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特表2024-515454プロセス流体を処理するための装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】プロセス流体を処理するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20240403BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240403BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61L 2/24 20060101ALI20240403BHJP
   A61L 2/10 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
C02F1/32
B23Q11/00 U
B23Q11/10 Z
A61L2/24
A61L2/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557315
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-24
(86)【国際出願番号】 FI2022050175
(87)【国際公開番号】W WO2022195172
(87)【国際公開日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】20215304
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】523354277
【氏名又は名称】スペスネス オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ヘイキネン,ヨーナス
【テーマコード(参考)】
3C011
4C058
4D037
【Fターム(参考)】
3C011BB31
3C011EE09
4C058AA30
4C058BB06
4C058CC10
4C058DD02
4C058DD07
4C058EE26
4C058KK02
4C058KK28
4C058KK32
4C058KK46
4D037AA08
4D037AB03
4D037BA18
4D037BB01
4D037BB02
4D037CA02
(57)【要約】
本発明は、機械加工液などの、プロセス流体を処理するための装置および方法に関する。本装置は、機械加工液のための入口(2)、ポンプユニット(5)、濾過ユニット(7)、UVC放射を伝達する1つ以上の放射源(16)を備えた微生物除去ユニット(9)、および機械加工液のための出口(3)、ならびに本装置の機能のための制御&調整システムも含む。好ましくは、濾過ユニット(7)は、相互に連続して連結された1つ以上の濾過手段(7a)および測定ユニット(8)を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス流体のためのメンテナンス装置(1)であって、流体入口(2)、少なくとも1つの濾過ユニット(7)および流体出口(3)ならびに前記装置の機能のための制御&調整システムおよび前記制御&調整システムに連結された測定ユニット(8)ならびに前記装置を通して導かれている前記プロセス流体の特性を測定するための前記プロセス流体濃度の測定手段(8b)を含む前記装置において、前記メンテナンス装置(1)は、次の測定手段:前記プロセス流体中に溶解した酸素の量を測定するための手段、前記プロセス流体の酸化還元電位を測定するための手段、前記プロセス流体のTSD値を測定するための手段、前記プロセス流体の温度を測定するための手段、前記プロセス流体の流速を測定するための手段、前記プロセス流体の屈折率を測定するための手段、前記プロセス流体に向けられたUV放射の量を測定するための手段、の1つ以上を含むことを特徴とするメンテナンス装置。
【請求項2】
前記濾過ユニット(7)は、異なる粗さの親油性および疎水性のモジュール式濾過手段(7a)を含み、前記モジュール式濾過手段(7a)は、前記濾過手段(7a)の粗さに従い、前記プロセス流体の流れ方向において、その粗さの観点から、第1の濾過手段が最も粗く、最後の濾過手段が最も細かくなるような方法で、連続して順番に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のメンテナンス装置。
【請求項3】
前記メンテナンス装置(1)は、微生物を破壊する放射を伝達する1つ以上の放射源(16)を備えた1つ以上のモジュール式微生物除去ユニット(9)を含み、前記除去ユニットは、前記プロセス流体の前記流れ方向において前記濾過ユニット(7)の後に配備された、基部(9b)を備えているか、または対応するフローベッドを備えた、空間であり、前記空間内で前記プロセス流体は前記空間の前記基部(9b)上で本質的に薄い層になるように構成され、前記空間内の1つ以上の放射源(16)は、前記空間内にある前記プロセス流体の表面から少し離れて配置されることを特徴とする、請求項1または2に記載のメンテナンス装置。
【請求項4】
前記除去ユニット(9)は前記装置の前記制御&調整システムに連結されて、UVC放射を反射する1つ以上の反射器(18、18a)を備えていることを特徴とする、請求項3に記載のメンテナンス装置。
【請求項5】
前記除去ユニット(9)はUVC放射に対して透過性がある1つ以上の膜(19、19a)を備えており、前記膜は、前記放射源(16)と前記プロセス流体の前記表面との間に配置されて、前記プロセス流体、またはその跳ねかけの、前記放射源(16)との接触を防ぐことを特徴とする、請求項3または4に記載のメンテナンス装置。
【請求項6】
前記プロセス流体の前記濃度の前記測定手段(8b)は、前記プロセス流体の前記流路(2a)に、および前記装置の前記制御&調整システムにも連結されていることを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメンテナンス装置。
【請求項7】
前記濃度の前記測定手段(8b)は、デジタルカメラおよび/またはデジタルビデオカメラを用いて、ならびに前記プロセス流体の前記屈折率を測定するためのマシンビジョンアプリケーションを用いて等、画像を記録するための装置を備えることを特徴とする、請求項6に記載のメンテナンス装置。
【請求項8】
前記プロセス流体の前記濃度の調整のために、前記メンテナンス装置は、前記流体の前記流れ方向において前記濃度測定手段(8b)および/または測定ユニット(8)の前に、前記流路(2a)に連結された中間入口(4)を含み、前記中間入口と連結されているのは、ドージングバルブ(4a)であることを特徴とする、請求項6または7に記載のメンテナンス装置。
【請求項9】
前記装置は、前記装置によって収集された前記測定データを分析するため、前記装置の前記動作を調整するため、および前記分析された測定データを前記プロセス流体のユーザーに提示するために、外部サーバー(21)と無線接続されている、コンピュータ(10)およびそれに接続された無線送信機/受信機(11)を含むことを特徴とする、先行する請求項のいずれかに記載のメンテナンス装置。
