(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 7/02 20060101AFI20240403BHJP
G02C 7/00 20060101ALI20240403BHJP
G02C 11/00 20060101ALI20240403BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G02C7/02
G02C7/00
G02C11/00
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552342
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 EP2022057979
(87)【国際公開番号】W WO2022200600
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・シュピーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム・ギローデ
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ドローブ
(72)【発明者】
【氏名】フイシアン・アデュリーン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】コノガン・バラントン
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ギヨー
【テーマコード(参考)】
2H006
2H199
【Fターム(参考)】
2H006BA03
2H006CA00
2H199CA02
2H199CA06
2H199CA23
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA92
(57)【要約】
本開示のある態様は、使用者が眼鏡を装用して像を見るための眼鏡に関する。この眼鏡は調光手段を含み得て、調光手段は調光手段の第一の表面と対向したときに使用者の眼が認識する投射光を提供するように構成され、それによって使用者には原画像から補正された補正画像が見える。調光手段は、使用者の眼の網膜のために補正画像において原画像と比較して補正された量のポジティブコントラスト信号を提供するように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装用時に使用者が画像を見るための眼鏡(100)において、
調光手段(120)であって、前記調光手段(120)の第一の表面と対向したときに使用者の眼(110)が認識する投射光(150)を提供するように構成され、それによって前記使用者には原画像から補正された補正画像が見える調光手段を含み、
前記調光手段(120)は光強度パターン(160)を含み、
前記光強度パターン(160)は複数の要素の配置であり、
前記光強度パターン(160)により提供されたパターンは、前記原画像から発せられる光の強度、照度、又はコントラストを調整又は変更するように構成され、
前記調光手段(120)は、前記原画像と比較して、前記補正画像の中で、前記使用者の眼(110)の網膜のために増大された量のポジティブコントラスト信号を提供するように構成され、
前記ポジティブコントラスト信号は、暗い背景での明るい刺激の存在に対応する眼鏡(100)。
【請求項2】
補正された量のポジティブコントラスト信号は、前記眼鏡(100)の少なくとも1つのレンズ(130)上の透過パターン(300)により生成される前記光強度パターン(160)の調整により提供される、請求項1に記載の眼鏡(100)。
【請求項3】
前記透過パターン(300)は、残りのマジョリティ領域(320)より高い透過率を有する複数のマイノリティ領域(310)を含み、前記複数のマイノリティ領域は開口のパターンであり、前記残りのマジョリティ領域(320)は前記複数のマイノリティ領域(310)を含まない残りの領域である、請求項2に記載の眼鏡(100)。
【請求項4】
前記複数のマイノリティ領域(310)は前記レンズ(130)の貫通穴を通じて形成される、
請求項3に記載の眼鏡(100)。
【請求項5】
前記複数のマイノリティ領域(310)は、前記マジョリティ領域(320)とはコーティングにより異なる、
請求項3に記載の眼鏡(100)。
【請求項6】
前記補正された量のポジティブコントラスト信号は、発光パターン(400)により生成される前記光強度パターン(160)の調整により提供される、
請求項1~5の何れか一項に記載の眼鏡(100)。
【請求項7】
前記調光手段(120)は、前記発光パターン(400)を生成するために前記眼鏡(100)上に配置された1つ又は複数の発光素子(410)を含む光源を含む、
請求項6に記載の眼鏡(100)。
【請求項8】
前記調光手段(120)は、前記1つ又は複数の発光素子(410)からの前記光を反射することによって前記発光パターン(400)を生成するための複数の光反射体(420)を含む、
請求項7に記載の眼鏡(100)。
【請求項9】
前記複数の光反射体(420)はプリズム、ミラー、及び液晶から選択される、
請求項8に記載の眼鏡(100)。
【請求項10】
前記発光パターン(400)を生成するための画像プロジェクタ(630)を含む、請求項7から9の何れか一項に記載の眼鏡(100)。
【請求項11】
イメージセンサ(610)及び画像処理回路(620)をさらに含み、任意選択的には、
前記画像処理回路(620)は、前記原画像(710)の複数のポジティブコントラスト領域をマッピングするように構成され、前記複数のポジティブコントラスト領域の各々の中心の、その周囲に対するコントラストは、所定のポジティブコントラスト閾値を超える、
請求項10に記載の眼鏡(100)。
【請求項12】
前記画像処理回路(620)は、前記原画像(720)の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングするように構成され、前記複数のネガティブコントラスト領域の各々の周辺の、その中心に対するコントラストは、所定のネガティブコントラスト閾値を超える、
請求項11に記載の眼鏡(100)。
【請求項13】
前記画像処理回路(620)は、前記原画像(720)の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングするように構成され、前記複数のネガティブコントラスト領域の各々の周囲の、その中心に対するコントラストは所定のネガティブコントラスト閾値を超え、
前記画像処理回路(620)は、前記画像の前記複数のポジティブコントラスト領域又は前記複数のネガティブコントラスト領域を補正することによって前記補正画像を計算し、第一のグローバル比(GR1)と第二のグローバル比(GR2)のグローバル差分(730)を得るように構成され、
前記第一のグローバル比(GRI)とは、前記原画像の前記複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と前記複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計の差として定義され、
前記第二のグローバル比(GR2)とは、前記補正画像の前記複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と前記複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計との差として定義される、
請求項11に記載の眼鏡(100)。
【請求項14】
前記画像処理回路(620)は、前記第一のグローバル比(GR1)と前記第二のグローバル比(GR2)の前記グローバル差分に基づいて調整パラメータ(740)を計算するように構成される、
請求項13に記載の眼鏡(100)。
【請求項15】
前記補正画像はコントラストが反転された前記原画像に対応する、
請求項1~14の何れか一項に記載の眼鏡(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、使用者が眼鏡を装用して像を見るための眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
屈折異常の1つの形態である近視とは、入射する光がちょうど網膜上で収束するのではなくその前方で収束するため、その人に見える像が、遠くの物を見た場合はピントがずれ、近い物を見た場合にはピントが合う人間の眼の状態である。軽度の近視は単に煩わしいだけである(例えば、>-5D)が、重度の近視は深刻な視覚障害及び極端な場合は失明のリスクの増大を伴う。それゆえ、近視の制御は眼科における臨床及び研究の両領域において大きな負担となっている。
【0003】
現在、近視は像のピントを合わせなおす光学レンズを使って補償され得る。光学レンズは、使用者が装用する眼鏡として実装され得る。しかしながら、このような光学レンズは根底にある問題を是正も解決もせず、特に使用者にとっての近視の制御又は進行の問題を解決しない。このような光学レンズは、補償手段を提供するにすぎず、したがって、視力矯正のためのそうしたレンズに依存する。その結果、使用者はこのような矯正用レンズを一生装用する必要がある。
【0004】
それゆえ、一生使い続ける必要のない改良された眼鏡を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示の目的は、原画像を補正画像に補正し、補正された(増大された)量のポジティブコントラスト信号を使用者の眼の網膜に提供する眼鏡を提供することである。また、本開示の目的は、補正画像を提供するための画像処理方法を実行する命令を含む画像処理回路を提供することでもある。さらに、目的は、補正画像を提供する画像処理方法を実行するように構成された画像処理回路構成を含む画像処理装置を提供することである。本開示は、特許請求項1において開示される眼鏡に関する。眼鏡の有利な態様は、請求項2~15において開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一の態様は、使用者が眼鏡を装用して像を見るための眼鏡に関する。この眼鏡は調光手段を含み得て、これは調光手段の第一の表面と対向したときに使用者の眼が認識する投射光を提供するように構成され、それによって使用者には原画像から補正された補正画像が見える。調光手段は、使用者の眼の網膜のために補正画像において原画像と比較して補正された(例えば、増大された)量のポジティブコントラスト信号を提供するように構成され得る。
【0007】
各種の実施形態によれば、補正された(例えば、増大された)量のポジティブコントラスト信号は、光強度パターン調整により提供され得る。各種の実施形態によれば、光強度パターン調整は、透過パターン及び/又は発光パターンを含み得る。透過パターン及び/又は発光パターンは、眼鏡の少なくとも一方のレンズに提供され得る。各種の実施形態によれば、光強度パターン調整は、透過パターンと発光パターンの両方により生成され得る。
【0008】
各種の実施形態によれば、透過パターンは、残りのマジョリティ領域より高い透過率を有する複数のマイノリティ領域を含み得る。
【0009】
各種の実施形態によれば、複数のマイノリティ領域はレンズ内の貫通穴として形成され得る。
【0010】
各種の実施形態によれば、複数のマイノリティ領域はコーティングにおいてマジョリティ領域とは異なる。
【0011】
各種の実施形態によれば、透過パターンは回転及び並進対称性を持たない。
【0012】
各種の実施形態によれば、補正された(例えば、増大された)量のポジティブコントラスト信号は、発光パターンにより生成される光強度パターン調整により提供され得る。
【0013】
各種の実施形態によれば、調光手段は発光パターンを生成するために眼鏡上に配置された1つ又は複数の発光素子を含む光源を含み得る。
【0014】
