(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】材料のための共有データ誘導品質管理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240403BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240403BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H01L21/304 622R
G05B19/418 Z
H01L21/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557418
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-19
(86)【国際出願番号】 EP2022056945
(87)【国際公開番号】W WO2022194995
(87)【国際公開日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522316180
【氏名又は名称】べルサム・マテリアルズ・ユーエス、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Versum Materials US, LLC
【住所又は居所原語表記】8555 South River Parkway, Tempe, AZ 85284, USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】クルト、サファ・クトゥプ
(72)【発明者】
【氏名】ロート、ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】マッツ、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ウッド、サミュエル
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ジョン
【テーマコード(参考)】
3C100
5F057
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA70
3C100BB05
3C100BB27
3C100BB33
3C100EE06
5F057AA12
5F057AA19
5F057DA03
5F057GA16
5F057GA17
5F057GB24
5F057GB40
(57)【要約】
材料から製品を生産するためのプロセスを開発又は改善するための方法であって、データ収集コンピュータ(10)を使用することによって、生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての原料データ(21,21a,21b)を少なくとも2つの異なるソースから取得するステップと、プロセスマッピングコンピュータ(11)を使用することによってプロセスマッピングステップを実行するために、生産プロセス(3)に関連する取得された原料データ(21,21a,21b)を使用するステップと、データマッピングコンピュータ(12)を使用することによってデータマッピングステップを実行することによって、生産プロセスの関連パラメータ(2)に関連する取得された原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセス部分(3)に割り当てるステップと、分析コンピュータ(13)上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされたプロセス記述(5)を分析し、それによって、生産プロセスの品質又は性能に関連する1つ以上の既存の特性(8)を特定及び検証するステップと、生産プロセスを開発するか、又はその性能を改善するために、特定及び検証された特性(8)を使用するステップとを備える、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料から製品を生産するためのプロセスにおいて製品品質を確実にするための方法であって、
・データ収集コンピュータ(10)を使用することによって、生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての原料データ(21,21a,21b)を少なくとも2つの異なるソースから取得するステップと、
・プロセスマッピングコンピュータ(11)を使用することによってプロセスマッピングステップを実行するために、前記生産プロセス(3)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)を使用するステップと、
・マッピングされたプロセス記述(5)を作成するために、データマッピングコンピュータ(12)を使用することによってデータマッピングステップを実行することによって、前記生産プロセスのその別個のパラメータ(2)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセス部分(3)に割り当てるステップと、
・分析コンピュータ(13)上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされた前記プロセス記述(5)を分析し、それによって、生産された前記製品の前記品質に関連する1つ以上の既存の特性(8)を特定及び検証するステップと、
・結果として生じる前記製品品質を改善するのに最も適した利用可能な原料データ(21c)を選ぶために、特定及び検証された前記特性(8)を使用するステップと
を備える、方法。
【請求項2】
前記生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての前記データ(21,21a,21b)を取得するために、前記原料データ(21,21a,21b)が、データ収集デバイス、とりわけセンサを使用して前記プロセスを観測することによって作成された、前記データ収集コンピュータ(10)に接続されたデータベース(24a,24b,25)から検索され、及び/又は人間のユーザによって提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データ(21,21a,21b)を取得することは、前記プロセスの以前の実行中、及び/又は特定及び検証された前記特性(8)を使用した後の現在の実行中に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記プロセスマッピングは、必要なコンポーネント、プロセスシーケンス又はプロセスステップ、材料、特に原料(21)、等を含む前記生産プロセス又はその前段階の構造を記述することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記データマッピングは、温度、原料の混合比、時間などのような取得された前記原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセスコンポーネント及びプロセスシーケンス又はステップに割り当てることによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
マッピングされた前記プロセス記述(5)を分析することは、PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost、及び人工ニューラルネットワークなどのような多変量分析のような手法を使用するデータモデル(6,7)を有するデータ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズムを使用して、又は教師あり及び/若しくは教師なしアルゴリズムを使用して、前記ソフトウェアによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記データを分析することが、機構モデル、物理学ベースのモデル、(偏)微分方程式に基づくモデル、及び量子化学計算に基づくモデルを使用して実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記教師ありアルゴリズムの構造は、前記プロセスマッピング及びデータマッピングからの前記プロセス記述の結果で、前記PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost、及び人工ニューラルネットワークなどを訓練した結果である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記原料データ(21,21a,21b)は、前記データ収集コンピュータ(10)中にこのデータ(21,21a,21b)を入力するユーザによって手動で、又は前記データ収集コンピュータ(10)、若しくは前記データ収集コンピュータ(10)にこのデータ(21,21a,21b)を送信するデータ収集ソフトウェアで前記データ収集コンピュータ(10)に接続された別個のコンピュータのうちのいずれか上で実行されるデータ収集ソフトウェアによって自動的に、のうちのいずれかで少なくとも2つの異なる前記ソース(16,17)を検査することによって取得される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも2つの異なるソース(16,17)として、少なくとも2つの異なる生産現場(16,17)が使用される、請求項9の方法。
