(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】アフリベルセプトをコードするAAV2バリアントを使用する眼疾患の治療方法
(51)【国際特許分類】
A61K 35/76 20150101AFI20240403BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240403BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240403BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240403BHJP
A61K 38/17 20060101ALI20240403BHJP
C12N 7/01 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20240403BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240403BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/71 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K35/76
A61P27/06
A61K48/00
A61P43/00 121
A61K31/573
A61K45/00
A61K38/17
C12N7/01 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/13
C12N15/12
C07K19/00
C07K16/00
C07K14/71
C12N15/864 100Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558203
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 US2022071937
(87)【国際公開番号】W WO2022232790
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516279086
【氏名又は名称】アドヴェラム バイオテクノロジーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クラーク, ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ウィットカップ, スコット
(72)【発明者】
【氏名】トゥルプク, アダム
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA44
4C084MA02
4C084MA58
4C084NA05
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA10
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA58
4C086NA05
4C086ZA33
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087MA58
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA33
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA21
4H045FA74
(57)【要約】
個体における眼疾患の治療方法であって、単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を上記個体の眼に投与することを含み、上記rAAV粒子が、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であり、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む、上記方法が提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体における緑内障の治療方法であって、
単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を前記個体の一方の眼に投与することを含み、
前記個体がヒトであり、
前記rAAV粒子が、
a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、
b)AAV2カプシドタンパク質であり、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む前記AAV2カプシドタンパク質(但し、前記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)と
を含む、前記方法。
【請求項2】
前記緑内障が血管新生緑内障である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
個体における眼圧の低減方法であって、
単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を前記個体の一方の眼に投与することを含み、
前記個体がヒトであり、
前記rAAV粒子が、
a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、
b)AAV2カプシドタンパク質であり、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む前記AAV2カプシドタンパク質(但し、前記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)と
を含む、前記方法。
[請求項3.a]
個体における眼圧の低減方法であって、
単位用量のrAAV粒子を前記個体の一方の眼に投与することを含み、
前記個体がヒトであり、
前記rAAV粒子が、
a)毛様体において活性である強力なプロモーターの制御下にあるポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、
b)AAV2カプシドタンパク質であり、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む前記AAV2カプシドタンパク質(但し、前記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)と
を含む、前記方法。
【請求項4】
前記個体が緑内障を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記緑内障が血管新生緑内障である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約6×10
11ベクターゲノム(vg/眼)以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約6×10
10~約6×10
11ベクターゲノム(vg/眼)である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約6×10
10~約2×10
11ベクターゲノム(vg/眼)である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約2×10
11~約6×10
11ベクターゲノム(vg/眼)である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約2×10
11または約6×10
11ベクターゲノム(vg/眼)である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約2×10
11ベクターゲノム(vg/眼)である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記rAAV粒子の単位用量が、眼当り約6×10
11ベクターゲノム(vg/眼)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
単位用量のrAAV粒子を前記個体の対側の眼に投与することをさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記単位用量のrAAV粒子を前記対側の眼に前記投与することが、前記単位用量のrAAV粒子を前記一方の眼に投与することの最大で約2週間後である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(a)前記単位用量のrAAV粒子を前記対側の眼に前記投与することが、前記単位用量のrAAV粒子を前記一方の眼に前記投与することと同日であるか、または
(b)前記単位用量のrAAV粒子を前記対側の眼に前記投与することが、前記単位用量のrAAV粒子を前記一方の眼に前記投与することの約1日後~約14日後である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記個体の前記対側の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子が、前記個体の前記一方の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子と同一であるか、またはそれよりも少ない眼当りのベクターゲノム(vg/眼)を含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記単位用量のrAAV粒子を前記対側の眼に前記投与することが、前記単位用量のrAAV粒子を前記一方の眼に投与することの少なくとも約2週間後である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記個体の対側の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子が、前記個体の前記一方の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子よりも多くの眼当りのベクターゲノム(vg/眼)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記核酸が、配列番号40の核酸配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポリペプチドが配列番号35のアミノ酸配列を含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記ポリペプチドが配列番号41のアミノ酸配列を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリペプチドがアフリベルセプトである、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記核酸が、第1のエンハンサー領域、プロモーター領域、5’UTR領域、第2のエンハンサー領域、及びポリアデニル化部位をさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記核酸が、5’から3’の順に、
(a)第1のエンハンサー領域と、
(b)プロモーター領域と、
(c)5’UTR領域と、
(d)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸と、
(e)第2のエンハンサー領域と、
(f)ポリアデニル化部位と
を含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれている、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のエンハンサー領域が、配列番号22の配列もしくは前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む、請求項23または請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記プロモーター領域が、配列番号23の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む、請求項23~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
ポリペプチドをコードする前記核酸が、配列番号40の核酸配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記ポリペプチドが、配列番号35のアミノ酸配列または前記配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項24~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記ポリペプチドが、配列番号41のアミノ酸配列または前記配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む、請求項24~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記ポリペプチドがアフリベルセプトである、請求項24~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記5’UTR領域が、5’から3’の順に、配列番号24の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列と、配列番号25の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列とを含む、請求項23~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記第2のエンハンサー領域が、配列番号26の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む、請求項23~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記ポリアデニル化部位が、配列番号27の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位を含む、請求項23~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記核酸が、
(a)配列番号22の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む第1のエンハンサー領域と、
(b)配列番号23の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含むプロモーター領域と、
(c)5’から3’の順に、配列番号24の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列、及び配列番号25の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列を含む5’UTR領域と、
(d)配列番号26の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域と、
(e)配列番号27の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位と
をさらに含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記核酸が、配列番号39の配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記AAV2カプシドタンパク質が、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む(但し、前記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記AAV2カプシドタンパク質が、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記AAV2カプシドタンパク質が、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記rAAV粒子が、配列番号38のアミノ酸配列または配列番号38と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むGHループを含むAAV2 VP1カプシドタンパク質を含む、請求項1~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記単位用量のrAAV粒子の前記一方の眼及び/または前記対側の眼への前記投与が硝子体内投与による、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記単位用量のrAAV粒子が医薬製剤中に存在する、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
前記医薬製剤が、前記rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び界面活性剤を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記医薬製剤が、約150~約200mMの塩化ナトリウム、約1~約10mMのリン酸二水素ナトリウム、約1~約10mMのリン酸水素ナトリウム、約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)のポロキサマー188、及びmL当り約6×10
13~約6×10
10ベクターゲノム(vg)(vg/mL)の前記rAAV粒子を含み、前記医薬製剤のpHが約7.0~約7.5である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記医薬製剤が、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、約6×10
12vg/mLの前記rAAV粒子、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、前記医薬製剤のpHが約7.3である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記医薬製剤が、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、約2×10
12vg/mLの前記rAAV粒子、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、前記医薬製剤のpHが約7.3である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記医薬製剤が、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、約6×10
11vg/mLの前記rAAV粒子、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、前記医薬製剤のpHが約7.3である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記一方の眼及び/または前記対側の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子が、約25μL~約250μLの体積中に存在する、請求項1~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記一方の眼及び/または前記対側の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子が、約100μLの体積を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記一方の眼及び/または前記対側の眼に投与される前記単位用量のrAAV粒子が、約30μLの体積を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記個体が以前に抗VEGF剤による眼内血管新生疾患の治療を受けていた、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記個体が、前記rAAV粒子の前記一方の眼及び/もしくは前記対側の眼への投与の前に、前記一方の眼及び/もしくは前記対側の眼への抗VEGF剤の注射を1回または2回受けたことがある、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗VEGF剤がアフリベルセプトである、請求項50または51に記載の方法。
【請求項53】
前記個体が以前に抗VEGF剤による眼内血管新生疾患の治療を受けていない、請求項1~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記単位用量のrAAV粒子が抗VEGF剤の投与との併用で投与される、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記単位用量のrAAV粒子を、前記抗VEGF剤の投与の約1週間後または約7日後に、前記個体の前記一方の眼に投与することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記抗VEGF剤を1日目に前記個体の前記一方の眼に投与することと、前記単位用量のrAAV粒子を8日目に前記個体の前記一方の眼に投与することとを含む、請求項54または請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記抗VEGF剤がアフリベルセプトを含む、請求項54~56のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記アフリベルセプトが硝子体内注射により約2mgの用量で投与される、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記単位用量のrAAV粒子がステロイド治療との併用で投与される、請求項1~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記ステロイド治療がコルチコステロイド治療である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ステロイド治療が全身性ステロイド治療である、請求項59または請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記ステロイド治療が経口ステロイド治療である、請求項59~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記ステロイド治療がプレドニゾン治療である、請求項59~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記ステロイド治療が局所ステロイド治療である、請求項59または請求項60に記載の方法。
【請求項65】
前記ステロイド治療がジフルプレドナート治療である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記ステロイドが、前記単位用量のrAAV粒子の前記一方の眼及び/または前記対側の眼への投与の前、投与の間、及び/または投与の後に投与される、請求項59~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記局所ステロイドが約1μg~約3μgの用量のジフルプレドナート0.05%を含む、請求項64~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記局所ステロイドが約2.5μgの用量のジフルプレドナート0.05%を含む、請求項64~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
個体における緑内障の治療方法における使用のための、約6×10
11ベクターゲノム(vg)以下の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の単位用量であって、
前記方法が前記単位用量を前記個体の一方の眼に投与することを含み、
前記個体がヒトであり、
前記rAAV粒子が、
a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、
b)AAV2カプシドタンパク質であり、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む前記AAV2カプシドタンパク質(但し、前記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)と
を含む、
前記単位用量。
【請求項70】
眼圧の低減方法を必要とする個体での眼圧の低減方法における使用のためのrAAV粒子の単位用量であって、
前記方法が前記単位用量を前記個体の一方の眼に投与することを含み、
前記個体がヒトであり、
前記rAAV粒子が、
a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、
b)AAV2カプシドタンパク質であり、前記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む前記AAV2カプシドタンパク質(但し、前記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)と
を含む、
前記単位用量。
【請求項71】
前記個体が緑内障を有する、請求項70に記載の単位用量。
【請求項72】
前記緑内障が血管新生緑内障である、請求項69または71の単位用量。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月27日出願の米国仮特許出願第63/180,646号の利益及び優先権を主張し、上記出願の開示は、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
ASCIIテキストファイルによる配列表の提出物
以下のASCIIテキストファイルによる提出物、すなわち、コンピュータ可読形態(CRF)の配列表(ファイル名:627002001340SEQLIST.TXT、記録日:2022年4月26日、サイズ:41,493バイト)は、その全体が本明細書に援用される。
【0003】
技術分野
本開示は、個体における眼疾患及び眼障害の治療方法であって、単回の単位用量の、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を個体の眼に投与することを含む上記方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アフリベルセプトは、血管内皮増殖因子サブタイプA及びB(VEGF-A及びVEGF-B)ならびに胎盤増殖因子(PGF)のデコイ受容体として作用する組換え融合タンパク質である。アフリベルセプトは、これらのリガンドに結合することによって、該リガンドが血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、VEGFR-1、及びVEGFR-2に結合するのを防止して、とりわけ血管新生を抑制し、血管透過性を低下させることができる。アフリベルセプトは、IgG1のFcフラグメントに融合したVEGFR-1のドメイン2及びVEGFR-2のドメイン3からなる。
【0005】
現在の標準治療のアフリベルセプトなどの抗VEGF剤は、最適な治療転帰を達成するため及び視力を維持するためには、硝子体内(IVT)注射を介して4~8週間毎に再投与する必要がある。かかる投薬計画の遵守は、患者、患者の介護者、及び保健システムにとって煩わしく、ほとんどの患者が時間の経過と共に最適な投薬計画の遵守から外れ、これは視覚喪失と相関する(Khanani AM, et al.)。加えて、眼内炎、網膜剥離、外傷性白内障、及び眼圧(IOP)上昇を含む合併症が存在し、これらの合併症のリスクはIVT注射を繰り返すことによって高まる可能性がある(Falavarjani et al., (2013) Eye (Lond), 27(7):787-794)。
したがって、本技術分野では、有効であり、有害作用のリスクが低く、且つ患者が長期間にわたって高い服薬遵守を受け入れやすい眼疾患の治療法が必要とされている。
眼障害を治療するための、アフリベルセプトをコードするAAVの使用は、米国特許出願第17/017,469号、WO2021/050094、及びWO2021/050649(それらの全体が援用される)に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2021/050094号
【特許文献2】国際公開第2021/050649号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Falavarjani et al., (2013) Eye (Lond), 27(7):787-794)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの態様において、本発明は、個体における緑内障の治療方法であって、単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を上記個体の一方の眼に投与することを含み、上記個体がヒトであり、上記rAAV粒子が、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であり、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む、上記方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記緑内障は血管新生緑内障である。いくつかの態様において、本発明は、個体における眼圧の低減方法であって、単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を上記個体の一方の眼に投与することを含み、上記個体がヒトであり、上記rAAV粒子が、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であり、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む、上記方法を提供する。いくつかの実施形態において、上記個体は緑内障を有する。いくつかの実施形態において、上記緑内障は血管新生緑内障である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約6×1011ベクターゲノム(vg/眼)以下である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約6×1010~約6×1011ベクターゲノム(vg/眼)である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約6×1010~約2×1011ベクターゲノム(vg/眼)である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約2×1011~約6×1011ベクターゲノム(vg/眼)である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約2×1011または約6×1011ベクターゲノム(vg/眼)である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約2×1011ベクターゲノム(vg/眼)である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、眼当り約6×1011ベクターゲノム(vg/眼)である。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、単位用量のrAAV粒子を上記個体の対側の眼に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に上記投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大で約2週間後である。いくつかの実施形態において、方法は以下を含む。(a)上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に上記投与することであって、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に上記投与することと同日であるか、または(b)上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に上記投与することであって、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に上記投与することの約1日後~約14日後である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記対側の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の上記一方の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子と同一であるか、またはそれよりも少ない眼当りのベクターゲノム(vg/眼)を含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に上記投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの少なくとも約2週間後である。いくつかの実施形態において、上記個体の対側の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の上記一方の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子よりも多くの眼当りのベクターゲノム(vg/眼)を含む。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、上記核酸は、配列番号40の核酸配列または前記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは配列番号35のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは配列番号41のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドはアフリベルセプトである。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、上記核酸は、第1のエンハンサー領域、プロモーター領域、5’UTR領域、第2のエンハンサー領域、及びポリアデニル化部位をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記核酸は、5’から3’の順に、(a)第1のエンハンサー領域と、(b)プロモーター領域と、(c)5’UTR領域と、(d)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸と、(e)第2のエンハンサー領域と、(f)ポリアデニル化部位とを含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれている。いくつかの実施形態において、上記第1のエンハンサー領域は、配列番号22の配列もしくは上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む。いくつかの実施形態において、上記プロモーター領域は、配列番号23の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリペプチドをコードする上記核酸は、配列番号40の核酸配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列または上記配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、配列番号41のアミノ酸配列または上記配列と少なくとも95%の同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドはアフリベルセプトである。いくつかの実施形態において、上記5’UTR領域は、5’から3’の順に、配列番号24の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列と、配列番号25の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列とを含む。いくつかの実施形態において、上記第2のエンハンサー領域は、配列番号26の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリアデニル化部位は、配列番号27の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位を含む。いくつかの実施形態において、上記核酸は、(a)配列番号22の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含む第1のエンハンサー領域と、(b)配列番号23の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むCMV配列を含むプロモーター領域と、(c)5’から3’の順に、配列番号24の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むTPL配列、及び配列番号25の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むeMLP配列を含む5’UTR領域と、(d)配列番号26の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域と、(e)配列番号27の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むHGHポリアデニル化部位とをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記核酸は、配列番号39の配列または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、上記AAV2カプシドタンパク質は、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)。いくつかの実施形態において、上記AAV2カプシドタンパク質は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む。いくつかの実施形態において、上記AAV2カプシドタンパク質は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号38のアミノ酸配列または配列番号38と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むGHループを含むAAV2 VP1カプシドタンパク質を含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の前記一方の眼及び/または前記対側の眼への前記投与は硝子体内投与による。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、前記rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約150~約200mMの塩化ナトリウム、約1~約10mMのリン酸二水素ナトリウム、約1~約10mMのリン酸水素ナトリウム、約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)のポロキサマー188、及びmL当り約6×1013~約6×1010ベクターゲノム(vg)(vg/mL)の前記rAAV粒子を含み、上記医薬製剤のpHは約7.0~約7.5である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、約6×1012vg/mLの前記rAAV粒子、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、約2×1012vg/mLの上記rAAV粒子、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、約6×1011vg/mLの上記rAAV粒子、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、上記一方の眼及び/または上記対側の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子は、約25μL~約250μLの体積中に存在する。いくつかの実施形態において、上記一方の眼及び/または上記対側の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子は、約100μLの体積を含む。いくつかの実施形態において、上記一方の眼及び/または上記対側の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子は、約30μLの体積を含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、上記個体は以前に抗VEGF剤による眼内血管新生疾患の治療を受けていた。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記rAAV粒子の上記一方の眼及び/もしくは上記対側の眼への投与の前に、上記一方の眼及び/もしくは上記対側の眼への抗VEGF剤の注射を1回または2回受けたことがある。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤はアフリベルセプトである。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、上記個体は以前に抗VEGF剤による眼内血管新生疾患の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は抗VEGF剤の投与との併用で投与される。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記単位用量のrAAV粒子を、上記抗VEGF剤の投与の約1週間後または約7日後に、上記個体の上記一方の眼に投与することを含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記抗VEGF剤を1日目に上記個体の上記一方の眼に投与することと、上記単位用量のrAAV粒子を8日目に上記個体の上記一方の眼に投与することとを含む。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤はアフリベルセプトを含む。いくつかの実施形態において、上記アフリベルセプトは硝子体内注射により約2mgの用量で投与される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子はステロイド治療との併用で投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はコルチコステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は全身性ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は経口ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はプレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は局所ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はジフルプレドナート治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、上記単位用量のrAAV粒子の上記一方の眼及び/または上記対側の眼への投与の前、投与の間、及び/または投与の後に投与される。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは約1μg~約3μgの用量のジフルプレドナート0.05%を含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは約2.5μgの用量のジフルプレドナート0.05%を含む。
