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特表2024-515463障害者用の補助運動トレーニング装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】障害者用の補助運動トレーニング装置
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/035 20060101AFI20240403BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A63B23/035 Z
A61H1/02 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558420
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022057394
(87)【国際公開番号】W WO2022200296
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】21163978.6
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523360315
【氏名又は名称】メイド フォー ムーブメント グループ エーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロムベルク,フレドリック,ガルトシュタイク
(72)【発明者】
【氏名】トゥヴァ-ステンスランド,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リンダース,アンドレ
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA03
4C046AA09
4C046AA22
4C046AA25
4C046AA27
4C046AA45
4C046BB01
4C046BB02
4C046BB07
4C046CC01
4C046CC04
4C046DD08
4C046DD12
4C046DD14
4C046DD16
4C046DD33
4C046DD35
4C046DD38
4C046DD39
4C046DD41
(57)【要約】
本発明は医療デバイスの分野に関する。詳細には、本発明は、体の筋肉を鍛え、強くするために患者又は障害者などの対象者の運動を補助するための装置(10)に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための装置(10)であって、
細長いベース、及び前記装置の前部に配置される直立支持部材(31)を有するフレームと、
臀部支持体(21)、背部支持体(22)、上半身固定デバイス(24)及び切替え機構(23)を備える支持ユニット(2)であって、前記臀部支持体(21)及び前記背部支持体(22)の位置を、少なくとも二つの状態、すなわち、前記臀部支持体(21)が前記背部支持体(22)に対して実質的に垂直である座位状態と、前記臀部支持体(21)が前記背部支持体(22)に対して実質的に平行であり、好ましくは前記臀部支持体(21)が前記背部支持体(22)と一列に並んでいる立位状態との間で、及びその逆に選択的に切り替えるように前記切替え機構(23)が構成されている、前記支持ユニット(2)と、
対象者のそれぞれの脚に対して、フットファスナ(33)と、脚固定デバイス(34)と、細長いバーのアセンブリからなる運動機構(32)とを備える運動補助ユニットであって、前記細長いバーは、前記直立支持部材(31)に回動自在に結合され、前記直立支持部材(31)から下方へ実質的に垂直に延びる少なくとも一本の垂直バー(321)、及び、前記装置の反対端に回動自在に結合され、前記細長いベースに沿って実質的に水平に延びる少なくとも一本の水平バー(322)を含み、前記アセンブリ(321、322)によって楕円脚運動経路を実現することができるような態様で互いに蝶番式に接続されており、前記フットファスナ(33)及び前記脚固定デバイス(34)が前記水平バー(322)上に配置されている、前記運動補助ユニットと、
を備え、
前記脚固定デバイス(34)が、シャックル(341)及び高さ調整機構(342)を備え、前記切替え機構(23)が前記座位状態と前記立位状態との間で切り替わるときに前記シャックル(341)が前記対象者の脚を膝の回動軸点のところで固定するような態様で、前記高さ調整機構(342)が、前記シャックル(341)の高さを、前記対象者の膝関節に隣接する位置、好ましくは前記対象者の膝関節よりも低い位置に調整するように構成されており、前記運動補助ユニットが、それぞれのシャックル(341)に接続された引張り機構を備え、前記引張り機構が、一方のシャックル(341)が前方へ移動するときにもう一方のシャックル(341)を後方へ引っ張り、それによって交互脚運動を提供するように構成されている、
装置(10)。
【請求項2】
前記支持ユニット(2)が回転可能ベース(26)上に装着されており、前記回転可能ベース(26)は、対象者の乗り込みのために少なくとも前記臀部支持体(21)及び前記背部支持体(22)を横に向けることができるような態様で前記支持ユニット(2)を前記装置の垂直軸の周りで回転させるように構成されている、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記脚固定デバイス(34)が回動機構(343)を備え、前記回動機構(343)は、少なくとも二つの位置、すなわち前記対象者の脚を固定するための内向き位置と前記対象者の脚を解放するための外向き位置との間で前記シャックル(341)を回転させることができるような態様で前記シャックル(341)を前記高さ調整機構(342)の縦軸の周りで回転させるように構成されており、好ましくは、前記回動機構(343)は、前記少なくとも二つの位置のうちの一つの位置で前記シャックル(341)をロックするように構成されているロック部材(345)を備える、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記脚固定デバイス(34)が、前記対象者の足首の高さのところで前記フットファスナ(33)に回転可能に接続された傾け機構(344)を備え、前記傾け機構(344)は、足首の回転軸の周りで前記シャックル(341)を傾けるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記脚固定デバイス(34)が、前記対象者の膝の過伸張を防ぐために前記シャックル(341)が少なくとも後方へ傾くことを防ぐように構成されたストップ部材(346)を備え、前記ストップ部材(346)は、前記傾け機構(344)よりも下に配置されており、前記傾け機構(344)よりも下に延びる前記脚固定デバイス(34)の部分と接触するように構成されている、請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記傾け機構(344)が、少なくとも二つの位置、すなわち前記対象者の脚を入れるための下向き位置と前記対象者の脚を固定するための上向き位置との間で前記シャックル(341)を前方へ傾けるように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記シャックル(341)が少なくとも部分的に開端型であり、堅い外ピースと柔軟な内ピースとからなり、前記内ピースは、前記対象者の脚に加わる圧力を低減させるために前記外ピースに向かって移動するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記切替え機構(23)が、隣接する少なくとも二本のロッドのアセンブリ、すなわち上ロッド(231)と下ロッド(232)とのアセンブリを備え、前記少なくとも二本のロッドは、両端において、前記臀部支持体(21)及び前記背部支持体(22)に回転可能に、垂直平行四辺形を形成するように斜角で接続されており、それによって、前記アセンブリ(231、232)の回転は、前記臀部支持体(21)を傾け、同時に前記背部支持体(22)を持ち上げて、前記立位状態では一列に並ぶようにし、前記座位状態では交差するようにする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記切替え機構が、前記回転可能ベース(26)の回転をロックするように構成されている、移動可能に配置されたロック部材(261)を備え、前記ロック部材(261)は、前記アセンブリ(231、232)の方へバイアスがかけられており、前記切替え機構(23)が前記座位状態にあるときにロック解除するように構成されている、請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