【請求項10】
メンテナンス装置(1)内のプロセス流体を処理するための方法であって、前記装置は、流体入口(2)、濾過ユニット(7)および流体出口(3)ならびに前記装置の機能のための制御&調整システムおよび前記装置を通って導かれている前記プロセス流体の前記特性を測定するために前記制御&調整システムに連結された測定ユニット(8)を含み、前記方法において、前記プロセス流体の前記濃度が測定および調整され、前記プロセス流体を濾過ユニット(7)を通って導くことにより、清浄化されて前記メンテナンス装置(1)に入れられる前記プロセス流体から、固体粒子および漏油も取り除かれる、方法において、前記プロセス流体から次:前記プロセス流体中の微生物の量、前記プロセス流体の前記酸化還元電位、前記プロセス流体中の前記総溶解固形物(TDS)、前記プロセス流体の前記流速、前記プロセス流体の前記屈折率、前記プロセス流体に向けられたUV放射の前記量、の1つ以上が測定されることを特徴とする方法。
【請求項11】
前述の測定に加えて、前記プロセス流体から次:前記プロセス流体のpH値、前記プロセス流体の電気伝導率、前記プロセス流体の前記温度、の1つ以上が測定されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記プロセス流体の前記濃度が、画像を記録するために使用される装置を用いて、例えば、デジタルカメラまたはデジタルビデオカメラを用いて、および前記装置と接続したマシンビジョンアプリケーションを用いて等、測定され、前記アプリケーションは、前記プロセス流体の前記屈折率を測定するため、およびデジタル屈折計のように機能するために、構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロセス流体の前記濃度が測定および調整されて、前記プロセス流体は前記メンテナンス装置(1)を用いて、多フェーズにおける連続機能として、かつ自動化プロセスとして清浄化され、前記プロセス流体は、前記流体リザーバーから前記メンテナンス装置(1)へ、そして前記流体リザーバーに戻る、本質的に連続して循環することを特徴とする、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記プロセス流体から測定された前記測定データが、前記メンテナンス装置(1)の前記送信機/受信機(11)で外部サーバー(21)へ送信され、そこで前記測定データが分析され、それを介して操作&調整命令が、前記プロセス流体の前記測定された値を予め定義された制限内に保つために、前記メンテナンス装置(1)の前記制御&調整システムに与えられることを特徴とする、先行する請求項10~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
微生物の前記除去のために、前記プロセス流体は、前記メンテナンス装置(1)と連結されている前記除去ユニット(9)を通って、その表面積に拡大された、薄い層として導かれ、前記除去ユニット(9)内で前記プロセス流体中の微生物を破壊する放射が前記プロセス流体の前記拡大された表面積に向けられることを特徴とする、先行する請求項10~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
微生物を破壊する前記放射は、前記メンテナンス装置(1)と連結されている1つ以上のUV放射源(16)で伝達され、各UV放射源(16)のUVC放射の前記量が継続して測定されて、前記測定された値に基づくニーズに従って調整されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記UV放射源(16)の前記UVC放射が、1つ以上の反射器(18、18a)を用いて、前記メンテナンス装置(1)と連結されている前記除去ユニット(9)の前記基部(9b)上の前記プロセス流体の前記拡大された表面積に反射されることを特徴とする、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記UV放射源(16)は、UVC放射に対して透過性がある1つ以上の膜(19、19a)を用いて、前記プロセス流体から、およびその跳ねかけから保護されることを特徴とする、請求項15、16または17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、プロセス流体を処理するための、請求項1のプリアンブルで定義される装置および請求項10のプリアンブルで定義される方法である。
【0002】
本発明に従った装置および方法、以下、より簡潔に、本発明に従ったソリューションは、エンジニアリング&金属産業においてチップ除去を伴う機械加工のための工作機械で使用される機械加工液の清浄化に適用可能であり、例えば、CNC機械と連結して、設置できる、かかる機械加工液の特性のメンテナンスおよび測定にも適用可能なソリューションである。本発明に従ったソリューションは、プロセス流体が使用される他の産業部門でも使用できる。本発明に従ったソリューションは、連続プロセスとして、または1つの機械から別の機械へと移送されるユニットとして、完全に自動的に動作できる。
【0003】
本発明に従ったソリューションは、本質的に全てのプロセス流体を清浄化するため、およびそれらの濃度を調整するために使用できる。本ソリューションは、機械加工液の処理、および好都合に、金属加工で使用される機械加工液の処理、例えば、清浄化のための濃度の調整、に非常に適している。
【0004】
簡潔にするために、本出願の文脈では、本発明に従ったソリューションは、金属用機械加工液の処理と併せてのみより詳細に提示されるが、言及されているプロセス流体は、何らかの他の目的用の流体にも好都合であり得る。
【背景技術】
【0005】
一般に、切削液または切削冷却液とも呼ばれる、金属のチップ除去を伴う機械加工における機械加工液は、とりわけ、ワークピースおよび使用される工作機械を冷却し、加工表面を潤滑し、ワークピースおよび工作機械を腐食から保護し、チップ管理を改善し、機械加工接合部分から金属粒子を除去するために、使用される。
【0006】
機械加工液は、4つの基本タイプ、すなわち、切削油、エマルジョン系機械加工液、半合成、および合成機械加工液、に分類できる。産業界で最も広く使用されているのはエマルジョン系機械加工液である。本発明に従ったソリューションは、全ての機械加工液の清浄化および他の流体の清浄化にも適しているが、この文脈では、主にエマルジョン系機械加工液だけに重点を置く。
【0007】
エマルジョン系機械加工液は多くの場合、油と水の混合物であり、それに対して様々な添加剤が、例えば、機械加工液の耐用期間、熱容量、潤滑性を改善するため、または機械加工装置もしくは機械加工ワークピースを標的とする腐食量を阻止するために加えられている可能性がある。エマルジョン系機械加工液は、ほとんどの場合、例えば、1/10~1/20の混合率で水と混合される濃縮物として供給される。この場合、混合された機械加工液中の濃縮物部分の濃度、すなわち、もっと簡潔に濃度は、10%~5%である。
