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特表2024-515461パフ情報を提供するエアロゾル発生装置
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  • 特表-パフ情報を提供するエアロゾル発生装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】パフ情報を提供するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/50 20200101AFI20240403BHJP
   A24F 40/60 20200101ALI20240403BHJP
【FI】
A24F40/50
A24F40/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558290
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2022061077
(87)【国際公開番号】W WO2022229200
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21171107.2
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブーフィギル, レイス スリマン
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC37
4B162AD06
4B162AD12
4B162AD13
4B162AD32
(57)【要約】
エアロゾル発生装置(1)は、蒸気吸入セッションの期間中の逐次のパフを通じてユーザにより吸入され得るエアロゾルへとエアロゾル形成物質を変換するために配置されるエアロゾル発生ユニット(2)と、当該装置(1)に関する情報を通知するために配置される通知ユニット(3)と、上記エアロゾル発生ユニット(2)が次のパフに向けて適切な状態に達した際にユーザに対し通知を行うことを、蒸気吸入セッションの期間中に、上記通知ユニット(3)に行わせるために配置される制御ユニット(4)とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置(1)であって、
蒸気吸入セッションの期間中の逐次のパフを通じてユーザにより吸入され得るエアロゾルへとエアロゾル形成物質を変換するために配置されるエアロゾル発生ユニット(2)と、前記装置(1)に関する情報を通知するために配置される通知ユニット(3)と、
を備え、
前記エアロゾル発生ユニット(2)が次のパフに向けて適切な状態に達した際に前記ユーザに対し通知を行うことを、前記蒸気吸入セッションの期間中に、前記通知ユニット(3)に行わせるために配置される制御ユニット(4)、をさらに備える、
エアロゾル発生装置(1)。
【請求項2】
前記制御ユニットは、選択されるパラメータを使用して前記エアロゾル発生ユニットが次のパフに向けて適切な状態に達したことを判定するように動作可能であり、選択される前記パラメータは、前記蒸気吸入セッションの開始からの経過時間が増加するにつれて変化する、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記制御ユニット(4)は、前記エアロゾル発生ユニット(2)が前記適切な状態に達するまでの待ち時間を通知することを前記通知ユニット(3)に行わせる、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記制御ユニット(4)は、前記蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて徐々に増加する待ち時間を通知することを前記通知ユニット(3)に行わせる、請求項3に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記制御ユニット(4)は、前記適切な状態の種類に依存して前記増加を判定するために配置され、前記種類は、適切な香味及び適切な発生エアロゾル量を含む群から選択される、請求項4に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記エアロゾル発生ユニット(2)の温度を表す値を判定するために配置される測定ユニット(16)をさらに備え、前記制御ユニット(4)は、判定される前記値が所定の条件を満たす場合に前記ユーザに対し通知を行うことを前記通知ユニット(3)に行わせる、請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記制御ユニット(4)は、判定される前記値が最後のパフ以降の選択される値に達した際に前記ユーザに対し通知を行うことを前記通知ユニット(3)に行わせ、選択される前記値は、前記蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化する、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記制御ユニット(4)は、判定される前記値が最後のパフ以降の選択される値に達してから、選択される時間長が経過した際に、前記ユーザに対し通知を行うことを前記通知ユニット(3)に行わせる、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
選択される前記時間長は、前記蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化する、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記制御ユニット(4)は、判定される前記値が最後のパフ以降の選択される値の増分に相当する際に前記ユーザに対し通知を行うことを前記通知ユニット(3)に行わせる、請求項6に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
選択される前記値の増分は、前記蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化する、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記通知ユニット(3)は、表示メッセージ及び/又は音声メッセージ及び/又は触覚フィードバックの手段により前記ユーザに対し通知を行うために配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記制御ユニット(4)は、所定の期間にわたって前記ユーザに対する通知を続けることを前記通知ユニット(3)に行わせる、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記所定の期間は、前記蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化する、請求項13に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
電気エネルギーを蓄積する充電式電源(9)をさらに備える、請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置に関し、より詳細には、蒸気吸入セッションの期間中の情報通知に関する。
【背景技術】
【0002】
あるエアロゾル発生装置は、蒸気吸入セッション(vaping session)の期間中の逐次のパフ(又は吸入段階)を通じてユーザにより吸入され得るエアロゾルへとエアロゾル形成物質を変換するために配置されるエアロゾル発生ユニットと、エアロゾル発生装置に関する情報を通知するために配置される通知ユニットとを備える。
【0003】
この種類のエアロゾル発生装置が携帯型であり、即ちユーザにより保持されたときに使用可能であるならば、それは、エアロゾルを発生させるためのエアロゾル発生ユニットにより使用される、おそらくは充電可能であり且つ電気エネルギーを蓄積するバッテリ(又は電源)をさらに備える。このケースにおいて、エアロゾル発生装置は、気化器又は電子タバコであるかもしれない。
【0004】
以下の説明において、「エアロゾル形成物質」という用語は、空気中にエアロゾル化させてエアロゾルを形成できるあらゆる物質を指すために使用される。エアロゾル形成物質は、例えば、液体形態、固体形態、又は半液体形態であってもよい。したがって、エアロゾル形成物質は、液体、ゲル、ペースト、若しくはワックスなど、又はこれらの任意の組み合わせであり得る。
【0005】
エアロゾル形成物質は、ニコチン、ポリオール、カフェイン、又は他の有効成分のうちの1種以上を含み得る。有効成分は、例えばプロピレングリコール又はグリセリンを含み得る担体により担持され得る。香料もまた、エアロゾル形成物質内に存在してよい。この香料は、例えば、エチルバニリン(バニラ)、メントール、酢酸イソアミル(バナナ油)又は類似物を含み得る。