各種の実施形態によれば、調光手段は、前記1つ又は複数の発光素子からの光を反射させることによって発光パターンを生成するための複数の光反射体を含み得る。
【0015】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体はプリズム、ミラー、及び液晶から選択され得る。
【0016】
各種の実施形態によれば、発光パターンは回転及び並進対称性を持たない。
【0017】
各種の実施形態によれば、眼鏡は発光パターンを生成するための画像プロジェクタを含み得る。
【0018】
各種の実施形態によれば、眼鏡はイメージセンサ及び画像処理回路をさらに含み得る。
【0019】
各種の実施形態によれば、画像処理回路は、原画像の複数のポジティブコントラスト領域をマッピングするように構成され得る。複数のポジティブコントラスト領域の各々の中心の、その周囲に対するコントラストは、所定のポジティブコントラスト閾値を超え得る。
【0020】
各種の実施形態によれば、画像処理回路は、原画像の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングするように構成され得る。複数のネガティブコントラスト領域の各々の周辺の、その中心に対するコントラストは、所定のネガティブコントラスト閾値を超え得る。
【0021】
各種の実施形態によれば、画像処理回路は、原画像の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングするように構成され得る。複数のネガティブコントラスト領域の各々の周囲の、その中心に対するコントラストは所定のネガティブコントラスト閾値を超え得る。画像処理回路はさらに、画像の複数のポジティブコントラスト領域又は複数のネガティブコントラスト領域を補正することによって補正画像を計算し、第一のグローバル比と第二のグローバル比のグローバル差分を得るように構成され得る。第一のグローバル比(GR1)とは、原画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計の差として定義され得る。第二のグローバル比(GR2)とは、補正画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計との差として定義され得る。
【0022】
各種の実施形態によれば、画像処理回路は、第一のグローバル比と第二のグローバル比のグローバル差分に基づいて調整パラメータを計算するように構成され得る。
【0023】
各種の実施形態によれば、補正画像はコントラストが反転された原画像に対応し得る。
【0024】
本開示の他の態様は画像処理装置に関する。本開示の他の態様は画像処理方法に関する。本開示の他の態様は画像処理方法に関する。
【0025】
本開示の態様は、画像処理装置に関する。画像処理装置はイメージング処理回路構成を含み得て、これは電子フォーマットの画像を受け取るように構成され得る。画像処理回路はさらに、画像の複数のポジティブコントラスト領域をマッピングするように構成され得て、複数のポジティブコントラスト領域の各々の中心の、その周囲に対するコントラストは所定のポジティブコントラスト閾値を超える。画像処理回路はさらに、画像の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングするように構成され得て、複数のネガティブコントラスト領域の各々の周囲の、その中心に対するコントラストは所定のネガティブコントラスト閾値を超える。画像処理回路はさらに、画像の複数のポジティブコントラスト領域又は複数のネガティブコントラスト領域を補正することによって補正画像を計算し、第一のグローバル比と第二のグローバル比とのグローバル差分を得るように構成され得る。第一のグローバル比とは、その画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計との差として定義され得る。第二のグローバル比とは、補正画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計との差として定義され得る。
【0026】
各種の実施形態によれば、画像処理装置は、使用者の機器からインタネットを通じて画像を受け取り、インタネットを通じて補正画像を使用者の機器に送信するサーバであり得る。
【0027】
各種の実施形態によれば、イメージング処理回路構成はビデオストリームの複数のフレームを処理するように構成され得て、複数のフレームの各フレームは処理対象の画像に対応する。
【0028】
各種の実施形態によれば、画像処理回路構成はさらに、ある期間にわたり受け取った複数の画像の第一のグローバル比と第二のグローバル比とのグローバル差分を計算するように構成され、さらに、第一のグローバル比と第二のグローバル比とのグローバル差分のある時間枠の積分の結果が持続時間閾値を超えた場合に画像補正をトリガするように構成され得る。
【0029】
各種の実施形態によれば、画像補正は、結果を最小にするために計算される複数のポジティブ又はネガティブコントラスト領域のピクセルの補正であり得る。
【0030】
各種の実施形態によれば、画像補正は、複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つをポジティブコントラストに変化させること、又は複数のポジティブコントラスト領域のうちの1つをネガティブコントラストに変化させることを含むコントラスト反転であり得る。
【0031】
各種の実施形態によれば、補正画像を計算することは、複数のポジティブコントラスト領域ののうちの1つ又は複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つをぼかすことを含み得る。
【0032】
各種の実施形態によれば、補正画像を計算することは、複数のポジティブコントラスト領域の、又は複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つ又は複数の中心の光強度を補正することを含み得る。
【0033】
各種の実施形態によれば、補正画像を計算することは、複数のポジティブコントラスト領域又は複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つ又は複数の周囲の光強度を補正することを含み得る。
【0034】
本開示の態様は、画像処理方法に関する。方法は、画像の複数のポジティブコントラスト領域をマッピングすることであって、複数のポジティブコントラスト領域の各々の中心の、その周囲に対するコントラストは所定のポジティブコントラスト領域を超える。方法は、画像の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングすることを含み得て、複数のネガティブコントラスト領域の各々の周囲の、その中心に対するコントラストは所定のネガティブコントラスト閾値を超える。方法は、画像の複数のポジティブコントラスト領域又はネガティブコントラスト領域を補正することによって補正画像を計算し、第一のグローバル比と第二のグローバル比とのグローバル差分を得ることを含み得る。第一のグローバル比とは、画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計との差として定義され得る。第二のグローバル比とは、補正画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計と複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計との差として定義され得る。
【0035】
各種の実施形態によれば、補正画像を計算することは、複数のポジティブコントラスト領域のうちの1つ又は複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つをぼかすことを含み得る。
【0036】
各種の実施形態によれば、補正画像を計算することは、複数のポジティブコントラスト領域の、又は複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つ又は複数の中心の光強度を補正することを含み得る。
【0037】
各種の実施形態によれば、補正画像を計算することは、複数のポジティブコントラスト領域の、又は複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つ又は複数の周囲の光強度を補正することを含み得る。
【0038】
各種の実施形態によれば、中心の、又は周囲のそれぞれの光強度を補正することは、複数のネガティブコントラスト領域のうちの1つをポジティブコントラストに変化させること、又は複数のポジティブコントラスト領域のうちの1つをネガティブコントラストに変化させることを含み得る。
【0039】
本開示は、以下の詳細な説明を参照し、非限定的な例及び下記のような添付の図面と共に考察すればよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1A】例示としての、各種の実施形態による眼鏡の使用状態の概略図である。
【
図1B】例示としての、各種の実施形態による眼鏡の使用状態の概略図である。
【
図2A】視覚系のオン及びオフ経路を刺激する、各種の実施形態による例示的画像である。
【
図2B】視覚系のオン及びオフ経路を刺激する、各種の実施形態による例示的画像である。
【
図2C】視覚系のオン及びオフ経路を刺激する、各種の実施形態による例示的画像である。
【
図2D】視覚系のオン及びオフ経路を刺激する、各種の実施形態による例示的画像である。
【
図3】例示としての、各種の実施形態による透過パターン300の正面図の概略図である。
【
図4】例示としての、各種の実施形態による発光パターン400の正面図の概略図である。
【
図5A】発光パターン400を生成し得る、各種の実施形態による、眼鏡100上の1つ又は複数の発光素子410を含む光源と複数の反射体420の様々な配置の例示的概略図である。
【
図5B】発光パターン400を生成し得る、各種の実施形態による、眼鏡100上の1つ又は複数の発光素子410を含む光源と複数の反射体420の様々な配置の例示的概略図である。
【
図5C】発光パターン400を生成し得る、各種の実施形態による、眼鏡100上の1つ又は複数の発光素子410を含む光源と複数の反射体420の様々な配置の例示的概略図である。
【
図6】眼鏡100、イメージセンサ610、画像処理回路620、及び画像プロジェクタ630を含む、各種の実施形態による光学系600の例の概略図を示す。
【
図7】例示としての、各種の実施形態による、画像700を補正するアルゴリズムを示す図である。
【
図8A】例示としての、各種の実施形態による、補正画像を取得するために使用され得る調整パラメータの概略図である。
【
図88B】例示としての、各種の実施形態による、補正画像を取得するために使用され得る調整パラメータの概略図である。
【
図9A】例示としての、各種の実施形態による、補正画像を取得するために使用され得る調整パラメータの概略図である。
【
図9B】例示としての、各種の実施形態による、補正画像を取得するために使用され得る調整パラメータの概略図である。
【
図9C】例示としての、各種の実施形態による、補正画像を取得するために使用され得る調整パラメータの概略図である。
【
図10】眼鏡100について使用するための、各種の実施形態によるオン/オフ比を特定する例を提供するグラフ1000を示す図である。
【
図11】眼鏡100について使用するための、各種の実施形態による周期的コントラスト反転の例を提供するグラフ1100を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下の詳細な説明は、例として、本開示を実践し得る具体的な詳細及び実施形態を示す添付の図面に関している。これらの実施形態は、当業者が本開示を実施できるように十分に詳細に説明される。その他の実施形態も利用されてよく、本開示の範囲から逸脱することなく、構造的及び論理的変更を加え得る。各種の実施形態は必ずしも相互に排他的ではなく、これは、幾つかの実施形態を1つ又は複数の他の実施形態と組み合わせて新たな実施形態を形成できるからである。
