(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】シクロオクテン及びその抱合体の調製方法
(51)【国際特許分類】
C07C 269/04 20060101AFI20240403BHJP
A61K 47/60 20170101ALI20240403BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240403BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240403BHJP
C07C 271/34 20060101ALI20240403BHJP
C07C 51/42 20060101ALI20240403BHJP
C07C 62/32 20060101ALI20240403BHJP
C07B 57/00 20060101ALI20240403BHJP
C07C 51/15 20060101ALI20240403BHJP
C07C 61/26 20060101ALI20240403BHJP
C07C 51/367 20060101ALI20240403BHJP
C07K 5/103 20060101ALN20240403BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20240403BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
C07C269/04
A61K47/60 ZNA
A61K47/68
A61K39/395 L
C07C271/34
C07C51/42
C07C62/32
C07B57/00 346
C07C51/15
C07C61/26
C07C51/367
C07K5/103
C07K16/46
C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557178
(86)(22)【出願日】2022-03-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-23
(86)【国際出願番号】 NL2022050142
(87)【国際公開番号】W WO2022197182
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549372
【氏名又は名称】タグワークス ファーマシューティカルス ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】テン ホーブ,ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】ロビラート,マルク ステファン
(72)【発明者】
【氏名】フェレール,カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ラウレンス ヘンリ ヨハン
(72)【発明者】
【氏名】フルステーヘン,ロニー マチュー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4H006
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C076FF70
4C085AA27
4C085BB11
4C085BB31
4C085EE01
4H006AA02
4H006AA03
4H006AB20
4H006AB84
4H006AC56
4H006AD00
4H006AD30
4H006BB21
4H006BB25
4H006BJ20
4H006BN20
4H006BS20
4H006RA18
4H006RB04
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA13
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
4H045FA40
4H045FA50
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、シクロオクテン及びその抱合体を調製する為の改善された方法に関する。特に、位置選択的に修飾すること及び/又はエナンチオマー的に富化された化合物の為の方法が開示される。加えて、これらの方法によって調製された化合物が同様に開示さる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(3)に従う化合物を位置選択的に修飾する方法であって、該方法が、
前記式(3)に従う化合物又はその塩を、アミン、好ましくは第1級アミン又は第2級アミン、を含む化合物と接触させること
の工程を含み、
ここで、該式(3)は、
【化1】
であり、R
1は活性エステルであり、及びR
2は活性カーボネートである、
前記方法。
【請求項2】
前記アミンが第2級アミンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アミンを含む化合物が、モノメチルオーリスタチンEである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(3)の前記化合物が、下記の式(3a)の化合物として若しくは下記の式(3b)の化合物として又はそれらの混合物、好ましくはラセミ混合物、として用意される、
【化2】
【化3】
請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
R
1が、-C(O)O-N-スクシンイミジル、-C(O)O-ペンタフルオロフェニル、-C(O)O-テトラフルオロフェニル、-C(O)O-4-ニトロフェニル、及び-C(O)Clからなる群から選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
R
2が、-OC(O)O-N-スクシンイミジル、-OC(O)O-ペンタフルオロフェニル、-OC(O)O-テトラフルオロフェニル、-OC(O)O-4-ニトロフェニル、及び-OC(O)Clからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
R
1が-C(O)O-N-スクシンイミジルであり、及びR
2が-OC(O)O-N-スクシンイミジルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
R
1が-C(O)O-ペンタフルオロフェニルであり、及びR
2が-OC(O)O-ペンタフルオロフェニルである、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記位置選択的に修飾することが、室温以下の温度、好ましくは-80℃~10℃、より好ましくは-40℃~5℃、更により好ましくは-20℃~0℃、最も好ましくは-15℃~-5℃、で実行される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、
a)前記式(3)に従う化合物又はその塩を溶解して、溶液を形成すること;及び、
b)前記溶液を、アミン、好ましくは第1級アミン又は第2級アミン、を含む化合物と接触させること
の工程を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
下記の化合物4をエナンチオマー分割する方法であって、
【化4】
該方法が、
(a)化合物4の1以上の立体異性体を含む組成物をキラル塩基と接触させて、化合物4のキラル塩を用意すること;そして、好ましくは、該組成物を冷やすこと;
(b)工程(a)において得られた化合物4の前記キラル塩を単離すること;及び、
(c)工程(b)において得られた化合物4の前記単離されたキラル塩を加水分解すること
の工程を含み、
ここで、前記キラル塩基が、L-バリノール、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、及び(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールからなる群から選択される、
前記方法。
【請求項12】
前記キラル塩基が、(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール又は(R)-(+)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
下記の化合物3を調製する方法であって、
【化5】
前記方法が、
a)下記の化合物2及び好適な溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン、を用意して、反応混合物を形成すること;
【化6】
b)前記反応混合物をマグネシウムと接触させて、グリニャール試薬を形成すること;並びに、
c)前記反応混合物をCO
2と、好ましくはCO
2をバブリングすることによって、接触させること
の工程を含む、前記方法。
【請求項14】
下記の化合物4を調製する方法であって、
【化7】
前記方法が、
a)強い非求核塩基、好ましくはジイソプロピルアミン及びn-ブチルリチウム、及び好適な溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン、を用意して、反応混合物を形成すること;
b)下記の化合物3を前記反応混合物と接触させること;
【化8】
c)前記反応混合物を乾燥空気と、好ましくは乾燥空気をバブリングすることによって、接触させること;並びに、
d)水氷、及び任意的に亜硫酸ナトリウム、を前記反応混合物と接触させること
の工程を含む、前記方法。
【請求項15】
下記からなる群から選択される化合物、及びそれらの医薬的に許容される塩、それらの互変異性体、及びそれらの溶媒和物:
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
ここで、nは0よりも大きく且つ4以下であり、好ましくは2~4の値、より好ましくは3~4の値、更に好ましくは3.5~4の値であり、最も好ましくはnは4である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される発明は、シクロオクテン及びその抱合体を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生体直交化学(bioorthogonal chemistry)の技術分野において、シクロオクテンが広く使用されている。生体直交化学の為に好適なシクロオクテンの合成経路の例は、国際公開第WO2020256546号及び国際公開第WO2019212357号によって提供されており、それらの開示は参照によってその全体が本明細書内に組み込まれる。
【0003】
しかしながら、該合成は面倒である可能性がある。例えば、生体直交化学において使用されるシクロオクテンの合成は典型的には、多数の工程を含む。加えて、所望により異なる立体異性体を調製及び/又は単離することは困難である。その上、幾つかの工程において位置選択的反応を行うことが望まれるが、それは必ずしも容易に利用可能でない。
【0004】
本発明の目的は、これらの問題の1以上を克服するシクロオクテンの合成方法を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1A】
図1Aは、化合物6Aの決定された絶対配置を図示する。
【
図1B】
図1Bは、サンプル6Aの構造の非対称単位において存在する2つの独立した分子を示すORTEPプロット表現(50%)を図示する。
【
図1C】
図1Cは、化合物6Aの構造を示すORTEPプロット表現(50%)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、広義には、本明細書において開示された方法によって、上記された要望のうちの1以上が満たされるという判断的洞察に基づく。
【0007】
1つの観点において、本発明は、下記の式(3)に従う化合物を位置選択的に修飾する方法であって、該方法が、
前記式(3)に従う化合物又はその塩を、アミン、好ましくは第1級アミン又は第2級アミン、を含む化合物と接触させること
の工程を含み、
ここで、該式(3)は、
【化1】
であり、R
1は活性エステルであり、及びR
2は活性カーボネートである、
上記方法に関する。
【0008】
理論的に拘束されることを望むものでないが、本発明者等は、位置R1及び位置R2との間の反応性における相対的に小さな差にもかかわらず、本発明の方法により、一般的に位置R2で、上記式(3)の化合物の位置選択的な修飾を結果として生じることを見出した。
【0009】
好ましくは、上記式(3)に従う化合物を位置選択的に修飾する方法は、
a)前記式(3)に従う化合物又はその塩を溶解して、溶液を形成すること;及び、
