(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】生体分子検出および配列決定のための横方向トンネル接合を備えた高密度多重化ナノポアデバイス
(51)【国際特許分類】
G01N 27/00 20060101AFI20240403BHJP
G01N 33/483 20060101ALI20240403BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20240403BHJP
B82Y 15/00 20110101ALI20240403BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240403BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
G01N33/483 F
G01N33/50 P
B82Y15/00
B82Y40/00
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557158
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-15
(86)【国際出願番号】 US2022020441
(87)【国際公開番号】W WO2022197741
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507243142
【氏名又は名称】アリゾナ・ボード・オブ・リージェンツ・オン・ビハーフ・オブ・アリゾナ・ステイト・ユニバーシティー
【氏名又は名称原語表記】Arizona Board of Regents on behalf of Arizona State University
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】チュアン チン
【テーマコード(参考)】
2G045
2G060
4B029
【Fターム(参考)】
2G045AA35
2G045DA13
2G045FA11
2G045FB05
2G045JA07
2G060AA15
2G060AA19
2G060AD06
2G060AF20
2G060AG03
2G060FA10
2G060JA07
2G060KA09
4B029AA07
4B029BB20
4B029FA15
(57)【要約】
DNAなどの分子を調整可能な金属ナノギャップ間に送達および/またはリンクし、電気的および/または光学的特性を測定するためのシステムおよび方法が開示されている。一例として、複数のグループを有する高密度多重化チップが開示されており、各グループは複数のナノデバイスを含み、チップはそれぞれの個々のグループに試料を供給するための1つまたは複数のマルチウェル構造に結合することができる。このようにして、チップはDNAなどの分子のハイスループット分析に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面基板に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバであって、前記上部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの下部において封止され、前記電子デバイスの上部に第1開口ウィンドウを含み、前記下部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの前記上部において封止され、前記電子デバイスの前記下部に第2開口ウィンドウを含む、上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバと、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間の前記電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって部分的に画定される寸法を有するナノギャップであって、前記ナノギャップは、分子が前記上部流体チャネル/チャンバから前記下部流体チャネル/チャンバへ、および/または前記下部流体チャネル/チャンバから前記上部流体チャネル/チャンバへ移動するための単一経路を有する、ナノギャップと、を含み、
前記距離は約1~100nmの間であり、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネルとの間の前記単一経路において最も狭いボトルネックを有する、
電子デバイス。
【請求項2】
前記距離は、前記第1電極および前記第2電極が、前記上部流体チャネル/チャンバおよび/または前記下部流体チャネル/チャンバ内で1つまたは複数の金属材料を用いてフィードバック制御下で電気化学的に析出され、それにより前記単一経路が形成されることにより画定される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記平面基板は、透明基板である、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記透明基板は、ガラスまたは石英である、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記平面基板は、非透明基板である、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記平面基板は、SiO
2および/またはSi
3N
4で被覆されたシリコンである、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第1電極および前記第2電極は、金、パラジウム、白金、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の貴金属もしくは合金、またはそれらの組み合わせで形成される、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第1電極および前記第2電極が配置される空間は、少なくとも部分的に1つまたは複数の誘電体層によって形成される、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記1つまたは複数の誘電体層は、HfO
2、ZrO
2、SiO
2、Si
3N
4、またはそれらの組み合わせである、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
封止のための追加のポリマー誘電体層をさらに備える、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記追加のポリマー誘電体層は、SU-8ポリマーおよびパリレンのうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記追加のポリマー誘電体層の有無にかかわらず、前記1つまたは複数の誘電体層は、約100nm乃至約100μmである、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数の金属材料は、Ni、Co、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項14】
フィードバック制御下で前記1つまたは複数の金属材料を用いて電気化学的に析出される前記第1および第2電極は、パルス幅が50ms以下であり、パルス間の休止期間が約500msから2秒の間であるパルス電気化学析出工程をさらに含む、請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記分子はDNAである、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記ナノギャップは、自己整合している、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項17】
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定する方法であって、
請求項1~16のいずれか一項に記載の前記電子デバイスを用いて、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、および前記ナノギャップを介した前記第1および第2電極の間のトンネル電流を相関させることにより、前記1つまたは複数の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを検出することと、
前記1つまたは複数の分子の少なくとも1つの電気的および/または光学的特性評価を実行することと、
を含む方法。
【請求項18】
前記平面基板が透明基板であり、
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つの動的構造を特性評価するために、前記透明基板を通してチップ増強ラマン分光法を行うことによってラマン分光法を実行することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つに対応する配列を決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップであって、
それぞれが請求項1~16のいずれか一項に記載の前記電子デバイスである複数の電子デバイスを含む、
チップ。
【請求項21】
前記複数の電子デバイスの数は、2~1000個である、請求項20に記載のチップ。
【請求項22】
前記複数の電子デバイスの数は、1000~10,000である、請求項20に記載のチップ。
【請求項23】
前記複数の電子デバイスの数は、10,000より大きい、請求項20に記載のチップ。
【請求項24】
前記複数の電子デバイスは、所定の数の異なるグループに分割されている、請求項20に記載のチップ。
【請求項25】
前記チップに結合された1つまたは複数のマルチウェル構造をさらに含み、前記1つまたは複数のマルチウェル構造の個々のウェルが、前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する、請求項24に記載のチップ。
【請求項26】
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する電子デバイスから信号を収集するための1つまたは複数のマルチプレクサをさらに備える、請求項24に記載のチップ。
【請求項27】
前記1つまたは複数のマルチウェル構造は、前記複数の電子デバイスのそれぞれの上部流体チャネル/チャンバに試料を供給するために、前記チップの上部側に結合する第1マルチウェル構造、および/または、
前記試料のそれぞれの中の分析物が前記下部流体チャネル/チャンバに移動した後に、前記上部流体チャネル/チャンバに供給された前記試料を受け取るために、前記チップの下部側に結合する第2マルチウェル構造体、
を含む、請求項25に記載のチップ。
【請求項28】
単一分子のハイスループット分析システムであって、
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに個々の試料を供給することが可能な流体デバイスと、
実行されたときに、コントローラに、
前記所定の数の異なるグループの1つまたは複数に個々の試料を供給するように、前記流体デバイスに指示し、
個々の試料の前記供給の後に、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、前記第1電極と前記第2電極との間のトンネル電流、および、前記所定の数の異なるグループのそれぞれの電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータを記録し、前記データは、前記所定の数の異なるグループの前記電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントに対応する、
ことを実行させる命令を非一過性メモリに記憶するためのコントローラと、
を備える、請求項24に記載のチップ。
【請求項29】
ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法であって、
基板層上に、電気化学析出のための最終キャビティを画定するための第1犠牲層を析出することと、
前記基板層上に、前記最終キャビティの2つの側面に上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを画定するための第2外側犠牲層を析出することと、
前記第1犠牲層の上部に、約200nm乃至2μmの間隔で一対の電極を配置することと、
前記一対の電極、前記第1犠牲層、前記第2外側犠牲層、および前記基材層の上部にパッシベーション層を堆積することと、
ドライエッチングプロセスを実施して、前記パッシベーション層の一部を除去し、前記基材層の下部側から前記基材層の一部を除去し、それによって、それぞれ、前記上部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第1ウィンドウを設け、前記下部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第2ウィンドウを設けることと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、前記最終キャビティ、前記上部流体チャネル/チャンバ、および、前記下部流体チャネル/チャンバを設けることと、
前記ナノポアおよび前記トンネル接合を形成するために、前記一対の電極上に金属の制御された電気化学析出工程によって、前記一対の電極間の前記間隔を狭めることと、
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1犠牲層は、クロム、ニッケル、マグネシウム、および、アルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1犠牲層は、1~100nmの間の厚さである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記第1犠牲層は、約10μm×10μmに相当する寸法である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記第2外側犠牲層は、アルミニウム、マグネシウム、クロム、および、ニッケルのうちの1つまたは複数を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記第2外側犠牲層は、厚さが約100~500nmである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記制御された電気化学析出工程は、
パルス幅が50ms以下であり、パルス間の休止期間が約500ms乃至2秒であるパルス電気化学析出工程を実施することをさらに含む、
請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記パルス幅は、1msから5msの間である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記パルス幅は、1μsから500μsの間である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記一対の電極は、金、白金、パラジウム、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の金属もしくは合金を含む、請求項29~35、37および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記一対の電極間の間隔を狭めるために使用される前記金属は、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、請求項29~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記金属を、前記上部流体チャネル/チャンバおよび前記下部流体チャネル/チャンバのうちの一方のみに供給することをさらに含む、
請求項30~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記一対の電極に印加される電気化学電位の極性の反復的な反転により、前記一対の電極間の前記間隔を所定の回数繰り返し狭めたり、広げたりすることをさらに含む、
請求項30~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、前記一対の電極間の最終的な間隔を1nm乃至100nmにするために使用される、請求項30~35、37および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記最終的な間隔は、1nmから20nmの間である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記最終的な間隔は1~2nmである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記パッシベーション層は、それぞれが、HfO
2、ZrO
2、SiO
2、およびSi
3N
4のうちの1つまたは複数を含む誘電体の1つまたは複数の層を含む、請求項29~35、37、38、44、および45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記パッシベーション層は、SU-8ポリマー、パリレン、および、他のポリマー誘電体のうちの1つまたは複数の追加の層でさらに封止される、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本願は、「生体分子検出および配列決定のための横方向トンネル接合を備えた高密度多重化ナノポアデバイス(HIGH DENSITY AND MULTIPLEXED NANOPORE DEVICES WITH TRANSVERSE TUNNELING JUNCTION FOR BIOMOLECULE DETECTION AND SEQUENCING)」と題する2021年3月16日出願の米国仮出願第63/161681号の優先権およびその利益を主張するものであり、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府ライセンス権
本発明は、空軍科学研究局から授与されたFA9550-16-1-0052に基づく政府支援によりなされた。政府は本発明について一定の権利を有する。
【0003】
本開示は、単一分子検出に関し、特に、横方向トンネル接合を有するナノポアデバイスを作製および使用するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ナノポアシーケンシング(nanopore sequencing)は、迅速な単一分子レベルの配列決定および特性評価技術にとって有望な方向性を示している。膜タンパク質チャネルおよびその生物工学的変異体に基づく生物学的ナノポアは、より遅い移動速度およびイオン電流のより高いコントラストを実現するために、生体分子(例えば、DNA)の直径に一致するように設計することができる形状およびサイズの原子レベルの再現性を提供することができるが、信号品質および分解能の点では課題が残っている。このような課題から、量子トンネルを利用した検出法が考案された。この検出法では、固体ナノポアとトンネル接合を統合する必要がある。しかしながら、既存のアプローチは精度と再現性に欠け、ほとんど成功していない。したがって、量子トンネルに基づく検出技術を改善し、ハイスループット分析の可能性を実現するために、サンプルの並列処理を可能にする単一チップ上の固体ナノポアの高密度化を可能にする製造方法を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本明細書は、ナノ流体システムに埋め込まれた調整可能な金属ナノギャップを使用して単一分子の電気的および/または光学的特性を測定するためのデバイス、システム、製造方法、およびそれらの使用を開示する。本開示のデバイスの製造方法は、本明細書に記載されるように、ナノデバイス(電子デバイス、または電子ナノデバイスとも呼ばれる)の高密度アレイを有する単一チップの製造を可能にする。ナノデバイスは、単一チップ上で別個のグループにグループ化することができ、それにより、異なるサンプルに対応する分子の電気的および/または光学的特性のハイスループット分析のために、異なるサンプルを異なるグループに効果的に提供する機能を提供する。実施形態において、調整可能な金属ナノギャップを含む分子と電極との間の転位(translocation)および/またはマウンティング(mounting)/リンキング(linking)イベントは、ナノギャップがその間に配置された上部チャンバと下部チャンバとの間のイオン電流トレースに基づいて、および/またはナノギャップ電極により測定されたトンネル電流に基づいて、および/または分子の光学特性に基づいて特徴付けることができる。
【0006】
