IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特表2024-515438不揮発性チューナブル容量性処理ユニット
<>
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図1
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図2
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図3
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図4
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図5
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図6
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図7
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図8
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図9
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図10
  • 特表-不揮発性チューナブル容量性処理ユニット 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】不揮発性チューナブル容量性処理ユニット
(51)【国際特許分類】
   H10B 63/10 20230101AFI20240403BHJP
   H10N 70/00 20230101ALI20240403BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240403BHJP
   G06G 7/60 20060101ALI20240403BHJP
   G06G 7/16 20060101ALI20240403BHJP
   G06G 7/14 20060101ALI20240403BHJP
   G06G 7/184 20060101ALI20240403BHJP
   H10N 70/20 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
H10B63/10
H10N70/00 A
H01L29/06 601N
G06G7/60
G06G7/16
G06G7/14
G06G7/184
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023555693
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-11
(86)【国際出願番号】 EP2022056663
(87)【国際公開番号】W WO2022207304
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】17/216,937
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(74)【復代理人】
【識別番号】100091568
【弁理士】
【氏名又は名称】市位 嘉宏
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、ガイ
(72)【発明者】
【氏名】安藤 崇志
(72)【発明者】
【氏名】ゴン、ナンボ
(72)【発明者】
【氏名】リ、ユーロン
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA05
5F083JA02
5F083JA12
5F083JA38
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083LA21
5F083PR21
(57)【要約】
不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成するための手法において、第1の電極層が、第2の電極層から遠位に対向して形成され、第1の電極層が第1の電気接続を行うように構成され、第2の電極層が第2の電気接続を行うように構成される。誘電体層は、第1の電極層と隣接する第2の電極層との間に位置付けられる。相変化材料(PCM)層は、第1の電極層と誘電体層に隣接する第2の電極層との間に位置付けられる。活性化コンポーネントは、PCM層を加熱してPCM層の相を変化させるために提供される。活性化コンポーネントは、PCM層に直接接触する加熱素子または電気プローブを含んでもよく、活性化されるとPCM層に熱を加えるように構成される。PCM層の相は、アモルファス相と結晶相との間で変更可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法であって、
第2の電極層から遠位に対向する第1の電極層を形成することであって、前記第1の電極層が、第1の電気接続を行うように構成され、前記第2の電極層が、第2の電気接続を行うように構成される、前記形成することと、
前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に誘電体層を位置付けることと、
前記第1の電極層と前記誘電体層に隣接する前記第2の電極層との間に相変化材料(PCM)層を位置付けることと、
前記PCM層を加熱して前記PCM層の相を変化させる活性化コンポーネントを提供することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記活性化コンポーネントが、前記第1の電極層および前記第2の電極層のいずれか1つと同一平面にある加熱素子であり、活性化されると、前記加熱素子が前記PCM層に熱を加えるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記活性化コンポーネントが、前記PCM層に直接接触する抵抗素子であり、活性化されると、前記抵抗素子が前記PCM層に熱を加えるように構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記PCM層の前記相が、少なくとも抵抗性PCM層に対応するアモルファス相と導電性PCM層に対応する結晶相との間で選択的に変更可能である、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記PCM層が、GeSbTe、GeTe、およびSbTeのうちの1つの組成物を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記誘電体層が、HfOの組成物を含む、請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスであって、
第1の直径を有する外部円筒電極層と、
前記外部円筒電極層に対して軸方向に近位の内部円筒電極層であって、前記内部円筒電極層が、前記第1の直径未満である第2の直径を有する、前記内部円筒電極層と、
前記外部円筒電極と前記内部円筒電極との間で、かつ前記外部円筒電極の前記内部円筒電極に対向する面全体にわたって配置される誘電体層と、
前記内部円筒電極と前記誘電体層との間で、かつ前記内部円筒電極の前記誘電体層に対向する面全体にわたって配置される相変化材料(PCM)層と、
前記外部円筒電極と前記内部円筒電極との間に配置される加熱素子層と、
を備える、不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス。
【請求項8】
前記加熱素子層が、活性化されて、前記PCM層に熱を加えるように構成される、請求項7に記載の不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス。
【請求項9】
前記PCM層に直接接触する抵抗素子であって、活性化されると、前記抵抗素子が前記PCM層に熱を加えるように構成される、前記抵抗素子をさらに備える、請求項8に記載の不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス。
【請求項10】
前記PCM層が、前記PCM層に加えられた所定の量の熱に基づいて、抵抗性のPCM層に対応するアモルファス相から導電性のPCM層に対応する結晶相に変化させるように構成される相を有する、請求項7ないし9のいずれかに記載の不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス。
【請求項11】
前記PCM層が、GeSbTe、GeTe、およびSbTeのうちの1つの組成物を含む、請求項7ないし10のいずれかに記載の不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス。
【請求項12】
前記誘電体層が、HfOの組成物を含む、請求項7ないし11のいずれかに記載の不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス。
【請求項13】
ニューラル・ネットワーク(NN)用の積和(MAC)演算を実行する方法であって、
1つまたは複数の回路構成を提供することであって、前記1つまたは複数の回路構成が、
請求項7ないし12のいずれかに記載のチューナブル・キャパシタ・デバイスと、
電圧ラインに接続された第1の充電トランジスタ端子および前記チューナブル・キャパシタの第1のキャパシタ端子に接続された第2の充電トランジスタ端子を含み、前記チューナブル・キャパシタがグランド端子に接続された第2のキャパシタ端子を含む、充電トランジスタと、
前記第2の充電トランジスタ端子および前記第1のキャパシタ端子に接続された第1の放電端子ならびに電流ラインに接続された第2の放電端子を含む、放電トランジスタと、