【0020】
いくつかの態様において、本発明は、個体における緑内障の治療方法における使用のための、約6×1011ベクターゲノム(vg)以下の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子の単位用量であって、上記方法が上記単位用量を上記個体の一方の眼に投与することを含み、上記個体がヒトであり、上記rAAV粒子が、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であり、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む、上記単位用量を提供する。いくつかの態様において、本発明は、眼圧の低減方法を必要とする個体での眼圧の低減方法における使用のためのrAAV粒子の単位用量であって、上記方法が上記単位用量を上記個体の一方の眼に投与することを含み、上記個体がヒトであり、上記rAAV粒子が、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であり、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む、上記単位用量を提供する。いくつかの実施形態において、上記個体は緑内障を有する。いくつかの実施形態において、上記緑内障は血管新生緑内障である。
【0021】
援用
本明細書に引用される、特許出願及び刊行物を含む全ての参考文献は、それらの全体が援用される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】アフリベルセプトの核酸配列(配列番号36)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
例証のための例としての応用を参照して、いくつかの態様を以下に記載する。多数の具体的な詳細、関係、及び方法が、本明細書に記載される特徴を十分に理解するために記載されることを理解する必要がある。但し、関連技術分野の当業者であれば、1つ以上の具体的な詳細が記載されなくとも、または他の方法により、本明細書に記載の特徴を実施することが可能であることを容易に認識しよう。本明細書に記載の特徴は、例証される行為または事象の順序に限定されない。というのも、一部の行為は異なる順序で、及び/または他の行為もしくは事象と同時に行われてもよいことによる。さらに、本明細書に記載の特徴に従って方法論を実施するためには、必ずしも全ての例証される行為または事象が必要とされるわけではない。
【0024】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
【0025】
本明細書で使用される用語は、単に特定の例を説明する目的のためであり、限定することを意図しない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈による明確な別段の指示がない限り、複数形も同様に含むことが意図される。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語もしくはその変化形を、詳細な説明及び/または特許請求の範囲のいずれかで使用する場合、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と類似の意味合いで包括的であることが意図される。「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、「含む(including)」または「含有する(containing)」と同義であり、包括的すなわちオープンエンドである。
【0026】
本明細書において「または」という言及は、別段の明示がない限り、「及び/または」を包含することが意図される。本明細書で使用される場合、用語「「約」+数字」は、その数字の±10%の数字を指す。「「約」+数値またはパラメータ」への言及は、本明細書では、その値またはパラメータそれ自体を指す実施形態を含む(及び記載する)。
【0027】
「対象」、「患者」、または「個体」という用語は、霊長動物、例えばヒト及び非ヒト霊長動物、例えばアフリカミドリザル及びアカゲザルを指す。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。
【0028】
「治療する」、「治療すること」、「治療」、「改善する」、または「改善すること」という用語及び他の文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、眼疾患もしくは障害、または眼疾患もしくは障害の症状を軽減する、弱める、または改善すること、眼疾患もしくは障害の追加の症状を防止すること、症状の根源となる代謝上の原因を改善または防止すること、眼疾患もしくは障害を阻害すること、例えば眼疾患もしくは障害の発生を停止させること、眼疾患もしくは障害を緩和すること、眼疾患もしくは障害を退縮させること、あるいは眼疾患もしくは障害の症状を停止させることを指し、予防を含むことが意図される。上記用語は、治療上の利益及び/または予防上の利益を達成することをさらに含む。「治療上の利益」という用語は、治療を受ける眼疾患もしくは障害の根絶または改善を指す。治療上の利益は、いくつかの実施形態において、当該対象が当該眼疾患または障害になおも罹患しているにもかかわらず、該対象において改善が観察されるような、当該眼疾患もしくは障害に関連する1つ以上の生理学的症状の根絶または改善によっても達成される。予防上の利益については、当該眼疾患もしくは障害を発症するリスクがある対象、または当該眼疾患もしくは障害の1つ以上の生理学的症状を訴える対象に、当該疾患もしくは障害との診断が行われていない場合であっても、医薬組成物が投与される。
【0029】
「投与する」、「投与すること」、「投与」等という用語は、本明細書で使用される場合、生物学的作用が所望される部位への治療薬または医薬組成物の送達を可能にするために使用される方法を指す場合がある。これらの方法は眼への硝子体内または網膜下注射を含む。
【0030】
「有効量」、「治療有効量」、または「薬学的有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、治療を受ける眼疾患もしくは障害の1つ以上の症状をある程度軽減することになるのに十分な、投与される少なくとも1種の医薬組成物または化合物の量を指す場合がある。「有効量」、「治療有効量」、または「薬学的有効量」の医薬組成物が、それを必要とする対象に単位用量(本明細書の他所においてさらに詳細に説明する)として投与されてもよい。
【0031】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、担体または希釈剤などの物質であって、本明細書に開示される化合物の生物学的活性または特性を抑制せず、且つ比較的に非毒性である(すなわち、当該物質が個体に投与される際に、該物質は、望ましくない生物学的作用を生じさせないのみならず、該物質を含有する組成物の構成成分のいずれとも有害な形態で相互作用することがない)上記物質を指す場合がある。
【0032】
「医薬組成物」または単に「組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、任意選択で、担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、賦形剤等などの、但しこれらに限定されない少なくとも1種の薬学的に許容される化学成分と混合された、生物学的に活性な化合物を指す場合がある。
【0033】
「AAVベクター」または「rAAVベクター」は、本明細書で使用される場合、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターまたは組換えAAV(rAAV)ベクターであって、標的細胞中へのまたは標的組織への形質導入のための、AAV起源ではないポリヌクレオチド配列(例えば、治療用導入遺伝子、例えばアフリベルセプトをコードする核酸配列などの、AAVに対して異種のポリヌクレオチド)を含む上記ベクターを指す。一般的に、異種ポリヌクレオチドは、少なくとも1つの、一般には2つのAAV逆位末端反復配列(ITR)が隣接する。上記rAAVベクターという用語は、rAAVベクター粒子及びrAAVベクタープラスミドの両方を包含する。rAAVベクターは、一本鎖(ssAAV)または自己相補的(scAAV)のいずれであってもよい。
【0034】
「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」または「rAAVベクター粒子」または「rAAV粒子」は、少なくとも1種のAAVカプシドタンパク質及びポリヌクレオチドrAAVベクターを含むウイルス粒子を指す。いくつかの場合、上記少なくとも1種のAAVカプシドタンパク質は、野生型AAVに由来するか、またはバリアントAAVカプシドタンパク質(例えば、挿入、例えば以下に記載される7m8アミノ配列の挿入を伴うAAVカプシドタンパク質)である。上記粒子が異種ポリヌクレオチド(例えば、標的細胞または標的組織に送達される導入遺伝子などの野生型AAVゲノム以外のポリヌクレオチド)を含む場合には、「rAAV粒子」、「rAAVベクター粒子」、または「rAAVベクター」と呼ばれる。このように、かかるベクターはrAAV粒子内に含まれることから、rAAV粒子の産生はrAAVベクターの産生を必然的に含む。
【0035】
「パッケージング」という用語は、本明細書で使用される場合、rAAV粒子のアセンブリ及びカプシド形成を生じさせることができる、一連の細胞内事象を指す場合がある。
【0036】
AAV「rep」及び「cap」遺伝子は、アデノ随伴ウイルスの複製及びカプシド形成タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列を指す。AAV rep及びcapは、本明細書においてAAV「パッケージング遺伝子」と呼ばれる。
【0037】
「ポリペプチド」という用語は、天然に存在するもの及び天然に存在しないものの両方の、タンパク質、ペプチド、フラグメント、突然変異体、それらの誘導体及び類似体を包含する場合がある(天然に存在しないタンパク質の例は融合タンパク質である)。ポリペプチドは、単量体、二量体、三量体、またはポリマーであってもよい。さらに、ポリペプチドは、いくつかの異なるドメインであって、それぞれが1つ以上の異なる活性を有する上記ドメインを含んでいてもよい。疑義を回避するために、「ポリペプチド」は2つアミノ酸よりも長い任意の長さであってよい。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ポリペプチドバリアント」または単純に「バリアント」は、その配列がアミノ酸修飾を含むポリペプチドを指す。いくつかの実施形態において、上記修飾は、天然のすなわち野生型のタンパク質などの比較タンパク質またはポリペプチドのアミノ酸配列と比較しての、1つ以上のアミノ酸の挿入、重複、欠失、再配列、あるいは置換である。バリアントは、1つ以上のアミノ酸点置換(ある位置で単一のアミノ酸が別のアミノ酸に変化している)、1つ以上の挿入及び/もしくは欠失(比較タンパク質の配列において、1つ以上のアミノ酸がそれぞれ、挿入されているもしくは欠失している)、ならびに/またはアミノ末端もしくはカルボキシ末端のいずれかもしくは両方におけるアミノ酸配列のトランケーションを有していてもよい。バリアントは、比較タンパク質または非修飾タンパク質と比較して、同様のまたは異なる生物学的活性を有していてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態において、バリアントは、例えば、その対応する比較タンパク質と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の全体的な配列相同性を有していてもよい。いくつかの実施形態において、バリアントは、野生型タンパク質と少なくとも約90%の全体的な配列相同性を有していてもよい。いくつかの実施形態において、バリアントは、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%、または少なくとも約99.9%の全体的な配列同一性を示す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「組換え」は、遺伝子あるいはタンパク質などの生体分子であって、(1)上記生体分子が天然に存在する環境から取り出されている、(2)天然において上記遺伝子が存在するポリヌクレオチドの全てもしくは一部に連結していない、(3)天然において上記生体分子が連結していないポリヌクレオチドに作動可能に連結している、または(4)天然に存在しない、上記遺伝子あるいはタンパク質などの生体分子を指す場合がある。「組換え」という用語は、クローニングされたDNA単離物、化学合成されたポリヌクレオチド類似体、もしくは異種系によって生物学的に合成されたポリヌクレオチド類似体、ならびにかかる核酸によってコードされるタンパク質及び/またはmRNAに関連して使用することができる。したがって、例えば、微生物によって合成されるタンパク質は、例えばそれが細胞中に存在する組換え遺伝子から合成されるmRNAから合成される場合、組換えである。
【0041】
「抗VEGF剤」という用語は、in vivoで内因性VEGF及び/もしくは内因性VEGF受容体(VEGFR)の活性または機能、またはVEGF-VEGFR相互作用もしくは経路を低減する、妨害する、破壊する、遮断する、及び/または阻害することができるタンパク質、ポリペプチド、ペプチド、融合タンパク質、多量体タンパク質、遺伝子産物、抗体、ヒトモノクローナル抗体、抗体フラグメント、アプタマー、小分子、キナーゼ阻害剤、受容体もしくは受容体フラグメント、あるいは核酸分子を含む任意の治療薬を含む。抗VEGF剤は、in vivoで細胞、組織、または対象に送達された場合に、新たな血管の増殖もしくは形成及び/または浮腫もしくは腫脹を低減させることができる公知の治療薬、例えばラニビズマブ、ブロルシズマブ、またはベバシズマブの任意の1種であってよい。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤は、天然に存在するもの、天然に存在しないもの、または合成されたものであってよい。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤は、天然に存在する分子に由来するものであってもよく、その後抗VEGF活性を付与するように修飾または変異させたものであってもよい。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤は融合タンパク質またはキメラタンパク質である。かかるタンパク質においては、機能性ドメインまたはポリペプチドを部分またはポリペプチドに人為的に融合させて、in vivoでVEGFを隔離する、もしくはVEGFRデコイとして機能することができる融合タンパク質またはキメラタンパク質を作製する。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤は、内因性VEGFRをそのリガンドと相互作用しないように遮断する融合タンパク質またはキメラタンパク質である。
【0042】
本明細書で使用される場合、「VEGF」は、別段の必要性がない限り、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-F、またはそれら任意の組合せ、または任意の機能性フラグメントもしくはバリアントを含む、但しこれらに限定されない、VEGFの任意のアイソフォームを指す場合がある。「VEGF」は、別段の必要性がない限り、VEGF-A、VEGF-B、VEGF-C、VEGF-D、VEGF-E、VEGF-F、メンバー、すなわち、VEGF-A、胎盤増殖因子(PGF)、VEGF-B、VEGF-C、及びVEGF-D、またはそれら任意の組合せ、機能性フラグメント、もしくはバリアントを含むVEGFファミリーの任意のメンバーを指す場合がある。本明細書で使用される場合、「VEGF受容体」または「VEGFR」もしくは「VEGF-R」は、VEGFR-1(またはFlt-1)、VEGFR-2(またはFlk-1/KDR)、及びVEGFR-3(またはFlt-4)を含む、但しこれらに限定されないVEGFの受容体のいずれか1種指すために使用される場合がある。VEGFRは、膜結合型もしくは可溶性型、または受容体の機能性フラグメントもしくはトランケーション型であってよい。抗VEGF剤の例としては、ラニビズマブ、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、またはそれらの任意の組合せ、バリアント、もしくは機能性フラグメントが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0043】
「作動可能に連結された(operatively linked)」または「作動可能に連結された(operably linked)」または「カップリングされた」とは、遺伝子の構成要素の並置であって、上記構成要素が、該構成要素を予想される様式で作動させることが可能な関係にある上記並置を指す場合がある。例えば、プロモーターは、該プロモーターがコード配列の転写の開始を支援する場合、上記コード領域に作動可能に連結されてもよい。この機能性関係が維持される限り、上記プロモーターとコード領域の間に介在残基が存在していてもよい。
【0044】
「発現ベクター」または「発現構築物」または「カセット」または「プラスミド」または単に「ベクター」という用語は、遺伝子産物であり、該遺伝子産物中の配列をコードする核酸の一部もしくは全てが転写可能であり、且つ遺伝子治療に適合する上記遺伝子産物をコードする核酸またはポリヌクレオチドを含むAAVあるいはrAAVベクターを含む、任意のタイプの遺伝子構築物を含んでいてもよい。上記転写物をタンパク質に翻訳することができる。いくつかの実施形態において、上記転写物は部分的に翻訳されるかまたは翻訳されない。特定の態様において、発現は、遺伝子の転写及びmRNAの遺伝子産物への翻訳の両方を含む。他の態様において、発現は、対象の遺伝子をコードする核酸の転写のみを含む。発現ベクターはまた、標的細胞におけるタンパク質の発現を容易にするために、コード領域に作動可能に連結された制御成分を含んでいてもよい。制御成分と、該制御成分が発現のために作動可能に連結される遺伝子または複数の遺伝子との組合せは、場合により「発現カセット」と呼ばれる場合があり、その多くは当技術分野で公知であり且つ利用可能であるか、または当技術分野で利用可能な構成成分から容易に構築することができる。
【0045】
「異種」という用語は、エンティティーであって、該エンティティーの比較対照である該エンティティーの残部と遺伝子型が異なる上記エンティティーを指す場合がある。例えば、遺伝子操作技法によってプラスミドまたはベクターに導入された、異なる種に由来するポリヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである場合がある。その天然のコード配列から除去されたプロモーターであって、天然においては上記プロモーターが連結することはないコード配列と、作動可能に連結された上記プロモーターは、異種プロモーターであってよい。
【0046】
本明細書で使用される場合、「7m8」はアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を指す。
【0047】
「7m8バリアント」とは、当該カプシドタンパク質の溶媒曝露GHループ中に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を有する、任意の血清型であってよいrAAVを指す。
【0048】
7m8がrAAV2に挿入されている場合(AAV2.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV2カプシドタンパク質のアミノ酸570~611内のGHループ中に、例えばAAV2カプシドタンパク質VP1の587位と588位の間に挿入される。いくつかの場合には、7m8がrAAV2に挿入されている場合(AAV2.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV2カプシドタンパク質のGHループ中に、例えば配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入される。7m8がrAAV1に挿入されている場合(AAV1.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV1カプシドタンパク質のアミノ酸571~612内のGHループ中に、例えばAAV1カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間に挿入される。7m8がrAAV5に挿入されている場合(AAV5.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV5カプシドタンパク質のアミノ酸560~601内のGHループ中に、例えばAAV5カプシドタンパク質のアミノ酸575と576の間に挿入される。7m8が、rAAV6に挿入されている場合(AAV6.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV6カプシドタンパク質のアミノ酸571~612内のGHループ中に、例えばAAV6カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間に挿入される。7m8がrAAV7に挿入されている場合(AAV7.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV7カプシドタンパク質のアミノ酸572~613内のGHループ中に、例えばAAV7カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間に挿入される。7m8がrAAV8に挿入されている場合(AAV8.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸573~614内のGHループ中に、例えばAAV8カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間に挿入される。7m8がrAAV9に挿入されている場合(AAV9.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV9カプシドタンパク質の内のGHループ中に、例えばAAV9カプシドタンパク質のアミノ酸588と589の間に挿入される。7m8がrAAV10に挿入されている場合(AAV10.7m8とも呼ばれる)、アミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)は、AAV10カプシドタンパク質のアミノ酸573~614内のGHループ中に、例えばAAV10カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間に挿入される。
【0049】
概観
眼疾患に対する現在の治療薬(例えば、アフリベルセプト組換えタンパク質、ラニビズマブ組換えタンパク質)は、およそ4~8週間毎のIVTの投与などの涯続く治療を必要とする。この治療薬により、一部の患者において、炎症、感染症、及び他の有害作用のリスクが増加する可能性がある。さらに、現在の治療薬により、上記治療薬を投与するために繰り返し且つ/または頻繁に通院することに起因して、服薬遵守の問題が生じる。投与の頻度を低減すると視覚喪失及び当該眼疾患または疾病の悪化を伴う。AAVベクターの、IVT注射後に標的網膜細胞に効率的に形質導入することができる能力を利用し、治療用遺伝子を光受容体、網膜色素上皮、及び内部網膜へとうまく移入して、多様な網膜疾患を治療している。このように、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするrAAV粒子の投与によって、抗VEGF剤をin vivoで長期間且つ/または持続的に放出することができる。
【0050】
したがって、本開示は、6×1011vg/眼以下の、単回の単位用量の抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするrAAV粒子を投与することによる、個体における眼疾患(例えば、緑内障)の治療方法を提供する。加えて、本開示は、単回の単位用量の抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするrAAV粒子を投与することによる、眼疾患(例えば、緑内障)を有する個体における眼圧(IOP)の低減方法を提供する。本明細書に開示の方法によって、繰り返しIVT注射を行う必要性が低減するまたはなくなると同時に、長期的な有効性が提供され、それによって非服薬遵守及び能動的な治療への参加の欠如(non-adherence)の問題に対処する。加えて、本明細書で提供される方法により、複数のIVT注射に伴う有害作用が低減される。
【0051】
治療方法
本明細書においては、個体における眼疾患(例えば、緑内障)の治療方法であって、単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を上記個体の眼に投与することを含む上記方法が提供される。
【0052】
また、本明細書においては、個体における(例えば、眼疾患(例えば、緑内障)を有する個体の眼における)眼圧の低減方法であって、単位用量のrAAV粒子を上記個体の眼に投与することを含む上記方法も提供される。
【0053】
また、本明細書においては、個体における眼疾患(例えば、緑内障)の治療方法であって、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)を上記個体の眼に投与することと、上記抗VEGF剤の投与後に、治療を施すこと(例えば、少なくとも1、少なくとも2の単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を、上記個体の上記の眼に投与すること)とを含む方法も提供される。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記眼疾患は緑内障である。いくつかの実施形態において、上記緑内障は血管新生緑内障である。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記個体はヒトである。いくつかの実施形態において、上記個体は、以前に少なくとも1回の眼疾患の治療(例えば、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、またはそれを超える回数の治療)を受けていた。いくつかの実施形態において、上記以前の少なくとも1回の治療(例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、またはそれを超える回数の治療)は、VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブリンゴ酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)から構成される。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量の抗rAAV粒子の投与前の直近の約8週間以内、直近の約9週間以内、直近の約10週間以内、直近の約11週間以内、直近の約12週間以内、直近の約13週間以内、直近の約14週間以内、直近の約15週間以内、または直近の約16週間以内に、治療(例えば、上記の1種以上の何れかの薬剤による)を受けた。いくつかの実施形態において、上記個体は、以前の治療に対して意味のある応答を示した。いくつかの実施形態において、上記個体は、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブリンゴ酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療に対して意味のある応答を示した。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は、アフリベルセプト、その機能性バリアント、またはその機能性フラグメントである。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを含む。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記個体は視覚機能障害を有する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の、上記個体の上記rAAV粒子の投与を受ける眼の視力(BCVA)は、約78~50 ETDRS文字(例えば、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、または78 ETDRS文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の、上記個体の上記rAAV粒子の投与を受ける眼の視力(BCVA)は、約20/32~約20/100(スネレンの換算視力)である。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の、上記個体の上記rAAV粒子の投与を受ける眼の、Heidelberg Spectralis(登録商標)を使用した中心領域網膜厚(CST)は、中心窩を含むIRF(中心窩1mm)が認められる場合、≧325μmである。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記個体の上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、主として緑内障(例えば、血管新生緑内障)に起因する視力の低下が生じる。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の約6ヶ月以下、例えば、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の約6ヶ月以下、約5ヶ月以下、約4ヶ月以下、約3ヶ月以下、約2ヶ月以下、約1ヶ月以下のいずれかの間に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、緑内障(例えば、血管新生緑内障)との診断を受けている。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の少なくとも約60日(すなわち、約2ヶ月)前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において抗VEGF剤による以前の治療を受けていた。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、上記抗VEGF剤による以前の治療に対して、中心領域網膜厚に関して意味のある応答、例えば、中心領域網膜厚の少なくとも10%の減少を示していた。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、抗VEGF剤による以前の治療に対する有害反応を経験していなかった。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、AAV2.7m8に対する中和抗体を有していない。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前、例えば、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の約6ヶ月以内の、上記個体の抗AAV2.7m8中和抗体力価は、1:125を超えていない。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、アフリベルセプト、コルチコステロイド、またはフルオレセイン色素もしくはフルオレセインナトリウム(例えば、血管造影に使用される)に対するアレルギーの履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、アフリベルセプト、コルチコステロイド、またはフルオレセイン色素もしくはフルオレセインナトリウム(例えば、血管造影に使用される)に対する軽症のアレルギーの履歴を有し、上記アレルギーは治療が可能である。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、管理されていない糖尿病、例えば10%を超えるHbA1cを有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の約3ヶ月以内に糖尿病性ケトアシドーシスの履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、例えばインスリンポンプまたは1日に複数回のインスリン注射による集中的なインスリンによる治療を開始していなかった。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与後の約3ヶ月以内に、例えばインスリンポンプまたは1日に複数回のインスリン注射による集中的なインスリンによる治療を開始する予定がない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、全身性ステロイド剤または免疫抑制治療薬、例えば、メトトレキサートまたはアダリムマブによる治療を必要とする全身性自己免疫疾患の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、黄斑浮腫を生じさせることが知られている全身性薬物、例えば、フィンゴリモド、タモキシフェン、クロロキン、またはヒドロキシクロロキンなどの投与を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、全身性抗VEGF治療薬の投与を受けていない。一部の実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、増殖性糖尿病性網膜症(PDR)の高リスクを有していない。いくつかの実施形態において、PDRは、あらゆる硝子体または網膜前出血、臨床検査で標準のETDRS 7視野と等価の面積内で>1/2乳頭面積の他の箇所の血管新生、または臨床検査で>1/3乳頭面積の乳頭の血管新生と定義される。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、焦点または格子状レーザー光凝固術を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、いかなる以前の汎網膜光凝固術(PRP)も受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、抗VEGF治療(例えば、アフリベルセプトのIVT注射)を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の少なくとも60日前に、抗VEGF治療(例えば、アフリベルセプトのIVT注射)を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、2回を超える抗VEGF治療(例えば、アフリベルセプトのIVT注射)を受けていない。
【0061】
いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、前眼部血管新生(例えば、虹彩の血管新生[NVI]または血管新生緑内障[NVG])、著しい硝子体出血、血管結合組織増殖、または牽引性網膜剥離のうちのいずれの履歴も有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、黄斑浮腫または視力障害に寄与する中心窩の構造的異常(例えば、濃くて硬い滲出液、色素異常、中心窩萎縮、硝子体黄斑牽引または網膜上膜のいずれも)有していない。いくつかの実施形態において、中心窩の構造的異常は臨床検査またはOCTで評価される。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、糖尿病性網膜症(例えば、加齢黄斑変性症(いずれかの眼におけるもの)、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞、または病理的近視)以外の網膜疾患の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、糖尿病黄斑浮腫以外の眼疾患、例えば、著しい白内障もしくは黄斑牽引の履歴、または後嚢下白内障のエビデンスを有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の少なくとも約3ヶ月以内に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、白内障摘出術またはイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)嚢切開術の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、網膜剥離(修復を伴うまたは伴わない)の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、線維柱帯切除術、緑内障シャント術、または低侵襲性緑内障手術(MIGS)のうちのいずれの履歴も有していない。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、上記個体は、硝子体切除術または他のろ過手術の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、無水晶体症または前房眼内レンズの存在を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、管理されていない高眼圧症または緑内障、例えば、抗緑内障薬による治療または現時点での2種を超えるIOP降下薬の使用にもかかわらず22mmHgを超えるIOPを有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、任意の眼の疾病に対する眼内または眼周囲のステロイド治療(例えば、IVT Triesence、Iluvien、またはOzurdex)の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の少なくとも約90日以内に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、屈折矯正手術を受けていなかった。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、以前の全層角膜移植術、内皮角膜移植術、または眼への放射線照射を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、上記rAAV粒子の投与を受ける眼において、いかなる以前の硝子体網膜外科手術も受けていなかった。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、ぶどう膜炎または眼内炎症、例えば、解消した軽度の予想された術後炎症以外の痕跡またはそれを超える程度の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、局所ステロイド投与に関連するIOP上昇の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、ウイルス性ぶどう膜炎、網膜炎または角膜炎を含めた眼の単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、またはサイトメガロウイルス(CMV)の履歴を有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、結膜炎、霰粒腫、または著しい眼瞼炎を含めた外眼部感染症のいずれのエビデンスも有していない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に、眼トキソプラズマ症の履歴を有していない。