記上半身固定デバイスが、前記背部支持体(22)の両側に配置された少なくとも二つの側方係合部材(24)を備え、前記側方係合部材(24)は、前記対象者の上半身の腕の下の部分と側方に、好ましくは同時に、係合するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記引張り機構が、前記装置の後部に配置された旋回体(323)を備え、前記旋回体(323)は、その両端に配置された少なくとも二つのワイヤアタッチメント(324)を有し、それぞれのシャックル(341)が、接続ワイヤによって別個のワイヤアタッチメント(324)に、それぞれのシャックルの運動が前記旋回体(323)の回転に結び付けられるような態様で接続されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記引張り機構が張力付与機構(325)を備え、前記張力付与機構(325)は、前記細長いベースの縦軸に沿って前記旋回体(323)の位置を調整して前記対象者の脚に加わる張力を設定するように構成されている、請求項11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記装置が、少なくとも一つの収納可能車輪(5)及び収納機構(51)を備え、前記収納機構(51)は、前記車輪(5)を可逆的に伸展及び収納するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記収納機構(51)が、前記旋回体(323)上に配置されたロック部材(52)に接続されており、前記ロック部材(52)は、前記旋回体(323)の位置が前記張力付与機構(325)によって調整されたときに前記収納機構(51)をロックするように構成されている、請求項12と13の組合せに記載の装置(10)。
【請求項15】
トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置(10)の使用。
【請求項16】
前記対象者が、障害者又は運動障害者であり、好ましくは、脳性麻痺、後天性脳及び/若しくは脊髄損傷、神経障害、多発性硬化症、脊椎披裂又は運動障害状態の影響を受けた障害者又は運動障害者である、請求項15に記載の装置(10)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医療デバイスの分野に関する。詳細には、本発明は、体の筋肉を鍛え、強くするために患者又は障害者の運動を補助するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下半身の制御が制限された軽度から重度の障害者は、直立位置まで体を起こすこと、及び歩行又は運動を開始することの困難を経験する。これらの人々は、脳性麻痺、後天性脳及び/又は脊髄損傷、神経障害、多発性硬化症、脊椎披裂を含むさまざまな状態の影響を受けていることがある。その結果、これらの人々はしばしば、身体運動をほとんど又は全くしない生活様式を余儀なくされる。
【0003】
長期の身体不活動及び脚筋肉の伸張の欠如は、その結果として、筋肉の萎縮が進むことになる。したがって、身体トレーニングを全くしない場合、これらの人々は、より進行性の筋肉弱化を受けるだけでなく、血行不良、心血管疾患、骨強度の低下、消化不良、睡眠の乱れ、痛みを伴う痙縮、気分的及び精神的な低い幸福感などによる二次的健康問題も発現する。本技術分野では、障害者を活動的に保つことを目指し、不動を防止すること、筋力を増大させること、血行を改善すること、痙縮を低減させることなどによって筋肉が虚弱になることを防ぐことを目指す物理療法が推奨されている。
【0004】
欧州特許第2134308号は、異なるタイプの歩行運動をシミュレートすることによって障害者トレーニングを実施するための装置を記載している。しかしながら、この装置では、そばからの補助、例えば保健医療専門家による補助なしで障害者が乗り込み、自身を固定することが難しい。さらに、この装置の構成も、障害者の個々のニーズに合わせ、例えば使用者の身体、性別及び障害の程度に基づいてトレーニングを調整することを難しくしうる。その結果、使用者及び補助者にとって、装置設定を開始並びに/又は調整することが骨の折れるものになることがある。したがって、当技術分野におけるこれらの課題に対する解決策を提供する、改良された運動補助装置が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、対象者がトレーニングするための本開示に記載された運動補助装置を提供することによって、上で識別した当技術分野の課題に対する解決策を提供することにある。この運動補助装置は、ユーザフレンドリネス、及び装置と係わりを持ち、限られた補助でトレーニングプログラムを調整する人への対象者のアクセスを改善することができる。さらに、本発明の装置は、トレーニングプログラムに対する対象者の愛着を改善しうる改善された快適性を提供することができ、それによってより良好な健康改善に帰着することができる。本発明の装置の実施形態によってもたらされる追加の利点は本開示の全体を通じて論じられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下では、最初に、本発明のさまざまな態様の概要を示し、次いで、特定の実施形態をさらに詳細に説明する。最初に示すこの概要は、本明細書を読んでいる人が技術的発想をより迅速に理解する一助となることが意図されており、その鍵となる特徴又は本質的な特徴を識別することは意図されておらず、本明細書の主題の範囲を限定することも意図されていない。
【0007】
本開示の一態様は、トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための装置10であって、細長いベース、及び上記装置の前部に配置される直立支持部材31を有するフレームと、臀部支持体21、背部支持体22、上半身固定デバイス24及び切替え機構23を備える支持ユニット2であって、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22の位置を、少なくとも二つの状態、すなわち、上記臀部支持体21が上記背部支持体22に対して実質的に垂直である座位状態と、上記臀部支持体21が上記背部支持体22に対して実質的に平行であり、好ましくは上記臀部支持体21が上記背部支持体22と一列に並んでいる立位状態との間で、及びその逆に、選択的に切り替えるように切替え機構23が構成されている、上記支持ユニット2と、対象者のそれぞれの脚に対して、フットファスナ33と、脚固定デバイス34と、細長いバーのアセンブリからなる運動機構32とを備える運動補助ユニットであって、上記細長いバーは、上記直立支持部材31に回動自在に結合され、上記直立支持部材31から下方へ実質的に垂直に延びる少なくとも一本の垂直バー321、及び上記装置の反対端に回動自在に結合され、上記細長いベースに沿って実質的に水平に延びる少なくとも一本の水平バー322を含み、上記アセンブリ321、322によって楕円脚運動経路を実現することができるような態様で互いに蝶番式に接続されており、上記フットファスナ33及び上記脚固定デバイス34が上記水平バー322上に配置されている、上記運動補助ユニットと、を備え、上記脚固定デバイス34が、シャックル(shackle)341及び高さ調整機構342を備え、上記切替え機構23が上記座位状態と上記立位状態との間で切り替わるときに上記シャックル341が対象者の脚を膝の回動軸点のところで固定するような態様で、上記高さ調整機構342が、上記シャックル341の高さを、対象者の膝関節に隣接する位置、好ましくは対象者の膝関節よりも低い位置に調整するように構成されており、上記運動補助ユニットが、それぞれのシャックル341に接続された引張り機構を備え、上記引張り機構が、一方のシャックル341が前方へ移動するときにもう一方のシャックル341を後方へ引っ張り、それによって交互脚運動を提供するように構成されている、装置10に関する。
【0008】
