(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】液体ハイドロゲルによって3Dファントムを構築すること
(51)【国際特許分類】
G09B 23/28 20060101AFI20240403BHJP
A61N 1/40 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G09B23/28
A61N1/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557189
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 IB2022052456
(87)【国際公開番号】W WO2022195542
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519275847
【氏名又は名称】ノボキュア ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨラム・ワッサーマン
(72)【発明者】
【氏名】スタス・オブチョフスキー
(72)【発明者】
【氏名】ナタリヤ・クプレニク
【テーマコード(参考)】
2C032
4C053
【Fターム(参考)】
2C032CA02
4C053LL20
(57)【要約】
ハイドロゲルファントムが本明細書で説明されている。ハイドロゲルファントムは、複数の隣接して配設されたハイドロゲルエレメントを含む。ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有している。第1のインピーダンスは、第2のインピーダンスとは異なる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイドロゲルファントムであって、前記ハイドロゲルファントムは、複数の接続されたハイドロゲルエレメントを含み、前記ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、前記ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有しており、前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスとは異なる、ハイドロゲルファントム。
【請求項2】
前記複数の接続されたハイドロゲルエレメントは、患者の身体パーツの形態になっている、請求項1に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項3】
前記ハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つは、腫瘍の形態になっており、複数の隣接して配設された前記ハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つは、前記腫瘍のインピーダンスを模倣するインピーダンスを有している、請求項1に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項4】
複数の接続された前記ハイドロゲルエレメントは、人間の頭部の形状になっている、請求項1に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項5】
複数の接続された前記ハイドロゲルエレメントのそれぞれは、所定の比率で第1の構成要素および第2の構成要素を含む、請求項1に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項6】
前記ハイドロゲルファントムは、複数の接続された前記ハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つと連通する非ゲルエレメントをさらに含む、請求項1に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項7】
前記非ゲルエレメントは、複数の隣接して配設された前記ハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つと連通する医療用デバイスである、請求項6に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項8】
前記非ゲルエレメントは、複数の隣接して配設された前記ハイドロゲルエレメントの中に植え込まれている、請求項6に記載のハイドロゲルファントム。
【請求項9】
物体の3次元モデルを受け取るステップであって、前記3次元モデルは、複数のボクセルを有しており、それぞれのボクセルは、前記ボクセルに関するインピーダンスまたは抵抗のうちの少なくとも1つを識別するかまたはそれを決定するために使用可能な特性情報を提供されている、ステップと;
前記3次元モデルの中のボクセルに対応するハイドロゲルエレメントをハイドロゲルファントムの中に生成させることによって、前記3次元モデルによって前記ハイドロゲルファントムを生成させるために、ゲル塗布システムを動作させるステップと
を含む、方法。
【請求項10】
ハイドロゲルファントムの上の特定の場所において前記ハイドロゲルファントムに電場発生パッドを取り付けるステップであって、前記ハイドロゲルファントムは、複数の接続されたハイドロゲルエレメントを有しており、前記ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、前記ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有しており、前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスとは異なる、ステップと;
前記電場発生パッドによって前記ハイドロゲルファントムに交流電場を印加するステップと;
複数のセンサーによって、前記ハイドロゲルファントムの少なくとも一部分を通過する前記交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップと;
以下のステップ:
前記ハイドロゲルファントムの中の標的領域に対する前記交流電場の有効性を決定するステップ;および、
前記複数のセンサーによって測定されるデータを使用して、前記ハイドロゲルファントムの少なくとも一部分を通過する前記交流電場をモデル化するステップ
のうちの少なくとも1つを実施するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
交流電場を印加するステップは、前記電場発生パッドによって前記ハイドロゲルファントムに腫瘍治療電場を印加するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、前記交流電場に関係付けられる測定された前記少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、前記ハイドロゲルファントムによって前記交流電場の比吸収率を計算するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記方法は、前記ハイドロゲルファントムの上にまたはその中に、前記ハイドロゲルファントムの特定の部分と関連付けられる前記複数のセンサーを取り付けるステップをさらに含み、それぞれのセンサーは、少なくとも1つの特性を提供する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、前記少なくとも1つの特性を決定するために、前記複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、前記ハイドロゲルファントムの前記特定の部分を通過する前記交流電場に関係付けられる温度を決定するために、前記複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、前記ハイドロゲルファントムの前記特定の部分を通過する前記交流電場に関係付けられる電気的特性を決定するために、前記1つまたは複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、前記ハイドロゲルファントムの前記特定の部分を通過する前記交流電場に関係付けられる磁気的特性を決定するために、前記1つまたは複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
交流電場を印加するステップは、前記電場発生パッドによって前記ハイドロゲルファントムに腫瘍治療電場を印加するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記腫瘍治療電場をモデル化するステップは、前記ハイドロゲルファントムの中の標的領域に対する前記交流電場の有効性を決定するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
コンピューターシミュレーションに基づいて事前に決定された場所においてハイドロゲルファントムに電場発生パッドを取り付けるステップであって、前記ハイドロゲルファントムは、複数のハイドロゲルエレメントを有しており、前記ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、前記ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有しており、前記第1のインピーダンスは、前記第2のインピーダンスとは異なる、ステップと;
前記電場発生パッドによって前記ハイドロゲルファントムに交流電場を印加するステップと;
実際のTTField強度を取得するために、前記ハイドロゲルファントムの少なくとも一部分を通過する前記交流電場に関係付けられるTTField強度を測定するステップと;
実際の前記TTField強度を、前記コンピューターシミュレーションから取得される推定TTField強度と比較するステップと
を含む、方法。
【請求項21】
前記電場発生パッドは、前記ハイドロゲルファントムの外部壁部に取り付けられている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ハイドロゲルエレメントの前記第2のものの前記第2のインピーダンスは、腫瘍のインピーダンスにマッチしている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ハイドロゲルエレメントの前記第2のものは、TTField強度を測定するように構成されているプローブに取り付けられており、前記方法は、前記第1のハイドロゲルエレメントに対して前記プローブを移動させるステップをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照/参照による組み込みの記載
本特許出願は、2021年3月18日に出願された米国特許出願第63/162,921号によって識別される仮特許出願の優先権を主張する。米国特許出願第63/162,921号の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
連邦政府資金による研究開発の記載
該当しない。
【背景技術】
【0003】
腫瘍治療電場(TTFieldまたはTTF)は、有糸分裂を破壊することによって固形腫瘍を標的として攻撃する、中間周波数範囲(100~500kHz)にある低強度(たとえば、1~3V/cm)の交流電場である。この非侵襲性の治療は、固形腫瘍を標的として攻撃するものであり、たとえば、米国特許第7,016,725号;米国特許第7,089,054号;米国特許第7,333,852号;米国特許第7,565,205号;米国特許第8,244,345号;米国特許第8,715,203号;米国特許第8,764,675号;米国特許第10,188,851号;および米国特許第10,441,776号において説明されている。TTFieldは、典型的には、治療される腫瘍の中に垂直電場を発生させる2対のトランスデューサーアレイを通して送達される;これらの対のそれぞれを構成するトランスデューサーアレイは、治療されている身体パーツの両側に位置決めされる。TTFieldは、多形性膠芽腫(GBM: glioblastoma multiforme)の治療に関して承認されており、たとえば、OPTUNE(登録商標)システム(Novocure Limited、St. Helier、Jersey)を介して送達されることが可能であり、それは、患者の剃毛された頭部の上に設置されるトランスデューサーアレイを含む。
【0004】
OPTUNE(登録商標)デバイスの中でTTFieldの送達のために使用されるそれぞれのトランスデューサーアレイは、1セットの非導電性セラミックディスク電極を含み、それらは、導電性医療用ゲルの層を通して、患者の皮膚(たとえば、それに限定されないが、GBMの治療のための患者の剃毛された頭部など)に連結される。セラミックディスク電極を形成するために、導電性層が、非導電性セラミック材料の上部表面の上に形成されている。非導電性セラミック材料の底部表面は、導電性医療用ゲルに連結されている。
【0005】
異なる方向にTTFieldを印加することへの1つのアプローチは、所定の時間の期間にわたって第1のセットの電極の間に電場を印加し、次いで、所定の時間の期間にわたって第2のセットの電極の間に電場を印加し、次いで、長い持続期間にわたって(たとえば、数日または数週間の期間にわたって)そのサイクルを繰り返すことである。TTFieldを発生させるために、電流が、トランスデューサーアレイのそれぞれの電極に印加される。TTFieldは、患者の器官のそれぞれの電気伝導率に基づいて、患者と、および、患者の器官のうちの1つまたは複数と相互作用する。TTFieldが患者と相互作用するときに、電場は、患者の器官のそれぞれの電気伝導率および相対的位置に部分的に基づいて、形状を変化させることが可能である。患者のそれぞれの器官の電気伝導率がTTField形状を修正し、効果的に腫瘍を標的として攻撃にするために特定のTTField形状が必要とされる可能性があるので、適用されるTTFieldが患者の中でどのように形状決めされるかということを決定することができるということが重要である。
