(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】コンピューター処理ユニットから抽出された熱を使用する加熱システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20240403BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20240403BHJP
F24H 4/02 20220101ALI20240403BHJP
F24D 15/04 20060101ALI20240403BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20240403BHJP
F25B 27/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F24H1/00 631Z
G06F1/20 C
G06F1/20 A
F24H4/02 B
F24D15/04
F25B1/00 399Y
F25B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558673
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 CA2022050406
(87)【国際公開番号】W WO2022198305
(87)【国際公開日】2022-09-29
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523361976
【氏名又は名称】10130163 マニトバ エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴーティエ,ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,オスカー
(72)【発明者】
【氏名】トレアルバ,ハートリー
(72)【発明者】
【氏名】リ ウォン,アンナ
【テーマコード(参考)】
3L072
3L122
【Fターム(参考)】
3L072AC01
3L072AC05
3L122AA03
3L122AA23
3L122AA54
3L122AC11
(57)【要約】
コンピューター処理システムは、タンク内に絶縁性の冷却液を与えて、該冷却液が、タンク下部のマニホールドから、開口した上端と下端をそれぞれが有するとともに回路ボードの列を収容する管状ハウジングのアレイを通過することによって冷却され、他の方法では無駄となるこの熱は、空間加熱のために抽出される。ハウジングは、ハウジングと整列した開口部のアレイを有する仕切りシート上に位置し、液体が対流によってハウジング内を流れ、かつ層状化してハウジングの開口した上部より上に加熱層を発生させ、熱交換器に取り出すことができるように、液体をマニホールドからほとんどあるいは全く圧力がかからない状態で通過させることができる。ヒートポンプは、冷却液に作用して熱伝達液に熱を伝え、これをボイラーでさらに加熱して既存の放熱負荷に伝達することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱を行うための方法であって、
熱伝達液の流れを発生させる工程と、
熱源が前記熱伝達液に熱を加えることができるように前記熱伝達液を前記熱源に通す工程と、
前記熱伝達液を1つまたは複数の放熱負荷に通すことで、前記熱伝達液から前記1つまたは複数の放熱負荷に熱を伝達する工程と、
絶縁性材料で形成された冷却液をタンク内に与える工程であって、
前記タンクが、コンピューター処理動作を実行しながら熱を発生させるように動作する電気コンポーネントを搭載した少なくとも1つのコンピューター処理ボードをそれぞれが備える複数のコンピューター処理ユニットを収容する、工程と、
前記冷却液を前記タンクに通しつつ前記コンピューター処理ユニットの冷却を生じさせる工程であって、それにより、前記冷却液の加熱の上流に冷たい液体の第1の流れ、および前記加熱の下流に加熱された液体の第2の流れを発生させるように、前記コンピューター処理ユニットを冷却しながら前記冷却液が加熱される、工程と、
冷凍サイクルヒートポンプが前記第2の流れから熱を抽出して前記第1の流れに戻すように、前記第2の流れから前記冷凍サイクルヒートポンプを通り前記第1の流れに前記冷却液を循環させる工程であって、
前記冷凍サイクルヒートポンプが前記冷却液から抽出された前記熱を前記熱伝達液に伝達することにより、前記熱伝達液が、前記冷凍サイクルヒートポンプに入る入口流から前記冷凍サイクルヒートポンプを出る出口流に進むとともに、前記熱源と前記冷凍サイクルヒートポンプとの両方を通過してその両方から熱を受け取る、工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記冷凍サイクルヒートポンプが冷却材としてCO2を使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記冷却液の前記第2の流れの温度が60℃未満であり、前記熱伝達液の前記出口流の温度が70℃超である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却液の前記第2の流れの温度が40℃~60℃の範囲内であり、前記熱伝達液の前記出口流の温度が70℃~95℃の範囲内である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つまたは複数の放熱負荷のうちの少なくとも1つの温度が少なくとも90℃である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