本開示の別の態様は、トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための装置10であって、細長いベース、及び上記装置の前部に配置される直立支持部材31を有するフレームと、臀部支持体21、背部支持体22、上半身固定デバイス及び切替え機構23を備える支持ユニット2であって、上記支持ユニット2が回転可能ベース26上に装着されており、上記回転可能ベース26は、対象者の乗り込みのために(対象者がデバイスに乗り込むことを可能にするために)少なくとも上記臀部支持体21及び上記背部支持体22を横に向けることができるような態様で上記支持ユニット2を上記装置の垂直軸の周りで回転させるように構成されており、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22の位置を、少なくとも二つの状態、すなわち、上記臀部支持体21が上記背部支持体22に対して実質的に垂直である座位状態と、上記臀部支持体21が上記背部支持体22に対して実質的に平行であり、好ましくは上記臀部支持体21が上記背部支持体22と一列に並んでいる立位状態との間で、及びその逆に、選択的に切り替えるように上記切替え機構23が構成されている、上記支持ユニット2と、対象者のそれぞれの脚に対して、フットファスナ33と、脚固定デバイス34と、細長いバーのアセンブリからなる運動機構32とを備える運動補助ユニットであって、上記細長いバーは、上記直立支持部材31に回動自在に結合され、上記直立支持部材31から下方へ実質的に垂直に延びる少なくとも一本の垂直バー321、及び上記装置の反対端に回動自在に結合され、上記細長いベースに沿って実質的に水平に延びる少なくとも一本の水平バー322を含み、上記アセンブリによって楕円脚運動経路を実現することができるような態様で互いに蝶番式に接続されており、上記フットファスナ33及び上記脚固定デバイス34が上記水平バー322上に配置されている、上記運動補助ユニットと、を備え、上記脚固定デバイス34が、シャックル341及び高さ調整機構342を備え、上記切替え機構23が座位状態と立位状態との間で切り替わるときに上記シャックル341が対象者の脚を膝の回動軸点のところで固定するような態様で、上記高さ調整機構342が、上記シャックル341の高さを、対象者の膝関節に隣接する位置、好ましくは対象者の膝関節よりも低い位置に調整するように構成されており、上記運動補助ユニットが、それぞれのシャックル341に接続された引張り機構を備え、上記引張り機構が、一方のシャックル341が前方へ移動するときにもう一方のシャックル341を後方へ引っ張り、それによって交互脚運動を提供するように構成されている、装置10に関する。
【0009】
いくつかの実施形態では、上記脚固定デバイス34が回動機構343を備え、上記回動機構343は、少なくとも二つの位置、すなわち対象者の脚を固定するための内向き位置と対象者の脚を解放するための外向き位置との間で上記シャックル341を回転させることができるような態様で上記シャックル341を上記高さ調整機構342の縦軸の周りで回転させるように構成されており、好ましくは、上記回動機構343は、上記少なくとも二つの位置のうちの一つの位置で上記シャックル341をロックするように構成されているロック部材345を備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、上記脚固定デバイス34が、対象者の足首の高さのところで上記フットファスナ33に回転可能に接続された傾け機構344を備え、上記傾け機構344は、足首の回転軸の周りで上記シャックル341を傾けるように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、上記脚固定デバイス34が、対象者の膝の過伸張を防ぐために上記シャックル341が少なくとも後方へ傾くことを防ぐように構成されたストップ部材346を備え、好ましくは、上記ストップ部材346は、上記傾け機構344よりも下に配置されており、上記傾け機構344よりも下に延びる脚固定デバイス34の部分と接触するように構成されている。
【0012】
いくつかの実施形態では、上記傾け機構344が、少なくとも二つの位置、すなわち対象者の脚を入れるための下向き位置と対象者の脚を固定するための上向き位置との間で上記シャックル341を前方へ傾けるように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、上記シャックル341が少なくとも部分的に開端型(open-ended)であり、堅い外ピースと柔軟な内ピースとからなり、上記内ピースは、対象者の脚に加わる圧力を低減させるために上記外ピースに向かって移動するように構成されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、上記切替え機構23が、隣接する少なくとも二本のロッドのアセンブリ、すなわち上ロッド231と下ロッド232とのアセンブリを備え、上記少なくとも二本のロッドは、両端において、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22に回転可能に、垂直平行四辺形を形成するように斜角で接続されており、それによって、上記アセンブリ231、232の回転は、上記臀部支持体21を傾け、同時に上記背部支持体22を持ち上げて、立位状態では一列に並ぶようにし、座位状態では交差するようにする。
【0015】
いくつかの実施形態では、上記切替え機構が、上記回転可能ベース26の回転をロックするように構成されている、移動可能に配置されたロック部材261を備え、上記ロック部材261は、上記アセンブリ231、232の方へバイアスがかけられており、上記切替え機構23が座位状態にあるときにロック解除するように構成されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、上記上半身固定デバイスが、上記背部支持体22の両側に配置された少なくとも二つの側方係合部材24を備え、上記側方係合部材24は、対象者の上半身の腕の下の部分と側方に、好ましくは同時に、係合するように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、上記引張り機構が、上記装置の後部に配置された旋回体323を備え、上記旋回体323は、その両端に配置された二つのワイヤアタッチメント324を有し、それぞれのシャックル341が、接続ワイヤによって別個のワイヤアタッチメント324に、それぞれのシャックルの運動が上記旋回体323の回転に結び付けられるような態様で接続されている。
【0018】
いくつかの実施形態では、上記引張り機構が張力付与機構325を備え、上記張力付与機構325は、上記細長いベースの縦軸に沿って上記旋回体323の位置を調整して対象者の脚に加わる張力を設定するように構成されている。
【0019】
いくつかの実施形態では、上記装置が、少なくとも一つの収納可能車輪5及び収納機構51を備え、上記収納機構51は、前記車輪5を可逆的に伸展及び収納するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、上記収納機構51が、上記旋回体323上に配置されたロック部材52に接続されており、上記ロック部材52は、上記旋回体323の位置が上記張力付与機構325によって調整されたときに上記収納機構51をロックするように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、対象者が、障害者又は運動障害者であり、好ましくは、脳性麻痺、後天性脳及び/若しくは脊髄損傷、神経障害、多発性硬化症、脊椎披裂又は運動障害状態の影響を受けた障害者又は運動障害者である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の特定の実施形態の図の以下の説明は事実上単なる例であり、以下の説明が、本発明の教示、本発明の教示の用途又は使用を限定することは意図されていない。
図1A】座位状態にある開示された装置10の斜視図である。
図1B】座位状態にある開示された装置10の側面図である。
図2A】座位状態と立位状態との間の移行状態にある開示された装置10の斜視図である。
図2B】座位状態と立位状態との間の移行状態にある開示された装置10の側面図である。
図3A】立位状態にある開示された装置10の斜視図である。
図3B】は立位状態にある開示された装置10の側面図である。
図4A】対象者の乗り込みのための本発明の装置10の斜視図である。
図4B】対象者の乗り込みのための本発明の装置10の上面図である。
図5A】本発明の装置10の切替え機構23及び回転可能ベース26の拡大図である。
図5B】本発明の装置10の切替え機構23及び回転可能ベース26の部分断面図である。
図5C】本発明の装置10の切替え機構23及び回転可能ベース26の断面図である。
図6】支持ユニット2が下げられた位置にある、本発明の装置10の側面図である。
図7A】閉じた位置にある、本発明の脚固定デバイス34の斜視図である。
図7B】部分的に開いた位置にある、本発明の脚固定デバイス34の斜視図である。
図7C】完全に開いた位置にある、本発明の脚固定デバイス34の斜視図である。
図8】対象者の乗り込みのための傾いた位置にある、本発明の脚固定デバイス34の斜視図である。
図9】延長ハンドホルダ35を有する本発明の装置10の斜視図である。
図10】伸展された上昇機構326を有する本発明の装置10の斜視図である。
図11A】伸展された車輪5を有する本発明の装置10の断面図である。