を備える、前記提供することと、
所定の時間量の間前記チューナブル・キャパシタに所定の量の熱を与えることであって、前記チューナブル・キャパシタが、第1のキャパシタンス値を有し、前記所定の量の熱が、前記第1のキャパシタンス値を第2のキャパシタンス値に変化させるのに十分である、前記熱を与えることと、
を含む、方法。
【請求項14】
閉状態の前記充電トランジスタおよび開状態の前記放電トランジスタを介して入力電圧を前記チューナブル・キャパシタに印加することによって、第1の所定の時間量の間前記チューナブル・キャパシタを充電することと、
前記開状態の前記充電トランジスタおよび前記閉状態の前記放電トランジスタを介して前記チューナブル・キャパシタへの前記入力電圧を停止することによって、第2の所定の時間量の間前記チューナブル・キャパシタを放電することであって、電荷が前記チューナブル・キャパシタから前記放電トランジスタを通って積分回路へ流れる、前記放電することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の量の熱を与えることが、前記第2のキャパシタンス値として表される前記NNの重みに前記チューナブル・キャパシタを設定するように構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記積分回路を用いて前記放電トランジスタを通る前記1つまたは複数の回路構成の前記電荷を積分することによって、前記チューナブル・キャパシタを含む前記1つまたは複数の回路構成の総電荷を決定することをさらに含む、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のキャパシタンス値に対応する所望の重みを実現するのに十分な温度変化として前記所定の量の熱を決定することをさらに含む、請求項13ないし16のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、容量性処理デバイスおよび容量性処理デバイスを形成する方法に関する。より詳細には、本出願は、不揮発性チューナブル容量性処理ユニット(CPU)デバイスおよびその人工知能(AI)ハードウェアへの適用に関する。
【背景技術】
【0002】
抵抗性処理ユニット(RPU)は、機械学習モデルの訓練および推論を加速するために深層ニューラル・ネットワーク(DNN)処理において使用される。RPU要素は、相変化材料を抵抗の形態で使用して実装され得る。これらの材料の抵抗は、チューニングすることができ、さらに電源に接続されていなくても(不揮発性メモリ機能)チューニングされた抵抗を維持する(メモリ機能)からである。
【0003】
デジタル信号処理回路の共通演算は、積和演算(MAC)であり、これは、2つの数の積を計算し、その積を累算器に加算するMACユニットによって実行される。MACユニットは、組合せ論理で実装される乗算器、後に続く加算器、および結果を記憶する累算器レジスタを含む。例として、有限インパルス応答(FIR)フィルタの実装は、フィルタへの入力サンプルがフィルタ係数と乗算され、積が合計されるMAC演算で主に構成される。DNNの実装もまた、MAC演算を多数使用することを必要とする。より具体的には、DNNの各層の実装は、(例えば前の層からの)各入力と重みとの乗算、および次いで全ての積を合計することを必要とする。DNNは、デジタル・プロセッサを用いて実装され得るが、アナログ回路を用いて実現することも可能である。DNNのアナログ実装は、チューナブル抵抗(例えばRPU)およびオームの法則を使用して積を計算し、その後に続いてキルヒホッフの法則を用いて積の合計を実行する。チューナブル抵抗は、典型的には、相変化材料(PCM)が結晶相であるときに高コンダクタンスを有し、PCMがアモルファス相であるときに低コンダクタンスを有し得るPCMを用いて実装される。PCM素子をコンダクタンス範囲の両端の間の中間コンダクタンス・レベルにチューニングすることが可能である。電圧がPCM素子に印加されると、PCM素子を通る電流は、コンダクタンス(G)×電圧(V)、即ちI=V×Gになる。DNNの場合、電圧Vは、入力を表し、コンダクタンスGは、シナプス重みを表す。入力Vは、全ての重みGに適用され、ここでj=(1~N)であり、全ての電流がキルヒホッフの法則を用いて合計される。ゆえに、MAC演算は、アナログ形式で実装された。
【0004】
上述したMAC演算のアナログ実施の欠点の1つが、それぞれの積計算がI/G(即ち、電流の2乗×抵抗)に等しいエネルギーを消費するということである。DNNが大規模である場合、電力消費は相当の量である場合があり、さらにDNNがバッテリ駆動デバイスの一部であるとき、電力消費を減少させることは重要なことである。したがって、より電力効率の高いメモリベース処理ユニットが必要である。
【0005】
したがって、当技術分野において前述した問題に対処する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様から見ると、本発明は、不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイス(nonvolatiletunable capacitor device)を形成する方法であって、第2の電極層から遠位に対向する第1の電極層を形成することであって、第1の電極層が、第1の電気接続を行うように構成され、第2の電極層が、第2の電気接続を行うように構成される、形成することと、第1の電極層と第2の電極層との間に誘電体層を位置付けることと、第1の電極層と誘電体層に隣接する第2の電極層との間に相変化材料(PCM)層を位置付けることと、PCM層を加熱してPCM層の相を変化させる活性化コンポーネント(energizing component)を提供することと、を含む、方法を提供する。
【0007】
さらなる態様から見ると、本発明は、不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスであって、第1の直径を有する外部円筒電極層と、外部円筒電極層に対して軸方向に近位の内部円筒電極層であって、内部円筒電極層が、第1の直径未満である第2の直径を有する、内部円筒電極層と、外部円筒電極と内部円筒電極との間に、かつ外部円筒電極の内部円筒電極に対向する面全体にわたって配置される誘電体層と、内部円筒電極と誘電体層との間に、かつ内部円筒電極の誘電体層に対向する面全体にわたって配置される相変化材料(PCM)層と、外部円筒電極と内部円筒電極との間に配置される加熱素子層と、を含む、不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスを提供する。
【0008】
さらなる態様から見ると、本発明は、ニューラル・ネットワーク(NN)用の積和(MAC)演算を実行する方法であって、1つまたは複数の回路構成を提供することであって、1つまたは複数の回路構成が、本発明のチューナブル・キャパシタ・デバイスと、電圧ラインに接続された第1の充電トランジスタ端子およびチューナブル・キャパシタの第1のキャパシタ端子に接続された第2の充電トランジスタ端子を含み、チューナブル・キャパシタがグランド端子に接続された第2のキャパシタ端子を含む、充電トランジスタと、第2の充電トランジスタ端子および第1のキャパシタ端子に接続された第1の放電端子ならびに電流ラインに接続された第2の放電端子を含む、放電トランジスタと、を含む、提供することと、所定の時間量の間チューナブル・キャパシタに所定の量の熱を与えることであって、チューナブル・キャパシタが、第1のキャパシタンス値を有し、所定の量の熱が、第1のキャパシタンス値を第2のキャパシタンス値に変化させるのに十分である、熱を与えることと、を含む、方法を提供する。
【0009】
さらなる態様から見ると、本発明は、ニューラル・ネットワーク(NN)用の積和(MAC)演算を実行する方法であって、1つまたは複数の回路構成を提供することであって、1つまたは複数の回路構成が、電圧ラインに接続された第1の充電トランジスタ端子およびチューナブル・キャパシタの第1のキャパシタ端子に接続された第2の充電トランジスタ端子を含む、充電トランジスタであって、チューナブル・キャパシタがグランド端子に接続された第2のキャパシタ端子を含む、充電トランジスタと、第2の充電トランジスタ端子および第1のキャパシタ端子に接続された第1の放電端子ならびに電流ラインに接続された第2の放電端子を含む、放電トランジスタと、を含む、提供することと、所定の時間量の間チューナブル・キャパシタに所定の量の熱を与えることであって、チューナブル・キャパシタが、第1のキャパシタンス値を有し、所定の量の熱が、第1のキャパシタンス値を第2のキャパシタンス値に変化させるのに十分である、熱を与えることと、を含む、方法を提供する。
【0010】
不揮発性チューナブル容量性処理ユニット(CPU)および不揮発性チューナブル容量性処理ユニットを形成する方法について説明する。
【0011】
不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法は、第2の電極層から遠位に対向する第1の電極層を形成することであって、第1の電極層が、第1の電気接続を行うように構成され、第2の電極層が、第2の電気接続を行うように構成される、形成することを含み得る。方法は、第1の内側平面に隣接し、第2の電極層の第2の内側平面に隣接する第1の電極層の間に誘電体層を位置付けることをさらに含み得る。方法は、第1の電極層と誘電体層に隣接する第2の電極層との間に相変化材料(PCM)層を位置付けることをさらに含み得る。方法は、PCM層を加熱してPCM層の相を変化させる活性化コンポーネントを提供することをさらに含み得る。
【0012】
第1の電極層は、第2の電極層の第2の内側平面から遠位に対向する第1の内側平面を含み得る。第1の電極層は、第1の電気接続を行うように構成された第1の外側平面を含んでもよく、第2の電極層は、第2の電気接続を行うように構成された第2の外側平面を含んでもよい。
【0013】
