IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.の特許一覧

特表2024-515468二相系において塩基を使用した不飽和側鎖を含有するベンゾキノンの閉環
<>
  • 特表-二相系において塩基を使用した不飽和側鎖を含有するベンゾキノンの閉環 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】二相系において塩基を使用した不飽和側鎖を含有するベンゾキノンの閉環
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/72 20060101AFI20240403BHJP
   C07C 50/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C07D311/72 101
C07C50/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558788
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-07
(86)【国際出願番号】 EP2022061094
(87)【国際公開番号】W WO2022229214
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21170911.8
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】クエンジ, ロルフ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB84
(57)【要約】
本発明は、二相系における塩基の存在下の式(II)の化合物の閉環反応による式(I)の化合物の形成に関する。


本反応は非常に効率的であり、例えば、3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール、それぞれα-トコトリエノール及びα-トコフェロールを合成するための効率的な経路を提供することが判明した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物を製造するプロセスであって、式(II)
【化2】

の化合物を、式(I)の化合物を得るために、二相系において塩基の存在下で閉環する工程を含み、
式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化3】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表すプロセス。
【請求項2】
=R=R=CHであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式(I)の化合物が式(I-BB)の化合物であり、式(ii)の化合物が式(II-BB)の化合物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【化4】
【請求項4】
前記塩基が、式(II)の化合物とは異なる相にあることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記二相の一方が、炭化水素、好ましくはトルエンを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記塩基が水相中に存在することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記塩基が固体形態にあることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記塩基が、有機アミン、好ましくは有機第三級アミン、又は金属水酸化物若しくは金属炭酸塩のいずれか、特に有機第三級アミン水酸化物又はアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記塩基が、式(I)の化合物に対して1:1’000~1:5、特に1:100~1:10のモル比で存在することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記閉環反応が、相間移動剤、特に第四級アンモニウム塩、特に式[NR]X(式中、RはC2~18アルキル基、特にC3~8アルキル基であり、Xはハロゲン化物である)の第四級アンモニウム塩の存在下で行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
式(III)
【化5】

の化合物を製造するプロセスであって、
a)請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセスにより、式(I)
【化6】

(式中、点線
【化7】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b)部分水素化に好適な水素化剤によって式(I)の化合物を部分的に水素化し、前記式(III)の化合物を得る工程とを含むプロセス。
【請求項12】
式(IV)
【化8】

の化合物を製造するプロセスであって、
a)請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセスにより、式(I)
【化9】

(式中、点線
【化10】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b’)水素化剤によって式(I)の化合物を水素化し、前記式(IV)の化合物を得る工程とを含むプロセス。
【請求項13】
二相性組成物であって、
i)式(II)
【化11】

(式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化12】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物、
並びに、
ii)前記式(II)の化合物とは別の相にある塩基を含む、二相性組成物。
【請求項14】
前記式(II)の化合物が式(II-BB)の化合物であることを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【化13】
【請求項15】
式(I)の化合物を得るための式(II)の化合物の閉環反応のための、式(II)の化合物とは異なる相にある塩基の使用であって、
【化14】

式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化15】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す、使用。
【請求項16】
式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物の抗酸化剤としての使用であって、
【化16】

式中、n=0~9、特にn=8であり、
【化17】

式中、n=0~12であり、
【化18】

式中、n=0~9、特にn=8であり、
【化19】

式中、n=0~12であり、
【化20】

式中、n=0~9、特にn=8であり、
【化21】

n=0~12であり、
式中、
は、水素又はメチル基を表し;
点線
【化22】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す、使用。
【請求項17】
式(I-As)又は(I-Cis)又は(III-Cis)又は(IV-Cs)の化合物であって、
【化23】