【0006】
現在のところ、コンピューターシミュレーションなしに、患者の中の実際のTTField形状を測定する方法は存在していない;しかし、コンピューターシミュレーションまたは他のモデルは、プログラミング技法および推定に依存しており、患者の中に予期される実際のTTField形状を示すことができない。
【0007】
患者のそれぞれの器官の電気伝導率がTTField形状を修正し、効果的に腫瘍を標的として攻撃にする特定のTTField形状が必要とされる可能性があるので、TTFieldとさまざまな器官との間の現実世界の相互作用を決定するために物理的な3Dモデルを使用する新しい改善されたアッセンブリおよび方法が望まれている。本開示に関係するのは、そのようなアッセンブリならびにそれを生産および使用する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,016,725号
【特許文献2】米国特許第7,089,054号
【特許文献3】米国特許第7,333,852号
【特許文献4】米国特許第7,565,205号
【特許文献5】米国特許第8,244,345号
【特許文献6】米国特許第8,715,203号
【特許文献7】米国特許第8,764,675号
【特許文献8】米国特許第10,188,851号
【特許文献9】米国特許第10,441,776号
【特許文献10】米国特許出願第63/020,636号
【特許文献11】米国特許公報第2020/0146586号
【特許文献12】米国特許公報第2020/0023179号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体ハイドロゲルによって3Dファントムを構築する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】生体組織に適用されるような電極の概略的なダイアグラムの例示的な実施形態を示す図である。
【
図2】TTFieldを発生させるように構成された電子デバイスの例示的な実施形態を示す図である。
【
図3A】ハイドロゲルファントムの例示的な実施形態の断面ダイアグラムである。
【
図3B】ハイドロゲルファントムの別の例示的な実施形態の断面ダイアグラムである。
【
図4A】本開示にしたがって構築されたゲル塗布システムの例示的な実施形態のダイアグラムである。
【
図4B】本開示にしたがって構築された第2のゲル塗布システムの例示的な実施形態のダイアグラムである。
【
図5】ハイドロゲルファントム生成プロセスの例示的な実施形態のプロセスフローダイアグラムである。
【
図6】電場発生パッド場所設置プロセスの例示的な実施形態のプロセスフローダイアグラムである。
【
図7】本開示による、ハイドロゲルファントムを使用してコンピューターシミュレーションを検証するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示にしたがって利用されるとき、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有するように理解されるものとする:
【0012】
特許請求の範囲および/または明細書の中の用語「含む(comprising)」とともに使用されるときの用語「a」または「an」の使用は、「1つ」を意味する可能性があるが、それは、「1つまたは複数の」、「少なくとも1つの」、および「1つまたは2つ以上の」の意味をとも一貫している。そうであるので、「a」、「an」、および「the」という用語は、文脈が明示的にそうでないことを指示していない限り、複数の指示対象を含む。したがって、たとえば、「化合物(a compound)」への言及は、1つまたは複数の化合物、2つ以上の化合物、3つ以上の化合物、4つ以上の化合物、またはそれよりも多い数の化合物を指す可能性がある。「複数の」という用語は、「2つ以上の」を指す。
【0013】
用語「少なくとも1つの」の使用は、1つ、および、2つ以上の任意の量を含むように理解されることとなり、それは、それに限定されないが、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、100などを含む。加えて、用語「X、Y、およびZのうちの少なくとも1つ」の使用は、X単独、Y単独、およびZ単独、ならびに、X、Y、およびZの任意の組み合わせを含むように理解されることとなる。序数の専門用語(すなわち、「第1の」、「第2の」、「第3の」、「第4の」など)の使用は、2つ以上の項目の間を差別化する目的のためだけのものであり、たとえば、1つの項目に対する別の項目の任意のシーケンスもしくは順序または重要性、または、任意の追加の順序を暗示することを意味していない。
【0014】
特許請求の範囲における用語「または」の使用は、選択肢のみを指すように明示的に指示されていない限り、または、選択肢が相互に排他的でない限り、包含的な「および/または」を意味するように使用される。たとえば、条件「AまたはB」は、以下のもののうちのいずれかによって満たされる:Aは真であり(または存在している)、かつ、Bは偽である(または存在していない);Aは偽であり(または存在していない)、かつ、Bは真である(または存在している);ならびに、AおよびBの両方とも真である(または存在している)。
【0015】
本明細書で使用されているように、「1つの実施形態」、「ある実施形態」、「いくつかの実施形態」、「1つの例」、「たとえば」、または「ある例」への任意の言及は、実施形態に関連して説明されている特定のエレメント、特徴、構造、または特質が、少なくとも1つの実施形態の中に含まれているということを意味している。本明細書の中のさまざまな場所における語句「いくつかの実施形態において」または「1つの例」の出現は、たとえば、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、1つまたは複数の実施形態または例へのすべての言及は、特許請求の範囲に対して非限定的なものとして解釈されるべきである。
【0016】
本出願の全体を通して、「約」という用語は、値が、組成物/装置/デバイス、値を決定するために用いられている方法、または、検討対象の間に存在する変動に関する誤差の固有の変動を含むということを示すために使用される。
【0017】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるときに、「含む(comprising)」(および、「comprise」および「comprises」などのような、comprisingの任意の形態)、「有する(having)」(および、「have」および「has」などのような、havingの任意の形態)、「含む(including)」(および、「includes」および「include」などのような、includingの任意の形態)、または「含有する(containing)」(および、「contains」および「contain」などのような、containingの任意の形態)という語は、包含的でありまたはオープンエンディッドであり、追加的な未記載のエレメントまたは方法ステップを除外しない。
【0018】
本明細書で使用されているような「または、それらの組み合わせ」という用語は、その用語に先行して列挙されている項目のすべての順列および組み合わせを指す。たとえば、「A、B、C、またはそれらの組み合わせ」は、A、B、C、AB、AC、BC、またはABCのうちの少なくとも1つを含み、また、特定の文脈において順序が重要である場合には、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、またはCABも含むことを意図している。
【0019】
本明細書で使用されているように、すべての数値または範囲は、文脈が明示的にそうでないことを指示していない限り、そのような範囲の中の値および整数の分数、ならびに、そのような範囲の中の整数の分数を含む。したがって、図示するために、1~10などのような数値範囲への言及は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、および、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5などを含む。
【0020】
本明細書で使用されているように、「実質的に」という用語は、その後に記載される事象または状況が完全に起こるということ、または、その後に記載される事象または状況が大きな範囲または程度で起こるということを意味している。
【0021】
本明細書で使用されているように、「と関連付けられる」および「に連結される」という語句は、2つの部分の互いへの直接的な関連付け/結合、および、2つの部分の互いへの間接的な関連付け/結合の両方を含む。
【0022】
本明細書で使用されているような「患者」という用語は、人間および獣医学の対象を含む。治療の目的のための「哺乳類」は、哺乳類として分類される任意の動物を指し、それは、(それに限定されないが)人間、家畜、および農場動物、人間以外の霊長類、および、乳腺組織を有する任意の他の動物を含む。
【0023】
本明細書で使用されているように、回路は、アナログおよび/もしくはデジタル構成要素、または、1つもしくは複数の適切にプログラムされたプロセッサー(たとえば、マイクロプロセッサー)ならびに関連のハードウェアおよびソフトウェア、または、ハードワイヤードロジックであることが可能である。また、「構成要素」は、1つまたは複数の機能を果たすことが可能である。「構成要素」という用語は、ハードウェア(たとえば、プロセッサー(たとえば、マイクロプロセッサー)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、ならびに/または、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせなどを含むことが可能である。本明細書で使用されているような「プロセッサー」という用語は、タスクを集合的に実施するために独立してまたは一緒に働く単一のプロセッサーまたは複数のプロセッサーを意味している。
【0024】
「抵抗」または「抵抗率」という用語は、エネルギー消散を引き起こす電流の通過に物質またはデバイスが対抗する程度を指す。
【0025】
「インピーダンス」という用語は、オーム抵抗およびリアクタンスの複合効果から生じる、交流電流に対する電気回路または構成要素の実効抵抗を指す。
【0026】
「伝導率」という用語は、特定の材料が電気を通す程度を指し、それは、電流の流れを引き起こす電場に対する材料の中の電流密度の比率として計算される。材料の「伝導率」は、材料の抵抗率の逆数である。
【0027】
ここで図面を参照すると、とりわけ
図1、そこで示されているのは、マイナスの電荷を有する第1の電極18aおよびプラスの電荷を有する第2の電極18bによって発生させられる、概して力線14によって示されている外部TTField(たとえば、約100KHZから約300KHZの周波数範囲における交流電場)の影響の下での、分裂細胞10の例示的な実施形態のダイアグラムである。非常に強力な双極子モーメントを有することが知られている微小管22が、さらに示されている。この強力な分極は、微小管22、ならびに、他の極性巨大分子、および、特に、細胞10またはその周囲の中に特定の配向を有するものを、電場の影響を受けやすくする。微小管22のプラスの電荷は、2つの中心小体26に位置付けされており、一方では、2セットのマイナス極が、分裂細胞10の中心30、および、細胞膜への微小管22の取り付けのポイント34にある。電荷の場所は、二重双極子のセットを形成し、したがって、異なる方向の電場の影響を受けやすい。分裂細胞10に対する第1の電極18aおよび第2の電極18bの場所を調節することによって、電場方向は調節されることが可能であるが、しかし、電場とそれぞれの電極18および分裂細胞の中間にある1つまたは複数の細胞または器官との間の相互作用は、電場の変化(たとえば、電場の偏向など)を引き起こす可能性がある。
【0028】
ここで
図2を見てみると、腫瘍細胞を有利に破壊することが見出された上記に説明されているTTFieldは、電子装置50によって発生させられる。
図2は、その主要な構成要素を図示する電子装置50の簡単な概略的なダイアグラムである。電子装置50は、発生器54および1対の導電性リード58(第1の導電性リード58aおよび第2の導電性リード58bを含む)を含む。第1の導電性リード58aは、第1の端部62aおよび第2の端部62bを含む。第2の導電性リード58bは、第1の端部66aおよび第2の端部66bを含む。第1の導電性リード58aの第1の端部62aは、発生器54に導電的に取り付けられており、第2の導電性リード58bの第1の端部66aは、発生器54に導電的に取り付けられている。発生器54は、出力として波形またはパルスの列の形状の望ましい電気信号(TT信号)を発生させる。第1の導電性リード58aの第2の端部62bは、第1の電場発生パッド70aに接続されており、第2の導電性リード58bの第2の端部66bは、第2の電場発生パッド70bに接続されており、第2の電場発生パッド70bは、電気信号(たとえば、波形)を供給される。第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bのそれぞれは、電場標的74と接触しており、または、その他の方法で電場標的74と関連付けられている。電気信号は、電場標的74の中へ容量的に連結されている電場(すなわち、TTField)を発生させ、TTFieldは、周波数および振幅を有しており、電場標的74の中の第1の電場発生パッド70aと第2の電場発生パッド70bとの間に発生させられることとなる。1つの実施形態では、電場標的74は、より詳細に下記に説明されている、ハイドロゲルエレメント82aおよびハイドロゲルエレメント82bとして