【0008】
エマルジョン系機械加工液の1つの欠点は、様々な細菌叢がその中に容易に形成されることであり、細菌叢は、機械加工液の耐用期間をすぐに損なって、最終的にその機械加工液を完全に使用に耐えられないものにする。これに加えて、細菌叢は、有害臭ならびに、工作機械ユーザーに対して、例えば、皮膚アレルギーおよび呼吸器疾患などの、職業的な健康障害および疾患も引き起こす。機械加工液の汚染は、それらを比較的頻繁に交換することを必要とする。各機械加工液の交換は、とりわけ、次の費用および損失:新しい機械加工液の調達、製造の中断、交換に費やした作業時間、汚染された機械加工液の有害廃棄物としての廃棄、廃棄のために使用された再生不能燃料の環境への影響、を招く。
【0009】
水を含有している機械加工液の細菌叢は、機械加工液の有機化合物をそれらの栄養および増殖培地として使用する。機械加工液混合物に殺生物剤を添加することにより、機械加工液中の細菌叢の形成を防いで制御するための試行を行うことができ、殺生物剤は、様々な殺菌剤、駆除剤および工業用保護剤、ならびに防腐剤である。しかし、殺生物剤は、工作機械のユーザーに対して、とりわけ、アレルギー反応、呼吸器疾患および他の疾患も引き起こす毒性化学物質である。これに加えて、ほとんどの殺生物剤は、大量の殺生物剤がやっと下水管にたどり着く場合、生物学的廃水処理プラントの運用を妨害し、そうでない場合もそれらは生物分解可能な機械加工液の生物学的廃水処理の邪魔をする。
【0010】
当該技術分野において周知されていることによれば、機械加工液の濃度はほとんどの場合、手動操作の光学式屈折計で測定され、それを用いて機械加工液中に溶解した物質の濃度が測定される。しかし、手動操作の屈折計の使用は、機械加工液が屈折計のプリズムを容易に汚すので、信頼性がなく、その場合、その装置によって得られる結果は、信頼できないか、または間違ってさえいる。さらに、手動測定は、不正確で、骨が折れて時間がかかる。
【0011】
機械加工中、機械加工液に属していないが、工作機械および機械加工されているワークピースから生じている、有害な油、以下、より簡潔に漏油が、機械加工液に混ざり、その漏油は一般に、機械加工液の化学的特性を変化させる、環境に有害な、鉱油系油であり、その場合、機械加工液はもはや所望のやり方で機能しない。漏油はまた、燃えて、工作機械のブレードに付着して、切削ブレードの破損となる。漏油は、それらの表面上の小粒子および他の汚れも集め、その結果として、有害な微生物にとって良好な繁殖場所を提供する。漏油は、例えば、様々なオイルスキマーで除去されるが、これらは、別個の装置を必要として、複雑さおよび費用の両方を増加させる。さらに、オイルスキマーは、表面上の油を除去するためにだけ動作して、機械加工液に混ざった油は除去せず、それは、工作機械のブレードにとってより悪影響さえもたらす。
【0012】
金属を機械加工する際、様々な固体粒子、例えば、金属粒子および削りくずが、常に機械加工液に入り込む。これらの固体粒子の一部は、機械加工液リザーバーの底に沈み、他方、一部は、機械加工システム内を機械加工液と共に循環する。これらの固体粒子は、ワークピースの表面品質を損なって、機械および切削液システム、特に、ブレードビット、ポンプ、レールおよびベアリングの、摩耗、または破損さえ引き起こし得る。
【0013】
当該技術分野において周知されていることによれば、連続清浄に基づく完全循環システムは一般に、機械加工液の清浄化のために使用され、本システムは、マイクロフィルタなどの、別個の清浄化装置を含み、それを用いて、機械加工装置に由来する機械加工液から、例えば、固体粒子および漏油を濾過しようと努められる。完全循環に基づくソリューションは、多くの大規模で、複雑かつ高価な装置を含み、それらは多くの場合、完全なプロセスではなく、個々のタスクのみを処理して、費用のかかる床スペースも塞ぐ。その上、本装置は、多くの異なるメンテナンス手順を必要とする。
【0014】
同様に当該技術分野において周知されていることは、バッチ式清浄化に基づく方法であり、機械加工液は、その中で機械加工液が清浄化されて、その後循環に戻される、別個のバッチ式清浄化プロセスに移送される。バッチ式清浄化に関連する問題は、清浄化される機械加工液が、機械加工液システムから完全に出て別個の清浄化に移送される必要があることであり、その場合、完全に新しい機械加工液が機械加工液システムに追加される必要がある。かかる場合、工作機械は、液交換の間、使用されない。加えて、機械加工液の交換は常に、追加の費用を招く。別の問題は、バッチ式清浄化は、1回限りの清浄化であり、その場合、流体は、清浄化直後に再度、汚れを集め始め、それ故に、立ち上げを除いて、いずれのフェーズにおいても連続して清浄ではないことである。
【0015】
当該技術分野において周知されていることによれば、機械加工システムに連結されている沈降タンクも広く使用され、タンク内で機械加工液中の固体粒子はリザーバーの底に沈み、油などの、機械加工液よりも軽い粒子は、機械加工液の表面に達し、そこからそれらは、例えば、オイルスキマーを用いてすくい取られる。しかし、これらのタイプのソリューションは、機械加工液中に溶解した漏油も、機械加工液中に残っている最小固定粒子も除去せず、工作機械部品および高価な切削ブレードの摩耗を引き起こす。さらに、リザーバータンク内に存在する機械加工液は、微生物にとって優れた繁殖場所であり、それらは、機械加工液の耐用期間を縮める。別の欠点は、沈降タンクは多くの場合、大きなスペースを必要とし、それらの様々なコンパートメントと共に、清浄化を妨げて、製造コストを増加させる、複雑なリザーバーソリューションを含むことである。
【0016】
遠心分離機および液体遠心分離機などの、遠心力に基づく分離装置も使用されている。しかし、遠心分離機を使用する場合、小粒子が常に機械加工液中に残る。加えて、エマルジョン系機械加工液の場合にはエマルジョンの分解が観察されている。液体遠心分離機は、極めて小さい粒子の分離に対してのみ適しており、そのため本装置は、例えば、主に金属加工で生成された削りくずに対しては、適していない。遠心力に基づく分離装置に関連する別の問題は、それらは全ての機械加工に適していないことである。これらの装置は、例えば、鋳鉄の研磨時に生成される超微細金属粉塵を除去する上で著しい課題がある。
【0017】
機械加工液中の微生物を効果的に破壊する、UVC光も、機械加工液中の微生物の破壊のために使用されている。主な問題は、UVランプは、保護構造なしで、清浄化液中、または液の真上にあるので、UVランプはすぐに汚れるということである。多くの場合、簡単に割れる、脆い溶融石英スリーブがランプの保護として使用される。汚れの付着も微生物を除去する放射の効率を著しく弱める。1つのさらなる問題は、当該技術分野において周知のソリューションでは、UV濾過で使用される流体の表面積が一般に非常に小さく、その場合、UV放射は、全ての微生物を破壊するために十分でなく、清浄化が遅いことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、前述の欠点を取り除いて、機械加工液などの、プロセス流体を処理するための、安価で、単純で、信頼でき、かつ費用効率の高い装置および方法を提供することである。本発明に従った装置は、請求項1の特徴部分で開示されるものを特徴とする。それに応じて、本発明に従った方法は、請求項10の特徴部分で開示されるものを特徴とする。本発明の他の実施形態は、他の請求項で開示されるものを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