式中、n=3~9、特にn=8であり、
【化24】

式中、n=1~12、特にn=2~5であり、
【化25】

式中、n=3~6、特にn=5であり、
【化26】

式中、n=3~12、特にn=3~5である、化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、クロマン及びクロメン、特に、3,4-デヒドロトコフェロール、3,4-デヒドロトコトリエノール、トコフェロール及びトコトリエノールの合成の分野に関する。
【0002】
[発明の背景]
クロマン化合物の重要なクラスは、ビタミンE及びそのエステルである。クロマンの合成経路は、それらの対応するクロメンを経由する。
【0003】
クロメンを形成するために、様々な経路が存在する。
【0004】
Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)には、反応媒体としてのピリジンにおける閉環によってクロメンを形成する際に、ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンを閉環反応させることによって3,4-デヒドロトコトリエノールを形成することが開示されている。得られた反応混合物は複雑な混合物であり、所望の生成物を単離するには、結晶化による分離及び精製のために、デヒドロトコトリエノール-p-フェニルアゾベンゾエートを形成する複雑な誘導体化手順が必要となる。この手順では、非常に高価で高い毒性のある化学物質である、4-(フェニルアゾ)ベンゾイルクロリドが使用されるため、非常に不利である。
【0005】
国際公開第2015/028643 A1号パンフレットでは、Au(I)又はAg(I)触媒によるキラルアリールアルキンの分子内ヒドロアリール化によるクロメンの形成が開示されている。金触媒及び銀触媒は非常に高価である。
【0006】
Kabbe and Heitzer,Synthesis 1978,12,888-889では、TMHQ及びイソフィトールからのビタミンE(すなわち、α-トコフェロール)の公知の合成経路を用いることは、イソプレノイド側鎖が酸触媒による二次的な閉環反応を起こすため、トコトリエノールの合成(すなわち、TMHQ及びゲラニリナロールからの合成)には好適でないことが開示されている。
【0007】
[発明の概要]
従って、本発明によって解決すべき課題は、最終的に所望の生成物を得るために複雑な誘導体化、精製及び化学変換を伴うプロセスよりもはるかに単純な方法で、クロメン及びクロマンをもたらすプロセスを提供することである。
【0008】
本問題は、請求項1に記載のプロセスによって解決される。驚くべきことに、塩基の存在下における二相系がこの目的に極めて好適であり、式(I)の所望の化合物を容易に単離することが可能であることが判明した。特に、前記閉環反応の塩基としては、強塩基性の触媒が特に好適であることが判明した。
【0009】
このプロセスは、請求項11又は12に記載の式(III)又は(IV)のクロマンに非常に有利な合成経路を提供する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の対象である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】水素化の際に、環内の炭素-炭素二重結合のみが水素化される一方で、オレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化されず(「部分水素化」)、それによって式(III)の化合物が生じ、全てのオレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化され(「完全水素化」)、それによって式(IV)の化合物が生じることを示す。
【0012】
[発明の詳細な説明]
第1の態様では、本発明は、式(I)
【化1】

の化合物を製造するプロセスに関し、
式(II)
【化2】

の化合物を、式(I)の化合物を得るために、二相系において塩基の存在下で閉環する工程を含み、
式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化3】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。
【0013】
明確にするために、本明細書で使用されているいくつかの用語を以下のように定義する。
【0014】
本明細書において、「Cx~yアルキル」基とは、x~y個の炭素原子を含むアルキル基であり、すなわち、例えば、C1~3アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基は直鎖であってもよく、又は分岐鎖であってもよい。例えば、-CH(CH)-CH-CHは、Cアルキル基とみなされる。
【0015】
本明細書において、複数の式の中で記号又は基に対して同じ表示が存在する場合、特定の式に関連してなされた前述の基又は記号の定義は、同じ前述の表示を含む他の式にも適用される。
【0016】
本明細書において、置換基、部分、又は基の文脈における「互いから独立して」という用語は、同様に指定された置換基、部分、又は基が、同じ分子中に異なる意味を有しながら同時に存在することができることを意味する。
【0017】
本明細書において、式中の点線はいずれも、置換基が分子の残部に結合されることによる結合を表す。
【0018】
本明細書において、化学式における点線
【化4】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表す。
【0019】
本明細書の任意の式中の任意の波線は、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。全ての分子において、炭素-炭素二重結合はE配置であることが好ましい。
【0020】
「pK」は、酸解離定数の負の10を底とする対数(pK=-log10)として一般に公知である。有機酸が複数のプロトンを有する場合、本明細書で使用されるpKは、最後のプロトンの解離定数に関する。例えば、2つの塩基部位を有する塩基の場合、「pka」はpKa2に関する。pKは、標準温度及び標準気圧で測定される。
【0021】
[式(II)の化合物]
式(II)の化合物は、それらの合成と同様に当業者に公知の物質である。
【化5】
【0022】
1つの好ましい実施形態では、置換基R及びRは、メトキシ基を表す。本実施形態では、点線
【化6】