活性化コンポーネントは、第1の電極層および第2の電極層のいずれか1つと同一平面である加熱素子を含んでもよく、加熱素子は、活性化されるとPCM層に熱を加えるように構成される。
【0014】
活性化コンポーネントは、PCM層に直接接触する抵抗素子を含んでもよく、活性化されるとPCM層に熱を加えるように構成される。
【0015】
PCM層の相は、抵抗性PCM層に対応するアモルファス相と導電性PCM層に対応する結晶相との間で選択的に変更可能であり得る。PCM層は、GeSbTe、GeTe、またはSbTeの組成物を含み得る。誘電体層は、HfOの組成物を含み得る。
【0016】
別の実施形態において、不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスについて説明する。デバイスは、第1の直径を有する外部円筒電極層と、外部円筒電極層に対して軸方向に近位の内部円筒電極層であって、内部円筒電極層が、第1の直径未満である第2の直径を有する、内部円筒電極層と、外部円筒電極と内部円筒電極との間に、かつ外部円筒電極および内部円筒電極の対向する面全体にわたって配置される誘電体層と、内部円筒電極と誘電体層との間に、かつ内部円筒電極および誘電体層の対向する面全体にわたって配置される相変化材料(PCM)層と、外部円筒電極と内部円筒電極との間に配置される加熱素子層と、を含み得る。加熱素子層は、PCM層に熱を加えるために活性化されるように構成され得る。
【0017】
不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスは、PCM層に直接接触する抵抗素子をさらに含んでもよく、抵抗素子は、活性化されるとPCM層に熱を加えるように構成され得る。
【0018】
不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスは、PCM層に加えられた所定の量の熱に基づいて、抵抗性PCM層に対応するアモルファス相から導電性PCM層に対応する結晶相に変化させるように構成される相を有するPCM層をさらに含み得る。
【0019】
別の実施形態において、ニューラル・ネットワーク(NN)用の積和(MAC)演算を実行する方法であって、1つまたは複数の回路構成を提供することであって、1つまたは複数の回路構成が、充電トランジスタ、放電トランジスタ、およびチューナブル・キャパシタを含み得る、提供することを含む。実施形態において、充電トランジスタは、電圧ラインに接続された第1の充電トランジスタ端子を含む。さらに、充電トランジスタは、チューナブル・キャパシタの第1のキャパシタ端子に接続された第2の充電トランジスタ端子も含み、チューナブル・キャパシタは、グランド端子に接続された第2のキャパシタ端子を含む。さらに、1つまたは複数の回路構成は、第2の充電トランジスタ端子および第1のキャパシタ端子に接続された第1の放電トランジスタ端子を含む放電トランジスタをさらに含み得る。さらに、放電トランジスタは、電流ラインに接続された第2の放電端子も含む。
【0020】
さらに、NN用のMAC演算を実行する方法は、所定の時間量の間チューナブル・キャパシタに所定の量の熱を与えることであって、チューナブル・キャパシタが、第1のキャパシタンス値を有し、所定の量の熱が、第1のキャパシタンス値を第2のキャパシタンス値に変化させるのに十分であり得る、熱を与えることを含み得る。
【0021】
NN用のMAC演算を実行する方法は、閉状態の充電トランジスタおよび開状態の放電トランジスタを介して入力電圧をチューナブル・キャパシタに印加することによって、第1の所定の時間量の間チューナブル・キャパシタを充電することと、開状態の充電トランジスタおよび閉状態の放電トランジスタを介してチューナブル・キャパシタへの入力電圧を停止することによって、第2の所定の時間量の間チューナブル・キャパシタを放電することであって、電荷がチューナブル・キャパシタから放電トランジスタを通って積分回路へ流れる、放電することと、を含み得る。
【0022】
実施形態では、NN用のMAC演算を実行する方法であって、所定の量の熱を与えることが、第2のキャパシタンス値として表されるNNの重みにチューナブル・キャパシタを設定するように構成される。
【0023】
実施形態では、NN用のMAC演算を実行する方法は、積分回路を用いて放電トランジスタを通る1つまたは複数の回路構成の電荷を積分することによって、チューナブル・キャパシタを含む1つまたは複数の回路構成の総電荷を決定することをさらに含み得る。
【0024】
実施形態では、NN用のMAC演算を実行する方法であって、所定の量の熱を与えることが、第2のキャパシタンス値として表されるNNの重みにチューナブル・キャパシタを設定するように構成される。
【0025】
実施形態では、PCM層の相は、抵抗性PCM層に対応するアモルファス相から導電性PCM層に対応する結晶相に選択的に変更可能であってもよい。
【0026】
本発明は、以下の図面に示されるように、単なる例として好適な実施形態を参照してここで説明される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の例としての実施形態による、製造のアモルファス段階および結晶段階の間の、本出願のチューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図である。
図2】本発明の例としての実施形態による、製造のアモルファス段階および結晶段階の間の、本出願の別のチューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図である。
図3】本発明の例としての実施形態による、チューニング段階の間の、本出願の別のチューナブル・キャパシタ・デバイスの様々な図を示す。
図4】本発明の例としての実施形態による、製造のアモルファス段階および結晶段階の間の、本出願の円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図である。
図5】本発明の例としての実施形態による、本出願の円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図を示す。
図6】本発明の例としての実施形態による、円筒型キャパシタ・デバイスおよびデバイスの等価回路とも呼ばれる集中定数回路の断面図である。
図7】本発明の例としての実施形態による、中間キャパシタンス状態の円筒型キャパシタ・デバイスおよびデバイスの等価回路の断面図である。
図8】本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスを充電する(相I)ためのニューラル・ネットワークの回路アレイ図である。
図9】本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスの放電(相II)中の、図8の回路アレイ図の第2の時間相を示す図である。
図10】本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法のフローチャートである。
図11】本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法を実行するサーバ・コンピュータのコンポーネントのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本出願は、ここで、以下の説明および本出願に添付する図面を参照することによって、より詳細に説明される。本出願の図面が例示の目的のためだけに提供され、したがって図面は縮尺通りに描かれないことに留意されたい。類似のおよび対応する要素が類似の参照番号によって参照されることにも留意されたい。
【0029】
以下の説明には、本出願の様々な実施形態の理解を与えるために、特定の構造、コンポーネント、材料、寸法、処理ステップおよび技術などの多数の特定の詳細について記載されている。しかしながら、本出願の様々な実施形態がこれらの具体的詳細なしに実施され得ることが、当業者には理解されるであろう。他の事例では、本出願を不明確にすることを避けるために、周知の構造または処理ステップを詳細に説明していない。
【0030】
層、領域、または基板としての要素が、別の要素の「上」もしくは「上方」にあると言われるとき、それは、他の要素の直接上にあってもよく、または介在要素も存在してもよいことを理解されたい。これに対して、要素が、別の要素の「直接上」または「直接上方」にあると言われるとき、介在要素は存在しない。要素が、別の要素の「下」または「下方」にあると言われるとき、それは、他の要素の直接下もしくは直接下方にあってもよく、または中間要素も存在してもよいことも理解されたい。これに対して、要素が、別の要素の「直接下」または「直接下方」にあると言われるとき、介在要素は存在しない。
【0031】
本明細書で説明された実施形態は、人工知能(AI)演算においてアナログ計算を実行するために、多くの用途で実施および使用され得る。例えば、積和(MAC)演算を実行する際に、2つの数の積が、乗算することによって決定され、次いで積が加算されて合計を出力する。MAC演算はニューラル・ネットワーク(NN)において使用され得る。NNの計算を迅速化するために、MAC演算は並列で実行される必要がある。さらに、計算のエネルギー効率を高くする必要があり、それによって数百万の重み乗算を含む大規模なNNを実現し得る。したがって、MAC演算を加速し、それらをより効率的な方法で実行する解決策が必要である。
【0032】
ニューラル・ネットワークでは、回路アレイ・アーキテクチャは、各ノードへの電気入力またはベクトル入力を受信するように構成された入力ノード(例えば、V、V、V)を含んでもよく、電気入力は、それによって訓練されるように構成され、ニューラル・ネットワークに記憶された重み(例えば、W、W、W)に適用され得る。例えば、ニューラル・ネットワークにおいてMAC演算を実行する際に、チューナブル・キャパシタ・デバイスが、ニューラル・ネットワークの第1の部分で使用されて、チューナブル・キャパシタ・デバイス毎のキャパシタンス値に対応する重みを記憶し得る。入力電圧(例えばV)が、第1のチューナブル・キャパシタ・デバイス(例えば、C)に印加されると、チューナブル・キャパシタ・デバイス上の電子電荷が、入力電圧と第1のチューナブル・キャパシタ・デバイスのキャパシタンス(例えば、Q)との積になる。チューナブル・キャパシタ・デバイスCのそれぞれが、電圧V×Cの積である電荷を保持する。