図11B】収納された車輪5を有する本発明の装置10の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明を、特定の実施形態に関して説明する。しかし、本発明は、それらの特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。特許請求の範囲中の参照符号を、その範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0024】
本明細書で使用されるとき、単数形は、文脈からそうでないことが明らかでない限り、単数の指示対象物と複数の指示対象物の両方を含む。
【0025】
本明細書で使用されるとき、用語「備える」、及び「からなる」は、「含む」と同義であり、包括的な又はオープンエンドであり、列挙されていない追加の部材、要素又は方法ステップを排除しない。列挙された部材、要素又は方法ステップに関するとき、用語「備える」、及び「からなる」は、上記列挙された部材、要素又は方法ステップ「からなる」実施形態も含む。
【0026】
さらに、この説明中及び特許請求の範囲中の第一、第二、第三などの用語は、類似の要素を区別するために使用されており、指定されていない限り、それらの用語は必ずしも順序又は時間順を記述するために使用されていない。そのように使用されるこれらの用語は適切な状況下において相互に交換可能であること、及び本明細書に記載された本発明の実施形態は、本明細書に記載又は図示された順序とは別の順序でも機能することができることを理解すべきである。
【0027】
そうではないと規定されていない限り、本発明を開示する際に使用されている、技術及び科学用語を含む全ての用語は、本発明が属する技術分野の技術者が一般的に理解する意味を有する。追加の案内によって、本発明の教示をより十分に理解するために、この説明で使用されている用語に対する定義が含まれる。本明細書で使用されている用語又は定義は単に、本発明の理解を助けるために提供されている。本明細書で引用された全ての文書は、それらの全体が参照によって組み込まれている。
【0028】
端点による数値範囲の列挙は、それぞれの範囲に包含される全ての数値及び部分並びに列挙された端点を含む。
【0029】
用語「約」は、所与の値は端点よりも「少し大きい」か又は端点よりも「少し小さく」てもよいとすることにより、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用されている。特段の記述がない限り、特定の数値又は数値範囲に基づく用語「約」の使用は、用語「約」のない当該数値用語又は範囲をサポートすることも理解すべきである。例えば、便宜上及び簡潔にするために、パラメータ、量、持続時間などの測定可能な値に関するときには、指定された値の+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、よりいっそう好ましくは+/-0.1%以下の変動、又は指定された値から+/-10%以下、好ましくは+/-5%以下、より好ましくは+/-1%以下、よりいっそう好ましくは+/-0.1%以下の変動を包含することが意図され、その限りにおいて、本開示において実行するのにそのような変動は適切である。修飾語「約」が指す値は、その値自体も、明確に且つ好ましく開示されていることを理解すべきである。
【0030】
用語「実質的に」は、動作、特性、属性、状態、構造、アイテム又は結果の完全な又はほぼ完全な度合又は程度に関する。例えば、「実質的に」取り囲まれた物体は、その物体が完全に取り囲まれていること又はほぼ完全に取り囲まれていることを意味することになる。いくつかのケースでは、絶対的完全性からの正確な許容される逸脱の程度が、特定の文脈に依存することがある。しかしながら、一般的に言って、完成に近いということは、絶対的及び全体的完成が得られた場合と同じ全体結果を有するようなものである。「実質的に」の使用は、動作、特性、属性、状態、構造、アイテム又は結果の完全な又はほぼ完全な欠如に関する負の含意において使用されるときにも等しく適用可能である。例えば、粒子を「実質的に含まない」組成物は、完全に粒子を欠いている組成物であるか、又は、その効果が粒子を完全に欠いている場合と同じとなるようなほぼ完全に粒子を欠いている組成物であるかのいずれかであることになる。言い替えると、原料又は要素を「実質的に含まない」組成物はそれでも、その効果が測定可能なものでない限り、そのようなアイテムを実際に含む可能性がある。
【0031】
本明細書の全体を通じて、「一つの実施形態」又は「一実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造体又は特性が、本開示の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の全体を通じたさまざまな位置における句「一つの実施形態では」又は「一実施形態では」の出現は、その全てが同じ実施形態に関するものであるとは限らない。本明細書における句「一つの実施形態では」又は「一つの態様では」の出現は、その全てが同じ実施形態又は態様に関するものであるとは限らない。
【0032】
さらに、一つ以上の実施形態では、当業者には本開示から明白であろう任意の適当なやり方で、特定の特徴、構造又は特性を組み合わせることができる。さらに、本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる一部の特徴を含み、一部の特徴を含まないが、当業者なら理解するとおり、異なる実施形態の特徴の組合せは、本開示の範囲内に含まれること、及び異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、特許請求の範囲及び説明では、特許請求された又は記載された実施形態のうちの任意の実施形態を任意の組合せで使用することができる。
【0033】
本発明の目的は、対象者がトレーニングするための本開示に記載された運動補助装置を提供することによって、上で識別した当技術分野の課題に対する解決策を提供することにある。この対象者は、健康な人間又は異常な健康状態に苦しんでいる患者などの人間とすることができる。対象者は、下半身の制御が制限された運動障害者であることが好ましい。対象者は、軽度から重度の障害者あることが好ましい。対象者は、例えば、脳性麻痺、後天性脳及び/又は脊髄損傷、神経障害、多発性硬化症、脊椎披裂若しくは他の運動障害状態の影響を受けた者とすることができる。
【0034】
本開示に記載された運動補助装置は、ユーザフレンドリネス、及び装置と係わりを持ち、限られた補助でトレーニングプログラムを調整する人への対象者のアクセスを改善することができる。さらに、本発明の装置は、トレーニングプログラムに対する対象者の愛着を改善しうる改善された快適性を提供することができ、それによってより良好な健康改善に帰着することができる。本発明の装置の実施形態によってもたらされる追加の利点は本開示の全体を通じて論じられる。
【0035】
以下では、最初に、装置のさまざまな構成要素の概要を示し、次いで、特定の実施形態をさらに詳細に説明する。最初に示すこの概要は、本明細書を読んでいる人が技術的発想をより迅速に理解する一助となることが意図されており、その鍵となる特徴又は本質的な特徴を識別することは意図されておらず、本明細書の主題の範囲を限定することも意図されていない。
【0036】
さらに、当業者は、さまざまな態様を組み合わせることができることを理解し、特段の記述がない限り、この詳細な説明を読むことに基づいて、さまざまな態様を組み合わせることができることを認識するであろう。そのため、明示の議論なしに、任意の特定の態様の特定の実施形態は別の態様の特定の実施形態を構成することを理解することができる。例えば、デバイスの構成のための実施形態は、上記デバイスの製造のための実施形態、上記デバイスの使用のための実施形態なども構成する。
【0037】
本開示の一態様は、トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための装置10であって、
細長いベース、及び上記装置の前部に配置される直立支持部材31を有するフレームと、
臀部支持体21、背部支持体22、上半身固定デバイス及び切替え機構23を備える支持ユニット2であって、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22の位置を、少なくとも二つの状態、すなわち、上記臀部支持体21が上記背部支持体22に対して実質的に垂直である座位状態と、上記臀部支持体21が上記背部支持体22に対して実質的に平行であり、好ましくは上記臀部支持体21が上記背部支持体22と一列に並んでいる立位状態との間で、及びその逆に、選択的に切り替えるように上記切替え機構23が構成されている、上記支持ユニット2と、