の任意の結合は、好ましくは炭素-炭素二重結合を表し、好ましくはE配置である。
【0023】
ユビキノンは、本実施形態の重要な代表格である。ユビキノンは、側鎖のイソプレノイド基の数に従って、ユビキノン-2(n=0)、ユビキノン-3(n=1)、ユビキノン-4(n=2)、ユビキノン-5(n=3)、ユビキノン-6(n=4、ユビキノン-7(n=5)、ユビキノン-8(n=6)、ユビキノン-9(n=7)及びユビキノン-10(n=8)と表記される。ユビキノンは、コエンザイムQという古い用語においても公知である。ユビキノン-10(n=8)(=コエンザイムQ10)は、本実施形態の特に好ましい種である。
【0024】
別の好ましい実施形態では、置換基R及びRは、H又はメチル基のいずれかを表す。R=R=CHであることが好ましい。
【0025】
=R=R=CHであることが特に好ましい。
【0026】
n=2であることが好ましい。式(II)の点線
【化7】

の全ての結合が炭素-炭素二重結合であることがさらに好ましく、全てE配置であることが好ましい。
【0027】
本実施形態では、式(II)の化合物は、式(II-BB)
【化8】

=ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン
の化合物であることが好ましい。
【0028】
別の好ましい実施形態では、置換基R及びRは、共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成する。本実施形態の化合物は、
【化9】

で表される。
【0029】
本実施形態では、Rは、好ましくはメチル基を表す。
【0030】
ビタミンK1(フィロキノン)は、本実施形態の一例である。
【0031】
ビタミンK2としても公知のメナキノン(MK)は、本実施形態のさらに重要な代表格である。
【0032】
点線
【化10】

の任意の結合は、好ましくは炭素-炭素二重結合を表し、好ましくはE配置である。
【0033】
メナキノンは、側鎖のイソプレノイド基の数に従って、MK-2(n=0)、MK-3(n=1)、MK-4(n=2)、MK-5(n=3)、MK-6(n=4)、MK-7(n=5)、MK-8(n=6)、MK-9(n=7)、MK-10(n=8)、MK-11(n=9)、MK-12(n=10)及びMK-13(n=11)と表記される。
【0034】
MK-4(n=2)は、本実施形態の特に好ましい種である。
【0035】
点線
【化11】