記冷却液の前記第1の流れの温度が45℃未満であり、前記熱伝達液の前記入口流の温度が50℃超である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記冷却液の前記第1の流れの温度が20℃~45℃の範囲内であり、前記熱伝達液の前記入口流の温度が50℃~70℃の範囲内である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記冷却液が、液体ポンプによって前記第2の流れと前記第1の流れとの間で循環する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記冷却液が、対流によって前記第2の流れと前記第1の流れとの間で循環する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記冷凍サイクルヒートポンプが前記タンクの内部に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記冷凍サイクルヒートポンプが前記タンクの内部の前記冷却液中に配置される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記冷凍サイクルヒートポンプが前記タンクの外部に配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記熱源がボイラーを備える、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記ボイラーおよび前記1つまたは複数の放熱負荷が既存の装置を備え、前記タンク、冷却液、複数のコンピューター処理ユニット、およびヒートポンプが、補助熱源として前記既存の装置に加えられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記熱源が燃焼源を使用する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記冷却液が植物油である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記冷却液が大豆油またはカノーラ油である、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記冷却液が、
約0.92g/m3(7.667Ibs/gal)またはその範囲内の密度、
40℃で約33~35mm
2/sもしくはその範囲内、または70℃で約15cStもしくはその範囲内の動粘度、
2mm[kV]≧35の絶縁破壊(ASTM D6871)、
360℃以上の沸点、
265℃以上の引火点(クローズドカップ)、
401~404℃の自動/自己点火温度(ASTM E659)、
200℃以下で約0PAまたはその範囲内の蒸気圧、
70℃で約0.15089W/mKまたはその範囲内の熱伝導率、
70℃で約2.3472kJ/kgKまたはその範囲内の比熱
の特性のうちの1つまたは複数を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
加熱を行うための方法であって、
熱伝達液の流れを発生させる工程と、
前記熱伝達液を1つまたは複数の放熱負荷に通すことで、前記熱伝達液から前記1つまたは複数の放熱負荷に熱を伝達する工程と、
絶縁性材料で形成された冷却液をタンクに与える工程であって、
前記タンクが、コンピューター処理動作を実行しながら熱を発生させるように動作する電気コンポーネントを搭載した少なくとも1つのコンピューター処理ボードをそれぞれが備える複数のコンピューター処理ユニットを収容する、工程と、
前記冷却液を前記タンクに通しつつ前記コンピューター処理ユニットの冷却を生じさせる工程であって、それにより、前記冷却液の加熱の上流に冷たい液体の第1の流れ、および前記加熱の下流に加熱された液体の第2の流れを発生させるように、前記コンピューター処理ユニットを冷却しながら前記冷却液が加熱される、工程と、
ヒートポンプが前記第2の流れから熱を抽出して前記第1の流れへと戻すように、前記第2の流れから前記ヒートポンプを通り前記第1の流れに前記冷却液を循環させる工程であって、
前記ヒートポンプが前記冷却液から抽出された熱を前記熱伝達液に伝達することにより、前記熱伝達が、前記ヒートポンプに入る入口流から前記ヒートポンプを出る出口流に進む、工程と
を含み、前記冷却液の前記第2の流れの温度が、60℃未満であり、前記熱伝達液の前記出口流の温度は、70℃超、好ましくは、80℃超、より好ましくは約90℃以上である、方法。
【請求項20】
前記ヒートポンプが、冷却材としてCO2を使用する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つまたは複数の放熱負荷のうちの少なくとも1つの温度が少なくとも90℃である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