その目的を実装するために、機械加工液などの、プロセス流体を処理するための本発明に従った装置は、流体入口、濾過ユニット、UVC放射などの、微生物を破壊する放射を伝達する1つ以上の放射源を備えた微生物除去ユニット、および流体出口、ならびに本装置の機能に対する制御&調整システムを含む。本装置は好ましくは、本装置を通って導かれているプロセス流体の特性を測定および調整するために本装置の制御&調整システムに連結された測定ユニットを含む。
【0020】
本発明に従った方法は、本発明に従った装置において実装できる。この場合、固体粒子および漏油が、濾過ユニットを通して導くことによって本装置に取り込まれる、機械加工液などの、清浄化されるプロセス流体から除去される。この後、流体のメンテナンスおよび監視ならびに流体の耐用期間の予測可能性が、プロセス流体ならびにプロセス流体の状態および濃度に関する本質的な値から測定される。機能測定の後、微生物を破壊する放射に曝露されるプロセス流体の表面積が微生物の除去のために拡張されて、微生物を破壊する、UVC放射などの、放射が、プロセス流体中の微生物を破壊するために流体の拡張された表面積に向けられる。最後に、清浄化されたプロセス流体が装置から取り除かれる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に従ったソリューションの1つの利点は、本ソリューションは、機械加工液の耐用期間を、例えば、固体粒子および漏油などの、全ての不純物をそれらから清浄化することによって、微生物を除去することによって、ならびに機械加工液の濃度および完全に自動的なメンテナンスのための最適設定を調整することによって、延ばすことである。この場合、従来技術に従った、手動の、恐らくは信頼性を欠く測定は不必要になる。この場合、機械加工液を交換する必要性も低減されて、有毒な殺生物添加剤に対する必要性が排除される。さらに、機械加工液および微生物によって引き起こされる職業的な健康障害および環境危険因子が低減される。機械加工液は本質的に、有害廃棄物として分類されるので、環境問題が、必要な交換の減少を通して、かつより環境に優しい流体を使用するより多くの機会を通して減少する。
【0022】
自動化のおかげで、1つの利点は、機械加工液に対する測定間隔が十分な頻度になり、機械加工液のリアルタイムメンテナンス、信頼できる測定および測定結果の正確な文書化も可能にすることである。この場合、システム内を循環している機械加工液は常に、プロセス使用のために容認できる程度に清浄である。自動化も、機械加工液のメンテナンスのために必要な作業量を減らす。
【0023】
1つの重要な利点は、正確で多用途の測定センサーを用いて実行される自動測定のおかげで、物理的および化学的特性、濃度および微生物の量が、継続的かつ本質的にリアルタイムで検査および調整できることである。この場合、例えば、濃度の正確な測定は、例えば、機械加工液の泡立ちおよびそれによって引き起こされる問題を回避し、同時に、例えば、機械加工液リザーバーが過充填にならないように、システムの循環に追加される機械加工液の量を制御することが可能である。正確な温度測定により、機械加工液の機械加工特性が損なわれないように機械加工液の温度が最適なレベルであるかどうかを検証できる。これは、熱膨張の影響が重要な役割を果たす正確な機械加工において特に重要である。
【0024】
本発明に従ったソリューションの別の利点は、本発明に従った装置は、ローカルに、またはリモート接続によって、のいずれかで制御できること、ならびに本装置は、機械加工液の特性、化学組成、量および流速に関するリアルタイム情報、ならびに機械加工液中の微生物の量に関するリアルタイム情報をユーザーに伝えることである。
【0025】
さらに別の利点は、UVC放射を伝達する放射源は機械加工液と接触していないことであり、その場合、それらは汚れず、そのためその結果としてそれらの放射力は最大限のままである。さらに、UVC放射は、機械加工液の大きな表面積に影響するようにでき、その場合、微生物の除去は可能な限り効果的かつ迅速である。UVC放射の放射力および機械加工液の低速度が、清浄化プロセス中にリアルタイムで調整できることも利点であり、その場合、清浄化のために使用されるエネルギー量は、常に最適レベルに保つことができる。
【0026】
本発明に従った装置の別の利点は、モジュールから組み立てることができる、装置の単純な構造が、装置の新しい位置への容易な可動性、および新しいサイズクラスへのスケーラビリティを可能にできること、ならびに装置はユーザーのニーズに対してカスタマイズ可能なことである。別の利点は、モジュールは、補修および顧客に戻すために、郵便小包として配達できることであり、その場合、物流コストは低い。
【0027】
以下で、本発明は、添付の簡略化された線図を参照して、その実施形態の一例の助けを借りて、さらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に従った機械加工液の1つの処理装置の図式による簡略化された図を示す。
図2】本発明に従った機械加工液の1つの処理装置、およびその主な構成要素の図式による簡略化された側面図を示す。
図3図2に従った装置の上部の図式による簡略化された図を、装置のカバーを開いて上から垂直に見て、示す。
図4図2に従った装置の上部の、切断した場合の、図式による簡略化された側面図を、カバーを装置の上に離して示す。
図5図2に従った装置の一実施形態に従った上部の図式による、簡略化された断面側面図を、カバーを装置の上に離して示す。
図6】機械加工液のための本発明に従った処理装置のデータ伝送構成の図式による簡略化された図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1~3は、機械加工液のための本発明に従った1つの処理装置1、より簡潔にはメンテナンス装置1、または更により簡潔には装置1を示す。図1で、本装置は、図式的に、および図2では、側面から見て、示されている。図3は、メンテナンス装置1の上部を上から直接見て、装置のカバー9aを開いて示しており、図4は、その簡略化された断面直接側面図を、カバー9aを直接上方に上げて、メンテナンス装置1自体から分離して示している。
【0030】
メンテナンス装置1は、それ自身がその台板上に基礎を置く、支持フレーム部を含み、そのフレーム部の支持に、メンテナンス装置1の構成要素が固定される。フレーム部によって支持されるメンテナンス装置1は、とりわけ、清浄化される機械加工液のための入口2、清浄化された機械加工液のための出口3、およびそれらの間の機械加工液のための流路2a、入口2に連結された、吸引ポンプ6aおよび高圧ポンプ6bを備えた、ポンプユニット5、濾過手段7aを備えた1つ以上の濾過ユニット7、ならびに機械加工液中の微生物用の測定ユニット8および除去ユニット9も含む。好ましくは、濾過手段7aは、その目的のために意図されたフィルタ挿入体である。