【0042】
ある実施形態に関して記載されている特徴は、他の実施形態の中の同じ又は同様の特徴にも対応して適用され得る。ある実施形態に関して記載されている特徴は他の実施形態にも、これらの他の実施形態において明示的に記載されていなくても、対応して適用可能であり得る。さらに、ある実施形態に関する特徴について記載されている追加及び/又は組合せ及び/又は代替は、他の実施形態の中の同じ又は同様の特徴にも対応して適用可能であり得る。
【0043】
本明細書に例示的に記載されている開示は、本明細書に具体的に開示されていない何れか1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定がなくても適切に実践され得る。それゆえ、例えば、「~を含む(comprising、including、containing等)」の用語は、限定的ではなく広い意味で読み取るものとする。「~を含む(comprise)」という単語又はその変化形(comprises又はcomprising)はしたがって、明記された整数又は整数群を含むことを黙示するが、他の何れかの整数又は整数群が排除されることは黙示しない。それに加えて、本明細書中で使用される用語と表現は、限定の意味ではなく説明の意味で使用されており、このような用語及び表現の使用においては、図示され、記載されている特徴又はその一部の等価物が排除されることは意図されず、本開示の範囲内で様々な改良が可能であると認識される。それゆえ、本開示は例示的な実施形態及び任意選択的な特徴によって具体的に開示されているものの、当業者は、本明細書中で具現化されている開示の改良や変更をなし得ることを理解されたい。
【0044】
様々な実施形態に関して、冠詞(a、an、the)は、特徴又は要素に関して使用された場合、その特徴又は要素のうちの1つ又は複数への言及も含む。「及び/又は」という用語は、関連して挙げられた項目のうちの1つ又は複数のあらゆる組合せを含む。
【0045】
特許請求項に括弧付きで含められている参照符号は、本開示を理解しやすくするためのものであり、請求項の範囲に対する限定的な効果はない。
【0046】
各種の実施形態において、「眼鏡」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、使用者が眼に関して、例えば使用者の眼の前方に装用するように構成された光学製品を指し得る。例えば、眼鏡は、めがね、サングラス、ヘッドマウントデバイス、拡張現実デバイス、仮想現実デバイスの群から選択され得る。各種の実施形態によれば、眼鏡は電気的にアクティブ(すなわち、電動式)であっても、電気的にパッシブ(例えば、電動式でないか、電子部品を持たない)であってもよい。
【0047】
各種の実施形態によれば、「レンズ」(複数形の場合もある)という用語は、矯正パワーを有していても(例えば、多焦点レンズ、屈折異常の状態のための処方レンズ)、矯正パワーを有していなくても(例えば、平面レンズ)よい。各種の実施形態によれば、レンズは無色でも色付きでも(例えば、グレー色、ピンク色、青色、茶色等)よく、又は偏光レンズでもよい。
【0048】
本明細書における「フレーム」への言及は、眼鏡の中のレンズ部分以外の部分を指すと理解されたく、例えば、めがねは、眼鏡のように、フレームを含み得て、また、フレームに取り付けられたレンズを含み得て、明確に別段の表示がないかぎり、レンズはフレームの一部ではない。
【0049】
各種の実施形態によれば、「原画像」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、使用者が見ているときに見える現在又は既存の画像を指し得る。例えば、原画像とは、使用者が本開示の各種の実施形態により記載されている眼鏡を装用していないとき、又は使用者が調光手段を持たない同等の眼鏡を装用しているときに使用者に見える現在又は既存の画像を指し得る。
【0050】
各種の実施形態によれば、「補正画像」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、使用者が本開示の各種の実施形態により記載されている眼鏡を装用しているときに使用者に見える変更された原画像を指す。補正画像は原画像に対応し得るため、原画像の情報の大部分を保持し得る。換言すれば、原画像は、使用者が原画像の内容を依然として認識又は解読できるような方法で変更又は補正され得る。例えば、補正画像は、選択された特性(例えば、コントラスト、輝度)が変更されているかもしれない原画像に対応し得る。
【0051】
各種の実施形態によれば、「調光手段」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、使用者の眼に補正画像が見えるように原画像を変更するために使用されるツール、製品、又は物体を指し得る。眼鏡の場合、「調光手段」という用語は、その眼鏡の構造的特性及び/又はその眼鏡に含まれる機器の意味を含み得る。例えば、調光手段は、画像を変更するように構成されたレンズを含み得る。また別の例として、設計は、原画像のコントラストを変更して補正画像を提供するように構成され得る。各種の実施形態によれば、調光手段は原画像のコントラストを調整又は変更し、それによって補正画像を提供するために使用される設計を提供し得る光強度パターンを含み得る。
【0052】
各種の実施形態によれば、「光強度パターン」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、調光手段に含まれる複数の要素の配置を指し得る。例えば、複数の要素の配置は、回転及び並進対称性を持たなくてよい。また別の例として、要素はランダムに繰り返されてよい(例えば、ランダム化される)。幾つかの実施形態によれば、複数の要素はレンズの中又は上に形成され得て、例えばレンズ上に堆積させられ得る。光強度パターンに提供されるパターンは、画像から発せられる光強度、輝度、又はコントラストを調整又は変更し得る。例えば、光強度パターンは入射光線の輝度を増減し得る。
【0053】
各種の実施形態によれば、「投射光」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、調光手段からら投射される光を指し得る。投射光とは、視覚的情報を含み、それゆえ使用者によって認識されたときに、(例えば、単独で、又は原画像に加えて)使用者が補正画像を認識するような光を指し得る。調光手段は、投射光を提供するように構成される。
【0054】
各種の実施形態によれば、「ポジティブコントラスト信号」という用語は(単数形でも複数形でも)、本明細書で使用されるかぎり、観察者が見たときに、視覚系のオン経路を刺激し得る視覚信号を指し得る。ポジティブコントラスト信号は、それぞれのポジティブコントラスト領域の画像部分により提供され得る。オン経路は、暗い背景での明るい刺激の存在に対応し得るポジティブコントラスト信号により刺激され得て、これについては
図2Aに関して後で説明する。換言すれば、使用者の眼にポジティブコントラスト信号が見えるとき、使用者の視覚系のオン経路がアクティベートされ得る。別の例として、ポジティブコントラスト信号は、画像の空間周波数を変更する(例えば、低下させる)ことによって提供され得る。
【0055】
各種の実施形態によれば、「ネガティブコントラスト信号」という用語は(単数形でも複数形でも)、本明細書で使用されるかぎり、観察者が見たときに、視覚系のオフ経路を刺激し得る視覚信号を指し得る。ネガティブコントラスト信号は、それぞれのネガティブコントラスト領域の画像部分により提供され得る。オフ経路は、明るい背景での暗い刺激の存在に対応し得るネガティブコントラスト信号により刺激され得て、これについては
図2Bに関して後で説明する。換言すれば、使用者の眼にネガティブコントラスト信号が見えるとき、使用者の視覚系のオフ経路がアクティベートされ得る。別の例として、ネガティブコントラスト信号は画像の空間周波数を変更する(例えば、増大させる)ことによって提供され得る。
【0056】
各種の実施形態によれば、「複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、ポジティブコントラスト領域の画像部分の集計を指して、ΣPCR
origとして示され得る。複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣPCR
origは、観察者が見たときに視覚系のオン経路を刺激し得る。例えば、複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣPCR
origは、暗い背景での明るい刺激の画像部分(例えば、
図2Aの画像部分)の集計を指し得る。別の例として、複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣPCR
origは、低空間周波数の画像部分の集計を指し得る。
【0057】
各種の実施形態によれば、「複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、ネガティブコントラスト領域の画像部分の集計を指して、ΣNCR
origとして示され得る。複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣNCR
origは、観察者が見たときに視覚系のオフ経路を刺激し得る。例えば、複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣNCR
origは、明るい背景での暗い刺激の画像部分(例えば、
図2Bの画像部分)の集計を指し得る。別の例として、複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣNCR
origは、高空間周波数の画像部分の集計を指し得る。
【0058】
図1A及び1Bは、例として、眼鏡100の使用状態の概略図を示している。
図1Aは、斜視図の概略図を示し、
図1Bはこのような使用の上からの部分断面図の概略図を示す。
図1A及び1Bに示されている例示的な使用状態は、眼鏡100と使用者の眼110を含み得る。眼鏡100は眼鏡の眼110の前方にあり得て、使用者が眼鏡100を装用しているときに使用者の眼110は視覚信号を受け取る。例えば、使用者の眼110には補正画像が見え得る。眼鏡100は、フレーム140に取り付けられた少なくとも1つのレンズ130を含み得る。少なくとも1つのレンズ130は、調光手段120を含み得る。少なくとも1つのレンズにはレンズ130’も含まれ得るか、又は代替的にレンズ130’はレンズ130とは異なるように構成され得るか、調光手段を持たなくてもよい。例えば、調光手段120は少なくとも1つのレンズ130上にも、又は2つ以上のレンズ130、130’上にも設けられ得る。調光手段120は、原画像を部分的又は全面的に変更して、補正画像を生成し、投射光150は補正画像上の視覚信号を含み得る。例えば、投射光150は補正画像上の視覚信号を含み得て、これは補正されたポジティブコントラスト、例えばより多くのポジティブコントラストのエリア及び/又はポジティブコントラストエリア上の補正されたコントラストを有する原画像に対応し得る。代替的に、投射光150は、補正画像上の視覚信号を含み得て、これはネガティブコントラストエリア上の補正コントラストを有する原画像に対応し得る。
【0059】
視覚系のオン及びオフ経路を刺激する例示的な画像が
図2A~2Dに示されている。
図2Aを参照すると、オン経路は、例えば黒い背景(黒い背景はドットパターンの塗りつぶしにより表され、例示の目的にのみ提供されている)であり得る背景220上の明るい刺激210(例えば、白い文字‘A’)の存在により刺激され得る。文字‘A’を取り囲む背景220上の白い文字‘A’ 210はポジティブコントラストを有し、これはオン経路を刺激し得る。反対に、
