標示を受信標示と比較することができる。最も一般的には、捕捉標示は、培養デバイスの画像又は画像の一部、例えば、培養デバイス上にマークされたバーコード、QRコード(登録商標)、色、文字列等である。最も一般的には、受信標示は、培養デバイスの画像又は画像の一部、例えば、予期されるタイプの培養デバイス上にマークされているであろうバーコード、QRコード(登録商標)、色、文字列等である。
【0055】
図5を参照すると、接種システム1は、複数の培養デバイス処理システム(100A、100B、100C、100D)を備えることができる。図5において、複数の培養処理システムが隣り合い、長手方向に平行となっているが、他の配置も可能である。接種システムは、複数の培養デバイス処理システムを収容するハウジング10を備える。複数の培養デバイス処理システムのそれぞれは、単数又は複数の同じタイプ又は異なるタイプの培養を処理するように構成することができる。この配置は、多数の培養デバイスを処理する効率、スループット、及び速度を更に向上させることができる。
【0056】
図6図16は、培養デバイス処理システム100の特定の動作方法を示している。図6は、可動エフェクターアセンブリ200を、使用される培養デバイス500のタイプにあわせて使用するのに好適なスタンピングツール240に結合するステップを示している。可動エフェクターアセンブリ200のカップリング機構250は、スタンピングツール240を可動エフェクターアセンブリ200にしっかりと結合する。可動エフェクターアセンブリ200は、カップリング機構250をスタンピングツール240に結合する地点に位置決めするために、モジュール式支持体130に沿って長手方向Lに移動することができる。
【0057】
図7は、可動エフェクターアセンブリ200の第1のエフェクターアーム220が、チャネル400のインプット地点430において第1の取付け部材225を培養デバイス500に結合するところを示している。インプット地点430は、単一の培養デバイス又は複数の培養デバイスのスタックを含むことができる。可動エフェクターアセンブリ200は、チャネル400の第1の端部410に向かって駆動され、第1の取付け部材225が培養デバイス500に係合することを可能にする。第1のエフェクターアーム220は、第1のセグメント223Aがチャネル400の第1の端部に向かって長手方向Lに向いている、L字状の配置で示されているが、第1のエフェクターアーム220及び培養処理システムの他の構成要素の特定の構成及び寸法に応じて、他の向きも可能である。少なくとも第3のセグメント223Cは、チャネル400に係合するために、長手方向に対して垂直に回転することができる。第1の取付け部材225は、チャネル400上の別個の地点に移送するために、培養デバイス500に係合して培養デバイス500を保持する。培養デバイス500が第1の取付け部材225にしっかりと結合されると、可動エフェクターアセンブリ200は、培養デバイス500をチャネル400の第1の位置(図8)に配置するための位置に移動することができる。
【0058】
図8は、第1のエフェクターアーム220が培養デバイス500をチャネル400の第1の位置450に配置するところを示している。可動エフェクターアセンブリ200は、図7の位置から長手方向Lに沿ってチャネル400の第2の端部420に向かって移動しており、この図8では、保持した培養デバイス500をチャネル400の第1の位置450に位置決めするのに適切な地点にある。第1の取付け部材225は、培養デバイス500がチャネル400の第1の位置450に正確に配置されることを確実にするように配向される。培養デバイスが第1の位置450にくると、第1の取付け部材225は、培養デバイス500から係合解除することができる。
【0059】
図9は、画像捕捉デバイス150が培養デバイス500の画像を捕捉するところを示している。画像捕捉デバイスは、典型的には培養デバイス500の画像又は画像の一部である、捕捉標示を捕捉することができる。捕捉標示は、例えば、予期されるタイプの培養デバイス上にマークされているであろうバーコード、QRコード(登録商標)、色、文字列等とすることができるが、培養デバイス500の形状、寸法等、又は、増殖領域における接種物の性質、例えば、色、気泡の存在等とすることもできる。
【0060】