前記1つまたは複数の放熱負荷のうちの少なくとも1つの温度が少なくとも90℃である、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記冷却液の前記第1の流れの温度が45℃未満であり、前記熱伝達液の前記入口流の温度が50℃超である、請求項19~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記冷却液の前記第1の流れの温度が20℃~45℃の範囲内であり、前記熱伝達液の前記入口流の温度が50℃~70℃の範囲内である、請求項19~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記冷却液が、液体ポンプによって前記第2の流れと前記第1の流れとの間で循環する、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記冷却液が、対流によって前記第2の流れと前記第1の流れとの間で循環する、請求項19~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ヒートポンプが前記タンクの内部に配置される、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ヒートポンプが、前記タンクの内部の前記冷却液中に配置される、請求項19~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒートポンプが、前記タンクの外部に配置される、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記熱源がボイラーを備える、請求項19~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ボイラーおよび前記1つまたは複数の放熱負荷が既存の装置を備え、前記タンク、冷却液、複数のコンピューター処理ユニット、およびヒートポンプが、補助熱源として前記既存の装置に加えられる、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記熱源が燃焼源を使用する、請求項19~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記冷却液が植物油である、請求項19~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記冷却液が大豆油またはカノーラ油である、請求項19~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記冷却液が、
約0.92g/m3(7.667Ibs/gal)またはその範囲内の密度、
40℃で約33~35mm
2/sもしくはその範囲内、または70℃で約15cStもしくはその範囲内の動粘度、
2mm[kV]≧35の絶縁破壊(ASTM D6871)、
360℃以上の沸点、
265℃以上の引火点(クローズドカップ)、
401~404℃の自動/自己点火温度:(ASTM E659)、
200℃以下で約0PAまたはその範囲内の蒸気圧、
70℃で約0.15089W/mKまたはその範囲内の熱伝導率、
70℃で約2.3472kJ/kgKまたはその範囲内の比熱
の特性のうちの1つまたは複数を有する、請求項19~34のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピューター処理の動作からの熱を抽出かつ利用してユニットを保冷するとともに、その熱を伝達して別の加熱動作で利用できるようにするための冷却タンクを含む構成に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、コンピューター、サーバー、またはマイニングリグを冷却する従来の方法は、大量のファンを使用した空冷によるものである。これは、ノイズコントロールシステムおよびダストコントロールシステムに大きな問題を引き起こし、維持費および設置費が高くなることを意味する。
【0003】
多くのコンピューター処理システムは多大な量の熱を発生させるため冷却が必要であることは知られている。コンピューター処理のための没入型の液冷システムの例は、Green Revolution Cooling Incに発行された米国特許第9504190号(Best)、および同特許権所有者によるその他の特許、およびDelphi Technologiesによる米国特許第7307841号(Berlin)、およびHardcore Computers Incによる米国特許第7403392号(Attlesey)に示されている。しかしながら、コンピューター処理システムからの熱を効果的に使用して他の構成や動作に加熱を提供する、著しく成功した技術は存在しない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一定義によれば、加熱を行うための方法であって、
熱伝達液の流れを発生させる工程と、
熱源が熱伝達液に熱を加えることができるように熱伝達液を熱源に通す工程と、
熱伝達液を1つまたは複数の放熱負荷に通すことで、熱伝達液から上記1つまたは複数の放熱負荷に熱を伝達する工程と、
絶縁性材料で形成された冷却液をタンク内に与える工程であって、
上記タンクが、コンピューター処理動作を実行しながら熱を発生させるように動作する電気コンポーネントを搭載した少なくとも1つのコンピューター処理ボードをそれぞれが備える複数のコンピューター処理ユニットを収容する、工程と、
冷却液をタンクに通しつつコンピューター処理ユニットの冷却を生じさせる工程であって、それにより、冷却液の加熱の上流に冷たい液体の第1の流れ、および加熱の下流に加熱された液体の第2の流れを発生させるように、コンピューター処理ユニットを冷却しながら冷却液が加熱される工程と、
冷凍サイクルヒートポンプが第2の流れから熱を抽出して第1の流れに戻すように、第2の流れから冷凍サイクルヒートポンプを通り第1の流れに冷却液を循環させる工程であって、
上記ヒートポンプが冷却液から抽出された熱を熱伝達液に伝達することにより、熱伝達液がヒートポンプに入る入口流からヒートポンプを出る出口流に進むとともに、熱源とヒートポンプとの両方を通過してその両方から熱を受け取る、工程と
を含む、方法が提供される。
【0005】
本発明の第2の定義によれば、加熱を行うための方法であって、