【0062】
いくつかの実施形態において、上記単位用量は、ベクターゲノムの数(vg)として表される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1011ベクターゲノム(vg)以下の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、ベクターゲノム数(vg)/眼(vg/眼)としてとして表される。いくつかの実施形態において上記単位用量は、約6×1011vg/眼以下の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、約6×1010~約2×1011vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、約2×1011または約6×1010vg/眼である。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は上記個体の一方の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は右眼または左眼である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は右眼である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は左眼である。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法は、単位用量のrAAV粒子を個体の対側の眼に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は右眼であり、上記対側の眼は左眼である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は左眼であり、対側の眼は右眼である。
【0064】
いくつかの実施形態において、上記個体の対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大約2週間(例えば、約0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日)後である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記対側の眼に投与されるrAAV粒子の上記単位用量は、上記個体の一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量とほぼ同一(例えば、高いもしくは低い幅は1%未満、高いもしくは低い幅は5%未満、高いもしくは低い幅は10%未満、または高いもしくは低い幅は20%未満)であるか、またはそれより低い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%低い)。
【0065】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの少なくとも約2週間(例えば、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれより長い期間)後である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記個体の上記一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量よりも高い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%のいずれか、またはそれよりも大きい幅で高い)。
【0066】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む。配列番号35の配列を以下に示す。
【表1】
【0067】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、a)配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸と、b)AAV2カプシドタンパク質であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)とを含む。
【0068】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは配列番号35のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドはアフリベルセプトまたはその機能性バリアントもしくはその機能性フラグメントである。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコドン最適化された配列を含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコドン最適化された配列を含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするコドン最適化された配列を含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、アフリベルセプトまたはその機能性バリアントもしくはその機能性フラグメントのcDNA配列を含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、アフリベルセプトまたはその機能性バリアントもしくはその機能性フラグメントのコドン最適化されたcDNA配列を含み、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は配列番号36の核酸配列を含む核酸を含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、上記核酸は、(a)CMV配列を含む第1のエンハンサー領域と、(b)CMV配列を含むプロモーター領域と、(c)5’から3’の順に、TPL配列及びeMLP配列を含む5’UTR領域と、(d)全長のEES配列を含む第2のエンハンサー領域と、(e)HGHポリアデニル化部位をさらに含む。いくつかの実施形態において、CMV配列を含む上記エンハンサー領域は、配列番号22の配列を含む。いくつかの実施形態において、CMV配列を含む上記プロモーター領域は、配列番号23の配列を含む。いくつかの実施形態において、上記TPL配列は配列番号24の配列を含む。いくつかの実施形態において、上記eMLP配列は配列番号25の配列を含む。いくつかの実施形態において、全長のEES配列を含む上記第2のエンハンサー領域は配列番号26の配列を含む。いくつかの実施形態において、上記HGHポリアデニル化部位は配列番号27の配列を含む。
【0072】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含むAAV2カプシドタンパク質を含む。配列番号13の配列を以下に示す。
【表2】
【0073】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、AAV2カプシドタンパク質であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2カプシドタンパク質を含む。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、AAV2カプシドタンパク質であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入された以下のアミノ酸配列、すなわち、LALGETTRPA(配列番号1)、LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、LASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、及びSTGKVPN(配列番号21)のいずれかを含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入された以下のアミノ酸配列、すなわち、LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、LASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、及びSTGKVPN(配列番号21)のいずれかを含むAAV2カプシドタンパク質を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与は、硝子体内(IVT)注射、眼内投与、または網膜内注射による。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与は、硝子体内(IVT)注射による。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、上記rAAV粒子、1種以上の浸透圧またはイオン強度調整剤、1種以上の緩衝剤、1種以上の界面活性剤、及び1種以上の溶媒を含む。いくつかの実施形態において、上記浸透圧またはイオン強度調整剤は塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、上記1種以上の緩衝剤はリン酸二水素ナトリウム及び/またはリン酸水素ナトリウムである。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤はポロキサマー188である。いくつかの実施形態において、上記溶媒は水である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、上記rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約1×1010vg/mL~約1×1013vg/mLのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約150mM~約200mMの塩化ナトリウム(例えば、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMのいずれか)を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約1mM~約10mMのリン酸二水素ナトリウム(例えば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mM)を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約1mM~約10mMのリン酸水素ナトリウム(例えば、約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mM)を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)ポロキサマー188(例えば、約0.0005%(w/v)、0.0006%(w/v)、0.0007%(w/v)、0.0008%(w/v)、0.0009%(w/v)、0.001%(w/v)、0.002%(w/v)、0.003%(w/v)、0.004%(w/v)、または約0.005%(w/v)のいずれか)を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤のpHは、約7.0~約7.5(例えば、約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、約25μL~約250μL(例えば、約25μL、約30μL、約40μL、約50μL、約60μL、約70μL、約80μL、約90μL、約100μL、約110μL、約120μL、約130μL、約140μL、約150μL、約160μL、約170μL、約180μL、約190μL、約200μL、約210μL、約220μL、約230μL、約240μL、または約250μLのいずれか)の体積を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤中のrAAV粒子の濃度は、上記個体の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子の体積が約25μL~約250μLの間となるように調整される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は約100μLの体積を含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は約30μLの体積を含む。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、ステロイド治療との併用で投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はコルチコステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は全身性のステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は経口ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はプレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は眼科用ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイド治療は、局所ステロイド治療(例えば、点眼薬)、眼周囲のステロイド治療(例えば、テノン嚢下、結膜下)、硝子体内ステロイド治療、または脈絡膜上ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイド治療は、ジフルプレドナート治療、メドリゾン治療、ロテプレドノール治療、プレドニゾロン治療、フルオシノロン治療、トリアムシノロン治療、リメキソロン治療、デキサメタゾン治療、フルオロメトロン治療、フルオシノロン治療、リメキソロン治療、またはプレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイド治療はジフルプレドナート治療である。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前、投与の間、及び/または投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の間に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前及び投与の間に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前及び投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の間及び投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前、投与の間、及び投与の後に施される。
【0079】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療眼科用ステロイド治療薬(例えば、ジフルプレドナート)である。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイド治療(例えば、ジフルプレドナート)は、上記単位用量のrAAV粒子の投与から最大で約4週間、約6週間、または約8週間の間、毎日のステロイド治療である。いくつかの実施形態において、眼科用ステロイド治療は、概ね1週目に約4回の眼科用ステロイドの投与、概ね2週目に概ね3は回の眼科用ステロイドの投与、概ね3週目に概ね2回の眼科用ステロイドの投与、及び概ね4週目に概ね1回の眼科用ステロイドの投与を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与時に開始され、その後継続される。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドは約0.005%~約0.5%のジフルプレドナートである。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドは、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.4%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%のジフルプレドナートのいずれかである。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドはジフルプレドナート0.05%である。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナート0.05%の用量は眼科用溶液1滴である。いくつかの実施形態において、1滴は約50μl(例えば、約25μl~約50μl、約50μl~約100μl)である。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナートの用量は、約1μg~約5μg、または約2μg~約3μg、または約2.5μgのジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナートの用量は、約2.5μgのジフルプレドナートを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は眼科用ステロイド治療(例えば、ジフルプレドナート)である。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイド治療(例えば、ジフルプレドナート)は、上記単位用量のrAAV粒子の投与から最大で約4週間、約6週間、または約8週間の間毎日の局所ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、局所ステロイド治療は、概ね1週目に約4回の局所ステロイドの投与、概ね2週目に約3回の局所ステロイドの投与、概ね3週目に約2回の局所ステロイドの投与、及び概ね4週目に約1回の局所ステロイドの投与を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与時に開始され、その後継続される。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与後の約3週間の間の、1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約1週間の間の、1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約1週間の間の、1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約1週間の間の、1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは、約1μg~約3μg用量のジフルプレドナート0.05%を含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは、約2.5μg用量のジフルプレドナート0.05%を含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは約0.005%~約0.5%のジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%のジフルプレドナートのいずれかである。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドは、ジフルプレドナート0.05%である。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナート0.05%の用量は眼科用溶液1滴である。いくつかの実施形態において、1滴は約50μl(例えば、約25μl~約50μl、約50μl~約100μl)である。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナートの用量は、約1μg~約5μg、または約2μg~約3μg、または約2.5μgのジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナートの用量は約2.5μgのジフルプレドナートを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の黄斑体積と比較して、黄斑体積が維持されるかまたは減少する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の黄斑体積と比較して、黄斑体積が減少する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の黄斑体積と比較して、黄斑体積が、約5%を超えて、約10%を超えて、約15%を超えて、約20%を超えて、約25%を超えて、約30%を超えて、約35%を超えて、約40%を超えて、約45%を超えて、または約50%を超えてのいずれかで減少する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の黄斑体積と比較して、黄斑体積が少なくとも約10%減少する。いくつかの実施形態において、上記黄斑体積はOCTまたはSD-OCTによって測定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の黄斑体積と比較して、黄斑体積は少なくとも約10%減少する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の黄斑体積と比較して、黄斑体積は約15%以上減少する。いくつかの実施形態において、上記黄斑体積はOCTまたはSD-OCTによって測定される。
【0082】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与前の黄斑体積と比較した黄斑体積は、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与の約30週間以上後の時点で、維持されているかまたは減少している。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与前の黄斑体積と比較した黄斑体積は、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与の、約30週間、約34週間、約44週間、約6ヶ月、約1年、約1.5年、約2年、約3年、約5年、約10年、またはそれを超える期間の後のいずれかの時点で、維持されているかまたは減少している。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の視力と比較して、視力が維持されるかまたは改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の視力と比較して、視力が改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の視力と比較して、視力が、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれを超える幅のいずれかで改善される。いくつかの実施形態において、視力は最高矯正視力(BCVA)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが改善される。いくつかの実施形態におい、BCVAはETDRSスコアとして表され、ETDRSスコアは正確に読まれた文字数に対応する(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが少なくとも15 ETDRS文字(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134 (9): 1041: 1047)(例えば、少なくとも約15文字、少なくとも約20文字、少なくとも約30文字、少なくとも約40文字、少なくとも約50文字、少なくとも約60文字、または約70文字)改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約1~約15 ETDRS文字(例えば、約1文字、約2文字、約3文字、約4文字、約5文字、約6文字、約7文字、約8文字、約9文字、約10文字、約11文字、約12文字、約13文字、約14文字、または約15文字のいずれか)改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約5 ETDRS文字改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約1、約2、約3、約4、約5、約6、または約7 ETDRS文字のいずれかで改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約3 ETDRS文字以上改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約4 ETDRS文字以上改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約5.1 ETDRS文字以上改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約6.4 ETDRS文字以上改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約6.8 ETDRS文字改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約8.8 ETDRS文字改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約2.3 ETDRS文字改善される。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は15文字未満(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134 (9): 1041: 1047)(例えば、15文字以下、14文字以下、13文字以下、12文字以下、11文字以下、10文字以下、9文字以下、8文字以下、7文字以下、6文字以下、5文字以下、4文字以下、3文字以下、2文字以下、1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約2文字である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約1文字、約2文字、約3文字、約4文字、約5文字、約6文字、約7文字、約8文字、または約9文字のいずれかである。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は0文字である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記一方の眼及び/または上記対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約1文字である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記一方の眼及び/または上記対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約2.7文字である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約2.8文字である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約2文字以下である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約3.2文字以下である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約15~約0文字(例えば、約15文字、約14文字、約13文字、約12文字、約11文字、約10文字、約9文字、約8文字、約7文字、約6文字、約5文字、約4文字、約3文字、約2文字、約1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約10~約0文字(例えば、約10文字、約9文字、約8文字、約7文字、約6文字、約5文字、約4文字、約3文字、約2文字、約1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約5~約0文字(例えば、約5文字、約4文字、約3文字、約2文字、約1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約4~約0文字(例えば、約4文字、約3文字、約2文字、約1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約3~約0文字(例えば、約3文字、約2文字、約1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約2~約0文字(例えば、約2文字、約1文字、または0文字のいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが維持され、上記個体のETDRS文字数の低下は約1~約0文字である。
【0086】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-20~+7以上(例えば、-20、-19、-18、-17、-16、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAが約16、7、または5 ETDRS文字のいずれかで増加する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAの低下は約19、14、7、6、5、4、3、2、または1 ETDRS文字のいずれかである。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAの低下は約4.8または約0.8 ETDRS文字である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAの低下は約2 ETDRS文字以下である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAの低下は約3.2 ETDRS文字以下である。
【0087】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-15~+7以上(例えば、-15、-14、-13、-12、-11、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-10~+7以上(例えば、-10、-9、-8、-7、-6、-5、-4、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-5~+7以上(例えば、-5、-4、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-4~+7以上(例えば、-4、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-3~+7以上(例えば、-3、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-2~+7以上(例えば、-2、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約-1~+7以上(例えば、-1、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約0~+7以上(例えば、0、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約+1~+7以上(例えば、+1、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約+2~+7以上(例えば、+2、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約+3~+7以上(例えば、+3、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約+4~+7以上(例えば、+4、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約+5~+7以上(例えば、+5、+6、+7、+8、+9、+10、+11、+12、+13、+14、+15、+16、+17、+18、+19、+20、またはそれを超える幅のいずれか)のETDRS文字の変化が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前のBCVAと比較して、BCVAに約+6または約+7 ETDRS文字の変化が生じる。
【0088】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、一過性の炎症(例えば、房水細胞及び/または硝子体細胞によって駆動される炎症、房水フレア、虹彩後癒着、低瞳孔散大)が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、炎症(例えば、房水細胞及び/または硝子体細胞によって駆動される炎症、房水フレア、虹彩後癒着、低瞳孔散大)が生じ、該炎症は経口及び/もしくは局所ステロイド治療薬ならびに/または散瞳薬の投与後に改善される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、炎症(例えば、房水細胞及び/または硝子体細胞によって駆動される炎症)が生じ、該炎症は経口及び/または局所ステロイド治療薬の投与後に消散する。炎症(例えば、房水細胞及び/または硝子体細胞によって駆動される炎症、房水フレア、虹彩後癒着、低瞳孔散大)は、細隙灯検査などの当技術分野で公知の任意の方法を使用して測定することができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の視力と比較した視力(例えば、BCVA)は、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与の、約1日、約1週間、約2週間、約4週間、約8週間、約12週間、約16週間、約20週間、約24週間、約28週間、約32週間、約36週間、約40週間、約44週間、約48週間、約52週間、約56週間、約60週間、約64週間、約68週間、約72週間、約76週間、約80週間、約84週間、約88週間、約92週間、約96週間、約100週間、約104週間、約108週間、またはそれを超える期間の後のいずれかの時点で、維持されているかまたは改善されている。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の視力と比較した視力(例えば、BCVA)は、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与の約30週間以上後の時点で、維持されているかまたは改善されている。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の視力と比較した視力(例えば、BCVA)は、上記単位用量のrAAV粒子の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与の約30週間、約34週間、約44週間、約6ヶ月、約1年、約1.5年、約2年、約3年、約5年、約10年、またはそれを超える期間の後のいずれかの時点で、維持されているかまたは改善されている。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、一方の眼及び/または対側の眼における最高矯正視力(BCVA)に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、BCVAはETDRSスコアとして表され、ETDRSスコアは正確に読んだ文字数に対応する(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)。いくつかの実施形態において、個体の、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前と比較したETDRSスコアの低下が15文字未満(例えば、15文字以下、14文字以下、13文字以下、12文字以下、11文字以下、10文字以下、9文字以下、8文字以下、7文字以下、6文字以下、5文字以下、4文字以下、3文字以下、2文字以下、1文字、または0文字のいずれか)の場合、上記個体は視覚及び/または視力が維持されていると判定される。いくつかの実施形態において、個体のETDRSスコアが、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、少なくとも15文字(例えば、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、または約70文字のいずれか)増加する場合、上記個体は視覚及び/または視力が改善されていると判定される。
【0091】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、一方の眼及び/または対側の眼における黄斑体積に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、黄斑体積はSD-OCTによって測定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、SD-OCTによって評価された黄斑体積が減少する場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、SD-OCTによって評価された黄斑体積が維持される場合には上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。
【0092】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、一方の眼及び/または対側の眼における虹彩ルベオーシスに基づいて評価される。いくつかの実施形態において、虹彩ルベオーシスの減少は蛍光眼底造影検査(FA)によって測定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、虹彩ルベオーシス(例えば、FAによって評価された)が減少する場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、虹彩ルベオーシス(例えば、FAによって評価された)が維持される場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。