【請求項11】
少なくとも2つの関与する前記生産現場(16,17)からの前記原料データ(21,21a,21b)は、特定の品質パラメータ若しくは金属不純物及び純度レベル、温度、圧力、流量のようなインプロセスデータ、並びに/又はP&IDチャート(4)を備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
実行される特定の前記ソフトウェアを適用する前に、取得された前記原料データ(21,21a,21b)の前処理のために前記分析コンピュータ(13)上のデータプラットフォームを使用し、専用ダッシュボードが前記データを検索して、原料レビューを実行するためにユーザに前記データを提供するデータベースに結果を書き込むユーザインタフェースが実装される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記ユーザインタフェースは、最も関連する原料を示すために、ある特定の品質測定値の予測に対する異なる原料の寄与を表示する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記生産プロセスは、化学機械平坦化を使用する半導体素子製造プロセスである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
材料から製品を生産するためのプロセスを開発又は改善するためのシステム(15)であって、
・前記生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての原料データ(21,21a,21b)を少なくとも2つの生産現場(16,17)から取得するために使用される、接続されたデータベース(24a,24b,25)及び/又は少なくとも2つ前記の生産現場(16,17)を有するデータ収集コンピュータ(10)と、
・前記生産プロセスに関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)でプロセスマッピングステップを実行するために使用されるプロセスマッピングコンピュータ(11)と、
・データマッピングステップを実行することによって、前記生産プロセスの前記関連パラメータ(2)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセス部分(3)に割り当てるために使用されるデータマッピングコンピュータ(12)と、
・データモデル(6,7)を有するデータ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズムを使用して分析コンピュータ(13)上で実行される特定のソフトウェアを含む分析コンピュータ(13)と、ここにおいて、前記ソフトウェアは、前記生産プロセスの品質に関連する1つ以上の既存の特性(8)を特定及び検証するために、その結果マッピングされたプロセス記述(5)を分析し、
・特定及び検証された前記特性(8)を適用することによって、前記生産プロセスを作成し、及び/又は少なくとも2つの前記生産現場(16,17)上でのその性能を改善するために使用されるプロセス実行コンピュータ(14)と
を備える、システム。
【請求項16】
少なくとも2つの前記現場(16,17)のうちの少なくとも1つは、化学薬品、医薬品などを生産するための工場(16)であり、他の現場のうちの少なくとも1つ(17)は、化学物質の提供業者及び/又は流通業者である、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記データ収集コンピュータ(10)は、少なくとも2つの前記生産現場(16,17)から前記原料データ(21,21a,21b)を取得するために使用されるコンピュータベースのデジタルプラットフォーム(9)をホストしている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセスマッピングコンピュータ(11)及び前記データマッピングコンピュータ(12)は、人間のユーザが前記プロセスマッピング及びデータマッピングステップを実行するための入力端末をサポートし、その一方で、前記分析コンピュータ(13)は、前記教師あり及び/又は教師なしアルゴリズム、とりわけ人工ニューラルネットワークを有する前記ソフトウェアをホストするサーバであり、前記プロセス実行コンピュータは、少なくとも2つの前記生産現場(16,17)のためのそれぞれのコンピュータベースの制御端末の一部又はそれと同一である、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
XGBoost、ランダムフォレスト、又は人工ニューラルネットワーク(7)であって、その構造は、特定の訓練データ(5)で訓練されることに依存し、それは、
・データ収集コンピュータ(10)を使用することによって、生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての原料データ(21,21a,21b)を少なくとも2つの異なるソースから取得するステップと、
・プロセスマッピングコンピュータ(11)を使用することによってプロセスマッピングステップを実行するために、前記生産プロセス(3)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)を使用するステップと、
・データマッピングコンピュータ(12)を使用することによってデータマッピングステップを実行することによって、前記生産プロセスの前記関連パラメータ(2)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセス部分(3)に割り当て、それらのマッピングされたプロセス記述(5)から訓練データを作成するステップと
によって作成される、XGBoost、ランダムフォレスト、又は人工ニューラルネットワーク。
【請求項20】
命令を備えるコンピュータプログラムであって、前記命令は、関与するコンピュータに、
・データ収集コンピュータ(10)を使用することによって、生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての原料データ(21,21a,21b)を少なくとも2つの異なるソースから取得する方法ステップと、
・プロセスマッピングコンピュータ(11)を使用することによってプロセスマッピングステップを実行するために、前記生産プロセス(3)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)を使用する方法ステップと、
・データマッピングコンピュータ(12)を使用することによってデータマッピングステップを実行することによって、前記生産プロセスの前記関連パラメータ(2)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセス部分(3)に割り当てる方法ステップと、
・分析コンピュータ(13)上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされたプロセス記述(5)を分析し、それによって、前記生産プロセスの品質又は性能に関連する1つ以上の既存の特性(8)を特定及び検証する方法ステップと、
・前記生産プロセスを開発するか、又はその性能を改善するために、特定及び検証された前記特性(8)を使用する方法ステップと
を実施させる、コンピュータプログラム。
【請求項21】
請求項20に記載のコンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号であって、前記コンピュータプログラムは、関与するコンピュータに、
・データ収集コンピュータ(10)を使用することによって、生産プロセス(3)及びその関連パラメータ(2)についての原料データ(21,21a,21b)を少なくとも2つの異なるソースから取得する方法ステップと、
・プロセスマッピングコンピュータ(11)を使用することによってプロセスマッピングステップを実行するために、前記生産プロセス(3)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)を使用する方法ステップと、