熱伝達液の流れを発生させる工程と、
熱伝達液を1つまたは複数の放熱負荷に通すことで、熱伝達液から上記1つまたは複数の放熱負荷に熱を伝達する工程と、
絶縁性材料で形成された冷却液をタンク内に与える工程であって、
上記タンクが、コンピューター処理動作を実行しながら熱を発生させるように動作する電気コンポーネントを搭載した少なくとも1つのコンピューター処理ボードをそれぞれが備える複数のコンピューター処理ユニットを収容する、工程と、
冷却液をタンクに通しつつコンピューター処理ユニットの冷却を生じさせる工程であって、それにより、冷却液の加熱の上流に冷たい液体の第1の流れ、および加熱の下流に加熱された液体の第2の流れを発生させるように、コンピューター処理ユニットを冷却しながら冷却液が加熱される工程と、
ヒートポンプが第2の流れから熱を抽出して第1の流れに戻すように、第2の流れからヒートポンプを通して第1の流れに冷却液を循環させる工程であって、
上記ヒートポンプが冷却液から抽出された熱を熱伝達液に伝達することにより、熱伝達液が、ヒートポンプに入る入口流からヒートポンプを出る出口流に進む、工程と
を含み、冷却液の第2の流れの温度が、60℃未満であり、熱伝達液の出口流の温度が、70℃超、好ましくは、80℃超、より好ましくは、約90℃以上である、方法が提供される。
【0006】
好ましくは、一実施形態では、CO2が上記の方法において利用可能かつ必要とされる温度に特に適した熱差(デルタT)を有するので、ヒートポンプは、冷却剤としてCO2を使用する。
【0007】
好ましくは、一実施形態では、冷却液の第2の流れの温度は60℃未満であり、熱伝達液の出口流の温度は70℃超である。
【0008】
好ましくは、一実施形態では、冷却液の第2の流れの温度は40℃~60℃の範囲内であり、熱伝達液の出口流の温度は70℃~95℃の範囲内であり、より好ましくは、約90℃以上である。
【0009】
これらの温度により、放熱負荷のうちの1つまたは複数の温度が少なくとも90℃になり得る。これには、このような負荷はこの温度で機能するように典型的に設計されているため、この温度を下げると、負荷の加熱はもたらし得るが、設計要件を満たすには不十分であることが多いという利点がある。
【0010】
好ましくは、一実施形態では、冷却液の第1の流れの温度は45℃未満であり、熱伝達液の入口流の温度は50℃超である。
【0011】
好ましくは、一実施形態では、冷却液の第1の流れの温度は20℃~45℃の範囲内であり、熱伝達液の入口流の温度は50℃~70℃の範囲内である。
【0012】
一実施形態では、冷却液は、液体ポンプによって第2の流れと第1の流れとの間で循環する。しかしながら、他の実施形態は、対流によってのみ動作し得る。
【0013】
一実施形態では、ヒートポンプは、タンクの内部に配置され、好ましくは冷却液中に配置される。しかしながら、他の構成では、ヒートポンプは、タンクの外側に配置されてもよい。
【0014】
好ましくは、一実施形態では、熱源は、典型的には必要な加熱を提供するためにガスまたは固形燃料などの燃焼加熱システムを使用するタイプのボイラーを備える。この構成では、放熱負荷およびボイラーは、既存の装置を形成し、ボイラー、およびラジエーター、発熱体などの負荷は、典型的には約90℃のボイラー設定温度で加熱要件を満たすように設計されている。この場合、タンク、冷却液、複数のコンピューター処理ユニットおよびヒートポンプは、補助熱源として既存の装置に加えられて、コンピューター処理からの熱は、ボイラーの代替物として、またはボイラーからの熱の代わりとして使用可能なさらなる熱源として使用される。この構成では、コンピューター処理が主要な、または第一の熱源となり、既存のボイラーは、第一の熱源が維持できない場合の補助として、または第一の熱源が何らかの理由で稼働しなくなった場合の代わりとして使用可能である。
【0015】
好ましくは、一実施形態では、冷却液は大豆油やカノーラ油などの植物油である。
【0016】
本明細書における構成は、加熱構成および冷却構成の両方の面を向上させる解決策を提供するものであり、液体対液体(油対グリコール/水)ループをCO2ヒートポンプ(冷凍サイクル式または圧縮式)に置き換える。これらの新しくて、より効率的で、環境に優しいヒートポンプは、約50℃(112F)のタンクの高温出力を利用し、これを90℃(190F)まで上昇させる。ヒートポンプのリターンループ(冷たい液体側)は、その後25~30℃まで低下し、冷却タンクからの熱をより吸収しやすくなる。
【0017】
この構成は、通常180~190Fで動作する既存の高温ボイラーシステムに接続可能であることの困難さを解決する働きをする。この困難さは、現在大きな制約となっており、この構成により、熱を放出するために大規模な乾式冷却器を使用せずにタンクを冷却するという点で、比較的暖かい時期に非常に効率的に動作させることができるようになる。また、この構成を多数の商業/産業用途に使用できるようになる。
【0018】
このようにして、余分な熱を抽出し、かつ熱交換器へと伝達することができ、抽出された熱は、該熱交換器によって、
商業/産業用床暖房システムまたは地熱循環水式暖房システム
温室
農業畜舎―豚、家禽、および酪農
大型の産業用温水加熱-洗車/トラックの洗車
住宅暖房
穀物乾燥
大麻乾燥/脱水システム
低温蒸発システム
加熱および低温脱水を含む大麻産業
水を加熱する養殖設備
地下採掘作業-坑道の加熱
大型水泳プール
を含むが、これらに限定されない多数の様々な分野で使用可能となる。
【0019】