対象者のそれぞれの脚に対して、フットファスナ33と、脚固定デバイス34と、細長いバーのアセンブリからなる運動機構32とを備える運動補助ユニットであって、上記細長いバーは、上記直立支持部材31に回動自在に結合され、上記直立支持部材31から下方へ実質的に垂直に延びる少なくとも一本の垂直バー321、及び上記装置の反対端に回動自在に結合され、上記細長いベースに沿って実質的に水平に延びる少なくとも一本の水平バー322を含み、上記アセンブリによって楕円脚運動経路を実現することができるような態様で互いに蝶番式に接続されており、上記フットファスナ33及び上記脚固定デバイス34が上記水平バー322上に配置されている、上記運動補助ユニットと、
備え、
上記運動補助ユニットが、それぞれの上記脚固定デバイス34に接続された引張り機構を備え、上記引張り機構が、一方の脚固定デバイス34が前方へ移動するときにもう一方の脚固定デバイス34を後方へ引っ張り、それによって交互脚運動を提供するように構成されている、
装置10に関する。
【0038】
次に、添付図を参照して支持ユニット2の構成要素について論じる。図1Aに示されているように、支持ユニット2は、対象者の臀部を支持するための臀部支持体21、及び対象者の背部を支持するための背部支持体22を備えることができる。一実施形態では、臀部支持体21を座部、好ましくは平らな座部とすることができる。好ましくは、腰掛けたときに対象者の脚の少なくとも一部分も支持するために、臀部支持体21は前方へ延びることができる。一実施形態では、背部支持体22を背もたれ、好ましくは平らな背もたれとすることができる。
【0039】
臀部支持体21及び背部支持体22には切替え機構23を接続することができ、切替え機構23は、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22の位置を、少なくとも二つの状態、すなわち、臀部支持体21が背部支持体22に対して実質的に垂直に配置された第一の座位状態(図1A参照)であり、対象者が腰掛けるための着席配置を本質的に形成する第一の座位状態と、臀部支持体21が背部支持体22に対して実質的に平行に配置された第二の立位状態(図3A参照)の間で、及びその逆に、選択的に切り替えるように構成されている。
【0040】
一実施形態では、切替え機構23を、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22の位置を、上述の座位状態と立位状態との間の任意の状態に設定するように構成されたものとすることができる。したがって、切替え機構23は、上記臀部支持体21及び上記背部支持体22の位置を、中間状態などの少なくとも三つの状態間で選択的に切り替えるように構成されたものとすることができる。例えば、図2Aは、図1Aの座位状態と図3Aの立位状態との間の中間状態を示している。
【0041】
一実施形態では、切替え機構23が、隣接して配置された少なくとも二本のロッドのアセンブリ、すなわち上ロッド231と下ロッド232とのアセンブリを備えることができ、これらの少なくとも二本のロッドは、コーナにおいて蝶番式に接続されており、臀部支持体21及び背部支持体22に回転可能に結合されている。これらのロッドの長さは実質的に等しいが、垂直平行四辺形を形成するように、コーナは、互いに対してずらされた位置で臀部支持体21及び背部支持体22に接続されていることが好ましい。臀部支持体から装置支持フレームに向かって斜角で延びる接続構成要素を提供することができ、上記上ロッド321及び上記下ロッド322の端が、この接続構成要素に回転可能に結合できると有利である。その例示的な配置が図1Bに示されている。
【0042】
切替え機構23のロッドのアセンブリの回転は、臀部支持体と背部支持体とが互いに一列に並ぶことができるような態様で、好ましくは、臀部支持体と背部支持体が互いに一列に並んで直線を形成することができるような態様で、臀部支持体21を実質的に90度の角度に沿って回転させ、同時に背部支持体22の位置を上げることができ、このような態様は、対象者の脊柱をより適切に支持することができる。その例示的な配置が図3Bに示されている。さらに、図2Bは、図1Bの座位状態から図3Bの立位状態への移行を示している。
【0043】
一実施形態では、座位をより深くするために、上述のアセンブリの上ロッド231及び下ロッド232の長さを伸長可能とすることができる。このことは、より背の高い対象者の快適性を向上させることがあり、対象者の膝関節の周りの回転が維持されることを保証することがある。互いに摺動可能に係合するように構成された二本以上の相補的ロッドからなることによって、上ロッド231及び下ロッド232は伸縮自在に伸長可能であることが好ましい。任意選択で、上ロッド231及び下ロッド232は、それぞれのロッドを最適な長さのところでロックするための開口を備えることができる。その例示的な実施形態が図5Aに示されている。
【0044】
一実施形態では、支持ユニット2が、対象者の上半身を固定するための上半身固定デバイスを備えることができる。一実施形態では、上半身固定デバイスが、移動可能に配置された少なくとも一つのロック部材を備えることができ、このロック部材は、対象者の上半身と接触し、臀部支持体21及び背部支持体22に対する位置に上半身をロックするように構成されている。例えば、上半身固定デバイスは、ストラップ、ベルト又は他の同種のものを備えることができる。
【0045】
一実施形態では、上半身固定デバイスが、装置の両側、好ましくは背部支持体22の両側に配置された二つ以上の側方係合部材24を備えることができ、側方係合部材24は、対象者の上半身の一部分と好ましくは同時に接触するように構成されており、好ましくは、対象者の腕の下の体側と好ましくは同時に接触するように構成されている。上述の臀部支持体21及び背部支持体22と組み合わせて、側方係合部材24は、座位状態から立位状態への移行中及び/又はトレーニングセッション中に対象者の上半身を完全に支持することができる多点接触配置を形成することができる。
【0046】
上記係合時に対象者の腰を固定するために、側方係合部材24は対象者の腰域の高さに配置されることが好ましい。自然の体形に適合するように側方係合部材24が湾曲していると有利である。好ましい実施形態では、側方係合部材24を、対象者を固定するために内側へ回転し(図1A参照)、対象者を解放するために外側へ回転する(図4A参照)ように構成されたものとすることができる。この配置は、対象者が装置にアクセスする容易さを向上させることができる。
【0047】
一実施形態では、支持ユニット2が、対象者の頭部を支持するための頭部支持体25を備えることができる。一実施形態では、頭部支持体25をヘッドレスト、好ましくは湾曲したヘッドレストとすることができる。頭部支持体25は、背部支持体22が座位状態から立位状態に切り替わるときに背部支持体22と一緒に頭部支持体25が移動するような態様で、背部支持体22の頂部に配置されていることが好ましい。対象者の身長に適合するように、頭部支持体25の位置及び/又は角度を調整することができると有利である。
【0048】
一実施形態では、支持ユニット2を回転可能ベース26上に装着することができ、回転可能ベース26は、対象者の乗り込みのために(すなわち対象者がデバイスに乗り込むこと又はデバイスから降りることを可能にするために)、少なくとも臀部支持体21、背部支持体22を横に向けることができるような態様で、支持ユニット2を装置の垂直軸の周りで回転させるように構成されている。支持ユニット2の全ての構成要素が横に回転すると有利であり、これは上半身固定デバイス及び/又は頭部支持体25を含んでもよい。このことは、装置の側部から対象者が装置に乗り込むこと及び装置から降りることを容易にすることができ、このことは、車椅子を常時使用している対象者にとって特に有益となりうる。その例示的な配置が図4A及び図4Bに示されている。任意選択で、回転可能ベースは、上記回転可能ベース及び任意のその構成要素、例えば歯車、リング、ベルト、軸受ベアリングなどを自動的に回転させるように構成されたロータリアクチュエータを備えることができる。
【0049】
一実施形態では、回転可能ベース26が、回転可能ベース26の回転をロックするように構成されたロック部材261を備えることができる。ロック部材261は、予め定められた少なくとも二つの方向に、すなわち対象者トレーニングのための前方向及び対象者の乗り込みのための横方向に、回転可能ベース26をロックできることが好ましい。さらに、ロック部材は、その間の任意の方向に回転可能ベース26をロックすることもできる。解放されたときにロック部材261が自動ロックするような態様で、ロック部材261に、回転可能ベース26の方へのバイアスをかけることができると有利である。例えば、ロック部材261をばね付勢式とすることができる。その例示的な実施形態が図5A及び図5Bに示されている。これは、回転可能ベース26の偶発的な回転、例えば対象者の乗り込み中の回転可能ベース26の偶発的な回転を防止する信頼性の高いロックを提供する。