したがって、一態様において、電子デバイスは、平面基板上に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを備え、上部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの上部に第1開放ウィンドウを含むが、電子デバイスの下部では封止され、下部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの下部に第2開放ウィンドウを含むが、電子デバイスの上部では封止される。電子デバイスは、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネル/チャンバとの間の電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極をさらに含む。電子デバイスは、第1電極と第2電極との間の距離によって部分的に決定される寸法を有するナノギャップをさらに含み、この距離は、第1電極および第2電極が、上部流体チャネル/チャンバおよび/または下部流体チャネル/チャンバ内の1つまたは複数の金属材料とのフィードバック制御下で電気化学的に析出されることによって画定され、それによって、分子が上部流体チャネル/チャンバから下部流体チャネル/チャンバへ、またはその逆に移動するための単一の経路を有する電子デバイスが形成される。第1電極と第2電極の間の距離は約1~100nmの間であり、ナノギャップは自己整合され、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネルとの間の単一経路において最も狭いボトルネックを有する。
【0007】
一態様において、単一分子から電子的特性および/または光学的特性を測定する方法は、本明細書に開示されるような電子デバイスを用いて、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネル/チャンバとの間の相関イオン電流、およびナノギャップを介した第1電極と第2電極との間のトンネル電流によって、単一分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを検出し、電気的特性評価および/または光学的特性評価を実施することを含む。
【0008】
一実施形態において、電気的および/または光学的特性評価を実施することは、単一分子の動的構造を特性評価するために、透明基板を通して、または電子デバイスの非透明基板の上部側から、チップ増強ラマンスペクトルを実施してラマン分光を実施することを含む。
【0009】
一実施形態において、電気的および/または光学的特性評価を実施することは、単一分子に対応する配列を決定することを含む。
【0010】
一態様において、単一分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップは、本明細書で開示されるような複数の電子デバイスを備える。複数の電子デバイスは、2~1000個の間、または1000~10000個の間であってもよく、いくつかの例では10000個より多くてもよい。
【0011】
実施形態において、複数の電子デバイスは、所定数の異なるグループに分割される。いくつかの実施例において、1つまたは複数のマルチウェル構造がチップに結合されてもよく、個々のウェルが所定数の異なるグループの各々に対応する。いくつかの実施例において、1つまたは複数のマルチウェル構造は、複数の電子デバイスの各々の上部流体チャネル/チャンバに試料を供給するためにチップの上部側に結合する第1マルチウェル構造と、任意選択的に、各試料内の分析物(analyte)の下部流体チャネル/チャンバへの移動の後に、上部流体チャネル/チャンバに最初に供給された試料を受け取るためにチップの下部側に結合する第2マルチウェル構造と、を備える。
【0012】
実施形態において、チップは、特定のグループに対応する電子デバイスから信号を同時に収集するために、個々のグループに関連する1つまたは複数のマルチプレクサを含むことができる。
【0013】
一態様において、単一分子のハイスループット分析のためのシステムは、本明細書に開示されるような任意の数の電子ナノデバイスを備える本明細書に開示されるようなチップと、複数の異なるグループの各々に個々の試料を提供することができる流体デバイスとを含む。本システムは、非一過性メモリに命令を記憶するコントローラをさらに含み、この命令が実行されると、コントローラは、複数の異なるグループの1つまたは複数に個々の試料を提供するように流体デバイスに指示し、提供後に、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、トンネル電流、および/または、複数の異なるグループの1つまたは複数に対応する各電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータを記録し、このデータは、各電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティング/リンキングおよび/または転位イベントに対応する。
【0014】
一態様において、ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法は、電気化学析出のための最終キャビティを画定する第1犠牲層を析出し、ナノポアと上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバとを接続する最終的なナノ流体空間を画定する第2外側犠牲層を基板層上に析出することと、第1犠牲層の上部に、約600nm~2μmの間隔で一対の電極を配置することと、一対の電極、第1犠牲層、第2外側犠牲層、および平面基板の上部に、パッシベーション層を析出することと、ドライエッチング工程を実施して、パッシベーション層の第1部分を除去し、基板層の下部側から基板層の第2部分を除去し、それによって、上部流体チャネル/チャンバに対応する第2外側犠牲層に第1ウィンドウを提供し、下部流体チャネル/チャンバに対応する第2外側犠牲層に第2ウィンドウを提供することと、第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、最終的なナノ流体空間を構築し、一対の電極上への金属の制御された電気化学析出工程によって、一対の電極間の間隔を狭めて、ナノポアおよびトンネル接合を形成することと、を含む。
【0015】
本開示の前述の特徴および他の特徴は、添付の図を参照しながら説明を進める以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
実施形態は、添付の図面および添付の特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明によって容易に理解されるであろう。実施形態は、例として示されており、添付の図面に限定されるものではない。
【
図1A】
図1Aは、生体分子転位検出回路の高レベルな図を示す。このような回路では、生体分子(例えば、DNA、タンパク質、ペプチド、低分子、RNA、mRNAなど)がバイアス(例えば、DNAの場合は負のバイアス)によってシスチャンバからトランスチャンバに移動させられ、イオン電流(I
ionic)が記録される。同時に、横方向電極(transverse electrodes)間に小さなバイアスを印加し、トンネル接合に流れる電流(I
tunneling)を記録して、同じ転位現象を追跡する。一対の金属電極がナノギャップを形成し、そこを通して生体分子が駆動される。
【
図1B】
図1Bは、イオン電流チャネルおよびトンネル電流チャネルの両方からのほぼ100%の相関信号が、同じDNA転位イベントを特定できることを示す。
図1Bは、トンネル電流とイオン電流との間の時間および極性の相関を示す単一の代表的なイベントである。
【
図1C】
図1Cは、イオン電流チャネルおよびトンネル電流チャネルの両方からのほぼ100%の相関信号が、同じDNA転位イベントを特定できることを示す。
図1Cは、シグナルの極性によって描かれた、両方向で起こっている転位のより長い時間の記録を示している。
【
図1D】
図1Dは、イオン電流チャネルおよびトンネル電流チャネルの両方からのほぼ100%の相関信号が、同じDNA転位イベントを特定できることを示す。
図1Dは、シグナルの極性によって示された、両方向で起こっている転位のより長い時間の記録を示している。
図1B~1Dの信号は、
図1Aに示されるタイプのデバイス、および本開示の電子デバイスおよび電子デバイスを組み込んだチップを用いて記録できる信号のタイプの例示である。
【
図2A】
図2Aは、本開示のナノデバイスの製造の出発点となる初期構造(左)と、電極間のギャップを狭めた後の最終構造の代表例を示す。
【
図2B】
図2Bは、本明細書に開示される実施形態にしたがって開示されるナノデバイスの製造の様々な段階を示す概略図である。
【
図3A】
図3Aは、可逆的パルス電気化学析出法を用いてナノポアおよびトンネル接合の寸法を精密に制御する方法を示す。
【
図3B】
図3Bは、可逆的パルス電気化学析出法を用いてナノポアおよびトンネル接合の寸法を精密に制御する方法を示す。
【
図3C】
図3Cは、可逆的パルス電気化学析出法を用いてナノポアおよびトンネル接合の寸法を精密に制御する方法を示す。
【
図3D】
図3Dは、可逆的パルス電気化学析出法を用いてナノポアおよびトンネル接合の寸法を精密に制御する方法を示す。
【
図3E】
図3Eは、可逆的パルス電気化学析出法を用いてナノポアおよびトンネル接合の寸法を精密に制御する方法を示す。
【
図4A】
図4Aは、異なる析出パルスによる電極金属析出中のタイムラプス記録の選択されたフレームを示す。
【
図4B】
図4Bは、異なる析出パルスによる電極金属析出中のタイムラプス記録の選択されたフレームを示す。
【
図4C】
図4Cは、トンネル接合電極上への金属の電着(electrodeposition)工程中にナノポアの形状に影響を与える/最適化するためのオプションを例示的に示す。
【
図4D】
図4Dは、トンネル接合電極上への金属の電着工程中にナノポアの形状に影響を与える/最適化するためのオプションを例示的に示す。
【
図5A】
図5Aは、本明細書に開示される実施形態によるナノデバイスの上面図を示し、ナノギャップを通るDNA転位経路を例示的に示す。
【
図5B】
図5Bは、本明細書に開示される実施形態によるナノデバイスの断面図を示し、ナノギャップを通るDNA転位経路を例示的に示す。
【
図6A】
図6Aは、本明細書に開示される実施形態によるナノデバイスの三次元図である。
【
図6B】
図6Bは、本明細書に開示される実施形態によるナノデバイスの三次元図である。
図6Bは、
図6Aに描かれたナノデバイスの透明レンダリングである。
【
図7】
図7は、本明細書に開示される実施形態による複数のナノデバイスを含む単一チップを概略的に示し、複数のナノデバイスは、画定されたグループのアレイに配置される。
【
図8】
図8は、上部マルチウェル構造、下部マルチウェル構造に関し、多重電子回路がチップの基板に統合された、本開示の単一チップの高レベルな図を示す。
【
図9】
図9は、本開示のナノデバイスおよび/またはチップの自動使用のための高レベルな例示的なシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明において、本明細書の一部を構成する添付図面を参照し、この図面には、実施され得る実施形態が例示として示されている。他の実施形態を利用することができ、範囲を逸脱することなく構造的または論理的な変更を行うことができることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えてはならない。
【0018】
実施形態を理解する上で有用な方法で、様々な工程を複数の個別の工程として順に説明することができるが、説明の順序は、これらの工程が順序に依存することを意味するように解釈されるべきではない。
【0019】
本明細書では、上/下、後ろ/前、上部/下部などの視点に基づく記述を用いる場合がある。このような記述は、単に議論を容易にするために用いられるものであり、開示された実施形態の適用を制限することを意図するものではない。
【0020】
「結合された」および「連結された」という用語は、それらの派生語とともに使用される場合がある。これらの用語は、互いの同義語として意図されていないことを理解されたい。むしろ、特定の実施形態においては、「連結された」は、2つ以上の要素が互いに直接、物理的または電気的に接触していることを示すために使用することができる。「結合された」は、2つ以上の要素が直接、物理的または電気的に接触していることを意味する場合がある。しかしながら、「連結された」は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、それでもなお互いに協力または相互作用していることを意味する場合もある。
【0021】
本明細書において、「A/B」の形式または「Aおよび/またはB」の形式の語句は、(A)、(B)、または(AおよびB)を意味する。本明細書において、「A、B、およびCの少なくとも1つ」という形の語句は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、BおよびC)を意味する。本明細書において、「(A)B」という形の語句は、(B)または(AB)、つまりAは任意要素であることを意味する。
【0022】
本明細書においては、「一実施形態(embodiment)」または「実施形態(embodiments)」という用語を使用する場合があるが、これらはそれぞれ、同じまたは異なる実施形態のうちの1つまたは複数を指す場合がある。さらに、実施形態に関して使用される「含む(comprising)」、「有する(having)」などの用語は、同義であり、一般に「オープン」な用語として意図される(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むが、限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は、「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は、「含むが、限定されない(is not limited to)」などと解釈されるべきである)。
【0023】
本明細書における任意の複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者であれば、文脈および/または用途に適切であるように、複数から単数へ、および/または単数から複数へ変換することができる。様々な単数/複数の置換は、明確にするために本明細書において明示する場合がある。
【0024】
「a」または「an」という用語は、1つ以上の項目を意味する場合がある。
【0025】
「約」という用語は、記載された値のプラスマイナス10%以内を意味する。例えば、「約100」は、90と110の間の任意の数値を指す。さらに、数値範囲の記載は、当該範囲に包含される任意の数値、および/または当該範囲内に含まれる任意の数値範囲を含む。例えば、1~10の数値範囲は、その範囲を包含し、さらに、個々の数値(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10)、およびその数値範囲内の範囲(例えば、1~2、1~4、2~5、3~7、4~9、5~10など)を包含する。
【0026】
特に断りのない限り、専門用語は従来の用法に従って使用される。本開示の実施または試験に適した方法および材料を以下に説明する。かかる方法および材料は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書に記載されたものと類似または同等の他の方法および材料を使用することができる。例えば、本開示に関連する当該技術分野で周知の従来の方法は、様々な一般的な参考文献に記載されている。
【0027】
I.用語
【0028】
本開示の様々な実施形態の検討を容易にするために、特定の用語について以下に説明する。
【0029】
分析物(Analyte):化学成分を同定、測定する物質。いくつかの例では、分析物にはDNA、タンパク質、酵素、RNA、低分子、ペプチドおよび/または他の生体分子が含まれる。
【0030】
結合または安定結合(Binding or stable binding):抗体と抗原の結合など、2つの物質または分子間の結合。結合は、形成された複合体の物理的または機能的特性など、当業者に公知の任意の手順によって検出することができる。
【0031】
生体分子(Biomolecule):生体によって産生される分子、および/または生体内である程度の活性を有する分子。例えば、生体分子は有機分子であり、特に生体内の高分子(タンパク質や核酸など)である。いくつかの例において、生体分子は「分析物分子」と互換性がある。いくつかの例において、治療用生体分子は、生体内で使用するために人工的に製造することができる。
【0032】
化学修飾(Chemical Modification):分子の化学的構成または構造の変化を伴う多くの様々な工程。一例として、化学修飾電極は、電極の物理的、化学的、電気化学的、光学的、電気的、および/または輸送特性などの特性を変えるために、表面を化学的に変換した電極である。
【0033】
上部チャンバ(Top chamber)および下部チャンバ(Bottom chamber):「上部チャンバ」は第1チャンバであり、「下部チャンバ」は、上部チャンバの反対側など、上部チャンバの反対側にある第2チャンバである。本明細書において、上部チャンバはナノデバイスの上部側に開口しており、下部チャンバはナノデバイスの下部側に開口している。実施形態において、上部チャンバは負電極を有するチャンバであり、ナノギャップの反対側の下部チャンバは、正電極を有するチャンバであり、その結果、上部チャンバ内の負に帯電した分子が駆動バイアスによってナノギャップを通って下部チャンバに誘導され得る。上部チャンバは「シスチャンバ」とも呼ばれ、下部チャンバは「トランスチャンバ」とも呼ばれる。他の例では、上部チャンバおよび下部チャンバに印加される電位は、極性を逆にすることができる。即ち、上部チャンバに負の電位を印加し、下部チャンバに正の電位を印加することで、チャネルを通過する分子の動きを逆にすることができる。
【0034】
接触すること(Contacting):固体と液体の両方を含む、直接的な物理的関係に置かれること。
【0035】
析出物(Deposit):凝集または非凝集の、析出または積層された固形材料の集積または層。
【0036】
誘電体(Dielectric):誘電体材料は、電界と接すると分極する絶縁体の一種である。誘電体を電界中に置くと、実質的に電流は流れない。金属とは異なり、誘電体には材料中をドリフトする可能性のある緩く結合した電子や、自由電子がないからである。その代わり、電気分極が発生する。
【0037】
電気化学析出(Electrochemical Deposition):所望の金属イオンまたはその化学錯体を含む溶液を単純に電気分解することにより、金属、酸化物、塩の薄く強固に付着した所望のコーティングを導体基板の表面に析出させる工程。電気化学析出は、溶液中の金属イオンを電界によって輸送し、基材表面をコーティングする。電気化学析出は、金属ナノ粒子を調製するための効率的な手順である。この工程は可逆的であってもよい。例えば、本明細書で議論する「可逆的パルス電気化学析出」とは、所望のコーティングの析出と除去の両方が任意の回数行われる工程を指す。
【0038】
単離された(Isolated):「単離された」生物学的コンポーネント(核酸分子、タンパク質、または細胞など)は、そのコンポーネントが天然に存在する生物の細胞、または生物自体の他の生物学的コンポーネント(他の染色体DNAおよび染色体外DNA、RNA、タンパク質、および細胞など)から実質的に分離または精製されている。「単離」された核酸分子およびタンパク質は、標準的な精製方法によって精製されたと理解することができる。この用語はまた、宿主細胞における組換え発現によって調製された核酸分子およびタンパク質、ならびに化学的に合成された核酸分子およびタンパク質も包含する。
【0039】
標識:検出可能な薬剤、例えば、標識は、核酸分子またはタンパク質に(間接的または直接的に)結合させることができ、それによって核酸分子またはタンパク質の検出を可能にする。標識の例としては、放射性同位体、酵素基質、補因子、リガンド、化学発光剤、蛍光剤、ハプテン、酵素、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。標識付けのための方法および様々な目的に適した標識の選択における指針は、例えば、Sambrookら(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, New York, 1989)、および、Ausubelら(In Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1998)に論じられている。
【0040】
リンクされた(linked)、または、リンカー(linker):用語「リンクされた」とは、直接的または間接的に結合していることを意味する。例えば、第1部位は、共有結合的または非共有結合的(例えば、静電的)に第2部位にリンクされ得る。これには、ある分子を別の分子に共有結合させること、ある分子を別の分子に非共有結合させること(例えば、静電結合)、水素結合によってある分子を別の分子に非共有結合させること、ファンデルワールス力によってある分子を別の分子に非共有結合させること、およびそのような結合の任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。「リンカー」(2つの部位の間に位置する分子または原子団)を用いるなど、間接的な結合も可能である。
【0041】
いくつかの実施形態において、リンクされたコンポーネントは、コンポーネントが互いに自由に分散できないように、化学的または物理的な方法で関連付けられる。例えば、2つのコンポーネントが別々に分散または拡散できないように、2つのコンポーネントを互いに共有結合させることができる。