b)前記溶液を、アミン、好ましくは第1級アミン又は第2級アミン、を含む化合物と接触させること
の工程を含む。
【0010】
好ましくは、アミンを含む前記化合物は第2級アミンを含む。第2級アミンが典型的には第1級アミンよりも立体障害が大きく、このことが意外にも、より位置選択的な反応をもたらすことを本発明者等が見出した故に、第2級アミンを含む化合物が好ましい。アミンを含む化合物が第2級アミンを含む場合、前記化合物は第1級アミンを含まないことが好ましい。より好ましくは、前記化合物は、1以上の第2級アミン以外の他の求核基を含んでおらず、好ましくは5以下の第2級アミン、より好ましくは3以下の第2級アミン、最も好ましくは1以下の第2級アミンを含む。「他の求核基」は例えば、チオレート基である。
【0011】
他の好ましい実施態様において、アミンを含む化合物は第1級アミンである。
【0012】
アミンを含む好ましい化合物は、タンパク質及びペプチドであり、なぜならば典型的には、これらの化合物中の第1級アミンは、ある程度まで立体的に障害があるからである。
【0013】
好ましくは、アミンを含む前記化合物は、薬物又はタンパク質、例えば抗体、である。好ましくは、アミンを含む前記化合物は、モノメチルオーリスタチンEである。好ましくは、化合物14は、本明細書において開示されているように、そのエナンチオマー的に富化された形14-EI及び14-EIIのいずれかで用意される。
【0014】
好ましくは、上記式(3)の前記化合物は、下記の式(3a)の化合物として若しくは下記の式(3b)の化合物として又はそれらの混合物、好ましくはラセミ混合物、として用意される。
【化2】
【化3】
【0015】
合成を容易にする為、上記式(3)の化合物は、上記式(3a)に従う化合物と上記式(3b)に従う化合物との混合物、好ましくはラセミ混合物、として用意される。
【0016】
上記式(3)、上記式(3a)及び上記式(3b)のいずれか1つに従う化合物の場合、R1は好ましくは、-C(O)O-N-スクシンイミジル、-C(O)O-ペンタフルオロフェニル、-C(O)O-テトラフルオロフェニル、-C(O)O-4-ニトロフェニル、及び-C(O)Clからなる群から選択される。より好ましくは、R1は、-OC(O)O-N-スクシンイミジル、又は-OC(O)O-ペンタフルオロフェニルである。本発明者等は、最良の結果がこれらの活性エステルで得られることを見出した。
【0017】
上記式(3)、上記式(3a)及び上記式(3b)のいずれか1つに従う化合物の場合、R2は好ましくは、-OC(O)O-N-スクシンイミジル、-OC(O)O-ペンタフルオロフェニル、-OC(O)O-テトラフルオロフェニル、-OC(O)O-4-ニトロフェニル、及び-OC(O)Clからなる群から選択される。より好ましくは、R1は、-OC(O)O-N-スクシンイミジル、又は-OC(O)O-ペンタフルオロフェニルである。本発明者等は、最良の結果がこれらの活性カーボネートで得られることを見出した。
【0018】
好ましい実施態様において、R1及びR2の脱離基は同じであり、例えば、両方とも-O-N-スクシンイミジルであるか、又は両方とも-O-ペンタフルオロフェニルである。前記脱離基が同じである場合に、上記式(3)の化合物を調製することが容易である故に、これらの実施態様が好ましい。それ故に、好ましい実施態様において、R1は、-C(O)O-N-スクシンイミジルであり、R2は、-OC(O)O-N-スクシンイミジルである。他の好ましい実施態様において、R1は-C(O)O-ペンタフルオロフェニルであり、及びR2は-OC(O)O-ペンタフルオロフェニルである。
【0019】
好ましくは、前記式(3)に従う化合物及びアミンを含む前記化合物が、0.5:1~2:1、好ましくは0.6:1~1.5:1、より好ましくは0.75:1~1:1、最も好ましくは化学量論的量、すなわち約1:1、のモル比で接触される。
【0020】
特に、アミンを含む前記化合物が第2級アミンを含む化合物である場合に、反応の温度は重要ではない。便宜上、該位置選択的に修飾することはその場合に、好ましくは室温以上で、好ましくは10℃~40℃で、より好ましくは15℃~30℃で、最も好ましくは20℃~25℃で、実施される。
【0021】
他の好ましい実施態様において、該位置選択的に修飾することは、室温未満の温度、好ましくは-80℃~10℃、より好ましくは-40℃~5℃、さらに好ましくは-20℃~0℃、最も好ましくは-15℃~-5℃、で行われる。これらの温度は、アミンを含む前記化合物が第1級アミンを含む化合物である場合に特に好ましい。その場合、本発明者等は、最良の結果が室温未満の温度で得られると考えている。
【0022】
好ましくは、上記式(3)に従う化合物を位置選択的に修飾する方法は、上記式(3)に従う前記化合物又はその塩を、アミンを含む化合物、及び溶媒と接触させる工程を含む。3つの成分が接触される順序は一般的に重要でないが、本発明者等は、上記式(3)に従う化合物をまず溶媒に溶解し、その後、該溶液がアミンを含む前記化合物と接触されると最良の結果が得られると考えている。より好ましくは、アミンを含む前記化合物が、上記式(3)に従う化合物を含む溶液に添加される。
【0023】
上記式(3)に従う化合物を位置選択的に修飾する方法において、前記化合物は、原則として、任意の好適な溶媒中に溶解されることができる。当業者は、例えば、前記化合物を溶媒と接触させることによって、好適な溶媒を容易に選択することができる。好ましくは、該溶媒は有機溶媒であり、より好ましくは、該溶媒はアセトニトリルである。
【0024】
上記式(3)の化合物をアミンを含む前記化合物及び溶媒と接触させることに応じて、結果として得られた溶液は典型的には、例えば攪拌することによって混合される。反応時間は、反応速度、特に上記式(3)の化合物中の位置R1における反応速度とR2における反応速度との差に応じて変化しうる。当業者は、分析方法、例えばHPLC-MS及び/又はNMR、を用いて反応をモニターすることによって、所望の反応時間を決定する方法を良く知っている。典型的には、反応時間は1時間未満、好ましくは30分未満、より好ましくは15分未満、最も好ましくは10分未満、である。一般的には、該反応時間は少なくとも1分である。該反応は、標準的な技術、例えば、希釈、分離、冷却、及びそれらの組み合わせ、を用いてクエンチされることができる。反応の主生成物、すなわち位置選択的に修飾された化合物、は、当業者に知られている標準的な有機化学技術を用いて単離されることができる。
【0025】
好ましくは、上記式(3)に従う化合物を位置選択的に修飾する方法は、化合物14を位置選択的に修飾する方法であって、前記方法が、
a)化合物14又はその塩を溶解して、溶液を生成すること;
b)前記溶液を、アミン、好ましくは第1級アミン又は第2級アミン、を含む化合物と接触させること
の工程を含み、
ここで、化合物14は、本明細書において開示される14-EI及び14-EIIのラセミ混合物として、又は本明細書において開示されるエナンチオマー的に富化された形14-EI及び14-EIIの一方として用意される、
上記方法を提供する。
【0026】
別の観点において、本発明は、生体直交化学的に切断可能な抗体薬剤抱合体(bioorthogonally cleavable antibody drug conjugates)の調製方法を提供する。
【0027】
別の観点において、本発明は、下記の化合物4のエナンチオマー分割の方法であって、
【化4】
該方法は、
(a)化合物4の1以上の立体異性体を含む組成物をキラル塩基と接触させて、化合物4のキラル塩を用意すること;そして、好ましくは、該組成物を冷やすこと;
(b)工程(a)において得られた化合物4の前記キラル塩を単離すること;及び、
(c)工程(b)において得られた化合物4の前記単離されたキラル塩を加水分解すること
の工程を含み、
ここで、前記キラル塩基が、L-バリノール、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン、(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール、及び(R)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールからなる群から選択される、
【0028】
驚くべきことに、これらのキラル塩基は良好な分割を提供する。しかしながら、最良の結果は、(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール又は(R)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールを使用したときに得られる。それ故に、好ましくは、該キラル塩基は、(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールである。他の好ましい実施態様において、該キラル塩基は、(R)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールである。
【0029】
好ましくは、化合物4のエナンチオマー分割の為の方法の工程(a)において、前記組成物及び前記キラル塩基が、溶媒、好ましくは有機溶媒、と接触される。当業者は、好適な溶媒を選択することを良く知っている。特に好ましい溶媒はテトラヒドロフランである。好ましくは、該溶媒は室温以上の温度、例えば25℃~70℃の温度を有する。
【0030】
好ましくは、懸濁物が工程(a)において形成される。この懸濁物は典型的には、1.5~3.5時間撹拌され、濾過され、そして、残った固体が溶媒、一般的にはテトラヒドロフラン、で洗われる。その後、該固体が再び溶媒、典型的にはテトラヒドロフラン、と混合され、そして、懸濁物が高められた温度で、典型的には45℃~80℃で、好ましくは55℃~70℃で、1~2時間撹拌される。次に、該懸濁物が典型的に、室温に到達しながら、更に1~3時間撹拌される。
【0031】
化合物4のエナンチオマー分割の為の方法の工程(b)におけるキラル塩を単離することは、標準的な技術、例えば濾過、を用いて行われることができる。その後、所望により、残った固体が、溶媒、典型的にはテトラヒドロフラン、で洗われることができる。
【0032】
キラル塩を加水分解することは典型的には、該単離されたキラル塩を、典型的には溶液中にある強塩基、例えば水酸化ナトリウム、及び溶媒、好ましくは有機溶媒、より好ましくはトルエン、と接触させることによって行われる。結果として得られた混合物を典型的には1~3時間撹拌した後、tert-ブチルメチルエーテル(TBME:tert-butyl methyl ether)が、良好な分離を得る為に加えられる。次に、結果として得られた層が分離されることができ、そして、上層が水溶液で抽出されることができる。次に、一緒にされた水性層が典型的にはTBMEと強酸、一般的には塩酸、と接触される。次に、該水性層が典型的には、TBMEを用いて更に抽出されて、化合物4の単離された立体異性体を得る。
【0033】
また、本明細書において、式1の化合物、又はその塩若しくは水和物を調製するプロセスが用意され、該式1の化合物は、イン・ビトロ(in vitro)及び/又はイン・ビボ(in vivo)で高反応性テトラジンモチーフによる高いクリック放出速度及びクリック放出収率を与える官能化されたトランス-シクロオクテンを含み、ここで、該トランス-シクロオクテンは、ラセミ又はエナンチオマー的に富化された下記のE
I又はE
IIである。
【化5】
【0034】
加えて、本発明は、下記の化合物3を調製する方法であって、
【化6】
該方法が、
a)下記の化合物2及び好適な溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン、を用意して、反応混合物を形成すること;
【化7】
b)前記反応混合物をマグネシウムと接触させて、グリニャール試薬を形成すること;並びに、
c)前記反応混合物をCO2と、好ましくはCO
2をバブリングすることによって、接触させること
の工程を含む上記の方法に関する。
【0035】
加えて、本発明は、下記の化合物4を調製する方法であって、
【化8】
前記方法が、
a)強い非求核塩基、好ましくはジイソプロピルアミン及びn-ブチルリチウム、及び好適な溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン、を用意して、反応混合物を形成すること;
b)下記の化合物3を前記反応混合物と接触させること;
【化9】
c)前記反応混合物を乾燥空気と、好ましくは乾燥空気をバブリングすることによって、接触させること;並びに、
d)水氷、及び任意的に亜硫酸ナトリウム、を前記反応混合物と接触させること
の工程を含む上記の方法に関する。
【0036】
化合物3及び化合物4の調製法は、既知の方法よりも合成経路が短いという利点を有する。
【0037】