図2に示されている2つ以上のハイドロゲルエレメント82a~nを一般的に含むハイドロゲルファントム78である。
【0029】
第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bのそれぞれは、1つまたは複数の導電性電極エレメントを含み、それは、非導電性層によって電場標的74と容量的に連結されることが可能である。第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bのための代替的な構築体が使用されることも可能であり、それは、たとえば、ディスク形状である(または、ディスク形状でない)セラミックエレメントから形成された非導電性層、および/または、複数の平坦な導体の上に位置決めされている非セラミック誘電材料を使用する非導電性層を使用するトランスデューサーアレイを含む。後者の例は、ポリマーフィルムを含み、ポリマーフィルムは、プリント回路基板のパッドの上に、または、金属の平坦なピースの上に配設されている。また、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bは、電場標的74と容量的に連結されていない電極エレメントを含むことが可能である。この状況では、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bのそれぞれは、導電性エレメントと身体との間に配設された絶縁誘電体層がない状態で、人の身体に対して設置するように構成されている導電性材料の領域を使用して実装されることが可能である。導電性材料の例は、それに限定されないが、導電性フィルム、導電性ファブリック、および/または導電性フォームを含む。第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bを実装するための他の代替的な構築体も、それらがTTFieldを人の身体に送達することができる限り、使用されることが可能である。随意的に、ハイドロゲルの層は、本明細書で説明されている実施形態のいずれかにおいて、第1の電場発生パッド70aと電場標的74との間に;および、第2の電場発生パッド70bと電場標的74との間に配設されることが可能である。
【0030】
発生器54は、約50KHZから約1MHZの(好ましくは、約100KHZから約300KHZの)範囲にある周波数において交流電圧波形(すなわち、TTField)を発生させる。必要とされる電圧は、標的領域の中の組織における電場強度が約0.1V/cmから約10V/cmの範囲にあるようなものである。この電場を実現するために、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bの2つの電極18の間の電位差は、システム構成要素の相対インピーダンスによって決定され、すなわち、それぞれの構成要素に対する電場のフラクションは、その構成要素のインピーダンスを合計回路インピーダンスによって割られたものによって与えられる。
【0031】
ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態では、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bは、電場標的74の標的領域の中に交流電場を発生させる。交流電場は、電磁放射線の1つまたは複数の供給源をエミュレートするように選択されることが可能である。たとえば、TTFieldをシミュレートするために、交流電場は、(下記に説明されているように)TTFieldをエミュレートするように選択されることが可能である。他の実施形態において、たとえば、携帯電話によって供給される電磁放射線をシミュレートするときに、携帯電話通信無線信号が、交流電場として発生させられる。携帯電話によって供給される電磁放射線をシミュレートすることは、特定の携帯電話の比吸収率(Specific Absorption Rate)を測定するときにとりわけ必要なものである可能性がある。
【0032】
ある特定の(しかし、非限定的な)実施形態では、電場標的74が患者であるとき、標的領域は、典型的に、患者の身体の少なくとも一部分を含み、また、腫瘍、同じタイプもしくは異なるタイプのいずれかである特定の細胞もしくは細胞のクラスター、ウィルスもしくはバクテリアなどのような異物を有する患者の身体一部分、および/または、それに類するものである(たとえば、それのみである)ことが可能であり、交流電場の発生は、腫瘍の成長を選択的に破壊するかまたは抑制する。交流電場は、腫瘍の成長を選択的に破壊するかまたは抑制する任意の周波数において発生させられることが可能である。
【0033】
電場(すなわち、TTField)分布を最適化するために、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70b(1対の電場発生パッド70)は、1対の電場発生パッド70aおよび70bが使用されることとなる用途に応じて、異なって構成または配向されることが可能である。本明細書で説明されているように、1対の電場発生パッド70aおよび70bは、外部から電場標的74に適用される。電場標的74が患者であるときに、1対の電場発生パッド70は、患者の皮膚に適用されることが可能であり、電流および電場(TTField)を印加するようになっており、それによって、患者の組織の中に電流を発生させる。一般的に、1対の電場発生パッド70は、ユーザーによって患者の皮膚の上に設置され、電場が治療エリアの中の患者組織を横切って発生させられるようになっている。外部から印加されるTTFieldは、たとえば、皮膚腫瘍の治療、および、皮膚表面に近い病変の治療など、局所的なタイプまたは広く分布したタイプのものであることが可能である。同様に、電場標的74に印加される電場は、局所的なタイプまたは広く分布したタイプのものであることが可能である。
【0034】
随意的におよび別の例示的な実施形態によれば、電子装置50は、制御ボックス86と、制御ボックス86に連結されている温度センサー90とを含み、それらは、電場の振幅を制御するために含まれている。
【0035】
制御ボックス86が含まれているとき、制御ボックス86は、発生器54の出力を制御し、ユーザーによって予め設定された値において出力が一定のままになることを引き起こす。代替的に、制御ボックス86は、発生器54の出力を設定する。温度センサー90は、第1の電場発生パッド70aまたは第2の電場発生パッド70bに機械的に接続され、および/または、その他の方法でそれと関連付けられることが可能であり、第1の電場発生パッド70aまたは第2の電場発生パッド70bのうちのいずれか一方または両方における電場標的74の温度をセンシングするようになっている。
【0036】
導電性リード58は、可撓性の金属シールドを備えた標準的な隔離された導体であり、好ましくは、接地されており、それによって、導電性リード58によって発生させられる任意の電場の広がりを防止する。電場発生パッド70aおよび70bは、特定の形状および位置決めを有することが可能であり、電場標的74の標的領域において、所望の構成、方向、および強度のTTFieldを発生させるようになっており、および、そこのみにおいて、電場を集中させるようになっている。
【0037】
全体としての電子装置50の仕様、および、その個々の構成要素の仕様は、TTField(たとえば、50KHZ~500KHZ)の周波数において、生体システムが、それらの誘電特性ではなく、それらの「オームの法則」にしたがって挙動するという事実によって大きく影響を及ぼされる。
【0038】
図3Aおよび
図3Bは、
図2のハイドロゲルファントム78の例示的な実施形態を図示している。いくつかの実施形態において、ハイドロゲルファントム78は、人間のもしくは非人間の身体パーツ(たとえば、腕、肘、胸、脚、および胴体など、もしくは、それらのいくつかの組み合わせなど)の形状で、または、他のタイプの物体(たとえば、セルフォン、もしくは、壁部の一部分など)の形態で形成されることが可能である。いくつかの実施形態において、ハイドロゲルファントム78は、人間の身体または他の動物の身体の形状で形成されている。いくつかの実施形態において、ハイドロゲルファントム78は、特定の人間または他の動物またはその一部分の解剖学的に正確な表現となるように形成されている。
【0039】
図3Aを参照すると、そこで示されているのは、複数のハイドロゲルエレメント82a~nから形成されたハイドロゲルファントムヘッド100(ファントムヘッド100)として描かれている、
図2のハイドロゲルファントム78の例示的な実施形態の断面ダイアグラムである。示されている例では、ハイドロゲルファントムヘッド100は、皮膚ハイドロゲルエレメント82c、骨ハイドロゲルエレメント82d、および脳ハイドロゲルエレメント82eから形成されている。
図3Aに示されているファントムヘッド100は、簡単にするためだけに3つのハイドロゲルエレメント82a~nを含むものとして描かれており、また、人間の身体または非人間の身体の選択された部分の電気伝導率を適当にモデル化するためにユーザーによって必要とされる任意の数のハイドロゲルエレメント82a~nを含むことが可能である。また、ファントムヘッド100の外側表面84の上の第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bが、
図3Aに示されている。
【0040】
したがって、いくつかの実施形態において、選択された生物学的な構成要素の電気伝導率を適当にモデル化するために、ユーザーは、テストされることとなる信号の所望の周波数(または、周波数の範囲)を最初に決定するべきであり、したがって、選択された生物学的な構成要素の伝導率に最もマッチするように、適当な伝導率がハイドロゲルファントム78に関して選択されることが可能である。ユーザーは、たとえば、S Gabriel, in The Dielectric Properties of Biological Tissues: II Measurements in the frequency range of 10 Hz to 20 GHz (S Gabrielら 1996 Phys. Med. Biol. 41 2251)などから当技術分野において知られている生物学的な構成要素の伝導率から1つまたは複数の伝導率値を選択することが可能である。
【0041】
他の実施形態において、ユーザーは、たとえば、Ramonら(Ramon C, Gargiulo P, Frigeirsson EA and Haueisen J(2014) Changes in Scalp Potentials and Spatial Smoothing Effects of Inclusion of Dura Layer in Human Head Models for EEG Simulations. Front. Neuroeng. 7:32. doi:10.3389/fneng. 2014.00032)によって計算されているように、1つまたは複数の生物学的な構成要素に関して平均伝導率を選択することが可能である。単なる例として、および、Ramonにおいて計算されているように、ユーザーは、皮膚ハイドロゲルエレメント82cに関する平均伝導率として1.35E-3 S/cmを選択し、骨ハイドロゲルエレメント82dに関する平均伝導率として6.25E-5 S/cmを選択し、脳ハイドロゲルエレメント82eに関する平均伝導率として3.334E-3 S/cmを選択することが可能である。
【0042】
いくつかの実施形態において、ハイドロゲルファントム78は、ハイドロゲルファントム78に支持を提供するための1つまたは複数の支持構造体(図示せず)を含む。1つまたは複数の支持構造体のそれぞれは、非導電性であるか、電気的に隔離されているか、またはその両方であることが可能である。1つの実施形態では、1つまたは複数の支持構造体は、発生させられたTTFieldとの最小の干渉を引き起こすように選択される。
【0043】
図2のハイドロゲルファントム78の例示的な実施形態は、人間の頭部の超正確な表現として描かれているが、いくつかの実施形態におけるハイドロゲルファントム78は、所望の目的のために電場標的74をモデル化するために必要とされる最小数のハイドロゲルエレメント82a~nから形成されることも可能であるということが留意されるべきである。
【0044】
ハイドロゲルファントム78を生成させることによって、ユーザーは、交流電場の印加から結果として生じるハイドロゲルファントム78の中のおよび/またはその周りのTTFfieldの実際の値および形状を決定することができる。たとえば、1つまたは複数のセンサー102a~n(より詳細に下記に議論されている)を利用することによって、ユーザーは、ハイドロゲルファントム78の中のさまざまな場所において、磁気的特性(たとえば、1つまたは複数の電場または電磁界パワー/強度など);電気的特性(たとえば、電圧、電流、インダクタンス、静電容量など);熱的特性(たとえば、温度など);または、圧力;力;および/またはそれに類するものを決定することができる。決定された実際の値は、ハイドロゲルファントム78のさまざまな構成に関して記録され、コンピューターシミュレーションを発生させるかまたは改善するために、ユーザーによって利用されることが可能である。ハイドロゲルファントム78が特定の患者を代表する場合、決定された実際の値は、その特定の患者のTTField療法の治療的な利益を改善するかまたは増加させるために利用されることが可能である。そのうえ、交流電場をハイドロゲルファントム78に適用することによって、ユーザーは、どのように交流電場(たとえば、TTFieldなど)が、正確な非コンピューター-シミュレーションベースの設定において、人間のまたは非人間の身体を通って、および、さまざまなタイプの組織および/または骨の周りに移動するかということを理解することができる。