【0042】
マイクロ流体工学:本明細書で議論される「マイクロ流体工学」とは、マイクロチャネルを通る流体の挙動と、流体が流れたり閉じ込められたりするチャンバやトンネルを含む超小型装置の製造技術の両方を指す。マイクロ流体工学は、フェムトリットルまでの少量の流体に関するものである。本明細書で議論される「マイクロ流体デバイス」または「マイクロ流体システム」とは、材料(例えば、ガラス、シリコン、PDMSなど)にエッチングまたは成形された任意の数のマイクロチャネルを有する製造された構造体(例えば、マイクロ流体チップ)を指す。「マイクロ流体システム」は、ポンプ、圧力調整器などを含むがこれらに限定されない他の態様を組み込んだマイクロ流体デバイスを指す。マイクロ流体デバイス/システムは、本明細書で開示されるように、「流体デバイス」および「流体システム」という用語に包含されるが、「流体デバイス/システム」は、追加的または代替的に、ある場所から別の場所に流体を流すように動作する、より大規模なデバイスを指す場合がある。例において、本開示の流体デバイス/システムは自動化することができる。
【0043】
多重化電子機器:「多重化電子機器」という用語は、複数のアナログ信号またはデジタル信号を共有媒体上で1つの信号に結合する多重化が可能な電子機器を指す。「マルチプレクサ」とは、複数の入力を単一の共通出力線に切り替えるスイッチャとして機能する組み合わせ論理回路を指す。また「MUX」とも呼ばれ、デジタル信号またはアナログ信号を1本の回線と1つの共有装置で高速に伝送し、受信側で個別の信号に復元する。
【0044】
ナノギャップ:「ナノギャップ」という用語は、本明細書に開示されるようなナノポアデバイスの上部チャンバから下部チャンバ(またはその逆)へ移動する過程で生体分子が移動するナノスケール寸法の経路を指す。ナノギャップは、2つの横方向電極間の空間により形成され、ナノギャップの寸法(例えば、幅)は、制御された電気化学析出、例えば、可逆的パルス電気化学析出/溶解によって変更することができる。本明細書においては、ナノギャップは「ナノポア」とも呼ばれる。
【0045】
核酸:デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドポリマーであり、天然に存在するヌクレオチドと同様の方法で核酸分子にハイブリダイズする天然ヌクレオチドの類似体を含むことができる。特定の例では、核酸分子はプローブやプライマーなどの一本鎖(ss)DNAまたはRNA分子である。別の特定の例では、核酸分子は、標的核酸などの二本鎖(ds)核酸である。「ヌクレオチド」という用語は、塩基-糖-リン酸の組み合わせを指し、リボヌクレオシド三リン酸ATP、UTP、CTG、GTP、および、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、例えば、dATP、dCTP、dITP、dUTP、dGTP、dTTP、またはそれらの誘導体を含む。
【0046】
任意の:「任意の」または「任意に」とは、その後に記述されるイベントまたは状況が発生する可能性はあるが、発生する必要はなく、その記述には当該イベントまたは状況が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。
【0047】
タンパク質:「タンパク質」、「ペプチド」、「ポリペプチド」という用語は、互換的に、ペプチド結合またはペプチド結合模倣体によって結合されたアミノ酸および/またはアミノ酸類似体のポリマーを指す。天然に存在する20種類のアミノ酸とその1文字および3文字の名称は以下の通りである。アラニン A Ala、システイン C Cys、アスパラギン酸 D Asp、グルタミン酸 E Glu、フェニルアラニン F Phe、グリシン G Gly、ヒスチジン H His、イソロイシン Ile、リジン K Lys、ロイシン L Leu、メチオニン M Met、アスパラギン N Asn、プロリン P Pro、グルタミン Q Gln、アルギニンR Arg、セリン S Ser、スレオニン T Thr、バリン V Val、トリプトファン W Trp、および、チロシン Y Tyr。一実施形態において、タンパク質/ペプチド/ポリペプチドは、抗体またはそのフラグメントもしくは部分である。いくつかの実施形態において、タンパク質/ペプチド/ポリペプチドは翻訳後修飾されていてもよい。
【0048】
ラマン分光法:一般的に分子の振動モードを決定するために使用される分光法であるが、系の回転モードやその他の低周波数モードも観測されることがある。ラマン分光法は化学の分野で、分子を同定するための構造指紋を得るために用いられる。
【0049】
試料:本開示のナノデバイス、チップ、システムおよび/または方法に従って操作に供される、少なくとも分析物分子を含む分子の混合物。
【0050】
転位:位置の変化。本明細書において、転位イベントとは、生体分子(例えばDNA)がナノギャップを通って移動することを指す。
【0051】
透明基板:均一な屈折率を有する成分からなる材料。透明な材料は、全体的に1つの色、または任意の組み合わせであらゆる色の鮮やかなスペクトルを示し、透明に見え、光は光の顕著な散乱なしに基板を通過することができる。半透明の反対の性質は不透明性または非透明性である。透明基板の例としては、ガラスや石英が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
十分な条件下で:所望の活動を可能にするあらゆる環境を説明するために使用される表現である。
【0053】
II.概要
【0054】
チップに統合されたナノデバイスの可能性を完全に実現するためには、克服すべき多くの課題がある。現在のアプローチにおける問題の1つは、ナノデバイスとのマイクロ流体インタフェースがチップの総サイズに対して大きな面積を占めるため、1つのチップに含めることができるナノデバイスの密度が大幅に低下することである。異なるサンプルを異なるナノデバイス群に送達することは、非常に面倒で困難な場合がある。例えば、このような供給には多層のチャネルが必要となり、全体的な組立工程が複雑になる結果、チップの歩留まりが著しく低下する可能性がある。もちろん、ナノデバイスの密度が低下すれば、ハイスループット分析の機会も減少する。さらにもう1つの問題は、現在、隣接するマイクロ流体チャネル間のバリアの幅は、アライメントエラーや接着構造のオーバーフローを補償するのに十分な大きさが必要であり、拡散長の増加によりエッチング時間が大幅に増加する可能性があることである。したがって、トンネル接合部に到達するまでの移動距離が長くなり、目詰まりや検出率の低下につながる可能性がある。
【0055】
本明細書において、基板の片面だけを利用する作製方法とは対照的に、基板の両面を利用する方法でトンネル接合構造(例えば、ナノギャップ)の周囲にシスチャンバおよびトランスチャンバを配置/作製することを含むナノデバイス作製方法によって、上述の問題に少なくとも部分的に対処できることに留意されたい。作製に基板の両面を利用することで、トンネル接合の周囲に配置/作製されるチャンバは、シスチャンバとトランスチャンバがそれぞれ基板の特定の側(例えば、上部)にあるのとは対照的に、実質的に上部チャンバ(シスチャンバ)と下部チャンバ(トランスチャンバ)に対応する。より具体的には、本明細書で概説する製造アプローチでは、結果として得られる上部チャンバはナノデバイスの上部からアクセス可能(例えば、開いている)であるが、下部チャンバは上部において封止されているため、ナノデバイスの上部からアクセスできない。一方、下部チャンバはナノデバイスの下部からアクセス可能(例えば、開いている)であるが、上部チャンバは下部において封止されているため、ナノデバイスの下部からはアクセスできない。
【0056】
本明細書で開示するナノデバイスの構造は、1つの単一チップ上でナノデバイスの密度を飛躍的に高めることができるという点で有利である(例えば、ミリメートル寸法と比較して、10μm×10μmから100μm×100μmの設置面積)。本明細書に開示されたナノデバイス製造のアプローチを用いると、ナノデバイスを単一チップ上のアレイに容易に集積することができ、別個のグループにグループ化することができる。本明細書で開示されるような構造設計により、基板内に多重電子機器を統合することが可能になり、信号品質を有利に向上させることができ、電着と試料分析の同時調製を可能にすることができる。さらに、本明細書に開示されるようなナノデバイスの構造設計は、サンプル送達を単純化することができる。例えば、上部、および任意選択で下部を覆うマルチウェル構造は、異なる試料を単一のチップ上の異なるデバイス群に容易に供給することを可能にし、そのような試料を並行して、または逐次的に、例えば予め定義された順序で分析することができる。このマルチウェルアプローチは、マイクロ流体チャネルに関連する漏れのような問題を低減または完全に回避することができる。さらに、本明細書に開示されたナノデバイスの構造設計により、単一チップ上のナノデバイスの各グループのイオン電流は、特定のグループに対応するすべてのナノデバイスからの転位イベントを捕捉することができ、一方、個々のナノデバイスからのトンネル信号は、グループとしての総イオン電流に相関させることができる。例えば、各グループについて、各ナノデバイスに対応するイオン電流を積分して、転位イベントに関連する総イオン電流を得ることができ、各ナノデバイスからのトンネル信号を積分された総イオン電流に相関させることができる。イオン電流の積分値は、特定のグループ内で発生した転位イベントの総数の指標を提供することができ、本開示のチップおよびナノデバイスに関連する電子機器の需要を低減させることができる。
【0057】
[1つまたは複数の例示的実施形態による製造手順]
次に、本開示のナノデバイスの製造工程における例示的な手順について、
図2A、および
図2Bのステップ1~8を参照して説明する。
図2Aに着目すると、左側に示されているのは、本開示のナノデバイスの出発点として機能する初期構造であり、一対の電極が誘電体パッシベーション層の間に挟まれ、閉じ込められたキャビティを形成している。電極間の最初の距離は、200nmから5μmの間、例えば500nmから2μmの間、例えば600nmから2μmの間、例えば約1μmであってもよい。キャビティの厚さは、トップダウンリソグラフィプロトコルで容易に作製できる約10~20nmとすることができる。次に、電極間のギャップを可逆的かつ制御可能な方法(例えば、制御された電気化学析出)で微細に縮小してトンネル接合を構築し、同時に最も狭い位置にナノポアデバイスを形成することができる(
図2Aの右側の図を参照)。電極と誘電体層は、チップ空間を2つのチャンバ(例えば、上部および下部)に分離し、その間にナノポアとトンネル接合が自己整合するため、一方のチャンバから他方のチャンバにナノポアを通って移動する分子は電極間を通過する必要がある。
【0058】
ここで
図2Bに着目すると、ステップ1~6は、初期デバイス(例えば、
図2Aに描かれているものと同様)の構築を含むナノポアデバイスの例示的な製造ステップを示し、ステップ7~8は最終調製を示す。
図2Bの図面は、分かりやすくするために縮尺を合わせていない。上面図に付した点線は、断面の位置を示している。
【0059】
犠牲構造のレイアウト
【0060】
最初のステップでは、基板101上に内側犠牲層102を画定する。基板101は、SiO2および/またはSi3N4コーティングを有するシリコン、サファイア、石英、またはトップダウンリソグラフィに適合する他の材料のうちの1つまたは複数を含んでもよい。内側犠牲層102は、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、マグネシウム(Mg)、および/またはアルミニウム(Al)のうちの1つまたは複数を含んでもよい。内側犠牲層の厚さは1~100nmであり、寸法は10μm×10μmである。
【0061】
第2ステップにおいて、内側犠牲層の両側に、エッジが重なり合う外側トレンチおよび外側犠牲層103を画定する。第2ステップに関して、基板101へのトレンチのエッチングは、例えば、反応性イオンエッチング(RIE)によって行うことができる。エッチングの深さは、約100から500nmの間とすることができる。トレンチは、Al、Mg、Cr、および/またはNiのうちの1つまたは複数で充填することができる。外側犠牲層103に対応する金属の厚さは、RIEエッチング深さよりも少なくともいくらか厚くすることができる。例えば、金属の厚さは、20~500nm厚く、例えば20~200nm厚く、例えば200~300nm厚くすることができる。この厚さの増加の結果、外側犠牲層103に対応する金属は、基板101の元の上面よりもわずかに高くなる。外側犠牲層103は、内側犠牲層102の中心から10~120μm、例えば20~100μm離れて延びるようにしてもよい。
【0062】
初期電極および流体チャネル/チャンバの構築
【0063】
第3のステップでは、内側犠牲層102の中心に横方向電極104を画定する。一対の横方向電極104は、そのチップが内側犠牲層102および外側犠牲層103の中心に位置合わせされて作製することができる。上述したように、電極間の初期ギャップ距離は200nmから5μmの間、例えば500nmから2μmの間、例えば600nmから2μmの間、例えば約1μmとすることができる。初期ギャップ距離は、フォトリソグラフィの解像度によって決定することができる。一対の横方向電極104は、トップダウンリソグラフィおよびその後の電気化学析出に適合する、金(Au)、白金(Pt)、および/またはパラジウム(Pd)、あるいは他の金属または合金のうちの1つまたは複数を含むことができる。本明細書で使用する用語「他の金属」には、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、レニウム(Re)が含まれる。横方向電極104の最初の組に対応する金属の厚さは、20~100nmの間であってもよい。
【0064】
第4のステップにおいて、誘電体層105によって電極の上部を封止する。具体的には、チップの上側(上部)表面全体を、HfO2、ZrO2、SiO2、Si3N4、または複数の誘電体層の組み合わせで完全にパッシベーションする。これは、原子層堆積法(ALD)またはプラズマ化学気相成長法(PECVD)によって行うことができる。いくつかの例において、封止を補助するために、追加の1つまたは複数のSU-8ポリマー(またはパリレンまたは他のポリマー誘電体)の層を任意に加えることができる。誘電体層105の厚さは、約100nmから約100μmの間とすることができる。いくつかの例では、ALDまたはPECVDコーティング工程の前に、0.5~2nmのCrまたはTiまたは他の金属を電極表面上にスパッタリングし、必要に応じて酸素プラズマ処理し、電極および基板上にALDまたはPECVDによって堆積された誘電体層、特に電極の側縁の領域におけるより良好な付着および封止を促進する。
【0065】
第5および第6のステップにおいて、マスクRIE工程を使用して、第1ウィンドウ106および第2ウィンドウ107を選択的に開口し、外側犠牲層103をデバイスの上部側(ウィンドウ106)およびデバイスの下部側(ウィンドウ107)から露出させる。このように、ウィンドウ106は、デバイスの上部側からの誘電体層105のエッチングによって形成され、ウィンドウ107は、デバイスの下部側からの基板101のエッチングによって形成される。
【0066】
ステップ1~6が実施されると、初期デバイスは、後で使用するために大気環境で保管することができる。
【0067】
記録前のナノポアおよびトンネルギャップの準備
【0068】
初期デバイスは、記録に使用する直前に適切な寸法で準備する必要がある。したがって、ステップ7では、内側犠牲層(102)および外側犠牲層(103)のそれぞれを湿式化学エッチングによって除去し、中心に形成されたナノスケールのチャネルの両側に上部チャンバ108および下部チャンバ109を形成する。上部チャンバ108および下部チャンバ109のサイズは、直径1~100μmの間とすることができる。一実施形態において、流体チャネルを通して、第1エッチャント(例えば、Alエッチャント)、次に第2エッチャント(例えば、Crエッチャント)を適切に供給することにより、最初に犠牲層を除去し、電極104の周囲に中央ナノスケールキャビティが形成され、両側のナノ流体チャネルが上部チャンバ(108)および下部チャンバ(109)に接続されるような連続空間を構築する。5mMのKH2PO4および5mMのNaHPO4(pH7.26)を含むリン酸緩衝液(PB)を使用して、各エッチングステップの前後にチャネルを洗浄し、チャンバ間のイオンコンダクタンスを測定することができる。最終的な化学エッチングが終了する前の典型的なコンダクタンスは、電子機器のベースラインによって決定されるように、約20~30pS未満である可能性があり、内側犠牲層102が完全に除去された後は、約2~5nSである可能性がある。
【0069】
次に、ステップ8では、先行する研究から採用されたフィードバック制御技術を使用する(Wang,Y.,Sadar,J.,Tsao,C.W.,Mukherjee,S.,Qing,Q.の「DNA検出用の自己整合された横方向トンネル接合を備えたナノポアチップ(Nanopore chip with self-aligned transverse tunneling junction for DNA detection)」、Biosens Bioelectron 2021,193:113552;Sadar,J.;Wang,Y.;Qing,Q.,「ナノギャップ電極形成のためのサブ15nm空間での閉じ込め電気化学析出(Confined Electrochemical Deposition in Sub-15 nm Space for Preparing Nanogap Electrodes)」、ECS Trans 2017,77(7),65-72;Qing,Q.;Chen,F.;Li,P.;Tang,W.;Wu,Z.;Liu,Z.,「フィードバックで高周波インピーダンスを利用することによる電着による金属ナノギャップサイズの微調整(Financial tuning metallic nanogap size with electrodeposition by utilizing high frequency impedance in feedback)」、Angew Chem Int Ed Engl 2005,44(47),7771-5)を参照することにより、その全体が本明細書に組み込まれるが、チャネルは、金属(例えば、Au、Pt、Pd、Ni、Co、または電気化学析出工程に適合する他の金属)を含む電解質で満たされ、横方向電極間のコンダクタンスがリアルタイムでモニタリングされ、既存の電極104上への金属の電気化学析出を制御する。一例において、電解液は18.5mMのKAu(CN)2および180mMのクエン酸カリウムを含み、横方向電極間のコンダクタンスをリアルタイムでモニタリングして、Ag/AgClを対向電極として既存の電極104上へのAuの電気化学析出を制御する。実施例において、ナノポアおよびトンネル接合110の最終的な寸法は、以下に説明するように、可逆的パルス析出法によって微細かつ再現性よく調整することができる。最終的な電極キャップの大きさは、元の内側犠牲層102の厚さによって画定することができる。内側犠牲層102のエッチングによって形成された閉じ込められたキャビティ内のフィードバック制御された電気化学析出工程は、電極104間の初期ギャップを閉じ、それによってナノポアおよび横方向トンネル接合110を同時に形成することを理解されたい。実施形態において、電極間のギャップは、約1nm~100nmの間、約10~50nmの間、約1~20nmの間、約20~60nmの間であってよく、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または、100nmを含むが、これらに限定されない。実施形態において、ギャップの最小サイズは、単一の生体高分子の直径に相当する。例えば、一本鎖DNA分子の直径は約1.0nmである。実施形態において、ギャップの最大のサイズは、例えば、約5nmから10nmのオーダーであり、より大きいものは100nmに近いなど、特性を明らかにしようとするタンパク質分子などの分子の三次元サイズの直径に相当する。
【0070】
図3A~3Dは、ナノポアおよびトンネル接合の寸法を精密に制御するための可逆的パルス電気化学析出を示す。
図3A~3Bは、初期デバイス(
図3A)および最終的なトンネル接合(
図3B)の光学画像を示す。
図3A~3Bは、初期の横方向電極のカバースリップの裏側からの光学像(
図3A)、および精密な制御の下でギャップが閉じられた電気化学析出後の光学像(
図3B)を示す。電気化学析出が進むにつれて、まず上部チャンバと下部チャンバとの間のイオンコンダクタンスの低下が観察され、その後、横方向電極間のコンダクタンスが増加して短絡を示す(
図3C)。具体的には、
図3Cは、電極が短くなる析出中に、50mVのバイアス下における上部チャンバと下部チャンバとの間の電流(I
ionic)と、1.45mVのバイアス下における横方向電極間の電流(I
tunneling)を同時に記録したトレースを示している。ここで、一定の析出バイアスを印加した場合、電極上に著しい側方成長が生じ、電極を短絡させるのに非常に長い時間がかかることが認識される。理論にとらわれなければ、これは、閉じ込められたナノスケールキャビティ内で、電極のチップ付近の金属イオン(例えば、Au(CN)
2