【0031】
メンテナンス装置1は、機械加工液の濃度を高めることを意図した、ドージングバルブおよび考えられるポンプなどのアクチュエータを備えた、きれいな機械加工液のための中間入口4も含む。好ましくは、追加される機械加工液は、中間入口4と接続して、機械加工液濃縮物と混合されてエマルジョンになる。混合される水も、メンテナンス装置1に入れて、それを機械加工液濃縮物と混合する前に、浄化できる。浄化は、例えば、逆浸透濾過を用いて、別個の炭素フィルタを用いて、または何らかの他の対応する方法で、実行できる。浄化は好ましくは、随時必要に応じて、装置にモジュール方式で連結される浄水ユニットを用いて実行される。
【0032】
さらに、メンテナンス装置1は、従来型の周辺機器を備えたデータ処理ユニット10、より簡潔にコンピュータ10、およびそれに接続された、1つの、好ましくは、無線、送信機/受信機11を含む。コンピュータ10内にメンテナンス装置1の制御&調整システムもある。
【0033】
メンテナンス装置1の入口端の少なくともポンプ6aおよび6b、そのアクチュエータを備えた測定ユニット8、そのアクチュエータを備えた微生物除去ユニット9、ならびにそのアクチュエータを備えた中間入口4がコンピュータ10に、および/またはメンテナンス装置1の制御&調整システムに接続される。
【0034】
吸引ポンプ6aは、清浄化される機械加工液を、処理のためにメンテナンス装置1に入口2を介して吸い込むように構成される。好ましくは、吸引ポンプ6aの出口は、高圧ポンプ6bの入口に連結され、その高圧ポンプ6bは、清浄化される機械加工液の圧力を非常に高く上昇させて、機械加工液がメンテナンス装置の濾過ユニット7の全ての濾過手段7aを通って流れ、それらの後、測定ユニット8、およびその先の微生物除去ユニット9へと進み、その後先へ、例えば、重力によって、または代替としてポンプで送り込まれて、出口3を介して工作機械もしくは機械加工液リザーバーに戻るのを可能にする。好ましくは、高圧ポンプ6bは、圧力を調整可能なポンプであり、その中で圧力は、例えば、0.5~10バールの間で調整できる。
【0035】
高圧ポンプ6bの出口に連結された濾過ユニット7は、清浄化される機械加工液の流れ方向において高圧ポンプ6bの後であり、そのポンプ6bは、圧力を用いて、濾過ユニット7の全ての濾過手段7aを通して、機械加工液を押す。好ましくは、相互に連続して連結された2つ以上の濾過手段7aがある。好ましくは、その連続の第1の濾過手段のフィルタが最も粗くて、機械加工液流から最も大きい粒子を濾過する。その連続の第2の濾過手段のフィルタは2番目に最も粗く、等と続き、最後に、その連続の最後の濾過手段のフィルタは全ての中で最も細かい。濾過ユニット7は、例えば、連続して直列に連結された6つの濾過手段7aを含むことができる。濾過手段7aは、並列にも、例えば、直列に連結された3つの濾過手段の2つの並列セットで、連結できる。濾過ユニット7の濾過手段7aは、機械加工液の特性および/または清浄化要件に従い、メンテナンス装置1のモジュール方式のおかげで、容易かつ迅速に交換可能である。濾過手段7aは好ましくは、装置1に、迅速連結継手または対応する継手を用いて固定され、その場合、それらの交換は迅速かつ容易である。モジュール方式のおかげで、装置1は、所望の機械加工液に対して、または異なる運用サイト内の機械加工液に対する汚染要件に従って、迅速かつ容易に構成できる。2つ以上の濾過ユニット7がメンテナンス装置1内に設置できる。2つ以上の濾過ユニット7の場合、濾過ユニットは、並列または直列に設置でき、その結果として、メンテナンス装置1の処理速度の向上または濾過能力の向上のいずれかを提供する。並列に設置された濾過ユニット7は、相互に類似しているが、直列に設置された個々の濾過手段7aは、言うまでもなく、機械加工液が濾過ユニットを通過するにつれて密度が高くなる。
【0036】
必要であれば、運用サイト要件に応じて、濾過手段7aは、装置1内で、微生物除去ユニット9なしでも使用できる。言及する価値がある、かかる例は、例えば、マイクロエマルジョン流体の機械加工液としての使用であり、その場合、微生物除去ユニット9は、マイクロエマルジョン流体からマクロエマルジョン流体を徐々に作成することにより機械加工液において望ましくない反応を引き起こす。その場合、濾過の精度が、所望の濾過レベルに達するまで、より高密度の濾過手段を用いて改善されるように、濾過手段7aの連続に細かい濾過を追加することにより、機械加工液を清浄化することは好都合である。この事例での濾過のために、まず、モジュール式の粗い濾過手段が除去ユニット9を置き換えるために配置され、その濾過手段は最も大きな粒子を流体から除去する。その後、濾過が、濾過手段7aを用いて、最後に細かい濾過モジュールで、実行されて、その細かい濾過モジュールは粗いフィルタと一緒に、除去ユニット9を置き換える。細かい濾過モジュールでは、濾過手段7aの連続の後の濾過が、例えば、1μmの銀メッキフィルタを用いて、生じ、その場合、細菌はフィルタ自体内では増殖せず、フィルタの耐用期間が長くなる。最後に、濾過が、例えば、0.2または0.45μmフィルタで実行され、その場合、微生物はフィルタ内に残るが、マイクロエマルジョン流体自体は依然としてフィルタを通過する。
【0037】
濾過ユニット7の濾過手段7a、微細濾過モジュールおよび除去ユニットは、機械加工液の品質および組成に基づいて選択されて、必要であれば、機械加工液の測定によって取得される値に基づいて調整される。選択可能なものはそれ故に、マイクロエマルジョン流体に対して、微細濾過モジュールおよび濾過手段7aも備えた高密度濾過、ならびにマクロエマルジョン流体に対して、および他の機械加工液に対しては、濾過手段7aおよび除去ユニット9によって生じる濾過の組合せである。モジュール方式のおかげで、メンテナンス装置1の構成は、選択された機械加工液に従って変更するのが容易である。
【0038】
機械加工液の品質(清浄化効率および流体濃度)は、濾過ユニット7のモジュール式濾過手段7aを交換し、機械加工液の濃度を自動調整し、かつ微生物除去ユニット9の力を調整して、測定結果(濃度の測定、汚染の測定)に基づいて調整される。従って、本方法では、流体(濃度)および装置(清浄化効率)の両方が測定結果に基づいて調整される。
【0039】
濾過ユニット7内では、好ましくは、例えば、10バールの値まで、調整可能な高圧である。濾過ユニット7の互いに下流の、すなわち、濾過フェーズ内の、濾過手段7aの各々では、上流よりも細かい粒子の固体粒子が、機械加工液から濾過される。好ましくは、濾過手段7aのフィルタ材料は、親油性または疎水性材料であり、それは、油を自身の中に吸収して水を拒絶する。この場合、フィルタ材料は、水中に乳化した実際の機械加工液が通過するのを許可するが、他の油および固体粒子はフィルタ内に残る。フィルタ材料は、例えば、メルトブローポリプロピレンにできる。
【0040】