・データマッピングコンピュータ(12)を使用することによってデータマッピングステップを実行することによって、前記生産プロセスの前記関連パラメータ(2)に関連する取得された前記原料データ(21,21a,21b)をその対応するプロセス部分(3)に割り当てる方法ステップと、
・分析コンピュータ(13)上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされた前記プロセス記述(5)を分析し、それによって、前記生産プロセスの品質又は性能に関連する1つ以上の既存の特性(8)を特定及び検証する方法ステップと、
・前記生産プロセスを開発するか、又はその性能を改善するために、特定及び検証された前記特性(8)を使用する方法ステップと
を実施させる、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される発明は、1つ以上の材料から製品を生産するためのプロセスにおいて製品品質を確実にするための方法及びシステムに関する。
【0002】
本発明は、プロセス自動化、品質管理、及びサプライチェーン最適化の技術分野に属する。
【背景技術】
【0003】
現代の生産プロセスは、非常に複雑な問題であり、それらは、原料投入、機器及びツーリング、人間対話などに関連する多くの変数によって影響を受ける。僅かなばらつきであっても、完成製品に重大な品質問題につながる可能性があり、それらを劣ったものにするか、又は販売不可能なものにさえする可能性がある。これは、特に化学又は製薬などの高度に規制された産業において、生産業者及び/又は顧客にとって許容できない欠陥をもたらし得る。生産プロセスを改善し、製作された製品の品質を確実にするための多くの方法が、先行技術において知られている。今日、これらの方法のうちのほとんどは、データ駆動型であり、ここで、関連パラメータは、生産プロセスから収集されたデータに基づいて監視及び制御される。
【0004】
それらの手法のうちの1つは、制御フェーズにおいて、関心のあるプロセスにおけるばらつきの見逃せない原因を特定するために、統計的プロセス制御(SPC)の使用に主に焦点を当てたシックスシグマ方法である。例えば、プロセスの出力が、母集団平均μ及び標準偏差σを有するランダム変数であるとする。プロセス出力及びサンプルサイズからの置換を伴う1つのサンプルが十分に大きい場合、サンプル平均の分布は、母集団の分布にかかわらず、ほぼ正規であろう。更に、サンプル平均の算術平均は、母集団平均の点推定値を提供し、サンプル平均の標準偏差は、母集団標準偏差を推定するために使用されることができる。これらの特性は、統計において中心極限定理として知られており、これによって、所与のプロセスからの予想される出力に対する上限及び下限を設定する管理限界を算出することができる。これらの管理限界を超える測定値は、根本原因を特定して対処するための更なる調査を保証する統計的に有意な事象である。言い換えれば、値は、先行するデータと同じプロセスによって生成された可能性が極めて低い程度まで予想される分布から逸脱し、このことから、逸脱の原因となるプロセスの外部の何らかの見逃せない原因が存在するはずである。測定されるプロセス変数の分布はまた、プロセス能力を定量化するために、既知の仕様限界の広がりと比較されることができる。特定のプロセス目標及び付随する誤差に対する許容範囲が与えられると、許容可能な品質の出力を生成するプロセスの能力を示す能力指数比を直接算出することができる。
【0005】
米国特許第7,181,353 B2号から、アウトソーシング製品の受査プロセスにシックスシグマを統合するための方法が知られており、製品受入基準に対する仕様限界を定めるステップと、MES(製造実行システム)及びSCADA(監視制御及びデータ取得)を介して処分のために準標準の製品を特定し、認可された要員に報告するステップと、履歴データを含む報告を準備し、根本原因を特定し、是正措置を割り当てるステップと、準標準の製品を分離し、MESにおいて準標準の製品を文書化するステップと、準標準の製品を処分するステップと、MESにおいて是正措置を文書化及び記録するステップと、不適合な入荷製品を回収及び排除する方法を概説するステップとを含む。この方法は、閉ループ是正措置(CLCA)のためのデバイスを提供し得る。
【0006】
米国特許第6,675,135 B1号は、製品開発手順中に使用されるべき方法を開示しており、この手順は、一連の連続開発段階を含み、製品は、少なくとも2つの重要品質特性(CTQ:critical-to-quality characteristics)を含む。この方法は、製品設計を通じて製品品質を増加させるために使用されることができる信頼行列を生成するためのものである。ユーザは、最初に製品限界を提供し、その後、各連続開発段階中に追加の開発情報を提供する。開発段階のうちの少なくとも2つの間に、各CTQについて、開発情報が、製品が指定された限度内にある確率を示す品質係数を決定するために使用される。品質係数が正確である確率を示す信頼区間が特定される。次いで、品質係数、CTQ、及び信頼係数が、CTQと係数とが相関するように配置される。
【0007】
それらの既知の方法は、シックスシグマ手法に非常に密接しており、設定された品質基準を確実にするためにその方法の特定のステップに集中しており、従って、その方法とは異なる代替手法で使用されるのにはあまり適していない。更に、シックスシグマは、「顧客の声」並びに専門家入力を介した優先順位付け及びフィルタリングに依拠するプロセス改善方法である。それは、通常、機械学習ツールを用いた現代のデータ駆動型手法を含まない。従って、それは、それらの自動化された方法と共に使用されるとき、例えば、人間の専門家による分析を二重チェックするために使用されるとき、欠点を有する。シックスシグマ基準は、欠陥のない製品を実際に保証するのに十分ではないと述べている人もいる。また、提案される手法は、事前定義された範囲項目に限定されない。シックスシグマプロセスの定義フェーズでは、スコープイン及びスコープアウトについての項目が、プロジェクトチームに関与する専門家によって明確に定義される。ここでは、物理学優先手法が、顧客の声に関連し得る疑わしい領域を絞り込むために使用される。範囲外の項目は、更なるプロジェクトで調査されることもされないこともある。このことから、シックスシグマ手法においてプロジェクトフレーム内で問題が解決されることができるとしても、範囲外の項目を考慮する体系的な方法又は方法はない。これは、長期的に問題の根底にある根本原因の発見を妨げ得る。来たるべき偏差に対する持続可能な問題解決が提供されない場合がある。
【0008】
別のポイントは、例えば、材料提供業者及び実際の生産業者のような、異なる生産プロセス及び哲学(philosophies)を有する異なる生産現場の場合、シックスシグマ手法は、それらの2つの異なる生産プロセスを整列させ、及び/又は融合することにつながるか、又はより良く必要とする。これは困難であり、プロセスがどれだけ異なるかに依存して多くの労力を引き起こす可能性がある。
【0009】
この分野における特定の問題は、更に、完成品品質における望ましくないばらつきが、プロセス変数だけではなく、主に原料投入によって引き起こされることである。原料品質は非常に変動しやすく、製品バッチのために準最適なロットを選択することは、顧客許容限度を満たさず、製品バッチの廃棄又は再加工の必要につながる可能性がある。
【0010】
この分野に関する別の特定のポイントは、回路コンポーネントのフィーチャサイズが急速に減少し、その一方で、金属層の数が急速に増加しており、その結果、素子トポグラフィがコンフォーマル堆積(conformal deposition)を抑制した特徴を呈することをもたらす。集積回路(IC)を構成する様々な薄い膜層の全体的な表面平坦化の必要性が著しく増加している。
【0011】
化学機械平坦化は、基板の表面が、表面上の化学的及び物理的な力の組み合わせられた作用を通して平滑化及び平坦化されるプロセスである。CMPは、ピットフォールを回避しながら、両方の技法の最良のものを組み合わせる。表面の純粋な研磨研削があまりにも多くの物理的損傷を引き起こし、純粋な化学エッチングが平坦化を達成しないのに対して、これら2つの手順の組み合わせられた作用は、最小限の損傷で十分に平坦化された表面を生成する。
【0012】
化学機械平坦化(CMP)は、粗いトポグラフィを平坦化された状態まで低減するという事実を超えて、半導体素子製造についてのいくつかの利点を有する。CMPは、素子製造業者が単一のステップでウェハ表面全体のグローバル平坦化を達成することを可能にする。この手法は、異なる金属から異なる酸化膜まで、広範囲の材料を平坦化するために使用されることができる。化学機械研磨は、今日、半導体産業によって選択されている平坦化方法である。
【0013】