図2Bに示されるように、‘A’を取り囲む白い背景250上の黒い文字‘A’ 240はネガティブコントラストを有し、これはオフ経路を刺激し得る。例えば、古典的な白黒の文字はオフ経路を刺激し得る。明るい周囲及び文字‘A’の外形は
図2A及び2Bにおいて例示の目的のために提供されている。各種の実施形態によれば、視覚系のオン及びオフ経路は空間周波数によっても刺激され得て、これは画像の明るい部分と暗い部分の周期的分布を説明する。
図2Cに示されるように、暗い周囲エリア上の高輝度の(例えば、明るい)エリアの分布はオン経路を刺激し得る。オン経路はまた、画像の粗いレベルの詳細部分、例えば全体的形状(例えば、全体の向きと割合)をコード化する、より低い空間周波数も伝達する(例えば、
図2C)。他方で、
図2Dに示されるように、高輝度の(例えば、明るい)周囲エリア上の暗いエリアの分布はオフ経路を刺激し得る。オフ経路は、画像の微細レベルの詳細部分、例えば鮮鋭なエッジをコード化する、より高い空間周波数も伝達する(例えば、
図2D)。
【0060】
図1A~2Dを参照すると、調光手段120は調光手段120上に配置された光強度パターン160を含み得る。光強度パターン160は、使用者の眼110の網膜のためのコントラスト信号を、補正画像の中で原画像と比較して調整するように構成され得る。例えば、光強度パターン160は、補正された(例えば、増大された)量のポジティブコントラスト信号を提供し得る。光強度パターン160は、例えばぼかし得る(例えば、高空間周波数成分を低下させる)か、又はその画像若しくは画像部分のコントラストを調整し得る。換言すれば、使用者の眼110の網膜には、視覚系のオン経路を刺激するように調整され得る補正画像が見え得る。例えば、補正画像は、例えばネガティブコントラスト領域をポジティブコントラスト領域に補正することによって、ポジティブコントラスト領域の画像部分を含み得る。また別の例として、補正画像は、ぼかされ得る(例えば、高空間周波数成分が低下された)画像部分を含み得る。
【0061】
視覚環境、又は人間の眼のオフ及びオン経路を優先的に刺激する刺激は眼の生理機能及び屈折異常に対して異なる効果を有することがわかっている。視覚系のオフ経路の刺激は、脈絡膜の扁平化、眼軸長伸長、近視進行プロセスに関連付けられている。他方で、視覚系のオン経路の刺激は、脈絡膜の肥厚と正視眼に関連付けられている。特に、オン経路の刺激は近視への移行の緩和、人間の眼における近視に起因する屈折異常の進行の抑制に関連付けられている。したがって、オフ及びオン経路の相互強度の補正が近視の発症及び進行に対して影響を与えるとの仮説が立てられている。
【0062】
有利な点として、本開示の各種の実施形態による眼鏡100は、使用者の視覚系のオフ及びオン経路の相互強度を補正するための手段を提供し得る。眼鏡100は、原画像のコントラストを調整して、オフ経路の強度を低下させ得る。眼鏡100はまた、原画像のコントラストを調整して、オン経路の強度を増大(例えば刺激)し得る。それゆえ、眼鏡100は正視眼の使用者の場合は近視の発症を予防し得るか、又は近視の使用者の場合は近視の進行の効果を遅らせ得る。
【0063】
眼鏡100が使用者の視覚系のオン経路を刺激するために使用され得る様々なメカニズムを、
図3~11を参照しながら以下に説明する。
【0064】
図3は、例として、透過パターン300の正面図の概略図を示す。各種の実施形態によれば、光強度パターン160は透過パターン300により提供され得る。例えば、コントラストの調整は、透過パターン300により生成される光強度パターン160により提供され得る。透過パターン300は、眼鏡100の少なくとも1つのレンズ130上に提供され得る。例えば、透過パターン300は、1つのレンズ130上に、又は2つ以上のレンズ130、130’上に提供され得る。透過パターン300は、複数の要素の配置を含み得る。例えば、各要素は、レンズ130、130’の表面の、異なる屈折率を有する領域を含み得る。また別の例として、各要素はレンズ130、130’の表面上の開口であり得る。透過パターン300は、複数のマイノリティ領域310を含み得る。複数のマイノリティ領域310を含まない残りの領域は、残りのマジョリティ領域320と呼ばれ得る。例えば、残りのマジョリティ領域320は、眼鏡100のレンズ130、130’の、複数の要素に含まれる要素により占有されていない残りの表面を含み得る。各種の実施形態によれば、複数のマイノリティ領域310はパターン、例えば開口のパターンを含み得る。開口のパターンは、複数の個々の開口330を含み得る。
【0065】
各種の実施形態によれば、各開口330は様々な幾何学形状を含み得る。このような形状の非限定的な例示的な平面図としては、円、楕円、正方形、長方形、五角形、又は六角形が含まれる。例えば、複数のマイノリティ領域310は1つの幾何学形状を含み得るか、複数の幾何学形状を含み得る。また別の例として、複数のマイノリティ領域310は円形の開口330を含み得るか、又は円、楕円、及び六角形の開口330の混合を含み得る。
図3の例においては、円は例示の目的ためにのみ提供されている。
【0066】
各種の実施形態によれば、各開口330の大きさは幅0.1mm~5mmの範囲であり得る。例えば、各開口330の大きさは幅0.1mm~3mmの範囲であり得るか、又は幅0.2mm~2mmの範囲であり得る。複数のマイノリティ領域310は、1つの大きさの開口330を含み得るか、様々な大きさの開口330を含み得る。例えば、複数のマイノリティ領域310は幅1mmの開口330を含み得るか、又は幅1mm及び2mmの開口330を含み得る。幅は最大幅であり得る。
【0067】
各種の実施形態によれば、個々の開口330間の間隔は0mm(例えば、接合部)~10mm(例えば、分離部)の範囲であり得る。例えば、各開口330間の間隔は0mm~5mmの範囲であり得るか、又は0mm~3mmの範囲であり得る。複数のマイノリティ領域310は、離間開口330又は接合及び離間開口330の混合を含み得る。例えば、複数のマイノリティ領域310は、2mm離間された開口330を含み得るか、又は接合開口330及び2mm離間された開口330を含み得る。
【0068】
有利な点として、複数のマイノリティ領域310は、残りのマジョリティ領域320と比較して、より高い光透過率を有する領域を提供し得る。例えば、複数のマイノリティ領域310は、入射光の強度の約99%以上を透過し得るのに対し、残りのマジョリティ領域320(例えば、レンズ130、130’)は光の約96%以上を透過し得る。複数のマイノリティ領域310は、残りのマジョリティ領域320と比較して、より高い輝度の小さいエリアを提供し得る。透過パターン300は、使用者の眼110の網膜に対して変更された(例えば増大した)量のポジティブコントラスト信号を提供し得る。例えば、透過パターンは、ポジティブコントラスト領域のコントラストの合計を増大させ得る。また別の例として、透過パターン300は画像部分をぼかし得る(例えば、高空間周波数成分を低下させる)。それゆえ、透過パターン300は、視覚系のオン経路を刺激し得る。
【0069】
各種の実施形態によれば、複数のマイノリティ領域310は、個々の開口330が形成され得る領域において貫通穴により形成され得る。残りのマジョリティ領域320は貫通穴を含まなくてよい。各開口330について前述した様々な幾何学形状に加えて、貫通穴を使って形成された開口330はさらに円錐を含み得る。例えば、複数のマイノリティ領域310は円錐形の貫通穴を含み得るか、又は円錐及び円形の貫通穴を含み得る。開口330を形成しやすくするためにマスクが提供され得る。
【0070】
各種の実施形態によれば、「貫通穴」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、レンズ130、130’の物理的な穴又は開口の意味を含み得る。例えば、貫通穴は入射光が通過できる物理的な間隔又はギャップを指し得る。成形又は穿孔は、貫通穴を形成し得る方法の幾つかの非限定的な例である。貫通穴を形成しやすくするためにマスクが提供され得る。
【0071】
各種の実施形態によれば、貫通穴により形成される開口330は、眼球回旋点(ERC:eye rotation center)に向かって向き付けられ得る。例えば、各開口330は、複数のマイノリティ領域310が全体としてERCに向かって整列されるように位置付けられ得る。このような向きは、使用者の中心視付近(例えば、中心窩内)の加入度数を提供し得る。
【0072】
各種の実施形態によれば、貫通穴により形成される開口330はERCに向かって向き付けられなくてよい。例えば、個々の開口330はレンズ130上にランダムに、又は不均一に配置され得る。貫通穴はERCに向かって向き付けられないため、使用者の中心視付近の(例えば中心窩内)及び周辺視(例えば、中心窩の外側)の加入度数が提供され得る。それゆえ、貫通穴により形成される開口330のERCに向かう向きを変化さることにより、使用者の眼110の網膜の前方に近視焦点ぼけを生じさせ得る。さらに、レンズ130内に貫通穴により形成された開口330をランダムにすることにより、例えば光線の経路をランダム化することによって光の透過もまたランダム化し得る。
【0073】
各種の実施形態によれば、貫通穴により形成される開口330の壁はコーティングを含み得る。例えば、開口330の円周は被覆されても、されなくてもよい。例えば、開口330の壁は、光導体を作るためにミラーで被覆され得て、これは使用者の眼110の網膜への光の量を補正(例えば、増大)し得る。また別の例として、開口330の壁は、非反射性コーティング(例えば、ARコーティング)で被覆され得て、これは残りのマジョリティ領域320と比較して複数のマイノリティ領域310を通じた光の透過をより増大させ得る。
【0074】
各種の実施形態によれば、貫通穴により形成される複数のマイノリティ領域310を含むレンズ130、130’は、レンズ130、130’の少なくとも片面において保護コーティングで被覆され得る。例えば、レンズ130、130’の片面又は両面が保護コーティングで被覆され得る。保護コーティングの非限定的な例としては、透明フィルム又は追加レンズが含まれ得る。したがって、環境からの塵埃は複数のマイノリティ領域310に入り込まないかもしれない。
【0075】
有利な点として、貫通穴により形成された複数のマイノリティ領域310を含む透過パターン300は、残りのマジョリティ領域320(例えば、レンズ130、130’)と比較してより高い光透過率を提供し得て、視覚系のオン経路を刺激するために、使用者の眼110の網膜に対するポジティブコントラスト信号の量を変更(例えば、増大)し得る。それに加えて、複数のマイノリティ領域310は使用者にとって近視の管理という追加の利点を提供し得る。貫通穴は矯正パワーを持たないため、透過パターン300を通過した光によって、使用者の眼110の網膜の前方に、例えば円焦点ぼけを減らすことにより近視焦点ぼけを生じさせ、及び/又は周辺焦点ぼけを生じさせ得て、これは眼軸長の伸長、ひいては近視の進行を予防するための補足的信号としての役割を果たし得る。
【0076】
各種の実施形態によれば、複数のマイノリティ領域310はコーティングにより形成され得る。複数のマイノリティ領域310は、個々の開口330が形成され得る領域に、又は代替的に残りのマジョリティ領域320上にコーティングを堆積させることによって形成され得る。例えば、ARコーティングがレンズ130、130’の表面上に堆積されて、個々の開口330が形成され得る。代替的な例として、吸光コーティングはレンズ130、130’の表面の、残りのマジョリティ領域320が形成され得る領域に堆積させられ得る。各種の実施形態によれば、複数のマイノリティ領域310と残りのマジョリティ領域320の両方がコーティングにより形成され得る。例えば、第一のコーティングは複数のマイノリティ領域310を形成するために堆積させられ得て、第二のコーティングは残りのマジョリティ領域320を形成するために堆積させられ得る。