【0006】
さらに、以下の説明において、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴及び気体の1つ又は複数として物質の懸濁液も含み得る。そのような懸濁液は、空気を含む気体の状態であり得る。ここでのエアロゾルは、概して、蒸気への言及であってもよく、又は蒸気を含んでもよく、エアロゾル形成物質の1種以上の成分を含み得る。
【0007】
利用可能なエアロゾル形成物質の量は限られており(典型的には、蒸気吸入セッションの期間中に20回未満の吸入段階(又はパフ))、蒸気吸入セッションの期間中のエアロゾルの発生は永続的ではない。実際、エアロゾル発生ユニットのヒータには、予熱段階後に、吸入段階(又はパフ)の開始が検出された時点で(即ち、ユーザが吸入を開始する度に)、エアロゾル生成に適合された電力だけが供給される。
【0008】
各吸入段階の間、ヒータに供給する電力はほぼ一定のままであり、その一方で、利用可能なエアロゾル形成物質の量は、各吸入段階後に減少する。そのため、相前後するパフの間の時間間隔が大まかに変化するにつれ、同じ蒸気吸入セッションのパフからパフにかけて、おそらくは顕著に、エアロゾルの温度、及び/又はエアロゾルの香味、及び/又はエアロゾル成分の割合、及び/又は望ましくないエアロゾル成分のレベル、及び/又はエアロゾルの量が変化し得る。換言すれば、2回の逐次のパフ間のエアロゾルの適切な発生を可能にするのにユーザが十分な時間を取らないか又は時間を取り過ぎるため、1つ又は複数のエアロゾルパラメータが蒸気吸入セッションの期間中に最適ではなくなることが多い。そのため、出力に一貫性が無いことで、ユーザに不快感を感じさせることになりかねない。
【0009】
特許文献である米国特許出願公開第2020/0000143A1号明細書で説明されているように、ユーザがエアロゾル発生装置の使用を開始したときに、スマートフォンとエアロゾル発生装置が事前にペアリングされていると、スマートフォンの画面上でパフ間の時間間隔に関する情報をユーザに提供することが可能である。しかしながら、このような解決策は、ユーザのスマートフォンがエアロゾル発生装置の通信範囲内にあることを必要とし、エアロゾル発生装置での次のパフの準備がいつ実質的に完了するかをユーザに正確に示さない。換言すれば、この解決策は、蒸気吸入セッションの期間中の出力の一貫性の無さを回避するものではない。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明の目的は、その状況を改善することである。
【0011】
提案される発明は、特に、蒸気吸入セッションの期間中の逐次のパフを通じてユーザにより吸入され得るエアロゾルへとエアロゾル形成物質を変換するために配置されるエアロゾル発生ユニットと、このエアロゾル発生装置に関する情報を通知するために配置される通知ユニットとを備える、エアロゾル発生装置の実施形態を提供する。
【0012】
このエアロゾル発生装置は、エアロゾル発生ユニットが次のパフに向けて適切な状態に達した際にユーザに対し通知を行うことを、蒸気吸入セッションの期間中に、通知ユニットに行わせるために配置される制御ユニット、をさらに備えることを特徴とする。
【0013】
即ち、エアロゾル発生装置が蒸気吸入セッションの初回のパフに向けて適切な状態に達した際にユーザに対し通知を行うことに加えて、制御ユニットは、エアロゾル発生ユニットが後続の各パフに向けて適切な状態に達した際にユーザに対し通知を行うことを、蒸気吸入セッションの期間中に、通知ユニットに行わせる。そのため、ユーザは、蒸気吸入セッションの期間中に、エアロゾル発生装置での次のパフの準備がいつ完了するかを常に把握し、これにより、出力の一貫性の無さを著しく低減し、さらには防止することが可能となる。
【0014】
エアロゾル発生装置の実施形態は、以下で定義するように、別個に又は組み合わせて考慮される他の態様又は特徴を含み得る:
・制御ユニットは、選択されるパラメータを使用してエアロゾル発生ユニットが次のパフに向けて適切な状態に達したことを判定するように動作可能であり得る。選択されるパラメータは、例えば、当該蒸気吸入セッションの開始からの経過時間が増加するにつれて変化し、例えば増加してもよい。