本明細書の構成は、従来の加熱エレメントの代わりにコンピューター計算チップを使用して調整可能な負荷抵抗加熱器を作り出す、空間加熱のための独自の構成を提供する。具体的には水力発電をベースとしたユーティリティーから供給される100%再生可能なエネルギーと同様に低コストの商業用電気料金を利用して、第一に空間加熱を提供することと、第二に暗号通貨マイニングや同様のデータ処理などの膨大な収益を生み出すコンピューター計算のための冷却手段を提供することとの2つの機能を実現することが想定される。
【0020】
近年、ブロックチェーン技術の発展により、この新しいコンピューター計算方法は、より分散化されたコンピューター計算を可能にするとともに、より堅牢で冗長性を有するデータ処理システムを設置する大きな可能性を提供し、同時に、発生したすべての熱を利用可能にするであろうことが今や明らかである。
【0021】
本発明は、特に気候が寒冷な国における空間加熱のための解決策を提供する。例えば、多くの北部地域では、天然ガスが利用できず、電気ボイラーや化石燃料ボイラーによる加熱が一般的である。本発明によって、既存の循環水式システムに効率的に組み込むための手軽な「クイックコネクト」オプションが可能となる。ボイラーシステムは、所望の加熱出力を達成するために、個々のユニットとして、または複数のボイラーを収容するモジュールとして設置され得る。ボイラーの設計は、20KWの単一のタンクから400KW以上のシステムまで、幅広い範囲の任意のサイズにカスタマイズ可能である。タンクは、既存のインフラの内部にスタンドアローンとして設置することも、コンテナ化されたモジュールに収容して設置することも可能な設計になっている。
【0022】
本明細書の構成は、好ましくは、コンピューター処理のための方法を使用するタンクの特定の設計とあわせて使用することができ、当該方法は、
絶縁性材料で形成された冷却液をタンク内に与える工程であって、
タンクが、
下端部に底部開口部、上端部に頂部開口部を有し、上端部と下端部との間に閉塞周壁を画定する外部ハウジングと、
ハウジング内に取り付けられ、コンピューター処理動作を実行するように動作しながら熱を発生させる電気コンポーネントを搭載した少なくとも1つのコンピューター処理ボードと
をそれぞれが備える複数のコンピューター処理ユニットを含み、
タンクが、仕切りシートより下方の下部マニホールドと、シートより上方のタンクの主要部分とにタンクを仕切る仕切りシートをタンク内に有しており、
各コンピューター処理ユニットの外部ハウジングが、底部開口部がシートに配置され、周壁がタンク内で仕切りシートから間隔を隔てた上端部へと直立している状態で、シートに取り付けられており、
シート内の複数の液体伝達開口部の構成が、マニホールドからの液体がハウジングに入り、開口部を通過することができるように、各開口部の構成がハウジングのそれぞれの1つに関連付けられている、工程と、
冷却液をマニホールドに導入する工程と、
タンク内の液体の上面を、外部ハウジングの上端部よりも上の位置に配置する工程と、
開口部の構成を通して液体を外部ハウジング内に入れて、ハウジング内の熱によって発生した対流によってハウジング内で上昇させ、かつハウジングから上端部を通ってタンク内に出す工程であって、
ハウジングの上端部から出た液体は、タンク内で表面と上端部との間に加熱層を形成する、工程と、
層から液体を抽出する工程と、
抽出された液体から熱を抽出して、熱供給を生み出し、冷却された液体をマニホールドに戻す工程と
を含む。
【0023】
好ましくは、上端部は層の底を画定する共通の平面に位置し、タンクの最も高温の領域が取り出されるため、層内の液体の層化を増進する。このゾーンの深さを、様々な作動流体温度に対応可能なように調整することもできる。層が厚くなるほど、作動流体は高温になる。
【0024】
典型的には、抽出された液体は、わずかな陽圧を発生させるように構成されたポンプによってマニホールドに戻され、それによって、液体は、正流としてではなく、実質的に完全に対流によってハウジング内を流れるようになる。これによってもまた、液体の層化が増進される。管状ハウジングの間の静止ゾーンには液体が入らないため、この領域によってもまた、管状ハウジング上部の層化した加熱ゾーンに熱を集中させることが可能となる。ハウジングは、好ましくは、周壁が各端部で完全に開口するように上下の端部で完全に開口しており、これがハウジングを通る、必要のある流れを作り出す。
【0025】
すなわち、一実施形態では、マニホールドから仕切りシートを通る開口部がハウジングに配置され、静止ゾーンを形成するために液体がハウジングにのみ入り、ハウジングの間には入らないようになっている。
【0026】
一実施形態では、例えばハウジングは、断面が矩形であり、アレイも矩形であるとともにハウジングの内面にほぼ適合するように、開口部は、ハウジングの内部形状に適合する形状のアレイをそれぞれ提供し、ハウジング内で上昇する滑らかな流れを発生させる。例えば、アレイは、ハウジングを横断する寸法にほぼ等しい長さを有する一連の平行したスロットによって形成されるが、他の穴のアレイを使用することもできる。
【0027】
一実施形態では、タンクは、行および列で配置されたハウジングを収容するように寸法決めされる。
【0028】
一実施形態では、液体はタンクの片側の開口部から抽出され、該開口部は、別個の熱交換器に供給する単一のダクトに連通する単一の開口部として設けられ得る。
【0029】
好ましくは、開口部は、層からのみ抽出するように、上端部よりも上かつ上面よりも下の高さに配置される。
【0030】
好ましくは、液体は鉱油、または植物油ベースであるか、場合によっては完全に合成の絶縁性流体を使用することができる。
好ましくは、液体は、
約0.92g/m3(7.667Ibs/gal)またはその範囲内の密度、
40℃で約33~35mm2/sもしくはその範囲内、または70℃で約15cStもしくはその範囲内の動粘度、