別の観点において、本発明は、ラセミ又はエナンチオマー的に富化された下記の化合物13の調製の為の改善された方法を提供する。
【化10】
【0038】
別の観点において、本発明は、ラセミ又はエナンチオマー的に富化された下記の化合物14の調製、又はラセミ又はエナンチオマー的に富化された下記の化合物18の調製の為の改善された方法を提供する。
【化11】
【0039】
定義
【0040】
本発明が特定の実施態様に関して、或る図面を参照して更に記載されるが、本発明はこれに限定されるものでなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲における如何なる参照符号も、その範囲を限定するものと解釈してはならない。記載された図面は概略的なものに過ぎず、非限定的なものである。該図面において、幾つかの要素の大きさは誇張されている場合があり、例示目的の為に縮尺通りに描かれていない場合がある。不定冠詞又は定冠詞は、単数形の名詞、例えば、「1つ」(a)、「1つ」(an)、「該」(the)、に言及する際に使用される場合、特に断りがない限り、その名詞の複数形も含む。
【0041】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される動詞「~を含む」及びその活用形は、単語の後に続く項目が含まれるが、具体的に言及されていない項目が除外されないことを意味する非限定的な意味において使用される。
【0042】
加えて、不定冠詞「1つ」(a)、「1つ」(an)による要素への言及は、文脈上、要素が1つだけであることが明確に要求されない限り、その要素が2以上存在する可能性を排除するものでない。従って、不定冠詞「1つ」(a)又は「1つ」(an)は通常「、少なくとも一つ」を意味する。
【0043】
従って、表現「手段A及びBを備えている装置」の範囲は、構成要素A及びBのみからなる装置に限定されるべきではない。それは、本発明に関して、該装置の関連構成要素がA及びBのみであることを意味する。
【0044】
本明細書及び特許請求の範囲において開示された化合物は、1以上の不斉中心を含んでいてもよく、並びに該化合物には、異なるジアステレオマー及び/又はエナンチオマーが存在してもよい。本明細書及び特許請求の範囲における化合物の説明は、特に断らない限り、全てのジアステレオマー及びそれらの混合物を含むことを意味する。従って、本明細書において特定の立体異性体が示されている場合に、該化合物はこの特定の立体異性体に限定されることが理解されるであろう。
【0045】
加えて、本明細書及び特許請求の範囲における化合物の記載は、特に断らない限り、夫々のエナンチオマー、並びにエナンチオマーのラセミ体又はそれ以外の混合物の両方を含むことを意味する。化合物の構造が特定のエナンチオマーとして図示されている場合、特に断りのない限り、本出願の発明はその特定のエナンチオマーに限定されないことが理解されるべきである。
【0046】
明確にする為に、化合物が、EI又はEII(例えば、4-EI)のエナンチオマーA又はエナンチオマーB(例えば、本明細書において化合物4B)として本明細書においてラベル付けされる場合に、該化合物はその特定のエナンチオマーに限定される。同様に、或る化合物が、アキシアル異性体としてラベル付けされている場合に、その化合物はエカトリアル異性体を含まない。
【0047】
本明細書において使用される場合に、語「エナンチオマー的に富化された」(enantiomerically enriched)は、エナンチオマー比が50:50よりも大きいキラル物質の組成物を言及する。或る実施態様において、エナンチオマー的に富化された組成物は、約30%よりも大きい、約40%よりも大きい、約50%よりも大きい、約60%よりも大きい、約70%よりも大きい、約80%よりも大きい、約90%よりも大きい、約95%よりも大きい、約97%よりも大きい、約99%よりも大きい、又は約30%、若しくは約40%、若しくは約50%、若しくは約60%、若しくは約70%、若しくは約80%、若しくは約90%、若しくは約95%、若しくは約97%、若しくは約98%、若しくは約99%の%eeを有する。
【0048】
該化合物は異なる互変異性型で存在しうる。本発明に従う化合物は、特に断らない限り、全ての互変異性体を含むことを意味する。化合物の構造が特定の互変異性体として図示されている場合、特に断らない限り、本出願の発明はその特定の互変異性体に限定されないことを理解されたい。
【0049】
本明細書及び特許請求の範囲において開示されている化合物は、エキソジアステレオマー及びエンドジアステレオマーとして更に存在しうる。特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲における化合物の説明は、化合物の個々のエキソ及び個々のエンドジアステレオマー、ならびにそれらの混合物の両方を含むことを意味する。化合物の構造が特定のエンド又はエキソのジアステレオマーとして描かれている場合、別段の記載がない限り、本出願の発明はその特定のエンドジアステレオマー又はエキソジアステレオマーに限定されないことを理解されたい。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲において開示された化合物は、アンチジアステレオマー及びシンジアステレオマーとして更に存在しうる。特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲における任意の化合物の説明は、化合物の夫々のアンチジアステレオマー及び夫々のシンジアステレオマー、並びにそれらの混合物の両方を含むことを意味する。化合物の構造が特定のシンジアステレオマー又はアンチジアステレオマーとして図示されている場合、特に断らない限り、本出願の発明はその特定のシンジアステレオマー又はアンチジアステレオマーに限定されないことを理解されたい。
【0051】
特に断らない限り、本発明の化合物及び/又はその基は、プロトン化されていてもよく又は脱プロトン化されていてもよい。化合物が、反対の符号であってもよい複数の電荷を有しうることが理解されるであろう。例えば、アミンとカルボン酸とを含む化合物において、該アミンがプロトン化されていてもよく、同時にカルボン酸が脱プロトン化される。
【0052】
幾つかの式において、基又は置換基は、文字、例えば、「A」、「B」、「X」、「Y」、及び様々な(番号付けされた)「R」基、を参照して示されている。加えて、繰り返し単位の数は、文字、例えば-(CH2)n-におけるn、で示されうる。これらの文字の定義は、各式を参照して読み取られるべきであり、すなわち、異なる式において、これらの文字は、別段の指示がない限り、それぞれ独立して、異なる意味を持ちうる。
【0053】
語「その塩」は、酸性プロトン、典型的には酸のプロトン、が、カチオン、例えば金属カチオン又は有機カチオン、によって置換されたときに形成される化合物を意味する。語「その塩」はまた、アミンがプロトン化されたときに形成される化合物を意味する。該当する場合、該塩は医薬的に許容される塩であるが、これは患者への投与を意図されていない塩については必須でない。例えば、該化合物の塩において、該化合物が、無機酸又は有機酸によってプロトン化されて、無機酸又は有機酸の共役塩基を塩のアニオン成分として、カチオンを形成してもよい。
【0054】
語「医薬的に許容される」塩は、患者、例えば哺乳動物、への投与が許容される塩(所与の投与計画の為の許容される哺乳動物安全性を有する対イオンを有する塩)を意味する。そのような塩は、医薬的に許容される、無機塩又は有機塩基、及び薬学的に許容される無機酸又は有機酸から誘導されうる。
【0055】
「医薬的に許容される塩」は、化合物の医薬的に許容される塩を言及し、ここで、その塩は、当技術分野において知られている様々な有機及び無機の対イオンから誘導され、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム等を包含し、及び、該分子が塩基性官能基を含む場合には、有機酸又は無機酸の塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩等を包含する。
【0056】
命名法の選択に依存して、TCOジエノフィルはまたE-シクロオクテンと表記される場合があることが留意されるべきである。慣用的な命名法を参照すると、シクロオクテン環上の置換の結果として、置換基の位置及び分子量に依存して、同じシクロオクテン異性体が、形式的にZ異性体と表記される場合があることが理解されるであろう。本発明において、形式的に「E」若しくは「Z」異性体、又は「シス」若しくは「トランス」異性体であるか否かにかかわらず、本発明の任意の置換された変異体は、未置換のトランス-シクロオクテン、又は未置換のE-シクロオクテンの誘導体とみなされる。語「トランス-シクロオクテン」(TCO)並びにE-シクロオクテンは、互換的に使用され、及び置換基が形式的に反対の命名法を必要とする場合においても、本発明に従う全てのジエノフィルについて維持される。すなわち、本発明は、上記の式2において以下の番号で示されている炭素原子1及び6がE(entgegen)、すなわちトランス位、にあるシクロオクテンに関する。
【0057】
【0058】
上記TCOは、該TCO上の置換基、例えばR48、のエカトリアル位置とアキシアル位置を含む複数の異性体から構成されていてもよい。この点に関して、Whitham et al.J.Chem.Soc.(C),1971,883-896が参照され、それは、それぞれ(1RS,2RS)及び(1SR,2RS)として同定されるトランス-シクロ-オクト-2-エン-オールのエカトリアル異性体及びアキシアル異性体の合成と及び特性評価を記載する。これらの異性体において、OH置換基はエカトリアル又はアキシアルの位置にある。好ましい実施態様において、R48がアキシアル又はエカトリアルの位置にあることができるTCO構造の場合に、R48はアキシアルの位置にある。
【0059】
以下の文章において、アキシアル異性体又はエカトリアル異性体が言及される場合、これはアリル性水酸基又はその誘導体(すなわちR48)のアキシアル又はエカトリアルの位置に関する。
【0060】
本明細書において使用されるR48は、国際公開第WO2020256546号、特に請求項1及びその第46頁において定義されている通りである。本明細書において使用されているR47は、国際公開第WO2020256546号、特に請求項1及びその第63~65頁で定義されている通りである。本明細書において使用されている構築物A又はCAは、国際公開第WO2020256546号、特にその第75~77頁及び第232~234頁で定義されている通りである。本明細書において使用されている構築物B又はCBは、国際公開第WO2020256546号、特にその第75~77頁及び第232~234頁において定義されている通りである。
【0061】
以下において、本発明が下記の非限定的な実施例を参照して説明されている。
【0062】
実施例
【0063】
実施例1:材料及び方法
【0064】
別段の指示がない限り、全ての試薬、化学物質、材料、及び溶媒は商業的供給源から入手され、そして、そのまま使用された。
【0065】
NMRの化学シフトは、25℃でのTMSからのダウンフィールドppmで報告されている。スプリッティングパターンの為に使用された略号は、s=シングレット(singlet)、t=トリプレット(triplet)、q=カルテット(quartet)、m=マルチプレット(multiplet)、br=ブロード(broad)である。逆相(RP:Reverse phase)中圧液体カラムクロマトグラフィーは、Biotage Isolera One MPLCシステム上で、GracePure C18 RPカラム(40グラム)を用い、及び溶離液として、アセトニトリル/水混合溶媒(0.1v/v%ギ酸を含有)を用いて行われた。HPLC-MS/PDAは、ダイオードアレイ検出器(島津SPD-M20A prominence)とイオントラップ(LCQ Fleet,Thermo Scientific)MS検出器とに接続された島津LC-20 AD XRシリーズHPLC、並びにPhenomenex Kinetex 5μm EVO C18カラムを用い、注入量1~5μL、流速0.3mL/分、及び典型的にはH2O中のアセトニトリル(いずれも0.1v/v%ギ酸を含有)のグラジエント(5分間で5%~100%、100%で1分間保持)を20℃で行われた。分取RP-HPLC(アセトニトリル/H2O,0.1v/v%ギ酸を含有)が、Phenomenex Gemini 5μ C18 110Aカラム上で、2台の島津LC-8Aポンプと島津SPD-10AV VP UV可視検出器とに接続された島津SCL-10A VPを用いて行われた。サイズ排除クロマトグラフィー(SEC:Size exclusion chromatography)が、Superdex 200カラムを備えられたAktaシステム上で行われた。HPLC-QTOF-MS解析が、Sample ManagerとXevo G2四重極-飛行時間型(QTOF:Quadrupole Time of Flight)検出器を備えられたWaters Acquity UPLCシステム上で、Zsprayロックスプレーイオン化を適用して行われた。Mass Lynx v4.1ソフトウェアが使用された。SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE:SDS polyacrylamide gel electrophoresis)が、4~15%のプレキャストMini-PROTEAN TGXゲルとPrecision Plus Protein All Blue Prestained protein standards(Bio-Rad)を用いて、Mini-PROTEAN Tetra Cellシステム上で行われた。TLCプレート及びSDS-PAGEゲル上の放射能分布が、AIDAソフトウェアを用いて、Typhoon FLA 7000 phosphor imager(GE Healthcare Life Science)でモニターされた。