【0050】
一実施形態では、回転可能ベース26が、移動可能に配置されたロック部材262を備えることができ、ロック部材262には、切替え機構23が座位状態にあるときにロック部材262が回転可能ベース26を自動ロック解除するような態様で、上述の切替え機構23の方へ、好ましくは上ロッド231と下ロッド232のアセンブリの方へバイアスがかけられている。好ましくは、回転可能ベース26がロック解除するような態様の座位状態にあるときに、下ロッド232及び/又は下ロッド232から延びる接続部材が、移動可能に配置されたロック部材261を押し出すことができるように、切替え機構23を配置することができる。その例示的な実施形態が図5A及び図5Cに示されている。これは、トレーニングセッション中の回転可能ベース26の偶発的な回転を防止する信頼性の高い安全機構を提供する。
【0051】
一実施形態では、装置フレーム、好ましくは下に配置された移動ユニットに対する支持ユニット2の高さを上げ下げするように構成された高さ調整可能ベース27上に、支持ユニット2を装着することができる。このことは、対象者の身長に合わせて装置を調整することを可能にすることができ、このことは、より年齢の低い対象者に対して特に有益となりうる。その例示的な配置が図5及び図6に示されている。任意選択で、高さ調整可能ベース27は、上記高さ調整可能ベース及び任意のその構成要素、例えば歯車、リング、ベルト、軸受などを上げ下げするように構成されたリニアアクチュエータを備えることができる。
【0052】
次に、添付図を参照してさらに、運動補助ユニットの構成要素について論じる。図1Aに示されているように、運動補助ユニットは、細長いベース、及び直立支持部材31を有するフレームを備え、直立支持部材31は、細長いベースの前端に配置されていることが好ましい。装置はさらにいくつかのペデスタルを備えることができ、それらのペデスタルは、トレーニングの間、装置を安定させるように、細長いベースのそれぞれのコーナに配置されていることが好ましい。
【0053】
このフレームに運動機構を結合することができ、この運動機構は、自然で反復的な運動サイクルをシミュレートするために対象者の交互脚運動を補助及び調整するように構成されている。運動サイクル中に対象者の足が上下及び前後に動くような態様の楕円経路に沿った補助された脚運動を可能にするために、この運動機構は、吊り下げられた形で配置することができる。このようにすると、より自然な歩行運動をシミュレートすることができる。
【0054】
一実施形態では、運動機構が、互いに対して移動及び回転するようにコーナにおいて蝶番式に接続された細長いバーのアセンブリを備えることができる。第一のロッド321を、その自由端において、直立支持部材31に回転可能に結合することができ、第一のロッド321は、上記直立支持部材31から下方へ実質的に垂直に延びて、運動機構32の垂直構成要素を形成することができ、第二のロッド322を、装置の反対端に回転可能に結合することができ、第二のロッド322は、細長いベースに沿って実質的に水平に延びて、運動機構32の水平構成要素を形成することができる。当業者は、このようなアセンブリを、対象者の脚ごとに一つ、合わせて二つ提供することができることを理解するであろう。その例示的な配置が図1Bに示されている。このアセンブリは、上述の楕円形脚運動経路を実現する特に効率的な手段を提供する。
【0055】
一実施形態では、運動補助ユニットが、対象者の足を運動機構に締結するように構成されたフットファスナ33を備えることができる。フットファスナ33は、上述のアセンブリの水平バー322の上面に配置できることが好ましい。例えば、水平バー322は、フットファスナ又はその構成要素を接続することができる中空の凹みを備えることができる。
【0056】
一実施形態では、フットファスナ33が、ストラップ又はブレース(brace)などの締結デバイスを備えることができる。あるいは、対象者のフットウェア、例えば上記フットウェアのソール上に提供されたクリップと接続するように、フットファスナを構成することもできる。これは、ユーザフレンドリネス及び快適性を向上させることができる。
【0057】
一実施形態では、運動補助ユニットが、対象者の脚を固定するための脚固定デバイス34を備えることができる。脚固定デバイスは、移動可能に配置された少なくとも一つのロック部材を備えることが好ましく、このロック部材は、対象者の脚の一本と接触し、運動機構に対する適切な位置にその脚をロックするように構成されている。例えば、上半身固定デバイスは、ストラップ、ベルト又は他の同種のものを備えることができる。脚固定デバイスは、上述のアセンブリの水平バー322に接続されたものとすることができる。脚固定デバイスは、上記水平バー322の頂面に対して垂直に配置されていることが好ましい。例えば、上記水平バー322の側面の上述のフットファスナ33の位置の近くに接続する接続バーを提供することができる。
【0058】
一実施形態では、脚固定デバイス34が脚シャックル341を備えることができ、脚シャックル341は、対象者の脚、好ましくは脛骨、より好ましくは脛骨の上部と接触し、少なくとも部分的に囲うように構成されている。シャックル341は、少なくとも部分的に開端型であることが好ましく、そこから対象者の脚を入れることができる開いた後部を有することが好ましい。脚固定デバイス34の例示的な実施形態が図7Aに示されている。
【0059】
一実施形態では、シャックル341が、堅い外ピースと柔軟な内ピースとからなることができ、内ピースは、対象者の脚に加わる圧力を低減させるために、好ましくは、後にさらに説明する引張り機構によってそれが後方へ引っ張られたときに対象者の脚に加わる圧力の一部を吸収することによって対象者の脚に加わる圧力を低減させるために、外ピースに向かって移動するように構成されている。外ピースと内ピースは、脚運動中に対象者の脛に加わる圧力に部分的に抵抗して快適性を向上させるバイアス部材によって分離されていてもよい。
【0060】
一実施形態では、脚固定デバイス34が高さ調整機構342を備えることができ、高さ調整機構342は、フットファスナ33に対する脚固定デバイス34の高さ、好ましくはフットファスナ33に対するシャックル341の高さを調整するように構成されている。例えば、高さ調整機構342は、第一の中空異形材(hollow profile)と、上記中空異形材にはめ込まれた第二の異形材とのアセンブリを含むことができ、第二の異形材は、それに対する縦方向に摺動するように構成されており、それによって、第一の異形材は運動機構に接続され、第二の異形材がシャックル341に接続される。脚固定デバイス34、好ましくはシャックル341が対象者の膝関節のすぐ下の高さに配置することができると有利である。これは、上記固定デバイスによって提供される支持水準を高め、それによって対象者の快適性を向上させることができる。
【0061】
一実施形態では、脚固定デバイスが回動機構343を備えることができ、回動機構343は、脚固定デバイス34、好ましくはシャックル341を、運動機構の水平バー322の上面に対して垂直な軸の周りで回転させるように構成されている。回動機構343が、脚固定デバイス34、好ましくはシャックル341を、上述の高さ調整機構342の縦軸の周りで回転させるように構成することができると有利である。この配置は、複数の位置、例えばそれによってシャックル341が対象者の脚を固定することができる内向き位置(図7A参照)及びそれによってシャックル341が対象者の脚を解放することができる部分的に外向きの位置(図7BA参照)又は完全に外向きの位置(図7BA参照)に、上記シャックル341を回転させることを可能にすることができる。この配置は、対象者が装置にアクセスする容易さを向上させることができる。
【0062】
一実施形態では、回動機構343がロック部材345を備えることができ、ロック部材345は、内向き位置及び外向き位置を含む上記少なくとも二つの位置のうちの一つの位置で上記シャックル341をロックするように構成されている。解放されたときにロック部材が自動ロックするような態様で、ロック部材に、回動機構343の方へのバイアスをかけることができると有利である。例えば、ロック部材をばね付勢式とすることができる。ロック部材は、上記少なくとも二つの位置を含む所定の位置でのみシャックル341をロックするように構成されたものとすることができる。これは、トレーニングサイクル中の脚固定デバイス34の偶発的な回転、好ましくは、トレーニングサイクル中のシャックル341の偶発的な回転を防ぐ安全特徴を提供する。
【0063】