2mm[kV]≧35の絶縁破壊(ASTM D6871)、
360℃以上の沸点、
265℃以上の引火点(クローズドカップ)、
401~404℃の自動/自己点火温度(ASTM E659)、
200℃以下で約0PAまたはその範囲内の蒸気圧、
70℃で約0.15089W/mKまたはその範囲内の熱伝導率、
70℃で約2.3472kJ/kgKまたはその範囲内の比熱
の特性のうちの1つまたは複数を有する。
【0031】
好ましくは、絶縁性の液体は、固有の断熱特性により、極めて高温の層状温度帯を生じさせる特徴を持つように選択される。
【0032】
好ましくは、該絶縁性の液体は、最大限の熱伝達、高い作動流体温度(60℃超)、および効率的な熱伝達を可能にする特性を有する。
【0033】
好ましくは、マニホールドに入る液体の流れおよびハウジングを通る液体の流れは、層内の温度が10~60℃の範囲内であるように構成される。
【0034】
好ましくは、マニホールドに入る液体の流れおよびハウジングを通る液体の流れは、マニホールドに戻される温度が30~85℃の範囲内であるように構成される。
【0035】
好ましくは、各コンピューター処理ユニットは、付随するハウジングと並んでタンク内に収容されている、隣接した電源と連動し、かつマニホールドからのいかなる流れも伴わずにハウジング間の液体によって冷却される。
【0036】
好ましくは、コンピューター処理ユニットは、ピーク需要状況が発生したときにドロップアウトされる(dropped out)。
【0037】
好ましくは、コンピューター処理ユニットをユーティリティスマートメーターに接続して、ピーク需要管理を補助する。
【0038】
好ましくは、シートに取り付けられるとともに、ハウジングおよび電源を直立に支持された状態に保持するように構成されたU字型ホルダが提供される。
【0039】
好ましくは、タンクは、液面変動に対応するための拡張領域としても機能するヘッドゾーンを有する。該ヘッドゾーンは、いかなる水分も含まない状態に保たれるべきであり、水分だけでなく粒子状物質もフィルターで除去できるように装備されるべきである。
【0040】
好ましくは、タンクは完全に密閉され、蒸気気密性を有する。損傷を招く過剰圧力を防ぐため、1~2PSIに設定された圧力逃し逆止弁が設置される。
【0041】
好ましくは、使用されるコンピューター計算リグやプロセッサーを、設置されたファンの取り外しや無効化以外の調節をすることなく、没入(immerse)させることができる。空冷の構成や微粒子(fines)を、すべてそのままにしておくことができる。
【0042】
最大限の熱伝達、高い作動流体温度(60℃超)、および効率的な熱伝達を可能にする、ある種の特性を有する絶縁性流体を使用してコンピューター計算リグやコンピューター計算チップを冷却するための非常にシンプルで費用効果の高いタンクシステムを開発することが想定された。タンク内には、最小限の可動部分があるか、または可動部分がない。その結果、熱交換器を通して作動流体(絶縁流体)を送るために約300ワットの電力を使用する小型の循環ポンプ1台だけで動作する設計となっている。
【0043】
可動部品または過度に複雑な部品を有さないシステムを実現するために、工場で製造されたアルミニウム製のボディや電源を利用するなど、従来の空冷コンピューター計算リグに必要な調節を最小限に抑えられるようにすることが鍵となった。各ユニットに電源を供給するための電源と同様に、CPUアルミシャーシやボディが直立(垂直)に支持される、専用ホルダを設計した。
【0044】
タンクの設計の別の態様は、循環ポンプがわずかな陽圧を作り出す、バッフルプレート下のタンクの「クールゾーン」に冷たい作動液を集めることができるようにするためのバッフルプレートである。バッフルプレートは、各コンピューター計算リグのハウジングまたは「チューブ」に流体を導く、正確に切り開かれた多数のスロットを有する。スロットの量および大きさは、流体の粘度と、コンピューター計算チップに何らかの損傷が生じ得る前に許容可能な最高温度とに基づいて決定される。この温度は、典型的には最高85℃である。ハウジングまたは「チューブ」は、煙突の働きをし、あらゆる種類のコンピューター計算マザーボードに対応するようカスタマイズ可能である。
【0045】
作動流体の冷たい流れをバッフルプレートのスロットに通すことと、これをアルミニウム製のマイニングリグのボディまたはチューブに導くこととの組み合わせにより、非常に強力な熱力学的ポンプ作用または煙突効果がもたらされる。この効果は、冷却された作動流体をバッフルプレート下からチューブ構造を通って効率的に移動させ、処理チップを含むコンピューター計算ボードを通過させ、発生した高熱を取り除くのに役立つ。
【0046】
マイニングリグのボディまたはチューブを出ると、高温の作動流体は、タンク領域または「ホットゾーン」の上部に収集される。本発明の別の興味深い点は、高温の作動流体を1つのポートだけで効率的に除去できることであり、複雑なバッフル設計やコストのかかるマニホールドシステムを低減する。固有の断熱特性により、極めて高温の層状温度帯を生じさせる、絶縁性流体の自然な傾向が使用されている。
【0047】
この設計により、ホルダの高い位置に吊られた電源は、「ニュートラルゾーン」の温度を利用して電源を冷却することもできる(図面参照)。電源は、主となるコンピューター計算ボードやコンピューター計算チップほど熱を発生させないため、ユニット内を循環する作動液は少なくて済む。
【0048】
システムは、カナダや米国の北部地域を含む離隔地域での動作向けに、完全に変調および遠隔制御されるインターフェースであるように設計されている。ユーティリティスマートメーターに繋げて、ピーク時の需要管理を補助することも可能である。システムは、ピーク需要が発生したときにドロップアウトするように設計され得る。