【0045】
1つの実施形態では、ハイドロゲルファントム78は、(固体形態の)重合ゲルであり、それは、電気伝導率が体積抵抗率を結果として生じさせることを可能にするために、遊離イオンの供給源をその中に提供するバルク電子輸送剤を有する重合ゲルである2つ以上のハイドロゲルエレメント82a~nを含む。1つの実施形態では、それぞれのハイドロゲルエレメント82a~nは、導電性ゲルまたは半固体の導電性ゲルから形成されている。
【0046】
図3Aに描かれている実施形態では、ファントムヘッド100は、3つのハイドロゲルエレメント82、皮膚ハイドロゲルエレメント82c、骨ハイドロゲルエレメント82d、および脳ハイドロゲルエレメント82eを含み、ハイドロゲルエレメント82のそれぞれは、別のハイドロゲルエレメント82の少なくとも一部分に結合されている。皮膚ハイドロゲルエレメント82cは、人間の皮膚の形状、厚さ、および体積を含み、また、人間の皮膚の電気抵抗/インピーダンス/伝導率を模倣する実質的に均一な電気抵抗/インピーダンス/伝導率を含む。骨ハイドロゲルエレメント82dは、人間の頭部の中の骨の場所を模倣する様式で、ハイドロゲルファントム78の中に位置決めされている。骨ハイドロゲルエレメント82dは、人間の頭部の中の人間の骨の形状、厚さ、および体積を含み、また、人間の骨の電気伝導率を模倣する実質的に均一な電気抵抗/インピーダンス/伝導率を含むことが可能である。骨ハイドロゲルエレメント82dは、皮膚ハイドロゲルエレメント82cに隣接しており、皮膚ハイドロゲルエレメント82cの境界を定めている。脳ハイドロゲルエレメント82eは、人間の脳の形状、厚さ、および体積を含む。脳ハイドロゲルエレメント82eは、人間の脳の電気抵抗/インピーダンス/伝導率を模倣する実質的に均一な電気抵抗/インピーダンス/伝導率を含むことが可能である。脳ハイドロゲルエレメント82eは、骨ハイドロゲルエレメント82dによって部分的に取り囲まれており、骨ハイドロゲルエレメント82dの境界を定めている。
【0047】
ハイドロゲルファントム78は、3つの異なるタイプのハイドロゲルエレメント(すなわち、皮膚ハイドロゲルエレメント82c、骨ハイドロゲルエレメント82d、および脳ハイドロゲルエレメント82e)を有するものとして例として説明されているが、ハイドロゲルファントム78は、他のタイプのハイドロゲルエレメント(たとえば、血管ハイドロゲルエレメント、髄液ハイドロゲルエレメント、血液ハイドロゲルエレメント、または腫瘍ハイドロゲルエレメントなど)を有して提供されることが可能である。いくつかの実施形態において、ハイドロゲルエレメント82は、変化する電気抵抗/伝導率の領域を有する連続的なハイドロゲルデバイスを形成するために一緒に接続されており、人間の頭部の電気抵抗/インピーダンス/伝導率を集合的に模倣するようになっている。
【0048】
1つの実施形態では、それぞれのハイドロゲルエレメント82a~nは、主に、たとえば下記に説明されているような導電性ゲルまたは半固体の導電性ゲルから形成されている。本明細書で教示されている複数のハイドロゲルエレメント82a~nは、「Conductive Gel Compositions Comprising Bulk Electron Transport Agents and Methods of Production and Use Thereof」という標題の米国特許出願第63/020,636号に詳細に開示されているような、修正されたハイドロゲル(それは、穿孔だけでなく、凹部、突出部なども含む)とともに使用されることが可能であり、その文献は、その全体が本明細書に組み込まれている。
【0049】
導電性ゲルは、組成物が本開示にしたがって機能することを可能にする任意の形態であることが可能である。たとえば(限定としてではないが)、それぞれのハイドロゲルエレメント82a~nは、ハイドロゲルまたはヒドロコロイドの形態になっていることが可能である。
【0050】
1つの実施形態では、それぞれのハイドロゲルエレメント82a~nは、2つ以上の構成要素ハイドロゲルから形成されることが可能である。それぞれの構成要素ハイドロゲルは、1つまたは複数の構造的な水溶性のポリマー、1つまたは複数の架橋剤、1つまたは複数の光開始剤、1つまたは複数の電解質、および1つまたは複数の添加剤を有する導電性ゲルである。
【0051】
導電性ゲルは、それぞれのハイドロゲルエレメント82a~nのそれぞれの構成要素ハイドロゲルが本開示にしたがって機能することを可能にする任意の親水性のポリマーから形成されることが可能である。たとえば(限定としてではないが)、導電性ゲルのうちの1つまたは複数は、ポリアクリル酸ゲル、ポピドンゲル、またはセルロースゲルであることが可能である。加えて、1つまたは複数の導電性ゲルは、キトサン、アルギン酸塩、アガロース、メチルセルロース、ヒアルロン酸、コラーゲン、ラミニン、マトリゲル、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ポリ-1-リシン、プロテオグリカン、フィブリン糊、人工組織および/または天然組織の脱細胞化によって作製されたゲル、ならびに、それらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。さらに、1つまたは複数の導電性ゲルは、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PolyHEMA)、ポリ(グリセロールセバケート)、ポリウレタン、ポリ(イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、または、それらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことが可能である。
【0052】
特定の非限定的な実施形態において、導電性ゲルは、以下の化学的なおよび構造的な特徴/特性:約1nmから約200nmの範囲にあるポリマー鎖長;約0.1mMから約1Mの範囲にある濃度で存在する遊離塩;約6pHから約8pHの範囲にあるpH;および、約100Ohm-in未満の体積抵抗率のうちの1つまたは複数を含む。
【0053】
導電性ゲルのポリマーは、導電性ゲル組成物が本明細書で説明されているように機能することを可能にする任意のポリマー鎖長を有して提供されることが可能である。たとえば(限定としてではないが)、ポリマー鎖長は、約3nmから約175nmの範囲、約5nmから約150nmの範囲、または、約10nmから約125nmの範囲、約15nmから約100nmの範囲など、および、上記の値のうちの2つの間に入る2つの整数を組み合わせた範囲(すなわち、約3nmから約157nmの範囲など)にあることが可能である。
【0054】
いくつかの実施形態において、構成要素ハイドロゲルは、1つまたは複数の電解質(たとえば、精製水電解質または遊離塩など)を含む。
【0055】
1つの実施形態では、それぞれのハイドロゲルエレメント82a~nは、2つ以上の構成要素から形成されることが可能である。それぞれの構成要素は、1つまたは複数の構造的な水溶性のポリマー、1つまたは複数の架橋剤、1つまたは複数の光開始剤、1つまたは複数の電解質、および1つまたは複数の添加剤を含むことが可能である。1つの実施形態では、それぞれの構成要素の1つまたは複数の添加剤は、保湿剤および/または防腐剤などのうちの1つまたは複数を含むことが可能である。
【0056】
1つの実施形態では、それぞれの構成要素は、1つまたは複数の架橋剤および1つまたは複数の光開始剤を含む。架橋剤は、構造的ポリマーであり、構造的ポリマーは、ハイドロゲルの安定化を提供し、活性化させられたときにポリマー鎖の多次元伸長につながる。光開始剤は、特定の架橋剤であり、それは、ハイドロゲルの硬化のときに、1つまたは複数の架橋剤を活性化させ、それによって、1つまたは複数の架橋剤が構造的ポリマーのポリマー鎖の多次元伸長へと形成されることを引き起こし、したがって、3次元(3D)ゲルを形成する。架橋は、構造的ポリマーの中の二重結合または官能基によって形成されることが可能である。
【0057】
ハイドロゲルの硬化は、ハイドロゲルの重合化であり、それは、一般的に硬化剤を適用することによって、2つ以上の構成要素の組み合わせによって構築されることが可能である。ハイドロゲルの重合化の前に、ハイドロゲルは、液体ハイドロゲルであることが可能である。1つの実施形態では、重合化は、あるUV照射量のUV照射をハイドロゲルに適用することによって達成されることが可能である。UV照射量は、照射の持続期間および照射の強度を含むことが可能であり、ハイドロゲルの粘着性および伝導率に影響を与えるユーザー要件(たとえば、架橋の程度など)に基づいて決定されることが可能である。すなわち、UV照射量(たとえば、UV照射の持続期間および/または照射強度)を調節することによって、ユーザーは、ハイドロゲルの硬化特性(たとえば、ハイドロゲルの伝導率および粘着性など)を調節することが可能である。別の実施形態では、重合化は、ハイドロゲルを硬化させるための代替的な形態のエネルギー(たとえば、電子ビームまたはレーザーなど)の適用によって達成されることが可能である。電子ビームまたはレーザーをハイドロゲルに適用することは、高い架橋速度および効率を結果として生じさせることが可能である。電子ビームまたはレーザーの印加の持続期間、および、電子ビームまたはレーザーの印加の強度は、ハイドロゲルの硬化特性を調節するために修正されることが可能である。
【0058】
1つの実施形態では、ハイドロゲルを形成するための特定の構成要素、および/または、ハイドロゲルの硬化は、複数のハイドロゲルエレメント82a~nのそれぞれに所望の硬化特性を提供するために使用される。
【0059】
たとえば、下記の表1に要約された実験室実験において、Taipei TaiwanのPolychem UV/EB International Corp.から取得されたUV硬化性ハイドロゲル(製品番号#JN0917-A)が使用された。このUV硬化性ハイドロゲルは、2つの構成要素(第1の構成要素および第2の構成要素と称される)を含む。第1の構成要素および第2の構成要素は、第1の実験的なハイドロゲルエレメント、第2の実験的なハイドロゲルエレメント、および第3の実験的なハイドロゲルエレメントを結果として生じさせる3つの異なる比率で一緒に混合された。それぞれの実験的なハイドロゲルエレメントに関して、365nm波長において光を提供するUV LEDによって硬化させながら、変化するハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値が計算された。
【0060】
第1の実験的なハイドロゲルエレメントは、1:0.3の比率で、第1の構成要素および第2の構成要素から構成された。10分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、2909ρ(Ω毎cm)となることを決定された;20分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、2909ρ(Ω毎cm)となることを決定された;および、40分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、4160ρ(Ω毎cm)となることを決定された。
【0061】
第2の実験的なハイドロゲルエレメントは、1:0.65の比率で、第1の構成要素および第2の構成要素から構成された。10分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、272ρ(Ω毎cm)となることを決定された;20分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、356ρ(Ω毎cm)となることを決定された;および、40分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、364ρ(Ω毎cm)となることを決定された。第2の実験的なハイドロゲルエレメントは、POLYCHEM Advanced UV Curable Conductive #JN0917-Aであり、精製水、保湿剤、および完全に合成のフォトポリマーを含有する、完全に合成のポリアクリルアミドベースのおよび化学的な架橋された高性能ハイドロゲルである。第2の実験的なハイドロゲルエレメントは、摂氏25°において150±50cpsの液体粘度、および、4.0~7.0の間のpHを有していた。
【0062】
第3の実験的なハイドロゲルエレメントは、1:0.9の比率で、第1の構成要素ハイドロゲルおよび第2の構成要素ハイドロゲルから構成された。10分のハイドロゲル硬化持続期間において、第3の実験的なハイドロゲルエレメントは、ほとんど液体の形態を依然として有しており、追加的な5分のハイドロゲル硬化持続期間を必要とし、そのポイントにおいて、体積抵抗率値は、86ρ(Ω毎cm)となることを決定された;25分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、104ρ(Ω毎cm)となることを決定された;および、45分のハイドロゲル硬化持続期間において、体積抵抗率値は、104ρ(Ω毎cm)となることを決定された。
【0063】
【0064】
再び