【0033】
任意の回路素子についての電力消費は、IRであり、Iは、素子を通って流れる電流を表し、Rは、素子の抵抗である。したがって、理想的なキャパシタは、充電または放電されるときに電力を消費させない。しかしながら、回路内の相互接続のリード抵抗などの小さな寄生抵抗が存在するため、何らかの電力消費が起こることとなる。
【0034】
図1は、本発明の例としての実施形態による、アモルファス状態(110)および結晶状態(120)の、本出願のチューナブル・キャパシタ・デバイス100の断面図である。
【0035】
図1に示されるチューナブル・キャパシタ・デバイス100は、第2の電極層118から遠位に対向する第1の電極層112を含む平板キャパシタの例であり、第1の電極層112は、(例えば第1の端子111aを介して)第1の電気接続を行うように構成され、第2の電極層118は、(例えば、第2の端子111bを介して)外部電圧源への第2の電気接続を行うように構成される。第1の電極層112は、チューナブル・キャパシタ・デバイス100の隣接コンポーネントに加えられる熱を生成するように構成された加熱素子(例えば、近接ヒータ)を含み得る。加熱素子が、その中の所期のコンポーネントを加熱するのに十分な近接範囲内にあるように、加熱素子は、チューナブル・キャパシタ・デバイス100内の任意の他の層内に、または任意の他の層に隣接して位置付けられ得る。
【0036】
チューナブル・キャパシタ・デバイス100を形成する方法は、第1の電極層112と第2の電極層118との間に誘電体層116を位置付けることを含んでもよく、各層は、平坦面(例えば、最上面、最底面)を有する。誘電体層116は、第1の電極層112と第2の電極層118との間に直接的に、または第1の電極層112と第2の電極層118との間に間接的に位置付けられてもよく、介在する隣接層が、誘電体層116と第1の電極層112および第2の電極層118のうちの1つとの間に位置付けられてもよい。誘電体層116は、酸化ハフニウムHfOの組成物を含み得る。実施形態において、複合誘電体層は、2つの部分、誘電体層116を含む第1の部分および相変化材料(PCM)層114を含む第2の部分(例えば、約3nm~10nm厚の層)に区画されてもよく、誘電体層116は、以下でさらに説明されるように、酸化ハフニウムHfO層(例えば、約2nm~5nm厚の層)で構成されてもよい。
【0037】
チューナブル・キャパシタ・デバイス100を形成する方法は、第1の電極層112と誘電体層116に隣接する第2の電極層118との間にPCM層114を位置付けることをさらに含み得る。実施形態において、加熱素子から生成された熱がPCM層114の温度を変化させるように、PCM層114は、加熱素子を含む第1の電極層112に直接隣接して位置し得る。
【0038】
チューナブル・キャパシタ・デバイス100を形成する方法は、(例えば、PCM層114を加熱してPCM層114の相を変更するための)活性化コンポーネントを提供することをさらに含み得る。活性化コンポーネントは、第1の電極層112または第2の電極層118のいずれか1つと同一平面である加熱素子であってもよく、加熱素子は、活性化されるとPCM層114に熱を加えるように構成される。活性化コンポーネントは、PCM層114に直接接触する抵抗素子であってもよく、抵抗素子は、活性化されるとPCM層114に熱を加えるように構成される。PCM層114の相を所期の相に変更するのに十分、PCM層を加熱するように構成される限り、他の活性化コンポーネントが使用されてもよい。
【0039】
実施形態において、活性化コンポーネントは、PCM層114に直接接触する近接ヒータ(図示せず)であり、近接ヒータは、活性化されるとPCM層114に熱を加えるように構成される。
【0040】
実施形態において、チューナブル・キャパシタ・デバイス100は、アモルファス相に対応する第1の相110であるPCM層114を含んでもよく、PCM層114は、誘電材料に類似した高抵抗性材料である。PCM層114に熱が加えられて、第1の相110(例えば、完全なアモルファス相)からアモルファスと結晶との混合物に、かつ最終的には第2の相120(例えば、結晶相)へと相を変化させてもよく、PCM層124は、半金属である高導電性材料である。
【0041】
実施形態において、チューナブル・キャパシタ・デバイス100は、様々な方法によってチューニングされ得る(即ち、PCM層114のプロパティを変更するために加熱され得る)。一実施形態では、メルトクエンチ法が提供されてもよく、この方法では、急峻な終端がある高電流パルスがPCM層114に印加され、印加されると、PCM層114の一部が溶解するように、PCM層114において十分な熱を生成するように構成される。終端がなくなると、PCM層114は、急速に冷却されるか、または周囲温度に戻り、それによって、PCM層114が結晶化される機会はほとんどなくなり、アモルファス相のままとなる。別の実施形態では、アニーリング法が提供されてもよく、この方法では、PCM層114を溶解させるのに十分ではない、PCM層114を加熱するパルスが提供されるが、温度は、まだアモルファス段階の間に結晶化温度を超えて、結晶の核形成を開始する。
【0042】
実施形態において、PCM層114は、ゲルマニウム・アンチモン・テルル(GeSbTe)から構成されてもよく、その結晶化温度は、約摂氏160~170度(C)であり、その溶解温度は、約600~700度(C)であり得る。この組成物のPCM層114は、PCM層114が結晶化温度に到達することを可能にする近接ヒータに電流パルスが印加されて結晶化され得る。例えば、PCM結晶化のために、PCMは溶解される必要はなく、むしろ、PCM温度が結晶化を達成するのに十分であり得るように過不足なく熱が加えられてもよい。
【0043】
実施形態において、PCM層114の相とチューナブル・キャパシタ・デバイス100のキャパシタンス(例えば、C12)との関係を示すために、チューナブル・キャパシタ・デバイス100についてのキャパシタンスに対する相変化のグラフ130が与えられ得る。例えば、PCM層114の相が結晶化度0%(例えば、アモルファスPCMまたはα-PCM)から結晶化度100%(例えば、結晶質PCMまたはc-PCM)へと遷移するにつれて、チューナブル・キャパシタ・デバイス100のキャパシタンスは、容量性最小から容量性最大へと遷移する。したがって、チューナブル・キャパシタ・デバイス100は、キャパシタンスに対する相変化のグラフ130に示されるように、PCM層114の結晶化度を変化させることによって特定の容量性の値にチューニングされ得る。
【0044】
単一の第1の電極層112および単一の第2の電極層118が説明され示されているが、本出願は、複数の第1の電極層112および複数の第2の電極層118が形成されるときにも使用され得ることに留意されたい。
【0045】
実施形態において、第1の電極層112は、第1の電極層112の第1の外側平面に電気的に接続された第1の端子111aを介して第1の電気接続を行うように構成された、第1の外側平面(例えば、最上平面)を含み得る。第2の電極層118は、第2の電極層118の第2の外側平面に電気的に接続された第2の端子111bを介して第2の電気接続を行うように構成された、第2の外側平面(例えば、最底平面)を含み得る。
【0046】
第1の電極層112および第2の電極層118は、導電性金属または金属合金から構成され得る。本出願において使用され得る導電性材料の例は、窒化チタン(TiN)、モリブデン(Mo)、窒化タンタル(TaN)、またはタングステン(W)を含む。PCM材料との潜在的相互作用を減少させるために、他の不活性材料が使用されてもよい。
【0047】
第1の電極層112は、例えば、タンタル(Ta)、TaN、チタン(Ti)、TiN、ルテニウム(Ru)、窒化ルテニウム(RuN)、ルテニウム・タンタル(RuTa)、窒化ルテニウム・タンタル(RuTaN)、コバルト(Co)、コバルト・タングステン・リン(CoWP)、窒化コバルト(CoN)、W、窒化タングステン(WN)、またはそれらの任意の組合せなどの、導電性金属から構成され得る。第1の電極層112は、2nm~100nmの厚さを有し得る。他の厚さも可能であり、第1の電極層112の厚さとして本出願において使用され得る。第1の電極層112は、例えば、蒸着、原子層堆積(ALD)、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、または物理気相蒸着(PVD)などの堆積プロセスによって形成され得る。第1の電極層112を提供する導電性材料の堆積の後に続いて、エッチ・バック・プロセス、平坦化プロセス(例えば化学機械研磨など)、またはパターニング・プロセス(例えばリソグラフィおよびエッチングなど)が行われ得る。
【0048】
第2の電極層118は、第1の電極層112について上述した導電性材料の1つから構成され得る。一実施形態では、第2の電極層118を提供する導電性材料は、第1の電極層112とは組成的に異なる。別の実施形態では、第2の電極層118を提供する導電性材料は、第1の電極層112と組成的に同一である。第2の電極層118は、第1の電極層112について上述した厚さ範囲内の厚さを有し得る。第2の電極層118は、第1の電極層112を提供することにおいて上述した堆積プロセスのうちの1つを利用して形成されてもよく、その後に続いてフォトリソグラフィおよびエッチングなどのパターニング・プロセスが実行される。
【0049】