-)が急速に消費されることに起因する。析出は、外部イオン供給へのアクセスが容易な電極の外縁部で起こることがほとんどである。したがって、パルス析出法を利用することで、先端部での析出をより効果的にし、ギャップを閉じることができる。すなわち、析出電位を短時間印加し、その後、酸化還元反応が起こらない電位(「休止」電位)でシステムを放置することで、中心キャビティ内のイオン濃度が拡散によって回復する。電極上の側方成長と析出パルスの幅との間には明確な相関関係がある(
図4A~4B)。系統的な比較により、効果的なチップ成長に最適なパルス幅は、2~50ミリ秒、休止電位期間は~2秒であることが判明した。
【0071】
図4A~4Bに簡潔に触れると、様々な析出パルスによる金属析出中のタイムラプス記録の特定のフレームが示されている。
図4Aは、400ms、950mVの矩形波と、それに続く1.6秒、0Vの休止電位による析出前後のチップ形状を示す。
図4Bは、2ミリ秒、950mVの矩形波と、それに続く1.998秒、500mVの休止電位によるチップ形状を示す。スケールバーは20μmである。950mVの短い析出パルス幅と高い休止電位により、最終的な析出チップは側面の成長が少なく、より短時間で量子コンタクトを形成する。
【0072】
トンネル接合を調整するために電気化学を用いる特有の利点は、この工程が完全に可逆的であることである。パルス析出の各期間の終了時に、横方向電極間のコンダクタンスをアクティブに追跡できる制御プログラムが作成された。コンダクタンスが閾値を超えた場合、プログラムはバイアスV
depの極性を反転させ、金属(例えば、Au)が制御されたステップで除去されるように、析出モードから溶出モードに切り替える。
図3Dは、コンダクタンスが1コンダクタンス量子G0より上に達した342秒で、遷移が起こった例を示している。より具体的には、
図3Dは、制御された金属(例えば、Au)析出(V
dep>0のとき)と溶出(V
dep<0のとき)のためにAg/AgCl対向電極に印加された電位V
depと、10.13kHzで記録された横方向電極間のACコンダクタンスの対応する振幅(コンダクタンス量子G0=2・e
2/h=77.5μSの単位)と位相の記録を示している。自動制御プログラムが析出中のコンダクタンスをモニタリングする。コンダクタンスが1G0を超える閾値に達すると、プログラムはV
depの極性を切り替え(342秒)、負のパルスで電極から金属(例えばAu)を除去する。
【0073】
G
0は、電極が最初に原子的に接触するときの電極間のゼロ距離のキャリブレーションとして機能するため、典型的な閾値として使用された。このような工程を高い再現性で繰り返すことで、トンネルギャップを開閉し、最終的なトンネルコンダクタンス(
図3E)によって画定されるような安定した接合を形成することができる。具体的には、
図3Eは、制御された可逆的なギャップの複数回の開閉を示す横方向電極間のコンダクタンスを示している。
【0074】
ここで、フィードバック制御信号として、横方向電極間のコンダクタンスを、ロックイン増幅器を用いて1Hzから~10kHzの範囲のAC信号を用いて追跡することができることに留意されたい。例えば、より高い周波数が使用される場合、コンダクタンスは、容量性成分により、数十nmのオーダーでより長い距離で明確な変化を示し始める可能性があり、これにより距離の制御範囲が広くなる。このことは、10.13KHzの基準信号を使用したときの
図3DのACコンダクタンスの記録された位相でも実証されており、振幅の大きな変化が後に起こる前に、容量性が高いものから抵抗性が高いものへと位相が早期に遷移することが示されている。それにもかかわらず、本開示では、DNA分子の直径に最も適合する寸法に焦点を当てているため、トンネル領域において最も感度が高い接合のサイズをモニタリングし制御するために、低周波AC信号(5Hz)を使用した。DNA転位デバイスに使用されるデバイスの場合、開示された制御プログラムを使用して、接合コンダクタンスを所定の設定値、例えば~1nSに安定化させることができ、これは約3~4nmの間、例えば約3.4nmのギャップ距離に対応する。一実施形態において、DCバイアスを使用してコンダクタンスをモニタリングし、~1nmのトンネル領域内で最も感度の高いナノギャップサイズを制御することができる。
【0075】
したがって、2つの誘電体パッシベーション層に挟まれた一対の初期電極上への金属のフィードバック制御された電着を利用した本開示のナノポアデバイスの構築は、ナノポアデバイスとトンネル接合が同時に、かつ自己整合的に形成されるように、初期ギャップ/キャビティを収縮させるために利用することができる。これは、2つの誘電体パッシベーション層間の一対の初期電極への金属の電着を利用して、ナノギャップがどのように作製されるかを意味する。本明細書で使用する「自己整合」ナノギャップとは、流体チャネルの長さに沿って、電極が流体と接触する点にナノギャップが形成される工程によって作製されるものである。本明細書において、いくつかの例では、閉じ込められた空間における金属イオンの急速な減少により、トンネル電極のサイズおよび鋭さは、ある期間にわたって劣化し得る(例えば、鈍くなる)ことが理解される。本明細書では、一対の初期電極上への金属のフィードバック制御された電着の間、金属の析出は、減少がより速く起こる先端領域よりも、金属イオンへのアクセスがより良好な電極の端部でより多く起こる傾向があることが認識される。さらに、電極の端部に優先的に金属が析出するため、トンネル接合が所望のサイズ(例えば、1~数ナノメートル程度)に達するまでの析出時間がかなり長くなる可能性がある。
【0076】
したがって、ナノポアデバイス構築手順の様々な態様を改善するいくつかのアプローチを本明細書で開示する。具体的には、本明細書では、少なくとも、1)最終デバイスの析出速度、2)トンネル接合を含む電極に対応する先端の鋭さ、および、3)最終的に形成される接合の安定性を改善し得る方法論を開示する。
【0077】
一例において、高速パルス電着を低速パルスまたは連続析出法と比較した。典型的な実験では、最適な析出時間は50ミリ秒未満であり、その間、電極が還元電位に保持され、金属イオンが還元されて電極上に析出し、その後500ミリ秒から約2秒(2000ミリ秒)の休止時間が続くことが判明した。休止時間中、電極はファラデー電流が存在しない電位に保持され、拡散工程により電極の先端付近で消費された金属イオンを補うことができる。現在の設定では、2ms~5ms(例えば、2ms、3ms、4ms、5ms)が最適な析出時間であることがわかっている。しかしながら、本開示の範囲から逸脱することなく、より短い析出時間を使用することもできる。例えば、装置の帯域幅が許す場合には、10μsと1msとの間の析出時間を含む、より短い析出時間を使用することができる。より具体的には、析出時間は、10~500μs、または500μs~1秒、または10~450μs、または10~400μs、または10~350μs、または10~300μs、または10~250μs、または10~200μs、または10~150μs、または10~100μs、または10~90μs、または10~80μs、または10~70μs、または10~60μs、または10~50μs、または10~40μs、または10~30μs、または10~20μsの間であってもよい。いくつかの例において、析出時間は、10μs未満、例えば1μs未満など、さらに短くすることができる。本明細書において、より短い析出時間は、ひいてはより短い休止時間を可能にし、それによって本開示のナノデバイスの構築のための全体的な時間的枠組みを改善(例えば、短縮)し得ることが認められよう。
【0078】
他の例において、2つのチャンバ(例えば、シスおよびトランス)間の約50~100mVの小さなバイアスが、電極におけるファラデー工程に影響を与えることなく、チャンバ間の電気泳動および電気浸透流を促進することができることが本明細書において開示される。これは、金属イオンの析出領域への速い補償を促進する効果があり、上述したのと同様に、より短い休止時間、ひいてはより短いデバイス構築時間を可能にすることができる。
【0079】
他の例において、本明細書では、非対称なセットアップが非対称な析出をもたらし、その結果、トンネル電極の各々に対応する先端をより鋭くすることができることが認識される。
図4Cに着目すると、金属イオン(球として示されている)が電極に一様に拡散することができる場合、電極の全体の半径が増大することを示す例示的な図が示されている。具体的には、
図4Cに関して、破線は均一な析出工程前の電極の形状を示し、矢印は均一な析出工程の結果として電極のサイズがどのように均一に大きくなるかを示す。あるいは、
図4Dに着目すると、金属イオン(球として示されている)が2つのチャンバのうちの1つだけに供給される場合、
図4Dの下半分に示されているように、非対称析出により、先端付近でより鋭い電極形状を可能にすることができる。
【0080】
本明細書において、電極間のコンダクタンスによって示される所望の距離に到達した新たに作製されたトンネル接合は、一定期間にわたって不安定となり得ることがさらに認識される。これに対する解決策は、電気化学工程の可逆性を利用して、ギャップを任意の回数繰り返し構築することである。すなわち、金属酸化によって(金属電極に印加する電位の極性を切り替えることによって)接合を拡大し、新たに析出した金属を除去した後、再析出ステップを経て再び所望のギャップサイズに到達させる方法が考えられる。この酸化・還元サイクルの目的は、電極上の最も活性な部位(例えば、周囲条件下で時間の経過とともに最も変形/再形成しやすい部位)を埋め、逆の工程で最も活性で可動性の高い原子を除去することであろう。この工程を任意の回数(例えば10~1000回)繰り返すことで、不安定なギャップ形状につながるリシェーピングを引き起こす可能性が最も高い表面部位が犠牲になり、その結果、「遅れた(retarded)」表面が得られ、ひいては安定したギャップが得られる。
【0081】
実施形態によるナノデバイスの工程
【0082】
次に
図5A~5Bに着目すると、本明細書に開示される実施形態に従って作製されたナノデバイスの上面図(
図5A)および断面図(
図5B)が示されており、生体分子(この場合は、DNA)がナノデバイス内をどのように移動するかを示している。一実施形態において、分子は上部チャンバ108に供給され、上部チャンバ108と下部チャンバ109との間に印加される駆動バイアス下で移動して、中央のトンネル接合/ナノポアを通過し、下部チャンバ109から出ることができる。上部チャンバ108と下部チャンバ109間のイオン電流と、横方向電極間のトンネル電流を用いて生体分子を分析することができる。他の例においては、上部チャンバと下部チャンバの間に印加される電位の極性を変えることで、生体分子の動きを逆にすることができ、同じ生体分子がトンネル接合/ナノポアを異なる方向に複数回通過するように制御して、繰り返し分析することができる。
【0083】
また、本開示の範囲内には、生体分子を分析するために、イオン電流およびトンネル電流のうちの1つまたは複数に依存することに加えて、またはそれに代えて、光信号を使用することも含まれる。例えば、実施形態において、本開示のナノデバイスは、対物レンズが透明基板を通して、または非透明基板の上部側からナノギャップに焦点を合わせることができる顕微鏡に取り付けることができ、蛍光シグナルを用いてナノギャップ内の分子の運動および移動を追跡することができる。追加的または代替的に、(例えば、ラマン顕微鏡技術により)分子が電極を通過する際のギャップからのラマン信号を検出するためにレンズを使用することもできる。電極は電圧源と電流計に接続され、ギャップを横切るトンネル信号を記録する。上部チャンバと下部チャンバの間には、ギャップを通して分子を駆動するための10~1000mVのバイアス電位を印加するための2つの電極を使用することができる。
【0084】
実施形態において、分子分析物がナノギャップの一方の側の上部チャンバに供給されると、分子は、上部チャンバと下部チャンバとの間に印加される、例えば、10~1000mVの間のバイアスによって、ナノギャップを通って誘導され得る。所望の転位速度を満たすように、バイアスの大きさを調整できることが考えられる。いくつかの実施形態において、少なくとも所定の時間、分子を金属電極に付着させることが有利であり、これには、(1)ナノギャップ寸法に対する分子のサイズによる単純なブロック、(2)例えば、金表面に結合できるチオール基などの、金属に化学結合を形成できる結合部位を有するように分子を修飾する、(3)分子の末端や側面に沿って、分子上の特定の官能基を認識する特定の結合部位を持つように、金属電極の表面を修飾する、などが含まれるが、これらに限定されない。これらの構成における結合部位は、スルフヒドリル基とAu、Pt、Pdなどの金属が接触したときのS-Au/Pt/Pdのような原子価化学結合とすることができる。例えば、タンパク質分子中のリジンをチオ化試薬で修飾して遊離スルフヒドリル基を生成させ、金属表面と原子価化学結合を形成させることができる。結合部位はまた、アビジン-ビオチン相互作用のような、タンパク質と官能基間の特異的な高親和性相互作用となるように設計することもできる。例えば、基質上にチオール化ビオチンを含有させ、S-Au/Pt/Pd結合により金属表面を修飾し、ビオチン基を媒体中に露出させることができる。次に、タンパク質分子をストレプトアビジンとリンクさせることができ、ナノギャップに来るとビオチン基に結合する。水素結合、π-π相互作用などの他の相互作用も使用できる。
【0085】
上部チャンバと下部チャンバ間のイオン電流と金属電極間のトンネル電流の両方によってマウンティングイベントを検出することができ、そのようなイベントが検出されたときに分子のコンダクタンスを評価できることが企図されている。さらに、透明基板を通して、あるいは非透明基板の上部側から、チップ増強ラマンスペクトル(TERS)のような光学的特性評価を行い、分子の動的構造を理解することができる。
【0086】
いくつかの実施形態において、本開示は、分子分析物などの試料をナノギャップの一方の側の上部チャンバに送達することと、上部チャンバと下部チャンバとの間に印加されるバイアス、例えば約1~約1000mVの間のバイアスによって分子分析物がナノギャップを通って移動するように、試料を誘導することと、を含む、分子、小粒子、または材料の小試料をサンプリング/特性評価する方法を提供する。
【0087】
いくつかの実施形態において、本開示は、単一分子、小粒子、または少量の物質からなる試料を分析するための測定装置を提示する。分子測定装置は、分析される試料を含む溶液が流れることが可能な少なくとも1つのナノ流体チャネルと、試料が通過するナノ流体チャネルを横切るナノギャップを画定する一対の電極と、を含む。実施形態において、ナノギャップの大きさは、装置で観察される試料物質の分子サイズに基づいて選択され、そのため、一度に単一の試料物質のみがナノギャップを通過することが可能である。実施形態において、電極間の距離は1~100nmの範囲になり、2つの当該チャネル/チャンバ間の経路において最も狭いボトルネックを有する自己整合ナノギャップを形成する。ナノギャップは、異なるサイズと形状の分子の異なる特性に対処するために、電気化学析出工程中に調整できることが企図されている。実施形態において、試料には、一本鎖DNAおよび/または二本鎖DNAなどのDNAが含まれる。実施形態において、試料にはRNAが含まれる。実施形態において、試料にはタンパク質が含まれる。他の実施形態には、低分子、任意の数の様々なポリマーなどが含まれる。
【0088】
ナノギャップは、ナノギャップ内の試料の存在に応じて変化するナノギャップ内の環境状態を表す出力を提供する。これらの環境特性は、電気的または光学的なものであってよい。
【0089】
さらなる実施形態において、本開示は、上記チャネル/チャンバ間の相関イオン電流および上記金属電極間の(例えば、画定されたナノギャップを介した)トンネル電流によって単一分子の個々のマウンティングイベントを検出することによって、単一分子からのコンダクタンスおよびチップ増強ラマンスペクトルなどの光学特性を測定し、次いで、電気的および/または光学的特性評価を実行する方法を提供する。
【0090】
次に
図6A~6Bに着目すると、本開示のナノデバイスの一部の2つの三次元図が示されている。
図6Aは、不透明に描かれているが、
図6Bは、そのようなナノデバイスの一部の内部の図を示すために透明に描かれている。
図6A~6Bに示されたナノデバイスの部分に関して、ナノデバイスは、上部605および下部606を有するように配置されている。また、基板101、横方向電極104、誘電体層105、および上部チャンバ108と下部チャンバ109の概略的な近傍が図示されている。さらに、スルーホール610および溝615が図示されている。トレンチの溝615は、上部チャンバ108内の分析物が、横方向電極104の間に位置するナノギャップを通り、スルーホール610から下部チャンバ109に向かう途中で、ナノデバイス構造の(例えば、上部および下部において封止された)封止された部分を通過するように誘導するために形成されている。
【0091】
上述のように、本明細書で開示されるような上部チャンバおよび下部チャンバを有するナノデバイスを作製する利点は、このデザインにより、マイクロ流体界面がデバイスの片側(例えば、上部)で占める面積を大幅に削減できることである。従って、本明細書に開示される製造方法を使用することにより、シスチャンバおよびトランスチャンバに対応するマイクロ流体界面がナノデバイスの片側(例えば、上部)のみに関連する類似のデザインとは対照的に、単一チップ上のナノデバイスの密度を実質的に増加させることができる。
【0092】
したがって、本明細書で開示される製造方法によって、多数のナノデバイスを単一チップに組み込むことができる。代表的な例として、単一のチップは、厚さ170μmの1インチ石英カバースリップ(Electron Microscopy Sciences、商品番号:72256-02)、厚さ500μmの4インチ石英ウェハ(University wafer、商品番号:518)、または単結晶シリコンウェハ、または他の同様のそのような開始基板に対応し得る。このような例では、数千個(例えば、1000個を超える、数万個以上、および、その間の任意の数)を単一のチップに組み込むことができる。所定数(例えば、数十個、数百個、あるいは数千個)のナノデバイスを、このようなチップの個別の領域にグループ化して、様々な試料を異なるグループに同時に送達できるようにすることは、本開示の範囲内である。
【0093】
図7に着目すると、単一チップ705が図示されており、複数の様々なナノデバイス710が単一チップ705に統合されている。さらに、ナノデバイス710の複数の様々なグループ715が図示されている。この例示の図において、各グループ715は8個のナノデバイスを含むが、上述したように、各グループ715が数十個、数百個、あるいは、いくつかの例では数千個の個々のナノデバイス710を含むことは本開示の範囲内である。さらに、ちょうど4つのグループ715、即ち、第1グループ720、第2グループ721、第3のグループ722、および第4のグループ723が示されている。しかしながら、数十のグループ、数百のグループ、または、いくつかの例では数千の異なるグループさえ存在し得ることは、本開示の範囲内である。1つのナノデバイス710の設置面積は、10μmx10μmから約100μmx100μmのオーダーである。
【0094】
このように、本明細書に開示されるようなナノデバイスを、上部チャンバ(例えば、上部チャンバ108)および下部チャンバ(例えば、下部チャンバ109)を用いて作製することにより、多数のナノデバイスを単一チップに組み込むことが可能になり、さらに、複数のナノデバイスを個々のグループにグループ化することが可能になる。これにより、ナノデバイスおよびナノデバイス群への試料の送達に関連する複雑さを大幅に軽減することができる。例えば、本開示のナノデバイスを含むチップの上部表面および下部表面上に配置されたマルチウェル構造を使用して、様々なデバイス群に試料を容易に送達することができる。さらに、多重化された電子機器を基板(例えば、基板101)に統合することができ、信号品質を向上させ、電着と試料分析の同時調製を可能にすることができる。
【0095】
一例として、パルス電気化学析出工程について上述したように、短いパルスに続いて休止期間がある。グループ715内の複数のナノデバイス710を含む
図7に示されるようなチップ705の場合、多重化された電子機器を使用して、チップの全てのナノデバイスまたは選択された数のナノデバイスに対してパルス電気化学析出工程を順次実施することができることが本明細書において認識される。例えば、パルス析出工程が必要とされるナノデバイスの数に応じて、第1ナノデバイス、次に第2ナノデバイス、次に第3のナノデバイス、次に第4のナノデバイスというようにパルスを供給することができる。パルスは、休止期間(例えば、500ミリ秒から2秒)に比べて短い持続時間(例えば、2~5ミリ秒、あるいはそれ以下、例えば、μ秒の範囲)であるため、チップ上の多数の(例えば、全部)ナノデバイスを順次パルス処理し、その後に休止期間を設けて、全てのナノデバイスがパルス処理されるまで、工程を再度繰り返すことができる。換言すれば、ナノデバイスを順次パルス処理することにより、各ナノデバイスを、パルス処理される最初のナノデバイスの休止期間以下の時間スパンでパルス処理することができる。パルス処理/休止シーケンスのシーケンシャルな性質は、パルス時間、休止時間、およびパルス電気化学析出が必要とされるナノデバイスの数のそれぞれの関数として電子的に制御することができ、電子機器リソースを最適化し、本開示のチップを製造する時間を短縮し、ナノデバイス製造の再現性を向上させる。特定のナノデバイスおよびナノデバイス群にパルス電気化学析出工程を実施する一方で、他のナノデバイス/ナノデバイス群にその分析のために試料を提供することも、本開示の範囲内である。