好ましくは、新しい機械加工液が、必要であれば、清浄化される機械加工液の流れ方向において濾過ユニット7の後で測定ユニット8の前に、中間入口4を介して機械加工液の流路2aに追加される。追加は、ドージングバルブ4aを用いて実装され、ドージングバルブ4aは、例えば、コンピュータ10に接続されたソレノイド弁にできる。送込みは、メンテナンス装置1の制御&調整システムの制御下で、機械加工液から測定された濃度値に基づいて自動的に生じるように構成される。この場合、コンピュータ制御されたドージングバルブ4aは、その濃度に適するように調整された、新しい機械加工液が測定ユニット8を通って本システムに入るのを可能にする。新しい機械加工液の濃度は、手動であるレベルに調整でき、それは通常は十分であるが、必要に応じて、濃度はコンピュータ10の支援も得て調整できる。追加と同時に、測定ユニット8内の機械加工液から、機械加工液に対する別の方法と同じ値が、しかし、特に機械加工液の濃度および量が測定される。その測定の利点は、測定ユニット8のセンサーの較正の妥当性も確実にできることである。
【0041】
中間入口4を介して生じる機械加工液の追加は、本システム内を循環している機械加工液を常に、可能な限り運用許容限度内に保つ。機械加工液リザーバーが、機械加工液の表面のレベルを測定するために、メンテナンス装置1の制御&調整システムに接続された、1つ以上の表面センサーを備えていることも好都合である。このソリューションは、機械加工液リザーバーがその縁を超えて溢れるのを防ぐ。
【0042】
流路2a内で、測定ユニット8は、清浄化される機械加工液の流れ方向において機械加工液の追加点の後である。測定ユニット8は、清浄化される機械加工液の特性を測定するため、および測定結果をメンテナンス装置1の制御&調整システムに配信するために1つ以上の測定手段8aを含む。かかる測定手段はとりわけ、溶存酸素量に対する測定センサー、酸化還元電位測定センサー、機械加工液のpH値に対する測定センサー、電気伝導率測定センサー、流体のTDS値に対する測定センサー、ならびに温度および流速に対する測定センサーである。
【0043】
溶存酸素量に対する測定センサーを用いて、機械加工液中に溶解した遊離酸素の量、すなわち、酸素に関する機械加工液の飽和度、が測定される。微生物は酸素を消費するので、機械加工液中の微生物の量が、この測定で監視できる。機械加工液中に多くの微生物が存在すればそれだけ、溶存酸素の量は低い。本発明によれば、溶存酸素の飽和百分率が測定および計算されて、それはリアルタイムで監視される。飽和百分率は、飽和溶液中の酸素量との関連で溶存酸素量を意味する。この場合、時間の関数として計算された飽和百分率は、増殖した好気性微生物の量を示す。酸素量は好ましくは、測定ユニット8内のセンサーとして機能するクラーク電極で測定され、その電極は、メンテナンス装置1内の、またはその装置と接続した、A/D変換器に対する電圧信号を生成し、そのA/D変換器によって生成されたデジタル信号は、本装置の自身のコンピュータ10内で、および/または外部サーバーへのいずれかに、処理のために先へ伝導される。
【0044】
酸化還元電位は溶液の酸化および還元能力を記述する。電位が高ければそれだけ、物質が還元する傾向が大きい、すなわち、酸化剤として機能する。酸化還元反応では、還元側が電子を失って、酸化側が電子を獲得する。反応は電子の移動を伴う、すなわち、酸素は必ずしも全く必要とされないが、酸素は多くの場合、関与する。好気性微生物は明らかにより高い電位値で活発であり、他方、嫌気性細菌は、低いか、または負の電位値でさえ、活発である。微生物のレベルの決定に加えて、流体が変化に抵抗する能力、より詳細には、酸化は、酸化還元電位によって測定され、それは、実際には、酸素によって引き起こされた流体成分の破損を意味する。このようにして、本発明に従ったソリューションでは、機械加工液の化学安定性が好都合に、酸化還元電位に対する測定センサーで測定される。
【0045】
それに応じて、機械加工液のpH値がpH値の測定センサーで測定される。それを調整することは、乳化剤の機能、細菌の量における増加、および機械加工液と接触している材料の腐食にも影響を及ぼす。低すぎるpH値は、乳化剤の効率を弱め、対応して、高いpH値は、微生物の増殖および腐食を防ぐ。
【0046】
機械加工液中に溶解したイオン数は、電気伝導率に対する測定センサーで決定される。このデータを用いて、機械加工液がエマルジョンの形成に関してどのくらい安定性があるかを決定できる。それに応じて、TDS値に対する測定センサーで、機械加工液中に溶解している固体粒子、より詳細には、塩イオン、ミネラルイオンおよび金属イオン(総溶解固形物)の数が決定される。
【0047】
メンテナンス装置1は、機械加工液の濃度に対する測定手段8bも含み、その手段は好ましくは、測定ユニット8内に配置されているか、またはそれと連結されて、流路2aおよびメンテナンス装置1の制御&調整システムに連結される。ドージングバルブ4aと共に、測定手段8bは機械加工液の濃度の調整手段としても機能し、それは、機械加工液の濃度および機械加工液リザーバーの流体表面を測定手段8bの測定に基づいて規定レベルに保つ。好ましくは、中間入口4を介して追加された機械加工液の特性が、それが追加される時または追加直後にそのフェーズ内で測定される。
【0048】
濃度の測定は、流体内の光の屈折との関連でその濃度に基づく。濃度の測定手段8bは、画像を記録するために使用される装置、好ましくはデジタルカメラを含み、その中でマシンビジョンが、カメラのレンズを通過した光を読み取るように構成され、その光における変化から、機械加工液中に溶解した物質の濃度が、測定された屈折率に基づいて推定される。機械加工液から測定された機械加工液のメンテナンスに本質的に関連した測定結果が、コンピュータ10内で処理されて、メンテナンス装置1の本質的な機能の調整が自動的に生じるように構成される。カメラおよび/またはビデオカメラが、画像を記録するために使用できる。
【0049】
測定ユニット8の後、機械加工液の流路2aは、入口コネクタ2bを介して微生物除去ユニット9に連結される。除去ユニット9は好ましくは、壁およびカバー9aも備え、かつ基部9bまたは本質的に大きな表面積のフロープラットフォームを備えた箱型空間であり、その空間内には、微生物を破壊する放射、例えば、紫外線放射、を伝達する1つ以上の放射源16がある。好ましくは、放射源は、微生物破壊UVC放射を伝達するUVランプ、例えば、高出力、低圧力の水銀灯であるが、それらはちょうどUV LEDまたは他のタイプの放射源にもできる。放射源16は、それらが、除去ユニット9を通って流れる機械加工液と接触しないように、位置付けられる。放射源16は、例えば、除去ユニット9の上部内に、機械加工液の入口コネクタ2bが放射源16と、除去ユニット9の基部9b上の機械加工液の上面との間になるように、かつ機械加工液の上面が放射源16の十分にずっと下になるように配備できる。放射源16を機械加工液から、およびその跳ねかけから保護する構造も、放射源16と機械加工液の上面との間にできる。除去ユニット9の構造およびそのアクチュエータは、図4および図6に関連して後でさらに詳細に示される。
【0050】