化学機械平坦化ツールは、研磨パッドによって覆われた回転定盤から成る。ウェハは、指定された力でパッドに対して押し付けられるキャリア中に下向きに取り付けられる。この力は、規定及び調整されたガス圧又は機械的背圧システムのうちのいずれかを使用して提供されることができる。ウェハはまた、研磨プロセス中に回転する。研磨パッドは、パッド上にポンピングされるスラリーで含浸(saturated)される。ウェハ表面の研磨は、ウェハがそれ自体の軸上で回転し、パッドに押し付けられながら研磨パッドを動き回るときに生じる。研磨プロセス中、ウェハ表面上の高い点は、より大きな圧力、従ってより大きな研磨力を自然に受ける。これは、化学エッチング剤の作用と組み合わさって、表面トポグラフィにおいて、低い点における材料と比べて高い点における材料の除去速度を高める。これは、プロセスにおいて平坦化効果を生み出す。
【0014】
化学機械平坦化スラリーは、通常、表面上に物理的な力を提供するための研磨粒子、除去速度を促進するための化学添加物、ディッシングを低減するための化学添加物、エロージョンを低減するための化学添加物、材料を化学的にエッチングするための酸化剤、酸化剤と相互作用し、遊離基の形成を容易にするための活性剤又は触媒、腐食防止剤、沈降、軟凝集(粒子の沈殿、凝集、又は弱凝集などを含む)及び分解に対して組成物の安定化を容易に又は促進する安定剤、ウェハ表面における欠陥を低減するために、研磨中及び研磨後にウェハ表面を保護することに役立つ界面活性剤、金属カチオンのためのキレート配位子の親和性を向上させ、並びに/又はパッド汚染及び除去速度の不安定性を引き起こす、パッド上での金属イオンの蓄積を防止するためのキレート剤、生体成長を制御するためのpH調整剤、殺生物剤、水などの溶媒を備える。CMPスラリーは、化学材料を大量に使用する。
【0015】
小型化された素子寸法で効率的な平坦化を達成するために、流体スラリーの存在下でパッドとウェハとの界面で生じる摩擦機械現象の物理学、化学、及び複雑な相互作用をより良く理解し、このことからより良く制御する必要がある。
【0016】
CMPスラリーのための生産プロセスは、このことから、関与する材料、ツール、生産機械、担当作業者などに関する多くのパラメータ及び変数に依存する非常に複雑な問題である。従って、プロセスを特徴付け、最適化し、モデル化することが必要である。
【0017】
生産プロセスを改善し、製品の品質を確実するために、プロセス全体を管理するための多くの方法が先行技術において知られている。それらのほとんどは、今日、データ駆動型であり、ここで、生産プロセスの関連パラメータ及び変数が監視され、それらの目標値を満たさないかどうか定期的にチェックされる。
【0018】
そのような先行技術に適合し、それを向上させるために、従って、品質及び信頼性に関して生産プロセスを更に向上させ、異なるプロセスを効率的に扱うことができる自動生産管理システムを動作させるための新しい手法を見つけることが望ましいであろう。
【0019】
従って、原料投入に依存する結果として生じる製品品質に関して生産プロセスを更に向上させる自動生産管理システムを動作させるための新しい手法を見つけることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0020】
この課題は、材料から製品を生産するためのプロセスにおいて製品品質を確実にするための方法によって解決されることができ、本方法は、データ収集コンピュータを使用することによって、生産プロセス及びその関連パラメータについての原料データ及び完成品品質データを少なくとも2つの異なるソースから取得するステップと、プロセスマッピングコンピュータを使用することによって、プロセスマッピングステップにおいて、生産プロセスに取得された原料データをマッピングするステップと、分析コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされたプロセス記述を分析し、それによって、生産された製品の品質に関連する1つ以上の既存の特性を特定及び検証するステップと、結果として生じる製品品質を改善するのに最も適した利用可能な原料データを選ぶために、特定及び検証された特性を使用するステップとを備える。本発明の核心は、まず、作成又は改善されるべき所望の生産プロセスに関連する全ての関連する可能性のあるデータ、特に、その特定のパラメータによって記述される原料データを追跡することである。このデータは、異なる生産現場、内部品質管理、供給業者分析証明書(CoA)のような少なくとも2つの異なるソースから収集され、原料データの他に、例えば内部プロセスデータ及び顧客データを含む。2つの異なるソースのうちの1つは、通常、原料提供業者であり、その理由は、彼らが材料について最も多くの知識を有するからである。異なるソースが、当然ながら、同じ生産現場に位置し、例えば、2つの異なる生産機械で発生することもできる。従って、データは、構造、フォーマット、シンタックス、等に関して異なり得る。プロセスマッピングステップでは、所望のプロセスに関連する利用可能なデータは、従って、特定のプロセス方法ステップ及び必要とされるプロセスコンポーネントのようなプロセス構造を確立及び定義するために使用される。それはまた、第1及び他のソースからのデータのマッピングを含み、そのため、両方の異なるデータタイプが処理されることができる。ここでのポイントは、異なるソースからのデータを単に整列させて単一のプロセス上で作成するのではなく、後で処理及び分析されることができるように、それを別個に保持し、共にマッピングすることである。利用可能な原料データは、CoA(分析証明書、例えば、金属)、追加の内部原料(品質)測定値(例えば、微量金属不純物レベル及び純度レベル)、及びバッチ系統(どの原料ロット及び量が単一のデータファイルに照合されたか)のような供給業者の材料データを含むことができる。プロセスデータが使用される場合、プロセスデータは、例えば、本発明の方法によって改善されるはずの既存の生産プロセスを記述することができる。又は、それは、新しい生産プロセスを最も効率的になるように作成するために、利用可能な生産機械などのような所望の新しい生産プロセスを記述するデータを含むことができる。データマッピングステップでは、そのパラメータに関連する取得された原料データは、次いで、プロセスマッピングステップにおいて作成されたプロセスからこれらのパラメータが関連付けられるそのプロセス対応物に割り当てられるか、又はマッピングされる。プロセスマッピング及びデータマッピングの2つの方法ステップは、同時に実行されることができるか、又はデータマッピングステップは、プロセスマッピングステップの後に実行されることができる。割り当てられた原料データを含めてプロセスが正常に定義された後、実際のプロセス評価が、分析ステップにおいて行われる。その評価の間、特別なソフトウェアは、マッピングされた原料データ及び最終的にはプロセスデータを供給され、確立されたプロセスを改善するために使用されることができるプロセスの特性を開示する特定のパターン及び依存性を探してその内容を分析する。ソフトウェアは、異なる種類のアルゴリズムを使用することができる。それは、例えば、教師あり、教師なし、半教師あり、強化学習、等のような人工知能手法を使用することができる。どちらが最も適しているかは、利用可能な原料の種類及び最終的にはプロセスデータに依存する。重要なことは、アルゴリズムが、パターンを見つけるか、又はプロセスの影響因子を特定するように訓練されることである。この手法は、勾配ブースティング決定木、人工ニューラルネットワーク(ANN)、又はその他を使用することによって実装されることができる。このANNは、次いで、その供給され、マッピングされた原料データを学習することによって、その性能を更に改善することができる。しかしまた、他のAIソフトウェア手法が可能である。ソフトウェアはまた、代替として、古典的な統計からの手法を、それらが特性を決定するのに適している場合に、使用することができる。また、物質収支のような物理学ベース及び機構モデルが使用されることができる。その場合、どの手法が最も適しており、従って、選ばれるかは、特定の場合及び原料データのそれぞれの種類に依存する。マッピング及び分析されたプロセスが作成され、特性が特定された後、それらの特性は、生産プロセスに適用され、従って、生産プロセス及び結果として生じる製品品質を改善する。それらの特性は、加えて、製品品質を改善するために、プロセス専門家から得られる洞察に対して使用されることができる。特に、対応する特性を有するある特定の原料ロットの選択に基づいて、モデルは、完成品品質の予測を与えるであろう。同じ原料の異なるロットのばらつきによって、完成品品質についての異なる予測が得られる。正しい原料ロットを選択することによって、顧客に最も適した最終製品品質が選択されることができる。ソフトウェアが特性をより良く決定することが可能であるほど、人間の専門家からの専門知識はより必要でなくなる。全てのそれらの方法ステップは、方法ステップを実行するように構成されたコンピュータによって実行される。完全なプロセスは、数学的最適化技法によって自動化され得、ここで、ユーザは、完成品品質仕様限界と、これらの限界からの逸脱がどのようにペナルティを科されるべきかの重み付けとを提供するのみである。最適化アルゴリズムは、次いで、ユーザ設定に基づいて、最も適した原料ロットを選ぶ。使用されるハードウェア及びソフトウェアの能力に依存する方法ステップの完全な自動化が望まれるが、例えば、取得されたデータ又は特定された特性を評価する際に、人間のサポートが必要であり得る。関与するコンピュータについての最小限の要件は、取得された原料及び最終的にはプロセスデータを処理し、転送し、表示し、ソフトウェア分析ステップを実行するそれらの能力を含む。コンピュータ自体は、インターネット、ローカルネットワーク、等を介して互いに接続された、異なる場所にある異なるコンピュータであり得るか、又はそれらのうちの一部若しくは全部が同一であり得る。