【0093】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、一方の眼及び/または対側の眼における眼圧(IOP)の低下に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、IOPの低下はゴルドマン眼圧測定検査によって測定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、IOP(例えば、ゴルドマン眼圧測定検査によって測定された)が低下する場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の上一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、IOP(例えば、ゴルドマン眼圧測定検査によって測定された)が維持される場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。
【0094】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、一方の眼及び/または対側の眼における前房隅角または前房深度の増加に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、上記前房隅角または前房深度の増加は、隅角鏡検査、超音波生体顕微鏡検査(UBM)、または前眼部光干渉断層撮影法(OCT)によって測定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、上記前房隅角または前房深度(例えば、隅角鏡検査、UBM、またはOCTによって測定された)が増加する場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、上記前房隅角または前房深度(例えば、隅角鏡検査、UBM、またはOCTによって測定された)が維持される場合には、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の上記個体が必要とする救助治療薬による治療(rescue therapy treatments)(例えば、アフリベルセプト注射)の回数に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、個体が必要とする救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)が、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、またはそれを超える期間のいずれか毎に1回未満である場合に、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。
【0096】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、個体が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも15週間、少なくとも20週間、少なくとも30週間、少なくとも40週間、少なくとも50週間、少なくとも60週間、少なくとも70週間、少なくとも80週間、少なくとも90週間、少なくとも100週間、少なくとも110週間、またはそれをこえる期間のいずれかの間、如何なる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない場合に、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療(治療の進捗など)がなされたと判定される。
【0097】
いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約24ヶ月、少なくとも約23ヶ月、少なくとも約22ヶ月、少なくとも約21ヶ月、少なくとも約20ヶ月、少なくとも約19ヶ月、少なくとも約18ヶ月、少なくとも約17ヶ月、少なくとも約16ヶ月、少なくとも約15ヶ月、少なくとも約14ヶ月、少なくとも約13ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約3週間、少なくとも約2週間、または少なくとも約1週間のいずれかの間、如何なる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約12ヶ月の間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約10ヶ月の間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約7ヶ月の間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約6ヶ月の間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約2ヶ月の間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。いくつかの実施形態において、上記個体は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の少なくとも約1ヶ月の間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない。
【0098】
いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約50%(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のいずれか)が、抗VEGF救助治療(rescue treatment)(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約67%(例えば、少なくとも約67%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のいずれか)が、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約50%が、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約78%が、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約80%が、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約82%が、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の100%が、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。
【0099】
いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約50%(例えば、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のいずれか)が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約68週間、少なくとも約72週間、少なくとも約76週間、少なくとも約80週間、少なくとも約84週間、少なくとも約88週間、少なくとも約92週間、少なくとも約96週間、少なくとも約100週間、少なくとも約104週間、少なくとも約108週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約50%が、上記rAAV粒子の投与の後の約52週間以上、または約56週間以上の間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約67%(例えば、少なくとも約67%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のいずれか)が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約78%が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約68週間、少なくとも約72週間、少なくとも約76週間、少なくとも約80週間、少なくとも約84週間、少なくとも約88週間、少なくとも約92週間、少なくとも約96週間、少なくとも約100週間、少なくとも約104週間、少なくとも約108週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約78%が、上記rAAV粒子の投与の後の約20週間以上、または約36週間以上の間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の上記一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約80%が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の少なくとも約82%が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の100%が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の100%が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約68週間、少なくとも約72週間、少なくとも約76週間、少なくとも約80週間、少なくとも約84週間、少なくとも約88週間、少なくとも約92週間、少なくとも約96週間、少なくとも約100週間、少なくとも約104週間、少なくとも約108週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記複数の個体の100%が、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約64週間以上、72週間以上、または84週間以上のいずれかの間、抗VEGF救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要としない。
【0100】
いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は、約78%以下(例えば、約78%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2.5%以下、約1%以下、または約0.5%以下のいずれか)である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は、約50%以下(例えば、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2.5%以下、約1%以下、または約0.5%以下のいずれか)である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の上一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は、約30%未満(例えば、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、または約0.5%未満のいずれか)である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は約30%未満である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記一方の眼及び/または上記対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は約20%未満である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は0%である。
【0101】
いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約68週間、少なくとも約72週間、少なくとも約76週間、少なくとも約80週間、少なくとも約84週間、少なくとも約88週間、少なくとも約92週間、少なくとも約96週間、少なくとも約100週間、少なくとも約104週間、少なくとも約108週間、またはそれを超える期間のいずれかの間に、何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は、約78%以下(例えば、約78%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約2.5%以下、約1%以下、または約0.5%以下のいずれか)である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間に、何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は、約30%未満(例えば、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2.5%未満、約1%未満、または約0.5%未満のいずれか)である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の上一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は約30%未満である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の上一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は約20%未満である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の上一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約66週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は0%である。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、例えば、上記rAAV粒子の投与の後の少なくとも約4週間、少なくとも約8週間、少なくとも約12週間、少なくとも約16週間、少なくとも約20週間、少なくとも約24週間、少なくとも約28週間、少なくとも約32週間、少なくとも約36週間、少なくとも約40週間、少なくとも約44週間、少なくとも約48週間、少なくとも約52週間、少なくとも約56週間、少なくとも約60週間、少なくとも約64週間、少なくとも約68週間、少なくとも約72週間、少なくとも約76週間、少なくとも約80週間、少なくとも約84週間、少なくとも約88週間、少なくとも約92週間、少なくとも約96週間、少なくとも約100週間、少なくとも約104週間、少なくとも約108週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、一方の眼及び/または対側の眼において何らかの救助治療(例えば、アフリベルセプト注射)を必要とする上記複数の個体のうちの割合は0%である。
【0102】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、平均年間抗VEGF注射率に、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の平均年間抗VEGF注射率と比較して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約87%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または100%のいずれかの低下が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、平均年間抗VEGF注射率に、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の平均年間抗VEGF注射率と比較して、約87%以上の低下が生じる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を、複数の個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することによって、平均年間抗VEGF注射率に、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の平均年間抗VEGF注射率と比較して、100%の低下が生じる。
【0103】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前の平均年間抗VEGF注射率は以下の式:
上記単位用量のrAAV粒子の投与前の年間の率=(上記単位用量のrAAV粒子の投与前12ヶ月における抗VEGF注射の回数)/(上記単位用量のrAAV粒子の投与前12ヶ月の間の最初の抗VEGF注射から上記単位用量のrAAV粒子の投与までの日数/365.25)
に従って算出する。
【0104】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の投与後の平均年間抗VEGF注射率を以下の式:
上記単位用量のrAAV粒子の投与後の年間の率=(上記単位用量のrAAV粒子を投与してからの抗VEGF注射の回数)/(上記単位用量のrAAV粒子を投与してからの日数/365.25)
に従って算出する。
【0105】
いくつかの実施形態において、個体が、rAAV粒子の投与を受ける一方の眼及び/または対側の眼に関して、rAAV粒子の投与前のrAAV粒子の投与を受ける一方の眼及び/または対側の眼に関するBCVAと比較して、BCVAの10文字またはそれよりも多くの減少(例えば、ETDRSプロトコールを使用)を示す場合、その個体はrAAV粒子の投与後の救助治療(例えば、アフリベルセプト注射などの抗VEGFガラス体内注射)が必要であると判定される。いくつかの実施形態において、個体がrAAV粒子の投与を受ける一方の眼及び/または対側の眼においてAMDに起因する視覚を脅かす出血を示す場合、その個体は救助治療(例えば、アフリベルセプト注射などの抗VEGF硝子体内注射)が必要であると判定される。
【0106】
いくつかの実施形態において、救助治療は、標準治療である抗VEGF治療を施すことを含む。かかる標準治療である抗VEGF治療は、1回以上の抗VEGF治療(例えば、抗VEGF硝子体内注射)を含む。いくつかの実施形態において、救助治療は、1回以上のアフリベルセプトのIVT注射を含む。いくつかの実施形態において、救助治療は、1回以上の、アフリベルセプト約2mgを含むアフリベルセプトのIVT注射を含む。
【0107】
いくつかの実施形態において、眼疾患の治療(治療の進捗など)が、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与前の色素上皮剥離(PED)と比較したPEDの消散に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前のPEDと比較して、単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与の後にPEDの消散が観察される場合、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与の後の個体において、眼疾患の治療がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記眼疾患は緑内障(例えば、血管新生緑内障)である。
【0108】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、フルオレセイン血管造影によって判定される脈絡膜血管新生(CNV)病変の成長に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与の前に存在するCNV病変と比較して、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与の後に、CNV病変が収縮する(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または100%のいずれかよりも大きく)場合には、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与後の個体において、眼疾患の治療がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較して、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与後にCNV病変が成長しない(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、または約20%のいずれかよりも成長が小さい)場合、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与後の個体において、眼疾患の治療がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記眼疾患は緑内障(例えば、血管新生緑内障)である。
【0109】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、当技術分野で公知のいずれかの方法(例えば、SD-OCT、OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影等)に基づく、一方の眼及び/または対側の眼の解剖学的特徴に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与後に、一方の眼及び/または対側の眼の解剖学的特徴に改善が観測される場合には、単位用量のrAAVの一方の眼及び/または対側の眼への投与後の個体における眼疾患の治療がなされたと判定される。いくつかの実施形態において、上記眼疾患は緑内障(例えば、血管新生緑内障)である。
【0110】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与後の個体における眼疾患の治療(治療の進捗など)が、眼科検査、眼圧(例えば、ゴルドマン眼圧計、またはTono-penを使用)、倒像眼底検査、一方の眼及び/または対側の眼ならびに眼付属器の検査、眼瞼及び/または瞳孔の応答性、眼瞼下垂、異常な瞳孔形状、瞳孔不同、光に対する反応の異常、求心性瞳孔障害、細隙灯検査(眼瞼、結膜、角膜、水晶体、光彩、及び前房の検査を含む)、硝子体、視神経、周辺網膜、及び網膜の脈管構造の後側セグメントの異常、SD-OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影(網膜、視神経乳頭、及び/または黄斑の画像を含む)、房水採取、硝子体液採取、OCT-血管造影(OCT-A)、屈折及び/または視力(BCVA)に基づいて評価される。いくつかの実施形態において、上記眼疾患は緑内障(例えば、血管新生緑内障)である。
【0111】
単位用量のrAAVは、当技術分野で公知の任意の方法によって個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与することができる。例えば単位用量のrAAVは、個体の一方の眼及び/または対側の眼に、眼内とうよされるか、または硝子体内注射によって投与されてもよい。いくつかの実施形態において、単位用量のrAAVの個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与は、眼内投与である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与は、硝子体内注射(IVT)または網膜下注射による。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与はIVT注射による。いくつかの実施形態において、無菌技法を使用して、単位用量のrAAVを硝子体内注射によって投与する。いくつかの実施形態において、ポビドン-ヨウ素を用いた無菌技法を使用して、単位用量のrAAVを硝子体内注射によって投与する。
【0112】
いくつかの実施形態において、上記個体は眼疾患に対する以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼への、眼疾患に対する以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼への、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、以前のアフリベルセプト治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼への以前のアフリベルセプト治療を受けていない。
【0113】
ステロイド治療
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、ステロイド治療との併用で投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、コルチコステロイド治療である。例示的なコルチコステロイドとしては、アクロメタゾン、アムシノニド、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチバゾール、デフラザコルト、デオキシコルチコステロン、デソニド、デソキシメタゾン、デキサメタゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、フルクロロロン、フルドロコルチゾン、フルドロキシコルチド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチン、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルチカゾン、fuprednidene、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロメタゾン、ヒドロコルチゾンアセポン酸エステル、ヒドロコルチゾンブテプレート、ヒドロコルチゾン酪酸エステル、ロテプレドノール、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンアセポン酸エステル、モメタゾンフランカルボン酸エステル、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾン、プレドニゾロン、プレドニリデン、レメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、及びウロベタゾールが挙げられるが、限定はされない。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は全身性のステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は経口ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は眼科用ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイド治療は、局所ステロイド治療(例えば、点眼液)、眼周囲のステロイド治療(例えば、テノン嚢下、結膜下)、硝子体内ステロイド治療、または脈絡膜上ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、ジフルプレドナート治療、メドリゾン治療、ロテプレドノール治療、プレドニゾロン治療、フルオシノロン治療、トリアムシノロン治療、リメキソロン治療、デキサメタゾン治療、フルオロメトロン治療、フルオシノロン治療、リメキソロン治療、またはプレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドによる治療はジフルプレドナート治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はプレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療はジフルプレドナート治療である。
【0114】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は全身性ステロイド治療及び局所ステロイド治療を含む。いくつかの実施形態において、上記全身性ステロイド治療は、経口ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記全身性ステロイド治療はプレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイド治療はジフルプレドナート治療である。いくつかの実施形態において、上記全身性ステロイド治療及び局所ステロイド治療は同時に(例えば、同一の日に)施される。いくつかの実施形態において、上記全身性ステロイド治療及び局所ステロイド治療は別個に(例えば、異なる日に)施される。
【0115】
いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与前、投与の間、及び/または投与後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与前、投与の間、及び投与後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与の間、及び投与後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与の間に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与の前及び投与の間に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与の間及び投与後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与前及び/または投与後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイドは、単位用量のrAAV粒子の投与前及び投与後に投与される。
【0116】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は全身性ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記全身性ステロイド治療は経口ステロイド治療である。
【0117】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は経口プレドニゾン治療である。いくつかの実施形態において、上記経口プレドニゾン治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前に開始される。いくつかの実施形態において、初回の経口プレドニゾン治療は、1日当たり約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、または約70mgのプレドニゾンのいずれかの用量で、単位用量のrAAV粒子の投与の約7日前、約6日前、約5日前、約4日前、約3日前、約2日前、約1日前、または0日前のいずれかに投与され、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、約7日間、約8日間、約9日間、または約10日間、またはそれを超える期間のいずれかの間継続される。いくつかの実施形態において、初回の経口プレドニゾン治療は、1日当たり約60mgのプレドニゾンの用量で、rAAVの単位用量の投与の約3日前に投与され、約3日間継続される。
【0118】
いくつかの実施形態において、上記初回の経口プレドニゾン治療薬に続いて、経口プレドニゾン治療薬の用量を漸減させる。いくつかの実施形態において、上記経口プレドニゾン治療薬の用量の漸減は、1日当たり約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、または約50mgのプレドニゾンのいずれかの用量で、全体で約1日間、約2日間、約3日間、約4日間、約5日間、約6日間、または約7日間のいずれか、その後1日当たり約10mg、約15mg、約20mg、または約25mgのプレドニゾンの用量で、約1日間、約2日間、約3日間、または約4日間のいずれか、その後1日当たり約5mg、約10mg、または約15mgのプレドニゾンの用量で、約1日間、約2日間、約3日間、または約4日間施される。いくつかの実施形態において、上記プレドニゾンの用量の漸減は、1日当たり約40mgのプレドニゾンの用量で3日間、その後1日当たり約20mgのプレドニゾンの用量で2日間、その後1日当たり約10mgのプレドニゾンの用量で2日間施される。
【0119】
いくつかの実施形態において、初回の経口プレドニゾン治療薬は、単位用量のrAAV粒子の投与の3日前に、1日当たり60mgのプレドニゾンの用量で、全体で6日間から開始され、その後1日当たり40mgのプレドニゾンの用量で、全体で3日間、その後1日当たり20mgのプレドニゾンの用量で2日間、その後1日当たり10mgのプレドニゾンの用量で2日間投与される。
【0120】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、眼科用ステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイド治療はジフルプレドナート治療である。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前、投与の間、及び/または投与の後に投与される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与前に施される。いくつかの実施形態において、ス上記テロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の間に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与前及び投与の間に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前及び投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の間及び投与の後に施される。いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の前、投与の間、及び投与の後に施される。
【0121】
いくつかの実施形態において、上記ステロイド治療は、眼科用ステロイド治療、例えば局所ステロイド治療ある。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイド治療薬、例えば局所ステロイド治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の後の最大4週間、最大6週間、最大8週間、最大3ヶ月、最大4ヶ月、最大5ヶ月、または最大6ヶ月の間の毎日のステロイド治療である。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、概ね1週目に約4回の局所ステロイドの投与、概ね2週目に約3回の局所ステロイドの投与、概ね3週目に約2回の局所ステロイドの投与、及び概ね4週目に約1回の局所ステロイドの投与を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与時に開始し、その後継続する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の後の約3週間における局所ステロイドの1日当たり約4回の投与(すなわち、QID)、その後の約1週間における局所ステロイドの1日当たり約3回の投与(すなわち、TID)、その後の約1週間における局所ステロイドの1日当たり約2回の投与(すなわち、BID)、及びその後の約1週間約1週間における局所ステロイドの1日当たり約1回の投与(すなわち、QD)を含む。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドによる治療は治療にあたる医師の自由裁量で延長される。
【0122】
いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドは、約0.005%~約0.5%のジフルプレドナートである。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドは、約0.005%、約0.006%、約0.007%、約0.008%、約0.009%、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.4%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、または約0.1%のジフルプレドナートのいずれかである。いくつかの実施形態において、上記眼科用ステロイドは、ジフルプレドナート0.05%である。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナート0.05%の用量は眼科用溶液1滴である。いくつかの実施形態において、1滴は約50μl(例えば、約25μl~約50μl、または約50μl~約100μl)である。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナートの用量は、約1μg~約5μg、または約2μg~約3μg、または約2.5μgのジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、ジフルプレドナートの用量は約2.5μgのジフルプレドナートを含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、7週間の局所ステロイドによる治療、例えば、0.05%のジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約4週間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約1週間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約1週間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約1週間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与の約1週間前から開始する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約28日間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約7日間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約7日間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約7日間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与の約7日前に開始する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、1日目~概ね28日目の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の概ね29日目~概ね35日目の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の概ね36日目~概ね42日目の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の概ね43日目~概ね49日目の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは1日目に開始する。いくつかの実施形態において、炎症が存在している場合には局所ステロイドによる治療が継続される。