図3Aを参照すると、皮膚ハイドロゲルエレメント82c、骨ハイドロゲルエレメント82d、および脳ハイドロゲルエレメント82eのそれぞれは、別のハイドロゲルエレメント82として、同じまたは異なる比率の第1の構成要素および第2の構成要素から構成されることが可能である。たとえば、皮膚ハイドロゲルエレメント82cは、第1の体積抵抗率を結果として生じさせる第1の比率の第1の構成要素および第2の構成要素から構成されることが可能であり、骨ハイドロゲルエレメント82dは、第2の体積抵抗率を結果として生じさせる第2の比率の第1の構成要素および第2の構成要素から構成されることが可能であり、脳ハイドロゲルエレメント82eは、第3の体積抵抗率を結果として生じさせる第3の比率の第1の構成要素および第2の構成要素から構成されることが可能であり、ここで、第1の比率、第2の比率、および第3の比率は、同じであってもよくまたは異なっていてもよく、第1の体積抵抗率、第2の体積抵抗率、および第3の体積抵抗率は、同じであってもよくまたは異なっていてもよい。1つの実施形態では、皮膚ハイドロゲルエレメント82c、骨ハイドロゲルエレメント82d、および脳ハイドロゲルエレメント82eのうちの1つまたは複数は、第1の構成要素および/または第2の構成要素とは異なる追加的な構成要素から部分的に構成されることが可能である。
【0065】
1つの実施形態では、ユーザーは、人間の頭部(たとえば、患者の頭部など)と導電的に同様になるように、ファントムヘッド100を構築することが可能である。すなわち、皮膚ハイドロゲルエレメント82cの体積抵抗率が、体積抵抗率に関して患者の皮膚に類似するように、骨ハイドロゲルエレメント82dの体積抵抗率が、体積抵抗率に関して患者の頭蓋骨の骨に類似するように、および、脳ハイドロゲルエレメント82eが、体積抵抗率に関して患者の脳に類似するように、ユーザーが、ファントムヘッド100を構築することが可能である。1つの実施形態では、ユーザーは、抵抗率に関して標的(たとえば、標的腫瘍など)に類似する体積抵抗率を有する標的ハイドロゲルエレメント82fを含むように、ファントムヘッド100を構築することも可能である。
【0066】
1つの実施形態では、ユーザーは、患者の頭部の中のまたはその周りの他の構成要素(たとえば、軟骨、目、髪、粘液、唾液、および神経など)の体積抵抗率をモデル化する1つまたは複数の追加的なハイドロゲルエレメント82a~nを含むように、ファントムヘッド100を構築することが可能である。1つの実施形態では、ユーザーは、器官の一部分をシミュレートするように、1つまたは複数のハイドロゲルエレメント82a~nを構築することが可能であり、たとえば、ユーザーは、体積抵抗率に関して脳の灰白質に類似する第1の脳ハイドロゲルエレメント、および、体積抵抗率に関して脳の白質に類似する第2の脳ハイドロゲルエレメントを構築することが可能であり、または、ユーザーは、体積抵抗率に関して骨髄に類似する第1の骨ハイドロゲルエレメント、体積抵抗率に関して海綿骨に類似する第2の骨ハイドロゲルエレメント、および、体積抵抗率に関して緻密骨に類似する第3の骨ハイドロゲルエレメントを構築することが可能である。
【0067】
1つの実施形態では、ファントムヘッド100は、1つまたは複数のセンサー102a~nを有することが可能であり、1つまたは複数のセンサー102a~nは、センサーリード104a~nを有しており、ファントムヘッド100の上のまたはその中の特定の場所と関連付けられており、1つまたは複数のセンサー102a~nは、たとえば、第1のセンサー102aおよび第2のセンサー102bなどであり、第1のセンサー102aは、センサーリード104aを有しており、標的ハイドロゲルエレメント82fと関連付けられており、第2のセンサー102bは、センサーリード104bを有しており、皮膚ハイドロゲルエレメント82cと関連付けられている。追加的に、それぞれの電場発生パッド70(たとえば、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bなど)は、1つまたは複数のセンサー102a~nを含むことが可能である。それぞれのセンサー102a~nは、電場センサー、電圧センサー、アンペアセンサー、温度センサー、および/または電磁界センサーなどのうちの1つまたは複数を含むことが可能である。1つの実施形態では、それぞれのセンサー102a~nをモニタリングすることによって、ユーザーは、1つまたは複数の電場発生パッド70のそれぞれの最適な設置を決定することが可能である。1つまたは複数のTTF信号が第1の電場発生パッド70a、第2の電場発生パッド70b、およびハイドロゲルファントム78に適用されることとなる任意の他の電場発生パッド70に供給されるときに発生させられるTTFieldの最大化された治療的な利益を示すデータをセンサー102a~nから受信することによって、1つまたは複数の電場発生パッド70のそれぞれの最適な設置が決定されることが可能である。
【0068】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサー102a~nは、ファントムハイドロゲル78の全体を通して複数の異なる場所に設置されることが可能である。たとえば、センサー102cは、脳ハイドロゲルエレメント82cの正面領域に設置されている。ハイドロゲルファントム78を通して1つまたは複数のセンサー102a~nを設置することによって、ユーザーは、ファントムハイドロゲル78の中の複数の場所における交流電場(たとえば、TTField)の特性を決定することが可能である。他の実施形態において、1つまたは複数のセンサー102a~nのうちの少なくとも1つは、2つ以上のハイドロゲルエレメント82a~nの間の交差部に設置されることが可能である。2つ以上のハイドロゲルエレメント82a~nの間の交差部にセンサー102を設置することによって、ユーザーは、交流電場が第1のハイドロゲルエレメント82から第2のハイドロゲルエレメント82へ通過するときに、交流電場の1つまたは複数の特性を決定することが可能である。
【0069】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数のセンサー102a~nのそれぞれは、外部デバイス120に通信可能に連結されているセンサーリード104a~nを含む。外部デバイス120にアクセスすることによって、ユーザーは、それぞれのセンサー102a~nの1つまたは複数の特性に関する値を決定することができる可能性がある。しかし、他の実施形態において、1つまたは複数のセンサー102a~nのそれぞれは、センサーリード104a~nを含まず、ワイヤレストランシーバーを含むことが可能であり、ワイヤレストランシーバーは、Bluetooth、RFID、WIFI、Xbee、およびZ-waveなどの要件に適合するワイヤレス通信トポロジー、または、それらのいくつかの組み合わせ、または任意の他のワイヤレス通信トポロジーを使用して、外部デバイス120に通信可能に連結されている。いくつかの実施形態において、センサー102は、プロセッサーによって読み取られて解釈され得るデジタル信号を提供するように、アナログ-デジタルコンバーターを通してプロセッサーに連結されているセンサーを含む。これらの実施形態では、一つのセンサーリードがプロセッサーをワイヤレストランシーバーに連結し、プロセッサーがワイヤレストランシーバーを介して外部デバイス120にデータおよびインストラクションを転送することを可能にすることができる。
【0070】
1つの実施形態では、ファントムヘッド100は、1つまたは複数のシミュレートされた静脈108a~nを有することが可能である。1つまたは複数のシミュレートされた静脈108a~nは、静脈として参照されるが、1つまたは複数のシミュレートされた静脈108a~nは、動脈、または、モデル液体を運搬もしくは搬送するように設計された人間の身体の別のパーツをシミュレートすることも可能である。1つの実施形態では、1つまたは複数のシミュレートされた静脈108a~nのそれぞれは、モデル液体(たとえば、血液、または、人間の血液と同様の電気伝導率および/もしくは体積抵抗率特性を有する合成血液など)をファントムヘッド100の中で循環させるように動作可能なチューブまたはホースなどを含むことが可能である。1つの実施形態では、合成血液は、また、人間の血液と同様の熱伝導率特性を有している。1つの実施形態では、モデル液体は、1つまたは複数のセンサー102a~nからデータを受信しながら循環される。
【0071】
1つの実施形態では、ハイドロゲルファントム78は、1つまたは複数の非ゲルエレメント112(たとえば、医療用デバイスまたは1つもしくは複数のシミュレートされた静脈108a~nなど)を含むように構築されることが可能である。たとえば、ハイドロゲルファントム78がファントムヘッド100である場合には、ユーザーは、患者の頭部の中に植え込まれるかまたは患者の頭部に設置され得る1つまたは複数の非ゲルエレメント112(たとえば、たとえば、骨固定型補聴器、人工内耳、および/または、頭蓋骨欠損を閉鎖するために使用されるもののような金属プレートなどを含む医療用デバイスなど)を含むように、ファントムヘッド100を構築することが可能である。1つまたは複数の非ゲルエレメント112を含むようにハイドロゲルファントム78を構築することによって、ユーザーは、1つまたは複数の非ゲルエレメント112に起因するハイドロゲルファントム78の中の電場(たとえば、TTFieldなど)の変化を測定することが可能である。
【0072】
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の非ゲルエレメント112は、医療用デバイス(たとえば、ペースメーカーなど)として、電場をアクティブに発生させる。1つの実施形態では、胸腔の中のさまざまな器官と同様の体積抵抗率を有する1つまたは複数のハイドロゲルエレメント82a~nを有する胸腔としてハイドロゲルファントム78を構築することによって、および、ハイドロゲルファントム78の中にペースメーカーを含むことによって、ユーザーは、電場発生パッド70a~nに起因する電場、および、ペースメーカーによって発生させられる電気信号によって引き起こされる電場の任意の変動を測定することが可能である。
【0073】
1つの実施形態では、1つまたは複数の追加的な電場発生パッド70(図示せず)は、ファントムヘッド100に取り付けられることが可能である。それぞれの電場発生パッド70に接続されている発生器54は、第1のパワーおよび第1の周波数を有する第1の電気信号を、1つまたは複数の電場発生パッド70(たとえば、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bなど)の第1のグループに供給することが可能であり、また、第2のパワーおよび第2の周波数を有する第2の電気信号を、時間的に同じインスタンスにおいてファントムヘッド100に取り付けられている1つまたは複数の電場発生パッド70の第2のグループに供給することが可能である。すなわち、発生器54は、第1の電気信号を第1のグループに供給すると同時に、第2の電気信号を第2のグループに供給することが可能である。上記の実施形態は、第1のグループおよび第2のグループのみを説明しているが、3つ以上のグループが存在することも可能であるということが理解される。
【0074】
図3Bは、生物学的な構成要素の外部および生物学的な構成要素の内部の電気伝導率を適当にモデル化するように構成された流体コンテナ130として描かれている
図2のハイドロゲルファントム78の別の例示的な実施形態の断面ダイアグラムである。流体コンテナ130は、それに限定されないが、立方体、長方体、球体、円錐体、円筒体、または任意の架空の形状を含む、任意の形状であることが可能である。
図3Bに示されている流体コンテナ130は、流体を保持するように形成された凹形のほぼ半球形の容器である。
【0075】
流体コンテナ130は、外部表面136および内部表面138を有する少なくとも1つの外部壁部134を含む。少なくとも1つの外部壁部134は、少なくとも1つのハイドロゲルエレメント82から形成されることが可能である。いくつかの実施形態において、流体コンテナ130は、第1のハイドロゲルエレメント82gから形成された単一の壁部を含む。ハイドロゲルエレメント82gは、生物学的な構成要素の外部構成要素(たとえば、頭蓋骨、胴体の外部皮膚、およびそれらの組み合わせ)の電気伝導率を近似および/またはモデル化するように構成されることが可能である。たとえば、ハイドロゲルエレメント82gは、人間の身体または非人間の身体の頭蓋骨の電気伝導率を近似および/またはモデル化するように構成されることが可能である。そのために、ハイドロゲルエレメント82gは、骨、皮膚、および/または脳物質の電気伝導率を近似および/またはモデル化するように構成されることが可能である。
【0076】
流体コンテナ130の内部は、流体溶液140によって充填されるかまたは部分的に充填されることが可能である。流体溶液140は、生物学的な構成要素(たとえば、脳物質、血液、器官)の内部の電気伝導率を近似および/またはモデル化するように構成されることが可能である。たとえば、流体溶液140は、脳物質(すなわち、白質および/または灰白質)の電気伝導率を近似および/またはモデル化するように構成されることが可能である。いくつかの実施形態において、流体溶液140は、たとえば、白質および灰白質の平均伝導率を近似するように構成されることが可能である。いくつかの実施形態において、流体溶液140は、生理食塩水溶液であることが可能であり、生理食塩水溶液の塩含有量は、生物学的な構成要素の内部の電気伝導率を近似するように構成されている。
【0077】