捕捉標示は、エラーを回避することを補助するように、品質保証尺度として使用することができる。使用時、ユーザーは、画像捕捉デバイス150と通信し、画像捕捉デバイス150及び培養プレート処理システム200の内部又は外部にあり得るコンピューター又はプロセッサに、処理されるプレートの数及びタイプ等に関する情報を含むワークリストを提供することができる。このワークリストは、使用されるとき、例えば、処理される培養デバイスのタイプ及び培養デバイスが処理される順序を表す、予期される培養デバイスのリストを提供する。非一時的コンピューター可読記憶媒体は、予期され得る様々なタイプの培養デバイスに関連する取得標示を記憶するように構成する、典型的には事前構成することができる。取得標示は、典型的には、予期される培養デバイスの画像又は画像の一部、例えば、予期されるタイプの培養デバイス上にマークされているであろうバーコード、QRコード(登録商標)、色、文字列等であるが、受信画像は、培養デバイスの寸法、培養デバイスの形状等に関連することもできる。
【0061】
画像捕捉デバイス150又は内部若しくは外部のコンピューター若しくはプロセッサは、非一時的コンピューター可読記憶媒体から、予期されるタイプの培養デバイスの取得標示を取得することができる。プロセッサは、捕捉標示を取得標示と比較して、処理されている培養デバイス500が予期されるタイプの培養デバイスと同じタイプであるか否かを判断することができる。コンピューター又はプロセッサは、予期される培養デバイスのタイプが処理されている培養デバイス500のタイプに一致しない場合、警告を出すように更に構成することができる。画像捕捉デバイス150は、プロセッサ(使用される場合)とともに、培養デバイス処理システムが予期されるタイプの培養デバイスに対して動作していることを保証するためのチェックポイントとして機能し、それにより、ユーザーエラー、例えば、使用される接種物に対して誤ったタイプの培養デバイスが処理のためにインプット地点に配置されるエラーを補正することができる。
【0062】
加えて又は代替的に、捕捉標示を取得標示と比較して、捕捉標示の捕捉元の培養デバイス500のタイプを確定することができる。非一時的コンピューター可読記憶媒体は、複数の命令セットを含むことができ、この命令は、例えば、異なるタイプの培養デバイスに対応する、異なるタイプの培養デバイスを処理する方法に関する細目とすることができる。次いで、プロセッサは、捕捉標示の捕捉元の培養デバイスのタイプに対応する、命令セットを取得することができる。
【0063】
加えて又は代替的に、画像捕捉デバイス150は、培養デバイスがチャネル400上の第1の位置450に正しく位置決めされることを確実にするように、培養デバイス500の位置を検出することができる。
【0064】
図10は、第1のエフェクターアーム220が培養デバイス500上の増殖領域520を露出させるように、培養デバイス500のカバー510を取り外すところを示している。第1の取付け部材225は、チャネル400と連絡する第1の位置に下降され、ここで、第1の取付け部材225は、カバー510の第1の端部511に係合して、第1の端部511を固定する。続いて、第1の取付け部材225は、フラップを持ち上げ、培養デバイス500の増殖領域520を露出させるために、チャネル400から離れて第2の位置に移動する。増殖領域510を露出させると、培養デバイス510の増殖領域520に接種物を添加することができる。
【0065】
接種物は、通常はピペッティング装置、特に自動ピペッティング装置である接種器600によって添加することができる。いくつかの場合、接種物は手動で添加されるが、これはあまり一般的ではない。培養デバイス処理システム100は、例えば、所定量の固体又は液体の接種物等の或る量を分注するための、1つ以上のピペット、マイクロピペット、スワブ、ディスペンサー等の接種器600を備えることが好ましいが、特に、接種物を加えるするのはピペット(図示せず)である。特定の接種器600は自動化され、これらの接種器600は、より具体的には、用いる接種物の体積に応じて、接種物を増殖領域520上に加えるすることができるマイクロピペッティング装置又は他のピペッティング装置とすることができる自動ピペッティング装置である。特に、接種器600は、通常、チャネル上の第1の位置450に位置するときに、培養デバイス500に接種を行うために可動エフェクターアセンブリ200と連絡する。この図において、チャネルは、接種ステーションとしても機能する。なお、接種器600の存在は必須ではなく、いくつかの図、例えば、図11は、接種器600を備えない培養デバイス処理システム100を示している。