【0066】
実施例2:ビス-NHS TCO 14の合成
【0067】
【0068】
スキーム1.ラセミ体ビス-NHS TCO 14への合成経路。エナンチオマーが描かれている場合は、描かれていないもう一方のエナンチオマーがまた含まれる。
【0069】
化合物2
【0070】
酢酸(3.64mol)中の臭化水素33%(893.7g)が氷中で冷却された。シクロオクタジエン(548.6g,5.07モル)が磁気撹拌を伴い3~5℃で、90分で加えられた。酢酸中の追加量の350gの33%臭化水素が3~7℃で、1時間で加えられた。混合物が22時間撹拌された。水(400mL)が均一溶液に加えられて、層が分離され(下層が生成物層である)、そして、上層が2x200mLのペンタンで抽出された。該生成物層が200mLの水で撹拌され、そして、84gの炭酸水素ナトリウムが少しずつ加えられた。該層が分離され、そして水層が連続するペンタン層で抽出された。連続する有機層が乾燥され、そして次に、ヘプタンで調製された600gのシリカカラム上に連続的に注がれた。ペンタン(200mL)がカラム上に最初に導入され、そしてその後、連続する生成物画分を導入し、ここで、前の画分が該カラム内に引き込まれたときに該カラム上に各画分が導入された。更に、溶出がヘプタンで行われ、60℃、40mバールで回転蒸発させた後に、890グラムの粗生成物2を得て、それは次の工程においてそのまま使用された。
【0071】
化合物3
【0072】
マグネシウム(66.6g,2.740mol)が、380mLのTHFとともに磁気撹拌された。化合物2(総量491.3g)の10mL分が加えられ、反応が始まったときに、更に800mLのTHFが加えられた。残りの化合物2(320mLのTHF中)が氷浴を用いて冷却されながら、30~48℃で、2時間で加えられた。添加後、更に250mLのTHFが加えられ、THFの総量を1750mLにした。添加後、混合物が1時間で60℃にされ、そして60℃で2時間維持された。次に、黒っぽい溶液(少量のマグネシウムが存在)が冷却され(懸濁物を形成)、そして、二酸化炭素(850gのドライアイス由来)がバブリングされた。温度が徐々に38℃まで上昇し、そして、グリニャール試薬は徐々に溶解した。薄い懸濁物が一晩撹拌された。次に、それは、大きなビーカー内の300gのドライアイス上に注ぎ込まれた。上清がデカントされ、そして。60℃で回転蒸発されて、約850mLのTHFを除去した。水(300mL)をビーカー内の残渣に加えられ、そして、未反応のマグネシウムを除去する為に、混合物が綿毛のプラグ上で濾過された。次に、濾液が蒸発フラスコ内の残渣と一緒にされ、続いて500mLのヘプタンを加えられた。層が分離され、そして上層が3x100mLの水で抽出された。連続する水性層が250mLのヘプタンで抽出された。次に、該水性層が一緒にされて、500mLのトルエンが加えられ、そして、混合物が160mLの37%塩酸で酸性化された。層が分離され、そして下層が400mL、250mL、及び100mLのトルエンで抽出された。乾燥、そして回転蒸発により、酸化合物3を得た。同様の反応において、前の実験の残りの臭化物400gが50℃、高真空下で1時間置かれた後、総収量385.0gの該酸化合物へと変換された(シクロオクタジエンに基づいて2.497mol、49%)。NMRは微量のトルエンを示した。該生成物は、次の工程においてそのまま使用された。
【0073】
有利なことに、化合物2から化合物3への直接変換は、国際公開第WO2020256546号における方法と比較して、1つの反応工程を省略する。
【0074】
化合物4
【0075】
750mLのTHF中の203.0gのジイソプロピルアミン(2.01mol)の溶液が冷やされ、そして、850mLの2.5Nのn-ブチリチウム(2.125mol)が-50~-30℃で、1.5時間で加えられた。該溶液が30分間撹拌され、次に100mLのTHF中の163gの粗生成物である酸化合物3(1.06mol)が-55~-30℃で30分間添加され、続いて50mLのTHFが添加された。該溶液が15分間攪拌され、浴が取り除かれ、そして、該溶液が-5℃まで温められ、次に、それは加熱マントル内に入れられ、そして、1時間で50℃にされた。それは50℃で2時間保持され、次に、氷浴で冷やされた。乾燥空気が3日間を通じてバブリングされ、不安定なゲル状の固体を結果として生じた。体積は約50%減少していた。トルエン(200mL)が加えられ、続いて400gの氷が加えられ、結果として、撹拌可能な懸濁物を生じた。亜硫酸ナトリウム(152g,1.206mol)が5分で少しずつ加えられ、そして、混合物が1.5時間撹拌された。トルエン(200mL)が加えられ、層が分離され、下層は懸濁物であった。該下層が300mLのトルエンで抽出され、そして、連続する上層が2×100mLの水で洗われた。次に、DCM(500mL)が、一緒にされた水性層に加えられ、混合物が氷中で冷やされ、そして、440mLの37%塩酸が15~22℃で少しずつ加えられた。層が分離され、そして水性層が2x250mLのDCMで抽出された。乾燥(陰性過酸化物試験)、60℃での回転蒸発、及び55℃でのクーゲルロール(Kugelrohr)により、164.57gの化合物4(0.967mol,91%)を粘性油として与えた。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ5.83(dt,J=10.9,6.6Hz,1H),5.62(dt,J=10.7,8.4Hz),2.48~2.32(m,2H),2.31~2.09(m,3H),2.05~1.84(m,3H),1.84~1.71(m,1H),1.69~1.45(m,1H)。
【0076】
有利なことには、化合物3から化合物4への直接変換は、国際公開第WO2020256546号における方法と比較して、2つの反応工程を省略する。
【0077】
化合物4の化合物4-E
I
及び4-E
II
へのエナンチオマー分割
【0078】
【0079】
幅広い種類の分割剤が、化合物4の分割の為に小規模(0.015mmol)で様々な溶媒(H2O、MeCN、H2O:EtOH=1:1、EtOH、IPA、MEK、iPrOAc、ジオキサン)においてスクリーニングされたが、それらのほとんどは結晶をもたらさなかったか又は形成された結晶がエナンチオマー純度の実質的な富化をもたらさなかった(下記の表1)。L-バリノール及び(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールの場合のみにおいて、エナンチオマー純度における有意な増加が観察され、そして、これら2つの分割剤が更に大きなスケール(0.5~1gスケール)で検討された。固体の単離後のエナンチオマー分割の程度と収率の最良の組み合わせを与えたスクリーニング条件は、テトラヒドロフラン(THF)中の分割である(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンエタノールであった。この実験において、THF(20mL)中の897mgの酸化合物4(5.27mmol)と1.34gの(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノールとを混合することにより、固体が迅速な形成が結果として生じた。更に2時間攪拌した後、該固体が濾過され、そして、該固体がTHFで洗われた。HPLC解析は、単離された固体につてのエナンチオマー比が72/28であり、濾液中に存在する残りの化合物4のエナンチオマー比が18/82であることを示していた。
【0080】
【0081】
引き続き、該方法は大規模なスケールに適用された:(S)-(-)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール(100.0g,0.395mol)が2Lのフラスコ中で400mLのTHFと共に機械的に撹拌されて、白濁した溶液を与えた。350mLのぬるいTHF中のラセミ酸4化合物(69.89g,0.411mol)が添加された。これにより、懸濁物を急速に結果として生じた。更に250mLのTHFが加えられ、そして、懸濁物が2.5時間撹拌され、ろ過され、そして固体が200mLのTHFで洗われた。固体が1.7LのTHFと混合され、そして、懸濁物が60~65℃で1.5時間機械的に攪拌され、次に、加熱無しに2時間攪拌され、システ次に、16時間放置された。濾過され、そして、300mLのTHFで洗われたことにより、eeが78%の化合物4を含む57.8gの固体が結果として生じ、エナンチオマーA、すなわち化合物4A、と表記された。57.8gの固体が撹拌され、そして、1.5LのTHFを用いて還流下で1時間加熱され、次に、室温で、2時間撹拌され、次に濾過された。固体(ee 95%)が1.1LのTHFと共に60~65℃で45分間加熱され、次に、室温で16時間撹拌された。濾過され、そして100mLのTHFを用いて洗われることにより固体が与えられ、それは1.1LのTHFを用いて2時間加熱され、次に、室温で一晩撹拌された。濾過され、そして100mLのTHFで洗われることにより固体を結果として生じ、それは1.1LのTHFで2時間加熱され、そして次に、室温で16時間撹拌された。濾過され、そして100mLのTHFで表れることにより、化合物4Aを含む29.35gを99% eeで与えた。
【0082】
ジフェニルプロリノール塩からの酸化合物4Aの遊離:
【0083】
29.35g(69.3mmol)の塩が100mLのトルエン及び100mLの1.5N水酸化ナトリウムで2時間撹拌された。TBME(50mL)が加えられて良好な分離を得た。層が分離され、そして、上層が2x25mLの水で抽出された。一緒にされた水層が50mLのTBMEで抽出された。TBME(100mL)が水層に加えられ、続いて、20mLの37%の塩酸が加えられた。層が分離され、そして、上層が15mLの水で洗われた。連続する水層が100mLのTBMEで抽出された。乾燥、そして回転蒸発により、11.70gの化合物4Aを易凝固油として与えた(99% ee,68.7mmol,全収率17%)。
【0084】
同様の様式で、44.68gの回収した酸化合物4(0.262mol;(S)-ジフェニルプロリノールとの分割の濾液から得られた、すなわち、他のエナンチオマーにおいて部分的に富化されている)を用いて、66.2gの(R)-ジフェニル-2-ピロリジンメタノール(0.261mol)及び1.5LのTHFと共に90分間加熱され、次に、室温で2時間撹拌された。懸濁物が濾過され、そして固体が100mLのTHFで洗われた。該固体が1.5LのTHFで穏やかに還流されて、次に、室温で一晩撹拌された。濾過され、そして250mLのTHFで洗われることにより、90% eeの化合物4Bを含む固体を与えた。これは1.5LのTHFで1時間加熱され、次に、室温で一晩撹拌された。濾過され、そして150mLのTHFで洗われることにより固体を与え、それは1.2LのTHFで3時間加熱され、そして次に、室温で一晩撹拌された。濾過され、そしてTHFで洗われることにより、化合物4Bを含む固体33.72gを99% eeで与えた。
【0085】
ジフェニルプロリノール塩からの酸化合物4Bの遊離:
【0086】
33.72gの塩が200mLのTBME、19mLの30%水酸化ナトリウム、80mLの水と共に90分間撹拌された。透明な混合物が容易に形成された。層が分離され、そして上層が2x30mLの水で抽出された。連続する水層が100mLのTBMEで抽出された。一緒にされた水性層が150mLのTBMEと混合され、そして次に、25mLの37%塩酸で酸性化された。該層が分離され、そして下層を100mLのTBMEで抽出した。乾燥、そして回転蒸発により、14.78gの化合物4Bを易凝固油として与えた(99% ee,86.8mmol,21%)。