機械加工液中の微生物の除去後、機械加工液は除去ユニット9から、例えば、重力により、出口コネクタ3aを介して機械加工液出口3へ、さらに機械加工液リザーバー内へと流し込まれ、そこでそれは工作機械による使用のために、またはメンテナンス装置1に、再循環される。必要であれば、機械加工液は、補助ポンプを用いて機械加工液リザーバーに送達され、補助ポンプは、図1中に、機械加工液の出口3の前の機械加工液の流路内に点鎖線で示されている。
【0051】
図2は、本発明に従った機械加工液のための1つの処理装置1およびその主な構成要素の簡略化された側面図を示しており、そのほとんどは、図1の説明と併せて既に説明されている。メンテナンス装置1は、1つの場所から別の場所へ容易に移動可能な、完全に独立したユニットであり、それは、可動性を容易にするために車輪を備えることもできる。メンテナンス装置1は、電流コネクタ12または本装置を配電網内のその動作位置に接続するための電流導体、ならびに本装置の運転を開始させるため、および本装置のスイッチをオフにするための電流スイッチ13も含む。
【0052】
図3は、図2に従ったメンテナンス装置1の上部の簡略化された図を、装置のカバー9aを開いて上から垂直に見て、示す。前述したことに加えて、メンテナンス装置1はデバイスコンパートメント14を含み、その中に好ましくは、装置の動作と関連付けられた構成要素およびアクチュエータが配備される。
【0053】
図4は、図2に従ったメンテナンス装置1の1つの好適な上部の図式による簡略化された断面側面図を、分かりやすくするために、装置および同時に除去ユニット9のカバー9aを、除去ユニット9の上に分離して示す。
【0054】
好ましくは放射源16下で、流れている機械加工液の上面と放射源16との間に、放射源16に対する保護構造として、その自由縁から上方へ上がる保護シュート17がある。この実施形態では、この場合、保護シュート17の上面上に、本質的に上向きの反射面または反射器18があり、それに応じて除去ユニット9のカバー9aの内側面上に、本質的に下向きの反射面または反射器18aがある。反射器18は、放射源16から反射器18aに伝達されたUV放射を反射するように適合され、それはその結果として自身に向けられたUV放射を、除去ユニット9の基部9b上、または別個のフロープラットフォーム上の機械加工液の表面15に反射するように適合され、前記表面は図5に破線として示されている。
【0055】
好ましくは、本質的に上向きに反射する反射器18は、UVC放射を、放射源16の上の本質的に下向きに反射する反射器18aを介して、除去ユニット9の下部内、例えば、基部9b上もしくは対応するフロー面上の機械加工液の表面15に、好ましくは、機械加工液の表面15の表面積全体の全表面に、または機械加工液の表面15の表面積全体の少なくとも全表面のほとんどに反射するように構成される。
【0056】
放射源16および保護シュート17は、UV放射を、除去ユニット9の下部内、例えば、基部9b上の、機械加工液の表面に向けるために、本質的に大きな表面積の自由空間が、基部9bの上の除去ユニット9の中心領域内に残るように、除去ユニット9の両側端上にある。好ましくは、UV放射は本質的に、基部9b全体のサイズの表面積に向けられるように配置される。好ましくは、反射器18および18aは、UVC放射を反射する材料から成るか、またはそれらはUVC放射を反射する材料で、例えば、一般的にテフロンとも呼ばれる、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で被覆される。
【0057】
所望の数のモジュール式除去ユニット9が、メンテナンス装置1に、メンテナンス装置の上部内に順に重ねて、連結できる。この場合、必要な除去率は、異なる清浄化流体の品質およびそれらによって要求される清浄化ニーズに従って迅速かつ容易に変更できる。何らかの理由で、除去ユニット9を使用する必要性がないか、またはその使用が清浄化流体の品質を弱める場合、装置1は、除去ユニット9なしで組み立てることができ、濾過ユニット7および微細濾過モジュールだけが清浄化のために使用できる。
【0058】
図5は、図2に従った装置の1つの好適な実施形態に従った上部の図式による、簡略化された断面側面図を、装置のカバー9aを除去ユニット9の上に離して示す。この実施形態では、除去ユニット9のこの構造は、ほかの点では図4に示されている構造に類似しているが、ここでは保護シュート17および本質的に上向き反射器18は、UVC放射に対して透過性がある好ましくはシュート形の保護手段19と置き換えられ、その場合、上向き反射器は必要ない。分かりやすくするために、保護手段19の支持構造は、図5には示されていない。
【0059】
下向き反射器18aは、図4に示された構造と類似し得る。放射源16のUVC放射はここでは、保護手段19を通して直接に、および反射器18aを介した反射として、の両方で、除去ユニット9の下部内、例えば、基部9b上もしくは対応するフロー面上の機械加工液の表面15、好ましくは、機械加工液の表面15の表面積全体の全表面、または機械加工液の表面15の表面積全体の少なくとも全表面のほとんどを通過する。UVC放射に曝露される機械加工液の表面積は従って、本質的に、除去ユニット9の基部9b全体の表面積全体であり得る。
【0060】
1つの好適な実施形態に従ったソリューションでは、除去ユニット9内で放射源16と機械加工液の表面15との間に、UVC放射に対して透過性がある薄い保護膜19aもある。このソリューションは、放射源16が、機械加工液と、またはその跳ねかけと接触するようになるのを効果的に防ぐ。
【0061】
保護手段19は、UVC放射に対して部分的に透過性があり、UVC放射を部分的に反射もする薄膜にできる。かかる場合、膜の厚さは、例えば、0.02~0.3mmの間、適切には0.05~0.2mmの間、および好ましくは約0.1mmにできる。好ましくは、保護手段19はUVC放射に対して透過性があるPTFE膜である。
【0062】
保護手段19は、UVC放射が通過するのを可能にするが、それを相当程度まで反射しない、薄膜にもできる。かかる場合、膜の厚さは、例えば、0.02~0.2mmの間、適切には0.04~0.08mmの間、および好ましくは約0.05mmにできる。この場合、保護手段19は、UVC放射に対して透過性がある、例えば、フッ素化エチレンプロピレン膜、すなわち、FEP膜にでき、それは、UVC放射の90%までさえ、通過するのを可能にする。また、保護膜19aによってカバーされる放射に曝露される表面積全体もこのタイプのFEP膜にできる。除去ユニット9内の機械加工液の表面積全体が、このようにしてこのタイプの保護膜でカバーでき、その場合、機械加工液と放射源16との間の空気接触がないので、放射源16の保護が改善する。
【0063】