一実施形態では、脚固定デバイス34が、対象者の足首の高さのところでフットファスナ33に回転可能に接続された傾け機構344を備えることができ、傾け機構344は、足首の回転軸の周りでシャックル341を傾けるように構成されている。これは、トレーニングサイクル中により自然な歩行運動をシミュレートすることによって、対象者の快適性を向上させることができる。
【0064】
一実施形態では、傾け機構344を、少なくとも二つの位置、すなわち対象者の脚を入れるための下向き位置と対象者の脚を固定するための上向き位置との間でシャックル341を前方へ傾けるように構成されたものとすることができる。具体的には、傾け機構344は、運動機構の水平バー322の上面に配置されたフットファスナ33の方へ脚固定デバイス34、好ましくはシャックル341を傾けることができる。この配置は、シャックルを下向きに傾けることによって、対象者の脚を運動機構をよけて通し、例えばフットファスナ33に入れるための空間を提供することを可能にする。その例示的な実施形態が図8に示されている。この配置は、対象者が装置にアクセスする容易さを向上させることができる。
【0065】
一実施形態では、脚固定デバイス34がストップ部材346を備えることができ、ストップ部材346は、シャックル341が少なくとも後方へ傾くことを防ぐように構成されている。これは、トレーニング中に対象者の膝が過伸張することを防ぐための安全特徴を提供することができる。ストップ部材346は、傾け機構344よりも下に配置されており、脚固定デバイス34の上記傾け機構344よりも下に延びる部分と接触するように構成されていることが好ましい。これは、脚固定デバイス34の複雑さを低減させる信頼性の高いストップ部材346を提供することができる。
【0066】
傾け機構344が、対象者の脚の方へ内側へ回転したときにシャックル341が傾くことを防ぐセーフティロックを含むことができると有利である。言い替えると、シャックル341を傾けることができるのは、シャックル341を部分的に又は完全に外側へ回転させたときだけである。例えば、セーフティロックを上述の回動機構343に接続することができ、セーフティロックは、シャックルを外側へ回転させたときに傾け機構344を解放するように構成されたものとすることができる。これは、トレーニング中に脚が偶発的に解放されることを防ぐ安全特徴を提供することができる。例えば、このブロッキング要素を回動機構に接続することができ、このブロッキング要素は、シャックルを外側へ回転させたときに傾け機構344を解放するように構成されたものとすることができる。
【0067】
一実施形態では、運動機構32が引張り機構を備えることができ、一方の脚が前方へ動いているときにもう一方の脚を後方へ動かすことによって静止装置上でより自然な歩行運動をシミュレートするために、この引張り機構は、トレーニング中に対象者の脚を交互に動かすように構成されている。これは、対象者のそれぞれの脚に対する上述の運動機構の運動を結合することによって達成することができる。対象者の運動を乱さないように及びさらに装置への容易な乗り込みを可能にするように、引張り機構は装置の後端に提供されることが好ましい。
【0068】
一実施形態では、引張り機構が、旋回体323、好ましくは装置の後部に配置された旋回体323を備えることができる。旋回体323は、その両端に配置された少なくとも二つのワイヤアタッチメント324を有することができる。これは、それぞれのシャックル341が、接続ワイヤによって別個のワイヤアタッチメント324に、それぞれのシャックルの運動が上記旋回体323の回転に結び付けられるような態様で接続されることを可能にする。この接続ワイヤは、堅いワイヤ、又は弾性バンドなどの柔軟なワイヤとすることができる。ワイヤの材料がトレーニング強度に影響を与えることがある。その例示的な配置が図4Bに示されている。このアセンブリは、一方の脚の前方移動によって旋回体323が回転したときにもう一方の脚を後方へ能動的に引っ張ることによって脚運動を交互にする特に効率的な手段を提供する。さらに、それは、対象者の脚が折りたたまれることを防ぐことができ、脚の筋肉の自然の伸張を保証することができる。
【0069】
一実施形態では、引張り機構が張力付与機構325を備えることができ、張力付与機構325は、細長いベースの縦軸に沿って旋回体323の位置を調整して対象者の脚に加わる張力を設定するように構成されている。具体的には、旋回体323の回転軸を、対象者に近づくように又は対象者からさらに遠ざかるように配置することができる。例えば、張力付与機構325は、ワイヤードシャフトに接続されたクランクを備えることができ、ワイヤードシャフトは、上記クランクを回すことによって旋回体を直線的に移動させる。これは、両方の脚固定デバイス34、好ましくは両方のシャックル341に同時に張力をかける。適用された張力の適正な調整は、対象者の快適性を向上させることができ、トレーニング中の膝関節の過伸張を防ぐ。
【0070】
一実施形態では、運動機構32が、トレーニング中に対象者の手と接触するように、好ましくは把持するように構成されたハンドホルダ35を備えることができる。ハンドホルダ35は、運動機構32に沿って把持バーを配置するための取付け具を含むことができる。より好ましくは、ハンドホルダ35は、運動機構の垂直バー321から延び且つ/又は垂直バー321に接続されたグリッピングを備えることができる。このようにすると、ハンドホルダ35の運動を、上記垂直バー321上に提供された脚固定デバイス34の運動と同期させることができる。その例示的な配置が図9に示されている。このアセンブリは、トレーニングサイクル中に腕も動かす特に効率的な手段を提供する。
【0071】
一実施形態では、装置が、床に対して装置の一部分を持ち上げるように構成された持上げ機構326を備えることができる。持上げ機構326は、運動補助ユニットが対象者の上向きの運動をシミュレートすることができるような態様で装置の前端に配置されることが好ましい。この持上げ機構は、直立支持部材31内又は直立支持部材31の下方に配置することができる。その例示的な配置が図10に示されている。
【0072】
一実施形態では、装置が、少なくとも一つの収納可能車輪5を備えることができる。装置は、複数の収納可能車輪、例えば装置の両側に配置された二つの車輪を備えることが好ましい。さらに、装置は、収納可能ではない通常の車輪を備えることができるが、それらの車輪は、トレーニング中の装置の偶発的な移動を防ぐためにロックすることができることが好ましい。
【0073】
一実施形態では、上記収納可能車輪5を可逆的に伸展及び収納するように構成された収納機構51に、収納可能車輪を接続することができる。収納機構51は例えばクランクを含むことができ、このクランクは、作動させたときに上記車輪を装置の底部から床に向かって伸展する。したがって、車輪が伸展しているときには(図11A参照)、装置を新たな位置に自由に移動させることができ、一方、車輪が収納されているときには(図11B参照)、床にしっかりと接続することによって、例えば上述のペデスタルによって床にしっかりと接続することによって、装置を静止したままにすることができる。
【0074】
一実施形態では、収納機構51をロック部材52に接続することができ、ロック部材52は、旋回体323の位置が張力付与機構325によって調整されたときに収納機構51をロックするように構成されている。ロック部材52は、引張り機構の旋回体323上に配置されることが好ましい。シャックル343に張力を加えるように張力付与機構325によって旋回体323の位置が調整されると、収納機構51とロック部材52との間の接続が、上記収納機構51が収納可能車輪5を伸展することを防ぐ。これは、トレーニングセッション中の収納可能車輪5の偶発的な伸展を防ぐ安全特徴を提供する。
【符号の説明】
【0075】
10:装置、2:支持ユニット、21:臀部支持体、22:背部支持体、23:切替え機構、231:上ロッド、232:下ロッド、24:側方係合部材、25:頭部支持体、26:回転可能ベース、261:ロック部材、262:ロック部材、27:高さ調整可能ベース、31:直立支持部材、32:運動機構、321:垂直バー、322:水平バー、323:旋回体、324:ワイヤアタッチメント、325:張力付与機構、326:持上げ機構、33:フットファスナ、34:脚固定デバイス、341:シャックル、342:高さ調整機構、343:回動機構、344:傾け機構、345:ロック部材、346:ストップ部材、35:ハンドホルダ、5:収納可能車輪、51:収納機構、52:ロック部材
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11A
図11B
【手続補正書】
【提出日】2023-11-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための装置(10)であって、