【0087】
エナンチオマーA及びエナンチオマーBの絶対配置の割り当て
【0088】
エナンチオマーA及びエナンチオマーBの絶対配置のこの割り当ては、例えばNMR解析又は結晶化及びX線回折解析により日常的に行われることができる。この実施例の項の目的の為に、エナンチオマーA(化合物4A)が4-EIに等しいと決定されるときに、エナンチオマーB(化合物4B)は4-EIIに等しく、逆にエナンチオマーBが4-EIに等しいと決定されるときに、エナンチオマーAは4-EIIに等しいと理解されるべきである。
【0089】
【0090】
スキーム2.エナンチオマー的に富化された4-EIから、エナンチオマー的に富化されたビス-NHS TCO 14-EIの合成
【0091】
【0092】
スキーム3.エナンチオマー的に富化された4-EIIから、エナンチオマー的に富化されたビス-NHS TCO 14-EIIの合成
【0093】
化合物5A
【0094】
化合物4A(11.70g,68.7mmol)が28.7gのピリジン(362.8mmol)及び80mLのトルエンで撹拌された。DMAP(100mg)が添加され、溶液が氷中で冷やされ、そして、無水酢酸(33.5g,0.328mol)が30分で滴下された。該溶液が3日間撹拌され、次に、氷中に置かれた。トルエン(50mL)及び75gの氷が加えられ、続いて34mLの37%塩酸が加えられ(30分で)。混合物が30分間撹拌され、層が分離され、そして水性層が2x75mLのトルエンで抽出された。乾燥、そして回転蒸発により、15.79gの粗化合物5Aを与えた。1H-NMR(600MHz,CDCl3):δ5.76(dt,J=10.9,6.4Hz,1H),5.55(q,J=9.1Hz,1H),2.48~2.36(m,2H),2.34~2.21(m,2H),2.20~2.04(m,3H),2.12(s,3H),2.03~1.94(m,1H),1.59~1.50(m,2H)。
【0095】
化合物5B
【0096】
化合物5Aのプロトコールに従って化合物4Bから調製された。1H-NMRは化合物5Aと同様。
【0097】
化合物5(ラセミ体)
【0098】
化合物5Aのプロトコールに従ってラセミ体4から調製された。1H-NMRは化合物5Aと同様。
【0099】
化合物7A
【0100】
15.79gの化合物5A(最大68.7mmol)が150mLのDCM中に溶解された。水(100mL)が加えられ、続いて25gの炭酸水素ナトリウム(0.298mol)及び50mLの水が加えられた。混合物が1時間十分に撹拌され、次に、氷水中で冷やされた。ヨウ素とヨウ化カリウムとの混合物(22.35gと15.31g;88.0mmolと92.2mmol)が30分間隔で2回に分けて等量で加えられ、そして、混合物が一晩撹拌された。メタ重亜硫酸ナトリウムが少しずつ加えられた(脱色に必要な2.4g)。層が分離され、そして上層が2x100mLのDCMで抽出された。乾燥、そして回転蒸発により、24.29gの淡黄色固体のヨードラクトン6Aを与えた。
【0101】
これは、75mLのトルエン及び21.8gのDBU(0.143mol)を用いて、最初は60℃から80℃まで徐々に2時間、次に80℃で9時間加熱された。混合物が冷やされ、そして50gの氷水及び50mLのトルエン中に注がれた。層が分離され、そして、下層が75mLのトルエンで抽出された。連続する有機層が50mLの水で洗われた。乾燥、そして回転蒸発により、11.83gの固体オレフィン性ラクトン化合物7A(56.3mmol,82%)を与えた。1H-NMR(400MHz,CDCl3):δ5.93(ddd,J=12.1,9.2,5.0Hz,1H),5.45(ddd,J=12.0,4.7,2.6Hz,1H),5.16(s,1H),2.54~2.33(m,3H),2.24~2.12(m,4H),2.10(s,3H),1.69~1.61(m,1H)。
【0102】
化合物6Aの絶対配置は、単結晶X線回折を用いて決定された(
図1を参照)。化合物6Aについて、絶対配置は(1S,5R,6R)である。
【0103】
化合物7B
【0104】
化合物7Aのプロトコールに従って化合物5Bから調製された。1H-NMRは化合物7Aと同様。
【0105】
化合物7(ラセミ体)
【0106】
化合物7Aのプロトコールに従ってラセミ体5から調製された。1H-NMRは化合物7Aと同様。
【0107】
化合物10A
【0108】
ラクトン7A(11.83g,56.3mmol)が60mLのメタノールで撹拌された。水酸化カリウム(7.82g,118.7mmol)が添加され、そして、混合物が15分間撹拌され、次に、60℃で90分間加熱された。酢酸エチル(3.5mL)が加えられ、そして、該溶液が15分間加熱され、次に、60℃で回転蒸発された。DMF(80mL)が添加され、そして、混合物が最初は60℃で、次に70℃で回転蒸発されて、水、メタノール、及びDMFの一部が除去された。化合物8Aを含む懸濁物が氷中で冷やされ、そして、22gのヨードメタン(155.0mmol)が15分で添加された。混合物が2日間撹拌され、化合物9Aを含む透明な溶液が得られた。ピリジン(40g,506mmol)が加えられ、続いて10mLのトルエンが加えられ、そして、溶液が40分間撹拌された。DMAP(170mg)が添加され、溶液が氷中で冷やされ、そして、無水酢酸(46.3g,0.453mol)が30分で加えられ、続いて25mLのトルエンが加えられた。冷却浴が2時間後に取り除かれ、そして、溶液が22時間撹拌された。次に、それは、200mLのトルエン、50mLの37%塩酸、及び160gの氷の混合物内へと注がれた。混合物が振り混ぜられ、層が分離され、そして、有機層が50mLの水で洗われた。連続する水層が150mLのトルエンで抽出された。乾燥、そして回転蒸発により、クーゲルロール(Kugelrohr)により、高真空下、60℃で加熱され、幾つかのジアセテート類似化合物15を含む12.85gの化合物10A(53.03mmol,94%)を与えた(以下を更に参照)。1H-NMR(CDCl3):δ5.95(m,1H),5.8(m,1H),5.4(dd,1H),3.8(s,3H),3.05(s,1H),2.6(m,1H),2.2(m,1H),2.15~1.6(m)及び2.0(s)(8H),1.5(m,1H)。
【0109】
化合物10B
【0110】
化合物10Aのプロトコールに従って化合物7Bから調製された。1H-NMRは化合物10Aと同様。
【0111】
化合物10(ラセミ体)
【0112】
化合物10Aのプロトコールに従ってラセミ体7から調製された。1H-NMRは化合物10Aと同様。
【0113】
化合物11A
【0114】
750mLのヘプタン/酢酸エチル(3/1)中の、化合物10A(12.85g,53.03mmol)、15.05gの安息香酸メチル(110.6mmol)、500mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールのUV照射が33時間行われ、溶液がシリカカラム上の96gの10%硝酸銀(56.5mmolのAg)を通じて連続的にフラッシュされた。該カラムは75mLのTBMEと275mLのTBME/10%メタノールを用いて溶出された。溶出液が100mLの水中に15gの塩化ナトリウムと共に10分間撹拌され、層が分離し、そして水層が100mLのTBMEで抽出された。乾燥、そして回転蒸発により、化合物10Aと安息香酸メチルとの混合物10.7gを与えた。次に、カラム材料が水層(150mLの水及び5mLの25%アンモニアを用いて希釈された)と200mLのTBMEと共に撹拌された。濾過、層分離、乾燥、そして回転蒸発により、5.0gの残渣を与えた(TBME処理は2回繰り返された)。80gのシリカを用いたクロマトグラフィーにおいて、ヘプタン中の10%酢酸エチルから開始し、酢酸エチル含量を徐々に増加させて、化合物11Aの所望のアキシアル異性体を与え、続いて、ジアセテート類似物16(一緒に2.20g)を与え、続いて、化合物11Aのエカトリアル異性体を与えた。アキシアル異性体11Aの1H-NMR(CDCl3):δ5.9~5.7(m,2H),5.3(s,1H),3.75(s,3H),3.0(s,1H),2.5(m,1H),2.3~.8(m),2.1(s)(8H),1.7~1.55(m,2H);アキシアルジアセテート16Aの1H-NMR(CDCl3):δ5.9(m,1H),5.5~5.6(dd,1H),5.3(s,1H),3.7(s,3H),2.6(ブロードd,1H),2.45~1.6(m),2.2(s)及び2.1(s)(13H)。エカトリアル11Aの1H-NMR(CDCl3):δ5.95(m,1H),5.8(m,1H),5.4(dd,1H),3.8(s,3H),2.7(m)及び2.6(s)(2H),2.2(m,1H),2.15~1.6(m)及び2.0(s)(8H),1.5(m,1H)。
【0115】
化合物11B
【0116】
750mLのヘプタン/酢酸エチル(2/1)中の、化合物10B(15.53g,64.1mmol)、13.6gの安息香酸メチル(100mmol)、600mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールの照射が82時間行われ、溶液がシリカカラム上の100gの10%硝酸銀(58.8mmolのAg)を通じて連続的にフラッシュされた。酢酸エチル/ヘプタン(4/1)(400mL)が反応器に加えられ、系を通じてフラッシュされ、そして回転蒸発された。残渣は主に安息香酸メチル(約15%の化合物10Bを含む)であった。該カラムが400mLのTBMEで溶出され、そして、溶出液が回転蒸発され、数グラムの残渣(主に化合物10B)を与えた。次に、該カラムが2x250mLのTBME/10%メタノールで溶出された。分離した溶出液が100mLの水中の20gの塩化ナトリウムと共に10分間撹拌され、そして、層が分離された。乾燥、そして回転蒸発により、最初の画分としてシス異性体とトランス異性体との混合物を与え、続いて2番目の画分としてトランス異性体を与えた。次に、カラム材料が水層(150mLの水及び3mLの25%アンモニアで希釈された)と200mLのTBMEを用いて撹拌された。濾過、層分離、乾燥、回転蒸発によりトランス異性体を与えた(このTBME処理は2回繰り返された)。一緒にされたトランス画分が76gのシリカ上でクロマトグラフィーに付され、ヘプタン中の8%酢酸エチルで開始し、そして、酢酸エチル含量を徐々に増加させた。所望のアキシアル異性体が最初に溶出され、続いてアキシアル異性体とアキシアルジアセテートとの混合画分、エカトリアル異性体、そしてシス異性体10Bが続いた。該アキシアル異性体を含む画分は3.15gの重量であり、アキシアル異性体とアキシアルジアセテートとの混合物を含む画分は1.93gであった。1H-NMRは化合物11Aと同様。
【0117】
化合物11(ラセミ体)
【0118】
化合物11Aのプロトコールに従ってラセミ体10から調製された。1H-NMRは化合物11Aと同様。
【0119】
化合物12A
【0120】
アキシアル異性体11Aがアキシアルジアセテート生成物16Aと一緒にされ(合わせて2.20g)、そして、30mLのメタノール中に溶解された。ナトリウムメトキシド(770mg,14.26mmol)が添加され、溶液が90分間撹拌され、そして次に、45℃で回転蒸発された。メタノール(10mL)が残渣に加えられ、そして、溶液が再度蒸発された。TBME(10mL)が添加され、そして、混合物が完全に回転蒸発された。TBME(30mL)が添加され、続いて879mgの酢酸が添加され、そして、混合物が均一になるまで撹拌された。懸濁物が30gのシリカカラム上に注がれた。溶出がTBMEで行われ、次に、TBME中の10%メタノールで行われた。最初の画分(1.54g)はNMRによって15~20%のアセテートをまだ含んでいた。これが10mL中9.6mmolのナトリウムメトキシドで4時間撹拌され、そして、45℃で30分間ゆっくりと回転蒸発された。残渣が10mLのTBMEで希釈され、580mgの酢酸(9.67mmol)が加えられ、そして、混合物が1時間撹拌された。懸濁物が2gのシリカと混合され、そして、溶離液としてTBMEを、次に5%メタノールを10%まで増加させながら、20gのシリカ上クロマトグラフに付された。これにより、3.06gの所望のアキシアル異性体12Aを与えた。1H-NMR(400MHz,MeOD):δ5.97(ddd,J=15.2,11.2,3.4Hz,1H),5.75(dd,J=16.5,2.4Hz,1H),4.41(dd,J=2.7,1.3Hz,1H),3.71(s,3H),3.37(s,1H),2.47(m,1H),2.27~2.17(m,1H),2.15~1.91(m,4H),1.80~1.67(m,1H),1.61(dd,J=15.3,6.3Hz,1H)。
【0121】