【0077】
各種の実施形態によれば、「コーティング」という用語は、本明細書で使用されるかぎり、層を形成するように材料(例えば、レンズ130、130’上に層を形成するための溶液の、又は気相若しくは蒸気相の材料)を堆積させるという意味を含み得て、プリフォーム層を積層するという意味(例えば、仮の基板上に形成された反射防止(AR)コーティングをレンズ130上に接着剤で固定する場合等)を含み得る。層を形成するために材料を堆積させる非限定的な幾つかの例は、薄膜コーティング、スピンコーティング、スパッタリング、インクジェット印刷、物理的真空蒸着である。コーティングを堆積させやすくするためにマスクが提供され得る。
【0078】
各種の実施形態によれば、透過パターン300は回転及び並進対称性を持たなくてよい。例えば、2つ以上の開口330は均一に配置されてパターンセットを形成し得て、各パターンセットはレンズ130、130’上で不均一に繰り返され得る。例えば、第一のパターンセットは第二のパターンセットから1mm離間され得る。第三のパターンセットは、第二のパターンセットからより狭い又はより広い間隔で(例えば、±10%の変動、すなわち0.9mm又は1.1mm)離間され得る。そのため、複数のマイノリティ領域310はレンズ130、130’上に不均一に配置された複数の均一なパターンを含み得る。代替的に、各開口330はランダムに(例えば、不規則に)配置され得る。例えば、レンズ130、130’上の開口330は整列されていなくてよい。透過パターン300は回転及び並進対称性を持たなくてよいため、光の回折が回避され得る。したがって、透過パターン300は原画像をかく乱又は歪曲せず、単に原画像のコントラストを調整し得て、それによって使用者は補正画像の内容を容易に認識し、解読することができる。
【0079】
有利な点として、透過パターン300は、コントラストの極性を誘導するパターンを提供することによって使用者の視覚系のオン経路を刺激する手段を提供し得る。本開示に関して、透過パターン300はオフ及びオン経路刺激の比を補正し得る。例えば、透過パターン300は、オフ経路刺激を減少させて、オン経路刺激を増大させ得る。例えば、透過パターン300は補正画像を提供し得て、これはコントラストが反転された原画像に対応し得る。別の例として、透過パターン300は補正画像を提供し得て、これはぼけているかもしれない(例えば、高空間周波数成分がより低い)画像部分を含み得る。
【0080】
図4は、例として、発光パターン400の正面図の概略図を示す。各種の実施形態によれば、光強度パターン160は発光パターン400により提供され得て、オン経路を刺激するための変更された(例えば、増大した)量のポジティブコントラスト信号を提供する。発光パターン400は、眼鏡の少なくとも1つのレンズ130上に提供され得る。例えば、発光パターン400は、1つのレンズ130又は両方のレンズ130、130’上に提供され得る。発光パターン400は1つの光源を含み得て、複数の光反射体420をさらに含み得る。光源は、1つ又は複数の発光素子410を含み得る。例えば、発光パターン400は1つの発光素子410を含む光源を含み得て、2つ以上の光反射体420を含み得る。別の例として、発光パターン400は同じ数の発光素子410及び光反射体420を含み得る。
【0081】
各種の実施形態によれば、1つ又は複数の発光素子410を含む光源は、使用者の眼110の網膜に小さいスポットを提供するように構成され得る。1つ又は複数の発光素子410を含む光源は、発光ダイオード(LED、例えばミニLED)及び/又はレーザを含み得る。例えば、LEDとレーザは、可視スペクトル内の異なる周波数(例えば、赤、緑、白)であり得る。別の例として、1つ又は複数の発光素子410を含む光源の強度は、周囲環境(例えば、周囲)光の異なる強度に対応するように構成され得る。各種の実施形態によれば、1つ又は複数の発光素子410を含む光源は、蛍光ドット又は拡散ドットをさらに含み得る。例えば、蛍光ドット又は拡散ドットは環境光、LED及び/又はレーザにより照明され得る。
【0082】
各種の実施形態によれば、1つ又は複数の発光素子410を含む光源は眼鏡100上に配置され得て、発光パターン400を生成し得る。1つ又は複数の発光素子410を含む光源は、レンズ130、130’内に直接はめ込まれ(例えば、埋め込まれ)得る。代替的に、1つ又は複数の発光素子410を含む光源は、眼鏡100上の、使用者の鼻の付近に、又は調光手段120の付近に配置され得る。例えば、1つ又は複数の発光素子410はフレーム140上に、又は眼鏡100のブリッジ若しくはクリングス上に配置され得る。
【0083】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は、1つ又は複数の発光素子410を含む光源からの光を反射して発光パターン400を生成するために提供され得る。複数の光反射体420は、光を生じさせないが、その代わりに光を反射し得る物体(例えば、平滑な光沢表面)を含み得る。複数の光反射体420は、使用者の眼の瞳孔に向かって光を反射するように構成され得て、使用者の眼110の網膜に小さい照明スポットを提供し得る。複数の光反射体420の反射率は、1つ又は複数の発光素子410を含む光源のパワーに応じて構成され得る。例えば、光反射体420の反射率は、1つ又は複数の発光素子410を含むハイパワー光源と共に使用される場合、低下させ得る。
【0084】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420はプリズム(例えば、マイクロプリズム)、液晶、ミラー(例えば、マイクロミラー)を含み得て、レンズ(例えば、マイクロレンズ)をさらに含み得る。複数の光反射体420は、1つの種類の光反射体420から選択され得るか、又は様々な種類の光反射体420の組合せを含み得る。例えば、複数の光反射体420はプリズムを含み得るか、又はプリズムとミラーの組合せを含み得る。
【0085】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420の大きさは0.1mm~5mmの範囲であり得る。例えば、複数の光反射体420の大きさは0.1mm~2mmの範囲であり得るか、又は0.1mm~1mmの範囲であり得る。光反射体420のこれらの大きさは、原画像の歪曲を最小化する一方で、使用者の視覚系のオン経路を刺激するのに十分な光を提供し得て、使用者は修正画像の内容を容易に認識し、解読できる。
【0086】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は、1つ又は複数の発光素子410を含む光源の波長を中心とする狭い反射スペクトルバンドを有するように構成され得る。例えば、波長450nm(例えば、青色光)の1つ又は複数の発光素子410を含む光源の場合、複数の光反射体420は、反射スペクトルバンドの中心が青色光の波長(例えば、450nm±20nm、すなわち430nm~470nmの範囲)となるように構成され得る。光反射体420のスペクトルバンドをカスタム化することによって、レンズ130、130’の透明さに対する影響が最小化され得る。
【0087】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は事前に特定された指定の波長の光を反射するように設計され得る。例えば、複数の光反射体420は550nm±10nmの波長の光(例えば、黄色光)を反射し得て、その他の波長の光(例えば、700nm±10nm赤色光又は400nm±10nmの紫色光)は反射しないかもしれない。各種の実施形態によれば、各レンズ130、130’は、指定の波長の光を反射する光反射体420を含み得るか、又は様々な指定の波長の光を反射する光反射体420をさらに含み得る。例えば、各レンズ130、130’は、550nm±10nm(例えば、黄色光)を反射するように構成された光反射体420又は、550nm±10nm及び700nm±10nm(例えば黄色及び赤色光)を反射する光反射体420の混合を含み得る。したがって、原画像の歪曲は最小化され得て、他方でコントラストの極性を誘導し、使用者の視覚系のオン経路を刺激するのに十分な光が提供され得る。
【0088】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は干渉層、例えば多層干渉層で被覆され得る。干渉層は、複数の光反射体420からの反射光線の各々の強め合い又は弱め合いの干渉を防止又は軽減させ得て、したがって使用者の眼110の網膜に提供される反射光の比を増大させ得る。
【0089】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は球面度数(例えば、-10D)をさらに含み得て、これは近視矯正を提供し得る。1つ又は複数の発光素子410を含む光源からの光は、使用者の眼110の網膜とレンズ130、130’との間の距離と比較した場合に様々な距離で結像され得る。このようにして小さいスポットが使用者の眼110の網膜に投射され得る。例えば、近視の使用者の場合の複数の光反射体420は、患者の眼110の網膜から30cmの位置で結像されるように構成され得る。換言すれば、複数の光反射体420は、近視の使用者のための焦点を調整し得る。各種の実施形態によれば、複数の光反射体420はさらに、使用者の環境に対応するための色に関する調整も提供し得る。
【0090】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は、レンズ130、130’全体の表面積の0.1%~50%を覆い得る。例えば、複数の光反射体420は、レンズ130、130’全体の表面積の0.1%~40%を覆い得るか、又は0.1%~30%を覆い得る。換言すれば、複数の光反射体420の総表面積の比は例えば、レンズ130、130’の0.1%~30%であり得る。比がより低いと(例えば、光反射体420の数がより少ないと)、それによって提供される原画像の視覚的歪曲はより小さく、他方で、比がより高いと(例えば、光反射体420の数がより多いと)、使用者により効率的な近視矯正を提供し得る。
【0091】
各種の実施形態によれば、複数の光の反射体420の密度はレンズ130、130’の様々な領域で異なり得る。例えば、レンズ130、130’の下部における密度はレンズ130、130’の上部における密度より高くてよい。換言すれば、レンズ130の下部には、レンズ130の上部と比較してより多くの光反射体420が含まれ得る。これは使用者にとって有益であり得るが、それは、使用者が読み書きを行うときにレンズ130の下部をよりよく使用し得るからである。
【0092】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は、使用者がとる様々な視線方向に対応するためにレンズ130、130’内の異なる領域に配置され得る。例えば、光反射体420の第一のセットは使用者の視線方向が下向きのとき(例えば、読書)に光を反射するように提供され得て、第二のセットは使用者が前方を見ているとき(例えば、遠方視)に光を反射するように構成され得る。したがって、オン経路の刺激は使用者の眼の位置に関係なく常に提供され得る。
【0093】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は眼鏡100のレンズ130、130’の上又はその中に配置されて、発光パターン400を生成し得る。例えば、複数の光反射体420は、使用者の眼と対向し得るレンズ130、130’の表面上には位置され得る。
【0094】
各種の実施形態によれば、複数の光反射体420は、レンズ130内に直接はめ込まれ(埋め込まれ)得る。例えば、複数の光反射体420は、製造プロセス中にレンズ130内に閉じ込められ、又は包み込まれ得る。1つの実施形態によれば、プリズムを含み得る複数の光反射体420は射出成型、鋳造、又はフリーフォーム切削プロセスにより閉じ込められ得る。他の実施形態によれば、ミラーを含み得る複数の光反射体420は、ミラーをレンズの第一の半分の上に配置し(例えば、斜めの広がり角を有するマスクを使用)、その後レンズ130、130’の第二の半分を付加してミラーを閉じ込めることによって閉じ込められ得る。