【0096】
図8に着目すると、上部マルチウェル構造810および下部マルチウェル構造815と組み合わされたチップ805の高レベルな概略図が示されている。参考までに、矢印801は、チップ805の上部の方向を指し、したがって、上部チャンバ(
図8では図示せず)の大まかな方向を指す。あるいは、矢印802は、チップ805の下部の方向を指し、したがって、下部チャンバ(
図8では図示せず)の大まかな方向を指す。明示的には図示されていないが、チップ805は複数の異なるナノデバイス群を含むことが理解されよう。
【0097】
上部マルチウェル構造810は、チップ805の上部に配置され、明示的に図示されていないが、複数のウェルを含むと理解してよい。例では、ウェルの数はナノデバイスのグループの数に対応する。同様に、下部マルチウェル構造815はチップ805の下部に接触し、下部マルチウェル構造815に関連するウェルの数も、チップ805に統合されたナノデバイスのグループの数に対応し得る。したがって、実施例において、上部マルチウェル構造810および下部マルチウェル構造815は、同じ数のウェルを含んでもよい。しかしながら、いくつかの実施例において、本開示の範囲から逸脱することなく、上部および/または下部マルチウェル構造は、ナノデバイスのグループの数とは異なる数のウェルを有してもよい。いくつかの実施例において、下部構造は個々のウェルを含まなくてもよく、その代わりに1つの大きな領域を含んでもよい。このようにして、チップ805に統合されたナノデバイス群に試料を接触させることは、試料が接触することが意図されるナノデバイス群に対応する適切なウェルに試料を供給することを含み得る。このようにして、異なるナノデバイス群を異なる試料と容易に接触させることができ、様々な試料の並行分析が可能となる。
【0098】
例えば、試料がマルチチャネルピペットにより提供され、手動で、またはロボットで、および/またはマイクロ流体で導入されることは、本開示の範囲内である。試料は、上部マルチウェル構造810の適切なウェルに導入することができ、そこで、試料中に存在する分析物がバイアスによって駆動され、それぞれの対応するグループのナノデバイスを移動させる。上部チャンバ(例えば、上部チャンバ108)から下部チャンバ(例えば、下部チャンバ109)への移動の後に、分析物は最終的に下部マルチウェル構造815に到達する。いくつかの実施例において、下部マルチウェル構造815内の試料は、同様の方法で再分析されてもよく、分析された試料中の分析物に関するさらなる情報を得るために何らかの他の方法で分析されてもよく、または将来の使用の可能性のために保存されてもよいことは、本開示の範囲内である。あるいは、分析した試料は廃棄されてもよい。
【0099】
チップ805の基板(例えば、基板101)は、いくつかの実施形態において、上述したように、集積された多重化電子機器820を含んでもよい。一例において、多重化電子機器は、以下の構成要素のうちの1つまたは複数を含む。(1)個々のデバイスの電位を変化させ、保持することができるモジュール(例えば、ポテンショスタット)、(2)個々のトンネル接合間のトンネル電流を検出することができるモジュール(例えば、トランスインピーダンスアンプ)、(3)選択したデバイスに目標電位を送信し、選択したデバイスから特定の時間にトンネル接合信号を読み取ることができるモジュール(例えば、リーダ/ライタ)、(4)リーダ/ライタと個々のデバイスとの間の接続を、プログラム可能なタイミングとシーケンスで切り替えることができるモジュール(例えば、マルチプレクサ)、(5)個々のデバイスにアドレス指定することができ、特定のデバイスに目標電位を送信し、特定のデバイスからトンネル電流を読み取ることができるように、外部制御電子機器とマルチプレクサとの間でデジタル信号とアナログ信号を変換することができるモジュール。これらの情報は、外部コントローラおよびプログラムによって制御され、析出工程を調整し、多重化された方法で全てのデバイスからトンネル電流を収集することができる。いくつかの実施形態において、少なくとも1つのナノデバイスと相互作用する(例えば、制御する、または、そこから情報を受信する)ために利用される任意の電子コンポーネントは、チップ805に統合することができる(例えば、チップ805の基板上に作製する)。チップ805と一体化される電子部品および多重化電子機器のいずれかまたは全ては、ナノデバイスの少なくとも1つ(例えば、全て)が作製される前または後に、チップ805上またはチップ805内(例えば、チップ805の基板上またはチップ805内)で作製することができる。
【0100】
次に
図9に着目すると、本開示の例示的なシステム900が図示されている。システム900は、制御システム14の一部であってもよい。制御システム14は、所望のプロセス応答を提供するシステム構成を形成する構成要素の相互接続である。本実施形態において、制御システム14は、プロセスのための論理および制御命令を提供するコントローラ12、様々な物理的特性を測定する1つまたは複数のセンサ18、および環境の状態を変化させる1つまたは複数のアクチュエータ21を備える。制御システム14は、センサ18からの測定値および/またはコントローラ12によって生成された命令を1つまたは複数の信号に変換し、その後、システムの他の要素/コンポーネントに送信する信号伝達手段(図示せず)を含んでもよい。例えば、コントローラ12は、1つまたは複数のセンサ18から入力データを受信し、入力データを処理し、1つまたは複数のルーチン、手順、機能、方法などに対応する、その中にプログラムされた命令またはコードに基づいて、処理された入力データに応答してアクチュエータ21をトリガすることができる。制御システム14は、開ループシステム、閉ループシステム、シーケンス制御システム、および/またはバッチ制御システムに従って動作することができる。
【0101】
コントローラ12は、例えば、1つまたは複数のプロセッサコアを含む1つまたは複数の中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、1つまたは複数のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含む回路を備えてもよい。いくつかの実施形態において、FPGAは、ナノギャップを通過する分子またはタンパク質の移動のリアルタイム制御を提供するために利用される。例えば、FPGAは、分子またはタンパク質を、ナノギャップを通して1回以上往復させるために利用することができる。コントローラ12の回路は、メモリ/記憶装置と接続されてもよく、またはメモリ/記憶装置を含んでもよく、メモリ/記憶装置に記憶された命令を実行して、コントローラ12および/または制御システム14の他の素子上で様々なアプリケーション、ロジックなどを実行できるように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、コントローラ12の回路は、本明細書の様々な実施形態に従って動作するための専用のプロセッサ/コントローラであってもよい。
【0102】
センサ18は、環境内のイベントまたは変化を検出し、検出されたイベントに関する情報(例えば、センサデータ)をコントローラ12などの他のデバイス、モジュール、サブシステムなどに送信することを目的とするデバイス、モジュール、またはサブシステムを含む。このようなセンサ18の例としては、特に、加速度計、ジャイロスコープ、および/または磁力計を含む慣性測定ユニット(IMU)と、3軸加速度計、3軸ジャイロスコープ、および/または磁力計、レベルセンサ、流量センサ、温度センサ(例えば、サーミスタ)、圧力センサ、温度センサ(例えば、サーミスタ)、圧力センサ、気圧センサ、重量計、高度計、画像キャプチャデバイス(例えば、カメラ)、光検出および測距(LiDAR)センサ、近接センサ(例えば、赤外線検出器など)、深度センサ、環境光センサ、超音波トランシーバ、マイクロフォンなどを含むマイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)またはナノエレクトロメカニカルシステム(NEMS)を含む。いくつかの実施形態において、本開示の電子ナノデバイス/チップは、生体分子の転位/マウンティング/リンキングイベントを感知するように設計されているという点で、センサと見なすことができ、そのような情報は、コントローラ12および/または他のデバイス、モジュール、サブシステムなどに中継され得る。
【0103】
アクチュエータ21は、状態、位置、および/または方向を変化させる、または外部の機構/システムまたはアクチュエータ21自体を含む機構またはシステムを移動させる、または制御するデバイス、モジュール、またはサブシステムである。アクチュエータ21は、エネルギー(例えば、電流、移動する空気および/または液体など)を何らかの運動に変換する電気的および/または機械的要素を含む。アクチュエータ21は、圧電生体(piezoelectric biomorphs)、固体アクチュエータ、固体リレー(SSR)、形状記憶合金ベースのアクチュエータ、電気活性ポリマーベースのアクチュエータ、リレードライバ集積回路(IC)、および/または同種のもののような、1つまたは複数の電子(または電気化学)デバイスであるか、またはそれらを含んでもよい。アクチュエータ21は、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータ、静電アクチュエータ(EHA)、電気機械式リレー(EMR)を含む電気機械式スイッチ、モータ(例えば、DCモータ、ステッピングモータ、サーボ機構、リニアモータ、リニア駆動装置など)などの1つまたは複数の電気機械式デバイスであるか、またはそれらを含んでもよい。アクチュエータ21は、バルブ、真空発生器(例えば、ベンチュリーベースのエジェクタ、ブロワなど)ポンプ(例えば、真空ポンプ、吸引ポンプ、油圧ポンプ、コンプレッサなど)、歯車、車輪、スラスタ、プロペラ、クロー、クランプ、フック、可聴音発生器、および/または、これらに類するものなどの他の装置と接続され、その動きを制御することができる。
【0104】
信号伝達手段(図示せず)は、制御システム14の構成要素に情報/命令を伝達するための任意の要素または要素の組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、信号伝達手段は、周辺コンポーネント相互接続(PCI)、PCIエクスプレス(PCIe)、業界標準アーキテクチャ(ISA)、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ハイパートランスポート相互接続、時間トリガプロトコル(TTP)、プロフィバス(PROFIBUS)、モドバス(Modbus)、共通産業プロトコル(CIP)IX、イーサネット産業プロトコル(EtherNetIP)などのフィールドバス(例えば、IEC 61158)ベースのIXなどの適切なバスまたは相互接続(IX)技術であるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態において、信号伝達手段は、電気的(例えば、「銅線相互接続」)または光学的であってよく、イーサネット、産業用イーサネット、イーサネットオーバーUSB、コントローラエリアネットワーク(CAN)、ローカル相互接続ネットワーク(LIN)、プロフィネットなどの有線ネットワークプロトコルに従って動作する物理的接続を使用して、コントローラ12を他のコンポーネント/デバイスに接続する1つまたは複数のネットワークインターフェースコントローラであるか、またはそれらを含む。いくつかの実施形態において、信号伝達手段は、非固体媒体を介した(例えば、エアインターフェースを介した)変調された電磁放射を使用して無線ネットワークとの、または無線ネットワークを介した通信を可能にするように構成された高周波送信機(および受信機)またはトランシーバであるか、またはそれらを含む。
【0105】
図9に示す実施形態はまた、ロボットシステム20と、本開示の電子ナノデバイスおよび/またはチップ25とを含む。実施形態において、ロボットシステム20は、マイクロ流体デバイス/システムなどの流体デバイス/システムが含まれるか、またはそれを含むことができる。概して、ロボットシステム20は、自動化された様式で、1つまたは複数の試料を、例えば、マルチウェル構造(例えば、
図8における上部マルチウェル構造810)のウェルに送達することができる機械を含んでもよい。例えば、ロボットシステム20は、1つまたは複数のマルチチャネルピペット、チューブ、真空源および/または圧力源、可動アーム、マイクロ流体送達チャネルなどを備えており、本明細書に開示されるように、1つの場所から試料を取得し、マルチウェル構造に関連する1つまたは複数のウェルに送達/供給することを可能にする。いくつかの例において、ロボットシステム20は、例えば、その後の使用のために電子デバイスおよび/またはチップを所望の場所に配置するため、マルチウェル構造(例えば、上部マルチウェル構造810および/または下部マルチウェル構造815)を対応するチップと結合または分離等するために、本開示の電子デバイスおよび/またはチップを操作することができる。
【0106】
実施形態において、ロボットシステム20は、コントローラ12から受信した命令に応答して自動的に調整可能な顕微鏡等の他の構成要素を付加的または代替的に含むことができる。実施形態において、このような顕微鏡はTERS顕微鏡である。
【0107】
実施形態において、コントローラ12は、電子ナノデバイスおよび/またはチップ25との間で電気信号および/または光信号を送受信することができる。例えば、コントローラは、上記電子ナノデバイスおよび/またはチップ25に関連する電極の電気化学析出をフィードバック制御するための信号を送受信することが可能であってもよく、追加的または代替的に、電子ナノデバイス/チップ25の一部として含まれる任意の数の電子ナノデバイスに対応する個々の分子の転位および/またはマウンティング/リンキングイベントに関連するデータを取得することが可能であってもよい。例えば、コントローラ12は、単一分子の転位/リンキング/マウンティングイベントに関連するイオンコンダクタンスおよび/またはトンネルコンダクタンスに対応するデータを取得することができる。光信号の場合、ロボットシステム20は、いくつかの実施形態において、ロボットシステムに関連する顕微鏡によって光学データを収集し、さらなる処理のためにデータをコントローラ12に送信するように構成され得ることが理解されよう。
【0108】
したがって、概して、コントローラ12は、ロボットシステム20との間で情報(例えば、電気信号)を送受信するように構成されてよく、ロボットシステム20は、コントローラ12との間で、および/または電子ナノデバイス/チップ25との間で情報を送受信することが可能であり、電子ナノデバイス/チップ25は、ロボットシステム20との間で、および/またはコントローラ12との間で情報を送受信することが可能であってよい。これは、矢印910によって例示的に示されている。
【0109】
本開示のいくつかの実施形態において、平面基板に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバであって、上部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの下部において封止され、電子デバイスの上部に第1開放ウィンドウを含み、下部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの上部において封止され、電子デバイスの下部に第2開放ウィンドウを含む、上部流体チャネル/チャンバと、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネル/チャンバとの間の電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極と、第1電極と第2電極との間の距離によって部分的に画定される寸法を有するナノギャップであって、ナノギャップは、分子が上部流体チャネル/チャンバから下部流体チャネル/チャンバへ、および/または、下部流体チャネル/チャンバから上部流体チャネル/チャンバへ移動するための単一経路を有し、距離は約1~100nmの間であり、ナノギャップは、自己整合されており、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネルとの間の単一経路において最も狭いボトルネックを有する、ナノギャップと、を含む電子デバイスが提供される。
【0110】
いくつかの実施形態において、距離は、第1電極および第2電極が、上部流体チャネル/チャンバおよび/または下部流体チャネル/チャンバ内で1つまたは複数の金属材料を用いてフィードバック制御下で電気化学的に析出され、それによって単一経路が形成されることにより画定される。
【0111】
いくつかの実施形態において、平面基板は透明基板である。
【0112】
いくつかの実施形態において、透明基板はガラスまたは石英である。
【0113】
いくつかの実施形態において、平面基板は非透明基板である。
【0114】
いくつかの実施形態において、平面基板は、SiO2および/またはSi3N4で被覆されたシリコンである。
【0115】
いくつかの実施形態において、第1電極および第2電極は、金、パラジウム、白金、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の金属もしくは合金、またはそれらの組み合わせで形成される。
【0116】
いくつかの実施形態において、第1電極および第2電極が配置される空間は、1つまたは複数の誘電体層によって少なくとも部分的に形成される。
【0117】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の誘電体層は、HfO2、ZrO2、SiO2、Si3N4、またはそれらの組み合わせである。
【0118】
いくつかの実施形態において、電子デバイスは、封止のための追加のポリマー誘電体層をさらに含む。
【0119】
いくつかの実施形態において、追加のポリマー誘電体層は、SU-8ポリマーおよびパリレンのうちの1つまたは複数を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、追加のポリマー誘電体層の有無にかかわらず、1つまたは複数の誘電体層は、約100nm乃至約100μmである。
【0121】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の金属材料は、Ni、Co、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである。
【0122】
いくつかの実施形態において、フィードバック制御下で1つまたは複数の金属材料で電気化学的に析出される第1および第2電極は、50ms以下のパルス幅およびパルス間の約500ms乃至2秒の休止期間を有するパルス電気化学析出工程をさらに含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、分子はDNAである。
【0124】
本開示のいくつかの実施形態において、1つまたは複数の分子から電子的および/または光学的特性を測定する方法が提供され、この方法は、電子デバイスを用いて、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、およびナノギャップを通る第1電極と第2電極との間のトンネル電流を相関させることによって、1つまたは複数の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを検出することと、1つまたは複数の分子の少なくとも1つの電気的および/または光学的特性評価を実行することと、を含む。
【0125】
いくつかの実施形態において、平面基板は透明基板であり、電気的および/または光学的特性評価を実行することは、1つまたは複数の分子のうちの少なくとも1つの動的構造を特性評価するために、透明基板を通してチップ増強ラマン分光法を実行することによってラマン分光法を実行することを含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、電気的および/または光学的特性評価を実行することは、1つまたは複数の分子のうちの少なくとも1つに対応する配列を決定することを含む。
【0127】
本開示のいくつかの実施形態において、1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップが提供され、当該チップは複数の電子デバイスを含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、複数の電子デバイスの数は、2~1000の間である。
【0129】
いくつかの実施形態において、複数の電子デバイスの数は、1000~10000の間である。
【0130】
いくつかの実施形態において、複数の電子デバイスの数は10,000より大きい。
【0131】
いくつかの実施形態において、複数の電子デバイスは、所定の数の異なるグループに分割される。
【0132】
いくつかの実施形態において、チップは、チップに結合された1つまたは複数のマルチウェル構造をさらに含み、1つまたは複数のマルチウェル構造の個々のウェルは、所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する。
【0133】