図3Bを参照すると、いくつかの実施形態において、1つまたは複数の標的ハイドロゲルエレメント82fは、少なくとも1つの可動プローブ142の少なくとも一部分の上に形成されるかまたはそれに取り付けられることが可能である。標的ハイドロゲルエレメント82fは、1つまたは複数の標的腫瘍を近似する抵抗率を有するように構成されることが可能である。標的ハイドロゲルエレメント82fは、可動プローブ142の上の任意のポイントに位置決めされることが可能である。少なくとも1つの可動プローブ142(その上に形成されているかまたはそれに取り付けられている標的ハイドロゲルエレメント82fを有する)は、流体コンテナ130の内部の周りに位置決めされ、流体コンテナ130の流体溶液140の中を移動可能であり得る。たとえば、少なくとも1つの可動プローブ142は、流体コンテナ130の内部の中の第1の部位に位置決めされることが可能であり、そこで、1つまたは複数の測定値が、標的ハイドロゲルエレメント82fに対して取得されることが可能である。次いで、少なくとも1つの可動プローブ142は、流体コンテナ130の内部の中の第2の部位に位置決めされることが可能であり、そこで、1つまたは複数の測定値が、標的ハイドロゲルエレメント82fに対して取得されることが可能である。追加的に、1つまたは複数の標的ハイドロゲルエレメント82fは、少なくとも1つの可動プローブ142とともに使用されることが可能である。そのために、少なくとも1つの可動プローブ142は、第1の部位に位置決めされることが可能であり、そこで、1つまたは複数の測定値が、プローブ142に取り付けられている第1の標的ハイドロゲルエレメント82fに対して取得されることが可能である。少なくとも1つの可動プローブ142は、第2の部位に位置決めされることが可能であり、そこで、1つまたは複数の測定値が、プローブ142に取り付けられている第2の標的ハイドロゲルエレメント82fに対して取得されることが可能である。追加的なプローブ(可動式または静止式)が、本開示にしたがって流体コンテナ130の内部の中に位置決めされることが可能であるということが留意されるべきである。
【0078】
いくつかの実施形態において、流体コンテナ130は、ファントムヘッド100と同様に、流体コンテナ130の内部に(たとえば、流体コンテナ130の流体溶液140の中に)位置決めされている、1つもしくは複数のセンサー102a~n(
図3Aに示されている)、1つもしくは複数のシミュレートされた静脈108a~n(
図3Aに示されている)、および/または、1つもしくは複数の非ゲルエレメント112(
図3Aに示されている)を含むことが可能である。
【0079】
少なくとも1つの可動プローブ142は、流体コンテナ130の内部の中の電場を測定するために、流体コンテナ130の中に位置決めされるように構成されることが可能である。流体コンテナ130の内部は、外部壁部134の内部表面138によって境界を定められている。
図2および
図3Bを参照すると、1つまたは複数の電場発生パッド70は、流体コンテナ130の外部壁部134の外部表面136に取り付けられることが可能である。それぞれの電場発生パッド70に接続されている発生器54は、第1のパワーおよび第1の周波数を有する第1の電気信号を、1つまたは複数の電場発生パッド70(たとえば、第1の電場発生パッド70aおよび第2の電場発生パッド70bなど)の第1のグループに供給することが可能であり、また、第2のパワーおよび第2の周波数を有する第2の電気信号を、流体コンテナ130の外部に取り付けられている1つまたは複数の電場発生パッド70の第2のグループに供給することが可能である。少なくとも1つの可動プローブ142(その上のまたはそれに取り付けられている少なくとも1つの標的ハイドロゲルエレメント82fを有する)は、発生器54からの電気信号の発生の間に、内部流体コンテナ130の中の電場、および、いくつかの実施形態において、標的ハイドロゲルエレメント82fの中の電場を測定するように構成されることが可能である。
【0080】
ここで
図4Aを参照すると、そこで示されているのは、本開示にしたがって構築されたゲル塗布システム200の例示的な実施形態のダイアグラムである。ゲル塗布システム200は、一般的に、1つまたは複数のアプリケーター204と、ハウジング212に移動可能に取り付けられているプラットフォーム208とを含む。1つのみのアプリケーター204が、簡潔化の目的のために示されているが、しかし、2つ以上のアプリケーター204が利用されることも可能である。1つまたは複数のアプリケーター204は、所定の放出速度で導電性ゲル(より詳細に上記に説明されている)を放出するための少なくともノズル216をさらに含む。プラットフォーム208は、ハイドロゲルファントム78(部分的な皮膚ハイドロゲルエレメント82c’および部分的な骨ハイドロゲルエレメント82d’を有する部分的なファントムヘッド100’として描かれている)が構築されている間に、ハイドロゲルファントム78を支持している。1つの実施形態では、(液体形態の)第1の構成要素および第2の構成要素は、アプリケーター204の中で混合され、アプリケーター204のノズル216から液体導電性ゲルとして放出されることが可能である。
【0081】
1つの実施形態では、アプリケーター204は、第1の方向220、第2の方向224、または第3の方向226、およびそれらの組み合わせのうちの1つに移動することが可能である。1つの実施形態では、プラットフォーム208は、第1の方向220、第2の方向224、第3の方向226、またはそれらの組み合わせに移動することが可能である。第1の方向220は、y方向であることが可能であり、第2の方向224は、x方向であることが可能であり、第3の方向226は、z方向であることが可能である。1つの実施形態では、ゲル塗布システム200は、プラットフォーム208の移動を制御するために、および/または、アプリケーター204の移動を制御するために、コントローラー228を含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、コントローラー228は、少なくとも1つの提案されたハイドロゲルエレメントを有する提案されたハイドロゲルファントムの3次元モデルをロードされている。これらの実施形態では、3次元モデルは、複数のボクセルを提供されており、それぞれのボクセルは、少なくとも1つの提案されたハイドロゲルエレメントのうちの1つの一部分である。ボクセルのそれぞれは、ボクセルのための特定の抵抗、インピーダンス、またはコンダクタンスを識別する(または、それを決定するために使用される)特性情報を提供されている。特性情報は、コントローラー228によって読み取られ、抵抗、インピーダンス、またはコンダクタンスを有するボクセルを生成させるために使用されることが可能である。
【0083】
1つの実施形態では、コントローラー228は、回路、たとえば、少なくとも1つのプロセッサー230に通信可能に連結されているメモリー229(たとえば、非一時的なコンピューター可読媒体など)を備えて提供されることが可能である。3次元モデルと、3次元モデルを読み出すように構成されているコンピューター実行可能なコードとを記憶するメモリー229は、プロセッサー230によってアクセスされることが可能である。プロセッサー230(3次元モデルを読み出すように構成されているコンピューター実行可能なコードを実行する)は、(プラットフォーム208の)アプリケーター204が第1の方向220、第2の方向224、または第3の方向228のうちの1つまたは複数に移動することを引き起こし、アプリケーター204が所定の放出速度で導電性ゲルを放出することを引き起こすことが可能である。1つの実施形態では、コンピューターシステム(図示せず)は、3次元モデルの複数のボクセルとしてハイドロゲルファントム78をモデル化するために使用され、また、3次元モデルをコントローラー228に通信するために使用され、コントローラー228において、3次元モデルは、次いで、メモリー229の中に記憶されることが可能である。1つの実施形態では、コントローラー228は、1つまたは複数のコンピューターシステムと通信しており、3次元モデルまたは3次元モデルを形成する複数のボクセルを受信する。
【0084】
1つの実施形態では、ゲル塗布システム200は、硬化装置232をさらに含み、(液体形態の)第1の構成要素および第2の構成要素が硬化して(または、ポリマー化して)1つまたは複数のハイドロゲルエレメント82の3次元の導電性ゲルになることを引き起こす。硬化装置232は、硬化剤(たとえば、UV放射線、レーザー、および/または電子ビームなど)を、たとえば、(液体形態の)第1の構成要素および第2の構成要素を含む特定のボクセル234に供給することが可能であり、ここで、特定のボクセル234は、部分的な皮膚ハイドロゲルエレメント82c’または部分的な骨ハイドロゲルエレメント82d’として
図4Aに示されている、1つまたは複数のハイドロゲルエレメント82のうちの特定の1つに対応する3次元モデルの未硬化のボクセルである。それによって、硬化装置232は、硬化剤を適用することによって、特定のボクセル234がポリマー化し、1つまたは複数のハイドロゲルエレメント82のうちの特定の1つの一部分を形成する3次元の導電性ゲルになることを引き起こす。
【0085】
1つの実施形態では、ユーザーは、コントローラー228を使用し、第1の比率を有する第1の構成要素および第2の構成要素から構成された第1の液体ハイドロゲルを、ゲル塗布システム200のアプリケーター204が放出することを引き起こし、また、患者の皮膚と同様の体積抵抗率を有する部分的な皮膚ハイドロゲルエレメント82c’の第1のボクセルを形成するために、硬化装置232が第1の持続期間にわたって第1の強度で第1の液体ハイドロゲルに硬化剤を供給することを引き起こし、また、第2の比率を有する第1の構成要素および第2の構成要素から構成された第2の液体ハイドロゲルを、ゲル塗布システム200のアプリケーター204が放出することを引き起こし、また、患者の頭蓋骨と同様の体積抵抗率を有する部分的な骨ハイドロゲルエレメント82d’の第2のボクセルを形成するために、硬化装置232が第2の持続期間にわたって第2の強度で第2の液体ハイドロゲルに硬化剤を供給することを引き起こす。
【0086】
1つの実施形態では、ユーザーは、コントローラー228を使用し、特定の比率を有する第1の構成要素および第2の構成要素から構成された液体ハイドロゲルを、ゲル塗布システム200のアプリケーター204が放出することを引き起こし、また、硬化装置232は、ボクセルごとのベースで(すなわち、特定のボクセルに関して)特定の持続期間にわたって特定の強度で液体ハイドロゲルに硬化剤を供給し、たとえば、少なくとも1つのハイドロゲルエレメント82のうちの1つのそれぞれの部分に関して、アプリケーター204は、液体ハイドロゲルを放出し、また、特定のボクセルについての液体ハイドロゲルが放出された後に、硬化装置232は、放出された液体ハイドロゲルに硬化剤を供給する。1つの実施形態では、それぞれのボクセルの体積は、ハイドロゲルファントム78を形成する際に要求される精密度、液体ハイドロゲルの粘度に(部分的に)基づいてそれぞれのボクセルの中で硬化させられ得る液体ハイドロゲルの体積、および、ボクセルの中の液体ハイドロゲルに対する硬化剤の浸透限界などのうちの1つまたは複数に基づいて決定されることが可能である。1つの実施形態では、それぞれのハイドロゲルエレメント82のそれぞれのボクセルは、同様の体積を有している。いくつかの実施形態において、それぞれのボクセルは、0.001mm3から1cm3の間の体積を有している。いくつかの実施形態において、それぞれのボクセルは、おおよそ同じ体積を有しているが、一方では、他の実施形態において、すべてのボクセルが同じ体積を有しているわけではない。いくつかの実施形態において、それぞれのボクセルは、0.01mmから1cmの間の幅を有している。
【0087】
1つの実施形態では、コントローラー228は、3次元モデルを1つまたは複数の層にスライスすることが可能であり、ここで、それぞれの層は、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルであり、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルのそれぞれのボクセルは、特定のハイドロゲルエレメント82a~nの体積に対応している。特定の層の上のそれぞれのボクセルに関して、コントローラー228は、アプリケーター204が液体ハイドロゲル(少なくとも第1の構成要素および第2の構成要素から構成されている)を放出することを引き起こすことが可能であり、また、硬化剤をボクセルに適用し、ボクセルが、特定のハイドロゲルエレメント82a~nのボクセルの対応する体積と同様の電気伝導率、インピーダンス、および/または体積抵抗率を示すようになっている。1つの実施形態では、コントローラー228は、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルのすべてまたはほとんどが層ごとのベースで放出されて硬化されることを引き起こし、すなわち、コントローラー228が3次元モデルをスライスし、第1の複数の実質的に同一平面上にあるボクセルを有する第1の層と、第2の複数の実質的に同一平面上にあるボクセルを有する第2の層とにする場合には、コントローラー228が、第2の層における第2の複数の実質的に同一平面上にあるボクセルのほとんどまたはすべてが形成されることを引き起こす前に、コントローラー228は、第1の層における第1の複数の実質的に同一平面上にあるボクセルのほとんどまたはすべてが形成されることを引き起こすことが可能である。1つの実施形態では、コンピューターシステムは、3次元モデルを1つまたは複数の層にスライスすることが可能であり、ここで、それぞれの層は、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルであり、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルのそれぞれのボクセルは、特定のハイドロゲルエレメント82a~nの体積に対応している。