エカトリアル11Aが10mLのメタノール中に溶解された。ナトリウムメトキシド(300mg)が加えられ、そして、溶液が室温で1時間撹拌され、次に、40℃で30分間ゆっくりと回転蒸発された。TBMEが残渣に加えられ、並びに315mgの酢酸が加えられた。次に、物質が、溶離液としてTBMEを使用して(後でメタノールを加えて)、20gのシリカ上でクロマトグラフに付され、純粋なエカトリアル12Aを与えた。1H-NMR(400MHz,MeOD):δ5.88(ddd,J=15.8,11.2,4.1Hz,1H),5.43(dd,J=16.4,9.3Hz,1H),4.13(td,J=9.6,5.2Hz,1H),3.78(s,3H),3.37(s,1H),2.85~2.69(m,1H),2.38~2.28(m,1H),2.22~2.11(m,1H),2.11~2.02(m,1H),2.01~1.84(m,2H),1.78~1.67(m,1H),1.63~1.50(m,1H)。
【0122】
化合物12B
【0123】
アキシアル異性体11B(3.15g,3.00mmol)が25mLのメタノール中に溶解された。ナトリウムメトキシド溶液が加えられ(3.0g,1mmol/g)、そして、溶液が3時間撹拌され、次に、45℃で1時間回転蒸発されて、溶媒がゆっくりと除去された。NMRは、アセテートがほぼ完全に除去されたことを示し、化合物12Bを与えた。
【0124】
1.93gのアキシアル異性体11Bの混合物であるジアセテート16Bが25mLのメタノール中に溶解された。ナトリウムメトキシド溶液が加えられ(3.0g.1mmol/g)、そして、溶液が3日間撹拌された(NMRは、より立体障害のあるアセテートがまだ完全には除去されていないことを示した)。上記のほぼ完全に脱アセチル化された生成物に25mLのメタノールが加えられ、そして、溶液が45℃で4時間撹拌され、そして次に、回転蒸発された。残渣が30mLのTBMEと混合され、そして、酢酸(370mg,6.17mmol)が加えられ、そして、混合物が30分間撹拌された。シリカ(5g)が添加され、続いて5mLのメタノールが加えられ、そして、混合物が1時間撹拌されて懸濁物を与えた。それが45gのシリカ上でクロマトグラフに付され、そして、溶出が、TBME、TBME/5%メタノール、及びTBME/10%メタノールで行われた。乾燥、そして蒸発により、4.00gのアキシアル異性体12Bを与えた。1H-NMRは化合物12Aと同様である。
【0125】
化合物12(ラセミ体)
【0126】
化合物12Aのプロトコールに従ってラセミ体11から調製された。1H-NMRは化合物12Aと同様。
【0127】
化合物12への代替経路
【0128】
【0129】
化合物10をZからEへ異性化する代わりに、化合物10がアセチル化されてジアセテート15にされることができ、そして、ZからEに異性化してジアセテート16を与えて、次に、それは脱保護されて化合物12にされることができる。これにより、異性化の間に極性の低い移動相を使用することが可能になり、そして、それにより化合物16の高いアキシアル-エカトリアル比が与えられることが発見された。ジアセテート15は、5.1gのモノアセテート10を、20mLの無水酢酸、5mLのトルエン、及び55mgのDMAPと共に100℃で13時間加熱することによって得られた。70℃での回転蒸発、引き続き70℃でのクーゲルロール中で、高真空下で加熱され、そして、クロマトグラフに付すことによって所望の生成物を与えた。1H-NMR(CDCl3):δ5.85(m,2H),5.45(dd,1H),3.7(s,3H),2.55(m,1H),2.3~1.4(m),2.2(s)及び2.0(s)(13H)。
【0130】
750mLのヘプタン/酢酸エチル(3.5/1)中の、6.71gのジアセテート15(23.6mmol)、9.04gの安息香酸メチル(66.4mmol)、200mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノールの照射が44時間行われ、溶液がシリカカラム上の43.5gの10%硝酸銀(25.6mmolのAg)を通じて連続的にフラッシュされた。
【0131】
溶液が回転蒸発され、反応器及びカラムがヘプタン/酢酸エチル溶媒でフラッシュされた。回転蒸発により、安息香酸メチル及び化合物15を与えた。
【0132】
該カラムが、100mLのTBME及び150mLのTBME/5~15%メタノールで溶出された。各部分が、50mLの水及び1mLの25%アンモニア中の10gの塩化ナトリウムと共に連続的に撹拌された。
【0133】
乾燥、そして回転蒸発により、0.92gと0.48gの化合物16のバッチを与え、アキシアル/エカトリアルの比は夫々、1/1及び4/3であった。次に、カラム材料がTBME及び水層(100mLの水及び1mLの25%アンモニアで希釈された)と撹拌された。濾過、層分離、乾燥、及び回転蒸発により、おおよそ4/1のアキシアル/エカトリアル比で2.11gを与えた(後者の工程は、全ての生成物を抽出する為に2回繰り返された)。画分が一緒にされて、30mLのメタノール中に溶解された。ナトリウムメトキシド(5g)がメタノール(5mL)中に溶解され、そして、溶液が45℃で5時間撹拌され、次に、30℃で一晩撹拌され、そして次に、45℃で回転蒸発され、固体12を与えた。
【0134】
化合物13
【0135】
水酸化リチウム一水和物(115mg;2.75mmol)が水(3mL)中に溶解され、そして、メタノール(5mL)中の化合物12のアキシアル(366mg;1.83mmol)の溶液に加えられた。混合物が20℃、暗所下で18時間撹拌された。次に、それは水(5mL)で希釈され、そして、AMBERLITE商標 IR120 H強酸性陽イオン交換体(3.66g)を添加することによって中和された。ろ過後、混合物が減圧下で一部濃縮されて、メタノールが除去された。水(10mL)を加えた後、溶液が凍結乾燥されて、生成物13のアキシアルを白色粉末としてもたらした(316mg,収率93%)。1H-NMR(CD3OD):δ5.96(m,1H),5.73(d,1H),4.39(s,1H),2.44(m,1H),2.22~1.92(br.m,5H),1.75~1.60(br.m,2H)ppm。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=0.86分(m/z=-185.17[M-H]-,C9H14O4についての計算値186.09;λmax<200nm)。
【0136】
化合物13の部位選択的官能基化
【0137】
化合物13のアキシアルの遊離カルボン酸は、アミンと選択的に反応させることができ、例えば、構築物Bにアミド抱合体を形成させ、従って、新たなR47を形成することができる(参考文献:国際公開第WO2020256546号)。引き続き、アリル性水酸基は例えば、カルバメート結合を介して構築物A(例えば、薬剤)又は自己免疫性リンカーに結合させることができ、従って、新たなR48を形成することができる。例示的な抱合反応は、国際公開第WO2020256546号の実施例:化合物1.24~1.26の調製に記載されている。
【0138】
化合物14
【0139】
化合物13のアキシアル(100mg;0.538mmol)がアセトニトリル(10mL)中に溶解され、そして引き続き、DIPEA(346mg;2.68mmol)、炭酸ジスクシンイミジル(690mg;2.68mmol)、及びDMAP(6.6mg;0.054mmol)が添加れた。混合物が暗所20℃で48時間撹拌され、そして蒸発乾固され、そして、クロロホルム(10mL)中に再溶解された。引き続き、濁った溶液が1Mのクエン酸水溶液(5mLで2回)、そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mLで2回)で洗われた。硫酸ナトリウム上で溶液を乾燥し、そして濾過した後に、それは真空中で蒸発乾固され、アキシアル生成物を白色固体として与えた(150mg,収率66%)。1H-NMR(CDCl3):δ6.02(m,1H),5.78(d,1H),5.34(s,1H),2.85(s,8H),2.56(m,1H),2.40~2.03(br.m,7H)ppm。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.76分(m/z=+446.92[M+Na]+;C18H20N2O10についての計算値424.11;λmax<200nm)。
【0140】
化合物17
【0141】
【0142】
化合物14の代替として、ビスPNP TCO 17によりTCO官能基化においてより優れた位置選択性が可能である。乾燥MeCN中のTCO 13のアキシアルが、4-ニトロフェニルクロロホルメート(6等量)と4-(ジメチルアミノ)ピリジン(3等量)を用いて室温で16時間処理され、そして真空中で濃縮される。残渣が溶離液としてヘプタンを用い、EtOAcの量を増やしながらシリカ上でクロマトグラフに付される。化合物17の生成物画分が一緒にされて、真空中で乾燥される。
【0143】
化合物18
【0144】
【0145】
化合物13のアキシアル(100mg;0.538mmol)がアセトニトリル(10mL)中に溶解され、そして引き続き、DIPEA(346mg;2.68mmol)、ビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネート(1.0g;2.54mmol)、及びDMAP(6.5mg;0.054mmol)が加えられた。混合物が暗所20℃で48時間撹拌され、そして蒸発乾固され、そしてクロロホルム(10mL)中で再溶解された。引き続き、濁った溶液が1Mのクエン酸水性液(5mLで2回)、そして飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mLで2回)で洗われた。硫酸ナトリウム上で溶液を乾燥させ、そして濾過した後に、それは、真空下で蒸発乾固されて、化合物18を無色の油として与えた(182mg,収率60%)。1H-NMR(CDCl3):δ6.20~5.96(m,1H),5.85(m,1H),5.39(s,1H),2.85(s,1H),2.69~2.59(m,1H),2.47~2.13(m,6H),2.07(ddd,1H)ppm。19F-NMR(377MHz,CDCl3):δ-153.30(m,4H),-156.84(m,1H),-157.62(m,1H),-161.64(m,2H),-162.11(m,2H)ppm。
【0146】
実施例3.Z-E異性化後のエカトリアル異性体からのアキシアル異性体の分離
【0147】
国際公開第WO2020256546号において開示されているように、アキシアル異性体とエカトリアル異性体が、ラセミ体12のシリカカラムクロマトグラフィーによって分離されることができる。前述の例において、アキシアル異性体及びエカトリアル異性体が、化合物11のシリカカラムクロマトグラフィーによって分離されることができることを実証した。従って、以下のラセミ及びエナンチオマー的に富化されたTCOは、以下のアキシアル異性体及びエカトリアル異性体へと分離されることができる。
【0148】
【0149】
実施例4.化合物14及び18の官能基化の位置選択性の評価
【0150】
化合物14のアキシアルを用いた予備実験は、NHSカーボネートとNHSエステルとの間の反応性の差が、3級ヒドロキシルの代わりにメチル置換基を有する類似のトランス-シクロオクテン(Rossin et al.,Bioconjugate Chem 2016,27,1697-1706;化合物22A)よりもはるかに低いことを示した。アミンは、2つの部位間の高い反応性の差により、化合物22AのNHSカーボネートと選択的に反応させることができ、しかしNHSエステルと反応させることはできない為に、TCO官能基化を位置選択的に制御することができる。化合物14のNHS部位間の反応性の差が小さくなることにより、化合物14の位置選択的な官能基化(すなわち、最初にNHSカーボネートで反応し、次にNHSエステルで反応する)が妨げられる。解決策を見つける為に、以下のモデル研究が行われた。
【0151】
【0152】
化合物14のアキシアル(0.55mg;1.3μmol)が室温でアセトニトリル(200μL)中に溶解され、そして、化学量論的量の2-フェネチルアミン(アセトニトリル中、43μLの30mM溶液;1.3μmol)が加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、30分後にHPLC-MS/PDA(10μL、1mLの30%アセトニトリル/水中)によって分析されて、1回の反応生成物と2回の反応生成物との混合物を形成していることが明らかになり、事実、これらの条件において第1級アミンとの選択性がないことを実証した。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):1回の反応生成物:tr=4.42分(m/z=+431.11[M+H]+;C22H26N2O7についての計算値430.17;λmax=256nm);2回の反応生成物:tr=4.73分(m/z=+437.17[M+H]+;C26H32N2O4についての計算値436.24;λmax=256nm)。