・第1の実施例では、選択されるパラメータは、最後のパフ以降の時間であってよく、制御ユニットは、エアロゾル発生ユニットが適切な状態に達するまでの待ち時間を通知することを通知ユニットに行わせ得る;
・この第1の実施例では、制御ユニットは、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて徐々に増加する待ち時間を通知することを通知ユニットに行わせ得る(即ち、最後のパフ以降の時間は、第1のパフと第2のパフとの間の時間が第2のパフと第3のパフとの間の時間よりも短くなるように、蒸気吸入セッションが進行するにつれて増加し得る)。例えば、制御ユニットは、上記適切な状態の種類に依存して増分を判定するために配置されてもよく、この種類とは、適切な香味及び適切な発生エアロゾル量からなる群から選択される;
・第2の実施例では、エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生ユニットの温度を表す値を判定するために配置される測定ユニットをさらに含み得る。この場合、選択されるパラメータは、選択される値であってよく、制御ユニットは、判定される値が所定の条件を満たす場合にユーザに対し通知を行うことを通知ユニットに行わせ得る;
・この第2の実施例では、制御ユニットは、判定される値が最後のパフ以降の選択される値に達した際にユーザに対し通知を行うことを通知ユニットに行わせ得る。例えば、この選択される値は、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化し得る;
・第1の変形例では、選択されるパラメータは、選択される値に達してからの選択される時間長であってよく、制御ユニットは、判定される値が最後のパフ以降の選択される値に達してからの選択される時間長が経過した際にユーザに対し通知を行うことを通知ユニットに行わせ得る。例えば、この選択される時間長は、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化し得る;
・第2の変形例では、選択されるパラメータは、選択される値の増分であってよく、判定される値が最後のパフ以降の選択される値の増分に達した際にユーザに対し通知を行うことを通知ユニットに行わせ得る。例えば、この選択される値の増分は、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化し得る;
・通知ユニットは、表示メッセージ及び/又は音声メッセージ及び/又は触覚フィードバックの手段によりユーザに対し通知を行うために配置され得る;
・制御ユニットは、所定の期間にわたってユーザに対する通知を続けることを通知ユニットに行わせ得る。例えば、この所定の期間は、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化し得る;
・エアロゾル形成物質は、タバコ材料又は少なくとも1種のポリオールを含み得る;
・エアロゾル発生装置は、電気エネルギーを蓄積する充電式電源をさらに含み得る;
・エアロゾル発生装置は、電子タバコを構成し得る。
【0015】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、且つ添付の図面を参照して記述される以下の詳細な説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明によるエアロゾル発生装置の実施例を概略的且つ機能的に示す。
図2】本発明によるエアロゾル発生装置に属する制御ユニットの実施例を概略的且つ機能的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、特に、蒸気吸入セッションの期間中にエアロゾル発生装置1での次のパフの準備がいつ実質的に完了するかをユーザに通知することが可能なエアロゾル発生装置1を提供することを目的とする。
【0018】
以下の説明では、エアロゾル発生装置1が電子タバコであると考えられる。但し、本発明によるエアロゾル発生装置1は、蒸気吸入セッションの期間中の逐次のパフを通じてユーザにより吸入され得るエアロゾルへとエアロゾル形成物質を変換するために配置される限り、別の種類のものであってもよいであろう。そのため、例えば、エアロゾル発生装置1は、吸入器であってもよいであろう。
【0019】