【0021】
本手法の範囲は、これに限定されない。長期的には、ユースケースからの学習は、製品開発のためにR&Dにカスケードダウンされ、また、調達(供給業者)にカスケードバックされる。これらの学習を考慮して、専門家は、R&Dにおける顧客の新しいアプリケーション技術のための次世代材料の仕様を調査しながら、供給業者からの最良の材料の購入を制御することを目指す。
【0022】
本発明の有利な、従って好ましい更なる発展形態は、関連する下位クレーム、並びに説明及び関連する図面から明らかになる。
【0023】
開示された方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの1つは、生産プロセスについてのデータ及びその関連パラメータを取得するために、プロセスデータが、データ収集コンピュータに接続され、データ収集デバイス、とりわけセンサを使用してプロセスを観察することによって作成され、及び/又は人間のユーザによって提供されるデータベースから検索されることを備える。これらの手法のどれがどの組み合わせにおいてかは、目標生産プロセスに依存する。通常、プロセスデータは、センサからの少なくとも何らかの現在のデータが関与している場合、より良い品質のものである。
【0024】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、生産プロセスを観察することによってデータを取得することが、プロセスの以前の実行中、及び/又は特定及び検証された特性を使用した後の現在の実行中に行われることを備える。それを行うことによって、取得されたデータは、常に最新であることが確実にされる。それはまた、ANNのようなAI方法が訓練され、最新の情報と共に使用される場合に、AI方法を使用する効率を大幅に改善する。
【0025】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、プロセスマッピングが、必要なコンポーネント、プロセスシーケンス又はプロセスステップ、原料、等のような材料を含む、異なるソースからの生産プロセス又はその前段階の構造を記述することによって実行されることを備える。そうすることによって、プロセスが定義され、その後、ソフトウェアによって分析されて、その性能を作成又は改善することができる。
【0026】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データマッピングが、温度、原料の混合比、時間などのような、全ての関与する現場からの取得されたプロセスパラメータをその対応するプロセスコンポーネント及びプロセスシーケンス又はステップに割り当てることによって実行されることを備える。プロセスマッピングは、プロセス構造、その必要なコンポーネントなどを定義するが、データマッピングは、そのパラメータを、プロセスマッピングにおいて定義されるそれらの関連プロセスコンポーネントに割り当てる。その結果準備されたプロセスデータは、ソフトウェア性能関連特性によって分析される用意がある。
【0027】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データを分析することが、PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost、及び人工ニューラルネットワーク、PLS回帰、及び/若しくはランダムフォレストなどのような多変量分析のような手法を使用するデータモデルを有するデータ分析フレームワークを含む教師あり及び教師なしアルゴリズムを使用して、又は教師あり及び/若しくは教師なし静的アルゴリズムを使用して、ソフトウェアによって実行されることを備える。教師あり及びAI関連又はそうではない両方の種類のアルゴリズムが、ソフトウェアによって使用されることができる。しかし、問題のプロセスが複雑になればなるほど、全ての所望のプロセス特性を実際に特定する非学習手法をソフトウェアに提供することが難しくなる。それらは、より複雑でない生産プロセスに、又は特定の定義されたプロセス部分のみが評価される必要がある場合により適しているが、当然ながらこれらに限定されない。
【0028】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データを分析することが、機構モデル、物理学ベースのモデル、(偏)微分方程式に基づくモデル、及び量子化学計算に基づくモデルを使用して実行されることを備える。本方法は、それらのモデルタイプに限定されないが、それらは、最も適したものである。
【0029】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、教師ありアルゴリズムの構造が、プロセスマッピング及びデータマッピングからのプロセス記述の結果で、PLS回帰、PCA、ランダムフォレスト、XGBoost、及び人工ニューラルネットワークなどを訓練した結果であることを備える。人工ニューラルネットワーク(ANN)などは、それらがプロセスマッピング及びデータマッピングステップからのマッピングされたデータで訓練されることができるだけでなく、従って、どれほど複雑になっても生産プロセスに適合されることができるので、それらの複雑な生産プロセスを評価するのに非常に適している。それらはまた、本発明の方法のいくつかの再反復において使用されることができ、プロセス特性を特定するためにより頻繁に使用されるほど、より良く適合される。
【0030】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、プロセスデータが、データ収集コンピュータ中にこのデータを入力するユーザによって手動で、又はデータ収集コンピュータ、若しくはデータ収集コンピュータにこのデータを送信するデータ収集ソフトウェアでデータ収集コンピュータに接続された別個のコンピュータのうちのいずれか上で実行されるデータ収集ソフトウェアによって自動的に、のうちのいずれかで少なくとも2つの異なるソースを検査することによって取得されることを備える。それらの手法のどれが使用されるかは、使用されるハードウェア及びソフトウェアの制限及び能力に依存する。より多くのデータ取得が自動的に行われることができれば、それだけ良好である。
【0031】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態の別の1つは、少なくとも2つの異なるソースとして、少なくとも2つの異なる生産現場が使用されることを備える。それらの異なる現場は、例えば、材料提供業者によって管理される製品のための原料を生産する一方の現場であり得、他方の現場は、実際の生産工場である。
【0032】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、特性が、保守問題のような根本原因、又は生産プロセスについての特定の設定パラメータのようなプロセスの性能若しくは品質に関連する以前に知られていないプロセス問題であることを備える。根本原因は、本発明が既存の生産プロセスを改善するために、特にそれに伴う特定の問題を解決するために使用されるときに主に関連する。しかし、本発明はまた、プロセスパラメータ及び/又はコンポーネント間のこれまで知られていない関係を特定することによって、従って問題を解決することによって、又は以前には考えられていなかった新しいポテンシャルを切り開くことによって、新しい生産プロセスを作成するために使用されることができる。
【0033】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、少なくとも2つの関与する生産現場からの生産データが、特定の品質パラメータ若しくは金属不純物及び純度レベル、P&IDチャート、又は温度、流量、タンクレベル、等を含むセンサデータのようなインプロセスデータのような原料データを備えることを備える。そのデータは、一般に、2つの異なるカテゴリに割り当てられることができる。一方は、プロセスマッピングを実行し、このことからプロセスを定義するために必要なCoA、等のような原料関連データである。他方のカテゴリは、データマッピングステップに供給する、センサデータなどのようなプロセスパラメータを備える。