【0124】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される治療方法は、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼に投与する前に、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトのIVT注射)を個体の上記一方の眼に投与することを含む。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は上記単位用量のrAAV粒子の投与の約7日または約1週間前に投与される。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は概ね1日目に投与され、上記単位用量のrAAV粒子は概ね8日目に投与される。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、7週間の局所ステロイドによる治療、例えば、0.05%のジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約4週間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約1週間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約1週間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約1週間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは抗VEGF剤の投与時に開始し、その継続する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約28日間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約7日間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約7日間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約7日間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、、タイミングは抗VEGF剤の投与時に開始し、その継続する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、1日目~約28日目の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の概ね29日目~概ね35日目の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の概ね36日目~概ね42日目の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の概ね43日目~概ね49日目の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは1日目に開始する。いくつかの実施形態において、炎症が存在している場合には局所ステロイド治療が継続される。
【0125】
いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、4ヶ月間の局所ステロイドによる治療、例えば、0.05%のジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約1ヶ月間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約1ヶ月間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約1ヶ月間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約1ヶ月間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与の約1週間前に開始する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約30日間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約30日間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約30日間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約30日間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは上記単位用量のrAAV粒子の投与の約7日前に開始する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、1日目~約30日目の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の概ね31日目~概ね60日目の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の概ね61日目~概ね90日目の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の概ね91日目~概ね120日目の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは1日目に開始する。いくつかの実施形態において、炎症が存在している場合には局所ステロイドによる治療が継続される。
【0126】
いくつかの実施形態において、本明細書で提供される治療方法は、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の一方の眼に投与する前に、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトのIVT注射)を上記個体の上記一方の眼に投与することを含む。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は、上記単位用量のrAAV粒子の投与の約7日前または約1週間前に投与される。いくつかの実施形態において、上記抗VEGF剤は概ね1日目に投与され、上記単位用量のrAAV粒子が約8日目に投与される。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、4ヶ月間の局所ステロイドによる治療、例えば、0.05%のジフルプレドナートを含む。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約1ヶ月間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約1ヶ月間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約1ヶ月間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約1ヶ月間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは上記抗VEGF剤の投与時に開始し、その後継続する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、約30日間の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の約30日間の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の約30日間の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の約30日間の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは上記抗VEGF剤の投与時に開始し、その後継続する。いくつかの実施形態において、上記局所ステロイドによる治療は、1日目~概ね30日目の1日当たり約4回の局所ステロイドの投与(すなわち、QID)、その後の概ね31日目~概ね60日目の1日当たり約3回の局所ステロイドの投与(すなわち、TID)、その後の概ね61日目~概ね90日目の1日当たり約2回の局所ステロイドの投与(すなわち、BID)、及びその後の概ね91日目~概ね120日目の1日当たり約1回の局所ステロイドの投与(すなわち、QD)を含み、タイミングは1日目に開始する。いくつかの実施形態において、炎症が存在している場合には、局所ステロイドによる治療が継続される。
【0127】
標的細胞に導入遺伝子を送達するためのベクター
いくつかの実施形態において、上記組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子は、対象(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長動物)において複製欠損となるように改変されているアデノ随伴ウイルス(AAV)に由来する組換えウイルスベクターを含む。いくつかの実施形態において、上記アデノ随伴ウイルス(AAV)は組換えAAV(rAAV)である。
【0128】
AAVまたはrAAVは、小さい無エンベロープの一本鎖DNAウイルスである。rAAVは、非病原性ヒトパルボウイルスであり、複製に関して、アデノウイルス、単純ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、及びCMVを含むヘルパーウイルスに依存するように作製されていてもよい。
【0129】
野生型(wt)AAVへの曝露は、いかなるヒト病態の原因となることにも関連せず、または原因となることが知られておらず、一般集団において一般的であることから、AAVまたはrAAVは、遺伝子治療のための好適な送達系となる。抗VEGF剤、例えばアフリベルセプトを送達するための、遺伝子治療のために使用されるAAV及びrAAVは、任意の血清型であってよい。いくつかの実施形態において、本開示の方法では、AAV1、AAV2、AAV2.5、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、rh10、AAV-DJ、及びそれらの任意のハイブリッドまたはキメラAAVを含む、任意且つ好適なAAV血清型を使用することができる。いくつかの実施形態において、使用される血清型は、ウイルスの指向性または目的の標的細胞の感染力に基づく。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤導入遺伝子(例えば、アフリベルセプト導入遺伝子)と共に使用するのに最適な血清型の選択を可能にするために、いくつかのAAVベクターを生成させてもよい。
【0130】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、シュードタイプAAVの使用を提供する。シュードタイプAAV粒子は、別のAAV血清型のAAVカプシドによってカプシド化された1種のAAV血清型のAAVゲノム逆位末端反復配列(ITR)を含む。一般的には、シュードタイプAAVは、「AAV#/#」と命名され、最初の「#」はAAV ITR血清型を示し、2番目の「#」はカプシドの血清型を示す。例えば、AAV2 ITR及びAAV1カプシドを含むAAV粒子は、「AAV2/1」と命名される。
【0131】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、核酸、例えば異種核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記核酸は、導入遺伝子、例えば抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする。いくつかの実施形態において、上記コードされる導入遺伝子、例えば抗VEGF剤は、核酸の転写を開始するプロモーターの転写制御下にある。いくつかの実施形態において、上記プロモーターは「遍在する」プロモーターである。いくつかの実施形態において、上記プロモーターは、「強力な」または構成的に活性なプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、伸長因子1アルファ(EFla)プロモーター、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)プロモーター、またはコネキシン36(もしくは「Cx36」)プロモーターである。いくつかの実施形態において、上記プロモーターは、非標的化細胞への潜在的毒性または望ましくない作用を低減するために、特定の組織または細胞、例えば網膜細胞において活性化される組織特異的プロモーターである。一部の態様において、上記抗VEGF剤導入遺伝子(例えば、アフリベルセプト導入遺伝子)と共に使用するために最適な血清型及びプロモーターの選択を可能にするために、いくつかのAAVベクターが生成されてもよい。いくつかの実施形態において、上記核酸はAAV逆位末端反復配列(ITR)に挟まれている。いくつかの実施形態において、上記核酸はAAV2 ITRに挟まれている。
【0132】
いくつかの実施形態において、上記AAVベクターは、標的細胞(例えば、網膜細胞)における導入遺伝子(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を増強するためにポリヌクレオチドカセットを含む。いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドカセットは、5’から3’の順に、(a)CMV配列を含む第1のエンハンサー領域(配列番号22)と、(b)CMV配列を含むプロモーター領域(配列番号23)と、(c)5’から3’の順にTPL及びeMLP配列(それぞれ、配列番号24及び配列番号25)を含む5’UTR領域と、(d)ペプチドまたはポリペプチド(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)をコードするコード配列と、(e)全長のEES配列(配列番号26)を含む第2のエンハンサー領域と、(f)HGHポリアデニル化部位(配列番号27)とを含む。ある特定のこれらの実施形態において、上記ポリヌクレオチドカセットは、配列番号28~32から選択される1つ以上の配列、またはそれらと少なくとも85%の同一性を有する配列を含む。ある特定のこれらの実施形態において、上記ポリヌクレオチドカセットの5’アームは、配列番号33またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。ある特定のこれらの実施形態において、上記ポリヌクレオチドカセットの3’アームは、配列番号34またはそれと少なくとも85%の同一性を有する配列を含むか、またはそれからなる。配列番号22~34の核酸配列を以下に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0133】
いくつかの実施形態において、上記ポリヌクレオチドカセットは、配列番号39または上記配列と少なくとも85%の同一性を有する配列を含むか、または該配列からなる。
【表4】
【0134】
配列番号39は、5’から3’の方向に、配列番号39のヌクレオチド1~145を含むAAV血清型2の逆位末端反復配列(ITR)と;配列番号39のヌクレオチド180~693を含むCMVプロモーター;アデノウイルスの三部分からなるリーダー配列および合成イントロンを含み、配列番号39のヌクレオチド694~1314を含む5’非翻訳領域(UTR)と;配列番号39のヌクレオチド1329~1340を含むコザック配列と;配列番号39のヌクレオチド1338~2714を含むコドン最適化されたアフリベルセプトcDNA配列;ヒト足場付着領域を含み、配列番号39のヌクレオチド2717~3527を含む3’UTRと;配列番号39のヌクレオチド3546~3748を含むヒト成長ホルモンポリアデニル化/転写終結シグナルと;配列番号39のヌクレオチド3772~3916を含むAAV血清型2の逆位末端反復配列(ITR)とを含む。
【0135】
標的細胞(例えば、網膜細胞)における導入遺伝子(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤をコードする導入遺伝子)の発現を増強するための追加のポリヌクレオチドカセットがWO2018/170473に開示されており、標的細胞における導入遺伝子の発現を増強させるためのポリヌクレオチドカセットに関連する上記特許文献の内容は、本明細書に援用される。
【0136】
いくつかの態様において、本発明は、個体における緑内障の治療方法であって、単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を上記個体の一方の眼に投与することを含み、上記個体がヒトであり、上記rAAV粒子が、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む、上記方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、個体における眼圧の低減方法であって、単位用量の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)粒子を上記個体の一方の眼に投与することを含み、上記個体がヒトであり、上記rAAV粒子が、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む、上記方法を提供する。いくつかの実施形態において、本開示の方法は、AAV1、AAV2、AAV2.5、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、rh10、AAV-DJ、及びそれらの任意のハイブリッドまたはキメラAAVを含む、任意且つ適宜のAAV血清型の使用を提供する。
【0137】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、標的細胞、例えば網膜細胞の感染力の増加を有するバリアントカプシドタンパク質を含み、網膜細胞への形質導入を増加させるために、または個体における網膜細胞への遺伝子送達の標的化を増加させるために使用される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、AAVカプシドタンパク質のカプシドタンパク質GHループ/ループIVにアミノ酸修飾を含む。いくつかの実施形態において、改変部位は、AAVカプシドタンパク質のGHループ/ループIVの溶媒アクセス可能部分である。AAVカプシドのGHループ/ループIVの説明に関しては、例えばvan Vliet et al. (2006) Mol. Ther. 14:809;Padron et al. (2005) J. Virol. 79:5047;及びShen et al. (2007) Mol. Ther. 15:1955を参照されたい。7m8バリアントを含むいくつかのAAVカプシドバリアントが公知である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子は、対応する親のAAVカプシドタンパク質と比較してカプシドタンパク質のGHループに5アミノ酸~11アミノ酸、例えば7アミノ酸の配列の挿入を含むバリアントAAVカプシドタンパク質を含み、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子による網膜細胞の感染力と比較すると、上記バリアントカプシドタンパク質は、網膜細胞の感染力の増加を付与する。いくつかの実施形態において、以下のアミノ酸配列、すなわち、LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、及びLASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、及びSTGKVPN(配列番号21)のいずれか1つがカプシドタンパク質のGHループに挿入されてもよい。いくつかの実施形態において、配列番号1~12及び14~21で示すアミノ酸配列のいずれか1つが、rAAV中のVP1カプシドタンパク質の溶媒に露出したGHループに挿入される。例えばIVT注射後の網膜細胞への目的の核酸の形質導入を容易にするために、カプシドタンパク質のGHループに挿入することができるアミノ酸配列に関するさらなる詳細は、WO2012145601、US9587282、US10202657、及びUS10214785に記載されており、カプシドタンパク質のGHループに挿入することができるアミノ酸配列に関連する上記特許文献の内容は、本明細書に援用される。
【0138】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、以下の位置、すなわち、AAV2カプシドタンパク質の587位と588位の間;AAV1カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間;AAV5カプシドタンパク質のアミノ酸575と576の間;AAV6カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間;AAV7カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間;AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸590と591の間;AAV9カプシドタンパク質のアミノ酸588と589の間;またはAAV10カプシドタンパク質のアミノ酸589と590の間に挿入された以下のアミノ酸配列、すなわち、LALGETTRPA(配列番号1);LANETITRPA(配列番号2)、LAKAGQANNA(配列番号3)、LAKDPKTTNA(配列番号4)、KDTDTTR(配列番号5)、RAGGSVG(配列番号6)、AVDTTKF(配列番号7)、STGKVPN(配列番号8)、LAKDTDTTRA(配列番号9)、LARAGGSVGA(配列番号10)、LAAVDTTKFA(配列番号11)、及びLASTGKVPNA(配列番号12)、LGETTRP(配列番号14)、NETITRP(配列番号15)、KAGQANN(配列番号16)、KDPKTTN(配列番号17)、KDTDTTR(配列番号18)、RAGGSVG(配列番号19)、AVDTTKF(配列番号20)、及びSTGKVPN(配列番号21)のうちのいずれか1つを含むAAVカプシドタンパク質、例えばAAV2カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、AAV2カプシドタンパク質であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む上記AAV2カプシドタンパク質(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号13の配列を含むAAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2カプシドタンパク質を含む。
【0139】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、AAV2 VP1タンパク質のGHループ中、AAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRA(配列番号1)を含むAAV2由来の7m8バリアントカプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号38のアミノ酸配列または配列番号38と少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むGHループを含むAAV2 VP1カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号38と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%のいずれかの配列同一性を有するアミノ酸配列を含むGHループを含むAAV2 VP1カプシドタンパク質を含む。
【表5】
【0140】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、AAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2由来の7m8バリアントカプシドタンパク質を含む。AAV2 VP1の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含むAAV2由来の7m8バリアントカプシドタンパク質の配列を以下に示す。
【表6】
【0141】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP1であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記カプシドタンパク質VP1(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP2であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記カプシドタンパク質VP2(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP3であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記カプシドタンパク質VP3(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3であって、VP1、VP2、及びVP3のそれぞれが、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LGETTRP(配列番号14)を含む上記カプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。
【0142】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP1であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む上記カプシドタンパク質VP1(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP2であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む上記カプシドタンパク質VP2(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP3であって、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む上記カプシドタンパク質VP3(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、カプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3であって、VP1、VP2、及びVP3のそれぞれが、上記カプシドタンパク質の587位と588位の間に挿入されたアミノ酸配列LALGETTRPA(配列番号1)を含む上記カプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3(但し、上記アミノ酸残基のナンバリングはAAV2 VP1カプシドタンパク質に対応する)を含む。
【0143】
いくつかの実施形態において、rAAVウイルスを生成させるために使用される組換えウイルス及び/またはプラスミドは、ポリA(ポリアデニル化)配列、非翻訳領域(UTR)、3’UTR、または終止配列などの、他の転写または調節エレメントを含む。いくつかの実施形態において、配列内リボソーム進入部位(IRES)、または2種以上のタンパク質の同時発現を可能にするか、または多重遺伝子もしくは多シストロン性mRNAを生み出す類似のエレメントを使用して、2種以上の遺伝子が上記ベクターあるいはプラスミドから発現される。
【0144】
いくつかの実施形態において、rAAV及び/またはrAAVを生成するために使用されるプラスミドは、以下の核酸エレメント:第1のITR配列;プロモーター配列;イントロン配列;第1のUTR配列;抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする異種核酸;第2のUTR配列;ポリA配列;及び第2のITR配列のうちの1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態において、リンカー配列(複数可)が核酸エレメントの2つまたはそれより多くの間に挿入される。いくつかの実施形態において、治療ポリペプチドをコードする異種核酸は、例えば、アフリベルセプト(またはその機能性フラグメントもしくは機能性バリアント)をコードする。
【0145】
いくつかの実施形態において、上記ベクターは、標的化ベクター、特に、特定の細胞、例えば網膜細胞(例えば、視細胞、網膜神経節細胞、ミュラー細胞、双極細胞、アマクリン細胞、水平細胞、または網膜色素上皮細胞)のより高い感染力を示す標的化rAAV(例えば、AAV2.7m8)である。本開示において使用するためのウイルスベクターは、個体において低い毒性及び/または低い免疫原性を示し、且つ、個体、例えばヒトにおいて治療有効量の上記抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)を発現するベクターを含んでいてもよい。当技術分野で公知の任意且つ好適な方法を、例えば本明細書の他所で記載される医薬組成物を調製するための組換えウイルス(例えば、rAAV)の生化学的精製に使用することができる。組換えAAVウイルスは、細胞から直接または細胞を含む培養培地から採取することができる。ウイルスは、様々な生化学的手段、例えばゲルろ過、ろ過、クロマトグラフィー、アフィニティ精製、密度勾配超遠心、またはサイズ排除法を使用して精製することができる。いくつかの実施形態において、ウイルスは凍結乾燥される。
【0146】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、7m8バリアントカプシドタンパク質、例えばrAAV2.7m8、及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト、またはその機能性フラグメントもしく機能性バリアント)をコードする核酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子(例えば、7m8バリアント)は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%のいずれかの網膜細胞の感染力が増加する。いくつかの実施形態において、上記網膜細胞の感染力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、5%~100%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、または5%~10%のいずれかの増加である。
【0147】
いくつかの実施形態において、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8の網膜細胞に対する感染力の上記増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも1倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、または少なくとも2倍のいずれかである。いくつかの実施形態において、上記感染力の増加は、対応する親AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍のいずれかである。いくつかの実施形態において、上記感染力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍のいずれかである。
【0148】
いくつかの実施形態において、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8の網膜細胞に対する感染力の上記増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、10倍~100倍、10倍~95倍、10倍~90倍、10倍~85倍、10倍~80倍、10倍~75倍、10倍~70倍、10倍~65倍、10倍~60倍、10倍~55倍、10倍~50倍、10倍~45倍、10倍~40倍、10倍~35倍、10倍~30倍、10倍~25倍、10倍~20倍、または10倍~15倍である。
【0149】
いくつかの実施形態において、網膜細胞の感染力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、2倍~20倍、2倍~19倍、2倍~18倍、2倍~17倍、2倍~16倍、2倍~15倍、2倍~14倍、2倍~13倍、2倍~12倍、2倍~11倍、2倍~10倍、2倍~9倍、2倍~8倍、2倍~7倍、2倍~6倍、2倍~5倍、2倍~4倍、または2倍~3倍である。
【0150】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるカプシドタンパク質のアミノ酸修飾を行うことによって、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子が対象の眼の内境界膜(ILM)を通過する能力と比較して、rAAV粒子の、個体、例えばヒトの眼のILMを通過する能力を増加させることができる。いくつかの実施形態において、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する上記能力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも100%のいずれかの増加である。いくつかの実施形態において、ILMを通過する上記能力の増加は、親または未修飾AAVカプシドタンパク質と比較して、5%~100%、5%~95%、5%~90%、5%~85%、5%~80%、5%~75%、5%~70%、5%~65%、5%~60%、5%~55%、5%~50%、5%~45%、5%~40%、5%~35%、5%~30%、5%~25%、5%~20%、5%~15%、または5%~10%の増加である。
【0151】
いくつかの実施形態において、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する上記能力の増加は、対応する親のAAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも1倍、少なくとも1.1倍、少なくとも1.2倍、少なくとも1.3倍、少なくとも1.4倍、少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、または少なくとも2倍のいずれかである。いくつかの実施形態において、ILMを通過する上記能力の増加は、対応する親のAAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍のいずれかである。いくつかの実施形態において、ILMを通過する上記能力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、少なくとも15倍、少なくとも20倍、少なくとも25倍、少なくとも30倍、少なくとも35倍、少なくとも40倍、少なくとも45倍、少なくとも50倍、少なくとも55倍、少なくとも60倍、少なくとも65倍、少なくとも70倍、少なくとも75倍、少なくとも80倍、少なくとも85倍、少なくとも90倍、または少なくとも100倍のいずれかである。
【0152】
いくつかの実施形態において、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する上記能力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、10倍~100倍、10倍~95倍、10倍~90倍、10倍~85倍、10倍~80倍、10倍~75倍、10倍~70倍、10倍~65倍、10倍~60倍、10倍~55倍、10倍~50倍、10倍~45倍、10倍~40倍、10倍~35倍、10倍~30倍、10倍~25倍、10倍~20倍、または10倍~15倍である。
【0153】
いくつかの実施形態において、rAAVバリアント、例えばrAAV2.7m8がILMを通過する上記能力の増加は、対応する親または未修飾AAVカプシドタンパク質を含むAAV粒子と比較して、2倍~20倍、2倍~19倍、2倍~18倍、2倍~17倍、2倍~16倍、2倍~15倍、2倍~14倍、2倍~13倍、2倍~12倍、2倍~11倍、2倍~10倍、2倍~9倍、2倍~8倍、2倍~7倍、2倍~6倍、2倍~5倍、2倍~4倍、または2倍~3倍である。
【0154】
いくつかの実施形態において、アフリベルセプトをコードする核酸を含むrAAV.7m8を、遺伝子治療のために使用する。いくつかの実施形態において、AAV2またはrAAV2を使用して、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を、対象の眼もしくは網膜細胞に硝子体内注射または網膜下注射を介して送達する。いくつかの実施形態において、AAV2またはrAAV2を使用して、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を、対象の眼または網膜細胞に硝子体内注射を介して送達する。いくつかの実施形態において、rAAV2.7m8を使用して、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)の核酸配列を、対象の網膜細胞に送達する。いくつかの実施形態において、異種核酸(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤をコードする核酸)は、標的細胞ゲノム(例えば、網膜細胞ゲノム)に組み込まれ、標的細胞において例えば、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)の長期間の発現が生じる。いくつかの実施形態において、上記ウイルスベクターは、異種核酸(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤をコードする核酸)を含むプラスミドまたは他の染色体外遺伝子エレメントを、標的細胞(例えば、網膜細胞)に送達する。
【0155】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または少なくとも約100%のいずれかの同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号35のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、アフリベルセプトをコードし、AAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。配列番号35の配列を以下に示す。
【表7】
【0156】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号36の核酸配列と少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約100%のいずれかの配列相同性を有し、AAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。配列番号36の配列を
図1に示す。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、アフリベルセプトの核酸配列(例えば、配列番号36)と少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または少なくとも約100%のいずれかの配列相同性を有し、AAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記アフリベルセプトの核酸配列は、そのアミノ酸配列に由来する。いくつかの実施形態において、上記アフリベルセプトの核酸配列は、対象におけるその発現を改善するためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号40の核酸配列と少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも約85%、少なくとも約86%、少なくとも約87%、少なくとも約88%、少なくとも約89%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、または100%の配列相同性のいずれかを有し、AAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号40の核酸配列を含む核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号40の核酸配列を含み、AAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。
【表8】
【0157】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または100%のいずれかの同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号41のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、且つAAV2逆位末端反復配列(ITR)を両端に有する核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、配列番号41のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸を含む。
【表9】
【0158】