「エアロゾル形成物質」は、液体、ゲル、ペースト、若しくはワックスなど、又はこれらの任意の組み合わせであってよく、ニコチノイド、ポリオール、カンナビノイド、若しくはカフェイン、及び/又は香料などの1種以上の成分を含み得ることが想起される。例えば、エアロゾル形成物質は、タバコ材料を含み得る。例えば、エアロゾル前駆体であるポリオールは、グリセリン又はプロピレングリコールでもあり得る。エアロゾル形成物質が液体である場合、エアロゾル形成物質は、多孔質構造又は海綿状構造を有する吸収性材料中に保持され得る。このような吸収性材料は、例えば、多孔質セラミック、耐熱性ポリマー発泡体又は多孔質セルロースビーズを含み得る。
【0020】
「エアロゾル」という用語は、物質の懸濁液を固体(非常に微細な)粒子、液滴、蒸気及び気体の1つ又は複数として含み得ることと、空気を含む気体中にそのような懸濁液が存在し得ることも想起される。
【0021】
図1に示すように、本発明による、エアロゾル発生装置1は、少なくともエアロゾル発生ユニット2と、通知ユニット3と、制御ユニット(又はコントローラ)4とを備える。
【0022】
エアロゾル発生ユニット2は、蒸気吸入セッションの期間中の逐次のパフを通じてユーザにより吸入され得るエアロゾルへとエアロゾル形成物質5を変換するために配置される。
【0023】
例えば、エアロゾル形成物質5は、消耗品6内に収容されてよく、消耗品6は、消耗品6内のエアロゾル形成物質5がなくなったときにユーザによって手動で交換されなければならない。この消耗品6は、エアロゾル発生ユニット2の専用空洞7内に手動で設置されることができる。
【0024】
例えば、図1に示すように、この専用空洞7は、エアロゾル発生ユニット2の加熱チャンバ15により画定され得る。
【0025】
エアロゾル形成物質5は、(燃焼せずに)加熱されて空気と混合されたときにエアロゾルを発生させるように配置される。この加熱は、電源9から生じる電気エネルギーを供給されるヒータ8により行われる。このヒータ8は、エアロゾル発生ユニット2に属する。
【0026】
図1に示す非限定的な例では、ヒータ8は、加熱チャンバ15を取り囲み、よってエアロゾル形成物質5を含む領域内の専用空洞7を取り囲む。例えば、ヒータ8は、加熱チャンバ15の側壁と内部容積(即ち、専用空洞7)の少なくとも一部とを加熱するために、加熱チャンバ15の外面の周りに巻かれた薄膜ヒータであってもよい。例えば、このヒータ8は、エアロゾル形成物質5を150℃~350℃の温度で加熱してもよい。
【0027】
但し、ある変形例において、ヒータ8は、加熱チャンバ15内、したがって専用空洞7内に位置してもよい。
【0028】
例えば、電源9は電気的な制御装置10に属し、当該装置10は通知ユニット3及び制御ユニット4をも備える。
【0029】
また、例えば、電源9は、充電式電池であってもよい。この場合、電気的な制御装置10の本体は、充電式電池9の充電セッション中に充電器ケーブルが接続され得る電気コネクタを含み得る。そのような充電器ケーブルは、(AC)アダプタ又は壁コンセントに結合され得る。充電器ケーブル及び/又は(AC)アダプタは、エアロゾル発生装置1に属し得る。
【0030】
エアロゾル発生ユニット2は、電気的な制御装置10に結合されるか又は(図1の非限定的な例に示すように)電気的な制御装置10に備えられる。
【0031】
発生したエアロゾルは、エアロゾル発生ユニット2の出口11を通して、蒸気吸入セッションのパフ中に(吸入されるように)ユーザによって吸引されることができる。図1の非限定的な例では、この出口11は、消耗品6内に画定される。しかしながら、これは必須ではない。より正確には、この例では、消耗品6は、例として、エアロゾル冷却領域12とフィルタ13とを含む。エアロゾル冷却領域12は、消耗品6の長さの一部にわたって延び、消耗品6の中空管状部分14を含む。この中空管状部分14は、(エアロゾル形成物質5を加熱することにより発生した)エアロゾルが、中空管状部分14の側部から漏出せずに、消耗品6を通過することを可能にする。エアロゾル冷却領域12は加熱領域と重ならないので、エアロゾルが、エアロゾル冷却領域12内でも加熱され続けることはない。加えて、中空管状部分14は、エアロゾル冷却領域12内の熱消失をさらに加速させるように構成され得る。例えば、エアロゾルから熱を奪って消耗品6の他の領域に伝導することにより。エアロゾル冷却領域12の長さ及び中空管状部分14の寸法は、使用時に、発生するエアロゾルをユーザによる吸入に望ましい温度範囲で一貫して提供できるように構成される。