【0153】
【0154】
1回の反応生成物と2回の反応生成物との混合物を含む前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、2μLの25mM溶液)が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、2-フェネチルアミド又はN-ヒドロキシスクシンイミドエステル部分のいずれかを含む2つの脱離生成物が形成されていることが証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):N-ヒドロキシスクシンイミドエステル官能基化脱離生成物:tr=3.18分(m/z=+474.25[M+H]+;C25H23N5O5についての計算値473.17;λmax=426nm);2-フェネチルアミド官能基化脱離生成物:tr=3.53分(m/z=+480.25[M+H]+;C29H29N5O2についての計算値479.23;λmax=428nm)。
【0155】
【0156】
化合物14のアキシアル(0.65mg;1.5μmol)がアセトニトリル(100μL)中に溶解され、過剰の2-フェネチルアミン(アセトニトリル中、150μLの30mM溶液;4.5μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDA(1mLの30%アセトニトリル/水中、10μL)によって分析されて、2回の反応化合物が独占的に形成されることが明らかにされた。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=4.73分(m/z=+437.17[M+H]+;C26H32N2O4についての計算値436.24;λmax=256nm)。
【0157】
【0158】
前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、2μLの25mM溶液)が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、2-フェネチル官能基化脱離生成物の形成が証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.55分(m/z=+480.33[M+H]+;C29H29N5O2についての計算値479.23;λmax=429nm)。
【0159】
前述のことから、化合物14は、一級アミンと反応する際に、そのメチル類似体と比較して位置選択性がないか又ははるかに低いことが確認された。
【0160】
【0161】
化合物14のアキシアル(2.5mg;6.0μmol)がアセトニトリル(1300μL)中に溶解され、そして、-10℃に冷却された。化学量論的量のN-メチルベンジルアミン(アセトニトリル中、200μLの30mM溶液;6.0μmol)が添加され、そして、混合物がホモジナイズされ、そして、30分後にHPLC-MS/PDA(0.9mLの30%アセトニトリル/水中、100μL)によって分析されて、1回の反応生成物が独占的に形成されることが明らかにされ、これらの条件における第2級アミンとの高い選択性を実証した。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):1回の反応生成物:tr=4.38分(m/z=+453.08[M+Na]+;C22H26N2O7についての計算値430.17;λmax=256nm)。この反応はまた、室温で位置選択的に行われ、同じ結果が得られた。
【0162】
【0163】
1回の反応生成物を含む前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、20μLの25mM溶液)が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル部分を含む脱離生成物が独占的に形成されていることが証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.17分(m/z=+474.25[M+H]+;C25H23N5O5についての計算値473.17;λmax=425nm)。このことは、該アミンがNHSエステルと反応せず、NHSカーボネートとのみと反応したことを実証した。
【0164】
【0165】
化合物14のアキシアル(0.65mg;1.5μmol)がアセトニトリル(10μL)中に室温で溶解された。過剰のN-メチルベンジルアミン(アセトニトリル中、150μLの30mM溶液;4.5μmol)が加えられ、そして、混合物がホモジナイズされた。反応の進行は、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジン(DMSO中、2μLの25mM)で活性化された前と後の両方において、異なる時点でHPLC-MS/PDA(90μLの30%アセトニトリル/水中、10μL)によって分析された。このことは、第2級アミンに対する活性化されたアリルアルコールのはるかに高い反応性を実証した。前者は5分後に完全に反応したのに対して、後者は300分の半減期を有した。
【0166】
【0167】
1回の反応第2級アミン(200μLの4mM;0.80μmol)を含む反応混合物に、2-アミノエタノールの溶液(アセトニトリル中、50μLの48mM;2.4μmol)が室温で加えられた。反応混合物がホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDA(90μLの30%アセトニトリル/水中、10μL)によって分析されて、所望の化合物が独占的に生成されることが明らかにされた。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.71分(m/z=+377.08[M+H]+,-375.17[M-H]-;C20H28N2O5についての計算値376.20;λmax=255nm)。
【0168】
【0169】
前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、2.5μLの25mM溶液)が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、2-アミノエタノール部分を含む脱離生成物が独占的に形成されていることが証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=2.63分(m/z=+420.25[M+H]+;C23H25N5O3についての計算値419.20;λmax=426nm)。
【0170】
【0171】
化合物18のアキシアル(0.28mg;0.5μmol)がアセトニトリル(20μL)中に溶解され、そして、化学量論的量の2-フェネチルアミン(アセトニトリル中、20μLの25mM溶液;0.5μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、30分後にアセトニトリル(160μL)及び水(800μL)で希釈された。サンプルがHPLC-MS/PDAによって分析されて、1回の反応生成物と2回の反応生成物との混合物が生成されていることが明らかになり、これらの条件において第1級アミンとの選択性がないことを実証した。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):1回の反応生成物:tr=5.32分(m/z=+500.17[M+H]+;C24H22F5NO5についての計算値499.14;λmax=257nm);2回の反応生成物:tr=4.69分(m/z=+437.25[M+H]+;C26H32N2O4についての計算値436.24;λmax=257nm)。
【0172】
【0173】
1回の反応生成物と2回の反応生成物との混合物を含む、前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、2μLの25mM溶液)が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、2-フェネチルアミド又はN-ヒドロキシスクシンイミドのエステル部分を含む2つの脱離生成物が形成されていることが証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):N-ヒドロキシスクシンイミドエステル官能基化脱離生成物:tr=3.18分(m/z=+543.33[M+H]+;C27H19F5N4O3についての計算値542.14;λmax=427nm):2-フェネチルアミド官能基化脱離生成物:tr=3.53分(m/z=+480.50[M+H]+;C29H29N5O2についての計算値479.23;λmax=428nm)。
【0174】
【0175】
化合物18のアキシアル(0.28mg;0.5μmol)がアセトニトリル(20μL)中に溶解され、過剰の2-フェネチルアミン(アセトニトリル中、60μLの25mM溶液;1.5μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、15分後にアセトニトリル(120μL)及び水(800μL)で希釈された。このサンプルがHPLC-MS/PDAによって分析されて、2回の反応化合物が独占的に形成されたことが明らかにされた。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=4.69分(m/z=+437.25[M+H]+;C26H32N2O4についての計算値436.24;λmax=257nm)。
【0176】
【0177】
前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、30μLの25mM,0.75μmol)が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、2-フェネチル官能基化脱離生成物の形成が証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.54分(m/z=+480.50[M+H]+;C29H29N5O2についての計算値479.23;λmax=428nm)。
【0178】
【0179】
化合物18のアキシアル(0.14mg;0.25μmol)がアセトニトリル(190μL)中に溶解され、そして、化学量論的量のN-メチルベンジルアミン(アセトニトリル中、10μLの25mM溶液;0.25μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、18時間後に水(800μL)で希釈した。サンプルがHPLC-MS/PDAによって分析されて、1回の反応生成物が独占的に形成されることが明らかにされ、この条件における第2級アミンとの高い選択性を実証した。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):1回の反応生成物:tr=5.46分m/z=+500.25[M+H]+;C24H22F5NO5についての計算値499.14;λmax=257nm)。
【0180】
【0181】
1回の反応生成物を含む前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジン(DMSO中、15μLの25mM,0.375μmol溶液)の溶液が室温で加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、ペンタフルオロフェニルエステル部分を含む脱離生成物が独占的に形成されていることが証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):ペンタフルオロフェニルエステル官能基化脱離生成物:tr=4.43分(m/z=+543.33[M+H]+;C27H19F5N4O3についての計算値542.14;λmax=428nm)。
【0182】
【0183】
化合物18のアキシアル(0.14mg;0.25μmol)がアセトニトリル(170μL)中に溶解され、そして、少量のN-メチルベンジルアミン(アセトニトリル中、30μLの25mM溶液;0.75μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、18時間後に水(800μL)で希釈された。サンプルがHPLC-MS/PDAによって分析され、1回の反応生成物(65%)と2回の反応生成物(35%)との混合物を形成していることが明らかにされた。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):1回の反応生成物:tr=5.45分(m/z=+500.25[M+H]+;C24H22F5NO5についての計算値499.14;λmax=257nm);2回の反応生成物:tr=5.25分(m/z=+437.33[M+H]+;C26H32N2O4についての計算値436.24;λmax=257nm)。