【0034】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、実行される特定のソフトウェアを適用する前に、取得された原料データの前処理のために分析コンピュータ上のデータプラットフォームを使用し、専用ダッシュボードがデータを検索して、原料レビューを実行するためにユーザにデータを提供するデータベースに結果を書き込むユーザインタフェースが実装されることを備える。ユーザインタフェースはまた、分析コンピュータによってホストされる。ダッシュボードは、他方では、好ましくは、Tableauソフトウェアによって編成されるが、任意の他の適したソフトウェアが使用されることもできる。
【0035】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、ユーザインタフェースが、最も関連する原料を示すために、ある特定の品質測定値の予測に対する異なる原料の寄与を表示することを備える。
【0036】
開示される方法のそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、生産プロセスが、化学機械平坦化を使用する半導体素子製造プロセスであることを備える。本発明の方法は、製品が異なる原料から作製されるあらゆる生産プロセスを改善するために使用されることができるが、半導体素子製造プロセス、好ましくはCMPプロセスを使用するプロセスにおいて使用されるのに特に適している。
【0037】
特許請求の範囲に記載の発明の更なるコンポーネントは、材料から製品を生産するためのプロセスを開発又は改善するためのシステムであって本システムは、生産プロセス及びその関連パラメータについてのプロセスデータを少なくとも2つの生産現場から取得するために使用される、接続されたデータベース及び/又は2つの生産現場を有するデータ収集コンピュータと、生産プロセスに関連する取得されたプロセスデータでプロセスマッピングステップを実行するために使用されるプロセスマッピングコンピュータと、データマッピングステップを実行することによって、生産プロセスの関連パラメータに関連する取得されたプロセスデータをその対応するプロセス部分に割り当てるために使用されるデータマッピングコンピュータと、データモデルを有するデータ分析フレームワークを含む教師ありアルゴリズムを使用して分析コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアを含む分析コンピュータと、ここにおいて、ソフトウェアは、生産プロセスの品質又は性能に関連する1つ以上の既存の特性を特定及び検証するために、その結果マッピングされたプロセスデータを分析し、特定及び検証された特性を適用することによって、生産プロセスを作成し、及び/又は少なくとも2つの生産現場上でのその性能を改善するために使用されるプロセス実行コンピュータとを備える。そのシステムは、本発明の方法を実行する。既に説明されたように、システム中の述べられたコンピュータは、別個のシステムコンポーネントとして確立されることができるか、又は同じコンピュータ若しくはそれらの組み合わせであり得、最も適したものであれば何でも良い。少なくとも、特定のソフトウェアを有する分析コンピュータは、好ましくは、別個のコンピュータであるべきである。少なくとも2つの異なる生産現場からの原料データが自動的に取得される場合、データ収集コンピュータは、生産現場の各々においてコンピュータベースである一種の自動制御装置と接続される必要がある。そこでは、分析コンピュータ上のアルゴリズムは、どのロットIDが生産に使用されるべきかを、生産クルーに対してそれぞれのシステム制御装置中に書き戻す。使用されるコンピュータのタイプは、従って、実行される方法の要件に依存する。方法ステップの大部分が人間のユーザによって実行される場合、ユーザがコンピュータ及び使用されるソフトウェアにデータを提供することができるように、ディスプレイ及びいくつかのデータ入力手段又はインタフェースを有する一種のパーソナルコンピュータ、タブレット、携帯電話などが使用されるべきである。より自動化された方法が実行されればされるほど、産業用PC、マイクロコントローラ、シングルボード又は組み込みコンピュータのような他のタイプのコンピュータも一般に使用されることができる。自動データ伝送のための、イーサネット(登録商標)、バスシステム、又はワイヤレス代替物のような明確に定義されたデータインタフェース及びデータ転送ネットワークは、従って、より重要になる。
【0038】
開示されるシステムの1つの好ましい更なる発展形態は、少なくとも2つの現場のうちの少なくとも1つが、化学薬品、医薬品などを生産するための工場であり、他の現場のうちの少なくとも1つは、化学物質の提供業者及び/又は流通業者であることを備える。この場合、自動データ転送が必要とされる場合、必要なプロセスデータを提供するために、両方の現場がデータ収集コンピュータ及び/又はそのそれぞれのデータベースに接続される必要がある。異なる現場所有者のみが安全であることに起因して、非自動化データ転送が可能である場合、接続は、例えば、安全なデータ記憶装置などを転送することによって、より間接的である。
【0039】
開示されるシステムのそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、データ収集コンピュータが、少なくとも2つの生産現場からプロセスデータを取得するために使用されるコンピュータベースのデジタルプラットフォームをホストしていることを備える。必要なプロセスデータを取得する別の可能性は、全ての関与する全ての生産現場がそれらのプロセス関連データを転送することができる、データ取得用のデジタルプラットフォームを使用することにある。プラットフォームは、次いで、このデータを管理し、それをそれぞれのプロセス及び/又はマッピングコンピュータに分配して、それらのマッピングステップを実行するであろう。
【0040】
開示されるシステムのそれらの好ましい更なる発展形態のうちの別の1つは、プロセスマッピングコンピュータ及びデータマッピングコンピュータが、人間のユーザがプロセスマッピング及びデータマッピングステップを実行するための入力端末をサポートし、その一方で、分析コンピュータが、教師あり及び/又は教師なしアルゴリズム、とりわけXGBoost、ランダムフォレスト、又は人工ニューラルネットワークを有するソフトウェアをホストするサーバであり、プロセス実行コンピュータが、少なくとも2つの生産現場のためのそれぞれのコンピュータベースの制御端末の一部又はそれと同一であることを備える。既に述べたように、人間のユーザが方法ステップの一部を実行することを要求される場合、使用されるコンピュータは、キーボード、マウス、スクリーンなどのようなそれぞれの入出力手段と、この入力を処理するそれぞれのソフトウェアとを提供しなければならない。ANNがソフトウェアによって使用される場合、このANN用の適したコンピュータハードウェアが必要とされる。
【0041】
本明細書で開示される発明の更なるコンポーネントは、XGBoost、ランダムフォレスト若しくは人工ニューラルネットワーク、又は他のAI手法であり、その構造は、特定の訓練データで訓練されることに依存し、それは、データ収集コンピュータを介して生産プロセス及びその関連パラメータについてのプロセスデータを少なくとも2つの異なるソースからを取得することと、プロセスマッピングコンピュータを介してプロセスマッピングステップを実行するために生産プロセスに関連する取得されたプロセスデータを使用することと、データマッピングコンピュータを介してデータマッピングステップを実行することによって生産プロセスの関連パラメータに関連する取得されたプロセスデータをその対応するプロセス部分に割り当て、それらのマッピングされたプロセスデータから訓練データを作成することとを行うことによって作成される。その結果作成された訓練データは、次いで、ソフトウェアを訓練し、その必要な内部構造を確立するために使用され、そのため、それは、マッピングされたプロセスデータを分析して、必要とされるプロセス特性を特定するために使用されることができる。ソフトウェアに実際のプロセスデータを提供することによって、ソフトウェアは更に訓練され、その分析性能を改善する。
【0042】