加えて、エアロゾル冷却領域12を含む消耗品6は、発生したエアロゾルが、別の方法で可能となる温度に比べて所望の温度に冷却されるので、エアロゾル冷却領域のない消耗品6よりも短い長さで提供することができる。結果として、より短い消耗品6を収容するために、より小さな加熱チャンバ15が必要となる。エアロゾル形成物質5は、加熱チャンバ15内に位置する消耗品6の端部であって、出口11から最も離れた消耗品6の端部に配置される。フィルタ13は、出口11を含む消耗品6の反対側の端部に配置される。エアロゾル冷却領域12は、エアロゾル形成物質5とフィルタ13との間に消耗品30の長さに沿って延びる。これにより、使用時に、発生したエアロゾルが、ユーザによる吸入前に十分に冷却され得ることが確実になる。他の例では、消耗品6は、フィルタ13を含まなくてもよく、又は消耗品6全体にわたって配置される追加の構成要素をさらに含んでもよい。
【0032】
消耗品6及び加熱チャンバ15は、消耗品6と加熱チャンバ15との間に空気流路25を画定するように構成される。使用時に、即ち、ユーザが、消耗品6から発生したエアロゾルを吸入すると、これにより、空気が、開口部26を通って加熱チャンバ15に流入し、空気流路25を通過して、エアロゾル形成物質5に到達することが可能となる。空気流路25は、加熱領域を通るので、流入空気が消耗品6に流入する前に流入空気に予熱効果を与える。これにより、エアロゾル発生装置1の加熱効率がさらに高められ、動作に必要な電力が低減される。
【0033】
通知ユニット3は、エアロゾル発生装置1に関する情報を通知するために配置される。
【0034】
制御ユニット4は、エアロゾル発生ユニット2が次のパフに向けて適切な状態に達した際にユーザに対し通知を行うことを、蒸気吸入セッションの期間中に、通知ユニット3に行わせるために配置される。
【0035】
そのため、本発明により、蒸気吸入セッションの期間中に、ユーザは、ユーザのエアロゾル発生装置1での次のパフの準備がいつ完了するか(又は完了するであろうか)を示すパフ情報を受け取り、これにより、出力の一貫性の無さを著しく低減し、さらには防止することが可能となる。
【0036】
「適切な状態」という用語は、ここでは、蒸気吸入セッションの全てのパフに大きな変化がないことを可能にするエアロゾル発生装置1の状態を意味する。
【0037】
制御ユニット4は、非限定的に示すように、空気流路25内に、例えばエアロゾル形成物質5の下方に位置決めされ得る吸入センサ20が送信する信号により、各吸入段階(又はパフ)の開始及び終了を知らされ得る。この吸入センサ20は、例えば、流量若しくは圧力センサ又はマイクロフォン又はさもなければ温度の低下を検出するサーミスタであり得る。
【0038】
第1の実施例では、制御ユニット4は、例えば、エアロゾル発生ユニット2が適切な状態に達するまでの待ち時間を通知することを通知ユニット3に行わせ得る。そのため、制御ユニット4は、各パフの後、エアロゾル発生ユニット2がいつ再び適切な状態になるかを推定し、次いで、この推定から待ち時間を推測する。
【0039】
この第1の実施例では、制御ユニット4は、例えば、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて徐々に増加する待ち時間を通知することを通知ユニット3に行わせ得る。換言すれば、経過時間が長くなるほど、利用可能なエアロゾル形成物質5の量が少なくなるので、適切なエアロゾルを発生させるのに必要な時間が長くなると考えられる。
【0040】
一例において、制御ユニット4は、適切な状態の種類に依存して待ち時間の増分を判定するために配置され得る。この種類とは、例えば、適切な香味と適切な発生エアロゾル量との中から選択され得るパラメータである。
【0041】
変形例において、又は追加的に、待ち時間の増分は、例えばエアロゾル形成物質5の種類又は物理的状態に依存してもよい。この物質の種類又は物質の物理的状態は、別のパラメータである。
【0042】
そのため、制御ユニット4は、1つ又は複数のパラメータを有する予め決定される数式の手段により、待ち時間を決定するように配置され得る。
【0043】
また、第2の実施例では、エアロゾル発生装置1は、エアロゾル発生ユニット2の温度を表す値を判定するために配置される測定ユニット16を含んでもよい。この場合、制御ユニット4は、判定される値が所定の条件を満たす場合にユーザに対し通知を行うことを通知ユニット3に行わせ得る。そのため、この第2の実施例では、(第1の実施例のように)エアロゾル発生ユニット2が再び適切な状態になる時間ではなく、エアロゾルの温度が、エアロゾル発生ユニット2の状態の適否を判定するために考慮される。