【0095】
各種の実施形態によれば、レンズ130上の複数の光反射体420の正確な配置は、光源(例えば、原画像)及び発光パターン400(例えば、ホログラフ)から発せられた光線を記録するように構成された光学セットアップにより容易にされ得る。
【0096】
各種の実施形態によれば、発光パターン400は回転及び並進対称性を持たなくてよい。例えば、1つ又は複数の発光素子410を含む光源と複数の光反射体420は、パターンセットを形成するために均一に配置され得て、各パターンセットはレンズ130、130’上で不均一に繰り返され得る。例えば、第一のパターンセットは第二のパターンセットから1mm離間され得る。第三のパターンセットは、第二のパターンセットからより狭い又はより広い間隔(例えば、±10%の変動、例えば0.9mm又は1.1mm)だけ離間され得る。それゆえ、発光パターン400は、レンズ130、130’上に配置された複数のパターンセットを含み得る。代替的に、発光素子410を含む光源と光反射体420は、ランダムに配置され得る。例えば、複数の光反射体420は相互に整列していなくてよく、1つ又は複数の発光素子410を含む光源と整列しなくてよい。発光パターン400は回転及び並進対称性を持たなくてよいため、望ましくない光の回折が回避され得る。したがって、発光パターン400は原画像をかく乱又は歪曲せず、単に原画像のコントラストを変更し得て、それによって使用者は補正画像の内容を容易に認識し、解読することができる。
【0097】
図5A~5Cは、眼鏡100上の、発光パターン400を生成し得る1つ又は複数の発光素子は410を含む光源と複数の光反射体420の様々な配置の例示的で非限定的な概略図を示す。
【0098】
図5Aの例に示されているように、1つの発光素子410aを含む光源はフレーム140上の使用者のこめかみの付近に提供されて、複数の光反射体420はレンズ130の、使用者の眼と対向する表面上に配置され得る。
図5Bの例では、1つの発光素子410bを含む光源はレンズ130の基底部に直接はめ込まれ得る。複数の光反射体420もまた、レンズ130に直接はめ込まれ得る。さらに、
図5Cの例に示されているように、複数の発光素子410cを含む光源と複数の光反射体420は同じ数だけ提供され得る。例えば、各光反射体420は1つの発光素子410cを含む光源により照明され得る。
図5A及び5Bにより提供される例では、1つの発光素子410aを含む光源は、複数の光反射体420を照明するのに十分であり得(例えば、ハイパワーLEDs)、光反射体420の反射率は低下し得る。
図5B及び5Cの例では、1つ又は複数の発光素子410を含む光源は、レンズ130に直接はめ込まれ得て、したがって望ましくないかく乱の影響を軽減し得る。例えば、レンズ130は、1つ又は複数の発光素子410を含む光源を汚れ(例えば、眼鏡100を扱うときの使用者の指紋による)又はレンズ130と使用者の眼との間に垂れ下がることのある髪の毛のから保護し得る。
図5A~5Cにおいて示される配置は例にすぎず、他の実施形態も想定され得る。
【0099】
各種の実施形態によれば、眼鏡100は発光パターン400をアクティベートし得るセンサを含み得る。センサはモーションセンサ、例えば線形加速度及び傾斜角を測定するために使用される加速度計であり得る。加速度計の非限定的な例には、単軸加速度計及び多軸加速度計が含まれる。例えば、加速度計は使用者の頭の位置の変化(例えば、読書時には注視方向が下がる)を検出して、1つ又は複数の発光素子410を含む光源をアクティベートしてレンズ130、130’を照明し、使用者の視覚系のオン経路を刺激し得る。
【0100】
有利な点として、本開示の各種の実施形態による発光パターン400は、コントラストの極性を誘導することにより、使用者の視覚系のオン経路を刺激し得る。発光パターン400は、周辺輝度を補正(例えば、増大)し、原画像のコントラストを調整する刺激を提供することにより、使用者の視覚環境を補正し得る。例えば、発光パターン400は、使用者の眼110の網膜上に(例えば、長い焦点距離)小さいスポットを提供して、使用者の視覚系のオン経路を刺激し得る。小さいスポットはまた、原画像の詳細を保持し、他方で使用者のオン経路を刺激し得る。換言すれば、使用者の眼に提供される補正画像は原画像内のピクセル数が補正された原画像を含み得る。例えば、補正画像はコントラストが反転された原画像に対応し得る。さらに、発光パターン400は、球面度数を有する反射体を使用して視覚矯正を提供するように構成され得る。発光パターン400はまた、画像部分のぼかす(例えば、高空間周波数成分を低下させる)及び/又は画像部分の空間周波数を変更する(例えば、増大又は減少させる)ことによって使用者の視覚系のオン経路を刺激し得る。したがって、発光パターン400は近視の管理と矯正の両方のための手段を提供し得る。
【0101】
各種の実施形態によれば、透過パターン300及び/又は発光パターン400を含む眼鏡100は電気的にパッシブであり得る。有利な点として、使用者の視覚系のオン経路は、例えば外部電源を通じた、又はバッテリを通じた電源を必要としない。電気的にパッシブな眼鏡100はしたがって、移動式であり得、これは使用者が容易に利用できる外部電源の需要や交換用バッテリの必要性を考えずにすむからである。
【0102】
図6は、例として、他の実施形態による眼鏡100の概略図を示す。眼鏡は、イメージセンサ610、画像処理回路620、及び画像プロジェクタ630をさらに含み得る。眼鏡100は、
図1A~5Cに関連して説明した眼鏡100に基づき得るため、繰り返しの説明は省く。イメージセンサ610、画像処理回路620、及び画像プロジェクタ630は、眼鏡100に統合され得る。例えば、イメージセンサ610、画像処理回路620、及び画像プロジェクタ630は眼鏡100のフレーム140上、例えば眼鏡100のフレーム140の前部分にあり得る。イメージセンサ610は、原画像を検出し、原画像を画像処理回路620に送信するセンサであり得る。画像処理回路620は、原画像を補正して補正画像を生成するように構成され得て、例えば画像処理回路620は補正画像を生成するためのアルゴリズムを含み得る。それに加えて、画像処理回路620はまた、発光パターン400を制御し、いつ補正画像が使用者の眼110の網膜に提供され得るかを制御するように構成され得る。画像処理回路620はさらに、補正画像を画像プロジェクタ630に送信するように構成され得る。画像プロジェクタ630はすると、使用者が眼鏡100を装用した時に補正画像が見えるように補正画像を投射し得る。例えば、画像プロジェクタ630は発光パターン400を生成し得る。
【0103】
各種の実施形態によれば、イメージセンサ610は画像処理回路620に接続され得る。イメージセンサ610は、カメラ内、例えばフレーム140の前部分に位置付けられたデジタルカメラ内にあり得る。カメラのレンズは原画像から発せられた入射光をイメージセンサ610に収束させ、方向付け得る。例えば、イメージセンサ610は光を検知する数百万のピクセルを含み得て、原画像から異なる色を検知するためのカラーフィルタのモザイクをさらに含み得る。例えば、イメージセンサ610は赤、青、緑、黄フィルタを含み得る。イメージセンサ610は、光波を電気信号に変換して原画像のデジタル画像を形成するソリッドステートデバイスであり得る。例えば、イメージセンサ610は電荷結合センサ(例えば、CCD)、アクティブピクセルセンサ(例えば、CMOSセンサ)、LiveMOSセンサを含み得る。イメージセンサ610は、原画像のデジタル画像を画像処理回路620に送信し得る。
【0104】
各種の実施形態によれば、回路にはアナログ回路若しくはコンポーネント、デジタル回路若しくはコンポーネント、又はハイブリッド回路若しくはコンポーネントが含まれ得る。代替的な実施形態では、後でより詳しく説明するそれぞれの機能の他の何れの種類の実装もまた、「回路」と理解され得る。デジタル回路とは、あらゆる種類のロジック実装エンティティと理解され得て、これは特定用途回路又は、メモリに記憶されたソフトウェア、ファームウェア、若しくはそれらのあらゆる組合せを実行するプロセッサであり得る。それゆえ、各種の実施形態において、「デジタル回路」とはハードワイヤードロジック回路又は、プログラマブルプロセッサ、例えばマイクロプロセッサ(例えば、Complex Instruction Set Computer(CISC)プロセッサ又はReduced Instruction Set Computer(RISC)プロセッサ)等であり得る。「デジタル回路」はまた、ソフトウェア、例えばあらゆる種類のコンピュータプログラム、例えば、Java等の仮想マシンコードを使用するコンピュータプログラムを実行するプロセッサも含み得る。
【0105】
図7は、各種の実施形態による、画像処理回路620により実装され得るアルゴリズム700の例を示す。このアルゴリズムは、補正画像を生成するために実装され得る。アルゴリズム700は、ステップ710で原画像内の複数のポジティブコントラスト領域のマッピングを含み得る。例えば、原画像内のある領域の中心及び周辺のコントラストが測定され得て、ある領域の中心及び周辺の相対的コントラストは「測定ポジティブコントラスト閾値」として表現され得る。測定は、所定の空間周波数範囲、例えば視野角1度あたり0.1サイクル(cpd)~60cpd、例えば0.5cpd~30cpdで実行され得る。ポジティブコントラスト領域は、測定ポジティブコントラスト閾値が所定のポジティブコントラスト閾値を超えたときにマッピングされ得る。
図2A及び2Cは、ポジティブコントラスト領域の例を提示する。換言すれば、複数のポジティブコントラスト領域は、視覚系のオン経路を刺激し得る。
【0106】
アルゴリズム700は、ステップ720で、原画像内の複数のネガティブコントラスト領域のマッピングを含み得る。例えば、原画像内のある領域の周辺及び中心のコントラストが測定され得て、ある領域の周辺及び中心の相対的コントラストは「測定ネガティブコントラスト閾値」として表現され得る。測定は所定の空間周波数範囲、例えば0.1cpd~60cpd、例えば0.5cpd~30cpdで実行され得る。ネガティブコントラスト領域は、測定ネガティブコントラスト閾値が所定のネガティブコントラスト閾値を超えたときにマッピングされ得る。
図2B及び2Dはネガティブコントラスト領域の例を提示する。換言すれば、複数のネガティブコントラスト領域は視覚系のオフ経路を刺激し得る。
【0107】
各種の実施形態によれば、複数のポジティブコントラスト領域及びネガティブコントラスト領域のマッピングは、原画像上のエッジ検出アルゴリズムを実装することにより提供され得る。エッジ検出アルゴリズムは、所定のカーネルサイズを有し得る。例えば、エッジ検出アルゴリズムは、ラプラシアン・ガウシアン(LoG:Laplacian of Gaussian)フィルタを含み得る。LoGフィルタは、急激な強度変化を示す領域をハイライトして、原画像内のエッジ検出を提供し得る。ラプラシアンフィルタはノイズの影響を受けやすいため、原画像の特定の領域は、ラプラシアンフィルタを適用する前にガウシアンフィルタを適用することにより平滑化され得る。
【0108】