【0066】
図11は、第1のエフェクターアーム220が、接種物(図示せず)を添加した後、増殖領域520の上にカバー510を再配置するところを示している。第1のセグメント223A、第2のセグメント223B、及び第3のセグメント223Cの回転は、カバー510が、例えば増殖領域520を効果的に封止するように、適切に再配置されること、及び増殖領域520内の接種物が擾乱されないことを保証する。
【0067】
図12は、培養デバイス500をスタンピングする任意選択のステップを示している。このステップは、例えば、使用される培養プレート、接種物、及び接種器のタイプ、並びに培養デバイスに対して後に行われ得る検出又は計数の要件に応じて、必要としない場合がある。図12において、培養デバイス500のカバー510は、培養デバイス500の増殖領域520の上に既に再配置されており、可動エフェクターアセンブリ200は、スタンピングツール240を培養デバイス500の上に位置決めするように、モジュール式支持体130に沿って移動される。第1のアクチュエータ(図示せず)は、スタンピングツール240を、スタンピングツール240が培養デバイスから係合解除される第1の位置から、スタンピングツール240が培養デバイス500に接触する第2の位置に移動させる。スタンピングツール240は、培養デバイス500のカバー(図示せず)に接触して、増殖領域(図示せず)に圧力を印加し、増殖領域内に接種物(図示せず)を広げる。スタンピングツール240は、第1の位置に戻る。
【0068】
図13Aは、第1のエフェクターアーム220がチャネル400の第2の端部においてラベラー440からラベルを受け取るところを示している。第1のエフェクターアーム220は、可動エフェクターアセンブリ200のチャネル400の第1の端部410に面する側から、チャネル400の第2の端部420に面する側に回転し、ラベラー440に係合することができる。第1の取付け部材(図示せず)は、ラベラー440からラベルを取得する。ラベルには、例えば、処理されている培養デバイス(図示せず)に関する情報を印刷することができる。この動作中、第1の取付け部材は、ラベルが、例えば、培養デバイス(図示せず)上に配置されるまで、ラベルを保留又は保持するラベルホルダーとして機能する。
【0069】
図13Bは、図13Aに示されている実施形態に対する代替形態を示している。図13Bにおいて、可動エフェクターアセンブリ200は、2つのエフェクターアーム、すなわち、第1のエフェクターアーム220及び第2のエフェクターアーム230を有する。ここでは、第2のエフェクターアーム230は、ラベラー440からラベルを取得する。第2のエフェクターアーム230の第2の取付け部材(図示せず)は、ラベラー440に係合し、ラベルを取得する。ラベルには、例えば、処理されている培養デバイス(図示せず)に関する情報を印刷することができる。第1のエフェクターアーム220は、ラベラー440、又は第2のエフェクターアーム230、又はチャネル400内に存在する場合もある培養デバイス(図示せず)に干渉又は接触しないように位置決めされる。
【0070】
図14Aは、第1のエフェクターアーム220がラベル(この図では見えない)を培養デバイス500に適用するところを示している。ラベルホルダーとして作用する第1の取付け部材225は、チャネル400に向かって位置決めされ、培養デバイス500に係合し、培養デバイス500にラベルを適用する。
【0071】
図14Bは、2つのエフェクターアーム、すなわち、第1のエフェクターアーム220及び第2のエフェクターアーム230を有する可動エフェクターアセンブリ200を示している。図14Bにおいて、第2のエフェクターアーム230は、培養デバイス(この図では見えない)と位置合わせされ、第2の取付け部材は、培養デバイスにラベル(この図では見えない)を適用するために、培養デバイスに係合する。
【0072】