いくつかの実施形態において、上記アフリベルセプトの核酸配列は、霊長動物対象またはヒト対象における発現に関してコドン最適化されている。アフリベルセプトアミノ酸配列に対応する合成遺伝子の構築は、文献、例えばKanda A, Noda K, Saito W, Ishida S. Aflibercept Traps Galectin-1, an Angiogenic Factor Associated with Diabetic Retinopathy. Scientific Reports 5:17946 (2015)(「VEGF-TrapR1R2(アフリベルセプトに対応)cDNAが、IDT(Coralville, IA)によって合成遺伝子として生成した」ことを記載)に記載されている。アフリベルセプトの利用可能なアミノ酸配列を考慮すると、当技術分野で公知の任意の方法を使用して、本明細書に記載される遺伝子治療またはrAAVにおいて使用するための、アフリベルセプトのcDNAを生成することができる。
【0159】
コドン最適化は、当技術分野で公知の任意の方法によって達成することができる。コドン最適化は、目的の標的または宿主細胞、例えばヒト網膜細胞における遺伝子の発現を増強するために、天然のアミノ酸配列を維持しながら、天然配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1個以上、約2個以上、約3個以上、約4個以上、約5個以上、約10個以上、約15個以上、約20個以上、約25個以上、約50個以上、約100個以上、またはそれより多い数以上のコドン)を宿主細胞において、より頻繁に使用されるまたは最も頻繁に使用されるコドンと交換することによって、核酸配列を修飾するプロセスを指す。例えば、GenScript Codon Usage Frequency Table Tool at www(dot)genscript(dot)com/tools/codon-frequency-table;Codon Usage Database at www(dot)kazusa(dot)or(dot)jp/codon/;及びNakamura, Y., et al. “Codon usage tabulated from the international DNA sequence databases: status for the year 2000” Nucl. Acids Res. 28:292 (2000)を含むコドン使用表が容易に入手可能である。
【0160】
相同性は、機能性フラグメント、挿入、欠失、置換を含む配列、偽フラグメント、偽遺伝子、スプライスバリアント、または人為的に最適化した配列を含む、但しこれらに限定されない2つの配列間のアライメントの残基のパーセント保存率を指す。
【0161】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、アフリベルセプトをコードする核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドはアフリベルセプトである。
【0162】
本明細書で使用される場合、「アフリベルセプト」は、上記で特定されるアフリベルセプトアミノ酸配列(配列番号35)と少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高く、または100%のいずれかの相同性を有するポリペプチドもしくはタンパク質配列またはその機能性フラグメントもしくはバリアントもしくは突然変異体を指す。相同性は、機能性フラグメント、挿入、欠失、置換を含む配列、偽フラグメント、偽遺伝子、スプライスバリアント、または人為的に最適化した配列を含む、但しこれらに限定されない2つの配列間のアライメントの残基の保存率を指す。
【0163】
いくつかの実施形態において、上記アフリベルセプトのアミノ酸配列は、配列番号35のアフリベルセプトアミノ酸配列と、少なくとも75%相同、80%相同、81%相同、82%相同、83%相同、84%相同、85%相同、86%相同、87%相同、88%相同、89%相同、90%相同、91%相同、92%相同、93%相同、94%相同、95%相同、96%相同、97%相同、98%相同、99%相同、99.9%相同、または100%相同のいずれかである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるアフリベルセプトをコードする核酸配列は、上記で特定されるアフリベルセプトアミノ酸配列の対応するcDNA配列と比較した場合、アフリベルセプトの核酸配列(例えば、配列番号36)との間で少なくとも75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、または100%のいずれかの配列相同性を示す。いくつかの実施形態において、アフリベルセプトは、アフリベルセプトと、空間的に(例えば、その二次構造、三次構造、及び四次構造または立体配座に関して)少なくとも80%相同、85%相同、90%相同、91%相同、92%相同、93%相同、94%相同、95%相同、96%相同、97%相同、98%相同、99%相同、99.9%相同、または100%相同のいずれかである。いくつかの実施形態において、アフリベルセプトは、標準治療で使用されるアフリベルセプトと、空間的に(例えば、その二次構造、三次構造、及び四次構造または立体配座に関して)、多くて80%相同、85%相同、90%相同、91%相同、92%相同、93%相同、94%相同、95%相同、96%相同、97%相同、98%相同、99%相同、99.9%相同、または100%相同のいずれかである。
【0164】
いくつかの実施形態において、rAAVに基づく遺伝子治療に含まれるアフリベルセプト遺伝子産物、またはアフリベルセプト導入遺伝子は、本明細書に開示されるカプシドバリアント(例えば、7m8バリアント)を含み、配列番号35の上記のアミノ酸配列と、またはアフリベルセプトの対応するcDNA配列(例えば、配列番号36と比較される、遺伝子治療に使用されるアフリベルセプト配列のcDNA)との間で、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも100%のいずれかの相同性を有するタンパク質、融合タンパク質、またはポリペプチドをコードする。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法、組成物は、アフリベルセプトの機能性フラグメント、またはそのバリアントもしくは突然変異体を含む。いくつかの実施形態において、アフリベルセプトの核酸配列は、in vivoでのその活性、発現、安定性、及び/または溶解性を増強するように修飾されるかまたはコドン最適化される。
【0165】
アフリベルセプトは、グリコシル化されていてもよい115kDaの融合タンパク質である。アフリベルセプトは、ヒトVEGFR-1及びVEGFR-2の細胞外VEGF受容体配列に融合されたIgG骨格を含み、その天然のまたは内因性の受容体より高い親和性でVEGF-Aに結合することによって可溶性のデコイ受容体として機能する。例えば、Stewart MW. Aflibercept (VEGF Trap-eye): the newest anti-VEGF drug. Br. J. Ophthalmol. 2012 Sep;96(9):1157-8を参照されたい。アフリベルセプトのVEGFに対する高い親和性は、天然のまたは内因性のVEGF受容体のその後の結合及び活性化を妨害または破壊する。VEGF活性が低下すると、血管形成及び血管透過性の減少が生じる場合がある。アフリベルセプトによる胎盤増殖因子PIGF及びVEGF-Bの阻害はまた、異常な(例えば、過剰な)血管形成及び/または血管新生によって特徴付けられる眼の疾患または障害の治療にも寄与し得る。PIGFは、PIGFの上昇レベルに関連し得る、血管形成及び滲出性AMDなどのある特定の眼疾患または障害に関連している。VEGF-Bの過剰発現は、血液-網膜関門の破壊及び網膜血管形成に関連する場合がある。このように、VEGF-A、VEGF-B、及びPIGFの阻害は全て、アフリベルセプトの有効性に寄与する可能性がある。
【0166】
標的細胞に導入遺伝子を送達するためのベクターの調製方法
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して製造される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、Sf9細胞におけるバキュロウイルス発現ベクター系を使用して製造される。Sf9細胞は、バキュロウイルスを使用する組換えタンパク質産生のために一般的に使用される昆虫細胞培養細胞系である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、Sf9細胞において2種のバキュロウイルスを使用して製造される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、Sf9細胞において2種のバキュロウイルスを使用して製造され、第1のバキュロウイルスは、AAV2 Rep及びAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、第2のバキュロウイルスは抗VEGF剤をコードする。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、Sf9細胞において2種のバキュロウイルスを使用して製造され、第1のバキュロウイルスは、AAV2 Rep及びAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、第2のバキュロウイルスはアフリベルセプト(例えば、ヒトアフリベルセプト)cDNA発現カセットをコードする。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子は、Sf9細胞において2種のバキュロウイルスを使用して製造され、第1のバキュロウイルスは、AAV2 Rep及びAAV2.7m8 Capタンパク質の遺伝子をコードし、第2のバキュロウイルスは、配列番号35のアミノ酸配列と少なくとも約95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードし、AAV2逆位末端反復配列(ITR)に挟まれた核酸を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドは、配列番号35のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記ポリペプチドはアフリベルセプトである。
【0167】
用量
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、個体の一方の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記個体の一方の眼は右眼または左眼である。いくつかの実施形態において、上記個体の一方の眼は右眼である。いくつかの実施形態において、上記個体の一方の眼は左眼である。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される方法は、r単位用量のAAV粒子を個体の対側の眼に投与することをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は右眼であり、上記対側の眼は左眼である。いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼は左眼であり、上記対側の眼は右眼である。
【0168】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの少なくとも約2週間(例えば、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約2ヶ月、少なくとも約3ヶ月、少なくとも約4ヶ月、少なくとも約5ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約7ヶ月、少なくとも約8ヶ月、少なくとも約9ヶ月、少なくとも約10ヶ月、少なくとも約11ヶ月、少なくとも約12ヶ月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、少なくとも約5年、またはそれを超える期間)の後である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの少なくとも約2週間後であり、上記個体の上記対側の眼に投与される上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の上記一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量より高い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれを超える幅のいずれか)。
【0169】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大約1週間、最大約2週間、最大約3週間、または最大約4週間後である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大約2週間(例えば、約0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日)後である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大約2週間(例えば、約0日、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、または14日)後であり、上記個体の上記対側の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量は、上記個体の上記一方の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量とほぼ同一であるか(例えば、1%未満高いもしくは低い、5%未満高いもしくは低い、10%未満高いもしくは低い、または20%未満高いもしくは低い)、または低い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%低い)。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大約2週間後であり、上記個体の上記対側の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量は、上記個体の上記一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量とほぼ同一である(例えば、1%未満高いもしくは低い、5%未満高いもしくは低い、10%未満高いもしくは低い、または20%未満高いもしくは低い)。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子を上記個体の上記対側の眼に投与することは、上記単位用量のrAAV粒子を上記一方の眼に投与することの最大約2週間後であり、上記個体の上記対側の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量は、上記個体の一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量より低い(例えば、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、または約90%低い)。
【0170】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は上記個体の上記一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、ベクターゲノム数(vg)として表される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1011ベクターゲノム(vg)以下のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約1×1010~約2×1010vg、約2×1010~約3×1010vg、約3×1010~約4×1010vg、約4×1010~約5×1010vg、約5×1010~約6×1010vg、約6×1010~約7×1010vg、約7×1010~約8×1010vg、約8×1010~約9×1010vg、約9×1010~約10×1010vg、約1×1011~約2×1011vg、約2×1011~約3×1011vg、約3×1011~約4×1011vg、約4×1011~約5×1011vg、または約5×1011~約6×1011vgのrAAV粒子であり、これらの範囲内の任意の値のrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約1×1011~約5×1011vg、約5×1011~約1×1012vg、約1×1012~約5×1012vg、約5×1012~約1×1013vg、約1×1013~約5×1013vg、約5×1013~約1×1014vg、のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010ベクターゲノム(vg)~約2×1011vgのrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg~約2×1011vg、約7×1010vg~約2×1011vg、約8×1010vg~約2×1011vg、約9×1010vg~約2×1011vg、約10×1010vg~約2×1011vg、または約1×1011vg~約2×1011vgのrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6×1010vg~約2×1011vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg~約7×1010vg、約7×1010vg~約8×1010vg、約8×1010vg~約9×1010vg、約9×1010vg~約10×1010vg、約10×1010vg~約1×1011vg、または約1×1011vg~約2×1011vgのrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg、約7×1010vg、約8×1010vg、約9×1010vg、約10×1010vg、約1×1011vg、または約2×1011vgのrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vgまたは約2×1011vgのrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量はrAAV粒子の約6×1010vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg、約2×1011vg、または約6×1011vgのrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6×1010vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約2×1011vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6×1011vgである。
【0171】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、眼当りのベクターゲノム数(vg)(vg/眼)として表される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1011vg/眼以下の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約1×1010~約2×1010、約2×1010~約3×1010、約3×1010~約4×1010、約4×1010~約5×1010、約5×1010~約6×1010、約6×1010~約7×1010、約7×1010~約8×1010、約8×1010~約9×1010、約9×1010~約10×1010、約1×1011~約2×1011、約2×1011~約3×1011、約3×1011~約4×1011、約4×1011~約5×1011、または約5×1011~約6×1011vg/眼の上記rAAV粒子であり、これらの範囲内の任意の値の上記rAAV粒子含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約1×1011~約5×1011、約5×1011~約1×1012、約1×1012~約5×1012、約5×1012~約1×1013、約1×1013~約5×1013、約5×1013~約1×1014vgの上記rAAV粒子であり、これらの範囲内の任意の値の上記rAAV粒子含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約7×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約8×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約9×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約10×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約7×1010vg/眼、約7×1010vg/眼~約8×1010vg/眼、約8×1010vg/眼~約9×1010vg/眼、約9×1010vg/眼~約10×1010vg/眼、約10×1010vg/眼~約1×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg/眼、約7×1010vg/眼、約8×1010vg/眼、約9×1010vg/眼、約10×1010vg/眼、約1×1011vg/眼、または約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg/眼または約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6×1010vg/眼、約2×1011vg/眼、または約6×1011vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6×1010vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約2×1011vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6×1011vg/眼である。
【0172】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、Eは、底10の指数の略記であり、xEyは、xに、底10の累乗/羃指数y乗を乗じたものを指す。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、ベクターゲノム数(vg)として表される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E11ベクターゲノム(vg)以下の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約1E10~約2E10vg、約2E10~約3E10vg、約3E10~約4E10vg、約4E10~約5E10vg、約5E10~約6E10vg、約6E10~約7E10vg、約7E10~約8E10vg、約8E10~約9E10vg、約9E10~約10E10vg、約1E11~約2E11vg、約2E11~約3E11vg、約3E11~約4E11vg、約4E11~約5E11vg、または約5E11~約6E11vgの上記rAAV粒子であり、これらの範囲内の任意の値のrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10ベクターゲノム(vg)~約2E11vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg~約2E11vg、約7E10vg~約2E11vg、約8E10vg~約2E11vg、約9E10vg~約2E11vg、約10E10vg~約2E11vg、または約1E11vg~約2E11vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E10vg~約2E11vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg~約7E10vg、約7E10vg~約8E10vg、約8E10vg~約9E10vg、約9E10vg~約10E10vg、約10E10vg~約1E11vg、または約1E11vg~約2E11vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg、約7E10vg、約8E10vg、約9E10vg、約10E10vg、約1E11vg、または約2E11vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E10vgまたは約2E11vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E10vgの上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg、約2E11vg、または約6E11vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E10vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約2E11vgである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E11vgである。
【0173】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、眼当りのベクターゲノム数(vg)(vg/眼)として表される。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E11vg/眼以下の上記rAAV粒子のである。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約1E10~約2E10vg/眼、約2E10~約3E10vg/眼、約3E10~約4E10vg/眼、約4E10~約5E10vg/眼、約5E10~約6E10vg/眼、約6E10~約7E10vg/眼、約7E10~約8E10vg/眼、約8E10~約9E10vg/眼、約9E10~約10E10vg/眼、約1E11~約2E11vg/眼、約2E11~約3E11vg/眼、約3E11~約4E11vg/眼、約4E11~約5E11vg/眼、または約5E11~約6E11vg/眼の上記rAAV粒子であり、これらの範囲内の任意の値のrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg/眼~約2E11vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg/眼~約2E11vg/眼、約7E10vg/眼~約2E11vg/眼、約8E10vg/眼~約2E11vg/眼、約9E10vg/眼~約2E11vg/眼、約10E10vg/眼~約2E11vg/眼、または約1E11vg/眼~約2E11vg/眼のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E10vg/眼~約2E11vg/眼のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg/眼~約7E10vg/眼、約7E10vg/眼~約8E10vg/眼、約8E10vg/眼~約9E10vg/眼、約9E10vg/眼~約10E10vg/眼、約10E10vg/眼~約1E11vg/眼、または約1E11vg/眼~約2E11vg/眼のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg/眼、約7E10vg/眼、約8E10vg/眼、約9E10vg/眼、約10E10vg/眼、約1E11vg/眼、または約2E11vg/眼のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg/眼または約2E11vg/眼のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量はrAAV粒子の約6E10vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は、約6E10vg/眼、約2E11vg/眼、または約6E11vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E10vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約2E11vg/眼である。いくつかの実施形態において、上記単位用量は約6E11vg/眼である。
【0174】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中で治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を生じさせるのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中で、約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/ml、またはそれを超える濃度のいずれか1つで、これらの値の間の任意の範囲を含む、治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、硝子体液中でアフリベルセプトの発現を生じさせるのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、硝子体液中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/ml、またはそれを超える濃度のいずれか1つで、これらの値の間の任意の範囲を含む、アフリベルセプトの濃度を達成するのに十分な単位用量である。
【0175】
いくつかの実施形態において、上記個体の上記一方の眼及び/または上記対側の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量は、房水中で治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を生じさせるのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、房水中で、少なくとも約0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0μg/ml、またはそれを超える濃度で、これらの値の間の任意の範囲を含む、治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、房水中でアフリベルセプトの発現を生じさせるの十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、房水中で少なくとも約0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95、1.0μg/ml、またはそれを超える濃度で、これらの値の間の任意の範囲を含む、アフリベルセプトの濃度を達成するのに十分な単位用量である。
【0176】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、網膜中で治療タンパク用質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を生じさせるのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、網膜中で少なくとも約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/g、またはそれを超える濃度で、これらの値の間の任意の範囲を含む治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、網膜中でアフリベルセプトの発現を生じさせるのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、網膜中で少なくとも約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/g、またはそれを超える濃度で、これらの値の間の任意の範囲を含むアフリベルセプトの濃度を達成するのに十分な単位用量である。
【0177】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中で治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の発現を生じさせるのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/g、またはそれを超える濃度のいずれか1つで、これらの値の間の任意の範囲を含む、治療用タンパク質(例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤)の濃度を達成するのに十分な単位用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中でアフリベルセプトの発現を生じさせるのに十分な単位用量である。一部の実施形態では、上記rAAV粒子の単位用量は、脈絡膜中で約3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10μg/gまたはそれを超える濃度のいずれか1つで、これらの値の間の任意の範囲を含むアフリベルセプトの濃度を達成するために十分な単位用量である。
【0178】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は治療有効用量である。
【0179】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量が、該単位用量のrAAV粒子を投与する前の視力と比較して、視力を維持するまたは改善するのに十分である場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量が、該単位用量のrAAV粒子を投与する前の視力と比較して、視力を改善するのに十分である場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量が、該単位用量のrAAV粒子を投与する前の視力と比較して、約5%、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれを超える幅のいずれかよりも大きい視力の改善を生じさせるのに十分である場合、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、視力は最高矯正視力(BCVA)である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量が、該単位用量のrAAV粒子を投与する前のBCVAと比較して、BCVAを改善するのに十分である場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、BCVAはETDRSスコアとして表され、ETDRSスコアは正確に読んだ文字数に対応する(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量が、該単位用量のrAAV粒子を投与する前のBCVAと比較して、少なくとも15 ETDRS文字(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)(例えば、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、または約70文字)のBCVAの改善を生じさせるのに十分である場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量が、該単位用量のrAAV粒子を投与する前のBCVAと比較して、上記個体のETDRS文字数の低下が15文字未満(Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)(例えば、15文字以下、14文字以下、13文字以下、12文字以下、11文字以下、10文字以下、9文字以下、8文字以下、7文字以下、6文字以下、5文字以下、4文字以下、3文字以下、2文字以下、1文字、または0文字)であるBCVAの維持を生じさせるのに十分である場合には、治療有効用量である。
【0180】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量のrAAV粒子の投与の後に、当該個体の視覚が維持されていると判定される場には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量のrAAV粒子の投与の後に、当該個体の視覚が改善されていると判定される場合には、治療有効用量である。
【0181】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量のrAAV粒子の投与の後に、当該個体が必要とする救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)が、約4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、またはそれを超える期間のいずれか毎に1回未満である場合に、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、該単位用量のrAAV粒子の投与の後に、当該個体が少なくとも約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、15週間、20週間、30週間、40週間、50週間、60週間、70週間、80週間、90週間、100週間、110週間、またはそれを超える期間のいずれかの間、いかなる救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)も必要としない場合には、治療有効用量である。
【0182】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与前の色素上皮剥離(PED)と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、当該個体におけるPEDが消散していると判定される場合には、治療有効用量である。
【0183】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、CNV病変が収縮する場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、CNV病変が収縮する場合には、治療有効用量である。約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%のいずれかより大きな幅で収縮する場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、CNV病変が成長しない場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与前に存在するCNV病変と比較して、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、CNV病変が、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、または20%のいずれかより大きな幅で成長しない場合には、治療有効用量である。
【0184】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、当該個体における一方の眼及び/または対側の眼の解剖学的特徴が、上記単位用量のrAAV粒子の投与前の解剖学的特徴と比較して改善されていると判定される場合には、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記単位用量のrAAV粒子の投与後に、当該個体における一方の眼及び/または対側の眼の解剖学的特徴が、上記単位用量のrAAV粒子の投与前の解剖学的特徴と比較して安定化されている及び/または維持されていると判定される場合には、治療有効用量である。
【0185】
いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、上記用量の当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与が、眼疾患または障害の少なくとも1つの症状を低減する、停止させる、または防止する場合には、治療上有効である。いくつかの実施形態において、かかる症状としては、例えば視覚障害(色覚障害、かすみ目、中心視力の悪化など)、視覚喪失、虹彩ルベオーシスの進行度の変化、眼圧(IOP)の変化、追加の抗緑内障介入(抗緑内障薬物療法、手術等)の回数の変化、及び/または前房隅角の隅角鏡検査における変化が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0186】