いくつかの実施形態において、チップは、所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する電子デバイスから信号を収集するための1つまたは複数のマルチプレクサをさらに含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のマルチウェル構造は、複数の電子デバイスのそれぞれの上部流体チャネル/チャンバに試料を提供するためにチップの上部側に結合する第1マルチウェル構造と、および/または、それぞれの試料内の分析物の下部流体チャネル/チャンバへの移動後に、上部流体チャネル/チャンバに提供された試料を受け取るためにチップの下部側に結合する第2マルチウェル構造と、をさらに含む。
【0135】
本開示のいくつかの実施形態において、単一分子のハイスループット分析のためのシステムであって、チップと、設定された数の異なるグループのそれぞれに個々の試料を提供することができる流体デバイスと、実行すると、コントローラに、所定の数の異なるグループの1つまたは複数に個々の試料を提供するように流体デバイスに命令させ、個々の試料の提供の後に、上部流体チャネル/チャンバと下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、第1電極と第2電極との間のトンネル電流、および、所定の数の異なるグループのそれぞれの電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータであって、所定の数の異なるグループの電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントに対応するデータを記録させる命令を非一過性メモリに記憶するためのコントローラと、を含むシステムが提供される。
【0136】
本開示のいくつかの実施形態において、ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法が提供され、当該方法は、基板層上に、電気化学析出のための最終キャビティを画定するための第1犠牲層を析出することと、基板層上に、最終キャビティの2つの側面に上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを画定するための第2外側犠牲層を析出することと、第1犠牲層の上部に、約200nm乃至2μmの間隔で一対の電極を配置することと、一対の電極、第1犠牲層、第2外側犠牲層、および基材層の上部にパッシベーション層を堆積することと、ドライエッチング工程を実施して、パッシベーション層の一部を除去し、基材層の下部側から基材層の一部を除去し、それぞれ、上部流体チャネル/チャンバに対応する第2外側犠牲層に第1ウィンドウを提供し、下部流体チャネル/チャンバに対応する第2外側犠牲層に第2ウィンドウを提供することと、を含む。
【0137】
いくつかの実施形態において、本方法は、第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、最終キャビティ、上部流体チャネル/チャンバ、および下部流体チャネル/チャンバを設けることと、ナノポアおよびトンネル接合を形成するために、一対の電極上に金属を制御された電気化学析出工程によって一対の電極間の間隔を狭めることと、をさらに含む。
【0138】
いくつかの実施形態において、第1犠牲層は、クロム、ニッケル、マグネシウム、およびアルミニウムのうちの1つまたは複数を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、第1犠牲層の厚さは1~100nmである。
【0140】
いくつかの実施形態において、第1犠牲層は、約10μm×10μmに相当する寸法である。
【0141】
いくつかの実施形態において、第2外側犠牲層は、アルミニウム、マグネシウム、クロム、およびニッケルのうちの1つまたは複数を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、第2外側犠牲層の厚さは約100~500nmである。
【0143】
いくつかの実施形態において、制御された電着工程は、50ms以下のパルス幅、ならびに、パルス間の約500msから2秒の間の休止期間を含むパルス電気化学析出工程を実施することをさらに含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、パルス幅は1msから5msの間である。
【0145】
いくつかの実施形態において、パルス幅は1μsから500μsの間である。
【0146】
いくつかの実施形態において、一対の電極は、金、白金、パラジウム、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の貴金属もしくは合金を含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、一対の電極間の間隔を狭めるために使用される金属は、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである。
【0148】
いくつかの実施形態において、制御された電着工程によって一対の電極間の間隔を狭めることは、さらに、上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバのうちの一方のみに金属を供給することを含む。
【0149】
いくつかの実施形態において、制御された電着工程によって一対の電極間の間隔を狭めることは、一対の電極の極性の反復的な反転により、一対の電極間の間隔を所定回数繰り返し狭めたり、広げたりすることをさらに含む。
【0150】
いくつかの実施形態において、制御された電着工程によって一対の電極間の間隔を狭めることは、一対の電極間の最終的な間隔を1nm乃至100nmにするために使用される。
【0151】
いくつかの実施形態において、最終的な間隔は1nmから20nmの間である。
【0152】
いくつかの実施形態において、最終的な間隔は1~2nmである。
【0153】
いくつかの実施形態において、パッシベーション層は、それぞれがHfO2、ZrO2、SiO2、およびSi3N4のうちの1つまたは複数を含む、1つまたは複数の誘電体の層を含む。
いくつかの実施形態において、パッシベーション層は、SU-8ポリマー、パリレン、および他のポリマー誘電体のうちの1つまたは複数の追加の層でさらに封止される。
【0154】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明したが、当業者であれば、同じ目的を達成するように計算された多種多様な代替的な、および/または、等価な実施形態または実装を、その範囲から逸脱することなく図示し説明した実施形態に代えることができることを理解されよう。当業者であれば、実施形態が非常に多様な方法で実施され得ることを容易に理解するであろう。本出願は、本明細書で論じた実施形態のあらゆる適応または変形を対象とすることを意図している。したがって、実施形態が特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図されている。
項目
本開示のいくつかの実施形態において、以下の項目に記載されるような特徴を有する。
[項目1]
電子デバイスであって、
平面基板に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバであって、前記上部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの下部において封止され、前記電子デバイスの上部に第1開口ウィンドウを含み、前記下部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの前記上部において封止され、前記電子デバイスの前記下部に第2開口ウィンドウを含む、上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバと、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間の前記電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって部分的に画定される寸法を有するナノギャップであって、前記ナノギャップは、分子が前記上部流体チャネル/チャンバから前記下部流体チャネル/チャンバへ、および/または、前記下部流体チャネル/チャンバから前記上部流体チャネル/チャンバへ移動するための単一の経路を有する、ナノギャップと、
を備え、
前記距離は約1~100nmの間であり、前記ナノギャップは自己整合し、かつ、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネルとの間の前記単一経路において最も狭いボトルネックを有する、
電子デバイス。
[項目2]
前記距離は、前記上部流体チャネル/チャンバおよび/または前記下部流体チャネル/チャンバ内で1つまたは複数の金属材料を用いてフィードバック制御下で電気化学的に析出される前記第1および前記第2電極により画定され、それによって前記単一経路が形成される、項目1に記載の電子デバイス。
[項目3]
前記平面基板は、透明基板である、項目2に記載の電子デバイス。
[項目4]
前記透明基板は、ガラスまたは石英である、項目3に記載の電子デバイス。
[項目5]
前記平面基板は、非透明基板である、項目2に記載の電子デバイス。
[項目6]
前記平面基板は、SiO2および/またはSi3N4で被覆されたシリコンである、項目5に記載の電子デバイス。
[項目7]
前記第1電極および前記第2電極は、金、パラジウム、白金、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の金属もしくは合金、またはそれらの組み合わせで形成される、項目2~6のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目8]
前記第1電極および前記第2電極が配置される前記空間は、少なくとも部分的に1つまたは複数の誘電体層によって形成される、項目2~7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目9]
前記1つまたは複数の誘電体層は、HfO2、ZrO2、SiO2、Si3N4、またはそれらの組み合わせである、項目8に記載の電子デバイス。
[項目10]
封止のための追加のポリマー誘電体層をさらに含む、項目8または項目9に記載の電子デバイス。
[項目11]
前記追加のポリマー誘電体層は、SU-8ポリマーおよびパリレンのうちの1つまたは複数を含む、項目10に記載の電子デバイス。
[項目12]
前記追加のポリマー誘電体層の有無にかかわらず、前記1つまたは複数の誘電体層は、約100nm乃至約100μmである、項目8乃至11のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目13]
前記1つまたは複数の金属材料は、Ni、Co、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、項目2~12のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目14]
フィードバック制御下で前記1つまたは複数の金属材料を用いて電気化学的に析出される前記第1および第2電極は、50ms以下のパルス幅およびパルス間の約500msから2秒の間の休止期間を有するパルス電気化学析出動作をさらに含む、項目13に記載の電子デバイス。
[項目15]
前記分子はDNAである、項目2~14のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目16]
1つまたは複数の分子から電子的および/または光学的特性を測定する方法であって、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、および、前記ナノギャップを介した前記第1電極と第2電極との間のトンネル電流を相関させることによって、前記1つまたは複数の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを、項目2~15のいずれか一項に記載の電子デバイスを用いて検出することと、
前記1つまたは複数の分子のうちの少なくとも1つの電気的および/または光学的特性評価を実行することと、
を含む方法。
[項目17]
前記平面基板が透明基板であり、
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことは、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つの動的構造を特性評価するために、前記透明基板を通してチップ増強ラマン分光法を行うことによってラマン分光法を行うことを含む、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つに対応する配列を決定することを含む、項目16に記載の方法。
[項目19]
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップであって、
複数の前記電子デバイスであって、それぞれが項目2~15のいずれか一項に記載の前記電子デバイスである複数の電子デバイスを備える、チップ。
[項目20]
前記複数の電子デバイスの数は、2~1000の間である、項目19に記載のチップ。
[項目21]
前記複数の電子デバイスの数は、1000~10,000の間である、項目19に記載のチップ。
[項目22]
前記複数の電子デバイスの数は、10,000より大きい、項目19に記載のチップ。
[項目23]
前記複数の電子デバイスは、所定の数の異なるグループに分割される、項目19~22のいずれか一項に記載のチップ。
[項目24]
前記チップに結合された1つまたは複数のマルチウェル構造をさらに備え、前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する前記1つまたは複数のマルチウェル構造の個々のウェルを有する、項目23に記載のチップ。
[項目25]
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する電子デバイスから信号を収集するための1つまたは複数のマルチプレクサをさらに備える、項目23~24のいずれか一項に記載のチップ。
[項目26]
前記1つまたは複数のマルチウェル構造は、
前記複数の電子デバイスのそれぞれの前記上部流体チャネル/チャンバに試料を供給するために前記チップの上部側に結合された第1マルチウェル構造、および/または、
前記試料のそれぞれの分析物の前記下部流体チャネル/チャンバへの移動後に、前記上部流体チャネル/チャンバに供給された前記試料を受け取るために、前記チップの下部側に結合された第2マルチウェル構造体、
を備える、項目23~25のいずれか一項に記載のチップ。
[項目27]
単一分子のハイスループット分析システムであって、
項目23~26のいずれか一項に記載の前記チップと、
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに個々の試料を送達することができる流体デバイスと、
コントローラであって、実行されたときに、前記コントローラに、
前記所定の数の異なるグループのうちの1つまたは複数に個々の試料を供給するように、前記流体デバイスに指示することと、
個々の試料の供給の後に、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、前記第1電極と前記第2電極との間のトンネル電流、および、前記所定の数の異なるグループの各電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータを記録することであって、前記データは、前記所定の数の異なるグループの前記電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントに対応する、記録することと、
を実行させる命令を非一過性メモリに記憶するためのコントローラと、
を含むシステム。
[項目28]
ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法であって、
基板層上に、電気化学析出のための最終キャビティを画定するための第1犠牲層を析出させることと、
前記基板層上に、前記最終キャビティの2つの側面に上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを画定するための第2外側犠牲層を析出させることと、
前記第1犠牲層の上部に、約200nm乃至2μmの間隔で一対の電極を配置することと、
前記1対の電極、前記第1犠牲層、前記第2外側犠牲層、および前記基板層の上部にパッシベーション層を堆積することと、
ドライエッチング工程を実施して、前記パッシベーション層の一部を除去し、前記基板層の下部側から前記基板層の一部を除去することにより、前記上部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第1ウィンドウを設け、前記下部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第2ウィンドウを設けることと、
を含む、方法。
[項目29]
前記第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、前記最終キャビティ、前記上部流体チャネル/チャンバ、および前記下部流体チャネル/チャンバを設けることと、
前記ナノポアおよび前記トンネル接合を形成するために、前記一対の電極上への金属の制御された電気化学析出工程によって、前記一対の電極間の前記間隔を狭めることと、
をさらに含む、項目28に記載の方法。
[項目30]
前記第1犠牲層は、クロム、ニッケル、マグネシウム、およびアルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、項目29に記載の方法。
[項目31]
前記第1犠牲層は、1~100nmの間の厚さである、項目28~30のいずれか一項に記載の方法。
[項目32]
前記第1犠牲層は、約10μm×10μmに相当する寸法である、項目28~31のいずれか一項に記載の方法。
[項目33]
前記第2外側犠牲層は、アルミニウム、マグネシウム、クロム、およびニッケルのうちの1つまたは複数を含む、項目28~32のいずれか一項に記載の方法。
[項目34]
前記第2外側犠牲層は、厚さが約100~500nmである、項目28~33のいずれか一項に記載の方法。
[項目35]
前記制御された電着工程は、
50ms以下のパルス幅、およびパルス間の約500msと2秒との間の休止期間を含むパルス電気化学析出工程を実施することをさらに含む、
項目29~34のいずれか一項に記載の方法。
[項目36]
前記パルス幅は、1msから5msの間である、項目35に記載の方法。
[項目37]
前記パルス幅は、1μsから500μsの間である、項目35に記載の方法。
[項目38]
前記一対の電極は、金、白金、パラジウム、または、トップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の貴金属もしくは合金を含む、項目28~37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]
前記一対の電極間の前記間隔を狭めるために使用される前記金属は、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、項目28~38のいずれか一項に記載の方法。
[項目40]
前記制御された電着工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記上部流体チャネル/チャンバおよび前記下部流体チャネル/チャンバのうちの一方のみに前記金属を供給することをさらに含む、項目29~39のいずれか一項に記載の方法。
[項目41]
前記制御された電着工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記一対の電極に印加される電気化学電位の極性の反復的な反転によって、前記一対の電極間の前記間隔を所定の回数繰り返し狭めたり、広げたりすることをさらに含む、項目29~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目42]
前記制御された電着工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、前記一対の電極間の最終的な間隔を1nm乃至100nmにするために使用される、項目29~41のいずれか一項に記載の方法。
[項目43]
前記最終的な間隔は、1nmから20nmの間である、項目42に記載の方法。
[項目44]
前記最終的な間隔は、1~2nmの間である、項目43に記載の方法。
[項目45]
前記パッシベーション層は、それぞれがHfO2、ZrO2、SiO2、およびSi3N4のうちの1つまたは複数を含む、1つまたは複数の誘電体層を含む、項目28~44のいずれか一項に記載の方法。
[項目46]
前記パッシベーション層は、SU-8ポリマー、パリレン、および他のポリマー誘電体のうちの1つまたは複数の追加の層でさらに封止される、項目45に記載の方法。
[項目47]
前記デバイスは、本明細書中の明細書および図に実質的に開示および記載されているように、調整可能な金属ナノギャップ間で分子を送達し、前記調整可能な金属ナノギャップ間で分子をリンキングし、および/または単一分子の検出を可能にする電気的および光学的特性を測定するためのものである、デバイス、該デバイスを含むシステム、前記デバイスを製造する方法、前記システムを製造する方法、前記デバイスを使用する方法、または前記システムを使用する方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0154】