の結合のいずれかが炭素-炭素二重結合を表す場合、二次的に環形成が生じる恐れがあることが当業者に予想されるであろう。この二次的な環形成は観察されていないため、点線の結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合を表すことが特に好ましい。従って、特にこのプロセスにより、側鎖に3つの二重結合を有するα-トコトリエノールが生じる。α-トコトリエノールは、天然のビタミンEにおいて重要な化合物である。
【0036】
[塩基]
前記プロセスは、図1の反応スキーム内で工程a)として記載されるように、式(I)の化合物を得るために塩基(「塩基」)の存在下で式(I)の化合物を閉環する工程を含む。
【0037】
塩基は、好ましくはアルカリ金属又は土類アルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩、好ましくは水酸化物であり、特にアルカリ金属水酸化物である。
【0038】
塩基は、有機アミン、特に有機第三級アミンであることがさらに好ましい。
【0039】
本発明に全ての塩基が等しく十分に作用するわけではない。前記塩基は、ピリジンでないことが好ましい。水中で測定して8.6~15.7、特に9~15.7のpKを有する前記塩基の共役酸が特に好適であることが示されている。このことは、前記塩基が好ましくは5.4~0、特に5~0のpKbを有することを意味する。
【0040】
【表1】
【0041】
一実施形態では、前記塩基は、特に、4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(=DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(=DABCO)、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)及びスパルテインからなる群から選択され、好ましくは4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)及び1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)からなる群から選択される有機アミンである。
【0042】
塩基は、特に、式(II)の化合物と接触させたときに水素化物が分子水素を形成するため、水素化ナトリウムのような水素化物ではない。水素が発生すると、閉環工程及び一般的にはプロセス中に重大な安全上のリスクが生じる。
【0043】
別の実施形態では、塩基は、好ましくはアルカリ金属又は土類アルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩、好ましくは水酸化物であり、特にアルカリ金属水酸化物である。本実施形態では、塩基は、NaOH又はKOHであることが最も好ましい。
【0044】
さらに別の実施形態では、塩基は、アルミナ上のフッ化カリウム(KF/Al)である。
【0045】
[二相系]
式(II)の化合物を閉環する工程は、二相系における塩基の存在下で行われる。
【0046】
前記二相系とは、2つの異なる相による反応系のことである。二相系は、特に、液相及び固体又は別の液相からなる。
【0047】
二相のうちの一方は、炭化水素、好ましくはトルエンを含むことが好ましい。
【0048】
式(II)の化合物は、特に、前記炭化水素、好ましくはトルエン中に溶解される。
【0049】
塩基は、式(II)の化合物と異なる相にあることが好ましい。
【0050】
実施形態の1つでは、前記二相系は、2つの液相、好ましくは水相と、水相と混和しない有機相とからなる。前記有機相は、特に炭化水素、好ましくはトルエンを含む。
【0051】
前記水相は、塩基を含むことが好ましい。
【0052】
別の実施形態では、前記二相系は、液相及び固相からなる。
【0053】
塩基は、固体形態にあることが好ましい。従って、固相は、特に塩基であるか、又は塩基を含む。塩基は、固体担体によって支持されていてもよい。塩基は、例えばアルミナ、シリカ、炭素、炭酸塩若しくはケイ酸塩、又は他の鉱物などの固体担体に吸収若しくは吸着されるか、又は化学的に結合されてもよい。
【0054】
本実施形態における液相は、式(II)の化合物又は有機溶媒を含む液体有機相のいずれかである。有機溶媒は、特に炭化水素、好ましくはトルエンである。
【0055】
従って、固相としては、アルカリ金属又は土類アルカリ金属の固体水酸化物又は炭酸塩、好ましくは水酸化物であり、特にアルカリ金属水酸化物を使用することができる。前記固体水酸化物又は炭酸塩は、特に、粉砕、磨砕若しくは微粉化などの機械的プロセス、又は好適な沈殿若しくは結晶化などの物理化学的プロセスによって得られる、高表面積を有する固体として使用されることが好ましい。固体塩基の表面積(例えばm/gで定義される)が高いほど、前記固体塩基が本発明の目的にさらに好適となることが判明した。
【0056】
特定の好ましい実施形態では、前記固体塩基は、アルミナ上のフッ化カリウム(KF/Al)である。アルミナ上のフッ化カリウムは、B.E.Blass in Tetrahedron 58(2002),9301-9320に開示されているように、有機合成に広く使用されている、よく知られた塩基である。
【0057】
塩基を固体として使用する場合、相間移動剤、特に第四級アンモニウム塩、特に式[NR]X(式中、RはC2~18アルキル基、特にC3~8アルキル基であり、Xはハロゲン化物である)の第四級アンモニウム塩を使用することが好ましい。好ましくは、相間移動剤はテトラブチルアンモニウムハライド、特にテトラブチルアンモニウムブロミドである。前記相間移動剤は、式(II)の化合物に対して0.1~10mol%、特に0.5~2mol%の量で使用されることが好ましい。
【0058】
特に、液相及び固体からなる二相系は、高変換率で非常に高収率であることを示すことが観察された。従って、液相及び固体からなる二相系が好ましい。
【0059】
閉環反応に二相系を使用することは、相が互いに容易に分離することができるため極めて有利であり、その結果、出発物質だけでなく反応生成物もより良好に分離される。従って、課題である反応にこのような二相系を使用することは、反応生成物をそれぞれ単離する後処理に有利である。さらに、このことは、出発物質の再利用を簡略化し、且つ工業規模で式(I)の化合物を生成する好ましい方法である連続反応モードにおいて有利である。塩基が固相として提供される場合、典型的には、還元が行われる反応器の一部、又は前記反応器に挿入される要素であり得る規則充填要素の形態で、より大きな物体の形態で容易に提供することができる。この規則充填要素は、好ましくはプラスチック、例えばポリウレタン樹脂若しくはメラミン樹脂、又はセラミックから作製された不規則充填物、網目、連続気泡構造、或いは、蒸留及び抽出技術に由来する、すなわちその幾何学的形状により既に原理的に公知であるような規則充填要素であってよい。固体塩基は、反応媒体を通過させることができるが、但し固体塩基の通過を回避することを可能とするのに好適な穴又はメッシュの直径を有する、例えば網目又はメッシュなどの多孔質の壁を有する容器内で構成することもできる。有用な規則充填要素は、特に金属織物充填物及び金網充填物であり、例えばMontz A3、Sulzer BX、DX及びEXの設計のものである。金属織物充填物の代わりに、他の織物材料、網目材料又は不織材料で作製された規則充填物を使用することもできる。さらに有用な規則充填物は、穿孔のない扁平な若しくは波形のシート、又は、例えばMontz BI若しくはSulzer Mellapakの設計に相当する他の比較的大きなオリフィスであることが好ましい。エキスパンドメタルで作製された規則充填物、例えばMontz BSHタイプの規則充填物も有利である。このような場合、特に、反応が連続反応モードで用いられる反応器内で行われる場合、塩基を反応器から容易に除去し、新鮮な塩基と交換することが可能となる。
【0060】
塩基は、特に、塩基/式(II)の化合物のモル比が1よりも大きい量、特に2~1.1の量で閉環工程に使用することができることが示されている。
【0061】
しかしながら、驚くべきことに、塩基は触媒量でも使用することができ、すなわち、塩基は式(II)の化合物に対して化学量論量で存在せずに、しかしながら極めてより少ない量で、すなわち塩基性触媒と式(I)の化合物とのモル比が1:1’000~1:5、特に1:1’000~1:8、より特に1:100~1:10の量で使用することができることが判明した。
【0062】
閉環工程は、典型的に、好ましくは40~200℃、好ましくは90~150℃の温度で、より好ましくは、有機溶媒が使用される場合は有機溶媒の還流温度で、及び/又は1bara~10baraの圧力で撹拌しながら行われる。この反応は不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で行うのがさらに好ましい。
【0063】
前記プロセスにより、式(I)
【化12】