いくつかの実施形態において、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記単位用量の当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与によって、当該眼疾患(例えば、血管新生緑内障などの緑内障)の1つ以上の臨床上の特徴が維持される、部分消散する、または完全消散する場合には、治療有効用量である。例えば、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量は、上記用量の当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与により、当技術分野で公知の任意の方法によって測定して、当該眼疾患(例えば、血管新生緑内障などの緑内障)が完全消散する、部分消散する、または維持される場合には、治療的に有効である。いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記用量の当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与により、最高矯正視力(BCVA)(例えば、ETDRSスコアに基づく;Vitale et al., (2016) JAMA Opthalmol 134(9):1041:1047)、上記単位用量のrAAV粒子の一方の眼及び/または対側の眼への投与後に個体が必要とする救助治療薬による治療(例えば、アフリベルセプト注射)の回数、色素上皮剥離(PED)の消散、脈絡膜血管新生(CNV)病変の成長、虹彩ルベオーシス、当技術分野で公知の任意の方法(例えば、SD-OCT、OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影等)に基づく解剖学的特徴によって評価して、当該眼疾患が完全消散する、部分消散する、または維持される場合には、治療的に有効である。いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記用量の上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与によって、眼科検査、眼圧(例えば、ゴルドマン眼圧計、またはTono-penを使用)、倒像眼底検査、上記一方の眼及び/または対側の眼ならびに眼付属器の検査、眼瞼及び/または瞳孔の応答性、眼瞼下垂、異常な瞳孔形状、瞳孔不同、光に対する反応の異常、求心性瞳孔障害、細隙灯検査(眼瞼、結膜、角膜、水晶体、光彩、及び前房の検査を含む)、硝子体、視神経、周辺網膜、及び網膜の脈管構造の後側セグメントの異常、SD-OCT、フルオレセイン血管造影、デジタルカラー眼底撮影(網膜、視神経乳頭、及び/または黄斑の画像を含む)、房水採取、硝子体液採取、OCT-血管造影(OCT-A)、屈折及び視力(BCVA)により評価して、眼疾患が完全消散している、部分消散している、または維持されている場合には、治療上有効である。いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される上記rAAV粒子の単位用量は、上記個体の一方の眼及び/または対側の眼への上記用量の投与により、前房隅角の隅角鏡検査によって分析されたとき、眼疾患(緑内障や血管新生緑内障など)が完全消散している、部分消散している、または維持されている場合には、治療上有効である。隅角鏡検査は通常、前房角とも呼ばれる眼の内部排液システムを評価するために眼科検査中に実施される。「角」とは、角膜と虹彩が交わる場所のことである。角は、眼の中の液体(房水)が眼から静脈系に排出される場所である。
【0187】
いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記個体の対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量と同一である。いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記個体の対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量とは異なる。いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記個体の対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量より高く、例えば約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれより高い割合のいずれかよりも高い。いくつかの実施形態において、当該個体の対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、上記個体の一方の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量より高く、例えば約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、約125%、約150%、約175%、約200%、約225%、約250%、約275%、約300%、またはそれより高い割合のいずれかよりも高い。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、ベクターゲノム数(vg)/眼(vg/眼)として表わされる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、約6×1011vg/眼以下のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、約1×1010~約2×1010vg/眼、約2×1010~約3×1010vg/眼、約3×1010~約4×1010vg/眼、約4×1010~約5×1010vg/眼、約5×1010~約6×1010vg/眼、約6×1010~約7×1010vg/眼、約7×1010~約8×1010vg/眼、約8×1010~約9×1010vg/眼、約9×1010~約10×1010vg/眼、約1×1011~約2×1011vg/眼、約2×1011~約3×1011vg/眼、約3×1011~約4×1011vg/眼、約4×1011~約5×1011vg/眼、または約5×1011~約6×1011vg/眼の上記rAAV粒子であり、これらの範囲内の任意の値のrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約7×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約8×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約9×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、約10×1010vg/眼~約2×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、rAAV粒子の約6×1010vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、約6×1010vg/眼~約7×1010vg/眼、約7×1010vg/眼~約8×1010vg/眼、約8×1010vg/眼~約9×1010vg/眼、約9×1010vg/眼~約10×1010vg/眼、約10×1010vg/眼~約1×1011vg/眼、または約1×1011vg/眼~約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、約6×1010vg/眼、約7×1010vg/眼、約8×1010vg/眼、約9×1010vg/眼、約10×1010vg/眼、約1×1011vg/眼、または約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、約6×1010vg/眼または約2×1011vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子の単位用量は、約6×1010vg/眼の上記rAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は、約6×1010vg/眼、約2×1011vg/眼、または約6×1011vg/眼である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子の単位用量は約6×1010vg/眼である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子の単位用量は約2×1011vg/眼である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子の単位用量は約6×1011vg/眼である。
【0188】
いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼に投与される単位用量のrAAV粒子と、上記個体の対側の眼に投与される単位用量のrAAV粒子は、同じ時間に投与される。いくつかの実施形態において、当該個体の一方の眼に投与される単位用量のrAAV粒子と、上記個体の対側の眼に投与されるrAAV粒子の単位用量は、異なる時間に投与される。いくつかの実施形態において、対側の眼に投与される単位用量は、単位用量を一方の眼に投与した少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約4時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、またはそれより長い期間のいずれかの後に投与される。いくつかの実施形態において、対側の眼に投与される単位用量は、単位用量を一方の眼に投与した少なくとも約2週間後に投与される。
【0189】
いくつかの実施形態において、単回の単位用量のrAAV粒子は、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、一方の眼及び/または対側の眼に投与されるrAAV粒子の1回単位用量は、治療有効用量である。いくつかの実施形態において、rAAV粒子の1回分を超える用量(例えば、約2、3、4、5回、またはそれより多く回数分の単位用量のいずれかより多い)が、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与される。いくつかの実施形態において、一方の眼及び/または対側の眼に投与されるrAAV粒子の1回分を超える用量は、治療有効用量である。
【0190】
いくつかの実施形態において、抗VEGF治療、例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤によるIVT注射をrAAV粒子の投与を受ける一方の眼及び/または対側の眼に、単位用量(例えば、約2×1011vg/眼~約6×1011vg/眼のrAAV粒子の単位用量)のrAAV粒子を投与する少なくとも約1週間前、例えば少なくとも約7日前に施す。いくつかの実施形態において、抗VEGF治療、例えば、アフリベルセプトなどの抗VEGF剤によるIVT注射を眼に約1日目に施し、単位用量のrAAV粒子、例えば約2×1011vg/眼~約6×1011vg/眼の単位用量のrAAV粒子を眼に約8日目に投与する。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は約2×1011vg/眼または約6×1011vg/眼のrAAV粒子である。いくつかの実施形態において、上記眼疾患は糖尿病性黄斑浮腫である。
【0191】
医薬製剤
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、上記rAAV粒子、1種以上の浸透圧またはイオン強度調整剤、1種以上の緩衝剤、1種以上の界面活性剤、及び1種以上の溶媒を含む。いくつかの実施形態において、上記浸透圧またはイオン強度調整剤は塩化ナトリウムである。いくつかの実施形態において、上記1種以上の緩衝剤はリン酸二水素ナトリウム及び/またはリン酸水素ナトリウムである。いくつかの実施形態において、上記界面活性剤はポロキサマー188である。いくつかの実施形態において、上記溶媒は水である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、上記rAAV粒子、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、及び界面活性剤を含む。
【0192】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約1×1010vg/mL~約1×1013vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mMの塩化ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.0~約7.5である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mMの塩化ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.0~約7.5である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mMの塩化ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.0~約7.5である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約150mM~約200mMの塩化ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸二水素ナトリウム、約1mM~約10mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.0~約7.5である。
【0193】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤中のrAAV粒子は、約1×1010vg/ml~約1×1013vg/mlの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤中のrAAV粒子は、約1×1009vg/ml~約6×1014vg/mlの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、上記医薬製剤中のrAAV粒子は、約1×1009vg/ml~約2×1009vg/ml、約2×1009vg/ml~約3×1009、約3×1009vg/ml~約4×1009、約4×1009vg/ml~約5×1009、約5×1009vg/ml~約6×1009、約6×1009vg/ml~約7×1009、約7×1009vg/ml~約8×1009、約8×1009vg/ml~約9×1009、約9×1009vg/ml~約10×1009、約10×1009vg/ml~約1×1010、約1×1010vg/ml~約2×1010、約2×1010vg/ml~約3×1010、約3×1010vg/ml~約4×1010、約4×1010vg/ml~約5×1010、約5×1010vg/ml~約6×1010、約6×1010vg/ml~約7×1010、約7×1010vg/ml~約8×1010、約8×1010vg/ml~約9×1010、約9×1010vg/ml~約10×1010、約10×1010vg/ml~約1×1011、約1×1011vg/ml~約2×1011、約2×1011vg/ml~約3×1011、約3×1011vg/ml~約4×1011、約4×1011vg/ml~約5×1011、約5×1011vg/ml~約6×1011、約6××1011vg/ml~約7×1011、約7×1011vg/ml~約8×1011、約8×1011vg/ml~約9×1011、約9×1011vg/ml~約10×1011、約1×1012vg/ml~約2×1012、約2×1012vg/ml~約3×1012、約3×1012vg/ml~約4×1012、約4×1012vg/ml~約5×1012、約5×1012vg/ml~約6×1012、約6×1012vg/ml~約7×1012、約7×1012vg/ml~約8×1012、約8×1012vg/ml~約9×1012、約9×1012vg/ml~約10×1012、約1×1013vg/ml~約2×1013、約2×1013vg/ml~約3×1013、約3×1013vg/ml~約4×1013、約4×1013vg/ml~約5×1013、約5×1013vg/ml~約6×1013、約6×1013vg/ml~約7×1013、約7×1013vg/ml~約8×1013、約8×1013vg/ml~約9×1013、約9×1013vg/ml~約10×1013、約1×1014vg/ml~約2×1014、約2×1014vg/ml~約3×1014、約3×1014vg/ml~約4×1014、約4×1014vg/ml~約5×1014、または約5×1014vg/ml~約6×1014vg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は約6×1011vg/mL~約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は約6×1012vg/mLのrAAV粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は約6×1011vg/mLのrAAV粒子を含む。
【0194】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤中の塩化ナトリウムは約150mM~約200mMの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、上記医薬製剤中の塩化ナトリウムは、約150mM、約160mM、約170mM、約180mM、約190mM、または約200mMの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、上記医薬製剤中の塩化ナトリウムは約180mMの濃度で存在する。
【0195】
いくつかの実施形態において、上記リン酸二水素ナトリウムは上記医薬製剤中に約1mM~約10mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、上記リン酸二水素ナトリウムは上記医薬製剤中に約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mMのいずれかの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、上記リン酸二水素ナトリウムは上記医薬製剤中に約5mMの濃度で存在する。
【0196】
いくつかの実施形態において、上記リン酸水素ナトリウムは上記医薬製剤中に約1mM~約10mMの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、上記リン酸水素ナトリウムは上記医薬製剤中に約1mM、約2mM、約3mM、約4mM、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、または約10mMのいずれかの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、上記リン酸水素ナトリウムは上記医薬製剤中に約5mMの濃度で存在する。
【0197】
いくつかの実施形態において、上記ポロキサマー188は上記医薬製剤中に約0.0005%(w/v)~約0.005%(w/v)の濃度で存在する。いくつかの実施形態において、上記ポロキサマー188は上記医薬製剤中に約0.0005%(w/v)、約0.0006%(w/v)、約0.0007%(w/v)、約0.0008%(w/v)、約0.0009%(w/v)、約0.001%(w/v)、約0.002%(w/v)、約0.003%(w/v)、約0.004%(w/v)、または約0.005%(w/v)のいずれかの濃度で存在する。ある特定の実施形態では、上記ポロキサマー188は上記医薬製剤中に約0.001%(w/v)の濃度で存在する。
【0198】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤のpHは約7.0~約7.5である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤のpHは約7.0、約7.1、約7.2、約7.3、約7.4、または約7.5である。ある特定の実施形態では、上記医薬製剤のpHは約7.3である。いくつかの実施形態において、塩酸及び水酸化ナトリウムを使用して上記医薬製剤のpHを調整する。
【0199】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1012vg/mLのrAAV粒子、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、約6×1011vg/mLのrAAV粒子、約180mMの塩化ナトリウム、約5mMのリン酸二水素ナトリウム、約5mMのリン酸水素ナトリウム、及び約0.001%(w/v)のポロキサマー188を含み、上記医薬製剤のpHは約7.3である。
【0200】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、当該個体、例えばヒト患者の一方の眼及び/または対側の眼に硝子体内(IVT)注射により投与して、所望の治療効果または予防効果を実現するのに好適である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は再構築された均一な溶液として供給される。いくつかの実施形態において、上記溶液は懸濁液である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は凍結させた懸濁液として供給され、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与する前に解凍される。いくつかの実施形態において、上記溶液は等張性である。
【0201】
他の実施形態において、例えば抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトまたはその機能性フラグメントもしくはバリアント)をコードする核酸配列を含むAAV2.7m8ベクターを含む医薬組成物が凍結乾燥形態で供給され、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与の前に再構成される。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、rAAV(例えば、AAV2.7m8)及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトまたはその機能性フラグメントもしくはバリアント)をコードする核酸配列を含む、凍結乾燥した医薬組成物を、対象への投与の前に緩衝剤中で再構築する、溶解する、または可溶化することをさらに含む。いくつかの実施形態において、かかる凍結乾燥した医薬組成物は、以下、すなわち、凍結保護剤、界面活性剤、塩、安定剤、またはそれらのいずれかの組合せの1種以上を含む。
【0202】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は均一な溶液剤である。いくつかの実施形態において、均一な溶液剤がプレフィルドシリンジの形態で供給される。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は剤剤として供給される。いくつかの実施形態において、上記懸濁液は溶液である。いくつかの実施形態において、上記懸濁液剤は冷蔵されている。いくつかの実施形態において、上記懸濁液剤は凍結されている。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与(例えば、IVT注射による)の前に、冷蔵されている懸濁液剤を室温まで加温し、且つ/または懸濁液剤を撹拌して、活性成分(複数可)が確実に溶液中に溶解し、且つ/または一様に分布するようにするステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される方法は、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与(例えば、IVT注射による)の前に、凍結懸濁液剤を解凍し、室温まで加温し、且つ/または懸濁液剤を撹拌して、活性成分(複数可)が確実に溶液中に溶解し、且つ/または一様に分布するようにするステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、懸濁液剤は、対象への投与(例えば、IVT注射による)の前に希釈される。いくつかの実施形態において、懸濁液剤はプレフィルドシリンジとして供給される。
【0203】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は凍結した懸濁液剤として提供される。いくつかの実施形態において、上記懸濁液剤は、薬学的に許容される賦形剤、例えば、界面活性剤、グリセロール、非イオン界面活性剤、緩衝剤、グリコール、塩、及びそれらのいずれかの組合せを含む。
【0204】
いくつかの実施形態において、上記懸濁液剤は溶液である。いくつかの実施形態において、上記懸濁液剤はミセルを含む。
【0205】
いくつかの実施形態において、貯蔵安定性及び取扱いの利便性のために、rAAV(例えば、AAV2.7m8)及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプトまたはその機能性フラグメントもしくはバリアント)をコードする核酸配列を含む医薬製剤が、凍結乾燥(lyophilized)粉末、凍結乾燥(freeze-dried)粉末、または真空乾燥粉末として製剤化され、それが、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼に投与する前に、生理食塩水、緩衝液、または水によって再構成される。あるいは、上記医薬製剤は、懸濁液剤または均一な溶液剤などの水溶液剤として製剤化される。上記医薬製剤は、アフリベルセプトをコードする核酸配列を含むrAAV粒子を含有していてもよい。リン酸、PBS、もしくはトリス緩衝液、グリコール、グリセロール、生理食塩水、界面活性剤(例えば、プルロニック(登録商標)もしくはポリソルベート)、またはそれらのいずれかの組合せなどの種々の賦形剤を使用して医薬製剤を安定化させてもよい。さらに、アルコールなどの凍結保護物質を凍結または乾燥条件下での安定剤として使用してもよい。いくつかの実施形態において、遺伝子治療薬が、懸濁液剤、冷蔵懸濁液剤、または凍結懸濁液として提供される。
【0206】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液の体積は、約20μL、30μL、40μL、50μL、60μL、70μL、80μL、90μL、100μL、200μL、300μL、400μL、500μL、600μL、700μL、800μL、900μL、または1000μLのいずれかである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液の体積は約250μLである。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液の体積は、0.1~0.5mL、0.1~0.2mL、0.3~0.5mL、0.5~1.0mL、0.5~0.7mL、0.6~0.8mL、0.8~1mL、0.9~1.1mL、1.0~1.2mL、または1.0~1.5mLである。他の実施形態において、上記体積は、0.1mL以下、0.2mL以下、0.3mL以下、0.4mL以下、0.5mL以下、0.6mL以下、0.7mL以下、0.8mL以下、0.9mL以下、1.0mL以下、1.1mL以下、1.2mL以下、1.3mL以下、1.4mL以下、または1.5mL以下である。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液の体積は約0.25mLである。
【0207】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は、そのまま使用可能な止め栓(例えば、クロロブチル製止め栓)を備える滅菌されたそのまま使用可能なバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中の、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌ろ過された凍結懸濁液として提供される。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は、そのまま使用可能な止め栓(例えば、クロロブチル製止め栓)を備える滅菌されたそのまま使用可能なバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中の、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌ろ過された凍結懸濁液として提供され、上記バイアルは、0.1~0.5mL、0.1~0.2mL、0.2~0.3mL、0.3~0.4mL、または0.4mL~0.5mLの体積の医薬製剤の懸濁液を収納している。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤の懸濁液は、そのまま使用可能な止め栓(例えば、クロロブチル製止め栓)を備える滅菌されたそのまま使用可能なバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中の、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌ろ過された凍結懸濁液として提供され、上記バイアルは約0.25mLの体積の医薬製剤の懸濁液を収納している。
【0208】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される医薬製剤が、霊長動物(例えば、非ヒト霊長動物及びヒト対象)に硝子体内注射または網膜下注射によって投与するために設計される、操作される、または適合化が行われる。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含むrAAV粒子を含む医薬製剤が、個体の眼に硝子体内注射用に調製される。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物が、約25μL以下、約30μL以下、約35μL以下、約40μL以下、約45μL以下、約50μL以下、約55μL以下、約60μL以下、約65μL以下、約70μL以下、約75μL以下、約80μL以下、約85μL以下、約90μL以下、約95μL以下、約100μL以下、約110μL以下、約120μL以下、約130μL以下、約140μL以下、約150μL以下、約160μL以下、約170μL以下、約180μL以下、約190μL以下、約200μL以下、約210μL以下、約220μL以下、約230μL以下、約240μL以下、もしくは約250μL以下の、または25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、もしくは250μLのいずれか以下の体積の硝子体内注射を可能にする濃度に製剤化される、あるいは再構成される。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤の単位用量は、約25μL以下、約30μL以下、約35μL以下、約40μL以下、約45μL以下、約50μL以下、約55μL以下、約60μL以下、約65μL以下、約70μL以下、約75μL以下、約80μL以下、約85μL以下、約90μL以下、約95μL以下、約100μL以下、約110μL以下、約120μL以下、約130μL以下、約140μL以下、約150μL以下、約160μL以下、約170μL以下、約180μL以下、約190μL以下、約200μL以下、約210μL以下、約220μL以下、約230μL以下、約240μL以下、もしくは約250μL以下、または25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、もしくは250μLのいずれか以下の体積を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、約25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、または250μLのいずれかの体積の、rAAV(例えば、AAV2.7m8)及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液の硝子体内注射を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、約30μLまたは約100μLの体積の、rAAV(例えば、AAV2.7m8)及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液の硝子体内注射を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、約30μLの体積の、rAAV(例えば、AAV2.7m8)及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液の硝子体内注射を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される方法は、約100μLの体積の、rAAV(例えば、AAV2.7m8)及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードする核酸配列を含む医薬製剤の溶液または懸濁液の硝子体内注射を含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)導入遺伝子の核酸配列を含むAAV2.7m8粒子は、遺伝子治療医薬製剤の構成成分である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の7m8バリアントカプシドタンパク質を含む任意の血清型のrAAV粒子を使用して、凍結懸濁液または凍結乾燥した(freeze-dried)もしくは凍結乾燥した(lyophilized)製剤組成物を作製する。いくつかの実施形態において、冷蔵または凍結懸濁液として上記遺伝子治療薬を製剤化される。いくつかの実施形態において、上記rAAV粒子はrAAV2である。いくつかの実施形態において、凍結乾燥したまたは懸濁液の上記医薬製剤は、7m8バリアントカプシドタンパク質、及び抗VEGF剤(例えば、アフリベルセプト)をコードするDNA配列を含むrAAV2を含む。いくつかの実施形態において、上記懸濁液は冷蔵または凍結されている。
【0210】
いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子の、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼への投与は硝子体内(IVT)注射による。IVT注射では、上記rAAV粒子を医薬製剤の懸濁液剤の形態で送達することができる(例えば、本明細書に記載のようにして)。最初に、局所麻酔薬が当該の眼の表面に適用され、その後、点眼用消毒溶液が適用される。器具を使用してまたは使用せずに眼を開いた状態に保ち、直接観察下で、短く細い針、例えば30ゲージの針を用い、上記rAAV粒子が、当該個体の一方の眼及び/または対側の眼の硝子体腔に、強膜を通して注射される。一般には、約25μL~約250μL(例えば、約25μL、約30μL、約40μL 約50μL、約60μL、約70μL、約80μL、約90μL、約100μL、約110μL、約120μL、約130μL、約140μL、約150μL、約160μL、約170μL、約180μL、約190μL、約200μL、約210μL、約220μL、約230μL、約240μL、または約250μLのいずれか)の体積のrAAV粒子懸濁液をIVT注射によって上記の眼に送達することができる。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は約100μLの体積を含む。いくつかの実施形態において、上記単位用量のrAAV粒子は約30μLの体積を含む。いくつかの実施形態において、上記IVT注射は硝子体液の除去と組み合わせて実施される。いくつかの実施形態において、硝子体切除術が実施されてもよく、硝子体ゲルの全体積がrAAV粒子懸濁液(例えば、約4mLのrAAV粒子懸濁液)を注入することによって置き換えられる。硝子体切除術は適当な口径サイズ(例えば、20ゲージ~27ゲージ)のカニューレを使用して実施され、除去された硝子体ゲルの体積を注入用カニューレからの液、例えば、生理食塩水、等張溶液、rAAV粒子懸濁液の注入によって置き換えられる。IVT投与は一般に忍容性が良好である。手順の終了時に注射部位が軽度に赤くなる場合がある。圧痛が生じることもあるが、大多数の患者からはいかなる痛みも報告されない。この手順後、眼帯も眼球保護帯も必要なく、活動も制限されない。感染防止を補助するために数日間の抗生物質点眼剤が処方される場合もある。
【0211】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、異常な(例えば、過剰な)血管形成または血管新生を特徴とする眼疾患または障害を治療するために、個体(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長動物)の一方の眼及び/または対側の眼にIVT注射によって投与される単位用量(例えば、治療有効用量)である。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載される単位用量(例えば、治療有効用量)を含む。いくつかの実施形態において、対象に投与される単位用量(例えば、治療有効用量)のウイルスベクター(例えば、本明細書に開示されるrAAVベクター)の体積は、約25μL、30μL、35μL、40μL、45μL、50μL、55μL、60μL、65μL、70μL、75μL、80μL、85μL、90μL、95μL、100μL、110μL、120μL、130μL、140μL、150μL、160μL、170μL、180μL、190μL、200μL、210μL、220μL、230μL、240μL、または250μL(これらの値の間の任意の範囲を含む)のいずれか1つ以下である。対象に投与される単位用量の体積を最小化することにより、IVT注射に付随する眼圧の変化及び他の有害作用(例えば、眼圧の上昇、炎症、刺激、もしくは疼痛)が回避または軽減される場合がある。
【0212】
眼への使用に好適な医薬製剤としては、滅菌水溶液剤もしくは分散液剤、及び滅菌注射用溶液剤、懸濁液剤、または分散液剤を現場で調製するための滅菌粉末剤が挙げられる。硝子体内投与に関して、好適な担体としては、生理的食塩水、静菌水、リン酸緩衝食塩水(PBS)、及び/または等張化剤、例えばグリセロールが挙げられる。ある特定の実施形態において、上記医薬製剤は、シリンジへの吸い上げまたは注射が容易である程度に滅菌され且つ流動性である。ある特定の実施形態において、上記医薬製剤は、製造及び貯蔵の条件下で安定であり、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されている。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物は、塩またはグリセロールなどの等張化剤を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、凝集を防止するために界面活性剤または安定剤が上記医薬組成物に添加される。
【0213】
いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は賦形剤または担体を含有する。担体は、例えば、水、生理食塩水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及びそれらのいずれかの組合せを含有する溶媒または分散媒である。適当な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液剤の場合には必要な粒子サイズを維持することによって、ならびに、ポリソルベート(例えば、Tween(登録商標)ポリソルベート20、ポリソルベート80)、ドデシル硫酸ナトリウム(ラウリル硫酸ナトリウム)、ラウリルジメチルアミン酸化物、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレンソルビタン、オクトキシノール(Triton(登録商標) X100(商標))、N,N-ジメチルドデシルアミン-N-オキシド、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム(HTAB)、ポリオキシル10ラウリルエーテル、Brij(登録商標) 721(商標)、胆汁酸塩(デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム)、プルロニック(登録商標)酸(F-68、F-127)、ポリオキシルヒマシ油(Cremophor(商標))ノニルフェノールエトキシレート(Tergitol(商標))、シクロデキストリン、及び、塩化エチルベンゼトニウム(Hyamine(商標))などの界面活性剤を使用することによって、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、クレゾール、チメロサールなどによって実現することができる。多くの実施形態において、上記医薬製剤中には、等張化剤、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、及び/または塩化ナトリウムが含まれている。吸収を遅延させる作用剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを上記組成物中に含めることによって、内部組成物を持続的に吸収させることができる。いくつかの実施形態において、上記医薬担体としては、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ポリソルベート、及びスクロースが挙げられる。いくつかの実施形態において、上記医薬製剤は、界面活性剤、例えば、ポリソルベート、ポロキサマー、またはプルロニック(登録商標)などの非イオン界面活性剤を含む。いくつかの実施形態において、非イオン界面活性剤の添加により、上記医薬組成物中の凝集が低減する。