本明細書では特定の実施形態を図示し説明したが、当業者であれば、同じ目的を達成するように計算された多種多様な代替的な、および/または、等価な実施形態または実装を、その範囲から逸脱することなく図示し説明した実施形態に代えることができることを理解されよう。当業者であれば、実施形態が非常に多様な方法で実施され得ることを容易に理解するであろう。本出願は、本明細書で論じた実施形態のあらゆる適応または変形を対象とすることを意図している。したがって、実施形態が特許請求の範囲およびその均等物によってのみ限定されることが明白に意図されている。
項目
本開示のいくつかの実施形態において、以下の項目に記載されるような特徴を有する。
[項目1]
電子デバイスであって、
平面基板に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバであって、前記上部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの下部において封止され、前記電子デバイスの上部に第1開口ウィンドウを含み、前記下部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの前記上部において封止され、前記電子デバイスの前記下部に第2開口ウィンドウを含む、上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバと、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間の前記電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって部分的に画定される寸法を有するナノギャップであって、前記ナノギャップは、分子が前記上部流体チャネル/チャンバから前記下部流体チャネル/チャンバへ、および/または、前記下部流体チャネル/チャンバから前記上部流体チャネル/チャンバへ移動するための単一の経路を有する、ナノギャップと、
を備え、
前記距離は約1~100nmの間であり、前記ナノギャップは自己整合し、かつ、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネルとの間の前記単一経路において最も狭いボトルネックを有する、
電子デバイス。
[項目2]
前記距離は、前記上部流体チャネル/チャンバおよび/または前記下部流体チャネル/チャンバ内で1つまたは複数の金属材料を用いてフィードバック制御下で電気化学的に析出される前記第1および前記第2電極により画定され、それによって前記単一経路が形成される、項目1に記載の電子デバイス。
[項目3]
前記平面基板は、透明基板である、項目2に記載の電子デバイス。
[項目4]
前記透明基板は、ガラスまたは石英である、項目3に記載の電子デバイス。
[項目5]
前記平面基板は、非透明基板である、項目2に記載の電子デバイス。
[項目6]
前記平面基板は、SiO2および/またはSi3N4で被覆されたシリコンである、項目5に記載の電子デバイス。
[項目7]
前記第1電極および前記第2電極は、金、パラジウム、白金、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の金属もしくは合金、またはそれらの組み合わせで形成される、項目2~6のいずれか一項に記載のデバイス。
[項目8]
前記第1電極および前記第2電極が配置される前記空間は、少なくとも部分的に1つまたは複数の誘電体層によって形成される、項目2~7のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目9]
前記1つまたは複数の誘電体層は、HfO2、ZrO2、SiO2、Si3N4、またはそれらの組み合わせである、項目8に記載の電子デバイス。
[項目10]
封止のための追加のポリマー誘電体層をさらに含む、項目8または項目9に記載の電子デバイス。
[項目11]
前記追加のポリマー誘電体層は、SU-8ポリマーおよびパリレンのうちの1つまたは複数を含む、項目10に記載の電子デバイス。
[項目12]
前記追加のポリマー誘電体層の有無にかかわらず、前記1つまたは複数の誘電体層は、約100nm乃至約100μmである、項目8乃至11のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目13]
前記1つまたは複数の金属材料は、Ni、Co、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、項目2~12のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目14]
フィードバック制御下で前記1つまたは複数の金属材料を用いて電気化学的に析出される前記第1および第2電極は、50ms以下のパルス幅およびパルス間の約500msから2秒の間の休止期間を有するパルス電気化学析出動作をさらに含む、項目13に記載の電子デバイス。
[項目15]
前記分子はDNAである、項目2~14のいずれか一項に記載の電子デバイス。
[項目16]
1つまたは複数の分子から電子的および/または光学的特性を測定する方法であって、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、および、前記ナノギャップを介した前記第1電極と第2電極との間のトンネル電流を相関させることによって、前記1つまたは複数の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを、項目2~15のいずれか一項に記載の電子デバイスを用いて検出することと、
前記1つまたは複数の分子のうちの少なくとも1つの電気的および/または光学的特性評価を実行することと、
を含む方法。
[項目17]
前記平面基板が透明基板であり、
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことは、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つの動的構造を特性評価するために、前記透明基板を通してチップ増強ラマン分光法を行うことによってラマン分光法を行うことを含む、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つに対応する配列を決定することを含む、項目16に記載の方法。
[項目19]
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップであって、
複数の前記電子デバイスであって、それぞれが項目2~15のいずれか一項に記載の前記電子デバイスである複数の電子デバイスを備える、チップ。
[項目20]
前記複数の電子デバイスの数は、2~1000の間である、項目19に記載のチップ。
[項目21]
前記複数の電子デバイスの数は、1000~10,000の間である、項目19に記載のチップ。
[項目22]
前記複数の電子デバイスの数は、10,000より大きい、項目19に記載のチップ。
[項目23]
前記複数の電子デバイスは、所定の数の異なるグループに分割される、項目19~22のいずれか一項に記載のチップ。
[項目24]
前記チップに結合された1つまたは複数のマルチウェル構造をさらに備え、前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する前記1つまたは複数のマルチウェル構造の個々のウェルを有する、項目23に記載のチップ。
[項目25]
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する電子デバイスから信号を収集するための1つまたは複数のマルチプレクサをさらに備える、項目23~24のいずれか一項に記載のチップ。
[項目26]
前記1つまたは複数のマルチウェル構造は、
前記複数の電子デバイスのそれぞれの前記上部流体チャネル/チャンバに試料を供給するために前記チップの上部側に結合された第1マルチウェル構造、および/または、
前記試料のそれぞれの分析物の前記下部流体チャネル/チャンバへの移動後に、前記上部流体チャネル/チャンバに供給された前記試料を受け取るために、前記チップの下部側に結合された第2マルチウェル構造体、
を備える、項目23~25のいずれか一項に記載のチップ。
[項目27]
単一分子のハイスループット分析システムであって、
項目23~26のいずれか一項に記載の前記チップと、
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに個々の試料を送達することができる流体デバイスと、
コントローラであって、実行されたときに、前記コントローラに、
前記所定の数の異なるグループのうちの1つまたは複数に個々の試料を供給するように、前記流体デバイスに指示することと、
個々の試料の供給の後に、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、前記第1電極と前記第2電極との間のトンネル電流、および、前記所定の数の異なるグループの各電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータを記録することであって、前記データは、前記所定の数の異なるグループの前記電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントに対応する、記録することと、
を実行させる命令を非一過性メモリに記憶するためのコントローラと、
を含むシステム。
[項目28]
ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法であって、
基板層上に、電気化学析出のための最終キャビティを画定するための第1犠牲層を析出させることと、
前記基板層上に、前記最終キャビティの2つの側面に上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを画定するための第2外側犠牲層を析出させることと、
前記第1犠牲層の上部に、約200nm乃至2μmの間隔で一対の電極を配置することと、
前記1対の電極、前記第1犠牲層、前記第2外側犠牲層、および前記基板層の上部にパッシベーション層を堆積することと、
ドライエッチング工程を実施して、前記パッシベーション層の一部を除去し、前記基板層の下部側から前記基板層の一部を除去することにより、前記上部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第1ウィンドウを設け、前記下部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第2ウィンドウを設けることと、
を含む、方法。
[項目29]
前記第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、前記最終キャビティ、前記上部流体チャネル/チャンバ、および前記下部流体チャネル/チャンバを設けることと、
前記ナノポアおよび前記トンネル接合を形成するために、前記一対の電極上への金属の制御された電気化学析出工程によって、前記一対の電極間の前記間隔を狭めることと、
をさらに含む、項目28に記載の方法。
[項目30]
前記第1犠牲層は、クロム、ニッケル、マグネシウム、およびアルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、項目29に記載の方法。
[項目31]
前記第1犠牲層は、1~100nmの間の厚さである、項目28~30のいずれか一項に記載の方法。
[項目32]
前記第1犠牲層は、約10μm×10μmに相当する寸法である、項目28~31のいずれか一項に記載の方法。
[項目33]
前記第2外側犠牲層は、アルミニウム、マグネシウム、クロム、およびニッケルのうちの1つまたは複数を含む、項目28~32のいずれか一項に記載の方法。
[項目34]
前記第2外側犠牲層は、厚さが約100~500nmである、項目28~33のいずれか一項に記載の方法。
[項目35]
前記制御された電着工程は、
50ms以下のパルス幅、およびパルス間の約500msと2秒との間の休止期間を含むパルス電気化学析出工程を実施することをさらに含む、
項目29~34のいずれか一項に記載の方法。
[項目36]
前記パルス幅は、1msから5msの間である、項目35に記載の方法。
[項目37]
前記パルス幅は、1μsから500μsの間である、項目35に記載の方法。
[項目38]
前記一対の電極は、金、白金、パラジウム、または、トップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の貴金属もしくは合金を含む、項目28~37のいずれか一項に記載の方法。
[項目39]
前記一対の電極間の前記間隔を狭めるために使用される前記金属は、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、項目28~38のいずれか一項に記載の方法。
[項目40]
前記制御された電着工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記上部流体チャネル/チャンバおよび前記下部流体チャネル/チャンバのうちの一方のみに前記金属を供給することをさらに含む、項目29~39のいずれか一項に記載の方法。
[項目41]
前記制御された電着工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記一対の電極に印加される電気化学電位の極性の反復的な反転によって、前記一対の電極間の前記間隔を所定の回数繰り返し狭めたり、広げたりすることをさらに含む、項目29~40のいずれか一項に記載の方法。
[項目42]
前記制御された電着工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、前記一対の電極間の最終的な間隔を1nm乃至100nmにするために使用される、項目29~41のいずれか一項に記載の方法。
[項目43]
前記最終的な間隔は、1nmから20nmの間である、項目42に記載の方法。
[項目44]
前記最終的な間隔は、1~2nmの間である、項目43に記載の方法。
[項目45]
前記パッシベーション層は、それぞれがHfO2、ZrO2、SiO2、およびSi3N4のうちの1つまたは複数を含む、1つまたは複数の誘電体層を含む、項目28~44のいずれか一項に記載の方法。
[項目46]
前記パッシベーション層は、SU-8ポリマー、パリレン、および他のポリマー誘電体のうちの1つまたは複数の追加の層でさらに封止される、項目45に記載の方法。
[項目47]
前記デバイスは、本明細書中の明細書および図に実質的に開示および記載されているように、調整可能な金属ナノギャップ間で分子を送達し、前記調整可能な金属ナノギャップ間で分子をリンキングし、および/または単一分子の検出を可能にする電気的および光学的特性を測定するためのものである、デバイス、該デバイスを含むシステム、前記デバイスを製造する方法、前記システムを製造する方法、前記デバイスを使用する方法、または前記システムを使用する方法。
[構成1]
平面基板に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバであって、前記上部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの下部において封止され、前記電子デバイスの上部に第1開口ウィンドウを含み、前記下部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの前記上部において封止され、前記電子デバイスの前記下部に第2開口ウィンドウを含む、上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバと、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間の前記電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって部分的に画定される寸法を有するナノギャップであって、前記ナノギャップは、分子が前記上部流体チャネル/チャンバから前記下部流体チャネル/チャンバへ、および/または前記下部流体チャネル/チャンバから前記上部流体チャネル/チャンバへ移動するための単一経路を有する、ナノギャップと、を含み、
前記距離は約1~100nmの間であり、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネルとの間の前記単一経路において最も狭いボトルネックを有する、
電子デバイス。
[構成2]
前記距離は、前記第1電極および前記第2電極が、前記上部流体チャネル/チャンバおよび/または前記下部流体チャネル/チャンバ内で1つまたは複数の金属材料を用いてフィードバック制御下で電気化学的に析出され、それにより前記単一経路が形成されることにより画定される、構成1に記載の電子デバイス。
[構成3]
前記平面基板は、透明基板である、構成2に記載の電子デバイス。
[構成4]
前記透明基板は、ガラスまたは石英である、構成3に記載の電子デバイス。
[構成5]
前記平面基板は、非透明基板である、構成2に記載の電子デバイス。
[構成6]
前記平面基板は、SiO
2
および/またはSi
3
N
4
で被覆されたシリコンである、構成5に記載の電子デバイス。
[構成7]
前記第1電極および前記第2電極は、金、パラジウム、白金、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の貴金属もしくは合金、またはそれらの組み合わせで形成される、構成2に記載の電子デバイス。
[構成8]
前記第1電極および前記第2電極が配置される空間は、少なくとも部分的に1つまたは複数の誘電体層によって形成される、構成2に記載の電子デバイス。
[構成9]
前記1つまたは複数の誘電体層は、HfO
2
、ZrO
2
、SiO
2
、Si
3
N
4
、またはそれらの組み合わせである、構成8に記載の電子デバイス。
[構成10]
封止のための追加のポリマー誘電体層をさらに備える、構成8に記載の電子デバイス。
[構成11]
前記追加のポリマー誘電体層は、SU-8ポリマーおよびパリレンのうちの1つまたは複数を含む、構成10に記載の電子デバイス。
[構成12]
前記追加のポリマー誘電体層の有無にかかわらず、前記1つまたは複数の誘電体層は、約100nm乃至約100μmである、構成11に記載の電子デバイス。
[構成13]
前記1つまたは複数の金属材料は、Ni、Co、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、構成2に記載の電子デバイス。
[構成14]
フィードバック制御下で前記1つまたは複数の金属材料を用いて電気化学的に析出される前記第1および第2電極は、パルス幅が50ms以下であり、パルス間の休止期間が約500msから2秒の間であるパルス電気化学析出工程をさらに含む、構成13に記載の電子デバイス。
[構成15]
前記分子はDNAである、構成2に記載の電子デバイス。
[構成16]
前記ナノギャップは、自己整合している、構成1に記載の電子デバイス。
[構成17]
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定する方法であって、
構成1~16のいずれか一項に記載の前記電子デバイスを用いて、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、および前記ナノギャップを介した前記第1および第2電極の間のトンネル電流を相関させることにより、前記1つまたは複数の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを検出することと、
前記1つまたは複数の分子の少なくとも1つの電気的および/または光学的特性評価を実行することと、
を含む方法。
[構成18]
前記平面基板が透明基板であり、
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つの動的構造を特性評価するために、前記透明基板を通してチップ増強ラマン分光法を行うことによってラマン分光法を実行することを含む、
構成17に記載の方法。
[構成19]
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つに対応する配列を決定することを含む、構成17に記載の方法。
[構成20]
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップであって、
それぞれが構成1~16のいずれか一項に記載の前記電子デバイスである複数の電子デバイスを含む、
チップ。
[構成21]
前記複数の電子デバイスの数は、2~1000個である、構成20に記載のチップ。
[構成22]
前記複数の電子デバイスの数は、1000~10,000である、構成20に記載のチップ。
[構成23]
前記複数の電子デバイスの数は、10,000より大きい、構成20に記載のチップ。
[構成24]
前記複数の電子デバイスは、所定の数の異なるグループに分割されている、構成20に記載のチップ。
[構成25]
前記チップに結合された1つまたは複数のマルチウェル構造をさらに含み、前記1つまたは複数のマルチウェル構造の個々のウェルが、前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する、構成24に記載のチップ。
[構成26]