の化合物がスムーズに得られることが示されている。
【0064】
特に、前記プロセスにより、簡単な方法で、すなわち、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)で開示されているようなプロセスの場合のように、任意の複雑な誘導体化の後に結晶化することによって精製をし、最終的に誘導体を所望の化合物に化学変換することを必要とせずに、式(I)の所望の化合物を単離することが可能となる。
【0065】
式(I)の化合物の特に好ましい実施形態は、式(I-A)、(I-B)及び(I-C)の化合物であり、好ましくは、式(I-AA)、(I-BB)、(I-CC1)及び(I-CC2)の化合物である:
【化13】

n=0~9、特にn=8
【化14】

n=0~9、特にn=8
【化15】

n=0~9、特にn=2
【化16】

【化17】

n=0~12
【化18】

n=0~12、特にn=2
【化19】
【0066】
非常に好ましい化合物は、式(I-As)の化合物である。
【化20】

n=3~9、特にn=8
【0067】
非常に好ましい化合物は、式(I-Cis)の化合物である。
【化21】

n=1~12、特にn=2~5
【0068】
上記に示されるようにして得られた式(I)の化合物は、水素化剤によって水素化することができる。
【0069】
一実施形態では、この水素化の際に、環内の炭素-炭素二重結合のみが水素化される一方で、オレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化されず(「部分水素化」)、それによって水素化により式(III)の化合物が生じることが図1に示されている。
【化22】
【0070】
式(III)の化合物の特に好ましい実施形態は、式(III-A)、(III-B)及び(III-C)の化合物であり、好ましくは式(III-AA)、(III-BB)、(III-CC1)及び(III-CC2)の化合物である:
【化23】