【0049】
本タンク設計は、住宅用の設置から大規模な産業用まで適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
以下、本発明の一実施形態を添付の図面とともに説明する。
【
図1】本発明に係る、冷却タンク、熱交換器、加熱負荷、電気接続部および電力ユーティリティーへの接続部を含む完全な装置の一実施形態の等角図である。
【
図2】
図1のタンクの内部に取り付けるための取り付けブラケットに取り付けられた処理ユニットおよび電源の等角図である。
【
図3】
図3は、
図2の処理ユニットおよび電源およびブラケットの側面図である。
【
図4】
図2の処理ユニットおよび電源およびブラケットの上面図である。
【
図5】タンクの内部を示す、
図1の線5-5に沿った横断面図である。
【
図6】管状ハウジングの内部へのプレートを介した液体の通路を示す、
図4の線6-6に沿った横断面図である。
【
図7】本発明に係る、冷却タンク、加熱負荷、電気接続部、および加熱システムのための特定の温度を生じさせるために冷凍サイクル式のヒートポンプを使用する電力ユーティリティーへの接続部を含む完全な装置のさらなる実施形態の等角図である。
【0051】
図面中の同様の参照符号は、異なる図面における対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0052】
本発明の構成は、複数の回路基板(12)を冷却して、そこから発生する熱を負荷(13)に伝達するための冷却液(11)を収容するタンク(10)を提供する。冷却液(11)は、排出開口部(14)を通ってタンクから抽出され、熱交換器(16)を通って戻し口(15)からタンクへと戻される。ポンプ(17)が、熱交換器を通る回路に設けられ、液体に流れを生じさせ、戻し口(15)において低圧を発生させる。
【0053】
タンクは、4つの直立側面(18)、上蓋(19)、および基部(20)を有する矩形のボディを備える。これにより密閉容器が形成され、ここでタンクは、液面(11A)の上方、かつ上蓋(19)の下方にヘッドゾーンを有し、該ヘッドゾーンは、液面変動に対応するための拡張領域としても機能する。ヘッドゾーンは、抽出および濾過システム(21)によって、液体から水分だけでなくあらゆる粒子状物質も取り除くことで、いかなる水分も含まないように保たれている。こうしてタンクは密閉され、蒸気気密性を有する。
【0054】
基部(20)と液上面(11A)との間の領域を満たすタンク内の液体は、上で定義した特性を有する適切な絶縁性材料で形成された冷却液として機能する。
【0055】
タンクは、上部構造をタンクの端部に接続する端部ブラケット(23)に取り付けられた上部構造(22)を搭載する。上部構造は、回路基板の動作を制御するために必要な電子機器と、システムを作動するために必要な通信機器を収容する矩形のハウジングを提供する。これには、処理システムに必要な電力を供給する電力ユーティリティ(25)と通信するための通信システム(24)が含まれる。
【0056】
タンク(10)は、タンク内に行と列のアレイ状に配置された複数のコンピューター処理ユニット(30)を収容する。各ユニット(30)は、底面(33)から上面(34)まで延在する4つの矩形の側面(32)によって画定された外部管状ハウジング(31)を含む。上面および底面は、ハウジングが底面から上面へと液体が自由に通過できる管状ダクトを形成するように、通常開口している。ハウジングは、多くのコンピューター処理サプライヤーによって供給される従来のハウジング構造であり、通常、ハウジング内の処理ボード(12)は、ハウジングの一方または両方の端部上のファンによって発生する空気流によって冷却される。ファンは、既存の基板を収容する既存のハウジングが今度は冷却液によって冷却されるように取り外される。このように、ハウジングは、下端部に底部開口部、および上端部に頂部開口部を画定し、上端部と下端部との間に閉塞周壁を画定する。
【0057】
ハウジング内に取り付けられた電気コンポーネントを搭載するコンピューター処理ボードは、ハウジングを横切って間隔を隔てた位置に並列ボードとして配置される。これらは、従来の方法でコンピューター処理動作を実行するように動作しながら、熱を発生させる。周知のように、種々の高度な処理動作に必要な処理動力は、移動させなければならない多量の熱を発生させ、この熱は、特に寒冷地では、多大な量の空間加熱に十分である。
【0058】
各コンピューター処理ユニットは、処理ユニット(30)のための従来のコンポーネントを収容する、通常はボディが矩形状の、隣接する電源(35)に関連付けられる。シート上に取り付けられ、ハウジングおよび支持された電源を直立に保持するように構成されたL字形のホルダブラケット(36)が設けられる。ブラケットは、ハウジング(31)の下端部(33)を横切って延在する水平な基部プレート(37)を含む。頂端部(36A)で基部に接続された直立プレート(38)は、電源がハウジング(31)に隣接して配置されるようにプレートの内面に電源を搭載し、両者は、概ね平行に、かつわずかに間隔を隔てて保持される。コネクタ(35A)は、電源からタンクを通って、上部構造の制御システムへの出口グランド(図示せず)まで延在している。
【0059】
ブラケット(36)は、基部(37)と、冷却液が基部(37)を通って管状ハウジング(31)に入るためにボード(12)の下端部(12A)を露出させる開口部(37A)とを有する。該開口部は、縁(37C)が側壁(32)と平行になるように、概して矩形である。しかしながら、三角形のフランジ(37B)は、下端部(33)において基部(37)に取り付けられる同様の形のフランジを取り付けるために、角部に配置される。したがって、ハウジング(31)およびその中のボード(12)は、基部(37)に取り付けられ、電源(35)はプレート(38)に取り付けられ、両者をタンク内の、