実施形態において、誘電体層116は、典型的には大きな誘電率(比誘電率)を有する誘電材料である。大きな誘電率を有する誘電材料の例は、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウム、二酸化ハフニウムおよび二酸化ジルコニウム、ならびに酸化アルミニウムを含む。GeSbTeの誘電率は、約33である。キャパシタンス変化(チューナビリティ)に対する大きな動的範囲を得るためには、層116に対して大きな誘電率が望ましい。
【0050】
PCM層114は、例えばPECVD、PVD、CVD、またはALDなどの堆積プロセスを利用して形成され得る。PCM層114は、3nm~20nmの厚さを有し得る。その他の厚さも可能であり、PCM層114の厚さとして採用され得る。いくつかの実施形態では、PCM層114は、共形的な厚さを有する。「共形的」という用語は、材料層が、垂直面に沿った横方向の厚さとほぼ同一(即ち、±5%以内)の、水平面に沿った垂直方向の厚さを有することを示す。
【0051】
誘電体層116は、第2の電極層118を形成する前、または形成した後で、形成されてもよい。第2の電極層118の前に誘電体層116が形成される実施形態では、誘電体キャッピング材料のブランケット層が形成され、その後で誘電体キャッピング材料に開口部が(フォトリソグラフィおよびエッチングによって)形成される。以下で定義される第2の電極層118が、次いで開口部に形成される。このような実施形態では、第2の電極層118は、堆積によって形成され、その後に平坦化プロセスが続く。第2の電極層118が誘電体層116の前に形成される実施形態では、第2の電極層118は、堆積およびパターニングによって形成され、その後、誘電体キャッピング材料が堆積され、後続の平坦化プロセスが実行され得る。
【0052】
図2は、本発明の例としての実施形態による、アモルファス状態(例えば、第1の相)および結晶状態(例えば、第2の相)の、本出願の別のチューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図である。
【0053】
図2に示されるチューナブル・キャパシタ・デバイス200は、第2の電極層218bから遠位に対向する第1の電極層218aを含む平板キャパシタの別の例であり、第1の電極層218aは、第1の電気接続211a、221aを行うように構成され、第2の電極層218bは、外部電圧源への第2の電気接続211b、221bを行うように構成される。この実施形態では、チューナブル・キャパシタ・デバイス200は、チューナブル・キャパシタ・デバイス200の隣接コンポーネントに加えられる熱を生成するように構成された加熱素子212(例えば、近接ヒータ)を含み得る。加熱素子が、その中の所期のコンポーネントを加熱するのに十分な近接範囲内にあるように、加熱素子212は、チューナブル・キャパシタ・デバイス200内の任意の他の層内に、または任意の他の層に隣接して位置付けられ得る。したがって電極層に隣接する、もしくは電極層に埋め込まれている加熱素子の代わりに、または図1で説明されたように電極層自体を加熱器として用いる代わりに、ここでは加熱素子212は、PCM層214と誘電体層216との間に位置付けられ、その両方が第1の電極層218aと第2の電極層218bとの間にある。
【0054】
実施形態において、チューナブル・キャパシタ・デバイス200は、アモルファス相に対応する第1の相210であるPCM層214を含んでもよく、PCM層214は、誘電材料に類似した高抵抗性材料である。PCM層214に熱が加えられて、第1の相210(例えば、完全なアモルファス相)からアモルファスと結晶との混合物に、かつ最終的には第2の相220(例えば、完全な結晶相)へと相を変化させてもよく、PCM層224は、半金属である高導電性材料である。
【0055】
この実施形態では、PCM層214の相とチューナブル・キャパシタ・デバイス200のキャパシタンス(例えば、C12)との関係を示すために、チューナブル・キャパシタ・デバイス200についての相変化グラフ230も与えられる。例えば、PCM層214の相が結晶化度0%(例えば、α-PCM)から結晶化度100%(例えば、c-PCM)へと遷移するにつれて、チューナブル・キャパシタ・デバイス200のキャパシタンスは、容量性最小から容量性最大へと遷移する。したがって、チューナブル・キャパシタ・デバイス200は、キャパシタンスに対する相変化のグラフ230に示されるように、PCM層214の結晶化度を変化させることによって、特定の容量性の値にチューニングされ得る。
【0056】
図3は、本発明の例としての実施形態による、チューニング段階の間の、本出願の別のチューナブル・キャパシタ・デバイスの様々な図を示す。
【0057】
実施形態において、ヒータ312は、誘電体層316の下かつ下部電極層318bの最上平面内に位置してもよく、活性化されると誘電体層316およびPCM層314に熱を加えるように構成される。上部電極層318aは、上部電極層318aの第1の外側平面に電気的に接続された第1の端子311aを介して第1の電気接続を行うように構成される。下部電極層318bは、下部電極層318bの第2の外側平面に電気的に接続された第2の端子311bを介して第2の電気接続を行うように構成された、第2の外側平面(例えば、最底平面)を含み得る。
【0058】
実施形態において、チューナブル・キャパシタ・デバイス300は、様々な方法によってチューニングされ得る(即ち、PCM層314のプロパティを変更するために加熱され得る)。一実施形態では、メルトクエンチ法が使用されてもよく、この方法では、急峻な終端がある高電流パルス(例えば、Vprogram301によって印加される)がPCM層314に印加され、印加されると、PCM層314の一部が溶解するように、PCM層314において十分な熱を生成するように構成される。終端がなくなると、PCM層314は、急速に冷却されるか、または周囲温度に戻り、それによって、PCM層314が結晶化される機会はほとんどなくなり、アモルファス相のままとなる。形成するアモルファス材料の領域は、PCM層324の部分として示されるアモルファス・ドームである。別の実施形態では、アニーリング法が提供されてもよく、この方法では、PCM層314を溶解させるのに十分ではない熱である、PCM層314を加熱するパルスでヒータ312が活性化されるが、温度は、まだアモルファス段階の間に結晶化温度をわずかに超えて、結晶の核形成を開始する。
【0059】
実施形態において、チューナブル・キャパシタ・デバイス300のチューニングの間、PCM層314は、結晶相内で開始してもよい。製造中、PCM層314の材料は、典型的にはアニーリングされ、完全に結晶化されるためである。PCM層314が結晶相であるとき、PCM材料をアモルファス相に変化させるために、PCM材料を溶解するのに十分な熱を加えなければならない。
【0060】
図4は、本発明の例としての実施形態による、アモルファス状態(410および430)および結晶状態(420および440)の、本出願の円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図である。
【0061】
実施形態において、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、外部電極層418aによって囲まれた内部電極コア418b(例えば、金属コア電極)を含み得る。加熱素子412は、外部電極層418aの内側面に隣接し、かつ内部電極コア418bに隣接する内側面を有するPCM層414に隣接する誘電体層416の外側面に隣接し、それによって、内部電極コア418bの周囲に形成され、外側に延びる、説明した全ての層の円筒型複合物が形成される。
【0062】
上述の通り、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、加熱素子412を活性化してPCM層414を加熱し、PCM層414の相を変更して所望のキャパシタンスを得ることによって、本明細書に説明した方法によりチューニングされ得る。例えば、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、第1の相410であってもよく、PCM層414はアモルファス相である。PCM層414に熱が加えられて、アモルファス相から半アモルファス半結晶相に、かつ最終的には第2の相420にPCM層414の相を変化させてもよく、PCM層424は、本明細書で上述したように、結晶相である。
【0063】
別の実施形態において、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、アモルファス相のPCM層434に対応する第1の相430であってもよく、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、内部電極コア438bと外部電極層438aとの間に位置するPCM層434、加熱素子432、および誘電体層436と共に外部電極層438aによって囲まれた内部電極コア438b(例えば、金属コア電極)を含む。この例としての実施形態では、加熱素子432は、外部電極層438aの内側面に隣接する誘電体層436の内側面に隣接する。さらに、加熱素子432は、PCM層434に接触し得る。
【0064】
上述の通り、第1の相430の円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、加熱素子432を活性化してPCM層434を加熱し、PCM層434の相を変更して所望のキャパシタンスを取得することによって、本明細書に説明した方法によりチューニングされ得る。例えば、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス400は、第1の相430であってもよく、PCM層434はアモルファス相である。PCM層434に熱が加えられて、アモルファス相から半アモルファス半結晶相に、かつ最終的には第2の相440にPCM層434の相を変化させてもよく、PCM層444は、本明細書で上述したように、結晶相である。