【0088】
1つの実施形態では、ノズル216は、ノズル216とプラットフォーム208との間の距離によって決定される塗布距離を有しており、所定の塗布圧力で(液体形態の)導電性ゲル(たとえば、ハイドロゲルなど)を放出し、プラットフォーム208に対して所定の塗布速度で移動する。塗布距離、塗布圧力、および塗布速度、を調節することによって、ボクセル体積および/またはボクセル形状が調節されることが可能である。
【0089】
1つの実施形態では、2つ以上のアプリケーター204が使用され、2つ以上のハイドロゲルファントム78を同時に形成することが可能である。
【0090】
1つの実施形態では、部分的なファントムヘッド100’がゲル塗布システム200によって構築されている(または、プリントされている)ときに、1つまたは複数の非ゲルエレメント(たとえば、1つもしくは複数の医療用デバイスおよび/または1つもしくは複数のシミュレートされた静脈108a~nなど)が、部分的なファントムヘッド100’の特定の層の上に設置されることが可能である。ファントムヘッド100の構築の間に1つまたは複数の非ゲルエレメントを取り付けることによって、導電性ゲルが硬化されるときに、導電性ゲルは、非ゲルエレメントに付着することが可能であり、それによって、1つまたは複数の非ゲルエレメントの移動を防止する。その理由は、非ゲルエレメントの移動がハイドロゲルファントム78の中へ誤差要因(error)を導入する可能性があるからである。
【0091】
ここで
図4Bを参照すると、そこで示されているのは、本開示にしたがって構築されたゲル塗布システム200aの例示的な実施形態のダイアグラムである。アプリケーター204が、第1のアプリケーター204aおよび第2のアプリケーター204bを含み、第1のアプリケーター204aは、第1のノズル216aを通して(液体形態で)第1の速度で第1の構成要素を放出するように動作可能であり、第2のアプリケーター204bは、第2のノズル216bを通して(液体形態で)第2の速度で第2の構成要素を同じ場所に放出するように動作可能であり、第1および第2の構成要素が混合してハイドロゲルエレメント82のうちの1つの一部分を形成することを引き起こすことを除いて、ゲル塗布システム200aは、構築および機能に関して、上記に説明されて
図4Aに示されているゲル塗布システム200と同様である。この実施形態では、所定の時間の期間にわたって、第1の構成要素の第1の放出速度、および、第2の構成要素の第2の放出速度を調節することによって、ユーザーは、固体のゲル形態へと固化するように、第1の構成要素と第2の構成要素との間の比率を選択することが可能である。第1および第2の構成要素を塗布し、それに続いて、塗布された第1および第2の構成要素を硬化させるステップを繰り返すことによって、ゲル塗布システム200は、ハイドロゲルファントム78のハイドロゲルエレメント82a~nを生成させることが可能である。
【0092】
ゲル塗布システム200aは、ハウジング212に移動可能に取り付けられているプラットフォーム208をさらに含む。プラットフォーム208は、ハイドロゲルファントム78が構築されている間に、ハイドロゲルファントム78を支持する。ハイドロゲルファントム78は、部分的な皮膚ハイドロゲルエレメント82c’および部分的な骨ハイドロゲルエレメント82d’を有する部分的なファントムヘッド100’として描かれている。
【0093】
いくつかの実施形態において、コントローラー228は、少なくとも1つの提案されたハイドロゲルエレメントを有する提案されたハイドロゲルファントムの3次元モデルをロードされている。これらの実施形態では、3次元モデルは、複数のボクセルを提供されおり、それぞれのボクセルは、少なくとも1つの提案されたハイドロゲルエレメントのうちの1つの一部分である。ボクセルのそれぞれは、ボクセルのための特定の抵抗、インピーダンス、またはコンダクタンスを識別する(または、それを決定するために使用される)特性情報を提供されている。特性情報は、コントローラー228によって読み取られ、抵抗、インピーダンス、またはコンダクタンスを有するボクセルを生成させるために使用されることが可能である。コントローラー228は、少なくとも1つのプロセッサー230に通信可能に連結されているメモリー229(たとえば、非一時的なコンピューター可読媒体など)を備えて提供されることが可能である。3次元モデルと、3次元モデルを読み出すように構成されているコンピューター実行可能なコードとを記憶するメモリー229は、プロセッサー230によってアクセスされることが可能である。プロセッサー230(3次元モデルを読み出すように構成されているコンピューター実行可能なコードを実行する)は、(プラットフォーム208の)第1のアプリケーター204aおよび第2のアプリケーター204bが第1の方向220、第2の方向224、または第3の方向228のうちの1つまたは複数に移動することを引き起こすことが可能であり、また、第1のアプリケーター204aが第1のノズル216aを通して第1の速度で(液体形態で)第1の構成要素を放出することを引き起こすことが可能であり、第2のアプリケーター204bは、第2のノズル216bを通して第2の速度で(液体形態で)第2の構成要素を放出するように動作可能である。
【0094】
1つの実施形態では、コンピューターシステム(図示せず)は、3次元モデルの複数のボクセルとしてハイドロゲルファントム78をモデル化するために使用され、また、3次元モデルをコントローラー228に通信するために使用され、コントローラー228において、3次元モデルは、次いで、メモリー229の中に記憶されることが可能である。1つの実施形態では、コントローラー228は、1つまたは複数のコンピューターシステムと通信しており、3次元モデルまたは3次元モデルを形成する複数のボクセルを受信する。1つの実施形態では、コンピューターシステムは、3次元モデルを1つまたは複数の層にスライスすることが可能であり、ここで、それぞれの層は、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルであり、複数の実質的に同一平面上にあるボクセルのそれぞれのボクセルは、特定のハイドロゲルエレメント82a~nの体積に対応している。
【0095】
ここで
図5を参照すると、そこで示されているのは、ハイドロゲルファントム生成プロセス250の例示的な実施形態であり、ハイドロゲルファントム生成プロセス250は、一般的に、所望の体積抵抗率を決定するステップ(ステップ254)と、第1の体積の第1の構成要素ハイドロゲルおよび第2の体積の第2のハイドロゲルを組み合わせてハイドロゲルエレメントにするステップ(ステップ258)と、ハイドロゲルエレメントを硬化させてハイドロゲルファントムを形成するステップ(ステップ262)とを含む。
【0096】
1つの実施形態では、所望の体積抵抗率を決定するステップ(ステップ254)は、患者の標的領域(たとえば、標的腫瘍など)の体積抵抗率を測定することによって実施されることが可能である。1つの実施形態では、所望の体積抵抗率を決定するステップ(ステップ254)は、患者の特定の部分(たとえば、特定の器官など)に関する体積抵抗率を、特定の器官に関する所定の電気伝導率のセットに関して選択するステップを含むことが可能である。たとえば、特定の器官が肝臓である場合には、および、一般的に、肝臓が所定の肝臓体積抵抗率を有するということが事前に決定されている場合には、事前に決定された肝臓体積抵抗率が、所望の体積抵抗率として選択されることが可能である。
【0097】
1つの実施形態では、第1の体積の第1の構成要素および第2の体積の第2の構成要素を組み合わせてハイドロゲルエレメントにするステップ(ステップ258)は、一般的に、たとえば、表1を発生させるように決定されるように、ハイドロゲル構成要素比率を選択するステップであって、ここで、特定の比率は、所望の体積抵抗率に近似したまたはそれと同様の体積抵抗率を含む、ステップと、第2の体積に対する第1の体積の比率がハイドロゲル構成要素比率におおよそ等しくなるように、第1の体積および第2の体積を選択するステップとを含む。
【0098】
1つの実施形態では、第1の体積の第1の構成要素および第2の体積の第2の構成要素を組み合わせてハイドロゲルエレメントにするステップ(ステップ258)は、第1の構成要素の第1の体積および第2の構成要素の第2の体積を有する1つまたは複数のボクセルを形成するステップをさらに含むことが可能であり、ここで、それぞれのボクセルは、ハイドロゲルエレメントの離散的な体積または部分である。
【0099】
1つの実施形態では、ハイドロゲルエレメントを硬化させてハイドロゲルファントムを形成するステップ(ステップ262)は、一般的に、特定の持続期間にわたって硬化剤をハイドロゲルエレメントに適用するステップを含む。たとえば、特定の持続期間は、所望の体積抵抗率に関するハイドロゲル構成要素比率に対応する硬化持続期間の部分的に基づいて決定されることが可能である。1つの実施形態では、ハイドロゲルエレメントを硬化させてハイドロゲルファントムを形成するステップ(ステップ262)は、硬化および固化されたボクセルがハイドロゲルエレメントを集合的に形成するように、それぞれのボクセルが形成されているときに、1つまたは複数のボクセルのそれぞれを硬化させるステップを含むことが可能である。
【0100】
ここで
図6を参照すると、そこで示されているのは、電場発生パッド場所設置プロセス300の例示的な実施形態であり、電場発生パッド場所設置プロセス300は、一般的に、2つ以上の電場発生パッドを特定の場所においてハイドロゲルファントム78に取り付けるステップ(ステップ304)と、所定の時間の期間にわたって約50kHzから約1MHzの範囲にある周波数を有する交流電場を発生させるステップ(ステップ308)と、有効性を決定するために1つまたは複数のセンサーを測定するステップ(ステップ312)と、有効性が有効性閾値を上回るかどうかを決定するステップ(ステップ316)と、有効性が有効性閾値を上回る場合には、ハイドロゲルファントムの上の2つ以上の電場発生パッドのそれぞれの特定の場所を治療的な電場発生パッド場所として選択するステップ(ステップ320)と、そうでなければ、ステップ304に戻るステップとを含む。
【0101】
1つの実施形態では、2つ以上の電場発生パッドをハイドロゲルファントムに取り付けるステップ(ステップ304)は、ユーザーによって実施されることが可能であり、ハイドロゲルファントム78の上の特定の場所に2つ以上の電場発生パッドを取り付けるステップと、1つまたは複数のセンサーをハイドロゲルファントム78に取り付けるステップとを含むことが可能である。1つの実施形態では、所定の時間の期間にわたって約50kHzから約500kHzの範囲にある周波数を有する交流電場を発生させるステップ(ステップ308)は、ユーザーによって、発生器54または制御ボックス86にアクセスするステップと、発生器54が交流電場を発生させることを引き起こすステップとを含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、有効性を決定するために1つまたは複数のセンサーを測定するステップ(ステップ312)は、標的領域における印加された交流電場の有効性を決定するために、ハイドロゲルファントム78に取り付けられている1つまたは複数のセンサー102a~nのそれぞれに関して、電場強度または強度を測定するステップ、電圧を測定するステップ、アンペア数を測定するステップ、もしくは、温度を測定するステップ、または、それらのいくつかの組み合わせを含むことが可能である。1つの実施形態では、印加される交流電場は、TTFieldであり、標的領域は、電場標的74の標的領域である。いくつかの実施形態において、有効性を決定するために測定するステップは、可動プローブ142から電場の1つまたは複数の測定値を取得するステップを含むことが可能である。
【0103】
1つの実施形態では、有効性閾値を上回るかどうかを決定するステップ(ステップ316)は、ステップ312において決定されるような有効性を有効性閾値と比較するステップと、有効性閾値を上回る場合には、ハイドロゲルファントム78の上の2つ以上の電場発生パッド70のそれぞれの現在の場所を治療的な電場発生パッド場所として選択するステップとを含む。有効性が有効性閾値を下回る場合には、2つ以上の電場発生パッドをハイドロゲルファントム78に取り付けるステップ(ステップ304)に戻り、特定の場所のうちの少なくとも1つとは異なる場所において、2つ以上の電場発生パッドをハイドロゲルファントムに取り付ける。たとえば、有効性閾値が温度閾値である場合には、有効性が有効性閾値を下回るかどうかを決定するステップ(ステップ316)は、温度を測定することによって決定されるような有効性を温度閾値と比較するステップを含み、温度が温度閾値を超える場合には、ステップ304に戻り、そうでなければ、ハイドロゲルファントムの上の2つ以上の電場発生パッドのそれぞれの特定の場所を治療的な電場発生パッド場所として選択し続ける(ステップ320)。
【0104】
図7は、本開示による、TTField強度の(すなわち、コンピューターモデルの中で予測された推定TTField強度)のシミュレーションを検証するための例示的な方法400のフローチャートである。また、本開示によれば、TTField強度の代わりに、または、TTField強度に加えて、以下のものが検証されることも可能である:電圧、アンペア数、温度、またはそれらのいくつかの組み合わせ。
【0105】