【0184】
【0185】
化合物18のアキシアル(0.14mg;0.25μmol)がアセトニトリル(10μL)中に溶解され、そして、大過剰のN-メチルベンジルアミン(1.2mg;10μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、45分後にアセトニトリル(160μL)及び水(800μL)で希釈した。サンプルがHPLC-MS/PDAによって分析されて、2回の反応生成物が独占的に形成されることが明らかにされた。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=5.25分(m/z=+437.33[M+H]+;C26H32N2O4についての計算値436.24;λmax=257nm)。
【0186】
【0187】
前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、15μLの25mM溶液,0.375μmol)が加えられた。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、N-メチルベンジル官能基化脱離生成物の形成が証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.67分(m/z=+480.42[M+H]+;C29H29N5O2についての計算値479.23;λmax=430nm)。
【0188】
【0189】
化合物18のアキシアル(1.87mg;3.33μmol)がアセトニトリル(533μL)中に溶解され、そして、N-メチルベンジルアミン(2.0mg;16.7μmol)が室温で加えられた。混合物がホモジナイズされ、そして、20℃で10分間撹拌された。引き続き、2-アミノエタノール(2.0mg;33.3μmol)が加えられ、そして、混合物がホモジナイズされ、そして、20℃で30分間撹拌された。HPLC-MS/PDA(960μLの20%アセトニトリル/水中、40μL)による分析により、目的の化合物が独占的に形成されていることが明らかにされた。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=3.73分(m/z=+377.17[M+H]+,-375.33[M-H]-;C20H28N2O5についての計算値;λmax=257nm)。
【0190】
【0191】
前述のHPLC-MS/PDAサンプルに、3,6-ビス(2-ピリジニル)-1,2,4,5-テトラジンの溶液(DMSO中、25mMの15μL溶液)が室温で加えられ。サンプルがホモジナイズされ、そして、5分後にHPLC-MS/PDAによって分析され、それにより、2-アミノエタノール部分を含む脱離生成物が独占的に形成されていることが証明された。HPLC-MS/PDA(10分間で5%~100%):tr=2.62分(m/z=+420.33[M+H]+;C23H25N5O3についての計算値419.20;λmax=427nm)。
【0192】
以上のことから、化合物14及び化合物18は、NHS又はPFPカーボネートとの反応において第2級アミンを使用することにより立体障害を増加させることによって位置選択的に修飾されることができることを実証する。それ故に、中間体14及び18は、例えば第2級アミン含有構築物A又は自滅的なリンカー(self-immolative linker)でアリル位を官能基化し、新しいR48を形成する為に適している。引き続き、NHS又はPFPエステルの位置は、例えばアミン含有構築物Bと反応されて、新しいR47を形成することができる。下記の実施例5は、MMAE(構築物-A、すなわち薬剤)を、放出可能なカルバメートリンクを介してアリルTCO位に位置特異的に抱合させ、続いて、NHS又はPFPエステルを、標的化タンパク質(構築物-B、すなわち標的化剤)に対するスペーサの為のビルディングブロック(building block)と反応させることにおけるこの知見の使用を実証する。
【0193】
実施例5.ADCリンカーの合成
【0194】
Mal-TCO-MMAE-PEG24(22-PEG24)
【0195】
【0196】
化合物22-PEG24は、幾つかの工程において、イン・シチュー(in situ)で調製された。ガラスバイアル中の2mLの無水DMF中のモノメチルオーリスタチンE(MMAE;モノTFA塩として112mg,135μmol,Levena Biopharma,化合物18)の溶液に、ビス-NHS-TCO 14のアキシアル(57mg,135μmol)及びDIEA(70μL,405μmol)が加えられた。混合物が、暗所、室温で6時間撹拌され、この時点でHPLC-MS分析により中間体19への90%超の変換が示された。この反応混合物に、Fmoc-Lys-PEG24(モノTFA塩として,251mg,162μmol,Levena Biopharma)及びDIEA(28μL,161μmol)が加えられた。反応混合物が、暗所、室温で3日間撹拌され、この時点でHPLC-MS分析により化合物20-PEG24の形成と化合物19が全て消費されたことを示した。この混合物にピペリジン(150μL,1.52mmol)が加えられ、そして、攪拌が20分間続けられ、この時点でHPLC-MS分析により化合物21-PEG24の完全な形成が確認された。生成物が分取HPLCによって精製された(20分間実行,10~70%のアセトニトリル,50mL/分)。集められたフラクションがHPLC-MSによって分析された。純粋な画分が暗所で凍結乾燥されて、化合物21-PEG24を酢酸塩として粘性のある無色のガムとして与えた(156mg;52%)。HPLC-MS:m/z 1064.7Da[M+2H]。
【0197】
ガラスバイアル中の3mL無水DMF中の化合物21-PEG24(モノ酢酸塩,120mg,55μmol)の溶液に、Mal-NH-PEG4-CH2CH2COOPFP(32mg,55μmol,Levena Biopharma)及びDIEA(19μL,109μmol)が加えられた。混合物が暗所で10分間、室温で撹拌され、この時点でHPLC-MS分析により化合物22-PEG24への完全な変換が示された。反応物が分取HPLCによって精製された(20分間実行,10~80%のアセトニトリル,50mL/分)。集められた画分がHPLC-MSによって分析され、そして、純粋な画分が暗所において凍結乾燥されて、化合物22-PEG24を粘稠なガムとして与えた(61mg;45%)。HPLC-MS:m/z 1263.8Da[M+2H]2+。
【0198】
Mal-TCO-MMAE-PEG12(22-PEG12)
【0199】
Fmoc-Lys-PEG12(Levena Biopharma)を用いて、化合物22-PEG24と同様に調製された。HPLC-MS:m/z 999.6Da[M+2H]2+。
【0200】
Mal-PEG24-TCO-MMAE(24-PEG24)
【0201】
【0202】
2mLのDMF中の化合物19(120μmol)及びエチレンジアミン(1.2mmol)が、室温で2時間撹拌された。生成物が、分取HPLC(20分間実行,10~70%アセトニトリル,50mL/分)によって精製された。集められた画分が、HPLC-MSによって分析された。純粋な画分が暗所で凍結乾燥されて、化合物23を固体として与えた(85μmol)。HPLC-MS:m/z 972.6Da[M+H]+。
【0203】
無水DMF(1mL)中、Mal-PEG24-NHSエステル(70mg,50μmol,Quanta Biodesign)及び化合物23(39mg,40μmol)の撹拌溶液に、DIEA(9μL)が添加された。反応混合物が室温で1時間撹拌され、そして、分取HPLC(20分間実行、20~70%アセトニトリル,50mL/分)によって直接的に精製されて、所望の生成物24-PEG24を無色のシロップとして与えた(67mg;75%)。HPLC-MS:m/z 1126.2[M+2H]2+。
【0204】
Mal-PEG12-TCO-MMAE(24-PEG12)
【0205】
Mal-PEG12-NHSエステル(Quanta Biodesign)を用いて、化合物24-PEG24と同様に調製された。HPLC-MS:m/z 862.0Da[M+2H]2+。
【0206】
実施例6.ADCの調製及び評価
【0207】
抗TAG72二重特異性抗体AVP04-58(分子量51088Da)が、Avipep Ltdによって提供された。AVP04-58は、前述されているように調製された(Li et al.,Bioconjug.Chem. 2011,22,709)。C末端His6タグを有さず、且つVLドメイン中の位置L8及びL11へのシステイン残基の置換によって、親抗TAG72二重特異性抗体AVP04-07(Li et al.,Bioconjug.Chem. 2011,22,709)とは異なる。従って、scFvモノマー当たり2つの追加のシステイン残基(二重特異性抗体当たり4つのシステイン)を与えた。これらの4つのシステイン残基は、以下に記載されているように、マレイミド-TCO-MMAEリンカー薬剤22/24の部位特異的抱合に使用された。
【0208】
【0209】
2mMのEDTA(EDTA-PBS)を含む脱気した100mMのリン酸緩衝液(pH6.8)中の抗TAG72二重特異性抗体AVP0458の約2mg/mL溶液が、EDTA-PBS中に新たに溶解されたばかりの100mMのDTT(最終DTT濃度6mM)と一緒にされ、そして、室温で1時間インキュベートされた。次に、還元された二重特異性抗体がPD-10カラムにロードされて、EDTA-PBSでカラムから溶出され、そして、直後にDMSO(最終混合物中、約15%のDMSO v/v%)中のリンカー-薬剤22/24(SH当たり約7.5等量)の溶液で加えられ、そして、4℃で一晩インキュベートされた。引き続き、EDTA-PBSで2.5mL/分で溶出されるSuperdex 75 26/60プレグレードカラムを備えられたAKTAシステム上で、ADCがゲル濾過によって精製された。精製された画分が一緒にされて、5%DMSOと混合された。次に、溶液がAmicon Ultra-15遠心フィルターを使用して濃縮され、そして、NanoDropによってADC濃度が測定された。ESI-TOF MSにより、微量の凝集体の存在のみで、DARが4の抱合体の同一性が確認された。AVP0458-22-PEG24:モノマー質量30600Da;AVP0458-22-PEG12:モノマー質量29543Da;AVP0458-24-PEG24:モノマー質量30050;AVP0458-24-PEG12:モノマー質量28992Da。
【0210】
ADC貯蔵溶液(5%DMSO/EDTA-PB中、10μLの2μg/μl溶液)がPBS(90μL)で希釈され、国際公開第WO2020256546号のテトラジン2.4(PBS中、5μLの2.5mM)と混合され、そして、37℃で1時間インキュベートされた。引き続き、HPLC-QTOF-MS分析により、遊離MMAE(m/z=+718.51Da)及びMMAEを含まない二重特異性抗体反応生成物の形成が実証され、92%超の放出収率を示した。
【0211】
実施例7.マレイミド-TCO-MMAEリンカー薬剤及び対応する二重特異性抗体抱合体
【0212】
下記のスキームは、ラセミ及びエナンチオマー的に富化されたマレイミド-TCO-MMAEリンカー薬剤及び対応するAVP0458抱合体の例を図示する。ここで、「ラセミ及びエナンチオマー的に富化された」(racemic and enantiomerically enriched)とは、シクロオクテン環上の2つのキラル中心を直接言及し、及びマレイミド-PEGリンカー中のリジン残基上のα炭素上のキラル中心を言及する。従って、「ラセミ及びエナンチオマー的に富化された」とは、MMAE残基のキラル中心を言及するのではないことが理解されるであろう。
【0213】
ここで、nは0よりも大きく、最大でも4、好ましくは2~4の値、より好ましくは3~4の値、更に好ましくは3.5~4の値、最も好ましくはnは4、である。ここで、n>1の場合、AVP0458は複数のTCO-MMAE部分に結合されていることが理解される。n>1の場合、複数のTCO-MMAE部位が線状ポリマーを形成することを意味していない。
【0214】
本発明はまた、以下に示されている構造、並びにそれらの医薬的に許容される塩、互変異性体、及び溶媒和物に関する。
【0215】
【0216】
【0217】
【0218】
【0219】
【配列表】
【国際調査報告】