図5に示す行および列で取り付けることが可能となる。
【0060】
矩形のタンクは、タンク(10)内に基部(20)と平行する仕切りシート(40)を有し、タンクを、仕切りシート(40)より下方かつ基部(20)より上方の下部マニホールド(41)と、シート(40)より上方のタンク主要部(42)とに仕切っている。
【0061】
下端部(33)の開口部がシート(40)に配置され、周壁(32)がタンク内で仕切りシート(40)から間隔を隔てた上端部(34)まで直立した状態で、各コンピューター処理ユニットの外部ハウジング(31)がシート(40)に取り付けられるように、ブラケット(36)を、行および列で底部シート(40)に固定する。
【0062】
冷却液をマニホールド(41)から各ハウジング(32)に通すために、複数の液体伝達開口配置部(44)がシート内に設けられ、そこで各開口配置部(44)が、ハウジング(31)のそれぞれ1つに関連付けられて、マニホールド(41)からの液体がハウジング(31)に入り、開口部(37A)からハウジングへと通過できるようになる。液体は、戻し口(15)からマニホールドに入って、マニホールド内で広がるので、ハウジングへと通過するための開口配置部(44)が設けられる。図に示されるように、開口配置部(44)は、平行に間隔を隔てているスロット(44A)、(44B)および(44C)の列を含み、これらのスロットは、スロットがハウジング(31)の幅に適合する長さとなるように、開口部(37A)の面積に概ね適合する面積を形成する。
【0063】
液深は、タンク内の液上面(11A)が、外部ハウジング(31)の上端部(35)よりも上方の位置で、上蓋(19)よりも下方に位置するように構成されている。
【0064】
したがって、液体は、開口配置部(44)から外部ハウジングに入り、開口配置部のそれぞれがハウジングの内部形状に適合する形状のアレイを提供して、ハウジング内で上昇する滑らかな流れを発生させるように、かつハウジング内の熱によって生じる対流によってハウジング内で上昇し、上端部(34)を通ってハウジングからタンク(10)へと出るように機能する。これにより、液体は、ハウジングの上端部(34)から出て、タンク内の液上面(11A)と上端部(34)との間に加熱層(11B)を形成する。
【0065】
加熱層(11B)内の液体は、完全に成層内にある排出開口部(14)から抽出されるので、加熱された成層だけが実質的に除去される。
【0066】
図6に示されるように、上端部(34)はすべて、加熱層(11B)の底を画定する共通の平面内にある。抽出された液体は、液体が実質的に完全に対流によってハウジング(31)を通って流れることを生じるように、わずかな陽圧を作り出すように構成されたポンプによってマニホールドに戻される。
【0067】
上述したように、開口配置部(44)は、ハウジング(31)に配置され、液体がハウジング(31)にのみ入り、かつ電源がハウジング(31)間の静止した液体の存在だけで十分に冷却され、加熱された液体は成層(11B)に上昇するため、液体は、冷却がほとんど必要とされないハウジング(31)の間には入らないようになっている。
【0068】
絶縁性の液体は、固有の断熱特性により、極めて高温の層状温度帯を生じさせる特性を持つものが選択され、最大限の熱伝達、高い作動液温度(50℃超)、および効率的な熱伝達を可能にする。
【0069】
次に
図7を見ると、タンク(20)およびその中のコンピューター処理ユニットからの熱を使用して、一連の放熱負荷(50)、(51)などの加熱を行う方法が示されている。
【0070】
該方法では、タンクから熱を受容する回路(52)を通過する熱伝達液体の流れが発生する。熱伝達液は、回路(52)に取り付けられた熱源(55)を生じさせる燃焼熱供給部(54)を有するボイラー(53)を通過し、これにより熱源(55)は、回路(52)内の熱伝達液に熱を加えることができる。熱伝達液は一連の放熱負荷を通過して、熱伝達液から負荷へと熱を伝達する。
【0071】
タンク(20)内には、上述のような絶縁性材料で形成された冷却液が与えられ、この冷却液は、各々が、コンピューター処理動作を実行しながら熱を発生させるように動作する電気コンポーネントを搭載した少なくとも1つのコンピューター処理ボードを備える複数のコンピューター処理ユニットと共同する。冷却液は、ポンプまたは対流によって駆動され、タンク内を通過しつつ、コンピューター処理ユニットの冷却を生じさせ、これにより、入口(15)においてパイプ(56)内の液体の加熱の上流に冷たい液体の第1の流れを発生させ、出口(14)においてパイプ(57)内の加熱の下流に加熱された液体の第2の流れを発生させるように、コンピューター処理ユニットを冷却しながら液体が加熱される。
【0072】
第2の流れ(57)からの冷却液は、冷凍サイクルヒートポンプ(58)が第2の流れから熱を抽出して第1の流れ(56)に戻すように、ヒートポンプ(58)を通過して第1の流れ(56)へと進む。ヒートポンプは、冷却剤としてCO2を使用する市販されている冷凍サイクル式であり、コンプレッサー(62)を含む回路(61)によって接続された2つのコイル(59)および(60)を有する。
【0073】
ヒートポンプ(61)は、タンクからの冷却液から抽出された熱を回路(52)内の熱伝達液に伝達することにより、熱伝達液がヒートポンプに入る入口流(64)からヒートポンプを出る出口流(65)に進んで、これにより熱伝達液が熱源(55)とヒートポンプ(62)との両方を通過してその両方から熱を受け取るように作用する。
【国際調査報告】