【0044】
例えば、測定ユニット16は、温度値を決定する温度センサであり得る。しかしながら、温度を間接的に表す他の物理パラメータを使用することも可能である。
【0045】
また、例えば、測定ユニット16は、エアロゾル発生ユニット2の専用空洞7内で、例えば加熱チャンバ15の内壁上でその値を判定してもよい。但し、ある変形例において、測定ユニット16は、専用空洞7の外面上で、例えば加熱チャンバ15の外壁上でその値を判定してもよいであろう。
【0046】
第2の実施例のあるオプションにおいて、制御ユニット4は、測定ユニット16により判定される値が最後のパフ以降の選択される値に達した際にユーザに対し通知を行うことを通知ユニット3に行わせ得る。例えば、この選択される値が、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化してもよい。ここで考えられることとして、経過時間が長くなるほど利用可能なエアロゾル形成物質5の量は少なくなるので、適切なエアロゾルを発生させるための温度は高くなる。
【0047】
第2の実施例の別のオプションにおいて、制御ユニット4は、判定される値が最後のパフ以降の選択される値に達してからの選択される時間長が経過した際にユーザに対し通知を行うことを通知ユニット3に行わせ得る。例えば、この選択される時間長が、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化してもよい。
【0048】
第2の実施例のさらに別のオプションにおいて、制御ユニット4は、判定される値が最後のパフ以降の選択される値の増分に相当する際にユーザに対し通知を行うことを通知ユニット3に行わせ得る。例えば、この選択される値の増分が、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化してもよい。
【0049】
留意すべきこととして、通知ユニット3は、表示メッセージ及び/又は音声メッセージ及び/又は触覚フィードバックの手段によりユーザに対し通知を行うために配置され得る。
【0050】
メッセージを表示するには、エアロゾル発生装置1が、蒸気吸入セッション又はあり得る充電セッションの期間中にエアロゾル発生装置1の動作に関する任意の情報をユーザに提供するために使用されるユーザインタフェース画面を含むことを要する。このケースにおいて、好ましくは、通知ユニット3がこのユーザインタフェース画面を含む。例えば、表示メッセージは、「1秒」又は「あと2秒で次のパフ」又は「OK」又は「パフOK」又は「準備完了」又は「次のパフの準備完了」といった種類のものであってよい。
【0051】
音声メッセージを流すには、エアロゾル発生装置1がスピーカを含むことを要し、このスピーカは、蒸気吸入セッション又はあり得る充電セッションの期間中にエアロゾル発生装置1の動作に関する情報の少なくとも一部をユーザに提供するために使用されるユーザインタフェースの一部であってもよく、又は上記通知にとって専用のものに過ぎなくてもよい。そのため、通知ユニット3がこのユーザインタフェースのスピーカ又は専用スピーカを含んでもよい。例えば、流される音声メッセージは、「1秒」又は「あと2秒で次のパフ」又は「OK」又は「パフOK」又は「準備完了」又は「次のパフの準備完了」といった種類のものであってよい。
【0052】
触覚フィードバックは、上記通知にとって専用のものに過ぎなくてもよく、又は蒸気吸入セッション若しくはあり得る充電セッションの期間中にエアロゾル発生装置1の動作に関する情報の少なくとも一部をユーザに提供するために使用されるユーザインタフェースの一部であってもよい。そのため、通知ユニット3がこのユーザインタフェースの触覚フィードバック又は専用の触覚フィードバックを含んでもよい。例えば、触覚フィードバックは、エアロゾル発生装置1での次のパフの準備が完了したこと又はあと1秒若しくは2秒で完了することを示す振動、或いはユーザが次のパフを開始するまで待たなければならない秒数を示す数の逐次的な振動を発生させてもよい。
【0053】
また、制御ユニット4が、所定の期間にわたってユーザに対する通知を続けることを通知ユニット3に行わせてもよいことに留意すべきである。例えば、この所定の期間が、蒸気吸入セッションの開始からの経過時間に応じて変化してもよい。