n=0~9、特にn=8
【化24】

n=0~9、特にn=8
【化25】

n=0~9、特にn=2
【化26】

【化27】

n=0~12
【化28】

n=0~12、特にn=2
【化29】
【0071】
非常に好ましい化合物は、式(III-Cis)の化合物である。
【化30】

n=3~6、特にn=5
【0072】
別の実施形態では、この水素化の際に、全てのオレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化され(「完全水素化」)、それによって水素化により式(IV)の化合物が生じることが図1に示されている。
【化31】
【0073】
式(IV)の化合物の特に好ましい実施形態は、式(IV-A)、(IV-B)及び(IV-C)の化合物であり、好ましくは式(IV-A)、(IV-BB)及び(IV-CC)の化合物である:
【化32】

n=0~9、特にn=8
【化33】

n=0~9、特にn=2
【化34】

【化35】

n=0~12
【化36】
【0074】
非常に好ましい化合物は、式(IV-Cs)の化合物である。
【化37】

n=3~12、特にn=3~5
【0075】
従って、さらなる態様では、本発明はまた、
式(III)
【化38】

の化合物を製造するプロセスに関し、
a)上記に極めて詳細に説明されているようなプロセスにより、式(I)
【化39】

(式中、点線
【化40】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b)部分水素化に好適な水素化剤によって式(I)の化合物を部分的に水素化し、式(III)の化合物を得る工程とを含む。
【0076】
工程b)で使用される水素化剤は、式(I)の環の炭素-炭素二重結合のみを水素化する水素化剤である。水素化剤として特に好適なのは、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)、特に2524頁の最後の段落に記載されているようなナトリウム/エタノールである。
【0077】
従って、さらなる態様では、本発明はまた、式(IV)
【化41】

の化合物を製造するプロセスに関し、
a)上記に極めて詳細に説明されているようなプロセスにより、式(I)
【化42】

(式中、点線
【化43】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b’)水素化剤によって式(I)の化合物を水素化し、式(IV)の化合物を得る工程とを含む。
【0078】
工程b’)で使用される水素化剤は、式(I)の環の全てのオレフィンの炭素-炭素二重結合を水素化する水素化剤である。水素化剤として特に好適なものは、特にPd、Pt、Rh、Ru、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択され、より好ましくはPdである、第7族、第8族、第9族又は第10族遷移金属の存在下の水素である。
【0079】
不均一遷移金属触媒は、不均一担持遷移金属触媒であることが好ましい。
【0080】
本実施形態では、遷移金属は担体に担持されており、すなわち、パラジウムが担体に付着/又は堆積されている。担体は、固体物質である。
【0081】
好ましくは、前記担体は、炭素又は無機担体である。好ましい無機担体は、酸化物又は炭酸塩である。好ましい酸化物は、Si、Al、Ce、Ti又はZr、特にAl又はSiの酸化物である。二酸化ケイ素、アルミナ及び二酸化チタン及びセリアが特に好ましい。
【0082】
担持体がCeの場合、好ましい酸化物はCeOである。好ましくは、Alの酸化物はAl及びAlO(OH)である。特に好ましいのはAlである。
【0083】
加圧下、特に2~20barの水素圧下で水素化を行うのが好ましい。0℃~100℃の温度で水素化を行うことがさらに好ましい。
【0084】
式(II)の化合物及び塩基それ自体を含む二相性組成物もまた、本発明の目的である。
【0085】
従って、さらなる態様では、本発明は、
i)式(II)
【化44】