【0214】
本明細書では、本明細書に記載の少なくとも1種の医薬製剤を含むキットも提供される。いくつかの実施形態において、上記キットは、医薬製剤の凍結懸濁液(例えば、バイアル中の1つの単位用量)を備える。いくつかの実施形態において、上記キットは、本明細書に開示される凍結乾燥(lypophilized)または凍結乾燥(freeze-dried)医薬製剤(例えば、バイアル中に1つの単位用量)、ならびに凍結乾燥医薬組成物を溶解させる、希釈する、及び/または再構成するための溶液を備える。いくつかの実施形態において、再構成または希釈のための溶液が、充填済みのシリンジとして供給される。いくつかの実施形態において、上記キットは、rAAV(例えば、AAV2.7m8)を含む凍結乾燥(freezed-dried)または凍結乾燥(lypophilized)医薬組成物、及び医薬組成物を所望の濃度または体積に再構成するための溶液を備える。いくつかの実施形態において、上記キットは、本明細書に開示される医薬組成物を再構成する際の凝集を防止するのに役立つ緩衝剤を備える。いくつかの実施形態において、上記医薬組成物はプレフィルドシリンジ中で提供される。いくつかの実施形態において、上記キットは2室型シリンジまたは容器を備えており、2室型シリンジの1室には医薬組成物を溶解させるまたは希釈するための緩衝液が入っている。いくつかの実施形態において、上記キットは注射用シリンジを備える。いくつかの実施形態において、再構成された溶液は投与の前にろ過される。いくつかの実施形態において、上記キットは、再構成された医薬組成物を患者への投与の前にろ過するためのフィルターまたはフィルターシリンジを備える。いくつかの実施形態において、上記キットは、そのまま使用可能な止め栓(例えば、クロロブチル製止め栓)を備える、滅菌されそのまま使用可能なバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中の、密閉された(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌ろ過凍結懸濁液として提供される、本明細書に開示されるrAAV粒子を含む医薬製剤の懸濁液を備える。いくつかの実施形態において、上記キットは、そのまま使用可能な止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を備える滅菌されそのまま使用可能なバイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中の、密閉され(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌ろ過された凍結懸濁液として提供される、本明細書に開示のrAAV粒子を含む医薬製剤の懸濁液を備え、上記バイアルには、0.1~0.5mL、0.1~0.2mL、0.2~0.3mL、0.3~0.4mL、または0.4mL~0.5mLの体積の医薬製剤の懸濁液が収納されている。いくつかの実施形態において、上記キットは、そのまま使用可能な止め栓(例えば、クロロブチル製の止め栓)を備える滅菌され、そのまま使用可能な止め栓バイアル(例えば、0.5mLバイアル;例えばCrystal Zenith(登録商標)バイアル)中の、密閉され(例えば、滅菌アルミニウム剥ぎ取り式シールを用いて)滅菌ろ過された凍結懸濁液として提供される、本開示のrAAV粒子を含む医薬製剤の懸濁液を備え、上記バイアルには、約0.25mLの体積の医薬製剤の懸濁液が収納されている。いくつかの実施形態において、上記キットは、使用説明書;例えば、本明細書に開示されるrAAV粒子を用いて眼疾患を治療するための説明書をさらに備える。
【0215】
眼疾患
一態様において、本開示は、個体における眼疾患の治療方法を提供する。別の態様において、本開示は、眼疾患を有する個体の眼における眼圧(IOP)の低減方法を提供する。
【0216】
いくつかの実施形態において、上記眼疾患は緑内障である。本明細書では、「緑内障」とは、視神経を損傷し、視力喪失を引き起こす眼の疾病を指す。一般に、この損傷は眼内の異常に高い圧力によって生じる。緑内障は60歳を超える人の失明の主要な原因の1つである。緑内障はあらゆる年齢層で発生する可能性があるが、高齢者でより一般的である。いくつかの実施形態において、上記緑内障は、慢性緑内障としても知られる原発性緑内障である。原発性緑内障は、眼圧(IOP)として知られる眼内の過剰な圧力によって起こる。この圧力の上昇は、通常、眼内の体液の不適正な排出が原因である。いくつかの実施形態において、上記緑内障は続発性緑内障である。続発性緑内障とは、眼圧の上昇という特定可能な原因があり、それにより視神経損傷及び視覚喪失が生じる、いずれかの形態の緑内障を指す。いくつかの実施形態において、上記緑内障は血管新生緑内障であり、血管新生緑内障は、一般的には、虹彩上及び眼の排水路上の新たな血管の異常な形成に起因する。上記新たな血管は、眼の液体が線維柱帯網を通って出て行くのを妨げ、眼圧の上昇を起こす。血管新生緑内障は常に他の異常、最も多くの場合は糖尿病を伴う。いくつかの実施形態において、上記緑内障は、眼内の液体の排出角が開いたままである開放隅角(広角、慢性単純)緑内障であり、あまり一般的ではないタイプとしては、閉塞隅角(狭隅角、急性うっ血性)緑内障及び正常眼圧緑内障が挙げられる。開放隅角緑内障は時間をかけてゆっくりと進行し、疼痛はない。周辺視力が低下し始め、続いて中心視力が低下し、治療を受けなければ失明に至る場合がある。いくつかの実施形態において、上記緑内障は閉塞隅角緑内障である。閉塞隅角緑内障は、徐々にまたは突然に現れる場合がある。閉塞隅角緑内障が突然現れると、重度の目の痛み、かすみ目、瞳孔の中等度の拡大、目の充血、吐き気を伴う場合がある。緑内障による視力喪失は、一度発症すると永続する。早期に治療すれば、薬物療法、レーザー治療、または手術によって疾患の進行を遅らせるまたは停止させることが可能である。治療の目標は眼圧を低下させることである。
【0217】
いくつかの実施形態において、上記個体は、単位用量のrAAV粒子の投与の直前約12週間(例えば、約3ヶ月または約4ヶ月)の間に、抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による少なくとも1回の以前の治療(例えば、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回の、またはそれを超える治療)を受けている。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与の直前約12週間(例えば、約3ヶ月または約4ヶ月)の間に、一方の眼及び/または対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による2回または3回の以前の治療を受けていた。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による少なくとも約1回、少なくとも約5回、少なくとも約10回、少なくとも約20回、少なくとも約30回、少なくとも約40回、少なくとも約50回、少なくとも約60回、少なくとも約70回、少なくとも約80回、少なくとも約90回、少なくとも約100回、少なくとも約110回、少なくとも約120回、またはそれよりも多くの以前の治療を受けていた。いくつかの実施形態において、上記個体は、約2週間、約3週間、4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、またはそれを超える、一方の眼及び/または対側の眼に対する計算された抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、及び/またはアフリベルセプト)注射間隔を有していた。いくつかの実施形態において、上記個体は、約5~7週間、約4~10週間、約4~7週間、または約4~6週間の、一方の眼及び/または対側の眼に対する算出された抗VEGF(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、及び/またはアフリベルセプト)注射間隔を有していた。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前の少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約15日間、少なくとも約16日間、少なくとも約17日間、少なくとも約18日間、少なくとも約19日間、または少なくとも約20日間のいずれかの間、一方の眼及び/または対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療を受けていた。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前の約7日間、約10日間、または約14日間にわたって、一方の眼及び/または対側の眼に抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療を受けていた。いくつかの実施形態において、以前の治療は、抗VEGF剤の眼内注射、網膜下注射または硝子体内注射を含む。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤は、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプトである。いくつかの実施形態において、抗VEGF剤はアフリベルセプトである。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前約12ヶ月の間に、一方の眼及び/または対側の眼に対して抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療を1回から20回の間(例えば、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、10回、11回、12回、13回、14回、15回、16回、17回、18回、19回、または20回のいずれか)受けていた。一部の実施形態では、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与前約12ヶ月の間に、一方の眼及び/または対側の眼に対して抗VEGF剤(例えば、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプト)による以前の治療を約9回または約10回受けていた。
【0218】
いくつかの実施形態において、上記個体は眼疾患に対する以前の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼眼において、以前の眼疾患の治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は以前の抗VEGF治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼において以前の抗VEGF治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は以前のアフリベルセプト治療を受けていない。いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼において以前のアフリベルセプト治療を受けていない。
【0219】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、ファリシマブ、アビシパルペゴル、コンベルセプト、OPT-302、KSI-301、注射用スニチニブマレイン酸塩(GB-102)、PAN-90806(PanOptica)、及び/またはアフリベルセプトによる以前の治療を受けた対象における、眼の疾患または障害を防止または治療する。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法を使用して、ベバシズマブ、ブロルシズマブ、ラニビズマブ、及び/またはアフリベルセプトによる治療に対して応答性の眼の疾患または障害を防止または治療する。
【0220】
いくつかの実施形態において、上記個体は、一方の眼及び/または対側の眼へのrAAV粒子の単位用量の投与の少なくとも1日前、少なくとも1週間前、少なくとも1ヶ月前、少なくとも2ヶ月前、少なくとも4ヶ月前、少なくとも6ヶ月前、少なくとも12ヶ月前、少なくとも18ヶ月前、少なくとも24ヶ月前、少なくとも30ヶ月前、少なくとも36ヶ月前、少なくとも42ヶ月前、少なくとも48ヶ月前、少なくとも54ヶ月前、少なくとも60ヶ月前、少なくとも66ヶ月前、少なくとも72ヶ月前、少なくとも78ヶ月前、少なくとも84ヶ月前、少なくとも90ヶ月前、96ヶ月前、少なくとも102ヶ月前、少なくとも108ヶ月前、少なくとも114ヶ月前、少なくとも120ヶ月前、少なくとも126ヶ月前、少なくとも132ヶ月前、またはそれよりも前に、眼疾患の診断を受けている。
【0221】
以下の説明は、当業者が種々の実施形態を作出し、使用することを可能にするために示すものである。特定のデバイス、技法、及び適用の説明は単に例として提示される。本明細書に記載の実施例に対する種々の修飾が当業者には容易に明らかになり、また、本明細書において定義されている一般原則を、種々の実施形態の主旨及び範囲から逸脱することなく、他の実施例及び用途に適用することができる。したがって、種々の実施形態は、本明細書に記載され示されている実施例に限定されるものではなく、請求項に矛盾しない範囲と一致するものである。
【実施例】
【0222】
実施例1:糖尿病黄斑浮腫を有する対象におけるAAV2.7m8-アフリベルセプト第2相、多施設、ランダム化、二重盲検、実薬対照試験
本実施例では、糖尿病黄斑浮腫を有する対象におけるAAV2.7m8-アフリベルセプトの単回硝子体内(IVT)注射の持続性を評価するために設計された第2相、多施設、ランダム化、二重盲検、実薬対照試験について記載する。
【0223】
I.試験の目的及びエンドポイント
A.主要目的
本試験の主要目的は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの単回IVT注射の持続性を評価することであった。
【0224】
B.副次目的
本試験の副次目的は以下を含んでいた:
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの安全性及び忍容性の評価。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの黄斑浮腫に対する効果の評価。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの最高矯正視力(BCVA)に対する効果の評
価。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの糖尿病網膜症重症度尺度(DRSS)スコアに対する効果の評価。
・レスキューアフリベルセプト(2mg IVT)の必要性の評価。
・AAV2.7m8-アフリベルセプト投与前の先行するアフリベルセプトの用量(2mg IVT)の評価。
・AAV2.7m8-アフリベルセプトの視覚を脅かす合併症(前眼部血管新生、硝子体出血、または牽引性網膜剥離)の発生に対する効果の評価。
【0225】
C.主要エンドポイント
本試験の主要エンドポイントは、試験を行う眼に関する、以下のいずれかの出現率によって定義される糖尿病黄斑浮腫(DME)疾患活動性の悪化までの時間であった:
・SD-OCTによって評価して、1日目または第4週に記録された2つのCST測定値のうちの小さい方と比較して中心領域網膜厚(CST)の>50μmの増加。
・DME疾患活動性の悪化に起因する、1日目または第4週に記録された2つのBCVA測定値のうちの大きい方と比較してBCVAの>5文字の減少。
【0226】
D.副次的エンドポイント
本試験の副次的エンドポイントは、試験を行う眼(別段の指定がない限り)についての転帰の評価基準に基づき、以下を含んでいた:
・眼の及び眼以外の有害事象(AE)の発生率及び重症度。
・第48週を通した経時的な、CST及び黄斑体積のベースラインからの変化。
・第48週を通した経時的な、BCVAのベースラインからの変化。
・試験中の経時的な試験を行う眼へのレスキューアフリベルセプト(2mg IVT)の頻度。
・第48週を通した経時的な、DRSSスコアの2段階の改善及び3段階の改善の発生率。
・第48週を通した経時的な、DRSSスコアの2段階の悪化及び3段階の悪化の発生率。
・第48週を通した経時的な、視覚を脅かす合併症(前眼部血管新生、硝子体出血、または任意の他の高リスク増殖性糖尿病網膜症(DR)、または牽引性網膜剥離)の発生。
・第48週を通した経時的な、CST<300μmの発生率。
・第48週を通した経時的な、身体検査、眼の検査、イメージング、及び臨床評価による臨床的に意味がある所見の発生率。
【0227】
II.試験集団
A.組み入れ基準
試験を行う眼への以前の抗VEGF治療の注射を最大2回受けていた、新たに診断されたDME(すなわち、スクリーニングの6ヶ月以内のDME診断)を有する対象が以下の組み入れ基準を満たした場合、その対象を本試験に含めた:
・年齢≧18歳。
・1型または2型糖尿病。
・中心窩を含む糖尿病黄斑浮腫に起因する視覚機能障害。
・スクリーニング時の視覚:
*試験を行う眼:BCVAがETDRSで78~50文字、包括的(概算のスネレン等価視力20/32~20/100)。
*試験を行わない眼:BCVAがETDRSで35文字またはそれよりも多く(概算のスネレン等価視力20/200またはそれよりも良好)。
・Heidelberg Spectralis(登録商標)を使用してスクリーニング来訪時の試験を行う眼のCST≧325μm、中心窩に及ぶIRF(中心窩1mm)。
・主にDMEに起因するものと判定された、試験を行う眼の視覚の減少。
・スクリーニングから6ヶ月以内の最初のDME診断。
・試験を行う眼への抗VEGFの最大2回の以前の注射(0回、1回、または2回)。
*以前の抗VEGFが試験を行う眼に投与されている場合、意味のあるCST応答(例えば、≧10%の減少)がなければならず、抗VEGFに対する有害反応(例えば、炎症)があってはならない。
・試験を行う眼への最後の抗VEGF注射と1日目のランダム化の間に最低60日の間隔。
【0228】
B.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす対象は本試験から除外された:
・ランダム化6ヶ月以内に実証された抗AAV2.7m8中和抗体力価>1:125。
・以前の眼の遺伝子治療。
・アフリベルセプト、コルチコステロイド、または血管造影に使用されるフルオレセイン色素もしくはナトリウムフルオレセインに対するアレルギーの履歴(治療を適用できる軽症アレルギーは許容された)。
・投薬の6ヶ月以内の以下の心血管疾患のいずれかの履歴またはエビデンス:
*重症心疾患(例えば、New York Heart Association[NYHA]Functional Class IIIまたはIV)または不安定狭心症の臨床的なエビデンス。
*急性冠状動脈症候群、心筋梗塞または冠状動脈血管再生、脳血管発作(CVA)、一過性脳虚血発作(TIA)。
*継続治療が必要な心室頻脈性不整脈、または管理されていない不整脈。
*スクリーニング期間内のBP降下薬の使用にもかかわらず、収縮期血圧(SBP)>160mmHgまたは拡張期血圧(DBP)>100mmHgと定義される管理されていない高血圧。BP降下薬が必要であった場合、対象は、ランダム化前の連続した30日間、安定した用量の同一の薬の投与を受けているべきであった。
・進行中の出血障害のあらゆる履歴。アスピリンまたは他の抗凝固薬(例えば、第Xa因子阻害剤)の使用は除外基準としなかった。
・HbA1c>10%と定義される管理されていない糖尿病;またはランダム化前3ヶ月以内の糖尿病性ケトアシドーシスの履歴;または、直近3ヶ月以内に、集中的なインスリンによる治療(ポンプまたは多数回の毎日の注射)が開始されたかもしくは今後3ヶ月以内にその予定があった対象。
・全身性ステロイド薬または免疫抑制治療(例えば、メトトレキサート、アダリムマブ)による治療を必要とする全身性自己免疫疾患の履歴。
・黄斑浮腫を引き起こすことが分かっている全身性薬物(例えば、フィンゴリモド(fi
ngolomod)、タモキシフェン、クロロキン/ヒドロキシクロロキン)またはあらゆる以前の全身性の抗VEGF治療。
・HIV陽性が分かっていることまたは活動性ウイルス性肝炎(C型肝炎に対する治療後に治癒が実証されている場合を除く);梅毒の分かっている履歴
・推定CrCl<30mL/分(コッククロフト・ゴールト算出による)によって示される重症腎機能障害が分かっていること;試験期間中に血液透析の必要性または必要性が予測されること。
・ランダム化前1週間以内のあらゆる熱性の疾病。
【0229】
さらに、試験を行う眼に関して以下の眼に関する除外基準のいずれかを満たす対象は本試験から除外された:
・スクリーニング時に、以下と定義される高リスク増殖性糖尿病網膜症(PDR):あらゆる硝子体または網膜前出血、臨床検査で標準のETDRS 7-視野と等価の面積内で>1/2乳頭面積の他の箇所の血管新生、または臨床検査で>1/3乳頭面積の乳頭の血管新生。
・試験を行う眼に対するあらゆる以前の焦点もしくは格子状レーザー光凝固術またはあらゆる以前の汎網膜光凝固術(PRP)。
・ランダム化前の60日間のあらゆる抗VEGF治療(最大2回の以前の抗VEGF注射は許容されたが、前の60日間に行われたものであってはならない)。
・前眼部血管新生(例えば、虹彩の血管新生[NVI]もしくは血管新生緑内障[NVG])、著しい硝子体出血、血管結合組織増殖または牽引性網膜剥離の履歴。
・黄斑浮腫または視力障害に寄与すると考えられる中心窩の構造的異常(例えば、濃くて硬い滲出液、色素異常、中心窩萎縮、硝子体黄斑牽引または網膜上膜)の臨床検査またはOCTでの検査によるエビデンス。
・試験を行う眼に関して、加齢黄斑変性症(いずれかの眼におけるもの)、網膜静脈閉塞症、網膜動脈閉塞症、病理的近視などを含めた糖尿病網膜症以外の網膜疾患の履歴。
・視覚の改善の潜在性を低下させる可能性があるあらゆる現在のDME以外の眼の疾患もしくはその履歴、交絡を生じさせる黄斑の評価または試験中の医学的もしくは外科的介入の必要(例えば、著しい白内障、黄斑牽引)またはあらゆる後嚢下白内障のエビデンス。
・1日目の前3ヶ月以内の白内障摘出術またはイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)嚢切開術の履歴。
・試験を行う眼における網膜剥離(修復を伴うまたは伴わない)の履歴。
・線維柱帯切除術または緑内障シャント術または低侵襲性緑内障手術(MIGS)の履歴。
・硝子体切除術または他のろ過手術の履歴。
・無水晶体または前房眼内レンズの存在。
・ランダム化の時点での試験を行う眼における管理されていない高眼圧症または緑内障(抗緑内障薬による治療にもかかわらずIOP>22mmHgと定義される)または現時
点で>2のIOP降下薬の使用。
・あらゆる任意の眼の状態に対する眼内または眼周囲のステロイド治療(例えば、IVT Triesence、IluvienまたはOzurdex)の履歴。
・スクリーニングの前90日の期間内の屈折矯正手術。
・以前の全層角膜移植術、内皮角膜移植術、または眼への放射線照射。
・あらゆる以前の硝子体網膜外科手術。
【0230】
さらに、試験を行う眼または試験を行わない眼(すなわち「もう片方の眼」)に関して以下の眼に関する除外基準のいずれかを満たす対象は本試験から除外された:
・消散した軽症の予測された手術後の炎症以外のぶどう膜炎または眼内炎症(ごくわずかなまたはそれを超えるグレード)のあらゆる履歴。
・局所ステロイド投与に関連するIOP上昇の履歴。
・ウイルス性ぶどう膜炎、網膜炎または角膜炎を含めた眼の単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、またはサイトメガロウイルス(CMV)の分かっている履歴。
・結膜炎、霰粒腫または著しい眼瞼炎を含めた外眼部感染症のエビデンス。
・眼トキソプラズマ症の履歴。
【0231】
III.試験設計
A.試験治療
本試験は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの0.10mLでの単回IVT注射の有効性、安全性、及び忍容性を評価するために設計された、多施設、ランダム化、二重盲検、対照、並行群間試験であった。2用量のAAV2.7m8-アフリベルセプトが調査された。
【0232】
スクリーニングの6ヶ月以内にDMEの最初の診断を受けており、以前の抗VEGF治療の注射を最大2回受けている対象が登録に適格であった。
【0233】
適格の対象およそ33名を、2用量のAAV2.7m8-アフリベルセプト(6×101vg/眼もしくは2×1011vg/眼)のうちの1種の投与を受けるように、または、先行するアフリベルセプト注射を伴って眼へのニセ(sham)注射を受ける対照アームにランダム化した。AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与を受けるように割り当てられた対象を、先行するアフリベルセプトまたは眼へのニセ注射を受けるようにさらにランダム化した。試験アームを以下に要約する:
・アーム1(n=6):対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与を6×1011vg/眼の用量で受け、先行するアフリベルセプト投薬を伴う。
・アーム2(n=6):対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与を6×1011vg/眼の用量で受け、先行するアフリベルセプト投薬を伴わない。
・アーム3(n=6):対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与を2×1011vg/眼の用量で受け、先行するアフリベルセプト投薬を伴う。
・アーム4(n=6):対象は、AAV2.7m8-アフリベルセプトの投与を2×1011vg/眼の用量で受け、先行するアフリベルセプト投薬を伴わない。
・アーム5(n=9):対象は、アフリベルセプトのみを受ける(実対照)。
【0234】
治療の割り当ての盲検化を維持するために、1日目の先行するアフリベルセプトなしのアームまたは8日目のAAV2.7m8-アフリベルセプトなしのアームに割り当てられた対象は、対応する来訪時に眼へのニセ注射の投与を受けた。対象当たり一方の眼のみを、試験を行う眼として選択した。両方の眼が適格である場合、BCVAが悪い方の眼を、試験を行う眼として選択した。
【0235】
AAV2.7m8-アフリベルセプト及びアフリベルセプトのどちらもIVT注射によって投与した。活動性炎症が存在する場合にはIVT注射を実施しなかった。ポビドンヨードを用いた無菌技法を局所または結膜下麻酔と共に使用した。眼へのニセ注射手順は同じ条件下で行ったが、針を備えていない空のシリンジ(鈍端を使用する)を眼に押し付けて注射を模倣した。
【0236】
本試験におけるアームの要約を表17に示す。
【表10】
【0237】
1日目及び8日目の割り当てられたIVT注射の後、対象全員を第2週、第4週、及び、その後、4週間毎に、1日目の後最大で第48週まで(例えば、第8週、第12週、第16週など)フォローアップした。盲検を維持するために、対象と評価を行う人員のどちらに対しても試験全体を通して治療の割り当てを盲検化した。
【0238】
対象全員をランダム化後48週間にわたって経過観察した。
【0239】
B.予防的な局所ステロイドレジメン
対象全員に予防的な7週間のジフルプレドナート(0.05%;例えば、Durezol)の局所コルチコステロイドレジメンを、1日目に開始して実施した。対象に、ジフルプレドネートを4週間(すなわち、1日目から28日目まで)1日当たり4回(QID)自己投与し、その後、1週間(すなわち、7日間)1日当たり3回(TID)自己投与し、その後、1週間(すなわち、7日間)1日当たり2回(BID)自己投与し、最終的に、1週間(すなわち、7日間)1日当たり1回(QD)自己投与するよう指示した。活動性炎症の存在下では漸減を開始しなかった。炎症の徴候が生じた場合はこのレジメンを延長した。ジフルプレドナートレジメンの要約を表2に示す。
【表11】
【0240】
C.救助治療
第8週に開始して、対象は、以下のいずれかを満たした場合、救助用アフリベルセプトの投与(2mg IVT)を受けた:
・SD-OCTによって評価して、1日目または第4週に記録された2つのCST測定値のうちの小さい方と比較して、CSTの>50μmの増加。
・BCVAの、DME疾患活動性の悪化に起因する、1日目または第4週に記録された2つのBCVA測定値のうちの大きい方と比較して>5文字の低下。
【0241】
活動性炎症を有する眼にはアフリベルセプトを注射しなかった。救助用アフリベルセプト注射の間には最低21日間が必要であった。
【0242】
D.薬物及び治療
試験の間、以下の薬物を禁止した:
・ベバシズマブを含むあらゆる全身性抗VEGF剤。
・黄斑浮腫を引き起こすことが分かっている全身性薬物(例えば、フィンゴリモド、タモキシフェン、クロロキン/ヒドロキシクロロキン)。
・試験薬またはアフリベルセプトIVT 2mg以外の、試験を行う眼へのあらゆる抗VEGF剤。
・試験を行う眼へのIVTステロイド(例えば、OzurdexまたはIlluvien Triesence)。
・全身性免疫抑制剤(例えば、静脈内ステロイド、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロスポリン、アダリムマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト)。吸入または局所ステロイド及びNSAIDは許容された。
【0243】
試験を行う眼に高リスクPDRが発生した対象は、救助用アフリベルセプトの投与を受けた後に汎網膜光凝固(PRP)を受けた。
【0244】
視覚的に著しい白内障を有していた対象は本試験に登録されなかったが、白内障が試験中に発生した場合、試験を行う眼の白内障外科手術を、臨床的に必要が示され、AAV2.7m8-アフリベルセプト投与の>90日後及び/またはアフリベルセプトの最後の注射>7日後に予定される場合には実施することが許可された。
【0245】
他眼(試験を行わない)にDMEが発生した対象は、標準治療を受けることが許可された。
【0246】
IV.試験評価
A.全般的な身体検査及びバイタルサイン
全般的な身体検査(PE)をスクリーニング時及び試験終了(EOS)または早期中止来訪時に実施した。PEは、全身外観、神経、HEENT(頭部、眼、耳、鼻、及びのど)、頸部、心血管、呼吸器、腹部、四肢、皮膚、体重、及び身長についての身体系検査から構成されていた。EOSまたは早期中止来訪時に、身体検査により、スクリーニング検査時以来で対象の健康状態に何らかの変化が生じているかどうかを評価した。標的化身体検査を、AEの評価のために必要に応じて実施した。
【0247】
バイタルサインは、血圧、脈拍数、体温、及び呼吸数から構成されていた。12誘導心電図(ECG)を各対象について、スクリーニング時及びEOSまたは早期中止来訪時に取得した。
【0248】
B.臨床検査、ベクター発現、及び免疫応答
試験のために、以下の臨床検査を実施した:化学的検査、全血球計数、HbA1c、尿検査、及びHLA-B27遺伝子型決定。
【0249】
対象の試料(血液及び/または房水の両方)を採取して、以下を測定した:
・AAV2.7m8に対する全抗体:血清を全抗AAV2.7m8抗体に関してELISAアッセイで測定した。
・AAV2.7m8に対する中和抗体:血清を中和性抗AAV2.7m8抗体に関して細胞に基づくアッセイで測定した。
・抗アフリベルセプト抗体:血清をアフリベルセプトに対する液性免疫応答に関してELISAアッセイで測定した。
・アフリベルセプトタンパク質発現:血清及び房水試料を採取し、アフリベルセプトタンパク質の存在を確認するためにMesoScale Discoveryアッセイで測定した。
・細胞媒介性免疫応答:AAV2.7m8カプシドタンパク質及びアフリベルセプトタンパク質に対する細胞性免疫をELISPOTアッセイで測定した。
C.全眼科検査
【0250】
試験評価には眼科学的検査、眼圧(IOP)、及び間接検眼が含まれていた。
【0251】
上記眼科検査は、眼及び付属器の外診、眼瞼/瞳孔応答性に関する常套的なスクリーニング(眼瞼下垂、異常な瞳孔形状、瞳孔不同、光に対する反応の異常、及び求心性瞳孔障害を含む、但しこれらに限定はされない)、ならびに細隙灯検査(眼瞼、結膜、角膜、水晶体、虹彩、前房)から構成されていた。細隙灯検査により眼の前側の構造を検査し、あらゆる所見のグレード分類のために使用した。いずれかの来訪時の細隙灯検査の間に何らかの所見が認められた場合には、重症度をグレード分類し、所見を臨床的に意味があるものまたは臨床的に意味がないものとして記載した。
【0252】
IOP測定をゴルドマン眼圧計またはTono-pen(商標)を使用して実施した。同じIOP測定の方法を個々の対象それぞれに対して試験全体を通して使用した。いずれのIVT注射の前及び眼を散大させる前にも、試験全体を通して同一の方法を使用してIOP測定を実施した。1日目及び8日目の来訪では、注射前及び注射後(注射の30分後)のIOP測定が必要であった。
【0253】
散大間接検眼試験には、硝子体、視神経、周辺網膜、及び網膜の脈管構造の後眼部の異常の評価が含まれていた。いずれかの来訪時の検眼鏡検査の間に何らかの所見が認められた場合にも、重症度をグレード分類し、所見を臨床的に意味があるものまたは臨床的に意味がないものとして記載した。1日目及び8日目の来訪では、注射前及び注射後の間接検眼評価が必要であった。
【0254】
D.屈折及び視力
屈折及びBCVAを測定した。視力測定値は、眼を散大させる前に、開始距離4メートルで測定した。
E.画像診断
【0255】
スペクトラルドメイン光干渉断層法(SD-OCT)は、干渉縞パターンのスペクトル分析によって後方散乱光の大きさ及び遅延にコード化された深さ分解された組織構造情報を提供する、インターフェロメトリー技法である。対象が試験のランダム化前の来訪時に抗VEGF注射を受ける場合、これらの来訪でのOCTを収集し、中央読み取り施設に送付した。
【0256】
光干渉断層血管造影法(OCT-A)は、網膜及び脈絡膜の容積3次元マップならびに血流に関する情報を提供する画像診断技術である。OCT-Aには、掃引供給源とスペクトラルドメインの2つの型が存在する。利用可能な場合には掃引供給源画像診断を使用した。掃引供給源機器が利用不能であり、且つスペクトラルドメイン機器が利用可能である場合には、スペクトラルドメイン機器を使用した。
【0257】
網膜、視神経乳頭、及び黄斑の超広視野眼底デジタル写真画像を収集するための標準化された手順に従った。さらに、虹彩の写真を散大前に取得した。
【0258】
色素追跡法を使用して網膜循環及び血管透過性を検査するための標準化された手順に従った。これは、ナトリウムフルオレセインを体循環中に注入し、その後、網膜に波長490nmの青色光を照射した後に放出された蛍光をデジタル撮影することによって血管造影図を得ることを含んでいた。
F.臨床検査、バイオマーカー、及び他の生物学的検体
【0259】
房水試料を採取し、アフリベルセプト、VEGF-A、中和抗体(NAb)、及び追加的なバイオマーカーのレベルに関して分析を行った。硝子体液試料を取得し、アフリベルセプト濃度及び他のバイオマーカー関して分析を行った。
G.安全性
【0260】
試験治療の実施後に、全ての臨床的に意味がある有害事象(AE)が報告された。a)最後の試験来訪の30日後のAE報告期間終了まで、またはb)いずれの継続している、試験治療に関連するAE及び/または重篤なAE(SAE)が消散するかまたは安定するまで、各対象を経過観察した。いずれのDMEに関連した臨床的に意味がある安全性評価も、対象の疾病に関して予測されたものよりも重症であると判断されない限り、AEまたはSAEとして報告されなかった。試験下での疾患の進行は有効性に関する転帰として捕捉された。
【0261】
本試験に関する特に関心が高い有害事象としては以下が挙げられた:
・視覚を脅かす有害事象:有害事象は、以下の基準の1つ以上が満たされた場合に、視覚を脅かすものとみなされた:
*以前の来訪と比較してBCVAの≧30文字の低下が生じた。
*恒久的な視覚喪失を防止するために、外科的または医学的介入(すなわち、従来の外科手術、硝子体切除術)が必要であった。
*重症眼内炎症(すなわち、眼内炎、4+前房内細胞/フレア、または4+硝子体細胞)が生じた。
【0262】
上記に挙げた視覚を脅かす有害事象の全てが、重篤な有害事象として報告され、事象の根本原因(分かっている場合)を主要な事象用語として列挙した。
H.有効性
【0263】
DMEの治療におけるAAV2.7m8-アフリベルセプトの有効性を以下の尺度によって評価した。BCVA及びSD-OCTエンドポイントのベースライン値とは、アフリベルセプトIVTまたはニセの眼への注射が投与された1日目の来訪時に取得された、治療前の測定値を指していた。
・BCVA:視覚を、ETDRSスコア(正確に読み取られた文字の数)として表されるBCVAによって主として評価した。対象のETDRSスコアのベースラインと比較した低下が15文字未満の場合には、視覚の維持に分類した。算出されたエンドポイントには、ベースラインからの平均の変化、ベースラインと比較して少なくとも15文字増加した割合、及びベースラインと比較して15文字以上低下した増加が含まれていた。
・中心領域網膜厚:認可された設備及び標準の技法を使用し、SD-OCTを実施して、厚さ及び液をベースライン値と比較して評価した。エンドポイントにはCST及び黄斑体積が含まれていた。
・アフリベルセプトによる再治療:AAV2.7m8-アフリベルセプトによる治療後に行われたアフリベルセプト注射の経時的な頻度及びタイミング。
・各時点について、超広視野カラー眼底撮影を使用して糖尿病網膜症重症度尺度(DRSS)を測定し、1日目と比較した。
・超広視野画像診断及び臨床検査によって測定された視覚を脅かす合併症(前眼部血管新生、糖尿病黄斑浮腫、高リスクPDR発生、硝子体出血、または牽引性網膜剥離)。
【0264】
I.統計解析
主要解析集団には、8日目に試験治療(AAV2.7m8-アフリベルセプトIVTまたはニセの眼への注射)を受けたランダム化された対象の全てが含まれていた。全ての安全性及び有効性に関する変数を治療アーム毎に記述的に要約した。平均値、標準偏差(SD)、中央値、及び範囲を連続変数として示し、頻度計数及びパーセンテージをカテゴリカル変数として示した。平均値及びパーセンテージの信頼区間を90%レベルと95%レベルの両方でした。カプラン・マイヤー生存解析を利用して、DME疾患悪化の最初の出現までの時間中央値を引き出した。試験中に各対象が投与を受けた全ての救助アフリベルセプト(2mg IVT)を、再発性事象についての統計学的モデルを使用してまとめた。経時的な平均累積関数(MCF)曲線を注射の平均累積数についてプロットした。反復測定のための混合効果モデル(MMRM)を使用して、経時的なBCVA及びCSTの変化に対する治療の効果を調査した。経時的なDRSSの変化に対する治療の効果を、カテゴリカル転帰に関する全般混合モデルを使用して調査した。全ての対象を24週間経過観察した後に、暫定解析(IA)を行った。
【0265】
V.結果
アーム1の糖尿病性黄斑浮腫(OU)を有する56歳のアメリカインディアンまたはアラスカ先住民女性の1人の対象(例えば、6E11ベクターゲノムの用量のAAV2.7m8-アフリベルセプトによる治療を受けた)は、この研究における試験薬対シャムに対してランダム化されてから約30週間後に、重症の低血圧の有害事象を経験した。現在の治験薬概要書(第4.0版)によれば、この治験薬に関し低血圧は予想外である。この患者は引き続き試験に残留し、治療と綿密な経過観察を続けた。臨床的炎症の兆候がない場合でも、IOP≦10mmHgが観測された場合には、ステロイド療法の開始が推奨された。
【0266】
本開示を明確な理解のために、実証及び例示として一部の詳細に説明しているが、詳細な説明及び実施例は本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきものではない。本明細書に引用される全ての特許文献及び科学文献の開示は、明示的にそれらの全体が援用される。
【配列表】
【国際調査報告】