【0054】
図2に示すように、制御ユニット(又はコントローラ)4は、少なくともプロセッサ17及びメモリ18を備えてよく、これらは、蒸気吸入セッションの期間中に通知ユニット3及びエアロゾル発生ユニット2(及び特にそのヒータ8)を制御し、及び、あり得る充電セッションの期間中に電源9を制御するための動作を行うように配置される。
【0055】
例えば、プロセッサ17は、デジタル信号プロセッサ(即ちDSP)、又は特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)であってもよい。より一般的には、プロセッサ17は、複数の集積(若しくはプリント)回路、又は有線若しくは無線の接続を介して、それらの間に接続されたいくつかの集積(若しくはプリント)回路を含み得る。「集積(又はプリント)回路」という用語は、ここでは、少なくとも1つの電気的な又は電子的な動作を実行することが可能な任意の種類の装置を指す。
【0056】
また、例えば、メモリ18は、ランダムアクセスメモリ(即ちRAM)であってもよい。但し、メモリは、プロセッサ17のためのプログラム命令を記憶するように配置される任意の種類の装置であってもよい。
【0057】
概していうと、制御ユニット(又はコントローラ)4の機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御と専用ロジックとの相互作用を通して、又は(ユーザによる)手動でも実行され得る。これらの機能は、専用ハードウェア及び適切なソフトウェアと連携してソフトウェアを実行可能なハードウェアの使用を通して提供され得る。
【0058】
図1の非限定的な例に示すように、制御ユニット(又はコントローラ)4(並びに特にそのプロセッサ17及びメモリ18)は、(ここでは電気的な制御装置10の本体内に収納された)プリント回路基板(又はPCB)19上に固定され得る。通知ユニット3もまた、通知ユニット3と制御ユニット(又はコントローラ)4との接続を容易にし簡略化するために、このプリント回路基板19上に少なくとも部分的に固定され得る。しかしながら、通知ユニット3は、任意の場所に位置決めされるようにフレキシブル回路の配線によりプリント回路基板19に接続された通知ユニット3自体のプリント回路基板を有し得る。
【0059】
図2に示すように、制御ユニット(又はコントローラ)4は、プロセッサ17及びメモリ18に加えて、入力インターフェース21をも含んでもよく、入力インターフェース21は、特に吸入センサ20により伝達される信号及びあり得る測定ユニット16により判定される値を受け付け、おそらくは追加のデジタル信号プロセッサ22の手段により、当業者に既知の方式で、おそらくは当該信号及び値を処理し及び/又は復調し及び/又は増幅した後、それらを計算式及び処理で使用するためのものである。また、制御ユニット4は、特に任意の有用な時間(特に蒸気吸入セッションの開始時間、及び各パフの開始時間と終了時間)、並びに、その計算式及び処理の最中に生成される中間データをも記憶するための、大容量メモリ23を含み得る。また、制御ユニット4は、通知ユニット3、エアロゾル発生ユニット2(特にそのヒータ8)及び(電源9に蓄積された)電力をエアロゾル発生ユニット2及び通知ユニット3に供給する電子的構成要素(スイッチなど)を少なくとも制御するためのメッセージ及び命令を伝達するための出力インターフェース24をも含み得る。
【0060】
図1及び図2のいくつかのブロック図は、本明細書において本発明の原理を具現化する例示的回路の概念図を表すことが当業者によって理解されるべきである。
【0061】
説明及び図面は、単に発明の原理を説明する。したがって、本明細書に明示的に説明又は図示されていないが、本発明の原理を具現化し、その趣旨及び範囲内に含まれる様々な構成を、当業者が考案できることを理解されたい。さらに、本明細書に列挙された全ての例は、主に本発明の原理と当技術分野を促進するために本発明者が寄与する概念とを読み手が理解することを補助する単なる教示の目的のためのものであるように明示的に意図され、そのような具体的に列挙された例及び条件に限定するものではないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様及び実施形態を列挙する本明細書の全ての記載、並びにそれらの具体例は、その均等物を包含するように意図される。
図1
図2
【国際調査報告】