アルゴリズム700は、ステップ730で、第一のグローバル比GR1と第二のグローバル比GR2のグローバル差分を得るための、原画像の複数のポジティブコントラスト領域又は複数のネガティブコントラスト領域を補正することによる補正画像の計算を含み得る。例えば、補正画像は、オン経路を刺激する複数の領域を補正することによって計算され得る(例えば、暗い背景での明るい刺激及び/又は低空間周波数の画像部分)。別の例として、補正画像は、オフ経路を刺激する複数の領域を補正することによって計算され得る(例えば、明るい背景上の暗い刺激及び/又は高空間周波数の画像部分)。例えば、補正画像は標的補正画像を含み得て、これはネガティブコントラスト領域と比較して等しいかより高い割合のポジティブコントラスト領域を含む原画像に対応し得る。例えば、補正画像は原画像の完全なコントラスト反転を含み得る。別の例として、標的補正画像は、ぼけているかもしれない(例えば、高空間周波数成分がより低い)画像部分を含む原画像に対応し得る。他の例において、標的補正画像は、空間周波数が変更された画像部分を含む原画像に対応し得る。例えば、画像の空間周波数は増大させられ得る。他の例では、画像の空間周波数は低下され得る。標的補正画像は眼鏡100上に、例えば眼鏡100上に提供されたストレージの中に記憶され得る。各種の実施形態によれば、補正画像は原画像と標的補正画像の重ね合わせであり得る。
【0109】
ステップ730はまた、第一のグローバル比GR1を得るように構成され得て、これは原画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣPCRorigと複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣNCRorigとの差分として定義され得る。例えば、オン経路を刺激するポジティブコントラスト領域(例えば、ステップ710でマッピングされる)の集計とオフ経路を刺激するネガティブコントラスト領域(例えば、ステップ720でマッピングされる)の集計が得られ得る。原画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣPCRorigと複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣNCRorigとの差を特定して、第一のグローバル比GR1を取得し得る。換言すれば、第一のグローバル比GR1は、原画像内のオン経路を刺激する全ての領域とオフ経路を刺激する全ての領域との差を表し、例えばGR1=ΣPCRorig-ΣNCRorigである。
【0110】
ステップ730はまた、第二のグローバル比GR2を得るように構成され得て、これは補正画像の複数のポジティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣPCRmodと複数のネガティブコントラスト領域のコントラストの合計ΣNCRmodとの差分として定義され得る。ポジティブコントラスト領域の合計ΣPCRmodとネガティブコントラスト領域ΣNCRmodは、ステップ710及び720に記載されているように補正画像の中でマッピングされ得て、補正画像のオン経路を刺激するポジティブコントラスト領域の集計とオフ経路を刺激するネガティブコントラスト領域の集計が得られ得る。補正画像のポジティブコントラスト領域の合計ΣPCRmodとネガティブコントラスト領域ΣNCRmodとの差を特定して、第二のグローバル比GR2を取得し得る。換言すれば、第二のグローバル比GR2は、補正画像のオン経路を刺激する全ての領域とオフ経路を刺激する全ての領域との差を表し、例えばGR2=ΣPCRmod-ΣNCRmodである。
【0111】
ステップ730で、アルゴリズム700はグローバル差分の特定をさらに含み得て、これは第一のグローバル比G1と第二のグローバル比G2との差として定義され得て、例えばグローバル差分=GR1-GR2である。換言すれば、グローバル差分は、原画像の複数のポジティブコントラスト領域の合計ΣPCRorig及び複数のネガティブコントラスト領域ΣNCRorigの合計を補正画像の複数のポジティブコントラスト領域の合計ΣPCRmod及び複数のネガティブコントラスト領域の合計ΣNCRmodと比べた比較であり得る。グローバル差分は、所望の補正画像を生成するために原画像に行わなければならない変更を特定するパラメータを得るために使用され得る。例えば、原及び補正画像を比較して、画像処理回路620が所望の補正画像を生成するために眼鏡100において何を調整しなければならないかを特定し得る。
【0112】
ステップ730で得られたグローバル差分に基づいて、ステップ740で、アルゴリズム700は原画像をさらに補正するための調整パラメータの計算を含み得る。調整パラメータは、所望の補正画像を生成するために原画像を補正するためのパラメータを含み得る。
図8A~9Cは、例として、補正画像を得るために使用され得る調整パラメータの実例を示し、これを以下に説明する。
【0113】
図8Aは原画像内のある領域800を表し得て、これはポジティブコントラスト領域又はネガティブコントラスト領域を表し得る。領域800は、領域の中心810を含み得て、また、中心810を取り囲み得る周囲エリア820も含み得る。各種の実施形態によれば、調整パラメータは領域の中心810の光強度を補正することを含み得る。例えば、領域の中心810の光強度はより明るくなるように補正され得るか、又はより暗くなるように補正され得て、中心810と周囲エリア820との間のコントラストの差が縮小され得る。別の例として、ネガティブコントラスト領域はポジティブコントラスト領域に変更され得る。
【0114】
図8Bは原画像内のある領域830を表し得て、これはポジティブコントラスト領域又はネガティブコントラスト領域を表し得る。領域830は、領域の中心840を含み得て、また、中心840を取り囲み得る周囲エリア850も含み得る。各種の実施形態によれば、調整パラメータは領域の周囲エリア850の光強度を補正することを含み得る。例えば、周囲エリア850の光強度はより明るくなるように補正され得るか、又はより暗くなるように補正され得て、中心840と周囲エリア850との間のコントラストの差が縮小され得る。別の例として、ネガティブコントラスト領域はポジティブコントラスト領域に変更され得る。
【0115】
各種の実施形態によれば、調整パラメータはポジティブコントラスト領域又はネガティブコントラスト領域のぼかし(例えば、高空間周波数成分の低下)を含み得る。例えば、
図9A~9Cに関して説明するように、ポジティブコントラスト領域又はネガティブコントラスト領域の境界はぼかされて、前記領域と画像の周囲部分とのコントラストの差が縮小され得る。また別の例として、画像補間アルゴリズムがポジティブ又はネガティブコントラスト領域の周囲のエッジに適用されて、前記エッジがぼかされ得る。
【0116】
図9A~9Cは、例として、画像処理回路620による画像の補正の実例を示す。
図9Aは原画像900aを表し得て、
図9Bは複数のネガティブコントラスト領域900bのマッピングを含む原画像を表し得て、
図9Cは補正画像900cを表し得る。原画像900aはネガティブコントラスト領域910(例えば、明るい背景での暗い刺激)を含み得る。例えば、ネガティブコントラスト領域910は原画像900aの中の男性の帽子とネクタイを含み得る。
図6、7、及び9Bを参照すると、画像処理回路620は、ステップ720で原画像900a内の複数のネガティブコントラスト領域をマッピングするように構成され得る。ネガティブコントラスト領域910は、原画像900a内のネガティブコントラスト領域910の周囲の、それらの中心に対するコントラストが所定のネガティブコントラスト閾値を超え得る場合にマッピングされ得る。例えば、帽子920を取り囲むエリアの、帽子910自体(例えば、中心)のコントラストに対するコントラストは所定のネガティブコントラスト閾値を超え得て、それゆえ、ネガティブコントラスト領域がマッピングされ得る。原画像900a内の残りのネガティブコントラスト領域(例えば、画像900b内でマッピングされたネクタイ領域)をマッピングするために同様のプロセスが実行され得る。画像処理回路620はさらに、ステップ730でグローバル差分を得て、ステップ740で前記グローバル差分に基づいて調整パラメータを計算するように構成され得る。調整パラメータは、各種の実施形態によれば、ネガティブコントラスト領域のぼかし(例えば、高空間周期数成分の低下)を含み得る。
図9Cの補正画像900cにおいて示されるように、ネガティブコントラスト領域910の境界のエッジはぼかされ得て940、したがってネガティブコントラスト領域910とネガティブコントラスト領域を取り囲むエリア920とのコントラストの差が縮小され得る。ぼかされたエリア940の周囲の境界は例示の目的のために提供されているにすぎない。
【0117】
各種の実施形態によれば、補正画像はポジティブコントラストが補正(増大)された原画像に対応し得る。例えば、補正画像はそれぞれのポジティブコントラスト領域の画像部分を有する原画像に対応し得る。例えば、補正画像は、補正画像内のネガティブコントラスト領域の割合と比較して、同じ又はそれより大きい割合のポジティブコントラスト領域を含み得る。また別の例として、補正画像はコントラストが反転した原画像に対応し得る。補正(例えば増大)されたポジティブコントラストはまた、各種の実施形態によれば、空間周波数を変更(例えば、増大又は減少)すること、及び/又はネガティブコントラスト領域かポジティブコントラスト領域の何れかをぼかすこと(例えば、高空間周波数成分を低下させる)ことによって提供され得る。したがって、使用者が眼鏡100を装用しているとき、使用者の視覚系のオン経路が刺激され得る。
【0118】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620は原画像の特定の部分を補正し得る。例えば、原画像のポジティブコントラスト領域又はネガティブコントラスト領域の全てを補正する代わりに、画像処理回路620は、原画像のあるポジティブコントラスト領域の、又はあるネガティブコントラスト領域の周辺のみを補正するように構成され得る。また別の例として、ポジティブ又はネガティブコントラスト領域のコントラスト反転、空間周波数の変更(例えば、増大若しくは減少)、及び/又はぼかし(例えば、高空間周波数成分の低下)は、原画像の視野角の外側20度において提供され得る。そのため、画像処理回路620は、原画像をかく乱又は歪曲させず、原画像の特定の部分を変更するだけであり、使用者は補正画像の内容が容易に見えて、それを解することができる。
【0119】
各種の実施形態によれば、眼鏡100は画像プロジェクタ630をさらに含み得る。画像プロジェクタ630は、画像処理回路620に接続されて、補正画像(又は動画の補正画像)をリアルタイムで投射する光学装置を含み得る。例えば、画像プロジェクタ630は、レーザを使って補正画像を投射して使用者の視覚系のオン経路を刺激するデジタル画像プロジェクタであり得る。画像プロジェクタ630は、補正画像を投射スクリーンに、例えば眼鏡100のレンズ130、130’に投射し得る。画像プロジェクタ630は、補正画像を使用者の眼110の網膜に直接投射し得る網膜プロジェクタ(例えば、仮想網膜ディスプレイ)をさらに含み得る。画像プロジェクタの非限定的な例としては、液晶ディスプレイプロジェクタ、Liquid Crystal on Siliconプロジェクタ、デジタルライトプロセシングプロジェクタが含まれ得る。各種の実施形態によれば、画像プロジェクタ630は発光パターン400を生成し得る。
【0120】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620はさらに、光強度パターン160、例えば発光パターン400を制御するように構成され得る。
図5A~6を参照すると、幾つかの実施形態において、画像処理回路620は光源を非アクティブの状態のままとし得て(又は、光源はそっくり省かれ得て)、各種の実施形態によれば、補正画像が透明レンズ130、130’に投射され得る。代替的に、又はそれに加えて、画像処理回路620は、1つ又は複数の発光素子410a、410b、410cを含む光源をアクティブ状態にして、補正画像が発光パターン400を使って、及び/又は画像処理回路620によって生成され得るように構成され得る。