培養処理システムは、例えば、図13A及び図14Aに示されている単一のエフェクターアーム、又は、例えば、図13B及び図14Bに示されている複数の可動エフェクターアームを有することができる。複数のエフェクターアームがある場合、培養デバイスは、複数の可動エフェクターアームが、それぞれ培養デバイスを処理するステップを独立して達成することが可能であるように構成することができる。1つの単一のエフェクターアームのみを使用することで、空間が節減され、培養デバイスを処理するときに煩雑となり得る構成要素の追加が回避される。
【0073】
代替的に、複数のエフェクターアームを、培養デバイスの処理における異なるステップを実行するように構成することができる。この構成は、ラベル付けステップ中に第1のエフェクターアーム220の完全回転が必要となることとは対照的に、ラベル付けステップに用いる追加のアームを備えることによって、効率の増大をもたらすことができる。したがって、ユーザーの優先度及び必要性に応じて、いずれの実施形態を実施してもよい。
【0074】
図15は、第1のエフェクターアーム220が培養デバイス500に結合され、培養デバイス500をアウトプット地点460に配置するところを示している。第1のセグメント223A、第2のセグメント223B、及び第3のセグメント223Cは、培養デバイス500をアウトプット地点460に配置するために、それぞれの回転軸の周りに回転可能である。画像捕捉デバイス150は、デバイスがアウトプット地点460に配置されると、培養デバイス500の正しい位置を検証することができる。培養デバイス500の正しい位置決めが確認されると、第1の取付け部材225は、アウトプット地点において培養デバイス500から係合解除することができ、その後、培養デバイス処理システム100は、別の培養デバイスの処理を開始することができる。
【0075】
図16は、ここではスタンピングツール240に、依然として接続されている可動エフェクターアセンブリ200を、チャネル400の第1の端部410に戻すステップを示している。いくつかの場合、洗浄ステーション(図示せず)が存在し、スタンピングツール240は、洗浄ステーションに配置される。典型的には、スタンピングツール240は、再使用可能であり、摩耗又は汚損すると交換又は洗浄することができるが、通常、交換は、使用後に毎回必要となるものではない。スタンピングツール240を廃棄する場合、カップリング機構250は、新たなスタンピングツール(図示せず)に結合し、培養デバイスの処理を継続することができる。
【0076】
図15及び図16において、第1の位置450は、可動エフェクターアセンブリ200が、処理される新たな培養デバイスをまだその地点に配置していないため、空いている。
【0077】
培養デバイス処理システム100は、複数のスタンピングツールを備えるように適合され、複数のスタンピングツールは、同一であっても、機能、形状、又はサイズが様々であってもよい。これらのスタンピングツールは、可動エフェクターアセンブリ200のカップリング機構250にアクセス可能な地点において、支持体に沿って位置決めすることができる。したがって、処理されている培養デバイスとともに使用するのに最も好適なスタンピングツールを選択することができる。
【0078】
本明細書に開示される培養デバイス処理システムのうちの任意のものは、1つ又は複数の処理される培養デバイス、未処理の培養デバイス、又はその双方を、保管システム内に、例えばスタックとして、又はカートリッジ内に保管することができる。保管システムは、典型的には、未処理の培養デバイスのインプット地点、接種を受ける(処理される)培養デバイスのアウトプット地点、又はその双方に位置するが、他の地点も可能である。培養デバイス処理システムは、複数のプレートが存在する場合、各培養デバイス又は複数の培養デバイスを保管システムから取り出し、各培養デバイス又は複数の培養デバイスを保管システム(同じ保管システム又は異なる保管システム)に戻すことができる。本明細書に記載される培養処理システムは、可動エフェクターアセンブリを使用して、例えば、保管プレートに接種が行われた後又は他の適切な時点で、培養デバイスをインキュベーター内に配置するようにも構成される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15
図16
【国際調査報告】