【0065】
図5は、本発明の例としての実施形態による、本出願の円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイスの断面図を示す。
【0066】
実施形態において、円筒型キャパシタ・デバイス500は、結晶相のPCM層514に対応する第1の相510の加熱コア電極構成であってもよく、加熱電極512、522、538は、円筒型キャパシタ・デバイス500の中心である。この実施形態では、誘電体層516の外側面は、外部電極層518の内側面に直接隣接し、PCM層514の外側面は、誘電体層516の内側面に隣接する。さらにこの実施形態では、PCM層514の内側面は、加熱電極512、522、538の外側面に隣接する。
【0067】
実施形態では、円筒型チューナブル・キャパシタ・デバイス500は、第1の相510であるが、加熱電極512、522、538は、第1の相510から周囲の結晶部分524aおよびアモルファス部分524bを含む半アモルファス半結晶相に対応する第2の相520へとPCM層514の相を変化させるために活性化され得る。結晶部分524aの外側面は、誘電体層516の内側面に隣接する。
【0068】
別の実施形態では、円筒型キャパシタ・デバイス500は、結晶相のPCM層534に対応する外部加熱電極構成530であってもよく、加熱電極532は、円筒型キャパシタ・デバイス500の最も外側の電極である。この実施形態では、誘電体層536の外側面は、加熱電極532の内側面に直接隣接し、PCM層534の外側面は、誘電体層536の内側面に隣接する。
【0069】
図6は、本発明の例としての実施形態による、円筒型キャパシタ・デバイスの断面図600およびデバイスの等価回路とも呼ばれる集中定数回路を示す。
【0070】
実施形態において、円筒型キャパシタ・デバイス610は、外部電極層618aから遠位に対向する内部電極コア618bを有し、外部電極層618aとの間に位置するPCM層614、加熱素子612、および誘電体層616を伴う、内部電極コア618b(例えば、金属コア電極)が示される。この例としての実施形態では、加熱素子612は、導電性が十分あり(例えば、TiN上に構成され)、よって等価な回路620は、キャパシタCとCとの間に追加の抵抗素子を必要としない。図示するように、PCM層614の全体量が、アモルファス相である。この構成のキャパシタ毎のキャパシタンスは、以下の式で表される。
【0071】
【数1】
および
【0072】
【数2】
【0073】
aは、内部電極コア618bの半径であり、bは、内部電極コア618bの中心からPCM層614の外縁までの半径であり、cは、内部電極コア618bの中心から誘電体層616の内側面までの半径であり、dは、内部電極コア618bの中心から外部電極層618aの内側面までの半径である。定数εα-PCMおよびεHfO2は、アモルファスPCM(α-PCM)および誘電体層616(例えば、酸化ハフニウム(HfO))のそれぞれの誘電率(即ち、比誘電率)であり、εは、真空誘電率である。この例では、誘電体層616は、HfOから構成されると仮定される。
【0074】
とCとの間の総キャパシタンスは、第1の端子611aと第2の端子611bとの間で測定され、以下の式で表される。
【0075】
1/C12=1/C+1/C
【0076】
上記式は、大きな動的範囲を得るためには、チューナブル・キャパシタ誘電体層616が可能な限り(即ち、漏れ易くなることなく)薄く保たれるべきであり、材料の誘電率は、可能な限り高くあるべきであることを示している。
【0077】
図7は、本発明の例としての実施形態による、中間キャパシタンス状態の円筒型キャパシタ・デバイス710の断面図700およびデバイスの等価回路を示す。
【0078】
実施形態では、円筒型キャパシタ・デバイス710は、PCM層714の周囲の結晶部分714aおよびPCM層714のアモルファス部分714bを含む半アモルファス半結晶相に対応する第2の相520として、図5において説明されるように中間状態で示されており、結晶部分714aの外側面は、外部電極層718に隣接し、かつ外部電極層718によって囲まれる誘電体層716の内側面に隣接する。この例としての実施形態では、加熱電極コア712は、導電性が十分あり(例えば、TiN上に構成され)、よって中間状態の等価回路720は、キャパシタCおよびCに直列で追加される追加抵抗素子を必要としない。この構成のキャパシタ毎のキャパシタンスは、以下の式で表される。
【0079】
【数3】
および
【0080】
【数4】
【0081】
aは、加熱電極コア712の半径であり、bは、加熱電極コア712の中心からPCM層714のアモルファス部分714bの外縁までの半径であり、cは、加熱電極コア712の中心からPCM層714の結晶部分714aの外縁までの半径であり、dは、加熱電極コア712の中心から誘電体層716の外縁までの半径である。
【0082】
とCとの間の総キャパシタンスは、第1の端子711aと第2の端子711bとの間で測定され、以下の式で表される。
【0083】
1/C12=1/C+1/C
【0084】
実施形態において、アモルファスPCM領域が増加する(即ち、半径bが大きくなる)につれて、キャパシタンスは減少する。したがって、ヒータに送出されるエネルギーを変化させることによって、PCM層714のアモルファス部分714bのサイズが増大(または減少)し、総キャパシタンスC12は、指定された値にチューニングされ得る。PCM層714(aおよびb)の相は、RESETパルスまたはSETパルスあるいはその両方を用いてプログラミングされ得る。RESETパルスが電極コア712(例えば、ヒータ)に印加されると、ヒータに近接するPCM領域は溶解し、次いで非常に短時間で冷却される(メルトクエンチと呼ばれるプロセス)。アモルファス領域のサイズは、RESETパルス振幅に依存しており、パルスが大きいほど半径bがより大きくなることにつながる。SETパルスがアモルファス部分714bのいくつかまたは全てに印加されると、PCM層714は結晶化する。SETパルスの長さが長いほど、PCM層714内のより多くの材料が結晶化される。先に説明したように、SETパルスは、PCM材料を溶解する必要はない。それは通常、PCM温度が結晶化温度に到達、または超えるのに十分な熱を放出する。
【0085】
図8は、本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスを充電する(フェーズI)ためのニューラル・ネットワーク(NN)の回路アレイ図を示す。図示されるように、充電回路アレイ図800(または「クロス・ポイント・アレイ800」)は、2つのトランジスタ(例えば、充電トランジスタおよび放電トランジスタ)ならびにチューナブル・キャパシタをそれぞれが含む回路構成(例えば、811、821、812、822)を含む。例えば、回路構成811は、第1の端部において電圧ラインVに接続され、第2の端部においてCap811cに接続されたトランジスタの第1のセットの充電トランジスタ811aと、トランジスタの第2のセットの放電トランジスタ811bと、を含む。残りの回路構成821、812、および822は、同一構成を有する。
【0086】
実施形態において、チューナブル・キャパシタ・デバイス100を有するNN用のMAC演算を実行する方法は、回路アレイ図800を表す回路アレイを形成することと、充電トランジスタ(例えば、811a、821a、812a、822a)に接続されたチューナブル・キャパシタ(例えば、811c、821c、812c、822c)を含む1つまたは複数の回路構成を提供することであって、回路アレイ図800が、入力電圧をチューナブル・キャパシタに印加するように構成される、提供することと、チューナブル・キャパシタを放電するように構成された放電トランジスタ(例えば、811b、821b、812b、822b)を提供することであって、回路アレイ図800が、積和演算の一部を実行するように構成される、提供することと、を含み得る。
【0087】
これらの構成では、MAC演算の計算は、時間の2つのフェーズにおいて完成される。第1のフェーズでは、充電トランジスタは、充電キャパシタを通りチューナブル・キャパシタに入る電流の流れが、キャパシタを充電することを可能にするために活性化され、放電トランジスタは、チューナブル・キャパシタからの電流の流れを妨げるために活性化されない。実施形態において、1つまたは複数のプロセッサが、キャパシタを充電するために充電トランジスタを活性化するように構成され得る。実施形態において、1つまたは複数のプロセッサが、本明細書で説明した実施形態に従って、チューナブル・キャパシタを所望のまたは所定のキャパシタンス・レベルにチューニングするように構成され得る。
【0088】
実施形態では、方法は、充電トランジスタを用いて2つ以上のチューナブル・キャパシタを充電して、1つまたは複数の回路構成にわたる総電荷を累算する(Q11+Q21+Q12+Q22)ことと、放電トランジスタを用いて2つ以上のチューナブル・キャパシタを放電して総電荷を積分することと、をさらに含み得る。総電荷は、図9に示され、かつ以下で説明されるように、放電トランジスタから流れる総電流を積分することによって決定され得る。
【0089】
図9は、本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスの放電(フェーズII)中の、図8の回路アレイ図の第2の時間フェーズを示す。図示されるように、放電回路アレイ図900(または「クロス・ポイント・アレイ」)は、充電トランジスタ(例えば、911a、921a、912a、922a)が、チューナブル・キャパシタ(例えば、911c、921c、912c、922c)内への電流の流れを妨げるために活性化されないこと、および放電トランジスタ(例えば、911b、921b、912b、922b)がチューナブル・キャパシタからの電流の流れがチューナブル・キャパシタを放電することを可能にするために活性化され、放電回路アレイ図900が、MAC演算の一部を実行するように構成されることを除いて、充電回路アレイ図800と同一の構成を有する。