ステップ402において、1つまたは複数のコンピューターシミュレーションは、身体の中の標的エリアに関する推定TTField強度を決定することが可能である。一般的に、コンピューターシミュレーションは、TTField治療のための電極に関する位置を決定する。身体(たとえば、頭部、胴体)の中の電気伝導率の1つまたは複数のコンピューターモデルは、身体の特定の部分のCTスキャンおよび/またはMRIイメージを取得することによって発生させられることが可能である。たとえば、以下の特許および特許公報の中の開示は、TTField治療における電極のための位置を決定するために使用される伝導率のコンピューターモデルを提供するためのCTスキャンおよび/またはMRIイメージのセグメンテーションを詳述している:2016年10月27日に出願された米国特許第10,188,851号;2019年11月12日に出願された米国特許公報第2020/0146586号;および、2019年7月18日に出願された米国特許公報第2020/0023179号;それらの文献は、すべてその全体が参照により本明細書に組み込まれている。コンピューターシミュレーションの中において、推定TTField強度は、電極のシミュレートされた位置決めに基づいて、身体の中の標的エリア(たとえば、腫瘍)に関して決定されることが可能である。
【0106】
ステップ404において、ハイドロゲルファントム78を使用して、ハイドロゲルファントム78の中の実際のTTField強度が、本開示にしたがって取得されることが可能である。電場発生パッド70aおよび70bが、コンピューターシミュレーションまたはモデルの中の電極の位置決めに基づいて、ハイドロゲルファントム78の周りに位置決めされることが可能である。交流電場が、電場発生パッド70aおよび70bによってハイドロゲルファントム78に印加されることが可能である。実際のTTFIeld強度は、ハイドロゲルファントム78の少なくとも一部分を通過する交流電場に関係付けられて測定されることが可能である。
【0107】
ステップ406において、コンピューターシミュレーションの推定TTField強度、および、ハイドロゲルファントム78の実際のTTField強度が比較され、結果として生じる比較出力を提供することが可能である。ステップ408において、結果として生じる比較出力は、推定TTField強度のコンピューターシミュレーションを検証することが可能であり、および/または、結果として生じる比較出力は、コンピューターシミュレーションを更新するために使用されることが可能である。たとえば、結果として生じる比較出力は、実際のTTField強度と推定TTField強度との間の差が事前に決定された閾値の中にある場合には、コンピューターシミュレーションによって提供される推定TTField強度を検証することが可能である。いくつかの実施形態において、結果として生じる比較は、コンピューターシミュレーションを調節または較正する(たとえば、コンピューターシミュレーションの中の1つまたは複数のアルゴリズムを更新する)ために使用されることが可能である。
【0108】
以下は、本明細書で開示されている発明概念の非限定的な例示的な実施形態の番号リストである。
【0109】
1.ハイドロゲルファントムであって、ハイドロゲルファントムは、複数の接続されたハイドロゲルエレメントを含み、ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有しており、第1のインピーダンスは、第2のインピーダンスとは異なる、ハイドロゲルファントム。
【0110】
2.複数の接続されたハイドロゲルエレメントは、患者の身体パーツの形態になっている、例示的な実施形態1に記載のハイドロゲルファントム。
【0111】
3.ハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つは、腫瘍の形態になっており、複数の隣接して配設されたハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つは、腫瘍のインピーダンスを模倣するインピーダンスを有している、例示的な実施形態1に記載のハイドロゲルファントム。
【0112】
4.複数の接続されたハイドロゲルエレメントは、人間の頭部の形状になっている、例示的な実施形態1に記載のハイドロゲルファントム。
【0113】
5.複数の接続されたハイドロゲルエレメントのそれぞれは、所定の比率で第1の構成要素および第2の構成要素を含む、例示的な実施形態1に記載のハイドロゲルファントム。
【0114】
6.ハイドロゲルファントムは、複数の接続されたハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つと連通する非ゲルエレメントをさらに含む、例示的な実施形態1に記載のハイドロゲルファントム。
【0115】
7.非ゲルエレメントは、複数の隣接して配設されたハイドロゲルエレメントのうちの少なくとも1つと連通する医療用デバイスである、例示的な実施形態6に記載のハイドロゲルファントム。
【0116】
8.非ゲルエレメントは、複数の隣接して配設されたハイドロゲルエレメントの中に植え込まれている、例示的な実施形態6に記載のハイドロゲルファントム。
【0117】
9.物体の3次元モデルを受け取るステップであって、3次元モデルは、複数のボクセルを有しており、それぞれのボクセルは、ボクセルに関するインピーダンスまたは抵抗のうちの少なくとも1つを識別するかまたはそれを決定するために使用可能な特性情報を提供されている、ステップと;
3次元モデルの中のボクセルに対応するハイドロゲルエレメントをハイドロゲルファントムの中に生成させることによって、3次元モデルによってハイドロゲルファントムを生成させるために、ゲル塗布システムを動作させるステップと
を含む、方法。
【0118】
10.ハイドロゲルファントムの上の特定の場所においてハイドロゲルファントムに電場発生パッドを取り付けるステップであって、ハイドロゲルファントムは、複数の接続されたハイドロゲルエレメントを有しており、ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有しており、第1のインピーダンスは、第2のインピーダンスとは異なる、ステップと;
電場発生パッドによってハイドロゲルファントムに交流電場を印加するステップと;
複数のセンサーによって、ハイドロゲルファントムの少なくとも一部分を通過する交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップと;
以下のステップ:
ハイドロゲルファントムの中の標的領域に対する交流電場の有効性を決定するステップ;および、
複数のセンサーによって測定されるデータを使用して、ハイドロゲルファントムの少なくとも一部分を通過する交流電場をモデル化するステップ
のうちの少なくとも1つを実施するステップと
を含む、方法。
【0119】
11.交流電場を印加するステップは、電場発生パッドによってハイドロゲルファントムに腫瘍治療電場を印加するステップを含む、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0120】
12.方法は、交流電場に関係付けられる測定された少なくとも1つの特性に少なくとも部分的に基づいて、ハイドロゲルファントムによって交流電場の比吸収率を計算するステップをさらに含む、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0121】
13.方法は、ハイドロゲルファントムの上にまたはその中に、ハイドロゲルファントムの特定の部分と関連付けられる複数のセンサーを取り付けるステップをさらに含み、それぞれのセンサーは、少なくとも1つの特性を提供する、例示的な実施形態10に記載の方法。
【0122】
14.交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、少なくとも1つの特性を決定するために、複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、例示的な実施形態13に記載の方法。
【0123】
15.交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、ハイドロゲルファントムの特定の部分を通過する交流電場に関係付けられる温度を決定するために、複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、例示的な実施形態14に記載の方法。
【0124】
16.交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、ハイドロゲルファントムの特定の部分を通過する交流電場に関係付けられる電気的特性を決定するために、1つまたは複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、例示的な実施形態14に記載の方法。
【0125】
17.交流電場に関係付けられる少なくとも1つの特性を測定するステップは、ハイドロゲルファントムの特定の部分を通過する交流電場に関係付けられる磁気的特性を決定するために、1つまたは複数のセンサーのうちの少なくとも1つを測定するステップをさらに含む、例示的な実施形態14に記載の方法。
【0126】
18.交流電場を印加するステップは、電場発生パッドによってハイドロゲルファントムに腫瘍治療電場を印加するステップを含む、例示的な実施形態14に記載の方法。
【0127】
19.腫瘍治療電場をモデル化するステップは、ハイドロゲルファントムの中の標的領域に対する交流電場の有効性を決定するステップを含む、例示的な実施形態18に記載の方法。
【0128】
20.コンピューターシミュレーションに基づいて事前に決定された場所においてハイドロゲルファントムに電場発生パッドを取り付けるステップであって、ハイドロゲルファントムは、複数のハイドロゲルエレメントを有しており、ハイドロゲルエレメントの第1のものは、第1の電気的なインピーダンスを有しており、ハイドロゲルエレメントの第2のものは、第2のインピーダンスを有しており、第1のインピーダンスは、第2のインピーダンスとは異なる、ステップと;
電場発生パッドによってハイドロゲルファントムに交流電場を印加するステップと;
実際のTTField強度を取得するために、ハイドロゲルファントムの少なくとも一部分を通過する交流電場に関係付けられるTTField強度を測定するステップと;
実際のTTField強度を、コンピューターシミュレーションから取得される推定TTField強度と比較するステップと
を含む、方法。
【0129】
21.電場発生パッドは、ハイドロゲルファントムの外部壁部に取り付けられている、例示的な実施形態20に記載の方法。
【0130】
22.ハイドロゲルエレメントの第2のものの第2のインピーダンスは、腫瘍のインピーダンスにマッチしている、例示的な実施形態20に記載の方法。
【0131】
23.ハイドロゲルエレメントの第2のものは、TTField強度を測定するように構成されているプローブに取り付けられており、方法は、第1のハイドロゲルエレメントに対してプローブを移動させるステップをさらに含む、例示的な実施形態22に記載の方法。
【0132】
上記の説明から、本明細書で開示されて特許請求されている発明概念は、本発明に固有のものと同様に、本明細書に述べられている目的を遂行し、利点を得るように十分に適合されているということが明らかである。本開示の目的のために、発明概念の例示的な実施形態が説明されてきたが、多数の変化が行われることが可能であり、多数の変化は、それら自身を当業者に容易に示唆することとなり、本明細書で開示されて特許請求されている発明概念の精神の中で達成されるということが理解されることとなる。先述の説明、例示的な実施形態、もしくは、以下の特許請求の範囲に、または、添付の図面に開示されている特徴(それらは、それらの特定の形態で、または、開示されている機能を果たすための手段の観点から、または、開示されている結果を取得するための方法もしくはプロセスの観点から、適宜表現されている)は、別個に、または、そのような特徴の任意の組み合わせで、その多様な形態で本開示を現実化するために利用されることが可能である。
【符号の説明】
【0133】
10 分裂細胞
14 力線
18a 第1の電極
18b 第2の電極
22 微小管
26 中心小体
30 分裂細胞10の中心
34 細胞膜への微小管22の取り付けのポイント
50 電子装置
54 発生器
58 導電性リード
58a 第1の導電性リード
58b 第2の導電性リード
62a 第1の端部
62b 第2の端部
66a 第1の端部
66b 第2の端部
70a 第1の電場発生パッド
70b 第2の電場発生パッド
74 電場標的
78 ハイドロゲルファントム
82a~n ハイドロゲルエレメント
82a ハイドロゲルエレメント
82b ハイドロゲルエレメント
82c 皮膚ハイドロゲルエレメント
82c’ 部分的な皮膚ハイドロゲルエレメント
82d 骨ハイドロゲルエレメント
82d’ 部分的な骨ハイドロゲルエレメント
82e 脳ハイドロゲルエレメント
82f 標的ハイドロゲルエレメント
82g 第1のハイドロゲルエレメント
84 外側表面
86 制御ボックス
90 温度センサー
100 ハイドロゲルファントムヘッド
100’ 部分的なファントムヘッド
102a~n センサー
102a 第1のセンサー
102b 第2のセンサー
104a~n センサーリード
108a~n シミュレートされた静脈
112 非ゲルエレメント
120 外部デバイス
130 流体コンテナ
134 外部壁部
136 外部表面
140 流体溶液
142 可動プローブ
200 ゲル塗布システム
200a ゲル塗布システム
204 アプリケーター
204a 第1のアプリケーター
204b 第2のアプリケーター
208 プラットフォーム
212 ハウジング
216 ノズル
216a 第1のノズル
216b 第2のノズル
220 第1の方向
224 第2の方向
228 第3の方向
228 コントローラー
229 メモリー
230 プロセッサー
232 硬化装置
234 ボクセル
【国際調査報告】