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する電子デバイスから信号を収集するための1つまたは複数のマルチプレクサをさらに備える、構成24に記載のチップ。
[構成27]
前記1つまたは複数のマルチウェル構造は、前記複数の電子デバイスのそれぞれの上部流体チャネル/チャンバに試料を供給するために、前記チップの上部側に結合する第1マルチウェル構造、および/または、
前記試料のそれぞれの中の分析物が前記下部流体チャネル/チャンバに移動した後に、前記上部流体チャネル/チャンバに供給された前記試料を受け取るために、前記チップの下部側に結合する第2マルチウェル構造体、
を含む、構成25に記載のチップ。
[構成28]
単一分子のハイスループット分析システムであって、
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに個々の試料を供給することが可能な流体デバイスと、
実行されたときに、コントローラに、
前記所定の数の異なるグループの1つまたは複数に個々の試料を供給するように、前記流体デバイスに指示し、
個々の試料の前記供給の後に、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、前記第1電極と前記第2電極との間のトンネル電流、および、前記所定の数の異なるグループのそれぞれの電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータを記録し、前記データは、前記所定の数の異なるグループの前記電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントに対応する、
ことを実行させる命令を非一過性メモリに記憶するためのコントローラと、
を備える、構成24に記載のチップ。
[構成29]
ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法であって、
基板層上に、電気化学析出のための最終キャビティを画定するための第1犠牲層を析出することと、
前記基板層上に、前記最終キャビティの2つの側面に上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを画定するための第2外側犠牲層を析出することと、
前記第1犠牲層の上部に、約200nm乃至2μmの間隔で一対の電極を配置することと、
前記一対の電極、前記第1犠牲層、前記第2外側犠牲層、および前記基材層の上部にパッシベーション層を堆積することと、
ドライエッチングプロセスを実施して、前記パッシベーション層の一部を除去し、前記基材層の下部側から前記基材層の一部を除去し、それによって、それぞれ、前記上部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第1ウィンドウを設け、前記下部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第2ウィンドウを設けることと、
を含む、方法。
[構成30]
前記第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、前記最終キャビティ、前記上部流体チャネル/チャンバ、および、前記下部流体チャネル/チャンバを設けることと、
前記ナノポアおよび前記トンネル接合を形成するために、前記一対の電極上に金属の制御された電気化学析出工程によって、前記一対の電極間の前記間隔を狭めることと、
をさらに含む、構成29に記載の方法。
[構成31]
前記第1犠牲層は、クロム、ニッケル、マグネシウム、および、アルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、構成30に記載の方法。
[構成32]
前記第1犠牲層は、1~100nmの間の厚さである、構成29に記載の方法。
[構成33]
前記第1犠牲層は、約10μm×10μmに相当する寸法である、構成29に記載の方法。
[構成34]
前記第2外側犠牲層は、アルミニウム、マグネシウム、クロム、および、ニッケルのうちの1つまたは複数を含む、構成29に記載の方法。
[構成35]
前記第2外側犠牲層は、厚さが約100~500nmである、構成29に記載の方法。
[構成36]
前記制御された電気化学析出工程は、
パルス幅が50ms以下であり、パルス間の休止期間が約500ms乃至2秒であるパルス電気化学析出工程を実施することをさらに含む、
構成30~35のいずれか一項に記載の方法。
[構成37]
前記パルス幅は、1msから5msの間である、構成36に記載の方法。
[構成38]
前記パルス幅は、1μsから500μsの間である、構成36に記載の方法。
[構成39]
前記一対の電極は、金、白金、パラジウム、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の金属もしくは合金を含む、構成29~35、37および38のいずれか一項に記載の方法。
[構成40]
前記一対の電極間の間隔を狭めるために使用される前記金属は、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、構成29~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
[構成41]
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記金属を、前記上部流体チャネル/チャンバおよび前記下部流体チャネル/チャンバのうちの一方のみに供給することをさらに含む、
構成30~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
[構成42]
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記一対の電極に印加される電気化学電位の極性の反復的な反転により、前記一対の電極間の前記間隔を所定の回数繰り返し狭めたり、広げたりすることをさらに含む、
構成30~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
[構成43]
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、前記一対の電極間の最終的な間隔を1nm乃至100nmにするために使用される、構成30~35、37および38のいずれか一項に記載の方法。
[構成44]
前記最終的な間隔は、1nmから20nmの間である、構成43に記載の方法。
[構成45]
前記最終的な間隔は1~2nmである、構成44に記載の方法。
[構成46]
前記パッシベーション層は、それぞれが、HfO
2
、ZrO
2
、SiO
2
、およびSi
3
N
4
のうちの1つまたは複数を含む誘電体の1つまたは複数の層を含む、構成29~35、37、38、44、および45のいずれか一項に記載の方法。
[構成47]
前記パッシベーション層は、SU-8ポリマー、パリレン、および、他のポリマー誘電体のうちの1つまたは複数の追加の層でさらに封止される、構成46に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面基板に作製された上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバであって、前記上部流体チャネル/チャンバは、電子デバイスの下部において封止され、前記電子デバイスの上部に第1開口ウィンドウを含み、前記下部流体チャネル/チャンバは、前記電子デバイスの前記上部において封止され、前記電子デバイスの前記下部に第2開口ウィンドウを含む、上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバと、
前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間の前記電子デバイスの空間に配置された第1電極および第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって部分的に画定される寸法を有するナノギャップであって、前記ナノギャップは、分子が前記上部流体チャネル/チャンバから前記下部流体チャネル/チャンバへ、および/または前記下部流体チャネル/チャンバから前記上部流体チャネル/チャンバへ移動するための単一経路を有する、ナノギャップと、を含み、
前記距離は約1~100nmの間であり、
前記ナノギャップは、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネルとの間の前記単一経路において最も狭いボトルネックを有する、
電子デバイス。
【請求項2】
前記距離は、前記第1電極および前記第2電極が、前記上部流体チャネル/チャンバおよび/または前記下部流体チャネル/チャンバ内で1つまたは複数の金属材料を用いてフィードバック制御下で電気化学的に析出され、それにより前記単一経路が形成されることにより画定される、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記平面基板は、透明基板である、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記透明基板は、ガラスまたは石英である、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記平面基板は、非透明基板である、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記平面基板は、SiO
2および/またはSi
3N
4で被覆されたシリコンである、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記第1電極および前記第2電極は、金、パラジウム、白金、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の貴金属もしくは合金、またはそれらの組み合わせで形成される、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第1電極および前記第2電極が配置される空間は、少なくとも部分的に1つまたは複数の誘電体層によって形成される、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記1つまたは複数の誘電体層は、HfO
2、ZrO
2、SiO
2、Si
3N
4、またはそれらの組み合わせである、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
封止のための追加のポリマー誘電体層をさらに備える、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記追加のポリマー誘電体層は、SU-8ポリマーおよびパリレンのうちの1つまたは複数を含む、請求項10に記載の電子デバイス。
【請求項12】
前記追加のポリマー誘電体層の有無にかかわらず、前記1つまたは複数の誘電体層は、約100nm乃至約100μmである、請求項11に記載の電子デバイス。
【請求項13】
前記1つまたは複数の金属材料は、Ni、Co、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項14】
フィードバック制御下で前記1つまたは複数の金属材料を用いて電気化学的に析出される前記第1および第2電極は、パルス幅が50ms以下であり、パルス間の休止期間が約500msから2秒の間であるパルス電気化学析出工程をさらに含む、請求項13に記載の電子デバイス。
【請求項15】
前記分子はDNAである、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項16】
前記ナノギャップは、自己整合している、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項17】
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定する方法であって、
請求項1~16のいずれか一項に記載の前記電子デバイスを用いて、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、および前記ナノギャップを介した前記第1および第2電極の間のトンネル電流を相関させることにより、前記1つまたは複数の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントを検出することと、
前記1つまたは複数の分子の少なくとも1つの電気的および/または光学的特性評価を実行することと、
を含む方法。
【請求項18】
前記平面基板が透明基板であり、
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つの動的構造を特性評価するために、前記透明基板を通してチップ増強ラマン分光法を行うことによってラマン分光法を実行することを含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記電気的および/または光学的特性評価を行うことが、前記1つまたは複数の分子のうちの前記少なくとも1つに対応する配列を決定することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
1つまたは複数の分子から電気的および/または光学的特性を測定するためのチップであって、
それぞれが請求項1~16のいずれか一項に記載の前記電子デバイスである複数の電子デバイスを含む、
チップ。
【請求項21】
前記複数の電子デバイスの数は、2~1000個である、請求項20に記載のチップ。
【請求項22】
前記複数の電子デバイスの数は、1000~10,000である、請求項20に記載のチップ。
【請求項23】
前記複数の電子デバイスの数は、10,000より大きい、請求項20に記載のチップ。
【請求項24】
前記複数の電子デバイスは、所定の数の異なるグループに分割されている、請求項20に記載のチップ。
【請求項25】
前記チップに結合された1つまたは複数のマルチウェル構造をさらに含み、前記1つまたは複数のマルチウェル構造の個々のウェルが、前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する、請求項24に記載のチップ。
【請求項26】
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに対応する電子デバイスから信号を収集するための1つまたは複数のマルチプレクサをさらに備える、請求項24に記載のチップ。
【請求項27】
前記1つまたは複数のマルチウェル構造は、前記複数の電子デバイスのそれぞれの上部流体チャネル/チャンバに試料を供給するために、前記チップの上部側に結合する第1マルチウェル構造、および/または、
前記試料のそれぞれの中の分析物が前記下部流体チャネル/チャンバに移動した後に、前記上部流体チャネル/チャンバに供給された前記試料を受け取るために、前記チップの下部側に結合する第2マルチウェル構造体、
を含む、請求項25に記載のチップ。
【請求項28】
単一分子のハイスループット分析システムであって、
前記所定の数の異なるグループのそれぞれに個々の試料を供給することが可能な流体デバイスと、
実行されたときに、コントローラに、
前記所定の数の異なるグループの1つまたは複数に個々の試料を供給するように、前記流体デバイスに指示し、
個々の試料の前記供給の後に、前記上部流体チャネル/チャンバと前記下部流体チャネル/チャンバとの間のイオン電流、前記第1電極と前記第2電極との間のトンネル電流、および、前記所定の数の異なるグループのそれぞれの電子デバイスからの光信号のうちの1つまたは複数を含むデータを記録し、前記データは、前記所定の数の異なるグループの前記電子デバイス内での個々の分子の個々のマウンティングおよび/または転位イベントに対応する、
ことを実行させる命令を非一過性メモリに記憶するためのコントローラと、
を備える、請求項24に記載のチップ。
【請求項29】
ナノポアおよびトンネル接合を含む電子デバイスを製造する方法であって、
基板層上に、電気化学析出のための最終キャビティを画定するための第1犠牲層を析出することと、
前記基板層上に、前記最終キャビティの2つの側面に上部流体チャネル/チャンバおよび下部流体チャネル/チャンバを画定するための第2外側犠牲層を析出することと、
前記第1犠牲層の上部に、約200nm乃至2μmの間隔で一対の電極を配置することと、
前記一対の電極、前記第1犠牲層、前記第2外側犠牲層、および前記基材層の上部にパッシベーション層を堆積することと、
ドライエッチングプロセスを実施して、前記パッシベーション層の一部を除去し、前記基材層の下部側から前記基材層の一部を除去し、それによって、それぞれ、前記上部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第1ウィンドウを設け、前記下部流体チャネル/チャンバに対応する前記第2外側犠牲層に第2ウィンドウを設けることと、
を含む、方法。
【請求項30】
前記第1および第2犠牲層を化学的にエッチングして、前記最終キャビティ、前記上部流体チャネル/チャンバ、および、前記下部流体チャネル/チャンバを設けることと、
前記ナノポアおよび前記トンネル接合を形成するために、前記一対の電極上に金属の制御された電気化学析出工程によって、前記一対の電極間の前記間隔を狭めることと、
をさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1犠牲層は、クロム、ニッケル、マグネシウム、および、アルミニウムのうちの1つまたは複数を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第1犠牲層は、1~100nmの間の厚さである、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記第1犠牲層は、約10μm×10μmに相当する寸法である、請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記第2外側犠牲層は、アルミニウム、マグネシウム、クロム、および、ニッケルのうちの1つまたは複数を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項35】
前記第2外側犠牲層は、厚さが約100~500nmである、請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記制御された電気化学析出工程は、
パルス幅が50ms以下であり、パルス間の休止期間が約500ms乃至2秒であるパルス電気化学析出工程を実施することをさらに含む、
請求項30~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記パルス幅は、1msから5msの間である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記パルス幅は、1μsから500μsの間である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記一対の電極は、金、白金、パラジウム、またはトップダウンリソグラフィおよび電気化学析出に適合する他の金属もしくは合金を含む、請求項29~35、37および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記一対の電極間の間隔を狭めるために使用される前記金属は、ニッケル、コバルト、金、パラジウム、白金、イリジウム、それらの合金、またはそれらの組み合わせである、請求項29~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記金属を、前記上部流体チャネル/チャンバおよび前記下部流体チャネル/チャンバのうちの一方のみに供給することをさらに含む、
請求項30~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、
前記一対の電極に印加される電気化学電位の極性の反復的な反転により、前記一対の電極間の前記間隔を所定の回数繰り返し狭めたり、広げたりすることをさらに含む、
請求項30~35、37、および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記制御された電気化学析出工程によって前記一対の電極間の前記間隔を狭めることは、前記一対の電極間の最終的な間隔を1nm乃至100nmにするために使用される、請求項30~35、37および38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記最終的な間隔は、1nmから20nmの間である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記最終的な間隔は1~2nmである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記パッシベーション層は、それぞれが、HfO
2、ZrO
2、SiO
2、およびSi
3N
4のうちの1つまたは複数を含む誘電体の1つまたは複数の層を含む、請求項29~35、37、38、44、および45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記パッシベーション層は、SU-8ポリマー、パリレン、および、他のポリマー誘電体のうちの1つまたは複数の追加の層でさらに封止される、請求項46に記載の方法。
【国際調査報告】