図6は、本発明に従った機械加工液のためのメンテナンス装置1のデータ伝送構成の図式による簡略化された図を示す。メンテナンス装置1の送信機/受信機11は、メンテナンス装置1の測定ユニット8の測定手段8aおよびアクチュエータによって測定されて、コンピュータ10によって処理された測定データを、さらに正確な分析のために、無線により(20)、リアルタイムで自動的に外部サーバー21に送信するように構成される。分析された測定データおよびそれに関連する他のデータは、サーバー21から、無線により(22)自動的に、例えば、工作機械のユーザー23のスマートデバイス24に送信されるように構成され、ユーザー23はそれから、機械加工液のためのメンテナンス装置1の動作プロセス25をリアルタイムで検査することが可能である。好ましくは、外部サーバー21は、例えば、メンテナンス装置1の製造業者のサーバーである。その制御&調整システムおよびアクチュエータを備えたメンテナンス装置1は、送信機/受信機11を介して更新することもできる。メンテナンス装置1は、外部サーバー21の支援の有無にかかわらず、独立しても機能できる。
【0064】
本発明に従った方法では、清浄化される機械加工液は、メンテナンス装置1の入口2に、例えば、機械加工液リザーバーから直接的に、導かれる。好ましくは、機械加工液は、入口2から吸引ポンプ6aを用いて高圧ポンプ6bに導かれ、そこで機械加工液の圧力が清浄化サイクルおよび濾過ユニット7を通過するのに適するように高められる。濾過ユニット7では、機械加工液は、高圧ポンプ6bによって生成された圧力により、
連続して直列に連結された2つ以上の濾過手段7aを通して、機械加工液が最初に、その濾過サイズに関して、最も粗い濾過手段を通過し、次いで、2番目に粗いもの等、そして最後に最も細かい濾過手段を通過するように、導かれる。その連続の各濾過手段7aでは、同じ連続内の先行する手段よりも細かい固形物が機械加工液から濾過される。
【0065】
濾過ユニット7の後、機械加工液は流路2aに沿って測定ユニット8に導かれる。しかし、測定ユニット8の前に、新しい調合済みの機械加工液が、濃度を高めるために、中間入口4を介して機械加工液に追加される。測定ユニット8において、機械加工液の最も重要な特性は機械加工液の状態の観点から、測定ユニット8aのセンサーを用いて、好ましくはリアルタイムで測定される、例えば、機械加工液の遊離溶存酸素の量、酸化還元電位およびpH値、電気伝導率、総溶解固形物(TDS)、ならびに温度および流速である。さらに、機械加工液の濃度が、好ましくはリアルタイムで、デジタルカメラおよび/またはデジタルビデオカメラならびにそれと接続したマシンビジョンアプリケーションを用いてなど、画像を記録するために使用される装置を用いて測定され、そのアプリケーションは、機械加工液の屈折率を測定するため、およびデジタル屈折計のように機能するために、構成される。
【0066】
測定ユニット8の後、機械加工液は流路2aに沿って、入口コネクタ2bを介して微生物除去ユニット9に導かれる。除去ユニット9では、機械加工液がそのユニットの基部9b上に、または大きな表面積をもつ何らかの他の適切なフロープラットフォーム上に、可能な限り薄い層で広がり、従って、UV放射に曝露される機械加工液の表面の表面積が可能な限り大きく増える。機械加工液中の微生物は、UV放射源16のUVC放射を、除去ユニットの基部9b上の機械加工液の表面上に、または何らかの他の適切なフロープラットフォーム上に向けることによって破壊される。好ましくは、UVC放射は、基部9b全体の表面積、またはほぼ基部全体に向けられる。放射源16からのUVC放射は、機械加工液の表面に直接的に、および/または反射器18、18aを介してのいずれかで、向けられる。装置1内に積み重ねられたいくつかのモジュール式除去ユニット9があり得るか、または代替として、本装置は、除去ユニットなしで製造できる。そのモジュール方式のおかげで、本装置を変更要件に適合させることは容易かつ迅速である。
【0067】
除去ユニット9の後、機械加工液は、出口3を介してメンテナンス装置1を出て、機械加工液リザーバーに再度戻るか、または工作機械に直接に導かれる。好ましくは、機械加工液は、それ自身の専用動作サイクル内で、本質的に連続して、機械加工液リザーバー1からメンテナンス装置1へ、そして機械加工液リザーバーに戻って循環する。別の専用動作サイクルは、機械加工液リザーバーから工作機械または複数の工作機械へ、そして機械加工液リザーバーに戻ることができる。
【0068】
サーバー21に送信されたデータから、とりわけ、以下が決定される:
機械加工液中の微生物の量、流体の化学的特性、流体中に溶解したイオンの量、ならびに濃度および温度も。これらは、機械加工液の耐用期間ならびに、その潤滑、熱伝導および腐食抑制、泡立ちおよび寸法精度能力などの、機械加工プロセスにおけるその特性の両方に影響する。
【0069】
測定データ、およびそれに基づいて処理されたデータに基づいて、機械加工液の特性およびメンテナンス装置1の状態も、監視および調整される。この場合、とりわけ、濾過手段7aの状態が監視され、必要であれば、測定手段8aが較正されて、UVC放射源16の活性状態および出力が、必要に応じて監視および調整される。監視および調整は、本質的にリアルタイムで、かつ好ましくは、サーバー21からのリモート接続を介して自動的に、および/もしくは手動のいずれかで、またはユーザー23のスマートデバイス24から手動で、実行される。好ましくは、データは、機械加工液のユーザーに図式的に提示されて、その場合、監視および意思決定は効果的である。測定データは、機械加工液の残っている耐用期間を予測するためにも使用される。
【0070】
本発明の異なる実施形態は、前述された例に制限されないこと、しかしそれらは以下で提示されるクレームの範囲内で変わり得ることは当業者にとって明らかである。本質的なことは、本発明に従ったソリューションでは、機械加工液は、多フェーズの連続プロセスとして清浄化されること、およびメンテナンスの観点から本質的な値は、本発明に従ったメンテナンス装置を用いて機械加工液から測定されることである。従って、例えば、主要な構成要素の材料、形状、寸法、量およびサイズ、ならびにそれらの相互に対する関係も、上で提示されたものとは異なり得る。
【0071】
機械加工液以外のプロセス流体も本発明に従った方法およびメンテナンス装置で処理できること、ならびに本発明に従ったソリューションは、異なる装置に対して汎用的な方法で設置できること、ならびに本発明に従ったソリューションは、例えば、化学工業、食品産業などの、異なるセクターにも、また全般的な流体および水清浄化にも適していることは当業者には同様に明らかである。さらに、本発明に従ったソリューションは、産業環境だけに制限されない。
【0072】
メンテナンス装置の清浄化効率は、メンテナンス装置のいくつかの濾過ユニットおよび/または測定&清浄化ユニットを、メンテナンス装置のフレーム部が全てに対して同じであり得、かつ直列に連結された濾過ユニットおよび/または測定&微生物除去ユニットが装置固有に調整できるような方法で、それらを積み重ねることによって、連続して連結することにより、多重倍に改善できることも当業者には明らかである。
【0073】
流体を加熱および/または冷却するためのヒートポンプならびにさらに大きな濾過ユニットなどの、他の構成要素も本発明に従った機械加工液のための清浄化システムに連結できることも当業者には明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】