細長いベース、及び前記装置の前部に配置される直立支持部材(31)を有するフレームと、
臀部支持体(21)、背部支持体(22)、上半身固定デバイス(24)及び切替え機構(23)を備える支持ユニット(2)であって、前記臀部支持体(21)及び前記背部支持体(22)の位置を、少なくとも二つの状態、すなわち、前記臀部支持体(21)が前記背部支持体(22)に対して実質的に垂直である座位状態と、前記臀部支持体(21)が前記背部支持体(22)に対して実質的に平行であり、好ましくは前記臀部支持体(21)が前記背部支持体(22)と一列に並んでいる立位状態との間で、及びその逆に選択的に切り替えるように前記切替え機構(23)が構成されている、前記支持ユニット(2)と、
対象者のそれぞれの脚に対して、フットファスナ(33)と、脚固定デバイス(34)と、細長いバーのアセンブリからなる運動機構(32)とを備える運動補助ユニットであって、前記細長いバーは、前記直立支持部材(31)に回動自在に結合され、前記直立支持部材(31)から下方へ実質的に垂直に延びる少なくとも一本の垂直バー(321)、及び、前記装置の反対端に回動自在に結合され、前記細長いベースに沿って実質的に水平に延びる少なくとも一本の水平バー(322)を含み、前記アセンブリ(321、322)によって楕円脚運動経路を実現することができるような態様で互いに蝶番式に接続されており、前記フットファスナ(33)及び前記脚固定デバイス(34)が前記水平バー(322)上に配置されている、前記運動補助ユニットと、
を備え、
前記脚固定デバイス(34)が、シャックル(341)及び高さ調整機構(342)を備え、前記切替え機構(23)が前記座位状態と前記立位状態との間で切り替わるときに前記シャックル(341)が前記対象者の脚を膝の回動軸点のところで固定するような態様で、前記高さ調整機構(342)が、前記シャックル(341)の高さを、前記対象者の膝関節に隣接する位置、好ましくは前記対象者の膝関節よりも低い位置に調整するように構成されており、前記運動補助ユニットが、それぞれのシャックル(341)に接続された引張り機構を備え、前記引張り機構が、一方のシャックル(341)が前方へ移動するときにもう一方のシャックル(341)を後方へ引っ張り、それによって交互脚運動を提供するように構成されている、
装置(10)。
【請求項2】
前記支持ユニット(2)が回転可能ベース(26)上に装着されており、前記回転可能ベース(26)は、対象者の乗り込みのために少なくとも前記臀部支持体(21)及び前記背部支持体(22)を横に向けることができるような態様で前記支持ユニット(2)を前記装置の垂直軸の周りで回転させるように構成されている、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記脚固定デバイス(34)が回動機構(343)を備え、前記回動機構(343)は、少なくとも二つの位置、すなわち前記対象者の脚を固定するための内向き位置と前記対象者の脚を解放するための外向き位置との間で前記シャックル(341)を回転させることができるような態様で前記シャックル(341)を前記高さ調整機構(342)の縦軸の周りで回転させるように構成されており、好ましくは、前記回動機構(343)は、前記少なくとも二つの位置のうちの一つの位置で前記シャックル(341)をロックするように構成されているロック部材(345)を備える、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記脚固定デバイス(34)が、前記対象者の足首の高さのところで前記フットファスナ(33)に回転可能に接続された傾け機構(344)を備え、前記傾け機構(344)は、足首の回転軸の周りで前記シャックル(341)を傾けるように構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記脚固定デバイス(34)が、前記対象者の膝の過伸張を防ぐために前記シャックル(341)が少なくとも後方へ傾くことを防ぐように構成されたストップ部材(346)を備え、前記ストップ部材(346)は、前記傾け機構(344)よりも下に配置されており、前記傾け機構(344)よりも下に延びる前記脚固定デバイス(34)の部分と接触するように構成されている、請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記傾け機構(344)が、少なくとも二つの位置、すなわち前記対象者の脚を入れるための下向き位置と前記対象者の脚を固定するための上向き位置との間で前記シャックル(341)を前方へ傾けるように構成されている、請求項4又は5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記シャックル(341)が少なくとも部分的に開端型であり、堅い外ピースと柔軟な内ピースとからなり、前記内ピースは、前記対象者の脚に加わる圧力を低減させるために前記外ピースに向かって移動するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記切替え機構(23)が、隣接する少なくとも二本のロッドのアセンブリ、すなわち上ロッド(231)と下ロッド(232)とのアセンブリを備え、前記少なくとも二本のロッドは、両端において、前記臀部支持体(21)及び前記背部支持体(22)に回転可能に、垂直平行四辺形を形成するように斜角で接続されており、それによって、前記アセンブリ(231、232)の回転は、前記臀部支持体(21)を傾け、同時に前記背部支持体(22)を持ち上げて、前記立位状態では一列に並ぶようにし、前記座位状態では交差するようにする、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記切替え機構が、前記回転可能ベース(26)の回転をロックするように構成されている、移動可能に配置されたロック部材(261)を備え、前記ロック部材(261)は、前記アセンブリ(231、232)の方へバイアスがかけられており、前記切替え機構(23)が前記座位状態にあるときにロック解除するように構成されている、請求項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記上半身固定デバイスが、前記背部支持体(22)の両側に配置された少なくとも二つの側方係合部材(24)を備え、前記側方係合部材(24)は、前記対象者の上半身の腕の下の部分と側方に、好ましくは同時に、係合するように構成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記引張り機構が、前記装置の後部に配置された旋回体(323)を備え、前記旋回体(323)は、その両端に配置された少なくとも二つのワイヤアタッチメント(324)を有し、それぞれのシャックル(341)が、接続ワイヤによって別個のワイヤアタッチメント(324)に、それぞれのシャックルの運動が前記旋回体(323)の回転に結び付けられるような態様で接続されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
前記引張り機構が張力付与機構(325)を備え、前記張力付与機構(325)は、前記細長いベースの縦軸に沿って前記旋回体(323)の位置を調整して前記対象者の脚に加わる張力を設定するように構成されている、請求項11に記載の装置(10)。
【請求項13】
前記装置が、少なくとも一つの収納可能車輪(5)及び収納機構(51)を備え、前記収納機構(51)は、前記収納可能車輪(5)を可逆的に伸展及び収納するように構成されている、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項14】
前記装置が、少なくとも一つの収納可能車輪(5)及び収納機構(51)を備え、前記収納機構(51)は、前記収納可能車輪(5)を可逆的に伸展及び収納するように構成され、
前記収納機構(51)が、前記旋回体(323)上に配置されたロック部材(52)に接続されており、前記ロック部材(52)は、前記旋回体(323)の位置が前記張力付与機構(325)によって調整されたときに前記収納機構(51)をロックするように構成されている、請求項12に記載の装置(10)。
【請求項15】
トレーニングセッション中に対象者の運動を補助するための、請求項1に記載の装置の使用方法であって、
前記対象者が座っており、もう一方のシャックルが前記引張り機構によって後方へ引っ張られるときに、前記対象者が一方のシャックルを前方へ移動させ、それによって交互脚運動を提供する、装置の使用方法
【請求項16】
前記対象者が、障害者又は運動障害者であり、又は、脳性麻痺、後天性脳若しくは脊髄損傷、神経障害、多発性硬化症、脊椎披裂又は運動障害状態の影響を受けた障害者又は運動障害者である、請求項15に記載の装置の使用方法
【国際調査報告】