開示される発明の別のコンポーネントは、命令を備えるコンピュータプログラムであって、その命令は、関与するコンピュータに、データ収集コンピュータを使用することによって、生産プロセス及びその関連パラメータについての原料データを少なくとも2つの異なるソースから取得する方法ステップと、プロセスマッピングコンピュータを使用することによってプロセスマッピングステップを実行するために、生産プロセスに関連する取得された原料データを使用する方法ステップと、データマッピングコンピュータを使用することによってデータマッピングステップを実行することによって、生産プロセスの関連パラメータに関連する取得された原料データをその対応するプロセス部分に割り当てる方法ステップと、分析コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされたプロセス記述プロセスデータを分析し、それによって、生産プロセスの品質又は性能に関連する1つ以上の既存の特性を特定及び検証する方法ステップと、生産プロセスを開発するか、又はその性能を改善するために、特定及び検証された特性を使用する方法ステップとを実施させる。単一の方法ステップを担うプログラム部分は、それぞれのコンピュータ部分上で実行されている。プログラム自体がどのように分割されるかは、関与しているコンピュータハードウェアに依存する。述べられたコンピュータのうちの1つ、又はローカルクライアントプログラムを制御する別個のコンピュータ上で実行されているメインソフトウェアを使用することが可能である。他のオプションは、互いに通信するソフトウェアの等しいインスタンスなどを含む。
【0043】
このコンピュータプログラムが説明されたような方法全体を実行するための唯一の要件は、使用されるプログラム及びそのそれぞれのハードウェアコンポーネントが方法を完全且つ自動的に実行することが可能であることである。そのようなプログラムは、次いで、コンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号上に記憶されることができ、コンピュータ可読記憶媒体及び/又はデータキャリア信号は、関与するコンピュータに、データ収集コンピュータを介して、生産プロセス及びその関連パラメータについてのプロセスデータを少なくとも2つの異なるソースから取得する方法ステップと、プロセスマッピングコンピュータを介してプロセスマッピングステップを実行するために、生産プロセスに関連する取得されたプロセスデータを使用する方法ステップと、データマッピングコンピュータを介してデータマッピングステップを実行することによって、生産プロセスの関連パラメータに関連する取得されたプロセスデータをその対応するプロセス部分に割り当てる方法ステップと、分析コンピュータ上で実行される特定のソフトウェアで、その結果マッピングされたプロセスデータを分析し、それによって、生産プロセスの品質に関連する1つ以上の既存の特性を特定及び検証する方法ステップと、プロセス実行コンピュータを介して生産プロセスを作成し、及び/又はその性能を改善するために、特定及び検証された特性を使用する方法ステップとを実施させる。記憶媒体は、USBドライブ、ハードディスク、フラッシュドライブなどのような任意の適したデジタルメモリ上に記憶されることができる。そのメモリから、それはまた、ソフトウェアをそのターゲットハードウェアに送信するための、イーサネット、ワイヤード若しくはワイヤレス、又は任意の他の適したネットワーク伝送手段のような、それぞれのデータキャリア信号を使用するリモート通信手段を介して提供されることができる。
【0044】
本発明によるシステム、方法、及びソフトウェア製品、並びにそれらの機能的に有利な展開は、好ましい例証的な実施形態を使用して、関連する図面を参照して以下でより詳細に説明される。図面では、互いに対応する要素は、同じ参照番号を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】必要な方法ステップについての全般的な概観図である。
【
図2】関与するシステムコンポーネントについての概略的な概観図である。
【
図3】2つの生産現場及びそれらが提供するプロセスデータタイプについての概略的な概観図である。
【
図4】特定の実施形態のプロセスステップについてのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本発明は、2つの好ましい例証的な実施形態を提示することによってより詳細に説明され、それらは、過去の性能、顧客要因、属性、及び材料処理、原料、並びに中間因子及び属性のようなデータに基づく、材料のためのプロアクティブ品質管理システムについてのそれぞれの方法を開示する。
【0047】
図1は、両方の実施形態における必要な方法ステップについての概観図を示す。ステップ自体は、異なる条件に依存して、全ての例証的な実施形態において分岐して実行される。本方法を実行するデータ分析システム15が、
図2に示されている。以前に説明されたように、その構造はまた、実施形態毎に異なり得る。特に、関与するコンピュータの種類は、どれだけのステップがコンピュータ及びアプリケーションソフトウェアの助けを借りて人間のユーザによって実行されるか、又は例えばAIソフトウェアを使用して特定のコンピュータによって自動的に行われるかに応じて大きく異なり得る。
【0048】
図3は、2つの実例的な生産現場及びそれらが提供するプロセスデータタイプについての概略的な概観図を開示している。この場合、それは材料供給業者現場17及び製造業者現場16であり、材料供給業者現場17は、原料についてのデータ21a、プロセス関連データ1a、材料供給業者からの品質データ20a、他のデータ22aなどを提供する。このデータは、データ収集コンピュータ10によって収集され、データ収集コンピュータ10は、データ統合19を実行し、次いで、PLSモデル又は人工ニューラルネットワークのような使用されるデータモデル6、7にデータを提供する。製造業者現場16は、それ自身の生産プロセス1b、それ自身の品質データ20b、他のデータ22b、等についてのデータを提供する。このデータは、次いで、セキュアデータ転送コネクタ23を介して転送される。2つの現場16、17間のデータの通信は、現場に割り当てられたウェブサービス24a、24bによって実行される。加えて又は代替として、サードパーティウェブサービス25が使用されることもできる。これは、例えば、デジタルデータプラットフォームによって集中的に管理されることができる。
【0049】
第1の好ましい例証的な実施形態:
【0050】
この第1の好ましい実施形態は、顧客、ほとんどの場合に製造業者現場16、が材料を処理する前に、材料のためのプロアクティブ品質管理システムを備える。それは、既に
図3に示されているような説明されたハードウェアから成る。
【0051】
結果として生じる製品品質を確実にするために、システムは、第1に、材料の分析証明書(CoA)を超えて顧客の特定された性能指標に影響を及ぼし得る、必要な材料からの重要なパラメータを特定する必要がある。第2に、材料バッチが作られる前に性能を予測するために、重要な指標及びCoAパラメータに影響を及ぼし得る原料及び中間パラメータを特定することが必要とされる。
【0052】
そうするために、以下のステップがシステムによって実行される。第1のデータ取得ステップでは、データ抽出スクリプトが、データ収集コンピュータ10を介して複数のデータベースからデータを検索するために使用される。複数のソースのデータは、顧客共有のために、クリーニングされ、変換され、結合され、コーディングされ、正規化される。これらのデータは、品質管理システムからのセンサデータ、温度、圧力、タンクレベル、等のような時系列プロセスデータ、供給業者のCoA(分析証明書、例えば金属)の原料データ、微量金属不純物レベル及び純度レベルのような追加の内部原料測定値、並びにどの原料ロット及びどれだけが単一のデータファイルに照合されたかを意味するバッチ系統を含む。
【0053】
このデータファイルは、次いで、好ましくは、ファイル中の列にコード名を与え、日付、バッチ番号、等などの文脈データ/離散データを除いて、各列について0と1との間でデータを正規化することによってコーディングされる。ソースデータもまた、材料供給業者現場17によって提供され、ここで、ソースデータは、同じく符号化及び正規化された文脈データ及び時系列データを含む。顧客データと材料データとを結合するためのマッチングキーは、材料バッチ番号である。
【0054】
次のプロセスマッピングステップでは、プロセスの概要及び説明が、製造技術者及び品質管理要員によって提供され、プロセスマッピングコンピュータ11に入力される。
【0055】
以下のデータマッピングステップ中、全ての利用可能なデータが、主題専門家によってチェックされ、データの背後にある物理的意味が、化学/プロセス工学知識を適用することによって評価される。いくつかのプロセス、品質、及びデータの専門家を有する作業場では、原料パラメータ及び/又はプロセスパラメータの形態の利用可能なデータが、データマッピングコンピュータ12を使用することによって、インライン物理パラメータ測定、等のように、マッピングされるか、又はプロセスマッピングステップからのデータと接続される。顧客データは、複数のファブから収集される。時には、1つの完成品バッチが、異なるファブで使用され、異なる顧客指標性能をもたらした。
【0056】