(式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化45】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物、
並びに、
ii)式(II)の化合物とは別の相にある塩基を含む、二相性組成物に関する。
【0086】
式(II)の化合物及び塩基、同様にそれらの好ましい実施形態は、既にプロセスについて上記で極めて詳細に説明されている。
【0087】
本発明の中で、上記の閉環工程における効率的な閉環のために、二相をベースとした反応系を用いることができることが判明した。
【0088】
従って、さらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物を得るための式(II)の化合物の閉環反応のための、式(II)の化合物とは異なる相の塩基の使用に関し、
【化46】

式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化47】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。
【0089】
式(II)の化合物、塩基、二相及び閉環工程と同様に、それらの好ましい実施形態は、既にプロセスについて上記で極めて詳細に説明されている。
【0090】
さらに、式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物は、抗酸化特性を有することが判明している。
【0091】
従って、さらなる態様では、本発明は、式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物の抗酸化剤としての使用に関する。
【化48】

n=0~9、特にn=8
【化49】

n=0~12
【化50】

n=0~9、特にn=8
【化51】

n=0~12
【化52】

n=0~9、特にn=8
【化53】

n=0~12
式中、Rは、水素又はメチル基を表す。
【0092】
式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物と同様に、それらの好ましい実施形態は、既にプロセスについて上記で極めて詳細に説明されている。
【0093】
本明細書に開示されるいくつかの化合物は新規である。前記化合物は、開示されたプロセス及び使用に適合性があるため、新規であるだけでなく、発明性もある。
【0094】
従って、さらなる態様では、本発明は、特に、式(I-As)又は(I-Cis)又は(III-Cis)又は(IV-Cs)の化合物に関し、
【化54】

式中、n=3~9、特にn=8であり、
【化55】

式中、n=1~12、特にn=2~5であり、
【化56】

式中、n=3~6、特にn=5であり、
【化57】

式中、n=3~12、特にn=3~5であり、
且つ、式中、
は、水素又はメチル基を表し;
点線
【化58】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。
【0095】
[実施例]
本発明を以下の実験によってさらに説明する。
【0096】
[実験系列1:液体/固体:トルエン/固体NaOHの二相系]
第1の系列では、3.5mgの臭化テトラブチルアンモニウム(1mol%(ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンに対して))の存在下で、0.46g(1.098mmol)のゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン(純度97%)と、6mlのトルエンと、4.7mgの固体NaOH(0.1098mmol、10mol%(ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンに対して))とを添加し、表1に提示された反応時間で還流(110℃)しながら撹拌して、2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール(3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール)を表1に示すような変換率と収率で得た。
【0097】
【表2】
【0098】
[実験系列2:液体/固体:トルエン/アルミナ上のフッ化カリウム(KF/Al)の二相系]
第2の系列では、0.46g(1.098mmol)のゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン(純度97%)と、6mlのトルエンと、46mgの塩基であるアルミナ上のフッ化カリウム(KF:40重量%)と、臭化テトラブチルアンモニウム(1mol%(ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンに対して))とを添加し、還流(110℃)しながら48時間撹拌して、2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール(3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール)を表2に示すような変換率と収率で得た。
【0099】
【表3】
【0100】
[実験系列3:液体/液体:トルエン/塩基水溶液の二相系]
第3の系列では、3.5mgの臭化テトラブチルアンモニウム(1mol%(ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンに対して))の存在下で、0.46g(1.098mmol)のゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン(純度97%)と、6mlのトルエンと、表3に示されるような濃度での6mlのそれぞれの塩基の水溶液とを添加し、表3に示されるような時間で還流(110℃)しながら撹拌し、2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール(3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール)を表3に示すような変換率と収率で得た。
【0101】
【表4】
【0102】
[部分水素化]
上記で調製された3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール)を、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)の2524頁の最後の段落に開示された手順に従って定量的に水素化し、α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)クロマン-6-オールを得、その同定はNMRにより確認することができた。
【0103】
[完全水素化]
上記で調製された3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール)を、Kabbe and Heitzer,Synthesis 1978;12,888-889の888頁の最後の段落に従ってPd/Cの水素によって定量的に水素化し、α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールを得、その同定はNMRにより確認することができた。
図1
【国際調査報告】