【0121】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620は補正画像がいつ使用者に提供され得るかを制御するように構成され得る。例えば、画像処理回路620は、オン及びオフ経路の比(オン/オフ比)が所定のオン/オフ閾値より低くなったときに補正画像を提供するようにアクティブ状態にされ得て、オン/オフ比が所定の閾値より高くなると(例えば、オン経路が優勢であるとき又はオン及びオフ経路のバランスがれたとき)に非アクティブ状態とされ得る。各種の実施形態によれば、画像処理回路620はまた、所定の持続時間閾値の後にアクティブ状態又は非アクティブ状態とされ得る。
【0122】
図10は、所定のオン/オフ閾値を特定するためのメカニズムの例のグラフ1000を示す。グラフ1000のx軸はラジアル周波数(ピクセルの単位で測定されるRF半径)を表し得て、これは画像の粒度の数値であり得る。例えば、より大きいRF半径(例えば、>5ピクセル)は空間周波数がより低い領域(例えば、粗い詳細部)を表し得て、より小さいRF半径(例えば、≦5ピクセル)は画像内のより高い空間周波数の領域(例えば、微細で鮮鋭な詳細部)を表し得る。5ピクセルという半径閾値はこの実施形態を説明するために使用されているが、他の所定の半径閾値も使用され得て、例えば2ピクセルより大きくなるように選択され得る。グラフ700のy軸は、画像のオン/オフ比を表し得る。例えば、画像は、視覚系のオン及びオフ経路の両方を刺激する領域を含み得る。より高いオン/オフ比(例えば、>1)は、その画像がオン経路を刺激する領域を、オフ経路を刺激する領域と比較してより大きい割合で含むこと(例えば、オン経路が優勢)を示し得る。反対に、より低いオン/オフ比(例えば、<1)は、ある画像がオン経路を刺激する領域を、オフ経路を刺激する領域と比較してより小さい割合で含むこと(例えば、オフ経路が優勢)を示し得る。曲線1010及び1020は、それぞれ屋内及び屋外環境での様々なRF半径でのオン/オフ比を表しうる。グラフ1000は、屋外環境(例えば、曲線1020)の視覚的画像は、屋内環境での視覚的画像(例えば、曲線1010)と比較した時に、より高いオン/オフ比を提供することを示唆している。例えば、画像処理回路620が画像の補正を開始するために使用し得る所定のオン/オフ閾値は1.5のオン/オフ閾値であり得る。例えば、画像処理回路620は、原画像のオン/オフ比が1.5未満まで下がると補正画像を提供するようにアクティブ状態とされ得て、原画像のオン/オフ比が1.5を超えると非アクティブ状態とされて補正画像の提供を停止し得る。
【0123】
各種の実施形態によれば、所定のオン/オフ閾値は使用者によって異なっていてもよく、例えば近視の使用者の重篤度、使用者の近視発症リスク、又は環境要因に基づく。例えば、オン/オフ閾値は近視の使用者の場合、又は近視の遺伝的体質を有する使用者の場合、より高い(例えば、≧1.6)かもしれない。また別の例として、オン/オフ閾値は、主に屋内で過ごす使用者の場合は、より高い(例えば、≧1.8)かもしれない。
【0124】
各種の実施形態によれば、眼鏡100は使用者に見える原画像のオン及びオフ経路を、例えば原画像によるオン及びオフ経路刺激を推定することによって連続的にモニタし得る。別の例として、イメージセンサ610は原画像をリアルタイムで継続的に画像処理回路620に送信し、ポジティブコントラスト領域とネガティブコントラスト領域のマッピングが行われるようにし得る(例えば、
図7のステップ710及び720)。画像処理回路620は、オン/オフ比率が所定のオン/オフ閾値より低くなると原画像を補正するように構成され得る。換言すれば、画像処理回路620は、オン/オフ閾値が所定のオン/オフ閾値より低くなると補正画像を提供するように構成され得る(例えば、
図7のステップ730及び740を実行する)。各種の実施形態によれば、画像処理回路620はオン/オフ比が所定のオン/オフ閾値を超えると補正画像の提供を停止し得る。
【0125】
各種の実施形態による、様々な眼鏡100のオン/オフ閾値及び/又は所定の持続時間に応じたパラメータの制御の例を以下に示す。
【0126】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620は使用者が眼鏡100を装用しているときに常に補正画像を提供し得る。例えば、画像処理回路620は使用者がオン又はオフ経路の何れが顕著に優勢な活動に従事しているかに関係なく、補正画像を提供し得る。したがって、使用者の視覚系のオン経路は常に刺激され得る。これは、継続的なオン経路刺激が使用者の近視の進行を遅らせ得ることから、重度の近視の使用者にとって有利であり得る。
【0127】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620は使用者が主としてオフ経路を刺激する活動に従事しているときに所定の持続時間にわたり補正画像を提供し得る。例えば、使用者がコンピュータゲーム(例えば、オフ経路が優勢)をし始めると、画像処理回路620はコンピュータゲームの最初の15分間にわたり補正画像を提供するように構成され得る。
【0128】
各種の実施形態によれば、使用者がオフ経路を刺激する活動(例えば、古典的な白黒の文字を読む)に従事しているときのオン/オフ比は所定のオン/オフ閾値より低くなり得て、画像処理回路620は直ちに補正画像を提供するように構成され得る。画像処理回路620は、使用者が読むのをやめてオン及びオフ経路のバランスがとれ得る活動又はオン経路を優先的に刺激する活動に従事するとすぐに原画像の補正を停止し得る。
【0129】
各種の実施形態によれば、使用者がオフ経路を刺激する活動に従事しているときのオン/オフ比は所定のオン/オフ比より低くなり得て、画像処理回路620は使用者がその活動を開始してから、所定の持続時間後、例えば10分後に補正画像を提供するように構成され得る。画像処理回路620は、使用者が読むのをやめてオン及びオフ経路のバランスがとれ得る活動又はオン経路を優先的に刺激する活動に従事するとすぐに原画像の補正を停止し得る。
【0130】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620はある時間枠にわたり補正画像を提供するように構成され得る。例えば、使用者が主としてオフ経路を刺激する活動に従事しているとき、補正画像は、急激なコントラスト反転、空間周波数の変更(例えば、増大又は減少)、及び/又は前記画像のぼかし(例えば、高空間周波数成分の低下)を避けるために、ある時間枠にわたり提供され得る。例えば、使用者には、使用者が主としてオフ経路を刺激する活動を開始してから最初の15分間、原及び補正画像の両方が見え得る。
【0131】
各種の実施形態によれば、画像処理回路620は周期的なコントラストパターンにしたがって補正画像を提供するように構成され得る。
図11は、例として、各種の実施形態による周期的コントラスト反転のグラフ1100を示す。線1120は、画像処理回路620が画像の補正を開始するとき、例えばオン/オフ比が所定のオン/オフ閾値より低くなったとき(例えば、オフ経路が優勢)を表す。線1130は、補正画像の提供の低速化を表す。換言すれば、画像処理回路620は、補正画像をすぐに提供し、ある時間枠にわたり使用者への補正画像の提供を遅くするように構成され得る。例えば、線1120は、使用者に補正画像だけが見える持続時間を表し得て、線1130は使用者に原及び補正画像の両方が見える時間を表し得る。周期的なコントラスト反転は、使用者が主としてオフ経路を刺激する活動に従事しているかぎり繰り返され得る。各種の実施形態によれば、周期的コントラスト反転の周期は0.5Hz~2Hz、例えば0.5Hz~1Hzの範囲であり得る。
【0132】
各種の実施形態によれば、眼鏡100は光センサをさらに含み得る。光センサは照度、すなわち光源の輝度を測定し得る。例えば、光センサは、使用者が屋外又は屋内環境の何れにいるかもしれないかを検出し得る。例えば、屋外環境は屋内環境(例えば、<1000ルクス)と比較して、より高い照度(例えば、>1000ルクス)を提供し得る。光センサの非限定的な例には、光起電セル、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、光電管、フォトダイオードが含まれる。光センサは画像処理回路620に接続され得て、画像処理回路620は、使用者が屋内にいることを検出すると(例えば、測定された照度が<1000ルクス)補正画像を提供するように構成され得る。
【0133】
各種の実施形態によれば、眼鏡100は、使用者が屋外又は屋内環境の何れにいるかを検出し得る検出手段(例えば、特定回路)をさらに含み得る。屋外環境での自然の画像の本来的な統計構造は、屋内環境の画像とは異なり得る。眼鏡100はこのような検出手段を含み得て、画像処理回路620は、使用者が屋内にいることを検出すると、補正画像を提供するように構成され得る。したがって、オン経路を刺激する補正画像は、屋内環境においてのみ提供され得る。
【0134】
有利な点として、イメージセンサ610、画像処理回路620、及び画像プロジェクタ630を含む眼鏡100は、原画像におけるポジティブコントラスト領域の割合及びネガティブコントラスト領域の割合の即時のリアルタイムでの認識及びそれに関する入力を提供することにより、視覚環境のリアルタイム解析を提供し得る。例えば、画像処理回路620は、原画像内のオン経路及びオフ回路を刺激する領域の相対的強度に関する入力を提供し得る。画像処理回路620はまた、ポジティブコントラスト領域をネガティブコントラスト領域と比較して等しいかそれより大きい割合で含み、使用者の視覚系のオン経路が刺激され得るようにし得る補正画像を提供し得る。それに加えて、コントラスト反転、空間周波数の変更(例えば、増大又は減少)、及び/又は領域のぼかし(例えば、高空間周波数成分の低下)は原画像の特定の部分又は領域にのみ適用され得て、したがって、原画像の解釈の障害とならないかもしれない。これは、完全なコントラスト反転、空間周波数の変更(例えば、増大又は減少)、及び/又は画像全体のぼかしによって使用者が原画像の内容を解釈するのが難しくなるような複雑な画像(例えば、地図、天気図、グラフ)にとって特に有利であり得る。したがって、眼鏡100は、有利な点として、使用者の視覚系のオン経路を刺激し、使用者が画像の内容を容易に認識し、解釈できるようにし得る。眼鏡100はさらに、正視眼の使用者の場合は近視の発症を予防し、又は近視の使用者の近視の進行を制御し得る。
【0135】
本開示の幾つかの例は、近視のコントロール及び人間の眼のオフ経路刺激と比較したオン経路刺激の増大に関しており、例えば、その場合、調光手段はより多くの量のポジティブコントラスト信号及び/又はより少ない量のネガティブコントラスト信号を提供するように構成され得る。本開示はまた、オン経路刺激と比較してオフ経路刺激を増大させることによって遠視をコントロールする(例えば、眼鏡の)実施形態も想定しており、例えば、その場合、調光手段はより少ない量のポジティブコントラスト信号及び/又はより多い量のネガティブコントラスト信号を提供するように構成され得る。
【0136】
本開示は特に特定の実施形態に関して図示され、説明されているが、当業者であれば、様々な形態及び詳細部における変更をそこに加え得ることがわかるはずである。本開示の範囲はそれゆえ、付属の特許請求項により示され、したがって、特許請求項の意味と等価物の範囲内のあらゆる変更も包含されるものとする。
【符号の説明】
【0137】
100 眼鏡
110 眼
120 調光手段
130 レンズ
140 フレーム
150 投射光
160 光強度パターン
210 刺激
220 背景
250 背景
300 透過パターン
310 マイノリティ領域
320 マジョリティ領域
330 離間開口
330 接合開口
400 発光パターン
410 発光素子
420 反射体
600 光学系
610 イメージセンサ
620 画像処理回路
630 画像プロジェクタ
800 領域
810 中心
820 周囲エリア
830 領域
840 中心
850 周囲エリア
910 ネガティブコントラスト領域
【国際調査報告】