【0090】
これらの構成では、放電トランジスタは、放電トランジスタを通り、積分器に出ていく電流の流れを可能にするために活性化され、充電トランジスタは、充電トランジスタを通る電流の流れを妨げるために活性化されない。第1のフェーズでは、チューナブル・キャパシタのそれぞれが、電荷Q=C×Vを保持するように充電されて、MAC演算の「乗算」部分を実行する。第2のフェーズでは、チューナブル・キャパシタは放電され、総電荷が積分されて、Q=ΣQ、MAC演算の「累算」部分を実行する。
【0091】
図10は、本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法1000のフローチャートである。
【0092】
実施形態において、不揮発性チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法1000は、第2の電極層から遠位に対向する第1の電極層を形成すること1002を含み、第1の電極層が、第1の電気接続を行うように構成され、第2の電極層が、第2の電気接続を行うように構成される。
【0093】
方法1000は、第1の内側平面に隣接し、第2の電極層の第2の内側平面に隣接する第1の電極層の間に誘電体層を位置付けること1004をさらに含み得る。第1の電極層は、第2の電極層の第2の内側平面から遠位に対向する第1の内側平面を含み得る。第1の電極層は、第1の電気接続を行うように構成された第1の外側平面を含んでもよく、第2の電極層は、第2の電気接続を行うように構成された第2の外側平面を含んでもよい。
【0094】
方法1000は、第1の電極層と誘電体層に隣接する第2の電極層との間に相変化材料(PCM)層を位置付けること1006をさらに含み得る。
【0095】
方法1000は、PCM層を加熱してPCM層の相を変化させる活性化コンポーネントを提供すること1008をさらに含み得る。活性化コンポーネントは、第1の電極層および第2の電極層のいずれか1つと同一平面にある加熱素子を含んでもよく、加熱素子は、活性化されるとPCM層に熱を加えるように構成される。活性化コンポーネントは、PCM層に直接接触する抵抗素子を含んでもよく、抵抗素子は、活性化されるとPCM層に熱を加えるように構成される。例えば、抵抗素子は、電気プローブであってもよい。
【0096】
PCM層の相は、少なくとも抵抗性PCM層に対応するアモルファス相と導電性PCM層に対応する結晶相との間で選択的に変更可能であり得る。PCM層は、GeSbTe、GeTe、またはSbTeの組成物を含み得る。誘電体層は、HfOの組成物を含み得る。
【0097】
別の実施形態では、ニューラル・ネットワーク(NN)用の積和(MAC)演算を実行する方法であって、1つまたは複数の回路構成(例えば、811、812、821、822)を含むNNは、充電トランジスタ(例えば、811a、812a、821a、822a)、放電トランジスタ(例えば、811b、812b、821b、822b)、およびチューナブル・キャパシタ(例えば、811c、812c、821c、822c)を含み得る。実施形態において、充電トランジスタは、電圧ラインVに接続された第1の充電トランジスタ端子を含む。さらに、充電トランジスタは、チューナブル・キャパシタの第1のキャパシタ端子に接続された第2の充電トランジスタ端子も含み、チューナブル・キャパシタは、グランド端子に接続された第2のキャパシタ端子を含む。さらに、1つまたは複数の回路構成は、第2の充電トランジスタ端子および第1のキャパシタ端子に接続された第1の放電トランジスタ端子を含む放電トランジスタをさらに含み得る。さらに、放電トランジスタは、電流ラインに接続された第2の放電端子も含む。
【0098】
さらに、NN用のMAC演算を実行する方法は、所定の時間量の間チューナブル・キャパシタ(例えば、811c、812c、821c、822c)に所定の量の熱を与えることであって、チューナブル・キャパシタが、第1のキャパシタンス値を有し、所定の量の熱が、第1のキャパシタンス値を第2のキャパシタンス値に変化させるのに十分であり得る、熱を与えることを含み得る。
【0099】
NN用のMAC演算を実行する方法は、閉状態の充電トランジスタ(例えば、811a、812a、821a、822a)および開状態の放電トランジスタ(例えば、811b、812b、821b、822b)を介してチューナブル・キャパシタに入力電圧Vを印加することによって、第1の所定の時間量の間、チューナブル・キャパシタ(例えば、811c、812c、821c、822c)を充電することと、開状態の充電トランジスタおよび閉状態の放電トランジスタを介してチューナブル・キャパシタへの入力電圧を停止することによって、第2の所定の時間量の間、チューナブル・キャパシタを放電することであって、電荷が、チューナブル・キャパシタから放電トランジスタを通って積分回路へ流れる、放電することと、を含み得る。
【0100】
実施形態では、NN用のMAC演算を実行する方法であって、所定の量の熱を与えることが、第2のキャパシタンス値として表されるNNの重みにチューナブル・キャパシタを設定するように構成される。
【0101】
実施形態では、NN用のMAC演算を実行する方法は、積分回路を用いて放電トランジスタを通る1つまたは複数の回路構成の電荷を積分することによって、チューナブル・キャパシタを含む1つまたは複数の回路構成の総電荷を決定することをさらに含み得る。
【0102】
実施形態では、NN用のMAC演算を実行する方法であって、所定の量の熱を与えることが、第2のキャパシタンス値として表されるNNの重みにチューナブル・キャパシタを設定するように構成される。
【0103】
実施形態では、チューナブル・キャパシタのPCM層の相は、抵抗性PCM層に対応するアモルファス相から導電性PCM層に対応する結晶相に選択的に変更可能であってもよい。
【0104】
図11は、本発明の例としての実施形態による、チューナブル・キャパシタ・デバイスを形成する方法1000を実行するサーバ・コンピュータのコンポーネントのブロック図を示す。図11は、単に1つの実施態様の例示を提供するだけであり、異なる実施形態が実施され得る環境に関していかなる限定も示唆しないと理解されたい。説明される環境に対して多くの修正を行うことができる。
【0105】
方法1000は、通信ファブリック1102を含むサーバ・コンピュータまたはコンピューティング・デバイス1100上で実行されてもよく、通信ファブリック1102は、キャッシュ1116、メモリ1106、永続記憶装置1108、通信ユニット1110、および入力/出力(I/O)インターフェース1112の間に通信を提供する。通信ファブリック1102は、プロセッサ(マイクロプロセッサ、通信およびネットワーク・プロセッサなど)、システム・メモリ、周辺デバイス、ならびにシステム内の任意の他のハードウェア・コンポーネント間でデータを渡し、または情報を制御し、あるいはその両方を行うように設計された任意のアーキテクチャで実施され得る。例えば、通信ファブリック1102は、1つまたは複数のバスまたはクロスバー・スイッチで実施され得る。
【0106】
メモリ1106および永続記憶装置1108は、コンピュータ可読記憶媒体である。本実施形態では、メモリ1106は、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含む。概して、メモリ1106は、任意の適当な揮発性または不揮発性コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。キャッシュ1116は、メモリ1106から、最近アクセスされたデータ、およびアクセスされたデータ付近のデータを保持することによってコンピュータ・プロセッサ1104の性能を強化する高速メモリである。
【0107】
プログラムは、キャッシュ1116を介して、それぞれのコンピュータ・プロセッサ1104のうちの1つまたは複数による実行またはアクセスあるいはその両方のために永続記憶装置1108およびメモリ1106に記憶され得る。実施形態では、永続記憶装置1108は、磁気ハード・ディスク・ドライブを含む。磁気ハード・ディスク・ドライブの代替として、またはそれに加えて、永続記憶装置1108は、ソリッド・ステート・ハード・ドライブ、半導体記憶デバイス、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュ・メモリ、またはプログラム命令もしくはデジタル情報を記憶することが可能な任意の他のコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。
【0108】
永続記憶装置1108によって使用される媒体は、また、リムーバブルであってもよい。例えば、リムーバブル・ハード・ドライブは、永続記憶装置1108のために用いられてもよい。他の例は、永続記憶装置1108の一部でもある別のコンピュータ可読記憶媒体上への転送のためにドライブ内に挿入される、光学および磁気ディスク、サム・ドライブ、ならびにスマート・カードを含む。
【0109】
これらの例では、通信ユニット1110は、他のデータ処理システムまたはデバイスとの通信を提供する。これらの例では、通信ユニット1110は、1つまたは複数のネットワーク・インターフェース・カードを含む。通信ユニット1110は、物理的リンクおよび無線通信リンクのいずれかまたは両方の使用を通して通信を提供し得る。本明細書で説明されるプログラムは、通信ユニット1110を通して永続記憶装置1108にダウンロードされ得る。
【0110】