最も重要な方法ステップは、データ分析に関する。ここで、全ての収集及びマッピングされたデータは、分析コンピュータ13によって、材料バッチ番号に基づいて、対応する材料バッチ番号と照合される。PLS、ランダムフォレストなどのいくつかの適したデータモデルは、予測指標を作成し、特徴重要性を強調し、使用されるモデルを更に開発するために、異なる方法で使用される。結果として生じる特徴重要性の検証は、発見の物理的現象及び使用されるデータモデルに対するその妥当性を合理化するために、プロセス専門家によって行われる。検証後、次のステップは、以下の通りである:
【0057】
1.SHAP又はピアソン相関値による特徴重要性のリストが、各モデルについて作成される。
2.有効な材料特徴重要性に基づいて顧客指標を予測するためのモデルが開発される。
3.CoAパラメータを予測するためのモデルが開発される。
4.ランダム訓練及び検証データセットを用いた特徴重要性及びモデル予測が検証される。
5.モデル効率を検証し、可能であれば改善するために、モデルの継続中のバイアス又はクリープ(creap)が実行される。
【0058】
結果は、現場所有者及び他の顧客に提示されることができる。そうするために、例えば、高い特徴重要性を有する有効なパラメータを制御する適した方法が提案される。テストは、使用される予測モデルが、実際のデータに対して証明された効率で提案され、顧客の指標(複数可)ゾーン性能に対して良好な重複を提供することを示している。材料バッチの内部レビューは、生産に尽力する前に、計画、製造、及び品質を用いて行われ、検証されると想定される。モデルはまた、モデル駆動効率について実際のデータに対して連続的にレビューされるべきである。
【0059】
第2の好ましい例証的な実施形態:
【0060】
この第2の好ましい実施形態も、材料のためのプロアクティブ品質管理システムを備える。それは、以下のプロセスステップを実行する。
【0061】
まず、バッチ自動化が確立される。それは、完成品生産が、例えば、タンクレベルを測定し、添加される原料の量を制御することによって自動化され、データヒストリアンが導入されることを意味する。
【0062】
次のステップは、データ取得ステップである。ここで、データは、内部IT及びプロセス品質の専門家のチームによって、取得され、訂正され、データ収集コンピュータ10上で実行されているAzureシークエル抽象化層(SAL:Sequel Abstract Layer)データベースに統合される。このデータは、以下についてである:
【0063】
・来たるべきバッチについてのロット選択を計画するために使用されるカスタムウェブベースのツールであり、SAPシステムとデータを交換するピックリストSQLデータベースからの完成品バッチ及びロット選択。
・原料ロット及び完成品バッチの微量金属、伝導率、平均粒子サイズのような品質測定、並びにLIMSシステムLabwareからの顧客許容限度。
・原料品質を超える影響の認識を含む、ヒストリアンデータからのプロセスデータ、例えば、UPW温度、フィルタリング中の差圧のようなセンサデータ。
【0064】
プロセスマッピングステップは、プロセスの概要を行い、検討されている各完成品製品についての説明を作成することから成る。加えて、プロセスチャート及びP&IDは、全ての潜在的な影響因子を特定するために、プロセス及び品質の専門家によって使用される。それらの品質専門家は、好ましくは、プロセスマッピングコンピュータ11によってサポートされる。
【0065】
検討されている各完成品製品についてのデータマッピングステップでは、利用可能なデータは、データマッピングコンピュータ12の助けを借りて、プロセスマッピングステップ中にプロセス/品質の専門家によって作成された関連するプロセスステップにマッピングされる。このデータは、例えば、ヒストリアンデータからのどのセンサがどの製品に関連するかなどを備える。また、可能且つ好ましいデータクリーニング及び集約が、このステップ中に行われる。データクリーニングは、データがまだ転送中であり得るので、不完全な又は一貫性のないデータのためにどのバッチが除外されるべきかというような問いに悩まされる。データ集約は、原料のいくつかのロットがバッチでブレンドされる場合には原料品質特性の加重和のような、又はいくつかのサンプルの場合には品質測定値の平均の使用のような点を考慮する。
【0066】
好ましい実施形態の核心部分は、従って、データ分析である。ここで、全てのデータは、バッチ番号を使用することによって、又は追加のプロセスデータの場合にはバッチの製造期間中の値を平均化することによって、完成品バッチレベルに照合される。いくつかのデータモデルが試験されて、原料ロット特性及び重みに基づく物質収支モデルから、OLS、PLS、XGBoostなどのようなデータベースの線形及び非線形モデルまで、通常は全体で約15個のパラメータである各完成品品質パラメータが予測された。モデル性能は、使用される原料ロットにおける重複によって引き起こされる自己相関性に起因して、データの時系列分割に基づいて目に見えない試験セット上で評価される。好ましくは、データモデルは、分析コンピュータ13上でホストされ、それは、任意の適したコンピュータであり得る。
【0067】
重要な影響因子が、次いで、プロセス及び品質の専門家によって議論及び検証される。最終データモデルは、生産より前に利用可能な特徴を使用するために低減される。潜在的なプロセス関連の影響に対して、代替データモデルが、必要であれば、例えば、現在使用されていないラグ(lags)及び/又は天気予報を使用して外部温度に基づいてUPW温度を予測するために含まれることができる。
【0068】
本発明の方法を実行するために、適したユーザインタフェースを使用することが非常に好ましい。そうするために、Alteryxプラットフォームが、展開された予測データモデルの最終的なデータ前処理及び適用のために使用される。結果は、Azure上のSQLデータベースに書き込まれ、そこから、専用のTableauダッシュボードが、原料レビューボード(RMRB:Raw Material Review Board)のためのデータを引き出す。検討中の各製品及び品質測定値について、ダッシュボードは、過去及び計画されたバッチに対する顧客許容限度と共に、利用可能な過去の測定値及び予測を示す。また、ある特定の品質測定値の予測に対する異なる原料の寄与が、最も関連する原料21cを示すために示される。次いで、顧客許容限度が満たされていないので注意を必要とするバッチを強調するために、ダッシュボードに要約が提供される。
【0069】
サプライチェーンプランナ及び品質専門家の両方は、計画されたバッチに対する潜在的な問題を特定するためにダッシュボードをレビューすることができる。品質予測に基づいて、サプライチェーンプランナは、必要であればロット選択を調整することができる。いかなる変更も、絶え間ないデータリフレッシュに起因してダッシュボードに反映される。週単位の会議中に、あらゆる問題、又は物流上の制約、ある特定のロット選択を求める顧客要件のような特別な現在の状況が、適したアクションを決定するためにサプライチェーンプランナ及び品質専門家の間で議論される。
【0070】
第1及び第2の実施形態における例として実現されるこの手法により、バッチ自動化は、完成品品質のばらつきの著しい低減につながる。これは、原料ロット選択21c及び予測モデルに基づいて、予想される完成品品質に対する透明性を可能にし、ロット選択プロセスにおける更なる改善及びバッチを再加工又は廃棄する必要性の低下につながる。
【0071】
連続的なデータ統合は、加えて、予測品質を監視することを可能にし、継続中の到来する新しい情報に基づいて、使用されるデータモデルを改善する。更に好ましい実施形態では、システムはまた、非エッジケースにおけるロット選択を自動化するように拡張されることができ、このことから、サプライチェーンプランナの手動労力を低減することができる。
【0072】
[参照番号のリスト]
1 利用可能な生産関連データ
2 原料データの別個のパラメータ
3 別個の一般的なプロセス記述
4 プロセスステップを有する作成されたプロセスチャート
5 原料データのマッピングされたパラメータを有するマッピングされたプロセス記述
6 未訓練ニューラルネットワーク又はPLSモデル
7 訓練済みニューラルネットワーク又はPLSモデル
8 特定されたプロセス特性
9 改善された製品品質
10 データ収集コンピュータ
11 プロセスマッピングコンピュータ
12 データマッピングコンピュータ
13 分析コンピュータ
14 プロセス実行コンピュータ
15 生産システム
16 製造業者現場
17 材料供給業者現場
18 データ分析器
19 デジタルデータプラットフォーム
20a 材料供給業者からの品質データ
20b 製造業者現場からの品質データ
21 原料データ
21a 材料供給業者現場からの原料データ
21b 製造業者現場からの原料データ
21c 選択された原料データ
22a 材料供給業者からの他のデータ
22b 製造業者現場からの他のデータ
23 セキュアデータ転送コネクタ
24a 材料供給業者ウェブサービス
24b 製造業者現場ウェブサービス
25 サードパーティウェブサービス
【国際調査報告】