I/Oインターフェース1112は、サーバ・コンピュータまたはコンピューティング・デバイス1100あるいはその両方に接続され得る他のデバイスとのデータの入力および出力を可能にする。例えば、I/Oインターフェース1112は、画像センサ、キーボード、キーパッド、タッチ・スクリーン、または何らかの他の適当な入力デバイス、あるいはそれらの組合せなどの外部デバイス1118への接続を提供し得る。外部デバイス1118は、また、例えば、サム・ドライブ、ポータブル光学または磁気ディスク、およびメモリ・カードなどの、ポータブル・コンピュータ可読記憶媒体を含み得る。本発明の実施形態を実施するために使用されるソフトウェアおよびデータ1114は、そのようなポータブル・コンピュータ可読記憶媒体上に記憶されてもよく、I/Oインターフェース1112を介して永続記憶装置1108上にロードされてもよい。I/Oインターフェース1112は、また、ディスプレイ1120に接続される。
【0111】
ディスプレイ1120は、ユーザにデータを表示するための機構を提供し、例えば、コンピュータ・モニタであってもよい。
【0112】
本明細書で説明されたソフトウェアおよびデータ1114は、それが本発明の特定の実施形態において実施されるアプリケーションに基づいて識別される。しかしながら、本明細書における任意の特定プログラムの専門語は、単に便宜上使用され、したがって、本発明は、そのような専門語によって識別され、または示唆され、あるいはその両方である任意の特定のアプリケーションにおいてのみ使用するように限定されるべきでないと理解されたい。
【0113】
本発明は、統合の任意の可能な技術的詳細レベルにおけるシステム、方法、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはそれらの組合せであってもよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令をその上に有するコンピュータ可読記憶媒体(または複数の媒体)を含み得る。
【0114】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶し得る有形デバイスであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または前述したものの任意の適当な組合せであってもよいが、それらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的リストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROMまたはFlashメモリ)、静的ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチカードまたは命令をその上に記録させる溝内の隆起構造などの機械的に符号化されたデバイス、および前述したものの任意の適当な組合せを含む。本明細書で用いられるコンピュータ可読記憶媒体は、電波もしくは他の自由伝播する電磁波、導波管もしくは他の送信媒体を通って伝播する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、または電線を通って送信される電気信号などの、一過性信号自体であると解釈されるべきではない。
【0115】
本明細書で説明されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、あるいはネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、もしくは無線ネットワーク、またはそれらの組合せを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスに、ダウンロードされ得る。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはそれらの組合せを含み得る。各コンピューティング/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェースは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、それぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体の記憶用にコンピュータ可読プログラム命令を転送する。
【0116】
本発明の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路用の構成データ、またはSmalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語もしくは類似のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードもしくはオブジェクト・コードのいずれかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で完全に、ユーザのコンピュータ上で部分的に、スタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして、ユーザのコンピュータ上で部分的にかつリモート・コンピュータ上で部分的に、またはリモート・コンピュータもしくはサーバ上で完全に、実行してもよい。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを通してユーザのコンピュータに接続されてもよく、または、接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通して)外部コンピュータに対して行われてもよい。いくつかの実施形態では、例えば、プログラマブル・ロジック回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA)を含む電子回路は、本発明の態様を実行するために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を用いて電子回路を個別化することによって、コンピュータ可読プログラム命令を実行し得る。
【0117】
本発明の態様は、本発明の実施形態による、方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して、本明細書に記載される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、およびフローチャート図またはブロック図あるいはその両方のブロックの組合せが、コンピュータ可読プログラム命令によって実施され得ると理解されたい。
【0118】
コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサによって実行する命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作を実施する手段を生成するように、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ、または機械を作り出すための他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。命令がその中に記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作の態様を実施する命令を含む製品を含むように、これらのコンピュータ可読プログラム命令は、また、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス、あるいはそれらの組合せに特定の方式で機能するように指示し得る、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。
【0119】
コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で実行する命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能/動作を実施するように、コンピュータ可読プログラム命令は、また、コンピュータ、他のプログラマブル装置、または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させてコンピュータ実施プロセスを作り出すために、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、または他のデバイス上にロードされてもよい。
【0120】
図面中のフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の考えられる実施態様のアーキテクチャ、機能性、および動作を例示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つまたは複数の実行可能命令を含む、モジュール、セグメント、または命令の一部を表し得る。いくつかの代替実施態様において、ブロック内に記載された機能は、図面中に記載された順序以外で発生してもよい。例えば、連続して示される2つのブロックが、実際には、同時に、実質的に同時に、部分的もしくは全体的に時間的に重複して実行されて、1つのステップとして実現されてもよく、または、ブロックが、関係する機能性次第で逆の順序で実行されることがあってもよい。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、およびブロック図またはフローチャート図あるいはその両方におけるブロックの組合せが、指定された機能もしくは動作を実行し、または専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実行する専用ハードウェア・ベース・システムによって実施され得ることにも留意されたい。
【0121】
本出願は、その好適な実施形態に関して特に図示および説明されているが、形態および詳細における前述のおよび他の変更が、本出願の範囲から逸脱することなく行われ得ると、当業者によって理解されるであろう。したがって、本出願は、説明および例示された正確な形態および詳細に限定されないが、添付した特許請求の範囲内に入ることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】